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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】集中占有検出システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/04 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
G01S13/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544702
(86)(22)【出願日】2022-01-24
(85)【翻訳文提出日】2023-09-22
(86)【国際出願番号】 US2022013544
(87)【国際公開番号】W WO2022159826
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】17/157,039
(32)【優先日】2021-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】312001373
【氏名又は名称】セミコンダクター コンポーネンツ インダストリーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダニー・エラド
(72)【発明者】
【氏名】ダン・コルコス
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB08
5J070AC12
5J070AC13
5J070AD08
5J070AE09
5J070AF03
5J070AF05
5J070AF06
5J070AG07
5J070AH31
5J070AH35
5J070AK22
5J070BE01
(57)【要約】
集中占有検出システムにより、単一のセンサで、複数の座席、より一般的には、複数のステーションの監視が可能になる。1つの例示的な車両は、車両の乗員を収容するようにそれぞれ構成された1つまたは複数のステーションと、レーダ反射面と、レーダ反射面を使用してステーションの少なくとも1つの乗員を検出するように構成されたレーダトランシーバと、を含む。別の例示的な車両は、車両の乗員をそれぞれ収容する複数のステーションと、複数のステーションのそれぞれを検査して、そのステーションに乗員がいるかどうかを判定するように構成されたレーダトランシーバと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両であって、
前記車両の乗員を収容する少なくとも1つのステーションと、
レーダ反射面と、
前記レーダ反射面を使用して前記少なくとも1つのステーションの乗員を検出するように構成されたレーダトランシーバと、
を含む、車両。
【請求項2】
前記少なくとも1つのステーションは複数のステーションの1つであり、前記レーダトランシーバはアンテナアレイを使用して前記複数のステーションの分離可能な占有測定値を得る、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記レーダトランシーバは、照準線を介して前記複数のステーションの第2のステーションの乗員を検出するように構成されている、請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記レーダ反射面は前記車両のルーフによって形成されている、請求項1に記載の車両。
【請求項5】
前記レーダ反射面は前記車両のルーフに取り付けられている、請求項1に記載の車両。
【請求項6】
前記レーダトランシーバは、前記車両のダッシュボードに取り付けまたは組み込みされている、請求項1に記載の車両。
【請求項7】
前記少なくとも1つのステーションは2列目の座席にある、請求項6に記載の車両。
【請求項8】
前記少なくとも1つのステーションは3列目の座席にある、請求項6に記載の車両。
【請求項9】
車両であって、
前記車両の乗員をそれぞれ収容する複数のステーションと、
前記複数のステーションのそれぞれを検査して、前記ステーションに乗員がいるかどうかを判定するように構成されたレーダトランシーバと、
を含む、車両。
【請求項10】
前記レーダトランシーバはアンテナアレイを使用して前記複数のステーションの分離可能な占有測定値を得る、請求項9に記載の車両。
【請求項11】
前記車両はレーダ反射面をさらに含み、前記複数のステーションの少なくとも1つを検査することの一部として、前記レーダトランシーバは、前記レーダ反射面を使用するように構成されている、請求項10に記載の車両。
【請求項12】
前記複数のステーションの異なる1つを検査することの一部として、前記レーダトランシーバは、直接照準線を使用するように構成されている、請求項11に記載の車両。
【請求項13】
前記レーダ反射面は前記車両のルーフの一部である、請求項11に記載の車両。
【請求項14】
前記車両のダッシュボードが前記レーダトランシーバを含む、請求項11に記載の車両。
【請求項15】
前記複数のステーションの前記少なくとも1つのステーションは2列目の座席にある、請求項14に記載の車両。
【請求項16】
複数ステーション占有検出器であって、
アンテナアレイと、
前記アンテナアレイに結合されて、送信信号を提供するとともに受信信号を受け入れるレーダトランシーバと、
車両の乗員を収容するように構成された複数のステーションのそれぞれについて方位角仰角範囲パラメータ値のセットを有するメモリと、
方位角仰角範囲パラメータ値の各セットにしたがって前記送信信号の相対位相を調整するとともに受信信号を分析して、前記複数のステーションのそれぞれの占有を示すレーダ測定値を導出するように構成されたコントローラと、
を含む、複数ステーション占有検出器。
【請求項17】
前記方位角仰角範囲パラメータ値のセットの少なくとも1つが、レーダ反射面から反射する信号送受信経路に対応する、請求項16に記載の検出器。
【請求項18】
前記方位角仰角範囲パラメータ値のセットの少なくとも1つが、直接照準線信号送受信経路に対応する、請求項17に記載の検出器。
【請求項19】
前記アンテナアレイが車両のダッシュボードに取り付けまたは組み込みされているとき、前記レーダ反射面は前記車両のルーフの一部である、請求項17に記載の検出器。
【請求項20】
前記方位角仰角範囲パラメータ値のセットの前記少なくとも1つは、2列目の座席にあるステーションに対応する、請求項19に記載の検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年1月25日に出願された米国非仮特許出願第17/157,039号に対する優先権を主張するものであり、その内容を参照により本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
自動車製造業者は、動作中にどの座席が占有されているかを検出する占有センサを採用している。このようなセンサにより、製造業者は、乗客の安全性または快適性を向上させるための特徴、たとえば、シートベルトリマインダ、シートベルトプリテンショニング、エアバッグ有効化、子供存在リマインダ、アクセサリ電源タイムアウト調整を提供することが可能になる。比較的少数の座席を有する車または他の乗り物において、各座席に、従来は重量センサの形式の占有センサが装備されていることがある。しかしながら、重量センサには、バックパックまたはハンドバッグのような物体が座席上に置かれているとき「フォールスポジティブ」検出の問題がしばしばある。また、車両の座席数が増加するにつれて、製造業者は通常、追加コストのため、占有センサを省略することを選択し、関連する利点を放棄する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
上で特定した問題は、単一のセンサで、複数の座席、より一般的には、複数のステーションの監視を可能にする集中占有検出システムによって少なくとも部分的に対処することができる。一例として、例示的な車両は、車両の乗員を収容するようにそれぞれ構成された1つまたは複数のステーションと、レーダ反射面と、レーダ反射面を使用してステーションの少なくとも1つの乗員を検出するように構成されたレーダトランシーバと、を含む。
【0004】
別の一例として、例示的な車両は、車両の乗員をそれぞれ収容する複数のステーションと、複数のステーションのそれぞれを検査して、そのステーションに乗員がいるかどうかを判定するように構成されたレーダトランシーバと、を含む。
【0005】
さらに別の一例として、例示的な複数ステーション占有検出器は、アンテナアレイと、アンテナアレイに結合されて、送信信号を提供するとともに受信信号を受け入れるレーダトランシーバと、車両の乗員を収容するように構成された複数のステーションのそれぞれについて方位角仰角範囲パラメータ値のセットを有するメモリと、方位角仰角範囲パラメータ値の各セットにしたがって送信信号の相対位相を調整するとともに受信信号を分析して、各ステーションの占有を示すレーダ測定値を導出するように構成されたコントローラと、を含む。
【0006】
前述の例のそれぞれは、個別にまたは併せて採用することができ、次の特徴の1つまたは複数を任意の適切な組み合わせで含むことができる。1.レーダトランシーバはアンテナアレイを使用して複数のステーションの分離可能な占有測定値を得る。2.レーダトランシーバは、照準線を介して複数のステーションの第2のステーションの乗員を検出するように構成されている。3.レーダ反射面は車両のルーフによって形成されている。4.レーダ反射面は車両のルーフに取り付けられている。5.レーダトランシーバは車両のダッシュボードに取り付けまたは組み込みされている。6.少なくとも1つのステーションが2列目の座席にある。7.少なくとも1つのステーションが3列目の座席にある。8.方位角仰角範囲パラメータ値セットの少なくとも1つは、レーダ反射面から反射する信号送受信経路に対応する。9.方位角仰角範囲パラメータ値セットの少なくとも1つは、直接照準線信号送受信経路に対応する。10.方位角仰角範囲パラメータ値セットの少なくとも1つは、2列目の座席にあるステーションに対応する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】集中占有検出システムを備えた例示的な車両キャビンの破断斜視図である。
図1B】集中占有検出システムを備えた例示的な車両キャビンの断面図である。
図2】集中占有検出システムを備えた例示的な車両キャビンの破断上面図である。
図3】例示的な集中占有検出器のブロック図である。
図4】例示的な較正方法のフロー図である。
図5】例示的な集中占有検出方法のフロー図である。
図6】4素子フェーズドアンテナアレイからの例示的な放射パターンのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次の説明および添付図面は説明を目的として提供されており、本開示を限定するものではないことが理解されるべきである。逆に、これらは、特許請求の範囲内に入るすべての修正例、均等物、および代替物を当業者が理解するための基礎を提供する。
【0009】
図1Aは、乗員を収容するように設計された5つのステーションを有する例示的な車両102を示しており、ステーションのそれぞれは、そのステーションの乗員によって少なくとも部分的に満たされるであろう関連する容積(AからEの符号を付す)を有する。車両102は、5つのステーションのそれぞれに関連する容積を監視して、ステーションが占有されているかどうかを検出するように構成された集中占有検出器104をさらに含む。乗員は生物であることが予想され、これらは一般に大きな水分割合を有し、したがってレーダ信号を反射する(少なくとも乗員がいない場合にその容積を占めるであろう空気より高い程度で)。
【0010】
集中占有検出器104は、レーダトランシーバと、複数のステーションのそれぞれにレーダ信号エネルギーを向け、複数のステーションのそれぞれから反射したレーダエネルギーを感知することができるアンテナアレイと、を含む。占有検出器104は、送信された信号エネルギーを所望の方向(アンテナアレイからの方位角および仰角で表現可能)に沿って方向付ける段階的なやり方(phased fashion)でアンテナ素子を駆動することができ、所望の方向に沿った反射信号エネルギーに対する指向性感度を提供する段階的なやり方でアンテナ素子を介して受信された信号をさらに組み合わせることができる。あるいは、占有検出器104は、独立して(たとえば、時分割多重化、周波数分割多重化、符号分割多重化を使用して)アンテナ素子を駆動し、所与の送信素子が使用されるときの各素子の応答を決定し、そして測定値を数学的に処理して送信エネルギーおよび指向性感度の仮想ステアリングを提供することができる。いずれの場合でも、占有検出器104はアンテナアレイを使用して、複数のステーションに関連する容積の方向的に分離可能な測定値を得る。
【0011】
図1Aは、送信レーダ信号エネルギーが検出器104(ここでは助手席側のフロントドアポスト付近のダッシュボード上または内に示す)から容積AからEのそれぞれに伝播することができる例示的な経路を示す。前部座席容積AおよびBへの経路は直接の、照準線経路106である。前部座席が後部座席容積C~Eの直接の視界を妨げるため、残りの経路はキャビンルーフ108のようなレーダ反射面から反射する。後部座席容積C~Eのための送信信号エネルギーは検出器104からキャビンルーフ上の対応する反射点110に向けられる。それぞれの場合において、乗員(いれば)から反射したレーダ信号エネルギーは伝送路に沿って戻ってくる。
【0012】
図1Bは、前部座席容積Aおよび後部座席容積Cを備えた、例示的な車両102の側断面図を示す。集中占有検出器104は、直接の、照準線経路106に沿って容積Aに、そして反射点110から反射経路112に沿ってレーダ信号エネルギーを向けることができる。キャビンルーフ108の形状が不十分であれば(たとえば、サンルーフの存在により)、反射器114のような追加の反射器が代替の反射経路116を提供することができることが観察される。追加の反射器は傾斜平面の形態をとることができるが、大きな視野が所望されれば、凸面(たとえば、半ドーム)が好まれることがあり、測定の分離性および利得を高めるには凹面(たとえば、放物線状反射器)が好まれることがある。追加の反射器はキャビンルーフに取り付けることができ、あるいは、反射点に所望の形状を提供するようにキャビンルーフを成形することができる。反射点のための表面の輪郭を最小化することが所望される場合、これらの表面はあるいは、フレネル反射器のような区分された表面を使用して、または反射型ホログラフィック光学素子を使用して形成または「成形」することができる。
【0013】
図2は、12人乗りのバン202の破断上面図を示し、これは、6人より多くの乗客を収容するように設計されたほとんどの車両のように、ほとんどの車より直立している座席を提供し、ダッシュボードに搭載された占有検出器204が追加の座席列を監視することが可能になり得る、対応してより高いキャビンルーフを有する。キャビンルーフ上の反射点206は2列目の座席についての容積C~Eに対応することができる。ルーフ反射点208は3列目の座席についての容積F~Hに対応することができる。ルーフ反射点210は4列目の座席についての容積I~Lに対応することができる。(前列容積A~Bは、占有検出器204からの直接照準線を介して監視することができる。)既存のルーフ輪郭が提供する反射点の位置が最適でなければ、追加の反射器または表面成形を使用して反射点位置を改善することができる。
【0014】
図3は例示的な集中占有検出器を示しており、これは、4つの送信素子301および8つの受信素子302を有するアンテナアレイに結合されたトランシーバチップ300を含む。電力増幅器303A~303Dが送信回路304からの増幅信号で送信アンテナ素子301を駆動する。回路304は、プログラム可能なチャープレートおよび範囲を使用して、プログラム可能な周波数帯域内で送信信号を生成する。送信信号生成器は適切な周波数乗算器を備えたフェーズロックループ(PLL)を採用することができる。スプリッタおよび移相器が、調整可能な位相差で同時に送信する複数の電力増幅器303A~303Dのための送信信号を導出してビームステアリングを可能にし、ダウンコンバージョンプロセスで使用するために基準「局部発振器」信号を受信機にさらに提供する。図示の例において、トランシーバチップ300は4つの送信機を含み、これらのそれぞれが対応する送信アンテナ素子301に固定的に結合されている。
【0015】
チップ300は4つの受信機(RX-1からRX-4)をさらに含み、これらのそれぞれが受信アンテナ素子302の2つに選択可能に結合され、8つの受信アンテナ素子を備えた再構成可能なMIMO構成を提供し、これらの4つを同時に採用して測定値を収集することができる。4つのアナログデジタル変換器(ADC)306A~306Dが受信機RX-1からRX-4からのダウンコンバートされた受信信号をサンプリングおよびデジタル化し、デジタル化された信号をフィルタリングおよび処理のためにマイクロコントローラユニット(MCU)308に、または直接デジタル化されたベースバンド信号のオフチップ処理を可能にする高帯域幅インターフェース310に供給する。使用されれば、MCU308は、高帯域幅インターフェース310を介して電子制御ユニット(ECU)または他のホストプロセッサに伝達することができる画像データを生成する。
【0016】
制御インターフェース312により、ECUまたは他のホストプロセッサが、試験および較正周辺回路314および送信信号生成回路304を含むトランシーバチップ300の動作を構成することが可能になる。以下でさらに議論するように、MCU308は、送信信号エネルギーのビームステアリングを提供する相対位相差で送信アンテナ素子を駆動するように送信回路304を構成することができ、さまざまな相対位相差で受信信号を分析して受信信号エネルギーに対する指向性感度を向上させることができる。
【0017】
内部メモリが、方位角、仰角、および範囲のルックアップテーブルを保持することができ、これらは、所望の相対位相差および周波数オフセット(または、以下でさらに説明するようなFFTビン)に関しても表現可能である。ルックアップテーブルは、占有検出器によって監視されるステーションのそれぞれに関連するパラメータ値を格納する。MCU308はテーブルを反復処理し、相対位相差を適用して所定の閾値と比較するために指定された範囲および方向での反射エネルギー振幅を決定することができる。MCU308または外部プロセッサは、反射エネルギー振幅が閾値を超える各ステーションが占有されていると判定することができる。
【0018】
図4は、例示的な占有検出器較正方法のフロー図であり、これは内部(不揮発性)メモリに格納されるべき適切なパラメータ値を決定する1回限りの工場較正とすることができる。例示的な方法は、車両内の最初に選択されたステーションについて実行され、続いて選択される各ステーションについて繰り返される一連のブロック402~416を含む。ブロック402において、最初に選択されたステーションについての検出容積内に反射器が配置され、他の選択されたステーションの検出容積内のいかなる反射器も好ましくは除去される。反射器はコーナー反射器のような受動反射器とすることができる。能動反射器が使用されれば、各検出容積に反射器を配置することができ、最初に選択されたステーションの反射器のみが有効化され、残りは無効化される。
【0019】
ブロック404において、占有検出器は、方位角および仰角ステアリング角度の全範囲にわたって段階的に進み、レーダ信号エネルギーを送信して各受信アンテナ素子の応答を測定する。送信レーダ信号は好ましくはチャープであり、ダウンコンバージョン後、反射信号エネルギーがその移動時間に対応する(およびしたがって反射器の経路距離または「範囲」に対応する)周波数オフセットになるようになっている。ブロック406において、占有検出器は、それぞれの所与の方位角および仰角ステアリング角度での応答信号について、高速フーリエ変換(FFT)のような二次元周波数変換を実行する。2D FFTは、範囲および入射角の関数として反射信号エネルギーを表す周波数係数に応答信号を変換する。周波数係数は、選択されたステーションに対応する範囲および入射角でピークを示すべきであり、ピークの強度および場所は送信信号の方位角および仰角の関数として変化する。
【0020】
いくつかの実装形態において、ピーク強度を最大化する送信信号の方位角および仰角は、ピークのFFTビンの場所(範囲、入射角)とともに、ブロック414において選択されたステーションについてのパラメータ値として選択される。このアプローチは、ビーム幅が狭い(たとえば、アンテナ素子の数がより多い)アンテナアレイを使用するときにはうまく機能することができるが、より低コストの占有検出器用に設計されたアンテナアレイには最適ではない可能性がある。アンテナ素子の数がより少ないアンテナアレイは、ビーム幅が大きくなり、グレーティングローブが大きくなることがある。たとえば、法線ベクトルからゼロ度におよび15度に向けられた4素子フェーズドアンテナアレイについての放射パターンを示す図6を参照されたい。メインビームが選択されたステーションに向けられているときでも、かなりのレーダ信号エネルギーを他のステーションが受信する(およびその乗員が反射する)可能性がある。このような潜在的な干渉を考慮するため、代替の較正方法の実装形態は、信号対干渉比の判定を可能にする干渉を測定するための任意選択のブロック408~412を含むことができる。
【0021】
任意選択のブロック408において、選択されたステーションの反射器が除去または無効化され、すべての他のステーションについて反射器が提供または有効化される。任意選択のブロック410において、占有検出器は再度、方位角および仰角ステアリング角度の全範囲にわたって段階的に進み、レーダ信号エネルギーを送信して各受信アンテナ素子の応答を測定する。任意選択のブロック412において、それぞれの所与の送信方位角および仰角方向での応答信号について2D FFTを実行して範囲および入射角の関数として干渉エネルギーを得る。ブロック406からの周波数係数の大きさはそれぞれ、ブロック412からの対応する周波数係数の大きさで除算され、パラメータ値の関数として信号対干渉比を生成する。前のように、係数の大きさは、選択されたステーションに対応する範囲および入射角でピークを示すべきであり、最大値および場所は送信信号の方位角および仰角の関数として変化する。最大の信号対干渉比をもたらすパラメータ値をブロック414において選択されたステーションについて選択することができる。
【0022】
ブロック416において、この方法は、ステーションのそれぞれについてパラメータ値が選択されたかどうかを判定し、されていなければ、次の選択されたステーションについてブロック402~416が繰り返される。各ステーションについてパラメータ値が決定されると、較正方法はパラメータ値を内部メモリに格納して終了する。いくつかの実装形態において、占有検出閾値は、1つまたは複数のステーションに乗員の標準化されたレプリカを配置し、反射信号エネルギーを測定し、各ステーションで乗員の有無を確実に区別する値に閾値を設定することによって決定される。
【0023】
図5は、集中占有検出器によって実装することができる例示的な占有検出方法のフロー図である。この方法は、複数のステーションのそれぞれについて実行される一連のブロックを含み、方法自体は、時間の経過とともに変化するステーションの占有を監視するように周期的にまたはイベントトリガー方式で繰り返すことができる。
【0024】
ブロック502において、占有検出器は最初または次のステーションを選択する。ブロック504において、占有検出器は選択されたステーションについてのパラメータ値をメモリから取得する。パラメータ値は、最良の送信方位角、送信仰角、FFT範囲ビン、およびFFT入射角ビンとして較正プロセス中に選択された値とすることができる。ブロック506において、占有検出器は、レーダ信号を送信し、関連する応答信号を取得し、そして応答信号を処理して反射レーダ信号エネルギー測定値を導出するためにパラメータ値を使用する。ブロック508において、占有検出器は反射レーダ信号エネルギー測定値を所定の閾値と比較して、選択されたステーションが占有されているかどうかを判定する。
【0025】
ブロック510において、占有検出器は、各ステーションについて測定値が得られたかどうかを判定するようにチェックし、得られていなければ、次の選択されたステーションについてブロック502~510が繰り返される。さもなければ、ブロック512において占有検出器は、ステーションのそれぞれについての占有ステータスを示すレジスタを更新する。少なくともいくつかの実装形態において、更新プロセスは各ステーションについての複数の測定値を組み合わせて信頼性を向上させる。
【0026】
上の開示が十分に理解されると、多くの他の修正例、均等物、および代替物が当業者に明らかになるであろう。たとえば、例示的な方法は、あたかも連続的に起こるかのように図示および説明されているが、動作の多くをパイプライン化すること、または他の方法で並行して実行することができ、順序外の動作、およびハードウェアの複雑さと引き換えに実行を速めることが望ましいと考えられる投機的実行もあり得ることを当業者は認識するであろう。
【0027】
別の一例として、前述の議論では乗員のステーションを車両内の座席として説明しているが、本開示の原理および技術は、座席だけでなく、立ったり、ひざまずいたり、リクライニングしたりするため、および車椅子、担架、チャイルドシート、または他の輸送機構を固定するために指定された領域も含む、乗員を収容するステーションを有する任意の包囲または部分的に包囲された空間にも適用可能である。図面は自動車および乗用バンを示しているが、他の適切な乗り物は、シャトル、バス、電車、ボート、自家用飛行機、商用ジェット機、宇宙輸送機、潜水機、およびエレベータを含む。複数の座席セクションを有する大型車両では、複数の集中占有検出器を、たとえば、各セクションについて1つ採用することができる。
【0028】
さらに別の一例として、図面は車両のダッシュボードの一部として集中占有検出器を示しているが、さまざまなステーションの分離可能な測定を可能にする任意の位置を使用することができることが認識されるべきである。1つの考えられる変形として、集中占有検出器を前部座席間またはそのすぐ後ろのコンソールに配置し、キャビンルーフからの反射を介してその測定値のそれぞれを取得する。次の特許請求の範囲は、該当する場合、すべてのこのような修正例、均等物、および代替物を包含するように解釈されることが意図されている。
【符号の説明】
【0029】
102 車両
104 集中占有検出器
106 照準線経路
108 キャビンルーフ
110 反射点
112 反射経路
114 反射器
116 反射経路
202 バン
204 占有検出器
206 反射点
208 ルーフ反射点
210 ルーフ反射点
300 トランシーバチップ
301 送信素子
302 受信素子
303A~303D 電力増幅器
304 送信回路、送信信号生成回路
306A~306D アナログデジタル変換器
308 MCU
310 高帯域幅インターフェース
312 制御インターフェース
314 周辺回路
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】