IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロレアルの特許一覧

特表2024-504488油中水型化粧用サンスクリーン組成物、油中水型化粧用サンスクリーン組成物の使用、及び油中水型化粧用サンスクリーン組成物を製造するための方法
<>
  • 特表-油中水型化粧用サンスクリーン組成物、油中水型化粧用サンスクリーン組成物の使用、及び油中水型化粧用サンスクリーン組成物を製造するための方法 図1
  • 特表-油中水型化粧用サンスクリーン組成物、油中水型化粧用サンスクリーン組成物の使用、及び油中水型化粧用サンスクリーン組成物を製造するための方法 図2
  • 特表-油中水型化粧用サンスクリーン組成物、油中水型化粧用サンスクリーン組成物の使用、及び油中水型化粧用サンスクリーン組成物を製造するための方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】油中水型化粧用サンスクリーン組成物、油中水型化粧用サンスクリーン組成物の使用、及び油中水型化粧用サンスクリーン組成物を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/06 20060101AFI20240124BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 8/40 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20240124BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240124BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/19
A61K8/29
A61K8/35
A61K8/37
A61K8/40
A61K8/49
A61K8/891
A61Q17/04
A61Q1/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546110
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 BR2021050045
(87)【国際公開番号】W WO2022160020
(87)【国際公開日】2022-08-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル・サウス・シルヴァ
(72)【発明者】
【氏名】マリー・ボワドロン
(72)【発明者】
【氏名】タッシア・ハナシロ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB231
4C083AB232
4C083AB241
4C083AB242
4C083AB362
4C083AB432
4C083AB442
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC211
4C083AC212
4C083AC402
4C083AC422
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC511
4C083AC512
4C083AC662
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD632
4C083AD662
4C083BB23
4C083BB46
4C083CC11
4C083CC19
4C083DD23
4C083DD32
4C083DD39
4C083EE01
4C083EE07
4C083EE17
(57)【要約】
本発明は、特に、皮膚のケアのため、メイクアップのため及び光防護のための、新たな油中水型化粧用サンスクリーン組成物であって、(a)少なくとも1種の顔料、(b)少なくとも1種のUVフィルター、(c)ジメチコン及び(d)水を含み、水とジメチコンとの間の質量比が指定される、組成物を対象とする。本発明はまた、油中水型化粧用サンスクリーン組成物の使用、及び油中水型化粧用サンスクリーン組成物を製造するための方法を対象とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に皮膚のケアのため、メイクアップのため及び光防護のための、油中水型化粧用サンスクリーン組成物であって、
(a)前記組成物の総質量に基づき10.0~25.0質量%の少なくとも1種の顔料、
(b)前記組成物の総質量に基づき15.0~35.0質量%の少なくとも1種のUVフィルター、
(c)前記組成物の総質量に基づき8.0~20.0質量%のジメチコン、及び
(d)水
を含み、
水とジメチコンとの間の質量比が、1:0.30~1:0.55の範囲内である、
組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種の顔料が、鉱物顔料から選択され、好ましくは、二酸化チタン、酸化鉄及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種の顔料が、前記組成物の総質量に基づき10.0~20.0質量%の範囲内である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種のUVフィルターが、オクトクリレン、サリチル酸エチルヘキシル、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ホモサレート及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種のUVフィルターの量が、前記組成物の総質量に基づき20.0~30.0質量%の範囲内である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
ジメチコンの量が、前記組成物の総質量に基づき10.0~15.0質量%の範囲内である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
水とジメチコンとの間の質量比が、1:0.35~1:0.50の範囲内である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、活性化合物、充填材、保存剤、ジメチコン以外のシリコーン、水以外の溶媒、界面活性剤、ビタミン及びこれらの混合物から選択される、追加の化粧用に許容される成分を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、30~80の範囲内の太陽光線防護係数(SPF)を呈する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
皮膚のケアのため、メイクアップのため及び光防護のための製品を製造するための、油中水型化粧用サンスクリーン組成物の使用であって、前記組成物が、
(a)前記組成物の総質量に基づき10.0~25.0質量%の少なくとも1種の顔料、
(b)前記組成物の総質量に基づき15.0~35.0質量%の少なくとも1種のUVフィルター、
(c)前記組成物の総質量に基づき8.0~20.0質量%のジメチコン、及び
(d)水
を含み、
水とジメチコンとの間の質量比が、1:0.30~1:0.55の範囲内である、
使用。
【請求項11】
油中水型化粧用サンスクリーン組成物を製造するための方法であって、前記組成物が、
(a)前記組成物の総質量に基づき10.0~25.0質量%の少なくとも1種の顔料、
(b)前記組成物の総質量に基づき15.0~35.0質量%の少なくとも1種のUVフィルター、
(c)前記組成物の総質量に基づき8.0~20.0質量%のジメチコン、及び
(d)水
を含み、
水とジメチコンとの間の質量比が、1:0.30~1:0.55の範囲内であり、
前記方法が、
i)メイン容器に、前記水、UVフィルター、ジメチコン及び任意選択で追加の化粧用に許容される成分を、20~60℃の範囲内の温度で加える工程、
ii)前記メイン容器に、前記少なくとも1種の顔料を、25~30℃の範囲内の温度で加える工程
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、特に、皮膚のケアのため、メイクアップのため及び光防護のための、新たな油中水型化粧用サンスクリーン組成物であって、(a)少なくとも1種の顔料、(b)少なくとも1種のUVフィルター、(c)ジメチコン及び(d)水を含み、水とジメチコンとの間の質量比が指定される、組成物を対象とする。本発明はまた、油中水型化粧用サンスクリーン組成物の使用、及び油中水型化粧用サンスクリーン組成物を製造するための方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
皮膚と毛髪との両方を含めたケラチン質物質の光防護は、太陽光線によるダメージ、日焼け、光老化から防護するために、及び紫外線(「UV」)照射への曝露によって生じる皮膚がんの発現の可能性を低減するために、非常に重要であると考えられる。典型的には、光防護を達成するために使用される、2つのタイプのUVA/UVB化粧用サンスクリーン組成物、すなわち、無機UVフィルター及び有機UVフィルターがある。
【0003】
化粧用サンスクリーン組成物によって与えられるUV防護の程度は、その中に含有されるUVフィルターの量、タイプ及び組み合わせに関係する。特に、化粧用サンスクリーン組成物は、太陽光線に対する良好な防護(その尺度は、太陽光線防護係数(SPF)値である)、UVA防護とUVB防護との間の望ましいバランス、特に最小のUVA防護係数を提供しながら、なおも満足な感覚知覚、例えば、適用時にすべすべしているが非油脂状の感触を有しなければならない。
【0004】
更に、ケラチン質物質の光防護を与えるだけでなく、追加の特性も提供する、化粧用サンスクリーン組成物を生成することも望ましい。例えば、高いSPFを有し、皮膚を着色して欠点を補正する能力を有し、好ましくは、異なる皮膚の色調を適合させることができ、これによってメイクアップ効果を提供する、高いカバー力(coverage)と皮膚上での滑らかな感触とを有する、着色化粧用サンスクリーン組成物を生成することが所望される。
【0005】
皮膚に適用した場合に、着色化粧用サンスクリーン組成物によって提供されるカバー力の程度は、組成物中に存在する顔料の量に直接関係する。皮膚上での滑らかな感触は、配合物にシリコーン、特にジメチコンを使用することによって得られる。
【0006】
しかしながら、特性のこの組み合わせは、特に、着色化粧用サンスクリーン組成物中に多量の顔料及びUVフィルターが存在することで、配合物中での安定性の問題が生じるため、とりわけ、組成物の表面へ顔料が移動し、更には前記表面に変色した箇所が生じるため、達成するのが困難であった。更に、シリコーンには、組成物から分離して、望ましくない相分離を生じる傾向がある。これらの問題は、着色化粧用サンスクリーン組成物の陰影において強調される。
【0007】
油中水型エマルションは、皮膚への適用が容易であることと、感覚特性とに起因して、ケア分野における化粧品において、特に化粧用サンスクリーン組成物において、老化防止組成物において、及びメイクアップ、例えばファンデーションにおいて、非常に求められているガレヌス形態である。
【0008】
油中水型エマルションは、一方では、低温(すなわち4℃)、室温(すなわち25℃)並びに高温(すなわち、45℃及び55℃)において、等しく全面的に満足な貯蔵安定性を常に呈するわけではなく、他方では、全面的に満足な感覚特性、例えば、軟らかさ、非粘着性効果、非油脂状効果、皮膚上での滑らかな感触、適用後の軽さの感触、又は良好な滑りを常に呈するわけではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】US4578266
【特許文献2】US5624663
【特許文献3】EP669323
【特許文献4】US2463264
【特許文献5】US5237071
【特許文献6】US5166355
【特許文献7】GB2303549
【特許文献8】DE19726184
【特許文献9】EP893119
【特許文献10】EP0832642
【特許文献11】EP1027883
【特許文献12】EP1300137
【特許文献13】DE10162844
【特許文献14】WO93/04665
【特許文献15】DE19855649
【特許文献16】EP0967200
【特許文献17】DE19746654
【特許文献18】DE19755649
【特許文献19】EP-A-1008586
【特許文献20】EP1133980
【特許文献21】EP1133981
【特許文献22】WO04/006878
【特許文献23】WO05/058269
【特許文献24】WO06/032741
【特許文献25】US6,225,467
【特許文献26】WO2004/085412
【特許文献27】WO06/035000
【特許文献28】WO06/034982
【特許文献29】WO06/034991
【特許文献30】WO06/035007
【特許文献31】WO2006/034992
【特許文献32】WO2006/034985
【特許文献33】EP1990372A2
【特許文献34】米国特許5,601,811
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「Symmetrical Triazine Derivatives」、IP.COM Journal、IP.COM Inc.社(West Henrietta, NY, US) (2004年9月20日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そのため、皮膚に適用した場合の高い色カバー力という結果を提供するために、高いSPFと多量の顔料とを有する、安定であり、全面的に満足な感覚特性を提供し、組成物の表面における顔料及びシリコーンの移動及び分離を生じない、油中水型着色化粧用サンスクリーン組成物が所望される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の発明者らは、驚くべきことに、高いSPFを有し、UVA防護とUVB防護との間の満足なバランス及び多量の顔料を有し、皮膚上でメイクアップと同様の高いカバー効果を提供するが、良好な感覚的属性及び安定性を保持している、着色油中水型化粧用サンスクリーン組成物の開発をやり遂げた。
【0013】
本発明の概要
本発明は、特に、皮膚のケアのため、メイクアップのため及び光防護のための、新たな油中水型化粧用サンスクリーン組成物であって、(a)少なくとも1種の顔料、(b)少なくとも1種のUVフィルター、(c)ジメチコン及び(d)水を含み、水とジメチコンとの間の質量比が指定される、組成物を対象とする。本発明はまた、油中水型化粧用サンスクリーン組成物の使用、及び油中水型化粧用サンスクリーン組成物を製造するための方法を対象とする。
【0014】
本発明の他の特徴及び利点は、実施例によって本発明の原理を説明する、以下の望ましい実施形態のより詳細な説明から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1図2及び図3は、実施例11の安定性試験の結果を表し、図1は、実施例5の先行技術の組成物の結果に関し、図2及び図3はそれぞれ、実施例8及び10による本発明の油中水型化粧用サンスクリーン組成物の結果に関する。
図2図1図2及び図3は、実施例11の安定性試験の結果を表し、図1は、実施例5の先行技術の組成物の結果に関し、図2及び図3はそれぞれ、実施例8及び10による本発明の油中水型化粧用サンスクリーン組成物の結果に関する。
図3図1図2及び図3は、実施例11の安定性試験の結果を表し、図1は、実施例5の先行技術の組成物の結果に関し、図2及び図3はそれぞれ、実施例8及び10による本発明の油中水型化粧用サンスクリーン組成物の結果に関する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施形態では、本発明の油中水型化粧用サンスクリーン組成物は、
(a)組成物の総質量に基づき約10.0~約25.0質量%の少なくとも1種の顔料、
(b)組成物の総質量に基づき約15.0~約35.0質量%の少なくとも1種のUVフィルター、
(c)組成物の総質量に基づき約8.0~約20質量%のジメチコン、及び
(d)水
を含み、
水とジメチコンとの間の質量比は、約1:0.30~約1:0.55の範囲内である。
【0017】
実施形態では、本発明の油中水型化粧用サンスクリーン組成物中の少なくとも1種の顔料の量は、組成物の総質量に基づき約10.0~約20.0質量%、より好ましくは組成物の総質量に基づき約15.0~約20.0質量%の範囲内である。
【0018】
好ましい実施形態では、本発明の油中水型化粧用サンスクリーン組成物中の少なくとも1種のUVフィルターの量は、組成物の総質量に基づき約20.0~約30.0質量%、より好ましくは組成物の総質量に基づき約20.0~約25.0質量%の範囲内である。
【0019】
好ましくは、本発明の油中水型化粧用サンスクリーン組成物中のジメチコンの量は、組成物の総質量に基づき約10.0~約15.0質量%、より好ましくは約10.0~約13.0質量%の範囲内である。
【0020】
好ましい実施形態では、水とジメチコンとの間の質量比は、約1:0.35~約1:0.50、より好ましくは約1:0.40~約1:0.45の範囲内である。
【0021】
更に、本発明による油中水型化粧用サンスクリーン組成物は、活性化合物、充填材、保存剤、ジメチコン以外のシリコーン、水以外の溶媒、界面活性剤、ビタミン及びこれらの混合物から選択される、追加の化粧用に許容される成分を更に含んでもよい。
【0022】
好ましくは、本発明による油中水型化粧用サンスクリーン組成物は、約30~約80、より好ましくは約40~約70、よりいっそう好ましくは約60の範囲内の太陽光線防護係数(SPF)を有する。様々な実施形態では、本発明による油中水型化粧用サンスクリーン組成物は、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75又は約80のSPFを与えうる。好ましい実施形態では、本発明による組成物によって提供されるUVA防護係数は、少なくとも20である。
【0023】
本発明の油中水型化粧用サンスクリーン組成物は、毎日の皮膚用製品、特に、皮膚のケアのため、メイクアップのため及び光防護のための製品として使用することができる。
【0024】
本発明はまた、高いSPFを有し、高い色カバー力を有する、皮膚のケアのため、メイクアップのため及び光防護のための製品を製造するための、前記油中水型化粧用サンスクリーン組成物の使用に関する。
【0025】
更に、本発明は、前記油中水型化粧用サンスクリーン組成物を製造するための方法であって、
i)メイン容器に、水、UVフィルター、ジメチコン及び任意選択で追加の化粧用に許容される成分を、約20~約60℃の範囲内の温度で加える工程、
ii)メイン容器に、少なくとも1種の顔料を、約25~約30℃の範囲内の温度で加える工程
を含む、方法を対象とする。
【0026】
本発明による方法の好ましい実施形態では、工程(i)は、2つの異なるサブ工程において行い、
i.1)水性相成分を、メイン容器内でまず互いに混合し、その結果、水性相が形成され、
i.2)油性成分を続いて、個々に水性相に加え、その結果、エマルションが形成される。
【0027】
用語
本発明の目的上、「油中水型組成物」という表現及び同様の表現は、油中水(W/O)型エマルションを意味し、逆相エマルションとも称する。
【0028】
ここで使用される場合、「ジメチコン」という用語は、INCI名ジメチコンを有する、少なくとも1種のシリコーン成分を意味する。
【0029】
ここで使用される場合、「少なくとも」という表現は、1つ又は複数を意味し、したがって、個々の構成成分と、混合物/組み合わせとを含む。
【0030】
ここで使用される場合、提供されるすべての範囲は、所与の範囲内のあらゆる特定の範囲、及び所与の範囲間の部分範囲の組み合わせを含むことを意味する。したがって、1~5の範囲には、具体的には1、2、3、4及び5、並びに部分範囲、例えば、2~5、3~5、2~3、2~4、1~4等を含む。ここで開示されるすべての範囲及び値は、両端を含み、組み合わせ可能である。例えば、ここで記載される範囲に含まれる、ここで記載される任意の値又は点は、部分範囲を導出するための最小値又は最大値等として機能することができる。
【0031】
「含む(comprising)」、「有する」及び「含む(including)」という用語は、開放型の、非限定的な意味で使用される。
【0032】
本開示の組成物及び方法は、ここに記載される開示の必須要素及び制限事項、並びにここに記載される又はそれ以外で有用な、あらゆる追加の又は任意選択の成分、構成成分又は制限事項を含んでもよく、これらからなってもよく、これらから本質的になってもよい。
【0033】
「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」という用語は、複数形と単数形とを包含するものと理解される。したがって、「これらの混合物(a mixture thereof)」という用語は、「これらの混合物(mixtures thereof)」にも関係する。開示全体を通じて、「これらの混合物(a mixture thereof)」という用語は、次の例に示されるように、要素のリストに続いて使用される(文字A~Fは要素を表す):「A、B、C、D、E、F及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ又は複数の要素」。「これらの混合物(mixtures thereof)」という用語は、混合物が、A、B、C、D、E及びFのすべてを含むことを要しない(A、B、C、D、E及びFのすべてが含まれてもよいが)。むしろ、A、B、C、D、E及びFのいずれか2つ以上の混合物が含まれてもよいことを示す。言い換えれば、「A、B、C、D、E、F、並びにA、B、C、D、E及びFのいずれか2つ以上の混合物からなる群から選択される、1つ又は複数の要素」という文言と同等である。
【0034】
ここでの百分率、部及び比はすべて、別段の指示がない限り、本開示の組成物の総質量に基づくものである。
【0035】
実施例又は別段の指示がある場合以外では、成分の量及び/又は反応条件を表現するすべての数は、すべての場合において、「約」という用語によって修飾されているものとして理解されるべきであり、±10%、±8%、±6%、±5%、±4%、±3%、±2%、±1%又は±0.5%を包含することができる。
【0036】
同様に、「その塩(a salt thereof)」という用語は、「その塩(salts thereof)」にも関係する。したがって、開示が「A、B、C、D、E、Fからなる群から選択される要素、その塩、及びこれらの混合物」を指す場合、A、B、C、D及びFの1つ以上が含まれてもよいこと、Aの塩、Bの塩、Cの塩、Dの塩、Eの塩及びFの塩の1つ以上が含まれてもよいこと、又はA、B、C、D、E、F、Aの塩、Bの塩、Cの塩、Dの塩、Eの塩及びFの塩のいずれか2つの混合物が含まれてもよいことを示す。
【0037】
本開示の全体を通じて言及される塩は、対イオン、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム対イオンを有する塩を含みうる。しかしながら、この対イオンのリストは、非限定的である。
【0038】
この開示において肯定的に述べるすべての構成成分及び要素は、特許請求の範囲から否定的に除外することができる。言い換えれば、例となる開示の組成物は、例となる開示全体を通じて肯定的に列挙されるすべての構成成分及び要素を、不含又は実質的に不含であってもよい。
【0039】
この明細書に引用されるすべての刊行物及び特許出願は、各個々の刊行物及び特許出願が、具体的に且つ個々に、参照によって組み込まれるように指示されたように、参照によって、任意のあらゆる目的のために、ここに組み込まれる。本開示と、参照によってここに組み込まれる任意の刊行物又は特許出願との間に不整合がある場合、本開示を優先する。
【0040】
顔料
本発明の油中水型化粧用サンスクリーン組成物は、少なくとも1種の顔料を含む。
【0041】
「顔料」という用語は、水性媒体に不溶性であり、得られる組成物及び/又は付着物を着色及び/又は不透明化することを意図した、白色又は有色の、鉱物又は有機粒子を意味することが意図される。これらの顔料は、白色であっても有色であってもよく、鉱物及び/又は有機物でありうる。
【0042】
特定の実施形態によれば、本発明に従って使用される顔料は、鉱物顔料から選択される。
【0043】
「鉱物顔料」という用語は、Ullmannの百科事典の無機顔料に関する章における定義を満たす任意の顔料を意味することが意図される。本発明において有用である鉱物顔料の中でも、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム、及び酸化亜鉛、酸化鉄(黒色、黄色若しくは赤色)又は酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物及びフェリックブルー、二酸化チタン、並びに金属粉末、例えばアルミニウム粉末及び銅粉末も挙げることができる。以下の鉱物顔料も使用することができる:Ta2O5、Ti3O5、Ti2O3、TiO、TiO2との混合物としてのZrO2、ZrO2、Nb2O5、CeO2、ZnS。
【0044】
本発明の文脈において、鉱物顔料は、特に酸化鉄及び/又は二酸化チタンである。特に挙げることができる例には、例えば三好化成株式会社によってNAIの参照名で販売されている、ステアロイルグルタミン酸アルミニウムでコーティングされた二酸化チタン及び酸化鉄が含まれる。他の好ましい例としては、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム及び水酸化アルミニウムによってコーティングされた二酸化チタン及び酸化鉄が挙げられる。
【0045】
本発明の目的上、本発明による顔料の「コーティング」とは、一般に、表面剤(surface agent)が前記顔料に吸収、吸着、又はグラフト化されることによる、顔料の全面的又は部分的な表面処理を表す。
【0046】
コーティングは、コーティングされた顔料の総質量に対して、約0.1%~約20.0質量%、特に約0.5~約5.0質量%に相当しうる。
【0047】
コーティングは、例えば、メイクアップ又はケア組成物の他の成分に粒子を組み込む前に、任意選択で加熱しながら、これらの粒子及び液体表面剤を撹拌して単純に混合することにより、固体粒子の表面上に前記表面剤を吸着させることによって行うことができる。
【0048】
コーティングは、例えば、表面剤と固体顔料粒子の表面とを化学反応させて、表面剤と粒子との間に共有結合を形成することによって行ってもよい。この方法は、特に、特許US4578266に記載されている。
【0049】
化学的表面処理は、揮発性溶媒中に表面剤を希釈すること、この混合物に顔料を分散させること、次いで、表面剤が顔料の表面に付着するように、揮発性溶媒をゆっくりと蒸発させることで構成されうる。
【0050】
本発明による油中水型化粧用サンスクリーン組成物中の少なくとも1種の顔料の量は、組成物の総質量に基づき、約10.0~約25.0質量%、好ましくは約10.0~約20.0質量%、より好ましくは約15.0~約20.0質量%の範囲内である。
【0051】
UVフィルター
本発明の油中水型化粧用サンスクリーン組成物のUVフィルターは、油溶性有機サンスクリーン成分及び水溶性有機サンスクリーン成分からなる群から選択される。本発明の非限定的な好適な有機UVフィルターを、下に更に記載する。
【0052】
油溶性有機サンスクリーン成分
「油溶性有機サンスクリーン成分」とは、油相に分子形態で十分に溶解することができる、若しくは混和性でありうる、又は油脂相にコロイド形態で(例えば、ミセル形態で)溶解することができる、UV照射を遮蔽するための任意の有機化合物を意味する。
【0053】
本発明に有用な油溶性有機サンスクリーン成分の非限定的な例としては、例えば、ケイ皮酸誘導体;アントラセン類;サリチル酸誘導体;ジベンゾイルメタン誘導体;カンファー誘導体;ベンゾフェノン誘導体;ジフェニルアクリレート誘導体;トリアジン誘導体;ベンゾトリアゾール誘導体;ベンザルマロネート(benzalmalonate)誘導体、とりわけ特許US5624663において引き合いに出されているもの;ベンゾイミダゾール誘導体;イミダゾリン;特許EP669323及びUS2463264に記載されているビス-ベンゾアゾリル(benzoazolyl)誘導体;p-アミノ安息香酸(PABA)誘導体;出願US5237071、US5166355、GB2303549、DE19726184及びEP893119に記載されているメチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体;特許出願EP0832642、EP1027883、EP1300137及びDE10162844に記載されているベンゾオキサゾール誘導体;遮蔽ポリマー及び遮蔽シリコーン、例えば、とりわけ特許出願WO93/04665に記載されているもの;アルキルスチレンから誘導される二量体、例えば特許出願DE19855649に記載されているもの;4,4-ジアリールブタジエン、例えば、特許出願EP0967200、DE19746654、DE19755649、EP-A-1008586、EP1133980及びEP1133981に記載されているもの、メロシアニン誘導体、例えば、特許出願WO04/006878、WO05/058269及びWO06/032741に記載されているのもの;並びにこれらの混合物が挙げられ、特許及び特許出願の全内容は、全体として参照によって組み込まれる。
【0054】
他の好適な油溶性有機サンスクリーン成分の例として、以下にINCI名で示すものを挙げることができる。
【0055】
ケイ皮酸誘導体:
好適なケイ皮酸誘導体の例としては、限定するものではないが、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸イソプロピル、メトキシケイ皮酸イソアミル、メトキシケイ皮酸DEA、メチルケイ皮酸ジイソプロピル、ジメトキシケイ皮酸エチルヘキサン酸グリセリルが挙げられる。
【0056】
ジベンゾイルメタン誘導体:
好適なジベンゾイルメタン誘導体の例としては、限定するものではないが、ブチルメトキシジベンゾイルメタン及びイソプロピルジベンゾイルメタンが挙げられる。
【0057】
サリチル酸誘導体:
好適なサリチル酸誘導体の例としては、限定するものではないが、ホモサレート、サリチル酸エチルヘキシル、サリチル酸ジプロピレングリコール及びサリチル酸TEAが挙げられる。
【0058】
ベータ,ベータ-ジフェニルアクリレート誘導体:
好適なベータ,ベータ-ジフェニルアクリレート誘導体の例としては、限定するものではないが、オクトクリレン及びエトクリレンが挙げられる。
【0059】
ベンゾフェノン誘導体:
好適なベンゾフェノン誘導体の例としては、限定するものではないが、ベンゾフェノン-1、ベンゾフェノン-2、ベンゾフェノン-3又はオキシベンゾン、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、ベンゾフェノン-6、ベンゾフェノン-8、ベンゾフェノン-9、ベンゾフェノン-12、n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート+、又はメトキシケイ皮酸オクチルとの混合物としてのものが挙げられる。
【0060】
ベンジリデンカンファー誘導体:
好適なベンジリデンカンファー誘導体の例としては、限定するものではないが、製造された3-ベンジリデンカンファー、4-メチルベンジリデンカンファー、製造されたポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファーが挙げられる。
【0061】
フェニルベンゾトリアゾール誘導体:
好適なフェニルベンゾトリアゾール誘導体の例としては、限定するものではないが、ドロメトリゾールトリシロキサン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチル-フェノール又は水性分散体としての微粉化形態が挙げられる。
【0062】
トリアジン誘導体:
好適なトリアジン誘導体の例としては、限定するものではないが、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロネート)sトリアジン、2,4-ビス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-(n-ブチル4'-アミノベンゾエート)-s-トリアジン、特許US6,225,467、特許出願WO2004/085412(化合物6及び9を参照されたい)、又は文献「Symmetrical Triazine Derivatives」、IP.COM Journal、IP.COM Inc.社(West Henrietta, NY, US) (2004年9月20日)に記載されている対称トリアジン遮蔽剤、とりわけ2,4,6-トリス(ビフェニル)-1,3,5-トリアジン(特に、特許出願WO06/035000、WO06/034982、WO06/034991、WO06/035007、WO2006/034992及びWO2006/034985に含まれる、2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン及び2,4,6-トリス(テルフェニル)-1,3,5-トリアジン)が挙げられる。
【0063】
アントラニル酸誘導体:
好適なアントラニル酸誘導体の例としては、限定するものではないが、アントラニル酸メンチルが挙げられる。
【0064】
イミダゾリン誘導体:
好適なイミダゾリン誘導体の例としては、限定するものではないが、エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネートが挙げられる。
【0065】
ベンザルマロネート誘導体:
好適なベンザルマロネート誘導体の例としては、限定するものではないが、ベンザルマロネート官能基を含有するポリオルガノシロキサン、例えばポリシリコーン-15が挙げられる。
【0066】
4,4-ジアリールブタジエン誘導体:
好適な4,4-ジアリールブタジエン誘導体の例としては、限定するものではないが、1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニル-ブタジエンが挙げられる。
【0067】
ベンゾオキサゾール誘導体:
好適なベンゾオキサゾール誘導体の例としては、限定するものではないが、2,4-ビス[5-(1-ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン及びその混合物が挙げられる。
【0068】
水溶性有機サンスクリーン成分
「水溶性有機サンスクリーン成分」とは、液体水性相に分子形態で十分に溶解することができる、若しくは混和性でありうる、又は液体水性相にコロイド形態で(例えば、ミセル形態で)溶解することができる、UV照射を遮蔽するための任意の有機化合物を意味する。
【0069】
本発明に有用な水溶性有機サンスクリーン成分の非限定的な例としては、例えば、テレフタリリデンジカンファースルホン酸(エカムスル)、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸(エンスリゾール)、ベンゾフェノン-4、アミノ安息香酸(PABA)、4-ビス(ポリエトキシ)-パラ-アミノ安息香酸ポリエトキシエチルエステル(PEG-25 PABA)、カンファーベンザルコニウムメトサルフェート、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(ビスオクトリゾール)、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム(ビスジソリゾール二ナトリウム)及びトリスビフェニルトリアジン;これらの誘導体及び対応する塩;ナフタレンビスイミド誘導体、例えば、その内容全体が、参照によってここに組み込まれる、欧州特許出願EP1990372A2に記載されているもの;並びにシンナミドアミンカチオン性第四級塩及び誘導体、例えば、その内容全体が、参照によってここに組み込まれる、米国特許5,601,811に記載されているもの、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0070】
本発明に従って使用されうる化合物の塩は、特に、アルカリ金属の塩、例えばナトリウム又はカリウムの塩;アルカリ土類金属の塩、例えば、カルシウム、マグネシウム又はストロンチウムの塩;金属塩、例えば、亜鉛、アルミニウム、マンガン又は銅の塩;式NH4+のアンモニウムの塩;第四級アンモニウム塩;有機アミンの塩、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、2-ヒドロキシエチルアミン、ビス(2-ヒドロキシエチル)アミン又はトリス(2-ヒドロキシエチル)アミンの塩;リジン又はアルギニンの塩から選択される。ナトリウム、カリウム、マグネシウム、ストロンチウム、銅、マンガン又は亜鉛の塩から選択される塩が、好ましく使用される。ナトリウム塩が、好ましく使用される。
【0071】
好ましい実施形態では、本発明の油中水型化粧用サンスクリーン組成物の少なくとも1種のUVフィルターは、オクトクリレン、サリチル酸エチルヘキシル、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ホモサレート及びこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましい実施形態では、少なくとも1種のUVフィルターは、約5.0質量%以下の濃度で、サリチル酸エチルヘキシルを含む。
【0072】
本発明の油中水型化粧用サンスクリーン組成物中の少なくとも1種のUVフィルターの量は、好ましくは、組成物の総質量に基づき、約15.0~約35.0質量%、より好ましくは約20.0~約30.0質量%、よりいっそう好ましくは約20.0~約25.0質量%の範囲内である。
【0073】

本発明の油中水型化粧用サンスクリーン組成物は、水を含む。使用される水は、無菌脱塩水、及び/又は脱イオン水、及び/又はフローラルウォーター、例えば、バラ水、ヤグルマギク水、カモミール水、若しくはライム水、及び/又は天然の温泉水若しくは鉱泉水、例えば、ヴィッテルの水、ヴィシー盆地の水、ユリアージュの水、ラロッシュポゼの水、ラブルブールの水、アンギャンレバンの水、サンジェルヴェレバンの水、ネリレバンの水、アルバールレバンの水、ディーニュの水、メジエールの水、ネイラックレバンの水、ロンルソーニエの水、オーボンヌの水、ロシュフォールの水、サンクリストの水、レフュマードの水、テルシレバンの水、又はアヴェンヌの水等であってよい。水はまた、再構成された温泉水、すなわち、微量元素、例えば亜鉛、銅、マグネシウム等を含み、温泉水の特徴を再構成している水を含んでもよい。
【0074】
好ましい実施形態では、本発明の油中水型化粧用サンスクリーン組成物は、約1:0.30~約1:0.55、より好ましくは約1:0.35~約1:0.50、よりいっそう好ましくは約1:0.40~約1:0.45の範囲内の、水とジメチコンとの間の質量比を有する。
【0075】
追加の成分
以前に記載した必須構成成分に加えて、本発明の油中水型化粧用サンスクリーン組成物は、とりわけ、活性化合物、充填材、保存剤、ジメチコン以外のシリコーン、水以外の溶媒、界面活性剤、ビタミン及びこれらの混合物から選択されうる、任意の通常の化粧用に許容される成分を更に含んでもよい。
【0076】
当業者であれば、本発明による組成物の有利な特性が、想定される添加によって有害な影響を受けない又は実質的に受けないように、任意選択の追加の成分及び/又はその量を注意深く選択することになる。
【0077】
好適なポリマーとしては、限定するものではないが、アクリレーツ/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマー、スチレン/アクリレーツコポリマー及びこれらの混合物が挙げられる。
【0078】
組成物はまた、ジメチコン以外の少なくとも1種のシリコーン成分を含んでもよく、これは中でも、カプリリルメチコン、ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマーでありうる。
【0079】
本発明に準拠して使用することができる保存剤の非限定例としては、フェノキシエタノールが挙げられる。
【0080】
追加の好適な溶媒としては、限定するものではないが、安息香酸C12~15アルキル、ペンチレングリコール、プロピレングリコール、カプリリルグリコール、プロパンジオール、エタノール及びこれらの混合物が挙げられる。
【0081】
適切な界面活性剤は、ポリグリセロールと、(i)2~5単位の12-ヒドロキシステアリン酸を含む、ポリヒドロキシステアリン酸、(ii)4~14個の炭素原子を含有する、直鎖状又は分枝状脂肪族ジカルボン酸、及び(iii)16~20個の炭素原子を含有する、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状脂肪酸との混合物のエステル化によって得られる、ポリヒドロキシステアリン酸及びジカルボン酸のエステルから選択される、ポリオールの脂肪酸エステルから選択されうる。特に、ポリオールの脂肪酸エステルは、ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4である。適切な界面活性剤はまた、ポリエチレングリコールエステル、特にジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30から選択される。
【0082】
様々な実施形態では、水以外の溶媒は、本開示の組み合わせ及び/又は組成物の総質量に基づき、約0.5~約30.0質量%、又は約5.0~約25.0質量%、又は約5.0~約20.0質量%の濃度で存在する。
【0083】
好適な追加の活性化合物としては、限定するものではないが、EDTA二ナトリウム、トリエタノールアミン、硫酸マグネシウム、カフェイン及びこれらの混合物が挙げられる。
【0084】
組成物はまた、少なくとも1種の充填材、例えば、シリカ、ポリ乳酸、ジステアルジモニウムヘクトライト、マイカ及びカオリンを含んでもよい。マイカの好ましい実施形態としては、INCI名合成フルオロフロゴパイトを有する合成マイカが挙げられる。
【0085】
本発明による好適なビタミンとしては、ナイアシンアミド及びトコフェロールを挙げることができる。
【0086】
追加の成分は、組成物の総質量に基づき、約10.0~約60.0質量%、例えば約15.0~約55.0質量%、例えば約15.0~約50.0質量%、又は例えば約15.0~約30.0質量%に相当しうる。
【0087】
非限定的な説明として、本発明をここで、以下の実施形態及び実施例を参照して記載する。
【0088】
実施形態
本発明による好適な油中水型化粧用サンスクリーン組成物の例は、
- 組成物の総質量に基づき9.0~16.0質量%の、酸化鉄(及び)ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム(及び)水酸化アルミニウム、
- 組成物の総質量に基づき1.0~3.0質量%の合成フルオロフロゴパイト、
- 組成物の総質量に基づき20.0~25.0質量%のオクトクリレン、サリチル酸エチルヘキシル、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン及びホモサレート、
- 組成物の総質量に基づき10.0~15.0質量%のジメチコン、
- 水(水とジメチコンとの間の質量比は、1:0.35~1:0.50の範囲内である)、
- 組成物の総質量に基づき0.1~2.0質量%のプロピレングリコール、
- 1.0~3.0%の硫酸マグネシウム及びカフェイン、
- 0.1~2.0%のジステアルジモニウムヘクトライト、
- 0.1~1.5%のフェノキシエタノール、
- 組成物の総質量に基づき1.0~5.0質量%のビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマー、
- 組成物の総質量に基づき0.1~3.0質量%のジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4及びジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30、
- 組成物の総質量に基づき1.0~5.0質量%のナイアシンアミド及びトコフェロール、並びに
- 5.0~15.0%のプロパンジオール及びエタノール
を含む。
【0089】
本発明による別の好適な油中水型化粧用サンスクリーン組成物は、
- 組成物の総質量に基づき1.0~10.0質量%の、酸化鉄(及び)ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム(及び)水酸化アルミニウム、
- 組成物の総質量に基づき8.0~15.0質量%の、二酸化チタン(及び)ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム(及び)水酸化アルミニウム、
- 組成物の総質量に基づき1.0~3.0質量%の合成フルオロフロゴパイト、
- 組成物の総質量に基づき20.0~25.0質量%のオクトクリレン、サリチル酸エチルヘキシル、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン及びホモサレート、
- 組成物の総質量に基づき10.0~15.0質量%のジメチコン、
- 水(水とジメチコンとの間の質量比は、1:0.35~1:0.50の範囲内である)、
- 組成物の総質量に基づき0.1~2.0質量%のプロピレングリコール、
- 1.0~3.0%の硫酸マグネシウム及びカフェイン、
- 0.1~2.0%のジステアルジモニウムヘクトライト、
- 0.1~1.5%のフェノキシエタノール、
- 組成物の総質量に基づき1.0~5.0質量%のビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマー、
- 組成物の総質量に基づき0.1~3.0質量%のジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4及びジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30、
- 組成物の総質量に基づき1.0~5.0質量%のナイアシンアミド及びトコフェロール、並びに
- 組成物の総質量に基づき5.0~15.0質量%のプロパンジオール及びエタノール
を含む。
【実施例
【0090】
(実施例1~10)
以下の通り、先行技術による油中水型化粧用サンスクリーン組成物を実施例1~5によって表し、本発明による好適な油中水型化粧用サンスクリーン組成物を実施例6~10によって表す。
【0091】
【表1】
【0092】
(実施例11)
安定性試験
本発明の実施例8及び10の油中水型化粧用サンスクリーン組成物の安定性を評価するために、試験を行い、実施例5の先行技術の組成物の安定性と比較した。
【0093】
製造後、組成物を、両方とも含有ガラス中で16~72時間、安定下で放置し、次いで、これらを
- 1週間55℃、
- 1か月間45℃及び
- 2か月間45℃
に付した。
【0094】
これらの期間の後、安定性及び物理化学の挙動を判断するために、組成物を続いて、顕微鏡及び肉眼で評価した。
【0095】
結果を図1図2及び図3に表すが、図1は、実施例5の先行技術の組成物の結果に関し、図2及び図3はそれぞれ、実施例8及び10による本発明の組成物の結果に関する。
【0096】
以上のように、実施例8及び10による組成物は、配合物の不安定性も、表面の顔料又はジメチコンの移動も示さなかったが、一方で、実施例5による組成物は、明らかに不安定であり、赤色酸化鉄及びジメチコンの移動という挙動があり、シリコーンが浮き出した。
図1
図2
図3
【国際調査報告】