(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】ナビゲーション脊椎手術のための拡張現実脊椎ロッドプランニングおよび屈曲のためのコンピュータ実装方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20240124BHJP
A61B 17/70 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B17/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546085
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(85)【翻訳文提出日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 EP2021052181
(87)【国際公開番号】W WO2022161626
(87)【国際公開日】2022-08-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514130426
【氏名又は名称】ブレインラボ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バイザー,マンフレート
(72)【発明者】
【氏名】ウーデ,イェルク
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL24
4C160LL63
(57)【要約】
ナビゲーション脊椎手術のための拡張現実脊椎ロッドプランニングおよび屈曲のためのコンピュータ実装方法が開示される。所望の形状を有する脊椎ロッドの仮想モデルである提案される脊椎ロッドが決定される。提案される脊椎ロッドは、患者の脊椎上に配置された複数の脊椎ねじの取得された位置に基づいて決定される。脊椎ねじは、複数の脊椎ねじを相互接続する螺旋ロッドを受け入れるように構成される。さらに、脊椎ロッド自体は、医療用ナビゲーションデバイスによる追跡のために較正される。これは、拡張現実デバイスによって提案される脊椎ロッドを表示することを可能にし、それによって追跡された脊椎ロッドに提案される脊椎ロッドを重ね合わせる。したがって、提案される方法は、とりわけ、脊椎ロッドの屈曲状態に関する改善された情報を外科医に提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション脊椎手術のための拡張現実脊椎ロッドプランニングおよび屈曲のためのコンピュータ実装方法であって、
脊椎(40)上に配置された複数の脊椎ねじ(30)の位置(Ps)を取得するステップ(S10)であって、前記複数の脊椎ねじ(30)は、前記複数の脊椎ねじ(30)を相互接続する脊椎ロッド(10)を受け入れるように構成される、ステップと、
前記複数の脊椎ねじ(30)の前記取得された位置(Ps)を使用して、所望の形状を有する脊椎ロッドの仮想モデルである提案される脊椎ロッド(20)を決定するステップ(S20)と、
医療用ナビゲーションデバイス(50)によって前記脊椎ロッド(10)を追跡するために前記脊椎ロッド(10)を較正するステップ(S30)と、
拡張現実デバイス(53)によって、前記提案される脊椎ロッド(20)を表示し、それによって、前記追跡された脊椎ロッド(10)に前記提案される脊椎ロッド(20)を重ね合わせるステップ(S40)と
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記提案される脊椎ロッド(20)は、前記脊椎(40)上の前記複数の脊椎ねじ(30)の前記位置に一致する形状を備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の脊椎ねじ(30)の前記取得された位置(Ps)および前記脊椎(40)のプランニングされた形状を使用して、前記提案される脊椎ロッド(20)を決定することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記脊椎ロッド(10)を較正すること(S30)は、
前記脊椎ロッド(10)の仮想表現である脊椎ロッドモデルを決定することを含み、
前記方法は、
前記脊椎ロッドモデルを使用してサポートデータ(Ds)を決定するステップであって、前記サポートデータ(Ds)は、前記脊椎(40)に関連する情報を含む、ステップと、
前記拡張現実デバイス(53)によって、前記脊椎ロッド(10)に前記サポートデータ(Ds)を重ね合わせるステップと
を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記脊椎ロッドモデルを決定することは、
追跡された基準アレイに対する前記脊椎ロッド(10)の前記形状を認識することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記脊椎ロッドモデルを決定することは、
追跡デバイスによって前記脊椎ロッド(10)の前記形状を取得することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記追跡された脊椎ロッド(10)を使用して前記脊椎ロッドモデルを動的に調整するステップを含む、
先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記サポートデータ(Ds)は、前記提案される脊椎ロッド(20)および前記脊椎ロッドモデルを使用することによって決定される少なくとも1つの屈曲インジケータ(Id)を含む、
請求項4~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記脊椎(40)の仮想表現である脊椎モデルを決定するステップと、
前記脊椎ロッドモデルを使用して前記脊椎モデルを調整するステップと
を含み、
前記サポートデータ(Ds)は、前記脊椎モデルを使用することによって決定され、前記脊椎ロッド(10)上の前記脊椎(40)を示す、脊椎インジケータを含む、
請求項4~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記脊椎(40)上に配置された前記複数の脊椎ねじ(30)の仮想表現である脊椎ねじモデルを決定し、
前記サポートデータ(Ds)は、前記複数の脊椎ねじ(30)の前記位置(Ps)を使用することによって決定され、前記脊椎ロッド(10)上の前記複数の脊椎ねじ(30)を示す、少なくとも1つのねじインジケータ(Is)を含む、
請求項4~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記脊椎モデルおよび前記脊椎ロッドモデルを使用することによって前記複数の脊椎ねじ(30)に加えられる力を決定するステップを含み、
前記サポートデータ(Ds)は、前記決定された力を使用することによって決定され、前記脊椎ロッド(10)が前記脊椎ねじ(30)に接続される場合に前記複数の脊椎ねじ(30)に加えられる力を示す、力インジケータを含む、
請求項4~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記決定された力が所定の閾値を超える場合、力警告を決定するステップを含み、
前記サポートデータ(Ds)は、前記決定された力警告を使用することによって決定される力警告インジケータを含む、
請求項4~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記脊椎モデルおよび前記脊椎ロッドモデルを使用することによって前記脊椎(40)の少なくとも1つの解剖学的パラメータを決定するステップを含み、
前記サポートデータ(Ds)は、前記少なくとも1つの決定された解剖学的パラメータを使用することによって決定される少なくとも1つの解剖学的パラメータインジケータを含む、
請求項4~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記脊椎ロッドモデルおよび前記提案される脊椎ロッド(20)を使用することによって、前記脊椎ロッド(10)と前記提案される脊椎ロッド(20)との間の平均偏差を決定し、
前記サポートデータ(Ds)は、前記決定された平均偏差を使用することによって決定される偏差インジケータを含む、
請求項4~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記脊椎ロッド(10)を較正することは、
脊椎ロッド座標系(Rod)の原点を定義する基準デバイス(52)を前記脊椎ロッド(10)に設けることと、
前記脊椎ロッド座標系(Rod)とカメラ座標系(Cam)との間の変換を記述する、脊椎ロッド-カム座標変換(RodToCam)を決定することと
を含む、
先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記複数の脊椎ねじ(30)の前記位置(Ps)を取得することは、前記拡張現実デバイス(53)によって前記複数の脊椎ねじ(30)を認識することを含む、
先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記複数の脊椎ねじ(30)の前記位置(Ps)を取得することは、プランニングアプリケーションから前記複数の脊椎ねじ(30)の前記位置(Ps)を抽出することを含む、
請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記複数の脊椎ねじ(30)の前記位置(Ps)を取得することは、術中対画像データ内の前記複数の脊椎ねじ(30)の前記位置(Ps)を検出することを含む、
請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記複数の脊椎ねじ(30)の前記位置(Ps)を取得することは、追跡されるポインタを使用することによって前記複数の脊椎ねじ(30)の各々を較正することを含む、
請求項1~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
請求項1~19のいずれかに記載の方法を実行するように構成された医療用ナビゲーションデバイス(50)。
【請求項21】
コンピュータ上で実行されると、またはコンピュータ上にロードされると、前記コンピュータに、先行する請求項のいずれかに記載の方法の方法ステップを実行させるコンピュータプログラム、
および/または、前記プログラムが記憶されたプログラム記憶媒体、
および/または、少なくとも1つのプロセッサとメモリおよび/または前記プログラム記憶媒体を備えるコンピュータであって、前記プログラムが前記コンピュータ上で実行されているか、または前記コンピュータの前記メモリにロードされている、コンピュータ、
および/または、前記プログラムを表すデータストリーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ナビゲーション脊椎手術のための拡張現実脊椎ロッドプランニングおよび屈曲のためのコンピュータ実装方法、医療用ナビゲーションデバイス、および対応するコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
技術的背景
脊椎手術では、ヒトの脊椎の安定化手術のためのインプラントとして、脊椎ロッドが使用される。脊椎ねじを患者の脊椎に挿入すると、脊椎ねじは、脊椎のそれぞれの側で安定化されるように椎骨の長さにわたって広がる脊椎ロッドによって相互接続される。ロッドは、脊椎ねじの頭部に嵌合するように形成/屈曲されなければならない。
【0003】
現在、脊椎ロッドの屈曲は、特に外科医の眼による大まかな推定、および試行錯誤、したがって多くの場合時間のかかる試行錯誤の手順に基づいて、術中に行われる。
【0004】
あるいは、ロッド屈曲デバイスは、測定されたねじ頭部位置の入力に依存し、物理的デバイスで達成することができるロッド屈曲を提案する。
【0005】
したがって、脊椎ロッドをプランニングし屈曲しているときに外科医のより多くの誘導が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ナビゲーション脊椎手術のための拡張現実脊椎ロッドプランニングおよび屈曲のための改善された方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、例えば、Brainlab AGの製品であるSpine&Trauma Navigation Systemなどの画像誘導手術用のシステムに関連して、脊椎安定化処置に使用することができる。
【0008】
本発明の態様、実施例および例示的なステップならびにそれらの実施形態を以下に開示する。本発明の様々な例示的な特徴は、技術的に適切かつ実行可能であれば、本発明に従って組み合わせることができる。
【0009】
発明の例示的な簡単な説明
以下では、本発明の特定の特徴の簡単な説明が与えられ、これは、本発明をこのセクションに記載された特徴または特徴の組み合わせのみに限定すると理解されるべきではない。
【0010】
ナビゲーション脊椎手術のための拡張現実脊椎ロッドプランニングおよび屈曲のためのコンピュータ実装方法が提示される。
【0011】
特に、この方法では、所望の形状を有する脊椎ロッドの仮想モデルである提案される脊椎ロッドが決定される。提案される脊椎ロッドは、患者の脊椎上に配置された複数の脊椎ねじの取得された位置に基づいて決定される。脊椎ねじは、複数の脊椎ねじを相互接続する螺旋ロッドを受け入れるように構成される。さらに、脊椎ロッド自体は、医療用ナビゲーションデバイスによる追跡のために較正される。これは、拡張現実デバイスによって提案される脊椎ロッドを表示することを可能にし、それによって追跡された脊椎ロッドに提案される脊椎ロッドを重ね合わせる。したがって、提案される方法は、とりわけ、脊椎ロッドの屈曲状態に関する改善された情報を外科医に提供する。
【0012】
発明の一般的な説明
このセクションでは、本発明の一般的な特徴の説明が、例えば、本発明の可能な実施形態を参照することによって与えられる。
【0013】
これは、さらなる実施形態が従属請求項および以下の説明に組み込まれる独立請求項の主題によって達成される。
【0014】
記載される実施形態は、同様に、ナビゲーション脊椎手術のための拡張現実脊椎ロッドプランニングおよび屈曲のための方法、脊椎ロッドプランニングおよび屈曲のためのシステム、ならびに対応するコンピュータプログラムに関する。相乗効果は、実施形態の異なる組み合わせから生じ得るが、それらは以下で詳細に説明されない場合がある。さらに、方法に関する本発明のすべての実施形態は、本明細書に明示的に記載されたステップの順序で実行され得ることに留意されたい。それにもかかわらず、これは、本方法のステップの唯一かつ本質的な順序である必要はない。本明細書に提示される方法は、以下で反対のことが明示的に言及されない限り、それぞれの方法実施形態から逸脱することなく、開示されたステップの別の順序で実行することができる。
【0015】
技術用語は、それらの一般的な意味によって使用される。特定の意味が特定の用語に伝えられる場合、用語の定義は、その用語が使用される文脈において以下に与えられる。
【0016】
本開示の一態様によれば、ナビゲーション脊椎手術のための拡張現実脊椎ロッドプランニングおよび屈曲のためのコンピュータ実装方法は、以下のステップを含む:一ステップで、脊椎上に配置された複数の脊椎ねじの位置が取得され、複数の脊椎ねじは、複数の脊椎ねじを相互接続する脊椎ロッドを受け入れるように構成される。他のステップで、複数の脊椎ねじの取得された位置を使用して、所望の形状を有する脊椎ロッドの仮想モデルである提案される脊椎ロッドが決定される。他のステップで、脊椎ロッドは、医療用ナビゲーションデバイスによって脊椎ロッドを追跡するために較正される。他のステップで、拡張現実デバイスによって、提案される脊椎ロッドを表示することによって、追跡された脊椎ロッドに提案される脊椎ロッドを重ね合わせる。
【0017】
本明細書で使用される「脊椎ロッド」という用語は、ヒトの脊椎の安定化に使用されるインプラントに関する。脊椎ロッドは、一般に、外科医が脊椎ねじの助けを借りて患者の脊椎に脊椎ロッドを取り付けることを可能にする形状に屈曲された細長い円筒形ロッドである。
【0018】
本明細書で使用される「提案される脊椎ロッド」という用語は、脊椎手術のために理想的に既に屈曲されている脊椎ロッドを反映する脊椎ロッドの仮想モデルを含む。言い換えれば、提案される脊椎ロッドは、脊椎手術による脊椎ロッドのデジタルテンプレートである。提案される脊椎ロッドは、脊椎ロッドの所定のモデル、例えば標準化された非屈曲脊椎ロッドに基づいて決定される。あるいは、提案される脊椎ロッドは、プランニングおよび屈曲される必要がある脊椎ロッドの仮想モデルである脊椎ロッドモデルに基づいて決定される。
【0019】
本明細書で使用される「脊椎ねじ」という用語は、椎弓根ねじ、外側質量ねじまたはSAIねじなどの任意の種類の脊椎骨ねじを含む。脊椎ねじは、例えば脊椎に穿孔されることによって、患者の脊椎に直接接続される。
【0020】
好ましくは、拡張現実デバイスは、特に少なくとも1つの3Dスキャナを備える拡張現実メガネを備える。
【0021】
好ましくは、特に医療用ナビゲーションデバイスの較正デバイスによって脊椎ロッドを較正することは、空間内の脊椎ロッドの位置および/または形状を決定することを含む。したがって、脊椎ロッドおよび提案される脊椎ロッドの位置、特に提案される脊椎ロッドの形状は既知である。さらに好ましくは、提案される脊椎ロッドを拡張現実デバイスによって表示することは、空間内の脊椎ロッドの決定された位置および/または形状を使用して、追跡された脊椎ロッドに提案される脊椎ロッドを重ね合わせることを含む。したがって、外科医が脊椎ロッドを屈曲するのをサポートするために、提案される脊椎ロッドは拡張現実デバイスによって外科医に表示される。脊椎ロッドの追跡により、空間内の脊椎ロッドの位置、特に形状が既知であるため、拡張現実デバイスは、追跡された脊椎ロッドに提案される脊椎ロッドを重ね合わせるように構成される。言い換えれば、提案される脊椎ロッドは、外科医が常に脊椎ロッドに対する特定の空間的関係で提案される脊椎ロッドを見るように、外科医の視野内に表示される。例えば、脊椎ロッドの左端には常に提案される脊椎ロッドの左端が重ね合わされる。脊椎ロッドに提案される脊椎ロッドを重ね合わせるタイプは、好ましくは動的に調整可能である。好ましくは、脊椎ロッドに提案される脊椎ロッドを重ね合わせることは、脊椎ロッドの決定された位置および/または形状を使用して、提案される脊椎ロッドを脊椎ロッドに対する空間的関係で表示することを含む。
【0022】
好ましくは、本方法は、特に医療用ナビゲーションデバイスによって、さらに特に医療用ナビゲーションデバイスの追跡デバイスによって、脊椎ロッドを追跡するステップを含む。
【0023】
拡張現実デバイスは、好ましくは医療用ナビゲーションデバイスに含まれる。
好ましくは、脊椎ロッドを較正することは、脊椎ロッドの仮想表現である脊椎ロッドモデルを決定することを含む。言い換えれば、脊椎ロッドの較正中に、脊椎ロッドの実際の形状が決定される。したがって、非屈曲または事前屈曲の任意の種類の脊椎ロッドが、拡張現実デバイスが外科医の視野内の実際の脊椎ロッド上に提案される脊椎ロッドを表示するために使用可能である。
【0024】
好ましくは、提案される脊椎ロッドは、脊椎ロッドモデルおよび複数の脊椎ねじの位置を使用して決定される。言い換えれば、複数の脊椎ねじの位置を使用して、提案される脊椎ロッドを決定するために、脊椎ロッドモデルがデジタル調整されるか、または言い換えれば屈曲がシミュレートされる。したがって、提案される脊椎ロッドは、脊椎手術に理想的な屈曲形状で較正された脊椎ロッドを反映する。
【0025】
複数の脊椎ねじの取得された位置を使用して提案される脊椎ロッドを決定することは、ユーザ相互作用、特に外科医の作業を最小限に抑えることを可能にする。
【0026】
追跡された脊椎ロッドに拡張現実デバイスで提案される脊椎ロッドを重ね合わせることは、外科医が、自分の目の前で、言い換えれば、提案される脊椎ロッドを示す別個の制御画面上で屈曲の進行を制御することなく、脊椎ロッドを屈曲することを可能にする。したがって、外科医は、拡張現実デバイスを通して屈曲されなければならない脊椎ロッドを見、拡張現実デバイスによって外科医の視野内に表示される仮想的な提案される脊椎ロッドも見る。
【0027】
したがって、ナビゲーション脊椎手術のための拡張現実脊椎ロッドプランニングおよび屈曲のための改善された方法が提供される。
【0028】
以下、好ましい実施形態についてより詳細に説明する。
好ましい実施形態では、提案される脊椎ロッドは、脊椎上の複数の脊椎ねじの位置に一致する形状を備える。
【0029】
本明細書で使用される「形状」という用語はまた、脊椎ロッドの寸法および長さを指す。
【0030】
患者の脊椎の形状が脊椎ロッドによって補強されるべき場合、脊椎ロッドは、患者の実際の脊椎に適合する形状に形成されなければならない。脊椎ねじの位置、言い換えれば脊椎上の複数の脊椎ねじの配置は、提案される脊椎ロッドの形状を画定する。同じことが、提案される脊椎ロッドの長さにも当てはまる。したがって、提案される脊椎ロッドは、理想的な形状であり、脊椎、特に脊椎の形状を補強する目的のために理想的な長さを有する脊椎ロッドを表す。
【0031】
好ましくは、脊椎ロッドの形状は、脊椎ロッドモデルを決定するために、例えば3Dスキャナによってデジタル化される。この脊椎ロッドモデルは、好ましくは、提案される脊椎ロッドを決定するために使用される。これは、任意の形状または寸法の任意の種類の脊椎ロッド、特に事前屈曲された脊椎ロッドを使用することを可能にする。
【0032】
したがって、ナビゲーション脊椎手術のための拡張現実脊椎ロッドプランニングおよび屈曲のための改善された方法が提供される。
【0033】
好ましい実施形態では、本方法は、複数の脊椎ねじの取得された位置および脊椎のプランニングされた形状を使用して、提案される脊椎ロッドを決定するステップを含む。
【0034】
患者の脊椎の形状を補強するだけでなく、調整、言い換えれば補正する必要がある場合には、脊椎ロッドは、手術によって達成されるべき患者の脊椎に一致する形状に形成されなければならない。脊椎のプランニングされた形状は、言い換えれば、手術によって達成されるべき脊椎の形状である。
【0035】
言い換えれば、脊椎ねじの実際の位置は、脊椎に適用されるべき追加的にプランニングされた補正と組み合わされる。複数の脊椎ねじの位置を脊椎のプランニングされた形状と組み合わせることは、好ましくは、複数の脊椎ねじの位置および脊椎のプランニングされた形状を重ね合わせる、または追加することを含む。
【0036】
好ましくは、脊椎のプランニングされた形状は、所定の手術プランを使用することによって決定される。特に、プランニングソフトウェアは、複数の脊椎ねじの位置および脊椎のプランニングされた形状を使用して、提案される脊椎ロッドを自動的に決定する。
【0037】
言い換えれば、複数の脊椎ねじの位置は、脊椎のプランニングされた形状を考慮して解析される。複数の脊椎ねじの位置は、特に、複数の脊椎ねじをデジタル化することによってプランニングソフトウェアに提供される。脊椎のプランニングされた形状は、特に、所定の手術プランからの抽出によってプランニングソフトウェアに提供される。特に複数の脊椎ねじの位置と脊椎のプランニングされた形状との間の比較を含むこの解析に基づいて、提案される脊椎ロッドが自動的に決定される。
【0038】
さらに好ましくは、外科医は、脊椎のプランニングされた形状および複数の脊椎ねじの位置を使用することによって、提案される脊椎ロッドを手動で決定する。
【0039】
言い換えれば、プランニングソフトウェアには、複数の脊椎ねじの位置が提供される。複数の脊椎ねじの位置は、プランニングソフトウェアによって外科医のために視覚化される。特に、プランニングソフトウェアは、複数の脊椎ねじの位置に基づいて仮の提案される脊椎ロッドを提供する。外科医は、脊椎のプランニングされた形状を考慮して複数の脊椎ねじの位置を解析する。プランニングソフトウェアを使用することにより、外科医は、特に提供された仮の提案される脊椎ロッドを調整することによって、提案される脊椎ロッドを手動で決定する。例えば、外科医は、仮の提案される脊椎ロッドまたは複数の脊椎ねじの位置にさらなる前湾を追加する。
【0040】
言い換えれば、脊椎ロッドの形状は、脊椎ねじのデジタル化された位置またはプランニングソフトウェアによって生成された提案される脊椎ロッドによって表される湾曲よりもさらに補正することができる。
【0041】
例えば、外科医は、例えば、提案される脊椎ロッドまたは表示された脊椎を操作することによって、プランニングソフトウェアにおいて、さらに数度の「前湾」を追加する。あるいは、「デジタル化されたねじにさらなる前湾を追加/除去する」というソフトウェアインターフェースを選択することができる。
【0042】
その後、外科医は、好ましくは、提案される脊椎ロッドによって表されるこの新しい「仮想」位置に脊椎ロッドを屈曲するように誘導される。
【0043】
その結果、手術において、例えば追加の脊椎前湾を有する所望の形状は、その後、屈曲した脊椎ロッドによって脊椎に最終的に導入される。言い換えれば、脊椎ロッドは、解剖学的構造、特に患者の脊椎の椎骨を所望の位置に引っ張る。
【0044】
したがって、ナビゲーション脊椎手術のための拡張現実脊椎ロッドプランニングおよび屈曲のための改善された方法が提供される。
【0045】
好ましい実施形態では、脊椎ロッドを較正することは、脊椎ロッドの仮想表現である脊椎ロッドモデルを決定することを含む。本方法は、脊椎ロッドモデルを使用してサポートデータを決定するステップを含み、サポートデータは、脊椎に関連する情報を含む。本方法は、拡張現実デバイスによって、脊椎ロッドにサポートデータを重ね合わせるステップをさらに含む。
【0046】
本明細書で使用される「サポートデータ」という用語は、現在の脊椎に適用されるような脊椎の情報を表す。しかしながら、サポートデータは、好ましくは、脊椎ロッドが複数の脊椎ねじと接続されるときに脊椎に適用されるように脊椎の情報も表す。言い換えれば、サポートデータは、脊椎の現在の形状に関する、または脊椎のプランニングされた形状に関する、外科医またはプランニングソフトウェアのための情報または言い換えれば脊椎のパラメータを含む。
【0047】
好ましくは、サポートデータは、提案される脊椎ロッドを調整するために、プランニングソフトウェアによって、またはプランニングソフトウェアを介して外科医によって使用される。言い換えれば、サポートデータは、提案される脊椎ロッドの形状を調整するときに考慮する必要がある患者の脊椎に関する異なるパラメータの閾値を提供する。
【0048】
したがって、外科医は、拡張現実デバイスによって、脊椎ロッドのプランニングおよび屈曲に関する追加情報を提供される。
【0049】
したがって、ナビゲーション脊椎手術のための拡張現実脊椎ロッドプランニングおよび屈曲のための改善された方法が提供される。
【0050】
好ましい実施形態では、脊椎ロッドモデルを決定することは、追跡された基準アレイに対する脊椎ロッドの形状を認識することを含む。
【0051】
言い換えれば、脊椎ロッドは、特に3Dカメラまたは3Dレーザスキャナデバイスによって脊椎ロッドの形状を検出し、追跡された基準アレイを検出することによって較正される。検出された脊椎ロッドの形状は、脊椎ロッドを表す脊椎ロッドモデルを決定するために使用される。特に基準マーカを備える同様に検出された基準アレイにより、空間内の脊椎ロッドの位置が知られる。
【0052】
好ましくは、拡張現実デバイスは、それに基づいて脊椎ロッドモデルが決定される、脊椎ロッドの表面モデルを取得するように構成される。特に、拡張現実デバイスの光学チャネルの相関ビデオ画像は、脊椎ロッドの表面再構成を可能にする。したがって、拡張現実デバイスは、脊椎ロッドモデルを決定するように構成される。
【0053】
好ましくは、脊椎ロッドは、脊椎ロッドの長さが既知である場合、追跡された基準アレイの検出された位置によって調整される較正ブロックまたは事前較正データを使用して較正される。
【0054】
したがって、ナビゲーション脊椎手術のための拡張現実脊椎ロッドプランニングおよび屈曲のための改善された方法が提供される。
【0055】
好ましい実施形態では、脊椎ロッドモデルを決定することは、追跡デバイスによって脊椎ロッドの形状を取得することを含む。
【0056】
好ましくは、追跡デバイスは、追跡されるポインタを備え、追跡されるポインタの空間内の位置は既知である。脊椎ロッド、特に脊椎ロッドの複数の表面点は、脊椎ロッドを較正し、脊椎ロッドモデルを決定するために追跡デバイスによってサンプリングされる。好ましくは、追跡デバイスは、脊椎ロッドをサンプリングするために、脊椎ロッドの表面の少なくとも一部に沿ってスライドされる。好ましくは、追跡デバイスは、特定の形状の先端、例えばリング形状の先端またはハーフパイプ形状の先端を有する追跡ポインタを備える。
【0057】
したがって、ナビゲーション脊椎手術のための拡張現実脊椎ロッドプランニングおよび屈曲のための改善された方法が提供される。
【0058】
好ましい実施形態では、本方法は、追跡された脊椎ロッドを使用して脊椎ロッドモデルを動的に調整するステップを含む。
【0059】
言い換えれば、脊椎ロッドの形状は、例えば3Dカメラによって連続的に検出され、脊椎ロッドモデルは、連続的に検出された脊椎ロッドの形状を使用して調整される。したがって、脊椎ロッドモデルは、脊椎ロッドと比較して常に最新のものである。したがって、脊椎ロッドを屈曲させる間、屈曲による脊椎ロッドの形状の変化は、脊椎ロッドモデルによって直接反映される。言い換えれば、脊椎ロッドモデルの形状は、脊椎ロッドの形状と合同である。
【0060】
好ましくは、脊椎ロッドモデルはリアルタイムで調整される。
したがって、脊椎ロッドモデルを使用して決定されるサポートデータはまた、脊椎ロッドの形状の変化を反映する。例えば、サポートデータが、脊椎ロッドが屈曲されるべきスポットを示す異なる屈曲インジケータを含むとき、脊椎ロッドを屈曲することによって既に認識されている任意の屈曲インジケータは破棄され、もはや表示されない。
【0061】
したがって、ナビゲーション脊椎手術のための拡張現実脊椎ロッドプランニングおよび屈曲のための改善された方法が提供される。
【0062】
好ましい実施形態では、サポートデータは、提案される脊椎ロッドおよび脊椎ロッドモデルを使用することによって決定される少なくとも1つの屈曲インジケータを含む。
【0063】
好ましくは、屈曲インジケータは、外科医によって脊椎ロッドが屈曲されるべき脊椎ロッド上のスポットを示す。したがって、外科医は、改善された方法で提案される脊椎ロッドに到達するように脊椎ロッドを屈曲するように誘導される。屈曲インジケータは、好ましくは、脊椎ロッドに直接重ねて表示される。例えば、屈曲インジケータは、ドットまたは垂直線のようなマーカを含む。
【0064】
好ましくは、少なくとも1つの屈曲インジケータは、屈曲の順序を含む。例えば、少なくとも1つの屈曲インジケータは、外科医に対して、提案される脊椎ロッドに理想的に到達するために脊椎ロッドがどの順序で屈曲されるべきかを示すように番号付けされる。
【0065】
したがって、外科医は、脊椎ロッドを屈曲しながら外科医の視点内で改善された誘導を提供される。
【0066】
したがって、ナビゲーション脊椎手術のための拡張現実脊椎ロッドプランニングおよび屈曲のための改善された方法が提供される。
【0067】
好ましい実施形態では、本方法は以下のステップを含む。脊椎の仮想表現である脊椎モデルを決定するステップと、脊椎ロッドモデルを使用して脊椎モデルを調整するステップ。サポートデータは、脊椎モデルを使用することによって決定され、脊椎ロッド上の脊椎を示す、脊椎インジケータを含む。
【0068】
好ましくは、脊椎モデルは、特に予め決定された患者特有の脊椎データを使用して決定される。例えば、患者特有の脊椎データは、患者の脊椎の利用可能な画像データ内の椎骨を検出するために、例えばアトラスおよび/または人工知能法などの画像セグメント化技術を使用することによって決定される。画像データは、術前または術中の画像データであってもよい。画像データは、好ましくは、CTデータセットまたはMRTデータセットなどの3Dデータセットを含む。あるいは、画像データは2Dまたは3D X線画像を含み、脊椎形状の近似的な再構成を可能にする。画像データは、好ましくはモデル強化され、特に、X線画像内の検出された輪郭へのモデルのモーフィングを含む。
【0069】
画像データは、例えば、X線が脊椎を示す角度から脊椎モデルの調整が見える限り、セグメント化技術とともに1つのX線画像のみを含む。
【0070】
したがって、脊椎インジケータは、この視野内の外科医に、脊椎ロッドの調整が脊椎の変形にどのように影響するかを示す。
【0071】
さらに、脊椎モデルは、外科医に、提案される脊椎ロッドモデルとは異なる角度で表示される。多くの場合、脊椎モデルは脊椎の上部からのみ外科医に表示され、脊椎モデルの調整は外科医にはほとんど見えない。そのため、脊椎モデルはまた、特に脊椎ロッドに重ならないが、依然として外科医の視野内にある、脊椎の側面角から表示される。例えば、脊椎モデルは、術者の視野の隅に表示される。
【0072】
したがって、ナビゲーション脊椎手術のための拡張現実脊椎ロッドプランニングおよび屈曲のための改善された方法が提供される。
【0073】
好ましい実施形態では、本方法は、脊椎上に配置された複数の脊椎ねじの仮想表現である脊椎ねじモデルを決定するステップを含む。サポートデータは、複数の脊椎ねじの位置を使用することによって決定され、脊椎ロッド上の複数の脊椎ねじを示す、少なくとも1つのねじインジケータを含む。
【0074】
言い換えれば、少なくとも1つのねじインジケータは、特に脊椎ねじの決定された位置における脊椎ねじのデジタル化モデルを表す。
【0075】
好ましくは、少なくとも1つのねじインジケータは、提案される脊椎ロッド上に表示される。
【0076】
少なくとも1つのねじインジケータが提案される脊椎ロッド上に表示されるとき、少なくとも1つのねじインジケータは、実際に位置決めされるように、脊椎上に配置された複数の脊椎ねじを表すか、または脊椎の調整により位置決めされるようにプランニングされるように、脊椎上に配置された複数の脊椎ねじを表す。
【0077】
言い換えれば、最初に、少なくとも1つのねじインジケータは、複数の脊椎ねじの位置を使用することによって決定され、したがって脊椎上の脊椎ねじの形状および位置の現実を反映する。しかしながら、外科医が、特に脊椎のプランニングされた形状を決定することによって、提案される脊椎ロッドを調整する場合、少なくとも1つの脊椎ねじインジケータの位置もそれに応じて調整される。
【0078】
したがって、少なくとも1つのねじインジケータは、提案される脊椎ロッドに沿って複数の脊椎ねじの形状および位置を動的に示す。好ましくは、外科医は、複数の脊椎ねじが脊椎のプランニングされた形状上に配置されるように、複数の脊椎ねじの形状および位置に関する情報を常に提供される。
【0079】
したがって、外科医には、脊椎のプランニングされた調整が、特に脊椎インジケータに示される脊椎ねじの配置にどのように影響するかについての一定のフィードバックが提供される。さらに、脊椎ねじモデルは、好ましくは、提案される脊椎ロッドを決定するときにプランニングソフトウェアによって使用される。
【0080】
さらに、脊椎ロッドをプランニングするとき、特に提案される脊椎ロッドを決定するとき、外科医またはプランニングソフトウェアは、特に特定のプランニングされた位置合わせとは無関係に、脊椎に関して脊椎ねじの位置を仮想的に調整する。これは、例えば、生体力学的強度を高めることを可能にし、または皮膚切除サイズを最小にする。
【0081】
脊椎ロッドのプランニングおよび屈曲中、これは、相対的な脊椎ねじ位置および患者の解剖学的構造に対する現在の屈曲の影響を視覚化することが可能にし、脊椎ロッドのプランニングおよび屈曲プロセスを強化する。
【0082】
したがって、ナビゲーション脊椎手術のための拡張現実脊椎ロッドプランニングおよび屈曲のための改善された方法が提供される。
【0083】
好ましい実施形態では、本方法は、脊椎モデルおよび脊椎ロッドモデルを使用することによって複数の脊椎ねじに加えられる力を決定するステップを含む。サポートデータは、決定された力を使用することによって決定され、脊椎ロッドが脊椎ねじに接続される場合に複数の脊椎ねじに加えられる力を示す、力インジケータを含む。
【0084】
好ましくは、力インジケータは、脊椎および/または脊椎ねじに加えられる力の量を示すベクトルを含む。
【0085】
好ましくは、力は、脊椎ロッドおよび脊椎ねじの材料特性を考慮に入れて、生体力学モデルに基づいて有限要素法、FEM法を使用して決定される。
【0086】
したがって、外科医は、脊椎ロッドが脊椎ねじに接続される場合、脊椎のプランニングされた調整が複数の脊椎ねじに加えられる力にどのように影響するかについて一定のフィードバックを提供される。言い換えれば、脊椎の特定のプランニングされた調整は理想的に見えるかもしれないが、脊椎または1つもしくは複数の脊椎ねじに比較的大きな量の張力または応力を導入する可能性がある。力インジケータにより、外科医は、脊椎ロッドを脊椎ねじに接続するときに脊椎あるいは1つもしくは複数の脊椎ねじに不当な量の力を導入する脊椎の調整を選択しないように誘導される。さらに、決定された力は、特に決定された力を所定の閾値と比較することによって、提案される最終ロッドを決定するためにプランニングソフトウェアによって使用される。
【0087】
これは、脊椎ロッドの誘起される力による脊椎内の脊椎ねじの緩みを防止することを可能にする。
【0088】
また、これは、ロッド構造、言い換えれば脊椎ねじで脊椎に接続された脊椎ロッドの機械的安定性を保証する。
【0089】
したがって、ナビゲーション脊椎手術のための拡張現実脊椎ロッドプランニングおよび屈曲のための改善された方法が提供される。
【0090】
好ましい実施形態では、本方法は、決定された力が所定の閾値を超える場合、力警告を決定するステップを含む。サポートデータは、決定された力警告を使用することによって決定される力警告インジケータを含む。
【0091】
好ましくは、力警告インジケータは、カラーコードを含む。脊椎ロッドをプランニングおよび屈曲するプロセスにおいて外科医をさらに誘導するために、決定された力が所定の閾値と自動的に比較され、力警告インジケータがこの視野内で外科医に表示されて、脊椎ロッドを複数の脊椎ねじで提案される脊椎ロッドと合わせて接続するときに脊椎または1つもしくは複数の脊椎ねじに加えられるであろう過剰な量の力を外科医に警告する。
【0092】
言い換えれば、脊椎ロッドのプランニングされた屈曲によって導入される脊椎のプランニングされた調整が、脊椎の望ましくない量の張力または脊椎と複数の脊椎ねじとの間の張力をもたらす場合、外科医は能動的に警告される。
【0093】
したがって、ナビゲーション脊椎手術のための拡張現実脊椎ロッドプランニングおよび屈曲のための改善された方法が提供される。
【0094】
好ましい実施形態では、本方法は、脊椎モデルおよび脊椎ロッドモデルを使用することによって脊椎の少なくとも1つの解剖学的パラメータを決定するステップを含む。サポートデータは、少なくとも1つの決定された解剖学的パラメータを使用することによって決定される少なくとも1つの解剖学的パラメータインジケータを含む。
【0095】
好ましくは、解剖学的パラメータは、椎骨間角度、特に、コブ角、前湾、後湾、矢状および冠状バランスのための脊柱側弯、ならびに椎骨間距離または脊椎骨前転位の距離を含む。好ましくは、解剖学的パラメータの利用可能性は、イメージングされた椎骨の数および位置などの利用可能な情報に依存する。
【0096】
したがって、外科医には、外科医の視野内に直接表示される追加情報が提供される。脊椎の調整の場合、脊椎の少なくとも1つのパラメータは、提案される脊椎ロッドについても表示される。
【0097】
これは、脊椎ロッドのプランニング中、言い換えれば提案される脊椎ロッドの決定中の解剖学的パラメータの結果の予測を可能にする。
【0098】
したがって、ナビゲーション脊椎手術のための拡張現実脊椎ロッドプランニングおよび屈曲のための改善された方法が提供される。
【0099】
好ましい実施形態では、本方法は、脊椎ロッドモデルおよび提案される脊椎ロッドを使用することによって、脊椎ロッドと提案される脊椎ロッドとの間の平均偏差を決定するステップを含む。サポートデータは、決定された平均偏差を使用することによって決定される偏差インジケータを含む。
【0100】
言い換えれば、偏差インジケータは、外科医が、脊椎ロッドの屈曲がどの程度正確に行われたか、および外科医が屈曲を継続しなければならないか、または終了したかを評価することを可能にする。
【0101】
したがって、外科医は、脊椎ロッドを屈曲させるように自身の追求においてさらに誘導される。
【0102】
したがって、ナビゲーション脊椎手術のための拡張現実脊椎ロッドプランニングおよび屈曲のための改善された方法が提供される。
【0103】
好ましい実施形態では、脊椎ロッドを較正することは、脊椎ロッド座標系の原点を定義する基準デバイスを脊椎ロッドに設けることと、脊椎ロッド座標系とカメラ座標系との間の変換を記述する、脊椎ロッド-カム座標変換を決定することとを含む。
【0104】
好ましくは、基準デバイスは基準スターである。
言い換えれば、脊椎ロッド座標系の原点は、脊椎ロッド上の基準デバイスの位置によって定義される。
【0105】
好ましい実施形態では、複数の脊椎ねじの位置を取得することは、拡張現実デバイスによって複数の脊椎ねじを認識することを含む。
【0106】
好ましくは、複数の脊椎ねじの位置は、拡張現実デバイスに組み込まれた3Dスキャナまたは拡張現実デバイスによって記録されたビデオからの画像処理によってスキャンされる。
【0107】
さらに好ましくは、拡張現実デバイスの少なくとも1つのビデオカメラまたは3D深度カメラの相関画像は、脊椎ねじ、特にねじ頭の表面再構成に使用され、一般モデルまたはデータベースからの製造業者固有モデルと照合される。
【0108】
例えば、拡張現実デバイスは、複数の脊椎ねじの位置を取得するために使用される単一のRGBステレオカメラおよび飛行時間型カメラを備える。
【0109】
したがって、複数の脊椎ねじの位置は、拡張現実デバイスによって取得される。
好ましい実施形態では、複数の脊椎ねじの位置を取得することは、プランニングアプリケーションから複数の脊椎ねじの位置を抽出することを含む。
【0110】
好ましくは、プランニングアプリケーションは、特に術前画像データによって示される、脊椎および脊椎上に既に配置されている脊椎ねじの形状に関する情報を含む。言い換えれば、術前画像データでプランニングされた脊椎ねじは、これらのデータを患者座標系に見当合わせした後に転送される。脊椎ねじ、特に脊椎ねじ頭の位置および軸方向は、1軸脊椎ねじに対して予め決定される。多軸脊椎ねじの場合、最良適合をモデル化することができる。
【0111】
これにより、複数の脊椎ねじの位置が外部から自動的に取得される。
好ましい実施形態では、複数の脊椎ねじの位置を取得することは、術中画像データ内の複数の脊椎ねじの位置を検出することを含む。
【0112】
好ましくは、対になった見当合わせされた2D画像または単一の見当合わせされた3Dスキャンで検出された金属アーチファクトは、脊椎ねじのデータベースからの一般モデルまたは製造業者固有モデルと照合される。画像データが見当合わせされると、識別された脊椎ねじの3D位置が患者座標系で知られる。
【0113】
好ましい実施形態では、複数の脊椎ねじの位置を取得することは、追跡されるポインタを使用することによって複数の脊椎ねじの各々を較正することを含む。
【0114】
例えば、追跡されるポインタの先端は、脊椎ねじの位置を取得するために脊椎ねじ頭の中心に接触または枢動する。
【0115】
本発明の他の態様によれば、医療用ナビゲーションデバイスは、本明細書に記載の方法を実行するように構成される。
【0116】
好ましくは、医療用ナビゲーションデバイスは、拡張現実デバイスおよび制御ユニットを備える。拡張現実デバイスは、脊椎上に配置された複数の脊椎ねじの位置を取得するように構成され、複数の脊椎ねじは、複数の脊椎ねじを相互接続する脊椎ロッドを受け入れるように構成される。さらに、拡張現実デバイスは、医療用ナビゲーションデバイスによって脊椎ロッドを追跡するために脊椎ロッドを較正するように構成される。さらに、拡張現実デバイスは、提案される脊椎ロッドを表示し、それによって追跡された脊椎ロッドに提案される脊椎ロッドを重ね合わせるように構成される。
【0117】
制御ユニットは、複数の脊椎ねじの取得された位置を使用して、脊椎ロッドの仮想モデルである提案される脊椎ロッドを決定するように構成される。
【0118】
本発明の他の態様によれば、コンピュータ上で実行されると、またはコンピュータ上にロードされると、コンピュータに、本明細書に記載の方法の方法ステップを実行させるコンピュータプログラム、および/または、プログラムが記憶されたプログラム記憶媒体、および/または、少なくとも1つのプロセッサとメモリおよび/またはプログラム記憶媒体を備えるコンピュータであって、プログラムがコンピュータ上で実行されているか、またはコンピュータのメモリにロードされている、コンピュータ、および/または、プログラムを表すデータストリーム。
【0119】
例えば、本発明は、侵襲的ステップを伴わない、または特に含まない、または包含しないことに留意されるべきであり、侵襲的ステップは、職業的な医療専門技術が実行されることを必要とする身体との実質的な物理的干渉を表し、必要な専門的ケアおよび専門知識を用いて実行された場合であっても実質的な健康リスクを伴う。例えば、本発明は、医療用インプラントを解剖学的構造に固定するために医療用インプラントを位置決めするステップ、または医療用インプラントを解剖学的構造に固定するステップ、または医療用インプラントをそれに固定するための解剖学的構造を準備するステップを含まない。より具体的には、本発明は、いかなる外科的または治療的活動も含まない、または特に含まない、または包含しない。代わりに、本発明は、患者の体外で脊椎ロッドをプランニングおよび屈曲することに適用可能なように向けられる。この理由だけで、外科的または治療的活性はなく、特に、外科的または治療的ステップは、本発明を実施することによって必要とされず、または暗示されない。
【0120】
本方法は術中に実行されてもよいが、本方法のステップは外科的または治療的活動を含まない。
【0121】
定義
このセクションでは、本開示で使用される特定の用語の定義が提供され、これも本開示の一部を形成する。
【0122】
コンピュータ実装方法
本発明による方法は、例えば、コンピュータ実装方法である。例えば、本発明による方法のすべてのステップ、または単にステップの一部(すなわち、ステップの総数未満)がコンピュータ(例えば、少なくとも1つのコンピュータ)によって実行され得ることを含む。コンピュータ実装方法の一実施形態は、データ処理方法を実行するためのコンピュータの使用である。コンピュータ実装方法の一実施形態は、コンピュータが方法の1つ、複数、またはすべてのステップを実行するように動作するような、コンピュータの動作に関する方法である。
【0123】
コンピュータは、例えば電子的および/または光学的にデータを(技術的に)処理するために、例えば少なくとも1つのプロセッサと、例えば少なくとも1つのメモリとを備える。プロセッサは、例えば、半導体、例えば、少なくとも部分的にn型および/またはp型ドープ半導体、例えば、II型、III型、IV型、V型、VI型半導体材料、例えば(ドープされた)シリコンおよび/またはガリウムヒ素のうちの少なくとも1つである物質または組成物で作られる。記載された計算または決定ステップは、例えば、コンピュータによって実行される。決定するステップまたは計算するステップは、例えば、技術的方法のフレームワーク内、例えばプログラムのフレームワーク内でデータを決定するステップである。コンピュータは、例えば、任意の種類のデータ処理デバイス、例えば電子データ処理デバイスである。コンピュータは、一般にそのように考えられているデバイス、例えば、デスクトップPC、ノートブック、ネットブックなどとすることができるが、例えば、携帯電話または組み込みプロセッサなどの任意のプログラム可能な装置とすることもできる。コンピュータは、例えば、「サブコンピュータ」のシステム(ネットワーク)を含むことができ、各サブコンピュータはそれ自体コンピュータを表す。「コンピュータ」という用語は、クラウドコンピュータ、例えばクラウドサーバを含む。「クラウドコンピュータ」という用語は、例えば少なくとも1つのクラウドコンピュータのシステムと、例えばサーバファームなどの複数の動作可能に相互接続されたクラウドコンピュータとを含むクラウドコンピュータシステムを含む。そのようなクラウドコンピュータは、好ましくは、ワールドワイドウェブ(WWW)などの広域ネットワークに接続され、すべてがワールドワイドウェブに接続されたいわゆるコンピュータのクラウド内に配置される。そのようなインフラストラクチャは、特定のサービスを配信するコンピュータの物理的な位置および/または構成をエンドユーザが知る必要のない計算、ソフトウェア、データアクセスおよびストレージサービスを記述する「クラウドコンピューティング」に使用される。例えば、「クラウド」という用語は、この点において、インターネット(ワールドワイドウェブ)のメタファとして使用される。例えば、クラウドは、サービスとしてのコンピューティングインフラストラクチャ(IaaS)を提供する。クラウドコンピュータは、本発明の方法を実行するために使用されるオペレーティングシステムおよび/またはデータ処理アプリケーションの仮想ホストとして機能することができる。クラウドコンピュータは、例えば、Amazon Web Services(商標)によって提供されるelastic compute cloud(EC2)である。コンピュータは、例えば、データを受信または出力し、および/またはアナログ-デジタル変換を実行するためのインターフェースを備える。データは、例えば、物理的特性を表すデータおよび/または技術的信号から生成されるデータである。技術信号は、例えば、(技術的)検出デバイス(例えば、マーカデバイスを検出するためのデバイスなど)および/または(技術的)解析デバイス(例えば、(医用)イメージング方法を実行するためのデバイスなど)によって生成され、技術信号は、例えば、電気信号または光学信号である。技術信号は、例えば、コンピュータによって受信または出力されたデータを表す。コンピュータは、好ましくは、コンピュータによって出力された情報を例えばユーザに表示することを可能にする表示デバイスに動作可能に結合される。表示デバイスの一例は、ナビゲートのための「ゴーグル」として使用することができる仮想現実デバイスまたは拡張現実デバイス(仮想現実メガネまたは拡張現実メガネとも呼ばれる)である。そのような拡張現実メガネの具体例は、Google Glass(Google,Inc.の商標)である。拡張現実デバイスまたは仮想現実デバイスは、ユーザ対話によってコンピュータに情報を入力するためにも、コンピュータによって出力された情報を表示するためにも使用することができる。表示デバイスの別の例は、例えば、表示デバイスに画像情報コンテンツを表示するために使用される信号を生成するためにコンピュータから表示制御データを受信するためにコンピュータに動作可能に結合された液晶ディスプレイを含む標準的なコンピュータモニタである。そのようなコンピュータモニタの特定の実施形態は、デジタルライトボックスである。そのようなデジタルライトボックスの例は、Brainlab AGの製品であるBuzz(登録商標)である。モニタはまた、スマートフォンまたは携帯情報端末またはデジタルメディアプレーヤなどの携帯型、例えば手持ち型のデバイスのモニタであってもよい。
【0124】
本発明はまた、コンピュータ上で実行されると、コンピュータに、本明細書に記載の方法ステップの1つまたは複数またはすべてを実行させるプログラム、および/またはプログラムが記憶されているプログラム記憶媒体(特に非一時的形態)、および/または前記プログラム記憶媒体を備えるコンピュータ、および/またはプログラムを表す情報を搬送する(物理的、例えば電気的、例えば技術的に生成される)信号波、例えばデジタル信号波、例えば前述のプログラム、例えば本明細書に記載の方法ステップのいずれかまたはすべてを実行するように適合されたコード手段を備える。
【0125】
本発明のフレームワーク内で、コンピュータプログラム要素は、ハードウェアおよび/またはソフトウェア(これには、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどが含まれる)によって具現化することができる。本発明のフレームワーク内で、コンピュータプログラム要素は、コンピュータ使用可能な、例えばコンピュータ可読プログラム命令を含むコンピュータ可読データ記憶媒体などのコンピュータ使用可能な、例えばコンピュータ可読データ記憶媒体によって具現化され得るコンピュータプログラム製品の形態をとることができ、例えば「コード」または「コンピュータプログラム」は、命令実行システム上で、またはそれに関連して使用するために前記データ記憶媒体内に具現化される。そのようなシステムは、コンピュータであってもよく、コンピュータは、本発明によるコンピュータプログラム要素および/またはプログラムを実行するための手段を備えるデータ処理デバイス、例えば、コンピュータプログラム要素を実行するデジタルプロセッサ(中央処理装置またはCPU)と、任意選択的に、コンピュータプログラム要素の実行に使用されるおよび/またはコンピュータプログラム要素の実行によって生成されるデータを格納するための揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリまたはRAM)とを備えるデータ処理デバイスとすることができる。本発明のフレームワーク内で、コンピュータ使用可能な、例えばコンピュータ可読データ記憶媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイス上で、またはそれに関連して使用するためのプログラムを含む、記憶する、通信する、伝播する、または輸送することができる任意のデータ記憶媒体とすることができる。コンピュータ使用可能な、例えばコンピュータ可読データ記憶媒体は、例えば、これらに限定されないが、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線または半導体システム、装置またはデバイス、または例えばインターネットなどの伝搬媒体であってもよい。コンピュータ使用可能またはコンピュータ可読データ記憶媒体は、例えば、紙または他の適切な媒体を光学的に走査することによってプログラムを電子的に取り込むことができ、次いで適切な方法でコンパイル、解釈、または他の方法で処理することができるため、例えば、プログラムが印刷される紙または他の適切な媒体であってもよい。データ記憶媒体は、好ましくは不揮発性データ記憶媒体である。本明細書で説明されるコンピュータプログラム製品ならびに任意のソフトウェアおよび/またはハードウェアは、例示的な実施形態における本発明の機能を実行するための様々な手段を形成する。コンピュータおよび/またはデータ処理デバイスは、例えば、案内情報を出力する手段を含む案内情報デバイスを含むことができる。案内情報は、例えば、視覚的指示手段(例えば、モニタおよび/またはランプ)によって視覚的に、および/または音響的指示手段(例えば、スピーカおよび/またはデジタル音声出力デバイス)によって音響的に、および/または触覚的指示手段(例えば、機器に組み込まれた振動素子または振動素子)によって触覚的に、ユーザに出力することができる。この文書の目的のために、コンピュータは、例えば、技術的、例えば有形の構成要素、例えば機械的および/または電子的構成要素を含む技術的コンピュータである。本明細書でそのように言及される任意のデバイスは、技術的な、例えば有形のデバイスである。
【0126】
データの取得
「データを取得する」という表現は、例えば、データがコンピュータ実装方法またはプログラムによって決定されるシナリオを(コンピュータ実装方法のフレームワーク内で)包含する。データを決定することは、例えば、物理量を測定し、測定値をデータ、例えばデジタルデータに変換すること、および/またはコンピュータによって、例えば本発明による方法のフレームワーク内でデータを計算する(および、例えば、出力する)ことを含む。「データを取得する」の意味はまた、例えば、別のプログラム、以前の方法ステップ、または例えばコンピュータ実装方法もしくはプログラムによるさらなる処理のためのデータ記憶媒体から、コンピュータ実装方法もしくはプログラムによって(例えば、コンピュータ実装方法もしくはプログラムへの入力によって)データが受信または取得されるシナリオも包含する。取得されるべきデータの生成は、本発明による方法の一部であってもよいが、そうである必要はない。したがって、「データを取得する」という表現は、例えば、データの受信を待つこと、および/またはデータの受信を意味することもできる。受信データは、例えば、インターフェースを介して入力することができる。「データを取得する」という表現はまた、コンピュータ実装方法またはプログラムが、データソース、例えばデータ記憶媒体(例えば、ROM、RAM、データベース、ハードドライブなど)から、またはインターフェース(例えば、別のコンピュータまたはネットワークから)を介してデータを(能動的に)受信または検索するためにステップを実行することを意味することができる。開示された方法またはデバイスによってそれぞれ取得されたデータは、データベースとコンピュータとの間のデータ転送のためにコンピュータに動作可能なデータ記憶デバイスに配置されたデータベースから、例えばデータベースからコンピュータに取得することができる。コンピュータは、データを取得して、データを決定するステップの入力として使用する。決定されたデータは、後で使用するために記憶される同じまたは別のデータベースに再び出力することができる。データベースまたは開示された方法を実施するために使用されるデータベースは、ネットワークデータ記憶デバイスまたはネットワークサーバ(例えば、クラウドデータストレージデバイスまたはクラウドサーバ)またはローカルデータ記憶デバイス(開示された方法を実行する少なくとも1つのコンピュータに動作可能に接続された大容量記憶デバイスなど)上に配置することができる。データは、取得ステップの前に追加のステップを実行することによって「使用準備ができている」ようにすることができる。この追加のステップに従って、データが取得されるために生成される。データは、(例えば、解析デバイスによって)例えば検出または捕捉される。代替的または追加的に、データは、追加のステップに従って、例えばインターフェースを介して入力される。生成されたデータは、(例えば、コンピュータに)例えば入力することができる。(取得ステップに先行する)追加のステップによれば、データをデータ記憶媒体(例えばROM、RAM、CDおよび/またはハードドライブなど)に記憶する追加のステップを実行することによってデータを提供することもでき、それによって、本発明による方法またはプログラムのフレームワーク内で使用する準備が整う。したがって、「データを取得する」ステップはまた、取得されるべきデータを獲得および/または提供するようにデバイスに命令することを含むことができる。特に、取得ステップは、職業的な医療専門技術が実行されることを必要とする身体との実質的な物理的干渉を表し、必要な専門的ケアおよび専門知識を用いて実行された場合であっても実質的な健康リスクを伴う侵襲的ステップを伴わない。特に、データを取得するステップ、例えばデータを決定するステップは、外科的ステップを含まず、特に、外科手術または治療を使用して人体または動物の体を治療するステップを含まない。本方法によって使用される異なるデータを区別するために、データは「XYデータ」などとして示され(すなわち、言及され)、それらが説明する情報に関して定義され、それはその後、好ましくは「XY情報」などと呼ばれる。
【0127】
見当合わせ
身体のn次元画像は、空間内の実際のオブジェクト、例えば手術室の身体部分の各点の空間位置に、ナビゲーションシステムに記憶された画像(CT、MRなど)の画像データ点が割り当てられたときに見当合わせされる。
【0128】
画像見当合わせ
画像見当合わせは、異なるデータセットを1つの座標系に変換するプロセスである。データは、複数の写真および/または異なるセンサ、異なる時間または異なる視点からのデータであり得る。これは、コンピュータビジョン、医療イメージング、ならびに衛星からの画像およびデータの編集および解析に使用される。これらの異なる測定から獲得されたデータを比較または統合できるようにするために、見当合わせが必要である。
【0129】
マーカ
これは、マーカの空間位置(すなわち、その空間的位置および/または位置合わせ)を確認することができるように、マーカ検出デバイス(例えば、カメラもしくは超音波受信機、またはCTもしくはMRIデバイスなどの解析デバイス)によって検出されるマーカの機能である。検出デバイスは、例えばナビゲーションシステムの一部である。マーカは、能動マーカであり得る。能動マーカは、例えば、赤外、可視および/または紫外スペクトル範囲であり得る電磁放射および/または波を放射することができる。しかしながら、マーカは受動的であってもよく、すなわち、例えば、赤外、可視および/または紫外スペクトル範囲の電磁放射を反射することができ、またはX線放射を遮断することができる。この目的のために、マーカは、対応する反射特性を有する表面を備えることができ、またはX線放射を遮断するために金属で作ることができる。マーカが、無線周波数範囲または超音波波長の電磁放射および/または波を反射および/または放射することも可能である。マーカは、好ましくは球形および/または回転楕円形を有し、したがってマーカ球と呼ぶことができる。しかしながら、マーカは、角のある、例えば立方体の形状を示すこともできる。
【0130】
マーカデバイス
マーカデバイスは、例えば、好ましくは所定の空間的関係にある基準スターまたはポインタまたは単一のマーカまたは複数の(個々の)マーカであり得る。マーカデバイスは、1つ、2つ、3つまたはそれ以上のマーカを備え、2つ以上のそのようなマーカは、所定の空間的関係にある。この所定の空間的関係は、例えばナビゲーションシステムに知られており、例えばナビゲーションシステムのコンピュータに記憶される。
【0131】
他の実施形態では、マーカデバイスは、例えば2次元表面上に光学パターンを備える。光学パターンは、円、長方形および/または三角形のような複数の幾何学的形状を備えることができる。光学パターンは、カメラによって取り込まれた画像内で識別することができ、カメラに対するマーカデバイスの位置は、画像内のパターンのサイズ、画像内のパターンの向き、および画像内のパターンの歪みから決定することができる。これは、単一の2次元画像から最大3つの回転次元および最大3つの並進次元の相対位置を決定することを可能にする。
【0132】
マーカデバイスの位置は、例えば医療用ナビゲーションシステムによって確認することができる。マーカデバイスが骨または医療器具などのオブジェクトに取り付けられている場合、オブジェクトの位置は、マーカデバイスの位置およびマーカデバイスとオブジェクトとの間の相対位置から決定することができる。この相対位置を決定することは、マーカデバイスとオブジェクトとの見当合わせとも呼ばれる。マーカデバイスまたはオブジェクトを追跡することができ、これは、マーカデバイスまたはオブジェクトの位置が経時的に2回以上確認されることを意味する。
【0133】
マーカホルダ
マーカホルダは、マーカを器具、本体の一部および/または基準スターの保持要素に取り付けるのに役立つ個々のマーカ用の取り付けデバイスを意味すると理解され、それは固定されるように取り付けることができ、有利には取り外すことができるように取り付けることができる。マーカホルダは、例えば、棒状および/または円筒状であってもよい。マーカデバイス用の締結デバイス(例えば、ラッチ機構など)は、マーカに面するマーカホルダの端部に設けることができ、マーカデバイスをマーカホルダ上に力嵌めおよび/または確実な嵌合で配置するのを助ける。
【0134】
ポインタ
ポインタは、それに固定された1つまたは複数の、有利には2つのマーカを備え、身体の一部の個々の座標、例えば空間座標(すなわち、3次元座標)を測定するために使用することができるロッドであり、ユーザは、ポインタの位置を、外科用ナビゲーションシステムを使用してポインタ上のマーカを検出することによって決定することができるように、座標に対応する位置にポインタ(例えば、ポインタに取り付けられた少なくとも1つのマーカに対して画定され、有利には固定された位置を有するポインタの一部)を案内する。ポインタのマーカと、座標(例えば、ポインタの先端)を測定するために使用されるポインタの部分との間の相対位置は、例えば既知である。次いで、外科用ナビゲーションシステムは、(3次元座標の)位置を所定の身体構造に割り当てることを可能にし、割り当ては、自動的にまたはユーザの介入によって行うことができる。
【0135】
基準スター
「基準スター」は、それに取り付けられた多数のマーカ、有利には3つのマーカを有するデバイスを指し、マーカは、それらが静止するように基準スターに(例えば取り外し可能に)取り付けられ、したがって互いに対するマーカの既知の(有利には固定された)位置を提供する。互いに対するマーカの位置は、外科用ナビゲーションシステムが互いに対するマーカの位置に基づいて対応する基準スターを識別することを可能にするために、外科用ナビゲーション方法のフレームワーク内で使用される各基準スターに対して個別に異なることができる。したがって、基準スターが取り付けられているオブジェクト(例えば、器具および/または身体の一部)を、それに応じて識別および/または区別することも可能である。外科用ナビゲーション方法では、基準スターは、オブジェクトの位置(すなわち、その空間的位置および/または位置合わせ)を検出できるようにするために、オブジェクト(例えば、骨または医療器具)に複数のマーカを取り付ける役割を果たす。そのような基準スターは、例えば、オブジェクト(例えば、クランプおよび/またはねじ山)に取り付けられる方法、および/または(例えば、マーカ検出デバイスに対するマーカの視認性を助けるために)マーカとオブジェクトとの間の距離を保証する保持要素、および/または保持要素に機械的に接続され、マーカを取り付けることができるマーカ保持具を特徴とする。
【0136】
ナビゲーションシステム
本発明はまた、コンピュータ支援手術用ナビゲーションシステムに関する。このナビゲーションシステムは、好ましくは、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つに記載のコンピュータ実装方法に従って提供されたデータを処理するための前述のコンピュータを備える。ナビゲーションシステムは、好ましくは、コンピュータが受信された検出信号に基づいて絶対主点データおよび絶対補助点データを決定することができるように、検出信号を生成し、生成された検出信号をコンピュータに供給するために、主点および補助点を表す検出点の位置を検出するための検出デバイスを備える。検出点は、例えばポインタによって検出される解剖学的構造の表面上の点である。このようにして、絶対点データをコンピュータに提供することができる。ナビゲーションシステムはまた、好ましくは、コンピュータから計算結果(例えば、主平面の位置、補助平面の位置、および/または標準平面の位置)を受信するためのユーザインターフェースを備える。ユーザインターフェースは、受信したデータを情報としてユーザに提供する。ユーザインターフェースとしては、例えば、モニタなどの表示デバイスやスピーカなどが挙げられる。ユーザインターフェースは、任意の種類の指示信号(例えば、視覚信号、音声信号および/または振動信号)を使用することができる。表示デバイスの一例は、ナビゲーションのための「ゴーグル」として使用することができる仮想現実デバイスまたは拡張現実デバイス(仮想現実メガネまたは拡張現実メガネとも呼ばれる)である。そのような拡張現実メガネの具体例は、Google Glass(Google,Inc.の商標)である。拡張現実デバイスは、ユーザ対話によってナビゲーションシステムのコンピュータに情報を入力するためにも、コンピュータによって出力された情報を表示するためにも使用することができる。
【0137】
本発明はまた、コンピュータ支援手術用のナビゲーションシステムに関し、
絶対点データおよび相対点データを処理するためのコンピュータと、
絶対点データを生成してコンピュータに供給するために、主点および補助点の位置を検出するための検出デバイスと、
相対点データを受信し、相対点データをコンピュータに供給するためのデータインターフェースと、
ユーザに情報を提供するために、コンピュータからデータを受信するためのユーザインターフェースであって、受信されるデータは、コンピュータによって実行された処理の結果に基づいてコンピュータによって生成される、ユーザインターフェースと
を備える。
【0138】
外科用ナビゲーションシステム
外科用ナビゲーションシステムなどのナビゲーションシステムは、少なくとも1つのマーカデバイスと、電磁波および/または放射線および/または超音波を放射する送信機と、電磁波および/または放射線および/または超音波を受信する受信機と、受信機および/または送信機に接続された電子データ処理デバイスとを備えることができるシステムを意味すると理解され、データ処理デバイス(例えば、コンピュータ)は、例えば、プロセッサ(CPU)と、ワーキングメモリと、有利には、指示信号を送出するための指示デバイス(例えば、モニタなどの視覚的表示デバイス、および/またはスピーカなどの音声的表示デバイス、および/またはバイブレータなどの触覚的表示デバイス)と、永久データメモリとを備え、データ処理デバイスは、受信機によって転送されたナビゲーションデータを処理し、有利には、指示デバイスを介してユーザに案内情報を出力することができる。ナビゲーションデータは、永久データメモリに記憶することができ、例えば、前記メモリに予め記憶されたデータと比較することができる。
【0139】
形状表現
形状表現は、解剖学的構造の形状の特徴的な態様を表す。形状表現の例としては、直線、平面、幾何学図形などが挙げられる。幾何学的図形は、例えば軸または円弧などの1次元、例えば多角形および円などの2次元、または例えば直方体、円柱および球などの3次元であり得る。形状表現の間の相対位置は、基準系において、例えば座標またはベクトルによって記述することができ、あるいは例えば長さ、角度、面積、体積および割合などの幾何学的変数によって記述することができる。形状表現によって表される特徴的な態様は、例えば対称面によって表される対称特性である。特徴的な態様の他の例は、例えば長手方向軸によって表される解剖学的構造の伸長方向である。特徴的な態様の他の例は、例えば楕円によって表される解剖学的構造の断面形状である。特徴的な態様の他の例は、解剖学的構造の一部の表面形状であり、例えば平面または半球によって表される。例えば、特徴的な態様は、実際の形状の抽象化、または実際の形状の特性(例えば、その対称性または長手方向の延長など)の抽象化を構成する。例えば、形状表現は、この抽象化を表す。
【0140】
参照
位置を決定することは、ナビゲーションシステムの基準システム内の前記位置をナビゲーションシステムに通知することを意味する場合、参照すると呼ばれる。
【0141】
アトラス/アトラスセグメント化
好ましくは、解剖学的身体部分の一般的な3次元形状を記述する(例えば、を定義し、より具体的には、を表し、および/または、である)アトラスデータが取得される。したがって、アトラスデータは、解剖学的身体部分のアトラスを表す。アトラスは、典型的には、オブジェクトの複数の一般モデルからなり、オブジェクトの一般モデルはともに複雑な構造を形成する。例えば、アトラスは、複数の人体から収集された解剖学的情報、例えばそのような人体の画像を含む医用画像データから生成された患者の身体(例えば、身体の一部)の統計モデルを構成する。したがって、原則として、アトラスデータは、複数の人体についてのそのような医用画像データの統計解析の結果を表す。この結果は画像として出力することができ、したがってアトラスデータは医用画像データを含むか、または医用画像データに匹敵する。そのような比較は、例えば、アトラスデータと医用画像データとの間の画像融合を実行する画像融合アルゴリズムを適用することによって実行することができる。比較の結果は、アトラスデータと医用画像データとの間の類似性の尺度とすることができる。アトラスデータは、例えばアトラスデータを医用画像データと比較して、アトラスデータによって定義された解剖学的構造に対応する医用画像データ内の解剖学的構造の位置を決定するために、例えば医用画像データに含まれる画像情報(例えば、位置画像情報)に(例えば、弾性または剛性画像融合アルゴリズムを適用することによって)一致させることができる画像情報(例えば、位置画像情報)を含む。
【0142】
その解剖学的構造がアトラスデータを生成するための入力として機能する人体は、有利には、性別、年齢、民族性、身体測定値(例えば、サイズおよび/または質量)、および病的状態のうちの少なくとも1つなどの共通の特徴を共有する。解剖学的情報は、例えば人体の解剖学的構造を記述し、例えば人体に関する医用画像情報から抽出される。例えば、大腿骨のアトラスは、頭部、頸部、身体、大転子、小転子および下肢をオブジェクトとして含むことができ、これらは一緒に完全な構造を構成する。脳のアトラスは、例えば、終脳、小脳、間脳、橋、中脳および延髄をオブジェクトとして含むことができ、これらは一緒に複雑な構造を構成する。そのようなアトラスの1つの用途は、医用画像のセグメント化であり、アトラスは医用画像データと照合され、画像データは、照合されたアトラスのオブジェクトに画像データの点(ピクセルまたはボクセル)を割り当てるために、照合されたアトラスと比較され、それによって画像データをオブジェクトにセグメント化する。
【0143】
イメージング方法
医学の分野では、イメージング方法(イメージングモダリティおよび/または医療イメージングモダリティとも呼ばれる)を使用して、人体の解剖学的構造(例えば、軟組織、骨、器官など)の画像データ(例えば、2次元または3次元の画像データ)を生成する。「医療イメージング方法」という用語は、例えばコンピュータ断層撮影法(CT)およびコーンビームコンピュータ断層撮影法(CBCT、例えば体積CBCT)、X線断層撮影法、磁気共鳴断層撮影法(MRTまたはMRI)、従来のX線検査、音波検査および/または超音波検査、ならびに陽電子放射断層撮影法などの(有利には装置ベースの)イメージング方法(例えば、いわゆる医療イメージングモダリティおよび/または放射線イメージング方法)を意味すると理解される。例えば、医療イメージング方法は、解析デバイスによって実行される。医療イメージング方法によって適用される医療イメージングモダリティの例は、Wikipediaによって言及されているように、X線ラジオグラフィ、磁気共鳴イメージング、医療超音波検査または超音波、内視鏡検査、エラストグラフィ、触覚イメージング、サーモグラフィ、医療写真法、および陽電子放射断層撮影法(PET)および単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)としての核医学機能的イメージング技術である。
【0144】
このようにして生成された画像データを「医療イメージングデータ」とも称する。解析デバイスは、例えば、装置ベースのイメージング方法において画像データを生成するために使用される。イメージング方法は、例えば、画像データによって記述される画像を生成するために解剖学的身体を解析するために医療診断に使用される。イメージング方法は、例えば、人体の病理学的変化を検出するためにも使用される。しかしながら、構造(組織)の病理学的変化などの解剖学的構造の変化のいくつかは、検出できない可能性があり、例えば、イメージング方法によって生成された画像では見えない可能性がある。腫瘍は、解剖学的構造の変化の一例を表す。腫瘍が成長する場合、それは拡張された解剖学的構造を表すと言える。この拡張された解剖学的構造は検出できない可能性があり、例えば、拡張された解剖学的構造の一部のみが検出可能であってもよい。原発性/高悪性度脳腫瘍は、例えば、造影剤が腫瘍に浸潤するために使用される場合、MRIスキャンで通常視認可能である。MRIスキャンは、イメージング方法の一例を表す。そのような脳腫瘍のMRIスキャンの場合、MRI画像における信号増強(腫瘍に浸潤する造影剤による)は、固形腫瘍塊を表すと考えられる。したがって、腫瘍は検出可能であり、例えば、イメージング方法によって生成された画像において識別可能である。「増強」腫瘍と呼ばれるこれらの腫瘍に加えて、脳腫瘍の約10%は、スキャンでは識別できず、例えば、イメージング方法によって生成された画像を見ているユーザには見えないと考えられる。
【0145】
マッピング
マッピングは、第1の座標系における第1のデータセットの要素(例えば、ピクセルまたはボクセル)、例えば要素の位置の、第2の座標系(これは、第1の座標系の基底とは異なる基底を有し得る)における第2のデータセットの要素(例えば、ピクセルまたはボクセル)、例えば要素の位置への変換(例えば、線形変換)を記述する。一実施形態では、マッピングは、弾性または剛性融合アルゴリズムによってそれぞれの要素の色値(例えば、グレー値)を比較(例えば、マッチング)することによって決定される。マッピングは、例えば、変換行列(アフィン変換を定義する行列など)によって具体化される。
【0146】
図面の簡単な説明
以下では、背景説明を与え、本発明の特定の実施形態を表す添付の図面を参照して、本発明を説明する。しかしながら、本発明の範囲は、図の文脈で開示された特定の特徴に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【
図1】脊椎ロッドをプランニングおよび屈曲するために外科医によって使用される医療用ナビゲーションデバイスを示す図である。
【
図2a】提案される脊椎ロッドに重ね合わされた非屈曲脊椎ロッドを表示する拡張現実デバイスを通る概略図である。
【
図2b】提案される脊椎ロッドに重ね合わされた部分的に屈曲された脊椎ロッドを表示する拡張現実デバイスを通る概略図である。
【
図3】医療用ナビゲーションデバイスによって脊椎ロッドを追跡する概略図である。
【
図4】医療用ナビゲーションデバイスの概略図である。
【
図5a】提案される脊椎ロッドおよび脊椎ねじインジケータに重ね合わされた非屈曲脊椎ロッドを表示する拡張現実デバイスを通る概略図である。
【
図5b】提案される脊椎ロッドおよび屈曲インジケータに重ね合わされた非屈曲脊椎ロッドを表示する拡張現実デバイスを通る概略図である。
【
図6】脊椎ロッドによって接続された脊椎ねじを有する患者の脊椎の概略図である。
【
図7】ナビゲーション脊椎手術のための拡張現実脊椎ロッドプランニングおよび屈曲のためのコンピュータ実装方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0148】
実施形態の説明
図1は、脊椎ロッド10をプランニングおよび屈曲するために外科医60によって使用される医療用ナビゲーションデバイスを示す。脊椎ロッド10は、患者70の脊椎が脊椎ロッド10によって調整および/または補強される脊椎手術で使用されるべきである。この目的のために、脊椎40には複数の脊椎ねじが設けられる。脊椎手術では、脊椎ねじ30によって脊椎ロッド10が脊椎40に接続され取り付けられる。したがって、患者の脊椎40が補強されるか、または脊椎40に対する調整が脊椎ロッド10によって加えられる。
【0149】
しかしながら、患者の脊椎40に脊椎ロッド10を取り付ける前に、特に手術の補強および/または調整効果を達成する所望の形状に脊椎ロッド10を屈曲することによって、それに応じて脊椎ロッド10を成形する必要がある。屈曲自体は一般に屈曲デバイスによって行われるが、屈曲デバイスは通常、外科医60によって手動で操作される。
【0150】
一般に、提案される脊椎ロッド20、言い換えれば、脊椎ロッドの所望の形状を反映する脊椎ロッド10の仮想モデルが、別個の画面で外科医60に表示される。次に、外科医は、提案される脊椎ロッド20の表示に従って、脊椎ロッド10を所望の形状に屈曲することを試みる。
【0151】
図示の場合、外科医60は、脊椎手術でも通常使用される医療用ナビゲーションデバイス50を使用する。外科医60は、医療用ナビゲーションデバイス50の一部であり、提案される脊椎ロッド20を表示するための画面として機能する拡張現実デバイス53、特に拡張現実めがねを着用する。
【0152】
提案される脊椎ロッド20自体は、複数のねじ30の位置Psに基づいて決定される。複数のねじ30の位置Psは、例えば、医療用ナビゲーションデバイス50のカメラ51によって取得される。カメラ51は、例えば、複数の脊椎ねじ30の形状および空間内の位置を取得するように構成された3Dカメラを備える。
【0153】
複数のねじ30の取得された位置Psを使用して、医療用ナビゲーションデバイス50は、脊椎上の複数の脊椎ねじ30の配置を分析し、提案される脊椎ロッド20を決定する。言い換えれば、提案される脊椎ロッド20は、脊椎手術におけるそのタスクを果たすように成形されなければならないので、脊椎ロッド10の仮想モデルである。最初のステップでは、提案される脊椎ロッド20の形状は、患者70の脊椎40の形状に直接関連する。しかしながら、プランニングソフトウェアによって自動的に、または外科医60によって手動で、提案される脊椎ロッド20の形状を調整することができる。患者70の脊椎40が補強されるだけでなく調整されるべきである場合、提案される脊椎ロッド20の形状は、脊椎手術を通してなるように、患者の脊椎40のそのような調整された形状を反映しなければならない。例えば、外科医は、プランニングソフトウェアのユーザインターフェースを介して、提案される脊椎ロッド20に特定の量の前湾を追加して、提案される脊椎ロッド20を調整する。
【0154】
プランニングソフトウェアには、好ましくは、外科医60に表示されるサポートデータDsが提供される。したがって、外科医は、所望の医療結果に達するまで、提案される脊椎ロッド20、特に患者70の脊椎位置合わせを仮想的に調整する。医療転帰は、好ましくは、手術関連パラメータを含むサポートデータDsによって示される。
【0155】
その結果、提案される脊椎ロッド20は、外科医の視野内に表示されるように拡張現実デバイス53に提供される。したがって、外科医は、提案される脊椎ロッド20に従って脊椎ロッド10を屈曲するために自分の手で脊椎ロッド10を保持するとき、この視野内で提案される脊椎ロッド20を常に見る。
【0156】
また、脊椎ロッド10自体は、例えば医療用ナビゲーションデバイス50の較正デバイスによって較正される。この場合、脊椎ロッド10は、脊椎ロッド10に取り付けられた基準デバイス52を備える。したがって、較正を実行すると、脊椎ロッド10の取得された位置が医療用ナビゲーションデバイス50の座標に変換される。言い換えれば、医療用ナビゲーションデバイス50は、自身の座標における脊椎ロッド10の位置について学習する。したがって、拡張現実デバイス53を介して提案される脊椎ロッド20を外科医60に表示するとき、拡張現実デバイス53は、外科医が拡張現実デバイス53を通して観察する脊椎ロッド10に重なるように、提案される脊椎ロッド20を配置する。脊椎ロッド10を較正し、連続的に追跡することによって、拡張現実デバイス53は、外科医60の視野内の脊椎ロッド10に提案される脊椎ロッド20を常に重ね合わせることができる。これは、脊椎ロッド10を屈曲するときに外科医60にとって、提案される脊椎ロッド20の表示を向上させることを可能にする。
【0157】
図2aは、提案される脊椎ロッド20に重ね合わされた非屈曲脊椎ロッド10を表示する拡張現実デバイス53を通る概略図を示す。言い換えれば、外科医60は、脊椎手術に必要な形状に脊椎ロッド10を屈曲するために、自身の視野内に脊椎ロッド10を有する。外科医60は、提案される脊椎ロッド20に基づいて、特に屈曲工具の助けを借りて、脊椎ロッド10の形状を屈曲したい。したがって、提案される脊椎ロッド20は、拡張現実デバイス53によって外科医60の視野内に表示される。拡張現実デバイス53は、外科医の視野内に提案される脊椎ロッド20をランダムに表示するだけでなく、外科医60の視点から脊椎ロッド10に重なるように提案される脊椎ロッド20を表示する。この場合、拡張現実デバイス53は、提案される脊椎ロッド20の左端が脊椎ロッド10の左端と一致するように、提案される脊椎ロッド20を配置する。これは、脊椎ロッド10を屈曲するために外科医にとって情報の表示を改善することを可能にする。
【0158】
図2bは、提案される脊椎ロッド20に重ね合わされた非屈曲脊椎ロッド10を表示する拡張現実デバイス53を通る概略図を示す。
図2aの脊椎ロッド10と比較して、脊椎ロッド10は既に屈曲されている。脊椎ロッド10は、経験から外科医60によって事前屈曲されているか、または拡張現実デバイス53の助けを借りて外科医60によって事前屈曲されている。脊椎ロッド10は医療用ナビゲーションデバイス50によって追跡されるため、脊椎ロッド10は、医療用ナビゲーションデバイス50によって使用される非屈曲脊椎ロッド10である必要はない。任意の事前屈曲脊椎ロッド10は、医療用ナビゲーションデバイス50によって較正および追跡され、提案される脊椎ロッド20と重ね合わせることができる。言い換えれば、外科医60は、脊椎手術に必要な形状に脊椎ロッド10を屈曲し終えるために、自分の視野内に部分的に屈曲された脊椎ロッド10を有する。
図2aと同様に、提案される脊椎ロッド20は、拡張現実デバイス53によって外科医60の視野内に表示される。拡張現実デバイス53は、外科医の視野内に提案される脊椎ロッド20をランダムに表示するだけでなく、外科医60の視点から脊椎ロッド10に重なるように提案される脊椎ロッド20を表示する。この場合、拡張現実デバイス53は、脊椎ロッド10の既に屈曲した部分が脊椎ロッド10の対応する部分と一致するように、提案される脊椎ロッド20を配置する。これは、外科医60が、脊椎ロッド10の既に屈曲された部分が提案される脊椎ロッド20を満たすことを確実にすることを可能にする。
【0159】
図3は、医療用ナビゲーションデバイス50によって脊椎ロッド10を追跡する概略図を示す。脊椎ロッド10には、基準デバイス52、この場合は3つのマーカの基準アレイが設けられる。基準デバイス52は、ロッド座標系Rodの原点をマークする。医療用ナビゲーションデバイス50は、カム座標系Camの原点をマークするカメラ51を備える。カム座標系Camは、医療用ナビゲーションデバイス50に知られている。例えば較正ブロックのような較正デバイスを使用することによって脊椎ロッド10を較正するとき、ロッド座標系とカム座標系との関係が決定される。この関係は、脊椎ロッド-カメラ座標変換RodToCamによって示される。
【0160】
本明細書で使用される「変換」という用語は、具体的には、医療用ナビゲーションデバイス50の追跡システムおよび医療用ナビゲーションデバイス50の較正デバイスのような2つのオブジェクト間の並進および/または回転を記述する。各オブジェクトが空間内の位置および向きによって表されるとき、好ましくは、座標系が各オブジェクトに対して定義されるので、変換は、あるシステム内の点の座標を別のシステム内の座標に関して記述することを可能にする。例えば、較正デバイスの較正点は、較正デバイスの局所座標で与えられる。較正デバイスから脊椎ロッド10への変換を使用して、脊椎ロッド10を較正デバイス座標で表すことができる。あらゆる変換は一意的な逆変換を有するので、脊椎ロッド座標も較正デバイス座標で表すことができる。座標系の意味を最適化するために、それらの原点は通常、それらのオブジェクト内の関心点に位置する。そのような変換の好ましい実施態様は、まさにこの目的のためにコンピュータグラフィックスの分野で広く使用されている4×4行列の使用である。したがって、1つの変換行列は、並進および回転、理論的には3D空間内のあらゆるアフィン変換を含むことができ、それは行列を可逆にする。較正デバイスからカメラへ、次いでカメラから脊椎ロッド10へ、のような変換の合成は、対応する行列の乗算(逆順で)によって表される。2つの座標系間の変換は、他方の座標系の座標における一方の座標系の原点および3つの垂直軸を知ることによって設定することができる。4×4行列の場合、一般的に使用される技術は、軸が正規化され、4×4行列の左上の3×3部分に書き込まれる基底の変更であり、座標系間の並進が4列目で考慮される。
【0161】
脊椎ロッド10の較正のための追跡セットアップでは、追跡システムの関与するオブジェクトの異なる座標系を互いに関連付ける必要がある。言い換えれば、追跡システム、特にカメラ51はカメラ座標系Camを備え、較正デバイスは較正デバイス座標系を備え、脊椎ロッド10はそのマーカアレイに脊椎ロッド座標系Rodを備える。
【0162】
脊椎ロッド10を較正するためには、脊椎ロッド10と較正デバイスとの間の関係を見つけることが必要である。脊椎ロッド10を較正デバイスの既知のスポット上に保持することによって、この関係を決定することができる。カメラ座標系Camと較正デバイス座標系との関係が既知であるとすると、カメラ座標系Camと脊椎ロッド座標系Rodとの関係を算出することができる。
【0163】
器具先端座標系の向きは、好ましくは、器具マーカ座標系に関して予め定義される。しかしながら、較正デバイスの平面または他の特徴は、本発明の主な目的ではない器具の軸を特に較正するために使用することができる。
【0164】
脊椎ロッド-カメラ座標変換により、脊椎ロッド10の位置、特に形状は、医療用ナビゲーションデバイス50に常に知られている。
【0165】
図4は、医療用ナビゲーションデバイス50の概略図を示す。医療用ナビゲーションデバイス50は、特に患者70の脊椎40上の複数の脊椎ねじ30をデジタル化するように構成されたカメラ51と、医療用ナビゲーションデバイス50のディスプレイとして機能する拡張現実デバイス53と、制御ユニット54とを備える。カメラ51は、特に追跡される器具を使用することによって、複数の脊椎ねじ30の位置Psを決定し、位置Psを制御ユニット54に提供する。制御ユニット54は、複数の脊椎ねじ30の位置Psを使用して、複数の脊椎ねじ30に適合するように成形されなければならないので、脊椎ロッド10の仮想モデルである提案される脊椎ロッド20を決定する。提案される脊椎ロッド20は拡張現実デバイス53に提供され、そこで提案される脊椎ロッド20は、脊椎ロッド10を形状に屈曲するためのテンプレートとして外科医に表示される。提案される脊椎ロッド10に加えて、追加の情報を制御ユニット54によって拡張現実デバイス53に提供することができる。例えば、制御ユニット54には、患者70の脊椎40を表す脊椎モデルMsが提供される。脊椎モデルMsは、例えば、拡張現実デバイス53に提供されるサポートデータDsを決定するために制御ユニット54によって使用される。脊椎モデルMsは、提案される脊椎ロッド20の形状が脊椎40または脊椎ねじ30にかかる力にどのように影響するかを決定するために使用することができる。この情報はその後、サポートデータDsに含められ、拡張現実デバイス53によって使用されて、異なるオブジェクトに加えられた力を表示する。したがって、拡張現実デバイス53を装着している外科医には、症例に関する追加情報が提供される。
【0166】
制御ユニット54は、好ましくは、既に決定された提案される脊椎ロッド20を、プランニングソフトウェア自体によって自動的に、または入力インターフェースを介して外科医60によって手動で調整することを可能にするプランニングソフトウェアを備える。
【0167】
図5aは、提案される脊椎ロッド20および脊椎ねじインジケータIsに重ね合わされた、
図2aの非屈曲脊椎ロッド10を表示する拡張現実デバイスを通る概略図を示す。脊椎ねじインジケータIsは、特に制御デバイス54によって提供されるサポートデータDsに基づく。脊椎ねじインジケータIsは、脊椎ロッド10が提案される脊椎ロッド20の形状を有するときに、複数の脊椎ねじ30が脊椎ロッド10上のどこに配置されるかを示す。
【0168】
図5bは、提案される脊椎ロッド20および屈曲インジケータIbに重ね合わされた、
図2aの非屈曲脊椎ロッド10を表示する拡張現実デバイスを通る概略図を示す。屈曲インジケータIbは、特に制御デバイス54によって提供されるサポートデータDsに基づく。屈曲インジケータIbは、脊椎ロッド10に重ねて表示され、スポットを示し、そこで、提案される脊椎ロッド20の形状に到達するために脊椎ロッド10が理想的に屈曲されなければならない。
【0169】
図6は、脊椎ロッド10によって接続された脊椎ねじ30を有する患者70の脊椎40の概略図を示す。脊椎ねじ30は、椎体、特に椎弓根または外側塊に挿入され、したがって患者の脊椎40に直接接続される。
図6は、一般に、2列の平行な脊椎ねじ30が脊椎40に挿入され、各列の脊椎ねじ30が1つの脊椎ロッド10に接続されることを示す。
【0170】
図7は、ナビゲーション脊椎手術のための拡張現実脊椎ロッドプランニングおよび屈曲のためのコンピュータ実装方法の概略図を示す。最初のステップS10で、脊椎40上に配置された複数の脊椎ねじ30の位置Psが取得され、複数の脊椎ねじ30は、複数の脊椎ねじ30を相互接続する脊椎ロッド10を受け入れるように構成される。他のステップS20で、複数の脊椎ねじ30の取得された位置Psを使用して、所望の形状を有する脊椎ロッド10の仮想モデルである提案される脊椎ロッド20が決定される。他のステップS30で、脊椎ロッド10は、医療用ナビゲーションデバイス50によって脊椎ロッド10を追跡するために較正される。他のステップS40で、拡張現実デバイス53によって、提案される脊椎ロッド20を表示することによって、追跡された脊椎ロッド10に提案される脊椎ロッド20を重ね合わせる。
【国際調査報告】