(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】アルミニウム-リチウム合金を含む加工屑の処理方法
(51)【国際特許分類】
C22B 7/00 20060101AFI20240124BHJP
C22B 26/12 20060101ALI20240124BHJP
C22B 21/00 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
C22B7/00 A
C22B26/12
C22B21/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543431
(86)(22)【出願日】2022-01-18
(85)【翻訳文提出日】2023-07-19
(86)【国際出願番号】 US2022012740
(87)【国際公開番号】W WO2022159374
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520119242
【氏名又は名称】アーコニック テクノロジーズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】ARCONIC TECHNOLOGIES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブレント・エル・ミドランド
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ・イー・クルジンスキー
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー・エル・ソーンバーグ
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・エム・ウィリアムズ
【テーマコード(参考)】
4K001
【Fターム(参考)】
4K001AA02
4K001AA34
4K001BA22
4K001CA05
4K001CA49
(57)【要約】
アルミニウム-リチウム合金を含む加工屑を処理する方法が提供される。本方法は、アルミニウム-リチウム合金を含む加工屑を洗浄して、加工屑から処理液の少なくとも一部を除去し、洗浄された加工屑を得ることを含む。方法はまた、アルミニウム-リチウム合金の完全理論密度の少なくとも70%の密度を有する成形体を得るために、洗浄された屑の体積を圧縮することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム-リチウム屑を処理するための方法であって、
処理液を使用してアルミニウム-リチウム合金の機械加工中に生じる加工屑を得ることと、
前記加工屑から前記処理液の少なくとも一部を除去し、洗浄された加工屑を得るために、前記加工屑を洗浄することと、
前記アルミニウム-リチウム合金の完全理論密度の少なくとも70%の密度を有する成形体を得るために、前記洗浄された加工屑の体積を圧縮することと、を含む、方法。
【請求項2】
アルミニウム-リチウム屑を処理するための方法であって、
アルミニウム-リチウム合金の機械加工中に生じる加工屑を得ることと、
前記アルミニウム-リチウム合金の完全理論密度の少なくとも70%の密度を有する成形体を得るために、前記加工屑の体積を圧縮することと、を含む、方法。
【請求項3】
前記洗浄することが、前記加工屑を水溶液と接触させて前記加工屑上の処理液を前記水溶液中に溶解させること、および不活性雰囲気中で前記加工屑を加熱して前記加工屑上の処理液を熱分解すること、のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記洗浄することが、前記加工屑を水溶液と接触させて前記加工屑上の処理液を前記水溶液中に溶解させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記洗浄することが、前記加工屑の表面上の炭素含有量を低減させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記圧縮することが、連続ロータリー押出、コンフォーム押出、等チャネル角度処理、等チャネル角度押出、高圧ねじり、ならびにせん断支援加工および押出のうちの少なくとも一つを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記圧縮することが、連続ロータリー押出を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記処理液が、機械加工用潤滑剤を含む、請求項1および3~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記加工屑が、
0.1重量%~5重量%のリチウムと、
アルミニウムと、
不純物と、を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記加工屑を造粒することをさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記アルミニウム-リチウム合金の前記完全理論密度の少なくとも80%の密度を有する成形体を得るために、前記加工屑の前記体積が圧縮される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記アルミニウム-リチウム合金の前記完全理論密度の少なくとも90%の密度を有する成形体を得るために、前記加工屑の前記体積が圧縮される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記アルミニウム-リチウム合金の前記完全理論密度の少なくとも95%の密度を有する成形体を得るために、前記加工屑の前記体積が圧縮される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記加工屑が、アルミニウム-リチウム合金の機械加工中に生じて、航空宇宙部品または自動車部品を製造する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記加工屑の前記体積の密度が、前記体積を圧縮する前に前記アルミニウム-リチウム合金の前記完全理論密度の50%以下である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
アルミニウム-リチウム屑を処理するための方法であって、
加工屑から機械加工用潤滑剤の少なくとも一部を除去するためにアルミニウム-リチウム合金を含む前記加工屑を洗浄すること、および洗浄された加工屑を得ることであって、前記洗浄することは、前記加工屑を水溶液と接触させて前記加工屑上の処理液を前記水溶液中に溶解させること、および不活性雰囲気中で前記加工屑を加熱して前記加工屑上の処理液を熱分解すること、のうちの少なくとも一つを含む、加工屑を洗浄することおよび洗浄された加工屑を得ることと、
完全理論密度の少なくとも70%の密度を有する成形体を得るために、前記洗浄された屑の体積を圧縮することであって、前記圧縮することが、連続ロータリー押出、コンフォーム押出、等チャネル角度処理、等チャネル角度押出、高圧ねじり、ならびにせん断支援加工および押出のうちの少なくとも一つを含む、圧縮することと、を含む、方法。
【請求項17】
前記洗浄することは、前記加工屑を水溶液と接触させて前記加工屑上の加工液を前記水溶液中に溶解させることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記洗浄することが、前記加工屑の表面上の炭素含有量を低減することを含む、請求項16~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記加工屑が、
0.1重量%~5重量%のリチウムと、
アルミニウムと、
不純物と、を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
アルミニウム-リチウム合金を作製する方法であって、
アルミニウム-リチウム合金の溶融浴中に請求項1~18のいずれか一項に記載の方法に従って作製された成形体を投入し、溶融合金を形成することを含む、方法。
【請求項21】
前記溶融合金の少なくとも一部を凝固させて、前記溶融合金からアルミニウム-リチウムインゴットまたは他の固体形態を形成することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
アルミニウム-リチウム合金を含む部品を作製する方法であって、
請求項21に記載のインゴットまたは他の固体形態を機械加工して前記部品を形成することを含む、方法。
【請求項23】
前記部品が、航空宇宙部品または自動車部品である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
凝集成形体であって、
アルミニウム-リチウム合金を含む洗浄された加工屑を含み、
前記凝集成形体が、前記アルミニウム-リチウム合金の完全理論密度の少なくとも70%の密度を有する、凝集成形体。
【請求項25】
前記アルミニウム-リチウム合金が、
0.1重量%~5重量%のリチウムと、
アルミニウムと、
不純物と、を含む、請求項24に記載の凝集成形体。
【請求項26】
前記凝集成形体が、前記アルミニウム-リチウム合金の前記完全理論密度の少なくとも90%の密度を有する、請求項24~25のいずれか一項に記載の凝集成形体。
【請求項27】
アルミニウム-リチウム合金を作製する方法であって、前記方法が、請求項24~26のいずれか一項に記載の凝集成形体を、アルミニウム-リチウム合金の溶融浴中に投入して、溶融合金を形成することを含む、方法。
【請求項28】
前記溶融合金の少なくとも一部を凝固させて、前記溶融合金からアルミニウム-リチウムインゴットまたは他の固体形態を形成することをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
アルミニウム-リチウム合金を含む部品を作製する方法であって、前記方法が、請求項28に記載のインゴットまたは他の固体形態を機械加工して前記部品を形成することを含む、方法。
【請求項30】
前記部品が、航空宇宙部品または自動車部品である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
アルミニウム-リチウム屑をリサイクルする方法であって、
処理液を使用してアルミニウム-リチウム合金の機械加工中に生じる加工屑を得ることと、
前記加工屑から前記処理液の少なくとも一部を除去し、洗浄された加工屑を得るために、前記加工屑を洗浄することと、
前記アルミニウム-リチウム合金の完全理論密度の少なくとも70%の密度を有する成形体を得るために、前記洗浄された加工屑の体積を圧縮することと、
前記成形体をアルミニウム-リチウム合金の溶融浴中に投入し、溶融合金を形成することと、
前記溶融合金の少なくとも一部を凝固させて、前記溶融合金からアルミニウム-リチウムインゴットまたは他の固体形態を形成することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アルミニウム-リチウム合金を含む加工屑を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミインゴットを加工して部品を製造すると、加工屑が副産物として発生する可能性がある。加工屑の処分には費用がかかる場合がある。加工屑のリサイクルまたは再利用には課題がある。
【発明の概要】
【0003】
本開示による一つの非限定的な態様は、アルミニウム-リチウム合金屑を処理するための方法を対象とする。本方法は、処理液を使用してアルミニウム-リチウム合金の機械加工中に生じる加工屑を得ることを含む。本方法は、加工屑から処理液の少なくとも一部を除去するために加工屑の体積を洗浄することによって、洗浄された加工屑を得ることを含む。洗浄された加工屑の体積を圧縮して、アルミニウム-リチウム合金の完全理論密度の少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の密度を有する成形体を得る。本方法のいくつかの非限定的な実施形態では、加工屑の体積を洗浄することは、加工屑を水溶液と接触させて加工屑上の処理液を水溶液中に溶解させること、および不活性雰囲気中で加工屑を加熱して加工屑上の処理液を熱分解すること、のうちの少なくとも一つを含む。本方法のいくつかの非限定的な実施形態では、加工屑の体積を洗浄することは、加工屑を水溶液と接触させて、加工屑上の処理液を水溶液中に溶解させることのうちの少なくとも一つを含む。本方法の様々な非限定的な実施形態では、洗浄された加工屑の体積を圧縮することは、連続ロータリー押出、コンフォーム押出、等チャネル角度処理、等チャネル角度押出、高圧ねじり、ならびにせん断支援加工および押出のうちの少なくとも一つによって屑の体積を処理することを含む。本方法のいくつかの非限定的な実施形態では、アルミニウム-リチウム合金は、0.1重量%~5重量%のリチウム、アルミニウム、および不純物を含む。
【0004】
本開示による別の非限定的な態様は、アルミニウム-リチウム合金屑を処理するための方法を対象とする。本方法は、アルミニウム-リチウム合金の機械加工中に生じる加工屑を得ることを含む。加工屑の体積を圧縮して、アルミニウム-リチウム合金の完全理論密度の少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の密度を有する成形体を得る。本方法の様々な非限定的な実施形態では、洗浄された加工屑の体積を圧縮することは、連続ロータリー押出、コンフォーム押出、等チャネル角度処理、等チャネル角度押出、高圧ねじり、ならびにせん断支援加工および押出のうちの少なくとも一つによって屑の体積を処理することを含む。本方法のいくつかの非限定的な実施形態では、アルミニウム-リチウム合金は、0.1重量%~5重量%のリチウム、アルミニウム、および不純物を含む。
【0005】
本開示による別の非限定的態様は、アルミニウム-リチウム合金加工屑を含み、アルミニウム-リチウム合金の完全理論密度の少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%である密度を有する、凝集成形体を対象とする。いくつかの非限定的な実施形態では、凝集成形体は、本開示による方法によって作製される。いくつかの非限定的な実施形態では、アルミニウム-リチウム合金加工屑を構成するアルミニウム-リチウム合金は、0.1重量%~5重量%のリチウム、アルミニウム、および不純物を含む。
【0006】
本開示による別の非限定的態様は、アルミニウム-リチウム合金を作製する方法を対象とする。方法は、アルミニウム-リチウム合金加工屑を含み、アルミニウム-リチウム合金の完全理論密度の少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%である密度を有する凝集成形体を、アルミニウム-リチウム合金の溶融浴に投入して、溶融合金を形成することを含む。いくつかの非限定的な実施形態では、凝集成形体は、本開示による方法によって作製される。本方法の様々な非限定的な実施形態は、溶融合金の少なくとも一部を凝固させて、溶融合金からアルミニウム-リチウムインゴットまたは他の固体形態を形成することをさらに含む。
【0007】
当然のことながら、本明細書に開示および記載される発明は、本概要に要約される態様に限定されない。読者は、本明細書による様々な非限定的かつ非網羅的な態様の以下の詳細な説明を考慮すると、前述の詳細ならびに他の詳細を理解するであろう。
【0008】
例示の特徴および利点、ならびにそれらを達成する方法は、以下の説明を添付図面と共に参照することにより、より明らかになり、例示はよりよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】図は、アルミニウム-リチウム合金の機械加工中に生じる屑をリサイクルするための、本開示による方法の非限定的な実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載される例示は、いくつかの非限定的な実施形態を一つの形態で例示し、このような例示は、いかなる形態においても、添付の特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0011】
アルミニウム-リチウム合金は、望ましい特性、例えば高い重量比強度を有することができる。特に、アルミニウム-リチウム合金は、従来のアルミニウム合金よりも低い密度を有することができるため、航空宇宙部品の重量を減らすのに望ましい。アルミニウム-リチウム合金で作られている部品は、リチウムを含まない合金で作られている部品よりもかなり高価になる可能性がある。リチウムは、リチウム固有のコストのために高価な合金添加剤であり、アルミニウム-リチウム合金から製造される航空宇宙部品および自動車部品は、大量の加工屑を発生させる大規模な機械加工を必要とする場合がある。アルミニウム-リチウム合金の機械加工中に生じる加工屑は、屑の体積の表面積が大きく、再溶融中の溶融損失が大きくなるため、再溶融には適さない場合がある。さらに、リチウムの存在により、加工屑は特殊な処理を必要とする場合があり、例えば、他のアルミニウム合金とは別に処理する必要がある場合がある。本開示は、アルミニウム-リチウム合金を含む加工屑を処理する方法を提供し、これにより、加工屑のリサイクル性を改善し、それによって機械加工からの材料損失を低減し、高い材料価値を有する処理ストリームを回収することができる。
【0012】
添付の図は、アルミニウム-リチウム合金の機械加工中に生じる屑をリサイクルするための本開示による方法の非限定的な実施形態のブロック図を含む。102において、示すように、アルミニウム-リチウム合金を含む加工屑の体積は、例えば、アルミニウム-リチウム合金インゴットまたは他の固体形態を機械加工して、部品、例えば航空宇宙部品または自動車部品を製造することから生じることができる。本方法のいくつかの非限定的な実施形態では、処理液は、加工中に使用されることができる。未圧縮の加工屑の体積は、アルミニウム-リチウム合金の完全理論密度の50%以下の密度を有することができる。いくつかの非限定的な実施形態では、未圧縮の加工屑の体積は、アルミニウム-リチウム合金の完全理論密度の45%以下、40%以下、または35%以下の密度を有することができる。
【0013】
本明細書で使用する場合、「アルミニウム-リチウム合金」は、0.1重量%~5重量%のリチウム重量、アルミニウム、および不純物を含む合金である。様々な形態では、アルミニウム-リチウム合金は、0.2重量%~2重量%のリチウム、ならびにアルミニウムおよび不純物の残部を含むことができる。様々な非限定的な実施形態では、アルミニウム-リチウム合金は、少なくとも0.5重量%のリチウム、例えば、少なくとも1重量%~5重量%のリチウム、少なくとも1.5重量%~5重量%のリチウム、少なくとも2重量%~5重量%のリチウム、または少なくとも2.5重量%~5重量%のリチウムを含むことができる。当該技術分野で公知のように、いくつかのアルミニウム-リチウム合金は、別の意図的な合金添加物、例えば、銅、マンガン、マグネシウム、亜鉛、チタン、ジルコニウム、シリコン、鉄、クロム、および銀を含んでもよい。市販のアルミニウム-リチウム合金としては、現在、2099、2199、2050、2055、2060、2090、8090、2195、2397、および2070が挙げられる。
【0014】
本明細書で使用する場合、「完全理論密度」とは、The Aluminum Association, Inc.が発行した「Aumumum standards and data 2017」の2-13頁のアルミニウムおよびアルミニウム合金密度計算手順に従って計算された、細孔のない完全に緻密な製品で達成可能な限界に対応する合金の密度を意味する。
【0015】
アルミニウムおよびアルミニウム合金の機械加工は、潤滑する(例えば、潤滑剤)および/もしくは冷却するため、ならびに/または機械加工によって生じる加工屑を容易に除去するために、処理液を利用することができる。104において、再び添付の図を参照すると、例示の方法は、加工屑を洗浄して、加工屑の表面から処理液の少なくとも一部を除去し、それによって洗浄された加工屑を得ることをさらに含む。処理液は、例えば、従来の切削液、またはアルミニウム-リチウム合金を含むインゴットもしくは他の固体形態の機械加工を容易にするために使用される別の物質を含むことができる。処理液は、加工屑の成形体への圧縮を阻害する可能性があり、加工屑を含む出発材料から製造される合金内に取り込まれる場合に、処理液はまた望ましくない汚染物質である可能性がある。
【0016】
加工屑を洗浄して加工屑の表面から処理液の少なくとも一部を除去することは、例えば、加工屑を水溶液と接触させて加工屑の表面上の処理液を溶解させることと、不活性雰囲気中で加工屑を加熱して加工屑上の処理液を熱分解すること(例えば、熱分解プロセス)と、のうちの一方または両方を含むことができる。加工屑を水溶液と接触させて加工屑の表面上の処理液を溶解させると、処理液の少なくとも一部が水溶液に溶解する可能性がある。様々な非限定的な実施形態では、水溶液は、1~14のpH、例えば、1~5、6~7、7~8、6~8、または8~14のpHを有することができる。いくつかの非限定的な実施形態では、水溶液は、水と、一つまたは複数の洗浄剤または溶媒、例えば洗浄剤化合物、溶媒、および/または界面活性剤を含むことができる。いくつかの非限定的実施形態では、加工屑を洗浄することにより、加工屑の表面上の炭素含有量を減少させる。
【0017】
様々な非限定的実施形態では、アルミニウム機械加工は処理液を使用せず、加工屑は処理液を含まないことができる。したがって、工程104の加工屑の洗浄は任意とすることができる。
【0018】
106において、必要に応じて、圧縮の前に、加工屑は造粒されて(すなわち、機械加工によってサイズが縮小されて)屑の平均サイズが縮小し、および/または加工屑の実質的に均一なサイズ分布が得られる。例えば、圧縮の前に、研削装置を使用して屑を粉砕することにより、加工屑のサイズを小さくすることができる。加工屑を洗浄して加工屑の表面から処理液の少なくとも一部を除去する方法のいくつかの非限定的な実施形態では、加工屑は、104で加工屑を洗浄する前に造粒される。他の非限定的実施形態では、104で加工屑を洗浄した後、加工屑は造粒される。実質的に均一なサイズ分布を有する加工屑を得ることにより、加工屑を容易に成形体に圧縮することができる。本明細書で使用する場合、「実質的に均一なサイズ分布」とは、最小加工屑の少なくとも90%が、最大加工屑の最長寸法の少なくとも50%である最長寸法を含むことを意味する。いくつかの実施形態では、例えば、造粒された加工屑は、加工屑の少なくとも90%が、互いに5mm以下、例えば、互いに2mm以下、または互いに1mm以下の範囲の最長寸法を有するサイズ分布を有することができる。
【0019】
様々な非限定的実施形態では、加工屑は、10mm以下の最長サイズ寸法、例えば、8mm以下、6mm以下、または4mm以下を有するように造粒される。いくつかの非限定的実施形態では、加工屑は、少なくとも0.1mm、少なくとも1mm、少なくとも2mm、または少なくとも3mmの最長サイズ寸法を有するように造粒される。例えば、いくつかの非限定的実施形態では、加工屑は、0.1mm~10mm、例えば、1mm~10mm、1mm~8mm、または3mm~4mmのサイズの最長サイズ寸法を有するように造粒されることができる。
【0020】
108において、図にさらに示すように、本開示による方法の非限定的な実施形態は、洗浄された加工屑の体積(必要に応じて、洗浄および/または造粒されている)を圧縮して、屑を構成するアルミニウム-リチウム合金の完全理論密度の少なくとも70%である密度を有する凝集成形体を得る。本明細書で使用する場合、「凝集性」は、物体が取り扱われていない場合に一緒にとどまり、容易にばらばらにならずに取り扱えることを意味する。加工屑の塊を圧縮することによって得られる成形体の密度は、圧縮前の加工屑の塊の密度よりも大きくなる。加工屑を圧縮して成形体を形成することは、加工屑の塊に圧縮力を加えて圧縮前の加工屑の塊の密度よりも大きい密度を有する凝集成形体を形成する任意の好適な成形技術を含むことができる。このような成形技術には、連続ロータリー押出、コンフォーム押出、等チャネル角度処理、等チャネル角度押出、高圧ねじり、ならびにせん断支援加工および押出のうちの一つまたは複数が含まれることができる。当業者は、加工屑の塊に圧縮力を加えることによって、密度を高めた凝集成形体を形成することができる別の形成技術を認識するか、または判断することができる。
【0021】
様々な非限定的実施形態では、加工屑の体積を圧縮することは、連続ロータリー押出を含む。いくつかの非限定的実施形態では、成形体の密度は、アルミニウム-リチウム合金の完全理論密度の少なくとも80%、例えばアルミニウム-リチウム合金の完全理論密度の少なくとも85%、完全理論密度の少なくとも90%、完全理論密度の少なくとも95%、完全理論密度の少なくとも99%、または完全理論密度の少なくとも99.9%である。密度を高めると、成形体に存在する空気の体積を減らすことができ、それによって成形体の加工性が向上し、大気中の酸素と加工屑に存在するリチウムとの間の潜在的な反応性の問題が減少する。さらに、成形体の密度が高くなると、成形体の溶融中の材料の損失を減らすことができる。
【0022】
したがって、本開示の非限定的な態様はまた、(必要に応じて、洗浄および/または造粒されている)アルミニウム-リチウム合金加工屑を含み、かつアルミニウム-リチウム合金の完全理論密度の少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%である密度を有する、凝集成形体を対象とする。成形体は、インゴットの形態または他の固体形態のアルミニウム-リチウム合金を製造する際の供給材料として使用されることができる。様々な非限定的な実施形態では、成形体は、本開示による方法によって作製される。
【0023】
本開示による別の態様は、合金を作製する方法を対象とする。110において、再び図を参照すると、方法の非限定的な実施形態では、(必要に応じて、洗浄および/または造粒されている)アルミニウム-リチウム合金加工屑を含み、かつアルミニウム-リチウム合金の完全理論密度の少なくとも70%である密度を有する成形体を、アルミニウム-リチウム合金の溶融浴に投入し、溶融合金を形成する。成形体は、屑と比較して表面積が減少した形状、例えば、ロッド、三角形、半連続コイル、またはそれらの組み合わせを有することができる。方法の様々な非限定的な実施形態では、成形体は、本開示による方法によって作製される。112において、溶融合金の少なくとも一部を凝固させて、アルミニウム-リチウムインゴットまたは別の固体形態を形成することができる。その後、いくつかの非限定的実施形態では、102において、アルミニウム-リチウムインゴット(または他の固体形態)を機械加工して、部品を形成することができる。いくつかの非限定的実施形態では、部品は、航空宇宙部品または自動車部品であってもよい。
【0024】
実施例
【0025】
本開示は、本開示の例示的で非限定的な態様を提供する以下の実施例を参照することにより、より完全に理解されるであろう。本明細書に記載の開示は、このセクションに記載される実施例に必ずしも限定されないことが理解される。
【0026】
実施例1
【0027】
16重量%のクーラントを含むフライス加工屑を、垂直軸破砕機(PRAB Kalamazoo、Michiganから入手可能なVAC II)で処理した後、斜軸絞り機(PRAB Kalamazoo、Michiganから入手可能)で遠心分離して、処理された加工屑を成形した。処理された加工屑中のクーラントは、2重量%未満に削減された。垂直軸破砕機は加工屑の長い紐状の部分を粉砕し、絞り機は加工屑からクーラントを除去した。その後、処理された加工屑は分級ふるいを通して選別され、処理された加工屑の3mm×3mm未満の均一なサイズが達成された。次に、均一な加工屑を連続ロータリー押出機(CONFEX、 Dorset, United Kingdomから入手可能)内に供給して、密度98%の直径10mmのロッドの成形体を形成した。ロッドの密度は、直径10mmのロッドの36インチの部分の重さを量り、その結果を100%の密度である直径10mm、長さ36インチのロッドの計算重量と比較することによって計算された。
【0028】
実施例2
【0029】
16重量%のクーラントを含む粉砕加工屑を、多段階プロセスで洗浄した。多段階プロセスでは、粉砕加工屑を100メッシュのスクリーン上で重力乾燥することにより、フリークーラントを除去した。次に、乾燥した加工屑を、リボンミキサーでミネラルスピリット(Exxsol)を使用して2回洗浄した。各洗浄後、100メッシュのバスケット遠心分離機を使用して、加工屑からミネラルスピリットを除去した。次に加工屑をスチールドラムに入れ、400°F、2~5torrで動作する真空炉で8時間処理した。この多段階プロセスにより、加工屑上の冷却剤が0.05%未満に減少した。次に、Hippoハンマーミルを使用して、加工屑を3mm未満の均一なサイズに粉砕した。次に、均一な加工屑を連続ロータリー押出機内に供給して、98%より高い密度の直径10mmのロッドの成形体を形成した。ロッドの密度は、直径10mmのロッドの36インチの部分の重さを量り、その結果を100%の密度である直径10mm、長さ36インチのロッドの計算重量と比較することによって計算された。
【0030】
実施例3
【0031】
長さ36インチの実施例1および実施例2のロッドの部分は、主成分のアルミニウムに1%のリチウムを加えた浴を含む、不活性化されていない25ポンド容量の誘導溶融装置で溶解された。実施例1および実施例2からのロッドは、表面酸化物層の下に沈み、容易に溶解した。
【0032】
加工屑を溶融炉に投入する際の典型的な欠点は、屑がトップの酸化物層に浮く傾向があることである。未処理の加工屑は表面積が大きいため、すぐに水没させないと、溶けずに酸化してドロスに変わる傾向がある。この現象は、アルミニウム-リチウム合金の場合、アルミニウム融液上の酸化物層が厚いほど、さらに顕著になり、加工屑破片が表面上に浮きやすく、溶ける代わりに酸化する可能性が高くなる。成形体を形成することによって加工屑の表面積を減少させることにより、未処理の加工屑と比較して成形体を溶融浴に沈める能力が増大する。溶融浴に沈む能力は、大きな直径(例えば、少なくとも5mm、少なくとも10mm、少なくとも25mm)のロッドまたはバーを使用することによって達成されることができる。長い長さ(例えば、少なくとも100フィート、少なくとも1000フィート)に連続的に押し出され、コイル状に巻かれた、より小さな直径のロッドまたはバーは、溶融浴に加えられる場合、沈むのに十分な質量を有する可能性がある。
【0033】
ロッド上の汚染物質の残留レベルによって、炉の投入物に追加できる押し出された加工屑の量が決定されることができる。例えば、実施例1から製造されたロッドには、15ppmのナトリウム汚染が含まれており、炉投入物の主成分のアルミニウムおよびリチウムからのナトリウム含有量が公称3ppmであると仮定すると、溶融炉投入量の10%を、加工屑の成形体として加えることができる可能性がある。ロッドに10ppmのナトリウム汚染が含まれている場合、溶解炉投入量の20%を加工屑の成形体として加えることができる可能性がある。ロッドに5ppmのナトリウム汚染が含まれている場合、溶融炉投入量の58%を加工屑の成形体として加えることができる可能性がある。
【0034】
以下の番号付きの条項は、本開示による様々な非限定的な実施形態および態様を対象としている。
条項1.
アルミニウム-リチウム屑を処理するための方法であって、
処理液を使用してアルミニウム-リチウム合金の機械加工中に生じる加工屑を得ることと、
加工屑から処理液の少なくとも一部を除去し、洗浄された加工屑を得るために、加工屑を洗浄することと、
アルミニウム-リチウム合金の完全理論密度の少なくとも70%の密度を有する成形体を得るために、洗浄された加工屑の体積を圧縮することと、を含む、方法。
条項2.
アルミニウム-リチウム屑を処理するための方法であって、
アルミニウム-リチウム合金の機械加工中に生じる加工屑を得ることと、
アルミニウム-リチウム合金の完全理論密度の少なくとも70%の密度を有する成形体を得るために、加工屑の体積を圧縮することと、を含む、方法。
条項3.
洗浄することは、加工屑を水溶液と接触させて加工屑上の処理液を水溶液中に溶解させること、および不活性雰囲気中で加工屑を加熱して加工屑上の処理液を熱分解すること、のうちの少なくとも一つを含む、条項1に記載の方法。
条項4.
洗浄することは、加工屑を水溶液と接触させて加工屑上の処理液を水溶液中に溶解させることを含む、条項1に記載の方法。
条項5.
洗浄することは、加工屑の表面上の炭素含有量を低減させることを含む、条項1に記載の方法。
条項6.
圧縮することは、連続ロータリー押出、コンフォーム押出、等チャネル角度処理、等チャネル角度押出、高圧ねじり、ならびにせん断支援加工および押出のうちの少なくとも一つを含む、条項1~5のいずれか一項に記載の方法。
条項7.
圧縮することは、連続ロータリー押出を含む、条項1~6のいずれか一項に記載の方法。
条項8.
処理液は、機械加工用潤滑剤を含む、条項1および3~7のいずれか一項に記載の方法。
条項9.
加工屑は、
0.1重量%~5重量%のリチウムと、
アルミニウムと、
不純物と、を含む、条項1~8のいずれか一項に記載の方法。
条項10.
加工屑を造粒することをさらに含む、条項1~9のいずれか一項に記載の方法。
条項11.
アルミニウム-リチウム合金の完全理論密度の少なくとも80%の密度を有する成形体を得るために、加工屑の体積が圧縮される、条項1~10のいずれか一項に記載の方法。
条項12.
アルミニウム-リチウム合金の完全理論密度の少なくとも90%の密度を有する成形体を得るために、加工屑の体積が圧縮される、条項1~11のいずれか一項に記載の方法。
条項13.
アルミニウム-リチウム合金の完全理論密度の少なくとも95%の密度を有する成形体を得るために、加工屑の体積が圧縮される、条項1~12のいずれか一項に記載の方法。
条項14.
加工屑が、アルミニウム-リチウム合金の機械加工中に生じて、航空宇宙部品または自動車部品を製造する、条項1~13のいずれか一項に記載の方法。
条項15.
加工屑の体積の密度は、体積を圧縮する前にアルミニウム-リチウム合金の完全理論密度の50%以下である、条項1~14のいずれか一項に記載の方法。
条項16.
アルミニウム-リチウム屑を処理するための方法であって、
加工屑から機械加工用潤滑剤の少なくとも一部を除去するためにアルミニウム-リチウム合金を含む加工屑を洗浄すること、および洗浄された加工屑を得ることであって、洗浄することは、加工屑を水溶液と接触させて加工屑上の処理液を水溶液中に溶解させること、および不活性雰囲気中で加工屑を加熱して加工屑上の処理液を熱分解すること、のうちの少なくとも一つを含む、加工屑を洗浄することおよび洗浄された加工屑を得ることと、
完全理論密度の少なくとも70%の密度を有する成形体を得るために、洗浄された屑の体積を圧縮することであって、圧縮することが、連続ロータリー押出、コンフォーム押出、等チャネル角度処理、等チャネル角度押出、高圧ねじり、ならびにせん断支援加工および押出のうちの少なくとも一つを含む、圧縮することと、を含む、方法。
条項17.
洗浄することは、加工屑を水溶液と接触させて加工屑上の加工液を水溶液中に溶解させることを含む、条項16に記載の方法。
条項18.
洗浄することは、加工屑の表面上の炭素含有量を低減することを含む、条項16~17のいずれか一項に記載の方法。
条項19.
加工屑は、
0.1重量%~5重量%のリチウムと、
アルミニウムと、
不純物と、を含む、条項16~18のいずれか一項に記載の方法。
条項20.
アルミニウム-リチウム合金を作製する方法であって、
アルミニウム-リチウム合金の溶融浴中に条項1~18のいずれか一項に記載の方法に従って作製された成形体を投入し、溶融合金を形成することを含む、方法。
条項21.
溶融合金の少なくとも一部を凝固させて、溶融合金からアルミニウム-リチウムインゴットまたは他の固体形態を形成することをさらに含む、条項20に記載の方法。
条項22.
アルミニウム-リチウム合金を含む部品を作製する方法であって、
条項21に記載のインゴットまたは他の固体形態を機械加工して部品を形成することを含む、方法。
条項23.
部品は、航空宇宙部品または自動車部品である、条項22に記載の方法。
条項24.
凝集成形体であって、
アルミニウム-リチウム合金を含む洗浄された加工屑を含み、
凝集成形体が、アルミニウム-リチウム合金の完全理論密度の少なくとも70%の密度を有する、凝集成形体。
条項25.
アルミニウム-リチウム合金は、
0.1重量%~5重量%のリチウムと、
アルミニウムと、
不純物と、を含む、条項24に記載の凝集成形体。
条項26.
凝集成形体は、アルミニウム-リチウム合金の完全理論密度の少なくとも90%の密度を有する、条項24~25のいずれか一項に記載の凝集成形体。
条項27.
アルミニウム-リチウム合金を作製する方法であって、方法は、条項24~26のいずれか一項に記載の凝集成形体を、アルミニウム-リチウム合金の溶融浴中に投入して、溶融合金を形成することを含む、方法。
条項28.
溶融合金の少なくとも一部を凝固させて、溶融合金からアルミニウム-リチウムインゴットまたは他の固体形態を形成することをさらに含む、条項27に記載の方法。
条項29.
アルミニウム-リチウム合金を含む部品を作製する方法であって、方法は、条項28に記載のインゴットまたは他の固体形態を機械加工して部品を形成することを含む、方法。
条項30.
部品は、航空宇宙部品または自動車部品である、条項29に記載の方法。
条項31.
アルミニウム-リチウム屑をリサイクルする方法であって、
処理液を使用してアルミニウム-リチウム合金の機械加工中に生じる加工屑を得ることと、
加工屑から処理液の少なくとも一部を除去し、洗浄された加工屑を得るために、加工屑を洗浄することと、
アルミニウム-リチウム合金の完全理論密度の少なくとも70%の密度を有する成形体を得るために、洗浄された加工屑の体積を圧縮することと、
成形体をアルミニウム-リチウム合金の溶融浴中に投入し、溶融合金を形成することと、
溶融合金の少なくとも一部を凝固させて、溶融合金からアルミニウム-リチウムインゴットまたは他の固体形態を形成することと、を含む、方法。
【0035】
開示される方法および物品の構造、機能、ならびに使用の全体的な理解を提供するために、様々な非限定的な実施形態が本明細書に記載および例示される。本明細書に記載および例示される様々な非限定的な実施形態は、非限定的かつ非網羅的である。したがって、本発明は、本明細書に開示の様々な非限定的かつ非網羅的な実施形態の記載によって限定されない。むしろ、本発明は特許請求の範囲によってのみ定義される。様々な非限定的な実施形態に関連して例示および/または記載される特徴および特性を、他の非限定的な実施形態の特徴および特性と組み合わせることができる。そのような修正および変形は、本明細書の範囲内に含まれることが意図される。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に明示的もしくは本質的に記述される、またさもなくば明示的もしくは本質的に支持される任意の特徴または特性を列挙するように修正され得る。さらに、出願人は、特許請求の範囲を補正して、先行技術に存在する可能性のある機能または特徴を肯定的に放棄する権利を留保する。本明細書に開示および記載の様々な実施形態は、本明細書に様々に記載の特徴および特性を含む、それらからなる、またはそれから本質的になることができる。
【0036】
本明細書における「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一実施形態(one embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」、または同様の語句への言及は、例に関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書中の語句「様々な実施形態では」、「一部の実施形態では」、「一つの実施形態では」、「一実施形態では」、または類似の語句の出現は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の記載された特徴、構造、または特性は、一つ以上の実施形態で、任意の適切な様式で組み合わせられ得る。したがって、一実施形態に関連して図示または説明される特定の特徴、構造、または特性は、全体的または部分的に、限定されることなく、一つ以上の他の実施形態の特徴、構造、または特性と組み合わされ得る。そのような修正および変形は、本実施形態の範囲内に含まれることが意図される。
【0037】
本明細書において、別段の示唆が無い限り、全ての数値パラメータは、全ての場合において、数値パラメータが、パラメータの数値を決定するために使用される基礎となる測定技術の固有の変動特性を有する、用語「約」によって、前置きされ、かつ修正されていると理解されるべきである。少なくとも、均等物の教義の適用を特許請求の範囲に限定する試みとしてではなく、本明細書に記述される各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効桁の数に照らして、かつ通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0038】
また、本明細書に列挙される任意の数値範囲は、列挙された範囲内に包含されるすべてのサブ範囲を含む。例えば、「1~10」の範囲には、列挙された最小値1と列挙された最大値10との間の(およびそれらを含む)全ての部分範囲が含まれ、つまり、1以上の最小値と10以下の最大値を有する。また、本明細書で列挙される全ての範囲は、列挙された範囲のエンドポイントを含む。例えば、「1~10」の範囲は、エンドポイント1および10を含む。本明細書に記載されている任意の最大の数値制限は、そこに含まれる全てのより低い数値制限を含むことが意図され、本明細書に記載されている任意の最小の数値制限は、そこに含まれる全てのより高い数値制限を含むことが意図される。したがって、出願人は、明示的に列挙された範囲内に包含されたサブ範囲を明示的に列挙するために、特許請求の範囲を含めた本明細書を修正する権利を留保する。こうしたすべての範囲は、本明細書に本質的に記述される。
【0039】
文法上の冠詞「a」、「an」、および「the」は、本明細書で使用されるとき、別段の示唆がない限り、たとえ特定の事例において「少なくとも一つ」または「一つ以上」が明示的に使用されている場合であっても、「少なくとも一つ」または「一つ以上」を含むことが意図される。したがって、前述の文法上の冠詞は、本明細書では、特定の識別された要素のうちの一つ以上(すなわち、「少なくとも一つ」)を指すために使用される。さらに、単数名詞の使用には複数形を含み、複数名詞の使用には単数形を含むが、使用の文脈によって別段の解釈が要求される場合はこの限りではない。
【0040】
当業者は、本明細書に記述された物品および方法、ならびにそれらに付随する考察が、概念的明瞭性のために例示として使用され、様々な構成修正が企図されていることを認識するであろう。したがって、本明細書で使用される場合、記載される特定の例/実施形態および付随する考察は、そのより一般的なクラスを代表することを意図している。一般的に、特定の例の使用はそのクラスを代表するものとして意図されており、特定の構成要素、装置、操作/動作、および対象の非包含は制限されるべきではない。本開示は、本開示の様々な態様および/またはその潜在的な適用例を示す目的で様々な特定の態様の説明を提供するが、変形および修正が生じることが当業者に理解されよう。したがって、本明細書に記載される単独の発明または複数の発明は、それらが特許請求されるのと少なくとも同程度に広く、本明細書に提供される特定の例示的態様によってより狭義に定義されるものではないと理解されるべきである。
【国際調査報告】