IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケーティー・アンド・ジー・コーポレーションの特許一覧

特表2024-504401タバコ媒質、及びそれを含むエアロゾル生成物品
<>
  • 特表-タバコ媒質、及びそれを含むエアロゾル生成物品 図1
  • 特表-タバコ媒質、及びそれを含むエアロゾル生成物品 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】タバコ媒質、及びそれを含むエアロゾル生成物品
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/16 20200101AFI20240124BHJP
   A24B 15/28 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
A24B15/16
A24B15/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544590
(86)(22)【出願日】2022-05-10
(85)【翻訳文提出日】2023-07-24
(86)【国際出願番号】 KR2022006629
(87)【国際公開番号】W WO2022245034
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】10-2021-0064852
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒョン テ
(72)【発明者】
【氏名】シン、チュン ウォン
【テーマコード(参考)】
4B043
【Fターム(参考)】
4B043BA40
4B043BA80
4B043BB01
4B043BB10
4B043BB11
4B043BB22
4B043BC03
4B043BC04
4B043BC28
(57)【要約】
本発明は、タバコ媒質及びそれを含むエアロゾル生成物品に関し、より詳しくは非燃焼式エアロゾル生成物品に使用されるタバコ媒質に関する。本発明は、粉砕したタバコ物質及びpH調節剤を含むタバコ媒質に関し、前記タバコ媒質は、乾燥重量を基準として70重量%以上の粉砕したタバコ物質を含み、前記粉砕したタバコ物質は、乾燥重量を基準として4重量%以上のニコチンを含み、前記タバコ媒質は、乾燥重量を基準として2.8重量%以上のニコチンを含み、前記タバコ媒質のpHは6~9の範囲である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕したタバコ物質及びpH調節剤を含むタバコ媒質であって、
前記タバコ媒質は、乾燥重量を基準として70重量%以上の粉砕したタバコ物質を含み、
前記粉砕したタバコ物質は、乾燥重量を基準として4重量%以上のニコチンを含み、
前記タバコ媒質は、乾燥重量を基準として2.8重量%以上のニコチンを含み、
前記タバコ媒質のpHは6~9の範囲である、タバコ媒質。
【請求項2】
前記タバコ媒質は、非燃焼式エアロゾル生成物品に含まれるものである、請求項1に記載のタバコ媒質。
【請求項3】
前記エアロゾル生成物品は、30℃~180℃の加熱温度を有する、請求項2に記載のタバコ媒質。
【請求項4】
前記タバコ媒質は、板状葉又は顆粒の形態で製造される、請求項1に記載のタバコ媒質。
【請求項5】
前記顆粒の形態は、コア及び前記コアを取り囲むシェルを含む構造である、請求項4に記載のタバコ媒質。
【請求項6】
前記タバコ媒質は、前記板状葉又は前記顆粒の外郭にコーティング層をさらに含む、請求項4に記載のタバコ媒質。
【請求項7】
前記コーティング層は、タバコ物質からニコチンの移行量を増加させるための空隙を含む、請求項4に記載のタバコ媒質。
【請求項8】
タバコ媒質を含むエアロゾル生成物品であって、
前記タバコ媒質は、粉砕したタバコ物質及びpH調節剤を含み、
前記タバコ媒質は、乾燥重量を基準として70重量%以上の粉砕したタバコ物質を含み、
前記粉砕したタバコ物質は、乾燥重量を基準として4重量%以上のニコチンを含み、
前記タバコ媒質は、乾燥重量を基準として2.8重量%以上のニコチンを含み、
前記タバコ媒質のpHは6~9の範囲である、エアロゾル生成物品。
【請求項9】
前記エアロゾル生成物品は、加熱温度で加熱されたときに、燃焼することなくエアロゾルを生成する、請求項8に記載のエアロゾル生成物品。
【請求項10】
前記エアロゾル生成物品は、加熱温度が30℃~180℃の範囲である、請求項9に記載のエアロゾル生成物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
タバコ物質を含むタバコ媒質、及び前記タバコ媒質を含むエアロゾル生成物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の巻きタバコのように火をつけて吸う燃焼式タバコは、約800℃~850℃程度の温度でタバコの葉を加熱する方式であるのに対し、非燃焼式(e.g.,heat-not-burn)タバコは、比較的低い温度でエアロゾルを発生させる。例えば、非燃焼式タバコは、約280℃~350℃の温度でデバイスによって加熱されてエアロゾルを発生させる。
【0003】
非燃焼式タバコは、加熱式タバコと非加熱式タバコとに区別することができ、非加熱式タバコと加熱式タバコの両方において、より低い温度でニコチンの移行を円滑に行わせることが重要である。具体的に、非加熱式タバコの場合、温度をかけない状態でニコチンの移行が円滑に行わなければならず、加熱式タバコの場合も、デバイスの小型化及びバッテリー消耗の最小化のために、より低い温度でニコチンの移行が円滑に行わなければならない。
【0004】
これによって、低い加熱温度又は非加熱条件でニコチンの移行を円滑に行わせるために、タバコ原料をアルカリ化して提供する従来の技術が多数存在する。タバコ物質のニコチンは、塩(salt)の状態で存在し、低い温度で気化し難しいので、これをアルカリ化することでフリーベース(free-base)ニコチンの形態でユーザに円滑に提供できるようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】KR10-1851091B
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
タバコ原料をアルカリ化するほど異臭の発生が増加し、アルカリ化の結果であるフリーベースニコチンの揮発によって原料中のニコチンの貯蔵性が減少する。
【0007】
本発明の実施例の目的は、低い温度及び低いpHでもニコチンの移行量を増加させることができるタバコ媒質を提供することである。
【0008】
実施例で解決しようとする課題はこれに限定されず、下記で説明する課題の解決手段又は実施形態から把握できる目的又は効果も含まれると言える。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施例によるタバコ媒質は、粉砕したタバコ物質及びpH調節剤を含み、前記タバコ媒質は、乾燥重量を基準として70重量%以上の粉砕したタバコ物質を含み、前記粉砕したタバコ物質は、乾燥重量を基準として4重量%以上のニコチンを含み、前記タバコ媒質は、乾燥重量を基準として2.8重量%以上のニコチンを含み、前記タバコ媒質のpHは6~9の範囲である。
【0010】
本発明の実施例によるタバコ媒質を含むエアロゾル生成物品において、前記タバコ媒質は、粉砕したタバコ物質及びpH調節剤を含み、前記タバコ媒質は、乾燥重量を基準として70重量%以上の粉砕したタバコ物質を含み、前記粉砕したタバコ物質は、乾燥重量を基準として4重量%以上のニコチンを含み、前記タバコ媒質は、乾燥重量を基準として2.8重量%以上のニコチンを含み、前記タバコ媒質のpHは6~9である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施例によると、さらにニコチン塩を補充することなく、相対的に低い温度及び低いpHでもニコチンの移行を円滑にし、アルカリ化により発生する異臭を減少させ、また貯蔵中のニコチンの損失率を減少できるタバコ媒質を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例によるエアロゾル発生物品を説明するための図である。
図2】本発明の一実施例によるタバコ媒質がコア-シェル構造の顆粒状の媒質の場合における一実施例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施例によるタバコ媒質は、粉砕したタバコ物質及びpH調節剤を含み、前記タバコ媒質は、乾燥重量を基準として70重量%以上の粉砕したタバコ物質を含み、前記粉砕したタバコ物質は、乾燥重量を基準として4重量%以上のニコチンを含み、前記タバコ媒質は、乾燥重量を基準として2.8重量%以上のニコチンを含み、前記タバコ媒質のpHは6~9の範囲である。
【0014】
前記タバコ媒質は、非燃焼式エアロゾル生成物品に含まれてもよい。
【0015】
前記物品の加熱温度は、30℃~180℃であってもよい。
【0016】
前記タバコ媒質は、板状葉又は顆粒の形態で製造されてもよい。
【0017】
前記顆粒の形態は、コア及び前記コアを取り囲むシェルを含む構造であってもよい。
【0018】
前記タバコ媒質は、前記板状葉又は前記顆粒状の外郭にコーティング層をさらに含んでもよい。
【0019】
前記コーティング層は、空隙を含んでもよい。
【0020】
本発明の実施例によるタバコ媒質は、粉砕したタバコ物質及びpH調節剤を含み、前記タバコ媒質は、乾燥重量を基準として70重量%以上の粉砕したタバコ物質を含み、前記粉砕したタバコ物質は、乾燥重量を基準として4重量%以上のニコチンを含み、前記タバコ媒質は、乾燥重量を基準として2.8重量%以上のニコチンを含み、前記タバコ媒質のpHは6~9の範囲である。
【0021】
本発明の実施例によるタバコ媒質を含むエアロゾル生成物品において、前記タバコ媒質は、粉砕したタバコ物質及びpH調節剤を含み、前記タバコ媒質は、乾燥重量を基準として70重量%以上の粉砕したタバコ物質を含み、前記粉砕したタバコ物質は、乾燥重量を基準として4重量%以上のニコチンを含み、前記タバコ媒質は、乾燥重量を基準として2.8重量%以上のニコチンを含み、前記タバコ媒質のpHは6~9の範囲である。
【0022】
前記エアロゾル生成物品は、加熱温度で加熱されたときに、燃焼することなくエアロゾルを生成することができる。
【0023】
前記物品の加熱温度は、30℃~180℃の範囲であってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では添付の技術を参照して、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明を詳しく説明する。しかし、本発明が様々な異なる形態で具現でき、下記で説明する実施例に限定されないことは当業者にとって自明であろう。
【0025】
本出願で使用した用語は単に特定の実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なる意味がない限り、複数の表現を含む。本出願で、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書に記載の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つ又はそれ以上の他の特徴又は数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性をあらかじめ排除しないものと理解されなければならない。
【0026】
別途定義されない限り、技術的又は科学的な用語を含んでここで使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が普通に理解するものと同じ意味を有している。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈されなければならず、本出願において明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されない。
【0027】
また、本出願に添付の図面は、本発明を具体化するためのものであり、権利範囲を制限又は限定するものではないことは言うまでもない。図面及び下記の詳細な説明より当該技術分野における専門家が容易に類推できるものは権利範囲に属するものと解釈される。
【0028】
一実施例として、本発明は、エアロゾル生成物品に含まれるタバコ媒質に関し、具体的には非燃焼式エアロゾル生成物品に含まれるタバコ媒質に関する。
【0029】
本発明において、「非燃焼式エアロゾル生成物品」は、非燃焼式タバコ又は非燃焼式タバコ物品と指称することができる。例として、前記非燃焼式エアロゾル生成物品は、加熱式エアロゾル生成物品又は非加熱式エアロゾル生成物品であってもよい。
【0030】
一例として、加熱式エアロゾル生成物品は、電気エネルギーによって加熱された空気を用いてエアロゾルを発生させる物品であってもよく、ユーザは、前記物品から放出されるエアロゾルを吸い込む方式によって喫煙を行ってもよい。一般的に、エアロゾル生成物品は、媒質部とフィルタ部とを含み、媒質部にタバコ媒質が含まれてもよい。
【0031】
一例として、本発明の非燃焼式エアロゾル生成物品は、低い温度(例えば、30℃~180℃)でも異臭なく十分なニコチンを提供することができる。
【0032】
図1は、本発明の一実施例によるエアロゾル発生物品を説明するための図である。
【0033】
図1を参照すると、エアロゾル発生物品(100)は、タバコロッド(110)及びフィルタロッド(120)を含んでもよい。
【0034】
一実施例として、フィルタロッド(120)は、単一のセグメント又は複数のセグメントで構成されてもよい。例えば、フィルタロッド(120)は、エアロゾルを冷却する第1セグメント、及びエアロゾル中に含まれた所定の成分をフィルタリングする第2セグメントを含んでもよく、必要に応じて、フィルタロッド(120)には、他の機能を行うより多くのセグメントをさらに含んでもよい。
【0035】
一実施例として、前記タバコロッド(110)及びフィルタロッド(120)は、1枚以上のラッパー(130)によって包装されてもよい。前記ラッパー(130)には、外気が流入するか内気が流出する少なくとも1つの孔(hole)が形成されてもよい。他の例として、前記ラッパー(130)が2枚以上使用される場合、第1ラッパーによってタバコロッド(110)が包装され、第2ラッパーによってフィルタロッド(120)が包装されてもよい。また、個々のラッパーによって包装されたタバコロッド(110)及びフィルタロッド(120)が結合され、第3ラッパーによって巻きタバコの全体が再包装されてもよい。また他の例として、上述のように、前記フィルタロッド(120)が複数のセグメントで構成されている場合は、セグメントはそれぞれのラッパーによって包装されてもよい。その後、巻きタバコの全体が他のラッパーによって再包装されてもよい。
【0036】
本発明において、「タバコ媒質」とは、加熱時に揮発性化合物を放出させるエアロゾル生成物質であってもよい。タバコ媒質は、pH調節剤、葉タバコのようにニコチンを含むタバコ物質を含み、バインダー又はその他添加剤などのような賦形剤をさらに含んでもよい。
【0037】
一実施例として、本発明のタバコ媒質は、粉砕したタバコ物質及びpH調節剤を含んでもよい。
【0038】
一例として、タバコ媒質は、タバコ物質及び賦形剤を含む顆粒又は板状葉などの形態で製造されてもよい。
【0039】
本発明において、「タバコ物質」とは、エアロゾル発生基材を形成する物質であり、タバコの葉片、タバコの茎、タバコ処理中に発生したタバコの粉塵、及び/又はタバコ葉の主な葉片のストリップであってもよい。タバコ葉は、黄色種、バーレー種、オリエント種、シガー葉及びトーストの中から選択された少なくとも1つであってもよいが、これらに制限されない。
【0040】
本発明において、「pH調節剤」とは、タバコ物質中に存在する塩状態のニコチンをアルカリ化してフリーベースニコチンに変換するために使用されてもよい。ニコチン塩状態では、低い温度で気化又はエアロゾル化しにくいので、これをpH調節剤によってアルカリ化することで、フリーベース(free-base)ニコチンの形態に変換してユーザに伝達することができる。
【0041】
一実施例として、タバコ媒質は、粉砕したタバコ物質及びpH調節剤を含んでもよい。前記タバコ媒質は、乾燥重量を基準として70重量%以上の粉砕したタバコ物質を含み、前記粉砕したタバコ物質は、乾燥重量を基準として4重量%以上のニコチンを含んでもよい。すなわち、前記タバコ媒質は、乾燥重量を基準として2.8重量%以上のニコチンを含んでもよい。前記タバコ媒質のpHは6~9の範囲であってもよい。
【0042】
一実施例として、タバコ媒質は、pH調節剤によってタバコ物質をアルカリ化することで、塩状態で存在するニコチンをフリーベースニコチンに変換し、これによって蒸気圧を増加させることにより、相対的に低い温度条件下でもニコチンの移行が円滑に行われるようにすることができる。
【0043】
一実施例として、上述したタバコ媒質を用いることで、比較的低い温度でニコチンの移行量を増加させることができる。タバコ媒質は、非燃焼式エアロゾル生成物品に充填されるものであってもよく、非燃焼式エアロゾル生成物品は、30℃~180℃の加熱温度でデバイスによって加熱されてもよい。
【0044】
従って、タバコ媒質は、通常の加熱式デバイスの温度より遥かに低い温度を加えても、貯蔵中のニコチンの損失又は異臭を最小化すると共に、十分な量のニコチンを移行することができる。
【0045】
具体的に、一実施例によるタバコ物質は、比較的高含量のニコチンを含むことができ、これによって、相対的に低い温度でも十分な量のフリーベースニコチンを提供することができる。これに関して、本発明のタバコ物質は、非加熱式エアロゾル生成物品又は加熱温度の低い加熱式エアロゾル生成物品で有用に使用することができ、デバイスの小型化を図ることができ、バッテリー消耗を最小化することができる。
【0046】
また、一実施例によるタバコ物質は、比較的高含量のニコチンを含むことができ、これによって、相対的に低いpHでも十分な量のフリーベースニコチンを提供することができる。これによって、相対的に低いpHを適用することで、フリーベースニコチンに変換時に発生する異臭を減少させ、貯蔵中のニコチンの損失率を減少させることができる。例として、相対的に少ない量のpH調節剤を用いても、十分な量のフリーベースニコチンを提供することができる。
【0047】
一実施例として、本発明のタバコ媒質は、乾燥重量を基準として70重量%以上、好ましくは75重量%以上、より好ましくは80重量%以上の粉砕したタバコ物質を含み、pH調節剤を含む賦形剤を含んでもよい。タバコ物質が上述した範囲未満でタバコ媒質に含まれて賦形剤の含量が過度に多い場合は、ユーザに十分な量のニコチンを提供できないため問題になるおそれがある。
【0048】
一実施例として、本発明のタバコ媒質に含まれる粉砕したタバコ物質は、乾燥重量を基準として4重量%以上のニコチンを含んでもよい。一実施例として、本発明のタバコ媒質に含まれる粉砕したタバコ物質は、比較的高含量のニコチンを含んでもよい。例えば、乾燥重量を基準として4.5重量%以上、又は乾燥重量を基準として5重量%以上、又は乾燥重量を基準として5.5重量%以上であってもよい。
【0049】
一実施例として、本発明のタバコ媒質は、乾燥重量を基準として2.8重量%以上のニコチンを含んでもよい。例えば、本発明のタバコ媒質は、乾燥重量を基準として3.15重量%以上、又は3.5重量%以上、又は3.85重量%以上であってもよい。
【0050】
本発明は、上述のように、比較的高含量のニコチンを含むタバコ物質を用いることで、相対的に少ない量のpH調節剤で高いニコチン移行量を提供することができる。また、同量のpH調節剤を使用しても低いpHを維持することができ、相対的に低いpHでもフリーベースニコチンの含有量が高い。これによって、ニコチン移行が円滑に行われ、異臭が減少し、また貯蔵中にフリーベースニコチンで損失する量を減らすことができる。
【0051】
一例として、本発明のタバコ物質は、比較的ニコチン含有量が高い種の葉タバコを粉砕することで得られ、多様な種が混合した葉タバコを粉砕して得られることもできる。
【0052】
一実施例として、pH調節剤を含むタバコ媒質のpHは、6~9であり、好ましくは6~8であり、より好ましくは6~7であってもよい。
【0053】
本発明のタバコ媒質は、比較的ニコチン含有量の多いタバコ物質を含むことで、上述した範囲の中性及び比較的弱塩基のpH範囲でもニコチンの移行を円滑に行わせることができる。
【0054】
pH調節剤の例示としては、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ土金属炭酸水素塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土金属水酸化物、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ土金属リン酸塩、アルカリ金属リン酸一水素塩、及びアルカリ土金属リン酸一水素塩からなる群より選択される1つ以上の塩基性無機塩を含んでもよい。
【0055】
一実施例として、非燃焼式エアロゾル生成物品は、本発明のタバコ媒質で充填されてもよい。前記非燃焼式エアロゾル生成物品は、温度を加えない非加熱式エアロゾル生成物品と、比較的低い温度を加える加熱式エアロゾル生成物品とを含んでもよい。一例として、本発明の加熱式エアロゾル生成物品は、通常の加熱式エアロゾル生成物品よりさらに低い温度を加える物品であってもよい。
【0056】
一実施例によると、本発明のエアロゾル生成物品は、デバイスの加熱温度が30℃~180℃の範囲であってもよい。例えば、加熱時に媒質が受ける温度は100℃~180℃であってもよく、150℃~180℃であってもよい。加熱温度は30℃以上であってもよい。
【0057】
上述した本発明のタバコ媒質は、粉砕したタバコ物質及びpH調節剤を含む。前記タバコ媒質は、乾燥重量を基準として70重量%以上の粉砕したタバコ物質を含み、前記粉砕したタバコ物質は、乾燥重量を基準として4重量%以上のニコチンを含む。すなわち、前記タバコ媒質は、乾燥重量を基準として2.8重量%以上のニコチンを含む。また、前記タバコ媒質のpHは6~9であってもよい。これによって、このようにニコチン含有量の多いタバコ物質を含むことで、相対的に低い温度でもニコチンの移行を円滑に提供することができる。よって、本発明のタバコ媒質は、上述のように加熱式エアロゾル生成物品及び非加熱式エアロゾル生成物品に使用することができる。
【0058】
一実施例として、上述した本発明のタバコ媒質は特定の形態に制限されない。例えば、前記タバコ媒質は、板状葉(reconstitued tobacco leaves)又は顆粒(granule)の形態で製造されてもよい。
【0059】
一例として、前記板状葉の形態は、板状葉のシートを細かく切断した刻み煙草を意味するものであってもよく、他の例として、板状葉のシートが細断された複数のタバコスティックを意味するものであってもよい。
【0060】
例えば、前記板状葉のシートは、タバコの葉片、タバコの茎及び/又はタバコ処理中に発生したタバコ微粉のようなタバコ原料を粉砕することによって、エアロゾル生成物質、可香液、バインダー、水などが混合したスラリーを製造する。その後、スラリーを用いて板状葉のシートを形成した後、乾燥した板状葉のシートを切断又は細断することでタバコスティックを生成することができる。一方、スラリーを製造するとき、天然パルプ又はセルロースを添加することができ、1つ以上のバインダーを混合して使用することができる。
【0061】
一例として、前記顆粒の形態は、単層の形態で構成してもよく、コア及び前記コアを取り囲むシェルを含む多層構造で構成してもよい。具体的に、コア-シェル構造を有する顆粒の形態は、粉砕したタバコ物質などを球状化して形成された「コア(core)」と、それを取り囲む「シェル(shell)」とで構成することができる。前記シェルは、1つ以上の層を有することができる。
【0062】
図2は、本発明の実施例によるタバコ媒質をコア-シェル構造の顆粒状の媒質で構成する場合に対する一実施例を概略的に示す。
【0063】
本発明の一実施例による顆粒状のタバコ媒質(200)は、図2(a)に示すように、1つのコア(210)及び1つのシェル(220)で構成された二重構造であってもよく、図2(b)に示すように、コア(210)及び2つの層のシェル(220、230)で構成された三重構造であってもよく、及び図2(c)に示すように、コア(210)及び3つの層のシェル(220、230、240)で構成された三重構造以上であってもよく、それ以上の多重構造であってもよい。
【0064】
一実施例として、本発明のコア-シェル構造は、当該技術分野で通常使用される方法によって製造することができる。例として、コアは、切断したタバコ原料を球状化して製造されてもよく、好ましくは、噴霧冷却(spray chilling)のような原子化(atomizing)工程によって形成されてもよい。
【0065】
その後、このようなコアを粉末でレイヤリングすることによって、コアを取り囲むシェルを形成してもよい。好ましくは、溶融状態にあるシェルを構成する物質に、コア粒子を分散させてコア-シェル構造を形成してもよい。
【0066】
一実施例として、本発明のタバコ媒質は、外郭にコーティング層をさらに含んでもよい。一例として、上述のように本発明のタバコ媒質は、板状葉又は顆粒の形態で製造されてもよく、前記板状葉又は顆粒状の媒質を取り囲むコーティング層を含んでもよい。コーティング層がさらに含まれる場合、タバコ媒質の硬度を向上させ、製造作業性を高めることができる。コーティング層を構成できる物質は、制限することなく使用することができる。バインダー(binder)物質は、例として、アルギン酸塩;メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースのようなセルロース;デキストラン;ガム(gum);ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシエチルロカストビーンガム及びヒドロキシプロピルロカストビーンガムのようなガム誘導体;フルーツペクチン、シトラスペクチン及びタバコペクチンのようなペクチン;改質又は誘導体化されたデンプンのようなデンプン;プルラン;及びコンニャク粉末から構成される群より選択される1つ以上を含んでもよい。
【0067】
一実施例として、前記コーティング層は、空隙(pore)を有することが本発明のタバコ媒質に含まれたタバコ物質からニコチンの移行量を増加させるために好ましい。
【0068】
一実施例として、非燃焼式(heat-not-burn)タバコ(すなわち、燃焼されるよりは加熱されるエアロゾル発生物品)は、本発明の媒質で充填されてもよい。前記媒質は通常、電気エネルギーで間接加熱される巻きタバコに含まれることが好ましい。
【0069】
例として、本発明のタバコ媒質を含む巻きタバコは、ヒータを含むエアロゾル発生物品に挿入されてもよい。巻きタバコがヒータによって加熱されると、タバコ媒質からエアロゾルが生成され、ユーザがこれを吸い込むことができる。
【0070】
一実施例として、本発明のタバコ媒質は、粉砕したタバコ物質及び賦形剤を含んでもよく、前記賦形剤は、タバコ物質を除いたpH調節剤、バインダー、エアロゾル形成剤、その他添加剤などを含んでもよいが、これらに制限されない。
【0071】
一例として、バインダーは、粉砕したタバコ物質などをよく結合させることで硬度を増加できる物質であり、上述のように当該技術分野で公知の物質であれば制限することなく使用することができる。例えば、アルギン酸塩;メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースのようなセルロース;デキストラン;ガム(gum);ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシエチルロカストビーンガム及びヒドロキシプロピルロカストビーンガムのようなガム誘導体;フルーツペクチン、シトラスペクチン及びタバコペクチンのようなペクチン;改質又は誘導体化されたデンプンのようなデンプン;プルラン;及びコンニャク粉末から構成される群より選択される1つ以上を含んでもよい。
【0072】
一例として、エアロゾル形成剤は、特定の揮発温度以上に加熱されると揮発され、ニコチンなどをエアロゾルに伝達できるようにする物質である。例として、メントールのような1価アルコール;トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、エリトリトール、プロピレングリコール及びグリセロールのような多価アルコール;グリセロールモノ-、ジ-又はトリアセテートのような多価アルコールのエステル;ジエチルスベリン酸塩、ジメチルドデカンジオエート、ジメチルテトラデカンジオエート、エチルラウレート、ラウリルアセテート及びトリエチルシトレートのようなモノ-、ジ-又はポリカルボン酸の脂肪族エステル;ベンジルベンゾエート;ベンジルフェニルアセテート;エチルバニレート;ラウリル酸;ミリスチン酸;プロピレン炭酸塩;及びトリブチリンから構成される群より選択される1つ以上を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0073】
一実施例として、本発明のタバコ媒質に含まれる賦形剤は、その他添加剤として、湿潤剤、可塑剤、風味剤、タバコ及び非タバコ繊維、水性及び非水性溶媒、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上をさらに含んでもよいが、これらに制限されない。
【0074】
一例として、湿潤剤は、タバコ媒質中で好ましい程度の水分を維持するための物質であり、グリセリン又はプロピレングリコールなどを含んでもよいが、これらに制限されない。
【0075】
一例として、可塑剤は、物質を柔軟にして成形性を高める製剤であり、例えば、トリアセチン、ジブチルフタレート、ジブチルセバケート、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、ジアセチル化モノグリセリド、ジブチルセバケート、ミネラルオイル、ベンジルベンゾエート、クロロブタノール、グリセリンモノステアレート、ラノリンアルコール、及びセルロースアセテートフタレート相溶性可塑剤から構成される群より選択される1つ以上を含んでもよいが、これらに制限されない。
【0076】
一例として、風味剤は、香味剤と指称することもでき、タバコ物質から発生したエアロゾルに味及び/又は香りを与える製剤であってもよい。甘草、ショ糖、果糖シロップ、イソ甘味剤(isosweet)、ココア、ラベンダー、シナモン、カルダモン、セロリ、コロハ、カスカリラ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、蜂蜜エッセンス、ローズオイル、バニラ、レモンオイル、オレンジオイル、ミントオイル、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、カモミール、メントール、シナモン、イランイラン、サルビア、スペアミント、生姜、コリアンダー又はコーヒーなどを含んでもよいが、これらに制限されない。
【0077】
一例として、タバコ繊維としてタバコセルロース繊維、及び非タバコ繊維として非タバコセルロース繊維を含んでもよい。セルロース繊維を含むことによって、有利にはタバコ媒質の引張強さを高めることができる。例示として、適切な非タバコセルロース繊維は該当技術分野で公知となっており、硬質木繊維、軟質木繊維、ジュート(jute)繊維、及び亜麻繊維から構成される群より選択される1つ以上を含んでもよいが、これらに制限されない。
【0078】
本発明の一実施例は、上述したタバコ媒質を含むエアロゾル生成物品を提供することができる。具体的に、本発明のエアロゾル生成物品は、非燃焼式エアロゾル生成物品であってもよい。一般に、フィルタ部及び媒質部を含んでもよく、前記媒質部に本発明のタバコ媒質が含まれてもよい。
【0079】
一例として、エアロゾル生成物品は、一般に円筒状に製造されてもよく、5mm~8mmの範囲の直径を有するものが従来の燃焼式タバコのような形態及びサイズを有する点から好ましいが、これに制限されない。また、一例として、前記エアロゾル生成物品に含まれるフィルタ部は、本発明が属する技術分野で通常使用される形態であってもよい。
【0080】
以下で、本発明の具体的な説明のために実施例を挙げて説明する。本発明は、下記実施例に限定されるものでなく、下記実施例における%は、特に限定しない限り重量%を意味する。
【0081】
<実施例>
【0082】
1.同じタバコ物質を含むタバコ媒質のpHによる特性の比較
【0083】
(1)タバコ媒質の製造及びpHの測定
【0084】
同じニコチン含有量を有する粉砕したタバコ物質を用いてタバコ媒質を製造した。タバコの葉、タバコの茎などを粉砕し、塩基性pH調節剤として炭酸カリウム、エアロゾル形成剤としてグリセロール、バインダーとしてヒドロキシエチルグアーガム、顆粒の形成のための水、エタノールの溶媒を下記表1の組成のように含んでスラリーを製造した後に顆粒を形成した。顆粒(a)及び(b)に含まれる粉砕したタバコ物質は、ニコチンの含有量が約2.9重量%である。
【0085】
【表1】
【0086】
室温(約25℃)で顆粒(a)、(b)のpHをpHメーターを用いて測定した。顆粒(a)は7.54、顆粒(b)は8.87のpHであった。
【0087】
各顆粒に対して、下記数1のヘンダーソン・ハッセルバルチ(Henderson-Hasselbalch)の式を用いてフリーベースニコチンの含有量を計算した。顆粒(a)の総ニコチン含有量中のフリーベースニコチンの含有量は24.87重量%であり、顆粒(b)の総ニコチン含有量中のフリーベースニコチンの含有量は87.62重量%であった。
【0088】
【数1】
【0089】
(*ヘンダーソン・ハッセルバルチの式による(pKa値は8.02))
【0090】
(2)ニコチン伝達量の測定及び官能評価
【0091】
上記1.(1)で製造したタバコ媒質を含むスティック(すなわち、タバコ)を製造した。約70℃の温度でスティックを加熱して10パフの間にニコチン伝達量(mg/10puff)を測定し、喫煙中の異臭、刺激性、全体的な嗜好性に対して7点尺度で点数をつけ、その平均値を下記表2に記載した。
【0092】
喫煙中の異臭とは、タバコ本来の味又は香りと調和せず、製品の価値を低下させる味又は香りを意味する。喫煙中にユーザがこのような味又は香りを弱く感じるほど点数が低くなる。
【0093】
刺激性とは、吸入1秒後に首又は鼻、口の中などでぴりっとするか、ひりつくか、又は刺でチクチク刺すような感じなどを意味する。刺激性の低いほど点数が低くなる。
【0094】
タバコの総合的な味は、吸入後に感じられるタバコの全体的な香味に基づいて、タバコに対する嗜好性が高いほど点数が高くなる(すなわち、7点に近い)ように評価した。
【0095】
すなわち、異臭及び刺激性に対する官能評価点数は低いほどより良好な評価結果を意味する。逆に、タバコの総合的な味に対する官能評価点数は高いほどより良好な評価結果を意味する。
【0096】
【表2】
【0097】
その結果、粉砕したタバコ物質のニコチン含有量が同一であっても、pHの高いタバコ媒質を含むスティックの方が、フリーベースニコチンの含有量が高く、低い温度でも多くの量のニコチンが伝達された。また、同様に粉砕したタバコ物質を用いても、pHの高いタバコ媒質(顆粒(b))を含むスティックの方が、喫煙中の異臭と刺激性が強く、タバコの総合的な味に低い点数を受けたことが分かった。
【0098】
(3)ニコチン貯蔵性の評価
【0099】
上記1.(1)で製造したタバコ媒質に対してニコチン貯蔵性の評価を行った。室温で媒質が開放された状態(OPEN)及びビニールバッグに密封した状態の2つの貯蔵条件下で約8週間観察した。その結果を下記表3に記載した。
【0100】
【表3】
【0101】
その結果、pHの高いタバコ媒質(顆粒(b))の方が、8週後のニコチン減少率が高く示された。
【0102】
2.互いに異なるタバコ物質を含むタバコ媒質の特性の比較
【0103】
(1)タバコ媒質の製造及びpHの測定
【0104】
ニコチン含有量の高いタバコ物質を含む顆粒状のタバコ媒質を製造した(実施例1及び実施例2)。ニコチン含有量が約6.4重量%の葉タバコを粉砕し、上述した1.(1)のように、塩基性pH調節剤として炭酸カリウム、エアロゾル形成剤としてグリセロール、バインダーとしてヒドロキシエチルグアーガム、顆粒の形成のための水、エタノールの溶媒を下記表4の組成のように含んでスラリーを製造した後に顆粒を形成した。
【0105】
比較例1の場合、ニコチン含有量が約2.9重量%の粉砕したタバコ物質を含み、上述と同様の方法でスラリーを製造した後に顆粒を形成した。
【0106】
【表4】
【0107】
実施例1、2及び比較例1の各タバコ媒質に対して、室温(約25℃)でpHメーターによりpHを測定したとき、実施例1は6.6、実施例2は7.3、比較例1は7.3のpHであった。実施例1と比較例1はpH調節剤の含有量が同一であるが、比較例1の場合がより高いpHを示し、実施例2のpHと同様に7.3と測定された。
【0108】
これに基づいて、各タバコ媒質に対して、上記数1のヘンダーソン・ハッセルバルチの式を用いてフリーベースニコチンの含有量を計算した。計算の結果、実施例1の総ニコチン含有量中のフリーベースニコチンの含有量は6.6重量%であり、実施例2及び比較例1の総ニコチン含有量中のフリーベースニコチンの含有量は16重量%であった。
【0109】
(2)ニコチン伝達量の測定
【0110】
上記2.(1)で製造した実施例1、2及び比較例のタバコ媒質を含むスティックを製造した。各スティックにタバコ媒質400mgを充填し、約70℃の温度を加えて10パフ(puff)の間に進行してニコチン伝達量(mg/10puff)を測定した。フリーベースニコチンの量を計算して下記表5に記載した。
【0111】
【表5】
【0112】
その結果、pHの低い実施例1でより高いニコチン伝達量を示した。また、比較例1と実施例2はpHが同一であるが、実施例2で比較例1よりさらに高いニコチン伝達量を示した。
【0113】
ニコチン含有量が0.1~3.5重量%の通常のタバコ物質を含む比較例1のような場合に比べて、実施例のように4重量%以上の高含量ニコチンを含むタバコ原料を使用した場合、より低いpHでより多くのニコチンを伝達することができ、異臭及び貯蔵性などで利点を有することが分かる。
【0114】
以上、本発明の好ましい実施例を参照して説明してきたが、該当の技術分野における熟練した当業者であれば、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更できることを理解することができるであろう。
図1
図2
【国際調査報告】