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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】飲料調製装置および飲料自動販売機
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/40 20060101AFI20240124BHJP
   G07F 13/06 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
A47J31/40 107
G07F13/06 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544116
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 EP2022051322
(87)【国際公開番号】W WO2022157296
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】102021101271.6
(32)【優先日】2021-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510098962
【氏名又は名称】メリッタ プロフェッショナル コーヒー ソリューションズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Melitta Professional Coffee Solutions GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Zechenstrasse 60, D-32429 Minden, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク リンネ
(72)【発明者】
【氏名】デニス ティーレマン
(72)【発明者】
【氏名】ベアント ブーフホルツ
【テーマコード(参考)】
3E047
4B104
【Fターム(参考)】
3E047AA01
3E047AA02
3E047BA01
3E047BA02
4B104AA20
4B104BA05
4B104BA10
4B104BA11
4B104BA15
4B104BA18
4B104BA20
4B104BA21
4B104BA60
4B104BA63
4B104DA05
4B104EA17
4B104EA18
4B104EA20
(57)【要約】
インスタント飲料を調製する飲料調製装置(1)であって、搬送装置(3)と、混合室(10’)と、少なくとも1つのポンプ(23)と、少なくとも1つの熱交換器(24)と、少なくとも1つの弁(25)と、制御装置(28)とを備えており、混合室(10’)は、混合室(10’)内に液状の媒体の噴流(29,31)をそれぞれ注入する少なくとも2つの注入接続部(20,21)を有しており、少なくとも2つの注入接続部(20,21)は、混合室(10’)の室軸線(10a)の方向に互いに間隔をあけて配置されており、混合室(10’)は、連続して配置された複数の室部分(12,13,14,15,16,120,130)を有しており、これらの室部分(12,13,14,15,16,120,130)の内径(内のりの直径)は、混合室(10’)の室入口(11)を起点として混合室(10’)の室出口(17)に至るまで減少している。連続して配置された室部分(12,13,14,15,16,120,130)は全て、円錐形の内面を備えて形成されており、混合室(10’)は、連続して配置された第1の室(100)と第2の室(110)とを備えた、ミキサホイール/混合ホイール無しの非対称の構造を有しており、第1の室(100)の室軸線(10a)と、第2の室(110)の室軸線(10b)とは、互いに所定のずれ(10c)だけずらされており、ひいては互いに偏心的に配置されている。飲料自動販売機を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インスタント飲料を調製する飲料調製装置(1)であって、
搬送装置(3)と、
混合室(10’)と、
少なくとも1つのポンプ(23)と、
少なくとも1つの熱交換器(24)と、
少なくとも1つの弁(25)と、
制御装置(28)と
を備えており、
前記混合室(10’)は、該混合室(10’)内に液状の媒体の噴流(29,31)をそれぞれ注入する少なくとも2つの注入接続部(20,21)を有しており、該少なくとも2つの注入接続部(20,21)は、前記混合室(10’)の室軸線(10a)の方向に互いに間隔をあけて配置されており、
前記混合室(10’)は、連続して配置された複数の室部分(12,13,14,15,16,120,130)を有しており、これらの室部分(12,13,14,15,16,120,130)の内径(内のりの直径)は、前記混合室(10’)の室入口(11)を起点として前記混合室(10’)の室出口(17)に至るまで減少している、飲料調製装置(1)において、
連続して配置された前記室部分(12,13,14,15,16,120,130)は全て、円錐形の内面を備えて形成されており、前記混合室(10’)は、連続して配置された第1の室(100)と第2の室(110)とを備えた、ミキサホイール/混合ホイール無しの非対称の構造を有しており、前記第1の室(100)の室軸線(10a)と、前記第2の室(110)の室軸線(10b)とは、互いに所定のずれ(10c)だけずらされており、ひいては互いに偏心的に配置されていることを特徴とする、
飲料調製装置(1)。
【請求項2】
前記混合室(10’)の前記第1の室(100)は、内面(34b)を備えた底部(34a)を有する平面部分(34)を備えて形成されており、前記底部(34a)は、水平線に対して周方向に延びる角度αでもって前記第2の室(110)の前記室軸線(10b)に対してやや内側に向かって傾斜して配置されており、前記角度αは、5°~10°、好適には7°~8°の範囲内の値を有している、請求項1記載の飲料調製装置(1)。
【請求項3】
前記混合室(10’)は、金属材料、プラスチック、または金属材料とプラスチックとの組合せから製造されていると共に、シール無しで形成されている、請求項1または2記載の飲料調製装置(1)。
【請求項4】
前記少なくとも2つの注入接続部(20,21)の第1の注入接続部(20)は、前記混合室(10’)の第1の前記室部分(12,120)に開口する貫通開口を有しており、前記少なくとも2つの注入接続部(20,21)の第2の注入接続部(21)は、前記混合室(10’)の第3の前記室部分(14)に開口する貫通開口を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の飲料調製装置(1)。
【請求項5】
前記第2の注入接続部(21)の前記貫通開口は、前記第1の注入接続部(20)の前記貫通開口の内径よりも小さな内径を有している、請求項4記載の飲料調製装置(1)。
【請求項6】
前記第1の注入接続部(20)と前記第2の注入接続部(21)とに、1つの共通の弁(25)を介して、またはそれぞれ別個の弁(25a,25b)を介して互いに独立して、1つの媒体または複数の異なる媒体を同時にまたは時間的にずらして、予め調整してまたは調整可能に供給することができる、請求項4または5記載の飲料調製装置(1)。
【請求項7】
前記第1の注入接続部(20)と前記第2の注入接続部(21)とに、それぞれ別個の弁(25a,25b)を介して互いに独立して、1つの媒体または複数の異なる媒体を同時にまたは時間的にずらして、予め調整してまたは調整可能に供給することができる、請求項4から6までのいずれか1項記載の飲料調製装置(1)。
【請求項8】
前記混合室(10’)は、直立して配置されていて、鉛直方向下向きの室出口(17)を有している、請求項1から7までのいずれか1項記載の飲料調製装置(1)。
【請求項9】
前記室出口(17)は、曲げられた流出導管(170)に接続されている、請求項8記載の飲料調製装置(1)。
【請求項10】
前記室出口(17)は、少なくとも1つの弁(181)を有する弁ユニット(180)に接続されている、請求項8または9記載の飲料調製装置(1)。
【請求項11】
前記弁ユニット(180)は、少なくとも2つの弁(181,182)を有しており、該少なくとも2つの弁(181,182)のうちの少なくとも1つの弁(181)は洗浄弁であり、その出口(181a)は使用水導出系内へ案内され、前記少なくとも2つの弁(181,182)のうちの少なくとも1つの弁(182)は飲料弁であり、その出口(182a)は、前記混合室(10’)内で調製された飲料(18)を導出する、請求項8または9記載の飲料調製装置(1)。
【請求項12】
前記混合室(10’)は、当該飲料調製装置(1)内に挿入可能であり、かつ当該飲料調製装置(1)から再び取り出すことができるようになっており、保持部における前記混合室(10’)の正しい着座が、リミットスイッチまたは/およびリードコンタクトにより検出されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の飲料調製装置(1)。
【請求項13】
前記混合室(10’)において前記室(100,110)の内部空間内に、少なくとも1つの流れガイド部材が配置されている、請求項1から12までのいずれか1項記載の飲料調製装置(1)。
【請求項14】
前記混合室(10,10’)は、前記室(100)の前記内部空間内に取り付けられた少なくとも1つの変向壁(38)を有しており、該変向壁(38)は、注入された前記媒体の前記噴流(29,31)の搬送流(30,30a,30b)の進行部に配置されている、請求項13記載の飲料調製装置(1)。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項記載の少なくとも1つの飲料調製装置(1)を有している、飲料自動販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の飲料調製装置に関する。本発明は、請求項15の上位概念に記載の飲料自動販売機にも関する。
【0002】
このような飲料調製装置は、いわゆるインスタント粉末もしくは飲料粉末を、様々な温度を有する液状媒体、主に水に溶かすことにより飲料を調製するために用いられる。インスタント粉末は、例えばミルク粉末、ココア粉末、チョコレート粉末、コーヒー粉末、ティー粉末等である。
【0003】
欧州特許第1859715号明細書には、熱湯にインスタント粉末、特にミルク粉末を自動的に溶かし、特に発泡させる装置が例示されている。
【0004】
図1には、従来技術に基づく飲料調製装置1’の1つの実施例の概略図が示されている。
【0005】
飲料調製装置1’は、混合室2と、搬送装置3と、ミキサホイール5を備えたミキサ室4と、ミキサ駆動装置6とを有している。混合室2は、中空円筒形の室部分2aを有しており、室部分2aは、その上側では吸込みフード2bにより覆われておりかつその下側では円錐形の底部を介して管部分2cに移行している。管部分2cは、その自由端部において直角に折り曲げられていて、ミキサ室4に接続されている。ミキサ室4内には、ミキサホイール5がミキサ駆動装置6の軸に、このミキサ駆動装置6により回転可能に駆動されるように配置されている。ミキサ室4は、ミキサ駆動装置6に取り付けられたホルダ7に被せられている。ホルダ7は、鉢状にミキサ室4内に挿入されている。ホルダ7の底壁は、軸用の軸受および軸受シール8を有している。別のハウジングシール8aが、ホルダ7の縁部を、ミキサ室4の環状の壁に対して封止している。
【0006】
飲料調製装置1’の運転に際して、インスタント粉末IPが、搬送部材3a、例えばスクリューコンベヤを備えた搬送装置3により、貯蔵容器3bからシュート3cを介して、吸込みフード2bの開口を通じて混合室2の室部分2a内へ搬送される。これにより、インスタント粉末IPは、上方から室部分2a内へ落下し、注入された水と混合される。室部分2a内への注水は、室壁を貫通して室部分2aに開口している側方の供給部2dを介して行われる。注入された水と、供給されたインスタント粉末IPとは、管部分2cを通ってミキサ室4内へ運ばれる。ミキサ室4内では、ミキサ駆動装置6により回動させられるミキサホイール5により、ミキサ室4に開口する管部分2cの下側領域において強力な混合が行われる。このとき、インスタント粉末IPは、注入された水に溶ける。このようにして混合された製品が、ミキサ室4に接続された出口9を介して供給される。吸込みフード2bにより、発生する水蒸気が吸い込まれる。
【0007】
飲料調製装置の操作、洗浄および保守における快適性が常に高まる中で、現行の構成の改良が求められている。
【0008】
したがって本発明の課題は、構成部材、取付けおよび保守にかかるコストが大幅に下げられるかまたは少なくとも維持される、改良された飲料調製装置を提供することにある。
【0009】
本発明はこの課題を、請求項1に記載の特徴を有する飲料調製装置および請求項15に記載の飲料自動販売機により解決する。
【0010】
本発明の思想は、インスタント粉末を媒体に溶かすために、液状の媒体、例えば水の2つの注入部を備えた混合室を設けることにある。
【0011】
搬送装置と、混合室と、少なくとも1つのポンプと、少なくとも1つの熱交換器と、少なくとも1つの弁と、制御装置とを備えた、本発明による、インスタント飲料を調製する飲料調製装置は、混合室が、混合室内に液状の媒体の噴流をそれぞれ注入する少なくとも2つの注入接続部を有しており、少なくとも2つの注入接続部は、混合室の室軸線の方向に互いに間隔をあけて配置されている、という点において優れている。
【0012】
特別な利点は、インスタント粉末の、媒体との混合および媒体中での溶解が、液状の媒体の2つの噴流の注入によってのみ行われる点にある。インスタント粉末は、2つの液状の媒体(主として冷水または温水)と、注入により生じる、媒体中の機械的な力とにより溶かされる。
【0013】
特に好適な構成では、混合室は、ミキサホイール/混合ホイール無しの構造を有している、ということが想定されている。例えば付属の駆動モータを備えたミキサホイール等の追加的な構成部材は、有利には不要である。駆動モータが不要であるため、別の利点が生じる。
【0014】
飲料自動販売機は、少なくとも1つのこのような飲料調製装置を有している。飲料自動販売機は、例えばコーヒーマシン、独立型コーヒーマシン、全自動コーヒーマシン等であってもよい。
【0015】
混合室を用いてインスタント飲料を調製する本発明による方法は、少なくとも2つの注入接続部を備えた混合室を有する飲料調製装置を準備する方法ステップ(S1)と、第1の注入接続部に第1の液状の媒体を供給し、第1の媒体を第1の噴流で混合室の第1の室部分内に注入する方法ステップ(S2)と、インスタント粉末を混合室の第1の室部分内に導入し、導入したインスタント粉末を第1の注入接続部により注入された第1の媒体と予混合し、この予混合物を、さらに混合室内で下方に向かって第2の室部分を通り第3の室部分内へ運ぶ方法ステップ(S3)と、第2の注入接続部に第2の液状の媒体を供給し、第2の媒体を第2の噴流で混合室の第3の室部分内へ注入して渦を形成し、これにより、インスタント粉末を第1および第2の媒体と完全に混合して媒体中に溶かし、インスタント飲料を調製する方法ステップ(S4)とを含む。
【0016】
第1の注入接続部により、有利には簡単に、液状の媒体が第1の室部分内へ注入される。これにより、内壁の有利な周方向洗浄がもたらされ、インスタント粉末が吸収される。これにより、粉末は、室の下部領域へ引き続き運ばれる。そこでは第2の注入接続部を介して、別の液状の媒体が第3の室部分内へ流入する。このことは、有利には渦の形成をもたらす。渦内では、媒体とインスタント粉末との最終的な混合が行われ、このとき、インスタント粉末は媒体中に完全に溶ける。次いで、完成した製品は、重力により出口まで運ばれる。
【0017】
本発明の有利な改良は、従属請求項に記載されている。
【0018】
特に好適な構成では、混合室は、連続して配置された複数の室部分を有しており、これらの室部分の内径(内のりの直径)は、混合室の室入口を起点として混合室の室出口に至るまで減少している。直径の減少により、通流する混合物の流速の有利な上昇を達成することができる。
【0019】
連続して配置された室部分が、円筒形の内面と円錐形の内面とを交互に備えて形成されていると有利である。
【0020】
特に好適な構成では、連続して配置された室部分は全て、円錐形の内面を備えて形成されている。
【0021】
有利には、混合室は、一体の中空体として、室軸線を中心として回転対称に形成されている。それというのも、これは簡単に製造することができ、各室部分の間に追加的なシールは必要ないからである。混合室は、摩耗部材が存在しないため、シール無しと言うこともできる。
【0022】
特に好適な構成では、混合室は、連続して配置された第1の室と第2の室とを備えた非対称の構造を有しており、この場合、第1の室の室軸線と、第2の室の室軸線とは、互いに所定のずれだけずらされており、ひいては互いに偏心的に配置されている。このことは、注入部が作動していないときにインスタント粉末が室を通って直接室出口内に流入し、そこに付着した場合に、室がそれほど急速にはふさがらない、という利点を生ぜしめる。
【0023】
この場合、混合室の第1の室は、内面を備えた底部を有する平面部分を備えて形成されており、この場合、底部は、水平線に対して周方向に延びる角度αでもって第2の室の室軸線に対してやや内側に向かって傾斜して配置されており、角度αは、5°~10°の範囲内、好適には7.5°の値を有している。このことは、室入口を介して上側の室内に充填されたインスタント粉末がまず平面部分の底部の内面上に落下するため、有利である。
【0024】
混合室は、金属材料、プラスチック、または金属材料とプラスチックとの組合せから製造されていると共に、シール無しで形成されていてもよい。このことは、有利には射出ダイカスト法で行うことができる。さらに、プラスチックは重量を節約する。
【0025】
別の構成では、少なくとも2つの注入接続部の第1の注入接続部は、混合室の第1の室部分に開口する貫通開口を有しており、少なくとも2つの注入接続部の第2の注入接続部は、混合室の第3の室部分に開口する貫通開口を有している。貫通開口の形状により、注入される媒体の噴流の有利な適合が達成可能である。
【0026】
第2の注入接続部の貫通開口の、注入される噴流の流速の有利な上昇は、第2の注入接続部の貫通開口が、第1の注入接続部の貫通開口の内径よりも小さな内径を有していることにより達成され得る。これにより、渦形成に有利な影響を及ぼすことができる。
【0027】
1つのさらに別の構成では、第1の注入接続部と第2の注入接続部とに、1つの共通の弁を介して、またはそれぞれ別個の弁を介して互いに独立して、1つの媒体または複数の異なる媒体を同時にまたは時間的にずらして、予め調整してまたは調整可能に供給することができる、ということが想定されている。この場合の利点は、注入が接続・遮断可能であり、ひいては調量され得る、という点にある。
【0028】
さらに、第1の注入接続部と第2の注入接続部とに、それぞれ別個の弁を介して互いに独立して、1つの媒体または複数の異なる媒体を同時にまたは時間的にずらして、予め調整してまたは調整可能に供給することができると、有利である。このようにして、例えば3つの異なる媒体(インスタント粉末、水および例えばミルクまたはその他の味覚添加物)を混合室内で互いに混合して溶かすことができる。
【0029】
1つの構成は、混合室は直立して配置されていて、鉛直方向下向きの室出口を有している、ということを想定している。このことは、これにより液体が重力により移動させられるため、有利である。
【0030】
1つの別の構成では、室出口は、曲げられた流出導管に接続されている。これにより、使用範囲を有利に拡張することができる。この場合、流出導管が室出口の軸線を中心として回転可能であると、特に有利であり得る。
【0031】
1つのさらに別の構成は、室出口が、少なくとも1つの弁を有する弁ユニットに接続されていることを想定している。これにより、有利に制御された飲料の流出を可能にすることができる。
【0032】
弁ユニットは、1つの別の構成では、少なくとも2つの弁を有していてもよく、少なくとも2つの弁のうちの少なくとも1つの弁は洗浄弁であり、その出口は使用水導出系内へ案内され、少なくとも2つの弁のうちの少なくとも1つの弁は飲料弁であり、その出口は、混合室内で調製された飲料を導出する。このようにして有利には、ユーザが劣悪に混合された飲料または浄水をその飲料容器内に受け取ることは決してない、ということが可能である。同じく混合室も、製品購入の直後に軽い洗浄のために洗い流されてもよい。次いでこの洗い流しも、開かれた第1の弁を介して直接出口へ案内される。混合室が洗浄剤により洗浄される場合、洗浄剤も、開放された第1の弁を介して直接出口に案内され得、飲料出口もしくは第2の弁を通って導出されずに済む。
【0033】
弁ユニットは、例えば3ポート2位置方向切換弁として形成されていてもよい。このような弁は、市場で廉価に高品質で入手可能である。
【0034】
1つの別の構成では、混合室は、飲料調製装置内に挿入可能であり、かつ飲料調製装置から再び取り出すことができるようになっており、この場合、保持部における混合室の正しい着座が、リミットスイッチまたは/およびリードコンタクトにより検出されている。この場合、複数の利点が得られる。これにより、保持部への混合室の簡単な被せ嵌めが可能であるため、取付け/取外しが簡単である。混合室が取っ手を有していると、有利には混合室の簡単な取扱いが可能になる。
【0035】
1つの構成では、混合室において室の内部空間内に、少なくとも1つの流れガイド部材が配置されている。これにより、有利には簡単に、注入された媒体および渦の流れ方向に影響を及ぼすことができる。このような流れガイド部材は、縁部、壁等であってもよい。
【0036】
1つのさらに別の構成は、混合室は、室の内部空間内に取り付けられた少なくとも1つの変向壁を有しており、変向壁は、注入された媒体の噴流の搬送流の進行部に配置されている、ということを想定している。このようにして、搬送流を有利には特定の目標領域に変向させることができ、この目標領域は、充填されるインスタント粉末の目標領域であり、ひいては改良された混合および溶解を可能にすることができる。
【0037】
1つの別の構成(ただしこの構成は本発明に含まれない)では、混合室内に、流れにより駆動される少なくとも1つの羽根車装置が配置されている。このようにして、注入された媒体中でのインスタント粉末の混合および溶解を強化することができる。別の利点は、羽根車装置用の追加的な駆動装置が必要とされることはない、という点にある。
【0038】
さらに、少なくとも1つの羽根車装置が、ピボット軸受に支持されていて、歯、縁部、翼または/およびブレードとして形成された複数の突出部を有する少なくとも1つの羽根車を有していると有利である。それというのも、このようにして、歯、縁部、翼または/およびブレードとして形成された突出部が、充填されて渦中に位置する、完全には溶けていないインスタント粉末IPを破砕し、これにより、インスタント粉末IPが完全に溶けるようにする、ということが容易に可能になるからである。
【0039】
方法の1つの構成では、第1および/または第2の媒体を、少なくとも1つの供給源からポンプにより圧送し、熱交換器により温めるか、加熱するか、または冷却する。これにより、有利には、多くの異なるインスタント飲料を調製することができる。
【0040】
方法の1つの別の構成は、第2の室部分の円錐形の構成により、第2の室部分において、予混合されたインスタント粉末を含む第1の媒体の流速を高め、第4の室部分の円錐形の構成により、第4の室部分において、通流するインスタント飲料の流速を高める、ということを想定している。これらは簡単な手段であるが、媒体および媒体中に溶かされたインスタント粉末の流れ挙動にとって有利である。
【0041】
方法の1つのさらに別の有利な構成は、混合室を洗浄タブレットにより毎日洗浄し、混合室を、規定可能な作動時間の経過後に飲料調製装置から取り出し、洗い流し機内で浄化することにより得られる。このようにして、洗浄が従来技術に比べて大幅に簡単にされている。洗浄は、洗浄タブレットを用いて極めて簡単に行うことができる。これにより、いわゆる定置洗浄(CIP)機能が実現可能である。このようにして、混合室の幾何学形状に基づき、洗浄を毎日行うことができる。特定の期間で、例えば7日間で、混合室をその保持部から簡単に取り外して、例えば洗い流し機内で浄化することができる。
【0042】
方法の1つのさらに別の構成では、室出口に接続された、少なくとも1つの弁を備えた弁ユニットを、洗浄過程に際して洗浄液が、弁が閉じられた状態で混合室の上縁部までためられて作用し、作用後に弁の開放により流出するように制御する、ということが想定されている。これにより、簡単で効果的な洗浄が可能になる。
【0043】
1つのさらに別の構成は、室出口に接続された、少なくとも2つの弁を備えた弁ユニットを、調製されたインスタント飲料の最初のml単位の体積が、まず洗浄弁として開放された第1の弁を介して直接出口に案内され、次いで第1の弁が閉じられ、飲料用の第2の弁が開かれるように制御する、ということを想定している。これにより有利には、ユーザが誤ってまたは劣悪に調製された飲料を受け取ることはない、ということを可能にすることができる。
【0044】
調製される飲料のさらなる有利な品質のために、第2の弁は、飲料の供給が終了する直前に再び閉じられ、次いで第1の弁が開かれて、飲料の最後のml単位の体積が出口へ案内される。
【0045】
方法の1つの別の構成(ただしこの構成は本発明に含まれない)では、混合室内に配置された、流れにより駆動される少なくとも1つの羽根車装置が、羽根車を備えており、羽根車は、歯、縁部、翼または/およびブレードとして形成された複数の突出部を有していて、インスタント粉末と注入された媒体との混合を強化する、ということが想定されている。これにより、有利には生じ得るインスタント粉末の塊を破砕して溶かすことができる。加えてさらに、水を追加的に室から圧送することができる。
【0046】
方法に記載の飲料調製装置は、上述した飲料調製装置であってもよい。
【0047】
本発明は、さらに別の利点をもたらす。
【0048】
-混合器モータまたはミキサモータが不要である、
-混合および溶解は、液状の媒体の2つの噴流によってのみ行われる、
-室部分は、室入口から室出口までの延在部に、減少する内径を有している、
-インスタント粉末と媒体との主混合、ならびに媒体中でのインスタント粉末の溶解は、下側の室部分において渦内で行われる、
-媒体の注入は、対応する室部分の各内壁に対して完全に接線方向ではない、
-カバー壁は不要である、
-媒体供給管路内に空気ノズルは不要である。
【0049】
以下に、本発明を実施例に基づき図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】従来技術に基づく飲料調製装置の概略図である。
図2】本発明による飲料調製装置の1つの実施例を示す概略図である。
図3】本発明による飲料調製装置の1つの実施例を示す概略図である。
図4】混合室を示す概略図である。
図5】混合室を示す概略図である。
図6図4図5に示した混合室の概略断面図である。
図7図4図6に示した混合室の概略側面図である。
図8図7に示した混合室のVIII-VIII線に沿った概略断面図である。
図9図7に示した混合室のIX-IX線に沿った概略断面図である。
図10図4図6に示した混合室の概略側面図である。
図11図10に示した混合室のXI-XI線に沿った概略断面図である。
図12図10に示したXII-XII線に沿った概略断面図である。
図13】別の混合室を示す概略図である。
図14】別の混合室を示す概略図である。
図15】別の混合室を示す概略図である。
図16】別の混合室を示す概略図である。
図17】別の混合室を示す概略図である。
図17a】別の混合室を示す概略図である。
図18】室出口の変化形を示す概略図である。
図19】室出口の変化形を示す概略図である。
図20】吸込みフードを示す概略図である。
図21】吸込みフードを示す概略図である。
図22】吸込みフードを示す概略図である。
図23】吸込みフードを示す概略図である。
図24】吸込みフードを示す概略図である。
図25】混合室に設けられた、図20図24に示した吸込みフードを示す概略図である。
図26】混合室に設けられた、図20図24に示した吸込みフードを示す概略図である。
図27】混合室に設けられた、図20図24に示した吸込みフードを示す概略図である。
図28】羽根車装置を備えた混合室を示す概略図である。
図29】羽根車装置を備えた混合室を示す概略図である。
図30】羽根車装置を備えた混合室を示す概略図である。
図31】本発明による方法の概略的なフローチャートである。
図32】本発明による飲料調製装置の1つの変化形を示す概略図である。
図33】本発明による飲料調製装置の1つの変化形を示す概略図である。
図34】本発明による飲料調製装置の1つの変化形を示す概略図である。
【0051】
図1については、既に上述した。
【0052】
図2には、本発明による飲料調製装置1の1つの実施例の概略図が示されている。図3には、図2に示した実施例の1つの変化形が示されている。
【0053】
破線で示したボックスは、飲料調製装置1を含む飲料自動販売機のハウジングのフレームRを象徴している。フレームRは、いわゆる独立型の飲料機械のハウジングであってもよい。
【0054】
飲料調製装置1は、搬送装置3と、混合室10と、ポンプ23と、熱交換器24と、弁25と、制御装置28とを有している。
【0055】
搬送装置3については、既に図1に関連して説明した。ここに示す構成では、搬送部材3aが水平に配置されていて、駆動装置3d、例えば電動モータにより回転可能に駆動される。
【0056】
混合室10は、一体の中空体として、室軸線10aを中心として回転対称に形成されていて、例えばプラスチックから射出成形部材として製造されている。混合室10は、ここでは鉛直に配置されている。混合室10は、2つの注入接続部20,21を有しており、これらの注入接続部20,21は、室軸線10aの方向に互いに間隔をあけて配置されている。
【0057】
混合室10は、室軸線10aの方向において、室入口11を有する混合室10の上端部から出発して室出口17を有する下端部まで連続して位置する5つの室部分12~16を有している。この場合、これらの室部分12~16の内径(内のりの直径)は減少している。これらの5つの室部分12~16は、円筒形の内面と円錐形の内面とを交互に備えて連続して配置されている。換言すると、中空円筒と中空円錐台とが交互になっている。
【0058】
混合室10の、図示しないが容易に想像可能な1つの変化形では、全ての室部分12~16が円錐形に形成されている。
【0059】
混合室10の内部にはデッドスペースが存在していない。
【0060】
第1の室部分12は、ここでは円形の横断面を有する中空円筒である。室入口11を起点として、第1の室部分12の上側の最初のほぼ1/3のところに、この例では接続軸線20aを有する第1の注入接続部20が取り付けられており、注入接続部20の貫通開口は、第1の室部分12に開口している。これについては、以下でさらに詳しく説明する。ここでは、接続軸線20aは、室軸線10aに対して直角に延びている。
【0061】
第1の室部分12には、円錐形状を有する第2の室部分13が続いており、この円錐形状は、下方に向かって先細になってから第3の室部分14に移行している。
【0062】
第3の室部分14は、第1の室部分12と同様に円形の横断面を有する中空円筒として形成されており、この場合、第3の室部分14の直径は、第1の室部分12の直径よりも小さくなっている。第3の室部分14の中間領域には、ここでは室軸線10aに対して直角に延びる接続軸線21aを有する第2の注入接続部21が設けられている。この第2の注入接続部21も貫通開口を有しており、この貫通開口は、第3の室部分14に開口している。
【0063】
第3の室部分14の下端部は、第4の円錐形の室部分15に結合されており、第4の室部分15は、下方に向かって先細になっていて、円形の横断面を有する第5の中空円筒形の室部分16に続いている。第5の室部分16の直径は、第3の室部分14の直径よりも小さく、また第1の室部分12の直径よりも小さくなっている。
【0064】
第5の室部分16の下端部は、混合室10の最小直径を有する室出口17を形成している。室出口17は、ここでも室軸線10aに対して同心的であり、ひいては第5の室部分16と同様に鉛直に位置している。この室出口17を介して、混合室10内で調製された飲料18が、完成した製品として直接に、または例えば別の出口を介して、引き続き以下でさらに説明するように、飲料18用に設けられた捕集容器19内へ流出する。飲料18の調製については、以下で引き続きさらに詳しく説明する。
【0065】
注入接続部20,21は、供給源22から媒体、この例では水を注入するために用いられる。供給源22は、例えば家庭用水ネットワーク、家庭専用の給水装置、タンク等であってもよい。供給源22は、供給管路22aを介して飲料調製装置1のポンプ23に接続されている。この供給管路22a内には、遮断装置(図示せず)、例えば手動でまたは/かつ電磁的に変位可能な弁が挿入されていてもよい。
【0066】
ポンプ23は、ポンプ導管23aを介して熱交換器24に接続されている。熱交換器24は、ヒータまたは/およびクーラを有している。熱交換器24は、管路24aを介して弁25に接続されている。弁25は、ここでは電磁弁である。弁25の出口は、図2に示す実施例では第1の注入接続部20に通じる第1の供給管路26と、第2の注入接続部21に通じる第2の供給管路27とに分岐している。
【0067】
図3に示す変化形では、各注入接続部20,21に対応して、専用の弁25a,25bが配置されている。この場合、熱交換器24から到来する管路24aが、第1の管路24bと第2の管路24cとに分岐している。第1の管路24bは、第1の弁25aに接続されている。第2の弁25bは、第2の管路24cに接続されている。第1の弁25aは、第1の供給管路26を介して第1の注入接続部20に接続されており、第2の弁25bは、第2の供給管路27により第2の注入接続部21に接続されている。
【0068】
図示しないが容易に想像可能な1つの変化形では、注入接続部20,21にそれぞれ異なる媒体が供給される。つまり、例えば第1の注入接続部20には、既に図3に示したように水を供給することができる。これとは別個に第2の注入接続部21は、第2の設備(供給源22、ポンプ23、熱交換器24、管路)に接続されていてもよく、別の媒体、例えばジュース、味覚物質が供給されていてもよい。このようにして、3つの異なる媒体(インスタント粉末IP、水および例えばミルク)を混合室10内で互いに混合することが可能である。
【0069】
制御装置28は、電気的なコンポーネント、つまり搬送装置3の駆動装置3d、ポンプ23、熱交換器24、弁25,25a,25b、場合により遮断弁および以下でさらに説明する別の電気的なコンポーネントを制御するために用いられる。操作部材および通知部材もしくはディスプレイを備えた操作ユニットは図示しないが、容易に想像可能である。
【0070】
飲料調製装置1の運転に際して、媒体、例えば水は、供給源22からポンプ23の圧力に基づき熱交換器24内へ流入し、熱交換器24は媒体を飲料の種類に応じて加熱または冷却し、そこから1つの弁25(図2)を介して2つの注入接続部20および21内へ流入するか、または第1の弁25aを介して第1の注入接続部20内へ流入しかつ第2の弁25bを介して第2の注入接続部21内へ流入する(図3)。
【0071】
2つの弁25a,25bの場合には、注入接続部20,21のうちの一方のみを使用することが可能であり、この場合、他方の注入接続部は、対応する弁25a,25bを開放もしくは接続しないことにより、未使用のままである。
【0072】
次いで、媒体は第1の注入接続部20を介して混合室10の第1の室部分12内へ注入される。第2の注入接続部21は、別の媒体、ここでも水を、第3の室部分14内へ注入する。搬送装置3の駆動装置3dは、搬送部材3aを回転させ、搬送部材3aは、インスタント粉末IPを貯蔵容器から室入口11を介して混合室10の第1の室部分12内に搬送する。第1の室部分12では、インスタント粉末IPと、第1の注入接続部20から導入された水との予混合が行われる。これについては、以下でさらに詳しく説明する。
【0073】
このようにして予混合されたインスタント粉末IPは、次いで注入された水と共に第1の室部分12から狭まっている第2の室部分13を通って流れ、このとき流速が高まって、第3の室部分14内へ流れ込む。
【0074】
第3の室部分14では、インスタント粉末IPと水とから成る予混合物が、第2の注入接続部21を介したさらなる注水により強力に最終混合され、このときインスタント粉末IPは、媒体に完全に溶ける。これについては、以下でさらに詳しく説明する。
【0075】
最終的に、この完成した混合物、すなわち完成した製品は、引き続き重力により、先細りしている第4の室部分15を通って下方へ流れ、このとき製品の流速がさらに高まって、第5の室部分16内へ流れ込む。次いで、混合されて完成した飲料18は、室出口17からさらに重力により推進されて捕集容器19内に流れ込む。
【0076】
図4には、混合室10の長手方向断面図が示されている。図5には、図4に示した混合室10の側面をV方向に見た図が示されている。
【0077】
混合室10の第1の室部分12には、第1の注入接続部20の注入開口20bが示されている。注入開口20bは、第1の室部分12の壁を貫通して、ここでは室軸線10aに対して直角に延びている。しかしまた、注入接続部20ひいては注入開口20bの接続軸線20aが、室軸線10aに対して90°よりも大きいまたは小さい角度を成していることも可能である。換言すると、第1の注入接続部20を介して導入された水は、次いで上方に向かって室入口11の方向にやや傾斜させられて、または下方に向かって第2の室部分13の方向にややまたはより大きく傾斜させられて、注入されてもよい。このことは、例えば変位可能な注入開口20bまたは/および変位可能なガイド面によっても実現され得る。
【0078】
第2の注入接続部21の注入開口21bは、第3の室部分14の壁を貫いて延びていて、第1の注入接続部20の注入開口20bよりも小さな幅を有している。この注入開口21bも、接続軸線21aでもってここでは室軸線10aに対して直角に配置されている。ここでも、注入接続部21ひいては注入開口21bの接続軸線21aが、室軸線10aに対して90°よりも大きいまたは小さい角度を成していることが可能である。
【0079】
注入接続部20,21の各注入流もしくは注入噴流は、図示の例では各室部分12,14に付属する内壁に、それぞれ側方から衝突するように方向付けられている。
【0080】
第1の注入接続部20の注入開口20bおよび/または第2の注入接続部21の注入開口21bは、注入噴流が、反対側に位置する各室部分12,14の内壁に向けられているように配置されていてもよい。
【0081】
図6には、図4図5に示した混合室10の概略断面図が、混合室10の内部の注入領域および流れの分散の概略図と共に示されている。
【0082】
第1の噴流29は、第1の注入接続部20の注入開口20bからまず、第1の注入接続部20の接続軸線20aの平面の方向で、室軸線10aに対して直角に延び、第1の室部分12の内壁の周りを流れ、かつ第1の室部分12の内壁に沿って室軸線10aを中心として回転するように分散する。
【0083】
第1の室部分12内に供給されたインスタント粉末IPの予混合は、インスタント粉末IPの充填位置および充填形式に左右される。充填位置が室軸線10aと整合するように配置されている場合には、第1の室部分12内での予混合は少ししか行われない。それというのも、注入された媒体は、その搬送流30でもって最初は第1の室部分12の壁領域に留まるからである。第2の円錐形の室部分13において初めて、搬送流30a内での混合が開始される。
【0084】
この充填位置において、充填形式が、インスタント粉末IPが大面積で充填されるように形成されている場合には、予混合は、既により早期に、すなわち第1の室部分12の中央領域において行われる。
【0085】
予混合は、インスタント粉末IPの充填位置が縁部領域または噴流29の直上に配置されている場合には強めることもできる。
【0086】
充填位置および/または充填形式は、手動でまたは/かつ電気式に変位可能に調節することができるように形成されていてもよい、ということが可能である。
【0087】
この場合、室入口11を介して導入されたインスタント粉末IP(図2図3参照)は、注入された水と予混合される。搬送流30,30aが形成され、室軸線10aを中心として回転しながら下方に向かって第2の円錐形の室部分13を通り、第3の室部分14内へ流入し、このとき搬送流30,30aの流速が高められる。
【0088】
第4の室部分15には、第2の注入接続部21の接続軸線21aの平面の方向で室軸線10aに対して直角に延びる、第2の注入接続部21の注入開口21b(図4参照)から第2の噴流31が注入される。これにより、混合領域32に、渦動領域33を含む主領域が形成される。
【0089】
図7および図10にはそれぞれ、図4図6に示した混合室10の概略側面図が示されている。
【0090】
図8には、図7に示した線VIII-VIIIに沿った、混合室10を上から見た、室軸線10aに対して直角な第1の注入接続部20の接続軸線20aの断面における概略断面図が示されている。接続軸線20aは、図8の図平面における投影図では、第1の室部分12の内壁の仮想円の割線として、第1の注入接続部20の貫通開口を通って延びている。図8ではさらに、円錐形の第2の室部分13、第3の室部分14の壁、円錐形の第4の室部分15、および第5の室部分16の壁が、室軸線10aに対して同心的に配置されていることが明確に認められる。
【0091】
図9には、図7に示した線IX-IXに沿った、混合室10を上から見た、室軸線10aに対して直角な第2の注入接続部21の接続軸線21aの断面における断面図が示されている。第2の注入接続部21の貫通開口は、ここでは第1の注入接続部20の貫通開口の内径よりも大幅に小さな内径を備えて形成されている。図9には、第3の室部分14、第4の円錐形の室部分15、および第5の室部分16が示されている。
【0092】
図10図11および図12は、図7図8および図9に相応しており、図11および図12には流れ挙動が示されている。
【0093】
図11には、図10に示したXI-XI線に沿った第1の室部分12の断面図が示されている。噴流29は、流れの筋として概略的に示唆されていて、最初は第1の注入接続部20の接続軸線20aに対して平行に延びている。次いで噴流29は、第1の室部分12の内壁に衝突し、搬送流30および30aとして、第1の室部分12の内壁の周りを、室軸線10aを中心として回転するように流れる(図6参照)。
【0094】
図12には、図10に示したXII-XII線に沿った断面図で、第3の室部分14における流れ挙動が示されている。第3の室部分14の内径は、その上に位置する室部分13および12に比べて大幅に縮小されている。噴流31が、第2の注入接続部21の小さな貫通開口から相応に高い流速で第3の室部分14の内壁に衝突し、室軸線10aを中心として高速回転させられる。このとき、強力な渦が渦動領域33(図6参照)内に形成される。
【0095】
図13図17aには、別の混合室10’の概略図が示されており、別の混合室10’は、図13に概略斜視図で示されている。図14には、別の混合室10’の注入接続部20,21の接続開口を見たところが示されている。図15には、図14に示したXV-XV線に沿った別の混合室10’の断面図が示されている。図16には別の混合室10’が、注入接続部20,21を側方から見た別の側面図で示されている。図17には、室入口11を通じて別の混合室10’内を見た、別の混合室10’の平面図が示されている。図17aには、別の混合室10’の1つの変化形が示されている。
【0096】
別の混合室10’の機能原理は、図2図12に示した混合室10の上述した機能原理に相応する。充填時のインスタント粉末IPに関する極小さな相違点しかない。
【0097】
図2図12に示した混合室10とは異なり、別の混合室10’は、非対称の構造を有している。
【0098】
非対称の構造は、室軸線10aを有する第1のもしくは上側の室100が、第2のもしくは下側の室110に対して非対称に配置されていて、これに結合されている点にある。下側の室110は、室軸線10bを有しているが、室軸線10bは、上側の室100の室軸線10a上に延びてはいない。したがって、上側の室100と下側の室110とは、図2図12に示した混合室10の場合のように同心的に配置されてはいない。
【0099】
さらに図13には、混合室10’の室入口11の構成が示されている。上述した混合室10の室入口11も、このように構成されていてもよい。
【0100】
室入口11の上部領域において、室100の周方向に延びる壁は、端面11aから出発して室100内に向かって下向きに、その半径方向厚さを約1/2だけ減じられており、これにより、一種の周方向に延びるウェブが、端面11aと段部11dとを備えた縁部11bとして形成されている。このようにして、縁部11bの内径が、室100の内径よりも大きくなっている。縁部11bには、切欠き11cが室軸線10aに対して平行に延びるように成形されている。切欠き11cは、縁部11bにおいてその端面11aから段部11dまで延びており、カバーフード200用のセンタリング手段として用いられる。カバーフード200については、以下でさらに詳しく説明する。
【0101】
図15には、別の混合室10’の室部分を含む構造が示されており、図14は、XV-XV線に沿った室軸線10aの鉛直面において、図15に示した断面図を規定するものである。
【0102】
上側の室100の室軸線10aと、下側の室110の室軸線10bとは、互いに所定のずれ10cだけずらされている。よって室100および110は、互いに偏心的に配置されている。
【0103】
上側の室100は、下側の室110よりも大きな内径と大きな外径とを有している。図15に示す断面図では、別の混合室10’は、ここでは下側の室110の室軸線10bの左側に位置する領域Aと、下側の室110の室軸線10bの右側に位置する領域Bとに分かれていると見なされてもよい。
【0104】
左側の領域Aにおいて、室部分12~16の分割は、図2図12に示した混合室10の場合と同様に推移している。
【0105】
右側の領域Bにおいて、下側の室110は、図2図12に示した混合室10の場合と同じ室部分14~16を有している。上側の室100も、図2図12に示した混合室10の場合と同様に、上方から、すなわち室入口11から見て連続して配置された2つの室部分120および130を有している。
【0106】
ただし、領域Bにおける上側の室100の上側の室部分120は、室軸線10aの方向において、領域Aにおける室部分12よりも短くなっている。領域Bにおける上側の室100の上側の室部分130は、室軸線10aの方向において、領域Aにおける室部分13よりも長くなっている。
【0107】
室部分130は、内面34bを備えた底部34aを有する平面部分34を備えて形成されている。底部34aは、室部分130の、外側に向かって凸状で曲線状の、周方向に延びる壁部分140を、室部分130の、外側に向かって凹状の壁部分150に結合している。
【0108】
底部34aには、ここでは円形の開口160が設けられており、開口160は、下側の室110内への流入部を形成していて、室部分13,130内に位置している。
【0109】
底部34aは、水平線に対して周方向に延びる角度αでもってやや内側に向かって、すなわち下側の室の室軸線10bに向かって傾斜して配置されている。角度αは、5°~10°、好適には7°~8°の範囲の値を有している。このことは、図16に側面図で明示されていると共に、図17では上向きの内面34bを有するこの底面34aを上から見た図で明示されている。底部34aは、図17から判るように、下側の室110の開口160の周囲に鎌状に配置されている。鎌状の底部34aは、下側の室110の室軸線10bに向かって周方向に延びつつ傾斜している。
【0110】
底部34aを有する平面部分34が挿入部材として形成されている、ということも可能である。
【0111】
次に、インスタント粉末IPの充填における相違点を説明する。
【0112】
インスタント粉末IPは、別の混合室10’の場合には室入口11を介して上側の室100内に充填され、これにより、インスタント粉末IPは、平面部分34の底部34aの内面34b上の目標領域34cに落下する。この目標領域は、室軸線10aから注入接続部20,21の側に小さな間隔だけずらされて位置している。このことは、図17aに明示されている。
【0113】
このことは、注入部が作動していないときにインスタント粉末IPが室100内に流入した場合に、室100がそれほど急速にはふさがらない、という利点を有している。これは、貯蔵容器3bにインスタント粉末IPが充填されるときに起こり得る。このような場合、インスタント粉末IPは、図2図12に示した混合室10では、室出口17にまで落下して、そこに付着することがある。このような付着は閉塞につながることがあり、この場合、混合室10からの溢流が起こる恐れがある。
【0114】
別の混合室10’の変化形では、室100の内室において、その内側幾何学形状に、ここでは注入接続部20,21の側に位置する変向壁38が成形されており、この場合、変向壁38は、注入接続部20,21に対向して位置している。変向壁38は円弧状に形成されていて、外面38aを有しており、底面34bから室入口11まで延在している。この場合、ここには変向壁38と、底面34bと、室100の内壁との密な結合が生じている。このようにして変向壁38は、底面34bと、室100の内壁と共に、内部空間38bを画定している。この内部空間38bは、上方からカバー壁(図示せず)により閉鎖されていてもよい。
【0115】
図11に既に示したように、注入された媒体の噴流29は、第1の注入接続部20を通って室100内へ延び、搬送流30および30aになる。次いで搬送流30aは、変向壁38の外面38aに向かって流れる。このようにして、発生した渦が、やや崩壊させられる。これにより搬送流は、室100の中心に向かって室軸線10aの方向に搬送流30bとして、落下してくるインスタント粉末IPの目標領域34c内へ変向させられる。このことは、搬送流30bが渦として正確に、インスタント粉末IPが室100内に落下する目標領域34c内の箇所に向けられる、という利点を有している。
【0116】
変向壁38の位置は、可変に形成されてもよい。例えば、インスタント粉末IPが室100内にどのように落下するのかに応じて、搬送流30bが正確に、落下してくるインスタント粉末IPの目標領域34cに向けられるように、変向壁38を配置することができる。このことは、例えば2つの異なる種類のインスタント粉末IPのための2つのインスタント粉末IP用貯蔵容器を備えた機械変化形の場合に当てはまる。この場合、インスタント粉末IP用の2つのシュートが設けられていてもよく、別の目標領域34cが形成されている。
【0117】
変向壁38は、簡単な縁部として形成されていてもよい。変向壁38は挿入部材である、ということも可能である。
【0118】
変向壁38は、いわゆる流れガイド部材を形成している。流れおよび/または渦の方向を目標に向けてガイドするために、別の流れガイド部材が、混合室10,10’内の様々な箇所に設けられていてもよい。
【0119】
図18および図19には、混合室10および10’の室出口17の変化形の概略図が示されている。
【0120】
図18では、鉛直に真っ直ぐ下向きに案内される室出口17の代わりに、曲げられた流出導管170が設けられている。流出導管170は、第1の真っ直ぐな鉛直方向の導管部分170aと、第2の水平方向の導管部分170bとを有している。第1の導管部分170aは、流出導管170を室出口17に接続しており、かつアングル部分170cを介して第2の導管部分170bに接続されている。アングル部分170cは、この例では90°のエルボ継手である。
【0121】
このようにして、飲料18の流出は、もはや鉛直方向下向きに行われるのではなく、混合室10,10’の直径の最終的な減少部の下側で曲げられた導管部分170にわたり曲げられた流路18aにおいて、後方に向かってまたは特定の側に向かって行われる。このような流出導管170は、図2図12に示した混合室10においても、別の非対称の混合室10’においても可能である。流出管路170は当然、90°とは異なる変向角度を有していてもよい。流出導管170が室軸線10aもしくは10bを中心として回動可能に配置されており、これにより流出導管170は、任意の側に回動可能である、ということも考えられる。
【0122】
さらに図18には、混合室10,10’の片側に取り付けられた取っ手35が示されている。この例では、取っ手35は、注入接続部20,21の接続部とは反対の側に取り付けられている。これにより、取出しおよび挿入の際の混合室10,10’の取扱いが容易になる。
【0123】
図19には、弁ユニット180を備えた混合室10の断面図が示されている。当然ながら、別の混合室10’であってもよい。
【0124】
弁ユニット180は、供給部180aを介して室出口17に接続されている。
【0125】
弁ユニット180は、第1の弁181と第2の弁182とを有している。両弁181,182は、それぞれ供給部180b,180cを介して供給部180aに接続されている。各弁181,182はさらに、専用の出口181a,182aを有している。
【0126】
ここでは、例えば第1の弁181は洗浄弁として設けられており、その出口181aは直接、使用水導出系内へ案内される。第2の弁182は飲料弁として用いられ、その出口182aは飲料容器に通じている。
【0127】
弁ユニット180により、混合室10,10’もしくは飲料調製装置1のより良好な洗い流し過程および/または洗浄を達成することが可能である。これにより、調製されたインスタント飲料の最初のml単位の体積は、まず開かれた第1の弁181を介して直接出口に案内されてもよい。次いで、第1の弁181は閉じられ、飲料18用の第2の弁182が開かれる。その後、第2の弁182は、飲料18の供給が終了する直前に再び閉じられ、次いで第1の弁181が開かれて、飲料18の最後のml単位の体積が出口へ案内される。
【0128】
このようにして、ユーザが劣悪に混合された飲料または浄水をその飲料容器内に受け取ることは決してない、ということが可能である。同じく混合室10,10’も、製品購入の直後に軽い洗浄のために洗い流されてもよい。次いでこの洗い流しも、開かれた第1の弁181を介して直接出口へ案内される。混合室10,10’が洗浄剤により洗浄される場合、洗浄剤も、開放された第1の弁181を介して直接出口に案内され得、飲料出口もしくは第2の弁182を通って導出されずに済む。別のプロセスの利点も考えられる。
【0129】
弁ユニット180は、1つの簡略化された構成では、1つの弁181のみを有していてもよい。この場合、洗浄液は、弁181が閉じられた状態で混合室10,10’の上縁部までためられて作用してもよい。ただしその後に、洗浄液は通常の出口を介して前方に向かって排出される。このことは図示しないが、容易に想像可能である。
【0130】
弁ユニット180は、例えば3ポート2位置方向切換弁として形成されていてもよく、または類似の構成を備えて形成されていてもよい。弁ユニット180の制御は、制御装置により行われてもよい。弁制御は、自動的にまたは/かつ手動で発動され得る。弁ユニット180は、停電時にも使用することができる、手動で操作可能な補助弁を備えていてもよい、ということも考えられる。
【0131】
図20図24には、吸込みフード200の概略図が示されている。図20には、正面図が示されている。図21には、吸込みフード200の側面図が示されており、図22には、吸込みフード200の接続側が示されている。図23には平面図が示されている。図24には斜視図が示されている。
【0132】
吸込みフード200は、下向きに突出する壁201と、その上に取り付けられた、2つの接続部203を備えた結合部分202と、補強部分204とを有している。補強部分204は、任意であってもよい。
【0133】
結合部分202は、半円弧形である。接続部203は、結合部分202の両端部に接線方向で互いに平行に取り付けられている。接続部203の内部空間は、結合部分202の内部空間に接続されており、結合部分202自体は、下向きに開いている。結合部分202と接続部203とは、U字の形状を形成しており、この場合、2つの接続部203は、互いに対向して位置する側において、円弧形の補強部分204に結合されている。円弧形の補強部分204と円弧形の結合部分202とは、両方とも同じ外径を有している。
【0134】
壁201の外径は、円弧形の結合部分202の外径よりも小さくなっている。これにより、壁201と結合部分202との間に張出し部206が形成されている。
【0135】
結合部分202、接続部203と結合部分202との間の移行領域、ならびに円弧形の補強部分204は、中心点208を備えた実質的に円形の貫通開口207を画定している。
【0136】
結合部分202の張出し部206から壁201の外面上で下向きに延びる突起205は、U字形の開口に対向して一体成形されていて、壁201から半径方向外側に突出している。
【0137】
図25図27には、混合室10,10’内に挿入された、図20図24に示した吸込みフード200の概略図が示されている。図25には平面図が示されており、図26には側面図が示されており、図27には背面図が示されている。
【0138】
吸込みフード200は、壁201が室入口11の内部において縁部11bの切欠き11c内に収容されているように、室100に被せ嵌められているもしくは挿入されている。この場合、吸込みフード200の張出し部206は、混合室10,10’の端面11aに載置されている。
【0139】
突起205は、混合室10,10’の室100の室入口11の縁部11bの切欠き11cと共に、吸込みフード200のセンタリング手段を形成しており、この場合、突起205は、縁部11bの切欠き11c内に形状結合式に収容されている。吸込みフード200は、接続部203が、混合室10,10’の、注入接続部20,21が配置されている側に向くように、混合室10,10’に対して位置決めされている。
【0140】
吸込みフード200の貫通開口207は、室入口11の上側に配置されており、この場合、室軸線10aは、ここでは貫通開口207の中心点208を通って延びている。室軸線10aと中心点208とが相上下して位置するのではなく、ずらされていることも可能である。
【0141】
接続部20,21,203の側には、図27に例示するように、保持部36が配置されている。この保持部36は、ここでは交差補強部を備えて円形に形成されていて、磁石を取り付けるために用いられる。この磁石は、保持部36にねじ締結されるか、接着されるか、または締め付けられてもよい。このような磁石の役割は、混合室10,10’が対応する機械内に挿入されている場合に、磁気感応式の切替え部材、例えばリードスイッチを発動させることにある。
【0142】
さらに室出口17の下側には、この例ではシール部分37が設けられている。混合室10,10’の取付けに際して、混合室10,10’は、対応する機械内に挿入される。このときシール部分37が、機械内に配置されたシリコーン部分(図示せず)に被せられ、これにより、シール面が生じる。このシール面は、一方ではこの箇所におけるインスタント飲料の流出を阻止し、他方ではこれにより、室出口17の空気吸込みが阻止される。このような空気吸込みは、インスタント飲料の流出特性を悪化させる恐れがある。
【0143】
混合室10,10’を機械内に確実に挿入するために、ガイドユニット210(図32および図34参照)と協働するガイド装置が機械に取り付けられている。ガイド装置は、混合室10,10’をそのガイドユニット210でもって所定の位置でのみ機械内に挿入することができるようにするために用いられる。引き続く挿入過程の最中に、混合室10,10’は自動的にセンタリングされ、挿入過程の終了時には正しい最終位置に配置されている。このことは有利である。それというのも、このようにして、混合室10,10’の確実な取扱いと、支障のない取付けとが可能になるからである。
【0144】
図28図30には、羽根車装置300を備えた混合室10,10’の概略図が示されているが、羽根車装置300は本発明には含まれない。
【0145】
図28には、羽根車装置300の第1の実施例が2つの異なる位置で示されている。
【0146】
羽根車装置300は、軸受302および軸線303を備えた羽根車301ならびに複数の突出部304を有している。羽根車301は、軸受302により軸線303を中心として回転可能に支持されている。突出部304は、歯または/および縁部として形成されていて、ここでは羽根車301の一方のディスク面301aに配置されかつディスク面301aから軸線方向に突出している。突出部304は、両方のディスク面301a,301bに配置されているか、または/かつ羽根車301に半径方向を取り囲むように配置されていてもよい。
【0147】
ディスク面301a,301bは、相応する縁部を備える成形された溝を有していてもよい。
【0148】
上側のディスク面301aは、ここでは上向きに室入口11の方に向いており、下側のディスク面301bは、室出口17の方に向いている。
【0149】
第1の位置では、羽根車301は、上側の室100の室部分130内に位置していて、軸受302でもって、充填しようとするインスタント粉末IPが落下する混合室10’の底部34aの平面部分34に取り付けられている。軸線303は、室軸線10a,10bに対して実質的に平行に延びており、この場合、ディスク面301a,301bは、室軸線10a,10bに対して直角に位置している。
【0150】
回転可能な羽根車301は、混合室10’内の渦により駆動される。渦は、上述したように、第1の注入接続部20を介して注入された媒体の噴流により形成される。つまり羽根車301は、噴流により直接に駆動されるのではなく、突出部304に作用する渦の流れにより回転させられる。
【0151】
歯および縁部として形成された突出部304は、充填され、渦内でまだ完全には溶けていないインスタント粉末IPが塊を形成すると、これを破砕する。
【0152】
第2の位置では、羽根車301は、下側の室110の室部分14/15において、室出口17の手前の出口領域内に位置している。
【0153】
この場合、第2の注入接続部21の注入開口21bからの噴流が、接線方向で羽根車301の突出部304に向けられていて、羽根車301を直接に駆動する。渦が羽根車301を回転させることも可能である。
【0154】
軸受302は、ここでは例えば支持棒の形態の保持体305により、下側の室110の壁に取り付けられている。
【0155】
図示の例では、軸線303は、室軸線10bに対して平行に延びており、この場合、ディスク面301a,301bは、室軸線10bに対して直角に延びている。
【0156】
1つの変化形(図示せず)では、羽根車301の軸線303は、室部分14/15において、室軸線10bに対して直角に配置されている。第2の注入接続部21の注入開口21bからの噴流も、接線方向で羽根車301の突出部304に向けられている。ディスク面301a,301bは、ここでは室軸線10bが位置する平面に対して平行に延びる平面内に位置している。もちろん羽根車301は、ディスク面301a,301bの平面が室軸線10bを含む平面に対して傾斜して位置する傾斜位置に配置されていてもよい。
【0157】
図29には、本発明に含まれない羽根車装置300の第2の実施例が示されている。
【0158】
この羽根車301は、出口領域(室部分13,14,15)に直接に配置された一種のタービンである。羽根車301は、突出部304(図28参照)としての翼306を有しており、翼306は、タービンブレードを形成するように配置されかつ成形されている。
【0159】
図示の例では、羽根車301の軸線303は、室軸線10aに対して平行にもしくは室軸線10aと整合して延びている。
【0160】
羽根車301は、例えば軸307に取り付けられており、軸307は、その両端部において軸受302に回転可能に支持されている。つまり羽根車301は、軸線303もしくは室軸線10aを中心として回転可能である。
【0161】
軸受302は、ここでは保持体305、例えば複数の支持棒の一種のロッドシステムにより、下側の室110の壁に取り付けられている。
【0162】
タービンブレードを形成する翼306には、第2の注入接続部21の注入開口21bから噴流が直接に供給され、これにより、羽根車301は軸線303を中心として回転させられる。タービンブレードは、室出口17に向かって圧送するように幾何学的に設計されている。よって、水は追加的に室から圧送される。
【0163】
図30には、本発明に含まれない羽根車装置300の第3の実施例が示されている。
【0164】
羽根車301は、ここでは突出部304としてのブレード308を備えて上射式水車と同様に形成されていて、下側の狭窄部において室出口17の上部で軸受302に側方に回転可能に支持されている。羽根車軸線303は、室軸線10a,10bに対して垂直に位置している。
【0165】
第2の注入接続部21の注入開口21bからの噴流も、接線方向で羽根車301のブレード308に向けられていて、羽根車301を回転させる。これにより、インスタント粉末IPがやや破砕されて、より良好に混合されることが望ましい。
【0166】
図31には、本発明による飲料調製装置1を用いて飲料を調製する、本発明による方法の概略的なフローチャートが示されている。
【0167】
第1の方法ステップS1では、2つの注入接続部20,21を備えた一体の混合室10,10’を備えた飲料調製装置1を準備する。
【0168】
第2の方法ステップS2において、第1の注入接続部20に第1の媒体を供給し、この第1の媒体を第1の噴流29で混合室10,10’の第1の室部分12内に注入する。第1の媒体は、供給源22からポンプ23により圧送され、熱交換器24により温められるか、加熱されるか、または冷却される。
【0169】
第3の方法ステップS3では、インスタント粉末IPを混合室10,10’の第1の室部分12内に導入し、第1の注入接続部20により注入された第1の媒体と予混合し、第1の媒体によりさらに混合室10,10’内で下方に向かって第2の室部分13を通り第3の室部分14内へ運ぶ。第2の室部分13内では、予混合されたインスタント粉末IPを含む第1の媒体の流速が、第2の室部分13の円錐形の構成に基づき高められる。
【0170】
第4の方法ステップS4では、第2の注入接続部21を介して第2の媒体を第2の噴流31で混合室10,10’の第3の室部分14内へ注入して渦を形成する。これにより、インスタント粉末IPを媒体と完全に混合し、媒体中で混合して飲料を調製してから、飲料を、鉛直に位置する第5の室部分16を介して提供する。この提供は、このようにして調製された飲料が第4の室部分15を通流した後に行われ、このとき第4の室部分15の円錐形の構成に基づき、飲料の流速が高められる。
【0171】
飲料自動販売機、独立型の構造体、コーヒーマシン等に混合室10,10’を飲料調製装置1と共に取り付けることは、極めて簡単である。混合室10,10’は、室部分12~16の間および120~130の間に摩耗部材としてのシールを有していない。つまり、シール無しのシステムである。
【0172】
洗浄は、洗浄タブレットを用いて簡単に可能であり、これにより、いわゆる定置洗浄(CIP)機能を実現することができる。混合室10,10’の幾何学形状に基づき、タブレットを用いた洗浄を毎日行うことができる。特定の期間で、例えば7日間で、混合室10,10’をその保持部(ここには図示せず)から簡単に取り外して、例えば洗い流し機内で浄化することができる。このことは、取っ手35(図18参照)により大幅に容易になる。
【0173】
保持部における混合室10,10’の正しい着座を監視するために、例えばリミットスイッチ、リードコンタクト等が使用され得る。これにより、混合室10,10’が再び正しく挿入された場合にのみ、飲料調製装置1を再び作動させることができる。
【0174】
図32図34には、本発明による飲料調製装置1の1つの変化形の概略図が示されており、図32には側面図が示されている。図33には断面図が示されている。図34には、室入口11を通じて混合室10’内を見た平面図が示されている。
【0175】
図32図34に示す飲料調製装置1の変化形は、以下の点において図15図26図27に示した図と相違している。
【0176】
取っ手35は、室軸線10aの方向においてほぼ混合室10’と同じ長さを有している。取っ手35は、3つのアーム35a~cでもって混合室10’に取り付けられており、最下位のアーム35cは、下側の室110の壁に取り付けられている。図示の例では、取っ手35はそのアーム35a~cでもって、混合室10’と一体に形成されている。
【0177】
磁石を取り付けるための保持部36は、室入口11の下側の上側領域において、混合室10’の中央に配置されている。
【0178】
室出口17におけるシール部分37は、2つのリブ209により、下側の室110の外壁に結合されて補強されている。
【0179】
ガイドユニット210は、混合室10’の両側に各1つのガイド突出部211を有している。各ガイド突出部211は、混合室10’の壁から突出していて、対応して配置されるべき機械における、図示しないが容易に想像可能なガイド装置に対応している。各ガイド突出部211は、注入接続部20,21の方に向いた前端部211aと、取っ手35の方に向いた後端部211bとを有している。前端部211aは、後端部211bに対して、室軸線10aの方向だけでなく、接続軸線20a,21aの方向にも先細になっている。さらに前端部211aは、後端部211bに対して混合室10’からより短い長さで突出している。このようにして、ガイド装置内への飲料調製装置1の挿入が容易にされている。
【0180】
下側の室110内では、取っ手35に面した内壁1にウェブ220が配置されている。ウェブ220は、内壁から突出していて、下側の室110の室部分15および16において室部分15を起点として室出口17にまで延びている。
【0181】
ウェブ220は、例えば約2mmの幅と、0.6mmの厚さとを有している。0.6mmの厚さは、出口に突入している。幅2mmは、1.5~2.5mmの範囲内であってもよい。0.6mmの厚さは、むしろ0.4~1mmの範囲内であってもよい。
【0182】
ウェブ220は、下側の室110内の流出流にさらに混合するように影響を及ぼすために用いられる。
【0183】
本発明による飲料調製装置1の混合室10’のこの構造には、ミキサホイール/混合ホイールが無い。このようなミキサホイール/混合ホイール(羽根車ユニット)用の駆動装置、例えば電動モータは不要である。
【0184】
本発明は、上述した実施例により限定されてはおらず、特許請求の範囲内で変更可能である。
【0185】
例えば、混合室10,10’内へのインスタント粉末IPの充填形式を、シュートの(可変の)振動を用いて、または搬送装置3の振動により行うことができる、ということが考えられる。
【符号の説明】
【0186】
1,1’ 飲料調製装置
2 混合室
2a 室部分
2b 吸込みフード
2c 管部分
2d 供給部
3 搬送装置
3a 搬送部材
3b 貯蔵容器
3c シュート
3d 駆動装置
4 ミキサ室
5 ミキサホイール
6 ミキサ駆動装置
7 ホルダ
8 軸受シール
8a ハウジングシール
9 出口
10,10’ 混合室
10a,10b 室軸線
10c ずれ
11 室入口
11a 端面
11b 縁部
11c 切欠き
11d 段部
12~16 室部分
17 室出口
18 飲料
18a 流路
19 捕集容器
20,21 注入接続部
20a,21a 接続軸線
20b,21b 注入開口
22 供給源
22a 供給管路
23 ポンプ
23a ポンプ導管
24 熱交換器
24a,24b,24c 管路
25,25a,25b 弁
26,27 供給管路
28 制御装置
29,31 噴流
30,30a,30b 搬送流
32 混合領域
33 渦動領域
34 平面部分
34a 底部
34b 内面
34c 目標領域
35 取っ手
36 保持部
37 シール部分
38 変向壁
38a 外面
38b 内部空間
100,110 室
120,130 室部分
140,150 壁部分
160 開口
170 流出導管
170a,170b 導管部分
170c アングル部分
180 弁ユニット
180a,180b,180c 供給部
181,182 弁
181a,182a 出口
200 吸込みフード
201 壁
202 結合部分
203 接続部
204 補強部分
205 突起
206 張出し部
207 貫通開口
208 中心点
209 リブ
210 ガイドユニット
211 ガイド突出部
211a,211b 端部
220 ウェブ
300 羽根車装置
301 羽根車
302 軸受
303 軸線
304 突出部
305 保持体
306 翼
307 軸
308 ブレード
A,B 領域
IP インスタント粉末
R フレーム
S1~S4 方法ステップ
α 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図17a
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
【国際調査報告】