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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】パーソナルケア組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20240125BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240125BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20240125BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240125BHJP
   A61K 31/19 20060101ALI20240125BHJP
   A61K 31/455 20060101ALI20240125BHJP
   A61K 31/4402 20060101ALI20240125BHJP
   A61K 31/4409 20060101ALI20240125BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61Q19/00
A61P43/00 121
A61K36/185
A61K8/365
A61P17/10
A61P29/00
A61K31/19
A61K31/455
A61K31/4402
A61K31/4409
A61K31/05
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023538849
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2021084300
(87)【国際公開番号】W WO2022135882
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/139451
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】21153894.7
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】グ,シュエラン
(72)【発明者】
【氏名】フアン,ダンダン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ホン
【テーマコード(参考)】
4C083
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC471
4C083AC851
4C083AD631
4C083EE12
4C083EE14
4C083FF01
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086BC19
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA89
4C086ZB11
4C086ZC52
4C086ZC75
4C088AB12
4C088AC04
4C088AC05
4C088AC06
4C088BA08
4C088CA03
4C088MA02
4C088MA03
4C088NA05
4C088NA14
4C088ZA89
4C088ZB11
4C088ZC52
4C088ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA19
4C206DA07
4C206KA01
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA89
4C206ZB11
4C206ZC52
4C206ZC75
(57)【要約】
抗炎症の利益を提供するパーソナルケア組成物が開示される。組成物は、モリンガ抽出物およびヒドロキシ脂肪酸を含み、モリンガ抽出物とヒドロキシ脂肪酸の重量比が1:1~75:1である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)モリンガ抽出物、および
(b)8~24の炭素原子を有するヒドロキシ脂肪酸を含み、
前記モリンガ抽出物と前記ヒドロキシ脂肪酸の重量比が1:1~75:1である、パーソナルケア組成物。
【請求項2】
前記モリンガ抽出物と前記ヒドロキシ脂肪酸の重量比が、2:1~60:1、好ましくは15:1~60:1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記モリンガ抽出物が、モリンガ・オレイフェラ・ラム(Moringa oleifera Lam)、モリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa pterygosperma)、モリンガ・ペレグリナ(Moringa peregrina)、モリンガ・コンカネンシス(Moringa concanensis)およびモリンガ・ドロウハルディ(Moringa drouhardii)から、好ましくはモリンガ・オレイフェラ・ラム(Moringa oleifera Lam.)およびモリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa pterygosperma)から選択されるモリンガから抽出される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記モリンガ抽出物が、モリンガ・オレイフェラ・ラム(Moringa oleifera Lam)、モリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa pterygosperma)、モリンガ・ペレグリナ(Moringa peregrina)、モリンガ・コンカネンシス(Moringa concanensis)およびモリンガ・ドロウハルディ(Moringa drouhardii)から選択されるモリンガの種子、果実、葉、および/または樹皮、好ましくは種子から抽出される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ヒドロキシ脂肪酸の量が、前記組成物の0.000001~5重量%、好ましくは0.00005~0.2重量%の範囲である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記モリンガ抽出物の量が、前記組成物の0.00001~1重量%の範囲である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記ヒドロキシ脂肪酸がヒドロキシステアリン酸、好ましくは12-ヒドロキシステアリン酸である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、ナイアシンアミド、ピコリンアミド、イソニコチンアミド、ヘキシルレゾルシノールおよびそれらの混合物から選択される追加の皮膚有益剤をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、好ましくは前記組成物の10~90重量%の量、より好ましくは前記組成物の35~85重量%の量の水を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物の粘度が1,000~20,000mPa・sの範囲である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
抗炎症、抗老化および抗座瘡から選択される少なくとも1つの利益を提供するための方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物を個人の皮膚に適用する工程を含む方法。
【請求項12】
抗炎症、抗老化および抗座瘡から選択される少なくとも1つの利益を提供するための、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルケア組成物に関する。特に、本発明は、改善された抗炎症効果を提供するためのパーソナルケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症は、有害な刺激、例えば病原体、刺激物または傷害に対する複雑な生物学的宿主応答である。炎症は保護機構でもあり、宿主はそれによって刺激を除去し、治癒過程を開始する。
【0003】
一般に、2つのタイプの炎症、すなわち急性炎症および慢性炎症がある。急性炎症は、体液の滲出および白血球、主に好中球の移出を特徴とする急速な過程であるのに対して、慢性炎症は、より長い時間にわたって拡大し、リンパ球およびマクロファージの浸潤、血管増殖、および線維化に関連する。
【0004】
炎症は、様々な皮膚の問題、例えば座瘡、炎症後色素沈着(PIH)および老化に密接に関連している。尋常性座瘡としても知られる座瘡は、皮膚の毛嚢脂腺単位に影響を及ぼす一般的な炎症性皮膚問題である。それは、対象に重度の皮膚瘢痕を残す可能性があり、重大な心理的影響を有する可能性もある。
【0005】
PIHは、炎症過程の間または後に生じる皮膚の色素沈着過剰である。PIHは、あらゆる皮膚タイプおよびあらゆる年齢で観察され得る。ほとんどの場合、PIHは、罹患した個人の生活の質に強い影響を及ぼす。紫外線暴露などの外部傷害もまた、皮膚老化を促進し、さらには光老化の徴候につながり得る炎症を引き起こす可能性がある。
【0006】
抗生物質およびステロイドを使用する局所治療および全身治療を含む、炎症関連の問題に対処するためのいくつかのアプローチがとられてきた。しかしながら、これらの治療は刺激性であり、耐性を引き起こすか、または他の何らかの副作用を有する。したがって、人々は抗炎症利益のための新しい解決策を継続的に開発している。
【0007】
本発明者らは、驚くべきことに、モリンガ抽出物およびヒドロキシ脂肪酸を含むパーソナルケア組成物が相乗的な抗炎症利益を提供することを見出した。
【発明の概要】
【0008】
第1の態様では、本発明は、(a)モリンガ抽出物と、
(b)8~24の炭素原子を有するヒドロキシ脂肪酸とを含み、
モリンガ抽出物とヒドロキシ脂肪酸の重量比が1:1~75:1であるパーソナルケア組成物を提供する。
【0009】
第2の態様では、本発明は、抗炎症、抗老化および抗座瘡から選択される少なくとも1つの利益を提供するための方法であって、本発明の組成物を個人の皮膚に適用する工程を含む方法を提供する。
【0010】
第3の態様では、本発明は、抗炎症、抗老化、および抗座瘡から選択される少なくとも1つの利益を提供するための本発明の組成物の使用を提供する。
【0011】
本発明の他のすべての態様は、以下の詳細な説明および実施例を考慮すると、より容易に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施例を除いて、または他に明示的に示されている場合を除いて、材料の量または反応の条件、材料の物理的特性および/または使用を示す本明細書のすべての数字は、「約」という語によって修飾されていると理解されてもよい。
【0013】
すべての量は、特に明記しない限り、組成物の重量による。
【0014】
値の任意の範囲を指定する際に、任意の特定の上限値を任意の特定の下限値に関連付けることができることに留意されたい。
【0015】
誤解を避けるために、「含む(comprising)」という言葉は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる(consisting of)」または「から構成される(composed of)」を意味するものではない。言い換えれば、列挙された工程または選択肢は網羅的である必要はない。
【0016】
本明細書に見られる本発明の開示は、特許請求の範囲が複数の従属性または冗長性なしに見出され得るという事実にかかわらず、互いに複数従属するものとして特許請求の範囲に見られるすべての実施形態を網羅すると見なされるべきである。
【0017】
本発明の組成物は、モリンガ抽出物を含む。典型的には、モリンガ抽出物は、モリンガの種子、果実、葉および/または樹皮から、好ましくはモリンガの種子または果実から、より好ましくはモリンガ・オレイフェラ・ラム(Moringa oleifera Lam)、モリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa pterygosperma)、モリンガ・ペレグリナ(Moringa peregrina)、モリンガ・コンカネンシス(Moringa concanensis)およびモリンガ・ドロウハルディ(Moringa drouhardii)から選択されるモリンガの種子から、さらにより好ましくはモリンガ・オレイフェラ・ラム(Moringa oleifera Lam)およびモリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa pterygosperma)から選択されるモリンガの種子から抽出される。好ましくは、モリンガ抽出物は水溶液による抽出物である。
【0018】
好ましくは、モリンガ抽出物は、組成物の0.00001~1重量%の量、より好ましくは組成物の0.0001~0.5重量%の量、さらにより好ましくは0.0005~0.2%、最も好ましくは組成物の0.001~0.05重量%の量で組成物に使用される。
【0019】
本発明の組成物は、ヒドロキシ脂肪酸をさらに含む。脂肪酸は、通常6~30個の炭素原子を有する長い脂肪族鎖を有するカルボン酸である。ヒドロキシ脂肪酸は、1つ以上の位置にヒドロキシル基を含有する脂肪酸の誘導体である。好ましくは、脂肪酸は、飽和または不飽和であり、分枝状または非分枝状である。好ましくは、本発明で使用されるヒドロキシ脂肪酸は、8~24個の炭素原子、好ましくは10~22個の炭素原子、より好ましくは16~20個の炭素原子、最も好ましくは18~20個の炭素原子を有する。
【0020】
好ましくは、ヒドロキシ脂肪酸は、2-ヒドロキシミリスチン酸、3-ヒドロキシミリスチン酸、2-ヒドロキシパルミチン酸、3-ヒドロキシパルミチン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、17-ヒドロキシステアリン酸およびそれらの混合物から選択される。
【0021】
好ましくは、ヒドロキシ脂肪酸は、ヒドロキシステアリン酸である。最も好ましいヒドロキシ脂肪酸は、12-ヒドロキシステアリン酸(12HSA)である。
【0022】
好ましくは、ヒドロキシ脂肪酸の量は、組成物の0.000001~5重量%、より好ましくは0.00001~1重量%、さらにより好ましくは0.00005~0.2重量%、さらにより好ましくは0.0001~0.01重量%の範囲である。
【0023】
好ましくは、モリンガ抽出物とヒドロキシ脂肪酸の重量比は、1:1~75:1、より好ましくは2:1~60:1、より好ましくは15:1~60:1である。
【0024】
組成物は、好ましくは、1つ以上の有機日焼け止め剤を含む。多種多様な有機日焼け止め剤が、本発明の必須成分と組み合わせて使用するのに適している。適切な有機日焼け止め剤には、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチルp-アミノ安息香酸、ジガロイルトリオレエート、2,2-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、エチル-4-(ビス(ヒドロキシプロピル))アミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、2-エチルヘキシルサリチレート、グリセリルp-アミノベンゾエート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルサリチレート、メチルアントラニレート、p-ジメチル-アミノ安息香酸またはアミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-p-ジメチル-アミノ-ベンゾエート、2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸、2-(p-ジメチルアミノフェニル)-5-スルホンベンゾオキサゾン酸、2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチル-p-アミノ安息香酸およびこれらの混合物が含まれる。最も適切な有機日焼け止め剤は、2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート、ブチルメトキシジベンゾイルメタンまたはそれらの混合物である。
【0025】
安全かつ有効な量の有機日焼け止め剤が、本発明において有用な組成物において使用され得る。組成物は、好ましくは、組成物の0.1~10重量%、より好ましくは0.1~5重量%の有機日焼け止め剤を含む。
【0026】
本発明の組成物は、化粧用に許容される担体を含み得る。水および乳化剤の存在下での油性担体は、担体としてエマルジョンシステムを形成する。これらのシステムは、油中水型エマルジョンまたは水中油型エマルジョンのいずれかであり得る。水に加えて、適切な担体部類には、シリコーン、炭化水素、多価アルコール、脂肪アルコール、トリグリセリドまたはそれらの混合物が含まれる。
【0027】
シリコーンは、存在する場合、組成物の5~60重量%、より好ましくは5~40重量%の範囲であり得る。これらのシリコーンは、有機、シリコーン含有またはフッ素含有、揮発性または不揮発性、極性または非極性であり得る。
【0028】
特に好ましい揮発性シリコーン油は、繰り返し単位が3~5の範囲である環状揮発性シリコーン;および繰り返し単位が1~7の範囲である直鎖シリコーンである。揮発性シリコーン油の非常に好ましい例としては、様々な粘度のシクロメチコン、例えば、Dow Corning 200、Dow Corning 244、Dow Corning 245、Dow Corning 344およびDow Corning 345(Dow Corning Corp.から購入可能);SF-1204およびSF-1202シリコーン流体、GE 7207および7158(G.E.Siliconesから購入可能)ならびにSWS-03314(SWS Silicones Corp.から購入可能)が挙げられる。
【0029】
炭化水素は、鉱油、ペトロラタムおよびポリアルファオレフィンを含み得る。好ましい揮発性炭化水素の例としては、イソドデカンおよびイソデカンなどのポリデカン(例えば、Presperse Inc.から入手可能なPermethyl-99A)、ならびにC7-C8からC12-C15イソパラフィン(Exxon Chemicalsから入手可能なIsoparシリーズなど)が挙げられる。
【0030】
多価アルコールとしては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、エトキシル化グリセロール、プロポキシル化グリセロールおよびそれらの混合物が挙げられ得る。グリセリンとしても知られるグリセロールが最も好ましい。多価アルコールの量は、組成物の0.1~10重量%、好ましくは0.4~5重量%の範囲であり得る。
【0031】
脂肪アルコールも存在し得る。「脂肪アルコール」という用語は、長さが炭素原子10~30個の範囲である炭素鎖を有するアルコールを指す。このカテゴリーの実例は、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコールおよびそれらの組み合わせである。セチルアルコールがより好ましい。
【0032】
例示的なトリグリセリドは、ヒマワリ種子油、綿油、キャノーラ油、大豆油、ヒマシ油、ルリジサ油、オリーブ油、シアバター、ホホバ油およびそれらの混合物であるが、これらに限定されない。モノグリセリドおよびジグリセリドも有用であり得る。モノステアリン酸グリセリルおよびジステアリン酸グリセリルが特に好ましい。
【0033】
組成物は、組成物の10~90重量%、好ましくは35~85重量%、より好ましくは組成物の40~70%重量の量の水を含み得る。
【0034】
組成物は、皮膚光輝剤、防腐剤、酸化防止剤、着色剤、芳香剤、またはそれらの組み合わせを含む任意の成分を含んでもよい。
【0035】
本発明の組成物は、好ましくは皮膚光輝剤をさらに含んでもよい。ビタミンB3化合物(ビタミンB3の誘導体を含む)、例えばナイアシン、ニコチン酸またはナイアシンアミドが本発明による好ましい皮膚光輝剤であり、最も好ましいのはナイアシンアミドである。ビタミンB3化合物は、使用される場合、好ましくは組成物の0.1~10重量%、より好ましくは0.2~5重量%の範囲の量で存在する。
【0036】
好ましくは、パーソナルケア組成物はスキンケア組成物である。スキンケア組成物は、ヒト皮膚への局所適用に適した組成物を指す。本明細書で使用される「皮膚」という用語は、顔(眼瞼および唇を除く)、首、胸、腹部、背中、腕、脇の下、手、および脚の皮膚を含む。好ましくは、「皮膚」は、顔の皮膚(眼瞼および唇を除く)および脇の下を含み、より好ましくは、皮膚は、唇および眼瞼以外の顔の皮膚を意味する。
【0037】
本明細書で使用される「粘度」は、25℃での動的粘度を意味し、mPa・sとして報告される。粘度を測定する適切な方法は、サンドブラストを掛けたパラレルジオメトリ(PP25s)を取り付けた応力制御MCR 501レオメーター(Anton Paar、Physica MCR501、Austria)を剪断速度3.98 1/sで使用することである。組成物の粘度は、適切には1,000~20,000mPa・s、好ましくは2,000~15,000mPa・s、さらにより好ましくは2,500~12,000mPa・sの範囲である。
【0038】
好ましくは、方法は非治療的である。好ましくは、使用は非治療的である。非治療的という用語は、美容目的のためのものであり、治癒目的または治療目的のためのものではない。
【0039】
本発明はまた、モリンガ抽出物と、8~24個の炭素原子を有するヒドロキシ脂肪酸とを含み、モリンガ抽出物とヒドロキシ脂肪酸の重量比が1:1~75:1である、抗炎症、抗老化、および抗座瘡から選択される少なくとも1つの利益の提供に使用するためのパーソナルケア組成物を提供する。
【0040】
本発明はまた、抗炎症、抗老化、および抗座瘡から選択される少なくとも1つの利益の提供する医薬品の製造に使用するための、モリンガ抽出物と、8~24個の炭素原子を有するヒドロキシ脂肪酸との組み合わせの使用を提供し、ここで、モリンガ抽出物とヒドロキシ脂肪酸の重量比は、1:1~75:1である。
【0041】
以下の実施例は、本発明の理解を容易にするために提供される。実施例は、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【0042】
[実施例]
実施例で使用したモリンガ種子抽出物は、WuXi AppTec Co.,Ltd.(Shanghai、China)から調達した。
【0043】
ヒト免疫細胞株THP-1のインビトロアッセイ
抗炎症有効性を決定するために以下の手順を使用した:
THP1-XBlue(商標)(カタログ番号:thpx-sp、InvivoGen、San Diego、CA)細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)、ペニシリン(10U/mL)-ストレプトマイシン(10μg/mL)(Gibco,Invitrogen,Carlsbad,CA)を補充したRPMI 1640培地中の懸濁液として培養した。100nMのホルボール-12-ミリステート-13-アセテート(PMA)を用いて72時間、5×10細胞/ウェルの密度の24ウェルプレートにおいて細胞を分化させた。次いで、細胞を純粋な大腸菌リポ多糖(LPS)および表1の様々な組成物で共処理した。24時間後、上清を回収し、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して炎症誘発性バイオマーカーとしてのインターロイキン(IL)-6について測定した。IL-6の発現を、100%と指定したLPS処理細胞に対するパーセンテージとして計算した。併用群と単独の化合物群とを比較するスチューデントのt検定によってP値を分析した(IL-6の発現、各群について3回の反復)。P値<0.05は相乗効果を示す。
【0044】
IL-6の発現に関するパーセンテージでの結果を表1に示す:
【0045】
【表1】
【0046】
上記の表から、本発明の範囲内の例(例1および2)は、本発明の範囲外の実施例(例FおよびH)と比較した場合、THP-1細胞におけるIL-6の相乗的阻害を提供することが明らかである。
【0047】
したがって、上記の説明から、本発明は、IL-6を阻害し、それによって個人の皮膚上の炎症を軽減するパーソナルケア組成物を提供することが明らかである。
【手続補正書】
【提出日】2022-10-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルケア組成物であって、
(a)モリンガ抽出物を前記組成物の0.00001~1重量%、および
(b)8~24の炭素原子を有するヒドロキシ脂肪酸を前記組成物の0.000001~5重量%含み、
前記モリンガ抽出物と前記ヒドロキシ脂肪酸の重量比が1:1~75:1であり、前記モリンガ抽出物が、モリンガ・オレイフェラ・ラム(Moringa oleifera Lam)、モリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa pterygosperma)、モリンガ・ペレグリナ(Moringa peregrina)、モリンガ・コンカネンシス(Moringa concanensis)およびモリンガ・ドロウハルディ(Moringa drouhardii)から選択されるモリンガから抽出される、パーソナルケア組成物。
【請求項2】
前記モリンガ抽出物と前記ヒドロキシ脂肪酸の重量比が、2:1~60:1、好ましくは15:1~60:1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記モリンガ抽出物が、モリンガ・オレイフェラ・ラム(Moringa oleifera Lam)およびモリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa pterygosperma)から選択されるモリンガから抽出される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記モリンガ抽出物が、モリンガ・オレイフェラ・ラム(Moringa oleifera Lam)、モリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa pterygosperma)、モリンガ・ペレグリナ(Moringa peregrina)、モリンガ・コンカネンシス(Moringa concanensis)およびモリンガ・ドロウハルディ(Moringa drouhardii)から選択されるモリンガの種子、果実、葉、および/または樹皮、好ましくは種子から抽出される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ヒドロキシ脂肪酸の量が、前記組成物の0.00005~0.2重量%の範囲である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記モリンガ抽出物の量が、前記組成物の0.0001~0.5重量%の範囲である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記ヒドロキシ脂肪酸がヒドロキシステアリン酸、好ましくは12-ヒドロキシステアリン酸である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、ナイアシンアミド、ピコリンアミド、イソニコチンアミド、ヘキシルレゾルシノールおよびそれらの混合物から選択される追加の皮膚有益剤をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、好ましくは前記組成物の10~90重量%の量、より好ましくは前記組成物の35~85重量%の量の水を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物の粘度が1,000~20,000mPa・sの範囲である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
抗炎症、抗老化および抗座瘡から選択される少なくとも1つの利益を提供するための方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物を個人の皮膚に適用する工程を含む方法。
【請求項12】
抗炎症、抗老化および抗座瘡から選択される少なくとも1つの利益を提供するための、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【国際調査報告】