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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】抗CD25抗体
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20240125BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240125BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240125BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20240125BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240125BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/62 Z
C07K16/28
C07K16/46
C07K19/00
A61K39/395 N
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530670
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(85)【翻訳文提出日】2023-07-13
(86)【国際出願番号】 EP2021082381
(87)【国際公開番号】W WO2022106663
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】20306421.7
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.SPAN
(71)【出願人】
【識別番号】514203362
【氏名又は名称】インセルム(インスティチュート ナショナル デ ラ サンテ エ デ ラ リシェルシェ メディカル)
(71)【出願人】
【識別番号】521508324
【氏名又は名称】インスティチュート ジャン パオリ アンド イレーヌ カルメット
(71)【出願人】
【識別番号】521508335
【氏名又は名称】オルデラン バイオテクノロジー
(71)【出願人】
【識別番号】523083735
【氏名又は名称】セントレ ナショナル デ ラ リシェルシェ サイエンティフィケ
(71)【出願人】
【識別番号】516086347
【氏名又は名称】ユニバーシティ ド エクス‐マルセイユ
(71)【出願人】
【識別番号】520053762
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・パリ・シテ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE PARIS CITE
(71)【出願人】
【識別番号】520403761
【氏名又は名称】ユニベルシテ パリ エスト クレテイユ ヴァル デ マルヌ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】オリーブ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ベンスーサン,アルマンド
(72)【発明者】
【氏名】ジュスティニアーニ,ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】マリー-カルディネ,アン
(72)【発明者】
【氏名】フォウスサット,アルノー
(72)【発明者】
【氏名】ウアシーヌ,ジェミラ
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA28
4H045EA29
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、新規な抗ヒトCD25抗体、並びに癌及び感染症を治療するためのそれらの使用に関する。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離された抗ヒトCD25抗体又はその抗原結合断片であって、
重鎖の可変領域(VH)が以下の3つの相補性決定領域(CDR):
CDR1:XHAMA(配列番号1)(ここでXはN又はSである);
CDR2:YISYDGDNTYYXDSVKG(配列番号2)(ここでXはR又はAである);及び
CDR3:GGNSGYD(配列番号3);
又は配列番号1~3と少なくとも約70%の同一性を共有するアミノ酸配列を有する任意のCDR;
を含み、
軽鎖の可変領域(VL)が、以下の3つのCDR:
CDR1:XSQNVNKFLN(配列番号4)(ここでXはK又はRであり、XはG又はAである);
CDR2:GTNSLQX(配列番号5)(ここでXはT又はSである);及び
CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6);
又は配列番号4~6と少なくとも約70%の同一性を共有するアミノ酸配列を有する任意のCDR;
を含み、
がNであり且つXがRである場合、XはRであり、及び/又はXはSであり、
がKであり且つXがTである場合、XはSであり、及び/又はXはAである、
単離された抗ヒトCD25抗体又はその抗原結合断片。
【請求項2】
前記VHが、以下のCDR:
CDR1:NHAMA(配列番号7);
CDR2:YISYDGDNTYYRDSVKG(配列番号8);及び
CDR3:GGNSGYD(配列番号3);
を含み、
前記抗体又はその抗原結合断片のVLが、以下のCDR:
CDR1:RASQNVNKFLN(配列番号9);
CDR2:GTNSLQS(配列番号10);及び
CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含む、
請求項1に記載の単離された抗ヒトCD25抗体又はその抗原結合断片。
【請求項3】
前記VHが、以下のCDR:
CDR1:NHAMA(配列番号7);
CDR2:YISYDGDNTYYADSVKG(配列番号11);及び
CDR3:GGNSGYD(配列番号3);
を含み、
前記抗体又はその抗原結合断片のVLが、以下のCDR:
CDR1:RASQNVNKFLN(配列番号9);
CDR2:GTNSLQS(配列番号10);及び
CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含む、
請求項1に記載の単離された抗ヒトCD25抗体又はその抗原結合断片。
【請求項4】
前記VHが、以下のCDR:
CDR1:NHAMA(配列番号7);
CDR2:YISYDGDNTYYADSVKG(配列番号11);及び
CDR3:GGNSGYD(配列番号3);
を含み、
前記抗体又はその抗原結合断片のVLが、以下のCDR:
CDR1:KGSQNVNKFLN(配列番号12);
CDR2:GTNSLQT(配列番号13);及び
CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含む、
請求項1に記載の単離された抗ヒトCD25抗体又はその抗原結合断片。
【請求項5】
前記VHが、以下のCDR:
CDR1:SHAMA(配列番号14);
CDR2:YISYDGDNTYYADSVKG(配列番号11);及び
CDR3:GGNSGYD(配列番号3);
を含み、
前記抗体又はその抗原結合断片のVLが、以下のCDR:
CDR1:KGSQNVNKFLN(配列番号12);
CDR2:GTNSLQT(配列番号13);及び
CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含む、
請求項1に記載の単離された抗ヒトCD25抗体又はその抗原結合断片。
【請求項6】
前記VHが、以下のCDR:
CDR1:SHAMA(配列番号14);
CDR2:YISYDGDNTYYADSVKG(配列番号11);及び
CDR3:GGNSGYD(配列番号3);
を含み、
前記抗体又はその抗原結合断片のVLが、以下のCDR:
CDR1:RASQNVNKFLN(配列番号9);
CDR2:GTNSLQS(配列番号10);及び
CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含む、
請求項1に記載の単離された抗ヒトCD25抗体又はその抗原結合断片。
【請求項7】
キメラであるか、ヒト化されているか、又はヒトのものである、請求項1~6のいずれか一項に記載の単離された抗ヒトCD25抗体又はその抗原結合断片であって、好ましくは前記抗体又は抗原結合断片はモノクローナルである、単離された抗ヒトCD25抗体又はその抗原結合断片。
【請求項8】
前記抗体又は抗原結合断片が、抗体依存性細胞傷害性、補体依存性細胞傷害性及び/又は抗体依存性食作用を媒介する、請求項1~7のいずれか一項に記載の単離された抗ヒトCD25抗体又はその抗原結合断片。
【請求項9】
二重特異性抗体である、請求項1~8のいずれか一項に記載の単離された抗ヒトCD25抗体又はその抗原結合断片。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の単離された抗ヒトCD25抗体又はその抗原結合断片を含む、融合タンパク質。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載の単離された抗ヒトCD25抗体若しくはその抗原結合断片又は請求項10に記載の融合タンパク質をコードする、核酸。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか一項に記載の単離された抗ヒトCD25抗体若しくはその抗原結合断片又は請求項10に記載の融合タンパク質と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と、を含む医薬組成物。
【請求項13】
医薬品として使用するための、請求項1~9のいずれか一項に記載の単離された抗ヒトCD25抗体若しくはその抗原結合断片、請求項10に記載の融合タンパク質又は請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
癌又は感染症の治療を必要とする対象における癌又は感染症の治療に使用するための、請求項1~9のいずれか一項に記載の単離された抗ヒトCD25抗体又はその抗原結合断片、請求項10に記載の融合タンパク質、又は請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
癌又は感染症の治療を必要とする対象における癌又は感染症の治療に使用するための、免疫療法と請求項1~9のいずれか一項に記載の単離された抗ヒトCD25抗体若しくはその抗原結合断片、請求項10に記載の融合タンパク質又は請求項12に記載の医薬組成物との組合わせ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌及び感染症の治療の分野に関し、特に、癌及び感染症を治療するために使用され得る新規な抗ヒトCD25抗体を開示する。
【背景技術】
【0002】
制御性T細胞(Treg)は、自己免疫に対する身体の保護に関与する免疫寛容の重要なメディエータである。しかしながら、癌において、Tregは、議論の余地のある役割を果たすと思われる。実際、腫瘍微小環境はTregの分化及び動員に有利に働き得、したがって抗腫瘍エフェクターT細胞機能を抑制し得る。したがって、Tregは免疫療法にとって大きな障害となり得る。この現象は、多くのヒト癌及び腫瘍成長のほとんどのマウスモデルにおいて記載されており、Tregの頻度及びそのサプレッサー機能は、健康な対象について報告されたものと比較して増加している。
【0003】
特に、Tregは、腫瘍由来ケモカインの存在下で腫瘍に蓄積し、所定の位置になると、腫瘍微小環境に浸潤する免疫細胞によって媒介される抗腫瘍応答を防止又は鈍らせるように進行することが示されている。したがって、Tregの蓄積は、抗腫瘍免疫エフェクター細胞をサイレンシングすることによって宿主免疫系からの腫瘍の逃避に関与し得る。
【0004】
その結果、腫瘍からTregをサイレンシング又は排除し、それによってTエフェクター細胞の抗腫瘍機能を回復させ、癌を治療するための手段を開発する必要がある。
【0005】
Tregは、インターロイキン-2(IL-2)に結合し、Tregの発達及び恒常性を調節するインターロイキン-2受容体α鎖である構成的に高レベルのCD25を発現するマウスCD4T細胞の循環サブセットとして、Sakaguchi et al.によって最初に記載された。
【0006】
抗CD25抗体、及びTregの機能又は活性を調節するためのその使用は、したがって、当技術分野で記載されていた。例えば、バシリキシマブは、移植片対宿主病を予防するために使用され得るキメラマウス-ヒトCD25抗体である。更に、ダクリズマブは、再発性形態の多発性硬化症の治療のために承認されたキメラマウス-ヒトCD25抗体である。
【0007】
しかしながら、本出願人の知る限りでは、抗CD25抗体は、ヒトにおける癌の治療について臨床的に検証されていない。したがって、IL-2/CD25経路の調節に基づく有効な抗腫瘍免疫療法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、単離された抗ヒトCD25抗体又はその抗原結合断片に関し、
重鎖の可変領域(VH)が以下の3つの相補性決定領域(CDR):
-CDR1:XHAMA(配列番号1)(XはN又はSである);
-CDR2:YISYDGDNTYYXDSVKG(配列番号2)(XはR又はAである);及び
-CDR3:GGNSGYD(配列番号3);
又は配列番号1~3と少なくとも約70%の同一性を共有するアミノ酸配列を有する任意のCDR
を含み、
軽鎖の可変領域(VL)が、以下の3つのCDR:
-CDR1:XSQNVNKFLN(配列番号4)(XはK又はRであり、XはG又はAである);
-CDR2:GTNSLQX(配列番号5)(XはT又はSである);及び
-CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)、
又は配列番号4~6と少なくとも約70%の同一性を共有するアミノ酸配列を有する任意のCDR
を含み、
がNであり且つXがRである場合、XはRであり、及び/又はXはSであり、
がKであり且つXがTである場合、XはSであり、及び/又はXはAである。
【0009】
一実施形態では、当該抗体又はその抗原結合断片のVHは、以下のCDR:
-CDR1:NHAMA(配列番号7);
-CDR2:YISYDGDNTYYRDSVKG(配列番号8);及び
-CDR3:GGNSGYD(配列番号3);
を含み、
当該抗体又はその抗原結合断片のVLは、以下のCDR:
-CDR1:RASQNVNKFLN(配列番号9);
-CDR2:GTNSLQS(配列番号10);及び
-CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含む。
【0010】
一実施形態では、当該抗体又はその抗原結合断片のVHは、以下のCDR:
-CDR1:NHAMA(配列番号7);
-CDR2:YISYDGDNTYYADSVKG(配列番号11);及び
-CDR3:GGNSGYD(配列番号3);
を含み、
当該抗体又はその抗原結合断片のVLは、以下のCDR:
-CDR1:RASQNVNKFLN(配列番号9);
-CDR2:GTNSLQS(配列番号10);及び
-CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含む。
一実施形態では、当該抗体又はその抗原結合断片のVHは、以下のCDR:
-CDR1:NHAMA(配列番号7);
-CDR2:YISYDGDNTYYADSVKG(配列番号11);及び
-CDR3:GGNSGYD(配列番号3);
を含み、
当該抗体又はその抗原結合断片のVLは、以下のCDR:
-CDR1:KGSQNVNKFLN(配列番号12);
-CDR2:GTNSLQT(配列番号13);及び
-CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含む。
【0011】
一実施形態では、当該抗体又はその抗原結合断片のVHは、以下のCDR:
-CDR1:SHAMA(配列番号14);
-CDR2:YISYDGDNTYYADSVKG(配列番号11);及び
-CDR3:GGNSGYD(配列番号3)
を含む。
【0012】
当該抗体又はその抗原結合断片のVLは、以下のCDR:
-CDR1:KGSQNVNKFLN(配列番号12);
-CDR2:GTNSLQT(配列番号13);及び
-CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含む。
【0013】
一実施形態では、当該抗体又はその抗原結合断片のVHは、以下のCDR:
-CDR1:SHAMA(配列番号14);
-CDR2:YISYDGDNTYYADSVKG(配列番号11);及び
-CDR3:GGNSGYD(配列番号3);
を含み、
当該抗体又はその抗原結合断片のVLは、以下のCDR:
-CDR1:RASQNVNKFLN(配列番号9);
-CDR2:GTNSLQS(配列番号10);及び
-CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含む。
【0014】
一実施形態では、上記の単離された抗ヒトCD25抗体又はその抗原結合断片は、キメラであるか、ヒト化されているか、又はヒトのものである。一実施形態では、当該抗体又は抗原結合断片は一価である。
【0015】
一実施形態では、上記の単離された抗ヒトCD25抗体又はその抗原結合断片は、抗体依存性細胞傷害性、補体依存性細胞傷害性及び/又は抗体依存性食作用を媒介する。
【0016】
一実施形態では、上記の単離された抗ヒトCD25抗体又はその抗原結合断片は二重特異性抗体である。
【0017】
本発明は更に、本明細書において上で記載されるような単離された抗ヒトCD25抗体又はその抗原結合断片を含む融合タンパク質に関する。
【0018】
本発明は更に、本明細書において上で記載されるような単離された抗ヒトCD25抗体若しくはその抗原結合断片、又は融合タンパク質をコードする核酸に関する。
【0019】
本発明は更に、本明細書において上で記載されるような単離された抗ヒトCD25抗体若しくはその抗原結合断片又は融合タンパク質と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と、を含む医薬組成物に関する。
【0020】
本発明は更に、医薬品として使用するための、本明細書において上で記載されるような単離された抗ヒトCD25抗体若しくはその抗原結合断片、融合タンパク質又は医薬組成物に関する。
【0021】
本発明は更に、それを必要とする対象において癌又は感染症を治療するのに使用するための、本明細書において上で記載されるような単離された抗ヒトCD25抗体若しくはその抗原結合断片、融合タンパク質又は医薬組成物に関する。
【0022】
本発明は更に、それを必要とする対象において癌又は感染症を治療するのに使用するための、免疫療法と本明細書において上で記載されるような、単離された抗ヒトCD25抗体若しくはその抗原結合断片、融合タンパク質又は医薬組成物との組合わせに関する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、CD25陽性細胞株に対する本発明の抗CD25抗体(MAB02、MAB09、MAB10、MAB17、MAB18)、対照抗体(huIgG1)又はバシリキシマブの結合を示すヒストグラムである。
図2A図2は、本発明の抗CD25抗体、対照抗体(huIgG1)又はバシリキシマブによって誘導される抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を示すグラフ(A)とヒストグラム(B)との組合わせである。図2Aは、本発明の抗CD25抗体(MAB02、MAB09、MAB10、MAB17及びMAB18)、対照抗体(huIgG1)又は異なる濃度のバシリキシマブ(10-7、10-6、10-5、10-4、10-3、10-2、10-1、1又は10μg/mL)とのインキュベーションによって誘導されたCD25陽性細胞の溶解を示す。図2Bは、ヒトIgG1対照抗体又はバシリキシマブと比較して、1μg/mLでの本発明の抗CD25抗体(MAB02、MAB09、MAB10、MAB17、MAB18)とのインキュベーションによって誘導されたCD25陽性細胞の溶解を表す。データは平均±SEMとして表される。
図2B】同上。
図3図3は、ヒトIgG1対照抗体又はバシリキシマブと比較した、10μg/mLでの本発明の抗CD25抗体(MAB02、MAB09、MAB10、MAB17、MAB18)によって誘導された抗体依存性食作用(ADCP)の割合を示すヒストグラムである。データは平均±SEMとして表される。
図4図4は、ヒトIgG1対照抗体又はバシリキシマブと比較した、インビトロでのIL-2結合に対する1μg/mLでの本発明の抗CD25抗体(MAB02、MAB09、MAB10、MAB17、MAB18)の影響を示すヒストグラムである。
図5図5は、ヒトIgG1対照抗体、バシリキシマブ、7G7B6及びMA-251と比較した、IL-2誘導エフェクターT細胞増殖に対する本発明の抗CD25抗体(MAB02、MAB09、MAB10、MAB17、MAB18)の影響を示すヒストグラムである。###p<0.001、####p<0.0001vs7G7B6、§§§p<0.001、§§§§p<0.0001vsMA-251;一元配置ANOVA。
図6図6は、CD45+リンパ球集団内のTreg細胞枯渇に対する本発明の抗CD25抗体の影響を示す2つのヒストグラムの組合わせである。図6Aは、ヒトIgG1対照抗体、本発明の抗CD25抗体(MAB02、MAB09、MAB10、MAB17、MAB18)又はバシリキシマブとのインキュベーション後のCD45+リンパ球集団内のTreg細胞枯渇のパーセンテージを表す。図6Bは、ヒトIgG1対照抗体、本発明の抗CD25抗体(MAB02、MAB09、MAB10、MAB17、MAB18)又はバシリキシマブとのインキュベーション後のCD45+リンパ球集団内のTreg細胞のパーセンテージを表す。****p<0,0001vshuIgG1;一元配置ANOVA
図7図7は、CD45+リンパ球集団内のCD4+エフェクターT細胞及びCD8+エフェクターT細胞の枯渇に対する本発明の抗CD25抗体の影響を示す2つのヒストグラム(A,B)の組合わせである。図7Aは、ヒトIgG1対照抗体、本発明の抗CD25抗体(MAB02、MAB09、MAB10、MAB17、MAB18)又はバシリキシマブとのインキュベーション後のCD45+リンパ球集団内のCD4+エフェクターT細胞のパーセンテージを表す。図7Bは、ヒトIgG1対照抗体、本発明の抗CD25抗体(MAB02、MAB09、MAB10、MAB17、MAB18)又はバシリキシマブとのインキュベーション後のCD45+リンパ球集団内のCD8+エフェクターT細胞のパーセンテージを表す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
定義
本発明において、以下の用語は、以下の意味を有する。
【0025】
数字の前の「約」は、当該数字の値の±10%以下を包含する。「約」という用語が指す値自体も、具体的に、好ましくは開示されていることを理解されたい。
【0026】
「アドネクチン」は、モノボディとしても公知であり、当技術分野で周知であり、抗原に高い親和性及び特異性で結合するように設計されたタンパク質を指す。それらは、集合的に「抗体模倣物」と呼ばれる分子のクラスに属する。
【0027】
細胞透過性アルファボディとも呼ばれ得る「アルファボディ」は、様々な抗原に結合するように操作された小さな10kDaタンパク質からなる抗体模倣物の一種を指す。アルファボディは、細胞内タンパク質標的に到達し、結合することができる。
【0028】
「アフィボディ」は、スタフィロコッカスタンパク質AのIgG結合ドメインの1つに由来する、58アミノ酸残基のタンパク質ドメインに基づく親和性タンパク質を指す(Frejd&Kim,2017.Exp Mol Med.49(3):e306;米国特許第5,831,012号)。
【0029】
「アフィリン」は、抗原に選択的に結合するように設計された人工タンパク質を指す。それらは、抗原に対するそれらの親和性及び特異性において抗体に類似するが、それらを抗体模倣物のタイプにする構造においては類似していない。
【0030】
「親和性」及び「結合活性」は、抗体-抗原複合体の強度を定義するために使用される。親和性は、エピトープと抗体上の抗原結合部位との間の相互作用の強さを測定する。それは、親和性定数K又は解離定数Kによって表され得る。結合活性(又は機能的親和性)は、抗体-抗原複合体の全体的な強度の尺度を与える。それは、特にエピトープに対する抗体又はその抗原結合断片の親和性、(ii)抗体及び抗原の両方の結合価、並びに(iii)相互作用する部分の構造的配置を含む様々なパラメータに依存し得る。
【0031】
「抗体」及び「免疫グロブリン」は、本明細書で使用される場合、互換的に使用され得、任意の関連する特異的免疫反応性を有するか否かにかかわらず、2つの重鎖と2つの軽鎖との組合わせを有するタンパク質を指す。「抗体」は、目的の抗原(例えば、ヒトCD25)に対する有意な既知の特異的免疫反応性活性を有するそのような集合体を指す。「抗hCD25抗体」という用語は、本明細書では、ヒトCD25タンパク質に対して免疫学的特異性を示す抗体を指すために使用される。
【0032】
本明細書の他の箇所で説明されるように、ヒトCD25(hCD25)に対する「特異性」は、hCD25の種ホモログ、例えばサルCD25との交差反応を排除しない。抗体及び免疫グロブリンは、軽鎖及び重鎖を含み、それらの間に鎖間共有結合があってもなくてもよい。脊椎動物系における基本的な免疫グロブリン構造は比較的よく理解されている。「免疫グロブリン」という一般用語は、生化学的に区別することができる5つの異なるクラスの抗体を含む。以下の考察は一般に免疫グロブリン分子のIgGクラスに関するものであるが、5つのクラスの抗体は全て本発明の範囲内である。IgGに関して、免疫グロブリンは、分子量約23kDaの2つの同一のポリペプチド軽鎖と、分子量約53~70kDaの2つの同一の重鎖とを含む。4つの鎖は、軽鎖が、「Y」の口から始まり可変領域を通って続く重鎖を支持する「Y」配置のジスルフィド結合によって結合されている。抗体の軽鎖は、カッパ(κ)又はラムダ(λ)のいずれかとして分類される。各重鎖クラスは、κ又はλ軽鎖のいずれかと結合していてもよい。一般に、免疫グロブリンがハイブリドーマ、B細胞又は遺伝子操作された宿主細胞のいずれかによって生成される場合、軽鎖及び重鎖は互いに共有結合し、2つの重鎖の「テール」領域は共有ジスルフィド結合又は非共有結合によって互いに結合する。重鎖において、アミノ酸配列は、Y配置の分岐した末端のN末端から各鎖の底部のC末端まで延びる。当業者は、重鎖がガンマ(γ)、ミュー(μ)、アルファ(α)、デルタ(δ)又はイプシロン(ε)に分類され、それらの中にいくつかのサブクラスがあることを理解するであろう(例えば、γ1-γ4)。抗体の「クラス」をそれぞれIgG、IgM、IgA IgD又はIgEとして決定するのは、この鎖の性質である。免疫グロブリンサブクラス又は「アイソタイプ」(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1等)は十分に特徴付けられており、機能的特殊化を付与することが知られている。これらのクラス及びアイソタイプのそれぞれの改変バージョンは、本開示を考慮して当業者に容易に識別可能であり、したがって、本発明の範囲内である。上記のように、抗体の可変領域は、抗体が抗原上のエピトープを選択的に認識し、特異的に結合することを可能にする。すなわち、抗体の軽鎖可変ドメイン(VLドメイン)と重鎖可変ドメイン(VHドメイン)とが組み合わさって、三次元抗原結合部位を規定する可変領域を形成する。この四次抗体構造は、「Y」の各アームの末端に存在する抗原結合部位を形成する。より具体的には、抗原結合部位は、VH鎖及びVL鎖のそれぞれの3つの相補性決定領域(CDR)によって定義される。
【0033】
「アフィチン」は、スルホロブス(Sulfolobus)属である、2つの7kDa DNA結合ポリペプチドSac7d及びSso7dに元々由来する高度に安定な操作された親和性タンパク質を指す。
【0034】
「アンチカリン」は、結合特異性がリポカリンに由来する抗体模倣技術を指す。アンチカリンはまた、デュオカリンと呼ばれる二重標的化タンパク質としてフォーマット化され得る。
【0035】
本明細書で使用される「抗原結合断片」は、抗体全体よりも少ないアミノ酸残基を含む抗体の一部又は領域を指す。「抗原結合断片」は、抗原に結合し、及び/又はそれが由来する抗体全体と抗原結合について競合する(例えば、ヒトCD25への特異的結合)。抗体抗原結合断片には、単鎖抗体、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab)’、Fd、脱フコシル化抗体、ダイアボディ、トリアボディ及びテトラボディが含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
本明細書で使用される「アルマジロリピートタンパク質ベースの足場」は、アルマジロリピートタンパク質に基づく人工ペプチド結合足場に対応する抗体模倣物のタイプを指す。アルマジロリピートタンパク質は、ペプチド又はタンパク質との相互作用を媒介する約42のアミノ酸のタンデムアルマジロリピートで構成されるアルマジロドメインを特徴とする。
【0037】
「アトリマー」は、生物学的活性のために精緻なものとして三量体化する標的タンパク質のための結合分子を指す。それらは、他の抗体模倣足場と比較して比較的大きい。
【0038】
「アビマー」は、抗体模倣技術を指す。
【0039】
「CD25」は、別段示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含む任意の脊椎動物供給源由来の任意の天然CD25を指す。インターロイキン-2受容体アルファ鎖(CD25とも呼ばれる)タンパク質は、IL2RA遺伝子によってコードされる。IL-2受容体の2つの形態が記載された:第1の形態はαサブユニット(CD25)、βサブユニット(CD122)及びγサブユニット(CD132)を含み、第2の形態はβ及びγサブユニット(すなわち、CD122及びCD132)のみを含む。この用語は、「全長」又はプロセシングされていないCD25、並びに細胞内でのプロセシングから生じる任意の形態のCD25を包含する。この用語はまた、CD25の天然に存在する変異体(例えば、スプライス変異体又は対立遺伝子変異体)を包含する。特定の実施形態では、CD25は、ヒトCD25である。例えば、CD25は、抗原又はマイトジェン刺激に応答する活性化Tリンパ球及び活性化Bリンパ球によって発現される。CD25はまた、制御性T細胞(CD25high FoxP3制御性T細胞)によって発現される。一実施形態では、CD25は、ヒトCD25(Uniprotアクセッション番号P01589、配列番号39)を指す。
配列番号39
MDSYLLMWGLLTFIMVPGCQAELCDDDPPEIPHATFKAMAYKEGTMLNCECKRGFRRIKSGSLYMLCTGNSSHSSWDNQCQCTSSATRNTTKQVTPQPEEQKERKTTEMQSPMQPVDQASLPGHCREPPPWENEATERIYHFVVGQMVYYQCVQGYRALHRGPAESVCKMTHGKTRWTQPQLICTGEMETSQFPGEEKPQASPEGRPESETSCLVTTTDFQIQTEMAATMETSIFTTEYQVAVAGCVFLLISVLLLSGLTWQRRQRKSRRTI
【0040】
「CDR」又は「相補性決定領域」は、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内に見られる不連続な抗原結合部位を意味する。所与のCDRの正確なアミノ酸配列境界は、Kabat et al.(1991),“Sequences of Proteins of Immunological Interest”
【0041】
5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(“Kabat” numbering scheme),Al-Lazikani et al.,(1997)JMB 273,927-948(“Chothia” numbering scheme)、又はそれらの組合わせに記載されているものを含む、多数の周知のスキームのいずれかを使用して決定することができる。より最近では、ユニバーサルナンバリングシステムが開発され、広く採用されている。ImMunoGeneTics(IMGT)Information System(登録商標)(Lefranc et al.,Nucleic Acids Res.27:209-212 1999)。IMGTは、ヒト及び他の脊椎動物の免疫グロブリン(IG)、T細胞受容体(TR)及び主要組織適合遺伝子複合体(MHC)に特化した統合情報システムである。本明細書では、CDRは、アミノ酸配列及び軽鎖又は重鎖内の位置の両方に関して言及される。免疫グロブリン可変ドメインの構造内のCDRの「場所」は、種間で保存され、ループと呼ばれる構造内に存在するので、可変ドメイン配列を構造的特徴に従って整列させるナンバリングシステムを使用することによって、CDR及びフレームワーク残基を容易に同定することができる。この情報は、1つの種の免疫グロブリンからのCDR残基を、典型的にはヒト抗体からの受容体フレームワークにグラフト及び置換する際に使用することができる。KabatナンバリングとIMGT固有のナンバリングシステムとの間の対応も当業者に周知である(例えば、上記のLefranc et al.)。したがって、一実施形態では、CDR領域又はCDRによって、IMGT(登録商標)ナンバリングシステム(例えば、上記のLefranc et al.)によって定義される免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖の超可変領域を示すことが意図されている。
【0042】
「DARPins」(設計アンキリンリピートタンパク質)は、非抗体ポリペプチドの結合能力を利用するために開発された抗体模倣DRP(設計リピートタンパク質)技術を指す。
【0043】
本明細書で使用される「ダイアボディ」は、可変ドメインの鎖内ではなく鎖間対合が達成され、二価断片、すなわち2つの抗原結合部位を有する断片が得られるように、VHとVLとの間に短いリンカー(約5~10残基)を有するscFv断片を構築することによって調製される小さな抗体断片を指す。二重特異性ダイアボディは、2つの抗体のVH及びVLが異なるポリペプチド鎖上に存在する2つの「クロスオーバー」scFv断片のヘテロ二量体である。ダイアボディは、例えば、欧州特許第0404097号明細書又は国際公開第1993011161号に記載されている。
【0044】
「ドメイン抗体」は、抗体の重鎖又は軽鎖のいずれかの可変領域に対応する、抗体の最小機能的結合単位を指す。
【0045】
「ドメインクニッツペプチド」は、抗体模倣物の一種を指し、プロテアーゼの機能を阻害するタンパク質の活性ドメインに基づく。
【0046】
「エフェクターT細胞」は、いくつかのT細胞型(例えば、CD4及びCD8T細胞)を含む細胞の群を指す。それは、B細胞の形質細胞及びメモリーB細胞への成熟を含む免疫学的プロセスにおいて他の白血球を助けるヘルパーT細胞(Th細胞)、並びにウイルス感染細胞及び腫瘍細胞を破壊する細胞傷害性T細胞(Tc細胞、CTL、Tキラー細胞、キラーT細胞)を含み、移植拒絶にも関与する。
【0047】
「エピトープ」とは、抗体若しくはその抗原結合断片又は抗体模倣物が結合する1つ又は複数のタンパク質上に位置するアミノ酸の特異的配列を指す。エピトープは、多くの場合、アミノ酸又は糖側鎖等の分子の化学的に活性な表面グループからなり、特定の三次元構造特性並びに特定の電荷特性を有する。エピトープは、線状(又は連続的)又は立体配座であり得る、すなわち、必ずしも連続していなくてもよい抗原の様々な領域のアミノ酸の2つ以上の配列を含む。
【0048】
「エバシン」は、ケモカイン結合タンパク質のクラスを指す。
【0049】
「Fab」は、分子内ジスルフィド結合によって連結された以下の領域:VH、VL、CH1及びCLを含む一価断片を指す。本明細書で使用される場合、F(ab’)は、ジスルフィド結合によって連結された2つの抗原結合領域を含む断片を指す。本明細書で使用される場合、Fab’は、F(ab’)断片の還元によって得られる断片を指す。
【0050】
「フレームワーク領域」又は「FR領域」は、可変領域の一部であるがCDRの一部ではないアミノ酸残基を含む(例えば、CDRのIMGT(登録商標)ナンバリング定義を使用する)。軽鎖のフレームワーク領域は、VLのCDRのそれぞれによって同様に分離される。天然に存在する抗体では、各単量体抗体上に存在する6つのCDRは、抗体が水性環境でその三次元構成をとるときに抗原結合部位を形成するように特異的に配置されるアミノ酸の短い不連続配列である。重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインの残りの部分は、アミノ酸配列においてより少ない分子間可変性を示し、フレームワーク領域と呼ばれる。フレームワーク領域は、主にβシート立体配座をとり、CDRは、βシート構造を接続し、場合によってはその一部を形成するループを形成する。したがって、これらのフレームワーク領域は、鎖間の非共有結合性相互作用によって6つのCDRを正しい向きに配置する足場を形成するように作用する。配置されたCDRによって形成される抗原結合部位は、免疫反応性抗原上のエピトープに相補的な表面を画定する。この相補的な表面は、免疫反応性抗原エピトープへの抗体の非共有結合を促進する。CDRの位置は、当業者によって容易に特定され得る。
【0051】
「Fcドメイン」、「Fc部分」及び「Fc領域」は、抗体重鎖のC末端断片、例えば、ヒトガンマ重鎖の約アミノ酸(aa)230~約aa450、又は他のタイプの抗体重鎖(例えば、ヒト抗体のα、δ、ε及びμ)におけるその対応配列、又はその天然に存在するアロタイプを指す。
【0052】
「Fd断片」は、VH領域及びCH1領域を含むFab断片の重鎖を指す。
【0053】
「フィノマー」は、抗体模倣物のクラスに属するタンパク質を指す。それらは、それらの高い熱安定性及び低い免疫原性のために魅力的な結合分子である。
【0054】
本明細書で使用される「Fv」は、完全な抗原認識及び結合部位を含む最小の抗体断片を指す。この断片は、1つのVHと1つのVLとが密接に非共有結合した二量体からなる。これらの2つのドメインの折畳みから、抗原結合に寄与し、抗体に抗原結合特異性を付与する6つの超可変ループ(それぞれ重鎖及び軽鎖からの3つのループ)が生じる。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、結合部位全体よりも低い親和性ではあるが、抗原を認識して結合する能力を有する。
【0055】
「重鎖領域」は、免疫グロブリン重鎖の定常ドメインに由来するアミノ酸配列を含む。重鎖領域を含むタンパク質は、C1ドメイン、ヒンジ(例えば、上部ヒンジ領域、中間ヒンジ領域、及び/又は下部ヒンジ領域)ドメイン、C2ドメイン、C3ドメイン、又はそれらの変異体若しくは断片のうちの少なくとも1つを含む。一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、免疫グロブリン重鎖(例えば、ヒンジ部分、C2ドメイン及びC3ドメイン)のFc領域を含み得る。別の実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、少なくとも定常ドメイン(例えば、C2ドメインの全部又は一部)の領域を欠く。特定の実施形態では、定常ドメインの少なくとも1つ、好ましくは全てがヒト免疫グロブリン重鎖に由来する。例えば、一実施形態では、重鎖領域は完全ヒトヒンジドメインを含む。他の実施形態では、重鎖領域は、完全ヒトFc領域(例えば、ヒト免疫グロブリン由来のヒンジ、C2及びC3ドメイン配列)を含む。特定の実施形態では、重鎖領域の構成定常ドメインは、異なる免疫グロブリン分子に由来する。例えば、タンパク質の重鎖領域は、IgG1分子に由来するC2ドメインと、IgG3又はIgG4分子に由来するヒンジ領域とを含み得る。他の実施形態では、定常ドメインは、異なる免疫グロブリン分子の領域を含むキメラドメインである。例えば、ヒンジは、IgG1分子由来の第1の領域と、IgG3又はIgG4分子由来の第2の領域とを含み得る。いくつかの実施形態では、重鎖領域の定常ドメインは、天然に存在する(野生型)免疫グロブリン分子からのアミノ酸配列が異なるように改変され得る。すなわち、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、重鎖定常ドメイン(C1、ヒンジ、C2又はC3)のうちの1つ以上及び/又は軽鎖定常ドメイン(C)に対する変更又は改変を含み得る。例示的な改変には、1つ又は複数のドメインにおける1つ又は複数のアミノ酸の付加、欠失又は置換が含まれる。
【0056】
「ヒンジ領域」は、C1ドメインをC2ドメインに結合する重鎖分子の領域を含む。このヒンジ領域は約25残基を含み、柔軟であり、したがって2つのN末端抗原結合領域が独立して動くことを可能にする。ヒンジ領域は、3つの別個のドメイン、すなわち上部、中央、及び下部ヒンジドメインに細分され得る(Roux et al.,1998.J Immunol.161(8):4083-90)。
【0057】
「超可変ループ」は構造に基づいて定義されるが、相補性決定領域(CDR)は配列可変性に基づいて定義され(Kabat et al.,1991.Sequences of proteins of immunological interest(5th ed.).Bethesda,MD:U.S.Dep.of Health and Human Services)、HV及びCDRの限界はいくつかのV及びVドメインで異なり得るので、超可変ループ(HV)はCDR)と厳密に同義ではない用語である。
【0058】
「同一性」又は「同一」は、2つ以上のアミノ酸配列又は2つ以上の核酸配列の配列間の関係において本明細書で使用される場合、2つ以上のアミノ酸残基又は核酸残基のストリング間のマッチ数によって決定される、アミノ酸配列又は核酸配列間の配列関連性の程度を指す。「同一性」は、特定の数学モデル又はコンピュータプログラム(すなわち、「アルゴリズム」)によって対処されるギャップアラインメント(存在する場合)を有する2つ以上の配列のうちの小さい方の配列間の同一のマッチのパーセントを測定する。関連するアミノ酸配列又は核酸配列の同一性は、公知の方法によって容易に計算することができる。そのような方法には、Lesk A.M.(1988).Computational molecular biology:Sources and methods for sequence analysis.に記載されるものが含まれるが、これらに限定されない。New York,NY:Oxford University Press;Smith D.W.(1993).Biocomputing:Informatics and genome projects.San Diego,CA:Academic Press;Griffin A.M.&Griffin H.G.(1994).Computer analysis of sequence data,Part 1.Totowa,NJ:Humana Press;von Heijne G.(1987).Sequence analysis in molecular biology:treasure trove or trivial pursuit.San Diego,CA:Academic press;Gribskov M.R.&DevereuxJ.(1991).Sequence analysis primer.New York,NY:Stockton Press;Carillo et al.,1988.SIAM J Appl Math.48(5):1073-82.に記載されているものが含まれるが、これらに限定されない。同一性を決定するための好ましい方法は、試験される配列間で最大の一致を与えるように設計される。同一性を判定する方法は、公開されているコンピュータプログラムに記載されている。2つの配列間の同一性を決定するための好ましいコンピュータプログラム方法には、GAPを含むGCGプログラムパッケージが含まれる(Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,WI;Devereux et al.,1984.Nucleic Acids Res.12(1 Pt 1):387-95),BLASTP,BLASTN,and FASTA(Altschul et al.,1990.J Mol Biol.215(3):403-10)。BLASTXプログラムは、国立生物工学情報センター(NCBI)及び他の情報源から公的に入手可能である(BLAST Manual,Altschul et al.NCB/NLM/NIH Bethesda,Md.20894)。周知のSmith Watermanアルゴリズムを使用して、同一性を判定することもできる。
【0059】
本明細書で使用される「インターロイキン-2」又は「IL-2」は、特に明記しない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含む任意の脊椎動物供給源由来の任意の天然IL-2を指す。この用語は、未処理のIL-2並びに細胞内での処理から生じる任意の形態のIL-2を包含する。この用語はまた、IL-2の天然に存在する変異体(例えば、スプライス変異体又は対立遺伝子変異体)を包含する。一実施形態では、IL-2は、配列番号40の配列を有するヒトIL-2である。
配列番号40
MYRMQLLSCIALSLALVTNSAPTSSSTKKTQLQLEHLLLDLQMILNGINNYKNPKLTRMLTFKFYMPKKATELKHLQCLEEELKPLEEVLNLAQSKNFHLRPRDLISNINVIVLELKGSETTFMCEYADETATIVEFLNRWITFCQSIISTLT
【0060】
「ノクチン」(阻害剤シスチンノットとも呼ばれ得る)は、3つのジスルフィド架橋を含むタンパク質構造モチーフを含む抗体模倣物を指す。
【0061】
「哺乳動物」は、ヒト、非ヒト霊長類、家畜及び農業動物、並びに動物園、スポーツ又はペット動物、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウサギ、サル等を含む任意の哺乳動物を指す。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0062】
「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団に含まれる個々の抗体は、少量存在し得る天然に存在する可能性のある変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は非常に特異的であり、単一の抗原部位に向けられる。更に、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の抗体によって汚染されずに合成され得るという点で有利である。修飾語「モノクローナル」は、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、本発明によるモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、Kohler et al.,1975.Nature.256(5517):495-7によって最初に記載されたハイブリドーマ方法論によって調製され得るか、又は細菌、真核動物若しくは植物細胞における組換えDNA法を使用して作製され得る(米国特許第4,816,567号)。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clackson et al.,1991.Nature.352(6336):624-8 and Marks et al.,1991.J Mol Biol.222(3):581-97に記載されている技術を使用して、ファージ抗体ライブラリーから単離され得る。
【0063】
「ナノボディ」は、天然に存在する重鎖抗体の特有の構造的及び機能的特性を含む抗体由来の治療用タンパク質を指す(Muyldermans,2013.Annu Rev Biochem.82:775-97)。これらの重鎖抗体は、単一の可変ドメイン(VHH)及び2つの定常ドメイン(C2及びC3)を含み得る。
【0064】
「予防する」、「予防すること」及び「予防」は、対象が所与の期間にわたって病的状態又は障害を発症する可能性を低減することを目的とする予防的及び予防的手段を指す。そのような低下は、例えば、対象における病的状態又は障害の少なくとも1つの症状の発症の遅延に反映され得る。
【0065】
「制御性T細胞」又は「Treg細胞」は、他のT細胞の応答を抑制することができる特殊なタイプのT細胞、特にCD4T細胞を指す。Treg細胞は、一般に、CD4、IL-2受容体のαサブユニット(CD25)及び転写因子フォークヘッドボックスP3(Foxp3)の発現を特徴とし、腫瘍によって発現されるものを含む抗原に対する末梢自己寛容の誘導及び維持において重要な役割を果たす。より最近では、CD8 Tregも記載されている。
【0066】
本明細書で使用される「単鎖抗体」は、連続するアミノ酸残基の1つの中断されていない配列を含むか、又はそれからなる一次構造を有するタンパク質である任意の抗体又はその断片を指し、限定されないが、(1)単鎖Fv分子(scFv);(2)1つの軽鎖可変ドメインのみを含有する単鎖タンパク質、又は軽鎖可変ドメインの3つのCDRを含有し、関連する重鎖部分を含まないその断片;及び(3)1つの重鎖可変領域のみを含有する単鎖タンパク質、又は関連する軽鎖部分を有しない重鎖可変領域の3つのCDRを含有するその断片を含む。
【0067】
「単鎖Fv」は、「sFv」又は「scFv」とも略され、単一のアミノ酸鎖に連結されたV及びV抗体ドメインを含む抗体断片を指す。好ましくは、scFvアミノ酸配列は、scFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にするペプチドリンカーをVドメインとVドメインとの間に更に含む。
【0068】
本明細書で使用される「対象」は、哺乳動物、好ましくはヒトを指す。一実施形態では、対象は、「患者」、すなわち温血動物、より好ましくはヒトであり得、患者は、医療の受容を待っているか、医療を受けているか、あるいは医療治療の対象であったか/医療治療の対象であるか/医療治療の対象であることになるか、あるいは疾患の発症について監視されている。
【0069】
「治療有効量」とは、標的に対して有意な負又は有害な副作用を引き起こすことなく、(1)疾患、障害、又は状態の発症を遅延又は予防すること;(2)疾患、障害又は状態の1つ又は複数の症状の進行、悪化又は悪くなることを減速又は停止すること;(3)疾患、障害又は状態の症状の改善をもたらすこと;(4)疾患、障害又は状態の重症度又は発生率を低下させること;又は(5)疾患、障害、若しくは状態を治癒することを目的とする、本明細書に記載の抗体のレベル又は量を指す。治療有効量は、予防的又は予防的作用のために、疾患、障害又は状態の発症前に投与され得る。代替的又は追加的に、治療有効量は、治療作用のために、疾患、障害又は状態の開始後に投与され得る。
【0070】
「治療する」又は「治療」又は「緩和」は、治療的治療及び予防的又は予防的手段の両方を指し、目的は、標的とされる病的状態又は障害を予防又は減速(軽減)することである。治療を必要とする者には、既に障害を有する者、並びに障害を有する傾向がある者又は障害を予防すべき者が含まれる。一実施形態では、対象が、本発明による抗体の治療量を受けた後で、以下のうちの少なくとも1つ:癌細胞(又は腫瘍サイズ)又は病原性細胞の数の減少;癌性又は病原性である全細胞の割合の減少;治療される癌又は感染症に関連する症状の1つ又は複数のある程度の軽減;罹患率及び死亡率の低下;生活の質の問題の改善を示す場合、その対象は、癌又は感染性疾患について首尾よく「治療された」。疾患の成功した治療及び改善を評価するための上記のパラメータは、医師によく知られている日常的な手順によって容易に測定可能である。
【0071】
「腫瘍浸潤Treg」は、従来のCD4又はCD8細胞からの浸潤、局所的拡大、生存優位性及びin situ発生の増加を含むいくつかの異なる機構の結果として腫瘍性病変内に蓄積するCD25+/hiFoxp3制御性T細胞に関する。
【0072】
「ユニボディ」は、IgG4抗体のヒンジ領域を欠く抗体断片を指す。ヒンジ領域の欠失は、伝統的なIgG4抗体のサイズの本質的に半分であり、IgG4抗体の二価結合領域ではなく一価結合領域を有する分子をもたらす。
【0073】
「可変」とは、可変ドメインV及びVの特定の領域が抗体間で配列が大きく異なり、その標的抗原に対する各特定の抗体の結合及び特異性に使用されるという事実を指す。しかしながら、可変性は、抗体の可変ドメイン全体に均一に分布していない。これは、抗原結合部位の一部を形成するVドメイン及びVドメインのそれぞれにおいて「超可変ループ」と呼ばれる3つのセグメントに集中している。Vλ軽鎖ドメインの第1、第2及び第3の超可変ループは、本明細書ではL1(λ)、L2(λ)及びL3(λ)と呼ばれ、Vドメインに残基24~33(L1(λ)、9、10又は11アミノ酸残基からなる)、49~53 L2(λ)、3残基からなる)及び90~96(L3(λ)、6残基からなる)を含むと定義され得る(Morea et al.,2000.Methods.20(3):267-79)。Vκ軽鎖ドメインの第1、第2及び第3の超可変ループは、本明細書ではL1(κ)、L2(κ)及びL3(κ)と呼ばれ、Vドメイン内の残基25~33(L1(κ)、6、7、8、11、12又は13残基からなる)、49~53(L2(κ)、3残基からなる)及び90~97(L3(κ)、6残基からなる)を含むものとして定義され得る(Morea et al.前出)。Vドメインの第1、第2及び第3の超可変ループは、本明細書ではH1、H2及びH3と呼ばれ、VHドメイン内の残基25~33(H1、7、8又は9残基からなる)、52~56(H2、3又は4残基からなる)及び91~105(H3、長さが非常に可変)を含むものとして定義され得る(Morea et al.前出)。別段示されない限り、用語L1、L2及びL3はそれぞれ、VLドメインの第1、第2及び第3の超可変ループを指し、Vκアイソタイプ及びVλアイソタイプの両方から得られる超可変ループを包含する。H1、H2及びH3という用語は、それぞれVドメインの第1、第2及び第3の超可変ループを指し、ガンマ(γ)、ミュー(μ)、アルファ(α)、デルタ(δ)又はイプシロン(ε)を含む公知の重鎖アイソタイプのいずれかから得られる超可変ループを包含する。超可変ループL1、L2、L3、H1、H2及びH3はそれぞれ、本明細書において上で定義されるような「相補性決定領域」又は「CDR」の一部を含み得る。
【0074】
「バーサボディ(Versabodies)」は、抗体模倣技術を指す。それらは、典型的なタンパク質が有する疎水性コアに取って代わる、高いジスルフィド密度の足場を形成する、>15%のシステインを有する3~5kDaの小さなタンパク質である。疎水性コアを含む多数の疎水性アミノ酸を少数のジスルフィドで置き換えると、MHC提示に最も寄与する残基が疎水性であるため、より小さく、より親水性であり(より少ない凝集及び非特異的結合)、プロテアーゼ及び熱に対してより耐性であり、T細胞エピトープの密度がより低いタンパク質が得られる。これらの特性の4つは全て免疫原性に影響を及ぼすことがよく知られており、それらは一緒になって免疫原性の大きな減少を引き起こすと予想される。
【0075】
詳細な説明
様々な研究により、マウスモデルにおけるIL-2とCD25との間の相互作用が分析されている。腫瘍担持マウスにおける抗CD25抗体(例えば、PC61等)によるCD25へのIL-2の結合の遮断は、FoxP3発現及びTreg抑制機能の両方の喪失をもたらすことが示されている。この結果は、CD25へのIL2結合の遮断が、癌の発症を予防するための有望な方法であることを示唆している。最近、Vargas et al.(2017,Immunity 48(6),577-586)は、マウス腫瘍モデルにおいて有意な治療上の利益を提供する抗体依存性細胞傷害性(ADCC)又は補体媒介性細胞傷害性機構(CDC)を介した腫瘍内Treg枯渇を可能にするPC61抗体のFc最適化形態を開発した。TregにおけるCD25及びIL-2経路の生理学的重要性を考慮すると、当該経路の遮断は、したがって強力で有望な抗腫瘍免疫療法であると思われた。
【0076】
抗腫瘍免疫療法としてのIL-2経路遮断の明らかな有望性にもかかわらず、IL-2経路の操作は、免疫刺激機能及び免疫調節機能の両方を調節するので、慎重に検討されるべきである。実際、IL-2経路は、免疫応答の調節及び末梢自己寛容の維持において重要な役割を果たすが、T細胞の増殖及び生存並びにエフェクター及びメモリーT細胞の生成に不可欠なT細胞増殖因子としても作用する。更に、IL-2受容体はまた、エフェクターT細胞及び骨髄樹状細胞において一過性に発現され、したがって、IL-2経路操作は、例えば抗腫瘍エフェクターT細胞、特にCD8+エフェクターT細胞の機能の変化等の予測されない結果を引き起こし、癌の進行をもたらす可能性がある。
【0077】
免疫系の成分として、エフェクターCD8+T細胞は、腫瘍の抑制において重要な役割を果たす。例えば、エフェクターCD8+T細胞は、グランザイム及びパーフォリン等の細胞傷害性分子で腫瘍細胞を死滅させることができる。CD8+T細胞によって産生されるIFN-γは、腫瘍細胞によるMHCクラスI抗原の発現を増加させ、それによってそれらをCD8+T細胞のより良好な標的にすることができる。したがって、癌の間、エフェクターCD8+T細胞は新生物細胞の排除に重要である。
【0078】
ここで、本出願人らは、癌中の効率的なエフェクターT細胞応答を維持しながらTregを排除又はサイレンシングすることを目的とした。したがって、本発明は、IL-2シグナル伝達経路を遮断することなく、特にTregを枯渇させることによって強力な抗癌効果を示し、それによってIL-2がエフェクターT細胞を刺激することを可能にする新規抗CD25抗体(特に抗ヒトCD25抗体)に関する。
【0079】
したがって、本発明は、最初に、ヒトCD25(hCD25)に結合する単離されたタンパク質に関する。
【0080】
一実施形態では、本発明による単離されたタンパク質は、単離された抗体又はその抗原結合断片であり、当該抗体又はその抗原結合断片は、ヒトCD25(hCD25)に結合する。
【0081】
本明細書で使用される場合、「単離されたタンパク質」、特に「単離された抗体」は、タンパク質、特に異なる抗原特異性(例えば、hCD25に特異的に結合する単離されたタンパク質又は抗体は、hCD25以外の抗原に特異的に結合するタンパク質又は抗体を実質的に含まない)を有する他のタンパク質又は抗体を実質的に含まない抗体を指すことを意図している。しかしながら、hCD25に特異的に結合する単離されたタンパク質、特に単離された抗体は、他の種からのhCD25分子等の他の抗原に対する交差反応性を有し得る。更に、単離されたタンパク質又は抗体は、他の細胞物質及び/又は化学物質、特に、限定されないが、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性又は非タンパク質性成分を含むタンパク質又は抗体の治療的使用を妨げるものを実質的に含まなくてもよい。
【0082】
一実施形態では、単離されたタンパク質、特に単離された抗体又はその抗原結合断片は精製される。
【0083】
一実施形態では、単離されたタンパク質又は抗体(又はその抗原結合断片)は、
(1)Lowry法によって決定される場合、80重量%、85重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%又はそれを超える、最も好ましくは96重量%、97重量%、98重量%又は99重量%のタンパク質又は抗体(又はその抗原結合断片);
(2)紡糸カップシークエンサーを用いてN末端又は内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度;又は
(3)還元条件下又は非還元条件下で、クーマシーブルー又は好ましくは銀染色を使用してSDS-PAGEによって示される均一性
まで精製される。
【0084】
本発明によれば、単離されたタンパク質、特に単離された抗体又はその抗原結合断片は、CD25を介したIL-2のシグナル伝達を阻害しない。一実施形態では、単離されたタンパク質は、インターロイキン-2(IL-2)のヒトCD25への結合を阻害しない。一実施形態では、単離された抗体又はその抗原結合断片は、インターロイキン-2(IL-2)のヒトCD25への結合を阻害せず、したがって本明細書では「非ブロッキング抗体」と呼ばれ得る。
【0085】
一実施形態では、本発明による抗体のタンパク質、抗体又は抗原結合断片は、抗体のタンパク質、抗体又は抗原結合断片の非存在下でのIL-2シグナル伝達と比較して、IL-2シグナル伝達の50%未満を阻害する。一実施形態では、本発明による抗体のタンパク質、抗体又は抗原結合断片は、タンパク質、抗体又は抗体の抗原結合断片の非存在下でのIL-2シグナル伝達と比較して、IL-2シグナル伝達の45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%未満を阻害する。
【0086】
IL-2シグナル伝達を測定するための方法は当技術分野で周知であり、例えば、IL-2受容体シグナル伝達の誘導の測定(例えば、リン酸化STAT5aの検出によって)、T細胞増殖の誘導の測定(例えば、特にCellTrace(商標)細胞増殖キットを用いたKi-67の検出によって、IL-2の存在下でのT細胞増殖の直接評価によって、MLR実験(例えば、IL-2の存在下におけるCD3及びCD28による細胞の活性化を含む)において、又はIL-2に依存して増殖する細胞株、例えばCTLL2細胞株を用いて)及び/又は活性化マーカーの発現のアップレギュレーションの測定(例えば、CD25、CD69等の細胞傷害性分子、例えば、グランザイムB等)を含む。
【0087】
一実施形態では、本発明のタンパク質、抗体又は抗体の抗原結合断片は、CD4及びCD8T細胞の増殖及び/又は活性化を阻害しない。一実施形態では、本発明の抗体のタンパク質、抗体又は抗原結合断片は、CD4及びCD8T細胞のIL-2誘導性増殖を阻害しない(T細胞のIL-2誘導性増殖を測定するために使用され得る方法の例は、実施例の部分に提供されている)。
【0088】
一実施形態では、本発明のタンパク質、抗体又は抗体の抗原結合断片は、アイソタイプ対照抗体を使用したCD4及びCD8T細胞のIL-2誘導増殖と比較して、CD4及びCD8T細胞のIL-2誘導増殖を30%未満、好ましくは25%、20%、15%、10%未満又はそれ未満阻害する。
【0089】
一実施形態では、本発明によるタンパク質、抗体又は抗体の抗原結合断片は、CD4及びCD8T細胞におけるSTAT5aのリン酸化を阻害しない。
【0090】
一実施形態では、本発明によるタンパク質、抗体又は抗体の抗原結合断片は、それぞれタンパク質、抗体又は抗原結合断片の非存在下でのCD25へのIL-2結合と比較して、CD25へのIL-2結合の50%未満を阻害する。一実施形態では、本発明による抗体のタンパク質、抗体又は抗原結合断片は、それぞれタンパク質、抗体又は抗原結合断片の非存在下でのCD25へのIL-2結合と比較して、CD25へのIL-2結合の45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%未満を阻害する。
【0091】
CD25へのIL-2結合を測定するための方法の例は、当業者に周知であり、限定されないが、CD25上の標識IL-2、例えば、CD25上のビオチン化又は放射性標識IL-2の検出が挙げられる。
【0092】
一実施形態では、本発明によるタンパク質、抗体又は抗体の抗原結合断片は、ヒトCD25(hCD25)に特異的である。
【0093】
タンパク質、抗体又はその抗原結合断片は、検出可能なレベルで当該抗原(例えば、CD25)と、好ましくは約10-1以上、好ましくは約10-1、10-1、5x10-1、10-1、5x10-1以上の親和性定数(K)で反応する場合、抗原に「特異的」、「免疫特異的」又は「特異的に結合する」と言われる。タンパク質、又は抗体若しくはその抗原結合断片のその同族抗原に対する親和性も、一般に平衡解離定数(K)として表される。抗体又はその抗原結合断片は、検出可能なレベルで当該抗原(例えば、CD25)と、10-6M以下、好ましくは10-7M、5.10-8M、10-8M、5.10-9M、10-9M以下のKで反応する場合、抗原に「免疫特異的」、「特異的」又は「特異的に結合する」と言われる。
【0094】
抗体又はその抗原結合断片の親和性は、従来の技術、例えばScatchard,1949.Ann NY Acad Sci.51:660-672に記載されている技術を用いて容易に決定することができる。抗体又はその抗原結合断片の、抗原、細胞又は組織への結合特性は、一般に、例えばELISAを含む免疫検出法、免疫組織化学(IHC)及び/又は蛍光活性化細胞選別(FACS)等の免疫蛍光ベースのアッセイを使用して、又は表面プラズモン共鳴(SPR、例えばBIAcore(登録商標)を使用)によって決定及び評価することができる。
【0095】
一実施形態では、本発明によるタンパク質(特に抗体又はその抗原結合断片)は、約50.10-9M以下、好ましくは約40.10-9M以下又は約30.10-9M以下のヒトCD25に結合するためのKを提示する。一実施形態では、ヒトCD25に結合するための本発明のタンパク質のKは、約1.10-9M~約50.10-9M、好ましくは約2.10-9M~約30.10-9Mの範囲である。
【0096】
一実施形態では、本発明によるタンパク質、抗体又はその抗原結合断片はポリクローナルである。
【0097】
別の実施形態では、本発明によるタンパク質、抗体又はその抗原結合断片はモノクローナルである。
【0098】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、全抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体、二量体単鎖抗体、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab)’、Fd、脱フコシル化抗体、二重特異性抗体、ダイアボディ、トリアボディ及びテトラボディを含むか又はそれらからなる群から選択される分子である。
【0099】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、全抗体、単鎖可変断片(scFv)、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab)’、脱フコシル化抗体、二重特異性抗体、ダイアボディ、トリアボディ及びテトラボディを含むか又はそれらからなる群から選択される分子である。
【0100】
抗体の抗原結合断片は、標準的な方法を用いて得ることができる。例えば、Fab又はF(ab’)断片は、従来の技術に従って、単離された抗体のプロテアーゼ消化によって産生され得る。
【0101】
本発明によるタンパク質、抗体又はその抗原結合断片は、公知の方法を用いて修飾することができることも理解されよう。例えば、インビボでのクリアランスを遅らせ、より望ましい薬物動態学的プロファイルを得るために、タンパク質、抗体又はその抗原結合断片をポリエチレングリコール(PEG)で修飾することができる。PEGを抗体又はその抗原結合断片にカップリングし、部位特異的にコンジュゲートさせるための方法は、例えば、Leong et al.,2001.Cytokine.16(3):106-19;Delgado et al.,1996.Br J Cancer.73(2):175-82.に記載される。
【0102】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、単一体、ドメイン抗体、及びナノボディを含むか、又はそれらからなる群から選択される分子である。一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は単一体である。
【0103】
一実施形態では、本発明による単離されたタンパク質は、アフィボディ(affibody)、アルファボディ(alphabody)、アルマジロリピートタンパク質ベースの骨格(armadillo repeat protein-based scaffold)、ノッチン(knottin)、ドメインクニッツペプチド(domain kunitz peptide)、アフィリン(affilin)、アフィチン(affitin)、アドネクチン(adnectin)、アトリマー(atrimer)、エバシン(evasin)、DARPin、アンチカリン(anticalin)、アビマー(avimer)、フィノマー(fynomer)、バーサボディ(versabody)又はデュオカリン(duocalin)を含むか又はそれらからなる群から選択される抗体模倣物である。
【0104】
以下では、特に明記しない限り、CDRのナンバリング及び定義は、IMGT(登録商標)ナンバリングシステムに従う。
【0105】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、以下の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つの相補性決定領域(CDR):
CDR1:XHAMA(配列番号1)(Xは、N又はSである);
CDR2:YISYDGDNTYYXDSVKG(配列番号2)(XはR又はAである);並びに/あるいは
CDR3:GGNSGYD(配列番号3).
を含む、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略される)を含む。
【0106】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、以下の3つのCDR:
CDR1:XHAMA(配列番号1)(XはN又はSである);
CDR2:YISYDGDNTYYXDSVKG(配列番号2)(XはR又はAである);並びに
CDR3:GGNSGYD(配列番号3)
を含むVHを含む。
【0107】
一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、以下の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つのCDR:
CDR1:XHAMA(配列番号1)(XはN又はSである);
CDR2:YISYDGDNTYYADSVKG(配列番号11);及び/又は
CDR3:GGNSGYD(配列番号3)
を含むVHを含む。
【0108】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、以下の3つのCDR:
CDR1:XHAMA(配列番号1)(XはN又はSである);
CDR2:YISYDGDNTYYADSVKG(配列番号11);並びに
CDR3:GGNSGYD(配列番号3)
を含むVHを含む。
【0109】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、以下のCDRのうちの少なくとも1つ(例えば、1、2又は3)、好ましくは以下の3つのCDR:
CDR1:NHAMA(配列番号7);
CDR2:YISYDGDNTYYRDSVKG(配列番号8);及び
CDR3:GGNSGYD(配列番号3)
を含むVHを含む。
【0110】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、以下のCDRのうちの少なくとも1つ(例えば、1、2又は3)、好ましくは以下の3つのCDR:
CDR1:NHAMA(配列番号7);
CDR2:YISYDGDNTYYADSVKG(配列番号11);及び
CDR3:GGNSGYD(配列番号3)
を含むVHを含む。
【0111】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、以下のCDRのうちの少なくとも1つ(例えば、1、2又は3)、好ましくは以下の3つのCDR:
CDR1:SHAMA(配列番号14);
CDR2:YISYDGDNTYYADSVKG(配列番号11);及び
CDR3:GGNSGYD(配列番号3)
を含むVHを含む。
【0112】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、以下のCDRのうちの少なくとも1つ(例えば、1、2又は3)、好ましくは以下の3つのCDR:
CDR1:SHAMA(配列番号14);
CDR2:YISYDGDNTYYRDSVKG(配列番号8);及び
CDR3:GGNSGYD(配列番号3)
を含むVHを含む。
【0113】
一実施形態では、配列番号1~3、7、8、11又は14のVHのCDR1、CDR2及び/又はCDR3のいずれかは、異なるアミノ酸で置換されている1、2、3又はそれ以上のアミノ酸を有すると特徴付けることができる。
【0114】
一実施形態では、配列番号1~3、7、8、11又は14のVHのCDR1、CDR2及び/又はCDR3のいずれかは、対応する配列番号に列挙されている特定のCDR又はCDRのセットと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を共有するアミノ酸配列を有すると特徴付けることができる。
【0115】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、以下の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つの相補性決定領域(CDR):
CDR1:XSQNVNKFLN(配列番号4)(XはK又はRでありXはG又はAである);
CDR2:GTNSLQX(配列番号5)(XはT又はSである);並びに/あるいは
CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含む、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略される)を含む。
【0116】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、以下の3つのCDR:
CDR1:XSQNVNKFLN(配列番号4)(XはK又はRであり、XはG又はAである);
CDR2:GTNSLQX(配列番号5)(XはT又はSである);及び
CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含むVLを含む。
【0117】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、以下のCDRのうちの少なくとも1つ(例えば、1、2又は3)、好ましくは以下の3つのCDR:
CDR1:RASQNVNKFLN(配列番号9);
CDR2:GTNSLQS(配列番号10);及び
CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含むVLを含む。
【0118】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、以下のCDRのうちの少なくとも1つ(例えば、1、2又は3)、好ましくは以下の3つのCDR:
CDR1:KGSQNVNKFLN(配列番号12);
CDR2:GTNSLQT(配列番号13);及び
CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含むVLを含む。
【0119】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、以下のCDRのうちの少なくとも1つ(例えば、1、2又は3)、好ましくは以下の3つのCDR:
CDR1:RASQNVNKFLN(配列番号9);
CDR2:GTNSLQT(配列番号13);及び
CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含むVLを含む。
【0120】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、以下のCDRのうちの少なくとも1つ(例えば、1、2又は3)、好ましくは以下の3つのCDR:
CDR1:KGSQNVNKFLN(配列番号12);
CDR2:GTNSLQS(配列番号10);及び
CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含むVLを含む。
【0121】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、以下のCDRのうちの少なくとも1つ(例えば、1、2又は3)、好ましくは以下の3つのCDR:
CDR1:RGSQNVNKFLN(配列番号15);
CDR2:GTNSLQT(配列番号13);及び
CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含むVLを含む。
【0122】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、以下のCDRのうちの少なくとも1つ(例えば、1、2又は3)、好ましくは以下の3つのCDR:
CDR1:RGSQNVNKFLN(配列番号15);
CDR2:GTNSLQS(配列番号10);及び
CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含むVLを含む。
【0123】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、以下のCDRのうちの少なくとも1つ(例えば、1、2又は3)、好ましくは以下の3つのCDR:
CDR1:KASQNVNKFLN(配列番号16);
CDR2:GTNSLQT(配列番号13);及び
CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含むVLを含む。
【0124】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、以下のCDRのうちの少なくとも1つ(例えば、1、2又は3)、好ましくは以下の3つのCDR:
CDR1:KASQNVNKFLN(配列番号16);
CDR2:GTNSLQS(配列番号10);及び
CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含むVLを含む。
【0125】
一実施形態では、配列番号4~6、9、10、12、13、15又は16のVLのCDR1、CDR2及び/又はCDR3のいずれかは、異なるアミノ酸で置換されている1、2、3、4、5又はそれ以上のアミノ酸を有すると特徴付けることができる。
【0126】
一実施形態では、配列番号4~6、9、10、12、13、15又は16のVLのCDR1、CDR2及び/又はCDR3のいずれかは、対応する配列番号に列挙されている特定のCDR又はCDRのセットと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を共有するアミノ酸配列を有すると特徴付けることができる。
【0127】
一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、
-少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つの以下のCDR:
CDR1:XHAMA(配列番号1)(XはN又はSである);
CDR2:YISYDGDNTYYXDSVKG(配列番号2)(XはR又はAである);並びに/あるいは
CDR3:GGNSGYD(配列番号3)
を含むVHと、
-少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つの以下のCDR:
CDR1:XSQNVNKFLN(配列番号4)(XはK又はRであり、XはG又はAである);
CDR2:GTNSLQX(配列番号5)(XはT又はSである);並びに/あるいは
CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含むVLと、
を含み、
但し、
がNであり且つXがRである場合、XはRであり、及び/又はXはSであり;及び
がKであり且つXがTである場合、XはSであり、及び/又はXはAである。
【0128】
一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、
-3つの以下のCDR:
CDR1:XHAMA(配列番号1)(XはN又はSである);
CDR2:YISYDGDNTYYXDSVKG(配列番号2)(XはR又はAである);及び
CDR3:GGNSGYD(配列番号3)
を含むVHと、
-3つの以下のCDR:
CDR1:XSQNVNKFLN(配列番号4)(XはK又はRであり、XはG又はAである);
CDR2:GTNSLQX(配列番号5)(XはT又はSである);及び
CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含むVLと、
を含み、
但し、
がNであり且つXがRである場合、XはRであり、及び/又はXはSであり、;及び
がKであり且つXがTである場合、XはSであり、及び/又はXはAである。
【0129】
一実施形態では、配列番号1~3のVH及び/又は配列番号4~6のVLのCDR1、CDR2及び/又はCDR3のいずれかは、対応する配列番号に列挙されている特定のCDR又はCDRのセットと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を共有するアミノ酸配列を有すると特徴付けることができる。
【0130】
一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、
少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つの以下のCDR:
CDR1:XHAMA(配列番号1)(XはN又はSである);
CDR2:YISYDGDNTYYADSVKG(配列番号11);並びに/あるいは
CDR3:GGNSGYD(配列番号3)
を含むVHと、
少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つの以下のCDR:
CDR1:RASQNVNKFLN(配列番号9);
CDR2:GTNSLQS(配列番号10);並びに/あるいは
CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含むVLと、
を含む。
【0131】
一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、
以下の3つのCDR:
CDR1:XHAMA(配列番号1)(XはN又はSである);
CDR2:YISYDGDNTYYADSVKG(配列番号11);及び
CDR3:GGNSGYD(配列番号3)
を含むVHと、
以下の3つのCDR:
CDR1:RASQNVNKFLN(配列番号9);
CDR2:GTNSLQS(配列番号10);及び
CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含むVLと、
を含む。
【0132】
一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、
以下の3つのCDR:
CDR1:NHAMA(配列番号7);
CDR2:YISYDGDNTYYRDSVKG(配列番号8);及び
CDR3:GGNSGYD(配列番号3)
を含むVHと、
以下の3つのCDR:
CDR1:RASQNVNKFLN(配列番号9);
CDR2:GTNSLQS(配列番号10);及び
CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含むVLと、
を含む。
【0133】
一実施形態では、配列番号3、7~8のVH及び/又は配列番号6、9~10のVLのCDR1、CDR2及び/又はCDR3のいずれかは、対応する配列番号に列挙されている特定のCDR又はCDRのセットと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を共有するアミノ酸配列を有すると特徴付けることができる。
【0134】
配列番号7、8及び3を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖と、配列番号9、10及び6を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖とを含む抗体の例は、MAB2、MAB3、MAB6及びMAB7である。
【0135】
一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、
以下の3つのCDR:
CDR1:NHAMA(配列番号7);
CDR2:YISYDGDNTYYADSVKG(配列番号11);及び
CDR3:GGNSGYD(配列番号3)
を含むVHと、
以下の3つのCDR:
CDR1:RASQNVNKFLN(配列番号9);
CDR2:GTNSLQS(配列番号10);及び
CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含むVLと、
を含む。
【0136】
一実施形態では、配列番号7、11、3のVH及び/又は配列番号6、9~10のVLのCDR1、CDR2及び/又はCDR3のいずれかは、対応する配列番号に列挙されている特定のCDR又はCDRのセットと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を共有するアミノ酸配列を有すると特徴付けることができる。
【0137】
配列番号7、11及び3を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖と、配列番号9、10及び6を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖とを含む抗体の例は、MAB10及びMAB11である。
【0138】
一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、
以下の3つのCDR:
CDR1:NHAMA(配列番号7)
CDR2:YISYDGDNTYYADSVKG(配列番号11);及び
CDR3:GGNSGYD(配列番号3)
を含むVHと、
以下の3つのCDR:
CDR1:KGSQNVNKFLN(配列番号12);
CDR2:GTNSLQT(配列番号13);及び
CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含むVLと、
を含む。
【0139】
一実施形態では、配列番号7、11、3のVH及び/又は配列番号6、12~13のVLのCDR1、CDR2及び/又はCDR3のいずれかは、対応する配列番号に列挙されている特定のCDR又はCDRのセットと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を共有するアミノ酸配列を有すると特徴付けることができる。
【0140】
配列番号7、11及び3のCDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖と、配列番号12、13及び6のCDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖とを含む抗体の一例はMAB9である。
【0141】
一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、
以下の3つのCDR:
CDR1:SHAMA(配列番号14);
CDR2:YISYDGDNTYYADSVKG(配列番号11);及び
CDR3:GGNSGYD(配列番号3)
を含むVHと、
以下の3つのCDR:
CDR1:KGSQNVNKFLN(配列番号12);
CDR2:GTNSLQT(配列番号13);及び
CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含むVLと、
を含む。
【0142】
一実施形態では、配列番号14、11、3のVH及び/又は配列番号6、12~13のVLのCDR1、CDR2及び/又はCDR3のいずれかは、対応する配列番号に列挙されている特定のCDR又はCDRのセットと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を共有するアミノ酸配列を有すると特徴付けることができる。
【0143】
配列番号14、11及び3を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖と、配列番号12、13及び6を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖とを含む抗体の例は、MAB13及びMAB17である。
【0144】
一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、
以下の3つのCDR:
CDR1:SHAMA(配列番号14);
CDR2:YISYDGDNTYYADSVKG(配列番号11);及び
CDR3:GGNSGYD(配列番号3)
を含むVHと、
以下の3つのCDR:
CDR1:RASQNVNKFLN(配列番号9);
CDR2:GTNSLQS(配列番号10);及び
CDR3:QQYTSWPWT(配列番号6)
を含むVLと、
を含む。
【0145】
一実施形態では、配列番号14、11、3のVH及び/又は配列番号6、9~10のVLのCDR1、CDR2及び/又はCDR3のいずれかは、対応する配列番号に列挙されている特定のCDR又はCDRのセットと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を共有するアミノ酸配列を有すると特徴付けることができる。
【0146】
配列番号14、11及び3を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖と、配列番号9、10及び6を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖とを含む抗体の例は、MAB14、MAB15、MAB18及びMAB19である。
【0147】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、配列番号17の配列を含むか又はこれからなるVHを含む(式中、XはN又はSであり、XはK又はGであり、XはR又はAであり、XはA又はSであり、XはQ又はKであり、XはS又はNである)。
配列番号17
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSXHAMAWVRQAPXKGLEWVAYISYDGDNTYYXDSVKGRFTISRDNXTLYLQMNSLRAEDTAVYYCTTGGNSGYDWGQGTLVTVSS
【0148】
一実施形態では、配列番号17において、XはN又はSであり、XはGであり、XはAであり、XはA又はSであり、XはKであり、XはS又はNである。
【0149】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、配列番号41を含むか又はこれからなるVHを含み、ここでXはK又はGであり、XはQ又はKである。
配列番号41
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSNHAMAWVRQAPXKGLEWVAYISYDGDNTYYRDSVKGRFTISRDNAXSTLYLQMNSLRAEDTAVYYCTTGGNSGYDWGQGTLVTVSS
【0150】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、配列番号43を含むか又はこれからなるVHを含み、ここでXはS又はNである。
配列番号43
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSHAMAWVRQAPGKGLEWVAYISYDGDNTYYADSVKGRFTISRDNSKXTLYLQMNSLRAEDTAVYYCTTGGNSGYDWGQGTLVTVSS
【0151】
一実施形態では、VHは、異なるアミノ酸で置換された1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35又はそれ以上のアミノ酸を有する配列番号17の配列を含むか、又はそれらからなる。一実施形態では、VHは、異なるアミノ酸で置換された1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35又はそれ以上のアミノ酸を有する配列番号41又は配列番号43の配列を含むか、又はそれらからなる。
【0152】
一実施形態では、VHは、配列番号17と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を共有するアミノ酸配列を有する。一実施形態では、VHは、配列番号41又は配列番号43と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を共有するアミノ酸配列を有する。
【0153】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、配列番号18の配列を含むか又はそれからなるVLを含み、式中、XはK又はRであり、XはG又はAであり、XはL又はPであり、XはE又はKであり、XはT又はSであり、XはY又はFである。
配列番号18
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCXSQNVNKFLNWYQQKXGXAPRRLIYGTNSLQXGVPSRFSGSGSGTDXTLTISSLQPEDFATYYCQQYTSWPWTFGQGTKLEIK
【0154】
一実施形態では、配列番号18において、XはRであり、XはAであり、XはPであり、XはKであり、XはSであり、XはY又はFである。
【0155】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、配列番号42を含むか又はこれからなるVLを含み、ここでXはY又はFである。
配列番号42
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQNVNKFLNWYQQKPGKAPRRLIYGTNSLQSGVPSRFSGSGSGTDXTLTISSLQPEDFATYYCQQYTSWPWTFGQGTKLEIK
【0156】
一実施形態では、VLは、異なるアミノ酸で置換された1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32又はそれ以上のアミノ酸を有する配列番号18の配列を含むか、又はそれらからなる。一実施形態では、VLは、異なるアミノ酸で置換された1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32又はそれ以上のアミノ酸を有する配列番号42の配列を含むか、又はそれらからなる。
【0157】
一実施形態では、VLは、配列番号18と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を共有するアミノ酸配列を有する。一実施形態では、VLは、配列番号42と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を共有するアミノ酸配列を有する。
【0158】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、
-配列番号17(式中、XはN又はSであり、XはK又はGであり、XはR又はAであり、XはA又はSであり、XはQ又はKであり、XはS又はNである)の配列を含むか、又はそれからなるVHと、
-配列番号18(式中、XはK又はRであり、XはG又はAであり、XはL又はPであり、XはE又はKであり、XはT又はSであり、XはY又はFである)の配列を含むか、又はそれからなるVLと、
を含み、
但し、
配列番号17においてXがNであり且つXがRである場合、配列番号18においてXはRであり、及び/又はXはSであり、
配列番号18において、XがKであり且つXがTである場合、配列番号17において、XはSであり、及び/又はXはAである。
【0159】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、
-配列番号17(式中、XはN又はSであり、XはGであり、XはAであり、XはA又はSであり、XはKであり、XはS又はNである)の配列を含むか、又はそれからなるVHと、
-配列番号18(式中、XはRであり、XはAであり、XはPであり、XはKであり、XはSであり、XはY又はFである)の配列を含むか、又はそれからなるVLと、
を含む。
【0160】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、
-配列番号41(式中、XはK又はGであり、XはQ又はKである)の配列を含むか、又はそれからなるVHと、
-配列番号42(式中、XはY又はFである)の配列を含むか、又はそれからなるVLと、
を含む。
【0161】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、
-配列番号21の配列を含むか、又はそれからなるVHと、
-配列番号42(式中、XはY又はFである)の配列を含むか、又はそれからなるVLと、
を含む。
【0162】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、
-配列番号43(式中、XはS又はNである)の配列を含むか、又はそれからなるVHと、
-配列番号24の配列を含むか、又はそれからなるVLと、
を含む。
【0163】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、
-配列番号43(式中、XはS又はNである)の配列を含むか、又はそれからなるVHと、
-配列番号42(式中、XはY又はFである)の配列を含むか、又はそれからなるVLと、
を含む。
【0164】
一実施形態では、VHは配列番号17の配列を含む若しくはそれからなり、及び/又はVLは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35又はそれ以上のアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された配列番号18の配列を含む若しくはそれからなる。
【0165】
一実施形態では、VHは配列番号41の配列を含む若しくはそれからなり、及び/又はVLは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35又はそれ以上のアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された配列番号42の配列を含む若しくはそれからなる。
【0166】
一実施形態では、VHは配列番号21の配列を含む若しくはそれからなり、及び/又はVLは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35又はそれ以上のアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された配列番号42の配列を含む若しくはそれからなる。
【0167】
一実施形態では、VHは配列番号43の配列を含む若しくはそれからなり、及び/又はVLは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35又はそれ以上のアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された配列番号24の配列を含む若しくはそれからなる。
【0168】
一実施形態では、VHは配列番号43の配列を含む若しくはそれからなり、及び/又はVLは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35又はそれ以上のアミノ酸が異なるアミノ酸で置換された配列番号42の配列を含む若しくはそれからなる。
【0169】
一実施形態では、VH及び/又はVLは、それぞれ配列番号17及び/又は配列番号18と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を共有するアミノ酸配列を有する。
【0170】
一実施形態では、VH及び/又はVLは、それぞれ配列番号41及び/又は配列番号42と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を共有するアミノ酸配列を有する。
【0171】
一実施形態では、VH及び/又はVLは、それぞれ配列番号21及び/又は配列番号42と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を共有するアミノ酸配列を有する。
【0172】
一実施形態では、VH及び/又はVLは、それぞれ配列番号43及び/又は配列番号24と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を共有するアミノ酸配列を有する。
【0173】
一実施形態では、VH及び/又はVLは、それぞれ配列番号43及び/又は配列番号42と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を共有するアミノ酸配列を有する。
【0174】
本明細書で使用される場合、所与の配列に関して「[...]アミノ酸が異なるアミノ酸で置換されていることを特徴とする」という句は、当該配列内での保存的アミノ酸改変の発生を指す。
【0175】
本明細書で使用される場合、「保存的アミノ酸改変」という表現は、アミノ酸配列を含む抗体又はその抗原結合断片の結合特性に有意に影響を及ぼさないか又は変化させない改変を指す。そのような保存的改変には、アミノ酸の置換、付加及び欠失が含まれる。改変は、部位特異的突然変異誘発及びPCR媒介突然変異誘発等の当技術分野で公知の標準的な技術によって、抗体又はその抗原結合断片に導入することができる。
【0176】
保存的アミノ酸置換は、典型的には、アミノ酸残基が類似の物理化学的特性を有する側鎖を有するアミノ酸残基で置換されたものである。指定された可変領域及びCDR配列は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35又はそれを超えるアミノ酸の挿入、欠失及び/又は置換を含み得る。置換が行われる場合、好ましい置換は保存的改変である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が含まれる。したがって、本発明による抗体又はその抗原結合断片のCDR及び/又は可変領域内の1つ又は複数のアミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリーからの他のアミノ酸残基で置き換えることができ、変化した抗体は、本明細書に記載のアッセイを使用して、保持された機能(すなわち、本明細書中に記載される特性、例えば、hCD25への結合)について試験することができる。別の実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片のCDR及び/又は可変領域内のアミノ酸のストリングを、側鎖ファミリーメンバーの順序及び/又は組成が異なる構造的に類似したストリングで置き換えることができる。
【0177】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22及び配列番号23を含む群から選択される配列を含むか又はそれからなるVHを含む。
配列番号19
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSNHAMAWVRQAPKKGLEWVAYISYDGDNTYYRDSVKGRFTISRDNAQSTLYLQMNSLRAEDTAVYYCTTGGNSGYDWGQGTLVTVSS
配列番号20
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSNHAMAWVRQAPGKGLEWVAYISYDGDNTYYRDSVKGRFTISRDNAKSTLYLQMNSLRAEDTAVYYCTTGGNSGYDWGQGTLVTVSS
配列番号21
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSNHAMAWVRQAPGKGLEWVAYISYDGDNTYYADSVKGRFTISRDNAKSTLYLQMNSLRAEDTAVYYCTTGGNSGYDWGQGTLVTVSS
配列番号22
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSHAMAWVRQAPGKGLEWVAYISYDGDNTYYADSVKGRFTISRDNSKSTLYLQMNSLRAEDTAVYYCTTGGNSGYDWGQGTLVTVSS
配列番号23
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSHAMAWVRQAPGKGLEWVAYISYDGDNTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCTTGGNSGYDWGQGTLVTVSS
【0178】
一実施形態では、VHは、異なるアミノ酸で置換された1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35又はそれ以上のアミノ酸を有する配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22又は配列番号23の配列を含むか、又はそれからなる。
【0179】
一実施形態では、VHは、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22又は配列番号23と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を共有するアミノ酸配列を有する。
【0180】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、配列番号24、配列番号25及び配列番号26を含む群から選択される配列を含むか又はそれからなるVLを含む。
配列番号24
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKGSQNVNKFLNWYQQKLGEAPRRLIYGTNSLQTGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQQYTSWPWTFGQGTKLEIK
配列番号25
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQNVNKFLNWYQQKPGKAPRRLIYGTNSLQSGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQQYTSWPWTFGQGTKLEIK
配列番号26
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQNVNKFLNWYQQKPGKAPRRLIYGTNSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYTSWPWTFGQGTKLEIK
【0181】
一実施形態では、VLは、異なるアミノ酸で置換された1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32又はそれ以上のアミノ酸を有する配列番号24、配列番号25又は配列番号26を含むか又はそれらからなる。
【0182】
一実施形態では、VLは、配列番号24、配列番号25又は配列番号26と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を共有するアミノ酸配列を有する。
【0183】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、
-配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23及び配列番号19~23と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を有する配列を含む群から選択される配列を含むか又はそれからなるVHと、
-配列番号24、配列番号25、配列番号26、及び配列番号24~26と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%以上の同一性を有する配列を含む群から選択される配列を含むか、又はそれからなるVLと、
を有し、
但し、
VHが配列番号19又は配列番号20の配列を含むか又はこれからなる場合、
VLは、配列番号24の配列を含まないか、又はそれからならない。
【0184】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、
-配列番号19の配列を含むか、又はそれからなるVHと、
-配列番号25の配列を含むか又はそれからなるVLと、
を含む。
【0185】
そのような抗体の例はMAB02である。
【0186】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、
-配列番号19の配列を含むか、又はそれからなるVHと、
-配列番号26の配列を含むか又はそれからなるVLと、
を含む。
【0187】
そのような抗体の例はMAB03である。
【0188】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、
-配列番号20の配列を含むか、又はそれからなるVHと、
-配列番号25の配列を含むか又はそれからなるVLと、
を含む。
【0189】
そのような抗体の例はMAB06である。
【0190】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、
-配列番号20の配列を含むか、又はそれからなるVHと、
-配列番号26の配列を含むか又はそれからなるVLと、
を含む。
【0191】
そのような抗体の例はMAB07である。
【0192】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、
-配列番号21の配列を含むか、又はそれからなるVHと、
-配列番号24の配列を含むか又はそれからなるVLと、
を含む。
【0193】
そのような抗体の例はMAB09である。
【0194】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、
-配列番号21の配列を含むか、又はそれからなるVHと、
-配列番号25の配列を含むか又はそれからなるVLと、
を含む。
【0195】
そのような抗体の例はMAB10である。
【0196】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、
-配列番号21の配列を含むか、又はそれからなるVHと、
-配列番号26の配列を含むか又はそれからなるVLと、
を含む。
【0197】
そのような抗体の例はMAB11である。
【0198】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、
-配列番号22の配列を含むか、又はそれからなるVHと、
-配列番号24の配列を含むか又はそれからなるVLと、
を含む。
【0199】
そのような抗体の例はMAB13である。
【0200】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、
-配列番号22の配列を含むか、又はそれからなるVHと、
-配列番号25の配列を含むか又はそれからなるVLと、
を含む。
【0201】
そのような抗体の例はMAB14である。
【0202】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、
-配列番号22の配列を含むか、又はそれからなるVHと、
-配列番号26の配列を含むか又はそれからなるVLと、
を含む。
【0203】
そのような抗体の例はMAB15である。
【0204】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、
-配列番号23の配列を含むか、又はそれからなるVHと、
-配列番号24の配列を含むか又はそれからなるVLと、
を含む。
【0205】
そのような抗体の例はMAB17である。
【0206】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、
-配列番号23の配列を含むか、又はそれからなるVHと、
-配列番号25の配列を含むか又はそれからなるVLと、
を含む。
【0207】
そのような抗体の例はMAB18である。
【0208】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、
-配列番号23の配列を含むか、又はそれからなるVHと、
-配列番号26の配列を含むか又はそれからなるVLと、
を含む。
【0209】
そのような抗体の例はMAB19である。
【0210】
一実施形態では、VL及び/又はVHは、好ましくはVLアミノ酸配列からN末端又はVHアミノ酸配列からN末端に位置するリーダー配列を更に含む。リーダー配列の例としては、配列番号27及び28が挙げられるが、これらに限定されない。
配列番号27
MDIRLSLAFLVLFIKGVQC
配列番号28
MAAVQLLGLLLLWLPAMRC
【0211】
一実施形態では、VHは、VHアミノ酸配列(例えば、配列番号17、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22又は配列番号23)からN末端に位置するアミノ酸リーダー配列配列番号27を含む。アミノ酸リーダー配列配列番号27を含み得るVHアミノ酸配列の他の例としては、配列番号41又は配列番号43が挙げられる。
【0212】
一実施形態では、VLは、VLアミノ酸配列(例えば、配列番号18、配列番号24、配列番号25又は配列番号26等)からN末端に位置するアミノ酸リーダー配列配列番号28を含む。アミノ酸リーダー配列配列番号28を含み得るVLアミノ酸配列の別の例としては、配列番号42が挙げられる。
【0213】
本発明は更に、MAB02様抗体、すなわち、MAB02と同じエピトープ、又はMAB02と実質的に同じエピトープに結合する抗体に関する。したがって、本発明は更に、CD25への結合についてMAB02と競合する抗体に関する。
【0214】
本発明は更に、MAB03様抗体、すなわち、MAB03と同じエピトープ、又はMAB03と実質的に同じエピトープに結合する抗体に関する。したがって、本発明は更に、CD25への結合についてMAB03と競合する抗体に関する。
【0215】
本発明は更に、MAB06様抗体、すなわち、MAB06と同じエピトープ、又はMAB06と実質的に同じエピトープに結合する抗体に関する。したがって、本発明は更に、CD25への結合についてMAB06と競合する抗体に関する。
【0216】
本発明は更に、MAB07様抗体、すなわち、MAB07と同じエピトープ、又はMAB07と実質的に同じエピトープに結合する抗体に関する。したがって、本発明は更に、CD25への結合についてMAB07と競合する抗体に関する。
【0217】
本発明は更に、MAB09様抗体、すなわち、MAB09と同じエピトープ、又はMAB09と実質的に同じエピトープに結合する抗体に関する。したがって、本発明は更に、CD25への結合についてMAB09と競合する抗体に関する。
【0218】
本発明は更に、MAB10様抗体、すなわち、MAB10と同じエピトープ、又はMAB10と実質的に同じエピトープに結合する抗体に関する。したがって、本発明は更に、CD25への結合についてMAB10と競合する抗体に関する。
【0219】
本発明は更に、MAB11様抗体、すなわち、MAB11と同じエピトープ、又はMAB11と実質的に同じエピトープに結合する抗体に関する。したがって、本発明は更に、CD25への結合についてMAB11と競合する抗体に関する。
【0220】
本発明は更に、MAB13様抗体、すなわち、MAB13と同じエピトープ、又はMAB13と実質的に同じエピトープに結合する抗体に関する。したがって、本発明は更に、CD25への結合についてMAB13と競合する抗体に関する。
【0221】
本発明は更に、MAB14様抗体、すなわち、MAB14と同じエピトープ、又はMAB14と実質的に同じエピトープに結合する抗体に関する。したがって、本発明は更に、CD25への結合についてMAB14と競合する抗体に関する。
【0222】
本発明は更に、MAB15様抗体、すなわち、MAB15と同じエピトープ、又はMAB15と実質的に同じエピトープに結合する抗体に関する。したがって、本発明は更に、CD25への結合についてMAB15と競合する抗体に関する。
【0223】
本発明は更に、MAB17様抗体、すなわち、MAB17と同じエピトープ、又はMAB17と実質的に同じエピトープに結合する抗体に関する。したがって、本発明は更に、CD25への結合についてMAB17と競合する抗体に関する。
【0224】
本発明は更に、MAB18様抗体、すなわち、MAB18と同じエピトープ、又はMAB18と実質的に同じエピトープに結合する抗体に関する。したがって、本発明は更に、CD25への結合についてMAB18と競合する抗体に関する。
【0225】
本発明は更に、MAB19様抗体、すなわち、MAB19と同じエピトープ、又はMAB19と実質的に同じエピトープに結合する抗体に関する。したがって、本発明は更に、CD25への結合についてMAB19と競合する抗体に関する。
【0226】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、完全又は実質的に完全なヒト重鎖定常領域(本明細書ではCと略す)及び/又は軽鎖定常領域(本明細書ではCと略す)を含む。一実施形態では、定常領域はヒト起源のものである。
【0227】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、完全又は実質的に完全なマウスC及び/又はCを含む。一実施形態では、定常領域はマウス起源のものである。
【0228】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、マウス抗体又はその断片である。
【0229】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、キメラ抗体又はその断片である。
【0230】
本明細書で使用される「キメラ抗体」は、自然状態では天然には連結されていない第2のアミノ酸配列に連結された第1のアミノ酸配列を含む抗体又はその抗原結合断片を指す。アミノ酸配列は、通常、融合タンパク質中で一緒にされた別個のタンパク質中に存在してもよく、又は通常は同じタンパク質中に存在するが、融合タンパク質中の新しい配置に配置されてもよい。キメラタンパク質は、例えば、化学合成によって、又はペプチド領域が所望の関係でコードされているポリヌクレオチドを作製及び翻訳することによって作り出され得る。「キメラ抗体」という用語は、本明細書において、抗体及びその抗原結合断片を包含し、ここで、
(a)定常領域又はその一部は、可変領域が、異なる若しくは変化したクラス、エフェクター機能及び/若しくは種の定常領域、又はキメラ抗体に新しい特性を付与する全く異なる分子、例えば酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬物等に連結されるように、変化、置換又は交換されるか、あるいは
(b)可変領域又はその一部は、異なる抗原特異性又は変更された抗原特異性を有する可変領域若しくはその一部又は別の種若しくは別の抗体クラス若しくはサブクラスからの対応する配列により変更、置換又は交換される。
【0231】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、ヒト化抗体又はその断片である。
【0232】
本明細書で使用される「ヒト化抗体」は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体又はその抗原結合断片を指す。これには、例えば、非ヒト抗体アミノ酸配列を変化させてヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に見られるアミノ酸を組み込むことによって、ヒト細胞によって作製されるであろう抗体により類似するように変化された可変領域及び定常領域を有する非ヒト細胞によって作製される抗体が含まれる。本発明によるヒト化抗体又はその抗原結合断片は、例えばCDRに、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列(例えば、インビトロでのランダム若しくは部位特異的突然変異誘発又はインビボでの体細胞突然変異によって導入された突然変異)によってコードされないアミノ酸残基を含み得る。「ヒト化抗体」という用語には、マウス等の別の哺乳動物種の生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列にグラフトされている抗体及びその抗原結合断片も含まれる。換言すれば、「ヒト化抗体」という用語は、レシピエントヒト抗体のCDRがドナー非ヒト抗体由来のCDRによって置き換えられている抗体又はその抗原結合断片を指す。ヒト化抗体又はその抗原結合断片はまた、フレームワーク配列中にドナー起源の残基を含み得る。ヒト化抗体又はその抗原結合断片はまた、ヒト免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部を含むことができる。ヒト化抗体又はその抗原結合断片はまた、レシピエント抗体にもインポートされたCDR又はフレームワーク配列にも見られない残基を含み得る。ヒト化は、「超ヒト化」抗体(例えば、Tan et al.,2002.J Immunol.169(2):1119-25)及び「リサーフェシング」(例えば、Staelens et al.,2006.Mol Immunol.43(8):1243-57;Roguska et al.,1994.Proc Natl Acad Sci USA.91(3):969-73)等の技術を含む、当技術分野で公知の方法(例えば、Jones et al.,1986.Nature.321(6069):522-5;Riechmann et al.,1988.Nature.332(6162):323-7;Verhoeyen et al.,1988.Science.239(4847):1534-6;Presta,1992.Curr Opin Biotechnol.3(4):394-8;米国特許第4,816,567号明細書)を使用して行うことができる。
【0233】
「ヒト化抗体」は、元の抗体と同様の抗原特異性を保持し得る。しかしながら、特定のヒト化方法を使用して、抗体の結合の親和性及び/又は特異性を増加させることができる。
【0234】
本発明による抗体又はその抗原結合断片をヒト化するための方法は、当技術分野で周知である。ヒト化抗体又はその抗原結合断片を作製する際に使用されるヒト可変ドメイン(軽鎖及び重鎖の両方)の選択は、抗原性を低下させるために非常に重要である。いわゆる「ベストフィット」法によれば、本発明による抗体又はその抗原結合断片の可変ドメインの配列は、既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリー全体に対してスクリーニングされる。次いで、マウス配列に最も近いヒト配列が、ヒト化抗体のヒトフレームワーク(FR)として受け入れられる(Sims et al.,1993.J Immunol.151(4):2296-308;Chothia&Lesk,1987.J Mol Biol.196(4):901-17)。
【0235】
本発明による抗体又はその抗原結合断片をヒト化するための別の方法は、軽鎖又は重鎖の特定のサブグループの全てのヒト抗体のコンセンサス配列からの特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークをいくつかの異なるヒト化抗体に使用することができる(Carter et al.,1992.Proc Natl Acad Sci USA.89(10):4285-9;Presta et al.,1993.J Immunol.151(5):2623-32)。hCD25に対する高い親和性及び他の好ましい生物学的特性を保持して抗体をヒト化することが更に重要である。この目的を達成するために、好ましい方法によれば、ヒト化抗体及びその抗原結合断片は、親配列及びヒト化配列の三次元モデルを使用して親配列及び様々な概念的ヒト化産物を分析するプロセスによって調製される。三次元免疫グロブリンモデルは一般に入手可能であり、当業者によく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の可能性のある三次元構造を図示及び表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらのディスプレイの検査は、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の見込みのある役割の分析、すなわち、候補免疫グロブリンがそのエピトープに結合する能力に影響を及ぼす残基の分析を可能にする。このようにして、CDR残基は、hCD25に対する増大した親和性等の所望の抗体特徴が達成されるように、コンセンサス配列及びインポート配列から選択され、組み合わされ得る。一般に、CDR残基は、抗原結合への影響に直接的かつ最も実質的に関与する。
【0236】
本発明による抗体又はその抗原結合断片をヒト化するための別の方法は、免疫化のためにヒト免疫系の一部を担持するトランスジェニック又はトランスクロモソーム動物を使用することである。宿主として、これらの動物は、それらの免疫グロブリン遺伝子を機能性ヒト免疫グロブリン遺伝子で置き換えた。したがって、これらの動物によって、又はこれらの動物のB細胞から作製されたハイブリドーマにおいて産生された抗体は、既にヒト化されている。そのようなトランスジェニック又はトランスクロモソーム動物の例としては、限定されないが、以下が挙げられる。
-米国特許第5,939,598号、同第6,075,181号、同第6,114,598号、同第6,150,584号及び同第6,162,963号に記載のXenoMouse(Abgenix,Fremont,CA);
-Lonberg et al.,1994.Nature.368(6474):856-859;Lonberg&Huszar,1995.Int Rev Immunol.13(1):65-93;Harding&Lonberg,1995.Ann N Y Acad Sci.764:536-46;Taylor et al.,1992.Nucleic Acids Res.20(23):6287-95;Chen et al.,1993.Int Immunol.5(6):647-56;Tuaillon et al.,1993.Proc Natl Acad Sci USA.90(8):3720-4;Choi et al.,1993.Nat Genet.4(2):117-23;Chen et al.,1993.EMBO J.12(3):821-30;Tuaillon et al.,1994.J Immunol.152(6):2912-20;Taylor et al.,1994.Int Immunol.6(4):579-91;Fishwild et al.,1996.Nat Biotechnol.14(7):845-51に記載のHuMAbMouse(登録商標)(Medarex,Inc.);
-特許出願国際公開第2002043478号に記載されているKMMouse(登録商標);
-Tomizuka et al.,2000.Proc Natl Acad Sci USA.97(2):722-7に記載されているTCマウス;及び
特許出願国際公開第2008151081号;Geurts et al.,2009.Science.325(5939):433;Menoret et al.,2010 Eur J Immunol.40(10):2932-41に記載されているOmniRat(商標)(OMT,Inc.)。
【0237】
ヒト化抗体及びその抗原結合断片はまた、様々な他の技術に従って、例えば、免疫化のために、ヒト抗体レパートリーを発現するように操作された他のトランスジェニック動物(Jakobovitz et al.,1993.Nature.362(6417):255-8)を使用することによって、又はファージディスプレイ法を用いた抗体レパートリーの選択によって産生され得る。そのような技術は当業者に公知であり、本出願に開示されるモノクローナル抗体又はその抗原結合断片から開始して実施することができる。
【0238】
いくつかの実施形態では、VH及びVL又はそのCDRを含む抗体又はその抗原結合断片は、第1の定常ドメイン(C1及び/又はC)を含み得、そのアミノ酸配列は完全又は実質的にヒトである。
【0239】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、完全又は実質的にヒトの抗体又はその断片である。
【0240】
いくつかの実施形態では、特に本発明による抗体又はその抗原結合断片がヒト治療用途を意図する場合、定常領域全体又はその少なくとも一部が完全又は実質的にヒトのアミノ酸配列を有することが典型的である。したがって、C1ドメイン、ヒンジ領域、C2ドメイン、C3ドメイン及びCドメイン(及び存在する場合はC4ドメイン)の1つ以上又は任意の組合わせは、そのアミノ酸配列に関して完全に又は実質的にヒトであり得る。有利には、C1ドメイン、ヒンジ領域、C2ドメイン、C3ドメイン及びCドメイン(及び存在する場合はC4ドメイン)は全て、完全又は実質的にヒトのアミノ酸配列を有し得る。
【0241】
「実質的にヒト」という用語は、ヒト化抗体若しくはキメラ抗体又はその抗原結合断片の定常領域の文脈において、ヒト定常領域と少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のアミノ酸配列同一性を指す。
【0242】
「ヒトアミノ酸配列」という用語は、これに関連して、生殖系列遺伝子、再構成遺伝子及び体細胞変異遺伝子を含むヒト免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列を指す。本発明はまた、「完全ヒトヒンジ領域」の存在が明示的に必要とされる実施形態を除いて、ヒト配列に関して1つ以上のアミノ酸の付加、欠失又は置換によって変化した「ヒト」配列の定常ドメインを含むタンパク質を企図する。
【0243】
本発明による抗体又はその抗原結合断片中の「完全ヒトヒンジ領域」の存在は、免疫原性を最小限に抑え、抗体の安定性を最適化することの両方のために有益であり得る。1つ又はそれを超えるアミノ酸の置換、挿入又は欠失が、重鎖及び/又は軽鎖の定常領域内、特にFc領域内で行われ得ると考えられる。アミノ酸置換は、置換アミノ酸を異なる天然アミノ酸で、又は非天然若しくは改変アミノ酸で置き換えることをもたらし得る。例えば、グリコシル化パターンの変化(例えば、N又はO結合型グリコシル化部位の付加又は欠失によって)等、他の構造改変も可能である。抗体又はその抗原結合断片の意図される用途に応じて、本発明による抗体又はその抗原結合断片を、例えばエフェクター機能を調節するために、Fc受容体へのその結合特性に関して改変することが望ましい場合がある。例えば、システイン残基(複数可)をFc領域に導入し、それによってこの領域に鎖間ジスルフィド結合を形成させてもよい。このようにして生成されたホモ二量体抗体は、改善されたエフェクター機能を有し得る(Caron et al.,1992.J Exp Med.176(4):1191-5;Shopes,1992.J Immunol.148(9):2918-22)。
【0244】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片はIgGクラスに由来する。
【0245】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、ヒトIgG1サブクラスに由来する。したがって、一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片はIgG1抗体、好ましくはヒトIgG1抗体である。
【0246】
別の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、ヒトIgG2サブクラスに由来する。
【0247】
IgG抗体のFc領域は、細胞Fcγ受容体(FcγR)と相互作用して、下流エフェクター機構を刺激及び調節する。5つの活性化受容体、すなわちFcγRI(CD64)、FcγRIIa(CD32a)、FcγRIIc(CD32c)、FcγRIIIa(CD16a)及びFcγRIIIb(CD16b)、並びに1つの阻害受容体FcγRIIb(CD32b)が存在する。IgG抗体と免疫系との通信は、FcγRによって制御及び媒介され、これは、抗体によって感知及び収集された情報を免疫系に中継し、自然免疫系と適応免疫系との間、特に生物療法との関連を提供する(Hayes J et al.,2016.J Inflamm Res 9:209-219)。
【0248】
IgGサブクラスは、FcγRに結合する能力が異なり、この差次的な結合は、ある範囲の機能的応答を誘発する能力を決定する。例えば、ヒトでは、FcγRIIIaは抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)の活性化に関与する主要な受容体であり、IgG3(密接にIgG1が続く)はこの受容体に対して最も高い親和性を示し、ADCCを強力に誘導する能力を反映している。
【0249】
IgG2は、この受容体に対する結合が弱いことが示されている。
【0250】
一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、FcγRに高親和性で結合し、好ましくは活性化受容体に高親和性で結合する。
【0251】
一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、FcγRI及び/又はFcγRIIa及び/又はFcγRIIc及び/又はFcγRIIIa及び/又はFcγRIIIbに高親和性で結合する。
【0252】
一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片はIgG1抗体(好ましくはヒトIgG1抗体)又はその断片であり、少なくとも1つのFc活性化受容体に結合する。例えば、抗体又はその抗原結合断片は、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIc、FcγRIIIa及びFcγRIIIbから選択される1つ以上の受容体に結合し得る。一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、FcγRIIIaに結合することができる。一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、FcγRIIaに結合することができる。一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、FcγRIIIa、FcγRIIc、及び場合によりFcγRIに結合することができる。一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、FcγRIIIa、FcγRIIa、及び場合によりFcγRIに結合することができる。
【0253】
一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、約10-6M、10-7M、10-8M、10-9M又は10-10M未満の解離定数で少なくとも1つの活性化Fcγ受容体に結合する。
【0254】
一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、IgG1抗体(好ましくはヒトIgG1抗体)又はその断片であり、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIc、FcγRIIIa、及び/又はFcγRIIIbに、それがFcyRIIbに結合するよりも高い親和性で、低い親和性で結合する。
【0255】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、ヒト重鎖定常領域配列を含み得、それらが結合しているCD25発現細胞を標的化、遮断及び/又は枯渇させ得る。
【0256】
一実施形態では、本発明によるタンパク質、抗体又はその抗原結合断片は、それらが結合しているCD25発現細胞を枯渇させる。一実施形態では、本発明によるタンパク質、抗体又はその抗原結合断片は、それらが結合しているTregを枯渇させる。一実施形態では、本発明によるタンパク質、抗体又はその抗原結合断片はまた、それらが結合している腫瘍浸潤制御性T細胞を枯渇又は減少させる。
【0257】
CD25発現細胞又はTregに関して「枯渇させる」又は「枯渇すること」という用語は、試料又は対象中に存在するCD25発現細胞の数又は割合に悪影響を及ぼすような、殺滅、排除、溶解又はそのような殺滅、排除、若しくは溶解の誘導を指す。一実施形態では、本発明によるタンパク質、抗体又はその抗原結合断片は、CD25発現細胞又はTreg細胞の標的化、増殖の遮断及び/又は枯渇を可能にする。一実施形態では、枯渇はADCCを介する。一実施形態では、枯渇はADCPを介する。一実施形態では、枯渇はCDCを介する。
【0258】
したがって、一実施形態では、本発明のタンパク質、抗体又は抗体の抗原結合断片は、CD25発現細胞の枯渇を直接的又は間接的にもたらす(例えば、CD25発現細胞の数の10%、20%、30%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、80%、85%又はそれを超える排除又は減少をもたらす)。
【0259】
一実施形態では、タンパク質、抗体又は抗体の抗原結合断片は、CD25へのインターロイキン-2(IL-2)の結合を阻害せず、それらが結合しているTregを枯渇させる。
【0260】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を誘導する。
【0261】
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」又は「ADCC」という用語は、その抗原に結合した当該抗体のFc領域がナチュラルキラー細胞、マクロファージ、好中球、好酸球及び単核細胞(例えば、末梢血単核細胞)等のエフェクター細胞上のFc受容体に結合し、それによって標的細胞の溶解をもたらす場合に、抗体依存的様式で誘導される細胞媒介性細胞傷害を指す。ADCCは、当技術分野で公知で利用可能なアッセイを使用して測定することができる(例えば、Clynes et al.(1998)Proc Natl Acad Sci USA 95,652-6)。
【0262】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、IgG1(好ましくはヒトIgG1)サブクラスに由来し、ADCC活性を有する。
【0263】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、抗体依存性細胞媒介食作用(ADCP)を誘導する。
【0264】
「抗体依存性細胞媒介食作用」(ADCP)又は「オプソニン化」という用語は、Fc受容体(FcR)を発現する非特異的細胞傷害性細胞(例えば、食細胞、マクロファージ)が標的細胞上に結合した抗体を認識し、標的細胞の食作用を誘導する細胞媒介反応を指す。ADCPは、当技術分野で公知で利用可能なアッセイを使用して測定することができる(例えば、Clynes et al.(1998)Proc Natl Acad Sci USA 95,652-6)。
【0265】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、IgG1(好ましくはヒトIgG1)サブクラスに由来し、ADCP活性を有する。
【0266】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は補体依存性細胞傷害(CDC)を誘導する。
【0267】
「補体依存性細胞傷害」(CDC)という用語は、補体の存在下で本発明の抗体又はその抗原結合断片によって認識される抗原発現細胞の溶解の誘導を指す。補体活性化経路は、補体系の第1の成分(C1q)が同族抗原と複合体化した分子(例えば、抗体)に結合することによって開始される。CDCは、当技術分野で公知で利用可能なアッセイを使用して測定することができる(例えば、Clynes et al.(1998)Proc Natl Acad Sci USA 95,652-6;Gazzano-Santaro et al.,J.Immunol.Methods,202:163(1996))。
【0268】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、IgG1(好ましくはヒトIgG1)サブクラスに由来し、CDC活性を有する。
【0269】
抗体の定常領域は、補体を固定し、細胞依存性細胞傷害性及び食作用を媒介する抗体の能力において重要である。したがって、本明細書で論じられるように、抗体のアイソタイプは、抗体が細胞傷害性/食作用を媒介することが望ましいかどうかに基づいて選択され得る。
【0270】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、例えば毒性部分等にコンジュゲートされる。一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、毒性部分に連結されている。
【0271】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、例えば毒性部分等にコンジュゲートされない。一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、毒性部分に連結されない。
【0272】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、Fcドメインを欠くか(例えば、C2及び/又はC3ドメインを欠く)、又はIgG2若しくはIgG4アイソタイプ(好ましくはヒトIgG2若しくはIgG4)のFcドメインを含む。
【0273】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、ADCC、ADCP及び/又はCDCを媒介するFc領域を含まない。
【0274】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、ADCC、ADCP及び/又はCDCを誘導しない。
【0275】
したがって、一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、CD25発現細胞の枯渇を直接的又は間接的にもたらさない(例えば、CD25細胞の10%、20%、50%、60%以上の排除又は数の減少をもたらさない)。例えば、本発明の抗体は、FcγRIIIA(CD16)ポリペプチドに実質的に結合することができるFcドメインを含まない。
【0276】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、操作された抗体又はその断片である。
【0277】
本発明の操作された抗体には、例えば抗体の特性を改善するために、VH及び/又はVL内のフレームワーク残基に改変が行われたものが含まれる。典型的には、そのようなフレームワーク改変は、抗体の免疫原性を低下させるために行われる。例えば、1つのアプローチは、1つ以上のフレームワーク残基を対応する生殖系列配列に「復帰突然変異」させることである。より具体的には、体細胞変異を受けた抗体は、抗体が由来する生殖系列配列とは異なるフレームワーク残基を含み得る。そのような残基は、抗体フレームワーク配列を、抗体が由来する生殖系列配列と比較することによって同定することができる。フレームワーク領域配列をそれらの生殖系列配置に戻すために、体細胞突然変異は、例えば部位特異的突然変異誘発又はPCR媒介突然変異誘発によって生殖系列配列に「復帰突然変異」され得る。そのような「復帰突然変異」抗体もまた、本発明に包含されることが意図される。別のタイプのフレームワーク改変は、T細胞エピトープを除去し、それによって抗体の潜在的な免疫原性を低下させるために、フレームワーク領域内、又は更には1つ以上のCDR領域内の1つ以上の残基を変異させることを含む。このアプローチは、「脱免疫化」とも呼ばれ、Carr et al.による米国特許出願公開第20030153043号に更に詳細に記載されている。
【0278】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、増強された、増加した、又は改善されたADCC、ADCP、及び/又はCDC応答を誘発するように操作される。
【0279】
本明細書で使用される場合、「ADCC、ADCP及び/又はCDC応答の増強、増加又は改善」という用語は、IL-2のCD25への結合を阻害しないものを含む他の抗CD25抗体、及び例えば改変されていない抗CD25モノクローナル抗体で誘導されるADCC、ADCP、及び/又はCDC応答と比較した、本発明による抗体又はその断片によって誘導されるADCC、ADCP、及び/又はCDC応答に関連する。
【0280】
ADCC、ADCP及び/又はCDCを増加させる方法は、当技術分野で周知である。例えば、ADCCは、抗体グリカンからフコース部分を除去する方法によって、例えばYB2/0細胞株における抗体の産生によって、又はヒトIgG1のFc部分に特異的変異を導入することによって増加され得る。
【0281】
(例えば、S298A/E333A/K334A,S239D/I332E/A330L,G236A/S239D/A330L/I332E)(Lazar et al.(2006)Proc Natl Acad Sci USA 103,2005-2010;Smith et al.(2012)Proc Natl 25 Acad Sci USA 109,6181-6)。ADCPはまた、ヒトIgG1のFc部分に特異的変異を導入することによって増加され得る(Richards et al.(2008)Mol Cancer Ther 7,2517-27)。CDC応答は、C1q結合の親和性を増加させる抗体の突然変異によって増加し得る(Idusogie et al.(2001)J Immunol 166,2571-5)。
【0282】
注目すべきことに、ADCC、ADCP及び/又はCDCを減少又は廃止する方法も当技術分野で周知である。例えば、ADCCは、免疫グロブリンのFcドメインのグリコシル化プロファイルを改変する方法によって減少又は廃止され得る。CDCは、抗体がC2q結合を変化させるように、1つ又は複数のアミノ酸を他のアミノ酸で置換することによって減少又は廃止することができる(Idusogie et al.による米国特許第6,194,551号明細書)。
【0283】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、そのグリコシル化を改変するように操作される。例えば、本発明による抗体はアグリコシル化されている(すなわち、抗体はグリコシル化を欠く)。グリコシル化は、例えば、抗原に対する抗体の親和性を増加させるために、又は抗体のADCC活性を変化させるために変化させることができる。そのような炭水化物修飾は、例えば、抗体配列内のグリコシル化の1つ又は複数の部位を変化させることによって達成することができる。例えば、1つ又はそれを超える可変領域フレームワークグリコシル化部位の排除をもたらす1つ又はそれを超えるアミノ酸置換を行って、それによりその部位でのグリコシル化を排除することができる。そのようなアグリコシル化は、抗原に対する抗体の親和性を増加させ得る。そのようなアプローチは、Co etalによる米国特許第5,714,350号及び第6,350,861号(参照により本明細書に組み込まれる)に更に詳細に記載されている。これに加えて、又はこれに代えて、グリコシル化のタイプが変化した抗体、例えば、フコシル残基の量が少ないか、又はフコシル残基がない低フコシル化抗体若しくは非フコシル化抗体、又は二等分GlcNac構造が増加した抗体を作製することができる。このような変化したフコシル化パターンは、抗体のADCC能力を増加させることが実証されている。そのような炭水化物修飾は、例えば、変化したグリコシル化機構を有する宿主細胞において抗体を発現させることによって達成することができる。変化したグリコシル化機構を有する細胞は当技術分野で記載されており、本発明の組換え抗体を発現し、それによって変化したグリコシル化を有する抗体を産生する宿主細胞として使用することができる。例えば、欧州特許第1176195号(参照により本明細書に組み込まれる)は、フコシルトランスフェラーゼをコードする機能的に破壊されたFUT8遺伝子を有する細胞株を記載しており、そのような細胞株で発現される抗体は、フコシル化不全を示すか、フコシル残基を欠く。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、低フコシル化又は非フコシル化パターンを示す細胞株、例えば、フコシルトランスフェラーゼをコードするFUT8遺伝子の発現が欠損した哺乳動物細胞株での組換え発現によって産生され得る。PCT公開国際公開第03/035835(参照により本明細書に組み込まれる)は、変異CHO細胞株、Lecl3細胞を記載しており、Asn(297)結合炭水化物にフコースを結合する能力が低下しており、その宿主細胞で発現される抗体の低フコシル化ももたらす(Shields,R.L.et al,2002 J.Biol.Chem.277:26733-26740も参照されたい)。PCT公開国際公開第99/54342(参照により本明細書に組み込まれる)には、糖タンパク質修飾グリコシルトランスフェラーゼ(例えば、β(l,4)-NアセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII))を発現し、その結果、操作された細胞株で発現された抗体が、抗体のADCC活性の増加をもたらす二等分GlcNac構造の増加を示すように操作された細胞株が記載されている(Umana et al,1999 Nat.Biotech.17:176-180も参照のこと)。Eureka Therapeuticsは更に、フコシル残基を欠く変化した哺乳動物グリコシル化パターンを有する抗体を産生することができる遺伝子操作されたCHO哺乳動物細胞を記載する(http://www.eurekainc.com/a&boutus/companyoverview.html)。あるいは、本発明の抗体(好ましくはモノクローナル抗体)は、哺乳動物様グリコシル化パターン用に操作され、グリコシル化パターンとしてフコースを欠く抗体を産生することができる酵母又は糸状菌において産生され得る(例えば、欧州特許第1297172号明細書を参照されたい)。
【0284】
一実施形態では、本発明による抗体又はその抗原結合断片は、ペグ化抗体又はその断片である。
抗体をペグ化して、例えば、抗体の生物学的(例えば、血清)半減期を増加させることができる。抗体又はその断片をペグ化するために、抗体又は抗体断片は、典型的には、1つ又は複数のPEG基が抗体又は抗体断片に結合するようになる条件下で、PEGの反応性エステル又はアルデヒド誘導体等のポリエチレングリコール(PEG)と反応される。ペグ化は、反応性PEG分子(又は類似の反応性水溶性ポリマー)とのアシル化反応又はアルキル化反応によって行うことができる。本明細書で使用される場合、「ポリエチレングリコール」という用語は、モノ(DY12-DY120)アルコキシ-若しくはアリールオキシ-ポリエチレングリコール又はポリエチレングリコール-マレイミド等の他のタンパク質を誘導体化するために使用されているPEGの形態のいずれかを包含することを意図している。特定の実施形態では、ペグ化される抗体は非グリコシル化抗体である。タンパク質をペグ化するための方法は当技術分野において公知であり、例えば、欧州特許第0154316号及び欧州特許第0401384号(参照により本明細書中に組み込まれる)に記載されるような本発明の抗体に適用することができる。
【0285】
本発明は更に、本明細書に記載のタンパク質、特に本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片を含む融合タンパク質に関する。
【0286】
一実施形態では、当該融合タンパク質は第2抗原結合部分を含む。
【0287】
一実施形態では、当該融合タンパク質は多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体である。
【0288】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は二重特異性であり、更に別の分子に結合することができる。
【0289】
一実施形態では、他の分子は免疫受容体である。本発明の二重特異性抗体によって結合され得る免疫受容体の例としては、CTLA4、PD-1、PD-L1、TIM-3、LAG-3、B7H3、B7H4、B7H6、4-1BB、OX40、ICOS、GITR、TIGIT、CD27-CD70、CD40、BTLA、HVEM、CD160、CCR8及びCEACAM-1が挙げられるが、これらに限定されない。
【0290】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は二重特異性であり、更に共刺激分子に結合することができる。共刺激分子の例としては、4-1BB、ICOS、GITR、CD27-CD70、CD40及びOX40が挙げられるが、これらに限定されない。
【0291】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は二重特異性であり、OX40に結合することができる。一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は二重特異性であり、GITRに結合することができる。一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は二重特異性であり、ICOSに結合することができる。
【0292】
別の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は二重特異性であり、更に共阻害分子に結合することができる。共阻害分子の例としては、CTLA4、PD-1、PD-L1、TIM-3、LAG-3、TIGIT、BTLA、HVEM、CD160及びCEACAM-1が挙げられるが、これらに限定されない。
【0293】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は二重特異性であり、CTLA4に結合することができる。一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は二重特異性であり、PD-1に結合することができる。一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は二重特異性であり、TIGITに結合することができる。
【0294】
一実施形態では、当該融合タンパク質は、免疫チェックポイントタンパク質に結合する第2の抗原結合部分を含む。免疫チェックポイントタンパク質には、チェックポイント阻害剤及びチェックポイントアゴニストが含まれる。
【0295】
チェックポイント阻害剤(免疫チェックポイント阻害剤又はICIとも呼ばれ得るCPI)分子、多くの場合抗体は、T細胞上に発現される阻害性受容体(IR)とそれらのリガンドとの間の相互作用を遮断する。
【0296】
チェックポイント阻害剤の例としては、限定されないが、CD279(クラスター分化279)としても知られる細胞表面受容体PD-1(プログラム細胞死タンパク質1)の阻害剤;CD274(分化クラスター274)又はB7-H1(B7ホモログ1)としても知られるリガンドPD-L1(プログラム死リガンド1)の阻害剤;CD152(分化クラスター152)としても知られる細胞表面受容体CTLA4又はCTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4)の阻害剤;CD223(クラスター分化223)としても知られるLAG-3(リンパ球活性化遺伝子3)の阻害剤;HAVCR2(A型肝炎ウイルス細胞受容体2)又はCD366(クラスター分化366)としても知られるTIM-3(T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有3)の阻害剤;VSIG9(V-Set及び免疫グロブリンドメイン含有タンパク質9)又はVSTM3(V-Set及び膜貫通ドメイン含有タンパク質3)としても知られるTIGIT(Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体)の阻害剤;CD272(クラスター分化272)としても知られるBTLAの阻害剤(B及びTリンパ球軽減剤);CD66a(クラスター分化66a)としても知られるCEACAM-1(癌胎児性抗原関連細胞接着分子1)の阻害剤が挙げられる。
【0297】
チェックポイントアゴニストは、T細胞等の免疫細胞上に発現される刺激受容体(共刺激受容体)を活性化することによって作用する。本明細書で使用される場合、「刺激受容体」という用語は、活性化時に刺激シグナルを誘導し、したがって免疫応答の増強をもたらす受容体を指す。
【0298】
チェックポイントアゴニストの例としては、限定されないが、4-1BB又はTNFRS9(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー9)としても知られるCD137(クラスター分化137)のアゴニスト;CD134(クラスター分化134)又はTNFRSF4(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー4)としても知られるOX40受容体のアゴニスト;GITR(糖質コルチコイド誘導TNF受容体ファミリー関連タンパク質)のアゴニスト;ICOS(誘導共刺激薬)のアゴニスト;CD27-CD70(クラスター分化27-クラスター分化70)のアゴニスト;及びCD40(クラスター分化40)のアゴニストが挙げられる。
【0299】
一実施形態では、当該融合タンパク質は、T細胞マーカー、例えばCD2、CD3又はCD28に結合する第2の抗原結合部分を含む。
【0300】
一実施形態では、当該融合タンパク質は、NK細胞マーカー、例えば活性化NK受容体に結合する第2の抗原結合部分を含む。NK受容体を活性化する例としては、KIRタンパク質(例えば、KIR2DSタンパク質)、CD160-TM、NKG2D、IL-2R、IL-12R、IL-15R、IL-18R及びIL-21Rの活性化形態が挙げられるが、これらに限定されない。
【0301】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、治療部分、すなわち薬物とコンジュゲートされる。治療部分は、例えば、化学療法剤、免疫抑制剤、溶解性ペプチド、放射性核種又は毒素であり得る。したがって、一実施形態では、融合タンパク質は、本明細書に記載の治療部分及びタンパク質、抗体又はその抗原結合断片を含む。
【0302】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、放射性核種とコンジュゲートしておらず(すなわち、抗体又はその抗原結合断片は放射性標識されていない)及び/又は毒素とコンジュゲートしていない。
【0303】
放射性核種の例には、90Y、131I、又は67Cuが含まれるが、これらに限定されない。
【0304】
毒素の例としては、ドキソルビシン及びカリケアマイシンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0305】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、細胞傷害性部分とコンジュゲートされる。細胞傷害性部分は、例えば、タキソール;サイトカラシンB;グラミシジンD;臭化エチジウム;エメチン;マイトマイシン;エトポシド;テノポシド;ビンクリスチン;ビンブラスチン;コルヒチン;ドキソルビシン;ダウノルビシン;ジヒドロキシアントラシンジオン;メイタンシン又はその類似体若しくは誘導体等のチューブリン阻害剤;モノメチルアウリスタチンE若しくはF又はその類似体若しくは誘導体等の有糸分裂阻害剤;ドラスタチン10若しくは15又はその類似体;イリノテカン又はその類似体;ミトキサントロン;ミトラマイシン;アクチノマイシンD;1-デヒドロテストステロン;糖質コルチコイド;プロカイン;テトラカイン;リドカイン;プロプラノロール;ピューロマイシン;カリケアマイシン又はその類似体若しくは誘導体;メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、フルダラビン、5-フルオロウラシル、デカルバジン、ヒドロキシ尿素、アスパラギナーゼ、ゲムシタビン、クラドリビン等の代謝拮抗剤;メクロレタミン、チオエパ、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、ロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、ダカルバジン(DTIC)、プロカルバジン、マイトマイシンC等のアルキル化剤;シスプラチン、カルボプラチン等の白金誘導体;デュオカルマイシンA、デュオカルマイシンSA、ラケマイシン(CC-1065);ダクチノマイシン、ブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、プリカマイシン、アントラマイシン(AMC)等の抗生物質;ピロロ[2,l-c][l,4]-ベンゾジアゼピン(PDB);ジフテリア毒素及び関連分子、例えばジフテリアA鎖及びその活性断片並びにハイブリッド分子、リシン毒素、例えばリシンA又は脱グリコシル化リシンA鎖毒素、コレラ毒素、Shiga様毒素、例えばSLT I、SLT II、SLT IIV、LT毒素、C3毒素、Shiga毒素、百日咳毒素、破傷風毒素、大豆ボーマン-ビルクプロテアーゼ阻害剤、シュードモナス外毒素、アロリン、サポリン、モデシン、ゲラニン、アブリンA鎖、モデシンA鎖、α-サルシン、アレウリテス・フォルディ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、フィトラッカ・アメリカナ(Phytolacca americana)タンパク質、例えばPAPI、PAPII及びPAP-S、モモルディカチャランティア(momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、阻サパオナリア・オフィシナリス(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、マイトジェリン、レストリクトシン、フェノマイシン、及びエノマイシン毒素;リボヌクレアーゼ(RNase);DNase I、ブドウ球菌エンテロトキシンA;ハコベ抗ウイルスタンパク質;ジフテリン毒素;及びシュードモナスエンドトキシンからなる群から選択され得る。
【0306】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片はサイトカインとコンジュゲートされる。適切なサイトカインには、インターフェロン、インターロイキン及びコロニー刺激因子が含まれるが、これらに限定されない。したがって、一実施形態では、融合タンパク質は、本明細書に記載のサイトカイン及びタンパク質、抗体又はその抗原結合断片を含む。
【0307】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片はサイトカイン模倣物とコンジュゲートされる。したがって、一実施形態では、融合タンパク質は、本明細書に記載のサイトカイン模倣物及びタンパク質、抗体又はその抗原結合断片を含む。
【0308】
分子を抗体又はその抗原結合断片にコンジュゲートするための技術は、当技術分野で周知である。典型的には、核酸分子は、それぞれN-ヒドロキシスクシンイミドエステル又はマレイミド官能基を介して、抗体又はその断片上のリジン又はシステインに共有結合している。操作されたシステインを使用するコンジュゲーション又は非天然アミノ酸の組込みの方法は、コンジュゲートの均一性を改善することが報告されている。
【0309】
本発明の別の目的は、本発明によるヒトCD25に結合する単離されたタンパク質、特に抗体又はその抗原結合断片をコードする単離された核酸である。
【0310】
本発明の別の目的は、本発明による融合タンパク質をコードする単離された核酸である。
【0311】
本明細書で使用される「単離された核酸」は、天然の配列に天然に付随する他のゲノムDNA配列並びにリボソーム及びポリメラーゼ等のタンパク質又は複合体から実質的に分離された核酸を指すことを意図している。この用語は、その天然に存在する環境から除去された核酸配列を包含し、組換え又はクローニングされたDNA単離物及び化学合成された類似体又は異種系によって生物学的に合成された類似体を含む。実質的に純粋な核酸には、単離された形態の核酸が含まれる。
【0312】
もちろん、これは最初に単離された核酸を指し、人の手によって単離された核酸に後で付加される遺伝子又は配列を排除するものではない。
【0313】
一実施形態では、単離された核酸は精製される。
【0314】
一実施形態では、単離された核酸は、以下まで精製される。
(1)吸光度法又は蛍光法によって(例えば、260nm及び280nmでの吸光度比(A260/280)を測定することによって)決定される、80重量%、85重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%又はそれ超、最も好ましくは96重量%、97重量%、98重量%又は99重量%の核酸;あるいは
(2)アガロースゲル電気泳動及び挿入剤、例えば臭化エチジウム、SYBR Green、GelGreen等を使用することによって示される均一性。
【0315】
一実施形態では、核酸は、本発明による抗体又はその抗原結合断片の少なくとも重鎖可変領域又は軽鎖可変領域をコードする。一実施形態では、核酸は、本発明による抗体又はその抗原結合断片の可変領域及び定常領域をコードし得る。一実施形態では、核酸は、抗体又はその抗原結合断片の重鎖及び軽鎖を別々の核酸又は同じ核酸分子上にコードし得る。
【0316】
一実施形態では、本発明による核酸は、本発明による抗体又はその抗原結合断片のVHをコードする配列を含むか又はそれからなる。
【0317】
一実施形態では、本発明による核酸は、本発明による抗体又はその抗原結合断片のVHをコードする配列を含むか又はそれからなり、当該配列は、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、及び配列番号29~33と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を共有する任意の配列を含むか又はそれからなる群から選択される。
配列番号29
CAAGTGCAGCTGGTCGAATCCGGAGGCGGAGTGGTCCAGCCCGGCAGATCTCTGAGACTGAGCTGTGCTGCCTCCGGCTTCACATTCAGCAACCACGCTATGGCTTGGGTGAGACAAGCCCCTAAGAAGGGACTGGAATGGGTGGCCTACATCAGCTACGACGGCGACAACACATACTATAGGGACAGCGTCAAGGGAAGGTTCACTATCTCTAGGGACAATGCCCAGAGCACTCTGTATCTGCAGATGAATTCTCTGAGGGCCGAGGATACAGCCGTCTACTACTGCACAACTGGCGGCAATAGCGGCTACGATTGGGGCCAAGGCACTCTGGTGACAGTGAGCAGC
配列番号30
CAAGTGCAGCTGGTGGAAAGCGGAGGAGGCGTCGTGCAGCCCGGAAGGTCTCTGAGACTGAGCTGTGCCGCCAGCGGCTTCACATTCAGCAACCACGCCATGGCTTGGGTGAGACAAGCCCCCGGCAAAGGACTGGAGTGGGTGGCCTACATCTCCTACGACGGCGACAACACTTACTATAGGGACAGCGTCAAGGGCAGATTCACAATCTCTAGGGACAACGCCAAGAGCACTCTGTATCTGCAGATGAACTCTCTGAGGGCTGAGGATACAGCCGTGTACTACTGCACTACTGGCGGCAACAGCGGCTATGATTGGGGCCAAGGCACTCTGGTCACTGTGAGCAGC
配列番号31
CAAGTGCAGCTGGTGGAATCCGGAGGCGGCGTGGTGCAACCCGGCAGATCTCTGAGACTGAGCTGTGCCGCCAGCGGCTTCACTTTCAGCAATCACGCCATGGCTTGGGTGAGACAAGCCCCCGGCAAGGGACTGGAGTGGGTCGCCTACATCTCCTACGACGGCGACAACACATACTACGCCGACAGCGTCAAGGGAAGGTTCACTATCTCTAGGGACAATGCCAAGAGCACACTGTATCTGCAGATGAACTCTCTGAGGGCCGAGGACACTGCCGTGTACTACTGCACAACTGGCGGCAATAGCGGCTACGATTGGGGCCAAGGCACTCTGGTGACAGTGAGCAGC
配列番号32
CAAGTGCAGCTGGTGGAGAGCGGCGGAGGAGTGGTGCAACCCGGAAGGTCTCTGAGACTGAGCTGTGCCGCCAGCGGCTTTACTTTCAGCAGCCACGCTATGGCTTGGGTGAGGCAAGCCCCCGGCAAGGGACTGGAGTGGGTCGCCTACATCTCCTACGACGGCGACAACACATACTACGCCGACAGCGTCAAGGGAAGGTTCACAATCTCTAGGGACAACAGCAAGAGCACTCTGTATCTGCAGATGAACTCTCTGAGAGCCGAGGACACAGCCGTCTACTACTGCACAACTGGCGGCAATAGCGGCTACGATTGGGGCCAAGGCACTCTGGTGACAGTGAGCAGC
配列番号33
CAAGTGCAGCTGGTGGAAAGCGGAGGCGGCGTGGTGCAACCCGGCAGATCTCTGAGACTGAGCTGTGCCGCCAGCGGCTTCACATTCAGCTCCCACGCCATGGCTTGGGTGAGACAAGCCCCCGGCAAAGGACTGGAGTGGGTCGCCTACATCTCCTACGACGGCGACAACACATACTACGCCGATAGCGTGAAGGGAAGGTTCACTATCTCTAGGGACAACAGCAAGAACACTCTGTATCTGCAGATGAACTCTCTGAGGGCTGAGGATACAGCCGTCTACTACTGCACAACTGGCGGCAATAGCGGCTATGATTGGGGCCAAGGCACTCTGGTGACAGTGAGCAGC
【0318】
一実施形態では、本発明による核酸は、本発明による抗体又はその抗原結合断片のVLをコードする配列を含むか又はそれからなる。
【0319】
一実施形態では、本発明による核酸は、本発明による抗体又はその抗原結合断片のVLをコードする配列を含むか又はそれからなり、当該配列は、配列番号34、配列番号35、配列番号36、及び配列番号34~36と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を共有する任意の配列を含むか又はそれからなる群から選択される。
配列番号34
GATATTCAGATGACACAGAGCCCTAGCTCTCTGAGCGCTAGCGTGGGAGATAGGGTGACAATCACATGCAAGGGCAGCCAGAACGTGAACAAGTTTCTGAACTGGTATCAGCAGAAGCTGGGCGAGGCCCCTAGGAGGCTGATCTACGGCACAAACTCTCTGCAGACTGGCGTCCCAAGCAGATTTAGCGGCAGCGGAAGCGGCACTGACTACACACTGACAATCAGCTCTCTGCAGCCAGAGGACTTCGCCACATACTACTGCCAGCAGTACACAAGCTGGCCTTGGACTTTCGGCCAAGGCACTAAGCTGGAGATCAAG
配列番号35
GATATCCAGATGACTCAGAGCCCTTCCTCTCTGAGCGCTAGCGTGGGAGATAGGGTGACTATCACATGTAGGGCCAGCCAGAACGTCAACAAGTTTCTGAACTGGTATCAGCAGAAGCCCGGCAAGGCCCCAAGGAGGCTGATCTACGGCACTAACTCTCTGCAGAGCGGCGTGCCAAGCAGATTTAGCGGCAGCGGAAGCGGCACTGACTACACACTGACTATCAGCTCTCTGCAGCCAGAGGACTTCGCCACATACTACTGCCAGCAGTACACTAGCTGGCCTTGGACATTCGGCCAAGGCACAAAGCTGGAGATCAAA
配列番号36
GACATCCAGATGACACAGAGCCCTAGCTCTCTGAGCGCTAGCGTGGGAGATAGGGTGACAATCACATGTAGGGCCAGCCAGAACGTGAACAAGTTTCTGAACTGGTATCAGCAGAAGCCCGGCAAGGCCCCTAGGAGGCTGATCTACGGCACAAATTCTCTGCAGAGCGGCGTGCCTAGCAGATTTAGCGGCAGCGGAAGCGGCACTGACTTCACACTGACTATCAGCTCTCTGCAGCCAGAGGACTTCGCCACATACTACTGCCAGCAGTACACAAGCTGGCCTTGGACATTCGGCCAAGGCACAAAGCTGGAGATCAAG
【0320】
一実施形態では、本発明による核酸は、
-本発明による抗体又はその抗原結合断片のVHをコードする配列と、
-本発明による抗体又はその抗原結合断片のVLをコードする配列と、
を含むか、又はそれらからなる。
【0321】
一実施形態では、本発明による核酸は、
-配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33及び配列番号29~33と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を共有する任意の配列を含むか又はそれからなる群から選択される配列と、
-配列番号34、配列番号35、配列番号36及び配列番号34~36と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を共有する任意の配列を含むか又はそれからなる群から選択される配列と、
を含むか又はそれからなり、
但し、
核酸が配列番号29又は配列番号30の配列を含む場合、核酸は配列番号34の配列を含まない。
【0322】
一実施形態では、本発明による核酸は、
配列番号29の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
配列番号35の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含むか、又はそれらからなる。
【0323】
一実施形態において、当該核酸は、MAB02抗体のVH及びVLをコードする。
【0324】
一実施形態では、本発明による核酸は、
配列番号29の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
配列番号36の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含むか、又はそれらからなる。
【0325】
一実施形態において、当該核酸は、MAB03抗体のVH及びVLをコードする。
【0326】
一実施形態では、本発明による核酸は、
配列番号30の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
配列番号35の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含むか、又はそれらからなる。
【0327】
一実施形態において、当該核酸は、MAB06抗体のVH及びVLをコードする。
【0328】
一実施形態では、本発明による核酸は、
配列番号30の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
配列番号36の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含むか、又はそれらからなる。
一実施形態において、当該核酸は、MAB07抗体のVH及びVLをコードする。
【0329】
一実施形態では、本発明による核酸は、
配列番号31の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
配列番号34の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含むか、又はそれらからなる。
【0330】
一実施形態において、当該核酸は、MAB09抗体のVH及びVLをコードする。
【0331】
一実施形態では、本発明による核酸は、
配列番号31の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
配列番号35の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含むか、又はそれらからなる。
【0332】
一実施形態において、当該核酸は、MAB10抗体のVH及びVLをコードする。
【0333】
一実施形態では、本発明による核酸は、
配列番号31の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
配列番号36の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含むか、又はそれらからなる。
【0334】
一実施形態において、当該核酸は、MAB11抗体のVH及びVLをコードする。
【0335】
一実施形態では、本発明による核酸は、
配列番号32の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
配列番号34の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含むか、又はそれらからなる。
【0336】
一実施形態において、当該核酸は、MAB13抗体のVH及びVLをコードする。
【0337】
一実施形態では、本発明による核酸は、
配列番号32の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
配列番号35の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含むか、又はそれらからなる。
【0338】
一実施形態において、当該核酸は、MAB14抗体のVH及びVLをコードする。
【0339】
一実施形態では、本発明による核酸は、
配列番号32の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
配列番号36の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含むか、又はそれらからなる。
【0340】
一実施形態において、当該核酸は、MAB15抗体のVH及びVLをコードする。
【0341】
一実施形態では、本発明による核酸は、
配列番号33の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
配列番号34の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含むか、又はそれらからなる。
【0342】
一実施形態において、当該核酸は、MAB17抗体のVH及びVLをコードする。
【0343】
一実施形態では、本発明による核酸は、
配列番号33の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
配列番号35の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含むか、又はそれらからなる。
【0344】
一実施形態において、当該核酸は、MAB18抗体のVH及びVLをコードする。
【0345】
一実施形態では、本発明による核酸は、
配列番号33の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
配列番号36の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含むか、又はそれらからなる。
【0346】
一実施形態において、当該核酸は、MAB19抗体のVH及びVLをコードする。
【0347】
一実施形態では、VH及び/又はVLは、好ましくはそれぞれVH核酸配列からの5’又はVL核酸配列からの5’に位置するリーダー配列を更に含む。リーダー配列の例としては、それだけに限らないが、それぞれ配列番号37及び配列番号38によってコードされる配列番号27及び配列番号28が挙げられる。
配列番号37
ATGGACATCAGGCTCAGCTTGGCTTTCCTTGTCCTTTTCATAAAAGGTGTCCAGTGT
配列番号38
ATGGCTGCAGTTCAACTCTTAGGGCTGCTGCTGCTTTGGCTCCCAGCCATGAGATGT
【0348】
一実施形態では、VHは、VHコード核酸配列(例えば、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32又は配列番号33)から5’に位置する配列番号37の核酸リーダー配列を含む。
【0349】
一実施形態では、VLは、VLをコードする核酸配列(例えば、配列番号34、配列番号35又は配列番号36)から5’に位置する配列番号38の核酸配列リーダー配列を含む。
【0350】
一実施形態では、本発明による核酸は、本発明による抗体又はその抗原結合断片の完全又は実質的に完全なヒトC及び/又はCをコードする配列を含む。そのような実施形態では、定常領域は、任意のヒト抗体定常領域に由来し得る。
【0351】
一実施形態では、本発明による核酸は、本発明による抗体又はその抗原結合断片の完全又は実質的に完全なマウスC及び/又はCをコードする配列を含む。そのような実施形態では、定常領域は、任意のマウス抗体定常領域に由来し得る。
【0352】
一実施形態では、本発明による核酸は、本発明によるキメラ抗体又はその抗原結合断片の重鎖をコードする配列を含むか又はそれからなる。一実施形態では、本発明による核酸は、本発明によるキメラ抗体又はその抗原結合断片の軽鎖をコードする配列を含むか又はそれからなる。
【0353】
一実施形態では、本発明による核酸は、本発明によるヒト化抗体又はその抗原結合断片の重鎖をコードする配列を含むか又はそれからなる。一実施形態では、本発明による核酸は、本発明によるヒト化抗体又はその抗原結合断片の軽鎖をコードする配列を含むか又はそれからなる。
【0354】
典型的には、当該核酸は、例えばプラスミド、コスミド、エピソーム、人工染色体、ファージ又はウイルスベクター等の任意の適切なベクターに含まれ得るDNA又はRNA分子である。
【0355】
したがって、本発明の別の目的は、本発明によるタンパク質、抗体又はその抗原結合断片をコードする核酸を含む発現ベクターである。本発明の別の目的は、本発明の融合タンパク質をコードする核酸を含む発現ベクターである。
【0356】
「ベクター」、「クローニングベクター」及び「発現ベクター」という用語は、宿主を形質転換し、導入された配列の発現(例えば、転写及び翻訳)を促進するために、DNA又はRNA配列(例えば外来遺伝子)を宿主細胞に導入することができるビヒクルを意味する。そのようなベクターは、宿主への投与時に当該タンパク質若しくは抗体若しくはその抗原結合断片又は融合タンパク質の発現を引き起こす又は指示するための調節エレメント、例えばプロモーター、エンハンサー、ターミネーター等を含み得る。動物細胞の発現ベクターに用いられるプロモーター及びエンハンサーとしては、SV40の初期プロモーター及びエンハンサー、モロニーマウス白血病ウイルスのLTRプロモーター及びエンハンサー、免疫グロブリンH鎖のプロモーター及びエンハンサー等が挙げられる。タンパク質、抗体若しくはその断片又は融合タンパク質をコードする遺伝子を挿入し、発現させることができる限り、動物細胞用の任意の発現ベクターを用いることができる。適切なベクターの例としては、pAGE107、pAGE103、pHSG274、pKCR、pSG1βd2-4等が挙げられる。プラスミドの他の例としては、複製起点を含む複製プラスミド、又は例えばpUC、pcDNA、pBR等の組込みプラスミドが挙げられる。ウイルスベクターの他の例としては、アデノウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス及びAAVベクターが挙げられる。そのような組換えウイルスは、当該分野で公知の技術によって、例えばパッケージング細胞をトランスフェクトすることによって、又はヘルパープラスミド若しくはウイルスによる一過性トランスフェクションによって産生され得る。ウイルスパッケージング細胞の典型的な例としては、PA317細胞、PsiCRIP細胞、GPenv+細胞、293細胞等が挙げられる。そのような複製欠損組換えウイルスを産生するための詳細なプロトコルは、当技術分野で見出され得る。
【0357】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、調節エレメントに作動可能に連結された、本発明による抗体又はその抗原結合断片のVHをコードする配列を含む。
【0358】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33の配列、又は配列番号29~33と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%若しくはそれ以上の同一性を共有する任意の配列を含む。
【0359】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、調節エレメントに作動可能に連結された、本発明による抗体又はその抗原結合断片のVLをコードする配列を含む。
【0360】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号34、配列番号35、配列番号36の配列、又は配列番号34~36と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%若しくはそれ以上の同一性を共有する任意の配列を含む。
【0361】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、
-調節エレメントに作動可能に連結された、本発明による抗体又はその抗原結合断片のVHをコードする配列と、
-調節エレメントに作動可能に連結された、本発明による抗体又はその抗原結合断片のVLをコードする配列と、
を含む。
【0362】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、
調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33の配列、又は配列番号29~33と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%若しくはそれ以上の同一性を共有する任意の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
-調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号34、配列番号35、配列番号36の配列、又は配列番号34~36と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%若しくはそれ以上の同一性を共有する任意の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含み、
但し、
発現ベクターが、調節エレメントに作動可能に連結された配列番号29又は配列番号30の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列を含む場合、発現ベクターは、調節エレメントに作動可能に連結された配列番号34の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列を含まない。
【0363】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、
-調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号29の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号35の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含む。
【0364】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、
-調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号29の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号36の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含む。
【0365】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、
-調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号30の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号35の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含む。
【0366】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、
-調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号30の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号36の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含む。
【0367】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、
-調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号31の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号34の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含む。
【0368】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、
-調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号31の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号35の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含む。
【0369】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、
-調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号31の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号36の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含む。
【0370】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、
-調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号32の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号34の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含む。
【0371】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、
-調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号32の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号35の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含む。
【0372】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、
-調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号32の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号36の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含む。
【0373】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、
-調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号33の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号34の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含む。
【0374】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、
-調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号33の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号35の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含む。
【0375】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、
-調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号33の配列を含むか又はそれからなるVHをコードする配列と、
調節エレメントに作動可能に連結された、配列番号36の配列を含むか又はそれからなるVLをコードする配列と、
を含む。
【0376】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、調節エレメントに作動可能に連結された、本発明による抗体又はその抗原結合断片のCをコードする配列を含み、当該Cは、任意のヒト抗体Cに由来し得る。
【0377】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、調節エレメントに作動可能に連結された、本発明による抗体又はその抗原結合断片のCをコードする配列を含み、当該Cは、任意のヒト抗体Cに由来し得る。
【0378】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、調節エレメントに作動可能に連結された、本発明による抗体又はその抗原結合断片のCをコードする配列を含み、当該Cは、任意のマウス抗体Cに由来し得る。
【0379】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、調節エレメントに作動可能に連結された、本発明による抗体又はその抗原結合断片のCをコードする配列を含み、当該Cは、任意のマウス抗体Cに由来し得る。
【0380】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、調節エレメントに作動可能に連結された、本発明によるキメラ抗体又はその抗原結合断片の重鎖をコードする配列を含む。
【0381】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、調節エレメントに作動可能に連結された、本発明によるキメラ抗体又はその抗原結合断片の軽鎖をコードする配列を含む。
【0382】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、調節エレメントに作動可能に連結された、本発明によるヒト化抗体又はその抗原結合断片の重鎖をコードする配列を含む。
【0383】
一実施形態では、本発明による発現ベクターは、調節エレメントに作動可能に連結された、本発明によるヒト化抗体又はその抗原結合断片の軽鎖をコードする配列を含む。
【0384】
一実施形態では、本発明による発現ベクターはモノシストロニックである。
【0385】
「モノシストロニック」とは、単一の核酸が単一の発現ベクターで発現されることを意味する。
【0386】
一実施形態では、本発明による発現ベクターはポリシストロニックである。
【0387】
「ポリシストロニック」とは、少なくとも2つ以上の核酸が単一の発現ベクターで発現されることを意味する。
【0388】
本発明の別の目的は、当該ベクターを含む単離された宿主細胞である。当該宿主細胞は、本発明のタンパク質、抗体若しくはその抗原結合断片、又は融合タンパク質の組換え産生のために使用され得る。
【0389】
一実施形態では、宿主細胞は、原核生物、酵母又は真核生物細胞、好ましくは哺乳動物細胞、例えばSV40(COS-7、ATCC CRL 1651)によって形質転換されたサル腎臓CV1株;ヒト胎児腎系統(懸濁培養での増殖のためにサブクローニングされた293個又は293個の細胞。Graham et al.,J.Gen.Virol.36:59(1977));ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO、Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980));マウスSertoli細胞(TM4,Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980));マウス骨髄腫細胞SP2/0-AG14(ATCC CRL 1581;ATCC CRL 8287)又はNSO(HPA培養物収集物番号85110503);サル腎臓細胞(CVl ATCC CCL70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138,ATCC CCL 75);ヒト肝細胞(Hep G2,HB 8065);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562,ATCC CCL51);TRI細胞(Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982));MRC5細胞;FS4細胞;及びヒト肝癌株(Hep G2)、並びにDSMのPERC-6細胞株であり得る。これらの宿主細胞のそれぞれにおける使用に適した発現ベクターもまた、当該分野で一般的に公知である。「宿主細胞」という用語は、一般に培養細胞株を指すことに留意されるべきである。一実施形態では、本発明によるタンパク質、抗体若しくはその抗原結合断片、又は融合タンパク質をコードする発現ベクターが導入された全ヒトは、「宿主細胞」の定義から除外される。
【0390】
本発明の別の目的は、本発明の単離されたタンパク質、特に本明細書に記載される抗体又はその抗原結合断片を産生及び精製する方法である。
【0391】
一実施形態では、方法は、
-インビトロ又はエクスビボで、本明細書において上で記載されるような組換え核酸又はベクターをコンピテント宿主細胞に導入することと、
-本発明のタンパク質、特に抗体又はその抗原結合断片の発現に適した条件下で、核酸又は発現ベクターで形質転換された宿主細胞をインビトロ又はエクスビボで培養することと、
-必要に応じて、当該タンパク質を発現及び/又は分泌する細胞を選択することと、
-発現されたタンパク質(特に、発現された抗体又はその抗原結合断片)を回収することと、
を含む。
【0392】
この組換えプロセスは、例えば、インビトロ、エクスビボ及び/又はインビボ治療用途を意図したモノクローナル抗体を含む抗体又はその抗原結合断片等のタンパク質の大規模生産に使用することができる。
【0393】
一実施形態では、発現されたタンパク質、特に発現された抗体又はその抗原結合断片が更に精製される。
【0394】
タンパク質、特に抗体又はその抗原結合断片を精製する方法は当技術分野で周知であり、タンパク質A-セファロース、ゲル電気泳動、クロマトグラフィ、好ましくは親和性クロマトグラフィ、より好ましくはタンパク質Lアガロース上の親和性クロマトグラフィが含まれるが、これらに限定されない。
【0395】
本発明の別の目的は、本発明によるヒトCD25(hCD25)に結合する少なくとも1つのタンパク質、特に本明細書に記載のヒトCD25(hCD25)に結合する少なくとも1つの抗体又は当該抗体の少なくとも1つの抗原結合断片を含む、本質的にそれからなる、又はそれからなる組成物である。
【0396】
本発明の別の目的は、本発明による少なくとも1つの融合タンパク質を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる組成物である。
【0397】
本発明の別の目的は、本発明によるタンパク質、抗体若しくは当該抗体の抗原結合断片、又は融合タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる組成物である。
【0398】
本発明の別の目的は、本発明によるタンパク質、抗体若しくは当該抗体の抗原結合断片又は融合タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸を含む少なくとも1つの発現ベクターを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる組成物である。
【0399】
本発明の別の目的は、本発明によるhCD25に結合する少なくとも1つのタンパク質、特に本明細書に記載のヒトCD25(hCD25)に結合する少なくとも1つの抗体又は当該抗体の少なくとも1つの抗原結合断片と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と、を含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなる医薬組成物である。
【0400】
本発明の別の目的は、本発明による少なくとも1つの融合タンパク質と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と、を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる医薬組成物である。
【0401】
本発明の別の目的は、本発明のタンパク質、特に本明細書に記載のヒトCD25(hCD25)に結合する抗体若しくは当該抗体の抗原結合断片又は本発明による融合タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と、を含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなる医薬組成物である。
【0402】
本発明の別の目的は、本発明のタンパク質、特に本明細書に記載のヒトCD25(hCD25)に結合する抗体若しくは当該抗体の抗原結合断片又は本発明による融合タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸を含む少なくとも1つの発現ベクターと、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と、を含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなる医薬組成物である。
【0403】
本明細書で使用される場合、組成物に関して「から本質的になる」とは、少なくとも1つのタンパク質、抗体又はその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸又は発現ベクターが、当該組成物内で生物学的活性を有する唯一の治療剤又は薬剤であることを意味する。
【0404】
「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等を含む。当該賦形剤は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトに投与された場合、有害なアレルギー反応又は他の不都合な反応を生じない。ヒトへの投与のために、調製物は、例えばFDA Office又はEMA等の規制当局によって要求される無菌性、発熱原性、並びに一般的な安全性及び純度の基準を満たすべきである。
【0405】
本発明の組成物に使用され得る薬学的に許容される賦形剤の例としては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばホスファート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩又は電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリエチレングリコール、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール及び羊毛脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0406】
一実施形態では、本発明による医薬組成物は、対象に注射することができる製剤に対して薬学的に許容されるビヒクルを含む。これらは、特に等張性の滅菌生理食塩水(リン酸一ナトリウム若しくは二ナトリウム、塩化ナトリウム、カリウム、カルシウム若しくはマグネシウム等、又はこのような塩の混合物)、又は場合に応じて滅菌水又は生理食塩水を添加すると注射可能な溶液の構成を可能にする乾燥組成物、特に凍結乾燥組成物であり得る。
【0407】
本発明の別の目的は、本発明によるhCD25に結合する少なくとも1つのタンパク質、特に本明細書に記載のヒトCD25(hCD25)に結合する少なくとも1つの抗体又は当該抗体の少なくとも1つの抗原結合断片を含む、本質的にそれからなる、又はそれからなる医薬品である。
【0408】
本発明の別の目的は、本発明による少なくとも1つの融合タンパク質を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる医薬品である。
【0409】
本発明の別の目的は、本発明のタンパク質、特に本明細書に記載のヒトCD25(hCD25)に結合する抗体若しくは当該抗体の抗原結合断片又は本発明による融合タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸を含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなる医薬品である。
【0410】
本発明の別の目的は、本発明のタンパク質、特に本明細書に記載のヒトCD25(hCD25)に結合する抗体若しくは当該抗体の抗原結合断片又は本発明による融合タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸を含む少なくとも1つの発現ベクターを含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなる医薬品である。
【0411】
対象への投与に使用するために、組成物、医薬組成物又は医薬品は、対象への投与のために製剤化される。
【0412】
一実施形態では、本発明による組成物、医薬組成物又は医薬品は、非経口的に、吸入スプレーによって、直腸的に、経鼻的に、又は埋め込まれたリザーバを介して投与される(又は投与されることになる)。
【0413】
一実施形態では、組成物、医薬組成物又は医薬品は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、肝内、病巣内及び頭蓋内の注射又は注入技術を含むがこれらに限定されない注射によって投与される(又は投与されることになる)。
【0414】
注射に適した形態の例としては、限定されないが、溶液、例えば滅菌水溶液、ゲル、分散液、エマルジョン、懸濁液、使用前に液体を添加して溶液又は懸濁液を調製するために使用するのに適した固体形態、例えば粉末、リポソーム形態等が挙げられる。
【0415】
本発明の組成物、医薬組成物又は医薬品の滅菌注射形態は、水性又は油性懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用して、当技術分野で公知の技術に従って製剤化することができる。滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用溶液又は懸濁液であり得る。使用され得る許容可能なビヒクル及び溶媒の中には、水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液がある。更に、滅菌固定油は、溶媒又は懸濁媒体として従来から使用されている。この目的のために、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含む任意の無菌性固定油を使用することができる。オレイン酸及びそのグリセリド誘導体等の脂肪酸は、オリーブ油又はヒマシ油等の天然の薬学的に許容される油、特にそれらのポリオキシエチル化バージョンと同様に、注射剤の調製に有用である。これらの油溶液又は懸濁液はまた、カルボキシメチルセルロース又はエマルジョン及び懸濁液を含む薬学的に許容される剤形の製剤に一般的に使用される同様の分散剤等の長鎖アルコール希釈剤又は分散剤を含有し得る。薬学的に許容される固体、液体、又は他の剤形の製造に一般的に使用されるTween、Spans及び他の乳化剤又はバイオアベイラビリティ増強剤等の他の一般的に使用される界面活性剤もまた、製剤化の目的のために使用され得る。
【0416】
一実施形態では、本発明による単離されたタンパク質、単離された抗体又はその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸、発現ベクター、組成物、医薬組成物又は医薬品は、治療有効量でそれを必要とする対象に投与されるべきである。
【0417】
しかしながら、本発明による単離されたタンパク質、単離された抗体又はその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸、発現ベクター、組成物、医薬組成物又は医薬品の総1日使用量は、健全な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることが理解されるであろう。任意の特定の患者に対する具体的な治療有効用量レベルは、治療される疾患及び疾患の重症度;用いられる単離されたタンパク質、単離された抗体若しくはその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸又は発現ベクターの活性;対象の年齢、体重、全般的な健康状態、性別及び食事;使用される特定の単離されたタンパク質、単離された抗体若しくはその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸又は発現ベクターの投与時間、投与経路及び排泄速度;治療期間;使用される特定の単離されたタンパク質、単離された抗体若しくはその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸又は発現ベクターと組み合わせて又は同時に使用される薬物;及び医学分野で周知の同様の要因を含む様々な因子に依存するであろう。例えば、所望の治療効果を達成するのに必要なレベルよりも低いレベルで化合物の用量を開始し、所望の効果が達成されるまで用量を徐々に増加させることは十分に当業者の範囲内である。各治療に必要な総用量は、複数回用量又は単回用量で投与され得る。
【0418】
タンパク質、抗体又はその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸又は発現ベクターの1日投与量は、成人1人当たり約0.01~約1000mg/日の広範囲にわたって変化し得る。組成物は、治療される対象への投与量の対症的調整のために、約0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、250及び約500mgの活性成分を含有し得る。医薬組成物又は医薬品は、典型的には約0.01mg~約500mgの活性成分を含有する。治療有効量の薬物は、通常、約0.0002mg/kg~約20mg/kg体重/日の投与量レベルで供給される。例えば、本発明の組成物、医薬組成物又は医薬品中に存在するタンパク質、抗体又はその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸又は発現ベクターは、約1mg/mL~約100mg/mLの範囲の濃度で、例えば、約1mg/mL、5mg/mL、10mg/mL、50mg/mL又は約100mg/mLの濃度で供給することができる。一実施形態では、タンパク質、抗体若しくはその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸又は発現ベクターは、100mg(10mL)又は500mg(50mL)のいずれかの単回使用バイアルに約10mg/mLの濃度で供給される。これらの投与量は例示的なものであり、臨床試験で決定しなければならない特定のタンパク質、抗体又は抗原結合断片、融合タンパク質、核酸又は発現ベクターの親和性及び耐容性を考慮して最適な投与量が適合され得ることが理解されよう。
【0419】
一実施形態では、本発明のタンパク質、抗体若しくはその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸又は発現ベクターは、成人1人当たり約0.01mg、0.05mg、0.1mg、0.5mg、1mg、5mg、10mg、50mg、100mg、500mg又は約1000mg/日の用量レベルで投与されるべきである。
【0420】
本発明は、本明細書に記載される少なくとも1つの単離されたタンパク質、特に、医薬品として使用するための、すなわち、それを必要とする対象において疾患、障害又は症状を治療するための(又は治療において使用するための)、本明細書に記載されるヒトCD25(hCD25)に結合する少なくとも1つの抗体又は当該抗体の少なくとも1つの抗原結合断片に関する。
【0421】
本発明は、医薬品として使用するための、すなわち、それを必要とする対象の疾患、障害又は症状を治療するための(又は治療に使用するための)、本明細書に記載される少なくとも1つの融合タンパク質に関する。
【0422】
本発明は、医薬品として使用するための、すなわち、それを必要とする対象の疾患、障害又は症状を治療するための(又は治療に使用するための)、本明細書に記載される少なくとも1つの核酸に関する。
【0423】
本発明は、医薬品として使用するための、すなわち、それを必要とする対象の疾患、障害又は症状を治療するための(又は治療に使用するための)、本明細書に記載される少なくとも1つの発現ベクターに関する。
【0424】
本発明は、疾患、障害又は症状の治療を必要とする対象における疾患、障害又は症状の治療において使用するための、本明細書において上で記載されるような組成物、医薬組成物又は医薬品に関する。
【0425】
したがって、本発明は更に、疾患、障害又は症状の治療を必要とする対象における疾患、障害又は症状を治療する方法に関し、本明細書に記載の、単離されたタンパク質(特に抗体又はその抗原結合断片)、融合タンパク質、核酸若しくはベクター、又は組成物、医薬組成物若しくは医薬品を対象に投与することを含む。
【0426】
本発明において治療され得る疾患の例には、癌及び感染症が含まれるが、これらに限定されない。
【0427】
一実施形態では、本発明による単離されたタンパク質、抗体若しくはその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸又はベクターは、癌の治療を必要とする対象において癌を治療するために使用され得る。
【0428】
一実施形態では、治療有効量の当該タンパク質、抗体若しくはその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸又は発現ベクターは対象に投与されるか、又は投与されることになる。
【0429】
本明細書で使用される場合、「癌」という用語は、当技術分野におけるその一般的な意味を有し、固形腫瘍及び血液由来腫瘍を含むがこれらに限定されない。癌という用語には、皮膚、組織、器官、骨、軟骨、血液及び血管の疾患が含まれるが、これらに限定されない。「癌」という用語は、原発性癌及び転移性癌の両方を更に包含する。
【0430】
本発明の方法及び組成物によって治療され得る癌の例としては、膀胱、血液、骨、骨髄、脳、乳房、結腸、食道、胃腸、歯肉、頭部、腎臓、肝臓、肺、鼻咽頭、頸部、卵巣、前立腺、皮膚、胃、精巣、舌、子宮内膜、膵臓又は子宮からの癌細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0431】
更に、癌は、以下の非限定的なリストにおいて選択され得る:悪性新生物;未分化癌;巨細胞癌及び紡錘細胞癌;小細胞癌;乳頭状癌;扁平上皮癌;リンパ上皮癌;基底細胞癌;毛母腫性癌腫;移行細胞癌;乳頭状移行細胞癌;腺癌;悪性ガストリノーマ;胆管癌;肝細胞癌;混合型肝細胞癌及び胆管癌;骨梁腺癌;腺様嚢胞癌;腺腫性ポリープにおける腺癌;家族性大腸ポリポーシスに関連する腺癌;固形癌;悪性カルチノイド腫瘍;分枝肺胞腺癌;乳頭状腺癌;色素嫌性癌腫;好酸球癌;好酸球腺癌;好塩基球癌;明細胞腺癌;顆粒細胞癌;濾胞腺癌;乳頭腺癌及び濾胞腺癌;非被包性硬化性癌;副腎皮質癌;子宮内膜癌;皮膚付属器癌;アポクリン腺癌;皮脂腺癌;耳腺癌;粘膜表皮癌;嚢胞腺癌;乳頭状嚢胞腺癌;乳頭状漿液性嚢胞腺癌;粘液性嚢胞腺癌;粘液性腺癌;印環細胞癌;浸潤性乳管癌;髄様癌;小葉癌;炎症性癌腫;乳房のパジェット病;腺房細胞癌;腺扁平上皮癌;扁平上皮化生を伴う腺癌;悪性胸腺腫;悪性卵巣間質腫瘍;悪性髄様腫;悪性顆粒膜細胞腫瘍;悪性芽細胞腫;セルトリ細胞癌;悪性レイディッヒ細胞腫瘍;悪性脂質細胞腫瘍;悪性傍神経節腫;悪性乳房外傍神経節腫;褐色細胞腫;乳腺血管肉腫;悪性黒色腫;無色素性黒色腫;表在拡大型黒色腫;巨大色素性母斑における悪性黒色腫;上皮様細胞メラノーマ;悪性青色母斑;肉腫;線維肉腫;悪性線維性組織球腫;粘液肉腫;脂肪肉腫;平滑筋肉腫;横紋筋肉腫;胎児性横紋筋肉腫;肺胞横紋筋肉腫;間質肉腫;悪性混合腫瘍;ミュラー混合腫瘍;腎芽細胞腫;肝芽腫;癌肉腫;悪性間葉腫;悪性ブレンナー腫瘍;悪性葉状腫瘍;滑膜肉腫;悪性中皮腫;未分化胚細胞腫;胚性癌腫;悪性奇形腫;悪性卵巣ストロマ;絨毛癌;悪性中腎;血管肉腫;悪性血管内皮腫;カポジ肉腫;悪性血管周囲細胞腫;リンパ管肉腫;骨肉腫;傍皮質性骨肉腫;軟骨肉腫;悪性軟骨芽細胞腫;間葉性軟骨肉腫;骨巨細胞性腫瘍;ウイング肉腫;悪性歯原性腫瘍;エナメル芽細胞性歯肉腫;悪性エナメル質芽細胞腫;エナメル芽細胞線維肉腫;悪性松果体;腱索腫;悪性神経膠腫;上衣腫;星状細胞腫;原形質性星状細胞腫;線維性星細胞腫;星状芽細胞腫;神経膠芽腫;乏突起膠腫;乏突起芽細胞腫;原神経外胚葉;小脳肉腫;神経節芽細胞腫;神経芽細胞腫;網膜芽細胞腫;嗅覚神経原性腫瘍;悪性髄膜腫;神経線維肉腫;悪性神経鞘腫;悪性顆粒状細胞腫瘍;悪性リンパ腫;ホジキン病;ホジキンリンパ腫;傍肉芽腫;悪性リンパ腫-小リンパ球性;悪性びまん性大細胞型リンパ腫;悪性濾胞性リンパ腫;菌状息肉症;他の特定の非ホジキンリンパ腫;悪性組織球増殖;多発性骨髄腫;肥満細胞肉腫;免疫増殖性小腸疾患;白血病;リンパ性白血病;形質細胞性白血病;赤白血病;リンパ肉腫細胞白血病;骨髄性白血病;好塩基球性白血病;好酸球性白血病;単球性白血病;肥満細胞白血病;巨核芽球性白血病;骨髄性肉腫;及び有毛細胞白血病。
【0432】
別の実施形態では、本発明による単離されたタンパク質、抗体若しくはその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸又は発現ベクターは、感染性疾患、障害又はその症状の治療を必要とする対象における感染性疾患、障害又はその症状の治療に使用され得る。
【0433】
一実施形態では、治療有効量の本発明のタンパク質、抗体若しくはその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸又は発現ベクターは対象に投与されるか、又は投与されることになる。
【0434】
本明細書で使用される場合、「感染症」という用語は、ウイルス、細菌、原虫、カビ又は真菌によって引き起こされる任意の感染症を含む。
【0435】
いくつかの実施形態では、ウイルス感染は、アレナウイルス科、アストロウイルス科、ビルナウイルス科、ブロモウイルス科、ブニヤウイルス科、カリシウイルス科、クロステロウイルス科、コモウイルス科、シストウイルス科、フラビウイルス科、フレキシウイルス科、ヘペウイルス、レビウイルス科、ルテオウイルス科、モノネガウイルス科、モザイクウイルス科、ニドウイルス科、ノダウイルス科、オルトミクソウイルス科、ピコビルナウイルス、ピコルナウイルス科、ポチウイルス科、レオウイルス科、レトロウイルス科、セキウイルス科、テヌウイルス科、トガウイルス科、トンブスウイルス科、トチウイルス科、ティモウイルス科、ヘパドナウイルス科、ヘルペスウイルス科、パラミクソウイルス科又はパピローマウイルス科ウイルスを含むがこれらに限定されない群から選択される1つ又は複数のウイルスによる感染を含む。RNAウイルスの関連する分類学的ファミリーとしては、限定されないが、アストロウイルス科、ビルナウイルス科、ブロモウイルス科、カリシウイルス科、クロステロウイルス科、コモウイルス科、シストウイルス科、フラビウイルス科、フレキシウイルス科、ヘペウイルス、レビウイルス科、ルテオウイルス科、モノネガウイルス科、モザイクウイルス科、ニドウイルス科、ノダウイルス科、オルトミクソウイルス科、ピコビルナウイルス、ピコルナウイルス科、ポチウイルス科、レオウイルス科、レトロウイルス科、セキウイルス科、テヌウイルス科、トガウイルス科、トンブスウイルス科、トチウイルス科、及びティモウイルス科ウイルスを含む。
【0436】
いくつかの実施形態では、ウイルス感染は、アデノウイルス、アルフイウイルス、バンジウイルス、ウシ下痢ウイルス、コロナウイルス、コクサッキーウイルス、クリミア-コンゴウイルス、デングウイルス、エボラウイルス、脳炎ウイルス(日本脳炎ウイルス、カリフォルニア脳炎ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、西ウマ脳炎ウイルス、東ウマ脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ダニ媒介脳炎ウイルスを含む)、グアナリトウイルス、ハンタウイルス、肝炎ウイルス、イルヘウスウイルス、免疫不全ウイルス、A型及びB型インフルエンザウイルス(ヒト、鳥類、及びブタを含む)及びパラインフルエンザウイルスを含むインフルエンザウイルス、ジュニンウイルス、ココベラウイルス、クンジンウイルス、キャサヌール森林病ウイルス、ラクロスウイルス、ラッサウイルス、ルーピリング病ウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、麻疹ウイルス、マチュポウイルス、マールブルグウイルス、マレー渓谷ウイルス、パキンダウイルス、ピキンデウイルス、ポリオウイルス、ポワッサンウイルス、Punta Toroウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス、リフトバレー熱ウイルス、ロシオウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)、天然痘ウイルス、タカリベウイルス、西ナイル及び黄熱ウイルスを含むが限定されない群から選択される1つ又は複数のウイルスによる感染を含む。
【0437】
本発明で治療され得る細菌感染症の例には、以下によって引き起こされる感染症が含まれるが、これらに限定されない:スタフィロコッカス(Staphylococcus);S.ピロゲン(S.pyogenes)を含むストレプトコッカス(Streptococcus);エンテロコッカス(Enterococci);例えばバチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)及びラクトバチルス(Lactobacillus)を含むバチルス(Bacillus;リステリア(Listeria);コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae);例えばG.バジナリス(G.vaginalis)等のガードネレラ(Gardnerella);ノカルジア(Nocardia);ストレプトミセス(Streptomyces);サーモアクチノミセス・ブルガリス(Thermoactinomyces vulgaris);トレポネーマ(Treponerna);例えばP.エルギノーザ(P.aeruginosa)等のカンピロバクター(Camplyobacter、(シュードモナス(Pseudomonas);レジオネラ(Legionella);例えばN.ゴノレエ(N.gonorrhoeae)及びN.メニンギチデス(N.meningitides)等のナイセリア(Neisseria);例えばF.メニンゴセプティカ(F.meningosepticum及びF.オドラターン(F.odoraturn)等のファラボバクテリウム(Flavobacterium);ブルセラ(Brucella);例えばB.ペルツシス(B.pertussis)及びB.ブロンチセプチカ(B.bronchiseptica)等のボルデテラ(Bordetella);例えばE.コリ(E.coli)、クレブシエラ(Klebsiella)等のエシェリキア(Escherichia);例えばS.マルセセンス(S.marcescens)及びS.リクエファシエンス(S.liquefaciens)等のエンテロバクター(Enterobacter)、セラチア(Serratia);エドワードシエラ(Edwardsiella);例えばP.ミラビリス(P.mirabilis)及びP.ブルガリス(P.vulgaris)等のプロテウス(Proteus);ストレプトバチルス(Streptobacillus);例えばR.フィッケスフィ(R.fickettsfi)等のリケッチア(Rickettsiaceae)、例えばC.スピッタシ(C.psittaci)及びC.トラコルナチス(C.trachornatis)等のクラミジア(Chlamydia);例えばM.ツベルクロシス(M.tuberculosis)、M.イントラセルラレ(M.intracellulare)、M.フォルチターン(M.folluiturn)、M.ラプラエ(M.laprae)、M.アビウム(M.avium)、M.ボビス(M.bovis)、M.アフリカナム(M.africanum)、M.カンサシイ(M.kansasii)、及びM.ラプラエルヌリウム(M.lepraernurium)等のマイコバクテリウム(Mycobacterium);並びにノカリジア(Nocardia)。
【0438】
本発明において治療され得る原虫感染の例としては、限定されないが、リーシュマニア(leishmania)、コクシジオア(kokzidioa)及びトリパノソーマ(trypanosoma)によって引き起こされる感染が挙げられる。
【0439】
感染症の完全なリストは、Center for Disease Control(CDC)のNational Center for Infectious Disease(NCID)のウェブサイトワールドワイドウェブ(www)のcdc.gov/ncidod/diseases/)で見ることができ、このリストは参照により本明細書に組み込まれる。当該疾患の全てが、本発明による単離されたタンパク質、抗体又はその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸、発現ベクター、組成物、医薬組成物又は医薬品を使用する治療のための候補である。
【0440】
一実施形態では、本発明による単離されたタンパク質(特に抗体又はその抗原結合断片)、融合タンパク質、核酸又は発現ベクターは、単独で使用される。
【0441】
別の実施形態では、本発明による単離されたタンパク質(特に抗体又はその抗原結合断片)、融合タンパク質、核酸又は発現ベクターは、少なくとも1つの更なる治療剤と組み合わせて使用される。
【0442】
一実施形態では、少なくとも1つの更なる治療剤及び本発明による単離されたタンパク質(特に抗体又はその抗原結合断片)、融合タンパク質、核酸又は発現ベクターの投与は、同時、別個又は逐次的である。
【0443】
一実施形態では、同時投与のために、少なくとも1つの更なる治療薬及び本発明による単離されたタンパク質(特に抗体又はその抗原結合断片)、融合タンパク質、核酸又は発現ベクターは、必要に応じて、1つの組成物として、又は別個の組成物として投与される。
【0444】
更なる治療薬の例としては、化学療法剤、標的化癌治療、放射線療法、免疫療法剤又は抗癌免疫原、抗癌抗体、細胞傷害剤、抗血管新生剤、細胞周期制御/アポトーシス調節剤、ホルモン調節剤、並びにコルチコイド、例えばグルココルチコイド等から選択される他の免疫抑制薬及び/又は抗炎症薬が挙げられるが、これらに限定されない。
【0445】
一実施形態では、少なくとも1つの更なる治療剤は、本発明で治療される特定の疾患、障害又は状態を治療するのに有用な治療剤である。例えば、癌を治療するために、少なくとも1つの更なる治療剤は、化学療法剤、標的癌療法剤、放射線療法、免疫療法剤又は抗癌免疫原、抗癌抗体、細胞傷害剤、抗血管新生剤、細胞周期制御/アポトーシス調節剤、ホルモン調節剤、並びに例えばグルココルチコイド等のコルチコイドから選択される他の免疫抑制薬及び/又は抗炎症薬を含むがこれらに限定されない群から選択され得る。
【0446】
一実施形態では、本発明による単離されたタンパク質(特に本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片)、融合タンパク質、核酸、又は発現ベクターは、化学療法剤と組み合わせて使用される。
【0447】
「化学療法剤」という用語は、腫瘍成長を阻害するのに有効な化学化合物を指す。
【0448】
化学療法剤の例には、チオテパ及びシクロホスファミド;アルキルスルホネート、例えば、ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン;ベンゾドパ、カルボコン、メトレドパ、及びウレドパ等のアジリジン類;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスファアルニド及びトリメチロメラミンを含むエチレンイミン及びメチルアメラミン;アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン);カルンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体KW-2189及びCBI-TMIを含む);エレウテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、クロロフォスファミド、エストラルヌスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミン酸化物塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタード等のナイトロジェンマスタード類;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン等のニトロソ尿素;エンジイン抗生物質(例えばカリケアマイシン、特にカリケアマイシン11及びカリケアマイシン211)等の抗生物質;ダイネマイシン(ダイネマイシンAを含む);エスペラマイシン;ネオカルジノスタチンクロモフォア及び関連する色素タンパク質エンジインアンチビオティッククロモフォア、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カンニノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトレビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダンルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラルニシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポチフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ジノレビシン、;メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)等の代謝拮抗剤;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキセート等の葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン等のプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフル、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5-FU等のピリミジン類似体;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗アドレナリン、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;フロリン酸等の葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファルニドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルホルニチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;メイタンシン及びアンサミトシン等のメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲンナニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”-トリクロロトリエチルアルニン;トリコテセン(特にT-2毒素、ベラクリンA、ロリジンA及びアンギジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロムトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばパクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology,Princeton,N.])及びドキセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer、Antony,France);クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン及びカルボプラチン等の白金類似体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼロダ;イバンドロネート;CPT-1 1;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;カペシタビン;及び上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体等のアルキル化剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0449】
腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン及びトレミフェン(Fareston)を含む抗エストロゲン;及びフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン等の抗アンドロゲン剤;並びに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体も化学療法剤の定義に含まれる。
【0450】
一実施形態では、本発明による単離されたタンパク質、抗体若しくはその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸又はベクターは、標的化癌治療と組み合わせて使用される。
【0451】
本明細書で使用される場合、「標的癌療法」という用語は、癌の成長、進行、及び拡大に関与する特定の分子(「分子標的」)を妨害することによって癌の成長及び拡大を遮断する薬物又は他の物質である。標的癌療法は、「分子標的薬」、「分子標的療法」、「精密医薬品」と呼ばれることもある。いくつかの実施形態では、標的化療法は、対象にチロシンキナーゼ阻害剤を投与することからなる。
【0452】
「チロシンキナーゼ阻害剤」という用語は、受容体及び/又は非受容体チロシンキナーゼの選択的又は非選択的阻害剤として作用する様々な治療剤又は薬物のいずれかを指す。チロシンキナーゼ阻害剤に関連する化合物は、チロシンキナーゼ阻害剤の効果を再現することになり、例えば、関連する化合物は、そのチロシンキナーゼのチロシンキナーゼ阻害剤と同じ効果をもたらすために、チロシンキナーゼシグナル伝達経路の異なるメンバーに作用することになることが当業者によって理解されるであろう。本発明の実施形態の方法での使用に適したチロシンキナーゼ阻害剤及び関連化合物の例としては、ABT-869、AEE-788、AEW-541、アキシチニブ、AZM-475271、BEZ235、BMS-599626(AC-480)、ボスチニブ、ブリバニブ(BMS-582664)、カネルチニブ(CI1033)、セジラニブ、CEP-11981、CP-547632、CP-724714、ダサチニブ(BMS-354825)、ドビチニブ、エンザスタウリン、エルロチニブ(タルセバ;OSI-1774)、ゲフィチニブ(Iressa)、イマチニブ(グリベック;STI571)、KRN-633、KRN-951、ラパチニブ(GW572016;GW2016)、レフルノミド(SU101)、レスタウチニブ、L-21649、モタセニブ、ミドスタウリン、MKC-I(Ro-317453;R-440)、MK-2206(8-[4-アミノシクロブチル]フェニル]-9-フェニル-1,2,4-トリアゾロ[3,4-f][1,6]ナフチリジン-3(2H)-オン塩酸塩)、MLN-8054、ネラチニブ、ニロチニブ、OSI-930、パゾパニブ、PD-0325901、PD-0332991、PP2、サラカチニブ、セマキシニブ(SU5416)、セレシクリブ、SNS-032、ソラフェニブ(BAY43-9006)、スニチニブ(Sutent;SU11248)、SU-14813、SU-6668(TSU-68)、TAK-165、タンデュチニブ、テラチニブ、バタラニブ(PTK787/ZK222584)、バンデタニブ(Zactima;ZD6474)、それらの誘導体、それらの類似体、及びそれらの組合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0453】
一実施形態では、本発明による単離されたタンパク質、抗体若しくはその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸又はベクターは、放射線療法と組み合わせて使用される。
【0454】
「放射線療法」という用語は、放射線又は放射性医薬品の患者への関連する投与を含み得る。放射線源は、治療されている患者の外部又は内部のいずれかであり得る(放射線治療は、例えば、外部ビーム放射線療法(EBRT)又は近接照射療法(BT)の形態であり得る。)。そのような方法を実施する際に使用され得る放射性元素としては、例えば、ラジウム、セシウム137、イリジウム-192、アメリシウム-241、金-198、コバルト-57、銅-67、テクネチウム-99、ヨウ化物-123、ヨウ化物-131及びインジウム-111が挙げられる。
【0455】
一実施形態では、本発明による単離されたタンパク質、抗体若しくはその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸又は発現ベクターは、免疫療法剤又は免疫療法と組み合わせて使用される。
【0456】
本明細書で使用される「免疫療法剤」又は「免疫療法」という用語は、癌細胞に対する身体の免疫応答を間接的又は直接的に増強、刺激又は増加させる、並びに/あるいは他の抗癌療法の副作用を減少させる化合物、組成物又は治療を指す。したがって、免疫療法は、癌細胞に対する免疫系の応答を直接的又は間接的に刺激又は増強し、並びに/あるいは他の抗癌剤によって引き起こされ得る副作用を軽減する療法である。免疫療法は、当技術分野では、免疫療法、生物学的療法生物学的応答調節剤療法及び生物療法とも呼ばれる。当技術分野で公知の一般的な免疫療法剤又は免疫療法の例には、サイトカイン、チェックポイント阻害剤、T細胞アゴニストとも呼ばれるチェックポイントアゴニスト、モノクローナル抗体を含む抗体、抗体ドメイン、抗体断片、二重特異性抗体、予防ワクチン及び治療ワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、免疫細胞の養子移入(T細胞、NK、細胞、樹状細胞、B細胞...)が含まれるが、これらに限定されない。
【0457】
癌免疫療法の根底にある中心的な前提の1つは、癌細胞において選択的又は豊富に発現又は変異しており、したがって癌細胞の特異的認識及びその後の破壊を可能にする抗原の存在である。そのような抗原は、一般に腫瘍特異的抗原と呼ばれる。癌免疫療法の根底にある中心的な前提のもう1つは、腫瘍中のリンパ球、すなわち腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、特に上記の腫瘍特異的抗原の認識を介して腫瘍細胞を標的とし死滅させることができるエフェクターTILの存在である。
【0458】
免疫療法剤又は療法は受動的であり得る。受動免疫療法剤は、モノクローナル抗体のような免疫細胞因子の投与により即時作用を生じるものである。受動免疫療法の結果は、作用物質の投与と時間的に関連しているため、長期応答のためには継続した投与が必要となり得る。別の実施形態では、免疫療法剤又は療法は活性である。活性免疫療法剤は、免疫記憶を誘導することによって持続的で永続的な応答を生じるものである。これは、正常な免疫応答に最もよく似ている。しかしながら、免疫系機能が健康な集団において変化するのと同様に、活性免疫療法剤に対する応答のレベルは個々の因子に依存する。
【0459】
活性免疫療法剤には、非特異的活性剤(すなわち、一般に、ヒトの身体が癌細胞の成長及び/又は広がりと戦うことにおいてより効果的になるように免疫系を増強する薬剤)及び特異的活性剤(すなわち、癌細胞によって発現される特異的抗原に焦点を合わせた細胞媒介性及び抗体免疫応答の生成を誘導する薬剤)の両方が含まれる。非特異的免疫療法剤は、主治療に加えて、癌の治療のための主治療として単独で使用されており、この場合、非特異的免疫療法剤は、他の治療の有効性を高めるためのアジュバントとして機能する(例えば、癌ワクチン)。
【0460】
非特異的免疫療法剤はまた、この後者の状況において、他の療法の副作用、例えば特定の化学療法剤によって誘導される骨髄抑制を減少させるように機能することができる。非特異的免疫療法剤は、重要な免疫系細胞に作用し、サイトカイン及び免疫グロブリンの産生増加等の二次応答を引き起こすことができる。あるいは、薬剤はそれ自体がサイトカインを含むことができる。非特異的免疫療法剤は、一般に、サイトカイン又は非サイトカインアジュバントとして分類される。
【0461】
一実施形態では、本発明による単離されたタンパク質、抗体若しくはその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸又はベクターは、サイトカイン療法と組み合わせて使用される。
【0462】
本明細書で使用される場合、「サイトカイン療法」は、対象への少なくとも1つのサイトカインの投与として定義される。
【0463】
多数のサイトカインは、免疫系を増強するように設計された一般的な非特異的免疫療法として、又は他の療法により提供されるアジュバントとして、癌の治療に適用されることが見出されている。適切なサイトカインには、インターフェロン、インターロイキン及びコロニー刺激因子が含まれるが、これらに限定されない。本発明によって企図されるインターフェロン(IFN)としては、一般的なタイプのIFN、IFN-アルファ(IFN-α)、IFN-ベータ(IFN-β)及びIFN-ガンマ(IFN-γ)が挙げられる。IFNは、例えば、それらの成長を遅らせること、より正常な挙動を有する細胞へのそれらの発達を促進すること、及び/又は抗原の産生を増加させることによって、癌細胞に直接作用し得、したがって、免疫系が癌細胞を認識し、破壊することをより容易にする。IFNはまた、例えば、血管新生を減速させ、免疫系を増強し、並びに/あるいはナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞及びマクロファージを刺激することによって、癌細胞に間接的に作用し得る。組換えIFN-αは、Roferon(Roche Pharmaceuticals)及びIntronA(Schering Corporation)として市販されている。本発明によって企図されるインターロイキンには、IL-2、IL-4、IL-11、IL-12及びIL-21が含まれる。市販の組換えインターロイキンの例としては、Proleukin(登録商標)(IL-2;Chiron Corporation)及びNeumega(登録商標)(IL-12;Wyeth Pharmaceuticals)が挙げられる。本発明によって企図されるコロニー刺激因子(CSF)には、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF又はフィルグラスチム)、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF又はサルグラモスチム)及びエリスロポエチン(エポエチンアルファ、ダルベポエチン)が含まれる。1つ又は複数の成長因子による治療は、伝統的な化学療法を受けている対象における新しい血球の生成を刺激するのに役立ち得る。したがって、CSFによる治療は、化学療法に関連する副作用を減少させるのに役立ち得、より高用量の化学療法剤を使用することを可能にし得る。様々な組換えコロニー刺激因子、例えばNeupogen(登録商標)(G-CSF;Amgen)、Neulasta(pelfilgrastim;Amgen)、Leukine(GM-CSF;Berlex)、Procrit(erythropoietin;Ortho Biotech)、Epogen(erythropoietin;Amgen)、Arnesp(erytropoietin)が市販されている。
【0464】
一実施形態では、本発明による単離されたタンパク質、抗体又はその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸又はベクターは、サイトカイン模倣物、例えばIL-2模倣物と組み合わせて使用される。一実施形態では、IL-2模倣物はCD25に結合することができない。一実施形態では、IL-2模倣物は、α、β及びγサブユニットを含むIL-2Rと比較して、β及びγサブユニットを含むIL-2Rに優先的に結合する。使用され得るIL-2模倣物の非限定的な例は、NKTR-214(Nektar Therapeutics)である。
【0465】
一実施形態では、本発明による単離されたタンパク質、抗体若しくはその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸又はベクターは、チェックポイント阻害剤療法と組み合わせて使用される。
【0466】
本明細書で使用される場合、「チェックポイント阻害剤療法」は、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤の対象への投与として定義される。
【0467】
癌治療として、チェックポイント阻害剤療法は、腫瘍細胞によって発現されるリガンドによるT細胞上に発現される阻害性受容体の活性化を防止することを目的とする。したがって、チェックポイント阻害剤療法は、腫瘍中に存在するT細胞、すなわち腫瘍浸潤T細胞の阻害を防止すること、したがって腫瘍細胞に対する対象の免疫応答を増強することを目的とする。
【0468】
チェックポイント阻害剤の例を上に列挙する。
【0469】
一実施形態では、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤は、PD-1の阻害剤、PD-L1の阻害剤、CTLA-4の阻害剤及びそれらの任意の混合物を含む又はそれらからなる群から選択される。
【0470】
一実施形態では、本発明による単離されたタンパク質、抗体若しくはその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸又はベクターは、チェックポイントアゴニスト療法と組み合わせて使用される。
【0471】
本明細書で使用される場合、「チェックポイントアゴニスト療法」は、少なくとも1つのチェックポイントアゴニストの対象への投与として定義される。
【0472】
癌治療として、チェックポイントアゴニスト療法は、腫瘍内に存在する免疫細胞上に発現する刺激受容体を活性化することを目的とする。特に、T細胞アゴニスト療法は、腫瘍中に存在するT細胞、すなわち腫瘍浸潤T細胞の活性化を増強し、したがって腫瘍細胞に対する対象の免疫応答を増強することを目的とする。現在、チェックポイントアゴニスト療法の多数の潜在的な標的が同定されている。
【0473】
チェックポイントアゴニストの例を上に列挙する。
【0474】
一実施形態では、少なくとも1つのチェックポイントアゴニストは、CD137のアゴニスト、OX40のアゴニスト、GITRのアゴニスト、ICOSのアゴニスト、CD27-CD70のアゴニスト、CD40のアゴニスト及びそれらの任意の混合物を含む又はそれらからなる群から選択される。
【0475】
一実施形態では、本発明による単離されたタンパク質、抗体又はその抗原結合断片、融合タンパク質、核酸又はベクターは、免疫受容体又は共刺激分子に特異的な第2の抗体と組み合わせて使用される。
【0476】
免疫受容体に特異的な抗体の例には、抗CTLA4抗体(例えばイピリムマブ)、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗TIM-3抗体、抗LAG-3抗体、抗B7H3抗体、抗B7H4抗体、抗B7H6抗体、抗4-1BB抗体、抗TIGIT抗体、抗ICOS抗体、抗GITR抗体、抗CD27-CD70抗体、抗CD40抗体、抗BTLA抗体、抗HVEM抗体、抗CD160抗体、抗CCR8抗体、抗CEACAM-1及び抗OX40抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0477】
いくつかの実施形態では、第2の抗体はCD137に特異的である。本明細書で使用される場合、「CD137」という用語は、当技術分野におけるその一般的な意味を有し、Ly63、ILA又は4-1BBとも呼ばれ得る。CD137は、腫瘍壊死因子(TNF)受容体ファミリーのメンバーである。この受容体ファミリーのメンバー及びそれらの構造的に関連するリガンドは、多種多様な生理学的プロセスの重要な調節因子であり、免疫応答の調節において重要な役割を果たす。CD137は、活性化NK細胞、Tリンパ球及びBリンパ球並びに単球/マクロファージによって発現される。この遺伝子は、細胞外ドメイン(この受容体ファミリーに特徴的)、膜貫通領域、及び潜在的なリン酸化部位を含む短いN末端細胞質部分に3つのシステインリッチモチーフを有する255アミノ酸タンパク質をコードする。初代細胞における発現は厳密に活性化依存性である。受容体のリガンドはTNFSF9である。ヒトCD137は、そのリガンドにのみ結合することが報告されている。アゴニストには、天然リガンド(TNFSF9)、アプタマー(McNamara et al.(2008)J.Clin.Invest.1 18:376-386を参照されたい)、及び抗体が含まれる。
【0478】
別の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は二重特異性であり、更に免疫受容体又は共刺激分子に結合することができる。
【0479】
免疫受容体の例としては、CTLA4、PD-1、PD-L1、TIM-3、LAG-3、B7H3、B7H4、B7H6、4-1BB、TIGIT、ICOS、GITR、CD27-CD70、CD40、BTLA、HVEM、CD160、CCR8、CEACAM-1及びOX40が挙げられるが、これらに限定されない。
【0480】
共刺激分子の例としては、B7H3、B7H4、B7H6、4-1BB及びOX40、GITRが挙げられるが、これらに限定されない。
【0481】
一実施形態では、本発明による単離されたタンパク質(特に本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片)、融合タンパク質、核酸又はベクターは、ADCCを介して、第2の抗体が結合する抗原を発現する細胞の死を誘導する第2の抗体と組み合わせて使用される。一実施形態では、第2の抗体(例えばIgG1又はIgG3アイソタイプ、特にヒトIgG1又はIgG3アイソタイプ)は、抗体が結合する細胞に向けてADCCを誘導する。NK細胞は、ADCCの誘導において重要な役割を有し、NK細胞の反応性の増加は、そのような第2の抗体の使用を介して標的細胞に向けることができる。一実施形態では、第2の抗体は、細胞表面抗原、例えば膜抗原に特異的である。いくつかの実施形態では、第2の抗体は、CD20、CD52、ErbB2(又はHER2/Neu)、CD33、CD22、CD25、MUC-1、CEA、KDR、αVβ3等の腫瘍抗原(例えば、腫瘍細胞によって特異的に発現される分子)、特にリンパ腫抗原(例えば、CD20)に特異的である。
【0482】
したがって、本発明はまた、腫瘍抗原(複数可)に対するモノクローナル抗体の抗腫瘍効果を増強する方法を提供する。
【0483】
一実施形態では、ADCC機能は、1つ以上の腫瘍抗原に対する抗体及び本発明の抗体又はその抗原結合断片の連続投与によって特異的に増強され、標的細胞の死滅を増強する。
【0484】
一実施形態では、本発明による単離されたタンパク質(特に本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片)、融合タンパク質、核酸又はベクターは、NK細胞活性化受容体の天然リガンド又はNK細胞活性化受容体に結合して活性化する抗体と組み合わせて使用される。
【0485】
一実施形態では、少なくとも1つの更なる治療薬は、標的細胞(例えば、感染細胞又は腫瘍細胞)の表面上のNK細胞活性化受容体の天然リガンドの存在を増加させる薬剤である。
【0486】
本明細書で使用される場合、「活性化NK受容体」という用語は、刺激されると、サイトカイン(例えばIFN-γ及びTNF-α)産生等のNK活性、細胞内遊離カルシウムレベルの増加、再標的化殺傷アッセイで細胞を標的化する能力、又はNK細胞増殖を刺激する能力に関連するとして当技術分野で公知の任意の特性又は活性の測定可能な増加を引き起こすNK細胞の表面上の任意の分子を指す。
【0487】
「NK受容体を活性化する」例としては、KIRタンパク質(例えば、KIR2DSタンパク質)、CD160-TM、NKG2D、IL-2R、IL-12R、IL-15R、IL-18R及びIL-21Rの活性化形態が挙げられるが、これらに限定されない。
【0488】
活性化受容体においてアゴニストとして作用するリガンドの例としては、例えば、IL-2、IL-15、IL-21ポリペプチドが挙げられる。
【0489】
一実施形態では、本発明による単離されたタンパク質(特に本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片)、融合タンパク質、核酸又はベクターは、治療用ワクチン又は治療ワクチンと組み合わせて使用される。
【0490】
本明細書で使用される場合、治療用ワクチンは、少なくとも1つの腫瘍特異的抗原(例えば、合成長ペプチド又はSLP)又は当該腫瘍特異的抗原をコードする核酸の投与;腫瘍細胞に選択的に侵入及び/又は複製する組換えウイルスベクターの投与;腫瘍細胞の投与;及び/又は腫瘍特異的抗原を提示し、これらの抗原に対する免疫応答を誘因するように操作された免疫細胞(例えば、樹状細胞)の投与として定義される。
【0491】
癌治療として、治療ワクチンは、腫瘍細胞に対する対象の免疫応答を増強することを目的とする。
【0492】
腫瘍細胞に対する対象の免疫応答を増強することを目的とする治療用ワクチンの例としては、限定されないが、アデノウイルス(例えば、腫瘍溶解性アデノウイルス)、ワクシニアウイルス(例えば、改変ワクシニアアンカラ(MVA))、アルファウイルス(例えば、セムリキ森林ウイルス(SFV))、麻疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV)及びコクサッキーウイルス等のウイルスベクターベースの治療ワクチン;合成ロングペプチド(SLP)ワクチン;RNAベースのワクチン、及び樹状細胞ワクチンが挙げられる。
【0493】
一実施形態では、本発明による単離されたタンパク質(特に本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片)、融合タンパク質、核酸又はベクターは、腫瘍溶解性ウイルス療法と組み合わせて使用される。
【0494】
本明細書で使用される場合、「腫瘍溶解性ウイルス療法」は、少なくとも1つの腫瘍溶解性ウイルスの対象への投与として定義される。
【0495】
腫瘍溶解性ウイルスは、正常な非癌細胞よりも癌細胞に優先的に感染し、死滅させるウイルスとして定義される。癌治療として、腫瘍溶解性ウイルス療法は、癌細胞を死滅させること、並びに/あるいは癌細胞に対する免疫応答を誘発又は増強することを目的とする。
【0496】
腫瘍溶解性ウイルスの例には、限定するものではないが、タリモゲン・ラハーパレペック(又はT-VEC)又はHSV-1716等の改変単純ヘルペス1型ウイルス;Ad5-DNX-2401等の改変アデノウイルス;MV-NIS等の改変麻疹ウイルス;ワクシニアウイルスTG6002等の改変ワクシニアウイルス(VV);及びPVS-RIPO等の改変ポリオウイルスが挙げられる。
【0497】
一実施形態では、本発明による単離されたタンパク質(特に本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片)、融合タンパク質、核酸又はベクターは、養子細胞療法(両方ともACTとも呼ばれる)とも呼ばれる細胞の養子移入、例えば、それぞれ養子T細胞療法又は養子NK細胞療法とも呼ばれるT細胞又はNK細胞の養子移入と組み合わせて使用される。
【0498】
本明細書で使用される場合、「細胞の養子移入」又は「養子細胞療法」は、例えば対象への免疫細胞の注入又は再注入としての移入として定義される。癌治療として、対象への免疫細胞の養子移入は、癌細胞に対する対象の免疫応答を増強することを目的とする。
【0499】
細胞療法に使用され得る免疫細胞の例としては、細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、CD8T細胞、及びナチュラルキラー(NK)細胞T細胞)、エフェクターT細胞(例えば、CD4T細胞及びCD8T細胞)、アルファベータ(αβ)T細胞及びガンマデルタ(γδ)T細胞、抗体発現B細胞又は他の抗体産生若しくは提示細胞及び樹状細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0500】
一実施形態では、上記の移入された免疫細胞は、抗原特異的細胞である。一実施形態では、上記の移入された免疫細胞は抗原特異的免疫細胞であり、当該抗原は癌細胞によって特異的及び/又は豊富に発現される。一実施形態では、本明細書において上で記載される移入された免疫細胞は、腫瘍特異的免疫細胞であり、換言すれば、本明細書において上で記載される移入された免疫細胞は、当該癌細胞又は腫瘍細胞によって特異的に及び/又は豊富に発現される抗原を介して癌細胞又は腫瘍細胞を特異的に認識する。一実施形態では、上記の移入された免疫細胞は、腫瘍特異的エフェクターT細胞である。一実施形態では、上記の移入された免疫細胞は、腫瘍特異的CD8エフェクターT細胞、特に腫瘍特異的細胞傷害性CD8T細胞である。一実施形態では、移入された細胞は、腫瘍浸潤細胞(TIL)である。一実施形態では、上記の移入された免疫細胞は、腫瘍特異的細胞傷害性細胞である。一実施形態では、上記の移入された免疫細胞は、腫瘍特異的NK細胞である。
【0501】
腫瘍特異的抗原の例、すなわち、癌細胞によって特異的及び/又は豊富に発現される抗原としては、限定されないが、ネオ抗原(新規抗原又は変異抗原とも呼ばれる)、9D7、ART4、β-カテニン、BING-4、Bcr-abl、BRCA1/2、カルシウム活性化塩化物チャネル2、CDK4、CEA(癌胎児性抗原)、CML66、サイクリンB1、CypB、EBV(エプスタイン・バーウイルス)関連抗原(例えば、LMP-1、LMP-2、EBNA1及びBARF1)、Ep-CAM、EphA3、フィブロネクチン、Gp100/pmel17、Her2/neu、HPV(ヒトパピローマウイルス)E6、HPV E7、hTERT、IDH1、IDH2、未成熟ラミニン受容体、MC1R、Melan-A/MART-1、MART-2、メソテリン、MUC1、MUC2、MUM-1、MUM-2、MUM-3、NY-ESO-1/LAGE-2、p53、PRAME、前立腺特異抗原(PSA)、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、Ras、SAP-1、SART-I、SART-2、SART-3、SSX-2、サバイビン、TAG-72、テロメラーゼ、TGF-βRII、TRP-1/-2、チロシナーゼ、WT1、BAGEファミリーの抗原、CAGEファミリーの抗原、GAGEファミリーの抗原、MAGEファミリーの抗原、SAGEファミリーの抗原、及びXAGEファミリーの抗原が挙げられる。
【0502】
本明細書で使用される場合、ネオアンチゲン(新規抗原又は変異抗原とも呼ばれる)は、腫瘍によって獲得された体細胞変異又は遺伝子再編成によって影響を受けるタンパク質に由来する抗原に対応する。ネオ抗原は、各個々の対象に特異的であり得、したがって個別化免疫療法を開発するための標的を提供し得る。ネオ抗原の例としては、例えば、CDK4のR24C変異体、CDK4のR24L変異体、コドン12で変異したKRAS、変異したp53、BRAFのV599E変異体及びIDH1のR132H変異体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0503】
一実施形態では、上記の移入された免疫細胞は、CTAのクラス(MAGE型抗原としても知られる癌/精巣抗原)、ネオ抗原のクラス及びウイルス抗原のクラスを含むか又はそれらからなる群から選択される腫瘍抗原に特異的である。
【0504】
本明細書で使用される場合、CTAのクラスは、腫瘍細胞で発現されるが、雄性生殖細胞を除く正常組織では発現されない遺伝子によってコードされる抗原に対応する。
【0505】
CTAの例には、MAGE-A1、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、NY-ESO-1、PRAME及びSSX-2が含まれるが、これらに限定されない。
【0506】
本明細書で使用される場合、ウイルス抗原のクラスは、ウイルス発癌性タンパク質に由来する抗原に対応する。ウイルス抗原の例としては、限定されないが、E6及びE7等のHPV(ヒトパピローマウイルス)関連抗原、並びにLMP-1、LMP-2、EBNA1及びBARF1等のEBV(エプスタイン・バーウイルス)関連抗原が挙げられる。
【0507】
一実施形態では、上記の移入された免疫細胞は、自己免疫細胞、特に自己T細胞である。別の実施形態では、上記の移入された免疫細胞は、同種(又は同種の)免疫細胞、特に同種異系NK細胞である。
【0508】
例えば、自己T細胞は、対象から単離された抗原特異的T細胞の増殖又は遺伝子操作による対象のT細胞の再方向付けのいずれかによってエクスビボで作製することができる。
【0509】
一実施形態では、注入される免疫細胞は、対象に注入される前にエクスビボで改変される。
【0510】
対象からT細胞、特に抗原特異的T細胞、例えば腫瘍特異的T細胞を単離する方法は、当技術分野で周知である(例えば、Rosenberg&Restifo,2015,Science 348,62-68;Prickett et al.,2016,Cancer Immunol Res 4,669-678;又はHinrichs&Rosenberg,2014,Immunol Rev 257,56-71を参照されたい)。T細胞をエクスビボで増殖させる方法は、当技術分野で周知である(例えば、Rosenberg&Restifo,2015,Science 348,62-68;Prickett et al.,2016,Cancer Immunol Res 4,669-678;又はHinrichs&Rosenberg,2014,Immunol Rev 257,56-71を参照されたい)。対象におけるT細胞の注入のためのプロトコルは、注入前治療レジメンを含めて、当該分野で周知である(例えば、Rosenberg&Restifo,2015,Science 348,62-68;Prickett et al.,2016,Cancer Immunol Res 4,669-678;又はHinrichs&Rosenberg,2014,Immunol Rev 257,56-71を参照されたい)。
【0511】
一実施形態では、本発明による単離されたタンパク質(特に本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片)、融合タンパク質、核酸又はベクターは、CAR免疫細胞療法、特にCAR T細胞療法又はCAR NK細胞療法と組み合わせて使用される。
【0512】
本明細書で使用される場合、CAR免疫細胞療法は、移入された細胞が、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝子操作された、T細胞又はNK細胞等の上記の免疫細胞である養子細胞療法である。癌治療として、対象へのCAR免疫細胞の養子移入は、癌細胞に対する対象の免疫応答を増強することを目的とする。
【0513】
CARは、単一の融合分子又はいくつかの分子内の1つ又は複数のシグナル伝達ドメインと会合する標的化部分からなる合成受容体である。一般に、CARの結合部分は、可撓性リンカーによって連結されたモノクローナル抗体の軽鎖及び可変断片を含む単鎖抗体(scFv)の抗原結合ドメインからなる。受容体又はリガンドドメインに基づく結合部分もまた、首尾よく使用されている。第一世代CARのシグナル伝達ドメインは通常、CD3ζ又はFc受容体ガンマ鎖の細胞質領域に由来する。第一世代CARは、T細胞の細胞傷害性を首尾よく再指向することが示されているが、それらは、インビボでの長期の拡大及び抗腫瘍活性を提供することができなかった。したがって、CD28、OX-40(CD134)及び4-1BB(CD137)を含む共刺激分子からのシグナル伝達ドメインは、CAR改変T細胞の生存を増強し、増殖を増加させるために、単独で(第2世代)又は組み合わせて(第3世代)付加されている。
【0514】
したがって、一実施形態では、本明細書において上で記載されるような移入されたT細胞は、CAR T細胞である。CARの発現は、T細胞が、選択された抗原、例えば癌細胞の表面で発現される抗原に対して再指向されることを可能にする。一実施形態では、移入されたCAR T細胞は腫瘍特異的抗原を認識する。
【0515】
別の実施形態では、上記の移入されたNK細胞は、CAR NK細胞である。CARの発現は、NK細胞が、癌細胞の表面に発現される抗原等の選択された抗原に対して再指向されることを可能にする。一実施形態では、移入されたCAR NK細胞は腫瘍特異的抗原を認識する。
【0516】
腫瘍特異的抗原の例は、本明細書において上で言及される。
【0517】
一実施形態では、移入されたCAR T細胞又はCAR NK細胞は、EGFR、特にEGFRvIII、メソテリン、PSMA、PSA、CD47、CD70、CD133、CD171、CEA、FAP、GD2、HER2、IL-13Rα、αvβ6インテグリン、ROR1、MUC1、GPC3、EphA2、CD19、CD21及びCD20を含む群又はそれらからなる群から選択される腫瘍特異的抗原を認識する。
【0518】
一実施形態では、上記のCAR免疫細胞は、自己CAR免疫細胞、特に自己CAR T細胞である。別の実施形態では、上記のCAR免疫細胞は、同種異系(又は同種異系)CAR免疫細胞、特に同種異系CAR NK細胞である。
【0519】
一実施形態では、本発明による単離されたタンパク質(特に本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片)、融合タンパク質、核酸又はベクターは、抗生物質と組み合わせて使用される。抗生物質の例としては、ペニシリン(例えば、ペニシリン、アモキシシリン)、テトラサイクリン(例えば、ドキシシクライアント、テトラサイクリン、ミノサイクリン)、セファロスポリン(例えば、セフロキシム、セフトリアキソン、セフジニル)、キノロン(例えば、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン)、リンコマイシン(例えば、クリンダマイシン、リンコマイシン)、マクロライド(例えば、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン)、スルホンアミド(例えば、スルファメトキサゾール-トリメトプリム、スルファサラジン、スルフィソキサゾール)、糖ペプチド(例えば、ダルババンシン、オリタバンシン、テラバンシン、バンコマイシン)、アミノグリコシド(例えば、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン)及びカルバペネム(例えば、イミペネム、メロペネム、ドリペネム、エルタペネム)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0520】
一実施形態では、本発明による単離されたタンパク質(特に本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片)、融合タンパク質、核酸又はベクターは、抗ウイルス薬と組み合わせて使用される。抗ウイルス薬の例としては、アバカビル、アシクロビル、アデホビル、アマンタジン、アンプレナビル、アンプリゲン、アルビドール、アタザナビル、アトリプラ、バラビル、シドホビル、コンビビル、ドルテグラビル、ダルナビル、デラビルジン、ジダノシン、ドコサノール、エドクスジン、エファビレンツ、エムトリシタビン、エンフビルチド、エンテカビル、エコリエバ・ファムシクロビル、ホミビルセン、フォサムプレナビル、フォスカネット、ホスフォネット、イバシタビン、イミノビル、イドクスウリジン、イミキモド、インジナビル、イノシン、インテグラーゼ阻害剤、インターフェロンIII型、インターフェロンII型、インターフェロンI型、インターフェロン、ラミブジン、ロピナビル、ロビリド、マラビロク、モロキシジン、メチサゾン、ネルフィナビル、ネビラピン、ネキサビル、ニタゾキサニド、ヌクレオシド類似体、ノルビル、オセルタミビル、ペグインターフェロンアルファ-2a、ペンシクロビル、ペラミビル、プレコナリル、ポドフィロトキシン、プロテアーゼ阻害剤、ラルテグラビル、逆転写酵素阻害剤、リバビリン、リマンタジン、リトナビル、ピラミジン、サキナビル、ソホスブビル、スタブジン、テラプレビル、テノホビル、テノホビルジソプロキシル、チプラナビル、トリフルリジン、トリジビル、トロマンタジン、トルバダ、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ビクリビロク、ビダラビン、ビラミジン、ザルシタビン、ザナミビル及びジドブジンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0521】
一実施形態では、本発明による単離されたタンパク質(特に本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片)、融合タンパク質、核酸又はベクターは、抗真菌剤と組み合わせて使用される。抗真菌剤の例としては、限定されないが、ポリエン抗真菌剤(例えば、アムホテリシンB、カンジシジン、フィリピン、ハマイシン、ナタマイシン、ナイスタチン、リモシジン)、イミダゾール抗真菌剤(例えば、ビフォナゾール、ブトコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、フェンチコナゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ルリコナゾール、ミコナゾール、オモコナゾール、オキシコナゾール、セルタコナゾール、スルコナゾール、チオコナゾール)、トリアゾール抗真菌剤(例えば、アルバコナゾール、エフィナコナゾール、エポキシコナゾール、フルコナゾール、イサブコナゾール、イトラコナゾール、ポサコナゾール、プロピコナゾール、ラブコナゾール、テルコナゾール、ボリコナゾール)、チアゾール抗真菌剤(例えば、アバファンギン)、アリルアミン、エキノカンジン(例えば、アニデュラフンギン、カスポフンギン、ミカフンギン)が挙げられる。
【0522】
一実施形態では、本発明による単離されたタンパク質(特に本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片)、融合タンパク質、核酸又はベクターは、抗寄生虫剤と組み合わせて使用される。抗寄生虫剤の例には、広域スペクトル抗寄生虫剤(例えば、ニタゾキサニド)、抗原虫剤(例えば、メラルソプロール、エフロルニチン、メトロニダゾール、チニダゾール、ミルテホシン)、駆虫剤(限定されないが、抗線虫(イヌ鉤虫、メベンダゾール、パモ酸ピランテル、チアベンダゾール、ジエチルカルバマジン、イベルメクチン)、抗条虫(例えば、ニクロサミド、プラジカンテル、アルベンダゾール)、抗樹状虫(例えば、プラジカンテル)を含む)、抗アメーバ剤(例えば、リファンピン、アムホテリシンB)が含まれるが、これらに限定されない。
【0523】
本発明の別の目的は、単離されたタンパク質(特に、本明細書中に記載されるような抗体若しくはその抗原結合断片)又は本明細書において上で記載されるような融合タンパク質と本明細書において上で記載されるような別の治療剤との、それを必要とする対象における疾患の治療における使用に関し、当該タンパク質、抗体若しくはその抗原結合断片又は融合タンパク質は治療剤のためのアジュバントとして使用される。
【0524】
したがって、本発明は、癌治療におけるアジュバントとして使用するための、単離されたタンパク質(特に、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片)又は本明細書において上の融合タンパク質(好ましくは、組成物、医薬組成物又は医薬品における)に関する。したがって、本発明は、感染症のための療法におけるアジュバントとして使用するための、単離されたタンパク質(特に、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片)又は本明細書において上の融合タンパク質(好ましくは、組成物、医薬組成物又は医薬品における)に関する。
【0525】
一実施形態では、本発明は、癌治療によって誘導される免疫応答を、それを必要とする患者において増強するための本明細書において上の、単離されたタンパク質(特に、本明細書に記載される抗体又はその抗原結合断片)又は融合タンパク質の使用に関する。
【0526】
一実施形態では、本発明による単離されたタンパク質(特に本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片)又は融合タンパク質は、特に多種多様な癌(例えば、免疫抑制及び/又は免疫疲弊に関連する癌)を治療するための免疫療法剤として使用され得る。
【0527】
一実施形態では、本発明による単離されたタンパク質(特に本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片)又は融合タンパク質は、患者の癌療法によって誘導される免疫応答を増強するのに有効な量で当該タンパク質(例えば、抗体又はその断片)又は当該融合タンパク質を対象に投与することを含む、当該患者の癌療法によって誘導される免疫応答を増強し得る。
【0528】
本明細書で使用される場合、「アジュバント」という用語は、例えば癌治療等の治療において増強する化合物又は化合物の組合わせを指す。アジュバントは、低免疫原性又は非免疫原性腫瘍細胞に対する有効な免疫応答を増加させ得る。一実施形態では、アジュバントは、癌の治療において周知の癌治療剤と共に使用され、したがって癌細胞に対する免疫応答を増強する。例えば、アジュバントは、癌治療中の免疫応答を増強し、T細胞疲弊を減少させ(T細胞活性化を低下させずに)、T細胞の生存を増加させ、NK細胞の細胞傷害性を増強し、腫瘍成長及び/又は腫瘍サイズを減少させ、及び/又は生存を増加させ、癌転移を治療又は予防することができる。一実施形態では、アジュバントの存在下での癌療法の増強は、単独で投与される癌療法との比較によって定義される。
【0529】
別の実施形態では、本明細書において上の単離されたタンパク質(特に、本明細書に記載される抗体又はその抗原結合断片)又は融合タンパク質は、対象の免疫応答を増加又は改善することができる。
【0530】
本明細書で使用される場合、「免疫応答」は、刺激に対する、B細胞、T細胞(CD4又はCD8)、制御性T細胞、抗原提示細胞、樹状細胞、単球、マクロファージ、NKT細胞、NK細胞、好塩基球、好酸球、又は好中球等の免疫系の細胞による応答を指す。態様のいずれかのいくつかの実施形態では、応答は特定の抗原に特異的であり(「抗原特異的応答」)、抗原特異的受容体を介したCD4T細胞、CD8T細胞、又はB細胞による応答を指す。態様のいずれかのいくつかの実施形態では、免疫応答は、CD4応答又はCD8応答等のT細胞応答である。これらの細胞によるそのような応答は、例えば、細胞傷害性、増殖、サイトカイン又はケモカイン産生、輸送又は食作用を含み得、応答を受ける免疫細胞の性質に依存し得る。
【0531】
他の公知の免疫療法剤と同様に、単離されたタンパク質(特に、本明細書中に記載されるような抗体又はその抗原結合断片)又は本明細書において上で記載されるような融合タンパク質が患者において免疫応答を増強する能力は、癌の分野以外でより広い治療的意義を有し得る。例えば、免疫増強剤は、多種多様な感染症、特に免疫抑制及び/又は免疫疲弊を促進する病原体の治療に有用であり得ることが提案されている。また、そのような免疫増強剤は、ワクチンの免疫効力を増強するのに有用であり得る(例えば、感染症及び癌ワクチン)。
【0532】
本発明の別の目的は、治療有効量の本発明の単離されたタンパク質(特に、本明細書中に記載されるような抗体又はその抗原結合断片)、融合タンパク質、核酸又はベクターが対象に投与されることになる、本明細書で上に記載される本発明による単離されたタンパク質(特に、本明細書中に記載されるような抗体又はその抗原結合断片)又は融合タンパク質又は核酸又はベクター(好ましくは本明細書において上で記載されるような組成物、医薬組成物又は医薬品における)の、それを必要とする対象においてCD25発現Treg細胞を枯渇させるための使用に関する。
【0533】
したがって、本発明は更に、CD25発現Treg細胞を、それを必要とする対象において枯渇させるための方法に関し、本明細書中に記載される単離されたタンパク質(特に、本明細書中に記載されるような抗体又はその抗原結合断片)、融合タンパク質、核酸、ベクター、組成物、医薬組成物、又は医薬品を対象に投与することを含む。
【0534】
一実施形態では、上記の単離されたタンパク質(特に、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片)、融合タンパク質、核酸又はベクター(好ましくは本明細書において上で記載されるような組成物、医薬組成物又は医薬品における)は、CD25発現Treg細胞を枯渇させるために使用するためのものである。
【0535】
一実施形態では、CD25発現Treg細胞は腫瘍浸潤Tregである。
【0536】
一実施形態では、CD25発現Treg細胞を枯渇させるために使用するための本明細書において上で記載されるような抗体又はその抗原結合断片は、IgG、好ましくはIgG1である。
【0537】
一実施形態では、CD25発現Treg細胞を枯渇させるために使用するための上記の抗体又はその抗原結合断片は、好ましくはFcγRI、FcγRIIa、FcγRIIIから選択される少なくとも1つの活性化Fcγ受容体に高親和性で結合する。
【0538】
一実施形態では、CD25発現Treg細胞を枯渇させるために使用するための本明細書において上の抗体又はその抗原結合断片は、増強されたADCC、ADCP及び/又はCDC応答、好ましくは増大したADCC及び/又はADCP応答、より好ましくは増大したADCC応答を誘発する。
【0539】
一実施形態では、CD25を発現するTreg細胞を枯渇させるために使用するための本明細書において上で記載されるような抗体又はその抗原結合断片は、CD25を介したIL-2シグナル伝達を阻害しない。したがって、一実施形態では、CD25発現Treg細胞を枯渇させるために使用するための本明細書において上で記載されるような抗体又はその抗原結合断片は、CD4及びCD8T細胞(又はエフェクターT細胞)の増殖及び/又は活性化を阻害しない。別の実施形態では、CD25発現Treg細胞を枯渇させるために使用するための本明細書において上で記載されるような抗体又はその抗原結合断片は、CD4及びCD8T細胞(又はエフェクターT細胞)におけるSTAT5aのリン酸化を阻害しない。
【0540】
本発明は更に、T細胞においてIL-2シグナル伝達を阻害することなくCD25陽性細胞の特異的溶解を誘導する方法に関し、治療有効量の本明細書に開示される単離されたタンパク質(特に本明細書に記載される抗体又はその抗原結合断片)、融合タンパク質、核酸、ベクター、組成物、医薬組成物、又は医薬品を対象に投与することを含む。
【0541】
本発明は更に、T細胞においてIL-2シグナル伝達を阻害することなくADCC及び/又はADCPによるCD25陽性細胞の特異的溶解を誘導する方法に関し、治療有効量の本明細書に開示される単離されたタンパク質(特に本明細書に記載される抗体又はその抗原結合断片)、融合タンパク質、核酸、ベクター、組成物、医薬組成物、又は医薬品を対象に投与することを含む。
【0542】
いくつかの実施形態では、対象は免疫療法を受けているか、又は受けたことがある。
【0543】
本発明は更に、免疫療法を対象に投与する工程を含む方法に関し、対象は治療有効量の本明細書に開示される単離されたタンパク質(特に本明細書に記載される抗体又はその抗原結合断片)、融合タンパク質、核酸、ベクター、組成物、医薬組成物、又は医薬品を受けたことがある、又は受けている。
【0544】
いくつかの実施形態では、治療有効量は、T細胞においてIL-2シグナル伝達を阻害することなくCD25陽性細胞の特異的溶解を誘導するのに有効な量である。
【0545】
いくつかの実施形態では、治療有効量は、T細胞においてIL-2シグナル伝達を阻害することなくADCC及び/又はADCPによりCD25陽性細胞の特異的溶解を誘導するのに有効な量である。
【0546】
本発明は更に、本明細書において上で開示されるような疾患、障害又は症状(例えば、癌又は感染性疾患)を治療するために、それを必要とする対象における、医薬品の製造での、本明細書中に開示される単離されたタンパク質(特に、本明細書中に記載されるような抗体又はその抗原結合断片)、融合タンパク質、核酸、ベクターの使用に関する。
【0547】
先行技術の抗CD25抗体と比較して、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、以下の利点のうちの少なくとも1つを提示し得る。
-いくつかの実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、先行技術のCD25抗体と比較して、CD25に対する増加した親和性を示す。
-いくつかの実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、先行技術のCD25抗体と比較して、CD25に対する増加した結合活性を示す。
-いくつかの実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、先行技術のCD25抗体と比較して、培養中のT細胞のIL-2依存性活性化の増加、好ましくは培養中のT細胞の増殖の増加を誘導する。
-いくつかの実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、先行技術のCD25抗体と比較して、培養中のIL-2誘導T細胞増殖のより低い阻害を誘導する。
-いくつかの実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、先行技術のCD25抗体と比較して、CD25発現細胞、好ましくはCD25発現T細胞、より好ましくはCD25発現Treg細胞に対して増加したADCC活性を示す。
-いくつかの実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、先行技術のCD25抗体と比較して、CD25発現細胞、好ましくはCD25発現T細胞、より好ましくはCD25発現Treg細胞に対して増加したADCP活性を示す。
-いくつかの実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、先行技術のCD25抗体と比較してより高い効率で、CD25発現細胞、好ましくはCD25発現T細胞、より好ましくはCD25発現Treg細胞の枯渇(好ましくはインビボ枯渇)を誘導する。
-いくつかの実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、先行技術のCD25抗体と比較してより低い免疫原性を示す。
-いくつかの実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、先行技術のCD25抗体と比較してより高い安定性を示す。
【実施例
【0548】
本発明を以下の実施例によって更に説明する。
【0549】
材料及び方法
CD25特異的mAbの結合
CD25陽性SU-DHL1細胞株を、標識されたヒトIgG1対照、抗CD25抗体(MAB02、MAB09、MAB10、MAB17、MAB18)又はバシリキシマブのいずれかと、10μg/mlにおいて4℃で30分間インキュベーションした。細胞をPBSで洗浄し、APC標識ヤギ抗ヒトIgGと共に4℃で30分間インキュベートした。次いで、細胞を再度洗浄した後、フローサイトメトリ分析を行った(CytoFlex Beckman Coulter)。
【0550】
抗体依存性細胞傷害(ADCC)によるCD25陽性細胞特異的溶解
抗CD25誘導抗体依存性細胞傷害(ADCC)を、精製NK細胞及びカルセイン-AM標識SU-DHL1(標的細胞)をヒトIgG1対照又は様々な濃度(10-7、10-6、10-5、10-4、10-3、10-2、10-1、1又は10μg/mL)の抗CD25抗体(MAB02、MAB09、MAB10、MAB17、MAB18)又はバシリキシマブと16時間共培養することによって得た。細胞特異的溶解を比色法によって得、培養培地中のLDH放出を定量した。あるいは、細胞死を、生存色素染色(7AAD)を用いたフローサイトメトリによって評価した。CFSE+7AAD+細胞のパーセンテージは、標的細胞アポトーシスに対応する。
【0551】
抗体依存性細胞食作用(ADCP)によるCD25陽性細胞特異的溶解
抗CD25誘導ADCPを、THP-1細胞(エフェクター細胞として)及びCFSE染色SUDHL-1細胞(標的細胞)と、ヒトIgG1対照又は抗CD25抗体(MAB02、MAB09、MAB10、MAB17、MAB18)又はバシリキシマブのいずれかとを37℃で2時間30分にわたって10μg/mlで共培養することによって得た。この時点で、細胞を回収し、洗浄し、抗CD33APC抗体を共培養物に添加する。フローサイトメトリ分析の前に細胞を洗浄する。CD33+THP1細胞中のCD33+CFSE+のパーセンテージは、誘導された食作用のレベルに対応する。
【0552】
IL-2結合アッセイ
SU-DHL1細胞を、ヒトIgG1対照アイソタイプ、抗CD25抗体(MAB02、MAB09、MAB10、MAB17、MAB18)又はバシリキシマブと共に1μg/mlで室温で1時間プレインキュベートした。次いで、細胞をビオチン化コンジュゲートIL-2(125ng/ml)及びAPC結合ストレプトアビジンと共に室温で30分間連続してインキュベートした。手順の各工程の間にPBS洗浄を行った。細胞をCytoflex(Beckman Coulter)でフローサイトメトリによって分析し、データをFlowJoソフトウェアで分析した。データを、ゲートされた生存SU-DHL1細胞上のAPCの平均蛍光強度の平均±SEMとして表す。
【0553】
IL-2誘導T細胞増殖への影響
新たに単離した末梢単核細胞(PBMC)を、5μg/mlのPHAを添加したRPMI培地(10%FCS、2%グルタミン、1%抗生物質)中で72時間培養した。PBMCをCFSEで染色し、24時間飢餓状態にし、次いで、活性化T細胞を磁気細胞選別によって単離した。T細胞を、50UI/mlのIL-2及び1μg/mlの抗CD25抗体(MAB02、MAB09、MAB10、MAB17、MAB18)、バシリキシマブ、7G7B6又はMA-251と共に72時間培養した。細胞分裂の後、フローサイトメトリを行った。
【0554】
Treg細胞の枯渇
PBMC(2×10個/ml)を、ヒトIgG1対照アイソタイプ、本発明の抗CD25抗体(MAB02、MAB09、MAB10、MAB17、MAB18)又はバシリキシマブ(10μg/ml)+抗CD3/抗CD28結合ビーズ(Dako)とインキュベートした。6日間のインキュベーション後、抗CD8-FITC、-CD4-PE、CD39-PerCP-Cy5.5、-CD127-PE-Cy7、-CD3-APC及びCD45-Pacific Blue抗体の混合物を使用して標識を行った。細胞をCytoflex(Beckman Coulter)でフローサイトメトリによって分析し、データをFlowJoソフトウェアで分析した。TregをCD3CD4CD39CD127low/-細胞集団として同定した。CD4+Tエフェクター細胞は、CD3CD4(-)CD3CD4CD39CD127low/-細胞集団として同定した。CD8+Tエフェクター細胞をCD3CD8細胞集団として同定した。結果を、CD45+リンパ球集団内のTreg、CD4+Tエフェクター細胞又はCD8+Tエフェクター細胞の平均%±SEMとして表す。
【0555】
結果
図1に示されるように、本発明の抗CD25抗体(MAB02、MAB09、MAB10、MAB17、MAB18)は、CD25結合アッセイにおいてSU-DHL1細胞上のCD25に結合することができる。測定された結合は、バシリキシマブについて測定された結合と同等であった。
【0556】
更に、図2は、本発明の抗CD25抗体が、ADCCによるCD25陽性細胞の効率的な特異的溶解を誘導することを実証している(図2A、2B)。興味深いことに、これらの結果は、本発明の抗CD25抗体が、10-1及び1μg/mLを超える濃度でバシリキシマブよりも細胞溶解を誘導するのにより効率的であることを示している(図2A~2B)。更に、本発明の抗CD25抗体はまた、図3に示されるように、ADCPによる細胞溶解を誘導する。
【0557】
次に、本発明の抗CD25抗体がIL-2シグナル伝達に影響を及ぼす能力を評価した。
【0558】
最初に、IL-2結合を遮断する本発明の抗CD25抗体の能力を、IL-2結合アッセイを用いて評価した。図4に示されるように、バシリキシマブとは対照的に、本発明の抗CD25抗体は、1μg/mLで使用した場合、SU-DHL1細胞に対するIL-2結合に対する影響が限られている。
【0559】
IL-2誘導エフェクターT細胞増殖に影響を及ぼす本発明の抗CD25抗体の能力を測定した。図5は、本発明の抗CD25抗体がIL-2誘導エフェクターT細胞増殖に有意な影響を及ぼさないが、バシリキシマブ、7G7B6及びMA-251は全てエフェクターT細胞増殖を少なくとも約50%まで減少させることを実証する。
【0560】
次いで、本発明の抗CD25抗体が抗CD3+抗CD28活性化ヒト末梢単核細胞からのTreg細胞のインビトロ枯渇を誘導する能力を測定し、対照抗体(huIgG1)又はバシリキシマブのものと比較した。図6A及び図6Bに示されるように、本発明の抗CD25抗体はTreg細胞を少なくとも40%枯渇させる。本発明のいくつかの抗CD25抗体は、Treg細胞の枯渇に対してバシリキシマブよりも更に効率的である。重要なことに、CD4+エフェクターT細胞についてもCD8+エフェクターT細胞についても細胞枯渇が観察されなかったので、この効果はTreg細胞に特異的である(図7A図7B)。
【0561】
まとめると、これらの結果は、本発明の抗CD25抗体が、IL-2活性に対する影響が7G7B6及びMA-251よりも有意に小さく、Treg細胞を効率的かつ特異的に枯渇させることができる非ブロッキング抗体であることを実証している。
【0562】
したがって、これらの結果は、癌を治療するための本発明の抗体の治療的可能性を明らかにする。

図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
【配列表】
2024504547000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-01-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2024504547000001.app
【国際調査報告】