(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】薄膜トランジスタ及びその製造方法、アレイ基板、表示装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/786 20060101AFI20240125BHJP
G02F 1/1368 20060101ALN20240125BHJP
【FI】
H01L29/78 618B
H01L29/78 618E
H01L29/78 616V
H01L29/78 616T
G02F1/1368
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572769
(86)(22)【出願日】2021-01-28
(85)【翻訳文提出日】2022-11-25
(86)【国際出願番号】 CN2021074058
(87)【国際公開番号】W WO2022160149
(87)【国際公開日】2022-08-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】黄 杰
(72)【発明者】
【氏名】▲賀▼ 家▲ユ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲寧▼ 策
(72)【発明者】
【氏名】李 正▲亮▼
(72)【発明者】
【氏名】胡 合合
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲鳳▼娟
(72)【発明者】
【氏名】姚 念▲キ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 坤
(72)【発明者】
【氏名】周 ▲天▼民
(72)【発明者】
【氏名】王 久石
(72)【発明者】
【氏名】田 忠朋
【テーマコード(参考)】
2H192
5F110
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
薄膜トランジスタのアクティブ層は、積層された少なくとも2つの金属酸化物半導体層を含み、少なくとも2つの酸化物半導体層は、チャネル層と第1保護層を含み、チャネル層における金属酸化物半導体層における金属は、スズと、インジウム、ガリウム、亜鉛のうちの少なくとも1つとを含む。第1保護層は、プラセオジムを含み、第1保護層におけるプラセオジムは、金属酸化物半導体における光誘起電子を吸収し、光照射による光誘起電流を減少させるために使用される。当該薄膜トランジスタは安定性が高く移動度が高い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブ層(10)を含み、前記アクティブ層は、積層された少なくとも2つの金属酸化物半導体層を含み、前記少なくとも2つの金属酸化物半導体層は、チャネル層(101)と第1保護層(102)を含み、前記チャネル層(101)内の金属酸化物半導体層における金属元素は、スズと、インジウム、ガリウム、亜鉛のうちの少なくとも1つとを含み、前記第1保護層(102)は、プラセオジムを含み、前記第1保護層(102)におけるプラセオジムは、金属酸化物半導体における光誘起電子を吸収し、光照射による光誘起電流を減少させるために使用されることを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項2】
前記チャネル層(101)内の金属酸化物半導体層における金属元素は、スズ、インジウム、及びガリウムを含み、
前記チャネル層(101)におけるインジウム原子、ガリウム原子、スズ原子の総数に占める前記チャネル層(101)におけるインジウム原子の数の割合は、65%から75%の間であり、
前記チャネル層(101)におけるインジウム原子、ガリウム原子、スズ原子の総数に占める前記チャネル層(101)におけるガリウム原子の数の割合は、24%から30%の間であり、
前記チャネル層(101)におけるインジウム原子、ガリウム原子、スズ原子の総数に占める前記チャネル層(101)におけるスズ原子の数の割合は、1%から5%の間である、
ことを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項3】
前記第1保護層(102)におけるプラセオジム原子の前記第1保護層(102)の異なる厚さ位置における含有量は、完全に同じではなく、前記第1保護層(102)の前記チャネル層(101)から離れた側のプラセオジム原子の含有量は、前記第1保護層(102)の前記チャネル層(101)に近い側のプラセオジム原子の含有量より小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項4】
前記チャネル層(101)にプラセオジムがドープされ、前記チャネル層(101)において、前記チャネル層(101)におけるプラセオジム原子の含有量は、前記第1保護層(102)に近い方向から前記第1保護層(102)から離れた方向に単調に減少することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項5】
前記第1保護層(102)における金属元素は、スズ、インジウム、ガリウム、亜鉛のうちの少なくとも1つをさらに含み、前記第1保護層(102)における金属元素の原子の総数に占める前記第1保護層(102)におけるプラセオジム原子の数の割合は、1%から50%の間であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項6】
前記第1保護層(102)における金属元素は、前記インジウム、前記ガリウム、及び前記亜鉛をさらに含み、
前記第1保護層(102)におけるインジウム原子、ガリウム原子、亜鉛原子の総数に占める前記第1保護層(102)におけるインジウム原子の数の割合は、45%から55%の間であり、
前記第1保護層(102)におけるインジウム原子、ガリウム原子、亜鉛原子の総数に占める前記第1保護層(102)におけるガリウム原子の数の割合は、25%から35%の間であり、
前記第1保護層(102)におけるインジウム原子、ガリウム原子、亜鉛原子の総数に占める前記第1保護層(102)における亜鉛原子の数の割合は、15%から25%の間である、
ことを特徴とする請求項5に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項7】
前記第1保護層(102)は、前記チャネル層(101)のベース基板(30)から離れた表面に配置されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項8】
前記少なくとも2つの金属酸化物半導体層は、
前記チャネル層(101)の前記ベース基板(30)に近い表面に配置され、プラセオジムを含む第2保護層(103)をさらに含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項9】
前記第2保護層(103)は、プラセオジムを含むインジウムガリウム亜鉛酸化物層であり、
前記第2保護層(103)における金属元素の原子の総数に占める前記第2保護層(103)におけるプラセオジム原子の数の割合は、1%から50%の間である、
ことを特徴とする請求項8に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項10】
前記少なくとも2つの金属酸化物半導体層は、
前記第1保護層(102)のベース基板(30)から離れた表面に配置されたソース・ドレイン層(50)と、
前記第1保護層(102)と前記ソース・ドレイン層(50)との間に配置され、プラセオジムがドープされない結晶性酸化物層である被覆層(104)と、
をさらに含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項11】
前記被覆層(104)は、結晶性金属酸化物層であり、前記結晶性金属酸化物層における金属は、インジウム、ガリウム、亜鉛、及びスズのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項10に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項12】
拡散層(40)をさらに含み、前記拡散層(40)は、前記第1保護層(102)の前記ベース基板(30)から離れた面に配置され、前記拡散層(40)は、プラセオジム金属層またはプラセオジム金属酸化物層である、
ことを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項13】
前記第1保護層(102)は、前記チャネル層(101)のベース基板(30)に近い表面に配置されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項14】
ソース(501)とドレイン(502)をさらに含み、前記ソース(501)と前記ドレイン(502)は、前記アクティブ層(10)上に配置され、前記ソース(501)と前記ドレイン(502)は、それぞれ前記アクティブ層(10)の側壁を包み、前記ソース(501)と前記ドレイン(502)は、それぞれ前記チャネル層(101)の側壁に接続され、前記ソース(501)と前記ドレイン(502)にプラセオジムが含まれる、
ことを特徴とする請求項7から9のいずれか1項または請求項13に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項15】
ベース基板を準備することと、
前記ベース基板上に少なくとも2つの金属酸化物半導体層を順次に形成することにより、薄膜トランジスタのアクティブ層を形成し、前記少なくとも2つの酸化物半導体層は、チャネル層と第1保護層を含み、前記チャネル層内の金属酸化物半導体層における金属元素は、スズと、インジウム、ガリウム、亜鉛のうちの少なくとも1つとを含み、前記第1保護層は、プラセオジムを含み、前記第1保護層におけるプラセオジムは、金属酸化物半導体における光誘起電子を吸収し、光照射による光誘起電流を減少させるために使用されることと、
を含む、
ことを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項16】
前記ベース基板上に少なくとも2つの金属酸化物半導体層を順次に形成することは、
前記ベース基板上に一層のインジウムガリウムスズ酸化物膜層を形成することと、
前記インジウムガリウムスズ酸化物膜層のベース基板から離れた面に一層の拡散膜層を形成し、前記拡散膜層は、プラセオジム金属膜層またはプラセオジム金属酸化物膜層であることと、
前記インジウムガリウムスズ酸化物膜層と前記拡散膜層に対してアニール処理を行うことにより、前記拡散膜層におけるプラセオジムを前記インジウムガリウムスズ酸化物膜層に拡散させ、前記ベース基板上に順次に積層された前記チャネル層及び前記第1保護層を含むアクティブ層を得ることと、
前記拡散膜層に対してパターン化処理を行うことにより、前記アクティブ層上に配置された拡散層を得て、前記拡散層は、前記第1保護層の前記ベース基板から離れた面に配置され、前記拡散層は、プラセオジム金属層またはプラセオジム金属酸化物層であることと、
を含む、
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記拡散層上にソース・ドレイン金属層を形成し、前記ソース・ドレイン金属層は、プラセオジムを含むことと、
前記ソース・ドレイン金属層に対してパターン化処理を行うことにより、ソースとドレインを形成することと、
をさらに含む、
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ベース基板(30)と前記ベース基板上の複数の薄膜トランジスタを含み、前記薄膜トランジスタは、請求項1から14のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタであることを特徴とするアレイ基板。
【請求項19】
前記第1保護層(102)、ソース(501)、及びドレイン(502)上に被覆された第1絶縁層(80)と、
前記第1絶縁層(80)の前記ベース基板(30)から離れた面に配置された複数の第1電極を含む第1電極層(90)と、
前記複数の第1電極上に被覆された第2絶縁層(100)と、
前記第2絶縁層(100)の前記ベース基板(30)から離れた面に配置され、対応した薄膜トランジスタにおけるソース(501)またはドレイン(502)と電気的に接続された第2電極層(110)と、
をさらに含む、
ことを特徴とする請求項18に記載のアレイ基板。
【請求項20】
請求項18または19に記載のアレイ基板を含むことを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示技術の分野に関し、特に薄膜トランジスタ及びその製造方法、アレイ基板、表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor,TFT)は、表示装置のコアデバイスであり、表示装置の各画素は、薄膜トランジスタに依存してスイッチングと駆動を行う。薄膜トランジスタは、薄膜トランジスタのアクティブ層の半導体材料に応じて、酸化物薄膜トランジスタとアモルファスシリコン薄膜トランジスタを主に含む。酸化物薄膜トランジスタは、高い移動度を有し、表示装置の解像度を高めることができ、表示装置への応用は、ますます広がっている。
【0003】
酸化物薄膜トランジスタのアクティブ層は、酸化物薄膜トランジスタのソースとドレインにそれぞれ接続され、酸化物薄膜トランジスタが動作すると、アクティブ層にキャリアが発生し、アクティブ層に接続されたソースとドレインが導通し、この結果、当該酸化物薄膜トランジスタが導通して動作する。
【0004】
関連技術では、酸化物薄膜トランジスタのアクティブ層が酸化物半導体であるが、酸化物半導体が光に敏感であり、アクティブ層が光の影響を受けやすく、アクティブ層が光の照射を受けた場合、光誘起キャリアが発生し、本来動作していない酸化物薄膜トランジスタが導通し、酸化物薄膜トランジスタの安定性に影響を与える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の実施例は、薄膜トランジスタ及びその製造方法、アレイ基板、表示装置を提供し、酸化物薄膜トランジスタの安定性を向上させる。前記技術案は、以下の通りである。
【0006】
一側面によれば、アクティブ層を含み、前記アクティブ層は、積層された少なくとも2つの金属酸化物半導体層を含み、前記少なくとも2つの酸化物半導体層は、チャネル層と第1保護層を含み、前記チャネル層内の金属酸化物半導体層における金属元素は、スズと、インジウム、ガリウム、亜鉛のうちの少なくとも1つとを含み、前記第1保護層は、プラセオジムを含み、前記第1保護層におけるプラセオジムは、金属酸化物半導体における光誘起電子を吸収し、光照射による光誘起電流を減少させるために使用される薄膜トランジスタに関する。
【0007】
本出願の実施例の一実施形態では、前記チャネル層内の金属酸化物半導体層における金属元素は、スズ、インジウム、及びガリウムを含み、前記チャネル層におけるインジウム原子、ガリウム原子、スズ原子の総数に占める前記チャネル層におけるインジウム原子の数の割合は、65%から75%の間であり、前記チャネル層におけるインジウム原子、ガリウム原子、スズ原子の総数に占める前記チャネル層におけるガリウム原子の数の割合は、24%から30%の間であり、前記チャネル層におけるインジウム原子、ガリウム原子、スズ原子の総数に占める前記チャネル層におけるスズ原子の数の割合は、1%から5%の間である。
【0008】
本出願の実施例の一実施形態では、前記第1保護層におけるプラセオジム原子の前記第1保護層の異なる厚さ位置における含有量は、完全に同じではなく、前記第1保護層の前記チャネル層から離れた側のプラセオジム原子の含有量は、前記第1保護層の前記チャネル層に近い側のプラセオジム原子の含有量より小さい。
【0009】
本出願の実施例の一実施形態では、前記チャネル層にプラセオジムがドープされ、前記チャネル層において、前記チャネル層におけるプラセオジム原子の含有量は、前記第1保護層に近い方向から前記第1保護層から離れた方向に単調に減少する。
【0010】
本出願の実施例の一実施形態では、前記第1保護層における金属元素は、スズ、インジウム、ガリウム、亜鉛のうちの少なくとも1つをさらに含み、前記第1保護層における金属元素の原子の総数に占める前記第1保護層におけるプラセオジム原子の数の割合は、1%から50%の間である。
【0011】
本出願の実施例の一実施形態では、前記第1保護層における金属元素は、前記インジウム、前記ガリウム、及び前記亜鉛をさらに含み、前記第1保護層におけるインジウム原子、ガリウム原子、亜鉛原子の総数に占める前記第1保護層におけるインジウム原子の数の割合は、45%から55%の間であり、前記第1保護層におけるインジウム原子、ガリウム原子、亜鉛原子の総数に占める前記第1保護層におけるガリウム原子の数の割合は、25%から35%の間であり、前記第1保護層におけるインジウム原子、ガリウム原子、亜鉛原子の総数に占める前記第1保護層における亜鉛原子の数の割合は、15%から25%の間である。
【0012】
本出願の実施例の一実施形態では、前記第1保護層は、前記チャネル層のベース基板から離れた表面に配置される。
【0013】
本出願の実施例の一実施形態では、前記少なくとも2つの金属酸化物半導体層は、チャネル層のベース基板に近い表面に配置され、プラセオジムを含む第2保護層をさらに含む。
【0014】
本出願の実施例の一実施形態では、前記第2保護層は、プラセオジムを含むインジウムガリウム亜鉛酸化物層であり,前記第2保護層における金属元素の原子の総数に占める前記第2保護層におけるプラセオジム原子の数の割合は、1%から50%の間である。
【0015】
本出願の実施例の一実施形態では、前記少なくとも2つの金属酸化物半導体層は、前記第1保護層のベース基板から離れた表面に配置されたソース・ドレイン層と、前記第1保護層と前記ソース・ドレイン層との間に配置され、プラセオジムがドープされない結晶性酸化物層である被覆層と、をさらに含む。
【0016】
本出願の実施例の一実施形態では、前記被覆層は、結晶性金属酸化物層であり、前記結晶性金属酸化物層における金属は、インジウム、ガリウム、亜鉛、及びスズのうちの少なくとも1つを含む。
【0017】
本出願の実施例の一実施形態では、前記薄膜トランジスタは、拡散層をさらに含み、前記拡散層は、前記第1保護層の前記ベース基板から離れた面に配置され、前記拡散層は、プラセオジム金属層またはプラセオジム金属酸化物層である。
【0018】
本出願の実施例の一実施形態では、前記第1保護層は、前記チャネル層のベース基板に近い表面に配置される。
【0019】
本出願の実施例の一実施形態では、前記薄膜トランジスタは、ソースとドレインをさらに含み、前記ソースと前記ドレインは、前記アクティブ層上に配置され、前記ソースと前記ドレインは、それぞれ前記アクティブ層の側壁を包み、前記ソースと前記ドレインは、それぞれ前記チャネル層の側壁に接続され、前記ソースと前記ドレインにプラセオジムが含まれる。
【0020】
別の側面によれば、
【0021】
ベース基板を準備することと、前記ベース基板上に少なくとも2つの金属酸化物半導体層を順次に形成することにより、薄膜トランジスタのアクティブ層を形成し、前記少なくとも2つの酸化物半導体層は、チャネル層と第1保護層を含み、前記チャネル層内の金属酸化物半導体層における金属元素は、スズと、インジウム、ガリウム、亜鉛のうちの少なくとも1つとを含み、前記第1保護層は、プラセオジムを含み、前記第1保護層におけるプラセオジムは、金属酸化物半導体における光誘起電子を吸収し、光照射による光誘起電流を減少させるために使用されることと、を含む薄膜トランジスタの製造方法に関する。
【0022】
本出願の実施例の一実施形態では、前記ベース基板上に少なくとも2つの金属酸化物半導体層を順次に形成することは、前記ベース基板上に一層のインジウムガリウムスズ酸化物膜層を形成することと、前記インジウムガリウムスズ酸化物膜層のベース基板から離れた面に一層の拡散膜層を形成し、前記拡散膜層は、プラセオジム金属膜層またはプラセオジム金属酸化物膜層であることと、前記インジウムガリウムスズ酸化物膜層と前記拡散膜層に対してアニール処理を行うことにより、前記拡散膜層におけるプラセオジムを前記インジウムガリウムスズ酸化物膜層に拡散させ、前記ベース基板上に順次に積層された前記チャネル層及び前記第1保護層を含むアクティブ層を得ることと、前記拡散膜層に対してパターン化処理を行うことにより、前記アクティブ層上に配置された拡散層を得て、前記拡散層は、前記第1保護層の前記ベース基板から離れた面に配置され、前記拡散層は、プラセオジム金属層またはプラセオジム金属酸化物層であることと、を含む。
【0023】
本出願の実施例の一実施形態では、前記方法は、前記拡散層上にソース・ドレイン金属層を形成し、前記ソース・ドレイン金属層は、プラセオジムを含むことと、前記ソース・ドレイン金属層に対してパターン化処理を行うことにより、ソースとドレインを形成することと、をさらに含む。
【0024】
別の側面によれば、ベース基板と前記ベース基板上の複数の薄膜トランジスタを含み、前記薄膜トランジスタは、上記のいずれかの側面に記載された薄膜トランジスタであるアレイ基板に関する。
【0025】
本出願の実施例の一実施形態では、前記アレイ基板は、前記第1保護層、前記ソース、及び前記ドレイン上に被覆された第1絶縁層と、前記第1絶縁層の前記ベース基板から離れた面に配置された複数の第1電極を含む第1電極層と、前記複数の第1電極上に被覆された第2絶縁層と、前記第2絶縁層の前記ベース基板から離れた面に配置され、対応した薄膜トランジスタにおけるソースまたはドレインと電気的に接続された第2電極層と、をさらに含む。
【0026】
別の側面によれば、本開示では、上記のいずれかの側面に記載されたアレイ基板を含む表示装置に関する。
【0027】
本出願の実施例による技術案の有益な効果は、少なくとも以下のことを含む。
【0028】
本出願の実施例では、薄膜トランジスタの動作中に、チャネル層は、主要なチャネル領域である。第1保護層は、チャネル層を保護し、第1保護層が配置された側からチャネル層に光が照射されると、まず第1保護層に光が照射され、第1保護層は、光を遮蔽し、チャネル層に対する光の影響を弱め、薄膜トランジスタの安定性を高める。第1保護層が光の照射を受けた場合、光誘起キャリアも発生し、第1保護層にプラセオジムが含まれているため、プラセオジムが、第1保護層の内部バンドギャップに、トラップ状態とも呼ばれる中間エネルギーレベル状態を導入する。第1保護層が光の照射を受けて光誘起キャリアが発生した場合、光誘起キャリアは、第1保護層の内部でトラップ状態によって捕獲され、この結果、光誘起キャリアは、第1保護層の内部で消化され、実際のチャネル領域の機能に影響を与えない。そして、チャネル層にスズが含まれることで、薄膜トランジスタの移動度を向上させ、薄膜トランジスタの応答速度を上げることができる。
【0029】
本出願の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に使用される図面を簡単に説明し、以下の説明における図面は、本開示のいくつかの実施例にすぎず、当業者にとっては、創造的な労働をしない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本出願の実施例による薄膜トランジスタの断面構造概略図である。
【
図2】本出願の実施例による薄膜トランジスタの断面構造概略図である。
【
図3】本出願の実施例による薄膜トランジスタの断面構造概略図である。
【
図4】本出願の実施例による薄膜トランジスタの断面構造概略図である。
【
図5】本出願の実施例による薄膜トランジスタの断面構造概略図である。
【
図6】本出願の実施例による薄膜トランジスタの断面構造概略図である。
【
図7】本出願の実施例による薄膜トランジスタの製造方法のフローチャートである。
【
図8】本出願の実施例による薄膜トランジスタの製造方法のフローチャートである。
【
図9】本出願の実施例による薄膜トランジスタの製造方法のプロセス図である。
【
図10】本出願の実施例による薄膜トランジスタの製造方法のプロセス図である。
【
図11】本出願の実施例による薄膜トランジスタの製造方法のプロセス図である。
【
図12】本出願の実施例による薄膜トランジスタの製造方法のプロセス図である。
【
図13】本出願の実施例による薄膜トランジスタの製造方法のプロセス図である。
【
図14】本出願の実施例による薄膜トランジスタの製造方法のフローチャートである。
【
図15】本出願の実施例による薄膜トランジスタの製造方法のプロセス図である。
【
図16】本出願の実施例による薄膜トランジスタの製造方法のプロセス図である。
【
図17】本出願の実施例による薄膜トランジスタの製造方法のプロセス図である。
【
図18】本出願の実施例による薄膜トランジスタの製造方法のプロセス図である。
【
図19】本出願の実施例による薄膜トランジスタの製造方法のプロセス図である。
【
図20】本出願の実施例によるアレイ基板の断面構造概略図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示の目的、技術案および利点をより明確にするために、以下、図面を参照して本本開示の実施形態をさらに詳細に説明する。
【0032】
本出願の実施例では、薄膜トランジスタを提供し、
図1は、本出願の実施例による薄膜トランジスタの断面構造概略図である。
図1を参照すると、当該薄膜トランジスタのアクティブ層10は、積層された少なくとも2つの金属酸化物半導体層を含み、少なくとも2つの酸化物半導体層は、チャネル層101と第1保護層102とを少なくとも含み、ここで、チャネル層101内の金属酸化物半導体層における金属は、スズ(Sn)と、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)のうちの少なくとも1つとを含む。第1保護層102は、プラセオジムを含み、第1保護層102におけるプラセオジムは、金属酸化物半導体における光誘起電子を吸収し、光照射による光誘起電流を減少させるために使用される。
【0033】
選択肢の一つとして、当該薄膜トランジスタは、トップゲート構造、ボトムゲート構造またはデュアルゲート構造である。ここで、トップゲート構造とは、ゲートがアクティブ層のベース基板から離れた側に配置されることを意味し、ボトムゲート構造とは、ゲートがアクティブ層のベース基板に近い側に配置されることを意味し、デュアルゲート構造構造とは、薄膜トランジスタが異なる層に配置される2つのゲートを含むことを意味し、2つのゲート間は、ゲート絶縁層によって隔てられ、2つのゲートは、いずれもアクティブ層のベース基板から離れた側に配置され、または、2つのゲートは、いずれもアクティブ層のベース基板に近い側に配置される。
【0034】
本出願の実施例では、薄膜トランジスタの動作中に、チャネル層101は、実際のチャネル領域である。第1保護層102は、チャネル層101を保護し、第1保護層102が配置された側からチャネル層101に光が照射されると、まず第1保護層102に光が照射され、第1保護層102は、光を遮蔽し、チャネル層101に対する光の影響を弱め、薄膜トランジスタの安定性を高める。第1保護層102が光の照射を受けた場合、光誘起キャリアも発生し、第1保護層102にプラセオジムが含まれているため、プラセオジムが、第1保護層102の内部バンドギャップに、トラップ状態とも呼ばれる中間エネルギーレベル状態を導入する。第1保護層102が光の照射を受けて光誘起キャリアが発生した場合、光誘起キャリアは、第1保護層102の内部でトラップ状態によって捕獲され、この結果、光誘起キャリアは、第1保護層102の内部で消化され、実際のチャネル領域の機能に影響を与えない。そして、チャネル層101にスズが含まれることで、薄膜トランジスタの移動度を向上させ、薄膜トランジスタの応答速度を上げることができる。
【0035】
本出願の実施例による薄膜トランジスタのアクティブ層が酸化物を用いて作製されるので、当該薄膜トランジスタが酸化物薄膜トランジスタと呼ばれる。
【0036】
本出願の実施例の一実施形態では、チャネル層101内の金属酸化物半導体層における金属元素は、スズ、インジウム、及びガリウムを含む。チャネル層101におけるインジウム原子、ガリウム原子、スズ原子の総数に占めるチャネル層101におけるインジウム原子の数の割合は、65%から75%の間である。チャネル層101におけるインジウム原子、ガリウム原子、スズ原子の総数に占めるチャネル層101におけるガリウム原子の数の割合は、24%から30%の間である。チャネル層101におけるインジウム原子、ガリウム原子、スズ原子の総数に占めるチャネル層101におけるスズ原子の数の割合は、1%から5%の間である。
【0037】
本出願の実施例の一実施形態では、チャネル層101におけるインジウム原子、ガリウム原子、スズ原子の数の割合は、90:20:1から20:10:1の間である。当該割合は、上記のインジウム原子、ガリウム原子、スズ原子の割合に基づいて確定される。
【0038】
チャネル層101における各元素の割合は異なり、チャネル層101の移動度は異なる。上記の割合でチャネル層101における各元素を配置することにより、薄膜トランジスタの移動度が30平方センチメートル/ボルト・秒(cm2/(V・S))から50平方センチメートル/ボルト・秒の間に達することができ、薄膜トランジスタの移動度をさらに高めることができる。上記の原子の数の割合で構成されたチャネル層101は、結晶状態である。
【0039】
いくつかの例示では、チャネル層101において、インジウム原子、ガリウム原子、スズ原子の数の割合は、57:21:2である。別の例示では、チャネル層101において、インジウム原子、ガリウム原子、スズ原子の数の割合は、29:11:1である。
【0040】
なお、製造プロセスに誤差があるため、チャネル層101における各原子の数の割合が変動し、各原子の数の割合は、±10%の範囲内で変動する。
【0041】
チャネル層101において、インジウム原子、ガリウム原子、スズ原子の数の割合が29:11:1であり、チャネル層101におけるインジウム原子の数の割合の変動範囲が±5%であることを例に挙げると、チャネル層101において、インジウム原子、ガリウム原子、スズ原子の数の割合は、27.55:11:1から30.45:11:1の間である。例えば、インジウム原子、ガリウム原子、スズ原子の数の割合は、30:11:1である。
【0042】
本出願の実施例では、チャネル層101の厚さは、30ナノメートル(nm)未満である。例えば、25ナノメートルである。
【0043】
本出願の実施例では、第1保護層102の厚さは、20ナノメートル(nm)未満である。例えば、20ナノメートルである。
【0044】
本出願の実施例の一実施形態では、第1保護層102の金属元素は、スズ、インジウム、ガリウム、亜鉛のうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0045】
例示的に、第1保護層102は、プラセオジムがドープされたインジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)層である。
【0046】
インジウムガリウム亜鉛酸化物を容易に入手し、プラセオジムをインジウムガリウム亜鉛酸化物にドープすることにより、第1保護層102が光照射時にチャネル層101を保護することができる。
【0047】
本出願の実施例の一実施形態では、第1保護層102におけるインジウム原子、ガリウム原子、亜鉛原子の総数に占める第1保護層102におけるインジウム原子の数の割合は、45%から55%の間であり、第1保護層102におけるインジウム原子、ガリウム原子、亜鉛原子の総数に占める第1保護層102におけるガリウム原子の数の割合は、25%から35%の間であり、第1保護層102におけるインジウム原子、ガリウム原子、亜鉛原子の総数に占める第1保護層102における亜鉛原子の数の割合は、15%から25%の間である。
【0048】
本出願の実施例では、第1保護層102のインジウム原子、ガリウム原子、亜鉛原子の数の割合は、6:3:1から3:3:1の間である。当該割合は、上記のインジウム原子、ガリウム原子、亜鉛原子の割合に基づいて確定される。
【0049】
いくつかの例示では、第1保護層102のインジウム原子、ガリウム原子、亜鉛原子の数の割合は、46:29:21である。別の例示では、第1保護層102において、インジウム原子、ガリウム原子、亜鉛原子の数の割合は、23:14:10である。
【0050】
本出願の実施例の一実施形態では、第1保護層102における金属元素の原子の総数に占める第1保護層102におけるプラセオジム原子の数の割合は、1%から50%の間である。
【0051】
プラセオジムは、入手しやすく、価格が安く、製造コストを低減する。プラセオジムをインジウムガリウム亜鉛酸化物にドープした後、インジウムガリウム亜鉛酸化物の内部に中間エネルギーレベル状態ができて、光誘起キャリアの再結合を加速し、当該中間エネルギーレベル状態は、三価プラセオジム(Pr3+)トラップ状態と呼ばれる。トラップ状態は、電子再結合ステップを提供することができ、インジウムガリウム亜鉛酸化物が光の照射を受けて光誘起キャリア(即ち光誘起電荷)を生成する場合、当該光誘起キャリアは、急速に三价プラセオジムトラップ状態によって捕捉され、光誘起キャリアは、電子再結合ステップと再結合し、この結果、光誘起キャリアの寿命が低下し、光誘起キャリアの濃度が低下し、光誘起キャリアが内部で消化され、チャネル層に影響を与えることなく、これにより、薄膜トランジスタの光照射安定性と移動度が向上する。
【0052】
同時に、ドープされたプラセオジムの含有量の割合を制御して、第1保護層102がチャネル層101を保護する最適保護効果を確保し、薄膜トランジスタの光安定性をさらに向上させる。
【0053】
例示的に、第1保護層102におけるプラセオジム原子の数は、第1保護層102におけるインジウム原子、ガリウム原子、亜鉛原子の総数の5%に占める。
【0054】
いくつかの例示では、第1保護層102のインジウム原子、ガリウム原子、亜鉛原子、プラセオジム原子の数の割合は、46:29:21:4である。別の例示では、第1保護層102において、インジウム原子、ガリウム原子、亜鉛原子、プラセオジム原子の数の割合は、23:14:10:2である。
【0055】
同様に、第1保護層102における各原子の数の割合にも変動があり、各原子の数の割合は、同様に±10%の範囲内で変動する。
【0056】
本出願の実施例では、プラセオジムの含有量の割合とは、プラセオジム原子の数が第1保護層102におけるすべての金属元素の原子の数に占める割合である。
【0057】
本出願の実施例では、第1保護層102におけるプラセオジム原子の第1保護層102の異なる厚さ位置における含有量は、完全に同じではなく、第1保護層102のチャネル層101から離れた側のプラセオジム原子の含有量は、第1保護層102のチャネル層101に近い側のプラセオジム原子の含有量より小さい。
【0058】
選択肢の一つとして、他の実施形態では、第1保護層102は、プラセオジム酸化物(Pr-Oxide)層、例えば、酸化プラセオジム(Pr2O3)層である。
【0059】
本出願の実施例では、チャネル層101にプラセオジムが含まれ、チャネル層101におけるプラセオジムの原子の数がチャネル層101におけるすべての金属元素の原子の数に占めるパーセンテージは、第1保護層102におけるプラセオジムの原子の数が第1保護層102におけるすべての金属元素の原子の数に占めるパーセンテージより小さい。
【0060】
アクティブ層10の製造中に、アニール処理を行う必要があり、アニーリングの間、第1保護層102におけるプラセオジムは、チャネル層101にドープされ、チャネル層101は、同様にプラセオジムを含む。しかしながら、プラセオジムが第1保護層102からチャネル層101にドープされるので、チャネル層101におけるプラセオジムの含有量の割合が、第1保護層102におけるプラセオジムの含有量の割合よりも小さい。
【0061】
同時に、チャネル層101において、チャネル層101に含まれたプラセオジムの含有量の割合は、第1保護層102に近い方向から第1保護層102から離れた方向に順次に減少する。
【0062】
例示的に、チャネル層101におけるプラセオジム原子の数が、チャネル層101におけるインジウム原子、ガリウム原子、スズ原子の総数の2%に占める。
【0063】
再び
図1を参照すると、アクティブ層10は、ベース基板30上に配置される。第1保護層102は、チャネル層101のベース基板30から離れた表面に配置される。
【0064】
薄膜トランジスタの作動中に、ベース基板30の表面から離れた側からチャネル層101に照射される光は多い。第1保護層102をチャネル層101のベース基板30から離れた表面に配置することにより、第1保護層102がベース基板30の表面から離れた側からチャネル層101に照射される周囲光を遮蔽し、チャネル層101に対する光の影響を低減する。同時に、第1保護層102におけるプラセオジムがチャネル層101に拡散される場合、チャネル層101のベース基板30に近い側のプラセオジムが少なくなり、薄膜トランジスタの安定性が低下することが回避される。
【0065】
再び
図1を参照すると、薄膜トランジスタは、ソース・ドレイン(Source Drain、SD)層50をさらに含む。ソース・ドレイン層50は、ソース501とドレイン502を含み、ソース501とドレイン502は、アクティブ層10上に配置され、ソース501とドレイン502は、それぞれアクティブ層10の側壁を包み、ソース501とドレイン502は、それぞれチャネル層101の側壁に接続される。
【0066】
薄膜トランジスタの場合、ソース・ドレイン層50におけるソース501とドレイン502は、それぞれチャネル層101に接続する必要があり、薄膜トランジスタの作動時に、ソース501とドレイン502は、チャネル層101を介して導通する。
図1では、チャネル層101が第1保護層102の下方に配置されるので、ソース501とドレイン502がチャネル層101の上方からチャネル層101に接続されることかできず、ソース501とドレイン502は、それぞれアクティブ層10の側壁を包み、つまり、ソース501とドレイン502は、チャネル層101の側壁を介してチャネル層101に接続される。
【0067】
本出願の実施例では、ソース・ドレイン層50は、金属層または酸化インジウムスズ(ITO)層であり、ソース・ドレイン層50の導電性を確保する。
【0068】
再び
図1を参照すると、薄膜トランジスタは、ゲート(Gate)60とゲート絶縁(Gate Insulator、GI)層70をさらに含む。ゲート60は、アクティブ層10のベース基板30に近い側に配置される。ゲート絶縁層70は、アクティブ層10とゲート60との間に配置され、アクティブ層10をゲート60から分離する。
【0069】
例示的に、ゲート60は、例えば銅などの金属で製作され、または、ゲート60は、例えば酸化インジウムスズなどの透明導電材料で製作される。
【0070】
本出願の実施例では、ゲート60と第1保護層102は、それぞれチャネル層101の両側に配置され、ゲート60と第1保護層102は、チャネル層101に対して2つの側面から光を遮蔽する。
【0071】
例示的に、ゲート絶縁層70は、酸化ケイ素、窒化ケイ素層またはエポキシ樹脂である。
【0072】
図1に示されたように、薄膜トランジスタは、第1絶縁層(PVX)80をさらに含む。第1絶縁層80は、第1保護層102とソース・ドレイン層50上に被覆される。
【0073】
第1絶縁層80は、ソース・ドレイン層50の上方に配置された膜層からソース・ドレイン層50を分離するように配置され、ソース・ドレイン層50の電気信号の伝達に影響を与えることを回避する。
【0074】
例示的に、第1絶縁層80は、酸化ケイ素層である。
【0075】
本出願の実施例では、第1絶縁層80が、一般的に酸化ケイ素層であり、第1絶縁層80にシリコン系元素が含まれ、チャネル層101が、インジウムガリウムスズ酸化物層であり、チャネル層101にシリコン系元素が含まないので、チャネル層101が第1絶縁層80に直接に接触する場合、チャネル層101と第1絶縁層80との接触面で界面状態が生じ、薄膜トランジスタの移動度に影響する。シリコン系元素を含まない第1保護層102によって第1絶縁層80とチャネル層101とを分離することで、薄膜トランジスタの移動度に対する界面状態の影響を回避することができる。
【0076】
図1に示された薄膜トランジスタは、ボトムゲート構造の薄膜トランジスタであり、他の実施形態では、薄膜トランジスタは、トップゲート構造の薄膜トランジスタであってもよく、具体的な構造について、
図2を参照する。
【0077】
図2は、本出願の実施例による薄膜トランジスタの断面構造概略図である。
図2を参照すると、ゲート絶縁層70は、第1保護層102のベース基板30から離れた面に配置され、ゲート60は、ゲート絶縁層70のベース基板30から離れた面に配置され、つまり、ゲート60は、アクティブ層10の上方に配置され、トップゲート構造の薄膜トランジスタである。
【0078】
再び
図2を参照すると、トップゲート構造の薄膜トランジスタについて、第1保護層102がゲート絶縁層70をチャネル層101から分離することにより、チャネル層101がゲート絶縁層70に直接に接触することを回避し、ゲート絶縁層70とチャネル層101との間に界面状態が生じ、薄膜トランジスタの移動度に影響する。
【0079】
再び
図2を参照すると、薄膜トランジスタは、層間誘電体(Interlayer Dielectric、ILD)層120をさらに含み、層間誘電体層120は、ゲート60とアクティブ層10を包み、ソース・ドレイン層50は、層間誘電体層120上に配置され、つまり、層間誘電体層120によってゲート60とソース・ドレイン層50とを分離する。
【0080】
例示的に、層間誘電体層120は、酸化ケイ素層、窒化ケイ素層またはエポキシ樹脂層である。
【0081】
再び
図2を参照すると、薄膜トランジスタは、遮光(Shield)層130とバッファ(Buffer)層140をさらに含み、遮光層130とバッファ層140は、いずれもベース基板上に配置され、遮光層130は、チャネル層101と対向し、バッファ層140は、遮光層130とチャネル層101との間に配置される。
【0082】
本出願の実施例では、遮光層130側からチャネル層101に照射された光を遮蔽するように遮光層130を配置することにより、チャネル層101に対する光の影響を低減する。
【0083】
チャネル層101をバッファ層140上に配置することにより、ベース基板30上の不純物がチャネル層101に与える影響を低減する。
【0084】
図3は、本出願の実施例による薄膜トランジスタの断面構造概略図である。
図3を参照すると、少なくとも2つの金属酸化物半導体層は、第2保護層103をさらに含む。第2保護層103は、チャネル層101のベース基板30に近い表面に配置され、第2保護層103にプラセオジムが含まれる。
【0085】
薄膜トランジスタの作動中に、チャネル層101の両側には、例えば周囲光、発光ユニットの光、バックライトからの光などの光が照射される。チャネル層101の2つの表面に第1保護層を配置し、第2保護層103に同様にプラセオジムがドープされ、第2保護層103による作用は、第1保護層102による作用と同じである。光がチャネル層101の対向する2つの表面からチャネル層101に照射する場合、第1保護層102と第2保護層103は、いずれもチャネル層101を保護し、薄膜トランジスタの安定性を高めることができる。
【0086】
本出願の実施例では、チャネル層101の対向する2つの表面がそれぞれ第1保護層102と第2保護層103に配置された場合、第1保護層102は、チャネル層101と第1絶縁層80とを分離し、第2保護層103は、チャネル層101とゲート絶縁層70とを分離して、チャネル層101の2つの表面に界面状態を形成することを同時に回避し、薄膜トランジスタの安定性に影響することを回避することができる。
【0087】
本出願の実施例の一実施形態では、第2保護層103は、プラセオジムを含むインジウムガリウム亜鉛酸化物層である。第2保護層103におけるプラセオジム原子の数は、第2保護層103におけるインジウム原子、ガリウム原子、亜鉛原子の総数の1%から50%に占める。
【0088】
本出願の実施例では、第2保護層103のインジウム原子、ガリウム原子、亜鉛原子の割合は、第1保護層102のインジウム原子、ガリウム原子、亜鉛原子の割合と同じである。
【0089】
例示的に、第2保護層103のインジウム原子、ガリウム原子、亜鉛原子の数の割合は、6:3:1から3:3:1の間である。
【0090】
例えば、第2保護層103のインジウム原子、ガリウム原子、亜鉛原子の数の割合は、4:3:2である。第2保護層103におけるプラセオジム原子の数は、第2保護層103におけるインジウム原子、ガリウム原子、亜鉛原子の総数の20%に占める。
【0091】
同様に、第2保護層103における各原子の数の割合にも変動があり、各原子の数の割合は、同様に±10%の範囲内で変動する。
【0092】
選択肢の一つとして、他の実施形態では、第2保護層103は、プラセオジム酸化物層、例えば、酸化プラセオジム層である。
【0093】
図4は、本出願の実施例による薄膜トランジスタの断面構造概略図である。
図4を参照すると、少なくとも2つの金属酸化物半導体層は、被覆層104をさらに含む。被覆層104は、第1保護層102のベース基板30から離れた面に配置され、被覆層104は、プラセオジムがドープされない結晶性酸化物層である。被覆層104は、ソース・ドレイン層50と第1保護層102との間に配置される。
【0094】
本出願の実施例では、第1保護層102上に被覆層104を配置し、被覆層104は、高温高電圧下での薄膜トランジスタの安定性を高めることができる。同時に、ソース・ドレインがエッチングされる場合、結晶性酸化物層は、エッチングによるアクティブ層10への影響を低減し、薄膜トランジスタの安定性を高めることができる。
【0095】
本出願の実施例では、被覆層104は、結晶性金属酸化物層であり、結晶性金属酸化物層における金属は、インジウム、ガリウム、亜鉛、及びスズのうちの少なくとも1つを含む。
【0096】
例示的に、被覆層104は、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)層、酸化インジウムガリウム(IGZ)層、酸化インジウムガリウム亜鉛スズ(IGZTO)層、酸化インジウムスズ(ITO)層、及び酸化インジウム亜鉛(IZO)層のいずれかである。
【0097】
酸化インジウムガリウム亜鉛、酸化インジウムガリウム、酸化インジウムガリウム亜鉛スズ、酸化インジウムスズ、及び酸化インジウム亜鉛は、いずれも薄膜トランジスタを製造するのによく使われる材料であり、入手しやすく、製造コストを低減する。
【0098】
図5は、本出願の実施例による薄膜トランジスタの断面構造概略図である。
図5を参照すると、薄膜トランジスタは、拡散層40をさらに含む。拡散層40は、第1保護層102のベース基板30から離れた面に配置され、拡散層40は、プラセオジム金属層またはプラセオジム金属酸化物層である。
【0099】
本出願の実施例では、拡散層40は、第1保護層102を製造する製品であり、未処理のキャリア輸送膜層上に拡散層40を配置し、未処理のキャリア輸送膜層に対して高温アニール処理を行い、アニール処理中に、拡散層40におけるプラセオジムは、未処理のアクティブ層にドープされ、これにより、未処理のキャリア輸送膜層の拡散層40に近い側にプラセオジムを含む第1保護層102を形成し、拡散層40から離れた側にチャネル領域としてのチャネル層101を形成する。
【0100】
再び
図5を参照すると、拡散層40は、アクティブ層10の側壁を包み、ソース・ドレイン層50をエッチングする際に、拡散層40は、アクティブ層10を保護することができる。
【0101】
再び
図5を参照すると、拡散層40は、互いに分断された2つの部分を含み、拡散層40は、ソース・ドレイン層50とアクティブ層10との間に配置され、拡散層40の2つの部分の間が互いに分断されているため、拡散層40がソース・ドレイン層50におけるソース501とドレイン502を接続することを回避する。このような場合では、拡散層40は、プラセオジム金属層またはプラセオジム金属酸化物層である。
【0102】
選択肢の一つとして、他の実施形態では、拡散層40は、第1保護層102を被覆する一体構造であってもよく、このような場合では、拡散層は、プラセオジム金属酸化物層である。
【0103】
なお、他の実施例では、
図5をもとに当該拡散層40を除去し、ソース501およびドレイン502にプラセオジムが含まれる。ソース501およびドレイン502におけるプラセオジムをアクティブ層10に拡散させる。例示的に、ソース・ドレイン層は、プラセオジム金属がドープされた金属化合物であり、または、プラセオジム金属薄膜を、プラセオジム金属層や銅金属層のような他の金属膜層に重ね合わせて形成されたものである。
【0104】
なお、他の実施例では、拡散層40は、アクティブ層10の側壁を包まなくてもよく、拡散層40は、アクティブ層10と積層され、拡散層40は、アクティブ層10のベース基板30から離れた面に配置される。ソース501とドレイン502は、それぞれアクティブ層10と拡散層40の側壁を包む。
【0105】
図6は、本出願の実施例による薄膜トランジスタの断面構造概略図である。
図6における第1保護層102がチャネル層101のベース基板30に近い表面に配置された点は、
図1に示す構成と異なる。
【0106】
本出願の実施例では、薄膜トランジスタの製造方法をさらに提供し、
図7は、本出願の実施例による薄膜トランジスタの製造方法のフローチャートである。
図7を参照すると、当該方法は、以下のステップを含む。
【0107】
ステップS11において、ベース基板を準備する。
【0108】
ステップS12において、ベース基板上に少なくとも2つの金属酸化物半導体層を順次に形成することにより、薄膜トランジスタのアクティブ層を形成し、少なくとも2つの酸化物半導体層は、チャネル層と第1保護層を含み、チャネル層内の金属酸化物半導体層における金属は、スズと、インジウム、ガリウム、亜鉛のうちの少なくとも1つとを含み、第1保護層は、プラセオジムを含み、第1保護層におけるプラセオジムは、金属酸化物半導体における光誘起電子を吸収し、光照射による光誘起電流を減少させるために使用される。
【0109】
図8は、本出願の実施例による薄膜トランジスタの製造方法のフローチャートである。
図8を参照すると、当該方法は、以下のステップを含む。
【0110】
ステップS21において、ベース基板を準備する。
【0111】
図9から
図13は、本出願の実施例による薄膜トランジスタの製造方法のプロセス図である。以下、
図9から
図13を参照してベース基板の製造プロセスを説明する。
【0112】
【0113】
ステップS22において、ベース基板上にゲートを形成する。
【0114】
図10を参照すると、ベース基板30上にゲート60を作製する。
【0115】
本出願の実施例では、ゲート60は、金属電極である。
【0116】
例示的に、蒸着によりベース基板30上に一層のゲート膜層を作製し、次にゲート膜層に対してパターン化処理を行うことにより、ゲート60を得ることができる。
【0117】
ステップS23において、ゲート上にゲート絶縁層を形成する。
【0118】
図11を参照すると、ゲート60上にゲート絶縁層70を作製し、ゲート絶縁層70は、ゲート60を包む。
【0119】
本出願の実施例では、ゲート絶縁層70は、酸化ケイ素層である。
【0120】
例示的に、蒸着によりゲート60上にゲート絶縁層70を作製する。
【0121】
ステップS24において、ゲート絶縁層上にアクティブ層を形成する。
【0122】
図12を参照すると、ゲート絶縁層70上に一層のアクティブ層10を作製する。
【0123】
本出願の実施例では、アクティブ層10は、チャネル層101と第1保護層102を含み、チャネル層101は、インジウムガリウムスズ酸化物で作製され、第1保護層102は、プラセオジムを含むインジウムガリウム亜鉛酸化物で作製される。
【0124】
例示的に、まずゲート絶縁層70上に一層のインジウムガリウムスズ酸化物膜層をスパッタ(Sputter)し、この後、インジウムガリウムスズ酸化物薄膜層上にプラセオジムを含むインジウムガリウム亜鉛酸化物膜層を形成することができる。次に、インジウムガリウムスズ酸化物膜層とプラセオジムを含むインジウムガリウム亜鉛酸化物膜層とに対してパターン化処理を行うことにより、
図12に示されたチャネル層101及び第1保護層102を得る。
【0125】
ステップS25において、アクティブ層上にソース・ドレイン層を形成する。
【0126】
図13を参照すると、アクティブ層10上にソース・ドレイン層50を作製し、ソース・ドレイン層50は、ソース501とドレイン502を含み、ソース501とドレイン502は、アクティブ層10上に配置され、ソース501とドレイン502は、それぞれアクティブ層10の側壁を包み、ソース501とドレイン502は、それぞれチャネル層101の側壁に接続される。
【0127】
本出願の実施例では、ソース・ドレイン層50は、金属層であり、スパッタリングによりアクティブ層10上に一層の金属膜層を形成し、この後、金属膜層に対してパターン化処理を行うことにより、
図13に示されたソース501及びドレイン502を得る。
【0128】
ステップS26において、ソース・ドレイン層上に第1絶縁層を形成する。
【0129】
ソース・ドレイン層50上に第1絶縁層80を順次に形成することにより、
図1に示されたベース基板を得る。
【0130】
図14は、本出願の実施例による薄膜トランジスタの製造方法のフローチャートである。
図14を参照すると、当該方法は、以下のステップを含む。
【0131】
ステップS31において、ベース基板を準備する。
【0132】
ステップS32において、ベース基板上にゲートを形成する。
【0133】
ステップS33において、ゲート上にゲート絶縁層を形成する。
【0134】
ステップS34において、ゲート絶縁層上に一層のインジウムガリウムスズ酸化物膜層を形成する。
【0135】
図15から
図19は、本出願の実施例による薄膜トランジスタの製造方法のプロセス図である。以下、
図15から
図19を参照して、薄膜トランジスタの製造プロセスを説明する。
図15を参照すると、ゲート絶縁層70上にインジウムガリウムスズ酸化物膜層170を形成する。
【0136】
ステップS35において、インジウムガリウムスズ酸化物膜層のベース基板から離れた面に一層の拡散膜層を形成する。拡散膜層は、プラセオジム金属膜層またはプラセオジム金属酸化物膜層である。
【0137】
図16を参照すると、インジウムガリウムスズ酸化物膜層170上に一層の拡散膜層180を形成する。
【0138】
ステップS36において、インジウムガリウムスズ酸化物膜層と拡散膜層に対してアニール処理を行うことにより、拡散膜層におけるプラセオジムをインジウムガリウムスズ酸化物膜層に拡散させ、ベース基板上に順次に積層されたチャネル層及び第1保護層を含むアクティブ層を得る。
【0139】
図17を参照すると、同時にインジウムガリウムスズ酸化物膜層170と拡散膜層180に対してアニール処理を行うことにより、拡散膜層180におけるプラセオジムをインジウムガリウムスズ酸化物膜層170に拡散させ、インジウムガリウムスズ酸化物膜層170にチャネル層101と第1保護層102とを含むアクティブ層を形成する。
【0140】
ステップS37において、拡散膜層に対してパターン化処理を行うことにより、アクティブ層上に配置された拡散層を得る。
【0141】
図18を参照すると、拡散膜層に対してパターン化処理を行うことにより、アクティブ層上に配置された拡散層40を得る。拡散層40は、第1保護層102のベース基板30から離れた面に配置され、拡散層40は、アクティブ層10の側壁を包み、拡散層40は、プラセオジム金属層またはプラセオジム金属酸化物層である。
【0142】
なお、他の実施例では、同時にインジウムガリウムスズ酸化物膜層170と拡散膜層180をエッチングすることができ、製造プロセスを簡略化する。つまり、インジウムガリウムスズ酸化物膜層170上に直接に一層の拡散膜層180を形成し、この後、同時にインジウムガリウムスズ酸化物膜層170と拡散膜層180に対してパターン化処理を行うことにより、アクティブ層10と拡散層40を形成する。この場合、拡散層40は、アクティブ層10の側壁を包まなく、拡散層40は、アクティブ層10に積層され、拡散層40は、アクティブ層10のベース基板30から離れた面に配置される。
【0143】
ステップS38において、拡散膜層上にソース・ドレイン金属層を形成する。
【0144】
ステップS39において、ソース・ドレイン金属層に対してパターン化処理を行うことにより、ソースとドレインを形成する。
【0145】
図19を参照すると、拡散膜層180上にソース・ドレイン金属層を作製した後、ソース・ドレイン金属層に対してパターン化処理を行うことにより、
図19に示されたソース・ドレイン層50を得る。
【0146】
ステップS40において、ソース・ドレイン層上に第1絶縁層を形成する。
【0147】
ソース・ドレイン層50上に第1絶縁層80を形成し、
図5に示されたベース基板を得る。
【0148】
なお、他の実施例では、ステップS35からステップS37を省略して、インジウムガリウムスズ酸化物膜層上に直接にソース・ドレイン金属層を形成し、ソース・ドレイン金属層は、プラセオジムを含み、次に、ソース・ドレイン金属層に対してパターン化処理を行うことにより、ソース・ドレイン金属層におけるプラセオジムをインジウムガリウムスズ酸化物膜層に拡散させ、インジウムガリウムスズ酸化物膜層にチャネル層と第1保護層とを含むアクティブ層を形成する。
【0149】
本出願の実施例では、アレイ基板をさらに提供し、当該アレイ基板は、積層して配置されたベース基板30と複数の薄膜トランジスタを含み、薄膜トランジスタは、
図1から
図7のいずれかに示された薄膜トランジスタである。
【0150】
図20は、本出願の実施例によるアレイ基板の断面構造概略図である。
図20を参照すると、アレイ基板は、第1電極層90、第2絶縁層100、および第2電極層110をさらに含む。第1電極層90は、複数の第1電極を含み、複数の第1電極は、第1絶縁層80のベース基板30から離れた面に配置される。第2絶縁層100は、複数の第1電極上に被覆される。第2電極層110は、第2絶縁層100のベース基板30から離れた面に配置され、第2電極層110は、対応した薄膜トランジスタにおけるソース501またはドレイン502と電気的に接続される。
【0151】
本出願の実施例によるアレイ基板は、液晶表示(Liquid Crystal Display、LCD)装置に使用することができ、この場合、第1電極層90と第2電極層110のうちの一方は、画素電極層であり、他方は、共通電極層であり、第2絶縁層100によって、第1電極層90を第2電極層110から分離させる。
【0152】
本出願の実施例では、第1電極層90と第2電極層110は、酸化インジウムスズ層であり、第1電極層90および第2電極層110の導電性および透明性を確保する。
【0153】
再び
図20を参照すると、アレイ基板は、平坦化層150をさらに含み、平坦化層150は、第1絶縁層80と第1電極層90との間に配置される。平坦化層150は、第1絶縁層80が配置された表面をより平坦にすることができ、第1電極層90の製造を容易にすることができる。
【0154】
本出願の実施例では、平坦化層150は、樹脂(Resin)層である。
【0155】
再び
図20を参照すると、第1絶縁層80、平坦化層150および第2絶縁層100にビアホール160が設けられ、第2電極層110は、ビアホール160を介してソース・ドレイン層50におけるソース501またはドレイン502と電気的に接続される。
【0156】
本出願の実施例では、表示装置をさらに提供し、当該表示装置は、
図20に示されたアレイ基板を含む。
【0157】
具体的な実施形態では、本出願の実施例による表示装置は、携帯電話、タブレット、テレビ、ディスプレイ、ノートパソコン、デジタルフォトフレーム、ナビゲータなどの表示機能を有する任意の製品または部品であってもよい。
【0158】
以上は、本開示の好しい実施例にすぎず、本開示を限定するものではなく、本開示の精神および原則の範囲内でなされるあらゆる修正、同等の置換、改良などは、本開示の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0159】
10 アクティブ層
30 ベース基板
50 ソース・ドレイン層
60 ゲート
70 ゲート絶縁層
80 第1絶縁層
101 チャネル層
102 第1保護層
501 ソース
502 ドレイン
【国際調査報告】