(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】単結晶成長用の熱場調整装置及び方法
(51)【国際特許分類】
C30B 15/22 20060101AFI20240125BHJP
C30B 29/06 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
C30B15/22
C30B29/06 502Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509541
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2023-02-09
(86)【国際出願番号】 CN2022122631
(87)【国際公開番号】W WO2023124334
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111632073.9
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522248559
【氏名又は名称】西安奕斯偉材料科技股▲ふん▼有限公司
【住所又は居所原語表記】Room 1-3-029, No.1888 South Xifeng Rd., Hi-Tech Zone Xi’an, Shaanxi 710100, P.R.China
(71)【出願人】
【識別番号】522248560
【氏名又は名称】西安奕斯偉硅片技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】XI’AN ESWIN SILICON WAFER TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1888 South Xifeng Rd., Hi-Tech Zone Xi’an, Shaanxi 710100, P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】潘 浩
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、 ヒュングク
【テーマコード(参考)】
4G077
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077BA04
4G077CF10
4G077EH06
4G077EH07
4G077PF01
4G077PF55
(57)【要約】
本願の実施例は、単結晶成長用の熱場調整装置及び方法を開示する。該熱場調整装置は、上部にドラフトチューブが固設された断熱筒と、結晶引上げ中に、るつぼの高さ位置を一定に制御するように配置された第1の制御ユニットと、前記ドラフトチューブの底部と溶融シリコンの液面との距離を常に一定させるように、結晶引上げ中に、前記断熱筒の鉛直方向に沿った昇降運動を駆動するように配置された第2の制御ユニットとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶引上げ炉の内部に設けられ、単結晶成長用の熱場調整装置であって、
上部にドラフトチューブが固設された断熱筒と、
結晶引上げ中にるつぼの高さ位置を一定に制御するように配置された第1の制御ユニットと、
前記ドラフトチューブの底部と溶融シリコンの液面との距離を常に一定させるように、結晶引上げ中に、前記断熱筒の鉛直方向に沿った昇降運動を駆動するように配置された第2の制御ユニットと
を含む、熱場調整装置。
【請求項2】
前記断熱筒は、
ヒータと平行である側面保温カバーと、
前記側面保温カバーの上部から、前記るつぼの上方を超えないように、引き上げられる単結晶シリコン棒に向かって水平方向に延びるように配置された上部保温カバーと
を含み、
前記ドラフトチューブは、前記上部保温カバーと固定接続されている、請求項1に記載の熱場調整装置。
【請求項3】
前記第2の制御ユニットは、結晶引上げ中に前記断熱筒を下降駆動するためにも用いられる、請求項1に記載の熱場調整装置。
【請求項4】
前記ヒータの鉛直方向に沿った昇降運動を駆動するための第3の制御ユニットを更に含む、請求項2に記載の熱場調整装置。
【請求項5】
前記第2の制御ユニットと前記第3の制御ユニットは、それぞれ独立して前記断熱筒と前記ヒータを駆動することができる、請求項4に記載の熱場調整装置。
【請求項6】
前記第1の制御ユニットは、前記るつぼの中心線回りに前記るつぼを回転駆動するためにも用いられる、請求項1に記載の熱場調整装置。
【請求項7】
前記溶融シリコンの液面の高さの変化を監視するように配置された液面センサと、
前記溶融シリコンの液面の高さの変化に応じて前記制御ユニットに制御信号を伝達するように配置されたプロセッサと
を更に含む、請求項1に記載の熱場調整装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の単結晶成長用の熱場調整装置に応用される単結晶成長用の熱場調整方法であって、
単結晶シリコン棒の引上げ開始前に、断熱筒によってドラフトチューブを最高位置に位置させ、多結晶シリコン原料が完全に溶融シリコンに溶融した後、前記溶融シリコンの液面と一定の距離になるまで前記ドラフトチューブを調整することと、
結晶引上げ中に、るつぼの高さ位置を一定にさせながら回転させるように制御し、結晶引上げ中に前記ドラフトチューブの底部と前記溶融シリコンの液面との距離を常に一定させるように、前記断熱筒を駆動して前記ドラフトチューブを鉛直方向に沿って下へ移動させることと
を含む、熱場調整方法。
【請求項9】
前記の、結晶引上げ中に前記ドラフトチューブの底部と前記溶融シリコンの液面との距離を常に一定させるように、前記ドラフトチューブを鉛直方向に沿って下へ移動させるように前記断熱筒を駆動することは、具体的に、
結晶引上げ中に、前記溶融シリコンの液面の高さの変化を監視することと、
前記ドラフトチューブと前記溶融シリコンの液面との距離を常に一定させるように、前記溶融シリコンの液面の高さの変化に応じて第2の制御ユニットを制御することと
を含む、請求項8に記載の熱場調整方法。
【請求項10】
前記断熱筒を下へ移動させると同時に、前記溶融シリコンの液面の温度を一定にするとともに引き上げられる単結晶シリコン棒へ前記ヒータから熱を伝達しないように、ヒータを鉛直方向に沿って下へ移動させるように駆動することと、
単結晶シリコン棒を引き上げる熱場を改善し、引き上げられる前記単結晶シリコン棒の冷却速度を更に向上させるために、前記断熱筒と前記ヒータを同時に鉛直方向に沿って下へ移動させることと
を更に含む、請求項8に記載の熱場調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年12月29日に中国で提出された中国特許出願NO.202111632073.9の優先権を主張し、その全ての内容が援用によりここに取り込まれる。
【0002】
本願の実施例は、結晶引上げ熱場の技術分野に係り、特に単結晶成長用の熱場調整装置及び方法に係る。
【背景技術】
【0003】
単結晶シリコン棒を製造する方法には、ゾーン溶融法とチョクラルスキー法があり、一般的にチョクラルスキー(CZ:Czochralski)法が採用されている。アルゴンガス保護の下、CZ法は、結晶引上げ炉の炉体内に設けられた石英製るつぼに多結晶シリコン原料を収容し、多結晶シリコン原料をヒータによって溶融して溶融シリコンを取得し、ヒータによって溶融シリコンを保温し続け、直径が10mmしかない棒状種結晶(シード結晶と称する)を溶融シリコンの液面に接触させ、プロセスに求められた適切な温度で、溶融シリコン中のケイ素原子が種結晶のケイ素原子配列構造に沿って固液界面に規則的な結晶を形成して単結晶体となり、種結晶を回転させながら引き上げ、溶融シリコン中のケイ素原子が前に形成された単結晶体上でその規則的な原子配列構造のままで結晶し続け、同時に引き上げを加速させることによって、目標となる直径と品質の単結晶シリコン棒を製造する。
【0004】
図1を参照すると、一般的な結晶引上げ炉10の概略図が示されている。該結晶引上げ炉10は、炉体11と、るつぼ12と、ヒータ13と、断熱筒14と、ドラフトチューブ15と、シード結晶引上げ装置16を含む。そのうち、ヒータ13、断熱筒14及びドラフトチューブ15は、いずれも固定構造である。結晶引上げ中に、欠陥の少ない高品質な単結晶シリコン棒Sを成長させることを確保するために、その成長環境を厳しく制御しなければならない。これは、チョクラルスキー法で単結晶を成長させる過程でプロセスガスが結晶引上げ炉10の上部から注入されるので、揮発物質がすぐに排出されることを保証するために、るつぼ12の上方に取り付けられたドラフトチューブ15によって、プロセスガスをドラフトチューブ15と炉体11の内壁を通過させる。更に真空ポンプによって、結晶引上げ炉10の底部排気口から排出される。結晶棒Sの形成過程において、単結晶シリコン棒Sが固液界面に成長し、溶融シリコンが液状状態から固体状態に転化してシード結晶に付着し続けるため、るつぼ12中の溶融シリコンが減少するにつれて、溶融シリコンの液面位置も低下し続ける。溶融シリコンの液面が常に結晶に接触することを保証するために、るつぼ12を上昇させ続ける必要がある。ドラフトチューブ15と溶融シリコンの液面との接触を避けるために、同時に、ガスの流れの安定性を確保するためには、ドラフトチューブ15と液面の相対的な高さを一定にする必要がある。そのため、るつぼ12は、結晶の上昇に伴って同期して上に移動する必要がある。同時に、CZ法は、主にるつぼとシード結晶の同期上昇及びるつぼとシード結晶の回転によって、結晶引上げ炉内部の熱場の安定性を維持するが、るつぼの上昇によって、結晶引上げ炉内のエネルギー消費と熱場の安定性に少なからぬ弊害をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに鑑みて、本願の実施例は、結晶引上げ中に、断熱筒を調整することによってドラフトチューブと溶融シリコンの液面との距離を一定にすることを実現することができ、同時に独立してヒータを調整して断熱筒の移動に合わせて多様な熱場制御を実現し、結晶引上げプロセスにもっと多くの方法を提供し、加工効率を高めることができる、単結晶成長用の熱場調整装置及び方法を提供することが期待される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の実施例の技術手段は、下記のように実現される。
【0007】
第1の態様によれば、本願の実施例は、結晶引上げ炉の内部に設けられ、単結晶成長用の熱場調整装置を提供する。前記熱場調整装置は、上部にドラフトチューブが固設された断熱筒と、結晶引上げ中にるつぼの高さ位置を一定に制御するように配置された第1の制御ユニットと、前記ドラフトチューブの底部と溶融シリコンの液面との距離を常に一定させるように、結晶引上げ中に前記断熱筒の鉛直方向に沿った昇降運動を駆動するように配置された第2の制御ユニットとを含む。
【0008】
第2の態様によれば、本願の実施例は、単結晶成長用の熱場調整方法を提供する。前記熱場調整方法は、単結晶シリコン棒の引上げ開始前に、断熱筒によってドラフトチューブを最高位置に位置させ、多結晶シリコン原料が完全に溶融シリコンに溶融した後、前記溶融シリコンの液面と一定の距離になるまで前記ドラフトチューブを調整することと、結晶引上げ中にるつぼの高さ位置を一定にさせながら回転させるように制御し、結晶引上げ中に前記ドラフトチューブの底部と前記溶融シリコンの液面との距離を常に一定させるように、前記断熱筒を駆動して前記ドラフトチューブを鉛直方向に沿って下へ移動させることとを含む。
【発明の効果】
【0009】
本願の実施例は、単結晶成長用の熱場調整装置及び方法を提供し、結晶引上げ中に、断熱筒によってドラフトチューブを鉛直方向に下へ移動させることによって、ドラフトチューブと溶融シリコンの液面との距離を一定にし、るつぼの移動による弊害を回避する。同時に、独立して移動するヒータが前記断熱筒に合わせて多様な熱場制御を実現することによって、プロセスパラメータの調整により多くの方法と支持を提供し、効果的に引上げ速度を高め、酸素濃度を下げる。すなわち、引上げ速度の向上及び酸素濃度の低下を容易にさせ、結晶棒の冷却をより速く、成長をより速くする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、関連技術における結晶引上げ炉の概略図である。
【
図2】
図2は、本願の実施例による単結晶成長調整用の熱場調整装置を有する結晶引上げ炉の概略図である。
【
図3a】
図3aは、
図2に示す結晶引上げ炉において、原料が充填された後の、ドラフトチューブとヒータの位置の概略図である。
【
図3b】
図3bは、
図2に示す結晶引上げ炉において、原料溶融段階でのドラフトチューブとヒータの位置の概略図である。
【
図4】
図4は、本願の実施例による単結晶成長調整用の熱場調整方法のフローチャートである。
【
図5】
図5は、本願の実施例による単結晶成長調整用の熱場調整方法において、単結晶シリコン棒の冷却加速方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本願の実施例における添付の図面を参照して、本願の実施例における技術手段を明確且つ完全に説明する。
【0012】
結晶引上げ炉内でCZ法によって単結晶シリコンを引き上げる過程において、るつぼが上昇する過程で、保護ガスの流れの不安定さや機械的伝動による振動は、溶融シリコンの液面の細動や単結晶シリコン棒の揺れの問題を引き起こす。揺れる単結晶シリコン棒と不安定な溶融シリコンの固液界面は、結晶引上げ炉内の熱場の安定性を破壊し、結晶欠陥の形成を引き起こす。上述の問題は、結晶が転位せずに成長しにくいだけでなく、結晶の品質にも非常に不利な影響を与える。
【0013】
引き続き
図1を参照し、結晶引上げ過程の進行に伴い、るつぼ12が鉛直方向にゆっくりと上昇することで、るつぼ12と単結晶シリコン棒Sとの距離は、理想的な範囲内に維持される。同時に、るつぼ12の緩やかな上昇が機械部品によって駆動され、ヒータ13が動かないままであるため、るつぼ12を駆動するための機械部品がヒータ13の熱場の中に長期間位置し受動的にヒータ13の熱放射を受け、るつぼ12の使用寿命が低下する。また、熱膨張冷縮の原理によって、この機械部品の運動精度もある程度影響を受ける。更に、結晶引上げ中のるつぼ12内の溶融シリコンの固液界面の安定性に影響を与える。
【0014】
そこで、上述の直面する技術課題に対して、本願は、単結晶成長用の熱場調整装置を提案し、るつぼの上昇に代えて、断熱筒によってドラフトチューブを下降させることで、るつぼの高さ位置を一定に保ち、それによって結晶引上げ効率を高める。
図2を参照すると、該熱場調整装置を有する結晶引上げ炉100の概略的な構成が示されている。該熱場調整装置は、少なくとも、上部にドラフトチューブ15が固設された断熱筒14と、第1の制御ユニットT1と、第2の制御ユニットT2とを含む。
【0015】
断熱筒14は、結晶引上げ炉の炉体11とヒータ13との間に配置され、結晶引上げ炉100内の熱場の熱エネルギーの外部への放射を防止することができる。断熱筒14は、剛性カーボンフェルトで製造され、断熱と保温効果を高めるために、より先進的なハニカム構造を採用することもできる。
図2を参照すると、断熱筒14は、少なくとも側面保温カバー141と上部保温カバー142を含む。断熱筒14は、全体的な成形でもよいし、分割成形してから組み合わせてもよい。分割結合式の断熱筒は、製造コストが低く、損傷した部分に対して交換が容易である。側面保温カバー141は、ヒータ13と平行に配置され、ヒータ13を囲んでヒータ13の熱が外部に放射されるのを防止し、ヒータ13の加熱効果を高めて熱損失を低減するために用いられる。上部保温カバー142は、側面保温カバー141の上部から、引き上げられる単結晶シリコン棒Sに向かって水平方向に延び、るつぼ12の上方で停止するものであり、上部から熱場の熱損失を保護するために用いられ、結晶引上げ熱場の効率を高める。
【0016】
上部保温カバー142に固設されたドラフトチューブ15は、上のほうが大きく下のほうが小さいテーパ形状であり、主に高温ガスの導流作用を果たすため、良好な耐熱性能と一定の力学性能を有する。ドラフトチューブ15は、更に、るつぼ12中の溶融シリコンが径方向に沿って、引き上げられる単結晶シリコン棒Sとるつぼ12中の溶融シリコンが軸方向に沿って適切な温度勾配を持つことを保障するための保温断熱性能を有する。また、ドラフトチューブ15は、結晶引上げ炉100の上部における一酸化ケイ素(SiO)の堆積を低減するように配置されており、引き上げられる単結晶シリコン棒Sの良好な品質を確保しつつ、結晶引上げ炉100内の各部品の寿命を延長することができる。現在、ドラフトチューブは、薄肉テーパ形外側黒鉛筒-フェルト体コア-薄肉テーパ形内側黒鉛筒からなる複合型ドラフトチューブであることが多い。任意に、ドラフトチューブ15と上部保温カバー142とは、フックLを介して取り外し可能に接続されている。
【0017】
第1の制御ユニットT1は、るつぼ12の底部に接続されている。結晶棒Sを引き上げる過程で、第1の制御ユニットT1は、機械部品を介して、るつぼ12の高さ位置を一定にし、るつぼ12の中心軸線に対する回転運動のみをさせるように制御する。第2の制御ユニットT2は、断熱筒14に接続されている。任意に、断熱筒14の底部に取り付けられることによって、第2の制御ユニットT2が結晶引上げ炉内で長時間の熱放射を受けて機械部品の伝動精度に影響を与えることを避ける。第2の制御ユニットT2は、モータやボールねじなどの伝動によって、断熱筒14の鉛直方向に沿った昇降運動を駆動することができる。るつぼ12の上昇に代えて、断熱筒14によってドラフトチューブ15を下降させる構想に基づいて、結晶引上げ中に、るつぼ12の高さ位置が変わらず、第2の制御ユニットT2が断熱筒14を下方に移動駆動し、断熱筒14の上部に固設されたドラフトチューブ15を下降させ、ドラフトチューブ15の底部がるつぼ12内に入り、ドラフトチューブ15の底部と溶融シリコンの液面との距離を、引き上げられた単結晶シリコン棒の品質を保証できる合理的な範囲内に常に維持する。任意に、ドラフトチューブの底部と溶融シリコンの液面との距離を常に一定にする。
【0018】
該熱場調整装置は、電気的に接続された液面センサ及びプロセッサ(図示せず)を更に含む。液面センサは、電荷結合デバイス(CCD:Charge Coupled Device)カメラ、デジタルカメラ又はハイビジョンカメラなどのイメージング装置であってもよい。液面センサによって、るつぼ内の溶融シリコンの液面変化状態情報をリアルタイムで得ることができる。プロセッサは、液面センサから受信した溶融シリコンの液面変化状態情報を処理した後、結晶引上げ中における溶融シリコンの液面下降高さを取得し、第2の制御ユニットT2に制御信号を送る。第2の制御ユニットT2は、この制御信号に基づいて断熱筒14の下降高さを正確に調整して、ドラフトチューブ15の底部が溶融シリコンの液面に接触しないようにドラフトチューブ15の底部と溶融シリコンの液面との距離を正確に調整して制御する。任意に、プロセッサと第2の制御ユニットT2は、プロセッサの信号伝送の安定性を保証するために、線を介して接続される。
【0019】
図2を参照すると、ヒータ13は、るつぼ12の外周に配置されて、るつぼ12を熱放射してシリコン原料を溶融して溶融シリコンを得、溶融シリコンを単結晶シリコン棒Sの引上げに有利な温度に維持させる。関連技術では、ヒータは、固定されており、単結晶シリコン棒を引上げする際に移動することができないため、溶融シリコンから単結晶シリコン棒を引き上げると同時に、溶融シリコンの液面の上部に成形された単結晶シリコン棒が依然としてヒータの熱放射範囲内にあり、単結晶シリコン棒の熱散逸が遅いだけでなく、冷却速度が低下し、引上げ速度が効果的に向上せず、単結晶シリコン棒の酸素濃度も低下する。第2の制御ユニットT2によって断熱筒14を下降駆動するとともに、ヒータ13に対する断熱筒14の位置が低下し、断熱筒14の保温効果が低下し、溶融シリコンの液面を十分に加熱できず、更に単結晶シリコン棒Sの酸素濃度を十分に低下させることができない。この問題を解決するために、該熱場調整装置は、ヒータ13を下方から支持し、ヒータ13を鉛直方向に下降駆動して断熱筒14の下降に合わせることができる第3の制御ユニットT3を更に含む。上記構成により、引き上げられた単結晶シリコン棒Sを冷却しやすい状態にし、冷却効率を高め、引上げ速度を速めることができる。第2の制御ユニットT2と第3の制御ユニットT3は、断熱筒14とヒータ13をそれぞれ独立して駆動することができ、ヒータ13と断熱筒14の高さ位置関係を保証することができるので、結晶品質の悪化や単結晶化効率の低下の問題を招くこともない。
【0020】
図3に示す結晶引上げ炉100による単結晶シリコン棒Sの引き上げる過程は、るつぼ12内でドラフトチューブ15の位置を上昇させて多結晶シリコン原料を充填することと、その後、ヒータ13によってるつぼ12内の多結晶シリコン原料を加熱して多結晶シリコン原料を溶融して溶融シリコンを形成することと、多結晶シリコン原料が完全に溶解すると、ドラフトチューブ15の底部と溶融シリコンの液面との距離が単結晶シリコン棒の引上げ品質を保証できるように、ドラフトチューブ15を低下させることと、ヒータ13と断熱筒14によって溶融シリコンの液面の温度を安定させ、シード結晶が溶融シリコンに接触するように単結晶シリコン棒Sを引き上げることとを含む。上記の過程で、ドラフトチューブ15の底部と溶融シリコンの液面との距離を常に一定に保つとともに、溶融シリコンの液面が低下してるつぼ12が上昇することによる弊害を回避するために、ドラフトチューブ15の下降を用いてドラフトチューブ15の底部と溶融シリコンの液面との距離を一定に保つことを実現する。
図4を参照すると、本願の実施例による単結晶成長用の熱場調整方法が示されている。該熱場調整方法は、
図2に示す結晶引上げ炉に適用することができる。該熱場調整方法は、単結晶シリコン棒の引上げ開始前に、断熱筒によってドラフトチューブを最高位置に位置させ、多結晶シリコン原料が完全に溶融シリコンに溶融した後、溶融シリコンの液面と一定の距離になるまで前記ドラフトチューブを調整するステップと、結晶引上げ中に、るつぼの高さ位置を一定にさせながら回転させるように制御し、結晶引上げ中にドラフトチューブの底部と溶融シリコンの液面との距離を常に一定させるように、断熱筒を駆動してドラフトチューブを鉛直方向に沿って下へ移動させるステップとを含む。
【0021】
図4に示す技術手段により、本願は、るつぼの上昇に代えて、断熱筒を下降させることによってドラフトチューブを下降させることで、ドラフトチューブの底部と溶融シリコンの液面との距離を安定的に一定に保つことができる。更に、結晶引上げ中にドラフトチューブの底部と溶融シリコンの液面との距離を常に一定させるように、断熱筒を駆動してドラフトチューブを鉛直方向に沿って下へ移動させるステップは、具体的に、結晶引上げ中に、溶融シリコンの液面の高さの変化を監視することと、ドラフトチューブと溶融シリコンの液面との距離を常に一定させるように、溶融シリコンの液面の高さの変化に応じて第2の制御ユニットを制御することとを含む。
【0022】
溶融シリコンから単結晶シリコン棒を引き上げると同時に、溶融シリコンの液面の上部に成形された単結晶シリコン棒が依然としてヒータの熱放射範囲内にあり、単結晶シリコン棒の熱散逸が遅いだけでなく、冷却速度が低下し、引上げ速度が効果的に向上せず、単結晶シリコン棒の酸素濃度も低下する。
図5を参照すると、本願は、更に、ヒータと断熱筒とが同時に下降できるようにすることによって、引き上げられた単結晶シリコン棒を冷却しやすい状態にすることを提案する。該熱場調整方法は、断熱筒を下へ移動させると同時に、溶融シリコンの液面の温度を一定にするとともに引き上げられる単結晶シリコン棒へヒータから熱を伝達しないように、ヒータを鉛直方向に沿って下へ移動させるように駆動することと、単結晶シリコン棒を引き上げる熱場を改善し、引き上げられる単結晶シリコン棒の冷却速度を更に向上させるために、断熱筒とヒータを同時に鉛直方向に沿って下へ移動させることとを含む。
【0023】
そこで、本願は、るつぼの上昇に代えて、断熱筒によってドラフトチューブを下降させることで、るつぼの上昇による溶融シリコンの液面の細動や単結晶シリコン棒の揺れの問題を解決するとともに、上述の過程で断熱筒の下降に合わせてヒータを駆動して上下に移動させる構造によって、単結晶シリコン棒の熱散逸が遅く、冷却速度が低下する問題を解決した単結晶成長用の熱場調整装置及び方法を提供する。
【0024】
なお、本願の実施例に記載の各技術手段は、矛盾しない限り、任意に組み合わせることができる。
【0025】
上記は、本願の具体的な実施形態にすぎないが、本願の保護範囲は、これに限定されず、本願に開示された技術範囲内に当業者が容易に想到できる変化又は代替は、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。従って、本願の保護範囲は、前記特許請求の範囲の保護範囲を基準とするべきである。
【国際調査報告】