IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オックスフォード ヴァクメディックス ユーケー リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】がん処置のためのポリペプチド
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/00 20060101AFI20240125BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240125BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240125BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20240125BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20240125BHJP
   C07K 14/82 20060101ALI20240125BHJP
   C07K 14/005 20060101ALI20240125BHJP
   C07K 14/025 20060101ALI20240125BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240125BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240125BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
A61K39/00 H
A61K45/00 ZNA
A61P43/00 121
A61P35/00
A61K39/395 T
A61K39/395 E
A61P37/02
A61P37/04
A61K39/39
A61K38/02
C07K14/82
C07K14/005
C07K14/025
C07K16/28
C12N15/13
C12N15/12
A61K39/395 U
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526229
(86)(22)【出願日】2021-10-27
(85)【翻訳文提出日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 GB2021052794
(87)【国際公開番号】W WO2022090716
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】2017119.5
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】517212569
【氏名又は名称】オックスフォード ヴァクメディックス ユーケー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OXFORD VACMEDIX UK LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シソン・ジアン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA19
4C084BA03
4C084MA02
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZB072
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C085AA03
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA38
4C085BB01
4C085CC03
4C085CC22
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C085EE03
4C085EE06
4C085FF24
4C085GG01
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA31
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、がんの予防的ワクチン接種及び/又は治療的処置のための方法、ポリペプチド並びに前記ポリペプチド及び/又はそのコード核酸の組成物、並びに、がんの処置及び/若しくは防止、並びに/又はがんを処置するための薬剤の治療有効性の改善におけるポリペプチドの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象においてがんを処置するための方法であって、
第1のペプチド断片が第1の腫瘍抗原タンパク質に由来する第1の配列を含み、第2のペプチド断片が第2の腫瘍抗原タンパク質に由来する第2の配列を含む、2個以上のペプチド断片を含み、前記2個以上のペプチド断片の各々の間に位置する1つ又は複数の外因性カテプシン切断部位配列を更に含むポリペプチドを前記対象に投与する工程、及び
がん免疫療法剤を前記対象に投与する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の腫瘍抗原及び/又は前記第2の腫瘍抗原タンパク質が、腫瘍特異的抗原、腫瘍関連抗原、又はがん/精巣抗原である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の腫瘍抗原タンパク質及び前記第2の腫瘍抗原タンパク質が、同じ腫瘍抗原タンパク質である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の腫瘍抗原タンパク質及び/又は第2の腫瘍抗原タンパク質が、自己抗原、変更された自己抗原、又は非自己抗原である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記腫瘍抗原タンパク質が、サバイビンである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記腫瘍抗原タンパク質が、ウイルスに由来するがん抗原、場合によりHPVタンパク質、更に場合によりHPV16タンパク質である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記腫瘍抗原タンパク質が、HPV16 E7である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ又は複数の外因性カテプシン切断部位配列が、カテプシンS切断配列、好ましくはLRMK切断配列である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリペプチド及び前記がん免疫療法剤が、同時に、別々に、又は逐次的に前記対象に投与される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記がん免疫療法剤が、TNFRスーパーファミリーアゴニスト、又はチェックポイント阻害剤である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリペプチドの各投与が、1μg.kg-1から2000μg.kg-1の前記ポリペプチド、好ましくは5から20μg.kg-1以下を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記TNFRスーパーファミリーアゴニストが、ペプチド若しくはその断片、糖タンパク質若しくはその断片、若しくは小分子であり、又は前記チェックポイント阻害剤が、ペプチド若しくはその断片、糖タンパク質若しくはその断片、若しくは小分子である、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記TNFRスーパーファミリーアゴニストが、抗体、若しくはその断片であり、又は前記チェックポイント阻害剤が、抗体、若しくはその断片である、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項14】
前記TNFRスーパーファミリーアゴニストが、ヒトに対して非毒性の用量で投与される、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記TNFRスーパーファミリーアゴニストが、4-1BBアゴニストであり、又は前記チェックポイント阻害剤が、PD-1アンタゴニストである、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記4-1BBアゴニストが、1mg.kg-1未満の用量で投与される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリペプチド及び前記がん免疫療法剤の前記対象への投与が、周期的に、好ましくは3、4、5、6、又は7日ごとに繰り返される、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記2個以上のペプチド断片が、1つ又は複数のオーバーラップ配列を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記1つ又は複数のオーバーラップ配列が、2から31アミノ酸の長さであり、場合により、前記1つ又は複数のオーバーラップ配列が、少なくとも8アミノ酸の長さである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリペプチドが、送達ビヒクル中で送達され、場合により、前記ポリペプチド又は薬学的に許容される担体中の前記ポリペプチドを含む前記送達ビヒクルを投与する工程を更に含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
がんの処置における使用のための組成物であって、前記組成物が、第1のペプチド断片が腫瘍抗原タンパク質に由来する第1の配列を含み、第2のペプチド断片が腫瘍抗原タンパク質に由来する第2の配列を含む、2個以上のペプチド断片を含み、前記2個以上のペプチド断片の各々の間に位置する1つ又は複数の外因性カテプシン切断部位配列を更に含むポリペプチドを含み、
前記処置が、前記ポリペプチドとがん免疫療法剤との共投与を含む、組成物。
【請求項22】
請求項1から20のいずれか一項に規定のポリペプチド、及び/又は請求項1から20のいずれか一項に記載の方法を更に含む、請求項21に記載の使用のための組成物。
【請求項23】
がんが請求項1から20のいずれか一項に記載の方法に従う処置に好適であるか否かを決定する方法であって、
第1のペプチド断片が腫瘍抗原タンパク質に由来する第1の配列を含み、第2のペプチド断片が腫瘍抗原タンパク質に由来する第2の配列を含む、2個以上のペプチド断片を含み、前記2個以上のペプチド断片の各々の間に位置する1つ又は複数の外因性カテプシン切断部位配列を更に含むポリペプチドを対象又はin vitroサンプルに投与する工程、
がん免疫療法剤を対象又はin vitroサンプルに投与する工程、及び
前記対象又はin vitroサンプルにおいてT細胞刺激を測定する工程
を含む、方法。
【請求項24】
がんの処置における使用のためのがん免疫療法剤であって、前記処置が、前記がん免疫療法剤と、第1のペプチド断片が腫瘍抗原タンパク質に由来する第1の配列を含み、第2のペプチド断片が腫瘍抗原タンパク質に由来する第2の配列を含む、2個以上のペプチド断片を含み、前記2個以上のペプチド断片の各々の間に位置する1つ又は複数の外因性カテプシン切断部位配列を更に含むポリペプチドとを投与することを含む、がん免疫療法剤。
【請求項25】
共投与されるポリペプチドが、請求項1から20のいずれか一項に規定のポリペプチドであり、及び/又はがんの処置が、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法によるものである、請求項24に記載の使用のためのがん免疫療法剤。
【請求項26】
がんを処置するためのキットであって、
第1のペプチド断片が腫瘍抗原タンパク質に由来する第1の配列を含み、第2のペプチド断片が腫瘍抗原タンパク質に由来する第2の配列を含む、2個以上のペプチド断片を含み、前記2個以上のペプチド断片の各々の間に位置する1つ又は複数の外因性カテプシン切断部位配列を更に含むポリペプチド、及び
がん免疫療法剤
を含む、キット。
【請求項27】
前記がん免疫療法剤が、TNFRスーパーファミリーアゴニストであり、場合により、前記TNFRスーパーファミリーアゴニストが、ペプチド若しくはその断片、糖タンパク質若しくはその断片、小分子、若しくは抗体若しくはその断片であり、又は
前記がん免疫療法剤が、チェックポイント阻害剤であり、場合により、前記チェックポイント阻害剤が、ペプチド若しくはその断片、糖タンパク質若しくはその断片、小分子、若しくは抗体若しくはその断片である、
請求項26に記載のキット。
【請求項28】
1種若しくは複数の薬学的に許容される担体又は前記ポリペプチドをコードする核酸を更に含む、請求項27に記載のキット。
【請求項29】
前記TNFRスーパーファミリーアゴニストが、4-1BBアゴニストであり、又は前記チェックポイント阻害剤が、PD-1アンタゴニストである、請求項27又は28に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、がんの予防的ワクチン接種及び/又は治療的処置のための方法、ポリペプチド並びに前記ポリペプチド及び/又はそのコード核酸の組成物、並びに、がんの処置及び/若しくは防止、並びに/又はがんを処置するための薬剤の治療有効性の改善におけるポリペプチドの使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
がんは、細胞周期調節に機能的に関係し、「形質転換」と呼ばれる過程における細胞分裂の調節異常を生じる、遺伝子の変異、導入、又は異所性発現に起因して発生しうる。そのような変異は、腫瘍抑制遺伝子の機能喪失型変異であり、それにより、細胞周期による進行を阻害することができなくなる場合もあり、及び/又はがん原遺伝子の機能獲得型変異であり、その結果、細胞周期による異所性シグナル伝達及び加速が生じる場合もある。例えば、HPVに感染した個体中に存在するウイルスHPV E6及びE7がんタンパク質は、種々の機構を介して細胞周期進行を促進し、その中には、腫瘍抑制因子p53(E6)及びpRB(E7)の阻害がある。
【0003】
免疫系の正常な機能は、健康細胞と異常細胞とを区別する細胞表面の又は排出された分子マーカーである、ある特定の腫瘍特異的抗原(「TSA」)及び腫瘍関連抗原(「TAA」)の認識によるがん性細胞の破壊である。これは、一般的に「排除相」と称される。時間とともに、罹患組織内の進行中の変異に起因して、がん成長のペースががん性細胞を破壊する免疫細胞の能力を上回る場合がある。これらの変異の中には、がん性細胞が免疫系による検出を回避し、又はその他の方法で免疫系の機能を阻害することを可能にするものがある。そのような変異の一例であり、いくつかのがんに共通するものは、「アポトーシス阻害因子(inhibitor of apoptosis)」(「IAP」)ファミリーのメンバーであるサバイビン(survivin)(「BIRC5」ともいう)の異所性上方調節である。サバイビンの細胞内発現は、前記細胞のアポトーシスを抑止しうる。がん性細胞成長の速度ががん細胞を破壊する免疫系の能力に勝る程度に変異が蓄積したら、がん性組織は成長し続ける。これは、「逃避相」として知られている。
【0004】
がん治療法は、化学療法、外科手術、及び放射線療法を含め、広範な様式で利用可能である。残念ながら、多くの既存の処置戦略は、健康細胞及び/又は組織に対する罹患細胞及び/又は組織の選択性がほとんどなく、その結果、処置の過程において様々な副作用が生じる。例えば、多くの化学療法剤は、正常な健康細胞とがん細胞との間で共有される破壊過程に焦点を合わせており、したがって、両方に無差別に影響を及ぼす。そのような一例では、シスプラチンは、DNA塩基と架橋してDNA修復を阻止し、最終的にアポトーシスをもたらす。これは、正常及びがん性細胞の両方におけるDNA修復過程を標的とし、したがって、健康及び罹患組織を同じように損傷する。多くのがんは、治療的処置の過程にわたってある特定の治療戦略に対して耐性を示すようになり、その結果、前記戦略ががんの処置に無効になる場合がある。
【0005】
これらの手法はその役割を有する一方、免疫療法がより標的化された治療的介入としてますます検討されるようになっている。免疫療法は、排除相の免疫監視を取り入れ、免疫系を腫瘍細胞上に存在する特定の分子標的に人為的に方向付ける。免疫療法は、がん細胞を検出し、破壊する対象の免疫系の能力を増加させることを目的とする。
【0006】
現在、免疫チェックポイント療法、TNFRアゴニスト、及び標的化されたワクチン接種戦略を含め、多くの異なる免疫療法戦略ががんに対して用いられている。しかしながら、がんワクチンは、その適用可能性が(多くの場合、患者の少数のサブセットのみに)限定され、且つ有効性が限定されたままである。これに類似して、チェックポイント阻害剤及びTNFRアゴニストも同じく、高い毒性プロファイル及び限定された有効性によってその有効性が限定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2007125371
【特許文献2】WO2016095812
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】IUPHARデータベース(www.guidetopharmacology.org)
【非特許文献2】Spiers, Laura等、「Toxicities associated with checkpoint inhibitors-an overview.」Rheumatology(Oxford、英国)第58巻、補遺7(2019)
【非特許文献3】「Handbook of Pharmaceutical Excipients」、第2版、(1994)、A Wade及びPJ Weller編
【非特許文献4】Nucleic Acids Research、2004、32、e98
【非特許文献5】Oxford Vacmedix Ltd社、Biopharmerdealmaker Advertisement Feature、2017
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
必要とされるものは、対象の処置の過程にわたる毒性事象のリスクを最小化しながら、上述の薬剤の最大の有効性を可能にする治療手法である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、本発明者等は、がん免疫療法剤(immuno-oncology agent)と標的腫瘍抗原に由来する組換えポリペプチドとの組合せが、がんの処置における免疫療法手法の有効性を改善し、また、必要とされるがん免疫療法剤の用量を低下させ、したがって、処置の転帰を改善し、また、前記がん免疫療法剤の投与の毒性作用を低減又は排除しうることを見出した。
【0011】
本発明の概要
第1の態様では、対象においてがんを処置するための方法であって、第1のペプチド断片が第1の腫瘍抗原タンパク質に由来する第1の配列を含み、第2のペプチド断片が第2の腫瘍抗原タンパク質に由来する第2の配列を含む、2個以上のペプチド断片を含むポリペプチドであって、2個以上のペプチド断片の各々の間に位置する1つ又は複数の外因性カテプシン切断部位配列を更に含むポリペプチドを対象に投与する工程と、がん免疫療法剤を対象に投与する工程とを含む方法が提供される。
【0012】
一部の実施形態では、第1の腫瘍抗原タンパク質及び/又は第2の腫瘍抗原タンパク質は、腫瘍特異的抗原、腫瘍関連抗原、又はがん/精巣抗原である。一部の実施形態では、第1の腫瘍抗原タンパク質及び第2の腫瘍抗原タンパク質は、同じ腫瘍抗原タンパク質である。一部の実施形態では、第1の腫瘍抗原タンパク質及び/又は第2の腫瘍抗原タンパク質は、自己抗原、変更された自己抗原、又は非自己抗原である。
【0013】
一部の実施形態では、第1の腫瘍抗原タンパク質及び/又は第2の腫瘍抗原タンパク質は、サバイビンである。他の実施形態では、第1の腫瘍抗原タンパク質及び/又は第2の腫瘍抗原タンパク質は、ウイルスに由来するがん抗原、場合によりHPVタンパク質、更に場合によりHPV16タンパク質である。一部の実施形態では、第1の腫瘍抗原タンパク質及び/又は第2の腫瘍抗原タンパク質は、HPV16 E7である。
【0014】
一部の実施形態では、1つ又は複数の外因性カテプシン切断部位配列は、カテプシンS切断配列、好ましくはLRMK切断配列である。
【0015】
一部の実施形態では、ポリペプチド及びがん免疫療法剤は、同時に、別々に、又は逐次的に対象に投与される。一部の実施形態では、がん免疫療法剤は、TNFRスーパーファミリーアゴニスト、又はチェックポイント阻害剤である。
【0016】
一部の実施形態では、ポリペプチドの各投与は、1μg.kg-1から2000μg.kg-1のポリペプチド、好ましくは5から20μg.kg-1以下を含む。
【0017】
一部の実施形態では、TNFRスーパーファミリーアゴニストは、ペプチド若しくはその断片、糖タンパク質若しくはその断片、又は小分子である。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、ペプチド若しくはその断片、糖タンパク質若しくはその断片、又は小分子である。他の実施形態では、TNFRスーパーファミリーアゴニストは、抗体、又はその断片である。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗体、又はその断片である。
【0018】
一部の実施形態では、TNFRスーパーファミリーアゴニストは、ヒトに対して非毒性の用量で投与される。
【0019】
一部の実施形態では、TNFRスーパーファミリーアゴニストは、4-1BBアゴニストである。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-1アンタゴニストである。
【0020】
一部の実施形態では、4-1BBアゴニストは、1mg.kg-1未満の用量で投与される。
【0021】
一部の実施形態では、ポリペプチド及びがん免疫療法剤の対象への投与は、周期的に、好ましくは3、4、5、6、又は7日ごとに繰り返される。
【0022】
一部の実施形態では、2個以上のペプチド断片は、1つ又は複数のオーバーラップ配列を含む。一部の実施形態では、1つ又は複数のオーバーラップ配列は、2から31アミノ酸の長さである。一部の実施形態では、1つ又は複数のオーバーラップ配列は、少なくとも8アミノ酸の長さである。
【0023】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、送達ビヒクル中で送達され、場合により、ポリペプチド又は薬学的に許容される担体中のポリペプチドを含む送達ビヒクルを投与する工程を更に含む。
【0024】
本発明の第2の態様では、がんの処置における使用のための組成物であって、第1のペプチド断片が第1の腫瘍抗原タンパク質に由来する第1の配列を含み、第2のペプチド断片が第2の腫瘍抗原タンパク質に由来する第2の配列を含む、2個以上のペプチド断片を含むポリペプチドであって、2個以上のペプチド断片の各々の間に位置する1つ又は複数の外因性カテプシン切断部位配列を更に含むポリペプチドを含み、処置が、ポリペプチドと、がん免疫療法剤との共投与を含む、組成物が提供される。
【0025】
一部の実施形態では、組成物は、上記の又はその他本明細書に記載された実施形態のいずれかのポリペプチドを更に含む。
【0026】
本発明の第3の態様では、がんが上記の処置方法に従う処置に好適であるか否かを決定する方法であって、第1のペプチド断片が第1の腫瘍抗原タンパク質に由来する第1の配列を含み、第2のペプチド断片が第2の腫瘍抗原タンパク質に由来する第2の配列を含む、2個以上のペプチド断片を含むポリペプチドであって、2個以上のペプチド断片の各々の間に位置する1つ又は複数の外因性カテプシン切断部位配列を更に含むポリペプチドを対象又はin vitroサンプルに投与する工程と、がん免疫療法剤を対象又はin vitroサンプルに投与する工程と、前記対象又はin vitroサンプルにおいてT細胞刺激を測定する工程とを含む方法が提供される。
【0027】
第4の態様では、がんの処置における使用のためのがん免疫療法剤であって、処置が、がん免疫療法剤と、第1のペプチド断片が第1の腫瘍抗原タンパク質に由来する第1の配列を含み、第2のペプチド断片が第2の腫瘍抗原タンパク質に由来する第2の配列を含む、2個以上のペプチド断片を含むポリペプチドであって、2個以上のペプチド断片の各々の間に位置する1つ又は複数の外因性カテプシン切断部位配列を更に含むポリペプチドとを投与することを含む、がん免疫療法剤が提供される。
【0028】
一部の実施形態では、がんの処置における使用のための前記がん免疫療法剤と共投与されるポリペプチドは、上記又は本明細書における実施形態のいずれかに記載されたポリペプチドである。一部の実施形態では、がんの処置は、上記又は本明細書における実施形態のいずれかに記載された処置方法によるものである。
【0029】
第5の態様では、がんを処置するためのキットであって、第1のペプチド断片が第1の腫瘍抗原タンパク質に由来する第1の配列を含み、第2のペプチド断片が第2の腫瘍抗原タンパク質に由来する第2の配列を含む、2個以上のペプチド断片を含むポリペプチドであって、2個以上のペプチド断片の各々の間に位置する1つ又は複数の外因性カテプシン切断部位配列を更に含むポリペプチドと、がん免疫療法剤とを含むキットが提供される。
【0030】
一部の実施形態では、がん免疫療法剤は、TNFRスーパーファミリーアゴニスト、場合によりペプチド若しくはその断片、糖タンパク質若しくはその断片、小分子、又は抗体若しくはその断片である。一部の実施形態では、がん免疫療法剤は、チェックポイント阻害剤、場合によりペプチド若しくはその断片、糖タンパク質若しくはその断片、小分子、又は抗体若しくはその断片である。
【0031】
一部の実施形態では、キットは、1種若しくは複数の薬学的に許容される担体又はポリペプチドをコードする核酸を更に含む。
【0032】
一部の実施形態では、TNFRスーパーファミリーアゴニストは、4-1BBアゴニストであり、又はチェックポイント阻害剤は、PD-1アンタゴニストである。
【0033】
一部の実施形態では、本発明は、対象においてがんを処置するための方法であって、第1のペプチド断片がサバイビンに由来する第1の配列を含み、第2のペプチド断片がサバイビンに由来する第2の配列を含む、2個以上のペプチド断片を含むポリペプチドであって、2個以上のペプチド断片の各々の間に位置する1つ又は複数のプロテアーゼ切断部位配列を更に含むポリペプチドを対象に投与する工程と、がん免疫療法剤を対象に投与する工程とを含む方法を提供する。
【0034】
一部の実施形態では、ポリペプチド及びがん免疫療法剤は、同時に、別々に、又は逐次的に対象に投与される。一部の実施形態では、がん免疫療法剤は、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)スーパーファミリーアゴニスト又はチェックポイント阻害剤である。一部の実施形態では、ポリペプチドの各投与は、1μg.kg-1から2000μg.kg-1のポリペプチド、好ましくは5から20μg.kg-1以下を含む。
【0035】
一部の実施形態では、TNFRスーパーファミリーアゴニストは、ペプチド若しくはその断片、糖タンパク質若しくはその断片、又は小分子である。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、ペプチド若しくはその断片、糖タンパク質若しくはその断片、又は小分子である。一部の実施形態では、TNFRスーパーファミリーアゴニストは、抗体又はその断片である。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗体又はその断片である。一部の実施形態では、TNFRスーパーファミリーアゴニストは、ヒトに対して非毒性の用量で投与される。
【0036】
一部の実施形態では、TNFRスーパーファミリーアゴニストは、4-1BBアゴニストである。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-1アンタゴニストである。一部の実施形態では、4-1BBアゴニストは、1mg.kg-1未満の用量で投与される。
【0037】
一部の実施形態では、ポリペプチド及びがん免疫療法剤の対象への投与は、周期的に、好ましくは3、4、5、6、又は7日ごとに繰り返される。
【0038】
一部の実施形態では、第1及び第2のペプチド断片は、配列番号1からの連続した配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含み、ポリペプチドは、対象、好ましくはヒト対象におけるT細胞応答を刺激する。一部の実施形態では、第1及び第2のペプチド断片は、配列番号1からの連続した配列を各々含む。
【0039】
一部の実施形態では、第1及び第2のペプチド断片は、配列番号43からの連続した配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含み、ポリペプチドは、対象、好ましくはヒト対象におけるT細胞応答を刺激する。一部の実施形態では、第1及び第2のペプチド断片は、配列番号43からの連続した配列を各々含む。
【0040】
一部の実施形態では、1つ又は複数のプロテアーゼ切断部位配列は、カテプシン切断配列、好ましくはカテプシンS、より好ましくはLRMK切断配列である。
【0041】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、3個以上のペプチド断片、好ましくは5個以上のペプチド断片、より好ましくは10個以上のペプチド断片を含む。
【0042】
一部の実施形態では、2個以上のペプチド断片の少なくとも1個は、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16の群から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、ポリペプチドは、免疫応答を誘発する又は免疫刺激性である。
【0043】
一部の実施形態では、2個以上のペプチド断片は、配列番号11及び/又は配列番号12と少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、ポリペプチドは、免疫応答、場合によりT細胞応答を誘発する。
【0044】
一部の実施形態では、2個以上のペプチド断片の少なくとも1個は、配列番号45、46、47、及び48の群から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、ポリペプチドは、免疫応答を誘発する又は免疫刺激性である。
【0045】
一部の実施形態では、2個以上のペプチド断片は、配列番号45、配列番号46、配列番号47、及び/又は配列番号48と少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、ポリペプチドは、免疫応答、場合によりT細胞応答を誘発する。
【0046】
一部の実施形態では、2個以上のペプチド断片は、1つ又は複数のオーバーラップ配列を含む。一部の実施形態では、1つ又は複数のオーバーラップ配列は、2から31アミノ酸の長さである。場合により、1つ又は複数のオーバーラップ配列は、少なくとも8アミノ酸の長さである。
【0047】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、送達ビヒクル中で送達される。
【0048】
一部の実施形態では、方法は、ポリペプチド又は薬学的に許容される担体中のポリペプチドを含む送達ビヒクルを投与する工程を含む。
【0049】
一実施形態では、本発明は、がんを処置するための組合せ療法における使用のための組成物であって、第1のペプチド断片がサバイビンに由来する第1の配列を含み、第2のペプチド断片がサバイビンに由来する第2の配列を含む、2個以上のペプチド断片を含むポリペプチドであって、2個以上のペプチド断片の各々の間に位置する1つ又は複数のプロテアーゼ切断部位配列を更に含むポリペプチドを含み、組合せ療法が、ポリペプチドと、がん免疫療法剤との共投与を含む、組成物を提供する。
【0050】
一部の実施形態では、組成物は、前のいずれかの態様又は実施形態に記載されたポリペプチド又は方法工程を更に含む。一部の実施形態では、第1及び第2のペプチド断片は、配列番号1からの連続した配列と少なくとも90%の相同性を有する配列を各々含み、ポリペプチドは、対象、好ましくはヒト対象におけるT細胞応答を刺激する。一部の実施形態では、第1及び第2のペプチド断片は、配列番号1からの連続した配列を各々含む。一部の実施形態では、1つ又は複数のプロテアーゼ切断部位配列は、カテプシン切断配列、好ましくはカテプシンS、より好ましくはLRMK切断配列である。一部の実施形態では、ポリペプチドは、3個以上のペプチド断片、好ましくは5個以上のペプチド断片、より好ましくは10個以上のペプチド断片を含む。
【0051】
一部の実施形態では、2個以上のペプチド断片の少なくとも1個は、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16の群から選択される配列と少なくとも90%の相同性を有する配列を含み、ポリペプチドは、対象における免疫応答を誘発する又は免疫刺激性である。
【0052】
一部の実施形態では、2個以上のペプチド断片は、配列番号11及び/又は配列番号12と少なくとも90%の相同性を有する配列を含み、ポリペプチドは、対象における免疫応答、場合によりT細胞応答を誘発する。
【0053】
一部の実施形態では、2個以上のペプチド断片は、1つ又は複数のオーバーラップ配列を含む。一部の実施形態では、1つ又は複数のオーバーラップ配列は、2及び31アミノ酸の長さである。場合により、1つ又は複数のオーバーラップ配列は、少なくとも8アミノ酸の長さである。
【0054】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、送達ビヒクル中で送達される。一部の実施形態では、組成物は、ポリペプチド又は薬学的に許容される担体中のポリペプチドを含む送達ビヒクルを含む。
【0055】
一部の実施形態では、がん免疫療法剤は、TNFRスーパーファミリーアゴニスト又はチェックポイント阻害剤である。一部の実施形態では、TNFRスーパーファミリーアゴニストは、ペプチド若しくはその断片、糖タンパク質若しくはその断片、又は小分子であり、又はチェックポイント阻害剤は、ペプチド若しくはその断片、糖タンパク質若しくはその断片、又は小分子である。
【0056】
一部の実施形態では、TNFRスーパーファミリーアゴニストは、抗体又はその断片である。一部の実施形態では、TNFRスーパーファミリーアゴニストは、ヒトに対して非毒性の用量で投与される。一部の実施形態では、TNFRスーパーファミリーアゴニストは、4-1BBアゴニストである。一部の実施形態では、4-1BBアゴニストは、1mg.kg-1未満の用量で投与される。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗体又はその断片である。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-1アンタゴニストである。
【0057】
一実施形態では、本発明は、がんを処置するための組合せ療法における使用のためのがん免疫療法剤であって、組合せ処置が、がん免疫療法剤と、第1のペプチド断片がサバイビンに由来する第1の配列を含み、第2のペプチド断片がサバイビンに由来する第2の配列を含む、2個以上のペプチド断片を含むポリペプチドであって、2個以上のペプチド断片の各々の間に位置する1つ又は複数のプロテアーゼ切断部位配列を更に含むポリペプチドとを投与することを含む、がん免疫療法剤を提供する。
【0058】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、本発明の先行するいずれかの態様に記載された通りである。一部の実施形態では、第1及び第2のペプチド断片は、配列番号1からの連続した配列と少なくとも90%の相同性を有する配列を各々含み、ポリペプチドは、対象における免疫応答、場合によりT細胞応答を誘発する。
【0059】
一部の実施形態では、第1及び第2のペプチド断片は、配列番号1からの連続した配列を各々含む。一部の実施形態では、1つ又は複数のプロテアーゼ切断部位配列は、カテプシン切断配列、好ましくはカテプシンS、より好ましくはLRMK切断配列である。一部の実施形態では、ポリペプチドは、3個以上のペプチド断片、好ましくは5個以上のペプチド断片、より好ましくは10個以上のペプチド断片を含む。
【0060】
一部の実施形態では、2個以上のペプチド断片の少なくとも1個は、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16の群から選択される配列と少なくとも90%の相同性を有する配列を含み、ポリペプチドは、対象における免疫応答を誘発する又は免疫刺激性である。
【0061】
一部の実施形態では、2個以上のペプチド断片は、配列番号11及び/又は配列番号12と少なくとも90%の相同性を有する配列を含み、ポリペプチドは、対象における免疫応答、場合によりT細胞応答、好ましくはヒト対象におけるものを誘発する。
【0062】
一部の実施形態では、2個以上のペプチド断片は、1つ又は複数のオーバーラップ配列を含む。一部の実施形態では、1つ又は複数のオーバーラップ配列は、2から31アミノ酸の長さである。場合により、1つ又は複数のオーバーラップ配列は、少なくとも8アミノ酸の長さである。
【0063】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、送達ビヒクル中で送達される。一部の実施形態では、組成物は、ポリペプチド又は薬学的に許容される担体中のポリペプチドを含む送達ビヒクルを含む。
【0064】
一部の実施形態では、がん免疫療法剤は、TNFRスーパーファミリーアゴニスト又はチェックポイント阻害剤である。一部の実施形態では、TNFRスーパーファミリーアゴニストは、ペプチド若しくはその断片、糖タンパク質若しくはその断片、又は小分子である。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、ペプチド若しくはその断片、糖タンパク質若しくはその断片、又は小分子である。
【0065】
一部の実施形態では、TNFRスーパーファミリーアゴニストは、抗体又はその断片である。一部の実施形態では、TNFRスーパーファミリーアゴニストは、ヒトに対して非毒性の用量で投与される。一部の実施形態では、TNFRスーパーファミリーアゴニストは、4-1BBアゴニストである。一部の実施形態では、4-1BBアゴニストは、1mg.kg-1未満の用量で投与される。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗体又はその断片である。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-1アンタゴニストである。
【0066】
一実施形態では、本発明は、がんを処置するためのキットであって、第1のペプチド断片がサバイビンに由来する第1の配列を含み、第2のペプチド断片がサバイビンに由来する第2の配列を含む、2個以上のペプチド断片を含むポリペプチドであって、2個以上のペプチド断片の各々の間に位置する1つ又は複数のプロテアーゼ切断部位配列を更に含むポリペプチドを含み、がん免疫療法剤を更に含むキットを提供する。
【0067】
一部の実施形態では、がん免疫療法剤は、TNFRスーパーファミリーアゴニスト又はチェックポイント阻害剤である。
【0068】
一部の実施形態では、TNFRスーパーファミリーアゴニストは、ペプチド若しくはその断片、糖タンパク質若しくはその断片、又は小分子である。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、ペプチド若しくはその断片、糖タンパク質若しくはその断片、又は小分子である。
【0069】
一部の実施形態では、TNFRスーパーファミリーアゴニストは、抗体又はその断片である。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗体又はその断片である。
【0070】
一部の実施形態では、キットは、1種若しくは複数の薬学的に許容される担体又はポリペプチドをコードする核酸を更に含む。
【0071】
一部の実施形態では、TNFRスーパーファミリーアゴニストは、4-1BBアゴニストである。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-1アンタゴニストである。
【0072】
図面の説明
次に、本発明の態様及び実施形態を、以下の図面及び実施例を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】40×の倍率で、免疫組織化学(IHC)染色を使用して撮影されたサバイビンの発現を示す画像である。これらの図は、ヘモトキシリン(haemotoxylin)で染色されたB16-F10細胞(A)及びB16-GFP-サバイビン細胞(B)を示す。いずれのサンプルも、抗サバイビンマウス抗体に続いてHRPコンジュゲートヤギ抗マウスIgGで染色し、その後、ジアミノベンジジン染料で染色した。B16-GFP-サバイビン細胞のIHC染色によって、サバイビンの発現が示された。B16-F10は、ヘモトキシリン(核)染色のみを示し、サバイビンの存在を実証しなかった。
図2】23日にわたって(i)対照としてのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含むアジュバント(MPL)のみ(黒色の実線)、(ii)ポリペプチド(「ROP-サバイビン」)+アジュバント(灰色の破線)、(iii)低用量(0.6mg.kg-1)の4-1BBアゴニスト(BE0239)+アジュバント(黒色の破線)、及び(iv)ポリペプチド+低用量(0.6mg.kg-1)の4-1BBアゴニスト+アジュバントの3つすべての組合せ(黒色の点線)で処置されたマウスにおける腫瘍体積を示すグラフである。低用量の4-1BBアゴニストで、ポリペプチド+4-1BBアゴニスト+アジュバントの3つすべての組合せは、腫瘍体積成長を最大程度、且つポリペプチドROP-サバイビンの非存在下での4-1BBアゴニスト+アジュバントによる処置よりも高い程度に阻害する。
図3】23日にわたって(i)対照としてのPBSを含むアジュバント(MPL)(大点線)、(ii)S-ポリペプチドROP-サバイビン(「ROP-サバイビン」)+アジュバント(小点線)、(iii)低用量(0.6mg.kg-1)の4-1BBアゴニスト+アジュバント(黒色の破線)、及び(iv)ポリペプチド+低用量(0.6mg.kg-1)の4-1BBアゴニスト+アジュバントの3つすべての組合せ(黒色の実線)で処置されたマウスの生存率を示すグラフである。ポリペプチド+4-1BBアゴニスト+アジュバントの3つすべての組合せを受けたマウスは、最も高い生存率を有しており、アジュバントのみを受けたマウスは、最も低い生存率を有していた。
図4】23日にわたって(i)対照としてのPBSを含むアジュバント(MPL)(黒色の実線)、(ii)S-ポリペプチドROP-サバイビン(「ROP-サバイビン」)+アジュバント(灰色の破線)、(iii)高用量(1.8mg.kg-1)の4-1BBアゴニスト+アジュバント(黒色の破線)、及び(iv)ポリペプチド+高用量(1.8mg.kg-1)の4-1BBアゴニスト+アジュバントの3つすべての組合せ(黒色の点線)で処置されたマウスにおける腫瘍体積を示すグラフである。
図5】以下を実証する電気泳動ゲルを示す図である:(a)S-ポリペプチドROP-サバイビン(879塩基対の理論分子量を有する)の合成の成功。レーン1=DNA MWラダー;レーン2=S-ポリペプチドROP-サバイビンPCR産物;(b)Bam HI及びXho I切断により同定された、大腸菌(E.coli)におけるS-ポリペプチドROP-サバイビンを含有するプラスミドの形質転換及び増幅の成功。レーン1=プラスミドP1/YN8735;レーン2=プラスミドP2/YN8736;レーン3=プラスミドP3/YN8737;レーン4=ベクターPYR1688対照。
図6】遺伝子操作されたS-ポリペプチドROP-サバイビン発現プラスミド「pYR1688」のプラスミドマップを示す図である。
図7】(a)レーン1及び3において、pYR1688形質転換大腸菌から抽出し、Nde I+Xho Iで消化したプラスミド中のS-ポリペプチド(ROP-サバイビン、879塩基対)の存在を実証する電気泳動ゲルを示す図である。レーン2は、挿入されたS-ポリペプチド(ROP-サバイビン)を有さないプラスミドを示す。(b)S-ポリペプチドROP-サバイビンの誘導の成功(矢印によって示される)を実証するSDS-PAGEを示す図である。「0h」レーン=IPTGによる誘導前の全タンパク質;「3h」レーン=IPTGによって3時間誘導された全タンパク質;「5h」レーン=IPTGによって5時間誘導された全タンパク質;「BL21」レーン=宿主細胞株における空ベクター(対照)。
図8】示されている通り、14日にわたって(i)対照としてのPBSを含むアジュバント(MPL)、(ii)マウスS-ポリペプチドROP-サバイビン(「mROP-サバイビン)+アジュバント、(iii)PD-1アンタゴニスト、及び(iv)S-ポリペプチドROP-サバイビン+PD-1アンタゴニスト+アジュバントの3つすべての組合せで処置されたマウスにおける腫瘍体積を示すグラフである。
図9】14日にわたって(i)対照としてのPBSを含むアジュバント(MPL)、(ii)マウスS-ポリペプチドROP-サバイビン(「mROP-サバイビン)+アジュバント、(iii)PD-1アンタゴニスト、及び(iv)S-ポリペプチドROP-サバイビン+PD-1アンタゴニスト+アジュバントの3つすべての組合せで処置されたマウスの体重を示すグラフである。
図10】示されている通り、i)S-ポリペプチドROP-サバイビン+アジュバント、(ii)S-ポリペプチドROP-サバイビン+PD-1アンタゴニスト+アジュバント、iii)PD-1アンタゴニスト、iv)アジュバント(MPL)、v)及びビヒクル(PBS)を受けたマウスから採取された活性化脾細胞によるIFN-γ放出のELISPOT分析を示す図である。
図11】ROP-HPV又はタンパク質HPV16 E7によるマウスの治療的処置のためのワクチン接種レジメンの例を示す図である。0日目は、TC1腫瘍細胞株を接種した日を示す。
図12】示されている通り、22日にわたって(i)ROP-HPV(「ROP-HPV16E7」;白抜き線)、ii)タンパク質HPV16 E7(点線)、iii)アジュバント(一点鎖線)、及びiv)ビヒクル(PBS;破線)で処置されたマウスにおけるTC-1腫瘍体積を示すグラフである。
図13】示されている通り、i)ROP-HPV(「ROP-HPV16E7」;四角点)、ii)タンパク質HPV16 E7(丸点)、iii)アジュバント(三角点)、又はiv)ビヒクル(PBS;菱形点)を受けたマウスについての生存曲線を示す図である。0日目=腫瘍接種。
図14】ROP-HPV(「ワクチン接種」)及び4-1BBアゴニスト抗体又は抗PD-1アンタゴニスト抗体(「抗体処置」)タンパク質HPV16 E7によるマウスの治療的組合せ処置のためのワクチン接種レジメンの例を示す図である。0日目は、TC1腫瘍細胞株を接種した日を示す。
図15】22日にわたってi)ROP-HPV(「ROP-HPV16E7」;白抜き長破線)、ii)ROP-HPV+4-1BBアゴニスト(黒色の実線)、iii)4-1BBアゴニスト(「4-1BB」;白抜き短破線)、iv)アジュバント(黒色の一点鎖線)、v)ビヒクル(PBS;黒色の破線)で処置されたマウスにおけるTC-1腫瘍体積を示すグラフである。
図16】47日にわたってi)ROP-HPV(「ROP-HPV16E7」;白抜き長破線)、ii)ROP-HPV+4-1BBアゴニスト(黒色の実線)、iii)4-1BBアゴニスト(「α4-1BB」;白抜き短破線)、iv)アジュバント(黒色の一点鎖線)、v)ビヒクル(PBS;黒色の破線)で処置されたマウスにおけるTC-1腫瘍体積を示すグラフである。データ/線の早期終了は、マウスの死亡に起因する。
図17】i)ROP-HPV+4-1BBアゴニスト(丸点)、ii)ROP-HPV(四角点)、iii)アジュバント(上向き三角点)、iv)4-1BBアゴニスト(下向き三角点)、又はv)ビヒクル(PBS;菱形点)を受けたマウスについての27日までの生存曲線を示す図である。0日目=腫瘍接種。
図18】示されている通り、i)ROP-HPV+4-1BBアゴニスト、ii)ROP-HPV、iii)アジュバント、又はiv)4-1BBアゴニストを受けたマウスについての47日までの生存曲線を示す図である。0日目=腫瘍接種。
図19】47日にわたってi)ROP-HPV(「ROP-HPV16E7」;白抜き線)、ii)ROP-HPV+抗PD-1アンタゴニスト(黒色の実線)、iii)抗PD-1アンタゴニスト(「αPD-1」;点線)、iv)アジュバント(黒色の一点鎖線)、又はv)ビヒクル(PBS;黒色の破線)で処置されたマウスにおける腫瘍体積を示すグラフである。データ/線の早期終了は、マウスの死亡に起因する。
図20】示されている通り、i)ROP-HPV(「ROP-HPV16E7」)、ii)ROP-HPV+抗PD-1アンタゴニスト、iii)抗PD-1アンタゴニスト、iv)アジュバント、又はv)ビヒクル(PBS)を受けたマウスについての生存曲線を示す図である。0日目=腫瘍接種。
【発明を実施するための形態】
【0074】
本発明の詳細な説明
現在、免疫チェックポイント療法、養子T細胞移入療法、及びワクチン接種を含め、多くの異なる免疫療法戦略ががんに対して用いられている(Waldman等、2020を参照されたい)。TSA及びTAAは、魅力的なワクチン候補であるが、有効な応答を誘発するための強力なアジュバント、例えばSrivastava 2012及びSrivastava 2014において試験された4-1BBLを必要とする。腫瘍進行の分子マーカー及び/又は分子ドライバーを特異的に標的とすることを目的とする分子標的化手法もまた一般的である。Wheatley及びAltieri(2019)に記された通り、がんの注目すべき分子マーカーであるにもかかわらず、また、治療標的としての多くの望ましい特性を保有するにもかかわらず、「とても残念なことに、真に特異的な抗サバイビン剤はまだ臨床に達していない」。
【0075】
がんの免疫療法における2つの分野は、腫瘍壊死因子受容体(「TNFR」)スーパーファミリー受容体(「TNFRSF」受容体)、例えば4-1BB、及び免疫チェックポイント分子、例えばPD-1(プログラム細胞死タンパク質1)である。4-1BBは、共刺激分子であり、これは、活性化された場合、T細胞増大、サイトカイン誘導、及び抗アポトーシス遺伝子の上方調節を引き起こす。治療戦略は、典型的には、4-1BBを刺激し、したがって、強力な抗腫瘍効果を生じる、4-1BBのモノクローナル抗体(mAb)アゴニスト、例えばウレルマブに焦点を合わせている。残念ながら、4-1BBアゴニズムは、重度の肝臓毒性を伴い、マウスにおいて、免疫異常を引き起こし、脾臓、肝臓、及び骨髄の機能に影響を及ぼすことが示されている(Compte等、2018を参照されたい)。これらの毒性プロファイルは、第1世代4-1BB mAbアゴニストの大きな障害となるものとして記載されている。
【0076】
同じく、PD-1チェックポイント阻害剤は、潜在的ながん治療薬として広範囲に検討されており、PD-1、又はそのリガンドPD-L1のいずれかの多数の阻害剤が開発されている。PD-1は、90年代初頭に最初に記載された。これは、T細胞媒介性免疫応答を負に調節する。PD-1/PD-L1の活性化は、がんが抗原特異的T細胞応答を回避する方式の1つでありうると思われ、したがって、この経路の阻害は、がんが自らに対する典型的なT細胞応答を緩和することを阻止しうる。PD-1及びPD-L1に対する多数の阻害抗体剤、例えばニボルマブ及びアテゾリズマブが、多様ながんに対して試験されている(Gong等、2018を参照されたい)。4-1BBに焦点を合わせた療法と同じように、これらのチェックポイント阻害剤は、多くの場合、多様な器官に影響を及ぼす重大な毒性プロファイルを示す(Spiers等、2019を参照されたい)。
【0077】
必要とされるものは、対象の処置の過程にわたる毒性事象のリスクを最小化しながら、上述の薬剤の最大の有効性を可能にする治療手法である。
【0078】
この必要性に対処するために、腫瘍抗原タンパク質、例えば腫瘍特異的抗原(TSA)、腫瘍関連抗原(TAA)又はがん/精巣抗原に由来するポリペプチドが提供され、これらは、がん免疫療法剤と共投与された場合、抗腫瘍活性を示す。本明細書に示す通り、この抗腫瘍活性は、腫瘍縮小及び/又は腫瘍退縮、更には完全退縮を構成することができる。本明細書に示す通り、本発明のポリペプチドと、がん免疫療法剤との共投与は、相乗効果を示す。
【0079】
本発明の前記ポリペプチドは、第1のペプチド断片が第1の腫瘍抗原タンパク質、場合によりTSA又はTAAに由来する第1の配列を含み、第2のペプチド断片が第2の腫瘍抗原タンパク質、場合によりTSA又はTAAに由来する第2の配列を含む、2個以上のペプチド断片を含む。前記ポリペプチドは、ポリペプチドがin vivoで切断されて、1個又は複数のペプチド断片を遊離させることができるように、2個以上のペプチド断片の各々の間に1つ又は複数の外因性プロテアーゼ切断部位配列を含む。プロテアーゼ切断部位配列は、天然の腫瘍抗原タンパク質配列内のその導入された場所に天然に存在しないプロテアーゼ切断部位配列であるという点で外因性である。一部の実施形態では、前記外因性プロテアーゼ切断部位配列は、カテプシン切断配列である。
【0080】
一実施形態では、ポリペプチドは、サバイビンに由来し、これは、腫瘍壊死ファミリー受容体(「TNFR」)スーパーファミリー(「TNFRSF」)アゴニスト又はチェックポイント阻害剤と共投与された場合、TNFRSFアゴニスト又はチェックポイント阻害剤の各々がその通常の単独療法用量未満で投与されることを可能にしながら、TNFRSFアゴニスト又はチェックポイント阻害剤の最大の有効性でがん成長を阻害することができる。別の実施形態では、ポリペプチドは、HPV16 E7に由来し、これは、腫瘍壊死ファミリー受容体(「TNFR」)スーパーファミリー(「TNFRSF」)アゴニスト又はチェックポイント阻害剤と共投与された場合、TNFRSFアゴニスト又はチェックポイント阻害剤の各々がその通常の単独療法用量未満で投与されることを可能にしながら、TNFRSFアゴニスト又はチェックポイント阻害剤の最大の有効性でがん成長を阻害することができる。
【0081】
換言すれば、本明細書に開示されたポリペプチドと組み合わせた場合、TNFRSFアゴニスト又はチェックポイント阻害剤は、有用な治療効果を依然として達成しながら、より低い投与量で(すなわち、より少ない分量で)投与することができる。一部の実施形態では、TNFRSFアゴニスト又はチェックポイント阻害剤は、その最大の治療効果を依然として達成しながら、より低い投与量で投与することができる。サバイビンに由来するポリペプチドは、細胞表面タンパク質に対する抗体を生成することができ、加えて、CD4+及びCD8+ T細胞応答を刺激する、オーバーラップポリペプチドを形成するように連結されたサバイビンに由来する配列を含む。サバイビンに由来するポリペプチドは、そのバリアントとみなされうる。HPV16 E7に由来するポリペプチドは、細胞表面タンパク質に対する抗体を生成することができ、加えて、CD4+及びCD8+ T細胞応答を刺激する、オーバーラップポリペプチドを形成するように連結されたHPV16 E7に由来する配列を含む。HPV16 E7に由来するポリペプチドは、そのバリアントとみなされうる。
【0082】
本発明及び本明細書で使用される用語は、以下の定義の使用により、より良く理解されうる。
【0083】
本明細書で使用される「共投与される」とは、いずれも同じレジメンの一部として対象又は患者に投与される2種以上の治療用又は予防用物質を指す。共投与は、同時に、逐次的に又は時間的に別々に行われうる。共投与は、同じルートを通じて又は異なるルートを通じて行われうる。実例として、3日ごとに腹腔内送達される物質1及び週1回皮下送達される物質2は、「共投与される」ということができる。別の実例として、同日に皮下送達される物質1及び物質2もまた、「共投与される」ということができる。
【0084】
本明細書で使用される「組換え」とは、細菌(例えば、大腸菌であるがこれらに限定されない)における遺伝子組換え技法によって製造された、天然に存在しない又は人為的に構築された任意のポリマー、場合によりポリペプチドを指す。
【0085】
本明細書で使用される「ポリペプチド」とは、本明細書で使用される「ペプチド」又は「ペプチド断片」よりも長いペプチド結合によって連結されたアミノ酸の直鎖を指す。
【0086】
本明細書で使用される「ペプチド」とは、本明細書で使用される「ポリペプチド」よりも短いペプチド結合によって連結されたアミノ酸の直鎖を指す。
【0087】
本明細書で使用される「アミノ酸配列」とは、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質中の各アミノ酸残基の、その順序を含めた同一性を意味する。これは、「ペプチド配列」と区別なく使用されうる。
【0088】
本明細書で使用される「ペプチド断片」とは、より大きいポリペプチドの一片であるアミノ酸鎖(「ペプチド」)を指す。換言すれば、2個以上のペプチド断片は、同じより大きいポリペプチドの断片である場合、一緒になって、より大きいポリペプチドの一次配列の全部又は一部を形成することができる。この場合、より大きいポリペプチドは、本発明の組換えポリペプチドである。
【0089】
本明細書で使用される「タンパク質」とは、主として1つ又は複数のペプチド及び/又はポリペプチドから構成され、3次元構造に折り畳まれた、又は3次元構造として存在する、分子構成体(molecular entity)を指す。
【0090】
本明細書で使用される「エピトープ」とは、適応免疫系によって、好ましくはT細胞によってそのT細胞受容体(「TCR」)を介して認識されるペプチド断片、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、炭水化物、脂質、又はその他の一部分を指す。
【0091】
本明細書で使用される「LRMK」とは、とりわけカテプシンSによって認識される切断部位である、Leu-Arg-Met-Lysのアミノ酸配列、配列番号35を指す。一部の実施形態では、切断可能なリンカーが提供され、一部の更なる実施形態では、そのリンカーは、LRMKである。
【0092】
本明細書で使用される「オーバーラップ」とは、好ましくはあるアミノ酸配列、ペプチド又はペプチド断片のC末端における部分配列が別のアミノ酸配列、ペプチド、又はペプチド断片のN末端における部分配列と同じである、又は実質的に類似している、及び/又はその逆であるように、2つの異なるアミノ酸配列、ペプチド、又はペプチド断片中の同じである、又は実質的に類似しているアミノ酸配列の一部分又は「部分配列」を指す。オーバーラップは、前記アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列に反映される場合もされない場合もある。
【0093】
本明細書で使用される「同一性」は、2つ以上のポリペプチド又はポリヌクレオチド配列を比較することによって決定される、2つの配列間の類似度、換言すれば、2つの配列が残基の観点から互いに一致する度合である。2つの配列が一致する程度の測定を行うために、2つの配列の類似度を使用して、同一性を決定することができる。ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列を比較するための多数のプログラムが当業者に周知であり、例えば、種々のBLAST及びCLUSTALプログラムである(がこれらに限定されない)。同一性百分率を使用して、配列同一性を定量化することができる。同一性百分率を計算するためには、2つの配列(ポリペプチド又はヌクレオチド)を最適にアラインメントし(すなわち、2つの配列が各対応する位置に最も多い数の同一の残基を有し、したがって、最も高い同一性百分率を有するように配置し)、各位置におけるアミノ酸又は核酸残基をその位置における対応するアミノ酸又は核酸と比較する。一部の事例では、最適な配列アラインメントは、配列を第2の配列に最も良く適合させるために配列に空白を挿入することによって達成することができる。同一のアミノ酸残基又はヌクレオチドの数は、同一性百分率を与え、例えば、10残基長の配列のうち9個の残基が比較される2つの配列間で同一である場合、同一性百分率は90%である。同一性百分率は、一般に、比較される2つの配列の全長に沿って計算される。
【0094】
本明細書で使用される「腫瘍抗原タンパク質」とは、腫瘍細胞中で、腫瘍細胞上で、又は腫瘍細胞によって産生され、(例えば腫瘍の結果生じる、免疫抑制の非存在下で)免疫応答を刺激する(すなわち、抗原性である)タンパク質を指す。「腫瘍抗原タンパク質」及び「腫瘍抗原」は、本明細書では区別なく使用される。腫瘍抗原タンパク質は、腫瘍関連抗原(TAA)又は腫瘍特異的抗原(TSA)、又はがん/精巣抗原であってもよい。
【0095】
本明細書で使用される「バリアント」とは、野生型ペプチド、ポリペプチド、及び/又はタンパク質と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は少なくとも99%の同一性、場合により60~100%、65~100%、70~100%、75~100%、80~100%、85~100%、90~100%、91~100%、92~100%、93~100%、94~100%、95~100%、96~100%、97~100%、98~100%の同一性を有するアミノ酸配列を有するペプチド、ポリペプチド、及び/又はタンパク質を指す。
【0096】
本明細書及び全体における「に由来する」とは、「の一部分と同一である又は実質的に類似している」ことを意味する。サバイビンタンパク質に由来する配列を有するタンパク質断片は、前記サバイビンタンパク質のアミノ酸配列の連続した部分と同一である、又は実質的に類似しているアミノ酸配列を含有するタンパク質断片である。本明細書及び全体における「実質的に類似している」とは、アミノ酸配列が、参照野生型サバイビンタンパク質配列又はその一部分と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は少なくとも99%の同一性、場合により70~100%、75~100%、80~100%、85~100%、90~100%、91~100%、92~100%、93~100%、94~100%、95~100%、96~100%、97~100%、98~100%の同一性を有することを意味する。本明細書及び全体における「少なくとも」とは、一部の実施形態では、100%以下の記載された百分率を意味する。例えば、「少なくとも75%」とは、一部の実施形態では、「75%から100%」を意味しうる。しばしば、サバイビンタンパク質に由来する配列を有するペプチド断片の核酸配列は、サバイビンタンパク質の核酸配列と、ペプチド断片のアミノ酸配列がサバイビンタンパク質のアミノ酸配列と異なる度合よりも高い度合で異なる。これは、ポリペプチドの発現の調製及び最適化、例えばコドン最適化の理由に起因する。疑義を避けるために、これは、サバイビンタンパク質のアミノ酸配列に(その連続した部分と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は少なくとも99%の同一性を有するという点で)由来するペプチド断片のアミノ酸配列である。核酸配列は、より高い程度に異なる場合があり、アミノ酸の遺伝子コードの固有の冗長性のためにより低い配列同一性を有する場合がある。
【0097】
「オーバーラップ配列」は、本発明のポリペプチドの2個以上のペプチド断片中に存在するアミノ酸配列の一部分又は部分配列である。一部の実施形態では、あるペプチド断片のC末端は、別のペプチド断片のN末端におけるアミノ酸配列と同じである又は実質的に類似しているアミノ酸配列を含む。つまり、オーバーラップ配列が存在する場合、少なくとも2個のペプチド断片上で同じであるペプチド断片の少なくとも1つの部分が存在しなければならない。一部の実施形態では、オーバーラップ配列は、2から40アミノ酸の長さであり、そのため、ペプチド断片の各オーバーラップ部分は、2から40アミノ酸である。一部の実施形態では、オーバーラップ配列は、2から31アミノ酸の長さである。他の実施形態では、オーバーラップ配列は、4から30アミノ酸の長さである。他の実施形態では、オーバーラップ配列は、6から20アミノ酸の長さである。好ましい実施形態では、オーバーラップ配列は、8から17アミノ酸の長さである。一部の実施形態では、オーバーラップ配列は、8、9、10又は11アミノ酸の長さである。一部の実施形態では、オーバーラップ配列は、12アミノ酸の長さである。他の実施形態では、オーバーラップ配列は、13アミノ酸、14アミノ酸、15、16、又は17アミノ酸の長さである。最も好ましい実施形態では、オーバーラップ配列は、細胞傷害性Tリンパ球(「CTL」)(CD8+ T細胞)応答の生成のために少なくとも8アミノ酸の長さであり、及び/又はヘルパーT細胞(CD4+ T細胞)応答の生成のために少なくとも12アミノ酸の長さである。
【0098】
一実施形態では、本発明のポリペプチドは、ポリペプチド内の他の1個のペプチド断片の配列と(例えば、そのN末端配列又はそのC末端配列によって)オーバーラップする配列を含むペプチド断片を含む。別の実施形態では、本発明のポリペプチドは、ポリペプチド内の他の2個のペプチド断片の配列と(例えば、そのN末端配列及びそのC末端配列によって)オーバーラップする配列を含むペプチド断片を含む。一部の実施形態では、本発明のポリペプチドは、ポリペプチド内に含有される他のいずれのペプチド断片の配列ともオーバーラップしない配列を含む1個又は複数のペプチド断片を追加的に含む。
【0099】
任意の1個のペプチド断片は、2から55アミノ酸の長さ、より好ましくは8から50アミノ酸の長さ、より好ましくは12から45アミノ酸、より好ましくは20から40アミノ酸の長さであってもよい。好ましい実施形態では、各ペプチド断片は、25から40アミノ酸長、より好ましくは28から38アミノ酸長、更により好ましくは29から37アミノ酸長である。好ましい実施形態では、各ペプチド断片は、29、30、31、32、33、34、35、36、又は37アミノ酸の長さである。
【0100】
本発明のすべての実施形態では、ペプチド断片は、各直鎖状に隣接したペプチド断片の間に位置する少なくとも1つのプロテアーゼ切断部位配列によってポリペプチドを形成するようにタンデムに互いに連結されている。「直鎖状に隣接した」とは、本明細書では、二次構造又はアミノ酸配列の観点から直に連続しているペプチド断片を意味すると解釈される。したがって、1つ又は複数のプロテアーゼ切断部位配列は、各ペプチド断片を分離する。ペプチド断片は、1つ又は複数のプロテアーゼ切断部位配列によって接続されている。本発明の一実施形態では、2個以上のペプチド断片が、各直鎖状に隣接したペプチド断片の間に位置する少なくとも1つのプロテアーゼ切断部位配列によってポリペプチドを形成するようにタンデムに互いに連結されている。別の実施形態では、3個以上のペプチド断片が、各直鎖状に隣接したペプチド断片の間に位置する少なくとも1つのプロテアーゼ切断部位配列によってポリペプチドを形成するようにタンデムに互いに連結されている。別の実施形態では、4から30、5から20個のペプチド断片、より好ましくは10から15、11から14、12、又は13個のペプチド断片が、各直鎖状に隣接したペプチド断片の間に位置する少なくとも1つのプロテアーゼ切断部位配列によってポリペプチドを形成するようにタンデムに互いに連結されている。
【0101】
プロテアーゼ切断部位は、外因性であり、つまり、ポリペプチドに人為的に導入されており、ポリペプチドが由来する腫瘍抗原タンパク質の野生型配列中に(少なくともポリペプチド配列中のそれが導入された場所に)存在しない。
【0102】
本明細書で使用される「外因性」とは、人為的に導入されていることを意味する。これはまた、天然配列、例えば野生型(任意のバリアントを含む)中に、少なくともそれが現在人為的に導入されている場所に存在しないことを意味しうる。例えば、ポリペプチドは、天然タンパク質中で連続しており、外因性プロテアーゼ切断部位、すなわち、連続した天然配列中に存在しない切断部位によって分離されている2つの配列を含んでもよい。別の例として、腫瘍抗原タンパク質に由来する配列を含むペプチド断片を含み、各ペプチド断片の間に外因性プロテアーゼ切断部位を含む、ポリペプチドに関連して、外因性プロテアーゼ切断部位は、人為的に導入された又は腫瘍抗原タンパク質中で、それが現在ある抗原タンパク質のアミノ酸配列内の場所に天然に存在しない切断部位である。
【0103】
投与量が「μg.kg-1」単位で表されている場合、これは、キログラム単位の対象の質量当たりのマイクログラム単位の薬剤の質量を意味することを意図している。したがって、mg.kg-1とは、キログラム単位の対象の質量当たりのミリグラム単位の薬剤の質量を意味することが当業者には明らかとなる。薬剤は、本明細書に列挙された薬剤、すなわち、ポリペプチド、又はがん免疫療法剤のいずれであってもよい。前記治療用及び/又は予防用ポリペプチド及び/又はがん免疫療法剤は、哺乳動物対象、好ましくはヒトに提供することができる。
【0104】
第1の態様では、本発明は、対象においてがんを処置するための方法であって、第1のペプチド断片が第1の腫瘍抗原タンパク質に由来する第1の配列を含み、第2のペプチド断片が第2の腫瘍抗原タンパク質に由来する第2の配列を含む、2個以上のペプチド断片を含むポリペプチドであって、2個以上のペプチド断片の各々の間に位置する1つ又は複数の外因性カテプシン切断部位配列を更に含むポリペプチドを対象に投与する工程と、がん免疫療法剤を対象に投与する工程とを含む方法である。
【0105】
第2の態様では、本発明は、がんの処置における使用のための組成物であって、第1のペプチド断片が第1の腫瘍抗原タンパク質に由来する第1の配列を含み、第2のペプチド断片が第2の腫瘍抗原タンパク質に由来する第2の配列を含む、2個以上のペプチド断片を含むポリペプチドであって、2個以上のペプチド断片の各々の間に位置する1つ又は複数の外因性カテプシン切断部位配列を更に含むポリペプチドを含み、処置が、ポリペプチドと、がん免疫療法剤との共投与を含む、組成物である。
【0106】
本発明のポリペプチドは、特にヒトがんを処置するためのヒト腫瘍抗原タンパク質を念頭に置いているが、これらの教示は、動物におけるがんを処置するための動物腫瘍抗原タンパク質にも同様に関連することが当業者には容易に明白となる。腫瘍抗原タンパク質は、TAA、TSA、又はがん/精巣抗原であってもよく、これらはすべて、腫瘍細胞によってもっぱら又は上昇したレベルで発現され、したがって、ワクチン接種の魅力的な標的となるタンパク質である。
【0107】
本発明の方法又はポリペプチドにおける使用に好適なTAAは、当業者には容易に明白となり、Her2/neu、サバイビン、テロメラーゼ、BING-4、サイクリン-B1、9D7、Ep-CAM、EphA3、メソテリン、SAP-1、カルシウム活性化クロリドチャネル2を含むがこれらに限定されない。本明細書で例示される一実施形態では、TAAは、サバイビンである。サバイビンは典型的なTAAであり、他のTAAを標的とするように設計された本発明のポリペプチド及び方法は、類似した有効性を示し、その理由は、健康細胞よりも腫瘍細胞でより高いレベルで発現される自己抗原であることは、すべてのTAAに共通した特徴であるからである。
【0108】
本発明の方法又はポリペプチドにおける使用に好適なTSAは、当業者には容易に明白となる。TSAは、成人において異所性に発現される発生抗原(development antigen)であってもよい。TSAは、新抗原及び/又は健康細胞によって天然に発現されるタンパク質の変異型であってもよい。TSAは、発がんウイルス起源のがん細胞によって発現される抗原である、ウイルスに由来するがん抗原であってもよい。ヒト発がんウイルスは、ヒトパピローマウイルス(HPV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、カポジ肉腫ヘルペスウイルス(KSHV)、及びヒトT細胞リンパ親和性ウイルス1型(HTLV-1)を含む。
【0109】
一部の実施形態では、ウイルスに由来するがん抗原は、HPV16 E7、HPV18 E7、HPV16 E6、HPV18 E6、EBV EBNA、EBV LMP-1、EBV LMP-2A、HBV HBx、HCV Core、HCV NS3、HCV Ns5A、HTLV-1 Tax、HTVL-1 HZB、KSHV vFLIP、KSHV LANA、KSHV vGPCR、KSHV vIRF-1である。本明細書で例示される一実施形態では、TSAは、HPVに由来するがん抗原E7である。HPV16及びHPV18株由来のE7タンパク質は、特に発がん性である。HPV16 E7が本明細書で例示される。他のTSAを標的とするように設計された本発明のポリペプチド及び方法は、類似した有効性を示し、その理由は、腫瘍細胞によってもっぱら発現され、健康細胞では発現されないことは、すべてのTSAに共通した特徴であるからである。
【0110】
一部の実施形態では、本発明のポリペプチドは、1種の腫瘍抗原タンパク質のみからのペプチド断片を含む。一部の実施形態では、本発明のポリペプチドは、2種以上の腫瘍抗原タンパク質からのペプチド断片を含む。単なる一例として、ポリペプチドは、HPV16 E7に由来する配列を含む1個又は複数のペプチド断片を含み、また、HPV16 E6に由来する配列を含む1個又は複数のペプチド断片を含んでもよい。前記HPV16 E6及びE7ペプチド断片は、外因性プロテアーゼ切断部位配列によって各々分離されていてもよい。
【0111】
本発明は、対象においてがんを処置するための方法であって、第1のペプチド断片が第1の腫瘍抗原タンパク質に由来する第1の配列を含み、第2のペプチド断片が第2の腫瘍抗原タンパク質に由来する第2の配列を含む、2個以上のペプチド断片を含むポリペプチドであって、2個以上のペプチド断片の各々の間に位置する1つ又は複数のプロテアーゼ切断部位配列を更に含むポリペプチドを投与する工程を含み、がん免疫療法剤を対象に投与する工程を更に含む方法である。一部の実施形態では、対象は、哺乳動物である。一部の実施形態では、対象は、ヒトである。一部の実施形態では、ポリペプチドは、第1のペプチド断片が第1の腫瘍抗原タンパク質に由来する第1の配列からなり、第2のペプチド断片が第2の腫瘍抗原タンパク質に由来する第2の配列からなる、2個以上のペプチド断片を含み、2個以上のペプチド断片の各々の間に位置する1つ又は複数のプロテアーゼ切断部位配列を更に含む。
【0112】
第1の配列、第2の配列、及び任意の更なる配列は、サバイビン配列であってもよい。第1の配列、第2の配列、及び任意の更なる配列は、上記に概説したサバイビン配列の全部又は一部のバリアントであってもよい。
【0113】
第1の配列、第2の配列、及び任意の更なる配列は、HPV16 E7配列であってもよい。第1の配列、第2の配列、及び任意の更なる配列は、上記に概説したHPV16 E7配列の全部又は一部のバリアントであってもよい。
【0114】
ポリペプチド及び/又はがん免疫療法剤(総称して、「薬剤」という)の投与は、多様な方式をとることができ、各薬剤は、同じ方式で又は異なる方式で送達することができる。一部の実施形態では、薬剤の1種又は複数は、経口送達、鼻腔噴霧、又は注射によって投与される。一部の実施形態では、注射による送達は、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、又は皮内注射によるものであってもよい。薬剤の1種又は複数の投与は、同時、つまり、単一投与で行われてもよく、別々、つまり、薬剤の少なくとも2種が別々にであるが同じ若しくは異なる時期に投与されてもよく、又は逐次的に、つまり、薬剤のいずれも一緒に投与されなくてもよい。一部の実施形態では、別々にとは、2種以上の薬剤が互いに1分、2分、3分、4分若しくは5分、又はそれ以上以内に送達されることを意味しうる。一部の実施形態では、逐次的にとは、同日に、又は異なる日にを意味しうる。
【0115】
ポリペプチドは、少なくとも2個以上のペプチド断片を含む。一部の実施形態では、これは、3個以上のペプチド断片、4個以上のペプチド断片、5個以上のペプチド断片、6個以上のペプチド断片、7個以上のペプチド断片、8個以上のペプチド断片、9個以上のペプチド断片、10個以上のペプチド断片、11個以上のペプチド断片、又は12個以上のペプチド断片を含んでもよい。一部の実施形態では、これは、12個を超えるペプチド断片を含んでもよい。
【0116】
ポリペプチドは、1種又は複数の腫瘍抗原タンパク質に由来する又はそのバリアントであるペプチド配列を有する少なくとも2個のペプチド断片を有する。ポリペプチドは、同じ配列を有する2個以上のペプチド断片を含んでもよい。このようにある特定のペプチド断片を繰り返すことは、立体配座的に有利でありうる。ポリペプチドは、ペプチド断片配列が互いに少なくとも80%の配列同一性、場合により少なくとも90%の配列同一性を有するという点で、及び/又はペプチド断片配列が最大4、3、2、又は1アミノ酸だけ異なるという点で、実質的に類似した配列を有する2個以上のペプチド断片を含んでもよい。これは、種々のがんに関連する単一ヌクレオチド多型がポリペプチド内に表現されることを可能にすることができる。同様に、ポリペプチドは、配列が1種又は複数の腫瘍抗原タンパク質の別個且つオーバーラップしない部分に由来するという点で、異なる配列を有する2個以上のペプチド断片を含んでもよい。これは、ポリペプチド内に、所与の腫瘍抗原タンパク質内の異なる、場合によりエピトープの配列が表現されること、又は腫瘍に関連する2種以上の腫瘍抗原タンパク質に由来する異なる配列が表現されることを可能にすることができる。一部の実施形態では、ポリペプチドは、オーバーラップする配列を有する2個以上のペプチド断片を含んでもよい。これは、所与の腫瘍抗原タンパク質内の1つ又は複数のエピトープの完全且つ更には多重の網羅を可能にすることができ、HLA型とは無関係に集団において広いT細胞応答を誘発することができるという利点を有する。同様に、ポリペプチドは、複数のペプチド断片を含んでもよく、その一部は同じ配列を有し、その一部は実質的に類似した配列を有し、その一部は異なる配列を有し、その一部はオーバーラップ配列を有し、又はそれらの任意の組合せである。
【0117】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、BIRC5(バキュロウイルスIAPリピート含有タンパク質5(Baculoviral IAP repeat-containing protein 5))としても知られているサバイビンに由来する又はそのバリアントであるペプチド配列を有する少なくとも2個のペプチド断片を有する。サバイビンの例示的なタンパク質配列は、配列番号1として本明細書に含まれる。
【0118】
配列番号1(142アミノ酸)
【化1】
【0119】
これは、サバイビンアイソフォーム1(uniprot識別子O15392-1)に関係するが、一部の実施形態では、配列は、サバイビンアイソフォーム2(uniprot識別子O15392-2、配列番号2)、3(uniprot識別子O15392-3、配列番号3)、4(uniprot識別子O15392-4、配列番号4)、5(uniprot識別子O15392-5、配列番号5)、6(uniprot識別子O15392-6、配列番号6)、又は7(uniprot識別子O15392-7、配列番号7)の1つ又は複数に由来する又はそのバリアントであることができる。
【0120】
配列番号2(165アミノ酸)
【化2】
【0121】
配列番号3(137アミノ酸)
【化3】
【0122】
配列番号4(120アミノ酸)
【化4】
【0123】
配列番号5(117アミノ酸)
【化5】
【0124】
配列番号6(78アミノ酸)
【化6】
【0125】
配列番号7(74アミノ酸)
【化7】
【0126】
上述のペプチドの各々について核酸配列(DNA若しくはRNA、又は両方の混合体)を提供することができること、及びこれを導出することは、当業者にとって日常的であることが、当業者には理解される。例えば、配列番号1をコードするDNA配列を下記に示す。
【0127】
配列番号20(426塩基対)
【化8】
【0128】
サバイビンに由来する第1のペプチド断片及びサバイビンに由来する第2のペプチド断片は、同じアイソフォーム由来、又は異なるアイソフォーム由来、又はそのバリアントでありうる。ポリペプチドのペプチド断片はいずれも、上記に列挙されたアイソフォームのいずれか由来のアミノ酸配列を含むことができる。一部の実施形態では、第1のペプチド断片及び第2のペプチド断片は、それぞれ、第1の配列及び第2の配列を含み、それらの配列は、サバイビン配列の連続した区間由来である。実例として、第1の配列は、配列が由来するタンパク質(例えばサバイビンアイソフォーム1)の残基1から10を含んでもよく、第2の配列は、前記タンパク質配列の残基11から20を含んでもよい、等である。上述のアイソフォームのいずれか由来の任意の残基が、サバイビン又はそのバリアントに由来する第1の配列又は第2の配列の開始点を形成することができる。
【0129】
3個以上のペプチド断片が存在する場合、これらの各々が、サバイビンのバリアントである又はそれに由来するアミノ酸配列を有することが理解される。配列は、ペプチド断片間で同一であってもよく、又は各ペプチド断片間で異なっていてもよい。実例として、第1のペプチド断片は、例えばサバイビンアイソフォーム1由来の残基1から10を含む第1の配列を有してもよく、第2のペプチド断片は、残基11から20を含む第2の配列を有してもよく、第3のペプチド断片は、残基11から20を含む第1の配列を有してもよい。
【0130】
一部の実施形態では、2個以上のペプチド断片はいずれも、「オーバーラップ配列」を含んでもよい。オーバーラップ配列とは、ポリペプチドの2個のペプチド断片の各々において、アミノ酸配列の一部分又は部分配列が同じである、又は実質的に類似していることを意味する。実例として、第1のペプチド断片は、断片が由来するタンパク質(例えばサバイビンアイソフォーム1)のアミノ酸配列の残基1から10を含んでもよく、第2のペプチド断片は、前記タンパク質配列の残基5から15を含んでもよく、したがって、各ペプチド断片が由来するタンパク質配列の残基5から10に対応する各ペプチド断片中の残基は、「オーバーラップ配列」である。これらのオーバーラップ配列を含むポリペプチドは、組換えオーバーラップポリペプチド(ROP)と称される場合がある。ROPは、従来のワクチンに対する利点を提供することが示されている(Cai等、2017、WO2007125371、及びWO2016095812を参照されたい)。
【0131】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、HPV E7に由来する又はそのバリアントであるペプチド配列を有する少なくとも2個のペプチド断片を有する。HPV E7の例示的なタンパク質配列は、配列番号43として本明細書に含まれる。
【0132】
配列番号43(98アミノ酸):
【化9】
【0133】
これは、野生型HPV16 E7に関係する。しかしながら、一部の実施形態では、HPV E7のタンパク質配列は、HPV18 E7(配列番号44)、又は任意のHPVバリアントのE7タンパク質であってもよい。
【0134】
配列番号44(105アミノ酸):
【化10】
【0135】
上述のペプチドの各々について核酸配列(DNA若しくはRNA、又は両方の混合体)を提供することができること、及びこれを導出することは、当業者にとって日常的であることが、当業者には理解される。例えば、配列番号43をコードするDNA配列を下記に示す。
【0136】
配列番号52(294塩基対)
【化11】
【0137】
上記の配列のコドン最適化された配列型を、上記の配列番号52の代わりに使用することができる。
【0138】
HPV E7に由来する第1のペプチド断片及びHPV E7に由来する第2のペプチド断片は、同じウイルスバリアント由来、又は異なるウイルスバリアント由来、又はその配列バリアントでありうる。一部の実施形態では、第1のペプチド断片及び第2のペプチド断片は、それぞれ、第1の配列及び第2の配列を含み、それらの配列は、HPV16 E7配列の連続した区間由来である。実例として、第1の配列は、配列が由来するタンパク質(例えばHPV16 E7)の残基1から10を含んでもよく、第2の配列は、前記タンパク質配列の残基11から20を含んでもよい、等である。上述のアイソフォームのいずれか由来の任意の残基が、HPV16 E7又はそのバリアントに由来する第1の配列又は第2の配列の開始点を形成することができる。
【0139】
3個以上のペプチド断片が存在する場合、これらの各々が、HPV E7のバリアントである又はそれに由来するアミノ酸配列を有することが理解される。配列は、ペプチド断片間で同一であってもよく、又は各ペプチド断片間で異なっていてもよい。実例として、第1のペプチド断片は、例えばHPV16 E7由来の残基1から10を含む第1の配列を有してもよく、第2のペプチド断片は、残基11から20を含む第2の配列を有してもよく、第3のペプチド断片は、残基11から20を含む第1の配列を有してもよい。
【0140】
一部の実施形態では、2個以上のペプチド断片はいずれも、「オーバーラップ配列」を含んでもよい。オーバーラップ配列とは、ポリペプチドの2個のペプチド断片の各々において、アミノ酸配列の一部分又は部分配列が同じである、又は実質的に類似していることを意味する。実例として、第1のペプチド断片は、断片が由来するタンパク質(例えばHPV16 E7)のアミノ酸配列の残基1から10を含んでもよく、第2のペプチド断片は、前記タンパク質配列の残基5から15を含んでもよく、したがって、各ペプチド断片が由来するタンパク質配列の残基5から10に対応する各ペプチド断片中の残基は、「オーバーラップ配列」である。これらのオーバーラップ配列を含むポリペプチドは、組換えオーバーラップポリペプチド(ROP)と称される場合がある。ROPは、従来のワクチンに対する利点を提供することが示されている(Cai等、2017、WO2007125371、及びWO2016095812を参照されたい)。
【0141】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、複数のオーバーラップ配列を含んでもよい。実例として、第1のペプチド断片は、残基1から10を含んでもよく、第2のペプチド断片は、残基5から15を含んでもよく、第3のペプチド断片は、残基11から20を含んでもよい。したがって、この実例では、ポリペプチド中に2つのオーバーラップ配列、具体的には第1及び第2のペプチド断片中の残基5から10、並びに第2及び第3のペプチド断片中の残基11から15が存在する。加えて、又は或いは、1つ又は複数のオーバーラップ配列が存在してもよいが、ペプチド断片のすべてがオーバーラップ配列を含有する必要があるとは限らない。実例として、第1及び第2のペプチド断片は、残基5から10によって定義されるオーバーラップ配列を含有してもよいが、第3のペプチド断片は、残基16から25を含み、したがって、いずれともオーバーラップしなくてもよい。一部の実施形態では、ポリペプチドは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25個又はそれ以上のオーバーラップ配列を含んでもよい。
【0142】
一部の実施形態では、2個以上のペプチド断片のいずれも、オーバーラップしない。一部の実施形態では、ポリペプチドは、オーバーラップ配列を含まない。
【0143】
任意の数のオーバーラップが存在してもよく、これは、ポリペプチドのペプチド断片の数及びサイズによってのみ限定される。
【0144】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、目的のがんの腫瘍抗原タンパク質の全アミノ酸配列を網羅する配列を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、目的のがんの腫瘍抗原タンパク質の目的の部分の全アミノ酸配列を網羅する配列を含む。例えば、目的の部分は、免疫原性である並びに/又はほとんど若しくはすべてのT細胞エピトープ領域及び/若しくは抗体エピトープを含む腫瘍抗原タンパク質の部分であってもよく、別の例として、目的の部分は、細胞外に露出している腫瘍抗原タンパク質の部分であってもよい。一部の実施形態では、ポリペプチドは、腫瘍抗原タンパク質又は目的の部分の少なくとも10%、腫瘍抗原タンパク質又は目的の部分の少なくとも20%、30%、40%、50%、好ましくは腫瘍抗原タンパク質又は目的の部分の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%に相当する配列を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、腫瘍抗原タンパク質又は目的の部分の配列の100%に相当する配列を含む。
【0145】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、野生型腫瘍抗原タンパク質配列(例えば、上記に列挙されたアイソフォームのいずれか、若しくはそのホモログを含めたサバイビン、又は例えば、ウイルスバリアントE7配列のいずれかを含めたHPV E7)と部分的配列同一性を有する配列を有するペプチド断片を含んでもよい。実例として、少なくとも1個のペプチド断片は、腫瘍抗原タンパク質配列の関連する部分と少なくとも99%の同一性を有する配列を含んでもよい。或いは、少なくとも1個のペプチド断片は、腫瘍抗原タンパク質配列の関連する部分と少なくとも98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、又は10%の同一性を有する配列を含んでもよい。「関連する部分」とは、当該ペプチド断片がベースとする腫瘍抗原タンパク質配列の連続した一続きの残基を意味する。実例として、ペプチド断片が腫瘍抗原タンパク質(例としてサバイビンアイソフォーム1を含む)の残基1から10と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む場合、10個の残基のうち9個は腫瘍抗原タンパク質(再び、例としてサバイビン)の残基1から10と同一であり、1個は異なる。同一性百分率が損なわれないことを条件として、任意の残基を入れ替えることができることが、当業者には理解される。更に、重要な残基が維持されることを条件として、より低い同一性百分率が許容されることが、当業者には理解される。
【0146】
2個以上のペプチド断片の各々は、アミノ酸の観点から任意の長さでありうる。2個以上のペプチド断片の各々は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26 27、28、29、30、31、32、33、34、35又はそれ以上のアミノ酸の長さであってもよい。ペプチド断片間のオーバーラップ(すなわち、オーバーラップ配列)は、ペプチド断片の長さによって限定される場合があり、これらのオーバーラップ配列は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又はそれ以上のアミノ酸の長さであってもよい。一部の実施形態では、オーバーラップは、2から31アミノ酸の長さ、場合により少なくとも8アミノ酸の長さである。
【0147】
ポリペプチドの2個以上のペプチド断片は、タンパク質の全配列を網羅する1つ又は複数の配列を含んでもよい。実例として、ポリペプチドは、第1のペプチド断片がサバイビンアイソフォーム1の残基1から71に由来する配列を有し、第2の断片がサバイビンアイソフォーム1の残基72から142に由来する配列を有する、2個のペプチド断片を含んでもよい。ポリペプチドがベースとするサバイビンアイソフォームの全配列を網羅するために任意の数の断片を使用することができることが、当業者には理解される。更なる実例として、ポリペプチドは、第1のペプチド断片がサバイビンアイソフォーム1の残基1から71に由来する第1の配列を有し、第2のペプチド断片がサバイビンアイソフォーム1の残基72から142に由来する第2の配列を有し、第3のペプチド断片がサバイビンアイソフォーム1の残基50から120に由来する第3の配列を有する、3個のポリペプチド断片を含んでもよい。
【0148】
そのようなポリペプチドは、任意の数のオーバーラップ配列を含んでもよく、これは、任意の長さのペプチド断片を含むことができ、ポリペプチド配列は、ペプチド断片が腫瘍抗原タンパク質(例として、上記に概説したサバイビン若しくはそのバリアント又はHPV16 E7若しくはそのバリアントを含む)に由来することを条件として任意の長さでありうる。
【0149】
一部の実施形態では、本発明のポリペプチドは、免疫刺激性である。一部の実施形態では、本発明のポリペプチドのペプチド断片の1個又は複数は、免疫刺激性である。一部の実施形態では、本発明のポリペプチドのペプチド断片内に含まれる配列の1つ又は複数は、免疫刺激性である。本明細書で言及される「免疫刺激性」とは、対象に投与された場合、免疫応答を刺激し、動機付け、引き起こし、及び/又は生じさせることを意味する。好ましい実施形態では、前記免疫応答は、適応免疫応答を含む。一部の実施形態では、前記適応免疫応答は、ポリペプチド並びに/又はそれに含まれる1個若しくは複数のペプチド断片及び/若しくは配列に対する抗体の生成を含む。他の実施形態では、前記適応免疫応答は、CD8+及び/又はCD4+ T細胞の活性化及び/又は増殖を含む。一部の実施形態では、前記適応免疫応答は、ポリペプチド並びに/又はそれに含まれる1個若しくは複数のペプチド断片及び/若しくは配列に対する抗体の生成、並びに、更に、CD8+及び/又はCD4+ T細胞の活性化及び/又は増殖を含む。
【0150】
一実施形態では、ポリペプチドは、サバイビン、又はそのバリアントに由来する配列を各々含む、2個以上のペプチド断片を含み、ポリペプチドは、T細胞応答を刺激する。一部の実施形態では、サバイビン、又はそのバリアントに由来する配列を各々含む、前記2個以上のペプチド断片は、以下の配列:
配列番号8(30アミノ酸)
【化12】
【0151】
配列番号9(30アミノ酸)
【化13】
【0152】
配列番号10(28アミノ酸)
【化14】
【0153】
配列番号11(29アミノ酸)
【化15】
【0154】
配列番号12(30アミノ酸)
【化16】
【0155】
配列番号13(28アミノ酸)
【化17】
【0156】
配列番号14(29アミノ酸)
【化18】
【0157】
配列番号15(30アミノ酸)
【化19】
【0158】
配列番号16(21アミノ酸)
【化20】
【0159】
の1つ又は複数を含み、場合により、ポリペプチドは、免疫応答を誘発することができる又は上記に定義された通り免疫刺激性である。
【0160】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、サバイビン又はそのバリアントに由来する配列から各々なる、2個以上のペプチド断片を含み、ポリペプチドは、T細胞応答を刺激する。一部の実施形態では、前記2個以上のペプチド断片は、配列番号8から16の配列の1つ又は複数からなる。
【0161】
一実施形態では、ポリペプチドは、HPV16 E7、又はそのバリアントに由来する配列を各々含む、2個以上のペプチド断片を含み、ポリペプチドは、T細胞応答を刺激する。一部の実施形態では、HPV16 E7、又はそのバリアントに由来する配列を各々含む、前記2個以上のペプチド断片は、以下の配列:
配列番号45(35アミノ酸):
【化21】
【0162】
配列番号46(35アミノ酸):
【化22】
【0163】
配列番号47(35アミノ酸):
【化23】
【0164】
配列番号48(23アミノ酸):
【化24】
【0165】
の1つ又は複数を含み、場合により、ポリペプチドは、免疫応答を誘発することができる又は上記に定義された通り免疫刺激性である。
【0166】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、HPV16 E7又はそのバリアントに由来する配列から各々なる、2個以上のペプチド断片を含み、ポリペプチドは、T細胞応答を刺激する。一部の実施形態では、前記2個以上のペプチド断片は、配列番号45から48の配列の1つ又は複数からなる。
【0167】
ペプチド断片は、ポリペプチド内に任意の順序で出現しうる。
【0168】
先に論じた通り、これらの配列の1つ又は複数は、腫瘍抗原タンパク質に由来し、したがって、上記に概説した通り、それと部分的配列同一性のみを有してもよい。先に論じた通り、核酸配列(DNA、RNA、又は両方の混合物のいずれかの)は、当業者が容易に導出することができる)。
【0169】
先に論じた通り、ポリペプチドは、1つ又は複数のオーバーラップ配列を含んでもよい。更なる実例として、ポリペプチドが第1の配列を有する第1のペプチド断片を含み、第1の配列が配列番号8であり、ポリペプチドが第2の配列を有する第2のペプチド断片を含み、第2の配列が配列番号9である場合、ポリペプチドは、各ペプチド断片において同じである1つのオーバーラップ配列を有する。この事例では、オーバーラップ配列は、以下のアミノ酸配列である:
【化25】
【0170】
1つ又は複数のプロテアーゼ切断部位配列が、本発明のポリペプチドの2個以上のペプチド断片の各々の間に位置する。好ましい実施形態では、1つ又は複数のプロテアーゼ切断部位配列は、ポリペプチドが宿主内でそのペプチド断片に切断されうるように、ポリペプチドが投与される標的又は宿主又は対象又は患者中に存在するプロテアーゼの切断部位配列である。前記プロテアーゼは、細胞外で又は、より好ましくは、細胞内で作用しうる。前記プロテアーゼは、ポリペプチド又はそのコード核酸と組み合わせて送達される非宿主プロテアーゼであってもよい。より好ましくは、前記プロテアーゼは、宿主プロテアーゼである。宿主プロテアーゼは、構成的に存在する、誘導時のみ存在する、又はその他でありうる。
【0171】
一部の実施形態では、前記1つ又は複数のプロテアーゼ切断部位配列は、第Xa因子消化部位、場合によりIle-Glu-Gly-Argであってもよい。この配列は、Argの後で切断される。一部の実施形態では、前記1つ又は複数のプロテアーゼ切断部位配列は、HRV 3 Cプロテアーゼ、場合によりLeu-Glu-Val-Leu-Phe-Gln/Gly-Proであってもよく、切断は、グルタミル残基とグリシル残基との間で起こる。一部の実施形態では、前記1つ又は複数のプロテアーゼ切断部位配列は、HIVプロテアーゼであってもよい。一部の実施形態では、前記1つ又は複数のプロテアーゼ切断部位配列は、メタロプロテイナーゼであってもよい。一部の実施形態では、前記1つ又は複数のプロテアーゼ切断部位配列は、トリプターゼであってもよい。一部の実施形態では、前記1つ又は複数のプロテアーゼ切断部位配列は、他のプロテアーゼ、例えばカテプシン(S、L及びB等)、CD13(ヒトアミノペプチダーゼN)であってもよい。
【0172】
一部の実施形態では、前記1つ又は複数のプロテアーゼ切断部位配列は、カテプシンの切断部位配列であってもよい。より好ましい実施形態では、1つ又は複数のプロテアーゼ切断部位配列は、カテプシンSの切断部位配列である。カテプシンSは、Arg-Cys-Gly-Leu、Thr-Val-Gly-Leu、Thr-Val-Gln-Leu、X-Asn-Leu-Arg、X-Pro-Leu-Arg、X-Ile-Val-Gln、及びX-Arg-Met-Lysを含むがこれらに限定されない、いくつかのアミノ酸配列を認識し、そこで切断し、それらのいずれかを本発明において使用することができる。一部の実施形態では、1つ又は複数のプロテアーゼ切断部位は、任意の数の、上述のものの任意の組合せであってもよい。実例として、ポリペプチドは、1つ又は複数のプロテアーゼ切断部位によって各々分離された、6個のペプチド断片を含んでもよく、1つ又は複数のプロテアーゼ切断部位は、4つのカテプシンS切断部位、トリプターゼ切断部位、及びメタロプロテイナーゼ(又はメタロプロテアーゼ)切断部位を含む。
【0173】
本発明の好ましい実施形態では、X-Arg-Met-Lysがプロテアーゼ切断部位配列であり、より好ましくは、Leu-Arg-Met-Lys(「LRMK」、配列番号17)がプロテアーゼ切断部位配列である。LRMKは、カテプシンSの好ましい認識部位基質である(Xu等、2009;Kallinteris等、2005)。一部の実施形態では、プロテアーゼ切断部位配列は、配列番号17のLRMK配列を含む。一部の実施形態では、プロテアーゼ切断部位配列は、配列番号17のLRMK配列からなる。
【0174】
本発明の一実施形態では、カテプシンSのLeu-Arg-Met-Lys「LRMK」切断部位配列が、1つ又は複数のプロテアーゼ切断部位配列として使用され、以下のアミノ酸配列を有する:
配列番号17(4アミノ酸):
【化26】
【0175】
CD8+ T細胞(「細胞傷害性Tリンパ球」、「CTL」ともいう)は、罹患及び/又は感染細胞を標的とし、溶解する。伝統的に、MHCクラスI分子は、CD8+ T細胞の認識及び活性化のために細胞内起源の断片を提示すると理解され、例えば、がん性細胞は、MHCクラスI細胞上に、異常に発現された細胞内タンパク質のプロテアソーム消化の断片化産物を提示しうる。CD4+ T細胞は、T細胞及びB細胞を含め、他の免疫細胞の活性化及び増大を助ける。伝統的に、MHCクラスII分子は、CD4+ T細胞に、提示のために抗原提示細胞によって内在化された細胞外起源の断片を提示すると理解される。より最近では、これらの伝統的経路に加えて交差提示が起こることが知られていると示されており、それにより、内在化された細胞外断片がMHCクラスI分子上に提示され、その逆もまた同様でありうる。
【0176】
プロテアーゼによって切断された本発明のペプチド断片は、プロセシングされ、例えばMHCクラスI及びクラスII分子を介して、免疫系の細胞に提示されうる。本発明のペプチド断片に由来するアミノ酸配列は、CD8+及びCD4+ T細胞を、それぞれ、MHCクラスI及びクラスII分子を介したその提示を介して刺激する。
【0177】
一部の実施形態では、本発明のポリペプチドは、T細胞応答を刺激するのに極めて有効である。一部の実施形態では、ポリペプチドは、CD8+ T細胞応答を刺激する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、CD4+ T細胞応答を刺激する。一部の実施形態では、本発明のポリペプチドは、CD8+及びCD4+ T細胞応答の両方を刺激する。
【0178】
本発明のポリペプチドは、オーバーラップペプチド断片を含み、これは、T細胞応答を更に強化する(Zhang等、2009)。更に、オーバーラップペプチドの使用により、潜在的なT細胞エピトープの範囲がより包括的に表現される。
【0179】
集団内のT細胞受容体及びMHCレパートリーの遺伝的多様性とは、CD4+及び/又はCD8+ T細胞に提示され、及び/又はそれによって認識される配列に集団全体での多様性が存在しうることを意味する。本発明の複数且つオーバーラップするペプチド断片は、1つ又は複数のエピトープをタイリングする、又はより広く網羅する能力により、及び免疫認識の代替的な選択肢を提供することによって、この多様性を補う。
【0180】
例示的な一実施形態では、本発明のポリペプチドは、以下の配列を有し、ヒトサバイビンアイソフォーム1に由来するペプチド断片を含む:
配列番号18(287アミノ酸)
【化27】
【0181】
例示的な一実施形態では、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、以下の配列(この例示的な実施形態では、5'末端に付加された2つの制限エンドヌクレアーゼ部位(太字で示されたBam HI及び下線付き文字で示されたNde I)を有し、また、3'末端に付加された1つの制限エンドヌクレアーゼ部位(下線付き文字で示されたXho I)を有する配列)を有する:
配列番号19(879塩基対)
【化28】
【0182】
上述の実施形態では、8つのオーバーラップ配列を含む9個のペプチド断片が存在し、ペプチド断片の各々は、LRMKリンカーによって分離されていることが、当業者によって理解される。上述の実施形態では、ヒトサバイビンの完全な配列が、9個のペプチド断片によって網羅される。本発明の目的では、ペプチド断片の順序は重要ではない。本発明の目的では、ペプチド断片の数は、2個以上でなければならない。これらのペプチド断片は、サバイビンに由来することに留意すべきであり、「に由来する」の意味は、上記で詳細に説明されている。これらのペプチド断片はまた、上記に概説した通り、サバイビンのバリアントに由来してもよく、又はサバイビンに由来する断片のバリアントであってもよい。
【0183】
本発明の一実施形態では、ポリペプチドは、LRMKプロテアーゼ切断部位によって各々分離された配列番号8、9、10、11、12、13、14、15、及び16を含む。本発明の一実施形態では、ポリペプチドは、LRMKプロテアーゼ切断部位によって各々分離された配列番号8、9、10、11、12、13、14、15、及び16の1つ又は複数のバリアント(上記に定義された)を含む。
【0184】
別の例示的な実施形態では、本発明のポリペプチドは、以下の配列を有する:
配列番号49(140アミノ酸):
【化29】
【0185】
例示的な一実施形態では、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、以下の配列を有する:
配列番号50(423塩基対):
【化30】
【0186】
上述の実施形態では、3つのオーバーラップ配列を含む4個のペプチド断片が存在し、ペプチド断片の各々は、LRMKリンカーによって分離されていることが、当業者によって理解される。本発明の目的では、ペプチド断片の順序は重要ではない。本発明の目的では、ペプチド断片の数は、2個以上でなければならない。これらのペプチド断片は、サバイビンに由来することに留意すべきであり、「に由来する」の意味は、上記で詳細に説明されている。これらのペプチド断片はまた、上記に概説した通り、サバイビンのバリアントに由来してもよく、又はサバイビンに由来する断片のバリアントであってもよい。
【0187】
本発明の一実施形態では、ポリペプチドは、LRMKプロテアーゼ切断部位によって各々分離された、配列番号45、46、47、及び48を含む。本発明の一実施形態では、ポリペプチドは、LRMKプロテアーゼ切断部位によって各々分離された配列番号45、46、47、及び48の1つ又は複数のバリアント(上記に定義された)を含む。
【0188】
同じ論理によって、本発明のポリペプチドは、マウスにおける使用のために構築及び/又は発現させてもよい。一実施形態では、ポリペプチドは、ポリペプチドが、場合によりオーバーラップ配列によって、完全なマウスサバイビン配列を網羅するように、マウスサバイビンに由来するペプチド断片を含む。一実施形態では、ポリペプチドは、以下の配列を有し、マウスサバイビンに由来するペプチド断片を有する:
配列番号51(279アミノ酸):
【化31】
【0189】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、タグを更に含む。タグは、当業者に公知の任意のタグでありうる。例えば、タグは、mycタグ、HISタグ、FLAGタグ、GFP(又はそれに関係する他の任意の組換え蛍光タンパク質)、HAタグ、GSTタグ、又はV5タグであってもよい。タグは、サンプル中のポリペプチドの検出に又はその他ポリペプチドの製造中に適用される単離及び精製技法に有用でありうる。タグを認識する抗体は、当技術分野で広く知られており、広く購入可能である。
【0190】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(DNA、RNA、又は両方の混合物のいずれか)として提供される。そのようなポリヌクレオチドは、本発明の方法のいずれかにおいてポリペプチドの代わりに使用することができる。例えば、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、がん免疫療法剤と対象に共投与することができ、投与されたら、事実上ポリペプチドが対象に投与されたように、本発明のポリペプチドの発現を引き起こす。
【0191】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、組換えポリペプチドであってもよい。以下の節において、配列番号18の配列を有する上記のポリペプチドは、「S-ポリペプチド」と称される。「S-ポリペプチド」、「ROP-サバイビン」、及び「サバイビンROP」という用語は、本明細書では区別なく使用することができる。配列番号49の配列を有する上記のポリペプチドは、「ROP-HPV」と称される。
【0192】
一部の実施形態では、がん免疫療法剤は、TNFRスーパーファミリーアゴニストである。TNFRスーパーファミリーアゴニストは、TNFRスーパーファミリーのメンバーを活性化、上方調節、又は刺激する任意の分子、抗体若しくはその断片、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質でありうる。実例として、アゴニストは、以下の標的:HVEM、CD40、OX40、4-1BB、CD30、GITR、TNFR2、及び/又はDR3の1つ又は複数に作用しうる。TNFRスーパーファミリーアゴニストは、TNFRスーパーファミリーメンバーを直接アゴナイズすることができ、若しくは他のTNFRスーパーファミリーリガンドの作用の作用をアロステリックに増強することができ、又は両方である。好適なアゴニストは、当業者がIUPHARデータベース(www.guidetopharmacology.org)で容易に見出すことができる。一部の実施形態では、TNFRスーパーファミリーアゴニストは、HVEMアゴニスト、CD40アゴニスト、OX40アゴニスト、4-1BBアゴニスト、CD30アゴニスト、GITRアゴニスト、TNFR2アゴニスト、及び/又はDR3アゴニストである。本発明のポリペプチドは、上記のTNFRスーパーファミリーアゴニストのいずれかと共投与された場合、前記アゴニストの効力及び/又は最大の有効性を増加させる。
【0193】
一部の実施形態では、TNFRスーパーファミリーアゴニストは、4-1BBの作用を増強、上方調節、又は刺激するように作用する4-1BBアゴニストである。4-1BBは、がんを処置するための免疫療法における潜在的な治療標的として研究されている。4-1BBアゴニストは、ペプチド若しくはその断片、糖タンパク質若しくはその断片、抗体若しくはその断片、又は小分子であってもよい。いくつかの4-1BBアゴニストが、当技術分野で実証されている。実例として、以下の分子は、公知の4-1BBアゴニストである:4-1BBリガンド、ウトミルマブ、及びウレルマブ。上記に列挙されたものを含め、任意の4-1BBアゴニストを、本発明のポリペプチド(例えばS-ポリペプチド又はROP-HPV)と組み合わせて投与することができる。
【0194】
一部の実施形態では、がん免疫療法剤は、PD-1に作用するチェックポイント阻害剤である。PD-1は、がんを処置するための潜在的な治療標的として研究されている。チェックポイント阻害剤は、ペプチド若しくはその断片、糖タンパク質若しくはその断片、抗体若しくはその断片、又は小分子であってもよい。PD-1に作用するいくつかのチェックポイント阻害剤が、当技術分野で実証されている。実例として、以下の分子は、公知のPD-1阻害剤である:AUNP-12、ペムブロリズマブ、チスレリズマブ、スパルタリズマブ、ニボルマブ、及びセミプリマブ。上記に列挙されたものを含め、任意のチェックポイント阻害剤を、本発明のポリペプチド(例えばS-ポリペプチド又はROP-HPV)と組み合わせて投与することができる。
【0195】
他の実施形態では、がん免疫療法剤は、PDL1に作用するチェックポイント阻害剤である。PDL1は、がんを処置するための潜在的な治療標的として研究されている。チェックポイント阻害剤は、ペプチド若しくはその断片、糖タンパク質若しくはその断片、抗体若しくはその断片、又は小分子であってもよい。PDL1に作用するいくつかのチェックポイント阻害剤が、当技術分野で実証されている。実例として、アテゾリズマブは、PDL1阻害剤として知られている。上記に列挙されたものを含め、任意のチェックポイント阻害剤を、本発明のポリペプチド(例えばS-ポリペプチド又はROP-HPV)と組み合わせて投与することができる。
【0196】
他の実施形態では、がん免疫療法剤は、CTLA-4に作用するチェックポイント阻害剤である。CTLA-4は、がんを処置するための潜在的な治療標的として研究されている。チェックポイント阻害剤は、ペプチド若しくはその断片、糖タンパク質若しくはその断片、抗体若しくはその断片、又は小分子であってもよい。CTLA-4に作用するいくつかのチェックポイント阻害剤が、当技術分野で実証されている。実例として、イピリムマブ及びトレメリムマブは、CTLA-4阻害剤として知られている。上記に列挙されたものを含め、任意のチェックポイント阻害剤を、本発明のポリペプチド(例えばS-ポリペプチド又はROP-HPV)と組み合わせて投与することができる。
【0197】
本発明のポリペプチド(例えばS-ポリペプチド又はROP-HPV)を投与する場合、前記ポリペプチドの投与量は、処置されるべきがん、その重症度及び経過、前記処置が防止的であるか否か、患者の臨床プロファイル及び病歴、並びに熟練した医師の判断、経験、及び裁量に応じて決まる。処置は、1回のみ、又は処置の過程にわたって複数回、所望の転帰が達成されるまで行うことができる。この事例では、所望の転帰は、がん性腫瘍の縮小又は排除である。一部の実施形態では、ポリペプチドの各投与は、1から2000μg.kg-1のポリペプチド、好ましくは1から1000μg.kg-1、又は1から100μg.kg-1、より好ましくは5から20μg.kg-1を含む。一部の実施形態では、各投与におけるポリペプチドの量は、1μgから10000μg、好ましくは100μgから2000μg、好ましくは250μgから1000μgであってもよい。特定の対象への投与のためのそのようなポリペプチド(すなわち、本発明のポリペプチド、例えばS-ポリペプチド又はROP-HPV)の適切な量は、当業者に公知の技法を使用する日常的な実験から導出することができる。
【0198】
本明細書に記載された発明は、ポリペプチド、例えばS-ポリペプチド又はROP-HPVと、TNFRスーパーファミリーアゴニスト及びチェックポイント阻害剤の両方に関連する毒性副作用を避けながら、がんの療法に有効な量のがん免疫療法剤との共投与を含む。一部の実施形態では、TNFRスーパーファミリーアゴニストは、4-1BBアゴニストであり、4-1BBアゴニストは、ポリペプチドの前に、その後に、又はそれと同時に、対象に対して非毒性の用量で投与される。4-1BBアゴニストは、ある特定の閾値を超える用量でヒトに対して毒性であることが知られている。4-1BBアゴニストの有効性は、その毒性に比例することが示されている(Qi, X.、Li, F.、Wu, Y.等(2019)を参照されたい)。例えば、ウトミルマブは、低い有効性及び低い毒性を有する一方、ウレルマブは、非常に効果的であるが、0.3mg.kg-1以上の用量で肝臓毒性を引き起こし、1mg.kg-1以上の用量で重度の肝臓毒性を引き起こす(Timmerman等(2020);Segal等(2017))。最近の研究により、ヒト患者におけるウレルマブの最大耐用量はわずか0.1mg.kg-1に設定され(Timmerman等(2020))、そのような用量では、有効性が低い。
【0199】
本発明において、本発明のポリペプチド、例えばS-ポリペプチドと、4-1BBアゴニストとの共投与は、4-1BBアゴニストがヒトに対して非毒性の用量、又は1mg.kg-1未満、場合により0.3mg.kg-1未満で投与された場合でも、強力な抗腫瘍活性を有する。一部の実施形態では、ポリペプチド、例えばS-ポリペプチドは、ある用量の4-1BBアゴニストと共投与され、用量は、10mg.kg-1未満、好ましくは1mg.kg-1未満、0.6mg.kg-1未満、0.3mg.kg-1未満、0.1mg.kg-1未満である。本明細書に列挙された4-1BBアゴニストの用量のいずれかを、上記に概説した投与量のポリペプチド、例えばS-ポリペプチド、すなわち、1から2000μg.kg-1のポリペプチド、好ましくは1から1000μg.kg-1、又は1から100μg.kg-1、より好ましくは5から20μg.kg-1の投与と組み合わせることができることが、当業者によって理解される。一部の実施形態では、各投与におけるポリペプチドの量は、1μgから10000μg、好ましくは100μgから2000μg、好ましくは250μgから1000μgであってもよい。同じく、4-1BBアゴニストの投与量は、選択されたアゴニスト及びその毒性プロファイル、処置されるべきがん、その重症度及び経過、前記処置が防止的であるか否か、患者の臨床プロファイル及び病歴、並びに熟練した医師の判断、経験、及び裁量に応じて決まること、並びに何らかの特定の状況のための投薬レジームは、当業者にとって容易に導出可能であることが理解される。ウトミルマブは、用量を限定する肝臓毒性を有することが示されておらず、したがって、ウレルマブよりも高い用量で投与することができる。しかしながら、ウトミルマブの有効性は、本発明のポリペプチド、例えばS-ポリペプチドとの共投与によって改善することができる。任意のTNFRスーパーファミリーアゴニストと、ポリペプチド、例えばS-ポリペプチド又はROP-HPVとの共投与により、がんのより効果的な処置が得られる。
【0200】
一部の実施形態では、本発明のポリペプチド(例えばS-ポリペプチド又はROP-HPV)は、チェックポイント阻害剤と共投与される。チェックポイント阻害剤は、PD-1の阻害剤であってもよく、ポリペプチド(例えばS-ポリペプチド又はROP-HPV)の投与の前に、それと同時に、又はその後に、及び/又は対象に対して非毒性の用量で投与することができる。本明細書に列挙されたチェックポイント阻害剤の用量のいずれかを、上記に概説した投与量のポリペプチド(例えばS-ポリペプチド又はROP-HPV)、すなわち、1から2000μg.kg-1のポリペプチド、好ましくは1から1000μg.kg-1、又は1から100μg.kg-1、より好ましくは5から20μg.kg-1の投与と組み合わせることができることが、当業者によって理解される。一部の実施形態では、各投与におけるポリペプチドの量は、1μgから10000μg、好ましくは100μgから2000μg、好ましくは250μgから1000μgであってもよい。同じく、チェックポイント阻害剤の投与量は、選択された阻害剤及びその毒性プロファイル、処置されるべきがん、その重症度及び経過、前記処置が防止的であるか否か、患者の臨床プロファイル及び病歴、並びに熟練した医師の判断、経験、及び裁量に応じて決まること、並びに何らかの特定の状況のための投薬レジームは、当業者にとって容易に導出可能であることが理解される。一般的なチェックポイント阻害剤及びその毒性プロファイルの総説については、Spiers, Laura等、「Toxicities associated with checkpoint inhibitors-an overview.」Rheumatology(Oxford、英国)第58巻、補遺7(2019)を参照されたい。任意のチェックポイント阻害剤と、S-ポリペプチドとの共投与により、がんのより効果的な処置が得られる。
【0201】
本発明のポリペプチド(例えばS-ポリペプチド又はROP-HPV)と、TNFRスーパーファミリーアゴニスト又はチェックポイント阻害剤のいずれかとの投与は、周期的に繰り返すことができる。一部の実施形態では、本発明のポリペプチド(例えばS-ポリペプチド又はROP-HPV)と、がん免疫療法剤(TNFRスーパーファミリーアゴニスト又はチェックポイント阻害剤)との投与は、毎日、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日又はそれ以上の日ごとに繰り返される。一部の実施形態では、本発明のポリペプチド(例えばS-ポリペプチド又はROP-HPV)と、がん免疫療法剤(TNFRスーパーファミリーアゴニスト又はチェックポイント阻害剤)との投与は、毎日、毎週、2週間ごとに、3週間ごとに、毎月、又は3か月ごとに繰り返される。
【0202】
一実施形態では、本発明のポリペプチド(例えばS-ポリペプチド又はROP-HPV)、及び/又は本明細書の上記に定義されたがん免疫療法剤を含む、組成物又は医薬組成物が提供される。一部の実施形態では、組成物又は医薬組成物は、薬学的に許容される送達ビヒクルを追加的に含む。本発明のポリペプチド(例えばS-ポリペプチド又はROP-HPV)及び/又は本発明のポリヌクレオチドは、前記送達ビヒクルによって対象に投与することができる。同じく、がん免疫療法剤もまた、同じ又は異なる薬学的に許容される送達ビヒクル中で送達することができる。一実施形態では、薬学的に許容される送達ビヒクルは、ウイルスベクターであり、例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、MVA、HSVであるが、これらに限定されない。別の実施形態では、薬学的に許容される送達ビヒクルは、細菌ベクターであり、例えば、リステリア属種(Listeria spp.)、サルモネラ属種(Salmonella spp.)であるが、これらに限定されない。別の実施形態では、薬学的に許容される送達ビヒクルは、プラスミド、ナノ粒子、リポ粒子(lipoparticle)、ポリマー粒子、又はウイルス様粒子である。
【0203】
一実施形態では、組成物又は医薬組成物は、場合により、1種又は複数の薬学的に許容される担体(又は賦形剤)を含む。本明細書に記載された異なる形態の医薬組成物のためのそのような好適な賦形剤の例は、「Handbook of Pharmaceutical Excipients」、第2版、(1994)、A Wade及びPJ Weller編において見出すことができる。組成物又は医薬組成物は、1種又は複数の追加の成分を含んでもよい。一実施形態では、担体は、注射送達に好適である。別の実施形態では、担体は、肺送達に好適である。別の実施形態では、担体は、経口送達に好適である。一実施形態では、組成物又は医薬組成物は、治療的に活性な薬剤を追加的に含む。一実施形態では、組成物又は医薬組成物は、場合により、1種又は複数の薬学的に許容されるアジュバントを含む。好適なアジュバントは、当業者によって理解される。一実施形態では、薬学的に許容されるアジュバントは、モノホスホリルリピドA(MPL)、アラム、AS501、montanide、CpG、ICLCの非網羅的なリストから選択することができる。一実施形態では、組成物又は医薬組成物は、場合により、1種又は複数の薬学的に許容される希釈剤、賦形剤又は担体と混和される。
【0204】
一部の実施形態では、がんは、悪性又は良性であってもよく、原発性又は続発性であってもよい。本発明は、防止的処置又は治癒的処置のいずれかとして使用することができる。一部の実施形態では、がんは、サバイビンを発現する任意のがんである。そのようながんの実例は、肺、食道、乳房、膵臓、卵巣、子宮、皮膚、腸、肝臓、胃、膀胱、腎臓、頭頸部、前立腺、結腸直腸及び口腔のがん、並びに血液がん、例えば急性骨髄性白血病及び急性リンパ性白血病を含む。がんが、本発明のポリペプチド(例えばS-ポリペプチド又はROP-HPV)と、本明細書に記載されたがん免疫療法剤との共投与で処置可能であるか否かを確かめることは、当業者にとって日常的である。
【0205】
がんの処置における使用のための組成物であって、前述の実施形態のいずれかのポリペプチド(例えばS-ポリペプチド又はROP-HPV)を含み、がんを処置する方法が、ポリペプチドと、先の実施形態のいずれかに概説したがん免疫療法剤との共投与を含む、組成物もまた、本発明に包含される。
【0206】
がんの処置における使用のためのポリペプチドであって、本明細書に詳細に記載された発明のポリペプチドであり、がんを処置する方法が、ポリペプチドと、先の実施形態のいずれかに概説したがん免疫療法剤との共投与を含む、ポリペプチドもまた、本発明に包含される。
【0207】
一部の実施形態では、本発明は、がんを処置するための組合せ療法における使用のための組成物であって、前述の実施形態のいずれかのポリペプチド(例えばS-ポリペプチド又はROP-HPV)を含み、組合せ療法が、ポリペプチドと、先の実施形態のいずれかに概説したがん免疫療法剤との共投与を含む、組成物を提供する。
【0208】
がんを処置する方法における使用のためのがん免疫療法剤であって、前述の実施形態のいずれかの4-1BBアゴニスト又はPD-1阻害剤を含み、がんを処置する方法が、がん免疫療法剤と、先の実施形態のいずれかに概説したポリペプチド(例えばS-ポリペプチド)との共投与を含む、がん免疫療法剤もまた、本発明に包含される。一部の実施形態では、本発明は、がんを処置するための組合せ療法における使用のためのがん免疫療法剤であって、前述の実施形態のいずれかの4-1BBアゴニスト又はPD-1阻害剤を含み、組合せ療法が、がん免疫療法剤と、先の実施形態のいずれかに概説した本発明のポリペプチド(例えばS-ポリペプチド)との共投与を含む、がん免疫療法剤を提供する。
【0209】
本発明はまた、先の実施形態のいずれかに概説したがん免疫療法剤と組み合わせて使用するための組成物を包含する。
【0210】
がんを処置する方法における使用のための組成物であって、先行するいずれかの実施形態のポリペプチド(例えばS-ポリペプチド又はROP-HPV)を含み、がんを処置する方法が、ポリペプチドと、先の実施形態のいずれかに概説したがん免疫療法剤とを別々に、逐次的に、又は同時に投与することを含む、組成物もまた、本発明に包含される。
【0211】
がんを処置するためのキットであって、先行する実施形態のいずれかのポリペプチド(例えばS-ポリペプチド又はROP-HPV)と、上記に概説した先行する実施形態のいずれかに記載されたがん免疫療法剤とを含むキットもまた、本発明に包含される。
【0212】
がんが本明細書に記載された発明の処置方法、組成物、及び共投与に従う処置に好適であるか否かを決定する方法であって、i)第1のペプチド断片が腫瘍抗原に由来する第1の配列を含み、第2のペプチド断片が腫瘍抗原に由来する第2の配列を含む、2個以上のペプチド断片を含むポリペプチドであって、2個以上のペプチド断片の各々の間に位置する1つ又は複数の外因性カテプシン切断部位配列を更に含むポリペプチドを対象又はin vitroサンプルに投与する工程と、ii)がん免疫療法剤を対象又はin vitroサンプルに投与する工程と、iii)前記対象又はin vitroサンプルにおいてT細胞刺激を測定する工程とを含む方法もまた、本発明に包含される。T細胞刺激は、処置の成功と相関するものである。
【0213】
前記in vitroサンプルは、患者又は対象から単離された生検材料であってもよい。
【0214】
本発明を、以下の非限定的な実施例を参照することによって説明する。
【実施例1】
【0215】
組換えオーバーラップタンパク質の設計、発現、及び精製
組換えオーバーラップペプチドの設計
目的のタンパク質に由来し、融合タンパク質の対象への投与後に最終的に細胞内に遊離される、20から35アミノ酸の長さのペプチド断片を同定することによって、融合タンパク質を設計した。一部の実施形態では、ペプチド断片は、オーバーラップ配列を有しており、したがって、そのような融合タンパク質は、「組換えオーバーラップペプチド」又は「ROP」として知られている。一部の実施形態では、ペプチド断片は、合わせると、目的のタンパク質の全配列を網羅したが、他の実施形態では、目的のタンパク質の最も免疫原性に関連する区間のみがペプチド断片中に表現された。次いで、ペプチド断片を、LRMK配列を介してタンデムに連結した。
【0216】
ROP-サバイビン:
ヒトサバイビンタンパク質配列(配列番号1、Uniprot.識別子O15392-1)を使用して、組換えオーバーラップタンパク質(「ROP」)(配列番号18)を含むポリペプチドワクチンを設計した。「ROP-サバイビン」と名付けられたこのROPは、カテプシンSのLRMK切断配列を介して各々次に連結された、9個のペプチド断片(「PF」)を含み、その結果、カテプシンSによる消化時に、PFが細胞内に遊離されうる。各PFにROP内の連続的なアミノ酸位置に応じて1から9の番号を付け、PF1がN末端に最も近接したPFであり、PF9がC末端に最も近接している。PFの配列は、以下の通りである:
【表1】
【0217】
PF1から9は、ヒトサバイビンタンパク質アイソフォーム1(配列番号1)由来の配列を含有し、PFが前記タンパク質の配列の全体を網羅し、各PFが少なくとも1個の他のPFと部分的配列を共有する(すなわち、「オーバーラップ配列」を有する)ように設計される。例えば、PF1は、ヒトサバイビンタンパク質のアミノ酸1から30を含有し、PF2は、ヒトサバイビンタンパク質のアミノ酸16から45を含有し、その結果、いずれもアミノ酸16から30、すなわち、いわゆる「オーバーラップ配列」を含有する。
【0218】
ROP-サバイビンの完全な配列は、配列番号18である。
【0219】
mROP-サバイビン:
マウスサバイビンに由来するペプチド断片を有するマウスROP-サバイビン(「mROP-サバイビン」)もまた設計及び製造し、これは、以下の通りの配列を有する8個のPFを有していた:
【表2】
【0220】
mROP-サバイビンの完全な配列は、配列番号51である。
【0221】
ROP-HPV16 E7:
ROP-HPV16 E7は、以下の通りの配列を有する4個のPFを含む:
【表3】
【0222】
PF1から4は、HPV16 E7タンパク質(配列番号43)由来の配列を含有し、PFが前記タンパク質の配列の全体を網羅し、各PFが少なくとも1個の他のPFと部分的配列を共有する(すなわち、「オーバーラップ配列」を有する)ように設計される。例えば、PF1は、HPV16 E7タンパク質のアミノ酸1から35を含有し、PF2は、HPV16 E7タンパク質のアミノ酸26から61を含有し、その結果、いずれもアミノ酸26から35、すなわち、いわゆる「オーバーラップ配列」を含有する。
【0223】
ROP-HPV16 E7の完全な配列は、配列番号49である。
【0224】
分子クローニング
設計された融合タンパク質に対応するように成分遺伝子断片を設計し、大腸菌における発現のためにコドン最適化した。融合タンパク質の全遺伝子配列をPCRによって断片から構築し、産物を電気泳動により検証した。産物を、1×TAEバッファーを含むアガロース回収ゲル上での水平電気泳動によって単離した。
【0225】
具体的な反応条件をROP-サバイビン及びROP-HPV16 E7について以下の通り提供する:
【0226】
ROP-サバイビン:
設計されたROPを構築するために、本発明者等は、大腸菌における発現のためにコドンが最適化された、以下の22個の合成遺伝子断片(配列番号21~42)を設計し、合成した:
【表4】
【0227】
ROPの全遺伝子配列を、以下の反応系:
【表5】
【0228】
を使用し、Nucleic Acids Research、2004、32、e98を参照して、TOYOBO Co.社から購入したTaq DNAポリメラーゼKOD FXを用いたPCRにより配列番号21~42のこれらの遺伝子断片から構築した。
【0229】
PCRは、以下の3工程の反応条件で実行した:
A-予備変性:94℃、2分;B-変性:98℃、10秒
C-アニーリング:54℃、30秒;D-伸長:68℃、1分/kb
【0230】
増幅のために工程B~Dを×25サイクル繰り返した。増幅の後、少量のEX Taqポリメラーゼを添加して、反応を68℃で更に30分間延長した。
【0231】
合成されたPCR産物を、0.8%アガロースゲル上での電気泳動検出により検証した(図5A)。バンドは、理論上の879塩基対の分子量に対応する。
【0232】
ROP DNA PCR産物を、1×TAEバッファーを含む0.8%濃度のアガロース回収ゲル上で水平電気泳動により単離した。アガロースゲルを調製し、EBを0.5μg/mlの濃度まで添加した。サンプルを以下のローディングバッファーと混合した:
10×ローディングバッファー:
Ficoll 400 20%
EDTA pH8.0 0.1M
SDS 1%
ブロムフェノールブルー 0.25%
【0233】
1~5ボルト/cmの電圧を20分間印加し、バンドを紫外線下で観察した。ゲルからDNAを回収するために、Axygen Xo.社から購入したDNA断片回収キットをキットのプロトコールに従って使用した。
【0234】
ROP-HPV16 E7:
ROP-HPV16E7のコドン最適化された合成DNA配列は、配列番号50として提供される。
【0235】
形質転換
ROP-サバイビン:
回収された産物を、30μlの総体積となる反応条件で、TAKARA Co.社から購入したベクター系pMD18-Tキットを使用して増幅させた。5×T4 DNAリガーゼバッファーを以下の組成に従って作製した:
Tris.Cl(pH7.6) 330nM
MgCl2 33mM
DTT 50mM
ATP 220μM
【0236】
材料を完全且つ均一に混合し、4℃で一晩放置した。
【0237】
コンピテントなED60大腸菌細胞の1mlバイアル1つを-70℃から取り出し、氷上で5分間解凍した。1.5ml遠心管を氷上で5分間予冷し、200μlのコンピテント細胞を添加した。5μlのライゲーション反応溶液を添加し、混合し、氷上に20分間置き、試験管を10分ごとに一振りした。細胞を、100mg/mlのアンピシリンを含む2YT培養培地寒天プレート上での一晩の37℃培養によってスクリーニングした。
【0238】
一晩プレートから4個の白色コロニーを選択し、100mg/mlのアンピシリンを含む3mlの2YT培養培地に接種し、37℃で一晩振盪しながらインキュベートした。1.5mlの一晩培養物を13,000rpmで30秒間遠心分離した。上清を廃棄し、細胞をSTEバッファー(0.1M NaCl 5.85g;10mM Tris.Cl pH8 1.21g;1mM EDTA pH8)で1回洗浄し、100μlの予冷した溶液I(50mMグルコース;25mM Tris.Cl pH8;10mM EDTA pH8)に懸濁した。200μlの新たに調製した溶液II(0.2M NaOH;1%SDS)を添加し、均一に混合した。150μlの予冷した溶液III(5M KAc 60mL;HAc 11.5mL;H2O 28.5mL)を添加し、均一に混合し、氷上に15分間置いた。溶液を13,000rpmで10分間遠心分離した。上清を新たな遠心管に移し、DNアーゼを含まないRNアーゼを100μg/mlの最終濃度まで添加した。試験管を氷上に10分間置いた。
【0239】
上清を新たな遠心管に移し、1mlの予冷したエタノールを添加し、均一に混合し、室温で5分間放置し、次いで、13000rpmで10分間遠心分離した。
【0240】
3μLのプラスミドDNA、0.2μLの各制限酵素、2μLの10×バッファーを使用する、20μLの総体積へのBam HI+Xho I制限消化の産物を37℃で2時間インキュベートしたものの電気泳動によって、形質転換を検証した。1~5Vの電圧を20分間かけ、UV下で観察すると、各レーン1、2、及び3における879塩基対のバンドの存在により形質転換の成功が確認された(図5B)。得られたプラスミドYN8735(レーン1)、TN8736(レーン2)、YN8737(レーン3)を-20℃で保持した。
【0241】
遺伝子操作のためのプラスミドを構築するために、YN8735をNdeI及びXhoIで40μlの総体積に消化し、切断産物を、Axygen Co.社のキットを使用して8%アガロースゲルから回収した。ベクタープラスミドpET32aも同じく、NdeI及びXhoIで消化し、消化産物をT4 DNAリガーゼで16~18℃で12~18時間ライゲーションした。得られたプラスミドpYR1688(図6)を製造した。pYR1688をコンピテントなDH5α大腸菌に形質転換し、100mg/mlのアンピシリンの存在下で37℃で一晩2YT寒天上でスクリーニングした。3つのコロニーを選び、それに由来するプラスミドDNAをNedI及びXhoIで40μLの総体積に消化すると、コロニー1及び3における形質転換が確認された(図7A:レーン1=コロニー1;レーン2=コロニー2;レーン3=コロニー3)。プラスミドP1及びP3(それぞれコロニー1及び3由来)を、Shanghai Sang Ni Bio-engineering Co. Ltd.社によって行われたDNA配列決定によって検証した。両方のコロニー1及び3の一晩細胞培養物(それぞれ、「YN5144」及び「YN5145」と名付けられた)を細胞バンクに寄託した。
【0242】
タンパク質の発現及び精製
プラスミドP1をYN5144から抽出し、コンピテントな大腸菌EG63(BL21)に形質転換した。形質転換大腸菌を37℃で一晩の100mg/mlのアンピシリンを含む2YT寒天上でスクリーニングした。コロニーを選び、100mg/mLのアンピシリンを含む2YT培養物に37℃で12時間振盪しながら2回別々に接種し、最初に5mlの2YT+Ampに、その後100mlの2YT+Ampに接種した。20mlのこのシード細胞培養物を1000mlの2YT+Ampに接種し、37℃で振盪しながらOD0.3~0.5までインキュベートした。IPTGを1mMの最終濃度まで添加し、30℃で3~5時間インキュベートした。誘導の後、1Lの細胞培養物を4℃ 5000rpmで15分間遠心分離した。上清を廃棄し、細胞をTEバッファーとともに1gの湿潤細胞:3mlのTEの比で懸濁した。細胞を15~20kHzで超音波処理し、次いで、10,000rpmで15分間遠心分離した。上清及びペレットを別々に収集した。
【0243】
12%分離ゲル及び5%濃縮ゲルを用いたSDS-PAGE(30%Acr/Bis溶液;1.5mol/LのTris-HCl pH8.8;0.5mol/LのTris-HCl pH6.8;Tris-グリシン電気泳動バッファー)によって、誘導及び発現を検証した。1×ローディングバッファーをサンプルに添加し、溶液を5分間沸騰させた後に氷に直ちに浸漬した。溶液を12,000rpmで5分間遠心分離し、10μlの上清を各レーンに添加した。濃縮段階では8V/cmを使用し、分離段階では15V/cmをブロモフェノールブルーがゲルの端部に達するまで使用した。
【0244】
Hisタグ配列が発現ベクター中に存在した。ゲルを蒸留水中で10分間洗浄し、次いで、染色溶液(クマシーブリリアントブルーR250 0.25g、91mlの50%メタノール、9mlのHAc)を37℃で添加し2時間おいた。染色溶液を回収し、ゲルを脱染色溶液(50mlのメタノール、75mLのHAc、875mlの蒸留水を添加する)に移動し、これを背景が澄明を示すまで3時間ごとに取り換えた。得られたSDS-PAGEは、IPTGで5時間誘導した後に全タンパク質の約50%で発現された30kDaの分子量(理論計算と同一)の発現された組換えタンパク質を示した(図7B)。
【0245】
ROP-サバイビンは、主にペレット中で検出された。そのため、細胞ペレットをバッファー(25mM Tris-HCl、200mM NaCl、8M尿素、10mMイミダゾール、pH8.0)に再懸濁し、20,000gで45分間遠心分離した後にNi-NTA樹脂に適用した。洗浄バッファー及び溶出バッファーもまた、8M尿素を含有していた。リフォールディングのために、溶出したタンパク質を最初に25mM Tris-HCl、200mM NaCl、0.5アルギニン-HCl、pH10.5に、次いで10%グリセロールを含むPBSに、PD10カラム(GE Healthcare Life Sciences社、英国)を使用してバッファー交換した。
【0246】
ROP-HPV
回収された産物を、ROP-サバイビンについて上記の通り増幅させ、一晩培養のためにコンピテントな大腸菌に形質転換した。ROP発現をIPTG(0.5mMの最終濃度)の添加によって誘導した。細胞を収集し、溶解バッファー(25mM Tris-HCl、200mM NaCl、2%Triton X-100、10mMイミダゾール、pH8.0)に再懸濁し、超音波処理によって溶解した。20,000gで45分間遠心分離することによって、不溶性画分を分離した。Hisタグ配列が発現ベクター中に存在した。発現された可溶性タンパク質のために、次いで、Ni-NTA樹脂を可溶性画分に添加し30分間おき、続いて、30樹脂体積の溶解バッファーで洗浄し、300mMイミダゾールを含有する溶解バッファーで溶出した。溶出したタンパク質を、10%グリセロールを含むPBSバッファーに対して透析した。
【0247】
マウスROP-サバイビン(mROP-サバイビン)
単一の形質転換BL21(DE3)コロニーを選んでLB(50μg/mlのKan)に入れ、37℃で一晩培養した。次いで、一晩培養物を新鮮なLBで100倍希釈し、OD600が0.6に達するまで培養した。次いで、IPTGを0.5mMの最終濃度まで添加した。細胞をIPTG誘導後16時間の時点で遠心分離によって採取した。細胞ペレットを溶解バッファー(25mM Tris-HCl、200mM NaCl、2%Triton X-100、10mMイミダゾール、pH8.0)に再懸濁し、超音波処理によって溶解した。20,000gで45分間遠心分離することによって、不溶性画分を分離した。不溶性画分をバッファー(25mM Tris-HCl、200mM NaCl、8M尿素、10mMイミダゾール、pH8.0)に再懸濁し、20,000gで更に45分間遠心分離した後にNi-NTA樹脂に適用した。洗浄バッファー及び溶出バッファーもまた、8M尿素を含有していた。リフォールディングのために、溶出したタンパク質を最初に25mM Tris-HCl、200mM NaCl、pH8.0に、次いで10%グリセロールを含むPBSに、PD10カラム(GE Healthcare Life Sciences社、英国)を使用してバッファー交換した。
【実施例2】
【0248】
がんを処置するためのTNFRスーパーファミリーアゴニストとサバイビンをベースとする組換えオーバーラップペプチドとの組合せ手法の実証
材料及び方法
マウス
合計70匹の雌のC57BL/6マウスをChangzhou Kavins Experimental Animal Co. Ltd.社に注文した。動物は特定の病原体を含まず、Changzhou Niujin Shisong Biotechnology Co., Ltd社(「CBI社」)への到着時に約6~7週齢であった。受領時に、動物を開梱し、ケージに入れた。被毛、四肢及び開口部の評価を含め、健康診断を各動物に対して実施した。各動物を姿勢又は動作の異常な徴候についても検査した。
【0249】
腫瘍細胞株
B16-F10及びB16-GFP-サバイビン細胞を購入した(いずれもShanghai South Model Biotechnology Development Company Ltd社製)。B16-GFP-サバイビン及びB16-F10細胞を、10%FBSを補充したDMEM培地中で5%CO2下37℃で維持し、その後、10継代以内培養した後にマウスに接種した。
【0250】
免疫組織化学
B16-GFP-サバイビンにおけるGFP-サバイビンの発現を免疫組織化学(IHC)によって検出した。B16-F10細胞を陰性対照として使用した。カバーガラス上で成長させた細胞を4%パラホルムアルデヒド中で室温で10分間固定した。透過処理(PBS中の0.5%Triton X-100)の後、細胞を0.5%BSAで30分間ブロッキングし、抗サバイビン抗体XA281 NO10(CBI社製)とともに室温で1時間インキュベートした。細胞を洗浄し、HRPコンジュゲートヤギ抗マウスIgG(ab6789、1/500に希釈した)とともに更に1時間インキュベートし、続いて、ジアミノベンジジン染色(DAB)した。核をヘマトキシリンで対比染色した。
【0251】
腫瘍モデル
0日目に、RPMI1640培地と混合した1×105個のB16-GFP-サバイビン細胞をマウスの脇腹に皮下注射した。腫瘍細胞接種から5日後に、70匹のマウスを体重に応じて7つの群(1群当たり10匹のマウス)にランダム化した。群分けの後(細胞接種から5日後)に処置を開始した。群を下記のTable 1(表6)に示す。ROP-サバイビンは、実施例1に従って製造した。モノホスホリルリピドAアジュバント(MPL)は、Sigma Aldrich社、Dorset、英国から購入した(カタログ番号S6322)。アゴニスト4-1BB(CD137)抗体(BE0239)は、BioXCell社(New Hampshire、米国)から購入した。提供されたMPLは、0.5mgのMPLを含有し、これを、MPLの濃度が0.25mg.ml-1となるように、2mlのPBSに希釈した。ROP-サバイビン、MPL、及び/又はPBSは、7日ごとに皮下投与した。4-1BB抗体は、3日ごとに腹腔内投与した。
【0252】
【表6】
【0253】
腫瘍を3日ごとにキャリパーで測定した(長さ×幅)。腫瘍体積を、式:1/2×D×d2(式中、Dは長径であり、dは短径である)を使用して決定した。腫瘍が2cm3に達したとき又は潰瘍形成時にマウスを屠殺した。
【0254】
23日目に、マウスをすべて屠殺した。血清及び脾細胞をELISPOT及びELISAによる液性及び細胞性免疫応答の試験のために収集した。
【0255】
ELISA
精製ヒトサバイビン、ROP-サバイビン(4μg/ml)又はサバイビンペプチド(2μg/ml)を4℃で一晩PBS中で平底96ウェルマイクロタイタープレート(Corning-Costar社)上にコーティングした。ウェルを5%BSAで室温で1時間ブロッキングした。これに続いて、マウス血清(PBSで1:10000に希釈した)とともに室温で1時間インキュベートした。HRPコンジュゲート抗マウスIgG二次抗体を使用することによって抗体結合を検出した。洗浄の後、100μlのTMB基質溶液を添加することによってプレートを顕色させた。反応を停止させ、450nmでの吸光度を、分光計を使用して標準的なプロトコールに従って測定した。
【0256】
マウス脾細胞の単離及びELISPOTアッセイ
マウス脾臓を、メッシュを通して篩過し、マウス脾細胞分離培地(Solarbio社)にローディングし、1000gで22分間遠心分離した後に、積層されたリンパ球を細胞培養培地を含む新たな試験管に移した。細胞をRPMI1640によって2回洗浄し、1ウェル当たり2.5×105個の脾細胞をELISPOTアッセイにおける刺激に使用した。
【0257】
Cd4+又はCD8+ T細胞を、マイクロビーズキット(Miltenyi社、ドイツ)を使用して製造業者の説明書に従って負又は正の選択によって精製した。
【0258】
ELISPOTキット(Mabtech社、スウェーデン)を使用してアッセイを実施した。簡潔に述べると、脾細胞を抗IFN-γ抗体でプレコーティングされたプレート(Millipore社)中で5μg/ウェルのヒトサバイビン又はROP-サバイビンで一晩再刺激した。細胞を廃棄し、ビオチン化抗IFN-γ抗体を室温で添加し2時間おき、続いて、アルカリホスファターゼ(ALP)コンジュゲートストレプトアビジンとともに室温で更に1時間インキュベートした。顕色した後、プレートを水道水で洗浄することによって反応を停止させ、プレートを風乾した。スポットをELISPOTリーダー(CTL社)でカウントした。
【0259】
統計分析
結果を平均±S.E.M.として表した。適宜スチューデントのt検定又はログランク検定によって比較を行い、p<0.05を有意であるとみなした。
【0260】
結果
ヒトサバイビンはB16-GFP-サバイビン細胞において高度に発現される
B16-GFP-サバイビン細胞を、最初に抗ヒトサバイビン抗体を使用するIHCによって試験した。図1は、B16-F10細胞と比較したB16-GFP-サバイビン細胞におけるサバイビン発現の結果を示す。カバーガラス上で成長させたB16-F10又はB16-GFP-サバイビン細胞を固定し、抗ヒトサバイビン抗体で染色した後に顕微鏡(40×の倍率)で検査した。核をヘマトキシリンで対比染色した。図1に示す通り、B16-GFP-サバイビン細胞は、B16-F10対照細胞よりもはるかに高いレベルでヒトサバイビンタンパク質を発現する。
【0261】
ROP-サバイビンと低用量の抗4-1BB抗体との組合せ処置は、B16-GFP-サバイビンの腫瘍成長を有意に抑止する
各C57BL/6マウスに1×105個のB16-GFP-サバイビン細胞を注射し、4つの群(各群に10匹のマウス)にランダム化した。腫瘍細胞接種から5日後に、マウスをPBS+MPLアジュバント、ROP-サバイビン(100μg)+MPLアジュバント、0.6mg/kgの抗4-1BB抗体、又は0.6mg/kgの抗4-1BB抗体と組み合わせたROP-サバイビン(100μg)+MPLで処置した。図2及び図3は、それぞれ、各群の腫瘍体積及び生存率を示す。図2は、3日ごとに測定及び記録された各群の腫瘍体積を示す。図3は、処置されたマウスの生存百分率を示す。
【0262】
図2に示す通り、ROP-サバイビン+MPLワクチン接種群の腫瘍体積は、腫瘍細胞接種後23日時点でPBS+MPLで処置された群よりも有意に小さい(p<0.05)。図2に示す通り、ROP-サバイビン(100μg)+MPLと0.6mg/kgの抗4-1BB抗体との組合せ処置は、ROP-サバイビン(100μg)+MPL又は抗4-1BB抗体で処置された群と比較しても腫瘍成長を有意に抑止した(p<0.05)。図3は、組合せ処置群の生存率が他の群よりもはるかに高いことを示した(ROP-サバイビン(100μg)+4-1BB抗体対PBS、p<0.01;ROP-サバイビン(100μg)+4-1BB抗体対ROP-サバイビン、p<0.05;ROP-サバイビン(100μg)+4-1BB抗体対4-1BB抗体、p<0.05)。
【0263】
ROP-サバイビンと高用量の抗4-1BB抗体との組合せ処置は、ROP-サバイビン又は抗4-1BB抗体のみの群と比較して腫瘍成長を有意に阻害しなかった
図4は、ROP-サバイビン(100μg)+1.8mg/kgの4-1BB抗体、ROP-サバイビン(100μg)、4-1BB抗体又はPBSで処置された対照群の腫瘍体積を示す。MPL+ROP-サバイビン(100μg)又は1.8mg/kgの抗4-1BB抗体で処置された群の平均腫瘍体積は、PBSで処置された群よりもはるかに小さかった(p<0.05)。MPL+ROP-サバイビン(100μg)+1.8mg/kgの4-1BB抗体で処置された群の腫瘍体積は、MPL+1.8mg/kgの4-1BB抗体群と極めて類似しており、MPL+ROP-サバイビン(100μg)群よりも有意に小さくなかった(p>0.05)。
【0264】
本発明者等は、より高い用量の4-1BBアゴニストが、より低い用量の4-1BBアゴニストよりも高い抗腫瘍有効性を有することを裏付けた。本発明者等は、低用量の4-1BBアゴニストと組み合わせたROP-サバイビンの投与が、低用量の4-1BBアゴニストのみによる処置に対して抗腫瘍有効性を有意に増強することを更に実証した。この有効性の増加は、投与される4-1BBアゴニストの用量を増やす必要なしに有効な処置を提供することを可能にする。換言すれば、4-1BBアゴニストの効力が増加する。これは、ヒト患者におけるがんの有効な処置に現在必要とされる高用量の4-1BBアゴニストが甚だしく毒性である(本明細書で論じた通り)ことから有利である。ROP-サバイビンとの共投与は、用量依存性毒性のリスクを冒すことなしに有効性を増加させることができる。
【実施例3】
【0265】
がんを処置するためのチェックポイント阻害剤とサバイビンをベースとする組換えオーバーラップペプチドとの組合せ手法の実証
材料及び方法
マウス
合計50匹の雌のC57BL/6マウスをChangzhou Kavins Experimental Animal Co. LTD.社に注文する。動物は特定の病原体を含まず、CBI社への到着時に約6~7週齢である。受領時に、動物を開梱し、ケージに入れる。被毛、四肢及び開口部の評価を含め、健康診断を各動物に対して実施する。各動物を姿勢又は動作の異常な徴候についても検査する。
【0266】
腫瘍細胞株
MC38腫瘍細胞をShanghai Model Organisms社から購入した。B16-GFP-サバイビンを、10%FBSを補充したDMEM培地中で5%CO2下37℃で維持し、その後、10継代以内培養した後にマウスに接種する。
【0267】
腫瘍モデル
0日目に、RPMI1640培地と混合した3×105個のMC38細胞を各マウスの脇腹に皮下注射した。腫瘍細胞接種から5日後に、50匹のマウスを体重に応じて5つの群(1群当たり10匹のマウス)にランダム化し、下記のTable 3(表7)に従って、実施例1に従って製造したマウスROP-サバイビン(「mROP-サバイビン」)で免疫化し、及び/又は抗PD-1抗体で処置した。
【0268】
モノホスホリルリピドAアジュバント(MPL)は、Sigma社から購入した。抗PD1抗体は、BioXcell社から購入した。ROP-サバイビン、MPL、及び/又はPBSは、7日ごとに皮下投与した。抗PD-1抗体は、3日ごとに腹腔内投与した。
【0269】
【表7】
【0270】
腫瘍を3日ごとにキャリパーで測定する(長さ×幅)。腫瘍体積を、式:1/2×D×d2(式中、Dは長径であり、dは短径である)を使用して決定する。腫瘍が2cm3に達したとき又は潰瘍形成時にマウスを屠殺する。
【0271】
体重を3日ごとに測定する。
【0272】
14日目に、すべてのマウスを屠殺する。血清及び脾細胞をELISPOTによる液性及び細胞性免疫応答の試験のために収集する。マウス脾細胞を単離し、ELISPOTアッセイを実施例2に従って行う。
【0273】
統計分析
結果を平均±S.E.M.として表す。適宜スチューデントのt検定又はログランク検定によって比較を行い、p<0.05を有意であるとみなす。
【0274】
結果
mROP-サバイビン(200μg/マウス)と抗PD-1抗体(2mg/kg)との組合せ処置は、マウスにおけるMC38腫瘍の成長を有意に低減した
図8から分かる通り、14日時点でのマウスMC38腫瘍体積は、mROP-サバイビン(200μg/マウス)と抗PD-1抗体(2mg/kg)との組合せ療法を受けた群において、他のいずれのレジメンを受けた群よりも有意に低かった(p<0.05)。mROP-サバイビン(200μg)又は抗PD-1抗体(2mg/kg)のみはいずれも、MC38腫瘍成長を有意に阻害することができないが、mROP-サバイビン:抗PD-1抗体の組合せレジメンは、腫瘍体積を有意に低減するのに有効であることに特に注目すべきである。
【0275】
マウスの体重は処置レジメンによって変化しない
いかなる時点でも処置群間で体重の有意差は観察されなかった(図9)。
【0276】
mROP-サバイビン(200μg/マウス)と抗PD-1抗体(2mg/kg)との組合せ処置は、単独で処置された群よりも有意に高い特異的T細胞応答を生じた
上記の通りの処置を受けたマウスから採取された活性化脾細胞からのIFN-γ放出(ELISPOTによって測定される)により、T細胞応答を測定した(図10)。T細胞は、マウスサバイビンタンパク質又はマウスROP-サバイビンのいずれで刺激されたかにかかわらず、対照と比べてmROP-サバイビン(200μg/マウス)と抗PD-1抗体(2mg/kg)との組合せによって活性化された脾細胞において劇的に上昇した(p<0.0001)。T細胞はまた、PMS又はRMSのいずれで刺激されたかにかかわらず、mROP-サバイビンのみによって活性化された脾細胞と比べてmROP-サバイビンと抗PD-1抗体との組合せによって活性化された脾細胞において有意に上昇した(p<0.01)。抗PD-1抗体のみを受けたマウスに由来する脾細胞は、いかなるT細胞応答も実証しなかった。
【0277】
mROP-サバイビンと抗PD-1抗体との組合せ処置は、いずれかの単独療法よりもin vivoで有意により有効であると結論付けることができる。
【実施例4】
【0278】
がんを処置するためのTNFRスーパーファミリーアゴニストとHPV-16 E7をベースとする組換えオーバーラップペプチドとの組合せ手法の実証
材料及び方法
マウス
合計40匹の雌のC57BL/6マウスをChangzhou Kavins Experimental Animal Co. Ltd.社に注文した。動物は特定の病原体を含まず、Changzhou Niujin Shisong Biotechnology Co., Ltd社(「CBI社」)への到着時に約6~7週齢であった。受領時に、動物を開梱し、ケージに入れた。被毛、四肢及び開口部の評価を含め、健康診断を各動物に対して実施した。各動物を姿勢又は動作の異常な徴候についても検査した。
【0279】
腫瘍細胞株
マウスTC-1細胞をBiofeng Ltd.社から購入した。マウスTC-1は、HPV-16由来のE7がんタンパク質を発現し、HPV-16に感染したヒト腫瘍の代替として使用される。TC-1細胞を5%CO2下37℃で10%FBSを含むRPMI1640中で維持し、その後、5継代以内培養した後にマウスに接種した。
【0280】
HPV E7タンパク質の合成
HPV16 E7タンパク質遺伝子配列を大腸菌における発現のためにコドン最適化した。遺伝子をGeneArt DNA合成サービスによって合成した。合成されたcDNA及びBsa4直鎖化ベクターpNIC28-Bsa4(SGC Oxford)を、それぞれ2.5mM dCTP及びdGTPの存在下でT4 DNAポリメラーゼで処理した(22℃で30分)。T4 DNAポリメラーゼを80℃で20分間インキュベートすることによって不活性化した。T4 DNAで処理されたPCR産物及びベクターを1:50の比で25℃で10分間混合した。ライゲーション産物のアリコートを使用して、DH5aコンピテント細胞を形質転換した。陽性クローンをコロニーPCRによって同定し、対応するプラスミドを使用して、タンパク質発現のために大腸菌BL21(DE3)を形質転換した。
【0281】
単一の形質転換BL21(DE3)コロニーを選んでLB(50μg/mlのKan)に入れ、37℃で一晩培養した。次いで、一晩培養物を新鮮なLBで100倍希釈し、OD600が0.6に達するまで培養した。次いで、IPTGを0.5mMの最終濃度まで添加した。細胞をIPTG誘導後16時間の時点で遠心分離によって採取した。細胞ペレットを溶解バッファー(25mM Tris-HCl、200mM NaCl、2%Triton X-100、10mMイミダゾール、pH8.0)に再懸濁し、超音波処理によって溶解した。20,000gで45分間遠心分離することによって、不溶性画分を分離した。発現された可溶性タンパク質のために、次いで、Ni-NTA樹脂を可溶性画分に添加し30分間おき、続いて、30樹脂体積の溶解バッファーで洗浄し、300mMイミダゾールを含有する溶解バッファーで溶出した。封入体を形成するタンパク質のために、不溶性画分をバッファー(25mM Tris-HCl、200mM NaCl、8M尿素、10mMイミダゾール、pH8.0)に再懸濁し、20,000gで更に45分間遠心分離した後にNi-NTA樹脂に適用した。洗浄バッファー及び溶出バッファーもまた、8M尿素を含有していた。リフォールディングのために、溶出したタンパク質を最初に25mM Tris-HCl、200mM NaCl、0.5アルギニン-HCl、pH8.0に、次いでPBSに、PD10カラム(GE Healthcare Life Sciences社、英国)を使用してバッファー交換した。
【0282】
腫瘍モデル
0日目に、RPMI1640培地と混合した2×105個のTC-1細胞をマウスの脇腹に皮下注射した。
【0283】
野生型HPV16 E7タンパク質と比べた腫瘍成長に対するROP-HPV16 E7の効果を調査するために、40匹のマウスを体重に応じて4つの群(1群当たり10匹のマウス)にランダム化した。群分けの後、細胞接種から5日後に処置を開始した。群を下記のTable 4(表8)に示す。レジメンをTable 4(表8)及び図11に示す。ROP-HPV16 E7、アジュバント(MPL)、及び/又はPBSは、7日ごとに皮下投与し、抗4-1BB抗体は、3日ごとに腹腔内投与した。
【0284】
【表8】
【0285】
ROP-HPV16 E7と抗4-1BB抗体との組合せ療法を判定するために、腫瘍細胞接種から5日後に、50匹のマウスを体重に応じて5つの群(1群当たり10匹のマウス)にランダム化した。群分けの後、細胞接種から5日後に処置を開始した。群を下記のTable 5(表9)に示す。レジメンをTable 5(表9)及び図14に示す。ROP-HPV16 E7、アジュバント(MPL)、及びPBSは、7日ごとに皮下投与し、抗4-1BB抗体は、3日ごとに腹腔内投与した。群1~4ではアジュバントを使用した。
【0286】
【表9】
【0287】
ROP-HPV16 E7は、実施例1に従って製造した。モノホスホリルリピドAアジュバント(MPL)は、Sigma Aldrich社、Dorset、英国から購入した(カタログ番号S6322)。アゴニスト4-1BB(CD137)抗体(BE0239)は、BioXCell社(New Hampshire、米国)から購入した。提供されたMPLは、0.5mgのMPLを含有し、これを、MPLの濃度が0.25mg.ml-1となるように、2mlのPBS又はタンパク質溶液に希釈した。
【0288】
腫瘍を3日ごとにキャリパーで測定した(長さ×幅)。腫瘍体積を、式:1/2×D×d2(式中、Dは長径であり、dは短径である)を使用して決定した。腫瘍が2cm3に達したとき又は潰瘍形成時にマウスを屠殺した。
【0289】
腫瘍が2cm3に達したとき又は潰瘍形成時にマウスを屠殺した。
【0290】
統計分析
結果を平均±S.E.M.として表した。適宜スチューデントのt検定又はログランク検定によって比較を行い、p<0.05を有意であるとみなした。
【0291】
結果
ROP-HPV16 E7は腫瘍成長を阻害した。
野生型タンパク質HPV16 E7を受けたTC-1接種マウスは、22日時点で対照の腫瘍体積の3分の2の腫瘍体積を示した(p<0.01)。しかしながら、ROP-HPV16 E7を受けたマウスは、腫瘍成長の更により高い阻害を示し、22日時点で対照の腫瘍体積の3分の1未満(p<0.001)及び野生型タンパク質で処置されたマウスの腫瘍体積の2分の1未満(p<0.05)の腫瘍体積を有していた(図12)。この利益は、生存転帰につながった。ROP-HPV16 E7を受けたマウスは同じく、最良の生存転帰を実証した(図13):ROP-HPV16 E7を受けた60%のマウスが26日目まで生存し、対照群におけるマウスの生存率(10%)(アジュバント又はPBS)よりも有意に高く(p<0.01)、野生型HPV16 E7で処置されたマウスの生存率(30%)よりも有意に(p<0.05)高かった。
【0292】
ROP-HPV16 E7は抗4-1BB抗体との組合せで強力な相乗作用を実証し、腫瘍退縮及び生存率の改善をもたらした
ROP-HPV16 E7のみ又は抗4-1BB抗体のみによる処置は、腫瘍成長を遅らせ、ROP-HPV16 E7は、抗4-1BB抗体よりも高い程度に腫瘍成長を遅らせる(図15)。しかしながら、これらの処置が腫瘍成長を遅らせる一方、ROP-HPV16 E7(100μg)と抗4-1BB抗体(10mg/kg)との組合せによるTC-1接種マウスの処置は、22日目時点でゼロに近いレベルへの腫瘍退縮を生じる(図15)。組合せ療法で処置されたマウスの腫瘍体積は、22日目時点で他のいずれのレジメンで処置されたマウスの腫瘍体積よりも有意に低い:対照(p<0.00001)、4-1BBのみ(p<0.001)、又はROP-HPV16 E7のみ(p<0.05)。
【0293】
1500mm3を超える腫瘍サイズを有するマウスを間引く。アジュバントについては22日時点、PBSについては25日時点で0%の生存率に起因してデータが終わる(図16)。処置が22日を過ぎて継続された場合、抗4-1BB抗体で処置されたマウスの腫瘍体積は、1500mm3を上限として、プラトーに達することが分かる(40日目時点で0%の生存率に起因してデータが終了する)(図16)。ROP-HPV16 E7のみで処置されたマウスの腫瘍体積は、500未満から抗4-1BB抗体と同等以上のレベルに急速に増加する。しかしながら、組合せ療法で処置されたマウスは、(成長の微増が見られるようになる)40日目まで極めて低い(ゼロに近い)腫瘍体積を示し(図16)、強力な抗腫瘍活性を実証する。この抗腫瘍活性は、ROP-HPV16 E7及び抗4-1BB抗体の単に相加的な効果により予想されるよりも顕著であり、すなわち、相乗作用が実証される。組合せ療法で処置されたマウスは、140日の追跡期間にわたって無腫瘍のままである(データ示さず)。
【0294】
図17及び図18は、組合せ処置群の生存率が他のすべての群よりも大幅に高いことを示す(ROP-HPV16 E7+抗4-1BB抗体対ROP-HPV16 E7、26日目時点でp<0.05;ROP-HPV16 E7+抗4-1BB抗体対抗4-1BB抗体、26日目時点でp<0.001;ROP-HPV16 E7+抗4-1BB抗体対PBS、26日目時点でp<0.001)。組合せ群における100%のマウスが47日目まで生存した一方、ROP-HPV16 E7群の生存率は、処置の過程にわたって30%まで落ち、抗4-1BB抗体群及び対照群における生存率は、0%まで落ちた。
【0295】
結論として、ROP-HPV16 E7と抗4-1BB抗体との組合せ処置は、in vivoで非常に有効である。
【実施例5】
【0296】
がんを処置するためのチェックポイント阻害剤とHPV-16 E7をベースとする組換えオーバーラップペプチドとの組合せ手法の実証
材料及び方法
マウス
合計50匹の雌のC57BL/6マウスをChangzhou Kavins Experimental Animal Co. LTD.社に注文する。動物は特定の病原体を含まず、CBI社への到着時に約6~7週齢である。受領時に、動物を開梱し、ケージに入れる。被毛、四肢及び開口部の評価を含め、健康診断を各動物に対して実施する。各動物を姿勢又は動作の異常な徴候についても検査する。
【0297】
腫瘍細胞株
マウスTC-1細胞をBiofeng Ltd.社から購入した。細胞を、10%FBSを補充したRPMI1640培地中で5%CO2下37℃で維持し、その後、5継代以内培養した後にマウスに接種した。
【0298】
腫瘍モデル
0日目に、無血清RPMI1640培地に再懸濁した2×105個のTC-1細胞をマウスの脇腹に皮下注射した。
【0299】
ROP-HPV16 E7と抗PD-1遮断抗体との組合せ療法を判定するために、腫瘍細胞接種から5日後に、50匹のマウスを体重に応じて5つの群(1群当たり10匹のマウス)にランダム化した。群分けの後、細胞接種から5日後に処置を開始した。群を下記のTable 6(表10)に示す。ROP-HPV16 E7を、場合によりPD-1抗体もまた、MPLとともに送達した。レジメンをTable 6(表10)及び図14に示す。ROP-HPV16 E7、アジュバント(MPL)、及びPBSは、7日ごとに皮下投与した。抗PD-1抗体は、3日ごとに腹腔内投与した。
【0300】
【表10】
【0301】
腫瘍を3日ごとにキャリパーで測定する(長さ×幅)。腫瘍体積を、式:1/2×D×d2(式中、Dは長径であり、dは短径である)を使用して決定する。腫瘍が2cm3に達したとき又は潰瘍形成時にマウスを屠殺する。
【0302】
腫瘍が2cm3に達したとき又は潰瘍形成時にマウスを屠殺した。
【0303】
統計分析
結果を平均±S.E.M.として表す。適宜スチューデントのt検定又はログランク検定によって比較を行い、p<0.05を有意であるとみなす。
【0304】
結果
ROP-HPV16 E7(100μg/マウス)と抗PD-1抗体(10mg/kg)との組合せ処置は、マウスにおけるTC-1腫瘍の成長を有意に低減した
図19から分かる通り、腫瘍体積は、アジュバント、PBS、及びαPD-1抗体による処置を受けたマウスにおいて20~22日以内に約1500~2000mm3まで急速に増加する。ROP-HPV16 E7のみによる処置を受けたマウスにおける腫瘍は、体積が急速に増加する33日目まで低い(約500mm3)ままである。しかしながら、組合せ処置を受けたマウスにおける腫瘍は、40~43日目まで低い(約500mm3)ままである。したがって、組合せ療法は、最も有効な処置選択肢を提供した。ROP-HPV16 E7による処置は、処置期間にわたって他の処置群と比較して腫瘍体積の統計的に有意な低減を示した(p<0.01)。
【0305】
ROP-HPV16 E7(100μg/マウス)と抗PD-1抗体(10mg/kg)との組合せ処置は、単独で処置された群よりも有意に高い生存率を生じた
図20は、生存率がROP-HPV16 E7(100μg/マウス)とαPD-1抗体(10mg/kg)との組合せ処置を受けたマウスにおいて最も高く、10%のマウスが試験の最後まで生存することを実証する。対照的に、ROP-HPV16 E7のみを受けた群の生存率は、47日目時点で30%であり、αPD-1抗体のみ、PBS、又はアジュバントを受けた残りの群では、47日目時点で0%の生存率であった。ROP-HPV16 E7による処置は、測定期間にわたって他の処置群と比較してマウスにおける生存率の統計的に有意な増加を示した(p<0.01)。
【0306】
ROP-HPV-E7ワクチン接種と抗PD-1処置との組合せにより、相乗的な腫瘍阻害効果が得られると結論付けることができる。
【0307】
まとめると、実施例は、TNFRスーパーファミリー受容体アゴニスト、例えば4-1BBの有効用量を低下させ、及び/又はその最大の有効性を増加させる本発明のポリペプチドの能力を実証する。これに類似して、実施例は、チェックポイント阻害剤、例えば抗PD-1の効力及び/又は有効性を増加させる本発明のポリペプチドの能力を実証する。予想外なことに、本発明のポリペプチドとがん免疫療法剤、例えば、TNFRスーパーファミリー受容体アゴニスト又はチェックポイント阻害剤との組合せ療法の効果は、相乗的である。既存の抗がん免疫療法の効力及び有効性を改善して、安全性、忍容性、及び臨床転帰を改善する必要性が当技術分野で存在し、種々の手法が試みられているが目に見える成功を収めていない。成功を妨げる多数の障壁が存在する:1つは、膨大な量の関連学術文献から明白である通り、企図しうるとてつもない数の免疫療法から効果的な組合せレジームを特定することの難しさである。思弁的に企図されているが実現していないそのような一手法は、多ペプチド構築物とがん免疫療法剤との組合せレジメンである(Oxford Vacmedix Ltd社、Biopharmerdealmaker Advertisement Feature、2017)。成功を妨げる別の障壁は、異なる患者並びにがんの型及び病期にわたり信頼性があり一貫した治療応答を達成することの難しさである(Ventola、2017)。本発明は、本発明のポリペプチドとTNFRSFアゴニスト又はチェックポイント阻害剤との組合せが、ポリペプチド及び薬剤の両方の抗がん活性を相乗的に高めるという予想外の知見に基づく。相乗作用は、相乗的効力、相乗的有効性、又は両方の形態をとる。サバイビンに由来し、それを免疫学的に標的とする本発明のポリペプチドは、予想外なことに、非毒性用量での投与を可能にするように4-1BBアゴニストの効力を増加させ(図2)、特にT細胞応答の有意な上昇(図10)により、抗PD-1の有効性を増加させる(図8)ことができる。HPV16 E7に由来し、それを免疫学的に標的とする本発明のポリペプチドは、予想外なことに、4-1BBアゴニストとの相乗作用を実証し、有意な腫瘍退縮(図15)及び測定されたすべての時点にわたるマウスにおける100%の生存率(図17及び図18)をもたらす。本発明のポリペプチドは、場合により全腫瘍抗原タンパク質又はその免疫学的に関連する部分を網羅し、更に場合によりオーバーラップする様式で、複数のペプチド断片を含むことから、ポリペプチドは、処置前のHLA型判定又は患者のスクリーニングの必要なしに広いHLA型にわたり適用可能である。本発明のポリペプチドが、がん又は更には患者に特異的なマーカーを容易に標的とし、それにより、組み合わせて送達される免疫療法による処置から利益を受けうる患者層を更に広げることができることが、当業者には理解される。
【0308】
【表11-1】
【表11-2】
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【配列表】
2024504540000001.app
【国際調査報告】