IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィの特許一覧

特表2024-504516無線リソースを割り当てる方法及びデバイス
<>
  • 特表-無線リソースを割り当てる方法及びデバイス 図1
  • 特表-無線リソースを割り当てる方法及びデバイス 図2
  • 特表-無線リソースを割り当てる方法及びデバイス 図3
  • 特表-無線リソースを割り当てる方法及びデバイス 図4
  • 特表-無線リソースを割り当てる方法及びデバイス 図5
  • 特表-無線リソースを割り当てる方法及びデバイス 図6
  • 特表-無線リソースを割り当てる方法及びデバイス 図7
  • 特表-無線リソースを割り当てる方法及びデバイス 図8
  • 特表-無線リソースを割り当てる方法及びデバイス 図9
  • 特表-無線リソースを割り当てる方法及びデバイス 図10
  • 特表-無線リソースを割り当てる方法及びデバイス 図11
  • 特表-無線リソースを割り当てる方法及びデバイス 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】無線リソースを割り当てる方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/54 20230101AFI20240124BHJP
   H04L 47/765 20220101ALI20240124BHJP
   H04W 72/0446 20230101ALI20240124BHJP
   H04W 72/12 20230101ALI20240124BHJP
   H04W 4/30 20180101ALI20240124BHJP
【FI】
H04W72/54
H04L47/765
H04W72/0446
H04W72/12
H04W4/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567271
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-07-14
(86)【国際出願番号】 JP2021039190
(87)【国際公開番号】W WO2022230218
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】21305555.1
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】シベル、ジャン-クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】グレッセ、ニコラ
【テーマコード(参考)】
5K030
5K067
【Fターム(参考)】
5K030GA01
5K030HC09
5K030JL01
5K030LC09
5K030MA06
5K030MB01
5K067DD46
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067EE61
5K067EE71
(57)【要約】
リソーススケジューラとデバイスのセットとを備えるシステムにおいて無線リソースを割り当てる方法が開示される。各デバイスは、少なくとも1つのアプリケーションをホストし、各アプリケーションは、送信チャネル上で少なくとも1つの受信機にメッセージを送信する。リソーススケジューラは、各アプリケーションから、アプリケーションの要件を表すアプリケーションパラメータを受信する。次に、各アプリケーションについて、受信されたアプリケーションパラメータの少なくとも一部と、アプリケーションの平均故障確率と、送信チャネルのチャネル誤り確率とに応答するメトリックを計算する。メトリックは比較され、比較に応答して、無線リソースを割り当てるアプリケーションを選択する。各アプリケーションの平均故障確率を更新する。最後に、瞬間故障確率を各アプリケーションに送信する。瞬間故障確率は、プリケーションによってアプリケーションパラメータを更新するために使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソーススケジューラとデバイスのセットとを備えるシステムにおいて無線リソースを割り当てる方法であって、各前記デバイスは、少なくとも1つのアプリケーションをホストし、各前記アプリケーションは、送信チャネル上で少なくとも1つの受信機にメッセージを送信し、前記方法は、前記リソーススケジューラによって実行され、
a)各前記アプリケーションから、アプリケーションの要件を表すアプリケーションパラメータを受信することと、
b)各前記アプリケーションについて、受信されたアプリケーションパラメータの少なくとも一部と、前記アプリケーションの平均故障確率と、前記送信チャネルのチャネル誤り確率とに応答するメトリックを計算することと、
c)前記メトリックを比較し、比較に応答して、前記無線リソースを割り当てるアプリケーションを選択することと、
d)各前記アプリケーションについて、前記平均故障確率を更新することと、
e)瞬間故障確率を各前記アプリケーションに送信することであって、前記瞬間故障確率は、前記アプリケーションによってそのアプリケーションパラメータのうちの少なくとも1つを更新するために使用されることと、
の少なくとも1つの反復nを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記a)~前記e)が反復的に繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アプリケーションの要件を表す前記アプリケーションパラメータは、レジリエンス値、メッセージ寿命、及びメッセージ期間を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
各前記アプリケーションについて、前記受信されたアプリケーションパラメータの少なくとも一部と、前記アプリケーションの平均故障確率と、前記送信チャネルのチャネル誤り確率とに応答するメトリックを計算することは、
インデックスkの各アプリケーションについて、前記受信されたアプリケーションパラメータの少なくとも一部及び前記送信チャネルのチャネル誤り確率
【数1】
に応答して、瞬間故障確率f (n)を計算することと、
前記メトリックM (n)を、
【数2】
で計算することとを含み、N (n-1)は、インデックスkの前記アプリケーションが開始されてから前記アプリケーションによってバッファリングされたメッセージの数であり、
(n-1)は、反復(n-1)におけるインデックスkの前記アプリケーションの平均故障確率であり、
αは、所定のパラメータである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
【数3】
であり、Q (n)は、インデックスkの前記アプリケーションのレジリエンス違反の前の送信機会の数、又はインデックスkの前記アプリケーションのレジリエンス違反の前のタイムスロットの数であり、H()は、所定の増加アフィン関数又は恒等関数であり、ρ (n)は、平均リソース使用量である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記平均故障確率F (n)を更新することは、
を選択されたアプリケーションのインデックスとして、割り当てられた前記無線リソースを使用して、選択されたアプリケーションによって送信されたメッセージに対応するパケットを受信した場合には、
【数4】
及び
【数5】
を計算することと、
それ以外の場合には、まだ送信機会があれば、F (n)=F (n-1)及びN (n)=N (n-1)を計算し、もう送信機会がなければ、F (n)=(N (n-1) (n-1)+1)/(N (n-1)+1)及びN (n)=N (n-1)+1を計算することと、
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
リソーススケジューラとデバイスのセットとを備えるシステムにおいて無線リソースを割り当てる方法であって、各前記デバイスは、少なくとも1つのアプリケーションをホストし、各前記アプリケーションは、送信チャネル上で少なくとも1つの受信機にメッセージを送信し、前記方法は、少なくとも1つのアプリケーションをホストする各前記デバイスによって実行される以下のステップであって、
前記少なくとも1つのアプリケーションについて、前記アプリケーションの瞬間故障確率を前記リソーススケジューラから受信するステップと、
アプリケーションの要件を表す少なくとも1つのアプリケーションパラメータを更新するステップであって、受信された瞬間故障確率と、前記アプリケーションパラメータの以前の値とに応答して更新するステップと、
更新されたアプリケーションパラメータを前記リソーススケジューラに送信するステップであって、前記更新されたアプリケーションパラメータは、新しい無線リソースを割り当てるために前記リソーススケジューラによって使用される、ステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのアプリケーションパラメータは、レジリエンスであり、前記少なくとも1つのアプリケーションパラメータを更新するステップは、前記受信された瞬間故障確率を閾値と比較することと、前記受信された瞬間故障確率が前記閾値を上回る場合に前記レジリエンスを増加させることとを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのアプリケーションパラメータを更新するステップは、前記受信された瞬間故障確率を閾値と比較することと、前記受信された瞬間故障確率が前記閾値を上回る場合、角速度を減少させ、レジリエンスを更に増加させることとによって、前記レジリエンス及び前記角速度を更新することを含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、
前記少なくとも1つのアプリケーションについて、前記アプリケーションの平均リソース使用量を前記リソーススケジューラから受信することを更に含み、
前記少なくとも1つのアプリケーションパラメータは、前記受信された瞬間故障確率と、前記アプリケーションパラメータの以前の値と、前記平均リソース使用量とに応答して更新される、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
デバイスのセットを備えるシステムにおいて無線リソースを割り当てるように構成されたリソーススケジューラであって、各前記デバイスは、少なくとも1つのアプリケーションをホストし、各前記アプリケーションは、送信チャネル上で少なくとも1つの受信機にメッセージを送信し、前記リソーススケジューラは、少なくとも1つのプロセッサを備え、前記少なくとも1つのプロセッサは、
a)各前記アプリケーションから、アプリケーションの要件を表すアプリケーションパラメータを受信することと、
b)各前記アプリケーションについて、受信されたアプリケーションパラメータの少なくとも一部と、前記アプリケーションの平均故障確率と、前記送信チャネルのチャネル誤り確率とに応答するメトリックを計算することと、
c)前記メトリックを比較し、比較に応答して、前記無線リソースを割り当てるアプリケーションを選択することと、
d)各前記アプリケーションについて、前記平均故障確率を更新することと、
e)瞬間故障確率を各前記アプリケーションに送信することであって、前記瞬間故障確率は、前記アプリケーションパラメータを更新するために前記アプリケーションによって使用されることと、
を行うように構成されていることを特徴とする、リソーススケジューラ。
【請求項12】
無線リソースを割り当てるように構成されたリソーススケジューラと、デバイスのセットとを備えるシステムにおいてアプリケーションをホストするデバイスであって、各前記デバイスは、少なくとも1つのアプリケーションをホストし、各前記アプリケーションは、送信チャネル上で少なくとも1つの受信機にメッセージを送信し、前記デバイスは、少なくとも1つのプロセッサを備え、前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記少なくとも1つのアプリケーションについて、前記アプリケーションの瞬間故障確率を前記リソーススケジューラから受信することと、
アプリケーションの要件を表す少なくとも1つのアプリケーションパラメータを更新することであって、受信された瞬間故障確率と、前記アプリケーションパラメータの以前の値とに応答して更新することと、
更新されたアプリケーションパラメータを前記リソーススケジューラに送信することであって、前記更新されたアプリケーションパラメータは、新しい無線リソースを割り当てるために前記リソーススケジューラによって使用されることと、
を行うように構成されていることを特徴とする、デバイス。
【請求項13】
請求項11に記載のリソーススケジューラと、請求項12に記載のデバイスとを備えるシステム。
【請求項14】
プログラマブルデバイスにロードすることができるプログラムコード命令を含むコンピュータプログラム製品であって、前記プログラムコード命令は、前記プログラムコード命令が前記プログラマブルデバイスによって実行されるときに、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法を実装させる、コンピュータプログラム製品。
【請求項15】
プログラムコード命令を含むコンピュータプログラムを記憶する記憶媒体であって、前記プログラムコード命令は、前記プログラムコード命令が前記記憶媒体から読み出され、プログラマブルデバイスによって実行されるときに、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法を実装させる、記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態のうちの少なくとも1つは、包括的には、リソーススケジューラによって、デバイスのセットを備えるシステム内の無線リソースを割り当てる方法に関し、各デバイスは、少なくとも1つのアプリケーションをホストする。
【背景技術】
【0002】
第4次産業革命(又はインダストリー4.0)とは、モノのインターネット、クラウドコンピューティング等のスマート技術を使用して従来の製造を自動化することを指す。
【0003】
ロボット工学はインダストリー4.0の一部である。実際に、スマートファクトリーでは、ロボットが人間の作業を制限するために使用されている。このフレームワークでは、通信が重要な役割を果たしている。インダストリー4.0におけるアプリケーションの要件は、通信デバイスの信頼性、レイテンシー、寿命等の複数の要因が中心となっている。現在、ロボットは多くの場合、有線インフラストラクチャに接続されている。タイムセンシティブネットワーキング(TSN)は、決定論的なレイテンシー要件をサポートする能力があるため、インダストリー4.0のコンバージドネットワークの標準的なイーサネットベースの技術である。より正確には、TSN規格は、従来のイーサネットデータリンクレイヤー規格を拡張して、有限の超低レイテンシー、低遅延変動(ジッタ)、及び極めて低い損失でのデータ送信を保証するものであり、これは産業用制御及び自動車用途に理想的である。
【0004】
TSNでは、制限時間内における高優先度の決定論的トラフィックの送信を保証するための時間認識シェーパー(TAS)スケジューラが定義されている。しかしながら、TASは、短命のフローに対するオーバーヘッドが大きいという問題を抱えており、通信性能を低下させる。
【0005】
加えて、ワイヤレス技術とは対照的に、TSNベースのネットワークは、将来の工場に必要とされるモバイル産業アプリケーションをサポートするために必要な柔軟性を提供することができない。ワイヤレスネットワークには、柔軟性、低コスト、展開の容易さを含む多くの利点があるが、信頼性が犠牲になっている。
【0006】
したがって、ワイヤレス環境において、アプリケーションの要件を満たしながら、良好な通信性能を確保するリソース割り当ての方法を見出すことが望まれている。
【発明の概要】
【0007】
本実施の形態のうちの少なくとも1つは、概して、リソーススケジューラとデバイスのセットとを備えるシステムにおいて無線リソースを割り当てる方法に関し、各デバイスは、少なくとも1つのアプリケーションをホストし、各アプリケーションは、送信チャネル上で少なくとも1つの受信機にメッセージを送信する。本方法は、リソーススケジューラによって実行され、
a)各アプリケーションから、アプリケーションの要件を表すアプリケーションパラメータを受信することと、
b)各アプリケーションについて、受信されたアプリケーションパラメータの少なくとも一部と、アプリケーションの平均故障確率と、更に送信チャネルのチャネル誤り確率とに応答するメトリックを計算することと、
c)メトリックを比較し、比較に応答して、無線リソースを割り当てるアプリケーションを選択することと、
d)各アプリケーションについて、平均故障確率を更新することと、
e)瞬間故障確率を各アプリケーションに送信することであって、瞬間故障確率を使用してアプリケーションがそのアプリケーションパラメータのうちの少なくとも1つを更新することと、
の少なくとも1つの反復nを含む。
【0008】
本方法は、良好な通信性能を確保しながら、アプリケーションの要件を満たすものである。したがって、本リソース割り当て方法では、リソーススケジューラからアプリケーションへのフィードバックにより、良好な通信性能を依然として確保しながら、アプリケーション障害の回数を低減することができる。
【0009】
特定の実施の形態において、a)~e)が反復的に繰り返される。
【0010】
特定の実施の形態において、アプリケーションの要件を表すアプリケーションパラメータは、レジリエンス値、メッセージ寿命、及びメッセージ期間を含む。
【0011】
特定の実施の形態において、各アプリケーションについて、受信されたアプリケーションパラメータの少なくとも一部と、アプリケーションの平均故障確率と、更に送信チャネルのチャネル誤り確率とに応答するメトリックを計算することは、
インデックスkの各アプリケーションについて、受信されたアプリケーションパラメータの少なくとも一部及び送信チャネルのチャネル誤り確率
【数1】
に応答して、瞬間故障確率f (n)を計算することと、
メトリックM (n)を、
【数2】
で計算することとを含み、N (n-1)は、インデックスkのアプリケーションが開始されてからアプリケーションによってバッファリングされたメッセージの数であり、
(n-1)は、反復(n-1)におけるインデックスkのアプリケーションの平均故障確率であり、
αは、所定のパラメータである。
【0012】
特定の実施の形態においては、
【数3】
である。Q (n)は、インデックスkのアプリケーションのレジリエンス違反の前の送信機会の数、又はインデックスkのアプリケーションのレジリエンス違反の前のタイムスロットの数であり、H()は、所定の増加アフィン関数又は恒等関数であり、ρ (n)は、平均リソース使用量である。
【0013】
特定の実施の形態において、平均故障確率F (n)を更新することは、
を選択されたアプリケーションのインデックスとして、割り当てられた無線リソースを使用して選択されたアプリケーションによって送信されたメッセージに対応するパケットを受信した場合には、
【数4】
及び
【数5】
を計算することと、
それ以外の場合には、まだ送信機会があれば、F (n)=F (n-1)及びN (n)=N (n-1)を計算し、もう送信機会がなければ、F (n)=(N (n-1) (n-1)+1)/(N (n-1)+1)及びN (n)=N (n-1)+1を計算することと、
を含む。
【0014】
このようなシステムにおいて無線リソースを割り当てる方法も開示される。本方法は、少なくとも1つのアプリケーションをホストする各デバイスによって実行される以下のステップであって、
少なくとも1つのアプリケーションについて、アプリケーションの瞬間故障確率をリソーススケジューラから受信するステップと、
アプリケーションの要件を表す少なくとも1つのアプリケーションパラメータを、受信された瞬間故障確率と、更にアプリケーションパラメータの以前の値とに応答して更新するステップと、
更新されたアプリケーションパラメータをリソーススケジューラに送信するステップであって、更新されたアプリケーションパラメータは、新しい無線リソースを割り当てるためにリソーススケジューラによって使用される、ステップと、
を含む。
【0015】
特定の実施の形態において、少なくとも1つのアプリケーションパラメータは、レジリエンスであり、少なくとも1つのアプリケーションパラメータを更新することは、受信された瞬間故障確率を閾値と比較することと、受信された瞬間故障確率が閾値を上回る場合にレジリエンスを増加させることとを含む。
【0016】
特定の実施の形態において、少なくとも1つのアプリケーションパラメータを更新することは、受信された瞬間故障確率を閾値と比較することと、受信された瞬間故障確率が閾値を上回る場合、角速度を減少させ、レジリエンスを更に増加させることとによってレジリエンス及び角速度を更新することを含む。
【0017】
特定の実施の形態において、本方法は、
少なくとも1つのアプリケーションについて、アプリケーションの平均リソース使用量をリソーススケジューラから受信することを更に含み、
少なくとも1つのアプリケーションパラメータは、受信された瞬間故障確率と、アプリケーションパラメータの以前の値と、平均リソース使用量とに応答して更新される。
【0018】
このようなシステムにおいて無線リソースを割り当てるように構成されたリソーススケジューラが更に開示される。リソーススケジューラは、少なくとも1つのプロセッサを備え、少なくとも1つのプロセッサは、
a)各アプリケーションから、アプリケーションの要件を表すアプリケーションパラメータを受信することと、
b)各アプリケーションについて、受信されたアプリケーションパラメータの少なくとも一部と、アプリケーションの平均故障確率と、更に送信チャネルのチャネル誤り確率とに応答するメトリックを計算することと、
c)メトリックを比較し、比較に応答して、無線リソースを割り当てるアプリケーションを選択することと、
d)各アプリケーションについて、平均故障確率を更新することと、
e)瞬間故障確率を各アプリケーションに送信することであって、瞬間故障確率は、アプリケーションパラメータを更新するためにアプリケーションによって使用されることと、
を行うように構成されている。
【0019】
このようなシステムにおいてアプリケーションをホストするデバイスが開示される。デバイスは、少なくとも1つのプロセッサを備え、少なくとも1つのプロセッサは、
少なくとも1つのアプリケーションについて、アプリケーションの瞬間故障確率をリソーススケジューラから受信することと、
アプリケーションの要件を表す少なくとも1つのアプリケーションパラメータを、受信された瞬間故障確率と、更にアプリケーションパラメータの以前の値とに応答して更新することと、
更新されたアプリケーションパラメータをリソーススケジューラに送信することであって、更新されたアプリケーションパラメータは、新しい無線リソースを割り当てるためにリソーススケジューラによって使用されることと、
を行うように構成されている。
【0020】
このようなリソーススケジューラと、このようなアプリケーションをホストするデバイスとを備えるシステムも開示される。
【0021】
プログラマブルデバイスにロードすることができるプログラムコード命令を含むコンピュータプログラム製品が開示され、プログラムコード命令は、プログラムコード命令がプログラマブルデバイスによって実行されるときに、種々の実施の形態に記載の方法を実装させる。このようなコンピュータプログラムを記憶する記憶媒体が開示される。
【0022】
本発明の特徴は、実施形態の少なくとも1つの例の以下の説明を読むことによってより明らかになる。この説明は、添付図面に関して作成されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態を実装することができるシステムを示す図である。
図2】リソース割り当てを得るためのデバイス間の競合の原理を示す図である。
図3】所与のアプリケーションに関する種々のアプリケーションパラメータを示す図である。
図4】特定の実施形態によるリソース割り当てのための方法のフローチャートである。
図5】所与のストリームの各メッセージに対する送信機会の原理を示す図である。
図6】特定の実施形態によるアプリケーションパラメータを更新する方法のフローチャートである。
図7】特定の実施形態によるアプリケーションパラメータを更新するプロセスを示す図である。
図8】別の特定の実施形態による、アプリケーションパラメータを更新するプロセスを示す図である。
図9】特定の実施形態による、アプリケーションパラメータを更新するプロセスを示す図である。
図10】特定の実施形態によるアプリケーションパラメータを更新するプロセスを示す図である。
図11】特定の実施形態によるリソーススケジューラのハードウェアアーキテクチャの例を概略的に示す図である。
図12】特定の実施形態による、アプリケーションをホストするデバイスのハードウェアアーキテクチャの例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
種々の実施形態は、或る時間内に工場内の或る場所から別の場所に移動する等の種々のミッションを遂行するように移動ロボットが設置される、スマートファクトリーとの関連で開示される。しかしながら、これらの実施形態は、例えば自律走行車を含む環境といった他の環境にも適用することができる。
【0025】
図1は、本実施形態が実装される、例えばスマートファクトリーの一部としてのシステム1を示している。システム1は、移動ロボット10A~10Dのセット10を備え、各移動ロボットは、工場内の或る場所から別の場所に移動することができる。セット10はまた、非移動ロボットを含んでもよい。移動ロボット10A~10Dは、アプリケーションメッセージを交換する1つ以上の制御デバイス12A及び12Bとワイヤレス通信を行う。各制御デバイス12A及び12Bは、基地局、MEC(「マルチアクセスエッジコンピューティング(Multi-access Edge Computing)」の英語の頭字語)局、又は移動局である。制御デバイス12A及び12Bは、例えば、ロボット10A~10Dのミッションを計画及び監視するように構成されている。一例として、図1では、制御デバイス12Aは、そのミッションを表すデータを含むアプリケーションメッセージをロボット10Aに送信し、制御デバイス12Bは、そのミッションを表すデータを含むアプリケーションメッセージをロボット10Cに送信する。ミッションデータは、変位データ(例えば、角速度、線速度、圧力レベル)、インタラクションデータ、運動データ等を含む。これに対して、ロボット10Aは、アプリケーションメッセージを制御デバイス12Aに送信し、ロボット10Cは、アプリケーションメッセージを制御デバイス12Bに送信する。ロボットから制御デバイスに送信されるアプリケーションメッセージは、例えば、監視データ又は環境データを含む。アプリケーションメッセージの交換は、アプリケーションに依存して周期的又は非周期的である。
【0026】
各ロボット10A~10D並びに各制御デバイス12A及び12Bは、少なくとも1つのアプリケーションモジュールを備える。したがって、アプリケーションメッセージは、より具体的には、ロボットのアプリケーションモジュールと制御デバイスのアプリケーションモジュールとの間で交換される。アプリケーションモジュールは、一般に、ソフトウェアエンティティ、すなわちアプリケーションを、アプリケーションバッファ等のハードウェア要素とともに含む。
【0027】
ロボットは、通常、複数の物理的要素、例えば、車輪、アームを備える。したがって、所与のロボットは、関係する物理的要素に応じて、異なるタイプのデータを含むアプリケーションメッセージを制御デバイスと交換する必要がある。したがって、以下では、ストリームSは、ロボットのセット10内の所与のロボットの所与の物理的要素から送信された(又は所与の物理的要素によって受信された)アプリケーションメッセージm (n)のセットとして定義される。換言すれば、複数のストリームは、1つの同じロボットに関連付けられてもよく、例えば、1つのストリームはロボットのアームに関連付けられ、1つのストリームはロボットの各車輪に関連付けられてもよい。以下では、K個のストリーム{S,...,S}を考慮し、各ストリームSは所与のアプリケーションAPPに関連付けられる。したがって、アプリケーションAPPとストリームSとの間には1対1の関連がある。アプリケーションAPPは、メッセージm (n)をサイズ1のメッセージのアプリケーションバッファに1つずつプッシュし、メッセージm (n)は、無線リソースを使用して時刻nにおいて対応する受信機、例えば制御デバイスに送信される。
【0028】
ワイヤレス環境では、無線リソースの数が制限される。無線通信の分野では、リソースの数は、限られた時間内に使用される周波数リソース(例えば、各サブチャネルが有限数の周波数ブロックを含むサブチャネル)の数として定義される。これらの限られた無線リソースを適切に割り当てるために、システム1は、リソーススケジューラ(RS)14を更に備え、リソーススケジューラ(RS)14は、周期的に、すなわちdt(例えばdt=1ms)ごとに、利用可能な無線リソースを1つの特定のストリームSに割り当てるように構成されている。したがって、図2に示すように、dtごとに、アプリケーションメッセージm (n)が送信される機会、すなわちタイムスロットが存在する。図2に示すように、ロボット、より正確にはストリームは、リソース割り当てを得るために競合している。このように、リソーススケジューラ14は、K個のストリームの中から1つのストリームを選択して無線リソースを割り当てるように構成されている。
【0029】
リソーススケジューラ14は、通常、バッファ等のハードウェア要素と共にソフトウェアエンティティを含む。リソーススケジューラは、基地局、MEC局又は移動局に配置される。
【0030】
図3は、所与のアプリケーションAPPに関連する種々のアプリケーションパラメータを示している。アプリケーションAPPは、例えば、特定のロボット、例えばロボット10Cのアームの動作を制御するように構成された、制御デバイスのうちの1つに配置されたアプリケーションである。アプリケーションAPPは、特定のロボットに配置され、ロボットの環境を監視するように構成されたアプリケーションでもあり得る。アプリケーションAPPは、種々の時刻n(n=1、2、3、及び4)において複数のメッセージm (n)を生成する。これらのメッセージは、ストリームSに関連付けられたロボット、例えば10Cのアンテナと、制御デバイス、例えば12Bのアンテナとの間の送信チャネルH上で送信されることになる。送信チャネルHは、そのチャネル誤り確率
【数6】
によって特徴付けられる。
【0031】
各アプリケーションAPPは、値が一時的に変化し得るアプリケーションパラメータのセットによって定義されるいくつかの要件、すなわち、レジリエンスR (n)、メッセージ寿命D (n)、及びメッセージ期間T (n)を有する。
【0032】
レジリエンスR (n)は、アプリケーションAPPがメッセージを受信しないことを許可する最大時間量である。レジリエンスR (n)が違反された場合、すなわち、アプリケーションAPPがR (n)を超える期間中にメッセージを受信しない場合、アプリケーション障害が発生する。この場合、関連するロボットは、安全モード、例えば、再初期化を伴う部分的又は完全な停止に入ることができる。
【0033】
メッセージ寿命D (n)は、アプリケーションバッファにプッシュされたときのメッセージm (n)の寿命である(文献ではパケット遅延バジェットとも称される)。実際には、例えば、任意の監視アプリケーションのメッセージm (n)は、特にロボットの動きのために、限られた持続時間にしか関連しない。図3では、第1のメッセージm (1)の寿命は4タイムスロットであり、第2のメッセージm (2)及び第4のメッセージm (4)の寿命は2タイムスロットであり、第3のメッセージm (3)の寿命は3タイムスロットである。
【0034】
メッセージ期間T (n)は、2つの連続するメッセージの開始の間の時間である。この期間は、アプリケーションが周期的なトラフィックを必要としない場合、可変である。
【0035】
図4に、特定の実施形態によるリソース割り当てのための方法のフローチャートを示す。この方法は、リソーススケジューラ14によって実装される。
【0036】
リソース割り当ては、利用可能な無線リソースについて、いくつかのメトリックM (n)に従って単一のストリームS(したがって、単一のアプリケーションAPP)を選択することを含む。メトリックM (n)は、任意の単一のストリームのアプリケーションの要件を満たすこと、例えば、レジリエンス違反によるアプリケーション障害の数を最小限に抑えることと、全てのデバイス間で無線リソースを最も公平に共有することとの間のバランスをとるように定義される。
【0037】
この目的のために、リソーススケジューラ14は、例えば、α-フェアユーティリティベースの形式を使用して、ストリーム間の公平なリソース割り当てを保証する。したがって、k番目のストリームのローカルコスト関数は、以下のように定義される。
【数7】
ここで、F (n)は、時刻nにおけるアプリケーションAPPの平均故障確率である。αの値は、リソーススケジューラ14において期待される公平性を決定し、例えば、α=1は、比例的公平性、すなわち、ネットワークのスループット間のバランスを提供し、同時に、全てのユーザに対して少なくとも最小レベルのサービスを可能にする。α=10は、最大-最小公平性に対応する。グローバルコスト関数J(n)が、全てのローカルコスト関数の関数として定義される。例えば、J(n)は、ローカルコスト関数のk全体にわたる和として以下のように定義される。
【数8】
【0038】
したがって、コスト関数J(n)は、時刻nにおいて、無線リソースを割り当てるためにK個のストリームの中から1つのストリームを選択するために、リソーススケジューラ14によって使用される。
【0039】
リソース割り当ての実際の実装形態には、ステップS40~S46が含まれる。
【0040】
ステップS40において、リソーススケジューラ14は、各アプリケーションAPPから、時刻nにおけるそのアプリケーションの要件を表すアプリケーションパラメータ、すなわち、R (n)、D (n)、T (n)を受信する。
【0041】
ステップS42において、リソーススケジューラ14は、各ストリームSに対して(したがって、各アプリケーションAPPに対して)、受信されたアプリケーションパラメータ、すなわち、R (n)、D (n)、T (n)の少なくとも一部と、平均故障確率F (n-1)と、更にチャネル誤り確率
【数9】
とに応じて、メトリックM (n)を計算する。F (n)は、n=0に初期化される。例えば、F (0)=1であるか又はF (0)はゼロとは異なるランダムな値に設定される。F (n)は、後にステップS46で更新される。
【0042】
各メトリックM (n)は、以下のように計算される。
【数10】
ここで、N (n-1)は、アプリケーションが開始してからアプリケーションAPPによってバッファリングされたメッセージの数である。f (n)は、APPの瞬間故障確率である。
【0043】
時刻nにおいて、故障確率F (n)は未知である。したがって、F (n-1)から、以下のように予測される。
【数11】
ここで、ストリームkが無線リソースを割り当てるために選択される場合にはδ (n)=1であり、そうでない場合にはδ (n)=0である。
【0044】
(n)は、無線条件及びアプリケーションの要件に対する関心に応じて、異なる方法で計算される。
【0045】
第1の実施形態において、メトリックM (n)は、
【数12】
によって表される無線状態に加えて、レジリエンスR (n)が考慮される。この実施形態において、関数f (n)は、
【数13】
又は
【数14】
のように定義することができる。ここで、Q (n)は、n+R (n)-nに等しく設定され、nは、アプリケーションAPPのパケットが受信された最後の時刻である。量Q (n)は、レジリエンス違反、すなわちアプリケーション障害の前のタイムスロットの数を表す。ストリームがパケットを送信することに成功しない場合、Q (n)は1だけ減少され、そうでない場合、Q (n)はレジリエンスRに設定される。換言すれば、パケットが正しく送信された場合、すなわち、リソースが割り当てられ、パケットが受信された場合には、Q (n)はレジリエンス値に設定される。実際には、送信が時刻nにおいて成功したとき、nは値nに等しく設定され、したがって、Q (n)はR (n)に設定される。
【0046】
パケットが(割り当てられなかったか、割り当てられたが送信に失敗したため)受信されない場合、nは1だけ増加し、Q (n)は1だけ減少する。
【0047】
第1の実施形態の変形例では、Q (n)に平均リソース使用量ρ (n)が乗算される。一例では、平均リソース使用量ρ (n)は、現在の時刻nまでにストリームSによって(又は同等の方法でアプリケーションAPPによって)得られたリソース割り当ての数を、現在の時刻nまでのタイムスロットの総数で除算したものをカウントすることによって計算される。別の例では、平均リソース使用量は、ρ (n)=1/Kとして一様なリソース分布を与える。ここで、Kはストリームの数である。別の例では、ρ (n)は、ρ (n)=1/R (n)でレジリエンスを反映する。したがって、平均リソース使用量の値は、区間[0;1]に属する。したがって、この変形例では、関数f (n)は、
【数15】
のように定義され、又はより一般的には、
【数16】
のように定義される。ここで、H()は、予め定義された関数である。一例として、H()は、Q (n)の恒等関数又は増加アフィン関数であり、例えば、H(Q (n))=Q (n)-1である。
【0048】
第2の実施形態において、メッセージ寿命D (n)及びメッセージ期間T (n)が、レジリエンスR (n)
【数17】
を通じて)及び無線状態
【数18】
に加えて考慮される。この実施形態において、関数f (n)は、以下のように定義することができる。
【数19】
ここで、
【数20】
は、バッファリングされるレジリエンスウィンドウ内の残りのメッセージの数であり、すなわち、
【数21】
は、現在のメッセージの後の残りのメッセージの数であり、fct()は、D (n)及び/又はSNR及び/又は追加のパラメータの予め定義された関数である。
【0049】
【数22】
にメッセージ寿命D (n)を乗算することによって、次のメッセージの時点での残りの送信機会の数が得られる。例えば、HARQ(「ハイブリッド自動再送要求(Hybrid Automatic Repeat reQuest)」の英語の頭字語)の場合、関数f (n)は、現在のメッセージと同様に次のメッセージについての瞬間故障確率を含むように表現されてもよい。後者の場合、冗長性はSNRの増加を可能にするので、
【数23】
となるように時間インデックスが増加するにつれて、チャネル誤り確率はますます低くなる。一例として、
【数24】
である。
【0050】
変形例では、関数f (n)は以下のように定義することができる。
【数25】
ここで、Q (n)は、
【数26】
に設定され、rは、考慮されるメッセージがスケジューリングのために考慮される第1の時刻である(すなわち、考慮されるメッセージの寿命の始まりである)。ここで、Q (n)は、レジリエンス違反が発生する前の送信機会の数を表す。図5は、所与のストリームSの各メッセージに対する送信機会の原理を示している。図5は、図3と同様である。したがって、共通の要素には同じ参照番号が付されている。図5では、第1のメッセージを送信するための4つの機会、第2のメッセージのための2つの機会、及び第3のメッセージのための3つの機会がある。
【0051】
第2の実施形態の変形例では、Q (n)に平均リソース使用量ρ (n)が乗算される。したがって、f (n)は、
【数27】
のように定義され、又はより一般的には、
【数28】
のように定義され、ここで、H()は、予め定義された関数である。一例として、H()は、Q (n)の恒等関数又は増加アフィン関数であり、例えば、H(Q (n))=Q (n)-1である。
【0052】
したがって、この第2の実施形態及びその変形例では、Q (n)は、次に来るバッファリングされたメッセージ内の残りの送信機会の数と、現在のメッセージ内の、すなわち現在のメッセージが終了する前の、残りの送信機会の推定数d (n)とに分割される。下位層(PHY、MAC)においてハイブリッドARQメカニズムが存在し得ることを考慮すると、現在のパケットの瞬間故障確率は、d (n)のみに依存するのではない。パケットが良好に復号されないが送信される(チャネル障害)たびに冗長性を蓄積する任意のHARQベースの受信機は、一定のチャネル誤り確率を考慮しても、障害の低減された現在のパケット確率を観測する。実際に、冗長性を増加させることによって、信号対雑音比(SNR)がより大きかったかのように、受信パケットを良好に復号する確率が増加する。
【0053】
ステップS44において、リソーススケジューラ14は、メトリック{M (n),...,M (n)}を比較し、この比較に応答して、無線リソースを割り当てるストリームkを選択する。したがって、選択されたストリームのメッセージ
【数29】
は、チャネル
【数30】
を介して受信機に送信される。このステップでは、任意のk≠kに対して、
【数31】
及びδ (n)=0である。
【0054】
コストJ(n)の定義に応じて、以下のようになる。
【数32】
【0055】
ステップS46では、各kについて平均故障確率F (n)を更新する。更新された値F (n)は、メトリックM (n+1)の計算に使用される。故障確率F (n)は、以下のように更新される。
-送信されたメッセージに対応するパケットが受信された場合のAPP について、
【数33】
及びN (n)は、同時に以下のように更新される。
【数34】
-送信されたメッセージに対応するパケットが受信されない場合の
【数35】
について、又は任意の
【数36】
について、
まだ送信機会がある場合:
(n)=F (n-1)及びN (n)=N (n-1)
それ以外の場合(すなわち、送信機会がもうない場合):
【数37】
【0056】
ステップS48では、ステップS42で計算された各瞬間故障確率f (n)が、対応するアプリケーションAPPに送信される。送信された瞬間故障確率f (n)は、アプリケーションAPPによって受信され、アプリケーションAPPは、時刻(n+1)における瞬間故障確率を減少させようとするために、それを使用してそのアプリケーションパラメータのうちの少なくとも1つを更新する。
【0057】
ステップS40~S48は、nをインクリメントしながら反復的に繰り返される。したがって、nは反復のインデックスを表す。
【0058】
図6に、特定の実施形態によるアプリケーションパラメータを更新する方法のフローチャートを示す。この方法は、アプリケーションAPPによってアプリケーションモジュールにおいて実装される。
【0059】
ステップS60において、アプリケーションAPPは、情報、例えば、リソーススケジューラ14によって提供される瞬間故障確率f (n)を受信する。f (n)は、スケジューラによってのみ知られており、すなわち、アプリケーションはそれを計算することができない。その結果、この情報をアプリケーションに送信することにより、アプリケーションは、f (n+1)<f (n)となるように将来の故障確率を減少させるようにその要件を適合させることが可能になる。
【0060】
ステップS62において、アプリケーションAPPは、受信した情報に応答して、そのアプリケーションパラメータのうちの少なくとも1つを更新する。図7に示すように、アプリケーションAPPは、入力としてR (n)及びf (n)を使用して、更新されたアプリケーションパラメータR (n+1)を取得する。より一般的には、アプリケーションAPPは、入力としてf (n)、R (n)、及び任意選択でT (n)、D (n)、X (n)を使用して、更新されたアプリケーションパラメータR (n+1)及び任意選択で更新されたアプリケーションパラメータT (n+1)、D (n+1)、X (n+1)を取得する。X (n)は、アプリケーションに直接関連する変数、例えば、アーム、車輪等のような関連する物理的要素の速度である。
【0061】
図8に示す変形例では、Lin-メモリが使用される。したがって、アプリケーションAPPは、時刻t∈{(n-Lin),...,(n)}に対して提供される複数の瞬間故障確率f (t)を受け取る。一例として、Lin=0,1,2である。アプリケーションAPPは、入力として
【数38】
及び
【数39】
を使用して、更新されたアプリケーションパラメータ
【数40】
を取得する。一例として、Lout=0,1,2である。
【0062】
より一般的には、アプリケーションAPPは、入力として、
【数41】
及び任意選択で
【数42】
を使用して、更新されたアプリケーションパラメータ
【数43】
及び任意選択で更新されたアプリケーションパラメータ
【数44】
を取得する。
【0063】
更新関数Fupdateは、異なる方法で定義されてもよい。
【0064】
第1の実施形態において、アプリケーションは、最初に、最大故障確率f MAXを考慮する。値f MAXは、アプリケーションの性能のニーズに基づいて決定される。受信された値f (n)>f MAXである場合、アプリケーションは、R (n+1)>R (n)となるように、より大きなレジリエンスを可能にする。このようにして、ストリームSは、より多くの送信機会を得る。一例では、受信された値f (n)が最大故障確率f MAXよりも大きい場合、レジリエンスはΔRタイムスロットだけ増加され、すなわち、R (n+1)=R (n)+ΔR、例えば、ΔR=1となる。この実施形態において、レジリエンスパラメータのみが更新される。そうでない場合(すなわち、f (n)≦f MAXの場合)、レジリエンスは修正されない。変形例では、f (n)がf MAXよりも著しく低い場合にレジリエンスが減少される。
【0065】
第2の実施形態において、故障確率
【数45】
は、以下のように
【数46】
から推定される。
【数47】
ここで、Γは行列であり、fctt(・)はその入力値を組み合わせる関数である。例えば、fctt()は、その入力値の平均、分散、中央値又は最大値を出力する関数である。変形例では、fctt()は恒等関数である。
【0066】
特定の例において
【数48】
である。
【0067】
故障確率とアプリケーションの要件との間のいくつかの事前に計算された関係が与えられると、アプリケーションAPPは、そのアプリケーションパラメータ
【数49】
及び
【数50】
又はそれらのうちの少なくとも1つ、例えばレジリエンスを更新して、推定故障確率
【数51】
が以前の故障確率、すなわち
【数52】
よりも低いことを確実にすることができる。
【数53】
が経時的に一定であると仮定すると、アプリケーションAPPは、式
【数54】
から
【数55】
を推定できる。Q (n)は、アプリケーションのパラメータに直接依存するので、APPは、そこから新しいアプリケーションパラメータを選択して、f (n+j)、j≧1の値を変更することができる。
【0068】
第3の実施形態において、アプリケーションAPPは、ロボットの車輪のモータのための制御アプリケーションである。変数X (n)は、時刻nにおいてモータによって車輪に提供される角速度を表す。アプリケーションメッセージは、角速度から直接計算される周期T (n)、例えば、T (n)=2π/(X (n))で周期的に要求される監視情報である。最大故障確率f MAXが与えられると、f (n)>f MAXである場合、アプリケーションは、X (n+1)<X (n)となるように角速度を低減する。一例では、X (n+1)はΔXだけ減少し、すなわちX (n+1)=X (n)-ΔXとなり、例えばΔX=1m/s又は2m/sである。値ΔXは、アプリケーションの性能のニーズに基づいて決定される。その結果、アプリケーションメッセージの周期は、T (n+1)>T (n)となるように増加する。アプリケーションがレジリエンスウィンドウ内で同じ数の送信機会を必要とする場合、R (n+1)>R (n)となるようにレジリエンスが増加する。例えば、レジリエンスは、ΔRのタイムスロットだけ増加し、すなわちR (n+1)=R (n)+ΔR、例えばΔR=1である。
【0069】
この実施形態において、D (n)は更新されない。
【0070】
第4の実施形態において、制御デバイス12A及び12Bのうちの一方が、全ての単一アプリケーションAPPを管理するグローバルアプリケーションとして機能する。非常に多くの故障確率f (n)がそれらの閾値f MAXを超えている場合、グローバルアプリケーションとして機能する制御デバイスは、ミッションの再計画を要求する。いくつかのストリーム、したがって、いくつかのアプリケーションAPPは、しばらくの間停止することができ、他のいくつかは、それらのアプリケーションパラメータを再定義することができる。
【0071】
第5の実施形態において、アプリケーションAPPは、f (n)とパラメータR (n)、T (n)、D (n)、X (n)のうちの1つ以上との間のいくつかの数学的関係を認識している。換言すれば、アプリケーションAPPは、以下の関数G():f (n)=G(R (n),T (n),D (n),X (n))を認識している。別の実施形態において、ただ1つのアプリケーションパラメータ又はそれらのサブセットが、関数G()の入力と見なされ、例えば、f (n)=G(R (n),T (n))となる。この場合、他のアプリケーションパラメータは更新されない。
【0072】
したがって、アプリケーションAPPは、G()を反転させることによって、f (n+1)から、R (n+1)、T (n+1)、D (n+1)、及び任意選択でX (n+1)のうちの少なくとも1つの新しいアプリケーションパラメータを計算し、f (n+1)は、受信されたf (n)よりも低くなるように、アプリケーションAPPによって決定される。例えば、f (n+1)はf (n+1)=f (n)-Δfのように決定され、例えばΔf=10%である。値Δfは、アプリケーションの性能のニーズに基づいて決定される。
【0073】
1つの特定の実施形態において、アプリケーションAPPが関数G()をオフラインで学習する。変形例では、アプリケーションは、全てのアプリケーションパラメータの全ての可能な値をスキャンし、f (n)を最小化するか、又はf (n)の任意の目標値に近いf (n)を導く値のセットを選択する。
【0074】
第6の実施形態において、アプリケーションAPPは、目標故障確率f MAXをリソーススケジューラに送信する。この実施形態において、リソーススケジューラは、アプリケーションAPPの代わりに、少なくとも1つのアプリケーションパラメータを更新して、故障確率f (n+1)がf MAX以下であることを保証する。
【0075】
したがって、リソーススケジューラは、f (n+1)≦f MAXとなるように、f MAXから値R (n+1)、T (n+1)、D (n+1)又はそれらのうちの少なくとも1つを決定する。決定された値は、対応するアプリケーションAPPに送信される。
【0076】
変形例では、リソーススケジューラは、R (n+1)の単一の値のみを決定し、それを対応するアプリケーションAPPに送信する。この変形例では、値T (n+1)及びD (n+1)は更新されない。したがって、それらは、アプリケーションによって以前に与えられた値、すなわちT (n)、D (n)に等しく設定される。
【0077】
別の変形例では、リソーススケジューラは、R (n+1)、T (n+1)の値のペアを決定するが、D (n+1)は更新されない。すなわち、D (n+1)=D (n)である。可能なペア数が非常に多い場合があるため、リソーススケジューラは、例えば、最大値と最小値との間の線形量子化等、限られた探索空間内でR (n+1)の値をとることによって、それらの有限数を選択することができる。
【0078】
別の変形例では、アプリケーションAPPは、要求されたフィードバック、例えば、R (n)の固定値についてf (n)=f MAXを満たす値のセットT (n)、D (n)、又はこのタイプの任意の組み合わせをリソーススケジューラに通知する。この場合、アプリケーションAPPは、リソーススケジューラにf MAX及びR (n)を送信する。その部分について、リソーススケジューラは、f (n)=f MAXを満たし、レジリエンス制約、すなわち、R (n+1)=R (n)を満たす値のセットT (n+1)、D (n+1)を決定する。
【0079】
図9に示すように、リソーススケジューラによって更新されたアプリケーションパラメータは、提案としてアプリケーションAPPに送信されるか、又はアプリケーションハードウェア内に直接実装されるかのいずれかである。
【0080】
図10に示す第7の実施形態において、ρ (n)を使用してf (n)を計算する。
【0081】
ρ (n)及びf (n)は、アプリケーションAPPに送信される。ここでは、アプリケーションパラメータを更新するために使用される追加のパラメータとしてρ (n)を使用して、第1の実施形態~第6の実施形態で説明したのと同じ方法でアプリケーションパラメータの少なくとも1つを更新する。第4の実施形態に関する例として、G()は、(R (n),T (n),D (n),X (n))=G-1(ρ (n),f (n))として定義される。
【0082】
図11に、特定の実施形態によるリソーススケジューラのハードウェアアーキテクチャの例を概略的に示す。
【0083】
リソーススケジューラ100は、通信バス110によって接続された、プロセッサ又はCPU(「中央演算装置(Central Processing Unit)」の頭字語)101と、ランダムアクセスメモリRAM102と、読み取り専用メモリROM103と、ハードディスク又は記憶媒体リーダ、SD(「セキュアデジタル(Secure Digital)」の頭字語)カードリーダ等の記憶ユニット104と、リソーススケジューラ100がデータを送信及び受信することを可能にする通信インターフェイスCOM105の少なくとも1つのセットとを備える。
【0084】
プロセッサ101は、ROM103から、外部メモリ(SDカード等)から、記憶媒体(HDD等)から、又は通信ネットワークからRAM102にロードされた命令を実行することができる。リソーススケジューラ100が起動されると、プロセッサ101は、RAM102から命令を読み出し、それらを実行することができる。これらの命令は、図4に関連して説明した方法をプロセッサ101によって実装させるコンピュータプログラムを形成する。
【0085】
図4に関連して説明される方法は、プログラマブルマシン、例えば、DSP(「デジタルシグナルプロセッサ(Digital Signal Processor)」の頭字語)、マイクロコントローラ、若しくはGPU(「グラフィックスプロセッシングユニット(Graphics Processing Unit)」の頭字語)による命令のセットの実行によってソフトウェア形式で実装されてもよく、又は、マシン若しくは専用コンポーネント(チップ又はチップセット)、例えば、FPGA(「フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field-Programmable Gate Array)」の頭字語)若しくはASIC(「特定用途向け集積回路(Application-Specific Integrated Circuit)」の頭字語)によってハードウェア形式で実装されてもよい。一般に、リソーススケジューラ100は、図4に関連して説明した方法を実装するように適合され構成された電子回路を含む。
【0086】
図12は、特定の実施形態による、アプリケーションAPPをホストするデバイス200のハードウェアアーキテクチャの例を概略的に示している。デバイス200は、ロボット又は制御デバイスであり得る。
【0087】
デバイス200は、通信バス210によって接続された、プロセッサ又はCPU(「中央演算装置(Central Processing Unit)」の頭字語)201と、ランダムアクセスメモリRAM202と、読み取り専用メモリROM203と、ハードディスク又は記憶媒体リーダ、例えばSD(「セキュアデジタル(Secure Digital)」の頭字語)カードリーダ等の記憶ユニット204と、デバイス200がデータを送信及び受信することを可能にする通信インターフェイスCOM205の少なくとも1つのセットとを備える。
【0088】
プロセッサ201は、ROM203から、外部メモリ(SDカード等)から、記憶媒体(HDD等)から、又は通信ネットワークからRAM202にロードされた命令を実行することができる。リソーススケジューラ200が起動されると、プロセッサ201は、RAM202から命令を読み出し、それらを実行することができる。これらの命令は、図6図10に関連して説明した方法をプロセッサ201によって実装させるコンピュータプログラムを形成する。
【0089】
図6図10に関連して説明される方法は、プログラマブルマシン、例えば、DSP(「デジタルシグナルプロセッサ(Digital Signal Processor)」の頭字語)、マイクロコントローラー、又はGPU(「グラフィックスプロセッシングユニット(Graphics Processing Unit)」の頭字語)による命令のセットの実行によってソフトウェア形式で実装されてもよく、或いは、マシン又は専用コンポーネント(チップ又はチップセット)、例えば、FPGA(「フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field-Programmable Gate Array)」の頭字語)又はASIC(「特定用途向け集積回路(Application-Specific Integrated Circuit)」の頭字語)によってハードウェア形式で実装されてもよい。一般に、デバイス200は、図6図10に関連して説明した方法を実装するように適合され構成された電子回路を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】