(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】水素化触媒を改質するプロセス
(51)【国際特許分類】
B01J 37/20 20060101AFI20240125BHJP
B01J 23/88 20060101ALI20240125BHJP
B01J 29/16 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B01J37/20
B01J23/88 M
B01J29/16 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537518
(86)(22)【出願日】2022-01-03
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 US2022011016
(87)【国際公開番号】W WO2022155018
(87)【国際公開日】2022-07-21
(32)【優先日】2021-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】316017181
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Saudi Arabian Oil Company
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】コセオグル,オマール レファ
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BA03A
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BA21C
4G169BB01C
4G169BB09A
4G169BB09B
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4G169BD01C
4G169BD06A
4G169BD08A
4G169BD08B
4G169BE01C
4G169BE21C
4G169CB02
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4G169CC03
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4G169EA02Y
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4G169FB50
4G169FB77
4G169FB78
4G169FC02
4G169FC03
4G169FC08
4G169ZA05B
4G169ZD06
4G169ZF05B
(57)【要約】
本開示の実施の形態は、触媒を改質するプロセスにおいて、前駆体作用物質および水素ガスを変換反応器に導入する工程、変換反応器内で前駆体作用物質を変換触媒と接触させ、それによって、活性作用物質を生成する工程、活性作用物質を生産反応器に導入する工程、および生産反応器内で活性作用物質を水素化触媒と接触させ、それによって、改質された水素化触媒を生成する工程を含むプロセスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素化触媒を改質するプロセスであって、
前駆体作用物質を変換反応器に導入する工程、
水素ガスを前記変換反応器中に導入する工程、
前記変換反応器内で前記前駆体作用物質を変換触媒と接触させ、それによって、活性作用物質を生成する工程、
前記活性作用物質を生産反応器に導入する工程、および
前記生産反応器内で前記活性作用物質を水素化触媒と接触させ、それによって、改質された水素化触媒を生成する工程、
を有してなり、
前記前駆体作用物質は液体として前記変換反応器に導入され、
前記活性作用物質は気体として前記生産反応器に導入される、プロセス。
【請求項2】
前記前駆体作用物質が硫化物前駆体を含み、前記前駆体変換触媒が硫化物変換触媒を含む、請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
前記硫化物前駆体が、1種類以上の有機一硫化物またはポリ硫化物を含む、請求項2記載のプロセス。
【請求項4】
前記前駆体作用物質がジスルフィド油(DSO)である、請求項1から3いずれか1項記載のプロセス。
【請求項5】
前記前駆体作用物質がアンモニア前駆体を含み、前記前駆体変換触媒がアンモニア変換触媒を含む、請求項1から4いずれか1項記載のプロセス。
【請求項6】
前記アンモニア前駆体が、窒素を含む1種類以上の有機化合物を含む、請求項5記載のプロセス。
【請求項7】
前記前駆体作用物質が硫化物前駆体を含み、
前記プロセスが、
アンモニア前駆体を前記変換反応器に導入する工程、
水素ガスを前記変換反応器に導入する工程、
前記変換反応器内で前記アンモニア前駆体を前記変換触媒と接触させ、それによって、アンモニアガスを生成する工程、
前記アンモニアガスを前記生産反応器に導入する工程、および
前記生産反応器内で前記アンモニアガスを前記改質された水素化触媒と接触させ、それによって、硫化され不動態化された水素化触媒を生成する工程、
をさらに含み、
前記アンモニア前駆体は、液体として前記変換反応器に導入され、
前記アンモニアガスは、気体として前記生産反応器に導入される、請求項1から4いずれか1項記載のプロセス。
【請求項8】
水素ガスを前記生産反応器に導入する工程をさらに含む、請求項1から7いずれか1項記載のプロセス。
【請求項9】
炭化水素原料を前記変換反応器に導入する工程をさらに含む、請求項1から8いずれか1項記載のプロセス。
【請求項10】
前記生産反応器の出口流を液体流出物とガス状流出物に分離する工程、および該ガス状流出物の少なくとも一部を該生産反応器に戻すように再循環させる工程をさらに含む、請求項1から9いずれか1項記載のプロセス。
【請求項11】
前記液体流出物の少なくとも一部を前記生産反応器に戻すように再循環させる工程をさらに含む、請求項10記載のプロセス。
【請求項12】
前記水素化触媒が、アルミナ、シリカ-アルミナ、ゼオライト、またはその組合せを含む、請求項1から11いずれか1項記載のプロセス。
【請求項13】
前記変換反応器内でブレイクスルーが達成された後、前記前駆体作用物質を該変換反応器に導入し続ける工程をさらに含む、請求項1から12いずれか1項記載のプロセス。
【請求項14】
前記改質された水素化触媒中の全ての汚染物質の合計質量が、該改質された水素化触媒の総質量の1質量%未満である、請求項1から13いずれか1項記載のプロセス。
【請求項15】
水素化処理プロセスにおいて、前記改質された水素化触媒を水素化処理物質と接触させる工程をさらに含み、該水素化処理物質は、前記変換触媒と接触しない、請求項1から14いずれか1項記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、その全ての内容がここに引用される、2021年1月13日に出願された米国特許出願第17/147682号に優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、触媒の改質に関し、より詳しくは、水素化触媒の前処理に関する。
【背景技術】
【0003】
水素化処理は、水素の存在下で、炭化水素供給物を水素化触媒と接触させる工程を含む。水素化触媒は、概して、アルミナ上に担持された活性金属を含む。これらの活性金属は、酸化物形態で堆積されており、水素化脱硫(HDS)、水素化脱窒素(HDN)、水素化分解(HCR)、および水素化脱金属(HDM)の各反応を触媒できるようになる前に、硫化物に変換されなければならない。
【0004】
従来、触媒の硫化は、液体の硫化物前駆体を、水素と炭化水素供給物と共に、生産触媒床中に注入することによって、その場で(反応器内で)行われている。液体の硫化物前駆体および炭化水素供給物中の硫黄は、その場でH2Sガスに変換される。このH2Sガスは、次に、活性金属の酸化物形態を硫化物形態に変換することができる。精製所で容易に入手できる場合には、純粋なH2Sガスを使用することができるが、純粋なH2Sガスは、大抵、要求される純度と濃度で入手できない。したがって、ジメチルジスルフィド(DMDS)が、精製所で最も一般に使用される選択肢である。
【0005】
液体の硫化物前駆体は、ナトリウムやカリウムなどの汚染物質を含むことがある。それに加え、硫化物前駆体には安価なものがあり、それらが比較的高レベルの汚染物質を含まないのであれば、それを使用することが望ましいであろう。例えば、ジスルフィド油(DSO)は、ナトリウム、カリウム、炭素、窒素、水、鉄、水銀、リン、およびバナジウムを含む汚染物質のレベルが比較的高いために、頻繁には使用されない安価な硫化物前駆体である。硫化物前駆体がガス状硫化物に変換されるときに、液体中に最初に存在する汚染物質は、水素化触媒の表面上に残留物として残り、触媒を汚染することがある。
【0006】
ゼオライトを含むものなどのある水素化触媒は、硫化工程の後に活性になり過ぎることがある。この過剰な活性により、炭化水素供給物の導入後に温度逸脱が生じることがある。この過剰な活性は、通常、窒素またはアンモニア不動態化として知られているプロセスによって制御される。不動態化プロセスにおいて、アンモニア化合物が反応器に注入される。アンモニアは、触媒の酸性サイトに吸着され、これらのサイトを汚染する。一旦、分解床がアンモニアで適切に処理されたら、温度逸脱の恐れがなく、炭化水素供給物をユニットに導入することができる。アンモニア不動態化は、触媒の選択性を変えることもできる。
【0007】
しかしながら、液体のアンモニア前駆体は、アンモニアの取扱いが高くつき得るので、純粋なアンモニアと比べて一般に好ましい。漏れやこぼれが、重大な健康と安全上の問題をもたらし得る。アンモニアは、ポンプと弁を損傷し得る。したがって、窒素含有有機作用物質の注入が、アンモニアと比べて、一般に好ましい。これらの有機化合物は、水素化触媒上で水素と反応して、触媒を不動態化するのに必要なアンモニアを形成する。アンモニア前駆体も、硫化前駆体と同様に、アンモニアが形成されたときに触媒の表面上に残されることがある汚染物質を含有することがある。これらの汚染物質は、触媒活性の問題を引き起こすことがある。
【0008】
硫化およびアンモニア失活など、水素化触媒を改質するための従来のプロセスには、硫化/アンモニア作用物質の液体前駆体と水素化触媒との間の直接接触が必要とされる。この接触により、液体前駆体中に存在する汚染物質が、水素化触媒の表面上に堆積し、早過ぎる失活が生じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、改質された水素化触媒を生成する新たなプロセスが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
液体の前駆体作用物質と水素化触媒との直接接触を必要としないプロセス。本開示の実施の形態は、ガス状作用物質を使用して水素化触媒を改質された水素化触媒に変換するプロセスおよび装置を提供することによって、この必要性を満たす。詳しくは、実施の形態は、変換反応器内で液体の前駆体作用物質をガス状活性作用物質に変換し、次いで、水素化触媒をガス状活性作用物質と接触させることによって、この必要性を満たす。
【0011】
本開示の主題によれば、触媒を改質するプロセスは、前駆体作用物質を変換反応器に導入する工程、変換反応器内で前駆体作用物質を変換触媒と接触させ、それによって、活性作用物質を生成する工程、活性作用物質を生産反応器に導入する工程、および生産反応器内で活性作用物質を水素化触媒と接触させ、それによって、改質された水素化触媒を生成する工程を含むことがある。
【0012】
本開示の概念が、主に水素化触媒の硫化に関してここに記載されているが、その概念は、水素化触媒のどの改質への適用性も享受することになると考えられる。
【0013】
略語
m3=立方メートル
kg=キログラム
kg/m3=キログラム毎立方メートル
DMDS=ジメチルジスルフィド
質量%=質量パーセント
MoO3=三酸化モリブデン
CoO=酸化コバルト
H2S=硫化水素
Mol.=モル
℃=セ氏温度
℃/時=セ氏温度毎時
Min.=分
Sec.=秒
Hr.=時
ppm=質量百万分率
bpsd=バレル毎稼働日
【発明を実施するための形態】
【0014】
従来、水素化触媒の改質は、液体の前駆体作用物質の残留物からの汚染によって悩まされてきた。それゆえ、汚染物質のレベルが最小である、比較的高価な液体の前駆体作用物質が必要とされている。したがって、それほど純粋ではない(したがって、それほど高価ではない)液体の改質前駆体を使用できるプロセスが望ましい。
【0015】
本開示の主題によれば、水素化触媒を改質するプロセスは、前駆体作用物質を変換反応器に導入する工程、変換反応器内で前駆体作用物質を変換触媒と接触させ、それによって、活性作用物質を生成する工程、活性作用物質を生産反応器に導入する工程、および生産反応器内で活性作用物質を水素化触媒と接触させ、それによって、改質された水素化触媒を生成する工程を含むことがある。
【0016】
ここに用いられているように、「変換反応器」は、前駆体作用物質を活性作用物質に変換するように作られたどの反応器であってもよい。変換反応器は、生産反応器の上流に位置付けられることがある。変換反応器は、活性作用物質を変換反応器から生産反応器に移送するように構造的に作られたシステムの一部であることがある。変換反応器は、生産反応器と同じ反応器ではないことがある。
【0017】
変換反応器は、前駆体作用物質を活性作用物質に変換するように作られたどの反応器であってもよい。例えば、変換反応器は、固定床反応器、移動床反応器、沸騰床反応器または流動床反応器であることがある。固定床反応器は、触媒反応中に触媒が中で動かない反応器を称することがある。移動床反応器は、触媒が反応体と共に反応器を絶えず流れる反応器を称することがある。沸騰床反応器は、触媒が液体反応体中に懸濁されている反応器を称することがある。流動床反応器は、触媒が反応ガス中に浮遊している反応器を称することがある。
【0018】
いくつかの実施の形態によれば、変換反応器は、独立して制御可能なように、生産反応器から切り離されることがある。例えば、変換反応器は、それらを接続する管または一連の管を除いて、生産反応器から完全に切り離されることがある。
【0019】
変換反応器を生産反応器と接続する管は、活性作用物質から汚染物質を除去するための装置を備えることがある。例えば、活性作用物質から汚染物質を除去するための装置は、フィルタ、スクラバー、吸収装置、ゼオライト、磁石、液体/気体分離装置、または固体を除去するように設計されたフローパターンの1つ以上を含むことがある。代わりの実施の形態によれば、変換反応器を生産反応器と接続する管は、汚染物質を除去するための装置を持たないことがある。理論で限定されないが、どのような汚染物質も、変換触媒上に堆積されることになり、それゆえ、活性作用物質中に存在しないことになると考えられる。
【0020】
前駆体作用物質が、変換反応器に導入されることがある。前駆体作用物質は、管、入口、弁、または他の制御可能な入口を通じて、変換反応器に導入されることがある。前駆体作用物質は、ポンプを利用して、変換反応器に導入されることがある。
【0021】
前駆体作用物質は、液体として変換反応器に導入されることがある。あるいは、前駆体作用物質は、蒸気として変換反応器に導入されることがある。理論で限定されないが、液体の前駆体作用物質を使用することは、液体は貯蔵と輸送がより容易である傾向があるので、ガス状(前駆体または活性)作用物質を使用することより好ましいと考えられる。液体は、密度が増加していること、および大抵、圧力容器を必要としないという事実のために、貯蔵と輸送がより容易である。
【0022】
変換反応器に水素ガスが導入されることがある。水素ガスは、1:1から10:1の水素:前駆体作用物質のモル比で、前駆体作用物質と共に変換反応器に導入されることがある。例えば、水素:前駆体作用物質のモル比は、1:1から8:1、1:1から6:1、1:1から4:1、1:1から2:1、2:1から10:1、2:1から8:1、2:1から6:1、2:1から4:1、4:1から10:1、またはその任意の部分的範囲にあることがある。
【0023】
理論で限定されないが、水素ガスは、ある前駆体作用物質をそれぞれの活性作用物質に変換するのに必要であろうと考えられる。例えば、炭素-硫黄結合が壊れたときに、1つの水素原子が炭化水素に加えられ、1つの水素原子が硫黄に加えられると考えられる。それゆえ、炭素-硫黄結合につき、2つの追加の水素原子が必要である。
【0024】
前駆体作用物質は、変換反応器内で変換触媒と接触し、それによって、活性作用物質を生成することがある。変換触媒の選択は、必要とされる前駆体作用物質に依存するであろう。生成される活性作用物質は、ガス形態にあることがある。
【0025】
前駆体作用物質は、変換温度で変換触媒と接触することがある。変換温度は、前駆体作用物質を所定の変換触媒によって活性作用物質に変換させるのに十分であることがある。例えば、前駆体作用物質は、150℃から300℃、200℃から300℃、150℃から250℃、200℃から250℃、210℃から240℃、220℃から230℃、またはその任意の部分的範囲の変換温度で変換触媒と接触することがある。
【0026】
前駆体作用物質は、1バール(100kPa)から100バール(10MPa)の圧力で変換触媒と接触することがある。例えば、前駆体作用物質は、1バール(100kPa)から80バール(8MPa)、1バール(100kPa)から60バール(6MPa)、1バール(100kPa)から50バール(5MPa)、1バール(100kPa)から40バール(4MPa)、10バール(1MPa)から100バール(10MPa)、10バール(1MPa)から80バール(8MPa)、10バール(1MPa)から60バール(6MPa)、10バール(1MPa)から40バール(4MPa)、20バール(2MPa)から100バール(10MPa)、20バール(2MPa)から80バール(8MPa)、20バール(2MPa)から60バール(6MPa)、20バール(2MPa)から40バール(4MPa)、またはその任意の部分的範囲の圧力で変換触媒と接触することがある。
【0027】
前駆体作用物質は、前駆体作用物質を活性作用物質に完全に変換するのに十分な接触時間に亘り変換触媒と接触することがある。例えば、前駆体作用物質は、1秒から1時間、15秒から1時間、30秒から1時間、1分から1時間、10分から1時間、20分から1時間、30分から1時間、1秒から30分、1秒から10分、1秒から1分、30秒から1時間、1分から30分、またはその任意の部分的範囲の変換反応器内の滞留時間を有することがある。
【0028】
前駆体作用物質は、変換反応器でブレイクスルーに到達した後に、変換反応器に導入され続けられることがある。ここに用いられているように、「ブレイクスルー」は、反応器から出るガス中の活性作用物質の濃度が5,000ppmに到達する時点を称することがある。理論で限定されないが、ブレイクスルーの前では、水素化触媒は、ブレイクスルーの前に活性作用物質のほぼ全てを消費しているので、生産反応器から出るガス中に非常にわずかしか活性作用物質は見られないと考えられる。ブレイクスルーは、触媒の実質的に全てが、元の形態から改質形態に変換されたシグナルであると理解される。ブレイクスルー後、活性作用物質に継続して曝露されると、触媒床に生じるさらなる変化は最小であると考えられる。それゆえ、変換反応器から生産反応器に流れる活性作用物質の濃度は、変換反応器内でブレイクスルーが一旦達成されると、大幅に増加することになると考えられる。
【0029】
活性作用物質は、変換反応器から生産反応器に通されることがある。例えば、活性作用物質は、管またはダクトを通じて変換反応器から生産反応器に通されることがある。
【0030】
活性作用物質は、生産反応器に導入されることがある。活性作用物質は、管によって変換反応器から生産反応器に導入されることがある。活性作用物質は、弁または他の計量装置を使用して生産反応器に導入されることがある。
【0031】
生産反応器は、水素化処理反応を行うように作られたどの反応器を含んでもよい。生産反応器は、固定床反応器、移動床反応器、沸騰床反応器または流動床反応器を含むことがある。
【0032】
活性作用物質を生産反応器に導入する工程は、活性作用物質をポンプで送る工程、圧縮する工程、加熱する工程、または冷却する工程の1つ以上をさらに含むことがある。例えば、活性作用物質を生産反応器に導入する工程は、活性作用物質をポンプで送る工程を含むことがある。代わりの実施の形態において、活性作用物質は、変換反応器と生産反応器との間の圧力勾配のために、変換反応器から生産反応器に流れることがある。
【0033】
活性作用物質は、気体として生産反応器に導入されることがある。理論で限定されないが、前駆体作用物質中に存在する最も重大な汚染物質は、前駆体作用物質の分解中に、残留物として後に残されることになると考えられる。それゆえ、活性作用物質を生産反応器に導入することは、前駆体作用物質中の汚染物質が、生産反応器に入り、水素化触媒を汚染するのを防ぐのに役立つであろう。
【0034】
前駆体作用物質は、水素化触媒に直接曝露される場合に好ましいであろう汚染物質のレベルより高いレベルの汚染物質を有することがある。したがって、前駆体作用物質中の全ての汚染物質の合計質量は、少なくとも1ppmであることがある。例えば、全ての汚染物質の合計質量は、少なくとも10ppm、少なくとも100ppm、少なくとも1000ppm、少なくとも10000ppm、またさらには少なくとも100000ppmであることがある。汚染物質は、ナトリウム、カリウム、炭素、窒素、水、鉄、水銀、リン、およびバナジウムの1つ以上を含むことがある。
【0035】
活性作用物質は、生産反応器中で水素化触媒と接触し、それによって、改質された水素化触媒を生成することがある。水素化触媒が硫化形態に変換される実施の形態などのいくつかの実施の形態によれば、改質された水素化触媒は、未硫化水素化触媒よりも活性であることがある。水素化触媒がアンモニア形態に変換される実施の形態などの代わりの実施の形態によれば、改質された水素化触媒は、水素化触媒よりも反応性が低いことがある。
【0036】
活性作用物質は、水素化触媒を改質された水素化触媒に変換するのに十分な改質温度で水素化触媒と接触することがある。例えば、改質温度は、150℃から300℃、175℃から300℃、200℃から300℃、225℃から300℃、150℃から275℃、150℃から250℃、150℃から225℃、175℃から275℃、175℃から250℃、175℃から225℃、200℃から275℃、200℃から250℃、200℃から225℃、またはその任意の部分的範囲であることがある。
【0037】
活性作用物質は、水素化触媒を改質された水素化触媒に変換するのに十分な改質圧力で水素化触媒と接触することがある。例えば、改質圧力は、50バール(5MPa)から100バール(10MPa)、50バール(5MPa)から90バール(9MPa)、60バール(6MPa)から100バール(10MPa)、60バール(6MPa)から90バール(9MPa)、70バール(7MPa)から80バール(8MPa)、またはその任意の部分的範囲であることがある。
【0038】
活性作用物質は、50バール(5MPa)から1000バール(10MPa)、50バール(5MPa)から90バール(9MPa)、60バール(6MPa)から100バール(10MPa)、60バール(6MPa)から90バール(9MPa)、70バール(7MPa)から80バール(8MPa)、またはその任意の部分的範囲の活性作用物質分圧で水素化触媒と接触することがある。
【0039】
活性作用物質は、生産反応器についてブレイクスルーが達成されるまで、水素化触媒と接触することがある。このことは、生産反応器にブレイクスルーが達成されるまで、前駆体作用物質を変換反応器に導入することによって行われることがある。変換反応器および生産反応器は、異なる時間でブレイクスルーに到達することがあるのを理解すべきである。
【0040】
一般に、水素化触媒を活性作用物質と接触させることによって、水素化触媒の活性を変えて、改質された水素化触媒を形成する必要がある。水素化触媒の活性は、「硫化」として知られているプロセスにおいて水素化触媒を硫化物分子と接触させることによって、増すことがある。ある水素化触媒、特に、ゼオライトを含む水素化触媒は、高い活性を有するか、または硫化後に、高活性になることがある。そのような場合、水素化触媒の活性は、「アンモニア不動態化」として知られているプロセスにおいて水素化触媒をアンモニア化合物と接触させることによって、減少することがある。
【0041】
活性作用物質が硫化物を含む実施の形態によれば、活性作用物質は、活性作用物質:活性金属のモル比が1:1より大きいように、生産反応器に導入されることがある。例えば、活性作用物質:活性金属のモル比は、1:1から4:1、2:1から4:1、3:1から4:1、1:1から3:1、1:1から2:1、またはその任意の部分的範囲であることがある。
【0042】
いくつかの実施の形態によれば、活性作用物質は、硫化水素などの硫化物を含むことがある。活性作用物質は、少なくとも50質量%、少なくとも75質量%、少なくとも90質量%、少なくとも99質量%、またさらに少なくとも99.9質量%の硫化水素を含むことがある。
【0043】
前駆体作用物質は、硫化物前駆体を含むことがある。硫化物前駆体は、硫黄原子を含み、かつ硫黄を含む気体に変換されることのできる任意の化学物質を含むことがある。理論で限定されないが、液体の硫化物前駆体は、ガス状硫化物と比べて改善された取扱特性を有するであろうから、ガス状硫化物よりも液体の硫化物前駆体を使用することが好ましいであろう。
【0044】
硫化物前駆体は、1つ以上の有機一硫化物またはポリ硫化物もしくはその酸化物を含むことがある。例えば、有機ポリ硫化物は、式R-Sn-R’を有する1つ以上のジアルキル-ポリ硫化物を含むことがあり、式中、RおよびR’は、1から20の炭素原子を有する炭素鎖である。例えば、硫化物前駆体は、第三ブチルポリ硫化物(BPS、ジメチルジスルフィド(DMDS))の1つ以上を含むことがある。硫化物前駆体は、チオフェン、メルカプタン、ジアルキルジスルフィド、およびジアリールジスルフィドの1つ以上を含むことがある。硫化物前駆体は、二硫化炭素、DMDS、ジスルフィド油(DSO)、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジメチルスルホキシド、n-ブチル-メルカプタン、ジ-第三ブチルポリ硫化物、またはジ-第三ノニルポリ硫化物の1つ以上を含むことがある。いくつかの実施の形態によれば、硫化物前駆体は、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含むことがある。
【0045】
前駆体作用物質は、硫黄を含むどの炭化水素画分であってもよい。例えば、炭化水素画分は、ケロシンであることがある。ケロシンは、150℃から275℃の範囲で沸騰する炭化水素画分を称することがある。ケロシンは、分子当たり10と16の間の炭素原子を有する炭化水素画分を称することがある。
【0046】
硫化物前駆体は、ジスルフィド油(DSO)またはジスルフィド油の酸化物であることがある。DSOは、その極めて低いコストおよび多くの精製所環境での入手可能性のために、適切な硫化物前駆体であろう。理論で限定されないが、DOSは、その比較的高濃度の汚染物質のために、従来の方法による比較的非効率的な硫化剤であろうと考えられる。しかしながら、本発明の方法によれば、DSOの従来の欠点は、DSOの欠点は、変換反応器だけに影響し、生産反応器には影響しないので、それほど関係ないであろう。
【0047】
DSOは、精製所においてメルカプタン酸化(MEROX)プロセスにより生成されることがある。MEROXプロセスにおいて、軽質炭化水素画分(液体石油ガス(LPG)、C3~C4、軽質ナフサ、重質ナフサ、およびケロシンなど)が処理されて、メルカプタンが金属チオレートに変換され、次いで、ジスルフィド油に変換される。MEROXプロセスの十分な説明が、米国特許出願公開2020/0181073A1号明細書に見つけられる。
【0048】
硫化物前駆体は、100ppm未満の窒素を含むことがある。例えば、硫化物前駆体は、80ppm未満、60ppm未満、40ppm未満、20ppm未満、またさらには10ppm未満の窒素を含むことがある。
【0049】
前駆体変換触媒は、硫化物変換触媒を含むことがある。硫化物変換触媒は、硫化物前駆体をH2Sなどのガス状硫化物に変換するのに適したどの触媒を含んでもよい。例えば、前駆体変換触媒は、Co、Mo、Ni、W、およびアルミナの1つ以上を含むことがある。このアルミナは、非晶質アルミナ、ゼオライト、またはシリカ-アルミナの形態にあることがある。前駆体変換触媒は、水素化触媒と同じ組成を有することがある。あるいは、前駆体変換触媒は、水素化触媒と異なる組成を有することがある。いくつかの特定の実施の形態によれば、硫化物変換触媒は、Co-Moを含むことがある。
【0050】
いくつかの実施の形態によれば、活性作用物質は、窒素化合物を含むことがある。例えば、活性作用物質は、アンモニアを含むことがある。活性作用物質は、少なくとも1000ppmのアンモニアを含むことがある。例えば、活性作用物質は、1000ppmから100000ppm、1000ppmから75000ppm、1000ppmから50000ppm、1000ppmから10000ppm、1000ppmから5000ppm、5000ppmから100000ppm、5000ppmから75000ppm、5000ppmから50000ppm、5000ppmから10000ppm、10000ppmから100000ppm、10000ppmから75000ppm、10000ppmから50000ppm、50000ppmから100000ppm、またはその任意の部分的範囲のアンモニアを含むことがある。
【0051】
前駆体作用物質は、アンモニア前駆体を含むことがある。アンモニア前駆体は、窒素原子を含み、かつアンモニアを含むガスに変換されることのできる任意の化学物質を含むことがある。ガス状アンモニアの使用には、専用の機械設備が必要とされるであろうから、アンモニアよりもアンモニア前駆体を使用することが好ましいであろう。
【0052】
いくつかの実施の形態によれば、変換触媒は、アンモニア不動態化の前に硫化されていることがある。代わりの実施の形態によれば、変換触媒は、アンモニア不動態化プロセスに曝される前に、硫化されていないことがある。
【0053】
前駆体作用物質は、アンモニア前駆体を含むことがある。例えば、アンモニア前駆体は、窒素を含む有機分子を含むことがある。その有機分子は、アミンおよびアニリンの一方または両方であることがある。例えば、アンモニア前駆体は、1つ以上の一級アミン、二級アミン、三級アミン、ジアミン、ポリアミン、アルキルアミン、アリールアミン、アリールアルキルアミン、アニリン、メチルアニリン、ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、およびトリフェニルアミンを含むことがある。いくつかの実施の形態によれば、アンモニア前駆体は、アルキルアミンおよびエタノールアミンの一方または両方を含むことがある。エタノールアミンは、N-メチルジエタノールアミン(DMEA)、N-メチルエタノールアミン(MAE)、トリエタノールアミン(TEA)、3-ジエチルアミノ-プロピルアミン(DEAPA)、N,N-ジメチルジプロピレントリアミン(DMAPAPA)、トリ-n-ブチルアミン(TNBA)、ヘキサデシルアミン(HDA)、およびオレイルアミン(OL、オクタ-9-デセニルアミン)の1つ以上を含むことがある。
【0054】
前駆体変換触媒は、アンモニア変換触媒を含むことがある。アンモニア変換触媒は、アンモニア前駆体をアンモニアガスに変換するのに適したどの触媒を含んでもよい。例えば、前駆体変換触媒は、Co、Mo、Ni、W、およびアルミナの1つ以上を含むことがある。このアルミナは、非晶質アルミナ、ゼオライト、またはシリカ-アルミナの形態にあることがある。アンモニア変換触媒は、水素化触媒と同じ組成を有することがある。あるいは、アンモニア変換触媒は、水素化触媒と異なる組成を有することがある。いくつかの実施の形態によれば、前駆体変換触媒は、NiとMo、またはNiとWを含むことがある。
【0055】
水素ガスが、生産反応器に導入されることがある。水素ガスは、1:1より大きい水素:活性作用物質比で、活性作用物質と共に生産反応器に導入されることがある。例えば、水素:活性作用物質の比は、1:1から5:1、1:1から3:1、1:1から2:1、2:1から5:1、またはその任意の部分的範囲であることがある。
【0056】
理論で限定されないが、水素ガスは、本開示の水素化触媒のいくらかを、それぞれの改質形態に変換するのに必要であろうと考えられる。追加の水素は、変換速度を上昇させ、改質された水素化触媒への水素化触媒の変換の平衡定数を変えることがある。
【0057】
下記の反応(I)~(IV)に示されるように、必ずしも全ての一般的な水素化触媒および活性作用物質が共に、水素化触媒をその改質形態に変換する反応を実施するのに十分な水素を含有する訳ではない。それゆえ、全ての水素化触媒分子を改質された水素化触媒分子に完全に変換するのに、追加の水素が必要とされることがある。追加の水素は、変換速度を上昇させ、水素化触媒の改質形態への変換の平衡定数を変えることもある。
【0058】
いくつかの実施の形態によれば、水素化触媒は、水素化分解触媒であることがある。他の実施の形態によれば、水素化触媒は、水素化処理触媒、または残留物水素化触媒であることがある。水素化触媒は、水素化脱硫(HDS)反応、水素化分解反応、水素化脱金属反応、または水素化脱窒素(HDN)反応を触媒するのに適したどの触媒であってもよい。
【0059】
水素化触媒は、アルミナ、シリカ-アルミナ、ゼオライト、またはその組合せを含むことがある。アルミナは、非晶質アルミナを含むことがある。シリカ-アルミナは、非晶質シリカアルミナを含むことがある。アルミナ、シリカ-アルミナ、ゼオライト、またはその組合せは、活性金属の担体を構成することがある。
【0060】
水素化触媒は、Mo、W、Co、およびNiの群から選択される1種類以上の活性金属を含むことがある。活性金属は、その酸化物形態または硫化物形態にあることがある。
【0061】
水素化触媒の改質が硫化である実施の形態によれば、水素化触媒の活性金属の少なくとも50質量%、少なくとも60質量%、少なくとも70質量%、少なくとも80質量%、少なくとも90質量%、またさらには少なくとも99質量%が、硫化物ガスに曝される前に、酸化物形態にあることがある。例えば、Moの酸化物形態はMoO3であることがあり、Coの酸化物形態はCoOであることがあり、Niの酸化物形態はNiOであることがあり、Wの酸化物形態はWO3であることがある。
【0062】
水素化触媒の改質が硫化である実施の形態によれば、改質された水素化触媒の活性金属の少なくとも50質量%、少なくとも60質量%、少なくとも70質量%、少なくとも80質量%、少なくとも90質量%、少なくとも99質量%、またさらには少なくとも99.9質量%が、硫化物形態にあることがある。例えば、Moの硫化物形態はMoS2であることがあり、Coの硫化物形態はCo9S8であることがあり、Niの硫化物形態はNi3S2であることがあり、Wの硫化物形態はWS2であることがある。
【0063】
水素化触媒の改質がアンモニア不動態化である実施の形態によれば、水素化触媒の活性金属の少なくとも50質量%、少なくとも60質量%、少なくとも70質量%、少なくとも80質量%、少なくとも90質量%、少なくとも99質量%、またさらには少なくとも99.9質量%が、アンモニアガスに曝される前に、硫化物形態にあることがある。例えば、Moの硫化物形態はMoS2であることがあり、Coの硫化物形態はCo9S8であることがあり、Niの硫化物形態はNi3S2であることがあり、Wの硫化物形態はWS2であることがある。
【0064】
いくつかの実施の形態によれば、硫化およびアンモニア不動態化の両方が、必要とされることがある。アンモニア不動態化は、硫化後に行われることがある。したがって、前駆体作用物質は、硫化物前駆体を含むことがある。そのプロセスは、アンモニア前駆体を変換反応器に導入する工程、水素ガスを変換反応器に導入する工程、および変換反応器内でアンモニア前駆体を変換触媒と接触させ、それによって、アンモニアガスを生成する工程をさらに含むことがある。アンモニアガスは、次いで、生産反応器に導入され、生産反応器内で改質された水素化触媒と接触し、それによって、硫化され不動態化された水素化触媒を生成することがある。アンモニア前駆体は、液体として変換反応器に導入されることがあり、アンモニアガスは、気体として生産反応器に導入されることがある。
【0065】
硫化され不動態化された水素化触媒は、あるモル比で活性金属と硫黄原子を含むことがある。いくつかの実施の形態によれば、活性金属はモリブデンまたはタングステンもしくはその両方であり、硫黄:活性金属のモル比は、1.9:1から2.1:1であることがある。他の実施の形態によれば、活性金属はニッケルであることがあり、硫黄:ニッケルのモル比は、1.9:3から2.1:3であることがある。さらに他の実施の形態によれば、活性金属はコバルトであることがあり、硫黄:コバルトのモル比は、7.5:9から8.5:9であることがある。
【0066】
水素化触媒および変換触媒の一方または両方は、加熱される前に、乾燥されることがある。理論で限定されないが、触媒が、それぞれ変換温度および改質温度まで加熱される前に、乾燥されていなければ、触媒は、触媒の細孔内に蒸気が蓄積することにより爆発するかもしれないと考えられる。それに加え、触媒は、金属サイトのへの最適な接近可能性のために、乾燥しているべきであると考えられる。
【0067】
水素化触媒は、水素化触媒を活性作用物質に曝露する前に、乾燥されることがある。例えば、水素化触媒は、水素化触媒を炭化水素原料に曝露する前に、乾燥されることがある。水素化触媒を乾燥させる工程は、ある乾燥時間に亘り、ある乾燥温度に水素化触媒を加熱する工程を含むことがある。乾燥温度は、80℃から150℃、90℃から150℃、100℃から150℃、80℃から140℃、90℃から140℃、100℃から140℃、またはその任意の部分的範囲であることがある。乾燥時間は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、またはその任意の部分的範囲であることがある。
【0068】
変換触媒は、変換触媒を前駆体作用物質に曝露する前に、乾燥されることがある。例えば、変換触媒は、変換触媒を炭化水素原料に曝露する前に、乾燥されることがある。変換触媒を乾燥させる工程は、ある乾燥時間に亘り、ある乾燥温度に変換触媒を加熱する工程を含むことがある。乾燥温度は、80℃から150℃、90℃から150℃、100℃から150℃、80℃から140℃、90℃から140℃、100℃から140℃、またはその任意の部分的範囲であることがある。乾燥時間は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、またはその任意の部分的範囲であることがある。
【0069】
炭化水素原料は、変換反応器、生産反応器、またはその両方に導入されることがある。変換反応器内で、炭化水素原料は変換触媒と接触することがある。生産反応器内で、炭化水素原料は水素化触媒と接触することがある。活性作用物質の導入前に、触媒を炭化水素原料と接触させることは、プレウェッティング(pre-wetting)として知られているであろう。プレウェッティングは、硫化またはアンモニア不動態化プロセスで使用されることがある。いくつかの実施の形態によれば、硫化またはアンモニア不動態化プロセスは、プレウェッティングをせずに、行われることがある。さらに他の実施の形態によれば、硫化またはアンモニア不動態化は、変換触媒のプレウェッティングの後であるが、水素化触媒のプレウェッティングの前に、行われることがある。理論で限定されないが、プレウェッティングは、炭化水素原料で触媒の細孔を濡らすことがあり、改質工程中の活性作用物質の均一な分布をもたらすと考えられる。
【0070】
炭化水素原料は、どの液体炭化水素を含んでもよい。炭化水素原料が、「直留(straight-run)」原料となることが好ましい。ここに用いられているように、「直留」原料は、分解工程が行われていない原料を称することがある。理論で限定されないが、分解された原料は、高反応性オレフィン化合物を含むであろうと考えられる。オレフィン化合物は、コークスに変換されることがあり、プレウェッティング工程の最中に使用されると、触媒を損傷することがあると考えられる。
【0071】
生産反応器の出口流は、液体流出物とガス状流出物に分離されることがある。液体流出物は、液体であることがあり、ガス状流出物は、200℃の温度および生産反応器内の圧力で、気体であることがある。ガス状流出物は、炭化水素、水素ガス、および活性作用物質の1つ以上を含むことがある。液体流出物は、炭化水素および水の1つ以上を含むことがある。
【0072】
ガス状流出物の少なくとも一部は、生産反応器に戻されるように再循環されることがある。ガス状流出物の少なくとも一部は、他に使用するために、抜き取られる、または分離されることがある。ガス状流出物の0質量%から40質量%が、生産反応器に戻されるように再循環されることがある。例えば、ガス状流出物の0質量%から30質量%、0質量%から20質量%、0質量%から10質量%、1質量%から40質量%、1質量%から30質量%、1質量%から10質量%、10質量%から40質量%、30質量%から40質量%、またはその任意の部分的範囲が、生産反応器に戻されるように再循環されることがある。
【0073】
液体流出物の少なくとも一部は、生産反応器に戻されるように再循環されることがある。液体流出物の少なくとも一部は、他に使用するために、抜き取られる、または分離されることがある。液体流出物の10質量%から50質量%が、生産反応器に戻されるように再循環されることがある。例えば、液体流出物の0質量%から40質量%、10質量%から30質量%、10質量%から20質量%、20質量%から50質量%、20質量%から40質量%、20質量%から30質量%、30質量%から50質量%、30質量%から40質量%、40質量%から50質量%、またはその任意の部分的範囲が、生産反応器に戻されるように再循環されることがある。代わりの実施の形態によれば、液体流出物は、生産反応器に戻されるように再循環されない。
【0074】
変換触媒は、改質された水素化触媒を生産反応器から除去せずに、変換反応器から除去されることがある。理論で限定されないが、変換触媒は、改質された水素化触媒を交換する必要性が生じる前に、汚染物質によって失活されることがあるので、変換触媒のみを除去することが好ましいであろう。
【0075】
変換触媒:水素化触媒の質量比は、1:1000から100:1000であることがある。例えば、変換触媒:水素化触媒の質量比は、1:1000から80:1000、1:1000から60:1000、1:1000から20:1000、10:1000から100:1000、10:1000から80:1000、10:1000から60:1000、20:1000から100:1000、20:1000から80:1000、30:1000から100:1000、40:1000から100:1000、またはその任意の部分的範囲であることがある。
【0076】
改質された水素化触媒中の全ての汚染物質の合計質量は、改質された水素化触媒の総質量の1質量%未満であることがある。例えば、汚染物質の合計質量は、改質された水素化触媒の総質量の0.5質量%未満、0.1質量%未満、0.01質量%未満、0.001質量%未満、0.0001質量%未満、またさらには0.00001質量%未満であることがある。汚染物質は、ナトリウム、カリウム、炭素、窒素、水、鉄、水銀、リン、およびバナジウムの1つ以上を含むことがある。
【0077】
前記プロセスは、水素化処理プロセスにおいて、改質された水素化触媒を水素化処理物質と接触させる工程をさらに含むことがある。水素化処理物質は、ナフサ、ケロシン、ディーゼル、または真空軽油を称することがある。ここに用いられているように、ナフサは、20℃から180℃の沸点を有する原油蒸留物を称する。ここに用いられているように、「ケロシン」は、180℃から240℃の沸点を有する石油留分を称する。ここに用いられているように、「ディーゼル」は、240℃から370℃の沸点を有する石油留分を称する。ここに用いられているように、「真空軽油」は、370℃から565℃の沸点を有する石油留分を称する。
【0078】
水素化処理プロセスは、水素化分解または水素化処理を含むことがある。水素化分解は、65バール(6.5MPa)から200バール(20MPa)の圧力および400℃から500℃の温度で、改質された水素化触媒を水素化処理物質および水素と接触させる工程を含むことがある。水素化処理は、30バール(3MPa)から130バール(13MPa)の圧力および300℃から450℃の温度で、改質された水素化触媒を水素化処理物質および水素と接触させる工程を含むことがある。
【0079】
いくつかの実施の形態によれば、水素化処理物質は、変換触媒と接触しない。例えば、変換触媒は、水素化触媒に十分な改質が行われた後、変換反応器から除去されることがある。あるいは、水素化触媒に十分な改質が行われた後、水素化処理物質の生産反応器への流れは、弁の使用などによって、変換反応器を迂回するように経路が定められることがある。十分な改質は、ブレイクスルーへの到達または所定の量のアンモニア吸着と定義されることがある。
【0080】
単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、ある態様によれば、水素化触媒を改質するプロセスは、前駆体作用物質を変換反応器に導入する工程、水素ガスを変換反応器中に導入する工程、変換反応器内で前駆体作用物質を変換触媒と接触させ、それによって、活性作用物質を生成する工程、活性作用物質を生産反応器に導入する工程、および生産反応器内で活性作用物質を水素化触媒と接触させ、それによって、改質された水素化触媒を生成する工程を含み、その前駆体作用物質は液体として変換反応器に導入され、活性作用物質は気体として生産反応器に導入される。
【0081】
単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、第2の態様によれば、前駆体作用物質は硫化物前駆体を含み、前駆体変換触媒は硫化物変換触媒を含む。
【0082】
単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、第3の態様によれば、硫化物変換触媒は、Co、Mo、W、Ni、およびアルミナの1つ以上を含む。
【0083】
単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、第4の態様によれば、硫化物前駆体は、1種類以上の有機一硫化物またはポリ硫化物を含む。
【0084】
単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、第5の態様によれば、前駆体作用物質はジスルフィド油(DSO)である。
【0085】
単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、第6の態様によれば、前駆体作用物質はアンモニア前駆体を含み、前駆体変換触媒はアンモニア変換触媒を含む。
【0086】
単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、第7の態様によれば、アンモニア変換触媒は、Co、Mo、W、Ni、およびアルミナの1つ以上を含む。
【0087】
単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、第8の態様によれば、アンモニア前駆体は、窒素を含む1種類以上の有機化合物を含む。
【0088】
単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、第9の態様によれば、変換触媒は硫化されていない。
【0089】
単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、第10の態様によれば、前駆体作用物質は硫化物前駆体を含み、前記プロセスは、アンモニア前駆体を変換反応器に導入する工程、水素ガスを変換反応器に導入する工程、変換反応器内でアンモニア前駆体を変換触媒と接触させ、それによって、アンモニアガスを生成する工程、アンモニアガスを生産反応器に導入する工程、および生産反応器内でアンモニアガスを改質された水素化触媒と接触させ、それによって、硫化され不動態化された水素化触媒を生成する工程をさらに含み、アンモニア前駆体は、液体として変換反応器に導入され、アンモニアガスは、気体として生産反応器に導入される。
【0090】
単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、第11の態様によれば、前記プロセスは、水素ガスを生産反応器に導入する工程をさらに含む。
【0091】
単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、第12の態様によれば、前記プロセスは、炭化水素原料を変換反応器に導入する工程をさらに含む。
【0092】
単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、第13の態様によれば、前記プロセスは、生産反応器の出口流を液体流出物とガス状流出物に分離する工程をさらに含む。
【0093】
単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、第14の態様によれば、前記プロセスは、ガス状流出物の少なくとも一部を生産反応器に戻すように再循環させる工程をさらに含む。
【0094】
単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、第15の態様によれば、前記プロセスは、液体流出物の少なくとも一部を生産反応器に戻すように再循環させる工程をさらに含む。
【0095】
単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、第16の態様によれば、水素化触媒は、アルミナ、シリカ-アルミナ、ゼオライト、またはその組合せを含む。
【0096】
単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、第17の態様によれば、水素化触媒は、Mo、W、Co、またはNiの1つ以上を含む。
【0097】
単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、第18の態様によれば、前記プロセスは、変換反応器内でブレイクスルーが達成された後、前駆体作用物質を変換反応器に導入し続ける工程をさらに含む。
【0098】
単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、第19の態様によれば、改質された水素化触媒中の全ての汚染物質の合計質量は、改質された水素化触媒の総質量の1質量%未満である。
【0099】
単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、第20の態様によれば、前記プロセスは、水素化処理プロセスにおいて、改質された水素化触媒を水素化処理物質と接触させる工程をさらに含み、水素化処理物質は、変換触媒と接触しない。
【実施例】
【0100】
比較例1:生産反応器内のジメチルジスルフィド(DMDS)による硫化
370メートルトンの前処理および水素化触媒を水素化分解装置の第一段に装填した。触媒の56体積%は前処理触媒であり、触媒の44体積%は分解触媒であった。前処理触媒は、分解触媒から上流にある、分解触媒と直列の別の反応器内にあった。
【0101】
触媒乾燥:水素化分解装置内の雰囲気内に水素ガスを勢いよく流し、圧力を30バール(3MPa)に増加させた。次いで、反応器の入口温度を、セ氏17度毎時(℃/時)の速度で室温から105℃に上昇させた。105℃に到達した際に、昇温速度を6℃/時に低下させ、水素化触媒のピーク温度が135℃に到達するまで、加熱を継続した。次に、系の圧力を、水素ガスの添加により150バール(15MPa)まで増加させた。低温と高温の高圧分離器内の両方で水の蓄積が観察され、触媒が乾燥されていたことが示される。乾燥は、150バール(15MPa)および135℃で4時間に亘り継続した。
【0102】
触媒のプレウェッティング:触媒の乾燥プロセス後、触媒床の温度を135℃から100℃~110℃に低下させた。反応器内の触媒床の温度を100℃で安定化させた。次に、系の圧力を105バール(10.5MPa)に低下させた。始動時の油(startup oil)は、200質量百万分率(ppm)の窒素および1質量%の硫黄を含む、375℃の95質量%点を有する直留ディーゼルであった。始動時の油を、2質量%の総硫黄濃度にするのに十分なDMDSと混ぜ合わせ、その混合物を25,000バレル毎稼働日(BPSD)の速度で反応器に導入した。
【0103】
触媒の硫化:次に、反応器の入口温度を17℃/時の速度で238℃まで上昇させた。45,000kgのDMDSを注入したときに、ブレイクスルーに到達した。
【0104】
本発明の実施例1:DMDS変換反応器内で生成されたH2Sによる硫化
370メートルトンの前処理および水素化触媒を水素化分解装置に装填した。触媒の56体積%は前処理触媒であり、触媒の44体積%は分解触媒であった。前処理触媒は、アルミナ上のNi-Moであり、分解触媒は、5質量%のUSYゼオライトを含むシリカ-アルミナ上のNi-Moであった。追加の1.5m3のCo-Mo/アルミナ変換触媒を変換反応器に装填した。
【0105】
触媒乾燥:水素化分解装置内の雰囲気内に水素ガスを勢いよく流し、圧力を30バール(3MPa)に増加させた。次いで、反応器の入口温度を、セ氏17度毎時(℃/時)の速度で室温から105℃に上昇させた。105℃に到達した際に、昇温速度を6℃/時に低下させ、水素化触媒のピーク温度が135℃に到達するまで、加熱を継続した。次に、系の圧力を150バール(15MPa)まで増加させた。低温と高温の高圧分離器内の両方で水の蓄積が観察され、触媒が乾燥されていたことが示される。乾燥は、150バール(15MPa)および135℃で4時間に亘り継続した。
【0106】
触媒のプレウェッティング:触媒の乾燥プロセス後、触媒床の温度を135℃から100℃~110℃に低下させた。反応器内の触媒床の温度を100℃で安定化させた。次に、系の圧力を105バール(10.5MPa)に低下させた。始動時の油は、200質量百万分率(ppm)の窒素および1質量%の硫黄を含む、375℃の95質量%点を有する直留ディーゼルであった。始動時の油を、2質量%の総硫黄濃度にするのに十分なDMDSと組合せ、その混合物を25,000バレル毎稼働日(BPSD)の速度で反応器に導入した。
【0107】
次に、反応器の入口温度を、17℃/時の速度で110℃から238℃に上昇させた。
【0108】
DMDS変換反応器の作動:DMDSおよび水素を、3:1の水素:DMDSのモル比で、3,000L/時の速度でDMDS変換反応器中に注入した。DMDS変換反応器は、0.75メートルの内径および2メートルの高さを有していた。反応器は、30バール(3MPa)の圧力および220℃で作動させた。DMDSを硫化水素に完全に変換し、1134L/時の硫化水素を生成した。生成されたガス混合物を商業的な反応器に供給して、触媒を硫化させた。45,000kgのDMDSを注入したときに、ブレイクスルーに到達した。
【0109】
「少なくとも1つの」成分、要素などのここでの言及は、冠詞「a」または「an」の変わりの使用が1つの成分、要素などに限定されるべきであるという推論を作るために使用されるべきではないことにも留意されたい。
【0110】
本開示の主題をその特定の実施の形態を参照して詳しく説明してきたが、ここに開示された様々な詳細は、これらの詳細が、本記述に付随する図面の各々に特定の要素が示されている場合でさえ、ここに記載された様々な実施の形態の必須構成要素である要素に関することを暗示すると解釈されるべきではない。さらに、以下に限られないが、付随の特許請求の範囲に定義された実施の形態を含む、本開示の範囲から逸脱せずに、改変および変更が可能であることが明白となる。より詳しくは、本開示のいくつかの態様は、好ましいまたは特に有利であるとここに特定されているが、本開示は、これらの態様に必ずしも限定されないと考えられる。
【0111】
以下の請求項の1つ以上は、移行句として「ここで」という用語を利用していることに留意のこと。本発明を定義する目的のために、この用語は、構造の一連の特徴の列挙を導入するために使用される制約のない移行句として請求項に導入されており、「含む」というより一般に使用されている制約のない前提用語と同じ様式で解釈されるべきであることに留意のこと。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0111
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0111】
以下の請求項の1つ以上は、移行句として「ここで」という用語を利用していることに留意のこと。本発明を定義する目的のために、この用語は、構造の一連の特徴の列挙を導入するために使用される制約のない移行句として請求項に導入されており、「含む」というより一般に使用されている制約のない前提用語と同じ様式で解釈されるべきであることに留意のこと。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
水素化触媒を改質するプロセスであって、
前駆体作用物質を変換反応器に導入する工程、
水素ガスを前記変換反応器中に導入する工程、
前記変換反応器内で前記前駆体作用物質を変換触媒と接触させ、それによって、活性作用物質を生成する工程、
前記活性作用物質を生産反応器に導入する工程、および
前記生産反応器内で前記活性作用物質を水素化触媒と接触させ、それによって、改質された水素化触媒を生成する工程、
を有してなり、
前記前駆体作用物質は液体として前記変換反応器に導入され、
前記活性作用物質は気体として前記生産反応器に導入される、プロセス。
実施形態2
前記前駆体作用物質が硫化物前駆体を含み、前記前駆体変換触媒が硫化物変換触媒を含む、実施形態1に記載のプロセス。
実施形態3
前記硫化物前駆体が、1種類以上の有機一硫化物またはポリ硫化物を含む、実施形態2に記載のプロセス。
実施形態4
前記前駆体作用物質がジスルフィド油(DSO)である、実施形態1から3のいずれか1つに記載のプロセス。
実施形態5
前記前駆体作用物質がアンモニア前駆体を含み、前記前駆体変換触媒がアンモニア変換触媒を含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載のプロセス。
実施形態6
前記アンモニア前駆体が、窒素を含む1種類以上の有機化合物を含む、実施形態5に記載のプロセス。
実施形態7
前記前駆体作用物質が硫化物前駆体を含み、
前記プロセスが、
アンモニア前駆体を前記変換反応器に導入する工程、
水素ガスを前記変換反応器に導入する工程、
前記変換反応器内で前記アンモニア前駆体を前記変換触媒と接触させ、それによって、アンモニアガスを生成する工程、
前記アンモニアガスを前記生産反応器に導入する工程、および
前記生産反応器内で前記アンモニアガスを前記改質された水素化触媒と接触させ、それによって、硫化され不動態化された水素化触媒を生成する工程、
をさらに含み、
前記アンモニア前駆体は、液体として前記変換反応器に導入され、
前記アンモニアガスは、気体として前記生産反応器に導入される、実施形態1から4のいずれか1つに記載のプロセス。
実施形態8
水素ガスを前記生産反応器に導入する工程をさらに含む、実施形態1から7のいずれか1つに記載のプロセス。
実施形態9
炭化水素原料を前記変換反応器に導入する工程をさらに含む、実施形態1から8のいずれか1つに記載のプロセス。
実施形態10
前記生産反応器の出口流を液体流出物とガス状流出物に分離する工程、および該ガス状流出物の少なくとも一部を該生産反応器に戻すように再循環させる工程をさらに含む、実施形態1から9のいずれか1つに記載のプロセス。
実施形態11
前記液体流出物の少なくとも一部を前記生産反応器に戻すように再循環させる工程をさらに含む、実施形態10に記載のプロセス。
実施形態12
前記水素化触媒が、アルミナ、シリカ-アルミナ、ゼオライト、またはその組合せを含む、実施形態1から11のいずれか1つに記載のプロセス。
実施形態13
前記変換反応器内でブレイクスルーが達成された後、前記前駆体作用物質を該変換反応器に導入し続ける工程をさらに含む、実施形態1から12のいずれか1つに記載のプロセス。
実施形態14
前記改質された水素化触媒中の全ての汚染物質の合計質量が、該改質された水素化触媒の総質量の1質量%未満である、実施形態1から13のいずれか1つに記載のプロセス。
実施形態15
水素化処理プロセスにおいて、前記改質された水素化触媒を水素化処理物質と接触させる工程をさらに含み、該水素化処理物質は、前記変換触媒と接触しない、実施形態1から14のいずれか1つに記載のプロセス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素化触媒を改質するプロセスであって、
前駆体作用物質を変換反応器に導入する工程、
水素ガスを前記変換反応器中に導入する工程、
前記変換反応器内で前記前駆体作用物質を変換触媒と接触させ、それによって、活性作用物質を生成する工程、
前記活性作用物質を生産反応器に導入する工程、および
前記生産反応器内で前記活性作用物質を水素化触媒と接触させ、それによって、改質された水素化触媒を生成する工程、
を有してなり、
前記前駆体作用物質は液体として前記変換反応器に導入され、
前記活性作用物質は気体として前記生産反応器に導入される、プロセス。
【請求項2】
前記前駆体作用物質が硫化物前駆体を含み、前記前駆体変換触媒が硫化物変換触媒を含む、請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
前記硫化物前駆体が、1種類以上の有機一硫化物またはポリ硫化物を含む、請求項2記載のプロセス。
【請求項4】
前記前駆体作用物質がジスルフィド油(DSO)である、
請求項1記載のプロセス。
【請求項5】
前記前駆体作用物質がアンモニア前駆体を含み、前記前駆体変換触媒がアンモニア変換触媒を含む、
請求項1記載のプロセス。
【請求項6】
前記アンモニア前駆体が、窒素を含む1種類以上の有機化合物を含む、請求項5記載のプロセス。
【請求項7】
前記前駆体作用物質が硫化物前駆体を含み、
前記プロセスが、
アンモニア前駆体を前記変換反応器に導入する工程、
水素ガスを前記変換反応器に導入する工程、
前記変換反応器内で前記アンモニア前駆体を前記変換触媒と接触させ、それによって、アンモニアガスを生成する工程、
前記アンモニアガスを前記生産反応器に導入する工程、および
前記生産反応器内で前記アンモニアガスを前記改質された水素化触媒と接触させ、それによって、硫化され不動態化された水素化触媒を生成する工程、
をさらに含み、
前記アンモニア前駆体は、液体として前記変換反応器に導入され、
前記アンモニアガスは、気体として前記生産反応器に導入される、
請求項1記載のプロセス。
【請求項8】
水素ガスを前記生産反応器に導入する工程をさらに含む、請求項1から7いずれか1項記載のプロセス。
【請求項9】
炭化水素原料を前記変換反応器に導入する工程をさらに含む、
請求項1から7いずれか1項記載のプロセス。
【請求項10】
前記生産反応器の出口流を液体流出物とガス状流出物に分離する工程、および該ガス状流出物の少なくとも一部を該生産反応器に戻すように再循環させる工程をさらに含む、
請求項1から7いずれか1項記載のプロセス。
【請求項11】
前記液体流出物の少なくとも一部を前記生産反応器に戻すように再循環させる工程をさらに含む、請求項10記載のプロセス。
【請求項12】
前記水素化触媒が、アルミナ、シリカ-アルミナ、ゼオライト、またはその組合せを含む、
請求項1から7いずれか1項記載のプロセス。
【請求項13】
前記変換反応器内でブレイクスルーが達成された後、前記前駆体作用物質を該変換反応器に導入し続ける工程をさらに含む、
請求項1から7いずれか1項記載のプロセス。
【請求項14】
前記改質された水素化触媒中の全ての汚染物質の合計質量が、該改質された水素化触媒の総質量の1質量%未満である、
請求項1から7いずれか1項記載のプロセス。
【請求項15】
水素化処理プロセスにおいて、前記改質された水素化触媒を水素化処理物質と接触させる工程をさらに含み、該水素化処理物質は、前記変換触媒と接触しない、
請求項1から7いずれか1項記載のプロセス。
【国際調査報告】