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特表2024-504366抗C5抗体を使用して補体媒介血栓性微小血管障害症を治療する方法
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  • 特表-抗C5抗体を使用して補体媒介血栓性微小血管障害症を治療する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】抗C5抗体を使用して補体媒介血栓性微小血管障害症を治療する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240124BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20240124BHJP
   C07K 16/18 20060101ALN20240124BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240124BHJP
【FI】
A61K39/395 D
A61K39/395 U
A61P7/02
C07K16/18 ZNA
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544294
(86)(22)【出願日】2022-01-18
(85)【翻訳文提出日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 US2022012739
(87)【国際公開番号】W WO2022159373
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】63/140,488
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503102674
【氏名又は名称】アレクシオン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ジン-フー
(72)【発明者】
【氏名】カワジャ, ジーシャン
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB17
4C085EE01
4C085GG02
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
抗C5抗体、又はその抗原結合断片、例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))を使用する、補体媒介TMA(CM-TMA)(例えば、トリガー、例えば、自己免疫性病態、感染、移植、1つ以上の薬物、又は悪性高血圧に伴うCM-TMA)の臨床的治療の方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補体媒介TMA(CM-TMA)、特にトリガーを有するCM-TMAを有するヒト患者を治療する方法であって、前記患者に有効量の抗C5抗体、又はその抗原結合断片を投与することを含み、
前記抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、それぞれ配列番号19、18及び3に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列と、それぞれ配列番号4、5及び6に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列とを含む方法。
【請求項2】
前記抗体は、ヒト胎児性Fc受容体(FcRn)に結合するバリアントヒトFc領域を含み、前記バリアントヒトFc CH3領域は、それぞれEU番号付けで、ネイティブヒトIgG Fc領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基においてMet-429-Leu及びAsn-435-Ser置換を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号12に記載される重鎖可変領域と配列番号8に記載される軽鎖可変領域とを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号13に示される重鎖定常領域をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号14に記載される重鎖と、配列番号11に記載される軽鎖とを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、pH7.4及び25℃で、0.1nM≦K≦1nMの範囲内の親和性解離定数(K)でヒトC5に結合する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、pH6.0及び25℃で、K≧10nMでヒトC5に結合する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、静脈内投与のために配合される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記抗C5抗体、又はその抗原結合断片を、前記患者に
(c)1日目に1回、≧30~<40kgの体重の患者に対して1200mg、≧40~<60kgの体重の患者に対して2400mg、≧60~<100kgの体重の患者に対して2700mg、又は≧100kgの体重の患者に対して3000mgの用量で;
(d)15日目及びその後8週間毎に、≧30~<40kgの体重の患者に対して2700mg、≧40~<60kgの体重の患者に対して3000mg、≧60~<100kgの体重の患者に対して3300mg、又は≧100kgの体重の患者に対して3600mgの用量で
投与する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
補体媒介TMA(CM-TMA)を有するヒト患者を治療する方法であって、前記患者に有効量の抗C5抗体、又はその抗原結合断片を投与することを含み、
前記抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、それぞれ配列番号19、18及び3に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列と、それぞれ配列番号4、5及び6に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列と、ヒト胎児性Fc受容体(FcRn)に結合するバリアントヒトFc領域とを含み、前記バリアントヒトFc CH3領域は、それぞれEU番号付けで、ネイティブヒトIgG Fc領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基においてMet-429-Leu及びAsn-435-Ser置換を含み、
前記抗C5抗体、又はその抗原結合断片を、前記患者に
(a)1日目に1回、≧30~<40kgの体重の患者に対して1200mg、≧40~<60kgの体重の患者に対して2400mg、≧60~<100kgの体重の患者に対して2700mg、又は≧100kgの体重の患者に対して3000mgの用量で;
(b)15日目及びその後8週間毎に、≧30~<40kgの体重の患者に対して2700mg、≧40~<60kgの体重の患者に対して3000mg、≧60~<100kgの体重の患者に対して3300mg、又は≧100kgの体重の患者に対して3600mgの用量で
投与する方法。
【請求項11】
前記抗C5抗体、又はその抗原結合断片を、≧30~<40kgの体重の患者に
(a)1日目に1回、1200mgの用量で;
(b)15日目及びその後8週間毎に、2700mgの用量で
投与する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記抗C5抗体、又はその抗原結合断片を、≧40~<60kgの体重の患者に
(a)1日目に1回、2400mgの用量で;
(b)15日目及びその後8週間毎に、3000mgの用量で
投与する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記抗C5抗体、又はその抗原結合断片を、≧60~<100kgの体重の患者に
(a)1日目に1回、2700mgの用量で;
(b)15日目及びその後8週間毎に、3300mgの用量で
投与する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記抗C5抗体、又はその抗原結合断片を、≧100kgの体重の患者に
(a)1日目に1回、3000mgの用量で;
(b)15日目及びその後8週間毎に、3600mgの用量で
投与する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記治療は、前記治療の間、100μg/ml以上の前記抗C5抗体の血清トラフ濃度を維持する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記治療は、前記治療の間、200μg/ml以上の前記抗C5抗体の血清トラフ濃度を維持する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記治療は、遊離C5濃度を前記治療期間全体にわたり99%超だけ低減させる、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記抗C5抗体、又はその抗原結合断片を、8週間毎に最長2年間、2700mg、3000mg、3300mg、又は3600mgの用量で投与する、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記治療は、終末補体阻害をもたらす、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記治療は、輸血支援を伴わない血小板数の正常化及びLDHレベルの正常化をもたらす、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記治療は、ベースラインと比較して≧30%のeGFRの改善をもたらす、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記治療は、輸血支援を伴わない血小板数の正常化、LDHレベルの正常化、及びベースラインと比較して≧30%のeGFRの改善をもたらす、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記治療は、完全TMA奏効をもたらす、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記治療は、sTNF-RI、トロンボモジュリン、sVCAM-1、sC5b-9、C5a、Ba因子、及び/又は好中球ゼラチナーゼ結合性リポカイン(NGAL)からなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーの正常レベルに向かうシフトを生じさせる、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記治療は、慢性疾患治療の機能的評価(FACIT)-疲労スケール、EuroQol5属性5水準(EQ-5D-5L)スケール、又は腎疾患生活の質尺度(KDQOL-36)スケールを介して評価される、生活の質のベースラインからの変化を生じさせる、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記治療は、前記患者の生存期間を延長させる、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記CM-TMAは、トリガーに伴う、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記トリガーは、自己免疫性、感染、移植、1つ以上の薬物、又は悪性高血圧である、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記自己免疫性トリガーは、後天性再生不良性貧血、急性播種性脳脊髄炎(ADEM)、急性出血性白質脳炎(AHLE)/ハースト病、ガンマグロブリン血症(原発性)、円形脱毛症、強直性脊椎炎(AS)、抗NMDA受容体脳炎、抗リン脂質症候群(APS)、動脈硬化症、自閉症スペクトラム障害(ASD)、自己免疫性アジソン病(AAD)、自己免疫性自律神経失調症/自己免疫性自律神経節障害(AAG)、自己免疫性脳炎、自己免疫性胃炎、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、自己免疫性肝炎(AIH)、自己免疫性高脂血症、自己免疫性下垂体炎/リンパ球性下垂体炎、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)、自己免疫性心筋炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性精巣炎、自己免疫性膵炎(AIP)/免疫グロブリンG4関連疾患(IgG4-RD)、自己免疫性多腺性症候群(I型、II型、及びIII型)、自己免疫性プロゲステロン皮膚炎、自己免疫性突発性感音難聴(SNHL)、バロー病、ベーチェット病、散弾状脈絡膜網膜症/散弾状ぶどう膜炎、水疱性類天疱瘡、キャッスルマン病、セリアック病、シャーガス病、慢性疲労症候群(CFS)/筋痛性脳脊髄炎(ME)、慢性炎症性脱髄性多発神経障害(CIDP)、慢性ライム病/治療後ライム病症候群(PTLDS)、慢性蕁麻疹(CU)、チャーグ・ストラウス症候群/好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)、瘢痕性類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷凝集素症、CREST症候群/限局皮膚硬化型全身性強皮症、クローン病(CD)、クロンカイト・カナダ症候群(CSS)、特発性器質化肺炎(COP)、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、1型糖尿病、円板状ループス、エレスラー症候群/心筋梗塞後/心膜切開後症候群、子宮内膜症、好酸球性筋膜炎、結節性紅斑、本態性混合型クリオグロブリン血症、エバンス症候群、線維化肺胞炎、巨細胞性動脈炎/側頭動脈炎/ホートン病、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群/抗GBM/抗TBM病、多発血管炎性肉芽腫症(GPA)/ウェゲナー肉芽腫症、グレーブス病、ギラン・バレー症候群(GBS)、橋本甲状腺炎/慢性リンパ球性甲状腺炎/自己免疫性甲状腺炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病/IgA血管炎、妊娠性疱疹/類天疱瘡、低ガンマグロブリン血症、IgA腎症/バージャー病、免疫性血小板減少症(ITP)/自己免疫性血小板減少性紫斑病、間質性膀胱炎、若年性特発性関節炎、川崎病、ランバート・イートン無筋力症候群(LEMS)、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、木質性結膜炎、線状IgA病(LAD)/線状IgA水疱性皮膚症(LABD)、ループス腎炎、メニエール病、顕微鏡的多発血管炎(MPA)、混合性結合組織病(MCTD)、モーレン潰瘍、ムッハ・ハーベルマン病、多発性硬化症(MS)、重症筋無力症(MG)、視神経脊髄炎(NMO)/デビック病、ナルコレプシー、非長さ依存性小径線維感覚性ニューロパチー(SFSN)、眼類天疱瘡、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群(OMS)、回帰性リウマチ、掌蹠膿疱症(乾癬のタイプ)、傍腫瘍性小脳変性症、腫瘍随伴性天疱瘡、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、周辺性ぶどう膜炎/扁平部炎、パーソネージ・ターナー症候群、落葉状天疱瘡、尋常性天疱瘡、悪性貧血、POEMS症候群、結節性多発動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎、体位性起立性頻脈症候群(POTS)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)/原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎(PSC)、乾癬、乾癬性関節炎、特発性肺線維症(IPF)、赤芽球癆、壊疽性膿皮症、レイノー現象、反応性関節炎/ライター症候群、反射性交感神経性ジストロフィー症候群、再発性多発軟骨炎、むずむず脚症候群/ウィリス・エクボム病、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、シュミット症候群/自己免疫性多内分泌腺症候群II型、全身性強皮症、強膜炎、強皮症、地図状脈絡膜炎、シェーグレン症候群、スティッフパーソン症候群(SPS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、亜急性細菌性心内膜炎(SBE)、シデナム舞踏病、交感性眼炎、高安動脈炎(血管炎)、精巣自己免疫(血管炎/精巣炎)、トロサ・ハント症候群、横断性脊髄炎(TM)、尿細管間質性腎炎・ぶどう膜炎症候群(TINU)、潰瘍性大腸炎(UC)、未分化結合組織病(UCTD)、ぶどう膜炎(前部)、ぶどう膜炎(中間部)、ぶどう膜炎(後部)、血管炎、白斑、及びフォークト・小柳・原田症候群(VKH)からなる群から選択され、特に前記自己免疫性病態は、細胞又は抗体媒介拒絶(AMR)に起因しない、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記自己免疫性トリガーは、ループス腎炎又は全身性強皮症である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記トリガーは、細菌感染、ウイルス感染、真菌感染、又は寄生虫感染からなる群から選択される感染であり、但し、前記感染は、志賀毒素産生性大腸菌(Escherichia coli)、例えば、志賀毒素関連溶血性尿毒症症候群に起因しないことを条件とする、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記トリガーは、固形臓器移植又は骨髄移植であり、但し、前記トリガーは、造血幹細胞移植(HSCT)に起因しないことを条件とする、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項33】
前記トリガーは、腎臓、膵臓、肝臓、心臓、及び小腸移植からなる群から選択される固形臓器移植である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ベストサポーティブケアを施与することをさらに含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記ベストサポーティブケアは、(a)輸血支援、(b)抗感染薬(例えば、抗生物質、抗ウイルス薬、及び抗真菌薬)、(c)腎代替療法(透析)、(d)降圧医薬品、(e)ループス腎炎に伴うTMA又はSSc-TMAのための治療法、及び(f)薬物誘発性TMAについて疑われる薬剤の休薬又は用量調整の1つ以上からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
CM-TMAを有する前記患者は、
(a)aHUS、例として、産後aHUS、又はaHUSを引き起こす任意の既知の遺伝子突然変異を有する患者でもなく;
(b)慢性腎疾患(CKD)を有する患者でもなく;
(c)造血幹細胞移植に起因するTMA(HSCT-TMA)を発症した患者でもなく;
(d)ループス以外の一次性及び二次性糸球体疾患の病歴を有する患者でもなく;
(e)原発性抗リン脂質抗体症候群(APS)を有する患者でもなく;
(f)志賀毒素産生性大腸菌(Escherichia coli)感染、例えば、志賀毒素関連溶血性尿毒症症候群(STEC-HUS)の病歴を有する患者でもなく;
(g)家族性又は後天性ADAMTS13(トロンボスポンジン1型モチーフ第13番を有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ)欠損であって、例えば、5%未満のADAMTS13活性に起因するADAMTS13欠損を有する患者でもなく;
(h)直接クームス試験で陽性である患者でもなく;
(i)腎生検が間質線維化・尿細管萎縮、糸球体硬化症、又は少なくとも50%の半月体形成について陽性である患者でもなく;
(j)細胞又は抗体媒介移植片拒絶(AMR)のエビデンスを有する移植患者でもなく;
(k)(a)~(j)に提供される特徴の任意の組み合わせを有する患者でもない、
請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
ヒト患者における補体媒介TMA(CM-TMA)を治療するためのキットであって、
(a)ある用量の抗C5抗体、又はその抗原結合断片であって、それぞれ配列番号19、18及び3に記載のCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列と、それぞれ配列番号4、5及び6に記載のCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列とを含む抗C5抗体、又はその抗原結合断片;並びに
(b)請求項1~34のいずれか一項に記載の方法において前記抗C5抗体、又はその抗原結合断片を使用するための指示書
を含むキット。
【請求項38】
ヒト患者における補体媒介TMA(CM-TMA)を治療するためのキットであって、
(a)ある用量の抗C5抗体、又はその抗原結合断片であって、それぞれ配列番号19、18及び3に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列と、それぞれ配列番号4、5及び6に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列と、ヒト胎児性Fc受容体(FcRn)に結合するバリアントヒトFc領域とを含み、前記バリアントヒトFc CH3領域は、それぞれEU番号付けで、ネイティブヒトIgG Fc領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基においてMet-429-Leu及びAsn-435-Ser置換を含む抗C5抗体、又はその抗原結合断片;並びに
(b)請求項1~34のいずれか一項に記載の方法において前記抗C5抗体、又はその抗原結合断片を使用するための指示書
を含むキット。
【請求項39】
前記CM-TMAは、トリガーに伴う、請求項37又は38に記載のキット。
【請求項40】
前記トリガーは、自己免疫性、感染、移植、1つ以上の薬物、又は悪性高血圧であり、但し、自己免疫性病態に起因する前記トリガーは、細胞又は抗体媒介拒絶(AMR)に起因せず;感染に起因する前記トリガーは、志賀毒素産生性大腸菌(Escherichia coli)感染、例えば、志賀毒素関連溶血性尿毒症症候群に起因せず;移植に起因する前記トリガーは、造血幹細胞移植(HSCT)に起因しないことを条件とする、請求項39に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、内容全体が参照により本明細書に組み込まれる2021年1月22日に出願された米国仮特許出願番号第63/140,488号明細書の優先権、及び利益を主張する。
【0002】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、参照により全体として本明細書に組み込まれる配列表を含有する。2021年12月30日に作成された前記ASCIIコピーは、名称0639WO_SL.txtであり、サイズが58,805バイトである。
【背景技術】
【0003】
血栓性微小血管障害症(TMA)は、内皮損傷をもたらす補体活性化により引き起こされることが多い、生命を脅かす希少疾患である。一部の患者において、補体媒介TMA(CM-TMA)は、内皮を損傷させるトリガー、例えば、産後、悪性高血圧(高血圧緊急症と称されることもある)、感染、移植(固形臓器又は骨髄)、自己免疫性疾患、及びある薬物から生じ得る(例えば、Aigner C,et al.,Clin.Kidney J.2019;12(3):333-337;Go RS,et al.,Mayo Clin.Proc.2016;91(9):1189-1211;Goodship THJ,et al.,Kidney Int.2017;91(3):539-551;及びPark,et al.,Blood Advances.2018;2(16):2090-2094参照)。重篤な病態で存在するCM-TMAを有する多くの患者は、集中治療室での管理を要求し、透析を必要とすることが多い。多臓器不全が発症すると、患者は不良予後を有する(例えば、Le Clech A,et al.,Kidney Intl.2019;95(6):1443-1452参照)。
2つの補体C5阻害剤、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))及びエクリズマブ(SOLIRIS(登録商標))がaHUSを有する患者の治療のために承認されている。現在、より広い補体媒介TMA集団のために、特にトリガーを有するCM-TMA(「二次性TMA」とも称される)の場合に承認された治療法は存在しない。治療は、典型的には、コルチコステロイド及び/又は治療的血漿交換(TPE)若しくは血漿注入からなる。原因のトリガーを、適宜、他のサポーティブ措置(例えば、輸血、透析)とともに治療することもできる。TPE/血漿注入はCM-TMAにおける血液学的パラメータを改善する一方、コルチコステロイドもTPE/血漿注入も原因の補体機能不全に対処せず、TMAプロセスが持続する可能性が高い(例えば、Azoulay E,et al.,Chest.2017;152(2):424-434;Kavanagh D,et al.,Br.Med.Bull.2006;77-78(5-22):5-22;及びLaurence,Clin.Adv.Hematol.Oncol.2013;11(Suppl 15):4-15参照)。トリガーの除去及びサポーティブケアは、TMA症状を好転させるために十分であることがある。しかしながら、重度の腎徴候を有する患者において、トリガーの除去/治療及びサポーティブケアの提供後にアウトカムは大幅には改善されない。したがって、本発明の課題は、改善された、CM-TMAを有する患者を治療する方法、特にトリガーされるCM-TMAを有する患者を治療する方法を提供することである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Aigner C,et al.,Clin.Kidney J.2019;12(3):333-337
【非特許文献2】Go RS,et al.,Mayo Clin.Proc.2016;91(9):1189-1211
【非特許文献3】Goodship THJ,et al.,Kidney Int.2017;91(3):539-551
【非特許文献4】Park,et al.,Blood Advances.2018;2(16):2090-2094
【非特許文献5】Le Clech A,et al.,Kidney Intl.2019;95(6):1443-1452
【非特許文献6】Azoulay E,et al.,Chest.2017;152(2):424-434
【非特許文献7】Laurence,Clin.Adv.Hematol.Oncol.2013;11(Suppl 15):4-15
【非特許文献8】Kavanagh D,et al.,Br.Med.Bull.2006;77-78(5-22):5-22
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
治療選択が限定される、希少で潜在的に致死性の疾患である補体媒介TMAを治療するための組成物及び方法が本明細書に提供される。特に、本開示の組成物及び方法は、CM-TMAの重度の腎機能不全の治療のアンメットディカルニーズに対処する。
【0006】
CM-TMAのための有効な治療法の高いアンメットニーズを考慮して、本開示は、治療法に伴うリスクを最小化しながら、CM-TMAを有する患者のアウトカムを臨床的に改善するための抗C5抗体、例えば、ラブリズマブの使用に関する。
【0007】
ヒト対象における補体媒介TMA(CM-TMA)を治療するための組成物及び方法であって、患者に抗C5抗体、又はその抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)))を投与することを含む組成物及び方法が本明細書に提供される。一部の実施形態において、抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、特定の臨床投与量レジメンに従って(すなわち、特定の用量で且つ規定の投薬スケジュールに従って)投与する(又は投与用である)。一部の実施形態において、CM-TMAは、トリガー、例えば、自己免疫性病態、感染、移植、1つ以上の薬物、又は悪性高血圧に伴う(「二次性TMAとも称される)。
【0008】
任意の好適な抗C5抗体、又はその抗原結合断片を本明細書に記載の方法において使用することができる。例示的な抗C5抗体は、それぞれ配列番号14及び11に示される配列を有する重鎖及び軽鎖を含むラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)、ALXN1210及び抗体BNJ441としても公知)、又はその抗原結合断片及びバリアントである。他の実施形態において、抗体は、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))の重鎖及び軽鎖相補性決定領域(CDR)又は可変領域(VR)を含む。したがって、一実施形態において、抗体は、配列番号12に示される配列を有するラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))の重鎖可変(VH)領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメインと、配列番号8に示される配列を有するラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))の軽鎖可変(VL)領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインとを含む。別の実施形態において、抗体は、それぞれ配列番号19、18、及び3に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列と、それぞれ配列番号4、5、及び6に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列とを含む。別の実施形態において、抗体は、それぞれ配列番号12及び配列番号8に記載されるアミノ酸配列を有するVH及びVL領域を含む。別の実施形態において、抗体は、配列番号13に記載される重鎖定常領域を含む。
【0009】
別の実施形態において、抗体は、ヒト胎児性Fc受容体(FcRn)に結合するバリアントヒトFc定常領域を含み、バリアントヒトFc CH3定常領域は、それぞれEU番号付けで、ネイティブヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基においてMet-429-Leu及びAsn-435-Ser置換を含む。
【0010】
別の実施形態において、抗体は、それぞれ配列番号19、18、及び3に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列と、それぞれ配列番号4、5、及び6に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列と、ヒト胎児性Fc受容体(FcRn)に結合するバリアントヒトFc定常領域とを含み、バリアントヒトFc CH3定常領域は、それぞれEU番号付けで、ネイティブヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基においてMet-429-Leu及びAsn-435-Ser置換を含む。
【0011】
別の実施形態において、抗体は、pH7.4及び25℃で、0.1nM≦K≦1nMの範囲内の親和性解離定数(K)でヒトC5に結合する。別の実施形態において、抗体は、pH6.0及び25℃で、K≧10nMでヒトC5に結合する。さらに別の実施形態において、抗体の[(pH6.0及び25℃におけるヒトC5に対する抗体又はその抗原結合断片のK)/(pH7.4及び25℃におけるヒトC5に対する抗体又はその抗原結合断片のK)]は、25超である。
【0012】
別の例示的な抗C5抗体は、米国特許第8,241,628号明細書及び同第8,883,158号明細書に記載される。一実施形態において、抗体、又はその抗原結合断片は、それぞれ配列番号21、22、及び23に記載される配列を有する重鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインと、それぞれ配列番号24、25、及び26に記載される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインとを含む。別の実施形態において、抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号27に記載される配列を有するVH領域と、配列番号28に記載される配列を有するVL領域とを含む。
【0013】
別の例示的な抗C5抗体も、米国特許第8,241,628号明細書及び同第8,883,158号明細書に記載される。一実施形態において、抗体、又はその抗原結合断片は、それぞれ配列番号29、30、及び31に記載される配列を有する重鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインと、それぞれ配列番号32、33、及び34に記載される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインとを含む。別の実施形態において、抗体は、配列番号35に記載される配列を有するVH領域と、配列番号36に記載される配列を有するVL領域とを含む。
【0014】
別の例示的な抗C5抗体は、米国特許出願公開第2016/0176954A1号明細書に記載される。一実施形態において、抗体、又はその抗原結合断片は、それぞれ配列番号37、38、及び39に記載される配列を有する重鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインと、それぞれ配列番号40、41、及び42に記載される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインとを含む。別の実施形態において、抗体は、配列番号43に記載される配列を有するVH領域と、配列番号44に記載される配列を有するVL領域とを含む。
【0015】
別の例示的な抗C5抗体は、Fukuzawa T.et al.(Sci.Rep.7:1080,2017)に記載される。別の実施形態において、抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号45を含む重鎖と、配列番号46を含む軽鎖とを含む。
【0016】
別の例示的な抗C5抗体は、米国特許出願公開第20170355757号明細書に記載される。一実施形態において、抗体は、配列番号47を含む重鎖可変領域と、配列番号48を含む軽鎖可変領域とを含む。別の実施形態において、抗体は、配列番号49を含む重鎖と、配列番号50を含む軽鎖とを含む。
【0017】
別の実施形態において、抗体は、上述の抗体と、C5上の同じエピトープとの結合について競合し、及び/又はC5上の同じエピトープに結合する。別の実施形態において、抗体は、上述の抗体と少なくとも約90%の可変領域アミノ酸配列同一性(例えば、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の可変領域同一性)を有する。
【0018】
一実施形態において、CM-TMA(例えば、トリガー、例えば、自己免疫性病態、感染、移植、1つ以上の薬物、又は悪性高血圧に伴うCM-TMA)を有するヒト患者を治療する方法であって、患者に有効量の抗C5抗体、又はその抗原結合断片を投与することを含み、抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、それぞれ配列番号19、18及び3に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列と、それぞれ配列番号4、5及び6に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列とを含む方法が提供される。別の実施形態において、抗体は、ヒト胎児性Fc受容体(FcRn)に結合するバリアントヒトFc定常領域をさらに含み、バリアントヒトFc CH3定常領域は、それぞれEU番号付けで、ネイティブヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基においてMet-429-Leu及びAsn-435-Ser置換を含む。別の実施形態において、抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号12に記載される重鎖可変領域と、配列番号8に記載される軽鎖可変領域とを含む。別の実施形態において、抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号13に示される重鎖定常領域をさらに含む。別の実施形態において、抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号14に記載される重鎖と、配列番号11に記載される軽鎖とを含む。
【0019】
一実施形態において、抗C5抗体、又は抗原結合断片は、固定用量で投与する。例えば、一実施形態において、抗C5抗体、又は抗原結合断片は、患者の体重に関係なく、10mg、20mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、2000mg、2100mg、2200mg、2300mg、2400mg、2500mg、2600mg、2700mg、2800mg、2900mg、3000mg、3100mg、3200mg、3300mg、3400mg、3500mg、3600mg、3700mg、3800mg、3900mg、4000mg、4100mg、4200mg、4300mg、4400mg、4500mg、4600mg、4700mg、4800mg、4900mg、5000mg、5100mg、5200mg、5300mg、5400mg、5500mg、5600mg、5700mg、5800mg、5900mg、6000mg、6100mg、6200mg、6300mg、6400mg、6500mg、6600mg、6700mg、6800mg、6900mg、7000mg、7100mg、7200mg、7300mg、7400mg、7500mg、7600mg、7700mg、7800mg、7900mg、8000mg、8100mg、8200mg、8300mg、8400mg、8500mg、8600mg、8700mg、8800mg、8900mg、9000mg、9100mg、9200mg、9300mg、9400mg、9500mg、9600mg、9700mg、9800mg、9900mg、10000mg、10100mg、10200mg、10300mg、10400mg、10500mg、10600mg、10700mg、10800mg、10900mg又は11000mgの用量で投与する。
【0020】
別の実施形態において、抗C5抗体、又はその抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)))は、1200mg、2400mg、2700mg、3000mg、3300mg、又は3600mgの用量で投与する。
【0021】
別の実施形態において、抗C5抗体、又は抗原結合断片の用量は、患者の体重に基づく。例えば、一実施形態において、10mg、20mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、2000mg、2100mg、2200mg、2300mg、2400mg、2500mg、2600mg、2700mg、2800mg、2900mg、3000mg、3100mg、3200mg、3300mg、3400mg、3500mg、3600mg、3700mg、3800mg、3900mg、4000mg、4100mg、4200mg、4300mg、4400mg、4500mg、4600mg、4700mg、4800mg、4900mg、5000mg、5100mg、5200mg、5300mg、5400mg、5500mg、5600mg、5700mg、5800mg、5900mg、6000mg、6100mg、6200mg、6300mg、6400mg、6500mg、6600mg、6700mg、6800mg、6900mg、7000mg、7100mg、7200mg、7300mg、7400mg、7500mg、7600mg、7700mg、7800mg、7900mg、8000mg、8100mg、8200mg、8300mg、8400mg、8500mg、8600mg、8700mg、8800mg、8900mg、9000mg、9100mg、9200mg、9300mg、9400mg、9500mg、9600mg、9700mg、9800mg、9900mg、10000mg、10100mg、10200mg、10300mg、10400mg、10500mg、10600mg、10700mg、10800mg、10900mg、又は11000mgの抗C5抗体、又は抗原結合断片を、≧30~<40kgの体重の患者に投与する。別の実施形態において、1200mg又は2700mgの抗C5抗体、又はその抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)))を、≧30~<40kgの体重の患者に投与する。
【0022】
別の実施形態において、10mg、20mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、2000mg、2100mg、2200mg、2300mg、2400mg、2500mg、2600mg、2700mg、2800mg、2900mg、3000mg、3100mg、3200mg、3300mg、3400mg、3500mg、3600mg、3700mg、3800mg、3900mg、4000mg、4100mg、4200mg、4300mg、4400mg、4500mg、4600mg、4700mg、4800mg、4900mg、5000mg、5100mg、5200mg、5300mg、5400mg、5500mg、5600mg、5700mg、5800mg、5900mg、6000mg、6100mg、6200mg、6300mg、6400mg、6500mg、6600mg、6700mg、6800mg、6900mg、7000mg、7100mg、7200mg、7300mg、7400mg、7500mg、7600mg、7700mg、7800mg、7900mg、8000mg、8100mg、8200mg、8300mg、8400mg、8500mg、8600mg、8700mg、8800mg、8900mg、9000mg、9100mg、9200mg、9300mg、9400mg、9500mg、9600mg、9700mg、9800mg、9900mg、10000mg、10100mg、10200mg、10300mg、10400mg、10500mg、10600mg、10700mg、10800mg、10900mg、又は11000mgの抗C5抗体、又はその抗原結合断片を、≧40~<60kgの体重の患者に投与する。別の実施形態において、2400mg又は3000mgの抗C5抗体、又はその抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)))を、≧40~<60kgの体重の患者に投与する。
【0023】
別の実施形態において、10mg、20mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、2000mg、2100mg、2200mg、2300mg、2400mg、2500mg、2600mg、2700mg、2800mg、2900mg、3000mg、3100mg、3200mg、3300mg、3400mg、3500mg、3600mg、3700mg、3800mg、3900mg、4000mg、4100mg、4200mg、4300mg、4400mg、4500mg、4600mg、4700mg、4800mg、4900mg、5000mg、5100mg、5200mg、5300mg、5400mg、5500mg、5600mg、5700mg、5800mg、5900mg、6000mg、6100mg、6200mg、6300mg、6400mg、6500mg、6600mg、6700mg、6800mg、6900mg、7000mg、7100mg、7200mg、7300mg、7400mg、7500mg、7600mg、7700mg、7800mg、7900mg、8000mg、8100mg、8200mg、8300mg、8400mg、8500mg、8600mg、8700mg、8800mg、8900mg、9000mg、9100mg、9200mg、9300mg、9400mg、9500mg、9600mg、9700mg、9800mg、9900mg、10000mg、10100mg、10200mg、10300mg、10400mg、10500mg、10600mg、10700mg、10800mg、10900mg、又は11000mgの抗C5抗体、又はその抗原結合断片を、≧60~<100kgの体重の患者に投与する。別の実施形態において、2700mg又は3300mgのC5抗体、又はその抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)))を、≧60~<100kgの体重の患者に投与する。
【0024】
別の実施形態において、10mg、20mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、2000mg、2100mg、2200mg、2300mg、2400mg、2500mg、2600mg、2700mg、2800mg、2900mg、3000mg、3100mg、3200mg、3300mg、3400mg、3500mg、3600mg、3700mg、3800mg、3900mg、4000mg、4100mg、4200mg、4300mg、4400mg、4500mg、4600mg、4700mg、4800mg、4900mg、5000mg、5100mg、5200mg、5300mg、5400mg、5500mg、5600mg、5700mg、5800mg、5900mg、6000mg、6100mg、6200mg、6300mg、6400mg、6500mg、6600mg、6700mg、6800mg、6900mg、7000mg、7100mg、7200mg、7300mg、7400mg、7500mg、7600mg、7700mg、7800mg、7900mg、8000mg、8100mg、8200mg、8300mg、8400mg、8500mg、8600mg、8700mg、8800mg、8900mg、9000mg、9100mg、9200mg、9300mg、9400mg、9500mg、9600mg、9700mg、9800mg、9900mg、10000mg、10100mg、10200mg、10300mg、10400mg、10500mg、10600mg、10700mg、10800mg、10900mg、又は11000mgの抗C5抗体、又は抗原結合断片を、≧100kgの体重の患者に投与する。別の実施形態において、3000mg又は3600mgの抗C5抗体、又はその抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)))を、≧100kgの体重の患者に投与する。
【0025】
別の実施形態において、CM-TMA(例えば、トリガー、例えば、自己免疫性病態、感染、移植、1つ以上の薬物、又は悪性高血圧に伴うCM-TMA)を有するヒト患者を治療する方法であって、患者に抗C5抗体、又はその抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)))を
(a)1日目に1回、≧30~<40kgの体重の患者に対して1200mg、≧40~<60kgの体重の患者に対して2400mg、≧60~<100kgの体重の患者に対して2700mg、又は≧100kgの体重の患者に対して3000mgの用量で;
(b)15日目及びその後8週間毎に、≧30~<40kgの体重の患者に対して2700mg、≧40~<60kgの体重の患者に対して3000mg、≧60~<100kgの体重の患者に対して3300mg、又は≧100kgの体重の患者に対して3600mgの用量で
投与することを含む方法が提供される。
【0026】
別の実施形態において、CM-TMA(例えば、トリガー、例えば、自己免疫性病態、感染、移植、1つ以上の薬物、又は悪性高血圧に伴うCM-TMA)を有するヒト患者を治療する方法であって、抗C5抗体、又はその抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)))を、≧30~<40kgの体重の患者に
(a)1日目に1回、1200mgの用量で;
(b)15日目及びその後8週間毎に、2700mgの用量で
投与する方法が提供される。
【0027】
別の実施形態において、CM-TMA(例えば、トリガー、例えば、自己免疫性病態、感染、移植、1つ以上の薬物、又は悪性高血圧に伴うCM-TMA)を有するヒト患者を治療する方法であって、抗C5抗体、又はその抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)))を、≧40~<60kgの体重の患者に
(a)1日目に1回、2400mgの用量で;
(b)15日目及びその後8週間毎に、3000mgの用量で
投与する方法が提供される。
【0028】
別の実施形態において、CM-TMA(例えば、トリガー、例えば、自己免疫性病態、感染、移植、1つ以上の薬物、又は悪性高血圧に伴うCM-TMA)を有するヒト患者を治療する方法であって、抗C5抗体、又はその抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)))を、≧60~<100kgの体重の患者に
(a)1日目に1回、2700mgの用量で;
(b)投与サイクルの15日目及びその後8週間毎に、3300mgの用量で
投与する方法が提供される。
【0029】
別の実施形態において、CM-TMA(例えば、トリガー、例えば、自己免疫性病態、感染、移植、1つ以上の薬物、又は悪性高血圧に伴うCM-TMA)を有するヒト患者を治療する方法であって、抗C5抗体、又はその抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)))を≧100kgの体重の患者に
(a)1日目に1回、3000mgの用量で;
(b)15日目及びその後8週間毎に、3600mgの用量で
投与する方法が提供される。
【0030】
別の実施形態において、CM-TMA(例えば、トリガー、例えば、自己免疫性病態、感染、移植、1つ以上の薬物、又は悪性高血圧に伴うCM-TMA)を有するヒト患者を治療する方法であって、患者に有効量の抗C5抗体、又はその抗原結合断片を投与することを含み、抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、それぞれ配列番号19、18及び3に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列と、それぞれ配列番号4、5及び6に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列と、ヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合するバリアントヒトFc領域とを含み、バリアントヒトFc CH3領域は、それぞれEU番号付けで、ネイティブヒトIgG Fc領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基においてMet-429-Leu及びAsn-435-Ser置換を含み、抗C5抗体、又はその抗原結合断片を患者に
(a)1日目に1回、≧30~<40kgの体重の患者に対して1200mg、≧40~<60kgの体重の患者に対して2400mg、≧60~<100kgの体重の患者に対して2700mg、又は≧100kgの体重の患者に対して3000mgの用量で;
(b)15日目及びその後8週間毎に、≧30~<40kgの体重の患者に対して2700mg、≧40~<60kgの体重の患者に対して3000mg、≧60~<100kgの体重の患者に対して3300mg、又は≧100kgの体重の患者に対して3600mgの用量で
投与する方法が提供される。
【0031】
別の実施形態において、抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、1キログラム当たりのミリグラム(mg/kg)用量で投与する。例えば、一実施形態において、抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、0.1mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、0.75mg/kg、1.0mg/kg、1.25mg/kg、1.50mg/kg、1.75mg/kg、2.0mg/kg、2.25mg/kg、2.50mg/kg、2.75mg/kg、3.0mg/kg、3.25mg/kg、3.50mg/kg、3.75mg/kg、4.0mg/kg、4.25mg/kg、4.50mg/kg、4.75mg/kg、5.0mg/kg、5.25mg/kg、5.50mg/kg、5.75mg/kg、6.0mg/kg、6.25mg/kg、6.50mg/kg、6.75mg/kg、7.0mg/kg、7.25mg/kg、7.50mg/kg、7.75mg/kg、8.0mg/kg、8.25mg/kg、8.50mg/kg、8.75mg/kg、9.0mg/kg、9.25mg/kg、9.50mg/kg、9.75mg/kg、10.0mg/kg、11.25mg/kg、11.50mg/kg、11.75mg/kg、12.0mg/kg、12.25mg/kg、12.50mg/kg、12.75mg/kg、13.0mg/kg、13.25mg/kg、13.50mg/kg、13.75mg/kg、14.0mg/kg、14.25mg/kg、14.50mg/kg、14.75mg/kg、15.0mg/kg、15.25mg/kg、15.50mg/kg、15.75mg/kg、16.0mg/kg、16.25mg/kg、16.50mg/kg、16.75mg/kg、17.0mg/kg、17.25mg/kg、17.50mg/kg、17.75mg/kg、18.0mg/kg、18.25mg/kg、18.50mg/kg、18.75mg/kg、19.0mg/kg、19.25mg/kg、19.50mg/kg、19.75mg/kg、20.0mg/kg、20.25mg/kg、20.50mg/kg、20.75mg/kg、21.0mg/kg、21.25mg/kg、21.50mg/kg、21.75mg/kg、22.0mg/kg、22.25mg/kg、22.50mg/kg、22.75mg/kg、23.0mg/kg、23.25mg/kg、23.50mg/kg、23.75mg/kg、24.0mg/kg、24.25mg/kg、24.50mg/kg、24.75mg/kg、又は25.0mg/kgの用量で投与する。
【0032】
一実施形態において、抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、週1回、週2回、週3回、週4回、週5回、週6回、又は毎日投与する。別の実施形態において、抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、5週間毎に1回、6週間毎に1回、7週間毎に1回、8週間毎に1回、9週間毎に1回、10週間毎に1回、11週間毎に1回、又は12週間毎に1回投与する。別の実施形態において、抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、1日目に負荷用量で、次いで15日目及びその後8週間毎に異なる維持用量で投与する。
【0033】
別の実施形態において、抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、1つ以上の投与サイクルで投与する。一実施形態において、投与サイクルは、26週間である。別の実施形態において、治療は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は11サイクルを含む。別の実施形態において、患者を約1、2、3、4、5、又は6か月間治療する。別の実施形態において、治療は、ヒト患者の生涯にわたり継続する。
【0034】
抗C5抗体、又は抗原結合断片は、任意の好適な手段を介して投与することができる。一実施形態において、抗C5抗体、又はその抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)))は、静脈内投与する。別の実施形態において、抗C5抗体、又は抗原結合断片は、皮下投与する。
【0035】
一部の実施形態において、本明細書に記載の方法に従って治療される患者は、治療を開始する前3年以内に、又は治療を開始する時点で、髄膜炎菌感染に対してワクチン接種されている。一実施形態において、髄膜炎菌ワクチンを受けた後2週間未満で治療を受けた患者は、ワクチン接種の2週間後まで適切な予防抗生物質でも治療される。別の実施形態において、本明細書に記載の方法に従って治療される患者は、髄膜炎菌血清型A、C、Y、W135、及び/又はBに対してワクチン接種される。
【0036】
一部の実施形態において、本方法に従って治療される患者は、ループス腎炎、全身性強皮症、又は固形臓器移植に伴うTMAを有する。一実施形態において、これらの患者は、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)b型(Hib)及び肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)に対して治療前にワクチン接種される。
【0037】
別の態様において、記載される治療レジメンは、抗C5抗体、又はその抗原結合断片の特定の血清トラフ濃度を維持するのに十分である。例えば、一実施形態において、治療は、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、200、205、210、215、220、225、230、240、245、250、255、260、265、270、280、290、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、又は400μg/mL以上の抗C5抗体、又はその抗原結合断片の血清トラフ濃度を維持し得る。一実施形態において、治療は、100μg/mL以上の抗C5抗体、又はその抗原結合断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態において、治療は、150μg/mL以上の抗C5抗体、又はその抗原結合断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態において、治療は、200μg/mL以上の抗C5抗体、又はその抗原結合断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態において、治療は、250μg/mL以上の抗C5抗体、又はその抗原結合断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態において、治療は、300μg/mL以上の抗C5抗体、又はその抗原結合断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態において、治療は、100μg/ml~200μg/mLの抗C5抗体、又はその抗原結合断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態において、治療は、約175μg/mLの抗C5抗体、又はその抗原結合断片の血清トラフ濃度を維持する。
【0038】
別の実施形態において、有効な奏効を得るため、抗C5抗体は、患者の血液1ミリリットル当たり少なくとも50μg、55μg、60μg、65μg、70μg、75μg、80μg、85μg、90μg、95μg、100μg、105μg、110μg、115μg、120μg、125μg、130μg、135μg、140μg、145μg、150μg、155μg、160μg、165μg、170μg、175μg、180μg、185μg、190μg、195μg、200μg、205μg、210μg、215μg、220μg、225μg、230μg、235μg、240μg、245μg、250μg、255μg又は260μgの抗体を維持するための量及び頻度で、患者に投与する。別の実施形態において、抗C5抗体は、患者の血液1ミリリットル当たり50μg~250μgの抗体を維持するための量及び頻度で、患者に投与する。別の実施形態において、抗C5抗体は、患者の血液1ミリリットル当たり100μg~200μgの抗体を維持するための量及び頻度で、患者に投与する。別の実施形態において、抗C5抗体は、患者の血液1ミリリットル当たり約175μgの抗体を維持するための量及び頻度で、患者に投与する。
【0039】
別の実施形態において、有効な奏効を得るため、抗C5抗体は、最小遊離C5濃度を維持するための量及び頻度で、患者に投与する。例えば、一実施形態において、抗C5抗体は、0.2μg/mL、0.3μg/mL、0.4μg/mL、0.5μg/mL以下の遊離C5濃度を維持するための量及び頻度で、患者に投与することができる。別の実施形態において、本明細書に記載の治療は、治療期間全体にわたり遊離C5濃度を99%超だけ低減させる。
【0040】
本発明の一態様において、本明細書に記載の方法に従って治療されるCM-TMAは、トリガーに伴う。一実施形態において、CM-TMAトリガーは、自己免疫性病態又はイベントである。例示的な自己免疫性病態としては、限定されるものではないが、後天性再生不良性貧血、急性播種性脳脊髄炎(ADEM)、急性出血性白質脳炎(AHLE)/ハースト病、ガンマグロブリン血症(原発性)、円形脱毛症、強直性脊椎炎(AS)、抗NMDA受容体脳炎、抗リン脂質症候群(APS)、動脈硬化症、自閉症スペクトラム障害(ASD)、自己免疫性アジソン病(AAD)、自己免疫性自律神経失調症/自己免疫性自律神経節障害(AAG)、自己免疫性脳炎、自己免疫性胃炎、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、自己免疫性肝炎(AIH)、自己免疫性高脂血症、自己免疫性下垂体炎/リンパ球性下垂体炎、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)、自己免疫性心筋炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性精巣炎、自己免疫性膵炎(AIP)/免疫グロブリンG4関連疾患(IgG4-RD)、自己免疫性多腺性症候群(I型、II型、及びIII型)、自己免疫性プロゲステロン皮膚炎、自己免疫性突発性感音難聴(SNHL)、バロー病、ベーチェット病、散弾状脈絡膜網膜症/散弾状ぶどう膜炎(birdshot uveitis)、水疱性類天疱瘡、キャッスルマン病、セリアック病、シャーガス病、慢性疲労症候群(CFS)/筋痛性脳脊髄炎(ME)、慢性炎症性脱髄性多発神経障害(CIDP)、慢性ライム病/治療後ライム病症候群(PTLDS)、慢性蕁麻疹(CU)、チャーグ・ストラウス症候群/好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)、瘢痕性類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷凝集素症、CREST症候群/限局皮膚硬化型全身性強皮症、クローン病(CD)、クロンカイト・カナダ症候群(CSS)、特発性器質化肺炎(COP)、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、1型糖尿病、円板状ループス、エレスラー症候群(eressler’s syndrome)/心筋梗塞後/心膜切開後症候群、子宮内膜症、好酸球性筋膜炎、結節性紅斑、本態性混合型クリオグロブリン血症、エバンス症候群、線維化肺胞炎、巨細胞性動脈炎/側頭動脈炎/ホートン病、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群/抗GBM/抗TBM病、多発血管炎性肉芽腫症(GPA)/ウェゲナー肉芽腫症、グレーブス病、ギラン・バレー症候群(GBS)、橋本甲状腺炎/慢性リンパ球性甲状腺炎/自己免疫性甲状腺炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病/IgA血管炎、妊娠性疱疹/類天疱瘡、低ガンマグロブリン血症、IgA腎症/バージャー病、免疫性血小板減少症(ITP)/自己免疫性血小板減少性紫斑病、間質性膀胱炎、若年性特発性関節炎、川崎病、ランバート・イートン無筋力症候群(LEMS)、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、木質性結膜炎、線状IgA病(LAD)/線状IgA水疱性皮膚症(LABD)、ループス腎炎、メニエール病、顕微鏡的多発血管炎(MPA)、混合性結合組織病(MCTD)、モーレン潰瘍、ムッハ・ハーベルマン病、多発性硬化症(MS)、重症筋無力症(MG)、視神経脊髄炎(NMO)/デビック病、ナルコレプシー、非長さ依存性小径線維感覚性ニューロパチー(SFSN)、眼類天疱瘡、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群(OMS)、回帰性リウマチ、掌蹠膿疱症(乾癬のタイプ)、傍腫瘍性小脳変性症、腫瘍随伴性天疱瘡、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、周辺性ぶどう膜炎/扁平部炎、パーソネージ・ターナー症候群、落葉状天疱瘡、尋常性天疱瘡、悪性貧血、POEMS症候群、結節性多発動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎、体位性起立性頻脈症候群(POTS)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)/原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎(PSC)、乾癬、乾癬性関節炎、特発性肺線維症(IPF)、赤芽球癆、壊疽性膿皮症、レイノー現象、反応性関節炎/ライター症候群、反射性交感神経性ジストロフィー症候群、再発性多発軟骨炎、むずむず脚症候群/ウィリス・エクボム病、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、シュミット症候群/自己免疫性多内分泌腺症候群II型、全身性強皮症、強膜炎、強皮症、地図状脈絡膜炎、シェーグレン症候群、スティッフパーソン症候群(SPS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、亜急性細菌性心内膜炎(SBE)、シデナム舞踏病、交感性眼炎、高安動脈炎(血管炎)、精巣自己免疫(血管炎/精巣炎)、トロサ・ハント症候群、横断性脊髄炎(TM)、尿細管間質性腎炎・ぶどう膜炎症候群(TINU)、潰瘍性大腸炎(UC)、未分化結合組織病(UCTD)、ぶどう膜炎(前部)、ぶどう膜炎(中間部)、ぶどう膜炎(後部)、血管炎、白斑、及びフォークト・小柳・原田症候群(VKH)が挙げられる。一実施形態において、自己免疫性トリガーは、ループス腎炎である。別の実施形態において、自己免疫性トリガーは、全身性強皮症である。
【0041】
別の実施形態において、トリガーされるCM-TMAは、感染、例えば、細菌感染、ウイルス感染、真菌感染、又は寄生虫感染である。一実施形態において、トリガーは、連鎖球菌性咽頭炎、細菌性尿路感染症(UTI)(例えば、大腸菌群により引き起こされることが多い)、細菌性食中毒(例えば、大腸菌(E.coli)、サルモネラ菌(Salmonella)、又は赤痢菌(Shigella)により引き起こされることが多い)、細菌性蜂窩織炎(例えば、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)などに起因する、細菌性膣炎、淋病、クラミジア、梅毒、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)(C.diff)、結核、百日咳、肺炎球菌肺炎、細菌性髄膜炎、ライム病コレラ、ボツリヌス症、破傷風、及び炭疽からなる群から選択される細菌感染である。
【0042】
別の実施形態において、トリガーは、インフルエンザ(流感)、風邪、麻疹、風疹、水痘、ノロウイルス、ポリオ、伝染性単核球症(mono)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、A型、B型、C型、D型、及びE型肝炎が含まれ得るウイルス肝炎、ウイルス性髄膜炎、ウエストナイルウイルス、狂犬病、エボラ、及びCOVID-19からなる群から選択されるウイルス感染である。
【0043】
別の実施形態において、トリガーは、酵母感染、白癬、水虫、カンジダ症、アスペルギルス症、ヒストプラズマ症、クリプトコッカス感染、及び真菌性髄膜炎からなる群から選択される真菌感染である。
【0044】
別の実施形態において、トリガーは、マラリア、トキソプラズマ症、トリコモナス症、ジアルジア症、条虫感染、回虫感染、シラミ、疥癬、リーシュマニア症、及び河川盲目症からなる群から選択される寄生虫感染である。
【0045】
別の実施形態において、トリガーは、志賀毒素産生性大腸菌(Escherichia coli)、例えば、志賀毒素関連溶血性尿毒症症候群(STEC-HUS)に起因しない。
【0046】
別の実施形態において、CM-TMAトリガーは、移植である。一実施形態において、トリガーは、骨髄移植である。別の実施形態において、トリガーは、固形臓器移植(例えば、腎臓、膵臓、肝臓、心臓、及び小腸移植からなる群から選択される)である。
【0047】
別の実施形態において、CM-TMAトリガーは、1つ以上の薬物である。一部の実施形態において、TMAは、免疫媒介作用機構を有する薬物(例えば、キニン)によりトリガーされる。一部の実施形態において、TMAは、毒性作用機構を有する薬物(例えば、シクロスポリン又はタクロリムス)によりトリガーされる。具体的な実施形態において、TMAは、クロピドグレル、シクロスポリン、エストロゲン/プロゲステロン、ゲムシタビン、インターフェロン、マイトマイシン、キニン、タクロリムス、チクロピジン、又はそれらの組み合わせから選択される薬物によりトリガーされる。
【0048】
別の実施形態において、CM-TMAトリガーは、悪性高血圧である。悪性高血圧は、急速に発症し、一部のタイプの臓器損傷を引き起こす極端な高血圧(例えば、180/120超)である。
【0049】
別の態様において、本明細書に記載のCM-TMA(例えば、トリガー、例えば、自己免疫性病態、感染、移植、1つ以上の薬物、又は悪性高血圧に伴うCM-TMA)を治療する方法は、単独で又は1つ以上の追加の治療法及び/又は治療剤との組み合わせで使用することができる。例えば、一実施形態において、方法は、患者にベストサポーティブケアを施与することをさらに含む。ベストサポーティブケアとしては、限定されるものではないが、(a)輸血支援、(b)抗感染薬(例えば、抗生物質、抗ウイルス薬、及び抗真菌薬)、(c)腎代替療法(透析)、(d)降圧医薬品、(e)ループス腎炎に伴うTMA若しくはSSc-TMAのための治療法、及び/又は(f)薬物誘発性TMAについて疑われる薬剤の休薬若しくは用量調整が挙げられる。
【0050】
本明細書に提供される治療方法の有効性は、任意の好適な手段を使用して評価することができる。一部の実施形態において、治療は、終末補体阻害をもたらす。
【0051】
他の実施形態において、治療は、輸血支援を伴わない血小板数の正常化及びLDHレベルの正常化をもたらす。
【0052】
他の実施形態において、治療は、ベースラインと比較して≧30%のeGFRの改善をもたらす。他の実施形態において、治療は、輸血支援を伴わない血小板数の正常化、LDHレベルの正常化、及びベースラインと比較して≧30%のeGFRの改善をもたらす。他の実施形態において、治療は、完全TMA奏効をもたらす。
【0053】
他の実施形態において、治療は、LDH正常化(≦246U/L)をもたらす。他の実施形態において、治療は、少なくとも28日間(例えば、少なくとも28日、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、又は2年間)、LDH正常化(≦246U/L)をもたらす。他の実施形態において、治療は、治療開始の5~12日後にLDH正常化をもたらす。例えば、一実施形態において、LDH正常化は、治療開始の5、6、7、8、9、10、11、又は12日後に生じる。
【0054】
他の実施形態において、治療は、少なくとも28日間(例えば、少なくとも28日、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、又は2年間)、完全TMA奏効をもたらす。他の実施形態において、治療は、約60日間未満(例えば、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、48、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1日間)で患者における完全TMA奏効を付与する。
【0055】
他の実施形態において、治療は、血液学的正常化をもたらす。
【0056】
他の実施形態において、治療は、輸血の必要性の低減を生じさせる。別の実施形態において、治療は、輸血回避の70%超の増加を生じさせる。
【0057】
他の実施形態において、治療は、sTNF-RI、トロンボモジュリン、sVCAM-1、sC5b-9、C5a、Ba因子、及び/又は好中球ゼラチナーゼ結合性リポカイン(NGAL)からなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーの正常レベルに向かうシフトを生じさせる。
【0058】
他の実施形態において、治療は、慢性疾患治療の機能的評価(FACIT)-疲労スケール(Functional Assessment of Chronic Illness Therapy(FACIT)-Fatigue Scale)、EuroQol5属性5水準(EQ-5D-5L)スケール(EuroQol 5-Dimension 5-Level(EQ-5D-5L)Scale)、又は腎疾患生活の質尺度(KDQOL-36)スケール(Kidney Disease Quality of Life instrument(KDQOL-36)Scale)を介して評価される、生活の質のベースラインからの変化を生じさせる。
【0059】
他の実施形態において、治療は、患者の生存期間を延長させる。
【0060】
一部の実施形態において、CM-TMAを有する患者は、(a)aHUS、例として、産後aHUS、又はaHUSを引き起こす任意の既知の遺伝子突然変異を有する患者でもなく;(b)慢性腎疾患(CKD)を有する患者でもなく;(c)造血幹細胞移植に起因するTMA(HSCT-TMA)を発症した患者でもなく;(d)ループス以外の一次性及び二次性糸球体疾患の病歴を有する患者でもなく;(e)原発性抗リン脂質抗体症候群(APS)を有する患者でもなく;(f)志賀毒素産生性大腸菌(Escherichia coli)感染、例えば、志賀毒素関連溶血性尿毒症症候群(STEC-HUS)の病歴を有する患者でもなく;(g)家族性又は後天性ADAMTS13(トロンボスポンジン1型モチーフ第13番を有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ)欠損であって、例えば、<5%のADAMTS13活性に起因するADAMTS13欠損を有する患者でもなく;(h)直接クームス試験で陽性である患者でもなく;(i)腎生検が間質線維化・尿細管萎縮、糸球体硬化症、又は少なくとも50%の半月体形成について陽性である患者でもなく;(j)細胞又は抗体媒介移植片拒絶(AMR)のエビデンスを有する移植患者でもなく;(k)(a)~(j)に提供される特徴の任意の組み合わせを有する患者でもない。特に、CM-TMAを有する患者は、aHUS(例として、産後p-aHUS)を有する患者でない。
【0061】
CM-TMA(例えば、トリガー、例えば、自己免疫性病態、感染、移植、1つ以上の薬物、又は悪性高血圧に伴うCM-TMA)を治療するためのキットがさらに提供される。一実施形態において、キットは、(a)ある用量の抗C5抗体、又はその抗原結合断片(例えば、既に本明細書に記載のもののいずれか);及び(b)本明細書に記載の方法において抗C5抗体、又はその抗原結合断片を使用するための指示書を含む。
【0062】
別の実施形態において、ヒト患者におけるCM-TMA(例えば、トリガー、例えば、自己免疫性病態、感染、移植、1つ以上の薬物、又は悪性高血圧に伴うCM-TMA)を治療するためのキットであって、(a)ある用量の抗C5抗体、又はその抗原結合断片であって、それぞれ配列番号19、18及び3に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列と、それぞれ配列番号4、5及び6に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列とを含む抗C5抗体、又はその抗原結合断片;及び(b)本明細書に記載の方法において抗C5抗体、又はその抗原結合断片を使用するための指示書を含むキットが提供される。
【0063】
別の実施形態において、ヒト患者におけるCM-TMA(例えば、トリガー、例えば、自己免疫性病態、感染、移植、1つ以上の薬物、又は悪性高血圧に伴うCM-TMA)を治療するためのキットであって、(a)ある用量の抗C5抗体、又はその抗原結合断片であって、それぞれ配列番号19、18及び3に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列と、それぞれ配列番号4、5及び6に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列と、ヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合するバリアントヒトFc領域とを含み、バリアントヒトFc CH3領域は、それぞれEU番号付けで、ネイティブヒトIgG Fc領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基においてMet-429-Leu及びAsn-435-Ser置換を含む抗C5抗体、又はその抗原結合断片;並びに(b)本明細書に記載の方法において抗C5抗体、又はその抗原結合断片を使用するための指示書を含むキットが提供される。
【0064】
別の実施形態において、ヒト患者におけるCM-TMA(例えば、トリガー、例えば、自己免疫性病態、感染、移植、1つ以上の薬物、又は悪性高血圧に伴うCM-TMA)を治療するためのキットであって、(a)ある用量のラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))及び(b)本明細書に記載の方法においてラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))を使用するための指示書を含むキットが提供される。特に、一部の実施形態において、本明細書に提供されるトリガーされるCM-TMAを治療するためのキットは、志賀毒素産生性大腸菌(Escherichia coli)感染、例えば、志賀毒素関連溶血性尿毒症症候群によりトリガーされるCM-TMA;及び/又は造血幹細胞移植(HSCT)によりトリガーされるCM-TMAを治療するためのキットを除外する。
【0065】
一部の実施形態において、本開示は、患者における補体媒介TMA(CM-TMA)、特に、トリガーを有するCM-TMAの治療のための、治療有効量の抗C5抗体(例えば、エクリズマブ又はラブリズマブ(好ましくは、ラブリズマブ))の使用に関する。特に、本開示は、患者におけるCM-TMAの治療のための、治療有効量の抗C5抗体(例えば、エクリズマブ又はラブリズマブ(好ましくは、ラブリズマブ))の使用であって、CM-TMAは、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)にも産後aHUS(p-aHUS)にも起因しない使用に関する。
【0066】
一部の実施形態において、本開示は、患者における(a)自己免疫性病態(AMRを除く);(b)感染(STEC感染を除く);(c)移植(造血幹細胞移植(HSCT)を除く);(d)1つ以上の薬物;又は(e)悪性高血圧の少なくとも1つによりトリガーされるCM-TMAの治療における、治療有効量のエクリズマブ又はラブリズマブ(好ましくは、ラブリズマブ)の上記に従う使用に関する。
【0067】
一部の実施形態において、本開示は、患者におけるCM-TMAの治療における、治療有効量のエクリズマブ又はラブリズマブ(好ましくは、ラブリズマブ))の上記に従う使用であって、患者は、(a)aHUS、例として、産後aHUS、又はaHUSを引き起こす任意の既知の遺伝子突然変異を有する患者でもなく;(b)慢性腎疾患(CKD)を有する患者でもなく;(c)造血幹細胞移植に起因するTMA(HSCT-TMA)を発症した患者でもなく;(d)ループス以外の一次性及び二次性糸球体疾患の病歴を有する患者でもなく;(e)原発性抗リン脂質抗体症候群(APS)を有する患者でもなく;(f)志賀毒素産生性大腸菌(Escherichia coli)感染、例えば、志賀毒素関連溶血性尿毒症症候群(STEC-HUS)の病歴を有する患者でもなく;(g)家族性又は後天性ADAMTS13(トロンボスポンジン1型モチーフ第13番を有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ)欠損であって、例えば、5%未満のADAMTS13活性に起因するADAMTS13欠損を有する患者でもなく;(h)直接クームス試験で陽性である患者でもなく;(i)腎生検が間質線維化・尿細管萎縮、糸球体硬化症、又は少なくとも50%の半月体形成について陽性である患者でもなく;(j)細胞又は抗体媒介移植片拒絶(AMR)のエビデンスを有する移植患者でもなく;(k)上記(a)~(j)に提供される特徴の任意の組み合わせを有する患者でもない使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1】試験設計を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
I.抗C5抗体
本明細書に記載の抗C5抗体は、補体成分C5(例えば、ヒトC5)に結合し、断片C5a及びC5bへのC5の開裂を阻害する。上記のとおり、このような抗体は治療目的で使用される他の抗C5抗体(例えば、エクリズマブ)と比べて、例えば、改善された薬物動態特性も有する。
【0070】
「抗体」という用語は、少なくとも1つの抗体由来抗原結合部位(例えば、V/V領域若しくはF、又はCDR)を含むポリペプチドを説明する。抗体には、公知の形態の抗体が含まれる。例えば、抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体又はキメラ抗体であり得る。抗体は、Fab、Fab’2、ScFv、SMIP、Affibody(登録商標)、ナノボディ又はドメイン抗体でもあり得る。抗体は、以下のアイソタイプ:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgAsec、IgD、IgEのいずれかのもの又はそれらのアイソタイプのいずれかのハイブリッドでもあり得る。抗体は、天然に存在する抗体又はタンパク質操作技術により(例えば、突然変異、欠失、置換、非抗体部分へのコンジュゲーションにより)変更された抗体であり得る。抗体は、例えば、(天然に存在する抗体と比較して)抗体の特性(例えば、機能的特性)を変化させる1つ以上のバリアントアミノ酸を含み得る。例えば、半減期、エフェクター機能、及び/又は患者における抗体に対する免疫応答に影響を与える多数のそのような変更が当該技術分野で公知である。「抗体」という用語には、少なくとも1つの抗体由来抗原結合部位を含む人工又は操作ポリペプチド構築物も含まれる。
【0071】
本明細書における使用に好適な抗C5抗体(又はそれに由来するV/Vドメイン)は、当該技術分野で公知の方法を使用して生成することができる。或いは、当該技術分野で認識される抗C5抗体を使用することができる。C5への結合について、これらの当該技術分野で認識される抗体のいずれかと競合する抗体を使用することもできる。
【0072】
エクリズマブ(SOLIRIS(登録商標)としても公知)は、それぞれ配列番号1、2及び3に記載される配列を有する重鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインと、それぞれ配列番号4、5及び6に記載される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインとを含む抗C5抗体である。エクリズマブは、配列番号7に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む。エクリズマブの可変領域は、PCT/US1995/005688号明細書及び米国特許第6,355,245号明細書に記載されており、それらの教示は参照により全体として本明細書に組み込まれる。エクリズマブは、配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号11に記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む。エクリズマブの完全重鎖及び軽鎖は、PCT/US2007/006606号明細書に記載されており、その全教示は参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態において、エクリズマブには、SOLIRIS(登録商標)のバイオシミラーが含まれる。本明細書において使用されるとき、バイオシミラーは、別の既に承認された生物医薬(例えば、参照医薬)に(例えば、構造、機能又は特性が)非常に類似する製品である。SOLIRIS(登録商標)バイオシミラーの代表例としては、例えば、モノクローナル抗体ABP959;ELIZARIA;及びモノクローナル抗体SB12が挙げられる。
【0073】
例示的な抗C5抗体は、それぞれ配列番号14及び11に示される配列を有する重鎖及び軽鎖、又はその抗原結合断片及びバリアントを含むラブリズマブである。ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)としても公知)は、PCT/US2015/019225号明細書及び米国特許第9,079,949号明細書に記載されており、それらの全教示は参照により本明細書に組み込まれる。ラブリズマブはヒト補体タンパク質C5に選択的に結合し、補体活性化の間のC5a及びC5bへのその開裂を阻害する。この阻害は、炎症促進性メディエーターC5aの放出及び細胞溶解性ポア形成性膜侵襲複合体(MAC)C5b-9の形成を防止する一方、微生物のオプソニン化及び免疫複合体のクリアランスに不可欠な補体活性化の近接又は初期成分(例えば、C3及びC3b)を保存する。
【0074】
他の実施形態において、抗体は、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。抗体は、例えば、配列番号12に記載される配列を有するラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))のV領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインと、配列番号8に記載される配列を有するラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))のV領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインとを含み得る。別の実施形態において、抗体は、それぞれ配列番号19、18及び3に記載される配列を有する重鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインと、それぞれ配列番号4、5及び6に記載される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインとを含む。別の実施形態において、抗体は、それぞれ配列番号12及び配列番号8に記載されるアミノ酸配列を有するV及びV領域を含む。
【0075】
別の例示的な抗C5抗体は、それぞれ配列番号20及び11に示される配列を有する重鎖及び軽鎖、又はその抗原結合断片及びバリアントを含む。他の実施形態において、抗体は、配列番号20及び11の重鎖及び軽鎖CDRを含み得る。したがって、一実施形態において、抗体は、配列番号12に記載される配列を有するVのCDR1、CDR2及びCDR3ドメインと、配列番号8に記載される配列を有するV領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインとを含む。別の実施形態において、抗体は、それぞれ配列番号19、18及び3に記載される配列を有する重鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインと、それぞれ配列番号4、5及び6に記載される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインとを含む。
【0076】
CDRの正確な境界は、様々な方法に従って異なって定義されてきた。一部の実施形態において、軽鎖又は重鎖可変ドメイン内のCDR又はフレームワーク領域の位置は、Kabat et al.(“Sequences of Proteins of Immunological Interest.”NIH Publication No.91-3242,U.S.Department of Health and Human Services,Bethesda,MD,1991)により定義されるとおりであり得る。このような場合、CDRは、「Kabat CDR」と称することができる(例えば、「Kabat LCDR2」又は「Kabat HCDR1」)。一部の実施形態において、軽鎖又は重鎖可変領域のCDRの位置は、Chothia et al.(Nature,342:877-83,1989)により定義されるとおりであり得る。したがって、これらの領域は、「Chothia CDR」と称することができる(例えば、「Chothia LCDR2」又は「Chothia HCDR3」)。一部の実施形態において、軽鎖及び重鎖可変領域のCDRの位置は、Kabat-Chothia組合せ定義により定義されるとおりであり得る。このような実施形態において、これらの領域は、「組み合わせKabat-Chothia CDR」と称することができる(Thomas et al.,Mol.Immunol.,33:1389-401,1996)。
【0077】
別の実施形態において、抗体は、それぞれ配列番号12及び配列番号8に記載されるアミノ酸配列を有するV及びV領域を含む。別の実施形態において、抗体は、配列番号13に記載される重鎖定常領域を含む。別の実施形態において、抗体は、配列番号14に記載される重鎖ポリペプチドと、配列番号11に記載される軽鎖ポリペプチドとを含む。別の実施形態において、抗体は、ヒト胎児性Fc受容体(FcRn)に結合するバリアントヒトFc領域を含み、バリアントヒトFc CH3領域は、それぞれEU番号付けで、ネイティブヒトIgG Fc領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基においてMet429Leu及びAsn435Ser置換を含む。
【0078】
別の実施形態において、抗体は、それぞれ配列番号19、18及び3に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列と、それぞれ配列番号4、5及び6に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列と、ヒト胎児性Fc受容体(FcRn)に結合するバリアントヒトFc領域とを含み、バリアントヒトFc CH3領域は、それぞれEU番号付けで、ネイティブヒトIgG Fc領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基においてMet429Leu及びAsn435Ser置換を含む。
【0079】
別の実施形態において、本明細書に記載の抗C5抗体は、以下のアミノ酸配列:GHIFSNYWIQ(配列番号19)を含み、又はそれからなる重鎖CDR1を含む。別の実施形態において、本明細書に記載の抗C5抗体は、以下のアミノ酸配列:EILPGSGHTEYTENFKD(配列番号18)を含み、又はそれからなる重鎖CDR2を含む。
【0080】
別の実施形態において、抗体は、pH7.4及び25Cで、0.1nM≦K≦1nMの範囲内の親和性解離定数(K)でヒトC5に結合する。別の実施形態において、抗体は、pH6.0及び25Cで、K≧10nMでヒトC5に結合する。さらに別の実施形態において、抗体のpH6.0及び25CにおけるヒトC5に対する抗体又はその抗原結合断片のK)/(pH7.4及び25CにおけるヒトC5に対する抗体又はその抗原結合断片のKは、25超である。
【0081】
別の例示的な抗C5抗体は、米国特許第8,241,628号明細書及び同第8,883,158号明細書に記載されるとおりである。一実施形態において、抗体、又はその抗原結合断片は、それぞれ配列番号21、22及び23に記載される配列を有する重鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインと、それぞれ配列番号24、25及び26に記載される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインとを含む。別の実施形態において、抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号27に記載される配列を有するV領域と、配列番号28に記載される配列を有するV領域とを含む。
【0082】
別の例示的な抗C5抗体も、米国特許第8,241,628号明細書及び同第8,883,158号明細書に記載される。一実施形態において、抗体、又はその抗原結合断片は、それぞれ配列番号29、30及び31に記載される配列を有する重鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインと、それぞれ配列番号32、33及び34に記載される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインとを含む。別の実施形態において、抗体は、配列番号35に記載される配列を有するV領域と、配列番号36に記載される配列を有するV領域とを含む。
【0083】
別の例示的な抗C5抗体は、米国特許出願公開第2016/0176954A1号明細書に記載される。一実施形態において、抗体、又はその抗原結合断片は、それぞれ配列番号37、38及び39に記載される配列を有する重鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインと、それぞれ配列番号40、41及び42に記載される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインとを含む。別の実施形態において、抗体は、配列番号43に記載される配列を有するV領域と、配列番号44に記載される配列を有するV領域とを含む。
【0084】
別の例示的な抗C5抗体は、Fukuzawa T.et al.(Sci.Rep.,7:1080,2017)に記載される。一実施形態において、抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号45を含む重鎖と、配列番号46を含む軽鎖とを含む。
【0085】
別の例示的な抗C5抗体は、米国特許出願公開第2017/0355757号明細書に記載される。一実施形態において、抗体は、配列番号47を含む重鎖可変領域と、配列番号48を含む軽鎖可変領域とを含む。別の実施形態において、抗体は、配列番号49を含む重鎖と、配列番号50を含む軽鎖とを含む。
【0086】
本明細書に記載の抗体は、上述の抗体のいずれかとC5上の同じエピトープとの結合について競合し、及び/又はC5上の同じエピトープに結合し得る。2つ以上の抗体に関する「同じエピトープに結合する」という用語は、抗体が、所与の方法により決定した場合に、アミノ酸残基の同じセグメントに結合することを意味する。抗体が、本明細書に記載の抗体と、「C5上の同じエピトープ」に結合するか否かを決定するための技術としては、例えば、エピトープマッピング法、例えば、エピトープの原子分解能を提供する抗原:抗体複合体の結晶のX線分析、及び水素/重水素交換質量分析(HDX-MS)が挙げられる。他の方法は、ペプチド抗原断片又は抗原のバリエーションへの抗体の結合をモニタリングし、ここで、抗原配列内のアミノ酸残基の改変に起因する結合の喪失は、エピトープ成分の指標とみなされる場合が多い。さらに、エピトープマッピングのためのコンビナトリアル計算法を使用することもできる。これらの方法は、特定の短いペプチドをコンビナトリアルファージディスプレイペプチドライブラリーから親和性単離する、目的の抗体の能力に依存する。同じV及びV又は同じCDR1、CDR2及びCDR3配列を有する抗体は、同じエピトープに結合すると予測される。
【0087】
本明細書に記載の抗体は、例えば、上述の抗体と少なくとも約90%の可変領域アミノ酸配列同一性(例えば、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の可変領域同一性)を有し得る。
【0088】
本明細書に記載の抗C5抗体は、一部の実施形態において、バリアントヒトFc領域が由来したネイティブヒトFc領域の親和性よりも高い親和性でヒト胎児性Fc受容体(FcRn)に結合するバリアントヒトFc領域を含み得る。Fc定常領域は、例えば、バリアントヒトFc領域が由来したネイティブヒトFc領域と比べて、1つ以上の(例えば、2、3、4、5、6、7、8つ以上の)アミノ酸置換を含み得る。置換は、pH6.0におけるFcRnに対するバリアントFc領域を含有するIgG抗体の結合親和性を増加させ得る一方、相互作用のpH依存性を維持する。抗体のFc領域中の1つ以上の置換が、(相互作用のpH依存性を維持しつつ)pH6.0におけるFcRnに対するFc領域の親和性を増加させるか否かを試験する方法は当該技術分野で公知であり、実施例に例示される。
【0089】
FcRnに対する抗体Fc領域の結合親和性を向上させる置換は当該技術分野で公知であり、これとしては、例えば、(1)M252Y/S254T/T256E三重置換(Dall’Acqua,W.et al.,J.Biol.Chem.,281:23514-24,2006);(2)M428L又はT250Q/M428L置換(Hinton,P.et al.,J.Biol.Chem.,279:6213-6,2004;Hinton,P.et al.,J.Immunol.,176:346-56);及び(3)N434A又はT307/E380A/N434A置換(Petkova,S.et al.,Int.Immunol.,18:1759-69,2006)が挙げられる。追加の置換ペア、例えば、P257I/Q311I、P257I/N434H及びD376V/N434Hが、例えば、Datta-Mannan,A.et al.(J.Biol.Chem.,282:1709-17,2007)に記載される。これらの参照文献のそれぞれの開示は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0090】
一部の実施形態において、定常領域は、EUアミノ酸残基255におけるバリンについての置換、EUアミノ酸残基309におけるアスパラギンについての置換、EUアミノ酸残基312におけるイソロイシンについての置換及び/又はEUアミノ酸残基386における置換を含み得る。
【0091】
本明細書に記載の抗体は、バリアントFc領域が由来したネイティブ定常領域と比べて、30以下(例えば、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3又は2つ以下)のアミノ酸置換、挿入又は欠失のバリアントFc領域を含み得る。一部の実施形態において、バリアントFc領域は、M252Y、S254T、T256E、N434S、M428L、V259I、T250I及びV308Fからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む。一部の実施形態において、バリアントヒトFc領域は、それぞれEU番号付けで、428位におけるメチオニン及び434位におけるアスパラギンを含む。一部の実施形態において、バリアントFc領域は、例えば、米国特許第8.088,376号明細書に記載される428L/434S二重置換を含む。
【0092】
一部の実施形態において、置換の正確な位置は、抗体操作のための望まれるとおり、ネイティブヒトFc領域位置からシフトさせることができる。例えば、428L/434S二重置換は、IgG2/4キメラFcにおいて使用される場合、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))に見出されるM429L及びN435Sバリアントのように、429L及び435Sに対応し得る。
【0093】
本明細書に記載の抗体は、例えば、ネイティブヒト定常領域と比べて、1つ以上のアミノ酸237、238、239、248、250、252、254、255、256、257、258、265、270、286、289、297、298、303、305、307、308、309、311、312、314、315、317、325、332、334、360、376、380、382、384、385、386、387、389、424、428、433、434又は436位(EU番号付け)における置換を含む定常領域を含み得る。一部の実施形態において、置換は、全てEU番号付けで、237位におけるグリシンからメチオニンへ;238位におけるプロリンからアラニンへ;239位におけるセリンからリジンへ;248位におけるリジンからイソロイシンへ;250位におけるトレオニンからアラニン、フェニルアラニン、イソロイシン、メチオニン、グルタミン、セリン、バリン、トリプトファン又はチロシンへ;252位におけるメチオニンからフェニルアラニン、トリプトファン又はチロシンへ;254位におけるセリンからトレオニンへ;255位におけるアルギニンからグルタミン酸へ;256位におけるトレオニンからアスパラギン酸、グルタミン酸又はグルタミンへ;257位におけるプロリンからアラニン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、セリン、トレオニン又はバリンへ;258位におけるグルタミン酸からヒスチジンへ;265位におけるアスパラギン酸からアラニンへ;270位におけるアスパラギン酸からフェニルアラニンへ;286位におけるアスパラギンからアラニン又はグルタミン酸へ;289位におけるトレオニンからヒスチジンへ;297位におけるアスパラギンからアラニンへ;298位におけるセリンからグリシンへ;303位におけるバリンからアラニンへ;305位におけるバリンからアラニンへ;307位におけるトレオニンからアラニン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、バリン、トリプトファン又はチロシンへ;308位におけるバリンからアラニン、フェニルアラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、プロリン、グルタミン又はトレオニンへ;309位におけるロイシン又はバリンからアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン又はアルギニンへ;311位におけるグルタミンからアラニン、ヒスチジン又はイソロイシンへ;312位におけるアスパラギン酸からアラニン又はヒスチジンへ;314位におけるロイシンからリジン又はアルギニンへ;315位におけるアスパラギンからアラニン又はヒスチジンへ;317位におけるリジンからアラニンへ;325位におけるアスパラギンからグリシンへ;332位におけるイソロイシンからバリンへ;334位におけるリジンからロイシンへ;360位におけるリジンからヒスチジンへ;376位におけるアスパラギン酸からアラニンへ;380位におけるグルタミン酸からアラニンへ;382位におけるグルタミン酸からアラニンへ;384位におけるアスパラギン又はセリンからアラニンへ;385位におけるグリシンからアスパラギン酸又はヒスチジンへ;386位におけるグルタミンからプロリンへ;387位におけるプロリンからグルタミン酸へ;389位におけるアスパラギンからアラニン又はセリンへ;424位におけるセリンからアラニンへ;428位におけるメチオニンからアラニン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン又はチロシンへ;433位におけるヒスチジンからリジンへ;434位におけるアスパラギンからアラニン、フェニルアラニン、ヒスチジン、セリン、トリプトファン又はチロシンへ;及び436位におけるチロシン又はフェニルアラニンからヒスチジンへの置換からなる群から選択される。
【0094】
本明細書に記載の方法における使用に好適な抗C5抗体は、一部の実施形態において、配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び/又は配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む。或いは、本明細書に記載の方法における使用のための抗C5抗体は、一部の実施形態において、配列番号20に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び/又は配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む。
【0095】
一実施形態において、抗体は、pH7.4及び25℃で(及びそうでなければ、生理的条件下で)、少なくとも0.1nM(例えば、少なくとも0.15、0.175、0.2、0.25、0.275、0.3、0.325、0.35、0.375、0.4、0.425、0.45、0.475、0.5、0.525、0.55、0.575、0.6、0.625、0.65、0.675、0.7、0.725、0.75、0.775、0.8、0.825、0.85、0.875、0.9、0.925、0.95又は0.975nM)であるKでC5に結合する。一部の実施形態において、抗C5抗体、又はその抗原結合断片のKは、1nM以下(例えば、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3又は0.2nM以下)である。
【0096】
他の実施形態において、pH6.0で25℃におけるC5に対する抗体のK)/(pH7.4で25CにおけるC5に対する抗体のKは、21超(例えば、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500又は8000超)である。
【0097】
本明細書に記載の抗C5抗体は、例えば、少なくとも20日間(例えば、少なくとも21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54又は55日間)であるヒトにおける血清半減期を有し得る。別の実施形態において、本明細書に記載の抗C5抗体は、少なくとも40日間であるヒトにおける血清半減期を有する。別の実施形態において、本明細書に記載の抗C5抗体は、およそ43日間であるヒトにおける血清半減期を有する。別の実施形態において、本明細書に記載の抗C5抗体は、39~48日間であるヒトにおける血清半減期を有する。抗体の血清半減期を測定する方法は、当該技術分野で公知である。一部の実施形態において、本明細書に記載の抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、エクリズマブの血清半減期よりも少なくとも20%長い(例えば、エクリズマブの血清半減期よりも少なくとも30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、250、300、400、500%長い)血清半減期を有する。
【0098】
「標的への結合について別の抗体と競合する」抗体は、標的への他の抗体の結合を(部分的又は完全に)阻害する抗体を指す。2つの抗体が標的への結合について互いに競合するか否か、すなわち、一方の抗体が標的への他方の抗体の結合を阻害するか否か及びどの程度まで阻害するかは、公知の競合実験を使用して決定することができる。ある実施形態において、抗体は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%だけ標的への結合について別の抗体と競合し、標的への別の抗体の結合を阻害する。阻害又は競合のレベルは、どの抗体が「遮断抗体」であるかに応じて異なり得る。競合抗体は、(例えば、立体障害により明らかなとおり)同じエピトープ、重複エピトープ又は隣接エピトープに結合する。
【0099】
本明細書に記載の方法において使用される、本明細書に記載される抗C5抗体又はその抗原結合断片は、種々の当該技術分野で認識される技術を使用して生成することができる。モノクローナル抗体は、当業者に知られた種々の技術により得ることができる。簡潔に述べると、所望の抗原で免疫化された動物からの脾細胞を一般には骨髄腫細胞との融合により不死化させる(Koehler,G.& Milstein,C.,Eur.J.Immunol.,6:511-9,1976)。不死化の代替的方法としては、エプスタイン・バーウイルス、癌遺伝子若しくはレトロウイルスによる形質転換、又は当該技術分野で公知の他の方法が挙げられる。単一の不死化細胞から生じるコロニーを、抗原に対する所望の特異性及び親和性を有する抗体の産生についてスクリーニングし、そのような細胞により産生されるモノクローナル抗体の収量は、種々の技術、例として、脊椎動物宿主の腹腔中への注射により向上させることができる。或いは、ヒトB細胞からのDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、モノクローナル抗体又はその結合断片をコードするDNA配列を単離することができる(Huse,W.et al.,Science,246:1275-81,1989)。
【0100】
II.組成物
本明細書に記載の抗C5抗体、又はその抗原結合断片を含む組成物を医薬液剤として配合することができる。医薬組成物は一般に、薬学的に許容可能な担体を含む。本明細書において使用されるとき、「薬学的に許容可能な担体」は、生理学的に適合性である任意の及び全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを指し、例としてそれらが挙げられる。組成物は、例えば、薬学的に許容可能な塩、例えば、酸付加塩若しくは塩基付加塩、糖、炭水化物、ポリオール及び/又は張度改変剤を含み得る。
【0101】
本明細書に記載の組成物は、標準的な方法に従って配合することができる。医薬配合は、十分確立された技術分野である(Gennaro,“Remington:The Science and Practice of Pharmacy,”20thEdition,Lippincott,Williams&Wilkins(ISBN:0683306472),2000;Ansel et al.,“Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,”7thEdition,Lippincott Williams&Wilkins Publishers(ISBN:0683305727),1999;及びKibbe,“Handbook of Pharmaceutical Excipients American Pharmaceutical Association,”3rdEdition(ISBN:091733096X),2000)。一部の実施形態において、組成物は、例えば、好適な濃度の、2~8℃(例えば、4℃)における貯蔵に好適な緩衝溶液として配合することができる。一部の実施形態において、組成物は、0℃未満の温度(例えば、-20℃又は-80℃)における貯蔵のために配合することができる。一部の実施形態において、組成物は、2~8℃(例えば、4℃)における最長2年間(例えば、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、1年半又は2年)の貯蔵のために配合することができる。したがって、一部の実施形態において、本明細書に記載の組成物は、2~8℃(例えば、4℃)における少なくとも1年間の貯蔵において安定である。
【0102】
医薬組成物は、種々の形態であり得る。これらの形態としては、例えば、液体、半固体及び固体の剤形、例えば、液体液剤(例えば、注射可能な及び注入可能な液剤)、分散剤又は懸濁剤、錠剤、丸剤、散剤、リポソーム及び坐剤が挙げられる。好ましい形態は、意図される投与方式及び治療用途に一部依存する。全身又は局所送達のために意図される組成物を含有する組成物は、例えば、注射可能な又は注入可能な液剤の形態であり得る。したがって、組成物は、非経口方式(例えば、静脈内、皮下、腹腔内又は筋肉内注射)による投与のために配合することができる。「非経口投与」、「非経口投与される」及び他の文法的に等価な語句は、本明細書で使用されるとき、経腸及び外用投与以外の、通常は注射による投与方式を指し、それとしては、限定されるものではないが、静脈内、鼻腔内、眼内、肺、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、肺内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、脳内、頭蓋内、頸動脈内及び胸骨内の注射及び注入が挙げられる。
【0103】
一部の実施形態において、抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、医薬溶液として配合され、静脈内注射を介して投与される。
【0104】
一部の実施形態において、組成物は、注射のためのラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))を含む。一実施形態において、注射は、静脈内使用のための、無菌の、透明から半透明の、わずかに白帯色の保存剤不含液剤である。別の実施形態において、各単一用量バイアルは、7.0のpHで10mg/mLの濃度の、注射のための300mgのラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))を含有する。別の実施形態において、注射のためのラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))は、5mg/mLの最終濃度への希釈を要求する。別の実施形態において、各1mLは、ポリソルベート80(0.2mg;植物起源)、塩化ナトリウム(8.77mg)、リン酸一水素ナトリウム(1.78mg)、リン酸二水素ナトリウム(0.46mg)及び水をさらに含む。
【0105】
III.治療の方法
ヒト患者におけるCM-TMAを治療する方法であって、患者に抗C5抗体、又はその抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)))を投与することを含む方法が提供される。本明細書において使用されるとき、「対象」又は「患者」という用語は、ヒト患者(例えば、CM-TMAを有する患者)である。
【0106】
一部の実施形態において、CM-TMAを有する患者は、aHUS、例として、産後aHUS、又はaHUSを引き起こす任意の既知の遺伝子突然変異を有する患者を除外する。一部の実施形態において、CM-TMAを有する患者は、慢性腎疾患(CKD)を有する患者でない。一部の実施形態において、CM-TMAを有する患者は、造血幹細胞移植に起因するTMA(HSCT-TMA)を発症した患者でない。一部の実施形態において、CM-TMAを有する患者は、ループス以外の一次性及び二次性糸球体疾患並びに/又は原発性抗リン脂質抗体症候群(APS)の病歴を有さない。一部の実施形態において、患者は、志賀毒素産生性大腸菌(Escherichia coli)感染、例えば、志賀毒素関連溶血性尿毒症症候群(STEC-HUS)の病歴を有さない。一部の実施形態において、患者は、家族性又は後天性ADAMTS13(トロンボスポンジン1型モチーフ第13番を有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ)欠損であって、例えば、5%未満の活性に起因するADAMTS13欠損を有さない。一部の実施形態において、患者は、直接クームス試験(溶血性貧血を同定するための試験)で陰性である。一部の実施形態において、患者の腎生検は、間質線維化・尿細管萎縮、糸球体硬化症、又は少なくとも50%の半月体形成について陰性である。一部の実施形態において、患者は、細胞/抗体媒介移植片拒絶(AMR)のエビデンスを有する移植患者でない。
【0107】
補体媒介血栓性微小血管障害症(CM-TMA)は、過剰の補体の生成により駆動される臨床的障害である。これは、血小板減少症(血液中の異常に低いレベルの、トロンボサイトとしても公知の血小板により特徴付けられる病態)及び微小血管障害性溶血性貧血(微小血管中の因子により引き起こされる溶血性貧血(破壊を介する赤血球の損失)のサブグループ)により特徴付けられ、微小血管血栓症(フィブリン及び/又は血小板リッチ血栓による微小血管の病理学的閉塞)は、全身臓器損傷(TMA)をもたらす。CM-TMAの1つの形態、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)は、全身内皮及び臓器損傷をもたらす、補体系の天然調節因子の損失に起因する病理学的補体活性化により特徴付けられる。
【0108】
aHUSは、遺伝性、後天性、又は特発性であり得る。aHUSの遺伝性形態は、多数のヒト補体成分、例として、例えば、補体H因子(CFH)、膜補因子タンパク質(MCP)、補体I因子(CFI)、C4b結合タンパク質(C4BP)、補体B因子(CFB)、及び補体成分3(C3)における突然変異と関連し得る(例えば、Caprioli et al.(2006)Blood 108:1267-1279参照)。CD55をコードする遺伝子中のある突然変異は、aHUSとは未だ関連付けられていないものの、aHUSの重症度と関連する(例えば、Esparza-Gordillo et al.(2005)Hum Mol Genet 14:703-712参照)。aHUSは、同じ家族の2人以上(例えば、3、4、5、又は6人以上)のメンバーが少なくとも6か月空いて疾患に罹患し、共通の誘発剤への曝露が排除されている場合、又は1つ以上のaHUS関連遺伝子突然変異(例えば、CFH、MCP/CD46、CFB、又はCFIにおける1つ以上の突然変異)が対象において同定される場合、遺伝性とみなすことができる。例えば、対象は、CFH関連aHUS、CFB関連aHUS、CFI関連aHUS又はMCP関連aHUSを有し得る。遺伝性aHUSの最大30%がCFHにおける突然変異と、12%がMCPにおける突然変異と、5~10%がCFIにおける突然変異と、2%未満がCFBにおける突然変異と関連する。遺伝性aHUSは、複発性(multiplex)(すなわち、家族性;2人以上の罹患した家族メンバー)又は単発性(simplex)(すなわち、家族で単一の出現)であり得る。aHUSは、根底にある環境因子(例えば、薬物、全身疾患、又は志賀様外毒素をもたらさないウイルス若しくは細菌性作用物質)又はトリガーを同定することができる場合、後天性とみなすことができる。aHUSは、トリガー(遺伝性又は環境性)が明らかでない場合、特発性とみなすことができる。
【0109】
ヒト対象が血小板減少症、微小血管症性溶血性貧血、又は急性腎機能不全症を有するか否かを決定するために実験室試験を実施することができる。血小板減少症は、医療従事者により、(i)150,000/mm未満(例えば、60,000/mm未満)の血小板数;(ii)循環中の血小板破壊の向上を反映する、低減される血小板生存時間の低減;並びに(iii)血小板新生の二次的活性化と一致する、末梢スメアにおいて観察される巨大血小板の1つ以上として診断することができる。微小血管症性溶血性貧血は、医療従事者により、(i)10mg/dL未満(例えば、6.5mg/dL未満)のヘモグロビン濃度;(ii)増加した血清乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)濃度(>460U/L);(iii)高ビリルビン血症、網赤血球増加症、循環遊離ヘモグロビン、及び低い又は検出不能なハプトグロビン濃度;並びに(iv)陰性クームス試験と併せた、末梢スメアにおける有棘赤血球又はヘルメット細胞の典型的態様を有する断片化赤血球(破砕赤血球)の検出の1つ以上として診断することができる。例えば、Kaplan et al.(1992)“Hemolytic Uremic Syndrome and Thrombotic Thrombocytopenic Purpura,”Informa Health Care(ISBN0824786637)及びZipfel(2005)“Complement and Kidney Disease,”Springer(ISBN3764371668)参照。C3及びC4の血中濃度を補体活性化又は機能不全の尺度として使用することもできる。さらに、対象の状態は、aHUSと関連する遺伝子、例えば、CFI、CFB、CFH、又はMCP中の1つ以上の突然変異を保有すると対象を同定することにより、さらに特徴付けることができる(上記)。遺伝子中の突然変異を検出するために好適な方法としては、例えば、DNAシーケンシング及び核酸アレイ技術が挙げられる。例えば、Breslin et al.(2006)Clin Am Soc Nephrol 1:88-99及びGoicoechea de Jorge et al.(2007)Proc Natl Acad Sci USA 104:240-245参照。
【0110】
本発明の一態様において、本明細書に記載の方法に従って治療されるCM-TMAは、トリガーに伴う(「二次性TMA」とも称される)。本明細書において使用されるとき、「トリガー」は、CM-TMAの発生を引き起こすイベント、状況、又は病態である。
【0111】
一実施形態において、CM-TMAトリガーは、自己免疫性病態又はイベントである。例示的な自己免疫性病態としては、限定されるものではないが、後天性再生不良性貧血、急性播種性脳脊髄炎(ADEM)、急性出血性白質脳炎(AHLE)/ハースト病、ガンマグロブリン血症(原発性)、円形脱毛症、強直性脊椎炎(AS)、抗NMDA受容体脳炎、抗リン脂質症候群(APS)、動脈硬化症、自閉症スペクトラム障害(ASD)、自己免疫性アジソン病(AAD)、自己免疫性自律神経失調症/自己免疫性自律神経節障害(AAG)、自己免疫性脳炎、自己免疫性胃炎、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、自己免疫性肝炎(AIH)、自己免疫性高脂血症、自己免疫性下垂体炎/リンパ球性下垂体炎、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)、自己免疫性心筋炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性精巣炎、自己免疫性膵炎(AIP)/免疫グロブリンG4関連疾患(IgG4-RD)、自己免疫性多腺性症候群(I型、II型、及びIII型)、自己免疫性プロゲステロン皮膚炎、自己免疫性突発性感音難聴(SNHL)、バロー病、ベーチェット病、散弾状脈絡膜網膜症/散弾状ぶどう膜炎、水疱性類天疱瘡、キャッスルマン病、セリアック病、シャーガス病、慢性疲労症候群(CFS)/筋痛性脳脊髄炎(ME)、慢性炎症性脱髄性多発神経障害(CIDP)、慢性ライム病/治療後ライム病症候群(PTLDS)、慢性蕁麻疹(CU)、チャーグ・ストラウス症候群/好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)、瘢痕性類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷凝集素症、CREST症候群/限局皮膚硬化型全身性強皮症、クローン病(CD)、クロンカイト・カナダ症候群(CSS)、特発性器質化肺炎(COP)、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、1型糖尿病、円板状ループス、エレスラー症候群/心筋梗塞後/心膜切開後症候群、子宮内膜症、好酸球性筋膜炎、結節性紅斑、本態性混合型クリオグロブリン血症、エバンス症候群、線維化肺胞炎、巨細胞性動脈炎/側頭動脈炎/ホートン病、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群/抗GBM/抗TBM病、多発血管炎性肉芽腫症(GPA)/ウェゲナー肉芽腫症、グレーブス病、ギラン・バレー症候群(GBS)、橋本甲状腺炎/慢性リンパ球性甲状腺炎/自己免疫性甲状腺炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病/IgA血管炎、妊娠性疱疹/類天疱瘡、低ガンマグロブリン血症、IgA腎症/バージャー病、免疫性血小板減少症(ITP)/自己免疫性血小板減少性紫斑病、間質性膀胱炎、若年性特発性関節炎、川崎病、ランバート・イートン無筋力症候群(LEMS)、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、木質性結膜炎、線状IgA病(LAD)/線状IgA水疱性皮膚症(LABD)、ループス腎炎、メニエール病、顕微鏡的多発血管炎(MPA)、混合性結合組織病(MCTD)、モーレン潰瘍、ムッハ・ハーベルマン病、多発性硬化症(MS)、重症筋無力症(MG)、視神経脊髄炎(NMO)/デビック病、ナルコレプシー、非長さ依存性小径線維感覚性ニューロパチー(SFSN)、眼類天疱瘡、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群(OMS)、回帰性リウマチ、掌蹠膿疱症(乾癬のタイプ)、傍腫瘍性小脳変性症、腫瘍随伴性天疱瘡、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、周辺性ぶどう膜炎/扁平部炎、パーソネージ・ターナー症候群、落葉状天疱瘡、尋常性天疱瘡、悪性貧血、POEMS症候群、結節性多発動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎、体位性起立性頻脈症候群(POTS)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)/原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎(PSC)、乾癬、乾癬性関節炎、特発性肺線維症(IPF)、赤芽球癆、壊疽性膿皮症、レイノー現象、反応性関節炎/ライター症候群、反射性交感神経性ジストロフィー症候群、再発性多発軟骨炎、むずむず脚症候群/ウィリス・エクボム病、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、シュミット症候群/自己免疫性多内分泌腺症候群II型、全身性強皮症、強膜炎、強皮症、地図状脈絡膜炎、シェーグレン症候群、スティッフパーソン症候群(SPS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、亜急性細菌性心内膜炎(SBE)、シデナム舞踏病、交感性眼炎、高安動脈炎(血管炎)、精巣自己免疫(血管炎/精巣炎)、トロサ・ハント症候群、横断性脊髄炎(TM)、尿細管間質性腎炎・ぶどう膜炎症候群(TINU)、潰瘍性大腸炎(UC)、未分化結合組織病(UCTD)、ぶどう膜炎(前部)、ぶどう膜炎(中間部)、ぶどう膜炎(後部)、血管炎、白斑、及びフォークト・小柳・原田症候群(VKH)が挙げられる。一実施形態において、自己免疫性トリガーは、ループス腎炎である。別の実施形態において、自己免疫性トリガーは、全身性強皮症である。
【0112】
別の実施形態において、CM-TMAトリガーは、感染、例えば、細菌感染、ウイルス感染、真菌感染、又は寄生虫感染である。一実施形態において、トリガーは、連鎖球菌性咽頭炎、細菌性尿路感染症(UTI)(例えば、大腸菌群により引き起こされることが多い)、細菌性食中毒(例えば、大腸菌(E.coli)、サルモネラ菌(Salmonella)、又は赤痢菌(Shigella)により引き起こされることが多い)、細菌性蜂窩織炎(例えば、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)などに起因する、細菌性膣炎、淋病、クラミジア、梅毒、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)(C.diff)、結核、百日咳、肺炎球菌肺炎、細菌性髄膜炎、ライム病コレラ、ボツリヌス症、破傷風、及び炭疽からなる群から選択される細菌感染である。
【0113】
別の実施形態において、トリガーは、インフルエンザ(流感)、風邪、麻疹、風疹、水痘、ノロウイルス、ポリオ、伝染性単核球症(mono)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、A型、B型、C型、D型、及びE型肝炎が含まれ得るウイルス肝炎、ウイルス性髄膜炎、ウエストナイルウイルス、狂犬病、エボラ、及びCOVID-19からなる群から選択されるウイルス感染である。
【0114】
別の実施形態において、トリガーは、酵母感染、白癬、水虫、カンジダ症、アスペルギルス症、ヒストプラズマ症、クリプトコッカス感染、及び真菌性髄膜炎からなる群から選択される真菌感染である。
【0115】
別の実施形態において、トリガーは、マラリア、トキソプラズマ症、トリコモナス症、ジアルジア症、条虫感染、回虫感染、シラミ、疥癬、リーシュマニア症、及び河川盲目症からなる群から選択される寄生虫感染である。
【0116】
別の実施形態において、CM-TMAトリガーは、移植である。一実施形態において、トリガーは、骨髄移植である。別の実施形態において、トリガーは、固形臓器移植(例えば、腎臓、膵臓、肝臓、心臓、及び小腸移植からなる群から選択される)である。
【0117】
別の実施形態において、CM-TMAトリガーは、1つ以上の薬物である。一部の実施形態において、TMAは、免疫媒介作用機構を有する薬物(例えば、キニン)によりトリガーされる。一部の実施形態において、TMAは、毒性作用機構を有する薬物(例えば、シクロスポリン又はタクロリムス)によりトリガーされる。具体的な実施形態において、TMAは、クロピドグレル、シクロスポリン、エストロゲン/プロゲステロン、ゲムシタビン、インターフェロン、マイトマイシン、キニン、タクロリムス、チクロピジン、又はそれらの組み合わせから選択される薬物によりトリガーされる。
【0118】
別の実施形態において、CM-TMAトリガーは、悪性高血圧である。悪性高血圧は、急速に発症し、一部のタイプの臓器損傷を引き起こす極端な高血圧(例えば、180/120超)である。
【0119】
本明細書で使用されるとき、「有効な治療」は、有益な効果、例えば、疾患又は障害の少なくとも1つの症状の改善を生じさせる治療を指す。有益な効果は、ベースラインを超える改善、すなわち、方法に従う治療の開始前に行われた測定又は観察を超える改善の形態をとり得る。例えば、有効な治療は、ベースラインと比較して、血小板減少症、微小血管症性溶血性貧血、及び/又は微小血管血栓の低減又は休止からなる群から選択される1つ以上の症状の軽減を指し得る。
【0120】
「有効量」という用語は、所望の生物学的、治療的、及び/又は予防的結果を提供する薬剤の量を指す。その結果は、疾患の徴候、症状、若しくは原因の1つ以上の、低減、改善、緩和、低下、遅延、及び/又は軽減、或いは生物系の任意の他の所望の変更であり得る。一例において、「有効量」は、CM-TMAの少なくとも1つの症状を軽減することが臨床的に証明された抗C5抗体、又はその抗原結合断片の量である。有効量は、1回以上の投与で投与することができる。
【0121】
一実施形態において、CM-TMAを有するヒト患者を治療する方法であって、患者に有効量の抗C5抗体、又はその抗原結合断片を投与することを含み、抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、それぞれ配列番号19、18及び3に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列と、それぞれ配列番号4、5及び6に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列とを含む方法が提供される。別の実施形態において、抗体は、ヒト胎児性Fc受容体(FcRn)に結合するバリアントヒトFc定常領域をさらに含み、バリアントヒトFc CH3定常領域は、それぞれEU番号付けで、ネイティブヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基においてMet-429-Leu及びAsn-435-Ser置換を含む。
【0122】
一実施形態において、抗C5抗体、又は抗原結合断片は、固定用量で投与する。例えば、一実施形態において、抗C5抗体、又は抗原結合断片は、患者の体重に関係なく、10mg、20mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、40mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、2000mg、2100mg、2200mg、2300mg、2400mg、2500mg、2600mg、2700mg、2800mg、2900mg、3000mg、3100mg、3200mg、3300mg、3400mg、3500mg、3600mg、3700mg、3800mg、3900mg、4000mg、4100mg、4200mg、4300mg、4400mg、4500mg、4600mg、4700mg、4800mg、4900mg、5000mg、5100mg、5200mg、5300mg、5400mg、5500mg、5600mg、5700mg、5800mg、5900mg、6000mg、6100mg、6200mg、6300mg、6400mg、6500mg、6600mg、6700mg、6800mg、6900mg、7000mg、7100mg、7200mg、7300mg、7400mg、7500mg、7600mg、7700mg、7800mg、7900mg、8000mg、8100mg、8200mg、8300mg、8400mg、8500mg、8600mg、8700mg、8800mg、8900mg、9000mg、9100mg、9200mg、9300mg、9400mg、9500mg、9600mg、9700mg、9800mg、9900mg、10000mg、10100mg、10200mg、10300mg、10400mg、10500mg、10600mg、10700mg、10800mg、10900mg又は11000mgの用量で投与する。
【0123】
別の実施形態において、抗C5抗体、又はその抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)))は、1200mg、2400mg、2700mg、3000mg、3300mg、又は3600mgの用量で投与する。
【0124】
別の実施形態において、抗C5抗体、又は抗原結合断片の用量は、患者の体重に基づく。例えば、一実施形態において、10mg、20mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、2000mg、2100mg、2200mg、2300mg、2400mg、2500mg、2600mg、2700mg、2800mg、2900mg、3000mg、3100mg、3200mg、3300mg、3400mg、3500mg、3600mg、3700mg、3800mg、3900mg、4000mg、4100mg、4200mg、4300mg、4400mg、4500mg、4600mg、4700mg、4800mg、4900mg、5000mg、5100mg、5200mg、5300mg、5400mg、5500mg、5600mg、5700mg、5800mg、5900mg、6000mg、6100mg、6200mg、6300mg、6400mg、6500mg、6600mg、6700mg、6800mg、6900mg、7000mg、7100mg、7200mg、7300mg、7400mg、7500mg、7600mg、7700mg、7800mg、7900mg、8000mg、8100mg、8200mg、8300mg、8400mg、8500mg、8600mg、8700mg、8800mg、8900mg、9000mg、9100mg、9200mg、9300mg、9400mg、9500mg、9600mg、9700mg、9800mg、9900mg、10000mg、10100mg、10200mg、10300mg、10400mg、10500mg、10600mg、10700mg、10800mg、10900mg又は11000mgの抗C5抗体、又は抗原結合断片を≧30~<40kgの体重の患者に投与する。別の実施形態において、1200mg又は2700mgの抗C5抗体、又はその抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)))を、≧30~<40kgの体重の患者に投与する。
【0125】
別の実施形態において、10mg、20mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、2000mg、2100mg、2200mg、2300mg、2400mg、2500mg、2600mg、2700mg、2800mg、2900mg、3000mg、3100mg、3200mg、3300mg、3400mg、3500mg、3600mg、3700mg、3800mg、3900mg、4000mg、4100mg、4200mg、4300mg、4400mg、4500mg、4600mg、4700mg、4800mg、4900mg、5000mg、5100mg、5200mg、5300mg、5400mg、5500mg、5600mg、5700mg、5800mg、5900mg、6000mg、6100mg、6200mg、6300mg、6400mg、6500mg、6600mg、6700mg、6800mg、6900mg、7000mg、7100mg、7200mg、7300mg、7400mg、7500mg、7600mg、7700mg、7800mg、7900mg、8000mg、8100mg、8200mg、8300mg、8400mg、8500mg、8600mg、8700mg、8800mg、8900mg、9000mg、9100mg、9200mg、9300mg、9400mg、9500mg、9600mg、9700mg、9800mg、9900mg、10000mg、10100mg、10200mg、10300mg、10400mg、10500mg、10600mg、10700mg、10800mg、10900mg、又は11000mgの抗C5抗体、又は抗原結合断片を、≧40~<60kgの体重の患者に投与する。別の実施形態において、2400mg又は3000mgのC5抗体、又はその抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)))を、≧40~<60kgの体重の患者に投与する。
【0126】
別の実施形態において、10mg、20mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、2000mg、2100mg、2200mg、2300mg、2400mg、2500mg、2600mg、2700mg、2800mg、2900mg、3000mg、3100mg、3200mg、3300mg、3400mg、3500mg、3600mg、3700mg、3800mg、3900mg、4000mg、4100mg、4200mg、4300mg、4400mg、4500mg、4600mg、4700mg、4800mg、4900mg、5000mg、5100mg、5200mg、5300mg、5400mg、5500mg、5600mg、5700mg、5800mg、5900mg、6000mg、6100mg、6200mg、6300mg、6400mg、6500mg、6600mg、6700mg、6800mg、6900mg、7000mg、7100mg、7200mg、7300mg、7400mg、7500mg、7600mg、7700mg、7800mg、7900mg、8000mg、8100mg、8200mg、8300mg、8400mg、8500mg、8600mg、8700mg、8800mg、8900mg、9000mg、9100mg、9200mg、9300mg、9400mg、9500mg、9600mg、9700mg、9800mg、9900mg、10000mg、10100mg、10200mg、10300mg、10400mg、10500mg、10600mg、10700mg、10800mg、10900mg又は11000mgの抗C5抗体、又はその抗原結合断片を、≧60~<100kgの体重の患者に投与する。別の実施形態において、2700mg又は3300mgの抗C5抗体、又はその抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)))を、≧60~<100kgの体重の患者に投与する。
【0127】
別の実施形態において、10mg、20mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、2000mg、2100mg、2200mg、2300mg、2400mg、2500mg、2600mg、2700mg、2800mg、2900mg、3000mg、3100mg、3200mg、3300mg、3400mg、3500mg、3600mg、3700mg、3800mg、3900mg、4000mg、4100mg、4200mg、4300mg、4400mg、4500mg、4600mg、4700mg、4800mg、4900mg、5000mg、5100mg、5200mg、5300mg、5400mg、5500mg、5600mg、5700mg、5800mg、5900mg、6000mg、6100mg、6200mg、6300mg、6400mg、6500mg、6600mg、6700mg、6800mg、6900mg、7000mg、7100mg、7200mg、7300mg、7400mg、7500mg、7600mg、7700mg、7800mg、7900mg、8000mg、8100mg、8200mg、8300mg、8400mg、8500mg、8600mg、8700mg、8800mg、8900mg、9000mg、9100mg、9200mg、9300mg、9400mg、9500mg、9600mg、9700mg、9800mg、9900mg、10000mg、10100mg、10200mg、10300mg、10400mg、10500mg、10600mg、10700mg、10800mg、10900mg、又は11000mgの抗C5抗体、又はその抗原結合断片を、≧100kgの体重の患者に投与する。別の実施形態において、3000mg又は3600mgの抗C5抗体、又はその抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)))を、≧100kgの体重の患者に投与する。
【0128】
別の実施形態において、CM-TMA(例えば、トリガー、例えば、自己免疫性病態、感染、移植、1つ以上の薬物、又は悪性高血圧に伴うCM-TMA)を有するヒト患者を治療する方法であって、患者に抗C5抗体、又はその抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)))を
(a)1日目に1回、≧30~<40kgの体重の患者に対して1200mg、≧40~<60kgの体重の患者に対して2400mg、≧60~<100kgの体重の患者に対して2700mg、又は≧100kgの体重の患者に対して3000mgの用量で;
(b)15日目及びその後8週間毎に、≧30~<40kgの体重の患者に対して2700mg、≧40~<60kgの体重の患者に対して3000mg、≧60~<100kgの体重の患者に対して3300mg、又は≧100kgの体重の患者に対して3600mgの用量で
投与することを含む方法が提供される。
【0129】
別の実施形態において、CM-TMA(例えば、トリガー、例えば、自己免疫性病態、感染、移植、1つ以上の薬物、又は悪性高血圧に伴うCM-TMA)を有するヒト患者を治療する方法であって、抗C5抗体、又はその抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)))を、≧30~<40kgの体重の患者に
(a)1日目に1回、1200mgの用量で;
(b)15日目及びその後8週間毎に、2700mgの用量で
投与する方法が提供される。
【0130】
別の実施形態において、CM-TMA(例えば、トリガー、例えば、自己免疫性病態、感染、移植、1つ以上の薬物、又は悪性高血圧に伴うCM-TMA)を有するヒト患者を治療する方法であって、抗C5抗体、又はその抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)))を、≧40~<60kgの体重の患者に
(a)1日目に1回、2400mgの用量で;
(b)15日目及びその後8週間毎に、3000mgの用量で
投与する方法が提供される。
【0131】
別の実施形態において、CM-TMA(例えば、トリガー、例えば、自己免疫性病態、感染、移植、1つ以上の薬物、又は悪性高血圧に伴うCM-TMA)を有するヒト患者を治療する方法であって、抗C5抗体、又はその抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)))を、≧60~<100kgの体重の患者に
(a)1日目に1回、2700mgの用量で;
(b)投与サイクルの15日目及びその後8週間毎に、3300mgの用量で
投与する方法が提供される。
【0132】
別の実施形態において、CM-TMA(例えば、トリガー、例えば、自己免疫性病態、感染、移植、1つ以上の薬物、又は悪性高血圧に伴うCM-TMA)を有するヒト患者を治療する方法であって、抗C5抗体、又はその抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)))を、≧100kgの体重の患者に
(a)1日目に1回、3000mgの用量で;
(b)15日目及びその後8週間毎に、3600mgの用量で
投与する方法が提供される。
【0133】
別の実施形態において、CM-TMA(例えば、トリガー、例えば、自己免疫性病態、感染、移植、1つ以上の薬物、又は悪性高血圧に伴うCM-TMA)を有するヒト患者を治療する方法であって、患者に有効量の抗C5抗体、又はその抗原結合断片を投与することを含み、抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、それぞれ配列番号19、18及び3に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列と、それぞれ配列番号4、5及び6に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列と、ヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合するバリアントヒトFc領域とを含み、バリアントヒトFc CH3領域は、それぞれEU番号付けで、ネイティブヒトIgG Fc領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基においてMet-429-Leu及びAsn-435-Ser置換を含み、抗C5抗体、又はその抗原結合断片を患者に
(a)1日目に1回、≧30~<40kgの体重の患者に対して1200mg、≧40~<60kgの体重の患者に対して2400mg、≧60~<100kgの体重の患者に対して2700mg、又は≧100kgの体重の患者に対して3000mgの用量で;
(b)15日目及びその後8週間毎に、≧30~<40kgの体重の患者に対して2700mg、≧40~<60kgの体重の患者に対して3000mg、≧60~<100kgの体重の患者に対して3300mg、又は≧100kgの体重の患者に対して3600mgの用量で
投与する方法が提供される。
【0134】
別の実施形態において、抗C5抗体、又は抗原結合断片は、1キログラム当たりのミリグラム(mg/kg)用量で投与する。例えば、一実施形態において、抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、0.1mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、0.75mg/kg、1.0mg/kg、1.25mg/kg、1.50mg/kg、1.75mg/kg、2.0mg/kg、2.25mg/kg、2.50mg/kg、2.75mg/kg、3.0mg/kg、3.25mg/kg、3.50mg/kg、3.75mg/kg、4.0mg/kg、4.25mg/kg、4.50mg/kg、4.75mg/kg、5.0mg/kg、5.25mg/kg、5.50mg/kg、5.75mg/kg、6.0mg/kg、6.25mg/kg、6.50mg/kg、6.75mg/kg、7.0mg/kg、7.25mg/kg、7.50mg/kg、7.75mg/kg、8.0mg/kg、8.25mg/kg、8.50mg/kg、8.75mg/kg、9.0mg/kg、9.25mg/kg、9.50mg/kg、9.75mg/kg、10.0mg/kg、11.25mg/kg、11.50mg/kg、11.75mg/kg、12.0mg/kg、12.25mg/kg、12.50mg/kg、12.75mg/kg、13.0mg/kg、13.25mg/kg、13.50mg/kg、13.75mg/kg、14.0mg/kg、14.25mg/kg、14.50mg/kg、14.75mg/kg、15.0mg/kg、15.25mg/kg、15.50mg/kg、15.75mg/kg、16.0mg/kg、16.25mg/kg、16.50mg/kg、16.75mg/kg、17.0mg/kg、17.25mg/kg、17.50mg/kg、17.75mg/kg、18.0mg/kg、18.25mg/kg、18.50mg/kg、18.75mg/kg、19.0mg/kg、19.25mg/kg、19.50mg/kg、19.75mg/kg、20.0mg/kg、20.25mg/kg、20.50mg/kg、20.75mg/kg、21.0mg/kg、21.25mg/kg、21.50mg/kg、21.75mg/kg、22.0mg/kg、22.25mg/kg、22.50mg/kg、22.75mg/kg、23.0mg/kg、23.25mg/kg、23.50mg/kg、23.75mg/kg、24.0mg/kg、24.25mg/kg、24.50mg/kg、24.75mg/kg又は25.0mg/kgの用量で投与する。
【0135】
一実施形態において、抗C5抗体、又は抗原結合断片は、週1回、週2回、週3回、週4回、週5回、週6回、又は毎日投与する。別の実施形態において、抗C5抗体、又は抗原結合断片は、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、5週間毎に1回、6週間毎に1回、7週間毎に1回、8週間毎に1回、9週間毎に1回、10週間毎に1回、11週間毎に1回又は12週間毎に1回投与する。別の実施形態において、抗C5抗体、又は抗原結合断片は、1日目に負荷用量で、次いで15日目及びその後8週間毎に異なる維持用量で投与する。
【0136】
別の実施形態において、抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、1つ以上の投与サイクルで投与する。一実施形態において、投与サイクルは、26週間である。別の実施形態において、治療は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は11サイクルを含む。別の実施形態において、患者を約1、2、3、4、5、又は6か月間治療する。別の実施形態において、治療は、ヒト患者の生涯にわたり継続する。
【0137】
抗C5抗体、又は抗原結合断片は、任意の好適な手段を介して投与することができる。一実施形態において、抗C5抗体、又は抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)))は、静脈内投与する。別の実施形態において、抗C5抗体、又は抗原結合断片は、皮下投与する。
【0138】
一部の実施形態において、本明細書に記載の方法に従って治療される患者は、治療を開始する前3年以内に、又は治療を開始する時点で、髄膜炎菌感染に対してワクチン接種されている。一実施形態において、髄膜炎菌ワクチンを受けた後2週間未満で治療を受けた患者は、ワクチン接種の2週間後まで適切な予防抗生物質でも治療される。別の実施形態において、本明細書に記載の方法に従って治療される患者は、髄膜炎菌血清型A、C、Y、W135及び/又はBに対してワクチン接種される。
【0139】
一部の実施形態において、方法に従って治療される患者は、ループス腎炎、全身性強皮症、又は固形臓器移植に伴うTMAを有する。一実施形態において、これらの患者は、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)b型(Hib)及び肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)に対して治療前にワクチン接種される。
【0140】
別の態様において、記載される治療レジメンは、抗C5抗体、又はその抗原結合断片の特定の血清トラフ濃度を維持するのに十分である。治療は、例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、200、205、210、215、220、225、230、240、245、250、255、260、265、270、280、290、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、又は400μg/mL以上の抗C5抗体、又はその抗原結合断片の血清トラフ濃度を維持し得る。一実施形態において、治療は、100μg/mL以上の抗C5抗体、又はその抗原結合断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態において、治療は、150μg/mL以上の抗C5抗体、又はその抗原結合断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態において、治療は、200μg/mL以上の抗C5抗体、又はその抗原結合断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態において、治療は、250μg/mL以上の抗C5抗体、又はその抗原結合断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態において、治療は、300μg/mL以上の抗C5抗体、又はその抗原結合断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態において、治療は、100μg/mL~200μg/mLの抗C5抗体、又はその抗原結合断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態において、治療は、約175μg/mLの抗C5抗体、又はその抗原結合断片の血清トラフ濃度を維持する。
【0141】
別の実施形態において、有効な奏効を得るため、抗C5抗体は、患者の血液1ミリリットル当たり少なくとも50μg、55μg、60μg、65μg、70μg、75μg、80μg、85μg、90μg、95μg、100μg、105μg、110μg、115μg、120μg、125μg、130μg、135μg、140μg、145μg、150μg、155μg、160μg、165μg、170μg、175μg、180μg、185μg、190μg、195μg、200μg、205μg、210μg、215μg、220μg、225μg、230μg、235μg、240μg、245μg、250μg、255μg又は260μgの抗体を維持するための量及び頻度で、患者に投与する。別の実施形態において、抗C5抗体は、患者の血液1ミリリットル当たり50μg~250μgの抗体を維持するための量及び頻度で、患者に投与する。別の実施形態において、抗C5抗体は、患者の血液1ミリリットル当たり100μg~200μgの抗体を維持するための量及び頻度で、患者に投与する。別の実施形態において、抗C5抗体は、患者の血液1ミリリットル当たり約175μgの抗体を維持するための量及び頻度で、患者に投与する。
【0142】
別の実施形態において、有効な奏効を得るため、抗C5抗体は、最小遊離C5濃度を維持するための量及び頻度で、患者に投与する。抗C5抗体は、例えば、0.2μg/mL、0.3μg/mL、0.4μg/mL、0.5μg/mL以下の遊離C5濃度を維持するための量及び頻度で、患者に投与することができる。別の実施形態において、本明細書に記載の治療は、治療期間全体にわたり遊離C5濃度を99%超だけ低減させる。別の実施形態において、治療は、治療期間全体にわたり遊離C5濃度を99.5%超だけ低減させる。
【0143】
別の態様において、本明細書に記載のCM-TMAを治療する方法は、単独で、又は1つ以上の追加の治療及び/又は治療剤と組み合わせて使用することができる。例えば、一実施形態において、方法は、患者にベストサポーティブケアを施与することをさらに含む。ベストサポーティブケアとしては、限定されるものではないが、(a)輸血支援、(b)抗感染薬(例えば、抗生物質、抗ウイルス薬、及び抗真菌薬)、(c)腎代替療法(透析)、(d)降圧医薬品、(e)ループス腎炎に伴うTMA若しくはSSc-TMAのための治療法、及び/又は(f)薬物誘発性TMAについて疑われる薬剤の休薬若しくは用量調整が挙げられる。
【0144】
IV.アウトカム
患者におけるCM-TMAを治療する方法であって、患者に抗C5抗体、又はその抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)))を投与することを含む方法が本明細書に提供される。本明細書に提供される治療方法の有効性は、任意の好適な手段を使用して評価することができる。一部の実施形態において、治療は、終末補体阻害をもたらす。
【0145】
他の実施形態において、治療は、輸血支援を伴わない血小板数の正常化及びLDHレベルの正常化をもたらす。
【0146】
他の実施形態において、治療は、ベースラインと比較して≧30%のeGFRの改善をもたらす。他の実施形態において、治療は、輸血支援を伴わない血小板数の正常化、LDHレベルの正常化、及びベースラインと比較して≧30%のeGFRの改善をもたらす。他の実施形態において、治療は、完全TMA奏功をもたらす。
【0147】
他の実施形態において、治療は、LDH正常化(≦246U/L)をもたらす。他の実施形態において、治療は、少なくとも28日間(例えば、少なくとも28日、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、又は2年間)、LDH正常化(≦246U/L)をもたらす。他の実施形態において、治療は、治療開始の5~12日後にLDH正常化をもたらす。例えば、一実施形態において、LDH正常化は、治療開始の5、6、7、8、9、10、11、又は12日後に生じる。
【0148】
他の実施形態において、治療は、少なくとも28日間(例えば、少なくとも28日、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、又は2年間)、完全TMA奏効をもたらす。他の実施形態において、治療は、約60日間未満(例えば、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、48、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1日間)で患者における完全TMA奏効を付与する。
【0149】
他の実施形態において、治療は、血液学的正常化をもたらす。
【0150】
他の実施形態において、治療は、輸血の必要性の低減を生じさせる。別の実施形態において、治療は、輸血回避の70%超の増加を生じさせる。
【0151】
他の実施形態において、治療は、sTNF-RI、トロンボモジュリン、sVCAM-1、sC5b-9、C5a、Ba因子、及び/又は好中球ゼラチナーゼ結合性リポカイン(NGAL)からなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーの正常レベルに向かうシフトを生じさせる。
【0152】
他の実施形態において、治療は、慢性疾患治療の機能的評価(FACIT)-疲労スケール、EuroQol5属性5水準(EQ-5D-5L)スケール、又は腎疾患生活の質尺度(KDQOL-36)スケールを介して評価される、ベースラインからの生活の質の変化を生じさせる。
【0153】
他の実施形態において、治療は、患者の生存期間を(例えば、数日間、数週間、数か月間、又は数年間だけ)延長させる。
【0154】
V.キット及び単位剤形
本明細書に記載の方法における使用のために適応された治療有効量で、抗C5抗体、又はその抗原結合断片(例えば、既に本明細書に記載のもののいずれか)及び薬学的に許容可能な担体を含有する医薬組成物を含むキットも本明細書に提供される。キットは、任意選択で、CM-TMA(例えば、トリガー、例えば、自己免疫性病態、感染、移植、1つ以上の薬物、又は悪性高血圧に伴うCM-TMA)を有する患者に組成物を投与するために、その中に含有される組成物を実務者(例えば、医師、看護師又は患者)が投与するのを可能にするための、例えば、投与スケジュールを含む指示書も含み得る。キットは、シリンジも含み得る。
【0155】
任意選択で、キットは、上記で提供される方法に従う単回投与のための、有効量の抗C5抗体、又はその抗原結合断片をそれぞれが含有する単一用量医薬組成物の複数のパッケージを含む。(1つ以上の)医薬組成物の投与に必要な装置又はデバイスも、キットに含めることができる。例えば、キットは、ある量の抗C5抗体、又はその抗原結合断片を含有する1つ以上のプレフィルドシリンジを提供し得る。
【0156】
一実施形態において、ヒト患者におけるCM-TMA(例えば、トリガー、例えば、自己免疫性病態、感染、移植、1つ以上の薬物、又は悪性高血圧に伴うCM-TMA)を治療するためのキットであって、(a)ある用量の抗C5抗体、又はその抗原結合断片であって、それぞれ配列番号19、18及び3に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列と、それぞれ配列番号4、5及び6に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列とを含む抗C5抗体、又はその抗原結合断片;並びに(b)本明細書に記載の方法において抗C5抗体、又はその抗原結合断片を使用するための指示書を含むキットが提供される。
【0157】
別の実施形態において、ヒト患者におけるCM-TMA(例えば、トリガー、例えば、自己免疫性病態、感染、移植、1つ以上の薬物、又は悪性高血圧に伴うCM-TMA)を治療するためのキットであって、(a)ある用量の抗C5抗体、又はその抗原結合断片であって、それぞれ配列番号19、18及び3に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列と、それぞれ配列番号4、5及び6に記載されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列と、ヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合するバリアントヒトFc領域とを含み、バリアントヒトFc CH3領域は、それぞれEU番号付けで、ネイティブヒトIgG Fc領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基においてMet-429-Leu及びAsn-435-Ser置換を含む抗C5抗体、又はその抗原結合断片;並びに(b)本明細書に記載の方法において抗C5抗体、又はその抗原結合断片を使用するための指示書を含むキットが提供される。
【0158】
別の実施形態において、ヒト患者におけるCM-TMA(例えば、トリガー、例えば、自己免疫性病態、感染、移植、1つ以上の薬物、又は悪性高血圧に伴うCM-TMA)を治療するためのキットであって、(a)ある用量のラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))及び(b)本明細書に記載の方法においてラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))を使用するための指示書を含むキットが提供される。
【0159】
特に定義のない限り、本明細書において使用される全ての技術及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者により一般に理解される意味と同じ意味を有する。本開示における使用のための方法及び材料が記載され;当該技術分野において公知の他の好適な方法及び材料を使用することもできる。材料、方法、及び実施例は説明にすぎず、限定を意図するものではない。本明細書に挙げられる全ての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリー(例えば、PUBMED、NCBI又はUNIPROTアクセッション番号)、及び他の参照文献は、参照により全体として組み込まれる。
【実施例
【0160】
実施例1:トリガーに伴う血栓性微小血管障害症を有する成人参加者におけるラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))の有効性及び安全性を評価するための第3相ランダム化二重盲検プラセボ対照多施設試験
A.試験設計
ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))の第3相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験とそれに加えてベストサポーティブケア(BSC)を、定義されるトリガー後にTMAを有する成人参加者(≧18歳)において実施する。試験設計の模式図を図1に記載する。全ての参加者は、急性重度腎機能不全と、ランダム化≦14日前に生じる少なくとも1つのトリガー(例えば、自己免疫性、感染、固形臓器移植、薬物、又は悪性高血圧)に伴う、プロトコルにより規定される基準(すなわち、血小板減少症、微小血管障害性溶血性貧血、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の上昇、及び重度腎機能不全)に基づくTMAの診断とを有する。
【0161】
試験は、最長2週間のスクリーニング期間、26週間のランダム化処置期間、及び26週間の治療後フォローアップ期間からなる。したがって、合計治療継続期間は26週間であり、合計試験継続期間は最長54週間である。
【0162】
参加者を、スクリーニング期間の間に最長2週間、適格性についてスクリーニングする。およそ100人の成人参加者を1:1の比でランダム化してラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))又はプラセボのいずれかを受けさせる。ランダム化をベースライン透析状態ごとに、及びトリガーのタイプごとに層別化する。
【0163】
26週間の処置期間の間、全ての参加者は、表1に記載されるとおり、1日目に体重に基づく負荷用量のラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))又はプラセボを受け、次いで15日目及びその後8週間毎(q8w)に体重に基づく維持用量のラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))又はプラセボを受ける。全ての参加者は、試験全体にわたりベストサポーティブケア(BSC)を受ける。
【0164】
【表1】
【0165】
26週間の治療後フォローアップ期間の間、参加者は、試験責任医師の裁量でBSCを受け続け、安全性、TMA奏効、及び目的の臨床イベントについてモニタリングする。
【0166】
B.目的及びエンドポイント
本試験の主要目的は、例えば、26週目に完全TMA奏効を達成する参加者の比率により評価される、TMAを有する参加者の治療におけるラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))の有効性を評価することである。
【0167】
副次目的としては、(1)TMA奏効の特徴付け(例えば、完全TMA奏効までの時間、各TMAパラメータについての奏効までの時間、26週目に血液学的奏効を達成する参加者の比率、26週目に腎奏効を達成する参加者の比率、及び26週目までに少なくとも1のTMAパラメータの奏効を有する参加者の比率に基づく)、(2)ヘモグロビンレベルに対する影響の評価(例えば、26週目までにヘモグロビンの≧2グラムの増加を有する参加者の比率に基づく)、(3)腎機能の変化の評価(例えば、26週目における推定糸球体濾過量(eGFR)のベースラインからの変化並びに26週目及び52週目における透析要求のベースラインからの変化に基づく)、(4)及び完全TMA奏効の継続期間及びTMA再発の評価(例えば、26週目に完全TMA奏効を有し、52週目に奏効を維持する参加者の比率及び試験の間にTMA再発を有する参加者の比率(完全TMA奏効を達成した参加者間)に基づく)が挙げられる。
【0168】
薬物動態(PK)、薬力学(PD)及び免疫原性の目的としては、(1)TMAを有する参加者におけるラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))のPK/PDの評価(例えば、(a)経時的な血清ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))濃度、(b)血清遊離C5濃度の絶対値、経時的なベースラインからの変化、及びベースラインからの変化の割合、並びに(c)血清総C5濃度の絶対値、経時的なベースラインからの変化、及びベースラインからの変化の割合に基づく)と、(2)TMAを有する参加者におけるラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))の免疫原性の潜在性の特徴付け(例えば、経時的な抗薬物抗体(ADA)の発生率及び力価に基づく)とが挙げられる。
【0169】
安全性の目的としては、TMAを有する参加者におけるラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))の安全性プロファイルの特徴付け(例えば、経時的な有害事象(AE)及び重篤な有害事象(SAE)の発生率並びに26週目及び52週目までのベースラインからの主要有害心血管イベント(MACE)を経験する参加者の比率に基づく)が挙げられる。
【0170】
追加の目的としては、(1)参加者により報告されるQoLアウトカムの改善(例えば、EQ-5D-5L、FACIT-疲労、及びKDQOL-36により測定される、参加者により報告されるアウトカムの変化に基づく)、(2)血液及び尿中のバイオマーカー、例えば、sC5b-9及びBa因子、並びにTMAを有する参加者における自己抗体、(3)補体媒介TMAを有する参加者における補体経路遺伝子突然変異(例えば、補体機能不全関連突然変異の発生率に基づく)並びに(4)試験の間の医療資源利用(例えば、入院の回数及び継続期間(該当する場合、集中治療室の滞在を含む)及び外来患者来院(医師及び救急処置室来院を含む)の回数に基づく)の評価が挙げられる。
【0171】
C.エンドポイントの定義
完全TMA奏効は、血液学的パラメータ(血小板数及びLDH)の正常化並びにベースラインからの推定糸球体濾過量(eGFR)の≧30%の改善と定義される(表2参照)。完全TMA奏効について、参加者は、少なくとも24時間空け、その間の任意の測定で得られる2回の別個の評価で3つ全てのTMA奏効パラメータを満たさなければならない。各基準が満たされる全ての間隔は、少なくとも1日だけ重複しなければならない。
【0172】
【表2】
【0173】
血液学的奏効は、過去7日間の輸血支援を伴わない血小板の正常化及びLDHの正常化と定義される。
【0174】
腎奏効は、ベースラインと比較して≧30%のeGFRの改善と定義される。
【0175】
TMA完全奏効についての基準を満たす参加者について、TMA再発は、以下の基準の全ての発生と定義される:(1)血小板数<150,000/μL、(2)LDH>1.5×基準値上限(ULN)、(3)ヘモグロビン≦基準値下限(LLN)、及び(4)TMAに起因する腎機能不全のエビデンス(例えば、eGFRの悪化)。
【0176】
D.試験集団
本試験における参加適格を得るには、参加者は以下の基準の全てを満たさなければならない:
1.インフォームドコンセントの署名時に≧18歳でなければならない。
2.スクリーニング時に体重≧30kg。
3.男性及び女性:妊娠の可能性がある女性参加者及び男性参加者は、プロトコルに規定される避妊ガイダンスに従わなければならない。
4.以下のトリガーの少なくとも1つに伴う、スクリーニング前≦14日以内のTMAの診断:(a)自己免疫性(ループス腎炎、全身性強皮症に伴うTMA[SSc-TMA])、(b)感染、(c)固形臓器移植(腎臓、膵臓、肝臓、心臓、小腸)、(d)薬物、及び(e)悪性高血圧。
5.中央実験室結果に基づくスクリーニング期間の間の以下の実験室所見の全ての確認:(a)血小板数<150,000/μL、(b)乳酸デヒドロゲナーゼ≧1.5×ULN及びヘモグロビン≦LLN、並びに(c)以下の基準の1つ以上を満たすことにより定義される急性腎障害:プレTMA値(プレTMA値はスクリーニング前≦12か月でなければならない)からの≧50%のeGFRの急激な降下;過去12か月のプレTMA eGFRが利用可能でない場合、eGFR≦30mL/min/1.73mを有する新たな急性腎障害;及び>1回のセッションを要求し、スクリーニング前2週間以下のTMAに起因する新たな透析の開始。
6.ランダム化前3年以内に、又はランダム化の時点で、髄膜炎菌感染(N meningitidis)に対してワクチン接種されている。髄膜炎菌ワクチンを受けた後2週間未満で試験薬物治療を開始する参加者は、適切な予防抗生物質をワクチン接種後少なくとも2週間受けなければならない。参加者が髄膜炎菌ワクチンを受けることができない場合、参加者は、処置期間全体の間及び試験薬物の最後の投与後8か月間、髄膜炎菌(N meningitidis)に対する抗生物質予防適用を受けなければならない。
7.ループス腎炎、全身性強皮症、又は固形臓器移植に伴うTMAを有する参加者は、ランダム化前に現在の国/地方のワクチン接種ガイドラインに従ってヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)b型(Hib)及び肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)に対してワクチン接種しなければならない。
8.インフォームドコンセントの署名を提供することができる。
【0177】
以下の基準のいずれかに当てはまる場合、参加者は試験から除外される:
1.aHUS、例として、産後aHUS、又はaHUSを引き起こす任意の既知の遺伝子突然変異の診断。
2.任意の原因に起因するCKD-EPI式(Levey AS,et al.,Ann Intern Med.2009;150(9):604-612)によるeGFR≦45mL/min/1.73m2を有する既知のCKD。
3.スクリーニングの≦12か月の造血幹細胞移植に起因するTMA。
4.ループス以外の一次性及び二次性糸球体疾患。
5.原発性抗リン脂質抗体症候群の診断。
6.志賀毒素産生性大腸菌(Escherichia coli)感染、例として、限定されるものではないが、志賀毒素関連溶血性尿毒症症候群。
7.既知の家族性又は後天性トロンボスポンジン1型モチーフ第13番を有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)欠損(活性<5%)。
8.直接クームス試験で陽性。
9.国際血栓止血学会(International Society on Thrombosis and Haemostasis)(ISTH)スコアリング基準(例えば、Taylor et al.,Thromb Haemost.2001;86(5):1327-13300に記載されるものに従う播種性血管内凝固症候群(DIC)の診断。
10.スクリーニング前7日以内又はスクリーニングの間の国際コンセンサス定義第3版(Third International Consensus definition)(Singer M,et al.,JAMA.2016;315(8):801-810)に従う敗血症の存在。
11.単クローン性免疫グロブリン血症、例として、限定されるものではないが、多発性骨髄腫の存在。
12.血球減少症により証明される既知の骨髄機能不全又は不全。
13.腎生検(利用可能な場合)が間質線維化・尿細管萎縮、糸球体硬化症、又は≧50%の半月体形成を示す。
14.移植レシピエントのうち、確定された細胞及び抗体媒介移植片拒絶の存在。
15.平均余命<6か月、ホスピス、又は緩和ケア。
16.消散していない髄膜炎菌(N meningitidis)感染。
17.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染(HIV-1若しくはHIV2抗体力価により証明され、又はスクリーニング前6か月以内にHIV-1/HIV-2試験で陰性と報告されるもの。
18.再発のエビデンスを伴わない治療された非黒色腫皮膚癌又は子宮頸部上皮内癌腫を除き、スクリーニングの5年以内の悪性腫瘍の病歴。
19.試験責任医師の意見において、試験における参加者の完全な参加を妨害し、参加者についての任意の追加のリスクをもたらし、又は参加者の評価若しくは試験のアウトカムに交絡を生じさせ得る(1つ以上の)既知の医学的若しくは生理学的病態又はリスク因子。
20.試験薬物中に含有される任意の成分に対する過敏症、例として、マウスタンパク質に対する過敏症。
21.過去3年以内の任意の補体阻害剤の使用
22.本試験の1日目の試験薬物の開始前30日以内又はその試験用製品の5半減期以内のいずれか長い方における、TMAについての別の介入治療試験又は未承認療法を用いる任意の介入治療試験における参加。
23.試験過程の間に妊娠中、授乳中、又は妊娠の意図がある。
【0178】
E.試験薬物
ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))をpH7.0で配合し、30mLの使い捨てバイアル中で供給する。ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))の各バイアルは、300mgのラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))(10mg/mL)を10mMのリン酸ナトリウム、150mMの塩化ナトリウム、0.02%のポリソルベート80、及び注射用水中で含有する。比較製品(プラセボ)は、同じ緩衝液構成成分を有するが活性成分を有さない、マッチング無菌澄明無色溶液として配合する。追加の詳細を表3に提示する。
【0179】
【表3】
【0180】
投与量レジメンは、負荷用量とそれに続くq8wで投与される維持用量からなる。維持投薬は、負荷用量投与の2週間後に開始する。
【0181】
注入来院の日に記録された参加者の体重に基づく、体重に基づく用量(表1参照)。試験介入を来院前日に調製する場合、事前の来院からの体重を使用して用量を決定する。
【0182】
スケジュールされた投薬来院時、投与後サンプル回収(薬物動態[PK]/薬力学[PD]/バイオマーカー)を除き全ての他の試験及び手順が完了した後に試験薬物を投与する。
【0183】
処置期間の間、参加者を1:1にランダム化して盲検用量のラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))又はプラセボを受けさせる。ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))群の参加者は、1日目に盲検負荷用量のラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))を静脈内注入を介して受け、次いで2週目、次いでその後8週間毎に処置期間の終了まで盲検維持用量を受ける。プラセボ群の参加者は、1日目に盲検マッチングプラセボ用量を静脈内注入を介して受け、次いで15日目、次いでその後8週間毎に処置期間の終了まで盲検マッチングプラセボ用量を受ける。
【0184】
F.ベストサポーティブケア及び併用療法
両方の処置群の参加者は、ベストサポーティブケア(BSC)をバックグラウンド療法として受ける。ベストサポーティブケア手段としては、限定されるものではないが、(a)施設のガイドラインに従って参加者の臨床病態に基づき適宜提供すべき輸血支援、(b)抗感染薬(例えば、抗生物質、抗ウイルス薬、及び抗真菌薬)、(c)腎代替療法(透析)、(d)降圧医薬品、(e)ループス腎炎に伴うTMA又はSSc-TMAのための治療法、及び(f)薬物誘発性TMAについて疑われる薬剤の休薬又は用量調整が挙げられる。
【0185】
無許可医薬品として列記されるもの以外の、任意の他の医薬品とともに、試験の間に参加者のケアに又は任意の有害事象の治療に必要とみなされる任意の医薬又は治療法(例として、市販又は処方医薬、ワクチン、ビタミン、及び/又はハーブ系サプリメント)を、試験責任医師の裁量で与えることができる。
【0186】
参加者は、試験参加の継続期間全体の間に以下の医薬品及び治療法のいずれも受けることを禁止される:(a)実験的介入又は治療法、(b)エクリズマブ又は補体経路に作用する他の薬剤、及び(c)治療的血漿交換/血漿注入。
【0187】
G.ワクチン接種及び抗生物質予防
ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))の使用は、その作用機序に起因して、髄膜炎菌(N meningitidis)に起因する髄膜炎菌感染に対する参加者の易罹患性を増加させる。感染のリスクを低減させるため、全ての参加者は試験薬物の初回注入前3年以内に、又は初回注入時にワクチン接種される。任意の理由で試験薬物の開始前にワクチン接種されなかった参加者は、ワクチン接種前又はワクチン接種後少なくとも2週間、適切な予防抗生物質を受ける。利用可能な場合、血清型A、C、Y、W135、及びBに対するワクチンが、一般に病原性の髄膜炎菌血清型の予防において推奨される。参加者は、完全な初回ワクチン接種シリーズを受け、現行の国のワクチン接種ガイドラインに従って示される場合、ワクチン再接種される。ワクチン接種は、髄膜炎菌感染を予防するために十分でないことがある。
【0188】
参加者は、ランダム化を初回ワクチン接種後2週間未満で行う場合、ワクチン接種の少なくとも2週間後まで髄膜炎菌感染のための予防抗生物質を投与される。予防抗細菌剤の適切な使用に関する公式ガイダンス及び地方の慣例に従って考察を挙げるべきである。全ての患者を髄膜炎菌感染の初期徴候についてモニタリングし、感染が疑われる場合には直ちに評価し、必要により適切な抗生物質で治療される。髄膜炎菌ワクチンを受けることができない参加者は、処置期間全体の間、及び試験薬物の最後の投与後8か月間、髄膜炎菌(N meningitis)に対する抗生物質予防適用を受ける。
【0189】
髄膜炎菌血清型ACWY及びBワクチン接種は、事前のワクチン接種についての基準を満たさない参加者についてスクリーニングの間に要求される。ワクチンシリーズは、国及び地方のワクチン接種スケジュールガイドラインに従って試験の間に完了される。
【0190】
ループス腎炎、全身性強皮症、又は固形臓器移植のトリガーに伴うTMAを有する参加者は、事前にワクチン接種されていなければ、ランダム化前に現行の国/地方のワクチン接種ガイドラインに従ってHib及び肺炎球菌(S pneumoniae)に対してもワクチン接種される。
【0191】
H.バイオマーカー
バイオマーカー研究のための血液(全血、血清、及び血漿)サンプルを、規定の選択時点において全ての参加者から回収する。バイオマーカーとしては、限定されるものではないが、以下の評価:(1)血管炎症(例えば、放出腫瘍壊死因子受容体I[sTNF-RI])、(2)内皮損傷及び/又は活性化(例えば、トロンボモジュリン及び放出血管細胞接着分子1[sVCAM-1])、並びに(3)補体経路機能不全(例えば、可溶性C5b-9[sC5b-9]及びBa因子)が挙げられる。
【0192】
バイオマーカー研究のための尿サンプルを、スクリーニングの間及び選択時点において全ての参加者から回収する。バイオマーカーとしては、限定されるものではないが、以下の評価:(1)補体経路機能不全(例えば、sC5b-9及びBa因子)及び(2)腎障害バイオマーカー(例えば、好中球ゼラチナーゼ結合性リポカイン[NGAL])が挙げられる。
【0193】
血液及び尿サンプルを、選択試験施設で、探索的リアルタイム補体活性(Real Time Complement Activity)(RTCA)のためにスクリーニングの間及び選択時点において試験期間の終了(183日目)まで回収する。RTCA試験は、採取されたばかりの全血エチレンジアミン四酢酸二カリウム(K2EDTA)、血漿、及び尿サンプルを使用して実施する。RTCAのための血液及び尿サンプルは、該当する場合、投薬日に試験薬物の投与前に回収する。
【0194】
残りの探索的バイオマーカー、PK、PD、及び免疫原性からの血液及び尿サンプルは、アッセイ(例えば、試験薬物標的、疾患プロセス、疾患状態と関連する経路、他のTMA若しくは補体関連疾患、及び/又はラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))の作用機序に関する予後診断及び/又は診断試験)の追加の方法開発のために貯蔵する。
【0195】
I.他の探索的評価
生活の質スケールを施与する。全ての評価をクワイエットルームで施与する。これらの評価は、電子デバイスが利用可能でなく、又は使用することができない場合、紙面上に記録することができる。
【0196】
以下の生活の質スケールを施与する:
(1)過去7日間にわたる自己申告の疲労並びに日常活動及び機能に対するその影響を評価する13項目の質問票である、慢性疾患治療の機能的評価(FACIT)疲労スケール、バージョン4.0;
(2)健康関連生活の質を測定するための自己評価される標準化尺度であり、広範な健康状態において使用されている、EuroQoL5属性5水準(EQ-5D-5L)。EQ 5D 5Lは、それぞれ異なる健康面:移動、身の回りの管理、普段の活動、痛み/不快感、及び不安/ふさぎ込みを説明する5つの属性を含む;及び
(3)腎疾患生活の質尺度36項目(KDQOL-36(商標))(セクション10.9.3)は、一般コアと腎疾患の負荷、腎疾患の症状/問題、及び腎疾患スケールの効果としてショートフォーム健康調査12項目(Short-Form Health Survey 12 Item)(SF-12)を含む36項目の腎臓特異的健康関連生活の質尺度である。
【0197】
J.統計的考察
主要有効性解析は、26週間の処置期間の間に完全TMA奏効を達成する参加者の比率に基づきラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))がプラセボよりも優れているという仮説を検定する。仮説検定は両側であり、0.05の有意水準で実施する。主要解析についての帰無及び対立仮説は以下のとおりである:
:Prav=Pplacebo対HA:Prav≠Pplacebo
(式中、Pravは、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))プラスBSC群において完全TMA奏効を達成する参加者の比率であり、Pplaceboは、プラセボプラスBSC群において完全TMA奏効を達成する参加者の比率である)。
【0198】
サンプルサイズの決定は、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))対プラセボにランダム化された参加者において26週目に完全TMA奏効を達成する参加者の比率を比較する、0.05の両側有意水準で実施された両側フィッシャー正確確率検定に基づいた。100のサンプルサイズ(処置群当たり50人の参加者)は、およそ90%の検出力を有し、0.05の両側有意水準でレスポンダーの比率において35%の統計的に有意な(p≦0.05)治療差を検出し、レスポンダー率がプラセボプラスBSCについては35%であり、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))プラスBSCについては70%であり、予測されるドロップアウト率は10%と仮定する(例えば、Caires RA,et al.,Transplant Proc.2012;44(8):2388-2390;Humphreys BD,et al.,Cancer.2004;100(12):2664-2670;Lee C-S,et al.,Nephrology.2012;17(1):48-52;Schwarz A,et al.,Am J Transplant.2010;10(9):2017-2025;Song D,et al.,Arthritis Res Ther.2013;15(1):R12-R12;Waters,et al.,J Pediatr.2007;151(2):140-144;及びWu L-H,et al.,Kidney Int Suppl.2013;83(4):715-723参照)。
【0199】
解析に使用される解析集団を以下のとおり表4に定義する。
【0200】
【表4】
【0201】
要約統計量を計算し、該当する場合、処置群ごと及び来院ごとに表示した。連続変数についての記述的統計量は、最小限で、参加者の数、平均値、標準偏差(SD)、最小値、中央値、及び最大値を含む。カテゴリー変数については、頻度及び割合を提示する。グラフ表示を適宜提供する。解析は、SAS(登録商標)ソフトウェアバージョン9.4以上を使用して実施する。
【0202】
有効性解析は、ITT解析集団、主要有効性集団を使用して実施する。主要解析及び選択される副次有効性解析は、必要により感度解析としてPP解析集団に対して実施する。
【0203】
主要有効性解析は、26週間の処置期間の間に完全TMA奏効を達成する参加者の比率に基づきラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))がプラセボよりも優れているという仮説を検定する。参加者は、少なくとも24時間空け、その間の任意の測定の2回の別個の評価で各TMA奏効基準を満たさなければならない。主要有効性解析は、全ての参加者が26週間を完了し、又は26週間の処置期間から早期脱落した後、26週間の処置期間の終了時に実施する。
【0204】
主要解析は、ITT解析集団における2つの処置群間で26週間のランダム化処置期間の間に完全TMA奏効を達成する参加者の比率を比較する、5%の有意水準でランダム化層別化因子により層別化されるコクラン・マンテル・ヘンツェル検定に基づく。解析は、ランダム化処置割付に従って実施する。試験から脱落する参加者については、脱落時点までのデータを使用して完全TMA奏効を評価する。
【0205】
ベースライン値は、試験薬物の初回投与前に実施された評価からの値の平均値と定義される(すなわち、スクリーニング及び来院1日目から得られる)。参加者がベースライン時に透析中である場合、ベースライン値は上記のとおり定義される。参加者が26週間の処置期間全体の間、又は試験薬物の早期中止まで透析中である場合、eGFRの変化は算出しない。
【0206】
さらに、完全TMA奏効は、各ベースライン後時点について両側95%信頼区間(CI)とともにレスポンダーの数及び比率を提示することにより経時的に処置群ごとに要約する。
【0207】
感度解析として、主要エンドポイントに対する両側フィッシャー正確確率検定を実施する。p値を算出するための再ランダム化試験も探索する。有効性エンドポイントについての感度解析からのp値は記述的目的のためのものにすぎず、多重性のために調整しない。
【0208】
完全TMA奏効までの時間について、参加者をその奏効の時間でレスポンダーとして割り付け、それまでに奏効しなかった場合、その最短の中止時間で又は利用可能なフォローアップの終了時に打ち切る。カプラン・マイヤー累積分布曲線を各処置群について作成し、曲線を比較するログランク検定を実施する。対応する要約表は、累積分布関数推定値、リスクがある参加者の数、奏効する参加者の数、及び各ベースライン後の時点で打ち切られた参加者を処置群ごとに提示する。表は、奏効までの時間の、対応する両側95%CIとともに、第1四分位数、中央値、及び第3四分位数も提示する。個々の各TMAパラメータについての奏効までの時間は、完全TMA奏効までの時間と同様に評価する。
【0209】
以下の副次エンドポイントは、クロッパー・ピアソン法を使用して正確な信頼限界に基づき点推定値及び両側95%CIをレスポンダーの比率について算出することにより処置群ごとに要約する:
(1)26週目、及び各ベースライン後の時点で血液学的奏効を達成する参加者の比率;
(2)26週目、及び各ベースライン後の時点で腎奏効を達成する参加者の比率;
(3)26週目、及び各ベースライン後の時点で少なくとも1つのTMAパラメータの奏効を有する参加者の比率;
(4)26週目までにヘモグロビンの≧2グラムの増加を有する参加者の比率;
(5)26週目に完全TMA奏効を有し、52週目に奏効を維持する参加者の比率;並びに
(6)完全TMA奏効を達成する参加者のうち、TMA再発を有する参加者の比率。
【0210】
以下の副次エンドポイントは、実測値についての記述的統計量並びにベースラインからの変化:26週目及び各ベースライン後の時点におけるeGFRのベースラインからの変化を使用して処置群ごとに要約する。
【0211】
透析を要求する参加者については、透析要求のベースラインからの変化を要約する。解析は、経時的な透析を要求する参加者の数及び比率を提示する。この比率についての両側95%CIを提供する。参加者は、透析を規定のベースライン後の時点前少なくとも14日間有さなかった場合、その時点で透析を要求しないとみなされる。
【0212】
全ての安全性解析を安全性解析集団に対して実施する。
【0213】
個々のPK/PDデータを全ての参加者について収集する。平均血清ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))濃度-時間プロファイルのグラフを構築する。個々の参加者についての血清濃度-時間プロファイルのグラフを提供することもできる。記述的統計量を適宜、各サンプリング時間で血清濃度データについて算出することができる。ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))のPD効果は、適宜、血清遊離C5濃度の絶対値並びに経時的なベースラインからの変化及び変化の割合を評価することにより評価することができる。記述的統計量は、適宜、各サンプリング時間でPDデータについて算出する。
【0214】
ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))に対するADAの発生率を、各ベースライン後の時点で一覧フォーマットで提示する。さらに、任意の確定されたADA陽性サンプルをラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))に対する中和抗体の力価及び存在について試験する。
【0215】
以下の生活の質評価を、実測値についての記述的統計量並びにベースラインからの変化を使用してベースライン及び各ベースライン後の時点で処置群ごとに要約する:(1)EQ-5D-5L、(2)FACIT-疲労、及び(3)KDQOL-36。
【0216】
主要及び主な副次有効性解析は、階層ステップダウン閉検定手順を使用する。主要有効性エンドポイントについての帰無仮説が棄却される場合、主な副次有効性エンドポイントを、後続のエンドポイントのさらなる検定を行わない時点である非有意検定が観察されるまで以下の順で検定する:(1)完全TMA奏効までの時間、(2)26週目における血液学的奏効、(3)26週目におけるeGFRのベースラインからの変化、及び(4)26週目における透析中の参加者の比率。
【0217】
計画参加者(n=100)の50%を主要エンドポイントについて評価したとき、サンプルサイズ再推定を評価するための中間解析を実施する。この中間解析は、試験の実施にも試験データの最終解析にも関与しない非盲検の独立した統計センターにより実施する。解析を継続しながら参加者の登録は中断せずに進行する。中間解析において有効性又は無益性の実証のために試験を停止する計画は存在しない。
【0218】
サンプルサイズ再推定解析は、この中間解析において得られる結果を使用して算出される条件付き検出力に基づく。条件付き検出力が、推定治療効果に基づく有望なゾーン内に収まる場合、サンプルサイズを最大150人の参加者まで増加させる。総サンプルサイズは、中間解析後にデータ依存的に潜在的に増加させることができたため、主要エンドポイントについての最終主要解析は、第1種の過誤を制御するCui、Hung、Wang法(Cui,1999)を使用して検定する。
【0219】
主要有効性解析は、全ての参加者が26週間の処置期間を完了し、又はそれから脱落した後、26週間の処置期間の終了時に実施する。この解析により、主要エンドポイントの評価が可能になる。
【0220】
最終試験解析は、試験の終了時に実施する。
【0221】
K.臨床実験室試験
以下の表5に詳述される試験は、中央実験室又は指定の補助実験室により実施する。試験責任医師により必要と決定され、又は地方の規制により要求される追加の試験を試験の間に任意の時点で実施することができる。
【0222】
【表5】
【0223】
【表6】
【0224】
【表7】
【0225】
配列のまとめ
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】
図1
【配列表】
2024504366000001.app
【国際調査報告】