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特表2024-504378トリアジン化合物ならびにこれを作製する方法および使用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】トリアジン化合物ならびにこれを作製する方法および使用する方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/14 20060101AFI20240124BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 31/55 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20240124BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20240124BHJP
   C07D 403/04 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 31/551 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20240124BHJP
   C07D 401/04 20060101ALI20240124BHJP
   C07D 407/14 20060101ALI20240124BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20240124BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20240124BHJP
   C07D 491/107 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
C07D403/14 CSP
A61P43/00
A61K31/55
A61K31/53
C07D401/14
C07D403/04
A61K31/496
A61K31/551
A61K31/5377
C07D401/04
C07D407/14
C07D413/14
C07D409/14
C07D491/107
A61K31/4985
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544345
(86)(22)【出願日】2022-01-24
(85)【翻訳文提出日】2023-08-31
(86)【国際出願番号】 US2022070321
(87)【国際公開番号】W WO2022159981
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】63/141,316
(32)【優先日】2021-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】523276418
【氏名又は名称】アトス セラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イリオポウロス,ディミトリオス
(72)【発明者】
【氏名】ホー,デイヴィッド ジー.
(72)【発明者】
【氏名】カラギアニディス,ヨルダニス
(72)【発明者】
【氏名】グエン,ピティ
(72)【発明者】
【氏名】ハルキア,ディミトラ
【テーマコード(参考)】
4C050
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA04
4C050BB05
4C050CC15
4C050EE02
4C050FF01
4C050GG01
4C050HH04
4C063AA01
4C063AA03
4C063AA05
4C063BB01
4C063BB02
4C063BB09
4C063CC43
4C063CC52
4C063CC76
4C063CC78
4C063CC92
4C063DD02
4C063DD03
4C063DD06
4C063DD10
4C063DD12
4C063DD19
4C063DD22
4C063DD43
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC64
4C086BC73
4C086CB22
4C086GA04
4C086GA07
4C086GA09
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZC41
(57)【要約】
本明細書では、トリアジン化合物(例えば、トリアジンおよびピラゾールトリアジン)、ならびに本明細書で開示されているトリアジン化合物を用いて疾患および/または状態(例えば、炎症)を処置する方法が開示される。いくつかの実施形態では、開示されているトリアジン化合物は、十文字ドメイン含有タンパク質D3(JMJD3)の阻害および/またはJMJD3関連病状の処置のために使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)によって表される構造を有している化合物、または薬学的に許容されるその塩
【化1】
[式中、
Lは、-C(R-、-N-、-NR-、-N(R、必要に応じて置換されているアミン(アルキル)、-O-、- -C(=O)-、-OC(=O)-、-C(=O)O-、必要に応じて置換されているヘテロシクリル、および単結合からなる群から選択され、
は、必要に応じて置換されているC~CアルキレンおよびC~Cアルキルからなる群から選択されるか、またはAは存在せず、
は、-C(=O)-もしくは-N(CH)-からなる群から選択されるか、またはAは存在せず、
は、ヒドロキシル、アミノ、必要に応じて置換されているC1~12アルキル、必要に応じて置換されているC~C12アルコキシ、必要に応じて置換されているC~C12アルカミノ、必要に応じて置換されているカルバミド、C-アミド、必要に応じて置換されているC6~10アリール、必要に応じて置換されている5~12員のヘテロアリール、必要に応じて置換されているC3~10カルボシクリル、および3~12員のヘテロシクリルからなる群から選択されるか、またはAは存在せず、
は、必要に応じて置換されているC6~10アリール、必要に応じて置換されている5~12員のヘテロアリール、および必要に応じて置換されている3~12員のヘテロシクリルからなる群から選択され、
は、C1~3アルキレン、C~Cアルカミノ、-O-、および単結合からなる群から選択されるか、またはAは存在せず、
は、必要に応じて置換されているC1~12アルキル、必要に応じて置換されているC~C12アルコキシ、必要に応じて置換されているC~C12アルカミノ、必要に応じて置換されているC6~10アリール、必要に応じて置換されている5~12員のヘテロアリール、必要に応じて置換されているC3~10カルボシクリル、および必要に応じて置換されている3~12員のヘテロシクリルからなる群から選択され、
は、存在する場合には、各場合、独立に、-H、ハロゲン、ヒドロキシ、C1~6アルキル、C~Cアルコキシ、C1~6ハロアルキル、およびC6~10アリールからなる群から選択され、または2つのR基が存在する場合には、R基は、一緒になって、必要に応じて置換されている3~12員の複素環または必要に応じて置換されているC3~10カルボシクリルを形成する]。
【請求項2】
Lが、-N(Rであり、R基が、一緒になって、3~12員のヘテロシクリル基を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Lが、1個または2個のヘテロ原子を含んでいる6員のヘテロシクリル基である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Lのヘテロ原子が、Nである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
およびAが、存在しない、請求項2から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
が、3~12員のヘテロシクリル基であり、Aの環およびLの環が、スピロ環系をもたらす、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
L、A、A、およびAが、一緒になって、
【化2】
からなる群から選択される構造をもたらす、請求項2から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Lが、-NH-である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
が、C~Cアルキレンである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
が、C~Cアルキレンである、請求項1、8、または9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
が、-C(=O)-であるか、または存在しない、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
が、アミノ、ヒドロキシル、C1~3アルキル、メチルもしくはエチルで必要に応じて置換されているカルバミド、3~6員のヘテロシクリル、3~6員のヘテロアリール、またはC~Cアルコキシである、請求項10または11に記載の化合物。
【請求項13】
L、A、A、およびAが、一緒になって、
【化3】
からなる群から選択される構造をもたらす、請求項8から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
が存在しない、請求項8に記載の化合物。
【請求項15】
が存在しない、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
が、ヒドロキシルもしくはハロゲンで必要に応じて置換されているC1~4アルキル、必要に応じて置換されているC3~6カルボシクリル、3~6員のヘテロシクリル、ハロゲンで必要に応じて置換されている3~6員のアリール、または必要に応じて置換されている3~6員のヘテロアリールである、請求項14または15に記載の化合物。
【請求項17】
L、A、A、およびAが、一緒になって、
【化4】
からなる群から選択される構造をもたらす、請求項14から16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
が、必要に応じて置換されている5~6員のヘテロアリールまたは必要に応じて置換されている5~6員のヘテロシクリルからなる群から選択される、請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
が、
【化5】
からなる群から選択される構造である、請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
が、-O-であるか、または存在しない、請求項1から19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
が、C1~5アルキル、-Fで必要に応じて置換されているフェニル、C~Cアルカミノ、必要に応じて置換されている5~12員のヘテロアリール、必要に応じて置換されているC3~10カルボシクリル、および必要に応じて置換されている3~12員のヘテロシクリルからなる群から選択される、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
およびAが、一緒になって、
【化6】
からなる群から選択される構造をもたらす、請求項20または21に記載の化合物。
【請求項23】
が、C1~3アルキレンまたはC~Cアルカミノである、請求項1から22のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
が、-Fで必要に応じて置換されているフェニルおよび必要に応じて置換されているC3~7カルボシクリルからなる群から選択される、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
およびAが、一緒になって、
【化7】
からなる群から選択される構造をもたらす、請求項23または24に記載の化合物。
【請求項26】
基が、1つまたは複数の必要に応じた置換基で置換されている場合、1つまたは複数の必要に応じた置換基が、独立に、アシル、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C-アミド、アリール、エステル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびヒドロキシからなる群から選択される、請求項1から25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
基が、1つまたは複数の必要に応じた置換基で置換されている場合、1つまたは複数の必要に応じた置換基が、独立に、C1~6アルキル、C1~6シクロアルキル、C6~10アリール、ハロゲン、およびヒドロキシからなる群から選択される、請求項1から26のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項28】
、A、A、A、Aのいずれか1つが、1つまたは複数の必要に応じた置換基で置換されている場合、1つまたは複数の必要に応じた置換基のそれぞれが、独立に、-OH、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、またはハロゲンからなる群から選択される、請求項1から27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項29】
式(I)の化合物が、式(Ia)の構造
【化8】
によってさらに表され、nが、1、2、または3に等しい整数である、請求項1に記載の化合物。
【請求項30】
式(Ia)の構造が、化合物2 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、26、36、91、および96からなる群から選択される構造によって表される、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
式(I)の化合物が、式(Ib)の構造
【化9】
によってさらに表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項32】
化合物1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、31、32、33、34、35、および36からなる群から選択される構造によってさらに表される、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
式(I)の化合物が、式(Ic)の構造
【化10】
[式中、
を含んでいる環は、5員または6員のヘテロアリールである]
によってさらに表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項34】
化合物19、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、49、50、51、52、53、54、89、95、97、および98からなる群から選択される構造によってさらに表される、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
式(I)の化合物が、式(Id)の構造
【化11】
[式中、
Xは、-CH-、-NH-、および-O-からなる群から選択され、
mは、1、2、3、または4に等しい整数であり、
oは、1、2、3、または4に等しい整数である]
によってさらに表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項36】
化合物55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、92、93、94、99、100、101、および102からなる群から選択される構造によってさらに表される、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
式(I)の化合物が、式(Ie)の構造
【化12】
によってさらに表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項38】
化合物103、104、および105からなる群から選択される構造によってさらに表される、請求項37に記載の化合物。
【請求項39】
が、CH-、CF-、CH(CH-、(CHCH-、(CHCHCH-、CH(CH-、CH(HO)CH-、HOCH-、CHCHOCH-、NHC(=O)CH-、CHO-、CHCHO-、NH-、NHC(=O)NH-、およびCHCHNHC(=O)NH-からなる群から選択される、請求項1から38のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項40】
が、
【化13】
からなる群から選択される、請求項1から38のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項41】
が、ピラゾールおよびピリジンからなる群から選択される、請求項1から40のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項42】
が、
【化14】
からなる群から選択される、請求項1から41のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項43】
式(I)の化合物が、
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
からなる群から選択される化合物によってさらに表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項44】
JMJD3媒介状態を処置する方法であって、処置を必要とする対象に、請求項1から43のいずれかに記載の化合物を、投与するステップを含む方法。
【請求項45】
請求項1から44のいずれかに記載の化合物を製造する方法であって、
塩基の存在下で、H-LAを使用してシアヌル酸クロリドからハロゲン基を置き換えるステップ
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年1月25日出願の米国仮特許出願第63/141,316号の優先権の利益を主張するものである。前述の出願の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本願と共に出願された出願データシートにおいて外国または国内の優先権主張が特定されている、ありとあらゆる出願が、37CFR1.57の下で参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書では、官能化されたトリアジン化合物(例えば、ピラゾールトリアジン)を含むトリアジン化合物(例えば、トリアジン)、これを含む医薬組成物、これを使用する方法、および開示されているトリアジン化合物を作製する方法が開示される。
【背景技術】
【0003】
十文字タンパク質は、新規な構造モチーフであるJmjCドメインによって特徴付けられるタンパク質の群の基本メンバーである。これは、広範な群のデメチラーゼ酵素であり、これらの酵素は、JmjCドメイン内の配列類似性および全長タンパク質における他のドメインの存在に従って、いくつかのファミリーに分けて定義することができる。このファミリーのいくつかのメンバーのJmjCドメインは、リシン脱メチル化活性を有していることが示されており、この活性は、鉄(Fe(II))および補助因子としてのa-ケトグルタル酸に依存する。JmjCドメイン含有ヒストンデメチラーゼ(JHDM)は、モノメチルおよびジメチルリシン修飾だけしか除去することができないLSD1とは異なり、3つのすべてのヒストンリシン-メチル化状態を除去することができる。十文字ドメイン含有タンパク質D3(JMJD3)は、このJmjCヒストンデメチラーゼのファミリーのメンバーである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書で開示されているいくつかの実施形態は、JMJD3を含む十文字タンパク質の阻害剤としての、トリアジン化合物およびそれらの使用に関する。一部の実施形態は、このような化合物を製造する方法に関する。一部の実施形態は、病状(例えば、炎症性疾患、自己免疫疾患、およびがん)を処置するための治療法としての、これらの化合物の使用方法に関する。いくつかの実施形態では、トリアジン化合物は、ヘテロアリール基に結合している置換されたトリアジンを含んでいる。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ピラゾール(例えば、ピラゾリル)である。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、ピリジニルである。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のトリアジン化合物を使用して、対象におけるJMJD3の活性を阻害することによって、病状を処置することができる。
【0005】
いくつかの実施形態は、トリアジン化合物、薬学的に許容されるその塩、鏡像異性体、製造方法、および/または病状の処置におけるその使用方法を含む。いくつかの実施形態では、トリアジン化合物(またはトリアジン化合物を含んでいる医薬組成物)は、式(I)の構造(または本明細書で開示されている任意の他の構造)、薬学的に許容されるその塩、および/または鏡像異性体を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの実施形態は、式(I)の化合物の製造方法および/または病状の処置における式(I)の化合物の使用方法に関する。いくつかの実施形態では、式(I)の1つまたは複数の化合物(または本明細書で開示されている任意の他の構造)を使用して、対象におけるJMJD3の活性を阻害することによって、病状を処置することができる。いくつかの実施形態では、病状は、炎症と関連している。いくつかの実施形態では、病状は、自己免疫性障害と関連している。
【0006】
いくつかの実施形態は、式(I)によって表される構造
【0007】
【化1】
を有している化合物、または薬学的に許容されるその塩に関する
[式中、Lは、-C(R-、-N-、-NR-、-N(R、必要に応じて置換されているアミン(アルキル)、-O-、- -C(=O)-、-OC(=O)-、-C(=O)O-、および必要に応じて置換されているヘテロシクリルからなる群から選択されるか、またはLは存在せず、Aは、必要に応じて置換されているC~CアルキレンおよびC~Cアルキルからなる群から選択されるか、またはAは存在せず、Aは、-C(=O)-および-N(CH)-からなる群から選択されるか、またはAは存在せず、Aは、-H、ヒドロキシル、アミノ、必要に応じて置換されているC1~12アルキル、必要に応じて置換されているC~C12アルコキシ、必要に応じて置換されているC~C12アルカミノ(alkamino)、必要に応じて置換されているカルバミド、C-アミド、必要に応じて置換されているC6~10アリール、必要に応じて置換されている5~12員のヘテロアリール、必要に応じて置換されているC3~10カルボシクリル、および3~12員のヘテロシクリルからなる群から選択されるか、またはAは存在せず、Aは、必要に応じて置換されているC6~10アリール、必要に応じて置換されている5~12員のヘテロアリール、および必要に応じて置換されている3~12員のヘテロシクリルからなる群から選択され、Aは、C1~3アルキレン、C~Cアルカミノ、および-O-からなる群から選択されるか、またはAは存在せず、Aは、-H、必要に応じて置換されているC1~12アルキル、必要に応じて置換されているC~C12アルコキシ、必要に応じて置換されているC~C12アルカミノ、必要に応じて置換されているC6~10アリール、必要に応じて置換されている5~12員のヘテロアリール、必要に応じて置換されているC3~10カルボシクリル、および必要に応じて置換されている3~12員のヘテロシクリルからなる群から選択され、Rは、存在する場合には、各場合、独立に、-H、ハロゲン、ヒドロキシ、C1~6アルキル、C~Cアルコキシ、C1~6ハロアルキル、およびC6~10アリールからなる群から選択され、または2つのR基が存在する場合には、R基は、一緒になって、必要に応じて置換されている3~12員の複素環または必要に応じて置換されているC3~10カルボシクリルを形成する]。
【0008】
いくつかの実施形態では、Lは、-N(Rであり、R基は、一緒になって、3~12員のヘテロシクリル基を形成する。いくつかの実施形態では、Lは、1個または2個のヘテロ原子を含んでいる6員のヘテロシクリル基である。いくつかの実施形態では、Lのヘテロ原子は、Nである。いくつかの実施形態では、AおよびAは、存在しない。いくつかの実施形態では、Aは、3~12員のヘテロシクリル基である。いくつかの実施形態では、Aの環およびLの環は、スピロ環系をもたらす。いくつかの実施形態では、L、A、A、およびAは、一緒になって、
【0009】
【化2】
からなる群から選択される構造をもたらす。
【0010】
いくつかの実施形態では、Lは、-NH-である。いくつかの実施形態では、Aは、C~Cアルキレンである。いくつかの実施形態では、Aは、C~Cアルキレンである。いくつかの実施形態では、Aは、-C(=O)-であるか、または存在しない。いくつかの実施形態では、Aは、アミノ、ヒドロキシル、C1~3アルキル、メチルもしくはエチルで必要に応じて置換されているカルバミド、3~6員のヘテロシクリル、3~6員のヘテロアリール、またはC~Cアルコキシである。いくつかの実施形態では、L、A、A、およびAは、一緒になって、
【0011】
【化3】
からなる群から選択される構造をもたらす。前述の構造のいずれか1つは、1つまたは複数の-H原子をL、A、A、およびA構造内に存在している任意の炭素または窒素原子で置き換えることによって、必要に応じてさらに置換され得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、Aは、存在しない。いくつかの実施形態では、Aは、存在しない。いくつかの実施形態では、Aは、ヒドロキシルもしくはハロゲンで必要に応じて置換されているC1~4アルキル、必要に応じて置換されているC3~6カルボシクリル、3~6員のヘテロシクリル、ハロゲンで必要に応じて置換されている3~6員のアリール、または必要に応じて置換されている3~6員のヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、L、A、A、およびAは、一緒になって、
【0013】
【化4】
からなる群から選択される構造をもたらす。前述の構造のいずれか1つは、1つまたは複数の-H原子をL、A、A、およびA構造内に存在している任意の炭素または窒素原子で置き換えることによって、必要に応じてさらに置換され得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、Aは、必要に応じて置換されている5~6員のヘテロアリールまたは必要に応じて置換されている5~6員のヘテロシクリルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Aは、
【0015】
【化5】
からなる群から選択される構造である。前述の構造のいずれか1つは、1つまたは複数の-H原子をA構造内に存在している任意の炭素または窒素原子で置き換えることによって、必要に応じてさらに置換され得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、Aは、-O-であるか、または存在しない。いくつかの実施形態では、Aは、C1~5アルキル、-Fで必要に応じて置換されているフェニル、C~Cアルカミノ、必要に応じて置換されている5~12員のヘテロアリール、必要に応じて置換されているC3~10カルボシクリル、および必要に応じて置換されている3~12員のヘテロシクリルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、AおよびAは、一緒になって、
【0017】
【化6】
からなる群から選択される構造をもたらす。前述の構造のいずれか1つは、1つまたは複数の-H原子をAおよびA構造内に存在している任意の炭素または窒素原子で置き換えることによって、必要に応じてさらに置換され得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、Aは、C1~3アルキレンまたはC~Cアルカミノである。いくつかの実施形態では、Aは、-Fで必要に応じて置換されているフェニルおよび必要に応じて置換されているC3~7カルボシクリルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、AおよびAは、一緒になって、
【0019】
【化7】
からなる群から選択される構造をもたらす。前述の構造のいずれか1つは、1つまたは複数の-H原子をAおよびA構造内に存在している任意の炭素または窒素原子で置き換えることによって、必要に応じてさらに置換され得る。
【0020】
一部の実施形態は、式(I)によって表される構造
【0021】
【化8】
を有している、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩に関する。いくつかの実施形態では、Lは、-C(R-、-N-、-NR-、-N(R、必要に応じて置換されているアミン(アルキル)、-O-、-C(=O)-、-OC(=O)-、-C(=O)O-、および単結合からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Aは、必要に応じて置換されているC~CアルキレンおよびC~Cアルキルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Aは、存在しない。いくつかの実施形態では、Aは、-C(=O)-または-N(CH)-からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Aは、存在しない。いくつかの実施形態では、Aは、ヒドロキシル、アミノ、必要に応じて置換されているC1~12アルキル、必要に応じて置換されているC~C12アルコキシ、必要に応じて置換されているC~C12アルカミノ、必要に応じて置換されているカルバミド、C-アミド、必要に応じて置換されているC6~10アリール、5~12員のヘテロアリール、C3~10カルボシクリル、および3~12員のヘテロシクリルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Aは、存在しない。いくつかの実施形態では、Aは、C6~10アリール、5~12員のヘテロアリール、および3~12員のヘテロシクリルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Aは、C1~3アルキレン、C~Cアルカミノ、-O-、および単結合からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Aは、必要に応じて置換されているC1~12アルキル、C~C12アルコキシ、必要に応じて置換されているC~C12アルカミノ、必要に応じて置換されているC6~10アリール、5~12員のヘテロアリール、および必要に応じて置換されている3~12員のヘテロシクリルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Rは、存在する場合には、各場合、独立に、-H、ハロゲン、ヒドロキシ、C1~6アルキル、C~Cアルコキシ、C1~6ハロアルキル、およびC6~10アリールからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、2つのR基が存在する場合、R基は、一緒になって、3~12員の複素環またはC3~10カルボシクリルを形成する。
【0022】
いくつかの実施形態では、A、A、A、A、Aのいずれか1つが、1つまたは複数の必要に応じた置換基で置換されている場合、1つまたは複数の必要に応じた置換基のそれぞれは、独立に、-OH、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、またはハロゲンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、A基が、1つまたは複数の必要に応じた置換基で置換されている場合、1つまたは複数の必要に応じた置換基は、独立に、アシル、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C-アミド、アリール、エステル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびヒドロキシからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、A基が、1つまたは複数の必要に応じた置換基で置換されている場合、1つまたは複数の必要に応じた置換基は、独立に、C1~6アルキル、C1~6シクロアルキル、C6~10アリール、ハロゲン、およびヒドロキシからなる群から選択される。
【0023】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ia)の構造
【0024】
【化9】
によってさらに表され、nは、1、2、または3に等しい整数である。
【0025】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ib)の構造
【0026】
【化10】
によってさらに表される。いくつかの実施形態では、異なる式における類似の変数(式(I)および式(Ia)についてはA、式(I)および式(Ib)についてはA等)の定義は、変数が生じる任意の式について、その類似の変数を定義するために使用され得る。したがって、式(I)についての変数のいずれの定義も、式(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、および(Ie)の任意の1つまたは複数についての、その同じ変数を使用して定義され得る(または逆もまた同様である)。
【0027】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、以下のうちの1つ
【0028】
【化11】
【化12】
によってさらに表される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ic)の構造
【0029】
【化13】
によってさらに表される。いくつかの実施形態では、Aを含んでいる環は、5員または6員のヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、以下のうちの1つ
【0030】
【化14】
【化15】
によってさらに表される。
【0031】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Id)の構造
【0032】
【化16】
によってさらに表される。いくつかの実施形態では、Xは、-CH-、-NH-、および-O-からなる群から選択され、mは、1、2、3、または4に等しい整数であり、oは、1、2、3、または4に等しい整数である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、
【0033】
【化17】
によって表される。
【0034】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ie)の構造
【0035】
【化18】
によってさらに表される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、
【0036】
【化19】
によって表される。
【0037】
いくつかの実施形態では、Aは、CH-、CF-、CH(CH-、(CHCH-、(CHCHCH-、CH(CH-、CH(HO)CH-、HOCH-、CHCHOCH-、NHC(=O)CH-、CHO-、CHCHO-、NH-、NHC(=O)NH-、およびCHCHNHC(=O)NH-からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Aは、
【0038】
【化20】
からなる群から選択される。
【0039】
いくつかの実施形態では、Aは、ピラゾールおよびピリジンからなる群から選択される。
【0040】
いくつかの実施形態では、Aは、
【0041】
【化21】
からなる群から選択される。
【0042】
いくつかの実施形態は、JMJD3を含む十文字タンパク質の活性を阻害する方法に関する。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されているトリアジン化合物は、TNF-アルファ(TNFA)、インターロイキン6(IL6)、インターロイキン1ベータ(IL1B)、インターロイキン8(IL8)、インターロイキン5(IL5)およびインターロイキン13(IL13)の1つまたは複数を抑制する(それらの抑制のために使用される)。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されているトリアジン化合物は、潰瘍性大腸炎、クローン病、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、アトピー性皮膚炎、乾癬、1型糖尿病、移植片対宿主病(GVHD)、自己免疫性脳炎、ベーチェット病、シェーグレン症候群、喘息、肺アレルギー、およびアトピー性皮膚炎を含む自己免疫疾患を処置する方法において使用するのに適している。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されているトリアジン化合物は、ループス、関節リウマチ(reumatoid)、アトピー性皮膚炎、および乾癬を処置する方法において使用するのに適している。いくつかの実施形態では、方法は、本明細書で開示されているトリアジン化合物(例えば、ピラゾリルトリアジン)を、処置を必要とする患者に投与し、それによって患者を処置するステップを含む。いくつかの実施形態では、対象由来の試料における炎症性疾患および自己免疫疾患の存在の決定に応答して、対象は、有効量の化合物を投与され、それによって、対象における炎症性疾患および自己免疫疾患が処置される。
【0043】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されているトリアジン化合物は、がん(例えば、腎臓、乳房、前立腺、皮膚、造血系、骨髄異形成症候群(MDS)、食道扁平上皮細胞癌、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、および卵巣がん)を処置する方法において使用するのに適している。いくつかの実施形態では、方法は、本明細書で開示されているトリアジン化合物(例えば、ピラゾリルトリアジン)を、処置を必要とする患者に投与し、それによって患者を処置するステップを含む。いくつかの実施形態では、対象由来の試料におけるがんの存在の決定に応答して、対象は、有効量の化合物を投与され、それによって、対象におけるがんが処置される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1A】式(I)の化合物のいくつかの実施形態の調製のための反応経路を提供する。
図1B】式(I)の化合物のいくつかの実施形態の調製のための3つの合成経路を提供するスキームである。
図2】式(I)の化合物のいくつかの実施形態の調製のためのさらなる合成経路を提供するスキームである。
図3】JMJD3阻害剤のFoxP3誘導活性についての細胞アッセイのデータを提供する。
図4A】本明細書で開示されている、THP-1ヒト単球におけるLPS(リポ多糖)処置後に、TNF-アルファ(TNFA)発現の抑制をもたらした化合物についての細胞データを提供するものであって、JMJD3阻害剤化合物89、化合物91についてのデータ(p<005)を提供する。
図4B】本明細書で開示されている、THP-1ヒト単球におけるLPS(リポ多糖)処置後に、TNF-アルファ(TNFA)発現の抑制をもたらした化合物についての細胞データを提供するものであって、JMJD3阻害剤化合物97、化合物92、および化合物93についてのデータ(pは0.01未満)を提供する。
図4C】本明細書で開示されている、THP-1ヒト単球におけるLPS(リポ多糖)処置後に、TNF-アルファ(TNFA)発現の抑制をもたらした化合物についての細胞データを提供するものであって、JMJD3阻害剤化合物94についてのデータ(pは0.01未満)を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本明細書で開示されているいくつかの実施形態は、対象におけるJMJD3の活性を阻害するのに有用な化合物を提供する。いくつかの実施形態はまた、これらの化合物を利用して疾患を処置する方法またはこれらの化合物を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、化合物は、トリアジン化合物である。いくつかの実施形態では、複数の官能基が、ヘテロアリールを含むコアトリアジン構造(例えば、トリアジン環に結合しているピラゾリル、ピリジニル等)に結合している。いくつかの実施形態では、開示されているトリアジンは、炎症性疾患および自己免疫疾患を処置する方法において使用することができる。いくつかの実施形態では、開示されているトリアジンは、がんを処置する方法において使用することができる。以下の説明は、文脈および例を提供するが、本明細書に続く特許請求の範囲に含まれる本発明の範囲を限定する、または本明細書の優先権を主張する任意の他の出願に限定すると解釈されるべきではない。単一構成成分または構成成分の集まりは、必須でも不可欠でもない。例えば、構造が開示されている一部の実施形態では、その構造の1つまたは複数の変数は、省略され得る(例えば、R、L、A、A等)。本明細書の任意の実施形態に記載されているおよび/または示されているいずれの特色、構造、構成成分、材料、ステップ、または方法も、本明細書の任意の他の実施形態に記載されているおよび/または示されている任意の特色、構造、構成成分、材料、ステップ、または方法と共にまたはそれらの代わりに使用することができる。
【0046】
定義
別段定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。すべての特許、出願、公開出願、および他の刊行物は、それらの全体が参照により組み込まれる。本明細書の用語について複数の定義が存在する場合、別段記述されていない限りこの節の定義が優先される。
【0047】
「プロドラッグ」は、in vivoで親薬物に変換される薬物を指す。プロドラッグは、ある状況において親薬物よりも容易に投与され得るので、有用であることが多い。プロドラッグは、例えば、経口投与により生体利用可能であり得るが、親はそうではない。プロドラッグはまた、医薬組成物への溶解度が、親薬物よりも改善されていることがある。プロドラッグの例として、水溶性が移動性にとって有害になる細胞膜を横断する透過を促進するためにエステル(「プロドラッグ」)として投与され、次に、水溶性が有益になる細胞内に入ったら、活性実体であるカルボン酸に代謝的に加水分解される化合物を挙げることができるが、これに限定されない。プロドラッグのさらなる例は、酸基に結合した短ペプチド(ポリアミノ酸)であってもよく、ここでこのペプチドは、代謝されて活性部分を現す。適切なプロドラッグ誘導体の選択および調製のための従来の手順は、例えば、Design of Prodrugs(H.Bundgaard編、Elsevier、1985)に記載されており、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
「プロドラッグエステル」という用語は、生理的条件下で加水分解されるいくつかのエステル形成基のいずれかを付加することによって形成された、本明細書で開示されている化合物の誘導体を指す。プロドラッグエステル基の例として、ピバロイルオキシメチル(pivoyloxymethyl)、アセトキシメチル、フタリジル、インダニルおよびメトキシメチル、ならびに(5-R-2-オキソ-1,3-ジオキソレン-4-イル)メチル基を含む、当技術分野で公知のこのような他の基が挙げられる。プロドラッグエステル基の他の例は、例えば、T.Higuchi and V.Stella、「Pro-drugs as Novel Delivery Systems」、第14巻、A.C.S.Symposium Series、American Chemical Society(1975)、および「Bioreversible Carriers in Drug Design:Theory and Application」、E.B.Roche編、Pergamon Press:New York、14~21頁(1987)(カルボキシル基を含有している化合物のプロドラッグとして有用なエステルの例を提供している)に見出すことができる。前述の参考文献のそれぞれは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
本明細書で開示されている化合物の「代謝産物」は、生物学的環境への化合物の導入時に生成される活性種を含む。
【0050】
「溶媒和物」は、溶媒と本明細書に記載されている化合物、その代謝産物、または塩との相互作用によって形成された化合物を指す。適切な溶媒和物は、水和物を含む薬学的に許容される溶媒和物である。
【0051】
「薬学的に許容される塩」という用語は、医薬品における使用について生物学的にもその他の点でも望ましい、化合物の生物学的有効性および特性を保持している塩を指す。多くの場合、本明細書の化合物は、アミノ基および/もしくはカルボキシル基またはそれに類似の基が存在していることにより、酸塩および/または塩基塩を形成することができる。薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸および有機酸を用いて形成することができる。塩を誘導することができる無機酸には、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等が含まれる。塩を誘導することができる有機酸には、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸等が含まれる。薬学的に許容される塩基付加塩は、無機塩基および有機塩基を用いて形成することができる。塩を誘導することができる無機塩基には、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム等が含まれ、特に好ましいのは、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびマグネシウム塩である。塩を誘導することができる有機塩基には、例えば、第一級、第二級、および第三級アミン、天然に存在している置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂等、特に、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、およびエタノールアミンが含まれる。多くのこのような塩は、1987年9月11日公開のJohnstonらのWO87/05297(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている通り、当技術分野で公知である。
【0052】
数値に言及する場合、「または前述の値を含むおよび/もしくはそれらにまたがる範囲」という用語(およびその変化形)は、前述の値を含むまたはそれらにまたがる任意の範囲を含むことを意味する。例えば、反応温度が、「20℃、30℃、40℃、50℃、または前述の値を含むおよび/もしくはそれらにまたがる範囲」として表されている場合、これは、20℃~50℃、20℃~40℃、20℃~30℃、30℃~50℃、30℃~40℃、または40℃もしくは50℃で提供される特定の温度またはそれらにまたがる温度範囲を含む。
【0053】
本明細書で使用される場合、「C~C」(「a」および「b」は整数である)は、アルキル、アルケニルもしくはアルキニル基における炭素原子の数、またはシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールもしくはヘテロアリール基の環における炭素原子の数を指す。すなわち、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルの環、シクロアルケニルの環、シクロアルキニルの環、アリールの環、またはヘテロアリールの環は、両端を含み「a」~「b」個の炭素原子を含有することができる。したがって、例えば、「C~Cアルキル」基は、1~4個の炭素(例えば、1個、2個、3個、または4個)を有しているすべてのアルキル基、すなわち、CH-、CHCH-、CHCHCH-、(CHCH-、CHCHCHCH-、CHCHCH(CH)-および(CHC-を指す。「C~Cアルキル」基は、1~6個の炭素(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、または6個)を有しているすべてのアルキル基を指す。アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、またはヘテロアリール基に関して「a」および「b」が指定されていない場合、これらの定義において記載されている範囲が含まれる(最も広範な範囲を含む)。
【0054】
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、完全に飽和している(すなわち、二重結合または三重結合を含有していない)、直鎖または分岐の炭化水素鎖を指す。分岐アルキル基の例として、イソ-プロピル、sec-ブチル、t-ブチル等が挙げられるが、これらに限定されない。直鎖アルキル基の例として、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル等が挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は、1~20個の炭素原子を有することができる(本明細書の他所に開示されている通り、アルキル基が本明細書に出現するときはいつでも、「1~20」等の数値範囲は、所与の範囲の各整数を指し、例えば、「1~20個の炭素原子」は、アルキル基が、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個の炭素原子からなり得ることを意味するが、本発明の定義は、数値範囲が指定されていない「アルキル」という用語の出現も網羅する)。「アルキル」基はまた、1~12個の炭素原子を有している中間サイズのアルキルであり得る。「アルキル」基はまた、1~6個の炭素原子を有している低級アルキルであってもよい。化合物のアルキル基は、「C1~6アルキル」または類似の名称として指定され得る。単なる例として、「C1~4アルキル」は、アルキル鎖中に1~4個の炭素原子が存在していること、すなわち、アルキル鎖が、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、およびt-ブチルからなる群から選択されることを示している。単なる例として、「C~Cアルキル」は、アルキル鎖中に1~5個の炭素原子が存在していること、すなわち、アルキル鎖が、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル(分岐および直鎖)等から選択されることを示している。典型的なアルキル基には、メチル(「Me」または-CH)、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三級ブチル、ペンチル、ヘキシル等が含まれるが、これらに限定されない。アルキル基は、置換されていなくても置換されていてもよい。
【0055】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」は、直鎖または分岐の炭化水素鎖中に1つまたは複数の二重結合を含有しているアルキル基を指す。アルケニル基は、「アルキル」の定義に記載されている通り、置換されていなくても置換されていてもよい。
【0056】
本明細書で使用される場合、「アルキニル」は、直鎖または分岐の炭化水素鎖中に1つまたは複数の三重結合を含有しているアルキル基を指す。アルキニル基は、「アルキル」の定義に記載されている通り、置換されていなくても置換されていてもよい。
【0057】
本明細書で使用される場合、「アルキレン」という用語は、二価の完全に飽和している直鎖脂肪族炭化水素基を指す。アルキレン基の例として、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、へキシレン、ヘプチレンおよびオクチレンが挙げられるが、これらに限定されない。アルキレン基は、
【0058】
【化22】
に、その数の炭素原子が続き、これに「」が続くことによって表され得る。例えば、
【0059】
【化23】
は、エチレンを表す。アルキレン基は、1~20個の炭素原子を有することができる(本明細書に出現するときはいつでも、「1~20」等の数値範囲は、所与の範囲の各整数を指し、例えば、「1~20個の炭素原子」は、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子等、20個を含み20個までの炭素原子からなり得ることを意味するが、本発明の定義は、数値範囲が指定されていない「アルキレン」という用語の出現も網羅する)。アルキレン基はまた、1~12個の炭素原子を有している中間サイズのアルキルであり得る。アルキレン基はまた、1~6個の炭素原子を有している低級アルキルであってもよい。例えば、低級アルキレン基は、1つもしくは複数の水素を低級アルキレン基で置き換えることによって、および/または同じ炭素上の両方の水素をC3~6単環式シクロアルキル基(例えば、
【0060】
【化24】
)で置換することによって置換することができる。また、ある特定のラジカル命名慣習は、文脈に応じてモノラジカルまたはジラジカルのいずれかを含むことができると理解されるべきである。例えば、置換基が、分子の残りへの2つの結合点を必要とする場合、その置換基は、ジラジカルであると理解される。例えば、2つの結合点を必要とするアルキルとして特定された置換基には、-CH-、-CHCH-、-CHCH(CH)CH-等のジラジカルが含まれる。他のラジカル命名慣習は、そのラジカルが、「アルキレン」または「アルケニレン」等のジラジカルであることを明らかに示している。アルキレン基は、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0061】
「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、本明細書で使用される場合、元素周期表の7番目の縦列の放射線安定性原子のいずれか1つ、例えば、フッ素(-F)、塩素(-Cl)、臭素(-Br)、またはヨウ素(-I)を意味する。
【0062】
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」は、1つまたは複数の水素がハロゲンで置換されている、直鎖または分岐鎖のアルキル基を指す。ハロアルキル基の例として、-CF、-CHF、-CHF、-CHCF、-CHCHF、-CHCHF、-CHCHCl、-CHCFCF、ならびに当技術分野における通常の技術および本明細書で提供される教示に照らして、前述の例のいずれか1つに等価とみなされ得る他の基が挙げられるが、これらに限定されない。ハロアルキルは、中間サイズのまたは低級ハロアルキルであり得る。ハロアルキル基は、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0063】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」は、式-OR(Rは、先に定義されている通りのアルキルである)、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、およびtert-ブトキシ等を含むがこれらに限定されない「C1~9アルコキシ」を指す。Rはまた、カルボシクリル基であり得る。アルコキシ基は、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0064】
本明細書で使用される場合、「ポリエチレングリコール」は、式
【0065】
【化25】
[式中、nは、1超の整数であり、Rは、水素またはアルキルである]を指す。繰り返し単位の数「n」は、員数に言及することによって示され得る。したがって、例えば、「2~5員のポリエチレングリコール」は、nが2~5から選択される整数であることを指す。一部の実施形態では、Rは、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、およびtert-ブトキシから選択される。
【0066】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアルキル」は、1つまたは複数のヘテロ原子を含有している直鎖または分岐の炭化水素鎖(例えば、アルキル)を指す。ヘテロ原子には、有機化学におけるその平易で通常の意味が与えられ、窒素(例えば、アミノ等)、酸素(例えば、アルコキシ、エーテル、ヒドロキシル等)、硫黄、およびハロゲンを含むがこれらに限定されない炭素以外の元素が含まれる。ヘテロアルキル基は、1~20個の炭素原子を有することができるが、本発明の定義は、数値範囲が指定されていない「ヘテロアルキル」という用語の出現も網羅する。ヘテロアルキル基はまた、1~12個の炭素原子を有している中間サイズのヘテロアルキルであり得る。ヘテロアルキル基はまた、1~6個の炭素原子を有している低級ヘテロアルキルであってもよい。様々な実施形態では、ヘテロアルキルは、1~4個のヘテロ原子、1~3個のヘテロ原子、1個もしくは2個のヘテロ原子、または1個のヘテロ原子を有することができる。化合物のヘテロアルキル基は、「C1~4ヘテロアルキル」または類似の名称として指定され得る。ヘテロアルキル基は、1つまたは複数のヘテロ原子を含有し得る。単なる例として、「C1~4ヘテロアルキル」は、ヘテロアルキル鎖中に1~4個の炭素原子が存在し、加えて鎖の骨格中に1つまたは複数のヘテロ原子が存在していることを示す。ヘテロアルキル基は、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0067】
「芳香族」という用語は、共役したπ電子系を有している環または環系を指し、これには、炭素環式芳香族(例えば、フェニル)および複素環式芳香族基(例えば、ピリジン)の両方が含まれる。この用語は、環系全体が芳香族であるという条件で、単環式または縮合環多環式(すなわち、隣接する対の原子を共有している環)基を含む。
【0068】
本明細書で使用される場合、「アリール」は、環骨格に炭素だけを含有している芳香族環または環系(すなわち、2つの隣接する炭素原子を共有している2つ以上の縮合環)を指す。アリールが環系である場合、その系のすべての環が芳香族である。アリール基は、6~18個の炭素原子を有することができるが、本発明の定義は、数値範囲が指定されていない「アリール」という用語の出現も網羅する。一部の実施形態では、アリール基は、6~10個の炭素原子を有している。アリール基は、「C6~10アリール」、「CまたはC10アリール」または類似の名称として指定され得る。例えば、アリール基は、C~C14アリール基、C~C10アリール基、またはCアリール基であってもよい。アリール基の例として、フェニル、ナフチル、アズレニル、およびアントラセニルが挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0069】
本明細書で使用される場合、「アリールオキシ」および「アリールチオ」は、RO-およびRS-を指し、ここでRは、先に定義される通りのアリール、例えばフェニルオキシを含むがこれに限定されない「C6~10アリールオキシ」または「C6~10アリールチオ」である。アリールオキシまたはアリールチオ基は、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0070】
「アラルキル」または「アリールアルキル」は、アルキレン基を介して置換基として結合しているアリール基、例えばベンジル、2-フェニルエチル、3-フェニルプロピル、およびナフチルアルキルを含むがこれらに限定されない「C7~14アラルキル」である。いくつかの場合、アルキレン基は、低級アルキレン基(すなわち、C1~6アルキレン基)である。アラルキルまたはアリールアルキル基は、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0071】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」は、環骨格中に、1つまたは複数のヘテロ原子、すなわち窒素、酸素および硫黄を含むがこれらに限定されない炭素以外の元素を含有している、芳香族環または環系(すなわち、2つの隣接する原子を共有している2つ以上の縮合環)を指す。ヘテロアリールが環系である場合、その系のすべての環が芳香族であってもよい。ヘテロアリール基は、5~18個の環員(すなわち、炭素原子およびヘテロ原子を含む、環骨格を構成している原子の数)を有することができるが、本発明の定義は、数値範囲が指定されていない「ヘテロアリール」という用語の出現も網羅する。例えば、ヘテロアリール基は、4~14個の環員(環(複数可)中の原子)、5~10個の環員(環(複数可)中の原子)、5~7個の環員(環(複数可)中の原子)、5~6個の環員(環(複数可)中の原子)を含有することができる。ヘテロアリール基は、「5~7員のヘテロアリール」、「5~10員のヘテロアリール」、または類似の名称として指定され得る。様々な実施形態では、ヘテロアリールは、1~4個のヘテロ原子、1~3個のヘテロ原子、1~2個のヘテロ原子、または1個のヘテロ原子を含有している。例えば、様々な実施形態では、ヘテロアリールは、1~4個の窒素原子、1~3個の窒素原子、1~2個の窒素原子、2個の窒素原子および1個の硫黄もしくは酸素原子、1個の窒素原子および1個の硫黄もしくは酸素原子、または1個の硫黄もしくは酸素原子を含有している。ヘテロアリール環の例として、フラン(例えば、フリル)、フラザン(例えば、フラザニル)、チオフェン(例えば、チエニル)、ベンゾチオフェン(例えば、ベンゾチエニル)、フタラジン(例えば、フタラジニル)、ピロール(例えば、ピロリル)、オキサゾール(例えば、オキサゾリル)、ベンゾオキサゾール(例えば、ベンゾオキサゾリル)、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、チアゾール(例えば、チアゾリル)、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、ベンゾチアゾール(例えば、ベンゾチアゾリル)、イミダゾール(例えば、イミダゾリル)、ベンズイミダゾール(例えば、ベンズイミダゾリル)、インドール(例えば、インドリル)、イソインドール(例えば、イソインドリル)、インダゾール、ピラゾール(例えば、ピラゾリル)、ベンゾピラゾール、イソオキサゾール(例えば、イソオキサゾリル)、ベンゾイソオキサゾール、イソチアゾール(例えば、イソチアゾリル)、トリアゾール(例えば、トリアゾリル)、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール(例えば、チアジアゾリル)、テトラゾール、ピリジン(例えば、ピリジニル)、ピリダジン(例えば、ピリダジニル)、ピリミジン(例えば、ピリミジニル)、ピラジン(例えば、ピラジニル)、プリン、プテリジン、キノリン(例えば、キノリニル)、イソキノリン(例えば、イソキノリニル(isoquinlinyl))、キナゾリン、キノキサリン、シンノリン、およびトリアジン(例えば、トリアジニル)が挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリール環はまた、橋頭の窒素原子を含み得る。例えば、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン、イミダゾ[1,2-a]ピリジン、およびピラゾロ[1,5-a]ピリミジンが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリール基は、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0072】
「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアリールアルキル」は、アルキレン基を介して置換基として結合しているヘテロアリール基である。例として、2-チエニルメチル、3-チエニルメチル、フリルメチル、チエニルエチル、ピロリルアルキル、ピリジルアルキル、イソオキサゾリルアルキル、およびイミダゾリルアルキルが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアラルキル基は、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0073】
本明細書で使用される場合、「カルボシクリル」は、環系骨格中に炭素原子だけを含有している非芳香族環式環または環系を意味する。カルボシクリルが環系である場合、2つ以上の環が、縮合、架橋またはスピロ結合式で互いに結合し得る。カルボシクリルは、環中の少なくとも1つの環が芳香族ではないという条件で、任意の飽和度を有することができる。したがって、カルボシクリルには、シクロアルキル、シクロアルケニル、およびシクロアルキニルが含まれる。カルボシクリル基は、3~20個の炭素原子を有することができるが、本発明の定義は、数値範囲が指定されていない「カルボシクリル」という用語の出現も網羅する。カルボシクリル基はまた、3~10個の炭素原子を有している中間サイズのカルボシクリルであり得る。カルボシクリル基はまた、3~6個の炭素原子を有しているカルボシクリルであってもよい。カルボシクリル基は、「C3~6カルボシクリル」または類似の名称として指定され得る。カルボシクリル環の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、2,3-ジヒドロ-インデン、ビシクロ(bicycle)[2.2.2]オクタニル、アダマンチル、およびスピロ[4.4]ノナニルが挙げられるが、これらに限定されない。カルボシクリル基は、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0074】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」は、完全に飽和している(二重結合または三重結合が存在しない)単環式または多環式炭化水素環系を指す。2つ以上の環から構成される場合、それらの環は、縮合式で互いに結合し得る。シクロアルキル基は、環(複数可)中に3~10個の原子もしくは環(複数可)中に3~8個の原子を含有することができ、または本明細書の他所に記載されている通り含有することができる。シクロアルキル基は、置換されていなくても置換されていてもよい。典型的なシクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが含まれるが、これらに限定されない。
【0075】
「(カルボシクリル)アルキル」は、アルキレン基を介して置換基として結合しているカルボシクリル基、例えばシクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロプロピルエチル、シクロプロピルブチル、シクロブチルエチル、シクロプロピルイソプロピル、シクロペンチルメチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘプチルメチル等を含むがこれらに限定されない「C4~10(カルボシクリル)アルキル」等である。いくつかの場合、アルキレン基は、低級アルキレン基である。
【0076】
本明細書で使用される場合、「シクロアルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を有しており、環系中の環が芳香族ではない、カルボシクリル環または環系を意味する。例は、シクロヘキセニルである。シクロアルケニル基は、環(複数可)中に4~10個の原子を含有することができる。シクロアルケニル基は、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0077】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」または「ヘテロアリシクリル(heteroalicyclyl)」は、炭素原子が1~5個のヘテロ原子と一緒に環系を構成している、3員、4員、5員、6員、7員、8員、9員、10員、11員、12員、13員、20員までの単環式、二環式、および三環式環系を指す。複素環は、必要に応じて1つまたは複数の不飽和結合を含有し得るが、この不飽和結合は、完全に非局在化したπ電子系が、すべての環にわたって生じないようなやり方で位置する。ヘテロ原子(複数可)は、環系における非芳香族環または芳香族環のいずれかに存在し得る。ヘテロ原子(複数可)は、酸素、硫黄、および窒素を含むがこれらに限定されない炭素以外の元素である。複素環はさらに、その定義が、ラクタム、ラクトン、環式イミド、環式チオイミドおよび環式カルバメート等のオキソ系およびチオ系を含むように、1つまたは複数のカルボニルまたはチオカルボニル官能基を含有し得る。2つ以上の環から構成される場合、それらの環は、縮合式で互いに結合し得る。加えて、複素脂環式(heteroalicyclic)における任意の窒素は、四級化され得る。ヘテロシクリルまたは複素脂環式基は、置換されていなくても置換されていてもよい。このような「ヘテロシクリル」または「ヘテロアリシクリル」基の例として、1,3-ダイオキシン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,2-ジオキソラン、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキソラン、1,3-オキサチアン、1,4-オキサチイン、1,3-オキサチオラン、1,3-ジチオール、1,3-ジチオラン、1,4-オキサチアン、テトラヒドロ-1,4-チアジン、2H-1,2-オキサジン、マレイミド、スクシンイミド、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ジオキソピペラジン、ヒダントイン、ジヒドロウラシル、トリオキサン、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、チアゾリン、チアゾリジン、モルホリン、オキシラン、ピペリジンN-オキシド、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、ピロリドン、ピロリジオン(pyrrolidione)、4-ピペリドン、ピラゾリン、ピラゾリジン、2-オキソピロリジン、テトラヒドロピラン、4H-ピラン、テトラヒドロチオピラン、チアモルホリン、チアモルホリンスルホキシド、チアモルホリンスルホン、およびそれらのベンゾ縮合アナログ(例えば、ベンズイミダゾリジノン、テトラヒドロキノリン、3,4-メチレンジオキシフェニル)が挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクリル基はまた、3~10個の環員を有している中間サイズのヘテロシクリルであり得る。ヘテロシクリル基はまた、3~6個の環員を有しているヘテロシクリルであってもよい。ヘテロシクリル基は、「3~6員のヘテロシクリル」または類似の名称として指定され得る。ヘテロシクリル基は、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0078】
様々な実施形態では、ヘテロシクリルは、1~4個のヘテロ原子、1~3個のヘテロ原子、1~2個のヘテロ原子、または1個のヘテロ原子を含有している。例えば、様々な実施形態では、ヘテロシクリルは、1~4個の窒素原子、1~3個の窒素原子、1~2個の窒素原子、2個の窒素原子および1個の硫黄もしくは酸素原子、1個の窒素原子および1個の硫黄もしくは酸素原子、または1個の硫黄もしくは酸素原子を含有している。好ましい6員の単環式ヘテロシクリルでは、ヘテロ原子(複数可)は、O、NまたはSのうち1~3個までから選択され、好ましい5員の単環式ヘテロシクリルでは、ヘテロ原子(複数可)は、O、N、またはSから選択される1個または2個のヘテロ原子から選択される。ヘテロシクリル環の例として、アゼピニル、アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジオキソラニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、モルホリニル、オキシラニル、オキセパニル、チエパニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ジオキソピペラジニル、ピロリジニル、ピロリドニル、ピロリジオニル(pyrrolidionyl)、4-ピペリドニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、1,3-ジオキシニル、1,3-ジオキサニル、1,4-ジオキシニル、1,4-ジオキサニル、1,3-オキサチアニル、1,4-オキサチイニル、1,4-オキサチアニル、2H-1,2-オキサジニル、トリオキサニル、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジニル、1,3-ジオキソリル、1,3-ジオキソラニル、1,3-ジチオリル、1,3-ジチオラニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、オキサゾリジノニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、1,3-オキサチオラニル、インドリニル、イソインドリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロ-1,4-チアジニル、チアモルホリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンズイミダゾリジニル、およびテトラヒドロキノリンが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクリル環の硫黄は、ジオキシド(例えば、-S(O)-)として提供され得る。
【0079】
「(ヘテロシクリル)アルキル」は、アルキレン基を介して置換基として結合しているヘテロシクリル基である。例として、イミダゾリニルメチルおよびインドリニルエチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
「(ヘテロシクリル)アルキニル」は、アルキニレン基を介して置換基として結合しているヘテロシクリル基である。
【0081】
本明細書で使用される場合、「アシル」は、-C(=O)Rを指し、ここでRは、本明細書で定義されている通りの、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、アリール、5~10員のヘテロアリール、および5~10員のヘテロシクリルである。非限定的な例として、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ベンゾイル、およびアクリルが挙げられる。アシル基は、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0082】
「O-カルボキシ」基は、「-OC(=O)R」基を指し、ここでRは、本明細書で定義されている通りの、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、アリール、5~10員のヘテロアリール、および5~10員のヘテロシクリルから選択される。O-カルボキシは、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0083】
「C-カルボキシ」基(または「エステル」)は、「-C(=O)OR」基を指し、ここでRは、本明細書で定義されている通りの、水素、-NH、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、アリール、5~10員のヘテロアリール、および5~10員のヘテロシクリルから選択される。非限定的な例として、カルボキシル(すなわち、-C(=O)OH)が挙げられる。C-カルボキシは、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0084】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシ」という用語は、-OH基を指す。
【0085】
「シアノ」基は、「-CN」基を指す。
【0086】
「シアネート」基は、「-OCN」基を指す。
【0087】
「イソシアネート」基は、「-NCO」基を指す。
【0088】
「チオシアネート」基は、「-SCN」基を指す。
【0089】
「イソチオシアネート」基は、「-NCS」基を指す。
【0090】
「スルフィニル」基は、「-S(=O)R」基を指し、ここでRは、本明細書で定義されている通りの、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、および5~10員のヘテロシクリルから選択される。スルフィニルは、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0091】
「スルホニル」基は、「-SOR」または「-SO-」基を指し、ここでRは、本明細書で定義されている通りの、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、および5~10員のヘテロシクリルから選択される。スルホニルは、ヘテロシクリル環で提供することができる。スルホニルは、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0092】
「S-スルホンアミド」基は、「-SONR」基を指し、ここでRおよびRは、それぞれ独立に、本明細書で定義されている通りの、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、および5~10員のヘテロシクリルから選択される。RおよびRは、一緒になって、ヘテロアリールまたは複素環をもたらし得る。S-スルホンアミドは、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0093】
「N-スルホンアミド」基は、「-N(R)SO」基を指し、ここでRおよびRは、それぞれ独立に、本明細書で定義されている通りの、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、および5~10員のヘテロシクリルから選択される。N-スルホンアミドは、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0094】
「O-カルバミル」基は、「-OC(=O)NR」基を指し、ここでRおよびRは、それぞれ独立に、本明細書で定義されている通りの、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、および5~10員のヘテロシクリルから選択される。RおよびRは、一緒になって、ヘテロアリールまたは複素環をもたらし得る。O-カルバミルは、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0095】
「N-カルバミル」基は、「-N(R)OC(=O)R」基を指し、ここでRおよびRは、それぞれ独立に、本明細書で定義されている通りの、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、および5~10員のヘテロシクリルから選択される。N-カルバミルは、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0096】
「O-チオカルバミル」基は、「-OC(=S)NR」基を指し、ここでRおよびRは、それぞれ独立に、本明細書で定義されている通りの、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、および5~10員のヘテロシクリルから選択される。RおよびRは、一緒になって、ヘテロアリールまたは複素環をもたらし得る。O-チオカルバミルは、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0097】
「N-チオカルバミル」基は、「-N(R)OC(=S)R」基を指し、ここでRおよびRは、それぞれ独立に、本明細書で定義されている通りの、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、および5~10員のヘテロシクリルから選択される。N-チオカルバミルは、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0098】
「C-アミド」基は、「-C(=O)NR」基を指し、ここでRおよびRは、それぞれ独立に、本明細書で定義されている通りの、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、および5~10員のヘテロシクリルから選択される。RおよびRは、一緒になって、ヘテロアリールまたは複素環をもたらし得る。C-アミドは、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0099】
「N-アミド」基は、「-N(R)C(=O)R」基を指し、ここでRおよびRは、それぞれ独立に、本明細書で定義されている通りの、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、および5~10員のヘテロシクリルから選択される。RおよびRは、一緒になって、ヘテロアリールまたは複素環をもたらし得る。N-アミドは、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0100】
「アミノ」基は、「-NR」基を指し、ここでRおよびRは、それぞれ独立に、本明細書で定義されている通りの、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、および5~10員のヘテロシクリルから選択される。RおよびRは、一緒になって、ヘテロアリールまたは複素環をもたらし得る。アミノは、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0101】
「アルカミノ」基は、「-NR」基を指し、ここでRは、C1~6アルキレン(例えば、指定された構造的置換基に結合している)またはC1~6アルキルであり、Rは、独立に、本明細書で定義されている通りの、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、および5~10員のヘテロシクリルから選択される。アルカミノは、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0102】
「アミノアルキル」基は、アルキレン基を介して結合しているアミノ基を指す。アミノアルキルは、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0103】
「カルバミド」または「カルバミド」基は、「(R)NC(=O)N(R)-」基を指し、ここでR、R、およびRは、独立に、本明細書で定義されている通りの、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキル、またはヘテロシクリル(アルキル)であってよい。カルバミドは、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0104】
「アルコキシアルキル」基は、アルキレン基を介して結合しているアルコキシ基、例えば「C2~8アルコキシアルキル」等を指す。アルコキシアルキルは、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0105】
本明細書で使用される場合、置換されている基は、1つまたは複数の水素原子が別の原子または基で交換されている、置換されていない親基から誘導される。別段指定されない限り、ある基が「置換されている」とみなされる場合、その基は、C~Cアルキル(-OHまたはC-カルボキシで必要に応じて置換されている)、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cヘテロアルキル、C~Cカルボシクリル(ハロ、-OH、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、およびC~Cハロアルコキシで必要に応じて置換されている)、C~C-カルボシクリル-C~C-アルキル(ハロ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、およびC~Cハロアルコキシで必要に応じて置換されている)、5~10員のヘテロシクリル(N-アミド、-OH、ハロ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、およびC~Cハロアルコキシで必要に応じて置換されている)、5~10員のヘテロシクリル-C~C-アルキル(ハロ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、およびC~Cハロアルコキシで必要に応じて置換されている)、アリール(ハロ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、およびC~Cハロアルコキシで必要に応じて置換されている)、アリール(C~C)アルキル(ハロ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、およびC~Cハロアルコキシで必要に応じて置換されている)、5~10員のヘテロアリール(ハロ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、およびC~Cハロアルコキシで必要に応じて置換されている)、5~10員のヘテロアリール(C~C)アルキル(ハロ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、およびC~Cハロアルコキシで必要に応じて置換されている)、ハロアルコキシ、シクロアルケニル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ(C~C)アルキル(すなわち、エーテル)、アリールオキシ、スルフヒドリル(メルカプト)、ハロ(C~C)アルキル(例えば、-CF)、ハロ(C~C)アルコキシ(例えば、-OCF)、C~Cアルキルチオ、アリールチオ、アミノ、アミノ(C~C)アルキル、一置換アミン基、二置換アミン基、一置換アミン(アルキル)、二置換アミン(アルキル)、ニトロ、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、アシル、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、-O-NH、オキソ(=O)、ジアミノ基、ポリアミノ、ジエーテル基、およびポリエーテル(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、オリゴエチレングリコール、ポリエチレングリコール等)から独立に選択される1つまたは複数の置換基で置換されていることを意味する。ある基が「必要に応じて置換されている」(または他の類似の言葉使い)として、または1つもしくは複数の「必要に応じた置換基」を含んでいるとして記載されているときはいつでも、その基は、先の置換基で置換されていてもよく、または置換されていなくてもよい。
【0106】
一部の実施形態では、置換されている基(複数可)は、C~Cアルキル、アミノ、ヒドロキシ、およびハロゲンから個々に独立に選択される1つまたは複数の置換基(複数可)で置換されている。
【0107】
2つの置換基は、それらが結合している1つまたは複数の原子と一緒に環を形成することができ、この環は、スピロであるか、または化合物の残りと縮合している。
【0108】
本明細書で使用される場合、任意の「R」基(複数可)、例えば限定されるものではないが、R、R、R等は、指定された原子に結合することができる置換基を表す。R基は、置換されていても置換されていなくてもよい。2つの「R」基が「一緒になって」(または類似の言葉使い)と記載されている場合、R基およびそれらが結合している原子は、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環を形成することができる。2つのR基が、「それらが結合している原子と一緒に」環(例えば、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリール環)を形成すると記載されている場合、その原子および2つのR基の集合単位が、記載されている環であることを意味する。それ以外では、環は、個々に捉えられる場合の各R基の定義によって限定されない。例えば、以下の部分構造
【0109】
【化26】
が存在し、RおよびRが、水素およびアルキルからなる群から選択されるものとして定義されるか、またはRおよびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクリルを形成する場合、RおよびRは、水素またはアルキルから選択することができることを意味しており、あるいは代替として、部分構造は、構造
【0110】
【化27】
を有しており、式中、環Aは、図示された窒素を含有しているヘテロシクリル環である。さらなる例として、限定されるものではないが、NR1a1b基のR1aおよびR1bが「一緒になって」と指定されている場合、それらは互いに共有結合して、環
【0111】
【化28】
を形成することを意味する。
【0112】
環式構造は、以下の構造(または異なる環サイズ、ヘテロ原子等を有している類似の構造)を使用して示され得る。
【0113】
【化29】
環式構造が、このタイプの構造を使用して示されている場合、R基は、環の-Hを-Rで置き換えることによって環の任意の位置に結合し得ることを意味している。例えば、以下の環
【0114】
【化30】
について、以下の環構造のいずれかを含み、
【0115】
【化31】
式中、「
【0116】
【化32】
」は、構造の残りの部分との結合を示している。同様に、以下の構造
【0117】
【化33】
[式中、「
【0118】
【化34】
」は、構造の残りの部分との結合を示しており、nは1~5である]では、以下の構造のいずれかまたは他の変形構造(当業者によって容易に理解され得る通りの)が想定される。
【0119】
【化35】
【0120】
2つの「隣接する」R基が、「それらが結合している原子と一緒に」環を形成すると記載されている場合、その原子、介在する結合、および2つのR基の集合単位は、記載されている環であることを意味する。例えば、以下の部分構造
【0121】
【化36】
が存在し、RおよびRが、水素およびアルキルからなる群から選択されるものとして定義されるか、またはRおよびRが、それらが結合している原子と一緒になって、アリールまたはカルボシクリルを形成する場合、RおよびRは、水素またはアルキルから選択することができることを意味しており、あるいは代替として、部分構造は、構造
【0122】
【化37】
を有しており、式中、Aは、アリール環または図示された二重結合を含有しているカルボシクリルである。
【0123】
置換基が、ジラジカル(すなわち、分子の残りと2つの結合点を有している)として図示されているときはいつでも、その置換基は、別段指定されない限り、任意の方向の配置で結合してもよいことが理解されるべきである。したがって、例えば、-AE-または
【0124】
【化38】
として図示された置換基は、「A」が、分子の左端の結合点で結合しているように、および「A」が、分子の右端の結合点で結合している場合のように配向されている置換基を含む。
【0125】
アルキレンの定義に記載されている通り、ある特定のラジカル命名慣習は、文脈に応じてモノラジカルまたはジラジカルのいずれかを含むことができることも理解されるべきである。例えば、置換基(例えば、属構造における)が、分子の残りへの2つの結合点を必要とする場合、その置換基は、ジラジカルであると理解される。例えば、2つの結合点を必要とするアルカミノとして特定された置換基には、-NHCH-、-NHCHCH-、-NHCHCH(CH)CH-等のジラジカルが含まれる。置換基が2つの結合点を必要とし得る他の例には、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル等が含まれる。
【0126】
本明細書で使用される場合、ラジカルは、ラジカルを含有している種が別の種に共有結合できるように、単一の不対電子を有している種を示す。したがって、この文脈では、ラジカルは、必ずしもフリーラジカルではない。むしろ、ラジカルは、より大きい分子の特定の部分を示す。
【0127】
1つまたは複数のキラル中心を有している、本明細書に記載されている任意の化合物において、絶対立体化学が明確に指定されていない場合には、各中心は、独立に、R-立体配置もしくはS-立体配置、またはそれらの混合物であり得ると理解される。したがって、本明細書で提供される化合物は、鏡像異性的に純粋な、鏡像異性的に濃縮された、ラセミ混合物、ジアステレオマー的に純粋な、ジアステレオマー的に濃縮された、または立体異性体の混合物であり得る。加えて、EまたはZとして定義することができる幾何異性体を生じる1つまたは複数の二重結合を有している、本明細書に記載されている任意の化合物において、各二重結合は、独立に、EもしくはZ、またはそれらの混合物であり得ると理解される。1つまたは複数のキラル中心を有している、本明細書に記載されている任意の化合物において、すべての可能なジアステレオマーも想定されると理解される。本明細書に記載されている任意の化合物において、すべての互変異性体が想定されると理解される。また、本明細書に記載されている任意の化合物において、含まれている原子のすべての同位体が想定されると理解される。例えば、水素には、いかなる場合にも、水素-1(プロチウム)、水素-2(重水素)、水素-3(トリチウム)または他の同位体が含まれ得、炭素には、いかなる場合にも、炭素-12、炭素-13、炭素-14、または他の同位体が含まれ得、酸素には、いかなる場合にも、酸素-16、酸素-17、酸素-18、または他の同位体が含まれ得、フッ素には、いかなる場合にも、フッ素-18、フッ素-19、または他の同位体の1つまたは複数が含まれ得、硫黄には、いかなる場合にも、硫黄-32、硫黄-34、硫黄-35、硫黄-36、または他の同位体の1つまたは複数が含まれ得る。
【0128】
本明細書で使用される場合、「阻害剤」という用語は、標的生体分子の活性を阻害または低減する、任意の化合物、分子または組成物を意味する。阻害は、例えば、標的のリン酸化を遮断する(例えば、リン酸化する実体であるアデノシン三リン酸(ATP)と競合する)ことによって、活性部位の外側の部位に結合し、コンフォメーション変化によってその活性に影響を及ぼすことによって、またはキナーゼから、それらの細胞安定性について依存している分子シャペロン系に近づく手段を奪い、それらのユビキチン化および分解をもたらすことによって、達成することができる。
【0129】
本明細書で使用される場合、「対象」、「宿主」、「患者」、および「個体」は、交換可能に使用され、その通常の意味を与えられるものとし、また、JMJD3タンパク質を有している生物を指すものとする。これには、哺乳動物、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、有蹄動物、イヌ、ネコ、ウマ、マウス、ラット等が含まれる。「哺乳動物」という用語は、ヒトおよび非ヒト哺乳動物の両方を含む。
【0130】
「診断」は、本明細書で使用される場合、その通常の意味を与えられるものとし、また、疾患または障害に対する対象の罹り易さの決定、対象が疾患または障害によって現在影響を受けているかどうかに関する決定、疾患または障害によって影響を受けた対象の予後(例えば、がんもしくはがん状態、がんのステージ、または治療に対するがんの応答性の特定)、および治療測定基準(therametrics)の使用(例えば、治療の効果または有効性に関する情報を提供するための、対象の状態のモニタリング)を含むものとする。
【0131】
「試料」または「生物学的試料」という用語は、その通常の意味を与えられるものとし、また、生物から得られた様々な試料タイプを包含し、イメージング、診断、予後、またはモニタリングアッセイにおいて使用することができる。この用語は、血液、ならびに生物学的起源の他の液体試料、固体組織試料、例えば生検標本もしくは組織培養物、またはそれらから誘導された細胞およびその子孫を包含する。この用語は、それらの調達後に任意のやり方で、例えば試薬を用いる処置、可溶化、またはある特定の構成成分の濃縮によって操作された試料を包含する。この用語は、臨床試料を包含し、細胞培養物における細胞、細胞上清、細胞溶解液、血清、血漿、生体液、および組織試料も含む。
【0132】
本明細書で使用される場合、「天然アミノ酸側鎖」は、天然に存在しているアミノ酸の側鎖置換基を指す。天然に存在しているアミノ酸は、α-炭素に結合している置換基を有している。天然に存在しているアミノ酸には、アルギニン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、メチオニン、トリプトファン、アラニン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、バリン、プロリン、およびグリシンが含まれる。
【0133】
本明細書で使用される場合、「非天然アミノ酸側鎖」は、天然に存在しないアミノ酸の側鎖置換基を指す。非天然アミノ酸には、β-アミノ酸(βおよびβ)、ホモ-アミノ酸、プロリンおよびピルビン酸誘導体、3置換アラニン誘導体、グリシン誘導体、環置換フェニルアラニンおよびチロシン誘導体、直鎖コアアミノ酸、ならびにN-メチルアミノ酸が含まれる。例示的な非天然アミノ酸は、Sigma-Aldridgeから「非天然アミノ酸および誘導体」で列挙されているもので入手可能である。また、その全体が参照により組み込まれるTravis S.Young and Peter G.Schultz、「Beyond the Canonical 20 Amino Acids:Expanding the Genetic Lexicon」、J.Biol.Chem.2010 285:11039~11044頁を参照されたい。
【0134】
「薬剤」または「試験薬剤」という用語は、任意の物質、分子、元素、化合物、実体、またはそれらの組合せを含む。この用語は、例えば、タンパク質、ポリペプチド、ペプチドまたは模倣薬、有機小分子、多糖体、ポリヌクレオチド等を含むが、これらに限定されない。この用語は、天然産物、合成化合物もしくは化学化合物、または2種以上の物質の組合せであってもよい。別段特定されない限り、「薬剤」、「物質」、および「化合物」という用語は、本明細書において交換可能に使用される。
【0135】
「アナログ」という用語は、本明細書では、参照分子に構造的に類似しているが、参照分子の特定の置換基が代替の置換基で置き換えられることによって、標的化され制御された方式で修飾されている分子を指すために使用される。アナログは、参照分子と比較して、同じ、類似の、または改善された実用性を示すことが、当業者によって予期され得る。改善された特徴(例えば、標的分子に対するより高い結合親和性)を有している公知の化合物の変異体を特定するための、アナログの合成およびスクリーニングは、製薬化学において周知の手法である。
【0136】
本明細書で開示されている通り処置される「患者」または「対象」は、一部の実施形態では、ヒト患者であるが、本開示の主題の原理は、「対象」および「患者」という用語に含まれることが意図される哺乳動物を含むすべての脊椎動物種に関して、本開示の主題が有効であることを示していると理解されるべきである。適切な対象は、一般に、哺乳動物対象である。本明細書に記載されている主題は、研究、ならびに獣医学的および医学的適用において使用される。「哺乳動物」という用語は、その通常の生物学的意味で使用される。したがって、この用語は、特に、サル(チンパンジー、類人猿、モンキー)およびヒトを含む霊長類、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウサギ、イヌ、ネコ、ラットおよびマウスを含むがこれらに限定されず、多くの他の種も含む。
【0137】
「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤、ならびに吸収遅延剤等を含む。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は、当技術分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性成分と不適合である場合を除いて、治療組成物におけるその使用が企図される。加えて、当技術分野において一般に使用されるもの等の様々なアジュバントが含まれ得る。医薬組成物に様々な構成成分を包含するための考察は、例えば、Gilmanら(編)(1990);Goodman and Gilman's:The Pharmacological Basis of Therapeutics、第8版、Pergamon Pressに記載されており、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0138】
「有効量」または「治療有効量」は、本明細書で使用される場合、疾患または状態の症状の1つまたは複数を、ある程度緩和するか、またはその開始の可能性を低減するのに有効であり、疾患または状態を治癒させることを含む、治療剤の量を指す。「治癒させること」は、疾患または状態の症状が排除されることを意味するが、治癒が得られた後も、ある一定の長期または永久的効果が存在することがある(例えば、広範な組織損傷)。
【0139】
「処置する」、「処置」、または「処置すること」は、本明細書で使用される場合、予防的および/または治療的目的で医薬組成物を投与することを指す。「予防的処置」という用語は、疾患または状態の症状をまだ示していないが、特定の疾患または状態に罹り易いか、またはそうでなければそのリスクがある対象を処置し、それによって、その処置が、患者が疾患または状態を発症する可能性を低減することを指す。「治療的処置」という用語は、対象に処置を投与することを指す。
【0140】
本明細書で使用される場合、「重量パーセント」という用語は、構成成分に言及している場合、構成成分の重量を、その構成成分を含む組成物の重量で割って、100%を掛けたものである。例えば、5グラムの構成成分Aが95グラムの構成成分Bに添加される場合の、構成成分Aの重量パーセントは、5%(例えば、5gA/(5gA+95gB)×100%)である。
【0141】
「対照」という用語は、その通常の意味を与えられるものとし、また、研究され、処理され、特徴付けられ、分析される試料等と比較するために使用される試料または標準を含むものとする。いくつかの実施形態では、対照は、健康な患者から得られた試料、または腫瘍を有していると診断された患者から得られた非腫瘍組織試料である。いくつかの実施形態では、対照は、歴史的対照または標準の参照値または値の範囲である。いくつかの実施形態では、対照は、野生型JMJD3の配置またはシナリオとの比較である。
【0142】
本願で使用される用語および句、ならびに特に添付の特許請求の範囲におけるその変化形は、別段明確に記述されていない限り、限定するものではなくオープンエンドなものとして解釈されるべきである。前述の例として、「含む(including)」という用語は、「限定することなく含む(including,without limitation)」、「含むが限定されない(including but not limited to)」等を意味すると読まれるべきであり、「含む(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、「含む(including)」、「含有する(containing)」、または「によって特徴付けられる」と同義であり、包括的であるか、またはオープンエンドであり、記載されていないさらなる要素または方法ステップを除外せず、「有している(having)」という用語は、「少なくとも有している(having at least)」として解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は、「含むが限定されない(includes but is not limited to)」として解釈されるべきである。「例」という用語は、議論されている項目の網羅的または限定的な一覧ではなく、その項目の例示的な場合を提供するために使用される。「好ましくは」、「好ましい」、「所望の」、または「望ましい」等の用語および類似の意味の用語の使用は、ある特定の特色が、本発明の構造または機能にとって非常に重要であるか、必須であるか、またはさらには重要であることを暗示するものとして理解されるべきではなく、それよりもむしろ、本発明の特定の実施形態において利用されても利用されなくてもよい代替のまたはさらなる特色を単に強調することを意図している。加えて、「含む(comprising)」という用語は、「少なくとも有している(having at least)」または「少なくとも含む(including at least)」という句と同義として解釈されるべきである。「含む(comprising)」という用語は、方法の文脈において使用される場合、その方法が、記載されているステップを少なくとも含むが、さらなるステップを含み得ることを意味する。「含む(comprising)」という用語は、化合物、組成物またはデバイスの文脈において使用される場合、その化合物、組成物またはデバイスが、記載されている特色または構成成分を少なくとも含むが、さらなる特色または構成成分も含み得ることを意味する。同様に、接続詞「および」で関係付けられている項目の群は、それらの項目の1つ1つが、その群に存在していることを必要とするものとして読まれるべきではなく、それよりもむしろ、別段明確に記述されていない限り「および/または」として読まれるべきである。同様に、接続詞「または」で関係付けられている項目の群は、その群の中の相互排他性を必要とするものとして読まれるべきではなく、それよりもむしろ、別段明確に記述されていない限り「および/または」として読まれるべきである。
【0143】
加えて、「から本質的になる(consisting essentially of)」という句は、特に記載されている要素、および特許請求される技術の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないさらなる要素を含むことを理解されよう。「からなる(consisting of)」という句は、特定されていない任意の要素を除外する。
【0144】
本明細書における複数および/または単数を表す実質的にいかなる用語の使用に関しても、当業者は、文脈および/または適用に適している場合には、複数から単数におよび/または単数から複数に翻訳することができる。様々な単数/複数の置換えは、分かりやすくするために、本明細書において明確に記載され得る。不定冠詞「1つの(a)」または「1つの(an)」は、複数を除外するものではない。単一プロセッサまたは他のユニットは、特許請求の範囲に記載されているいくつかの項目の機能を果たし得る。ある特定の方策が、互いに異なる従属請求項に記載されているということだけで、これらの方策の組合せを有利に使用できないことを示すものではない。特許請求の範囲におけるいかなる参照記号も、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0145】
本明細書において使用される節の見出しは、単に構造化する目的のものであり、記載されている主題を限定するものとして解釈されるべきではない。1つの見出し(例えば、組成物)の下で開示されている特色は、異なる見出し(処置方法)の下で開示されている特色と組み合わせて使用することができる。
【0146】
導入
十文字タンパク質活性(例えば、JMJD3)は、潰瘍性大腸炎、クローン病、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、アトピー性皮膚炎、乾癬、1型糖尿病、移植片対宿主病(GVHD)、自己免疫性脳炎、ベーチェット病およびシェーグレン症候群を含む自己免疫疾患を含むいくつかの疾患と関連している。さらに、IL5およびIL13に対するJMJD3阻害剤の効果は、喘息、肺アレルギーおよびアトピー性皮膚炎においてそれらが使用されることを示唆している。十文字タンパク質活性(例えば、JMJD3)の小分子阻害剤は、炎症性疾患および自己免疫疾患を処置するために使用されてきた。しかし、JMJD3の様々な阻害剤が公知であるにも関わらず、現在の化合物を上回る1つまたは複数の利点を付与する選択的阻害剤を疾患の処置のために使用することが、まだ必要とされている。それらの利点には、改善された活性および/または有効性;それぞれの治療の必要性に従う有益な標的選択性プロファイル;改善された副作用プロファイル、例えばより少ない望ましくない副作用、より低い副作用の強度;疾患状態の細胞における変異受容体の改善された標的化;改善された物理化学的特性、例えば水、体液、および/または医薬製剤への溶解度/安定性;例えば用量低減またはより容易な投与スキームを可能にする、改善された薬物動態特性;例えばより短い合成経路またはより容易な精製による、より容易な薬物物質の製造が含まれる。本明細書で開示されているいくつかの実施形態は、これらの利点(または他のもの)の1つまたは複数を達成する化合物に関する。本明細書で開示されているいくつかの実施形態は、公知の薬物物質の1つまたは複数の欠陥に対処する化合物に関する。
【0147】
式(I)の属および化合物
いくつかの実施形態は、置換されたトリアジン化合物(例えば、ピラゾール-トリアジン)に関する。トリアジンは、以下の番号付け慣習を有している分子である。
【0148】
【化39】
いくつかの実施形態では、置換されたトリアジンは、式(I)の構造を有している化合物(または薬学的に許容されるその塩)である。
【0149】
【化40】
いくつかの実施形態では、変数は、本明細書の他所に開示されている通りである。
【0150】
いくつかの実施形態では、Lは、-C(R-、-NR-、-N(R、必要に応じて置換されているアミン(アルキル)、-O-、-C(=O)-、-OC(=O)-、-C(=O)O-、および必要に応じて置換されているヘテロシクリルからなる群から選択されるか、またはLは存在しない。中間変数(例えば、他の2つの構造的特色の間にある変数)が、必要に応じて「存在しない」と記載されているいくつかの実施形態では、存在しない場合のその変数は、2つの隣接する基の間の単結合として表すことができる。例えば、Lが存在しない場合、トリアジン環は、式(I)に示されているAに直接結合し得る。同様に、LおよびAが存在しない場合、トリアジン環は、Aに直接結合し得る。当業者によって十分理解される通り、いくつかの実施形態では、式(I)のトリアジン環は、L(Lが存在する場合)、A(Lは存在しないが、Aが存在する場合)、A(LおよびAは存在しないが、Aが存在する場合)、またはA(L、A、およびAが存在しない場合)に直接結合し得る。
【0151】
いくつかの実施形態では、Aは、必要に応じて置換されているC~Cアルキレンおよび必要に応じて置換されているC~Cアルキルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Aは、存在しない。いくつかの実施形態では、Aは、存在しない。
【0152】
いくつかの実施形態では、Aは、-C(=O)-または-N(CH)-からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Aは、存在しない。いくつかの実施形態では、Aは存在せず、Aは、AまたはLに直接結合している。
【0153】
いくつかの実施形態では、Aは、-H、ヒドロキシル、アミノ、必要に応じて置換されているC1~12アルキル、必要に応じて置換されているC~C12アルコキシ、必要に応じて置換されているC~C12アルカミノ、必要に応じて置換されているカルバミド、C-アミド、必要に応じて置換されているC6~10アリール、必要に応じて置換されている5~12員のヘテロアリール、必要に応じて置換されているC3~10カルボシクリル、および必要に応じて置換されている3~12員のヘテロシクリルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Aは、存在しない。
【0154】
末端変数(例えば、構造の末端をもたらす変数)が、必要に応じて「存在しない」と記載されているいくつかの実施形態では、存在しない場合のその変数は、存在していなくてもよく、または隣接する置換基の原子価を完成させるのに必要な場合には、隣接する置換基上の水素原子であり得る。例えば、A、A、Aが存在せず、Lが、-N(Rである場合には、Lは、
【0155】
【化41】
として表され得る。さらなる例として、AおよびAが存在せず、Aがアルキレンである場合には、Aは、AおよびAの組合せをアルキルとしてもたらすために、-Hとして表され得る。いくつかの実施形態では、Aは存在せず、Lは、AにもAにも結合しておらず、Lは、本明細書の他所に記載されている通り、他の基に結合する(例えば、式(Id))。
【0156】
いくつかの実施形態では、Aは、必要に応じて置換されているC6~10アリール、必要に応じて置換されている5~12員のヘテロアリール、および必要に応じて置換されている3~12員のヘテロシクリルからなる群から選択される。
【0157】
いくつかの実施形態では、Aは、必要に応じて置換されているC1~3アルキレン、必要に応じて置換されているC~Cアルカミノ、-O-、-NR-、-N(R、および単結合からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Aは存在せず、Aは、式(I)のトリアジン環に直接結合している。
【0158】
いくつかの実施形態では、Aは、必要に応じて置換されているC1~12アルキル、必要に応じて置換されているC~C12アルコキシ、必要に応じて置換されているC~C12アルカミノ、必要に応じて置換されているC6~10アリール、必要に応じて置換されている5~12員のヘテロアリール、必要に応じて置換されているC3~10カルボシクリル、および必要に応じて置換されている3~12員のヘテロシクリルからなる群から選択される。
【0159】
いくつかの実施形態では、Rは、存在する場合には、各場合、独立に、-H、ハロゲン、ヒドロキシ、必要に応じて置換されているC1~6アルキル、必要に応じて置換されているC~Cアルコキシ、必要に応じて置換されているC1~6ハロアルキル、および必要に応じて置換されているC6~10アリールからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、2つのR基が存在する場合、R基は、一緒になって、必要に応じて置換されている3~12員の複素環または必要に応じて置換されているC3~10カルボシクリルを形成する。2つ以上のRが存在する場合、それらのR変数は、同じであっても異なっていてもよい。
【0160】
いくつかの実施形態では、A、A、A、A、A、A、またはR(または本明細書で開示されている任意の他の変数)の置換基のいずれか1つは、必要に応じて置換され得る。いくつかの実施形態では、A、A、A、A、A、A、またはR(または本明細書で開示されている任意の他の変数)のいずれか1つが、1つまたは複数の必要に応じた置換基で置換されている場合、1つまたは複数の必要に応じた置換基のそれぞれは、独立に、定義の節に開示されている必要に応じた(optionally)置換基から選択される。いくつかの実施形態では、A、A、A、A、A、A、またはR(または本明細書で開示されている任意の他の変数)のいずれか1つが、1つまたは複数の必要に応じた置換基で置換されている場合、1つまたは複数の必要に応じた置換基のそれぞれは、独立に、-OH、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、またはハロゲンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、A、A、A、A、A、またはR(または本明細書で開示されている任意の他の変数)のいずれか1つが、1つまたは複数の必要に応じた置換基で置換されている場合、1つまたは複数の必要に応じた置換基のそれぞれは、独立に、-Meまたは-Fからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、A基が、1つまたは複数の必要に応じた置換基で置換されている場合、1つまたは複数の必要に応じた置換基は、独立に、アシル、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C-アミド、アリール、エステル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル(Aがヘテロシクリルまたはカルボシクリル基であるスピロ配置をもたらすものを含む)、およびヒドロキシからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、A基が、1つまたは複数の必要に応じた置換基で置換されている場合、1つまたは複数の必要に応じた置換基は、独立に、C1~6アルキル、C1~6シクロアルキル、C6~10アリール、ハロゲン、およびヒドロキシからなる群から選択される。
【0161】
いくつかの実施形態では、Lは、-N(Rである。いくつかの実施形態では、Lは、-N(Rであり、R基は、一緒になって、必要に応じて置換されている3~12員のヘテロシクリル基を形成する。いくつかの実施形態では、Lは、ヘテロシクリル基で置換されている。いくつかの実施形態では、Lは、1個または2個のヘテロ原子を含んでいる6員のヘテロシクリル基である。いくつかの実施形態では、Lのヘテロ原子は、Nである。いくつかの実施形態では、Lは、4~6員のヘテロシクリル基で置換されている。いくつかの実施形態では、Lが、さらなるヘテロシクリル基で置換されているヘテロシクリル基である場合、2つの環は、スピロコンフォメーションをもたらす。いくつかの実施形態では、Lは、4員のヘテロシクリル基で置換されている。いくつかの実施形態では、A、A、およびAは存在せず、Lは、2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナンである。
【0162】
いくつかの実施形態では、Lは、-N(Rであり、R基は、一緒になって、必要に応じて置換されている3~12員のヘテロシクリル基を形成する。いくつかの実施形態では、AおよびAは、存在しない。いくつかの実施形態では、Aは、3~12員のヘテロシクリル基(例えば、3~6員のヘテロシクリル、3~5員のヘテロシクリル、4員のヘテロシクリル等)であり、Aの環およびLの環は、スピロ環系をもたらす。
【0163】
いくつかの実施形態では、Lは、-N(Rであり、R基は、一緒になって、必要に応じて置換されている3~12員のヘテロシクリル基を形成する。いくつかの実施形態では、AおよびAは、存在しない。いくつかの実施形態では、L、A、A、およびAは、一緒になって、
【0164】
【化42】
からなる群から選択される構造をもたらす。
【0165】
いくつかの実施形態では、Lは、-N(R)-または-NH-である。いくつかの実施形態では、Aは、C~Cアルキレンである。いくつかの実施形態では、Aは、C~Cアルキレンである。いくつかの実施形態では、Aは、-C(=O)-であるか、または存在しない。いくつかの実施形態では、Aは、アミノ、ヒドロキシル、C1~3アルキル、メチルもしくはエチルで必要に応じて置換されているカルバミド、3~6員のヘテロシクリル、3~6員のヘテロアリール、またはC~Cアルコキシである。
【0166】
いくつかの実施形態では、L、A、A、およびAは、一緒になって、
【0167】
【化43】
からなる群から選択される構造をもたらす。直前の構造のいずれか1つは、1つまたは複数の-H原子を構造内に存在している任意の炭素または窒素原子で置き換えることによって、必要に応じてさらに置換され得る。
【0168】
いくつかの実施形態では、Lは、-N(R)-または-NH-である。いくつかの実施形態では、Aは、存在しない。いくつかの実施形態では、Aは、存在しない。いくつかの実施形態では、Aは、ヒドロキシルもしくはハロゲンで必要に応じて置換されているC1~4アルキル、必要に応じて置換されているC3~6カルボシクリル、3~6員のヘテロシクリル、ハロゲンで必要に応じて置換されている3~6員のアリール、または必要に応じて置換されている3~6員のヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、L、A、A、およびAは、一緒になって、
【0169】
【化44】
からなる群から選択される構造をもたらす。直前の構造のいずれか1つは、1つまたは複数の-H原子を構造内に存在している任意の炭素または窒素原子で置き換えることによって、必要に応じてさらに置換され得る。
【0170】
いくつかの実施形態では、Aは、必要に応じて置換されている5~6員のヘテロアリールまたは必要に応じて置換されている5~6員のヘテロシクリルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Aは、1個、2個、または3個のヘテロ原子を含んでいる。いくつかの実施形態では、Aのヘテロ原子は、Nおよび/またはSである。いくつかの実施形態では、Aは、
【0171】
【化45】
からなる群から選択される構造である。直前の構造のいずれか1つは、1つまたは複数の-H原子を構造内に存在している任意の炭素または窒素原子で置き換えることによって、必要に応じてさらに置換され得る。
【0172】
いくつかの実施形態では、Aは、-O-であるか、または存在しない。いくつかの実施形態では、Aは、C1~5アルキル、-Fで必要に応じて置換されているフェニル、C~C3アルカミノ、必要に応じて置換されている5~12員のヘテロアリール、必要に応じて置換されているC3~10カルボシクリル、および必要に応じて置換されている3~12員のヘテロシクリルからなる群から選択される。
【0173】
いくつかの実施形態では、AおよびAは、一緒になって、
【0174】
【化46】
からなる群から選択される構造をもたらす。直前の構造のいずれか1つは、1つまたは複数の-H原子を構造内に存在している任意の炭素または窒素原子で置き換えることによって、必要に応じてさらに置換され得る。
【0175】
いくつかの実施形態では、Aは、C1~3アルキレンまたはC~Cアルカミノである。いくつかの実施形態では、Aは、-Fで必要に応じて置換されているフェニルおよび必要に応じて置換されているC3~7カルボシクリルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、AおよびAは、一緒になって、
【0176】
【化47】
からなる群から選択される構造をもたらす。
【0177】
いくつかの実施形態では、式(I)は、以下の化合物(または他のもの)
【0178】
【化48】
【化49】
【化50】
【化51】
【化52】
【化53】
【化54】
の1つまたは複数によって表され得る。直前の構造のいずれか1つは、1つまたは複数の-H原子を構造内に存在している任意の炭素または窒素原子で置き換えることによって、必要に応じてさらに置換され得る。
【0179】
一部の実施形態では、式(I)の構造を有しているトリアジン化合物は、以下の1つまたは複数から選択される化合物である。
エチル3-((4-(1H-ピラゾール-1-イル)-6-(1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-ベンゾ[d]アゼピン-3-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート;
エチル3-((4,6-ジ(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート;
エチル3-((4-(1H-ピラゾール-1-イル)-6-(ピリジン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート;
エチル3-((4-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート;
エチル3-((4-(インドリン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート;
エチル3-((4-(1H-インドール-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート;
エチル3-((4-ペンチル-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート;
エチル3-((4-(3,5-ジフルオロフェニル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート;
エチル3-((4-エトキシ-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート;
エチル3-((4-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート;
エチル3-((4-(1H-ピラゾール-1-イル)-6-(ピロリジン-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート;
エチル3-((4-(エチルアミノ)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート;
エチル3-((4-(ピペラジン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート;
エチル3-((4-(1,4-ジアゼパン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート;
エチル3-((4-((4-フルオロベンジル)アミノ)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート;
エチル3-((4-モルホリノ-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート;
エチル3-((4-(シクロヘプチルオキシ)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート;
エチル3-((4-(シクロヘキシルオキシ)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート;
2-((4-(4-フルオロフェニル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)アセトアミド;
3-((4-(シクロヘプチルオキシ)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパンアミド;
N-(2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)エチル)-4-(インドリン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
4-(シクロヘプチルオキシ)-N-(モルホリノメチル)-6-(ピリジン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
(S)-N-(1-(4-(3,5-ジフルオロフェニル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)エチル)-N-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-アミン;
N-(2-(1H-テトラゾール-1-イル)エチル)-4-(1H-インドール-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
4-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)-N-(3-エトキシプロピル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
3-((4-(3,5-ジフルオロフェニル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパン-1-オール;
4-エトキシ-N-(2-メトキシエチル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
4-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
1-(((4-(1H-ピラゾール-1-イル)-6-(ピロリジン-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)メチル)尿素;
1-エチル-3-(((4-(エチルアミノ)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)メチル)尿素;
4-((4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)ブタン-2-オン;
3-((4-(1,4-ジアゼパン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)-1-(ピロリジン-1-イル)プロパン-1-オン;
1-(アジリジン-1-イル)-3-((4-((4-フルオロベンジル)アミノ)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパン-1-オン;
3-((4-モルホリノ-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)-1-(1H-ピロール-1-イル)プロパン-1-オン;
3-((4-(シクロヘプチルオキシ)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)-1-(1H-ピロール-2-イル)プロパン-1-オン;
1-(オキサゾール-2-イル)-3-((4-ペンチル-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパン-1-オン;
4-(シクロヘキシルオキシ)-N-イソプロピル-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
4-(シクロヘキシルオキシ)-N-イソブチル-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
1-((4-(シクロヘキシルオキシ)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)エタン-1-オール;
N-ブチル-4-(シクロヘキシルオキシ)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
4-(シクロヘキシルオキシ)-N-シクロプロピル-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
N-シクロブチル-4-(シクロヘキシルオキシ)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
4-(シクロヘキシルメチル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
4-(シクロヘキシルメチル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-N-(テトラヒドロフラン-3-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
4-(シクロヘキシルオキシ)-N-(ピペリジン-4-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
4-(シクロヘキシルメチル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-N-(ピリジン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
エチル(4-(シクロヘキシルオキシ)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)グリシネート;
2-((4-(シクロヘキシルオキシ)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)アセトアミド;
4-(シクロヘキシルオキシ)-N-(モルホリノメチル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
4-(シクロヘキシルオキシ)-N-(ピペリジン-4-イルメチル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
4-(シクロヘキシルオキシ)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-N-(1H-ピロール-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
4-(シクロヘキシルオキシ)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-N-(トリフルオロメチル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
4-(シクロヘキシルオキシ)-N-(2,3-ジフルオロフェニル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
4-(シクロヘキシルオキシ)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-N-(チオフェン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
8-(4-(1H-ピラゾール-1-イル)-6-(1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-ベンゾ[d]アゼピン-3-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン;
8-(4,6-ジ(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン;
8-(4-(1H-ピラゾール-1-イル)-6-(ピリジン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン;
8-(4-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン;
8-(4-(インドリン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン;
8-(4-(1H-インドール-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン;
8-(4-ペンチル-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン;
8-(4-(3,5-ジフルオロフェニル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン;
8-(4-エトキシ-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン;
8-(4-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン;
8-(4-(1H-ピラゾール-1-イル)-6-(ピロリジン-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン;
N-エチル-4-(1H-ピラゾール-1-イル)-6-(2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-8-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
8-(4-(ピペラジン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン;
8-(4-(1,4-ジアゼパン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン;
N-(4-フルオロベンジル)-4-(1H-ピラゾール-1-イル)-6-(2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-8-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
8-(4-モルホリノ-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン;
8-(4-(シクロヘプチルオキシ)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン;
8-(4-(シクロヘキシルオキシ)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン;
8-(4-(1H-インドール-1-イル)-6-(ピリジン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン;
8-(4-(1H-インドール-1-イル)-6-(1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン;
8-(4-(1H-インドール-1-イル)-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン;
8-(4-(1H-インドール-1-イル)-6-(チアゾール-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン;
2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-4-(1H-ピラゾール-1-イル)-6-(ピリジン-2-イル)-1,3,5-トリアジン;
2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-4,6-ジ(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン;
3-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d]アゼピン;
2-(3,5-ジフルオロフェニル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン;
1-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール;
1-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)インドリン;
1-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1H-インドール;
2-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン;
2-ブチル-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン;
2-エトキシ-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン;
2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-4-(1H-ピラゾール-1-イル)-6-(ピロリジン-1-イル)-1,3,5-トリアジン;
N-エチル-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
4-(1H-インドール-1-イル)-N-(2-メトキシエチル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
1-(4-(ピペラジン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1H-インドール;
3-((4-(1H-インドール-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパンアミド;
4-(4-(3,5-ジフルオロフェニル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)モルホリン;
2-(アゼチジン-1-イル)-4-(3,5-ジフルオロフェニル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン;
4-(4-(1H-インドール-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)モルホリン;
1-(4-(シクロペンチルオキシ)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1H-インドール;
3-((4-(3,5-ジフルオロフェニル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパンアミド;
4-(1H-インドール-1-イル)-N-(3-メトキシプロピル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
4-(1H-インドール-1-イル)-N-(メトキシメチル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
2-(3,5-ジフルオロフェニル)-4-(ピペラジン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン;
4-(アゼチジン-1-イル)-N-(3,5-ジフルオロベンジル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
N-(3,5-ジフルオロベンジル)-4-(ピペラジン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
N-(3,5-ジフルオロベンジル)-4-モルホリノ-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
-(3,5-ジフルオロベンジル)-N-(モルホリノメチル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン;
4-(シクロヘプチルオキシ)-N-(モルホリノメチル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;
4-(シクロヘキシルオキシ)-N-(モルホリノメチル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン;および
8-(4-(1H-インドール-1-イル)-6-(ピリジン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン。
【0180】
いくつかの実施形態では、本明細書の他所に開示されている通り、1つの構造式について定義されている変数は、同じ変数を有している任意の他の式にも使用され得る。例えば、変数が、1つの式(例えば、式(Id)または(I)等)について同じ英数字表示(例えば、A)を有している場合、その変数の定義は、その変数が他の式(例えば、式(Ic)、(Ie)等)について特に定義されていない場合でも、それらの他の式において使用することができる。
【0181】
式(Ia)の属および化合物
式(I)の構造のいくつかの例示的な実施形態は、式(Ia)の構造であるアミノトリアジンによって表すことができ、ここで、Lは-NR-であり、Rは-Hであり、AはC~Cアルキレンであり、Aは-C(=O)-であり、Aは存在せず(例えば、単結合である)、nは、1、2、または3に等しい整数であり、他の各変数は、本明細書の他所に定義されている通りである。
【0182】
【化55】
式(Ia)は、化合物1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、26、36、91、96、または他のもののいずれか1つによって表され得る。
【0183】
式(Ib)の属および化合物
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物(または式(Ia))は、式(Ib)の構造によってさらに表され、ここで、Lは-NR-であり、Rは-Hであり、Aは、C~Cアルキレンであり、Aは-C(=O)-であり、Aは単結合であり、Aはピラゾールであり、他の各変数は、本明細書の他所に定義されている通りである。
【0184】
【化56】
【0185】
式(I)(または式(Ib))の構造のいくつかの実施形態は、式(Ib-i)によって表され、ここで、Lは-NR-であり、Rは-Hであり、Aはエチレンであり、Aは-C(=O)-であり、Aは単結合であり、Aはエトキシであり、他の各変数は、本明細書の他所に定義されている通りである。
【0186】
【化57】
が、
【0187】
【化58】
から選択される式(Ib-i)のいくつかの実施形態では、式(Ib-i)は、化合物1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、または他のもののいずれか1つによって表され得る。
【0188】
式(I)の構造のいくつかの実施形態は、式(Ib-ii)によって表され、ここで、Lは-NR-であり、Rは-Hであり、Aはエチレンであり、Aは-C(=O)-であり、Aは単結合である(その他の変数は、本明細書の他所に開示されている通りである)。
【0189】
【化59】
が、
【0190】
【化60】
から選択され、Aが、
【0191】
【化61】
から選択され、他の各変数が、本明細書の他所に定義されている通りである、式(Ib-ii)のいくつかの実施形態では、式(Ib-ii)は、化合物20、31、32、33、34、35、36、または他のもののいずれか1つによって表され得る。
【0192】
式(Ic)の属および化合物
が、記号
【0193】
【化62】
によって表される5員もしくは6員の芳香族複素環または5員もしくは6員のヘテロシクリル環である、いくつかの実施形態では、式(I)は、式(Ic)の構造によってさらに表され、他の変数は、本明細書の他所に定義されている通りであり、
【0194】
【化63】
式(Ic)は、化合物41、42、45、51、53、54、89、97、または他のもののいずれか1つによって表され得る。
【0195】
式(I)(または式(Ic))の構造のいくつかの実施形態は、式(Ic-i)によってさらに表され、ここで、Aは-O-であり、Aはピラゾールであり、Aはシクロヘキサンであり、他の各変数は、本明細書の他所に定義されている通りである。
【0196】
【化64】
【0197】
Lが-NR-であり、Rが-Hであり、AおよびAが存在せず、Aが、
【0198】
【化65】
から選択され、他の各変数が、本明細書の他所に定義されている通りである、式(Ic-i)のいくつかの実施形態では、式(Ic-i)は、化合物41、42、45、51、53、54、または他のもののいずれか1つによって表され得る。
【0199】
Lが-NR-であり、Rが-Hであり、AおよびAが存在せず、Aが、(CHCH-、(CHCHCH-、CH(CH-、CH(HO)CH-、およびCFから選択され、他の各変数が、本明細書の他所に定義されている通りである、式(Ic-i)のいくつかの実施形態では、式(Ic-i)は、化合物37、38、39、40、52または他のもののいずれか1つによって表され得る。
【0200】
Lが-NR-であり、Rが-Hであり、Aがメチレンであり、Aが存在せず、Aが、
【0201】
【化66】
から選択され、他の各変数が、本明細書の他所に定義されている通りである、式(Ic-i)のいくつかの実施形態では、式(Ic-i)は、化合物49、50、または他のもののいずれか1つによって表され得る。
【0202】
Lが-NR-であり、Rが-Hであり、Aがメチレンであり、Aが-C(=O)-であり、AがCHCHO-およびNH-から選択され、他の各変数が、本明細書の他所に定義されている通りである、式(Ic-i)のいくつかの実施形態では、式(Ici)は、化合物47、48、または他のもののいずれか1つによって表され得る。
【0203】
式(I)の構造のいくつかの実施形態は、式(Ic-ii)によって表され、ここで、Aは-CH-であり、Aはピラゾールであり、Aはシクロヘキサンであり、他の各変数は、本明細書の他所に定義されている通りである。
【0204】
【化67】
【0205】
Lが-NR-であり、Rが-Hであり、AおよびAが存在せず、Aが、
【0206】
【化68】
から選択され、他の各変数が、本明細書の他所に定義されている通りである、式(Ic-ii)のいくつかの実施形態では、式(Ic-ii)は、化合物43、44、46、または他のもののいずれか1つによって表され得る。
【0207】
式(I)の構造のいくつかの実施形態は、式(Ic-iii)によって表され、ここで、Lは-NR-であり、Rは-Hであり、Aはエチレンであり、AおよびAは存在せず、Aはピラゾールであり、他の各変数は、本明細書の他所に定義されている通りである。
【0208】
【化69】
【0209】
が、
【0210】
【化70】
から選択され、Aが、
【0211】
【化71】
から選択され、他の各変数が、本明細書の他所に定義されている通りである、式(Ic-iii)のいくつかの実施形態では、式(Ic-iii)は、化合物21、24、25、26、27、または他のもののいずれか1つによって表され得る。
【0212】
式(I)の構造のいくつかの実施形態は、式(Ic-iv)によって表され、ここで、Lは-NR-であり、Rは-Hであり、Aはメチレンであり、AおよびAは存在せず、Aはピラゾールであり、他の各変数は、本明細書の他所に定義されている通りである。
【0213】
【化72】
【0214】
が、NHC(=O)CH-、NHC(=O)NH-、CHCHNHC(=O)NH-、およびCHO-から選択され、Aが、
【0215】
【化73】
から選択され、他の各変数が、本明細書の他所に定義されている通りである、式(Ic-iv)のいくつかの実施形態では、式(Ic-iv)は、化合物19、29、30、98、または他のもののいずれか1つによって表され得る。
【0216】
式(I)の構造のいくつかの実施形態は、式(Ic-v)によって表され、ここで、AおよびAは存在せず、Aはテトラヒドロピランであり、Aはピラゾールであり、他の各変数は、本明細書の他所に定義されている通りである。
【0217】
【化74】
【0218】
Lが-NR-であり、Rが-Hであり、Aが存在せず、Aが、
【0219】
【化75】
であり、他の各変数が、本明細書の他所に定義されている通りである、式(Ic-v)のいくつかの実施形態では、式(Ic-v)は、化合物28または他のものによって表され得る。
【0220】
Lが-CR-であり、RがCHであり、Aが-N(CH)-であり、Aが、
【0221】
【化76】
であり、他の各変数が、本明細書の他所に定義されている通りである、式(Ic-v)のいくつかの実施形態では、式(Ic-v)は、化合物23または他のものによって表され得る。
【0222】
【化77】
【0223】
式(I)の構造のいくつかの実施形態は、式(Ic-vi)によって表され、ここで、Lは-O-であり、A、A、およびAは存在せず、Aはピラゾールである。
【0224】
【化78】
【0225】
式(Ic-vi)のいくつかの実施形態では、Aは、
【0226】
【化79】
であり、Aは、
【0227】
【化80】
であり、他の各変数は、本明細書の他所に定義されている通りであり、式(Ic-vi)は、化合物95または他のものによって表され得る。
【0228】
式(I)の構造のいくつかの実施形態は、式(Ic-vii)のピリジニルトリアジンによって表され、ここで、Lは-NR-であり、Rは-Hであり、AおよびAは存在せず、Aはピリジンである。
【0229】
【化81】
がメチレンであり、Aが、
【0230】
【化82】
であり、Aが、
【0231】
【化83】
であり、他の各変数が、本明細書の他所に定義されている通りである、式(Ic-vii)のいくつかの実施形態では、式(Ic-vii)は、化合物22または他のものによって表され得る。
【0232】
式(Id)の属および化合物
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Id)の構造によってさらに表され、ここで、AおよびAは存在せず、Lはヘテロシクリルであり(例えば、Lは、一緒になって、必要に応じて置換されている3~12員の複素環を形成するN(Rである)、Aは、本明細書の他所に定義されている通りである。いくつかの実施形態では、Rは、各場合、C1~6アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、ある場合にはC1~6アルキルであり、Rは、ある場合にはC~Cアルカミノ、C1~6アルコキシ、またはC~Cアルキルチオである。いくつかの実施形態では、Lは、Xと共に環を形成する。換言すれば、Lは、アルキレン基を含んでいる2つの独立な連結によってXに繋留されており、ここで連結におけるアルキレン基の数は、mおよびoによって表される整数である。
【0233】
【化84】
いくつかの実施形態では、Xは、-CH-、-NH-、N(AがXの置換基である場合)、-O-、および-S-からなる群から選択され、mは、1、2、3、または4に等しい整数であり、oは、1、2、3、または4に等しい整数であり、Aはヘテロシクリル基である。この場合、式(Id)は、化合物55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、101、または他のもののいずれか1つによって表され得る。
【0234】
代替として、いくつかの実施形態では、XはNであり、mは2に等しい整数であり、oは2に等しい整数であり、Aは、X上で置換されているアルキル基である。この場合(または他の場合)、式(Id)は、化合物77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、または他のもののいずれか1つによって表され得る。
【0235】
いくつかの実施形態では、式(Id-i)の化合物は、A、A、およびAが存在せず、Lが、必要に応じて置換されているN(Rであり、Rが、各場合、C1~6アルキルであり、Lが、Xと共に環を形成し、他の各変数が、本明細書の他所に開示されている通りである、化合物を含む。いくつかの実施形態では、L(例えば、XまたはLのメチレン)は、C~Cアルキルで必要に応じて置換されている。この場合(または他の場合)、式(Id-i)は、化合物77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、または他のもののいずれか1つによって表され得る。
【0236】
【化85】
【0237】
式(Id-i)のいくつかの実施形態では、Xは、-CH-、-NH-、および-O-からなる群から選択され、mは、1、2、3、または4に等しい整数であり、oは、1、2、3、または4に等しい整数である。この場合(または他の場合)、式(Id-1)は、化合物92、93、94、99、または他のもののいずれか1つによって表され得る。
【0238】
式(I)の構造のいくつかの実施形態は、式(Id-i)によって表され、ここで、A、A、およびAは存在せず、Aはピラゾールであり、Aは3,5-ジフルオロフェニルである。
【0239】
【化86】
が存在せず、Xが-NH-または-O-から選択され、mが2であり、oが2であり、他の各変数が、本明細書の他所に定義されている通りである、式(Id-ii)のいくつかの実施形態では、式(Id-i)は、化合物92、99、(または他のもの)によって表され得る。
【0240】
が存在せず、Xが-CH-から選択され、mが1であり、oが1であり、他の各変数が、本明細書の他所に定義されている通りである、式(Id-i)のいくつかの実施形態では、式(Id-i)は、化合物93または他のものによって表され得る。
【0241】
が-CHNH-であり、Xが-NH-または-O-から選択され、mが2であり、oが2であり、他の各変数が、本明細書の他所に定義されている通りである、式(Id-ii)のいくつかの実施形態では、式(Id-i)は、化合物101、102、または他のものによって表され得る。
【0242】
が-CHNH-であり、Xが-CH-から選択され、mが1であり、oが1であり、他の各変数が、本明細書の他所に定義されている通りである、式(Id-ii)のいくつかの実施形態では、式(Id-i)は、化合物100または他のものによって表され得る。
【0243】
式(Ie)の属および化合物
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ie)の構造によってさらに表され、ここで、Lは-NR-であり、Rは-Hであり、Aはメチレンであり、AおよびAは存在せず、Aはモルホリンであり、Aはピラゾールである。
【0244】
【化87】
が、
【0245】
【化88】
から選択され、他の各変数が、本明細書の他所に定義されている通りである、式(Ie)のいくつかの実施形態では、式(Ie)は、化合物103、104、105、または他のものによって表され得る。
【0246】
式(I)の化合物を作製する方法
本明細書で開示されている化合物は、下記の方法によって、またはこれらの方法を修正することによって合成され得る。方法を修正するやり方には、とりわけ、当業者に公知の温度、溶媒、試薬等が含まれる。一般に、本明細書で開示されている化合物の調製のための方法のいずれかの間に、関連分子のいずれかの上の感受性または反応性の基を保護することが必要であるおよび/または望ましいことがある。これは、従来の保護基、例えばProtective Groups in Organic Chemistry(J.F.W.McOmie編、Plenum Press、1973)およびP.G.M.Green、T.W.Wutts、Protecting Groups in Organic Synthesis(第3版)Wiley、New York(1999)に記載されているものを用いることによって達成することができ、これらの文献は、共にそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。保護基は、当技術分野で公知の方法を使用して、その後の好都合な段階で除去され得る。適用できる化合物の合成に有用な合成化学変換は、当技術分野で公知であり、それには、例えば、R.Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers、1989またはL.Paquette編、Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis、John Wiley and Sons、1995に記載されているものが含まれ、これらの文献は、共にそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に示され、記載されている経路は、単に例示的なものであり、いかなる方式でも特許請求の範囲を限定することを意図されておらず、そのように解釈されるべきでもない。当業者は、開示されている合成の修正を認識し、本明細書の開示に基づいて代替経路を考案することができよう。このようなすべての修正および代替経路は、特許請求の範囲内にある。
【0247】
以下のスキームにおいて、保護基は、必須の合成ステップとのそれらの適合性、ならびに導入および脱保護ステップと合成スキーム全体との適合性に合わせて選択される(P.G.M.Green、T.W.Wutts、Protecting Groups in Organic Synthesis(第3版)Wiley、New York(1999))。
【0248】
本発明の技術の化合物が、1つまたは複数のキラル中心を含有している場合、このような化合物は、純粋な立体異性体として、すなわち、個々の鏡像異性体もしくはd(l)立体異性体として、または立体異性体が濃縮された混合物として調製または単離することができる。このようなすべての立体異性体(および濃縮された混合物)は、別段指定されない限り、本発明の技術の範囲内に含まれる。純粋な立体異性体(または濃縮された混合物)は、例えば、当技術分野で周知の光学活性出発材料または立体選択的試薬を使用して調製され得る。代替として、このような化合物のラセミ混合物は、例えば、キラルカラムクロマトグラフィー、キラル分割剤等を使用して分離することができる。
【0249】
以下の反応の出発材料は、一般に公知の化合物であるか、または公知の手順もしくはその明らかな修正によって調製することができる。例えば、出発材料の多くは、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee、Wisconsin、USA)、Bachem(Torrance、California、USA)、Emka-ChemceまたはSigma(St.Louis、Missouri、USA)等の商業的供給業者から入手可能である。他のものは、Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis、第1~15巻(John Wiley、and Sons、1991)、Rodd's Chemistry of Carbon Compounds、第1~5巻および追補(Elsevier Science Publishers、1989)、Organic Reactions、第1~40巻(John Wiley、and Sons、1991)、March's Advanced Organic Chemistry(John Wiley、and Sons、第5版、2001)、ならびにLarock's Comprehensive Organic Transformations(VCH Publishers Inc.、1989)等の標準参考書に記載されている手順またはその明らかな修正によって調製され得る。
【0250】
いくつかの例示的な実施形態は、式(I)の化合物および/または式(I)の化合物の中間体を合成する方法に関する(図1A~2に示されている通り)。図1Aは、式(I)の化合物に至ることが可能ないくつかの経路を提供する。いくつかの実施形態では、図1Aの変数は、本明細書の他所に開示されている通りであり、X、X、およびXは、それぞれ、ハロゲン(例えば、-Cl)である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、図1Aまたは1Bに示されている通りに調製され得る。図1Aまたは1Bのいずれかに言及するいくつかの実施形態では、方法は、ステップ(i)、(ii)、(iii)、または前述のいずれかの組合せのいずれか1つまたは複数を含み得る。いくつかの実施形態では、ステップ(i)、(ii)、(iii)のいずれか1つは、省略することができる。例えば、いくつかの実施形態では、方法は、ステップiを含み得るが、iiまたはiiiは含まない。いくつかの実施形態では、方法は、ステップiおよびiiを含み得るが、iiiは含まない。いくつかの実施形態では、方法は、ステップi、ii、およびiiiを含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、ステップiiおよびiiiを含み得るが、ステップiは含まない。方法は、ステップiiを含み得るが、ステップiまたはiiiは含まない。方法は、ステップiiiを含み得るが、ステップiまたはiiは含まない。
【0251】
いくつかの実施形態では、ステップ(i)は、X、X、またはXの1つを置き換える試薬(例えば、H-LA、H-A、またはH-A(例えば、1.0当量))を提供することを含む。いくつかの実施形態では、ステップ(i)は、塩基(例えば、DIPEA、1.5当量)の存在下で行われる。いくつかの実施形態では、ステップ(i)は、極性非プロトン性溶媒(例えば、THF)の存在下で行われる。いくつかの実施形態では、ステップ(i)は、室温またはそれよりも低温(例えば、-78℃~R.T.)で行われる。
【0252】
いくつかの実施形態では、ステップ(ii)は、残りのX基の1つ(例えば、X、X、またはX)を置き換える試薬(例えば、H-LA、A、またはA(例えば、1.0当量))を提供することを含む。いくつかの実施形態では、試薬は、残りのX基を置き換える。いくつかの実施形態では、ステップ(ii)は、塩基(例えば、DIPEA、1.5当量)の存在下で行われる。いくつかの実施形態では、ステップ(ii)は、極性非プロトン性溶媒(例えば、THF)の存在下で行われる。いくつかの実施形態では、ステップ(ii)は、室温またはそれよりも高温(例えば、50℃)で行われる。
【0253】
いくつかの実施形態では、ステップ(iii)は、最後の残りのX基(例えば、X、X、またはX)を置き換える試薬(例えば、H-LA、A、またはA(例えば、1.0当量))を提供することを含む。いくつかの実施形態では、ステップ(iii)は、塩基(例えば、NaHまたはDIPEA、2.0当量)の存在下で行われる。いくつかの実施形態では、ステップ(iii)は、極性非プロトン性溶媒(例えば、THF)の存在下で行われる。いくつかの実施形態では、ステップ(iii)は、室温またはそれよりも高温(例えば、90℃)で行われる。
【0254】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、経路A、B、またはCのいずれか1つを介して調製することができ、ここで、ステップi、ii、iiiのいずれか1つは、省略することができる。いくつかの実施形態では、図1B(または図1Aまたは図2)の変数(ならびに試薬および/または反応物)は、以下の通り定義され得る。(i)NHA、A、またはA(例えば、1.0当量)、塩基(例えば、DIPEA、1.5当量)、溶媒(例えば、THF、-78℃~R.T.)、(ii)NHA、A、またはA(1.0当量)、塩基(例えば、DIPEA、1.5当量)、溶媒(例えば、THF)、制御された温度(例えば、50℃)において、(iii)NHA、A、またはA(3~5当量)、NaHまたはDIPEA(2当量)、THF、90℃。いくつかの実施形態では、本明細書の他所に開示されている通り、製造方法は、図1Bに提供されているいずれかのステップを含むまたは省略することができる。いくつかの実施形態では、経路A、B、またはCのいずれか1つが使用され得る。いくつかの実施形態では、方法は、図1AのA、BまたはCのいくつかのステップを含み得るが、他のものは含まない。
【0255】
図2は、図1Aおよび1Bに開示されている通り、より具体的な反応経路を提供する。いくつかの実施形態では、製造方法は、図2の3つの経路のいずれかからいくつかのステップを含み得るが、他のものは含まない。例えば、いくつかの実施形態では、方法は、ステップiを含み得るが、iiまたはiiiは含まない。いくつかの実施形態では、方法は、ステップiおよびiiを含み得るが、iiiは含まない。いくつかの実施形態では、方法は、ステップi、ii、およびiiiを含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、ステップiiおよびiiiを含み得るが、ステップiは含まない。方法は、ステップiiを含み得るが、ステップiまたはiiiは含まない。方法は、ステップiiiを含み得るが、ステップiまたはiiは含まない。
【0256】
いくつかの例示的な実施形態は、中間体化合物(例えば、式(I)の化合物を提供するために使用される化合物)に関する。いくつかの実施形態では、中間体化合物には、図1Aに示されている式(IX1,2,3)、(IX2,3)、(IX)、(IX1,3)、(IX)、(IX1,2)、(IX)、および(IX1,2,3)のいずれか1つの化合物が含まれ、ここで、Xはハロゲンである。
【0257】
投与および医薬組成物
化合物は、治療有効投与量で投与される。ヒト投与量レベルは、まだ本明細書に記載の化合物に合わせて最適化されていないが、一般に、1日用量は、体重1kg当たり約0.25mg/kg~約120mg/kgもしくはそれ超、約0.5mg/kgもしくはそれ未満~約70mg/kg、体重1kg当たり約1.0mg/kg~約50mg/kg、または体重1kg当たり約1.5mg/kg~約10mg/kgであり得る。したがって、70kgのヒトへの投与のための投与量範囲は、1日約17mg~1日約8000mg、1日約35mgまたはそれ未満~1日約7000mgもしくはそれ超、1日約70mg~1日約6000mg、1日約100mg~1日約5000mg、または1日約200mg~約3000mgになるはずである。投与される活性化合物の量は、当然のことながら、処置される対象および病状、苦痛の重症度、投与の方式およびスケジュール、ならびに処方医の判断に依存して決まることになる。
【0258】
本明細書で開示されている化合物または薬学的に許容されるその塩の投与は、経口、皮下、静脈内、鼻腔内、局所、経皮、腹腔内、筋肉内、肺内、膣内、直腸内、または眼内を含むがこれらに限定されない、類似の有用性を果たす薬剤の許容された投与方法のいずれかにより行うことができる。経口および非経口投与は、好ましい実施形態の対象となる適応症の処置において慣習的である。
【0259】
前述の通り有用な化合物は、これらの状態の処置において使用するための医薬組成物に製剤化することができる。標準医薬製剤化技術、例えばRemington's The Science and Practice of Pharmacy、第21版、Lippincott Williams&Wilkins(2005)に開示されている技術が使用され、この文献は、その全体が参照により組み込まれる。したがって、一部の実施形態は、(a)安全な治療有効量の本明細書に記載されている化合物(その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、互変異性体、多形、および溶媒和物を含む)、または薬学的に許容されるその塩、ならびに(b)薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤またはその組合せを含む医薬組成物を含む。
【0260】
一部の実施形態は、前述の通り有用な選択された化合物に加えて、薬学的に許容される担体を含有している組成物を含む。「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤、ならびに吸収遅延剤等を含む。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は、当技術分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性成分と不適合である場合を除いて、治療組成物におけるその使用が企図される。加えて、当技術分野において一般に使用されるもの等の様々なアジュバントが含まれ得る。医薬組成物に様々な構成成分を包含するための考察は、例えば、Gilmanら(編)(1990);Goodman and Gilman's:The Pharmacological Basis of Therapeutics、第8版、Pergamon Pressに記載されており、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0261】
薬学的に許容される担体またはその構成成分として働くことができる物質のいくつかの例は、糖、例えばラクトース、グルコースおよびスクロース;デンプン、例えばコーンスターチおよびジャガイモデンプン;セルロースおよびその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、およびメチルセルロース;粉末化トラガント;麦芽;ゼラチン;タルク;固体滑沢剤、例えばステアリン酸およびステアリン酸マグネシウム;硫酸カルシウム;植物油、例えばピーナッツ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびカカオ油;ポリオール、例えばプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコール;アルギン酸;乳化剤、例えばTWEENS;湿潤剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム;着色剤;香味剤;打錠用薬剤、安定剤;抗酸化剤;防腐剤;発熱物質を含まない水;等張食塩水;ならびにリン酸緩衝溶液である。
【0262】
主題の化合物と併用される薬学的に許容される担体の選択は、基本的に、化合物が投与されるやり方によって決定される。
【0263】
本明細書に記載されている組成物は、好ましくは単位剤形で提供される。本明細書で使用される場合、「単位剤形」は、適切な医療行為に従って、動物、好ましくは哺乳動物対象に単回用量で投与するのに適した量の化合物を含有している組成物である。しかし、単一または単位剤形の調製は、この剤形が、1日1回または治療過程で1回投与されることを暗示するものではない。このような剤形は、1日1回、2回、3回またはそれよりも多く投与されることが企図され、ある期間にわたって(例えば、約30分間から約2~6時間)注入として投与するかまたは持続注入として投与することができ、治療過程中2回以上与えることができるが、単回投与が特に除外されるわけではない。当業者には、製剤が、特に治療過程全体を企図しているわけではないことが認識され、このような決定は、製剤化ではなく処置の分野の当業者に任される。
【0264】
前述の通り有用な組成物は、様々な投与経路のための、例えば、経口、経鼻、直腸、局所(経皮を含む)、眼、脳内、頭蓋内、髄腔内、動脈内、静脈内、筋肉内、皮下、または他の非経口(parental)投与経路のための、様々な適切な形態のいずれかであり得る。一部の実施形態では、組成物は、皮下投与に適した形態であり得る。当業者は、経口および経鼻組成物が、吸入によって投与され、利用可能な方法を使用して作製された組成物を含むことを十分理解されよう。所望の特定の投与経路に応じて、当技術分野で周知の様々な薬学的に許容される担体が使用され得る。薬学的に許容される担体には、例えば、固体または液体の充填剤、希釈剤、利尿剤(hydrotropies)、表面活性剤、および被包物質が含まれる。化合物の阻害活性を実質的に妨害しない、必要に応じた薬学的に活性な材料が含まれ得る。化合物と共に用いられる担体の量は、化合物の単位用量当たりの投与のための材料の実際的な量を提供するのに十分な量である。本明細書に記載されている方法において有用な剤形を作製するための技術および組成物は、以下の参考文献に記載されており、これらの文献は、すべて参照により本明細書に組み込まれる。Modern Pharmaceutics、第4版、第9章および第10章(Banker&Rhodes編、2002)、Liebermanら、Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets(1989)、およびAnsel、Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms 第8版(2004)。
【0265】
錠剤、カプセル剤、顆粒剤および原薬粉末などの固体形態を含む様々な経口剤形を使用することができる。適切な結合剤、滑沢剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、香味剤、流動化剤、および溶融剤を含有している錠剤を、圧縮し、錠剤粉砕し(triturates)、腸溶コーティングし、糖コーティングし、フィルムコーティングし、または多重圧縮する(multiple-compressed)ことができる。液体経口剤形には、適切な溶媒、防腐剤、乳化剤、懸濁化剤、希釈剤、甘味剤、溶融剤、着色剤および香味剤を含有している水溶液剤、エマルション、懸濁液、非発泡性顆粒から復元された溶液剤および/または懸濁液、ならびに発泡性顆粒から復元された発泡性調製物が含まれる。
【0266】
経口投与のための単位剤形の調製物に適した薬学的に許容される担体は、当技術分野で周知である。錠剤は、典型的に、不活性希釈剤として、従来の薬学的に適合性のアジュバント、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、ラクトースおよびセルロース;結合剤、例えばデンプン、ゼラチンおよびスクロース;崩壊剤、例えばデンプン、アルギン酸およびクロスカルメロース(croscarmelose);滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸およびタルクを含む。流動促進剤、例えば二酸化ケイ素を使用して、粉末混合物の流動性の特徴を改善することができる。着色剤、例えばFD&C色素を、外観のために添加することができる。甘味剤および香味剤、例えばアスパルテーム、サッカリン、メントール、ペパーミント、およびフルーツフレーバーは、チュアブル錠剤に有用なアジュバントである。カプセル剤は、典型的に、先に開示されている1種または複数の固体希釈剤を含む。担体構成成分の選択は、味、費用、および貯蔵安定性等の二次的な考慮事項に応じて行われるが、これらは決定的なものではなく、当業者が容易に行うことができる。
【0267】
経口組成物には、液体溶液、エマルション、懸濁液等も含まれる。このような組成物の調製に適した薬学的に許容される担体は、当技術分野で周知である。シロップ、エリキシル、エマルションおよび懸濁液のための担体の典型的な構成成分には、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液体スクロース、ソルビトールおよび水が含まれる。懸濁液について、典型的な懸濁化剤には、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、AVICEL RC-591、トラガントおよびアルギン酸ナトリウムが含まれ、典型的な湿潤剤には、レシチンおよびポリソルベート80が含まれ、典型的な防腐剤には、メチルパラベンおよび安息香酸ナトリウムが含まれる。経口液体組成物は、先に開示されている甘味剤、香味剤および着色剤等の1種または複数の構成成分も含有し得る。
【0268】
このような組成物はまた、主題の化合物が所望の局所適用の近傍の胃腸管内で放出されるか、または所望の作用を延長するために様々な時間に放出されるように、典型的にpHまたは時間依存性コーティングを用いる従来の方法によってコーティングされ得る。このような剤形は、典型的に、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ポリビニルアセテート、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、Eudragitコーティング、ワックスおよびセラックの1つまたは複数を含むが、これらに限定されない。
【0269】
本明細書に記載されている組成物は、必要に応じて他の薬物活性物質を含み得る。
【0270】
主題の化合物を全身送達するのに有用な他の組成物には、舌下、口腔内頬側および経鼻剤形が含まれる。このような組成物は、典型的に、可溶性充填物質、例えばスクロース、ソルビトールおよびマンニトール、ならびに結合剤、例えばアカシア、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースの1つまたは複数を含む。先に開示されている流動促進剤、滑沢剤、甘味剤、着色剤、抗酸化剤および香味剤も含まれ得る。
【0271】
本明細書で開示されている医薬組成物において使用され得る防腐剤には、塩化ベンザルコニウム、PHMB、クロロブタノール、チメロサール、フェニル水銀、酢酸塩および硝酸フェニル水銀が含まれるが、これらに限定されない。有用な界面活性剤は、例えばTween 80である。同様に、有用な様々なビヒクルが、本明細書で開示されている眼科用調製物において使用され得る。これらのビヒクルには、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよび精製水が含まれるが、これらに限定されない。
【0272】
必要な場合または好都合な場合には、浸透圧調整剤が添加され得る。浸透圧調整剤には、塩、特に塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトールおよびグリセリン、または眼科的に許容される任意の他の適切な浸透圧調整剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0273】
結果として生じる調製物が眼科的に許容される限り、様々な緩衝剤およびpHを調整するための手段が使用され得る。多くの組成物について、pHは4~9の間である。したがって、緩衝剤には、酢酸緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、リン酸緩衝剤およびホウ酸緩衝剤が含まれる。これらの製剤のpHを調整するために、必要な場合には酸または塩基が使用され得る。
【0274】
局所使用のために、本明細書で開示されている化合物を含有しているクリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、溶液剤または懸濁液等が用いられる。局所製剤は、一般に、薬学的担体、共溶媒、乳化剤、浸透促進剤、防腐剤系、および皮膚軟化薬から構成され得る。
【0275】
静脈内投与では、本明細書に記載されている化合物および組成物は、薬学的に許容される希釈剤、例えば食塩水またはデキストロース溶液に溶解または分散させることができる。所望のpHを達成するために、NaOH、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、HCl、およびクエン酸を含むがこれらに限定されない、適切な賦形剤が含まれ得る。様々な実施形態では、最終組成物のpHは、2~8、または好ましくは4~7の範囲である。抗酸化賦形剤には、亜硫酸水素ナトリウム、アセトン亜硫酸水素ナトリウム、ホルムアルデヒドナトリウム、スルホキシレート、チオ尿素、およびEDTAが含まれ得る。最終的な静脈内組成物に見出される適切な賦形剤の他の非限定的な例として、リン酸ナトリウムまたはリン酸カリウム、クエン酸、酒石酸、ゼラチン、ならびに炭水化物、例えばブドウ糖、マンニトールおよびデキストランを挙げることができる。さらに許容される賦形剤は、Powellら、Compendium of Excipients for Parenteral Formulations、PDA J Pharm Sci and Tech 1998、52 238~311頁およびNemaら、Excipients and Their Role in Approved Injectable Products:Current Usage and Future Directions、PDA J Pharm Sci and Tech 2011、65 287~332頁に記載されており、これらの文献は共に、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。静菌性または静真菌性溶液を達成するために、硝酸フェニル水銀、チメロサール、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、フェノール、クレゾール、およびクロロブタノールを含むがこれらに限定されない、抗菌剤も含まれ得る。
【0276】
静脈内投与のための組成物は、投与直前に適切な希釈剤、例えば無菌水、食塩水または水中ブドウ糖で復元される1種のさらなる(one more)固体の形態で、介護者に提供され得る。他の実施形態では、組成物は、非経口投与の準備ができている溶液で提供される。さらに他の実施形態では、組成物は、投与前にさらに希釈される溶液で提供される。本明細書に記載されている化合物と別の薬剤との組合せを投与することを含む実施形態において、この組合せは、混合物として介護者に提供され得るか、または介護者が投与前に2種の薬物を混合し得るか、または2種の薬剤が別個に投与され得る。
【0277】
本明細書に記載されている活性化合物の実際の用量は、特定の化合物、および処置される状態に応じて決まり、適切な用量の選択は、十分に当業者の知識の範囲内である。
【0278】
本明細書に記載されている化合物および組成物は、所望に応じて、活性成分を含有している1つまたは複数の単位剤形が入ったパックまたはディスペンサーデバイスで提示され得る。このようなパックまたはデバイスは、例えば、金属もしくはプラスチック箔、例えばブリスターパック、またはガラス、およびバイアル等におけるゴムストッパーを含み得る。パックまたはディスペンサーデバイスは、投与のための使用説明書を伴い得る。適合性の薬学的担体中で製剤化される、本明細書に記載されている化合物および組成物はまた、調製され、適切な容器に入れられ、指定された状態の処置のためのラベルが付され得る。
【0279】
製剤における化合物の量は、当業者によって用いられる全範囲内で変わることができる。典型的に、製剤は、製剤全体に基づいて、重量パーセント(wt%)ベースで約0.01~99.99wt%の本発明の技術による化合物を含有し、残りは1種または複数の適切な医薬賦形剤である。好ましくは、化合物は、約1~80wt%のレベルで存在する。代表的な医薬製剤は、以下に記載されている。
【0280】
いくつかの実施形態では、「カルボキシルエステル」、「カルボキシレートエステル」、または「カルボン酸エステル」は、「カルボン酸」のプロドラッグとして使用することができる。
【0281】
製剤例
以下は、式(I)の化合物を含有している代表的な医薬製剤である。
【0282】
製剤例1-錠剤製剤
以下の成分を十分に混合し、割線入りの単一錠剤に圧縮する。
【0283】
【表1】
【0284】
製剤例2-カプセル製剤
以下の成分を十分に混合し、硬質シェルゼラチンカプセル剤に詰める。
【0285】
【表2】
【0286】
製剤例3-懸濁液製剤
以下の成分を混合して、経口投与のための懸濁液を形成する。
【0287】
【表3】
【0288】
製剤例4-注射可能な製剤
以下の成分を混合して、注射可能な製剤を形成する。
【0289】
【表4】
【0290】
製剤例5-坐剤製剤
本発明の技術による化合物をWitepsol(登録商標)H-15(飽和植物脂肪酸のトリグリセリド、Riches-Nelson,Inc.、New York)と混合することによって、全重量2.5gの坐剤を調製し、この坐剤は、以下の組成を有している。
【0291】
【表5】
【0292】
処置方法
本明細書で開示されている式(I)の化合物またはそれらの互変異性体および/もしくは薬学的に許容されるその塩は、JMJD3の阻害剤として有効に作用することができる。一部の実施形態は、本明細書で開示されている1つまたは複数の化合物および薬学的に許容される賦形剤を含んでいる医薬組成物を提供する。
【0293】
一部の実施形態は、対象における1つまたは複数の炎症性疾患または自己免疫疾患を防止、処置、または改善する方法を提供する。一部の実施形態では、方法は、本明細書で開示されている化合物の1つまたは複数を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、本明細書で開示されている化合物の1つまたは複数の薬学的に許容されるその塩を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。
【0294】
一部の実施形態は、炎症性腸疾患(IBD)を防止、処置、または改善する方法を提供する。一部の実施形態は、潰瘍性大腸炎、クローン病、アトピー性皮膚炎、乾癬、全身性エリテマトーデス、アテローム性動脈硬化症、および1型糖尿病を防止、処置、または改善する方法を提供する。一部の実施形態は、移植片対宿主病(GVHD)、1型糖尿病(T1D)、潰瘍性大腸炎、クローン病、全身性エリテマトーデス、喘息、関節リウマチ、多発性硬化症、脳脊髄炎、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、自己免疫性肝炎、ベーチェット病、キャッスルマン病、アレルギー性鼻炎、湿疹、ドレスラー症候群、好酸球性食道炎、ギラン・バレー症候群、若年性関節炎、川崎病、喘息、肺アレルギー、およびアトピー性皮膚炎を防止、処置、または改善する方法を提供する。一部の実施形態では、方法は、本明細書で開示されている化合物の1つまたは複数を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、本明細書で開示されている化合物の1つまたは複数の薬学的に許容されるその塩を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。
【0295】
一部の実施形態では、本明細書で開示されている化合物の1つまたは複数を投与する方法は、炎症性疾患または自己免疫疾患の防止、処置、または改善をもたらす。一部の実施形態では、本明細書で開示されている化合物の1つまたは複数を投与する方法は、潰瘍性大腸炎、クローン病、アトピー性皮膚炎、乾癬、全身性エリテマトーデス、アテローム性動脈硬化症、および1型糖尿病の防止、処置、または改善をもたらす。一部の実施形態では、方法は、本明細書で開示されている化合物の1つまたは複数の薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む。
【0296】
JMJD3阻害剤は、いくつかのがん型、すなわち、腎臓、乳房、前立腺、皮膚、造血系、骨髄異形成症候群(MDS)、食道扁平上皮細胞癌、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、および卵巣がんの進行および/または転移の潜在的可能性に関与するとされてきた。高JMJD3発現は、胃がん(GC)を有している患者の全生存期間の短縮と相関しており、独立な予後予測因子であった。重要なことに、JMJD3阻害剤は、ヒトGC細胞系におけるJMJD3過剰発現の発癌効果を食い止めることができた。いくつかの実施形態では、開示されている化合物は、がんを処置するために使用される。一部の実施形態では、がんは、結腸直腸、胃(gastric)、胃(stomach)、食道、肝臓、膵臓、乳房、前立腺、膀胱、腎臓、卵巣、肺、黒色腫、および多発性骨髄腫からなる群から選択される。一部の実施形態では、がんは、腎臓がん、乳がん、去勢抵抗性前立腺がん、急性骨髄性白血病(AML)、黒色腫、ホジキンリンパ腫(HL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、骨髄異形成症候群(MDS)、食道扁平上皮細胞癌、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、および卵巣がんからなる群から選択される。一部の実施形態では、がんは、前立腺、皮膚、造血系、骨髄異形成症候群(MDS)、食道扁平上皮細胞癌、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、および卵巣がんからなる群から選択される。一部の実施形態では、方法は、本明細書で開示されている化合物の1つまたは複数を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、本明細書で開示されている化合物の1つまたは複数の薬学的に許容されるその塩を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。
【0297】
一部の実施形態では、本明細書で開示されている化合物の1つまたは複数を投与する方法は、前記対象の1つまたは複数の臓器におけるJMJD3の活性の阻害をもたらす。いくつかの実施形態では、JMJD3の活性の阻害は、炎症促進シグナルの発現および/または活性を抑制する。いくつかの実施形態では、炎症促進シグナルは、1つまたは複数のサイトカインであり得る。いくつかの実施形態では、サイトカインには、TNF-アルファ(TNFA)、インターロイキン6(IL6)、インターロイキン1ベータ(IL1B)、MCP1およびインターロイキン8(IL8)が含まれる。一部の実施形態では、方法は、本明細書で開示されている化合物の1つまたは複数の薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む。
【0298】
一部の実施形態は、本明細書に記載されている化合物、組成物、および/または医薬組成物を、さらなる医薬品と併用投与することを含む。「併用投与」とは、2種以上の薬剤が、実際にいつまたはどのように投与されるかにかかわらず、患者の血流中に同時に見出され得ることを意味する。一実施形態では、薬剤は、同時に投与される。このような一実施形態では、組合せでの投与は、複数の薬剤を単一剤形に組み合わせることによって達成される。別の実施形態では、薬剤は、逐次的に投与される。一実施形態では、薬剤は、同じ経路を介して、例えば経口投与される。別の実施形態では、薬剤は、異なる経路を介して投与され、例えば、1種は皮下投与され、別のものは経口投与され、別のものはi.v.投与される。
【0299】
以下の実施例は、本開示の様々な実施形態を例示する目的で与えられており、本開示を限定することを意味するものでは決してない。当業者は、本開示が、目的を達成し、言及されている最終目標および利点を得るために十分に適合されており、それらの目的、最終目標および利点が本明細書において固有であることを、容易に理解されよう。特許請求の範囲によって定義される本開示の精神に包含されるそれらの変更および他の使用を、当業者は思い付かれよう。
【実施例1】
【0300】
トリアジンの合成
すべての反応を、アルゴン雰囲気下で行った。試薬および溶媒は、商業的供給源からさらなる精製なしに使用した。水素化反応は、バルーン下で行った。マイクロ波反応は、CEM Discover SPマイクロ波合成機を使用して実施した。試料精製は、ELSD精製系を伴うBuchi Pureflashで、商業的に入手可能なプレパック済みシリカゲルカラムを使用して実施した。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、アルミニウムプレート上で、紫外線(254nm)下で、または過マンガン酸カリウムもしくはニンヒドリン溶液で適宜染色することによって可視化される、Merck Kiesegel 60 F254(230~400メッシュ)蛍光処理シリカを使用して実施した。すべての核磁気共鳴(NMR)スペクトルを、Bruker Avance III HD 400MHz NMR分光計で獲得した。化学シフトをppm(δ)で報告する。HPLC/MSを、Shidmazu Nexera X2 UHPLCに接続したSciex 5500 Qtrap質量分析で、Phenomenex Luna C18カラム(50×2.0mm、3μm粒径)を使用して以下の方法により実施した。勾配移動相Aは、水中0.1%ギ酸を含有しており、移動相Bは、アセトニトリル中0.1%ギ酸を含有しており、A/B(95:5)0~0.9分からA/B(5:95)0.9~2.2分まで、A/B(5:95)2.2~4.14分からA/B(95:5)4.14~4.20分、A/B(95:5)4.2~6分まで。流速は0.4mL/分であり、カラム温度は35℃で維持し、オートサンプラー温度は4℃で維持した。イオンスプレー電圧、乾燥ガス温度、イオン供給源ガス1、およびイオン供給源ガス2の設定を、4500V、500℃、35V、および45Vにし、ESIを、フルスキャンを使用して正モードに設定した。すべての化合物の純度を、Agilent 1260 Infinity II Lab LCシリーズHPLC(1260 Quatpum、1260バイアルオートサンプラー、ICCカラムオーブン、1260DAD WR検出器)で分析した。試料を、Phenomenex Synergi Polar RPカラム(150×4.6mm、4μm、80Å)に注入した。勾配移動相(A:0.1%トリフルオロ酢酸を含む水、B:0.1%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル、A/B(99:1)で0分からA/B(1:99)0~15分、A/B(1:99)15~18分、A/B(99:1)18~18.1分、A/B(99:1)18.1~20分まで)を、1mL/分の流速でポンプ注入した。UV検出器を、35℃のカラムオーブンを用いて254nmに設定した。注入量は、別段特定されない限り10μLであった。生物学的アッセイにおいて評価したすべての化合物は、90%以上を有しており、動物実験では、95%純度以上を有していた。
【0301】
化合物を、図2に示されている一般的スキーム1に図示されている通り、トリアジン足場の3つの連続的なクロロ置換によって一般に調製した。いくつかの実施形態では、スキーム1の条件には、以下が含まれる。(i)NHR、ピラゾール、またはNR(1.0当量)、DIPEA(1.5当量)、THF、-78℃~R.T.、(ii)NHR、ピラゾール、またはNR(1.0当量)、DIPEA(1.5当量)、THF、50℃、(iii)NHR、ピラゾール、またはNR(3~5当量)、NaHまたはDIPEA(2当量)、THF、90℃。
【0302】
ピラゾール-トリアジンコアがJMJD3の活性を阻害する傾向を調べるために、6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジンアナログを、商業的に入手可能な(commercially)塩化シアンから合成した。6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジンの2,4置換の構造活性相関(SAR)を、効力をさらに増強するための計算的ドッキングを使用して、様々な基で研究した。本明細書で開示されているすべての構造を、計算的分子ドッキングによって、入手可能なソフトウェアSeeSAR v.10を使用して試験した。化合物の公開されている結晶構造データを使用して、JMJD3タンパク質に結合したJMJD3阻害剤(6G8F-GSK-J1)の親和性結合を推定した。JMJD3タンパク質を使用して生成されたデータを使用して、JMJD3タンパク質結合ポケットに対して良好な親和性を有している化合物を評価した。それらの化合物のそれぞれは、本明細書で開示されている。
【0303】
以下は、本明細書で開示されている化合物を調製するための代表的な方法を提供する。当業者は、この指針および本開示の残りによって提供される指針を考慮して、本明細書で開示されている各構造を調製することができよう。
【実施例2】
【0304】
エチル3-((4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート(INT1)の合成
【0305】
【化89】
【0306】
-78℃に冷却したシアヌル酸クロリド(1.00g、5.42mmol)の無水THF(20mL)溶液に、アルゴン雰囲気下でβ-アラニンエチルエステル(esther)塩酸塩(0.83g、5.42mmol)を添加し、5分間撹拌した後、DIPEA(1.05g、8.13mmol)を添加した。反応混合物を、添加のため1時間撹拌し、次に0℃にゆっくり平衡化し、その温度で一晩維持した。反応物を、酢酸エチル(2×50mL)で抽出し、飽和NaHCOで洗浄し、続いてブラインで洗浄した。合わせた有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物を、Buchi Pureflashクロマトグラフィーによってシリカゲルカートリッジ(80g)上で100%CHClを用いて精製して、エチル3-((4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート(1.09g、76%)を白色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 6.45 (bs, 1H), 4.15 (q, 2H, J = 8.0 Hz), 3.74 (q, 2H, J = 8.0 Hz), 2.61 (t, 2H, J = 8.0 Hz), 1.25 (t, 3H, J = 8.0 Hz). MS (ESI): C8H10Cl2N4O2の計算値: 265, 実測値265 (M)+
【実施例3】
【0307】
エチル3-((4-クロロ-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート(INT2)の合成
【0308】
【化90】
【0309】
エチル3-((4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート(0.20g、0.75mmol)の無水THF(6mL)溶液に、DIPEA(0.16g、1.51mmol)およびピラゾール(0.05g、0.75mmol)をアルゴン雰囲気下で添加した。封止した管を、50℃で4日間加熱した。冷却した反応物を、8:2のジクロロメタン/イソプロパノール混合物(3×20mL)で抽出し、飽和NaHCOで洗浄し、続いてブラインで洗浄した。合わせた有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物を、Buchi Pureflashクロマトグラフィーによってシリカゲルカートリッジ(40g)上で97:3のCHCl:MeOHと0.7Nアンモニアを用いて精製して、エチル3-((4-クロロ-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート(0.13g、60%)を白色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.50 (dd, 1H, J = 12.0, 4.0 Hz), 7.83 (dd, 1H, J = 16.0, 4.0 Hz), 6.51 (bs, 1H), 6.48 (m, 1H), 4.16 (q, 2H, J = 8.0 Hz), 8.81 (q, 2H, J = 8.0 Hz), 2.63 (t, 2H, J = 8.0 Hz), 1.25 (t, 3H, J = 8.0 Hz). MS (ESI): C11H13ClN6O2の計算値: 296, 実測値297 (M)+および319 (M+23)+
【実施例4】
【0310】
エチル3-((4-(1H-ピラゾール-1-イル)-6-(1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-ベンゾ[d]アゼピン-3-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート(化合物1)の合成
【0311】
【化91】
【0312】
エチル3-((4-クロロ-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート(0.10g、0.34mmol)の無水THF(2mL)溶液に、DIPEA(0.11g、0.84mmol)および2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-3-ベンゾアゼピン(0.99g、0.67mmol)をアルゴン雰囲気下で添加した。封止した管を、50℃で一晩加熱した。冷却した反応物を、8:2のジクロロメタン/イソプロパノール混合物(3×20mL)で抽出し、飽和NaHCOで洗浄し、続いてブラインで洗浄した。合わせた有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物を、Buchi Pureflashクロマトグラフィーによってシリカゲルカートリッジ(40g)上で97:3のCHCl:MeOHと0.7Nアンモニアを用いて精製して、エチル3-((4-(1H-ピラゾール-1-イル)-6-(1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-ベンゾ[d]アゼピン-3-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート(0.12g、86%)を薄黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.50 (dd, 1H, J = 12.0, 4.0 Hz), 7.75 (dd, 1H, J = 12.0, 4.0 Hz), 7.14 (s, 4H), 6.41 (m, 1H), 5.80 (t, 1H, J = 4.0 Hz), 4.15 (q, 2H, J = 8.0 Hz), 4.02 (m, 4H), 3.76 (q, 2H, J = 8.0 Hz), 2.97 (m, 4H), 2.63 (t, 2H, J = 8.0 Hz), 1.25 (t, 3H, J = 8.0 Hz). MS (ESI): C21H25N7O2の計算値: 407, 実測値408 (M)+
【実施例5】
【0313】
エチル3-((4,6-ジ(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート(化合物2)の合成
【0314】
【化92】
【0315】
エチル3-((4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート(0.15g、0.57mmol)の無水THF(3mL)溶液に、DIPEA(0.22g、1.70mmol)およびピラゾール(0.19g、2.82mmol)をアルゴン雰囲気下で添加した。封止した管を、90℃で4日間加熱した。冷却した反応物を、その溶媒から除去し、Buchi Pureflashクロマトグラフィーによってシリカゲルカートリッジ(40g)上で95:5のCHCl:MeOHと0.7Nアンモニアを用いてすぐに精製して、エチル3-((4,6-ジ(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート(0.18g、99%)をオフホワイト色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.63 (dd, 2H, J = 12.0, 4.0 Hz), 7.84 (dd, 2H, J = 12.0, 2.0 Hz), 7.33 (bs, 0.5 H), 6.49 (m, 2H), 6.33 (t, 0.5 H, J = 4.0 Hz), 4.15 (q, 2H, J = 12.0, 4.0 Hz), 3.92 (q, 2H, J = 12.0, 4.0 Hz), 2.67 (t, 2H, J = 8.0 Hz), 1.24 (t, 3H, J = 8.0 Hz). MS (ESI): C14H16N8O2の計算値: 328, 実測値329 (M+1)+および351 (M+23)+
【実施例6】
【0316】
1-(4-クロロ-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1H-インドール(INT3)の合成
【0317】
【化93】
【0318】
インドール(2.54g、21.69mmol)の無水THF(30mL)溶液に、氷浴下で60%水素化ナトリウム(1.08g、27.11mmol)を一度に添加し、気泡が放出されなくなるまで撹拌した。別個のフラッシュ(flush)に、無水THF(30mL)中塩化シアン(4.00g、21.69mmol)をアルゴン下で充填し、-78℃に冷却した。インドール/水素化ナトリウム溶液を、-78℃の下で20分間にわたってゆっくりカニューレ処理した(cannula)。混合物を、90分間撹拌し、LCMSによってモニタリングした(質量265)。完了後、DIPEA(5.61g、43.38mmol)およびピラゾール(1.55g、22.78mmol)を添加し、次に撹拌しながら2時間、0℃に平衡化した。次に、混合物を、室温で2日間撹拌した。完了後、混合物を、セライトパッドを介して濾過し、酢酸エチルおよびジクロロメタンで十分に洗浄した。有機層を、ブライン(400mL)で洗浄し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物を、Buchi Pureflashクロマトグラフィーによってシリカゲルカートリッジ(120g)上で100%ジクロロメタンを用いて精製して、1-(4-クロロ-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1H-インドール(1.30g、20%)を軽い粉末の黄色固体として得た。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.87 (dd, 1H, J = 48, 4.0 Hz), 8.83 (dd, 1H, J = 44, 8.0 Hz), 8.33 (dd, 1H, J = 28, 2.0 Hz), 8.09 (dd, 1H, J = 16.0, 4.0 Hz), 7.68 (dd, 1H, J = 12.0, 4.0 Hz), 7.47-7.26 (m, 2H), 6.91 (ddd, 1H, J = 36, 4.0, 2.0 Hz), 6.77 (m, 1H). MS (ESI): C14H9ClN6の計算値: 296, 実測値297 (M+1)+
【実施例7】
【0319】
4-(1H-インドール-1-イル)-N-(2-メトキシエチル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン(化合物89)の合成
【0320】
【化94】
【0321】
エチル1-(4-クロロ-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1H-インドール(0.10g、0.34mmol)の無水THF(2mL)溶液に、DIPEA(0.09g、0.67mmol)および2-メトキシエチルアミン(0.13g、1.69mmol)をアルゴン雰囲気下で添加した。封止した管を、50℃で20時間加熱した。冷却した反応物を、8:2のジクロロメタン/イソプロパノール混合物(3×20mL)で抽出し、飽和NaHCOで洗浄し、続いてブラインで洗浄した。合わせた有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物を、Buchi Pureflashクロマトグラフィーによってシリカゲルカートリッジ(40g)上で100%酢酸エチルを用いて精製して、4-(1H-インドール-1-イル)-N-(2-メトキシエチル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン(0.04g、39%)を白色の固体として得た。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.88 (dd, 1H, J = 64.0, 8.0 Hz), 8.8 (dd, 1H, J = 28.0, 4.0 Hz), 8.63 (dt, 1H, J = 16.0, 4.0 Hz), 8.35 (dd, 1H, J = 32.0, 4.0 Hz), 7.95 (dd, 1H, J = 4.0, 2.0 Hz), 7.65 (m, 1H), 7.36 (m, 1H), 7.25 (m, 1H), 6.83 (dd, 1H, J = 8.0, 4.0 Hz, 6.66 (m, 1H), 3.67 (m, 2H), 3.59 (m, 2H), 3.31 (s, 3H). MS (ESI): C17H17N7Oの計算値: 335, 実測値336 (M)+および358 (M+Na)+
【実施例8】
【0322】
1-(4-(ピペラジン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1H-インドール(化合物90)の合成
【0323】
【化95】
【0324】
エチル1-(4-クロロ-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1H-インドール(0.10g、0.34mmol)の無水THF(2mL)溶液に、ピペラジン(0.17g、2.02mmol)をアルゴン雰囲気下で添加した。封止した管を、50℃で20時間加熱した。冷却した反応物を、8:2のジクロロメタン/イソプロパノール混合物(3×20mL)で抽出し、飽和NaHCO(2×20mL)で洗浄し、続いてブラインで洗浄した。合わせた有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。生成物を、ジクロロメタン中で沈殿させ、濾過によって収集して、1-(4-(ピペラジン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1H-インドール(0.05g、47%)を白色の固体として得た。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6 /MeOD): δ 8.72 (s, 1H), 8.37 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.87 (s, 1H), 7.60 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.37 (m, 1H), 7.25 (m, 1H), 6.72 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 6.59 (d, 1H, J = 0.2 Hz) 4.27 (bs, 2H), 4.23 (bs, 2H), 1.22 (bs, 4H), 1.11 (d, 1H, J = 8.0 Hz). MS (ESI): C18H18N8の計算値: 346, 実測値347 (M)+
【実施例9】
【0325】
1-(4-(シクロペンチルオキシ)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1H-インドール(化合物95)の合成
【0326】
【化96】
【0327】
-78℃に冷却したエチル1-(4-クロロ-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1H-インドール(0.10g、0.34mmol)の無水THF(2mL)溶液に、アルゴン下でペンタノール(0.04g、0.40mmol)およびカリウムtert-ブトキシド(0.04g、0.37mmol)を添加し、25分間撹拌した。次に、混合物を、室温に平衡化し、一晩(24時間)撹拌した。反応を水でクエンチし、次に8:2のジクロロメタン/イソプロパノール混合物(3×20mL)で抽出し、ブラインで洗浄した。合わせた有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物を、Buchi Pureflashクロマトグラフィーによってシリカゲルカートリッジ(24g)上で100%ジクロロメタンを用いて精製して、1-(4-(シクロペンチルオキシ)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1H-インドール(0.05g、42%)を白色の固体として得た。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.85 (m, 2H), 8.35 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 8.03 (d, 1H, J = 0.5 Hz), 7.68 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.42 (dt, 1H, J = 8.0, 0.5 Hz), 7.30 (dt, 1H, J = 8.0, 0.5 Hz), 6.89 (dd, 1H, J = 4.0, 0.2 Hz), 6.71 (dd, 1H, J = 4.0, 4.0, Hz), 5.66 (m, 1H), 2.08 (m, 2H), 1.92 (m, 2H), 1.79 (m, 2H), 1.67 (m, 2H). MS (ESI): C19H18N6Oの計算値: 346, 実測値279 (加水分解された-OH生成物)酸性LCMS条件下で不安定。
【実施例10】
【0328】
エチル3-((4-(1H-インドール-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート(化合物6)の合成
【0329】
【化97】
【0330】
エチル1-(4-クロロ-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1H-インドール(0.10g、0.34mmol)の無水THF(2mL)溶液に、DIPEA(0.43g、3.37mmol)およびベータ-アラニンエチルエステル塩酸塩(0.21g、1.35mmol)をアルゴン雰囲気下で添加した。封止した管を、50℃で20時間加熱した。冷却した反応物を、8:2のジクロロメタン/イソプロパノール混合物(3×20mL)で抽出し、飽和NaHCOで洗浄し、続いてブラインで洗浄した。合わせた有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。生成物を、最小量のメタノール中で沈殿させ、濾過によって収集して、エチル3-((4-(1H-インドール-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート(0.10g、77%)を白色の固体として得た。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.87 (dd, 1H, J = 48.0, 8.0 Hz), 8.80 (dd, 1H, J = 20.0, 4.0 Hz), 8.63 (dt, 1H, J = 32.0, 4.0 Hz), 8.34 (dd, 1H, J = 36.0, 4.0 Hz), 7.94 (ddd, 1H, J = 16.0, 2.0, 2.0 Hz), 7.66 (t, 1H, J = 8.0 Hz), 7.36 (m, 1H), 7.26 (m, 1H), 6.84 (ddd, 1H, J = 8.0, 4.0, 2.0 Hz), 6.66 (m, 1H), 4.07 (q, 2H, J = 8.0 Hz), 3.78-3.69 (m, 2H), 2.71 (m, 2H), 1.18 (m, 3H). MS (ESI): C19H19N7O2の計算値: 377, 実測値378 (M)+および400 (M+Na)+
【実施例11】
【0331】
3-((4-(1H-インドール-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパンアミド(化合物91)の合成
【0332】
【化98】
【0333】
エチル1-(4-クロロ-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1H-インドール(0.10g、0.34mmol)の無水THF(2mL)溶液に、DIPEA(0.43g、3.37mmol)および3-アミノ-プロピオンアミド塩酸塩(0.21g、1.35mmol)をアルゴン雰囲気下で添加した。封止した管を、50℃で20時間加熱した。冷却した反応物を、8:2のジクロロメタン/イソプロパノール混合物(3×20mL)で抽出し、飽和NaHCOで洗浄し、続いてブラインで洗浄した。合わせた有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。生成物を、最小量のジクロロメタン中で沈殿させ、濾過によって収集して、3-((4-(1H-インドール-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパンアミド(0.11g、93%)を白色の固体として得た。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.90 (dd, 1H, J = 44.0, 8.0 Hz), 8.80 (dd, 1H, J = 28.0, 4.0 Hz), 8.56 (dt, 1H, J = 16.0, 4.0 Hz), 8.35 (dd, 1H, J = 40.0, 4.0 Hz), 7.94 (ddd, 1H J = 8.0. 2.0, 2.0 Hz) 7.65 (m, 1H), 7.41 (bs, 1H), 7.35 (m, 1H), 7.26 (m, 1H), 6.91 (bs, 1H), 6.83 (ddd, 1H, J = 8.0, 4.0, 2.0 Hz, 6.66 (m, 1H), 3.68 (m, 2H), 2.49 (m, 2H). MS (ESI): C17H16N8Oの計算値: 348, 実測値349 (M)+および371 (M+Na)+
【実施例12】
【0334】
4-(1H-インドール-1-イル)-N-(3-メトキシプロピル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン(化合物97)の合成
【0335】
【化99】
【0336】
エチル1-(4-クロロ-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1H-インドール(0.10g、0.34mmol)の無水THF(2mL)溶液に、DIPEA(0.09g、0.67mmol)および3-メトキシプロピルアミン(0.1g、1.72mmol)をアルゴン雰囲気下で添加した。封止した管を、50℃で20時間加熱した。冷却した反応物を、8:2のジクロロメタン/イソプロパノール混合物(3×20mL)で抽出し、飽和NaHCOで洗浄し、続いてブラインで洗浄した。合わせた有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物を、Buchi Pureflashクロマトグラフィーによってシリカゲルカートリッジ(40g)上で100%酢酸エチルを用いて精製して、4-(1H-インドール-1-イル)-N-(3-メトキシプロピル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン(0.06g、53%)を白色の固体として得た。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.89 (dd, 1H, J = 52.0 8.0 Hz), 8.80 (dd, 1H, J = 12.0, 4.0 Hz), 8.60 (dt, 1H, J = 40.0, 8.0 Hz, 8.34 (dd, 1H, J = 36.0, 4.0 Hz), 7.94 (ddd, 1H, J = 8.0, 2.0, 2.0 Hz), 7.65 (dd, 1H, J = 8.0, 4.0 Hz), 7.36 (m, 1H), 7.26 (m, 1H), 6.82 (ddd, 1H, J = 8.0, 4.0, 2.0 Hz), 6.66 (m, 1H), 3.54 (m, 2H), 3.45 (q, 2H, J = 4.0 Hz), 3.26 (s, 3H), 1.87 (m, 2H). MS (ESI): C18H19N7Oの計算値: 349, 実測値350 (M)+および372 (M+Na)+
【実施例13】
【0337】
4-(4-(3,5-ジフルオロフェニル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)モルホリン(化合物92)の合成
【0338】
【化100】
【0339】
2,4-ジクロロ-6-(3,5-ジフルオロフェニル)-1,3,5-トリアジン(0.10g、0.38mmol)の無水THF(2mL)溶液に、ピラゾール(0.03g、0.40mmol)およびDIPEA(0.10g、0.76mmol)を0℃においてアルゴン雰囲気下で添加した。混合物を、4℃の冷蔵庫で一晩維持した。LCMSを用いるモニタリング(質量294)によって完了した後、次にモルホリン(0.04g、0.42mmol)を、シリンジを介して添加した。封止した管を、室温で1時間撹拌し、沈殿物が形成された。冷却した反応物を、8:2のジクロロメタン/イソプロパノール混合物(3×20mL)で抽出し、飽和NaHCOで洗浄し、続いてブラインで洗浄した。合わせた有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物を、Buchi Pureflashクロマトグラフィーによってシリカゲルカートリッジ(40g)上で95:5のCHCl:MeOHを用いて精製して、4-(4-(3,5-ジフルオロフェニル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)モルホリン(0.11g、82%)を白色の固体として得た。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.95 (dd, 1H, J = 4.0, 2.0 Hz), 8.13 (m, 2H), 7.91 (dd, 1H, J = 4.0, 2.0 Hz), 7.56 (tt, 1H, J = 8.0, 4.0 Hz), 6.64 (dd, 1H, J = 4.0, 2.0 Hz), 4.03 (t, 2H, J = 4.0 Hz), 3.94 (t, 2H, J = 4.0 Hz), 3.73 (t, 4H, J = 4.0 Hz). MS (ESI): C16H14F2N6Oの計算値: 344, 実測値345 (M)+および367 (M+Na)+
【実施例14】
【0340】
2-(アゼチジン-1-イル)-4-(3,5-ジフルオロフェニル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン(化合物93)の合成
【0341】
【化101】
【0342】
2,4-ジクロロ-6-(3,5-ジフルオロフェニル)-1,3,5-トリアジン(0.10g、0.38mmol)の無水THF(2mL)溶液に、ピラゾール(0.03g、0.40mmol)およびDIPEA(0.10g、0.76mmol)を0℃においてアルゴン雰囲気下で添加した。混合物を、4℃の冷蔵庫で一晩維持した。LCMSを用いるモニタリング(質量294)によって完了した後、次にアゼチジン(0.04g、0.42mmol)を、シリンジを介して添加した。封止した管を、室温で1時間撹拌し、沈殿物が形成された。冷却した反応物を、8:2のジクロロメタン/イソプロパノール混合物(3×20mL)で抽出し、ブラインで洗浄した。合わせた有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物を、Buchi Pureflashクロマトグラフィーによってシリカゲルカートリッジ(40g)上で100%酢酸エチルを用いて精製して、2-(アゼチジン-1-イル)-4-(3,5-ジフルオロフェニル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン(0.06g、50%)を白色の固体として得た。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.89 (dd, 1H, J = 8.0, 1.0 Hz), 8.04 (m, 2H), 7.90 (dd, 1H, J = 4.0, 1.0 Hz), 7.55 (tt, 1H, J = 8.0, 4.0 Hz), 6.62 (dd, 1H, J = 4.0, 2.0 Hz), 4.26 (dt, 4H, J = 20.0, 8.0 Hz), 2.39 (p, 2H, J = 8.0 Hz). MS (ESI): C15H12F2N6の計算値: 314, 実測値315 (M)+および337 (M+Na)+
【実施例15】
【0343】
2-(3,5-ジフルオロフェニル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン(化合物80)の合成
【0344】
【化102】
【0345】
2,4-ジクロロ-6-(3,5-ジフルオロフェニル)-1,3,5-トリアジン(0.10g、0.38mmol)の無水THF(2mL)溶液に、ピラゾール(0.03g、0.40mmol)およびDIPEA(0.10g、0.76mmol)を0℃においてアルゴン雰囲気下で添加した。混合物を、4℃の冷蔵庫で一晩維持した。LCMSを用いるモニタリング(質量294)によって完了した後、次に1-メチルピペラジン(0.05g、0.46mmol)を、シリンジを介して添加した。封止した管を、室温で1時間撹拌し、沈殿物が形成された。冷却した反応物を、8:2のジクロロメタン/イソプロパノール混合物(3×20mL)で抽出し、飽和NaHCOで洗浄し、続いてブラインで洗浄した。合わせた有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物を、Buchi Pureflashクロマトグラフィーによってシリカゲルカートリッジ(24g)上で95:5のCHCl:MeOHを用いて精製して、2-(3,5-ジフルオロフェニル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン(0.11g、81%)を白色の固体として得た。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.95 (dd, 1H, J = 4.0, 1.0 Hz), 8.12 (m, 2H), 7.91 (dd, 1H, J = 2.0, 1.0 Hz), 7.56 (tt, 1H, J = 8.0, 4.0 Hz), 6.64 (dd, 1H, J = 4.0, 2.0 Hz), 4.02 (bs, 2H), 3.94 (bs, 2H), 2.46 (m, 4H), 2.26 (s, 3H). MS (ESI): C17H17F2N7の計算値: 357, 実測値358 (M)+および380 (M+Na)+
【実施例16】
【0346】
エチル3-((4-(3,5-ジフルオロフェニル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート(化合物8)の合成
【0347】
【化103】
【0348】
2,4-ジクロロ-6-(3,5-ジフルオロフェニル)-1,3,5-トリアジン(0.10g、0.38mmol)の無水THF(2mL)溶液に、ピラゾール(0.03g、0.40mmol)およびDIPEA(0.17g、1.34mmol)を0℃においてアルゴン雰囲気下で添加した。混合物を、4℃の冷蔵庫で一晩維持した。LCMSを用いるモニタリング(質量294)によって完了した後、次にベータ-アラニンエチルエステル塩酸塩(0.07g、0.46mmol)を、シリンジを介して添加した。封止した管を、室温で1時間撹拌し、沈殿物が形成された。冷却した反応物を、8:2のジクロロメタン/イソプロパノール混合物(3×20mL)で抽出し、飽和NaHCOで洗浄し、続いてブラインで洗浄した。合わせた有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物を、Buchi Pureflashクロマトグラフィーによってシリカゲルカートリッジ(24g)上で100% 酢酸エチルを用いて精製して、エチル3-((4-(3,5-ジフルオロフェニル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパノエート(0.06g、42%)を白色の固体として得た。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.91 (dt, 1H, J = 4.0, 1.0 Hz), 8.67 (dt, 1H, J = 52.0, 4.0 Hz), 8.13 (m, 1H), 8.02 (m, 1H), 7.91 (dq, 1H, J = 12.0, 4.0 Hz), 7.57 (m, 1H), 6.64 (dq, 1H, J = 4.0, 1.0 Hz), 4.05 (m, 2H), 3.72 (m, 2H), 2.67 (q, 2H, J = 8.0 Hz), 1.15 (t, 3H, J = 8.0 Hz). MS (ESI): C17H16F2N6O2の計算値: 374, 実測値375 (M)+および397 (M+Na)+
【実施例17】
【0349】
4-(4-(1H-インドール-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)モルホリン(化合物94)の合成
【0350】
【化104】
【0351】
エチル1-(4-クロロ-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1H-インドール(0.10g、0.34mmol)の無水THF(2mL)溶液に、DIPEA(0.09g、0.67mmol)およびモルホリン(0.12g、1.35mmol)をアルゴン雰囲気下で添加した。反応物を、室温で3時間撹拌した。次に、反応物を、8:2のジクロロメタン/イソプロパノール混合物(3×20mL)で抽出し、飽和NaHCOで洗浄し、続いてブラインで洗浄した。合わせた有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物を、Buchi Pureflashクロマトグラフィーによってシリカゲルカートリッジ(12g)上で100%酢酸エチルを用いて精製して、4-(4-(1H-インドール-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)モルホリン(0.11g、98%)を白色の固体として得た。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.86 (dd,1H, J = 4.0, 1.0 Hz), 8.80 (d, 1H, J = 12.0 Hz), 8.38 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.97 (dd, 1H, J = 4.0, 1.0 Hz), 7.66 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.38 (dt, 1H, J = 8.0, 1.0 Hz), 7.26 (dt, 1H, J = 8.0, 0.5 Hz), 6.67 (dd, 1H, J = 4.0, 1.0 Hz), 3.97 (m, 4H), 3.75 (m, 4H). MS (ESI): C18H17N7Oの計算値: 347, 実測値348 (M)+
【実施例18】
【0352】
3-((4-(3,5-ジフルオロフェニル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパンアミド(化合物96)の合成
【0353】
【化105】
【0354】
2,4-ジクロロ-6-(3,5-ジフルオロフェニル)-1,3,5-トリアジン(0.10g、0.38mmol)の無水THF(2mL)溶液に、ピラゾール(0.03g、0.40mmol)およびDIPEA(0.25g、1.91mmol)を0℃においてアルゴン雰囲気下で添加した。混合物を、4℃の冷蔵庫で一晩維持した。LCMSを用いるモニタリング(質量294)によって完了した後、次に3-アミノ-プロピオンアミド塩酸塩(0.04g、0.42mmol)および無水イソプロパノール(2mL)を添加した。封止した管を、50℃で3時間加熱し、沈殿物が形成された。冷却した反応物を、8:2のジクロロメタン/イソプロパノール混合物(3×20mL)で抽出し、飽和NaHCOで洗浄し、続いてブラインで洗浄した。合わせた有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。生成物を、最小量のジクロロメタン中で沈殿させ、濾過によって収集して、3-((4-(3,5-ジフルオロフェニル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパンアミド(0.89g、68%)を白色の固体として得た。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.90 (ddd, 1H, J = 8.0, 2.0, 0.5 Hz), 8.60 (dt, 1H, 36.0, 4.0 Hz), 8.13 (dd, 1H, J = 8.0, 4.0 Hz), 8.03 (dd, 1H, J = 8.0, 4.0 Hz), 7.90 (ddd, 1H, J = 8.0, 1.0, 0.5 Hz), 7.57 (m, 1H), 7.40 (bs, 1H), 6.89 (bs, 1H), 6.63 (dq, 1H, J = 8.0, 1.0 Hz), 3.66 (m, 2H), 2.45 (t, 2H, J = 8.0 Hz). MS (ESI): C15H13F2N7Oの計算値: 345, 実測値346 (M)+
【実施例19】
【0355】
8-(4-(1H-インドール-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン(化合物60)の合成
【0356】
【化106】
【0357】
エチル1-(4-クロロ-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1H-インドール(0.10g、0.34mmol)の無水THF(3mL)溶液に、DIPEA(0.17g、1.35mmol)および2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン(nonae)ジヒドロクロリド(0.07g、0.37mmol)をアルゴン雰囲気下で添加した。反応物を、50℃で24時間撹拌した。次に、反応物を、8:2のジクロロメタン/イソプロパノール混合物(3×20mL)で抽出し、飽和NaHCOで洗浄し、続いてブラインで洗浄した。合わせた有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物を、Buchi Pureflashクロマトグラフィーによって予め中和されたシリカゲルカートリッジ(40g)上で100%酢酸エチルを用いて精製して、8-(4-(1H-インドール-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-オキサ-5,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン(0.13g、98%)を白色の固体として得た。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.87 (dd,1H, J = 18, 2.4 Hz), 8.82 (dd, 1H, J = 29, 8.4 Hz), 8.39 (dd, 1H, J = 10.4, 3.6 Hz), 7.97 (dd, 1H, J = 6.8, 1.0 Hz), 7.66 (t, 1H, J = 7.2.0 Hz), 7.39 (t, 1H, J = 7.2 Hz), 7.26 (m, 1H), 6.84 (dd, 1H, J = 13.2, 4.0 Hz), 6.67 (ddd, 1H, J = 10.4, 2.4, 1.6 Hz), 4.42 (t, 1H, J = 6.0 Hz), 4.38 (m, 3H), 4.16 (d, 2H, J = 11.6 Hz), 3.89 (m, 2H), 3.30 (s, 1H), 2.78 (m, 2H). MS (ESI): C20H20N8Oの計算値: 388, 実測値389 (M)+
【実施例20】
【0358】
JMJD3阻害剤の抗炎症特性についての細胞アッセイ
5種のJMJD3阻害剤(99、92、93、98、および95、順不同)の抗炎症特性を、多発性自己免疫疾患の病態形成に関与する非常に重要な炎症促進性サイトカインを標的化する免疫細胞アッセイにおいて評価した。調べたJMJD3阻害剤は、表1に示されている。
【0359】
【表6】
【0360】
特に、THP-1ヒト単球を、6ウェルプレート(RPMI1640+10%FBS+1%P/S)中で増殖させた。PBSで洗浄した後、THP-1細胞を、20nMのホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA)を使用して24時間にわたってマクロファージに分化させた。99、92、93、98、および95)(1μM)をマクロファージに添加し、それを4時間インキュベートした後、100ng/mLのリポ多糖(LPS)を4時間または24時間のいずれかにわたって添加する。次に、マクロファージを、1.2Krpmで5分間遠心分離することにより収集し、それらの培地を使用して、Bio-rad Cytokine ELISAマルチプレックスアッセイ(カタログ番号M5000031YV)を使用することによってサイトカインタンパク質レベルを評価する。LPS+PMAだけで処理したマクロファージから上清を収集し、負の対照として使用した。すべてのJMJD3阻害剤(99、92、93、98、および95)が、TNF-アルファ(TNFA)、インターロイキン6(IL6)、インターロイキン1beta(IL1B)、インターロイキン8(IL8)、インターロイキン5(IL5)およびインターロイキン13(IL13)の抑制を示した。
【0361】
TNFA、IL6およびIL1Bに対するJMJD3阻害剤(99、92、93、98、および95)の効果は、潰瘍性大腸炎、クローン病、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、アトピー性皮膚炎、乾癬、1型糖尿病、移植片対宿主病(GVHD)、自己免疫性脳炎、ベーチェット病、シェーグレン症候群、喘息、肺アレルギー、およびアトピー性皮膚炎を含む自己免疫疾患の処置においてそれらが使用されることを示唆している。さらに、IL5およびIL13に対するJMJD3阻害剤の効果は、喘息、肺アレルギーおよびアトピー性皮膚炎においてもそれらが使用されることを示唆している。
【実施例21】
【0362】
JMJD3阻害剤のFoxP3誘導活性についての細胞アッセイ
CD4+CD25+FOXP3+制御性T細胞(Treg)は、炎症促進性細胞およびシグナルを抑制し、耐性の非常に重要なメディエーターであり、過度の炎症および自己免疫を阻害する。また、インターロイキン2(IL-2)および形質転換成長因子ベータ(TGF-β)シグナル伝達でのCD4+T細胞の処置は、FOXP3誘導およびTreg形成のために重要である。
【0363】
ナイーブCD4Tヒト細胞(カタログ番号2W-200、Lonza)を培養し、IL-2(300U/ml)およびTGF-β(10ng/ml)の存在下で人工抗原提示細胞および可溶性抗CD3(100ng/ml)で5日間活性化した。3日目に、細胞に、Lipofectamine 2000(カタログ番号11668027、Thermo)を使用してJMJD3に対するアンチセンスRNA(カタログ番号1299001、Thermo)をトランスフェクトした。5日目に、RNAを抽出し、qPCR分析を実施して、217bp産物を有している以下のプライマー:F:5'-TCC ACA ACA TGC GAC CCC CTT TCA-3'およびR:5'-ACA GCC CCC TTC TCG CTC TCC A-3'を使用することによってFoxP3 mRNAレベルを評価した。CD4+T細胞におけるすべてのJMJD3阻害剤(99、92、93、98、および95)が、7倍のFoxP3発現レベルを誘導し、したがってTregの分化および形成へと向かった。この研究の結果は、図3に示されている(FoxP3誘導)。したがって、CD4+T細胞の遺伝的または薬理学的阻害は、FoxP3活性化およびTreg形成の誘導をもたらす。この証拠に基づいて、JMJD3阻害剤(99、92、93、98、および95)は、T制御性細胞が潜在的な治療可能性を有している自己免疫疾患において使用することができた。ヒト臨床研究からの証拠および文献が増加している(Arellano Bら、Regulatory T Cell-based Therapies for Autoimmunity、Discov Med、22:73~80頁、2016)。
【0364】
したがって、JMJD3阻害剤である99、92、93、98、および95化合物は、移植片対宿主病(GVHD)、1型糖尿病(T1D)、潰瘍性大腸炎、クローン病、全身性エリテマトーデス、喘息、関節リウマチ、多発性硬化症、脳脊髄炎、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、自己免疫性肝炎、ベーチェット病、キャッスルマン病、アレルギー性鼻炎、湿疹、ドレスラー症候群、好酸球性食道炎、ギラン・バレー症候群、若年性関節炎、川崎病、喘息、肺アレルギー、およびアトピー性皮膚炎における治療法として適用できる。
【実施例22】
【0365】
JMJD3阻害剤の抗炎症特性についての細胞アッセイの実施例
THP-1細胞を、コンフルエンスまで増殖させ、6ウェルプレートに播種した。PMA(25nM)を培地に添加し、24時間後に非PMA含有培地と交換した。ATH化合物(1μΜ)またはビヒクル(0.1%DMSO)を添加し、インキュベートした。4時間後に、培地を交換することなくLPS(50ng/ml)を添加し、4時間後および4時間後に上清を収集した。培地を、ELISA(Quantikine、R&D Systems)を使用してサイトカインを検出するために氷上に置いた。
【0366】
JMJD3阻害剤である化合物89、化合物91(図4A、pは005未満)、化合物97、化合物92、化合物93(図4B、pは0.01未満)、および化合物94(図4C、pは0.01未満)は、THP-1ヒト単球において、LPS(リポ多糖)処置後にTNF-アルファ(TNFA)発現の抑制を示している(図4A図4C、両方についてpは0.05未満)。
【実施例23】
【0367】
例示的JMJD3結合アッセイ
試験化合物を、100%DMSO中、111倍ストックとして調製した。K値を、11点の3倍化合物希釈系列と3つのDMSO対照点を使用して決定した。K測定のためのすべての化合物を、100%DMSOに、音響伝達(非接触式分注)によって分配した。次に、DMSOの最終濃度が0.9%になるように、化合物を直接希釈してアッセイに用いた。すべての反応を、ポリプロピレン384ウェルプレート中で実施した。それぞれは、0.02mlの最終体積であった。アッセイプレートを、振とうしながら室温で1時間インキュベートし、親和性ビーズを、洗浄緩衝剤(1×PBS、0.05%Tween 20)で洗浄した。次に、ビーズを、溶出緩衝剤(1×PBS、0.05%Tween 20、0.5μMの非ビオチン化親和性リガンド)に再懸濁し、振とうしながら室温で30分間インキュベートした。溶離液中のキナーゼ濃度を、qPCRによって測定した。結合定数を、ヒルの式を使用して標準用量反応曲線を用いて計算した。
【0368】
【数1】
【0369】
Hill Slopeを-1に設定した。曲線を、非線形最小二乗適合を使用し、レーベンバーグ・マルカートアルゴリズムを用いてフィットさせた。結合データは、表2にまとめられており、ここで、Aは100nM未満であり、Bは100~500nMであり、Cは500nM超である。
【0370】
【表7】
【実施例24】
【0371】
VNN1阻害剤のin vivo抗炎症有効性の仮想実施例
JMJD3の阻害は、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘導性大腸炎マウスモデルを使用する研究において大腸炎を改善し、JMJD3の下方調節は、マウスマクロファージにおけるTNFα発現を低減する。本発明者らのデータは、本明細書で開示されているJMJD3阻害剤をTHP-1ヒト単球に添加すると、強力な炎症誘発物質LPSに応答するTNFα放出が、著しく阻害されることを実証する。
【0372】
C57BL/6マウス(20~22グラム)に、自由に食餌を摂取させ、マウスを4つの異なる群(n=8匹/群)に割り当てる。72時間の順応期間の後に、試験群は、ビヒクル中25mg/kgの試験化合物をPO(強制飼育)で毎日受ける。対照群は、ビヒクルだけを受ける。24時間後、マウスを秤量し、それらの飲料水にDSSを添加する。次に、マウスを試験化合物で処置し、5日間毎日秤量し、72時間ごとにDSS水を補充し、5日目に通常の飲料水に置き換える。マウスを、12日目に屠殺し、臨床スコアを査定した。腸管組織および血液も収集する。組織を瞬間凍結し、RNAおよびタンパク質の単離のために-80℃で維持するか、または将来的な組織学的分析のために10%ホルマリン溶液に入れる。血液を、5Krpmで5分間回転させ、血清を収集し、マルチプレックスサイトカイン分析のために-20℃で維持する。IBD病態生理におけるTNFαの中心的役割と組み合わせると、先のデータは、大腸炎の動物モデルおよびその後のIBD患者における炎症反応の改善におけるJMJD3阻害剤の有益な効果を、強力に予測するものである。有効性データは、以下の表3にまとめられており、ここで、Aは強力な阻害であり、Bは中等度の阻害であり、Cは阻害なしである。
【0373】
【表8】
【実施例25】
【0374】
IBD患者の処置の仮想実施例
これは、仮想実施例である。実施例22に開示されているJMJD3阻害剤(化合物1、2、89、90、6、91、97、92、93、80、8、94、96、および95)を、過去の抗TNFA処置に感受性または抵抗性であった、潰瘍性大腸炎を有している患者および活動性疾患を有しているクローン病患者を処置するために使用する。阻害剤を、50~200mgの用量でカプセル剤として、12週間毎日経口投与する。処置の完了後、患者は、MayoまたはCDAI臨床スコア、内視鏡による外観、および組織学的評価によって査定される、臨床的および組織学的改善の両方を有している。
【実施例26】
【0375】
がん患者の処置の仮想実施例
これは、仮想実施例である。実施例22に開示されているJMJD3阻害剤(化合物1、2、89、90、6、91、97、92、93、80、8、94、96、および95)を、腎臓、乳房、去勢抵抗性前立腺がん、急性骨髄性白血病(AML)、黒色腫、ホジキンリンパ腫(HL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、骨髄異形成症候群(MDS)、食道扁平上皮細胞癌、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、および卵巣がんを有している患者を処置するために使用する。阻害剤を、化学療法を用いているまたは用いていない患者において、50~200mgの用量でカプセル剤として毎日経口投与する。処置の完了後、患者は、予後の生存期間の増大によって特徴付けられる、臨床的改善を有している。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図4C
【国際調査報告】