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特表2024-504321血管系を検出するための方法およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】血管系を検出するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20240124BHJP
   A61B 3/12 20060101ALI20240124BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240124BHJP
【FI】
A61B3/10 100
A61B3/12
G06T7/00 350C
G06T7/00 630
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543442
(86)(22)【出願日】2022-01-19
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 SG2022050018
(87)【国際公開番号】W WO2022159032
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】10202100558X
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506222889
【氏名又は名称】ナンヤン テクノロジカル ユニヴァーシティ
【氏名又は名称原語表記】NANYANG TECHNOLOGICAL UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】50 Nanyang Avenue, Singapore 639798 (SG)
(71)【出願人】
【識別番号】508000700
【氏名又は名称】シンガポール・ヘルス・サービシーズ・ピーティーイー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】レオポルド・シュメッテラー
(72)【発明者】
【氏名】ウィン・キー・ダモン・ウォン
(72)【発明者】
【氏名】アイ・ピン・ヨー
【テーマコード(参考)】
4C316
5L096
【Fターム(参考)】
4C316AA09
4C316AA10
4C316AA24
4C316AA25
4C316AB02
4C316AB11
4C316FB05
4C316FB21
4C316FB26
5L096AA06
5L096BA06
5L096BA13
5L096CA24
5L096EA43
5L096FA24
5L096FA32
5L096FA33
5L096FA34
5L096FA37
5L096FA59
5L096FA60
5L096FA64
5L096FA69
5L096HA11
5L096KA04
5L096MA07
(57)【要約】
被験者の組織のOCT画像データにおいて血管系を検出するシステムであって、OCT画像データが、光干渉断層撮影(OCT)スキャンデータとOCT血管造影(OCTA)スキャンデータとを含み、システムが、組織内の関心層を位置特定するために、OCTスキャンデータをセグメント化する動作と、OCTAスキャンデータからエンフェイス血管網マップを生成する動作と、1つまたは複数の関心領域(ROI)を定義するために、エンフェイス血管網マップからの1つまたは複数の血管領域をOCTスキャンデータの断面画像内の関心層上に投影する動作であって、それぞれのROIが血管領域と関心層との間の交差によって定義される、動作と、1つまたは複数のROI内の血管オブジェクトを識別する動作とを行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の組織のOCT画像データにおいて血管系を検出するシステムであって、前記システムが、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記プロセッサにアクセス可能なメモリであって、前記メモリが、
光干渉断層撮影(OCT)スキャンデータとOCT血管造影(OCTA)スキャンデータとを含むOCT画像データを受信する動作と、
前記組織内の関心層を位置特定するために、前記OCTスキャンデータをセグメント化する動作と、
前記OCTAスキャンデータからエンフェイス血管網マップを生成する動作と、
1つまたは複数の関心領域(ROI)を定義するために、前記エンフェイス血管網マップからの1つまたは複数の血管領域を前記OCTスキャンデータの断面画像内の前記関心層上に投影する動作であって、それぞれのROIが前記血管領域と前記関心層との間の交差によって定義される、動作と、
前記1つまたは複数のROI内の血管オブジェクトを識別する動作と
を行うために前記プロセッサによって実行可能なプログラムコードを含む、メモリと
を備える、システム。
【請求項2】
前記血管オブジェクトが、前記ROI内の形状フィッティング、ハフ変換、またはウォーターシェッド変換によって識別される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサが、前記関心層の1つまたは複数の非血管成分の画像を生成するために、前記関心層から前記血管オブジェクトを除去するようにさらに構成される、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサが、前記識別された血管オブジェクトおよび/または1つもしくは複数の非血管成分の画像に基づいて1つまたは複数の臨床パラメータを決定するようにさらに構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記組織が、前記被験者の網膜であり、前記エンフェイス血管網マップ内の前記1つまたは複数の血管領域が、視神経乳頭周囲領域内に存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つまたは複数の臨床パラメータが、視神経乳頭周囲網膜神経線維層(RNFL)の厚さを含む、請求項4のシステムに付加される場合の請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサが、疾患モデルに従って前記関心層を選択するようにさらに構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
被験者の組織のOCT画像データにおいて血管系を検出する方法であって、前記OCT画像データが、光干渉断層撮影(OCT)スキャンデータとOCT血管造影(OCTA)スキャンデータとを含み、前記方法が、
前記組織内の関心層を位置特定するために、前記OCTスキャンデータをセグメント化するステップと、
前記OCTAスキャンデータからエンフェイス血管網マップを生成するステップと、
1つまたは複数の関心領域(ROI)を定義するために、前記エンフェイス血管網マップからの1つまたは複数の血管領域を前記OCTスキャンデータの断面画像内の前記関心層上に投影するステップであって、それぞれのROIが前記血管領域と前記関心層との間の交差によって定義される、ステップと、
前記1つまたは複数のROI内の血管オブジェクトを識別するステップと
を含む、方法。
【請求項9】
前記組織が、前記被験者の網膜である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記血管オブジェクトが、前記ROI内の形状フィッティング、ハフ変換、またはウォーターシェッド変換によって識別される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記関心層の1つまたは複数の非血管成分の画像を生成するために、前記関心層から前記血管オブジェクトを除去するステップを含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記1つまたは複数の非血管成分が、神経成分を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記セグメント化が、畳み込みニューラルネットワークを使用して実行される、請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記畳み込みニューラルネットワークが、U-Netである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記識別された血管オブジェクトおよび/または1つもしくは複数の非血管成分の画像に基づいて1つまたは複数の臨床パラメータを決定するステップを含む、請求項8から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記エンフェイス血管網マップ内の前記1つまたは複数の血管領域が、視神経乳頭周囲領域内に存在する、請求項9または請求項9に従属するいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記1つまたは複数の臨床パラメータが、視神経乳頭周囲網膜神経線維層(RNFL)の厚さを含む、請求項15に付加される場合の請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記関心層が、疾患モデルに従って選択される、請求項8から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
被験者の組織のOCT画像データにおいて血管系を検出するためのシステムであって、前記OCT画像データが、光干渉断層撮影(OCT)スキャンデータとOCT血管造影(OCTA)スキャンデータとを含み、前記システムが、少なくとも1つのプロセッサに請求項8から18のいずれか一項に記載の方法を実行させるための命令を記憶する機械可読媒体と通信する前記少なくとも1つのプロセッサを備える、システム。
【請求項20】
少なくとも1つのプロセッサに請求項8から18のいずれか一項に記載の方法を実行させるためのプロセッサ実行可能命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読ストレージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、例えば光干渉断層撮影を介して取得される網膜画像データにおいて血管系を検出するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
成人における不可逆的な失明の世界的な主要原因である緑内障は、網膜神経節細胞(RGC)およびその軸索の進行性変性によって特徴付けられる眼疾患である。RGCは、視覚に不可欠であり、RGCの損失は、視神経乳頭内の構造的変化と、段階的な視野損失に関連する視神経乳頭周囲網膜神経線維層(RNFL)の薄化につながる。
【0003】
初期段階の緑内障の患者は、RGCが永続的に損傷され、視覚に悪影響を及ぼす後期段階になるまで、視野損失に気づかない場合がある。
【0004】
RNFLの薄化は、緑内障におけるRGC損失を示す可能性があり、光干渉断層撮影(OCT)を使用する緑内障進行の早期発見および監視に関するRNFL厚さ測定の可能性を研究が示している。OCTは、神経成分と血管成分の両方を含む網膜構造の生体内撮像可能にする干渉技法である。RNFL厚さ測定は、神経成分と血管成分の両方を含む。しかしながら、血管成分の包含は、緑内障の評価のための厚さ測定および画像処理操作に潜在的に影響を与える可能性がある。
【0005】
血管成分は、OCT血管造影(OCT-A)を使用して、非侵襲的に視覚化および定量化され得る。血管の評価は、緑内障の進行の検出および評価の重要な部分を形成する。特に、緑内障の眼の乳頭周囲血管密度は、正常な眼と比較して低い可能性があり、視野および疾患の重症度と強い相関がある可能性がある。さらに、乳頭周囲毛細血管の密度の低下は、進行性原発開放隅角緑内障(POAG)の眼における視野重症度の有意な上昇に関連する可能性がある。
【0006】
光干渉断層撮影(OCT)撮像は、臨床医が病理学的変化を検出するために眼または他の生体組織の基礎となる構造の生体内評価を実行することを可能にする。OCT撮像は、疾患の進行を監視し、適切な介入を決定するために、ベースラインスキャンとフォローアップスキャンとの間の定量的評価も可能にする。そのような測定が行われると、OCTスキャンは、セグメント化され、特定の層の厚さが定量化される。これらの層は、ニューロン、血管、グリア細胞、および他の構造を含む様々な構成要素から構成される。しかしながら、関心は通常、緑内障、糖尿病性網膜症、またはアルツハイマー病などの脳の他の神経変性疾患などの疾患における神経細胞死のバイオマーカーである神経細胞の数に向けられる。
【0007】
従来の定量的測定は、組織測定の変動性および診断精度に影響を与える血管系を考慮しない。構造的な厚さ測定における血管の影響は、厚さプロファイルの変動性に大きな影響を与える可能性がある。したがって、構造的測定を実行するとき、例えば眼症状のある患者の網膜の構造的測定を実行するとき、組織内の血管系を考慮する必要性が残っている。
【0008】
OCTにおいて血管を検出およびセグメント化するための従来の手法は、断面OCTスキャンに対する適応二値化法の適用と、側方血管位置を割り当てるための断面OCTスキャンにおけるシャドウグラフの作成、およびその後の血管をセグメント化するためのアクティブ形状モデル法の使用と、網膜外側に投影される光学的影を追跡し、不正確な軸方向マージンを手動で調整することによる断面OCTスキャンにおける血管軸方向マージンの検出とを含む。しかしながら、これらの従来の手法は、断面OCTスキャンのみに適用されており、血管局在化のための光学的な影のアーティファクトの存在に大きく依存していた。そのため、顕著な影を有する大血管のみが検出される可能性が高く、目立たない影を有する小さい血管が検出されにくい可能性があり、血管成分の過小評価につながる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】DeLongら、「Comparing the areas under two or more correlated receiver operating characteristic curves: a nonparametric approach. Biometrics. 1988;44(3):837-845」
【非特許文献2】Chuaら、「Compensation of retinal nerve fibre layer thickness as assessed using optical coherence tomography based on anatomical confounders. Br J Ophthalmol. 2020;104(2):282-290」
【非特許文献3】Patelら、「Retinal nerve fiber layer assessment: area versus thickness measurements from elliptical scans centered on the optic nerve. Investigative ophthalmology & visual science. 2011;52(5):2477-2489」
【非特許文献4】Hoodら、「Blood vessel contributions to retinal nerve fiber layer thickness profiles measured with optical coherence tomography. J Glaucoma. 2008;17(7):519-528」
【非特許文献5】Patelら、「Retinal nerve fiber layer assessment: area versus thickness measurements from elliptical scans centered on the optic nerve」
【非特許文献6】Yeら、「Impact of segmentation errors and retinal blood vessels on retinal nerve fibre layer measurements using spectral-domain optical coherence tomography」
【非特許文献7】Richterら、「Peripapillary microvasculature in the retinal nerve fiber layer in glaucoma by optical coherence tomography angiography: focal structural and functional correlations and diagnostic performance. Clin Ophthalmol. 2018;12:2285-2296」
【非特許文献8】Raoら、「Diagnostic ability of peripapillary vessel density measurements of optical coherence tomography angiography in primary open-angle and angle-closure glaucoma. British Journal of Ophthalmology. 2017;101(8):1066-1070」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記で説明した問題の少なくとも1つを克服または軽減すること、または少なくとも血管系を検出するための有用な代替システムもしくは方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様において、本開示は、被験者の組織のOCT画像データにおいて血管系を検出する方法であって、OCT画像データが、光干渉断層撮影(OCT)スキャンデータとOCT血管造影(OCTA)スキャンデータとを含み、方法が、
組織内の関心層を位置特定するために、OCTスキャンデータをセグメント化するステップと、
OCTAスキャンデータからエンフェイス血管網マップを生成するステップと、
1つまたは複数の関心領域(ROI)を定義するために、エンフェイス血管網マップからの1つまたは複数の血管領域をOCTスキャンデータの断面画像内の関心層上に投影するステップであって、それぞれのROIが血管領域と関心層との間の交差によって定義される、ステップと、
1つまたは複数のROI内の血管オブジェクトを識別するステップと
を含む、方法を提供する。
【0012】
いくつかの実施形態において、組織は、被験者の網膜である。
【0013】
血管オブジェクトは、ROI内の形状フィッティング、ハフ変換、またはウォーターシェッド変換によって識別され得る。
【0014】
方法のいくつかの実施形態は、関心層の1つまたは複数の非血管成分の画像を生成するために、関心層から血管オブジェクトを除去するステップを含む。1つまたは複数の非血管成分は、神経成分を含み得る。
【0015】
方法のいくつかの実施形態において、前記セグメント化は、畳み込みニューラルネットワークを使用して実行される。畳み込みニューラルネットワークは、U-Netであり得る。
【0016】
方法のいくつかの実施形態は、血管オブジェクトおよび/または1つもしくは複数の非血管成分の画像に基づいて1つまたは複数の臨床パラメータを決定するステップを含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、エンフェイス血管網マップ内の1つまたは複数の血管領域は、視神経乳頭周囲領域内に存在し得る。1つまたは複数の臨床パラメータは、視神経乳頭周囲網膜神経線維層(RNFL)の厚さを含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態において、関心層は、疾患モデルに従って選択される。
【0019】
第2の態様において、本開示は、被験者の組織のOCT画像データにおいて血管系を検出するためのシステムであって、OCT画像データが、光干渉断層撮影(OCT)スキャンデータとOCT血管造影(OCTA)スキャンデータとを含み、システムが、少なくとも1つのプロセッサに本明細書で開示する方法を実行させるための命令を記憶する機械可読媒体と通信する少なくとも1つのプロセッサを備える、システムを提供する。
【0020】
第3の態様において、本開示は、少なくとも1つのプロセッサに本明細書で開示する方法を実行させるためのプロセッサ実行可能命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読ストレージを提供する。
【0021】
第4の態様において、本開示は、被験者の組織のOCT画像データにおいて血管系を検出するためのシステムであって、システムが、少なくとも1つのプロセッサと、
プロセッサにアクセス可能なメモリであって、メモリが、
光干渉断層撮影(OCT)スキャンデータとOCT血管造影(OCTA)スキャンデータとを含むOCT画像データを受信する動作と、
組織内の関心層を位置特定するために、OCTスキャンデータをセグメント化する動作と、
OCTAスキャンデータからエンフェイス血管網マップを生成する動作と、
1つまたは複数の関心領域(ROI)を定義するために、エンフェイス血管網マップからの1つまたは複数の血管領域をOCTスキャンデータの断面画像内の関心層上に投影する動作であって、それぞれのROIが血管領域と関心層との間の交差によって定義される、動作と、
1つまたは複数のROI内の血管オブジェクトを識別する動作と
を行うためにプロセッサによって実行可能なプログラムコードを含む、
メモリとを備える、
システム。
【0022】
本教示に従って、網膜画像データにおいて血管系を検出するためのシステムおよび方法のいくつかの実施形態について、添付図面を参照しながら、非限定的な例としてのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】血管系を検出するための方法のフローチャートである。
図2】OCTデータ内の血管成分を検出するためのフレームワークの概要の図である。
図3】エンフェイスOCT(第1の行)およびOCTA(第2の行)からの画像を対応するエンフェイス血管網マップ(右)とともに示す図である。
図4】エンフェイスOCTA血管網マップ(上)と対応する視神経乳頭周囲OCTA画像(下)とを使用する側方血管局在化の図である。
図5】関心層内の神経成分-血管成分の分離を示す図である。
図6】(a)単一の血管マスクV(円)が横方向の範囲の半分(r)と領域の決定された重心(Cx、Cy)に基づいて生成されること、(b)各血管ROIに円形モデルをフィッティングすることによって生成された円形血管マスク、(c)トレーニングされたU-Netモデルを使用して取得された二値化されたRNFLセグメンテーション、および(d)RNFLセグメンテーションを円形血管マスクでマスクすることによって血管を除外した二値化RNFL画像を示す図である。
図7】緑内障診断のためのOCTベースの画像の分析における、開示する手法の具体的な応用例を示す図である。
図8(a)】大津の二値化を使用して生成された血管が除去されたRNFL画像を示す図である。
図8(b)】OCTA視神経乳頭周囲スキャンからのセグメント化されたRNFL画像と、そこからのピクセル値のヒストグラムとを示す図である。
図8(c)】図8(b)のヒストグラムによって定義されたカットオフを使用した血管が除去されたRNFL画像を示す図である。
図9】緑内障診断のための、血管を除去した視神経乳頭周囲の厚さ測定と血管を除去しない視神経乳頭周囲の厚さ測定との間のROC曲線の比較を示す図である。
図10】血管系を検出するためのシステムを示す図である。
図11】緑内障診断のためのOCT、OCTAベースの画像の分析における、開示する手法の具体的な応用の別の例を示す図である。
図12】緑内障検出のための受信者操作特性(ROC)曲線の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、OCTスキャンにおける関心層内の血管を局在化し、さらなる分析およびモデリングのために神経成分および血管成分を区別するためのフレームワークについて説明する。実施形態は、3つの主要なプロセス、すなわち、OCT/OCTA画像の取得および前処理、深さ分解された血管局在化、ならびに神経成分-血管成分の分離を含み得る。図1は、図10のシステム1000によって実行可能な神経線維層から血管を分離するプロセスのフローチャートを示す。システム1000は、メモリ/ストレージ1030と通信する少なくとも1つのプロセッサ1010を備える。メモリ1030は、OCT画像データ210と、図1のフローチャートの方法において示すステップを実行することによって、OCT画像データ210を処理し、血管系を検出するためのプログラムコード(NuVASプログラムコード1032)とを含む。
【0025】
OCTデータからの定量的構造測定は、測定の変動に潜在的に影響を与える可能性があり、患者における疾患の監視および識別を混乱させる可能性がある血管系の影響を含む。OCT血管造影(OCTA)技術は、血管系の詳細な可視化を可能にし、これは、眼疾患の患者における血管変化の検出および定量化に役立つ。
【0026】
開示するフレームワークは、血管構造の影響を検出および除去するために、OCTAからの血管系情報とOCTからの構造データとを組み合わせ、より高い診断精度のためにOCTにおける組織変化のより良好な測定値を生成する。これは、厚さ測定の変化が病理学的変化に起因し、血管の存在によって混乱されないことを確実にするために重要である。
【0027】
本開示の実施形態は、以下の特徴および/または利点のうちの1つまたは複数を有する。
・血管が除去された構造測定値を取得するための完全に自動化された手法
・血管構造の検出を最適化するために異なるビューを組み合わせるマルチビュー技法を使用する容積測定の血管のその場での局在化
・血管が除去された測定が、血管構造の交絡効果を除去することによって関心組織のより良好な測定を可能にする。
【0028】
本開示のいくつかの実施形態は、OCTおよびOCTAにおける血管成分および神経成分を区別するためのフレームワークに関する。開示するフレームワークは、本明細書では神経血管分離器(NuVAS(Neuronal-VAscular Separator))と呼ばれる。図1および図2のフローチャートは、NuVASフレームワークの様々なステップを例示する。NuVASは、(網膜組織層を含む)組織層内の血管の寄与を自動的に決定し、これらの寄与を考慮するために臨床関連の指標を調整するために、深層学習方法と生物学に触発された画像処理とを組み込む。NuVASフレームワークのフローを以下の図2に示す。この手法は、眼および脳の神経変性疾患の検出に関する診断性能を改善する。神経成分と血管成分とを分離することは、神経変性疾患および全身性疾患の予測のための深層学習技法などの複雑なモデリング手法の改善を可能にする。
【0029】
図1のステップ110において、光干渉断層撮影(OCT)スキャンデータとOCT血管造影(OCTA)スキャンデータとを含むOCT画像データ210がシステム1000によって受信または取得される。図2に示すように、血管成分と神経成分とを分離する前に、ステップ120において、容積測定OCTデータ210は、エンフェイス血管網マップ218を生成し、関心層を検出するために使用される。容積測定OCT情報は、被験者の組織に関するAスキャン(屈折率の変化に関する深さ方向の情報)のセットを含む。エンフェイス血管網マップは、容積測定OCTデータから血管を垂直に投影することによって自動的に生成され得る血管情報を含む。
【0030】
エンフェイス血管網マップを生成するための別の手法は、同じ網膜位置において取得された連続する横断面OCTスキャン間の信号振幅非相関を用いることによる(図2における214および図1におけるステップ130)。そのような方法は、OCT血管造影(OCTA)としても知られる。血管内の血流は、より高い非相関値をもたらすが、静的な組織は、より低い非相関値をもたらす。この相関値の違いは、網膜内の血管網を示すOCT血管造影図の生成を可能にする。次いで、検出された血管網は、血管情報を抽出し、エンフェイス血管網マップを生成するために、適応的二値化などの画像処理技法を使用して二値化され得る。図3は、表層における血管網のOCT画像(画像310)およびOCTA画像(画像320)の一例を、対応して生成されたエンフェイス血管網マップとともに示す(画像330が画像310に基づくマップであり、画像340が画像320に基づくマップである)。
【0031】
特定の領域における神経成分(血管を含む)を軸方向に分離するために、疾患モデルに応じた関心層の識別が必要である。層検出(図2における216および220ならびに図1におけるステップ120)は、抽出された特徴に従ってOCT画像をいくつかの干渉性のサブ領域にクラスタ化するプロセスを含む。次いで、層は、画像処理技法、または畳み込みネットワークなどの高度な技法を使用して、容積測定OCTデータから自動的にセグメント化され得る。U-Netは、生物医学的画像セグメンテーション問題を解決するために採用され得る1つのニューラルネットワークアーキテクチャである。ネットワークは、様々な層の意味論的なセグメンテーションを出力するために、畳み込みネットワークアーキテクチャと逆畳み込みアーキテクチャとを融合する。モデルトレーニングは、層の手動境界決定をグラウンドトゥルースとして用いて実行される。OCTからセグメント化された関心層を取得した後、OCTA信号は、関心層における血管成分を分離するために、取得されたセグメンテーションによってマスクされる。
【0032】
その後、次いで、図1のステップ140において、エンフェイス血管網マップから抽出された特定の領域内の血管は、断面画像上に垂直に投影され、層内の個々の血管を境界決定するために、セグメント化された関心層と組み合わされる。図4は、エンフェイスOCTA血管網マップと対応する視神経乳頭周囲プロトコルとを使用する血管特定決定方法を示す。画像410内の円は、円形スキャンプロトコルを表す。OCTAマップから検出された血管は、血管の横方向の範囲を定義するOCTA画像420上の垂直バー412を使用して視神経乳頭周囲上に投影される。
【0033】
一例において、図5に示すように、マップ(血管局在化マップ510)から血管構造の存在を示す関心領域が、OCTA断面画像520上の対応する位置に垂直に投影され、血管局在化のために、検出された網膜層セグメンテーションと組み合わされる。これは、ROI内の形状フィッティングと呼ばれる。具体的には、OCTA断面画像内の各血管に関する信号の横方向の範囲は、垂直血管網マップ投影から決定され、軸方向の範囲は、セグメント化された網膜層の上限および下限によって境界付けられる。これらの範囲を使用して、各血管を含むROIは、横方向および軸方向に制約される。血管形状には円形モデルが採用される。各ROI内の血管の深さ分解された位置特定は、制約されたOCTA信号の重心から決定され、血管口径は、血管網マップからの垂直投影の横方向の範囲から推定された。これらのパラメータを使用して、円形血管モデルが各ROIにフィッティングされた。他の形状も採用され得る。代替的に、ハフ変換またはウォーターシェッド変換に基づくような他の画像処理技法も使用され得る。最後に、フィッティングされた血管は、神経成分(画像540、542)から血管成分(画像530、532)を分離するために、セグメント化された網膜から分離され、そこから、疾患診断およびモデリングのための測定値およびパラメータが、図1のフローチャートのステップ160の一部として生成される。
【0034】
深さ分解された血管局在化のさらなる詳細について、図6(a)~図6(d)を参照して説明する。
【0035】
図6(a)に示すように、各8接続された血管領域の重心(Cx,Cy)は、画像510および520において例示されているように、血管局在化に基づいて自動的に決定される。開示する実施形態は、視神経乳頭周囲スキャンが血管に対して垂直であり、セグメント化されたRNFLが血管全体の断面を含むという仮定の下で動作する。円形血管マスクVは、円の方程式
Vi=[Mh-Cy,i]2+[Mw-Cx,i]2<r2 (1)
を使用して作成され、ここで、iは、i番目の血管領域であり、rは、横方向の範囲の半分によって定義された円形血管の半径であり、MhおよびMwは、視神経乳頭周囲OCTスキャンに基づいて生成されたメッシュグリッドの高さおよび幅を指す。生成された円形血管マスクの一例を図6(b)に示す。
【0036】
その後、図6(d)に示すように、これらの生成された円形血管マスクは、神経層から除外される。2つの構造パラメータ、すなわちRNFL厚さおよび血管対厚さVT比は、年齢との相関関係を比較するために、図6(d)の神経層データを使用して計算される。円形スキャンに沿った血管成分を含むRNFL厚さは、各眼に関する平均RNFL厚さ値RTaveを取得するためにすべてのAスキャンにわたって平均され、
【0037】
【数1】
【0038】
ここで、Nは、図6(c)に示す二値化されたRNFLセグメンテーションにおける列の総数であり、tnは、n番目のAスキャンにおけるセグメント化されたRNFLの厚さを指す。血管成分を除外したRNFLの厚さも、後の分析のために(2)を使用して計算され、RTave,nvとして示された。それに加えて、実施形態は、さらなる比較として、OCTスキャン(RTave,nm)においてのみ可視であった主要な血管を除外した後のRNFL厚さを計算する。主要な血管は、OCTスキャンに基づいて、検出された血管領域から手動で選択される。
【0039】
その後、実施形態は、すべての眼に関するRNFL断面積VT比に対する血管の割合を計算する。このパラメータは、総血管面積と血管を除外する前のRNFL面積との間の比として定義され、この比は、以下のように計算され、
【0040】
【数2】
【0041】
ここで、Viは、(1)を使用して計算された値を持つ円形血管マスクであり、Iは、RNFL内の円形血管マスクの総数であり、Rareaは、(4)を使用して計算された血管を除外する前のRNFLの面積である。
【0042】
【数3】
【0043】
ここで、wは、視神経乳頭周囲断面スキャンの幅であり、RTiは、各AスキャンにおけるRNFL厚さである。
【0044】
セグメンテーション後、血管成分と神経成分の両方は、臨床診断だけでなく、疾患の監視および治療にも潜在的に使用される可能性がある。血管成分は、糖尿病性網膜症および緑内障などの網膜疾患の診断において重要であるが、神経成分は、臨床医が疾患の進行における構造的変化を識別し、早期介入を提供することを可能にする。これらの抽出された成分のさらなる後処理が、臨床診断を改善する可能性がある、血管密度、血管サイズ、および網膜層の構造的厚さなどの定量的かつ客観的な指標を取得するために実行され得る。有用な臨床パラメータを生成することの他に、2つの分離された成分は、眼および神経変性疾患のモデリングのための新しい学習特徴を構築するために、より高レベルの特徴としても使用され得る。神経成分と血管成分の両方は、疾患の進行をモデル化し、個人におけるリスクを予測するために、2つの別々の層として深層畳み込みニューラルネットワークに入力され得る。
【0045】
緑内障の進行の監視のために、血管が除去された網膜神経線維層(RNFL)厚さを生成するための研究が本開示の一実施形態に従って実行された。本開示のいくつかの実施形態は、視神経乳頭周囲網膜神経線維層(RNFL)厚さ測定に特に適用されるように、緑内障診断の文脈において適用され得る。緑内障は、網膜神経節細胞の喪失とRNFLの薄化とをもたらす進行性の視神経障害である。視神経乳頭の周囲の円形領域として定義される視神経乳頭周囲RNFLの厚さ測定は、緑内障の診断および監視のために使用されている。しかしながら、従来の測定は、神経線維軸索と網膜血管系とを区別しない。開示する実施形態は、RNFL厚さを測定するとき、特に緑内障における軸索喪失を測定する際、血管系の影響の排除を可能にする。図7は、本開示の一実施形態を使用して、血管が除去されたRNFL厚さを取得するためのプロセスのプロセスフロー図を示す。
【0046】
視神経乳頭周囲RNFLは、以下のように視神経乳頭中心の容積測定OCTスキャンから抽出され得る。容積測定データ(画像720のデータ)は、視神経乳頭の境界が自動的に決定された視神経乳頭中心を用いて定義された二次元エンフェイスビューを生成するために、最初に垂直投影される(画像730および740)。
【0047】
次いで、視神経乳頭を中心とする直径3.46mmの視神経乳頭周囲断面スキャン(画像770)が容積から抽出された。信号ノイズを低減し、RNFL境界の視認性を改善するために、生成された視神経乳頭周囲スキャンは、直径3.44mmおよび3.46mmにおける2つの追加の視神経乳頭周囲スキャンとともに平均化された。RNFL層は、フィルタまたは前処理技法を使用することなく、U-Netベースの畳み込みニューラルネットワークを使用して、結果として生じた平均化画像から自動的にセグメント化された。U-Netベースのネットワークを使用する利点は、関心層の意味論的なセグメンテーションを出力するために、畳み込みネットワークアーキテクチャと逆畳み込みアーキテクチャとを融合し、解像度が低下したときに空間情報の損失なしに膨大な数の特徴の抽出を可能にすることである。トレーニングされたモデルは、最初に512×512にサイズ変更された断面OCTスキャン(画像770)の入力画像を取り込み、断面OCTAスキャンをマスクするために使用された二値化された視神経乳頭周囲RNFLセグメンテーション(画像790)を生成する。
【0048】
対応するエンフェイスOCTA画像710は、血管情報を抽出し、画像720のエンフェイス血管網マップを生成するために、適応的二値化を適用することによって二値化された。その後、円形スキャン(視神経乳頭の中心まで3.46mmの距離)の周囲の血管が抽出され、画像730において示す断面平面上に垂直に投影された。次いで、投影された血管は、層内の個々の血管を境界決定するために、セグメント化された視神経乳頭周囲RNFLと組み合わされた。その後、血管が除去されたRNFL(画像750)は、層から円にフィッティングされた血管を除去することによって取得される。血管が除去されたRNFLの厚さは、次に論じる診断性能を評価するために測定された。
【0049】
本開示の提案するNuVAS手法の診断性能は、評価され、1050nmの波長と、1000000 Aスキャン/秒のスキャンレートと、視神経乳頭を中心とする6mm×6mm撮像プロトコルとを有するPlex Elite 9000 OCTシステム(Carl Zeiss Meditec、米国)を使用して撮像された343個の眼のデータセットを使用して血管が除去されたRNFLプロファイルを生成するための他の方法と比較された。データセット内の343個の眼のうち、250個が緑内障の眼と臨床的に診断され、93個が健康な眼であった。
【0050】
血管抽出のための2つの代替的な方法も評価され、以下に示す。
1.大津:OCTA信号データに対して大津の二値化を適用することによって血管が検出され、次いでOCTセグメント化視神経乳頭周囲RNFLから除去された。結果として生じた血管が除去されたRNFL画像を図8(a)に示す。
2.ヒストグラムベース:OCT断面視神経乳頭周囲スキャンにおけるピクセル強度値のヒストグラムに基づいて血管が検出された。OCTAにおいて、血管ピクセルは、より高い非相関値のため、より高い強度を有する。画像内の強度範囲の分布に基づいて、RNFL内の血管を区別するために最適なしきい値(すなわち、15以下のヒストグラムビン、図8(b))が経験的に選択された。次いで、これらの検出された構造は、図8(c)に示すように、血管が除去されたRNFL画像を生成するために、セグメント化された視神経乳頭周囲RNFLから除外された。
【0051】
これらの異なる方法の診断性能は、受信者操作特性(ROC(Receiver Operating Characteristic))曲線分析を使用して評価され、ROC下面積(AUC(Area under the ROC))指標を使用して比較された。図9は、緑内障の眼と非緑内障の眼とを区別する際に、血管を除去した視神経乳頭周囲RNFL厚さ測定および血管を除去しない視神経乳頭周囲RNFL厚さ測定のROC曲線を示す。結果は、RNFLの標準臨床測定の診断精度がAUC0.91(曲線906)であることを示す。本開示による手法を使用することによって、血管が除去されたRNFLは、AUC0.94(曲線908)を取得し、2つの代替的な方法(大津血管抽出の曲線902およびヒストグラムベースの血管抽出の曲線904)と比較して最も高い。したがって、本開示の方法は、改善された診断性能を示し、緑内障の進行を検出および監視する際に臨床医を潜在的により良く支援する可能性がある。
【0052】
疾患監視の従来の臨床的方法は、血管の存在を考慮せずに網膜における構造的変化の直接測定を実行することである。血管の存在は、臨床的評価の精度に影響を与える。開示するNuVASフレームワークは、従来の臨床実践と比較して以下の利点を有する。
・構造的変化に対する血管の影響なしに、眼の状態の初期段階を識別する際の改善された診断精度
・よりよい眼疾患の進行監視に関する構造的変化における低減した変動
・眼の状態と全身の状態の両方における診断目的に使用され得る抽出された容積測定血管情報
【0053】
NuVASを使用する研究
研究母集団
開示するシステムおよび方法の有効性を評価するために、健康な被験者とPOAGの被験者の両方を含む横断研究が2018年7月から2019年6月まで実行された。
【0054】
臨床検査
すべての参加者は、対数最小角解像力チャート(LogMARチャート、The Lighthouse、ニューヨーク州)を使用する最高矯正視力の評価、自己屈折率測定、ゴールドマン圧平眼圧測定を使用した眼圧測定、OCT、およびOCT-A撮像を含む、包括的な眼科検査を受けた。撮像の前にトロピカミド1%(Gutt Mydriacyl)点眼液の滴下で瞳孔が拡張された。24-2 Swedish Interactive Threshold Algorithm(Humphrey視野分析器Carl Zeiss Meditec, Inc、カリフォルニア州ダブリン)を使用する標準的な自動視野測定を使用して、視野が評価された。固視損失が33%未満であり、偽陽性および偽陰性のエラーが20%未満である場合、視野検査は、信頼できるとみなされた。
【0055】
POAGの眼は、臨床診断に基づいて定義され、この臨床診断は、適合する視野損失を有する緑内障性視神経障害(0.7よりも大きい垂直陥凹/乳頭径比もしくは0.2よりも大きい眼間非対称性を有する神経網膜縁の損失、および/または緑内障に起因するノッチングとして定義される)の存在、隅角鏡検査における開放角、正常範囲外の緑内障半視野検査、および緑内障視神経障害がないことを含む。
【0056】
OCT/OCT-A画像取得およびスキャンプロトコル
OCT画像およびOCT-A画像が、1050nmの調整可能な中心波長と100kHzのスキャンレートとを有する市販の掃引光源OCT(SS-OCT)システム(PLEX Elite 9000、Carl Zeiss Meditec, Inc.、米国カリフォルニア州ダブリン)を使用して取得された。各眼は、視神経乳頭を中心とする6×6mmの視野撮像プロトコルを受けた。各々の取得された容積測定スキャンは、各画像が500回のAスキャンから構成された500枚の断面画像から構成された。深さ分解された血管造影信号は、光学微小血管造影(OMAG)技法を使用してOCT-A画像を形成するために取得された。画質は、トレーニングされた採点者によって手動で評価された。6未満の信号強度を有する低品質の画像、激しい動き、または影のアーティファクトは、分析から除外された。
【0057】
視神経乳頭周囲RNFLセグメンテーション
取得されたOCTスキャンは、MATLB(Mathworks Inc.米国マサチューセッツ州ナティック)にエクスポートされ、三次元OCT容積に再構築された。これらの容積のエンフェイス投影が、視神経乳頭境界を決定し、視神経乳頭(ONH)の中心を自動的に決定するために使用された(図11、画像1110、1120)。ONHの中心を用いて、実施形態は、各々の取得されたOCTスキャン(図11、画像1112、1122)に対して視神経乳頭周囲RNFL断面画像を生成し、U-Net21ベースの畳み込みニューラルネットワークを使用して、視神経乳頭周囲RNFLの自動セグメンテーションを実行した。各々のセグメント化された視神経乳頭周囲RNFLについて、実施形態は、平均RNFL厚さ(RNFLT)厚さ指標を計算した。
【0058】
視神経乳頭周囲RNFLにおける血管および神経成分
内境界膜(ILM)および内網状層(IPL)によって定義される表層毛細血管叢(SCP)は、レビューソフトウェア、PLEX Elite 9000 Review Software(バージョン1.6、Carl Zeiss Meditec、米国カリフォルニア州ダブリン)から取得された。次いで、血管成分のさらなる抽出のために、SCPの最大投影からエンフェイスOCT-A画像が生成された(図11、画像1130および1140)。実施形態は、血管情報を二値化するために、適応二値化をエンフェイスOCT-A画像に適用した。
【0059】
円形スキャンに沿った血管構造は、二値化された血管網マップから抽出され、視神経乳頭周囲RNFL断面画像上の対応する場所に垂直投影された。最後に、個々の血管を局在化するために、垂直投影された血管断面マップは、視神経乳頭周囲RNFLセグメンテーションと組み合わされた。大血管は、OCTスキャンにおける視認性に基づいて選択され、毛細血管は、大血管の除外後のOCT-Aスキャンにおいて残っている血管構造であった。
【0060】
RNFLは主に、グリア細胞と血管とによって覆われたRGC軸索から構成される。検出された血管成分(大血管と毛細血管とを含む)を除外した後、残りのセグメント化された視神経乳頭周囲RNFLは、神経成分と呼ばれる(図11、画像1132および1142)。追加の2つの厚さ指標、すなわち、大血管を除外した平均RNFL厚さ(LVRT、大血管が除去されたRNFL厚さ)、およびすべての血管を除外した平均RNFL厚さ(AVRT、すべての血管を除外したRNFL厚さ)が計算された。それに加えて、視神経乳頭周囲RNFLにおいて、3つの血管指標、すなわち、大血管の総面積(TLVA、総大血管面積)、総毛細血管面積(TCA、総毛細血管面積)、およびすべての血管の総面積(TVA、総血管面積)が計算された。
【0061】
統計分析
記述統計は、正規分布変数の平均と標準偏差とを含む。正常な眼と緑内障との間の年齢、眼内圧(IOP)、等価球面度数(SE)、視野平均偏差(MD)、およびOCT信号強度における違いを比較するために、独立したサンプルのt検定が使用された。カテゴリ変数にはχ2検定が使用された。計算された指標(RNFLT、LVRT、AVRT、TLVA、TCA、およびTVA)を臨床変数との間の関連付けを評価するために、ピアソンの相関分析が実行された。計算された指標は、緑内障の眼における診断性能に対する血管成分の影響を評価するために、ロジスティック回帰分析に組み込まれた。研究は、受信者操作特性(ROC)曲線を使用して正常な眼と緑内障の眼とを区別する際のRNFLT、LVRT、AVRT、AVRT+TLAV、AVRT+TCA、およびAVRT+TLVA+TCAの性能を評価し、DeLongら、「Comparing the areas under two or more correlated receiver operating characteristic curves: a nonparametric approach. Biometrics. 1988;44(3):837-845」によって提案された方法を使用して、ROC曲線下面積(AUC)と比較した。各参加者からの眼間相関によるバイアスを回避するために、各参加者が再サンプリングの単位として作用して、ノンパラメトリックブートストラップ再サンプリング手順(N=1000サンプル)を使用してAUCの95%Clsが計算された。すべての統計分析は、市販の統計ソフトウェア、Stataバージョン16.0(StataCorp)を用いて実行された。0.05未満のP値は、統計的に有意であるとみなされた。
【0062】
研究結果
包含基準と除外基準とを満たした213人の参加者の合計325個の眼が、この分析に含まれた。325個の眼のうち、43人の対照患者の75個の眼およびPOAGの170人の患者の250個の眼が存在した。研究参加者の人口統計学的特徴を表1に示す。正常群および緑内障群の平均年齢は、それぞれ56.1±14.2歳および64.0±12.7歳であった。緑内障患者は、-3.65±3.14dBの平均視野平均偏差を有した。正常群と緑内障群との間には、年齢、眼内圧(IOP)、およびOCT信号強度において有意な差が存在した(P<0.001)。両方の群間には、等価球面度数(SE)(P=0.284)、収縮期血圧(P=0.756)、および拡張期血圧(P=0.202)において差が存在しなかった。
【0063】
RNFLT、LVRT、AVRT、TLVA、TCA、およびTVAが計算され、これらの指標の分布を図12に示す。正常群と緑内障群の両方における生体測定変数(年齢、収縮期血圧、拡張期血圧、およびIOP)と計算された指標(RNFLT、LVRT、AVRT、TLVA、TCA、およびTVA)との間の関連付けを決定するために、ピアソンの相関分析が実行された。表2は、両方の群における各指標に関する相関関係を示す。正常群において、すべての血管が除去された平均RNFL厚さ(AVRT)の減少は、年齢の増加と有意に相関することを示した(r=-0.383、P<0.001)。TCAは、正常な眼について、年齢の増加(r=0.394、P<0.001)およびより高い収縮期血圧(r=0.277、P=0.016)との正の相関を有した。他の4つの計算された指標(RNFLT、LVRT、TLVA、およびTVA)と生体測定変数との間には有意な相関関係が存在しなかった。緑内障の眼において、平均RNFL厚さ(r=-0.200、P=0.002)、大血管が除去された平均RNFL厚さ(r=-0.255、P<0.001)、およびすべての血管が除去された平均RNFL厚さ(r=-0.256、P<0.001)は、年齢の増加と相関することが示された。大血管の総血管面積(TLVA)および全血管(TVA)に関する2つの指標は、すべての生体測定変数と有意に相関しなかった。TCAは、緑内障の眼におけるIOPの増加と正の相関を示した(r=0.136、P=0.032)。
【0064】
研究は、緑内障の眼におけるすべての計算された指標と視野平均偏差との間の相関関係を評価した。5つの指標のすべては、視力障害の重症度の増加と相関し、すべての血管が除去された平均RNFL厚さ(AVRT)が最も高い相関を有した(r=0.319、P<0.001)。大血管と毛細血管の両方を含む総血管面積(TVA)も、視野平均偏差と中程度の相関を有した(r=0.204、P=0.001)。TCAと視野損失との間に有意な相関は存在しなかった(r=0.003、P=0.967)。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
図12は、正常な眼と緑内障の眼とを区別する際の、異なるレベルの血管除去における様々なRNFL厚さに関するROC曲線を示す。RNFLTおよびLVRTに関するAUCは、類似しており(AUC:0.91[95%CI、0.86~0.94]およびAUC:0.92[95%CI、0.87~0.95])、ACUにおけるRNFLTとLVRTとの間に差は存在しなかった(P=0.263)。対照的に、AVRTは、RNFLTおよびLVRTと比較して、より高い診断性能を有した(AUC:0.94[95%CI、0.90~0.96])。AVRTとRNFLTとの間(P<0.001)およびAVRTとLVRTとの間(P<0.001)には、AUCにおける有意な差が存在しなかった。正常な眼と緑内障の眼とを区別する際の大血管および毛細血管の影響を評価するために、研究は、ロジスティック回帰分析においてAVRTにTLVAとTCAとを追加した。TLVA(AUC:0.94[95%CI、0.90~0.96])またはTCA(AUC:0.95[95%CI 0.91~0.97])のいずれかがAVRTと独立に使用された場合、性能において有意な改善は存在しなかった(P>0.05)。代わりに、回帰モデルにおいてTLVAとTCAの両方をAVRTに追加することは、診断性能を有意に改善した(P=0.027)(AUC:0.95[95%CI 0.92~0.97])。
【0068】
研究分析
研究は、OCTとOCT-Aとを使用して、健康な眼と緑内障の眼の両方において、様々なレベルの血管排除による視神経乳頭周囲RNFL厚さ測定の診断可能性を評価した。研究はまず、健康な眼および緑内障の眼における生体測定変数と本発明者らが計算した指標との間の相関関係を評価した。視神経乳頭周囲RNFLから血管成分を除去した後、測定されたRNFL厚さの神経成分は、健康な眼における年齢の増加と有意に相関した(r=-0.38、P<0.001)。これは、大血管なしのRNFL厚さに対する加齢の影響がOCTを使用して示されたChuaら、「Compensation of retinal nerve fibre layer thickness as assessed using optical coherence tomography based on anatomical confounders. Br J Ophthalmol. 2020;104(2):282-290」、およびPatelら、「Retinal nerve fiber layer assessment: area versus thickness measurements from elliptical scans centered on the optic nerve. Investigative ophthalmology & visual science. 2011;52(5):2477-2489」の研究によって裏付けられる。研究は、緑内障の眼において、血管成分を含む測定された視神経乳頭周囲RNFL厚さが、年齢と最も高い負の相関を有することを実証した(r=-0.256、P<0.001)。考えられる理由は、血管とRGCの両方が視神経乳頭周囲RNFL厚さに直接寄与することである。Hoodら、「Blood vessel contributions to retinal nerve fiber layer thickness profiles measured with optical coherence tomography. J Glaucoma. 2008;17(7):519-528」は、大血管のサイズの変化は、比較的小さいが、血管の寄与は、緑内障患者においては有意な寄与になり、機能的RGCの不正確な評価につながる可能性があることを示した。この研究は、本研究とも一致し、総大血管面積が視野の損失と有意に相関することを示す。それに加えて、RGC損失は、加齢と緑内障の進行の両方による可能性がある。したがって、緑内障による視神経乳頭周囲RNFL厚さの変化を分析するとき、厚さ測定中に加齢に関係する減少を補正することが重要である。
【0069】
ロジスティック回帰分析は、血管成分、特に毛細血管が、診断性能において重要な役割を果たすことを明らかにした。結果は、測定されたRNFL厚さの神経成分が、AUC0.94のよりよい診断性能を有することを示した。回帰分析において、測定されたRNFL厚さの神経成分によって大血管の総面積および毛細血管面積が含まれた場合、診断精度は、AUC0.95(P<0.05)に有意に改善した。これは、緑内障における視神経乳頭周囲RNFL厚さ測定の識別能力に対する血管成分の影響を明確に実証し、血管成分が神経成分とは独立して考慮されるべきであることを示唆する。
【0070】
視神経乳頭周囲RNFLは、大血管と、毛細血管と、RGCとを主に備える。神経成分は、OCTを使用して視覚化され得るRGCおよび神経膠から構成される。大血管もOCTスキャンにおいて明確に観察され得るが、毛細血管は、それほど顕著ではない。以前の研究のほとんどは、視神経乳頭周囲RNFL厚さ測定における大血管の寄与を研究するためにOCTを使用していた。Patelら、「Retinal nerve fiber layer assessment: area versus thickness measurements from elliptical scans centered on the optic nerve」は、RNFL厚さに対する血管の寄与が、非ヒト霊長類の眼の上部領域および下部領域において最も大きいことを示し、主要な血管の除去が、RNFLの神経成分に対するよりよい測定につながる可能性があることを実証した。OCTを使用する180人の人間の被験者の研究において、Yeら、「Impact of segmentation errors and retinal blood vessels on retinal nerve fibre layer measurements using spectral-domain optical coherence tomography」は、RNFL厚さ測定に対する大血管の影響における研究を提示し、特にRNFLが薄化される重度の緑内障において、RNFL厚さ測定の信頼性がこれらの血管によって影響を受ける可能性があることを示した。しかしながら、これらの研究において、視神経乳頭周囲毛細血管がRNFLから除外されず、その寄与は、評価されなかった。
【0071】
OCTの機能拡張として、OCT-Aは、静脈内色素注入を実行する必要なしに、網膜ならびに脈絡膜における血管の流れに関する情報を提供する。OCT-Aは、緑内障の眼における視神経乳頭周囲毛細血管の灌流を研究するために広く使用されている。先行研究の中では、Richterら、「Peripapillary microvasculature in the retinal nerve fiber layer in glaucoma by optical coherence tomography angiography: focal structural and functional correlations and diagnostic performance. Clin Ophthalmol. 2018;12:2285-2296」は、OCT-Aエンフェイス画像を使用した視神経乳頭周囲血管パラメータに関する診断性能を実証し、それらが黄斑領域において計算された血管パラメータよりも優れていることを示した。Raoら、「Diagnostic ability of peripapillary vessel density measurements of optical coherence tomography angiography in primary open-angle and angle-closure glaucoma. British Journal of Ophthalmology. 2017;101(8):1066-1070」も、緑内障の眼の様々な視神経乳頭周囲セクタにおける視神経乳頭周囲血管密度測定の診断性能を評価し、特に側頭下部セクタにおいて性能が良好であることを見出した。血管密度測定値も、RNFL厚さ測定値と同等であることがわかった。しかしながら、血管密度測定は、エンフェイスOCT-A撮像プロトコルに基づくが、RNFL厚さ測定は、視神経乳頭周囲円形OCTスキャンプロトコルに基づいた。本研究は、視神経乳頭周囲RNFLにおける血管成分および神経成分のよりよいセグメンテーションのために視神経乳頭周囲血管を識別するために、OCT-Aによって提供される眼灌流情報を使用した。
【0072】
研究は、計算された指標とIOPとの間の相関関係も評価した。IOPとRNFLTを含むほとんどの計算された指標との間に関係性は見出されなかった。これは、緑内障患者においてIOPを制御するための継続的な治療に起因する可能性がある。研究は、減少した視野平均偏差が、血管成分が除去された減少した視神経乳頭周囲RNFL厚さに有意に関連していることをさらに示した。
【0073】
研究に対するいくつかの制限が存在する。第1に、様々なレベルの血管の抽出は、OCT画像およびOCT-A画像の品質に依存する。動きおよび媒体の不透明度によって引き起こされる不十分な画質は、一般的であり、血管の視認性に影響を与える可能性がある。したがって、セグメンテーションを実行する前に、OCT画像およびOCT-A画像の品質を保証するために、画質チェックが必須である。緑内障の眼の重症度プロファイルは、重症例の数によって制限された。本研究における参加者の大部分は、-6dBよりもよい視野平均偏差を有しており、したがって、より重度の緑内障の眼に対するさらなる評価が必要である。神経成分は、RGC損失の一部として考慮されるべきではない神経膠細胞も含んでいるので、これが厚さ測定に影響を与える場合があることは、留意する価値がある。最後に、本研究の横断的性質により、緑内障の眼における血管成分と神経成分との間の因果関係は、評価され得なかった。
【0074】
研究は、厚さ測定値と血管面積とに基づいて、緑内障の眼における視神経乳頭周囲RNFLにおける血管成分および神経成分の診断性能を評価した。本発明者らは、健康な眼と緑内障の眼とを区別する際に、血管成分なしで測定された視神経乳頭周囲RNFL厚さが、血管成分ありのときよりも優れた性能を発揮したことを見出した。診断性能は、血管領域の寄与を含めることによって改善され得る。神経成分と血管成分の分離は、年齢または疾患による神経成分の変化のよりよい評価を可能にする。血管成分は、視野損失にも関連し、緑内障の診断評価において考慮されるべきである。
【0075】
本発明の範囲から逸脱することなく、多くの修正が当業者には明らかであろう。
【0076】
本明細書全体を通して、文脈上他に要求されない限り、「備える」という語、ならびに「備える」および「備えている」などの変形は、述べられた整数もしくはステップまたは整数もしくはステップのグループを含むことを意味するが、いかなる他の整数もしくはステップまたは整数もしくはステップのグループの除外も意味しないことが理解されよう。
【0077】
本明細書における任意の先行刊行物(またはそれに由来する情報)または公知の任意の事項への言及は、その先行刊行物(またはそれに由来する情報)または公知の事項が、本明細書が関係する努力分野における共通の一般知識の一部を形成することの承認、または容認、またはいかなる形態の示唆でもなく、そう取られるべきではない。
【符号の説明】
【0078】
210 OCT画像データ、容積測定OCTデータ
218 エンフェイス血管網マップ
310 画像
320 画像
330 画像
340 画像
410 画像
412 垂直バー
420 OCTA画像
510 血管局在化マップ
520 OCTA断面画像
530 画像
532 画像
540 画像
542 画像
710 エンフェイスOCTA画像
720 画像
730 画像
740 画像
759 画像
770 画像
790 画像
902 曲線
904 曲線
906 曲線
908 曲線
1000 システム
1010 プロセッサ
1030 メモリ/ストレージ、メモリ
1032 NuVASプログラムコード
1110 画像
1112 画像
1120 画像
1122 画像
1130 画像
1140 画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8(a)】
図8(b)】
図8(c)】
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】