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特表2024-504480フィルタ媒体およびその生産のためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】フィルタ媒体およびその生産のためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/16 20060101AFI20240124BHJP
   B32B 5/02 20060101ALI20240124BHJP
   B32B 7/04 20190101ALI20240124BHJP
   D04H 1/4382 20120101ALI20240124BHJP
   D04H 1/4374 20120101ALI20240124BHJP
   D04H 1/425 20120101ALI20240124BHJP
   D04H 1/732 20120101ALI20240124BHJP
   D21H 27/30 20060101ALI20240124BHJP
   D21H 13/10 20060101ALI20240124BHJP
   D21H 27/00 20060101ALI20240124BHJP
   B01D 39/18 20060101ALI20240124BHJP
   B01D 35/02 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
B01D39/16 E
B32B5/02 A
B32B7/04
D04H1/4382
D04H1/4374
D04H1/425
D04H1/732
D21H27/30 A
D21H13/10
D21H27/00 E
B01D39/18
B01D35/02 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546078
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(85)【翻訳文提出日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 FI2022050056
(87)【国際公開番号】W WO2022162278
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】63/143,517
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523131210
【氏名又は名称】アールストローム オーワイジェイ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ラッドウィグ,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】トポレンスキー,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムソン,ケント
(72)【発明者】
【氏名】グッドバイ,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ハディ,マイク
(72)【発明者】
【氏名】シャノン,スティーブン
【テーマコード(参考)】
4D019
4D116
4F100
4L047
4L055
【Fターム(参考)】
4D019AA03
4D019BA12
4D019BA13
4D019BB03
4D019BB05
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4D019BB12
4D019BD01
4D019BD10
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4D019DA01
4D019DA02
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4D116BC13
4D116EE04
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4D116VV07
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4F100JD05
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4L047AA12
4L047AA13
4L047AA14
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4L047AA21
4L047AA23
4L047AA28
4L047AB06
4L047AB07
4L047AB08
4L047BA09
4L047BA12
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4L047BA24
4L047BB03
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4L047BB08
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4L047CA06
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4L055AC08
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4L055AJ01
4L055BD16
4L055CD27
4L055CE02
4L055EA04
4L055EA16
4L055EA32
4L055FA11
4L055FA30
4L055GA31
(57)【要約】
第1の繊維を含む第1の層および第2の繊維を含む第2の層を少なくとも含むフィルタ媒体が、本明細書に記載される。第1の繊維は、第1の層中の繊維の総重量に基づいて少なくとも50wt%の量で合成繊維を含み得る。第2の繊維は、第2の層中の繊維の総重量に基づいて少なくとも30wt%の量でセルロース系繊維を含み得る。第1の層は、第1の繊維と第2の繊維との混合物を含む第1の層と第2の層との間の界面で第2の層に接合され得、その結果、二次接着剤の非存在下で、第1の層および第2の層を横切るz方向引張強さ(zdt)は、少なくとも0.5psiである。そのようなフィルタ媒体を作製するためのプロセス、およびそのようなフィルタ媒体を備えるフィルタ要素も、本明細書に記載される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の繊維を含む第1の層と、
第2の繊維を含む第2の層と
を含むフィルタ媒体であって、
前記第1の層の前記第1の繊維は、前記第1の層中の繊維の総重量に基づいて少なくとも50wt%の量で合成繊維を含み、前記第2の層の前記第2の繊維は、前記第2の層中の繊維の総重量に基づいて少なくとも30wt%の量でセルロース系繊維を含み、前記第1の層は、前記第1の繊維と前記第2の繊維との混合物を含む前記第1の層と前記第2の層との間の界面で前記第2の層に接合され、二次接着剤の非存在下で前記第1の層および前記第2の層を横切るz方向引張強さ(zdt)は、少なくとも0.5psiである、
フィルタ媒体。
【請求項2】
前記第1の層は、前記第1の繊維と前記第2の繊維との間の物理的な絡み合いによって前記第2の層に接合される、請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項3】
前記合成繊維は、10ミクロン超の平均繊維径を有する、請求項1~2のいずれかに記載のフィルタ媒体。
【請求項4】
前記第1の層の前記第1の繊維は、前記第1の層中の繊維の総重量に基づいて少なくとも70wt%の量で前記合成繊維を含む、請求項1~3のいずれかに記載のフィルタ媒体。
【請求項5】
前記第1の層の前記第1の繊維は、前記第1の層中の繊維の総重量に基づいて少なくとも90wt%の量で前記合成繊維を含む、請求項1~3のいずれかに記載のフィルタ媒体。
【請求項6】
前記第2の層の前記第2の繊維は、前記第2の層中の繊維の総重量に基づいて少なくとも50wt%の量で前記セルロース系繊維を含む、請求項1~5のいずれかに記載のフィルタ媒体。
【請求項7】
前記第2の層の前記第2の繊維は、前記第2の層中の繊維の総重量に基づいて少なくとも70wt%の量で前記セルロース系繊維を含む、請求項1~5のいずれかに記載のフィルタ媒体。
【請求項8】
前記合成繊維は、ポリエステル繊維、PBT繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~7のいずれかに記載のフィルタ媒体。
【請求項9】
前記合成繊維は、ポリエステル繊維である、請求項8に記載のフィルタ媒体。
【請求項10】
前記ポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタレート繊維である、請求項9に記載のフィルタ媒体。
【請求項11】
前記ポリエステル繊維は、前記第1の層中の繊維の総重量に基づいて少なくとも90wt%の量で前記第1の層に存在する、請求項9~10のいずれかに記載のフィルタ媒体。
【請求項12】
前記第1の層は、バインダー繊維を含み、前記バインダー繊維は、前記第1の層中の繊維の総重量に基づいて25wt%以下の量で存在する、請求項9~11のいずれかに記載のフィルタ媒体。
【請求項13】
前記バインダー繊維は、ポリビニルアルコール繊維を含み、前記ポリビニルアルコール繊維は、前記第1の層中の繊維の総重量に基づいて10wt%以下の量で存在する、請求項12に記載のフィルタ媒体。
【請求項14】
前記第2の層は、第2のバインダー樹脂を含む、請求項1~13のいずれかに記載のフィルタ媒体。
【請求項15】
前記第2のバインダー樹脂は、フェノール系バインダー樹脂、ラテックスバインダー樹脂、およびアクリル系バインダー樹脂からなる群から選択される、請求項14に記載のフィルタ媒体。
【請求項16】
前記第2のバインダー樹脂は、前記第2の層の総重量に基づいて10~30wt%の量で前記第2の層に存在する、請求項13~14のいずれかに記載のフィルタ媒体。
【請求項17】
前記第2の層は、第2のバインダー樹脂を含む、請求項1~16のいずれかに記載のフィルタ媒体。
【請求項18】
前記第2のバインダー樹脂は、フェノール系バインダー樹脂、ラテックスバインダー樹脂、およびアクリル系バインダー樹脂からなる群から選択される、請求項17に記載のフィルタ媒体。
【請求項19】
前記第2のバインダー樹脂は、前記第2の層の総重量に基づいて10~30wt%の量で前記第2の層に存在する、請求項17~18のいずれかに記載のフィルタ媒体。
【請求項20】
前記セルロース系繊維は、クラフトパルプ繊維、亜硫酸パルプ繊維、化学処理繊維(例えば、マーセル化繊維)、機械処理パルプ繊維、ケミサーモメカニカル処理パルプ繊維、非木質セルロース繊維、再生セルロース繊維、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~19のいずれかに記載のフィルタ媒体。
【請求項21】
前記第1の層は、前記第1の層の前記第1の繊維の総重量に基づいて20.0wt%以下の前記セルロース系繊維を含む、請求項1~20のいずれかに記載のフィルタ媒体。
【請求項22】
前記第1の層は、前記第1の層の前記第1の繊維の総重量に基づいて10.0wt%以下の前記セルロース系繊維を含む、請求項1~20のいずれかに記載のフィルタ媒体。
【請求項23】
前記第2の層は、少なくとも1つの溝を備える、請求項1~22のいずれかに記載のフィルタ媒体。
【請求項24】
前記第1の層と前記第2の層との間の重量比は、20:80~80:20の範囲である、請求項1~23のいずれかに記載のフィルタ媒体。
【請求項25】
合成繊維、セルロース系繊維、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される後続の繊維を含む少なくとも1つの後続の層をさらに含む、請求項1~24のいずれかに記載のフィルタ媒体。
【請求項26】
前記後続の繊維は、合成ナノファイバを含む、請求項25に記載のフィルタ媒体。
【請求項27】
前記フィルタ媒体にラミネートされた少なくとも1つの追加の層を含む、請求項1~26のいずれかに記載のフィルタ媒体。
【請求項28】
前記少なくとも1つの追加の層は、前記フィルタ媒体の前記第1の層にラミネートされる、請求項27に記載のフィルタ媒体。
【請求項29】
前記少なくとも1つの追加のラミネートされた層は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)で形成された膜を含む、請求項27または28に記載のフィルタ媒体。
【請求項30】
140℃の油への500時間の曝露後に少なくとも20psiの熱油破裂強さを有する、請求項1~29のいずれかに記載のフィルタ媒体。
【請求項31】
少なくとも3の濾過耐久性指数を有する、請求項1~30のいずれかに記載のフィルタ媒体。
【請求項32】
前記フィルタ媒体は、機械的支持層を含有しない、請求項1~31のいずれかに記載のフィルタ媒体。
【請求項33】
請求項1~32のいずれかに記載のフィルタ媒体を備えるフィルタ要素。
【請求項34】
前記フィルタ媒体がプリーツ加工される、請求項33に記載のフィルタ要素。
【請求項35】
前記フィルタ媒体が波形加工される、請求項33に記載のフィルタ要素。
【請求項36】
前記第1の繊維および第1の溶媒を含む第1の繊維スラリーを形成するステップと、
前記第2の繊維および第2の溶媒を含む第2の繊維スラリーを形成するステップと、
前記第1の繊維スラリーを第1のヘッドボックスゾーンに移しながら、同時に前記第2の繊維スラリーを第2のヘッドボックスゾーンに移すステップと、
前記第1の繊維スラリーおよび前記第2の繊維スラリーを単一の連続移動形成ベルトに堆積させるステップであって、前記第1の繊維スラリーが前記第2の繊維スラリーの上に位置するステップと、
真空条件を前記第1の繊維スラリーおよび前記第2の繊維スラリーに適用して、前記第1の溶媒および/または前記第2の溶媒の少なくとも一部を除去するステップと
を含む、請求項1~32のいずれかに記載のフィルタ媒体を作製するためのプロセス。
【請求項37】
前記第1の溶媒は、水を含む、請求項36に記載のプロセス。
【請求項38】
前記第2の溶媒は、水を含む、請求項36~37のいずれかに記載のプロセス。
【請求項39】
前記第1のヘッドボックスゾーンおよび前記第2のヘッドボックスゾーンは、単一のヘッドボックスの別個の区画を備える、請求項36~38のいずれかに記載のプロセス。
【請求項40】
前記第1のヘッドボックスゾーンおよび前記第2のヘッドボックスゾーンは、連動して動作する別個のヘッドボックスを備える、請求項36~38のいずれかに記載のプロセス。
【請求項41】
湿式積層デュアルヘッドボックス法を使用して製造される、請求項1~32のいずれかに記載のフィルタ媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来の多層フィルタ媒体は、しばしば、湿式積層された層にラミネートされたメルトブローン層を含む。各層は、繊維で構成され、メルトブローン層は、典型的には単一のタイプの合成繊維-一般にポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維など-からなり、湿式積層された層は、典型的には、他のタイプの繊維とブレンドされ得るセルロース系繊維を含む。
【背景技術】
【0002】
従来の多層フィルタ媒体におけるメルトブローン層および湿式積層された層は、接着剤、点接着、熱接着などを使用して層を共にラミネートすることによって組み立てられる。例えば、米国特許第8,142,535 B2号は、2つのヘッドボックスを備えた湿式プロセス不織繊維マット作製機によって作製された、高粉塵保持容量フィルタ媒体を開示する。2つの層は、フィルタ媒体全体を共に結合するのを助ける単一のバインダーストリーム層に曝される(すなわち、ラミネートされる)。
【0003】
ラミネートプロセスは、さらなる処理ステップをもたらし、これは、接着剤が調製され、2つの層の間の界面に適用され(各層は接合される前に別々に製造される)、硬化されるため、より多くのエネルギーおよび時間を消費する。さらに、接着剤によるラミネートは、得られるフィルタ媒体の性能を低下させることが知られている。接着剤は2つの層の間の界面に適用されるため、接着剤が表面積を占有し、媒体の繊維をコーティングし、したがって、流体の濾過または粉塵の保持に利用可能な表面積を減少させ、その意図された濾過目的に対する媒体の効果を下げる。
【0004】
多層フィルタ媒体を製造する従来の方法はまた、異なる層に使用される繊維の量およびタイプが伝統的に制限される。
【0005】
したがって、二次接着剤を使用することなく(すなわち、ラミネートすることなく)十分な層間結合強度を実証する、改善された多層フィルタ媒体およびその作製方法の必要性が存在する。より良好な濾過性能および耐折強さを有する、改善された多層フィルタ媒体およびその作製方法の必要性も存在する。
【発明の概要】
【0006】
第1の層および第2の層を含むフィルタ媒体が、本明細書に記載される。第1の層は、第1の繊維を含む。第2の層は、第2の繊維を含む。第1の層の第1の繊維は、第1の層中の繊維の総重量に基づいて少なくとも50wt%の量で合成繊維を含み得る。第2の層の第2の繊維は、第2の層中の繊維の総重量に基づいて少なくとも30wt%の量でセルロース系繊維を含み得る。
【0007】
第1の層は、第1の繊維と第2の繊維との混合物を含む第1の層と第2の層との間の界面で、第2の層に接合され得る。二次接着剤の非存在下で、第1の層および第2の層を横切るz方向引張強さ(zdt)は、少なくとも0.5psiであり得る。いくつかの実施形態では、第1の層は、第1の繊維と第2の繊維との間の物理的な絡み合いによって第2の層に接合され得る。
【0008】
ある実施形態では、合成繊維は、10ミクロン超の平均繊維径を有し得る。第1の層の第1の繊維は、いくつかの実施形態では、第1の層中の繊維の総重量に基づいて少なくとも70wt%の量で合成繊維を含み得る。他の実施形態では、第1の層の第1の繊維は、第1の層中の繊維の総重量に基づいて少なくとも90wt%の量で合成繊維を含み得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、第2の層の第2の繊維は、第2の層中の繊維の総重量に基づいて少なくとも50wt%の量でセルロース系繊維を含み得る。他の実施形態では、第2の層の第2の繊維は、第2の層中の繊維の総重量に基づいて少なくとも70wt%の量でセルロース系繊維を含み得る。
【0010】
ある実施形態では、合成繊維は、ポリエステル繊維、PBT繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、合成繊維は、ポリエステル繊維であり得る。ポリエステル繊維は、存在する場合、ポリエチレンテレフタレート繊維であり得る。使用される場合、ポリエステル繊維は、第1の層中の繊維の総重量に基づいて少なくとも90wt%の量で第1の層に存在し得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1の層は、バインダー繊維を含み得る。存在する場合、バインダー繊維は、第1の層中の繊維の総重量に基づいて25wt%以下の量で存在し得る。使用される場合、バインダー繊維は、ポリビニルアルコール繊維を含み得る。そのような実施形態では、ポリビニルアルコール繊維は、第1の層中の繊維の総重量に基づいて10wt%以下の量で存在し得る。
【0012】
ある実施形態では、第2の層は、第2のバインダー樹脂を含み得る。使用される場合、第2のバインダー樹脂は、フェノール系バインダー樹脂、ラテックスバインダー樹脂、およびアクリル系バインダー樹脂からなる群から選択され得る。第2のバインダー樹脂は、使用される場合、第2の層の総重量に基づいて10~30wt%の量で第2の層に存在し得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、セルロース系繊維は、クラフトパルプ繊維、亜硫酸パルプ繊維、化学処理繊維(例えば、マーセル化繊維)、機械処理パルプ繊維、ケミサーモメカニカル処理パルプ繊維、非木質セルロース繊維、再生セルロース繊維、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0014】
ある実施形態では、第1の層は、第1の層の第1の繊維の総重量に基づいて20.0wt%以下のセルロース系繊維を含み得る。他の実施形態では、第1の層は、第1の層の第1の繊維の総重量に基づいて10.0wt%以下のセルロース系繊維を含み得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、第2の層は、少なくとも1つの溝を備え得る。
【0016】
ある実施形態では、第1の層と第2の層との間の重量比は、20:80~80:20の範囲であり得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、フィルタ媒体は、合成繊維、セルロース系繊維、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される後続の繊維を含む少なくとも1つの後続の層をさらに含み得る。
【0018】
ある実施形態では、フィルタ媒体は、140℃の油への500時間の曝露後に少なくとも20psiの熱油破裂強さを有し得る。いくつかの実施形態では、フィルタ媒体は、少なくとも3の濾過耐久性指数を有し得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、フィルタ媒体は、機械的支持層を含有しない場合がある。
【0020】
本明細書に開示されたタイプのフィルタ媒体を備えるフィルタ要素も、本明細書に記載される。フィルタ要素のいくつかの実施形態では、フィルタ媒体は、プリーツ加工され得る。フィルタ要素のある実施形態では、フィルタ媒体は、波形加工され得る。
【0021】
本明細書に開示されたタイプのフィルタ媒体を作製するためのプロセスが、本明細書にさらに記載される。プロセスは、第1の繊維および第1の溶媒を含む第1の繊維スラリーを形成するステップと、第2の繊維および第2の溶媒を含む第2の繊維スラリーを形成するステップと、第1の繊維スラリーを第1のヘッドボックスゾーンに移しながら、同時に第2の繊維スラリーを第2のヘッドボックスゾーンに移すステップと、第1の繊維スラリーおよび第2の繊維スラリーを単一の連続移動形成ベルトに堆積させるステップであって、第1の繊維スラリーが第2の繊維スラリーの上に位置するステップと、真空条件を第1の繊維スラリーおよび第2の繊維スラリーに適用して、第1の溶媒および/または第2の溶媒の少なくとも一部を除去するステップとを含む、湿式積層デュアルヘッドボックス法であり得る。
【0022】
いくつかのそのような実施形態では、第1の溶媒は、水を含み得る。ある実施形態では、第2の溶媒は、水を含み得る。
【0023】
ある実施形態では、第1のヘッドボックスゾーンおよび第2のヘッドボックスゾーンは、単一のヘッドボックスの別個の区画を備え得る。他の実施形態では、第1のヘッドボックスゾーンおよび第2のヘッドボックスゾーンは、連動して動作する別個のヘッドボックスを備え得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】フィルタ媒体の一実施形態の側面図を示す。
図2】溝を備えるフィルタ媒体の一実施形態の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
フィルタ媒体が本明細書に開示される。フィルタ媒体を備えるフィルタ要素も本明細書に開示される。フィルタ媒体は、図面を参照しながら以下に記載される。フィルタ媒体を作成するためのプロセスも本明細書に開示される。本明細書および特許請求の範囲に記載されるように、以下の数字は、図面に示されるような以下の構造を指す。
【0026】
10は、フィルタ媒体を指す。
【0027】
100は、第1の層を指す。
【0028】
200は、第2の層を指す。
【0029】
210は、溝を指す。
【0030】
300は、界面を指す。
【0031】
図1は、発明されたフィルタ媒体の一実施形態の側面図を示す。図1に示されるように、フィルタ媒体(10)は、第1の層(100)および第2の層(200)を含み得る。第1の層は、第1の層と第2の層との間の界面(300)で第2の層に接合され得る。第1の層と第2の層との間の界面は、第1の繊維と第2の繊維との混合物を含み得る。
【0032】
第1の層(100)と第2の層(200)との間の界面(300)は、第1の層と第2の層との間の層間結合の強さが、二次接着剤の非存在下で存在するようなものであり得る。この層間結合の強さは、二次接着剤の非存在下で第1の層および第2の層を横切るz方向引張強さ(zdt)に基づいて定量化され得る。z方向引張強さ(zdt)は、TAPPI T 541法を使用して測定され得る。好ましくは、z方向引張強さ(zdt)は、少なくとも0.5psiであり、より好ましくは少なくとも0.75psiであり、最も好ましくは少なくとも1.0psiである。
【0033】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、二次接着剤は、第1の層(100)および/または第2の層(200)のバインダー樹脂またはバインダー繊維などの成分ではない接着剤を指す。明確にするために、第1の層および/または第2の層の一方または両方は、本明細書に開示されるようなバインダー樹脂および/またはバインダー繊維を含み得、第1の層および/または第2の層からのバインダー樹脂および/またはバインダー繊維の一部は、界面(300)に存在し得る。第1の層および/または第2の層の成分であるそのようなバインダー樹脂/バインダー繊維は、二次接着剤と見なされない。いくらかの量の二次接着剤がある実施形態では存在し得るが、二次接着剤は、第1の層と第2の層との間の層間結合を生成するのに必要であると見なされない。したがって、z方向引張強さ(zdt)は、二次接着剤の非存在下で測定されるべきである。
【0034】
第1の層(100)と第2の層(200)との間の界面(300)は、第1の繊維と第2の繊維との混合物を含み得る。界面における第2の層への第1の層の接合は、第1の繊維と第2の繊維との間で物理的な絡み合いが生じるようなものであり得る。
【0035】
図2は、発明されたフィルタ媒体の別の実施形態の側面図を示す。図2に示されるように、フィルタ媒体(10)の第2の層(200)は、溝(210)を備え得る。溝切り(波形加工とも呼ばれる)は、当該技術分野で通常用いられる意味を有する。具体的には、溝切りは、畝または溝が交互になった表面構造に関連するものと定義され得る。様々なものが当該技術分野で知られているいくつかの異なる波形加工技術が、フィルタ媒体に溝(単数または複数)/波形(単数または複数)を形成するのに利用され得る。いくつかの実施形態では、溝または波形は、フィルタ媒体がプリーツ加工され、フィルタ要素に利用される実施形態において利用され得る。そのような実施形態では、畝または溝は、プリーツ方向に垂直な方向に適用され得る。そうすることによって、フィルタ媒体の外寸を必ずしも増加させることなく、フィルタ媒体の有効表面積が増加する。
【0036】
第1の層(100)は、第1の繊維を含む。好ましくは、第1の層の第1の繊維は、合成繊維を含む。合成繊維は、第1の層中の繊維の総重量に基づいて少なくとも50wt%の量で存在し得る。好ましくは、合成繊維は、第1の層中の繊維の総重量に基づいて少なくとも70wt%の量で存在し得る。より好ましくは、合成繊維は、第1の層中の繊維の総重量に基づいて少なくとも90wt%の量で存在し得る。
【0037】
合成繊維は、化学物質から合成されたポリマーを含む繊維形成物質から作られた繊維を指す。そのような繊維は、従来の溶融紡糸、溶液紡糸、溶剤紡糸、および類似のフィラメント作製技術によって作製され得る。
【0038】
合成繊維は、平均繊維径を有する。合成繊維の平均直径は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影された画像からの特定の層における少なくとも50、好ましくは少なくとも100、より好ましくは少なくとも200の合成繊維の直径を光学的に測定することによって決定され得る。層の一連の画像は、典型的には、合成繊維がより暗いバックグラウンドと対比して明るい物体として見えるように、十分に大きい倍率のSEMを使用して撮影される。次いで、平均値が計算されて、平均繊維径が決定される。好ましくは、合成繊維の平均繊維径は、10ミクロン超である。しかしながら、いくつかの実施形態では、合成繊維の平均繊維径は、15ミクロン超、20ミクロン超、または25ミクロン超であり得る。
【0039】
合成繊維は、ポリエステル繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリアルキレンテレフタレート)、ポリアミド繊維(ナイロン、例えば、ナイロン-t、ナイロン6,6、ナイロン6,12など)、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。好ましい合成繊維は、ポリエステル繊維を含む。存在する場合、好ましいポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維である。ポリエステル繊維は、存在する場合、第1の層中の繊維の総重量に基づいて少なくとも90wt%の量で第1の層に存在し得る。好ましくは、ポリエステル繊維は、存在する場合、第1の層中の繊維の総重量に基づいて少なくとも94wt%の量で第1の層に存在することになる。
【0040】
いくつかの実施形態では、第1の層の第1の繊維は、第1のバインダー繊維を含み得る。これに関して、合成繊維の一部は、バインダー繊維であり得る。使用される場合、バインダー繊維は、第1の層中の合成繊維の総重量に基づいて50wt%以下、好ましくは第1の層中の合成繊維の総重量に基づいて30wt%以下、最も好ましくは第1の層中の合成繊維の総重量に基づいて20wt%以下の量で存在し得る。典型的には、バインダー繊維は、存在する場合、第1の層中の合成繊維の総重量に基づいて、3~50wt%、3~30wt%、および3~20wt%からなる群から選択される範囲で存在することになる。
【0041】
いくつかの実施形態では、第1のバインダー繊維は、第1の層中の繊維の総重量に基づいて25wt%以下の量で存在し得る。いくつかの実施形態では、第1のバインダー繊維は、存在する場合、第1の層中の繊維の総重量に基づいて20wt%以下、第1の層中の繊維の総重量に基づいて15wt%以下、または第1の層中の繊維の総重量に基づいて10wt%以下の量で存在することになる。
【0042】
バインダー繊維は、PETバインダー繊維またはポリビニルアルコール(PVOH)バインダー繊維などの熱可塑性バインダー繊維を含み得る。これらのバインダー繊維は、第1の層中の他の合成繊維より低い融点を有し得、したがって、加熱による第1の層の繊維ウェブの処理中に軟化または部分的に表面溶融された時に、結合剤として機能し得る。バインダー繊維はまた、製造プロセスに使用される溶媒(すなわち、水)に部分的に溶解し、粘着性になり得る。粘着性または軟化バインダー繊維は、したがって、第1の繊維にくっつくことによって第1の層の第1の繊維を内部で結合し、このように得られる繊維ウェブを構造的に強化することができる。これらのバインダー繊維の平均繊維長は、好ましくは約2mm~約12mmの範囲、例えば約6mmであり得る。
【0043】
第1のバインダー繊維の好ましい例は、ポリビニルアルコール(PVOH)バインダー繊維である。使用される場合、ポリビニルアルコール繊維は、第1の層中の繊維の総重量に基づいて10wt%以下の量で存在し得る。いくつかの実施形態では、ポリビニルアルコール繊維は、存在する場合、第1の層中の繊維の総重量に基づいて7.5wt%以下、または第1の層中の繊維の総重量に基づいて5.0wt%以下の量で存在することになる。
【0044】
第1のバインダー繊維の別の例は、一方が他方より低い融点を有する2つの熱可塑性ポリマー成分を含有する複合熱可塑性繊維であり得る。より低い融点の熱可塑性ポリマー成分は、第1の層の繊維ウェブの処理中(例えば、加熱中)に軟化または部分的に溶融された時に、熱可塑性結合剤として機能し得る。より高い融点の熱可塑性ポリマー成分は、構造材料として機能し得る。複合熱可塑性繊維の平均繊維径は、約2~約20μmの範囲、例えば10μmであり得る一方で、これらの複合熱可塑性繊維の平均繊維長は、約2mm~約12mmの範囲、例えば約6mmであり得る。
【0045】
ある実施形態では、第1の層は、第1のバインダー樹脂も含み得る。他の実施形態では、第1の層は、いかなるバインダー樹脂も含まない場合がある。使用される場合、第1のバインダー樹脂は、第1の層の総重量に基づいて10~30wt%の量で第1の層に存在し得る。いくつかの実施形態では、第1のバインダー樹脂は、存在する場合、第1の層の総重量に基づいて10~25wt%、第1の層の総重量に基づいて10~20wt%、第1の層の総重量に基づいて15~30wt%、第1の層の総重量に基づいて15~25wt%、または第1の層の総重量に基づいて20~30wt%の量で第1の層に存在することになる。
【0046】
第1のバインダー樹脂として使用される樹脂の非限定的な例としては、スチレンアクリル系、アクリルポリエチレンビニルクロライド、スチレンブタジエンゴム、ポリスチレンアクリレート、ポリアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール誘導体、でんぷんポリマー、エポキシ、フェノール系、メラミン系樹脂などのポリマーが挙げられる。好ましいバインダー樹脂としては、フェノール系バインダー樹脂、メラミン系バインダー樹脂、シリコーンバインダー樹脂、エポキシバインダー樹脂、アクリル系バインダー樹脂(例えば、ビニルアクリルラテックス樹脂)などが挙げられる。存在する場合、第1の層の第1の繊維は、第1のバインダー樹脂でコーティングまたは含侵/飽和され得る。
【0047】
第2の層(200)は、第2の繊維を含む。好ましくは、第2の層の第2の繊維は、セルロース系繊維を含む。セルロース系繊維は、第2の層中の繊維の総重量に基づいて少なくとも30wt%の量で存在し得る。好ましくは、セルロース系繊維は、第2の層中の繊維の総重量に基づいて少なくとも50wt%の量で存在し得る。より好ましくは、セルロース系繊維は、第2の層中の繊維の総重量に基づいて少なくとも70wt%の量で存在し得る。
【0048】
セルロース系繊維は、セルロースから構成または誘導された繊維を指す。セルロース系繊維は、クラフトパルプ繊維、亜硫酸パルプ繊維、化学処理繊維(例えば、マーセル化繊維)、機械処理パルプ繊維、ケミサーモメカニカル処理パルプ繊維、非木質セルロース繊維、再生セルロース繊維、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0049】
ある実施形態では、第2の層は、第2のバインダー樹脂も含み得る。使用される場合、第2のバインダー樹脂は、第2の層の総重量に基づいて10~30wt%の量で第2の層に存在し得る。いくつかの実施形態では、第2のバインダー樹脂は、存在する場合、第2の層の総重量に基づいて10~25wt%、第2の層の総重量に基づいて10~20wt%、第2の層の総重量に基づいて15~30wt%、第2の層の総重量に基づいて15~25wt%、または第2の層の総重量に基づいて20~30wt%の量で第2の層に存在することになる。
【0050】
第2のバインダー樹脂として使用される樹脂の非限定的な例としては、スチレンアクリル系、アクリルポリエチレンビニルクロライド、スチレンブタジエンゴム、ポリスチレンアクリレート、ポリアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール誘導体、でんぷんポリマー、エポキシ、フェノール系、メラミン系樹脂などのポリマーが挙げられる。好ましいバインダー樹脂としては、フェノール系バインダー樹脂、メラミン系バインダー樹脂、シリコーンバインダー樹脂、エポキシバインダー樹脂、アクリル系バインダー樹脂(例えば、ビニルアクリルラテックス樹脂)などが挙げられる。存在する場合、第2の層の第2の繊維は、第2のバインダー樹脂でコーティングまたは含侵/飽和され得る。
【0051】
第1の層(100)と第2の層(200)との間の界面(300)は、第1の繊維と第2の繊維との混合物を含み得るが、第1の層および/または第2の層内での第1の繊維と第2の繊維との混合は、最小限であるか、またはないことが好ましい。これは、第1の層が、第1の層の繊維の総重量に基づいて20.0wt%以下のセルロース系繊維を含み得ることを意味する。いくつかの実施形態では、第1の層は、第1の層の繊維の総重量に基づいて15.0wt%以下のセルロース系繊維、第1の層の繊維の総重量に基づいて10.0wt%以下のセルロース系繊維、第1の層の繊維の総重量に基づいて5.0wt%以下のセルロース系繊維、または第1の層の繊維の総重量に基づいて1.0wt%以下のセルロース系繊維を含むことになる。
【0052】
同様に、第2の層は、第2の層の繊維の総重量に基づいて20.0wt%以下の合成繊維を含み得る。ある実施形態では、第2の層は、第2の層の繊維の総重量に基づいて15.0wt%以下の合成繊維、第2の層の繊維の総重量に基づいて10.0wt%以下の合成繊維、第2の層の繊維の総重量に基づいて5.0wt%以下の合成繊維、または第2の層の繊維の総重量に基づいて1.0wt%以下の合成繊維を含むことになる。
【0053】
第1の層および第2の層が同じかまたは同様の重量または厚さを有することは必要であると見なされない。この点において、第1の層および第2の層は、第1の層と第2の層との間の重量比に関して記載され得る。第1の層と第2の層との間の重量比は、20:80~80:20の範囲であり得る。
【0054】
フィルタ媒体は、少なくとも3の濾過性能指数(FP)を有し得る。濾過性能指数(FP)は、以下の式に従って計算され得:
【数1】
式中、DHCは、厚さ1ミル当たりのフィルタ媒体の粉塵保持容量(mg/inで測定される)を指し、Fは、20μmでのフィルタ媒体の濾過効率(%で測定される)を指す。粉塵保持容量(DHC)および濾過効率(F)は、潤滑油濾過のためのISO 4548-12試験規格に従って、マルチパスシステムを使用し、コンタミナントとしてISO媒体試験塵を使用し、円形平坦シートの形態の媒体を用い、試料直径6.375インチ、試験流量0.5L/分、粒子注入流量250mL/分、BUGL(基準上流コンタミナント濃度)60mg/L、および面速3.624in/分を用いて測定され得る。
【0055】
フィルタ媒体が機械的支持層を含有しないことは、必要ではないが好ましい。機械的支持層とは、使用中にフィルタ媒体の形状を維持するのを支援するさらなる構造要素を意味する。そのような機械的支持層の例としては、プラスチック裏打ちおよびワイヤメッシュ裏打ちが挙げられる。フィルタ媒体は機械的支持層を含有しないことが好ましいので、フィルタ媒体は、自立式と呼ばれ得る。自立式とは、さらなる支持層または裏打ち構造を必要とせずにフィルタ要素に利用することができるように、フィルタ媒体が十分な強度/硬さを有することを意味する。
【0056】
いくつかの実施形態では、フィルタ媒体は、少なくとも1つの後続の層を含み得る。各後続の層は、後続の繊維を含み得、後続の繊維は、合成繊維、セルロース系繊維、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。各個々の後続の層は、第1の層または第2の層と実質的に同様または同一であり得る。実質的に同様または同一とは、後続の層が、第1の層または第2の層について本明細書に開示されたものと一致する繊維のタイプ、繊維の寸法、繊維の量、バインダー繊維のタイプ、バインダー繊維の量、バインダー樹脂のタイプ、および/またはバインダー樹脂の量を含み得ることを意味する。
【0057】
いくつかの実施形態では、後続の層は、第1の層または第2の層と実質的に異なり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの後続の層の後続の繊維は、合成ナノファイバなどのナノファイバを含み得る。ナノファイバは、1ミクロン(1000nm)未満、具体的には50~350nm、例えば100~300nmの直径を有する繊維と定義される。ナノファイバは、好適なポリマー材料を使用したエレクトロスピニング、フォーススピニング、またはメルトブローンプロセスなどの既知の方法に従って形成され得る。ナノファイバは、好ましくは、ポリエーテルスルホン(PES)、ナイロンなどのポリアミド(PA)、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフルオロポリマー(すなわち、フッ化炭素系ポリマー)、ポリアクリロニトリル、ポリアミドが挙げられるが、これらに限定されない熱可塑性ポリマー材料から形成される。
【0058】
いくつかの実施形態では、ナノファイバを含む後続の層は、フィルタ媒体上のコーティングを形成し得る。ナノファイバコーティングの目付(basis weight)または坪量(grammage)は、低すぎて測定できない場合があるが、典型的には~0.5gsm以上である。より高目付のコーティングを作ることができる。例えば、ナノファイバコーティングは、5gsmまでのPESナノファイバのコーティングを使用し得る。
【0059】
後続の層のナノファイバは、フィルタ媒体の第1の層および/または第2の層の繊維ウェブ上に直接エレクトロスピニングされてナノファイバコーティングを形成し得る。好ましくは、後続の層のナノファイバは、第1の層の繊維ウェブ上に直接エレクトロスピニングされる。さらなる接着剤または糊層が、ナノファイバコーティングを繊維ウェブにくっつけるために使用され得る。ナノファイバ形成エレクトロスピニング材料の組成物はまた、混和性化合物として共押出することができる、すなわち、エレクトロスピニングの前に共にブレンドすることができるか、または同時にエレクトロスピニングすることができる接着剤を含み得、その結果、接着剤は、ナノファイバの形成と同時に適用される。接着剤は、ナノファイバ層のナノファイバを保持するのを支援する化学物質である。接着剤は、好ましくは、ナノファイバ形成エレクトロスピニング材料の組成物の総重量に基づいて20重量%まで、より好ましくは10重量%まで、最も好ましくは5重量%まで、例えば0.1~5重量%の量で使用され得る。
【0060】
フィルタ媒体は、140℃の油への500時間の曝露後に少なくとも20psiの熱油破裂強さを有し得る。熱油破裂強さは、所定の温度の油への所定の期間の曝露後に、フィルタ媒体試料を破裂させるのに必要な圧力を指す。
【0061】
本明細書に記載されたフィルタ媒体は、フィルタ媒体を備えるフィルタ要素に組み込まれ得る。フィルタ要素は、中空シリンダを形成する一対のエンドキャップの間に配置されたフィルタ媒体を備える装置または配置を指す。他の形状および配置も可能であり得る。
【0062】
フィルタ要素に組み込まれる場合、フィルタ媒体は、任意の数の変更を受けてよい。そのような変更の一例としては、プリーツ加工が挙げられ得る。プリーツ加工(折り加工としても知られる)は、立ち上がったプリーツで行われ得る(ジグザグ折りとも呼ばれる)。プリーツ加工プロセスは、当該技術分野で知られており、ナイフプリーツ加工機および/またはロータリープレスを使用して行われ得る。プリーツ加工は、一般に、流体の流れの方向に対して横方向に濾過表面積を増加させるために行われる。そのような変更の別の例としては、本明細書に記載されるような波形加工/溝切りが挙げられ得る。したがって、フィルタ媒体は、フィルタ要素に組み込まれる場合、プリーツ加工、波形加工/溝切り、または両方を行われてよいと言うことができる。
【0063】
フィルタ媒体は、連続湿式積層プロセスで調製され得る。プロセスはまず、第1の繊維および溶媒を含む第1の繊維スラリーを形成することを含み得る。プロセスはまた、第2の繊維および第2の溶媒を含む第2の繊維スラリーを形成することを含み得る。第1の溶媒および第2の溶媒は、各々水を含み得る。
【0064】
第1の繊維スラリーおよび第2の繊維スラリーが形成されたら、プロセスは、第1の繊維スラリーを第1のヘッドボックスゾーンに移しながら、同時に第2の繊維スラリーを第2のヘッドボックスゾーンに移すことを含み得る。第1のヘッドボックスゾーンおよび第2のヘッドボックスゾーンは、単一のヘッドボックスの別個の区画を備え得るか、または連動して動作する別個のヘッドボックスを備え得る。
【0065】
第1の繊維スラリーおよび第2の繊維スラリーがそれらの個々のヘッドボックスゾーンに移されたら、プロセスは、次いで、第1の繊維スラリーおよび第2の繊維スラリーを単一の連続移動形成ベルトに堆積させることに進み得る。繊維スラリーが単一の連続移動形成ベルトに堆積される時、後続の処理ステップ中に第1の繊維スラリーが第2の繊維スラリーの上に位置するように、第1の繊維スラリーは第2の繊維スラリーの上に堆積される。
【0066】
連続移動形成ベルトは、次いで、第1の繊維スラリーおよび第2の繊維スラリーを真空ゾーンに進める。真空ゾーン内では、真空条件が、連続移動形成ベルトの下から第1の繊維スラリーおよび第2の繊維スラリーに適用される。真空条件は、第1の溶媒および/または第2の溶媒の少なくとも一部を除去する。
【0067】
後続の層は、同様の方法で形成され得る。例えば、後続の層(単数または複数)が第3の層を含む場合、プロセスは、第3の繊維および第3の溶媒を含む第3の繊維スラリーを形成することを含み得る。好ましくは、第3の溶媒は、水を含み得る。第3の繊維スラリーは、次いで、第1の繊維スラリーを第1のヘッドボックスゾーンに移し、第2の繊維スラリーを第2のヘッドボックスゾーンに移すのと同時に、第3のヘッドボックスゾーンに移され得る。第3のヘッドボックスゾーンは、第1のヘッドボックスゾーンおよび第2のヘッドボックスゾーンと共に、単一のヘッドボックスの別個の区画であり得るか、または第1のヘッドボックスゾーンおよび第2のヘッドボックスゾーンと連動して動作する別個のヘッドボックスを備え得る。第3の繊維スラリーは、次いで、単一の連続移動形成ベルトに堆積され得る。第3の繊維スラリーが単一の連続移動形成ベルトに堆積される時、後続の処理ステップ中に第3の繊維スラリーが第2の繊維スラリーの上に位置するように、第3の繊維スラリーは第1の繊維スラリーの上に堆積される。連続移動形成ベルトは、次いで、第1の繊維スラリー、第2の繊維スラリー、および第3の繊維スラリーを、真空条件が連続移動形成ベルトの下から第1の繊維スラリー、第2の繊維スラリー、および第3の繊維スラリーに適用される真空ゾーンに進めて、第1の溶媒、第2の溶媒、および/または第3の溶媒の少なくとも一部を除去する。このプロセスは、各後続の層(すなわち、第4の層、第5の層など)について繰り返され得る。
【0068】
フィルタ媒体を製造するためのプロセスは、ラミネートステップを含まないことが好ましい。ラミネートプロセス中、二次接着剤は、層間の界面に適用され、続いて硬化されて層を互いに結合させ得る。ラミネートプロセスに使用される二次接着剤は、フィルタ媒体内の表面積を占有し、それにより、流体の濾過または粉塵の保持に利用可能な表面積を減少させることによって、濾過性能を低下させることがある。製造プロセスにラミネートステップを含まないことの結果として、本発明の好ましい実施形態では、第1の層および第2の層(および任意の後続の層)はラミネートされていないと言うことができる。
【0069】
上述のように、フィルタ媒体を製造するためのプロセスは、二次接着剤を用いるラミネートステップを含まないことが好ましい。しかしながら、いくつかの実施形態では、フィルタ媒体は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)で形成された膜へのラミネートなど、1つ以上の追加の層にラミネートされ得る。ePTFE膜層は、PTFE微粉末材料を使用したビレット成形、押出、カレンダー成形、延伸、および焼結などの既知の方法に従って形成され得る。ePTFE膜は、例えば、約1~約50g/m、好ましくは約1~約10g/mの目付を有する。ePTFE膜はまた、約5~約20CFMの通気度(air permeability)、および50~200水柱インチの泡立ち点を有し得る。ePTFE膜は、典型的には、約30~350g/mの目付を有するフィルタ媒体にラミネートされる。得られる媒体は、典型的には、約2~20CFMの通気度を有し、EN 1822-1規格による分類でE10~H14の範囲の高い効率を提供する。得られる媒体はまた、好ましくは疎水性である。得られる媒体は、疎水性を有することになる。ePTFE膜は、接着剤ラミネート、熱ラミネート、超音波ラミネートなどを含む当該技術分野で知られている任意の一般的な手段によって、フィルタ媒体、好ましくはフィルタ媒体の第1の層の上にラミネートされ得る。例えば、接着剤ホットメルトラミネートが、PTFE膜をベースウェブに結合させるのに使用され得る。例として、MinzellまたはInta-Rotoのブランド名の熱ラミネータを、ePTFE膜層を繊維ウェブ中の第1の層に取り付けるのに使用することができる。熱ラミネートの速さは、例えば、2~20フィート/分の範囲であり得る。
【実施例
【0070】
以下の試験方法を用いて、以下の表に報告されるデータを得た。
【0071】
目付:目付は、TAPPI規格T 410 om-02に従って測定され、グラム/平方メートル(gsm)で報告される。
【0072】
熱油破裂強さ:熱油破裂強さは、フィルタ媒体を硬化させ、熱油(Mobil Oil 5W-30 Synthetic)中に入れた後に測定された。フィルタ媒体は、典型的な内燃機関が到達する最高温度を表す140℃の熱油中に500時間保持された。熱油への曝露後、フィルタ媒体は、ISO Standard 2758 (2014)に従って破裂強さ測定を受ける。Standex International Corporation, Chicopee, Massachusetts, U.S.Aから入手可能なBF Perkins Mullen tester、シリアルナンバー4104-75-497、ゲージ範囲120psiを使用して、破裂強さ測定を完了した。結果は、ポンド/平方インチ(psi)で報告される。
【0073】
引裂き強さ:引裂き強さは、エルメンドルフ形引裂抵抗試験器を使用して、TAPPI T424規格に従って行われた。
【0074】
Textestまたは通気度:媒体の通気度は、TAPPI規格T 251 cm-85(多孔質紙、布、およびパルプハンドシートの通気度)に従って、0.5水柱インチ(2.7水柱mm)の圧力差で、Textest AG(モデルFX3300)を使用して測定され、しばしばcfmと呼ばれる、試料面積1平方フィート当たり、1分当たりの、立方フィートでの空気流量(cfm/sf)として報告される。通気度は、通気度(air perm)、気孔率、フラジール(Frazier)、またはTextestとも呼ばれ得る。
【0075】
TMI厚さおよび溝深さ:TMI厚さおよび溝深さは、TAPPI規格T 411 om-05に従って、Thwing Albert 89-100厚さ測定器を使用して測定される。溝深さは、媒体の平坦シートの厚さと、媒体を波形加工した後のシートの厚さとの間の差である。
【0076】
以下の材料を、以下の表に報告されるフィルタ媒体例に用いた。
【0077】
PET1:例えばWilliam Barnet & Son LLCから市販されている、0.5デニールおよび長さ0.25インチのポリエチレンテレフタレート繊維。
【0078】
PET2:例えばWilliam Barnet & Son LLCから市販されている、1.5デニールおよび長さ0.25インチのポリエチレンテレフタレート繊維。
【0079】
PET3:例えばWilliam Barnet & Son LLCから市販されている、線密度1.6dtexおよび長さ5mmの未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維。
【0080】
PVOH:例えばKuraray Co, Ltdから市販されている、線密度1.17dtexおよび繊維長4mmのポリビニルアルコール繊維。
【0081】
EUC:Eldorado Cellulose e Papel、Brazilから市販されているユーカリ繊維。
【0082】
NBSK:International Paperから市販されている北部漂白針葉樹クラフト繊維。
【0083】
SBSK:International Paperから市販されている南部漂白針葉樹クラフト繊維。
【0084】
C-06:Unifrax LLCから市販されているマイクロガラス繊維。
【0085】
PBT1:MiniFIBERS, Incから市販されているポリブチレンテレフタレート繊維。
【0086】
MSF:Georgia-Pacificから市販されているマーセル化針葉樹繊維。
【0087】
MTS:Georgia-Pacificから市販されている機械処理針葉樹繊維。
【0088】
リヨセル:Lenzing AGから市販されている再生セルロース繊維。
【0089】
以下のフィルタ媒体が調製され、様々な特性について試験され、試験結果は以下の表に報告された。
【0090】
実施例1(WE1):実施例1(本明細書ではしばしば「WE1」と呼ばれる)は、湿式積層機で作製され、湿式積層機の形成ワイヤ上で同時に積層される2つの層を含む。フィルタ媒体は、界面に二次接着剤を含まなかった。第1の層および第2の層の繊維は、形成プロセスの結果として機械的に絡み合っていた。上層(第1の層)は、第1の繊維を含有し、第1の繊維は100wt%が合成繊維であった。合成繊維のうち、47wt%はPET1であり、47wt%はPET2であり、6wt%はPVOHバインダー繊維であった。第1の層は、45.0lbs/3,000ftの目標目付に作製された。第1の層は、いかなるバインダー樹脂も含有しなかった。第2の層は、第2の繊維を含有し、第2の繊維の94wt%はセルロース系繊維であった。第2の繊維のうち、49wt%はEUCセルロース系繊維であり、45wt%はNBSKセルロース系繊維であり、6wt%はPET2合成繊維であった。第2の層は、55.0lbs/3,000ftの目標目付に作製された。製造中、第2の層は、フェノール系バインダー樹脂で飽和され、得られる第2の層は、80wt%の第2の繊維および20wt%のバインダー樹脂を含有していた。
【0091】
実施例2(WE2):実施例2(本明細書ではしばしば「WE2」と呼ばれる)は、湿式積層機で作製され、湿式積層機の形成ワイヤ上で同時に積層される2つの層を含む。フィルタ媒体は、界面に二次接着剤を含まなかった。第1の層および第2の層の繊維は、形成プロセスの結果として機械的に絡み合っていた。上層(第1の層)は、第1の繊維を含有し、第1の繊維は100wt%が合成繊維であった。合成繊維のうち、47wt%はPET1であり、47wt%はPET2であり、6wt%はPVOHバインダー繊維であった。第1の層は、50.2lbs/3,000ftの目標目付に作製された。第1の層は、いかなるバインダー樹脂も含有しなかった。第2の層は、第2の繊維を含有し、第2の繊維の26wt%はセルロース系繊維であった。第2の繊維のうち、26wt%はNBSKセルロース系繊維であり、20wt%はB-06合成繊維であり、20wt%はPET1合成繊維であり、30wt%はPET2合成繊維であり、4wt%はPVOH合成バインダー繊維であった。第2の層は、61.3lbs/3,000ftの目標目付に作製された。製造中、第2の層は、フェノール系バインダー樹脂で飽和され、得られる第2の層は、75wt%の第2の繊維および25wt%のバインダー樹脂を含有していた。
【0092】
比較例1(CE1):比較例1(本明細書ではしばしば「CE1」と呼ばれる)は、2層のラミネートされた媒体で構成されていた。上層(第1の層)は、第1の繊維を含有するメルトブローン材料を含有していた。第1の繊維は100wt%が、PBT繊維の形態の合成繊維であった。第1の層は、44.0lbs/3,000ftの目標目付に作製された。下層(第2の層)は、湿式積層機で作製された。第2の層は、第2の繊維を含有し、第2の繊維は100wt%がセルロース系繊維であった。セルロース系繊維のうち、1wt%はSBSK繊維であり、25wt%はMSF繊維であり、3wt%はEUC繊維であり、71wt%はMTS繊維であった。製造中、第2の層は、フェノール系バインダー樹脂で飽和され、得られる第2の層は、77wt%の第2の繊維および23wt%のバインダー樹脂を含有していた。第1の層および第2の層は、ホットメルトラミネート技術を使用して、二次接着剤で共に糊付けされた。
【0093】
比較例2(CE2):比較例2(本明細書ではしばしば「CE2」と呼ばれる)は、湿式積層機で作製された単層の媒体で構成されていた。単層は、合成繊維とセルロース系繊維との混合物である繊維を含んでいた。繊維のうち、12wt%はEUCセルロース系繊維であり、19wt%はMTSセルロース系繊維であり、22wt%はSBSKセルロース系繊維であり、3wt%はB-06合成繊維であり、23wt%はPET1合成繊維であり、21wt%はPET2合成繊維であった。単層媒体は、フェノール系バインダー樹脂で飽和され、得られる単層媒体は、82wt%の繊維および18wt%のバインダー樹脂を含有していた。
【0094】
実施例3(WE3):実施例3(本明細書ではしばしば「WE3」と呼ばれる)は、湿式積層機で作製され、湿式積層機の形成ワイヤ上で同時に積層される2つの層を含む。フィルタ媒体は、界面に二次接着剤を含まなかった。第1の層および第2の層の繊維は、形成プロセスの結果として機械的に絡み合っていた。上層(第1の層)は、第1の繊維を含有し、第1の繊維の68wt%は合成繊維であり、第1の繊維の残りの32wt%はリヨセル繊維であった。第1の繊維のうち、20wt%はPET3であり、32wt%はリヨセルであり、42wt%はPET1であり、6wt%はPVOHバインダー繊維であった。第1の層は、45.0lbs/3,000ftの目標目付に作製された。第1の層は、いかなるバインダー樹脂も含有しなかった。第2の層は、第2の繊維を含有し、第2の繊維は100wt%がセルロース系繊維であった。セルロース系繊維のうち、9wt%はEUCであり、4wt%はSBSKであり、87wt%はMSFであった。第2の層は、55.0lbs/3,000ftの目標目付に作製された。製造中、第2の層は、フェノール系バインダー樹脂で飽和され、得られる第2の層は、80wt%の第2の繊維および20wt%のバインダー樹脂を含有していた。
【0095】
実施例4(WE4):実施例4(本明細書ではしばしば「WE4」と呼ばれる)は、湿式積層機で作製され、湿式積層機の形成ワイヤ上で同時に積層される2つの層を含む。フィルタ媒体は、界面に二次接着剤を含まなかった。第1の層および第2の層の繊維は、形成プロセスの結果として機械的に絡み合っていた。上層(第1の層)は、第1の繊維を含有し、第1の繊維は100wt%が合成繊維であった。第1の繊維のうち、47.7wt%はPET1であり、47.7wt%はPET2であり、4.6wt%はPVOHバインダー繊維であった。第1の層は、30.0lbs/3,000ftの目標目付に作製された。第1の層は、いかなるバインダー樹脂も含有しなかった。第2の層は、第2の繊維を含有し、第2の繊維の31wt%はセルロース系繊維であった。第2の繊維のうち、31wt%はNBSKセルロース系繊維であり、32wt%はC-06合成繊維であり、10wt%はPET1合成繊維であり、24wt%はPET2合成繊維であり、3.0wt%はPVOHバインダー繊維であった。第2の層は、61.3lbs/3,000ftの目標目付に作製された。製造中、第2の層は、フェノール系バインダー樹脂で飽和され、得られる第2の層は、75wt%の第2の繊維および25wt%のバインダー樹脂を含有していた。
【0096】
実施例1、実施例2、比較例1、および比較例2を、全通気度、引裂強さ、および熱油破裂強さについて試験した。これらの試験の結果を、以下の表Iにまとめる。
【表1】
【0097】
結果は、ラミネートされた2層の比較例(CE1)および単層の比較例(CE2)と比較すると、実施例は、textest値による測定で同様の全通気度を達成することを示す。さらに、2層の比較例(CE1)および単層の比較例(CE2)の両方と比較すると、実施例は、引裂強さおよび熱油破裂強さの増大を実証する。
【0098】
実施例1、実施例2、比較例1、および比較例2を、次いで、粉塵保持容量および濾過耐久性指数について試験した。これらの試験の結果を、以下の表IIにまとめる。
【表2】
【0099】
結果は、ラミネートされた2層の比較例(CE1)および単層の比較例(CE2)の両方と比較すると、実施例は、増大した粉塵保持容量と共に同様の濾過効率を実証することを示す。実施例はまた、3.0の最大濾過耐久性指数を実証する比較例とは対照的に、3.0超の濾過耐久性指数を実証する。
【0100】
最後に、実施例3および実施例4を、全通気度、引裂強さ、熱油破裂強さ、粉塵保持容量、および濾過耐久性指数について試験した。これらの試験の結果を、以下の表IIIおよび表IVにまとめる。
【表3】
【表4】
【0101】
結果は再び、実施例が良好な粉塵保持容量と共に3.0超の濾過耐久性指数を示すことを実証する。実施例はまた、同様の通気度の比較媒体と比較して、良好な引裂強さおよび熱油破裂強さを示した。
【0102】
本明細書に開示されたフィルタ媒体は、先行技術に対する改善を示す。本明細書に開示された湿式積層デュアルヘッドボックス法を使用してフィルタ媒体を製造することにより、得られる多層フィルタ媒体は、熱油破裂強さおよび濾過耐久性指数で実証されるように、十分な層間結合強度を有して製造され得る。さらに、湿式積層デュアルヘッドボックス製造法は、層間の界面に二次接着剤を使用することなく(すなわち、ラミネートすることなく)フィルタ媒体が製造されることを可能にし、その結果、発明されたフィルタ媒体は、濾過に利用可能な表面積を減少させず、または繊維を接着剤でコーティングしない。これは、伝統的なラミネートされた多層フィルタ媒体に見られる濾過性能の低下を回避する。
【0103】
さらに、本明細書に開示されたフィルタ媒体は、発明された多層フィルタ媒体が、層の1つ以上において異なる繊維のブレンドを含み得るという点で、先行技術に対する改善を示す。これは、各層が、異なる繊維のタイプのブレンドでカスタマイズされることを可能にし、各異なる繊維のタイプは、異なる性能特性のために選択される。
図1
図2
【国際調査報告】