(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】壁に設けられた開口を真空密に閉鎖する閉鎖装置用の弁プレート
(51)【国際特許分類】
F16K 1/32 20060101AFI20240124BHJP
F16K 1/00 20060101ALI20240124BHJP
F16K 51/02 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
F16K1/32 C
F16K1/00 E
F16K51/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546342
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(85)【翻訳文提出日】2023-08-16
(86)【国際出願番号】 EP2022051664
(87)【国際公開番号】W WO2022161966
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】102021102284.3
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593030945
【氏名又は名称】バット ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン ビュヒェル
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ヴォールヴェント
【テーマコード(参考)】
3H052
3H066
【Fターム(参考)】
3H052AA01
3H052BA26
3H052CA23
3H052CA33
3H052CD02
3H052EA09
3H066AA01
3H066BA18
(57)【要約】
壁(3)に設けられた開口(2)を真空密に閉鎖する閉鎖装置用の弁プレートは、壁(3)に対して密封するシールリング(8)を前面に有し、閉鎖装置の弁ロッド(4)に結合する凹部(29)を裏面に有する。弁プレート(1)の裏面に配置された凹部(29)に、少なくとも凹部(29)の、互いに向かい合って位置する2つの側壁の領域で、それぞれ1つの拡張部(30)が続いている。各々の拡張部(30)に対してねじ山付き孔(31)が存在しており、このねじ山付き孔(31)は、各々の拡張部(30)の側壁において拡張部(30)に開口しており、各々のねじ山付き孔(31)内にねじ込まれて、このねじ山付き孔(31)から拡張部(30)内に端部分でもって突出した各々の保持ピン(39)によって、この保持ピン(39)の端部分が、弁ロッド(4)の端部に結合された結合部分(32)または弁ロッド(4)の端部で弁ロッド(4)と一体に形成された結合部分(32)に配置された溝(32a)と協働することにより、弁ロッド(4)が弁プレート(1)に結合可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁(3)に設けられた開口(2)を真空密に閉鎖する閉鎖装置用の弁プレートであって、前記壁(3)に対して密封するシールリング(8)を前面に有し、前記閉鎖装置の弁ロッド(4)に結合する凹部(29)を裏面に有する、弁プレートにおいて、
前記弁プレート(1)の前記裏面に配置された前記凹部(29)に、少なくとも該凹部(29)の、互いに向かい合って位置する2つの側壁の領域で、それぞれ1つの拡張部(30)が続いており、
各々の拡張部(30)に対してねじ山付き孔(31)が存在しており、該ねじ山付き孔(31)は、各々の前記拡張部(30)の側壁において前記拡張部(30)に開口しており、各々の前記ねじ山付き孔(31)内にねじ込まれて、該ねじ山付き孔(31)から前記拡張部(30)内に端部分でもって突出した各々の保持ピン(39)によって、該保持ピン(39)の前記端部分が、前記弁ロッド(4)の端部に結合された結合部分(32)または前記弁ロッド(4)の端部で前記弁ロッド(4)と一体に形成された結合部分(32)に配置された溝(32a)と協働することにより、前記弁ロッド(4)が前記弁プレート(1)に結合可能であることを特徴とする、弁プレート。
【請求項2】
前記ねじ山付き孔(31)は、前記弁プレート(1)が位置する平面(14)に対して平行に延在していることを特徴とする、請求項1記載の弁プレート。
【請求項3】
前記ねじ山付き孔(31)は、それぞれ前記弁プレート(1)の長手延在方向に対して45°よりも大きな角度を成して配置されていることを特徴とする、請求項1または2記載の弁プレート。
【請求項4】
前記ねじ山付き孔(31)は、それぞれ前記弁プレート(1)の前記長手延在方向に対して90°の角度を成して配置されていることを特徴とする、請求項3記載の弁プレート。
【請求項5】
前記弁プレート(1)が位置する平面(14)に対して平行なあらゆる方向への前記拡張部(30)の寸法が、対応する前記方向への前記拡張部(30)を含めない前記凹部(29)の寸法よりも小さいことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の弁プレート。
【請求項6】
前記拡張部(30)は、前記弁プレート(1)に設けられた前記凹部(29)を起点として、前記弁プレート(1)の長手延在方向に対して平行に位置する互いに離れる方向に向けられた方向に延在していることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の弁プレート。
【請求項7】
前記弁プレート(1)は、前記凹部(29)を前記拡張部(30)を含めて取り囲む封止面(34)またはシールであって、前記弁プレート(1)と、前記弁ロッド(4)の端部に取り付けられているかまたは前記弁ロッド(4)の端部で前記弁ロッド(4)と一体に形成されていて、前記少なくとも1つの結合部分(32)が突き出ている結合片(17a)との間を封止する封止面(34)またはシールを有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の弁プレート。
【請求項8】
前記凹部(29)は、前記拡張部(30)を含めて、前記弁プレート(1)の前記裏面に設けられた前記弁プレート(1)の突出区分(1a)に配置されていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の弁プレート。
【請求項9】
閉鎖装置であって、請求項1から8までのいずれか1項記載の弁プレート(1)を備え、該弁プレート(1)は、前記閉鎖装置の前記弁ロッド(4)に結合されており、前記保持ピン(39)は、少なくとも1つの前記結合部分(32)に配置された少なくとも1つの前記溝(32a)内に係合している、閉鎖装置。
【請求項10】
結合片(17a)が、前記弁ロッド(4)の端部に解離可能に結合されているかまたは前記弁ロッド(4)の端部で前記弁ロッド(4)と一体に形成されており、前記少なくとも1つの結合部分(32)は、前記結合片(17a)を越えて突き出ていることを特徴とする、請求項9記載の閉鎖装置。
【請求項11】
前記結合片(17a)は延長部(17e)を有し、該延長部(17e)は、前記弁プレート(1)の前記凹部(29)内に突出していて、該凹部(29)の対応する外周輪郭と協働する、円形と異なる外周輪郭によって前記弁プレート(1)に対して回動防止されていることを特徴とする、請求項10記載の閉鎖装置。
【請求項12】
前記保持ピン(39)の前記端部分が係合する前記少なくとも1つの溝(32a)は、前記各々の保持ピン(39)の円錐形に先細りになる前記端部分と協働する斜面を有し、前記少なくとも1つの結合部分(32)への前記保持ピン(39)の結合時に、前記結合片(17a)が前記弁プレート(1)に押し付けられることを特徴とする、請求項10または11記載の閉鎖装置。
【請求項13】
前記結合片(17a)は、前記凹部(29)を前記拡張部(30)を含めて取り囲む領域において前記弁プレート(1)に対して環状のシール(33)によって密封されていることを特徴とする、請求項10から12までのいずれか1項記載の閉鎖装置。
【請求項14】
前記弁プレート(1)に設けられた前記凹部(29)の各々の拡張部(30)に対して、各々の結合部分(32)が存在しており、該結合部分(32)は、前記結合片(17a)を越えて突き出ている軸部を有し、該軸部は、前記各々の保持ピン(39)の前記端部分が内部に突出した各々の前記溝(32a)によって環状に取り囲まれていることを特徴とする、請求項10から13までのいずれか1項記載の閉鎖装置。
【請求項15】
前記結合片(17a)は、前記弁ロッド(4)に可動に結合されていることを特徴とする、請求項10から14までのいずれか1項記載の閉鎖装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁に設けられた開口を真空密に閉鎖する閉鎖装置用の弁プレートであって、壁に対して密封するシールリングを前面に有し、閉鎖装置の弁ロッドに結合する凹部を裏面に有する、弁プレートに関する。さらに、本発明は、閉鎖装置であって、このような弁プレートを備え、この弁プレートは、閉鎖装置の弁ロッドに結合されている、閉鎖装置に関する。
【0002】
壁に設けられた開口を真空密に閉鎖する閉鎖装置は、特に真空弁の形態で形成されていてもよい。この真空弁は、弁プレートが内部に配置された弁ハウジングを有している。この弁ハウジングの複数の壁のうちの1つが、弁プレートにより閉鎖可能な開口を有しており、弁ハウジングの別の1つの壁には、真空弁の開放状態で弁ハウジングを貫く貫通路を形成するための別の開口が存在している。壁に設けられた開口を真空密に閉鎖する閉鎖装置を形成するための別の可能性は、真空チャンバに設けられた開口を、真空チャンバを取り囲む外側空間に対して遮蔽する真空ドアにある(この場合、真空ドアもまた一種の真空弁と見なすことができる)。この場合には、弁プレートにより閉鎖可能な開口が、閉鎖装置が取り付けられた真空チャンバの壁に直接配置されていてもよい。したがって、この場合、この壁は閉鎖装置の部分を成していない。
【0003】
真空弁および真空ドアでは、時として、特に壁に配置された封止面に対する密封のために用いられる、弁プレートに配置されたシールリングの摩耗に基づき、弁プレートを保守することが必要になることがある。特に、例えば半導体産業で使用されるような侵食性のプロセスガスの使用時には、この摩耗が比較的高い。弁プレートを保守するためには、この弁プレートを弁ロッドから取り外すことができなければならない。このために、一般的には、弁ロッドと弁プレートとの間でねじ締結が行われている。
【0004】
欧州特許第0453857号明細書には、真空弁であって、弁プレートを弁ロッドに結合する結合装置が弁プレートの裏面にねじ締結されている、真空弁が示されている。同明細書では、真空弁の閉鎖状態では誤差があるにもかかわらず、弁プレートの前面に配置された弾性的なシールリングの均一な圧縮を達成するために、結合装置が、弁プレートの長手延在方向に対して平行に位置する軸線だけでなく、弁プレートの長手延在方向に対して直角に位置する軸線も中心とした可動性を有している。
【0005】
先使用によって、弁ロッドの一方の端部が雄ねじ山を有しており、この雄ねじ山によって、弁ロッドが、弁プレートの裏面に形成されたねじ山付き盲孔内に直接ねじ込まれるアングル弁の形態の真空弁も知られている。弁ロッドに対する弁プレートの可動性は、同先使用では与えられていない。
【0006】
弁ロッドに対する弁プレートの運動可能性を許容する、弁プレートと弁ロッドとの間の別の結合装置は、米国特許第7134642号明細書および米国特許第3837617号明細書から明らかである。同明細書に示された弁プレートは、弁ロッドの端部分および/または結合装置の一部を収容するために、弁プレートの1つの狭幅面に開口を有している。
【0007】
産業的に実施される真空プロセスでは、大抵、真空プロセスのクオリティを損なわないようにするために、使用される真空構成要素から真空中に放出されるパーティクルが可能な限り少ないことが所望されている。しかしながら、互いに滑動するように運動させられる部材では、多くのパーティクルが発生させられ、放出される。
【0008】
本発明の課題は、冒頭に記載した形態の弁プレートを改良して、簡単かつ確実に弁ロッドに結合可能であり、また、弁ロッドから取外し可能であり、結合を弁ロッドに直接的に行うことができるかまたは弁ロッドに結合された結合装置を介して行うことができる、有利な弁プレートを提供することである。本発明によれば、このことは、請求項1の特徴を有する弁プレートによって達成される。
【0009】
本発明に係る弁プレートでは、弁プレートの、前面と反対側の裏面に配置された凹部に、少なくとも凹部の、互いに向かい合って位置する2つの側壁の領域で、それぞれ1つの拡張部が続いている。存在する拡張部ごとに、弁プレートにねじ山付き孔が形成されており、このねじ山付き孔は、各々の拡張部の側壁において拡張部に開口している。各々のねじ山付き孔内にねじ込まれて、このねじ山付き孔から拡張部内に端部分でもって突出した各々の保持ピンによって、各々の保持ピンの端部が、弁ロッドの端部に結合された結合部分または弁ロッドの端部で弁ロッドと一体に形成された結合部分に配置された溝と協働することにより、弁プレートが弁ロッドに結合可能となる。したがって、弁プレートを弁ロッドから解離するためには、保持ピンの端部分が1つの溝または各々の溝から係合解除されるまで、保持ピンが緩められてもよい。
【0010】
有利には、前述したねじ山付き孔は、弁プレートが位置する平面に対して平行に弁プレートに延在している。特に、ねじ山付き孔は、弁プレートの長手延在方向に対して45°よりも大きな角度、好ましくは90°の角度を成して配置されている。
【0011】
凹部の拡張部の寸法は、有利には、弁プレートが位置する平面に対して平行なあらゆる方向に測定した場合、対応する方向への(これらの拡張部を含めない)凹部の寸法よりも小さい。拡張部は、弁プレートの凹部を起点として、好ましくは、弁プレートの長手延在方向に対して平行に位置する互いに離れる方向に向けられた方向に延在している。
【0012】
有利には、弁プレートは、凹部を拡張部を含めて取り囲む封止面またはこのようなシールを有している。したがって、この封止面またはシールを介して、弁プレートと、弁ロッドの端部に結合されているかまたは弁ロッドの端部で弁ロッドと一体に形成されていて、少なくとも1つの結合部分が突き出ている結合片との間で密封を達成することができる。したがって、拡張部を含めた凹部の内室を、例えば弁ハウジングの内室を成す周辺の空間に対して密封することができる。弁プレートの凹部内に配置された部材同士の間の滑動相対運動時にパーティクルが形成される場合に、このパーティクルがこの内室から進出することは、密封によって防止することができる。
【0013】
本発明に係る閉鎖装置は、本発明に係る弁プレートを有しており、この弁プレートは、閉鎖装置の弁ロッドに結合されており、保持ピンは、少なくとも1つの結合部分に配置された少なくとも1つの溝内に係合している。
【0014】
好ましくは、少なくとも1つの結合部分が突き出ている結合片は、弁ロッドの端部に解離可能に結合されている。特に、結合片と弁ロッドとの間に可動性が設けられていてもよい。したがって、結合片は、弁プレートと弁ロッドとの間に配置された結合装置の一部であってもよい。しかしながら、基本的には、結合片が弁ロッドの端部と一体に形成されていることも考えられ、可能である。
【0015】
結合片は、有利には、弁プレートの凹部内に突出した延長部を有しており、この延長部と弁プレートとの間に回動防止手段が形成されている。このことは、特に、結合片の延長部が、円形と異なる外周輪郭を有しており、この外周輪郭が、凹部の対応する外周輪郭と協働することによって達成することができる。
【0016】
各々の保持ピンの端部分が係合する1つの溝もしくは各々の溝は、有利には(各々の保持ピンの長手延在方向に対して平行にかつ各々の保持ピンの長手方向中心軸線を通って延びる断面図で見て)、各々の保持ピンの円錐形に先細りになる端部分と協働する斜面を有している。これによって、少なくとも1つの結合部分への保持ピンの結合時に、結合片が弁プレートに押し付けられる。これによって、安定した結合が得られる。この場合、結合片と弁プレートとの間の、凹部を拡張部を含めて取り囲む環状のシールを圧縮することもできる。
【0017】
以下に、本発明の更なる利点および詳細を添付の図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】開放位置における本発明に係る弁プレートを備えた閉鎖装置の一部の斜視図である。
【
図2】弁プレートの閉鎖位置における
図1に類似の斜視図である。
【
図3】弁プレートの開放位置における閉鎖装置の側面図である。
【
図4】弁プレートの開放位置における閉鎖装置を示す図である。
【
図6】結合装置を介して弁ロッドに結合された弁プレートを備えた弁ロッドの前方の端部の側面図である。
【
図7】結合装置に結合された弁プレートの斜視図である。
【
図9】弁ロッドの前方の端部と、結合装置と、弁プレートとを分解した状態で示す斜視図である。
【
図13】結合装置が結合された弁プレートの裏面の平面図である。
【
図19】
図18と異なる方向から見た結合装置の分解図である。
【0019】
図面は、それぞれ異なる縮尺を伴って部分的に簡略化して示してある。
【0020】
以下に、本発明の実施例を
図1~
図19に基づき説明する。
【0021】
図面には、閉鎖装置が例示してある。この閉鎖装置は、開放位置(
図1)と閉鎖位置(
図2)との間で変位可能である弁プレート1を有している。この弁プレートの開放位置では、壁3に設けられた開口2が開放されており、閉鎖位置では、開口2が弁プレート1によって真空密に閉鎖されている。
【0022】
真空密な閉鎖とは、少なくとも10-4mbar l/s未満の漏れ率Qを意味している。
【0023】
弁プレート1は、長手方向軸線26を有する弁ロッド4によって支持される。本実施例では、開放位置と閉鎖位置との間での弁プレート1の変位が、弁ロッド4の軸線方向の変位によってのみ行われる。
【0024】
弁ロッド4を変位させて、弁プレート1を開放位置と閉鎖位置との間で変位させるために、本実施例では空気圧式のピストンシリンダユニットにより形成された駆動装置5が用いられる。弁ロッド4は、このピストンシリンダユニットのピストンロッドに結合されているかまたはピストンロッドと一体に形成されている。
【0025】
閉鎖装置の閉鎖状態で弁プレート1と壁3との間を密封するために、エラストマー材料から成るシールリング8が用いられる。このシールリング8は、弁プレート1の前面に設けられている。壁3に設けられた開口2は、弁プレート1の閉鎖位置でシールリング8が接触する封止座を成す封止面13によって取り囲まれている。
【0026】
シールリング8は、弁プレート1の前面に設けられた溝内に配置されて、この溝内に保持されていてもよいし、弁プレート1の前面に加硫固着されていてもよい。
【0027】
壁3は弁ハウジングの部分であってもよく、そのうち、
図1~
図4には、それぞれ一部だけが示してある。弁ハウジングの残りの部分は、
図5に破線によって示してある。したがって、この弁ハウジングは、弁プレート1が配置された内室を有している。さらに、このような弁ハウジングは、
図5に同じく示した第2の開口9、例えば、開口2に向かい合って位置していて、弁プレート1の開放位置で弁ハウジングを貫く貫通通路を形成する開口9を有している。したがって、閉鎖装置は、この実施例では、開口2を有する壁3を備えた弁ハウジングも含んでいて、真空弁を形成している。
【0028】
弁ハウジングは、弁ロッド4を弁ハウジングの内室から導出した別の開口11を有している。この開口11は、駆動装置5が取り付けられた接続片10によって真空密に閉鎖されている。弁ロッド4は、接続片10に設けられた貫通通路を貫通していて、接続片10によって軸線方向にガイドされている。弁ハウジングと接続片10との間を密封するために、環状のシール12が用いられる。接続片10に設けられた貫通通路に対して弁ロッド4を密封するために、本実施例ではベローズ6が用いられる。密封のために、ベローズの代わりに、少なくとも1つのシールリングを備えたメカニカルシールが設けられていてもよい。
【0029】
変更された実施形態では、
図1~
図4に示したように形成された、つまり、破線を有しない
図5のように形成された閉鎖装置が、真空チャンバの壁の外側に設けられていてもよい。この場合には、開口2が、真空チャンバのこの壁に設けられた開口に整合しており、壁3が、開口2を取り囲む領域で真空チャンバの壁に対して密封されている。このような用途では、閉鎖装置をドアと呼ぶこともできる。
【0030】
さらに別の実施形態では、開口2を有する壁3が、真空チャンバの一部であってもよい。したがって、この真空チャンバは、弁ロッド4を真空チャンバの内室から導出しかつ接続片10により閉鎖された図示の開口11に相応の別の開口を有している。この場合、接続片にやはり駆動装置5が取り付けられており、弁ロッドが、接続片に設けられた貫通通路を通って延在している。弁ロッドは、やはりベローズ(またはメカニカルシール)によって密封されて、真空チャンバの真空領域にガイドされていてもよい。つまり、この実施形態では、開口2を有する壁3が閉鎖装置の部分を成していない。
【0031】
弁プレート1は、実質的に方形の外周輪郭を有して形成されている。なお、「実質的に方形」とは、本明細書では、弁プレートが、丸み付けられた角隅を有する方形で形成されていることを意味している。
【0032】
開口2は、対応する輪郭を有している。
【0033】
弁プレート1は、この弁プレートの中央平面または主平面と呼ぶこともできる平面14内に位置している。シールリング8は、この平面14に対して平行に延在している。
【0034】
シールリング8が配置された弁プレート1の前面と反対側に位置する弁プレート1の裏面には、弁プレートが突出区分1aを有している。この突出区分1aには、以下でさらに詳しく説明するような凹部29が配置されている。
【0035】
弁ロッド4は、本実施例では、弁プレート1に結合装置15によって結合されている。この結合装置15によって、弁プレート1と弁ロッド4との間の可動性が可能となる。このために、結合装置15はジョイントヘッド16を有している。このジョイントヘッド16は、弁ロッド4に固く結合されていて、ハウジング状のジョイントボディの内側の収容室18内に配置されている。ジョイントボディは、ポット状の切欠きを有する結合片17aと、この結合片を閉鎖しかつ環状のシール21によって結合片に対して密封されたカバー部分17bとを備えている。結合片17aへのカバー部分17bの結合は、ねじ22を介して行われる。
【0036】
以下でさらに詳しく説明するように、結合片17aを介して弁プレート1への結合が行われる。
【0037】
ジョイントヘッド16への弁ロッド4の結合は、結合ねじ23によって行われる。この結合ねじ23は、ジョイントヘッド16に設けられた中心の貫通孔24を貫通していて、弁ロッド4の端面側の端部に設けられたねじ山付き孔25内にねじ込まれている。この場合、弁ロッドは、少なくとも実質的に正方形の横断面を有する結合区分4aを有しており、ジョイントヘッド16は、対応する外側輪郭を有する凹部16aを有していて、この凹部16a内に弁ロッド4の結合区分4aが突出して、弁ロッドがジョイントヘッドに対して回動防止されている。
【0038】
弁ロッド4のねじ山付き孔25内への結合ねじ23のねじ込みを可能にするために、結合片17aは底部に窓開口20を有している。
【0039】
カバー部分17bは窓開口27を有していて、この窓開口27を通して弁ロッド4が端部分の領域で突出している。弁プレート1が弁ロッド4の長手方向軸線26に対して直角な方向に向けられた(つまり、弁プレート1が位置する平面14が長手方向軸線26に対して直角に位置している)結合装置の中央位置では、弁ロッド4と、カバー部分17bに設けられた窓開口27の縁部との間に環状間隙sが存在している。これによって、中央位置を起点として、弁ロッド4の長手方向軸線26に対して直角に位置する任意の軸線を中心とした弁プレート1の(制限された)旋回が可能となる。
【0040】
ジョイントボディ17a,17bの収容室18内には、第1のジョイントソケット部分35と第2のジョイントソケット部分36とが配置されている。これらのジョイントソケット部分35,36は、それぞれ凹状のジョイント面35a,36aを有している。この凹状のジョイント面35a,36aは、それぞれ球内面の一区分の形態を有している。ジョイントソケット部分35,36の凹状のジョイント面35a,36aは、互いに反対の側からジョイントヘッド16に被せられていて、ジョイントヘッド16のそれぞれ割り当てられた凸状のジョイント面16b,16cと協働する。この凸状のジョイント面16b,16cは、それぞれ球面の一区分の形態で形成されていて、それぞれジョイントヘッド16の外側の表面の一区分を成している。
【0041】
ジョイントソケット部分35,36は、ジョイントヘッド16にばねディスクの形態のばね弾性要素37によって押し付けられている。このばね弾性要素37は、ねじ38によって結合片17aにねじ締結されている。ばね弾性要素37は、開口37aに続く領域に半径方向の切込みを有していて、この切込みにより切り離されたセグメントが上向きに曲げられている。この領域でばね弾性要素37が第2のジョイントソケット部分36に接触していて、この第2のジョイントソケット部分36をジョイントヘッド16に向かって押圧している。これによって、このジョイントヘッド16が、結合片17aに設けられたポット状の凹部の底部における底面に載置された第1のジョイントソケット部分35に向かって押圧される。
【0042】
これによって、ジョイントヘッドが、まさに図示の位置で摩擦接続的に保持される。この摩擦接続は、これによって、ジョイントヘッド16の位置を変化させずに、しかも、閉鎖装置の空間的な位置に左右されずに、弁プレート1の重さも受け止めることができるような強さである。
【0043】
ばね弾性要素37の開口37aは、カバー部分17bの窓開口27よりも大きい。したがって、ジョイントヘッド16において、凹部16aを取り囲む領域に配置されたシールリング19を、ばね弾性要素37の開口37aを通過させて、窓開口27を取り囲む領域でカバー部分17bの内面に押し付けることができる。
【0044】
ジョイントヘッド16は、互いに反対の側で突出したピンを有している。各々のピン16dは、結合片17aに設けられたそれぞれ割り当てられた溝17c内に突出している。各々の溝17cは、ポット状の切欠きを画定する壁に形成されている。溝17cは、結合装置の中央位置で弁ロッド4の長手方向軸線26に対して平行に延在している。
【0045】
ジョイントヘッド16は、溝と協働するピンによって、弁ロッド4の長手方向軸線26を中心としたジョイントボディに対する回動に関して防止されている。しかしながら、ジョイントヘッド16を、弁ロッド4の長手方向軸線26に対して直角に位置する任意の軸線を中心として(環状間隙sが無くなるまで)傾倒させることはできる。
【0046】
したがって、結合装置は、ジョイントヘッド16の赤道平面に対して直角に位置する軸線、つまり、ジョイントヘッドに結合された弁ロッド4の長手方向軸線26を中心とした回動に関して防止されたボールジョイントを形成している。
【0047】
弁プレート1の裏面に設けられた突出区分1aには、凹部29が配置されている。この凹部29は、突出区分1aの、弁プレート1の平面14に対して平行に位置する上面から出発していて、この上面を起点として、弁プレート1の平面14に対して直角な方向に延在している。弁プレートの前面に向かって、凹部はその底部によって画定されている。
【0048】
凹部29の、互いに向かい合って位置する2つの側壁の領域では、凹部29から、それぞれ1つの拡張部30が出発している。両方の拡張部の寸法は、弁プレートが位置する平面14に対して平行なあらゆる方向に測定した場合、対応する方向に(これらの拡張部を含めない)凹部29の寸法を測定した場合よりも大幅に小さく、好ましくは1/2未満のサイズである。拡張部30は、凹部29から、弁プレートの長手延在方向に対して平行に位置する逆方向に出発している。
【0049】
各々の拡張部の側壁には、それぞれ1つのねじ山付き孔31が開口している。このねじ山付き孔31は、本実施例では、弁プレートの平面14に対して平行にかつ弁プレートの長手延在方向に対して90°の角度を成して位置している。各々のねじ山付き孔31の、各々の拡張部30への開口と反対側の端部は、突出区分1aの側面に開口している。
【0050】
結合片17aは、弁ロッド4から離れる方向に向けられた側に延長部17eを有している。この延長部17eは、弁プレート1に結合された状態で弁プレート1の凹部29内に挿入されている。したがって、延長部17eは、弁プレート1の平面14に対して直角に位置する方向で凹部29内に突出している。結合片17aのこの延長部17eは、円形と異なる外周輪郭を有しており、凹部29は、対応する外周輪郭を有している。これによって、(弁プレートの平面に対して直角に位置する軸線を基準として)結合片17aと弁プレート1との間に回動防止手段が形成されている。
【0051】
延長部17eと結合片17aの残りの部分との間には、段面17dが位置している。この段面17dは、弁プレート1への結合片17aの結合状態で弁プレート1の突出区分1aの上面に接触している。段面17dには、環状のシール33が配置されている。このシール33は、弁プレート1に結合された状態で弁プレート1の封止面34に押し付けられている。この封止面34は、凹部29を拡張部30と一緒に取り囲んでいて、弁プレート1の突出区分1aの上面に配置されている。封止面34が段面17dに配置されていて、環状のシール33が弁プレート1に配置されていてもよい。
【0052】
結合片17aの段面17dを越えて、ピン状の結合部分32が突き出ている。このために、この結合部分32は、本実施例では雄ねじ山を有している。この雄ねじ山によって、結合部分32は、結合片17aに設けられた各々のねじ山付き孔40内にねじ込まれている。
【0053】
したがって、本実施例において存在する両方の拡張部30に相応して、2つのピン状の結合部分32が存在している。結合片17aがその延長部17eで凹部29内に挿入されている場合には、2つのピン状の結合部分32のうち、一方の結合部分32が一方の拡張部30内に突出しており、他方の結合部分32が他方の拡張部30内に突出している。結合部分は、弁プレートの平面14に対して直角な方向で各々の拡張部30内に突出している。
【0054】
ねじ山付き孔31内には、保持ピン39がねじ込まれている。弁プレート1の平面14に対して平行に位置する各々の保持ピン39の一方の端部分は、各々のねじ山付き孔31から各々の拡張部30の領域に突出していて、そこで、各々の結合部分32の軸部に設けられた溝32a内に突出している。各々の保持ピン39の端部分は、ねじ山なしに形成されていて、その端部に向かって円錐形に先細りになっている。結合部分32の溝32aは、横断面で見て溝の底部に向かって円錐形に先細りになる対応する形状を有している(特に
図17参照)。したがって、各々の溝32aの、結合片17aと反対側の側壁は、各々の保持ピン39の端部分と協働する斜面を形成している。したがって、端部分が溝32aに進入する保持ピンのねじ込み時に、結合片17aが弁プレート1に向かって引っ張られる。このとき、シール33が圧縮され、結合片17aの段面17dが、弁プレート1の突出区分1aの上面に当て付けられる。
【0055】
したがって、弁プレート1と結合片17aとの間に安定した剛性的な結合が形成され、この結合は、保持ピン39を緩めることによって簡単に解離可能となる。
【0056】
ジョイントボディ17a,17bの収容室18が、カバー部分17bと結合片17aとの間のシール21と、カバー部分17bとジョイントヘッド16との間のシールリング19とにより密封されていて、弁プレート1の凹部29が、シール33により結合片17aに対して密封されていることによって、特にジョイントソケット部分35,36に対するジョイントヘッド16の運動時に発生するパーティクルが、弁プレート1を取り囲む室内に達することがなくなる。また、有利には、保持ピン39が、好ましくはそのヘッドの領域でシールによって弁プレート1の突出区分1aに対して密封されていてもよい。このことは、特に
図17に認めることができる(シールには符号を付していない)。
【0057】
特許請求の範囲に規定した本発明の範囲を逸脱することなしに、本発明の図示の実施例の種々異なる変更が考えられ、可能である。
【0058】
したがって、弁プレート1と弁ロッド4との間に可動性を生じさせる結合装置が省かれてもよい。この場合には、結合片が、弁ロッドに固く結合されていて、例えば、弁ロッドにねじ締結されていてもよい。この場合には、溝を有するポット状の切欠きも、シール21も、ねじ22,38用のねじ山付き孔も省かれてもよい。弁ロッドと反対の側では、このような結合片が、図面に示した結合片17aに類似して形成されていてもよい。また、例えば溶接によるこのような結合片との弁ロッドの一体形の構成も考えられ、可能である。
【0059】
突出区分1aの代わりに、弁プレート1が裏面に横梁を有していてもよい。この横梁はその長手延在方向の中央の区分で弁プレート1のプレート状のメインボディに対して解放されていて、両方の端部分でのみ弁プレートのメインボディに結合されている。この場合には、弁プレートの横梁の長手延在方向の中央の区分に凹部29が配置されていてもよい。このような横梁は、両方の端部分で弁プレートのメインボディに溶接されていてもよいし、ねじ締結されていてもよい。凹部は、有利には、弁プレートの前面に向かって、やはり底部によって画定されている。この場合、凹部の内室は、周辺の空間に対して密封されていてもよい。
【0060】
別の可能な変更された構成では、ピン状の結合部分32を省き、その代わりに、結合片17aが、凹部29内にも側方の拡張部30内にも突出するような形状を備えた延長部を有していることが考えられ、可能である。この延長部は、側方の拡張部30内に突出する領域に、保持ピン39と協働する溝を備えていてもよいし、延長部を環状に取り囲む単一の溝が設けられていてもよい。この場合には、保持ピン39が、この溝の各々の区分と協働する。したがって、この延長部は、各々の保持ピンの端部分と協働する少なくとも1つの溝を有する単一の結合部分を成している。このような構成では、結合片17aが、可動であってもよいし、弁ロッドに固く結合されていてもよいし、弁ロッドと一体に形成されていてもよい。
【0061】
また、凹部29が、2つよりも多くの拡張部を有していてもよく、これらの拡張部内に結合部分または各々の結合部分が弁ロッドの側から突出する。この場合には、保持ピンの端部分が、ねじ山付き孔の開口を通ってこれらの拡張部内に突出して、少なくとも1つの結合部分の少なくとも1つの溝内に係合する。
【符号の説明】
【0062】
1 弁プレート
1a 突出区分
2 開口
3 壁
4 弁ロッド
4a 結合区分
5 駆動装置
6 ベローズ
8 シールリング
9 開口
10 接続片
11 開口
12 シール
13 封止面
14 平面
15 結合装置
16 ジョイントヘッド
16a 凹部
16b ジョイント面
16c ジョイント面
16d ピン
17a 結合片
17b カバー部分
17c 溝
17d 段面
18 収容室
19 シールリング
20 窓開口
21 シール
22 ねじ
23 結合ねじ
24 貫通孔
25 ねじ山付き孔
26 長手方向軸線
27 窓開口
29 凹部
30 拡張部
31 ねじ山付き孔
32 結合部分
32a 溝
33 シール
34 封止面
35 ジョイントソケット部分
35a ジョイント面
36 ジョイントソケット部分
36a ジョイント面
37 ばね弾性要素
37a 開口
38 ねじ
39 保持ピン
40 ねじ山付き孔
【国際調査報告】