(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】慢性痒疹の治療
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240124BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240124BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240124BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
A61K39/395 N
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
A61P17/04
A61K39/395 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544302
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 US2022013380
(87)【国際公開番号】W WO2022159744
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517224458
【氏名又は名称】セルデックス セラピューティクス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ブレット アラン ホーリー
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル ゴールドステイン
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB36
4C085BB42
4C085CC22
4C085DD61
4C085EE01
4C085GG01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本明細書に提供されるのは、結節性痒疹(PN)を含む慢性痒疹を管理、治療、又は防止するための方法、並びに受容体チロシンキナーゼであるKITの阻害剤、例えば、KITに免疫特異的に結合する抗体及び抗原結合断片の使用である。また提供されるのは、そのような方法及び使用で使用するための改善された抗体である。
【選択図】
図14A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における慢性痒疹を予防、治療、又は管理する方法であって、それを必要とする対象に、ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体、もしくはその抗原結合断片の治療有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記ヒトKITが、配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記慢性痒疹が結節性痒疹である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記抗体が二価の単一特異性抗体である、請求項1~3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
前記抗体が二重特異性抗体である、請求項1~3のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
前記抗体がヒト化抗体である、請求項1~5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
前記抗体が、改変Fc領域又はドメインを含む、請求項1~6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
前記抗体が、低下したFc受容体結合活性を有する、請求項1~7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
前記抗体が、低下したFcγR結合活性を有する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記抗体が、FcgRIを発現するヒト肥満細胞の顕著な脱顆粒を誘導しない、請求項1~9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
前記抗体が、顕著なFc受容体依存性KITアゴニスト活性を示さない、請求項1~10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
前記抗体が、ヒトKITのD4又はD5領域に特異的に結合する、請求項1~11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
前記抗体が、
(A)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む軽鎖可変領域(「VL」);並びに
(ii)それぞれ、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含む重鎖可変領域(「VH」);
(B)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号25、配列番号26、及び配列番号27のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;
(C)(i)それぞれ、配列番号28、配列番号29、及び配列番号30のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号25、配列番号31、及び配列番号32のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;
(D)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号33、配列番号34、及び配列番号27のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;又は
(E)(i)それぞれ、配列番号35、配列番号36、及び配列番号37のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号38、配列番号39、及び配列番号40のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH
を含む、請求項1~12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
前記抗体が、それぞれ、配列番号2~4のアミノ酸配列を含むVL CDR1~3を含むVL、及びそれぞれ、配列番号5~7のアミノ酸配列を含むVH CDR1~3を含むVHを含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記抗体が、(i)アミノ酸配列:
【化1】
(ここで、X
K1は、芳香族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、Χ
K2は、脂肪族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、Χ
K3は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、Χ
K4は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であるか、又はPであり、X
K5は、荷電又は酸性側鎖を有するアミノ酸であり、Χ
K6は、芳香族側鎖を有するアミノ酸である)を含むVL;及び
(ii)アミノ酸配列:
【化2】
(ここで、X
H1は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、X
H2は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、X
H3は、極性又は塩基性側鎖を有するアミノ酸であり、X
H4は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、X
H5は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、X
H6は、酸性側鎖を有するアミノ酸であり、X
H7は、酸性又はアミド誘導体側鎖を有するアミノ酸であり、X
H8は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸である)を含むVHを含む、請求項1~14のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
X
K1が、アミノ酸F又はSであり、X
K2が、アミノ酸A又はSであり、X
K3が、アミノ酸T又はSであり、X
K4が、アミノ酸S又はPであり、X
K5が、アミノ酸D又はTであり、X
K6が、アミノ酸F又はYであり、X
H1が、アミノ酸L又はVであり、X
H2が、アミノ酸L又はVであり、X
H3が、アミノ酸K又はRであり、X
H4が、アミノ酸V又はAであり、X
H5が、アミノ酸L又はIであり、X
H6が、アミノ酸E又はDであり、X
H7が、アミノ酸Q又はEであり、X
H8が、アミノ酸S又はTである、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記抗体が、配列番号13、14、15、及び16からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVL;並びに配列番号8、9、10、11、及び12からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHを含む、請求項1~16のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
前記抗体が、ヒト軽鎖定常領域を含む、請求項1~17のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
前記抗体が、ヒト重鎖定常領域を含む、請求項1~18のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
前記ヒト重鎖定常領域が、ヒトIgG定常領域である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記ヒト重鎖定常領域が、ヒトIgG1定常領域である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記抗体が、改変ヒトFc領域又はドメインを含む、請求項1~21のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
前記抗体が、改変ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含む、請求項1~21のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
前記改変ヒトIgG1 Fc領域又はドメインが、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q及び322Qを含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記改変ヒトIgG1 Fc領域又はドメインが、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸252Y、254T及び256Eをさらに含む、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記抗体が、
(i)配列番号14のアミノ酸配列を含むVL;
(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むVH;及び
(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q及び322Qを含む改変ヒトIgG1 Fc領域又はドメイン
を含む、請求項1~25のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
前記抗体が、
(i)配列番号14のアミノ酸配列を含むVL;
(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むVH;及び
(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q、322Q、252Y、254T及び256Eを含む改変ヒトIgG1 Fc領域又はドメイン
を含む、請求項1~25のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
前記抗体が、アミノ酸配列:
【化3】
を含む重鎖を含む、請求項1~25のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
前記抗体が、アミノ酸配列:
【化4】
を含む軽鎖を含む、請求項1~25のいずれか一項記載の方法。
【請求項30】
前記抗体が、アミノ酸配列:
【化5】
を含む重鎖;及びアミノ酸配列:
【化6】
を含む軽鎖を含む、請求項1~25のいずれか一項記載の方法。
【請求項31】
前記対象がヒトの成人ある、請求項1~30のいずれか一項記載の方法。
【請求項32】
前記対象がヒトの子供である、請求項1~30のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、2021年1月22日に出願された米国仮出願第63/140,621号及び2021年8月30日に出願された米国仮出願第63/238,688号の恩典を主張する。
【0002】
(電子提出される配列表への言及)
本出願は、2022年1月6日に作成され、サイズが44,163バイトである、「Seqlisting_12638-171-228.txt」と題するテキストファイルとして本出願と共に提出されている配列表を引用により組み込む。
【0003】
(1.分野)
本明細書に提供されるのは、結節性痒疹(PN)を含む慢性痒疹を管理、治療、又は防止するための方法、並びに受容体チロシンキナーゼであるKITの阻害剤、例えば、KITに免疫特異的に結合する抗体及び抗原結合断片の使用である。また提供されるのは、そのような方法及び使用で使用するための改善された抗体である。
【背景技術】
【0004】
(2.背景)
KIT(又はc-Kit)は、c-kit遺伝子によってコードされるIII型受容体チロシンキナーゼである。KITは、5つの細胞外免疫グロブリン(Ig)様ドメイン、単一の膜貫通領域、抑制性細胞質膜近傍ドメイン、及びキナーゼ挿入セグメントによって隔てられた分割された細胞質キナーゼドメインを含む(例えば、Yardenらの文献、Nature, 1986, 323:226-232; Ullrich及びSchlessingerの文献、Cell, 1990, 61:203-212; Cliffordらの文献、J. Biol. Chem., 2003, 278:31461-31464を参照されたい)。KIT受容体をコードするヒトc-kit遺伝子は、Yardenらの文献、EMBO J., 1987, 6:3341-3351に記載されているようにクローニングされた。KITは、幹細胞因子(「SCF」)リガンド(別名、Steel因子又はKitリガンド)の受容体であるので、CD117又は幹細胞因子受容体(「SCFR」)としても知られている。SCFリガンドのKITの最初の3つの細胞外Ig様ドメインへの結合は、受容体二量体化を誘導し、それにより、膜近傍ドメイン及びキナーゼドメイン中の特定のチロシン残基のリン酸化を通じて固有のチロシンキナーゼ活性を活性化する(例えば、Weiss及びSchlessingerの文献、Cell, 1998, 94:277-280; Cliffordらの文献、J. Biol. Chem., 2003, 278:31461-31464を参照されたい)。Stat、Src、ERK、及びAKTシグナル伝達経路のメンバーは、KITシグナル伝達の下流シグナル伝達物質であることが示されている。
【0005】
KITの4番目(D4)及び5番目(D5)の細胞外Ig様ドメインは、受容体二量体化を媒介すると考えられている(例えば、国際特許出願公開WO 2008/153926号; Yuzawaらの文献、Cell, 2007, 130:323-334を参照されたい)。
【0006】
KITの発現は、肥満細胞、幹細胞、脳細胞、メラニン芽細胞、卵巣細胞、及び癌細胞(例えば、白血病細胞)などの様々な細胞型で検出されている(例えば、Besmer, P.の文献、Curr. Opin. Cell Biol., 1991, 3:939-946; Lymanらの文献、Blood, 1998, 91:1101-1134; Ashman, L. K.の文献、Int. J. Biochem. Cell Biol., 1999, 31:1037-1051; Kitamuraらの文献、Mutat. Res., 2001, 477:165-171; Molらの文献、J. Biol. Chem., 2003, 278:31461-31464を参照されたい)。さらに、KITは、造血、メラニン形成、及び配偶子形成に重要な役割を果たしている(Uedaらの文献、Blood, 2002, 99:3342-3349を参照されたい)。
【0007】
ヒトKITに対する抗体は、例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際特許公開WO2014018625A1から公知である。
【0008】
慢性痒疹(CPG)は、慢性掻痒症(痒み)と複数の限局性又は全身性掻痒性皮膚病変の両方の存在を特徴とする疾患である。
【0009】
結節性痒疹(Prurigo nodularis)(PN;結節性痒疹(nodular prurigo)としても知られる)は、慢性掻痒症と複数の限局性又は全身性、隆起性、硬性、及び結節性の皮膚病変の両方の存在によって定義される特徴的な臨床疾患である。PNの根本的な原因は不明であるが、神経学的プロセスと免疫学的プロセスの両方がその発生に役割を果たしていると考えられる(Elmariahらの文献, 結節性痒疹の診断と管理のための実践的なアプローチ(Practical approaches for diagnosis and management of prurigo nodularis): US expert panel consensus, Journal of the American Academy of Dermatology, 2020, S0190-9622(20):32189-32187)。Perieraらの文献, Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology (JEADV), 2018, 32:1059-1065及びZeidlerらの文献, Acta Derm Venereol, 2018, 98:173-179)も言及している。
【0010】
結節性痒疹を含む慢性痒疹を効果的に管理又は治療するための療法が必要であり、そのような治療で使用するための改善された抗体を提供することも必要である。
【発明の概要】
【0011】
(3.概要)
一態様において、本明細書に提供されるのは、対象における慢性痒疹を予防、治療、又は管理する方法であって、それを必要とする対象に、ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体、又はその抗原結合断片の治療有効量を投与することを含む、前記方法である。
【0012】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、対象における慢性痒疹を予防、治療、又は管理するための医薬の製造のための、ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体、又はその抗原結合断片の使用である。
【0013】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、対象における慢性痒疹を予防、治療、又は管理する方法で使用するための、ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体、又はその抗原結合断片である。
【0014】
具体的な実施態様において、ヒトKITは、配列番号1のアミノ酸配列を含む。
【0015】
具体的な実施態様において、慢性痒疹は結節性痒疹である。
【0016】
具体的な実施態様において、該抗体は、二価の単一特異性抗体である。具体的な実施態様において、該抗体は二重特異性抗体である。
【0017】
具体的な実施態様において、該抗体はヒト化抗体である。
【0018】
具体的な実施態様において、該抗体は、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメインを含む。
【0019】
具体的な実施態様において、該抗体は、低下したFc受容体結合活性(特に、低下したFcγR結合活性)を有する。
【0020】
具体的な実施態様において、該抗体は、FcgRIを発現するヒト肥満細胞の顕著な脱顆粒を誘導しない。
【0021】
具体的な実施態様において、該抗体は、顕著なFc受容体依存性KITアゴニスト活性を示さない。
【0022】
具体的な実施態様において、該抗体は、ヒトKITのD4又はD5領域に特異的に結合する。
【0023】
具体的な実施態様において、該抗体は、(A)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む軽鎖可変領域(「VL」);並びに(ii)それぞれ、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含む重鎖可変領域(「VH」);(B)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに(ii)それぞれ、配列番号25、配列番号26、及び配列番号27のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;(C)(i)それぞれ、配列番号28、配列番号29、及び配列番号30のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに(ii)それぞれ、配列番号25、配列番号31、及び配列番号32のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;(D)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに(ii)それぞれ、配列番号33、配列番号34、及び配列番号27のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;又は(E)(i)それぞれ、配列番号35、配列番号36、及び配列番号37のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに(ii)それぞれ、配列番号38、配列番号39、及び配列番号40のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVHを含む。
【0024】
具体的な実施態様において、該抗体は、それぞれ配列番号2~4のアミノ酸配列を含むVL CDR1~3を含む軽鎖可変領域(「VL」)、及びそれぞれ配列番号5~7のアミノ酸配列を含むVH CDR1~3を含む重鎖可変領域(「VH」)を含む。
【0025】
具体的な実施態様において、該抗体は、(i)アミノ酸配列:
【化1】
(ここで、X
K1は、芳香族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、Χ
K2は、芳香族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、Χ
K3は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、Χ
K4は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であるか、又はPであり、X
K5は、荷電又は酸性側鎖を有するアミノ酸であり、Χ
K6は、芳香族側鎖を有するアミノ酸である)を含むVL;及び(ii)アミノ酸配列:
【化2】
(ここで、X
H1は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、X
H2は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、X
H3は、極性又は塩基性側鎖を有するアミノ酸であり、X
H4は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、X
H5は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、X
H6は、酸性側鎖を有するアミノ酸であり、X
H7は、酸性又はアミド誘導体側鎖を有するアミノ酸であり、X
H8は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸である)を含むVHを含む。具体的な実施態様において、X
K1は、アミノ酸F又はSであり、X
K2は、アミノ酸A又はSであり、X
K3は、アミノ酸T又はSであり、X
K4は、アミノ酸S又はPであり、X
K5は、アミノ酸D又はTであり、X
K6は、アミノ酸F又はYであり、X
H1は、アミノ酸L又はVであり、X
H2は、アミノ酸L又はVであり、X
H3は、アミノ酸K又はRであり、X
H4は、アミノ酸V又はAであり、X
H5は、アミノ酸L又はIであり、X
H6は、アミノ酸E又はDであり、X
H7は、アミノ酸Q又はEであり、X
H8は、アミノ酸S又はTである。
【0026】
具体的な実施態様において、該抗体は、配列番号13、14、15、及び16からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVL;並びに配列番号8、9、10、11、及び12からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHを含む。
【0027】
具体的な実施態様において、該抗体は、ヒト軽鎖定常領域を含む。具体的な実施態様において、該抗体はヒト重鎖定常領域を含む。具体的な実施態様において、ヒト重鎖定常領域は、ヒトIgG定常領域である。具体的な実施態様において、ヒト重鎖定常領域は、ヒトIgG1定常領域である。
【0028】
具体的な実施態様において、該抗体は、改変(例えば、変異)ヒトFc領域又はドメインを含む。具体的な実施態様において、該抗体は、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含む。具体的な実施態様において、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインは、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q及び322Qを含む。具体的な実施態様において、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインは、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸252Y、254T及び256Eをさらに含む。
【0029】
具体的な実施態様において、該抗体は、(i)配列番号14のアミノ酸配列を含むVL;(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むVH;並びに(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q及び322Qを含む改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含む。
【0030】
具体的な実施態様において、該抗体は、(i)配列番号14のアミノ酸配列を含むVL;(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むVH;並びに(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q、322Q、252Y、254T及び256Eを含む改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含む。
【0031】
具体的な実施態様において、該抗体は、アミノ酸配列:
【化3】
を含む重鎖を含む。
【0032】
具体的な実施態様において、該抗体は、アミノ酸配列:
【化4】
を含む軽鎖を含む。
【0033】
具体的な実施態様において、該抗体は、アミノ酸配列:
【化5】
を含む重鎖;及びアミノ酸配列:
【化6】
を含む軽鎖を含む。
【0034】
具体的な実施態様において、対象はヒトの成人である。具体的な実施態様において、対象はヒトの子供である。
(3.1 例示的な実施態様)
(3.1.1 セット1)
1. 対象における慢性痒疹を予防、治療、又は管理する方法であって、それを必要とする対象に、ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体、又はその抗原結合断片の治療有効量を投与することを含む方法。
2. 該ヒトKITが配列番号1のアミノ酸配列を含む、実施態様1記載の方法。
3. 該慢性痒疹が結節性痒疹である、実施態様1又は2記載の方法。
4. 該抗体が二価の単一特異性抗体である、実施態様1~3のいずれか一項記載の方法。
5. 該抗体が二重特異性抗体である、実施態様1~3のいずれか一項記載の方法。
6. 該抗体がヒト化抗体である、実施態様1~5のいずれか一項記載の方法。
7. 該抗体が、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメインを含む、実施態様1~6のいずれか一項記載の方法。
8. 該抗体が、低下したFc受容体結合活性を有する、実施態様1~7のいずれか一項記載の方法。
9. 該抗体が、低下したFcγR結合活性を有する、実施態様1~8のいずれか一項記載の方法。
10. 該抗体が、FcgRIを発現するヒト肥満細胞の顕著な脱顆粒を誘導しない、実施態様1~9のいずれか一項記載の方法。
11. 該抗体が、顕著なFc受容体依存性KITアゴニスト活性を示さない、実施態様1~10のいずれか一項記載の方法。
12. 該抗体が、ヒトKITのD4又はD5領域に特異的に結合する、実施態様1~11のいずれか一項記載の方法。
13. 該抗体が、
(A)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む軽鎖可変領域(「VL」);並びに
(ii)それぞれ、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含む重鎖可変領域(「VH」);
(B)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号25、配列番号26、及び配列番号27のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;
(C)(i)それぞれ、配列番号28、配列番号29、及び配列番号30のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号25、配列番号31、及び配列番号32のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;
(D)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号33、配列番号34、及び配列番号27のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;
(E)(i)それぞれ、配列番号35、配列番号36、及び配列番号37のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号38、配列番号39、及び配列番号40のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH
を含む、実施態様1~12のいずれか一項記載の方法。
14. 該抗体が、それぞれ配列番号2~4のアミノ酸配列を含むVL CDR1~3を含むVL、及びそれぞれ配列番号5~7のアミノ酸配列を含むVH CDR1~3を含むVHを含む、実施態様13記載の方法。
15. 該抗体が、
(i)アミノ酸配列:
【化7】
(ここで、X
K1は、芳香族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、Χ
K2は、芳香族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、Χ
K3は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、Χ
K4は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であるか、又はPであり、X
K5は、荷電又は酸性側鎖を有するアミノ酸であり、Χ
K6は、芳香族側鎖を有するアミノ酸である)を含むVL;及び
(ii)アミノ酸配列:
【化8】
(ここで、X
H1は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、X
H2は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、X
H3は、極性又は塩基性側鎖を有するアミノ酸であり、X
H4は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、X
H5は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、X
H6は、酸性側鎖を有するアミノ酸であり、X
H7は、酸性又はアミド誘導体側鎖を有するアミノ酸であり、X
H8は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸である)を含むVH
を含む、実施態様1~14のいずれか一項記載の方法。
16. X
K1が、アミノ酸F又はSであり、X
K2が、アミノ酸A又はSであり、X
K3が、アミノ酸T又はSであり、X
K4が、アミノ酸S又はPであり、X
K5が、アミノ酸D又はTであり、X
K6が、アミノ酸F又はYであり、X
H1が、アミノ酸L又はVであり、X
H2が、アミノ酸L又はVであり、X
H3が、アミノ酸K又はRであり、X
H4が、アミノ酸V又はAであり、X
H5が、アミノ酸L又はIであり、X
H6が、アミノ酸E又はDであり、X
H7が、アミノ酸Q又はEであり、X
H8が、アミノ酸S又はTである、実施態様15記載の抗体。
17. 該抗体が、配列番号13、14、15、及び16からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVL;並びに配列番号8、9、10、11、及び12からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHを含む、実施態様1~16のいずれか一項記載の方法。
18. 該抗体が、ヒト軽鎖定常領域を含む、実施態様1~17のいずれか一項記載の方法。
19. 該抗体が、ヒト重鎖定常領域を含む、実施態様1~18のいずれか一項記載の方法。
20. ヒト重鎖定常領域が、ヒトIgG定常領域である、実施態様19記載の方法。
21. ヒト重鎖定常領域が、ヒトIgG1定常領域である、実施態様20記載の方法。
22. 該抗体が、改変(例えば、変異)ヒトFc領域又はドメインを含む、実施態様1~21のいずれか一項記載の方法。
23. 該抗体が、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含む、実施態様1~21のいずれか一項記載の方法。
24. 該改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインが、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q及び322Qを含む、実施態様23記載の方法。
25. 該改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインが、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸252Y、254T及び256Eをさらに含む、実施態様24記載の方法。
26. 該抗体が、
(i)配列番号14のアミノ酸配列を含むVL;
(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むVH;並びに
(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q及び322Qを含む改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメイン
を含む、実施態様1~25のいずれか一項記載の方法。
27. 該抗体が、
(i)配列番号14のアミノ酸配列を含むVL;
(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むVH;並びに
(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q、322Q、252Y、254T及び256Eを含む改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメイン
を含む、実施態様1~25のいずれか一項記載の方法。
28. 該抗体が、アミノ酸配列:
【化9】
を含む重鎖を含む、実施態様1~25のいずれか一項記載の方法。
29. 該抗体が、アミノ酸配列:
【化10】
を含む軽鎖を含む、実施態様1~25のいずれか一項記載の方法。
30. 該抗体が、アミノ酸配列:
【化11】
を含む重鎖;及びアミノ酸配列:
【化12】
を含む軽鎖を含む、実施態様1~25のいずれか一項記載の方法。
31. 該対象がヒトの成人である、実施態様1~30のいずれか一項記載の方法。
32. 該対象がヒトの子供である、実施態様1~30のいずれか一項記載の方法。
(3.1.2 セット2)
1. 対象における慢性痒疹を予防、治療、又は管理するための医薬の製造のための、ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体、又はその抗原結合断片の使用。
2. ヒトKITが配列番号1のアミノ酸配列を含む、実施態様1記載の使用。
3. 該慢性痒疹が、結節性痒疹である、実施態様1又は2記載の使用。
4. 該抗体が、二価の単一特異性抗体である、実施態様1~3のいずれか一項記載の使用。
5. 該抗体が、二重特異性抗体である、実施態様1~3のいずれか一項記載の使用。
6. 該抗体が、ヒト化抗体である、実施態様1~5のいずれか一項記載の使用。
7. 該抗体が、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメインを含む、実施態様1~6のいずれか一項記載の使用。
8. 該抗体が、低下したFc受容体結合活性を有する、実施態様1~7のいずれか一項記載の使用。
9. 該抗体が、低下したFcγR結合活性を有する、実施態様1~8のいずれか一項記載の使用。
10. 該抗体が、FcgRIを発現するヒト肥満細胞の顕著な脱顆粒を誘導しない、実施態様1~9のいずれか一項記載の使用。
11. 該抗体が、顕著なFc受容体依存性KITアゴニスト活性を示さない、実施態様1~10のいずれか一項記載の使用。
12. 該抗体が、ヒトKITのD4又はD5領域に特異的に結合する、実施態様1~11のいずれか一項記載の使用。
13. 該抗体が、
(A)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む軽鎖可変領域(「VL」);並びに
(ii)それぞれ、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含む重鎖可変領域(「VH」);
(B)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号25、配列番号26、及び配列番号27のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;
(C)(i)それぞれ、配列番号28、配列番号29、及び配列番号30のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号25、配列番号31、及び配列番号32のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;
(D)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号33、配列番号34、及び配列番号27のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;
(E)(i)それぞれ、配列番号35、配列番号36、及び配列番号37のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号38、配列番号39、及び配列番号40のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH
を含む、実施態様1~12のいずれか一項記載の使用。
14. 該抗体が、それぞれ配列番号2~4のアミノ酸配列を含むVL CDR1~3を含むVL、及びそれぞれ配列番号5~7のアミノ酸配列を含むVH CDR1~3を含むVHを含む、実施態様1~13のいずれか一項記載の使用。
15. 該抗体が、
(i)アミノ酸配列:
【化13】
(ここで、X
K1は、芳香族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、Χ
K2は、芳香族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、Χ
K3は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、Χ
K4は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であるか、又はPであり、X
K5は、荷電又は酸性側鎖を有するアミノ酸であり、Χ
K6は、芳香族側鎖を有するアミノ酸である)を含むVL;及び
(ii)アミノ酸配列:
【化14】
(ここで、X
H1は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、X
H2は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、X
H3は、極性又は塩基性側鎖を有するアミノ酸であり、X
H4は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、X
H5は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、X
H6は、酸性側鎖を有するアミノ酸であり、X
H7は、酸性又はアミド誘導体側鎖を有するアミノ酸であり、X
H8は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸である)を含むVH
を含む、実施態様1~13のいずれか一項記載の使用。
16. X
K1が、アミノ酸F又はSであり、X
K2が、アミノ酸A又はSであり、X
K3が、アミノ酸T又はSであり、X
K4が、アミノ酸S又はPであり、X
K5が、アミノ酸D又はTであり、X
K6が、アミノ酸F又はYであり、X
H1が、アミノ酸L又はVであり、X
H2が、アミノ酸L又はVであり、X
H3が、アミノ酸K又はRであり、X
H4が、アミノ酸V又はAであり、X
H5が、アミノ酸L又はIであり、X
H6が、アミノ酸E又はDであり、X
H7が、アミノ酸Q又はEであり、X
H8が、アミノ酸S又はTである、実施態様15記載の使用。
17. 該抗体が、配列番号13、14、15、及び16からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVL;並びに配列番号8、9、10、11、及び12からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHを含む、実施態様1~16のいずれか一項記載の使用。
18. 該抗体が、ヒト軽鎖定常領域を含む、実施態様1~17のいずれか一項記載の使用。
19. 該抗体が、ヒト重鎖定常領域を含む、実施態様1~18のいずれか一項記載の使用。
20. ヒト重鎖定常領域が、ヒトIgG定常領域である、実施態様19記載の使用。
21. ヒト重鎖定常領域が、ヒトIgG1定常領域である、実施態様20記載の使用。
22. 該抗体が、改変(例えば、変異)ヒトFc領域又はドメインを含む、実施態様1~21のいずれか一項記載の使用。
23. 該抗体が、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含む、実施態様1~21のいずれか一項記載の使用。
24. 該改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインが、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q及び322Qを含む、実施態様23記載の使用。
25. 該改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインが、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸252Y、254T及び256Eをさらに含む、実施態様24記載の使用。
26. 該抗体が、
(i)配列番号14のアミノ酸配列を含むVL;
(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むVH;並びに
(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q及び322Qを含む改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメイン
を含む、実施態様1~25のいずれか一項記載の使用。
27. 該抗体が、
(i)配列番号14のアミノ酸配列を含むVL;
(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むVH;並びに
(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q、322Q、252Y、254T及び256Eを含む改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメイン
を含む、実施態様1~25のいずれか一項記載の使用。
28. 該抗体が、アミノ酸配列:
【化15】
を含む重鎖を含む、実施態様1~25のいずれか一項記載の使用。
29. 該抗体が、アミノ酸配列:
【化16】
を含む軽鎖を含む、実施態様1~25のいずれか一項記載の使用。
30. 該抗体が、アミノ酸配列:
【化17】
を含む重鎖;及びアミノ酸配列:
【化18】
を含む軽鎖を含む、実施態様1~25のいずれか一項記載の使用。
31. 該対象がヒトの成人である、実施態様1~30のいずれか一項記載の使用。
32. 該対象がヒトの子供である、実施態様1~30のいずれか一項記載の使用。
(3.1.3 セット3)
1. 対象における慢性痒疹を予防、治療、又は管理する方法で使用するための、ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体、又はその抗原結合断片。
2. ヒトKITが配列番号1のアミノ酸配列を含む、実施態様1記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
3. 該慢性痒疹が、結節性痒疹である、実施態様1又は2記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
4. 該抗体が、二価の単一特異性抗体である、実施態様1~3のいずれか一項記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
5. 該抗体が、二重特異性抗体である、実施態様1~3のいずれか一項記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
6. 該抗体が、ヒト化抗体である、実施態様1~5のいずれか一項記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
7. 該抗体が、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメインを含む、実施態様1~6のいずれか一項記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
8. 該抗体が、低下したFc受容体結合活性を有する、実施態様1~7のいずれか一項記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
9. 該抗体が、低下したFcγR結合活性を有する、実施態様1~8のいずれか一項記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
10. 該抗体が、FcgRIを発現するヒト肥満細胞の顕著な脱顆粒を誘導しない、実施態様1~9のいずれか一項記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
11. 該抗体が、顕著なFc受容体依存性KITアゴニスト活性を示さない、実施態様1~10のいずれか一項記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
12. 該抗体が、ヒトKITのD4又はD5領域に特異的に結合する、実施態様1~11のいずれか一項記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
13. 該抗体が、
(A)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む軽鎖可変領域(「VL」);並びに
(ii)それぞれ、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含む重鎖可変領域(「VH」);
(B)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号25、配列番号26、及び配列番号27のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;
(C)(i)それぞれ、配列番号28、配列番号29、及び配列番号30のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号25、配列番号31、及び配列番号32のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;
(D)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号33、配列番号34、及び配列番号27のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;
(E)(i)それぞれ、配列番号35、配列番号36、及び配列番号37のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号38、配列番号39、及び配列番号40のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH
を含む、実施態様1~12のいずれか一項記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
14. 該抗体が、それぞれ配列番号2~4のアミノ酸配列を含むVL CDR1~3を含むVL、及びそれぞれ配列番号5~7のアミノ酸配列を含むVH CDR1~3を含むVHを含む、実施態様1~13のいずれか一項記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
15. 該抗体が、
(i)アミノ酸配列:
【化19】
(ここで、X
K1は、芳香族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、Χ
K2は、芳香族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、Χ
K3は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、Χ
K4は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であるか、又はPであり、X
K5は、荷電又は酸性側鎖を有するアミノ酸であり、Χ
K6は、芳香族側鎖を有するアミノ酸である)を含むVL;及び
(ii)アミノ酸配列:
【化20】
(ここで、X
H1は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、X
H2は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、X
H3は、極性又は塩基性側鎖を有するアミノ酸であり、X
H4は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、X
H5は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、X
H6は、酸性側鎖を有するアミノ酸であり、X
H7は、酸性又はアミド誘導体側鎖を有するアミノ酸であり、X
H8は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸である)を含むVH
を含む、実施態様1~14のいずれか一項記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
16. X
K1が、アミノ酸F又はSであり、X
K2が、アミノ酸A又はSであり、X
K3が、アミノ酸T又はSであり、X
K4が、アミノ酸S又はPであり、X
K5が、アミノ酸D又はTであり、X
K6が、アミノ酸F又はYであり、X
H1が、アミノ酸L又はVであり、X
H2が、アミノ酸L又はVであり、X
H3が、アミノ酸K又はRであり、X
H4が、アミノ酸V又はAであり、X
H5が、アミノ酸L又はIであり、X
H6が、アミノ酸E又はDであり、X
H7が、アミノ酸Q又はEであり、X
H8が、アミノ酸S又はTである、実施態様15記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
17. 該抗体が、配列番号13、14、15、及び16からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVL;並びに配列番号8、9、10、11、及び12からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHを含む、実施態様1~16のいずれか一項記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
18. 該抗体が、ヒト軽鎖定常領域を含む、実施態様1~17のいずれか一項記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
19. 該抗体が、ヒト重鎖定常領域を含む、実施態様1~18のいずれか一項記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
20. ヒト重鎖定常領域が、ヒトIgG定常領域である、実施態様19記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
21. ヒト重鎖定常領域が、ヒトIgG1定常領域である、実施態様20記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
22. 該抗体が、改変(例えば、変異)ヒトFc領域又はドメインを含む、実施態様1~21のいずれか一項記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
23. 該抗体が、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含む、実施態様1~21のいずれか一項記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
24. 該改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインが、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q及び322Qを含む、実施態様23記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
25. 該改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインが、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸252Y、254T及び256Eをさらに含む、実施態様24記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
26. 該抗体が、
(i)配列番号14のアミノ酸配列を含むVL;
(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むVH;並びに
(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q及び322Qを含む改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメイン
を含む、実施態様1~25のいずれか一項記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
27. 該抗体が、
(i)配列番号14のアミノ酸配列を含むVL;
(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むVH;並びに
(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q、322Q、252Y、254T及び256Eを含む改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメイン
を含む、実施態様1~25のいずれか一項記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
28. 該抗体が、アミノ酸配列:
【化21】
を含む重鎖を含む、実施態様1~25のいずれか一項記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
29. 該抗体が、アミノ酸配列:
【化22】
を含む軽鎖を含む、実施態様1~25のいずれか一項記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
30. 該抗体が、アミノ酸配列:
【化23】
を含む重鎖;及びアミノ酸配列:
【化24】
を含む軽鎖を含む、実施態様1~25のいずれか一項記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
31. 該対象がヒトの成人である、実施態様1~30のいずれか一項記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
32. 該対象がヒトの子供である、実施態様1~30のいずれか一項記載の使用のための抗体又はその抗原結合断片。
【図面の簡単な説明】
【0035】
(4.図面の簡単な説明)
【
図1】
図1は、全長ヒトKIT(配列番号1)、GenBank(商標)アクセッション番号AAC50969のアミノ酸配列を示す。1番目から5番目までの細胞外Ig様ドメイン(すなわち、D1、D2、D3、D4、及びD5)が示されている;「{」は、各ドメインのアミノ末端残基を示し、「}」は、各ドメインのカルボキシル末端残基を示す。D1ドメインはP34~R112に示され、D2ドメインはD113~P206に示され、D3ドメインはA207~D309に示され、D4ドメインはK310~N410に示され、D4とD5の間のヒンジ領域はV409~N410に位置し、D5ドメインはT411~K509に示される。また、D1/D2ヒンジ領域はD113~L117に位置し; D2/D3ヒンジ領域はP206~A210に位置し; D3/D4ヒンジ領域はD309~G311に位置する。D4/D5領域は、K310~K509を含む。膜貫通ドメインは、残基F525~Q545を含み、キナーゼドメインは、残基K589~S933を含む。
【0036】
【
図2】
図2A~2Eは、本発明による特定の抗KIT抗体であるmAb1の、血漿トリプターゼレベルに対する効果を示す。
【0037】
【
図3】
図3A及び3Bは、本発明による特定の抗KIT抗体であるmAb1の、血漿トリプターゼレベルに対するさらなる効果を示す。
【0038】
【
図4】
図4は、本発明による特定の抗KIT抗体であるmAb1の、血漿幹細胞因子(SCF)レベルに対する効果を示す。
【0039】
【
図5】
図5は、本発明による特定の抗KIT抗体であるmAb1、及び同じ可変領域配列であるが、変異していない(野生型)ヒトIgG1配列を有する対応する抗体mAbcの、野生型KIT及び下流の細胞内シグナル伝達経路のSCF誘導活性化に対する効果を示す。
【0040】
【
図6】
図6は、本発明による特定の抗KIT抗体であるmAb1、及び同じ可変領域配列であるが、変異していない(野生型)ヒトIgG1配列を有する対応する抗体mAbcの、SCF依存性細胞増殖に対する効果を示す。
【0041】
【
図7】
図7は、本発明による特定の抗KIT抗体であるmAb1、及び同じ可変領域配列であるが、変異していない(野生型)ヒトIgG1配列を有する対応する抗体mAbcの、組換えヒトFc-ガンマ受容体(FcγR)及びヒト胎児性Fc受容体(FcRn)に対する結合親和性を示す。
【0042】
【
図8】
図8A~8Nは、本発明による特定の抗KIT抗体であるmAb1、及び同じ可変領域配列であるが、変異していない(野生型)ヒトIgG1配列を有する対応する抗体mAbcの、組換えヒトFc-ガンマ受容体(FcγR)及びヒト胎児性Fc受容体(FcRn)に対する結合曲線を示す。
図8Aは、FcγRIに対するmAb1の結合曲線を示す。
図8Bは、FcγRIIaに対するmAb1の結合曲線を示す。
図8Cは、FcγRIIbに対するmAb1の結合曲線を示す。
図8Dは、FcγRIIIaに対するmAb1の結合曲線を示す。
図8Eは、FcγRIIIbに対するmAb1の結合曲線を示す。
図8Fは、FcRnに対するmAb1の結合曲線を示す(pH6.0)。
図8Gは、FcRnに対するmAb1の結合曲線を示す(pH7.2)。
図8Hは、FcγRIに対するmAbcの結合曲線を示す。
図8Iは、FcγRIIaに対するmAbcの結合曲線を示す。
図8Jは、FcγRIIbに対するmAbcの結合曲線を示す。
図8Kは、FcγRIIIaに対するmAbcの結合曲線を示す。
図8Lは、FcγRIIIbに対するmAbcの結合曲線を示す。
図8Mは、FcRnに対するmAbcの結合曲線を示す(pH6.0)。
図8Nは、FcRnに対するmAbcの結合曲線を示す(pH7.2)。
【0043】
【
図9】
図9は、本発明による特定の抗KIT抗体であるmAb1、及び同じ可変領域配列であるが、変異していない(野生型)ヒトIgG1配列を有する対応する抗体mAbcの、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)活性に対する効果を示す。
【0044】
【
図10】
図10は、本発明による特定の抗KIT抗体であるmAb1の、特異的サイトカイン産生に対する効果を示す。各棒グラフに示される条件は、左から右に:PHA、LPS、huIgG1 (可溶性)、mAb1 0.02nM (可溶性)、mAb1 0.2nM (可溶性)、mAb1 40nM (可溶性)、mAb1 0.02nM (ドライコーティング)、mAb1 0.2nM (ドライコーティング)、及びmAb1 40nM (ドライコーティング)である。
【0045】
【
図11】
図11は、肥満細胞におけるKITシグナル伝達の役割及びKIT受容体に対するmAb1の作用を示す模式図である。
【0046】
【
図12】
図12A~12Dは、mAb1の単回投与が、慢性誘発性蕁麻疹(CIndU)患者における95%完全奏功(CR)率で迅速かつ持続的な応答をもたらしたことを示す。10/10の寒冷蕁麻疹(ColdU)患者がCRを達成した(
図12A)。8/9の症候性皮膚炎(SD)患者がCRを達成し、1/9のSD患者が部分奏功(PR)を達成した(
図12B)。CR=4℃以下での誘発試験が陰性又は0ピン;PR=4℃の改善又は2以上のピン;各患者に対する最大応答が示されている。ColdU患者における経時的なTempTest(登録商標)結果を
図12Cに示す。完全ColdU患者(n=8)のうち、CRは、期間中央値の77日の間維持された(
図12C)。SD患者における経時的なFricTest(登録商標)結果が
図12Dに示されている。完全SD患者(n=6)のうち、CRは、期間中央値の57日の間維持された(
図12D)。
【0047】
【
図13】
図13A~13Bは、医師の全体評価(Phys-GA)及び患者の全体評価(Pat-GA)によって証明される全体的な疾患改善を示す。0はなし、3は重篤の0~3のリッカートスケールを使用して、Phys-GA及びPat-GAは疾患の重症度を評価する。
【0048】
【
図14】
図14A~14Dは、mAb1処置が、皮膚肥満細胞及び血清トリプターゼを顕著に枯渇させたことを示す。
図14Aは、mAb1が皮膚肥満細胞数を減少させたことを示す(n=14、*はp<0.05を意味し、**はp<0.01を意味し、***はp<0.001を意味し、****はp<0.0001を意味する)。
図14Bは、mAb1が全患者において血清トリプターゼを検出限界以下まで低下させたことを示す(アッセイ定量限界以下(LLoQ=1ng/mL)のトリプターゼ値を0に正規化した)。
図14Cは、肥満細胞及びトリプターゼ動態を示す。
図14Dは、皮膚肥満細胞数が血清トリプターゼレベルと相関した(p<0.0001; R
2=0.45)ことを示す。
【0049】
【
図15】
図15A~15Dは、皮膚肥満細胞及びトリプターゼ枯渇の動態が、誘発閾値の低下を反映したことを示す。
図15Aは、ColdU患者における経時的な肥満細胞動態及びTempTest(登録商標)結果を示す。
図15Bは、SD患者における経時的な肥満細胞動態及びFricTest(登録商標)結果を示す。
図15Cは、ColdU患者における経時的なトリプターゼ動態及びTempTest(登録商標)結果を示す(LLoQ以下のトリプターゼ値を0に正規化した;4℃以下の臨界温度閾値(陰性試験)を3℃の値とした)。
図15Dは、SD患者における経時的なトリプターゼ動態及びFricTest(登録商標)結果を示す。
【0050】
【
図16】
図16A~16Dは、血液学的パラメータがほとんどの場合正常範囲内にとどまり、ヘモグロビン及び白血球(WBC)パラメータの軽度の一時的かつ無症候性減少が認められたことを示す。図 16Aは、経時的なヘモグロビン(HgB)のレベルを示す。
図16Bは、経時的なWBC数を示す。
図16Cは、経時的な血小板数を示す。
図16Dは、経時的な絶対好中球数(ANC)を示す。各グラフにおいて、斜線領域は、対応する正常範囲を表す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
(5.詳細な説明)
本明細書に提供されるのは、それを必要とする対象における、結節性痒疹を含む慢性痒疹を予防、治療、又は管理する方法であって、それを必要とする対象に、ヒトKIT阻害剤の治療有効量を投与することを含む、前記方法である。ヒトKIT阻害剤は、ヒトKITタンパク質(例えば、配列番号1のアミノ酸配列を含むヒトKITタンパク質)の活性又は発現レベルを阻害する任意の阻害剤であり得る。具体的な実施態様において、ヒトKIT阻害剤は生物学的製剤である。具体的な実施態様において、ヒトKIT阻害剤は、ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体又はその抗原結合性断片である。具体的な実施態様において、ヒトKIT阻害剤は低分子阻害剤である。具体的な実施態様において、ヒトKIT阻害剤は、アプタマー、shRNA、miRNA、siRNA、又はアンチセンスDNAなどのオリゴヌクレオチドである。
【0052】
一態様において、本明細書に提供されるのは、対象における慢性痒疹を予防、治療、又は管理する方法であって、それを必要とする対象に、ヒトKIT(例えば、ヒトKIT D4又はD5ドメインを含むKITポリペプチド、例えば、配列番号1のアミノ酸配列を含むヒトKITタンパク質)に免疫特異的に結合する抗体、又はその抗原結合断片の治療有効量を投与することを含む、前記方法である。
【0053】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、対象における慢性痒疹を予防する方法であって、それを必要とする対象に、ヒトKIT(例えば、ヒトKIT D4又はD5ドメインを含むKITポリペプチド、例えば、配列番号1のアミノ酸配列を含むヒトKITタンパク質)に免疫特異的に結合する抗体、又はその抗原結合断片の治療有効量を投与することを含む、前記方法である。
【0054】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、対象における慢性痒疹を治療する方法であって、それを必要とする対象に、ヒトKIT(例えば、ヒトKIT D4又はD5ドメインを含むKITポリペプチド、例えば、配列番号1のアミノ酸配列を含むヒトKITタンパク質)に免疫特異的に結合する抗体、又はその抗原結合断片の治療有効量を投与することを含む、前記方法である。
【0055】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、対象における慢性痒疹を管理する方法であって、それを必要とする対象に、ヒトKIT(例えば、ヒトKIT D4又はD5ドメインを含むKITポリペプチド、例えば、配列番号1のアミノ酸配列を含むヒトKITタンパク質)に免疫特異的に結合する抗体、又はその抗原結合断片の治療有効量を投与することを含む、前記方法である。
【0056】
具体的な実施態様において、慢性痒疹は結節性痒疹である。具体的な実施態様において、慢性痒疹は、一般的な痒疹である。具体的な実施態様において、慢性痒疹は結節性痒疹である。具体的な実施態様において、慢性痒疹は痒疹斑である。具体的な実施態様において、慢性痒疹は臍窩を有する痒疹である。具体的な実施態様において、慢性痒疹は線状痒疹である。いくつかの実施態様において、対象は病変の単型表現型を示す。他の実施態様において、対象は、病変の多型表現型を示す。
【0057】
ある実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹(例えば、結節性痒疹)と蕁麻疹(例えば、慢性自然発生蕁麻疹、慢性特発性蕁麻疹及び慢性誘発性蕁麻疹(chronic induced urticaria)(すなわち、寒冷蕁麻疹(ColdU)、症候性皮膚描記症(SD)、コリン作動性蕁麻疹、熱蕁麻疹、遅発性褥瘡、日光蕁麻疹、振動性蕁麻疹、接触蕁麻疹、又は水性蕁麻疹などの慢性誘発性蕁麻疹(chronic inducible urticaria)(CIndU))の両方を治療、管理、防止、又は予防するために対象に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹(例えば、結節性痒疹)と、ColdU、SD、熱蕁麻疹、遅発性褥瘡、日光蕁麻疹、振動性蕁麻疹、接触蕁麻疹、又は水性蕁麻疹などの慢性誘発性蕁麻疹(CIndU))の両方を治療、管理、防止、又は予防するために対象に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹(例えば、結節性痒疹)とSDの両方を治療、管理、防止、又は予防するために対象に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、結節性痒疹とSDの両方を治療、管理、防止、又は予防するために対象に投与される。
【0058】
様々な実施態様において、慢性痒疹を有する対象は、慢性痒疹に対する1以上の前治療に失敗している。ある実施態様において、1以上の前治療は、慢性痒疹に対する少なくとも1つの標準治療療法を含む。ある実施態様において、1以上の前治療は、慢性痒疹に対する全ての標準治療療法である。ある実施態様において、慢性痒疹を有する対象は、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療に失敗している。ある実施態様において、慢性痒疹を有する対象は、抗IL-31受容体アルファ抗体、例えば、ネモリズマブなどのIL-31受容体アルファ阻害剤による治療に失敗している。ある実施態様において、慢性痒疹を有する対象は、ヤヌスキナーゼ1阻害剤、例えば、INCB054707又はアブロシチニブによる治療に失敗している。ある実施態様において、慢性痒疹を有する対象は、ニューロキニン-1(NK1)受容体アンタゴニスト、例えば、セルロピタントによる治療に失敗している。ある実施態様において、慢性痒疹を有する対象は、PDE4及び/又はTNF-α阻害剤、例えば、アプレミラストによる治療に失敗している。ある実施態様において、慢性痒疹を有する対象は、抗OSMRβ抗体、例えば、ビキサレリマブなどのOSMRβ阻害剤による治療に失敗している。ある実施態様において、慢性痒疹を有する対象は、慢性痒疹に対する上記の1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の治療に失敗している。
【0059】
慢性痒疹が、治療に不応性であり、治療に抵抗性であり、治療後に再発する場合、かつ/又は治療の不耐性が原因で対象が治療を中断している場合には、対象は治療に失敗していると考えられる。
【0060】
様々な実施態様において、慢性痒疹は、慢性痒疹に対する1以上の前治療に不応性である。ある実施態様において、1以上の前治療は、慢性痒疹に対する少なくとも1つの標準治療療法を含む。ある実施態様において、1以上の前治療は、慢性痒疹に対する全ての標準治療療法である。ある実施態様において、慢性痒疹は、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療に不応性である。ある実施態様において、慢性痒疹は、抗IL-31受容体アルファ抗体、例えば、ネモリズマブなどのIL-31受容体アルファ阻害剤による治療に不応性である。ある実施態様において、慢性痒疹は、ヤヌスキナーゼ1阻害剤、例えば、INCB054707又はアブロシチニブによる治療に不応性である。ある実施態様において、慢性痒疹は、ニューロキニン-1(NK1)受容体アンタゴニスト、例えば、セルロピタントによる治療に不応性である。ある実施態様において、慢性痒疹は、PDE4及び/又はTNF-α阻害剤、例えば、アプレミラストによる治療に不応性である。ある実施態様において、慢性痒疹は、抗OSMRβ抗体、例えば、ビキサレリマブなどのOSMRβ阻害剤による治療に不応性である。ある実施態様において、慢性痒疹は、慢性痒疹に対する上記の1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の治療に不応性である。
【0061】
様々な実施態様において、慢性痒疹は、慢性痒疹に対する1以上の前治療に抵抗性である。ある実施態様において、1以上の前治療は、慢性痒疹に対する少なくとも1つの標準治療療法を含む。ある実施態様において、1以上の前治療は、慢性痒疹に対する全ての標準治療療法である。ある実施態様において、慢性痒疹は、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療に抵抗性である。ある実施態様において、慢性痒疹は、抗IL-31受容体アルファ抗体、例えば、ネモリズマブなどのIL-31受容体アルファ阻害剤による治療に抵抗性である。ある実施態様において、慢性痒疹は、ヤヌスキナーゼ1阻害剤、例えば、INCB054707又はアブロシチニブによる治療に抵抗性である。ある実施態様において、慢性痒疹は、ニューロキニン-1(NK1)受容体アンタゴニスト、例えば、セルロピタントによる治療に抵抗性である。ある実施態様において、慢性痒疹は、PDE4及び/又はTNF-α阻害剤、例えば、アプレミラストによる治療に抵抗性である。ある実施態様において、慢性痒疹は、抗OSMRβ抗体、例えば、ビキサレリマブなどのOSMRβ阻害剤による治療に抵抗性である。ある実施態様において、慢性痒疹は、慢性痒疹に対する上記の1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の治療に抵抗性である。
【0062】
様々な実施態様において、慢性痒疹は、慢性痒疹に対する1以上の前治療に不応性と抵抗性の両方である。ある実施態様において、1以上の前治療は、慢性痒疹に対する少なくとも1つの標準治療療法を含む。ある実施態様において、1以上の前治療は、慢性痒疹に対する全ての標準治療療法である。ある実施態様において、慢性痒疹は、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療に不応性と抵抗性の両方である。ある実施態様において、慢性痒疹は、抗IL-31受容体アルファ抗体、例えば、ネモリズマブなどのIL-31受容体アルファ阻害剤による治療に不応性と抵抗性の両方である。ある実施態様において、慢性痒疹は、ヤヌスキナーゼ1阻害剤、例えば、INCB054707又はアブロシチニブによる治療に不応性と抵抗性の両方である。ある実施態様において、慢性痒疹は、ニューロキニン-1(NK1)受容体アンタゴニスト、例えば、セルロピタントによる治療に不応性と抵抗性の両方である。ある実施態様において、慢性痒疹は、PDE4及び/又はTNF-α阻害剤、例えば、アプレミラストによる治療に不応性と抵抗性の両方である。ある実施態様において、慢性痒疹は、抗OSMRβ抗体、例えば、ビキサレリマブなどのOSMRβ阻害剤による治療に不応性と抵抗性の両方である。ある実施態様において、慢性痒疹は、慢性痒疹に対する上記の1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の治療に不応性と抵抗性の両方である。
【0063】
様々な実施態様において、慢性痒疹は、慢性痒疹に対する1以上の前治療後に再発した。ある実施態様において、1以上の前治療は、慢性痒疹に対する少なくとも1つの標準治療療法を含む。ある実施態様において、1以上の前治療は、慢性痒疹に対する全ての標準治療療法である。ある実施態様において、慢性痒疹は、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に再発した。ある実施態様において、慢性痒疹は、抗IL-31受容体アルファ抗体、例えば、ネモリズマブなどのIL-31受容体アルファ阻害剤による治療後に再発した。ある実施態様において、慢性痒疹は、ヤヌスキナーゼ1阻害剤、例えば、INCB054707又はアブロシチニブによる治療後に再発した。ある実施態様において、慢性痒疹は、ニューロキニン-1(NK1)受容体アンタゴニスト、例えば、セルロピタントによる治療後に再発した。ある実施態様において、慢性痒疹は、PDE4及び/又はTNF-α阻害剤、例えば、アプレミラストによる治療後に再発した。ある実施態様において、慢性痒疹は、抗OSMRβ抗体、例えば、ビキサレリマブなどのOSMRβ阻害剤による治療後に再発した。ある実施態様において、慢性痒疹は、慢性痒疹に対する上記の1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の治療後に再発した。
【0064】
様々な実施態様において、慢性痒疹を有する対象は、治療(複数可)の不耐性が原因で、慢性痒疹に対する1以上の前治療を中断している。ある実施態様において、1以上の前治療は、慢性痒疹に対する少なくとも1つの標準治療療法を含む。ある実施態様において、1以上の前治療は、慢性痒疹に対する全ての標準治療療法である。ある実施態様において、慢性痒疹を有する対象は、治療の不耐性が原因で、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療を中断している。ある実施態様において、慢性痒疹を有する対象は、治療の不耐性が原因で、抗IL-31受容体アルファ抗体、例えば、ネモリズマブなどのIL-31受容体アルファ阻害剤による治療を中断している。ある実施態様において、慢性痒疹を有する対象は、治療の不耐性が原因で、ヤヌスキナーゼ1阻害剤、例えば、INCB054707又はアブロシチニブによる治療を中断している。ある実施態様において、慢性痒疹を有する対象は、治療の不耐性が原因で、ニューロキニン-1(NK1)受容体アンタゴニスト、例えば、セルロピタントによる治療を中断している。ある実施態様において、慢性痒疹を有する対象は、治療の不耐性が原因で、PDE4及び/又はTNF-α阻害剤、例えば、アプレミラストによる治療を中断している。ある実施態様において、慢性痒疹を有する対象は、治療の不耐性が原因で、抗OSMRβ抗体、例えば、ビキサレリマブなどのOSMRβ阻害剤による治療を中断している。ある実施態様において、慢性痒疹を有する対象は、治療(複数可)の不耐性が原因で、慢性痒疹に対する上記の1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の治療を中断している。
【0065】
本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートが、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を治療又は管理するために対象に投与される様々な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)を有する対象は、蕁麻疹に対する1以上の前治療に失敗している。ある実施態様において、1以上の前治療は、蕁麻疹に対する少なくとも1つの標準治療療法を含む。ある実施態様において、1以上の前治療は、蕁麻疹に対する全ての標準治療療法である。本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートが、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を治療又は管理するために対象に投与されるある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)を有する対象は、蕁麻疹に対する抗ヒスタミン薬治療(複数可)に失敗している。本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートが、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を治療又は管理するために対象に投与される具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)を有する対象は、蕁麻疹に対するH1-抗ヒスタミン薬治療(複数可)に失敗している。本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートが、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を治療又は管理するために対象に投与される具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)を有する対象は、蕁麻疹に対するH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可)に失敗している。本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートが、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を治療又は管理するために対象に投与される具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)を有する対象は、蕁麻疹に対するH1-抗ヒスタミン薬治療とH2-抗ヒスタミン薬治療の両方に失敗している。本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートが、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を治療又は管理するために対象に投与されるある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)を有する対象は、蕁麻疹に対する1以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる治療(複数可)に失敗している。本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートが、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を治療又は管理するために対象に投与されるある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)を有する対象は、蕁麻疹に対する1以上の免疫調節剤又は抗炎症剤による治療(複数可)に失敗している。本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートが、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を治療又は管理するために対象に投与される具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)を有する対象は、蕁麻疹に対する抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療に失敗している。本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートが、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を治療又は管理するために対象に投与される具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)を有する対象は、蕁麻疹に対する抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療に失敗している。本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートが、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を治療又は管理するために対象に投与される具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)を有する対象は、蕁麻疹に対する抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤)による治療に失敗している。本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートが、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を治療又は管理するために対象に投与される具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)を有する対象は、蕁麻疹に対する抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤による治療に失敗している。本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートが、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を治療又は管理するために対象に投与される具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)を有する対象は、蕁麻疹に対する抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤による治療に失敗している。本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートが、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を治療又は管理するために対象に投与される具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)を有する対象は、蕁麻疹に対する抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP阻害剤又はTSLPR阻害剤による治療に失敗している。本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートが、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を治療又は管理するために対象に投与される具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)を有する対象は、蕁麻疹に対する抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤による治療に失敗している。本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートが、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を治療又は管理するために対象に投与される具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)を有する対象は、蕁麻疹に対する抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤による治療に失敗している。本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートが、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を治療又は管理するために対象に投与される具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)を有する対象は、蕁麻疹に対する1以上のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤、例えば、レミブルチニブ及び/又はリルザブルチニブによる治療(複数可)に失敗している。本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートが、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を治療又は管理するために対象に投与されるある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)を有する対象は、蕁麻疹に対する(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、(2)1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる治療(複数可)、(3)1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤(例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP阻害剤又はTSLPR阻害剤、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤、及び/もしくは抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤による治療(複数可)、並びに/又は(4)1種以上のBTK阻害剤、例えば、レミブルチニブ及び/又はリルザブルチニブによる治療(複数可)に失敗している。本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートが、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を治療又は管理するために対象に投与されるある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)を有する対象は、蕁麻疹に対する(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、及び(2)1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤(例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP阻害剤又はTSLPR阻害剤、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤、及び/もしくは抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤による治療(複数可)に失敗している。本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートが、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を治療又は管理するために対象に投与されるある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)を有する対象は、蕁麻疹に対する(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療、並びに(3)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療(複数可)に失敗している。本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートが、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を治療又は管理するために対象に投与されるある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)を有する対象は、蕁麻疹に対する(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、並びに(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療に失敗している。本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートが、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を治療又は管理するために対象に投与されるある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)を有する対象は、蕁麻疹に対する(1)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療、及び(2)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療に失敗している。
【0066】
蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)が、治療に不応性であり、治療に抵抗性であり、治療後に再発する場合、かつ/又は治療の不耐性が原因で、対象が治療を中断している場合には、対象は、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の治療に失敗していると考えられる。具体的な実施態様において、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を有する対象は、上記の蕁麻疹に対する1以上の治療であり得る蕁麻疹に対する1以上の前治療に不応性である蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)を有する。具体的な実施態様において、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を有する対象は、上記の蕁麻疹に対する1以上の治療であり得る蕁麻疹に対する1以上の前治療に抵抗性である蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)を有する。具体的な実施態様において、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を有する対象は、上記の蕁麻疹に対する1以上の治療であり得る蕁麻疹に対する1以上の前治療に不応性と抵抗性の両方である蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)を有する。具体的な実施態様において、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を有する対象は、上記の蕁麻疹に対する1以上の治療であり得る蕁麻疹に対する1以上の前治療後に再発した蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)を有する。具体的な実施態様において、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を有する対象は、上記の蕁麻疹に対する1以上の治療であり得る蕁麻疹に対する1以上の前治療を中断している。
【0067】
本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートが、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を治療又は管理するために対象に投与される様々な実施態様において、該対象は、上記の慢性痒疹に対する1以上の治療であり得る慢性痒疹に対する1以上の前治療に失敗し、該対象は、上記の蕁麻疹に対する1以上の治療であり得る蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)に対する1以上の前治療にも失敗している。
【0068】
様々な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対する1以上の前治療にもかかわらず、その慢性痒疹が症候性のままである慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療にもかかわらず、その慢性痒疹が症候性のままである慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、抗IL-31受容体アルファ抗体、例えば、ネモリズマブなどのIL-31受容体アルファ阻害剤による治療にもかかわらず、その慢性痒疹が症候性のままである慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、ヤヌスキナーゼ1阻害剤、例えば、INCB054707又はアブロシチニブによる治療にもかかわらず、その慢性痒疹が症候性のままである慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、ニューロキニン-1(NK1)受容体アンタゴニスト、例えば、セルロピタントによる治療にもかかわらず、その慢性痒疹が症候性のままである慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、PDE4及び/又はTNF-α阻害剤、例えば、アプレミラストによる治療にもかかわらず、その慢性痒疹が症候性のままである慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、抗OSMRβ抗体、例えば、ビキサレリマブなどのOSMRβ阻害剤による治療にもかかわらず、その慢性痒疹が症候性のままである慢性痒疹を有する対象に投与される。
【0069】
様々な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、上記の蕁麻疹に対する1以上の治療であり得る蕁麻疹に対する1以上の前治療による治療にもかかわらず、その蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)が症候性のままである、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を有する対象に投与される。
【0070】
様々な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、上記の慢性痒疹に対する1以上の治療であり得る慢性痒疹に対する1以上の前治療による治療にもかかわらず、その慢性痒疹が症候性のままであり、かつ上記の蕁麻疹に対する1以上の治療であり得る蕁麻疹に対する1以上の前治療による治療にもかかわらず、その蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)が症候性のままである、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を有する対象に投与される。
【0071】
様々な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対する前記1以上の前治療に失敗している対象に、慢性痒疹に対する1以上の前治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、IL-4R阻害剤による前記治療に失敗している対象に、慢性痒疹に対する抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、IL-31受容体アルファ阻害剤による前記治療に失敗している対象に、慢性痒疹に対する抗IL-31受容体アルファ抗体、例えば、ネモリズマブなどのIL-31受容体アルファ阻害剤による治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、ヤヌスキナーゼ1阻害剤による前記治療に失敗している対象に、慢性痒疹に対するヤヌスキナーゼ1阻害剤、例えば、INCB054707又はアブロシチニブによる治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、NK1受容体アンタゴニストによる前記治療に失敗している対象に、慢性痒疹に対するニューロキニン-1(NK1)受容体アンタゴニスト、例えば、セルロピタントによる治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、PDE4及び/又はTNF-α阻害剤による前記治療に失敗している対象に、慢性痒疹に対するPDE4及び/又はTNF-α阻害剤、例えば、アプレミラストによる治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、OSMRβ阻害剤による前記治療に失敗している対象に、抗OSMRβ抗体、例えば、ビキサレリマブなどのOSMRβ阻害剤による治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、前記1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の治療に失敗している対象に、慢性痒疹に対する上記1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。
【0072】
様々な実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹が慢性痒疹に対する前記1以上の前治療に不応性である対象に、慢性痒疹に対する1以上の前治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹がIL-4R阻害剤による前記治療に不応性である対象に、慢性痒疹に対する抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹がIL-31受容体アルファ阻害剤による前記治療に不応性である対象に、慢性痒疹に対する抗IL-31受容体アルファ抗体、例えば、ネモリズマブなどのIL-31受容体アルファ阻害剤による治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹がヤヌスキナーゼ1阻害剤による前記治療に不応性である対象に、慢性痒疹に対するヤヌスキナーゼ1阻害剤、例えば、INCB054707又はアブロシチニブによる治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹がNK1受容体アンタゴニストによる前記治療に不応性である対象に、慢性痒疹に対するニューロキニン-1(NK1)受容体アンタゴニスト、例えば、セルロピタントによる治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹がPDE4及び/又はTNF-α阻害剤による前記治療に不応性である対象に、慢性痒疹に対するPDE4及び/又はTNF-α阻害剤、例えば、アプレミラストによる治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹がOSMRβ阻害剤による前記治療に不応性である対象に、慢性痒疹に対する抗OSMRβ抗体、例えば、ビキサレリマブなどのOSMRβ阻害剤による治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹が前記1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の治療に不応性である対象に、慢性痒疹に対する上記の1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。
【0073】
様々な実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹が慢性痒疹に対する前記1以上の前治療に抵抗性である対象に、慢性痒疹に対する1以上の前治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹がIL-4R阻害剤による前記治療に抵抗性である対象に、慢性痒疹に対する抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹がIL-31受容体アルファ阻害剤による前記治療に抵抗性である対象に、慢性痒疹に対する抗IL-31受容体アルファ抗体、例えば、ネモリズマブなどのIL-31受容体アルファ阻害剤による治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹がヤヌスキナーゼ1阻害剤による前記治療に抵抗性である対象に、慢性痒疹に対するヤヌスキナーゼ1阻害剤、例えば、INCB054707又はアブロシチニブによる治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹がNK1受容体アンタゴニストによる前記治療に抵抗性である対象に、慢性痒疹に対するニューロキニン-1(NK1)受容体アンタゴニスト、例えば、セルロピタントによる治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹がPDE4及び/又はTNF-α阻害剤による前記治療に抵抗性である対象に、慢性痒疹に対するPDE4及び/又はTNF-α阻害剤、例えば、アプレミラストによる治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹がOSMRβ阻害剤による前記治療に抵抗性である対象に、慢性痒疹に対する抗OSMRβ抗体、例えば、ビキサレリマブなどのOSMRβ阻害剤による治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹が前記1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の治療に抵抗性である対象に、慢性痒疹に対する上記の1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。
【0074】
様々な実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹が慢性痒疹に対する前記1以上の前治療に不応性と抵抗性の両方である対象に、慢性痒疹に対する1以上の前治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹がIL-4R阻害剤による前記治療に不応性と抵抗性の両方である対象に、慢性痒疹に対する抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹がIL-31受容体アルファ阻害剤による前記治療に不応性と抵抗性の両方である対象に、慢性痒疹に対する抗IL-31受容体アルファ抗体、例えば、ネモリズマブなどのIL-31受容体アルファ阻害剤による治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹がヤヌスキナーゼ1阻害剤による前記治療に不応性と抵抗性の両方である対象に、慢性痒疹に対するヤヌスキナーゼ1阻害剤、例えば、INCB054707又はアブロシチニブによる治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹がNK1受容体アンタゴニストによる前記治療に不応性と抵抗性の両方である対象に、慢性痒疹に対するニューロキニン-1(NK1)受容体アンタゴニスト、例えば、セルロピタントによる治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹がPDE4及び/又はTNF-α阻害剤による前記治療に不応性と抵抗性の両方である対象に、慢性痒疹に対するPDE4及び/又はTNF-α阻害剤、例えば、アプレミラストによる治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹がOSMRβ阻害剤による前記治療に不応性と抵抗性の両方である対象に、慢性痒疹に対する抗OSMRβ抗体、例えば、ビキサレリマブなどのOSMRβ阻害剤による治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹が前記1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の治療に不応性と抵抗性の両方である対象に、慢性痒疹に対する上記の1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。
【0075】
様々な実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹が慢性痒疹に対する前記1以上の前治療後に再発した対象に、慢性痒疹に対する1以上の前治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹がIL-4R阻害剤による前記治療後に再発した対象に、慢性痒疹に対する抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹がIL-31受容体アルファ阻害剤による前記治療後に再発した対象に、慢性痒疹に対する抗IL-31受容体アルファ抗体、例えば、ネモリズマブなどのIL-31受容体アルファ阻害剤による治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹がヤヌスキナーゼ1阻害剤による前記治療後に再発した対象に、慢性痒疹に対するヤヌスキナーゼ1阻害剤、例えば、INCB054707又はアブロシチニブによる治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹がNK1受容体アンタゴニストによる前記治療後に再発した対象に、慢性痒疹に対するニューロキニン-1(NK1)受容体アンタゴニスト、例えば、セルロピタントによる治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹がPDE4及び/又はTNF-α阻害剤による前記治療後に再発した対象に、慢性痒疹に対するPDE4及び/又はTNF-α阻害剤、例えば、アプレミラストによる治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹がOSMRβ阻害剤による前記治療後に再発した対象に、慢性痒疹に対する抗OSMRβ抗体、例えば、ビキサレリマブなどのOSMRβ阻害剤による治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、その慢性痒疹が前記1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の治療後に再発した対象に、慢性痒疹に対する上記の1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。
【0076】
様々な実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、治療(複数可)の不耐性が原因で慢性痒疹に対する前記1以上の前治療を中断している対象に、慢性痒疹に対する1以上の前治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、治療の不耐性が原因でIL-4R阻害剤による前記治療を中断している対象に、慢性痒疹に対する抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、治療の不耐性が原因でIL-31受容体アルファ阻害剤による前記治療を中断している対象に、慢性痒疹に対する抗IL-31受容体アルファ抗体、例えば、ネモリズマブなどのIL-31受容体アルファ阻害剤による治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、治療の不耐性が原因でヤヌスキナーゼ1阻害剤による前記治療を中断している対象に、慢性痒疹に対するヤヌスキナーゼ1阻害剤、例えば、INCB054707又はアブロシチニブによる治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、治療の不耐性が原因でNK1受容体アンタゴニストによる前記治療を中断している対象に、慢性痒疹に対するニューロキニン-1(NK1)受容体アンタゴニスト、例えば、セルロピタントによる治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、治療の不耐性が原因でPDE4及び/又はTNF-α阻害剤による前記治療を中断している対象に、慢性痒疹に対するPDE4及び/又はTNF-α阻害剤、例えば、アプレミラストによる治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、治療の不耐性が原因でOSMRβ阻害剤による前記治療を中断している対象に、慢性痒疹に対する抗OSMRβ抗体、例えば、ビキサレリマブなどのOSMRβ阻害剤による治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、治療(複数可)の不耐性が原因で前記1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の治療を中断している対象に、慢性痒疹に対する上記の1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の治療後に慢性痒疹を治療又は管理するために投与される。
【0077】
様々な実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、蕁麻疹に対する前記1以上の前治療に失敗している対象に、上記の蕁麻疹に対する1以上の治療であり得る蕁麻疹に対する1以上の前治療による治療後に、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を治療又は管理するために投与される。
【0078】
様々な実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対する前記1以上の前治療に失敗しており、かつ蕁麻疹に対する前記1以上の前治療に失敗している対象に、上記の慢性痒疹に対する1以上の治療であり得る慢性痒疹に対する1以上の前治療による治療後、かつ上記の蕁麻疹に対する1以上の治療であり得る蕁麻疹に対する1以上の前治療による治療後に、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を治療又は管理するために投与される。
【0079】
また、本明細書に提示されるのは、慢性痒疹の治療のための併用療法であって、本明細書に記載の抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗KIT抗体)、又はその抗原結合断片(例えば、そのKIT結合断片)、或いはその抗体コンジュゲートを、1以上の追加の療法(例えば、第2の治療剤)と組み合わせて、それを必要とする対象に投与することを含む、併用療法である。様々な実施態様において、併用療法は、ほぼ同時に、同じ日、同じ週、又は同じ治療サイクルで、又は同様のもしくは重複した投薬スケジュールで、対象に投与される。いくつかの実施態様において、併用療法は、同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)対象に投与される。他の実施態様において、併用療法は、順次、対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、組み合わせる他の療法(複数可)の前に対象に投与される。別の実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、組み合わせる他の療法(複数可)の後に対象に投与される。「組み合わせて」という用語の使用は、1以上の抗KIT抗体及び1以上の追加の療法が対象に投与される順序を制限するものではない。慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を有する対象について、また、本明細書に提示されるのは、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の治療のための併用療法、並びに慢性痒疹の治療のための併用療法及び蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の治療のための併用療法の両方である。
【0080】
様々な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対する1以上の治療と組み合わせて、慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対する抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療と組み合わせて、慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対する抗IL-31受容体アルファ抗体、例えば、ネモリズマブなどのIL-31受容体アルファ阻害剤による治療と組み合わせて、慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対するヤヌスキナーゼ1阻害剤、例えば、INCB054707又はアブロシチニブによる治療と組み合わせて、慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対するニューロキニン-1(NK1)受容体アンタゴニスト、例えば、セルロピタントによる治療と組み合わせて、慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対するPDE4及び/又はTNF-α阻害剤、例えば、アプレミラストによる治療と組み合わせて、慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対する抗OSMRβ抗体、例えば、ビキサレリマブなどのOSMRβ阻害剤による治療と組み合わせて、慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対する上記の1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の治療と組み合わせて、慢性痒疹を有する対象に投与される。
【0081】
様々な実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、蕁麻疹に対する1以上の治療と組み合わせて、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を有する対象に投与される。
【0082】
様々な実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、上記の慢性痒疹に対する1以上の治療であり得る慢性痒疹に対する1以上の治療と組み合わせて、かつ上記の蕁麻疹に対する1以上の治療であり得る蕁麻疹に対する1以上の治療と組み合わせて、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を有する対象に投与される。
【0083】
様々な実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対する1以上の治療と同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対する抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療と同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対する抗IL-31受容体アルファ抗体、例えば、ネモリズマブなどのIL-31受容体アルファ阻害剤による治療と同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対するヤヌスキナーゼ1阻害剤、例えば、INCB054707又はアブロシチニブによる治療と同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対するニューロキニン-1(NK1)受容体アンタゴニスト、例えば、セルロピタントによる治療と同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対するPDE4及び/又はTNF-α阻害剤、例えば、アプレミラストによる治療と同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対する抗OSMRβ抗体、例えば、ビキサレリマブなどのOSMRβ阻害剤による治療と同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対する上記の1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の治療と同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、慢性痒疹を有する対象に投与される。
【0084】
様々な実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、上記の蕁麻疹に対する1以上の治療であり得る蕁麻疹に対する1以上の治療と同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を有する対象に投与される。
【0085】
様々な実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、上記の慢性痒疹に対する1以上の治療であり得る慢性痒疹に対する1以上の治療と同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、かつ上記の蕁麻疹に対する1以上の治療であり得る蕁麻疹に対する1以上の治療と同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を有する対象に投与される。
【0086】
様々な実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対する1以上の治療と順次、慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対する抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療と順次、慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対する抗IL-31受容体アルファ抗体、例えば、ネモリズマブなどのIL-31受容体アルファ阻害剤による治療と順次、慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対するヤヌスキナーゼ1阻害剤、例えば、INCB054707又はアブロシチニブによる治療と順次、慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対するニューロキニン-1(NK1)受容体アンタゴニスト、例えば、セルロピタントによる治療と順次、慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対するPDE4及び/又はTNF-α阻害剤、例えば、アプレミラストによる治療と順次、慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対する抗OSMRβ抗体、例えば、ビキサレリマブなどのOSMRβ阻害剤による治療と順次、慢性痒疹を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、慢性痒疹に対する上記の1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の治療と順次、慢性痒疹を有する対象に投与される。
【0087】
様々な実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、上記の蕁麻疹に対する1以上の治療であり得る蕁麻疹に対する1以上の治療と順次、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を有する対象に投与される。
【0088】
様々な実施態様おいて、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、上記の慢性痒疹に対する1以上の治療であり得る慢性痒疹に対する1以上の治療と順次、かつ上記の蕁麻疹に対する1以上の治療であり得る蕁麻疹に対する1以上の治療と順次、慢性痒疹と蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)の両方を有する対象に投与される。
【0089】
さらに、本明細書に提供されるのは、上記の方法で使用することができる、ヒトKIT(例えば、ヒトKIT D4又はD5ドメインを含むKITポリペプチド、例えば、配列番号1のアミノ酸配列を含むヒトKITタンパク質)に免疫特異的に結合する抗体、及びその抗原結合断片である。
【0090】
本明細書で使用されるように、「投与する」又は「投与」は、物質(例えば、本明細書に提供されるヒト化抗KIT抗体もしくはその抗原結合断片)を、対象又は患者(例えば、ヒト)に、例えば、粘膜、局所、皮内、非経口、静脈内、筋肉内送達、及び/又は本明細書に記載のもしくは当技術分野で公知の任意の他の物理的送達方法によって注射するか又は別の方法で物理的に送達する行為を指す。
【0091】
本明細書で使用されるように、「有効量」又は「治療有効量」という用語は、所与の疾患及び/又はそれに関連する症状の重症度及び/又は持続期間を低下させ及び/又は改善するのに十分である療法(例えば、本明細書に提供される抗体又は医薬組成物)の量を指す。これらの用語は、所与の疾患の発展もしくは進行の低下、遅延、又は改善、所与の疾患の再発、発生もしくは発症の低下、遅延、又は改善、及び/又は別の療法(例えば、本明細書に提供される抗KIT阻害剤(例えば、抗KIT抗体)以外の療法)の予防的もしくは治療的効果(複数可)の改善もしくは増強のために必要な量も包含する。いくつかの実施態様において、本明細書で使用される「有効量」は、特定の結果、例えば、肥満細胞の数及び/もしくは活性の低下、好酸球の数及び/もしくは活性の低下、細胞のKIT生物学的活性の阻害(例えば、部分阻害)、例えば、細胞増殖もしくは細胞生存の阻害、又はアポトーシスもしくは細胞分化の増強もしくは誘導などを達成するための本明細書に記載の阻害剤(例えば、抗体)の量も指す。
【0092】
本明細書で使用されるように、「D4/D5領域」又は「D4/D5ドメイン」という用語は、KITの4番目のIg様細胞外(「D4」)ドメイン、5番目のIg様細胞外(「D5」)ドメイン、及びD4ドメインとD5ドメインの間のヒンジ領域(「D4-D5ヒンジ領域」)に、アミノ末端からカルボキシル末端に、次の順序:D4、D4-D5ヒンジ領域、及びD5という順序でまたがるKITポリペプチド内の領域を指す。本明細書で使用されるように、
図1のアミノ酸V308~H515は、D4/D5領域又はドメインの例と考えられる。
【0093】
本明細書で使用されるように、「KIT」又は「KIT受容体」又は「KITポリペプチド」という用語は、全長KITの任意の形態を指し、これには、ネイティブなKIT、KITのアイソフォーム、種間KITホモログ、或いはKIT変異体、例えば、天然に生じる変異体(例えば、アレルもしくはスプライス変異体、又は突然変異体、例えば、体細胞突然変異体)、或いは人為的に構築された変異体(例えば、組換え又は化学修飾変異体)が含まれるが、これらに限定されない。KITは、c-kit遺伝子によってコードされるIII型受容体チロシンキナーゼである(例えば、Yardenらの文献、Nature, 1986, 323:226-232; Ullrich及びSchlessingerの文献、Cell, 1990, 61:203-212; Cliffordらの文献、J. Biol. Chem., 2003, 278:31461-31464; Yardenらの文献、EMBO J., 1987, 6:3341-3351; Molらの文献、J. Biol. Chem., 2003, 278:31461-31464を参照されたい)。GenBank(商標)アクセッション番号NM 000222は、例示的なヒトKIT核酸配列を提供する。GenBank(商標)アクセッション番号NP 001087241、PI 0721、及びAAC50969は、例示的なヒトKITアミノ酸配列を提供する。GenBank(商標)アクセッション番号AAH75716は、例示的なマウスKITアミノ酸配列を提供する。ネイティブなKITは、5つの細胞外免疫グロブリン(Ig)様ドメイン(D1、D2、D3、D4、D5)、単一の膜貫通領域、抑制性細胞質膜近傍ドメイン、及びキナーゼ挿入セグメントによって隔てられた分割された細胞質キナーゼドメインを含む(例えば、Yardenらの文献、Nature, 1986, 323:226-232; Ullrich及びSchlessingerの文献、Cell, 1990, 61:203-212; Cliffordらの文献、J. Biol. Chem., 2003, 278:31461-31464を参照されたい)。ヒトKITのD4/D5領域の例示的なアミノ酸配列は、
図1のアミノ酸残基V308~H515に提供されている。具体的な実施態様において、KITは、ヒトKITである。特定の実施態様において、KITは、単量体、二量体、多量体、ネイティブな形態、又は変性した形態として存在することができる。
【0094】
本明細書で使用されるように、他の療法の投与との関連における「組み合わせて」という用語は、複数の療法の使用を指す。「組み合わせて」という用語の使用は、療法が投与される順序を制限するものではない。療法は、例えば、連続的に、順次、並行して、又は同時に投与することができる。
【0095】
本明細書で使用されるように、「慢性痒疹」という用語は、慢性掻痒症(痒み)と複数の限局性又は全身性掻痒性皮膚病変の両方の存在を特徴とする疾患を意味する。
【0096】
本明細書で使用されるように、「結節性痒疹」という用語は、慢性痒疹と複数の限局性又は全身性の隆起した堅い結節性病変の両方の存在を特徴とする疾患を意味する。
【0097】
本明細書で使用されるように、「治療する(treat)」、「治療(treatment)」、及び「治療する(treating)」という用語は、1以上の療法の投与(限定されないが、1以上の予防剤又は治療剤、例えば、本明細書に提供される抗体の投与を含む)によってもたらされる、慢性痒疹の進行、重症度、及び/もしくは持続期間の低下又は改善を指す。
【0098】
本明細書で使用されるように、「管理する(manage)」、「管理する(managing)」、及び「管理(management)」という用語は、対象が療法(例えば、予防剤又は治療剤)から得る、慢性痒疹の治癒をもたらさない、有益な効果を指す。ある実施態様において、障害の進行又は悪化を予防するために、対象に、1以上の療法(例えば、予防剤又は治療剤、例えば、本明細書に記載の抗体)を投与して、慢性痒疹、その1以上の症状を「管理する」。
【0099】
本明細書で使用されるように、慢性痒疹との関連における「予防する」、「妨害する(impede)」又は「妨害する(impeding)」という用語は、本明細書に提供される療法又は療法の組合せ(例えば、予防剤又は治療剤、例えば、本明細書に記載の抗体の組合せ)の投与によってもたらされる、完全阻害もしくは部分阻害(例えば、100%、95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、もしくは5%未満)、又は慢性痒疹及び/もしくはそれに関連する症状の発生、再発、発症もしくは拡大の阻止を指す。
【0100】
本明細書で使用されるように、「予防剤」という用語は、対象における慢性痒疹及び/もしくはそれに関連する症状の発生、再発、発症又は拡大を完全に又は部分的に阻害することができる任意の薬剤を指す。ある実施態様において、「予防剤」という用語は、本明細書に記載の抗体を指す。ある他の実施態様において、「予防剤」という用語は、本明細書に記載の抗体以外の薬剤を指す。通常、予防剤は、慢性痒疹及び/もしくはそれに関連する症状を予防するか、又は慢性痒疹及び/もしくはそれに関連する症状の発症、発生、進行、及び/もしくは重症度を妨害するために有用であることが知られているか、又はそのために使用されてきたか、又はそのために現在使用されている薬剤である。具体的な実施態様において、予防剤は、ヒト抗KIT抗体、例えば、ヒト化又は完全ヒト抗KITモノクローナル抗体である。
【0101】
本明細書で使用されるように、「副作用」又は「有害な作用」という用語は、療法(例えば、予防剤又は治療剤)の望ましくない及び有害な作用を包含する。望ましくない作用は、必ずしも有害というわけではない。療法(例えば、予防剤又は治療剤)による有害な作用は、害のあるもの又は不快なもの又は危険なものであり得る。副作用の例としては、下痢、咳、胃腸炎、喘鳴、吐き気、嘔吐、食欲不振、腹部痙攣、発熱、疼痛、体重減少、脱水症、脱毛症、呼吸困難、不眠症、目眩、粘膜炎、神経及び筋肉作用、疲労、口内乾燥症、並びに食欲不振、投与部位での発疹又は腫脹、インフルエンザ様症状、例えば、発熱、悪寒及び疲労、消化管異常並びにアレルギー反応が挙げられる。患者が経験するさらなる望ましくない作用は数多くあり、当技術分野で公知である。多くは、医師用卓上参考書(Physician's Desk Reference)(第71版、2017年)に記載されている。
【0102】
本明細書で使用されるように、「対象」及び「患者」という用語は、互換的に使用される。本明細書で使用されるように、対象は、哺乳動物、例えば、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ヤギ、ウサギ、ラット、マウスなど)又は霊長類(例えば、サル及びヒト)、例えば、ヒトである。一実施態様において、対象は、慢性痒疹と診断された哺乳動物、例えば、ヒトである。別の実施態様において、対象は、慢性痒疹を発症するリスクのある哺乳動物、例えば、ヒトである。別の実施態様において、対象は、非ヒト霊長類である。具体的な実施態様において、対象は成人である。具体的な実施態様において、対象は、少なくとも18歳の成人対象である。具体的な実施態様において、対象はヒトの子供である。具体的な実施態様において、対象は、1歳~18歳のヒトの子供である。具体的な実施態様において、対象は、1歳~3歳のヒトである。具体的な実施態様において、対象は、3歳~12歳、又は12歳~18歳のヒトである。
【0103】
本明細書で使用されるように、「療法(therapies)」及び「療法(therapy)」という用語は、状態もしくは障害又はそれらの症状又はそれと関連する1以上の症状もしくは状態の防止、予防、治療、管理、又は改善において使用することができる任意のプロトコル(複数可)、方法(複数可)、組成物、製剤、及び/又は薬剤(複数可)を指すことができる。ある実施態様において、「療法(therapies)」及び「療法(therapy)」という用語は、薬物療法、補助療法、放射線、外科手術、生物療法、支持療法、及び/或いは状態もしくは障害又はそれらの1以上の症状又はそれと関連する1以上の症状もしくは状態の予防、治療、管理、防止、又は改善に有用な他の療法を指す。ある実施態様において、「療法(therapy)」という用語は、本明細書に記載の抗KIT抗体又はその医薬組成物以外の療法を指す。具体的な実施態様において、「追加の療法(additional therapy)」及び「追加の療法(additional therapies)」は、本明細書に記載の抗KIT抗体又はその医薬組成物を用いる治療以外の療法を指す。具体的な実施態様において、療法は、補助療法としての本明細書に記載の抗KIT抗体の使用を含む。例えば、本明細書に記載の抗KIT抗体を薬物療法、生物療法、外科手術、及び/又は支持療法と併用する。
【0104】
本明細書で使用されるように、「治療剤」という用語は、慢性痒疹及び/又はそれに関連する症状の予防、治療、管理又は改善において使用することができる任意の薬剤を指す。ある実施態様において、「治療剤」という用語は、本明細書に記載の抗KIT抗体又はその抗原結合断片を指す。ある他の実施態様において、「治療剤」という用語は、本明細書に記載の抗体以外の薬剤を指す。具体的な実施態様において、治療剤は、慢性痒疹又はそれに関連する1以上の症状の予防、治療、管理又は改善に有用であることが知られているか、又はそのために使用されてきたか、又はそのために現在使用されている薬剤である。
【0105】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈上そうでないことが明示されない限り、複数形を含む。「1つの(a)」(又は「1つの(an)」)という用語、並びに「1以上」及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では互換的に使用することができる。
【0106】
どんな態様も「含む」という言葉で本明細書に記載され、そうでなければ、「からなる」及び/又は「から本質的になる」に関して記載される類似の態様も提供されることが理解される。
【0107】
本明細書で使用されるように、特に断りのない限り、「約(about)」又は「約(approximately)」という用語は、例えば、20%又は10%又は5%以内の変動などの、当業者によって判断された正常な変動を可能にするように解釈されるものとする。具体的な実施態様において、「約(about)」又は「約(approximately)」という用語は、列挙された正確な値を包含する。
【0108】
(5.1 抗体)
本明細書に提供されるのは、慢性痒疹を予防、治療又は管理する方法で使用するための、KIT受容体(例えば、例として配列番号1又は
図1に記載のヒトKIT受容体の細胞外ドメイン)に特異的に結合する抗体(例えば、抗KIT抗体)、又はその抗原結合断片である。
【0109】
本明細書で使用されるように、「抗体」及び「免疫グロブリン」及び「Ig」という用語は、技術用語であり、本明細書で互換的に使用することができ、抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位を有する分子を指す。
【0110】
抗体としては、モノクローナル抗体、組換え産生抗体、単一特異性抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、合成抗体、2つの重鎖分子と2つの軽鎖分子を含む四量体抗体、抗体軽鎖単量体、抗体重鎖単量体、抗体軽鎖二量体、抗体重鎖二量体、抗体軽鎖-抗体重鎖対、イントラボディ、ヘテロコンジュゲート抗体、単一ドメイン抗体、一価抗体、単鎖抗体もしくは単鎖Fv(scFv)、ラクダ化抗体、アフィボディ、Fab断片、F(ab')断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、抗抗Id抗体を含む)、及び上記のいずれかのエピトープ結合断片が挙げられる。ある実施態様において、本明細書に記載の抗体は、ポリクローナル抗体集団を指す。抗体は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAもしくはIgY)、任意のクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgAlもしくはIgA2)、又は任意のサブクラス(例えば、IgG2aもしくはIgG2b)のものであることができる。ある実施態様において、本明細書に記載の抗体は、IgG抗体、或いはそのクラス(例えば、ヒトIgG1もしくはIgG4)又はサブクラスである。
【0111】
本明細書で使用されるように、「抗原」は、エピトープを含み、したがって、抗体によって特異的に結合されもする、部分又は分子である。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体が結合する抗原は、KIT(例えば、ヒトKIT)、又はその断片、例えば、KIT(例えば、ヒトKIT)の細胞外ドメインもしくはKIT(例えば、ヒトKIT)のD4領域である。
【0112】
本明細書で使用されるように、「抗原結合ドメイン」、「抗原結合領域」、「抗原結合断片」、という用語、及び類似の用語は、抗原と相互作用し、抗体分子に、抗原に対するその特異性を付与するアミノ酸残基を含む抗体分子の部分(例えば、相補性決定領域(CDR))を指す。抗原結合領域は、任意の動物種、例えば、齧歯類(例えば、マウス、ラット又はハムスター)及びヒトに由来し得る。抗体分子のCDRは、当業者に周知の任意の方法によって決定することができる。特に、CDRは、Kabat付番体系に準拠して決定することができる(Kabatらの文献(1991)、免疫学的関心対象のタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)(U.S. Department of Health and Human Services, Washington, D.C.)、第5版を参照されたい)。ある態様において、抗体のCDRは、(i)本明細書において、「Chothia CDR」と呼ばれるChothia付番スキーム(例えば、Chothia及びLeskの文献、1987, J. Mol. Biol., 196:901-917; Al-Lazikaniらの文献、1997, J. Mol. Biol., 273:927-948;及び米国特許第7,709,226号を参照されたい);(ii)例えば、Lefranc, M.-P.の文献、1999, The Immunologist, 7:132-136及びLefranc, M.-P.らの文献、1999, Nucleic Acids Res., 27:209-212に記載されているIMGT付番体系;(iii)例えば、MacCallumらの文献, 1996, J. Mol. Biol., 262:732-745及びMartin, A.の文献, 抗体エンジニアリング(Antibody Engineering)内の「抗体変異ドメインのタンパク質配列と構造解析(Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains)」, Kontermann及びDubel(編).,第31章, pp. 422-439, Springer-Verlag, Berlin (2001)に記載されているAbM付番体系;又は(iv)利用可能な複合結晶構造の分析(bioinf.org.uk/abs)に基づく接触付番体系(Contact numbering system)(例えば、MacCallumらの文献, (1996) J Mol Biol 5:732-745)を参照されたい)に準拠して決定することができる。
【0113】
本明細書で使用されるように、「定常領域」又は「定常ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に直接は関与しないが、Fc受容体との相互作用などの様々なエフェクター機能を示す又は寄与する、抗体部分、例えば、軽鎖及び/又は重鎖のカルボキシル末端部分を指す。これらの用語は、免疫グロブリン可変ドメインと比べて、全般的により保存されたアミノ酸配列を有する免疫グロブリン分子の部分を指す。
【0114】
本明細書で使用されるように、「エピトープ」は、技術用語であり、抗体が特異的に結合することができる抗原の局所領域を指す。エピトープに寄与する領域又はポリペプチドは、ポリペプチドの連続するアミノ酸であってもよく、又はエピトープは、ポリペプチドの2以上の連続していない領域が集まったものであってもよい。
【0115】
本明細書で使用されるように、抗体に関して使用される場合の「重鎖」という用語は、IgGのサブクラス、例えば、IgGi、IgG2、IgG3及びIgG4を含め、それぞれ、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMクラスの抗体を生じる、定常ドメインのアミノ酸配列に基づく、任意の異なるタイプ、例えば、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)及びミュー(μ)を指す。具体的な実施態様において、重鎖は、ヒト重鎖である。
【0116】
本明細書で使用されるように、「免疫特異的に結合する」、「免疫特異的に認識する」、「特異的に結合する」、及び「特異的に認識する」という用語は、抗体との関連において類似の用語であり、そのような結合が当業者によって理解されるように、抗原(例えば、エピトープ又は免疫複合体)に結合する分子を指す。例えば、抗原に特異的に結合する分子は、例えば、免疫アッセイ、Biacore(商標)、KinExA 3000装置(Sapidyne Instruments, Boise, ID)、又は当技術分野で公知の他のアッセイにより決定したときに、一般により低い親和性で他のペプチド又はポリペプチドに結合し得る。具体的な実施態様において、抗原に免疫特異的に結合する分子は、該分子が別の抗原に結合するときのKaよりも少なくとも2 log、2.5 log、3 log、4 log又はそれよりも大きいKaで抗原に結合する。別の具体的な実施態様において、抗原に免疫特異的に結合する分子は、他のタンパク質と交差反応しない。別の具体的な実施態様において、抗原に免疫特異的に結合する分子は、他の非KITタンパク質と交差反応しない。
【0117】
本明細書で使用されるように、「単離された」又は「精製された」抗体は、該抗体が得られる細胞もしくは組織源由来の細胞物質もしくは他の夾雑タンパク質を実質的に含まず、又は化学合成されるときの化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体又は抗原結合断片は単離される。
【0118】
「Kabat付番」という用語及び類似の用語は、当技術分野で認識されており、抗体又はその抗原結合部分の重鎖及び軽鎖可変領域のアミノ酸残基を付番する体系を指す(Kabatらの文献(1971) Ann. NY Acad. Sci. 190:382-391、及びKabatらの文献(1991)、免疫学的関心対象のタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、第5版、U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242)。Kabat付番体系を用いると、抗体重鎖分子内のCDRは、通常、アミノ酸位置31~35(「CDR1」)、アミノ酸位置50~65(「CDR2」)、及びアミノ酸位置95~102(「CDR3」)に存在する。Kabat付番体系を用いると、抗体軽鎖分子内のCDRは、通常、アミノ酸位置24~34(CDR1)、アミノ酸位置50~56(CDR2)、及びアミノ酸位置89~97(CDR3)に存在する。
【0119】
本明細書で使用されるように、抗体に関して使用される場合の「軽鎖」という用語は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づく、任意の異なるタイプ、例えば、カッパ(κ)又はラムダ(λ)を指す。軽鎖アミノ酸配列は、当技術分野で周知である。具体的な実施態様において、軽鎖は、ヒト軽鎖である。
【0120】
本明細書で使用されるように、「モノクローナル抗体」という用語は、均質な又は実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、各々のモノクローナル抗体は、通常、抗原上の単一のエピトープを認識する。「モノクローナル」という用語は、任意の特定の抗体作製方法に限定されない。一般に、モノクローナル抗体の集団は、細胞、細胞の集団、又は細胞株により作製され得る。具体的な実施態様において、本明細書で使用される「モノクローナル抗体」とは、単一のハイブリドーマ又は他の細胞(例えば、組換え抗体を産生する宿主細胞)により産生される抗体であり、ここで、該抗体は、例えば、ELISA又は当技術分野で公知のもしくは本明細書に提供される実施例中の他の抗原結合もしくは競合結合アッセイにより決定したとき、KITエピトープ(例えば、ヒトKITのD4のエピトープ)に免疫特異的に結合する。本明細書に記載のモノクローナル抗体は、例えば、Kohlerらの文献; Nature, 256:495(1975)に記載されているハイブリドーマ法により作製することができるか、又は例えば、本明細書に記載の技術を用いて、ファージライブラリーから単離することができる。クローン細胞株及びそれにより発現されるモノクローナル抗体の他の調製方法は、当技術分野で周知である(例えば、分子生物学のショートプロトコル(Short Protocols in Molecular Biology)(2002)、第5版、Ausubelら編、John Wiley and Sons, New York:の第11章を参照されたい)。具体的な実施態様において、モノクローナル抗体は、その抗原結合領域が同じエピトープに特異的であるという点で、単一特異性抗体である。さらなる具体的な実施態様において、モノクローナル単一特異性抗体は、一価(1つの抗原結合領域を有する)又は多価(2以上の抗原結合領域を有する)、例えば二価(2つの抗原結合領域を有する)であり得る。
【0121】
本明細書で使用されるように、「ネイキッド抗体」という用語は、別の薬剤又は分子(例えば、標識又は薬物)、ペプチド又はポリペプチドに連結、融合又はコンジュゲートされていない抗体を指す。具体的な実施態様において、哺乳動物宿主細胞によって発現されるネイキッド抗体は、宿主細胞のグリコシル化装置、例えば、グリコシル化酵素によってグリコシル化され得る。ある実施態様において、ネイキッド抗体は、それが、それ自身のグリコシル化装置、例えば、グリコシル化酵素を有さない宿主細胞によって発現されるときにはグリコシル化されない。ある実施態様において、ネイキッド抗体は、完全抗体であり、他の実施態様において、ネイキッド抗体は、Fab抗体などの完全抗体の抗原結合断片である。
【0122】
本明細書で使用されるように、「ポリクローナル抗体」という用語は、抗原(単数)又は抗原(複数)内の同じエピトープに対する及び異なるエピトープに対する種々の異なる抗体を含む抗体集団を指す。ポリクローナル抗体の産生方法は、当技術分野で公知である(例えば、分子生物学のショートプロトコル(Short Protocols in Molecular Biology)(2002)、第5版、Ausubelら編、John Wiley and Sons, New York:の第11章を参照されたい)。
【0123】
本明細書で使用されるように、「組換えヒト抗体」という用語は、組換え手段により単離され、調製され、発現され、又は作出されるヒト抗体、例えば、宿主細胞内にトランスフェクトされる組換え発現ベクターを用いて発現される抗体、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離される抗体、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニック及び/もしくはトランスクロモソーマルである動物(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、もしくはウシ)から単離される抗体(例えば、Taylor, L. D.らの文献(1992) Nucl. Acids Res. 20:6287-6295を参照されたい)、又は例えば、合成、ヒト免疫グロブリン配列をコードするDNA配列の遺伝子改変、もしくはヒト免疫グロブリンをコードする配列、例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のそのような配列へのスプライシングによる作出を含む任意の他の手段により調製され、発現され、作出され、もしくは単離される抗体を含む。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変及び定常領域を有することができる。ある実施態様において、そのような組換えヒト抗体のアミノ酸配列は、そのように修飾されており、したがって、組換え抗体のVH及び/又はVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VH及びVL配列に由来し、それらに関連しているが、生体内のヒト抗体生殖系列レパートリーには本来存在しない配列である。非限定的な例として、組換えヒト抗体は、いくつかのヒト配列断片を組換えヒト抗体の複合ヒト配列へとアセンブルすることにより得ることができる。
【0124】
本明細書で使用されるように、「可変領域」又は「可変ドメイン」という用語は、抗体間で配列が大きく異なり、特定の抗体のその特定の抗原に対する結合及び特異性に関して使用される、抗体の部分、一般に、軽鎖又は重鎖の部分、通常、成熟重鎖中のアミノ末端の約110~120アミノ酸及び成熟軽鎖中の約90~100アミノ酸を指す。配列のばらつきは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる領域に集中しており、一方、可変ドメイン中のより高度に保存された領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。
【0125】
任意の特定の機序又は理論に束縛されることを望まないが、軽鎖及び重鎖のCDRは、主に、抗体と抗原との相互作用に関与すると考えられる。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体のアミノ酸位置の付番は、Kabatらの文献(1991)、免疫学的関心対象のタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、第5版、U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242(「Kabatらの文献」)に見られるような、EUインデックスによるものである。ある態様において、抗体のCDRは、(i)本明細書において「Chothia CDR」と呼ばれるChothia付番スキーム(例えば、Chothia及びLeskの文献、1987, J. Mol. Biol., 196:901-917; Al-Lazikaniらの文献、1997, J. Mol. Biol., 273:927-948;及び米国特許第7,709,226号を参照されたい);(ii)例えば、Lefranc, M.-P.の文献、1999, The Immunologist, 7:132-136及びLefranc, M.-P.らの文献、1999, Nucleic Acids Res., 27:209-212に記載されているIMGT付番体系;(iii)例えば、MacCallumらの文献, 1996, J. Mol. Biol., 262:732-745及びMartin, A.の文献,抗体エンジニアリング(Antibody Engineering)内の「抗体変異ドメインのタンパク質配列と構造解析(Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains)」, Kontermann及びDubel(編).,第31章, pp. 422-439, Springer-Verlag, Berlin (2001)に記載されているAbM付番体系;又は(iv)利用可能な複合結晶構造の分析(bioinf.org.uk/abs)に基づく接触付番体系(Contact numbering system)(例えば、MacCallumらの文献, (1996) J Mol Biol 5:732-745)を参照されたい)に準拠して決定することができる。ある実施態様において、該可変領域は、ヒト可変領域である。ある実施態様において、該可変領域は、齧歯類又はマウスCDR及びヒトフレームワーク領域(FR)を含む。特定の実施態様において、該可変領域は、霊長類(例えば、非ヒト霊長類)可変領域である。ある実施態様において、該可変領域は、齧歯類又はマウスCDR及び霊長類(例えば、非ヒト霊長類)フレームワーク領域(FR)を含む。非限定的な例として、本明細書に記載の可変領域は、ヒト配列の2以上の断片を複合ヒト配列へとアセンブルすることにより得られる。
【0126】
本明細書に提供される方法で使用するのに好適な抗KIT抗体は、本明細書に記載されるように選択することができる。
【0127】
具体的な態様において、慢性痒疹を予防、治療又は管理する方法で使用するための抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗体)又はその抗原結合断片は、表1に記載のVL CDR1~3を含む軽鎖可変領域(「VL」)、及びVH CDR1~3を含む重鎖可変領域(「VH」)を含む。具体的な態様において、慢性痒疹を予防、治療又は管理する方法で使用するための抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗体)又はその抗原結合断片は、表2に記載のVL CDR1~3を含む軽鎖可変領域(「VL」)、及びVH CDR1~3を含む重鎖可変領域(「VH」)を含む(セット1又はセット2)。具体的な態様において、慢性痒疹を予防、治療又は管理する方法で使用するための抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗体)又はその抗原結合断片は、表3に記載のVL CDR1~3を含む軽鎖可変領域(「VL」)、及びVH CDR1~3を含む重鎖可変領域(「VH」)を含む(AbM CDR又は接触CDR)。
【0128】
具体的な態様において、慢性痒疹を予防、治療又は管理する方法で使用するための抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗体)又はその抗原結合断片は、表1に記載のVL CDR1~3(配列番号2~4)を含むVL、及び表1に記載のVH CDR1~3(配列番号5~7)を含むVHを含む。特定の実施態様において、そのような抗KIT抗体は、ネイキッド抗体である。具体的な実施態様において、そのような抗KIT抗体は、二価の単一特異性抗体である。具体的な実施態様において、そのような抗KIT抗体は、二重特異性抗体である。ある実施態様において、そのような抗KIT抗体は、二重特異性抗体ではない。
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
特定の態様において、慢性痒疹を予防、治療又は管理する方法で使用するための抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗体)又はその抗原結合断片は、
(i)アミノ酸配列:
【化25】
(ここで、X
K1~X
K6は、任意のアミノ酸である)を含むVL;及び
(ii)アミノ酸配列:
【化26】
(ここで、X
H1~X
H8は、任意のアミノ酸である)を含むVH
を含む。
【0133】
特定の実施態様において、XK1は、芳香族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、ΧK2は、脂肪族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、ΧK3は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、ΧK4は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であるか、又はPであり、XK5は、荷電又は酸性側鎖を有するアミノ酸であり、ΧK6は、芳香族側鎖を有するアミノ酸であり、XH1は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH2は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH3は、極性又は塩基性側鎖を有するアミノ酸であり、XH4は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH5は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH6は、酸性側鎖を有するアミノ酸であり、XH7は、酸性又はアミド誘導体側鎖を有するアミノ酸であり、XH8は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸である。
【0134】
具体的な実施態様において、XK1は、アミノ酸F又はSであり、XK2は、アミノ酸A又はSであり、XK3は、アミノ酸T又はSであり、XK4は、アミノ酸S又はPであり、XK5は、アミノ酸D又はTであり、XK6は、アミノ酸F又はYであり、XH1は、アミノ酸L又はVであり、XH2は、アミノ酸L又はVであり、XH3は、アミノ酸K又はRであり、XH4は、アミノ酸V又はAであり、XH5は、アミノ酸L又はIであり、XH6は、アミノ酸E又はDであり、XH7は、アミノ酸Q又はEであり、XH8は、アミノ酸S又はTである。
【0135】
特定の態様において、慢性痒疹を予防、治療又は管理する方法で使用するための抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗体)又はその抗原結合断片は、
(i)アミノ酸配列:
【化27】
(ここで、X
K1~X
K6は、任意のアミノ酸である)を含むVL;並びに
(ii)それぞれ配列番号5、配列番号6、及び配列番号7のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH
を含む。
【0136】
特定の実施態様において、XK1は、芳香族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、ΧK2は、脂肪族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、ΧK3は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、ΧK4は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であるか、又はPであり、XK5は、荷電又は酸性側鎖を有するアミノ酸であり、ΧK6は、芳香族側鎖を有するアミノ酸である。
【0137】
具体的な実施態様において、XK1は、アミノ酸F又はSであり、XK2は、アミノ酸A又はSであり、XK3は、アミノ酸T又はSであり、XK4は、アミノ酸S又はPであり、XK5は、アミノ酸D又はTであり、XK6は、アミノ酸F又はYである。
【0138】
特定の態様において、慢性痒疹を予防、治療又は管理する方法で使用するための抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗体)又はその抗原結合断片は、
(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)アミノ酸配列:
【化28】
(ここで、X
H1~X
H8は、任意のアミノ酸である)を含むVH
を含む。
【0139】
特定の実施態様において、XH1は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH2は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH3は、極性又は塩基性側鎖を有するアミノ酸であり、XH4は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH5は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH6は、酸性側鎖を有するアミノ酸であり、XH7は、酸性又はアミド誘導体側鎖を有するアミノ酸であり、XH8は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸である。
【0140】
具体的な実施態様において、XH1は、アミノ酸L又はVであり、XH2は、アミノ酸L又はVであり、XH3は、アミノ酸K又はRであり、XH4は、アミノ酸V又はAであり、XH5は、アミノ酸L又はIであり、XH6は、アミノ酸E又はDであり、XH7は、アミノ酸Q又はEであり、XH8は、アミノ酸S又はTである。
【0141】
具体的な態様において、慢性痒疹を予防、治療又は管理する方法で使用するための抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗体)又はその抗原結合断片は、表4から選択されるアミノ酸配列(配列番号8~12)を含む重鎖可変領域(「VH」)及び/又は表5から選択されるアミノ酸配列(配列番号13~16)を含む軽鎖可変領域(「VL」)を含む。特定の実施態様において、そのような抗KIT抗体は、ネイキッド抗体である。具体的な実施態様において、そのような抗KIT抗体は、二価の単一特異性抗体である。具体的な実施態様において、そのような抗KIT抗体は、二重特異性抗体である。ある実施態様において、そのような抗KIT抗体は、二重特異性抗体ではない。
【0142】
【0143】
【0144】
具体的な態様において、慢性痒疹を予防、治療又は管理する方法で使用するための抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗体)又はその抗原結合断片は、配列番号8のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号13のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、配列番号8のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号14のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、配列番号8のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号15のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、配列番号8のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0145】
一実施態様において、抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、配列番号9のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号13のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、配列番号9のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号14のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、配列番号9のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号15のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、配列番号9のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0146】
一実施態様において、抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、配列番号10のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号13のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、配列番号10のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号14のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、配列番号10のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号14のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、配列番号10のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号15のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、配列番号10のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0147】
一実施態様において、抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、配列番号11のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号13のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、配列番号11のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号14のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、配列番号11のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号15のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、配列番号11のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0148】
一実施態様において、抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、配列番号12のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号13のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、配列番号12のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号14のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、配列番号12のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号15のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、配列番号12のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0149】
具体的な態様において、慢性湿疹を予防、治療又は管理する方法で使用するための抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗体)又はその抗原結合断片は、
(i)配列番号13と少なくとも90%同一であるか、配列番号14と少なくとも88%同一であるか、配列番号15と少なくとも87%同一であるか、又は配列番号16と少なくとも84%同一であるアミノ酸配列を含むVL;及び
(ii)配列番号8と少なくとも93%同一であるか、配列番号9と少なくとも92%同一であるか、配列番号10と少なくとも90%同一であるか、配列番号11と少なくとも87%同一であるか、又は配列番号12と少なくとも86%同一であるアミノ酸配列を含むVH
を含む。
【0150】
以前の抗KIT抗体は、FcgRIを発現しているヒト肥満細胞の脱顆粒を誘導し、かつ/又はFc受容体依存性KITアゴニスト活性を示すことが見出され、これは、他の副作用の中で望ましくない輸液関連反応(IRR)を生じる可能性がある。
【0151】
様々な実施態様において、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片は、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメイン(例えば、改変(例えば、変異)ヒトIgG Fc領域又はドメイン、例えば、改変(例えば、変異)ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4 Fc領域又はドメイン)を含む。好ましくは、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片は、低下したFc受容体結合活性(特に、低下したFcγR結合活性)を有し、FcgRIを発現しているヒト肥満細胞の脱顆粒を誘導せず、かつ/又はFc受容体依存性KITアゴニスト活性を示さない。ある実施態様において、抗KIT抗体又は抗原結合断片のこれらの特性のうちの1以上は、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメインから生じる。
【0152】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片は、低下したFc受容体結合活性(特に、低下したFcγR結合活性)を有する。具体的な実施態様において、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片は、顕著なFc受容体(特にFcγR)結合活性を有さない。具体的な実施態様において、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片は、検出可能なFc受容体(特にFcγR)結合活性を有さない。特定の実施態様において、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片は、適切な対照抗体又は抗原結合断片と比較して少なくとも10%小さい、少なくとも20%小さい、少なくとも30%小さい、少なくとも40%小さい、少なくとも50%小さい、少なくとも60%小さい、少なくとも70%小さい、少なくとも80%小さい、少なくとも90%小さい、少なくとも95%小さい、又は少なくとも99%小さいFc受容体(特にFcγR)結合活性を有する。本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片は、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメイン(例えば、改変(例えば、変異)ヒトIgG Fc領域又はドメイン、例えば、改変(例えば、変異)ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4 Fc領域又はドメインを含む場合、好ましい実施態様において、適切な対照抗体又は抗原結合断片は、同一のVH及びVLを有するが、同一アイソタイプの野生型(未改変)Fc領域又はドメインを有する抗体又は抗原結合断片である。特定の実施態様において、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片は、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含み、同一のVH及びVLを有するが、野生型(未改変)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを有する対応する抗体又は抗原結合断片と比較して少なくとも10%小さい、少なくとも20%小さい、少なくとも30%小さい、少なくとも40%小さい、少なくとも50%小さい、少なくとも60%小さい、少なくとも70%小さい、少なくとも80%小さい、少なくとも90%小さい、少なくとも95%小さい、又は少なくとも99%小さいFc受容体(特にFcγR)結合活性を有する。
【0153】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片は、(例えば、培養中(例えば、IFNガンマの存在下で)のヒト肥満細胞からのベータ-ヘキソサミニダーゼの放出率(%)によって決定されるように)FcgRIを発現しているヒト肥満細胞の顕著な脱顆粒を誘導しない。具体的な実施態様において、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片は、(例えば、培養中(例えば、IFNガンマの存在下で)のヒト肥満細胞からのベータ-ヘキソサミニダーゼの放出率(%)によって決定されるように)FcgRIを発現しているヒト肥満細胞の検出可能な脱顆粒を誘導しない。特定の実施態様において、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片は、適切な対照抗体又は抗原結合断片と比較して、(例えば、培養中(例えば、IFNガンマの存在下で)のヒト肥満細胞からのベータ-ヘキソサミニダーゼの放出率(%)によって決定されるように)FcgRIを発現しているヒト肥満細胞の脱顆粒を少なくとも10%小さく、少なくとも20%小さく、少なくとも30%小さく、少なくとも40%小さく、少なくとも50%小さく、少なくとも60%小さく、少なくとも70%小さく、少なくとも80%小さく、少なくとも90%小さく、少なくとも95%小さく、又は少なくとも99%小さく誘導する。特定の実施態様において、IFNガンマの存在下での培養中のヒト肥満細胞からのベータ-ヘキソサミニダーゼの放出は、適切な対照抗体又は抗原結合断片と比較して、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片により50%超低下する。特定の実施態様において、IFNガンマの存在下での培養中のヒト肥満細胞からのベータ-ヘキソサミニダーゼの放出は、適切な対照抗体又は抗原結合断片と比較して、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片により60%超、70%超、又は80%超低下する。本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片は、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメイン(例えば、改変(例えば、変異)ヒトIgG Fc領域又はドメイン、例えば、改変(例えば、変異)ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4 Fc領域又はドメイン)を含み、好ましい実施態様において、適切な対照抗体又は抗原結合断片は、同一のVH及びVLを有するが、同一アイソタイプの野生型(未改変)Fc領域又はドメインを有する抗体又は抗原結合断片である。特定の実施態様において、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片は、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含み、同一のVH及びVLを有するが、野生型(未改変)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを有する対応する抗体又は抗原結合断片と比較して、(例えば、培養中(例えば、IFNガンマの存在下で)のヒト肥満細胞からのベータ-ヘキソサミニダーゼの放出率(%)によって決定されるように)FcgRIを発現しているヒト肥満細胞の脱顆粒を少なくとも10%小さく、少なくとも20%小さく、少なくとも30%小さく、少なくとも40%小さく、少なくとも50%小さく、少なくとも60%小さく、少なくとも70%小さく、少なくとも80%小さく、少なくとも90%小さく、少なくとも95%小さく、又は少なくとも99%小さく誘導する。特定の実施態様において、IFNガンマの存在下での培養中のヒト肥満細胞からのベータ-ヘキソサミニダーゼの放出は、同一のVH及びVLを有するが、野生型(未改変)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを有する対応する抗体又は抗原結合断片と比較して、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含む本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片により50%超低下する。特定の実施態様において、IFNガンマの存在下での培養中のヒト肥満細胞からのベータ-ヘキソサミニダーゼの放出は、同一のVH及びVLを有するが、野生型(未改変)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを有する対応する抗体又は抗原結合断片と比較して、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含む本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片により60%超、70%超、又は80%超低下する。
【0154】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片は、(例えば、KITリン酸化によって決定されるように)顕著なFc受容体依存性KITアゴニスト活性を示さない。具体的な実施態様において、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片は、(例えば、KITリン酸化によって決定されるように)検出可能なFc受容体依存性KITアゴニスト活性を示さない。特定の実施態様において、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片は、(例えば、KITリン酸化によって決定されるように)Fc受容体依存性KIT活性を、適切な対照抗体又は抗原結合断片と比較して少なくとも10%小さく、少なくとも20%小さく、少なくとも30%小さく、少なくとも40%小さく、少なくとも50%小さく、少なくとも60%小さく、少なくとも70%小さく、少なくとも80%小さく、少なくとも90%小さく、少なくとも95%小さく、又は少なくとも99%小さく誘導する。特定の実施態様において、(架橋したFc受容体によるKITリン酸化によって決定されるように)Fc受容体依存性KITアゴニスト活性は、適切な対照抗体又は抗原結合断片と比較して、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片により50%超低下する。特定の実施態様において、(架橋したFc受容体によるKITリン酸化によって決定されるように)Fc受容体依存性KITアゴニスト活性は、適切な対照抗体又は抗原結合断片と比較して、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片により60%超、70%超、又は80%超低下する。本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片が、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメイン(例えば、改変(例えば、変異)ヒトIgG Fc領域又はドメイン、例えば、改変(例えば、変異)ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4 Fc領域又はドメイン)を含み、好ましい実施態様において、適切な対照抗体又は抗原結合断片は、同一のVH及びVLを有するが、同一アイソタイプの野生型(未改変)Fc領域又はドメインを有する抗体又は抗原結合断片である。特定の実施態様において、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片は、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含み、同一のVH及びVLを有するが、野生型(未改変)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを有する対応する抗体又は抗原結合断片と比較して、(例えば、KITリン酸化によって決定されるように)Fc受容体依存性KIT活性を少なくとも10%小さく、少なくとも20%小さく、少なくとも30%小さく、少なくとも40%小さく、少なくとも50%小さく、少なくとも60%小さく、少なくとも70%小さく、少なくとも80%小さく、少なくとも90%小さく、少なくとも95%小さく、又は少なくとも99%小さく誘導する。具体的な実施態様において、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片は、THP-1細胞上で架橋されていても、本明細書に記載のように顕著な又は検出可能なFc受容体依存性KITアゴニスト活性を示さない。特定の実施態様において、(架橋したFc受容体によるKITリン酸化によって決定されるように)Fc受容体依存性KITアゴニスト活性は、同一のVH及びVLを有するが、野生型(未改変)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを有する対応する抗体又は抗原結合断片と比較して、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含む本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片により50%超低下する。特定の実施態様において、(架橋したFc受容体によるKITリン酸化によって決定されるように)Fc受容体依存性KITアゴニスト活性は、同一のVH及びVLを有するが、野生型(未改変)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを有する対応する抗体又は抗原結合断片と比較して、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含む本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片により60%超、70%超、又は80%超低下する。
【0155】
様々な実施態様において、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片は、(1)慢性痒疹患者における疾患活動性を低下させ、(2)慢性痒疹患者における皮膚肥満細胞数を低下させ、(3)慢性痒疹患者におけるトリプターゼレベルを低下させ、かつ/又は(4)慢性痒疹患者などの患者における血液学的パラメータ(例えば、ヘモグロビン(HgB)レベル、白血球(WBC)数、血小板数、及び/又は絶対好中球数(ANC))を正常範囲内に維持する。
【0156】
ある実施態様において、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片は、治療前の数に対して、慢性痒疹患者における皮膚肥満細胞数を顕著に減少させることができる。具体的な実施態様において、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片は、治療前の数に対して、慢性痒疹患者における皮膚肥満細胞数を少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも60%、又は少なくとも80%(例えば、抗KIT抗体又は抗原結合断片で治療した後1週、2週、4週、6週、8週、10週、又は12週間以内に)低下させることができる。具体的な実施態様において、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片の効果は、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、又は少なくとも12週間持続する。
【0157】
ある実施態様において、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片は、治療前のレベルに対して、慢性痒疹患者における血清トリプターゼを顕著に減少させることができる。具体的な実施態様において、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片は、治療前のレベルに対して、慢性痒疹患者における血清トリプターゼを少なくとも50%、少なくとも70%、又は少なくとも90%(例えば、抗KIT抗体又は抗原結合断片で治療した後1週、2週、4週、6週、8週、10週、又は12週間以内に)低下させることができる。具体的な実施態様において、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片の効果は、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、又は少なくとも12週間持続する。
【0158】
ある実施態様において、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片は、患者における血液学的パラメータ(例えば、ヘモグロビン(HgB)レベル、白血球(WBC)数、血小板数、及び/又は絶対好中球数(ANC))を正常な範囲内に維持する。ある実施態様において、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片は、慢性痒疹患者における血液学的パラメータ(例えば、ヘモグロビン(HgB)レベル、白血球(WBC)数、血小板数、及び/又は絶対好中球数(ANC))を正常な範囲内に維持する。具体的な実施態様において、血液学的パラメータは、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、又は少なくとも12週間維持される。
【0159】
様々な実施態様において、本明細書に記載の方法において使用される抗KIT抗体又は抗原結合断片は、本明細書に記載の特性のうちの1以上を有する。
【0160】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメインを含み、ここで、該Fc領域又はドメインは、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)のアミノ酸修飾(例えば、置換、欠失もしくは付加)又は少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)の非天然アミノ酸残基を含む。
【0161】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメインを含み、ここで、該Fc領域又はドメインは、ヒトIgG1のFc領域又はドメインであり、Kabatの文献に示されるEUインデックスにより付番される、234A、234D、234E、234N、234Q、234T、234H、234Y、234I、234V、234F、235A、235D、235R、235W、235P、235S、235N、235Q、235T、235H、235Y、235I、235V、235F、236E、239D、239E、239N、239Q、239F、239T、239H、239Y、240I、240A、240T、240M、241W、241L、241Y、241E、241R. 243W、243L 243Y、243R、243Q、244H、245A、247V、247G、252Y、254T、256E、2621、262A、262T、262E、2631、263A、263T、263M、264L、2641、264W、264T、264R、264F、264M、264Y、264E、265G、265N、265Q、265Y、265F、265V、2651、265L、265H、265T、2661、266A、266T、266M、267Q、267L、269H、269Y、269F、269R、296E、296Q、296D、296N、296S、296T、296L、296I、296H、269G、297S、297D、297E、298H、298I、298T、298F、299I、299L、299A、299S、299V、299H、299F、299E、313F、322Q、325Q、325L、325I、325D、325E、325A、325T、325V、325H、327G、327W、327N、327L、328S、328M、328D、328E、328N、328Q、328F、3281、328V、328T、328H、328A、329F、329H、329Q、330K、330G、330T、330C、330L、330Y、330V、3301、330F、330R、330H、332D、332S、332W、332F、332E、332N、332Q、332T、332H、332Y、及び332Aからなる群から選択される少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)のアミノ酸修飾(例えば、置換、欠失もしくは付加)又は少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)の非天然アミノ酸残基を含む。任意に、該Fc領域又はドメインは、当業者に公知のさらなる及び/又は代わりの非天然アミノ酸残基を含み得る(例えば、米国特許第5,624,821号;第6,277,375号;第6,737,056号;PCT特許公開WO 01/58957号;WO 04/016750号;WO 04/029207号;WO 04/035752号、及びWO 05/040217号を参照されたい)。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメインを含み、ここで、該Fc領域又はドメインは、ヒトIgG2のFc領域又はドメインであり、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)のアミノ酸修飾(例えば、置換、欠失もしくは付加)又は少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)の非天然アミノ酸残基を含み、これは、当業者によって決定され得るように、ヒトIgG1 Fc領域又はドメインについて本明細書に記載のアミノ酸残基(複数可)と同等のものである。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメインを含み、ここで、該Fc領域又はドメインは、ヒトIgG3のFc領域又はドメインであり、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)のアミノ酸修飾(例えば、置換、欠失もしくは付加)又は少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)の非天然アミノ酸残基を含み、これは、当業者によって決定され得るように、ヒトIgG1 Fc領域又はドメインについて本明細書に記載のアミノ酸残基(複数可)と同等のものである。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメインを含み、ここで、該Fc領域又はドメインは、ヒトIgG4のFc領域又はドメインであり、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)のアミノ酸修飾(例えば、置換、欠失もしくは付加)又は少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)の非天然アミノ酸残基を含み、これは、当業者によって決定され得るように、ヒトIgG1 Fc領域又はドメインについて本明細書に記載のアミノ酸残基(複数可)と同等のものである。
【0162】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメインを含み、ここで、該Fc領域又はドメインは、ヒトIgG1のFc領域又はドメインであり、Kabatの文献に示されるEUインデックスにより付番される、234A、234D、234E、234N、234Q、234T、234H、234Y、234I、234V、234F、235A、235D、235R、235W、235P、235S、235N、235Q、235T、235H、235Y、235I、235V、235F、236E、239D、239E、239N、239Q、239F、239T、239H、239Y、240I、240A、240T、240M、241W、241L、241Y、241E、241R. 243W、243L 243Y、243R、243Q、244H、245A、247V、247G、252Y、254T、256E、2621、262A、262T、262E、2631、263A、263T、263M、264L、2641、264W、264T、264R、264F、264M、264Y、264E、265G、265N、265Q、265Y、265F、265V、2651、265L、265H、265T、2661、266A、266T、266M、267Q、267L、269H、269Y、269F、269R、296E、296Q、296D、296N、296S、296T、296L、296I、296H、269G、297S、297D、297E、298H、298I、298T、298F、299I、299L、299A、299S、299V、299H、299F、299E、313F、322Q、325Q、325L、325I、325D、325E、325A、325T、325V、325H、327G、327W、327N、327L、328S、328M、328D、328E、328N、328Q、328F、3281、328V、328T、328H、328A、329F、329H、329Q、330K、330G、330T、330C、330L、330Y、330V、3301、330F、330R、330H、332D、332S、332W、332F、332E、332N、332Q、332T、332H、332Y、及び332Aからなる群から選択される少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)のアミノ酸修飾(例えば、置換、欠失もしくは付加)又は少なくとも1つの非天然アミノ酸残基(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)を含む。任意に、該Fc領域又はドメインは、当業者に公知のさらなる及び/又は代わりの非天然アミノ酸残基を含み得る(例えば、米国特許第5,624,821号;第6,277,375号;第6,737,056号;PCT特許公開WO 01/58957号;WO 04/016750号;WO 04/029207号;WO 04/035752号及びWO 05/040217号を参照されたい)。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメインを含み、ここで、該Fc領域又はドメインは、ヒトIgG2のFc領域又はドメインであり、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)のアミノ酸修飾(例えば、置換、欠失もしくは付加)又は少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)の非天然アミノ酸残基を含み、これは、当業者によって決定され得るように、ヒトIgG1 Fc領域又はドメインについて本明細書に記載のアミノ酸残基(複数可)と同等のものである。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメインを含み、ここで、該Fc領域又はドメインは、ヒトIgG3のFc領域又はドメインであり、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)のアミノ酸修飾(例えば、置換、欠失もしくは付加)又は少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)の非天然アミノ酸残基を含み、これは、当業者によって決定され得るように、ヒトIgG1 Fc領域又はドメインについて本明細書に記載のアミノ酸残基(複数可)と同等のものである。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメインを含み、ここで、該Fc領域又はドメインは、ヒトIgG4のFc領域又はドメインであり、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)のアミノ酸修飾(例えば、置換、欠失もしくは付加)又は少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)の非天然アミノ酸残基を含み、これは、当業者によって決定され得るように、ヒトIgG1 Fc領域又はドメインについて本明細書に記載のアミノ酸残基(複数可)と同等のものである。
【0163】
ある態様において、本明細書に提供されるのは、Fc領域又はドメインを含む抗体であり、ここで、該Fc領域又はドメインは、ヒトIgG1のFc領域又はドメインであり、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、239、330及び332からなる群から選択される1以上の位置に少なくとも1つの非天然のアミノ酸を含む。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、Fc領域又はドメインを含む抗体であり、ここで、該Fc領域又はドメインは、ヒトIgG1のFc領域又はドメインであり、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、239D、330L及び332Eからなる群から選択される少なくとも1つの非天然のアミノ酸を含む。任意に、該Fc領域又はドメインはさらに、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、252、254、及び256からなる群から選択される1以上の位置にさらなる非天然アミノ酸を含み得る。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、Fc領域又はドメインを含む抗体であり、ここで、該Fc領域又はドメインは、ヒトIgG1のFc領域又はドメインであり、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、239D、330L及び332Eからなる群から選択される少なくとも1つの非天然のアミノ酸を含み、1以上の位置の少なくとも1つの非天然アミノ酸は、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、252Y、254T及び256Eからなる群から選択される。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、Fc領域又はドメインを含む抗体であり、ここで、該Fc領域又はドメインは、ヒトIgG2、IgG3、もしくはIgG4のFc領域又はドメインであり、当業者によって決定され得るように、ヒトIgG1 Fc領域又はドメインについて本明細書に記載のアミノ酸残基(複数可)と同等(複数可)である少なくとも1つの非天然アミノ酸残基を含む。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、Fc領域又はドメインを含む抗体であり、該Fc領域又はドメインは、ヒトIgG2、IgG3、もしくはIgG4のFc領域又はドメインであり、当業者によって決定され得るように、ヒトIgG1 Fc領域又はドメインについて本明細書に記載の位置と同等(複数可)である1以上の位置に少なくとも1つの非天然アミノ酸残基を含む。一実施態様において、そのような配列を含むFc領域又はドメインは、1以上のFc活性、例えば、Fc受容体に対する結合親和性、又はエフェクター機能、例えば、ADCCもしくはCDCを示す。具体的な実施態様において、そのような配列を含むFc領域又はドメインは、低下したFc活性、例えば、Fc受容体に対する低下した結合親和性又は低下したエフェクター機能、例えば、ADCCもしくはCDCを示す。特定の実施態様において、そのような配列を含むFc領域又はドメインは、増強されたFcRn活性、例えば、延長された半減期を示す。
【0164】
Fc領域又はドメイン修飾のさらなる非限定的な例は、Ghetieらの文献、1997, Nat Biotech. 15:637-40; Duncanらの文献、1988, Nature 332:563-564; Lundらの文献、1991, J. Immunol 147:2657-2662; Lundらの文献、1992, Mol Immunol 29:53-59; Alegreらの文献、1994, Transplantation 57:1537-1543; Hutchinsらの文献、1995, Proc Natl. Acad Sci U S A 92:11980-11984; Jefferisらの文献、1995, Immunol Lett. 44:111-117; Lundらの文献、1995, Faseb J 9:115-119; Jefferisらの文献、1996, Immunol Lett 54:101-104; Lundらの文献、1996, J Immunol 157:4963-4969; Armourらの文献、1999, Eur J Immunol 29:2613-2624; Idusogieらの文献、2000, J Immunol 164:4178-4184; Reddyらの文献、2000, J Immunol 164:1925-1933; Xuらの文献、2000, Cell Immunol 200:16-26; Idusogieらの文献、2001, J Immunol 166:2571-2575; Shieldsらの文献、2001, J Biol Chem 276:6591-6604; Jefferisらの文献、2002, Immunol Lett 82:57-65; Prestaらの文献、2002, Biochem Soc Trans 30:487-490);米国特許第5,624,821号;第5,885,573号;第5,677,425号;第6,165,745号;第6,277,375号;第5,869,046号;第6,121,022号;第5,624,821号;第5,648,260号;第6,528,624号;第6,194,551号;第6,737,056号;第6,821,505号;第6,277,375号;第8,163,882号;第7,355,008号;第7,960,512号;第8,039,592号;第8,039,359号;第8,101,720号;第7,214,775号;第7,682,610号;第7,741,442号;米国特許公報2004/0002587号及びPCT公開WO 94/29351号;WO 99/58572号;WO 00/42072号;WO 04/029207号;WO 04/099249号;WO 04/063351号に提供されている。
【0165】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q及び322Qを含む改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含む。特定の実施態様において、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインは、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸252Y、254T及び256Eをさらに含む。
【0166】
ある実施態様において、本明細書に記載の抗体は、当業者によって決定され得るヒトIgG1 Fc領域又はドメインについてKabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、234A、235Q及び322Qと同等の非天然アミノ酸を含む改変(例えば、変異)ヒトIgG2 Fc領域又はドメインを含む。ある実施態様において、本明細書に記載の抗体は、当業者によって決定され得るヒトIgG1 Fc領域又はドメインについてKabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、234A、235Q、322Q、252Y、254T及び256Eと同等の非天然アミノ酸を含む改変(例えば、変異)ヒトIgG2 Fc領域又はドメインを含む。
【0167】
ある実施態様において、本明細書に記載の抗体は、当業者によって決定され得るヒトIgG1 Fc領域又はドメインについてKabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、234A、235Q及び322Qと同等の非天然アミノ酸を含む改変(例えば、変異)ヒトIgG3 Fc領域又はドメインを含む。ある実施態様において、本明細書に記載の抗体は、当業者によって決定され得るヒトIgG1 Fc領域又はドメインについてKabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、234A、235Q、322Q、252Y、254T及び256Eと同等の非天然アミノ酸を含む改変(例えば、変異)ヒトIgG3 Fc領域又はドメインを含む。
【0168】
ある実施態様において、本明細書に記載の抗体は、当業者によって決定され得るヒトIgG1 Fc領域又はドメインについてKabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、234A、235Q及び322Qと同等の非天然アミノ酸を含む改変(例えば、変異)ヒトIgG4 Fc領域又はドメインを含む。ある実施態様において、本明細書に記載の抗体は、当業者によって決定され得るヒトIgG1 Fc領域又はドメインについてKabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、234A、235Q、322Q、252Y、254T及び256Eと同等の非天然アミノ酸を含む改変(例えば、変異)ヒトIgG4 Fc領域又はドメインを含む。
【0169】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、表1に記載のVL及びVH CDR配列、並びに改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含み、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインは、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q、及び322Qを含む。
【0170】
好ましい実施態様において、本明細書に記載の抗体は、表1に記載のVL及びVH CDR配列、並びに改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含み、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインは、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q、322Q、252Y、254T及び256Eを含む。
【0171】
したがって、一態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体、又はその抗原結合断片であって、
(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;(ii)それぞれ、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;並びに(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q、及び322Qを含む改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメイン
を含む、前記抗体又はその抗原結合断片である。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗体又はその抗原結合断片は抗体である。
【0172】
したがって、さらなる態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体、又はその抗原結合断片であって、
(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;(ii)それぞれ、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;並びに(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q、322Q、252Y、254T及び256Eを含む改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメイン
を含む、前記抗体又はその抗原結合断片である。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗体又はその抗原結合断片は抗体である。
【0173】
さらなる態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体、又はその抗原結合断片であって、
(i)アミノ酸配列:
【化29】
(ここで、X
K1は、芳香族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、Χ
K2は、脂肪族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、Χ
K3は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、Χ
K4は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であるか、又はPであり、X
K5は、荷電又は酸性側鎖を有するアミノ酸であり、Χ
K6は、芳香族側鎖を有するアミノ酸である)を含むVL;
(ii)アミノ酸配列:
【化30】
(ここで、X
H1は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、X
H2は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、X
H3は、極性又は塩基性側鎖を有するアミノ酸であり、X
H4は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、X
H5は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、X
H6は、酸性側鎖を有するアミノ酸であり、X
H7は、酸性又はアミド誘導体側鎖を有するアミノ酸であり、X
H8は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸である)
を含むVH;並びに(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q、322Q及び好ましくは、252Y、254T及び256Eも含む改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメイン、を含む、前記抗体又はその抗原結合断片である。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗体又はその抗原結合断片は抗体である。
【0174】
さらなる態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体、又はその抗原結合断片であって、i)配列番号13、14、15、又は16のアミノ酸配列を含むVL、及びii)配列番号8、9、10、11、又は12のアミノ酸配列を含むVH;並びに(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q、322Q及び好ましくは252Y、254T及び256Eも含む改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含む、前記抗体又はその抗原結合断片である。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗体又はその抗原結合断片は抗体である。
【0175】
さらなる態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体、又はその抗原結合断片であって、i)配列番号14のアミノ酸配列を含むVLとii)配列番号10のアミノ酸配列を含むVH;及び(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q、322Q及び好ましくは252Y、254T及び256Eも含む改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含む、前記抗体又はその抗原結合断片である。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗体又はその抗原結合断片は抗体である。
【0176】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗体は、以下のアミノ酸配列:
【化31】
を含む重鎖を含む。
【0177】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗体は、以下のアミノ酸配列:
【化32】
を含む軽鎖を含む。
【0178】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗体は、以下のアミノ酸配列:
【化33】
を含む重鎖;及び以下のアミノ酸配列:
【化34】
を含む軽鎖を含む。
【0179】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、
(i)アミノ酸配列:
【化35】
(ここで、リーダー配列は太字の斜体で示され、可変領域(VH)は斜体で示され、定常領域は下線で示されている。さらに、定常領域内の変異(野生型ヒトIgG1と比較して)は二重下線で示されている)
を含む重鎖;及び
(ii)アミノ酸配列:
【化36】
(ここで、リーダー配列は太字の斜体で示され、可変領域(VL)は斜体で示され、定常領域は下線で示されている)
を含む軽鎖、を含む抗体である。
【0180】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、任意のヒトFcガンマ受容体(FcγR受容体)に結合しない(例えば、検出可能な結合を有さない)。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、ヒトFcγRIに結合しない(例えば、検出可能な結合を有さない)。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、ヒトFcγRIIaに結合しない(例えば、検出可能な結合を有さない)。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、ヒトFcγRIIbに結合しない(例えば、検出可能な結合を有さない)。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、ヒトFcγRIIIaに結合しない(例えば、検出可能な結合を有さない)。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、ヒトFcγRIIIbに結合しない(例えば、検出可能な結合を有さない)。
【0181】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、改変(例えば、変異)ヒトIgG定常領域(例えば、改変(例えば、変異)ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4定常領域)を含み、同じ可変領域配列を有するが非改変(野生型)ヒトIgG定常領域を有する対応する抗体に対して、ヒト胎児性Fc受容体(FcRn)への増強された結合(例えば、少なくとも2倍、5倍、10倍、50倍、100倍、500倍、1000倍、5000倍、又は10000倍高い結合親和性)を有する。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、pH6.0で20nM未満のKDでFcRnに結合する。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、pH6.0で2nM未満のKDでFcRnに結合する。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、pH6.0で1nM未満のKDでFcRnに結合する。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、pH6.0で500nM未満のKDでFcRnに結合する。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、pH6.0で400pM未満のKDでFcRnに結合する。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、pH7.2で200nM未満のKDでFcRnに結合する。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、pH7.2で150nM未満のKDでFcRnに結合する。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、pH7.2で100nM未満のKDでFcRnに結合する。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、pH7.2で80nM未満のKDでFcRnに結合する。
【0182】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、改変(例えば、変異)ヒトIgG定常領域(例えば、改変(例えば、変異)ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4定常領域)を含み、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を示さない。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、改変(例えば、変異)ヒトIgG定常領域(例えば、改変(例えば、変異)ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4定常領域)を含み、同じ可変領域配列を有するが非改変(野生型)ヒトIgG定常領域を有する対応する抗体に対して(例えば、少なくとも10%小さく、少なくとも20%小さく、少なくとも30%小さく、少なくとも40%小さく、少なくとも50%小さく、少なくとも60%小さく、少なくとも70%小さく、少なくとも80%小さく、少なくとも90%小さく、少なくとも95%小さく、又は少なくとも99%小さく)低下したADCCを示す。
【0183】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、改変(例えば、変異)ヒトIgG定常領域(例えば、改変(例えば、変異)ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4定常領域)を含み、同じ可変領域配列を有するが非改変(野生型)ヒトIgG定常領域を有する対応する抗体に対して(例えば、少なくとも10%小さく、少なくとも20%小さく、少なくとも30%小さく、少なくとも40%小さく、少なくとも50%小さく、少なくとも60%小さく、少なくとも70%小さく、少なくとも80%小さく、少なくとも90%小さく、少なくとも95%小さく、又は少なくとも99%小さく)低下したサイトカイン産生(例えば、IFN-γ、IL-1β、IL-2、IL-6、IL-8、IL-10及び/又はTNF-α)を示す。
【0184】
ある態様において、慢性痒疹を予防、治療又は管理する方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、当技術分野で説明されているか、又は当技術分野で公知の方法を用いて容易に取得することができ、例えば、以下の節5.2を参照されたい。
【0185】
特定の態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、ヒトKITのD4ドメイン及びKIT、例えば、ヒトKITのD5領域に特異的に結合する。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、KIT、例えば、ヒトKITのD4ドメインに対するよりも低い親和性で、KIT、例えば、ヒトKITのD5ドメインに特異的に結合する。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、KIT、例えば、ヒトKITのD5ドメインに対するよりも高い親和性で、KIT、例えば、ヒトKITのD4ドメインに特異的に結合し;例えば、より高い親和性は、当技術分野で公知の方法、例えば、ELISA又はBiacoreアッセイにより決定したとき、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、500倍、又は1000倍である。
【0186】
特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、KIT、例えば、ヒトKITのD4又はD4/D5領域に特異的に結合し、D5ドメインのみから本質的になるKIT抗原よりも少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、又は10倍高いD4ドメインのみから本質的になるKIT抗原に対する親和性を有する。
【0187】
特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、ELISAなどの当技術分野で説明されるアッセイにより決定したとき、約50nM、10nM、500pM、300pM、200pM、100pM又は50pM以下のEC50(半最大有効濃度)値で、KITポリペプチド(例えば、ヒトKITのD4領域)に特異的に結合する。
【0188】
特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、CHO-WT-KIT細胞(野生型ヒトKITを組換え発現するように改変されたCHO細胞)を用いるELISA又はFACsなどの当技術分野で説明されるアッセイにより決定したとき、約200pM又は150pM以下のEC50値で、KITポリペプチド(例えば、ヒトKITのD4領域)に特異的に結合する。
【0189】
特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、約600pM以下のIC50(50%阻害濃度)値で、KITリン酸化を遮断することができる。
【0190】
特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法により評価したとき、無関係な抗体(例えば、KITに免疫特異的に結合しない抗体)の存在下での内在化と比べて、KIT受容体内在化を、例えば、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は99%誘導又は増強することができる。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法により評価したとき、無関係な抗体(例えば、KITに免疫特異的に結合しない抗体)の存在下での内在化と比べて、KIT受容体内在化を、例えば、少なくとも約25%又は35%、任意に約75%まで誘導又は増強することができる。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法によって評価したとき、無関係な抗体(例えば、KITに免疫特異的に結合しない抗体)の存在下での内在化と比べて、KIT受容体内在化を、例えば、少なくとも約1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、又は100倍誘導又は増強することができる。細胞表面受容体の定量又は可視化のための技術は当技術分野で周知であり、種々の蛍光及び放射性技術を含む。例えば、ある方法は、細胞を放射性標識された抗受容体抗体とともにインキュベートすることを含む。或いは、受容体の天然リガンドを蛍光分子又は放射性標識にコンジュゲートし、細胞とともにインキュベートすることができる。さらなる受容体内在化アッセイは当技術分野で周知であり、例えば、Jimenezらの文献、Biochemical Pharmacology, 1999, 57:1125-1131; Bernhagenらの文献、Nature Medicine, 2007, 13:587-596;及びConwayらの文献、J. Cell Physiol., 2001, 189:341-55に記載されている。
【0191】
特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法により評価したとき、無関係な抗体(例えば、KITに免疫特異的に結合しない抗体)の存在下での代謝回転と比べて、KIT受容体代謝回転を、例えば、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は99%誘導又は増強することができる。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法(例えば、パルス-チェイスアッセイ)により評価したとき、無関係な抗体(例えば、KITに免疫特異的に結合しない抗体)の存在下での代謝回転と比べて、KIT受容体代謝回転を少なくとも約25%又は35%、任意に約75%まで誘導又は増強することができる。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法(例えば、パルス-チェイスアッセイ)によって評価したとき、無関係な抗体(例えば、KITに免疫特異的に結合しない抗体)の存在下での代謝回転と比べて、KIT受容体代謝回転を少なくとも約1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、又は100倍誘導又は増強することができる。受容体代謝回転を決定するための方法は、当技術分野で周知である。例えば、KITを発現している細胞を、35S-EXPRESSタンパク質標識ミックス(NEG772, NEN Life Science Products)を用いてパルス標識し、洗浄し、非標識培地で一定期間チェイスすることができ、その後、標識細胞由来のタンパク質溶解物を、抗KIT抗体を用いて免疫沈降し、SDS-PAGEで分離し、可視化する(例えば、PhosphoImagerスクリーン(Molecular Dynamics)に対して露光し、Typhoon8600スキャナー(Amersham)を用いてスキャンし、ImageQuantソフトウェア(Molecular Dynamics)を用いて解析する)(例えば、Chanらの文献、Development, 2004, 131:5551-5560を参照されたい)。
【0192】
特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法(例えば、パルス-チェイスアッセイ)により評価したとき、無関係な抗体(例えば、KITに免疫特異的に結合しない抗体)の存在下での分解と比べて、KIT受容体分解を少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は99%誘導又は増強することができる。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法(例えば、パルス-チェイスアッセイ)により評価したとき、無関係な抗体(例えば、KITに免疫特異的に結合しない抗体)の存在下での分解と比べて、KIT受容体分解を少なくとも約25%又は35%、任意に約75%まで誘導又は増強することができる。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法(例えば、パルス-チェイスアッセイ)によって評価したとき、無関係な抗体(例えば、KITに免疫特異的に結合しない抗体)の存在下での分解と比べて、KIT受容体分解を少なくとも約1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、又は100倍誘導又は増強することができる。細胞表面受容体のユビキチン化及び/又は分解(例えば、分解の動力学又は速度)を定量又はモニタリングするための技術は当技術分野で周知であり、種々の蛍光及び放射性技術を含む(例えば、国際特許出願公開WO 2008/153926 A2号を参照されたい)。例えば、パルスチェイス実験又は125I-SCFなどの放射性標識リガンドを用いる実験を実施して、KITの分解を定量的に測定することができる。
【0193】
特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、KITの細胞外リガンド結合部位、例えば、KITのSCF結合部位に結合しない。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、当技術分野で説明される方法、例えば、ELISAにより決定したとき、KITに対するリガンド結合を阻害せず、例えば、KITに対するKITリガンド(例えば、SCF)結合を阻害しない。ある実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、当技術分野で説明される方法、例えば、ELISA又はFACS(蛍光活性化細胞選別)により決定したとき、KITに対するリガンド結合を完全に阻害しないか、又は部分的に阻害し、例えば、KITに対するKITリガンド(例えば、SCF)結合を完全に阻害しないか、又は部分的に阻害する。
【0194】
具体的な態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体(例えば、ヒト又はヒト化抗体)は、阻害抗体、すなわち、KIT活性、すなわち、1以上のKIT活性を阻害する(例えば、部分的に阻害する)抗体である。具体的な実施態様において、KIT活性の部分阻害は、例えば、約25%~約65%又は75%の阻害をもたらす。具体的な実施態様において、KIT活性の部分阻害は、例えば、約35%~約85%又は95%の阻害をもたらす。KIT活性の非限定的な例としては、KIT二量体化、KITリン酸化(例えば、チロシンリン酸化)、KITの下流のシグナル伝達(例えば、Stat、AKT、MAPK、もしくはRasシグナル伝達)、遺伝子転写(例えば、c-Myc)の誘導もしくは増強、細胞増殖の誘導もしくは増強又は細胞生存が挙げられる。特定の実施態様において、本明細書に記載の抗体は、KITリン酸化(例えば、リガンド誘導性リン酸化)を阻害する。
【0195】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、KIT細胞質ドメインにおけるKITチロシンリン酸化を阻害する。
【0196】
別の特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、細胞増殖、例えば、肥満細胞増殖又は好酸球増殖を阻害する。また別の特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、細胞生存、例えば、肥満細胞生存又は好酸球細胞生存を阻害する。ある態様において、細胞増殖の阻害、例えば、肥満細胞増殖又は好酸球増殖は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%である。
【0197】
別の特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、肥満細胞の活性化又は好酸球活性化を阻害する。ある態様において、肥満細胞の活性化もしくは活性又は好酸球の活性化もしくは活性の阻害は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%である。
【0198】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、好酸球又は肥満細胞脱顆粒を阻害する(例えば、Staatsらの文献, 2012, Med. Chem. Commun., 2013, 4:88-94;及びOchkurらの文献, 2012, J. Immunol. Methods, 384: 10-20を参照されたい)。ある態様において、好酸球又は肥満細胞脱顆粒の阻害は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%である。
【0199】
別の特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、肥満細胞メディエーターの放出を阻害する。ある態様において、肥満細胞メディエーターの放出は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%である。げっ歯類及びヒト肥満細胞培養物などの肥満細胞培養物から、メディエーターの放出などの肥満細胞活性を測定するアッセイについて説明されている(例えば、Kuehnらの文献,「肥満細胞メディエーター放出の測定(Measuring Mast Cell Mediator Release)」 Current Protocols in Immunology, Unite 7.38.1- 7.38.9, November 2010 (John Wiley & Sons, Inc.を参照されたい)。ある態様において、CD34末梢血前駆細胞又は肥満細胞株、例えば、HMC-1又はヒトLAD2肥満細胞株を、これらのアッセイにおいて使用して、肥満細胞に対する抗KIT抗体の効果を確認することができる。
【0200】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、アポトーシス、例えば、肥満細胞アポトーシス又は好酸球アポトーシスを誘導する。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、細胞分化、例えば、肥満細胞分化を誘導する。
【0201】
特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、以下のもの:好酸球の数及び/又は活性の低下、肥満細胞の増殖の低下、肥満細胞の数又は量の低下、肥満細胞の活性の阻害又は低下、肥満細胞誘発性産生又は炎症因子の放出の低下、炎症因子の放出の低下、肥満細胞の恒常性の回復、肥満細胞の遊走の低下、肥満細胞の接着の低下、好酸球の肥満細胞動員の阻害又は低下、並びに肥満細胞の抗原媒介性脱顆粒の阻害又は低下のうちの任意の1つを達成することができる。
【0202】
特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、KIT活性を阻害するが、KIT二量化を阻害しない。別の特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、KIT活性を阻害するが、KITに対するリガンド結合を阻害せず、例えば、KITに対するKITリガンド(例えば、SCF)結合を阻害しないが、KIT二量化を阻害する。
【0203】
特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、当技術分野で周知の細胞ベースのリン酸化アッセイ、例えば、本明細書に記載の細胞ベースのリン酸化アッセイにより決定したとき、KIT活性、例えば、KIT細胞質ドメインのリガンド誘導性チロシンリン酸化を、約25%~約65%又は75%阻害する。ある実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、当技術分野で周知の細胞ベースのリン酸化アッセイ、例えば、本明細書に記載の細胞ベースのリン酸化アッセイにより決定したとき、KIT活性、例えば、KIT細胞質ドメインのリガンド誘導性チロシンリン酸化を、約35%~約85%又は95%阻害する。
【0204】
特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、当技術分野で周知の細胞ベースのリン酸化アッセイ、例えば、本明細書に記載の細胞ベースのリン酸化アッセイにより決定したとき、約600pM未満、又は約500pM未満、又は約250pM未満の50%阻害濃度(IC50)で、KIT活性、例えば、KIT細胞質ドメインのリガンド誘導性チロシンリン酸化を阻害する。具体的な実施態様において、該IC50は、約550pM又は200pM未満である。具体的な実施態様において、該IC50は、約50pM~約225pMの範囲、又は100pM~約600pMの範囲である。具体的な実施態様において、該IC50は、約50pM~約550pM、又は約50pM~約600pM、又は約150pM~約550pMの範囲である。
【0205】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、(i)ヒトKITのD4及び/又はD5領域を含むKITポリペプチドに免疫特異的に結合し、(ii)KITリン酸化(例えば、チロシンリン酸化)を阻害し、かつ(iii)KITに対するKITリガンド(例えば、SCF)結合を完全に阻害しないか、又は部分的に阻害する。さらに別の具体的な実施態様において、そのような抗体は、KIT二量体化を阻害しない。また別の具体的な実施態様において、そのような抗体は、少なくとも0.5μg/mL、例えば、少なくとも1.0μg/mLの平均力価でCHO細胞によって組換え発現され得る。さらなる具体的な実施態様において、そのような抗体は、非免疫原性であるVHドメイン及びVLドメインを含み、例えば、該VHドメイン及びVLドメインは、T細胞エピトープを含有しない。
【0206】
他の具体的な実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、単量体形態のKIT(例えば、ヒトKIT)に免疫特異的に結合する。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、単量体形態のKIT(例えば、ヒトKIT)に特異的に結合する。具体的な実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、二量体形態のKIT(例えば、ヒトKIT)に特異的に結合する。
【0207】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、単量体形態のKITに結合せず、二量体形態のKIT又は多量体形態のKITに特異的に結合する。ある実施態様において、抗体は、KIT二量体よりもKIT単量体に対する高い親和性を有する。ある実施態様において、抗体は、KIT多量体よりもKIT単量体に対する高い親和性を有する。
【0208】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、KITのネイティブなアイソフォーム又はネイティブな変異体(すなわち、動物、好ましくは、ヒトから単離することができる、動物(例えば、サル、マウス、ヤギ、ロバ、イヌ、ネコ、ウサギ、ブタ、ラット、ヒト、カエル、又は鳥類)のKITの天然のアイソフォーム又は変異体)に特異的に結合する。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、ヒトKIT又はその断片に特異的に結合する。具体的な実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、ヒトKIT又はその断片に特異的に結合し、非ヒトKIT(例えば、サル、マウス、ヤギ、ロバ、イヌ、ネコ、ウサギ、ブタ、ラット、もしくは鳥類)又はその断片には特異的に結合しない。具体的な実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、ヒトKIT又はその断片に特異的に結合し、マウスKITには特異的に結合しない。ある実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、ヒトKIT又はその断片(例えば、ヒトKITのD4領域)及びイヌ科(イヌ)及び非ヒト霊長類(例えば、サル)KITに特異的に結合する。ある実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、ヒトKIT又はその断片(例えば、ヒトKITのD4領域)及びイヌ科(イヌ)及び非ヒト霊長類(例えば、サル)KITに特異的に結合するが、マウスもしくはラットのKIT又はその断片(例えば、マウスKITのD4領域)には特異的に結合しない。
【0209】
ある実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、ヒトKIT又はその断片(例えば、ヒトKITのD4領域)及びイヌ科(イヌ)、ネコ科(ネコ)及びカニクイザルKITに特異的に結合するが、マウスもしくはラットのKIT又はその断片(例えば、マウスKITのD4領域)には特異的に結合しない。
【0210】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、マウスもしくはラットのKIT又はその断片(例えば、マウスKITのD4領域)に対するよりも高い親和性(例えば、少なくとも0.5倍、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、又は10倍)で、ヒトKIT又はその断片(例えば、ヒトKITのD4領域)及びイヌ科(イヌ)、ネコ科(ネコ)及びカニクイザルKITに特異的に結合する。
【0211】
ある実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、突然変異、例えば、体細胞突然変異、例えば、位置502及び503のAla及びTyr残基が重複しているヒトKITのエキソン9中の突然変異を含むヒトKITの細胞外ドメインに特異的に結合する(例えば、KIT突然変異を記載している、Marciaらの文献(2000) Am. J. Pathol. 156(3):791-795;及びDebiec-Rychterらの文献(2004) European Journal of Cancer. 40:689-695を参照されたく、これらはどちらも、引用により完全に本明細書中に組み込まれる)。
【0212】
ある実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、グリコシル化されているヒトKITの細胞外ドメインに特異的に結合する。ある実施態様において、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片は、ヒトKITの細胞外ドメインの2つの異なるグリコシル化形態に結合する。例えば、異なるグリコシル化パターンを示す、異なる分子量を有するヒトKITの2つの形態が、免疫ブロッティングによって観察されている。
【0213】
ある実施態様において、本明細書に記載の抗体は、異なるグリコシル化パターンを有する、例えば、一方の形態がもう一方よりも多くグリコシル化されている、ヒトKITのこれらの形態の両方に特異的に結合することができる。ある実施態様において、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片は、グリコシル化されていないヒトKITの細胞外ドメインに結合する。
【0214】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、2つの抗原結合領域(例えば、2つの同一の抗原結合領域)を有し、両方の抗原結合領域が同じ抗原のKIT(例えば、ヒトKIT)に特異的に結合するという点で、二価の単一特異性抗体である。ある実施態様において、抗原結合領域は、表1に記載のVH及びVL CDRを含む。特定の実施態様において、抗原結合領域は、配列番号8~12のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号13~16のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLを含む。ある態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、二重特異性抗体ではない。
【0215】
特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体は、KITポリペプチド、例えばKITのD4領域に免疫特異的に結合するFab断片である。具体的な実施態様において、本明細書に記載の方法で使用するための抗体は、モノクローナル抗体又は単離されたモノクローナル抗体である。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載の方法で使用するための抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。特定の実施態様において、本明細書に記載の方法で使用するための抗体は、組換え抗体、例えば、組換えヒト抗体、組換えヒト化抗体又は組換えモノクローナル抗体である。ある実施態様において、本明細書に記載の方法で使用するための抗体は、非ヒトアミノ酸配列、例えば、非ヒトCDR又は非ヒト(例えば、非ヒト霊長類)フレームワーク残基を含む。
【0216】
本明細書に提供される特定の実施態様において、組換え抗体は、組換え手段によって単離し、調製し、発現させ、又は作出することができ、これには、例えば、宿主細胞内にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを用いて発現された抗体、組換えコンビナトリアル抗体ライブラリーから単離された抗体、又は例えば、合成、ヒト免疫グロブリン配列をコードするDNA配列の遺伝子改変、もしくはヒト免疫グロブリンをコードする配列、例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のそのような配列へのスプライシングによる作出を含む任意の他の手段によって調製され、発現され、作出され、もしくは単離された抗体がある。ある実施態様において、そのような組換え抗体のアミノ酸配列は、そのように修飾されており、したがって、そのような抗体、例えば、VH及び/又はVL領域のアミノ酸配列は、生物のインビボの抗体生殖系列レパートリー、例えば、マウス又はヒト生殖系列レパートリーに天然には存在しない配列である。特定の実施態様において、組換え抗体は、生物(例えば、霊長類、例えば、ヒト)に天然に存在するいくつかの配列断片を組換え抗体の複合配列へとアセンブルすることによって得ることができ、その場合、該複合配列は、生物(例えば、霊長類、例えば、ヒト)に天然には存在しない。
【0217】
本明細書に提供される方法で使用するための抗体としては、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)、又はサブクラスの免疫グロブリン分子が挙げられる。具体的な実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗体は、IgG抗体(例えば、ヒトIgG抗体)、又はそのクラス(例えば、ヒトIgG1もしくはIgG4)又はサブクラスである。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載の方法における使用のための抗体は、IgG1(例えば、ヒトIgG1(アイソタイプa、z、もしくはf))又はIgG4抗体である。ある実施態様において、本明細書に記載の方法における使用のための抗体は、完全(whole)又は完全(entire)抗体、例えば、完全(whole)又は完全(entire)ヒト化、ヒト、又は複合ヒト抗体である。
【0218】
具体的な態様において、本明細書に提供される抗体は、抗体の軽鎖及び重鎖、例えば、別々の軽鎖及び重鎖を含む。軽鎖に関して、具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体の軽鎖は、カッパ軽鎖である。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体の軽鎖は、ラムダ軽鎖である。さらに別の具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体の軽鎖は、ヒトカッパ軽鎖又はヒトラムダ軽鎖である。特定の実施態様において、本明細書に記載の抗体は、ヒト軽鎖定常領域を含む。ヒト軽鎖定常領域配列の非限定的な例は、当技術分野で記載されており、例えば、米国特許第5,693,780号及びKabatらの文献(1991)、免疫学的関心対象のタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、第5版、U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242を参照されたい。
【0219】
重鎖に関して、具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体の重鎖は、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、又はミュー(μ)重鎖であることができる。別の具体的な実施態様において、記載されている抗体の重鎖は、ヒトアルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)又はミュー(μ)重鎖を含むことができる。特定の実施態様において、本明細書に記載の抗体は、ヒト重鎖定常領域(例えば、ヒトIgG定常領域、例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4定常領域)を含む。ヒト重鎖定常領域配列の非限定的な例は、当技術分野で記載されており、例えば、米国特許第5,693,780号及びKabatらの文献(1991)、免疫学的関心対象のタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、第5版、U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242を参照されたい。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、改変(例えば、変異)ヒトFc領域又はドメイン(例えば、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメイン、改変(例えば、変異)ヒトIgG2 Fc領域又はドメイン、改変(例えば、変異)ヒトIgG3 Fc領域又はドメイン、又は改変(例えば、変異)ヒトIgG4 Fc領域又はドメイン)を含む。
【0220】
本明細書に提供される抗体は、抗原、例えば、KITエピトープ(例えば、ヒトKITのD4領域を含有するKITポリペプチド中のKITエピトープ)に特異的に結合する能力を保持する抗体断片を含むことができる。具体的な実施態様において、断片には、Fab断片(抗原結合ドメインを含有し、ジスルフィド結合によって架橋された軽鎖と重鎖の一部(すなわち、重鎖のVH及びCHIドメイン)とを含む抗体断片); Fab'(Fabとヒンジ領域に至るまでのさらなる重鎖部分とを含む単一の抗原結合ドメインを含有する抗体断片); F(ab')2(重鎖のヒンジ領域中の鎖間ジスルフィド結合によって接続された2つのFab'分子;このFab'分子は、同じ又は異なるエピトープに対するものであり得る);二重特異性Fab(その各々が異なるエピトープに対するものであり得る2つの抗原結合ドメインを有するFab分子);可変領域を含む単鎖Fab鎖、別名、sFv(10~25個のアミノ酸の鎖によって連結されている抗体の単一の軽鎖及び重鎖の可変抗原結合決定領域);ジスルフィド結合Fv、又はdsFv(ジスルフィド結合によって連結されている抗体の単一の軽鎖及び重鎖の可変抗原結合決定領域);ラクダ化VH(VH接合部分のいくつかのアミノ酸が天然ラクダ抗体の重鎖に見られるアミノ酸である抗体の単一の重鎖の可変抗原結合決定領域);二重特異性sFv(その各々が異なるエピトープに対するものであり得る2つの抗原結合ドメインを有するsFv又はdsFv分子);ダイアボディ(第一のsFvのVHドメインが第二のsFvのVLドメインと会合し、第一のsFvのVLドメインが第二のsFvのVHドメインと会合するときに形成される二量体化sFv;ダイアボディの2つの抗原結合領域は、同じ又は異なるエピトープに対するものであり得る);並びにトリアボディ(ダイアボディと同様の様式で形成されるが、3つの抗原結合ドメインが単一の複合体中に生じる三量体化sFv;この3つの抗原結合ドメインは、同じ又は異なるエピトープに対するものであり得る)が含まれる。本明細書に提供される抗体は、抗体の1以上のCDR配列も含むことができる。2以上のCDR配列が存在する場合、CDR配列をスキャフォールド上で連結させることができる。ある実施態様において、抗体は、単鎖Fv(「scFv」)を含む。scFvは、抗体のVH及びVLドメインを含む抗体断片であり、ここで、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖中に存在する。通常、scFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、該リンカーは、scFvが抗原結合のための望ましい構造を形成するのを可能にする。scFvの総説については、モノクローナル抗体の薬理学(The Pharmacology of Monoclonal Antibodies)、第113巻、Rosenburg及びMoore編、Springer-Verlag, New York, pp. 269-315(1994)のPluckthunの文献を参照されたい。いずれの特定の理論にも束縛されるものではないが、Fv分子は、そのサイズが小さいために、組織に浸透することができる。完全抗体をペプシンによって酵素的に切断して、F(ab')2断片を生じさせることができるか、又はパパインによって酵素的に切断して、2つのFab断片を生じさせることができる。抗体又はその抗原結合断片は、さらなる結合実体、例えば、SCF結合配列又は「トラップ」にも連結してよい。
【0221】
ある実施態様において、本明細書に記載の方法で使用するための抗KIT抗体は、ヒト、複合ヒト、又はヒト化モノクローナル抗体である。特定の実施態様において、本明細書に記載の方法で使用するための抗体は、改変抗体、例えば、組換え法により産生された抗体である。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、1以上の非ヒト(例えば、齧歯類又はマウス)CDR及び1以上のヒトフレームワーク領域(FR)、並びに任意に、ヒト重鎖定常領域及び/又は軽鎖定常領域を含むヒト化抗体である。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、1以上の霊長類(又は非ヒト霊長類)フレームワーク領域を含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、非ヒト霊長類フレームワーク領域を含まない。
【0222】
本明細書に提供される方法で使用するための抗体には、化学修飾を含む抗体、例えば、化学的に、例えば、抗体への任意のタイプの分子の共有結合によって修飾されている抗体が含まれ得る。例えば、限定するものではないが、抗KIT抗体は、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、又はアミド化することができ、保護基/ブロッキング基によって誘導体化することができ、或いは細胞リガンド及び又は他のタンパク質もしくはペプチド(例えば、異種タンパク質又はペプチド)などをさらに含むことができる。例えば、本明細書に提供される抗体は、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解的切断、細胞リガンド又は他のタンパク質への結合などによって化学的に修飾することができる。さらに、本明細書に記載の抗KIT抗体は、1以上の非古典的アミノ酸を含有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、別の薬剤(例えば、治療薬)に連結された抗KIT抗体又はその抗原結合断片を含むコンジュゲートである。このような抗体コンジュゲートは、本開示に記載される方法又は使用において使用することもできる。
【0223】
一実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体は、別の分子、ペプチド又はポリペプチド(例えば、異種ポリペプチド)に連結、融合又はコンジュゲート(例えば、人工的に連結、融合又はコンジュゲート)されていないネイキッド抗体である。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体は、抗体-薬物コンジュゲートではない。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法で使用するための抗KIT抗体は、融合タンパク質ではない。特定の実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、非古典的アミノ酸を含まない。
【0224】
(5.2 抗体産生)
KIT抗原に免疫特異的に結合する本明細書に記載の抗体(例えば、ヒトもしくはヒト化抗体)(又はその抗原結合断片)は、抗体の合成のための当技術分野で公知の任意の方法によって、例えば、化学合成によって又は組換え発現技術によって産生することができる。本明細書に記載の方法は、別途示されない限り、分子生物学、微生物学、遺伝子解析、組換えDNA、有機化学、生化学、PCR、オリゴヌクレオチド合成及び修飾、核酸ハイブリダイゼーション、並びに関連分野の従来の技術を利用しており、該技術は、当業者の能力の範囲内である。これらの技術は、本明細書に引用されている参考文献に記載されており、かつ文献で十分に説明されている。例えば、Maniatisらの文献(1982)、分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Press; Sambrookらの文献(1989)、分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press; Sambrookらの文献(2001)、分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY; Ausubelらの文献、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、John Wiley & Sons(1987年及び年次改訂版);免疫学の最新プロトコル(Current Protocols in Immunology)、John Wiley & Sons(1987年及び年次改訂版) Gaitの文献(編)(1984)、オリゴヌクレオチド合成:実践的アプローチ(Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach)、IRL Press; Ecksteinの文献(編)(1991)、オリゴヌクレオチド及び類似体:実践的アプローチ(Oligonucleotide and Analogues: A Practical Approach)、IRL Press; Birrenらの文献(編)(1999)、ゲノム解析:実験マニュアル(Genome Analysis: A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。
【0225】
例えば、ヒト化抗体は、当技術分野で公知の種々の技術を用いて産生することができ、該技術には、CDR移植(欧州特許EP 239,400号;国際公開WO 91/09967号;並びに米国特許第5,225,539号、第5,530,101号、及び第5,585,089号)、ベニアリング又はリサーフェシング(欧州特許EP 592,106号及びEP 519,596号; Padlanの文献、1991, Molecular Immunology 28(4/5):489-498; Studnickaらの文献、1994, Protein Engineering 7(6):805-814;及びRoguskaらの文献、1994, PNAS 91:969-973)、鎖シャッフリング(米国特許第5,565,332号)、並びに例えば、米国特許第6,407,213号、米国特許第5,766,886号、WO 9317105号、Tanらの文献、J. Immunol. 169:1119 25(2002)、Caldasらの文献、Protein Eng. 13(5):353-60(2000)、Moreaらの文献、Methods 20(3):267 79(2000)、Bacaらの文献、J. Biol. Chem. 272(16):10678-84(1997)、Roguskaらの文献、Protein Eng. 9(10):895 904(1996)、Coutoらの文献、Cancer Res. 55(23 Supp):5973s-5977s(1995)、Coutoらの文献、Cancer Res. 55(8):1717-22(1995)、Sandhu JSの文献、Gene 150(2):409-10(1994)、及びPedersenらの文献、J. Mol. Biol. 235(3):959-73(1994)に開示されている技術が含まれるが、これらに限定されない。引用により本明細書中に組み込まれる米国特許公報US 2005/0042664 A1号(2005年2月24日)も参照されたい。
【0226】
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術、組換え技術、及びファージディスプレイ技術、又はこれらの組合せの使用を含む、当技術分野で公知の多種多様な技術を用いて調製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術を用いて産生することができ、該技術には、当技術分野で公知の技術及び例えば、Harlowらの文献、抗体:実験マニュアル(Antibodies: A Laboratory Manual)(Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版、1988); Hammerlingらの文献:モノクローナル抗体及びT細胞ハイブリドーマ(Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas)、563 681(Elsevier, N.Y., 1981)に教示されている技術が含まれる。本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、ハイブリドーマ技術によって産生される抗体に限定されない。例えば、モノクローナル抗体を組換え技術によって産生することができ、例えば、組換えモノクローナル抗体を、哺乳動物宿主細胞などの宿主細胞によって発現させることができる。
【0227】
ハイブリドーマ技術を用いて特異的抗体を産生及びスクリーニングする方法はルーチンであり、かつ当技術分野で周知である。例えば、ハイブリドーマ法において、マウス又は他の適切な宿主動物、例えば、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、ラット、ハムスター、もしくはマカクザルを免疫して、免疫に使用されるタンパク質(例えば、ヒトKITの細胞外領域)に特異的に結合する抗体を産生する又は産生することができるリンパ球を誘発させる。或いは、リンパ球をインビトロで免疫してもよい。その後、リンパ球を、好適な融合剤、例えば、ポリエチレングリコールを用いて骨髄腫細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成させる(Godingの文献、モノクローナル抗体:原理及び実践(Monoclonal Antibodies: Principles and Practice)、pp. 59-103(Academic Press, 1986))。さらに、RIMMS(複数部位反復免疫(repetitive immunization multiple sites))技術を用いて、動物を免疫することができる(引用により本明細書中に組み込まれる、Kilptrackらの文献、1997 Hybridoma 16:381-9)。
【0228】
骨髄腫細胞株の非限定的な例としては、マウス骨髄腫株、例えば、Salk Institute Cell Distribution Center, San Diego, CA, USAから入手可能なMOPC-21及びMPC-11マウス腫瘍に由来するもの、並びにAmerican Type Culture Collection, Rockville, MD, USAから入手可能なSP-2又はX63-Ag8.653細胞が挙げられる。ヒト骨髄腫及びマウス-ヒト異種骨髄腫細胞株も、ヒトモノクローナル抗体の産生のために記載されている(Kozborの文献、J. Immunol., 133:3001(1984); Brodeurらの文献、モノクローナル抗体生産技術及び応用(Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications)、pp. 51-63(Marcel Dekker, Inc., New York, 1987))。
本明細書に記載の抗体には、特異的KIT抗原を認識し、当業者に公知の任意の技術によって作製することができる抗体断片が含まれる。例えば、本明細書に記載のFab及びF(ab')2断片は、パパイン(Fab断片を産生するため)又はペプシン(F(ab')2断片を産生するため)などの酵素を用いる、免疫グロブリン分子のタンパク質分解的切断によって産生することができる。Fab断片は、抗体分子の2つの同一のアームのうちの1つに相当し、重鎖のVH及びCHIドメインと対になった完全な軽鎖を含有する。F(ab')2断片は、ヒンジ領域中のジスルフィド結合によって連結された抗体分子の2つの抗原結合アームを含有する。
【0229】
一態様において、完全抗体を作製するために、VH又はVLヌクレオチド配列、制限部位、及び該制限部位を保護するためのフランキング配列を含むPCRプライマーを用いて、鋳型、例えば、scFvクローンからVH又はVL配列を増幅させることができる。当業者に公知のクローニング技術を用いて、PCR増幅したVHドメインを、VH定常領域を発現するベクターにクローニングすることができ、PCR増幅したVLドメインを、VL定常領域、例えば、ヒトカッパ又はラムダ定常領域を発現するベクターにクローニングすることができる。VH及びVLドメインを、必要な定常領域を発現する1つのベクターにクローニングすることもできる。その後、当業者に公知の技術を用いて、重鎖変換ベクター及び軽鎖変換ベクターを細胞株にコトランスフェクトし、全長抗体、例えば、IgGを発現する安定な又は一過性の細胞株を作製する。
【0230】
単一ドメイン抗体、例えば、軽鎖を欠く抗体は、当技術分野で周知の方法によって産生することができる。Riechmannらの文献、1999, J. Immunol. 231:25-38; Nuttallらの文献、2000, Curr. Pharm. Biotechnol. 1(3):253-263; Muyldermanの文献、2001, J. Biotechnol. 74(4):277302; 米国特許第6,005,079号;並びに国際公開WO 94/04678号、WO 94/25591号、及びWO 01/44301号を参照されたい。
【0231】
(5.3 組成物)
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の方法で使用するための1以上の抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗体)又はその抗原結合断片を含む組成物、例えば、医薬組成物である。特定の態様において、本明細書に記載の組成物は、インビトロ、インビボ、又はエクスビボ用途のためのものであり得る。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の方法で使用するための抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗体)又はその抗原結合断片及び医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含む医薬組成物である。
【0232】
本明細書で使用されるように、「医薬として許容し得る」という用語は、動物、より特にはヒトでの使用について、連邦政府もしくは州政府の規制当局に承認されているか、又は米国薬局方、欧州薬局方もしくは他の一般に認められた薬局方に記載されていることを意味する。
【0233】
本明細書に提供される1以上の抗体(例えば、ヒト化抗体)を含有する治療製剤は、貯蔵用に、所望の純度を有する抗体を、任意の生理的に許容される担体、賦形剤、又は安定剤(レミントンの医薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)(1990) Mack Publishing Co., Easton, PA;レミントン:調剤の科学及び実践(Remington: The Science and Practice of Pharmacy)、第21版(2006) Lippincott Williams & Wilkins, Baltimore, MD)と混合することによって、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で調製することができる。許容し得る担体、賦形剤、又は安定剤は、利用される投薬量及び濃度でレシピエントに無害であり、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸などの緩衝剤;並びに/又は非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)を含む。
【0234】
製剤、例えば、本明細書に記載の製剤は、治療されている特定の適応症に必要な場合、複数の活性化合物(例えば、分子、例えば、本明細書に記載の抗体(単数)又は抗体(複数))を含有することもできる。ある実施態様において、製剤は、本明細書に提供される抗体及び互いに悪影響を及ぼさない補完的活性を有する1以上の活性化合物を含む。そのような分子は、意図される目的に対して有効である量の組合せで好適に存在する。
【0235】
インビボ投与に使用されるべき製剤は、滅菌されていてもよい。これは、例えば、滅菌濾過膜に通して濾過することによって容易に達成される。
【0236】
具体的な態様において、本明細書に提供される医薬組成物は、医薬として許容し得る担体中に、治療有効量の1以上の本明細書に提供される抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗体)、及び任意に1以上の追加の予防剤又は治療剤を含有する。そのような医薬組成物は、慢性痒疹、又はその1以上の症状の防止、治療、管理又は改善に有用である。
【0237】
本明細書に提供される抗体の投与に好適な医薬担体には、特定の投与様式に好適であることが当業者に知られている任意のそのような担体が含まれる。
【0238】
さらに、本明細書に記載の抗体は、組成物中の唯一の医薬活性成分として製剤化することができるか、又は他の活性成分(例えば、1以上の他の予防剤もしくは治療剤)と組み合わせることができる。
【0239】
組成物は、1以上の本明細書に提供される抗KIT抗体を含有することができる。一実施態様において、該抗体は、好適な医薬調製物、例えば、非経口投与用の滅菌溶液もしくは懸濁液中の液剤、懸濁剤、散剤、又はエリキシル剤に製剤化される。一実施態様において、該抗体は、好適な医薬調製物、例えば、経口投与用の液剤、懸濁剤、錠剤、分散錠、丸剤、カプセル剤、散剤、持続放出製剤もしくはエリキシル剤中に、並びに経皮パッチ調製物及び乾燥粉末吸入剤中に製剤化される。
【0240】
そのような組成物中で、1以上の本明細書に提供される抗体(又はそのコンジュゲート)は、好適な医薬担体と混合される。該組成物中の抗体(単数)又は抗体(複数)の濃度は、例えば、投与時に、慢性痒疹、又はその1以上の症状を治療、防止、予防又は管理する量の送達に有効であり得る。
【0241】
一実施態様において、該組成物は、単一投薬量投与用に製剤化される。組成物を製剤化するために、化合物の重量分率を、治療される状態を緩和し、予防し、又は1以上の症状を改善するような有効濃度で、選択された担体に溶解させ、懸濁させ、分散させ、又は別の方法で混合する。
【0242】
ある態様において、本明細書に提供される抗体(例えば、ヒト化抗体)(又はその抗体-薬物コンジュゲート)は、治療される患者に対する望ましくない副作用がなく、又は最小限もしくは無視できる程度の望ましくない副作用で、治療的に有用な効果を発揮するのに十分な有効量で、医薬として許容し得る担体に含まれる。治療的有効濃度は、該化合物をインビトロ及びインビボ系でルーチンの方法を用いて試験することによって実験的に決定し、その後、それからヒトに対する投薬量を推定することができる。
【0243】
医薬組成物中の抗体の濃度は、例えば、該抗体の物理化学的特性、投薬スケジュール、及び投与される量、並びに当業者に公知の他の因子によって決まる。ある態様において、医薬組成物中の抗体-薬物コンジュゲートの濃度は、例えば、該抗体及び/又は薬物の物理化学的特性、投薬スケジュール、並びに投与される量、並びに当業者に公知の他の因子によって決まる。
【0244】
一実施態様において、治療的有効投薬量は、約0.1ng/mlから約50~100μg/mlの血清濃度の抗体を生じさせる。医薬組成物は、別の実施態様において、一定期間にわたる、例えば、毎日、毎週、2週毎、又は3、4もしくは8週毎の投与に対して、キログラム体重当たり約0.001mg~約2000mgの投薬量の抗体を提供する。医薬投薬単位形態は、投薬単位形態当たり約0.01mg~約2000mg、一実施態様において、約10mg~約500mgの抗体及び/又は他の任意の必須成分の組合せを提供するように調製することができる。
【0245】
特定の実施態様において、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートは、一定期間にわたる、例えば、毎日、毎週、2週毎、又は3週毎の投与に対して、キログラム体重当たり約1~100mgの抗体-薬物コンジュゲートの有効投薬量で投与される。
【0246】
本明細書に記載の抗KIT抗体は、一度に投与することができるか、又は時間間隔を置いて投与されるいくつかのより小さい用量に分割することができる。正確な投薬量及び治療期間は、治療されている疾患の関数であり、公知の試験プロトコルを用いて実験的に、又はインビボもしくはインビトロの試験データからの推定によって決定することができることが理解される。濃度及び投薬量値は、緩和されるべき状態の重症度によっても異なり得ることに留意すべきである。任意の特定の対象のために、特定の投薬レジメンが、個々の必要性及び組成物の投与を管理又は監督する人の専門的な判断によって経時的に調整され得ること、並びに本明細書に示される濃度範囲が例示的なものであるに過ぎず、特許請求された組成物の範囲又は実施を限定することを意図するものではないことがさらに理解されるべきである。
【0247】
抗体を混合又は添加したとき、得られる混合物は、液剤、懸濁剤、乳剤などであり得る。得られる混合物の形態は、意図される投与様式及び選択された担体又はビヒクルへの該化合物の溶解度を含む、いくつかの因子によって決まる。有効濃度は、治療される疾患、障害、又は状態の症状を改善するのに十分であり、実験的に決定することができる。
【0248】
医薬組成物は、ヒト及び動物、例えば、哺乳類(例えば、ネコ又はイヌ)への投与用に、好適な分量の化合物又はその医薬として許容し得る誘導体を含有する滅菌非経口(例えば、静脈内)液剤又は懸濁剤などの単位剤形で提供される。医薬組成物は、ヒト及び動物、例えば、哺乳類(例えば、ネコ又はイヌ)への投与用に、好適な分量の化合物又はその医薬として許容し得る誘導体を含有する錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤、及び経口液剤又は懸濁剤、及び油-水乳剤などの単位剤形でも提供される。抗体は、一実施態様において、単位剤形又は複数剤形で製剤化され、投与される。本明細書で使用される単位用量形態は、ヒト及び動物対象に好適で、かつ当技術分野で知られているように個別に包装された、物理的に分離した単位を指す。各々の単位用量は、必要とされる医薬担体、ビヒクル又は希釈剤と関連して、所望の治療効果をもたらすのに十分な所定量の抗体を含有する。単位用量形態の例としては、アンプル及びシリンジ及び個別包装された錠剤又はカプセル剤が挙げられる。単位用量形態は、その分数又は倍数で投与することができる。複数用量形態は、分離された単位用量形態で投与されるように、単一の容器中に包装された複数の同一の単位剤形である。複数用量形態の例としては、バイアル、錠剤もしくはカプセル剤の瓶、又はパイントもしくはガロンの瓶が挙げられる。したがって、複数用量形態は、包装中で分離されていない複数の単位用量である。
【0249】
ある実施態様において、1以上の本明細書に記載の抗KIT抗体は、液体医薬製剤中にある。医薬として投与可能な液体組成物は、例えば、上で定義した活性化合物及び任意の医薬補助剤を、例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、グリコール、エタノールなどの担体に溶解させ、分散させ、又は別の方法で混合し、それにより、液剤又は懸濁剤を形成させることによって調製することができる。望ましい場合、投与される医薬組成物は、微量の無毒な補助物質、例えば、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、及びpH緩衝剤なども含有することができる。
【0250】
そのような剤形の実際的な調製方法は当業者に公知であるか、又は明白になるであろう;例えば、レミントンの医薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)(1990) Mack Publishing Co., Easton, PA;レミントン:調剤の科学及び実践(Remington: The Science and Practice of Pharmacy)、第21版(2006) Lippincott Williams & Wilkins, Baltimore, MDを参照されたい。
【0251】
0.005%~100%の範囲の抗体を含有し、残りは無毒な担体から構成される剤形又は組成物を調製することができる。これらの組成物の調製方法は、当業者に公知である。
【0252】
一実施態様において、皮下、筋肉内、又は静脈内のいずれかへの注射を特徴とする非経口投与も、本明細書において企図される。注射剤は、液体の液剤もしくは懸濁剤、注射前の液体への溶解もしくは懸濁に好適な固体形態としてか、又は乳剤としてかのいずれかの、従来の形態で調製することができる。注射剤、液剤、及び乳剤は、1以上の賦形剤も含有する。好適な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、又はエタノールである。さらに、望ましい場合、投与される医薬組成物は、微量の無毒な補助物質、例えば、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、溶解性増強剤、及び他のそのような薬剤も含有することができる。他の投与経路としては、硬膜外投与、腸内投与、脳内投与、鼻腔投与、動脈内投与、心内投与、骨内注入、髄腔内投与、及び腹腔内投与を挙げることができる。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、抗原結合断片、又は医薬組成物は、静脈内投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、抗原結合断片、又は医薬組成物は、皮下投与される。
【0253】
非経口投与用の調製物としては、すぐに注射可能な滅菌液剤、皮下注射錠を含む、使用直前に溶媒とすぐに組み合わせることができる滅菌乾燥可溶性製品、例えば、凍結乾燥粉末、すぐに注射可能な滅菌懸濁剤、使用直前にビヒクルとすぐに組み合わせることができる滅菌乾燥不溶性製品、及び滅菌乳剤が挙げられる。液剤は、水性又は非水性のいずれかであり得る。
【0254】
静脈内投与される場合、好適な担体としては、生理食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、並びに増粘剤及び可溶化剤、例えば、グルコース、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール並びにこれらの混合物を含有する溶液が挙げられる。
【0255】
非経口調製物で使用される医薬として許容し得る担体としては、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗微生物剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、局部麻酔薬、懸濁化剤及び分散剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤又はキレート剤並びに他の医薬として許容し得る物質が挙げられる。
【0256】
医薬担体としては、水混和性ビヒクル用のエチルアルコール、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコール;並びにpH調整用の水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸又は乳酸も挙げられる。
【0257】
実例として、活性化合物を含有する滅菌水性液剤の静脈内又は動脈内注入は、効果的な投与様式である。別の実施態様は、所望の薬理作用を生じさせるために必要に応じて注射される活性材料を含有する滅菌された水性又は油性の液剤又は懸濁剤である。
【0258】
本明細書に記載の抗KIT抗体を、微粉化された又は他の好適な形態で懸濁させることができる。得られる混合物の形態は、意図される投与様式及び選択された担体又はビヒクルへの化合物の溶解度を含む、いくつかの因子によって決まる。有効濃度は、状態の症状を改善するのに十分であり、実験的に決定することができる。
【0259】
他の実施態様において、医薬製剤は、投与のために液剤、乳剤、及び他の混合物として再構成することができる凍結乾燥粉末である。それらを固体又はゲルとして再構成し、製剤化することもできる。
【0260】
凍結乾燥粉末は、本明細書に提供される抗体を好適な溶媒に溶解させることによって調製される。いくつかの実施態様において、凍結乾燥粉末は、滅菌されている。溶媒は、粉末又は粉末から調製される再構成溶液の安定性又は他の薬理学的要素を改善する賦形剤を含有することができる。使用し得る賦形剤としては、デキストロース、ソルビタール(sorbital)、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロース、又は他の好適な薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。溶媒は、緩衝剤、例えば、クエン酸塩、リン酸ナトリウムもしくはリン酸カリウム、又は一実施態様において、約中性pHの当業者に公知の他のそのような緩衝剤を含有することもできる。その後の溶液の滅菌濾過と、それに続く、当業者に公知の標準的な条件下での凍結乾燥によって、所望の製剤が提供される。一実施態様において、得られる溶液は、凍結乾燥用のバイアルに分注される。各々のバイアルは、単回投薬量又は複数回投薬量の化合物を含有する。凍結乾燥粉末は、適切な条件下、例えば、約4℃~室温で貯蔵することができる。
【0261】
この凍結乾燥粉末の注射用水による再構成によって、非経口投与で使用するための製剤が提供される。再構成のために、凍結乾燥粉末を滅菌水又は他の好適な担体に添加する。正確な量は、選択された化合物によって決まる。そのような量は、実験的に決定することができる。
【0262】
本明細書に提供される抗体は、局部又は局所適用のために、例えば、ゲル剤、クリーム剤、及びローション剤の形態での、皮膚及び粘膜、例えば、眼内への局所適用のために、及び眼への適用のために、又は嚢内もしくは脊髄内適用のために製剤化することができる。局所投与は、経皮送達のために、さらには眼もしくは粘膜への投与のために、又は吸入療法のために企図される。単独の又は他の医薬として許容し得る賦形剤と組み合わせた活性化合物の点鼻液を投与することもできる。
【0263】
本明細書に提供される抗体及び他の組成物は、特定の組織、受容体、又は治療されることになる対象の身体の他の部分にターゲッティングされるように製剤化することもできる。多くのそのようなターゲッティング法は、当業者に周知である。全てのそのようなターゲッティング法が、本組成物での使用のために本明細書において企図される。ターゲッティング法の非限定的な例については、例えば、米国特許第6,316,652号、第6,274,552号、第6,271,359号、第6,253,872号、第6,139,865号、第6,131,570号、第6,120,751号、第6,071,495号、第6,060,082号、第6,048,736号、第6,039,975号、第6,004,534号、第5,985,307号、第5,972,366号、第5,900,252号、第5,840,674号、第5,759,542号及び第5,709,874号を参照されたい。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、骨髄にターゲッティングされる(又は別の方法で投与される)。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、消化管にターゲッティングされる(又は別の方法で投与される)。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、脳にターゲッティングされる(又は別の方法で投与される)。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、血液脳関門を横断することができる。
【0264】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、眼組織又は器官にターゲッティング(又は他の方法で投与)される。特定の態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体を含む組成物は、点眼剤又はゲルとして眼組織又は器官にターゲッティングされ得る。特定の態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体を含む組成物は、耳にターゲッティングされ得る。
【0265】
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の医薬組成物の1以上の成分、例えば、本明細書に提供される1以上の抗体を充填した1以上の容器を含む医薬パック又はキットである。そのような容器(複数可)には、薬剤もしくは生物学的製剤の製造、使用、又は販売を規制する政府機関によって定められた形での注意書きが任意に関連付けられることがあり、この注意書きは、該機関による、ヒト投与のための製造、使用又は販売の認可を示すものである。
【0266】
抗体以外のKIT阻害剤について、それらはまた、保存、取り扱い、及び/又は投与に適した医薬として許容し得る担体と共に医薬製剤中に製剤化することができることが企図される。
【0267】
(5.4 投薬量及び投与)
本明細書に提供される慢性痒疹を治療する方法に従って、それを必要とする対象(例えば、哺乳動物、例えば、ヒト、イヌもしくはネコ)に投与される本明細書に記載の抗KIT抗体又はその医薬組成物の投薬量及び投与頻度は、有効であると同時に、副作用を最小限に抑える。特定の対象に投与されるべき本明細書に記載の抗KIT抗体又はその医薬組成物の正確な投薬量は、治療を必要とする対象に関連する因子を考慮して決定され得る。考慮に入れることができる因子としては、病態の重症度、対象の全般的な健康、対象の年齢及び体重、食事、投与の時間及び頻度、他の治療剤又は薬物との組合せ(複数可)、反応感度、並びに療法に対する忍容性/応答が挙げられる。本明細書に記載の抗KIT抗体又はその医薬組成物の投与の投薬量及び頻度は、抗KIT抗体の十分なレベルを提供するために又は所望の効果を維持するために、経時的に調整することができる。
【0268】
製剤中で利用される正確な用量は、投与経路、及び障害又は疾患の重篤度によっても決まり、医師の判断及び各々の患者の状況によって決定されるべきである。
【0269】
ある態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体について、慢性痒疹を防止、予防、管理、又は治療するために患者に投与される投薬量は、通常、0.1mg/kg~100mg/kg患者体重である。具体的な実施態様において、慢性痒疹を防止、予防、管理、又は治療するために患者に投与される投薬量は、患者の体重の約3mg/kgである。
【0270】
一般に、ヒト抗体は、異種ポリペプチドに対する免疫応答のために、他の種由来の抗体よりも長いヒト体内での半減期を有する。したがって、多くの場合、より少ない投薬量のヒト抗体及びより少ない頻度の投与が可能となる。さらに、本明細書に記載の抗体の投薬量及び投与頻度は、例えば、脂質化などの修飾によって抗体の摂取及び組織浸透を増強することによって低下させることができる。
【0271】
一実施態様において、約0.001mg/kg(mg抗体/kg対象体重)~約500mg/kgの本明細書に記載の抗KIT抗体が、慢性痒疹を防止、予防、管理、又は治療するために投与される。別の実施態様において、約0.3mg/kg(mg抗体/kg対象体重)の本明細書に記載の抗KIT抗体が、慢性痒疹を防止、予防、管理、又は治療するために投与される。別の実施態様において、約1mg/kg(mg抗体/kg対象体重)の本明細書に記載の抗KIT抗体が、慢性痒疹を防止、予防、管理、又は治療するために投与される。別の実施態様において、約3mg/kg(mg抗体/kg対象体重)の本明細書に記載の抗KIT抗体が、慢性痒疹を防止、予防、管理、又は治療するために投与される。別の実施態様において、約9mg/kg(mg抗体/kg対象体重)の本明細書に記載の抗KIT抗体が、慢性痒疹を防止、予防、管理、又は治療するために投与される。
【0272】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体の有効量は、約0.01mg~約1,000mgである。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体の「有効量」又は「治療有効量」は、以下の効果:慢性痒疹、及び/又はそれと関連する1以上の症状の重症度の低下又は改善;慢性痒疹と関連する1以上の症状の持続期間の低下;慢性痒疹の1以上の症状、及び/又はそれと関連する1以上の症状の再発の防止;対象の入院の減少;入院期間の短縮;慢性痒疹、及び/又はそれと関連する1以上の症状の進行の阻害(例えば、部分阻害);慢性痒疹と関連する1以上の症状の発生又は発症の防止;慢性痒疹を有する対象の生物学的検体(例えば、血漿、血清、脳脊髄液、尿、又は任意の他の生体液)中の1以上の炎症性メディエーター(例えば、サイトカイン又はインターロイキン)の濃度の減少;並びに当技術分野で周知の方法、例えば、アンケートによって評価される生活の質の改善のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ又はそれより多くを達成するのに十分である本明細書に記載の抗KIT抗体の量を指す。いくつかの実施態様において、本明細書で使用される「有効量」は、特定の結果(例えば、細胞の1以上のKIT生体活性の阻害、例えば、細胞増殖の阻害)を達成するための本明細書に記載の抗体の量も指す。
【0273】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、必要に応じて、例えば、毎週、隔週(すなわち、2週間毎)、毎月、隔月、3カ月毎などで投与される。
【0274】
いくつかの実施態様において、単回投与の本明細書に記載の抗KIT抗体は、慢性痒疹を妨害し、予防し、管理し、治療し、かつ/又は改善するために、患者に1回以上投与される。
【0275】
特定の実施態様において、抗KIT抗体又はその医薬組成物は、対象に、本明細書に提供される慢性痒疹の治療方法に従って、周期的に投与され、ここで、該抗KIT抗体又は医薬組成物は、一定期間投与され、その後、一定期間休止される(すなわち、該抗KIT抗体又は医薬組成物は、一定期間、投与されない)。
【0276】
本明細書に提供される方法は、任意の好適な経路によって抗KIT抗体を投与することを含む。投与経路の非限定的な例としては、非経口投与、例えば、皮下、筋肉内又は静脈内投与、硬膜外投与、腸内投与、脳内投与、経鼻投与、動脈内投与、心内投与、骨内注入、髄腔内投与、及び腹腔内投与が挙げられる。本明細書に提供される方法は、脳、眼組織又は器官、脊髄、又は耳若しくは耳介組織をターゲッティングする投与の経路を含む。特定の態様において、本明細書に提供される方法は、神経系、例えば、中枢神経系をターゲッティングする投与の経路を含む。
【0277】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される方法は、血液脳関門を横断するのに好適な経路を介して抗KIT抗体を投与することを含む。
【0278】
抗体以外のKIT阻害剤についても、投薬量及び投与に関する上の記載も、治療する医師によって好適とみなされる範囲で適用されることが企図される。
【実施例】
【0279】
(6.実施例)
本明細書の実施例は、例証を目的として提供されており、限定を目的とするものではない。
【0280】
(6.1 実施例1)
抗KIT抗体のFc突然変異H(重鎖)及びL(軽鎖)アミノ酸配列をコードする核酸分子(それぞれ、配列番号23及び配列番号24、下記表6を参照されたい)を発現ベクターに直接クローニングした。配列決定によってコンストラクトを確認し、ベクターをCHO細胞にトランスフェクトした。抗体を発現している細胞株を樹立するための安定なトランスフェクションを実施し、その後、薬物で選択した。最も良好に発現する株を、上清中のバックグラウンドを上回るIgG力価に基づいて選択し、薬物選択の存在下で増殖させ、各段階でOctet(登録商標) QKe systemを用いてIgG発現についてスクリーニングした。
表6:抗KIT抗体の重鎖及び軽鎖配列をコードするDNA配列
【表6】
【0281】
リーダー配列の除去後に得られた抗体を抗体mAb1とした。抗体の重鎖アミノ酸配列及び軽鎖アミノ酸配列(リーダー配列の除去後)は、以下の表7に記載されている。
表7: mAb1の全長重鎖アミノ酸配列及び軽鎖アミノ酸配列
【表7】
【0282】
この抗体の重鎖のFcドメインは、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q、322Q、252Y、254T及び256Eを含む。これら6つの非天然アミノ酸は、上記の配列において太字の下線付きテキストで示されている。
【0283】
野生型(非変異)IgG1 Fcドメイン(「mAbc」)を有する対応する抗体と比較して(培養中のヒト肥満細胞からのベータ-ヘキソサミニダーゼの放出率(%)によって示されるように)FcgRIを発現しているヒト肥満細胞の顕著な脱顆粒を誘導しないmAb1を決定した。培養中のヒト肥満細胞からのベータ-ヘキソサミニダーゼの放出(IFNガンマの存在下で)は、mAbcと比較してmAb1で50%超低下した。さらに、mAb1は、THP-1細胞上で架橋された場合であっても、mAbcと比較して顕著なFc受容体依存性KITアゴニスト活性(KITリン酸化によって決定される)を示さなかった。Fc受容体依存性KITアゴニスト活性(架橋されたFc受容体によるKITリン酸化によって決定される)は、mAbcと比較してmAb1で50%超低下した。
【0284】
(6.2 実施例2)
健常ボランティアに、0.3、1、3、もしくは9mg/kgのmAb1又はプラセボの単回注入を行った。全血漿トリプターゼレベルを、トリプターゼのアルファ型とベータ型の両方を検出するImmunocap(登録商標)アッセイを用いて測定した。治療前の値を100%、アッセイの定量下限(1 ng/mL)を0%として、各コホートについて、トリプターゼ値を正規化した。平均値と平均の標準誤差を用量ごとにプロットした。
【0285】
結果は
図2A~2Eに示され、mAb1が用量依存的に血漿トリプターゼを抑制したこと示している。
【0286】
(6.3 実施例3)
mAb1の単回投与により、アッセイ定量レベル未満(1ng/mL)のトリプターゼ値に、長期にわたる減少をもたらした。検出レベル未満の値を0.5ng/mLとして任意にプロットした。絶対血漿トリプターゼ値を示した。
【0287】
結果は
図3A及び3Bに示され、3mg/kgと9mg/kgの両方のmAb1の単回投与により、持続的なトリプターゼ抑制が提供されたことを示している。
【0288】
(6.4 実施例4)
健常ボランティアに、0.3、1、3、もしくは9mg/kgのmAb1又はプラセボの単回注入を行った。c-KIT/CD117受容体の唯一のリガンドである幹細胞因子(SCF)の血漿レベルを、Meso Scale Diagnostics (MSD))プラットフォームを使用して、研究室で開発したアッセイを用いて測定した。SCF血漿レベルは用量依存的に増加し、これは、KIT受容体へのSCFのアロステリック遮断と一致していた。平均値と平均の標準誤差を用量ごとにプロットした。
【0289】
結果は
図4に示され、mAb1が血漿SCFレベルの用量依存的増加を誘導したことを示している。
【0290】
(6.5 実施例5)
M-07e細胞を血清飢餓にさせ、次いで、i)mAb1、ii)同じ可変領域配列であるが、変異していない(野生型)ヒトIgG1配列(「mAbc」)を有する対応する抗体、iii)アイソタイプ対照抗体又はiv)KITを標的とする小分子キナーゼ阻害剤(イマチニブ)であらかじめ処理し、次いで、幹細胞因子(SCF)で刺激した。リン酸化をウェスタンブロッティングによって評価した。
【0291】
1つの実験からの結果が
図5に示されている。示されているデータは、3回の独立した実験の代表である。IgG=ヒトIgG1アイソタイプ対照抗体; p-KIT=チロシンリン酸化KIT; p-AKT=リン酸化AKT; p-ERK=リン酸化ERK1/2。総合して、これらの結果は、mAb1が、試験した小分子KIT阻害剤よりも野生型KITのSCF誘導性活性化及び下流の細胞内シグナル伝達経路のより強力な阻害剤であったことを示している。
【0292】
(6.6 実施例6)
SCF依存的M-07e細胞増殖に対するmAb1及びイマチニブの効果も特徴付けた。
【0293】
M-07e細胞を血清飢餓にさせ、次いで、i)mAb1、ii)同じ可変領域配列であるが、変異していない(野生型)ヒトIgG1配列(「mAbc」)を有する対応する抗体又はiii)イマチニブであらかじめ処理し、次いで、SCFで刺激した。細胞を37℃で6日間インキュベートした。
【0294】
結果は
図6に示されている。データは、3回の独立した実験の代表であり、技術的に3回の平均と平均の標準偏差として提示されている。
【0295】
mAb1とmAbcの両方は、M-07e細胞増殖の類似の用量依存的阻害を示し、平均IC50値は、それぞれ1.11±0.15nM及び1.12±0.22nM(±SEM;n=5;
図6)であった。比較すると、イマチニブは、効力は弱いがSCF依存的M-07e細胞増殖を阻害し、3回の独立した実験からの平均IC50は228±39nM(±SEM)であった。mAb1のアンタゴニスト活性はmAbcに匹敵し、mAb1のFc領域に導入された突然変異はKITを阻害する能力に影響を与えなかったことが示された。
【0296】
(6.7 実施例7)
組換えヒトFc-ガンマ受容体(FcγR)及びヒト胎児性Fc受容体(FcRn)に対するmAb1の結合親和性を特徴付け、平衡KD値を生成した。
【0297】
組換えヒトFc受容体への結合を、Octet(登録商標) QKe装置を使用して、バイオレイヤー干渉法によって測定した。ヒスチジンタグ付きFc受容体を抗ペンタ-Hisバイオセンサー上で捕捉し、次いで、mAbc又はmAb1の段階希釈液に2~3分間曝露し、続いて5~10分の範囲で解離ステップを行った。装置の解析ソフトウェアを使用して、曲線フィッティングを行った。pH6.0及びpH7.2での会合及び解離ステップで、FcRnへの結合を行った。
【0298】
結果は、
図7及び8A~8Nに示されており、FcγRI(KD=3.39nM)には高い親和性で、FcγRIIIa(KD=127nM)には中間の親和性で、FcγRIIa(KD=391nM)及びFcγRIIIb(KD=816nM)には弱い親和性でmAbcが結合したことを示している。FcγRIIbへの結合は観察されなかった。対照的に、任意の組換えヒトFcγRへのmAb1(濃度=500nM)の結合は検出されなかった。
【0299】
エンドサイトーシス状態をシミュレートするために、ヒト胎児性Fc受容体(FcRn)への結合を、生理的pH7.2及びpH6.0で試験した。pH7.2で、mAbcのFcRnへの結合は観察されなかったが、mAb1は中間親和性(KD=77.1nM)で結合した。pH6.0では、中間親和性(KD=211nM)でmAbcはFcRnに結合した。しかしながら、mAb1は顕著により高い親和性で、pH6.0でFcRnに結合し、非常に遅い解離(KD=0.38nM)を示した。
【0300】
これらのデータは、mAb1中のFc突然変異がFcγR相互作用を無効にする一方で、インビトロでFcRnとの相互作用を増強したことを示している。
【0301】
(6.8 実施例8)
mAb1の抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を、市販のADCCレポーターバイオアッセイキット(Promega Corporation, Madison, WI)を用いて評価した。ADCCレポーターバイオアッセイでは、FcγRIIIa受容体V158 (高親和性)変異体を安定発現する操作されたJurkat細胞、及びエフェクター細胞として、ホタルルシフェラーゼの発現を促進する活性化T細胞の核因子(NFAT)応答エレメントを使用した。標的細胞上の抗原に結合した抗体のFcエフェクター部分に、エフェクター細胞の表面上のFcγRIIIa受容体が結合すると、架橋及びFcγRIIIaシグナル伝達の活性化が生じ、NFATレポーター遺伝子の発現が誘導される。ADCCを誘導するmAb1及びmAbcの能力を評価するために、KIT発現M-07e細胞、トランスフェクトCHO細胞(CHO-WT KIT)、及びヒト小細胞肺癌H526細胞を標的細胞として使用した。さらに、KITを発現しなかった非トランスフェクトCHO細胞を対照の標的細胞として使用した。生じたレポーター遺伝子シグナルの用量依存的増加が観察された場合、ADCCは活性化されたと考えられた。
【0302】
図9に示すように、mAbcは、KIT発現M-07e標的細胞に対するADCC応答を誘発する一方で、mAb1又はアイソタイプ対照は誘発しなかった。CHO-WT KIT及びH526細胞を用いると、同様の結果が観察された。総合して、これらのデータから、mAbcとは異なり、mAb1は、検査したKIT発現標的細胞に対してADCC応答を誘発しなかったことが示される。
【0303】
(6.9 実施例9)
新鮮な全血を、示されるように、溶液中の又はドライコーティングのいずれかでの、40nMのhuIgG1アイソタイプ対照又は0.02、0.2、又は40nMのmAb1のいずれかと一晩インキュベートした。植物性血球凝集素(PHA) (10μg/mL)及びリポ多糖(LPS)(10μg/mL)を陽性対照として使用した。血漿試料を採取し、-80℃で凍結保存した。サイトカインのレベルを、Eve Technologies (Calgary, Alberta, Canada)によって実行されるマルチプレックスレーザービーズ技術を利用することによって決定した。
【0304】
結果は
図10に示されており、個々のドナーのサイトカイン濃度は二重の試料の平均を表している。全てのドナー(n=6)についての平均サイトカイン濃度をプロットし、エラーバーはSEMを表す。結果は、ヒトIgG1アイソタイプ対照と比べて、全体的に非常にわずかな特異的サイトカイン誘導がmAb1で観察されたことを示している。
【0305】
(6.10 実施例10)
ヒト患者は、慢性掻痒症及び多発性掻痒性皮膚病変を呈する。患者は、慢性痒疹を有すると診断される、該患者にmAb1を静脈内投与する。臨床評価による応答について治療の前、治療中、及び治療後にモニタリングする。
【0306】
(6.11 実施例11)
本明細書に記載されるのは、寒冷蕁麻疹、症候性皮膚描記症、又はコリン作動性蕁麻疹を有する患者におけるアドオン療法としてのmAb1の安全性、薬物動態、及び薬力学を評価するために、非盲検第1相単回投与試験のプロトコルである。試験タイプは介入(臨床治験)である。介入モードは、単一グループ割り当てである。
【0307】
この試験は、抗ヒスタミン薬で治療しているにもかかわらず症候性のままである寒冷蕁麻疹、症候性皮膚描記症、又はコリン作動性蕁麻疹を有する患者におけるmAb1の単回投与の安全性、薬物動態、及び薬力学を評価する非盲検第1相試験である。寒冷蕁麻疹の10人の患者、症候性皮膚描記症の10人の患者、及びコリン作動性蕁麻疹の10人の患者が、合計30人の患者用の3つの別々のコホートに登録されると推定される。見込みのある患者を、登録前の2週間、クリニックでの検査と毎日の自宅での日記を用いてスクリーニングする。mAb1の単回投与を1日目に静脈内投与する。治療後、患者を12週間経過観察する。あらゆる性別の18歳~75歳の成人患者がこの試験に適格である。健常ボランティアは受け入れられない。
【0308】
主要評価項目:
【0309】
1. 有害事象の発生及び重症度によって評価される安全性(時間枠:1日目~12週目)。有害事象によって決定されるmAb1の単回投与の安全性。
【0310】
副次評価項目:
【0311】
1. 寒冷蕁麻疹患者について、臨床温度閾値(CTT)の変化(時間枠:1日目~85日目)。TempTest(登録商標)を用いる誘発試験によって決定される、経時的な臨床温度閾値のベースラインからの変化。
【0312】
2. 症候性皮膚描記症患者について、誘発閾値の変化(時間枠:1日目~85日目)。FricTest(登録商標)を用いる誘発試験によって決定される、経時的な誘発閾値のベースラインからの変化。
【0313】
3. コリン作動性蕁麻疹患者について、蕁麻疹活動性スコア誘発(UASprovo)のベースラインの変化(時間枠:1日目~85日目)。UASprovoによって測定されるベースラインからの変化及び応答者の割合。
【0314】
4. 蕁麻疹コントロールテスト(UCT)のベースラインからの変化(時間枠:1日目~85日目)。UCT及び修正されたUCTについてのベースラインからの変化及び応答者の割合。
【0315】
5. 血液バイオマーカー(時間枠:1日目~85日目)。治療前及び治療後に血液試料を採取し、幹細胞因子の変化について分析する。
【0316】
6. 血液バイオマーカー(時間枠:1日目~85日目)。治療前及び治療後に血液試料を採取し、トリプターゼの変化について分析する。
【0317】
7. 薬物動態評価(時間枠:1日目~85日目)。mAb1濃度を測定する。
【0318】
8. 免疫原性評価(時間枠:1日目~85日目)。患者を、抗薬物抗体の発生についてモニタリングする。
【0319】
主要な包含基準:
【0320】
1. 抗ヒスタミン薬には応答しない寒冷蕁麻疹、症候性皮膚描記症、又はコリン作動性蕁麻疹の診断。診断期間3カ月以上;抗ヒスタミン薬を併用しているにもかかわらず、蕁麻疹(膨疹)と掻痒/灼熱感/痛覚的な感覚の両方の症状。クリニックにおけるスクリーニング中、寒冷蕁麻疹については、患者は寒冷刺激試験が陽性である必要があり、症候性皮膚描記症については、患者はFricTest(登録商標)が陽性である必要があり、コリン作動性蕁麻疹については、患者はパルス制御エルゴメトリー(PCE)誘発試験が陽性である必要がある。対象は安定した用量の抗ヒスタミン薬を服用している。
【0321】
2. 寒冷蕁麻疹、症候性皮膚描記症、又はコリン作動性蕁麻疹の診断以外に、医学的評価に基づいて試験者によって決定される、さらなるリスク因子を引き起こすか又は試験手順を妨げる可能性のある他の重大な病状がないこと。
【0322】
3. スクリーニングの訪問時から試験の治療を受けた後少なくとも150日間、女性患者も男性患者も効果の高い避妊法を使用する必要がある。
【0323】
4. 毎日の服薬日記とアンケートの完了を含む全ての試験要件及び手順を厳守する意欲と能力があること。
【0324】
主要な除外基準:
【0325】
1. 慢性蕁麻疹以外の蕁麻疹又は血管浮腫の明確に定義された診断。
【0326】
2. 過去3カ月以内に生物学的療法(例えば、オマリズマブ、デュピルマブ、リゲリズマブ)を受けている。
【0327】
3. 4週間以内又は5半減期以内の免疫抑制剤(例えば、全身性コルチコステロイド、シクロスポリン、メトトレキサート、ダプソン、シクロホスファミド、タクロリムス及びミコフェノール酸モフェチル、ヒドロキシクロロキンなど)での治療。
【0328】
4. 活動性COVID-19感染。
【0329】
5.HIV、B型肝炎又はC型肝炎感染。
【0330】
試験の適格性を確認するために、治療医師が候補者と検討する追加の基準がある。
【0331】
(6.12 実施例12)
(6.12.1 試験の背景と要約)
慢性誘発性蕁麻疹(CIndU)は、寒冷蕁麻疹(ColdU)の寒さ又は症候性皮膚描記症(SD)の皮膚の引っ掻きなどのトリガーに応答して、肥満細胞(MC)に促進される膨疹を特徴とする。これらの疾患は、重篤で衰弱する場合が多く、患者の生活に著しく影響を与える可能性がある。MCは、生存、増殖、及び分化のための幹細胞因子によるそれらのKIT受容体の活性化を必要とする。MC負荷は、MCが特異的に分泌するプロテアーゼである循環トリプターゼと相関する。mAb1は、幹細胞因子(SCF)依存的KIT活性化を選択的に阻害するように操作されたモノクローナル抗KIT抗体である(
図11を参照されたい)。mAb1は、循環トリプターゼの大幅な用量関連減少を示し、健常ボランティアで全体的に忍容性が良好であった。この試験では、CIndU患者がmAb1での治療の恩恵を受けた。この試験に登録された1人のSD患者は、結節性痒疹の診断も受けており、mAb1による治療後に改善した。
【0332】
(6.12.2 試験の設計及び方法)
この継続中の非盲検第1b相試験において、抗ヒスタミン薬治療に不応性のColdU患者及びSD患者は、12週間の経過観察と共に、3mg/kgのmAb1の単回IV注入(H1-抗ヒスタミン薬へのアドオン治療として)を受けた。患者のColdU及びSD症状は、誘発試験により誘発され、実際の生活で引き起こされる状況に似ていた。主要目的は、mAb1の安全性/忍容性(有害事象及び臨床検査)を評価することであった。副次目的及び探索的目的には、ベースライン誘発閾値からの変化、トリプターゼ及び幹細胞因子のレベル測定、臨床活性結果(蕁麻疹の症状、疾患コントロール、臨床応答への影響)、生活の質の評価及び皮膚生検による組織肥満細胞の測定を含む薬物動態学的評価と薬力学的評価が含まれる。副次目的には、臨床活性及び血清トリプターゼに対するmAb1の影響の評価が含まれる。活動評価項目には、誘発試験(TempTest(登録商標)/ColdU; FricTest(登録商標)/SD)、疾患の重症度の医師の全体評価(Phys-GA)及び患者の全体評価(Pat-GA)が含まれる。誘発試験、バイオマーカー及び血液学についての平均±標準誤差(SE)が、それぞれ
図12C~12D、
図14A~14C、
図15A~15D及び
図16A~16Dに示されている。非病変皮膚生検を使用して評価する皮膚MC数を、トリプターゼ染色によって数えた。
【0333】
この試験に登録された1人のSD患者は、結節性痒疹の診断も受けていた。
【0334】
この試験を、コリン作動性蕁麻疹を有する患者のコホートを追加するために修正した。
【0335】
この試験を、基本的に実施例11で説明される臨床治験プロトコルに従って行った。
【0336】
(6.12.3 試験状況)
20人の患者に、3mg/kgで試験薬(すなわち、mAb1)を一回静脈内注入し、安全性分析に含めた。11人はColdUを有し、9人の患者がSDを有していた。9人中1人のSD患者が結節性痒疹も有していた。患者は、誘発閾値試験によって評価されるように、ColdUの疾患活動性が高かった。ColdU患者では、ベースラインの臨界温度閾値は18.9℃/66゜F(範囲:5~27℃/41~80.6゜F)であった。SD患者では、ベースラインのFricTest(登録商標)閾値は、4ピンの3.8(範囲:3~4)であった。
【0337】
SDと結節性痒疹の両方を有する患者を含む19人の患者に全量投与し、活動分析に含めた。SDと結節性痒疹の両方を有する患者を含む19人中14人の患者が12週間の観察期間を完了し;5人は継続中であった。
【0338】
(6.12.4 人口動態とベースラインの疾患の特徴)
20人の患者の特徴については以下の表8を参照されたい。全ての患者は、事前に抗ヒスタミン薬治療を受けていた。
【0339】
表8:人口動態及びベースラインの疾患の特徴
【表8】
【0340】
(6.12.5 試験結果)
図12A~12Dに示されるように、mAb1の単回投与(3mg/kg)は、抗ヒスタミン薬に不応性であるColdU患者において迅速で、顕著で、かつ持続的な応答をもたらした。完全奏功(CR)は、95%(18/19)患者(ColdUで100% (10/10)(
図12A)及びSDで89% (8/9)(
図12B)患者)で達成された。完全奏功は、Xolair(登録商標)不応性であった2人を含めて、以前にXolair(登録商標)(オマリズマブ)経験者であった全3人の患者(1人のColdU患者及び2人のSD患者)で観察された。投与後の応答の迅速な開始及び持続的な耐久性が観察された。ColdU及びSDを有するほとんどの患者は、それぞれ1週及び4週までに完全奏功を経験した。CRは、12週間の経過期間を完了したColdU患者で期間中央値77日及びSD患者で期間中央値57日にわたって持続した(すなわち、8人のColdU及び6人のSD患者)(
図12C及び12D)。19人中1人の患者(SD患者)が、部分奏功(PR)を経験した。CR=4℃以下での誘発試験が陰性(ColdU用)又は0ピン(SD用)。PR=4℃の改善(ColdU用)又は2ピン以上(SD用)。
【0341】
Phys-GA及びPat-GAによって評価される改善された疾患活動性は、誘発試験によって測定される完全奏功と一致した(ColdU及びSD患者についてそれぞれ
図13A及び13B)。
【0342】
図14A及び14Bに示されるように、3mg/kgのmAb1の単回投与は、皮膚MCの迅速で、顕著で、かつ持続的な枯渇(87%枯渇、
図14Aを参照されたい)、及び生検で測定される血清トリプターゼの抑制(
図14B)をもたらした。MC及びトリプターゼ動態は、経時的に同様の傾向を示した(
図14C)。さらに、皮膚MC数は血清トリプターゼレベルと正の相関があった(
図14D)。
【0343】
皮膚MC及び血清トリプターゼ枯渇の動態は、ColdUの臨床活性を反映した。特に、皮膚MC及び血清トリプターゼ枯渇の動態は、誘発閾値の減少を反映した(
図15A~15D)。データから、血清トリプターゼレベルが、ColdU患者、及び潜在的に、肥満細胞による関与が伴う他の疾患におけるMC負荷及び臨床活性を評価するためのロバストな薬物動態バイオマーカーであることが確認された。
【0344】
SDと結節性痒疹の両方を有していた患者は、mAb1の単回投与後に、SDの完全奏功と結節性痒疹の顕著な改善の両方を経験した。
【0345】
さらに、mAb1は、良好な安全性及び耐容性を示した。mAb1は、一般に、治療した患者において忍容性が良好であった。最も一般的な有害事象は、毛髪色変化(14/20(70%))、注入反応(9/20(45%))、及び味覚障害(8/20(40%))であった。毛髪色変化(一般に、毛髪の小領域が明るくなる)及び味覚障害(一般に、塩味を感じる能力の部分的変化)は、他の細胞型におけるKITシグナル伝達の阻害と一致しており、完全に可逆的であることが期待された。ほとんどの有害事象は軽度であった。毛髪色変化は、より長い観察期間中に改善された。一般に蕁麻疹及び掻痒として現れる注入反応は、自然に治まった。失神歴のある患者に短時間の意識喪失を伴う重篤な注入反応が1回生じたが、血清トリプターゼのモニタリングにより測定されるMC活性化が原因ではなかった。患者はすぐに回復した。味覚障害は、選択的かつ一過性であった。血液学パラメータは、一般に正常範囲内にとどまった(
図16A~16Dを参照されたい)。ヘモグロビン及び白血球(WBC)パラメータの軽度で、一過性で、かつ無症候性の減少が認められた(
図16A~16Dを参照されたい)。しかし、血液パラメータの臨床的に顕著な低下の証拠はなかった。これは、KIT阻害剤の重要な知見であった。
【0346】
総合して、データから、mAb1が、良好な安全性プロファイルを備えた前例のないMC枯渇を示し、迅速で、持続的で、かつ有意義な軽減のためのColdU療法として大きな可能性をもたらし、肥満細胞が関与する他の疾患に影響を与える可能性を示し、多くの疾患にわたってMCが関与するかを評価するための機会を開いたことが示される。
【0347】
本発明は、本明細書に記載の具体的な実施態様によって範囲を限定されるものではない。実際に、上記のものに加えて、前述の説明及び添付の図面から本発明の様々な変更が当業者には明らかになるであろう。そのような変更は、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。
【0348】
本明細書に引用される全ての参考文献は、あたかも各々の個々の刊行物又は特許又は特許出願が、あらゆる目的のために引用により完全に本明細書中に組み込まれることが具体的かつ個別的に示されるのと同じ程度まで、引用により完全に及びあらゆる目的のために本明細書中に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】