(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】電波吸収材料を含有する複合A型分子篩原料粉末、オールゼオライト分子篩、これらの製造方法、及び使用
(51)【国際特許分類】
B01J 20/18 20060101AFI20240124BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20240124BHJP
B01D 15/00 20060101ALI20240124BHJP
C01B 32/956 20170101ALI20240124BHJP
C01B 39/02 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
B01J20/18 E
B01J20/30
B01D15/00 L
C01B32/956
C01B39/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546136
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(85)【翻訳文提出日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 CN2021131146
(87)【国際公開番号】W WO2022183776
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】202110232361.9
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523214915
【氏名又は名称】蘇州立昂新材料有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】▲ゴン▼ 強
【テーマコード(参考)】
4D017
4G066
4G073
4G146
【Fターム(参考)】
4D017AA03
4D017BA01
4D017BA04
4D017BA11
4D017CA05
4D017CB01
4D017DA01
4G066AA13D
4G066AA15D
4G066AA20A
4G066AA22A
4G066AA61B
4G066BA09
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4G066CA43
4G066DA07
4G066EA09
4G066FA03
4G066FA21
4G066FA22
4G066FA26
4G066FA31
4G066FA33
4G066FA34
4G066FA37
4G066FA40
4G066GA03
4G073BA11
4G073BA63
4G073BB48
4G073FA30
4G073FB03
4G073FD08
4G073FD21
4G073FD23
4G073FD27
4G146MA14
4G146MB02
4G146MB18A
4G146MB30
4G146NA05
4G146NA11
(57)【要約】
電波吸収材料を含有する複合A型分子篩原料粉末、オールゼオライト分子篩、これらの製造方法、及び使用を提供し、分子篩の技術分野に属する。該電波吸収材料を含有する複合A型分子篩原料粉末は、マイクロナノサイズの電波吸収材料と、電波吸収材料を晶種として原位置成長したA型分子篩と、を含み、成形、結晶転移、イオン交換及び活性化の工程を経て電波吸収材料を含有するオールゼオライト分子篩とすることができる。上記で製造された電波吸収材料を含有するオールゼオライト分子篩は、特異的分子を高度に吸着することができ、しかも、マイクロ波加熱により迅速な再生が可能である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波吸収材料を含有する複合A型分子篩原料粉末の製造方法であって、
マイクロナノサイズの電波吸収材料粉体を秤量して、A型分子篩前駆体反応溶液に入れ、その後、マイクロ波で加熱して反応させ、
マイクロ波で加熱するときに、電波吸収材料が選択的に加熱されて、粒子表面効果の作用により、分子篩が成長する晶種として原位置成長してA型分子篩を合成し、合成したA型分子篩が電波吸収材料を覆っており、
反応終了後、乾燥して電波吸収材料を含有する複合A型分子篩原料粉末を得る
ことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記A型分子篩前駆体反応溶液はアルカリ性シリカアルミ反応液であり、反応液材料の組成のモル比がxM
2O:ySiO
2:Al
2O
3:zH
2O(ここで、Mはアルカリ金属イオン、有機アンモニウムイオンのうちの1種又は複数種であり、xは2~12、yは1.5~6.5、zは30~400である。)であり、
マイクロ波加熱の出力電力が0.1~2kW、反応温度が40~110℃、反応時間が1~48h、乾燥温度が80~120℃である
請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記マイクロナノサイズの電波吸収材料は、炭化ケイ素粒子、炭化ケイ素繊維、炭素繊維、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンブラックのうちの1種又は複数種を含み、前記A型分子篩はLTA型分子篩のうちの1種である
請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記電波吸収材料のサイズが1nm~100μmである
請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記電波吸収材料のサイズが10nm~10μmである
請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
電波吸収材料を含有する複合A型分子篩原料粉末であって、
請求項1ないし5のいずれかに記載の製造方法で製造され、マイクロナノサイズの電波吸収材料と、マイクロナノサイズの電波吸収材料を晶種として原位置成長したA型分子篩と、を含み、A型分子篩が電波吸収材料を覆っている
ことを特徴とする複合A型分子篩原料粉末。
【請求項7】
電波吸収材料を含有するオールゼオライト分子篩の製造方法であって、
電波吸収材料を含有する複合A型分子篩原料粉末と、バインダとを所定の割合で均一に混合したものをミーリングした後、造粒機で成形し、さらに乾燥して焙焼し、成形粒子材料を得る、成形のステップS1と、
ステップS1で得られた成形粒子材料をベークしてアルカリ溶液に入れ、加熱して結晶化反応を行い、成形粒子材料中のバインダをゼオライト結晶に転化し、オールゼオライト分子篩を得る、結晶転移のステップS2と、
ステップS2で製造されたオールゼオライト分子篩を吸湿させて水に浸漬し、蠕動ポンプによりイオン交換カラム内に送り、イオン交換温度まで加熱した後、目的のイオン溶液を導入してイオン交換を行い、イオン交換反応を終了し後、脱イオン水でリンスし、さらに脱水し、目的のイオン溶液変性オールゼオライト分子篩を収集する、イオン交換のステップS3と、
ステップS3で製造された目的のイオン溶液変性オールゼオライト分子篩に予備ベーク処理を行い、予備ベーク後、半完成品を活性化炉に送って焙焼し、焙焼終了後、冷却して排出温度まで降温してから排出し、篩に掛けて、電波吸収材料を含有するオールゼオライト分子篩の完成品を得る、活性化のステップS4と、を含む
ことを特徴とする製造方法。
【請求項8】
前記成形粒子材料中のバインダの重量割合が5%~20%であり、バインダはカオリン、ハロイサイト、アロフェンのうちの1種又は複数種である
請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
ステップS1では、1種以上の添加剤がさらに添加されており、添加剤は、水ガラス、アルミニウムゾル、シリカゾル、シリコーン樹脂エマルション、ピロリン酸塩、リン酸水素アルミニウム、セルロース類及びその誘導体、タンニンエキスのうちの1種又は複数種を含む
請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】
ステップS2では、アルカリ溶液は、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、水酸化カルシウム溶液のうちの少なくとも1種であり、溶液の濃度が1質量%~40質量%であり、加熱温度が65~125℃である
請求項7に記載の製造方法。
【請求項11】
ステップS3では、目的のイオン溶液は、目的のイオン溶液を含む可溶性塩化物溶液、水酸化物溶液、硫酸塩溶液、硝酸塩溶液のうちの少なくとも1種であり、溶液の濃度が1質量%~40質量%であり、イオン交換温度が50~130℃であり、イオン交換反応においてpH値が6~12の範囲に制御され、リンスに使用される脱イオン水の温度が60~90℃である
請求項7に記載の製造方法。
【請求項12】
ステップS4では、ベーク温度が80~220℃に制御され、乾燥後の生成物の水分が5%~15%に制御され、活性化炉は乾燥ガスで予熱されてから、ステップS3で製造された目的のイオン溶液変性オールゼオライト分子篩を焙焼し、予熱温度が400~800℃であり、焙焼温度が500~580℃であり、焙焼時間が3~5時間であり、排出温度が50~20℃である
請求項7に記載の製造方法。
【請求項13】
電波吸収材料を含有するオールゼオライト分子篩であって、
請求項7ないし12のいずれかに記載の製造方法で製造され、
粒径分布が0.1~5.0mmであり、プロセスにおけるイオン交換度が95%以上、静的水分吸着が20wt%以上、含水量が1.5wt%以下、摩耗率が1.5wt%未満である
ことを特徴とするオールゼオライト分子篩。
【請求項14】
前記電波吸収材料を含有するオールゼオライト分子篩は、吸着後にマイクロ波加熱により活性化されて再生され、マイクロ波加熱の出力電力を0.5~2kWとして、電波吸収材料を含有するオールゼオライト分子篩の温度を100~250℃に上昇させて、1~40min処理すると、活性化再生を完了する
請求項13に記載の電波吸収材料を含有するオールゼオライト分子篩。
【請求項15】
請求項14に記載の電波吸収材料を含有するオールゼオライト分子篩の、吸着剤として不純物除去における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子篩分野の技術に関し、具体的には、電波吸収材料を含有する複合A型分子篩原料粉末、オールゼオライト分子篩、これらの製造方法、及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は、主に正極、負極及び電解液からなり、必ず電解液を介したチウムイオンの正極と負極の間での嵌脱がなければ、充放電を行うことができず、リチウムイオン電池の最初の充放電時に、電解液と電極材料との間で反応が起こり、リチウムイオン電池の特性に重要な影響を与える固体電解液界面膜(SEI)が形成される。しかし、電解液には、生産過程で微量の水、酸、アルコール類などの不純物が不可避的に混入され、たとえ特性に優れた商品化電解液であっても、これらの不純物の含有量が約0.001%であるが、これらの微量不純物もSEI膜の性質を破壊したり変化したりし、電池の可逆容量とサイクル特性を低下させる。さらに、微量の水は電解液中のヘキサフルオロリン酸リチウム塩を分解し、また電解液中の有機溶媒と反応してアルコールを生成する可能性があり、さらに、リチウムイオン電池の充放電時にリチウムイオンを消費し、LiOH、Li2O、HFなどの物質を生成し、これらの物質がいずれもリチウムイオン電池の特性を低下させる可能性がある。そのため、電解液の純度はリチウムイオン電池の電気化学特性に重要な影響を与える。
【0003】
分子篩は、吸湿性が高く、各種溶媒の脱水にほぼ使用できる特性に優れていることから、実験室や工業に幅広く利用されている。リチウムイオン非水電解液は、理論的に適当な分子篩を原料としてリチウム型分子篩を製造することにより、その中の微量の水や、水の分子サイズに近いフッ化水素やメタノールなどの小分子不純物を効率的に除去することができる。
【0004】
特許文献1:特許出願CN200810050070.2(2008)には、Li-LSX分子篩の製造方法が開示されており、この方法は、カリウムイオン水溶液でLSXを複数回交換してK+-LSXを得て、さらにアンモニウムイオン水溶液で複数回交換してNH4-LSXを得て、最後にリチウムイオン交換をしてLi-LSXを得るものであり、リチウムイオン交換過程でNH3を回収してLi交換を促進する必要がある。この方法は、NH4
+遷移による交換方法を採用することでLiの利用率を高めるが、処理の流れは比較的に複雑で、しかも、低シリカアルミノ分子篩骨格自体の劣悪な水熱安定性のため、頻繁な水熱イオン交換により分子篩骨格が破壊され、その結果、完成品がリチウムイオン非水電解液の不純物除去に用いることができない恐れがある。当該出願で製造されたLi-LSXがリチウムイオン非水電解液の不純物除去に用いることができない別の原因としては、それが分子篩の原料粉末の製造に係わるが、実際の使用において、分子篩の原料粉末は球状化工程により小球状にしなければ正常に使用できない場合が多いが、球状化工程では、バインダと他の添加物を添加することは避けられないため、前期のLi交換度が高くても、球状化工程を経ると、リチウムイオンの含有量は必然的に減少し、また、リチウムイオン非水系電解液が微量の水を高度に吸着する際にバインダなどの材料中のイオン交換による他のイオンの二次汚染をもたらし、特にナトリウムイオン汚染はリチウムイオン非水系電解液にとって致命的である。
【0005】
以上の問題に加えて、大量のリチウムイオン非水電解液の不純物除去過程では、不純物を吸着した分子篩をどのように効率的に脱着して再生するかという問題や、吸着剤の製造コストを抑えるかという問題にも直面している。
【0006】
従来技術に存在している上記問題を解決するために、本発明を完成させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許出願CN200810050070.2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
多くのタイプの分子篩の中で、A型分子篩は、製造されやすく、コストが低く、さまざまなイオンと交換することによって3A、4A、5A分子篩を得ることができ、これにより、さまざまなサイズの分子の篩掛け、分離や吸着効果を実現することができる。これに鑑みて、本発明は、従来技術に存在する上記の欠点に対して、電波吸収材料を含有する複合A型分子篩原料粉末、オールゼオライト分子篩、それらの製造方法、及び使用を提案し、製造されたオールゼオライト分子篩は、特異的分子を高度に吸着することができ、マイクロ波加熱により迅速な再生が可能であり、活性化再生効率を高めることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1態様は、マイクロナノサイズの電波吸収材料と、マイクロナノサイズの電波吸収材料を晶種として原位置成長したA型分子篩と、を含み、A型分子篩が電波吸収材料を覆っている、電波吸収材料を含有する複合A型分子篩原料粉末を提供する。
いくつかの実施形態では、マイクロナノサイズの電波吸収材料は、炭化ケイ素粒子、炭化ケイ素繊維、炭素繊維、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンブラックのうちの1種又は複数種を含み、A型分子篩はLTA(Linde Type A)型分子篩のうちの1種、典型的には、例えば3A分子篩、4A分子篩、5A分子篩である。
【0010】
好ましくは、電波吸収材料のサイズが1nm~100μm、さらに好ましくは、10nm~10μmである。
【0011】
本発明の第2態様は、
マイクロナノサイズの電波吸収材料粉体を秤量して、A型分子篩前駆体反応溶液に入れ、その後、マイクロ波で加熱して反応させ、
マイクロ波で加熱するときに、電波吸収材料が選択的に加熱されて、粒子表面効果の作用により、分子篩が成長する晶種として原位置成長してA型分子篩を合成し、合成したA型分子篩が電波吸収材料を覆っており、
反応終了後、乾燥して電波吸収材料を含有する複合A型分子篩原料粉末を得る、上記の電波吸収材料を含有する複合A型分子篩原料粉末の製造方法を提供する。
【0012】
いくつかの実施形態では、A型分子篩前駆体反応溶液はアルカリ性シリカアルミ反応液であり、反応液材料の組成のモル比がxM2O:ySiO2:Al2O3:zH2O(ここで、Mはアルカリ金属イオン、有機アンモニウムイオンのうちの1種又は複数種であり、xは2~12であり、yは1.5~6.5であり、zは30~400である。)、マイクロ波加熱の出力電力が0.1~2kW、反応温度が40~110℃、反応時間が1~48h、乾燥温度が80~120℃である。好ましくは、加熱温度が60~100℃、反応時間が1~24hである。
【0013】
本発明の第3態様は、
電波吸収材料を含有する複合A型分子篩原料粉末と、バインダとを所定の割合で均一に混合したものをミーリングした後、造粒機で成形し、さらに乾燥して焙焼し成形粒子材料を得る、成形のステップS1と、
ステップS1で得られた成形粒子材料をベークしてアルカリ溶液に入れ、加熱して結晶化反応を行い、成形粒子材料中のバインダをゼオライト結晶に転化し、オールゼオライト分子篩を得る、結晶転移のステップS2と、
ステップS2で製造されたオールゼオライト分子篩を吸湿させて水に浸漬し、蠕動ポンプによりイオン交換カラム内に送り、イオン交換温度まで加熱した後、目的のイオン溶液を導入してイオン交換を行い、イオン交換反応を終了し後、脱イオン水でリンスし、さらに脱水し、目的のイオン溶液変性オールゼオライト分子篩を収集する、イオン交換のステップS3と、
ステップS3で製造された目的のイオン溶液変性オールゼオライト分子篩に予備ベーク処理を行い、予備ベーク後、半完成品を活性化炉に送って焙焼し、焙焼終了後、冷却して排出温度まで降温してから排出し、必要に応じて、窒素又は乾燥空気の保護下、篩に掛けて、電波吸収材料を含有するオールゼオライト分子篩の完成品を得る、活性化のステップS4と、を含む、電波吸収材料を含有するオールゼオライト分子篩の製造方法を提供する。
【0014】
好ましくは、成形粒子材料中のバインダの重量割合が5%~20%であり、バインダはカオリン、ハロイサイト、アロフェンのうちの1種又は複数種である。
【0015】
ステップS1では、成形粒子材料の各種の特性、例えば、強度向上、摩耗低減、空隙率向上などを最適化させる1種以上の添加剤がさらに添加されており、添加剤は、水ガラス、アルミニウムゾル、シリカゾル、シリコーン樹脂エマルション、ピロリン酸塩、リン酸水素アルミニウム、セルロース類及びその誘導体、タンニンエキスなどのうちの1種又は複数種を含む。成形の形状は、球状、ストランド状などであってもよく、具体的な用途に応じて設計すべきである。
【0016】
ステップS2では、アルカリ溶液は、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、水酸化カルシウム溶液のうちの少なくとも1種であり、溶液の濃度が1質量%~40質量%、好ましくは1質量%~15質量%であり、加熱温度が65~125℃、好ましくは75~95℃である。
【0017】
ステップS3では、目的のイオン溶液は、目的のイオン溶液を含む可溶性塩化物溶液、水酸化物溶液、硫酸塩溶液、硝酸塩溶液のうちの少なくとも1種であり、溶液の濃度が1質量%~40質量%であり、イオン交換温度が50~130℃であり、イオン交換中、pH値が6~12範囲に制御され、リンスに使用される脱イオン水の温度が60~90℃である。
【0018】
ステップS4では、ベーク温度が80~220℃に制御され、乾燥後の生成物の水分が5%~15%に制御され、活性化炉は乾燥ガスで予熱されてから、ステップS3で製造された目的のイオン溶液変性オールゼオライト分子篩を焙焼し、予熱温度が400~800℃であり、焙焼温度が500~580℃であり、焙焼時間が3~5時間であり、排出温度が50~20℃である。乾燥ガスは、好ましくは純粋な窒素ガス又は露点範囲が-50℃~-90℃の乾燥圧縮空気である。
【0019】
本発明の第4態様は、上記製造方法で製造され、粒径分布が0.1~5.0mmであり、プロセスにおけるイオン交換度が95%以上、静的水分吸着が20wt%以上、含水量が1.5wt%以下、摩耗率が1.5wt%未満である、電波吸収材料を含有するオールゼオライト分子篩を提供する。
【0020】
いくつかの実施形態では、電波吸収材料を含有するオールゼオライト分子篩は、吸着後にマイクロ波加熱により活性化されて再生される。すなわち、分子篩による吸着が完了した後、分子篩を洗浄し、次に、マイクロ波加熱により活性化することで分子篩を脱水して再生し、分子篩の吸着能力を回復し、これにより、分子篩のリサイクルが実現され、マイクロ波加熱の出力電力を0.5~2kWとして、電波吸収材料を含有するオールゼオライト分子篩の温度を100~250℃に上昇させて、1~40min処理すると、活性化再生を完了する。
【0021】
本発明の第5態様は、電波吸収材料を含有するオールゼオライト分子篩の、吸着剤として不純物除去における使用、特にリチウムイオン非水電解液の不純物除去における使用を提供する。
【0022】
リチウムイオン非水電解液では、微量の水、フッ化水素やメタノールなどの不純物分子の直径がほぼ0.4nm未満であるが、電解液中の有機溶媒分子の半径が大きいため、孔径4Aの電波吸収材料を含有するオールゼオライトリチウム型分子篩を用いると、不純物を除去しつつ、有機溶媒が吸着されて除去されないことを確保することができる。孔径3A又は5Aの電波吸収材料を含有するオールゼオライトリチウム型分子篩を用いると、不純物除去効果がわずかに低下する。上記使用では、電波吸収材料を含有するオールゼオライトリチウム型分子篩の使用により不純物除去におけるイオン交換による二次汚染を回避することができる。
【発明の効果】
【0023】
技術的効果
従来技術と比べて、本発明は、下記技術的効果を有する。
1)電波吸収機能を有するマイクロナノ材料を添加することにより、分子篩合成を促進し、分子篩の合成効率を向上させ、電波吸収材料を含有する複合A型分子篩原料粉末を合成し、さらに高効率マイクロ波加熱機能を備えたオールゼオライト分子篩を得る。この分子篩は、電解液中の水などの小分子物質を吸着した後、吸着された小分子物質を効率的かつ低エネルギー消費でマイクロ波加熱により除去することができ、加熱再生時間を数時間から30分程度、さらには数分にまで短縮させることができ、分子篩の効率的なリサイクル、さらにはオンラインでの迅速な再生を実現する。他の分子篩の脱着再生と同様に、電波吸収材料を含有するオールゼオライト分子篩も高温気流加熱による活性化が可能であるが、この活性化再生過程では電波吸収材料の役割を果たすことが困難であり、オンライン活性化は実現できない。
2)マイクロ波加熱における電波吸収機能材料の表面効果に基づいて、電波吸収材料を含有する複合A型分子篩原料粉末を合成する場合、有機又は無機の鋳型剤を添加したり除去したりする必要がなく、プロセスが簡単で、電波吸収機能材料の作用も鋳型剤の作用と異なる。
3)分子篩粉末を顆粒状にすることにより、吸着プロセスにおける電解液の通過性を向上させ、吸着処理効率を向上させることができ、従来の粉末分子篩に対し、濾過時間を時間レベルから分レベルに短縮させることができる。
4)成形工程で添加されたバインダに結晶転換処理を行うことにより、非ゼオライト結晶構造のバインダをゼオライト結晶に転換することにより、分子篩の吸着特性を向上させ、未結晶転換分子篩に比べて吸着能力を5%~20%向上させることができる。また、水熱交換を繰り返し行うことなくオールゼオライト分子篩を製造することができ、構造安定性が効果的に向上する。
5)製造された電波吸収材料を含有するオールゼオライト分子篩は、分子篩が水を高度に除去する特性を十分に発揮し、水を除去するプロセスを簡略化して、水を除去する効率を高め、電解液の品質を高めることができる。また、電波吸収材料を含有するオールゼオライトリチウム型分子篩を採用すれば、Na+、K+の含有量が極めて低く、電解液中の微量の水、フッ化水素やメタノールなどの分子を吸着する際に、Li+と交換して電解液中のLi+純度に影響を与えることがなく、特に二次汚染を生じることがなく、リチウムイオン電池のサイクル特性を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、特定実施形態を参照して本発明を詳細に説明する。実施例において具体的な条件が明記されていない実験方法は、常法や条件に従って行われる。
実施例1
【0025】
本実施例は、ステップS1~S5を含む、電波吸収材料を含有するオールゼオライトリチウム型分子篩の製造方法に関する。
【0026】
S1:電波吸収機能を有する複合A型分子篩原料粉末の原位置合成
材料のモル配合比3Na2O:2SiO2:Al2O3:128H2Oで、ケイ酸ナトリウム及びアルミン酸ナトリウムを秤量して、溶液をそれぞれ調製し、2種の溶液にそれぞれ水酸化ナトリウムを加え、次に、2種の溶液を均一に混合した。
炭化ケイ素粉末1kgを秤量して、アルカリ性シリカアルミソル反応液(9kgのA型分子篩の理論収量に従って投入する)に加え、マイクロ波反応器に入れて、100Wで10min反応させ、炭化ケイ素電波吸収材料を含有する複合4A分子篩原料粉末を得た。
【0027】
S2:球状化
製造された炭化ケイ素電波吸収材料を含有する複合4A分子篩原料粉末8kg(乾燥基準)、カオリン2kgを秤量して、Φ500mmの混合機に入れ、30分間混合し、ミックスを得た。
ミックス5kg(乾燥基準重量換算)を秤量して、EIRICH自動成形機に入れて、混合溶液に注入し、成形用とし、成形粒子の直径を1.2~1.8mmにした。
成形粒子を真空マッフル炉に入れて、350~550℃で2~3時間焙焼し、球状粒子材料を得た。
球状粒子材料を乾燥皿に入れて、室温に冷却し、サンプリングして静的水分吸着を測定した結果、静的水分吸着量は21.7wt%に達する。
【0028】
S3:結晶転移
球状粒子材料3kgを秤量して、脱イオン水に入れて重量を量った結果、4.84kgとなり、得られた結晶化反応溶液と球状粒子材料との重量比が3.5:1となる割合で、濃度8質量%の水酸化ナトリウム溶液へ球状粒子材料3kgを加え、結晶化反応溶液を得た。
95℃に昇温させて、溶液槽に入れ、結晶化反応を3時間行った。
結晶化反応終了後、50Lの冷たい水で洗浄し、次に、10Lの70℃熱水で2回洗浄し、さらに冷たい水でpH=8(試験紙で測定)となるまで洗浄し、結晶化反応分子篩ボールを得た。サンプリングしてpH値を分析した結果、10.45に達する。
結晶化反応分子篩ボールについて吸水性を試験した。
試験条件:25℃、RH50の条件下で、24時間吸水させる。その結果:結晶化反応前は21.7wt%、結晶化反応後は24.5wt%であった。
【0029】
S4:リチウムイオン交換
結晶転移後、結晶化反応分子篩ボール(4A分子篩)を吸湿させて、リチウムイオン交換装置に入れて水に浸漬し、装置内の材料を85~90℃に加熱して保温した。装置に濃度1質量%~8質量%の硫酸リチウム溶液を導入して、pHを6~12に制御した。所定の時間後、装置のサンプリング出口から液体中のイオン濃度を検出し、液体中のイオン濃度が所定値になると、リチウムイオン交換反応を終了し、オールゼオライトリチウム型分子篩を得た。脱イオン水で装置内のオールゼオライトリチウム型分子篩をリンスし、所望の程度までリンスすると、材料を取り出して脱水し、オールゼオライトリチウム型分子篩を収集した。
【0030】
S5:活性化
オールゼオライトリチウム型分子篩をベルトオーブンにゆっくりと加えて、予備ベーク処理を行い、オーブン内の温度を80~220℃に制御し、乾燥後の材料の水分を5%~15%に制御し、材料を容器に収集した。
乾燥済みの材料を縦型活性化炉に入れて、純粋な窒素ガス又は露点-70℃の乾燥圧縮空気を電気ヒータで450-600℃に加熱した。熱ガスを縦型活性化炉に導入して、材料を500~580℃に加熱して焙焼し、3~5時間保温し、炭化ケイ素電波吸収材料を含有するオールゼオライトリチウム型分子篩の完成品を得た。
その後、縦型炉内の電波吸収材料を含有するオールゼオライトリチウム型分子篩の完成品を冷却器で50℃~20℃に下げた後、窒素ガス又は適格な乾燥空気の保護下で篩に掛けて、包装バレルに包装した。
製造された電波吸収材料を含有するオールゼオライトリチウム型分子篩の完成品について検出を行った結果、静的水分吸着は23.6wt%であり、Li交換度は96.6%であり、かさ密度は0.69g/mlであり、摩耗率は0.09wt%であり、平均粒径は1.38mmであり、篩分け粒度(<1.00)は0.1wt%であり、篩分け粒度(>1.70)は0.1wt%であり、含水量は0.952wt%であり、特性に優れた。完成品は、良好な球状度を有し、粒径が均一で、優れたスタッキング効果が得られ、リチウムイオン電池の電解液の不純物除去に対応できる。
実施例2
【0031】
本実施例は、ステップS1~S4を含むオールゼオライトリチウム型分子篩の製造方法に関する。
【0032】
S1:球状化
市販4A分子篩(化学式:3Na2O:2SiO2:Al2O3:128H2O)原料粉末(乾燥基準)8kg、カオリン2kgを秤量して、Φ500mmの混合機に入れて、30分間混合した。
ミックス5kgを秤量して、EIRICH自動成形機に入れて、混合溶液を注入し、成形用とし、成形粒子の直径を1.2~1.8mmにした。
成形粒子を真空マッフル炉に入れて、350~550℃で2~3時間焙焼し、球状粒子材料を得た。
球状粒子材料を乾燥皿に入れて、室温に冷却し、サンプリングして静的水分吸着を測定した結果、静的水分吸着量は20.0wt%に達する。
【0033】
S2:結晶転移
得られた結晶化反応溶液と球状粒子材料との重量比が3.5:1となる割合で、濃度8質量%の水酸化ナトリウム溶液へ球状粒子材料3kgを加え、結晶化反応溶液を得た。
95℃に昇温させて、溶液槽に入れ、結晶化反応を3時間行った。
結晶化反応終了後、まず、50Lの冷たい水で洗浄し、次に、10Lの70℃熱水で2回洗浄し、さらに冷たい水でpH=8(試験紙で測定)となるまで洗浄し、結晶化反応分子篩ボールを得た。サンプリングしてpH値を分析した結果、10.45に達する。
結晶化反応分子篩ボールについて吸水性を試験した。
試験条件:25℃、RH50の条件下で、24時間吸水させた。その結果:結晶化反応前は20.0wt%、結晶化反応後は22.3wt%であった。
【0034】
S3:リチウムイオン交換
結晶転移後、結晶化反応分子篩ボール(4A分子篩)を吸湿させて、リチウムイオン交換装置に入れて水に浸漬し、装置内の材料を85~90℃に加熱して保温した。装置に濃度1質量%~8質量%の硫酸リチウム溶液を導入して、pHを6~12に制御した。所定の時間後、装置のサンプリング出口から液体中のイオン濃度を検出し、液体中のイオン濃度が所定値になると、リチウムイオン交換反応を終了し、オールゼオライトリチウム型分子篩を得た。脱イオン水で装置内のオールゼオライトリチウム型分子篩をリンスし、所望の程度までリンスすると、材料を取り出して脱水し、オールゼオライトリチウム型分子篩を収集した。
【0035】
S4:活性化
オールゼオライトリチウム型分子篩をベルトオーブンにゆっくりと加えて、予備ベーク処理を行い、オーブン内の温度を80~220℃に制御し、乾燥後の材料の水分を5%~15%に制御し、材料を容器に収集した。
乾燥済みの素材を縦型活性化炉に入れて、純粋な窒素ガス又は露点-70℃の乾燥圧縮空気を電気ヒータで450-600℃に加熱した。熱ガスを縦型活性化炉に導入して、素材を500~580℃に加熱して焙焼し、3~5時間保温し、オールゼオライトリチウム型分子篩の完成品を得た。
その後、縦型炉内の電波吸収材料を含有するオールゼオライトリチウム型分子篩の完成品を冷却器で20℃~50℃に下げた後、窒素ガス又は適格な乾燥空気の保護下で篩に掛けて、包装バレルに包装した。
製造された完成品について検出を行った結果、静的水分吸着は22.5wt%であり、Li交換度は94.0%であり、かさ密度は0.70g/mlであり、摩耗率は0.15wt%であり、平均粒径は1.34mmであり、篩分け粒度(<1.00)は0.5wt%であり、篩分け粒度(>1.70)は0.5wt%であり、含水量は0.952wt%であり、特性に優れた。完成品は、良好な球状度を有し、粒径が均一で、優れたスタッキング効果が得られ、リチウムイオン電池の電解液の不純物除去に対応できる。
実施例3
【0036】
本実施例は、ステップS1~S5を含む電波吸収材料を含有するオールゼオライトカルシウム型分子篩の製造方法に関する。
【0037】
S1:電波吸収機能を有する複合A型分子篩原料粉末の原位合成
材料のモル配合比12M2O:60SiO2:Al2O3:400H2Oで、ケイ酸ナトリウムを秤量して、水と均一に混合して、溶液とし、水酸化テトラメチルアンモニウム溶液を秤量してアルミニウムイソプロポキシド及び水酸化ナトリウムに加えて、溶液とした。2種の溶液を均一に混合し、混合液中の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMA)とナトリウムイオンとのモル比を1.675とした。
炭化ケイ素粉末0.5kgを秤量して、アルカリ性シリカアルミソル反応液(9.5kgのA型分子篩の理論収量に従って投入する)に加え、マイクロ波反応器に入れて、100Wで60min反応させ、炭化ケイ素電波吸収材料を含有する複合4A分子篩原料粉末を得た。
【0038】
S2:球状化
製造された炭化ケイ素電波吸収材料を含有する複合4A分子篩原料粉末9kg(乾燥基準)、ハロイサイト1kgを秤量して、Φ500mmの混合機に入れ、30分間混合した。
ミックス(乾燥基準重量換算)5kgを秤量して、EIRICH自動成形機に入れて、混合溶液を注入し、成形用とし、成形粒子の直径を1.2~1.8mmにした。
成形粒子材料を真空マッフル炉に入れて、350~550℃で2~3時間焙焼し、球状粒子材料を得た。
球状粒子材料を乾燥皿に入れて、室温に冷却し、サンプリングして静的水分吸着を測定した結果、静的水分吸着量は25.2wt%に達する。
【0039】
S3:結晶転移
得られた結晶化反応溶液と球状粒子材料との重量比が3.5:2となる割合で、濃度8質量%の水酸化ナトリウム溶液へ球状粒子材料3kgを加え、結晶化反応溶液を得た。
95℃に昇温させて、溶液槽に入れ、結晶化反応を3時間行った。
結晶化反応終了後、まず、50Lの冷たい水で洗浄し、次に、10Lの70℃熱水で2回洗浄し、さらに冷たい水でpH=8(試験紙で測定)となるまで洗浄し、結晶化反応分子篩ボールを得た。サンプリングしてpH値を分析した結果、10.45に達する。
結晶化反応分子篩ボールについて吸水性を試験した。
試験条件:25℃、RH50の条件下で、24時間吸水させた。その結果:結晶化反応前は25.2wt%、結晶化反応後は28.0wt%であった。
【0040】
S4:カルシウムイオン交換
結晶転移後、結晶化反応分子篩ボール(4A分子篩)を吸湿させて、リチウムイオン交換装置に入れて水に浸漬し、装置内の材料を85~90℃に加熱して保温した。装置に濃度2質量%~10質量%の塩化カルシウム溶液を導入して、pHを6~9に制御した。所定の時間後、装置のサンプリング出口から液体中のイオン濃度を検出し、液体中のイオン濃度が所定値になると、カルシウムイオン交換反応を終了し、オールゼオライトカルシウム型分子篩(5A分子篩)を得た。脱イオン水で装置内のオールゼオライトカルシウム型分子篩をリンスし、所望の程度までリンスすると、材料を取り出して脱水し、オールゼオライトカルシウム型分子篩を収集した。
【0041】
S5:活性化
オールゼオライトカルシウム型分子篩をベルトオーブンにゆっくりと加えて、予備ベーク処理を行い、オーブン内の温度を80~220℃に制御し、乾燥後の材料の水分を5%~15%に制御し、材料を容器に収集した。
乾燥済みの素材を縦型活性化炉に入れて、純粋な窒素ガス又は露点-70℃の乾燥圧縮空気を電気ヒータで450-600℃に加熱した。熱ガスを縦型活性化炉に導入して、素材を500~580℃に加熱して焙焼し、3~5時間保温し、電波吸収材料を含有するオールゼオライトカルシウム型分子篩の完成品を得た。
その後、冷却器で縦型炉内の電波吸収材料を含有するオールゼオライトカルシウム型分子篩を50℃~20℃に下げた後、窒素ガス又は適格な乾燥空気の保護下で完成品を篩に掛けて、包装バレルに包装した。
製造された完成品について検出を行った結果、静的水分吸着は24.1wt%であり、カルシウムイオン交換度は95.2%であり、かさ密度は0.69g/mlであり、摩耗率は0.07wt%であり、平均粒径は1.31mmであり、篩分け粒度(<1.00)は0.4wt%であり、篩分け粒度(>1.70)は0.3wt%であり、含水量は0.952wt%であり、特性に優れた。完成品は、良好な球状度を有し、粒径が均一で、優れたスタッキング効果が得られ、リチウムイオン電池の電解液の不純物除去に対応できる。
実施例4
【0042】
本実施例は、ステップS1~S4を含むオールゼオライトカルシウム型分子篩の製造方法に関する。
【0043】
S1:球状化
市販4A分子篩(化学式:12M2O・60SiO2・Al2O3・400H2O、M:テトラメチルアンモニウムイオン)原料粉末9kg(乾燥基準)、ハロイサイト1kgを秤量して、Φ500mmの混合機に入れ、30分間混合した。
ミックス(乾燥基準重量換算)5kgを秤量して、EIRICH自動成形機に入れて、混合溶液を注入し、成形用とし、成形粒子の直径を1.2~1.8mmにした。
成形粒子を真空マッフル炉に入れて、350~550℃で2~3時間焙焼し、球状粒子材料を得た。
球状粒子材料を乾燥皿に入れて、室温に冷却し、サンプリングして静的水分吸着を測定した結果、静的水分吸着量は22.7wt%に達する。
【0044】
S2:結晶転移
得られた結晶化反応溶液と球状粒子材料との重量比が3.5:2となる割合で、濃度8質量%の水酸化ナトリウム溶液へ球状粒子材料3kgを加え、結晶化反応溶液を得た。
95℃に昇温させて、溶液槽に入れ、結晶化反応を3時間行った。
結晶化反応終了後、まず、50Lの冷たい水で洗浄し、次に、10Lの70℃熱水で2回洗浄し、さらに冷たい水でpH=8(試験紙で測定)となるまで洗浄し、結晶化反応分子篩ボールを得て、サンプリングしてpH値を分析した結果、10.45に達する。
結晶化反応分子篩ボールについて吸水性を試験した。
試験条件:25℃、RH50の条件下で、24時間吸水させた。その結果:結晶化反応前は22.7wt%であり、結晶化反応後は25.2wt%であった。
【0045】
S3:カルシウムイオン交換
結晶転移後、結晶化反応分子篩ボール(4A分子篩)を吸湿させて、リチウムイオン交換装置に入れて水に浸漬し、装置内の材料を85~90℃に加熱して保温した。装置に濃度2~10質量%の塩化カルシウム溶液を導入し、pHを6~9に制御した。所定の時間後、装置のサンプリング出口から液体中のイオン濃度を検出し、液体中のイオン濃度が所定値になると、カルシウムイオン交換反応を終了し、オールゼオライトカルシウム型分子篩(5A分子篩)を得た。脱イオン水で装置内のオールゼオライトカルシウム型分子篩をリンスし、所望の程度までリンスすると、材料を取り出して脱水し、オールゼオライトカルシウム型分子篩を収集した。
【0046】
S4:活性化
オールゼオライトカルシウム型分子篩をベルトオーブンにゆっくりと加えて、予備ベーク処理を行い、オーブン内の温度を80~220℃に制御し、乾燥後の材料の水分を5%~15%に制御し、材料を容器に収集した。
乾燥済みの素材を縦型活性化炉に入れて、純粋な窒素ガス又は露点-70℃の乾燥圧縮空気を電気ヒータで450-600℃に加熱した。熱ガスを縦型活性化炉に導入して、素材を500~580℃に加熱して焙焼し、3~5時間保温し、オールゼオライトカルシウム型分子篩の完成品を得た。
その後、冷却器で縦型炉内のオールゼオライトカルシウム型分子篩の完成品を50℃~20℃に下げた後、窒素ガス又は適格な乾燥空気の保護下で篩に掛けて、包装バレルに包装した。
製造された完成品について検出を行った結果、静的水分吸着は22.1wt%であり、カルシウムイオン交換度は94.3%であり、かさ密度は0.69g/mlであり、摩耗率は0.07wt%であり、平均粒径は1.31mmであり、篩分け粒度(<1.00)は0.4wt%であり、篩分け粒度(>1.70)は0.3wt%であり、含水量は0.952wt%であり、特性に優れた。完成品は、良好な球状度を有し、粒径が均一で、優れたスタッキング効果が得られ、リチウムイオン電池の電解液の不純物除去に対応できる。
分子篩が電解液中で水を飽和まで吸着したり、吸着能力が所定値に下がったりした後、分子篩を洗浄し、その後、本発明のマイクロ波高温活性化プロセスにより水を吸着した分子篩を脱水して再生することによって、分子篩の吸着能力を取り戻し、分子篩のリサイクルを実現することができる。
【0047】
実施例1~2、実施例3~4を比較した結果、通常の市販A型分子篩に球状化、結晶化、結晶転移、活性化工程を行うことによっても、オールゼオライト分子篩を製造し、リチウムイオン非水電解液の不純物の除去に用いてもよいが、実施例1及び実施例3では、マイクロ波加熱により複合A型分子篩原料粉末を合成するため、反応が効率的で、エネルギー消費量が低く、これにより、製造された電波吸収材料を含有するオールゼオライト分子篩は、静的水分吸着特性等の点に関しては、さらなる向上が認められた。
【0048】
実施例2及び実施例4で製造されたオールゼオライト分子篩を、25℃、RH50の条件下で、24時間吸水させた後、オーブンに入れて脱着して再生した。150℃で2hベークし、オーブンの電力を2kWとし、含水量を10%以下低下させ、消費電力の見積もりを4kW・hとした。マイクロ波加熱により含水量を10%に低下させる場合、マイクロ波の電力は1kWであり、かかる時間は1hであり、消費電力の見積もりは1kW・hであった。
【0049】
実施例1及び実施例3で製造された電波吸収材料を含有するオールゼオライト分子篩を、25℃、RH50の条件下で、24時間吸水させた後、マイクロ波加熱器に入れて脱着して再生した。マイクロ波をオンにして30min持続し、電力を1kWとし、含水量を10%以下に低下させることができ、消費電力の見積もりは0.5kW・hであった。
【0050】
以上により、実施例1及び実施例3で製造された電波吸収材料を含有するオールゼオライト分子篩についてマイクロ波加熱により活性化して再生することによって、分子篩の効率的なリサイクルを実現することができ、しかも、エネルギー消費量及びコストを大幅に低下させる。
【0051】
なお、以上は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を何らの形で制限するものではなく、本発明の技術的な趣旨に基づいて以上の実施例について行われる簡単な修正、同等変化及び修飾であれば、本発明の技術的解決手段の範囲に含まれる。
【国際調査報告】