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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】小便器、和式便器および洋式便器
(51)【国際特許分類】
   E03D 13/00 20060101AFI20240124BHJP
   E03D 11/02 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
E03D13/00
E03D11/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544104
(86)(22)【出願日】2022-01-19
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 CN2022072691
(87)【国際公開番号】W WO2022156697
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】202110077314.1
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202120152235.8
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202122348779.4
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522101346
【氏名又は名称】宝媽宜選電子商務(天津)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100188776
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 吉男
(72)【発明者】
【氏名】張海潮
【テーマコード(参考)】
2D039
【Fターム(参考)】
2D039AA02
2D039AA03
2D039AA04
2D039AA05
2D039AC01
(57)【要約】
【課題】
本出願は日常用品技術分野に属し、小便器、和式便器および洋式便器を提供する。
【解決手段】
当該小便器は、便器と汚物排出口と給水口と吐水孔とを含み、便器には汚物排出口に隣接する第1の端部と汚物排出口から離れた第2の端部とが設けられ、汚物排出口は前記便器の底部に設けられ、吐水孔は給水口に連通し、便器内には突起部が設けられ、突起部は使用者の肛門に対向し、突起部の一端は前記便器の底部まで延設し、吐水孔は突起部を洗浄するために用いられる。本出願は従来技術において女性便器の大小便を区別しにくいという欠陥を解決する。本出願は、突出部を設けることにより、女性がトイレを利用するときの習慣に合わせたうえで、大便回避機能を実現し、使用者が大便をすることを防止し、よって女性小便専用の目的を果たす。当該小便器を使用すると、女性用公衆トイレを大便エリアと小便エリアとに設定でき、全体的なトイレ利用効率を向上させ、行列に並ぶ人数と待ち時間を短縮させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小便器であって、便器(100)と、汚物排出口(110)と、給水口(120)と、吐水口(121)とを含み、前記便器(100)には前記汚物排出口(110)に隣接する第1の端部と、前記汚物排出口(110)から離れた第2の端部とが設けられ、前記汚物排出口(110)は前記便器(100)の底部に設けられ、前記吐水孔(121)は前記給水口(120)に連通し、前記便器(100)内には突出部(130)が設けられ、前記突出部(130)は使用者の肛門に対向し、前記突出部(130)の一端は前記便器(100)の底部まで延設し、前記吐水孔(121)は前記突出部(130)を洗浄するために用いられることを特徴とする小便器。
【請求項2】
前記突出部(130)は、前記汚物排出口(110)に隣接する第1の端部と、前記吐水口(121)に隣接する第2の端部とを有し、
前記突出部(130)の第1の端部の高さは第2の端部の高さよりも低いか等しいことを特徴とする請求項1に記載の小便器。
【請求項3】
前記突出部(130)の第1の端部の中央には凹んだ第1の回避領域(132)が設けられ、前記第1の回避領域(132)の開口は前記汚物排出口(110)に向けるように構成されることを特徴とする請求項2に記載の小便器。
【請求項4】
前記突出部(130)の第1の端部には、さらに凹んだ第2の回避領域(140)が設けられ、前記第2の回避領域(140)は、前記第1の回避領域(132)の左右両側に位置することを特徴とする請求項3に記載の小便器。
【請求項5】
前記突出部(130)には、尿誘導部(131)が設けられ、前記尿誘導部(131)は洗浄水を誘導するために用いられることを特徴とする請求項1に記載の小便器。
【請求項6】
前記尿誘導部(131)は、前記突出部(130)に適合する前記吐水孔(121)から前記汚物排出口(110)に向かう方向に設置されることを特徴とする請求項5記載の小便器。
【請求項7】
和式便器であって、請求項1に記載の小便器を含み、前記便器(100)の第1の端部には排尿止め板(180)が設けられることを特徴とする和式便器。
【請求項8】
洋式便器であって、請求項2に記載の小便器を含み、前記便器(100)の第1の端部に排尿止め端が設けられ、前記第2の端部には開口溝(170)が設けられ、前記開口溝(170)は前記便器(100)の内外両側を貫通することを特徴とする洋式便器。
【請求項9】
前記便器(100)の頂部側には、便座(160)が設けられ、前記便座(160)の前記開口溝(170)に対応する端部には、前記開口溝(170)に対応する開口部が設けられることを特徴とする請求項8に記載の洋式便器。
【請求項10】
前記開口溝(170)の底部と前記突出部(130)の第2の端部とは同一平面であることを特徴とする請求項8に記載の洋式便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は日常用品技術分野に属し、特に小便器、和式便器および洋式便器に関する。
【背景技術】
【0002】
女性トイレが混んでいる時の待ち時間が長すぎるから、女性用公衆トイレはなかなか評判がよくない。男性に比べ、公共の場にある女性トイレには小便専用の小便器が配置されず、便器の数が制限されているため、公共の場で行列しやすい。特にコンサート、劇場、休日の観光地などで一気にトイレ利用者が押し寄せる場合、深刻な問題になる。
【0003】
男性トイレのように、別に小便器を設置し、大小便を区別したトイレ環境を整備すれば、小便の行列に並ぶ効率を上げ、女子用公衆トイレの利用までの流れを最適化することができる。一般的に、小便の頻度が大便より高く、小便にかかる時間が大便より短いと考えられる。そこで、女子用公衆トイレでトイレの列ができた時、小便をする人は大便をする人よりかなり多い。
【0004】
現在、西洋市場では、女性用小便器はすべて吊り下げるように設置され、利用者がスキーをするような姿勢で、体を便器と接触せず、小便をするものである。これは、汚れるのを嫌がり、身体接触を望まないため、女性が公衆トイレでよくとった姿勢を考慮したもので、また、女性利用者が手持ち式の女性用小便装置を使って立ち小便を実現するものがある。
【0005】
CN1293729Aでは、支持部に取り付けられる連結部と、支持部から離れた端部にある女性用小便受入部と、両者の間に設けられ、受入部よりも狭い幅狭部とを有する本体を備えた女性用小便器が提供される。このような小便器を使うには、女性はスキーをするように腰を少し下ろして中腰姿勢をとり、または男性のように股を開いて立位姿勢をとるのが一般である。
【0006】
ZL200410090240.1では、立った姿勢または座った姿勢で小便をするときに使用するための誘導装置が提供される。特にこの小便誘導装置の特徴としては、誘導装置が溝形で、端部が尿受け部となり、誘導装置に誘導部を有することが挙げられる。前記尿受け口の下端の高さを誘導装置の底部より高くし、尿受け口を斜め形状とする。女性が使用する時は、男性のように股を開いて立位姿勢をとり、片手でズボンを持ち、もう一方の手で紙を太ももと外陰部の連結部に置いて背すじを伸ばして立った状態で体を少し前傾させる。
【0007】
上述した従来技術は女性の小便機能を実現したが、いずれも女性のいままでとった小便姿勢(座る姿勢やしゃがむ姿勢)を変えている。女性の生理構造が原因で、これらの技術は多くの女性から支持を失い、なかなか普及できなかった。緊急時や少数者などに使用されている。さらに研究調査によると、中東地域の男性トイレにも小便器がなく、トイレの利用効率に影響を与えていることが明らかになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願は従来技術において女性便器の大小便を区別しないという欠点を解決し、女性向けの小便器を実現し、女性公衆トイレの利用効率を向上させ、トイレの行列に並ぶ人数を減少させ、小便をするためのトイレ時間を短縮させる小便器、和式便器及び洋式便器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願で提供される小便器は便器と汚物排出口と給水口と吐水孔とを含み、前記便器には前記汚物排出口に隣接する第1の端部と前記汚物排出口から離れた第2の端部とが設けられ、前記汚物排出口は前記便器の底部に設けられ、前記吐水孔は前記給水口に連通し、前記便器内には突出部が設けられ、前記突出部は使用者の肛門に対向し、前記突出部の一端は前記便器の底部まで延設し、前記吐水孔は突出部を洗浄するために用いられる。
【0010】
本出願に係る小便器によれば、前記突出部は前記汚物排出口に隣接する第1の端部と、前記吐水口に隣接する第2の端部とを有し、前記突出部の第1の端部の高さは、第2の端部の高さよりも低いか等しい。
【0011】
本出願に係る小便器によれば、前記突出部の第1の端部の中間部に窪んだ第1の回避領域が設けられ、第1の回避領域の開口は汚物排出口に向けられている。
【0012】
本出願に係る小便器によれば、前記突出部の第1の端部には、凹んだ第2の回避領域がさらに設けられ、前記第2の回避領域は前記第1の回避領域の左右両側に位置する。
【0013】
本出願に係る小便器によれば、前記突出部には尿誘導部が設けられ、前記尿誘導部は洗浄水を誘導するために用いられる。
【0014】
本出願に係る小便器によれば、前記尿誘導部は前記突出部に適合する前記吐水孔から前記汚物排出口に向かう方向に設置される。
【0015】
本出願はまた、上記のような小便器を含む和式便器を提供し、前記便器の第1の端部に排尿止め板が設けられる。
【0016】
本出願はまた、上記のような小便器を含む洋式便器を提供し、前記便器の第1の端部に排尿止め端が設けられ、第2の端部に開口溝が設けられ、前記開口溝は前記便器の内外両側に貫通する。
【0017】
本出願に係る洋式便器によれば、前記便器の頂部側に便座が設けられ、前記便座の前記開口溝に対応する一端には前記開口溝に対応する開口部が設けられる。
【0018】
本出願に係る洋式便器によれば、前記開口溝の底部は前記突出部の第2の端部と同一平面である。
【発明の効果】
【0019】
本出願で提供される小便器、和式便器及び洋式便器は、便器と汚物排出口と給水口と吐水孔とを含み、便器には汚物排出口に隣接する第1の端部と汚物排出口から離れた第2の端部とが設けられ、前記汚物排出口は前記便器の底部に設けられ、前記吐水孔は前記給水口に連通し、前記便器内には突出部が設けられ、前記突出部は使用者の肛門に対向し、前記突出部の一端は前記便器の底部まで延設し、前記吐水孔は突出部を洗浄するために用いられる。本出願は、突出部を設けることにより、女性がトイレを利用するときの習慣に合わせたうえで、大便回避機能を実現し、使用者が大便をすることを防止し、よって女性小便専用の目的を果たす。本出願に係る小便器を使用すると、女性用公衆トイレを大便エリアと小便エリアとに設定でき、全体的なトイレ利用効率を向上させ、行列に並ぶ人数と待ち時間を短縮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本出願又は従来技術の技術解決案をより明確にするためには、以下、実施例又は従来技術を説明するために必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下説明される図面は、本出願の実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を払うことなくこれらの図面に従って他の図面を得ることができる。
図1】本出願に係る洋式便器の構造を示す図1である。
図2】本出願に係る洋式便器の構造を示す図2である。
図3】本出願に係る洋式便器の上面図である。
図4】本出願に係る和式便器の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本出願の目的、技術解決策及び利点をより明確にするために、以下、本出願の図面を参照しながら、本出願の技術解決策を明確かつ完全に説明する。説明された実施例は本出願の実施例の一部に過ぎず、すべての実施例ではないことは明らかである。本出願の実施例に基づき、当業者は、創造的な作業なしに得られたすべての他の実施例は本出願の保護範囲内にある。
【0022】
図1図4に示すように、本出願の小便器は、便器100と、汚物排出口110と、給水口120と、吐水口121とを含み、便器100には汚物排出口110に隣接する第1の端部と、汚物排出口110から離れた第2の端部とが設けられ、汚物排出口110は便器100の底部に設けられ、給水口120は吐水孔121に連通し、便器100内には突出部130が設けられ、突出部130は使用者の肛門に対向し、突出部130の一端は便器100の底部まで延設し、吐水孔121は突出部130を洗浄するために用いられる。汚物排出口110は、速やかに小便と洗浄水を便器100から排出するよう、便器100の第1の端部の底部に設けられることが理解される。給水口120は便器100の第2の端部に設けられ、給水口120と汚物排出口110は便器100の2つの相対端部に位置し、給水口120は水源に接続され、便器100に洗浄水を供給する。本実施例において、便器100の内側壁には水誘導リングが設けられ、給水口120に連通させ、給水口120から入った水を誘導する。水誘導リングには、複数の吐水孔121が設けられ、複数の吐水孔121は、便器100の内部に向け、便器100を複数の角度から洗浄する。本実施例において、複数の吐水孔121は便器100の第2の端部の水平周方向に沿って均等に配置され、便器100の内部を複数の角度から洗浄でき、洗浄効果及び洗浄効率を向上させる。
【0023】
さらに、便器100内には、突出部130が設けられ、、突出部130は便器100の第2の端部の近傍に位置する。突出部130は使用者の肛門に対向することで、使用者の肛門と便器100の底部との間の距離を狭め、すなわち、使用者に大便をする条件を与えないとともに、使用者の小便に支障を与えず、小便専用の目的を達成する。また説明すべきことは、一方で、突出部130を設けることにより、使用者の身体や衣類に大便が接触するリスクを高め、使用者の大便に影響を与え、小便専用を実現することである。なお、突出部130を設けることにより、便器100の第2端から第1端までの方向に沿った便器100内への小便の入射に影響を与えることがなく、便器100に小便の機能を保持させ、小便専用を実現する。
【0024】
ここで、突出部130の一端は便器100の底部まで延設され、小便の流れをある程度誘導する役割を果たす。本実施例において、突出部130の一端を便器100の底部に固定的に接続し、突出部130の便器100内への取り付けを実現する。また、突出部130の取り付けは、突出部130の他端を便器100の第2の端部の内側壁に固定的に接続することにより実現される。
【0025】
さらに、吐水孔121は突出部130を洗浄するために使用され、すなわち、吐水孔121から流出した水流は突出部130の上面を通過することにより、突出部130の上面を洗浄し、突出部130の清潔さを保証する。
【0026】
一実施例において、汚物排出口110には、異物が汚物排出口110内に入り込んで目詰まりを起こすのを防止するための濾過網が設けられる。
【0027】
本出願に係る小便器によれば、突出部130は汚物排出口110に隣接する第1の端部と、吐水口121に隣接する第2の端部とを有し、突出部130の第1の端部の高さは、第2の端部の高さよりも低いか等しい。なお、突出部130は、便器100の突出部に対応する吐水孔121から汚物排出口110までの方向に沿って、水平、又は便器100の長手方向に沿って下向きに傾斜して設置されることが理解される。突出部130の上面は、水平になるように設置されてもよく、便器100の長手方向および奥行き方向に傾斜して設されてもよく、尿および洗浄水の流れを誘導する役割を果たす。
【0028】
本出願に係る小便器によれば、突出部130の第1の端部の中間部に窪んだ第1の回避領域132が設けられ、第1の回避領域132の開口は汚物排出口110に向く。なお、突出部130の汚物排出口110に向く一側の中央部には凹んだ回避領域132が設けられることにより、尿が突出部130に直接衝突することを防止し、尿を回避領域132から便器100内に流すことを可能にする。
【0029】
本出願に係る小便器によれば、突出部130の第1の端部には、凹んだ第2の回避領域140がさらに設けられ、第2の回避領域140は第1の回避領域132の左右両側に位置する。両側により多くの凹んだ第2の回避領域140が存在することにより、両側に散らばった尿が突出部130に直接衝突するのを防止し、尿を第2の回避領域140から便器100内に流すことを可能にすることが理解される。
【0030】
なお、一実施例において、突出部130の上面の正投影はW型である。
【0031】
本出願に係る小便器によれば、突出部130には誘導部が設けられ、誘導部131は洗浄水を誘導するために用いられる。なお、突出部130の上面には、誘導部131が設けられる。誘導部131は、突出部130に適合する吐水孔121から汚物排出口110までの方向に沿って設けられ、吐水孔121から流出した洗浄水が誘導部131を経由し突出部130全体を覆い、突出部130の上面を洗浄すると同時に、便器100内に誘導し、汚物排出口110から排出される。
【0032】
なお、誘導部131は、洗浄水の流れを誘導する役割を果たす誘導棒、誘導溝、誘導台又は誘導板などのように構成されてもよい。
【0033】
本出願はまた、上記のような小便器を含む和式便器を提供し、便器100の第1の端部に尿止め板180を設ける。和式便器は小便器を含み、便器100の第1の端部に尿止め板180を設け、便器100から尿の飛び出しを遮断することが理解される。尿止め板180の高さは、便器100の高さよりも高い。
【0034】
一実施例において、便器100の頂部側には、外に向いて踏み板が延設され、使用者がしゃがみ込みやすい。また、踏み板には滑り止め溝が設けられ、使用者が滑って転倒し怪我をするのを防止する。また、滑り止め溝は、使用者が便器を使用するとき、滑り止め溝に両足を乗せるよう誘導する位置表示としても機能する。
【0035】
なお、滑り止め溝としては、使用者の足と踏み板との間の摩擦力を高め、トイレの安全性を向上させる滑り止め突出部を設けてもよい。
【0036】
本出願はまた、上記のような小便器を含む洋式便器を提供し、便器100の第1の端部に尿止め端が設けられ、第2の端部に開口溝170が設けられ、開口溝170は便器100の内外両側に貫通する。便器100には、便器100の第1の端部に尿止め端が設置されたかにかかわらず、尿を遮断するために、対向して設置された尿止め端と開口溝170が設けられること、便器100の第2の端部には開口溝170が設けられ、開口溝170は、吐水孔121に隣接する突出部130の第2の端部に接続され、突出部130の便器100内への固定装着を実現することが理解される。開口溝170には、便器100の長手方向に沿って便器100の第2の端部の側壁を貫通する開口部が設けられる。便器100は、大便を入れる状態にならないように構成される。突出部130は、便器100の開口溝に位置するため、使用者の肛門と便器100の底壁との間の距離を効果的に減らし、使用者が無理に大便をしようとすると、大便が使用者の臀部に接触したり、洗浄が困難になったりすることで、大便ができないトイレ環境になるか、使用者の衣服や体をこびりつかせて汚す。つまり、使用者は便器100の大便機能がないことを確認したら、小便だけをする。また、尿は、便器100の開口溝から尿止め端に向いて排尿するため、突出部130や開口溝が便器100の小便機能に影響を与えることがなく、女性小便専用を実現し、全体的なトイレ効率が向上し、公衆トイレの小便待ち時間を短縮させる。
【0037】
本実施例において、開口溝170の幅、すなわち便器100の幅方向のサイズは4cm~14cmとする。
【0038】
本出願に係る洋式便器によれば、便器100の頂部側には、便座160が設けられ、開口溝170に対応する便座160の一端には、開口溝170に対応する開口部が設けられる。なお、便座160は、便器100の頂部側に位置するため、使用者が座った状態で便器を利用できることが理解される。便座160の一端には開口部が設けられ、便座160の他端は便器100の頂部側にヒンジ接続される。便座160の開口部は、便器100の開口溝と上下に対応して設けられる。便座160の輪郭は便器100の頂部側の輪郭に適合し、使用者が便座を利用するときの安定性及び快適性を保証する。
【0039】
本出願に係る洋式便器によれば、便座160には位置制限突出部が設けられ、位置制限突出部は、便座160の開口部に対向して設置される。なお、便座160の前端上側には、位置制限突出部が設けられるため、使用者が突出部130を回避するよう臀部を前に移動することを防止する。つまり、使用者の臀部の移動位置を制限することにより、便器100の専用性を高め、使用者が突出部130を回避するよう臀部を移動することを防止することが理解される。
【0040】
なお、位置制限突出部としては、円弧状突出部を設置してもよい。円弧状突出部の輪郭が使用者の脚部に適合し、使用者の快適感を高める。また、板状構造であり、便座160の前端に設けられ、両側には使用者の脚部に適合する円弧状の輪郭がそれぞれ設けられる位置制限板を使用してもよい。
【0041】
本出願に係る洋式便器によれば、開口溝170の底部は突出部130の第2の端部と同一平面である。なお、開口溝170と突出部130とをスムーズに連通させることで、使用者に、大便をすると洗浄しにくいような視覚的な圧力を与える。また、洗浄水で突出部130をスムーズに洗浄することを保証する。
【0042】
本出願の実施例に係る小便器に基づき、あるサービスエリアの女子トイレ(6つの便器を設置する)で休日期間の利用を統計してみる。仮に同時に60人(大便をする人は12人、小便をする人は48人)がトイレを利用し、大便の時間は5分、小便の時間は1分とする。大小便を区別せず、各便器に10人(うち2人が大便をし、8人が小便をする)が行列する場合、全員がトイレにかかる時間は18分である。ある便器で行列し、列の中で大便をする人数が1人増える(3人が大便をし、7人が小便をする)場合、全員がトイレにかかる時間は22分である。これは小便だけをする人が18分またはそれ以上待つを意味する。2つの大便器、4つの小便器のように、大小便を区別し、4つの小便器に48人が並び、12分間で48人が小便を済ませる。12分後、大小便を区別した場合、並んだ人数は7.2人、区別しない場合、並んだ人数は16.7人である。したがって、大小便を区別して、小便だけをする人は、少なくとも6分間の列に並ぶ時間を減し、トイレ利用効率が33.3%向上する。大小便を区別することで、列に並ぶ総人数を減らし、全体的なトイレ利用効率を高める。
【0043】
また説明すべきことは、従来技術の記載によると、例えば1989年12月、西安の陝西科学技術出版社が出版・発行し、張東銘氏が編著した「肛門外科の解剖生理学」第一章第三節に、「女性の膣前庭後端から肛門までの距離が2~3cmである」狭義の会陰を明確に記載していること、また、例えば、出願番号CN202110752841.8の特許では、全自動膣はさみが開示され、明細書の[0002]段落に会陰とは膣から肛門までの長さ約2ないし3の軟部組織を指すことを明確に記載していること、また、例えば、出願番号CN202022084765.1の実用新案特許では、遮蔽板構造を有するビデが開示され、明細書の[0028]段落に、2つの位置制限孔131間の距離が2cm~4cm(膣口と肛門との距離)であることを明確に記載していることである。
【0044】
つまり、女性の膣口(尿道口と同じ)と肛門の間の距離は相対的に一定である。説明を容易にするために、使用者が小便をする場合、向いている側を便器100の第1の端部とし、反対側を便器100の第2の端部とする。使用者が正常にトイレを利用するとき、便器100の長さは固定され、便器100の第1の端部は使用者の陰部への間接的な位置制限の役割を果たすと同時に、女性の陰部と肛門との間の距離は相対的に固定されるため、使用者の陰部位置から第1の端部までの距離もほぼ固定されていることを当業者は容易に理解する。この位置を考慮して突出部130の位置及び大きさを設定することにより、スタイル(身長、太っている人や痩せている人を含む)の異なる女性用のしゃがみタイプ又は座るタイプのトイレを実現し、突出部130を女性の肛門に適合させ、スタイルの異なる女性に適する。
【0045】
本出願に係る小便器、和式便器及び洋式便器は、便器と、汚物排出口と、給水口と、吐水孔とを含み、便器には汚物排出口に隣接する第1の端部と汚物排出口から離れた第2の端部とが設けられ、汚物排出口を前記便器の底部に設け、吐水孔を給水口に連通させ、便器内には突出部が設けられ、突出部は使用者の肛門に対向し、突出部の一端は前記便器の底部まで延設し、前記吐水孔は突出部を洗浄するために用いられ、突出部を設けることにより、女性がトイレを利用するときの習慣に合わせたうえで、大便回避機能を実現し、使用者が大便をすることを防止し、よって女性小便専用の目的を果たす。本出願に係る小便器を使用すると、女性用公衆トイレを大便エリアと小便エリアとに設定でき、全体的なトイレ利用効率を向上させ、行列に並ぶ人数と待ち時間を短縮させることができる。
【0046】
最後に説明すべきこととして、上記の実施例は本出願の技術解決策を説明するものに過ぎず、それを制限するものではない。前述した実施例を参照して本出願について詳細な説明を行ったが、当業者は依然として前述した各実施例に記載された技術解決策を修正したり、その一部の技術的特徴を均等に置き換えたりすることが理解される。また、これらの修正又は置換は、その技術解決策の本質を本出願の各実施例の技術解決策の精神や範囲から逸脱させるものではない。
【符号の説明】
【0047】
100 便器;110 汚物排出口;120 給水口;121 吐水孔;130 突出部;131 尿誘導部;132 第1の回避領域;140 第2の回避領域;160 便座;170 開口溝;180 尿止め板。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】