(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】エアロゾル生成デバイスのための誘導加熱アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20240125BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20240125BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240125BHJP
A24F 40/51 20200101ALI20240125BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/40
A24F40/20
A24F40/51
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535945
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(85)【翻訳文提出日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2022051715
(87)【国際公開番号】W WO2022167280
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴォーマン, ポール
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AC12
4B162AC22
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4B162AC50
4B162AD06
4B162AD12
4B162AD13
4B162AD23
(57)【要約】
エアロゾル生成デバイス(10)のための誘導加熱アセンブリ(11)は、電磁場を生成するための誘導コイル(48)と、同じサセプタ材料を含む第1の部分(54)及び第2の部分(56)を有する誘導加熱可能サセプタ(42)とを含む。第1の部分(54)は、それが電磁場によって誘導加熱されるように誘導コイル(48)に対して配置され、及び第2の部分(56)は、それが電磁場によって誘導加熱されないように誘導コイル(48)に対して配置される。誘導加熱アセンブリ(11)は、誘導加熱可能サセプタ(42)の第2の部分(56)と接触する温度センサ(60)を更に含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成デバイス(10)のための誘導加熱アセンブリ(11)であって、
電磁場を生成するための誘導コイル(48)と、
誘導加熱可能サセプタ(42)であって、第1の部分(54)であって、それが前記電磁場によって誘導加熱されるように前記誘導コイル(48)に対して配置された第1の部分(54)と、第2の部分(56)であって、それが前記電磁場によって誘導加熱されないように前記誘導コイル(48)に対して配置された第2の部分(56)とを有し、前記第1の部分(54)及び前記第2の部分(56)は、同じサセプタ材料を含む、誘導加熱可能サセプタ(42)と、
前記誘導加熱可能サセプタ(42)の前記第2の部分(56)と接触する温度センサ(60)と
を含む誘導加熱アセンブリ(11)。
【請求項2】
前記誘導加熱可能サセプタ(42)の前記第1の部分(54)は、前記誘導コイル(48)によって取り囲まれ、及び前記誘導加熱可能サセプタ(42)の前記第2の部分(56)は、前記誘導コイル(48)の外部に配置される、請求項1に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項3】
エアロゾル生成基材(102)の少なくとも一部分を受け入れるための加熱チャンバ(18)を含み、及び前記誘導コイル(48)は、前記加熱チャンバ(18)の周りに延びる、請求項1又は2に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項4】
前記誘導加熱可能サセプタ(42)の前記第1の部分(54)は、前記加熱チャンバ(18)の内部に配置され、及び前記誘導加熱可能サセプタ(42)の前記第2の部分(56)は、前記加熱チャンバ(18)の外部に配置される、請求項3に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項5】
前記加熱チャンバ(18)は、長手方向を画定する長手方向軸を有し、前記誘導加熱可能サセプタ(42)は、前記加熱チャンバ(18)の前記長手方向に細長く、及び前記誘導加熱可能サセプタ(42)の前記第2の部分(56)は、前記加熱チャンバ(18)の端部から突出する、請求項4に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項6】
前記加熱チャンバ(18)は、前記加熱チャンバ(18)の内部容積(20)を画定するチャンバ壁(30)を含み、複数の前記誘導加熱可能サセプタ(42)は、前記チャンバ壁(30)の内側表面(36)の周りで離間され、及び前記誘導加熱アセンブリ(11)は、複数の温度センサ(60)を含み、前記複数の温度センサ(60)は、各誘導加熱可能サセプタ(42)の前記第2の部分(56)が、対応する温度センサ(60)によって接触されるように配置される、請求項3から5のいずれか一項に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項7】
前記チャンバ壁(30)は、前記複数の誘導加熱可能サセプタ(42)を取り付けるために前記内側表面(36)内又は上に形成された複数のサセプタマウント(40)を含む、請求項6に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項8】
前記チャンバ壁(30)は、前記誘導コイル(48)を支持するために外側表面(38)内又は上に形成されたコイル支持構造(50)を含む、請求項6又は7に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項9】
前記コイル支持構造(50)は、コイル支持溝(52)を含み、好ましくは、前記コイル支持溝(52)は、前記チャンバ壁(30)の前記外側表面(38)の周りにらせん状に延びる、請求項8に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項10】
前記加熱チャンバ(18)は、実質的に管状であり、及び前記誘導加熱可能サセプタ(42)は、前記実質的に管状の加熱チャンバ(18)の周縁(44)の周りで離間され、好ましくは、前記加熱チャンバ(18)は、実質的に円筒形であり、及び前記誘導加熱可能サセプタ(42)は、前記実質的に円筒形の加熱チャンバ(18)の周りで円周方向に離間される、請求項6から9のいずれか一項に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項11】
前記加熱チャンバ(18)は、実質的に非導電性かつ非透磁性の材料を含む、請求項3から10のいずれか一項に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項12】
前記加熱チャンバ(18)は、耐熱性プラスチック材料、好ましくはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含む、請求項11に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項13】
前記温度センサ(60)は、熱電対及びサーミスタからなる群から選択される、請求項1から12のいずれか一項に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項14】
エアロゾル生成デバイス(10)であって、
請求項1から13のいずれか一項に記載の誘導加熱アセンブリ(11)と、
前記誘導コイル(48)に電力を提供するように配置された電源(22)と
を含むエアロゾル生成デバイス(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、エアロゾル生成デバイスのための誘導加熱アセンブリに関し、より詳細には、エアロゾル生成デバイスのユーザが吸入するためのエアロゾルを生成するようにエアロゾル生成基材を加熱するための誘導加熱アセンブリに関する。本開示の実施形態は、誘導加熱アセンブリを含むエアロゾル生成デバイスにも関する。本開示は、特に携帯型(手持ち式)エアロゾル生成デバイスに適用可能である。そのようなデバイスは、エアロゾル生成基材、例えばタバコ又は他の好適な材料を、燃焼させるのではなく、伝導、対流及び/又は放射によって加熱して、ユーザが吸入するためのエアロゾルを生成する。
【背景技術】
【0002】
近年、(エアロゾル生成デバイス又は蒸気生成デバイスとしても知られる)リスク低減デバイス又はリスク修正デバイスの人気及び使用は、従来のタバコ製品の使用に代わるものとして急速に成長している。エアロゾル生成物質を加熱又は加温して、ユーザが吸入するためのエアロゾルを生成する様々なデバイス及びシステムが入手可能である。
【0003】
一般に入手可能なリスク低減デバイス又はリスク修正デバイスは、基材加熱式エアロゾル生成デバイス又はいわゆる加熱非燃焼式デバイスである。このタイプのデバイスは、エアロゾル生成基材を典型的には150℃~300℃の範囲の温度に加熱することによってエアロゾル又は蒸気を生成する。エアロゾル生成基材を燃やすか又は燃焼させることなく、エアロゾル生成基材をこの範囲内の温度に加熱すると、蒸気が生成され、蒸気は、通常、冷却及び凝縮して、デバイスのユーザが吸入するためのエアロゾルを形成する。
【0004】
現在入手可能なエアロゾル生成デバイスは、多数の異なる手法の1つを使用して、エアロゾル生成基材に熱を供給することができる。そのような手法の1つは、誘導加熱システムを採用するエアロゾル生成デバイスを提供することである。そのようなデバイスでは、誘導コイルがデバイス内に設けられ、誘導加熱可能サセプタがエアロゾル生成基材を加熱するために設けられる。ユーザがデバイスを作動させると、電気エネルギーが誘導コイルに供給され、次いでこれにより交流電磁場が発生する。サセプタがこの電磁場と結合して熱を発生させ、この熱は、例えば、伝導によりエアロゾル生成基材に伝達され、エアロゾル生成基材が加熱されるにつれてエアロゾルが発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、エアロゾル生成基材を、蒸気を生成するのに十分な高さの温度まで急速に加熱し、その温度にエアロゾル生成基材を維持することが望ましい。適切な特性を有するエアロゾルを生成するために、エアロゾル生成基材の温度を慎重に制御する必要があり、従って加熱温度を正確に制御できることが望ましい。本開示は、この必要性に対処しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様によれば、エアロゾル生成デバイスのための誘導加熱アセンブリが提供され、この誘導加熱アセンブリは、
電磁場を生成するための誘導コイルと、
誘導加熱可能サセプタであって、第1の部分であって、それが電磁場によって誘導加熱されるように誘導コイルに対して配置された第1の部分と、第2の部分であって、それが電磁場によって誘導加熱されないように誘導コイルに対して配置された第2の部分とを有し、第1の部分及び第2の部分は、同じサセプタ材料を含む、誘導加熱可能サセプタと、
誘導加熱可能サセプタの第2の部分と接触する温度センサと
を含む。
【0007】
本開示の第2の態様によれば、エアロゾル生成デバイスが提供され、このエアロゾル生成デバイスは、
第1の態様による誘導加熱アセンブリと、
誘導コイルに電力を提供するように配置された電源と
を含む。
【0008】
誘導加熱アセンブリは、エアロゾル生成基材を燃やすことなく加熱して、エアロゾル生成基材の少なくとも1つの成分を蒸発させ、それにより加熱蒸気を生成し、蒸気が冷却されて凝縮し、エアロゾル生成デバイスのユーザが吸入するためのエアロゾルを形成するように構成される。エアロゾル生成デバイスは、典型的には、手持ち式の携帯型デバイスである。
【0009】
一般論として、蒸気とは、臨界温度よりも低い温度で気相である物質であり、これは、温度を低下させずに圧力を高めることにより蒸気を液体に凝縮させることができることを意味する一方、エアロゾルとは、空気又は別のガス中に微細な固体粒子又は液滴が浮遊しているものである。しかしながら、本明細書では、「エアロゾル」及び「蒸気」という用語は、特にユーザによる吸入のために生成される吸入可能媒体の形態に関して交換可能に使用され得ることに留意すべきである。
【0010】
熱は、誘導加熱可能サセプタの第1の部分から誘導加熱可能サセプタの第2の部分に伝導され、従って、誘導加熱可能サセプタの第1の部分の温度は、誘導加熱可能サセプタの第2の部分と接触する温度センサによって測定することができる。誘導加熱可能サセプタの第2の部分は、電磁場の外部に配置されるため、温度センサも電磁場の外部に配置される。従って、温度センサの誘導加熱は、実質的に又は完全に回避され、それにより誘導加熱可能サセプタの温度の正確な測定値が確実に得られる。
【0011】
誘導加熱可能サセプタの第1の部分は、誘導コイルによって取り囲まれ得、及び誘導加熱可能サセプタの第2の部分は、誘導コイルの外部に配置され得る。誘導加熱可能サセプタの第1の部分は、誘導コイルによって生成される電磁場内に配置され得、及び誘導加熱可能サセプタの第2の部分及び温度センサは、実質的に電磁場の外部に配置され得る。この構成により、温度センサの誘導加熱が実質的に又は完全に回避されることが確実になり、それにより誘導加熱可能サセプタの温度の正確な測定値が確実に得られる。
【0012】
誘導加熱アセンブリは、エアロゾル生成基材の少なくとも一部分を受け入れるための加熱チャンバを含み得、及び誘導コイルは、加熱チャンバの周りに延び得る。誘導加熱可能サセプタの第1の部分は、加熱チャンバの内部に配置され得、及び誘導加熱可能サセプタの第2の部分は、加熱チャンバの外部に配置され得る。誘導加熱可能サセプタの第2の部分を加熱チャンバの外部に配置することにより、温度センサを第2の部分と接触させて容易に配置することができ、従って誘導加熱アセンブリの製造しやすさ及び/又は組み立てが向上する。
【0013】
加熱チャンバは、加熱チャンバの内部容積を画定するチャンバ壁を含み得る。
【0014】
加熱チャンバは、長手方向を画定する長手方向軸を有し得る。誘導加熱可能サセプタは、加熱チャンバの長手方向に細長くてもよい。誘導加熱可能サセプタは、チャンバ壁の内側表面に取り付けられ得る。細長い誘導加熱可能サセプタは、電磁場の存在下で効率的に加熱され、及びその細長い形状により、エアロゾル生成基材が長さ方向に沿って迅速に均一に加熱されることが確実になる。それにより、エアロゾル生成デバイスのエネルギー効率が最大化される。誘導加熱可能サセプタの第2の部分は、加熱チャンバの端部から突出し、且つチャンバ壁を通して突出し得る。温度センサは、誘導加熱可能サセプタの第2の部分と接触して容易に配置され得る。
【0015】
複数の前記誘導加熱可能サセプタは、チャンバ壁の内側表面の周りで離間され得る。複数の誘導加熱可能サセプタを設けることにより、エアロゾル生成基材のより迅速で均一な加熱が達成され得る。誘導加熱アセンブリは、複数の温度センサを含み得、これらの複数の温度センサは、各誘導加熱可能サセプタの第2の部分が、対応する温度センサによって接触されるように配置され得る。複数の温度センサであって、その1つは、対応する誘導加熱可能サセプタの第2の部分と接触する、複数の温度センサを使用すると、例えば、複数の温度測定値の平均に基づいて加熱チャンバの内側の温度をより正確に信頼性高く求めることができる。
【0016】
チャンバ壁は、複数の誘導加熱可能サセプタを取り付けるために内側表面内又は上に形成された複数のサセプタマウントを含み得る。サセプタマウントは、誘導加熱可能サセプタの取り付けを容易にし、従って誘導加熱アセンブリの製造及び組み立てを単純化することができる。
【0017】
チャンバ壁は、電磁場生成器の誘導加熱コイルを支持するために外側表面内又は上に形成され得るコイル支持構造を含み得る。コイル支持構造は、誘導加熱コイルの取り付けを容易にし、誘導加熱コイルを誘導加熱可能サセプタに対して最適に配置することを可能にする。従って、誘導加熱可能サセプタは、効率的に加熱され、それにより誘導加熱アセンブリ及びエアロゾル生成デバイスのエネルギー効率が向上する。コイル支持構造を設けると、誘導加熱アセンブリの製造及び組み立ても容易になる。
【0018】
コイル支持構造は、コイル支持溝を含み得る。コイル支持溝は、チャンバ壁の外側表面の周りにらせん状に延び得る。コイル支持溝は、特にらせん状の誘導加熱コイルを受け入れるのに適している。従って、らせん状の誘導加熱コイルが加熱チャンバの周りに延び得る。誘導加熱コイルは、リッツ線又はリッツケーブルを含み得る。しかしながら、他の材料も使用できることが理解されるであろう。らせん状の誘導加熱コイルの円形断面により、エアロゾル生成基材を加熱チャンバに挿入することが容易になり、誘導加熱可能サセプタ、従ってエアロゾル生成基材の均一な加熱を確実にすることができる。
【0019】
誘導加熱コイルは、使用時、約20mT~最高密度点での約2.0Tの磁束密度を有する変動電磁場を伴って動作するように配置され得る。
【0020】
加熱チャンバは、実質的に管状であり得、及び誘導加熱可能サセプタは、実質的に管状の加熱チャンバの周縁の周りで離間され得る。加熱チャンバは、実質的に円筒形であり得、及び誘導加熱可能サセプタは、実質的に円筒形の加熱チャンバの周りで円周方向に離間され得る。従って、加熱チャンバは、実質的に円筒形のエアロゾル生成基材を受け入れるように構成され得、多くの場合、エアロゾル生成物品の形態のエアロゾル生成基材は、円筒形の形状に包装され、販売されるため、この円筒形のエアロゾル生成基材は、有利であり得る。
【0021】
加熱チャンバは、長手方向を画定する長手方向軸を有し得る。各誘導加熱可能サセプタは、加熱チャンバの長手方向に細長くてもよい。各誘導加熱可能サセプタは、長さ及び幅を有し得、一実施形態では、長さは、幅の少なくとも5倍であり得る。細長い誘導加熱可能サセプタは、電磁場の存在下で効率的に加熱され、及びその細長い形状により、エアロゾル生成基材が長さ方向に沿って迅速に均一に加熱されることが確実になる。それにより、誘導加熱アセンブリ及びエアロゾル生成デバイスのエネルギー効率が最大化される。
【0022】
複数の誘導加熱可能サセプタの少なくとも1つは、例えば、エアロゾル生成基材を圧縮するために、チャンバ壁の内側表面から加熱チャンバ内に延びる少なくとも1つの内側方向伸長部分を有し得る。内側方向伸長部分は、エアロゾル生成基材との摩擦係合を形成し得る。一部の実施形態では、複数の誘導加熱可能サセプタの各々は、前記内側方向伸長部分の1つを有し得、複数の内側方向伸長部分は、エアロゾル生成基材を圧縮し、特にエアロゾル生成基材と摩擦係合を形成し得る。1つ又は複数の内側方向伸長部分は、加熱チャンバの断面積を低減し、それにより使用時に加熱チャンバ内に配置されたエアロゾル生成基材を圧縮する。エアロゾル生成基材を圧縮することにより、熱をエアロゾル生成基材により効率的に伝達することができ、より迅速な加熱を達成することができるのと同時にエネルギー効率を最大化することができる。
【0023】
加熱チャンバは、実質的に非導電性且つ非透磁性の材料を含み得る。例えば、加熱チャンバは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの耐熱性プラスチック材料を含み得る。加熱チャンバ自体は、エアロゾル生成デバイスの動作中に誘導コイルによって生成される電磁場によって加熱されず、これにより誘導加熱可能サセプタの第1の部分に投入されるエネルギーが確実に最大化される。次いで、これは、誘導加熱アセンブリ及びエアロゾル生成デバイスのエネルギー効率を確実に最大化するのに役立つ。エアロゾル生成デバイスは、触れても冷たいままでもあり、ユーザの快適さを確実に最大化する。
【0024】
温度センサは、熱電対、サーミスタ及び測温抵抗体(RTD)からなる群から選択され得る。しかしながら、他のタイプの温度センサを利用し得る。
【0025】
誘導加熱可能サセプタは、金属を含み得る。金属は、典型的には、ステンレス鋼及び炭素鋼からなる群から選択される。しかしながら、誘導加熱可能サセプタは、アルミニウム、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、炭素鋼及びそれらの合金、例えばニッケルクロム又はニッケル銅の1種以上を含むが、これらに限定はされない任意の好適な材料を含むことができる。サセプタの付近に電磁場を印加すると、渦電流及び磁気ヒステリシス損失により電磁気から熱へのエネルギー変換がもたらされることに起因して、各誘導加熱可能サセプタは、熱を発生させる。
【0026】
エアロゾル生成デバイスは、高周波で動作するように構成され得る電源及びコントローラ(例えば、制御回路を含む)を含み得る。電源及び回路は、約80kHz~1MHz、場合により約150kHz~250kHz、場合により約200kHzの周波数で動作するよう構成され得る。電源及び回路は、使用される誘導加熱可能サセプタの種類に応じて、例えばMHz範囲などのより高い周波数で動作するように構成され得る。
【0027】
エアロゾル生成基材は、任意のタイプの固形又は半固形の物質を含み得る。エアロゾル生成固形物の例示的なタイプとしては、粉末、顆粒、ペレット、シュレッド、ストランド、粒子、ゲル、条片、ルーズリーフ、カットフィラー、多孔質材料、発泡材料又はシートが挙げられる。エアロゾル生成基材は、植物由来の材料を含み得、特にタバコを含み得る。エアロゾル生成基材は、有利には、例えばタバコと、セルロース繊維、タバコ茎繊維及びCaCO3などの無機充填剤の任意の1つ又は複数とを含む再構成タバコを含み得る。
【0028】
従って、エアロゾル生成デバイスは、「加熱式タバコデバイス」、「加熱非燃焼式タバコデバイス」、「タバコ製品気化用デバイス」などと呼ばれ得、これらの効果を実現するのに好適なデバイスとして解釈される。本明細書に開示する特徴は、任意のエアロゾル生成基材を気化させるように設計されたデバイスに等しく適用可能である。
【0029】
エアロゾル生成基材は、エアロゾル生成物品の一部を形成し得、包装紙で包まれ得る。
【0030】
エアロゾル生成物品は、実質的にスティックの形状で形成され得、シガレットに概ね類似し、好適な形態で配置されたエアロゾル生成基材を有する管状領域を有する。エアロゾル生成物品は、エアロゾル生成物品の近位端に、例えばセルロースアセテート繊維を含むフィルタセグメントを含み得る。フィルタセグメントは、マウスピースフィルタを構成し得、エアロゾル生成基材と同軸に整列され得る。一部の設計では、1つ以上の蒸気収集領域、冷却領域及び他の構造物も含まれ得る。例えば、エアロゾル生成物品は、フィルタセグメントの上流に少なくとも1つの管状セグメントを含み得る。管状セグメントは、蒸気冷却領域として機能し得る。蒸気冷却領域は、有利には、エアロゾル生成基材を加熱することによって生成された加熱蒸気が冷却及び凝縮されて、例えばフィルタセグメントを通してユーザが吸入するのに適した特性を有するエアロゾルを形成できるようにし得る。
【0031】
エアロゾル生成基材は、エアロゾル形成剤を含み得る。エアロゾル形成剤の例としては、グリセリン又はプロピレングリコールなどの多価アルコール及びその混合物が挙げられる。典型的には、エアロゾル生成基材は、乾燥重量ベースで約5%~約50%のエアロゾル形成剤含有量を含み得る。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成基材は、乾燥重量ベースで約10%~約20%、場合により乾燥重量ベースで約15%のエアロゾル形成剤含有量を含み得る。
【0032】
エアロゾル生成基材は、加熱時に揮発性化合物を放出し得る。揮発性化合物は、ニコチン又はタバコ香味料などの香味化合物を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】エアロゾル生成デバイスと、エアロゾル生成デバイスの加熱チャンバに配置される準備ができたエアロゾル生成物品とを含むエアロゾル生成システムの概略断面図である。
【
図2】エアロゾル生成物品がエアロゾル生成デバイスの加熱チャンバに配置された状態を示す、
図1のエアロゾル生成システムの概略断面図である。
【
図3】
図1及び
図2のエアロゾル生成デバイスの誘導加熱アセンブリの詳細斜視図であり、加熱チャンバの内側表面上に取り付けられた複数の誘導加熱可能サセプタと、コイル支持構造とを示す。
【
図4】
図3に示した誘導加熱アセンブリの概略断面図であり、加熱チャンバの周縁の周りで離間された複数の誘導加熱可能サセプタを示す。
【
図5】
図3に示した誘導加熱アセンブリの上端部の拡大図である。
【
図6】
図3及び
図5に示した誘導加熱アセンブリの上端部の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
ここで、本開示の実施形態について単なる例として添付の図面を参照して説明する。
【0035】
初めに
図1及び
図2を参照すると、エアロゾル生成システム1の例が概略的に示されている。エアロゾル生成システム1は、エアロゾル生成デバイス10と、デバイス10で使用するためのエアロゾル生成物品100とを含む。エアロゾル生成デバイス10は、エアロゾル生成デバイス10の様々な構成要素を収容する本体12を含む。本体12は、本明細書に記載する様々な実施形態において説明される構成要素に適合するように寸法決めされ、且つユーザが自力により片手で快適に保持できるように寸法決めされた任意の形状を有することができる。
【0036】
図1及び
図2の底部側に示すエアロゾル生成デバイス10の第1の端部14は、便宜上、エアロゾル生成デバイス10の遠位側、底部、基部又は下端部として説明される。
図1及び
図2の頂部側に示すエアロゾル生成デバイス10の第2の端部16は、エアロゾル生成デバイス10の近位側、頂部又は上端部として説明される。使用中、ユーザは、典型的には、エアロゾル生成デバイス10を、第1の端部14を下向き及び/又はユーザの口に対して遠位位置に、且つ第2の端部16を上向き及び/又はユーザの口に対して近位位置に向ける。
【0037】
エアロゾル生成デバイス10は、本体12内に配置された誘導加熱アセンブリ11を含む。誘導加熱アセンブリ11は、加熱チャンバ18を含む。加熱チャンバ18は、エアロゾル生成物品100を受け入れるために実質的に円筒形の断面を有する空洞20の形態の内部容積を画定する。加熱チャンバ18は、長手方向を画定する長手方向軸を有し、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの耐熱性プラスチック材料から形成される。エアロゾル生成デバイス10は、電源22、例えば充電式であり得る1つ又は複数のバッテリーと、コントローラ24とを更に含む。
【0038】
加熱チャンバ18は、エアロゾル生成デバイス10の第2の端部16に向けて開放している。換言すると、加熱チャンバ18は、エアロゾル生成デバイス10の第2の端部16に向かって開放した第1の端部26を有する。加熱チャンバ18は、本体12への熱の伝達を最小限にするために、通常、本体12の内側表面から離間されて保持される。
【0039】
エアロゾル生成デバイス10は、スライドカバー28が加熱チャンバ18の開放した第1の端部26を覆って加熱チャンバ18へのアクセスを防止する閉位置(
図1を参照されたい)と、スライドカバー28が加熱チャンバ18の開放した第1の端部26を露出させて加熱チャンバ18へのアクセスを提供する開位置(
図2を参照されたい)との間で短手方向に移動可能なスライドカバー28を任意選択的に含むことができる。一部の実施形態では、スライドカバー28を閉位置に付勢することができる。
【0040】
加熱チャンバ18、具体的には空洞20は、対応する形状の略円筒状又は棒状のエアロゾル生成物品100を受け入れるように配置される。典型的には、エアロゾル生成物品100は、予め包装されたエアロゾル生成基材102を含む。エアロゾル生成物品100は、例えば、エアロゾル生成基材102としてタバコを含み得る使い捨ての交換可能な物品(「消耗品」としても知られる)である。エアロゾル生成物品100は、近位端部104(又は口端部)と遠位端部106とを有する。エアロゾル生成物品100は、エアロゾル生成基材102の下流側に位置決めされたマウスピースセグメント108を更に含む。エアロゾル生成基材102及びマウスピースセグメント108は、ラッパー110(例えば、紙ラッパー)内に同軸整列で配置されて構成要素を所定位置に保持し、棒状のエアロゾル生成物品100を形成する。
【0041】
マウスピースセグメント108は、下流方向に、換言すればエアロゾル生成物品100の遠位端部106から近位(口)端部104に向けて順次且つ同軸整列で配置された以下の構成要素(詳細には図示せず)、即ち冷却セグメント、中心孔セグメント及びフィルタセグメントの1つ又は複数を含み得る。冷却セグメントは、典型的には、ラッパー110の厚さよりも大きい厚さを有する中空紙管を含む。中心孔セグメントは、セルロースアセテート繊維と可塑剤とを含有する硬化された混合物を含み得、マウスピースセグメント108の強度を高めるように機能する。フィルタセグメントは、典型的には、セルロースアセテート繊維を含み、マウスピースフィルタとして機能する。加熱された蒸気がエアロゾル生成基材102からエアロゾル生成物品100の近位(口)端部104に向かって流れると、蒸気は、冷却セグメント及び中心孔セグメントを通過するときに冷却されて凝縮し、ユーザがフィルタセグメントを通して吸入するのに適した特性を有するエアロゾルを形成する。
【0042】
加熱チャンバ18は、基部32(加熱チャンバ18の第2の端部34に位置する)と、開放した第1の端部26との間に延びる側壁(又はチャンバ壁)30を有する。側壁30と基部32とを互いに接続し、単一部品として一体的に形成することができる。図示した実施形態では、側壁30は、管状であり、より具体的には円筒状である。他の実施形態では、側壁30は、楕円形又は多角形断面を有する管などの、他の好適な形状を有し得る。更に別の実施形態では、側壁30は、テーパ状であり得る。
【0043】
例示した実施形態では、加熱チャンバ18の基部32は、閉じられ、例えば密閉されるか又は気密である。即ち、加熱チャンバ18は、カップ状である。これにより、開放した第1の端部26から引き込まれた空気が、第2の端部34から流出することを基部32により防止し、代わりにエアロゾル生成基材102を通して導かれることを確実にすることができる。これにより、ユーザがエアロゾル生成物品100を加熱チャンバ18内に意図した距離まで挿入し、更に挿入しないようにすることもできる。
【0044】
加熱チャンバ18の側壁30は、内側表面36及び外側表面38を有する。複数のサセプタマウント40が内側表面36に形成され、内側表面36の周りで円周方向に離間される。誘導加熱アセンブリ11は、サセプタマウント40に取り付けられた複数の誘導加熱可能サセプタ42を含み、従って、誘導加熱可能サセプタ42は、加熱チャンバ18の周縁44の周りで円周方向に離間される。
【0045】
誘導加熱可能サセプタ42は、加熱チャンバ18の長手方向に細長い。各誘導加熱可能サセプタ42は、長さ及び幅を有し、典型的には、長さは、幅の少なくとも5倍である。各誘導加熱可能サセプタ42は、側壁30から半径方向に加熱チャンバ18内に延びる内側方向伸長部分42aを有する。内側方向伸長部分42aは、
図3~
図5に示すように細長い隆起部を含み得、誘導加熱可能サセプタ42の製造中に容易に形成することができる。内側方向伸長部分42aは、
図3~
図5に示す幾何形状に限定されず、他の幾何形状も完全に本開示の範囲内であることが当業者に理解されるであろう。
【0046】
内側方向伸長部分42aは、
図4に示すように、エアロゾル生成基材102に向かって延び、それと接触する。内側方向伸長部分42aは、加熱チャンバ18の有効断面積を低減するのに十分な程度だけ加熱チャンバ18内に半径方向内側に延びる。従って、内側方向伸長部分42aは、エアロゾル生成基材102、より具体的にはエアロゾル生成物品100のラッパー110と摩擦係合を形成し、
図2に最もよく見られるように、エアロゾル生成基材102の圧縮を引き起こし得る。エアロゾル生成基材102の圧縮により、例えば空隙を除去することにより、エアロゾル生成基材102を通る熱伝導が改善され、各内側方向伸長部分42aは、加熱チャンバ18の差し渡しの距離の3%~7%、例えば約5%の距離だけ加熱チャンバ18にわたって内側に延び得る。
【0047】
誘導加熱アセンブリ11は、電磁場を発生させるための電磁場発生器46を含む。電磁場発生器46は、略らせん状の誘導コイル48を含む。誘導コイル48は、円形断面を有し、実質的に円筒形の加熱チャンバ18の周りにらせん状に延びる。誘導コイル48は、電源22及びコントローラ24により励磁させることができる。コントローラ24は、電子部品の中でもとりわけ、電源22からの直流電流を誘導コイル48のための交流高周波電流に変換するように配置されたインバータを含む。
【0048】
加熱チャンバ18の側壁30は、外側表面38に形成されたコイル支持構造50を含む。例示した例では、コイル支持構造50は、外側表面38の周りにらせん状に延びるコイル支持溝52を含む。誘導コイル48は、コイル支持溝52内に配置され、従って誘導加熱可能サセプタ42に対して確実且つ最適に配置される。
【0049】
各誘導加熱可能サセプタ42は、誘導コイル48によって囲まれた(即ち誘導コイル48の断面の包絡面内に配置された)第1の部分54と、誘導コイル48の断面の包絡面の外部に配置された第2の部分56とを有する。その結果として、エアロゾル生成デバイス10の動作中、各誘導加熱可能サセプタ42の第1の部分54は、誘導コイル48によって生成された電磁場内に位置するため、電磁場によって誘導加熱される一方、各誘導加熱可能サセプタ42の第2の部分56は、誘導コイル48によって生成された電磁場の外部に位置するため、電磁場によって誘導加熱されない。
【0050】
各誘導加熱可能サセプタ42は、第1の部分54及び第2の部分56が同じサセプタ材料を含む連続的な部品である。従って、各誘導加熱可能サセプタ42の第1の部分がエアロゾル生成デバイス10の使用中に誘導加熱されると、熱は、第1の部分54から第2の部分56に伝導し、各誘導加熱可能サセプタ42の第2の部分56の温度は、第1の部分54の温度と一致する。
【0051】
加熱チャンバ18の側壁30は、少なくとも1つの切欠き部58を含み、この切欠き部58は、複数の誘導加熱可能サセプタ42の少なくとも1つのサセプタの第2の部分56の位置に対応する。切欠き部58は、側壁30を完全に貫通して延びて、誘導加熱可能サセプタ42の第2の部分56の少なくとも一部を露出させ、その結果、その部分に側壁30の外側表面38からアクセスできるようになる。
【0052】
誘導加熱アセンブリ11は、温度センサ60を更に含み、この温度センサは、例えば、熱電対、サーミスタ、測温抵抗体(RTD)又は任意の他の好適な温度センサであり得る。温度センサ60は、誘導加熱可能サセプタ42の第2の部分56と直接的に接触した状態で切欠き部58内に配置される。従って、第2の部分56の温度を温度センサ60によって直接的に測定することができ、サセプタ42の第2の部分56の温度は、第1の部分54の温度と同じであるため、第1の部分54の温度を正確に測定することができる。有利には、誘導加熱可能サセプタ42の第2の部分56は誘導コイル48の外部、従って生成される電磁場の外部に位置するため、温度センサ60も、誘導コイル48の外部、従って生成される電磁場の外部に位置する。従って、温度センサ60及びその構成部品の誘導加熱が回避され、正確な温度測定値を確実に得ることができる。温度センサ60は、図面に図示されない1つ又は複数のコネクタにより、コントローラ24に動作可能に結合される。
【0053】
エアロゾル生成デバイス10を使用するために、ユーザは、スライドカバー28(存在する場合)を、
図1に示す閉位置から、
図2に示す開位置まで移動させる。次いで、ユーザは、開放した第1の端部26を通してエアロゾル生成物品100を加熱チャンバ18内に挿入し、その結果、エアロゾル生成基材102が空洞20内に受け入れられると共に、マウスピースセグメント108の少なくとも一部が、開放した第1の端部26から突出してユーザの唇による係合を可能にする状態で、エアロゾル生成物品100の近位端部104が加熱チャンバ18の開放した第1の端部26に位置決めされる。
【0054】
ユーザがエアロゾル生成デバイス10を作動させると、誘導コイル48は、誘導コイル48に交流電流を供給する電源22及びコントローラ24によって励磁され、それにより時間変動する交流電磁場が誘導コイル48によって生成される。この電磁場は、誘導加熱可能サセプタ42の第1の部分54と結合し、サセプタ42の第1の部分54に渦電流及び/又は磁気ヒステリシス損失を発生させ、サセプタを加熱する。上述のように、サセプタ42の第1の部分54に生じた熱は、サセプタ42の第2の部分56に伝導される。熱は、誘導加熱可能サセプタ42、主に誘導加熱可能サセプタ42の第1の部分54からエアロゾル生成基材102にも例えば伝導、放射及び対流により伝達される。これにより、エアロゾル生成基材102が燃焼することなく加熱され、それにより蒸気が生成される。生成された蒸気は、冷却されて凝縮し、エアロゾル生成デバイス10のユーザがマウスピースセグメント108、より詳細にはフィルタセグメントを通して吸入することができるエアロゾルを形成する。
【0055】
エアロゾル生成基材102の気化は、周囲環境から例えば加熱チャンバ18の開放した第1の端部26を通して空気を追加することにより促進され、この空気は、エアロゾル生成物品100のラッパー110と側壁30の内側表面36との間を流れるにつれて加熱される。より具体的には、ユーザがフィルタセグメント上で吸い込むと、空気は、
図2で矢印Aによって示されるように、開放した第1の端部26を通して加熱チャンバ18内に引き込まれる。加熱チャンバ18に入った空気は、開放した第1の端部26から閉じた第2の端部34に向けてラッパー110と側壁30の内側表面36との間を流れる。上述したように、内側方向伸長部分42aは、加熱チャンバ18内に十分な距離だけ延びて、少なくともエアロゾル生成物品100の外側表面に接触し、典型的にはエアロゾル生成物品100の少なくともある程度の圧縮を引き起こす。その結果、加熱チャンバ18の円周方向の全周にわたり、空隙は、存在しない。代わりに、内側方向伸長部分42a間の円周方向領域(4つの等間隔の隙間領域)に空気流路が存在し、これに沿って、空気は、加熱チャンバ18の開放した第1の端部26から閉じた第2の端部34に向けて流れる。一部の例では、4つよりも多いか又は少ない内側方向伸長部分42aと、従って内側方向伸長部分42a間の隙間領域によって形成される呼応する数の空気流路とが存在し得る。空気が加熱チャンバ18の閉じた第2の端部34に到達すると、空気は、約180°向きを変え、エアロゾル生成物品100の遠位端部106に入る。次いで、空気は、
図2の矢印Bによって示されるように、生成された蒸気と共に、遠位端部106から近位(口)端部104に向けてエアロゾル生成物品100を通して引き込まれる。
【0056】
ユーザは、エアロゾル生成基材102が蒸気を生成し続けることができる間には常に、例えば、好適な蒸気に気化させるための気化可能な成分がエアロゾル生成基材102に残っている間には常に、エアロゾルを吸入し続けることができる。コントローラ24は、誘導コイル48を流れる交流電流の大きさを調節して、誘導加熱可能サセプタ42の温度、従ってエアロゾル生成基材102の温度が閾値レベルを超えないことを確実にすることができる。具体的には、エアロゾル生成基材102の構成に依存する特定の温度において、エアロゾル生成基材102が燃え始めることになる。これは、望ましい効果ではなく、この温度以上の温度は、回避される。
【0057】
これを支援するために、コントローラ24は、エアロゾル生成基材102、より具体的には誘導加熱可能サセプタ42の温度の示度を温度センサ60から受け取り、この温度の示度を使用して、誘導コイル48に供給される交流電流の大きさを制御するように構成される。一例では、コントローラ24は、第1の期間にわたり、第1の大きさの電流を誘導コイル48に供給して、誘導加熱可能サセプタ42を第1の温度まで加熱し得る。続いて、コントローラ24は、第2の期間にわたり、第2の大きさの交流電流を誘導コイル48に供給して、誘導加熱可能サセプタ42を第2の温度まで加熱し得る。第2の温度は、第1の温度より低くてもよい。続いて、コントローラ24は、第3の期間にわたり、第3の大きさの交流電流を誘導コイル48に供給して、誘導加熱可能サセプタ42を再び第1の温度まで加熱し得る。これは、エアロゾル生成基材102が使い尽くされる(即ち加熱によって生成できる全ての蒸気が既に生成され終える)まで又はユーザがエアロゾル生成デバイス10の使用を停止するまで続き得る。別のシナリオでは、第1の温度に達すると、コントローラ24は、セッション全体を通してエアロゾル生成基材102を第1の温度に維持するように、誘導コイル48に供給される交流電流の大きさを低減し得る。
【0058】
ユーザによる1回の吸入は、一般に、「パフ」と呼ばれる。いくつかのシナリオでは、タバコの喫煙体験を模倣することが望ましい。これは、エアロゾル生成デバイス10が、典型的には、10~15回のパフを提供するのに十分なエアロゾル生成基材102を保持することが可能であることを意味する。
【0059】
いくつかの実施形態では、コントローラ24は、パフをカウントし、ユーザが10~15回のパフを行った後に誘導コイル48への電流の供給を中断するように構成される。パフのカウントは、様々な異なる方法で実施することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ24は、パフ中に温度がいつ低下したかを判定する。これは、新鮮で冷たい空気が誘導加熱可能サセプタ42を通過して流れるにつれてサセプタ42の冷却が引き起こされ、これが温度センサ60によって検出されることによる。他の実施形態では、空気流は、流れ検出器を使用して直接検出される。他の好適な方法が当業者に明らかであろう。他の実施形態では、加えて又は代わりに、コントローラ24は、最初のパフから所定の時間が経過した後に誘導コイル48への電流の供給を中断する。これは、消費電力を低減させることと、所定の数のパフが行われたことをパフカウンターが正しく登録できなかった場合にエアロゾル生成デバイス10のスイッチをオフにするためのバックアップを提供することとの両方に役立ち得る。
【0060】
いくつかの例では、コントローラ24は、完了するのに所定の時間が掛かる所定の加熱サイクルに従うように、誘導コイル48に交流電流を供給するように構成される。サイクルが完了すると、コントローラ24は、誘導コイル48への電流の供給を中断する。場合により、このサイクルは、コントローラ24と温度センサ60との間のフィードバックループを利用し得る。例えば、加熱サイクルは、一連の温度によってパラメータ化され得、その温度まで誘導加熱可能サセプタ42が加熱されるか又は冷却され得る。そのような加熱サイクルの温度及び持続時間は、エアロゾル生成基材102の温度を最適化するように経験的に決定することができる。例えば、基材の外層がコアと異なる温度である場所では、エアロゾル生成基材102の温度の直接測定は、非現実的であるか又は誤認を招く可能性があるため、これは、必要であり得る。
【0061】
電源22は、少なくとも、単一のエアロゾル生成物品100中のエアロゾル生成基材102を最大で第1の温度まで上昇させ、基材を第1の温度に維持して、少なくとも10~15回のパフに十分な蒸気を供給するのに十分なものである。より一般的には、喫煙の体験を模倣することに即して、電源22は通常、このサイクル(エアロゾル生成基材102を第1の温度に上げ、第1の温度及び蒸気発生を10~15回のパフにわたって維持する)を10回又は更には20回繰り返すのに十分なものであり、これにより、電源22を交換又は再充電する必要が生じる前に、タバコの小包を喫煙するユーザ体験が模倣される。
【0062】
一般に、エアロゾル生成デバイス10の効率は、誘導加熱可能サセプタ42によって発生する熱の可能な限り多くが、エアロゾル生成基材102の加熱につながる場合に改善される。この目的のために、エアロゾル生成デバイス10は、通常、エアロゾル生成デバイス10の他の部分への熱流を低減させながら、熱をエアロゾル生成基材102に制御された方法で提供するように構成される。特に、ユーザが握るエアロゾル生成デバイス10の部分への熱流は、最小限に保たれ、それにより、これらの部分は、冷たく保たれ、把持するのに快適に保たれる。
【0063】
これまでの段落では、例示的な実施形態について説明してきたが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に対する様々な修正形態がなされ得ることが理解されるべきである。従って、特許請求の広さ及び範囲は、上述した例示的な実施形態に限定されるべきではない。
【0064】
本明細書において別途記載のない限り又は文脈に明らかに矛盾しない限り、全ての可能な変形形態における上述した特徴の任意の組み合わせは、本開示によって包含される。
【0065】
文脈上、明らかに他の意味に解すべき場合を除き、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、「含む」、「含んでいる」等の語は、排他的意味又は網羅的意味とは反対に、包括的に、即ち「含むが、限定されない」という意味で解釈されるべきである。
【国際調査報告】