(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】L字形フェースプレートとダイナミックロフト特徴部とを有するゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20240124BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20240124BHJP
【FI】
A63B53/04 E
A63B102:32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544416
(86)(22)【出願日】2022-01-24
(85)【翻訳文提出日】2023-09-04
(86)【国際出願番号】 US2022013571
(87)【国際公開番号】W WO2022159844
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591086452
【氏名又は名称】カーステン マニュファクチュアリング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレックス ジー. ウッドウォード
(72)【発明者】
【氏名】ライアン エム. ストック
(72)【発明者】
【氏名】ショジェン チン
(72)【発明者】
【氏名】スラジュ メグラージ
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA03
2C002CH06
2C002CH08
2C002MM04
(57)【要約】
可撓性のために構成されたL字形フェースプレートを備えるアイアン型ゴルフクラブヘッドの実施形態を本明細書で説明する。L字形フェースプレートは、打面部分と、ゴルフクラブヘッドのリーディングエッジ周囲を覆うソール返し部とを備える。いくつかの実施形態では、L字形フェースプレートは、ゴルフクラブヘッドの外周部まで延在する上レール延在部とトウ延在部とを更に備える。ゴルフクラブヘッドは、中空内部空洞を形成するように、L字形フェースプレートを受け入れるように構成された後ボディを備える。後ボディは、ソール返し部を受け入れるように構成されたソールレッジを備える。いくつかの実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、ソール返し部の一部分に張り出すおもりパッドを更に備える。いくつかの実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、後ボディの屈曲を増大させるダイナミックロフト特徴部を更に備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイアン型ゴルフクラブヘッドであって、
クラブヘッドボディを形成し、中空内部空洞を封入するフェースプレート及び後ボディと、
上レール、ソール、ヒール端部及びトウ端部と、
を備え、
前記クラブヘッドボディは、前端部、後端部、上レール外周部、トウ外周部、ヒール外周部、及びソール外周部を形成し、
前記フェースプレートは、前記前端部に設けられており、
前記フェースプレートは、打面と、前記打面の反対側の裏面と、前記ソールに近接するリーディングエッジと、前記裏面から後方に延在し、前記ソールの少なくとも一部分を形成するソール返し部と、フェースプレート周囲部と、を有し、
前記フェースプレート周囲部は、上周囲縁部と、ヒール側周囲縁部と、トウ側周囲縁部と、ソール周囲縁部と、を有し、
前記後ボディは、前記上レールの少なくとも一部分、前記ソールの少なくとも一部分、及び前記トウ端部の少なくとも一部分を形成し、
前記後ボディは、前記後端部において前記ソールから前記上レールまで延在する後壁と、ソールレッジと、前記ヒール端部上に位置するホーゼル構造体と、を有し、
前記ソールレッジは、前記後ボディから前記フェースプレートに向かって突出し、前記ソールの一部分を形成し、
前記フェースプレートの前記上周囲縁部は、前記クラブヘッドボディの前記上レール外周部上に位置し、前記フェースプレートの前記トウ側周囲縁部は、前記クラブヘッドボディの前記トウ外周部上に位置し、前記フェースプレートの前記ソール周囲縁部は、前記ソールレッジに接触し、
前記フェースプレートは、前記フェースプレート周囲部に沿って前記後ボディに溶接されており、
前記後ボディは、前記ソール及び前記後壁に近接するおもりパッドを更に有し、
前記おもりパッドは、前記ソール返し部に張り出し、前記おもりパッドは、前記ソール返し部に接触しない、アイアン型ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記おもりパッドは、前記ソールレッジによって前記ソール返し部から隔てられている、請求項1に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記上周囲縁部と、前記トウ側周囲縁部と、前記ヒール側周囲縁部と、前記リーディングエッジと、の間で前記フェースプレートにわたり測定されるフェースプレート表面積を更に含み、前記フェースプレート表面積は、5.00インチ
2から6.00インチ
2の間である、請求項1に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記フェースプレートは、第1の材料を含み、前記後ボディは、前記第1の材料とは異なる第2の材料を含む、請求項1に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記第1の材料は、第1の降伏強度を含み、前記第2の材料は、第2の降伏強度を含み、前記第1の降伏強度は、前記第2の降伏強度より大きい、請求項4に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記第1の材料の前記第1の降伏強度は、220ksiから300ksiの間である、請求項5に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記ソールレッジは、0.01インチから0.20インチの間のソールレッジ深さを含む、請求項1に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記ソール返し部は、ソール返し部厚さを画定し、前記ソールレッジは、ソールレッジ厚さを画定し、前記ソール周囲縁部における前記ソール返し部厚さは、前記ソールレッジ厚さと同じである、請求項1に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記ソール返し部は、前記リーディングエッジから前記ソール周囲縁部まで前-後方向で測定されるソール返し部深さを含み、前記ソール返し部深さは、0.2インチから0.4インチの間である、請求項1に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記ソール周囲縁部は、前記後ボディに接触する前記ソール返し部の唯一の部分である、請求項1に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記上レールは、0.060インチ未満の厚さを含む、請求項1に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
アイアン型ゴルフクラブヘッドであって、
クラブヘッドボディを形成し、中空内部空洞を封入するフェースプレート及び後ボディと、
上レール、ソール、ヒール端部及びトウ端部と、
を備え、
前記クラブヘッドボディは、前端部、後端部、上レール外周部、トウ外周部、ヒール外周部、及びソール外周部を形成し、
前記フェースプレートは、前記前端部に設けられており、
前記フェースプレートは、打面と、前記打面の反対側の裏面と、前記ソールに近接するリーディングエッジと、前記裏面から後方に延在し、前記ソールの少なくとも一部分を形成するソール返し部と、フェースプレート周囲部と、を有し、
前記フェースプレート周囲部は、上周囲縁部と、ヒール側周囲縁部と、トウ側周囲縁部と、ソール周囲縁部と、を有し、
前記後ボディは、前記上レールの少なくとも一部分、前記ソールの少なくとも一部分、及び前記トウ端部の少なくとも一部分を形成し、
前記後ボディは、前記後端部において前記ソールから前記上レールまで延在する後壁と、ソールレッジと、前記ヒール端部上に位置するホーゼル構造体と、を有し、
前記ソールレッジは、前記後ボディから前記フェースプレートに向かって突出し、前記ソールの一部分を形成し、
前記フェースプレートの前記上周囲縁部は、前記クラブヘッドボディの前記上レール外周部上に位置し、前記フェースプレートの前記トウ側周囲縁部は、前記クラブヘッドボディの前記トウ外周部上に位置し、前記フェースプレートの前記ソール周囲縁部は、前記ソールレッジに接触し、
前記フェースプレートは、前記フェースプレート周囲部に沿って前記後ボディに溶接されており、
前記後ボディは、前記ソール及び前記後壁に近接するおもりパッドを更に備え、
前記おもりパッドは、前記ソール返し部に張り出し、前記おもりパッドは、前記ソール返し部に接触せず、
前記おもりパッドは、前記前端部に面する前壁と、前記上レールに面する上壁と、前記前壁と前記上壁との間の移行領域と、を有し、
前記前壁は、前記ソールに対して角度が付けられる、アイアン型ゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
前記おもりパッドは、前記ソールレッジによって前記ソール返し部から隔てられている、請求項12に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
前記ソールレッジは、0.01インチから0.20インチの間のソールレッジ深さを含む、請求項12に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
前記おもりパッドの前記前壁と、前記ソール返し部の内面との間で測定される鋭角を更に含み、前記鋭角は、30から80度の間である、請求項12に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
前記おもりパッドの前記前壁と前記ソールとの間に形成される下側内部アンダーカットを更に備え、
前記下側内部アンダーカットは、前記移行領域と、前記前壁と前記ソールレッジとの連結部と、の間において前-後方向で測定される下側内部アンダーカット深さを画定し、
前記下側内部アンダーカット深さは、0.100インチ超である、請求項12に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
アイアン型ゴルフクラブヘッドであって、
クラブヘッドボディを形成し、中空内部空洞を封入するフェースプレート及び後ボディと、
上レール、ソール、ヒール端部及びトウ端部と、
を備え、
前記クラブヘッドボディは、前端部、後端部、上レール外周部、トウ外周部、ヒール外周部、及びソール外周部を形成し、
前記フェースプレートは、前記前端部に設けられており、
前記フェースプレートは、打面と、前記打面の反対側の裏面と、前記ソールに近接するリーディングエッジと、前記裏面から後方に延在し、前記ソールの少なくとも一部分を形成するソール返し部と、フェースプレート周囲部と、を有し、
前記フェースプレート周囲部は、上周囲縁部と、ヒール側周囲縁部と、トウ側周囲縁部と、ソール周囲縁部と、を有し、
前記後ボディは、前記上レールの少なくとも一部分、前記ソールの少なくとも一部分、及び前記トウ端部の少なくとも一部分を形成し、
前記後ボディは、前記後端部において前記ソールから前記上レールまで延在する後壁と、ソールレッジと、前記ヒール端部上に位置するホーゼル構造体と、を有し、
前記ソールレッジは、前記後ボディから前記フェースプレートに向かって突出し、前記ソールの一部分を形成し、
前記フェースプレートの前記上周囲縁部は、前記クラブヘッドボディの前記上レール外周部上に位置し、前記フェースプレートの前記トウ側周囲縁部は、前記クラブヘッドボディの前記トウ外周部上に位置し、前記フェースプレートの前記ソール周囲縁部は、前記ソールレッジに接触し、
前記フェースプレートは、前記フェースプレート周囲部に沿って前記後ボディに溶接されており、
前記後ボディは、前記ソール及び前記後壁に近接するおもりパッドを更に備え、
前記おもりパッドは、前記ソール返し部に張り出し、前記おもりパッドは、前記ソール返し部に接触せず、
前記おもりパッドは、前記おもりパッドの前壁から前記フェースプレートに向かって前方に突出し、前記ソール返し部に張り出すおもりパッド延在部を備える、アイアン型ゴルフクラブヘッド。
【請求項18】
前記おもりパッドは、前記ソールレッジによって前記ソール返し部から隔てられている、請求項17に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【請求項19】
前記おもりパッド延在部は、前縁部と、前記ソールに向かって配設される下面と、を有し、下側内部アンダーカットは、前記下面と前記ソールの内面との間に形成される、請求項17に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【請求項20】
前記下側内部アンダーカットは、前記おもりパッド延在部の前記前縁部から前記おもりパッドの前記前壁まで測定される下側内部アンダーカット深さを含み、前記下側内部アンダーカット深さは、0.100超である、請求項19に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年11月23日出願の米国仮出願第63/282,577号、2021年11月11日出願の米国仮出願第63/263,936号、及び2021年1月22日出願の米国仮出願第63/140,741号に対する利益を主張する。
【0002】
本開示は、一般に、ゴルフクラブに関し、より詳細には、エネルギー伝達を増大させる特徴部を有するゴルフクラブヘッド、及びレーザー溶接面を有するゴルフクラブに関する。
【背景技術】
【0003】
ゴルフにおいて、インパクト時点でクラブヘッドが撓み、屈曲する様式は、打たれるゴルフボールの打出し特性に影響を及ぼす。フェースプレート及び/又はクラブヘッドの他の部分が撓む全体量は、クラブヘッドからボールに伝達されるエネルギー量に影響を及ぼし、インパクト時のボール速度に影響を及ぼす。ゴルフボールとのインパクト時点におけるクラブの後方屈曲量(以下、「ダイナミックロフト」)は、インパクト時のボール速度及びボールの打出し角度に更に影響を及ぼす。ゴルフクラブのダイナミックロフトは、インパクト時点における、接地平面に対するクラブ面上のロフト量として測定される。クラブヘッドの更なる屈曲又はダイナミックロフトは、ゴルフクラブにより蓄積される弾性エネルギーを増大させ得る。ゴルフボールに返る弾性エネルギーの伝達が増大すると、面外れのボール速度を増大させ、クラブの性能を向上し得る。したがって、当技術分野では、撓み及びダイナミックロフト特性を向上させたゴルフクラブに対するニーズがある。
【0004】
実施形態の更なる説明を容易にするため、以下の図面を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】第1の実施形態による、L字形フェースプレートを備えるゴルフクラブヘッドのトウ側斜視図である。
【0006】
【
図2A】
図1のゴルフクラブヘッドのトウ側の図である。
【0007】
【
図2B】
図1のゴルフクラブヘッドの上面図である。
【0008】
【
図2C】
図1のゴルフクラブヘッドのソールの図である。
【0009】
【
図2D】
図1のゴルフクラブヘッドのヒール側の図である。
【0010】
【
図3】
図1のゴルフクラブヘッドのフェースプレート及び後ボディの分解図である。
【0011】
【
図4】
図1のゴルフクラブヘッドのトウ側の断面図である。
【0012】
【
図5】フェースプレートが外された
図1のゴルフクラブの正面図である。
【0013】
【0014】
【
図7】
図1のゴルフクラブヘッドのソールの図である。
【0015】
【
図8】第2の実施形態による、L字形フェースプレートを備えるゴルフクラブヘッドのトウ側の斜視図である。
【0016】
【
図9】
図8のゴルフクラブヘッドのフェースプレート及び後ボディの分解図である。
【0017】
【
図10】L字形フェースプレートと傾斜付きおもりパッドとを有するゴルフクラブヘッドのトウ側の断面図である。
【0018】
【
図11】ソール返し部及び傾斜付きおもりパッドに焦点を当てた
図10の拡大図である。
【0019】
【
図12】L字形フェースプレートと延在部を有するおもりパッドとを有するゴルフクラブヘッドのトウ側の断面図である。
【0020】
【
図13】ソール返し部及び延在部を有するおもりパッドに焦点を当てた
図12の拡大図である。
【0021】
【
図14】後壁角度を強調する、
図12のゴルフクラブヘッドのトウ側の断面図である。
【0022】
【
図15】上側内部アンダーカット及び下側内部アンダーカットを強調する、
図12のゴルフクラブヘッドのトウ側の断面図である。
【0023】
【
図16】後外部空洞を備えるウッド型ゴルフクラブヘッドの背面斜視図である。
【0024】
【
図17】ダイナミックロフト特徴部を備えるゴルフクラブヘッドの背面図である。
【0025】
【0026】
【
図18B】撓みヒンジに焦点を当てた、
図17のゴルフクラブヘッドのトウ側の断面斜視拡大図である。
【0027】
【
図19】屈曲切欠きを強調する、
図17のゴルフクラブヘッドの正面断面図である。
【0028】
【
図20】トウポートを備えるゴルフクラブヘッドのトウ側の斜視図である。
【0029】
【
図21】充填された内部空洞を備えるゴルフクラブヘッドのトウ側の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
定義
本明細書で説明するゴルフクラブヘッドの様々な実施形態は、最大のフェースプレートの撓みを達成し、速いボール速度をもたらすように、L字形フェースプレートと、ソールレッジと、アンダーカットとを備えるアイアン型ゴルフクラブ又はクロスオーバ型ゴルフクラブとし得る。ゴルフクラブは、中空内部空洞を封入するように一緒に連結される後ボディとL字形フェースプレートとを備え、インパクト時のダイナミックロフトのために構成された後部分を更に含み得る。L字形フェースプレートは、高強度材料を含み、この高強度材料は、それ以外の場合ではより低い強度の後ボディ材料から形成されるクラブヘッドの領域に代わり、構造一体性を失わずに前記領域の薄肉化を可能にする。薄肉化により、クラブヘッドに撓み能力の増大をもたらし、より速いボール速度をもたらす。内部おもりパッドは、質量をゴルフクラブヘッドのより低いところに置くことを可能にする。内部おもりパッドは、ソール返し部に張り出し、フェースプレートが内部おもりパッドに接触しないようにするアンダーカットを形成する。ソールレッジは、L字形フェースプレートと後ボディとの間に緩衝領域をもたらし、内部おもりパッドがL字形フェースプレートの屈曲に干渉しないようにする。
【0031】
クラブヘッドは、インパクト時のダイナミックロフトに寄与する様々な特徴部を更に備え得る。例えば、後部分の内面は、クラブヘッドのトウ端部付近に位置する屈曲切欠き又は切抜き部分を有し得る。同様に、後ボディの後壁は、後壁上に陥没する溝である撓みヒンジを有し得る。
【0032】
撓みヒンジは、クラブヘッドのヒール端部からクラブヘッドのトウ端部まで延在する。前記ダイナミックロフト特徴部を通じて達成されるクラブヘッドのダイナミックロフトの増大は、インパクト時の打出し角度及びボール速度の増大をもたらす。
【0033】
ソール返し部、トウ延在部、上レール延在部、又はそれらの任意の組合せを含む、本明細書で説明する様々なL字形フェースプレート形状は、ソールレッジ、傾斜付きおもりパッド、延在部を備えるおもりパッド、ヒール質量体及び/又はトウ質量体、下側内部アンダーカット、上側内部アンダーカット、後外部空洞、外部撓みヒンジ、内部屈曲切欠き、内部溶接リブ、又はそれらの任意の組合せを含む、本明細書で説明する様々な後ボディ特徴部又は形状のいずれかと組み合わせ得る。
【0034】
説明を簡単、明確にするため、図面は、概略的な様式の構造を示し、周知の特徴及び技術に対する説明及び詳細は、本発明を不必要に不明瞭しないようにするために省略することがある。更に、図面の要素は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。例えば、図面における要素の一部の寸法は、本発明の実施形態に対する理解の改善を助けるように、他の要素に対して誇張されていることがある。様々な図面における同じ参照数字は、同じ要素を示す。
【0035】
詳細な説明及び特許請求の範囲の中の「第1の」、「第2の」、「第3の」、及び「第4の」などの用語は、それがある場合には、同様のエレメント同士の間を区別するために使用されており、必ずしも、特定のシーケンシャルな又は時系列の順序を説明するために使用されているわけではない。そのように使用されている用語は、適当な状況下で入れ替え可能であり、本明細書で説明されている実施形態が、例えば、本明細書で図示されているか又はそうでなければ説明されているもの以外のシーケンスの動作が可能であるようになっているということが理解されるべきである。そのうえ、「備える」及び「有する」という用語、ならびに、任意のそれらの変形は、非排他的な包含をカバーすることが意図されており、エレメントのリストを含むプロセス、方法、システム、物品、デバイス、又は、装置が、必ずしもそれらのエレメントに限定されないが、明示的に列挙されていないか、又は、そのようなプロセス、方法、システム、物品、デバイス、もしくは装置に本来備わっている他のエレメントを含むことが可能であるようになっている。
【0036】
説明および特許請求の範囲における用語「左」、「右」、「前方」、「後方」、「上」、「下」、「上方」、「下方」などは、説明のために使用され、必ずしも恒久的な相対位置を記述するようには意図されていない。そのように使用される用語は、適切な状況下では相互に交換可能である。従って、本明細書で述べられる発明の実施形態は、例えば、本明細書で示された、または、その他の形で述べられたものとは異なる配向で動作できることを理解されたい。
【0037】
「結合する(couple)」、「結合された(coupled)」、「結合する(c
ouples)」、及び、「結合している(coupling)」等という用語は、広義
に理解されるべきであり、電気的に、機械的に、及び/又は、その他の様態で、2つ以上の要素又は信号を接続することを指す。
【0038】
「打面」という用語は、本明細書で使用するとき、ゴルフボールを打撃するように構成されたクラブヘッド前面を指す。打面は、単に「フェース」と呼ばれる場合がある。
【0039】
「打面周囲」という用語は、本明細書で使用するとき、打面の縁部を指すことができる。打面周囲は、曲率が打面のバルジおよび/またはロールから逸脱する、打面の外縁部に沿って配置することができる。
【0040】
「幾何学的中心点」という用語は、本明細書で使用するとき、打面周囲の、打面のフェース高さの中点にある幾何学的中心点を指すことができる。同じ例または他の例では、幾何学的中心点はまた、打面上の溝の領域によって定義することができる、改変されたインパクト領域に対して心出しすることができる。別の方策として、打面の幾何学的中心点は、全米ゴルフ協会(USGA)などのゴルフ運営組織の定義にしたがって配置することができる。例えば、打面の幾何学的中心点は、USGAのゴルフクラブヘッド柔軟性測定手順(USGA-TPX3004、Rev.1.1.0、2008年5月1日)(http://www.usga.org/equipment/testing/protocols/Procedure-For-Measuring-The-Flexibility-Of-A-Golf-Club-Head/で入手可能)(「柔軟性手順」)のセクション6.1にしたがって決定することができる。
【0041】
「接地平面」という用語は、本明細書で使用するとき、ゴルフボールが配置される表面と関連付けられた基準面を指すことができる。接地平面は、アドレス位置にあるときにソールに接する水平面であり得る。
【0042】
「ロフト面」という用語は、本明細書で使用するとき、打面の幾何学的中心点に接する基準面を指すことができる。
【0043】
「ロフト角」という用語は、本明細書で使用するとき、地面とロフト面との間で測定される角度を指すことができる。
【0044】
「有効深さ」という用語は、後ボディの一部と接しないソール返し部の深さを指すことができる。いくつかの実施形態において、有効深さは、おもりパッドによって妨げられないソール返し部の深さである。
【0045】
説明
図1を参照すると、L字形フェースプレート150とダイナミックロフト特徴部とを備える中空ボディクラブヘッド100は、前端部102と、後端部104と、ヒール端部106と、トウ端部108と、上レール110と、ソール112と、を備える。L字形フェースプレート150は、前端部102に打面116を備え、ロフト平面101は、打面116に沿って延在する。
【0046】
上レール110、ヒール端部106、トウ端部108及びソール112は、打面周囲部163から後方に延在し、クラブヘッド100の外周部を形成する。
図2A~
図2Dを参照すると、クラブヘッド外周部は、打面116からずれて位置するクラブヘッド100の表面によって、前端部102と後端部104との間に画定される。外周部とクラブヘッド100との間の境界は、打面116が実質的に平坦であるところから逸れる、打面周囲部163に沿った点に生じる。
図2Aを参照すると、クラブヘッド100は、トウ端部108に沿って、前端部102と後端部104との間、及びソール112と上レール110との間に延在するトウ側外周部124を画定する。
図2Bを参照すると、クラブヘッド100は、上レール110に沿って、前端部102と後端部104との間、及びヒール端部106とトウ端部108との間に延在する上レール外周部126を更に画定する。
図2Cを参照すると、クラブヘッド100は、ソール112に沿って、前端部102と後端部104との間、及びヒール端部106とトウ端部108との間に延在するソール外周部128を更に画定する。
図2Dを参照すると、クラブヘッド100は、ヒール端部106に沿って、前端部102と後端部104との間、及びソール112と上レール110との間に延在するヒール側外周部122を更に画定する。
【0047】
I.L字形フェースプレート
図1に示すように、クラブヘッド100は、クラブヘッド100の前端部102で後ボディ130に連結されるフェースプレート150を備える。
図4を参照すると、フェースプレート150は、ロフト平面101に沿って延在する打面部分152を備える「L字形」を形成する。多くの実施形態では、L字形フェースプレート150は、
図6に示されるように、クラブヘッド外周部122、124、126、128に延在する打面周囲部163と、打面部分152から後方に延在するとともにソール112の一部分を形成するソール返し部154と、を更に備える。フェースプレート150の形状及び構成により、構造一体性を犠牲にせずに、フェースプレート150及び後ボディ130の部分の薄肉化が可能であり、これにより、フェースプレート150は、クラブヘッド100にフェースプレートの撓み及びボール速度の増大をもたらす。
【0048】
図3に示すように、クラブヘッド100は、L字形フェースプレート150を後ボディ130に連結することによって形成される中空ボディ構造を備え、中空内部空洞114を封入する。後ボディ130は、上レール部分132と、ソール部分138と、ヒール部分134と、トウ部分136と、ホーゼル構造体142と、後壁140と、を備える。後壁140は、ソール部分138から上レール部分132まで上方に延在し、クラブヘッド100の後端部104を取り囲む。後ボディ130は、クラブヘッド100の前端部102に近接する後ボディ開口144を更に画定する。後ボディ開口144は、後ボディ130の上レール部分132と、ヒール部分134と、トウ部分136と、ソール部分138との間に画定される。
図5を参照すると、複数の溶接面146は、後ボディ開口144の周囲部の周囲に延在する。溶接面146は、後ボディの上レール部分132、ヒール部分134、トウ部分136及びソール部分138の最前縁部によって形成される。溶接面146は、フェースプレート150及び後ボディ130を一緒に連結する境界面をもたらす。多くの実施形態では、溶接面146は、フェースプレート150を上に受け入れるように構成される実質的に平坦な表面とし得る。
【0049】
後ボディ130は、クラブヘッド100の重心(CG)を低下させるように設計された複数の加重特徴部を更に備える。
図10を参照すると、後ボディ130は、内部空洞114の下後方位置に位置するおもりパッド1000を備える。おもりパッド1000は、後ボディソール部分138及び後壁140の両方と共に一体に形成される。おもりパッド1000は、下輪郭部を有することができ、大量の質量をクラブヘッド100の低いところに集中させ得る。おもりパッド1000は、後ボディ130のヒール部分134とトウ部分136との間の距離の大部分に延在する。
【0050】
図5を参照すると、後ボディ130は、内部空洞114の下側ヒール領域及び下側トウ領域のそれぞれの中に位置するヒール質量体147とトウ質量体149とを更に備え得る。ヒール質量体147及びトウ質量体149は、クラブヘッド100の周囲部の重量を増大させるように働き、これにより、ヒール-トウ方向におけるクラブヘッドの慣性モーメントを増大させる。ヒール質量体147は、後ボディソール部分138、ヒール部分134及び後壁140と一体に形成し得る。トウ質量体149は、後ボディソール部分138、トウ部分136及び後壁140と一体に形成し得る。多くの実施形態では、
図5に示されるように、ヒール質量体及びトウ質量体149はそれぞれ、おもりパッド1000と一体とし得る。ヒール質量体147及びトウ質量体149を内部空洞114の低い後方ヒール部分及びトウ部分内に配置すると、ヒール質量体及び/又はトウ質量体のないクラブヘッドと比較して、より低いCG位置、及び増大したヒール-トウ慣性モーメントをもたらす。ヒール質量体147及びトウ質量体149の配置により、L字形フェースプレート150の撓みに干渉せずに、これらのクラブヘッド特性を向上させる。
【0051】
図5を再度参照すると、後ボディ130は、ソール部分138上にソールレッジ148を更に画定する。ソールレッジ148は、ソール返し部154、上レール延在部170、トウ延在部168又はそれらの任意の組合せを含め、上記又は以下で説明する任意のフェースプレート形状と組み合わせ得る。ソールレッジ148は、後ボディ130と一体に形成され、おもりパッド1000の直ぐ前方に位置する。ソールレッジ148は、おもりパッド1000から前方に突出し、ヒール端部106付近からトウ端部108付近まで、おもりパッド1000の範囲に沿って延在する。ソールレッジ148は、ソールレッジ148の最前面であるソールレッジ前面151を備える。ソールレッジ前面151は、ソール112に沿って溶接面146を形成し、ソール返し部154を後ボディソール部分138に容易に取り付けるための表面をもたらす。詳細には、ソールレッジ前面151は、以下で更に詳細に説明するように、フェースプレート150のソール周囲縁部166に接触する。多くの実施形態では、ソール周囲縁部166は、後ボディ130に接触するソール返し部154の唯一の部分である。ソールレッジ148は、ソール112の一区分を形成し、ソール返し部154をおもりパッド1000から隔てる。
【0052】
ソールレッジ148は、ソール112の比較的わずかな一区分を形成する。
図11を参照すると、ソールレッジ148は、ソールレッジ深さ153を画定し、ソールレッジ深さ153は、おもりパッド前壁1010からフェースプレートソール周囲縁部166まで測定されたものである。いくつかの実施形態では、ソールレッジ深さ153は、ヒール-トウ方向で変動する。いくつかの実施形態では、ソールレッジ深さ153は、ヒール-トウ方向で一定である。ソールレッジ深さ153は、0.01インチから0.02インチの間であり得る。いくつかの実施形態において、ソールレッジ深さ153は、0.01インチから0.05インチの間、0.03インチから0.07インチの間、0.05インチから0.10インチの間、0.07インチから0.10インチの間、0.09インチから0.12インチの間、0.10インチから0.15インチの間、0.13インチから0.17インチの間、0.15インチから0.20インチの間、または、0.17インチから0.20インチの間であり得る。いくつかの実施形態において、ソールレッジ深さ153は、約0.01インチ、約0.02インチ、約0.03インチ、約0.04インチ、約0.05インチ、約0.06インチ、約0.07インチ、約0.08インチ、約0.09インチ、約0.10インチ、約0.11インチ、約0.12インチ、約0.13インチ、約0.14インチ、約0.15インチ、約0.16インチ、約0.17インチ、約0.18インチ、約0.19インチ、または、約0.20インチである。一つの例示的な実施形態では、ソールレッジ深さ153は、0.09インチである。ソールレッジ深さ153は、フェースプレート150をおもりパッド1000から移動させるのに十分に大きい一方で、ソール返し部深さ158を最大化する。ソールレッジ深さ153は、フェースプレート150の撓みを最大化するように選択される。上記で説明したように、フェースプレート150の撓みを最大化すると、より多くのエネルギーをゴルフボールに伝達し、より速いボール速度をもたらす。したがって、ソールレッジ深さ153は、フェースプレート150の撓みを最大化するように選択される。
【0053】
以下で更に詳細に説明するように、撓みを最大化するため、ソール返し部深さ158を最大化する。したがって、ソールレッジ深さ153は、ソール返し部深さ158を最大化する一方で、ソール返し部154とおもりパッド1000との間に十分な距離をもたらすように選択される。このように、おもりパッド1000は、ソール返し部154に接触しない。クラブヘッド100にソールレッジ148がなければ、おもりパッド1000は、ソール返し部154に接触し、ソール返し部深さ158は事実上縮み、フェースプレート150の撓みを低減させるであろう。フェースプレート150の撓みを更に最大化するため、ソールレッジ148は、以下でより詳細に説明するように、ソール返し部154の厚さと同一又は実質的に同様である厚さを備える。
【0054】
ソールレッジ148を備えるクラブヘッド100は、ソールレッジのないクラブヘッドより優れた製造の利点をもたらす。ソールレッジ148は、ソール返し部154の単一表面(ソール周囲縁部166)のみが後ボディ130に接触することを必要とする。ソールレッジのない一部のゴルフクラブヘッドは、ソール返し部の複数の表面が後ボディに接触することを必要とする。例えば、一部のゴルフクラブヘッドは、ソール周囲縁部及び内面の一部分の両方が後ボディに接触することを必要とする。後ボディ130に接触するソール返し部154の各表面を準備しなければならず、更なる表面の準備は、製造費用を増大させる。したがって、ソールレッジ148は、ソール返し部154の唯一の表面のみの準備を必要とすることによって、製造費用を低減させる。
【0055】
更に、ソールレッジ148は、ソール返し部154のための単純な受入れ形状をもたらす。より詳細には、ソール返し部154は、ソール返し部154の単一表面を後ボディ130の単一表面と位置合わせすることだけを必要とする。ソールレッジのない一部のゴルフクラブヘッドは、より複雑な受入れ形状をもたらし、ソール返し部の複数の表面を後ボディの複数の表面と位置合わせしなければならない。それぞれの更なる表面は、ソール返し部154を後ボディ130と位置合わせする際に許容される誤差限界を低下させる。より低い誤差限界は、ソールレッジ148がより厳しい許容誤差範囲内で形成されることを必要とし、フェースプレート150の製造における費用及び困難を増大させることがある。したがって、ソールレッジ148を備えるクラブヘッド100は、ソールレッジのないクラブヘッドよりも製造が容易で安価である。ソールレッジ148は、クラブヘッド100に更なる利点をもたらす。
【0056】
ソールレッジ148は、ソール返し部154とおもりパッド1000との間に緩衝領域を画定する。上記で説明したように、ソール返し部154は、ソールレッジ前面151でしか後ボディ130に接触しない。ソールレッジのない一部のゴルフクラブヘッドにおいて、後ボディは、ソール返し部に重なり、ソール返し部の複数の表面が後ボディに接触する。例えば、ソールレッジのない一部のゴルフクラブヘッドにおいて、ソール返し部は、おもりパッド内に延在し、おもりパッドがソール返し部の最後部分に重なる。ソール返し部154に接触する又はソール返し部154を覆うそれぞれの更なる表面は、ソール返し部154の有効深さを減少させるので、屈曲を抑制し得る。そのような実施形態では、インパクト時に蓄積され、解放されてゴルフボールに戻るエネルギーはより少なく、ソールレッジ148を備えるクラブヘッドと比較して、ボール速度の減少につながる。
【0057】
本明細書で説明する実施形態では、ソールレッジ148は、おもりパッド前壁1010から突出するため、ソールレッジ148は、ソール返し部154がおもりパッド1000に接触しないようにする。ソールレッジ前面151は、フェースプレートソール周囲縁部166に接触する後ボディ130の唯一の部分である。ソール返し部内面161は、おもりパッド1000のどの部分にも接触せず、更により詳細には、ソール返し部内面161は、おもりパッド前壁1010に接触しない。代わりに、ソールレッジ148からソール返し部154への円滑な移行が画定される。
【0058】
図1を参照すると、クラブヘッド100は、L字形フェースプレート150を備え、L字形フェースプレート150は、ボール速度を増大させる撓みを最大化するように構成される。L字形フェースプレート150は、溶接面146で後ボディ130に連結され、後ボディ開口144を覆い、中空内部空洞114を封入する。フェースプレート150は、後ボディ130の材料とは異なる材料から形成し得る。フェースプレート150は、後ボディ材料より強度の大きい材料を備え得る。
【0059】
多くの実施形態では、後ボディ材料は、後ボディ130の形成に必要な複雑形状に容易に鋳造し得る材料である。多くの実施形態では、後ボディ材料は、17-4ステンレス鋼等のステンレス鋼である。他の実施形態では、後ボディ材料は、15-5ステンレス鋼、431ステンレス鋼、4140鋼、4340鋼等の鉄鋼若しくはステンレス鋼合金、又は後ボディ130の複雑形状への鋳造に適しているあらゆる他の材料とし得る。
【0060】
多くの実施形態では、後ボディ材料の降伏強度は、約60ksiから約140ksiの間の範囲であり得る。いくつかの実施形態において、後ボディ材料の降伏強度は、60ksiから70ksiの間、70ksiから80ksiの間、80ksiから90ksiの間、90ksiから100ksiの間、100ksiから110ksiの間、110ksiから120ksiの間、120ksiから130ksiの間、または、130ksiから140ksiの間であり得る。いくつかの実施形態において、後ボディ材料の降伏強度は、60ksi超、70ksi超、80ksi超、90ksi超、100ksi超、110ksi超、120ksi超、または、130ksi超であり得る。
【0061】
フェースプレート材料は、後ボディ材料より高い強度の材料とし得る。多くの実施形態では、フェースプレート材料は、C300等のマルエージ鋼とし得る。他の実施形態では、フェースプレート材料は、高強度鉄鋼又は合金鋼、C250、C350、AerMet(登録商標)100、AerMet(登録商標)310、AerMet(登録商標)340、HSR300、K300又はL字形フェースプレートへの形成に適しているあらゆる他の高強度材料とし得る。
【0062】
いくつかの実施形態において、フェースプレート材料の降伏強度は、約220ksiから約300ksiの間の範囲であり得る。いくつかの実施形態において、フェースプレート材料の降伏強度は、220ksiから230ksiの間、230ksiから240ksiの間、240ksiから250ksiの間、250ksiから260ksiの間、260ksiから270ksiの間、270ksiから280ksiの間、280ksiから290ksiの間、または、290ksiから300ksiの間であり得る。いくつかの実施形態において、フェースプレート材料の降伏強度は、220ksi超、230ksi超、240ksi超、250ksi超、260ksi超、270ksi超、280ksi超、または、290ksi超であり得る。
【0063】
多くの実施形態では、フェースプレート材料の弾性係数は、後ボディ材料の弾性係数と実質的に同じとし得る。このことは、フェースプレート材料が後ボディ材料より強く、フェースプレート材料及び後ボディ材料が同様の可撓性を含むことを意味する。クラブヘッド100の撓みの増大は、低強度の後ボディ材料を、同様の弾性係数を有するより高い強度のフェースプレート材料に代えることによって達成し得る。このことにより、フェースプレート材料に代えられた後ボディ130の部分の材料の可撓性又は構造一体性を犠牲にせずに、前記部分の薄肉化を可能にする。
【0064】
いくつかの実施形態において、フェースプレート材料の弾性係数は、170GPaから220GPaの間の範囲であり得る。いくつかの実施形態において、フェースプレート材料の弾性係数は、170GPaから180GPaの間、180GPaから190GPaの間、190GPaから200GPaの間、200GPaから210GPaの間、または、210GPaから220GPaの間であり得る。いくつかの実施形態において、フェースプレート材料の弾性係数は、170GPa超、175GPa超、180GPa超、185GPa超、190GPa超、195GPa超、200GPa超、205GPa超、210GPa超、215GPa超、または、220GPa超であり得る。高降伏強度と高弾性係数の組み合わせは、構造一体性を犠牲にせずに、クラブヘッド100の部分の薄肉化を可能にし、撓みを増大させる。
【0065】
上述のように、L字形フェースプレート150は、打面部分152を備え、打面部分152は、ロフト平面101に沿って、ソール112から上レール110まで延在し、ソール返し部154は、ソール112の一部分を形成する。ソール返し部154を形成するL字形フェースプレート150は、ソールレッジ156、傾斜付きおもりパッド1000、延在部2050を備えるおもりパッド2000、ヒール質量体147及び/又はトウ質量体149、下側内部アンダーカット190、上側内部アンダーカット195、後外部空洞198、外部撓みヒンジ3000、内部屈曲切欠き3100、内部溶接リブ179又はそれらの任意の組合せを含め、上記又は以下で説明する任意の後ボディ130の形状又は特徴部と組み合わせ得る。
【0066】
ソール返し部154は、リーディングエッジ118から後方に延在する。
図4に示すように、フェースプレート150は、側断面から見た際に「L字」形状を形成し、L字形フェースプレート150は、ソール112までリーディングエッジ118上を覆う。リーディングエッジ118は、L字形状の「ひじ」を形成する。リーディングエッジ118は、L字形状フェースプレート150の打面部分152とソール返し部154との間の接合部又は移行部として働く。
【0067】
ソール返し部154は、ソール返し部154のない同様のフェースプレートより多くL字形状フェースプレート150が撓むのを可能にする。ソール返し部154の包含により、それ以外の場合では後ボディ130によって形成されるソール112の部分を、フェースプレート材料に代える。多くの実施形態では、フェースプレート150の材料は、後ボディ材料より高い降伏強度を含む一方で、後ボディ材料と同様の弾性係数を保持する。ソール返し部154によって代えられる後ボディソール部分138の部分は、構造一体性を犠牲にせずに薄肉化し得る。このことにより、ソール112が後ボディ材料から一体的に構成された場合より多く撓むことを可能にする。ソール返し部の包含に付随するこの更なる撓みは、インパクト時の打面116とゴルフボールとの間のエネルギー伝達を最大化し、クラブヘッド100にボール速度の増大をもたらす。
【0068】
ソール返し部154の包含により、構造一体性を犠牲にせずにソール112及びフェースプレート150の薄肉化を可能にすることによって、クラブヘッド100の撓みの増大を更に可能にする。一部のゴルフクラブでは、構造の故障は、一般に、リーディングエッジ、又は打面に近接するソール部分に位置する高応力領域に沿って生じる。一部のゴルフクラブでは、ソールは、比較的低い強度の鋳造材料から構成されるため、ソール及び/又は打面の部分の厚さを、高応力領域内に必要な構造一体性をもたらすように増大させなければならない。ソール返し部154は、高応力領域において、より低い強度の後ボディ材料をより高い強度のフェースプレート材料に代えられる。(リーディングエッジ118に近接するソールの上、等の)ピーク応力領域内に高強度フェースプレート材料を置くことで、耐久性を犠牲にせず、打面116及びソール112のそれぞれの薄肉化を可能にする。打面116及びソール112の更なる薄肉化により、インパクト時、クラブヘッド100に更なる撓みをもたらし、ソール返し部のないソールを備える同様のクラブヘッドより優れたボール速度の増大をもたらす。
【0069】
多くの実施形態では、ソール返し部154の包含は、打面116の薄肉化を可能にし、打面116が撓み得る量を増大させる。多くの実施形態では、打面116は、打面116の様々な領域で変動する面厚さを備える。多くの実施形態では、打面116は、
図4に示されるように、打面116の中心付近に厚肉領域172を備える。厚肉領域172は、打面116の最大厚さを含む。厚肉領域172から離れ、打面116の周囲部のより近くに位置する打面116の領域は、打面116の最小厚さを含み得る。多くの実施形態において、打面116の最大厚さは、約0.085インチから約0.100インチの範囲であり得る。いくつかの実施形態において、打面116の最大厚さは、0.085インチから0.0875インチの間、0.085インチから0.090インチの間、0.085インチから0.0925インチの間、または、0.085インチから0.095インチの間であり得る。多くの実施形態において、打面116の最小厚さは、約0.060インチから約0.075インチの範囲であり得る。いくつかの実施形態において、打面116の最小厚さは、0.060インチから0.0625インチの間、0.060インチから0.065インチの間、0.060インチから0.0675インチの間、0.060インチから0.070インチの間、または、0.060インチから0.0725インチの間であり得る。打面116の異なる部分の厚さは、フェースプレート150の撓みを最大化するように選択され得る。
【0070】
ソール返し部154の包含により、耐久性を犠牲にせずに、打面116の一様な薄肉化を可能にする。ソール返し部154の包含は、(ソール返し部のない同様のクラブヘッドに対して)0.001インチ超、0.0025インチ超、0.005インチ超、0.0075インチ超、0.010インチ超、0.0125インチ超、0.0150インチ超、0.0175インチ超、又は0.020インチ超、打面116の薄肉化を可能にし得る。上記で説明したように、打面116の薄肉化は、フェースプレート150の撓みを増大し得る。
【0071】
同様に、多くの実施形態では、ソール返し部154の包含は、リーディングエッジ118付近のソール112の部分の薄肉化を可能にし、フェースプレート150及びソール112が撓み得る量を増大させる。多くの実施形態において、ソール返し部154の厚さは、約0.035インチから約0.060インチの間の範囲であり得る。いくつかの実施形態において、ソール返し部154の厚さは、0.035インチから0.045インチの間、0.040インチから0.050インチの間、0.045インチから0.055インチの間、または、0.050インチから0.060インチの間であり得る。いくつかの実施形態において、ソール返し部154の厚さは、0.035インチから0.040インチの間、0.035インチから0.045インチの間、0.035インチから0.050インチの間、0.035インチから0.055インチの間、または、0.035インチから0.060インチの間であり得る。ソール返し部154の厚さは、リーディングエッジ118に構造一体性を与えながら、フェースプレート150の撓みを最大化するように選択され得る。
【0072】
ソール返し部154の包含は、ソール返し部のない同様のクラブヘッドの部分よりも、約0.001インチ超、約0.0025インチ超、約0.005インチ超、約0.0075インチ超、約0.010インチ超、約0.0125インチ超、約0.0150インチ超、約0.0175インチ超、または、約0.020インチ超、リーディングエッジ118に近接するソール112の部分(即ち、ソール返し部が位置する場所)の薄肉化を可能にする。リーディングエッジ118の薄い構造は、屈曲を促進し、フェースプレート150の撓みを増大させる。
【0073】
ソール返し部154の包含は、構造一体性を犠牲にせずに、ソール返し部154の後方及びおもりパッド1000の前方にあるソールレッジ148の薄肉化を更に可能にする。多くの実施形態では、ソールレッジ148は、
図11に示されるように、ソール返し部154の厚さと同一又は実質的に同様である厚さを含む。ソールレッジの厚さは、ソール返し部154の可撓性を増大させるように、ソール返し部の厚さと同様である。実質的に薄いソールレッジ148を設けることによって、ソール返し部154及びソールレッジ148は、実質的に一定の厚さの連続的な薄いソール部分を形成するように結合する。ソールレッジ148は、より低い強度の後ボディ材料から形成されるが、ソールレッジ148は、より高い強度のソール返し部154と同等に薄肉化し得る。というのは、ソールレッジ148は、リーディングエッジ118で生じるピーク応力の更に後方に位置するためである。更に、ソールレッジ148を形成する後ボディ材料、及びソール返し部154を形成するフェースプレート材料の弾性係数が同じであることにより、薄いソール部分が破断せずに屈曲することを可能にする。
【0074】
多くの実施形態において、ソール返し部154の厚さと同様に、ソールレッジ148の厚さは、約0.035インチから約0.060インチの間の範囲であり得る。いくつかの実施形態において、ソールレッジ148の厚さは、0.035インチから0.045インチの間、0.040インチから0.050インチの間、0.045インチから0.055インチの間、または、0.050インチから0.060インチの間であり得る。いくつかの実施形態において、ソールレッジ148の厚さは、0.035インチから0.040インチの間、0.035インチから0.045インチの間、0.035インチから0.050インチの間、0.035インチから0.055インチの間、または、0.035インチから0.060インチの間であり得る。ソールレッジ148とソール返し部154の類似した厚さは、後ボディ130からフェースプレート150への円滑な移行を形成する。
【0075】
A.上レール延在部とトウ延在部とを有するL字形フェースプレート
多くの実施形態では、
図6によって示されるように、L字形フェースプレート150は、打面周囲部163を越えて延在する。フェースプレート150は、フェースプレート150の縁部がクラブヘッド外周部122、124、126、128まで完全に延在するトウ延在部168と上レール延在部170とを備え得る。トウ延在部168と上レール延在部170とを備えるL字形フェースプレート150は、ソールレッジ156、傾斜付きおもりパッド1000、延在部2050を備えるおもりパッド2000、ヒール質量体147及び/又はトウ質量体149、下側内部アンダーカット190、上側内部アンダーカット195、後外部空洞198、外部撓みヒンジ3000、内部屈曲切欠き3100、内部溶接リブ179又はそれらの任意の組合せを含め、上記又は以下で説明する任意の後ボディ130形状又は特徴部と組み合わせ得る。
【0076】
トウ延在部168と上レール延在部170とを備えるL字形フェースプレート150は、上レール110の少なくとも一部分及びトウ端部108の一部分を形成する。L字形フェースプレート150の形状は、フェースプレート周囲部を形成する複数の縁部によって画定し得る。L字形フェースプレート150は、
図3及び
図4に示されるように、上周囲縁部160と、ヒール側周囲縁部162と、トウ側周囲縁部164と、ソール周囲縁部166とを備え得る。
【0077】
図2A、
図2B及び
図4を参照すると、上レール延在部170を介して、フェースプレート150は、上レール外周部126まで延在し、上周囲縁部160は、上レール110上に位置する。同様に、トウ延在部168を介して、フェースプレート150は、トウ側外周部124まで延在し、トウ側周囲縁部164は、トウ端部108上に位置する。ソール返し部154を介して、フェースプレート150は、ソール外周部128まで完全に延在し、ソール周囲縁部166は、ソール112上に位置する。フェースプレート150は、上レール110の少なくとも一部分、トウ端部108の少なくとも一部分、及びソール112の少なくとも一部分を形成する。したがって、上周囲縁部160、トウ側周囲縁部164及びソール周囲縁部166は全て、クラブヘッド外周部122、124、128上に位置し、打面116から離れて位置する。ヒール側周囲縁部162は、クラブヘッド100の前端部102上に位置し、ヒール端部106上で打面116の境界として働く。ヒール側周囲縁部162は、ホーゼル構造体142を打面116から隔てる。
【0078】
フェースプレート150の周囲縁部は、フェースプレート150と後ボディ130との間に境界面をもたらす。
図4を参照すると、フェースプレート150の周囲縁部は、後ボディ130の溶接面146に溶接され、フェースプレート150を後ボディ130に連結している。複数の溶接線は、フェースプレート周囲縁部と後ボディ溶接面146との間の境界面で、フェースプレート150と後ボディ130との間に画定される。多くの実施形態では、フェースプレート150及び後ボディ130は、レーザー溶接加工を介して一緒に溶接される。
【0079】
多くの実施形態では、
図4に示されるように、フェースプレート150の周囲縁部、特に、上周囲縁部160、トウ側周囲縁部164、上レール延在部170及びトウ延在部168、並びにソール周囲縁部166はそれぞれ、斜面又は面取り部を備え得る。トウ延在部168及び上レール延在部170の斜面及び/又は面取り部は、打面116から、トウ側外周部124及び上レール外周部126のそれぞれへの円滑な移行をもたらす。例えば、トウ延在部168は、打面116とトウ端部108との間の移行部に斜面を形成する一方で、上レール延在部170は、打面116と上レール110との間の移行部に斜面を形成する。
【0080】
フェースプレート150の形状、及びクラブヘッド外周部上へのフェースプレート周囲縁部の配置は、溶接線が打面116からずれることによって、フェースプレート150に撓みの増大をもたらす。多くの従来技術の中空ボディアイアンは、中空内部空洞を形成するため、クラブヘッドの前面に取り付けられる非L字形フェースインサートを備える。そのような従来技術のクラブヘッドでは、インサートは、クラブヘッド外周部に対して内側に置かれ、フェースインサートとボディとの間の全ての溶接線は、打面上に位置する。従来技術のクラブの溶接線は、打面の厚さの一因となり、フェースプレートの可撓性を低減させる。溶接線によってもたらされる更なる厚さは、フェースプレートが撓む能力を低減させる。対照的に、ソール返し部154と、トウ延在部168と、上レール延在部170とを備えるL字形フェースプレート150は、溶接線が打面116上に形成されない。代わりに、溶接線は、クラブヘッド外周部122、124、128上に位置する。この構成は、フェースプレート150が撓む能力を増大させる。
【0081】
図4を参照すると、多くの実施形態では、L字形フェースプレート150は、上レール110又はトウ端部108上では返し部分を形成しない。打面は、打面裏面156を備え、打面裏面156は、上レール110に近接して、ヒール端部106に沿って実質的に平坦である。打面裏面156から後方に延在する、又は返し部を形成するトウ端部108又は上レール110付近のフェースプレート150の部分はない。このようにして、打面部分の上及び/又はトウ端部上に返し部分を備えるカップ形フェースプレートとは反対に、フェースプレート150はL字形であり、ソール112付近にまっすぐな打面部分152及びソール返し部154を有する。本明細書で説明するL字形フェースプレート150の様々な実施形態は、フェースプレート150の撓みを増大させるように設計される。
【0082】
フェースプレート150は、フェースプレート表面積を含み、フェースプレート表面積は、フェースプレート150にわたり測定され、上周囲縁部160、トウ側周囲縁部164、ヒール側周囲縁部162及びリーディングエッジ118によって境界が示される。フェースプレート表面積は、フェースプレート150のばね様効果に相関する。フェースプレート表面積が増大するにつれて、フェースプレート150のばね様効果が増大し、これにより、フェースプレート150の撓みを増大させる。撓みの増大により、フェースプレート150がゴルフボールにより多くのエネルギーを伝達することを可能にし、より速いボール速度をもたらす。
【0083】
いくつかの実施形態において、フェースプレート表面積は、約3.50インチ2(in2)から約5.00インチ2の間である。いくつかの実施形態において、フェースプレート表面積は、3.50インチ2から3.75インチ2の間、3.65インチ2から3.90インチ2の間、3.80インチ2から4.20インチ2の間、4.00インチ2から4.25インチ2の間、4.25インチ2から4.50インチ2の間、4.50インチ2から4.75インチ2の間、または、4.70インチ2から5.00インチ2の間である。いくつかの実施形態において、フェースプレート表面積は、約3.50インチ2、約3.55インチ2、約3.60インチ2、約3.65インチ2、約3.70インチ2、約3.75インチ2、約3.80インチ2、約3.85インチ2、約3.90インチ2、約3.95インチ2、約4.00インチ2、約4.05インチ2、約4.10インチ2、約4.15インチ2、約4.20インチ2、約4.25インチ2、約4.30インチ2、約4.35インチ2、約4.40インチ2、約4.45インチ2、約4.50インチ2、約4.55インチ2、約4.60インチ2、約4.65インチ2、約4.70インチ2、約4.75インチ2、約4.80インチ2、約4.85インチ2、約4.90インチ2、約4.95インチ2、または、約5.00インチ2である。フェースプレート表面積は、フェースプレート150の撓みを促進するために選択される。
【0084】
いくつかの実施形態では、上レール延在部170とトウ延在部168とを備えるフェースプレート150は、これらの特徴部のないフェースプレートより大きなフェースプレート表面積を含む。いくつかの実施形態において、フェースプレート表面積は、約5.00インチ2(in2)から約6.00インチ2の間である。いくつかの実施形態において、フェースプレート表面積は、5.00インチ2から5.30インチ2の間、5.15インチ2から5.25インチ2の間、5.20インチ2から5.40インチ2の間、5.35インチ2から5.60インチ2の間、5.50インチ2から5.70インチ2の間、または、5.60インチ2から6.00インチ2の間である。いくつかの実施形態において、フェースプレート表面積は、約5.00インチ2、約5.05インチ2、約5.10インチ2、約5.15インチ2、約5.20インチ2、約5.25インチ2、約5.30インチ2、約5.35インチ2、約5.40インチ2、約5.45インチ2、約5.50インチ2、約5.55インチ2、約5.60インチ2、約5.65インチ2、約5.70インチ2、約5.75インチ2、約5.80インチ2、約5.85インチ2、約5.90インチ2、約5.95インチ2、または、約6.00インチ2である。フェースプレート表面積は、フェースプレート150の撓みを促進するために選択される。
【0085】
いくつかの実施形態では、上レール延在部170とトウ延在部168とを備えるフェースプレート150の表面積は、これらの特徴部のないフェースプレートよりも約1.00インチ2から約3.00インチ2の間で大きい。いくつかの実施形態では、フェースプレート150の表面積は、上レール延在部及びトウ延在部のないフェースプレートの表面積よりも1.00インチ2から1.25インチ2の間、1.20インチ2から1.50インチ2の間、1.40インチ2から1.75インチ2の間、1.50インチ2から2.00インチ2の間、1.75インチ2から2.25インチ2の間、2.20インチ2から2.50インチ2の間、2.40インチ2から2.75インチ2の間、又は2.50インチ2から3.00インチ2の間で大きい。トウ延在部168と上レール延在部170とを備えるフェースプレート150の表面積の増大は、フェースプレート150の撓みの増大を促進する。
【0086】
図4を参照すると、ソール周囲縁部166の輪郭は、ソール返し部154の形状を決定する。ソール返し部154において、ソール周囲縁部166は、ソール112に沿って後方に延在し、L字形フェースプレート150と後ボディソール部分138との間の境界として働く。ソール返し部154は、ソールレッジ148に対して面一で置かれるように相補形に成形し得る。後ボディソール部分138における溶接面146の輪郭は、対応して、ソール返し部154上のソール周囲縁部166の輪郭に一致し得る。ソール返し部154及び後ボディソール部分138の相補形状は、後ボディ130とフェースプレート150との間に間隙又は細穴を一切伴わずに形成される連続ソール面をもたらす。
【0087】
図3及び
図4を参照すると、多くの実施形態では、ソール周囲縁部166は、後ソール周囲縁部166aと、ヒール側周囲縁部166bと、トウ側ソール周囲縁部166cと、を備え得る。
図7の実施形態では、ヒール側ソール周囲縁部166b及びトウ側ソール周囲縁部166cは、ある角度でリーディングエッジ118から後方に延在し、後ソール周囲縁部166aは、ヒール側ソール周囲縁部166bとトウ側ソール周囲縁部166cとの間で、ヒール-トウ方向に、実質的にリーディングエッジ118に平行に延在し得る。
【0088】
多くの実施形態では、ソール返し部154は、リーディングエッジ118の全長から後方に延在するものではない。
図7を参照すると、ソール返し部154は、ヒール-トウ方向で測定されるソール返し部幅157を画定する。多くの実施形態では、ソール返し部幅157は、リーディングエッジ118の長さより少なくてよく、このため、ソール返し部154は、ヒール側ソール周囲縁部166bからトウ側ソール周囲縁部166cまでのヒール-トウ方向で、リーディングエッジ118全体又はソール112全体に及ぶものではない。いくつかの実施形態では、ソール返し部幅157は、幅がリーディングエッジ118の近接から後ソール周囲縁部166aに向かって減少するようにテーパを付け得る。そのような実施形態では、ソール返し部154は、リーディングエッジ118に近接する最大幅、及び後ソール周囲縁部166aにおける最小幅を含み得る。いくつかの実施形態では、ソール返し部154にテーパを付けなくてよく、ソール返し部幅157は、前-後方向で一定とし得る。
【0089】
ソール返し部154にテーパが付けられている実施形態では、ソール返し部幅157にテーパを付ける割合は、複数のテーパ角度β
t、β
hを特徴とし得る。
図7を参照すると、複数のテーパ角度β
t、β
hは、ソール周囲縁部166とリーディングエッジ118との間の外角として測定し得る。ソール返し部154は、ヒール側ソール周囲縁部166bとリーディングエッジ118との間で測定されるヒール側テーパ角度β
h、及びトウ側ソール周囲縁部166cとリーディングエッジ118との間で測定されるトウ側テーパ角度β
tを含み得る。多くの実施形態では、ヒール側テーパ角度β
h及びトウ側テーパ角度β
tは、同じ又は実質的に同様とし得る。他の実施形態では、ヒール側テーパ角度β
h及びトウ側テーパ角度β
tは、異なり得る。
【0090】
多くの実施形態において、ヒール側テーパ角度βhは、約100度から約160度の間の範囲であり得る。多くの実施形態において、ヒール側テーパ角度βhは、100度から110度の間、110度から120度の間、120度から130度の間、130度から140度の間、140度から150度の間、または、150度から160度の間の範囲であり得る。多くの実施形態において、ヒール側テーパ角度βhは、110度から130度の間、115度から135度の間、120度から140度の間、125度から145度の間、130度から150度の間、または、140度から160度の間の範囲であり得る。いくつかの実施形態において、ヒール側テーパ角度βhは、約120度、約121度、約122度、約123度、約124度、約125度、約126度、約127度、約128度、約129度、約130度、約131度、約132度、約133度、約134度、約135度、約136度、約137度、約138度、約139度、または、約140度であり得る。多くの実施形態において、ヒール側テーパ角度βhは、トウ側テーパ角度βtと同様であり得る。
【0091】
多くの実施形態において、トウ側テーパ角度βtは、約100度から約160度の間の範囲であり得る。多くの実施形態において、トウ側テーパ角度βtは、100度から110度の間、110度から120度の間、120度から130度の間、130度から140度の間、140度から150度の間、または、150度から160度の間の範囲であり得る。多くの実施形態において、トウ側テーパ角度βtは、110度から130度の間、115度から135度の間、120度から140度の間、125度から145度の間、または、130度から150度の間であり得る。いくつかの実施形態において、トウ側テーパ角度は、約120度、約121度、約122度、約123度、約124度、約125度、約126度、約127度、約128度、約129度、約130度、約131度、約132度、約133度、約134度、約135度、約136度、約137度、約138度、約139度、または、約140度であり得る。
【0092】
ソール返し部154のテーパ付き形状は、ヒール質量体147及びトウ質量体149が、ソール返し部154に接触せずに、下側ヒール領域及び下側トウ領域内に質量を集中し得る空間をもたらす。ソール返し部154にテーパを付けると、ソール返し部154に接触せずに、より多量の質量がヒール質量体147及びトウ質量体149内の空間に割り当てられる。この構成は、フェースプレート150の撓みに干渉せずに、クラブヘッド100の周囲部への加重の最大化を可能にする。
【0093】
多くの実施形態において、ソール返し部154は、約1.5インチから約3.0インチの範囲の最大ソール返し部幅157を備えることができる。いくつかの実施形態において、最大ソール返し部幅157は、1.5インチから2.5インチの間、1.75インチから2.75インチの間、または、2.0インチから3.0インチの間であり得る。いくつかの実施形態において、最大ソール返し部幅157は、1.5インチから2.0インチの間、1.5インチから2.25インチの間、1.5インチから2.5インチの間、1.5インチから2.75インチの間、2.0インチから2.25インチの間、2.0インチから2.5インチの間、2.0インチから2.75インチの間、または、2.0インチから3.0インチの間であり得る。
【0094】
上記で説明したように、ソール返し部154は、前-後方向で、ソール返し部154のリーディングエッジ118から後ソール周囲縁部166cまで測定されるソール返し部深さ158を更に画定する。多くの実施形態では、
図7に示すように、ソール返し部深さ158は、ヒール-トウ方向で実質的に一定とし得る。他の実施形態では、ソール返し部深さ158は、ヒール端部106からトウ端部108まで変動し得る。いくつかの実施形態では、ソール返し部154は、(ヒール-トウ方向に対して)ソール返し部154の中心付近で最大ソール返し部深さ158、並びにヒール端部106及び/又はトウ端部108付近で最小ソール返し部深さ158を含み得る。
【0095】
多くの実施形態において、ソール返し部154は、約0.20インチから約0.40インチの範囲の最大ソール返し部深さ158を備えることができる。いくつかの実施形態において、最大ソール返し部深さ158は、0.2インチから0.4インチの間、又は、0.3インチから0.4インチの間であり得る。いくつかの実施形態において、最大ソール返し部深さ158は、0.2インチから0.25インチの間、0.25インチから0.275インチの間、0.275インチから0.30インチの間、0.3インチから0.325インチの間、0.325インチから0.35インチの間、0.35インチから0.375インチの間、または、0.375インチから0.4インチの間であり得る。多くの実施形態において、最大ソール返し部深さ158は、0.2インチ超であり得る。いくつかの実施形態において、最大ソール返し部深さ158は、0.2インチ超、0.225超、0.25インチ超、0.275インチ超、0.3インチ超、0.325インチ超、0.35インチ超、または、0.375インチ超であり得る。
【0096】
多くの実施形態では、ソール返し部深さ158は、製造能力の最大範囲まで最大化し得る。多くの実施形態では、ソール返し部深さ158は、約0.400インチ未満としなければならない。多くの実施形態では、フェースプレート150は、機械加工及び成形加工によって形成される。そのような方法において、ソール返し部深さ158は、成形工具によって制限される。多くの実施形態では、ソール返し部深さ158は、成形工具により許容される最大深さに可能な限り近い。ソール返し部深さ158を最大化すると、最大量の撓みをクラブヘッド100内にもたらし、ボール速度に最大の増加をもたらす。
【0097】
ソール返し部154の撓みは、他の表面によって妨げられないソール返し部154の量に依存し得る。例えば、ソール返し部154が妨げられない深さ158は、ソール返し部154が妨げられない有効なソール返し部深さに沿って自由に撓むので、「有効」ソール返し部深さとみなし得る。ゴルフクラブヘッド100がソールレッジ148を備えるいくつかの実施形態では、ソール返し部154は、おもりパッド1000又はあらゆる他の表面によって妨げられない。これらの実施形態では、有効ソール返し部深さ及びソール返し部深さ158は、同じである。例えば、
図6に示されるクラブヘッド100及び
図8に示されるクラブヘッド200はそれぞれ、有効ソール返し部深さをソール返し部深さ158と等しく作製したソールレッジ148、248を備える。概して、有効ソール返し部深さが大きいほど、ソール返し部154は、より大きく撓み得る。
【0098】
図7の実施形態のソール周囲縁部166は、ソール返し部154に実質的に台形の形状をもたらす。いくつかの実施形態では、ソール返し部154は、多種多様な形状で形成し得る。多くの実施形態では、ソール返し部154は、実質的に長方形とし得る。ソールから見た他の実施形態では、ソール返し部154は、平行四辺形、多角形、半円形、半楕円形、三角形、又は任意の他の適切な形状に似せることができる。
【0099】
図6及び
図7の構成において、ソール返し部154は、インパクト時、エネルギー伝達の増大に著しい影響を与えることに留意されたい。ソール返し部154は、多量の後ボディ材料をフェースプレート材料に代え、ソール112上の溶接線を、ソール返し部のないクラブヘッドと比較して、打面116から著しい距離で移動させる。この撓みの増大は、低ミスヒット(ソールに近い、打面の中心の下で打たれたショット)時、エネルギー伝達の最大化に対して特に著しい効果を有する。ソール返し部のない同様の従来技術の中空ボディアイアンは、低ミスヒット時、ボール速度の著しい損失を受けるが、ソール返し部154を備えるクラブヘッド100は、低ミスヒット時、低ショット時のエネルギー伝達を増大させるために、最大量のボール速度を保つ。
【0100】
上述のように、L字形フェースプレート150は、後ボディ130の溶接面146へのフェースプレート周囲縁部の溶接を介して後ボディ130に接合し得る。
図4に示すように、フェースプレート周囲縁部は、後ボディ130とフェースプレート150とが一切重ならずに、更なる機械的取付け又は保持特徴部を一切伴わずに、溶接面146で後ボディ130に面一に溶接し得る。複数の溶接線は、フェースプレート周囲縁部と後ボディ溶接面146との間の境界面で、L字形フェースプレート150と後ボディ130との間に形成し得る。複数の溶接線は、溶接面146と周囲縁部との間の境界面の最外点で(即ち、トウ、上レール及び/又はソールの外面上に)形成し得る。多くの実施形態では、複数の溶接線は、クラブヘッド外周部122、124、128に位置し、打面116から離れて位置し、打面116の撓みを促進する。多くの実施形態では、フェースプレート150及び後ボディ130は、レーザー溶接加工を介して一緒に溶接し得る。代替実施形態では、フェースプレート150及び後ボディ130は、プラズマ溶接、電子ビーム溶接、金属不活性ガス溶接又は他の溶接加工を介して一緒に溶接し得る。
【0101】
代替実施形態(図示せず)では、フェースプレート150は、任意で、上レール返し部、トウ返し部及びソール返し部の任意の組合せを形成し得る。そのような実施形態では、上レール返し部及びトウ返し部はそれぞれ、打面裏面156から後方に延在し、上レール110又はトウ端部108それぞれのかなりの部分を形成し得る。そのような実施形態では、より多量の後ボディ材料、特に後ボディ130の上レール部分132及びトウ部分136をフェースプレート材料に代えることができ、上レール110及びトウ端部108に沿った溶接線を打面116から更に遠く移動し得る。上レール返し部及び/又はトウ返し部を設けると、クラブヘッド100の撓みの増大に更に役立ち、より速いボール速度をもたらし得る。
【0102】
B.上レール延在部及びトウ延在部を伴わないL字形フェースプレート
いくつかの実施形態では、L字形フェースプレートの周囲部は、トウ延在部及び/又はヒール延在部がなくてよく、トウ端部及び/又は上レール上でクラブヘッド外周部に完全に延在しなくてよい。
図8及び
図9は、中空ボディアイアン型クラブヘッド200の第2の実施形態を示し、中空ボディアイアン型クラブヘッド200は、トウ延在部又は上レール延在部を伴わないL字形フェースプレート250を備える。クラブヘッド200の第2の実施形態は、フェースプレート形状の差以外、クラブヘッド100と実質的に同様である。クラブヘッド200は、200番台の体系で表示される、クラブヘッド100と同様の特徴部を備え得る(即ち、クラブヘッド200は、後ボディ230、フェースプレート250等を備える)。
【0103】
クラブヘッド200のL字形フェースプレート250は、トウ延在部及び上レール延在部がなく、したがって、クラブヘッド外周部222、224、226まで延在しない周囲縁部260、262、264、266を備える。トウ延在部及び上レール延在部のないL字形フェースプレート250は、ソールレッジ256、傾斜付きおもりパッド1000、延在部2050を備えるおもりパッド2000、ヒール質量体247及び/又はトウ質量体249、下側内部アンダーカット290、上側内部アンダーカット295、後外部空洞298、外部撓みヒンジ3000、内部屈曲切欠き3100、内部溶接リブ279又はそれらの任意の組合せを含め、上記又は以下で説明する任意の後ボディ230形状又は特徴部と組み合わせ得る。
【0104】
図8に示すように、トウ側周囲縁部264は、トウ端部208に近接するが、打面216上に位置する。したがって、フェースプレート250は、トウ延在部を形成しない。トウ端部208付近では、フェースプレート250は、打面216に制限される。フェースプレートは、トウ端部208の部分を一切形成せず、トウ側周囲縁部264は、トウ側外周部224上に位置しない。同様に、上周囲縁部260は、上レール210に近接するが、打面216上に位置する。したがって、フェースプレート250は、上レール延在部を形成しない。上レール210付近では、フェースプレート250は、打面216に制限される。フェースプレート250は、上レール210の部分を一切形成せず、上周囲縁部260は、上レール外周部226上に位置しない。
【0105】
上レール延在部及びトウ延在部がないために、クラブヘッド200の後ボディ230は、フェースプレートソール返し部254を備えるソール外周部228に加えて、クラブヘッド外周部222、224、226の全体を形成する。
図9を参照すると、後ボディ230は、上レール210全体、トウ端部208全体、及びヒール端部206全体(ホーゼル構造体を含む)を形成する。クラブヘッド200のL字形フェースプレート250は、ソール返し部254を除き、打面216に制限され、ソール返し部254は、リーディングエッジ218上を覆い、ソール212の一部分を形成する。
【0106】
クラブヘッド100と同様に、L字形フェースプレート250は、インパクト時にクラブヘッド200で生じる撓みの量を増大させ、より速いボール速度をもたらす。ソール返し部254は、それ以外の場合では後ボディ230によって形成されるソール212の部分を、高強度フェースプレート材料に代える。ソール返し部254は、高応力領域(即ち、リーディングエッジ118に近接するソール212の部分)における強度を増大させることによって、耐久性を犠牲にせずに打面216及びソール212の薄肉化を可能にする。ソール返し部254は、底溶接線を打面216からずらしてソール212に移動させることによって、フェースプレート250の可撓性も増大させる。L字形フェースプレート250は、フェースプレート250の可撓性を増大させることによって、インパクト時の打面216とゴルフボールとの間のエネルギー伝達を増大させる。L字形フェースプレート250を備えるクラブヘッドは、同様のフェースプレートのない同様のクラブヘッドと比較して、より速いボール速度をもたらす。
【0107】
II.張出しおもりパッド
多くの実施形態では、
図10及び
図11に示されるように、後ボディ130は、内部空洞114内に形成されるおもりパッド1000を備えることができ、おもりパッド1000は、ソール112の一部分及び/又はソール返し部154の一部分に張り出す。おもりパッド1000の一部分は、フェースプレート150に接触せずにソール112に張り出し、L字形フェースプレート150の可撓性を犠牲にせずにクラブヘッド100に低CGをもたらし得る。おもりパッド1000は、後ボディ130材料の質量体を備え、後ボディ130材料の質量体は、ソール112から上方に内部空洞114内に延在し、後壁140に近接して位置する。おもりパッド1000は、後ボディソール部分138及び後壁140の両方と共に一体に形成し得る。おもりパッド1000は、質量のより大きな部分をソール112に向かって定め、クラブヘッド100のCG位置をより低いところに移動するように働き得る一方で、フェースプレート150が撓む空間を可能にする。おもりパッド1000は、内部空洞114のヒール端部106からトウ端部108まで延在し得る。おもりパッド1000は、クラブヘッド100の前端部102に面する前壁1010と、上レール110に面する上壁1020と、前壁1010と上壁1020との間の移行領域1030と、を備え得る。多くの実施形態では、移行領域1030は、
図11に示されるように、上壁1020と前壁1010との間に平滑な移行をもたらすように角を取って丸くし得る。
【0108】
おもりパッド1000の前壁1010は、ソール112付近のソール縁部148と連結部を形成する。おもりパッド1000は、フェースプレート150の後方に位置し、ソールレッジ148によってフェースプレート150から隔てられる。ソールレッジ深さ153は、おもりパッド1000とフェースプレート150との間に緩衝領域をもたらすように選択される一方で、依然として、おもりパッド1000がフェースプレート150に張り出すことを可能にする。
【0109】
以下で更に詳細に説明するように、おもりパッド1000は、おもりパッド1000の下側及び/又は前面とソール112との間に下側内部アンダーカット190を形成する。下側内部アンダーカット190は、クラブヘッドCG位置を低下させるように、フェースプレート150の撓みに干渉せずに、おもりパッド1000に更なる質量の追加を可能にする。下側内部アンダーカット190は、ソール112の薄い部分(即ち、ソールレッジ148及びソール返し部154)を効果的に伸長することによって、前記薄い部分内に応力緩和をもたらすように更に働く。
【0110】
いくつかの実施形態では、
図10及び
図11を参照すると、おもりパッド前壁1010は、ソール112に対して傾斜させ得る。多くの実施形態では、おもりパッド前壁1010は、
図11に示されるように、おもりパッド1000の一部分がソール返し部154の一部分に張り出すように、ソール返し部内面161と鋭角αを形成する。おもりパッド1000の傾斜性のために、前壁1010は、ソール112から上方に、フェースプレート150に向かって延在する。多くの実施形態では、移行領域1030は、移行領域1030が前壁1010の上部に位置するため、おもりパッド1000の最前部分を形成し得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、おもりパッド前壁1010とソール返し部内面161との間の角度αは、約30度から約80度の間であり得る。いくつかの実施形態では、角度αは、約30度から35度の間、35度から40度の間、40度から45度の間、45度から50度の間、50度から55度の間、55度から60度の間、60度から65度の間、65度から70度の間、70度から75度の間、又は75度から80度の間であり得る。角度αは、おもりパッド1000がフェースプレート150に向かって実質的に前方に突出することを可能にするように選択し得る。角度αがより急峻であるほど、おもりパッド1000はより前方により低く突出でき、これにより、クラブヘッド100のCGを低くする。
【0112】
傾斜付きおもりパッド1000は、傾斜付き前壁1010のないおもりパッドより優れた複数の性能の利益をもたらす。前壁1010に傾斜を付けると、おもりパッド1000の一部分をソール返し部154の一部分に張り出すことを可能にする。おもりパッド1000は、ソール返し部154への張出しによって、ソール返し部154に接触せずにクラブヘッド100内に大量の質量を低いところに集中させる。この構成は、フェースプレート150の撓みに干渉せずにクラブヘッドCGを低くする。クラブヘッド100における低CGと高可撓性との組合せにより、ボール速度の増大及び打出し角度の増大等、性能の向上をもたらす。
【0113】
図11を参照すると、傾斜付きおもりパッド1000がソール返し部154に張り出す量は、張出し距離1090を特徴とし得る。張出し距離1090は、おもりパッド移行領域1030とソール周囲縁部166との間の水平距離として測定し得る。張出し距離1090が大きいほど、ソール返し部154に接触せずにクラブヘッド100の低いところに置き得る質量の量はより大きいため、撓みを妨げずにCGを低くする。張出し距離1090は、約0.025インチ超、約0.050インチ超、約0.075インチ超、約0.100インチ超、約0.125インチ超、約0.150インチ超、約0.175インチ超、または、約0.200インチ超であり得る。いくつかの実施形態において、張出し距離1090は、0.025インチから0.075インチの間、0.040インチから0.060インチの間、0.075インチから0.100インチの間、0.090インチから0.125インチの間、0.120インチから0.175インチの間、0.150インチから0.200インチの間、または、0.175インチから0.300インチの間であり得る。一つの例示的な実施形態では、張出し距離1090は、約0.05インチである。張出し距離1090は、おもりパッド2000に接触することなくフェースプレート150を撓ませることを可能とするために選択される。
【0114】
おもりパッド前壁1010は、下側内部アンダーカット190を傾斜付きおもりパッド前壁1010とソール112との間に形成し得るように、前方に傾斜している。
図11において、下側内部アンダーカット190は、おもりパッド前壁1010の下、並びにソール返し部154及びソールレッジ148の上の体積部として画定される。下側内部アンダーカット190は、薄いソール部分をおもりパッド2000から隔てる。
図11を参照すると、下側内部アンダーカット190は、下側内部アンダーカット深さ192及び下側内部アンダーカット高さ191を画定し得る。下側内部アンダーカット深さ192は、おもりパッド移行距離1030と、(下側内部アンダーカットの最後点を画定する)前壁1010とソールレッジ148との連結部との間の前-後距離として測定される。下側内部アンダーカット高さ191は、おもりパッド前壁1010とソール返し部内面161との間の垂直距離として画定される。
【0115】
図11を参照すると、おもりパッド移行領域1030と、前壁1010とソールレッジ148との連結部との間で測定される下側内部アンダーカット深さ192は、0.010インチから0.300インチの範囲を有する。例えば、下側内部アンダーカット深さ192は、0.010インチから0.030インチの間、0.030インチから0.050インチの間、0.050インチから0.070インチの間、0.070インチから0.090インチの間、0.090インチから0.110インチの間、0.110インチから0.130インチの間、0.130インチから0.150インチの間、0.150インチから0.170インチの間、0.170インチから0.190インチの間、0.190インチから0.210インチの間、0.210インチから0.230インチの間、0.230インチから0.250インチの間、0.250インチから0.270インチの間、0.270インチから0.290インチの間、または、0.290インチから0.300インチの間の範囲であり得る。下側内部アンダーカット深さ192は、約0.010インチ超、約0.015インチ超、約0.020インチ超、約0.025インチ超、約0.050インチ超、約0.075インチ超、約0.100インチ超、約0.125インチ超、約0.150インチ超、約0.175インチ超、または、約0.200インチ超であり得る。一つの例示的な実施形態では、下側内部アンダーカット深さ192は、約0.140インチである。
【0116】
再び
図11を参照すると、前壁1010とソール返し部内面161との間で測定される下側内部アンダーカット高さ191は、約0.030インチから約0.400インチの範囲であり得る。例えば、下側内部アンダーカット高さ191は、0.030インチから0.050インチの間、0.050インチから0.070インチの間、0.070インチから0.090インチの間、0.090インチから0.110インチの間、0.110インチから0.130インチの間、0.130インチから0.150インチの間、0.150インチから0.170インチの間、0.170インチから0.190インチの間、0.190インチから0.210インチの間、0.210インチから0.230インチの間、0.230インチから0.250インチの間、0.250インチから0.270インチの間、0.270インチから0.290インチの間、0.290インチから0.310インチの間、0.310インチから0.330インチの間、0.330インチから0.350インチの間、0.350インチから0.370インチの間、0.370インチから0.390インチの間、または、0.390インチから0.400インチの間の範囲であり得る。下側内部アンダーカット高さ191は、約0.010インチ超、約0.015インチ超、約0.020インチ超、約0.025インチ超、約0.050インチ超、約0.075インチ超、約0.100インチ超、約0.125インチ超、約0.150インチ超、約0.175インチ超、約0.200インチ超、約0.225インチ超、約0.250インチ超、約0.275インチ超、約0.300インチ超、約0.325インチ超、約0.350インチ超、または、約0.375インチ超であり得る。一つの例示的な実施形態では、下側内部アンダーカット高さ191は、約0.340インチである。
【0117】
下側内部アンダーカット190は、アンダーカットのないアイアン型ゴルフクラブヘッドと比較して、おもりパッド1000の一領域が除去されているとみなし得る。下側内部アンダーカット190は、ソール112の薄い部分を拡張可能にする。下側内部アンダーカット190は、ソール112の薄い部分内で受けるピーク応力の減少、及びソール112の可撓性の増大を可能にし得る。下側内部アンダーカット190は、剛性接続部として挙動するのではなく、インパクトの負荷下、ソール返し部154及びソールレッジ148がより大きく撓むのを可能にすることによって、面-ソール移行部に応力緩和をもたらす。下側内部アンダーカット190により、ソール返し部154及び/又はソールレッジ148の長さが効果的に増大すると、インパクトの負荷が分散される合計表面積を増大させ、ソールレッジ148及びソール返し部にピーク応力の低減をもたらす。下側内部アンダーカット190は、ソールレッジ148及びソール返し部154内の応力集中を二重に低減し、ソール112の屈曲/ばね効果を増大させる。
【0118】
別の実施形態では、
図12に示されるように、おもりパッド2000は、ソール112に対して傾斜を付ける代わりに、おもりパッド延在部2050を形成し、おもりパッド延在部2050は、おもりパッド2000から前方にフェースプレート150に向かって突出し、ソール返し部154及びソールレッジ148に張り出す。以下で更に詳細に説明するように、ソール返し部154及びソールレッジ148上へのおもりパッド2000の張出しは、下側内部アンダーカット190を形成する。おもりパッド延在部2050と下側内部アンダーカット190とを備えるおもりパッド2000は、フェースプレート150の撓みに干渉せずに、大量の質量をクラブヘッド100の低いところに置くことを可能にする。
【0119】
図13を参照すると、おもりパッド延在部2050は、おもりパッド2000の前壁2010から突出し、ソール112にほぼ平行に延在し得る。おもりパッド延在部2050は、内部空洞114を通じて前方に、打面裏面156に向かって突出する。おもりパッド延在部2050は、おもりパッド延在部2050の最前範囲を画定する前縁部2060を備える。おもりパッド延在部2050は、打面裏面156と接触しない。おもりパッド延在部2050の前縁部2060は、インパクト時にフェースプレート150の撓みに干渉しないように、打面裏面156から離間する。
【0120】
おもりパッド延在部2050とフェースプレート150との間の間隔は、打面裏面156とおもりパッド延在部2050の前縁部2060との間で測定される水平オフセット距離2080を特徴とし得る。水平オフセット距離2080は、可能な限り小さくし得る一方で、依然として、インパクト時に打面116が撓む十分な空間を可能にする。おもりパッド延在部2050は、フェースプレート150の撓みに干渉せずに、打面裏面156に可能な限り近く延在することが望ましい。打面裏面156とおもりパッド延在部2050の前縁部2060との間の水平オフセット距離2080が小さいほど、クラブヘッド100の低いところに割り当て得る質量の量は、より大きい。
【0121】
多くの実施形態において、打面裏面156とおもりパッド延在部2050の前縁部2060との間の水平オフセット距離2080は、約0.30インチ未満であり得る。いくつかの実施形態において、水平オフセット距離2080は、約0.275インチ未満、約0.25インチ未満、約0.225インチ未満、約0.20インチ未満、約0.175インチ未満、約0.15インチ未満、約0.125インチ未満、約0.10インチ未満、約0.075インチ未満、または、約0.05インチ未満であり得る。水平オフセット距離2080は、おもりパッド2000に接触することなくフェースプレート150を撓ませることを可能とするために選択される。
【0122】
上述のように、おもりパッド延在部2050は、ソールレッジ148及びソール返し部154の両方に張り出す。おもりパッド延在部2050の張出しは、下側内部アンダーカット190を生成し、これにより、ソール返し部154に接触せずに、又はフェースプレート150の撓みに干渉せずに、おもりパッド2000の質量を低く、前方に置くことを可能にする。
【0123】
おもりパッド延在部2050は、ソール返し部154に張り出し、これにより、ソール返し部154に接触せず、フェースプレート150の撓みを妨げずに、おもりパッド2000がクラブヘッドCG位置を低くすることを可能にする。張出し量は、おもりパッド延在部の前縁部2060とソール周囲縁部166との間で測定される張出し距離2090を特徴とし得る。張出し距離2090が大きいほど、ソール返し部154に接触せずにおもりパッド2000をより短くし得るため、撓みを妨げずにCGを低くする。張出し距離2090は、約0.050インチ超、約0.075インチ超、約0.100インチ超、約0.125インチ超、約0.150インチ超、約0.175インチ超、又は約0.200インチ超であり得る。いくつかの実施形態では、張出し距離2090は、0.050インチから0.075インチの間、0.020インチから0.060インチの間、0.075インチから0.100インチの間、0.090インチから0.125インチの間、0.120インチから0.175インチの間、0.150インチから0.200インチの間、又は0.175インチから0.300インチの間であり得る。例示的な一実施形態では、張出し距離2090は、約0.250インチである。張出し距離2090は、おもりパッド2000に接触せずに、フェースプレート150の撓みを可能にするように選択される。
【0124】
多くの実施形態では、
図13に示されるように、おもりパッド延在部2050は、ソール112に向かって配設される下面2070を備える。おもりパッド延在部の下面2070は、おもりパッド延在部2050がソール返し部154に接触しないように、ソール返し部内面161から垂直にオフセットし得る。おもりパッド延在部下面2070とソール返し部内面161との間の垂直オフセットは、下側内部アンダーカット190を形成する。下側内部アンダーカット190は、おもりパッド延在部2050の下、及びソール112の上の体積部として画定される。下側内部アンダーカット190は、おもりパッド2000の前壁2010、おもりパッド延在部2050の下面2070、ソール返し部148、及びソール返し部内面161に境界を接する。下側内部アンダーカット190は、おもりパッド延在部2000のヒール-トウ長さにわたり、ヒール-トウ方向で側方に延在する。おもりパッド延在部2050は、おもりパッド延在部2050の前縁部2060に沿って延在し、ソール112に交差する第1の平面2065を画定し得る。下側内部アンダーカットの開口は、第1の平面2065においておもりパッド延在部2050とソールとの間に画定し得る。下側内部アンダーカット190は、下側内部アンダーカット深さ192及び下側内部アンダーカット高さ191を画定し得る。下側内部アンダーカット深さ192は、第1の平面2065と、(下側内部アンダーカット190の最後点を画定する)おもりパッドの前壁との間の直交距離として測定される。下側内部アンダーカット高さ191は、おもりパッド延在部下面2070とソール返し部内面161との間の垂直距離として画定される。
【0125】
図13を参照すると、第1の平面2065とソール返し部内面161との間の下側内部アンダーカット深さ192は、約0.010インチから約0.300インチの間であり得る。例えば、下側内部アンダーカット深さ192は、0.010インチから0.030インチの間、0.030インチから0.050インチの間、0.050インチから0.070インチの間、0.070インチから0.090インチの間、0.090インチから0.110インチの間、0.110インチから0.130インチの間、0.130インチから0.150インチの間、0.150インチから0.170インチの間、0.170インチから0.190インチの間、0.190インチから0.210インチの間、0.210インチから0.230インチの間、0.230インチから0.250インチの間、0.250インチから0.270インチの間、0.270インチから0.290インチの間、または、0.290インチから0.300インチの間の範囲であり得る。下側内部アンダーカット深さ192は、約0.010インチ超、約0.015インチ超、約0.020インチ超、約0.025インチ超、約0.050インチ超、約0.075インチ超、約0.100インチ超、約0.125インチ超、約0.150インチ超、約0.175インチ超、約0.200インチ超、約0.225インチ超、約0.250インチ超、または、約0.275インチ超であり得る。一つの例示的な実施形態では、下側内部アンダーカット深さ192は、約0.140インチである。
【0126】
再び
図13を参照すると、おもりパッド延在部下面2070とソール返し部内面161との間で測定される下側内部アンダーカット高さ191は、約0.030インチから約0.200インチの範囲であり得る。例えば、下側内部アンダーカット高さ191は、0.030インチから0.040インチの間、0.040インチから0.050インチの間、0.050インチから0.060インチの間、0.060インチから0.070インチの間、0.070インチから0.080インチの間、0.080インチから0.090インチの間、0.090インチから0.100インチの間、0.100インチから0.110インチの間、0.110インチから0.120インチの間、0.120インチから0.130インチの間、0.130インチから0.140インチの間、0.140インチから0.150インチの間、0.150インチから0.160インチの間、0.160インチから0.170インチの間、0.170インチから0.180インチの間、0.180インチから0.190インチの間、または、0.190インチから0.200インチの間の範囲であり得る。下側内部アンダーカット高さ191は、約0.010インチ超、約0.015インチ超、約0.020インチ超、約0.025インチ超、約0.050インチ超、約0.075インチ超、約0.100インチ超、約0.125インチ超、約0.150インチ超、または、約0.175インチ超であり得る。
【0127】
上記した張出しおもりパッド1000、2000は、ソール返し部154、トウ延在部168、上レール延在部170又はそれらの任意の組合せを含め、上記した様々なL字形フェースプレート150形状のいずれかと組み合わせ得る。上記した張出しおもりパッド1000、2000は、ソールレッジ156、ヒール質量体147及び/又はトウ質量体149、下側内部アンダーカット190、上側内部アンダーカット195、後外部空洞198、外部撓みヒンジ3000、内部屈曲切欠き3100、内部溶接リブ179又はそれらの任意の組合せを含め、上記又は以下で説明する任意の後ボディ130形状又は特徴部と組み合わせ得る。同様に、下側内部アンダーカット190は、上記した任意のフェースプレート150形状、上記若しくは以下で説明する任意の後ボディ130形状若しくは特徴部、又はそれらの任意の組合せと組み合わせ得る。
【0128】
III.後外部空洞を有する後壁
多くの実施形態では、クラブヘッド100の後壁140は、後外部空洞198を形成する形状を含む。いくつかの実施形態では、後外部空洞198は、制振する及び/又は見た目の良い外観をもたらすバッジ199を受け入れるように構成し得る。後壁140の形状もクラブヘッド100の可撓性を増大させ、ボール速度の増大をもたらす。
【0129】
図12を参照すると、後壁140は、後ボディソール部分138から後ボディ上レール部分132まで上方に延在し、クラブヘッド100の後端部104を取り囲む。後壁140は、後壁上側部分180と、後壁上側移行部182と、後壁中間部分184と、後壁下側部分188と、後壁下側移行部186と、後壁トウ部分189と、を備える。後壁140の全ての部分180、182、184、186、188、189は、外面と内面とを更に備える。後壁上側部分180は、打面116によって画定されるロフト平面101に平行に、上レール部分132からソール112に向かって延在する。後壁上側移行部182は、前端部102及び打面116に向かって、中空内部空洞114内に延在する。後壁中間部分184は、後壁上側移行部182から後壁下側移行部186まで、ソール112に向かってほぼ延在する。後壁下側移行部186は、打面116から離れて、後壁中間部分184から後方に延在する。後壁140は、後壁中間部分184と後壁トウ部分189との間の後壁トウ移行部194を更に備える。後壁トウ移行部194は、トウ端部108において、後壁上側移行部182及び後壁下側移行部186を接続し得る。多くの実施形態では、
図14に示されるように、後壁上側移行部182及び後壁下側移行部186は、ヒール端部106付近の点で一緒になり得る。他の実施形態では(図示せず)、後壁140は、ヒール端部106において後壁上側移行部182及び後壁下側移行部186を接続する後壁ヒール移行部を更に画定し得る。したがって、後壁中間部分184は、後壁下側移行部186、後壁トウ移行部194及び後壁上側移行部182に境界を接し得る。
【0130】
クラブヘッド100の中空ボディの性質のために、上レール及び後壁140は、耐久性を犠牲にせずに実質的に薄肉化し得る。薄い上レール及び後壁140は、ボール速度を最大化するように、上レール及び後壁140部分内で最大の撓みを可能にする。
【0131】
図15に示すように、上レール厚さ174は、上レール部分132の撓みを増大させるように、実質的に薄肉化し得る。後ボディ上レール部分132が薄いほど、クラブヘッド100の可撓性はより大きく、より速いボール速度へとつながる。多くの実施形態では、上レール厚さ174は、わずかに変動し得る。例えば、いくつかの実施形態では、上レール厚さ174は、フェースプレート150付近で最大であり、後壁上側部分180に向かって減少し得る。他の実施形態では、上レール厚さ174は、フェースプレート150から後壁上側部分180まで実質的に一定とし得る。
【0132】
多くの実施形態において、上レール厚さ174は、約0.070インチ未満、約0.065インチ未満、約0.060インチ未満、約0.055インチ未満、約0.050インチ未満、約0.045インチ未満、約0.040インチ未満、約0.035インチ未満、約0.030インチ未満、または、約0.025インチ未満であり得る。上レール厚さ174は、0.025インチから0.050インチの間、0.035インチから0.050インチの間、0.040インチから0.065インチの間、または、0.045インチから0.070インチの間であり得る。一つの例示的な実施形態では、上レール厚さ174は、約0.045インチである。
【0133】
上記した厚さを有する薄い上レール部分132は、中空ボディ型アイアンでのみ達成可能である。上レール部分132を実質的に薄肉化するために、クラブヘッド100は、上レール部分132に構造支持をもたらすような連続後壁140を必要とする。キャビティバックアイアン、又は連続後壁140を伴わないクラブヘッドに、上記した薄い上レール部分132を適用した場合、上レール部分132は、インパクトの力を受けた際に故障するであろう。
【0134】
図15を参照すると、後壁140は、後壁厚さ178を含む。後壁厚さ178は、0.030インチから0.070インチの範囲内とし得る。後壁厚さ178は、上レール部分132から後壁下側移行部186までこの範囲内で変動し得る。後壁上側部分180、後壁上側移行部182、後壁中間部分184及び後壁下側移行部186はそれぞれ、個別の厚さ178を含み得る。後壁下側部分188は、後壁下側部分188がおもりパッド1000と一体であるため、後壁140の残り部分より実質的に厚い。
【0135】
多くの実施形態において、後壁厚さ178は、約0.070インチ未満、約0.065インチ未満、約0.060インチ未満、約0.055インチ未満、約0.050インチ未満、約0.045インチ未満、約0.040インチ未満、約0.035インチ未満、約0.030インチ未満、または、約0.025インチ未満であり得る。後壁厚さ178は、0.025インチから0.050インチの間、0.035インチから0.050インチの間、0.040インチから0.065インチの間、または、0.045インチから0.070インチの間であり得る。一つの例示的な実施形態では、後壁厚さ178は、約0.045インチである。
【0136】
いくつかの実施形態では、後壁上側部分180、後壁上側移行部182、後壁中間部分184及び後壁下側移行部186のそれぞれにおける後壁厚さ178は、実質的に同じであってよい。他の実施形態では、後壁上側部分180、後壁上側移行部182、後壁中間部分184及び/又は後壁下側移行部186における後壁厚さ178の1つ又は複数は、互いに異なってよい。
【0137】
後壁上側部分180は、後壁上側移行部182と共に上側後壁角度を画定する。上側後壁角度は、90度超である。後壁中間部分184は、後壁下側移行部186と共に下側後壁角度を画定する。下側後壁角度は、90度超である。後壁中間部分184の外面は、本質的に平坦である。
【0138】
図14に示すように、後壁中間部分平面143は、ゴルフクラブヘッド100の外側、及び上レール部分132の上でロフト平面101に交差する。後壁中間部分平面143は、後壁中間部分平面143が5度から25度の範囲内でロフト平面101に交差するロフト平面交差角度141を画定する。多くの実施形態において、ロフト平面交差角度141は、5度、6度、7度、8度、9度、10度、11度、12度、13度、14度、15度、16度、17度、18度、19度、20度、21度、22度、23度、24度、または、25度であってもよい。
【0139】
多くの実施形態では、後壁上側部分180は、L字形フェースプレート150の打面部分に平行に延在する。
図15に示されるように、後壁上側部分180は、後壁上側部分オフセット距離181で打面部分152からオフセットしている。後壁上側部分オフセット距離181は、特定のクラブヘッド100のロフト角に応じて、0.100インチから0.300インチの範囲内とし得る。後壁上側部分180が打面部分152に平行であるため、後壁上側部分オフセット距離181は、所与のゴルフクラブヘッド100内で一定であり、変動しない。
【0140】
後壁上側部分オフセット距離181は、溶接中の損傷から後壁上側部分180を保護する。上記で説明したように、後ボディ130は、クラブヘッド100の前端部102に近接する開口を更に備え、開口は、後ボディ130の上レール110と、ヒール端部106と、トウ端部108と、ソール112との間に形成される。溶接面146は、後ボディ開口144の周囲部の周囲に延在し、溶接面146は、後ボディ上レール部分132、ヒール部分134、トウ部分136及びソール部分138の最前縁部によって形成される。後壁上側部分オフセット距離181が小さいほど、上レール部分132及び後壁上側部分180の撓みはより大きい。しかし、後壁上側部分オフセット距離181は、溶接加工により後壁上側部分180を融解又は歪曲させないように、溶接面146と後壁上側部分180との間で十分な距離をもたらさなければならない。クラブヘッド100は、後壁上側部分180を溶接中に損傷させずに、後壁140に最大量の撓みをもたらす後壁上側部分オフセット距離181を含む。例示的な一実施形態では、後壁上側部分オフセット距離181は、約0.188インチである。
【0141】
更に、後壁中間部分184は、後壁中間部分オフセット距離183を画定する。後壁中間部分オフセット距離183は、後壁上側移行部182の内面と打面裏面156との間で測定し得る。後壁中間部分オフセット距離183は、フェースプレート150の屈曲に干渉せずに後壁140の屈曲を促進するように、可能な限り小さい。
【0142】
多くの実施形態において、後壁中間部分オフセット距離183は、約0.025インチ超、約0.050インチ超、約0.075インチ超、約0.100インチ超、約0.125インチ超、約0.150インチ超、約0.175インチ超、または、約0.200インチ超であり得る。いくつかの実施形態において、後壁中間部分オフセット距離183は、0.025インチから0.095インチの間、0.070インチから0.100インチの間、0.080インチから0.125インチの間、0.120インチから0.175インチの間、0.150インチから0.200インチの間、または、0.175インチから0.300インチの間であり得る。一つの例示的な実施形態では、後壁中間部分オフセット距離183は、約0.09インチである。
【0143】
上記で説明したように、後ボディ130は、内部空洞114内に形成されるおもりパッド1000を備えることができ、おもりパッド1000は、ソール112の一部分及び/又はソール返し部154の一部分に張り出す。
図15を参照すると、後壁下側移行部186の内面は、後方に、打面裏面156から更に離れて延在する。後壁中間部分平面143は、おもりパッド1000の上壁1020に交差する。後壁中間部分平面143から後方の後壁下側移行部186の内面の部分、後壁下側移行部186の内面とおもりパッド上壁1020との間の丸みを付けた移行部、及び後壁中間部分平面143から後方のおもりパッド上壁1020は一緒に、上側内部アンダーカット195を画定する。上側内部アンダーカット195は、後壁下側移行部186の内面とおもりパッド上壁1020との間で測定される上側内部アンダーカット高さ196を含む。上側内部アンダーカット196は、約0.010インチから約0.200インチの範囲内で変動し得る。上側内部アンダーカット195は、上側内部アンダーカット195の最後点から後壁中間部分平面143まで測定される上側内部アンダーカット深さ197を含む。
【0144】
上側内部アンダーカット深さ197は、約0.010インチから約0.300インチの範囲で変化し得る。例えば、上側内部アンダーカット深さ197は、0.010インチから0.030インチの間、0.030インチから0.050インチの間、0.050インチから0.070インチの間、0.070インチから0.090インチの間、0.090インチから0.110インチの間、0.110インチから0.130インチの間、0.130インチから0.150インチの間、0.150インチから0.170インチの間、0.170インチから0.190インチの間、0.190インチから0.210インチの間、0.210インチから0.230インチの間、0.230インチから0.250インチの間、0.250インチから0.270インチの間、0.270インチから0.290インチの間、または、0.290インチから0.300インチの間の範囲であり得る。上側内部アンダーカット深さ197は、約0.010インチ超、約0.015インチ超、約0.020インチ超、約0.025インチ超、約0.050インチ超、約0.075インチ超、約0.100インチ超、約0.125インチ超、約0.150インチ超、約0.175インチ超、または、約0.200インチ超であり得る。
【0145】
後壁下側移行部186の外面は、本質的に平坦であり、ゴルフクラブヘッド100がアドレス位置にある際に本質的に接地平面に平行に延在する。後壁トウ移行部194の外面は、本質的に平坦である。後壁上側移行部182の外面、後壁下側移行部186の外面、後壁トウ移行部194の外面、及び後壁中間部分184の外面は、後壁外部空洞198を画定するように協働する。後壁中間部分184は、後壁外面から陥没し、後壁下側移行部186、後壁トウ移行部194及び後壁上側移行部182に境界を接する。後外部空洞198は、平坦後空洞外面と周囲面との間にフィレット又は湾曲移行部を更に備える。後外部空洞198を形成する後壁130の形状は、ソール返し部154、トウ延在部168、上レール延在部170又はそれらの任意の組合せを含め、上記した様々なL字形フェースプレート150形状のいずれかと組み合わせ得る。後外部空洞198を形成する後壁130の形状は、ソールレッジ156、傾斜付きおもりパッド1000、延在部2050を備えるおもりパッド2000、ヒール質量体147及び/又はトウ質量体149、下側内部アンダーカット190、上側内部アンダーカット195、外部撓みヒンジ3000、内部屈曲切欠き3100、内部溶接リブ179又はそれらの任意の組合せを含め、上記又は以下で説明する任意の他の適切な後ボディ130形状又は特徴部と組み合わせ得る。
【0146】
いくつかの実施形態では、
図16に示すように、バッジ199は、ゴルフクラブヘッド後壁140の外面に貼付し得る。バッジ199は、後壁中間部分184の外面上に貼付し得る。いくつかの実施形態では(図示せず)、バッジ199は、内側接着バッジ層と、内側接着バッジ層に永続的に固着される外側金属バッジ層とを備える。上記で説明したように、後壁中間部分184は、平坦である。更に、後壁中間部分184は、後外部空洞198内にある。したがって、バッジ199は、後外部空洞198内に貼付され、後外部空洞198内に完全に収容される。更に、バッジ199も平坦とし得る。更に、バッジ199は、ある厚さを含み得る(図示せず)。バッジ199の厚さは、一定であってよい。バッジ199の厚さは、バッジ199内で変動してよい。多くの実施形態では、一定のバッジ厚さを有するバッジ199を生成することが望ましい。というのは、平坦で、一定の厚さのバッジは、平坦ではない変動する厚さのバッジよりもかなり安価であるためである。バッジ厚さは、0.010インチから0.500インチの間の範囲で変動し得る。バッジ199は、バッジ199が後壁上側部分180又は後壁下側部分188の外面を越えて後方に突出しないように形成される。
【0147】
図16を参照すると、バッジ199は後壁140の大部分を被覆する。バッジ199は、クラブヘッド100の後端部104に露出する表面積を有する。バッジ199の表面積は、1.00インチ
2(in
2)から約2.00インチ
2の間である。いくつかの実施形態において、バッジ199の表面積は、1.00インチ
2から1.25インチ
2の間、1.10インチ
2から1.45インチ
2の間、1.30インチ
2から1.55インチ
2の間、1.50インチ
2から1.75インチ
2の間、または、1.70インチ
2から2.00インチ
2の間である。いくつかの実施形態において、バッジ199は後壁140の大部分を被覆する。いくつかの実施形態において、バッジ199は、後壁140の表面積の10%から30%の間、25%から40%の間、30%から50%の間、45%から60%の間、50%から75%の間、60%から75%の間、または、70%から80%の間を被覆する。バッジ199は、クラブヘッド100に制振及び/又は音響上の利益を提供するために、後壁140の大部分を被覆することができる。
【0148】
いくつかの実施形態では、
図5に示すように、後壁140は、内部溶接リブ179を形成し得る。内部溶接リブ179は、後壁140に沿って厚さが増大する、溶接中に後壁140を保護する領域を含む。内部溶接リブ179は、ヒール端部106に近接して後壁140上に位置し、実質的に垂直に延在する。内部溶接リブ179は、上レール部分132と後ボディソール部分138との間に少なくとも部分的に延在し得る。多くの実施形態では、内部溶接リブ179は、上レール部分132付近からソール112に向かって延在し、おもりパッド上壁1020及び/又はヒール質量体147の上面の真上で終端し得る。内部溶接リブ179の厚さの増大に応じて、内部溶接リブ179は、後壁140の内面から中空内部空洞114内に突出する。いくつかの実施形態では、内部溶接リブ179は、後壁上側部分180、後壁上側移行部182、後壁中間部分184、後壁下側移行部186及び/又は後壁下側部分188の内面(複数可)から突出し得る。
【0149】
図5によって示される正面図から、内部溶接リブ179は、クラブヘッド100のヒール端部106付近に位置し得る。内部溶接リブ179は、フェースプレート150のヒール側周囲縁部162の場所の直ぐ背後で後ボディ130上に位置し得る。ヒール側周囲縁部162は後壁140に直交する方向で溶接されるため、溶接線の背後の後壁140の領域は、内部溶接リブ179によって補強し、溶接加工中に生じ得る損傷又は変色から後壁140を保護し得る。多くの実施形態において、内部溶接リブ179の厚さは、0.060インチから0.140インチの間であり得る。内部溶接リブ179の厚さは、0.060インチから0.080インチの間、0.075インチから0.100インチの間、0.090インチから0.120インチの間、または、0.110インチから0.140インチの間であり得る。内部溶接リブ179の厚さは、約0.060インチ超、約0.065インチ超、約0.070インチ超、約0.075インチ超、約0.080インチ超、約0.085インチ超、約0.090インチ超、約0.095インチ超、約0.100インチ超、約0.105インチ超、約0.110インチ超、約0.115インチ超、約0.120インチ超、約0.125インチ超、約0.130インチ超、約0.135インチ超、または、約0.140インチ超であり得る。多くの実施形態において、内部溶接リブ179の厚さは、後壁厚さ178の約2倍であり得る。
【0150】
内部溶接リブ179は、ソール返し部154、トウ延在部168、上レール延在部170又はそれらの任意の組合せを含め、上記した様々なL字形フェースプレート150形状のいずれかと組み合わせ得る。内部溶接リブ179は、ソールレッジ156、傾斜付きおもりパッド1000、延在部2050を備えるおもりパッド2000、ヒール質量体147及び/又はトウ質量体149、下側内部アンダーカット190、上側内部アンダーカット195、後外部空洞198、外部撓みヒンジ3000、内部屈曲切欠き3100、内部溶接リブ179又はそれらの任意の組合せを含め、上記又は以下で説明する後ボディ130形状又は特徴部と組み合わせ得る。
【0151】
IV.ダイナミックロフト特徴部
次に
図17~
図19を参照すると、多くの実施形態では、ゴルフクラブヘッド300の後ボディ330は、1つ又は複数のダイナミックロフト特徴部を備え得る。1つ又は複数のダイナミックロフト特徴部は、後ボディ330の撓みを増大させる、特に、後壁340の屈曲を増大させる。ダイナミックロフト特徴部は、インパクト時にクラブヘッド300のダイナミックロフトを増大させるように更に働く。ダイナミックロフトとは、クラブヘッド300とゴルフボールとの間の衝突による、インパクト時のロフト角の増減を指す。ダイナミックロフトの増大は、ボール速度を犠牲にせずに、より高い打出しをもたらす。クラブヘッド300のダイナミックロフトは、インパクトに応じて後壁340が撓む様式によって影響される。特に、後壁340がソールに対して後方に大きく回転可能であるほど、ダイナミックロフトの増大はより大きい。ダイナミックロフト特徴部は、インパクト時に後壁340の上側部分を後方に屈曲可能にすることによって、クラブヘッドのダイナミックロフトを増大させるように働く。多くの実施形態では、1つ又は複数のダイナミックロフト特徴部は、撓みヒンジ及び/又は内部屈曲切欠きを備え得る。クラブヘッド300の第3の実施形態は、ダイナミックロフト特徴部の包含以外、クラブヘッド100と実質的に同様である。クラブヘッド300は、300番台の体系で表示される、クラブヘッド100と同様の特徴部を備え得る(即ち、クラブヘッド300は、後ボディ330、フェースプレート350等を備える)。
【0152】
A.撓みヒンジ
図17、
図18A及び
図18Bに示すように、クラブヘッド300は、後壁340に沿ってヒール-トウ方向で延在する撓みヒンジ3000を備える。撓みヒンジ3000を備えるクラブヘッド300は、ソール回りの後壁340の回転屈曲を促進し、ゴルフクラブヘッド300のダイナミックロフトを増大し得る。
【0153】
図面の
図17、
図18A及び
図18Bを参照すると、後壁340は、撓みヒンジ3000によって長さ方向に分けることができる。したがって、撓みヒンジ3000は、後壁上側部分380及び後壁下側部分388を画定する。後壁上側部分380は、上レール310と撓みヒンジ3000との間に画定し、後壁下側部分388は、ソールと撓みヒンジ3000との間に画定し得る。
【0154】
上記で説明したように、撓みヒンジ3000は、後壁340に沿ってヒール-トウ方向で延在する。撓みヒンジ3000は、ヒンジヒール端部3010と、ヒンジヒール端部3010の反対側のヒンジトウ端部3012と、を備える。いくつかの実施形態では、
図19に示すように、撓みヒンジ3000は、ヒンジヒール端部3010がヒール側外周部322に近接して位置し、ヒンジトウ端部3012がトウ側外周部324に近接して位置するように、後壁340のヒール-トウ長さ全体に延在し得る。他の実施形態では、撓みヒンジ3000は、ヒンジヒール端部3010及びヒンジトウ端部3012の少なくとも一方が後壁340の中間で終端し、クラブヘッド外周部から離間するように、後壁340のヒール-トウ長さ全体に延在しなくてよい。
【0155】
図18Bは、上記撓みヒンジ3000を備えるゴルフクラブヘッド300の拡大断面図を示す。図示のように、撓みヒンジ3000は、上面3014と、底面3016と、ヒンジ上面3014とヒンジ底面3016との間の移行部を形成する天底3020と、を備え得る。ヒンジ上面3014及びヒンジ底面3016はそれぞれ、クラブヘッド300の前端部302に向かって傾斜を付け得る。この向きにおいて、撓みヒンジ3000は、内部空洞314内に突出し、天底3020は、クラブヘッド300の前端部302に最も近い撓みヒンジ3000の部分を画定する。撓みヒンジ3000は、後壁340内に溝を生成することによって、後壁340の一部分を戦略的に弱め、撓みヒンジ3000を備える後壁340の領域内で屈曲を促進する。撓みヒンジ3000は、クラブヘッド300のヒール-トウ長さ全体にわたり後壁340の屈曲を可能にする。言い換えれば、撓みヒンジ3000は、インパクト時、後壁上側部分380がソール回りに後方に屈曲することを可能にする。撓みヒンジ3000は、クラブヘッド300のダイナミックロフトを増大させ、より多量のばねエネルギーをクラブヘッド300に蓄積させ、より多量のばねエネルギーがゴルフボールに伝達され、ボール速度を増大させる。
【0156】
上記で説明したように、撓みヒンジ3000は、後壁340の隣接面に対して内部空洞314内に突出する。
図19に示す背面図から、撓みヒンジ3000は、後壁340内に陥没する溝を生成する。いくつかの実施形態では(図示せず)、溝は、溝がトウ端部よりも広く、トウ端部よりもヒール端部306に近いように、又は溝がヒール端部306よりも広く、ヒール端部306よりもトウ端部に近いように、可変幅を含み得る。
図17に示される実施形態等の多くの実施形態では、溝は、実質的に一定である幅を含み得る。溝の幅は、以下で更に詳細に説明するように、撓みヒンジ高さ3030によって決定し得る。
【0157】
図18A及び
図18Bの実施形態等のいくつかの実施形態では、撓みヒンジ3000は、断面で見た際にほぼ半楕円形を含み得る。半楕円撓みヒンジ3000は、上面3014と、底面3016と、半楕円天底3020と、を備え得る。半楕円天底3020は、ヒンジの湾曲部を画定する半径を有し得る。いくつかの実施形態では、天底3020は、0.050インチから0.70インチの間の曲率半径を有し得る。例えば、天底3020は、0.050インチ、0.055インチ、0.060インチ、0.065インチ又は0.070インチの曲率半径を有し得る。他の実施形態では、撓みヒンジ3000は、ほぼ半円形状、三角形状、長方形状、卵形状、又は後壁340の屈曲及びダイナミックロフトの増大を可能にする任意の他の適切な形状を含み得る。
【0158】
図18Bを参照すると、撓みヒンジ3000は、垂直方向において、上面3014と底面3016との間の距離として測定されるヒンジ幅3060を含み得る。ヒンジ幅3060は、0.050インチから0.150インチの範囲であり得る。例えば、ヒンジ幅3060は、0.050インチ、0.060インチ、0.070インチ、0.080インチ、0.090インチ、0.100インチ、0.110インチ、0.120インチ、0.130インチ、0.140インチ、または、0.150インチであり得る。いくつかの実施形態において、ヒンジ幅3060は、0.050インチから0.060インチの間、0.060インチから0.070インチの間、0080インチから0.090インチの間、0.090インチから0.100インチの間、0.100インチから0.110インチの間、0.110インチから0.120インチの間、0.120インチから0.130インチの間、0.130インチから0.140インチの間、または、0.140インチから0.150インチの間であり得る。撓みヒンジ幅3060が増加すると、屈曲の可能性が増加する。
【0159】
撓みヒンジ3000の上面3014及び底面3016は、上面深さ3040及び底面深さ3050を含み得る。上面深さ3040は、上側部分380の底縁部と天底3020との間の線形距離として測定し得る。底面深さ3050は、下側部分388の上縁部と天底3020との間の線形距離として測定し得る。いくつかの実施形態において、上面深さ3040は、約0.080インチから約0.150インチの範囲である。例えば、底面深さ3050は、0.080インチ、0.085インチ、0.090インチ、0.095インチ、0.100インチ、0.105インチ、0.110インチ、0.115インチ、0.120インチ、0.125インチ、0.130インチ、0.135インチ、0.140インチ、0.145インチ、または、0.150インチであり得る。同様に、いくつかの実施形態において、底面深さ3050は、約0.120インチから約0.260インチの範囲である。例えば、底面深さ3050は、0.120インチ、0.130インチ、0.140インチ、0.150インチ、0.160インチ、0.170インチ、0.180インチ、0.190インチ、0.200インチ、0.210インチ、0.220インチ、0.230インチ、0.240インチ、0.250インチ、または、0.260インチであり得る。いくつかの実施形態において、上面深さ3040と底面深さ3050は、ヒンジヒール端部3010からヒンジトウ端部3012まで変化する。例えば、底面深さ3050は、ヒンジヒール端部3010からヒンジトウ端部3012まで増加し得る。他の実施形態において、上面深さ3040と底面深さ3050は、ヒンジヒール端部3010からヒンジトウ端部3012まで一定であり得る。
【0160】
図18に示すように、撓みヒンジ3000は、接地平面5000からの天底3020の垂直距離として測定されるヒンジ高さ3030を更に含み得る。ヒンジ高さ3030は、撓みヒンジ3000のヒール-トウ長さに沿った任意の点で測定し得る。いくつかの実施形態では、撓みヒンジ3000は、撓みヒンジ3000のヒール-トウ長さにわたり一定であるヒンジ高さ3030を含む。他の実施形態では、ヒンジ高さ3030は、撓みヒンジ3000のヒール-トウ長さにわたり変動する。いくつかの実施形態では、撓みヒンジ3000は、クラブヘッド300の実質的に低い位置に位置する。
【0161】
撓みヒンジ3000を後壁340上の実質的に低いところに設けると、インパクト時に後壁上側部分380が後方に屈曲する量を増大させる。後壁上側部分380の後方屈曲は、インパクトの力によって撓みヒンジ3000回りに加えられるトルクによって生成される。後壁340上で撓みヒンジ3000を下げると、インパクト力と撓みヒンジ3000との間により長いモーメントアームをもたらし、トルクを増大させ、後壁上側部分380により大きな後方屈曲をもたらす。
【0162】
図19の実施形態は、ヒンジ高さ3030が変動するクラブヘッド300を示す。詳細には、ヒンジ高さ3030は、ヒンジヒール端部3010からヒンジトウ端部3012まで線形に増大する。多くの実施形態において、ヒンジトウ端部3012におけるヒンジ高さ3030は、0.78インチから0.96インチの範囲であり得る。例えば、ヒンジトウ端部3012におけるヒンジ高さ3030は、0.78インチ、0.79インチ、0.80インチ、0.81インチ、0.82インチ、0.83インチ、0.84インチ、0.85インチ、0.86インチ、0.87インチ、0.88インチ、0.89インチ、0.90インチ、0.91インチ、0.92インチ、0.93インチ、0.94インチ、0.95インチ、または、0.96インチであり得る。いくつかの実施形態において、ヒンジトウ端部3012におけるヒンジ高さ3030は、0.78インチから0.80インチの間、0.80インチから0.82インチの間、0.82インチから0.84インチの間、0.84インチから0.86インチの間、0.86インチから0.88インチの間、0.88インチから0.90インチの間、0.90インチから0.92インチの間、0.92インチから0.94インチの間、または、0.94インチから0.96インチの間であり得る。いくつかの実施形態において、ヒンジヒール端部3010におけるヒンジ高さ3030は、0.15インチから0.28インチの範囲であり得る。ヒンジヒール端部3010におけるヒンジ高さ3030は、0.15インチ、0.16インチ、0.17インチ、0.18インチ、0.19インチ、0.20インチ、0.21インチ、0.22インチ、0.23インチ、0.24インチ、0.25インチ、0.26インチ、0.27インチ、または、0.28インチであり得る。ヒンジヒール端部3010におけるヒンジ高さ3030は、0.15インチから0.17インチの間、0.17インチから0.19インチの間、0.19インチから0.21インチの間、0.21インチから0.23インチの間、0.23インチから0.25インチの間、0.25インチから0.27インチの間、または、0.27インチから0.28インチの間であり得る。ヒンジ高さ3030は、ヒンジヒール端部3010からヒンジトウ端部3012まで線形に増大し得る。他の実施形態において、ヒンジ高さ3030は、非線形に変化してもよい。
【0163】
B.屈曲切欠き
上記で簡単に説明したように、本開示のクラブヘッド300は、インパクト時にクラブヘッド300のダイナミックロフトを更に増大させる内部屈曲切欠き3100を更に備え得る。内部屈曲切欠き3100は、ソール312回りの後壁上側部分380の回転屈曲に影響する。
図19は、ゴルフクラブヘッド300のトウ端部308に位置する屈曲切欠き3100を備えるクラブヘッド300の内部空洞314の正面図を示す。内部屈曲切欠き3100は、後ボディ330のトウ部分から材料の一領域を除去し得る。
図19の実施形態等の多くの実施形態では、内部屈曲切欠き3100は、ゴルフクラブヘッド300の屈曲及びエネルギー蓄積の可能性を増大させるように、上レール310とソールとの間のほぼ中間に位置する。
【0164】
撓みヒンジ3000のように、屈曲切欠き3100は、後壁340の屈曲を促進してクラブヘッドのダイナミックロフトを増大させるように、構造を弱めたクラブヘッド300の一領域をもたらす。内部屈曲切欠き3100は、インパクト時の後壁上側部分380の後方屈曲を可能にし、ダイナミックロフト及び弾性エネルギーの蓄積を増大させ、より速いボール速度及び打出し角度の増大をもたらす。
【0165】
多くの実施形態では、屈曲切欠き3100の場所は、撓みヒンジ3000の場所に対応し得る。例えば、内部屈曲切欠き3100が後ボディトウ部分336内に位置する実施形態では、内部屈曲切欠き3100は、ヒンジトウ端部3012の場所と位置合わせし得る。屈曲切欠き3100及び撓みヒンジ3000は、ヒンジトウ端部3012が、内部屈曲切欠き3100が中空内部空洞314内に配置される場所と実質的に同じ場所で後壁340の外部を形成するように、対応する場所に位置し得る。対応する場所における内部屈曲切欠き3100及び撓みヒンジ3000は、クラブヘッドのダイナミックロフトに対するそれぞれの効果を複合可能にする。
【0166】
図19を参照すると、屈曲切欠き3100は、クラブヘッド300の高さのパーセンテージとして測定される屈曲切欠き高さ3110を含み得る。クラブヘッド300の高さは、ソール312から上レール310まで測定される。図示の実施形態では、屈曲切欠き高さ3110は、上レール-ソール方向で測定されるクラブヘッド300の高さの約8%から約15%の間である。屈曲切欠き高さ3110は、クラブヘッド高さの8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、または、15%であり得る。いくつかの実施形態において、屈曲切欠き高さ3110は、0.78インチから0.96インチの範囲であり得る。例えば、屈曲切欠き高さ3110は、0.78インチ、0.79インチ、0.80インチ、0.81インチ、0.82インチ、0.83インチ、0.84インチ、0.85インチ、0.86インチ、0.87インチ、0.88インチ、0.89インチ、0.90インチ、0.91インチ、0.92インチ、0.93インチ、0.94インチ、0.95インチ、または、0.96インチであり得る。いくつかの実施形態において、屈曲切欠き高さ3110は、0.78インチから0.80インチの間、0.80インチから0.82インチの間、0.82インチから0.84インチの間、0.84インチから0.86インチの間、0.86インチから0.88インチの間、0.88インチから0.90インチの間、0.90インチから0.92インチの間、0.92インチから0.94インチの間、または、0.94インチから0.96インチの間であり得る。
【0167】
撓みヒンジ3000及び屈曲切欠き3100は共に、ダイナミックロフト及び弾性エネルギーの蓄積を増大させるように構成された内部構造及び外部構造の両方をクラブヘッド300にもたらす。詳細には、撓みヒンジ3000は、インパクトの場所にかかわらず、ヒール-トウ方向でクラブヘッド300の全長にわたりクラブヘッド300の屈曲を可能にする。更に、内部屈曲切欠き3100は、著しい量のクラブヘッド質量が位置するトウ部分336において撓みを増大させる。
【0168】
撓みヒンジ3000と屈曲切欠き3100との両方を備えるクラブヘッド300は、撓みヒンジ及び内部屈曲切欠きのない同様のクラブヘッドと比較して、インパクト時、クラブヘッド300のダイナミックロフトを少なくとも0.5度増大し得る。いくつかの実施形態において、ダイナミックロフト特徴部は、インパクト時、クラブヘッド300のダイナミックロフトを0.25度超、0.30度超、0.35度超、0.40度超、0.45度超、0.50度超、0.55度超、0.60度超、0.65度超、0.70度超、0.75度超、0.80度超、0.85度超、0.90度超、0.95度超、または、1.00度超増大し得る。そのようなダイナミックロフトの増大は、ボール速度を犠牲にすることなく打出し角度を増大させる。いくつかの実施形態において、ダイナミックロフト特徴部は、インパクト時、クラブヘッド300のダイナミックロフトを0.25度から0.30度の間、0.30度から0.35度の間、0.35度から0.40度の間、0.40度から0.45度の間、0.45度から0.50度の間、0.50度から0.55度の間、0.55度から0.60度の間、0.60度から0.65度の間、0.65度から0.70度の間、0.70度から0.75度の間、0.75度から0.80度の間、0.80度から0.95度の間、または、0.95度から1.00度の間で増大し得る。ダイナミックロフトの増大は、クラブヘッド3000に蓄積する弾性エネルギー量を増加させる。
【0169】
撓みヒンジ3000及び/又は屈曲切欠き3100は、ソール返し部154、トウ延在部168、上レール延在部170又はそれらの任意の組合せを含め、上記した様々なL字形フェースプレート150形状のいずれかと組み合わせ得る。撓みヒンジ3000及び/又は屈曲切欠き3100は、ソールレッジ156、傾斜付きおもりパッド1000、延在部2050を備えるおもりパッド2000、ヒール質量体147及び/又はトウ質量体149、下側内部アンダーカット190、上側内部アンダーカット195、後外部空洞198、外部撓みヒンジ3000、内部屈曲切欠き3100、内部溶接リブ179又はそれらの任意の組合せを含め、上記又は以下で説明する後ボディ130形状又は特徴部と組み合わせ得る。
【0170】
V.他の特徴部
A.内部空洞の充填
多くの実施形態では、L字形フェースプレート150、ダイナミックロフト特徴部、後外部空洞198を有する後壁140、又はそれらの任意の組合せを備える上記実施形態によるクラブヘッド100の中空内部空洞114は、インパクト時に生じる振動を制し、クラブヘッド100の音及び感触特性を向上させる充填剤材料4000を更に備え得る。
図21を参照すると、充填剤材料4000は、クラブヘッド100の内部空洞114に配設又は適用し得る。いくつかの実施形態では、充填剤材料4000は、内面全体又は内面の選択された場所への塗料として適用し得る。他の実施形態では、
図20に示されるように、充填剤材料4000は、例えば、限定はしないが、クラブヘッド100の内面へのアクセスを可能にするおもりポート175又は開口を通じて、内部空洞114に注入し、内部空洞114のある体積パーセンテージを充填し得る。いくつかの実施形態では、充填剤材料4000は、内部空洞114全体を実質的に充填し得る。
【0171】
充填剤材料4000は、内部空洞114内に配設し得る。いくつかの実施形態では、内部空洞114に充填剤材料4000を完全に充填し得る。他の実施形態では、内部空洞114に充填剤材料4000を部分的に充填し得る。充填剤材料4000は、内部空洞114を画定する又は内部空洞114内にあるクラブヘッド100のあらゆる内面上に配設し得る。充填剤材料4000は、打面裏面156、ソール返し部内面161、上レール110の内面、ヒール部分の内面、後壁140の内面、おもりパッド1000の1つ若しくは複数の表面、ソール返し部154の内面、又はそれらの任意の組合せ上に配設し得る。
【0172】
充填剤材料4000は、内部空洞114の一部を充填し得る。いくつかの実施形態では、充填剤材料4000は、内部空洞114の体積全体を実質的に充填する。いくつかの実施形態において、充填剤材料4000は、内部空洞114の体積の5%超、10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、または、90%超を充填し得る。他の実施形態において、充填剤材料4000は、内部空洞114の体積の90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、または、5%未満を充填し得る。他の実施形態において、充填剤材料4000は、内部空洞114の体積の5%から10%の間、10%から20%の間、20%から30%の間、30%から40%の間、40%から50%の間、50%から60%の間、60%から70%の間、70%から80%の間、80%から90%の間、90%から100%の間、5%から20%の間、10%から30%の間、20%から40%の間、30%から50%の間、40%から60%の間、50%から70%の間、60%から80%の間、70%から90%の間、または、90%から100%の間を充填し得る。充填剤材料4000の量は、クラブヘッド100の音響上及び/又は性能上の利益を提供するために選択され得る。
【0173】
いくつかの実施形態では、充填剤材料4000は、打面裏面156上に配設し得る。いくつかの実施形態では、充填剤材料4000は、打面裏面156全体上に配設し得る。他の実施形態では、充填剤材料4000は、上レール110付近に位置する上領域、ソール112付近に位置する底領域、トウ端部108付近に位置するトウ領域、ヒール端部106付近に位置するヒール領域、打面116の中心付近に位置する中心領域、又はそれらの任意の組合せ等、打面裏面156の一部分のみに配設し得る。いくつかの実施形態において、充填剤材料4000は、打面裏面156の全体を被覆し得る。他の実施形態において、充填剤材料4000は、打面裏面156の5%超、10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、または、90%超を被覆し得る。他の実施形態において、充填剤材料4000は、打面裏面156の90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、または、5%未満を被覆し得る。他の実施形態において、充填剤材料4000は、打面裏面156の5%から10%の間、10%から20%の間、20%から30%の間、30%から40%の間、40%から50%の間、50%から60%の間、60%から70%の間、70%から80%の間、80%から90%の間、90%から100%の間、5%から20%の間、10%から30%の間、20%から40%の間、30%から50%の間、40%から60%の間、50%から70%の間、60%から80%の間、70%から90%の間、または、90%から100%の間を被覆し得る。打面裏面156を被覆する充填剤材料4000の量は、クラブヘッド100の音響上及び/又は性能上の利益を提供するために選択され得る。
【0174】
上記のように、充填剤材料4000は、おもりポート175を介して内部空洞114内に注入し得る。多くの実施形態では、
図21に示されるように、クラブヘッド100は、後ボディ130のトウ部分上(即ち、クラブヘッド100の外周部上)に位置するおもりポート175を備える。おもりポート175は、内部空洞114へのアクセスをもたらす開口を形成し得る。後ボディ130及びフェースプレート150を溶接した後、充填剤材料4000は、おもりポート175によって形成される開口を通じて注入し得る。次に、内部空洞114は、おもりポート175内へのおもり部材176の連結によって封止し、開口を閉鎖し得る。多くの実施形態では、おもり部材176及びおもりポート175は、おもりポート175内へのおもり部材176の好都合で安全な連結を可能にするように、対応してねじ切りされる。
【0175】
多くの実施形態では、充填剤材料4000は、ポリマーである。ポリマーは、熱可塑性物質、熱可塑性エラストマ、ポリウレタン、エチレン、酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリオレフィンコポリマー、スチレン、スチレン-ブタジエン、任意の他の適切なポリマー材料、又はそれらの任意の組合せを含み得る。他の実施形態では、充填剤材料4000は、エラストマ、ポリウレタンエラストマ、シリコーン、シリコーンエラストマ、ゴム、又は硫化天然ゴムラテックスを含み得る。また他の実施形態では、充填剤材料4000は、エポキシ、樹脂、接着剤、ポリウレタン接着剤、グルー、又は任意の他の適切な接着剤とし得る。例えば、充填剤材料4000は、ゴリラグルー(Gorilla Glue Company、オハイオ州シンシナティ)等のポリウレタン接着剤とし得る。別の例では、充填剤材料4000は、Freeman 1040(Freeman Manufacturing & Supply Company、オハイオ州エイボン)等のポリウレタンエラストマ、又はFreeman 3040(Freeman Manufacturing & Supply Company、オハイオ州エイボン)等のポリウレタンベースの熱可塑性エラストマとし得る。
【0176】
充填剤材料4000は、ゴルフボールとのインパクト時にクラブヘッド100に生じる振動の減衰に有用であり得る。充填剤材料4000を包含すると、望ましくない音又は感触の一因となる卓越振動を抑え得る(即ち、卓越振動の振幅を低減し得る)。いくつかの実施形態では、充填剤材料4000は、そのような振動を効率的に抑えるように、卓越振動の場所に対応する標的場所に配置し得る。充填剤材料4000の包含によってクラブヘッド100を制振すると、インパクト時、人間の耳により心地よい、より静かな、より短い音、及びゴルフクラブをスイングするプレーヤに快適なソフトな感触をもたらす。
【0177】
いくつかの実施形態では、制振の利益の提供に加えて、充填剤材料4000は、性能の向上にも寄与し得る。例えば、いくつかの実施形態では、充填剤材料4000は、インパクト時に打面裏面156上にばね効果をもたらす望ましい反発特性を含み得る。充填剤材料4000によってもたらされるばね効果は、打面116とゴルフボールとの間にエネルギー伝達の増大をもたらし、より速いボール速度及びより大きなショット距離をもたらし得る。
【0178】
いくつかの実施形態では、充填剤材料4000は、打面116の裏面又はクラブヘッド100の任意の他の部分に補強をもたらし得る。充填剤材料4000は、構造一体性を犠牲にせずに、打面116又はクラブヘッド100の他の部分の薄肉化を可能にする。より薄い打面116と充填剤材料4000の反発特性との組合せにより、インパクト時、より大きな「跳ね返り」を伴ったフェースプレート150の撓みの増大を可能にし、エネルギー伝達及びボール速度の最大化をもたらす。
【0179】
多くの実施形態では、充填剤材料4000を軽量化する(即ち、クラブヘッド100の全体質量に関して低密度及び低質量を含む)ことが望ましい。軽量充填剤材料4000は、クラブヘッド100に制振の利益をもたらし、音及び感触を向上させる一方で、クラブヘッド100の質量特性に影響を与え、性能(即ち、MOI及びCG位置)にごく少量の影響を与え得る。充填剤材料4000の質量は、クラブヘッド100の質量特性に悪影響を及ぼさないように20グラム未満とし得る。いくつかの実施形態において、充填剤材料4000は、18グラム未満、16グラム未満、14グラム未満、12グラム未満、10グラム未満、8グラム未満、6グラム未満、4グラム未満、2グラム未満、または、1グラム未満の質量を有する。いくつかの実施形態において、充填剤材料4000は、1グラムから5グラムの間、5グラムから10グラムの間、10グラムから15グラムの間、または、15グラムから20グラムの間の質量を有する。いくつかの実施形態において、充填剤材料4000は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または、20グラムであり得る。充填剤材料4000の質量は、クラブヘッド100の音響上および/またはパフォーマンス上の利益をもたらす低密度及び低質量な充填剤材料4000を提供するために選択され得る。
【0180】
上記で説明したように、ソール返し部、トウ延在部、上レール延在部、又は任意の組合せを含む、上記したL字形フェースプレート形状と、ソールレッジ、傾斜付きおもりパッド、延在部を備えるおもりパッド、ヒール質量体及び/又はトウ質量体、下側内部アンダーカット、上側内部アンダーカット、後外部空洞、外部撓みヒンジ、内部屈曲切欠き、内部溶接リブ、充填剤材料又はそれらの任意の組合せを含む、本明細書で説明する様々な後ボディ特徴部又は形状との組合せは、高性能クラブヘッドをもたらす。上記で列挙した様々な特徴の組合せは、インパクト時、大量の撓み及び内部エネルギーの増大をクラブヘッドにもたらし、ボール速度の増大をもたらす。
【0181】
方法
本明細書に記載のゴルフクラブヘッドの様々な実施形態は、様々な方法によって製造し得る。上記で説明したように、ゴルフクラブヘッドは、少なくとも1つの後ボディとL字形フェースプレートとを備える。各特徴部の様々な実施形態は、ゴルフクラブヘッドの多数の変形形態を形成するように組み合わせ得る。製造方法は、ゴルフクラブヘッドの様々な変形形態のために変更し得る。以下で説明するのは、ゴルフクラブヘッドの例示的製造方法である。
【0182】
L字形フェースプレートを備えるゴルフクラブヘッドの製造方法は、(1)後ボディを準備すること、(2)フェースプレートを準備すること、(3)フェースプレートを後ボディに連結すること、又は上記で規定した任意のステップの組合せを含む。
【0183】
後ボディの準備は、フェースプレートを受け入れる後ボディ開口を画定する上レール部分、ソール部分、トウ部分及びヒール部分の形成を含み得る。後ボディは、後ボディ開口の周囲部の周囲に延在する複数の溶接面を更に備え、フェースプレート及び後ボディを一緒に連結する境界面をもたらし得る。後ボディは、ソール返し部を受け入れるソールレッジを更に備え得る。いくつかの実施形態では、後ボディは、ソール部分から前方に突出するおもりパッドを更に備え得る。いくつかの実施形態では、後ボディは、1つ又は複数のダイナミックロフト特徴部を更に備え得る。後ボディの準備において、後ボディの部分は、一体に鋳造し得る。
【0184】
フェースプレートの準備は、打面部分、及びソールの一部分を形成するようにリーディングエッジ周囲を覆うソール返し部の形成を含み得る。フェースプレートは、トウ延在部と上レール延在部とを備え得る。フェースプレートの準備において、フェースプレートは、機械加工及び成形加工によって形成し得る。
【0185】
後ボディへのフェースプレートの連結は、溶接面における後ボディへのフェースプレートの接続を含み得る。ソールレッジは、ソール返し部を受け入れ、おもりパッドは、ソール返し部の一部分に張り出し得る。フェースプレートは、溶接面において後ボディに溶接し得る。後ボディ及びフェースプレートの個別の形成は、後ボディ及びフェースプレートを異なる材料から形成することを可能にする。更に、後ボディ及びフェースプレートの個別の形成は、異なる方法を使用して後ボディ及びフェースプレートを形成することを可能にする。例えば、後ボディを鋳造し、フェースプレートを鍛造し得る。
【0186】
実施例
I.実施例1:フェースプレートの性能結果の比較
本明細書で更に説明するのは、異なるフェースプレート構造を有する複数のクロスオーバ型クラブヘッドの間の性能結果の比較である。結果は、フェースプレートのサイズ及び成形が性能及び耐久性に及ぼす影響を比較した。リーディングエッジの組成、フェースプレート溶接線の場所、及びフェースプレート表面積は、例示的クラブヘッド全体を通して様々であった。上記で説明したように、クラブヘッドのリーディングエッジは、典型的には剛性材料から形成される高応力領域である。結果は、リーディングエッジを、後ボディ材料ではなく高強度材料から形成することの効果を実証した。更に、溶接線は、フェースプレートが撓む能力を制限する。結果は、従来のクラブヘッドと比較して、溶接線をクラブヘッド外周部のより近くに移動させた効果を更に実証した。フェースプレート表面積は、フェースプレートのばね様効果に相関する。結果は、フェースプレート表面積の増大効果を更に実証した。クラブヘッドのフェースプレート構造を以下で更に詳細に説明する。
【0187】
A.第1の例示的クラブヘッド
第1の例示的クラブヘッドは、打面全体に形成されたL字形フェースプレート(以下、「第1の例示的フェースプレート」と呼ぶ)を備えた。第1の例示的フェースプレートは、
図1に示されるクラブヘッド100と同様のソール返し部と、トウ延在部と、上レール延在部と、を備えた。第1の例示的フェースプレートは、クラブヘッドの外周部まで延在し、ソールの一部分を形成した。したがって、リーディングエッジは、第1の例示的フェースプレート材料から形成された。溶接線は、クラブヘッドの外周部付近に配置された。第1の例示的フェースプレートは、後ボディにレーザー溶接された。第1の例示的クラブヘッドは、ごく少量の充填剤材料を含んだ。第1の対照クラブヘッドは、異なる形状及び異なる溶接種類の両方を有するフェースプレートを備えた。
【0188】
第1の対照クラブヘッドは、打面全体も、ソールの一部分も形成しないフェースプレート(以下、「第1の対照フェースプレート」と呼ぶ)を備えた。第1の対照フェースプレートには、ソール返し部、トウ延在部及び上レール延在部がなかった(図示せず)。第1の対照フェースプレートは、クラブヘッド外周部まで延在せず、ソールの一部分を形成しなかった。代わりに、第1の対照フェースプレートは、クラブヘッドのリーディングエッジに段階的移行領域を含んだ。したがって、リーディングエッジは、後ボディ材料から形成された。溶接線は、打面の周囲部の周囲に配置された。第1の対照フェースプレートは、後ボディにプラズマ溶接された。第1の対照フェースプレートは、フェースプレートがソールの一部分を形成しない従来のフェースプレートインサートの典型を表した。
【0189】
第1の対照フェースプレートは、フェースプレートがソール返し部を含む第1の例示的フェースプレートとは形状が異なった。第1の例示的フェースプレートは、第1の対照フェースプレートより大きな表面積を有した。第1の例示的クラブヘッドは、第1の例示的フェースプレート材料から形成されたリーディングエッジを有し、第1の対照クラブヘッドは、主ボディ材料から形成されるフェースプレートを有した。第1の例示的フェースプレートは、以下で更に詳細に説明するように、第1の対照フェースプレートより優れた性能及び耐久性の利益を例証した。
【0190】
1.性能試験
性能試験では、各フェースプレートのボール速度、打出し角度、スピン率、及び飛距離を測定した。自動性能試験は、通常の条件下、クラブヘッドの性能データを捕捉するゴルフスイング装置を使用した。結果は、フェースプレート中心の真下に位置する低-中心領域付近の各フェースプレートの性能を示した。
【0191】
第1の例示的クラブヘッドは、第1の対照クラブヘッドより優れた性能利益の向上を実証した。これら2つのクラブヘッドの間の比較は、フェースプレート材料からリーディングエッジを形成したものとして、フェースプレート表面積を増大させる効果を例証した。第1の例示的クラブヘッドは、ソール返し部と、第1の対照クラブヘッドと比較してより大きなフェースプレート表面積を含むフェースプレートを有した。以下の表1は、第1の対照クラブヘッドより優れた第1の例示的クラブヘッドの性能の向上を示す。ボール速度は、マイル毎時で測定され、飛距離は、ヤードでモデル化された。
【表1】
【0192】
上記表1を参照すると、第1の例示的クラブヘッドは、低-中心ヒット時、第1の対照クラブヘッドより優れた向上を実証した。第1の対照クラブヘッドは、低-中心外れヒット時、133.7mphのボール速度を実証した一方で、第1の例示的クラブヘッドは、低-中心外れヒット時、136.4mphのボール速度を実証した。第1の例示的クラブヘッドは、低-中心ヒット時、第1の対照クラブヘッドと比較して、ボール速度を2.7mph増大させた。ボール速度の増大は、更なる1.7ヤードの飛距離に変換された。自動性能試験からの結果は、実際のプレーヤによるショットからデータを捕捉したプレーヤ性能試験からの結果によって補強された。プレーヤ性能試験の結果を以下の表2に示す。
【表2】
【0193】
上記表2を参照すると、プレーヤ性能試験からの結果は、第1の対照クラブヘッドより優れた第1の例示的クラブヘッドの向上を更に実証する。第1の例示的クラブヘッドは、第1の対照クラブヘッドと比較して、ボール速度を2mph増大させた。
【0194】
上記に示したように、第1の例示的クラブヘッドの性能の向上は、フェースプレートの形状に起因するものであった。ソール返し部は、第1の例示的フェースプレート材料から形成され、リーディングエッジ(又は低-中心領域)をより薄く、より可撓性にすることを可能にした。ソール返し部は、フェースプレートのリーディングエッジ付近で撓みを増大可能にする。フェースプレートは、フェースプレートが上レール及びトウ側外周部まで延在するので、対照フェースプレートより大きな表面積も有した。第1の例示的フェースプレートは、第1の対照フェースプレートより2.49インチ2大きかった。フェースプレート表面の増大は、溶接線を後ボディに向かって更に移動することを必要とした。溶接線は撓みを抑制し得るので、後ボディのより近くへの溶接線の移動により、フェースプレートの撓みを更に増大させた。
【0195】
第1の例示的フェースプレートは、後ボディ材料より高い強度を含んだ。撓みの増大は、第1の例示的フェースプレートのばね様効果を際立たせ、これにより、より多くのエネルギーをフェースプレートからゴルフボールに伝達した。したがって、ソール返し部と延在する周囲部との組合せは、第1の例示的フェースプレートのより多くの撓みを可能にし、より速いボール速度をもたらした。第1の例示的フェースプレート材料も、後ボディ材料より強固であった。結果として、第1の例示的フェースプレートの構造は、以下の耐久性試験の項で更に詳細に説明するように、第1の例示的クラブヘッドの耐久性も向上させた。
【0196】
2.耐久性試験
耐久性試験は、クラブヘッドが故障前に耐えることができたヒット数を測定した。耐久性試験において、クラブヘッドは、空気砲装置の使用によって高速ゴルフボールのインパクトを受けた。下記の表3は、耐久性試験の結果を示す。各クラブヘッドの3つのサンプルが試験された。次に、「第1の例示的クラブヘッド」の3つのサンプルからのデータ、及び「第1の対照クラブヘッド」の3つのサンプルを平均化した。「故障までのヒット」列は、各クラブヘッドが故障前に受けたゴルフボールの平均インパクト数を示す。「故障までの最小ヒット」列は、故障前に受けたインパクト数が最小であった各クラブヘッド型の最低性能サンプルを示す。表3の全ての値は、ゴルフボールの数である。
【表3】
【0197】
上記の表3を参照すると、第1の例示的クラブヘッドは、著しい耐久性の増加を実証した。第1の対照クラブヘッドは、平均1584.2ヒット耐えることができた一方で、第1の例示的クラブヘッドは、平均2564ヒット耐えることができた。平均では、第1の例示的フェースプレートは、第1の対照クラブヘッドのヒットより61.8%多く耐えた。第1の対照クラブヘッドは、故障前に最小1000ヒット受けた一方で、第1の例示的クラブヘッドは、故障前に最小2292ヒット受けた。第1の例示的クラブヘッドの最低性能サンプルは、第1の対照クラブヘッドの最低性能サンプルより129.2%多くヒットを受けた。ゴルフクラブヘッドの故障は、一般に、クラブヘッドのリーディングエッジ付近で観察される。第1の例示的クラブヘッドによって実証された耐久性の向上は、リーディングエッジ付近に高強度材料を置いたソール返し部に起因するものであった。
【0198】
B.第2の例示的クラブヘッド
第2の例示的クラブヘッドは、打面全体を形成しないL字形フェースプレート(以下、「第2の例示的フェースプレート」と呼ぶ)を備えた。第2の例示的フェースプレートは、
図8に示されるクラブヘッドと同様に、ソール返し部を備えたが、トウ延在部及び上レール延在部がなかった。したがって、第2の例示的フェースプレートは、ソールの一部分を形成した(リーディングエッジは、フェースプレート材料から形成された)が、フェースプレートは、トウ端部及び/又は上レール上でクラブヘッド外周部まで完全に延在しなかった。溶接線は、打面の周囲部の周囲に配置された。第2の例示的フェースプレートは、後ボディにプラズマ溶接された。第2の例示的クラブヘッドは、ごく少量の充填剤材料を含んだ。第2の例示的フェースプレートは、実施例1の第1の例示的フェースプレートと同様であったが、表面積、及び第2の例示的フェースプレートを後ボディに固着するために使用した溶接の種類が異なった。
【0199】
第2の対照クラブヘッドは、実施例1の第1の対照クラブヘッドと同様であった。第2の対照クラブヘッドは、打面全体も、ソールの一部分も形成しないフェースプレート(以下、「第2の対照フェースプレート」と呼ぶ)を備えた。第2の対照クラブヘッドは、従来のフェースプレートインサートを含むクラブヘッドの典型を表した。
【0200】
第2の対照フェースプレートは、フェースプレートがソール返し部を含む第2の例示的フェースプレートとは形状が異なった。更に、第2の例示的フェースプレートは、第2の対照フェースプレートより大きな表面積を有した。第2の例示的クラブヘッドは、第2の例示的フェースプレート材料から形成されたリーディングエッジを有し、第2の対照フェースプレートは、主ボディ材料から形成されるフェースプレートを有した。第2の例示的フェースプレートは、以下で更に詳細に説明するように、第2の対照フェースプレートより優れた性能及び耐久性の利益を例証した。
【0201】
3.性能試験
性能試験は、実施例1の性能試験と同様に行われた。第2の例示的フェースプレートは、第2の対照クラブヘッドより優れた性能利益の向上を実証した。実施例1と同様に、第2の例示的クラブヘッドと第2の対照クラブヘッドとの間の比較は、フェースプレートの表面積を増大し、フェースプレート材料からリーディングエッジを形成したことの影響を例証した。以下の表4は、第2の対照クラブヘッドより優れた第2の例示的クラブヘッドの性能の向上を示す。ボール速度は、マイル毎時で測定され、飛距離は、ヤードでモデル化した。
【表4】
【0202】
上記表4を参照すると、第2の例示的クラブヘッドは、低-中心ヒット時、第2の対照クラブヘッドより優れた向上を実証した。第2の対照クラブヘッドは、低-中心ヒット時に131.1mphのボール速度を実証した一方で、第2の例示的クラブヘッドは、低-中心外れヒット時に132.1mphのボール速度を実証した。第2の例示的クラブヘッドは、低-中心ヒット時、第2の対照クラブヘッドと比較して、ボール速度を1mph増大させた。ボール速度の増大は、更なる1.7ヤードの飛距離に変換された。
【0203】
上記に示したように、第2の例示的クラブヘッドの性能の向上は、フェースプレートの形状に起因するものである。実施例1の第1の例示的クラブヘッドと同様に、第2の例示的クラブヘッドのソール返し部は、第2の例示的フェースプレート材料から形成され、リーディングエッジ(又は低-中心領域)をより薄く、より可撓性にすることを可能した。第2の例示的フェースプレートの表面積は、第2の対照フェースプレートより1.25インチ2大きかった。ソール返し部とより大きな打面との組合せは、フェースプレートの撓みを増大し、これにより、ボール速度及び飛距離を増大させた。第2の例示的フェースプレート材料も、後ボディ材料より強固であった。結果として、第2の例示的フェースプレートの構造は、以下の耐久性試験の項で更に詳細に説明するように、第2の例示的クラブヘッドの耐久性も向上させた。
【0204】
4.耐久性試験
以下の表5は、耐久性試験の結果を示す。実施例1と同様に、各クラブヘッド型の3つのサンプルが試験された。次に、「第2の例示的クラブヘッド」の3つのサンプルからのデータ、及び「第1の対照クラブヘッド」の3つのサンプルを平均化した。「故障までのヒット」列は、各クラブヘッドが故障前に受けたゴルフボールの平均インパクト数を示す。「故障までの最小ヒット」列は、故障前に受けたインパクト数が最小であった各クラブヘッド型の最低性能サンプルを示す。表5の全ての値は、ゴルフボールの数である。
【表5】
【0205】
上記の表5を参照すると、第2の例示的クラブヘッドは、著しい耐久性の増加を実証した。第2の対照クラブヘッドは、平均1584.2ヒット耐えることができた一方で、第2の例示的クラブヘッドは、平均2307.7ヒット耐えることができた。平均では、第2の例示的クラブヘッドは、第2の対照クラブヘッドのヒットより45.6%多く耐えた。第2の対照クラブヘッドは、故障前に最小1000ヒットを受けた一方で、第2の例示的クラブヘッドは、故障前に最小2000ヒットを受けた。第2の例示的クラブヘッドの最低性能サンプルは、第2の対照クラブヘッドの最低性能サンプルより129.2%多いヒットを受けた。ゴルフクラブヘッドの故障は、一般に、クラブヘッドのリーディングエッジ付近で観察される。第2の例示的クラブヘッドによって実証された耐久性の向上は、リーディングエッジ付近に高強度材料を置いたソール返し部に起因するものであった。
【0206】
第1の例示的クラブヘッド及び第2の例示的クラブヘッドは、それぞれの対照クラブヘッドよりボール速度及び飛距離を増大させた。更に、第1の例示的クラブヘッドは、第2の例示的クラブヘッドよりボール速度及び飛距離を増大させた。例示的クラブヘッドは、耐久性に対して、それぞれの対照クラブヘッドより優れた同様の向上も実証した。試験条件、及びフェースプレートの固着に使用された溶接の種類にかかわらず、例示的クラブヘッドは、性能及び耐久性の向上を実証した。したがって、ソール返し部及びより大きな表面積を有するフェースプレートは、ソール返し部のない同様のクラブヘッドと比較して、性能を向上させることが明らかである。
【0207】
II.実施例2:有限要素解析(FEA)
本明細書で更に説明するのは、異なるソールレッジ形状を有する2つのクロスオーバ型クラブヘッドについて実施された有限要素解析の比較である。有限要素解析(FEA)は、異なる構造が与えられた各クラブヘッドのボール速度をシミュレートした。上記で説明したように、ソールレッジは、おもりパッドの真上に位置し、ソールの一部分を形成する。ソールレッジは、フェースプレートを後ボディに容易に取り付けるための表面をもたらす。FEA比較の目的は、ソールレッジのないゴルフクラブヘッドより優れた、ソールレッジを備えるゴルフクラブヘッドの同様の性能を実証するためであった。更に、以下の説明は、ソールレッジを含むクラブヘッドによってもたらされる製造の容易さを示す。
【0208】
サンプルのクラブヘッドは、
図6に示されるL字形フェースプレートと同様のフェースプレートを含んだ。フェースプレートは、ソール返し部と、トウ延在部と、上レール延在部を含んだ。更に、ソール返し部深さは、各サンプルのクラブヘッドで同じであった。サンプルのクラブヘッドは、同様の重心(CG)場所も含んだ。対照クラブヘッド内で同様のCG場所を達成するため、クラブヘッドのトウ端部上の上レール付近に質量が追加された。フェースプレート構造及びCG場所は、異なるソールレッジ構造によって生じる性能差を特定するため、一定に保たれた。
【0209】
対照クラブヘッドは、
図12に示されるおもりパッドと同様の張出しおもりパッドを有する後ボディを備えた。おもりパッドは、フェースプレートに向かって延在し、ソール返し部に張り出す突出部を含んだ。対照クラブヘッドには、ソールレッジがなかった。代わりに、ソール返し部は、おもりパッドがソール返し部の最後部分に重なり合うようにおもりパッド内に延在した。フェースプレートソール周囲縁部、及びフェースプレート内面の一部分は、おもりパッドに接触した。おもりパッドは、ソール返し部の上側及び後の境界を形成した。
【0210】
例示的クラブヘッドは、
図10に示されるおもりパッドと同様の張出しおもりパッドを有する後ボディを備えた。張出しおもりパッドは、ソールに対して傾斜が付けられ、ソール返し部に張り出した。後ボディは、ソールレッジ前面がフェースプレートソール周囲縁部を受け入れる、
図13に示されるソールレッジと同様のソールレッジを更に備えた。更に、おもりパッドは、ソール返し部に接触せず、ソール返し部の上側境界を形成しなかった。ソールレッジは、ソール返し部と同様の厚さを含んだ。
【0211】
対照クラブヘッド及び例示的クラブヘッドは、異なるおもりパッド構造及びソールレッジ構造を含んだ。対照クラブヘッドは、突出部を有するおもりパッドを含み、例示的クラブヘッドは、傾斜付きおもりパッドを含んだ。対照クラブヘッドは、ソールレッジを含まず、おもりパッドは、フェースプレートのソール返し部に接触した。対照的に、例示的クラブヘッドは、おもりパッドがフェースプレートのソール返し部に接触しないようにするソールレッジを含んだ。例示的クラブヘッドと比較すると、対照クラブヘッドのソール返し部の有効深さは、ソール返し部に重なるおもりパッドの深さだけ減少した。以下で説明する結果は、ソールレッジの形状が性能に及ぼす影響を比較するものである。
【0212】
FEA解析は、(重量ポンドインチで測定される)サンプルのクラブヘッドの内部エネルギーをシミュレートした。内部エネルギーは、ゴルフボールのインパクト及び打面の屈曲によって、クラブヘッド内に蓄積され、解放される弾性エネルギーの量であった。(マイル毎時で測定される)ボール速度の差は、内部エネルギーの差から導かれた。サンプルのクラブヘッドは、現実世界のスイング条件のシミュレートした85mphのスイング速度で試験された。結果は、フェースプレートの中心付近の各フェースプレートの性能を示した。
【表6】
【0213】
上記表6を参照すると、対照クラブヘッドは、55.82重量ポンド-インチの内部エネルギーを実証し、例示的クラブヘッドは、56.21重量ポンド-インチの内部エネルギーを実証した。例示的クラブヘッドは、内部エネルギーを対照クラブヘッドより0.39重量ポンド-インチ増大させ、これは、ボール速度の0.05mphの増加に変換された。対照クラブヘッド及び例示的クラブヘッドは、同様に実施した。
【0214】
対照クラブヘッド及び例示的クラブヘッドは、同様に実施したが、例示的クラブヘッドは、対照クラブヘッドより優れた製造の利点をもたらした。例示的クラブヘッドは、対照クラブヘッドより性能を失わず、例示的クラブヘッドは、対照クラブヘッドより製造が安価で容易である。上記で説明したように、例示的クラブヘッドは、フェースプレートのソール周囲縁部を受け入れるソールレッジを含んだ。対照クラブヘッドは、ソールレッジを含まず、代わりに、おもりパッドは、ソール付近でフェースプレートを受け入れた。例示的クラブヘッドは、ソール返し部の単一表面(ソール周囲縁部)のみをソールレッジに取り付けることを必要とした。対照的に、対照クラブは、ソール返し部の2つの表面(ソール周囲縁部、及び内面の一部分)を後ボディに取り付けることを必要とした。したがって、対照クラブヘッドの後ボディは、1つの表面のみを調製する必要がある例示的クラブヘッドに対して、ソール返し部を受け入れるために2つの表面を調製することを必要とした。更なる表面の調製は、製造工程に複数のステップを追加し、これにより、対照クラブヘッドの製造費用を増大させた。
【0215】
更に、対照クラブヘッドは、例示的クラブヘッドより複雑な受入れ形状を含んだ。各クラブヘッドは、ソール返し部及び後ボディの境界面においてある誤差限界を有する。ソールレッジは、ソール返し部と後ボディとを位置合わせする際、より大きな誤差限界を可能にした。というのは、後ボディと位置合わせしなければならないのは、ソール返し部の唯一の表面であるためである。対照的に、対照クラブヘッドは、ソール返し部の2つの表面を後ボディと位置合わせすることを必要とした。したがって、対照クラブヘッドは、ソール返し部と後ボディとの間により正確な嵌合を必要とし、これにより、境界面における許容可能な誤差限界を減少させた。誤差限界の減少のために、対照クラブヘッドは、ソール返し部を極端に厳密な許容差の範囲内で形成することを必要とした。したがって、対照クラブヘッドは、例示的クラブヘッドより製造が困難であった。
【0216】
上記で説明したように、ソール返し部及びソールレッジの厚さは、同様であった。これらの同様の厚さは、後ボディに溶接されるフェースプレートの両側に、一様な溶接ビードを形成可能にした。対照的に、対照クラブヘッドのおもりパッドは、ソール返し部の上に配置され、一様な溶接ビードの形成を可能にしなかった。したがって、サンプルは同様に実施したが、例示的クラブヘッドは、対照クラブヘッドより製造が安価で容易であった。
【0217】
III.実施例3:L字形カップの深さ
本明細書で更に説明するのは、異なるソール返し部形状を有する2つのクロスオーバ型クラブヘッドについて実施された有限要素解析の比較である。有限要素解析(FEA)は、異なる構造が与えられた各クラブヘッドのボール速度をシミュレートした。上記で説明したように、ソール返し部深さを最大化すると、フェースプレートの撓みを増大させる。したがって、FEA比較の目的は、ソール返し部深さの最大化から得られる性能の向上を実証することであった。
【0218】
対照クラブヘッドは、
図8及び
図9に示されるフェースプレートと同様の対照L字形フェースプレートを備えた。対照フェースプレートは、リーディングエッジ上を覆い、ソールの一部分を形成する対照ソール返し部を含んだ。対照ソール返し部の深さは、0.30インチであった。対照クラブヘッドは、対照ソールレッジが対照ソール返し部を受け入れる対照後ボディを更に備えた。
【0219】
例示的クラブヘッドは、対照フェースプレートと同様の例示的L字形フェースプレートを備えた。しかし、例示的ソール返し部の深さは、0.40インチであった。例示的ソール返し部の深さは、製造限界まで最大化された。例示的ソール返し部の深さは、対照返し部の深さより33%長かった。例示的クラブヘッドは、例示的ソールレッジが例示的ソール返し部を受け入れる例示的後ボディを更に備えた。
【0220】
対照クラブヘッド及び例示的クラブヘッドは、
図9に示されるクラブヘッドと同様の後ボディ構造を備えた。しかし、対照ソールレッジは、対照ソール返し部の短縮に順応させるため、例示的ソールレッジより長かった。対照後ボディ及び例示的後ボディの残りの部分は、例示的ソール返し部の伸長によって生じる性能差を特定するため、同様に保たれた。
【0221】
FEA解析は、(重量ポンドインチで測定される)サンプルのクラブヘッドの内部エネルギーをシミュレートした。内部エネルギーは、ゴルフボールのインパクト及び打面の屈曲によって、クラブヘッド内に蓄積され、解放される弾性エネルギーの量であった。(マイル毎時で測定される)ボール速度の差は、内部エネルギーの差から導かれた。サンプルのクラブヘッドは、現実世界のスイング条件をシミュレートする85mphのスイング速度で試験された。結果は、フェースプレートの中心付近、及びフェースプレートの中心の真下に位置する低-中心領域付近の各フェースプレートの性能を示した。
【表7】
【0222】
上記表7を参照すると、例示的クラブヘッドは、中心ヒット及び低-中心ヒットの両方で、より高い内部エネルギーを実証した。中心ヒット時、対照クラブヘッドは、58.52重量ポンド-インチの内部エネルギーを実証し、例示的クラブヘッドは、59.91重量ポンド-インチの内部エネルギーを実証した。例示的クラブヘッドは、対照クラブヘッドより内部エネルギーを1.39重量ポンド-インチ増大させ、これは、中心ヒット時のボール速度の0.18mphの増加に変換された。
【0223】
低-中心ヒット時、対照クラブヘッドは、46.25重量ポンド-インチの内部エネルギーを実証し、例示的クラブヘッドは、47.82重量ポンド-インチの内部エネルギーを実証した。例示的クラブヘッドは、対照クラブヘッドより内部エネルギーを1.57重量ポンド-インチ増大させ、これは、中心ヒット時のボール速度の0.20mphの増加に変換された。
【0224】
表7の結果は、ソール返し部の深さの差がボール速度を増大させたことを示す。上記で詳細に説明したように、ソール返し部の深さが増大すると、後ボディ材料をフェースプレート材料に代える量を増大させる。後ボディ材料をフェースプレート材料に代えることは、ソールの可撓性の増大につながる。ソール返し部の伸長は、ボール速度の大幅な増加に直接的につながる。したがって、性能の向上のために、製造可能限界の範囲内でソール返し部の深さを最大化することが望ましい。
【0225】
条項
条項1:アイアン型ゴルフクラブヘッドであって、クラブヘッドボディを形成し、中空内部空洞を封入するフェースプレート及び後ボディと、上レール、ソール、ヒール端部及びトウ端部と、を備え、前記クラブヘッドボディは、前端部、後端部、上レール外周部、トウ外周部、ヒール外周部、及びソール外周部を形成し、前記フェースプレートは、前記前端部に設けられており、前記フェースプレートは、打面と、前記打面の反対側の裏面と、前記ソールに近接するリーディングエッジと、前記裏面から後方に延在し、前記ソールの少なくとも一部分を形成するソール返し部と、フェースプレート周囲部と、を有し、前記フェースプレート周囲部は、上周囲縁部と、ヒール側周囲縁部と、トウ側周囲縁部と、ソール周囲縁部と、を有し、前記後ボディは、前記上レールの少なくとも一部分、前記ソールの少なくとも一部分、及び前記トウ端部の少なくとも一部分を形成し、前記後ボディは、前記後端部において前記ソールから前記上レールまで延在する後壁と、ソールレッジと、前記ヒール端部上に位置するホーゼル構造体と、を有し、前記ソールレッジは、前記後ボディから前記フェースプレートに向かって突出し、前記ソールの一部分を形成し、前記フェースプレートの前記上周囲縁部は、前記クラブヘッドボディの前記上レール外周部上に位置し、前記フェースプレートの前記トウ側周囲縁部は、前記クラブヘッドボディの前記トウ外周部上に位置し、前記フェースプレートの前記ソール周囲縁部は、前記ソールレッジに接触し、前記フェースプレートは、前記フェースプレート周囲部に沿って前記後ボディに溶接されており、前記後ボディは、前記ソール及び前記後壁に近接するおもりパッドを更に有し、前記おもりパッドは、前記ソール返し部に張り出し、前記おもりパッドは、前記ソール返し部に接触しない、アイアン型ゴルフクラブヘッド。
【0226】
条項2:前記おもりパッドは、前記ソールレッジによって前記ソール返し部から隔てられている、条項1に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【0227】
条項3:前記上周囲縁部と、前記トウ側周囲縁部と、前記ヒール側周囲縁部と、前記リーディングエッジと、の間で前記フェースプレートにわたり測定されるフェースプレート表面積を更に含み、前記フェースプレート表面積は、5.00インチ2から6.00インチ2の間である、条項1に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【0228】
条項4:前記フェースプレートは、第1の材料を含み、前記後ボディは、前記第1の材料とは異なる第2の材料を含む、条項1に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【0229】
条項5:前記第1の材料は、第1の降伏強度を含み、前記第2の材料は、第2の降伏強度を含み、前記第1の降伏強度は、前記第2の降伏強度より大きい、条項4に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【0230】
条項6:前記第1の材料の前記第1の降伏強度は、220ksiから300ksiの間である、条項5に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【0231】
条項7:前記ソールレッジは、0.01インチから0.20インチの間のソールレッジ深さを含む、条項1に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【0232】
条項8:前記ソール返し部は、ソール返し部厚さを画定し、前記ソールレッジは、ソールレッジ厚さを画定し、前記ソール周囲縁部における前記ソール返し部厚さは、前記ソールレッジ厚さと同じである、条項1に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【0233】
条項9:前記ソール返し部は、前記リーディングエッジから前記ソール周囲縁部まで前-後方向で測定されるソール返し部深さを含み、前記ソール返し部深さは、0.2インチから0.4インチの間である、条項1に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【0234】
条項10:前記ソール周囲縁部は、前記後ボディに接触する前記ソール返し部の唯一の部分である、条項1に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【0235】
条項11:前記上レールは、0.060インチ未満の厚さを含む、条項1に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【0236】
条項12:アイアン型ゴルフクラブヘッドであって、クラブヘッドボディを形成し、中空内部空洞を封入するフェースプレート及び後ボディと、上レール、ソール、ヒール端部及びトウ端部と、を備え、前記クラブヘッドボディは、前端部、後端部、上レール外周部、トウ外周部、ヒール外周部、及びソール外周部を形成し、前記フェースプレートは、前記前端部に設けられており、前記フェースプレートは、打面と、前記打面の反対側の裏面と、前記ソールに近接するリーディングエッジと、前記裏面から後方に延在し、前記ソールの少なくとも一部分を形成するソール返し部と、フェースプレート周囲部と、を有し、前記フェースプレート周囲部は、上周囲縁部と、ヒール側周囲縁部と、トウ側周囲縁部と、ソール周囲縁部と、を有し、前記後ボディは、前記上レールの少なくとも一部分、前記ソールの少なくとも一部分、及び前記トウ端部の少なくとも一部分を形成し、前記後ボディは、前記後端部において前記ソールから前記上レールまで延在する後壁と、ソールレッジと、前記ヒール端部上に位置するホーゼル構造体と、を有し、前記ソールレッジは、前記後ボディから前記フェースプレートに向かって突出し、前記ソールの一部分を形成し、前記フェースプレートの前記上周囲縁部は、前記クラブヘッドボディの前記上レール外周部上に位置し、前記フェースプレートの前記トウ側周囲縁部は、前記クラブヘッドボディの前記トウ外周部上に位置し、前記フェースプレートの前記ソール周囲縁部は、前記ソールレッジに接触し、前記フェースプレートは、前記フェースプレート周囲部に沿って前記後ボディに溶接されており、前記後ボディは、前記ソール及び前記後壁に近接するおもりパッドを更に備え、前記おもりパッドは、前記ソール返し部に張り出し、前記おもりパッドは、前記ソール返し部に接触せず、前記おもりパッドは、前記前端部に面する前壁と、前記上レールに面する上壁と、前記前壁と前記上壁との間の移行領域と、を有し、前記前壁は、前記ソールに対して角度が付けられる、アイアン型ゴルフクラブヘッド。
【0237】
条項13:前記おもりパッドは、前記ソールレッジによって前記ソール返し部から隔てられている、条項12に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【0238】
条項14:前記ソールレッジは、0.01インチから0.20インチの間のソールレッジ深さを含む、条項12に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【0239】
条項15:前記おもりパッドの前記前壁と、前記ソール返し部の内面との間で測定される鋭角を更に含み、前記鋭角は、30から80度の間である、条項12に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【0240】
条項16:前記おもりパッドの前記前壁と前記ソールとの間に形成される下側内部アンダーカットを更に備え、前記下側内部アンダーカットは、前記移行領域と、前記前壁と前記ソールレッジとの連結部と、の間において前-後方向で測定される下側内部アンダーカット深さを画定し、前記下側内部アンダーカット深さは、0.100インチ超である、条項12に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【0241】
条項17:アイアン型ゴルフクラブヘッドであって、クラブヘッドボディを形成し、中空内部空洞を封入するフェースプレート及び後ボディと、上レール、ソール、ヒール端部及びトウ端部と、を備え、前記クラブヘッドボディは、前端部、後端部、上レール外周部、トウ外周部、ヒール外周部、及びソール外周部を形成し、前記フェースプレートは、前記前端部に設けられており、前記フェースプレートは、打面と、前記打面の反対側の裏面と、前記ソールに近接するリーディングエッジと、前記裏面から後方に延在し、前記ソールの少なくとも一部分を形成するソール返し部と、フェースプレート周囲部と、を有し、前記フェースプレート周囲部は、上周囲縁部と、ヒール側周囲縁部と、トウ側周囲縁部と、ソール周囲縁部と、を有し、前記後ボディは、前記上レールの少なくとも一部分、前記ソールの少なくとも一部分、及び前記トウ端部の少なくとも一部分を形成し、前記後ボディは、前記後端部において前記ソールから前記上レールまで延在する後壁と、ソールレッジと、前記ヒール端部上に位置するホーゼル構造体と、を有し、前記ソールレッジは、前記後ボディから前記フェースプレートに向かって突出し、前記ソールの一部分を形成し、前記フェースプレートの前記上周囲縁部は、前記クラブヘッドボディの前記上レール外周部上に位置し、前記フェースプレートの前記トウ側周囲縁部は、前記クラブヘッドボディの前記トウ外周部上に位置し、前記フェースプレートの前記ソール周囲縁部は、前記ソールレッジに接触し、前記フェースプレートは、前記フェースプレート周囲部に沿って前記後ボディに溶接されており、前記後ボディは、前記ソール及び前記後壁に近接するおもりパッドを更に備え、前記おもりパッドは、前記ソール返し部に張り出し、前記おもりパッドは、前記ソール返し部に接触せず、前記おもりパッドは、前記おもりパッドの前壁から前記フェースプレートに向かって前方に突出し、前記ソール返し部に張り出すおもりパッド延在部を備える、アイアン型ゴルフクラブヘッド。
【0242】
条項18:前記おもりパッドは、前記ソールレッジによって前記ソール返し部から隔てられている、条項17に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【0243】
条項19:前記おもりパッド延在部は、前縁部と、前記ソールに向かって配設される下面と、を有し、下側内部アンダーカットは、前記下面と前記ソールの内面との間に形成される、条項17に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【0244】
条項20:前記下側内部アンダーカットは、前記おもりパッド延在部の前記前縁部から前記おもりパッドの前記前壁まで測定される下側内部アンダーカット深さを含み、前記下側内部アンダーカット深さは、0.100超である、条項19に記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
【0245】
1つ又は複数の請求される要素の置換は、修正ではなく、再構成を構成するものである。更に、利益、他の利点、及び問題への解決策は、特定の実施形態について説明している。しかし、利益、利点、問題への解決策、及び利益、利点又は解決策が生じ得る若しくはこれらがより顕著になる任意の1つ又は複数の要素は、そのような利益、利点、解決策又は要素が特許請求の範囲内で述べられていない限り、特許請求の範囲のいずれか又は全てに対する、重大な、必要とされる又は必須の特徴若しくは要素として解釈すべきではない。
【0246】
更に、本明細書で開示する実施形態及び限定は、これらの実施形態及び/又は限定が、(1)特許請求の範囲内で明示的に請求されていない場合、並びに(2)均等論に基づき、特許請求の範囲内の明示的な要素及び/若しくは限定の等価物である又は潜在的な等価物である場合、デディケーションの法理(doctrine of dedication)に基づき公衆に捧げられるものではない。
【国際調査報告】