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特表2024-504535吸湿吸汗機能を有する全面コーティング手袋
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】吸湿吸汗機能を有する全面コーティング手袋
(51)【国際特許分類】
   A41D 19/00 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
A41D19/00 N
A41D19/00 P
A41D19/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518261
(86)(22)【出願日】2022-01-06
(85)【翻訳文提出日】2023-03-16
(86)【国際出願番号】 CN2022070419
(87)【国際公開番号】W WO2023123533
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111612123.7
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523098795
【氏名又は名称】▲張▼家港思淇科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHANGJIAGANG SIQI SCIENCE AND TECHNOLOGY, CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No.8 , Chuangxing Road, Fenghuang Town, Suzhou, Zhangjiagang, Jiangsu, 215614 China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100217412
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 亜子
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼峰
【テーマコード(参考)】
3B033
【Fターム(参考)】
3B033AA27
3B033AB04
3B033AB07
3B033AC02
3B033AC04
(57)【要約】
本発明は、原手本体と、吸湿通気層と、遮断層と、を含み、吸湿吸汗層及び遮断層はいずれも主要原料として水性ポリウレタン又は溶媒型ポリウレタンを含む塗料で製造され、前記吸湿吸汗層は厚さ0.1~0.3mmの発泡層であり、前記遮断層は厚さ0.03~0.2mmの非発泡層である吸湿吸汗機能を有する全面コーティング手袋を開示し、前記全面コーティング手袋の具体的な製造プロセスは、原手本体を金型にセットすることと、ディッピングして発泡吸湿通気層を製造することと、水洗と、ベークと、ディッピングして非発泡性遮断層を製造することと、ベークと、完成品を離型することと、包装と、を含む。本発明の手袋は、コーティング原料としてポリウレタンを用い、発泡コーティング(主に吸湿通気機能を果たす)と非発泡コーティング(主に遮断隔絶機能)とを効果的に結合することにより、製品に吸湿通気機能と遮断隔絶機能とを兼ね備え、しかも、手触りが柔らかであり、作業の疲労を大幅に低減させ、実用性が高い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸湿吸汗機能を有する全面コーティング手袋であって、
編成された原手本体と、原手本体の内面全体にディップコートされた吸湿通気層と、原手本体の外面全体にディップコートされた遮断層と、を含み、吸湿吸汗層及び遮断層はいずれも主要原料として水性ポリウレタン又は溶媒型ポリウレタンを含む塗料で製造され、前記吸湿吸汗層は厚さ0.1~0.3mmの発泡層であり、前記遮断層は厚さ0.03~0.2mmの非発泡層であり、前記全面コーティング手袋の具体的な製造プロセスは、原手本体を金型にセットすることと、ディッピングして発泡吸湿通気層を製造することと、水洗と、ベークと、ディッピングして非発泡性遮断層を製造することと、ベークと、完成品を離型することと、包装とを含み、2層目の皮膜である遮断層をディップコートするときに、遮断コーティングの材料が吸湿通気層の表面、さらには表層の微細孔内に最大限に浸潤するように、第1層の吸湿通気層がすでに硬化してベークして成膜したことを確保し、液体状態にある遮断層塗料の表面エネルギーが吸湿通気層の表面エネルギーよりも低いことを確保することを特徴とする全面コーティング手袋。
【請求項2】
前記遮断層の厚さを0.03~0.2mmにするために、前記遮断層の製造材料が主に水性ポリウレタン樹脂を含む場合、塗料の固形分を20~40%、粘度を500~2000センチポイズの間に制御し、前記遮断層の製造材料が主に溶媒型ポリウレタン樹脂を含む場合、塗料の固形分を12~20%、粘度を300~1500センチポイズの間に制御することを特徴とする請求項1に記載の吸湿吸汗機能を有する全面コーティング手袋。
【請求項3】
前記遮断層の製造材料が主に水性ポリウレタン樹脂を含む場合、製造原料は、成分として、水性ポリウレタンエマルション、消泡剤、増粘剤、硬化剤、湿潤剤を含み、
前記遮断層の製造材料が主に溶媒型ポリウレタン樹脂を含む場合、製造原料は、成分として、乾式ポリウレタン樹脂、DMF、消泡剤、レベリング剤、浸透剤、湿潤剤を含むことを特徴とする請求項2に記載の吸湿吸汗機能を有する全面コーティング手袋。
【請求項4】
前記遮断層の製造材料が主に水性ポリウレタン樹脂を含む場合、製造原料は成分として、水性ポリウレタンエマルション1000質量部、消泡剤4~7質量部、増粘剤3~8質量部、硬化剤10~30質量部、湿潤剤2~5質量部を含み、
前記遮断層の製造材料が主に溶媒型ポリウレタン樹脂を含む場合、製造原料は、成分として、乾式ポリウレタン樹脂1000質量部、DMF 800~2000質量部、消泡剤3~10質量部、レベリング剤3~8質量部、浸透剤3~8質量部、湿潤剤2~5質量部を含むことを特徴とする請求項3に記載の吸湿吸汗機能を有する全面コーティング手袋。
【請求項5】
前記吸湿通気層の厚さを0.1~0.3mmにするために、前記吸湿通気層の製造材料が主に水性ポリウレタン樹脂を含む場合、塗料の固形分を20~40%、粘度を500~2000センチポイズ、発泡倍率を1.15~1.8の間に制御し、前記吸湿通気層の製造材料が主に溶媒型ポリウレタンを含む場合、塗料の固形分を12~18%、粘度を500~1500センチポイズに制御することを特徴とする請求項1に記載の吸湿吸汗機能を有する全面コーティング手袋。
【請求項6】
前記吸湿通気層の製造材料が主に水性ポリウレタン樹脂を含む場合、製造原料は、成分として、水性ポリウレタンエマルション、発泡剤及び増粘剤を含み、発泡剤の添加量は水性ポリウレタンエマルションの質量の5~15%であり、
前記吸湿通気層の製造材料が主に溶媒型ポリウレタンを含む場合、製造原料は、成分として、湿法ポリウレタン樹脂、DMF、消泡剤、浸透剤、発泡助剤、促進剤を含み、固形分は12~18%に制御されることを特徴とする請求項5に記載の吸湿吸汗機能を有する全面コーティング手袋。
【請求項7】
前記吸湿通気層の製造材料が主に水性ポリウレタンを含む場合、製造原料は、成分として、水性ポリウレタンエマルション1000質量部、発泡剤50~150質量部、増粘剤2~6質量部を含み、
前記吸湿通気層の製造材料が主に溶媒型ポリウレタンを含む場合、製造原料は、成分として、湿法ポリウレタン樹脂1000質量部、DMF 800~2000質量部、消泡剤3~10質量部、浸透剤3~8質量部、発泡助剤2~8質量部、促進剤5~15質量部を含むことを特徴とする請求項6に記載の吸湿吸汗機能を有する全面コーティング手袋。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は労働保護用具の分野に属し、特に吸湿吸汗機能を有する全面コーティング手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、近代化の工業生産において、安全保護はかなり重要なことであり、保護手袋を着用することは安全保護の1つの重要な構成部分である。現在市販されているコーティングタイプの安全手袋には、全面コーティングタイプと背抜きコーティングタイプがある。背抜きコーティングタイプの労働保護手袋は、コーティングには、ブチロニトリル、天然ラテックス、PVC及びポリウレタンを主成分とする。このような手袋を着用すると保護効果があるが、手の甲にはコーティングが施されていないため、外部からの液体や細菌の侵入に対しては効果がない。作業環境の湿気が多い場合や潤滑油などの油汚れがある場合、医療廃棄物に触れている場合など、細菌やウイルスが侵入する危険性がある場合には、手と外界の物との間をしっかりと遮断、隔絶するコーティングをする必要があり、背抜きコーティングタイプの手袋は明らかに適切ではなく、全面コーティングタイプの手袋を着用する必要がある。全面コーティングタイプの手袋のコーティングの主原料はブチロニトリル、天然ラテックス、PVCであり、外部の液体や細菌の侵入を遮断する必要があるため、現在、このようなすべての市販製品は吸湿通気機能がなく、しかも手触りが硬く、着用する時に非常に不快な体験感があり、長時間使用すると、手の皮膚が汗に浸かって、皮膚にしわができやすく、しかも細菌も繁殖しやすく、また作業の疲労強度も増加してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は吸湿吸汗機能を有する全面コーティング手袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、研究を行った結果、コーティングの防水と吸湿通気の以下の原理を見出した。フィルムの吸湿通気方式には2種類があり、1つは無孔親水方式である。水分子は酸素原子1個と水素原子2個でできたものであり、水分子が気体形態にあるとき、分子と分子の間にはほとんど力が作用しておらず、水分子は自由に移動することができ、遮断層内の水分子が気体形態としてフィルムに接触すると、フィルムに含まれる親水基は、水分子を吸着し、分子鎖を介して高濃度の内層から低濃度の外層へと伝導され、さらに空気中へと揮発し、吸着・移動・脱吸着の完全なプロセスを完了することができる。この時、遮断層は吸湿通気現象が発生し、遮断層の内部と外部の水分子の濃度と温度の差は伝導速度を影響する要素であり、差が大きいほど伝導速度が速い。しかし、水分子が液体形態であるとき、分子同士の結合力は比較的大きく、ファンデルワールス力と水素結合の両方があるため、フィルム中の親水基と液体水とは接触しているが、遮断層と水分子との吸着力は水分子同士の結合力よりも小さいため、液体水は遮断層を介して他方の面には伝導できず、このとき、遮断層は防水の役割を果たす。また、遮断層は無孔設計のため、細菌やウイルスが遮断層を通過することができず、これは、通気性がありながら、防水やウイルス対策ができる遮断層の仕組みである。フィルムの吸湿通気の2つ目の方式は微細孔通過方式であり、本発明の吸湿通気層はこの方式を採用しており、着用者の手に汗が出ると、気体形態の水分子の体積は微細孔の孔径よりもはるかに小さいので、吸湿通気層を介して遮断層に自由に接触し、さらに遮断層を介して手袋の外部に拡散することができるが、その際、発生する汗による気体量が遮断層の拡散速度よりも大きい場合には、微細孔型の吸湿通気コーティングは余分な汗による気体を一時的に吸着して貯蔵することができる。また、本発明の吸湿通気コーティングは、それ自体に親水基を有するので、微細孔疎水性と親水性吸湿機能を兼ね備えており、汗による気体に起因する手の蒸れ感や濡れ感を極力緩和ないし解消することができる。
【0005】
以上の原理により、皮膚に接触するコーティングの親水性及び微細孔の数が鍵となる。現在市販されている全面コーティング型の製品の原料はブチロニトリルやPVCであり、この2種類の原料自体の構造から分析すると、親水性は比較的悪く、特にPVC材料は親水性を持っておらず、また、加工プロセスから分析すると、この2種類の材料も発泡プロセスと発泡工程がなく、このため、この2種類の原料を用いて生産した、全面コーティング手袋は親水性と微細孔が不十分であり、さらに親水性と微細孔がなく、その結果として、手袋に吸湿効果がなく、しかも、手触りが硬い。
【0006】
本発明は内層の原料にポリウレタンを採用しており、化学組成と物理的構造から親水性と吸湿吸汗の問題をうまく解決している。まず、化学組成を見ると、現在市販されているポリウレタン原料には溶剤型と水性型の2つのタイプがあり、いずれのタイプにも、気体形態の水分子を強く吸着し得る親水性基であるカルボキシル基、水酸基又はアミノ基が一定数存在している。物理的構造を見ると、溶剤型ポリウレタンについては、ディッピングした後の水洗成膜過程において、溶剤と水との交換により、形成されたポリウレタン膜に微細な孔が多数形成されるが、水性型ポリウレタンについては、成形前に物理的に発泡させる加工プロセスを採用し、水性ポリウレタンにも微細な気泡を多数含有させた。これらの微細な気泡には2つの利点があり、1つ目はコーティングの比表面積を大幅に増やし、つまり、水分子と親水性材料との接触面積を増やし、このように、手袋の使用中に、気体形態の汗は、コーティングの親水性基に最大限接触して吸着され、さらに遮断層を介して手袋の外側に導くことができ、汗が排出される速度よりも速く生成される場合、余分な汗は多数の微細孔毛細管によって吸引され、コーティングと繊維によって保持され、繊維間の毛細管に機械的に保持される。2つ目は微細な孔が大量に存在するため、コーティングの柔軟性が大幅に向上していることである。これは、手袋の実際の使用過程でかなり重要な指標であり、柔らかい手袋は作業中の手の疲労感を軽減することができ、労働強度を最大限に軽減することができる。
【0007】
本発明は以下の技術的解決手段により達成される。
【0008】
吸湿吸汗機能を有する全面コーティング手袋は、編成された原手本体と、原手本体の内面全体にディップコートされた吸湿通気層と、原手本体の外面全体にディップコートされた遮断層と、を含み、吸湿吸汗層及び遮断層はいずれも主要原料として水性ポリウレタン又は溶媒型ポリウレタンを含む塗料で製造され、前記吸湿吸汗層は厚さ0.1~0.3mmの発泡層であり、前記遮断層は厚さ0.03~0.2mmの非発泡層であり、前記全面コーティング手袋の具体的な製造プロセスは、原手本体を金型にセットすることと、ディッピングして発泡性吸湿通気層を製造することと、水洗と、ベークと、ディッピングして非発泡性遮断層を製造することと、ベークと、完成品を離型することと、包装とを含み、2層目の皮膜である遮断層をディップコートするときに、遮断コーティングの材料が吸湿通気層の表面、さらには表層の微細孔内に最大限に浸潤するように、第1層の吸湿通気層がすでに硬化してベークして成膜したことを確保し、液体状態にある遮断層塗料の表面エネルギーが吸湿通気層の表面エネルギーよりも低いことを確保する。低い表面エネルギーによって、遮断コーティングの材料が吸湿通気層の表面、さらには表層の微細孔に最大限に浸潤することができ、十分な界面接触によって、吸湿通気層に吸着され、その後の加熱過程で、遮断層のディッピング用材料分子はブラウン運動の作用で、吸湿通気層の分子と緊密に結合し、2層のコーティングはファンデルワールス力と水素結合の共同作用で安定な状態を形成し、このため、遮断層の表面エネルギーを厳密に制御することは2層のコーティングに高い接着強度を持たせる鍵である。
【0009】
好ましくは、前記遮断層の厚さを0.03~0.2mmにするために、前記遮断層の製造材料が主に水性ポリウレタン樹脂を含む場合、塗料の固形分を20~40%、粘度を500~2000センチポイズの間に制御し、前記遮断層の製造材料が主に溶媒型ポリウレタン樹脂を含む場合、塗料の固形分を12~20%、粘度を300~1500センチポイズの間に制御する。
【0010】
より好ましくは、前記遮断層の製造材料が主に水性ポリウレタン樹脂を含む場合、製造原料は、成分として、水性ポリウレタンエマルション、消泡剤、増粘剤、硬化剤、湿潤剤を含み、
前記遮断層の製造材料が主に溶媒型ポリウレタン樹脂を含む場合、製造原料は、成分として、乾式ポリウレタン樹脂、DMF、消泡剤、レベリング剤、浸透剤、湿潤剤を含む。
【0011】
さらに、前記遮断層の製造材料が主に水性ポリウレタン樹脂を含む場合、製造原料は、成分として、水性ポリウレタンエマルション1000質量部、消泡剤4~7質量部、増粘剤3~8質量部、硬化剤10~30質量部、湿潤剤2~5質量部を含み、前記遮断層の製造材料が主に溶媒型ポリウレタン樹脂を含む場合、製造原料は、成分として、乾式ポリウレタン樹脂1000質量部、DMF 800~2000質量部、消泡剤3~10質量部、レベリング剤3~8質量部、浸透剤3~8質量部、湿潤剤2~5質量部を含む。
【0012】
好ましくは、前記吸湿通気層の厚さを0.1~0.3mmにするために、前記吸湿通気層の製造材料が主に水性ポリウレタン樹脂を含む場合、塗料の固形分を20~40%、粘度を500~2000センチポイズ、発泡倍率を1.15~1.8の間に制御し、これは、水性ポリウレタン樹脂の場合、塗料の固形分が20~40%、粘度が500~2000センチポイズであれば、コーティングの厚さを必要に応じて0.1~0.3mmの間に制御できるためであり、
前記吸湿通気層の製造材料が主に溶媒型ポリウレタンを含む場合、塗料の固形分を12~18%、粘度を500~1500センチポイズに制御し、これは、溶剤型樹脂の発泡原理によって、樹脂の固形分を調整し、凝固速度調整剤と気泡調整剤を加えることによって所望の目的を達成することができ、凝固速度調整剤を加えることで、水に入った後の樹脂の凝固速度を変えることができ、これにより、表面層の樹脂緻密度を低下させることができ、また、気泡調整剤を加えることで、大孔径の気泡の発生確率を減少させ、塗料の固形分の制御範囲を12~18%に制御するのが適当であり、また、粘度を500~1500センチポアズの間に制御することによって、コーティングの厚さを0.1~0.3mmの間に自由に制御できるためである。
【0013】
より好ましくは、前記吸湿通気層の製造材料が主に水性ポリウレタン樹脂を含む場合、製造原料は、成分として、水性ポリウレタンエマルション、発泡剤及び増粘剤を含み、発泡剤の添加量は水性ポリウレタンエマルションの質量の5~15%であり、
前記吸湿通気層の製造材料が主に溶媒型ポリウレタンを含む場合、製造原料は、成分として、湿法ポリウレタン樹脂、DMF、消泡剤、浸透剤、発泡助剤、促進剤を含み、塗料の固形分は12~18%に制御される。これは、溶剤型樹脂の発泡原理によって、樹脂の固形分を調整し、凝固速度調整剤と気泡調整剤を加えることによって所望の目的を達成することができ、凝固速度調整剤を加えることで、水に入った後の樹脂の凝固速度を変えることができ、これにより、表面層の樹脂緻密度を低下させることができ、また、気泡調整剤を加えることで、大孔径の気泡の発生確率を減少させ、塗料の固形分の制御範囲を12~18%に制御するのが適当であるためである。
【0014】
さらに、前記吸湿通気層の製造材料が主に水性ポリウレタンを含む場合、製造原料は、成分として、水性ポリウレタンエマルション1000質量部、発泡剤50~150質量部、増粘剤2~6質量部を含み、
前記吸湿通気層の製造材料が主に溶媒型ポリウレタンを含む場合、製造原料は、成分として、湿法ポリウレタン樹脂1000質量部、DMF 800~2000質量部、消泡剤3~10質量部、浸透剤3~8質量部、発泡助剤2~8質量部、促進剤5~15質量部を含む。
【0015】
全面コーティング手袋を作製するときに吸湿吸汗層及び遮断層に使用される原料の処方は必要に応じて任意に組み合わせられてもよい。
【0016】
上記のようなパラメータを選択する原因は以下のとおりである。
【0017】
一、吸湿通気層については、2つのポイントに注意する必要がある。
【0018】
1、気泡のサイズと数
単位体積当たりの吸湿通気コーティングの気泡は合理的な範囲内であり、気泡の数が多いほど孔径が小さくなると、気泡の比表面積が大きく、これは吸湿通気性に有利である(ここでは、気泡の孔径が小さいとは、水・ガス分子の自由な通過を阻害する範囲以上であることを意味する)。吸湿通気層が水性ポリウレタンで製造される場合、発泡倍率は1.15~1.8が適切な範囲であり、気泡の数や孔径は発泡剤の添加量で制御できると考えられる。発泡剤の添加量は、一般に樹脂量に対して5~15%である。吸湿通気層が溶剤型ポリウレタンで製造された場合、溶剤型樹脂の発泡原理によって、塗料の固形分を調整し、凝固速度調整剤と気泡調整剤を加えることによって目的を達成することができ、従来の溶剤型ウレタン手袋用樹脂は、水に入った後の表面の凝固速度が非常に速く、コーティングの表面がプラスチックの表皮のように非常に緻密であり、凝固速度調整剤を添加することによって、水に入った後の樹脂の凝固速度を変えることができ、これにより、表面層の樹脂緻密度を低下させることができ、また、気泡調整剤を加えることで、大孔径の気泡の発生確率を減少させ、塗料の固形分の制御範囲は12~18%に制御するのが適切である。上記の3つの要素を総合することにより、吸湿通気層全体の比表面積を合理的な範囲内に制御することができる。
【0019】
2、コーティングの厚さ
吸湿通気層では、非常に多くの微細な孔があるため、通気度については、コーティングの厚さは多少影響を与え、これは、厚さが厚いほど、水分子がコーティングを通過するパスが長くなり、通気性に不利になるからである。吸湿度については、単位体積当たりの気泡数が一定であることを前提として、コーティングが厚いほど、水分を吸収してロックできる収納スペースが多くなるため、吸湿には有利であるが、遮断層と同様に、コーティングが厚いほど、指の柔軟性や手触りに悪影響を及ぼすことから、検討により、コーティングの厚さが0.1~0.3mmの間に制御されることが比較的適切であると考えられる。具体的な製造プロセスを定める際には、塗料の粘度と固形分を調整することでコーティングの厚さを実現することができ、同じ粘度であれば、塗料の固形分が高いほどコーティングの厚さが厚くなる。同じ固形分であれば、塗料の粘度が高いほど、コーティングが厚くなる。水性ポリウレタン樹脂の場合、塗料の固形分は20~40%、粘度は500~2000センチポアズ、発泡倍率は1.15~1.8の間に制御されることにより、コーティングの厚さを0.1~0.3mmの間に自由に制御することが可能となる。溶剤型ポリウレタンの場合、塗料の固形分は12~18%、粘度は500~1500センチポアズの間であることによって、コーティングの厚さを0.1~0.3mmの間に自由に制御することが可能である。
【0020】
二、遮断層
コーティングの厚さを厳密に制御する必要がある。厚いコーティングは、遮断効果に有利である反面、通気性にとって、水分子が遮断層を通過するパスが長くなり、コーティングの通気性を低下させ、また、着用者が作業中、厚いコーティングは指の柔軟性と手触りにもマイナスの影響を与えるという欠点が存在する。薄いコーティングでは、水分子が遮断層を通過するパスが短くなり、コーティングの通気性が向上し、触覚が鋭敏になり、欠点としては継続的な遮断効果が低下する可能性があり、また、手袋の耐久性にも悪影響を及ぼす可能性がある。そのため、コーティングの厚さを適切にすることは重要であり、検討により、コーティングの厚さが0.03~0.2mmの間に制御されることが比較的適切であると考えられる。具体的な生産プロセスを定める際には、コーティングの厚さは同様に、塗料の粘度と固形分を調整することによって達成することができ、水性ポリウレタン樹脂の場合、塗料の固形分は20~40%、粘度は500~2000センチポイズの間であり、溶剤型ポリウレタンの場合、塗料の固形分は12~20%、粘度は300~1500センチポイズの間であることによって、コーティングの厚さを0.03~0.2mmの間に自由に制御することができる。
【0021】
三、吸湿通気層と遮断層の接着強度
接着の原理は、2層の被接着体同士が接触すると、分子間に力が働き、2つの被接着体が結合することである。具体的には、本発明のプロセスでは、2層目の皮膜(遮断層)をディップコートするときに、第1層の吸湿通気層は硬化してベークして成膜しており、吸湿通気層と遮断層との接合強度を向上させるには、液体状態にある遮断層塗料の表面エネルギーを吸湿通気層の表面エネルギーよりも低くしなければならず、低い表面エネルギーによって、遮断コーティングの材料は、吸湿通気層の表面、さらには表層の微細孔にに最大限に浸潤することができ、十分な界面接触によって、吸湿通気層に吸着され、その後の加熱過程で、遮断層のディッピング用材料分子はブラウン運動の作用で、吸湿通気層の分子と緊密に結合し、2層のコーティングはファンデルワールス力と水素結合の共同作用で安定な状態を形成し、このため、遮断層の表面エネルギーを厳密に制御することは2層のコーティングに高い接着強度を持たせる鍵である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0023】
本発明の吸湿吸汗機機能を有する全面コーティング手袋は、構造が巧妙であり、現在市販されている各種手袋の欠点に対して、本発明は、皮膜を2回ディップコートすることによって、吸湿通気機能と遮断隔絶機能とを1つの手袋に持たせ、市販品の問題点を完璧に解決することを創造的に実現している。本発明の手袋は、塗布層原料としてポリウレタンを用い、発泡塗布層(主に吸湿通気機能を果たす)と非発泡塗布層(主に遮断隔絶機能)とを効果的に結合することにより、製品に吸湿通気機能と遮断隔絶機能とを兼ね備え、しかも、手触りが柔らかであり、作業の疲労を大幅に低減させ、適用範囲が広く、実用性が高く、普及に値する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
吸湿吸汗機能を有する全面コーティング手袋は、編成された原手本体と、原手本体の内面全体にディップコートされた吸湿通気層と、原手本体の外面全体にディップコートされた遮断層と、を含み、吸湿吸汗層及び遮断層はいずれも主要原料として水性ポリウレタン又は溶媒型ポリウレタンを含む塗料で製造され、前記吸湿吸汗層は厚さ0.1~0.3mmの発泡層であり、前記遮断層は厚さ0.03~0.2mmの非発泡層であり、前記全面コーティング手袋の具体的な製造プロセスは、原手本体を金型にセットすることと、ディッピングして発泡性吸湿通気層を製造することと、水洗と、ベークと、ディッピングして非発泡性遮断層を製造することと、ベークと、完成品を離型することと、包装とを含み、2層目の皮膜である遮断層をディップコートするときに、遮断コーティングの材料が吸湿通気層の表面、さらには表層の微細孔内に最大限に浸潤するように、第1層の吸湿通気層がすでに硬化してベークして成膜したことを確保し、液体状態にある遮断層塗料の表面エネルギーが吸湿通気層の表面エネルギーよりも低いことを確保する。低い表面エネルギーによって、遮断コーティングの材料が吸湿通気層の表面、さらには表層の微細孔に最大限に浸潤することができ、十分な界面接触によって、吸湿通気層に吸着され、その後の加熱過程で、遮断層のディッピング用材料分子はブラウン運動の作用で、吸湿通気層の分子と緊密に結合し、2層のコーティングはファンデルワールス力と水素結合の共同作用で安定な状態を形成し、このため、遮断層の表面エネルギーを厳密に制御することは2層のコーティングに高い接着強度を持たせる鍵である。
【0025】
前記遮断層の厚さを0.03~0.2mmにするために、前記遮断層の製造材料が主に水性ポリウレタン樹脂を含む場合、塗料の固形分を20~40%、粘度を500~2000センチポイズの間に制御し、前記遮断層の製造材料が主に溶媒型ポリウレタン樹脂を含む場合、塗料の固形分を12~20%、粘度を300~1500センチポイズの間に制御する。
【0026】
前記遮断層の製造材料が主に水性ポリウレタン樹脂を含む場合、製造原料は、成分として、水性ポリウレタンエマルション、消泡剤、増粘剤、硬化剤、湿潤剤を含み、
前記遮断層の製造材料が主に溶媒型ポリウレタン樹脂を含む場合、製造原料は、成分として、乾式ポリウレタン樹脂、DMF、消泡剤、レベリング剤、浸透剤、湿潤剤を含む。
【0027】
具体的には、前記遮断層の製造材料が主に水性ポリウレタン樹脂を含む場合、製造原料は、成分として、水性ポリウレタンエマルション1000質量部、消泡剤4~7質量部、増粘剤3~8質量部、硬化剤10~30質量部、湿潤剤2~5質量部を含み、前記遮断層の製造材料が主に溶媒型ポリウレタン樹脂を含む場合、製造原料は、成分として、乾式ポリウレタン樹脂1000質量部、DMF 800~2000質量部、消泡剤3~10質量部、レベリング剤3~8質量部、浸透剤3~8質量部、湿潤剤2~5質量部を含む。
【0028】
前記吸湿通気層の厚さを0.1~0.3mmにするために、前記吸湿通気層の製造材料が主に水性ポリウレタン樹脂を含む場合、塗料の固形分を20~40%、粘度を500~2000センチポイズ、発泡倍率を1.15~1.8の間に制御し、
前記吸湿通気層の製造材料が主に溶媒型ポリウレタンを含む場合、塗料の固形分を12~18%、粘度を500~1500センチポイズに制御し、
前記吸湿通気層の製造材料が主に水性ポリウレタン樹脂を含む場合、製造原料は、成分として、水性ポリウレタンエマルション、発泡剤及び増粘剤を含み、発泡剤の添加量は水性ポリウレタンエマルションの質量の5~15%であり、
前記吸湿通気層の製造材料が主に溶媒型ポリウレタンを含む場合、製造原料は、成分として、湿法ポリウレタン樹脂、DMF、消泡剤、浸透剤、発泡助剤、促進剤を含み、固形分は12~18%に制御される。
【0029】
具体的には、前記吸湿通気層の製造材料が主に水性ポリウレタンを含む場合、製造原料は、成分として、水性ポリウレタンエマルション1000質量部、発泡剤50~150質量部、増粘剤2~6質量部を含み、
前記吸湿通気層の製造材料が主に溶媒型ポリウレタンを含む場合、製造原料は、成分として、湿法ポリウレタン樹脂1000質量部、DMF 800~2000質量部、消泡剤3~10質量部、浸透剤3~8質量部、発泡助剤2~8質量部、促進剤5~15質量部を含む。
【0030】
全面コーティング手袋を作製するときに吸湿吸汗層及び遮断層に使用される原料の処方は必要に応じて任意に組み合わせられてもよい。
【0031】
使用される水性ポリウレタンエマルション、乾式ポリウレタン樹脂、湿法ポリウレタン樹脂はすべて市販されている材料である。
具体的な実施例
【0032】
吸湿吸汗層及び遮断層を製造する基礎処方をそれぞれ以下に示し、全面コーティング手袋を作製するときに吸湿吸汗層及び遮断層に使用される原料の処方は必要に応じて任意に組み合わせられてもよく、なお、以下では、1質量部は1gを表している。
【0033】
基礎処方1:水性ポリウレタンエマルションによる全面コーティング遮断層の処方:水性ポリウレタンエマルション1000質量部(旭川化学蘇州有限公司製XWB-7248)、消泡剤4~7質量部(BYK-016)、増粘剤3~8質量部(TEGO社製3030)、硬化剤10~30質量部(バイエル社製3100)。湿潤剤2~5質量部(デュポン社製Capstone FS~63)
【0034】
基礎処方2:水性ポリウレタンエマルションによる全面コーティング吸湿通気層の処方:水性ポリウレタンエマルション1000質量部(旭川化学蘇州有限公司製XWB-7510B)、発泡剤50~150質量部(BASF社製Glucopon 225DK)、増粘剤2~6質量部(TEGO 3030)。
【0035】
基礎処方3: 溶媒型ポリウレタンによる全面コーティング遮断層の処方:乾式ポリウレタン樹脂1000質量部(旭川社製XCS-3030L)、DMF800~2000質量部(試薬)、消泡剤3~10質量部(BYK-016)、レベリング剤3~8質量部(TEGO Flow425)、浸透剤3~8質量部(AEROSOL OT-75)、湿潤剤2~5質量部(デュポン社製Capstone FS~63)。
【0036】
基礎処方4:溶媒型ポリウレタンによる全面コーティング吸湿通気層の処方:湿法ポリウレタン樹脂1000質量部(華峰集団社製JF-P-2930)、DMF800~2000質量部(試薬)、消泡剤3~10質量部(BYK-016)、浸透剤3~8質量部(AEROSOL OT-75)、発泡助剤2~8質量部(BYK-L9520)、促進剤5~15質量部(BYK-L9525)。
例1
【0037】
プロセスは、原手本体を金型にセットし、凝固剤にディップし、ディッピングして(発泡層)、水洗し、ベークして、ディッピングして(遮断層)、ベークし、完成品を離型し、包装することである。
吸湿通気層の処方:水性ポリウレタンエマルション1000質量部(旭川化学蘇州有限公司製XWB-7510B)、発泡剤60質量部(BASF社製Glucopon 225DK)、増粘剤6質量部(TEGO 3030)。発泡倍率は1.2倍である。測定した作動スラリーの粘度は1000センチポイズである。
遮断層の処方:水性ポリウレタンエマルション1000質量部(旭川化学蘇州有限公司製XWB-7248)、消泡剤5質量部(BYK-016)、増粘剤5質量部(TEGO社製3030)、湿潤剤3質量部(デュポン社製Capstone FS~63)、硬化剤20質量部(バイエル社製3100)。測定した作動スラリーの粘度は1000センチポイズである。
例2
【0038】
プロセスは、原手本体を金型にセットし、凝固剤にディップし、ディッピングして(発泡層)、水洗し、ベークして、ディッピングして(遮断層)、ベークし、完成品を離型し、包装する。
吸湿通気層の処方:水性ポリウレタンエマルション1000質量部(旭川化学蘇州有限公司製XWB-7510B)、発泡剤120質量部(BASF社製Glucopon 225DK)、増粘剤4質量部(TEGO 3030)。発泡倍率は1.6倍である。測定した作動スラリーの粘度は980センチポイズである。
遮断層の処方:水性ポリウレタンエマルション1000質量部(旭川化学蘇州有限公司製XWB-7248)、消泡剤5質量部(BYK-016)、増粘剤5質量部(TEGO社製3030)、湿潤剤3質量部(デュポン社製Capstone FS~63)、硬化剤20質量部(バイエル社製3100)。測定した作動スラリーの粘度は1020センチポイズである。
例3
【0039】
プロセスは、原手本体を金型にセットし、凝固剤にディップし、ディッピングして(発泡層)、水洗し、ベークして、ディッピングして(遮断層)、ベークし、完成品を離型し、包装する。
吸湿通気層の処方:水性ポリウレタンエマルション1000質量部(旭川化学蘇州有限公司製XWB-7510B)、発泡剤60質量部(BASF社製Glucopon 225DK)、増粘剤6質量部(TEGO 3030)。発泡倍率は1.2倍である。測定した作動スラリーの粘度は980センチポイズである。
遮断層の処方:乾式ポリウレタン樹脂1000質量部(旭川社製XCS-3030L)、DMF1000質量部(試薬)、消泡剤5質量部(BYK-016)、レベリング剤3質量部(TEGO Flow425)、浸透剤5質量部(AEROSOL OT-75)、湿潤剤3質量部(デュポン社製Capstone FS~63)。測定した作動スラリーの粘度は1000センチポイズである。
例4
【0040】
プロセスは、原手本体を金型にセットし、凝固剤にディップし、ディッピングして(発泡層)、水洗し、ベークして、ディッピングして(遮断層)、ベークし、完成品を離型し、包装する。
吸湿通気層の処方:水性ポリウレタンエマルション1000質量部(旭川化学蘇州有限公司製XWB-7510B)、発泡剤120質量部(BASF社製Glucopon 225DK)、増粘剤4質量部(TEGO 3030)。発泡倍率は1.6倍である。測定した作動スラリーの粘度は1010センチポイズである。
遮断層の処方:乾式ポリウレタン樹脂1000質量部(旭川社製XCS-3030L)、DMF1000質量部(試薬)、消泡剤5質量部(BYK-016)、レベリング剤3質量部(TEGO Flow425)、浸透剤5質量部(AEROSOL OT-75)、湿潤剤3質量部(デュポン社製Capstone FS~63)。測定した作動スラリーの粘度は990センチポイズである。
例5
【0041】
プロセスは、原手本体を金型にセットし、ディッピングして(発泡層)、水洗し、ベークして、ディッピングして(遮断層)、ベークし、完成品を離型し、包装する。
吸湿通気層の処方:湿法ポリウレタン樹脂1000質量部(華峰集団社製JF-P-2930)、DMF1200質量部(試薬)、消泡剤5質量部(BYK-016)、浸透剤5質量部(AEROSOL OT-75)、発泡助剤2質量部(BYK-L9520)、促進剤10質量部(BYK-L9525)。測定した作動スラリーの粘度は1300センチポイズである。
遮断層の処方:水性ポリウレタンエマルション1000質量部(旭川化学蘇州有限公司製XWB-7248)、消泡剤5質量部(BYK-016)、増粘剤5質量部(TEGO社製3030)、湿潤剤3質量部(デュポン社製Capstone FS~63)、硬化剤20質量部(バイエル社製3100)。測定した作動スラリーの粘度は950センチポイズである。
例6
【0042】
プロセスは、原手本体を金型にセットし、ディッピングして(発泡層)、水洗し、ベークして、ディッピングして(遮断層)、ベークし、完成品を離型し、包装する。
吸湿通気層の処方:湿法ポリウレタン樹脂1000質量部(華峰集団社製JF-P-2930)、DMF1500質量部(試薬)、消泡剤5質量部(BYK-016)、浸透剤5質量部(AEROSOL OT-75)、発泡助剤5質量部(BYK-L9520)、促進剤10質量部(BYK-L9525)。測定した作動スラリーの粘度は800センチポイズである。
遮断層の処方:水性ポリウレタンエマルション1000質量部(旭川化学蘇州有限公司製XWB-7248)、消泡剤5質量部(BYK-016)、増粘剤5質量部(TEGO社製3030)、湿潤剤3質量部(デュポン社製Capstone FS~63)、硬化剤20質量部(バイエル社製3100)。測定した作動スラリーの粘度は1020センチポイズである。
例7
【0043】
プロセスは、原手本体を金型にセットし、ディッピングして(発泡層)、水洗し、ベークして、ディッピングして(遮断層)、ベークし、完成品を離型し、包装する。
吸湿通気層の処方:湿法ポリウレタン樹脂1000質量部(華峰集団社製JF-P-2930)、DMF1200質量部(試薬)、消泡剤5質量部(BYK-016)、浸透剤5質量部(AEROSOL OT-75)、発泡助剤2質量部(BYK-L9520)、促進剤10質量部(BYK-L9525)。測定した作動スラリーの粘度は1350センチポイズである。
遮断層の処方:乾式ポリウレタン樹脂1000質量部(旭川社製XCS-3030L)、DMF1500質量部(試薬)、消泡剤5質量部(BYK-016)、レベリング剤3質量部(TEGO Flow425)、浸透剤5質量部(AEROSOL OT-75)湿潤剤3質量部(デュポン社製Capstone FS~63)。測定した作動スラリーの粘度は800センチポイズである。
例8
【0044】
プロセスは、原手本体を金型にセットし、ディッピングして(発泡層)、水洗し、ベークして、ディッピングして(遮断層)、ベークし、完成品を離型し、包装する。
吸湿通気層の処方:湿法ポリウレタン樹脂1000質量部(華峰集団社製JF-P-2930)、DMF1800質量部(試薬)、消泡剤5質量部(BYK-016)、浸透剤5質量部(AEROSOL OT-75)、発泡助剤5質量部(BYK-L9520)、促進剤10質量部(BYK-L9525)。測定した作動スラリーの粘度は850センチポイズである。
遮断層の処方:乾式ポリウレタン樹脂1000質量部(旭川社製XCS-3030L)、DMF1500質量部(試薬)、消泡剤5質量部(BYK-016)、レベリング剤3質量部(TEGO Flow425)、浸透剤5質量部(AEROSOL OT-75)、湿潤剤3質量部(デュポン社製Capstone FS~63)。測定した作動スラリーの粘度は780センチポイズである。
例9
【0045】
プロセスは、原手本体を金型にセットし、凝固剤にディップし、ディッピングして(発泡層)、水洗し、ベークして、ディッピングして(遮断層)、ベークし、完成品を離型し、包装する。
吸湿通気層の処方:水性ポリウレタンエマルション1000質量部(旭川化学蘇州有限公司製XWB-7510B)、発泡剤120質量部(BASF社製Glucopon 225DK)、増粘剤4質量部(TEGO 3030)。発泡倍率は2倍である。測定した作動スラリーの粘度は1010センチポイズである。
遮断層の処方:乾式ポリウレタン樹脂1000質量部(旭川社製XCS-3030L)、DMF2000質量部(試薬)、消泡剤5質量部(BYK-016)、レベリング剤3質量部(TEGO Flow425)、浸透剤5質量部(AEROSOL OT-75)、湿潤剤3質量部(デュポン社製Capstone FS~63)。測定した作動スラリーの粘度は990センチポイズである。
例10
【0046】
プロセスは、原手本体を金型にセットし、ディッピングして(発泡層)、水洗し、ベークして、ディッピングして(遮断層)、ベークし、完成品を離型し、包装する。
吸湿通気層の処方:湿法ポリウレタン樹脂1000質量部(華峰集団社製JF-P-2930)、DMF2000質量部(試薬)、消泡剤5質量部(BYK-016)、浸透剤5質量部(AEROSOL OT-75)、発泡助剤5質量部(BYK-L9520)、促進剤10質量部(BYK-L9525)。測定した作動スラリーの粘度は550センチポイズである。
遮断層の処方:水性ポリウレタンエマルション1000質量部(旭川化学蘇州有限公司製XWB-7248)、純水800質量部、消泡剤5質量部(BYK-016)、増粘剤10質量部(TEGO社製3030)、湿潤剤3質量部(デュポン社製Capstone FS~63)、硬化剤20質量部(バイエル社製3100)。測定した作動スラリーの粘度は980センチポイズである。
【0047】
性能検出標準:
吸水値 :GB/T 1540-2002
通気度 :JIS-L-1096
透湿性 :JIS-L-1099
細菌透過率: EN374-5
耐水圧 :GB/T 4744-2013
耐摩耗試験:EN388-2016。
各例の全面コーティング手袋の性能検出結果を表1に示す。
【表1】
【0048】
表1の比較から分かるように、本発明の例1~例6で製造された手袋は、吸湿通気機能と遮断隔絶機能を兼ね備え、しかも、摩耗に強く、細菌透過率が低く、保護効果が良好であり、一方、例9では、吸湿通気層の発泡倍率が高いため、例10では、コーティングが薄すぎるため、効果が不十分であり、このことから、本願の技術的解決手段の効果が良好である。
【0049】
以上は本発明の具体的な実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲はこれらに限定されるものではなく、創造的な努力を必要とせずに想到し得る変化又は置換であれば、本発明の保護範囲に含まれるものとする。従って、本発明の保護範囲は特許請求の範囲により定められる保護範囲に準じる。


【国際調査報告】