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  • 特表-固定用量抗生物質組成物 図1
  • 特表-固定用量抗生物質組成物 図2
  • 特表-固定用量抗生物質組成物 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】固定用量抗生物質組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/439 20060101AFI20240124BHJP
   A61K 31/429 20060101ALI20240124BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240124BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240124BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
A61K31/439
A61K31/429
A61P31/04
A61P43/00 121
A61K9/08
A61K9/19
A61K47/04
A61P1/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544101
(86)(22)【出願日】2022-01-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-23
(86)【国際出願番号】 EP2022051267
(87)【国際公開番号】W WO2022157259
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】63/139,363
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515201279
【氏名又は名称】エンタシス・セラピューティックス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【弁理士】
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン,ラジーブ・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ロンスハイム,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】フォグリアート,ジョヴァンニ
(72)【発明者】
【氏名】レゼミニ,ダリオ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA30
4C076CC31
4C076DD21
4C076FF12
4C086AA01
4C086CB05
4C086CB27
4C086GA13
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA44
4C086NA03
4C086NA10
4C086ZA66
4C086ZB35
4C086ZC75
(57)【要約】
デュルロバクタムとスルバクタムの固定用量組合せ物、ならびに1種または複数の細菌感染の処置におけるそれらの使用を本明細書で提供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デュルロバクタムまたはその薬学的に許容される塩とスルバクタムまたはその薬学的に許容される塩とを含む固定用量組合せ物であって、デュルロバクタムまたはその薬学的に許容される塩およびスルバクタムまたはその薬学的に許容される塩が、共凍結乾燥混合物として存在する、固定用量組合せ物。
【請求項2】
固定用量組合せ物が、デュルロバクタムまたはその薬学的に許容される塩とスルバクタムまたはその薬学的に許容される塩からなる、請求項1に記載の固定用量組合せ物。
【請求項3】
デュルロバクタムまたはその薬学的に許容される塩およびスルバクタムまたはその薬学的に許容される塩が、0.5:1.5w/w~1.5:0.5w/w、0.7:1.3w/w~1.3:0.7w/w、0.8:1.2w/w~1.2:0.8w/w、または0.9:1.1w/w~1.1:0.9w/wの範囲の重量比量で存在する、請求項1または2に記載の固定用量組合せ物。
【請求項4】
デュルロバクタムまたはその薬学的に許容される塩およびスルバクタムまたはその薬学的に許容される塩が、0.9:1.1w/w~1.1:0.9w/wの範囲の重量比量で存在する、請求項1から3のいずれか一項に記載の固定用量組合せ物。
【請求項5】
デュルロバクタムまたはその薬学的に許容される塩およびスルバクタムまたはその薬学的に許容される塩が、1:1w/wの重量比量で存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載の固定用量組合せ物。
【請求項6】
デュルロバクタムがナトリウム塩の形をとる、請求項1から5のいずれか一項に記載の固定用量組合せ物。
【請求項7】
スルバクタムが、ナトリウム塩の形をとる、請求項1から6のいずれか一項に記載の固定用量組合せ物。
【請求項8】
デュルロバクタムがナトリウム塩の形をとり、スルバクタムがナトリウム塩の形をとり、それぞれが、0.5:1.5w/w~1.5:0.5w/w、0.7:1.3w/w~1.3:0.7w/w、0.8:1.2w/w~1.2:0.8w/w、または0.9:1.1w/w~1.1:0.9w/wの範囲のDUR対SUL重量比に等しい量で存在する、請求項1または2に記載の固定用量組合せ物。
【請求項9】
デュルロバクタムがナトリウム塩の形をとり、スルバクタムがナトリウム塩の形をとり、それぞれが、0.9:1.1w/w~1.1:0.9w/wの範囲のDUR対SUL重量比に等しい量で存在する、請求項1、2、および8のいずれか一項に記載の固定用量組合せ物。
【請求項10】
デュルロバクタムがナトリウム塩の形をとり、スルバクタムがナトリウム塩の形をとり、それぞれが、1:1w/wのDUR対SUL重量比に等しい量で存在する、請求項1、2、8、および9のいずれか一項に記載の固定用量組合せ物。
【請求項11】
細菌感染の処置を必要とする対象において細菌感染を処置する方法であって、治療有効量の請求項1から10のいずれか一項に記載の固定用量組合せ物または薬学的に許容される溶液を対象に投与するステップを含む方法。
【請求項12】
細菌感染が、腸内細菌科病原体、アシネトバクター属菌種病原体、緑膿菌(P.aeruginosa)病原体、またはバークホルデリア属菌種病原体によって引き起こされる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
デュルロバクタムまたはその薬学的に許容される塩およびスルバクタムまたはその薬学的に許容される塩の固定用量溶液を作製する方法であって、デュルロバクタムまたはその薬学的に許容される塩をスルバクタムまたはその薬学的に許容される塩と共に共凍結乾燥して、共凍結乾燥混合物を形成するステップを含む方法。
【請求項14】
共凍結乾燥混合物を薬学的に許容される溶媒中で再構成するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
薬学的に許容される溶媒が水を含む、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
薬学的に許容される溶媒が水である、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
デュルロバクタムまたはその薬学的に許容される塩およびスルバクタムまたはその薬学的に許容される塩の固定用量溶液を作製する方法であって、凍結乾燥されたデュルロバクタムまたはその薬学的に許容される塩をスルバクタムまたはその薬学的に許容される塩と一緒に混合するステップを含む方法。
【請求項18】
請求項1から10のいずれか一項に記載の固定用量組合せ物または薬学的に許容される溶液を含む包装された医薬キット。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
[0001]本出願は、2021年1月20日出願の米国特許仮出願第63/139,363号に基づく優先権の利益を主張するもので、その内容全体を参照により本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
[0002]Acinetobacter baumanniiは、グラム陰性日和見病原体であり、院内感染の最多の原因の1つである。A.baumanniiは、米国では50%~60%、欧州およびアジアの一部では80%超の割合で、一般に多剤耐性(MDR)である。MDR A.baumannii分離菌によって引き起こされる重篤な感染は、高罹患率に関連し、死亡率は、最高で50%またはそれ以上に及ぶ可能性がある。
【0003】
[0003]β-ラクタマーゼ媒介耐性に優先して、スルバクタム(SUL)は、A.baumannii感染の処置のために選択される少数の抗生物質の1つであった。現在、A.baumannii感染に依然として効果的な最低限の処置選択肢は、不十分な有効性および忍容性を有し、A.baumannii肺炎および血流感染で死亡率が50%に近づいている。
【0004】
[0004]デュルロバクタム(DUR;ETX2514としても知られている)が、クラスA、C、およびDのβ-ラクタマーゼの強力な阻害を示す新規ジアザビシクロオクテノンβ-ラクタマーゼ阻害剤(BLI)である(例えば、Nat Microbiol 2:17104.doi:10.1038/nmicrobiol.2017.104を参照のこと)。インビトロで、デュルロバクタムは、いくつかの腸内細菌に対して固有の抗細菌活性を示すが、A.baumannii複合体(ABC)分離菌に対して有意な固有の活性を有しない。デュルロバクタムは、スルバクタムのA.baumanniiのメンバーに対するインビトロ活性を回復させ、A.baumannii感染および他の細菌関連感染の処置用のスルバクタムとデュルロバクタムの組合せ物(SUL-DUR)が開発中である。
【0005】
[0005]デュルロバクタムナトリウムは、高吸湿性で不十分な流動特性を有する。結果として、SUL-DUR併用療法剤のプロセッシングおよび投与は理想的でない。SUL-DURでの処置は、注射用水中のデュルロバクタムナトリウム塩無菌薬物成分のバイアル2本および注射用水中のスルバクタムナトリウム塩無菌薬物成分のバイアル1本を別々に再構成するものである。次いで、3本のバイアルのそれぞれから固定分量を静脈内輸液バッグに移し、次いで得られた組合せ物(combination)を必要に応じて患者に投与する。この煩わしいプロセスは、使用者の過誤の可能性を増大させるだけでなく、不必要な化学および医療廃棄物ももたらす。したがって、SUL-DURを含む固定投与量組成物が求められている。
【発明の概要】
【0006】
[0006]今般、デュルロバクタムナトリウムとスルバクタムナトリウムを一緒に共凍結乾燥することにより、デュルロバクタムナトリウムの流動特性が改善され、デュルロバクタム-スルバクタムの固定用量組合せ(fixed dosage combinations)が今回可能であることを見出した。固定用量を製剤化する初期の試みは、DURナトリウム塩とSULナトリウム塩を共にガラスバイアルに乾式粉末充填するステップを含んだ。DURナトリウム塩の吸湿性で不十分な流動特性のために、充填装置のパーツへの著しい粉末付着が生じた(図1を参照のこと)。欠点は、信頼できず、一貫しない生成物投与を引き起こす。しかし、DURナトリウム塩およびSULナトリウムを共凍結乾燥すると、粉末付着は本質的に認められなかった。この結果は、デュルロバクタム-スルバクタムの固定用量組合せ物を今回達成可能にするだけでなく、DURナトリウム塩単独と比べて、Hausner比や圧縮指数(別名Carr指数)などの計算された流動性パラメータ間の相対的差異を考慮すると、驚くべきものであった。例えば、以下の実例のセクションを参照のこと。
【0007】
[0007]したがって、デュルロバクタムまたはその薬学的に許容される塩とスルバクタムまたはその薬学的に許容される塩の共凍結乾燥された固定用量組合せ物を本明細書に開示する。開示された固定用量組合せ物は、良好な安定性を有し、5℃で3か月にわたってアッセイ値および公称不純物増加における変化がほとんどないこともわかった。例えば、表3を参照のこと。25℃/RH60%で、同様の結果が認められた。例えば、表4を参照のこと。
【0008】
[0008]デュルロバクタムまたはその薬学的に許容される塩とスルバクタムまたはその薬学的に許容される塩の共凍結乾燥された固定用量組合せ物を含む薬学的に許容される溶液も開示する。そのような溶液としては、例えば開示された共凍結乾燥された固定用量組合せ物を投与用の溶媒(例えば、注射用水)で再構成したものが挙げられる。
【0009】
[0009]凍結乾燥されたデュルロバクタムまたはその薬学的に許容される塩とスルバクタムまたはその薬学的に許容される塩のスプリットフィル固定用量組合せ物であって、スルバクタムまたはその塩および凍結乾燥されたデュルロバクタムまたはその塩が順次充填されている、スプリットフィル固定用量組合せ物も本明細書に開示する。
【0010】
[0010]開示された固定用量組合せ物または再構成溶液の、細菌感染を処置するための使用も開示する。
[0011]開示された固定用量組合せ物または再構成溶液を含む包装された医薬キットも開示する。
【0011】
[0012]SUL-DURの共凍結乾燥された固定用量組合せ物またはそれらの再構成溶液を作製する方法をさらに記載する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】[0013]機械加工性試行中に、IMA MD300充填機の集中吸引と送給シュートで認められたDURナトリウム塩粉末残渣を示す図である。
図2】[0014]機械充填した後のDURナトリウム塩粉末の外観を例示する図である。
図3】[0015]デュルロバクタムとスルバクタムを共凍結乾燥することにより得られたバルク粉末の外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0016]一態様において、デュルロバクタムまたはその薬学的に許容される塩とスルバクタムまたはその薬学的に許容される塩とを含む固定用量組合せ物であって、デュルロバクタムまたはその薬学的に許容される塩およびスルバクタムまたはその薬学的に許容される塩が、共凍結乾燥混合物として存在する、固定用量組合せ物を提供する。
【0014】
[0017]デュルロバクタムとETX2514は同義であり、以下の構造を有するβ-ラクタマーゼ阻害剤を指す。
【0015】
【化1】
【0016】
デュルロバクタムは、PCT/GB2013/050869およびPCT/US2015/061076に開示され、これらのそれぞれの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。デュルロバクタム-Na、デュルロバクタム-Na塩、DUR-Na、DUR-Na塩などは同義であり、デュルロバクタムのナトリウム塩を指す。
【0017】
[0018]スルバクタムは、以下の構造を有するβ-ラクタマーゼ阻害剤を指す。
【0018】
【化2】
【0019】
別段の指定がない限り、スルバクタムは、以上に描いた立体異性体、ならびにすべての他のありうる立体異性体および立体異性体の混合物を含む。しかし、一態様において、本明細書に記載されたスルバクタムは、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の立体化学的富化またはモル過剰を有する、描かれた立体異性体を指す。スルバクタム-Na、スルバクタム-Na塩、SUL-Na、SUL-Na塩などは同義であり、スルバクタムのナトリウム塩を指す。
【0020】
[0019]特許請求の範囲および本開示の部分として使用されるとき、用語「~からなる(consisting of)」または「~からなる(consists of)」とは、用語に続く特許請求の範囲または明細書に明記されていない要素、ステップ、または材料(それに通常付随している不純物を除く)が除外されることを意味する。例えば、デュルロバクタムまたはその薬学的に許容される塩とスルバクタムまたはその薬学的に許容される塩「からなる(consisting of)」固定用量組合せ物とは、存在している要素がデュルロバクタム、スルバクタム、またはそれらの塩、およびそれらに通常付随している不純物だけであることを意味する。「~を含む(including)」、「~を含む(containing)」または「~によって特徴づけられる」と同義である用語「~を含む(comprising)」は、包括的またはオープンエンドであり、追加の未記載の要素または方法ステップを除外しない。
【0021】
[0020]用語「固定用量」、「固定用量組合せ物」、および「固定用量組成物」は同義に使用され、単一の剤形、例えば同じカプセル剤、錠剤、バイアル剤、坐剤などに含まれている2種以上の医薬品活性成分(DURやSULなど)を指す。
【0022】
[0021]SULおよびDURは、薬学的に許容される酸塩または塩基塩を形成することができ、そのような場合、化合物の塩としての投与が適切であることがある。酸付加塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、コリン、クエン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、ジエチレンジアミン、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、2-ヒドロキシエチルスルホン酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、メグルミン、2-ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、キナ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルファミン酸塩、スルファニル酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩(p-トルエンスルホン酸塩)、トリフルオロ酢酸塩、およびウンデカン酸塩が挙げられる。塩基塩の例としては、アンモニウム塩;ナトリウム塩、リチウム塩やカリウム塩などのアルカリ金属塩;アルミニウム塩、カルシウム塩やマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;ジシクロヘキシルアミン塩やN-メチル-d-グルカミンなどの有機塩基との塩;およびアルギニン、リシン、オルニチンなどのアミノ酸との塩が挙げられる。一態様において、開示された固定剤形に含まれているDURもしくはSUL、または両方の薬学的に許容される塩は、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、またはナトリウム塩である。一態様において、開示された固定剤形に含まれているDURもしくはSUL、または両方の薬学的に許容される塩はナトリウム塩である。
【0023】
[0022]用語「薬学的に許容される」は、妥当な医学的判断の範囲内で、合理的なベネフィット/リスク比に相応して、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症なしで、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適した化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。
【0024】
[0023]本明細書に記載された固定用量組合せ物は、SULおよびDURを共凍結乾燥された形で含む。フリーズドライとも呼ばれる凍結乾燥方法は、当技術分野において公知であり、生成物を凍結し、圧力を下げ、次いで昇華によって氷を除去するものである低温脱水プロセスである。共凍結乾燥または共凍結乾燥されたとは、SULとDUR、または一方もしくは両方の薬学的に許容される塩が(例えば、同じ容器またはコンテナ中で)凍結乾燥されることを意味する。
【0025】
[0024]凍結乾燥されたデュルロバクタムまたはその薬学的に許容される塩とスルバクタムまたはその薬学的に許容される塩のスプリットフィル固定用量組合せ物であって、スルバクタムまたはその塩および凍結乾燥されたデュルロバクタムまたはその塩が順次充填されている、スプリットフィル固定用量組合せ物も本明細書で提供する。
【0026】
[0025]さまざまな量のSULおよびDUR、またはそれらの塩が、固定用量組成物において使用されうる。一選択肢として、開示された固定用量組成物中に存在するDURまたはDURの薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)とSULまたはその薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)の重量比は、0.1:2.0w/w~2.0:0.1w/wに及ぶ。別の選択肢として、開示された固定用量組成物中に存在するDURまたはDURの薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)とSULまたはその薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)の重量比は、0.2:1.9w/w~1.9:0.2w/w、0.2:1.8w/w~1.8:0.2w/w、0.3:1.7w/w~1.7:0.3w/w、0.4:1.6w/w~1.6:0.4w/w、0.5:1.5w/w~1.5:0.5w/w、0.6:1.4w/w~1.4:0.6w/w、0.7:1.3w/w~1.3:0.7w/w、0.8:1.2w/w~1.2:0.8w/w、または0.9:1.1w/w~1.1:0.9w/wに及ぶ。別の選択肢として、開示された固定用量組成物中に存在するDURまたはDURの薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)とSULまたはその薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)の重量比は、0.5:1.5w/w~1.5:0.5w/w、0.7:1.3w/w~1.3:0.7w/w、0.8:1.2w/w~1.2:0.8w/w、または0.8:1.1w/w~1.1:0.8w/wに及ぶ。別の選択肢として、開示された固定用量組成物中に存在するDURまたはDURの薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)とSULまたはその薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)の重量比は、0.9:1.1w/w~1.1:0.9w/wに及ぶ。別の選択肢として、開示された固定用量組成物中に存在するDURまたはDURの薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)とSULまたはその薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)の重量比は、0.1:2.0w/w、0.1:1.9w/w、0.2:1.8w/w、0.3:1.7w/w、0.4:1.6w/w、0.5:1.5w/w、0.6:1.4w/w、0.7:1.3w/w、0.8:1.2w/w、0.9:1.1w/w、1:1w/w、1.1:0.9w/w、1.2:0.8w/w、1.3:0.7w/w、1.4:0.6w/w、1.5:0.5w/w、1.6:0.4w/w、1.7:0.3w/w、1.8:0.2w/w、1.9:0.1w/wまたは2.0:0.1w/wである。別の選択肢として、開示された固定用量組成物中に存在するDURまたはDURの薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)とSULまたはその薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)の重量比は、1:1w/wである。
【0027】
[0026]別の選択肢として、開示された固定用量組成物中に存在するDURまたはDURの薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)とSULまたはその薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)の重量比は、0.1:2.0w/w~2.0:0.1w/wに及ぶDURとSULの重量比に等しい。別の選択肢として、開示された固定用量組成物中に存在するDURまたはDURの薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)とSULまたはその薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)の重量比は、0.2:1.9w/w~1.9:0.2w/w、0.2:1.8w/w~1.8:0.2w/w、0.3:1.7w/w~1.7:0.3w/w、0.4:1.6w/w~1.6:0.4w/w、0.5:1.5w/w~1.5:0.5w/w、0.6:1.4w/w~1.4:0.6w/w、0.7:1.3w/w~1.3:0.7w/w、0.8:1.2w/w~1.2:0.8w/w、または0.9:1.1w/w~1.1:0.9w/wに及ぶDURとSULの重量比に等しい。別の選択肢として、開示された固定用量組成物中に存在するDURまたはDURの薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)とSULまたはその薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)の重量比は、0.5:1.5w/w~1.5:0.5w/w、0.7:1.3w/w~1.3:0.7w/w、0.8:1.2w/w~1.2:0.8w/w、または0.8:1.1w/w~1.1:0.8w/wに及ぶDURとSULの重量比に等しい。別の選択肢として、開示された固定用量組成物中に存在するDURまたはDURの薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)とSULまたはその薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)の重量比は、0.9:1.1w/w~1.1:0.9w/wに及ぶDURとSULの重量比に等しい。別の選択肢として、開示された固定用量組成物中に存在するDURまたはDURの薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)とSULまたはその薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)の重量比は、0.1:2.0w/w、0.1:1.9w/w、0.2:1.8w/w、0.3:1.7w/w、0.4:1.6w/w、0.5:1.5w/w、0.6:1.4w/w、0.7:1.3w/w、0.8:1.2w/w、0.9:1.1w/w、1:1w/w、1.1:0.9w/w、1.2:0.8w/w、1.3:0.7w/w、1.4:0.6w/w、1.5:0.5w/w、1.6:0.4w/w、1.7:0.3w/w、1.8:0.2w/w、1.9:0.1w/wまたは2.0:0.1w/wのDURとSULの重量比に等しい。別の選択肢として、開示された固定用量組成物中に存在するDURまたはDURの薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)とSULまたはその薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)の重量比は、1:1w/wのDURとSULの重量比に等しい。
【0028】
[0027]別の選択肢として、開示された固定用量組成物中に存在するDURまたはDURの薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)とSULまたはその薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)の重量比は、0.1:2.0w/w~2.0:0.1w/wに及ぶDUR-Na塩とSUL-Na塩の重量比に等しい。別の選択肢として、開示された固定用量組成物中に存在するDURまたはDURの薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)とSULまたはその薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)の重量比は、0.2:1.9w/w~1.9:0.2w/w、0.2:1.8w/w~1.8:0.2w/w、0.3:1.7w/w~1.7:0.3w/w、0.4:1.6w/w~1.6:0.4w/w、0.5:1.5w/w~1.5:0.5w/w、0.6:1.4w/w~1.4:0.6w/w、0.7:1.3w/w~1.3:0.7w/w、0.8:1.2w/w~1.2:0.8w/w、または0.9:1.1w/w~1.1:0.9w/wに及ぶDUR-Na塩とSUL-Na塩の重量比に等しい。別の選択肢として、開示された固定用量組成物中に存在するDURまたはDURの薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)とSULまたはその薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)の重量比は、0.5:1.5w/w~1.5:0.5w/w、0.7:1.3w/w~1.3:0.7w/w、0.8:1.2w/w~1.2:0.8w/w、または0.8:1.1w/w~1.1:0.8w/wに及ぶDUR-Na塩とSUL-Na塩の重量比に等しい。別の選択肢として、開示された固定用量組成物中に存在するDURまたはDURの薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)とSULまたはその薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)の重量比は、0.9:1.1w/w~1.1:0.9w/wに及ぶDUR-Na塩とSUL-Na塩の重量比に等しい。別の選択肢として、開示された固定用量組成物中に存在するDURまたはDURの薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)とSULまたはその薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)の重量比は、0.1:2.0w/w、0.1:1.9w/w、0.2:1.8w/w、0.3:1.7w/w、0.4:1.6w/w、0.5:1.5w/w、0.6:1.4w/w、0.7:1.3w/w、0.8:1.2w/w、0.9:1.1w/w、1:1w/w、1.1:0.9w/w、1.2:0.8w/w、1.3:0.7w/w、1.4:0.6w/w、1.5:0.5w/w、1.6:0.4w/w、1.7:0.3w/w、1.8:0.2w/w、1.9:0.1w/wまたは2.0:0.1w/wのDUR-Na塩とSUL-Na塩の重量比に等しい。別の選択肢として、開示された固定用量組成物中に存在するDURまたはDURの薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)とSULまたはその薬学的に許容される塩(例えば、Na塩)の重量比は、1:1w/wのDUR-Na塩とSUL-Na塩の重量比に等しい。
【0029】
[0028]別の選択肢として、固定用量組成物は、DUR-Na塩とSUL-Na塩とを含み、開示された固定用量組成物中に存在するDUR-Na塩とSUL-Na塩の重量比は、0.1:2.0w/w~2.0:0.1w/wに及ぶDURとSULの重量比に等しい。別の選択肢として、固定用量組成物は、DUR-Na塩とSUL-Na塩を含み、開示された固定用量組成物中に存在するDUR-Na塩とSUL-Na塩の重量比は、0.2:1.9w/w~1.9:0.2w/w、0.2:1.8w/w~1.8:0.2w/w、0.3:1.7w/w~1.7:0.3w/w、0.4:1.6w/w~1.6:0.4w/w、0.5:1.5w/w~1.5:0.5w/w、0.6:1.4w/w~1.4:0.6w/w、0.7:1.3w/w~1.3:0.7w/w、0.8:1.2w/w~1.2:0.8w/w、または0.9:1.1w/w~1.1:0.9w/wに及ぶDURとSULの重量比に等しい。別の選択肢として、固定用量組成物は、DUR-Na塩とSUL-Na塩を含み、開示された固定用量組成物中に存在するDUR-Na塩とSUL-Na塩の重量比は、0.5:1.5w/w~1.5:0.5w/w、0.7:1.3w/w~1.3:0.7w/w、0.8:1.2w/w~1.2:0.8w/w、または0.8:1.1w/w~1.1:0.8w/wに及ぶDURとSULの重量比に等しい。別の選択肢として、固定用量組成物は、DUR-Na塩とSUL-Na塩を含み、開示された固定用量組成物中に存在するDUR-Na塩とSUL-Na塩の重量比は、0.9:1.1w/w~1.1:0.9w/wに及ぶDURとSULの重量比に等しい。別の選択肢として、固定用量組成物は、DUR-Na塩とSUL-Na塩を含み、開示された固定用量組成物中に存在するDUR-Na塩とSUL-Na塩の重量比は、0.1:2.0w/w、0.1:1.9w/w、0.2:1.8w/w、0.3:1.7w/w、0.4:1.6w/w、0.5:1.5w/w、0.6:1.4w/w、0.7:1.3w/w、0.8:1.2w/w、0.9:1.1w/w、1:1w/w、1.1:0.9w/w、1.2:0.8w/w、1.3:0.7w/w、1.4:0.6w/w、1.5:0.5w/w、1.6:0.4w/w、1.7:0.3w/w、1.8:0.2w/w、1.9:0.1w/wまたは2.0:0.1w/wのDURとSULの重量比に等しい。別の選択肢として、固定用量組成物は、DUR-Na塩とSUL-Na塩を含み、開示された固定用量組成物中に存在するDUR-Na塩とSUL-Na塩の重量比は、1:1w/wのDURとSULの重量比に等しい。
【0030】
[0029]別の選択肢として、固定用量組成物は、DUR-Na塩とSUL-Na塩を含み、開示された固定用量組成物中に存在するDUR-Na塩とSUL-Na塩の重量比は、0.1:2.0w/w~2.0:0.1w/wに及ぶ。別の選択肢として、固定用量組成物は、DUR-Na塩とSUL-Na塩を含み、開示された固定用量組成物中に存在するDUR-Na塩とSUL-Na塩の重量比は、0.2:1.9w/w~1.9:0.2w/w、0.2:1.8w/w~1.8:0.2w/w、0.3:1.7w/w~1.7:0.3w/w、0.4:1.6w/w~1.6:0.4w/w、0.5:1.5w/w~1.5:0.5w/w、0.6:1.4w/w~1.4:0.6w/w、0.7:1.3w/w~1.3:0.7w/w、0.8:1.2w/w~1.2:0.8w/w、または0.9:1.1w/w~1.1:0.9w/wに及ぶ。別の選択肢として、固定用量組成物は、DUR-Na塩とSUL-Na塩を含み、開示された固定用量組成物中に存在するDUR-Na塩とSUL-Na塩の重量比は、0.5:1.5w/w~1.5:0.5w/w、0.7:1.3w/w~1.3:0.7w/w、0.8:1.2w/w~1.2:0.8w/w、または0.8:1.1w/w~1.1:0.8w/wに及ぶ。別の選択肢として、固定用量組成物は、DUR-Na塩とSUL-Na塩を含み、開示された固定用量組成物中に存在するDUR-Na塩とSUL-Na塩の重量比は、0.9:1.1w/w~1.1:0.9w/wに及ぶ。別の選択肢として、固定用量組成物は、DUR-Na塩とSUL-Na塩を含み、開示された固定用量組成物中に存在するDUR-Na塩とSUL-Na塩の重量比は、0.1:2.0w/w、0.1:1.9w/w、0.2:1.8w/w、0.3:1.7w/w、0.4:1.6w/w、0.5:1.5w/w、0.6:1.4w/w、0.7:1.3w/w、0.8:1.2w/w、0.9:1.1w/w、1:1w/w、1.1:0.9w/w、1.2:0.8w/w、1.3:0.7w/w、1.4:0.6w/w、1.5:0.5w/w、1.6:0.4w/w、1.7:0.3w/w、1.8:0.2w/w、1.9:0.1w/wまたは2.0:0.1w/wである。別の選択肢として、固定用量組成物は、DUR-Na塩とSUL-Na塩を含み、開示された固定用量組成物中に存在するDUR-Na塩とSUL-Na塩の重量比は、1:1w/wである。
【0031】
[0030]共凍結乾燥されたDURおよびSUL、もしくはそれらの薬学的に許容される塩を含む開示された固定用量組成物、またはスプリットフィル固定用量組合せ物を、投与する前に薬学的に許容される液体(例えば、生理食塩水、注射用水、塩化ナトリウム溶液、デキストロース、グルコース、乳酸リンゲル、転化糖注射液など)で再構成することができる。
【0032】
[0031](例えば、DURとSUL「からなる(consisting of)」固定用量組成物の場合のように)別段の指定がない限り、開示された固定用量組成物は、1種または複数の薬学的に許容される賦形剤、安定剤、pH調整添加剤などを含むことができる。
【0033】
[0032]共凍結乾燥されていないSUL-DURが、A.baumannii複合体(ABC)感染の処置および尿路感染(腎盂腎炎)の処置のために現在臨床開発中である。例えば、米国臨床試験識別番号NCT03894046およびNCT03445195を参照のこと。有効性は、バークホルデリア感染、腸内細菌科の分離菌、および緑膿菌(P.aeruginosa)感染の前臨床モデルにおいても示されている。例えば、PCT/US2015/061076を参照のこと。
【0034】
[0033]一実施形態において、開示された固定用量組成物は、グラム陰性感染とも呼ばれる、グラム陰性菌によって引き起こされるものなど細菌感染の処置に有用である。この実施形態の一態様において、グラム陰性感染は、1種または複数の抗生物質に耐性をもつ感染である。この実施形態の一態様において、グラム陰性感染は、多剤耐性感染である。いくつかの実施形態において、グラム陰性菌は、アシネトバクター属菌種である。いくつかの実施形態において、グラム陰性菌は、Acinetobacter baumanniiなどアシネトバクター属菌種である。いくつかの実施形態において、グラム陰性菌は、バークホルデリア属菌種である。いくつかの実施形態において、グラム陰性菌は、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)である。いくつかの実施形態において、グラム陰性菌は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)である。いくつかの実施形態において、グラム陰性菌は、腸内細菌科である。これらの実施形態のいずれにおいても、グラム陰性感染は、病原体または1種もしくは複数のβ-ラクタマーゼを発現する病原体から起こる。これらの実施形態のいずれにおいても、グラム陰性感染は、病原体または1つもしくは複数のクラスA、クラスCおよび/もしくはクラスDのβ-ラクタマーゼを発現する病原体から起こる。これらの実施形態のいずれにおいても、グラム陰性感染は、病原体または1種もしくは複数のクラスAのβ-ラクタマーゼを発現する病原体から起こる。これらの実施形態のいずれにおいても、グラム陰性感染は、病原体または1種もしくは複数のクラスCのβ-ラクタマーゼを発現する病原体から起こる。これらの実施形態のいずれにおいても、グラム陰性感染は、病原体または1種もしくは複数のクラスDのβ-ラクタマーゼを発現する病原体から起こる。
【0035】
[0034]「腸内細菌科(Enterobaacteriaceae)」によって引き起こされる感染は、サルモネラ属菌種、大腸菌(Escherichia coli)、ペスト菌(Yersinia pestis)、クレブシエラ属菌種、シゲラ属菌種、プロテウス属菌種、エンテロバクター属菌種、セラチア属菌種、およびシトロバクター属菌種などの菌種を含むが、これらに限定されない、細菌のこの科におけるグラム陰性菌のいずれかを指す。したがって、「腸内細菌科」によって引き起こされる細菌感染の処置は、この科の部分であるいずれか1種または複数の細菌によって引き起こされるいずれかの感染を含む。一実施形態において、「腸内細菌科」によって引き起こされる細菌感染は、少なくとも1種のサルモネラ属菌種病原体を存在させる細菌感染を含む。一実施形態において、「腸内細菌科」によって引き起こされる細菌感染は、少なくとも1種の大腸菌病原体を存在させる細菌感染を含む。一実施形態において、「腸内細菌科」によって引き起こされる細菌感染は、少なくとも1種のペスト菌病原体を存在させる細菌感染を含む。一実施形態において、「腸内細菌科」によって引き起こされる細菌感染は、少なくとも1種のクレブシエラ属菌種病原体を存在させる細菌感染を含む。一実施形態において、「腸内細菌科」によって引き起こされる細菌感染は、少なくとも1種のシゲラ属菌種病原体を存在させる細菌感染を含む。一実施形態において、「腸内細菌科」によって引き起こされる細菌感染は、少なくとも1種のプロテウス属菌種病原体を存在させる細菌感染を含む。一実施形態において、「腸内細菌科」によって引き起こされる細菌感染は、少なくとも1種のエンテロバクター属菌種病原体を存在させる細菌感染を含む。一実施形態において、「腸内細菌科」によって引き起こされる細菌感染は、少なくとも1種のセラチア属菌種病原体を存在させる細菌感染を含む。一実施形態において、「腸内細菌科」によって引き起こされる細菌感染は、少なくとも1種のシトロバクター属菌種病原体を存在させる細菌感染を含む。
【0036】
[0035]いくつかの実施形態において、細菌感染は、1種または複数のクラスA、クラスB、クラスCおよび/またはクラスDのβ-ラクタマーゼを発現する腸内細菌科のグラム陰性菌によって引き起こされる感染を指す。この実施形態の一態様において、グラム陰性菌は、少なくとも1種のクラスBのβ-ラクタマーゼを発現する腸内細菌科である。
【0037】
[0036]いくつかの実施形態において、グラム陰性菌は、1種または複数のβ-ラクタマーゼを発現するアシネトバクター属菌種である。一実施形態において、グラム陰性菌は、1種または複数のクラスA、クラスCおよび/またはクラスDのβ-ラクタマーゼを発現するAcinetobacter baumanniiである。一実施形態において、グラム陰性菌は、1種または複数のクラスAのβ-ラクタマーゼを発現するAcinetobacter baumanniiである。一実施形態において、グラム陰性菌は、1種または複数のクラスCのβ-ラクタマーゼを発現するAcinetobacter baumanniiである。一実施形態において、グラム陰性菌は、1種または複数のクラスDのβ-ラクタマーゼを発現するAcinetobacter baumanniiである。一実施形態において、グラム陰性菌は、TEM-1またはKPC-2を発現するAcinetobacter baumanniiである。
【0038】
[0037]一態様において、細菌感染は、婦人科感染を指すことができる。別の態様において、細菌感染は、気道感染(RTI)を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、性行為感染を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、尿路感染(UTI)を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、複雑性尿路感染(cUTI)を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、慢性気管支炎の急性増悪(ACEB)を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、急性中耳炎を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、急性副鼻腔炎を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、薬物耐性細菌によって引き起こされる感染を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、カテーテル関連敗血症を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、軟性下疳を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、クラミジアを指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、市中感染性肺炎(CAP)を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、複雑性皮膚・皮膚構造感染(cSSSI)を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、急性細菌性皮膚・皮膚構造感染(ABSSSI)を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、非複雑性皮膚・皮膚構造感染(SSSI)を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、心内膜炎を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、発熱性好中球減少を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、淋菌性子宮頚管炎を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、淋菌性尿道炎を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、院内感染性肺炎(HAP)を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、人工呼吸器関連肺炎(VAP)を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、肝膿瘍、胆道感染および/または菌血症など、免疫低下宿主における感染を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、菌血症を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、骨髄炎を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、敗血症を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、梅毒を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、腹腔内感染(IAI)を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、肺、敗血性および/または腺ペストを指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、炭疽を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、鼻疽を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、類鼻疽を指すことができる。さらに別の態様において、細菌感染は、野兎病を指すことができる。
【0039】
[0038]本明細書に記載された細菌感染の処置を必要とする対象において細菌感染を処置する方法であって、治療有効量の用意された固定投与量組成物を対象に投与するステップを含む方法も提供する。
【0040】
[0039]用意された固定投与量組成物の、本明細書に記載された細菌感染の処置を必要とする対象において細菌感染を処置するための使用も提供する。
[0040]用意された固定投与量組成物の、本明細書に記載された細菌感染の処置を必要とする対象において細菌感染を処置するための医薬品の製造における使用をさらに提供する。
【0041】
[0041]用語「対象」および「患者」は、同義に使用されてよく、処置を必要とする哺乳類、例えば伴侶動物(例えば、イヌ、ネコなど)、家畜(例えば、雌牛、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギなど)および実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモットなど)を意味する。典型的に、対象は、処置を必要とするヒトである。
【0042】
[0042]本明細書では、用語「~を処置する」または「処置」は、所望の薬理学的および/または生理学的効果を得ることを指す。効果は、治療効果とすることができ、以下の結果の1つまたは複数を部分的または実質的に達成することを含む:疾患、障害または症候群の程度を部分的または完全に低減すること;障害に伴う臨床症状または徴候を緩和または改善すること;あるいは疾患、障害または症候群の進行の可能性を遅延、阻害または減少させること。一態様において、処置を、症状が消失した後にも継続して、例えばそれらの再発を遅延させることもできる。「~を処置する」または「処置」は、感染のリバウンドまたは感染の症状を阻害するまたは遅延させることも指す。
【0043】
[0043]いずれか特定の患者に特異的な用量および処置レジメンは、採用された特異的化合物の活性、年齢、体重、全身的健康状態、性別、食事、投与時期、排泄速度、薬物の組合せ物、処置医の判断ならびに処置されている特定の疾患の重症度を含めてさまざまな因子に依存する。しかし、一態様において、本明細書に記載された固定用量組成物は、「有効量」または「治療有効量」で投与される。これは、対象の生物学的または医学的応答を誘発する固定用量の量、例えば0.01~100mg/体重1kg/日の用量を指す。
【0044】
[0044]いくつかの態様において、本明細書に記載された固定用量組成物は、経口、非経口、または局所投与されうる。本明細書では用語「非経口」としては、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、肝内、病巣内および頭蓋内注射または輸注技法が挙げられる。いくつかの態様において、開示された固定用量組成物は、(例えば、注射用水で再構成した後に)静脈内注射で投与される。
【0045】
[0045]開示された固定用量組合せ物は、使用説明書と任意選択で一緒の医薬キットの形で包装されうる。
例示
[0046]デュルロバクタムおよびそのナトリウム塩は、PCT/GB2013/050869における実施例10の化合物1の手順に従って合成することができ、その内容が参照により本明細書に組み込まれる。スルバクタムおよびその薬学的に許容される塩は、組合せUnasyn(登録商標)、Cefina-SB(登録商標)、Sulperazone(登録商標)、Sultamicillin(登録商標)またはBacperazone(登録商標)の形で市販されている。スルバクタムの合成も、当技術分野において周知である。例えば、Volkmannら、Efficient Preparation of 6,6-dihalopenicillanic acids.Synthesis of Penicillanic Acid S,S-dioxide(Sulbactam)、J.Org.Chem.、47(17):3344-3345(1982)を参照のこと。
【0046】
[0047]DURナトリウム塩とSULナトリウム塩を共に(それぞれ塩の形の1:1w/w混合物として)ガラスバイアルに乾式粉末充填することによって、デュルロバクタムとスルバクタムの商業的に実現可能な固定投与量組合せ物を開発する試みは、DURナトリウム塩の高吸湿性で不十分な流動特性のために成功しなかった。これにより、充填装置のパーツへの著しい粉末付着が生じ、充填装置の投与チャンバおよびピストンが詰まった。例えば、機械加工性試行中に、集中吸引から、送給シュート上に認められたDURナトリウム塩粉末残渣を示す図1を参照のこと。DURナトリウム塩粉末充填製品の外観を示す図2も参照のこと。デュルロバクタムとスルバクタムを共凍結乾燥することによって得られたバルク粉末の外観を示す図3と比較すること。
【0047】
[0048]DURナトリウム塩のかさおよびタップ密度分析をUSPに従って行い、圧縮指数(CI)およびHausner比を計算した。典型的に、材料は、Hausner比が1.25より大きい場合および/またはCIが25より大きい場合に不十分な流動性を有すると考えられる。例えば、Leroy A.Sherrington、Amal Sherrington、Analytical Profiles of Drug Substances and Excipients、1998を参照のこと。ここで、粉末は、38%および>1.6の圧縮指数およびHausner比を有し、極めて不十分な流動性材料であることを示すことが見出された。これらの実験値は、認められた粉末付着と矛盾しない。
【0048】
[0049]DURナトリウム塩に関連した流動性の問題は、臨床使用に別個のバイアル3本を用いて進めるという決定を導いた。これは、別個のバイアル3本に粉末充填することを必要とする:DURナトリウム塩を含む2本およびSULナトリウム塩を含む1本。次いで、各医薬品を別々に注射用水で再構成する。次いで、3本のバイアルのそれぞれから固定の分量を静脈内輸液バッグに移し、次いで得られた組合せ物を必要に応じて対象に投与する。有望な臨床結果が得られたが、マルチバイアル使用およびマルチプロセッシング手順を必要とすることは、使用者の過誤のリスクを高め、バルクプロセッシングおよび包装コストを増加させ、廃棄物を拡大し、全体的に煩わしい。
【0049】
[0050]しかし、今回、デュルロバクタムナトリウム塩とスルバクタムナトリウム塩の共凍結乾燥は、デュルロバクタムナトリウム単独の凍結乾燥と比べて流動特性を改善することが見出された。初期の実験は、デュルロバクタムナトリウム塩とスルバクタムナトリウム塩の1:1w/w混合物を注射用水に溶解し、バルク凍結乾燥条件を(スケール毎に)最適化するものであった。表1は、デュルロバクタムナトリウム塩とスルバクタムナトリウム塩のこの1:1w/w共凍結乾燥混合物のかさ密度、タップ密度、ならびに計算された圧縮指数およびHausner比を示す。
【0050】
【表1】
【0051】
[0051]以上に示したように、共凍結乾燥された組成物にすると、Hausner比および圧縮指数においてわずかな改善があった。これらの値および当技術分野における最新文献に基づいて、共凍結乾燥された固定用量の流動性が実現可能な固定用量組合せ物の形成を妨げると予想される。しかし、これは当てはまらなかった。
【0052】
[0052]その上、共凍結乾燥された組合せ物は、良好な安定性を示した。この目的のために、共凍結乾燥混合物をバイアルに充填し、2~8℃、25℃/60% RHおよび40℃/75% RHで安定した状態に置いた。SUL-Na/DUR-Naの固定投与量組成物は、単一のバイアル中で共凍結乾燥された両活性物を組み合わせることからなる。製剤試験は、共凍結乾燥された固定投与量の2つの活性物を組み合わせることの物理的属性(吸湿、粒径分布、流動性)および化学安定性(アッセイおよび不純物)に対する影響を評価するために実施された。表2~4は、固定投与量組成物の、それぞれ5℃、25℃/60% RHおよび40℃/75% RHで貯蔵されたときの安定性(3~6か月)の結果を示す。40℃/75% RHは、ストレス条件を表し、値が低下すると同時に不純物レベルが増加する。5℃条件は、長期貯蔵条件を表し、その結果は、アッセイ値の変化がほとんどなく、全不純物レベルがほとんど増加しないことを示す。25℃/60% RH条件は、この製品の加速貯蔵条件を表し、全不純物レベルが、5℃貯蔵条件より若干高い。
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
代替スプリットフィル手法
[0053]デュルロバクタムナトリウム塩およびスルバクタムナトリウム塩のスプリットフィル製剤を調製し、安定性について評価した。デュルロバクタムナトリウム塩を水に溶解し、凍結乾燥した。スルバクタムナトリウム塩粉末および凍結乾燥されたデュルロバクタムナトリウム塩を、不活性窒素雰囲気の存在下でガラスバイアルに(凍結乾燥されたデュルロバクタムナトリウム塩粉末をスルバクタムナトリウム塩粉末の上にして)順次充填し、続いて栓をし、圧着した。デュルロバクタムナトリウム塩およびスルバクタムナトリウム塩は、1:1の比で存在した。
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
【表7】
【0060】
[0054]いくつかの実施形態を記載してきたが、本開示の範囲は、例として表された具体的な実施形態によってではなく、添付の特許請求の範囲によって定められるべきである。本出願全体にわたって引用されたすべての参考試料(参考文献、発行済み特許、特許出願公開、および同時係属中の特許出願を含む)の内容は、参照によりそれらの全体として本明細書に明示的に組み込まれる。別段の定義がない限り、本明細書で使用される科学技術用語はすべて、当業者によく知られている意味と同じ意味をもつ。
図1
図2
図3
【国際調査報告】