(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】回路基板、電池モジュール、電池パック及び電力消費装置
(51)【国際特許分類】
H05K 1/18 20060101AFI20240125BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20240125BHJP
【FI】
H05K1/18 G
H01M50/284
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554365
(86)(22)【出願日】2022-04-22
(85)【翻訳文提出日】2022-09-08
(86)【国際出願番号】 CN2022088389
(87)【国際公開番号】W WO2023123761
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202123382798.5
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】▲リ▼▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】石兆航
【テーマコード(参考)】
5E336
5H040
【Fターム(参考)】
5E336AA04
5E336BB15
5E336CC01
5E336CC55
5E336DD01
5E336EE03
5E336GG30
5H040AA04
5H040AS07
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY08
5H040DD08
5H040JJ03
(57)【要約】
本出願は、回路基板、電池モジュール、電池パック及び電力消費装置を開示する。回路基板には基板と、パッドと、半田ペースト層と、素子本体と、支持組立体とを備え、パッドは基板の上方に配置され、半田ペースト層はパッドの上方に配置され、素子本体は半田ペースト層の上方に配置され、素子本体と半田ペースト層との間に排気空間が形成されるように、パッドと素子本体との間に支持組立体が配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板には基板(1)と、
前記基板(1)の上方に設けられるパッド(2)と、
前記パッド(2)の上方に設けられる半田ペースト層(3)と、
前記半田ペースト層(3)の上方に設けられる素子本体(4)と、
前記素子本体(4)と前記半田ペースト層(3)との間にガス排出空間を形成するように、前記パッド(2)と前記素子本体(4)との間に設けられる支持組立体(5)とを備える
回路基板。
【請求項2】
前記支持組立体(5)は、一端が前記素子本体(4)に接続され、他端が前記半田ペースト層(3)に延伸して前記パッド(2)に接続される
請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記支持組立体(5)は少なくとも2本の支持柱を含む
請求項1又は2に記載の回路基板。
【請求項4】
前記支持組立体(5)は前記素子本体(4)の垂直中心線に沿って軸対称に設けられる
請求項1~3のいずれかの一項に記載の回路基板。
【請求項5】
前記支持柱は半田柱である
請求項3又は4に記載の回路基板。
【請求項6】
前記支持組立体(5)の融点は前記半田ペースト層(3)以上である
請求項1~5のいずれか一項に記載の回路基板。
【請求項7】
前記支持柱の高さは前記半田ペースト層(3)の厚さより大きい
請求項1~6のいずれか一項に記載の回路基板。
【請求項8】
前記素子本体(4)と前記パッド(2)との間に、前記素子本体(4)が前記パッド(2)と接続される時に発生したオフセットを防止するための固定組立体(6)が設けられる
請求項1~7のいずれか一項に記載の回路基板。
【請求項9】
前記固定組立体(6)は、前記パッド(2)上に設けられる半田ペースト領域(61)と、一端が前記素子本体(4)に接続され、他端が前記半田ペースト領域(61)に接続される位置制限柱(62)とを備える
請求項8に記載の回路基板。
【請求項10】
前記半田ペースト領域(61)の厚さは前記半田ペースト層(3)よりも大きい
請求項9に記載の回路基板。
【請求項11】
前記位置制限柱(62)はピンであり、前記ピンは素子本体(4)自体の素子ピンである
請求項9又は10に記載の回路基板。
【請求項12】
前記位置制限柱(62)は逆L型である
請求項9~11のいずれか一項に記載の回路基板。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の回路基板を備える電池モジュールであって、前記回路基板が前記電池モジュール内に位置する
電池モジュール。
【請求項14】
請求項13に前記の電池モジュールを備える
電池パック(100)。
【請求項15】
電力エネルギーを供給するための請求項14に記載の電池パック(100)を備える
電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年12月29日に提出した発明の名称「回路基板、電池モジュール、電池パック及び電力消費装置」の中国特許出願202123382798.5の優先権を主張し、その全ての内容が参照によって本出願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本出願は、電池の技術分野に関し、具体的には、回路基板、電池モジュール、電池パック及び電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0003】
省エネ・排出削減は自動車産業の持続可能な成長の鍵であり、電気自動車はその省エネ・環境保護での優位性により自動車産業の持続可能な成長の重要な構成部分となっている。電気自動車にとって、電池技術はその発展に関わる重要な要素である。
【0004】
回路基板は電池モジュール上でよく使われている配線板であり、よくある部品はPCB(Printed Circuit Board、プリント回路板)基板のパッドにはんだ付けして接続する必要があるが,はんだ付けの効果は多種の要素の影響を受けて、部品のはんだ付け完成品の効果は往々にしてよくなく、回路基板の正常な使用に影響を及ぼしやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記問題により、本出願は、関連技術における素子本体の底端での30%-40%の空洞率を緩和し、素子本体(MOSトランジスタ)のオフセット程度を低減することができる回路基板、電池モジュール、電池パック及び電力消費装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の側面、本出願は回路基板を提供する。回路基板には基板と、パッドと、半田ペースト層と、素子本体と、支持組立体とを備え、パッドは基板の上方に配置され、半田ペースト層はパッドの上方に配置され、素子本体は半田ペースト層の上方に配置され、素子本体と半田ペースト層との間に排気空間が形成されるように、パッドと素子本体との間に支持組立体が配置される。
【0007】
本出願の実施例の技術的解決手段では、部品を安定的に支持して部品の底端にガス逃がし空間としての架空構造を形成するために、部品の底端に半田シートが対称に配置され、また半田ペーストと半田シートとの異なる融点により、半田ペーストが溶解してガスが発生する時、ガスを架空構造を介して放出させ、ガスが半田ペーストの位置に空洞を形成することを回避でき、半田ペーストが溶解した後に、半田シートが溶解し始め、大部分のガスが周囲に揮発できることを合理的に確保する。部品は、その側端の位置制限部材により位置制限を行い、位置制限部材の底端の半田ペーストの厚さを変えることによって、位置制限部材への位置制限を達成し、溶解してはんだ付けする時の部品のオフセットをさらに防止する。
【0008】
いくつかの実施例では、支持組立体は、一端が素子本体に接続され、他端が半田ペースト層に延伸してパッドに接続される。半田炉において半田ペースト層及び支持組立体を高温で溶解することによって、さらに素子本体及びその位置制限柱が基板上のパッドに効果的に固定される。
【0009】
いくつかの実施例では、支持組立体は、少なくとも2本の支持柱を含む。このように、素子本体を支持しやすいとともに、支持組立体による素子本体への架空を容易にし、ガスの揮発とはんだ付け接続の速度の確保に有利である。
【0010】
いくつかの実施例では、支持組立体は、素子本体の垂直中心線に沿って軸対称に設けられる。軸対称に設けられる支持組立体は、素子本体をバランスよく支持することを確保でき、支持組立体が溶融して素子本体が下降する過程において水平方向のオフセットを可能な限り減少させることができる。
【0011】
いくつかの実施例では、支持柱が半田柱である。半田柱の融点は半田ペーストより大きく、ガス排出空間が機能することを効果的に確保することができる。
【0012】
いくつかの実施例では、支持組立体の融点が半田ペースト層以上である。半田ペースト層が支持組立体よりも先に溶解することを効果的に確保し、さらにガスは支持組立体が溶解する前にガス排出空間から排出されるための十分な時間がある。
【0013】
いくつかの実施例では、支持柱の高さは、半田ペースト層の厚さよりも大きい。支持柱が素子本体を持ち上げてガス排出空間を形成できることを効果的に確保する。
【0014】
いくつかの実施例では、素子本体とパッドとの間に、素子本体がパッドと接続される時に発生したオフセットを防止する固定組立体が設けられる。素子本体のはんだ付け中のオフセットの程度をさらに小さくする。
【0015】
いくつかの実施例では、固定組立体は、パッド上に設けられる半田ペースト領域と、一端が素子本体に接続され、他端が半田ペースト領域に接続される位置制限柱とを備える。位置制限柱は、素子本体の側端に安定した支持・位置制限構造を形成しやすい。
【0016】
いくつかの実施例では、半田ペースト領域の厚さは、半田ペースト層よりも大きい。半田ペースト領域の厚さを増加することによって、本来ぶら下がった位置制限柱を厚くなった半田ペーストにフィットさせ、素子本体のオフセットを防止する。
【0017】
いくつかの実施例では、位置制限柱はピンであり、ピンは素子本体自体の素子ピンである。ピンの構造は通常2本であるが、2本に限られず、素子本体に対して容易に位置制限を行うために、複数本であってもよい。
【0018】
いくつかの実施例では、位置制限柱は、逆L型である。このように、素子本体の側端に安定した支持・位置制限構造を容易に形成する。
【0019】
第2の側面、本出願は、上記実施例における回路基板を備える電池モジュールを提供する。
【0020】
第3の側面、本出願は、上記実施例における電池モジュールを備える電池パックを提供する。
【0021】
第4の側面、本出願は、上記実施例における電力エネルギーを供給するための電池パックを備える電力消費装置を提供する。
【発明の効果】
【0022】
上記技術的解決手段を利用することによって、本出願の有益な効果は次のとおりである。
【0023】
支持組立体の配置を最適化し、素子本体の底端に対称の支持組立体が設けられ、架空してガス排出空間が形成され、支持組立体と半田ペーストとの融点差を利用して、半田ペーストの溶解時、支持組立体が徐々に溶解する過程においてガスがガス排出空間を介して周囲に発揮することを確保することによって、半田ペーストの溶融接触位置に空洞が形成される範囲を小さくする。
【0024】
固定組立体の配置を最適化し、固定組立体が素子本体自体の素子ピンである場合、素子ピンを利用して位置制限を行い、素子ピンの底端の半田ペースト領域の厚さを大きくすることによって、はんだ付けを行なわない時に素子ピンが半田ペーストに接触できるようにし、素子ピンがパッド上の半田ペーストに接触することにより、素子本体のオフセットを防止する。
【0025】
以上は本出願の技術的解決手段を概略的に説明したが、本出願の技術的手段をより明確に理解できるようにするために、明細書の内容に基づいて実施できるとともに、本出願の上記及び他の目的、特徴及びメリットをより分かりやすくするために、以下において、特に本出願の具体的な実施形態を挙げる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図面は、本発明への更なる理解を提供し、かつ明細書の一部を構成し、本発明の実施例と共に本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0027】
図面において、同一の部材に同一の符号を付し、かつ図面は概略的なものであり、必ずしも実際の寸法通りに描かれたものではない。
【0028】
本発明の実施例又は関連技術の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下において、実施例又は関連技術の説明に用いられる図面を簡単に説明し、当然ながら、以下の説明における図面は本発明の1つ又は複数の実施例であるだけで、当業者にとっては、創造的な労働を払わないことを前提として、このような添付図面に基づいてその他の添付図面を取得することもできる。。
【
図1】本出願のいくつかの実施例に係る車両の構造模式図である。
【
図2】本出願のいくつかの実施例に係る回路基板の構造模式図である。
【
図3】関連技術における回路基板の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下において、図面を参照しながら、本出願の技術的解決手段の実施例について詳細に説明する。以下の実施例は、本出願の技術的解決手段をより明確に説明するためのものに過ぎないため、例としてのみ使用され、これをもって本出願の保護範囲を限定するものではない。
【0030】
別途に定義しない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本出願の技術分野の当業者が通常理解する意味と同一であり、本明細書で使用される用語は、特定の実施例を説明する目的のためだけであり、本出願を限定することを意図するものではなく、本出願の明細書、特許請求書、及び上記図面の説明における用語「含む」、「有する」、及びそれらのいかなる変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図する。
【0031】
本出願の実施例の説明において、「第1」、「第2」等の技術用語は、異なる対象を区別するためのものに過ぎず、相対的重要性を指示又は暗示し、あるいは示された技術的特徴の数、特定の順序又は主副関係を示唆すると理解できない。本出願の実施例の説明において、「複数」とは、別段の明確で具体的な限定がない限り、2つ以上を意味する。
【0032】
本明細書において「実施例」に言及することは、実施例と併せて説明された特定の特徴、構造、又は特性が、本出願の少なくとも1つの実施例に含まれていることを意味する。明細書の各箇所で出現する該用語は、必ずしも同じ実施例を指すというわけでなく、他の実施例に対して排他的に独立した実施例又は代替的な実施例であるというわけでもない。本明細書に記載の実施例を他の実施例と組み合わせてもよいことは、当業者が明示的又は暗示的に理解できるものである。
【0033】
本出願の実施例の説明において、用語「及び/又は」は、関連対象の関連関係を記述するためのものに過ぎず、3種の関係が存在可能であることを示し、例えば、A及び/又はBは、Aが単独して存在し、AとBが同時に存在し、Bが単独して存在するという3種の場合を示してもよい。また、本明細書中の文字「/」は、一般に前後の関連先が「又は」の関係であることを表す。
【0034】
本出願の実施例の説明において、用語「複数」は、2つ以上(2つを含む)を意味し、同様に、「複数のグループ」は、2つ以上のグループ(2つを含む)を意味し、「複数枚」は、2つ枚以上(2つを含む)を意味する。
【0035】
本出願の実施例の説明において、技術用語「中心」「縦」「横」「長さ」「幅」「厚さ」「上」「下」「前」「後」「左」「右」「垂直」「水平」「頂」「底」「内」「外」「時計回り」「反時計回り」「軸方向」「径方向」「周方向」等が示す方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、単に本出願の実施例の説明を容易にし、説明を簡略化するためのものに過ぎず、示される装置又は素子が特定の向きを有し、特定の向きで構成され、動作しなければならないことを指示又は暗示するものではないため、本出願の実施例を限定するものと理解できない。
【0036】
本出願の実施例の説明において、別段の明示的な規定及び限定がない限り、技術用語「取付」「つながる」「接続」「固定」等の用語は、例えば、固定接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、一体であってもよく、機械的接続であってもよいし、電気的接続であってもよく、直接接続してもよいし、中間媒体を介して間接的に接続してもよく、2つの素子内部の連通又は2つの要素の相互作用関係であってもよく、広義に理解されるべきである。当業者であれば、本出願の実施例における上記用語の具体的な意味は、具体的な状況に応じて理解することができる。
【0037】
現在、市場情勢の発展から見ると、動力電池の応用はますます広くなっている。動力電池は水力、火力、風力、太陽光発電所等のエネルギー貯蔵・電源システムだけでなく、電動自転車、電動バイク、電動自動車等の電動乗り物、そして軍事装備、及び航空・宇宙等多くの分野で広く利用されている。動力電池の応用分野の拡大に伴い、その市場の需要量も絶えず増加している。
【0038】
動力電池システムは、電気エネルギー貯蔵装置として、新エネルギー電気自動車のコア部品の一つである。電気自動車は、その走行条件を満たすために高い電力を必要とするだけでなく、いくつかの特殊な状況に対応する能力も必要である。現在、新エネルギー自動車上の電池パック100は、円筒型18650セルや角型セル等、一定の仕様を持つ多くの単体セルを使用することができる。現在、異なる電気自動車に必要な特定の電圧と容量に合わせた動力電池システムを製造し、主な流れは、まず複数の同一仕様の単体セルを電池モジュールとして組み立て、次に複数の電池モジュールを電池パック100として組み立て、最後に複数の電池パック100を動力電池ボックスに組み立てて電気エネルギー貯蔵装置として電気自動車に使用することである。電池モジュールに回路基板が設けられ、回路基板の完全な構造は、基板1に素子本体4がはんだ付けされたものであり、後述の素子本体4は、いずれもMOSトランジスタを例とし、基板1にMOSトランジスタをはんだ付けする時、メタルマスクによって基板1上のパッド2に適切な厚さの半田ペーストを印刷し、MOSトランジスタを半田ペーストに直接配置して、半田炉に送り込んではんだ付けを行う。温度が217℃に達すると、半田ペーストが溶解し、溶融冷却した後、この時MOSトランジスタが半田ペーストによりパッド2に固定されるが、このとき溶解過程で発生したガスが速やかに揮発できず、半田ペーストに若干の空洞が形成され、即ち、ガスが半田ペーストに残留して、いわゆる气泡が形成され、一方、MOSトランジスタの底端に支持組立体5が設けられて架空する時、メタルマスクによって同じ厚さの半田ペーストを印刷すると、MOSトランジスタの側端の素子ピンへの位置制限、即ち位置制限柱62への位置制限を満たすことができなくなり、MOSトランジスタは、素子ピンによってはんだ付け過程でオフセットしないことを確保することができなくなり、MOSトランジスタがパッド2からオフセットした値が25%以上になる。
【0039】
MOSトランジスタにおける元の30%-40%の空洞率という問題を緩和するために、出願人が研究したところ、MOSトランジスタの底端に対称の支持組立体5を設けることができ、半田ペースト自体の融点が217℃であるが、支持組立体5が半田シートを選択する場合、半田シートの融点が217-227℃であり、半田ペーストが溶解する時、半田シートは依然として個体であり、ガス逃がし空間が形成されることを発見した。温度が上昇し続け、半田シートが溶解し、素子本体4そのものが降下して半田ペーストと溶接部が形成される。MOSトランジスタを持ち上げてガス逃がし空間が形成され、ガスが周囲に揮発して、半田ペーストの溶融接触位置に空洞が形成される範囲を小さくすることができる。MOSトランジスタの大幅なオフセットという問題を回避するために、出願人が研究したところ、MOSトランジスタのはんだ付け素子のピン自体が本体よりも低く、MOSトランジスタ本体が半田シートと接触する時、MOSトランジスタの素子ピンもパッド2上の半田ペーストと接触し、素子本体4のオフセットを防止することができることを発見した。しかし、半田シートが設けられると、素子ピンの底端とその底端の半田ペーストとの間に隙間が生じやすくなり、このときはんだ付け対象物を半田炉に送り込むと、溶解中にオフセットが発生しやすいため、素子ピンの底端の半田ペーストの厚さを増加して、素子ピンを半田ペーストに接触できるようにし、はんだ付けが行わない時、MOSトランジスタに対してその側端で位置制限を行うことができる。半田炉による溶解の過程において、MOSトランジスタのオフセット量が大幅に減少することを効果的に確保する。
【0040】
以上の考えに基づいて、MOSトランジスタにおける元の30%-40%の空洞率を緩和し、MOSトランジスタのオフセット程度を低減するために、発明者は深い研究をしたところ、MOSトランジスタの底端に対称の支持組立体5が設けられることで、対称の支持組立体5は、MOSトランジスタが半田ペーストの上方に安定的に設けられることを保証するとともに、ガス逃がし空間が形成される回路基板を設計した。また、MOSトランジスタの素子ピンの底端の半田ペースト領域61の厚さを増加することによって、MOSトランジスタが半田炉に送り込まれない前に、素子ピンの底端と半田ペースト領域61に接触し、素子ピンによるMOSトランジスタの位置制限が可能となる。
【0041】
このような回路基板では、対称の支持組立体5により、MOSトランジスタの底端を架空にすることができる。半田ペーストが溶解した後、支持組立体5も徐々に溶解し始め、このときMOSトランジスタが次第に下降すると同時に、溶解により発生したガスがMOSトランジスタの底端の空間から周囲に揮発することができ、MOSトランジスタの空洞率という問題を効果的に緩和することができ、MOSトランジスタの空洞率を、元の30%-40%から現在の10%-20%に低減することができる。一方、素子ピンの下方での厚くなった半田ペースト領域61について、MOSトランジスタが下降する時、素子ピンも半田ペースト領域61の溶解に伴って降下することができ、素子ピンは、MOSトランジスタのはんだ付け中のオフセット問題を効果的に緩和することができ、MOSトランジスタのオフセットは、元のパッド2から25%以上より、わずかなオフセットまで低減される。
【0042】
本出願の実施例に開示される電池パック100は、車両、船舶、又は航空機のような電力消費装置に用いられるが、これらに限定されていない。
【0043】
本出願の実施例は、電池パックを電源として用いられる電力消費装置を提供し、電力消費装置は、携帯電話、タブレット、ノートパソコン、電動玩具、電動工具、電動バイク、電気自動車、汽船、宇宙機等であってもよいが、これらに限定されていない。ここで、電気玩具は、ゲーム機、電気自動車玩具、電気汽船玩具、電気飛行機玩具等、固定式又は移動式の電気玩具を含むことができ、宇宙機は、航空機、ロケット、スペースシャトル、及び宇宙船等を含むことができる。
【0044】
以下の実施例は、説明を容易にするために、本出願の実施例に係る電力消費装置である車両1000を例として説明する。
【0045】
図1を参照し、
図1は本出願のいくつかの実施例が提供する車両1000の構造模式図である。車両1000は、ガソリン自動車、ガス燃料自動車、又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド車、又はレンジエクステンダー式自動車等であってもよい。車両1000の内部に電池パック100が設けられ、電池パック100は、車両1000の底部、前部、又は後部に設けられてもよい。電池パック100は、車両1000の動作電源として用いられるなど、車両1000に対する電力供給に用いることができる。車両1000は、コントローラ200及びモータ300をさらに備えることができ、コントローラ200は、例えば、車両1000の起動時、ナビゲーション時、及び走行時の動作電力需要のためにモータ300に電力を供給するように電池パック100を制御する。
【0046】
本出願のいくつかの実施例では、電池パック100は、車両1000の動作電源としてだけでなく、燃料又は天然ガスの代わりに又は部分的に代わりに、車両1000の駆動電源として車両1000に駆動力を提供することができる。
【0047】
本出願のいくつかの実施例によると、
図2、
図3を参照し、
図2は本出願のいくつかの実施例に係る回路基板の構造模式図であり、
図3は関連技術における回路基板の構造模式図である。
【0048】
本出願のいくつかの実施例によると、本出願は、回路基板を提供する。回路基板には基板1と、パッド2、半田ペースト層3と、素子本体4と、支持組立体5とを備え、パッド2は基板1の上方に配置され、半田ペースト層3はパッド2の上方に配置され、素子本体4は半田ペースト層3の上方に配置され、素子本体4と半田ペースト層3との間に排気空間が形成されるように、パッド2と素子本体4との間に支持組立体5が配置される。。
【0049】
基板1は、銅張積層板であり、一般的なプリント基板用基板材料は、リジッド基板材料とフレキシブル基板材料との2種類に大別され、一般的なリジット基板材料の重要な品種は銅張板である。それは、樹脂接着剤を含浸した補強材を、乾燥させ、切断し、素材に重ね合わせ、その後、銅箔で被覆し、鋼板を金型とし、ホットプレスにおいて高温高圧で成形加工して製造されたものである。
【0050】
パッド2は、配線板のパッドパターンを構成するための、表面実装組み立ての基本的な構成単位であり、即ち、特殊な素子タイプのために設計された様々なパッドの組み合わせである。
【0051】
半田ペースト層3は、半田ペーストから形成された層体構造であり、半田ペーストは、ソルダーペーストとも呼ばれ、灰色ペーストであり、SMT(Surface Mounted Technologyの略称)表面組立技術に伴って生まれた新しいはんだ付け材料であり、半田粉末、フラックス、その他の界面活性剤、及びチキソ剤等を混合して形成されたペースト混合物である。主にSMT業界のPCB表面抵抗、コンデンサ、IC等の電子部品のはんだ付けに用いられる。
【0052】
素子本体4は、電子回路中の独立した個体であり、電流がその中を流して周波数幅又は流れ方向を変化させることができる個体部品は、デバイスと呼ばれ、そうでなければ素子と呼ばれる。半導体回路ではトランジスタ(三極管、二極管、サイリスタ等)がデバイスであるが、電気抵抗、コンデンサ、インダクタンスが素子であり、合わせて部品と称する。
【0053】
支持組立体5は、はんだ付け用の溶接棒である半田シートであってもよく、シート状構造であり、高温高圧を必要としない条件下ではんだ付けは、密封式金属はんだ付けに用いることができる。
【0054】
素子本体4を安定的に支持して素子本体4の底端にガス排出空間としての架空構造を形成するために、素子本体4の底端に支持組立体5(半田シート)が対称に配置され、また半田ペーストと半田シートとの異なる融点により、半田ペーストが溶解してガスが発生する時、ガスを架空構造を介して放出させ、ガスが半田ペースト層3の位置に空洞を形成することを回避できる。半田ペーストが溶解した後に、半田シートが溶解し始め、大部分のガスが周囲に揮発できることを合理的に確保する。素子本体4は、その側端の位置制限柱62により位置制限を行い、位置制限柱62の底端の半田ペースト領域61の厚さを変えることによって、位置制限柱62への位置制限を達成し、溶解してはんだ付け時の素子本体4のオフセットをさらに防止する。
【0055】
本出願のいくつかの実施例によると、選択的に、支持組立体5は、一端が素子本体4に接続され、他端が半田ペースト層3に延伸してパッド2に接続される。半田炉において半田ペースト層3及び支持組立体5を高温で溶解することによって、さらに素子本体4及びその位置制限柱62が基板1上のパッド2に効果的に固定される。
【0056】
本出願のいくつかの実施例によると、選択的に、支持組立体5は、少なくとも2本の支持柱を含む。このように、素子本体4を支持しやすいするとともに、支持組立体5による素子本体4への架空を容易にし、ガスの揮発とはんだ付け接続の速度の確保に有利である。
【0057】
本出願のいくつかの実施例によると、選択的に、支持組立体5は、素子本体4の垂直中心線に沿って軸対称に設けられる。軸対称に設けられる支持組立体5は、素子本体4をバランスよく支持することを確保でき、支持組立体5が溶解して素子本体4が下降する過程において水平方向のオフセットを可能な限り減少させることができる。
【0058】
本出願のいくつかの実施例によると、選択的に、支持柱は、半田柱である。半田柱の融点は、半田ペーストより大きく、ガス排出空間が機能することを効果的に確保することができる。
【0059】
本出願のいくつかの実施例によると、選択的に、支持組立体5の融点は、半田ペースト層3以上である。半田ペースト層3が支持組立体5よりも先に溶解することを効果的に確保し、さらにガスは支持組立体5が溶解する前にガス排出空間から排出されるための十分な時間がある。
【0060】
本出願のいくつかの実施例によると、選択的に、支持柱の高さは、半田ペースト層3の厚さよりも大きい。支持柱が素子本体4を持ち上げてガス排出空間を形成できることを効果的に確保する。
【0061】
本出願のいくつかの実施例によると、選択的に、素子本体4とパッド2との間に、素子本体4がパッド2と接続される時に発生したオフセットを防止する固定組立体6が設けられる。素子本体4のはんだ付け中のオフセットの程度をさらに小さくする。
【0062】
本出願のいくつかの実施例によると、選択的に、固定組立体6は、パッド2上に設けられる半田ペースト領域61と、一端が素子本体4に接続され、他端が半田ペースト領域61に接続される位置制限柱62とを備える。位置制限柱62は、素子本体4の側端に安定した支持・位置制限構造を形成しやすい。
【0063】
回路基板中の位置制限柱62は、ピンであってよく、ピンは、リードピンとも呼ばれ、英語ではPinである。集積回路(チップ)の内部回路から引き出された周辺回路への配線であり、すべてのピンによりこのチップのインタフェースが構成される。リード線の末端部がはんだ付けによってプリント基板上のパッドとともに溶接部として形成される。ピンは、根元(bottom)、つま先(toe)、側面(side)等の部分に分割することができる。
【0064】
本出願のいくつかの実施例によると、選択的に、半田ペースト領域61の厚さは、半田ペースト層3よりも大きい。半田ペースト領域61の厚さを増加することによって、本体ぶら下がった位置制限柱62を厚くなった半田ペーストにフィットさせ、素子本体のオフセットを防止する。
【0065】
本出願のいくつかの実施例によると、選択的に、位置制限柱62はピンであり、ピンは素子本体4自体の素子ピンであり、ピンの構造は通常2本であるが、2本に限られず、素子本体4に対して容易に位置制限を行うために、複数本であってもよい。素子本体4のオフセットを制限する固定組立体6は、素子本体4上の素子ピンであり、制限解決手段の使用コストを削減することができる。
【0066】
本出願のいくつかの実施例によると、選択的に、位置制限柱62は、逆L型である。このように、素子本体の側端に安定した支持・位置制限構造を容易に形成する。
【0067】
本出願のいくつかの実施例によると、本出願は、上記実施例における回路基板を備える電池モジュールを提供する。
【0068】
本出願のいくつかの実施例によると、本出願は、上記電池モジュールを備える電池パック100を提供する。
【0069】
本出願のいくつかの実施例によると、本出願は、電力エネルギーを供給するための電池パック100を備える電力消費装置を提供する。
【0070】
電力消費装置は前記のいずれかの電池を応用する設備又はシステムであってもよい。
【0071】
本出願のいくつかの実施例によると、
図2及び
図3を参照し、
図2は本出願のいくつかの実施例に係る回路基板の構造模式図であり、
図3は関連技術における回路基板の構造模式図である。本出願は、素子本体4の底端に半田シートが対称に配置され、半田ペースト層3にはんだ付け対象物が形成され、半田シートと素子本体4との間に架空してガス揮発空間が形成され、素子本体の側端がその自体のピンを介して半田ペースト領域61に接触し、素子ピンと接触する半田ペースト領域61の厚さを増加して、素子ピンを半田ペースト領域61と接触させた後に、素子本体4がはんだ付け過程でオフセットしないことを確保できる、回路基板を提供する。
【0072】
最後に、説明すべきは、以上の各実施例は本出願の技術的解決手段を説明するためのものに過ぎず、それを限定するものではなく、前記各実施例を参照しながら本出願を詳細に説明したが、当業者であれば、前記各実施例に記載の技術的解決手段に対する修正、又はその一部もしくは全ての技術的特徴に対する同等な置換が可能であることは、当然理解されるものであり、これらの修正又は置換は、該当する技術的解決手段の本質を本出願の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱させるものではなく、いずれも本出願の請求項及び明細書の範囲内に含まれるべきである点である。特に、構造的衝突が存在しない限り、各実施例に言及された各技術的特徴はいずれも任意の方式で組み合わされてもよい。本出願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に含まれるすべての技術的解決手段を含む。
【符号の説明】
【0073】
1:基板
2:パッド
3:半田ペースト層
4:素子本体
5:支持組立体
6:固定組立体
61:半田ペースト領域
62:位置制限柱
100:電池パック
200:コントローラ
300:モータ
1000:車両
【国際調査報告】