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特表2024-504357変性リン脂質化合物を含有する局所用製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】変性リン脂質化合物を含有する局所用製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/197 20060101AFI20240124BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20240124BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240124BHJP
   A61K 31/07 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 31/59 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 31/355 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240124BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240124BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240124BHJP
【FI】
A61K31/197
A61K9/06
A61K47/24
A61P25/04
A61K47/10
A61K31/07
A61K31/59
A61K31/355
A61K47/32
A61K47/38
A61K47/44
A61K47/14
A61K47/02
A61K47/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544221
(86)(22)【出願日】2022-01-24
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 HU2022050003
(87)【国際公開番号】W WO2022157525
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】P2100019
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】HU
(31)【優先権主張番号】P2100021
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】HU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591010077
【氏名又は名称】エギシュ ヂョヂセルヂャール ザートケルエン ミケデ レースヴェーニタールササーグ
(74)【代理人】
【識別番号】110003292
【氏名又は名称】弁理士法人三栄国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アニタ グラーシュ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティナ モーリツズ
(72)【発明者】
【氏名】ダーニエル ウレイ
(72)【発明者】
【氏名】ガーボル ギグレル
(72)【発明者】
【氏名】エディット パップ
(72)【発明者】
【氏名】アドリエン パールヴェルジュイ
(72)【発明者】
【氏名】イシュトヴァーン ガチャリ
(72)【発明者】
【氏名】ゾルターン ヴァルガ
(72)【発明者】
【氏名】アンドラーシュ フェレンツ ヴァハ
(72)【発明者】
【氏名】アッティラ ボータ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA09
4C076BB31
4C076CC01
4C076DD31Z
4C076DD37
4C076DD41
4C076DD45
4C076DD49Z
4C076DD63
4C076DD63M
4C076EE09G
4C076EE23G
4C076EE30G
4C076EE32G
4C076EE53
4C076FF12
4C076FF17
4C076FF43
4C076FF61
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA09
4C086DA15
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA28
4C086MA63
4C086NA05
4C086NA06
4C086NA12
4C086ZA08
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA10
4C206FA51
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA48
4C206MA83
4C206NA05
4C206NA06
4C206NA12
4C206ZA08
(57)【要約】
本発明は、活性成分としてプレガバリン及び低減ミセル性リン脂質を含んでなり、プレガバリンの鎮痛作用が持続されている局所用医薬組成物に係る。生成物は神経障害性疼痛を少なくとも5時間低減できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレガバリンを含んでなる局所用医薬組成物であって、前記組成物は、組成物中に分散した形のリン脂質を含んでなり、小角X線散乱測定法の図表に由来するミセル寄与スケーリング係数(I0)が、0.00025 cm-1sr-1以下、好ましくは0.00023 cm-1sr-1以下、より好ましくは0.00021 cm-1sr-1未満、最も好ましくは0.00019 cm-1sr-1未満であることを特徴とする局所用医薬組成物。
【請求項2】
組成物が、プレガバリン少なくとも2.5質量%及びリン脂質0.1~5質量%を含有してなることを特徴とする請求項1に記載の局所用医薬組成物。
【請求項3】
組成物が、プレガバリン2.5~40質量%、好ましくは3~20質量%、より好ましくは3~15質量%、最も好ましくは5~10質量%、及びリン脂質0.1~3質量%、好ましくは0.5~1.5質量%、最も好ましくは0.8~1.2質量%を含んでなることを特徴とする請求項1又は2に記載の局所用医薬組成物。
【請求項4】
組成物が半固体、好ましくはゲル、クリーム又はゲル-クリームであり、より好ましくはゲル-クリームであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の局所用医薬組成物。
【請求項5】
組成物が、溶媒、浸透エンハンサー、皮膚軟化薬、レオロジー改質剤、pH調節剤、及び保存料又はその混合物から選ばれる少なくとも1の更なる助剤を含んでなることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の局所用医薬組成物。
【請求項6】
使用する溶媒の量が、40~90質量%、好ましくは70~90質量%、最も好ましくは75~85質量%であり、皮膚軟化薬の量が、0~20質量%、好ましくは2~15質量%、より好ましくは3~10質量%であり、浸透エンハンサーの量が、0~20質量%、好ましくは2~15質量%、より好ましくは3~10質量%であり、レオロジー改質剤の量が、0~5質量%、好ましくは0.1~2質量%、最も好ましくは0.2~0.5質量%であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の局所用医薬組成物。
【請求項7】
組成物が、
リン脂質として、天然又は合成のリン脂質、好ましくはレシチン、より好ましくは大豆レシチン、脱油大豆レシチン、リポイドP75、リポイドS75;
溶媒として、水、薬学上許容されるC2-C4アルコール、より好ましくはエタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソ-ブタノール、1以上の水酸基を有するアルコール、好ましくはグリセロール、プロピレングリコール、より好ましくはエタノール又はイソプロパノール又はその混合物;
皮膚軟化薬として、好ましくはビタミンA、D、及びE、ラノリン、ラノリンアルコール、プロピレングリコールジベンゾアート、植物油、植物エキス、脂肪アルコールエステル、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、合成ポリマー、ケイ素化合物、脂肪酸、鉱油誘導体、ワックス、又はその混合物、最も好ましくは脂肪酸エステルとして、パルミチン酸セチル、脂肪酸アルコールとして、オクチルデカノール、脂肪酸誘導体として、デシリスオレアス、植物油として、ココナッツオイル;
リン脂質を除く浸透エンハンサーとして、C2-C4アルコール、DL-α-トコフェロール、その混合物;
保存料として、EDTA、EDTA誘導体、芳香族保存料、例えば、パラ-ヒドロキシ安息香酸、チメロサール、クロロヘキシジンベジルアルコール、及び塩化ベンザルコニウム、好ましくはベンジルアルコール、より好ましくはベンジルアルコール及びEDTAの混合物;
レオロジー改質剤として、ポリエチレングリコール、合成ポリマー、例えば、カーボマー(ポリアクリル酸)、好ましくはカーボマー980、ヒドロキシアルキルセルロース、好ましくはヒドロキシエチルセルロース、及び植物ガム、好ましくはキサンタンガム、最も好ましくはカーボマー;
pH調節剤として、好ましくは塩基タイプのpH調節剤、より好ましくはアンモニア、アンモニウム溶液、水酸化アルカリ金属又はアルカリ土塁金属、カーボネート、ハイドロカーボネート、又は有機塩基、例えば、一級、二級、又は三級アミン、最も好ましくはアンモニア水溶液
を含んでなることができることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の局所用医薬組成物。
【請求項8】
使用するプレガバリンが、好ましくは摩砕されたプレガバリンのD90粒径20~200μmを有し、より好ましくは使用するプレガバリンが、微粉末化されて、20μm以下の粒径D90を有する請求項1~7のいずれかに記載の局所用医薬組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の局所用医薬組成物を製造する方法であって、
リン脂質及び溶媒又は溶媒混合物を高圧ホモジナイザーにて均質化し、及びプレガバリンを組成物に添加する;又は
リン脂質、溶媒及びプレガバリンを混合し、このようにして得られた高圧ホモジナイザーにて均質化する
ことを含んでなり、このようにして得られた組成物は、分散された形のプレガバリン及びリン脂質を含んでなることを特徴とする局所用医薬組成物の製法。
【請求項10】
プレガバリン及びリン脂質を含んでなり、小角X線散乱測定法の図表に由来するミセル寄与スケーリング係数(I0)が、0.00025 cm-1sr-1以下、好ましくは0.00023 cm-1sr-1以下、より好ましくは0.00021 cm-1sr-1未満、最も好ましくは0.00019 cm-1sr-1未満であることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の局所用医薬組成物を製造する方法であって、
リン脂質及び溶媒又は溶媒混合物を高圧ホモジナイザーにて均質化し、組成物にプレガバリンを混合する、又は
リン脂質、溶媒及びプレガバリンを混合し、このようにして得られた混合物を高圧ホモジナイザーにて均質化する
局所用医薬組成物。
【請求項11】
得られた組成物にレオロジー改質剤を添加すことによって、ゲル、クリーム又はゲル-クリームに形成することを特徴する請求項9又は10に記載の製法。
【請求項12】
リン脂質及び溶媒又は溶媒混合物を、任意に他の添加剤とともに、HPHホモジナイザーにて均質化し、ついで、
a)
a.1.)レオロジー改質剤を添加し、及び
a.2.)このようにして得られた混合物にプレガバリン及び任意の他の添加剤を添加し、このようにして得られた混合物を均質化する、又は
b)
b.1.)このようにして得られた混合物にプレガバリン及び任意の他の添加剤を添加し、このようにして得られた混合物を均質化し、ついで
b.2.)レオロジー改質剤を添加する、又は
c)
c.1.)このようにして得られた混合物に、予め、別にHPHホモジナイザーにて均質化したプレガバリン及び任意の他の添加剤の混合物を添加し、ついで
c.2.)脂質相を含んでなる混合物に混合し、ついで
c.3.)レオロジー改質剤を添加する、又は
d)
d.1.)プレガバリン及び任意の他の添加剤をリン脂質相に添加し、ついで、このようにして得られた混合物をHPHホモジナイザーにて均質化し、ついで
d.2.)レオロジー改質剤を添加する、又は
e)
e.1.)レオロジー改質剤を混合物に添加し、
e.2.)プレガバリン及び任意の他の添加剤をリン脂質相に添加し、ついで、このようにして得られた混合物をHPHホモジナイザーにて均質化する、
ついで、必要であれば、さらにレオロジー改質剤又は添加剤を添加する
ことを特徴とする請求項9~11のいずれかに記載の製法。
【請求項13】
リン脂質及び溶媒又は溶媒混合物の混合物、プレガバリン及び任意の他の添加剤をHPHホモジナイザーにて均質化し、ついで、
レオロジー改質剤及び任意の他の添加剤を、このようにして得られた混合物に添加し、均質化する、又は
レオロジー改質剤を添加し、このようにして得られた混合物をHPHホモジナイザーにて均質化し、ついで、必要であれば、更なる添加剤を添加し、このようにして得られた混合物均質化する
ことを特徴とする請求項9~11のいずれかに記載の製法。
【請求項14】
リン脂質、溶媒又は溶媒混合物、及び任意にプレガバリン及び他の添加剤を含んでなる混合物を、高圧ホモジナイザーにて、少なくとも1回、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化することを特徴とする請求項9~13のいずれかに記載の製法。
【請求項15】
プレガバリン2.5質量%以上及び高圧均質化したリン脂質0.1~5質量%を使用することを特徴とする請求項9~13のいずれかに記載の製法。
【請求項16】
プレガバリン2.5~40質量%、好ましくは3~20質量%、より好ましくは3~15質量%、最も好ましくは5~10質量%、及びリン脂質0.1~3質量%、好ましくは0.1~1.5質量%、最も好ましくは0.1~1.2質量%を使用することを特徴とする請求項9~15のいずれかに記載の製法。
【請求項17】
更なる添加剤として、溶媒40~90質量%、好ましくは70~90質量%、最も好ましくは75~85質量%;皮膚軟化薬0~20質量%、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは2~15質量%、さらにより好ましくは3~10質量%;浸透エンハンサー0~20質量%、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは2~15質量%、さらにより好ましくは3~10質量%;レオロジー改質剤0~5質量%、好ましくは0.1~2質量%、最も好ましくは0.2~0.5質量%、又はその混合物を使用することを特徴とする請求項9~15のいずれかに記載の製法。
【請求項18】
リン脂質として、天然又は合成のリン脂質、好ましくはレシチン、より好ましくは大豆レシチン、脱油大豆レシチン、lipoid P75、lipoid S75;
溶媒として、水、薬学上許容されるC2-C4アルコール、より好ましくはエタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、1以上の水酸基を有するアルコール、好ましくはグリセロール、プロピレングリコール、より好ましくはエタノール又はイソプロパノール、又はその混合物;
皮膚軟化薬として、ビタミンA、D、及びE、ラノリン、ラノリンアルコール、ジ安息香酸プロピレングリコール、植物油、植物エキス、脂肪アルコールエステル、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、合成ポリマー、ケイ素化合物、脂肪酸、鉱油誘導体、ワックス、又はその混合物、最も好ましくは、脂肪酸エステルとしてパルミチン酸セチル、脂肪アルコールとしてオクチルドデカノール、脂肪酸誘導体としてデシリスオレアス、植物油としてココナッツオイル;
リン脂質を除く浸透エンハンサーとして、C2-C4アルコール、DL-α-トコフェロール、又はその混合物;
保存料として、EDTA、EDTA誘導体、芳香族保存料、例えば、パラ-ヒドロキシ安息香酸、チメロサール、クロロヘキシジンベンジルアルコール、及び塩化ベンザルコニウム、好ましくはベンジルアルコール、より好ましくはベンジルアルコール及びEDTAの混合物;
レオロジー改質剤として、ポリエチレングリコール、合成ポリマー、例えば、カーボマー(ポリアクリル酸)、好ましくはカーボマー980、ヒドロキシアルキルセルロース、好ましくはヒドロキシエチルセルロース、及び植物ガム、好ましくはキサンタンガム又はガーゴム、カーボマー;
pH調節剤として、好ましくは塩基タイプのpH調節剤、より好ましくはアンモニア、アンモニウム溶液、水酸化アルカリ又はアルカリ土塁金属、カーボネート、ハイドロカーボネート、又は有機塩基、例えば、一級、二級、又は三級アミン、最も好ましくはアンモニア水溶液
を使用することを特徴とする請求項9~17のいずれかに記載の製法。
【請求項19】
リン脂質及び溶媒又は溶媒混合物の混合物を、任意の他の添加剤、好ましくは皮膚軟化薬及び/又は浸透エンハンサーとともに、圧力500~2000バール、好ましくは500~1500バール、最も好ましくは1000~1500バールを使用して、HPHホモジナイザーにて、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化し、ついで、
a.)
a.1.)このようにして得られた混合物を、溶媒中でレオロジー改質剤を膨潤させることによって調製したゲル相(ゲル相のpHをpH調節剤にて調整する)に添加し、ついで、
a.2.)プレガバリン及び任意の他の添加剤、好ましくは皮膚軟化薬及び保存料を組成物に添加し、このようにして得られた混合物を均質化する、又は
b.)
b.1.)プレガバリン及び任意の他の添加剤、好ましくは皮膚軟化薬及び保存料を組成物に混合し、このようにして得られた混合物を均質化し、ついで、
b.2.)このようにして得られた混合物を、溶媒中でレオロジー改質剤を膨潤させることによって調製したゲル相(ゲル相のpHをpH調節剤にて調整する)に添加する、又は
c.)
c.1.)このようにして得られた混合物を、プレガバリン及び任意の他の添加剤、好ましくは皮膚軟化薬及び保存料の混合物であって、予め、別に、圧力500~2000バール、好ましくは500~1500バール、最も好ましくは1000~1500バールを使用して、HPHホモジナイザーにて、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化した混合物に添加し、ついで、
c.2.)このようにして得られた混合物を、溶媒中でレオロジー改質剤を膨潤させることによって調製したゲル相(ゲル相のpHをpH調節剤にて調整する)に添加する、又は
d.)
d.1.)プレガバリン及び任意の他の添加剤、好ましくは皮膚軟化薬及び保存料をリン脂質相に混合し、ついで、このようにして得られた混合物を、圧力500~2000バール、好ましくは500~1500バール、最も好ましくは1000~1500バールを使用して、HPHホモジナイザーにて、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化し、ついで、
d.2.)このようにして得られた混合物を、溶媒中でレオロジー改質剤を膨潤させることによって調製したゲル相(ゲル相のpHをpH調節剤にて調整する)に添加する、又は
e.)
e.1.)このようにして得られた混合物を、溶媒中でレオロジー改質剤を膨潤させることによって調製したゲル相(ゲル相のpHをpH調節剤にて調整する)に添加し、ついで、
e.2.)プレガバリン及び任意の他の添加剤、好ましくは皮膚軟化薬及び保存料を脂質相に添加し、ついで、このようにして得られた混合物を、圧力500~2000バール、好ましくは500~1500バール、最も好ましくは1000~1500バールを使用して、HPHホモジナイザーにて、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化する、
ついで、必要であれば、さらに、レオロジー改質剤を添加する
ことを特徴とする請求項9~18のいずれかに記載の製法。
【請求項20】
リン脂質、プレガバリン、及び溶媒又は溶媒混合物の混合物を、任意の他の添加剤、好ましくは皮膚軟化薬及び/又は浸透エンハンサーとともに混合し、ついで、
圧力500~2000バール、好ましくは500~1500バール、最も好ましくは1000~1500バールを使用して、HPHホモジナイザーにて、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化し、ついで、このようにして得られた組成物を、溶媒中でレオロジー改質剤を膨潤させることによって調製したゲル相(ゲル相のpHをpH調節剤にて調整する)に添加する、又は
このようにして得られた混合物を、溶媒中でレオロジー改質剤を膨潤させることによって調製したゲル相に添加し、このようにして得られた混合物を、圧力500~2000バール、好ましくは500~1500バール、最も好ましくは1000~1500バールを使用して、HPHホモジナイザーにて、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化する、
ついで、必要であれば、更なる添加剤を添加し、このようにして得られた混合物を均質化する
ことを特徴とする請求項9~19のいずれかに記載の製法。
【請求項21】
使用するプレガバリンが、好ましくは20~200μmの粒子サイズD90を有し、さらに好ましくは、使用するプレガバリンを微粉化して、20μm以下の粒子サイズD90を有するものとすることを特徴とする請求項9~19のいずれかに記載の製法。
【請求項22】
HPH均質化の間の混合物の温度が0~50℃、好ましくは20~45℃、最も好ましくは25~35℃であることを特徴とする請求項9~21のいずれかに記載の製法。
【請求項23】
リン脂質、好ましくはレシチン、より好ましくは大豆レシチン、脱油大豆レシチン、lipoid P75、lipoid S75を、リン脂質の10~30倍量、好ましくは1~20倍量の水にて膨潤させることによってリン脂質の混合物を調製し、このようにして得られた膨潤リン脂質を他の添加剤と混合して脂質相を形成することを特徴とする請求項9~22のいずれかに記載の製法。
【請求項24】
レオロジー改質剤、好ましくはポロキサマー、ポリエチレングリコール、合成ポリマー、好ましくはカーボマー(ポリアクリル酸)、より好ましくはカーボマー980、ヒドロキシアルキルセルロース、好ましくはヒドロキシエチルセルロース、及び植物ガム、好ましくはキサンタンガム又はガーゴム、最も好ましくはカーボマー980を、レオロジー改質剤の質量の10~30倍、好ましくは1~20倍の量の溶媒、好ましくは水中で膨潤させることによってゲル相を調製し、必要であれば、ゲル相のpHをpH調節剤にて調整することを特徴とする請求項9~23のいずれかに記載の製法。
【請求項25】
神経障害性疼痛、末梢神経障害性疼痛、例えば、糖尿病患者又は帯状疱疹の患者が経験する痛み、及び中枢神経障害性疼痛、例えば、脊髄損傷;糖尿病性ニューロパチー、カウザルギー、腕神経叢裂離、後頭神経痛症、反射性交感神経性ジストロフィー、線維筋痛症、痛風、幻肢痛症、バムペイン、及び他の様式の神経痛様疼痛症候群、神経障害疼痛症候群、及び突発性疼痛症候群の患者が経験する痛みの治療における使用のための請求項1~8のいずれかに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、痛みの治療、特に、慢性の疼痛障害の治療のための、活性成分としてプレガバリンを含んでなる局所用医薬組成物に係る。このような障害としては、神経障害性疼痛、末梢神経障害性疼痛、例えば、糖尿病患者又は帯状疱疹の患者が経験する痛み、及び中枢神経障害性疼痛、例えば、脊髄損傷;糖尿病性ニューロパチー、カウザルギー、腕神経叢裂離、後頭神経痛症、反射性交感神経性ジストロフィー、線維筋痛症、痛風、幻肢痛症、バムペイン、及び他の様式の神経痛様疼痛症候群、神経障害疼痛症候群、及び突発性疼痛症候群の患者が経験する痛みが含まれるが、これらに限定されない。
【背景技術】
【0002】
本発明の化合物は、痛みの治療、例えば、ニューロパチーの治療に、及び中枢神経障害、例えば、てんかん、ハンチントン舞踏病、脳虚血、パーキンソン病、遅発性ジスキネジア、痙縮のための抗発作療法において、及び全般性不安障害の治療に有用な公知の薬剤である。活性成分としてのプレガバリンは、ヨーロッパ特許EP641330において、最初に記載された。ニューロパチーを含む痛みについての治療での使用は、ヨーロッパ特許EP934061の明細書において最初に公開された。プレガバリンは、EUでは、2004年から固体経口カプセルの形で市販されている(例えば、Lyrica(登録商標))。Lyricaは、カプセル(白色:25、50及び150 mg;白色及びオレンジ色:75、225、及び300 mg;オレンジ色:100 mg;明るいオレンジ色:200 mg)として及び経口溶液(20mg/ml)として入手できる。神経障害性疼痛は、知覚異常(感覚異常と呼ばれる)又は正常では痛くない刺激からの痛み(アロディニア)と関連する。それは連続性及び/又は突発性の(発作性の)要素を有する。後者は、穿刺痛又は電気ショックに似ている。共通の症状としては、灼熱又は寒気、ピリピリした感覚、しびれ、及びかゆみが含まれる。ヨーロッパの人口の7~8%以下は病気に罹っており、患者の5%では重篤である。神経障害性疼痛は、末梢神経系又は中枢神経系(脳及び脊髄)の障害から生ずる。このように、神経障害性疼痛は、末梢神経障害性疼痛、中神経障害性疼痛、又は混合形(末梢及び中枢)神経障害性疼痛に分けられる。プレガバリンによる、例えば、経口カプセルを使用するニューロパチーの全身的治療は、いくつかの副作用、例えば、めまい、眠気、口渇、浮腫、目のかすみ、体重の増加、及び「思考障害」(主に、集中/注意に問題あり)を生ずる。末梢神経障害性疼痛が体表の区別できる部分に関連することを考慮すると、局所治療は可能であろうと思われる。国際公開第14/168228号の明細書は、水溶液中又はプレガバリンが水に溶解しているゲル中にプレガバリン0.2~3%を含有する局所用組成物を開示している。プレガバリン1及び3%を含有する組成物は、痛み緩和効果を有しているが、1.5~2時間後には、その効果は低減する(表4及び9)。ガバペンチン(プレガバリンの先祖化合物)は、ケタミン、イブプロフェン、及びバクロフェンと組み合わせて神経障害性疼痛の局所治療に使用された。International Journal of Pharmaceutical Compounding Vol.18 No.6 [November December] 2014 (pp. 504-511) では、著者らは異なるゲル系におけるガバペンチンの局所利用性を観察している。1%及び5%リポデルムゲル、リポベースゲル及びポロキサマーレシチンオルガノゲルが検討されている。
【0003】
局所送達システムにおけるプレガバリンの処方に好適であると思われる従来技術から知られているいくつかの液体又は半固体組成物が存在する。
【0004】
国際公開第2002/094220号の発明者らは経口溶液を記載している。実施例によれば、水及び経口溶液に好適なグリセリンを使用することによってガバペンチン経口溶液が調製される。ガバペンチンは、プレガバリンと比較して、同様の物理的、化学的及び薬剤学的性質を有し、それ故、ガバペンチンを含有する組成物は、プレガバリンを含んでなる組成物の開発のための良好な出発点である。同様の経口溶液は、ヨーロッパ特許出願1543831にも開示されているが、活性成分としてプレガバリンが使用され及び濃厚剤としてヒドロキシエタノールセルロースが使用され、グリセリンを含有しないとの差異がある。この組成物の組成は、市販のプレガバリン経口溶液(Lyrica(登録商標)溶液)と同様である。米国特許第10004710号に開示された事実に基づき、発明者らは、これらの溶液は、局所適用される際でも、十分な痛み緩和効果を有することを期待していた。この明細書の発明者らは、経皮吸収促進成分がない場合でも、溶液は効果的であることを見出している。プレガバリンは、マウス神経結紮(MNL)モデルにおいて、アロディニア疼痛緩和作用を示した。結果によれば、他の成分を含まない2.5%水溶液の局所投与後、緩和効果は1時間で最大となり、その後、低減し、減少は顕著であった。3時間後及び6時間後、作用は本質的に消失した。実施例によれば、プレガバリンの同じ水溶液は、ヒト患者において、6時間、神経障害性疼痛を低減した。使用した格付けによれば、痛みは10点スケールでグレード7であり、重大な睡眠障害を与えた。記載によれば、約30分後、痛みは顕著に改善された(グレード3又は4)。これは、ヒト患者の場合、効果はマウスにおけるよりも長いが、低減はより速いことを示唆している。我々の実験では、同様の組成を有する(プレガバリン及び水以外に、甘味料及び保存料のみを含んでなる)市販のLyrical経口溶液を使用する試みは失敗に終わった。Lyricaは無効であった。さらに、液体製剤の体表面における適用も困難であった。特許は、濃厚剤によって粘度を変性できることを示唆し、プレガバリンは、濃度が高い場合、部分的に結晶形であることを示唆しているが、このような例は開示されていない。他の発明者らによれば、プレガバリンのような化合物の皮膚を通る浸透性は低く、それ故、効果的な局所用組成物の調製には、化合物の変更又は浸透エンハンサーの添加が必要である。米国特許出願公開第20050209319号の明細書によれば、より効果的な経皮組成物のために、皮膚においてプレガバリンに分解可能な好適なプレガバリン誘導体の形成が利用される。このような化合物は、プレガバリンよりも良好な浸透性を有するが、新規の化合物として、広範囲に及ぶ前臨床試験、毒性スクリーニング、フル臨床調査も必要であり、危険かつ高価である。中国特許第108703946号の明細書において述べられた新規に合成された添加剤についても同様の問題が明らかである。これらの新規の添加剤を使用する場合の結果は、ラットの疼痛閾値実験において証明されている。ラットでの試験では、これらの化合物は、エンハンサーを含有しない組成物と比べて、エンハンサーがプレガバリンの浸透性を補助することを証明した。米国特許第8394759号の明細書には、浸透エンハンサーとして脂肪酸エステル混合物の使用が開示されている。特許は、いくつかの異なるセチルエステルの混合物が皮膚を通るプレガバリンの吸収を補助できることを示唆している。特許は、プレガバリンが、スティックゲル中、0.01~15%の量で使用されることを示唆している。明細書中にはプレガバリンの使用に関する具体的な例はない。米国特許出願公開第20170290778号の明細書は、1以上の活性薬剤;及び約2000~約60000ダルトンの平均分子量を有する細胞外マトリックス成分又はそのフラグメント0.1~5.0質量%を含んでなる組成物を開示している。ヒトの皮膚を通る組成物の浸透率はインビトロで測定される。残念なことには、プレガバリンを含んでなる組成物についての例は存在しない。国際公開第2017/172603号の明細書は、浸透エンハンサーとして、組成物の1~30%の量でジメチルスルホキシド(DMSO)を含んでなる組成物を開示している。双極性非プロトン性溶媒としてのDMSOは、皮膚を通る浸透性について非常に良好なエンハンサーである。残念ながら、DMSOは副反応を生ずる可能性があるため、その使用は危険をもたらす恐れがある。国際公開第2017/172603号の明細書の実施例の組成物におけるDMSOの含量は14~30%であり、高い。神経障害性疼痛の経皮治療についての他の可能性は、プレガバリンとの相加効果又は相乗効果を有する異なる活性成分の組み合わせである。米国特許第10512655号は、神経障害性疼痛の治療用及び鎮痛剤としてのビタミンB組成物を記載している。示唆されたプレガバリンの量は0.001~0.5%であるが、プレガバリンを含んでなる局所用組成物の例は存在しない。国際公開第2020/069013号は、皮膚によって吸収される成分以外に、局所用組成物は活性成分の吸収を補助する血管拡張剤を含有すべきであることを示唆している。この特許出願は、活性成分としてプレガバリンに言及しているが、実施例だけでなく、プレガバリン含有組成物の吸収の結果が示されていない。さらに、この特許出願はプレガバリンを含んでなる局所用ゲルに係るものである。米国特許出願公開第20090247635号の発明者らは、プレガバリン10%を含んでなるクリームを調製し、そう痒症の治療に使用している。クリームの組成は開示されていない。明細書には長い成分リストのみが提示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
我々の実験によれば、水溶液中にプレガバリンを含有する組成物では、局所投与によって鎮痛作用を3時間以上持続するに十分な濃度でプレガバリンを含有ことができない。そうであって、経皮生物学的利用能は容認できるものである。3時間の無痛の睡眠時間が不十分で短いことを考慮すると、より長い痛み緩和効果を有する局所用組成物についての要求があることは明らかである。それ故、プレガバリンの副作用を低減するために低全身暴露で、好ましくは、少なくとも5時間の痛み緩和効果を有する、糖尿病性ニューロパチー又は帯状疱疹後神経痛の治療のための局所療法についての長年の切実な要求があった。
【0006】
我々の目的は、3時間以上、より好ましくは、5時間以上の痛み緩和効果を有する、神経障害性疼痛、好ましくは、末梢神経障害性疼痛又は帯状疱疹後神経痛(PHN)の治療のための好適な局所用医薬組成物を開発することにある。糖尿病性神経障害(DPN)の場合の影響を受けた体表面が体表面全体の約28%に達することがあることを考慮すると、できる限り局所用組成物の全身作用を低減するとの我々の目的は重要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
我々は、驚くべきことには、プレガバリン及びリン脂質を含んでなり、リン脂質相、又はプレガバリン及びリン脂質及び溶媒又は溶媒混合物を含んでなる組成物を高圧ホモジナイザーによって均質化している局所用組成物を調製することによって、我々の目的が達成されるとの知見を得た。詳述すれば、本発明による局所用医薬組成物は、ゲル又はクリーム製剤中に、好ましくは2.5質量%以上のプレガバリン及び0.1~5質量%のリン脂質を含有し、リン脂質を含んでなる相が、プレガバリンの存在下又は不存在下で、高圧ホモジナイザーによって摩砕されている。我々は、驚くべきことには、リン脂質相が高圧ホモジナイザーによって摩砕される場合、このようにして得られた構造体に混合されたプレガバリンは、延長された効果を有し、痛み緩和効果が短時間で発現し、高圧ホモジナイザーを使用することなく成分が混合及び摩砕されている同じ定量的組成物の効果(3時間未満持続する)よりもかなり長く(5時間以上)持続するとの利点を有する。
【0008】
このように、改善された予期しない効果は、方法の間に組成物において高いせん断力を生ずるHPHホモジナイザーの使用の結果である。見たところ、これらの力が本発明の予期しない有利な効果を生じさせたと思われ、それ故、同様の高いせん断力を生じさせる全ての均質化プロセスも本発明の組成物の調製に適しているとの予測は合理的である。当業者は、所望の高せん断力を達成するために、装置及びその操作パラメーターを選択できる。本発明の組成物の調製に適するこのような装置は、例えば、同様の乱流、局所的キャビテーション、せん断試験、衝撃速度が適用される装置である。このような装置としては、高せん断ミキサー、ホモジナイザー、シュレッダー、グラインダー、例えば、超音波ミキサー、ローター/ステーターホモジナイザー、TURRAXホモジナイザー、ビーズミル、コロイドミル、高せん断ミキサー、スリットホモジナイザー、マイクロフルイダイザー等が含まれる。理論によって縛られることはないが、溶媒又は組成物におけるリン脂質のミセル(通常、プロトン性溶媒中で形成される)は、高圧均質化手段の高せん断力によって部分的に又は完全に破壊される。より小さいせん断力による均質化方法を使用する場合には、このような効果は観察されない。非高圧ホモジナイザーを使用した際の各工程における製剤の混合及び均質化は、電子デバイスStephan UMC 5により行われている(実施例R-3参照)。このようにして調製された生成物が、12ヶ月後であっても、何ら変化することなく、有利な形状及び特性を維持すること及び本発明に従って調製された組成物が最長の痛み緩和効果を有することは驚くべきことである。
【0009】
加えて、我々は、驚くべきことには、リン脂質相、又はプレガバリン及びリン脂質を含んでなる組成物を高圧ホモジナイザーによって混合して調製した組成物の小角X線散乱図表が、同じ組成を有するが、高圧均質化を受けていない組成物とは異なるとの知見を得た。小角X線散乱測定法の図表に由来するミセル寄与スケーリング係数(micelle contribution scaling factor)(I0)は、0.00025 cm-1sr-1未満、好ましくは0.00023 cm-1sr-1未満、より好ましくは0.00021 cm-1sr-1未満、最も好ましくは0.00019 cm-1sr-1未満であり、少なくともリン脂質及び溶媒又は溶媒混合物が高圧ホモジナイザーによって均質化されている本発明の組成物を特徴づける。小角X線散乱測定法の図表に由来するミセル寄与スケーリング係数(I0)は、0.00025 cm-1sr-1以下、好ましくは0.00023 cm-1sr-1以下、より好ましくは0.00021 cm-1sr-1未満、最も好ましくは0.00019 cm-1sr-1未満であり、少なくともリン脂質及び溶媒又は溶媒混合物が高圧ホモジナイザーによって均質化されている本発明の組成物を特徴づける。測定データ及びカーブフィットの両方が不確実性を含むため、本発明の組成物は、プレガバリン及びリン脂質を含んでなり、プレガバリン及びリン脂質が、0.00019±0.00004 cm-1sr-1以下、好ましくは0.00017±0.00004 cm-1sr-1以下、より好ましく0.00015±0.00004 cm-1sr-1未満の小角X線散乱測定図表に由来のミセル寄与スケーリング係数(I0)を有するプレガバリン含有局所用医薬組成物として記載される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】NMRIマウスにおけるMPNL手術後7日の足底引っ込め閾値の図表を示す図である。
図2】NMRIマウスにおけるMPNL手術後7日の足底引っ込め閾値の図表を示す図である。
図3】NMRIマウスにおけるMPNL手術後7日の足底引っ込め閾値の図表を示す図である。
図4】NMRIマウスにおけるMPNL手術後7日の足底引っ込め閾値の図表を示す図である。
図5】NMRIマウスにおけるMPNL手術後7日の足底引っ込め閾値の図表を示す図である。
図6】NMRIマウスにおけるMPNL手術後7日の足底引っ込め閾値の図表を示す図である。
図7】PGA0470717及びPGA0450717のFTEMテストの画像を示す図である。
図8】EmulsiFlex-C3タイプの高圧ホモジナイザーを示す図である。
図9】ラットにおけるCCI手術後21日の足底引っ込め閾値の図表を示す図である。
図10】ラットにおける神経障害性疼痛のホルマリンテストの結果を示す図である。
図11】局所治療したエクスビボのブタの皮膚の表面からのプレガバリンクリームの吸収を示す図である。
図12】局所治療したエクスビボのブタ皮膚の表面からのNeogramornon(登録商標)及びMometasone Medimer(登録商標)と比較したプレガバリンクリームの吸収を示す図である。
図13】サンプルPGA0450717、PGA0470717のSAXS曲線及び当てはめ関数の曲線を示す図である。
図14】Stephan UMC 5電子ホモジナイザーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
我々の目的は、ゲル又はクリーム処方中にプレガバリン2.5質量%以上及びリン脂質0.1~5質量%、好ましくは0.1~3質量%を含有し、リン脂質を含有する処方のクリーム又はゲルの相が、プレガバリン、好ましくは微粉化したプレガバリンの存在下又は不存在下で、高圧ホモジナイザーによって均質化された局所用医薬組成物の開発によって達成された。高圧均質化は、高圧ホモジナイザーによって、1~125回、好ましくは3~10回行われる。
【0012】
我々は、驚くべきことには、ゲル又はクリーム処方中にプレガバリン2.5質量%以上及びリン脂質0.1~3質量%を含有し、リン脂質を含有する処方のクリーム又はゲル相が、プレガバリンの存在下又は不存在下で、高圧ホモジナイザーによって少なくとも1回均質化された局所用医薬組成物は、マウスの局所治療において(神経障害性疼痛のマウスモデル)、長時間、少なくとも5時間持続する痛み緩和効果を有するとの知見を得た。好適な具体例によれば、プレガバリンを含有するゲル又はクリームを、高圧ホモジナイザーによって、1~125回、好ましくは3~10回均質化する。
【0013】
本発明によれば、組成物は、分散された形のプレガバリンを含んでなる。これは、プレガバリンの溶解度が低いため、組成物が、溶解されたプレガバリンだけでなる、固体形のプレガバリンを含んでなることを意味する。プレガバリンの溶解度は各種の溶媒において乏しい。本発明による溶媒として、水及びプロトン性溶媒、例えば、薬学的に許容された1以上の水酸基を有するアルコール、例えば、水酸基1個を含有するアルコールとして、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、sec-ブタノール、水酸基2個を有するプロピレングリコール、又は水酸基3個を有するグリセリンが使用される。
【0014】
本発明によれば、溶媒として、水及び上記のアルコール、より好ましくは水、エタノール、又はイソプロパノールが使用される。有利な具体例では、アルコール、好ましくはイソプロパノールと混合した水が使用される。プレガバリン含量2.5質量%以上では、プレガバリン及び水の混合物中には、溶解したプレガバリンを除き、プレガバリンの残りの部分は組成物中に固体の分散した形で残る。このように、プレガバリンが本発明による分散形であることは、組成物が、溶解したプレガバリンだけでなく、固体形のプレガバリンを含んでなることを意味する。溶解したプレガバリンと分散したプレガバリンの比は、組成物におけるプレガバリンの質量%、使用した溶媒及び/又は混合物における使用した溶媒の割合、組成物の温度、及びさらに使用した添加剤に左右される。要するに、本発明による組成物は、分散されたプレガバリン以外に、溶解されたプレガバリンを含んでなることもできる。
【0015】
我々は、驚くべきことには、組成物の痛み緩和効果が、使用するプレガバリンの粒子サイズに左右されるとの知見を得た。本発明の好適な具体例によれば、原料物質として使用するプレガバリンを摩砕する(これは、使用するプレガバリンの粒子サイズD90が200μm未満、好ましくは20~200μmであることを意味する)。より好ましくは、原料として20μm未満のD90を有する微粉砕したプレガバリンを使用する。
【0016】
本発明によれば、溶媒としてプロトン性溶媒が使用される。より好ましくは、水及び薬学上許容される水酸基1個以上を有するアルコールが使用される。これらのアルコールは置換されていてもよい。好ましくは、水酸基1個を有するアルコールとして、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、2-ブタノールが使用される。1個より大の水酸基を有するアルコールとしては、プロピレングリコール及びグリセリンが使用される。最も好ましく、本発明の組成物は、溶媒として、水、エタノール、又はイソプロパノール、又はその混合物を含んでなる。本発明のさらに有利な具体例によれば、組成物は、水及びエタノールの混合物、又は水及びイソプロパノールの混合物を含んでなる。アルコール:水の好適な質量比は、1:1~1:40、より好ましくは1:10~1:40、最も好ましくは1:15~1:35である。
【0017】
本発明のいくつかの溶媒は、浸透エンハンサーの作用も有する。このような溶媒は、例えば、イソプロパノール及びエタノールである。明細書では、これらの化合物は溶媒として考慮されている。それ故、実施例及び明細書では、比、例えば、組成物におけるこれらの化合物の質量%は溶媒の割合に含められ、これら溶媒の量は、浸透エンハンサーの比の量に含まれない。
【0018】
本発明の組成物において使用されるリン脂質も、よく知られた浸透エンハンサーである。リン脂質及び方法におけるリン脂質の処理が重要であることを考慮すると、HPH処理において使用されるリン脂質の量は浸透エンハンサーの量には含められない。しかし、HPH処理されたリン脂質以外に、更なるリン脂質が組成物に添加されることは除外されない。このような場合、使用される更なるリン脂質は、他の浸透エンハンサーとして含められる。
【0019】
本発明によるリン脂質は天然又は合成のリン脂質である。リン脂質として、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン(セファリン)、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスホイノシチド、例えば、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルイノシトールホスフェート、ホスファチジルイノシトールビスホスフェート、ホスファチジルイノシトールトリスホスフェート、セラミドホスホリルコリン、セラミドホスホリルエタノールアミン、セラミドホスホリルリピド、又はその誘導体及び混合物が使用される。本発明によれば、好ましくはホスファチジルコリン(レシチン)、より好ましくは大豆レシチン、脱油大豆レシチン、リポイドP75、リポイドS75が使用される。
【0020】
本発明の局所用組成物はゲル、クリーム、又はゲル-クリームである。有利なゲル、クリーム、又はゲル-クリーム特性を達成するために、本発明の好ましい具体例では、レオロジー改質剤も使用される。レオロジー改質剤としては、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、合成ポリマー、例えば、カーボマー(ポリアクリル酸)、ヒドロキシアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、及び植物ガム、例えば、キサンタンガム又はガーゴムも使用される。好ましくはカーボマー、最も好ましくはカーボマー980が使用される。
【0021】
本発明によるこれらの組成物は、通常、薬学上活性な成分以外に、他の添加剤を含んでなる。
【0022】
本発明の組成物は、皮膚の天然の保護バリヤーの維持を補助し、皮膚を再水和できる効果的な保湿剤である添加剤として皮膚軟化薬を含んでなることができる。本発明の好ましい具体例によれば、方法によって局所用医薬組成物を得ることができ、当該局所用医薬組成物は、皮膚軟化薬として、乳酸アンモニウム、ビタミンA、D、及びE、ラノリン、ラノリンアルコール、プロピレングリコールジベンゾアート、植物油、植物エキス、脂肪アルコールエステル、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、合成ポリマー、ケイ素化合物、脂肪酸、鉱油誘導体、ワックス、又はその混合物を含んでなることができる。
【0023】
例えば、植物油皮膚軟化薬として、ココナッツオイル、大豆油、グレープシードオイル、ハゼルナッツオイル、ヒマワリシードオイル、麻実油、水素化オリーブオイル、水素化大豆油、ピーナッツオイル、ペカン油、アボカドオイル、ピスタチオシードオイル、プラムシードオイル、メドウフォームシードオイル、月見草オイル、オリーブ油、オリーブ油不ケン化物、オリーブ油/オリーブ果実油、ババスオイル、米ぬか油、パーム油パルマリアパルマータエキス、アンズ油、プルーン種子油、アーモンド油、カボチャ種子エキス、菜種油、キノア油、スイートアーモンド油、ライスブランオイル、ライス油、トウゴマ油、サフラワー油、ゴマ油、小麦胚芽油、クルミ油、麦芽油、クロヨナ種子油、ワサビノキ種子油、又はその混合物が使用される。植物エキス皮膚軟化薬としては、例えば、ハスレアオストレアリアエキス、ヒマワリ種油、ヒマンタリアエロンガタエキス、アイリッシュモスエキス、マンゴー種子油、ミクロキスティス・エルギノーサ(Microcystis aeruginosa)、アストロカリウムムルムル種子脂、パジナパボニカ葉状体エキス、ババスオイル、アーモンド油、キノア種子油、イヌバラ、シェアバター、加水分解アルゲエキス、又はその混合物が使用できる。脂肪アルコールエステル皮膚軟化薬としては、例えば、乳酸ラウリル、ミリスチン酸ミリスチル、ジカプリル酸ネオペンチルグリコール、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸オクチル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリオクチルドデシル、ダイコン種子油、又はその混合物が使用される。脂肪酸エステル皮膚軟化薬としては、例えば、ステアリン酸エステル、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリコール、ラウリン酸ヘキシル、水添ココグリセリル、水添パーム脂肪酸グリセリズ、セスキステアリン酸メチルグルコース、ミリスチン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、モノステアリン酸グリセロール、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、イソステアリン酸ポリグリセリル-4、イソステアリン酸ポリグリセリル-6、イソステアリン酸プロピレングリコール、ラウリン酸プロピレングリコール、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸トリデシル、トリグリセリド、トリラウリン、トリオクタノイン、コムギ胚芽油脂肪酸グリセリズ、ベヘン酸グリセリル、ロジン酸グリセリル、ラウリン酸ラウリル、サルビアヒスパニカ種子油、アルガニアスピノサ核油、カプリル酸/カプリン酸カプリリル、オリーブ油脂肪酸エチルヘキシル、ヤシ油脂肪酸イソアミル、ステアリン酸スクロース、ダイマージリノール酸ジイソステアリルポリグリセリル-3、オリーブ油脂肪酸セテアレス-6、ココカプリレート、ベヘン酸ベヘニル、クエン酸ステアリン酸グリセリル、又はその混合物が使用される。脂肪アルコールとしては、例えば、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、ステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、又はその混合物が使用される。合成ポリマー皮膚軟化薬としては、例えば、水添ポリデセン、水添ポリイソブテン、アブラナ種子ステロールPEG-10、ステアリン酸PEG-100、セスキステアリン酸PEG-20メチルグルコース、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-60アーモンド脂肪酸グリセリル、PEG-60水添ヒマシ油、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、PEG-8、PEG 90M、PEG/PPG-17/6コポリマー(PEGはポリエチレングリコールを表し;PPGはポリプロピレングリコールを表す)、ポリエチレン、ミリスチン酸PPG-3ベンジルエーテル、オリーブ油PEG-7カルボン酸ナトリウム、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン、安息香酸メチルグルセス-20、ステアリン酸ポリグリセロール-10、ラウリン酸ポリグリセリル-4、オリーブ油脂肪酸ポリグリセリル-4、ステアリン酸ポリグリセリル-3、又はその混合物が使用される。シリコーンタイプの皮膚軟化薬としては、例えば、ジメチコーン、ジメチコーンPEG-10、(PEG-10ジメチコーン/ビニルジメチコーン)クロスポリマー、PEG/PPG-18/18ジメチコーン、PEG/PPG-20/15ジメチコーン、ペンタエリスリチルテトラオクタノエート、メチルトリメチコーン、マンヌロン酸メチルシラノール、ヤシ油脂肪酸メチルシラノールPEG-7、ポリメチルシルセスキオキサン、ステアリルメチコーン、トリメチルシロキシケイ酸、又はその混合物が使用される。脂肪酸タイプの皮膚軟化薬としては、例えば、加水分解ホホバエステル、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、トリヒドロキシステアリン、又はその混合物が使用される。鉱油誘導体タイプの皮膚軟化薬としては、例えば、ワセリン、流動パラフィン、又はその混合物が使用される。ワックスタイプの皮膚軟化薬としては、例えば、ミツロウ、又は合成ミツロウも使用される。好ましくは、皮膚軟化薬としては、ビタミンA、D、及びE、ラノリン、ラノリンアルコール、ジ安息香酸プロピレングリコール、植物油、植物エキス、脂肪アルコールエステル、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、合成ポリマー、ケイ素化合物、鉱油誘導体、ワックス、又はその混合物、最も好ましくは、脂肪酸エステルとしてパルミチン酸セチル、脂肪酸アルコールとしてオクチルドデカノール、脂肪酸誘導体としてデシリスオレアス(Decylis oleas)、植物油としてココナッツオイル、又はその混合物が使用される。
【0024】
本発明の好ましい具体例によれば、局所用医薬組成物は、さらに、浸透エンハンサーを含んでなることができ、例えば、DL-α-トコフェロール、セバシン酸ジエチルジメチルスルホキシド、グリコフロール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸、リノール酸、メチルピロリドン、ミリスチン酸、オレイン酸、オレイルアルコール、パルミチン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシルグリセリドi.:例えば、カプリロカプロイルポリオキシルグリセリド、ポリオキシルグリセリドii.:ラウロイルポリオキシルグリセリド、リノレオイルポリオキシルグリセリドのようなポリオキシルグリセリド、ステアロイルポリオキシルグリセリドのようなポリオキシルグリセリド、プロピレングリコールモノラウレート、スクアレン、チモール、トリカプリリン、トリカプリリン、カンホララセミカ(camphora racemica)、メントール、セチルデカノエート、ラウリン酸セチル、ミリスチン酸セチル、セチルミリストレート、オレイン酸セチル、パルミチン酸セチル、セチルパルミトレート、ステアリン酸セチル、又は他の浸透エンハンサーの混合物が使用される。溶媒として使用されるアルコールも浸透エンハンサーの効果を有する。
【0025】
本発明の好ましい具体例によれば、保存料も使用される。保存料としては、EDTA、EDTA誘導体、芳香族保存料、例えば、パラ-ヒドロキシ安息香酸、チメロサール、クロロヘキシジン、ベジルアルコール、及び塩化ベンザルコニウム、フェノキシエタノール、好ましくはベンジルアルコール、又はその混合物、より好ましくはベンジルアルコール及びEDTAの混合物が使用される。EDTAは、保存料としての役割以外に、錯体形成化合物として使用される。
【0026】
本発明の好ましい具体例によれば、局所用医薬組成物はpH調節剤を含んでなることができる。好ましくはアンモニア、アンモニウム溶液、水酸化アルカリ金属又はアルカリ土塁金属、カーボネート、ハイドロ-カーボネート、又は有機塩基、例えば、一級、二級、又は三級アミン、最も好ましくはアンモニア水溶液がpH調節剤として使用される。
【0027】
均質化は、本発明において決定的な役割を有する処理である。予期せぬ効果(痛み緩和の延長された期間)を達成するように組成物の構造を変化させることができる高圧均質化(HPH)処理を使用する場合に、分かりやすくするため、これを、「HPH均質化」、「高圧均質化」、「HPHホモジナイザーにて均質化する」、等と表示する。均質化処理が混合された成分の均質な分配を生ずる場面では、単に、「均質化」、「混合する」、「混合された」等の用語を使用する。本発明の本質的な特徴は、リン脂質が、少なくとも1回の処理工程において、溶媒、例えば、水、上述のアルコール又はその混合物の存在下でHPHホモジナイザーによって均質化されなければならないことである。
【0028】
高せん断HPH均質化の効力に対する重大な効果は、ラットにおけるホルマリン惹起ニューロパチーのラットモデルにおいて明確に証明される。実施例4では、異なる方法で調製したプレガバリン15%を含有する同じ組成の2つのゲルを、同様の組成のプラセボ製剤と比較している。すなわち、HPH均質化に供していないPGA0450717(組成物R-3)を、脂質相をHPHホモジナイザーによって処理していないプラセボPGA0440717(組成物P-1)と比較している。測定の全期間及び第2相(ニューロパチー性神経障害の特徴的な症状を生ずる)における2つの製剤の効果は2つの製剤の間で異ならなかった。プレガバリン15%を含有するPGA0470717をプラセボPGA0460717と比較する場合には、結果は完全に異なり、すなわち、PGA0470717は、プラセボと比較して、測定の全期間を通して及び第2相において顕著な痛みの低減を生じた。製剤PGA0470717及びプラセボPGA0460717の両方を、膨潤リン脂質及びイソプロピルアルコール混合物をHPHホモジナイザーによって5回均質化することによって調製した。結果を図10に示す。
【0029】
我々の開発の間に、我々は、異なるゲル、例えば、リポデルムを使用することを試みたが、これらのゲルの安定性は許容できないものであった。驚くべきことには、我々は、神経障害性疼痛、好ましくは末梢神経障害性疼痛又は帯状疱疹後神経痛(PHN)の治療用のプレガバリンを含んでなる局所用組成物における浸透エンハンサーとしてリン脂質が使用されるが、リン脂質を、溶媒の存在下、好ましくは水の存在下、より好ましくは水及びアルコールの混合物の存在下で高圧ホモジナイザーによって均質化する場合にのみ、長期間持続する効果が達成されるとの知見を得た。異なる薬剤の痛み緩和効果は、内側足底神経結紮モデル(medial plantar nerve ligation model)(以下、「MNLPテスト」と称する:-Sci Rep-2016、http://www.nature.com/scientificreports/)に従ってモデル化される。このテストを使用することによって、驚くべきことには、我々は、高圧ホモジナイザー(HPH)によって均質化したリン脂質を含んでなる組成物を使用する局所的治療は、足底引っ込め閾値(plantar withdrawal thresholds)実験において、顕著でかつ長期間持続する効果を有するとの知見を得た。これに反して、リン脂質が高圧ホモジナイザーによって均質化されていない局所的治療では、効果は3時間後に迅速に低減した(図1)。3つの同様の組成物のMNLPテストを下記に示す:
【表1】
【0030】
このように、PGA2180719、PGA2190719及びPGA0450717の組成物におけるリン脂質は、溶媒の存在下において、HPHホモジナイザーによって均質化されておらず、その一方で、PGA0470717及びPGA1601018は本発明に従って調製されている。
【0031】
いずれの場合にも、痛みの緩和効果は30分で発現し、これは、組成物の皮膚を通る吸収が各組成物において優秀であることを示唆するが、プレガバリンが溶解形である組成物PGA2180719の効果は、5時間後に、ほぼ開始時のレベルに低減する。プレガバリンが分散形である組成物PGA2190719を使用する場合、5時間後には、効果は最高レベルのほぼ半分低減する。本発明による組成物PGA1601018は5時間後も顕著な効果を有する。ベースラインと比較した5時間後の無処置の足及びMPNLの足の差は、5時間後でも効果が顕著であることを示す。
【0032】
さらに、文献Bennett GJら, 「痛み、ヒトに見られる痛覚等の障害を生ずるラットにおける末梢単神経障害」, 1988 Apr; 33(1): 87-107に基づき、我々は、本発明の組成物の試験法を開発した。このように、我々は、末梢神経障害性疼痛の緩和も測定するための異なるモデルによっても、本発明による組成物を試験した。すなわち、我々は、慢性絞扼損傷(CCI)モデルを使用して、ラットについて試験を行った。3週間後、神経損傷ラットを、後足機械的引っ込め閾値(hind paw mechanical withdrawal thresholds)について評価した。Dixonの変形アップダウン法(「実験観測の効率的解析」, Annu Rev Pharmacol Toxicol. 1980; 20:441-62)に従い、Electronic von Frey装置によって足引っ込め閾値(PWT)を測定した。結果は、本発明組成物が末梢神経障害性疼痛の緩和に対して有利な効果を有することを証明した。プレガバリン5mg/4cm2(10%クリーム50μl)のゲル(PGA2330320)を使用した場合、ラットにおいて、5時間以上の痛み緩和を生じた。方法及び結果を実施例3及び図9に示す。
【0033】
上述のように、例えば、MPNLモデルを使用する場合、本発明による組成物の効果は非常に迅速に30分以内で検出される。プレガバリン5%を含有するPGA1601018及びプレガバリン10%を含有するPGA1591018の吸収組成物を試験した。これは、ゲルが分散された固体のプレガバリン粒子を含有するが、両ケースにおいて、処置後1時間でゲルが完全に吸収されたことを表す。図11は、処置前、処置後1時間、及び処置後2時間のブタ皮膚の表面の写真を表す。1時間後、プレガバリン10%製剤も完全に吸収されることを示した。本発明の組成物PGA1671118(WE-2法)を、分散された粒子を含有する他の市販のクリーム、すなわち、Neogranormone(登録商標)及びより進歩した形のMometasone Medimer(登録商標)と比較した。製剤(PGA1671118)は1時間未満で「吸収され」、一方、他の2つの市販製剤は、3時間後においても、ブタ皮膚において未だ視認された。3時間後、PGA1671118については、目視可能な程度での析出又は結晶化はなかった。実験からの写真を図12に示す。
【0034】
我々の研究の間、効果の差を説明できた組成物間における物理的差異は何ら認められなかった。HPHホモジナイザーによって均質化されて本発明の組成物及び参照組成物のいずれもリポソームを有していなかった。我々の第1の予測は、レシチンを使用する場合、リポソーム構造が形成されることであり、これにより、良好な吸収特性及び長時間持続する痛み緩和効果を生ずることが期待された。これに対して、HPHホモジナイザーによって均質化された本発明による組成物及び通常のミキサー装置において均質化した組成物のいずれも、電子顕微鏡にて試験して、リポソーム構造を示さなかった。さらに、これらのテストにおいて異なる組成物の間において有意差がなかった。PGA0450717及びPGA0470717を、凍結割断透過型電子顕微鏡(FF-TEM)によってテストした。結果は、組成物の間における有意差を示さなかった。我々は、これら2つのサンプルのマトリックスにおいて、数μmの薬剤の結晶とともに、小さい粒子が分散されていることのみを確認した(図7)。
【0035】
続いて、我々は、我々の組成物PGA0450717及びPGA0470717をSAXS(小角X線散乱)法によってテストした。この方法はサンプルにおけるナノスケールの電子密度差を定量するために使用される。ゲル製剤PGA0450717及びPG0470717の測定されたSAXS曲線及びそれらの当てはめモデル関数を図9に示す。サンプルPGA0450717及びPGA0470717のSAXS曲線は、ナノスケールにおける規則的な周期構造を表示する観察されたq-レンジにピークを何ら示さなかった。示された唯一の特徴は、0.7nm-1<q<3nm-1の範囲における単調に衰退するベースラインからの強度差の増大である。ベースラインは、小角散乱における周知の特徴であるPorodの法則を使用して解釈される(Porod 1951)。これによれば、平滑面を有する三次元物品(例えば、ナノ粒子)の散乱曲線のテール部は、-4べき指数のべき乗則関数に従う。この挙動は、ほとんど球状の粒子に限定されない。いくつかの他の系は、異なったべき指数を有するべき乗測散乱を示す(Schmidt 1991)。それ故、我々は、べき乗測ベースラインを使用し、小分子溶媒(例えば、水)の共通の散乱特性である定数項にて拡大される場合、成分の分布はSAXSが解明できるものよりも大きいとみなす(例えば、プレガバリン微結晶、図7における上述のFF-TEMイメージ参照)。
【数1】
【0036】
大雑把に言えば、ミセルは、それら内部に均質な電子密度を持つ狭いサイズ分布の球体の集合とみなすことができる。それらの散乱強度は下記のように算定される。
【数2】
ここで、Isphere (q, r)は、半径r及び容積Vを有する均質な電子密度の球体の散乱強度であるり、ここで、Isphere (q, r)は、半径r及び容積Vを有する均質な電子密度の単一球の散乱強度であり、及びサイズ分布関数P(r, R0, dR)は、期待値R0及び半幅dRを有するガウス関数とみなされる。
【0037】
ミセルサンプルの散乱プロットに当てはめたデータを下記の表に示す。
【表2】
【0038】
ミセル部(R0, dR)及び結晶部(べき指数α)の両方のサイズ-及び形状-関連パラメーターは、実験の不確実性の範囲内で、2つのサンプルの間で良好に一致し、従って、相対組成物質量パラメーター(I0及びA)は比べられる。ミセルの散乱寄与(べき乗則関数バックグラウンドに関するその相対質量)(パラメーターI0)は、PGA0470717の場合、すなわち、サンプルがより少ないミセルを含有する場合に小さい。他の全てのパラメーター、特に、ミセルのサイズ分布を特徴づける期待値2nm及び0.45 nmに近似する半幅値は2つのサンプルについて良好に一致する。
【0039】
我々は、さらに、SAXSによってサンプルを試験し、ミセル散乱寄与スケーリング係数(I0)が2.2×10-4である場合、下記のように、組成物は、より長いかつより強い効果を示す。
【表3】
【0040】
これらのデータは、本発明による組成物の長時間持続する及び強力な効果の原因が、リン脂質の高圧均質化がミセルの形成を抑制し、従って、これらの分子の有意の部分がマトリックス内に分散されるとの事実に基づくものであることを示唆する。換言すれば、高圧均質化が、通常、水相において形成されるミセルを部分的に又は完全に破壊する。我々の実験によれば、得られる構造(例えば、高圧均質化によって形成される)は安定である。本発明による組成物における(I0)の値は、0~0.00025 cm-1sr-1、好ましくは0.00001~0.00023 cm-1sr-1、より好ましくは0.00003~0.00021 cm-1sr-1、最も好ましくは0.00005~0.00019 cm-1sr-1である。本発明による組成物における(I0)の値が0~0.00019±0.00004 cm-1sr-1、好ましくは0.00001~0.00017±0.00004 cm-1sr-1、より好ましくは0.00003~0.00021±0.00004 cm-1sr-1、最も好ましくは0.00005~0.00015±0.00004 cm-1sr-1であることからも特徴づけられる。
【0041】
我々は、また、HPH均質化処理の回数の効果を試験した。我々は、驚くべきことには、1回のHPH均質化が、HPHホモジナイザーによって均質化しなかった参照生成物と比べて、より長い痛み緩和効果を生ずるとの知見を得た。効果は、3回以上のHPH均質化後に、より強いものとなると思われる。
【表4】
【0042】
図2には、1、3、4、9回均質化した同じ量的関係の組成物の結果が見られる。HPH均質化の回数が増加するにつれて、いくらかの改善が認められる。手順の制限に関する調査の過程において、同様の組成物を125回HPH均質化した。結果は、多くのHPH均質化工程後であっても、長期間持続する効果は消失しないことを示す。
【0043】
本発明の開発の間に、我々は、驚くべきことには、痛み緩和効果が、3%~37.5%の非常に広い範囲のプレガバリン含量を有する組成物で達成されるとの知見を得た。プレガバリン含量の範囲は、好ましくは3~15%、より好ましくは3~10%、最も好ましくは5~10%である。
【表5】

【0044】
図3は、組成物PGA1370718、PGA1450718、及びPGA1460718の相対的な結果を示す。全ての組成物が効果的であり、結果から、一方では、効果は用量と比例関係にあると思われる。他方、プレガバリン10%又は15%を含んでなる組成物の効果の間には有意の差異がない。いずれの組成物も、30分で高い痛み緩和効果を有し、少なくとも5時間高レベルに留まる。プレガバリン5%を含んでなる組成物の効果は、さらにゆっくりと発現した。1時間後、この組成物は少なくとも5時間持続する強い効果を有する。組成物PGA1591018及びPGA1601018を比較すると、他の成分の変更は迅速な吸収を促進する。これらの組成物は、同様に、30分内で迅速に効果が開始し、その効果は少なくとも5時間持続する。さらに、プレガバリン37.5%を含有する組成物も長時間持続する効果を有する。明らかなように、高プレガバリン含量は、組成物が延展することを困難にするが、広範囲の濃度でプレガバリンを含んでなる本発明による組成物が使用される。
【0045】
本発明の他の具体例によれば、方法は、脂質相のHPHホモジナイザーによる均質化だけでなく、プレガバリンの水性懸濁液の均質化も含んでなる。その結果、脂質相及びHPH均質化水性分散液を均質化する(下記の実施例WE-5に示す)。
【0046】
本発明の有利な具体例によれば、方法は、分散されたプレガバリン及びリン脂質及び任意の他の添加剤を含んでなる水性混合物を調製し、HPHホモゲナイザイーによって一緒に1~125回、好ましくは3~10回、より好ましくは3~5回均質化することによって行われる。
【0047】
詳しくは、手順は次のように行われる:Carbopol 980を10倍量の精製水中で膨潤させ、ついで、アンモニア水溶液を添加することによってpHを7.0に調整する。レシチン(例えば、LIPOID P 75)を、10倍量の精製水中で、25~40℃において膨潤させ、ついで、任意に、さらに添加剤、例えば、イソプロピルアルコール及びDL-α-トコフェロールを混合物に添加し、プレガバリンの水性分散液と均質化する。このようにして調製された分散プレガバリン及びリン脂質の混合物を、HPHホモゲナイザイーによって1~125回、好ましくは3~10回、より好ましくは3~5回均質化する。このようにして得られたプレガバリン及びリン脂質を含有する相をゲル相に混入し、ついで、好ましくは、さらに添加剤、例えば、ココナッツオイル、デシリスオレアス、EDTA、及びベンジルアルコールを添加する。必要であれば、最後に、さらにレオロジー改質剤を添加する。
【0048】
本発明の他の有利な具体例によれば、手順は、分散されたプレガバリン及びリン脂質及び任意の他の添加剤を含んでなるゲル化水性混合物を調製し、HPHホモゲナイザイーによって1~125回、好ましくは3~10回、より好ましくは3~5回均質化することにって行われる。詳しくは、手順は次のように行われる:Carbopol 980を10倍量の精製水中で膨潤させ、ついで、アンモニア水溶液を添加することによって、pHを7.0に調整する。レシチン(例えば、LIPOID P 75)を、10倍量の精製水中で、25~40℃において膨潤させ、ついで、任意に、さらに添加剤、例えば、イソプロピルアルコール及びDL-α-トコフェロールを混合物に添加し、プレガバリンの水性分散液と均質化する。ついで、このようにして得られた混合物を、既に調製した相に混合し、得られた組成物をHPHホモゲナイザイーによって1~125回、好ましくは3~10回、より好ましくは3~5回均質化する。必要であれば、さらに添加剤、例えば、ココナッツオイル、デシリスオレアス、EDTA、及びベンジルアルコールを添加する。必要であれば、最後に、さらにレオロジー改質剤を添加する。
【0049】
さらに、我々は、驚くべきことには、脂質相及びついでプレガバリンを含む総混合物を高圧ホモジナイザーにて均質化した場合、このようにして得られる生成物は、脂質相が高圧ホモジナイザーによって均質化された組成物と比較して、より強い及びより長い効果を有するとの知見を得た。
【表6】
【0050】
脂質相をわずかに5回均質化した組成物PGA1601018(WE-2方法、結果を図3に示す)の痛み緩和効果を、脂質相だけでなく、レオロジー改質剤の添加前に、組成物全体を5回均質化した組成物PGA2150619(WE-4方法、結果を図4に示す)と比較したところ、同じ環境下で、PGA2150619において、PGA1601018におけるよりも、効果は30分後ではより強く、5時間後では、無処置の足とMPNL足との間の刺激強度の差異は顕著に小さいとの知見を得た。さらに我々は、使用するプレガバリンの粒径の影響を試験した。我々は、驚くべきことには、微粉末プレガバリンがより強い効果を有するとの知見を得た。開発の間に、我々は、組成物PGA2150619及びPGA2211119の効果を比較した。組成物間のわずかな差異は、PGA2211119がプレガバリンのより小さい微粉末粒子を含んでなることである。図4において、生成物のより小さい粒径が組成物の効果を増大させることを示している。それ故、本発明の好ましい具体例では、使用するプレガバリンを微粉化する。
【0051】
本発明の好ましい具体例によれば、原料として使用するプレガバリンを摩砕する(使用するプレガバリンのD90粒径が200μm未満、好ましくは、20~200μmであることを意味する)。より好ましくは、原料として微粉末プレガバリン(20μm未満のD90を有する)を使用する
【0052】
D90は、レーザー回折粒径測定法によって測定される、テスト物質の粒径の90%未満の値を与えるパラメーターである。測定方法を実験部に示す。
【0053】
本発明の組成物の効果の持続期間を試験した。本発明の組成物は、5時間以上の痛み緩和効果を有しており、我々の目的が達成されたとの知見を得た。例えば、PGA2211119は、8時間後であっても顕著な痛み緩和効果を有するとの知見を得た(図5)。
【0054】
局所用プレガバリン製剤の開発の中で、ターゲット領域の治療の効果、すなわち、神経障害領域における機械的過敏の低減だけでなく、全身的効能/作用も調査すべきであることが示唆された。これらの研究もニューロパチーのマウスモデルで行った。これらの実験における処置は、ニューロパチーの足ではなく、他の(左)後肢から遠く離れ足又は首に近い剃毛した背中の上方部分に適用した。各ケースにおいて、1分間又はクリームが吸収されまで擦り込むことによってクリームを塗布した。処置表面のサイズは、足については~2cm2、首に近い背中の上方部分については~2又は~6cm2であった。
【0055】
我々の実験によれば、プレガバリンの局所投与は、上記のテスト方法を使用した際、ほんのわずかな全身作用を有する。例えば、MPNLの足の表面2cm2に対して用量20μlで使用したPGA2211119(プレガバリン含量5%)組成物は、5時間又は8時間でも、顕著で、長期間持続する痛み緩和効果を有する(図5)。PGA2211119の組成物のプレガバリンの実験用量を2.5倍(50μl)として、マウスの首に近い背中の上方部分の表面2cm2に塗布した場合、MPNLの足について有意の痛み緩和効果はない。これは、プレガバリンの有意の量が吸収されず、このため、全身的な痛み緩和効果をもたらすに十分な量のプレガバリンが血流に到達しないことを示す。さらに、首に近いマウスの背中の上方部分の表面6cm2(マウスの全表面の大部分である)に2.5倍の用量で塗布したとしても有意の効果はない(図6参照)。
【0056】
このように、本発明の組成物は神経障害性疼痛の治療に効果的である。Wistarラット(体重280~300 g)についての我々の実験によれば、CCI手術をしたラットにプレガバリン約16.6 mg/kgを投与したところ、ラットの手術した足裏の表面4cm2において神経障害性足底感受性を示した。本発明の組成物5~15%を塗布した場合、動物の手術した足の過敏性が速やかに消失し、鎮痛作用は5時間後に初めて低下し始め、すなわち、5時間後でも、組成物の鎮痛作用は有意である。本発明による組成物15%PGA0470717を33.3 mgの量又は10%PGA2330320を50.0 mgの量又は5%PGA1601018を100.0 mgの量で足底の表面4cm2に塗布することも可能である。本発明の組成物をラットに16.6 mgの量で局所的投与すると、効果は少なくとも5時間維持されるため(同量の経口投与は痛みを生じないが)、本発明の局所的投与の場合には、必要なプレガバリンの量は経口投与されるよりも少ないことを示唆する。我々の薬物動態試験は、局所的治療の間に、プレガバリンが非常に少ない量で血流中に入ることを示したため、ヒトでも、経口投与と比較して、要求されるプレガバリン量は少なく、従って、神経障害性疼痛の低減以外に、プレガバリンの副作用は発現しないことが期待される。
【0057】
要約すると、本発明の組成物は、プレガバリンを含有する組成物による局所的治療によって、全身的副作用を生ずることなく、長期間持続する痛み緩和効果を有する。従って、各種の痛み、例えば、神経障害性疼痛、末梢神経障害性疼痛(例えば、糖尿病患者又は帯状疱疹患者が経験する痛み)、及び中枢神経障害性疼痛(例えば、脊髄損傷、糖尿病性神経障害の患者が経験する痛み、カウザルギー、腕神経叢裂離、後頭神経痛、反射性交感神経性ニューロパチー、線維筋痛症、痛風、幻肢痛症、バムペイン、及び他の様式の神経痛様疼痛症候群、神経障害疼痛症候群、及び突発性疼痛症候群の患者が経験する痛み)の痛み緩和のための経口プレガバリン治療の代替手段、好ましくは神経障害性疼痛、糖尿病性神経障害性疼痛、末梢神経障害性疼痛、ヘルペス後疼痛の治療用、最も好ましくは神経障害性疼痛、特に、末梢神経障害性疼痛、又はヘルペス後神経痛(PHN)の痛み緩和のために経口プレガバリン治療を受けている患者にとっての代替手段となり得る。
【0058】
先に開示したように、本発明の重要な特徴は、組成物が、吸収エンハンサーとして、特殊な加工が施された形のリン脂質を含有することであり、すなわち、使用するリン脂質又はその少なくとも一部が、HPHホモゲナイザイー又は同様の状況を提供できる装置を使用して溶媒と混合及び均質化されなければならない。我々の仮説では、高せん断力、又はリン脂質を含んでなる流体の強力な運動に結び付くものが、混合物におけるリン脂質の構造を変更して、これにより、新たな構造が長期間安定となり、プレガバリンが組成物中に分散されている場合でも、プレガバリンの良好な吸収及び延長された痛み緩和効果を生ずる。
【0059】
溶媒の存在下におけるリン脂質のHPH均質化は、混合物中におけるリン脂質のミセルの量を有意に低減させると思われる。HPH処理後、リン脂質は混合物中に分散される。驚くべきことには、この構造は、その後、長時間維持される。
【0060】
本発明の他の態様によれば、局所用組成物はSAXS測定によって特徴付けられる。すなわち、リン脂質のHPH均質化によって調製され、より長くかつより強力な効果を有する本発明の組成物の図形は、混合、高せん断混合、又はボールミルのみで均質化された組成物と比べて、この組成物におけるリン脂質のミセルの量が低減されることを示す。差は測定曲線の当てはめ関数のミセル寄与スケーリング係数によって測定される。
【0061】
別の観点から見ると、本発明は、プレガバリンを含んでなる局所用医薬組成物であって、組成物が、小角X線散乱測定の図形に由来のミセル寄与スケーリング係数(I0)が0.00025 cm-1sr-1以下、好ましくは0.00023 cm-1sr-1以下、より好ましくは0.00021 cm-1sr-1未満、さらにより好ましくは0.00019 cm-1sr-1未満である分散形のリン脂質を含んでなることを特徴とする局所用医薬組成物に係る(ミセル寄与スケーリング係数(I0)の測定については上記しており、特に、実験の項で検討する)。
【0062】
分散形のプレガバリンを含んでなる局所用医薬組成物は、組成物中に、分散形のリン脂質を含んでなり、ここで、小角X線散乱測定の図形に由来のミセル寄与スケーリング係数(I0)が0.00025 cm-1sr-1以下、好ましくは0.00023 cm-1sr-1以下、より好ましくは0.00021 cm-1sr-1未満、さらにより好ましくは0.00019 cm-1sr-1未満であり、組成物は、プレガバリン2.5質量%以上及びリン脂質0.1~5質量%を含んでなることができる。
【0063】
より好ましくは、0.00025 cm-1sr-1以下、好ましくは0.00023 cm-1sr-1以下、より好ましくは0.00021 cm-1sr-1未満、さらにより好ましくは0.00019 cm-1sr-1未満である小角X線散乱測定の図形に由来のミセル寄与スケーリング係数(I0)を有する局所用医薬組成物は、プレガバリン2.5~40質量%、好ましくは3~20質量%、より好ましくは3~15質量%、最も好ましくは5~10質量%、及びリン脂質0.1~3質量%、好ましくは0.1~1.5質量%、最も好ましくは0.1~1.2質量%を含んでなることができる。
【0064】
より好ましくは、0.00025 cm-1sr-1以下、好ましくは0.00023 cm-1sr-1以下、より好ましくは0.00021 cm-1sr-1未満、さらにより好ましくは0.00019 cm-1sr-1未満である小角X線散乱測定の図形に由来のミセル寄与スケーリング係数(I0)を有する局所用医薬組成物は、半固体、好ましくは、ゲル、クリーム、又はゲル-クリームであり、さらに、添加剤、例えば、溶媒、浸透エンハンサー、皮膚軟化薬、レオロジー改質剤、pH調節剤、及び保存料又はその混合物を含んでなることができる。本発明の好ましい具体例によれば、使用される溶媒の量は、40~90質量%、好ましくは70~90質量%、最も好ましくは75~85質量%であり、皮膚軟化薬の量は、0~20質量%、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは2~15質量%、さらにより好ましくは3~10質量%であり、浸透エンハンサーの量は、0~20質量%、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは2~15質量%、さらにより好ましくは3~10質量%であり、レオロジー改質剤の量は、0~20質量%、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは0.1~5質量%、さらにより好ましくは0.1~2質量%、最も好ましくは0.2~0.5質量%である。
【0065】
本発明による組成物は下記のような添加剤を含んでなることができる:
リン脂質として、天然又は合成のリン脂質、例えば、ホスファチジン酸(ホスファチデート)、ホスファチジルエタノールアミン(セファリン)、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスホイノシチド、例えば、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルイノシトールホスフェート、ホスファチジルイノシトールビスホスフェート、ホスファチジルイノシトールトリスホスフェート、セラミドホスホリルコリン、セラミドホスホリルエタノールアミン、セラミドホスホリルリピド、又はその誘導体又は混合物が使用される。本発明によれば、好ましくは、ホスファチジルコリン(レシチン)、より好ましくは、大豆レシチン、脱油大豆レシチン、リポイドP75、リポイドS75が使用される。
溶媒としては、水、薬学上許容されるC2-C4アルコール、より好ましくはエタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソ-プロパノール、1以上の水酸基を有するアルコール、好ましくはグリセロール、プロピレングリコール、より好ましくはエタノール又はイソプロパノール又はその混合物が使用される。
皮膚軟化薬としては、好ましくはビタミンA、D、及びE、ラノリン、ラノリンアルコール、プロピレングリコールジベンゾアート、植物油、植物エキス、脂肪アルコールエステル、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、合成ポリマー、ケイ素化合物、脂肪酸、鉱油誘導体、ワックス、又はその混合物、最も好ましくは、脂肪酸エステルとして、パルミチン酸セチル、脂肪酸アルコールとして、オクチルデカノール、脂肪酸誘導体として、デシリスオレアス、植物油として、ココナッツオイルが使用される。
リン脂質を除く浸透エンハンサーとしては、DL-α-トコフェロール、セバシン酸ジエチルジメチルスルホキシド、グリコフロール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸、リノール酸、メチルピロリドン、ミリスチン酸、オレイン酸、オレイルアルコール、パルミチン酸、ポリエチレンアルキルエーテル、ポリオキシルグリセリド:i.:カプリロカプロイルポリオキシルグリセリド、ii.:ラウロイルポリオキシルグリセリド、例えば、リノレオイルポリオキシルグリセリドのようなポリオキシルグリセリド、ステアロイルポリオキシルグリセリドのようなポリオキシルグリセリド、プロピレングリコールモノラウレート、スクアレン、チモール、トリカプリリン、トリカプリリン、カンホララセミカ(camphora racemica)、メントール、セチルデカノエート、ラウリン酸セチル、ミリスチン酸セチル、セチルミリストレート、オレイン酸セチル、パルミチン酸セチル、セチルパルミトレート、ステアリン酸セチル、又は他の浸透エンハンサーの混合物が使用される。
保存料としては、EDTA、EDTA誘導体、芳香族保存料、例えば、パラ-ヒドロキシ安息香酸、チメロサール、クロロヘキシジンベジルアルコール、及び塩化ベンザルコニウム、好ましくはベンジルアルコール、フェノキシエタノール、より好ましくはベンジルアルコール及びEDTAの混合物が使用される。
レオロジー改質剤としては、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、合成ポリマー、例えば、カーボマー(ポリアクリル酸)、好ましくはカーボマー980、ヒドロキシアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、及び植物ガム、例えば、キサンタンガム、最も好ましくはカーボマーが使用され、pH調節剤としては、好ましくは塩基タイプのpH調節剤、より好ましくはアンモニア、アンモニウム溶液、水酸化アルカリ金属又はアルカリ土塁金属、カーボネート、ハイドロカーボネート、又は有機塩基、例えば、一級、二級、又は三級アミン、最も好ましくはアンモニア水溶液が使用される。
【0066】
理論によって縛られることはないが、リン脂質を含んでなる流体の強力な運動に関連する高せん断力は、混合物におけるリン脂質の構造を変更し、このようにして、新たな構造が長期間安定となり、その結果、プレガバリンが組成物中に分散される場合でも、プレガバリンの吸収が良好なものとなり、長期間の痛み緩和効果を生ずる。我々の理論よれば、HPH均質化の高せん断効果のため、ミセルの数は顕著に低減される。
【0067】
それ故、本発明は、さらに、リン脂質及び溶媒を含んで含んでなる混合物を、高圧ホモジナイザーにて均質化する方法によって得られる、プレガバリンが分散形であるプレガバリン及びリン脂質を含んでなる局所用医薬組成物に係る。本発明によれば、リン脂質は、方法のいずれかの相において、HPHホモジナイザーにて均質化される。プレガバリンは、本発明のいずれかの工程において、必ずしも完全には溶解できない量で添加される。このように、プレガバリンの溶解しない部分は、混合物中に固体の粒子として分散される。
【0068】
このように、本発明は、プレガバリン及びリン脂質を含んで含んでなる局所用医薬組成物の製造する方法にも係り、該方法は、
リン脂質及び溶媒又は溶媒混合物を高圧ホモジナイザーによって均質化し、プレガバリンを組成物に添加する、又は
リン脂質、溶媒、及びプレガバリンを混合し、このようにして得られた混合物を高圧ホモジナイザーによって均質化する
ものであり、このようにして得られた組成物は分散形のプレガバリンを含んでなる。
【0069】
プレガバリン以外に、リン脂質及び溶媒の混合物(該混合物は、HPHホモゲナイザイー又は前記混合物をについて同様の効果を生ずることができる装置にて処理されている)及びさらに添加剤を含んでなる組成物の調製は、例えば、成分の配合順序に応じて、いくつかの異なる手順において行われる。我々の実験では、配合順序は結果からみて重要ではないとの知見を得た。例えば、リン脂質を、プレガバリン又はいずれかの他の添加剤とともに又はなしで均質化できる。方法の最後までに、少なくとも溶媒の存在下、リン脂質を、HPH又は同様の効果を有する装置にて、少なくとも1回、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回処理することが最重要点である。
【0070】
好ましい具体例では、本発明の組成物は、追加のレオロジー改質剤を含んでなる。換言すれば、本発明の組成物は、組成物にレオロジー改質剤を添加することによって、ゲル、クリーム、又はゲル-クリームに形成される。
【0071】
レオロジー改質剤を添加する目的は、クリーム、ゲル、又はゲル-クリームが流動体として局所的に投与されるである。さらに、組成物は分散されたプレガバリンを含んでなり、分散液は、レオロジー改質剤、例えば、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、合成ポリマー、例えば、カーボマー(ポリアクリル酸)、好ましくはカーボマー980、ヒドロキシアルキルセルロース、好ましくはヒドロキシエチルセルロース、及び植物ガム、好ましくはキサンタンガム又はガーゴム、最も好ましくはカーボマーを含んでなる組成物において容易に安定化される。仮に、HPH均質化処理前にゲル相が組成物に添加される場合には、高せん断力がゲル、クリーム、又はゲル-クリーム形状を破壊するため、ゲル、クリーム、又はゲル-クリーム形状に再形成するために、更なるレオロジー改質剤を添加することが必要である。
【0072】
本発明の他の態様は、組成物中に分散形のプレガバリン及びリン脂質を含んでなる局所用医薬組成物の製法であって、小角X線散乱測定の図形に由来のミセル寄与スケーリング係数(I0)が0.00025 cm-1sr-1以下、好ましくは0.00023 cm-1sr-1未満、より好ましくは0.00021 cm-1sr-1未満、さらにより好ましくは0.00019 cm-1sr-1未満である製法にある。
本発明の他の具体例によれば、方法は、リン脂質、溶媒又は溶媒混合物、プレガバリン及び任意の他の添加剤の混合物を均質化し、及び
HPHホモジナイザーによって均質化し、ついで、レオロジー改質剤及び任意の他の添加剤を、このようにして得られた混合物に添加し、均質化する、又は
レオロジー改質剤を添加し、このようにして得られた組成物をHPHホモジナイザーにて均質化し、ついで、必要であれば、更なる添加剤を添加し、このようにして得られた混合物を均質化する
ことによって行われ、このようにして得られた組成物は混合物中において分散形のプレガバリン及びリン脂質を含んでなり、小角X線散乱測定の図形に由来のミセル寄与スケーリング係数(I0)が0.00025 cm-1sr-1以下、好ましくは0.00023 cm-1sr-1以下、より好ましくは0.00021 cm-1sr-1未満、さらにより好ましくは0.00019 cm-1sr-1未満である。
【0073】
このように、本発明は、例えば、下記のようにして行われる上記の方法に係る:
リン脂質、溶媒又は溶媒混合物及び任意の他の添加剤の混合物をHPHホモジナイザーにて均質化し、ついで、レオロジー改質剤を添加し、及びこのようにして得られた混合物に、プレガバリン及び任意の他の添加剤を添加し、このようにして得られた混合物を均質化する、又は
リン脂質、溶媒又は溶媒混合物、及び任意の他の添加剤の混合物をHPHホモジナイザーにて均質化し、ついで、このようにして得られた混合物に、プレガバリン及び任意の他の添加剤を添加し、このようにして得られた混合物を均質化し、ついで、レオロジー改質剤を添加する、又は
リン脂質、溶媒又は溶媒混合物及び任意の他の添加剤の混合物を、HPHホモジナイザーにて均質化し、及びこのようにして得られた混合物をプレガバリン及び任意の他の添加剤の混合物(プレガバリンを含んでなる混合物は、別に、HPHホモジナイザーにて均質化されている)に添加し、ついで、必要であれば、レオロジー改質剤を添加する、又は
リン脂質、溶媒又は溶媒混合物及び任意の他の添加剤の混合物を、HPHホモジナイザーにて均質化し、ついで、プレガバリン及び任意の他の添加剤をリン脂質相に添加し、ついで、このようにして得られた混合物をHPHホモジナイザーにて均質化し、ついで、レオロジー改質剤を添加する、又は
リン脂質、溶媒又は溶媒混合物及び任意の他の添加剤の混合物をHPHホモジナイザーにて均質化し、ついで、プレガバリン及び任意の他の添加剤をリン脂質相に添加し、ついで、このようにして得られた混合物をHPHホモジナイザーにて均質化し、ついで、必要であれば、レオロジー改質剤又は他の添加剤を添加する。
このように、本発明は、例えば、リン脂質、溶媒又は溶媒混合物、プレガバリン及び任意の他の添加剤の混合物を均質化し、及び
ついで、HPHホモジナイザーにて均質化し、ついで、このようにして得られた混合物にレオロジー改質剤及び任意の他の添加剤を添加し、均質化する、又は
レオロジー改質剤を添加し、このようにして得られた組成物をHPHホモジナイザーにて均質化し、ついで、必要であれば、更なる添加剤を添加し、このようにして得られた混合物を均質化する
上記の方法に係り、このようにして得られた組成物は、組成物中に分散された形のプレガバリン及びリン脂質を含んでなり、小角X線散乱測定の図形に由来のミセル散乱寄与スケーリング係数(I0)が0.00025 cm-1sr-1以下、好ましくは0.00023 cm-1sr-1以下、より好ましくは0.00021 cm-1sr-1未満、さらにより好ましくは0.00019 cm-1sr-1未満である。
【0074】
さらに詳しくは、本発明は、分散された形のプレガバリン及びリン脂質を含んでなり、小角X線散乱測定の図形に由来のミセル散乱寄与スケーリング係数(I0)が0.00025 cm-1sr-1以下、好ましくは0.00023 cm-1sr-1以下、より好ましくは0.00021 cm-1sr-1未満、さらにより好ましくは0.00019 cm-1sr-1未満である組成物の製法に係り、該方法では、リン脂質、溶媒又は溶媒混合物、プレガバリン及び任意の他の添加剤の混合物を均質化し、及び
HPHホモジナイザーにて均質化し、ついで、このようにして得られた混合物にレオロジー改質剤及び任意の他の添加剤を添加し、均質化する、又は
レオロジー改質剤を添加し、このようにして得られた組成物をHPHホモジナイザーにて均質化し、ついで、必要であれば、更なる添加剤を添加し、このようにして得られた混合物を均質化する。
本発明によれば、局所用組成物は、リン脂質、溶媒又は溶媒混合物を含んでなる混合物、及び任意にプレガバリン及び他の添加剤を、高圧ホモジナイザーにて少なくとも1回、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化する方法によって得られる。
【0075】
このように、局所用医薬組成物の製法は、上記のように行われ、当該方法は、リン脂質、溶媒又は溶媒混合物、及び任意にプレガバリン及び他の添加剤を含んでなる混合物のHPH均質化を含んでなり、高圧均質化を少なくとも1回、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回行う。
【0076】
本発明によれば、本発明による方法によって得られる局所用医薬組成物は、プレガバリン2.5質量%以上及び高圧均質化されたリン脂質0.1~5質量%を含んでなり、プレガバリンは組成物において分散形である。
【0077】
さらに詳しくは、本発明によれば、局所用医薬組成物は、本発明に従って調製され、プレガバリン2.5~40質量%、好ましくは3~20質量%、より好ましくは3~15質量%、最も好ましくは5~10質量%、及びリン脂質0.1~3質量%、好ましくは0.1~1.5質量%、最も好ましくは0.1~1.2質量%を含んでなり、プレガバリンは分散形である。
【0078】
このように、方法の間に、プレガバリン2.5質量%以上が組成物に添加され、リン脂質0.1~5質量%が添加され、及びHPHホモジナイザーにて均質化される。本発明の好ましい具体例によれば、このようにして得られた混合物は、ゲル、クリーム、又はゲル-クリーム形状に形成される。
【0079】
このように、好ましい様式では、本発明による組成物は、リン脂質及び水の混合物を高圧ホモジナイザーにて均質化し、ついで、プレガバリン及び少なくとも1以上の添加剤を混合物に添加し、均質化することにより調製され、当該組成物は、プレガバリン2.5~40質量%、好ましくは3~20質量%、より好ましくは3~15質量%、最も好ましくは5~10質量%を含有し、及びまたリン脂質0.1~3質量%、好ましくは0.1~1.5質量%、最も好ましくは0.1~1.2質量%を含んでなり、リン脂質及びプレガバリンは分散形であり、小角X線散乱測定の図形に由来のミセル寄与スケーリング係数(I0)が0.00025 cm-1sr-1以下、好ましくは0.00023 cm-1sr-1以下、より好ましくは0.00021 cm-1sr-1未満、さらにより好ましくは0.00019 cm-1sr-1未満である。
【0080】
他の態様から、プレガバリン及びリン脂質を含んでなり、0.00025 cm-1sr-1以下、好ましくは0.00021 cm-1sr-1未満、さらにより好ましくは0.00019 cm-1sr-1未満である小角X線散乱測定の図形に由来のミセル寄与スケーリング係数(I0)を有する本発明による局所用組成物は、リン脂質及び水の混合物を高圧ホモジナイザーにて均質化し、ついで、プレガバリン及び少なくとも1以上の添加剤を混合物に添加し、均質化することにより調製され、当該組成物は、プレガバリン2.5~40質量%、好ましくは3~20質量%、より好ましくは3~15質量%、最も好ましくは5~10質量%を含有し、及びまたリン脂質0.1~3質量%、好ましくは0.5~1.5質量%、最も好ましくは0.8~1.2質量%を含んでなり、リン脂質及びプレガバリンは分散形である。
【0081】
さらに詳しくは、本発明による方法は、プレガバリン2.5~40質量%、好ましくは3~20質量%、より好ましくは3~15質量%、最も好ましくは5~10質量%を添加し、及びリン脂質0.1~3質量%、好ましくは0.1~1.5質量%、最も好ましくは0.1~1.2質量%を添加し、HPH装置にて均質化するようにして行われる。本発明の好ましい具体例によれば、このようにして得られた混合物をゲル、クリーム、又はゲル-クリーム形状に形成する。
【0082】
上述のように、本発明による方法によって得られる局所用医薬組成物は、さらに、添加剤、例えば、溶媒40~90質量%、好ましくは70~90質量%、最も好ましくは75~85質量%、皮膚軟化薬0~20質量%、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは2~15質量%、さらにより好ましくは3~10質量%、浸透エンハンサー0~20質量%、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは2~15質量%、さらにより好ましくは3~10質量%、レオロジー改質剤0~20質量%、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは0.1~5質量%、さらにより好ましくは0.1~2質量%、最も好ましくは0.2~0.5質量%を含んでなることができ、又はその混合物が使用される。
【0083】
本発明による局所用組成物の調製のために、好ましくは、上述の添加剤が使用される。より好ましくは、本発明による局所用組成物は、上述の添加剤を使用し、上述の方法によって得られる。
【0084】
このように、本発明によれば、上述の方法による局所用組成物の調製のために、好ましくは、
リン脂質として、天然又は合成のリン脂質、好ましくはレシチン、より好ましくは大豆レシチン、脱油大豆レシチン、リポイドP75、リポイドS75;
溶媒として、水、薬学上許容されるC2-C4アルコール、より好ましくはエタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、iso-ブタノール、1以上の水酸基を有するアルコール、好ましくはグリセロール、プロピレングリコール、より好ましくはエタノール又はイソプロパノール又はその混合物;
皮膚軟化薬として、ビタミンA、D、及びE、ラノリン、ラノリンアルコール、好ましくはジ安息香酸プロピレングリコール、植物油、植物エキス、脂肪アルコールエステル、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、合成ポリマー、ケイ素化合物、脂肪酸、鉱油誘導体、ワックス又はその混合物、最も好ましくは脂肪酸エステルとしてパルミチン酸セチル、脂肪アルコールとしてオクチルドデカノール、脂肪酸誘導体としてデシリスオレアス、植物油としてココナッツオイル;
リン脂質を除く浸透エンハンサーとして、C2-C4アルコール、DL-α-トコフェロール、又はその混合物;
保存料として、EDTA、EDTA誘導体、芳香族保存料、例えば、パラ-ヒドロキシ安息香酸、チメロサール、クロロヘキシジンベンジルアルコール、及び塩化ベンザルコニウム、好ましくはベンジルアルコール、より好ましくはベンジルアルコール及びEDTAの混合物;
レオロジー改質剤として、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、合成ポリマー、例えば、カーボマー(ポリアクリル酸)、好ましくはカーボマー980、ヒドロキシアルキルセルロース、好ましくはヒドロキシエチルセルロース、及び植物ガム、好ましくは、キサンタンガム又はガーゴム、最も好ましくはカーボマー;
pH調節剤として、好ましくは塩基タイプのpH調節剤、より好ましくはアンモニア、アンモニウム溶液、水酸化アルカリ又はアルカリ土塁金属、カーボネート、ハイドロカーボネート、又は有機塩基、例えば、一級、二級、又は三級アミン、最も好ましくは、アンモニア水溶液
を使用できる。
【0085】
本発明の局所用組成物は下記の方法から得られる:
リン脂質及び溶媒、好ましくは水とアルコール、好ましくはエタノール又はイソプロパノールとの混合物、最も好ましくは水とイソプロパノールとの混合物、及び任意の他の添加剤、好ましくは皮膚軟化薬、好ましくはオクチルデカノール、及び/又は浸透エンハンサー、好ましくはDL-α-トコフェロールの混合物を、500~2000バール、好ましくは500~1500バール、最も好ましくは1000~1500バールの圧力を使用して、HPHホモジナイザーにて、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化し;ついで、このようにして得られた混合物を、レオロジー改質剤、好ましくはポリエチレングリコール、合成ポリマー、好ましくはカーボマー(ポリアクリル酸)、より好ましくはカーボマー980、ヒドロキシアルキルセルロース、好ましくはヒドロキシエチルセルロース、及び植物ガム、好ましくはキサンタンガム又はガーゴム、最も好ましくはカーボマー980を、溶媒、好ましくは水中で膨潤させることによって調製したゲル相(必要であれば、ゲル相のpHをpH調節剤、好ましくはアンモニウム水溶液にて調整する)に添加し;ついで、このようにして得られた混合物に、プレガバリン及び任意の他の添加剤、好ましくは皮膚軟化薬、例えば、デシリスオレアス及び保存料、好ましくはEDTA水溶液を混合し、均質化する、又は
リン脂質及び溶媒、好ましくは水又は水とアルコール、好ましくはエタノール又はイソプロパノールとの混合物、最も好ましくは水とイソプロパノールとの混合物、及び任意の他の添加剤、好ましくは皮膚軟化薬、好ましくはオクチルデカノール、及び/又は浸透エンハンサー、好ましくはDL-α-トコフェロールの混合物を、500~2000バール、好ましくは500~1500バール、最も好ましくは1000~1500バールの圧力を使用して、HPHホモジナイザーにて、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化し;ついで、このようにして得られた混合物に、プレガバリン及び任意の他の添加剤、好ましくは皮膚軟化薬、例えば、デシリスオレアス及び保存料、好ましくはEDTA水溶液を混合し;ついで、このようにして得られた混合物を、レオロジー改質剤、好ましくはポリエチレングリコール、合成ポリマー、好ましくはカーボマー(ポリアクリル酸)、より好ましくはカーボマー980、ヒドロキシアルキルセルロース、好ましくはヒドロキシエチルセルロース、及び植物ガム、好ましくはキサンタンガム又はガーゴム、最も好ましくはカーボマー980を、溶媒、好ましくは水中で膨潤させることによって調製したゲル相(必要であれば、ゲル相のpHをpH調節剤、好ましくはアンモニウム水溶液にて調整する)に添加する;又は
リン脂質及び溶媒、好ましくは水又は水とアルコール、好ましくはエタノール又はイソプロパノールとの混合物、最も好ましくは水とイソプロパノールとの混合物、及び任意の他の添加剤、好ましくは皮膚軟化薬、好ましくはオクチルデカノール、及び/又は浸透エンハンサー、好ましくはDL-α-トコフェロールの混合物を、500~2000バール、好ましくは500~1500バール、最も好ましくは1000~1500バールの圧力を使用して、HPHホモジナイザーにて、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化し;ついで、このようにして得られた混合物を、プレガバリン及び溶媒、好ましくは水及び任意の他の添加剤、好ましくは皮膚軟化薬、例えば、デシリスオレアス及び保存料、好ましくはEDTA水溶液の混合物(当該混合物は、別に、500~2000バール、好ましくは500~1500バール、最も好ましくは1000~1500バールの圧力を使用して、HPHホモジナイザーにて、1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化されている)に混合し;ついで、このようにして得られた混合物を、レオロジー改質剤、好ましくはポリエチレングリコール、合成ポリマー、好ましくはカーボマー(ポリアクリル酸)、より好ましくはカーボマー980、ヒドロキシアルキルセルロース、好ましくはヒドロキシエチルセルロース、及び植物ガム、好ましくはキサンタンガム又はガーゴム、最も好ましくはカーボマー980を、溶媒、好ましくは水中で膨潤させることによって調製したゲル相(必要であれば、ゲル相のpHをpH調節剤、好ましくはアンモニウム水溶液にて調整する)に添加する;又は
リン脂質及び溶媒、好ましくは水又は水とアルコール、好ましくはエタノール又はイソプロパノールとの混合物、最も好ましくは水とイソプロパノールとの混合物、及び任意の他の添加剤、好ましくは、皮膚軟化薬、好ましくはオクチルデカノール、及び/又は浸透エンハンサー、好ましくはDL-α-トコフェロールの混合物を、500~2000バール、好ましくは500~1500バール、最も好ましくは1000~1500バールの圧力を使用して、HPHホモジナイザーにて、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化し;ついで、プレガバリン及び任意の他の添加剤、好ましくは皮膚軟化薬、好ましくはデシリスオレアス、及び保存料、好ましくはEDTA水溶液を脂質相に添加し;ついで、このようにして得られた混合物を、500~2000バール、好ましくは500~1500バール、最も好ましくは1000~1500バールの圧力を使用して、HPHホモジナイザーにて、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化し;ついで、このようにして得られた混合物を、レオロジー改質剤、好ましくはポリエチレングリコール、合成ポリマー、好ましくはカーボマー(ポリアクリル酸)、より好ましくはカーボマー980、ヒドロキシアルキルセルロース、好ましくはヒドロキシエチルセルロース、及び植物ガム、好ましくはキサンタンガム又はガーゴム、最も好ましくはカーボマー980を、溶媒、好ましくは水中で膨潤させることによって調製したゲル相(必要であれば、ゲル相のpHをpH調節剤、好ましくはアンモニウム水溶液にて調整する)に添加する;又は
リン脂質及び溶媒、好ましくは水又は水とアルコール、好ましくはエタノール又はイソプロパノールとの混合物、最も好ましくは水とイソプロパノールとの混合物、及び任意の他の添加剤、好ましくは皮膚軟化薬、好ましくはオクチルデカノール、及び/又は浸透エンハンサー、好ましくはDL-α-トコフェロールの混合物を、500~2000バール、好ましくは500~1500バール、最も好ましくは1000~1500バールの圧力を使用して、HPHホモジナイザーにて、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化し;ついで、このようにして得られた混合物を、レオロジー改質剤、好ましくはポリエチレングリコール、合成ポリマー、好ましくはカーボマー(ポリアクリル酸)、より好ましくはカーボマー980、ヒドロキシアルキルセルロース、好ましくはヒドロキシエチルセルロース、及び植物ガム、好ましくはキサンタンガム又はガーゴム、最も好ましくはカーボマー980を、溶媒、好ましくは水中で膨潤させることによって調製したゲル相に添加し;ついで、プレガバリン及び任意の他の添加剤、好ましくは皮膚軟化薬、例えばデシリスオレアス及び保存料、好ましくはEDTA水溶液をリン脂質相に添加し;ついで、このようにして得られた混合物を、500~2000バール、好ましくは500~1500バール、最も好ましくは1000~1500バールの圧力を使用して、HPHホモジナイザーにて、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化し、必要であれば、更なるレオロジー改質剤又は添加剤を混合物に添加する。
【0086】
好ましい具体例によれば、本発明の局所用組成物は、下記の方法によって得られる:
リン脂質、プレガバリン及び溶媒又は溶媒混合物、好ましくは水又は水とアルコールとの混合物、好ましくは水とエタノール又はイソプロパノールとの混合物、最も好ましくは水とイソプロパノールとの混合物、及び任意の他の添加剤、好ましくは皮膚軟化薬、好ましくはオクチルデカノール、及び/又は浸透エンハンサー、好ましくはDL-α-トコフェロールの混合物を、500~2000バール、好ましくは500~1500バール、最も好ましくは1000~1500バールの圧力を使用して、HPHホモジナイザーにて、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化し;ついで、このようにして得られた混合物を、レオロジー改質剤、好ましくはポロキサマー、ポリエチレングリコール、合成ポリマー、好ましくはカーボマー(ポリアクリル酸)、より好ましくはカーボマー980、ヒドロキシアルキルセルロース、好ましくはヒドロキシエチルセルロース、及び植物ガム、好ましくはキサンタンガム又はガーゴム、最も好ましくはカーボマー980を、溶媒、好ましくは、水中で膨潤させることによって調製したゲル相(必要であれば、ゲル相のpHをpH調節剤、好ましくはアンモニウム水溶液にて調整する)に添加し;ついで、このようにして得られた混合物に、レオロジー改質剤又は任意の他の添加剤を混合し、均質化する、又は
リン脂質、プレガバリン及び溶媒又は溶媒混合物、好ましくは水又は水とアルコールとの混合物、より好ましくは水とエタノール又はイソプロパノールとの混合物、最も好ましくは水とイソプロパノールとの混合物、及び任意の他の添加剤、好ましくは皮膚軟化薬、好ましくはオクチルデカノール、及び/又は浸透エンハンサー、好ましくはDL-α-トコフェロールの混合物を、500~2000バール、好ましくは500~1500バール、最も好ましくは1000~1500バールの圧力を使用して、HPHホモジナイザーにて、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化し;ついで、このようにして得られた混合物を、レオロジー改質剤、好ましくはポロキサマー、ポリエチレングリコール、合成ポリマー、好ましくはカーボマー(ポリアクリル酸)、より好ましくはカーボマー980、ヒドロキシアルキルセルロース、好ましくはヒドロキシエチルセルロース、及び植物ガム、好ましくはキサンタンガム又はガーゴム、最も好ましくはカーボマー980を、溶媒、好ましくは、水中で膨潤させることによって調製したゲル相(必要であれば、ゲル相のpHをpH調節剤、好ましくはアンモニウム水溶液にて調整する)に添加し;及びこのようにして得られた組成物を、500~2000バール、好ましくは500~1500バール、最も好ましくは1000~1500バールの圧力を使用して、HPHホモジナイザーにて、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化し;ついで、必要であれば、更なる添加剤を添加し、このようにして得られた混合物を均質化する。
【0087】
HPH均質化は、本発明の製法には重要である。我々の実験では、500~2000バール、好ましくは500~1500バール、最も好ましくは1000~1500バールの範囲の圧力を使用した。
【0088】
均質化を、AVESTIN, Inc.(2450 Don Reid Drive, オタワ, ON, カナダ, K1H 1E1)製のEmulsiFlex-C3ホモジナイザーにより、製造者の指示に従って実施した。本質的に、サンプルをサンプルチャンバーに入れ、ホモジナイザーをオンにセットした。一般的に、使用した均質化圧力は1000~1500バールであったが、2000バールで操作することもできる。均質化が終了したのち、必要であれば、さらに均質化するため、サンプルをサンプルチャンバーに戻す。上述のように、均質化を1~125回繰り返し行った。混合物を数回均質化する場合、初めの2回の均質化方法については、500~800バールのより低い均質化圧力を使用してプレ-均質化を行うことが有益である。適用可能な圧力は装置の幾何学的形状にも左右され、適用可能圧力は、装置を熟知する当業者にって決定される。
【0089】
局所用組成物の製法は、製薬業において一般的に使用される装置を使用することによって実施される。これらの装置の選択及び使用は当業者の知識の範囲内である。利用可能な装置のための方法の最適化も当業者の知識の範囲内である。使用する技術的ステップについての更なる情報は、一般的には、例えば、Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, 3版(2007, Informa Healthcare USA, Inc.)に記載されている。高圧ホモジナイザーの異なるタイプ及び操作パラメーター及び使用は、前記Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, 3版の第1996~2003頁の「均質化及びホモジナイザー」の章に十分に記載されている。市販の異なる高圧ホモジナイザーの選択、使用及び最適化は、当業者の知識の範囲内である。
【0090】
本発明の実施例ではバッチ式の混合装置を使用した。均質化が、撹拌タンクから高せん断ミキサー/ホモジナイザーに供給され、ついで、得られた混合物を混合タンクに戻すことによって再循環装置で行われる場合には、混合された混合物の量から、バッチ操作の場合において一度で全質量を混合するのに、どれだけの時間がかかるかを計算できる。バッチ操作の場合には、これに、所定の組成物を適切に均質化にするに要求される撹拌の回数を掛ける。しかし、貯蔵タンクの幾何学的形状及び混合特性のため、混合方法に係る経験では、このようなケースでは、正確には、既に均質化された生成物が、未だ均質化されていない物質と混合するため、通常、完全に均質化するには、予め計算されたよりも長い時間がかかる。これは、通常、1.5~2倍の時間であるが、そこで優勢な流動条件と同様に、使用する貯蔵タンクの幾何学的形状及び貯蔵タンクにおいて使用される撹拌機の効率に強く左右される。当業者は、その一般的な知識に基づき、本発明の方法をこのような装置に移行できるであろう。
【0091】
本発明の好ましい具体例によれば、組成物は、有効成分として摩砕されたプレガバリンを使用することによって上述の方法により得られる。より詳しくは、微粉末のプレガバリンを使用する。このように、好ましくは、使用するプレガバリンを摩砕して、20~200μmの摩砕されたプレガバリンの粒径D90を有するものとし、より好ましくは、使用するプレガバリンを微粉末化して、20μm未満の粒径D90を有するものとする。
【0092】
本発明の方法では、組成物の調製の間に、プレガバリンを粉末として又は懸濁液として固体形状で組成物に添加できる。
【0093】
温度の上昇が溶媒中におけるプレガバリンを変化させることを考慮する場合、HPH均質化が発熱に関与するため、本発明の好ましい具体例では、HPH均質化の間、本発明の混合物の温度を0~50℃、好ましくは20~45℃、最も好ましくは25~35℃に維持する。
【0094】
本発明の好ましい具体例によれば、リン脂質を使用前に膨潤させる。このように、本発明によれば、リン脂質、好ましくはレシチン、より好ましくは大豆レシチン、脱油大豆レシチン、リポイドP75、リポイドS75を、リン脂質の質量の10~30倍、好ましくは1~20倍の量の水で膨潤させることによってリン脂質の混合物を調製し、このようにして得られた膨潤リン脂質を他の添加剤と混合して脂質相を形成する。
【0095】
好ましい具体例では、リン脂質を、使用するリン脂質の質量に基づいて計算した5~25倍、好ましくは10~20倍量の水中において、25~40℃、好ましくは25~35℃で膨潤させ、ついで、このようにして得られた膨潤混合物をリン脂質混合物として使用する。膨潤工程は0.1~24時間、好ましくは0.3~3時間を要する。好ましい具体例では、この混合物を、直接、高圧ホモジナイザーにて均質化するか、又は高圧均質化の前に、他の添加剤、例えば、皮膚軟化薬及び浸透エンハンサーを添加し、ついで、高圧ホモジナイザーによって均質化する。他の具体例によれば、このようにして得られた膨潤リン脂質混合物を他の添加剤及びプレガバリンと混合し、均質化することができ、このようにして得られた混合物を高圧ホモジナイザーによって均質化する。本発明の最も好ましい具体例によれば、膨潤リン脂質混合物を、HPHホモジナイザーにて、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化し、ついで、ゲル相に添加し、このようにして得られた混合物をプレガバリンの水性分散液と混合し、このようにして得られた組成物を、HPHホモジナイザーにて、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化する。
【0096】
同様に、好ましくは、ゲルを膨潤させることによってゲル相を調製し、このようにして膨潤させたゲル相を組成物に添加する。さらに詳しくは、レオロジー改質剤、好ましくはポロキサマー、ポリエチレングリコール、合成ポリマー、好ましくはカーボマー(ポリアクリル酸)、より好ましくはカーボマー980、ヒドロキシアルキルセルロース、好ましくはヒドロキシエチルセルロース、及び植物ガム、好ましくはキサンタンガム又はガーゴム、最も好ましくはカーボマー980を、レオロジー改質剤の質量の10~30倍、より好ましくは10~20倍の量の溶媒、好ましくは水中で膨潤させることによってゲル相を調製し、必要であれば、ゲル相のpHをpH調節剤によって調整する。膨潤工程には6~24時間、好ましくは8~12時間を要する。
【0097】
好ましい具体例では、レオロジー改質剤を、使用するレオロジー改質剤の質量に基づいて計算して5~25倍、好ましい具体例10~20倍の水により膨潤させることによってゲル相を調製する。レオロジー改質剤として、ポリエチレングリコール、合成ポリマー、例えばカーボマー(ポリアクリル酸)、及び植物ガム、好ましくはカーボマー、最も好ましくはカーボマー(カーボマー980)を使用する。任意に、このようにして得られたゲル化混合物のpHを、pH調節剤の添加によって中性とする。カーボマー、最も好ましくはカーボマー980を使用する場合には、塩基性pH調節剤を使用する。このようなpH調節剤、例えば、アンモニア、アンモニウム溶液、好ましくはアンモニウム水溶液、水酸化アルカリ又はアルカリ土塁金属、カーボネート、ヒドロ-カーボネート、又は有機塩基、例えば、一級、二級又は三級アミン、最も好ましくはアンモニア水溶液が使用できる。最も好ましくは方法によれば、カーボマー980を、カーボマーの質量基準で10倍又は20倍の質量の水中において、室温で3~24時間、好ましくは3~12時間、最も好ましくは5~8時間膨潤させ、室温において、ゲル化した混合物をアンモニア水溶液にて中和する。植物ガム、好ましくはキサンタンガムを使用する場合、キサンタンガムを、植物ガム、好ましくはキサンタンガムの質量基準で10倍又は20倍の質量の水中において膨潤させ、好ましくはキサンタンガムを、40~100℃、好ましく50~70℃、最も好ましくは60℃の高温で膨潤させ、ついで、このようにして得られた混合物を室温に冷却し、均質化する。ヒドロキシアルキルセルロース、好ましくはヒドロキシエチルセルロースを使用する場合、ヒドロキシアルキルセルロースを、ヒドロキシアルキルセルロースの質量基準で10倍又は20倍の質量の水中で膨潤させ、好ましくはヒドロキシエチルセルロースを、35~40℃、好ましくは37℃の高温で膨潤させ、ついで、このようにして得られた混合物を室温(25℃)に冷却し、均質化する。ポロキサマー、好ましくはポロキサマー407を使用する場合、ポロキサマーを水中で膨潤させ、ついで、冷蔵庫で5~10℃に24時間保持し、ついで、室温まで加温する。
【0098】
このようにして得られた中和したゲルを、HPH均質化の前又は後で、リン脂質を含んでなる混合物に添加できる。或いは、このようにして得られたゲル化混合物を、HPH均質化の前又は後で、プレガバリン又はプレガバリンを含んでなる混合物と混合でき、又はゲル化混合物を、高圧均質化の前又は後で、リン脂質及びプレガバリンを含んでなる混合物に添加できる。
【0099】
本発明による局所用医薬組成物は、神経障害性疼痛、末梢神経障害性疼痛、例えば、糖尿病患者又は帯状疱疹に罹った患者が経験する痛み、及び中枢神経障害性疼痛、例えば、脊髄損傷、糖尿病性ニューロパチー、カウザルギー、腕神経叢裂離、後頭神経痛症、反射性交感神経性ジストロフィー、線維筋痛症、痛風、幻肢痛症、バムペイン、及び他の様式の神経痛様疼痛症候群、神経障害疼痛症候群、及び突発性疼痛症候群の患者が経験する痛みの治療に使用される。
【0100】
本発明によれば、組成物において、リン脂質は分散し、固体のプレガバリン粒子も分散している。分散したリン脂質はエマルジョンである。組成物は、レオロジー改質剤を添加することによって、ゲル、クリーム、又はゲル-クリーム形状に形成される。固体形のプレガバリンは結晶性又は無定形である。
【0101】
従来技術組成物を凌駕する本発明の利点は、本発明による局所用医薬組成物が、重篤な全身作用を生ずることなく、長期間持続する、少なくとも5又は8時間の痛み緩和効果を有することにある。局所用医薬組成物は、大きい身体表面で使用され、これは、神経障害性疼痛の治療の場合には非常に重要である。
【0102】
本発明の他の利点は、得られる組成物が長い棚寿命を有することである。組成物は、室温において1年以上も安定である。HPH均質化の効果が長期間持続することは驚きである。
【0103】
組成物の過酷な全身作用がないこと、これは、糖尿病性ニューロパチー(DPN)(罹患した身体表面は体表面の約28%に達する)の治療の場合には非常に重要である。
【0104】
本発明によって得られる組成物は、神経障害性疼痛の患者が8時間の睡眠時間を達成することを可能にする。
【0105】
図面
図1:NMRIマウスにおけるMPNL手術後7日の足底引っ込め閾値の図表を示す:
PGA 2180719(プレガバリン2.5%、50μl/右足、値:平均±S.E.M.、n=6)、両足
PGA 2190719(プレガバリン5%、20μl/右足、値:平均±S.E.M. n=7)、両足
PGA 0450717(プレガバリン15%、50μl/右足、値:平均±S.E.M.)両足
PGA 0470717(プレガバリン15%、50μl/右足、値:平均±S.E.M.)両足
PGA 1601018(プレガバリン5%、20μl/右足、値:平均±S.E.M.)両足
PGA 1601018(プレガバリン5%、20μl/右足、値:平均±S.E.M.)MPN結紮した足
PGA 0591017(プレガバリン15%、50μl/右足、値:平均±S.E.M.)両足
【0106】
図2:NMRIマウスにおけるMPNL手術後7日の足底引っ込め閾値の図表を示す:
PGA 0980418(プレガバリン15%、20μl/右足、値:平均±S.E.M.)両足
PGA 0990418(プレガバリン15%、20μl/右足、値:平均±S.E.M.)両足
PGA 1000418(プレガバリン15%、20μl/右足、値:平均±S.E.M.)両足
PGA 1040418(プレガバリン15%、20μl/右足、値:平均±S.E.M.)両足
PGA 1040418(プレガバリン15%、20μl/右足、値:平均±S.E.M.)MPN結紮した足
PGA 1510918(プレガバリン10%、20μl/右足、値:平均±S.E.M.)両足
PGA 1510918(プレガバリン10%、20μl/右足、値:平均±S.E.M.)MPN結紮した足
PGA 1520918(プレガバリン37.5%、20μl/右足、平均±S.E.M.)両足
【0107】
図3:NMRIマウスにおけるMPNL手術後7日の足底引っ込め閾値の図表を示す:
PGA 1591018(プレガバリン10%、20μl/右足、値:平均±S.E.M.)両足
PGA 1601018(プレガバリン5%、20μl/右足、値:平均±S.E.M.)両足
PGA 1520918(プレガバリン37.5%、20μl/右足、値:平均±S.E.M.)両足
NMRIマウスにおけるMPNL手術後7日の比較用の足底引っ込め閾値の図表を示す:
PGA1460718(5%))、PGA1450718(10%)、PGA1370718(15%)(20μl/右足、値:平均±S.E.M.)MPN結紮した足の効果の比較
【0108】
図4:NMRIマウスにおけるMPNL手術後7日の足底引っ込め閾値の図表を示す:
PGA 2211119(プレガバリン5%、20μl/右足、値:平均±S.E.M.、n=7)両足
PGA 2150619(プレガバリン5%、20μl/右足、値:平均±S.E.M.、n=6)両足
【0109】
図5:NMRIマウスにおけるMPNL手術後7日の足底引っ込め閾値の図表を示す:
PGA 2211119(プレガバリン5%、20μl/右足、値:平均±S.E.M、n=8)両足
PGA 2211119(プレガバリン5%、50μl/2cm2(首に向かって背中の上方部分の皮膚)、値:平均±S.E.M.、n=8)両足
【0110】
図6:NMRIマウスにおけるMPNL手術後7日の足底引っ込め閾値の図表を示す:
PGA 2211119(プレガバリン5%、50μl/6cm2(首に向かって背中の上方部分の皮膚)、値:平均±S.E.M.)両足
【0111】
図7:PGA0470717及びPGA0450717のFTEMテストの画像を示す。
【0112】
図8:EmulsiFlex-C3タイプの高圧ホモジナイザーを示す。
【0113】
図9:ラットにおけるCCI手術後21日の足底引っ込め閾値の図表を示す(5mgプレガバリン/4cm2(10%クリーム50μl)、値:平均± S.E.M.、n=15、ボンフェローニの二重検定、****p<0.0001)(実施例3)
【0114】
図10:ラットにおける神経障害性疼痛のホルマリンテストの結果を示す。
10/A:テストの全期間及びテストの第2相(16~45分)における0.1ml/足で使用したプラセボ組成物P-1(PGA0440717)及び0.1ml/足の参照ゲルR-3(PGA0450717)の疼痛スコアの合計の平均値±S.E.M.
10/B:テストの全期間及びテストの第2相(16~45分)における0.1ml/足で使用したプラセボ組成物P-2(PGA0460717)及び0.1ml/足の参照ゲルWE-1(PGA0470717)の疼痛スコアの合計の平均値±S.E.M.
【0115】
図11:局所治療したエクスビボのブタ皮膚の表面からのプレガバリンクリームの吸収を示す。
11/a:治療前のブタ皮膚の表面の写真
11/b:プレガバリン5%を含んでなるゲル(PGA1601018 (WE-2)左側)及び10%プレガバリンを含んでなるゲル(PGA 591018 (WE-2)右側)での治療直後のブタ皮膚の表面の写真
11/c:ゲル(PGA1601018 (WE-2)左側)及び(PGA1591018 (WE-2)右側)での治療後1時間のブタ皮膚の表面の写真
11/d:ゲル(PGA1601018 (WE-2)左側)及び(PGA1591018 (WE-2)右側)での治療後3時間のブタ皮膚の表面の写真
11/e:治療前のブタ皮膚の表面の顕微鏡画像(1:10)
11/f:ゲル(PGA1601018 (WE-2)左側)及び(PGA1591018 (WE-2)右側)での治療2時間後のブタ皮膚の表面の顕微鏡画像(1:10)
【0116】
図12:局所治療したエクスビボのブタ皮膚の表面からのNeogramornon(登録商標)、Mometasone Medimer(登録商標)と比較したプレガバリンクリームの吸収を示す。
12-I:治療前のブタ皮膚の表面の写真
12-II:プレガバリン5%を含んでなるゲル(PGA1671118、A欄)、Neogramornon(B欄)及びMometasone Medimer(C欄)での治療直後のブタ皮膚の表面の写真
12-III:プレガバリン5%を含んでなるゲル(PGA1671118、A欄)、Neogramornon(B欄)及びMometasone Medimer(C欄)での治療後1時間のブタ皮膚の表面の写真
12-IV:プレガバリン5%を含んでなるゲル(PGA1671118、A欄)、Neogramornon(B欄)及びMometasone Medimer(C欄)での治療後3時間のタの皮膚の表面の写真
【0117】
図13:サンプルPGA0450717、PGA0470717のSAXS曲線及び当てはめ関数の曲線を示す。
【0118】
図14:Stephan UMC 5電子ホモジナイザーを示す。
14/A:上から見た図
14/B:スクレーパーナイフとともに上から見た図
14/C:概略図
【0119】
下記の実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。
【0120】
[実施例1]
神経障害性疼痛のマウスモデル
動物
実験をNMRI雄マウス(Toxi-Coop Ltd)において実施した。動物の初期体重は25~35gである。全ての動物を、標準の実験室的条件下(室温24±2℃、相対湿度40~60%)、マウス用の標準実験室的ペレット及び水道水を自由に摂取できる状態で、プラスチック製ゲージで飼育した。点灯時間を午前6時00分に設定して12時間毎の明/暗サイクルに維持した。実験の開始少なくとも1時間前に動物をテスト部屋に移し、動物を1回のみ使用した。動物のケア及びテスト方法は、欧州会議の指示2010/63/EU及び動物の保護及び愛護に関する法律ハンガリー1998. XXVIII.に従って行った。
方法
内側足底神経結紮(MPNL)モデル
抱水クロラール麻酔(400 mg/kg、腹腔内)下、マウスの右足首の内側面の皮膚を切開して(長さ0.5cm)、内側足底神経を露出させた。神経の露出後、この神経の2か所で、5-0糸(Seralon、SERAG-WIESSNER、ドイツ国)にて結紮を行った。抑制すること(throttling)なく神経にしっかりと結合されるように結紮を結び付けた。ついで、4-0絹糸を使用して傷口を閉じた。
侵害受容テスト
内側足底神経結紮1週間後、動物を1匹ずつワイヤグリッド床の小型(12×12×15cm)のプラスチック製ゲージに入れた。ゲージを持ち上げ、下から照明を当てた。少なくとも30分間の訓化期間の後、von Freyフィラメント(タッチテスト・センサリ・エバリュエイター、North Coast Medical Inc.、米国)を使用して、左右の後肢について、ベース足底引っ込め閾値(PWT)を評価した。簡単には、実際の強さの近似対数目盛を提供する目盛付きモノフィラメント8本(von Freyフィラメントサイズ:0.008、0.02、0.04、0.07、0.16、0.4、0.6及び1.0g)の1セットを、足引っ込め反応を生じさせるに必要なフィラメントの限界堅さを測定するために適用した。初めに、ベースライン決定のため、上昇系列のフィラメントを使用して3つの測定を行い、ついで、下記の時点で2つの測定を行った。ベースラインの測定において機械的アロディニアを示さなかった動物をテストから除外した。ベースラインの測定後、テスト物質を局所的、腹腔内又は経口にて投与した。テスト物質投与後0.5、1、3及び5時間の時点で(より長い実験では6、7、8時間)、各後肢についてPWT測定を繰り返した。
測定したパラメーター
足引っ込め挙動を誘発するvon Freyフィラメントサイズ
足底引っ込め閾値は、引っ込め挙動誘発フィラメントサイズ/時点の平均である(グラム(g)で表される)。
統計解析
全ての時点における両側についてのPWT値を比較するため、ボンフェローニの事後検定を伴う二元配置分散分析を使用した。片側(対ベース)についてのPWTデータを比較するために、ダネット検定を伴う、繰返し測定一元配置分散分析を使用した。p<0.05は有意とみなした。
【0121】
[実施例2]
神経障害性疼痛のマウスモデルにおいて使用した全身作用局所用組成物の調査
方法
神経障害性症状を右後肢に外科的に発症させた(内側足底神経結紮:MPNL)ニューロパチーのマウスモデル(実施例1による)において研究を行った。手術の結果として、1週間内で、ニューロパチーの機械的過敏の特徴が発現した。手術した右足裏の感受性が増大し、これはvon Freyファイバーで実証される。両後肢における足底引っ込め閾値(PWT)を測定するためにファイバーを使用する。後肢の足底のベース感受性を測定した後、選択した後肢又は首に向かって背中の上方部分の領域を処置した(最大1分間擦り込む)。処置後、0.5、1、3、及び5時間の時点で2つの後肢のリフティング閾値を再度測定した。
【0122】
[実施例3]
ニューロパチーのラットモデルにおける局所用プレガバリンクリームの効果
動物
動物を、標準の実験室的条件下(室温24±2℃、相対湿度40~60%)、ラット用の標準実験室的ペレット及び水道水を自由に摂取できる状態で、プラスチック製ゲージで飼育した。点灯時間を午前6時00分に設定して、12時間毎の明/暗サイクルに維持した。
方法
慢性絞扼損傷(CCI)モデル:
Bennett及びXieによって記載された方法(Bennett GJ, Xie YK.Pain.,「ヒトに見られるものに似た痛覚の故障を発生させるラットにおける末梢単神経障害」1988 Apr; 33(1): 87-107)によって、末梢神経障害を実験的に誘発させた。簡単には、イソフルラン麻酔下、ラットの右大腿の皮膚に小さい鈍的切開を行い、ついで、共通の鎖骨神経の周りに緩く締め付ける結紮糸を置いた(慢性絞扼損傷(CCI))。神経障害後3週間、後肢足底機械的引っ込め閾値についてラットを評価した。Dixonの変形アップ-ダウン法(「実験観察の効果的な分析」, Annu Rev Pharmacol Toxicol. 1980; 20:441-62)に従い、von Frey電子装置によって、足底引っ込め閾値(PWT)を測定した。左及び手術した右のPWTの間には少なくとも20gの差が存在すべきである。左及び手術した右のPWTの間に有意差の不存在を示した動物を実験から除外した。
CCI惹起神経障害性疼痛を原因とする過敏の改善を評価するため、局所用プレガバリン製剤を異なる用量で使用した。
結果:
CCI惹起ニューロパチー後に、PWT(足底引っ込め閾値)における有意の低減が測定された(ベース)。10%プレガバリンクリーム(PGA2330320)50μlの投与後、手術していない足と損傷した足のとの間に有意の差異は検出されなかった。
用量はプレガバリン5mg/4cm2(10%クリーム50μl)である。
図9に関するデータ:ラットにおけるCCI手術後21日の足底引っ張り閾値(プレガバリン5mg/4cm2(10%クリーム50μl))、平均±SEM、n=15(二元配置分散分析、ボンフェローニ、* p <0.05、**** p <0.0001)
【表7】


16.66 mg/kgの経口投与は、薬物動態研究に基づき比較的高い血中濃度を生じたが、このプレガバリン量は過敏を低減することはできなかった(局所適用プレガバリンは、高い血中濃度により全身的に過敏を低減しない。局部的効果を有する)。
【0123】
[実施例4]
ホルマリン惹起ニューロパチーのラットモデルにおけるプレガバリンクリームの局所的適用の効果
方法:
ラットの後肢へ注射したホルマリンの結果として、動物において二相疼痛反応が認められ、それらの挙動に基づいて採点した:第1相はホルマリンの直接の組織損傷であり、約10分間続き、短い休息期間後(5分)、動物は足における炎症による第2の激痛を経験し、激痛は1~1.5時間続く。非ステロイド抗炎症剤(NSAIDs)(NSAIDsは主に第2相を阻害する)をテストするためのテスト法が開発されたが、このテスト法は神経障害性疼痛の治療薬をテストするためにも使用されている(A Ellis,「ラットのホルマリンテスト:神経障害性疼痛の治療は予測されるか?」, Proceedings of Measuring Behavior, 2008)。
動物:
体重240~300 gの雄Wistarラットについて実験を行った。
実験:
テスト組成物0.1mlを動物の右後肢に塗布し、動物の足をFolpackにて包んだ(遮閉処置)。処置後、その挙動を観察するに適した直径18cm、高さ40cmのガラス製の測定シリンダーにラットを入れた。55分後、足のFolpackを除去し、測定シリンダーに戻した。さらに5分後、処置した足(右後肢)に1%ホルマリン溶液0.05 mlを皮下注射した。
直後に動物の痛がる挙動が観察され始め、各分毎に45分間観察した。下記の基準に基づき各分毎で最も強力な痛みを示す挙動についてのスコアを測定した:
0ポイント:ホルマリンを注射した足で自重に耐えられる;
1ポイント:注射した足に、より少ない荷重をかけ、足を緩め、動きながら体重を反対側の足で支える;
3ポイント:注射した足をなめ、噛み、振るわせる。
このようにして得られたスコアを2つの方法で評価した:45分で経験したポイントを合計する(全時間)、及びデータを16分から45分の間で合計する(第2相)。スチューデントtテストを使用して統計学的評価を行った。
測定:
上記のプロトコルに従って、P-1プラセボゲル(PGA0440717)及びプレガバリン15%を含有するR-3参照組成物(PGA0450717)を比較した。ラット8匹ずつの各グループにおいて、各動物を、P-1プラセボ組成物0.1ml及びR-3ゲル0.1mlで処置することによって両組成物をテストした。
また、上記のプロトコルに従って、P-2プラセボ組成物(PGA0460717)をWE-1法によって調製した、プレガバリン15%を含有する本発明の組成物(PGA0450717)と比較した。ラット8匹ずつの各グループにおいて、各動物をP-2プラセボゲル0.1ml及びWE-1ゲル0.1mlで処置することによって両組成物をテストした。
結果:
図10/Aは、単に混合することによって調製したプラセボ組成物と参照組成物との効果の比較を示す:
P-1プラセボ組成物(PGA0440717)及びR-3参照組成物(PGA0450717)を、実験全体を通して及び第2相で測定したところ、その平均値±S.E.M.のグラフ描写は、実験の全時間及び第2相のいずれにおいても、スチューデントtテストと比較して有意の差異を示さず、すなわち、プレガバリン15%を含有する組成物はプラセボと比べて有意の効果を示さなかった。
図10/Bは、プラセボ製剤と、製剤の間に脂質相をHPH撹拌に供した本発明の製剤との比較を示す:
図10/Bは、P-2プラセボ組成物(PGA0460717)及びWE-1組成物(PGA0470717)の実験結果のグラフィック描写である。図10/Bは平均値±S.E.M.を示す。スチューデントtテストと比較して、ラットの挙動には、全時間及び第2相の両方において有意の差異があり、すなわち、このモデルにおいて、プレガバリン15%を含有する製剤は、プラセボよりも有意に痛みを低減させた。
これは、神経障害性疼痛の治療において、プレガバリン含量単独では低く、本発明に従い、ゲル、クリーム又はゲル-クリームの脂質相を強力な混合、好ましくはHPHホモジナイザーによる均質化に供することが必要であることを明白に示している。このような強力な混合は、製剤において、いくらかの構造の変化を生じ、製剤の治療効果を有意に増強する。
【0124】
[実施例5]
局所的処置をしたエクスビボのブタ皮膚の表面からのプレガバリンクリームの吸収
方法:
製剤の間に、皮膚からの吸収を観察するため、クイックテストで試験した。テストのために、凍結した全厚さのエクスビボのブタ皮膚を使用した。解凍した皮膚片を、HBSS溶液(pH7.0)を染み込ませたペーパータオル上に置き、温熱パッドで32℃において30分間加温し、ついで、2×2cmの皮膚表面に指でテスト組成物12μl/cm2を塗布し、こすりつけた(処置面積4cm2)。皮膚からのプレガバリン製剤の吸収を目視的に試験するために、処置前後の異なる時点で、通常のカメラ及び顕微鏡によって写真を撮影した。テストの間、皮膚を温熱パッド上に維持した(32℃)。
結果:
5.a.:プレガバリン5%を含有するPGA1601018及びプレガバリン10%を含有するPGA1591018の吸収をチェックしたところ、処置から1時間後、ゲルは、両ケースにおいて、ゲルが分散された固体粒子状のプレガバリンを含んでなる場合でさも、十分に吸収されると思われる。図11では、処置の前、直後、1時間後、及び3時間後のブタ皮膚の写真を示す。1時間後、プレガバリン10%を含んでなるゲルでも十分に吸収されると思われる。
5.b:本発明の組成物PGA1671118(WE-2法)と、分散された粒子を含んでなる他の市販クリーム、すなわち、Neogranormone(登録商標)及びさらに進化したMometasone Medimer(登録商標)との比較を示す。
テストした製剤:プレガバリン5%のPGA1671118、Neogranormone 0700818(2023/08)(古い製剤)、Mometasone Medimer(登録商標) L02(05-2019)(新しい製剤)
結果:PGA1671118を、販売許可を有するNeogranormone及び他の懸濁液製剤Mometasoneと比較した。本発明の製剤(PGA1671118)は、1時間後には既に「吸収され」ており、一方、他の2つの製剤は、3時間後も未だブタ皮膚上に見られた。3時間後、PGA1671118については、目視可能な堆積及び結晶は認められなかった。実験からの結果を図12に示す。
【0125】
[実施例6]
HPHホモジナイザー及び均質化法
下記のように、市販のHPHホモジナイザーにてHPH均質化工程を実施した:
装置のタイプ:EmulsiFlex-C3(図8
装置のメーカー:AVESTIN, Inc.(2450 ドン・リード・ドライブ、オタワ、オンタリオ州、カナダ, K1H 1E1)
仕様
圧縮空気:4~6バール
均質化マシーン:内表面1dm2未満
充填容積:最大3L/h、最少10ml
最大許容過剰圧力:30000 PSI/2000バール
最大許容空気圧:125 PSI/0.9 MPa
最大許容操作温度:70℃
殺菌蒸気:121℃
冷媒供給:グリコールを介する熱交換器(蠕動ポンプにて水道水を冷却するため結合した冷却サーモスタットを接続している)
均質化処理は製造者の指示に従う。
本質的にサンプルをサンプルチャンバーに入れ、ついで、ホモジナイザーをオンにセットした。ついで、空気圧力をオンにした。均質化に使用する圧力は500~1500バールであった。必要であれば、さらに均質化するため、均質化が終了した後にサンプルをサンプルチャンバーに戻す。均質化を1~125回繰り返し行った。
均質化を数回行う場合には、初めの2回の均質化工程については、より低い均質化圧力500~1000バールを使用することによりプレ均質化を行うことが有益である。
【0126】
[実施例7]
プレガバリンの粒径分析
4.a:非微粒子化プレガバリンについてのPDS法の記載
ドライ分散レーザー回析粒径分布テストの条件(MS 3000)
装置:Malvern Mastersizer 3000
アクセサリー:Aero S
粒子のタイプ:X非球状
物質:名称:Default
屈折率:1.520
吸収指数:0.1
密度:g/cm3(default:1g/cm3
測定期間:バックグラウンド:5秒、サンプル:5秒
シークエンス:測定の回数:1
オブスキュレーション:限界:1~8%
Xオートスタート:安定化時間:0秒
Xフィルターリング:タイムアウト:10秒
アクセサリーの制御:
空気圧:0.5バール
供給率:30%
形状:ベンチュリーのタイプ:X標準ベンチュリーディスペンサー
トレーのタイプ:X汎用トレー
ホッパーの隙間:4mm
使用するメッシュバスケット:なし
使用するボールベアリング:なし
データの処理:モデル:X汎用
微粒粉末:なし
詳細設定:単一結果モードを維持する:なし
結果の範囲:粒径範囲を制限する:Yes X No
結果のタイプ:X体積分布(推奨)
サンプルの調製:サンプルのボトルを手で約1分間震盪及び回転することによって、テストサンプルを均質化する。
アスタリスク(*)を付したパラメーターは、適正な適用範囲を達成するためにサンプルの接着性及び流動性に応じて変更される。
結果の表示:結果d10、d50及びd90は、3個の独立したサンプル製剤から得られた有効な測定結果の平均として示したものである。
7.b:微粒子化プレガバリンについてのPDS法の記載
装置:Malvern Mastersizer 3000
アクセサリー:Aero S
粒子のタイプ:X非球状
物質:名称:Default
屈折率:1.520
吸収指数:0.1
密度:g/cm3(default:1g/cm3
測定期間:バックグラウンド:5秒、サンプル:5秒
シークエンス:測定の回数:1
オブスキュレーション:限界:1~8%
Xオートスタート:安定化時間:0秒
Xフィルターリング:タイムアウト:10秒
アクセサリーの制御:
空気圧:3.0バール
供給率:40%
形状:ベンチュリーのタイプ:高エネルギーベンチュリーディスペンサー
トレーのタイプ:X汎用トレー
ホッパーの隙間:4mm
使用するメッシュバスケット:なし
使用するボールベアリング:なし
データの処理:モデル:X汎用
微粒粉末:なし
詳細設定:単一結果モードを維持する:なし
結果の範囲:粒径範囲を制限する:なし
結果のタイプ:体積分布(推奨)
サンプルの調製:サンプルのボトルを手で約1分間震盪及び回転することによって、テストサンプルを均質化する。
アスタリスク(*)を付したパラメーターは、適正な適用範囲を達成するためにサンプルの接着性及び流動性に応じて変更される。
結果の表示:結果d10、d50及びd90は、3個の独立したサンプル製剤から得られた有効な測定結果の平均として示したものである。
【0127】
[実施例8]
SAXによる粒径の分析
ナノスケール範囲における構造要素のX線散乱は小角度の範囲である(0~約10°)(Bragg式は、長い期間スペーシングと小さい散乱角との関係を確立する)。Institute of Materials and Environmental chemistry of the Research Centre for Natural Sciences, Hungarian Academy of SciencesのResearch Group for Biological NanochemistryのCREDO(Wacha, Varga, 及びBota 2014; Wacha 2015)と称されるSAXS装置においてSAXS測定を行った。サンプルは、それらの成分及びマトリックスの電子密度のコントラストが低いため弱い散乱を提供し、それ故、十分な信号対雑音比が達成されるまでに分オーダーの通常の測定時間と比べて数時間測定することが必要であった。サンプルの測定には23時間以上の露出時間を要した。
測定のため、公称外径1.0mm及び壁厚0.01 mm及び環状断面を有するボロシリケート毛細管にサンプルを充填し、その後、毛細管が耐真空性であることを確保するため、ガラスストッパー及び2成分系エポキシ樹脂で密閉した。ついで、密閉した毛細管を装置のサンプルホルダーブロックに置き、測定の間、その温度を25℃に維持した。サンプル-検出器の距離529.66 mmで測定を行った。SAXS測定では、散乱強度の角度依存は、散乱変数q(q=4πsinθ/λ(ここで、2θは散乱角度であり、λ≒0.154 nmは、適用されたCuKα線のX線波長である)として定義される運動量移動としても知られる)を使用して表示される。q-スケール、このように、サンプル-検出器の距離の較正のため、ベヘン酸銀サンプルを使用した。水の散乱強度に対してプレ較正したGlassy Carbon見本(Orthaber, Bergmann, and Glatter 2000)を使用して、強度スケールを絶対値に較正した。機器用に記載された「cct」プログラムにて測定を行った。サンプルを、繰り返しの露出(各300秒)で測定した。各露出後、測定プログラムに装備されたオンラインデータ評価ルーティンによって、散乱イメージを加工及び校正した(装置及び外部バックグランドの信号、サンプルの自己吸収及び厚さ、幾何学的歪み、例えば、検出器の各ピクセルについての固体角度差を考慮する)。統計解析によって不完全な露出をフィルター除去し、各サンプルについて校正されたイメージを平均化した。最終の散乱パターンを方位角的に平均化して、散乱曲線を得た。このようにして得られたSAXS曲線を、上述の数学的方法に従って評価し、ミセル散乱寄与スケーリング係数(I0)*100; (cm-1sr-1)を算出した。
【0128】
Orthaber, D., A. Bergmann, and O. Glatter. 2000. “SAXS Experiments on Absolute Scale with Kratky Systems Using Water as a Secondary Standard.” Journal of Applied Crystallography 33 (2): 218-225;
Porod, G. 1951. “Die Rontgenkleinwinkelstreuung von Dichtgepackten Kolloiden Systemen. I. Teil.” Colloid & Polymer Science 124 (2): 83-114;
Schmidt, P.W. 1991. “Small-Angle Scattering Studies of Disordered, Porous and Fractal Systems.” Journal of Applied Crystallography 24 (5): 414-435;
Wacha, Andras. 2015. “Optimized Pinhole Geometry for Small-Angle Scattering.” Journal of Applied Crystallography 48 (6): 1843-48. https://doi.org/10.1107/S1600576715018932;
Wacha, Andras, Zoltan Varga, and Attila Bota. 2014. “CREDO: A New General-Purpose Laboratory Instrument for Small-Angle X-Ray Scattering.” Journal of Applied Crystallography 47 (5): 1749-54. https://doi.org/10.1107/S1600576714019918
【0129】
調製例
プラセボ製剤P-1(PGA0440717;単純混合プラセボ)(プレガバリンを含まない局所用製剤)
バッチ2000 g
組成(100 g)
【表8】

プラセボ局所用製剤の調製法
1.ゲル相の調製:Carbopol 980を20倍量の精製水において膨潤させ、ついで、アンモニア水溶液を添加することによって、pHを7.0に調整した。
2.脂質相の調製:大豆レシチンを10倍量の精製水において25~40℃で膨潤させ、ついで、イソプロピルアルコールを添加し、得られた混合物をゲル相と混合した。
3.このようにして得られたゲル相に、オクチルデカノール、DL-α-トコフェロール、デシリスオレアス及びEDTAを添加した。得られた混合物を室温において均質化した。
【0130】
プラセボ製剤P-2(バッチNo. PGA0460717;HPH均質化プラセボ)
組成物PGA0460717はPGA0440717と同様である。
調製法は工程2においてのみ相違し、精製水中で膨潤させた20倍量の大豆レシチンの混合物をイソプロパノールと混合し、混合物をHPHホモジナイザーにて5回均質化し、ついで、このようにして均質化した混合物をゲル相に添加した。
【0131】
参照例R-1(PGA2180719)(溶解形のプレガバリン2.5%を含有する局所用製剤)
バッチサイズ2000 g
組成(100 g)
【表9】
【0132】
プレガバリンを含んでなる局所用組成物の調製法
1.ゲルの調製:Carbopol 980を20倍量の精製水において膨潤させ、ついで、アンモニア水溶液を添加することによってpHを7.0に調整した。
2.脂質相の調製:LIPOID P 75を、20倍量の精製水において25~40℃で膨潤させ、ついで、イソプロピルアルコール及びDL-α-トコフェロールを混合物に添加し、均質化した。
3.撹拌しながら、脂質相をゲル相に添加し、ついで、均質化した。
4.均質化した脂質相及びゲル相の混合物に、ココナッツオイル、デシリスオレアス、EDTA水溶液、及びベンジルアルコールを、この順序で添加した。
5.プレガバリンを残りの水に懸濁化し、工程4のクリームに30℃で混合し、ついで、得られたクリームをコロイドミルにて120分間均質化し、ついで、撹拌しながら、蒸発した水を精製水で置換えた。均質化の間にプレガバリンは溶解した。
6.このようにして得られたクリームを25℃に冷却し、容器に充填した(好ましくはpolyfoi又はアルミニウムチューブ)。
神経障害性疼痛のマウスモデルの結果:
図1に関するデータ:MPNLモデルにおける足底引っ込め閾値: PGA218071950μlでの処置の効果(2.5%プレガバリンクリーム、50μl/右足、平均値±SEM、n=6)、両足に関するPWT値
【表10】

n.s.:有意でない;*:p <0.05
【0133】
参照例R-2(PGA2190719)(分散形のプレガバリン5%を含有する局所用製剤)
バッチサイズ2000 g
製剤の組成(100 g)
【表11】
【0134】
プレガバリンを含んでなる局所用組成物の調製法
1.ゲルの調製:Carbopol 980を20倍量の精製水において膨潤させ、ついで、アンモニア水溶液を添加することによってpHを7.0に調整した。
2.脂質相の調製:LIPOID P 75を、20倍量の精製水において25~40℃で膨潤させ、ついで、イソプロピルアルコール及びDL-α-トコフェロールを混合物に添加し、均質化した。
3.撹拌しながら、脂質相をゲル相に添加し、ついで、均質化した。
4.均質化した脂質相及びゲル相の混合物に、ココナッツオイル、デシリスオレアス、EDTA水溶液、及びベンジルアルコールを、この順序で添加した。
5.プレガバリンを残りの水に懸濁化し、工程4のクリームに30℃で混合し、ついで、得られたクリームをコロイドミルにて120分間均質化し、ついで、撹拌しながら、蒸発した水を精製水で置換えた。均質化の間にプレガバリンは溶解した。
6.このようにして得られたクリームを25℃に冷却し、容器に充填した(好ましくはpolyfoi又はアルミニウムチューブ)。
神経障害性疼痛のマウスモデルの結果:
図1に関するデータ:MPNLモデルにおける足底引っ込め閾値:PGA218071950μlでの処置の効果(2.5%プレガバリンクリーム、50μl/右足、平均値±SEM、n=6)、両足に関するPWT値
【表12】

n.s.:有意でない;*:p <0.05
【0135】
参照例R-3(PGA0450717)(分散形のプレガバリン15%を含有する局所用製剤)
バッチサイズ2000 g
製剤の組成(100 g)
【表13】
【0136】
プレガバリンを含んでなる局所用組成物の調製法
1.ゲルの調製:Carbopol 980を20倍量の精製水において膨潤させ、ついで、アンモニア水溶液を添加することによってpHを7.0に調整した。
2.脂質相の調製:LIPOID P 75を、20倍量の精製水において25~40℃で膨潤させ、ついで、イソプロピルアルコール、DL-α-トコフェロール及びオクチルドデカノールを混合物に添加し、均質化した。
3.撹拌しながら、脂質相をゲル相に添加し、ついで、均質化した。
4.均質化した脂質相及びゲル相の混合物に、デシリスオレアス、EDTA水溶液を、この順序で添加した。
5.プレガバリンを残りの水に懸濁化し、工程4のクリームに30℃で混入し、ついで、得られたクリームをコロイドミルにて120分間均質化し、ついで、撹拌しながら、蒸発した水を精製水で置換えた
6.このようにして得られたクリームを25℃に冷却し、容器に充填した(好ましくはアルミニウム又はpolyfoiチューブ)。
均質化をStephanミキサーにて行った:装置の情報:電子型Stephan UMC 5(製造番号:722.780.01)、装置のメーカー:A. Stephan und Sohne GmbH & Co.、製造年:1998
均質化を撹拌速度300 rpm及びスペーサー撹拌速度20rpmで行った。
神経障害性疼痛のマウスモデルの結果:
図1に関するデータ:MPNLモデルにおける足底引っ張り閾値:PGA045071750μlでの処置の効果(15%プレガバリンクリーム、50μl/右足、平均値±SEM、n=5)、両足に関するPWT値
【表14】

n.s.:有意でない;*:p <0.05
【0137】
実施例
WE-1基本手順
1.ゲルの調製:Carbopol 980を10~20倍量の精製水において膨潤させ、ついで、アンモニア水溶液を添加することによってpHを7.0に調整する。
2.脂質相の調製:大豆レシチン(脱油大豆レシチン)を20倍量の精製水において25~40℃で膨潤させ、ついで、オクチルドデカノール及びDL-α-トコフェロールを混合物に添加し、均質化する。
3.脂質相のHPH均質化:このようにして得られた溶液を高圧ホモジナイザーによってn回均質化する。使用する圧力は好ましくは500~1500バールである。HPH均質化の間に溶液は25~50℃の温度に温まる。このようにして得られた脂質相を20~30℃の温度に冷却し、必要であれば、撹拌しながら、蒸発した水を、精製水を添加することによって置換える。
4.撹拌しながら、30~35℃において脂質相をゲル相に添加し、ついで、均質化する。
5.均質化した脂質相及びゲル相の混合物に、デシリスオレアス及びEDTA水溶液を、この順序で添加する。
6.プレガバリンを残りの水に懸濁化し、ついで、工程5のクリームに30℃で混入し、ついで、得られたクリームを120分間均質化し、ついで、蒸発した水を精製水で置換える。
7.このようにして得られたクリームを25℃に冷却し、容器に充填する(好ましくはアルミニウム又はpolyfoiチューブ)。
WE-1法に従って調製された組成物:
【表15】

リン脂質:大豆レシチン(脱油大豆レシチン)、# LECITHIN(LIPOID P 75, LIPOID S 75)、(同様のバッチが同一の欄に記載されている。一般的に、分析用及びインビボ実験用に有望なバッチを数回再現した。通常、同様のバッジは同じ特性を有する。)
【0138】
神経障害性疼痛のマウスモデルの結果:
図1に関するデータ:MPNLモデルにおける足底引っ込め閾値:PGA047071750μlでの処置の効果(15%プレガバリンクリーム、50μl/右足、平均値±SEM、n=6)、両足に関するPWT値
【表16】

n.s.:有意でない;*:p <0.05
【0139】
図1に関するデータ:
【表17】
【0140】
図2に関するデータ:MPNLモデルにおける足底引っ込め閾値:PGA098041820μlでの処置の効果(15%プレガバリンクリーム、20μl/右足、平均値±SEM)、両足に関するPWT値
【表18】

n.s.:有意でない;*:p <0.05
【0141】
図2:PGA099041820μlでの処置の効果(15%プレガバリンクリーム、20μl/右足、平均値±SEM)、両足に関するPWT値
【表19】

n.s.:有意でない;*:p <0.05
【0142】
図2:PGA100041820μlでの処置の効果(15%プレガバリンクリーム、20μl/右足、平均値±SEM)、両足に関するPWT値
【表20】

n.s.:有意でない;*:p <0.05
【0143】
図2:PGA104041820μlでの処置の効果(15%プレガバリンクリーム、20μl/右足、平均値±SEM)、両足に関するPWT値
【表21】

n.s.:有意でない;*:p <0.05
【0144】
WE-2基本手順
1.ゲルの調製:Carbopol 980を20倍量の精製水において膨潤させ、ついで、アンモニア水溶液を添加することによってpHを7.0に調整する。
2.脂質相の調製:LIPOID P 75(レシチン)を20倍量の精製水において25~40℃で膨潤させ、ついで、イソプロピルアルコール及びDL-α-トコフェロールを混合物に添加し、均質化する。
3.脂質相のHPH均質化:このようにして得られた溶液を、高圧ホモジナイザーによって、n=5回均質化する。使用する圧力は好ましくは500~1500バールである。HPH均質化の間に、溶液は25~50℃の温度に温まる。このようにして得られた脂質相を20~30℃の温度に冷却し、必要であれば、撹拌しながら、蒸発した水を、精製水を添加することによって置換える。
4.撹拌しながら、脂質相をゲル相に添加し、ついで、均質化する。
5.均質化した脂質相及びゲル相の混合物に、ココナッツオイル、デシリスオレアス及びEDTA水溶液を、この順序で添加する。
6.プレガバリンを残りの水に懸濁化し、ついで、工程5のクリームに30℃で混入し、ついで、得られたクリームを120分間均質化し、ついで、蒸発した水を精製水で置換える。
7.このようにして得られたクリームを25℃に冷却し、容器に充填する(好ましくはアルミニウム又はpolyfoiチューブ)。
WE-2法に従って調製された組成物
【表22】
【0145】
神経障害性疼痛のマウスモデルの結果:
図3:PGA159101820μlでの処置の効果(10%プレガバリンクリーム、20μl/右足、平均値±SEM)、両足に関するPWT値
【表23】

n.s.:有意でない;*:p <0.05
【0146】
図3:PGA160101820μlでの処置の効果(5%プレガバリンクリーム、20μl/右足、平均値±SEM)、両足に関するPWT値
【表24】

n.s.:有意でない;*:p <0.05
【0147】
WE-3基本手順
1.ゲルの調製:Carbopol 980を20倍量の精製水において膨潤させ、ついで、アンモニア水溶液を添加することによってpHを7.0に調整する。
2.脂質相の調製: LIPOID P 75を20倍量の精製水において25~40℃で膨潤させ、ついで、イソプロピルアルコール及びDL-α-トコフェロールを混合物に添加し、均質化する。
3.脂質相のHPH均質化:このようにして得られた溶液を、高圧ホモジナイザーによって、n=5回均質化する。HPH均質化の間に、溶液は25~50℃の温度に温まる。このようにして得られた脂質相を20~30℃の温度に冷却し、必要であれば、撹拌しながら、蒸発した水を、精製水を添加することによって置換える。
4.撹拌しながら、脂質相をゲル相に添加し、ついで、均質化する。
5.均質化した脂質相及びゲル相の混合物に、デシリスオレアス及びEDTA水溶液を、この順序で添加する。
6.プレガバリンを残りの水に懸濁化し、ついで、工程5のクリームに30℃で混入し、ついで、得られたクリームを120分間均質化し、ついで、蒸発した水を精製水で置換える。
7.このようにして得られたクリームを25℃に冷却し、容器に充填する(好ましくはアルミニウム又はpolyfoiチューブ)。
WE-3法に従って調製された組成物
【表25】
【0148】
神経障害性疼痛のマウスモデルの結果
図3:NMRIおけるMPNL手術後7日の相対足底引っ込め閾値の図表
PGA1460718(5%)、PGA1450718(10%)、PGA1370718(15%)の効果の比較(20μl/右足、平均値±SEM)、両足に関するPWT値、図3は処置した足のデータのみを示す。
【表26】

n.s.:有意でない;*:p <0.05

【表27】

n.s.:有意でない;*:p <0.05

【表28】

n.s.:有意でない;*:p <0.05
【0149】
図2:PGA1510918クリーム20μlでの処置の効果(10%プレガバリンクリーム、20μl/右足、平均値±SEM)、両足
【表29】

n.s.:有意でない;*:p <0.05
【0150】
図3:PGA1520918クリーム20μlでの処置の効果(37.5%プレガバリンクリーム、20μl/右足、平均値±SEM)、両足
【表30】

n.s.:有意でない;*:p <0.05
【0151】
WE-4基本手順
1.ゲルの調製:
a)Carbopol 980を使用する(PGAが付されたバッチ)。Carbopol 980を10又は20倍量の精製水において膨潤させ、ついで、アンモニア水溶液を添加することによってpHを7.0に調整する
b)キサンタンガムを使用する(バッチAL2890321)。キサンタンガムを10倍量の精製水において60℃で膨潤させ、25℃に冷却することによって均質化する。
c)ヒドロキシエチルセルロースを使用する(バッチAL2900321)。HEC(ヒドロキシエチルセルロース)を10倍量の精製水において37℃(35~40℃)で膨潤させ、25℃に冷却することによって均質化する。
d)ポロキサマーを使用する(バッチAL2910321)。ポロキサマー407を10倍量の精製水中でゲル化させ、ついで、冷蔵庫に24時間貯蔵し、ついで、室温に加温させる。
2.脂質相の調製: LIPOID P 75(レシチン)を20倍量の精製水において25~40℃で膨潤させ、ついで、イソプロピルアルコール及びDL-α-トコフェロールを混合物に添加し、均質化する。
3.脂質相のHPH均質化:このようにして得られた溶液を、高圧ホモジナイザーによって、n=5回均質化する。使用する圧力は、好ましくは500~1500バールである。HPH均質化の間に溶液は25~50℃の温度に温まる。このようにして得られた脂質相を20~30℃の温度に冷却し、必要であれば、撹拌しながら、蒸発した水を、精製水を添加することによって置換える。
4.脂質相の均質化した混合物に、更なる添加剤、好ましくはココナッツオイル、デシリスオレアス、EDTA水溶液及びベンジルアルコールを、この順序で添加する。
5.プレガバリンを残りの水に懸濁化し、ついで、工程4の混合物に30℃で混合し、30分間均質化する。ついで、得られた混合物を高圧ホモジナイザーにてm=3回均質化する。使用する圧力は好ましくは500~1500バールである。HPH均質化の間に溶液は30~50℃の温度に温まる。ついで、必要であれば、蒸発した水を精製水にて置換える。
6.撹拌しながら、脂質懸濁液相をゲル相に添加し、ついで、脂質懸濁液相及びゲルの混合物を25℃において60分間均質化する。
7.このようにして得られたクリームを25℃に冷却し、容器に充填する(好ましくはアルミニウム又はpolyfoiチューブ)。
WE-4法に従って調製された組成物:
【表31】

ゲル化剤:*:カーボマー(980)、**:キサンタンガム、#:ヒドロキシエチルセルロース(Natrosol 250 HHX Pharm Bag)、##:ポロキサマー407
*微粉末又は摩砕したPGA 2150619プレガバリンを使用した;リン脂質:レシチン、#LECITHIN(LIPOID P 75、LIPOID S 75)

【表32】

ゲル化剤:*:カーボマー(980)、**:キサンタンガム、#:ヒドロキシエチルセルロース(Natrosol 250 HHX Pharm Bag)、##:ポロキサマー407
*微粉末又は摩砕したPGA 2150619プレガバリンを使用した;リン脂質:レシチン、#LECITHIN(LIPOID P 75、LIPOID S 75)
【0152】
神経障害性疼痛のマウスモデルの結果
図5:NMRIおけるMPNL手術後7日の足底引っ込め閾値の図表
20μlのPGA2211119クリームの効果(5%プレガバリン、20μl/右足、平均値±SEM、n=8)、両足
【表33】

n.s.:有意でない;*:p <0.05
【0153】
図4:20μlのPGA2150619クリームの効果(5%プレガバリン、20μl/右足、平均値±SEM、n=6)、両足
【表34】

n.s.:有意でない;*:p <0.05
【0154】
WE-5基本手順
1.ゲル相の調製:Carbopol 980を10又は20倍量の精製水において膨潤させ、ついで、アンモニア水溶液を添加することによってpHを7.0に調整する。
2.脂質相の調製: LIPOID P 75(レシチン)を、10又は20倍量の精製水において25~40℃で膨潤させ、ついで、イソプロピルアルコール及びDL-α-トコフェロールを混合物に添加し、均質化する。
3.脂質相のHPH均質化:このようにして得られた溶液を、高圧ホモジナイザーによって、n=5回均質化する。使用する圧力は、好ましくは500~1500バールである。HPH均質化の間に、溶液は25~50℃の温度に温まる。このようにして得られた脂質相を20~30℃の温度に冷却し、必要であれば、撹拌しながら、蒸発した水を、精製水を添加することによって置換える。
4.撹拌しながら、脂質相をゲル相に添加し、ついで、脂質相及びゲルの混合物を25℃で30分間均質化する。
5.均質化した脂質相及びゲル相の混合物に、更なる添加剤、好ましくはココナッツオイル、Kollicream DO(デシリスオレアス)、EDTA水溶液及びベンジルアルコールを、この順序で添加する。
6.プレガバリンを残りの水に懸濁化し、高圧ホモジナイザーにてm=5回均質化する。使用する圧力は500~1500バールである。HPH均質化の間に、溶液は30~50℃の温度に温まる。ついで、必要であれば、蒸発した水を精製水で置換える。
7.HPHによって均質化したプレガバリンの分散液を、工程5のクリームに30℃で混合し、ついで、得られたクリームを120分間均質化し、ついで、蒸発した水を精製水で置換える。
8.このようにして得られたクリームを25℃に冷却し、容器に充填する(好ましくはアルミニウム又はpolyfoiチューブ)。
WE-5法に従って調製された組成物
【表35】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2023-09-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレガバリンを含んでなる局所用医薬組成物であって、前記組成物は、組成物中に分散した形のリン脂質を含んでなり、小角X線散乱測定法の図表に由来するミセル寄与スケーリング係数(I0)が、0.00025 cm-1sr-1以下、好ましくは0.00023 cm-1sr-1以下、より好ましくは0.00021 cm-1sr-1未満、最も好ましくは0.00019 cm-1sr-1未満であることを特徴とする局所用医薬組成物。
【請求項2】
組成物が、プレガバリン少なくとも2.5質量%及びリン脂質0.1~5質量%を含有してなることを特徴とする請求項1に記載の局所用医薬組成物。
【請求項3】
組成物が、プレガバリン2.5~40質量%、好ましくは3~20質量%、より好ましくは3~15質量%、最も好ましくは5~10質量%、及びリン脂質0.1~3質量%、好ましくは0.5~1.5質量%、最も好ましくは0.8~1.2質量%を含んでなり、及び組成物が、溶媒、浸透エンハンサー、皮膚軟化薬、レオロジー改質剤、pH調節剤、及び保存料又はその混合物から選ばれる少なくとも1の更なる助剤を含んでなることを特徴とする請求項1又は2に記載の局所用医薬組成物。
【請求項4】
組成物が半固体、好ましくはゲル、クリーム又はゲル-クリームであり、より好ましくはゲル-クリームであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の局所用医薬組成物。
【請求項5】
使用する溶媒の量が、40~90質量%、好ましくは70~90質量%、最も好ましくは75~85質量%であり、皮膚軟化薬の量が、0~20質量%、好ましくは2~15質量%、より好ましくは3~10質量%であり、浸透エンハンサーの量が、0~20質量%、好ましくは2~15質量%、より好ましくは3~10質量%であり、レオロジー改質剤の量が、0~5質量%、好ましくは0.1~2質量%、最も好ましくは0.2~0.5質量%であり、組成物は、
リン脂質として、天然又は合成のリン脂質、好ましくはレシチン、より好ましくは大豆レシチン、脱油大豆レシチン、リポイドP75、リポイドS75;
溶媒として、水、薬学上許容されるC2-C4アルコール、より好ましくはエタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソ-ブタノール、1以上の水酸基を有するアルコール、好ましくはグリセロール、プロピレングリコール、より好ましくはエタノール又はイソプロパノール又はその混合物;
皮膚軟化薬として、好ましくはビタミンA、D、及びE、ラノリン、ラノリンアルコール、プロピレングリコールジベンゾアート、植物油、植物エキス、脂肪アルコールエステル、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、合成ポリマー、ケイ素化合物、脂肪酸、鉱油誘導体、ワックス、又はその混合物、最も好ましくは脂肪酸エステルとして、パルミチン酸セチル、脂肪酸アルコールとして、オクチルデカノール、脂肪酸誘導体として、デシリスオレアス、植物油として、ココナッツオイル;
リン脂質を除く浸透エンハンサーとして、C2-C4アルコール、DL-α-トコフェロール、その混合物;
保存料として、EDTA、EDTA誘導体、芳香族保存料、例えば、パラ-ヒドロキシ安息香酸、チメロサール、クロロヘキシジンベジルアルコール、及び塩化ベンザルコニウム、好ましくはベンジルアルコール、より好ましくはベンジルアルコール及びEDTAの混合物;
レオロジー改質剤として、ポリエチレングリコール、合成ポリマー、例えば、カーボマー(ポリアクリル酸)、好ましくはカーボマー980、ヒドロキシアルキルセルロース、好ましくはヒドロキシエチルセルロース、及び植物ガム、好ましくはキサンタンガム、最も好ましくはカーボマー;
pH調節剤として、好ましくは塩基タイプのpH調節剤、より好ましくはアンモニア、アンモニウム溶液、水酸化アルカリ金属又はアルカリ土塁金属、カーボネート、ハイドロカーボネート、又は有機塩基、例えば、一級、二級、又は三級アミン、最も好ましくはアンモニア水溶液
を含んでなることができることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の局所用医薬組成物。
【請求項6】
使用するプレガバリンが、好ましくは摩砕されたプレガバリンのD90粒径20~200μmを有し、より好ましくは使用するプレガバリンが、微粉末化されて、20μm以下の粒径D90を有する請求項1~5のいずれかに記載の局所用医薬組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の局所用医薬組成物を製造する方法であって、
リン脂質及び溶媒又は溶媒混合物を高圧ホモジナイザーにて均質化し、及びプレガバリンを組成物に添加する;又は
リン脂質、溶媒及びプレガバリンを混合し、このようにして得られた混合物を高圧ホモジナイザーにて均質化する
ことを含んでなり、このようにして得られた組成物は、分散された形のプレガバリン及びリン脂質を含んでなり、小角X線散乱測定法の図表に由来するミセル寄与スケーリング係数(I0)が、0.00025 cm-1sr-1以下、好ましくは0.00023 cm-1sr-1以下、より好ましくは0.00021 cm-1sr-1未満、最も好ましくは0.00019 cm-1sr-1未満であることを特徴とする局所用医薬組成物の製法。
【請求項8】
得られた組成物にレオロジー改質剤を添加することによって、ゲル、クリーム又はゲル-クリームに形成することを特徴する請求項7に記載の製法。
【請求項9】
リン脂質及び溶媒又は溶媒混合物を、任意に他の添加剤とともに、HPHホモジナイザーにて均質化し、ついで、
a)
a.1.)レオロジー改質剤を添加し、及び
a.2.)このようにして得られた混合物にプレガバリン及び任意の他の添加剤を添加し、このようにして得られた混合物を均質化する、又は
b)
b.1.)このようにして得られた混合物にプレガバリン及び任意の他の添加剤し、このようにして得られた混合物を均質化し、ついで
b.2.)レオロジー改質剤を添加する、又は
c)
c.1.)このようにして得られた混合物に、予め、別にHPHホモジナイザーにて均質化したプレガバリン及び任意の他の添加剤の混合物を添加し、ついで
c.2.)脂質相を含んでなる混合物に混合し、ついで
c.3.)レオロジー改質剤を添加する、又は
d)
d.1.)プレガバリン及び任意の他の添加剤をリン脂質相に添加し、ついで、このようにして得られた混合物をHPHホモジナイザーにて均質化し、ついで
d.2.)レオロジー改質剤を添加する、又は
e)
e.1.)レオロジー改質剤を混合物に添加し、
e.2.)プレガバリン及び任意の他の添加剤をリン脂質相に添加し、ついで
このようにして得られた混合物をHPHホモジナイザーにて均質化する、
ついで、必要であれば、さらにレオロジー改質剤又は添加剤を添加する
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の製法。
【請求項10】
リン脂質及び溶媒又は溶媒混合物の混合物、プレガバリン及び任意の他の添加剤をHPHホモジナイザーにて均質化し、ついで、
レオロジー改質剤及び任意の他の添加剤を添加し、このようにして得られた混合物に添加し、均質化する、又は
レオロジー改質剤を添加し、このようにして得られた混合物をHPHホモジナイザーにて均質化し、ついで、必要であれば、更なる添加剤を添加し、このようにして得られた混合物を均質化する
ことを特徴とする請求項7~9のいずれかに記載の製法。
【請求項11】
リン脂質、溶媒又は溶媒混合物、及び任意にプレガバリン及び他の添加剤を含んでなる混合物を、高圧ホモジナイザーにて、少なくとも1回、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化すること及び組成物の質量基準でプレガバリン2.5質量%以上及び高圧均質化したリン脂質0.1~5質量%を使用することを特徴とする請求項7~10のいずれかに記載の製法。
【請求項12】
プレガバリン2.5~40質量%、好ましくは3~20質量%、より好ましくは3~15質量%、最も好ましくは5~10質量%、及びリン脂質0.1~3質量%、好ましくは0.1~1.5質量%、最も好ましくは0.1~1.2質量%を使用し、更なる添加剤として、溶媒40~90質量%、好ましくは70~90質量%、最も好ましくは75~85質量%;皮膚軟化薬0~20質量%、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは2~15質量%、さらにより好ましくは3~10質量%、浸透エンハンサー0~20質量%、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは2~15質量%、さらにより好ましくは3~10質量%、レオロジー改質剤0~5質量%、好ましくは0.1~2質量%、最も好ましくは0.2~0.5質量%、又はその混合物を使用することを特徴とする請求項7~11のいずれかに記載の製法。
【請求項13】
組成物の調製のために、
リン脂質として、天然又は合成のリン脂質、好ましくはレシチン、より好ましくは大豆レシチン、脱油大豆レシチン、lipoid P75、lipoid S75;
溶媒として、水、薬学上許容されるC2-C4アルコール、より好ましくはエタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、1以上の水酸基を有するアルコール、好ましくはグリセロール、プロピレングリコール、より好ましくはエタノール又はイソプロパノール、又はその混合物;
皮膚軟化薬として、ビタミンA、D、及びE、ラノリン、ラノリンアルコール、ジ安息香酸プロピレングリコール、植物油、植物エキス、脂肪アルコールエステル、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、合成ポリマー、ケイ素化合物、脂肪酸、鉱油誘導体、ワックス、又はその混合物、最も好ましくは、脂肪酸エステルとしてパルミチン酸セチル、脂肪アルコールとしてオクチルドデカノール、脂肪酸誘導体としてデシリスオレアス、植物油としてココナッツオイル;
リン脂質を除く浸透エンハンサーとして、C2-C4アルコール、DL-α-トコフェロール、又はその混合物;
保存料として、EDTA、EDTA誘導体、芳香族保存料、例えば、パラ-ヒドロキシ安息香酸、チメロサール、クロロヘキシジンベンジルアルコール、及び塩化ベンザルコニウム、好ましくはベンジルアルコール、より好ましくはベンジルアルコール及びEDTAの混合物;
レオロジー改質剤として、ポリエチレングリコール、合成ポリマー、例えば、カーボマー(ポリアクリル酸)、好ましくはカーボマー980、ヒドロキシアルキルセルロース、好ましくはヒドロキシエチルセルロース、及び植物ガム、好ましくはキサンタンガム又はガーゴム、カーボマー;
pH調節剤として、好ましくは塩基タイプのpH調節剤、より好ましくはアンモニア、アンモニウム溶液、水酸化アルカリ又はアルカリ土塁金属、カーボネート、ハイドロカーボネート、又は有機塩基、例えば、一級、二級、又は三級アミン、最も好ましくはアンモニア水溶液
を使用することを特徴とする請求項7~12のいずれかに記載の製法。
【請求項14】
リン脂質及び溶媒又は溶媒混合物の混合物を、任意の他の添加剤、好ましくは皮膚軟化薬及び/又は浸透エンハンサーとともに、圧力500~2000バール、好ましくは500~1500バール、最も好ましくは1000~1500バールを使用して、HPHホモジナイザーにて、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化し、ついで、
a.)
a.1.)このようにして得られた混合物を、溶媒中でレオロジー改質剤を膨潤させることによって調製したゲル相(ゲル相のpHをpH調節剤にて調整する)に添加し、ついで、
a.2.)プレガバリン及び任意の他の添加剤、好ましくは皮膚軟化薬及び保存料を組成物に添加し、このようにして得られた混合物を均質化する、又は
b.)
b.1.)プレガバリン及び任意の他の添加剤、好ましくは皮膚軟化薬及び保存料を組成物に混合し、このようにして得られた混合物を均質化し、ついで、
b.2.)このようにして得られた混合物を、溶媒中でレオロジー改質剤を膨潤させることによって調製したゲル相(ゲル相のpHをpH調節剤にて調整する)に添加する、又は
c.)
c.1.)このようにして得られた混合物を、プレガバリン及び任意の他の添加剤、好ましくは皮膚軟化薬及び保存料の混合物であって、予め、別に、圧力500~2000バール、好ましくは500~1500バール、最も好ましくは1000~1500バールを使用して、HPHホモジナイザーにて、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化した混合物に添加し、ついで、
c.2.)このようにして得られた混合物を、溶媒中でレオロジー改質剤を膨潤させることによって調製したゲル相(ゲル相のpHをpH調節剤にて調整する)に添加する、又は
d.)
d.1.)プレガバリン及び任意の他の添加剤、好ましくは皮膚軟化薬及び保存料をリン脂質相に混合し、ついで、このようにして得られた混合物を、圧力500~2000バール、好ましくは500~1500バール、最も好ましくは1000~1500バールを使用して、HPHホモジナイザーにて、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化し、ついで、
d.2.)このようにして得られた混合物を、溶媒中でレオロジー改質剤を膨潤させることによって調製したゲル相(ゲル相のpHをpH調節剤にて調整する)に添加する、又は
e.)
e.1.)このようにして得られた混合物を、溶媒中でレオロジー改質剤を膨潤させることによって調製したゲル相(ゲル相のpHをpH調節剤にて調整する)に添加し、ついで、
e.2.)プレガバリン及び任意の他の添加剤、好ましくは皮膚軟化薬及び保存料を脂質相に添加し、ついで、このようにして得られた混合物を、圧力500~2000バール、好ましくは500~1500バール、最も好ましくは1000~1500バールを使用して、HPHホモジナイザーにて、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化する、
ついで、必要であれば、さらに、レオロジー改質剤を添加する
ことを特徴とする請求項7~13のいずれかに記載の製法。
【請求項15】
リン脂質、プレガバリン、及び溶媒又は溶媒混合物の混合物を、任意の他の添加剤、好ましくは皮膚軟化薬及び/又は浸透エンハンサーとともに混合し、ついで、
圧力500~2000バール、好ましくは500~1500バール、最も好ましくは1000~1500バールを使用して、HPHホモジナイザーにて、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化し、ついで、このようにして得られた混合物を、溶媒中でレオロジー改質剤を膨潤させることによって調製したゲル相(ゲル相のpHをpH調節剤にて調整する)に添加する、又は
このようにして得られた混合物を、溶媒中でレオロジー改質剤を膨潤させることによって調製したゲル相(ゲル相のpHをpH調節剤にて調整する)に添加し、このようにして得られた組成物を、圧力500~2000バール、好ましくは500~1500バール、最も好ましくは1000~1500バールを使用して、HPHホモジナイザーにて、好ましくは1~125回、より好ましくは3~10回、最も好ましくは5~10回均質化する、
ついで、必要であれば、更なる添加剤を添加し、このようにして得られた混合物を均質化する
ことを特徴とする請求項7~14のいずれかに記載の製法。
【請求項16】
神経障害性疼痛、末梢神経障害性疼痛、例えば、糖尿病患者又は帯状疱疹の患者が経験する痛み、及び中枢神経障害性疼痛、例えば、脊髄損傷;糖尿病性ニューロパチー、カウザルギー、腕神経叢裂離、後頭神経痛症、反射性交感神経性ジストロフィー、線維筋痛症、痛風、幻肢痛症、バムペイン、及び他の様式の神経痛様疼痛症候群、神経障害疼痛症候群、及び突発性疼痛症候群の患者が経験する痛みの治療における使用のための請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
【国際調査報告】