(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】UEモデムを使用した基地局の同期
(51)【国際特許分類】
H04W 56/00 20090101AFI20240124BHJP
H04W 92/20 20090101ALI20240124BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20240124BHJP
【FI】
H04W56/00
H04W92/20 110
H04W64/00 173
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544668
(86)(22)【出願日】2021-07-19
(85)【翻訳文提出日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 IL2021050876
(87)【国際公開番号】W WO2022162652
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523280068
【氏名又は名称】エアスパン アイピー ホールドコー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】AIRSPAN IP HOLDCO LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ヤコボヴィッツ、イェヘスケル
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルビン、エヤル
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD25
5K067DD30
5K067EE10
(57)【要約】
第5世代(5G)標準セルラー基地局ユニットは、少なくとも1つの外部基地局から無線信号を受信し、少なくとも1つの外部基地局から受信した無線信号に基づいて少なくとも1つの同期信号を導出するように動作する少なくとも1つのユーザ機器(UE)モデムと、5G基地局サブユニットであって、少なくとも1つのUEモデムから少なくとも1つの同期信号を受信し、少なくとも1つの同期信号を使用して5G基地局サブユニットの内部機能を同期させるように動作する、5G基地局サブユニットとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第5世代(5G)標準セルラー基地局ユニットであって、
少なくとも1つの外部基地局から無線信号を受信し、前記少なくとも1つの外部基地局から受信した前記無線信号に基づいて少なくとも1つの同期信号を導出するように動作する少なくとも1つのユーザ機器(UE)モデムと、
5G基地局サブユニットであって、前記少なくとも1つのUEモデムから前記少なくとも1つの同期信号を受信し、前記少なくとも1つの同期信号を使用して前記5G基地局サブユニットの内部機能を同期させるように動作する、5G基地局サブユニットとを備える、第5世代(5G)標準セルラー基地局ユニット。
【請求項2】
前記基地局サブユニットが、gNB及び無線ユニット(RU)のうちの1つである、請求項1に記載のユニット。
【請求項3】
前記UEモデムが加入者識別モジュール(SIM)を含まない、請求項1又は請求項2に記載のユニット。
【請求項4】
前記UEモデムは、前記外部基地局から受信した前記信号のタイミングアドバンス値を前記UEモデムが前記外部基地局から受信するまで、前記外部基地局と通信するように動作し、前記タイミングアドバンス値を受信すると、前記外部基地局との通信を停止してもしなくてもよい、請求項3に記載のユニット。
【請求項5】
前記基地局サブユニットと前記UEモデムとの間の双方向通信プロトコルも含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項6】
前記基地局サブユニットは、前記UEモデムに情報又はクエリを提供するように動作し、
前記UEモデムは、前記情報又はクエリに基づいて機能するように動作する、請求項5に記載のユニット。
【請求項7】
前記基地局サブユニットは、ネットワークタイムプロトコル(NTP)からタイミング情報を受信するように動作する、請求項1~6のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項8】
前記ユニットに含まれ、前記UEモデムと動作可能に通信するGNSS受信機も含み、
前記UEモデムは、前記基地局ユニットの地理的位置を確認し、前記地理的位置を前記GNSS受信機に提供するように動作し、
前記GNSS受信機は、前記位置、及び少なくとも1つのGNSS衛星からの信号に基づいて追加の同期信号を生成するように動作し、
前記基地局サブユニットは、前記GNSS受信機から前記追加の同期信号を受信し、前記追加の同期信号を使用して前記基地局サブユニットを前記少なくとも1つのGNSS衛星と時間同期させるように動作する、請求項1~7のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項9】
前記無線信号が、5G標準信号、ロングタームエボリューション(LTE)標準信号、LTEマシンタイプコミュニケーション(LTE-M)標準信号、及び狭帯域モノのインターネット(NB-IoT)標準信号のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項10】
前記UEモデムは、前記外部基地局を選択し、また、
前記外部基地局から受信した前記無線信号の品質レベル、
前記外部基地局によって報告された前記外部基地局の基地局階層レベル、
及び前記外部基地局によって報告された基地局オペレータIDのうちの少なくとも1つに基づいて前記外部基地局から受信した前記無線信号に基づいて前記少なくとも1つの同期信号を導出するように動作する、請求項1~9のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項11】
セルラー基地局ユニットであって、
加入者識別モジュール(SIM)を含まず、少なくとも1つの外部基地局から無線信号を受信し、前記少なくとも1つの外部基地局から受信した前記無線信号から少なくとも1つの同期信号を導出するように動作する少なくとも1つのユーザ機器(UE)モデムと、
基地局サブユニットであって、前記少なくとも1つのUEモデムから前記少なくとも1つの同期信号を受信し、前記少なくとも1つの同期信号を使用して前記基地局サブユニットの内部機能を同期させるように動作する、基地局サブユニットとを備える、セルラー基地局ユニット。
【請求項12】
前記基地局サブユニットが、FDD又はTDDのいずれかである、請求項11に記載のユニット。
【請求項13】
前記基地局サブユニットが、5G又はそれ以降の世代の標準基地局サブユニットである、請求項11又は請求項12に記載のユニット。
【請求項14】
前記UEモデムと前記基地局サブユニットとの間の双方向情報交換のための双方向通信プロトコルも含む、請求項11~13のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項15】
前記同期信号が1pps信号である、請求項11~14のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項16】
セルラー基地局ユニットであって、
少なくとも1つの外部基地局から無線信号を受信し、前記少なくとも1つの外部基地局から受信した前記信号から少なくとも1つの同期信号を導出するように動作する少なくとも1つのユーザ機器(UE)モデムと、
基地局サブユニットであって、前記少なくとも1つのUEモデムから前記少なくとも1つの同期信号を受信し、前記少なくとも1つの同期信号を使用して前記基地局サブユニットの内部機能を同期させるように動作する、基地局サブユニットと、
前記UEモデムと前記基地局サブユニットとの間の双方向情報交換のための双方向通信プロトコルとを備える、セルラー基地局ユニット。
【請求項17】
前記基地局サブユニットが、5G又はそれ以降の世代の基地局サブユニットである、請求項16に記載のユニット。
【請求項18】
前記UEモデムがSIMを含まない、請求項16又は請求項17に記載のユニット。
【請求項19】
前記同期信号が1pps信号である、請求項16~18のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項20】
前述の請求項のいずれか一項に従って動作するセルラー基地局ユニットを使用することを含む、セルラー基地局ユニットを同期させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
ここで、米国特許規則(37 CFR)1.78(a)(4)及び(5)(i)に従って、2021年1月27日に出願された「BASE STATION SYNCHRONIZATION USING UE MODEM」と題する米国仮特許出願第63/142,002号を参照する。当該特許出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれ、その優先権が本明細書により主張される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に基地局の同期に関し、特に第5世代(5G)基地局の同期に関する。
【背景技術】
【0003】
様々なタイプの基地局同期技術が当該技術分野で周知である。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、5G基地局に限定されないが、特に有用な、改善された基地局同期のための方法及びシステムを提供しようとするものである。
【0005】
したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、第5世代(5G)標準セルラー基地局ユニットが提供され、このユニットは、少なくとも1つの外部基地局から無線信号を受信し、少なくとも1つの外部基地局から受信した無線信号に基づいて少なくとも1つの同期信号を導出するように動作する少なくとも1つのユーザ機器(user equipment、UE)モデムと、5G基地局サブユニットであって、少なくとも1つのUEモデムから少なくとも1つの同期信号を受信し、少なくとも1つの同期信号を使用して5G基地局サブユニットの内部機能を同期させるように動作する、5G基地局サブユニットとを含む。
【0006】
好ましくは、基地局サブユニットはgNBである。
【0007】
あるいは、基地局サブユニットは無線ユニット(radio unit、RU)である。
【0008】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、
UEモデムは、加入者識別モジュール(Subscriber Identity Module、SIM)を含まない。
【0009】
好ましくは、UEモデムは、外部基地局から受信した信号のタイミングアドバンス値をUEモデムが外部基地局から受信するまで、外部基地局と通信するように動作し、タイミングアドバンス値を受信すると、外部基地局との通信を停止してもしなくてもよい。
【0010】
好ましくは、ユニットは、基地局サブユニットとUEモデムとの間の双方向通信プロトコルも含む。
【0011】
好ましくは、基地局サブユニットは、UEモデムに情報又はクエリを提供するように動作し、UEモデムは、情報又はクエリに基づいて機能するように動作する。
【0012】
好ましくは、基地局サブユニットは、ネットワークタイムプロトコル(network time protocol、NTP)からタイミング情報を受信するように動作する。
【0013】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、ユニットは、ユニットに含まれ、UEモデムと動作可能に通信するGNSS受信機も含み、UEモデムは、基地局ユニットの地理的位置を確認し、地理的位置をGNSS受信機に提供するように動作し、GNSS受信機は、位置、及び少なくとも1つのGNSS衛星からの信号に基づいて追加の同期信号を生成するように動作し、基地局サブユニットは、GNSS受信機から追加の同期信号を受信し、追加の同期信号を使用して基地局サブユニットを少なくとも1つのGNSS衛星と時間同期させるように動作する。
【0014】
好ましくは、無線信号は、5G標準信号、ロングタームエボリューション(Long Term Evolution、LTE)標準信号、LTEマシンタイプコミュニケーション(LTE-Machine Type Communication、LTE-M)標準信号、及び狭帯域モノのインターネット(Narrowband Internet of Things、NB-IoT)標準信号のうちの少なくとも1つを含む。
【0015】
好ましくは、UEモデムは、外部基地局を選択し、また、
外部基地局から受信した無線信号の品質レベル、外部基地局によって報告された外部基地局の基地局階層レベル、及び外部基地局によって報告された基地局オペレータIDのうちの少なくとも1つに基づいて外部基地局から受信した無線信号に基づいて少なくとも1つの同期信号を導出するように動作する。
【0016】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、セルラー基地局ユニットが更に提供され、セルラー基地局ユニットは、加入者識別モジュール(SIM)を含まず、少なくとも1つの外部基地局から無線信号を受信し、少なくとも1つの外部基地局から受信した無線信号から少なくとも1つの同期信号を導出するように動作する少なくとも1つのユーザ機器(UE)モデムと、基地局サブユニットであって、少なくとも1つのUEモデムから少なくとも1つの同期信号を受信し、少なくとも1つの同期信号を使用して基地局サブユニットの内部機能を同期させるように動作する、基地局サブユニットとを含む。
【0017】
好ましくは、基地局サブユニットはFDD又はTDDのいずれかである。
【0018】
好ましくは、基地局サブユニットは、5G又はそれ以降の世代の標準基地局サブユニットである。
【0019】
好ましくは、ユニットは、UEモデムと基地局サブユニットとの間の双方向情報交換のための双方向通信プロトコルも含む。
【0020】
好ましくは、同期信号は1pps信号である。
【0021】
本発明の更に別の好ましい実施形態によれば、セルラー基地局ユニットも提供され、セルラー基地局ユニットは、少なくとも1つの外部基地局から無線信号を受信し、少なくとも1つの外部基地局から受信した信号から少なくとも1つの同期信号を導出するように動作する少なくとも1つのユーザ機器(UE)モデムと、基地局サブユニットであって、少なくとも1つのUEモデムから少なくとも1つの同期信号を受信し、少なくとも1つの同期信号を使用して基地局サブユニットの内部機能を同期させるように動作する、基地局サブユニットと、UEモデムと基地局サブユニットとの間の双方向情報交換のための双方向通信プロトコルとを含む。
【0022】
好ましくは、基地局サブユニットは、5G又はそれ以降の世代の基地局サブユニットである。
【0023】
好ましくは、UEモデムは、SIMを含まない。
【0024】
好ましくは、同期信号は1pps信号である。
【0025】
本発明の好ましい実施形態によれば、セルラー基地局ユニットを同期させる方法も提供され、この方法は、前述の実施形態のいずれか1つに従って動作するセルラー基地局ユニットを使用することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明は、図面と併せて以下の詳細な説明から理解されるであろう。
【
図1】無線通信ネットワークに関連して本発明の好ましい実施形態に従って構築され、動作する基地局ユニットの簡略化された部分的なブロック図である。
【
図2】
図1の基地局ユニットの1つの可能な実装の簡略図である。
【
図3】本発明の好ましい実施形態による、
図1及び
図2に示すタイプの基地局ユニットによって使用される通信プロトコルの少なくとも一部を示すスイムレーン図である。
【
図4】
図1及び
図2に示すタイプの基地局ユニットの構成要素間の通信プロトコルを示すスイムレーン図である。
【
図5】本発明の別の好ましい実施形態に従って構築され、動作する基地局ユニットの簡略化された部分的なブロック図である。
【
図6A】本発明の好ましい実施形態による基地局同期方法のステップをそれぞれ示す簡略化されたフローチャートである。
【
図6B】本発明の好ましい実施形態による基地局同期方法のステップをそれぞれ示す簡略化されたフローチャートである。
【
図6C】本発明の好ましい実施形態による基地局同期方法のステップをそれぞれ示す簡略化されたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、
図1を参照する。
図1は、無線通信ネットワークに関連して本発明の好ましい実施形態に従って構築され、動作する基地局ユニットの簡略化された部分的なブロック図である。
【0028】
図1に見られるように、無線セルラー通信ネットワーク102と協働し、その一部を形成するように構成された基地局ユニット100が提供される。基地局ユニット100は、特に好ましくは、様々なユーザ機器(UE)104との間で5G信号を送受信するように構成された第5世代(5G)標準セルラー基地局ユニットである。UE104は、スマートフォン、ラップトップコンピュータ、又は5G通信をサポートできる任意の他のデバイスなど、任意のタイプ及び数のUEであってもよい。本発明の他の実施形態では、基地局ユニット100は5G以降の世代のユニットであってもよく、UE104は5G又はそれ以降の世代の通信をサポートするできる場合がある。
【0029】
基地局ユニット100は、好ましくは、その動作に関与する様々な基地局内部機能及びプロセスを実行するように動作する基地局サブユニット110を含む。単なる例として、基地局サブユニット110は、gNB(Next Generation Node B、次世代ノードB)として、無線ユニット(RU)などの分割gNBの構成要素として、又は基地局100の動作に関与する内部機能若しくはプロセスの少なくとも一部を実行できる任意の他の適切な5G基地局サブユニットとして具現化することができる。一般性の目的で、
図1において、基地局サブユニット110は、「5Gセル」と命名される。
【0030】
基地局100が適切に機能するためには、基地局サブユニット110の様々な内部機能又はプロセスが相互に同期することが重要である。一般に、基地局100などの基地局の同期は、基地局をGNSS衛星信号に同期させることによって達成することができる。しかしながら、特定の状況においては、GNSS衛星信号を使用せずに基地局100を同期させることが必要又は有用である場合がある。例えば、
図2に示すように、基地局100は、基地局100が位置する建物114による信号の遮断又は減衰により、GNSS衛星112からの信号をほとんど又は全く受信しない屋内基地局であってもよい。更に例として、基地局100は、例えば、悪天候又はGNSS妨害を含む様々なあり得る理由のために、GNSS衛星信号を使用して同期することができない屋外基地局であってもよい。
【0031】
本発明の好ましい実施形態の特別な特徴は、基地局サブユニット110が、
図1に示す標準UEモデム120を使用する代替同期方法に基づいて、必ずしもGNSS信号を必要とせずに同期することができることである。UEモデム120を使用して達成される同期は、本明細書では同じ意味で基地局サブユニット110の同期及び基地局100の同期と呼ばれ、広義には基地局100内、特にその基地局サブユニット110内で実行される内部機能又はプロセスの同期を指す。基地局100と基地局サブユニット110の機能の説明を明確にするために、ここではそれらを区別していることを理解されたい。しかしながら、場合によっては、基地局ユニット100は基地局サブユニット110と同じエンティティであってもよく、UEモデム120はその中に組み込まれてもよい。更に、
図1には単一のUEモデム120が示されているが、基地局100は複数のUEモデム120を含んでもよいことを理解されたい。これは、例えば冗長性の利点を提供するために有益である可能性がある。
【0032】
再び
図1を参照すると、UEモデム120は、好ましくは基地局100内に組み込まれ、また基地局サブユニット110と動作可能に通信する。UEモデム120は、例えばUblox(Thalwil,Switzerland)から市販されている任意の標準的なUEモデム又はモジュールであってもよい。UEモデム120は、以下でより詳細に説明するように、加入者識別モジュール(SIM)を含んでもよく、含まなくてもよい。
【0033】
UEモデム120は、好ましくは、基地局100の外部の少なくとも1つの基地局から無線信号を受信するように動作する。ここでは、単なる例として、UEモデム120は、第1の5G基地局122、第2のLTE 4G基地局124、及び第3のLTE-M及び/又はNB-IoT基地局126のうちの1つ以上から無線信号を受信することが示されている。しかしながら、UEモデムは、UEモデム120によって受信可能な信号を送信することができる任意の適切な基地局又は複数の基地局から無線信号を受信することができることを理解されたい。基地局122、124、及び/又は126などの少なくとも1つの外部基地局からUEモデム120によって受信される信号は、一般に無線信号と呼ばれてもよく、ここでは全体的に参照番号130で示される。無線信号130は、5G標準信号、ロングタームエボリューション(LTE)標準信号、LTEマシンタイプコミュニケーション(LTE-M)標準信号、及び狭帯域モノのインターネット(NB-IoT)標準信号のうちの少なくとも1つを含む。
【0034】
UEモデム120は、好ましくは、無線信号130に含まれるPSS及びSSS同期信号などのセル物理層信号を使用して、UEモデム120を、無線信号130を送信する基地局122、124又は126などの基地局に「ロック」し、そして、受信した信号130に基づいて同期信号131を導出するように動作する。特に好ましくは、UEモデム120は、
図1に示すように、無線信号130に基づいて1pps信号を導出するように動作する。
【0035】
本発明の1つの好ましい実施形態では、基地局サブユニット110は、その管理システムから、UEモデム120が外部基地局122、124、及び126のうちのどの1つ又は複数と通信するかを選択すべきであることを示す命令を受信することができる。次に、基地局サブユニット110は、どの1つ又は複数の基地局を選択するかに関してUEモデム120に指示することができる。
【0036】
本発明の別の実施形態では、UEモデム120自体が、通信するのに最適な基地局を選択するためのアルゴリズムを含むことができる。このようなアルゴリズムは、受信信号品質レベル、基地局によって報告された基地局階層レベル、及び公衆陸上移動通信網ID(Public Land Mobile Network Identity、PLMN ID)の形式で基地局によって報告された基地局オペレータIDという属性のうちの1つ以上に基づいて、UEモデム120によって受信可能な無線信号をブロードキャストする利用可能な基地局の中から適切な基地局を選択することができる。例として、UEモデム120は、基地局が最も高い受信信号品質を有するため、基地局が最も高い階層レベルを有するため、又は基地局オペレータIDに基づいて、又は1つ以上の前述の属性若しくは他の関連する属性の組み合わせを反映する任意のメトリックに基づいて、通信するのに最適な外部基地局を選択することができる。UEはまた、基地局の属性に基づいて追加の動作を行うことができる。例えば、UEは、PLMN IDに基づいて追加のタイミングオフセットを適用することができる。
【0037】
UEモデム120は、基地局サブユニット110がFDD(frequency division duplex、周波数分割複信)基地局ユニットであるかTDD(time division duplex、時分割複信)基地局ユニットであるかに応じて、2つの動作モードを有し得る。
【0038】
基地局サブユニット110がTDD基地局ユニットである場合、基地局ユニット110は、外部基地局122、124、及び126のうちの1つ以上に関してタイミングアドバンス手順を開始するようにUEモデム120に指示することができる。UEモデム120を1つ以上の外部基地局に位相同期させる目的で、このようなタイミングアドバンス手順は、UEモデム120と外部基地局との間の物理的距離によるダウンリンク信号の伝播遅延を補償するために必要である。この場合、UEモデムは、1つ以上の外部基地局からタイミングアドバンスを受信することができる。
【0039】
基地局サブユニット110がFDD基地局ユニットである場合、基地局ユニット110は、UEモデム120にタイミングアドバンス手順を開始しないように指示してもよい。なぜなら、このようなタイミングアドバンス計算は、FDDに必要な周波数同期には必要ないからである。この場合、UEモデム120は、外部基地局からタイミングアドバンスを受信することなく同期信号を生成することができる。しかしながら、場合によっては、基地局サブユニット110がFDD基地局ユニットである場合であっても、基地局サブユニット110は、その特定の機能に応じて、UEモデム120にタイミングアドバンス計算手順を開始するように指示し得ることを理解されたい。
【0040】
本発明の1つの好ましい実施形態の特別な特徴は、UEモデム120に加入者識別モジュール(SIM)を含めることを必要とせずに、UEモデム120が外部基地局からタイミングアドバンスを受信することができることである。これは、外部基地局に関してタイミングアドバンス手順を開始するために通常SIMを必要とする従来のUEモデムとは対照的である。このような典型的な無線通信システムでは、基地局と通信してタイミングアドバンスを受信するために、UEモデム120はSIMを含まなければならない。SIMが存在しない場合、そのような通信は無許可として停止され、UEモデムは伝播遅延のためにその時間を修正することができない。
【0041】
しかしながら、有利なことに、本発明の好ましい実施形態では、UEモデム120は必ずしもSIMを含まず、それにもかかわらず、タイミングアドバンス値を受信することができる。これは、本発明において、UEモデムが、タイミングアドバンス値がUEモデムに供給されるまで、基地局122、124、又は126などの基地局との往復通信を可能にするように構成されることによって達成され、その後、そのような通信は停止されても停止されなくてもよい。このようにしてタイミングアドバンス値が取得され、SIMを必要とせずにUEモデムを基地局に位相同期させることが可能になる。しかしながら、いくつかの実施形態では、FDD及びTDDの両方の場合に、UE120がSIMを含んでもよいことを理解されたい。
【0042】
次に
図3を参照すると、SIMを含まないUEモデム120と基地局122、124、又は126などの外部基地局との間の例示的な通信プロトコル132が示されており、通信プロトコル132によってUEモデム120はタイミングアドバンス値を取得することができる。
図3に見られるように、UEモデム120は、最初にランダムアクセスプリアンブルの形式でPRACHメッセージ134を外部基地局に送信することができる。メッセージ134に応答して、基地局122、124、又は126などの外部基地局は、ランダムアクセス応答の形式でPDSCHメッセージ136をUEモデム120に送信することができる。UEモデム120と外部基地局との間のメッセージ134及び136の交換は、UEモデム120がタイミング情報、より具体的にはタイミングアドバンス値を取得できるようにするのに十分である。UEモデム120によるメッセージ136の受信に続いて、UEモデム120は、外部基地局との通信を停止するように構成されてもよい。あるいは、本発明のいくつかの実施形態では、UEモデムは、メッセージ136の受信後、1つ以上の追加メッセージを送信することによって外部基地局との通信を継続することができる。UEモデム120がSIMを含まない結果として、UEモデム120は、特定の加入帯域に限定されるのではなく、任意の利用可能な通信周波数帯域からタイミングアドバンス値を有利に取得できることを理解されたい。
【0043】
SIMを含まない従来のUEモデムは、通常、初期PRACHメッセージ134を送信しないように構成されることを理解されたい。本発明のUEモデムの特別な特徴は、UEモデム120がSIMを含まないにもかかわらず、UEモデム120がPRACHメッセージ134を送信するように構成され、外部基地局がPRACHメッセージ134に応答することである。
【0044】
図1に戻ると、UEモデムと基地局との周波数同期又は位相同期の特定の性質に関係なく、UEモデムは、好ましくは、無線信号130に基づいて1pps信号などの同期信号を導出し、通信プロトコル140を介して同期信号を基地局サブユニット110に提供するように動作する。
【0045】
基地局サブユニット110は、好ましくは、必ずしも外部の原子時計又は時間を参照する必要がなく、UEモデム120から同期信号を受信し、同期信号を使用してその内部機能を同期させるように動作する。
【0046】
本発明の更なる特別な特徴は、本発明のいくつかの実施形態では、基地局サブユニット110が時刻(time of day、ToD)などの外部基準時間表現に合わせられることが好ましい場合があることである。特定の実施形態では、特に基地局100のより複雑な動作の場合、そのような外部基準時間に合わせるのが重要である可能性がある。基地局サブユニット110を外部時間に合わせることは、例として、基地局サブユニット110がネットワークタイムプロトコル(NTP)142から時間を取得することによって達成することができる。
【0047】
本発明の特定の実施形態では、基地局サブユニット110は、UEモデム120に情報又はクエリを提供するように動作することができ、UEモデム120は、情報又はクエリに基づいて機能するように動作することができる。
【0048】
場合によっては、基地局サブユニット110とUEモデム120との間に双方向通信があり得る。例えば、上述したように、これは、基地局サブユニット110がUEモデム120にどの基地局と通信するかを通知するためであってもよく、又は基地局サブユニット110が、外部基地局からタイミングアドバンスを受信する目的で外部基地局との通信を開始するか否かに関してUEモデム120に指示するためであってもよい。基地局サブユニット110とUEモデム120との間の双方向通信は、双方向通信プロトコル140によって促進することができることを理解されたい。双方向通信プロトコル140は、基地局サブユニット110とUEモデム120との間で他の情報を転送するために追加的に又は代替的に使用されてもよい。更に、特定の実施形態では、UEモデム120と基地局サブユニット110との間の双方向通信は必要ではない可能性があり、通信プロトコル140は、UEモデム120から基地局サブユニット110に情報を提供するだけの単一方向プロトコルになるように簡略化することができる。可能な双方向通信プロトコル140の一例が
図4に示されており、これは、ステップ144でUEモデム120がタイミングアドバンスを取得するための要求を含む。
【0049】
次に、
図5を参照する。
図5は、本発明の別の好ましい実施形態に従って構築され、動作する、無線通信ネットワークの環境における基地局ユニットの簡略化された部分的なブロック図である。
【0050】
図5に見られるように、また上述したように、基地局500は、UEモデム120、基地局サブユニット110、及びそれらの間の情報交換を容易にするための通信プロトコル140を含み得る。上記で更に説明し、
図5ではなく
図1に示すように、基地局500は、
図1及び
図2の基地局100と同様に、無線通信ネットワーク120の一部を形成し、外部基地局122、124及び/又は126から無線信号130を受信することができる。基地局500は、一般に、基地局100に関して
図1~
図4を参照して上述した機能の一部又はすべてを含み得る。
【0051】
図5に示す基地局500の実施形態の特別な特徴は、基地局500が好ましくは、衛星510などの少なくとも1つのGNSS衛星からGNSS信号を受信するためのGNSS受信機502を含むことである。従来必要とされているように、GNSS受信機502が少なくとも4つのGNSS衛星からの信号を十分に受信して時間同期信号を生成できる環境で基地局500が使用される場合、基地局500は、GNSS受信機502によって生成された同期信号に基づいて同期されてもよい。
【0052】
基地局500がGNSS衛星からのGNSS信号を十分に受信できない環境で基地局500が使用される場合、基地局500は、GNSS信号に基づいて導出された同期信号に基づくのではなく、UEモデム120によって導出された同期信号に基づいて、上述のように同期を達成することができる。
【0053】
しかしながら、特定の状況では、基地局500は、4つのGNSS衛星からではないが、GNSS衛星510などの少なくとも1つのGNSS衛星からの信号にアクセスすることができる。このような状況下で、基地局500が、衛星510などの単一のGPS衛星のみからの信号の受信に基づいて、GNSS受信機502によって時間同期され得ることが、本発明の好ましい実施形態の特別な特徴である。これは、ネットワーク要素の時間同期を達成するために、通常、少なくとも4つのGNSS衛星との通信を必要とする従来のGNSS時間同期システムとは対照的である。GPS距離ρの計算式には4つの未知のパラメータが存在するため、時間同期には通常、4つのGNSS衛星との通信が必要である。
【0054】
【数1】
式中、x
u、y
u、z
uは特定の衛星位置の3次元座標を表し、この座標は衛星によって送信される信号に符号化され、4つの未知のパラメータは、ネットワーク要素jの緯度x
j、経度y
j、高さz
j、及び受信機時間オフセットct
uである。
【0055】
本発明の好ましい実施形態によれば、受信機時間オフセットctuを求め、4つの衛星ではなく、単一のGNSS衛星のみとの通信に基づいて受信機502を時間同期させるために、UEモデム120の位置の3次元座標をGNNS受信機502に供給することによって、GPS距離計算式(1)を解くことができ、その結果、式(1)で解くべき未知数が1つだけになる。
【0056】
本実施形態では、UEモデム120の地理的位置は、当技術分野で周知のように、三角測量技術に基づいて確認することができる。当技術分野で周知のように、外部の基地局から受信した信号130などの無線信号の特性に基づいて、UEモデム120の位置を計算することができ、この位置は、UEモデム120が位置する基地局500の地理的位置に対応する。UEモデム120の地理的位置は、3座標の地理的位置であってもよい。
【0057】
本発明の1つの好ましい実施形態では、UEモデム120は、三角測量技術を使用して、位置データベース(DB)サーバ520に、UEモデム120の位置を計算するように要求することができる。DBサーバ520は好ましくは、UEモデム120に通信可能に接続される。DBサーバ520は更に、GNSS受信機502に通信可能に接続されてもよい。
【0058】
DBサーバ520に格納された基地局500の位置は、UEモデム120に提供されてもよく、UEモデム120は、その位置をGNSS受信機502に供給する。あるいは、DBサーバ520は、UEモデム120の位置をGNSS受信機502に直接供給してもよい。基地局500の、好ましくは3座標の地理的位置及び単一のGNSS衛星からの信号の提供は、好ましくは、GNSS受信機502がGNSS衛星510の原子時計に時間同期できるようにするのに十分である。基地局500は、GNSS受信機502とUEモデム120の両方を含んでもよい。基地局サブユニット110は、GNSS受信機502が、例えば通信プロトコル140を介して基地局サブユニット110に同期信号を提供できない場合に、UEモデム120に同期信号を提供するように指示することができる。
【0059】
3座標の地理的位置と、衛星510などの単一のGNSS衛星のみからの信号の提供に基づくGNSS受信機の同期については、米国特許出願第16/748,053号に更に記載されており、当該出願は参照により完全に本明細書に組み込まれ、本出願と同じ譲受人に譲渡されている。
【0060】
次に
図6A、
図6B及び
図6Cを参照する。これらは、本発明の好ましい実施形態による基地局同期方法のステップをそれぞれ示す簡略化されたフローチャートである。
図6Aに見られるように、同期プロセス600は、ステップ602で開始することができ、このステップにおいて、少なくとも1つの無線信号が、5G基地局に位置する少なくとも1つのUEモデムによって受信される。更なるステップ604に見られるように、UEモデムは、無線信号から同期タイミング情報を生成することができ、それに基づいて同期信号を生成することができる。次に
図6B及び
図6Cを参照すると、基地局サブユニットのTDD方式(
図6B)及びFDD方式(
図6C)の場合の同期信号の生成が示されている。
【0061】
図6Bに示すTDD方式の場合、ステップ606に見られるように、基地局サブユニットは、UEモデムにタイミングアドバンス手順を開始するように指示することができる。ステップ608に見られるように、UEモデムは、UEモデムがSIMを含むか否かに関係なく、少なくとも1つの外部基地局との通信に基づいてタイミングアドバンス手順を開始することができ、また、外部基地局からタイミングアドバンスを受信することができる。次に、ステップ610に見られるように、UEモデムは同期信号を生成することができる。
【0062】
図6Cに示すFDD方式の場合、ステップ620に見られるように、基地局サブユニットは、UEモデムにタイミングアドバンス手順を開始しないように指示することができる。次に、ステップ622に見られるように、UEモデムは同期信号を生成することができる。
【0063】
同期信号は、FDD及びTDD方式の両方において、1pps信号、又は10MHz信号、2MHz信号、若しくは任意の他の適切な高周波信号などの任意の他の適切な同期信号であってもよい。
【0064】
図6Aに戻ると、同期信号の生成に続いて、ステップ630に見られるように、UEモデムによって生成された同期信号は基地局に、より具体的には基地局に含まれる基地局サブユニットに提供されてもよい。基地局サブユニットは好ましくは、基地局内で同期を必要とする様々な機能及びプロセスを実行する役割を果たす。更なるステップ632に見られるように、基地局サブユニットは、そこに供給された同期信号に基づいて、その内部機能を同期させることができる。
【0065】
当業者には、本発明が上記に記載されたものに限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明は、上述の特徴の組み合わせ及び部分組み合わせの両方、並びに従来技術にはないその修正を含む。
【国際調査報告】