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特表2024-504363多色電気泳動ディスプレイにおける連続波形駆動
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】多色電気泳動ディスプレイにおける連続波形駆動
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/34 20060101AFI20240124BHJP
   G02F 1/16766 20190101ALI20240124BHJP
   G02F 1/167 20190101ALI20240124BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
G09G3/34 C
G02F1/16766
G02F1/167
G09G3/20 623C
G09G3/20 623D
G09G3/20 642J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544283
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(85)【翻訳文提出日】2023-07-21
(86)【国際出願番号】 US2022015475
(87)【国際公開番号】W WO2022173691
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】63/147,465
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】デリワラ, アミット
(72)【発明者】
【氏名】サイニス, スニル クリシュナ
【テーマコード(参考)】
2K101
5C080
【Fターム(参考)】
2K101AA04
2K101BA02
2K101BB13
2K101BB44
2K101BB54
2K101BC02
2K101BC26
2K101BD21
2K101BD61
2K101BE32
2K101ED13
2K101ED21
2K101EE02
2K101EG27
2K101EG52
5C080AA13
5C080BB05
5C080CC03
5C080EE01
5C080EE17
5C080EE29
5C080EE30
5C080FF11
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ05
5C080JJ06
5C080KK08
(57)【要約】
4つの異なるタイプの粒子、例えば、散乱粒子の組と、減法混色の粒子の3つの組とを含む4粒子電気泳動媒体を駆動するための連続波形。連続または準連続電圧ドライバ/コントローラを使用するとき、標的色状態または標的遷移に関する好ましい波形を識別する方法。一実施形態において、波形は、500ms中、少なくとも32個の独特の電圧レベルを含む。一実施形態において、少なくとも4つのタイプの粒子は、第1の極性の2つの粒子と、第2の極性の2つの粒子とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも4つのタイプの粒子を備えている電気泳動媒体を駆動する方法であって、各粒子は、互いに異なる光学特性を有し、各タイプの粒子は、互いに異なる電荷極性と電荷の大きさとの組み合わせを有し、前記方法は、
少なくとも500msにわたる連続駆動波形を提供することを含み、
前記連続駆動波形は、前記500ms中、少なくとも16個の独特の電圧レベルを有し、前記連続駆動波形は、V/msにおいて測定可能な変化率を有し、前記変化率の時間依存変化は、-1V/ms~1V/msである、方法。
【請求項2】
前記波形は、前記500ms中、少なくとも32個の独特の電圧レベルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも4つのタイプの粒子は、第1の極性の2つの粒子と、第2の極性の2つの粒子とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも4つのタイプの粒子は、第1の極性の3つの粒子と、第2の極性の1つの粒子とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記光学特性は、色であり、前記色は、白色と、赤色と、マゼンタ色と、橙色と、黄色と、緑色と、シアン色と、青色と、紫色と、黒色とから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも2つのタイプの粒子は、表面ポリマーを含み、前記2つのタイプの粒子の各々は、異なる種類の表面ポリマーを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも4つのタイプの粒子を備えている電気泳動媒体を駆動する方法であって、各粒子は、互いに異なる光学特性を有し、各タイプの粒子は、互いに異なる電荷極性と電荷の大きさとの組み合わせを有し、前記方法は、
少なくとも500msにわたる連続駆動波形を提供することを含み、
時間の関数としての前記連続駆動波形は、前記波形の全体中、以下の形態;
【数101】
であり、V(t)は、時間の関数としての波形電圧であり、xは、時間を表す値であり、前記波形は、少なくとも3つの電圧レベルを含む、方法。
【請求項8】
前記連続駆動波形は、少なくとも1秒間持続する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ディスプレイシステムであって、前記ディスプレイシステムは、
第1の光透過性電極と、
少なくとも4つのタイプの粒子を備えている電気泳動媒体であって、各粒子は、互いに異なる光学特性を有し、各タイプの粒子は、互いに異なる電荷極性と電荷の大きさとの組み合わせを有する、電気泳動媒体と、
第2の電極であって、前記電気泳動媒体は、前記第1の光透過性電極と前記第2の電極との間に配置されている、第2の電極と、
コントローラと、
前記第1の光透過性電極および前記第2の電極に動作可能に接続され、少なくとも16個の独特の電圧レベルを提供するように構成された電力供給源と
を備え、
前記コントローラは、前記電気泳動媒体が第1の表示状態から第2の表示状態に変更されるとき、前記第1の光透過性電極と前記第2の電極との間に前記独特の電圧レベルのうちの少なくとも3つを提供する、ディスプレイシステム。
【請求項10】
少なくとも32個の独特の電圧レベルを提供するように構成されている、請求項9に記載のディスプレイシステム。
【請求項11】
前記電力供給源は、20ボルトより大きく異なる少なくとも2つの電圧レベルを提供する、請求項9に記載のディスプレイシステム。
【請求項12】
前記少なくとも4つのタイプの粒子は、第1の極性の2つの粒子と、第2の極性の2つの粒子とを含む、請求項9に記載のディスプレイシステム。
【請求項13】
前記少なくとも4つのタイプの粒子は、第1の極性の3つの粒子と、第2の極性の1つの粒子とを含む、請求項9に記載のディスプレイシステム。
【請求項14】
前記光学特性は、色であり、前記色は、白色と、赤色と、マゼンタ色と、橙色と、黄色と、緑色と、シアン色と、青色と、紫色と、黒色とから成る群から選択される、請求項9に記載のディスプレイシステム。
【請求項15】
第1の光透過性電極と第2の電極との間に配置された電気泳動媒体を駆動するための連続波形を決定する方法であって、前記電気泳動媒体は、少なくとも4つのタイプの粒子を含み、各タイプの粒子は、互いに異なる光学特性を有し、各タイプの粒子は、互いに異なる電荷極性と電荷の大きさとの組み合わせを有し、前記方法は、
前記電気泳動媒体に関する第1の光学状態を決定することと、
前記電気泳動媒体に関する第2の光学状態を決定することと、
前記第1の光透過性電極と前記第2の電極との間の電気泳動媒体の微分可能なサロゲートモデルに基づいて、費用関数を最小化しながら、前記第2の光学状態から前記第1の光学状態までの所望の時間範囲にわたって、フレーム幅に関する反復駆動電圧を逆方向に伝搬することと、
フレーム幅に関する前記反復駆動電圧を組み立て、連続波形を作り出すことと
を含む、方法。
【請求項16】
前記費用関数は、以下:
【数102】
である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記所望の時間範囲は、少なくとも500msであり、前記フレーム幅は、50ms未満である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
第1の光透過性電極と第2の電極との間に配置された電気泳動媒体を駆動するための連続波形を決定する方法であって、前記電気泳動媒体は、少なくとも4つのタイプの粒子を含み、各タイプの粒子は、互いに異なる光学特性を有し、各タイプの粒子は、互いに異なる電荷極性と電荷の大きさとの組み合わせを有し、前記方法は、
前記電気泳動媒体に関する第1の光学状態を決定することと、
前記電気泳動媒体に関する第2の光学状態を決定することと、
前記第2の光学状態から前記第1の光学状態までの所望の時間範囲にわたって、フレーム幅に関する反復駆動電圧を逆方向に伝搬することであって、フレーム間の遷移は、±40Vより大きい電圧変化を伴わない、ことと、
前記反復駆動電圧を組み立て、連続波形を作り出すことと
を含む、方法。
【請求項19】
前記第1の光学状態と前記第2の光学状態との間の前記連続波形は、-1V/ms未満または1V/msを上回る時間の関数としての電圧の変化率の変化を有していない、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願)
本願は、2021年2月9日に出願された米国仮特許出願第63/147,465号の優先権を主張する。本明細書に開示される全ての特許および公開文書は、参照することによって、それらの全体として組み込まれる。
【0002】
電気泳動ディスプレイ(EPD)は、光透過性視認表面に対する荷電着色粒子の位置を修正することによって、色を変更する。そのような電気泳動ディスプレイは、結果として生じるディスプレイが、紙上のインクとほぼ同様に、高いコントラストを有し、太陽光の下で読み取り可能であるので、典型的に、「電子ペーパー」または「eペーパー」と称される。電気泳動ディスプレイは、電気泳動ディスプレイが書籍同様の読書体験を提供し、少ない消費電力を使用し、ユーザが軽量な手持ちデバイス内に数百冊の書籍のライブラリを携行することを可能にするので、AMAZON KINDLE(登録商標)等、電子書籍読み取り機において幅広く採用されている。
【0003】
何年もの間、電気泳動ディスプレイは、2つのみのタイプの荷電着色粒子、すなわち、黒色と、白色とを含んでいた(確実にするために、「色」は、本明細書内で使用されるように、黒色と、白色とを含む)。白色粒子は、多くの場合、光散乱型であり、例えば、二酸化チタンを備えている一方、黒色粒子は、可視スペクトルにわたって吸光性であり、カーボンブラック、または銅クロマイト等の吸光性金属酸化物を備え得る。最も単純な意味では、白黒電気泳動ディスプレイは、視認表面における光透過性電極、背後電極、および、反対に荷電された白色粒子と黒色粒子とを含む電気泳動媒体のみを要求する。ある極性の電圧が提供されると、白色粒子が、視認表面に移動し、反対の極性の電圧が提供されると、黒色粒子が、視認表面に移動する。背後電極が、制御可能領域(ピクセル)(トランジスタによって制御される分割電極、またはピクセル電極のアクティブマトリクス)を含む場合、あるパターンが、視認表面において電子的に現れるように作製されることができる。このパターンは、例えば、書籍にとっての本文であり得る。
【0004】
ごく最近では、3色ディスプレイ(黒色、白色、赤色;黒色、白色、黄色)および4色ディスプレイ(黒色、白色、赤色、黄色)を含む様々な色の選択肢が、電気泳動ディスプレイのために商業的に利用可能な状態になりつつある。白黒電気泳動ディスプレイの動作と同様、3つまたは4つの反射性顔料を伴う電気泳動ディスプレイは、所望の色粒子が、視認表面に対して駆動されるので、単純な白黒ディスプレイと同様に動作する。駆動スキームは、黒色および白色のみよりはるかに複雑であるが、最終的に、粒子の光学機能は、同じである。加えて、そのようなディスプレイが、一度に、単一の色のみ(すなわち、視認表面に対して駆動されている粒子の1つの組の色のみ)を示し得ることは、注目に値する。
【0005】
高度カラー電子ペーパー(ACePTM)も、4つの粒子を含むが、シアン色、黄色、およびマゼンタ色粒子は、反射性ではなく、減法混色的であり、それによって、数千もの色が、各ピクセルにおいて作り出されることを可能にする。色プロセスは、オフセット印刷およびインクジェットプリンタにおいて長い間使用されてきた、印刷方法と機能的に同等である。所与の色は、明るい白色ペーパー背景上で、シアン色、黄色、およびマゼンタ色の正しい比率を使用することによって作り出される。ACePの事例では、視認表面に対するシアン色、黄色、マゼンタ色、および白色粒子の相対的な位置が、各ピクセルにおける色を決定するであろう。このタイプの電気泳動ディスプレイは、各ピクセルにおいて数千もの色を可能にするが、厚さ約10~20ミクロンの作業空間内で、(50~500ナノメートルサイズの)顔料の各々の位置を慎重に制御することが、重要となる。明白なこととして、顔料の位置の変動は、誤った色が、所与のピクセルにおいて表示されることをもたらすであろう。故に、精緻な電圧制御が、そのようなシステムのために要求される。システムのさらなる詳細は、以下の米国特許、すなわち、米国特許第9,361,836号(特許文献1)、第9,921,451号、第10,276,109号、第10,353,266号、第10,467,984号、および第10,593,272号(その全てが、参照することによってそれらの全体として組み込まれる)において入手可能である。
【0006】
殆どの部分に関して、上で説明されるもの等の電気泳動媒体は、薄膜トランジスタバックプレーンからのドライバ回路によって作り出されるような低電圧矩形波を用いて駆動されるように設計される。そのようなドライバ回路は、スマートフォン、ラップトップモニタ、およびテレビにおいて見出されるような液晶ディスプレイパネルを作り出すために使用される駆動回路網および製作方法に非常に緊密に関係付けられているので、安価に大量作り出されることができる。従来的に、電気泳動媒体が、絶縁電極(例えば、分割電極)によって直接駆動されるときであっても、駆動パルスは、ある振幅と、ある時間幅とを有する矩形波として送達される。例えば、米国第7,012,600号(特許文献2)(参照することによってその全体として組み込まれる)を参照されたい。この駆動の形態の場合、電気的インパルス、すなわち、荷電粒子が所与の大きさの場にさらされる時間量が、視認表面において見られる最終的な「状態」を決定する。
【0007】
用語「グレー状態」は、本明細書では、結像技術分野におけるその従来の意味において、使用され、ピクセルの2つの極限光学状態の中間の状態を指し、必ずしもこれらの2つの極限状態間の黒色-白色遷移を含意するわけではない。例えば、下記に参照されるE Inkの特許および公開された出願のうちのいくつかは、中間グレー状態が、実際には薄青色であろうように、極限状態が白色および濃青色である電気泳動ディスプレイを説明している。実際、すでに記述されているように、光学状態の変化は、色の変化では全くないこともある。用語「白黒」は、以降では、ディスプレイの2つの極限光学状態を指すために本明細書で使用され得、通常、厳密に黒色および白色ではない極限光学状態、例えば、前述の白色状態と、濃青色状態とを含むものとして理解されたい。
【0008】
用語「双安定」および「双安定性」は、当技術分野におけるそれらの従来の意味において、少なくとも1つの光学特性が異なる第1および第2の表示状態を有する表示要素を備えたディスプレイを指すために本明細書で使用され、表示要素は、任意の所与の要素がその第1または第2の表示状態のいずれかを示すように有限持続時間のアドレスパルスを用いて駆動された後、アドレスパルスが終了した後、表示要素の状態を変化させるために要求されるアドレスパルスの最小持続時間の少なくとも数倍、例えば、少なくとも4倍、その状態が持続するであろようなものである。グレースケール対応のいくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、それらの極限白黒状態においてのみならず、それらの中間グレー状態においても安定しており、同じことがいくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイにも当てはまることが米国特許第7,170,670号に示されている。このタイプのディスプレイは、適切に、「双安定」ではなく、「多安定」と呼ばれるが、便宜上、用語「双安定」が、本明細書では、双安定および多安定ディスプレイの両方を含むために使用され得る。
【0009】
用語「インパルス」は、本明細書では、電気泳動ディスプレイの駆動を指すために使用されるとき、ディスプレイが駆動される期間中の時間に対する印加電圧の積分を指すために使用される。用語「波形」は、電気泳動ディスプレイの駆動を指すために使用されるとき、電気泳動媒体において所望の光学効果を作り出すために、所与の期間(秒、フレーム等)にわたって、電気泳動媒体に提供される一連の電圧、またはそのパターンを説明するために使用される。
【0010】
広帯域または選択された波長のいずれかにおいて、光を吸収し、散乱させ、または反射する粒子は、本明細書では、着色または顔料粒子と称される。染料またはフォトニック結晶等の光を吸収または反射する顔料(不溶性着色材料を意味するとものとしてのその用語の厳密な意味において)以外の種々の材料も、本発明の電気泳動媒体およびディスプレイにおいて使用され得る。
【0011】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)およびE Ink Corporationに譲渡された、またはそれらの名義である多数の特許および出願は、カプセル化電気泳動媒体および他の電気光学媒体において使用される種々の技術を説明している。そのようなカプセル化媒体は、多数の小型カプセルを備え、それらの各々自体が、電気泳動により移動可能な粒子を流体媒体中に含む内相と内相を包囲するカプセル壁とを備えている。典型的に、カプセルは、それ自体が、2つの電極間に位置付けられるコヒーレント層を形成するためのポリマー結合剤内に保持される。これらの特許および出願に説明される技術は、以下を含む:
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号参照)
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照)
(c)マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第7,072,095号および第9,279,906号参照)
(d)マイクロセルを充填およびシールする方法(例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号参照)
(e)電気光学材料を含むフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号参照)
(f)バックプレーン、接着層、および他の補助層、およびディスプレイにおいて使用される方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号参照)
(g)色形成および色調節(例えば、米国特許第6,017,584号、第6,545,797号、第6,664,944号、第6,788,452号、第6,864,875号、第6,914,714号、第6,972,893号、第7,038,656号、第7,038,670号、第7,046,228号、第7,052,571号、第7,075,502号、第7,167,155号、第7,385,751号、第7,492,505号、第7,667,684号、第7,684,108号、第7,791,789号、第7,800,813号、第7,821,702号、第7,839,564号、第7,910,175号、第7,952,790号、第7,956,841号、第7,982,941号、第8,040,594号、第8,054,526号、第8,098,418号、第8,159,636号、第8,213,076号、第8,363,299号、第8,422,116号、第8,441,714号、第8,441,716号、第8,466,852号、第8,503,063号、第8,576,470号、第8,576,475号、第8,593,721号、第8,605,354号、第8,649,084号、第8,670,174号、第8,704,756号、第8,717,664号、第8,786,935号、第8,797,634号、第8,810,899号、第8,830,559号、第8,873,129号、第8,902,153号、第8,902,491号、第8,917,439号、第8,964,282号、第9,013,783号、第9,116,412号、第9,146,439号、第9,164,207号、第9,170,467号、第9,170,468号、第9,182,646号、第9,195,111号、第9,199,441号、第9,268,191号、第9,285,649号、第9,293,511号、第9,341,916号、第9,360,733号、第9,361,836号、第9,383,623号、および第9,423,666号、および米国特許出願公開第2008/0043318号、第2008/0048970号、第2009/0225398号、第2010/0156780号、第2011/0043543号、第2012/0326957号、第2013/0242378号、第2013/0278995号、第2014/0055840号、第2014/0078576号、第2014/0340430号、第2014/0340736号、第2014/0362213号、第2015/0103394号、第2015/0118390号、第2015/0124345号、第2015/0198858号、第2015/0234250号、第2015/0268531号、第2015/0301246号、第2016/0011484号、第2016/0026062号、第2016/0048054号、第2016/0116816号、第2016/0116818号、および第2016/0140909号参照)
(h)ディスプレイを駆動する方法(例えば、米国特許第5,930,026号、第6,445,489号、第6,504,524号、第6,512,354号、第6,531,997号、第6,753,999号、第6,825,970号、第6,900,851号、第6,995,550号、第7,012,600号、第7,023,420号、第7,034,783号、第7,061,166号、第7,061,662号、第7,116,466号、第7,119,772号、第7,177,066号、第7,193,625号、第7,202,847号、第7,242,514号、第7,259,744号、第7,304,787号、第7,312,794号、第7,327,511号、第7,408,699号、第7,453,445号、第7,492,339号、第7,528,822号、第7,545,358号、第7,583,251号、第7,602,374号、第7,612,760号、第7,679,599号、第7,679,813号、第7,683,606号、第7,688,297号、第7,729,039号、第7,733,311号、第7,733,335号、第7,787,169号、第7,859,742号、第7,952,557号、第7,956,841号、第7,982,479号、第7,999,787号、第8,077,141号、第8,125,501号、第8,139,050号、第8,174,490号、第8,243,013号、第8,274,472号、第8,289,250号、第8,300,006号、第8,305,341号、第8,314,784号、第8,373,649号、第8,384,658号、第8,456,414号、第8,462,102号、第8,514,168号、第8,537,105号、第8,558,783号、第8,558,785号、第8,558,786号、第8,558,855号、第8,576,164号、第8,576,259号、第8,593,396号、第8,605,032号、第8,643,595号、第8,665,206号、第8,681,191号、第8,730,153号、第8,810,525号、第8,928,562号、第8,928,641号、第8,976,444号、第9,013,394号、第9,019,197号、第9,019,198号、第9,019,318号、第9,082,352号、第9,171,508号、第9,218,773号、第9,224,338号、第9,224,342号、第9,224,344号、第9,230,492号、第9,251,736号、第9,262,973号、第9,269,311号、第9,299,294号、第9,373,289号、第9,390,066号、第9,390,661号、および第9,412,314号、および米国特許出願公開第2003/0102858号、第2004/0246562号、第2005/0253777号、第2007/0091418号、第2007/0103427号、第2007/0176912号、第2008/0024429号、第2008/0024482号、第2008/0136774号、第2008/0291129号、第2008/0303780号、第2009/0174651号、第2009/0195568号、第2009/0322721号、第2010/0194733号、第2010/0194789号、第2010/0220121号、第2010/0265561号、第2010/0283804号、第2011/0063314号、第2011/0175875号、第2011/0193840号、第2011/0193841号、第2011/0199671号、第2011/0221740号、第2012/0001957号、第2012/0098740号、第2013/0063333号、第2013/0194250号、第2013/0249782号、第2013/0321278号、第2014/0009817号、第2014/0085355号、第2014/0204012号、第2014/0218277号、第2014/0240210号、第2014/0240373号、第2014/0253425号、第2014/0292830号、第2014/0293398号、第2014/0333685号、第2014/0340734号、第2015/0070744号、第2015/0097877号、第2015/0109283号、第2015/0213749号、第2015/0213765号、第2015/0221257号、第2015/0262255号、第2015/0262551号、第2016/0071465号、第2016/0078820号、第2016/0093253号、第2016/0140910号、および第2016/0180777号参照)
(i)ディスプレイの用途(例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号参照)
(j)米国特許第6,241,921号、および米国特許出願公開第2015/0277160号、および米国特許出願公開第2015/0005720号および第2016/0012710号に説明されるような非電気泳動ディスプレイ。
【0012】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化電気泳動媒体内の別々のマイクロカプセルを包囲する壁が、連続相によって置換され得、したがって、電気泳動媒体が、電気泳動流体の複数の別々の液滴と、ポリマー材料の連続相とを備えたいわゆる「ポリマー分散型電気泳動ディスプレイ」を作り出し得、どんな別々のカプセル膜も各個々の液滴に関連付けられないにもかかわらず、そのようなポリマー分散型電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の別々の液滴が、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることを認識する(例えば、米国特許第6,866,760号参照)。故に、本願の目的のために、そのようなポリマー分散型電気泳動媒体は、カプセル化電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0013】
関連タイプの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されないが、代わりに、キャリア媒体、典型的に、ポリマーフィルム内に形成される複数の空洞内に保持される。例えば、米国特許第6,672,921号および第6,788,449号を参照されたい。
【0014】
電気泳動媒体は、多くの場合、不透過性であり(例えば、多くの電気泳動媒体では、粒子がディスプレイを通した可視光の透過を実質的に遮断する)、反射モードで動作するが、多くの電気泳動ディスプレイは、1つの表示状態が実質的に不透過性であり、1つが光透過性であるいわゆる「シャッターモード」で動作するように作製されることができる。例えば、米国特許第5,872,552号、第6,130,774号、第6,144,361号、第6,172,798号、第6,271,823号、第6,225,971号、および第6,184,856号を参照されたい。誘電泳動ディスプレイは、電気泳動ディスプレイと同様であるが、電場強度の変動に依拠し、同様のモードで動作することができる(米国特許第4,418,346号参照)。他のタイプの電気光学ディスプレイも、シャッターモードで動作することが可能であり得る。シャッターモードで動作する電気光学媒体は、フルカラーディスプレイのために、多層構造で使用されることができ、そのような構造では、ディスプレイの視認表面に隣接する少なくとも1つの層は、シャッターモードで動作し、視認表面からより遠くにある第2の層を露出するか、または隠す。
【0015】
カプセル化電気泳動ディスプレイは、典型的に、従来的な電気泳動デバイスのクラスタ化および沈降故障モードに悩まされることがなく、多種多様な可撓性および堅さの基板上にディスプレイを印刷またはコーティングする能力等のさらなる利点を提供する(用語「印刷」の使用は、限定ではないが、前計量コーティング、例えば、パッチダイコーティング、スロットまたは押出コーティング、スライドまたはカスケードコーティング、カーテンコーティング等、ロールコーティング、例えば、ナイフオーバロールコーティング、フォワードおよびリバースロールコーティング等、グラビアコーティング、浸漬コーティング、吹き付けコーティング、メニスカスコーティング、スピンコーティング、ブラシコーティング、エアナイフコーティング、シルクスクリーン印刷プロセス、静電気印刷プロセス、熱印刷プロセス、インクジェット印刷プロセス、電気泳動堆積(米国特許第7,339,715号参照)、および他の同様の技法を含むあらゆる形態の印刷およびコーティングを含むことを意図している)。したがって、結果として生じるディスプレイは、可撓性であり得る。さらに、ディスプレイ媒体は(様々な方法を使用して)印刷されることができるので、ディスプレイ自体は、安価に作製されることができる。加えて、米国特許出願第17/088,762号において説明されるように、カプセル化電気泳動媒体は、非平面表面の中に組み込まれることができ、それらは、次に、日用品の中に組み込まれる。結果として、製品、構築材料等の表面は、好適な電場が供給されると色を変更するように設計されることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第9,361,836号明細書
【特許文献2】米国特許第7,012,600号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
4つのタイプの粒子を備えている電気泳動媒体を駆動するための改良された方法が、本明細書において開示され、各粒子は、互いに異なる光学特性を有し、各タイプの粒子は、互いに異なる電荷極性と電荷の大きさとの組み合わせを有する。そのような電気泳動媒体の一実施形態は、高度カラー電子ペーパーまたはACEP(登録商標)として商業的に公知であるが、しかしながら、他の好適な電気泳動媒体が、本明細書に説明され、本説明される方法は、概して、4粒子(またはそれを上回る)電気泳動システムに適用可能である。一側面では、方法は、少なくとも500msにわたる連続駆動波形を提供することであって、連続駆動波形は、500ms中、少なくとも16個の独特の電圧レベルを有する、ことを含む。遷移において結果として生じる波形は、視認者に対して、「閃光」のようであることが少なく、視認可能なほどに不快なものであることも少ない。結果として生じる波形は、制御された遷移も可能にし、それは、例えば、急激であること、なめらかであること、傾斜させられていること、または拍動/振動することができる。一実施形態において、この波形は、少なくとも500ms中、3V/ms未満の変化率を有しながら、同時に、変化率(二次導関数)の変化は、-1V/ms~1V/msである。一実施形態において、この波形は、500ms中、少なくとも32個の独特の電圧レベルを含む。一実施形態において、連続駆動波形は、少なくとも1秒間持続する。一実施形態において、少なくとも4つのタイプの粒子は、第1の極性の2つの粒子と、第2の極性の2つの粒子とを含む。一実施形態において、少なくとも4つのタイプの粒子は、第1の極性の3つの粒子と、第2の極性の1つの粒子とを含む。一実施形態において、光学特性は、色であり、色は、白色と、赤色と、マゼンタ色と、橙色と、黄色と、緑色と、シアン色と、青色と、紫色と、黒色とから成る群から選択される。一実施形態において、少なくとも2つのタイプの粒子は、表面ポリマーを含み、2つのタイプの粒子の各々は、異なる種類の表面ポリマーを有する。
【0018】
別の側面では、少なくとも4つのタイプの粒子を備えている電気泳動媒体を駆動する方法であって、各粒子は、互いに異なる光学特性を有し、各タイプの粒子は、互いに異なる電荷極性と電荷の大きさとの組み合わせを有する、方法が。方法は、少なくとも500msにわたる連続駆動波形を提供することを含み、時間の関数としての連続駆動波形は、波形の全体中、以下の形態であり、
【数1】
V(t)は、時間の関数としての波形電圧であり、xは、時間を表す値であり、波形は、少なくとも3つの電圧レベルを含む。一実施形態において、連続駆動波形は、少なくとも1秒間持続する。一実施形態において、少なくとも4つのタイプの粒子は、第1の極性の2つの粒子と、第2の極性の2つの粒子とを含む。一実施形態において、少なくとも4つのタイプの粒子は、第1の極性の3つの粒子と、第2の極性の1つの粒子とを含む。一実施形態において、光学特性は、色であり、色は、白色と、赤色と、マゼンタ色と、橙色と、黄色と、緑色と、シアン色と、青色と、紫色と、黒色とから成る群から選択される。一実施形態において、少なくとも2つのタイプの粒子は、表面ポリマーを含み、2つのタイプの粒子の各々は、異なる種類の表面ポリマーを有する。
【0019】
別の側面では、ディスプレイシステムであって、ディスプレイシステムは、第1の光透過性電極と、少なくとも4つのタイプの粒子を備えている電気泳動媒体であって、各粒子は、互いに異なる光学特性を有し、各タイプの粒子は、互いに異なる電荷極性と電荷の大きさとの組み合わせを有する、電気泳動媒体と、第2の電極であって、電気泳動媒体は、第1の光透過性電極と第2の電極との間に配置されている、第2の電極と、コントローラと、第1の光透過性電極および第2の電極に動作可能に接続され、少なくとも16個の独特の電圧レベルを提供するように構成された電力供給源とを含むディスプレイシステムが、開示され、コントローラは、電気泳動媒体が第1の表示状態から第2の表示状態に変更されるとき、第1の光透過性電極と第2の電極との間に独特の電圧レベルのうちの少なくとも3つを提供する。一実施形態において、電力供給源は、20ボルトより大きく異なる少なくとも2つの電圧レベルを提供する。一実施形態において、少なくとも4つのタイプの粒子は、第1の極性の2つの粒子と、第2の極性の2つの粒子とを含む。一実施形態において、少なくとも4つのタイプの粒子は、第1の極性の3つの粒子と、第2の極性の1つの粒子とを含む。一実施形態において、光学特性は、色であり、色は、白色と、赤色と、マゼンタ色と、橙色と、黄色と、緑色と、シアン色と、青色と、紫色と、黒色とから成る群から選択される。
【0020】
別の側面では、第1の光透過性電極と第2の電極との間に配置された電気泳動媒体を駆動するための連続波形を決定する方法であって、電気泳動媒体は、少なくとも4つのタイプの粒子を含み、各タイプの粒子は、互いに異なる光学特性を有し、各タイプの粒子は、互いに異なる電荷極性と電荷の大きさとの組み合わせを有し、方法は、電気泳動媒体に関する第1の光学状態を決定することと、電気泳動媒体に関する第2の光学状態を決定することと、第1の光透過性電極と第2の電極との間の電気泳動媒体の微分可能なサロゲートモデルに基づいて、費用関数を最小化しながら、第2の光学状態から第1の光学状態までの所望の時間範囲にわたって、フレーム幅に関する反復駆動電圧を逆方向に伝搬することと、連続波形を作り出すために、フレーム幅に関する反復駆動電圧を組み立てることとを含む、方法が、開示される。いくつかの実施形態において、費用関数は、以下:
【数2】
である。
【0021】
いくつかの実施形態において、所望の時間範囲は、少なくとも500msであり、フレーム幅は、50ms未満である。
【0022】
別の側面では、第1の光透過性電極と第2の電極との間に配置された電気泳動媒体を駆動するための連続波形を決定する方法であって、電気泳動媒体は、少なくとも4つのタイプの粒子を含み、各タイプの粒子は、互いに異なる光学特性を有し、各タイプの粒子は、互いに異なる電荷極性と電荷の大きさとの組み合わせを有し、方法は、電気泳動媒体に関する第1の光学状態を決定することと、電気泳動媒体に関する第2の光学状態を決定することと、第2の光学状態から第1の光学状態までの所望の時間範囲にわたって、フレーム幅に関する反復駆動電圧を逆方向に伝搬することであって、フレーム間の遷移は、±40Vより大きい電圧変化を伴わない、ことと、連続波形を作り出すために、反復駆動電圧を組み立てることとを含む、方法が、開示される。一実施形態において、第1の光学状態と第2の光学状態との間の連続波形は、-1V/ms未満または1V/msを上回る時間の関数としての電圧の変化率の変化を有していない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
特許または出願ファイルは、カラーで実行される少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を伴う本特許または特許出願公開文書の複写物が、要求および必要な手数料の支払に応じて、特許庁によって提供されるであろう。
【0024】
図1A図1Aは、4粒子電気泳動ディスプレイの代表的断面であり、電気泳動媒体が、カプセル内にカプセル化されている。
【0025】
図1B図1Bは、電気泳動媒体がマイクロセル内にカプセル化された4粒子電気泳動ディスプレイの代表的断面である。
【0026】
図2A図2Aは、貯蔵コンデンサを伴うアクティブマトリクスバックプレーンを使用する電気泳動ディスプレイの単一ピクセルの例示的等価回路を図示する。
【0027】
図2B図2Bは、本発明の簡略化された電気泳動ディスプレイの例示的等価回路を図示し、電力供給源は、多くの電圧レベルを提供するように構成される。
【0028】
図3A図3Aは、白色-シアン色-マゼンタ色-黄色(WCMY)の4粒子電気泳動ディスプレイにおいて、8つの標準色を作り出すための粒子の4つの組の各々の好ましい位置を図示し、白色粒子は、反射性であり、シアン色、マゼンタ色、および黄色粒子は、吸光性である。
【0029】
図3B図3Bは、黒色-赤色-黄色-青色(KRYB)の4粒子電気泳動ディスプレイにおいて、8つの標準色を作り出すための粒子の4つの組の各々の好ましい位置を図示し、黒色粒子は、吸光性であり、赤色、黄色、および青色粒子は、反射性である。
【0030】
図4図4Aおよび4Bは、1つの反射性(白色)粒子と、3つの減法混色(シアン色、黄色、マゼンタ色)の粒子とを含むEPDシステムにおいて、具体的な色を達成するために使用され得る(従来技術の)単純なプッシュプル波形を示す。
【0031】
図5A図5Aは、4粒子電気泳動システムに関して定義され得る色空間と、第1の色から第2の色への遷移が2つ以上の経路に沿って進行し得る方法とを図示する。
【0032】
図5B図5Bは、波形が、第2の光学状態から第1の光学状態に反復的に逆方向に伝搬され、次いで、好ましい波形を作り出すために組み立てられ得る方法を図示する。
【0033】
図6図6Aは、WCMY EPDシステム内のいくつかのフレームにわたって送達される連続電圧の関数として、第1の色状態から第2の色状態への予測される色遷移を図示し、図6Bは、予測された波形をシステムに提供することの実験結果を示す。
【0034】
図7図7Aは、WCMY EPDシステム内のいくつかのフレームにわたって送達される連続電圧の関数として、第1の色状態から第2の色状態への予測される色遷移を図示し、図7Bは、予測された波形をシステムに提供することの実験結果を示す。
【0035】
図8図8Aは、WCMY EPDシステム内のいくつかのフレームにわたって送達される連続電圧の関数として、第1の色状態から第2の色状態への予測される色遷移を図示し、図8Bは、予測された波形をシステムに提供することの実験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、少なくとも4つの異なる電気泳動粒子組を有する(例えば、粒子組のうちの少なくとも3つが着色および減法混色的であり、粒子のうちの少なくとも1つが散乱性/反射性であるか、または、粒子組のうちの少なくとも3つが着色および反射性であり、粒子のうちの少なくとも1つが減法混色的である)ときの多粒子カラー電気泳動媒体を駆動するための強化された連続波形を識別する方法を詳述する。典型的に、そのようなシステムは、反射性白色粒子と、シアン色、黄色、およびマゼンタ色の減法混合の原色着色粒子とを含むか、または、赤色、黄色、および青色反射性粒子と、吸光性黒色粒子とを含む。当然ながら、好適な原色が、選定されることを前提として、代替色の選択肢が、使用されることができる。加えて、そのような多粒子システムを駆動するための連続波形を開発する方法は、5粒子、6粒子、7粒子、および8粒子システム等のより多くのタイプの粒子を含む電気泳動ディスプレイシステムに適用可能である。
【0037】
連続電圧波形は、従来的なプッシュプル波形または矩形パルスベースの波形が有していない方法での調整可能な遷移の外見を有するという独特の特性を有する。これは、多くの電圧レベル(高ビット深度)を有するコントローラが利用可能であり、遷移の表出および最終的な色が最も重要である用途に対して、特に、重要である。モデル内の微量の色へのアクセスは、色状態に関連する複雑かつ微分可能な費用の組み込みを可能にする。
【0038】
4つ(またはそれを上回る)の粒子を含む電気泳動ディスプレイを製造する方法が、従来技術において議論されている。電気泳動流体は、マイクロカプセル内にカプセル化される、またはマイクロセル構造の中に組み込まれ、それは、その後、ポリマー層を用いてシールされ得る。マイクロカプセルまたはマイクロセル層は、導電性材料の透明なコーティングを支えるプラスチック基板またはフィルム上にコーティングまたは積層され得る。代替として、マイクロカプセルは、噴霧技法を使用して、光透過性基板または他の電極材料の上にコーティングされ得る(米国特許第9,835,925号(参照することによって本明細書に組み込まれる)参照)。結果として生じるアセンブリは、導電性接着剤を使用して、ピクセル電極を支えるバックプレーンに積層され得る。アセンブリは、代替として、バックプレーン上の1つ以上の分割電極に取り付けられ得、分割電極は、直接駆動される。別の実施形態において、非平面光透過性電極材料を含み得るアセンブリは、カプセルとともに噴霧コーティングされ、次いで、背後電極材料を用いてオーバーコートされる(米国特許出願第17/088,762号参照)。代替として、電気泳動流体は、ピクセル電極のアクティブマトリクスを含む、バックプレーン上に配置されている、薄いオープンセルグリッド上に直接分注され得る。充填されたグリッドは、次いで、統合された保護用シート/光透過性電極で上部シールされ得る。
【0039】
電気泳動ディスプレイは、通常、電気泳動材料層と、電気泳動材料の反対側に配置された少なくとも2つの他の層とを備え、これらの2つの層のうちの一方は、電極層である。殆どのそのようなディスプレイでは、両方の層が、電極層であり、電極層のうちの一方または両方が、ディスプレイのピクセルを画定するようにパターン化される。例えば、一方の電極層は、細長い行電極に、他方は、行電極に対して直角に伸びる細長い列電極にパターン化され得、ピクセルは、行電極と列電極との交点によって画定される。代替として、かつより一般的に、一方の電極層は、単一連続電極の形態を有し、他方の電極層は、ピクセル電極のマトリクスにパターン化され、ピクセル電極のうちの各々が、ディスプレイの1つのピクセルを画定する。ディスプレイと別個のスタイラス、印刷ヘッド、または類似する移動可能電極との使用が意図される別のタイプの電気泳動ディスプレイでは、電気泳動層に隣接する層のうちの1つのみが、電極を備え、電気泳動層の反対側の層は、典型的に、移動可能電極が電気泳動層に損傷を与えることを防止することが意図される保護層である。
【0040】
本明細書に使用される電気泳動媒体は、色、反射または吸光特性、電荷密度、および電場における移動度(ゼータ電位として測定される)において変動する荷電粒子を含む。広帯域または選択された波長のいずれかにおいて、光を吸収、散乱、または反射する粒子は、本明細書では、着色または顔料粒子と称される。染料またはフォトニック結晶等の光を吸収または反射する顔料(不溶性着色材料を意味するとものとしてのその用語の厳密な意味において)以外の種々の材料も、本発明の電気泳動媒体およびディスプレイにおいて使用され得る。例えば、電気泳動媒体は、流体と、流体中に分散させられた複数の第1の粒子および複数の第2の粒子であって、第1の粒子と第2の粒子とは、反対の極性の電荷を帯び、第1の粒子は、光散乱粒子であり、第2の粒子は、減法混合の原色のうちの1つを有する、複数の第1の粒子および複数の第2の粒子と、流体中に分散させられた複数の第3の粒子および複数の第4の粒子であって、第3の粒子と第4の粒子とは、反対の極性の電荷を帯び、第3および第4の粒子の各々は、互いに異なりかつ第2の粒子と異なる減法混合の原色を有する、複数の第3の粒子および複数の第4の粒子とを含み得、第3および第4の粒子によって形成される凝集体を分離するために要求される電場は、任意の他の2つのタイプの粒子から形成される凝集体を分離するために要求されるそれより大きい。
【0041】
本発明の電気泳動媒体は、例えば、上記で記述される、E InkおよびMITの特許および出願において説明されるような従来技術電気泳動媒体において使用される添加剤のうちのいずれかを含み得る。したがって、例えば、本発明の電気泳動媒体は、典型的に、前述の米国特許第7,170,670号において説明されるように、種々の粒子上の電荷を制御するための少なくとも1つの電荷制御剤を含み、流体は、その中に溶解または分散したポリマーを有し、ポリマーは、約20,000個を超える数平均分子量を有し、ディスプレイの双安定性を改良するために、本質的に、粒子上で非吸光性である。
【0042】
一実施形態において、本発明は、光散乱粒子、典型的に、白色粒子と、3つの実質的非光散乱粒子とを使用する。当然ながら、完全光散乱粒子または完全非光散乱粒子のようなものは存在せず、本発明の電気泳動において使用される光散乱粒子の最小光散乱度、および実質的非光散乱粒子において許容可能な最大光散乱度は、因子(まさに使用される顔料、それらの色、および理想的な所望の色からのある程度のずれを許容するためのユーザまたは用途の能力等)に応じて、幾分変動し得る。顔料の散乱および吸光特性は、白色および暗い背景に対して、適切なマトリクスまたは液体中に分散させられた顔料のサンプルの拡散反射率の測定によって査定され得る。そのような測定値からの結果は、当技術分野において周知であるいくつかのモデル、例えば、1次元クベルカムンク処理に従って解釈されることができる。本発明では、顔料と1.55未満の屈折率の液体とを備えている厚さ1μmの層において体積比15%で実質的に等方的に顔料が分散させられたとき、白色顔料が、黒色背景で測定される550nmにおいて、少なくとも5%の拡散反射率を示すことが好ましい。黄色、マゼンタ色、およびシアン色顔料は、好ましくは、それぞれ、同じ条件下において黒色背景で測定される650、650、および450nmにおいて、2.5%未満の拡散反射率を示す(黄色、マゼンタ色、およびシアン色顔料の測定のために上記において選定された波長は、これらの顔料による最小吸光率のスペクトル領域に対応する)。これらの基準を満たす着色顔料は、以降では、「非散乱性」または「実質的非光散乱性」と称される。好適な粒子の具体的な例が、米国特許第9,921,451号(参照することによって本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0043】
反射性粒子の4つの組、または異なる反射性粒子の3つまたは4つの組を伴う1つの吸光性粒子(すなわち、米国特許第9,922,603号および第10,032,419号(参照することによって本明細書に組み込まれる)において説明されるもの等)を含む代替の粒子組も、使用され得る。例えば、白色粒子は、TiO、ZrO、ZnO、Al、Sb、BaSO、PbSO等の無機顔料から形成され得、黒色粒子は、CI顔料黒色26または28等(例えば、マンガンフェライトブラックスピネルまたは銅クロマイトブラックスピネル)、またはカーボンブラックから形成され得る。第3/第4/第5のタイプの粒子は、赤色、緑色、青色、マゼンタ色、シアン色、または黄色等の色であり得る。このタイプの粒子のための顔料は、限定ではないが、CI顔料PR254、PR122、PR149、PG36、PG58、PG7、PB28、PB15:3、PY138、PY150、PY155、またはPY20を含み得る。具体的な例は、Clariant Hostaperm Red D3G 70-EDS、Hostaperm Pink E-EDS、PV fast red D3G、Hostaperm red D3G 70、Hostaperm Blue B2G-EDS、Hostaperm Yellow H4G-EDS、Hostaperm Green GNX、BASF Irgazine red L 3630、Cinquasia Red L 4100 HD、およびIrgazin Red L 3660 HD、およびSun Chemical phthalocyanine blue、phthalocyanine green、diarylide yellow、またはdiarylide AAOT yellowを含む。
【0044】
図1Aおよび1Bに示されるように、電気泳動ディスプレイ(101、102)は、典型的に、上部透明電極110と、電気泳動媒体120と、底部電極130とを含み、底部電極130は、多くの場合、薄膜トランジスタ(TFT)を用いて制御されるピクセルのアクティブマトリクスのピクセル電極である。しかしながら、特に、本発明のディスプレイに対して、底部電極130は、黒鉛バックプレーン、PET/ITOのフィルム、金属化フィルム、または伝導性塗料等の単体のより大きな電極であることができる。本明細書に説明される電気泳動媒体120では、4つの異なるタイプの粒子、121、122、123、および124が存在するが、しかしながら、より多くの粒子組が、本明細書に説明される方法およびディスプレイと併用されることができる。電気泳動媒体120は、典型的に、マイクロカプセル126またはマイクロセル127の壁によって等、区画に分けられる。随意の接着層140は、層のうちのいずれかに隣接して配置されることができるが、しかしながら、それは、典型的に、電極層(110または130)に隣接する。所与の電気泳動ディスプレイ(105、106)内に2つ以上の接着層140が存在し得るが、しかしながら、1つのみの層が、より一般的である。ディスプレイスタック全体は、典型的に、基板150上に配置され、それは、剛体または可撓性であり得る。ディスプレイ(101、102)はまた、典型的に、保護層160も含み、それは、単に、上部電極110を損傷から保護し得るか、または、ディスプレイ(101、102)全体を封入し、水等の浸入を防止し得る。電気泳動ディスプレイ(101、102)は、必要に応じて、シール層180も含み得る。いくつかの実施形態において、接着層140は、電極層110との接着性を改良するためのプライマ成分を含み得るか、または、別個のプライマ層(図1Bには図示せず)が、使用され得る。電気泳動ディスプレイの構造、および構成要素部品、顔料、接着剤、電極材料等が、米国第6,922,276号、第7,002,728号、第7,072,095号、第7,116,318号、第7,715,088号、および第7,839,564号(これらは全て、参照することによってそれらの全体として本明細書に組み込まれる)等のE Ink Corporationによって公開された多くの特許および特許出願において説明されている。
【0045】
いくつかの実施形態において、例えば、図1Aに示されるように、電気泳動ディスプレイは、第1の光透過性電極、電気泳動媒体、および第2の(後部)電極のみを含み得、第2の電極も、光透過性であり得る。しかしながら、高分解能ディスプレイを作り出すために(例えば、画像を表示するために)、個々のピクセルが、画像にわたって色を制御するために使用される。当然ながら、各ピクセルは、画像ファイルがディスプレイにおいて忠実に再現されるように、隣接するピクセルからの干渉を伴わずにアドレス可能でなければならない。この目的を達成するための1つの方法は、各ピクセルに関連付けられた少なくとも1つの非線形要素を伴うトランジスタまたはダイオード等の非線形要素のアレイを提供し、「アクティブマトリクス」ディスプレイを作り出すことである。1つのピクセルにアドレスするアドレスまたはピクセル電極は、関連付けられた非線形要素を通して、適切な電圧源に接続される。典型的に、非線形要素がトランジスタであるとき、ピクセル電極は、トランジスタのドレインに接続され、この配置は、以下の説明において仮定されるであろうが、本質的に、恣意的であり、ピクセル電極は、トランジスタのソースにも接続され得る。従来、高分解能アレイでは、ピクセルは、任意の特定のピクセルが1つの規定された行および1つの規定された列の交差点によって一意的に画定されるように、行および列の2次元アレイで配置される。各列内の全トランジスタのソースは、単一の列電極に接続される一方、各行内の全トランジスタのゲートは、単一の行電極に接続される(再度、行へのソースおよび列へのゲートの割当は、従来のものであるが、本質的に、恣意的であり、所望に応じて、逆転され得る)。行電極は、行ドライバに接続され、行ドライバは、任意の所与の瞬間において、1つのみの行が選択されること、すなわち、選択行における全トランジスタが伝導性であることを確実にするような選択電圧が、選択行電極に印加される一方、これらの非選択行における全トランジスタが非伝導性のままであることを確実にするような非選択電圧が全ての他の行に印加されることを本質的に確実にする。列電極は、列ドライバに接続され、列ドライバは、選択行におけるピクセルをそれらの所望の光学状態に駆動するように、種々の列電極に選択された電圧をかける(前述の電圧は、従来、電気光学媒体の非線形アレイと反対側に提供され、全体的ディスプレイにわたって延びている共通フロント電極に対して相対的なものである)。「ラインアドレス時間」として公知である事前に選択された間隔後、選択された行は、選択解除され、次の行が、選択され、列ドライバ上の電圧は、ディスプレイの次のラインが書き込まれるように変更される。プロセスは、ディスプレイ全体が行毎様式で書き込まれるように繰り返される。ディスプレイにおけるアドレス間の時間は、「フレーム」として公知である。したがって、60Hzにおいて更新されるディスプレイは、16ミリ秒であるフレームを有する。
【0046】
しかしながら、フレームは、アクティブマトリクスバックプレーンとの使用に限定されず、本明細書に説明される多くの駆動波形は、時間の単位としてのフレームを参照して説明される。電力供給源および分圧器によって作り出されるもの等、アナログ電圧信号を用いて電気泳動媒体を駆動することが可能であるが、デジタルコントローラの使用は、典型的に、約10msであるブロックに波形を離散化するが(しかしながら、より短いまたはより長いフレーム幅も、可能である)。例えば、フレームは、1ms、5ms、10ms、15ms、20ms、30ms、または50ms等、0.5ms以上であり得る。殆どの事例では、フレームは、250ms、200ms、150ms、または100ms等、100ms未満である。本明細書に説明される殆どの用途では、フレームは、幅が10ms~30msである。好適なコントローラは、例えば、Digi-Keyおよび他の電子機器構成要素の供給業者から入手可能である。
【0047】
アクティブマトリクスバックプレーンを使用する従来の電気泳動ディスプレイでは、各ピクセル電極は、それに関連付けられたコンデンサ電極(貯蔵コンデンサ)を有し、それによって、ピクセル電極とコンデンサ電極とは、コンデンサを形成する(例えば、国際特許出願第WO01/07961号参照)。いくつかの実施形態において、N型半導体(例えば、非晶質シリコン)が、トランジスタを形成するために使用され得、ゲート電極に印加される「選択」および「非選択」電圧は、それぞれ、正および負であることができる。
【0048】
付随の図面の図2Aは、電気泳動ディスプレイの単一のピクセルの例示的等価回路を描写する。図示されるように、回路は、ピクセル電極とコンデンサ電極との間に形成される、コンデンサ10を含む。電気泳動媒体20は、並列のコンデンサおよび抵抗器として表される。いくつかの事例では、ピクセルに関連付けられたトランジスタのゲート電極とピクセル電極との間の直接または間接結合静電容量30(通常、「寄生静電容量」と称される)は、望ましくない雑音をディスプレイにもたらし得る。通常、寄生静電容量30は、貯蔵コンデンサ10のそれよりはるかに小さく、ディスプレイのピクセル行が、選択または選択解除されるとき、寄生静電容量30は、「キックバック電圧」としても公知であるわずかな負のオフセット電圧をピクセル電極にもたらし得、それは、通常、2ボルト未満である。[いくつかの実施形態において、望ましくない「キックバック電圧」を補償するために、共通電位Vcomが、各ピクセルに関連付けられたトッププレーン電極およびコンデンサ電極に供給され得、それによって、Vcomがキックバック電圧(VKB)と等しい値に設定されているとき、ディスプレイに供給される全ての電圧が、同じ量だけオフセットされ、正味DC非平衡が経験されないこともある。]4粒子システムの顔料を適切な構成に分別し、これらの色を作製するための駆動波形が、少なくとも5つの電圧レベル(高正、低正、ゼロ、低負、高負)を必要とすることが見出されている。さらなる詳細に関して、米国特許出願第17/088,762号を参照されたい。しかしながら、下記に説明されるように、連続範囲の電圧レベル(または、ほぼ近似)が、そのような4粒子システムを駆動するために使用されると、はるかにより多種多様な色および色遷移が、達成可能である。
【0049】
図2Aの等価回路は、特に、写真およびテキスト等の高分解能画像を表示するために使用されるときの4粒子電気泳動システムを駆動するための「典型的な」方法を表す。しかしながら、図2Bに示されるもの等、より単純な等価回路を用いて、電気泳動媒体を駆動することも、可能である。この単純な回路は、単に、電気泳動媒体に隣接した第1の電極と、電気泳動媒体の他側にあり、接地された第2の電極とに結合された電圧源を表す。電圧源が、任意の恣意的な電圧波形を提供することが可能である場合、この単純な回路は、任意の可能な表示色、および表示色間の任意の可能な遷移を作り出すことができる。図2Aと同様、電気泳動媒体20は、それ自体が、コンデンサおよび抵抗器として、並列に表されることができる。当然ながら、第2の電極は、それ自体が、接地される必要はないが、それは、恣意的な電圧レベルに設定され得る。恣意的な波形を提供することが可能である好適な電圧が、Tektronixから取得されることができるが、しかしながら、多くの場合、電力供給源をデジタルコントローラと組み合わせることが、より費用対効果が高い。
【0050】
図3Aに示されるように、反射性の白色粒子と対にされた減法混色のシアン色、黄色、およびマゼンタ色粒子を含む4粒子システムの事例では、8つの主要色(赤色、緑色、青色、シアン色、マゼンタ色、黄色、黒色、および白色)の各々は、4つの顔料の異なる配置に対応する。例えば、高度カラー電子ペーパー(ACeP)ディスプレイのための3つの減法混合の原色を提供する3つの粒子は、実質的に非光散乱(「SNLS」)であり得る。SNLS粒子の使用は、色の混合を可能にし、同じ数の散乱粒子を用いて達成され得るものより多くの色結果を提供する。これらの閾値は、粒子間のクロストークの回避のために、電圧駆動レベルに対して相対的に十分に分離されていなければならず、この分離は、いくつかの色のための高アドレス電圧の使用を余儀なくする。加えて、最も高い閾値を伴う着色粒子にアドレスすることは、全ての他の着色粒子も移動させ、これらの他の粒子は、続いて、より低い電圧において、それらの所望の位置に切り替えられなければならない。
【0051】
図3Aに示されるように、システムは、原則として、白色顔料(すなわち、光を散乱させる唯一の顔料)の視認側にあるそれらの着色顔料のみが視認者に見えるという点において、明るい白色ペーパー上の印刷と同様に稼働する。図3Aでは、ディスプレイの視認表面が、(図示されるように)上部にあると仮定され、すなわち、ユーザは、ディスプレイをこの方向から視認し、光は、この方向から入射する。すでに述べられたように、好ましい実施形態において、本発明の電気泳動媒体において使用される4つの粒子のうちの1つのみが、光を実質的に散乱させ、図3Aでは、粒子は、白色顔料であると仮定される。この光散乱白色粒子は、白色反射体を形成し、(図3Aに図示されるように)それに対して白色粒子の上方の任意の粒子が、視認される。これらの粒子を通過するディスプレイの視認表面に進入する光は、白色粒子から反射され、これらの粒子を通して戻って通過し、ディスプレイから出現する。したがって、白色粒子の上方の粒子は、種々の色を吸収し得、ユーザに対して現れる色は、白色粒子の上方の粒子の組み合わせから生じるものである。白色粒子の下方(ユーザの視点から背後)に配置される任意の粒子は、白色粒子によってマスクされ、表示される色に影響を及ぼさない。第2、第3、および第4の粒子は、実質的に非光散乱性であるので、互いに対して相対的なそれらの順序または配置は、重要ではないが、すでに述べられた理由から、白色(光散乱)粒子に対するそれらの順序または配置は、重要である。
【0052】
より具体的に、シアン色、マゼンタ色、および黄色粒子が、白色粒子の下方に存在するとき(図3Aにおける状況[A])、白色粒子の上方に粒子は、存在せず、ピクセルは、単に、白色を表示する。単一粒子が、白色粒子の上方にあるとき、その単一粒子の色が、それぞれ、図3Aにおける状況[B]、[D]、および[F]において黄色、マゼンタ色、およびシアン色で表示される。2つの粒子が、白色粒子の上方に存在するとき、表示される色は、これらの2つの粒子のそれらの組み合わせであり、図3Aにおいて、状況[C]では、マゼンタ色および黄色粒子は、赤色を表示し、状況[E]では、シアン色およびマゼンタ色粒子は、青色を表示し、状況[G]では、黄色およびシアン色粒子は、緑色を表示する。最後に、全3つの着色粒子が、白色粒子の上方に存在するとき(図3Aにおける状況[H])、全ての入射光は、3つの減法混合の主要着色粒子によって吸収され、ピクセルは、黒色を表示する。
【0053】
反射性色粒子を使用する代替の粒子組が、図3Bに示される。図3Bの実施形態において、反射性粒子は、赤色、黄色、および青色であるが、しかしながら、代替の色の組が、色の組み合わせが有用な色スペクトルに好適に及ぶことを前提として、使用され得る。図3Bのシステムでは、表面において視認される色の原因は、着色粒子の直接反射にあり、吸光性黒色層が、色を可能な限り真実に保とうとして、表示粒子と、表示されるべきでない粒子との間に典型的に設置される。視認者は、主として、1つの顔料表面とのみ相互作用している光を見ているので、図3Bのシステムを用いて作り出される画像は、より飽和して現れる。しかしながら、図3Bのシステムを使用する全体的な色域は、二次色(例えば、橙色、緑色、紫色)を作成するために一緒に混合される特定の粒子の量の精緻な制御を達成することが困難であるので、減らされる。デジタル看板等の用途では、飽和が、多くの場合、色域より重要であり、多くのユーザは、8つの「標準」色の組に満足する。
【0054】
光散乱性および光吸収性粒子の組の異なる組み合わせも、可能である。例えば、1つの減法混合の原色が、光を散乱させる粒子によってレンダリングされ得、したがって、ディスプレイは、2つのタイプの光散乱粒子を備え、そのうちの一方が白色であり、他方が、着色されている。しかしながら、この場合、白色粒子を覆う他の着色粒子に対する光散乱着色粒子の位置が、重要であろう。例えば、黒色をレンダリングすることにおいて(3つの着色粒子全てが白色粒子を覆って存在するとき)、散乱着色粒子は、非散乱着色粒子を覆って存在することができない(そうでなければ、非散乱着色粒子は、散乱粒子の背後に、部分的または完全に隠され、レンダリングされる色は、散乱着色粒子のそれであり、黒色ではないであろう)。当然ながら、2つ以上のタイプの着色粒子が吸光性黒色粒子の存在を伴うことなく光を散乱させる場合、黒色をレンダリングすることは、容易ではないであろう。
【0055】
図3Aおよび3Bは、色が汚染されていない(すなわち、図3Aでは、光散乱白色粒子が、白色粒子の背後に存在する任意の粒子を完全にマスクし、または、図3Bでは、光吸収黒色粒子が、可視であるべきではない光散乱粒子を遮蔽する)理想的状況を示す。実践では、白色粒子によるマスクは、不完全なものであり得、したがって、理想的には完全にマスクされるであろう粒子による光のある程度のわずかな吸収が存在し得る。そのような汚染は、典型的に、レンダリングされている色の明度および彩度の両方を低減させる。図3Bの事例では、光吸収粒子の存在は、多くの場合、反射性粒子の不完全な散乱に起因して、画像全体がより暗く見えることを引き起こす。加えて、有色スペクトル上で厳密に等距離に間隔を置かれた顔料を作ることが困難であるので、橙色、緑色、および紫色等の図3Bにおいて組み合わせられた色は、望ましい色を達成しないこともある。これは、特に、人間の眼が緑色の異なる色合には非常に高感度であるのに対し、赤色の異なる色合がそれほど容易に気付かれないので、緑色に関して問題となる。いくつかの実施形態において、それは、異なる立体的特性または電荷特性を伴う追加の粒子、例えば、緑色散乱粒子を含むことで補正され得るが、しかしながら、追加の粒子を添加することは、駆動スキームを複雑にし、より幅広い範囲の駆動電圧を要求し得る。明白なこととして、本明細書に説明される電気泳動媒体では、そのような色汚染は、形成される色が、色レンダリングのための産業規格にふさわしい点まで、最小化されるべきである。特に好ましい規格は、SNAP(新聞広告製作のための規格)であり、それは、上記に参照される8原色の各々に関してL、a、およびb値を規定する。
【0056】
4粒子電気泳動媒体を駆動するための波形が、以前に説明されているが、それらは、本発明の波形とはかなり異なる。4つの粒子を有するカラー電気泳動ディスプレイを駆動するための波形の組が、米国特許第9,921,451号(参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されている。大部分の商業用電気泳動ディスプレイは、製作設備のより幅広い利用可能性および種々の出発材料の費用により、アクティブマトリクスバックプレーン(202/024)の構築において、非晶質シリコンベースの薄膜トランジスタ(TFT)を使用する。非晶質シリコン薄膜トランジスタは、約+/-15Vより高い電圧の切り替えを可能にするであろうゲート電圧を供給されると、不安定な状態になる。故に、そのようなシステムについての以前の特許/出願において説明されるように、トッププレーン切り替えとして公知である技法であるバックプレーンピクセル電極上のバイアスに対する上部光透過性電極のバイアスを追加的に変更することによって、改良された性能が、達成される。したがって、(バックプレーン対して相対的に)+30Vの電圧が、必要とされる場合、トッププレーンは、-15Vに切り替えられ得る一方、適切なバックプレーンピクセルが、+15Vに切り替えられる。トッププレーン切り替えを用いて、4粒子電気泳動システムを駆動する方法が、例えば、米国特許第9,921,451号により詳細に説明されている。
【0057】
高度カラー電子ペーパー(ACeP)の先の実施形態において、本発明のディスプレイのバックプレーンのピクセル電極に印加される波形(電圧対時間曲線)が、説明およびプロットされるが、フロント電極は、接地される(すなわち、ゼロ電位にある)と仮定される。電気泳動媒体によって経験される電場は、当然ながら、バックプレーンとフロント電極との間の電位差と、それらを分離する距離とによって決定される。ディスプレイは、典型的に、そのフロント電極を通して視認され、それによって、フロント電極に隣接する粒子が、ピクセルによって表示される色を制御し、バックプレーンに対する相対的なフロント電極の電位が考慮される場合、時として、伴われる光学遷移を理解することがより容易であり、これは、単に、以下に議論される波形を反転させることによって行われることができる。このタイプの2つの例示的波形が、図4Aおよび4Bに示され、それは、米国特許第9,921,451号の図7Aおよび7Bと同等である。とりわけ、これらのタイプの「プッシュプル」波形は、「連続」の一般的な数学的定義の観点において、連続的ではない。すなわち、波形が、プッシュからプルに入れ替わるとき(点線の円参照)、波形は、式1の式を満たさない。
【数10】
式中、V(t)は、時間の関数としての波形電圧であり、xは、時間を表す値である。フレームが、時間の単位であるので、時間軸は、図4Aおよび4Bにおいて行われているように、フレーム番号と置換されることができる。ある程度まで、プッシュプル波形の形状は、電気泳動媒体を駆動するために使用される物理的構造のアーチファクトである。すなわち、AM-TFTが、限定された範囲の駆動電圧のみを提供するので、波形は、それらの制約内で構築されなければならない。多大な努力が、そのような波形を最適化するために費やされているが、それらは、多くの場合、電圧極性における急激な切り替えにより、視認可能なほどに不快なものである。
【0058】
理論的に、不連続駆動波形が使用されなければならない理由は、存在しない。特に、媒体を横断する電圧の独立した制御が存在し(図2A参照)、電圧レベルの数および更新の長さについてのより少ない制約が存在するとき、事実上、第1の色から第2の色に移行するための無制限の数の異なる方法が、存在する。必然的に導かれる結果として、特定の遷移の「見た目」(例えば、非常にゆっくりとした遷移、非常に鋭い遷移、または、色間での振動または特定の色までの蓄積)を選定することが、可能である。図5Aに示されるように、フルカラー空間が、反射性の白色粒子と、シアン色、黄色、およびマゼンタ色の減法混色の粒子とを含む4粒子システムを用いて取得されることができる。標準化のために、図3Aに対応する、この色空間の頂点は、典型的に使用されるRGB値、すなわち、[255,0,0]、[0,255,0]、[0,0,255]、[0,255,255]、[255,0,255]、[255,255,0]、[255,255,255]、および[0,0,0]を用いて標識されている。故に、第1の色から第2の色への任意の色遷移は、本色空間内で、開始から終了までのある経路として、すなわち、図5Aに示されるように、可視化されることができる。
【0059】
ディスプレイの電圧応答は、最終的に、電気泳動媒体のタイプ、電気泳動スタック(図2A参照)の静電容量および抵抗の関数
【数11】
、および周囲温度および入射光のスペクトル等の種々の他の外部関数である。色空間が、
【数12】
によって完全に説明される場合、新規の波形は、図5Aに示されるように、第1の色状態と第2の色状態との間の1つ以上の経路に沿って構築されることができる。さらに、連続電圧波形は、図5Bに示されるように、
【数13】
の導関数を調べ、標的色から開始色まで戻って逆方向に伝搬することによって導出されることができる。このステップは、下記の問題記述によって、数学的に説明されることができる。
【数20】
【0060】
当然ながら、式(2)に対して多くの解が存在し、そのいくつかは、非常に高価であり(システム上の更新または摩耗の時間)、いくつかは、最終的なディスプレイの物理的現実を反映しない。目標は、容認可能な数の閃光、時間の長さ等を伴って標的光学状態を達成する波形を識別することである。これは、反転プロセスが対称ではないので、困難な最適化問題である:あらゆるV(t)に関して、一意的な光学状態が存在するが、あらゆる光学状態に関して、複数/無限の入力電圧リストが存在する。逆問題(すなわち、所望の光学状態から電圧リスト(すなわち、波形)まで)が、連続電圧波形の文脈においてここで説明される。
【数30】
【数40】
【0061】
式(4)の費用関数は、恣意的に高次元な空間における入力電圧リストV(t)の関数として、標的色とモデル
【数41】
の出力色との間のユークリッド距離を表し、式中、iは、出力次元である。これは、以下のように、偏導関数を計算するために利用されることができる。
【数50】
【数60】
【0062】
式中、
【数61】
は、リスト内のi番目のフレームに対する偏導関数を表す。この偏導関数は、収束まで、反復的な様式で、Vにおける電圧に対する更新を計算するために使用されることができる。このプロセスは、ある範囲内の任意の電圧を利用する波形を作成する極小値につながる。境界条件は、電圧が、所定のVmaxまたはVminを超えるように更新されることを防止することによって、課されることができる。本明細書に説明されるように、VmaxとVminとの間の振れは、典型的に、50Vであるが、それは、より高くあり得る。多対1マッピングの反転を要求する不良設定逆問題と同様、初期条件は、感度点になる。この理由のために、プロセスは、多くの異なる無作為な初期位置(この場合、異なるV(t))から開始し、これらの信号のそれぞれに勾配降下プロセスを適用し、下流の人間またはアルゴリズムの下方選択のための多くの候補波形を発生させることによって、並列処理される。
【0063】
最終的に、波形は、デジタル記憶および実行(例えば、電圧コントローラによる)のために、フレームに解析される必要がある。波形は、恣意的に長くあり得るが、典型的に、約500ms~5秒、例えば、1秒である。遷移のための所望の時間フレームに応じて、フレームのサイズは、好適に調節されることができる。コントローラ上での使用のために、これらの電圧は、利用可能なビット深度に合致するように離散化されることができるが、実践的に、方法は、提供されるビット深度が、大きな量子化アーチファクトを除去するために十分である(すなわち、>8ビット)用途に向いている。しかしながら、殆どの場合、4のビット深度(16個の電圧レベル)が、十分であるが、32個またはそれを上回る電圧レベルは、計算された色状態と実際の最終的な色状態との間の相関を改良する。デバイスを通る電流が、
【数62】
によって与えられるので、コントローラは、駆動されているディスプレイに関する波形によって求められる周波数で電流を支持可能であるべきである。殆どの用途に関して、変化率が、3V/ms未満であることは、十分である。加えて、平滑な遷移を達成するために、更新率(すなわち、関数の二次導関数)の変化率が、-1V/ms~1V/ms、すなわち、-1V/ms未満ではないこと、かつ1V/msを上回らないことが好ましい。
【0064】
色空間の関数を構築するための好ましい方法は、最終的なディスプレイ構築物を表すサロゲートである微分可能なモデルを使用することである。具体的な電気泳動ディスプレイ構築物は、伝達関数によって表されることができる。その最も単純な形態は、以下の通りである。
【数70】
式中、O(t)は、時間の関数としての光学状態であり、fは、t=O(x(0))におけるシステムのある初期状態を前提として、時間の関数として、ディスプレイに印加される電圧の関数である。限定ではないが、ここでは、温度、相対湿度、および入射光スペクトルを含む、追加の入力が、規定されることができる。関数fは、様々な手段、例えば、成分測定値から構築される、第一原理モデルを使用して推定されることができる。好適なモデルは、比較的安価に構築され得るが、しかしながら、関数の正確度は、粒子組間の非線形相互作用、およびカプセルまたはマイクロセル-壁-粒子の相互作用を考慮するための能力に依存するであろう。いくつかの実施形態において、太陽からのシミュレートされるスペクトルによる照明を用いた20°Cおよび50%の相対湿度等の恣意的な動作条件を選ぶことが、十分である。しかしながら、電気泳動媒体のための適用が、そのような理想的な条件から逸脱するにつれて、このモデルの価値は、減少させられる。加えて、サロゲートモデルが微分可能であるために、それは、電圧および時間の連続(および可逆)関数である必要がある。しかしながら、いくつかの4粒子システムでは、ヒステリシスが存在することが見出されているが、ヒステリシスが、それほど厳しくない場合、単に、関数fを達成するために、逆方向および順方向の経路を平均することが、十分であり得る。
【0065】
(実施例)
連続電圧波形の例が、図6A、6B、7A、7B、8A、および8Bに示される。反射性白色粒子と、3つの減法混色の(C、M、Y)粒子とを含む、マイクロカプセル化電気泳動媒体が、ガラス上で、PET-ITO層と黒鉛バックプレーンとの間に配置された。上部および底部電極は、コンピュータを介してプログラムされ得、0~50Vの少なくとも256個の独特な電圧レベルを作り出す特別なコントローラ(LUCYTMコントローラ、E Ink Corporation)に結合された。ディスプレイは、文献に説明されるタイプの分光光度光学測定デバイスの作業台上に搭載された(D. Hertelの「Application of the Optical Measurement Methodologies of IEC and ISO Standards to Reflective E-Paper Displays」 Society for Information Display,International Symposium Digest of Technical Papers,Volume 49,第1号,161-164頁(2018年5月)(参照することによって本明細書に組み込まれる)参照)。一連の測定値が、図6A、7A、および8Aに示されるように、具体的な波形に関する表示色を予測するために最終的に十分に蓄積された訓練モデルを構築するために使用された。図6A、6B、7A、8A、および8Bの画像駆動パネルは、フレーム番号の関数として、各フレームにおいて観察された色状態(図6B、7B、8B)、および第1の状態(フレーム0)から第2の状態(フレーム85)への前進を大まかに示す。合計波形が、2秒であったので、各フレームは、大まかに20μsである。実際の波形は、暗線として表される。図6Bでは、シアン色、マゼンタ色、および黄色の線は、ディスプレイの視認側に対するそれらの着色粒子組の相対的な位置を示す(図3A参照)。事実上、シアン色、マゼンタ色、および黄色の線に関する「電圧」値は、電気泳動媒体の下方の上部(視認)電極と対向電極との間の相対的な位置を表す。大きな正の電圧は、視認表面により近接するが、大きな負の電圧は、視認表面から離れて最遠隔にある。シアン色、マゼンタ色、および黄色の線は、波形ではない。
【0066】
測定されたトレース、6B、7B、8Bに示されるように、予測された波形が実際のディスプレイ上で実行されたとき、最終的な状態が、各事例において(大まかに)達成され、全体的な遷移は、予測された値にかなり近いものであった。図6Bは、鋭い光学遷移を図示し、図7Bは、なめらかな光学遷移を図示し、図8Bは、不規則な周期を伴って振動する遷移を図示する。故に、この新しい波形構造は、少なくとも標準的なプッシュプル駆動と同程度に良好に性能を発揮し、具体的な用途に関して、より好ましいまたは望ましいと見なされ得る異なる遷移の表出の利点を伴う。
【0067】
本願の技術のいくつかの側面および実施形態が、上記のように説明されたが、種々の改変例、修正例、および改良例が、当業者に容易に想起されるであろうことを理解されたい。そのような改変例、修正例、および改良例は、本願に説明される技術の精神および範囲内であるように意図される。例えば、当業者は、本明細書に説明される機能を実施する、および/または結果および/または利点のうちの1つ以上のものを取得するための種々の他の手段および/または構造を容易に想定し、そのような変形例および/または修正例の各々は、本明細書に説明される実施形態の範囲内であると見なされる。当業者は、単なる日常的実験を使用して、本明細書に説明される具体的実施形態の多くの均等物を認識する、またはそれを確認することが可能となるであろう。したがって、前述の実施形態は、一例として提示されるにすぎず、添付の請求項およびその均等物の範囲内において、本発明の実施形態が、具体的に説明されるものと別様に実践され得ることを理解されたい。加えて、本明細書に説明される、2つ以上の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせも、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が、互いに矛盾しない場合、本開示の範囲内に含まれる。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
【国際調査報告】