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特表2024-504453放射性標識ヒト血清アルブミン大凝集体を精製するための方法
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  • 特表-放射性標識ヒト血清アルブミン大凝集体を精製するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】放射性標識ヒト血清アルブミン大凝集体を精製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 1/34 20060101AFI20240124BHJP
   A61K 51/08 20060101ALI20240124BHJP
   C07K 1/13 20060101ALI20240124BHJP
   C07K 14/765 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
C07K1/34
A61K51/08 200
C07K1/13
C07K14/765
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545859
(86)(22)【出願日】2022-01-24
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2022051434
(87)【国際公開番号】W WO2022161897
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】2021/5067
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520053050
【氏名又は名称】トラシス・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・バーゴート
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・マセット
(72)【発明者】
【氏名】コランタン・ワルニエ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-リュック・モレル
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・ヴリアモント
(72)【発明者】
【氏名】フレデリーク・ブラン-ビガン
(72)【発明者】
【氏名】ピエール-イヴ・ルルー
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・エウ
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085HH03
4C085KB07
4C085KB08
4C085KB09
4C085KB15
4C085KB82
4H045AA20
4H045AA30
4H045AA40
4H045BA10
4H045BA71
4H045CA42
4H045DA70
4H045EA50
(57)【要約】
本発明は、シリンジフィルターを使用して患者に注射されうる溶液中の放射性標識ヒト血清アルブミン大凝集体(MAA)を精製するための方法において、使用されるシリンジフィルターが、全溶液由来の不純物を保持しない一方、放射性標識MAAを捕捉及び解放する特性を有することを特徴とする方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に注射可能なバルク溶液を形成するための放射性標識大凝集ヒト血清アルブミン(MAA)の合成及び精製のための方法であって、前記方法が、以下の工程:
- 放射性金属をジェネレーター内にジェネレーター溶出液の形態で用意する工程、
- 場合により、前記ジェネレーター溶出液をカチオンカートリッジ上で予備精製し、前記予備精製されたジェネレーター溶出液を溶出する工程、
- 99mTc用の市販の標識キットからのMAA粒子及び予備精製された又はされていない前記ジェネレーター溶出液を用いて、反応器内で前記放射性標識MAAを合成する工程、
- 膜組成、直径及び細孔径が、前記放射性標識MAA粒子を捕捉し、一方で、バルク溶液由来の不純物は保持されないように選択されているシリンジフィルター膜に、前記合成された放射性標識MAA粒子を通す工程であって、前記不純物は、99mTc用の前記MAA標識キット中に存在する遊離放射性金属同位体、親放射性金属漏出及び塩化第一スズから本質的になる、工程、
- 捕捉動作の反対方向に前記シリンジフィルターを通過する生理食塩水又は緩衝溶液を使用して、前記捕捉された放射性標識MAA粒子を前記シリンジフィルターから捕捉解除し、患者に注射可能な最終バルク溶液をバイアル中に用意する工程
を含む、方法。
【請求項2】
精製される放射性標識MAA粒子が、99mTc、94mTc、48V、52Fe、55Co、64Cu、68Ga、67Ga、111In、113In、86Y、89Zr、203Pb、212Bi、82Rb、186Re及び81mKrの群から選択される検出可能な金属イオンで標識されたMAA粒子である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
精製される放射性標識MAA粒子が、99mTc、68Ga、86Y、89Zr及び64Cuの群から選択される検出可能な金属イオンで標識されたMAA粒子である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
精製される放射性標識MAA粒子が、99mTc又は68Gaで標識されたMAA粒子である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記シリンジフィルター膜の細孔径が、0.1~10.0μmの範囲内である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記シリンジフィルター膜の細孔径が、0.1~5.0μmの範囲内である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記シリンジフィルター膜の細孔径が、0.1~0.45μmの範囲内である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記シリンジフィルター膜の直径が、10~33mmの範囲内である、請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記シリンジフィルター膜の直径が、20~33mmの範囲内である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記シリンジフィルター膜が、PVDF、PES、CA、親水性PTFE、ナイロン、ガラス繊維、RC、CE、CN及びPPからなる群から選択される低タンパク質結合親水性膜である、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記シリンジフィルターが、ルアーロックフィッティングをおそらく有する使い捨てフィルターカートリッジである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記シリンジフィルターが、自動化された方法で使い捨てカセットに取り付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記シリンジフィルター上で前記ジェネレーター溶出液を捕捉する工程の前に、前記ジェネレーター溶出液が、室温で2から30分間維持される又は40~80℃で2から20分間加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記放射性標識MAAを合成するための前記反応器が、自動合成装置である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、本明細書において以下でより単純に放射性標識と称される、放射性金属標識大凝集ヒト血清アルブミン(MAA)の精製のための単純化された方法に関する。この単純化は、そのような放射性トレーサー合成のより簡単な自動化を可能にする。
【背景技術】
【0002】
背景技術
陽電子放出断層撮影
陽電子放出断層撮影(PET)は、体内における生理学的プロセスの定量的分子及び生化学的情報を取得するための医用撮像方法である。現在使用されている最も一般的なPET放射性医薬品は、[18F]-フルオロデオキシグルコース([18F]-FDG)、放射性標識グルコース分子である。[18F]-FDGを用いるPET撮像は、グルコース代謝を視覚化することを可能にし、広範囲の臨床的適応を有する。陽電子放出体の中でも、18Fが臨床環境において現在最も広く使用されている。高まりつつある規制圧力により、放射性医薬品は現在、通常、使用準備済カセットに組み立てられた使い捨て成分で調製される。
【0003】
18Fの他に、放射性金属(例えば、64Cu、89Zr、67Ga、68Ga、86Y、90Y、177Lu及び99mTc)が、放射線療法並びに生物学的に重要な低分子量の分子及び巨大分子、例えばタンパク質、ペプチド及び抗体の標識のための治療薬及び撮像剤として、核医学において極めて重要な役割を果たしている。
【0004】
最近では、68Ga標識放射性医薬品を用いる臨床及び前臨床両方の研究において急速な増大が注目されてきた(Velikyan I.、Prospective of 68Ga-radiopharmaceutical development. Theranostics 2014; 4:47~80頁; Banerjee S.R.、Pomper M.G. Clinical applications of Gallium-68. Appl. Radiat. Isot. 2013; 76:2~13頁; Zimmerman B.E. Current status and future needs for standards of radionuclides used in positron emission tomography. Appl. Radiat. Isot. 2013; 76:31~37頁; Smith D.L.、Breeman W.A.P.、Sims-Mourtada J.、The untapped potential of Gallium-68 PET: The next wave of 68Ga-agents. Appl. Radiat. Isot. 2013; 76:14~23頁)。この増大は、種々の急速に変化するプロセス(増殖、アポトーシス、血管新生)及び標的(成長ホルモン、心筋及び肺灌流、炎症並びに感染症)を撮像するために好都合な68Gaの物理的特徴(Eβmax 1.8MeV、β+89%、T1/2=67.7分、99mTcについては約6時間に対して)、並びに、ある程度までは、より新しく、より信頼性の高い生成及び標識方法に起因しうる。例えば、ガリウム-68標識ソマトスタチン類似体は、神経内分泌腫瘍を持つ患者の診断のための増強された感受性、特異性、正確さ及び費用有効性により、既存の作用物質111In-DTPA-オクトレオチドに勝るそれらの優位性を既に示している(Oberg K.、Gallium-68 somatostatin receptor PET/CT: Is it time to replace 111Indium DTPA octrotide for patients with neuroendocrine tumors? Endocrine 2012; 42:3~4; Schreiter N.F.、Brenner W.、Nogami M.、Buchert R.、Huppertz A.、Pape U.F.、Prasad V.、Hamm B.、Maurer M.H.、Cost comparison of 111In-DTPA-octrotide scintigraphy and 68Ga-DOTATOC PET/CT for staging enteropancreatic neuroendocrine tumours. Eur. J. Nucl. Med. Mol. Imaging 2012; 39: 72~82頁; Hofman M.S.、Kong G.、Neels O.C.、Eu P.、Hong E.、Hicks R.J.、High management impact of Ga-68 DOTATATE (GaTate) PET/CT for imaging neuro-endocrine and other somatostatin expressing tumours. J. Med. Imaging Radiat. Oncol. 2012; 56-40~47頁)。
【0005】
現在のガリウム-68への傾倒のもう一つの理由は、広く市販されている68Ge/68Gaジェネレーターによってオンサイトで生成されうることである。そのような68Ge/68Gaジェネレーターは、オンサイトサイクロトロンを備えていない核医学施設において広くアクセス可能である。68Ge/68Gaジェネレーターの単純さ及びより低い資本コストは、68Ga標識線量に関する要件の数が比較的少ない核医学施設の中で、68Ge/68Gaジェネレーターをより普遍的なものにしてきた(Rosch F. Past, present and future of 68Ge/68Ga generators. Appl. Radiat. Isot. 2013; 76:24~30頁)。
【0006】
放射性金属標識大凝集ヒト血清アルブミン(MAA)
灌流剤としての大凝集ヒト血清アルブミン(MAA)の使用は、1965年から評価されてきた(Furth E.D.、Okinaka A.J.、Focht E.F.、Becker D.V.、The distribution, metabolic fate and radiation dosimetry of 131I labelled macroaggregated albumin. J. Nucl. Med. 1965; 6:506~518頁)。1974年に、99mTc標識MAAの調製のための簡易キットが、この目的のために単一光子放射断層撮影SPECTを使用して評価された(Charidra R.、Shamoun J.、Braunstein P.、DuHov O.L.、Clinical evaluation of an instant kit for preparation of 99mTc MAA for lung scanning. J. Nucl. Med. 1974; 14-9:702~705頁)。該薬物は肺灌流研究のための標準になり、依然として市場を支配している(Suga K.、Kawakami Y.、Zaki M.、Yamashita T.、Matsumoto T.、Matsunaga N.、Pulmonary perfusion assessment with respiratory gated Tc-99m macroaggregated albumin SPECT: preliminary results. Nucl. Med. Commun. 2004; 25: 183~193頁)。今日では、99mTc用の多数のFDA承認MAA標識キットが市販されている(例えば、Pulmocis(登録商標)(CisBio社から)、LyoMAA(登録商標)(Covidien社から)、HAS-B20(登録商標)(Rotop社から)、MAASOL(登録商標)(GE社から)等)。これらすべてのキットは、約2.0mgのMAA粒子、約0.05mgのSnCl2(99mTc還元剤として)及び約5.0mgの遊離アルブミンを含有する滅菌使い捨てバイアルの形態で提供される。
【0007】
99mTcを形成するために減衰し、毎週世界中で約600,000の医用撮像手順において使用されている99Moの世界的不足を背景にして、99mTcのいかなる欠如とも無関係でいられるために代替物について考えることが必要である。68Ge/68Gaジェネレーターは、そのような魅力的な代替物を代表するものである。更に、PET/CTは、SPECTよりも有意に高い解像度を持つ画像を提供する。故に、PET/CT灌流撮像のための68Ga標識MAAは、99mTc標識MAAの魅力的な代替物を代表するものである。
【0008】
MAAは、最初に1986年(Maziere B.、Loc'h C.、Steinling M.、Comar D.、Stable labelling of serum albumin microspheres with gallium-68. Int. J. Radiat. Appl. Instrum. Part A 1986; 37:360~361頁)及び1989年(Even G.A.、Green M.A.、Gallium-68-labeled macroaggregated human serum albumin, 68Ga-MAA. Int. J. Radiat. Appl. Instr. 1989; 16:319~321頁)に68Gaで標識されることに成功したが、ほぼ確実に既存の68Ge/68Gaジェネレーターの信頼性の欠如及びPET撮像カメラの低い可用性により、当時は全く使用されなかった。後に、Mathiasら(Mathias C.J.、Green M.A.、A convenient route to [68Ga]Ga-MAA for use as a particulate PET perfusion tracer. Appl. Radiat. Isot. 2008; 66:1910~1912頁)もMAAを68Gaで標識することに成功した。市販の99mTc-MAAキットシステムを使用することにより、同様の結果が報告された(Jain A.、Subramanian S.、Pandey U.、Sarma H.D.、Ram R.、Dash A.、In-house preparation of macroaggregated albumin (MAA) for 68Ga labelling and its comparison with commercially available MAA. J. Radioanal. Nucl. Chem. 2016; 308:817~824頁; Amor-Coarasa A.、Milera A.、Carvajal D.、Gulec S.、McGoron A.J.、Lyophilized kit for the preparation of the PET perfusion agent [68Ga]-MAA. Int. J. Mol. Imaging 2014:1~7頁; Ament S.J.、Maus S.、Reber H.、Buchholz H.G.、Bausbacher N.、Brochhausen C.、Graf F.、Miederer M.、Schreckenberger M.、PET lung ventilation/perfusion imaging using 68Ga aerosol (Galligas) and 68Ga-labeled macroaggregated albumin. Recent Results Cancer Res. 2013; 194:395~423頁)。望ましくない成分、例えば通常は還元成分として使用される塩化第一スズ(stannous chloride)を除去するために、MAAキットシステムの凍結乾燥物を再懸濁し、遠心分離を使用して0.9%生理食塩水で洗浄した。効率的な68Ga標識のためのMAAのDOTAキレート剤とのプレコンジュゲーション(Kotzerke J.、Andreeff M.、Wunderlich G.、Wiggermann P.、Zphel K.、Ventilation/Perfusion scans using Ga-68 labeled tracers. Abstracts of invited lectures. World J. Nucl. Med. 2011; 10:26~59頁)は、この手順では必要ない。標識後、遠心分離を使用して68Ga-MAAを精製したが、これは時間がかかり、最終収率を有意に減少させ、自動化し難い。著者らは、未標識及び標識MAA粒子の間の形態構造において差異がないことを示すこともできた。Mausら(Maus S.、Buccholz H.G.、Ament S.、Brochhausen C.、Bausbacher N.、Schreckenberger M.、Labelling of commercially available human serum albumin kits with 68Ga as surrogates for 99mTc-MAA microspheres. Appl. Radiat. Isot. 2011; 69:171~175頁)は、同様の結果を見出し、HEPES緩衝液を使用することによって標識効率の調査のためにこの方法を使用した。70%の最大標識効率が見られ、最終固相抽出(SPE)精製工程(C18 SEP-Packカートリッジを使用する)後の放射化学的純度は95%よりも高かった。このSPE最終精製は、それでもなお、最終68Ga-MAAの成果を劇的に低減させることが示された(標識MAAの30%超がSPEカートリッジに詰まったままである)。MAAの放射性標識についてのこれらすべての報文は、直接的に68Ge/68Gaジェネレーター溶出液の粗画分の使用を開示している。溶出液の粗画分の使用により、ジェネレーターの68Ge漏出(breakthrough)を標識手順中に最終生成物から分離することができない。更に、この方法は溶出性の68Ga放射能の一部のみを使用する。この欠陥を克服するために、Muellerら(Mueller D.、Kulkarni H.、Baum R.P.、Odparlik A.、Rapid synthesis of 68Ga-labeled macroaggregated human serum albumin (MAA) for routine application in perfusion imaging using PET/CT. 2017; 122:72~77頁)は、ジェネレーター溶出液のカチオン予備精製を使用する68Ga-MAAの便利な調製を最近提供した。該方法は、ジェネレーターから溶出した68Ga放射能のほとんどの使用を可能にし、カチオン予備精製中に68Ge漏出が除去されるため、反応媒体のいかなる精製工程も必要としない。それでもなお、最終精製工程の非存在下で、低収率標識の場合には、生産が失われる可能性がある。著者らは、塩化スズ(tin chloride)を除去するために遠心分離を使用するMAA予洗工程が、効率的な標識収率を実現するために必要ではないことも示している。
【0009】
商用のガリウム-68(68Ge/68Ga)ジェネレーターは広く利用可能である。親同位体68Geは270.95日の半減期を有し、ジェネレーターとして病院に簡単に配送でき、そこで少なくとも1年間にわたってGa-68の供給源として使用されうる。短い半減期の68Gaは、適用部位でいつでもジェネレーターから簡単に溶出されうる。クロマトグラフ型の68Gaジェネレーターは、修飾TiO2をベースとする吸着剤を用いるガラスカラムである。親放射性核種68Geはこの吸着剤に固定される。カラムは鉛遮蔽容器に入れられ、溶離剤及び溶出ラインが備わっている。68Ge減衰の結果として発生する68Gaは、例えば0.1M HCl溶液を使用してカラムから溶出される。親同位体放射能は例えば10mCi(370MBq)から100mCi(3700MBq)の間である。68Ge漏出は通常0.005%未満である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Velikyan I.、Prospective of 68Ga-radiopharmaceutical development. Theranostics 2014; 4:47~80頁
【非特許文献2】Banerjee S.R.、Pomper M.G. Clinical applications of Gallium-68. Appl. Radiat. Isot. 2013; 76:2~13頁
【非特許文献3】Zimmerman B.E. Current status and future needs for standards of radionuclides used in positron emission tomography. Appl. Radiat. Isot. 2013; 76:31~37頁
【非特許文献4】Smith D.L.、Breeman W.A.P.、Sims-Mourtada J.、The untapped potential of Gallium-68 PET: The next wave of 68Ga-agents. Appl. Radiat. Isot. 2013; 76:14~23頁
【非特許文献5】Oberg K.、Gallium-68 somatostatin receptor PET/CT: Is it time to replace 111Indium DTPA octrotide for patients with neuroendocrine tumors? Endocrine 2012; 42:3~4頁
【非特許文献6】Schreiter N.F.、Brenner W.、Nogami M.、Buchert R.、Huppertz A.、Pape U.F.、Prasad V.、Hamm B.、Maurer M.H.、Cost comparison of 111In-DTPA-octrotide scintigraphy and 68Ga-DOTATOC PET/CT for staging enteropancreatic neuroendocrine tumours. Eur. J. Nucl. Med. Mol. Imaging 2012; 39: 72~82頁
【非特許文献7】Hofman M.S.、Kong G.、Neels O.C.、Eu P.、Hong E.、Hicks R.J.、High management impact of Ga-68 DOTATATE (GaTate) PET/CT for imaging neuro-endocrine and other somatostatin expressing tumours. J. Med. Imaging Radiat. Oncol. 2012; 56-40~47頁
【非特許文献8】Rosch F. Past, present and future of 68Ge/68Ga generators. Appl. Radiat. Isot. 2013; 76:24~30頁
【非特許文献9】Furth E.D.、Okinaka A.J.、Focht E.F.、Becker D.V.、The distribution, metabolic fate and radiation dosimetry of 131I labelled macroaggregated albumin. J. Nucl. Med. 1965; 6:506~518頁
【非特許文献10】Charidra R.、Shamoun J.、Braunstein P.、DuHov O.L.、Clinical evaluation of an instant kit for preparation of 99mTc MAA for lung scanning. J. Nucl. Med. 1974; 14-9:702~705頁
【非特許文献11】Suga K.、Kawakami Y.、Zaki M.、Yamashita T.、Matsumoto T.、Matsunaga N.、Pulmonary perfusion assessment with respiratory gated Tc-99m macroaggregated albumin SPECT: preliminary results. Nucl. Med. Commun. 2004; 25: 183~193頁
【非特許文献12】Maziere B.、Loc'h C.、Steinling M.、Comar D.、Stable labelling of serum albumin microspheres with gallium-68. Int. J. Radiat. Appl. Instrum. Part A 1986; 37:360~361頁
【非特許文献13】Even G.A.、Green M.A.、Gallium-68-labeled macroaggregated human serum albumin, 68Ga-MAA. Int. J. Radiat. Appl. Instr. 1989; 16:319~321頁
【非特許文献14】Mathias C.J.、Green M.A.、A convenient route to [68Ga]Ga-MAA for use as a particulate PET perfusion tracer. Appl. Radiat. Isot. 2008; 66:1910~1912頁
【非特許文献15】Jain A.、Subramanian S.、Pandey U.、Sarma H.D.、Ram R.、Dash A.、In-house preparation of macroaggregated albumin (MAA) for 68Ga labelling and its comparison with commercially available MAA. J. Radioanal. Nucl. Chem. 2016; 308:817~824頁
【非特許文献16】Amor-Coarasa A.、Milera A.、Carvajal D.、Gulec S.、McGoron A.J.、Lyophilized kit for the preparation of the PET perfusion agent [68Ga]-MAA. Int. J. Mol. Imaging 2014:1~7頁
【非特許文献17】Ament S.J.、Maus S.、Reber H.、Buchholz H.G.、Bausbacher N.、Brochhausen C.、Graf F.、Miederer M.、Schreckenberger M.、PET lung ventilation/perfusion imaging using 68Ga aerosol (Galligas) and 68Ga-labeled macroaggregated albumin. Recent Results Cancer Res. 2013; 194:395~423頁
【非特許文献18】Kotzerke J.、Andreeff M.、Wunderlich G.、Wiggermann P.、Zphel K.、Ventilation/Perfusion scans using Ga-68 labeled tracers. Abstracts of invited lectures. World J. Nucl. Med. 2011; 10:26~59頁
【非特許文献19】Maus S.、Buccholz H.G.、Ament S.、Brochhausen C.、Bausbacher N.、Schreckenberger M.、Labelling of commercially available human serum albumin kits with 68Ga as surrogates for 99mTc-MAA microspheres. Appl. Radiat. Isot. 2011; 69:171~175頁
【非特許文献20】Mueller D.、Kulkarni H.、Baum R.P.、Odparlik A.、Rapid synthesis of 68Ga-labeled macroaggregated human serum albumin (MAA) for routine application in perfusion imaging using PET/CT. 2017; 122:72~77頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
解決されるべき問題
99mTc標識MAAは、SPECTを使用する、広く使用されている確立された肺灌流剤である。SPECTに勝るPETの優位性及び99Moの今後の不足により、PET/CT灌流撮像のための68Ga標識MAAは、99mTc標識MAAの魅力的な代替物を代表するものである。
【0012】
MAAによる68Gaの標識条件は明確に定義されているが、効果的で自動化の簡単な使い捨てカセットベースのシステム、及び68Ge漏出を除去し、高い放射化学的純度を一貫して保証して、安全な患者への注射を可能にし、最終合成収率に影響を与えないであろう、バルク反応媒体からの標識68Ga-MAA粒子の時間/収率効率が高い最終精製法が欠如している。
【0013】
今日では、そのような最終精製は、余分な装置を必要とし、時間がかかり、全体的な合成収率に悪影響を与え(約20%の放射能損失)、放射線防護の観点から歓迎されない遠心分離を使用して、又は収率に悪影響を与える(カートリッジに詰まった標識粒子による30%超の放射能損失)SPE精製を使用してのいずれかで実施される。最近の一例は、規制の観点から満たされていないいかなる最終精製もなしに、時間がかかるジェネレーター溶出液のカチオン予備精製を使用する。故に、非常に有効な最終精製工程のある代替合成方法が高度に望ましい。選択される精製方法は、高レベルの放射化学的純度を確実にするために十分に有効且つ信頼性の高いものでなくてはならない。
【0014】
本発明の目的
本発明は、標識粒子の効率的な最終精製を含む使用準備済消耗品において簡単に自動化される、68Ga標識MAA粒子の合成を実施することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の概要
本発明は、患者に注射可能なバルク溶液を形成するための放射性標識大凝集ヒト血清アルブミン(MAA)の合成及び精製のための方法であって、以下:
- 放射性金属をジェネレーター内にジェネレーター溶出液の形態で用意する工程、
- 場合により、ジェネレーター溶出液をカチオンカートリッジ上で予備精製し、予備精製されたジェネレーター溶出液を溶出する工程、
- 99mTc用の市販の標識キットからのMAA粒子及び予備精製された又はされていない前記ジェネレーター溶出液を用いて、反応器内で放射性標識MAAを合成する工程、
- 膜組成、直径及び細孔径が放射性標識MAA粒子を捕捉し、一方で、バルク溶液由来の99mTc用の前記MAA標識キット中に存在する遊離放射性金属同位体、親放射性金属漏出及び塩化第一スズから本質的になる不純物は保持されないように選択されているシリンジフィルター膜に、合成された放射性標識MAA粒子を通す工程、
- 捕捉動作の反対方向にシリンジフィルターを通過する生理食塩水又は緩衝溶液を使用して、前記捕捉された放射性標識MAA粒子をシリンジフィルターから捕捉解除し、患者に注射可能な最終バルク溶液をバイアル中に用意する工程
を含む方法に関する。
【0016】
好ましい実施形態によれば、該方法は、以下の特徴:
- 精製される放射性標識MAA粒子が、99mTc、94mTc、48V、52Fe、55Co、64Cu、68Ga、67Ga、111In、113In、86Y、89Zr、203Pb、212Bi、82Rb、186Re及び81mKrの群から選択される検出可能な金属イオンで標識されたMAA粒子である;
- 精製される放射性標識MAA粒子が、99mTc、68Ga、86Y、89Zr及び64Cuの群から選択される検出可能な金属イオンで標識されたMAA粒子である;
- 精製される放射性標識MAA粒子が、99mTc又は68Gaで標識されたMAA粒子である;
- シリンジフィルター膜の細孔径が、0.1~10.0μmの範囲内である;
- シリンジフィルター膜の細孔径が、0.1~5.0μmの範囲内である;
- シリンジフィルター膜の細孔径が、0.1~0.45μmの範囲内である;
- シリンジフィルター膜の直径が、10~33mmの範囲内である;
- シリンジフィルター膜の直径が、20~33mmの範囲内である;
- シリンジフィルター膜が、PVDF、PES、CA、親水性PTFE、ナイロン、ガラス繊維、RC、CE、CN及びPPからなる群から選択される低タンパク質結合親水性膜である;
- シリンジフィルターが、ルアーロックフィッティングをおそらく有する使い捨てフィルターカートリッジである;
- シリンジフィルターが、自動化された方法で使い捨てカセットに取り付けられる;
- シリンジフィルター上でジェネレーター溶出液を捕捉する工程の前に、ジェネレーター溶出液が室温で2から30分間維持される又は40~80℃で2から20分間加熱される;
- 放射性金属標識MAAを合成するための反応器が、自動合成装置である、
又はそれらの好適な組合せのうちの1つを更に含む。
図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】放射性金属標識MAA捕捉(左側、粒子がフィルター上で捕捉され、一方で不純物がフィルターを通過して廃棄物となる)及び捕捉解除(右側、溶液流が粒子を捕捉解除する)工程を概略的に表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の開示
本発明の方法は、ジェネレーター溶出液全体を直接使用して調製された又は代わりにジェネレーター溶出液のカチオン予備精製を含む、68Ga標識MAA粒子の精製を可能にする。該方法は更に、99mTc用の任意の市販のMAA標識キットに適合する。
【0019】
この効率的な精製は、シリンジフィルターの使用によって為される。シリンジフィルターは、使い捨てフィルターカートリッジである。シリンジフィルターは、普遍的にというわけではないが、ルアーロックフィッティングを有しうる。手動精製では、シリンジフィルターは使用するシリンジの先端に取り付けられる。自動化された方法では、シリンジフィルターは使い捨てカセットに固定されうる。針の使用は任意選択であり、所望される場合、シリンジフィルターの先端に固定されうる。シリンジフィルターは概して、フィルターとして役立つ膜を持つプラスチック筺体からなる。精製される流体は、フィルターに通してそれを汲み上げることによって清浄化されうる。シリンジフィルター膜は、その組成(材料及び細孔径)及びその直径によって特徴付けられる。利用可能な一般的な細孔径は、0.1、0.2、0.22、0.45、5及び10μmであるが、中間にある細孔径を簡単に利用可能である。10、13、25、33mmの膜直径も一般的である。シリンジフィルター本体は、例えばポリプロピレン及びナイロン等の材料で作製されうる。フィルター膜は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ナイロン、酢酸セルロース(CA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、セルロースエステル(CE)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリプロピレン(PP)、ガラス繊維(GF)、再生セルロース(RC)、硝酸セルロース(CN)等のものであってよい。
【0020】
シリンジフィルター膜上の反応媒体を通過しながら、標識及び未標識MAA粒子は、サイズ排除によりフィルター上で保持され、一方で、68Ge漏出及び残りの遊離68Ga3+は、シリンジフィルター膜を通過して廃棄物となる(図1、左)。
【0021】
シリンジフィルターから粒子を捕捉解除するために、溶液は、捕捉動作の反対(又は逆)方向にシリンジフィルター膜を通過して、最終生成物バイアルへ行く(図1、右)。捕捉解除は捕捉解除溶液の流れによる。上述の捕捉解除溶液は注射可能(例えば、適切なリン酸緩衝溶液又は生理食塩水、すなわち0.154mol/L又は9g/LのNaCl)であり、得られるトレーサー溶液は患者に容易に注射可能である。
【0022】
これは、いくつかの利点:全体的収率の増大につながる調製持続時間の低減;放射性医薬品の合成のために必要とされる自動機器の単純化;あらゆる放射性標識MAA粒子に適合し、故に68Ga又はTc99mに限定されない精製プロセス;低収率標識の場合であっても高レベル放射化学的純度の保証、をもたらす。
【0023】
本発明によれば、精製プロセスは、放射性標識MAA粒子の合成のバルクを、自動化のために使い捨てカセットに載置されうるシリンジフィルターに通すことによって実施される。このシリンジフィルターは、標識(及び未標識)MAA生成物を保持するが遊離未標識放射性同位体(すなわち、68Ga-MAA標識の場合には68Ga3+、68Ge漏出も同じく)を保持せず、高レベルの放射化学的純度を保証するが、元のMAA標識キットいずれかに由来する塩化スズも保持しないという特徴を有する。
【0024】
本発明の一部の実施形態では、精製される放射性標識MAA粒子は、例えば99mTc、94mTc、48V、52Fe、55Co、64Cu、68Ga、67Ga、111In、113In、86Y、89Zr、203Pb、212Bi、82Rb、186Re、81mKrのような検出可能な金属イオンで標識されたMAA粒子である。
【0025】
本発明の一部の好ましい実施形態では、精製される放射性標識MAA粒子は、99mTc、68Ga、86Y、89Zr又は64Cuで標識されたMAA粒子である。
【0026】
本発明の一部の好ましい実施形態では、精製される放射性標識MAA粒子は、99mTc又は68Gaで標識されたMAA粒子である。
【0027】
一部の実施形態では、シリンジフィルター膜の細孔径は、0.1~10.0μmの範囲内である。
【0028】
一部の好ましい実施形態では、シリンジフィルター膜の細孔径は、0.1~5.0μmの範囲内である。
【0029】
一部の好ましい実施形態では、シリンジフィルター膜の細孔径は、0.1~0.45μmの範囲内である。
【0030】
一部の実施形態では、シリンジフィルター膜の直径は、10~33mmの範囲内である。
【0031】
一部の実施形態では、シリンジフィルター膜の直径は、20~33mmの範囲内である。
【0032】
一部の実施形態では、シリンジフィルター膜は、低タンパク質結合親水性膜(PVDF、PES、CA、親水性PTFE、ナイロン、ガラス繊維、RC、CE、CN、PP)の群から選択される。
【実施例
【0033】
(実施例1)
この実施例は、バルクの68Ga-MAAを精製するためにシリンジフィルターを使用することの効率を示す。68Ga-MAAは、自動合成装置で、ジェネレーター溶出液のカチオン予備精製を使用して合成したものであり、Eckert & Ziegler社68Ge/68Gaジェネレーターは5mLの0.1M HClで溶出される。ジェネレーター溶出液は、溶出した68Ga3+を保持するPS-H+カチオンカートリッジ上で捕捉される。次いで、酸性化濃縮NaCl溶液を使用して、放射性物質を反応器に溶出する。Pulmocis(登録商標)標識キットからのMAAを酢酸緩衝液に溶解して、反応器に添加する。60℃で6分の加熱時間後、反応媒体を最終生成物バイアルに送り、リン酸緩衝液を用いて製剤化して、7.0の最終pHを得る(最終体積は10mLである)。非減衰補正済み(n.d.c.)放射化学的収率は75%(111.4MBq)であり、放射化学的純度は80%である。この最終生成物溶液(111.4MBq)を、25mm、5μm細孔径PVDFシリンジフィルター膜(Millipore社基準SLSV025LS)を手動で通過させた。標識68Ga-MAA粒子全体がフィルター上で保持され(フィルター上の放射能:88.6MBq)、一方で、遊離68Ga3+はフィルターを通過する(濾液中の放射能:22.8MBq)。捕捉後、10mLの生理食塩水を、捕捉動作の反対方向にシリンジフィルターを通過させて、標識粒子を捕捉解除する。98.2%の効率的な捕捉解除(2MBqがフィルター上でリメイング(remaing))に到達する。薄層クロマトグラフィー(TLC)分析は、98.9%の捕捉解除された68Ga-MAA粒子の放射化学的純度を示した。
【0034】
(実施例2)
この実施例は、バルクの99mTc-MAAを捕捉及び捕捉解除するためにシリンジフィルターを使用することの効率を示す。99mTc-MAAは、商用のPulmocis(登録商標)標識キットを使用し、日常的な手順に従って合成される:Tc-ジェネレーターをPulmocis(登録商標)標識キット中に直接溶出する。穏やかに混合しながら室温で15分後、99mTc標識MAAバルク溶液をシリンジフィルター(25mm直径、5μm細孔径、PVDF膜、Millipore社基準SLSV025LS)を手動で通過させた。標識粒子がフィルター上で保持される(フィルター上の放射能:44163cps/10s)。捕捉後、10mLの生理食塩水を、捕捉動作の反対方向にフィルターを通過させる。捕捉解除効率は91%である(フィルター上に残っている放射能:4523cps/10s)。
【0035】
(実施例3~11)
以下の実施例は、68Ga-MAAのバルクを精製するためにシリンジフィルターを使用することの効率を示す。68Ga-MAAは、自動合成装置で、ジェネレーター溶出液の予備精製なし(すなわち、ジェネレーター溶出液全体を使用して)であるが使い捨てカセットに載置されたシリンジフィルター上での最終精製を用いて合成される。Eckert & Ziegler社68Ge/68Gaジェネレーターは、5mLの0.1M HClで、2mLの0.35M酢酸塩溶液に溶解したPulmocis(登録商標)標識キットからのMAA粒子を含有する反応器に直接溶出される。60℃で6分の加熱時間後、反応媒体を、標識粒子を保持するシリンジフィルターを通過させ、一方で、溶離68Ga3+及び68Ge漏出はフィルターを通過して、廃棄物となる。次いで、10mLの生理食塩水を使用して、標識粒子を捕捉解除し、最終生成物バイアルに入れる。合成時間は、ジェネレーター溶出後12分である。フィルターシリンジの種類を変えて実験を繰り返した(実施例3~11)。Table 1(表1)は、実施例3~11について、最終生成物バイアル中の非減衰補正済み(n.d.c.)放射化学的収率(RCY)、放射化学的純度(RCP)及び68Ge含有量(測定した場合)を示す。
【0036】
【表1】
【0037】
Table 1(表1)は、放射性標識MAAの精製にシリンジフィルターを使用することの高い効率を示す。低標識収率及び低捕捉解除収率の場合であっても、高レベル放射化学的収率はほぼ常に実現される。最終精製及び最終生成物バイアルへの分注を含む合成時間がジェネレーター溶出後12分であることから、該手順は時間効率も良い。
図1
【国際調査報告】