(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】ナビゲーション目標点を正確に位置特定する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20240124BHJP
【FI】
A61B34/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545987
(86)(22)【出願日】2022-08-10
(85)【翻訳文提出日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 CN2022111436
(87)【国際公開番号】W WO2023024903
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】202110985093.8
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520393521
【氏名又は名称】上海導向医療系統有限公司
【氏名又は名称原語表記】ACCU TARGET MEDIPHARMA (SHANGHAI) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 2001, Building 2, 501 Newton Road, China (Shanghai) Pilot Free Trade Zone Shanghai 200000 China
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】費岱
(72)【発明者】
【氏名】徐順利
(72)【発明者】
【氏名】宮曉鵬
(72)【発明者】
【氏名】王玉
(72)【発明者】
【氏名】姚鳳杰
(57)【要約】
【課題】
ナビゲーション穿刺手術などの通常のナビゲーション手術では、人間の誤タッチやわずかな振動などの様々な不可避な要素によって、ナビゲーションハードウェアは気づき難いほどのずれが生じることが多い。
【解決手段】
本発明は、固定位置にあるナビゲーション参照物を選択し、前記ナビゲーション参照物とナビゲーション目標点のナビゲーション座標系での位置をそれぞれ取得し、前記ナビゲーション参照物に対する前記ナビゲーション目標点の位置を算出し、更に前記ナビゲーション目標点のナビゲーション参照物座標系での位置を得るステップを含むナビゲーション目標点を正確に位置特定する方法に関する。本発明では、ナビゲーション参照物が動かない限り、ナビゲーションの全過程中にナビゲーション参照物座標系も変化せず、ナビゲーション目標点のナビゲーション参照物座標系での空間位置座標はナビゲーション座標系の干渉を受けることがない。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション目標点を正確に位置特定する方法であって、固定位置にあるナビゲーション参照物を選択し、前記ナビゲーション参照物とナビゲーション目標点のナビゲーション座標系での位置をそれぞれ取得し、前記ナビゲーション参照物に対する前記ナビゲーション目標点の位置を算出し、更に前記ナビゲーション目標点のナビゲーション参照物座標系での位置を得るステップを含み、
前記ナビゲーション目標点及び前記ナビゲーション参照物の両方に位置特定装置が設けられ、空間観測装置は前記ナビゲーション参照物のリアルタイム位置と形状特徴情報及び前記ナビゲーション目標点のリアルタイム位置を取得し、
前記空間観測装置は前記ナビゲーション座標系での前記ナビゲーション参照物の回転四元数と空間位置座標(Qo,Qx,Qy,Qz,Tx0,Ty0,Tz0)、及び前記ナビゲーション目標点の位置座標(Tx1,Ty1,Tz1)をリアルタイムに取得し、
四元数(Qo,Qx,Qy,Qz)に基づいて対応する回転マトリックスMを算出し、
ナビゲーション座標系での前記ナビゲーション参照物の空間位置座標(Tx0,Ty0,Tz0)及び前記ナビゲーション目標点の空間位置座標(Tx1,Ty1,Tz1)を回転マトリックスMとそれぞれ乗算し、仮座標系での前記ナビゲーション参照物の空間位置座標(Tx01,Ty01,Tz01)と前記ナビゲーション目標点の空間位置座標(Tx11,Ty11,Tz11)を得て、前記仮座標系の座標原点は前記ナビゲーション座標系の原点と重なり、前記仮座標系の座標軸の方向は前記ナビゲーション参照物の形状特徴と一致し、
前記仮座標系での前記ナビゲーション参照物の前記空間位置座標(Tx01,Ty01,Tz01)と前記ナビゲーション目標点の前記空間位置座標(Tx11,Ty11,Tz11)に基づいて前記ナビゲーション参照物座標系でのナビゲーション目標点の位置座標(Tx11-Tx01,Ty11-Ty01,Tz11-Tz01)を算出する、ことを特徴とするナビゲーション目標点を正確に位置特定する方法。
【請求項2】
前記ナビゲーション参照物は患者の体表の動かない場所又は患者の体との相対位置が固定された場所に固定される、ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション目標点を正確に位置特定する方法。
【請求項3】
前記ナビゲーション座標系の原点位置及び座標軸の方向はナビゲーションハードウェアにより決定される、ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション目標点を正確に位置特定する方法。
【請求項4】
前記ナビゲーションハードウェアは電磁ナビゲーション技術における電磁発生器又は光学ナビゲーション技術における光学ビデオカメラである、ことを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション目標点を正確に位置特定する方法。
【請求項5】
胸部及び腹部穿刺手術に適用される、ことを特徴とする請求項1~4いずれか一項に記載のナビゲーション目標点を正確に位置特定する方法。
【請求項6】
前記ナビゲーション目標点は穿刺針である、ことを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション目標点を正確に位置特定する方法。
【請求項7】
前記ナビゲーション参照物の形状は十字型形状である、ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション目標点を正確に位置特定する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンピュータ支援手術ナビゲーションの技術分野に関し、特にナビゲーション目標点を正確に位置特定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の胸部及び腹部手術では、執刀医は通常、患者の胸部及び腹部を完全に切開し、肉眼又は触診などの手段で処理すべき病巣の位置、サイズ、形状、硬度などの情報を直感的に感知し、それによって対応する病巣に対して手術処理を直接行うことができる。
【0003】
低侵襲手術は例外であり、通常の低侵襲手術では、執刀医は患者の胸部及び腹部を完全に切開して病巣に直面するのではなく、腹腔鏡、CT、超音波、MRIなどの補助手段で対応する病巣を間接的に観測し、その後、いくつかの特定的手段を用いて病巣を処理し、それによって手術の苦痛を軽減し、術後合併症を減少させ、手術の創傷治癒を加速するという目的を達成する。
【0004】
しかしながら、低侵襲手術にも欠点があり、最大の欠点は病巣情報の取得の間接性にあり、従って、執刀医は術中に対応する病巣情報を取得する際に様々な制限がある。胸部及び腹部の腫瘍アブレーション術を例として、執刀医は対応するアブレーション針を病巣の指定された位置に穿刺した後にアブレーションを行う必要がある。一方、対応する病巣は体内に隠れており、低侵襲手術では執刀医は肉眼で直接見ることができず、従って、多くの場合、画像(たとえば、CTなど)とナビゲーション位置特定手段とを組み合わせてガイドを支援することによって、医師がアブレーション針穿刺を行うのを補助することが行われる。このプロセスでは、必然的にナビゲーション位置特定データと画像データとのマッピングを確立するステップが必要である。通常のナビゲーション位置特定技術では、ナビゲーション情報が位置する座標系とは、通常、指定されたナビゲーションハードウェア(たとえば、電磁ナビゲーション技術における電磁発生器、光学ナビゲーション技術における光学ビデオカメラなど)の位置をベースとして確立されるものであり、該方法は、マッピング精度が指定されたハードウェアの位置に非常に影響され易いなどの欠点があり、たとえば、ナビゲーション中に指定されたナビゲーションハードウェアがわずかに振動するなどの要素もナビゲーション精度を深刻に損なってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記問題を解決するために、本発明は、固定位置にあるナビゲーション参照物を選択し、前記ナビゲーション参照物とナビゲーション目標点のナビゲーション座標系での位置をそれぞれ取得し、前記ナビゲーション参照物に対する前記ナビゲーション目標点の位置を算出し、更に前記ナビゲーション目標点のナビゲーション参照物座標系での位置を得るステップを含むナビゲーション目標点を正確に位置特定する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
好適には、前記ナビゲーション目標点及びナビゲーション参照物の両方に位置特定装置が設けられ、空間観測装置は前記ナビゲーション参照物のリアルタイム位置と形状特徴情報及び前記ナビゲーション目標点のリアルタイム位置を取得する。
【0007】
好適には、前記空間観測装置は、前記ナビゲーション座標系での前記ナビゲーション参照物の回転四元数と空間位置座標(Qo,Qx,Qy,Qz,Tx0,Ty0,Tz0)、及び前記ナビゲーション目標点の位置座標(Tx1,Ty1,Tz1)をリアルタイムに取得し、
四元数(Qo,Qx,Qy,Qz)に基づいて対応する回転マトリックスMを算出し、
ナビゲーション座標系での前記ナビゲーション参照物の空間位置座標(Tx0,Ty0,Tz0)及び前記ナビゲーション目標点の空間位置座標(Tx1,Ty1,Tz1)を回転マトリックスMとそれぞれ乗算し、仮座標系での前記ナビゲーション参照物の空間位置座標(Tx01,Ty01,Tz01)と前記ナビゲーション目標点の空間位置座標(Tx11,Ty11,Tz11)を得て、前記仮座標系の座標原点は前記ナビゲーション座標系の原点と重なり、前記仮座標系の座標軸の方向は前記ナビゲーション参照物の形状特徴と一致し、
前記仮座標系での前記ナビゲーション参照物の前記空間位置座標(Tx01,Ty01,Tz01)と前記ナビゲーション目標点の前記空間位置座標(Tx11,Ty11,Tz11)に基づいて前記ナビゲーション参照物座標系でのナビゲーション目標点の位置座標(Tx11-Tx01,Ty11-Ty01,Tz11-Tz01)を算出する。
【0008】
好適には、前記ナビゲーション参照物は患者の体表の動かない場所又は患者の体との相対位置が固定された場所に固定される。
【0009】
好適には、前記ナビゲーション座標系の原点位置及び座標軸の方向はナビゲーションハードウェアにより決定される。
【0010】
好適には、前記ナビゲーションハードウェアは電磁ナビゲーション技術における電磁発生器又は光学ナビゲーション技術における光学ビデオカメラである。
【0011】
好適には、胸部及び腹部穿刺手術に適用される。
【0012】
好適には、前記目標点は穿刺針である。
【0013】
好適には、前記ナビゲーション参照物の形状は十字型形状である。
【0014】
従来技術と比較して、本発明は以下の技術的効果を有する。
【0015】
ナビゲーション穿刺手術などの通常のナビゲーション手術では、人間の誤タッチやわずかな振動などの様々な不可避な要素によって、ナビゲーションハードウェアは気づき難いほどのずれが生じることが多い。ナビゲーション座標系の原点及び座標軸の方向は通常、対応するナビゲーションハードウェアに関連するため、微差が大きな違いを生むごとく、これらのずれは通常、ナビゲーション位置の大きな誤差につながり、ナビゲーション精度を損ない、更に医師の手術難度及び患者のリスクを増やしてしまう。本方法によれば、該問題を回避でき、医師の手術難度を低下させるだけでなく、手術精度を向上させ、手術リスクを減らすことができ、それによって患者を保護する。
【0016】
本発明の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明し、明らかなように、以下の説明における図面は単に本発明のいくつかの実施例であり、当業者であれば、創造的な努力をせずに、これらの図面に基づいてほかの図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1はナビゲーション座標系の干渉前後の変化比較図である。
【
図2】
図2は本発明に係るナビゲーション参照物座標系を導入してナビゲーション目標点を観測することで、ナビゲーション目標点の位置及び方向の読み取り値がナビゲーション座標系の変化によって変化しないことを確保できる模式図である。
【
図3】
図3は本発明に係るナビゲーション目標点のナビゲーション参照物座標系での位置の計算ステップを示す図である。
【
図4】
図4は本発明に係るナビゲーション参照物座標系でのナビゲーション目標点の位置を計算するフローチャートである。
【
図5】
図5は本発明に係るナビゲーション参照物の外観及び対応する座標軸の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ナビゲーション技術に基づくCT画像ガイド下の胸部及び腹部穿刺手術では、ナビゲーション座標系の原点位置及び対応する座標軸の方向は通常、指定されたナビゲーションハードウェア(たとえば、電磁ナビゲーション技術における電磁発生器、光学ナビゲーション技術における光学ビデオカメラなど)により決定される。手術中、通常、いくつかの要素(たとえば、スタッフの誤タッチ、様々な要素によるナビゲーションハードウェアのわずかな振動など)によって対応するナビゲーションハードウェアの位置及び向きが変化し、従って、それにつれて対応するナビゲーション座標系も変化し、ナビゲーション座標系に基づくナビゲーション目標点の位置の読み取り値も大幅に変化する。
図1に示されるとおりである。
【0019】
固定位置にあるナビゲーション参照物が存在することを仮定し、それを特定の場所に固定し、その位置や向きが様々な要素(たとえば、上記スタッフの誤タッチ、様々な要素によるハードウェアのわずかな振動など)の影響を受けないようにとともに、その位置や向きがナビゲーション座標系を決定するナビゲーションハードウェアとは無関係であることを確保でき、また、その位置及び形状特徴は手術ナビゲーションシステムにより観測及び認識可能である。この場合、これに基づいてナビゲーション参照物のナビゲーション座標系での位置及び形状方向を算出し、この位置及び形状方向に基づいてナビゲーション参照物座標系を構築し、この座標系に基づいてナビゲーション目標点を観測することができ、ナビゲーション目標点の位置及び方向の読み取り値がナビゲーション座標系の変化によって変化しないことを確保できる。
図2に示されるとおりである。
【0020】
図2に示すように、ナビゲーション座標系が変化すると、ナビゲーション参照物のナビゲーション座標系での座標位置も変化し、ナビゲーション目標点のナビゲーション座標系での座標位置も変化する。一方、ナビゲーション参照物及びナビゲーション目標点のそれぞれのナビゲーション座標系での座標位置データに基づいて推算されるナビゲーション目標点のナビゲーション参照物に対する相対位置は変化しない。従って、ナビゲーション参照物が動かない限り、ナビゲーションの全過程中にナビゲーション参照物座標系も変化せず、ナビゲーション目標点のナビゲーション参照物座標系での空間位置座標(いわゆる位置パラメータ)はナビゲーション座標系の干渉を受けることがなく、該位置(ナビゲーション目標点のナビゲーション参照物座標系での空間位置座標)はナビゲーション座標系とは無関係である。
【0021】
以上のように、ナビゲーションハードウェアのわずかな振動によってナビゲーション目標点の座標読み取り値に大きな偏差が生じるという問題を回避するために、
図3に示すように、本発明はナビゲーション目標点を正確に位置特定する方法を提供し、固定位置にあるナビゲーション参照物を選択し、ナビゲーションを開始した後、前記ナビゲーション参照物とナビゲーション目標点のナビゲーション座標系での位置をそれぞれ取得し、前記ナビゲーション参照物に対する前記ナビゲーション目標点の位置を算出し、更に前記ナビゲーション目標点のナビゲーション参照物座標系での位置を得るステップを含む。
【0022】
本発明に係るナビゲーション目標点を正確に位置特定する方法は、手術ナビゲーションシステムに基づくものであり、たとえば神経外科、脊髄神経外科などの様々な外科手術に広く適用できるとともに、胸部及び腹部、組織生検穿刺などの低侵襲手術にも適用できる。以下、
図1~
図3を参照しながら、本発明に係るナビゲーション目標点を正確に位置特定する方法をナビゲーション技術(光学ナビゲーション又は電磁ナビゲーションを含む)に基づくCT画像ガイド下の胸部及び腹部穿刺手術に適用することを詳細に説明する。本実施例は本発明の技術的解決手段を前提として実施され、詳細な実施形態及び具体的な操作プロセスが記載されているが、本発明の保護範囲は下記実施例に限定されず、当業者は本発明の趣旨及び内容を変更せずに修正や修飾を行うことができる。
【0023】
本実施例では、該方法は監視対象を位置特定する際に、空間位置観測装置(空間観測装置と略称される)、空間観測装置に対応する2つの位置特定装置、明らかな形状特徴を備えるナビゲーション参照物(本発明はナビゲーション参照物の形状を具体的に制限せず、本実施例は十字型形状を例とする)及び対応する穿刺針(本発明は目標点の具体的なタイプを制限せず、具体的な手術に応じて決定でき、本実施例は胸部及び腹部穿刺手術に適用され、従って、ナビゲーション目標点は穿刺針である)を使用する必要があり、これら2つの位置特定装置はナビゲーション参照物と穿刺針にそれぞれ設置され、ナビゲーション参照物の形状特徴及び正確なリアルタイム位置、穿刺針の正確なリアルタイム位置はいずれも空間位置観測装置により追跡可能である。
【0024】
該方法のステップは観測装置装着段階、ナビゲーション装置追跡段階、及び観測対象換算段階に大別できる。
【0025】
観測装置装着段階
観測装置装着段階では、医師は1つの位置特定装置をナビゲーション参照物に装着し、且つナビゲーションの全過程中に観測装置が該ナビゲーション参照物のリアルタイムな位置及び形状特徴情報を正確に取得できることを確保する必要がある。それとともに、ナビゲーション参照物を患者の体表に貼着するか、又は患者の体との相対位置が固定され且つ被観測装置により観測され易い位置に固定し、該位置が呼吸などの要素の影響を受けず、体に対して静的であることを確保する必要がある。
【0026】
ナビゲーション装置追跡段階
ナビゲーション装置追跡段階では、空間観測装置はナビゲーション参照物のリアルタイムな位置及び形状特徴情報をリアルタイムに取得することができ、ナビゲーション座標系での回転四元数及び空間位置座標(Qo,Qx,Qy,Qz,Tx0,Ty0,Tz0)として統合的に表現し、前の4つのパラメータは回転四元数であり、残りの3つのパラメータは三次元空間位置座標である。それとともに、空間観測装置はナビゲーション目標点の位置関連パラメータ(Tx1,Ty1,Tz1)をリアルタイムに取得することもできる。
【0027】
観測対象換算
ナビゲーション座標系での回転四元数と空間位置座標(Qo,Qx,Qy,Qz,Tx0,Ty0,Tz0)及びナビゲーション目標点の空間位置座標(Tx1,Ty1,Tz1)を取得した後、これらの2組のパラメータに基づいて、一連の数学演算によってナビゲーション参照物座標系でのナビゲーション目標点の位置を算出できる。計算プロセスは
図4に示される。
【0028】
1、ナビゲーション座標系でのナビゲーション参照物の方向パラメータ(Qo,Qx,Qy,Qz)に基づいて対応する回転マトリックスMを算出する。
【0029】
2、ナビゲーション座標系でのナビゲーション参照物の空間位置座標(Tx0,Ty0,Tz0)及びナビゲーション目標点の空間位置座標(Tx1,Ty1,Tz1)を回転マトリックスMとそれぞれ乗算し、仮座標系でのナビゲーション参照物の空間位置座標(Tx01,Ty01,Tz01)とナビゲーション目標点の空間位置座標(Tx11,Ty11,Tz11)を得る。なお、該仮座標系の座標原点はナビゲーション座標系と重なるが、座標軸の方向はナビゲーション参照物の形状特徴と一致する。
図5に示すように、ナビゲーション座標系とナビゲーション参照物座標系の変換方式は、まず、ナビゲーション座標系の原点を動かないまま、ナビゲーション座標系を回転させて対応する座標軸の方向をナビゲーション参照物座標系に平行させ、その後、原点位置をナビゲーション参照物座標系の原点に移動させ、ナビゲーション参照物座標系の原点は十字型ナビゲーション参照物の交差部分である。ここでの仮座標系とは、該変換プロセスにおける1つの中間状態であり、該座標系の原点はナビゲーション座標系と重なるが、座標軸の方向はナビゲーション参照物座標系と一致する。
【0030】
3、2組の仮座標系での空間位置座標(Tx01,Ty01,Tz01)及び(Tx11,Ty11,Tz11)に基づいて、ナビゲーション参照物座標系でのナビゲーション目標点の位置座標(Tx11-Tx01,Ty11-Ty01,Tz11-Tz01)を算出する。
【0031】
技術的な理由によって、ナビゲーション参照物座標系を直接生成又は使用することは不可能であり、ナビゲーション参照物とナビゲーション目標点のナビゲーション座標系での位置データを取得した後、ナビゲーション目標点とナビゲーション参照物との相対位置を計算し、更にナビゲーション目標点のナビゲーション参照物座標系での位置データを算出するしかできない。従って、本実施例はナビゲーション参照物座標系自体を算出する必要がなく、ナビゲーション目標点のナビゲーション参照物座標系での座標位置を算出する。
【0032】
ナビゲーション参照物座標系でのナビゲーション目標点の位置を算出した後、該位置は、たとえば、ナビゲーション画像にマッピングされるか、又はナビゲーション穿刺位置を監視するなどのようにナビゲーション手術に適用できる。
【国際調査報告】