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特表2024-504423ワークピースをレーザ加工するための装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】ワークピースをレーザ加工するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/064 20140101AFI20240124BHJP
【FI】
B23K26/064 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544698
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2021087159
(87)【国際公開番号】W WO2022161710
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】102021101598.7
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506065105
【氏名又は名称】トルンプフ レーザー- ウント ジュステームテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】TRUMPF Laser- und Systemtechnik GmbH
【住所又は居所原語表記】Johann-Maus-Strasse 2, D-71254 Ditzingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル フラム
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル イェンネ
(72)【発明者】
【氏名】ヘニング ハイミング
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD02
4E168DA02
4E168DA03
4E168DA04
4E168DA33
4E168DA43
4E168DA60
4E168EA05
4E168EA13
(57)【要約】
本発明は、ワークピース(70)をレーザ加工するための装置に関し、装置は、ビーム成形デバイス(16,16’)に入射する入力レーザビーム(14)から焦点ゾーン(18)を形成するためのビーム成形デバイス(16,16’)と、焦点ゾーン(18)をワークピース(70)の材料(72)内に結像するためのテレスコープデバイス(34,34’)と、を備え、ビーム成形デバイス(16,16’)は、焦点ゾーン(18)が少なくとも特定の部分において湾曲している長手方向中心軸(40)に沿って延び、且つ焦点ゾーン(18)が長手方向中心軸(40)に対して垂直に配向された平面において非対称な断面を有するように、入力レーザビーム(14)のビーム断面上に位相を付与するために使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース(70)をレーザ加工するための装置であって、ビーム成形デバイス(16,16’)に入射する入力レーザビーム(14)から焦点ゾーン(18)を形成するための前記ビーム成形デバイス(16,16’)と、前記焦点ゾーン(18)を前記ワークピース(70)の材料(72)内に結像させるためのテレスコープデバイス(34,34’)と、を備え、前記ビーム成形デバイス(16,16’)が、前記焦点ゾーン(18)が少なくとも特定の部分において湾曲している長手方向中心軸(40)に沿って延びるように、前記入力レーザビーム(14)のビーム断面上に位相を付与するために使用され、前記テレスコープデバイス(34,34’)が、前記ビーム成形デバイス(16,16’)から出力結合された部分ビーム(24)を、その各々が少なくとも2つの異なる偏光状態のうちの1つを有する複数の偏光部分ビーム(54a,54b)に分割するためのビーム分割デバイス(46)を割り当てられ、前記ビーム分割デバイス(46)を有するテレスコープデバイス(34,34’)が、前記偏光部分ビーム(54a,54b)を、第1の偏光状態を有する第1の部分ビーム(54a)の第1の部分焦点ゾーン(58a)及び第2の偏光状態を有する第2の部分ビーム(54b)の第2の部分焦点ゾーン(58b)に集束するように設計されており、その結果、少なくとも特定の部分における前記焦点ゾーン(18)が、前記第1の部分焦点ゾーン(58a)と前記第2の部分焦点ゾーン(58b)との空間オーバーラップによって形成され、前記焦点ゾーン(18)が、前記長手方向中心軸(40)に対して垂直に配向された平面において非対称な断面を有する、装置において、前記ビーム分割デバイス(46)が複屈折偏光要素(62)を有し、これにより、前記ビーム分割デバイス(46)から出力結合された前記第1の部分ビーム(54a)と前記第2の部分ビーム(54b)との間に空間オフセット(Δx)及び角度オフセット(Δα)の両方が作成され、前記ビーム分割デバイスから(46)出力結合された前記第1の部分ビーム(54a)が、前記テレスコープデバイス(34,34’)の光軸(56)に対して平行に配向されている、ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記第1の部分焦点ゾーン(58a)が第1の長手方向中心軸(60a)に沿って延び、前記第2の部分焦点ゾーン(58b)が第2の長手方向中心軸(60b)に沿って延び、前記第1の長手方向中心軸(60a)及び前記第2の長手方向中心軸(60b)が各々、少なくとも特定の部分において湾曲した形状を有する、ことを特徴とし、特に、前記第1の長手方向中心軸(60a)及び前記第2の長手方向中心軸(60b)が、前記第1の長手方向中心軸(60a)及び/又は前記第2の長手方向中心軸(60b)に対して垂直に配向された方向において空間オフセット(Δb)を有する、ことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の部分ビーム(54a)及び前記第2の部分ビーム(54b)が、互いに対してインコヒーレントであり、並びに/又は前記第1の部分ビーム(54a)及び前記第2の部分ビーム(54b)が、互いに固定された位相関係を有しない、ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記ビーム分割デバイス(46)が、前記テレスコープデバイス(34,34’)の遠視野領域(48)内に配置され、及び/又は前記ビーム分割デバイス(46)が、前記テレスコープデバイス(34,34’)の少なくともほぼ焦点面(50)に配置されている、ことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記ビーム分割デバイス(46)が、ビーム分割器光学ユニット、特に偏光ビーム分割器光学ユニットであるか、若しくはそれを備え、及び/又は前記ビーム分割デバイス(46)が、少なくとも1つの複屈折要素、特に少なくとも1つの複屈折ウェッジ要素を有する、ことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記ビーム分割デバイス(46)が、入射ビーム(52)を異なる偏光状態を有するそれぞれの異なる部分ビーム(54a,54b)に分割するために使用され、前記ビーム分割デバイス(46)から出力結合され、且つ異なる偏光状態を有する部分ビーム(54a,54b)が、角度オフセット(Δα)を有する、ことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも特定の部分における前記焦点ゾーン(18)の前記長手方向中心軸(40)が、少なくとも50μm及び/若しくは最大100mmの曲率半径を有し、並びに/又は前記焦点ゾーン(18)の前記長手方向中心軸(40)が、少なくとも200μm及び/若しくは最大2mmの平均曲率半径を有し、並びに/又は前記焦点ゾーン(18)が、少なくとも50μm及び/若しくは最大20mm、特に少なくとも500μm及び/若しくは最大2mmの長さを有する、ことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記焦点ゾーン(18)が、準非回折性及び/又はベッセル状ビームプロファイルを有する、ことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記焦点ゾーン(18)が、前記焦点ゾーン(18)の前記長手方向中心軸(40)に対して垂直に配向された平面において楕円形の断面を有する、ことを特徴とし、特に、前記焦点ゾーン(18)の断面楕円の最大直径(dx,dy)が、前記ワークピース(70)が前記焦点ゾーン(18)に対して移動して加工線(74)及び/又は加工面を形成する前進方向(86)に対して少なくともほぼ平行に整列されている、ことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記入力レーザビーム(14)を提供するためのレーザ源(12)を備え、特にパルスレーザビーム又は超短パルスレーザビームが前記レーザ源(12)によって提供される、ことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記ビーム成形デバイス(16,16’)のビーム出口面(22)上で出力結合された部分ビーム(24)の位相分布が非対称であり、及び/又は回転対称ではない、ことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
ワークピース(70)をレーザ加工するための方法であって、その過程において、ビーム成形デバイス(16,16’)が、前記ビーム成形デバイス(16,16’)に入射する入力レーザビーム(14)から焦点ゾーン(18)を形成するために使用され、前記焦点ゾーン(18)が、テレスコープデバイス(34,34’)によって前記ワークピース(70)の材料(72)内に結像されるか又は結像され得、前記ビーム成形デバイス(16,16’)が、前記焦点ゾーン(18)が少なくとも特定の部分において湾曲している長手方向中心軸(40)に沿って延びるように、前記入力レーザビーム(14)のビーム断面上に位相を付与するために使用され、前記テレスコープデバイス(34,34’)に割り当てられたビーム分割デバイス(46)が、前記ビーム成形デバイス(16,16’)から出力結合された部分ビーム(24)を、その各々が少なくとも2つの異なる偏光状態のうちの1つを有する複数の偏光部分ビーム(54a,54b)に分割するために使用され、前記偏光部分ビーム(54a,54b)が、第1の偏光状態を有する第1の部分ビーム(54a)の第1の部分焦点ゾーン(58a)及び第2の偏光状態を有する第2の部分ビーム(54b)の第2の部分焦点ゾーン(58b)内に集束され、その結果、少なくとも特定の部分における前記焦点ゾーン(18)が、前記第1の部分焦点ゾーン(58a)と前記第2の部分焦点ゾーン(58b)との空間オーバーラップによって形成され、前記焦点ゾーン(18)が、前記長手方向中心軸(40)に対して垂直に配向された平面において非対称な断面を有する、方法において、前記ビーム分割デバイス(46)が複屈折偏光要素(62)を有し、これにより、前記ビーム分割デバイス(46)から出力結合された前記第1の部分ビーム(54a)と前記第2の部分ビーム(54b)との間に空間オフセット(Δx)及び角度オフセット(Δα)の両方が作成され、前記ビーム分割デバイスから(46)出力結合された前記第1の部分ビーム(54a)が、前記テレスコープデバイス(34,34’)の光軸(56)に対して平行に配向されている、ことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークピースをレーザ加工するための装置に関する。
【0002】
本発明はまた、ワークピースをレーザ加工するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(特許文献1)は、透明な材料をレーザ加工するための方法を開示しており、その過程において、レーザパルスのバーストを含むレーザビームが提供され、且つレーザビームのパルスが集束され、この集束は、透明材料の外側の位置にビームウェストを形成するために、透明材料内でレーザビームの長手軸に沿って分散焦点を生成するために、付随収差を有する1つ以上の光学要素によって実施され、集束されたレーザビームは、透明材料内で連続レーザフィラメントを形成して維持するための十分なエネルギー密度を有し、連続レーザフィラメントに沿って与えられたレーザエネルギーが材料の内部修正をもたらし、内部修正は連続フィラメントによって画定される形状を有する。
【0004】
(特許文献2)は、レーザを使用してガラス基材の縁部を開先及び/又は面取りするための方法を開示している。
【0005】
(特許文献3)は、ガウスビームに基づく異なる光パターンによって面取りされた角部を形成するための切断方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第2859984B1号明細書
【特許文献2】米国特許第10,173,916B2号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2020/0147729A1号明細書
【特許文献4】独国特許出願第102020207715.0号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】“Structured Light Fields:Applications in Optical Trapping,Manipulation and Organisation”,M.Woerdemann,Springer Science & Business Media(2012),ISBN 978-3-642-29322-1
【非特許文献2】“Bessel-like optical beams with arbitrary trajectories”I.Chremmos et al.,Optics Letters,Vol.37,no.23,1 December 2012
【非特許文献3】“Generalized axicon-based generation of nondiffracting beams”K.Chen et al.,arXiv:1911.03103v1[physics.optics],8 November 2019
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、導入部で述べた装置を提供する目的に基づき、その装置によって、技術的に簡単な方法で湾曲した加工線に沿ってワークピースをレーザ加工することが可能である。
【0009】
この目的は、導入部で述べた装置の場合における本発明に従って達成され、装置は、ビーム成形デバイスに入射する入力レーザビームから焦点ゾーンを形成するためのビーム成形デバイスと、焦点ゾーンをワークピースの材料内に結像するためのテレスコープデバイスとを備え、ビーム成形デバイスは、焦点ゾーンが少なくとも特定の部分において湾曲している長手方向中心軸に沿って延び、且つ焦点ゾーンが長手方向中心軸に対して垂直に配向された平面において非対称な断面を有するように、入力レーザビームのビーム断面上に位相を付与するために使用される。
【0010】
ビーム成形デバイスは、技術的に簡単な方法で、且つ少ない構成要素で、入力レーザビームのビーム断面上に対応して位相を付与することによって、言及された焦点ゾーンを実現することを可能にする。
【0011】
特に、焦点ゾーンは、相互作用領域を形成し、この相互作用領域をワークピースの材料に適用することにより、局所的な材料修正を形成することを可能にし、特に材料を分離することを可能にする。
【0012】
焦点ゾーンは、少なくとも特定の部分において湾曲している長手方向中心軸に沿って延びているため、例えば、少なくとも特定の部分において湾曲している領域を、単一のパスで、及び/又は光学ユニットを使用することなく、ワークピースに対して加工することが可能である。これにより、例えば、ワークピース上の丸みを帯びた領域を修正し、及び/又はワークピースからそれを分離することを可能にする。例えば、その結果、ワークピースの縁部領域を丸めることが可能になる。
【0013】
焦点ゾーンの非対称な断面により、前進方向において互いに隣接している修正領域間のクラックの形成を制御及び/又は最適化することが可能になる。特に、隣接している修正領域間の最短接続線に対して少なくともほぼ平行にクラックを配置することが可能になる。これにより、ワークピースの最適な分離を実現することが可能になる。
【0014】
特に、ビーム成形デバイスのビーム出口面上で出力結合された部分ビームの位相分布が非連続であり、及び/又は不連続点を有してもよい。これにより、出力結合された部分ビームの干渉、特に完全に建設的な干渉ではない干渉によって、非対称な断面を有する焦点ゾーンを形成することが可能になる。
【0015】
非対称な断面は、特に、ビームの直径及び/又は焦点ゾーンの直径がx方向及びy方向において異なる直径を有することを意味すると理解され、x方向及びy方向は、特に、互いに対して垂直に配向され、及び/又はビーム伝搬方向に対して垂直に配向された平面内に存在する。
【0016】
焦点ゾーンの長さ及び/又は直径などの焦点ゾーンの空間的寸法を判定するために、焦点ゾーンは、判定された強度閾値超の強度値のみを有する修正強度分布で観察され、強度閾値は、特に、実際の強度分布の全体強度最大値の50%である。焦点ゾーンの長さ、又は焦点ゾーンの直径は、修正強度分布に基づいて採用された、焦点ゾーンの長手方向中心軸に沿った、又は長手方向中心軸に対して垂直に配向された平面における、焦点ゾーンの範囲の最大長さ及び/又は最大範囲の長さを意味すると理解される。
【0017】
特に、焦点ゾーンの長手方向中心軸は、湾曲し、及び/又は連続的に湾曲し、及び/又は焦点ゾーンの全長にわたって湾曲している。
【0018】
導入部で述べた目的はまた、導入部で述べた装置の場合における本発明に従って達成され、装置は、ビーム成形デバイスに入射する入力レーザビームから焦点ゾーンを形成するためのビーム成形デバイスと、焦点ゾーンをワークピースの材料内に結像させるために使用されるテレスコープデバイスとを備え、ビーム成形デバイスは、焦点ゾーンが少なくとも特定の部分において湾曲している長手方向中心軸に沿って延びるように、入力レーザビームのビーム断面上に位相を付与するために使用され、テレスコープデバイスは、ビーム成形デバイスから出力結合された部分ビームを、その各々が少なくとも2つの異なる偏光状態のうちの1つを有する複数の偏光部分ビームに分割するためのビーム分割デバイスを割り当てられ、ビーム分割デバイスを有するテレスコープデバイスは、偏光部分ビームを、第1の偏光状態を有する第1の部分ビームの第1の部分焦点ゾーン及び第2の偏光状態を有する第2の部分ビームの第2の部分焦点ゾーン内に集束するように設計されており、その結果、少なくとも特定の部分における焦点ゾーンは、第1の部分焦点ゾーンと第2の部分焦点ゾーンとの空間オーバーラップによって形成され、焦点ゾーンは、長手方向中心軸に対して垂直に配向された平面において非対称な断面を有する。
【0019】
本発明のこの変形例では、焦点ゾーンの非対称な断面は、ビーム分割デバイスを使用してビームを分割することによって実現される。その結果、焦点ゾーンは、特に、第1の偏光状態を有する第1の部分ビームと第2の偏光状態を有する第2の部分ビームとのインコヒーレントなオーバーラップ及び/又は重ね合わせによって形成される。
【0020】
3つ以上の異なる偏光状態を有する部分ビームがビーム分割デバイスによって形成されること、及び/又は焦点ゾーンが3つ以上の異なる部分焦点ゾーンから形成されることもまた、原理的に可能である。
【0021】
オーバーラップとは、特に少なくとも部分空間オーバーレイを意味し、これは特に、第1の部分焦点ゾーンと第2の部分焦点ゾーンとの強度の加算のために使用されると理解される。
【0022】
異なる偏光状態を有する部分ビームは、特に、第1の偏光状態を有する第1の部分ビーム及び第2の偏光状態を有する第2の部分ビームの偏光方向が互いに対して90°の角度で整列している、直線偏光部分ビームを意味すると理解される。
【0023】
特に、少なくとも特定の部分における焦点ゾーンが、第1の部分焦点ゾーンの空間強度分布と第2の部分焦点ゾーンの空間強度分布とのオーバーラップによって形成されてもよい。これにより、技術的に簡単な方法で、非対称な断面を有する焦点ゾーンを形成することが可能になる。
【0024】
原理的には、第1の部分焦点ゾーンと第2の部分焦点ゾーンとの空間オーバーラップによって焦点ゾーンが完全に形成されることもまた可能である。
【0025】
第1の部分焦点ゾーンが第1の長手方向中心軸に沿って延び、第2の部分焦点ゾーンが第2の長手方向中心軸に沿って延び、第1の長手方向中心軸及び第2の長手方向中心軸が各々、少なくとも特定の部分において湾曲した形態を有する場合、好都合であり得る。これにより、湾曲した形状及び非対称な断面を有する焦点ゾーンを形成することが可能になる。
【0026】
同じ理由で、第1の長手方向中心軸及び第2の長手方向中心軸が、第1の長手方向中心軸及び/又は第2の長手方向中心軸に対して垂直に配向された方向において空間オフセットを有する場合、好都合であり得る。
【0027】
同じ理由で、第1の長手方向中心軸及び第2の長手方向中心軸が、少なくとも互いに対してほぼ平行に走る場合、好都合であり得る。
【0028】
特に、第1の部分ビーム及び第2の部分ビームが互いに対してインコヒーレントであってもよく、並びに/又は第1の部分ビーム及び第2の部分ビームが互いに固定された位相関係を有しなくてもよい。その結果、焦点ゾーンは、特に、第1の部分ビーム及び第2の部分ビームのインコヒーレントなオーバーラップ及び/又は重ね合わせによって形成される。
【0029】
特に、ビーム分割デバイスがテレスコープデバイスの遠視野領域内に配置されてもよく、及び/又はビーム分割デバイスがテレスコープデバイスの少なくともほぼ焦点面に配置されてもよい。その結果、ビーム分割デバイスは、技術的に簡単な方法でテレスコープデバイスに統合され得る。
【0030】
遠視野領域とは、特に、テレスコープデバイスの光軸の周りに環状の強度分布が存在する、テレスコープデバイスのビーム経路内の領域を意味すると理解される。
【0031】
特に、テレスコープデバイスは、第1のレンズ要素と、ビーム伝搬方向において第1のレンズ要素から間隔をあけて配置された第2のレンズ要素とを有し、ビーム分割デバイスが第1のレンズ要素と第2のレンズ要素との間に配置され、並びに/又はビーム分割デバイスが少なくとも第1のレンズ要素及び/若しくは第2のレンズ要素のほぼ焦点面に配置されてもよい。
【0032】
特に、ビーム分割デバイスは、ビーム分割器光学ユニット、特に偏光ビーム分割器光学ユニットであるか、又はそれを含んでもよい。例えば、ビーム分割器光学ユニットは、水晶結晶から製造されるか、水晶を含む。
【0033】
例えば、ビーム分割器デバイスは、少なくとも1つの複屈折要素、特に少なくとも1つの複屈折ウェッジ要素を有する。
【0034】
ビーム分割デバイスが複屈折偏光要素を有すると有利であり得、これにより、ビーム分割デバイスから出力結合された第1の部分ビームと第2の部分ビームの間に空間オフセット及び角度オフセットの両方が作成される。
【0035】
特に、ビーム分割デバイスは、等方性要素又は更なる複屈折偏光要素などの、長手方向において複屈折偏光要素の下流に配置された更なる光学要素を含む。
【0036】
特に、更なる光学要素は、ビーム分割デバイスから出力結合された第1の部分ビームと第2の部分ビームとの間の空間オフセット及び/又は角度オフセットを修正するように設計される。
【0037】
好ましくは、更なる光学要素は、第1の部分ビームをテレスコープデバイスの光軸に対して平行に整列するように構成される。
【0038】
ビーム分割デバイスが入射ビームを異なる偏光状態を有するそれぞれの異なる部分ビームに分割するために使用され、ビーム分割デバイスから出力結合され、且つ異なる偏光状態を有する部分ビームが、角度オフセットを有する場合、有利であり得る。部分ビームがテレスコープデバイスによって結像された後、角度オフセットは、異なる偏光状態を有する部分ビームの空間オフセットをもたらす。
【0039】
特に、ビーム分割デバイスから出力結合され、且つ第1の偏光状態を有する第1の部分ビームが、テレスコープデバイスの光軸に対して平行に配向されてもよい。この結果、調整の複雑さが低減される。
【0040】
特に本発明による装置の2つの上述の変形例は、各々、以下に説明する特徴及び/又は利点のうちの1つ以上を有する。
【0041】
特に、焦点ゾーン及び/又は焦点ゾーンに割り当てられた中間像は、ビーム成形デバイスから出力結合された部分ビームの干渉、特に特定の部分において建設的な干渉によって形成されてもよい。
【0042】
特に、テレスコープデバイスは、第1のレンズ要素と、ビーム伝搬方向において第1のレンズ要素から間隔をあけて配置された第2のレンズ要素とを有し、第1のレンズ要素は、テレスコープデバイスへのビームの入力結合に使用され、及び/又は第2のレンズ要素は、テレスコープデバイスからのビームの出力結合に使用されてもよい。
【0043】
特に、テレスコープデバイスは、第1のレンズ要素と、ビーム伝搬方向において第1のレンズ要素から間隔をあけて配置された第2のレンズ要素とを有し、第1のレンズ要素は、第2のレンズ要素よりも大きな焦点幅を有してもよい。
【0044】
一実施形態では、テレスコープデバイスの第1のレンズ要素は、ビーム成形デバイスに統合されるか、ビーム成形デバイス上に配置される。特に、第1のレンズ要素の機能は、ビーム成形デバイスに統合される。
【0045】
特に、少なくとも特定の部分における焦点ゾーンの長手方向中心軸は、少なくとも50μm及び/若しくは最大100mmの曲率半径を有し、並びに/又は焦点ゾーンの長手方向中心軸は、少なくとも200μm及び/若しくは最大2mmの平均曲率半径を有する。
【0046】
例えば、焦点ゾーン及び/又は焦点ゾーンの長手方向中心軸は、U字形状及び/又はC字形状及び/又は双曲線形状を有する。
【0047】
特に、焦点ゾーン及び/又は焦点ゾーンの長手方向中心軸は、少なくともほぼ円弧状部分に沿って延びてもよい。
【0048】
例えば、円弧状部分の中心点角度は、少なくとも1°及び/又は最大90°である。
【0049】
例えば、焦点ゾーン及び/又は焦点ゾーンの長手方向中心軸は、少なくとも特定の部分において1/4円に沿って延びる。
【0050】
特に、焦点ゾーンは、空間的に連続した設計を有してもよい。特に、第1の部分焦点ゾーン及び/又は第2の部分焦点ゾーンは、空間的に連続した設計を有する。
【0051】
特に、焦点ゾーン及び/又は焦点ゾーンの長手方向中心軸は、連続的及び/又は微分可能な形状を有する。特に、焦点ゾーン及び/又は長手方向中心軸は、破断点及び/又は不連続点を有しない。
【0052】
特に、焦点ゾーンは、線状の及び/又は細長い及び/又は長い形態を有する。
【0053】
例えば、焦点ゾーンの長さは、焦点ゾーンの最大直径の10倍超、特に50倍超である。
【0054】
特に、焦点ゾーンは、少なくとも50μm及び/又は最大20mm、特に少なくとも500μm及び/又は最大2mmの長さを有してもよい。
【0055】
特に、焦点ゾーンの最大直径は、少なくとも500nm及び/又は最大5μmであってもよい。
【0056】
焦点ゾーンの長手方向中心軸に対して垂直に配向された平面における焦点ゾーンの最大直径が、長手方向中心軸に沿って少なくともほぼ一定である場合、好都合であり得る。これにより、焦点ゾーンの長さにわたって材料のほぼ均一な加工を達成することが可能になる。
【0057】
準非回折性及び/又はベッセル状ビームが生成され得、又はビーム成形デバイスによって生成され得る場合、有利であり得る。その結果、特に、長手方向において少なくともほぼ一定である横断方向の強度分布を有する焦点ゾーンが提供され、横断強度分布は、焦点ゾーンの長手方向中心軸に対して垂直に配向された平面における強度分布を意味すると理解される。
【0058】
特に、焦点ゾーンは、準非回折性及び/又はベッセル状ビームプロファイルを有する。
【0059】
準非回折ビーム及び/又はベッセル状ビームは、特に、横断方向の強度分布が伝搬不変であるビームを意味すると理解されるべきである。特に、準非回折ビーム及び/又はベッセル状ビームの場合、ビームの長手方向及び/又はビーム伝搬方向における横断方向の強度分布は、実質的に一定である。
【0060】
横断方向の強度分布は、ビームの長手方向及び/又はビーム伝搬方向に対して垂直に配向された平面内に位置する強度分布を意味すると理解されるべきである。
【0061】
準非回折ビームの定義及び特性に関しては、以下の文献を参照されたい:(非特許文献1)。
【0062】
湾曲した形状を有する準非回折性及び/又はベッセル状ビームの形成及び特性に関しては、I.Chremmosらによる、科学出版物(非特許文献2)で言及されている。
【0063】
非対称な断面を有する準非回折性及び/又はベッセル状ビームの形成及び特性に関しては、K.Chenらによる、科学出版物(非特許文献3)で言及されている。
【0064】
特に、焦点ゾーンは、焦点ゾーンの長手方向中心軸に対して垂直に配向された平面において楕円形の断面を有してもよい。これにより、特に、ワークピースのレーザ加工中に形成されるクラックの形成及び/又は配向を制御することが可能になる。
【0065】
同じ理由で、焦点ゾーンの断面楕円の最大直径が、ワークピースが焦点ゾーンに対して移動して加工線及び/又は加工面を形成する前進方向に対して少なくともほぼ平行に整列される場合、有利であり得る。その結果、特にレーザ加工中に形成されるクラックは、前進方向に対して少なくともほぼ平行に配向される。
【0066】
特に、焦点ゾーンの中間像がビーム成形デバイスによって形成され、焦点ゾーンがテレスコープデバイスによって中間像を結像することによって形成される場合、有利であり得る。テレスコープデバイスは、特に使用に基づいて焦点ゾーンの長さを適合させるために使用することができる。
【0067】
特に、ビーム伝搬方向において、中間像は、ビーム成形デバイスと、テレスコープデバイスからのビームを出力結合するための第2のレンズ要素との間、及び/又はビーム成形デバイスと、ビーム成形デバイスから出力結合された部分ビームを複数の偏光部分ビームに分割するビーム分割デバイスとの間に配置されてもよい。
【0068】
ビーム成形デバイス及び/又はビーム分割デバイスがテレスコープデバイスの光軸に対して、特にテレスコープデバイスの光軸の周りで回転可能である場合、有利であり得る。これにより、ワークピースに対する焦点ゾーンの整列を適合させることが可能になる。
【0069】
特に、装置は、入力レーザビームを提供するためのレーザ源を備え、特にパルスレーザビーム又は超短パルスレーザビームが、レーザ源によって提供されてもよい。
【0070】
例えば、入力レーザビームの波長は、少なくとも300nm及び/又は最大1500nmである。例えば、波長は、515nm又は1030nmである。
【0071】
特に、加工ビームは、少なくとも1W~1kWの平均出力を有する。例えば、加工ビームは、少なくとも10μJ及び/又は最大50mJのパルスエネルギーを有するパルスを含む。加工ビームが個々のパルス又はバーストを含み、バーストが2~20個のサブパルスを有し、特に約20nsの時間間隔を有してもよい。
【0072】
ビーム成形デバイスが少なくとも1つの回折光学要素を有するか、又は回折光学要素の形態である場合、有利であり得る。
【0073】
原理的には、ビーム成形デバイスが屈折及び/又は反射光学要素の形態であることもまた可能である。
【0074】
例えば、ビーム成形デバイスは、アキシコン状要素であるか、又はアキシコン状要素を含む。
【0075】
ビーム成形デバイスのビーム出口面上で出力結合された部分ビームの位相分布が非対称であり、及び/又は回転対称ではない場合、有利であり得る。特に、位相分布は、入力レーザビームのビーム軸に対して、及び/又はビーム成形デバイスの光軸に対して、非対称であり、及び/又は回転対称ではない。これにより、例えば、湾曲したベッセル状ビーム及び/又は加速されたベッセル状ビームの形態で、焦点ゾーンを生成することが可能になる。
【0076】
装置が、ビーム成形デバイスに入射する入力レーザビームの直径を制御するための更なるテレスコープデバイスを含む場合、好都合であり得る。これにより、焦点ゾーンの長さを制御及び/又は調節することが可能になる。
【0077】
例えば、更なるテレスコープデバイスは、ビーム伝搬方向においてビーム成形デバイスの上流に配置される。
【0078】
本発明によれば、ワークピースをレーザ加工するための方法が提供され、その過程において、ビーム成形デバイスは、ビーム成形デバイスに入射する入力レーザビームから焦点ゾーンを形成するために使用され、焦点ゾーンは、テレスコープデバイスによってワークピースの材料内に結像されるか又は結像され得、ビーム成形デバイスは、焦点ゾーンが少なくとも特定の部分において湾曲している長手方向中心軸に沿って延び、且つ焦点ゾーンが長手方向中心軸に対して垂直に配向された平面において非対称な断面を有するように、入力レーザビームのビーム断面上に位相を付与するために使用される。
【0079】
本発明によれば、ワークピースをレーザ加工するための更なる方法が提供され、その過程において、ビーム成形デバイスは、ビーム成形デバイスに入射する入力レーザビームから焦点ゾーンを形成するために使用され、焦点ゾーンは、テレスコープデバイスによってワークピースの材料内に結像されるか又は結像され得、ビーム成形デバイスは、焦点ゾーンが少なくとも特定の部分において湾曲している長手方向中心軸に沿って延びるように、入力レーザビームのビーム断面上に位相を付与するために使用され、テレスコープデバイスに割り当てられたビーム分割デバイスは、ビーム成形デバイスから出力結合された部分ビームを、その各々が少なくとも2つの異なる偏光状態のうちの1つを有する複数の偏光部分ビームに分割するために使用され、偏光部分ビームは、第1の偏光状態を有する第1の部分ビームの第1の部分焦点ゾーン及び第2の偏光状態を有する第2の部分ビームの第2の部分焦点ゾーン内に集束され、その結果、少なくとも特定の部分における焦点ゾーンは、第1の部分焦点ゾーンと第2の部分焦点ゾーンとの空間オーバーラップによって形成され、焦点ゾーンは、長手方向中心軸に対して垂直に配向された平面において非対称な断面を有する。
【0080】
本発明による方法は、特に、上述した本発明による装置の1つ以上の特徴及び/又は利点を有する。本発明による方法の有利な構成は、本発明による装置と関連付けて既に説明した通りである。
【0081】
特に、ワークピースは、入力レーザビームの波長及び/又は入力レーザビームから形成される焦点ゾーンの波長に対して透明である材料から製造され、及び/又はその材料を含んでもよい。ワークピースの材料は、例えば、ガラスであり、又はガラスを含む。
【0082】
透明な材料とは、特に、加工ビームのレーザエネルギーの少なくとも70%、特に少なくとも80%、特に少なくとも90%が透過される材料を意味すると理解される。
【0083】
特に、焦点ゾーンは、レーザ加工を実施するためにワークピースに適用され、特に、ワークピースが、加工線又は加工面に沿って焦点ゾーンに対して相対的に移動されてもよい。これにより、加工線又は加工面に沿って配置されるワークピースの材料修正を形成することが可能になる。
【0084】
特に、レーザ加工が実施された後に、ワークピースが加工線及び/又は加工面に沿って分離され得るか又は分離されてもよい。
【0085】
熱的負荷及び/又は機械的応力を加えることによって、及び/又は少なくとも1つの湿式化学溶液によるエッチングによって、ワークピースの材料が加工線及び/又は加工面に沿って分離可能であるか又は分離される場合、有利であり得る。
【0086】
特に、入力レーザビームは、パルスレーザビーム又は超短パルスレーザビームであり、及び/又は焦点ゾーンは、パルスレーザビーム又は超短パルスレーザビームによって形成されてもよい。
【0087】
特に、焦点ゾーンに対してワークピースを移動及び/又は傾斜させるための軸システムが提供される。
【0088】
入力レーザビームを供給するためのレーザ源を制御するように、空間的に分解されたパルス制御、特にパルスオンデマンドを含む、電子機器調節が提供されてもよい。
【0089】
特に、特に非反射性及び/又は強散乱性表面を有するワークピース用のワークピースマウントが提供される。
【0090】
別段の記載がない限り、焦点ゾーンの前述の特性は、基本的に、空気中の焦点ゾーンの特性及び/又はワークピースの外部の焦点ゾーンの特性に関連する。
【0091】
特に、「約」及び「少なくとも約」という表示は、一般に、10%以下の偏差を意味すると理解される。別段の記載がない限り、「約」又は「少なくとも約」という表示は、特に、実際の値及び/又は距離及び/又は角度が、理想的な値及び/又は距離及び/又は角度から10%以下だけ偏差していることを意味すると理解される。
【0092】
以下の好ましい実施形態の説明は、図面と関連付けて本発明をより詳細に説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0093】
図1】ワークピースをレーザ加工するための装置の一実施形態の概略断面図であり、2つの異なる変形例が示されている。
図2】ワークピースをレーザ加工するための装置の更なる実施形態の部分領域での概略断面図であり、2つの異なる変形例が示されている。
図3】本装置のビーム成形デバイスの第1の実施形態のビーム出口面上での部分ビームの位相分布の概略図である。
図4】焦点ゾーンの長手方向中心軸に対して平行に配向されたz-x平面における湾曲したプロファイルを有するシミュレーションされた焦点ゾーンの強度分布を示す図である。
図5】焦点ゾーンの長手方向中心軸に対して垂直に配向されたx-y平面におけるシミュレーションされた焦点ゾーンの強度分布の断面図である。
図6】本装置のビーム成形デバイスの更なる実施形態のビーム出口面上での部分ビームの位相分布の概略図である。
図7】ビーム分割デバイスの第1の実施形態の概略断面図である。
図8】ビーム分割デバイスの更なる実施形態の概略断面図である。
図9a】焦点ゾーンの長手方向中心軸に対して平行な断面における焦点ゾーンの概略図であり、焦点ゾーンは、第1の部分焦点ゾーンと第2の部分焦点ゾーンとの空間オーバーラップによって形成されている。
図9b】焦点ゾーンの長手方向中心軸に対して垂直に配向されたx-y平面における図9aによる焦点ゾーンの概略断面図である。
図10a】焦点ゾーンの長手方向中心軸に対して垂直に配向されたx-y平面における焦点ゾーンの強度分布の概略断面図である。
図10b】y=0におけるx方向での図10aによる焦点ゾーンの強度分布を示す図である。
図10c】x=0におけるy方向での図10aによる焦点ゾーンの強度分布を示す図である。
図11】加工線及び/又は加工面に沿った焦点ゾーンによって加工されるワークピースの概略断面図である。
図12a】加工線及び/又は加工面に沿って2つの異なるセグメントに分離されるワークピースの一例の斜視図である。
図12b】加工線及び/又は加工面に沿って2つの異なるセグメントに分離されるワークピースの更なる例の斜視図である。
図13】加工線及び/又は加工面上のワークピースの部分領域の概略断面図であり、クラックが相互に間隔をあけて配置された修正領域間に形成されている。
【発明を実施するための形態】
【0094】
同じであるか、又は同等の機能を有する要素は、全ての例示的な実施形態において同じ参照符号によって示される。
【0095】
ワークピースをレーザ加工するための装置の第1の例示的な実施形態は、図1に示されており、その図において10で示されている。装置10は、例えばサブミクロンスケール又は原子スケールでの欠陥などの、ワークピース上に局所的に存在する材料修正を作成するために使用することができ、これにより材料が弱められる。これにより、例えばその後のステップにおいて、ワークピースを2つの異なるセグメントに分離することが可能になる。
【0096】
特に、装置10は、入力レーザビーム14を提供するためのレーザ源12を備える。入力レーザビーム14は、特に、パルスレーザビーム及び/又は超短パルスレーザビームである。例えば、入力レーザビーム14は、ガウスビームであり、及び/又は回折ビームプロファイルを有する。
【0097】
装置10は、ビーム成形デバイス16を備え、その中に入力レーザビーム14を入力結合することができる。特に、入力レーザビーム14は、装置10の動作状態において、ビーム成形デバイス16に入力結合される。
【0098】
入力レーザビーム14は、長手方向zに沿って伝搬する。特に、長手方向zは、入力レーザビーム14及び/又は装置10を通る入力レーザビーム14から形成されるビームの主ビーム伝搬方向を意味すると理解される。
【0099】
入力レーザビーム14の波長は、例えば、515nm又は1030nmである。
【0100】
ビーム成形デバイス16は、入力レーザビーム14のビーム断面上に位相を付与して、細長い焦点ゾーン18を生成する。このビーム断面の断面方向は、長手方向zに対して及び/又はビーム伝搬方向に対して垂直に配向される。
【0101】
入力レーザビーム14は、ビーム入口面20上でビーム成形デバイス16に衝突し、ビーム成形デバイス内に入力結合される。ビーム入口面20の反対側に位置するビーム出口面22では、位相変調された部分ビーム24がビーム成形デバイス16から出力結合される。
【0102】
ビーム成形デバイス16から出力結合された部分ビーム24は、相互にコヒーレントな部分ビーム、すなわち、異なる部分ビーム24が互いに固定された位相関係を有する。
【0103】
また、ビーム成形デバイス16から出ていく部分ビーム24は、ビーム成形デバイス16に入射する入力レーザビーム14に対して、及び/又はビーム成形デバイス16の光軸25に対して、コーン角度β1で傾斜している。特に、部分ビーム24は、円錐形のプロファイル及び/又は円錐形のエンベロープを有する。
【0104】
部分ビーム24の干渉は、焦点ゾーン18に割り当てられ、且つ長手方向zにおいてビーム成形デバイス16の下流に配置される、中間像26の形成を引き起こす。焦点ゾーン18及び/又は焦点ゾーン18の中間像26は、細長い及び/又は長い形状を有する。
【0105】
特に、中間像26及び/又は焦点ゾーン18は、長手方向zにおいて整列される。例えば、中間像26及び/又は焦点ゾーン18の主な広がり方向は、長手方向zに配向され、及び/又は光軸25に対して平行に配向される。
【0106】
中間像26は、長手方向中心軸27(図1において点線で示されている)に沿って延びる。この点で、長手方向中心軸27は、特に、長手方向における中間像26の対称軸である。
【0107】
第1のビーム成形デバイス16は、特に、回折光学要素の形態である。例えば、第1のビーム成形デバイスは、アキシコン様要素の形態である。
【0108】
ビーム成形デバイス16によって部分ビーム24に付与される位相プロファイルは、特に、中間像26及び/又は焦点ゾーン18が準非回折性及び/又はベッセル状ビームプロファイルを有するようなものである。
【0109】
更に、部分ビーム24に付与される位相プロファイルは、中間像26及び/又は焦点ゾーン18が湾曲した形状を有するようなものである。これに対応して、それに沿って中間像26が延びる長手方向中心軸27は、湾曲した形状を有する。
【0110】
ビーム成形デバイス16によって部分ビーム24に付与される位相分布の一例が、図3に示されている。ビーム出口面22上でビーム成形デバイス16を出ていく部分ビーム24の2次元位相分布は、図3では、白(位相+Pi)から黒(位相-Pi)に達する割り当てられたグレースケール範囲を有するグレースケールプロファイルによって描かれている。
【0111】
ビーム出口面22及び/又は示されている位相分布は、長手方向zに対して横断方向に、特に垂直に配向された平面内にある。
【0112】
空間位置X1,Y1においてビーム出口面22上でビーム成形デバイス16を出ていく各部分ビーム24には、-Piから+Piまでの範囲内で判定された位相変位値が割り当てられ、これは、図3による例では、そこに示されている位相分布を参照すると分かる。
【0113】
図3に示される例では、ビーム出口面22上の位相分布は、非対称で、特に回転対称ではないプロファイルを有する。これにより、湾曲したプロファイルを有する焦点ゾーンが部分ビーム24の干渉によって形成されるような位相プロファイルが、部分ビーム24上に付与される。その結果、中間像26及び/又は焦点ゾーン18は、湾曲したプロファイルを有する。
【0114】
更に、図3に示される位相分布は、2つの隣接する部分領域30a、30b間の位相プロファイルが不連続となる、1つ以上の不連続点28を有している。例えば、隣接する部分領域30a、30b間の位相変位及び/又は位相不連続性は、Piの値を有する。
【0115】
不連続点28は、第1の部分領域30aと、第1の部分領域30aに隣接する第2の部分領域30bとの間の分離点及び/又は分離線を意味すると理解される。
【0116】
特に、第1の部分領域30aの不連続点28上にある第1の境界点32aと、第2の部分領域30bの不連続点28上にある第2の境界点32bの間の位相差は、Piである。
【0117】
特に、隣接する部分領域30a、30bは、各々局所的に連続した部分領域である。
【0118】
不連続である、及び/又は不連続点を備える位相分布のおかげで、ビーム成形デバイス16によって部分ビーム24に付与される位相プロファイルは、中間像26及び/又は焦点ゾーン18が非対称なビーム断面を有するようなものである。中間像26に関して、ビーム断面の断面は、長手方向中心軸27に対して垂直に配向される。
【0119】
装置10は、ビーム伝搬方向及び/又は長手方向zにおいて中間像26の下流に配置された、テレスコープデバイス34を有する。焦点ゾーン18は、このテレスコープデバイス34が中間像26を結像することによって形成され、特にテレスコープデバイス34は、サイズを縮小して結像を実行する。
【0120】
テレスコープデバイス34は、第1のレンズ要素36と、長手方向zにおいて第1のレンズ要素36から間隔をあけて配置された第2のレンズ要素38とを有する。
【0121】
第1のレンズ要素36は、テレスコープデバイス34の長焦点レンズ要素及び/又は入力レンズ要素である。第2のレンズ要素38は、テレスコープデバイス34の出力レンズ要素及び/又は短焦点距離レンズ要素である。第2のレンズ要素38は、特に、対物レンズの形態であり、及び/又は対物レンズの機能を有する。
【0122】
第1のレンズ要素36及び/又は第2のレンズ要素38は、必ずしも一体に形成されている必要はない。特に、各場合における第1のレンズ要素36及び/又は第2のレンズ要素38は、複数の光学構成要素から形成されるか、又は複数の光学構成要素を含んでもよい。
【0123】
第1のレンズ要素36の第1の焦点距離f1は、第2のレンズ要素38の第2の焦点距離f2よりも大きい。特に、比f1/f2は、少なくとも5及び/又は最大50である。
【0124】
テレスコープデバイス34は、焦点ゾーン18を加工すべきワークピースに照射及び/又は結像させることを可能にする。特に、テレスコープデバイス34は、ワークピースを加工するために焦点ゾーン18の空間的寸法を適合させることを可能にする。
【0125】
特に、焦点ゾーン18は、少なくともほぼ一定の強度を有し、且つ長手方向中心軸40(図1において点線で示されている)に沿って延びる集束領域を意味すると理解される。この点で、長手方向中心軸40は、特に、長手方向における焦点ゾーン18の対称軸である。
【0126】
特に、焦点ゾーン18は、長手方向中心軸40に沿って延び、且つ少なくともほぼ一定の強度を有する集束領域を有する。
【0127】
特に、焦点ゾーン18は、空間的に連続した設計を有し、すなわち、各場合における焦点ゾーン18の集束強度領域は、空間的に連続した設計を有する。
【0128】
しかしながら、焦点ゾーン18の強度が、長手方向中心軸に沿って変化し、及び/又は孤立点においてゼロであることもまた、原理的に可能である。
【0129】
特に、焦点ゾーン18は、焦点ゾーン18がワークピースの材料に適用されると、その内部でレーザ放射の強度が、修正領域が材料内に形成されるのに少なくとも十分に大きい集束領域を意味すると理解される。特に、材料は、これらの修正領域において分離され得る。
【0130】
焦点ゾーン18の長手方向中心軸40は、少なくとも特定の部分及び/又は連続的に湾曲した形状を有する。
【0131】
焦点ゾーン18の1つの例示的な実施形態が図4に示されており、これは、長手方向中心軸40に対して平行に配向されたz-x平面における強度分布を示している。より明るいグレースケール値は、より大きな強度を表す。図4による例示的な実施形態では、焦点ゾーン18は、円弧形状及び/又はC字形状を有する。
【0132】
焦点ゾーン18は、特に、空間的に連続した設計を有する、全体の最大強度分布42を意味すると理解される。特に、この全体の最大強度分布42のみが、修正を形成する目的で加工すべき材料との相互作用に関連する。
【0133】
最大強度分布42は、特に、2次強度分布44によって囲まれている。これらの2次強度分布44は、特に、最大強度分布42の周囲に配置され、及び/又は最大強度分布42から間隔をあけて配置されている。2次強度分布44は、特に2次最大値であるか、又は2次最大値を含む。
【0134】
特に、2次強度分布44は、より低い強度のおかげで、ワークピースの材料内に修正の形成が存在しない、及び/又はそれが無視できるため、ワークピースのレーザ加工に対して重要ではない。
【0135】
焦点ゾーン18は、非対称のビーム断面を有し、断面方向は、長手方向中心軸40に対して垂直に配向されている。図5は、長手方向中心軸40に対して垂直方向に配向されたx-y平面における焦点ゾーン18の一例を示している。
【0136】
特に、焦点ゾーン18は、x方向において直径dxを有し、x方向に対して垂直に配向されたy方向において直径dyを有し、x方向及びy方向は、長手方向中心軸40に対して垂直に配向された平面内にある。
【0137】
特に、焦点ゾーン18は、楕円形のビーム断面を有してもよい。この場合、dx及びdyは異なる。例えば、dxは割り当てられた楕円の半長軸に対して平行に配向され、dyは半短軸に対して平行に配向される。
【0138】
装置10の第2の変形例では、上述の第1の変形例とは対照的に、ビーム成形デバイス16’は、焦点ゾーン18に割り当てられ、且つ少なくともほぼ対称なビーム断面を有する、中間像26’を形成するために使用される。
【0139】
特にビーム成形デバイス16’及び中間像26’は、それぞれ、上述したビーム成形デバイス16及び上述した中間像26の1以上の特徴及び/又は利点を有する。
【0140】
中間像26’は、長手方向中心軸27に沿って延び、特に、準非回折性及び/又はベッセル状ビームプロファイルを有する。
【0141】
ビーム出口面22上では、ビーム成形デバイス16’を出ていく部分ビーム24は、上述のビーム成形デバイス16の場合とは異なる位相分布を有する。
【0142】
ビーム成形デバイス16’によって部分ビーム24に付与される位相分布の一例が、(図3と同様に)グレースケール分布の形態で図6に示されている。ビーム出口面22上の位相分布は、非対称で、特に回転対称ではないプロファイルを有する。これにより、湾曲したプロファイルを有する焦点ゾーンが部分ビーム24の干渉によって形成されるような位相プロファイルが、部分ビーム24に付与される。その結果、中間像26’及び/又は焦点ゾーン18は、湾曲したプロファイルを有する。
【0143】
特に、図6に示される位相分布は、連続的であり、特に全体的に連続的である。特に、図6に示される位相分布は、いかなる破断点及び/又は不連続点も有しない。これにより、対称的なビーム断面を有する焦点ゾーンが部分ビーム24の干渉によって形成されるような位相プロファイルが、部分ビーム24に付与される。その結果、中間像26’は、対称的なビーム断面を有し、断面方向は、長手方向中心軸27に対して垂直に配向されている。
【0144】
焦点ゾーン18の非対称なビーム断面を実現するために、この第2の変形例の装置10は、テレスコープデバイス34に割り当てられている、ビーム分割デバイス46(図1において破線で示されている)を備える。例えば、ビーム分割デバイス46は、テレスコープデバイス34の一部であり、及び/又はテレスコープデバイス34のビーム経路に配置される。例えば、ビーム分割デバイス46は、偏光ビーム分割器光学ユニットであるか、又は偏光ビーム分割器光学ユニットを備える。
【0145】
ビーム分割デバイス46は、特に、遠視野領域48及び/又はテレスコープデバイス34の焦点面50に配置される。例えば、焦点面50は、第1のレンズ要素36及び/又は第2のレンズ要素38の焦点面である。
【0146】
ビーム成形デバイス16’から出力結合された部分ビーム24、及び/又は中間像26’から発せられたビームは、入射ビーム52としてビーム分割デバイス46に入射する。これらの入射ビーム52は、ビーム分割デバイス46によって、異なる偏光状態を有する異なる部分ビーム54a、54bに各々分割される。
【0147】
図7に示されるビーム分割デバイス46の例では、入射ビーム52は、ビーム分割デバイス56によって、第1の偏光状態を有する第1の部分ビーム54aと第2の偏光状態を有する第2の部分ビーム54bとに各々分割される。
【0148】
第1の偏光状態及び第2の偏光状態は、特に、互いに対してほぼ平行垂直に配向された偏光状態、及び/又は直線偏光状態である。特に、第1の部分ビーム54a及び第2の部分ビーム54bは、電界が長手方向z及び/又はビーム伝搬方向(横断電力)に対して垂直な平面内に存在するように偏光される。
【0149】
第1の部分ビーム54aは、第2の部分ビーム54bに対して空間オフセットΔx及び角度オフセットΔαを有する。
【0150】
特に、第1の部分ビーム54aは、テレスコープデバイス34の光軸56に対して少なくともほぼ平行に配向され、光軸56は、例えばビーム成形デバイス16、16’の光軸25に対して平行に配向されるか、それと一致している。
【0151】
ビーム分割デバイス46から出力結合された第1の部分ビーム54aは、テレスコープデバイス34によって及び/又は第2のレンズ要素38によって、第1の部分焦点ゾーン58a内に結像される。これに対応して、ビーム分割デバイス46から出力結合された第2の部分ビーム54bは、テレスコープデバイス34によって及び/又は第2のレンズ要素38によって、第2の部分焦点ゾーン58b内に結像される(図9a及び図9b)。
【0152】
第1の部分ビーム54a及び第2の部分ビーム54bの角度オフセットのおかげで、テレスコープデバイス34による集束の後の結果は、長手方向中心軸40に対して垂直に配向された方向における第1の部分焦点ゾーン58aと第2の部分焦点ゾーン58bとの間の空間オフセットΔbとなる。
【0153】
第1の部分焦点ゾーン58aは、第1の長手方向中心軸60aに沿って延び、第2の部分焦点ゾーン58bは、第2の長手方向中心軸60bに沿って延びる。第1の長手方向中心軸60a及び第2の長手方向中心軸60bは、長手方向z及び/又はビーム伝搬方向に延びる。
【0154】
特に、第1の部分焦点ゾーン58a及び第2の部分焦点ゾーン58bは各々、少なくともほぼ対称的なビーム断面を有し、断面方向はそれぞれ、第1の長手方向中心軸60a及び第2の長手方向中心軸60bに対して垂直に配向される。
【0155】
焦点ゾーン18は、第1の部分焦点ゾーン58a及び第2の部分焦点ゾーン58bの少なくとも部分的な空間オーバーラップ及び/又は重ね合わせによって形成される。それによって形成された焦点ゾーン18のビーム断面は、非対称であり、特に楕円形である(図9a及び図9bを参照)。
【0156】
第1の部分ビーム54a及び第2の部分ビーム54bは、相互にインコヒーレントな部分ビームであり、及び/又は互いに固定された位相関係を有さず、したがって、特に第1の部分ビーム54a及び第2の部分ビーム54bは互いに干渉しない。第1の部分ビーム54a及び第2の部分ビーム54bの空間オーバーラップの場合、結果は、したがって、第1の部分ビーム54aのそれぞれの強度及び第2の部分ビーム54bのそれぞれの強度の加算となる。
【0157】
図9a及び図9bに示される例では、第1の長手方向中心軸60aは、第2の長手方向中心軸60bに対して少なくともほぼ平行に配向されている。焦点ゾーン18の長手方向中心軸40は、第1の長手方向中心軸60a及び第2の長手方向中心軸60bに対して対称であり、及び/又は中心である。
【0158】
図7に示される例では、ビーム分割デバイス46は、複屈折偏光要素62を備える。空間オフセットΔx及び角度オフセットΔαの両方が、複屈折偏光要素62によって第1の部分ビーム54aと第2の部分ビーム54bとの間に生成される。
【0159】
ビーム分割デバイス46のビーム入口面64及び/又はビーム入口面は、この複屈折偏光要素62上に形成されている。
【0160】
複屈折偏光要素62の光軸66は、ビーム入口面64に対して及び/又はテレスコープデバイス34の光軸56に対して、例えば45°の角度で配向される。
【0161】
ビーム分割デバイス46はまた、長手方向zにおいて複屈折偏光要素62の下流に配置された等方性要素68を備える。第1の部分ビーム54aは、この等方性要素68によって、光軸56に対して平行に配列される。
【0162】
複屈折偏光要素62及び/又は等方性要素68は、例えば、くさび形の設計を有する。
【0163】
図8に示される更なる実施形態は、第1の部分ビーム54aがテレスコープデバイス34の光軸56に対して平行に配向され、且つこの光軸56内に存在するという点において、図7による実施形態と本質的に異なる。
【0164】
光軸56に対する第1の部分ビーム54aの平行な整列及び光軸56上でのそれらの位置決めのために、図8による実施形態は、一方が他方の後ろに配置された2つの複屈折偏光要素62を備える。
【0165】
他の全ての点において、図8による実施形態は、基本的に図7による実施形態と同じ構造及び/又は同じ動作モードを有し、したがって、この点においてその上記の説明への参照がなされる。
【0166】
ビーム分割デバイス46の動作モード及び設計に関しては、同一出願人による(特許文献4)(出願日:2020年6月22日)への参照がなされる。本明細書の内容全体に対して、明示的な参照がなされる。
【0167】
ワークピースをレーザ加工するための装置10’の更なる実施形態(図2)は、テレスコープデバイス34’の代替変形例が提供される点において、本質的に上述の実施形態と異なる。
【0168】
テレスコープデバイス34’の場合、第1のレンズ要素36は、ビーム成形デバイス16、16’に一体化されるか、又はビーム成形デバイスのビーム出口面22に配置される。これにより、特に装置10’は、特にコンパクトな構成及び/又は個々の構成要素の数が減少した構成を有することが可能になる。
【0169】
例えば、第1のレンズ要素36の機能は、ビーム成形デバイス16、16’に統合される。
【0170】
装置10’の場合に形成され、且つ焦点ゾーン18に割り当てられる中間像68は、必ずしも上述した中間像26、26’の特性を有しない。中間像26、26’と比較して、中間像68は、この場合に修正されるビームプロファイルのおかげで異なる形態を有する。特に、中間像68は、中間像26、26’及び/又は焦点ゾーン18と比較して異なる形状を有する。
【0171】
他の全ての点において、装置10’は、基本的に、上述した装置10の変形例と同じ構造及び同じ動作モードを有し、したがって、この点においてその説明への参照がなされる。
【0172】
長手方向中心軸40の方向における焦点ゾーン18の長さl、及び/又は、長手方向中心軸28に対して垂直に配向されたx方向及びy方向における直径dx、dyをそれぞれ判定するために、判定された強度閾値超の強度値のみを有する修正強度分布に対して考慮を行い、強度閾値は、実際の強度分布の全体強度最大値の特に50%とする。これは、焦点ゾーン18の直径dx、dyに対して図10a、10b、及び10cにおいて概略的に示されている。
【0173】
焦点ゾーン18の長さlは、例えば、修正強度分布に基づいて採用された、長手方向中心軸40に沿った焦点ゾーン18の範囲の最大長さ及び/又は最大範囲の長さを意味すると理解される。図9aに示される例では、長さlは、例えば、焦点ゾーン18の対応する湾曲した長さ及び/又は弧の長さ及び/又は円弧長を意味する。
【0174】
装置10は、長手方向zにおいてレーザ源12とビーム成形デバイス16、16’との間に配置される更なるテレスコープデバイス69を備えてもよい。この更なるテレスコープデバイス42は、ビーム成形デバイス16、16’に入射する入力レーザビーム14の直径d0を制御及び/又は調節するために使用され得る。
【0175】
直径d0を制御及び/又は調節することによって、焦点ゾーンの長さl及び/又は焦点ゾーン18の中間像26、26’の長さを制御及び/又は調節することが可能である。長さlは、直径d0が増加するにつれて増加する。
【0176】
本発明による装置10、10’は、以下のように動作する。
【0177】
装置10、10’によってワークピース70に加工動作を実施するために、焦点ゾーン18はワークピース70の材料72に適用され、焦点ゾーン18は材料72に対して相対的に移動される。
【0178】
特に、材料72は、入力レーザビーム14の波長及び/又は入力レーザビーム14から形成された焦点ゾーン18の波長に対して透明又は部分的に透明である材料である。例えば、材料72は、ガラス材料である。
【0179】
焦点ゾーン18は、特に、所定の加工線74及び/又は加工面(図11図12a、及び図12b)に沿って移動される。加工線74は、例えば、直線部分及び/又は湾曲部分を有し得る。
【0180】
焦点ゾーン18を材料72に適用することにより、加工線74及び/又は加工面上の材料72の強度を低下させる局所的な材料修正が、加工線74及び/又は加工面上のこの材料72に形成される。
【0181】
これにより、例えば機械力を加えることによって、材料修正が加工線74及び/又は加工面上に形成された後に、材料72を2つの異なるセグメントに分離することが可能になる。
【0182】
図11図12a、及び図12bは、例えば、第1の外面74から第1の外面74の反対側に位置する第2の外面76まで延びる焦点ゾーン18aの第1の変形例による材料72の加工を示しており、第1の外面74は、材料72の材料厚さDだけ第2の外面76から間隔をあけて配置されている。示された例では、第1の焦点ゾーン18aは、少なくとも材料厚さD全体にわたって延びている。これにより、例えば、材料厚さD全体にわたって延びているセグメント80を材料72から分離することが可能となる。
【0183】
焦点ゾーン18bの第2の変形例は、特定の部分において材料72を通って延びている。これにより、例えば、1/4円のプロファイルを有するセグメント82を材料72から分離することが可能になる(図12b)。焦点ゾーン18bは、例えば、材料72の縁部84を丸めることを可能にする。
【0184】
材料72に対する焦点ゾーン18の前進方向86は、加工線74に対して平行に配向されている。
【0185】
図13は、材料72に対する焦点ゾーン18の相対移動によって形成される複数の修正領域88を示している。特に、焦点ゾーン18の断面は、断面の長軸が前進方向86に対して少なくともほぼ平行に配向されるように、及び/又は断面の短軸が前進方向86に対して横断方向に、特に垂直に配向されるように、整列されている。
【0186】
図13に示される例では、焦点ゾーン18は、楕円形の断面を有する。より大きな半軸及び/又はより大きな直径dyは、前進方向86に対して少なくともほぼ平行に配向されている。
【0187】
これにより、隣接する修正領域88の間に、特に制御された方法でクラック90を形成することが可能になり、その結果、材料72の最適な分離を実現することが可能になる。
【0188】
クラック90は、特に、隣接する修正領域88間の最短の接続線に対して少なくともほぼ平行に整列されている。
【符号の説明】
【0189】
β1 コーン角度
Δx 空間オフセット
Δb 空間オフセット
Δα 角度オフセット
dx x方向の直径
dy y方向の直径
d0 直径
D 材料の厚さ
l 長さ
z 長手方向
10、10’ 装置
12 レーザ源
14 入力レーザビーム
16、16’ ビーム成形デバイス
18 焦点ゾーン
18a、18b 焦点ゾーン
20 ビーム入口面
22 ビーム出口面
24 部分ビーム
25 光軸
26、26’ 中間像
27 長手方向中心軸
28 不連続点
30a 第1の部分領域
30b 第2の部分領域
32a 第1の境界点
32b 第2の境界点
34、34’ テレスコープデバイス
36 第1のレンズ要素
38 第2のレンズ要素
40 長手方向中心軸
42 全体の最大強度分布
44 2次強度分布
46 ビーム分割デバイス
48 遠視野領域
50 焦点面
52 入射ビーム
54a 第1の部分ビーム
54b 第2の部分ビーム
56 光軸
58a 第1の部分焦点ゾーン
58b 第2の部分焦点ゾーン
60a 第1の長手方向中心軸
60b 第2の長手方向中心軸
62 複屈折偏光要素
64 ビーム入口面
66 光軸
68 中間像
69 更なるテレスコープデバイス
70 ワークピース
72 材料
74 加工線
76 第1の外面
78 第2の外面
80 セグメント
82 セグメント
84 縁部
86 前進方向
88 修正領域
90 クラック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図10a-10c】
図11
図12a
図12b
図13
【国際調査報告】