(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】血管の寸法測定方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/46 20240101AFI20240124BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
A61B6/03 360Z
A61B6/03 360D
A61B6/03 360J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544662
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(85)【翻訳文提出日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 EP2022051712
(87)【国際公開番号】W WO2022161986
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520211580
【氏名又は名称】フル-イドディーエー レスピ エン ヴェー
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン デ バッカー
(72)【発明者】
【氏名】スタイン ボンテ
(72)【発明者】
【氏名】マールテン ランクルス
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA26
4C093CA23
4C093DA02
4C093FD08
4C093FF16
4C093FF17
4C093FF20
4C093FF22
(57)【要約】
体液伝導性血管である対象者の血管(100)の寸法測定のための方法であって、血管を含む三次元医療画像を含む画像データを受信するステップと、画像データから、血管(100)の横断面を含む二次元画像である画像パッチ(130)を取得するステップと、画像パッチ(130)から、光線(R1からRX)のセットを生成するステップであって、各光線(R1からRX)は直線であり、一端が血管(100)の外側フットプリント(150)の中心点(140)に接触し、他端において血管(100)の外側フットプリント(150)を越えて延び、各光線(R1からRX)は異なる方向を有する、ステップと、各光線(R1からRX)について、中心点(140)からの距離の関数として、光線に沿った画像パッチ(130)の画像強度プロファイルを決定するステップと、各光線(R1からRX)に沿った画像強度プロファイルから、光線壁厚(RXwt)、光線管腔半径(RXlr)、光線外半径(RXor)のうちの1つまたは複数を決定するステップと、血管(100)の寸法測定値を決定するステップであって、寸法測定値は、光線(R1からRX)のセットにおける光線壁厚(RXwt)の中央値から決定された血管壁厚(Vwt)、光線(R1からRX)のセットにおける光線管腔半径(RXlr)の中央値から決定された血管管腔半径(Vlr)、光線(R1からRX)のセットにおける光線外半径(RXor)の中央値から決定された血管外半径(Vor)のうちの1つまたは複数を含む、ステップとを含む方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液伝導性血管である対象者の血管(100)の寸法測定のための方法であって、
-血管を含む3次元医療画像を含む画像データを受信するステップと、
-前記画像データから、前記血管(100)の横断面を含む二次元画像である画像パッチ(130)を取得するステップと、
-前記画像パッチ(130)から、光線のセット(R1からRX)を生成するステップであって、各光線(R1からRX)は直線であり、一端が前記血管(100)の外側フットプリント(150)の中心点(140)に接触し、他端において前記血管(100)の前記外側フットプリント(150)を越えて延び、各光線(R1からRX)は異なる方向を有する、ステップと、
-各光線(R1からRX)について、前記中心点(140)からの距離の関数として、前記光線に沿った前記画像パッチ(130)の画像強度プロファイルを決定するステップと、
-各光線(R1からRX)に沿った前記画像強度プロファイルから、光線壁厚(RXwt)、光線管腔半径(RXlr)、光線外半径(RXor)のうちの1つまたは複数を決定するステップと、
-前記血管(100)の寸法測定値を決定するステップであって、前記寸法測定値は、
・光線(R1からRX)の前記セットにおける前記光線壁厚(RXwt)の中央値から決定された血管壁厚(Vwt)、
・光線(R1からRX)の前記セットにおける前記光線管腔半径(RXlr)の中央値から決定された血管管腔半径(Vlr)、
・光線(R1からRX)の前記セットにおける前記光線外半径(RXor)の中央値から決定された血管外半径(Vor)の1つまたは複数を含む、ステップとを含む方法。
【請求項2】
各光線(R1からRX)に沿った前記画像強度プロファイルから、光線壁厚(RXwt)、光線管腔半径(RXlr)、光線外半径(RXor)のうちの1つまたは複数を決定する前記ステップが、
各光線(R1からRX)に沿った前記画像強度プロファイルに二重逆シグモイド関数をフィッティングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記二重逆シグモイド関数が、
【数1】
(式中、A
1は血管管腔(104)強度であり、A
2は血管壁(102)強度であり、Bはバックグラウンド強度であり、rは光線外半径(RXor)であり、dは光線壁厚(RXwt)であり、sigmaは撮像デバイス解像度の尺度である)である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
複数の画像パッチ(130)が、同じ器官、系、またはその一部内の1つまたは複数の血管について取得され、それによって、同じ器官、系、またはその一部内の複数の血管寸法測定値を取得し、
前記複数の画像パッチ(130)が、同じ血管に沿って異なる位置にあり、または、前記複数の画像パッチ(130)が、同じ器官、系、またはその一部内の異なる血管のものであり、またはその両方である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記器官、または系、またはその一部についての関係マップを生成するステップをさらに含み、前記関係マップは、前記器官、または系、またはその一部の前記寸法測定値である第1のパラメータと、少なくとも1つの後続パラメータとの間の関係を示すチャートまたはデータである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
対象者の器官または系の機能不全を決定するための方法であって、
-請求項1から5のいずれかに記載の方法に従って、器官または系またはその一部内の血管(100)の寸法測定値を決定するステップと、
-任意選択的に、関係マップを生成するステップと、
-前記寸法測定値および/または任意選択の関係マップを基準と比較し、それによって前記対象者の器官または系の機能不全を決定するステップとを含む、方法。
【請求項7】
肺の機能不全を決定するための方法であって、
-請求項1から5のいずれかに記載の方法に従って前記肺または肺の一部内の血管(100)の寸法測定値を受信するステップであって、前記血管は動脈、静脈、または動脈と静脈の両方である、ステップと、
-前記寸法測定値を基準と比較し、それによって前記対象者の器官の機能不全を決定するステップとを含み、
-任意選択的に、前記肺の血管(100)の前記寸法測定値は、血管壁厚(Vwt)、特に動脈血管壁厚(Vwt)を含み、前記機能不全は、肺高血圧症である、方法。
【請求項8】
肺の機能不全を決定するための方法であって、
-血液-半径-厚さ(BRTX)関係マップである、前記肺またはその一部についての関係マップを生成するステップであって、前記関係マップの第1のパラメータは、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法に従って決定された前記肺またはその一部における肺血管壁厚(Vwt)であり、前記関係マップの後続の(2番目の)パラメータは、前記血管壁厚が測定された位置における肺血管半径である、ステップと、
-前記関係マップを基準と比較するステップとを含み、
-任意選択的に、前記血管壁厚(Vwt)は、動脈であり、前記機能不全は、肺高血圧症である、方法。
【請求項9】
肺の機能不全を決定するための方法であって、
-血液-体積-厚さ(BVTX)関係マップである前記肺またはその一部についての関係マップを生成するステップであって、前記関係マップの第1のパラメータは、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法に従って決定された前記肺またはその一部における肺血管壁厚(Vwt)であり、前記関係マップの後続の(2番目の)パラメータは、前記血管壁厚が測定された位置における肺血管体積である、ステップと、
-前記関係マップを基準と比較するステップとを含み
-任意選択により、前記血管壁厚(Vwt)は、動脈であり、前記機能不全は、肺高血圧症である、方法。
【請求項10】
対象者の器官または系の機能不全について治療の有効性を決定するための方法であって、
-請求項1から5のいずれかに記載の方法に従って、少なくとも2つの異なる時点で、前記器官または系またはその一部内の血管(100)の寸法測定値を決定するステップと、
-任意選択的に、前記異なる時点の各々について関係マップを生成するステップと、
-前記異なる時点において前記寸法測定値および/または任意選択の関係マップを比較して前記治療の前記有効性を決定するステップとを含む、方法。
【請求項11】
対象者の肺の機能不全についての治療の有効性を決定するための方法であって、
-請求項1から5のいずれか一項に記載の方法に従って、少なくとも2つの異なる時点で、肺またはその一部内の血管(100)の寸法測定値を決定するステップと、
-前記異なる時点において前記寸法測定値を比較して前記治療の前記有効性を決定するステップとを含み、
-任意選択的に、前記肺の血管(100)の前記寸法測定値は、血管壁厚(Vwt)、特に動脈血管壁厚(Vwt)を含み、機能不全は、肺高血圧症である、方法。
【請求項12】
対象者の肺の機能不全についての治療の有効性を決定するための方法であって、
-請求項1から5のいずれか一項に記載の方法に従って、少なくとも2つの異なる時点において、前記肺またはその一部内の血管(100)の寸法測定値を決定するステップと、
-各時点について、請求項8で定義されたBRTX関係マップまたは請求項9で定義されたBVTX関係マップである関係マップを生成するステップと、
-前記異なる時点においてそれぞれの関係マップを比較して前記治療の前記有効性を決定するステップとを含み、
-任意選択的に、前記血管壁厚(Vwt)は、動脈であり、前記機能不全は、肺高血圧症である、方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されたシステム。
【請求項14】
コンピューティングデバイスまたはシステムによって実行されると、前記コンピューティングデバイスまたはシステムに請求項1から12のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を有する、コンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管の寸法測定の分野にある。本発明は、特に、3D医療撮像を使用する非侵襲性に関する。本発明は、特定の態様では、器官または系内の血管の自動寸法測定に関する。
【背景技術】
【0002】
対象者の血管の1つまたは複数の寸法の信頼できる測定のための非侵襲的方法が、本明細書に記載される。本方法は、狭い血管の測定に特に適している。本方法は、機能不全の診断、および治療の有効性の決定を可能にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
体液伝導性血管である対象者の血管(100)の寸法測定のための方法であって、
-血管を含む3次元医療画像を含む画像データを受信するステップと、
-画像データから、血管(100)の横断面を含む二次元画像である画像パッチ(130)を取得するステップと、
-画像パッチ(130)から、光線のセット(R1からRX)を生成するステップであって、各光線(R1からRX)は直線であり、一端が血管(100)の外側フットプリント(150)の中心点(140)に接触し、他端において血管(100)の外側フットプリント(150)を越えて延び、各光線(R1からRX)は異なる方向を有する、ステップと、
-各光線(R1からRX)について、中心点(140)からの距離の関数として、光線に沿った画像パッチ(130)の画像強度プロファイルを決定するステップと、
-各光線(R1からRX)に沿った画像強度プロファイルから、光線壁厚(RXwt)、光線管腔半径(RXlr)、光線外半径(RXor)のうちの1つまたは複数を決定するステップと、
-血管(100)の寸法測定値を決定するステップであって、寸法測定値は、
・光線(R1からRX)のセットにおける光線壁厚(RXwt)の中央値から決定された血管壁厚(Vwt)、
・光線(R1からRX)のセットにおける光線管腔半径(RXlr)の中央値から決定された血管管腔半径(Vlr)、
・光線(R1からRX)のセットにおける光線外半径(RXor)の中央値から決定された血管外半径(Vor)のうち1つまたは複数を含む、ステップ
とを含む方法が、本明細書において提供される。
【0004】
各光線(R1からRX)に沿った画像強度プロファイルから、光線壁厚(RXwt)、光線管腔半径(RXlr)、光線外半径(RXor)のうちの1つまたは複数を決定するステップは、
各光線(R1からRX)に沿った画像強度プロファイルに二重逆シグモイド関数をフィッティングすることを含んでもよい。
【0005】
二重逆シグモイド関数は、
【数1】
(式中、A
1は血管管腔(104)強度であり、A
2は血管壁(102)強度であり、Bはバックグラウンド強度であり、rは光線外半径(RXor)であり、dは光線壁厚(RXwt)であり、sigmaは撮像デバイス解像度の尺度である)であってもよい。
【0006】
複数の画像パッチ(130)が、同じ器官、系、またはその一部内の1つまたは複数の血管について取得されてもよく、それによって、同じ器官、系、またはその一部内の複数の血管寸法測定値を取得し、
-複数の画像パッチ(130)は同じ血管に沿って異なる位置にあり、または、複数の画像パッチ(130)は同じ器官、系、またはその一部内の異なる血管のものであり、またはその両方である。
【0007】
方法は、器官または系またはその一部についての関係マップを生成するステップをさらに含んでもよく、関係マップは、器官または系またはその一部の寸法測定値である第1のパラメータと、少なくとも1つの後続パラメータとの間の関係を示すチャートまたはデータである。
【0008】
対象者の器官または系の機能不全を決定するための方法であって、
-本明細書に記載の方法に従って、器官または系またはその一部内の血管(100)の寸法測定値を決定するステップと、
-任意選択的に、関係マップを生成するステップと、
-寸法測定値および/または任意選択の関係マップを基準と比較し、それによって対象者の器官または系の機能不全を決定するステップとを含む、方法がさらに提供される。
【0009】
肺の機能不全を決定するための方法であって、
-本明細書に記載の方法に従って肺または肺の一部内の血管(100)の寸法測定値を受信するステップであって、血管は動脈、静脈、または動脈と静脈の両方である、ステップと、
-寸法測定値を基準と比較し、それによって対象者の器官の機能不全を決定するステップとを含み、
-任意選択的に、肺の血管(100)の寸法測定値は、血管壁厚(Vwt)、特に動脈血管壁厚(Vwt)を含み、機能不全は肺高血圧症である、方法がさらに提供される。
【0010】
肺の機能不全を決定するための方法であって、
-血液-半径-厚さ(BRTX)関係マップである、肺またはその一部についての関係マップを生成するステップであって、関係マップの第1のパラメータは、本明細書に記載の方法に従って決定された肺またはその一部における肺血管壁厚(Vwt)であり、関係マップの後続の(2番目の)パラメータは、血管壁厚が測定された位置における肺血管半径である、ステップと、
-関係マップを基準と比較するステップとを含み、
-任意選択的に、血管壁厚(Vwt)は、動脈性であり、機能不全は、肺高血圧症である、方法がさらに提供される。
【0011】
肺の機能不全を決定するための方法であって、
-血液-体積-厚さ(BVTX)関係マップである肺またはその一部についての関係マップを生成するステップであって、関係マップの第1のパラメータは、本明細書に記載の方法に従って決定された肺またはその一部における肺血管壁厚(Vwt)であり、関係マップの後続の(2番目の)パラメータは、血管壁厚が測定された位置における肺血管体積である、ステップと、
-関係マップを基準と比較するステップとを含み、
-任意選択的に、血管壁厚(Vwt)は動脈性であり、機能不全は肺高血圧症である、方法がさらに提供される。
【0012】
対象者の器官または系の機能不全について治療の有効性を決定するための方法であって、
-本明細書に記載の方法に従って、少なくとも2つの異なる時点で、器官または系またはその一部内の血管(100)の寸法測定値を決定するステップと、
-任意選択的に、異なる時点の各々について関係マップを生成するステップと、
-異なる時点において寸法測定値および/または任意選択の関係マップを比較して治療の有効性を決定するステップとを含む、方法がさらに提供される。
【0013】
対象者の肺の機能不全についての治療の有効性を決定するための方法であって、
-本明細書に記載の方法に従って、少なくとも2つの異なる時点で、肺またはその一部内の血管(100)の寸法測定値を決定するステップと、
-異なる時点での寸法測定値を比較して治療の有効性を決定するステップとを含み、
-任意選択的に、肺の血管(100)の寸法測定値は、血管壁厚(Vwt)、特に動脈血管壁厚(Vwt)を含み、機能不全は、肺高血圧症である、方法がさらに提供される。
【0014】
対象者の肺の機能不全についての治療の有効性を決定するための方法であって、
-本明細書に記載の方法に従って、少なくとも2つの異なる時点で、肺またはその一部内の血管(100)の寸法測定値を決定するステップと、
-各時点について、本明細書に記載のBRTX関係マップまたは本明細書に記載のBVTX関係マップである関係マップを生成するステップと、
-異なる時点においてそれぞれの関係マップを比較して、治療の有効性を決定するステップとを含み、
-任意選択的に、血管壁厚(Vwt)は、動脈性であり、機能不全は、肺高血圧症である、方法がさらに提供される。
【0015】
本明細書に記載の方法を実施するように構成されたシステムがさらに提供される。
【0016】
コンピューティングデバイスまたはシステムによって実行されると、コンピューティングデバイスまたはシステムに本明細書に記載の方法を実行させる命令を有するコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム製品が、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】血管の一部、および画像パッチが上にある平面を示す図である。
【
図2】中心点および光線が示された血管の画像パッチを示す図である。
【
図3】寸法測定値が光線から決定されている、画像パッチの一部にわたる光線(RX)を示す図である。
【
図4】光線(RX)に沿った強度プロファイル(ハウンズフィールド単位(HU)スケール)を示す図である。
【
図5】Ray強度プロファイルにフィッティングされる例示的な二重逆シグモイド曲線と、フィッティングから決定された寸法測定値とを示す図である。
【
図6】本明細書において測定された血管壁厚(Vwt)である第1のパラメータ(y軸)と、フランジベッセルネス法によって測定された血管半径である後続の(2番目の)パラメータ(x軸)とを有するBRTX関係マップを示す図であり、グラフは、3Dファントムに対して実行された本寸法測定技術の検証の結果である。
【
図7】本明細書において測定された第1のパラメータ(y軸)の動脈血管壁厚(Vwt)と、フランジベッセルネス法によって測定された後続の(2番目の)パラメータ(x軸)の血管半径とを有するBRTX関係マップを示す図であり、グラフは、健常者と比較した、肺動脈高血圧症の対象者の肺における血管壁厚を決定するための実験の結果である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の本方法およびシステムが記載される前に、記載される特定の方法、システムおよび組み合わせは当然ながら変化し得るため、本発明は、そのような方法、システム、または組み合わせに限定されないことを理解されたい。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は限定を意図するものではないことも理解されたい。
【0019】
本明細書で使用される場合、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」、および「その」は、文脈上他に明確に指示されない限り、単数および複数の指示対象者の両方を含む。
【0020】
本明細書で使用される「備えている」、「備える」および「から構成される」という用語は、「含んでいる」、「含む」または「含有している」、「含有する」と同義であり、包括的またはオープンエンドであり、追加の列挙されていない部材、要素または方法ステップを排除しない。本明細書で使用される「備えている」、「備える」および「から構成される」という用語は、「からなっている」、「なる」および「からなる」という用語を含むことが理解されよう。
【0021】
端点による数値範囲の列挙は、それぞれの範囲内に包含される全ての数および分数、ならびに列挙された端点を含む。
【0022】
部材の群の1つまたは複数、または少なくとも1つの部材などの「1つまたは複数」または「少なくとも1つ」という用語は、さらなる例示によってそれ自体明確であるが、この用語は、とりわけ、前記部材のいずれか1つ、または前記部材のいずれか2つ以上、例えば前記部材のいずれか≧3、≧4、≧5、≧6または≧7など、また、前記部材の全てまでへの言及を包含する。
【0023】
本明細書で引用される全ての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。特に、本明細書で具体的に言及される全ての参考文献の教示は、参照により組み込まれる。
【0024】
別段の定義がない限り、技術用語および科学用語を含む、本発明の開示に使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。さらなる指針によって、本発明の教示をよりよく理解するために用語定義が含まれる。
【0025】
以下の節では、本発明の異なる態様がより詳細に定義される。そのように定義される各態様は、そうでないことが明確に示されていない限り、任意の他の態様または複数の態様と組み合わせられてもよい。特に、好ましいまたは有利であると示された任意の特徴は、好ましいまたは有利であると示された任意の他の特徴と組み合わせられてもよい。
【0026】
本明細書を通して「1つの実施形態」または「一実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所における「1つの実施形態では」または「一実施形態では」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているわけではないが、そうであってもよい。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において、本開示から当業者に明らかであるように、任意の適切な方法において組み合わせられてもよい。さらに、本明細書に記載のいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれるいくつかの特徴を含み、他の特徴を含まないが、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内であり、当業者によって理解されるように、異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、添付の特許請求の範囲において、特許請求される実施形態のいずれも、任意の組み合わせで使用されてもよい。
【0027】
本発明の本記載では、その一部を形成し、本発明が実施され得る特定の実施形態の例示としてのみ示されている添付の図面を参照する。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用されてもよく、構造的または論理的な変更が行われてもよいことを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は限定的な意味で解釈されるべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0028】
本明細書では、体液伝導性血管である対象者の血管(100)の寸法測定データを取得する方法が、提供される。この説明において、
図1および
図2を参照する。本方法は、血管(100)を含む対象者の3次元(3D)医療画像を含む画像データを受信する。画像パッチ(130)が、画像データ、すなわち血管(100)の横断面を含む二次元画像から得られる。光線(R1からRX)のセットが生成され、各光線(R1からRX)は直線であり、一端は、血管(100)の外側フットプリント(150)の中心点(140)と接触し、血管(100)の外側フットプリント(150)を超えて血管外部(106)まで延びている。各光線は異なる方向を有する。各光線(R1からRX)について、中心点(140)からの距離の関数としての光線に沿った画像パッチ(130)の画像強度プロファイルが、決定される。各光線(R1からRX)に沿った画像強度プロファイルから、光線壁厚(RXwt)、光線管腔半径(RXlr)、および光線外半径(RXor)のうちの1つまたは複数(好ましくは全て)が、決定される。血管(100)について、血管管腔(104)半径(Vlr)は、光線のセット(R1からRX)における光線管腔半径(RXlr)値の中央値から決定されてもよい。血管(100)について、血管外半径(Vor)は、光線のセット(R1からRX)内の光線外半径(RXor)値の中央値から決定されてもよい。血管について、血管壁(102)厚(Vwt)は、光線のセット(R1からRX)における光線壁厚(RXwt)値の中央値から決定されてもよい。
【0029】
方向が異なる複数の光線(T1からRX)を用いることで、画像の解像度およびより細い血管の寸法計測の問題が克服される。平均の代わりに中央値を使用することにより、本方法は、1つまたは複数の光線における外れ値または不安定な値に対してよりロバストである。
【0030】
寸法測定データは、パッチ(130)から直接得られた、または導出された血管の寸法測定値を指す。パッチ(130)から、血管管腔半径(Vlr)、血管外半径(Vor)、血管壁厚(Vwt)のうちの1つまたは複数(好ましくは全て)が、直接測定されてもよい。
【0031】
直接寸法測定値から、他の寸法測定値(導出された寸法測定値)を導出することができる。導出された寸法測定値の例には、フットプリント体積、管腔体積、血管壁体積が含まれる。
【0032】
Vlr、VorおよびVwtのうちの任意の2つの直接測定が、他のパラメータを導出することを可能にすることが理解される。例えば、Vlrは、Vor-Vwtから導出されてもよく、Vorは、Vlr+Vwtから導出されてもよく、Vwtは、Vor-Vlrから導出されてもよい。
【0033】
光線(R1~RX)は、血管(100)の外側フットプリント(150)の中心点(140)から発し、外側フットプリント(150)を越えて延びる直線である。各パッチ(130)について、複数の光線(R1~RX)、例えば5、10、15、20、またはそれ以上、好ましくは18から22本が生成される。各光線は異なる方向を有する。異なる方向の光線は、中心点(140)の周りにほぼ等しい角度間隔を有してもよい。例えば、20個の光線のそれぞれは、16~22度の角度で分離されてもよい。
【0034】
パッチ(130)の画像強度(放射線濃度)は、光線(R1~RX)に沿って決定され、その結果、各光線(R1からRX)に沿った画像強度プロファイルが得られる。強度を決定するために使用される方法は、例えば、ハウンズフィールド単位(HU)スケールに従って任意のものであってもよい。
【0035】
パッチ(130)の光線(RX)に沿った画像強度プロファイルは、RXlr、RXor、およびRXwtのうちの1つまたは複数の決定を可能にする。光線画像強度は、中心点(140)からの距離の関数として、高強度から低強度に変化する。管腔(104)から血管外部(106)への移行部に主な変化が観察される。二次的変化は、血管壁(102)を横切る移行部で観察可能である。二重逆シグモイド関数が、光線(RX)に沿った画像強度プロファイルにフィッティングされてもよい。1つの好ましい実施形態によれば、二重逆シグモイド関数は、式[1]は、
【数2】
(式中、A
1は血管管腔(104)強度であり、A
2は血管壁(102)強度であり、Bはバックグラウンド強度(例えば、血管外部(106))であり、rは光線外半径(RXor)であり、dは光線壁厚(RXwt)であり、シグマは、撮像デバイスの解像度の尺度である点拡がり関数の半値全幅である)である。フィッティングプロトコルでは、パラメータ(A1、A2、B、r、d、シグマ)が、最適化されてもよい。
【0036】
3次元(3D)医療画像は、例えば、X線コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)、陽電子放射断層撮影法(PET)によって取得されるいずれのものであってもよい。造影剤の有無にかかわらず撮像を行うことができる。増強の有無にかかわらず撮像を行うことができる。測定される血管の種類およびサイズに応じて、1つの方法が好ましい場合がある。
【0037】
血管は、血管、リンパ管などの任意の種類の体液伝導性血管であってもよい。好ましくは、それは血管である。血管は、動脈性(動脈、細動脈および毛細血管のうちの1つまたは複数を含む)、または静脈性(静脈、細静脈および毛細血管のうちの1つまたは複数を含む)であってもよい。
【0038】
複数の画像パッチ(130)が、同じ器官、または系、またはその一部(すなわち、器官の一部、または系の一部)内の1つまたは複数の血管について取得されてもよい。好ましくは、画像パッチ(130)は、同じ器官、または系、またはその一部内の大部分、好ましくは全ての血管について取得されてもよい。系は、消化器系に見られるような器官の集合体を指し得る。系は、一般に血管系などの血管の集合体を指し得る。
【0039】
複数の画像パッチ(130)から、血管(100)の複数の寸法測定値が、決定されてもよい。複数の寸法測定値または画像パッチ(130)は、同じ血管(100)に沿った異なる場所であってもよく、または同じ器官、または系、またはその一部内の異なる血管であってもよく、またはその両方であってもよい。複数の寸法測定値または画像パッチ(130)は、同じ器官、または系、またはその一部内の1つの血管タイプ(例えば、動脈、静脈)について取得されてもよい。複数の寸法測定値または画像パッチ(130)は、同じ器官、または系、またはその一部内の複数の血管タイプ(例えば、動脈および静脈)について取得されてもよい。好ましくは、複数の画像パッチ(130)が、対象者の肺またはその一部内の大部分の動脈血管について取得される。
【0040】
関係マップは、器官、または系、またはその一部について生成されてもよい。関係マップは、第1のパラメータと少なくとも1つの後続の(例えば、2番目、3番目、4番目またはそれ以上)パラメータとの間の関係を示すチャートまたはデータである。関係マップは、チャートまたはグラフ(例えば、OVA、OVT、BRTX、BVX-下記参照)で表されてもよい。x-yプロットでは、第1のパラメータまたは後続のパラメータのいずれかが、x軸に沿って配置されてもよい。関係マップは、追加の処理ステップの有無にかかわらず、第1のパラメータおよび関連する後続のパラメータのリストであるデータであってもよい。データは、第1のパラメータおよび関連する後続のパラメータ(例えば、BV5、BV5-10およびBV10-下記参照)を処理することから生じる1つまたは複数のスカラ値であってもよい。第1のパラメータは、本明細書に記載の方法に従って測定された器官、または系、またはその一部の寸法測定値(例えば、Vlr、VorおよびVwtのうちの1つ、またはそれらの導関数)である。後続のパラメータは、第1のパラメータとは異なる、本明細書に記載のように測定された器官、または系、またはその一部の寸法測定値(例えば、Vlr、VorおよびVwtのうちの1つ、またはそれらの導関数)であってもよい。後続のパラメータは、異なる技術(例えば、フランジベッセルネス法)に従って測定された器官または系またはその一部の寸法測定値であってもよい。後続のパラメータは、器官、または系、またはその一部の別の特性であってもよい。
【0041】
1つの例によれば、関係マップは、器官-体積-面積(OVA)関係マップであり、第1のパラメータは、器官、または系、またはその一部における血管外断面積(mm2)であり、後続の(2番目の)パラメータは、血管外断面積が測定された位置における血管の血管体積である。第1のパラメータは、本方法または代替方法(例えば、フランジベッセルネス法。以下のステップd)も参照のこと)に従って決定された血管外半径(Vor)から導出される。後続のパラメータは、血管の体積セグメンテーション(例えば、フランジベッセルネス法。ステップb)も参照のこと)から導出される。後続の(2番目の)パラメータは、血管体積を、全ての器官、または系、またはその一部の割合またはパーセンテージとして表すことが好ましい。関係マップは、器官、または系、またはその一部について、血管外断面積の各値における血管体積の広がりを示す。
【0042】
別の例によれば、関係マップは、器官-体積-厚さ(OVT)関係マップであり、第1のパラメータは、器官、または系、またはその一部における血管壁厚(例えば、mm)であり、後続の(2番目の)パラメータは、血管壁厚が測定された位置における血管の血管体積である。第1のパラメータは、本方法に従って決定された血管壁厚(Vwt)から導出され、後続のパラメータは、血管の体積セグメンテーション(例えば、フランジベッセルネス法。ステップb)も参照のこと)から導出される。後続の(2番目の)パラメータは、血管体積を、全ての器官、または系、またはその一部の割合またはパーセンテージとして表すことが好ましい。関係マップは、器官、または系、またはその一部について、血管壁厚の各値における血管体積の広がりを示す。
【0043】
別の例によれば、関係マップは、血液-半径-厚さ(BRTX)関係マップであり、第1のパラメータは、肺またはその一部における肺血管(動脈、静脈またはその両方の)壁厚(例えば、mm)であり、後続の(2番目の)パラメータは、血管壁厚が測定された位置における外血管半径(例えば、mm)である。第1のパラメータは、本方法に従って決定された肺血管壁厚(Vwt)から導出され、後続のパラメータは、フランジベッセルネス法(例えば、以下のステップd)を参照)に従って決定された肺血管外半径から導出される。関係マップは、肺またはその一部について、血管壁厚の広がりを血管半径の関数として示す。肺高血圧症を有する対象者においてBRTXマップの変化を認めることができる。健常者と比較して、より広い肺血管(動脈>5mm
2)における有意に増加した血管壁厚、特に動脈血管壁厚が観察された。関係は、x軸に沿った後続の(2番目の)パラメータおよびy軸に沿った第1のパラメータを有するグラフとして表されてもよい。例示的なBRTX関係マップが、
図6および
図7に示される。
【0044】
別の例によれば、関係マップは、血液-体積-厚さ(BVTX)関係マップであり、第1のパラメータは、肺またはその一部における肺血管(動脈、静脈またはその両方の)壁厚(例えば、mm)であり、後続の(2番目の)パラメータは、血管壁厚が測定された位置における肺血管(動脈、静脈またはその両方の)体積である。第1のパラメータは、本方法に従って決定された肺血管壁厚(Vwt)から導出され、後続のパラメータは、肺血管セグメンテーション(例えば、フランジベッセルネス法。以下のステップb)も参照のこと)から導出される。関係マップは、肺またはその一部について、肺血管壁厚の各値における血管体積の広がり(肺血管系に保持された血液体積を示す)を示す。肺高血圧症を有する対象者においてBVTXマップの変化を認めることができる。健常者と比較して、より広い肺血管(動脈>5mm2)における有意に増加した血管壁厚が観察された。
【0045】
1つの例によれば、関係マップは、血液-体積-面積(BVX)関係マップであり、第1のパラメータは、肺またはその一部における肺血管(動脈、静脈またはその両方の)外側断面積(mm2)であり、後続の(2番目の)パラメータは、血管外側断面積が測定された位置における肺血管(動脈、静脈またはその両方の)体積である。第1のパラメータは、本方法に従って決定された肺血管外半径(Vor)から導出され、後続のパラメータは、肺血管セグメンテーション(例えば、フランジベッセルネス法。ステップb)も参照のこと)から導出される。関係マップは、肺またはその一部について、血管外断面積の各値における血管体積の広がり(肺血管系に保持された血液体積を示す)を示す。COVID-19を有する対象者においてBVXマップの変化を認めることができる。健常者と比較して、より小さな口径の肺血管(動脈および静脈)における有意に減少した血管体積が観察された。
【0046】
別の例によれば、関係マップは、BV5、BV5-10およびBV10のうちの1つまたは複数を示す。
【0047】
BV5では、第1のパラメータは、肺またはその一部における血管(動脈、静脈またはその両方の)外側断面積(mm2)であり、その外側断面積は5mm2未満であり、後続の(2番目の)パラメータは、肺の総血管体積、すなわち動脈および静脈血管の総体積である。第1のパラメータは、本方法に従って決定された肺血管外半径(Vor)から導出され、後続のパラメータは、血管の体積セグメンテーション(例えば、フランジベッセルネス法。ステップb)も参照のこと)から導出される。関係マップは、肺またはその一部について、5mm2を下回る外側断面積を有する肺血管体積(肺血管系に保持された血液体積を示す)の量を示す。現在、BV5には解像度の下限(1.25mm2)があるが、この制限は現代の撮像技術の解像度に依存し、本方法には必須ではない。
【0048】
BV10では、第1のパラメータは、肺またはその一部における血管(動脈、静脈またはその両方の)外側断面積(mm2)であり、その外側断面積は、5mm2以上10mm2以下であり、後続の(2番目の)パラメータは、肺の総血管体積、すなわち、動脈および静脈の血管の総体積である。第1のパラメータは、本方法に従って決定された肺血管外半径(Vor)から導出され、後続のパラメータは、血管の体積セグメンテーション(例えば、フランジベッセルネス法。ステップb)も参照のこと)から導出される。関係マップは、肺またはその一部について、5mm2以上10mm2以下の外側断面積を有する肺血管体積(肺血管系に保持された血液体積を示す)の量を示す。
【0049】
BV10では、第1のパラメータは、肺またはその一部における血管(動脈、静脈またはその両方の)外側断面積(mm2)であり、その外側断面積は10mm2を上回り、後続の(2番目の)パラメータは、肺の総血管体積、すなわち動脈および静脈血管の総体積である。第1のパラメータは、本方法に従って決定された肺血管外半径(Vor)から導出され、後続のパラメータは、血管の体積セグメンテーション(例えば、フランジベッセルネス法。ステップb)も参照のこと)から導出される。関係マップは、肺またはその一部について、10mm2を上回る外側断面積を有する肺血管体積(肺血管系に保持された血液体積を示す)の量を示す。
【0050】
BV-5、BV5-10およびBV10の値はまた、COVID-19を有する対象者に見られる急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などの機能不全を示し得る。
【0051】
対象者は、好ましくはヒト対象者である。代替的には、動物対象者、例えば霊長類、マウス、ブタなどの哺乳動物であってもよい。
【0052】
血管(100)の寸法測定データを取得するための方法は、器官、または系、またはその一部に自動または半自動で適用されてもよい。したがって、寸法測定値Vlr、VorおよびVwtならびにそれらの導関数は、3次元医療画像から、血管のネットワークについて自動的に生成されてもよい。自動化は、同じまたは異なるタイプの血管の少なくとも大部分に適用されてもよい。したがって、本明細書では、器官または系またはその一部内の血管の寸法測定のための方法であって、自動または半自動であり得る、方法が提供される。
【0053】
器官、系、またはその一部内の血管(100)の寸法測定データを自動化することは、画像パッチ(130)の自動生成を含むことができる。器官または系またはその一部内の血管の画像パッチ(130)を自動的に生成するためのプロトコルの例を以下に記載する。例えば、ノイズを低減し、コントラストを増加させ、より洗練されたフィッティングを得るなどのために、追加の介在ステップが存在してもよいことが理解される。
【0054】
器官または系またはその一部内の血管の画像パッチ(130)を生成するための方法は、
a)器官、系またはその一部の三次元医用画像の受信するステップと、
b)医療画像から(例えば、適応閾値処理と組み合わせたフランジベッセルネス法を使用して)血管をセグメント化して、セグメント化された医療画像を生成するステップであって、セグメンテーションでは、血管の画像が背景から分離される、ステップと、
c)セグメント化された医療画像を均一なボクセルサイズに向かって正規化するステップであって、例えば、トリリニア補間を使用して、ボクセルサイズは、0.75mm×0.75mm×0.75mm、または0.5mm×0.5mm×0.5mmにスケーリングされてもよい、ステップと、
d)正規化された、(例えば、フランジベッセルネス法を使用して)セグメント化された医療画像から、その中の血管の半径を推定するステップであって、フランジベッセルネス法は、最良フィッティングシグマ(血管半径の近似値に変換することができるベッセルネスカーネルの幅に似たパラメータ)を推定するために使用されてもよく、好ましくは、多数、例えば25以上のシグマが使用される、ステップと、
e)各血管の中心線を(正規化された、セグメント化された医療画像から)血管を計算し、それによって骨格化血管マップを生成するステップであって、細線化または骨格化アルゴリズムが使用されてもよい(例えば、LEE、Ta-Chih;KASHYAP,Rangasami L;CHU,Chong-Nam,「3D内側表面軸細線化アルゴリズムによる骨格モデルの構築(Building skeleton models via 3-D medial surface axis thinning algorithms)」、CVGIP:Graphical Models and Image Processing,1994年56.6:462-478)、ステップと、
f)骨格化された血管マップをセグメント化するステップであって、骨格化された血液マップは、血液の経路に沿ってセグメントに分割され、セグメント化は、器官のタイプに応じたものであってもよく、骨格化された血管マップが樹状構造を有する肺の場合、新しいセグメントが、各分枝に形成されもよく、分岐は、単一の血管が2つ以上のさらなる血管に分割されるところであり、他の場合には、新しいセグメントが、血管経路が特定の許容範囲外で方向を変えるところに形成されてもよい、ステップと、
g)全てのセグメントに線をフィッティングするステップであって、線(例えばスプライン曲線)が、セグメントの点を通ってフィッティングされ、これにより、セグメントを補間し、セグメント経路の局所方向を計算することが可能になる、ステップと、
h)複数の画像パッチ(130)を生成するステップであって、各画像パッチ(130)は、フィッティングされた線に沿った点で生成され、フィッティングされた線に垂直であり、例えば、ステップg)でセグメントにフィッティングされた線がN点に配置され、画像パッチ(130)が点Nごとに生成され、Nは、(ステップeで生成された)セグメント中心線の点の数を4で除算した値であってもよい、ステップと、
i)各画像パッチ(130)について光線のセット(R1からRX)を生成するステップであって、各光線(R1からRX)は直線であり、各光線は、パッチの平面に平行であり、光線の一端は、血管(100)の外側フットプリント(150)の中心点(140)に接触し、他端は、血管(100)の外側フットプリント(150)を越えて血管外部(106)まで延びる、ステップとを含む。
【0055】
光線のセット(R1からRX)から、血管管腔半径(Vlr)、血管外半径(Vor)、血管壁厚(Vwt)のうちの1つまたは複数を、本明細書の他所に記載の方法に従って測定することができる。
【0056】
フランジベッセルネス法(Frangi vesselness method(FRANGI、Alejandro F.ら、「マルチスケール血管強調フィルタリング(Multiscale vessel enhancement filtering):医療画像コンピューティングおよびコンピュータ支援介入に関する国際会議(International conference on medical image computing and computer-assisted intervention)」、Springer、Berlin、Heidelberg、1998年、130~137頁)が、当該技術分野において公知である。これは、医療画像内の大量の管状構造を自動的に識別し、特徴付ける。これは、医療画像から血管を自動的にセグメント化し、半径および体積を計算するために使用されてもよい。手短に言えば、フランジベッセルネス法は、画像領域ごとに、ベッセルネス(領域がどのように管状であるか)およびシグマ(半径)の2つの値をもたらし得る。ベッセルネスは、セグメント化された血管を取得するために閾値化されてもよい。すなわち、選択は、非常に管状の外観を有する領域で行われる。これらのセグメント化された血管は、それらの半径に従って異なるカテゴリ、例えばBV5(5mm2より小さい外側断面積を有する血管)、BV5-10(5から10mm2の間の面積を有する血管)などに分類されてもよい。フランジベッセルネスの代替法が使用されてもよい。
【0057】
肺高血圧症(PH)は、肺循環に変化をもたらし、その結果、肺圧(すなわち、肺内の血圧)が上昇する多様な症状および疾患過程を指す。これは、進行性の運動不耐性および右心疾患をもたらし、多くのPHは最終的に右心不全で死亡する。PH患者は、根底にある原因および臨床症状に応じて、5つの群のうちの1つに分類される。全てのタイプは、局所的(血管自体の特性の変化)および全体的(血管の総数および密度)の両方で、肺血管の構造に対してある程度の変化を伴う。
【0058】
通常の条件下では、脱酸素化血液が心臓に戻ると、それは右心房および心室を通って肺動脈に移動し、肺動脈はそれを肺に運ぶ。最終的に、この血液は、肺毛細血管に達し、そこで隣接する肺胞(気道の端部の末端ポケット)とガス交換し、廃棄二酸化炭素を捨て、酸素を回収する。次いで、この血液は、肺静脈を通って心臓の左側に移動した後、体の残りの部分に圧送されて酸素を送達する。ガス交換は、非常に特定の低圧条件下でのみ効果的に起こり得るため、肺血管系、特により筋肉化した動脈は、高度に活性かつ動的であり、酸素、呼吸、および心拍出量の必要性の変化に応じて収縮または拡張する。PHを有する患者では、必要に応じて血管が正常に応答することを妨げる変化が血管内で起こる。これは肺血管リモデリングと呼ばれる。これは、細胞の過剰増殖による血管壁の肥厚、または血管系のかなりの部分を閉塞する構造材料の「叢状病変」を含み得る。これは、血流に対するより高い抵抗およびより高い心拍出量に応答して拡張する能力の障害につながり、肺を通って血液を移動させるために、心臓の右側をより激しく働かせる。心臓は、追加の作業負荷を補償する能力が消耗されるにつれて拡大し、最終的には機能しなくなる。
【0059】
PH患者の診断、モニタリング、および治療選択は複雑である。様々な方法が使用され得るが、肺圧を測定する最も正確な手段は、カテーテルが心臓を通って肺動脈に入る侵襲的処置である、右心カテーテル法(RHC)によるものである。これは、それ自体の重大な健康リスクを有することに加えて、高価であり、ユーザエラーを起こしやすい。さらに、これは、原則として不完全な測定であると理解される。肺圧RHC測定値の上昇は、脈管構造の非常に有意な部分が破壊されたときにのみ起こる。RHCの非感受性は、薬物開発に関しても課題を提起している。PH薬物開発のための1つの治療目的は、(血管拡張を引き起こして肺圧を低下させる薬物とは対照的に)リモデリングを直接防止または逆転させる化合物である。肺血管リモデリングの直接検出を可能にする実行可能なインビボ方法は実証されていない。1つの課題は、歴史的研究が肺血管リモデリングの主要な遺伝子座を「抵抗動脈」として同定したことであり、これは、肺血管抵抗の大部分を担うと考えられる最も高度に筋肉化した肺動脈である。これらの血管は、直径が2mm以下であり、ほとんどの場合はるかに小さいが、容易に利用可能なインビボ撮像の解像度をほとんど下回る。
【0060】
本明細書に記載の方法による肺動脈血管壁厚(動脈Vwt)の測定は、CTスキャンにおける肺動脈の血管壁厚を正確に推定する。同様に、この方法を使用して肺静脈壁厚(静脈Vwt)を推定することができ、それによって精度を向上させ、侵襲的処置を回避する。
【0061】
対象者の器官または系の機能不全を決定するための方法であって、
-本明細書に記載の方法に従って、器官または系またはその一部内の血管(100)の寸法測定値を受信するステップと、
-任意選択的に、関係マップを生成するステップと、
-寸法測定値および/または任意選択の関係マップを基準と比較するステップとを含む、方法がさらに提供される。
【0062】
器官または系の血管(100)の寸法測定値は、血管壁厚(Vwt)、血管管腔半径(Vlr)、および血管外半径(Vor)のうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0063】
器官の例としては、肺(本明細書の他所で詳述されている)、腎臓、肝臓、脳、胃腸管、眼、子宮、膵臓が挙げられる。系の例としては、消化系、脈管系が挙げられる。
【0064】
機能不全の例としては、肺機能不全(本明細書の他所で詳述される)、アテローム性動脈硬化症、冠動脈心疾患が挙げられる。
【0065】
本明細書で使用される基準は、1人または複数人の(機能不全または関連する機能不全に罹患していない)健常者の同じ測定値から決定される。基準からの逸脱は、機能不全を示し得る。基準からの逸脱が有意であるかどうかは、データの量に基づいて当業者によって決定することができ、典型的には、性別、年齢および身長としての人口統計学的データに基づいて健康コホートおよび機能不全を有するコホートの両方をマッチングした後、古典的な統計学的仮説検定によって決定される。
【0066】
肺血管リモデリング、すなわち機能不全によって引き起こされる肺の血管系の構造の変化は、本方法に従って測定することができる。特に、関係マップは、機能不全の存在および進行を示すことができる。肺血管リモデリングは、肺高血圧症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、COVIS-10関連ARDS、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特発性肺線維症(IPF)、全身性硬化症(SSc)、および喘息を含む肺疾患の病因および進行に関与し得ることが示されている。したがって、肺内の血管(100)の寸法測定値を決定することを含む、肺の機能不全を決定する方法が、本明細書で提供される。
【0067】
肺の機能不全を判定するための方法であって、
-本明細書に記載の方法に従って肺またはその一部内の血管(100)の寸法測定値を受信するステップであって、血管は動脈、静脈、または動脈と静脈の両方である、ステップと、
-寸法測定値を基準と比較するステップとを含む、方法が提供される。
【0068】
肺の血管(100)の寸法測定値は、血管壁厚(Vwt)、特に動脈血管壁厚(Vwt)を含んでもよく、機能不全は、肺高血圧症であってもよい。健常者と比較した動脈樹における動脈血管壁厚(Vwt)の増加は、肺高血圧症を示す。
【0069】
肺の機能不全を決定するための方法であって、
-BRTX関係マップである肺またはその一部についての関係マップを生成するステップと、
-関係マップを基準と比較するステップとを含む、方法がさらに提供される。
【0070】
1つの態様によれば、血管壁厚(Vwt)は、動脈血管壁厚であり、機能不全は、肺高血圧症であってもよい。
【0071】
肺の機能不全を判定するための方法であって、
-BVTX関係マップである肺またはその一部についての関係マップを生成するステップと、
-前記関係マップを基準と比較するステップとを含む、方法がさらに提供される。
【0072】
1つの態様によれば、血管壁厚(Vwt)は、動脈血管壁厚であり、機能不全は、肺高血圧症であってもよい。
【0073】
肺の機能不全を判定するための方法であって、
-1つまたは複数のBVX値を示す肺またはその一部についての関係マップを生成するステップと、
-関係マップを基準と比較するステップとを含む、方法がさらに提供される。
【0074】
1つの態様によれば、機能不全は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)である。特に、ARDSは、COVID-19関連であってもよい。
【0075】
肺の機能不全を決定するための方法であって、
-関係マップを生成することは、BV5、BV5-10;およびBV10を示す肺またはその一部についてのものであり、方法は、
-関係マップを基準と比較するステップとを含む、方法がさらに提供される。
【0076】
1つの態様によれば、機能不全は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)である。特に、ARDSは、COVID-19関連であってもよい。
【0077】
対象者の器官または系の機能不全についての治療の有効性を決定するための方法であって、
-本明細書に記載の方法に従って、少なくとも2つの異なる時点で、器官または系またはその一部内の血管(100)の寸法測定値を受信するステップと、
-任意選択的に、異なる時点の各々について関係マップを生成するステップと、
-異なる時点において寸法測定値および/または任意選択の関係マップを比較して治療の有効性を決定するステップとを含む、方法がさらに提供される。
【0078】
寸法測定値および/または任意の関係マップを経時的に互いに比較することによって、治療に応答する血管の進展が観察される。治療の経過は、観察に応じて調整することができる。
【0079】
異なる時点のうちの少なくとも2つは、それぞれ、異なる段階、すなわち治療前段階、治療段階、治療後段階からのものであってもよい。あるいは、異なる時点の少なくとも2つは、治療段階からのものであってもよい。
【0080】
対象者の肺の機能不全についての治療の有効性を決定するための方法であって、
-本明細書に他所に記載の方法に従って、少なくとも2つの異なる時点で、肺またはその一部内の血管(100)の寸法測定値を受信するステップと、
-異なる時点において寸法測定値を比較して治療の有効性を決定するステップとを含む、方法がさらに提供される。
【0081】
肺の血管(100)の寸法測定値は、血管壁厚(Vwt)、特に動脈血管壁厚(Vwt)を含んでもよく、機能不全は、肺高血圧症であってもよい。
【0082】
対象者の肺の機能不全についての治療の有効性を決定するための方法であって、
-本明細書の他所に記載の方法に従って、少なくとも2つの異なる時点で、肺またはその一部内の血管(100)の寸法測定値を決定するステップと、
-異なる時点において関係マップを比較して治療の有効性を決定するステップとを含む、方法がさらに提供される。
【0083】
1つの態様によれば、血管壁厚は、動脈血管壁厚(Vwt)であり、機能不全は、肺高血圧症であってもよい。
【0084】
対象者の肺の機能不全についての治療の有効性を決定するための方法であって、
-本明細書の他所に記載の方法に従って、少なくとも2つの異なる時点で、肺またはその一部内の血管(100)の寸法測定値を受信するステップと、
-各時点について、BVTX関係マップである関係マップを生成するステップと、
-異なる時点において寸法測定値を比較して治療の有効性を決定するステップとを含む、方法がさらに提供される。
【0085】
1つの態様によれば、血管壁厚(Vwt)は、動脈血管壁厚であり、機能不全は、肺高血圧症であってもよい。
【0086】
対象者の器官または系の機能不全についての治療の有効性を決定するための方法であって、
-本明細書の他所の記載の方法に従って、少なくとも2つの異なる時点で、肺またはその一部内の血管(100)の寸法測定値を決定するステップと、
-各異なる時点について、1つまたは複数のBVX値を示す肺についての関係マップを生成するステップと、
-異なる時点において関係マップを比較して治療の有効性を決定するステップとを含む、方法がさらに提供される。
【0087】
1つの態様によれば、機能不全は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)である。特に、ARDSは、COVID-19関連であってもよい。
【0088】
対象者の肺の機能不全についての治療の有効性を決定するための方法であって、
-本明細書の他所に記載の方法に従って、少なくとも2つの異なる時点で、肺またはその一部内の血管(100)の寸法測定値を受信するステップと、
-各時点について、BV5、BV5-10、およびBV5-10のうちの1つまたは複数を示す肺についての関係マップを生成するステップと、
-異なる時点において関係マップを比較して治療の有効性を決定するステップとを含む、方法がさらに提供される。
【0089】
1つの態様によれば、機能不全は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)である。特に、ARDSは、COVID-19関連であってもよい。
【0090】
本明細書に記載の方法のいずれも、コンピュータ上で実施されてもよい。コンピュータは、典型的には、プロセッサおよびメモリを備える。本方法は、IntelアーキテクチャIA-32ベースのコンピュータシステム2などの標準的なコンピュータシステムを使用して実行されてもよく、対応するコンピュータシステムに関連する不揮発性(例えば、ハードディスクまたはソリッドステートドライブ)記憶装置に記憶された1つまたは複数のソフトウェアモジュールのプログラミング命令として実装されもよい。しかしながら、記載されたプロセスのいずれかのステップの少なくともいくつかは、例えば、1つまたは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)のゲート構成データなどの1つまたは複数の専用ハードウェア構成要素として、または特定用途向け集積回路(ASIC)として、部分的または全体的に代替的に実施されてもよいことは明らかであろう。
【0091】
本明細書に記載の方法のいずれかを実行するように構成されたコンピュータまたはシステムを備えるシステムがさらに提供される。システムは、本発明の方法を実行するように構成された回路を備える。
【0092】
コンピューティングデバイスまたはシステムによって実行されると、コンピューティングデバイスまたはシステムに本明細書に記載の方法(のステップの各々)を実行させる命令を有するコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム製品が、さらに提供される。
【0093】
コンピューティングデバイスまたはシステムによって実行されると、コンピューティングデバイスまたはシステムに本明細書に記載の方法(のステップの各々)を実行させる命令を記憶したコンピュータ可読媒体。
【0094】
コンピューティングデバイスまたはシステムによって実行されると、コンピューティングデバイスまたはシステムに本明細書に記載の方法(のステップの各々)を実行させる命令を有するコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム製品を表すデータストリーム。
【0095】
本明細書に記載の方法を3Dファントムに適用した。既知の直径および壁厚を有する3D管状構造体をランダムに生成した。1/3の固定壁厚対半径比を選択した。管は、方向の変更、分岐、直径の縮小を含んでいた。ノイズおよびぼやけが、CT取得のスライス厚さの影響を模倣するために加えられた。ここで記載されている方法による(フランジベッセルネスから決定された外側血管半径と比較された)壁厚の推定を行った。結果を
図6に示す。内側壁厚は、ここで記載されている方法に従って作製された壁厚であった。予想壁厚は、フランジ法に従って測定された血管半径から予想された値であった;一方、真の壁厚は、ファントムのグランドトゥルース値であった。結果は、グランドトゥルース半径と測定された半径値との間に小さな偏差があることを示している。
【0096】
本明細書に記載の方法を、健常者(n=7)および肺高血圧症の対象者(n=3)に適用した。ここで記載されている方法による(フランジベッセルネスから決定された外側血管半径と比較された)動脈壁厚の推定を行った。結果を
図7に示す。
【国際調査報告】