(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】癌の再発を予防する方法及び組合せ医薬
(51)【国際特許分類】
A61K 38/21 20060101AFI20240124BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240124BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240124BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240124BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240124BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20240124BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240124BHJP
C07K 14/555 20060101ALN20240124BHJP
【FI】
A61K38/21 ZNA
A61K45/00
A61P35/00
A61K48/00
A61P35/02
A61K31/7068
A61P43/00 121
C07K14/555
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544049
(86)(22)【出願日】2022-01-20
(85)【翻訳文提出日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 CN2022072921
(87)【国際公開番号】W WO2022156733
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】202110084507.X
(32)【優先日】2021-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522030208
【氏名又は名称】シャーメン アモイトップ バイオテック カンパニー, リミテッド
【氏名又は名称原語表記】XIAMEN AMOYTOP BIOTECH CO., LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】522030219
【氏名又は名称】バイオスティード ジーン トランスフォーメーション テック. カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BIOSTEED GENE TRANSFORMATION TECH.CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】リャオ, シャオジン
(72)【発明者】
【氏名】ウー, ハンヂョウ
(72)【発明者】
【氏名】チュー, ホンラン
(72)【発明者】
【氏名】ジュー, ペイジュアン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ, チンジァン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, ティンティン
(72)【発明者】
【氏名】イン, フェンホン
(72)【発明者】
【氏名】ウー, リンイン
(72)【発明者】
【氏名】チュワン, ル
(72)【発明者】
【氏名】チョウ, ウェイドン
(72)【発明者】
【氏名】スン, リー
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA13
4C084BA01
4C084BA44
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4C086EA17
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA57
4H045DA15
4H045EA22
4H045EA28
(57)【要約】
本発明は、生物医学の分野に関する。本明細書において開示されるのは、i)インターフェロンベースの治療剤を間欠的に投与すること、及びii)任意選択で追加の抗癌剤を投与することを含む、癌の再発を予防する方法である。本発明はまた、前記方法において使用するための組合せ医薬に関する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における癌の再発を予防する方法であって、前記対象に、
i)インターフェロンベースの治療薬を投与するステップ;及び
ii)任意選択で、追加の抗癌剤を投与するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記対象に少なくとも1つの連続的なコースで前記インターフェロンベースの治療剤を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象に複数の連続的なコースで前記インターフェロンベースの治療剤を間欠的に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記対象が癌を有すると診断されているが、抗癌治療を受けて寛解状態にある、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記抗癌治療が、外科手術、化学療法、放射線療法、免疫療法、又はその組合せである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記寛解が完全寛解であり、例えば、前記対象において可視病変(腫瘍)が検出されない、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記インターフェロンベースの治療剤が、インターフェロン又はその変異体若しくは誘導体を含むか、インターフェロン又はその変異体若しくは誘導体をコードする核酸分子を含むか、又は内在性インターフェロンの生成を促進する物質を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記インターフェロンが、I型、II型又はIII型のインターフェロン、例えば、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ又はインターフェロンλ、好ましくはインターフェロンαである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記インターフェロンベースの治療剤が、インターフェロンα2a、インターフェロンα2b、インターフェロンα1b、インターフェロンλ、又はその変異体若しくは誘導体を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記インターフェロン又はその変異体若しくは誘導体がPEG化されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記インターフェロンベースの治療剤が、P1101、ペグベロン、ペガシス、ペギントロン、インファーゲン、ノバフェロン、イントロンA、ロフェロン-A、ハプゲン、ペギンファー及びペグインターフェロンλからなる群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記インターフェロンベースの治療剤が、TLR、RLR、及びSTINGシグナル経路のアゴニストを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記インターフェロンベースの治療剤が、GS-9620、GS-9688、RO7020531、RO6864018、TQ-A3334、JNJ-4964、SB9200、MIW815、DMXAA、MK-1454、及びdiABZIからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記連続的な治療コースにおいて、実質的に全コースの間、前記対象におけるネオプテリンの濃度が、最初の投与前のネオプテリンの濃度よりも高くなるように、例えば、最初の投与前のネオプテリンの濃度の約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約200%、約250%又はそれより高くなるように、前記インターフェロンベースの治療剤が投与される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記連続的な治療コースの期間が、最初の投与から最後の投与までの期間、プラス前記治療剤のインビボ半減期の約5倍である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記連続的な治療コースの期間が、約1週間~約24週間、好ましくは約1週間~約12週間、さらに好ましくは約1週間~約8週間、なおさらに好ましくは約2週間~約6週間である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記連続的な治療コース間の間隔が、約1週間~約24週間、好ましくは約1週間~約12週間、さらに好ましくは約1週間~約8週間、なおさらに好ましくは約2週間~約6週間である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記連続的な治療コースのそれぞれの期間が約1週間~約8週間であり、前記連続的な治療コース間の間隔が約1週間~約8週間である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記連続的な治療コースの各々の期間が約2週間~約6週間であり、前記連続的な治療コース間の間隔が約2週間~約6週間である、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記インターフェロンベースの治療剤を2~25以上の連続的な治療コースで投与する、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記複数の連続的な治療コースの期間が実質的に同じである、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記連続的な治療コース間の間隔が実質的に同じである、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記追加の抗癌剤が、好ましくは前記対象における癌の再発を予防するためのものである、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記追加の抗癌剤が i)化学療法剤、例えば、アルキル化剤、アルキル化剤:ニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、シクロホスファミド、イホスファミド、グリシホスホラミド、セムスチン;代謝拮抗剤:デオキシフルオグアノシン、ドキシフルグアニジン、5-フルオロウラシル、メルカプトプリン、チオグアニン、シタラビン、フルグアノシン、テガフール、ゲムシタビン、カルモフール、ヒドロキシウレア、メトトレキサート、UFT、アンシタビン、カペシタビン;抗腫瘍性抗生物質:アクチノマイシンD、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、ペロマイシン、ピンヤンマイシン、ピラルビシン;化学療法の抗腫瘍性動物及び植物成分:イリノテカン、ハリントニン、ヒドロキシカンプトテシン、ビノレルビン、パクリタキセル、アルブミンパクリタキセル、タキソテール、トポテカン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンデシン、ビンブラスチン、テニポシド、エトポシド、エレメン;抗腫瘍剤ホルモン:アタメスタン、アナストロゾール、アミノグルテチミド、レトロゾール、フォルメスタン、メタステロン、タモキシフェン;種々の化学療法剤:アスパラギナーゼ、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、オキサリプラチン、ロキサジン、エロキサチン、ミトキサントロン、若しくはプロカルバジン;又は
ii)免疫チェックポイント阻害剤、例えばPD-1、PD-L1、CTLA4の阻害剤、例えばニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブから選択される抗体;又は
iii)低分子標的薬、例えば、イマチニブ、ゲフィチニブ、ボルテゾミブ、エルロチニブ、ソラフェニブ、レナリドミド、スニチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ラパチニブ、パゾパニブ、エベロリムス、バンデタニブ、クリゾチニブ、ベロフィニブ、ルキソリチニブ、アキシチニブ、ビスモデギブ、カルフィルゾミブ、レゴラフェニブ、ボスチニブ、トファシチニブ、カルボチニブ、パナチニブ、ポマリドマイド、トラメチニブ、ダブラフェニブ、アファチニブ、イコチニブ、イブルチニブ、セリチニブ、イデラリス、アパチニブ、パブチリブ、レバチニブ、アキシチニブ、イコチニブ、アパチニブ、ソニデギブ、コビメチニブ、オシメルチニブ、アレクチニブ、イキサゾミブ;又は
iv)腫瘍関連抗原特異的抗体、例えばリツキサン、ハーセプチン、
好ましくは、前記抗癌剤が、オキサリプラチン、エピルビシン、パクリタキセル及びゲムシタビンから選択され、より好ましくはゲムシタビンである、請求項1~23のいずれか一項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記癌が、白血病(例えば急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病、多毛性白血病)、肝臓癌、肺癌、結直腸癌、皮膚癌、胃癌、乳癌、前立腺癌、非ホジキンリンパ腫、メラノーマ、多発性骨髄腫、喉頭乳頭腫、濾胞性リンパ腫、AIDS関連のカポジ肉腫、及び腎細胞癌、好ましくは肝臓癌、肺癌、乳癌、結直腸癌、又はメラノーマから選択される、請求項1~24のいずれか一項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
対象における癌の再発の予防に使用するための組合せ医薬であって、インターフェロンベースの治療剤及び追加の抗癌剤を含む、組合せ医薬。
【請求項27】
請求項1~25のいずれか一項に記載の方法によって対象における癌再発の予防に使用するためのものである、請求項26に記載の組合せ医薬。
【請求項28】
前記インターフェロンベースの治療剤が、インターフェロン若しくはその変異体若しくは誘導体を含むか、又はインターフェロン若しくはその変異体若しくは誘導体をコードする核酸分子を含むか、又は内在性インターフェロンの生成を促進する物質を含む、請求項26又は27に記載の組合せ医薬。
【請求項29】
前記インターフェロンが、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ又はインターフェロンλ、好ましくはインターフェロンα等のI型、II型又はIII型インターフェロンである、請求項26~28のいずれか一項に記載の組合せ医薬。
【請求項30】
前記インターフェロンベースの治療剤が、インターフェロンα2a、インターフェロンα2b、インターフェロンα1b、インターフェロンλ、又はその変異体若しくは誘導体を含む、請求項26~29のいずれか一項に記載の組合せ医薬。
【請求項31】
前記インターフェロン又はその変異体若しくは誘導体がPEG化されている、請求項26~30のいずれか一項に記載の組合せ医薬。
【請求項32】
前記インターフェロンベースの治療剤が、P1101、Pegberon、Pegasys、Pegintron、Infergen、Novaferon、INTRONA、Roferon-A、Hapgen、PEGINFER及びPeginterferon λからなる群から選択される、請求項26~31のいずれか一項に記載の組合せ医薬。
【請求項33】
前記インターフェロンベースの治療剤が、TLR、RLR、及びSTINGシグナル伝達経路のアゴニストを含む、請求項26~32のいずれか一項に記載の組合せ医薬。
【請求項34】
前記インターフェロンベースの治療剤が、GS-9620、GS-9688、RO7020531、RO6864018、TQ-A3334、JNJ-4964、SB9200、MIW815、DMXAA、MK-1454、及びdiABZIからなる群から選択される、請求項33に記載の組合せ医薬。
【請求項35】
前記抗癌剤が、
i)化学療法剤、例えば、アルキル化剤、アルキル化剤:ニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、シクロホスファミド、イホスファミド、グリシホスホラミド、セムスチン;代謝拮抗剤:デオキシフルオグアノシン、ドキシフルグアニジン、5-フルオロウラシル、メルカプトプリン、チオグアニン、シタラビン、フルグアノシン、テガフール、ゲムシタビン、カルモフール、ヒドロキシウレア、メトトレキサート、UFT、アンシタビン、カペシタビン;抗腫瘍性抗生物質:アクチノマイシンD、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、ペロマイシン、ピンヤンマイシン、ピラルビシン;化学療法用抗腫瘍性動物及び植物成分:イリノテカン、ハリントニン、ヒドロキシカンプトテシン、ビノレルビン、パクリタキセル、アルブミンパクリタキセル、タキソテール、トポテカン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンデシン、ビンブラスチン、テニポシド、エトポシド、エレメン;抗腫瘍剤ホルモン:アタメスタン、アナストロゾール、アミノグルテチミド、レトロゾール、フォルメスタン、メタステロン、タモキシフェン;種々雑多な化学療法剤:アスパラギナーゼ、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、オキサリプラチン、ロキサジン、エロキサチン、ミトキサントロン、若しくはプロカルバジン;又は
ii)免疫チェックポイント阻害剤、例えばPD-1、PD-L1、CTLA4の阻害剤、例えばニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブから選択される抗体;又は
iii)低分子標的薬、例えば、イマチニブ、ゲフィチニブ、ボルテゾミブ、エルロチニブ、ソラフェニブ、レナリドミド、スニチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ラパチニブ、パゾパニブ、エベロリムス、バンデタニブ、クリゾチニブ、ベロフィニブ、ルキソリチニブ、アキシチニブ、ビスモデギブ、カルフィルゾミブ、レゴラフェニブ、ボスチニブ、トファシチニブ、カルボチニブ、パナチニブ、ポマリドマイド、トラメチニブ、ダブラフェニブ、アファチニブ、イコチニブ、イブルチニブ、セリチニブ、イデラリス、アパチニブ、パブチリブ、レバチニブ、アキシチニブ、イコチニブ、アパチニブ、ソニデギブ、コビメチニブ、オシメルチニブ、アレクチニブ、イキサゾミブ;又は
iv)腫瘍関連抗原特異的抗体、例えばリツキサン、ハーセプチン、
好ましくは、前記抗癌剤が、オキサリプラチン、エピルビシン、パクリタキセル及びゲムシタビンから選択され、より好ましくはゲムシタビンである、請求項26~34のいずれか一項に記載の組合せ医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医学の分野に関する。本明細書において開示されるのは、対象にi)インターフェロンベースの治療剤を間欠的に投与すること、及び任意選択でii)追加の抗癌剤を投与することを含む、癌の再発を予防するための方法である。本発明はまた、前記方法において使用するための組合せ医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
インターフェロン(IFN)は、複数の機能を有する活性タンパク質であり、単球及びリンパ球から産生されるサイトカインである。広範囲抗ウイルス活性、細胞の増殖、分化への影響、及び免疫機能の調節等、種々の生物活性を有しており、インターフェロンは、現在、最も重要な抗ウイルス感染症及び抗腫瘍の生物学的製剤である。
【0003】
現在、インターフェロンはI型、II型、及びIII型インターフェロンに分類される。タイプIインターフェロンは、IFN-α、及びIFN-β等を含む。IFN-αインターフェロンは、主に単球-マクロファージによって生成される。さらに、B細胞及び線維芽細胞もIFN-αインターフェロンを合成し得る。IFN-βインターフェロンは、主に繊維芽細胞によって生成される。IFN-αインターフェロン及びIFN-βインターフェロンは共に、例えば単球-マクロファージ、多形核白血球、B細胞、T細胞、血小板、上皮細胞、内皮細胞、及び腫瘍細胞に広く分布する同じ受容体に結合する。IFNαには23を超えるサブタイプがあることが知られている。IFNβには1つのサブタイプしかない。II型インターフェロン、又はγインターフェロンは、主に活性化T細胞(Th0、Th1細胞、殆ど全てのCD8+T細胞を含む)及びNK細胞によって生成され、いわゆるリンパカインに属する。IFN-γは、細胞外マトリクスに結合した形で存在している場合もあり、バイスタンダー効果によって細胞の増殖を制御し得る。IFN-γは、成熟した赤血球を除く殆ど全ての細胞の表面に分布し得る。IFN-γには1つのサブタイプしかない。III型インターフェロンは、主にインターフェロンλを指す。
【0004】
インターフェロン、インターフェロン変異体、及びインターフェロン誘導体は、種々の治療に広く使用することが承認されている。ヒトの臨床治療について承認されているインターフェロン及び変異体としては、インターフェロンα2a、インターフェロンα2b、インターフェロンα1b、化合物インターフェロン(インファーゲン(Infergen))、及びインターフェロン変異体(例えばノバフェロン(Novaferon))、インターフェロンβ、及びインターフェロンγ(1b)等が挙げられる。インターフェロン誘導体としては、ペグインターフェロンα2a、ペグインターフェロンα2b、及び統合型インターフェロン等が挙げられる。
【0005】
また、近年、TLR、RLR、及びSTING等のシグナル経路の発見及び解明に伴い、上述のシグナル経路に作用してインターフェロンを生成する一連のアゴニストが発見及び解明され、その使用も今後のインターフェロンベースの治療の新たな方向性となっている。現在のところ、この種のアゴニストは、HBV及び関連する腫瘍の治療に用いられている。
【0006】
I型IFNは、癌の臨床治療のためにFDAが承認した最初の免疫療法薬剤のバッチである。IFNは、血液系腫瘍に最も優れた治癒効果を示し、次いでリンパ系腫瘍にも効果があるが、悪性黒色腫、卵巣腫瘍、結直腸癌等の固形腫瘍については治癒効果が20%以下と最悪の結果となる。また、インターフェロンと化学療法、放射線療法、免疫療法との併用適用は、現在のところインターフェロンを用いた一般的な抗腫瘍療法である。例えば、肝臓癌及び結直腸癌の治療に対するインターフェロンと5-フルオロウラシルとの併用適用、肺癌を治療するためのインターフェロンとシスプラチン、カルボプラチン等との併用適用がある。これらの研究は一定の成果を上げているが、全体的な効果はそれほど満足できるものではなく、予後は不良である。
【0007】
抗癌剤治療に加えて、癌の死亡率を減少させる重要な方法は、癌の再発を予防することである。しかしながら、癌の再発を予防するためにインターフェロンを適用して成功したという報告は、当技術分野には存在しない。
【発明の概要】
【0008】
一局面において、本発明は、対象における癌の再発を予防するための方法であって、
対象に、
i)インターフェロンベースの治療剤を投与すること;及び
ii)任意選択で、追加の抗癌剤を投与すること
を含む、方法を提供する。
【0009】
いくつかの実施形態において、本方法は、対象にインターフェロンベースの治療剤を少なくとも1コースで連続して投与することを含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、本方法は、対象に、インターフェロンベースの治療剤を複数の連続的なコースで間欠的に投与することを含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、対象は、癌を有すると診断されたが、抗癌治療を受け、寛解状態にある。いくつかの実施形態において、抗癌治療は、外科手術、化学療法、放射線療法、免疫療法、又はその組合せである。いくつかの実施形態において、寛解は完全寛解であり、例えば、対象において可視病変(腫瘍)が検出されない。
【0012】
いくつかの実施形態において、インターフェロンベースの治療剤は、インターフェロン又はその変異体若しくは誘導体を含むか、インターフェロン又はその変異体若しくは誘導体をコードする核酸分子を含むか、又は内在性インターフェロンの生成を促進する物質を含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、インターフェロンは、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ又はインターフェロンλ、好ましくはインターフェロンα等のI型、II型又はIII型インターフェロンである。
【0014】
いくつかの実施形態において、インターフェロンベースの治療剤は、インターフェロンα2a、インターフェロンα2b、インターフェロンα1b、インターフェロンλ、又はその変異体若しくは誘導体を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、インターフェロン又はその変異体若しくは誘導体はPEG化されている。
【0016】
いくつかの実施形態において、インターフェロンベースの治療剤は、P1101、ペグベロン(Pegberon)、ペガシス(Pegasys)、ペギントロン(Pegintron)、インファーゲン(Infergen)、ノバフェロン(Novaferon)、イントロンA(INTRONA)、ロフェロン(Roferon)-A、ハプゲン(Hapgen)、ペギンファー(PEGINFER)及びペグインターフェロンλからなる群から選択される。
【0017】
いくつかの実施形態において、インターフェロンベースの治療剤は、TLR、RLR、及びSTINGシグナル経路のアゴニストを含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、インターフェロンベースの治療剤は、GS-9620、GS-9688、RO7020531、RO6864018、TQ-A3334、JNJ-4964、SB9200、MIW815、DMXAA、MK-1454、及びdiABZIからなる群から選択される。
【0019】
いくつかの実施形態において、前記連続的な治療コースにおいて、実質的に全コースの間、対象におけるネオプテリンの濃度が、最初の投与前のネオプテリンの濃度よりも高くなるように、例えば、最初の投与前のネオプテリンの濃度の約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約200%、約250%に又はそれより高くなるように、インターフェロンベースの治療剤が投与される。
【0020】
いくつかの実施形態において、連続的な治療コースの期間は、最初の投与から最後の投与までの期間、プラス治療剤のインビボ半減期の約5倍である。
【0021】
いくつかの実施形態において、連続的な治療コースの期間は、約1週間~約24週間、好ましくは約1週間~約12週間、さらに好ましくは約1週間~約8週間、及びなおさらに好ましくは約2週間~約6週間である。
【0022】
いくつかの実施形態において、連続的な治療コース間の間隔は、約1週間~約24週間、好ましくは約1週間~約12週間、さらに好ましくは約1週間~約8週間、及びなおさらに好ましくは約2週間~約6週間である。
【0023】
いくつかの実施形態において、連続的な治療コースのそれぞれの期間は、約1週間~約8週間であり、治療コース間の間隔は、約1週間~約8週間である。
【0024】
いくつかの実施形態において、連続的な治療コースのそれぞれの期間は、約2週間~約6週間であり、治療コース間の間隔は、約2週間~約6週間である。
【0025】
いくつかの実施形態において、インターフェロンベースの治療剤は、2~25の、又はそれより多い連続的な治療コースで投与される。
【0026】
いくつかの実施形態において、複数の連続的な治療コースの期間は実質的に同じである。
【0027】
いくつかの実施形態において、連続的な治療コース間の間隔は実質的に同じである。
【0028】
いくつかの実施形態において、追加の抗癌剤は、好ましくは、対象における癌の再発を予防するために使用される。
【0029】
いくつかの実施形態において、抗癌剤は、
i)化学療法剤、例えば、アルキル化剤、アルキル化剤:ニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、シクロホスファミド、イホスファミド、グリシホスホラミド、セムスチン;代謝拮抗剤:デオキシフルオグアノシン、ドキシフルグアニジン、5-フルオロウラシル、メルカプトプリン、チオグアニン、シタラビン、フルグアノシン、テガフール、ゲムシタビン、カルモフール、ヒドロキシウレア、メトトレキサート、UFT、アンシタビン、カペシタビン;抗腫瘍性抗生物質:アクチノマイシンD、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、ペロマイシン、ピンヤンマイシン、ピラルビシン;化学療法の抗腫瘍性動物及び植物成分:イリノテカン、ハリントニン、ヒドロキシカンプトテシン、ビノレルビン、パクリタキセル、アルブミンパクリタキセル、タキソテール、トポテカン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンデシン、ビンブラスチン、テニポシド、エトポシド、エレメン;抗腫瘍剤ホルモン:アタメスタン、アナストロゾール、アミノグルテチミド、レトロゾール、フォルメスタン、メタステロン、タモキシフェン;種々の化学療法剤:アスパラギナーゼ、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、オキサリプラチン、ロキサジン、エロキサチン、ミトキサントロン、プロカルバジン;又は
ii)PD-1、PD-L1、CTLA4の阻害剤等の免疫チェックポイント阻害剤、例えば:ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブから選択される抗体;又は
iii)低分子標的薬、例えば、イマチニブ、ゲフィチニブ、ボルテゾミブ、エルロチニブ、ソラフェニブ、レナリドミド、スニチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ラパチニブ、パゾパニブ、エベロリムス、バンデタニブ、クリゾチニブ、ベロフィニブ、ルキソリチニブ、アキシチニブ、ビスモデギブ、カルフィルゾミブ、レゴラフェニブ、ボスチニブ、トファシチニブ、カルボチニブ、パナチニブ、ポマリドマイド、トラメチニブ、ダブラフェニブ、アファチニブ、イコチニブ、イブルチニブ、セリチニブ、イデラリス、アパチニブ、パブチリブ、レバチニブ、アキシチニブ、イコチニブ、アパチニブ、ソニデギブ、コビメチニブ、オシメルチニブ、アレクチニブ、イキサゾミブ;又は
iv)リツキサン、ハーセプチン等の腫瘍関連抗原特異的抗体であり、
好ましくは、抗癌剤は、オキサリプラチン、エピルビシン、パクリタキセル及びゲムシタビンから選択され、より好ましくはゲムシタビンである。
【0030】
いくつかの実施形態において、癌は、白血病(急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病、多毛性白血病(polycapillary leukemia)等)、肝臓癌、肺癌、結直腸癌、皮膚癌、胃癌、乳癌、前立腺癌、非ホジキンリンパ腫、メラノーマ、多発性骨髄腫、喉頭乳頭腫、濾胞性リンパ腫、AIDS関連のカポジ肉腫、及び腎細胞癌、好ましくは肝臓癌、肺癌、乳癌、結直腸癌、又はメラノーマから選択される。
【0031】
一態様において、本発明は、対象における癌の再発の予防に使用するための組合せ医薬であって、インターフェロンベースの治療剤及び追加の抗癌剤を含む、組合せ医薬を提供する。
【0032】
いくつかの実施形態において、組合せ医薬は、本発明の方法によって対象における癌の再発の予防に使用するためのものである。
【0033】
いくつかの実施形態において、インターフェロンベースの治療剤は、インターフェロン又はその変異体若しくは誘導体を含むか、インターフェロン又はその変異体若しくは誘導体をコードする核酸分子を含むか、又は内在性インターフェロンの生成を促進する物質を含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、インターフェロンは、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ又はインターフェロンλ、好ましくはインターフェロンα等のI型、II型又はIII型インターフェロンである。
【0035】
いくつかの実施形態において、インターフェロンベースの治療剤は、インターフェロンα2a、インターフェロンα2b、インターフェロンα1b、インターフェロンλ、又はその変異体若しくは誘導体を含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、インターフェロン又はその変異体若しくは誘導体はPEG化されている。
【0037】
いくつかの実施形態において、インターフェロンベースの治療剤は、P1101、ペグベロン(Pegberon)、ペガシス(Pegasys)、ペギントロン(Pegintron)、インファーゲン(Infergen)、ノバフェロン(Novaferon)、イントロンA(INTRONA)、ロフェロン(Roferon)-A、ハプゲン(Hapgen)、ペギンファー(PEGINFER)及びペグインターフェロンλからなる群から選択される。
【0038】
いくつかの実施形態において、インターフェロンベースの治療剤は、TLR、RLR、及びSTINGシグナル経路のアゴニストを含む。
【0039】
いくつかの実施形態において、インターフェロンベースの治療剤は、GS-9620、GS-9688、RO7020531、RO6864018、TQ-A3334、JNJ-4964、SB9200、MIW815、DMXAA、MK-1454、及びdiABZIからなる群から選択される。
【0040】
いくつかの実施形態において、抗癌剤は、
i)化学療法剤、例えば、アルキル化剤、アルキル化剤:ニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、シクロホスファミド、イホスファミド、グリシホスホラミド、セムスチン;代謝拮抗剤:デオキシフルオグアノシン、ドキシフルグアニジン、5-フルオロウラシル、メルカプトプリン、チオグアニン、シタラビン、フルグアノシン、テガフール、ゲムシタビン、カルモフール、ヒドロキシウレア、メトトレキサート、UFT、アンシタビン、カペシタビン;抗腫瘍性抗生物質:アクチノマイシンD、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、ペロマイシン、ピンヤンマイシン、ピラルビシン;化学療法の抗腫瘍性動物及び植物成分:イリノテカン、ハリントニン、ヒドロキシカンプトテシン、ビノレルビン、パクリタキセル、アルブミンパクリタキセル、タキソテール、トポテカン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンデシン、ビンブラスチン、テニポシド、エトポシド、エレメン;抗腫瘍剤ホルモン:アタメスタン、アナストロゾール、アミノグルテチミド、レトロゾール、フォルメスタン、メタステロン、タモキシフェン;種々の化学療法剤:アスパラギナーゼ、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、オキサリプラチン、ロキサジン、エロキサチン、ミトキサントロン、プロカルバジン;又は
ii)PD-1、PD-L1、CTLA4の阻害剤等の免疫チェックポイント阻害剤、例えば:ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブから選択される抗体;又は
iii)低分子標的薬、例えば、イマチニブ、ゲフィチニブ、ボルテゾミブ、エルロチニブ、ソラフェニブ、レナリドミド、スニチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ラパチニブ、パゾパニブ、エベロリムス、バンデタニブ、クリゾチニブ、ベロフィニブ、ルキソリチニブ、アキシチニブ、ビスモデギブ、カルフィルゾミブ、レゴラフェニブ、ボスチニブ、トファシチニブ、カルボチニブ、パナチニブ、ポマリドマイド、トラメチニブ、ダブラフェニブ、アファチニブ、イコチニブ、イブルチニブ、セリチニブ、イデラリス、アパチニブ、パブチリブ、レバチニブ、アキシチニブ、イコチニブ、アパチニブ、ソニデギブ、コビメチニブ、オシメルチニブ、アレクチニブ、イキサゾミブ;又は
iv)リツキサン、ハーセプチン等の腫瘍関連抗原特異的抗体であり、
好ましくは、抗癌剤は、オキサリプラチン、エピルビシン、パクリタキセル及びゲムシタビンから選択され、より好ましくはゲムシタビンである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】mIFN-α4発酵上清のSP セファロースファーストフロー(Sepharose Fast Flow)の溶出プロファイルを示す。
【
図2】SPセファロースファーストフロー精製標的mIFN-α4の非還元SDS-PAGE(14%分離ゲル、銀染色)電気泳動の結果を示す。
【
図3】グリコシルを除去したmIFN-α4のQ Sepharose Fast Flow精製溶出プロファイルを示す。
【
図4】グリコシルを除去したmIFN-α4のQ セファロースファーストフロー精製原液の非還元SDS-PAGE(14%分離ゲル、銀染色)電気泳動の結果を示す。
【
図5】PEG-mIFN-α4のSP セファロースファーストフロー精製溶出プロファイルを示す。
【
図6】PEG-mIFN-α4原液の非還元SDS-PAGE(銀染色)電気泳動の結果を示す。
【
図7】1μg/マウスのPEG-mIFN-α4をBALB/cマウスに単回皮下注射したときの血漿濃度時間曲線を示す。
【
図8】マウスにおける移植肝臓癌H22の再発予防に関する、PEG-mIFN-α4単独と、PEG-mIFN-α4とゲムシタビンとの併用の比較実験の腫瘍発生率曲線である。
【
図9】マウスにおける移植肝臓癌H22の再発予防のためのPEG-mIFN-α4単独と、PEG-mIFN-α4とゲムシタビンとの併用の比較実験の生存曲線である。
【
図10】マウスにおける移植結腸直腸癌CT26の術後再発予防に関する、PEG-mIFN-α4単独と、PEG-mIFN-α4とゲムシタビンとの併用の比較実験の腫瘍発生率曲線である。
【
図11】マウスにおける移植結腸直腸癌CT26の術後再発予防に関する、PEG-mIFN-α4単独と、PEG-mIFN-α4とゲムシタビンとの併用の比較実験の生存曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明者らは、インターフェロンを、例えば複数のコースでインターフェロンを間欠的に投与することにより、リスクのある患者において癌再発を予防し得ることを予期せず見出した。
【0043】
したがって、一態様において、本発明は、対象における癌の再発を予防する方法であって、対象にインターフェロンベースの治療剤を投与することを含む、方法を提供する。
【0044】
いくつかの実施形態において、本方法は、対象にインターフェロンベースの治療剤を少なくとも1コースで連続して投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、対象にインターフェロンベースの治療剤を複数の連続的なコースで間欠的に投与することを含む。
【0045】
本明細書で使用される場合、「対象」は、ヒト等の哺乳動物である。
【0046】
いくつかの実施形態において、対象は、癌を有すると診断されているが、抗癌治療を受け、寛解状態にある。いくつかの実施形態において、抗癌治療は、外科手術、化学療法、放射線療法、免疫療法、又はその組合せである。いくつかの実施形態において、寛解は完全寛解であり、例えば、対象において可視病変(腫瘍)が検出されない。
【0047】
本明細書で使用する「インターフェロン」は、ヒトインターフェロン、例えば、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ又はインターフェロンλ、好ましくはインターフェロンα等のI型、II型又はIII型インターフェロンであってもよい。
【0048】
本明細書で使用する「インターフェロンベースの治療剤」は、天然のインターフェロンの効果の少なくとも一部を生成することができる治療剤を指す。
【0049】
例えば、「インターフェロンベースの治療剤」は、自然に単離されたインターフェロン、又は組換え生成されたインターフェロン、例えばI型インターフェロン、好ましくはインターフェロンαを含み得る。好適なインターフェロンαとしては、インターフェロンα2a、インターフェロンα2b又はインターフェロンα1bが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
また、「インターフェロンベースの治療剤」は、インファーゲン(組換え統合型インターフェロン)等のインターフェロン変異体を含み得る。
【0051】
また、「インターフェロンベースの治療剤」は、インターフェロン誘導体、例えば、PEG化インターフェロン又はその変異体、アルブミン化インターフェロン又はその変異体、及び他のタンパク質及び有機修飾されたインターフェロン及びその変異体等を含み得る。PEG化修飾インターフェロン又はその変異体の例としては、ペグインターフェロンα2a(例えば、ペガシス、40Kd二分枝UPEG-NHS修飾)、ペグインターフェロンα2b(例えば、ペギントロン(Pegintron)、12Kd直鎖PEG-SC修飾)、ペグインターフェロンα2b(例えば、ペグベロン、Y型40Kd二分枝PEG修飾)、培養インターフェロンα-2(例えば、ペギンファー(PEGINFER))、ペグインターフェロンλ、及びP1101等が挙げられる。
【0052】
いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」は、PEG化インターフェロン又はその変異体等の長時間作用型インターフェロンを含む。いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」は、短時間作用型インターフェロンを含む。
【0053】
いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」は、複数の種類のインターフェロン又はその変異体若しくは誘導体を含む。
【0054】
「インターフェロンベースの治療剤」という用語は、販売が承認されているインターフェロン又はその変異体若しくは誘導体を含む種々の治療剤を網羅する。いくつかの実施形態では、「インターフェロンベースの治療剤」は、ペグベロン(ペグインターフェロンα2b、アモイトプ(Amoytop))である。いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」は、ペガシス(ペグインターフェロンα2a、Roche)である。いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」はペギントロン(ペグインターフェロンα2b注射薬、Schering-Plough)である。いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」はインファーゲン(組換え統合型インターフェロン、Amgen、USA)である。いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」は、Intron A(組換えヒトインターフェロンα2b、Schering-Plough)である。いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」は、Roferon-A(インターフェロンα2a、Roche)である。いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」は、ハプゲン(Hapgen)(組換えヒトインターフェロンα1b、Beijing Sanyuan Jiyin Engineering CO.,Ltd)である。いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」は、PEGINFER(PEG化-統合型インターフェロンα-2注射薬、Beijing Kawin Technology Co.,Ltd.)である。いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」は、ペグインターフェロンλ(Nanogen Pharmaceutical biotechbology)である。
【0055】
いくつかの好ましい実施形態において、インターフェロンベースの治療剤は、インターフェロンα2bを含む。いくつかの好ましい実施形態において、インターフェロンベースの治療剤は、ポリエチレングリコール修飾インターフェロンα2bを含む。いくつかの好ましい実施形態において、インターフェロンベースの治療剤はペグベロンである。
【0056】
いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」は、インターフェロン又はその変異体若しくは誘導体を含み、ここで、インターフェロン又はその変異体若しくは誘導体は、配列番号1~5のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、又は、インターフェロン又はその変異体若しくは誘導体は、配列番号1~5のいずれか1つに対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0057】
いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」は、インターフェロン又はその変異体若しくは誘導体をコードする核酸分子、例えば、組換え核酸発現ベクターも含む。適切な発現ベクター、特に治療用途に適した発現ベクターは、当技術分野の当業者によって容易に決定することができる。
【0058】
「インターフェロンベースの治療剤」には、また、内在性インターフェロンの生成を促進することができる物質、例えば、TLR、RLR、及びSTINGシグナル経路のアゴニスト等が含まれていてもよい。内在性インターフェロンの生成を促進することができる物質の例としては、GS-9620、GS-9688、RO7020531、RO6864018、TQ-A3334、JNJ-4964、SB9200、MIW815、DMXAA、MK-1454、diABZI等が挙げられるが、これらに限定されない[1]-[34]。
【0059】
本明細書において使用する用語「連続的な治療コース」は、治療コース中に治療剤を投与することにより、対象体内の(外因性又は内在性)インターフェロンのインビボ有効濃度(例えば、有効血中濃度)を連続的に維持すること、又は対象体内のインターフェロンの主要薬力学マーカーであるネオプテリン(NPT)のインビボ濃度(例えば、血中濃度)を、治療剤を投与していない時の濃度(初期濃度又はベースライン濃度)よりも連続的に高く維持することが可能になることを意味する。インターフェロンの主要薬力学的マーカーであるネオプテリンとインターフェロンの投与との間には良好な相関関係があるため、ネオプテリンのインビボ濃度(血中濃度等)の変化を「連続的な治療コース」の指標として使用することが特に好ましい。例えば、「連続的な治療コース」は、インターフェロンベースの治療剤を1回又は複数回投与することにより、実質的に治療コース全体の間、対象のネオプテリン濃度を最初の投与前のネオプテリン濃度(ベースライン濃度)よりも高く、例えば、最初の投与前のネオプテリン濃度の約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約200%、約250%又はそれより高く保つことができる治療コースと定義することができる。ネオプテリンのインビボ濃度は、当技術分野で知られている方法によって決定し得る。
【0060】
連続的な治療コースでは、インターフェロンベースの治療剤の投与スキームは、一般的には、インビボにおける半減期等、選択された治療剤の特性によって決定される。例えば、連続的治療コースにおいて、長時間作用型インターフェロン(インビボの半減期が概ね30~120時間)は、1週間に1回程度、2週間に1回程度で投与しても、又は1ヶ月に1回程度若しくは投与量を増やす場合にはさらに長期間にわたって投与してもよく、短時間作用型インターフェロン(インビボの半減期が概ね2~5時間)は、1日1回、2日に1回、又は1週間に3回投与しても、又は投与量を増やす(例えば9~36MIU以上)の場合は1週間に1回投与しても、又は投与量を低下させる場合は1日に複数回投与してもよい。連続的な治療コースにおいて、インターフェロンベースの治療剤の投与回数は、上記の「連続的な治療コース」の定義を満たす限り、特に限定されるものではない。当技術分野の当業者であれば、インターフェロンベースの治療剤の、ネオプテリン等の薬力学的マーカーのインビボ濃度(血中濃度等)に基づいて連続的な治療コースを決定することができる。
【0061】
いくつかの実施形態において、「連続的な治療コース」で、「インターフェロンベースの治療剤」をその従来の投与スキームで投与してもよい。例えば、インファーゲン(組換え統合型インターフェロンα)、インターフェロンα2b(イントロンA等)、インターフェロンα2a(ロフェロン-A等)、インターフェロンα1b(ハプゲン等)は、3~18MIUの用量範囲で、1日1回、又は2日に1回、又は1週間に3回、投与してもよい。ペグインターフェロンα2a(例えば、ペガシス)、ペグインターフェロンα2b(例えば、ペギントロン又はペグベロン)、PEG化統合型インターフェロンα-2(例えば、ペギンファー)又はペグインターフェロンλは、45~270μgの投与量範囲で週に1回投与し得る。P1101は、約400μgを2週間に1回投与してもよい。アルブミン化インターフェロンα2bは、約900~約1800μgを2週間に1回、又は約1200μgを4週間に1回投与してもよい。
【0062】
インターフェロンの有効性は免疫系に依存する。しかし、いかなる理論にも拘束されるものではないが、インターフェロンを長期間連続投与することによって、回復が困難な免疫細胞の枯渇がもたらされ、それによって、有効性が低下すると考えられている。したがって、連続的なコースの期間は、治療薬が一定の効果を達成するのを可能とすべきであるが、免疫細胞の過剰な枯渇は避けるべきである。治療コースにおける免疫細胞の枯渇は、通常、生理学的/生化学的指標の変化によって確認される。
【0063】
いくつかの実施形態において、連続的な治療コースのそれぞれの期間は、少なくとも約1週間である。
【0064】
いくつかの実施形態では、連続的な治療コースのそれぞれの期間は、最大で約24週間である。
【0065】
いくつかの実施形態において、連続的な治療コースのそれぞれの期間は、約1週間~約24週間であり、例えば、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約13週間、約14週間、約15週間、約16週間、約17週間、約18週間、約19週間、約20週間、約21週間、約22週間、約23週間、又は約24週間である。
【0066】
いくつかの好ましい実施形態において、連続的な治療コースのそれぞれの期間は、約1週間~約12週間である。いくつかのさらに好ましい実施形態において、連続的な治療コースのそれぞれの期間は、約1週間~約8週間である。いくつかのさらに好ましい実施形態において、連続的な治療コースのそれぞれの期間は、約2週間~約6週間である。いくつかのさらに好ましい実施形態において、連続的な治療コースのそれぞれの期間は、約2週間である。
【0067】
いくつかの実施形態において、それぞれの連続的な治療コースの終点(すなわち、連続的な治療コース間の間隔の開始点)は、連続的な治療コースにおけるインターフェロンベースの治療剤の最後の投与の時点、プラス治療剤のインビボ半減期の約5倍であってもよい。すなわち、連続的な治療コースの期間は、最初の投与から最後の投与までの期間、プラス治療剤のインビボ半減期の約5倍である。半減期の5倍を過ぎると、治療剤はもはや実質的な再発予防効果をもたらさないと考えられている。
【0068】
本発明の方法では、複数の連続的な治療コース間の間隔は、免疫細胞の再生サイクルに依存し得る。この間隔の期間は、薬剤の投与により減少した対象の免疫細胞が、再発予防を効果的に実施できるレベルまで回復するのを可能とすべきである。一般的に、免疫細胞が増殖するには約1~2週間かかると考えられている。したがって、複数の連続的な治療コースの最短の間隔は、約1週間とし得る。
【0069】
いくつかの実施形態において、連続的な治療コース間の間隔は、少なくとも約1週間である。
【0070】
いくつかの実施形態において、連続的な治療コース間の間隔は最大で約24週間である。
【0071】
いくつかの実施形態において、連続的な治療コース間の間隔は、約1週間から約24週間であり、例えば、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約13週間、約14週間、約15週間、約16週間、約17週間、約18週間、約19週間、約20週間、約21週間、約22週間、約23週間、又は約24週間である。
【0072】
いくつかの好ましい実施形態において、連続的な治療コース間の間隔は、約1週間~約12週間である。いくつかのより好ましい実施形態において、連続的な治療コース間の間隔は、約1週間~約8週間である。さらにいくつかの好ましい実施形態において、連続的な治療コース間の間隔は、約2週間~約6週間である。
【0073】
いくつかの実施形態において、連続的な治療コースのそれぞれの期間は、約1週間から約24週間であり、治療コース間の間隔は、約1週間から約24週間である。
【0074】
いくつかの実施形態において、連続的な治療コースのそれぞれの期間は約1週間~約12週間であり、治療コース間の間隔は約1週間~約12週間である。
【0075】
いくつかの実施形態において、連続的な治療コースのそれぞれの期間は、約1週間~約8週間であり、治療コース間の間隔は、約1週間~約8週間である。
【0076】
いくつかの実施形態において、連続的な治療コースのそれぞれの期間は約2週間~約6週間であり、治療コース間の間隔は約2週間~約6週間である。
【0077】
いくつかの実施形態において、連続的な治療コースのそれぞれの期間は約2週間であり、治療コース間の間隔は約2週間である。
【0078】
いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25の、又はそれより多い連続的な治療コースで投与される。
【0079】
いくつかの実施形態において、複数の連続的な治療コースの期間は実質的に同じである。
【0080】
いくつかの実施形態において、治療コースの時間間隔は実質的に同じである。
【0081】
いくつかの具体的な実施形態において、インターフェロンベースの治療剤はペグベロンであり、連続的な治療コースのそれぞれの期間は約5週間~約24週間であり、連続的な治療コース間の間隔は約2週間~8週間である。
【0082】
いくつかの実施形態において、癌としては、白血病(急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病、多毛性白血病等)、肝臓癌、肺癌、結直腸癌、皮膚癌、胃癌、乳癌、前立腺癌、非ホジキンリンパ腫、メラノーマ、多発性骨髄腫、喉頭乳頭腫、濾胞性リンパ腫、AIDS関連カポジ肉腫、及び腎細胞癌等が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、疾患は骨髄増殖性腫瘍(MPN)である。いくつかの好ましい実施形態において、疾患は、肝臓癌、肺癌、乳癌、結直腸癌又はメラノーマである。
【0083】
いくつかの実施形態において、本方法は、対象に追加の抗癌剤を投与することをさらに含む。追加の抗癌剤は、好ましくは、対象における癌の再発を予防するために使用される。
【0084】
いくつかの実施形態において、追加の抗癌剤は、化学療法剤であり、例えば、アルキル化剤:ニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、シクロホスファミド、イホスファミド、グリシホスホラミド、セムスチン;例えば、化学療法的な代謝拮抗剤:デオキシフルオグアノシン、ドキシフルグアニジン、5-フルオロウラシル、メルカプトプリン、チオグアニン、シタラビン、フルグアノシン、テガフール、ゲムシタビン、カルモフール、ヒドロキシウレア、メトトレキサート、UFT、アンシタビン、カペシタビン;例えば、化学療法的な抗腫瘍抗生物質:アクチノマイシンD、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、ペロマイシン、ピンヤンマイシン、ピラルビシン;例えば化学療法的な抗腫瘍性動物及び植物成分:イリノテカン、ハリントニン、ヒドロキシカンプトテシン、ビノレルビン、パクリタキセル、アルブミンパクリタキセル、タキソテール、トポテカン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンデシン、ビンブラスチン、テニポシド、エトポシド、エレメン;例えば、抗腫瘍剤のホルモン:アタメスタン、アナストロゾール、アミノグルテチミド、レトロゾール、フォルメスタン、メタステロン、タモキシフェン;種々の化学療法剤等:アスパラギナーゼ、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、オキサリプラチン、ロキサジン、エロキサチン、ミトキサントロン、又はプロカルバジンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
いくつかの実施形態において、追加の抗癌剤は小分子標的薬剤であり、イマチニブ、ゲフィチニブ、ボルテゾミブ、エルロチニブ、ソラフェニブ、レナリドミド、スニチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ラパチニブ、パゾパニブ、エベロリムス、バンデタニブ、クリゾチニブ、ベロフィニブ、ルキソリチニブ、アキシチニブ、ビスモデギブ、カーフィルゾミブ、レゴラフェニブ、ボスチニブ、トファシチニブ、カルボチニブ、パナチニブ、ポマリドマイド、トラメチニブ、ダブラフェニブ、アファチニブ、イコチニブ、イブルチニブ。セリチニブ、イデラリス、アパチニブ、パブチリブ、レバチニブ、アキシチニブ、イコチニブ、アパチニブ、ソニデギブ、コビメチニブ、オシメルチニブ、アレクチニブ、イキサゾミブを含むがこれらに限定されない。
【0086】
また、追加の抗癌剤はリツキサン、ハーセプチン等の腫瘍関連抗原特異的抗体であってもよい。
【0087】
また、追加の抗癌剤は、PD1、PD-L1、CTLA4等の阻害剤等の免疫チェックポイント阻害剤であってもよく、例えば、特異的抗体等であってもよい。免疫チェックポイント阻害剤の例としては、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、及びアベルマブ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
いくつかの特定の実施形態において、化学療法剤はオキサリプラチンである。いくつかの特定の実施形態において、化学療法剤は、エピルビシンである。いくつかの特定の実施形態において、化学療法剤はパクリタキセルである。
【0089】
いくつかの好ましい実施形態において、化学療法剤は、ゲムシタビン、カペシタビン、及びアンシタビン等の抗代謝性化学療法剤である。いくつかの最も好ましい実施形態において、化学療法剤はゲムシタビンである。
【0090】
いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」の投与は、追加の抗癌剤の投与とは重複しない。
【0091】
いくつかの実施形態において、追加の抗癌剤は、複数の連続的な治療コースの間に投与される。例えば、追加の抗癌剤は、「インターフェロンベースの治療剤」の投与間隔の間の期間に投与されてもよく、前記期間は、前記間隔よりも短いか又は等しい。
【0092】
いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」の投与は、追加の抗癌剤の投与と重複している。
【0093】
いくつかの実施形態において、複数の連続的な治療コース期間中及び間隔期間中に追加の抗癌剤が投与される、つまり、予防治療期間全体で追加の抗癌剤が投与される(完全に重複する)。
【0094】
いくつかの実施形態において、追加の抗癌剤は、従来のスキーム、例えば、治療される特定の癌に対するその従来の投与スキームに従って投与される。
【0095】
一局面において、本発明は、本発明の方法によって対象における癌の再発の予防に使用するための、インターフェロンベースの治療剤を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、医薬組成物はまた、追加の薬剤を含む。インターフェロンベースの治療剤及び抗癌剤は、上記で定義した通りである。
【0096】
一局面において、本発明は、本発明の方法によって対象における癌の再発の予防に使用するための組合せ医薬であって、インターフェロンベースの治療剤及び追加の抗癌剤を含む組合せ医薬を提供する。
【0097】
一局面において、本発明は、本発明の方法によって対象における癌の再発を予防するための医薬組成物の調製におけるインターフェロンベースの治療剤の使用を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物はまた、追加の抗癌剤を含む。インターフェロンベースの治療剤及び抗癌剤は、上記で定義した通りである。
【0098】
一態様において、本発明は、対象の癌の再発を防止するための医薬組成物の調製における、追加の抗癌剤と組み合わせたインターフェロンベースの治療剤の使用を提供する。インターフェロンベースの治療剤及び抗癌剤は、上記で定義した通りである。インターフェロンベースの治療剤及び/又は追加の抗癌剤は、本発明の方法に従って投与し得る。
【0099】
一態様において、本発明は、インターフェロンベースの治療剤及び使用説明書を含むキットを提供し、使用説明書は、インターフェロンベースの治療剤を対象における癌の再発を防止するために、本発明の方法に従って使用してもよい又は本発明の方法に従って投与してもよいとの説明を提供する。いくつかの実施形態において、キットは、追加の抗癌剤をさらに含む。インターフェロンベースの治療剤及び追加の抗癌剤は、上記で定義した通りである。
【実施例】
【0100】
以下の実施例は、本発明をよりよく説明するために提示するに過ぎず、本発明をいかなる形でも限定することを意図するものではない。
【0101】
実施例1.組換えマウスインターフェロンα4(mIFN-α4)の調製
インターフェロンは、癌治療にも広く用いられているが、その効果を改善する必要がある。そこで、インターフェロンの連続的投与によって、実際に部分的な免疫抑制及び免疫細胞の疲弊が起こり、その後の治療効果が悪くなるかどうかを検討するために、マウスにおいてインターフェロンの間欠的投与と連続的投与の効果を比較した。
【0102】
抗腫瘍効果に関する多くの研究は、ヌードマウス(正常な胸腺がない)を宿主として行われていた。ヌードマウスの免疫状態は正常なマウスに比べて弱いため、正常な状態での免疫反応を反映させることは困難である。正常マウスに基づいた抗腫瘍モデルでは、インターフェロンの免疫系への作用が部分的に実現されてもよく、これは、インターフェロンを投与する抗腫瘍療法の効果が反映されていると考えられる。機能実現の観点からは、インターフェロンがその抗ウイルス及び抗腫瘍効果を十分に発揮するためには、宿主の免疫系に依存する必要がある。インターフェロンには強い種特異性があるため、実施例で正常なマウスを研究対象として使用した場合、マウスのインターフェロン又はその誘導体を使用することで、その生理作用及び実施効果をよりよく反映させることができる。本発明のマウスを用いた研究モデルでは、インターフェロン治療薬剤及びその誘導体の代表として、PEG化組換えマウスインターフェロンα4(PEG-mIFNα4)を用いた。
【0103】
mIFN-α4のアミノ酸配列(GenBank NP_034634)に従い、ピキア・パストリスの好ましいコドンに合わせてmIFN-α4のcDNA配列を最適化して設計し、GenScript Biotechnology Co.,Ltd.に委託してcDNAを合成した。mIFN-α4をコードするcDNAをpPIC9Kプラスミドに組み換え、TOP10コンピテントセルに形質転換し、LB固体培地上にプレーティングし、37℃で一晩培養した。単一のクローンを選んでLB液体培地に接種し、次いでこれを37℃で一晩培養した。プラスミドを抽出し、XhoI及びNotIで二重消化を行った。陽性クローンは、核酸電気泳動で同定し、さらに核酸配列決定で確認した。陽性クローンのプラスミドをSalIで消化して線状化し、ピキア・パストリスGS115に電気形質導入し、RDプレートにプレーティングし、28~30℃で3日間培養した。陽性の形質転換体を選んでYPD液体培地に接種し、28-30℃で一晩培養し、OD600nmの最終濃度が約1になるようにBMMY培地に移し、28-30℃で約24時間インキュベートした。メタノールを最終濃度が約1%になるまで添加し、さらに28~30℃で約24時間培養した。培養液を遠心分離して上清を回収し、SDS-PAGE電気泳動によりmIFN-α4の発現を検出した。SDS-PAGE電気泳動の結果によって、より高い発現及び安定した発現を有する操作株を選択し、その後、発酵槽で発酵させた。
【0104】
発酵槽は30Lであった。発酵培養及びメタノール誘導については「Pichia Fermentation Process Guidelines」を参照し、誘導時間は約30hであった。発酵上清を遠心分離で回収し、5Kの中空糸膜チューブで3~5回限外濾過して濃縮し、緩衝液系を20mMリン酸緩衝液-20mMアルギニン塩酸塩-50mM塩化ナトリウム緩衝溶液(pH6.5)に置き換えた。続いて、SP Sepharose Fast Flowクロマトグラフィーカラム(GEヘルスケア、カラム床Φ38mm×160mm)に装填した後、20mMリン酸緩衝液-20mMアルギニン塩酸塩(pH6.5)(溶液A)を用いて、カラムの約3容量を洗浄した。溶液A及び20mMリン酸緩衝液-20mMアルギニン塩酸塩-1M塩化ナトリウム溶液(pH6.5)(溶液B)を使用して、勾配溶出を行った。mIFN-α4標的サンプルを回収し、非還元SDS-PAGE用サンプル(分離ゲル濃度14%、銀染色)を採取した。溶出プロファイルを
図1に、電気泳動の結果を
図2に示す。
【0105】
mIFN-α4 SP Sepharose Fast Flow精製サンプルを5K限外濾過膜パッケージを用いた限外濾過によって濃縮し、20mMリン酸緩衝液-50mMアルギニン塩酸塩-10mMメチオニン-20mM塩化ナトリウム(pH7.0)に置換した後、その濃度を約1.0mg/mlに調整した。mIFN-α4タンパク質と酵素の質量比が約20:1になるようにグリコシダーゼを添加し、25℃で約20時間消化を行い、グリコシル基を除去した。消化したサンプルを5mMホウ酸緩衝液-10mMアルギニン塩酸塩(pH9.0)で約6倍に希釈し、Q Sepharose Fast Flow クロマトグラフィーカラム(GEヘルスケア、カラム床Φ50mm×154mm)に装填した。20mMホウ酸緩衝液-20mMアルギニン塩酸塩-10mMメチオニン(pH9.0)(溶液C)を用いて、カラムの約3容量を洗浄した。溶液C及び20mMホウ酸緩衝液-20mMアルギニン塩酸塩-10mMフォルマザンチオニン-0.3M塩化ナトリウム(pH9.0)(溶液D)を用いて勾配溶出を行った。目的の脱グリコシル化mIFN-α4サンプルを回収し、10%酢酸でpHを約pH5.0に調整した。5K限外濾過膜を用いて限外濾過により濃縮し、緩衝液を5mM酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液-50mMアルギニン塩酸塩-100mM塩化ナトリウム(pH5.0)に置換した。得られたサンプルは、脱グリコシル化mIFN-α4のストック溶液であった。サンプルは検査に出すために採取して送られ、残りのサンプルは後で使用するために-70℃で凍結した。溶出プロファイルを
図3に示し、SDS-PAGE電気泳動の結果を
図4に示す。
【0106】
脱グリコシル化mIFN-α4ストック溶液の細菌性エンドトキシン含有量は、リムルス試薬法により60EU/mg未満と決定した。特異的活性は、市販のmIFN-α4(R&D、カタログ番号12115-1)を標準として使用し、マウス線維芽細胞/脳心筋炎ウイルス(L929/EMCV)サイトパス阻害法を用いて5.4×108U/mgと決定した。
【0107】
実施例2.PEG化組換えマウスインターフェロン(PEG-mIFN-α4)の調製
この脱グリコシル化mIFN-α4ストック溶液を、5K限外濾過膜パッケージを用いた5mM酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液-50mM塩化ナトリウム(pH5.0)の緩衝液による限外濾過によって置換した。約333mlのサンプル(脱グリコシル化mIFNα4含量約500mg)を採取し、約22mlの0.8Mホウ酸/水酸化ナトリウム緩衝液(pH9.4)を添加し、よく撹拌した。タンパク質と40kDのY型ポリエチレングリコールスクシンイミドエステル(YPEG-NHS)の質量比が約1:8になるようにYPEG-NHSを添加した後、これを素早く撹拌し、室温で10分間反応させた。その後、約20mlの0.2Mメチオニンを添加して反応を停止させ、10%酢酸でpHを5.0に調整した。その後、550mlの純水を添加した後、さらに600mlの20mM酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液-20mMアルギニン塩酸塩-10mMメチオニン(pH5.1)(溶液E)を添加し、よく混合した。その後、SP Sepharose Fast Flowクロマトグラフィーカラム(GEヘルスケア、カラム床Φ50mm×194mm)に装填し、溶液Eを用いてカラムの約5容量の洗浄を行った。その後、溶液E及び20mM酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液-20mMアルギニン塩酸塩-10mMメチオニン-600mM塩化ナトリウム(pH5.1)(溶液F)を用いて勾配溶出を行い、PEG-mIFN-α4標的サンプルを回収した。5K限外濾過膜パッケージを用いた限外濾過により緩衝液を20mMリン酸緩衝液-123mM塩化ナトリウム(pH6.5)に置換した後、適当に濃縮し、0.5%のTween80をTween80の最終濃度が約0.005%になるように添加した。得られたサンプルは、PEG-mIFN-α4ストック溶液(PEG-mIFN-α4)であった。サンプルを採取してから検査に出し、残ったサンプルは後で使用するために凍結して-70℃で保存した。溶出プロファイルを
図5に示し、SDS-PAGE電気泳動の結果を
図6に示す。
【0108】
PEG-mIFN-α4ストック溶液の細菌性エンドトキシン含有量は、リムルス試薬法により15EU/mg未満と決定した。特異的活性は、市販のmIFN-α4(R&D、カタログ番号12115-1)を標準として使用し、マウス線維芽細胞/脳筋心筋炎ウイルス(L929/EMCV)のサイトパス阻害法を用いて、6.1×106U/mgと決定した。
【0109】
実施例3.健康なBALB/cマウスにおけるPEG-mIFN-α4の皮下注射の薬物動態学的研究
本実施例では、BALB/cマウスは、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.,Ltd.から購入した。PEG-mIFN-α4の血中濃度を二重抗体サンドイッチELISAにより検出した。Mouse IFN alpha Platinum ELISAキット(カタログ番号BMS6027/ BMS6027TEN,Thermo)の試験キットを使用したが、内在性mIFN-αの測定結果への干渉を避けるため、レポーター抗体を抗PEG抗体3.3ビオチン(Institute of Biomedical Sciences,Academia Sinica(IBMS),Taiwan,China)に変更した。
【0110】
6~8週齢、SPFグレードのBALB/cマウス(N=65)に、1μg/マウスのPEG-mIFN-α4を首後部の皮下に単回皮下注射した。注射前(0時間)と、注射後の15時間、24時間、36時間、48時間、72時間、96時間、120時間、168時間、216時間、264時間、312時間に血漿サンプルを回収し、血中濃度を決定した。薬物動態パラメータの算出にはPhoenix WinNonlin 6.4ソフトウェアを使用した。
【0111】
血中濃度決定の結果を表1に、血中濃度-投与時間曲線を
図7に、及び薬物動態パラメータの結果を表2に示す。1μg/マウスのPEG-mIFN-α4をBALB/cマウスの首後部に単回皮下注射し、血漿濃度ピーク時間(T
max)は24時間、ピーク濃度時間(T
max)は268ng/ml、排出半減期(T
1/2)は28.3時間であった。
【0112】
【0113】
【0114】
実施例4.PEG-mIFN-α4の間欠的投与、又はゲムシタビン投与と組み合わせたPEG-mIFN-α4の間欠的投与による、マウスにおける移植肝臓癌H22の再発予防に関する比較試験
本実施例では、BALB/cマウスはBeijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.,Ltd.から購入し、マウス肝臓癌H22細胞株はChina Center for Type Culture Collection(CCTCC)から購入した。
【0115】
腫瘍治療後、患者の体内の腫瘍負荷は比較的低いため、腫瘍治療後の状態を模倣するために低い腫瘍移植体積を使用する。6~8週齢、18~22gのSPFグレードのBALB/cマウスにH22細胞(1×104/mL、0.2ml/マウス)を右前肢脇下に皮下接種した。腫瘍接種3日後、無作為に以下の実験群に分けた:PEG-mIFN-α4群(N=28、雌14匹、及び雄14匹)、PEG-mIFN-α4とゲムシタビンとの併用群(N=28、雌14匹、雄14匹)、通常の生理食塩水対照群(N=28、雌14匹、及び雄14匹)、及びゲムシタビン単独群(N=28、雌14匹、及び雄14匹)。
【0116】
PEG-mIFN-α4はマウス1匹あたり1マイクログラムの用量を頸部背面に皮下注射によって投与した。投与は群分けの翌日から開始した。PEG-mIFN-α4群では、PEG-mIFN-α4を週1回、9週間投与した後、103日間休薬した。PEG-mIFN-α4とゲムシタビンとの併用群では、PEG-mIFN-α4及びゲムシタビンを週1回、9週間投与した後、103日間休薬した。ゲムシタビン単独群では、ゲムシタビンを週1回、9週間投与した後、103日間休薬した。通常の生理食塩水対照群には同体積の通常の生理食塩水を投与した。ゲムシタビンは60mg/kgの用量を腹腔内注射した。
【0117】
各群の腫瘍発生率は、腫瘍体積が62.5mm
3以上となった時点で算出し、腫瘍発生陽性と判定した。腫瘍発生率の変化を
図8に示す。腫瘍接種後166日目までの腫瘍発生率は、生理食塩水対照群で85.7%、PEG-mIFN-α4単独群で32.1%、ゲムシタビン単独群で57.1%、及びPEG-mIFN-α4とゲムシタビンとの併用群では0.0%であった。腫瘍発生陰性と判定されたマウスを解剖して確認したところ、腫瘍部位及びその周辺に固形腫瘍は認められなかった。各群の腫瘍発生率の比較結果を表3に示す。PEG-mIFN-α4単独群及びPEG-mIFN-α4とゲムシタビンとの併用群の腫瘍発生率は通常の生理食塩水対照群より低く;PEG-mIFN-α4とゲムシタビンとの併用群の腫瘍発生率はPEG-mIFN-α4単独群及びゲムシタビン単独群より低かった。PEG-mIFN-α4とゲムシタビンとの併用群は、PEG-mIFN-α4単独群及びゲムシタビン単独群よりも優れていた。
【0118】
生存曲線を
図9に、各群の生存期間中央値の結果を表4に示す。腫瘍接種後166日目までの生存期間中央値は、通常生理食塩水対照群で33.5日、ゲムシタビン単独群で93.0日であった。PEG-mIFN-α4単独投与群の生存率は67.9%、PEG-mIFN-α4間欠投与とゲムシタビンとの併用群の生存率は100.0%であった。ゲムシタビン単独投与群及びPEG-mIFN-α4単独群と比較して、PEG-mIFN-α4とゲムシタビンとの併用群の生存期間は延長した。PEG-mIFN-α4とゲムシタビンとの併用群は、PEG-mIFN-α4単独群及びゲムシタビン単独群よりも優れていた。
【0119】
その結果、低密度腫瘍接種により模倣したマウスにおけるH22移植肝臓癌の再発に対しては、PEG化マウスインターフェロンαとゲムシタビンの間欠的投与、ゲムシタビン単独投与、及びPEG化マウスインターフェロンα単独投与は全て抗癌活性を有し、有効に腫瘍再発を予防することができ、PEG化マウスインターフェロンαとゲムシタビンとの併用群は、ゲムシタビン単独の投与群又はPEG化マウスインターフェロンα単独の投与よりも優れていた。
【0120】
【0121】
【0122】
実施例5.PEG-mIFN-α4の間欠投与、又はゲムシタビン投与と組み合わせたPEG-mIFN-α4の間欠投与による、マウス移植結腸直腸癌CT26の再発予防に対する比較試験
本実施例では、BALB/cマウスをBeijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.,Ltd.から購入し、マウス結腸直腸癌CT26細胞株は、Cell Resource Center of Shanghai Academy of Biological Sciences,Chinese Academy of Sciencesから購入した。
【0123】
6~8週齢、18~22gのSPFグレードのBALB/cマウスにCT26細胞(1×105細胞/mL、0.2ml/マウス)を右前肢脇下に皮下接種した。腫瘍接種の翌日、無作為に以下の実験群に分けた:PEG-mIFN-α4単独群(N=20、雌10匹、及び雄10匹)、生理食塩水対照群(N=20、雌10匹、及び雄10匹)、ゲムシタビン単独群(N=20、雌10匹、及び雄10匹)、及びPEG-mIFN-α4とゲムシタビンとの併用群(N=20、雌10匹、及び雄10匹)。
【0124】
PEG-mIFN-α4はマウス1匹あたり1マイクログラムの用量を頸部背面に皮下注射により投与した。投与は群分けの翌日から開始した。PEG-mIFN-α4単独群では、PEG-mIFN-α4を週1回12回投与した後、56日間休薬した。PEG-mIFN-α4とゲムシタビンとの併用群では、PEG-mIFN-α4及びゲムシタビンの両方を週1回、12回連続投与した後、56日間休薬した。ゲムシタビン単独群では、ゲムシタビンを週1回、12回投与した後、56日間休薬した。生理食塩水対照群には同量の生理食塩水を投与した。ゲムシタビンは60mg/kgの用量を腹腔内注射によって投与した。
【0125】
各群の腫瘍発生率は、腫瘍体積が62.5mm
3以上となった時点で算出し、腫瘍発生陽性と判定した。腫瘍発生率の変化を
図10に示す。腫瘍接種後134日目までの腫瘍発生率は、生理食塩水対照群では100%、PEG-mIFN-α4単独群では95%、ゲムシタビン単独群では50%、PEG-mIFN-α4とゲムシタビンとの併用群では45%であった。各群の腫瘍発生率の比較結果を表5に示す。PEG-mIFN-α4単独群及びPEG-mIFN-α4とゲムシタビンとの併用群の腫瘍発生率は、通常の生理食塩水対照群より低く;PEG-mIFN-α4とゲムシタビンとの併用群の腫瘍発生率は、PEG-mIFN-α4単独群及びゲムシタビン単独群より低かった。PEG-mIFN-α4とゲムシタビンとの併用群は、PEG-mIFN-α4単独群及びゲムシタビン単独群よりも優れていた。
【0126】
生存曲線を
図11に、各群の生存期間中央値の結果を表6に示す。腫瘍接種後134日目までの生存期間中央値は、通常生理食塩水対照群で48.0日、ゲムシタビン単独群の生存率は55.0%であった。PEG-mIFN-α4単独投与群の生存期間中央値は68.5日、PEG-mIFN-α4間欠投与とゲムシタビンとの併用投与群の生存率は70.0%であった。ゲムシタビン単独群及びPEG-mIFN-α4単独群と比較して、PEG-mIFN-α4とゲムシタビンとの併用群の生存期間は延長された。PEG-mIFN-α4とゲムシタビンとの併用群は、PEG-mIFN-α4単独群及びゲムシタビン単独群よりも優れていた。
【0127】
その結果、低密度腫瘍接種によって模倣したマウスにおけるCT26移植結腸直腸癌の再発に対しては、PEG化マウスインターフェロンαとゲムシタビンの間欠投与、ゲムシタビン単独投与、及びPEG化マウスインターフェロンα単独は全て抗癌活性を有し、腫瘍再発を有効に予防することができ、PEG化マウスインターフェロンαとゲムシタビンとの併用群は、ゲムシタビン単独又はPEG化マウスインターフェロンα単独の投与よりも優れていた。
【0128】
【0129】
【0130】
配列及び説明
>SEQ ID NO:1は、インターフェノンα2aのアミノ酸配列である(例えばロフェロン-A又はペガシス)
CDLPQTHSLGSRRTLMLLAQMRKISLFSCLKDRHDFGFPQEEFGNQFQKAETIPVLHEMIQQIFNLFSTKDSSAAWDETLLDKFYTELYQQLNDLEACVIQGVGVTEPLMKEDSILAVRKYFQRITLYLKEKKYSPCAWEVVRAEIMRSFSLSTNLQESLRSKE
>SEQ ID NO:2は、インターフェノンα2bのアミノ酸配列である(例えばイントロンA又はペギントロン又はペグベロン)
CDLPQTHSLGSRRTLMLLAQMRRISLFSCLKDRHDFGFPQEEFGNQFQKAETIPVLHEMIQQIFNLFSTKDSSAAWDETLLDKFYTELYQQLNDLEACVIQGVGVTETPLMKEDSILAVRKYFQRITLYLKEKKYSPCAWEVVRAEIMRSFSLSTNLQESLRSKE
>SEQ ID NO:3は、組換え統合インターフェロンのアミノ酸配列である(例えばインファーゲン)
MCDLPQTHSLGNRRALILLAQMRRISPFSCLKDRHDFGFPQEEFDGNQFQKAQAISVLHEMIQQTFNLFSTKDSSAAWDESLLEKFYTELYQQLNDLEACVIQEVGVEETPLMNVDSILAVKKYFQRITLYLTEKKYSPCAWEVVRAEIMRSFSLSTNLQERLRRKE
>SEQ ID NO:4は、統合インターフェロンα-2のアミノ酸配列である(例えばペギンファー)。
GSGGGCDLPQTHSLGNRRALILLAQMRRISPFSCLKDRHDFGFPQEEFDGNQFQKAQAISVLHEMIQQTFNLFSTKDSSAAWDESLLEKFYTELYQQLNDLEACVIQEVGVEETPLMNVDSILAVRKYFQRITLYLTEKKYSPCAWEVVRAEIMRSFSLSTNLQERLRRKD
>SEQ ID NO:5は、インターフェロンλのアミノ酸配列である。
MGPVPTSKPTTTGKGCHIGRFKSLSPQELASFKKARDALEESLKLKNWSCSSPVFPGNWDLRLLQVRERPVALEAELALTLKVLEAAAGPALEDVLDQPLHTLHHILSQLQACIQPQPTAGPRPRGRLHHWLHRLQEAPKKESAGCLEASVTFNLFRLLTRDLKYVADGNLCLRTSTHPEST
>SEQ ID NO:6は、マウスインターフェロンα4のアミノ酸配列である。
CDLPHTYNLGNKRALTVLEEMRRLPPLSCLKDRKDFGFPLEKVDNQQIQKAQAILVLRDLTQQILNLFTSKDLSATWNATLLDSFCNDLHQQLNDLKACVMQEPPLTQEDSLLAVRTYFHRITVYLRKKKHSLCAWEVIRAEVWRALSSSTNLLARLSEEKE
【0131】
参考文献:
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【配列表】
【国際調査報告】