(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】高精度予測衛星軌道及びクロックデータを配信する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01S 19/07 20100101AFI20240124BHJP
【FI】
G01S19/07
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546339
(86)(22)【出願日】2022-02-01
(85)【翻訳文提出日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 CA2022050148
(87)【国際公開番号】W WO2022165590
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514067959
【氏名又は名称】アールエックス ネットワークス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】べラッド,ヴィジェイクマール
(72)【発明者】
【氏名】マラテ,ティアガラジャ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ユアンソン
(72)【発明者】
【氏名】タントリー,シュリーニバス チャクラパニ
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062CC07
5J062EE05
(57)【要約】
衛星軌道及びクロックデータを配信する方法は、離散時間エポックで正確な予測衛星位置及び正確な予測クロックを取得することと、正確な予測衛星位置と衛星からの放送暦を用いて計算される衛星位置とに基づいて放送暦の軌道補正値を決定することと、軌道補正値を軌道補正モデルに適合させることと、正確な予測クロックと衛星からの放送暦を用いて計算されるクロックとに基づいて放送暦のクロック補正値を決定することと、クロック補正値をクロック補正モデルに適合させることと、軌道補正モデル及びクロック補正モデルを配布することとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正確な予測衛星軌道及びクロックデータを配信する方法であって、
離散時間エポックで正確な予測衛星位置及び正確な予測クロックを取得することと、
前記正確な予測衛星位置と衛星からの放送暦を用いて計算される衛星位置とに基づいて放送暦の軌道補正値を決定することと、
前記軌道補正値を軌道補正モデルに適合させることと、
前記正確な予測クロックと衛星からの前記放送暦を用いて計算されるクロックとに基づいて放送暦のクロック補正値を決定することと、
前記クロック補正値をクロック補正モデルに適合させることと、
前記軌道補正モデル及びクロック補正モデルを配布することと
を含む方法。
【請求項2】
取得すること、軌道補正値を決定すること、前記軌道補正値を適合させること、クロック補正値を決定すること、前記クロック補正値を適合させること、及び配布することが、複数の衛星の各々に対して反復されることを反復することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記軌道補正モデルは、n次の多項式を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記クロック補正モデルは、放送クロック持続時間の有効性に対する1次又は2次多項式を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
衛星位置及びクロック推定値と事前送信補正モデルを用いて前記エポックで計算される衛星位置及びクロックとの間の差を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記軌道補正モデル及びクロック補正モデルを配布することは、前記差が閾値差を超えると決定することに応じている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記軌道補正モデル及びクロック補正モデルを配布することは、衛星健全状態の識別変化に応じている、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
第1の衛星用の前記クロック補正モデルは、第2の衛星用の前記クロック補正モデルと比較して異なる時間にわたって有効である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記軌道補正モデル及びクロック補正モデルのセットを、有効性期間にわたって送信する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記軌道補正モデル及びクロック補正モデルを、リアルタイム軌道及びクロック補正値と一緒に、未来の有効性期間にわたって送信する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
放送暦の軌道補正値を決定することは、デカルト座標の衛星位置差を計算し、半径方向、アロングトラック、及びクロストラック成分に変換することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
離散時間エポックで正確な予測衛星位置及び正確な予測クロックを取得することは、
サーバーで受信される観測及び航法データを利用し、事前時間にわたって衛星位置を計算し、リアルタイムで衛星クロックを計算することと、
前記事前時間にわたって前記衛星位置を利用して、第1の未来時間にわたって離散時間エポックで衛星位置を予測することと、
前記計算衛星クロックを利用して、第2の未来時間にわたって離散時間エポックで衛星クロックを予測することと、
前記予測衛星位置を使用し、前記第1の未来時間以下の軌道適合持続時間を有する1つ又は複数の予測軌道モデルを生成することと、
前記第2の未来時間以下のクロック適合持続時間を有する前記予測衛星クロックを使用する1つ又は複数の予測クロックモデルを生成することと、
前記予測軌道モデル及び前記予測クロックモデルを利用し、各軌道適合持続時間にわたって一定の間隔で衛星位置を決定し、各クロック適合持続時間にわたって一定の間隔でクロックを決定することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
離散時間エポックにおける前記正確な予測衛星位置及び正確な予測クロックを、外部源から受信する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
電子デバイスで正確な衛星位置及び正確なクロックを取得する方法であって、
1つ又は複数の予測軌道及びクロック補正モデルを受信することと、
離散時間エポックで前記軌道補正モデルのうち選択された1つから、半径方向、アロングトラック、及びクロストラック補正成分を生成することと、
前記半径方向、アロングトラック、及びクロストラック補正成分を、デカルト座標で衛星位置補正値に変換することと、
衛星からの放送暦を用いて衛星位置及びクロックを計算することと、
デカルト座標における前記衛星位置補正値を、放送暦を用いて計算される前記衛星位置に適用することによって、正確な衛星位置を決定することと、
前記クロック補正モデルのうち選択された1つに基づいてクロック補正値を生成することと、
前記生成クロック補正値を、放送暦を用いて計算される前記クロックに適用することによって、正確なクロックを決定することと
を含む方法。
【請求項15】
関心のあるエポック及び前記軌道補正モデルのうち前記1つの有効性期間に基づいて、前記軌道補正モデルのうち前記1つを選択することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
関心のある前記エポック及び前記クロック補正モデルのうち前記1つの有効性期間に基づいて、前記クロック補正モデルのうち前記1つを選択することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
放送暦を用いて衛星位置及びクロックを計算することは、関心のある前記エポックで前記衛星位置及びクロックを計算することを含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、全地球的航法衛星システム(GNSS)測位システム用の高精度位置決定で用いる衛星軌道及びクロックデータの予測に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
位置を当てにするサービスの数が増加するにつれて、GNSS測位精度を向上させる解決策を求め続ける。支援、更に多くの位置ベースのサービスへの機能及び信頼性の追加を必要とする個人を突き止める場合、正確な測位は、特に重要である。
【0003】
GNSS受信機は、距離測定と一緒に、衛星軌道及びクロックデータ、及び大気遅延情報を利用して、かなり正確なユーザ位置を計算する。単独測位とも呼ばれる標準的な測位方法において、GNSS衛星からの標準放送データで達成可能な精度は、約5メートルである。正確な衛星軌道、クロック及び信号伝搬遅延モデル又は一括距離補正値は通常、ユーザ位置精度を向上させるためにGNSS受信機によって使用される。
【0004】
ディファレンシャル測位技法は、既知の座標を有する近隣基準局からディファレンシャルGNSS(DGNSS)データを取得することによって、ユーザ位置精度を向上させることが知られている。DGNSSデータは、一括形式で移動局デバイスにおいて行われる距離測定に補正を与える。換言すれば、衛星軌道及びクロック誤差、衛星ハードウェアバイアス、大気伝搬効果を含む全ての距離誤差成分を、1つのディファレンシャル補正値に束ねる。これらのディファレンシャル補正値は、1メートル以下のユーザ位置精度に対して非常に限られた間隔(例えば、1分)にわたって有効である。搬送波位相距離観測値を用いてセンチメートルレベルの精度を達成して維持することは、数秒の更新間隔で連続的にDGNSSデータを必要とする。更に、ディファレンシャル測位は、ユーザデバイスと基準局との間の双方向通信を必要とする。
【0005】
精密点測位(PPP)は、ネットワーク接続を介してデバイスで得られる状態空間表現(SSR)補正値とも呼ばれる個々の補正データを使用することによって、正確な衛星軌道及びクロックを受信機デバイスで使用する別の高精度測位方法である。リアルタイムでネットワークから補正値を受信するために、正確な位置を必要とする受信機デバイスを、インターネットに、又は別の通信チャネルを介して、連続的に接続する。典型的に、高精度補正値生成サーバーは、ネットワーク上で配布するために、軌道、クロック、大気遅延及び衛星バイアス補正値をリアルタイムで推定する。これらのリアルタイム衛星軌道及びクロック補正値は、適用時から数分を超える高精度測位に有用でない。大気補正値は通常、比較的長い時間(例えば、10分~15分の範囲)にわたって有効である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
概要
高精度衛星軌道及びクロック予測データを配信する開示方法は、連続ネットワーク接続性を有しないデバイス、及び/又は、データ帯域幅を減らしたいが、高精度位置を必要とするデバイスにとって非常に有益である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、衛星ベースの航法システムでリアルタイム高精度補正値を交換又は補強する高精度GNSS受信機用の正確な衛星軌道及びクロック予測データの片方又は両方の配信に関する。正確な軌道及びクロック予測及び配信は、ネットワーク上で転送されるデータ量を大幅に減らし、GNSS受信機を有するクライアントデバイスで無線ネットワーク停止中でも正確な衛星軌道及びクロックを提供する。
【0008】
SSR補正値を用いた高精度測位GNSS受信機は一般的に、リアルタイムで補正値を受信する。リアルタイムで衛星軌道及びクロックを推定するサーバーによって、補正値を生成する。1秒から最長1分の更新間隔で周期的に、オープン標準形式で、データを配信する。数分を超えて補正値を受信しない場合、補正値の有効性は十分に長くなく、受信機における測位精度は低下する。オープン標準補正形式の例は、RTCM SSR、CSSR、SPARTNなどを含む。
【0009】
既存の高精度補正データ配布方法の制限の1つは、ネットワーク停止の場合、GNSS受信機の位置精度に影響を与える数分を超えると、リアルタイム軌道及びクロック補正値が有効でないことである。更に、リアルタイム補正値の連続伝送は、無線ネットワーク上で転送されるデータ量を増加する。
【0010】
本発明の1つの態様において、全世界の多数の基準局からの観測値、及び過去の期間(例えば、24時間)にわたって収集された航法データを使用することによって、正確なGNSS軌道及びクロックを生成する。正確な衛星位置及びクロックは一般的に、過去の1日にわたって推定され、次に、サーバーで約1日の未来期間にわたって等間隔エポック(例えば、15分)で予測される。推定及び予測エポックは一般的に、サーバーの計算効率のために、5分以上になるように選択される。予測衛星位置の精度は、時間と共に低下する。従って、正確な予測軌道を与える状況において、予測は、数時間~最長1日に制限される。離散エポックにおける予測精密衛星位置は一般的に、物理的モデルに続く連続時間精密軌道モデル(例えば、ケプラーのパラメータ)に変換され、任意の所与の時に衛星位置を取得する。予測軌道は通常、多くのより短い持続時間適合間隔に適合され、予測精密軌道予測の精度を保持する。
【0011】
一般的に、GNSS衛星による暦の一部としての軌道及びクロックパラメータ放送は、未来の数時間にわたって有効である。放送衛星軌道の予測半径方向(デルタR)、アロングトラック(デルタA)及びクロストラック(デルタX)軌道補正成分を、放送暦の有効性期間にわたって計算し、暦の次のセットまで重複するために更に超える短い持続時間は、受信機で利用できる。軌道不正確度を2cm以下に抑えるために、放送暦有効性期間内でデルタR、デルタA及びデルタX補正値を生成する際に、より短い適合間隔の多数の予測軌道モデルを、衛星放送暦と一緒に使用する。次に、予測補正値を、連続時間モデル(例えば、3次又は4次多項式)に適合させる。予測補正モデルを、GNSS受信機クライアントデバイス用のサーバーから伝送する。補正値を、多くのより短い持続時間(例えば、15分、30分、1時間又は2時間の未来の適合間隔)にわたってn次の多項式に適合させることができる。
【0012】
放送衛星クロックの予測クロック補正値を、有効な放送クロック持続時間(及び軌道の場合のような延長重複期間)にわたって、モデル、例えば多項式(1次又は2次)として、高精度測位GNSS受信機に伝送する。
【0013】
実施形態の態様によれば、正確な予測衛星軌道及びクロックデータを配信する方法を提供する。方法は、離散時間エポックで正確な予測衛星位置及び正確な予測クロックを取得することと、正確な予測衛星位置と衛星からの放送暦を用いて計算される衛星位置とに基づいて放送暦の軌道補正値を決定することと、軌道補正値を軌道補正モデルに適合させることと、正確な予測クロックと衛星からの放送暦を用いて計算されるクロックとに基づいて放送暦のクロック補正値を決定することと、クロック補正値をクロック補正モデルに適合させることと、軌道補正モデル及びクロック補正モデルを配布することとを含む。
【0014】
実施形態の別の態様によれば、電子デバイスで正確な衛星位置及び正確なクロックを取得する方法を提供する。方法は、1つ又は複数の予測軌道及びクロック補正モデルを受信することと、離散時間エポックで軌道補正モデルのうち選択された1つから、半径方向、アロングトラック、及びクロストラック補正成分を生成することと、半径方向、アロングトラック、及びクロストラック補正成分を、デカルト座標で衛星位置補正値に変換することと、衛星からの放送暦を用いて衛星位置及びクロックを計算することと、デカルト座標における衛星位置補正値と放送暦を用いて計算された衛星位置とに基づいて正確な衛星位置を決定することと、正確な衛星位置補正値を用いて正確な衛星位置を取得することと、クロック補正モデルのうち選択された1つに基づいてクロック補正値を生成することと、生成クロック補正値と放送暦を用いて計算されたクロックとに基づいて正確なクロックを決定することと、正確なクロック補正値を用いて正確なクロックを取得することとを含む。
【0015】
実施形態の別の態様によれば、衛星軌道データを配信する方法を提供する。方法は、離散時間エポックで正確な予測衛星位置を取得することと、正確な予測衛星位置と衛星からの放送暦を用いて計算される衛星位置とに基づいて放送暦の軌道補正値を決定することと、軌道補正値を軌道補正モデルに適合させることと、軌道補正モデルを配布することとを含む。
【0016】
実施形態の更に別の態様によれば、衛星クロックデータを配信する方法を提供する。方法は、離散時間エポックで正確な予測クロックを取得することと、正確な予測クロックと衛星からの放送暦を用いて計算されるクロックとに基づいて放送暦のクロック補正値を決定することと、クロック補正値をクロック補正モデルに適合させることと、クロック補正モデルを配布することとを含む。
【0017】
実施形態の更に別の態様によれば、衛星軌道及びクロックデータを配信する方法を提供する。方法は、過去の正確な衛星位置及び正確な衛星クロックを利用して、離散時間エポックで正確な予測衛星位置及び正確な予測クロックを決定することと、正確な衛星位置を利用し、連続時間軌道モデルを生成することと、正確な予測クロックを利用し、連続時間クロックモデルを生成することと、クロック補正値をクロック補正モデルに適合させることと、連続時間軌道モデル及び連続時間クロックモデルを配布することとを含む。
【0018】
実施形態の別の態様によれば、電子デバイスで正確な衛星位置及び正確なクロックを取得する方法を提供する。方法は、正確な予測軌道モデル及び正確な予測クロックモデルを受信することと、正確な予測軌道モデルのうち選択された1つを利用して、関心のあるエポックで正確な衛星位置を決定することと、正確な予測クロックモデルのうち選択された1つを利用して、関心のあるエポックで正確な衛星クロックを決定することとを含む。
【0019】
図面
下記の図面は、同じ参照符号が同じ部品を示す例を説明する。本開示は、添付図面に示す例に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態による、正確なユーザ位置決めの予測軌道及びクロック補正値の配信のシステムを示す。
【
図2】実施形態の態様による、衛星軌道及びクロックデータを予測し、衛星放送暦の軌道及びクロック補正モデルを決定し、補正モデルを配布する方法を示すフローチャートである。
【
図3】半径方向、アロングトラック及びクロストラック補正成分の時系列のグラフの例を示す。
【
図4】実施形態の態様による、衛星放送暦の適合間隔、正確な予測軌道モデルの適合間隔、及び放送暦衛星位置の半径方向、アロングトラック及びクロストラック補正値のうち1つの正確な軌道補正モデルの適合間隔の例を示す。
【
図5】
図2の実施形態の別の態様による、予測衛星軌道及びクロック補正データを受信及び使用する方法を示すフローチャートである。
【
図6】別の実施形態の態様による、正確な衛星軌道及びクロックデータを予測及び配布する方法を示すフローチャートである。
【
図7】
図6の実施形態の別の態様による、正確な予測衛星軌道及びクロックデータを受信及び使用する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
例示を簡単及び明確にするために、必要に応じて、対応する又は類似の要素を示すために、参照符号を図面の中で繰り返すことができることが分かる。更に、ここに記載の例の完全な理解を与えるために、多くの特定の詳細を示す。しかし、これらの特定の詳細なしで、ここに記載の例を実施することができることを、当業者は分かる。明示的に指定のない限り、ここに記載の方法は、特定の順序又は列に限定されない。更に、記載の方法又は方法の要素の一部は、同じ時点で生じる、又は実行されることができる。他の場合、周知の方法、手続き及び構成要素は、ここに記載の例を曖昧にしないように、説明されていない。更に、説明は、ここに記載の例の範囲を限定するとみなされるべきではない。この明細書において、軌道及びクロックは、別に指定のない限り、それぞれ衛星軌道及び衛星クロックを意味する。更に、正確な衛星位置又は正確な衛星軌道は、放送暦を用いて得られる精度よりも優れた精度(例えば、各ベクトル成分で5cmの精度)を意味する。正確な衛星クロックは、放送暦を用いて得られる精度よりも優れた精度(例えば、1nsの精度)を意味する。
【0022】
図1を参照して、高精度GNSS受信機の予測軌道及びクロック補正値の配信用のシステム100の例を示す。予測補正値を伝送する衛星システムは、GPS、GLONASS、Galileo、BeiDou、QZSS、NavICを含んでもよく、SBASを含む任意の他の衛星ベースの航法システムに適用できる。
【0023】
図1に例示のように、精密軌道及びクロック推定及び予測サーバー104は、グローバルGNSS基準局ネットワーク102と通信している。グローバルGNSS基準局ネットワーク102は、衛星の可観測性のために全世界で幾つかの局を含み、典型的に、約100個以上の局を有する。既知の測量位置における基準受信機は、衛星軌道及びクロックを正確に決定するために、GNSS衛星の2つ以上の周波数で信号に対するレンジ、レンジレート及び信号強度観測を行う。基準局からのリアルタイムデータを使用して、正確な軌道及びクロック、及びサーバー104における正確な予測を生成する。
【0024】
サーバー104は、無線接続(例えば、ネットワーク150)を介して、ここでクライアントデバイスとも呼ばれる電子デバイス106と通信している。例として、ネットワークは、データ通信を支援する任意の無線ネットワークであってもよい。電子デバイス106は、電子デバイス106の全動作を制御する主プロセッササブシステム108を含む。主プロセッササブシステム108は、プロセッサ110、メモリ112、及び有線又は無線接続を介してサーバー104と通信することができる通信インターフェース114を含む。主プロセッササブシステム108の例は、オペレーティングシステム(OS)を有するシングルボードコンピュータ(SBC)である。
【0025】
電子デバイス106のGNSS受信機は、GNSS信号を受信するGNSSアンテナ116と、主プロセッササブシステム108及びGNSSアンテナ116と通信しているGNSSサブシステム118とを含む。GNSSサブシステム118は、更なる処理のためにGNSS信号に対応するデジタル化GNSSデータを生成する。ユーザ位置推定を含むGNSS受信機の全動作を、GNSSサブシステム118によって実行する。代わりに、GNSSサブシステム118及び主プロセッササブシステム108によって、動作を共用することができる。GNSSサブシステム118の例は、局所的に位置推定を生成することができる独立型GNSS受信機、位置推定を行うために別のデバイスから支援データを受信する支援GNSS(A-GNSS)受信機、電子デバイス106における、又は電子デバイス106と無線通信しているサーバー104を含む1つ又は複数のサーバーにわたって分布するソフトウェア無線(SDR)受信機に関連する無線周波数(RF)フロントエンド(FE)を含む。
【0026】
電力インターフェース122を介して主プロセッササブシステム108と通信する電源120によって、電子デバイス106に電力を供給する。例において、電源120は、1つ又は複数のバッテリーである。電子デバイス106は、主プロセッササブシステム108と通信している出力デバイス124を含む。出力デバイス124は、例えば、表示器、スピーカー、及び別のタイプの出力デバイスのうち1つ又は複数であってもよい。電子デバイス106は、例えば、ユーザ入力を受信するために、主プロセッササブシステム108と通信している入力デバイス126を含む。
【0027】
電子デバイス106は、例えば、スマートフォン、タブレット、ポータブルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、活動追跡デバイス、ビーコン、ルーター、ドローン、ロボット、機械対機械(M2M)デバイス、又は車載航法システムであってもよい。
【0028】
図2を参照して、実施形態の態様による高精度予測衛星軌道及びクロックデータを配信する方法を説明する。方法は、図示及び記載の要素よりも多い又は少ない要素を含んでもよく、方法の一部を、ここに図示又は記載の順序と異なる順序で実行してもよい。
図2に示す処理を、サーバー104で実行してもよい。
【0029】
図1の例に示すように、サーバー104は、グローバルGNSS基準局ネットワーク102と通信しており、202で、サーバーは、観測及び航法データを連続的に収集する。204で、サーバー104は、収集データを用いて正確な衛星位置及びクロックデータを推定する前に、過去のある時間(例えば、24時間)にわたって、観測及び航法データを記憶する。
【0030】
基準局からの観測及び航法データを利用して、サーバー104で、正確な軌道及びクロック及び正確な予測を生成する。サーバー104は、放送航法データ、促進モデル、太陽輻射圧モデル、衛星本体及びアンテナモデルなどと一緒に、数時間~数日間にまで及ぶ過去の幾つかのエポックにおけるレンジ、レンジレート及び信号強度観測を利用して、現在の時刻まで、過去の衛星軌道弧に対する正確な衛星位置を決定する。より頻繁に予測軌道を生成し、長期予測で不正確度を抑えるのを支援するために、正確な軌道決定を、1日に数回実行する。206で、観測及び航法データを収集した期間(例えば、24時間)にわたって、正確な衛星位置を決定する。220で、リアルタイム観測及び航法データを用いて、正確なクロックを決定する。
【0031】
208で、衛星に作用する全ての力をモデル化する軌道力学、及び衛星状態ベクトルの現在の最良推定値及び他のパラメータを用いて、未来の衛星位置を、サーバー104によって予測する。半径方向における予測衛星位置は、未来への数時間(例えば、最大3時間の予測に対して約2cm)に対して十分に正確である。従って、サーバー104は、数時間(例えば、24時間)にわたって予測衛星位置を生成する。予測離散衛星位置の時間間隔は、サーバー104における計算資源に基づいている。一般的に、予測離散衛星位置の時間間隔は、約15分である。この処理は、過去の1つ又は複数の弧に対して、206で決定された正確な衛星位置データを用いて、1日に数回(例えば、8回)実行される。同様に、軌道決定及び予測の全処理を、異なる間隔で(例えば、1日に4回、6回、又は24回)実行することができる。代わりに、軌道決定及び予測のこの処理を、サーバー104で実行しない。この場合、208で、予測離散衛星位置を、外部源からサーバー104によって直接取得する。
【0032】
210で、予測離散衛星位置を使用して、連続時間軌道モデルを生成する。予測離散衛星位置を用いて最適精度を得るために、より短い適合持続時間を有する多数の連続時間軌道モデルを生成する。212で、連続時間軌道モデルを用いて、正確な衛星位置を、未来時間エポックで計算する。これらの未来時間エポックの時間間隔は、数秒(例えば、5秒)のオーダーである。
【0033】
代わりに、208で得られた予測離散衛星位置は、狭い間隔の時間エポック(例えば、5秒)で入手できる。これらの予測離散衛星位置自体を、連続時間軌道モデルを生成する必要なしに、212で正確な衛星位置として使用する。
【0034】
240で、基準ネットワーク102又は他の手段を介して得られる衛星の放送暦を受信する。242で、212の同じ時間エポックに対して放送暦を用いて、衛星位置を計算する。214で、212で決定された正確な衛星位置と242で放送暦を用いて計算された衛星位置との間の差を計算することによって、衛星位置補正値を決定する。
【0035】
まず、214で、衛星位置補正値を、未来時間エポックにおけるデカルト座標で計算する。次に、216で、これらの衛星位置補正値を、半径方向、アロングトラック及びクロストラック軌道補正成分に変換する。半径方向、アロングトラック及びクロストラック軌道補正成分の時系列の例を、
図3に示す。
【0036】
未来時間エポックにおける半径方向、アロングトラック及びクロストラック軌道補正値の各々に対して、218で、対応する連続時間軌道補正モデルは、データを表現するのに適している。軌道補正モデルデータ適合間隔は、衛星放送暦の有効性期間、及び210で決定された正確な連続時間軌道モデルの適合間隔に左右される。軌道補正モデル適合間隔の例を、
図4に示す。軌道補正モデル適合間隔は、より短い正確な予測軌道モデル適合間隔及び衛星放送暦有効性期間である。モデルの例としての4次又は5次多項式は、十分な精度を有する軌道補正値を表す。各軌道補正成分及び各衛星に対する曲線適合方法(例えば、最小二乗適合)によって、多項式の係数を決定する。軌道補正モデルは、1つ又は複数のパラメータからなってもよく、例は、モデルタイプ及び係数を含む。219で、これらの軌道補正モデルパラメータ(例えば、多項式の係数と一緒に多項式モデル)を、有線又は無線ネットワーク上で配布する。配布軌道補正モデルの各々は、未来の対応する有効性期間を有する。208、210、212、240、242、214、216及び218におけるステップを、GNSS配置の各衛星に対して反復する。
【0037】
例において、軌道補正成分のいずれかが所定の精度閾値よりも小さい場合、218における軌道補正成分に対する曲線適合及び219における配布のステップの片方又は両方を省いてもよい。別の例において、214で得られたデカルト座標の衛星位置補正値を、半径方向、アロングトラック及びクロストラック補正成分に変換することなく、連続時間軌道補正モデルに直接適合させ、配布してもよい。
【0038】
同様に、サーバー104で過去のクロック傾向に基づいて決定されるクロックモデルを用いて、正確なクロックを、220で推定してから、222で予測する。過去の期間にわたって推定された正確なクロックを用いて、クロック傾向を決定する。例として、優れた長期安定性を有する原子標準時計を衛星が使用するので、傾向を、線形又は二次モデルとして決定してもよい。222で、未来時間エポックに対する決定クロックモデルを用いて、衛星クロックを予測する。代わりに、クロック推定及び予測のこの処理を、サーバー104で実行しない。この場合、222で、未来時間エポックに対する予測クロックを、外部源からサーバー104によって直接取得する。
【0039】
244で、222の同じ時間エポックに対する放送暦を用いて、衛星クロックを計算する。228で、222で決定された正確なクロックと244で放送暦を用いて計算された衛星クロックとの間の差を決定することによって、衛星クロック補正値を決定する。
【0040】
230で、連続時間クロック補正モデルは、未来時間エポックで衛星クロック補正データを表現するのに適している。例えば、線形又は二次多項式モデルを利用して、十分な精度を有する衛星クロック補正値を表現してもよい。曲線適合方法(例えば、最小二乗適合)によって、多項式の係数を決定する。クロック補正モデルは、1つ又は複数のパラメータからなってもよく、例は、モデルタイプ及び係数を含む。232で、衛星クロック補正モデルパラメータ(例えば、多項式の係数と一緒に多項式モデル)を、有線又は無線ネットワーク上で配布する。配布クロック補正モデルの各々は、未来の対応する有効性期間を有する。222、228、240、244及び230におけるステップを、GNSS配置の各衛星に対して反復する。
【0041】
数時間毎にバッチモードで正確な衛星軌道及びクロックを決定することに加えて、サーバー104は、基準ネットワーク102から連続的に流れるGNSS観測値を用いてリアルタイムで212における正確な衛星位置及び222におけるクロックを更に推定する。リアルタイムクロックを利用して、数分と同じ程度短い予測更新レートでより頻繁に衛星クロックを予測し、従って、予測された正確なクロックの不正確度を抑える。更に、リアルタイム推定値が事前送信予測多項式と著しく異なる、又は衛星手段が不健全になることを決定することに応じて、個々の衛星の予測多項式の更新データを送信する。GNSS配置によって公表される衛星健全情報、及びサーバー104によるリアルタイム衛星操縦検出の片方又は両方に基づいて、衛星手段は、不健全であると決定されてもよい。
【0042】
予測クロックの比較的頻繁な更新は通常、クロック補正モデルが一般的に、軌道補正モデルと同じ持続時間にわたって有効のままでないので、軌道補正モデルに比べてクロック補正モデルに利用される。
【0043】
更に、幾つかの衛星は、各衛星の短期安定性によって、他の衛星よりも多くのクロック補正予測更新を有してもよい。更に、幾つかの衛星は、他の衛星のクロック補正モデル有効性期間よりも長い有効性期間を有するクロック補正モデルを有してもよい。
【0044】
図2を参照して上述された態様において、サーバー104は、電子デバイス106へのGNSS配置の各衛星に対する連続時間モデルの形で、衛星放送軌道及びクロックの補正値を決定して送信する。
【0045】
最小ペイロード「キープアライブ」メッセージを、軌道補正モデル及びクロック補正モデルの配布の間の時に定期的な間隔で送信し、新しい更新がないが、クライアントデバイスがサービスにまだ接続されていることを、電子デバイス106を含むクライアントデバイスに知らせてもよい。
【0046】
さて、
図5を参照して、実施形態の別の態様を説明する。
図5は、サーバー104によって伝送される軌道及びクロック補正モデルと電子デバイス106で得られる衛星放送暦とを用いて電子デバイス106で正確な衛星位置及びクロックを決定する方法を例示するフローチャートを示す。方法は、図示及び記載の要素よりも多い又は少ない要素を含んでもよく、方法の一部を、ここに図示又は記載の順序と異なる順序で実行してもよい。
【0047】
502で、サーバー104によって配布される軌道及びクロック補正モデルを、電子デバイス106において有線又は無線ネットワーク上で受信する。504で、関心のあるエポック及びモデルの有効性期間に基づいて軌道補正値を生成するために、受信軌道補正モデルの中の適切な軌道補正モデルを選択する。主プロセッササブシステム108のプロセッサ110によって実行されるソフトウェアを利用して、506で、軌道補正モデルを利用して、関心のあるエポックで、半径方向、アロングトラック及びクロストラック軌道補正値を決定する。
【0048】
同様に、520で、関心のあるエポック及びモデルの有効性期間に基づいて衛星クロック補正値を生成するために、受信衛星クロック補正モデルの中の適切なクロック補正モデルを選択する。主プロセッササブシステム108のプロセッサ110によって実行されるソフトウェアを利用して、522で、クロック補正モデルを利用して、関心のあるエポックで、衛星クロック補正値を決定する。
【0049】
この例において、関心のあるエポックに対して計算される軌道補正値を、標準リアルタイム補正形式(例えば、RTCM SSR、CSSRなど)に変換し、508で、電子デバイス106上のGNSSサブシステム118に供給する。同様に、524で、クロック補正値を、電子デバイス106上のGNSSサブシステム118に供給する。この例において、GNSSサブシステム118は、標準リアルタイム補正形式で補正値を利用する標準精密測位GNSS受信機である。代わりに、電子デバイス106において502で受信された軌道及びクロック補正モデルを、GNSSサブシステム118に直接取り込む。GNSSサブシステムは、補正モデルを用いて、関心のあるエポックで、半径方向、アロングトラック及びクロストラック補正値、及びクロック補正値を決定する。
【0050】
510で、半径方向、アロングトラック及びクロストラック軌道補正値を、デカルト座標で衛星位置補正値に変換する。
【0051】
530で、衛星からの放送暦を、電子デバイス106で受信する。放送暦は、航法メッセージデータを復号することによってGNSSアンテナ116を介して受信される衛星信号から、又は、有線又は無線ネットワーク(例えば、ネットワーク150)上のデータ支援を介して取得される。
【0052】
532で、衛星位置を、衛星からの放送暦を用いて関心のあるエポックで計算する。534で、510からのデカルト座標における衛星位置補正値を、532における放送暦を用いて計算された衛星位置に適用することによって、関心のあるエポックにおける正確な衛星位置を決定する。
【0053】
次に、536で、正確な衛星位置を電子デバイス106用に取得する。
【0054】
同様に、538で、衛星クロックを、放送暦を用いて関心のあるエポックで決定する。540で、524からの衛星クロック補正値を、538における放送暦を用いて決定された衛星クロックに適用することによって、正確な衛星クロックを決定する。542で、正確な衛星位置を電子デバイス106用に取得する。
【0055】
図6を参照して、別の実施形態の態様による高精度予測衛星軌道及びクロックデータを配信する方法を説明する。方法は、図示及び記載の要素よりも多い又は少ない要素を含んでもよく、方法の一部を、ここに図示又は記載の順序と異なる順序で実行してもよい。方法の多くの要素は、
図2を参照して上述された要素と同様である。しかし、本実施形態において、正確な軌道及びクロックモデル自体を、軌道及びクロック補正モデルの代わりに、サーバー104から配布する。
【0056】
図2に示す実施形態と同様に、サーバー104は、グローバルGNSS基準局ネットワーク100と通信しており、602で、サーバーは、観測及び航法データを連続的に収集する。604で、サーバー104は、収集データを用いて正確な衛星位置及びクロックデータを推定する前に、過去のある時間(例えば、24時間)にわたって、観測及び航法データを記憶する。
【0057】
図2を参照して記載された処理と同様に、基準局からの観測及び航法データを利用して、サーバー104で、正確な軌道及びクロック及び正確な予測を生成する。606で、観測及び航法データを収集した期間(例えば、24時間)にわたって、正確な衛星位置を決定する。620で、リアルタイム観測及び航法データを用いて、正確なクロックを決定する。
【0058】
608で、衛星に作用する全ての力をモデル化する軌道力学、及び衛星状態ベクトルの現在の最良推定値及び他のパラメータを用いて、未来の正確な衛星位置を予測する。半径方向における予測衛星位置は、未来への数時間(例えば、最大3時間の予測に対して約2cm)に対して十分に正確である。従って、サーバー104は、過去の1つ又は複数の弧に対して、606で決定された正確な衛星位置データを用いて、1日に数回(例えば、1日に8回、即ち、3時間毎に1回)予測衛星位置を生成する。同様に、軌道決定及び予測の全処理を、異なる間隔で(例えば、1日に4回、6回、又は24回)実行することができる。610で、予測離散衛星位置を使用して、連続時間軌道モデルを生成する。予測離散衛星位置を用いて最適精度を得るために、より短い適合持続時間を有する多数の連続時間軌道モデルを生成する。本例において、612で、予測連続時間軌道モデルを、有線又は無線ネットワーク上で直接配布する。608及び610に記載及び図示の処理を、GNSS配置の各衛星に対して反復する。
【0059】
同様に、622で、過去のクロック傾向に基づいて決定されるクロックモデルを用いて、正確なクロックを予測する。過去の期間にわたって推定されたクロックデータを用いて、クロック傾向を決定する。通常、優れた長期安定性を有する原子標準時計を衛星が使用するので、傾向を、線形又は二次モデルとして決定する。624で、予測された正確なクロックを使用して、連続時間クロックモデルを生成する。より短い適合持続時間を有する多数のクロックモデルを生成する。本例において、626で、予測衛星クロックモデルを、有線又は無線ネットワーク上で直接配布する。622及び624に記載及び図示の処理を、GNSS配置の各衛星に対して反復する。
【0060】
さて、
図7を参照して、実施形態の別の態様を説明する。
図7は、電子デバイス106で正確な衛星位置及びクロックを決定する方法を例示するフローチャートを示す。方法は、図示及び記載の要素よりも多い又は少ない要素を含んでもよく、方法の一部を、ここに図示又は記載の順序と異なる順序で実行してもよい。
【0061】
本実施形態において、電子デバイス106で軌道及びクロック補正モデルを受信するのではなく、702で、正確な軌道及びクロックモデル自体を、電子デバイス106によって受信する。704で、関心のあるエポック及びモデルの有効性期間に基づいて、受信軌道モデルの中の適切な正確な軌道モデルを選択する。次に、706で、正確な衛星位置を、関心のあるエポックで決定する。この処理を、主プロセッササブシステム108又はGNSSサブシステム118上のソフトウェアによって実行してもよい。
【0062】
708で、関心のあるエポック及びクロックモデルの有効性期間に基づいて、受信クロックモデルの中の適切なクロックモデルを選択する。次に、710で、正確な衛星クロックを、関心のあるエポックで決定する。この処理を、主プロセッササブシステム108又はGNSSサブシステム118上のソフトウェアによって実行することができる。
【0063】
実施形態の別の態様によれば、電子デバイス106は、サーバー104からの予測軌道及びクロック補正モデルに加えて、リアルタイム軌道及びクロック補正値(例えば、RTCM SSR補正値)を受信する。リアルタイム軌道及びクロック補正値を、サーバー104又は別の外部源から受信することができる。通常動作中に、電子デバイス106は、放送暦を用いて計算される衛星位置及びクロックにリアルタイム補正値を適用し、正確な衛星位置及びクロックを取得する。しかし、ネットワーク停止の場合、電子デバイス106は、軌道及びクロック補正モデルを利用する代わりに、衛星位置及びクロック補正値を生成するように動作可能である。これらの予測衛星位置及びクロック補正値を、放送暦を用いて計算される衛星位置及びクロックに適用し、正確な衛星位置及びクロックを取得する。更に、電子デバイス106は、所与の時における電子デバイス106の帯域幅及び電力の制約の片方又は両方によって、リアルタイム補正値を受信して使用する、又は予測軌道及びクロック補正モデルを受信して使用するという決定を行ってもよい。
【0064】
現在開示の方法を利用して、データ伝送コスト及び関連要件を、電子デバイス106で減らしてもよい。更に、連続ネットワーク接続性を有しない電子デバイスは、電子デバイス106で使用するために正確な衛星位置及びクロックを計算してもよい。
【0065】
特定の例が、ここに図示及び記載されている。しかし、修正及び変型例が、当業者の心に浮かぶ。このような全ての修正及び変型例は、本開示の範囲及び領域内にあると考えられる。
【国際調査報告】