(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】負極、当該負極を含む電気化学デバイス及び電子デバイス
(51)【国際特許分類】
H01M 4/13 20100101AFI20240124BHJP
H01G 11/06 20130101ALI20240124BHJP
H01G 11/24 20130101ALI20240124BHJP
H01M 4/587 20100101ALN20240124BHJP
【FI】
H01M4/13
H01G11/06
H01G11/24
H01M4/587
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545333
(86)(22)【出願日】2022-02-09
(85)【翻訳文提出日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 CN2022075646
(87)【国際公開番号】W WO2022206175
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】202110333773.1
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513054978
【氏名又は名称】寧徳新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Ningde Amperex Technology Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Xingang Road, Zhangwan Town, Jiaocheng District, Ningde City, Fujian Province, 352100, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蔡余新
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼▲鵬▼洋
(72)【発明者】
【氏名】董佳▲麗▼
(72)【発明者】
【氏名】▲謝▼▲遠▼森
【テーマコード(参考)】
5E078
5H050
【Fターム(参考)】
5E078AA01
5E078AB06
5E078BA18
5E078BA62
5E078BA63
5E078BA64
5E078BA67
5H050AA07
5H050AA08
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB08
5H050DA03
5H050FA09
5H050HA05
5H050HA06
5H050HA07
5H050HA14
5H050HA18
(57)【要約】
本願は、負極、当該負極を含む電気化学デバイス及び電子デバイスに関する。前記負極は、集電体と前記集電体上に配置されている負極活物質材料層とを含み、前記負極活物質材料層は負極活物質材料粒子を含み、前記負極活物質材料粒子は二次粒子を含み、前記負極活物質材料層は孔Aを含み、水銀圧入法で測定すると、孔Aの孔径は59nm-73nmであり、且つ、負極活物質材料層のC004/C110値は6-20である。本願で提供される負極を用いた電気化学デバイスは、高い容量及び改善された耐サイクル膨張特性を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体と前記集電体上に配置されている負極活物質材料層とを含み、前記負極活物質材料層は負極活物質材料粒子を含み、前記負極活物質材料粒子は二次粒子を含み、前記負極活物質材料層は孔Aを含み、水銀圧入法で測定すると、前記孔Aの孔径は59nm-73nmであり、且つ、前記負極活物質材料層のC004/C110値は6-20である、負極。
【請求項2】
水銀圧入法で測定すると、前記孔Aの水銀侵入量の微分は0.150-0.190mL/g・μm
-1である、請求項1に記載の負極。
【請求項3】
前記負極活物質材料層は孔Bを含み、水銀圧入法で測定すると、前記孔Bの孔径は660nm-800nmであり、且つ、前記孔Bの水銀侵入量の微分は0.160-0.230mL/g・μm
-1である、請求項1に記載の負極。
【請求項4】
前記孔Aに対する孔Bの体積比は0.7:1-1.42:1である、請求項3に記載の負極。
【請求項5】
前記負極活物質材料粒子は、
(a)前記負極活物質材料粒子のDv50は7.2-21.6μmであること、
(b)前記負極活物質材料粒子のDv90は28.4-40.0μmであること、
(c)前記負極活物質材料粒子のDv10は1.4-9.4μmであること、或いは、
(d)前記負極活物質材料粒子のDv90とDn10はDv90/Dn10≦26であることの少なくとも1つを満たす、請求項1に記載の負極。
【請求項6】
前記負極活物質材料粒子は、加圧された前の粉末粒子径がD
1v50であり、且つ1tの圧力で加圧された後の粉末粒子径がD
2v50であり、(D
1v50-D
2v50)/D
1v50×100%≦25%である、請求項1に記載の負極。
【請求項7】
前記負極活物質材料粒子の比表面積は0.8-2.0m
2/gである、請求項1に記載の負極。
【請求項8】
前記負極活物質材料粒子は、加圧された前の比表面積がB
1であり、且つ1tの圧力で加圧された後の比表面積がB
2であり、(B
2-B
1)/B
1×100%≦140%である、請求項1に記載の負極。
【請求項9】
請求項1から8にいずれか一項に記載の負極を含む、電気化学デバイス。
【請求項10】
前記電気化学デバイスが3Vの電圧まで放電された場合、前記負極活物質材料の比表面積は1.5-2.4m
2/gである、請求項9に記載の電気化学デバイス。
【請求項11】
前記電気化学デバイスが4.45Vの電圧まで充電された場合、DSC測定をすると、前記負極活物質材料層の最大の発熱ピークは280-330℃である、請求項9に記載の電気化学デバイス。
【請求項12】
前記電気化学デバイスが3Vの電圧まで放電された場合、前記負極活物質材料の粉末粒子径はD
av50であり、且つ1tの圧力で加圧された後の前記負極活物質材料の粉末粒子径はD
bv50であり、(D
av50-D
bv50)/D
av50×100%≦2%である、請求項9に記載の電気化学デバイス。
【請求項13】
前記電気化学デバイスが3Vの電圧まで放電された場合、前記負極活物質材料粒子は、加圧された前の比表面積がB
11であり、且つ1tの圧力で加圧された後の比表面積がB
22であり、(B
22-B
11)/B
11×100%≦40%である、請求項9に記載の電気化学デバイス。
【請求項14】
請求項9-13のいずれか一項に記載の電気化学デバイスを含む、電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、エネルギー貯蔵分野に関し、具体的に、負極、当該負極を含む電気化学デバイス及び電子デバイスに関し、特にリチウムイオン電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学デバイス(例えば、リチウムイオン電池)は、環境に優しく、稼動電圧が高く、比容量が大きく、サイクル寿命が長いなどの利点を有するため、広く利用され、現在、世界で最も発展の可能性がある新型グリーンケミストリー電源になる。小型のリチウムイオン電池は、一般的に、携帯型電子通信デバイス(例えば、携帯型ビデオカメラ、携帯電話、ノートパソコン等)を駆動する電源、特に高性能の携帯型デバイスの電源として用いられる。近年、高出力特性を有する中型や大型のリチウムイオン電池が開発され、電気自動車(EV)や大規模エネルギー貯蔵システム(ESS)に適用されている。リチウムイオン電池が広く適用されるとともに、そのサイクル性能は解決すべき大切な技術的課題となっている。電極における活物質材料を改善することは、上記課題を解決する研究方向の1つである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術では、主に、黒鉛に対して被覆炭化を行う。表面被覆層により粒子間の膨張を抑制しながら、被覆によって極化生成を減少し、副反応生成物の堆積を減少することで、サイクル膨張という問題を改善する。しかし、この方法は、リチウムイオン電池のエネルギー密度に深刻な影響を与え、リチウムイオン電池の総合的な性能を両立することが難しい。以上のような事情に鑑み、改善した活物質材料及びそれを使用して製造する負極、電気化学デバイスと電子デバイスを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願実施例は、負極、当該負極を含む電気化学デバイス及び電子デバイスを提供することによって、関連分野における少なくとも1つの問題を少なくともある程度解決しようとするものである。
【0005】
一実施例において、本願は、負極を提供する。前記負極は、集電体と前記集電体上に配置されている負極活物質材料層とを含み、前記負極活物質材料層は負極活物質材料粒子を含み、前記負極活物質材料粒子は二次粒子を含み、前記負極活物質材料層は孔Aを含み、水銀圧入法で測定すると、孔Aの孔径は59nm-73nmであり、且つ、前記負極活物質材料層のC004/C110値は6-20である。
【0006】
いくつかの実施例において、水銀圧入法で測定すると、前記孔Aの水銀侵入量の微分は、0.150-0.190mL/g・μm-1である。
【0007】
いくつかの実施例において、前記負極活物質材料層は孔Bを含み、水銀圧入法で測定すると、前記Bの孔径は661.6nm-793.3nmであり、且つ、前記孔Bの水銀侵入量の微分は、0.160-0.230mL/g・μm-1である。
【0008】
いくつかの実施例において、前記孔Aに対する孔Bの体積比は、0.7:1-1.42:1である。
【0009】
いくつかの実施例において、前記負極活物質材料粒子は、
(a)前記負極活物質材料粒子のDv50が7.2-21.6μmであること、(b)前記負極活物質材料粒子のDv90が28.4-40μmであること、(c)前記負極活物質材料粒子のDv10が1.4-9.4μmであること、及び、(d)前記負極活物質材料粒子のDv90とDn10がDv90/Dn10≦26であること少なくとも1つを満たす。
【0010】
いくつかの実施例において、前記負極活物質材料粒子は、加圧された前の粉末粒子径がD1v50であり、且つ1tの圧力で加圧された後の粉末粒子径がD2v50であり、(D1v50-D2v50)/D1v50×100%≦25%である。
【0011】
いくつかの実施例において、前記負極活物質材料粒子の比表面積は0.8-2.0m2/gである。
【0012】
いくつかの実施例において、前記負極活物質材料粒子は、加圧された前の比表面積がB1であり、且つ1tの圧力で加圧された後の比表面積がB2であり、(B2-B1)/B1×100%≦140%である。
【0013】
別の実施例において、本願は、本願の実施例に記載の負極を含む電気化学デバイスを提供する。
【0014】
いくつかの実施例において、前記電気化学デバイスが3Vの電圧まで放電された場合、前記負極活物質材料粒子の比表面積は1.9-2.4m2/gである。
【0015】
いくつかの実施例において、電気化学デバイスが4.45Vの電圧まで充電された場合、DSC測定をすると、前記負極活物質材料層の最大の発熱ピークは280-330℃である。
【0016】
いくつかの実施例において、前記電気化学デバイスが3Vの電圧まで放電された場合、前記負極活物質材料粒子の粉末粒子径はDav50であり、且つ1tの圧力で加圧された後の前記負極活物質材料の粉末粒子径はDbv50であり、(Dav50-Dbv50)/Dav50×100%≦2%である。
【0017】
いくつかの実施例において、前記電気化学デバイスが3Vの電圧まで放電された場合、前記負極活物質材料粒子は、加圧された前の比表面積がB11であり、且つ1tの圧力で加圧された後の比表面積がB22であり、(B22-B11)/B11×100%≦40%である。
【0018】
別の実施例において、本願は、本願の実施例に記載の電気化学デバイスを含む電子デバイスを提供する。
【0019】
本願は、粒子自身の構造の最適化と、粒子同士の複合程度との両方から、リチウムイオン電池の容量と耐サイクル膨張特性を改善する。
【0020】
本願の追加的な態様及び利点は、後続の説明において部分的に説明し、例示し、または本願の実施例により説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
以下、本願の実施例を述べるため、本願の実施例または従来技術を説明するための必要な図面を概要的に説明する。以下に説明される図面が本願の実施例の一部に過ぎないことは明らかである。当業者であれば、創造的な労働なしに、これらの図面に例示される構造から、別の実施例の図面を得ることができる。
【0022】
【
図1】
図1は本願実施例11と比較例1の負極活物質材料の微分水銀侵入曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本願の実施例を詳細に説明する。本願の実施例は、本願を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0024】
本願において、Dv50は、負極活物質材料の累計体積百分率が50%に達する時に対応する粒子径であり、単位がμmである。Dv90は、負極活物質材料の累計体積百分率が90%に達する時に対応する粒子径であり、単位がμmである。Dv10は、負極活物質材料の累計体積百分率が10%に達する時に対応する粒子径であり、単位がμmである。
【0025】
なお、本説明書では、量、比率および他の数値を範囲の形式で呈する場合がある。このような範囲の形式は、便宜上および簡潔のためのものであり、範囲で制限される数値として明示的に指定したものだけではなく、各数値及びサブ範囲が明示的に指されたと同様に、前記範囲内に含まれる全ての個々の数値又はサブ範囲をも含むものと柔軟に理解されるべきである。
【0026】
具体的な実施形態及び請求の範囲において、「うちの一方」、「うちの1つ」、「うちの1種」という用語または他の類似的な用語で接続される項目の列挙とは、列挙された項目のいずれかを意味する。例えば、項目A及びBが列挙された場合、「A及びBのうちの一方」とは、Aのみ、または、Bのみを意味する。別の実施例において、項目A、B及びCが列挙された場合、「A、B及びCのうちの一方」とは、Aのみ、Bのみ、または、Cのみを意味する。項目Aは、単一の素子または複数の素子を含んでいてもよい。項Bは、単一の素子または複数の素子を含んでいてもよい。項Cは、単一の素子または複数の素子を含んでいてもよい。
【0027】
具体的な実施形態及び請求の範囲において、「うちの少なくとも一方」、「うちの少なくとも1つ」、「うちの少なくとも1種」という用語または他の類似的な用語で接続される項目の列挙とは、列挙された項目の任意の組み合わせを意味する。例えば、項目A及びBが列挙された場合、「A及びBのうちの少なくとも一方」とは、Aのみ、Bのみ、または、A及びBを意味する。別の実施例において、項目A、B及びCが列挙された場合、「A、B及びCのうちの少なくとも一方」とは、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びB(Cを除く)、A及びC(Bを除く)、B及びC(Aを除く)、または、A、B及びCの全体を意味する。項目Aは、単一の素子または複数の素子を含んでいてもよい。項目Bは、単一の素子または複数の素子を含んでいてもよい。項目Cは、単一の素子または複数の素子を含んでいてもよい。
【0028】
電気化学デバイス
一実施例において、本願は、正極、負極、セパレータと電解液を含む電気化学デバイスを提供する。
【0029】
いくつかの実施例において、本願の電気化学デバイスは、一次電池、又は二次電池を含むが、これらに限定されない。
【0030】
いくつかの実施例において、前記電気化学デバイスは、リチウム二次電池である。
【0031】
いくつかの実施例において、リチウム二次電池は、リチウム金属二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウム重合体二次電池またはリチウムイオン重合体二次電池を含むが、これらに限定されない。
【0032】
一、負極
本願実施例は、負極を提供する。前記負極は、集電体と前記集電体上に配置されている負極活物質材料層とを含み、前記負極活物質材料層は負極活物質材料粒子を含み、前記負極活物質材料粒子は二次粒子を含み、前記負極活物質材料層は孔Aを含み、水銀圧入法で測定すると、孔Aの孔径は59nm-73nmであり、且つ、負極活物質材料層のC004/C110値は6-20である。
【0033】
いくつかの実施例において、前記Aの孔径は、59nm、60nm、61nm、62nm、63nm、64nm、65nm、66nm、67nm、68nm、69nm、70nm、71nm、73nmであり、又はこられの数値のうちのいずれの2つからなる範囲に属する。
【0034】
いくつかの実施例において、前記負極活物質材料層のC004/C110値は6、8、10、12、14、16、18、20であり、又はこられの数値のうちのいずれの2つからなる範囲に属する。
【0035】
いくつかの実施例において、水銀圧入法で測定すると、前記孔Aの水銀侵入量の微分は、0.150-0.190mL/g・μm-1である。
【0036】
いくつかの実施例において、前記孔Aの水銀侵入量の微分は、0.150mL/g・μm-1、0.160mL/g・μm-1、0.170mL/g・μm-1、0.180mL/g・μm-1、0.190mL/g・μm-1であり、又はこられの数値のうちのいずれの2つからなる範囲に属する。
【0037】
いくつかの実施例において、前記負極活物質材料層は孔Bを含み、水銀圧入法で測定すると、前記Bの孔径は660nm-800nmであり、且つ、前記孔Bの水銀侵入量の微分は、0.160-0.230mL/g・μm-1である。
【0038】
いくつかの実施例において、前記Bの孔径は、660nm、670nm、680nm、690nm、700nm、710nm、720nm、730nm、740nm、750nm、760nm、770nm、780nm、790nm、790nm、800nmであり、又はこられの数値のうちのいずれの2つからなる範囲に属する。
【0039】
いくつかの実施例において、前記孔Aに対する孔Bの体積比は、0.7:1-1.42:1である。いくつかの実施例において、前記孔Aに対する孔Bの体積比は0.7:1、0.8:1、0.9:1、1:1、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.42:1であり、又はこられの数値のうちのいずれの2つからなる範囲に属する。前記孔Aに対する孔Bの体積比は上記範囲に属すると、負極活物質材料が電解液に露出する面積を制御し、副反応を減少することができるとともに、電解液の流れと浸潤を確保し、抵抗の増加を避ける。
【0040】
いくつかの実施例において、前記負極活物質材料粒子は、(a)前記負極活物質材料粒子のDv50が7.2-21.6μmであること、(b)前記負極活物質材料粒子のDv90が28.4-40.0μmであること、(c)前記負極活物質材料粒子のDv10が1.4-9.4μmであること、或いは、(d)前記負極活物質材料粒子のDv90とDn10がDv90/Dn10≦26であることの少なくとも1つを満たす。
【0041】
いくつかの実施例において、前記負極活物質材料粒子のDv50は、7.2μm、8μm、10μm、12μm、14μm、16μm、18μm、20μm、21.6μmであり、又はこられの数値のうちのいずれの2つからなる範囲に属する。
【0042】
いくつかの実施例において、前記負極活物質材料粒子のDv90は、28.4μm、30μm、32μm、34μm、35.7μm、38μm、40μmであり、又はこられの数値のうちのいずれの2つからなる範囲に属する。
【0043】
いくつかの実施例において、前記負極活物質材料粒子のDv10は、1.4μm、2.0μm、3.0μm、4.0μm、5.0μm、6.0μm、7.0μm、8.0μm、9.4μmであり、又はこられの数値のうちのいずれの2つからなる範囲に属する。
【0044】
いくつかの実施例において、Dv90/Dn10は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26であり、又はこられの数値のうちのいずれの2つからなる範囲に属する。
【0045】
いくつかの実施例において、前記負極活物質材料粒子は、加圧された前の粉末粒子径がD1v50であり、且つ1tの圧力で加圧された後の粉末粒子径がD2v50であり、(D1v50-D2v50)/D1v50×100%≦25%である。
【0046】
いくつかの実施例において、(D1v50-D2v50)/D1v50×100%の値は、1%、3%、6%、9%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、25%であり、又はこられの数値のうちのいずれの2つからなる範囲に属する。(D1v50-D2v50)/D1v50×100%の値は上記の範囲に属すると、負極活物質材料粒子の粘着強度が高い、電気化学デバイスはサイクル過程に粒子がより安定し、電気化学デバイスの膨張率を減少する。
【0047】
いくつかの実施例において、前記負極活物質材料粒子の比表面積は、0.8-2.0m2/gである。いくつかの実施例において、前記負極活物質材料粒子の比表面積は、0.8m2/g、0.9m2/g、1.0m2/g、1.1m2/g、1.2m2/g、1.3m2/g、1.4m2/g、1.6m2/g、1.7m2/g、1.8m2/g、2.0m2/gであり、又はこられの数値のうちのいずれの2つからなる範囲に属する。
【0048】
いくつかの実施例において、前記負極活物質材料粒子は、加圧された前の比表面積がB1であり、且つ1tの圧力で加圧された後の比表面積がB2であり、(B2-B1)/B1×100%≦140%である。いくつかの実施例において、(B2-B1)/B1×100%は10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%であり、又はこられの数値のうちのいずれの2つからなる範囲に属する。(B2-B1)/B1×100%は上記範囲に属すると、電気化学デバイスの副反応を減少し、膨張率を低下する。
【0049】
いくつかの実施例において、前記負極活物質材料は、黒鉛粒子である。いくつかの実施例において、前記負極活物質材料は、一次黒鉛粒子と二次黒鉛粒子とを含む。いくつかの実施例において、前記孔Aは、前記二次黒鉛粒子における一次黒鉛粒子間の堆積間隙である。いくつかの実施例において、前記孔Bは、主に二次黒鉛粒子間の堆積による間隙である。
【0050】
いくつかの実施例において、前記二次黒鉛粒子は、一次黒鉛粒子とバインダーで調製するものである。いくつかの実施例において、前記バインダーは、低温アスファルト、中温アスファルト、高温アスファルト、又は樹脂を含むが、これらに限定されない。
【0051】
いくつかの実施例において、前記電気化学デバイスが3Vの電圧まで放電された場合、前記負極活物質材料の比表面積は1.9-2.4m2/gである。いくつかの実施例において、前記電気化学デバイスが3Vの電圧まで放電された場合、前記負極活物質材料の比表面積は1.9m2/g、2.0m2/g、2.1m2/g、2.2m2/g、2.3m2/g、2.4m2/gであり、又はこられの数値のうちのいずれの2つからなる範囲に属する。
【0052】
いくつかの実施例において、4.45Vの電圧まで充電された場合、DSC測定をすると、前記負極活物質材料層の最大の発熱ピークは280-330℃である。いくつかの実施例において、4.45Vの電圧まで充電された場合、DSC測定をすると、前記負極活物質材料層の最大の発熱ピークは280℃、286℃、290℃、296℃、300℃、306℃、312℃、318℃、322℃、326℃、328℃、330℃であり、又はこられの数値のうちのいずれの2つからなる範囲に属する。
【0053】
いくつかの実施例において、前記電気化学デバイスが3Vの電圧まで放電された場合、前記負極活物質材料の粉末粒子径はDav50であり、且つ1tの圧力で加圧された後の前記負極活物質材料の粉末粒子径はDbv50であり、(Dav50-Dbv50)/Dav50×100%≦2%である。
【0054】
いくつかの実施例において、(Dav50-Dbv50)/Dav50×100%は、0.2%、0.4%、0.6%、0.8%、1.2%、1.4%、1.6%、1.8%、2%であり、又はこられの数値のうちのいずれの2つからなる範囲に属する。
【0055】
いくつかの実施例において、前記電気化学デバイスが3Vの電圧まで放電された場合、前記負極活物質材料粒子は、加圧された前の比表面積がB11であり、且つ1tの圧力で加圧された後の比表面積がB22であり、(B22-B11)/B11×100%≦40%である。いくつかの実施例において、(B22-B11)/B11×100%は、4%、8%、10%、12%、16%、18%、20%、24%、28%、32%、34%、36%、38%、40%であり、又はこられの数値のうちのいずれの2つからなる範囲に属する。
【0056】
いくつかの実施例において、前記電気化学デバイスは、リチウムイオン電池を含み、25℃で500サイクルした後、前記リチウムイオン電池の膨張率は9%未満である。いくつかの実施例において、前記リチウムイオン電池の膨張率は、8%未満又は7%未満である。
【0057】
いくつかの実施例において、負極活物質材料層は、さらに、バインダーを含む。いくつかの実施例において、前記バインダーは、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、アクリル(エステル)化スチレンブタジエンゴム、エポキシ樹脂、またはナイロンを含むが、これらに限定されない。
【0058】
いくつかの実施例において、負極活物質材料層は、導電材料層を含む。いくつかの実施例において、導電材料は、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー、金属粉末、金属ファイバー、銅、ニッケル、アルミニウム、銀、またはポリフェニレン誘導体を含むが、これらに限定されない。
【0059】
いくつかの実施例において、集電体は銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔、チタン箔、ニッケルフォーム、銅フォーム、導電性金属を覆った重合体基板を含むが、これらに限定されない。
【0060】
いくつかの実施例において、負極は、溶媒で活物質材料と、導電材料とバインダーとを溶媒で混合して活物質材料組成物を調製して、当該活物質材料組成物を集電体に塗布する方法により得られる。
【0061】
いくつかの実施例において、溶媒は、N-メチルピロリドンを含んでもよいが、これに限定されない。
【0062】
二、正極
本願の実施例に用いられる正極の材料、構造及ぶその製造方法は、従来技術に開示されたあらゆる技術を含む。
【0063】
いくつかの実施例において、正極は、集電体と当該集電体上に配置されている正極活物質材料層を含む。
【0064】
いくつかの実施例において、正極活物質材料は、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、リチウムニッケルコバルトマンガン(NCM)三元材料、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)、又はマンガン酸リチウム(LiMn2O4)を含むが、これらに限定されない。
【0065】
いくつかの実施例において、正極活物質材料層はされにバインダーを含み、選択的に、導電材料層も含む。バインダーは、正極活物質材料粒子同士の間の結合を高めるとともに、正極活物質材料粒子と集電体との結合も高める。
【0066】
いくつかの実施例において、バインダーは、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、アクリル(エステル)化スチレンブタジエンゴム、エポキシ樹脂、又はナイロン等を含むが、これらに限定されない。
【0067】
いくつかの実施例において、導電材料は、炭素系材料、金属系材料、導電性ポリマー、およびそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、炭素系材料は、天然黒鉛、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー、又はそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施例において、金属系材料は、金属粉末、金属ファイバー、銅、ニッケル、アルミニウム、又は銀から選択される。いくつかの実施例において、導電性ポリマーはポリフェニレン誘導体である。
【0068】
いくつかの実施例において、集電体は、アルミニウムを含むが、これに限定されない。
【0069】
正極は、本分野における公知の調製方法で調製されることができる。例えば、正極は、活物質材料と、導電材料とバインダーとを溶媒で混合して活物質材料組成物を調製して、当該活物質材料組成物を集電体に塗布する方法により得られる。いくつかの実施例において、溶媒はN-メチルピロリドンを含んでもよいが、これに限定されない。
【0070】
三、電解液
本願の実施例に使用される電解液は、従来技術において既知の電解液であってもよい。
【0071】
いくつかの実施例において、前記電解液は、有機溶媒と、リチウム塩と、添加剤とを含む。本願の電解液に含まれる有機溶媒は、電解液の溶媒として使用される従来技術における既知のあらゆる有機溶媒であってもよい。本願の電解液に使用される電解質は、特に制限されなく、従来技術における既知のあらゆる電解質であってもよい。本願の電解液に含まれる添加剤は、電解液の添加剤として使用される従来技術における既知のあらゆる添加剤であってもよい。
【0072】
いくつかの実施例において、前記有機溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)、プロピレンカーボネート、又はエチルプロピオネートを含むが、これらに限定されない。
【0073】
いくつかの実施例において、前記リチウム塩は、有機リチウム塩または無機リチウム塩のうちの少なくとも1種を含む。
【0074】
いくつかの実施例において、前記リチウム塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO2F2)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドLiN(CF3SO2)2(LiTFSI)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドLi(N(SO2F)2)(LiFSI)、リチウムビスオキサレートボレートLiB(C2O4)2(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサレートボレートLiBF2(C2O4)(LiDFOB)を含むが、これらに限定されない。
【0075】
いくつかの実施例において、前記電解液中のリチウム塩の濃度は、0.5-3mol/L、0.5-2mol/L、又は8-1.5mol/Lである。
【0076】
四、セパレータ
いくつかの実施例において、正極と負極との間には、短絡を防止するためにセパレータが設けられている。本願の実施例に使用されるセパレータの材料及び形状は特に制限されなく、従来技術に開示された任意のものであってもよい。いくつかの実施例において、セパレータは、本願の電解液に対して安定である材料から形成された重合体または無機物などを含む。
【0077】
例えば、セパレータは、基材層と表面処理層とを含んでよい。基材層は、多孔質構造を有する不織布、膜または複合膜であり、基材層の材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートおよびポリイミドからなる群より選ばれる少なくとも1種である。具体的には、ポリプロピレン多孔質膜、ポリエチレン多孔質膜、ポリプロピレン不織布、ポリエチレン不織布、またはポリプロピレン-ポリエチレン-ポリプロピレン多孔質複合膜を選択して使用してよい。
【0078】
基材層の少なくとも1つの表面には、表面処理層が設けられており、表面処理層は、重合体層または無機物層であってもよく、重合体と無機物とを混合してなる層であってもよい。
【0079】
無機物層は、無機粒子とバインダーを含み、無機粒子は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化チタン、二酸化ハフニウム、酸化スズ、酸化セリウム、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、炭化ケイ素、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、および硫酸バリウムからなる群より選ばれる一種または複数の種類の組み合わせである。バインダーは、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレンおよびポリヘキサフルオロプロピレンからなる群より選ばれる1種または複数の種類の組み合わせである。
【0080】
重合体層は、重合体を含み、重合体の材料は、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、アクリル酸エステルの重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリフッ化ビニリデン又はポリ(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0081】
電子デバイス
本願の電子デバイスは、本願の実施例における電気化学デバイスを使用する任意のものである。
【0082】
いくつかの実施例において、前記電子デバイスは、ノートパソコン、ペン入力型コンピューター、モバイルコンピューター、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯型ファクシミリ、携帯型コピー機、携帯型プリンター、ステレオヘッドセット、ビデオレコーダー、液晶テレビ、ポータブルクリーナー、携帯型CDプレーヤー、ミニCD、トランシーバー、電子ノートブック、計算機、メモリーカード、ポータブルテープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、自動車、オートバイ、電動アシスト自転車、自転車、照明器具、おもちゃ、ゲーム機、時計、電動工具、閃光灯、カメラ、大型家庭用ストレージバッテリー、及びリチウムイオンコンデンサーなどを含むが、これらに限定されない。
【0083】
以下、リチウムイオン電池を例として、具体的な実施例を参照してリチウムイオン電池の調製を説明するが、当業者は、本願に記載の調製方法が例示に過ぎず、他のあらゆる好適な調製方法が本願の範囲内にあることを理解すべきである。
【0084】
実施例
以下、本願におけるリチウムイオン電池の実施例及び比較例に基づく特性評価を説明する。
【0085】
一、リチウムイオン電池の製造
1、負極の製造
1)、負極活物質材料の製造
a)石油コークスを原料(即ち、黒鉛前駆体)として、石油コークスとバインダーである高温アスファルトを所定の割合で均一に混合し、一緒に水平式レトルトに入れ、460℃-550℃まで昇温し、3hに保温して、造粒した半製品を得た。b)その後、黒鉛化温度を2500℃-3200℃とし、黒鉛化時間を10hr-200hrとした高温黒鉛化処理により、黒鉛負極活物質を得た。具体的なプロセスパラメーターは表1に示した。
【0086】
2)、負極の製造
上記製造された黒鉛負極活物質材料、スチレンブタジエンゴム(SBR)、及びカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)を97.7:1.2:1.1の重量比で脱イオン水に分散させ、十分に攪拌して均一に混合して、負極スラリーを得た。アセチレンブラックを銅箔に塗布して、負極集電体を得た。負極集電体上に負極スラリーを塗布して、乾燥して、冷間圧延して、負極を得た。
異なる粒子径の石墨粒子は、任意の既知技術を採用して原料に破砕分級を行うことで得られた。
【0087】
2、正極の製造
コバルト酸リチウム(LiCoO2)、アセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を96:2:2の重量比で適量のN-メチルピロリドン(NMP)に十分に撹拌して均一に混合した後、正極集流体であるアルミ箔に塗布して、乾燥して、冷間圧延して、正極を得た。
【0088】
3、電解液の調製
乾燥なアルゴンガスの雰囲気で、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、及びジエチルカーボネート(DEC)を1:1:1の重量比で混合し、LiPF6を入れて均一に混合した。3wt%のフルオロエチレンカーボネート、2wt%のアジポニトリルを入れて、均一に混合して、電解液を得た。その中、LiPF6の濃度は1.15mol/Lである。
【0089】
4.セパレータの製造
12μmの厚さのポリエチレン(PE)多孔質重合体フィルムをセパレータとする。
【0090】
5、リチウムイオン電池の製造
正極、セパレータ、負極を順に積層し、セパレータを正極と負極の間に配することで分離の機能を持たせ、巻き回してベアセルを得た。ラグを溶接した後、ベアセルをアルミプラスチックフィルムの包装袋に詰め、上記調製した電解液を乾燥したベアセルに注入し、真空封止、静置、化成、整形、容量テスト等の工程を経て、リチウムイオン電池を得た。
【0091】
二、測定方法
1、負極活物質材料の孔径分布の測定方法(水銀圧入法)
MicroActive AutoPore V 9600全自動水銀圧入法孔径分析装置を使用して、負極活物質材料層の孔径分布を測定した。電池を3Vの電圧まで放電して、電池を分解し、負極を取り出して、炭酸ジメチル溶液に5時間浸漬した。その後、負極(負極活物質材料層と集電体とを含む)を乾燥させ、膨張計を取り付けて、密封した後、一緒に水銀圧入計に入れ、負極活物質層の孔径分布と孔容積を測定した。
図1は本願実施例11と比較例1の微分水銀侵入曲線を示す。その中に、
図1におけるピークに対応する横軸は孔径分布範囲を表し、ピークの面積は単位質量当たり材料中の孔の体積を表す。ここで、2つの最高ピークに対応する孔径で孔Aと孔Bの孔径を表し、且つ、孔Aの孔径は孔Bの孔径より小さい。
【0092】
2、OI値の測定方法
XRD回折計を使用して、負極活物質材料層のOI値を測定した。負極サンプルをXRD回折計に配置して、004と110ピークの結晶面面積をそれぞれC004とC110として測定し、下記の式に従って、OI値を算出した。
OI値=C004/C110である。
【0093】
3、負極活物質材料の粒子径の測定方法
Malvern粒子径測定デバイスを使用して、負極活物質材料の粒子径を測定した。負極活物質材料サンプルを分散剤であるエタノールに分散させ、30分間超音波処理した後、サンプルをMalvern粒子径測定デバイスに入れて、負極活物質材料のDv50、Dn10、及びDv90を測定した。
【0094】
4、負極活物質材料の比表面積の測定方法
比表面積分析装置(TristarII3020M)を使用して、窒素吸着/脱着法で負極活物質材料の比表面積を測定した。負極活物質材料サンプルを真空乾燥オーブンで乾燥して、サンプルチューブに入れて、分析装置で測定した。
【0095】
5、DSC測定方法
リチウムイオン電池を4.45Vまで充電した後に分解し、負極を乾燥し、負極活物質材料層を削り取り、同期熱分析装置(STA 449F3)を使用して、N2雰囲気で、10℃/minの昇温速率で800℃まで加熱した。それのDSC発熱曲線を測定した。
【0096】
6.リチウムイオン電池のグラム容量の測定方法
リチウムイオン電池を0.05Cで5.0mVまで放電させて、50μAで5.0mVまで放電させて、10μAで5.0mVまで放電させて、0.1Cで2.0Vまで充電させて、この時のリチウムイオン電池の容量をグラム容量として記録する。0.05Cとは、設計グラム容量の0.05倍の電流値を指し、0.1Cとは、設計グラム容量の0.1倍の電流値を指す。
【0097】
7.リチウムイオン電池のサイクル厚さ膨張率の測定方法
25℃で、マイクロメータを使用して、リチウムイオン電池が3.95V未満である場合の厚さをH0として測定した。リチウムイオン電池を1.5Cのレートで500サイクルの充放電を行い、50サイクルごとに、リチウムイオン電池が4.45Vである時の厚さをHnとして測定した。下記の式で、リチウムイオン電池のサイクル厚さ膨張率を算出する。
サイクル回数に対応するサイクル厚さ膨張率=(Hn-H0)/H0×100%。
【0098】
三、測定結果
表1には負極活物質材料を製造するプロセスパラメーターを示す。その中に、バインダーの量は、黒鉛の重量に対するバインダーの重量の比である。
【0099】
【0100】
表2には関連特性に対して測定結果を示す。その中に、DSC発熱ピーク温度は、負極材料の熱安定性を表することに用いられ、リチウムイオン電池が4.45Vの電圧まで充電された時に負極活物質材料層のDSC発熱ピーク温度である。
【0101】
【0102】
実施例1、5、9、13、実施例2、6、10、14、実施例3、7、11、15、及び実施例4、8、12、16から、負極活物質材料を製造する時に、黒鉛前駆体である石油コークスの粒度Dv50を変化しない場合、高粘度バインダーの量を増加することに伴い、負極活物質材料の黒鉛粒子の粒子径Dv50が大きくなり、孔Aの孔径がほとんど変わらなく水銀侵入量の微分が増加し、孔Bの孔径とその水銀侵入量の微分が増加することが分かる。これは、孔Aの孔隙が二次粒子における一次粒子間の堆積間隙を表し、孔Bの孔隙が主に二次粒子間の堆積による間隙を表すためと思われる。一次粒子の粒子径が変わらない場合、その堆積間隙のサイズが変わらないため、孔Aの孔径はほとんど変わらない。バインダー含有量が増加する場合、二次粒子の中に複合した一次粒子が多くほど、間隙の数が多くなり、孔Aの水銀侵入量の微分が増加し、二次粒子の複合安定性の強度が増加するため、粒子径が増加することに伴い、粒子間の間隙と数も増加する。そのため、孔Bの粒子径と水銀侵入量の微分も増加する。バインダー含有量が増加した後、粒子間の膨張は互いに抑制されることが実現でき、リチウムイオン電池のサイクル厚さ膨張率が低くなる。しかし、比較例2から、バインダー含有量が高すぎると、負極活物質材料のグラム容量が低下し、そのエネルギー密度に影響を与えることが分かる。
【0103】
比較例1のように、負極活物質材料を製造する時に、高粘度バインダーを添加しない場合、負極活物質材料は一次粒子であり、二次粒子に複合形成されていないため、冷間圧延後、負極活物質材料層における粒子は、配列方向が一致で、且つ非常に緊密である。孔径Bが小さく、水銀侵入量の微分が低いことによって、リチウムイオン電池のサイクル厚さ膨張率が高い、全体的な特性が悪い。比較例2のように、負極活物質材料を製造する時に、含有量が高い高粘度バインダーを添加する場合、粒子間の複合度が高く、負極シート中の粒子配列が等方性になり、且つ粒子と粒子間の孔径Bが大きく、水銀侵入量の微分が高く、リチウムイオン電池のサイクル厚さ膨張率が低い。しかし、バインダーのリチウム貯蔵性能が低いため、負極活物質材料のグラム容量に影響を与える。また、二次粒子の粒子径が大きいため、加工性に影響を与える。
【0104】
実施例1-4、実施例5-8、実施例9-12及び実施例13-16から、高粘度バインダー含有量が一定である場合、負極活物質材料の前駆体である石油コークスDv50の増加に伴い、負極活物質材料層における孔径A及びその水銀侵入量の微分が増加し、孔径B及び対応する水銀侵入量の微分が低下し、OI値が増加し、グラム容量が増加するが、厚み膨張率に影響を与えることが分かる。
【0105】
表3には、負極活物質材料のDv90とDn10が、粒子径比率変化値(D1v50-D2v50)/D1v50、比表面積(BET)の成長率、リチウムイオン電池の初回効率、及びサイクル厚さ膨張率に対する影響を示す。実施例17-32の負極活物質材料は、実施例11の負極活物質材料で製造されるものである。実施例11の負極活物質材料対して、スクリーニングと分級処理を加えることで、負極活物質材料中の大きい粒子と微粉を除去して、粒子径の調整を実現する。
【0106】
D1v50は、負極活物質材料の加圧された前の粉末の粒子径であり、D2v50は、負極活物質材料の1tの圧力で加圧された後の粉末の粒子径である。B1は、負極活物質材料の加圧された前の比表面積であり、B2は、負極活物質材料の1tの圧力で加圧された後の比表面積である。
【0107】
負極活物質材料に圧力を与える方法は、電子圧力試験機(SUNS UTM7305)を使用して、13mmの直径の金型に1.0±0.05gの負極活物質材料粉末を置いて、負極活物質材料粉末に対して1tの圧力を与え、5秒間保持し、減圧後に粉末を取ることである。
【0108】
【0109】
実施例17-20、実施例21-24、実施例25-28、及び実施例29-32をそれぞれ比較する。その結果、Dn10が変化しない場合、Dv90が減少すると、粒子径比率変化値(D1v50-D2v50)/D1v50が低下し、表面積(BET)成長率が低下し、初回効率が向上するが、サイクル厚さ膨張率は増加する。実施例17、21、25、29、実施例18、22、26、30、実施例19、23、27、31、及び実施例20、24、28、32を比較すると、Dn10の増加に伴い、負極の微粉数が減少し、表面積(BET)成長率が著しく増加し、初回効率が著しく向上し、膨張がわずかに改善する。
【0110】
明細書全体では、「いくつかの実施例」、「一部の実施例」、「一実施例」、「別の例」、「例」、「具体例」または「部分的な例」の引用は、本願の少なくとも1つの実施例または例は、当該実施例または例に記載の特定の特徴、構造、材料または特性を含むことを意味する。したがって、明細書全体の各箇所に記載のこと、例えば「いくつかの実施例において」、「実施例において」、「一実施例において」、「別の例において」、「1つの例において」、「特定の例において」または「例において」は、必ずしも本願の同じ実施例または例を引用するわけではない。また、本明細書の特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つまたは複数の実施例または例において、任意の好適な形態で組み合わせることができる。
【0111】
例示的な実施例を示して説明したが、当業者は、上述実施例が本願を限定するものとして解釈されることができなく、かつ、本願の技術思想、原理、及び範囲から逸脱することなく実施例を変更、置換及び変更することができることを理解すべきである。
【国際調査報告】