(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】近隣ゲートによってスイッチする画素センサ
(51)【国際特許分類】
H04N 25/77 20230101AFI20240125BHJP
H04N 25/47 20230101ALI20240125BHJP
H04N 25/773 20230101ALI20240125BHJP
H04N 25/40 20230101ALI20240125BHJP
【FI】
H04N25/77
H04N25/47
H04N25/773
H04N25/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537617
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(85)【翻訳文提出日】2023-08-03
(86)【国際出願番号】 EP2021087594
(87)【国際公開番号】W WO2022136682
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523228565
【氏名又は名称】ボクセルセンサーズ エスアールエル
【氏名又は名称原語表記】VOXELSENSORS SRL
【住所又は居所原語表記】Cantersteen 47, Brussels, Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】ウォード ファン デル テンペル
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ウィレム ピータース
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ ベルナルド ミオデツキー
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン ムラド
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024CX11
5C024GX03
5C024GX15
5C024GX16
5C024GX19
5C024GY39
5C024GY41
5C024GY45
5C024HX27
5C024HX51
(57)【要約】
本発明は、高い検出精度を有する撮像センサシステム(26)に関する。撮像センサシステム(26)は、複数の画素センサ(1)と、少なくとも1つの光源とを有する。画素センサ(1)はクラスタにグループ化され、各画素センサ(1)は、光検出器(2)とローカル制御回路(18)とを有する。各クラスタにおける複数の画素センサ(1)は、前記ローカルクラスタ内の光検出器(2)の少なくとも2つの出力からローカル検出信号(10)を検出すると、ローカル制御回路(18)を用いて、グローバル検出信号(15)を出力するように構成されている。撮像センサシステム(26)では、各検出が前記ローカルクラスタ内の光検出器(2)の少なくとも2つのポジティブ出力を必要とするため、フォルスポジティブの検出が除外され、高い検出精度が得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素センサ(1)と、
少なくとも1つの光源と、
を有する撮像センサシステム(26)であって、
前記複数の画素センサ(1)は、少なくとも2つの画素センサ(1)を有する少なくとも1つのローカルクラスタにグループ化されており、
前記ローカルクラスタ内の前記画素センサ(1)は、それぞれ、前記ローカルクラスタ内の少なくとも1つの他の画素センサに隣接しており、
前記画素センサは、それぞれ、
そこに衝突する単一光子(3)を検出可能であり、且つ、光子(2)を検出した際、電気的なローカル検出信号(1)を出力するための出力を有する光検出器(2)と、
ローカル制御回路(18)と、
を有し、
前記ローカルクラスタにおける前記複数の画素センサ(1)は、前記ローカルクラスタ内の光検出器(2)の少なくとも2つの出力からローカル検出信号(10)を検出したとき、前記ローカル制御回路を用いて、グローバル検出信号(15)を出力するように構成されており、
前記画素センサそれぞれの前記ローカル制御回路(18)は、
ローカル有効化手段(11)と、
前記ローカル有効化手段(11)に接続されたネイバーフッド有効化手段(12)と、
を有し、
前記画素センサの前記ローカル検出信号(10)は、前記画素センサ(11)における前記ローカル有効化手段(11)に供給され、
前記画素センサの前記ネイバーフッド有効化手段(12)には、前記ローカルクラスタにおける少なくとも1つの他の画素センサにおける少なくとも1つのローカル検出信号(10)が供給され、
前記複数の画素センサ(1)は、前記ローカル有効化手段(11)及び前記ネイバーフッド有効化手段(12)の両方がトリガされると、前記グローバル検出信号(15)を出力するように構成されており、
前記撮像センサシステム(26)は、複数の行バス(16,16´)及び複数の列バス(17,17´)を更に有し、
前記複数の画素センサ(1)は、複数の行及び複数の列に整列されており、
それぞれの画素センサ行は、少なくとも1つの列バス(17)に接続されるとともに関連付けられており、
前記複数の画素センサ(1)のそれぞれの前記グローバル検出信号(15)は、前記関連付けられた行バス(16,16´)及び列バス(17,17´)に接続され、
各行における前記グローバル検出信号(15)が、互いに集約されて行検出信号が形成されるとともに、各列における前記グローバル検出信号(15)が、互いに集約されて列検出信号が形成される、
撮像センサシステム(26)。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像センサシステム(26)において、
前記ローカルクラスタにおける前記複数の画像センサ(1)は、該ローカルクラスタ内の前記光検出器(2)の少なくとも2つの出力から、所定の時間遅延内にローカル検出信号(1)を検出すると、グローバル検出信号(15)を出力するように構成されている、
撮像センサシステム(26)。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の撮像センサシステム(26)において、
前記光検出器(2)は、単一光子検出器又は単一光子アバランシェダイオードである、撮像センサシステム(26)。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の撮像センサシステム(26)において、
前記ローカル有効化手段(11)及び/又は前記ネイバーフッド有効化手段(12)は、
トランジスタ、好ましくはNMOSトランジスタを有する、
撮像センサシステム(26)。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の撮像センサシステム(26)において、
前記複数の画素センサ(1)は、それぞれ、前記画素センサの前記光検出器の出力に接続されたバッファ(9)を更に有し、前記バッファ(9)は、前記光検出器の出力を所定の閾値電圧レベルと比較する、
撮像センサシステム(26)。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の撮像センサシステム(26)において、
異なるローカルクラスタのグローバル検出信号(15)は、互いに集約されてクラスタ検出信号を形成する、
撮像センサシステム(26)。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の撮像センサシステム(26)において、
前記ローカル検出信号(10)、前記グローバル検出信号(15)及び/又は前記クラスタ検出信号は、バイナリ信号である、
撮像センサシステム(26)。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の撮像センサシステム(26)において、
前記複数の画素センサは、それぞれ、2つ以上のローカルクラスタに関連付けられている、
撮像センサシステム(26)。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1つに記載の撮像センサシステム(26)において、
前記撮像センサシステム(26)は、前記行検出信号及び前記列検出信号を同期させる同期手段を更に有する、
撮像センサシステム(26)。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1つに記載の撮像センサシステム(26)において、
前記撮像センサシステム(26)は、最大100個の画素センサ(1)を有する、若しくは、好ましくは、最大50個の画素センサ(1)は、1行において又は1列において接続されている、
撮像センサシステム(26)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像センサシステムに関する。特に、本発明は、高い検出精度を有する撮像センサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術のアクティブイメージングの走査では、光ビーム、典型的にはレーザ、をキャプチャ対象領域上で移動させ、ビームが入射した位置を複数の画像センサを介して時間ごとに記録する。異なる視点(センサ)からの位置の違いを処理することによって、ビームが照射された対象物までの実効距離を三角測量によって決定することができる。このような計測によりボクセルをキャプチャする。この処理を実行する速度、ボクセルレートは、一方では、光ビームによる走査が行われる速度によって制限されるが、他方では、特に背景放射(外乱光)及び一般的な熱雑音に対して、反射した光ビームの検出のためにセンサが必要とする処理時間によって(最も強く)制限される。この第2の問題に特に取り組むことにより、画像形成を大幅に高速化できる。
【0003】
毎秒数千万ボクセルから数億ボクセルというボクセルレートを達成するためには、各ボクセルを10ns以下の時間で記録する必要がある。そのため、センサは、例えば10個の光子など、限られたフォトンバジェット(すなわち、検出に十分な、センサによって検出された衝突光子数)で動作するのに適している必要もある。限られた処理時間では、限られた数の光子しか収集できない。
【0004】
既存の画像処理システム及び画像形成システムは、センサによって取得された光入力を、いわゆる「グローバルシャッタ」の場合には全ての画素に対して並列的に処理するか、「ローリングシャッタ」の場合には時間の経過とともに処理するかのどちらかである。いずれの場合も、典型的な撮像システムは、最低検出電圧を超える記録可能な信号を生成するために、衝突電子1個あたり10μV~1mVの利得係数を有する。上記の範囲における上限値は、光子を数えるために特化して改良され、非常に低い検出率に焦点を当てたごく最近の撮像装置によってのみ保証され得る、という点に注意する必要がある。このような特殊なセンサを使用すると、10個の電子に対して10mVの信号を生成することができ、この信号は特定の画素によってポジティブと読み取ることができる。衝突光子のパッケージを検出するためには、最低10個の光子が必要であり、しかも10nsの時間の間にセンサに衝突する必要がある。従来技術では、これまで、センサの露光時間を例えば10nsに制限し、センサを読み取って、閾値電圧によってイベントをトリガする(すなわち、外乱光や熱雑音によるフォルスポジティブ(false positive)ではなく、反射ビームの実際の衝突)ことが行われてきた。この方法の短所として、特に高解像度の撮像装置では、センサの読み取りに必要な時間が処理を支配し、通常では10nsより大幅に長くなるため、ボトルネックが生じる。
【0005】
別の短所として、1つの画素センサにおける外乱光又は熱雑音が、フォルスポジティブ、例えば誤検出をもたらす可能性がある、という点が挙げられる。
【0006】
例えばWO2019/060942A1に記載されているような従来技術のシステムは、個々の検出器の信号を「グループ」(”grouping”)ごと、又は、クラスタごとのイベント回路に供給し、(恐らく取り得るパターンのリストから)特定のパターンが認識されると、イベントトリガを生成する。認識に伴って、識別されたニューラル特徴(パターン)のアドレス又は識別子がデータバスに読み出される。或いは、SPADのアドレスを読み出すことができる。しかしながら、これには、ニューラル特徴回路がクラスタごとに設けられることで潜在的な問題を生むため、多くの欠点がある。
【0007】
US2018/0225521A1などの他のシステムは、画素に組み込まれたローカルイベントの交差検出を使用しているが、前記イベントの位置を判定する効率的な方法を提供してはいない。更に、クラスタごとに「確認された」画素を1つのみ使用するため、上記従来技術の場合、イベント検出の信頼性は十分に高くはない。
【0008】
本発明は、上述した問題の少なくとも幾つかを解決することを目的とする。
【発明の概要】
【0009】
第1の態様において、本発明は、
複数の画素センサ(1)と、
少なくとも1つの光源と、
を有する撮像センサシステムであって、
前記複数の画素センサ(1)は、少なくとも2つの画素センサ(1)を有する少なくとも1つのローカルクラスタにグループ化されており、
前記ローカルクラスタ内の前記画素センサ(1)は、それぞれ、前記ローカルクラスタ内の少なくとも1つの他の画素センサに隣接しており(adjoin)、
前記画素センサは、それぞれ、
そこに衝突する単一光子を検出可能であり、且つ、光子を検出した際、電気的なローカル検出信号を出力するための出力を有する光検出器と、
ローカル制御回路と、
を有し、
前記ローカルクラスタにおける前記複数の画素センサが、前記ローカルクラスタ内の光検出器の少なくとも2つの出力からローカル検出信号を検出したとき、前記ローカル制御回路を用いて、グローバル検出信号を出力するように構成されており、
前記画素センサそれぞれの前記ローカル制御回路は、
ローカル有効化手段(local enabling means)と、
前記ローカル有効化手段に接続されたネイバーフッド有効化手段(neighborhood enabling means)と、
を有し、
前記画素センサの前記ローカル検出信号は、前記画素センサにおける前記ローカル有効化手段に供給され、
前記画素センサの前記ネイバーフッド有効化手段には、前記ローカルクラスタにおける少なくとも1つの他の画素センサにおける少なくとも1つのローカル検出信号が供給され、
前記複数の画素センサは、前記ローカル有効化手段及び前記ネイバーフッド有効化手段の両方がトリガされると、前記グローバル検出信号を出力するように構成されている、
撮像センサシステムに関する。
【0010】
この方式に関する好ましい実施形態は、請求項2~10に記載されている。
【0011】
前記システムは、複数の画素センサを有する。前記複数の画素センサは、少なくとも2つの画素センサを有する少なくとも1つのローカルクラスタにグループ化される。前記ローカルクラスタ内の各画素センサは、該ローカルクラスタ内の少なくとも1つの他の画素センサに隣接している。前記画素センサは、行及び列に整列されてもよい。より正確な検出を得るために、1つのローカルクラスタ内の複数の画素センサが互いに協働又は動作又は補助することが、本発明の実施形態の利点である。
【0012】
前記システムは、少なくとも1つの光源を更に有する。
【0013】
各画素センサは光検出器を有する。前記光検出器は、そこに衝突する単一光子を検出できる。前記単一光子は、前記少なくとも1つの光源によって生成される。前記光検出器は、光子を検出した際、電気的なローカル検出信号を出力するための出力を有する。
【0014】
各画素センサは、ローカル制御回路を更に有する。前記ローカルクラスタにおける複数の画素センサは、該ローカルクラスタ内の前記光検出器の少なくとも2つの出力からローカル検出信号を検出すると、前記ローカル制御回路を用いて、グローバル検出信号を出力するように構成されている。
【0015】
異なるローカルクラスタのグローバル検出信号は、互いに集約されてクラスタ検出信号を形成してもよい。前記クラスタ検出信号は、クラスタバスに出力されてもよい。
【0016】
前記複数の画素センサは、それぞれ、2つ以上のローカルクラスタに関連付けられてもよい。よって、近隣にある(neighboring)2つのローカルクラスタの間の領域に衝突する光子を検出することもできる、という点が本発明の実施形態の利点である。
【0017】
各画素センサのローカル制御回路は、ローカル有効化手段とネイバーフッド有効化手段とを有する。前記ネイバーフッド有効化手段は、前記ローカル有効化手段に接続されている。前記画素センサの前記ローカル検出信号は、当該画素センサの前記ローカル有効化手段に供給される。前記画素センサの前記ネイバーフッド有効化手段には、前記ローカルクラスタ内の少なくとも1つの他の画素センサにおける少なくとも1つのローカル検出信号が供給される。これらの画素センサは、前記ローカル有効化手段及び前記ネイバーフッド有効化手段の両方がトリガされると、前記グローバル検出信号を出力するように構成されている。
【0018】
前記ローカルクラスタ内の前記他の画素センサにおける前記ローカル検出信号によって、誤検出の可能性が低減されるという点が、本発明の実施形態の利点である。1つの画素センサの誤検出によってグローバル検出信号が出力されないという点が、本発明の実施形態の利点である。より正確な検出が得られるという点が、本発明の実施形態の利点である。高精度の画素センサを得られるという点が、本発明の実施形態の利点である。検出精度に対する外乱光又は熱雑音の影響が低減されるという点が、本発明の実施形態の利点である。
【0019】
前記光検出器は単一光子検出器であってもよい。また、前記光検出器は単一光子アバランシェダイオードであってもよい。
【0020】
前記ローカル有効化手段及び/又は前記ネイバーフッド有効化手段は、トランジスタを有してもよい。前記ローカル検出信号、前記グローバル検出信号、及び前記クラスタ検出信号は、好ましくはバイナリ信号である。
【0021】
前記システムは、各画素センサの前記光検出器の出力に接続されたバッファを更に有してもよい。前記バッファは比較器であってもよい。前記バッファは、前記光検出器の出力を所定の閾値電圧レベルと比較してもよい。前記バッファによって、前記光検出器の出力を前記ローカル制御回路から分離することができるという点が、本発明の実施形態の利点である。前記閾値電圧レベル未満の前記光検出器の出力が前記ローカル制御回路に渡らないため、あらゆるノイズ又はエラー信号を防ぐことができるという点が、本発明の実施形態の利点である。
【0022】
前記システムは、複数の行バス及び複数の列バスを更に有してもよい。前記画素センサは、複数の行及び複数の列に整列されてもよい。各画素センサ行は、少なくとも1つの行バスに接続されるとともに関連付けられる。同様に、各画素センサ列は、少なくとも1つの列バスに接続されるとともに関連付けられる。
【0023】
各画素センサの前記グローバル検出信号は、関連する行バス及び列バスに接続されてもよい。各行における前記グローバル検出信号は、互いに集約されて行検出信号が形成されてもよい。同様に、各列における前記グローバル検出信号は、互いに集約されて列検出信号が形成されてもよい。
【0024】
前記システムは、同期手段を更に有してもよい。前記同期手段は、前記行検出信号及び前記列検出信号を同期させる。
【0025】
前記システムは100個の画素センサを有してもよい。1つの行は最大50個の画素センサを有してもよい。更に、1つの列は最大50個の画素センサを有してもよい。
【0026】
以下の詳細な説明において、本発明、特に好ましい実施形態の更なる利点を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る画素センサ(1)の回路実装図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る4つのセンサクラスタ(19~22)を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る、行及び列において接続された画素センサ(1)を有する撮像センサシステム(26)の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、撮像センサシステムに関する。
【0029】
特に定義しない限り、技術用語及び科学用語を含む本発明の開示に使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解される意味を有する。さらなる指針として、本発明の教示をよりよく理解するために、用語の定義を含む。
【0030】
本明細書で使用される場合、以下の用語は以下の意味を有する。
【0031】
本明細書で使用される「a」、「an」及び「the」は、文脈上特段の指定がない限り、単数と複数との両方の指示対象を参照する。例として、「a contaminant」(汚染物質)は、1つ又は2つ以上の汚染物質を意味する。
【0032】
本明細書において、パラメータ、量、持続時間などの測定可能な値を参照して使用される「約」(about)は、開示された本発明において実施するために適切な変動の限りにおいて、指定された値の及び指定された値から+/-20%以内、好ましくは+/-10%以内、より好ましくは+/-5%以内、更に好ましくは+/-1%以内、更に好ましくは+/-0.1%以内の変動を含むことを意味する。しかしながら、修飾語「約」が参照する値自体も具体的に開示されていると理解されるべきである。
【0033】
本明細書で使用される「comprise」、「comprising」及び「comprises」並びに「comprised of」は、「include」、「including」、「includes」又は「contain」、「containing」、「contains」と同義であり、例えばコンポーネントといった後に続くものの存在を特定する包括的又はオープンエンドの用語であって、当技術分野で周知又はそこで開示されている追加の記載されていないコンポーネント、特徴、要素、部材、工程の存在を除外又は排除しない。
【0034】
端点による数値範囲の記載は、その数値範囲内に入る全ての数及び分数、並びに記載された端点を含む。
【0035】
第1の態様において、本発明は、
複数の画素センサ(1)と、
少なくとも1つの光源と、
を有する撮像センサシステムであって、
前記複数の画素センサ(1)は、少なくとも2つの画素センサ(1)を有する少なくとも1つのローカルクラスタにグループ化されており、
前記ローカルクラスタ内の前記画素センサ(1)は、それぞれ、前記ローカルクラスタ内の少なくとも1つの他の画素センサ(1)に隣接しており、
前記画素センサは、それぞれ、
そこに衝突する単一光子を検出可能であり、且つ、光子を検出した際、電気的なローカル検出信号を出力するための出力を有する光検出器と、
ローカル制御回路と、
を有し、
前記ローカルクラスタにおける前記複数の画素センサは、前記ローカルクラスタ内の光検出器の少なくとも2つの出力からローカル検出信号を検出したとき、前記ローカル制御回路を用いて、グローバル検出信号を出力するように構成されており、
前記画素センサそれぞれの前記ローカル制御回路は、
ローカル有効化手段と、
前記ローカル有効化手段に接続されたネイバーフッド有効化手段と、
を有し、
前記画素センサの前記ローカル検出信号は、前記画素センサにおける前記ローカル有効化手段に供給され、
前記画素センサの前記ネイバーフッド有効化手段には、前記ローカルクラスタにおける少なくとも1つの他の画素センサにおける少なくとも1つのローカル検出信号が供給され、
前記複数の画素センサは、前記ローカル有効化手段及び前記ネイバーフッド有効化手段の両方がトリガされると、前記グローバル検出信号を出力するように構成されている、
撮像センサシステムに関する。
【0036】
好ましい実施形態では、前記システムは複数の画素センサを有する。前記複数の画素センサは、少なくとも2つの画素センサを有する少なくとも1つのローカルクラスタにグループ化される。前記ローカルクラスタ内の各画素センサは、該ローカルクラスタ内の少なくとも1つの他の画素センサに隣接している。例えば、各ローカルクラスタは、(例えば、近接して(in close proximity))隣接する最低2つの画素センサを有する。より好ましい実施形態では、各ローカルクラスタは、例えば互いに近接して隣接する4つの画素センサを有する。
【0037】
好ましい実施形態では、1つのローカルクラスタ内の複数の画素センサは互いに協働する。より好ましい実施形態では、1つのローカルクラスタ内の隣接する画素センサは、互いに協働又は動作又は補助する。このような協働により、より正確な検出が可能となる。
【0038】
好ましい実施形態では、前記システムは、少なくとも1つの光源を更に有する。例えば、前記光源は、前記画素センサによって検出可能な波長となるよう構成される。
【0039】
好ましい実施形態では、各画素センサは光検出器を有する。前記光検出器は、逆バイアス構成により配置してもよい。前記光検出器は、そこに衝突する単一光子を検出できる。前記単一光子は、前記光検出器に適した波長により、前記少なくとも1つの光源によって生成される。前記光検出器は、光子を検出した際、電気的なローカル検出信号を出力するための出力を有する。例えば、ローカル検出信号は、論理「1」を含む信号(例えば、検出)によって表されてもよいし、一方で、ローカル検出信号がないことが、論理「0」を含む信号(例えば、非検出)によって表されてもよい。
【0040】
好ましい実施形態では、前記光検出器は単一光子検出器であってもよい。または、好ましくは、前記光検出器は、単一光子アバランシェダイオードであってもよい。
【0041】
好ましい実施形態では、前記光検出器は、例えば分圧器の構成、又は他の任意の適切な構成によってバイアスされてもよい。例えば、前記光検出器は、一端が電圧供給源に接続され、他端が抵抗器に接続されてもよい。例えば、前記電圧供給源は3~20Vの電圧を有し、前記抵抗器は数百キロオームの抵抗を有する。前記抵抗は、基準レベルに、好ましくは接地レベル、例えば0Vに接続される。当業者であれば、これらの値は、前記回路の設計、及び前記単一光子アバランシェダイオードの降伏電圧に依存することが理解できるであろう。前記光検出器の出力(例えば、このケースでは、前記抵抗器において降下した電圧と同じ電圧レベルを有する)は、前記電圧供給源の電圧と前記接地レベルとの間にある。
【0042】
好ましい実施形態では、各画素センサはローカル制御回路を更に有する。前記ローカルクラスタ内の複数の画素センサが、前記ローカルクラスタ内の前記光検出器の少なくとも2つの出力からローカル検出信号を検出すると、前記ローカル制御回路を用いて、グローバル検出信号を出力するように構成されている。例えば、隣接する2つの画素センサを有するローカルクラスタでは、前記ローカル制御回路は、前記2つの画素センサから2つのローカル検出信号を検出すると、グローバル検出信号を出力する。例えば、画素センサごとに1つのグローバル検出信号が出力される。
【0043】
好ましい実施形態では、異なるローカルクラスタのグローバル検出信号は、互いに集約されてクラスタ検出信号を形成してもよい。前記クラスタ検出信号は、クラスタバスに出力されてもよい。例えば、これにより、どのローカルクラスタにおいて検出があったかについての情報を得ることができる。
【0044】
好ましい実施形態では、バスはデータハイウェイである。例えば、2つ以上の画素センサのデータを、どのデータがどの画素センサに属するかを受信側で確認できるように、バスにロードしてもよい。
【0045】
好ましい実施形態では、前記複数の画素センサは、それぞれ、2つ以上のローカルクラスタに関連付けられてもよい。例えば、直線状に1行に並んだ3つの画素センサを有するシステムは、左端から2つの画素センサを有する1つのローカルクラスタと、右端から2つの画素センサを有する1つのローカルクラスタという2つのローカルクラスタを有してもよい。このケースでは、中央の画素センサは両方のローカルクラスタの一部となっている。2つ以上のローカルクラスタに関連付けられている画素センサを有することで、必要な検出が2つのローカルクラスタの中間に位置する場合に有利である。例えば、互いに周囲に位置する少なくとも2つの画素センサである複数の画素センサは、1つのローカルクラスタと見なしてよい。例えば、1つの画素センサとそれに隣接する1つの画素センサを、1つのローカルクラスタと見なしてよい。
【0046】
好ましい実施形態では、各画素センサの前記ローカル制御回路は、ローカル有効化手段とネイバーフッド有効化手段とを有してもよい。前記ネイバーフッド有効化手段は、前記ローカル有効化手段に例えば直列に接続されるか、又は両方が論理ゲート、例えばANDゲートに接続される。前記画素センサのローカル検出信号は、前記画素センサのローカル有効化手段に供給される。前記画素センサのネイバーフッド有効化手段には、前記ローカルクラスタ内の少なくとも1つの他の画素センサにおける少なくとも1つのローカル検出信号が供給される。前記複数の画素センサは、例えば前記ローカルクラスタ内の少なくとも2つの画素センサにおいて前記ローカル有効化手段及び前記ネイバーフッド有効化手段の両方がトリガされると、前記グローバル検出信号を出力するように構成される。例えば、前記ローカル有効化手段及び前記ネイバーフッド有効化手段がトリガされた画素センサは、グローバル検出信号を生成してもよい。
【0047】
好ましい実施形態では、画素センサの前記ネイバーフッド有効化手段をトリガするために必要なローカル検出信号の数は、可変であってもよい。これは、1つのローカルクラスタ内の異なる画素センサにおいて光子を受け取る際の時間差に依存する。例えば、1つのシナリオでは、1つのローカルクラスタ内において8つの近隣(neighboring)画素センサを有する1つの画素センサは、前記ローカルクラスタ内の半数を超える数の画素センサのローカル検出信号を必要としてもよい。例えば、前記1つの画素センサと前記8つの近隣画素センサとによって、光子が同時に受け取らないか、又は光子が大きな時間差で受け取られる場合には、前記8つの近隣画素センサの8つのローカル検出信号を必要としてもよい。例えば、別のシナリオでは、ローカルクラスタ内において8つの近隣画素センサを有する1つの画素センサは、前記ローカルクラスタ内の半数より少ない数のローカル検出信号を必要としてもよい。例えば、前記1つの画素センサと1つの近隣画素センサとの両方において光子が同時に受け取られる場合には、前記1つの近隣画素センサの1つのローカル検出信号を必要としてもよい。別の例では、前記1つの画素センサと前記複数の近隣画素センサとによって時間遅延(例えば前記1つの画素センサと1つの近隣画素センサとの時間遅延)を伴って光子が受け取られる場合には、当該時間遅延が、前記ネイバーフッド有効化手段をトリガするために必要なローカル検出信号の数の設定に使用されてもよい。
【0048】
好ましい実施形態では、1つの画素センサの前記ローカル検出信号と、前記ネイバーフッド有効化手段をトリガするために使用される近隣画素センサの前記ローカル検出信号とは、同時に生成されない。例えば、第1の画素センサの前記ローカル検出信号は、当該第1の画素センサにおける光子検出の結果として、時刻T1に生成される。前記近隣画素センサのローカル検出信号は、時刻T1+Dに生成されてもよい。ここで、Dは、遅延である。前記遅延は、例えば、前記光源の移動が非常に遅かった場合に生じる。光子が検出されないために、前記近隣画素センサのローカル検出信号が生成されるより以前に、前記第1の画素センサのローカル検出信号が終了する可能性がある。前記検出がフォルスポジティブであるか否かを判断するために、前記遅延Dの予め定めた値が必要とされてもよい。
【0049】
好ましい実施形態では、このように、近隣(neighborhood)クラスタは、近隣(neighborhood)の複数の画素をカバーするともに、短いタイムウィンドウ内に近隣の少なくとも1つの画素をトリガすることによって、十分に大きな光信号によってトリガできる。
【0050】
別の好ましい実施形態では、このように、前記近隣クラスタは、瞬間的な特別なフットプリントを有する光信号によってトリガできる。前記瞬間的な特別なフットプリントは、1画素又はそれより小さいが、設定されたタイムウィンドウD内に空間的に移動して前記タイムウィンドウD内に近隣の画素を順次トリガする。これにより、前記近隣クラスタをトリガする。
【0051】
好ましい実施形態では、例えば、各画素センサの前記ネイバーフッド有効化手段には、前記ローカルクラスタ内の1つの別の画素センサの、より好ましくは前記ローカルクラスタ内の半数以上の前記近隣画素センサの、最も好ましくは前記ローカルクラスタ内の全ての前記近隣画素センサのローカル検出信号が供給される。
【0052】
好ましい実施形態では、ローカルクラスタは、第1の画素センサ及び第2の画素センサという少なくとも2つの画素センサを有してもよい。例えば、前記画素センサは、互いに隣接するか、又は近接している。前記ローカルクラスタにおいて衝突光子があると、前記第1の画素センサのローカル有効化手段は、前記第1の画素センサの光検出器のローカル検出信号によってトリガされる。同様に、前記第2の画素センサのローカル有効化手段は、前記第2の画素センサの光検出器のローカル検出信号によってトリガされる。前記第2の画素センサのローカル検出信号は、前記第1の画素センサのネイバーフッド有効化手段をトリガする。同様に、前記第1の画素センサのローカル検出信号は、前記第2の画素センサのネイバーフッド有効化手段をトリガする。例えば、両方の画素センサで前記ローカル有効化手段がトリガされると、両方の画素センサで前記ネイバーフッド有効化手段もトリガされるので、前記2つの画素センサによってグローバル検出信号が出力される。前記グローバル検出信号は、1つのローカルクラスタ内の(例えば近接している)少なくとも2つの画素センサの前記光検出器に衝突した光子があったことを表す。
【0053】
好ましい実施形態では、例えば、前記グローバル検出信号は、互いに近隣の又は近接する画素センサの光検出器に衝突した光子があったことを表す。これは、誤検出を除外するのに有用である。すなわち、誤検出は、1つの検出器の誤検出の結果として起こり易く、協働し且つ互いに近接している2つ以上の検出器、例えば検出器群の誤検出の結果としては起こりにくい。2つ以上の画素センサに基づく検出は、1つのみの画素センサに基づく検出よりも信頼性が高く、正確である。例えば、2つの画素センサに基づく検出は、誤検出の可能性を低減する。誤検出は、外乱光や熱雑音の結果の可能性があるが、隣接する2つ以上の画素センサでは起こりにくい。誤検出が生じた場合(例えば、1つの画素センサでのみ誤検出されたが、それに隣接する画素センサや近接する画素センサでは検出がない場合)、グローバル検出信号が出力されることはない。
【0054】
好ましい実施形態では、用語「トリガする」は、高電圧信号を、例えば論理「1」の信号を、例えばON状態を表す信号を受信することと解釈されてもよい。例えば、前記ネイバーフッド有効化手段をトリガする、とは、前記ネイバーフッド有効化手段において例えば論理「1」の信号を受信することを意味してもよい。
【0055】
好ましい実施形態では、2つ以上のローカルクラスタ、例えば2つのローカルクラスタに関連付けられた画素センサでは、それらのローカル検出信号が、異なるローカルクラスタに属する画素センサ(例えば2つの画素センサ)のネイバーフッド有効化手段に供給されてもよい。
【0056】
好ましい実施形態では、前記ローカル検出信号及び前記グローバル検出信号、前記クラスタ検出信号、又は前記システム内の任意の他の信号は、好ましくはバイナリ信号である。
【0057】
好ましい実施形態では、前記ローカル有効化手段及び前記ネイバーフッド有効化手段はトランジスタを有してもよい。前記トランジスタは、好ましくはNMOSトランジスタである。各トランジスタは、スイッチとして動作してもよい。
【0058】
好ましい実施形態では、前記光検出器の出力は、前記光検出器において光子が検出されたときに論理「1」となり、前記光検出器で光子が検出されないときに論理「0」となる。
【0059】
好ましい実施形態では、前記ローカル検出信号は、論理「1」又は論理「0」のいずれかである。例えば、前記ローカル有効化手段のトランジスタは、前記ローカル検出信号が論理「1」の場合、ONであり、前記ローカル検出信号が論理「0」の場合、OFFである。
【0060】
好ましい実施形態では、例えば、前記ネイバーフッド有効化手段のトランジスタは、別の1つの隣接する画素センサから供給された前記ローカル検出信号が論理「1」の場合、ONとなり、前記ローカル検出信号が論理「0」の場合、OFFとなる。
【0061】
好ましい実施形態では、例えば、1つの第1の画素センサの前記ネイバーフッド有効化手段が、少なくとも1つの隣接する画素センサのローカル検出信号によってトリガされると、前記ネイバーフッド有効化手段のトランジスタはONとなる。同様に、前記第1の画素センサのローカル検出信号が、前記少なくとも1つの隣接する画素センサのネイバーフッド有効化手段のトランジスタをトリガする。
【0062】
好ましい実施形態では、前記ネイバーフッド有効化手段と前記ローカル有効化手段とは接続されている。例えば、それらは直列に接続されている。例えば、前記ローカル有効化手段及び前記ネイバーフッド有効化手段の両方がトリガされると、前記ローカル有効化手段と前記ネイバーフッド有効化手段の2つの例えばトランジスタ又は例えばスイッチがONとなり、グローバル検出信号が前記画素センサによって出力される。例えば、隣接する画素センサでは、各々のネイバーフッド有効化手段に互いのローカル検出信号が供給されるため、前記隣接する画素センサによって同じグローバル検出信号が出力される。
【0063】
好ましい実施形態では、前記ネイバーフッド有効化手段及び前記ローカル有効化手段は、論理ゲート、例えばANDゲートを有してもよい。例えば、前記ローカル検出信号が論理「1」であり、隣接する画素センサの前記ローカル検出信号が論理「1」である場合、前記ANDゲートの出力は論理「1」となり、グローバル検出信号が前記2つの画素センサの各々で生成される。また、前記論理ゲートは、スイッチとして作動する2つのトランジスタ、又は2つのスイッチで代用してもよい。例えば、前記ローカル有効化手段が有する1つのトランジスタが、前記ネイバーフッド有効化手段が有する1つのトランジスタと直列に接続されることにより、両方のトランジスタがONに切り替わったときに、前記2つのトランジスタに電流を流すことができる。
【0064】
好ましい実施形態では、前記ネイバーフッド有効化手段及び前記ローカル有効化手段は、論理ゲート、例えばANDゲートを有してもよい。例えば、前記ローカル検出信号が論理「1」であり、2つ以上の隣接する画素センサの2つ以上のローカル検出信号が論理「1」である場合、前記ANDゲートの出力は論理「1」となり、グローバル検出信号が前記3つ以上の画素センサの各々で生成される。また、前記論理ゲートは、スイッチとして作動する3つのトランジスタ、又は3つのスイッチで代用してもよい。例えば、前記ローカル有効化手段が有する1つのトランジスタが、前記ネイバーフッド有効化手段が有する直列に接続された2つのトランジスタと、直列に接続されることにより、全てのトランジスタがONに切り替わったときに、前記3つのトランジスタに電流を流すことができる。当業者であれば、異なる回路構成が想定可能なことを理解できるであろう。
【0065】
好ましい実施形態では、各バスは、電圧バイアスに接続されていてもよい。例えば、前記ローカル有効化手段及び前記ネイバーフッド有効化手段がトリガされた場合、例えば前記トランジスタ又はスイッチがONの場合、前記ローカル有効化手段及び前記ネイバーフッド有効化手段に電流が流れる。この電流の流れは、その後、例えば前記バスの他端にある例えばセンスアンプによって感知される。別の好ましい実施形態では、前記バスを事前充電しておいてもよい。例えば、前記ローカル有効化手段及び前記ネイバーフッド有効化手段がトリガされた場合、例えば前記トランジスタ又はスイッチがONの場合、前記バス内の電荷は、前記ローカル有効化手段及び前記ネイバーフッド有効化手段を介して放電される。この放電は、その後、例えば前記バスの他端にある例えばセンスアンプによって感知される。
【0066】
好ましい実施形態では、グローバル検出信号の生成を可能にするために必要な近隣画素センサの数は、例えば設計要件に従って設計されてもよいし、前記数に応じて異なる回路実装を有していてもよい。
【0067】
好ましい実施形態では、前記システムは、各画素センサの前記光検出器の出力に接続されたバッファを更に有してもよい。好ましくは、前記バッファは比較器であってもよい。例えば、前記バッファは、前記光検出器の出力を所定の閾値電圧レベルと比較してもよい。好ましくは、前記閾値電圧レベルは0.5~2Vの間であり、より好ましくは0.6~1Vの間である。前記バッファは、前記光検出器を前記ローカル制御回路から分離するのに有用となり得る。前記バッファは、更に、前記閾値電圧レベル未満の電圧の信号が前記ローカル制御回路に渡ることを防ぐために有用となり得る。
【0068】
好ましい実施形態では、前記システムは、複数の行バス及び複数の列バスを更に有してもよい。各画素センサ行は、少なくとも1つの行バスに接続されるとともに関連付けられる。同様に、各画素センサ列は、少なくとも1つの列バスに接続されるとともに関連付けられる。
【0069】
好ましい実施形態では、前記ローカル有効化手段は、2つのトランジスタを有し、例えば、前記2つのトランジスタのうち1つが前記行バスに接続され、他の1つが前記列バスに接続されてもよい。各画素センサの前記光検出器の出力は、前記ローカル有効化手段内の1つのトランジスタを介して前記行バスに接続されるとともに、前記ローカル有効化手段内の他の1つのトランジスタを介して前記列バスに接続される。
【0070】
好ましい実施形態では、近隣する行及び列における複数の画素センサが、1つのクラスタ内にあってもよい。例えば、x行y列の画素センサは、x+1行y列の別の画素センサとともに1つのクラスタ内にあってもよい。例えば、x-1行y-1列からx+1行y+1列までに含まれる画素センサは全て、1つのクラスタ内にあってもよい。例えば、前記画素センサはマトリックス構成で配置されてもよい。
【0071】
好ましい実施形態では、各画素センサの前記グローバル検出信号は、関連する行バス及び列バスに供給されてもよい。各行における前記グローバル検出信号は、互いに集約されて行検出信号が形成されてもよい。例えば、前記行検出信号は、前記行における各画素センサのグローバル検出信号を含む。同様に、各列における前記グローバル検出信号は、互いに集約されて列検出信号が形成されてもよい。例えば、前記列検出信号は、前記列における各画素センサのグローバル検出信号を含む。
【0072】
好ましい実施形態では、前記システムは、同期手段を更に有してもよい。前記同期手段は、前記行検出信号及び前記列検出信号を同期させる。例えば、異なる行の行検出信号同士を同期させ、異なる列の列検出信号同士を同期させる。
【0073】
好ましい実施形態では、前記システムは100個の画素センサを有してもよい。例えば、1つの行は最大50個の画素センサを有してもよい。更に、例えば、1つの列は最大50個の画素センサを有してもよい。
【0074】
本発明の実施形態の更なる特徴及び利点を、図を参照しながら説明する。本発明は、これらの図に示され、又は一例として記載された特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定されることに留意されたい。
【0075】
図1は、画素センサ(1)の回路実装図である。前記画素センサ(1)は、例えば単一光子検出器又は単一光子アバランシェダイオードなどの光検出器(2)を有する。光検出器(2)は、そこに衝突する単一光子(3)を検出することができる。
【0076】
光検出器(2)は、電圧源(4)によってバイアスされ、電圧分割構成により抵抗器(5)に接続されている。光検出器(1)は,逆バイアスの構成により配置されている。抵抗器(5)は、第1の基準電位レベル(6)に、好ましくは接地レベル又は0Vに接続されている。
【0077】
光検出器(2)に衝突する光子(3)があると、逆電流が生成される。その結果、抵抗器(5)において電圧降下(7)が生じる。電圧降下(7)は、光検出器(2)において光子(3)が検出されたときに論理「1」を有し、光検出器(2)において光子(3)が検出されないときに論理「0」を有する。
【0078】
電圧降下(7)は、比較器(9)を介して所定の閾値電圧レベル(8)と比較される。電圧降下(7)が基準電圧(8)より大きい場合、比較器(9)の出力としてローカル検出信号(10)が生成される。例えば、「検出」の場合は前記比較器の出力として論理「1」が生成され、「非検出」の場合は前記比較器の出力として論理「0」が生成される。
【0079】
各画素センサ(1)は、ローカル制御回路(18)を有する。比較器(9)は、光検出器(2)とローカル制御回路(18)との間のバッファとして機能する。ローカル制御回路(18)は、ローカル有効化手段(11)とネイバーフッド有効化手段(12)とを有する。
【0080】
前記制御回路又はその一部は、前記センサシステムにおける別の層に物理的に配置されてもよい。例えば、前記センシングアレイの画素センサ(1)を第1の半導体層に配置し、前記アレイにおける各画素センサ(1)の制御回路(18)を第2の半導体層に配置してもよい。すなわち、いわゆる、積層型画素センサソリューション構造を形成してもよい。
【0081】
ローカル検出信号(10)は、ローカル有効化手段(11)に供給される。ローカル有効化手段(11)は、2つのNMOSトランジスタを有する。なお、他のトランジスタのタイプ又は他の構成を採用してもよい。ローカル検出信号(10)は前記トランジスタのゲートに供給される。一方のトランジスタは行バス(16)に接続され、他方のトランジスタは列バス(17)に接続されている。ローカル有効化手段(11)のトランジスタのゲートでローカル検出信号(10)が受信されると、ローカル有効化手段(11)がトリガされる。このケースでは、前記トランジスタはスイッチとして作動し、前記トランジスタで論理「1」を受信するとスイッチがONになり、例えば短絡する。
【0082】
ローカル有効化手段(11)はネイバーフッド有効化手段(12)に接続されている。このケースでは、ローカル有効化手段(11)の各トランジスタは、前記ネイバーフッド有効化手段に接続されている。ネイバーフッド有効化手段(12)は、少なくとも1つのトランジスタ、この実施例ではゲート(13´、13´´、13´´´)を有する3つのトランジスタを有する。前記3つのトランジスタのゲート(13´、13´´、13´´)は、近隣画素センサのローカル検出信号に接続される。また、これらトランジスタは、第2の基準電位レベル(14)に、好ましくは第1の基準電位レベル(6)と等しいレベルに、好ましくは接地レベル又は0Vに接続される。1つのゲート、例えば(13´)において、1つの近隣画素センサから少なくとも1つのローカル検出信号を受信すると、前記ネイバーフッド有効化手段がトリガされる。これは、このケースでは、ゲート(13´)が論理「1」を有する場合に、ここではスイッチとして作動する前記トランジスタがONとなり、例えば短絡することを意味する。前記ローカル有効化手段及び前記ネイバーフッド有効化手段の両方がトリガされた場合、すなわち、前記ローカル有効化手段におけるトランジスタが短絡として作動しており、前記ネイバーフッド有効化手段における1つのトランジスタが短絡として作動している場合、グローバル検出信号(15)が行バス(16)と列バス(17)とに出力される。行バス(16)における異なる画素センサのグローバル検出信号は、集約されて行検出信号が形成される。列バス(17)における異なる画素センサのグローバル検出信号は、集約されて列検出信号が形成される。
【0083】
本例におけるローカル制御回路(18)は、ANDゲートとして作動する。例えば、ローカル有効化手段(11)及びネイバーフッド有効化手段(12)がトリガされると、グローバル検出信号(15)が生成される。
【0084】
2つの実装が想定される。第1の実装では、各バス(16、17)は、電圧バイアスに接続されてもよい。例えば、ローカル有効化手段(11)及びネイバーフッド有効化手段(12)がトリガされると、ローカル有効化手段(11)及びネイバーフッド有効化手段(12)に電流が流れる。この電流の流れは、その後、例えば前記バスの他端にある例えばセンスアンプによって感知される。この電流もまた、このケースではグローバル検出信号(15)と呼ぶ。
【0085】
第2の実装では、各バス(16、17)を事前充電しておいてもよい。例えば、ローカル有効化手段(11)及びネイバーフッド有効化手段(12)がトリガされると、前記バス内の電荷は、ローカル有効化手段(11)及びネイバーフッド有効化手段(12)を介して放電される。この放電は、その後、例えば前記バスの他端にある例えばセンスアンプによって感知される。この放電もまた、このケースではグローバル検出信号(15)と呼ぶ。
【0086】
図2は、画素センサの4つのクラスタを示す。各画素センサは座標を有する。例えば、第1の画素クラスタ(19)は、位置(i,j)における第1の画素センサ(23)と、8つの近隣画素センサとを有する。
【0087】
前記近隣画素センサには、ローカル検出信号を有する、例えばポジティブな検出(positive detection)を有し、例えば論理「1」のローカル検出信号を有する画像センサ(24)と、ローカル検出信号を有さない、例えばネガティブな検出(negative detection)(例えば「非検出」)を有し、例えば論理「0」のローカル検出信号を有する画像センサ(25)とを有する。このケースでは、第1の画素クラスタ(19)は、前記近隣画素センサの中で1つのポジティブな検出を有する。同様に、第2の画素クラスタ(20)は、前記近隣画素センサの中で3つのポジティブな検出を有し、第3の画素クラスタ(21)は、前記近隣画素センサの中で2つのポジティブな検出を有し、第4の画素クラスタ(22)はポジティブな検出を有さない。
【0088】
例えば、前記画素クラスタ(19~22)内の前記第1の画素センサ(23)が、前記第1の画素センサ(23)と1つの近隣画素センサとにおいてポジティブな検出があったときにグローバル検出信号(15)を出力するように構成されているとすると、すべての前記画素クラスタ(19~22)で、前記第1の画素センサ及び前記近隣画素センサからグローバル検出信号(15)、例えば論理「1」のグローバル検出信号が出力される結果となる。しかしながら、前記画素クラスタ(19~22)内の前記第1の画素センサ(23)が、前記第1の画素センサ(23)と2つの近隣画素センサとにおいてポジティブな検出があったときにグローバル検出信号(15)を出力するように構成されているとすると、前記第1の画素クラスタ(19)を除くすべての前記画素クラスタ(19~22)で、前記第1の画素センサ及び前記近隣画素センサからグローバル検出信号(15)、例えばポジティブな検出が出力される結果となる。クラスタ全体としての検出がポジティブな検出とみなされるのに必要な近隣画素センサの数は、設計要件に依存する。
【0089】
図3は、行及び列において接続された画素センサ(1)を有する撮像センサシステム(26)の概略図である。各行の画素センサ(1)は、2つの行バス(16、16´)と2つの列バス(17、17´)とに接続されている。前記画素センサ(1)はグローバル検出信号(15)を出力する。当該信号はバイナリ信号である。
【0090】
図3には3つのケースが示されている。第1のケースでは、光子は同時に2つ以上の画素センサに衝突している。このケースでは、同時に4つの画素センサに衝突している。第1の円(27)は、光子が衝突した領域を示している。このケースでは、2つ以上の画素センサ(1)が光子を感知しているので、当該検出は正しい検出である。各画素センサは、例えば論理「1」のローカル検出信号を有する。また、各画素センサの前記ローカル検出信号は、近隣又は隣接する画素センサの前記ネイバーフッド有効化手段に接続され、それらをトリガする。例えば、前記4つの画素センサにおいて、前記ローカル有効化手段及び前記ネイバーフッド有効化手段に属するトランジスタがトリガされる。これにより、各画素センサによって論理「1」のグローバル検出信号が生成され、当該信号は、前記関連する行バス及び列バスに出力される。
【0091】
第2及び第3のケースでは、第2の円(28)は、光子検出が疑わしい領域を示す。このケースでは、前記近隣画素センサのいずれもそのような検出を感知していないため、当該検出は誤検出である。そのため、ネイバーフッド有効化手段はトリガされず、従って、グローバル検出信号は生成されないか、又は論理「0」のグローバル検出信号が前記関連する行バス及び列バスに出力される。この誤検出は、外乱光又は熱雑音の結果の可能性がある。
【0092】
上記の説明では、本発明の特定の実施形態を詳述している。しかしながら、本文において上記の説明が、いかに詳細であろうとも、本発明は多くの方法で適用され得ることは明らかであろう。本発明の特定の特徴又は態様を説明するのに特定の用語を使用しても、本明細書においてその用語が、それが関係する本発明の特定の特徴又は態様に限定されるものとして再定義されることを意味していると解釈すべきではない。
【国際調査報告】