IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハーの特許一覧

特表2024-504577DL/LD-メチオニルメチオニンのジアステレオ異性的に純粋な調製のための方法
<>
  • 特表-DL/LD-メチオニルメチオニンのジアステレオ異性的に純粋な調製のための方法 図1
  • 特表-DL/LD-メチオニルメチオニンのジアステレオ異性的に純粋な調製のための方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】DL/LD-メチオニルメチオニンのジアステレオ異性的に純粋な調製のための方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 241/08 20060101AFI20240125BHJP
   A61K 31/495 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20240125BHJP
   A23K 20/142 20160101ALI20240125BHJP
   A23K 50/80 20160101ALI20240125BHJP
【FI】
C07D241/08
A61K31/495
A61P3/02
A23K20/142
A23K50/80
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023540454
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(85)【翻訳文提出日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 EP2021087451
(87)【国際公開番号】W WO2022144292
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】20217816.6
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1-11, 45128 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ザシャ ブラウネ
(72)【発明者】
【氏名】ヘールト ファン エースター
(72)【発明者】
【氏名】ハンス ヨアヒム ハッセルバッハ
(72)【発明者】
【氏名】クラウディア ディバラ
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
4C086
【Fターム(参考)】
2B005MA01
2B150AA08
2B150AB02
2B150DA49
4C086AA04
4C086BC47
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA12
4C086NA15
4C086ZC21
4C086ZC61
(57)【要約】
本発明は、特に、DL/LD-メチオニンジケトピペラジン(I)の調製のための方法において、20℃でpH電極を使用して測定される3~7のpHを有するDD/LL-メチオニルメチオニン含有水性溶液または懸濁液を、反応混合物中のDL/LD-およびDD/LL-メチオニンジケトピペラジンの総含有量に基づいて、少なくとも30mol%、好ましくは50mol%、特に60mol%の割合のDL/LD-メチオニンジケトピペラジンを含む水性溶液または懸濁液が生成されるまで、150~220℃の温度で、好ましくは170~210℃で反応させることを特徴とする、方法に関する。この方法は、初めに生成されたDL/LD-メチオニンジケトピペラジン(I)からの加水分解により得られるDL/LD-メチオニルメチオニンの調製のための方法全体の部分を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DL/LD-メチオニンジケトピペラジン(I)
【化1】
の調製のための方法において、
20℃でpH電極を使用して測定される3~7のpHを有するDD/LL-メチオニルメチオニン含有水性溶液または懸濁液を、反応混合物中のDL/LD-およびDD/LL-メチオニンジケトピペラジンの総含有量に基づいて、少なくとも30mol%、好ましくは50mol%、特に60mol%の割合のDL/LD-メチオニンジケトピペラジンを含む水性溶液または懸濁液が生成されるまで、150~220℃の温度で、好ましくは170~210℃で反応させることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記反応が、4~6のpHで行われることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記反応が、175~210℃の温度で実施されることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記反応の最後における前記反応混合物中のDL/LD-およびDD/LL-メチオニンジケトピペラジンの形態のDL/LD-およびDD/LL-メチオニルメチオニン均等物の全濃度が、0.1重量%~18重量%の範囲内、好ましくは1重量%~15重量%の範囲内であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
DL/LD-メチオニルメチオニンをすでに含むDD/LL-メチオニルメチオニン含有水性溶液または懸濁液が使用されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
使用される前記水性溶液または懸濁液が、DD/LL-およびDL/LD-メチオニルメチオニンのその総含有量に基づいて、最大30mol%の割合のDL/LD-メチオニルメチオニンをすでに含むことを特徴とする、請求項5記載の方法。
【請求項7】
ジアステレオ異性的に純粋なDL/LD-メチオニルメチオニンを得るための方法において、
a.メチオニンヒダントインがアルカリ金属塩基と一緒に変換されて、DL/LD-メチオニンジケトピペラジンおよびDD/LL-メチオニンジケトピペラジン(DLLD-DKPおよびDDLL-DKP)のジアステレオマー混合物を与え、
b.a.からの反応溶液を濃縮または冷却することにより、a.からの前記DLLD-DKPおよびDDLL-DKPが結晶化され、
c.晶出された前記DLLD-DKPおよびDDLL-DKPが、DKP母液から分離され、
d.分離された前記DLLD-DKPおよびDDLL-DKPが水に混合され、混合物が、適量のアルカリの添加により、20℃でpH電極を使用して測定される10~14、好ましくは13のpHにされ、かつ90~150℃の温度で30~180分の滞留時間で加水分解されて、DL/LD-メチオニルメチオニンアルカリ金属塩およびDD/LL-メチオニルメチオニンアルカリ金属塩のジアステレオマー混合物の対応する水性溶液または懸濁液を与え、
e.20℃で測定されるd.からの前記溶液または懸濁液のpHが、適量の酸の添加により7以下まで、好ましくは4~6まで、特に好ましくは4.7~6.0まで下げられ、
f.水の蒸発および/または冷却が使用されて、DL/LD-メチオニルメチオニンを主に含む固形分、およびDD/LL-メチオニルメチオニンを主に含む母液からなる懸濁液が生成され、
g.f.からの前記固形分が前記母液から分離され、
h.代替的に洗浄および/または乾燥され、ジアステレオ異性的に純粋なDL/LD-メチオニルメチオニンが得られ、
i.反応混合物中のDL/LD-およびDD/LL-メチオニルメチオニン均等物の総含有量に基づいて、最大60mol%の割合のDL/LD-メチオニンジケトピペラジンを有するDL/LD-メチオニンジケトピペラジンおよびDD/LL-メチオニンジケトピペラジンのジアステレオマー混合物を含む水性溶液または懸濁液が生成されるように、g.からの残留DD/LL-メチオニルメチオニン含有母液を請求項1に従って反応させ、
j.次いで、これがステップb.に再循環される
ことを特徴とする、方法。
【請求項8】
ステップd.において前記反応混合物中のDL/LD-およびDD/LL-メチオニルメチオニン均等物の前記総含有量に基づいて、0.9~1.5モル当量、好ましくは1.0~1.2モル当量の塩基が使用されることを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
ステップd.においてアルカリ金属水酸化物、好ましくはNaOHまたはKOHが塩基として使用されることを特徴とする、請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
ステップe.において強鉱酸、好ましくはリン酸、塩酸または硫酸、特に硫酸が使用されることを特徴とする、請求項7から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
ステップf.において冷却が最低50℃以上の温度で行われることを特徴とする、請求項7から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
ステップf.において生成される前記懸濁液が、少なくとも1重量%、ただし15重量%を超えない総含有量のDD/LL-およびDL/LD-メチオニルメチオニンを含むことを特徴とする、請求項7から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
水産養殖のための動物飼料添加物としての使用のための、請求項7から12までのいずれか1項記載の方法により得ることができる粉末状のジアステレオ異性的に純粋なDL/LD-メチオニルメチオニン。
【請求項14】
水産養殖のための動物飼料添加物としての使用のための、以下の特徴:
a.少なくとも97重量%の総含有量のDD/LL-およびDL/LD-メチオニルメチオニン、
b.それぞれのケースにおいてDD/LL-およびDL/LD-メチオニルメチオニンの前記総含有量に基づいて、少なくとも90mol%のDL/LD-メチオニルメチオニンおよび最大で10mol%のDD/LL-メチオニルメチオニン、好ましくは少なくとも95mol%のDL/LD-メチオニルメチオニンおよび最大で5mol%のDD/LL-メチオニルメチオニン、
c.最大で1.0重量%の残留水分、
d.最大で2.0重量%の硫酸塩(灰分)および
e.80~300μm、好ましくは150~250μmのメジアンD50を有する粒子サイズ分布
を有する粉末状のジアステレオ異性的に純粋なDL/LD-メチオニルメチオニン含有生成物。
【請求項15】
水産養殖のための動物飼料添加物としての、請求項14記載のジアステレオ異性的に純粋なDL/LD-メチオニルメチオニンの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
導入
本発明は、DL/LD-2,6-ビス(メチオニル)-1,4-ジケトピペラジン(I、メソ-メチオニン-DKP、メソ-met-DKP)を与える環化およびエピマー化ならびにその後の加水分解によるDD/LL-メチオニルメチオニンからの、DL/LD-メチオニルメチオニンのジアステレオ異性的に純粋な調製のための方法に関する。「ジアステレオ異性的に純粋な」および「本質的にジアステレオ異性的に純粋な」は、この文脈において、存在するメチオニルメチオニン(Met-Met)の総含有量に基づいて、少なくとも90mol%、好ましくは少なくとも95~97mol%の所望のDL/LDジアステレオマーを含む生成物を意味すると理解される。
【0002】
【化1】
【0003】
国際公開第2010043558号は、水産養殖において保たれる魚および甲殻類の摂餌のための高価値メチオニン源として主にますます使用されているDL-メチオニンの同族のジペプチドであるメチオニルメチオニン(Met-Met)の調製のための方法を開示している。
【0004】
生成物は、その2つの立体中心(2個の不斉炭素原子)のため、2種のジアステレオマー、DL,LD-Met-MetおよびDD,LL-Met-Metの形態、すなわち2つの立体配置異性体のエナンチオマー対の形態で存在し、それらはいずれも動物によって事実上等しくよく利用され得るが、実際の取扱いにおいてある種の問題につながり得る著しく異なる物理的特性を持つ。
【0005】
2種のジアステレオマーは異なる結晶構造を形成することが見出された。DLLD-Met-Metが最終生成物沈殿中の球塊を形成する一方、DDLL-Met-Metは針状で晶出する。これは、異なる流動性および凝集傾向、ならびに異なる溶解度に関連する。
【0006】
室温のDLLD-Met-Metは、ちょうど0.4g/lの水溶解度を有する一方、DDLL-Met-Metの水溶解度は、21.0g/lで大幅に高い。しかし、高い水溶解度は、飼料ペレットからの浸出の結果として価値のある物質の損失が生じる可能性があるため、水産養殖における使用にはむしろ不都合である。国際公開第2010043558号による調製方法からの生成物は、60/40のDLLD-/DDLL-Met-Met比を典型的に有する。したがって、大幅に高い割合のDLLD-Met-Metを有する生成物が望ましい。加えて、現在までに既知の生成物は、最大で500kg/mの比較的低い嵩密度、3(満足)~5(乏しい)のごく中程度ないし比較的乏しい流動性、およびMIE<3mJの比較的低い最小着火エネルギーを示し、したがって、比較的可燃性が高く、ひいては、これらの特性も改善を必要とするように見受けられる。
【0007】
メチオニンメチルエステルから進行する2,5-ジケトピペラジンの合成は、1972年から独国特許第2261926号明細書にすでに開示されている。同明細書には、メチオニンのイソプロピルエステルの加熱が3,6-ビス[2-(メチルチオ)エチル]-2,5-ピペラジンジオン(メチオニンジケトピペラジン、DKP)を生成することが開示されている。Baker, D. H.ら(Journal of Nutrition, volume 114, no. 2, 1984, pages 292-297)による刊行物も、ジケトピペラジンを調製するためのこの方法に関する。しかし、出発材料としてメチオニンイソプロピルエステルを使用することは極めて高価であり、ひいては、非経済的である。
【0008】
課題
したがって、根底にある発明により対処される課題は、先行技術の生成物と比較してジアステレオマーの総量に基づいて大幅に高い割合のDLLD-Met-Metを有するDLLD,DDLL-Met-Met品質の調製のための方法を提供すること、ならびに以前の生成物と比較して最大限に改善された取扱いおよび安全関連特性を追加的に有することが意図される生成物を提供することであった。
【0009】
発明の説明
溶解しにくいエナンチオマー対、DLLD-Met-Metのみが実質的に単離され、望まれないDDLL-Met-Metは、再び直接前駆体DKPへと逆変換され、かつ方法において同時にエピマー化されるので、記載した課題は本発明によって解決される。
【0010】
したがって、上述の課題に対する解決手段の基本的な部分は、本発明によれば、DL/LD-メチオニンジケトピペラジン(I)
【化2】
の調製のための方法において、
20℃でpH電極を使用して測定される3~7、好ましくは4~6の、特に約5のpHを有するDD/LL-メチオニルメチオニン含有水性溶液または懸濁液を、反応混合物中のDL/LD-およびDD/LL-メチオニンジケトピペラジンの総含有量に基づいて、少なくとも30mol%、好ましくは50mol%、特に60mol%の割合のDL/LD-メチオニンジケトピペラジンを含む水性溶液または懸濁液が生成されるまで、150~220℃、好ましくは170~210℃の温度で反応させる(例3~11参照)ことを特徴とする、方法により提供される。次いで、これを加水分解して、対応するメチオニルメチオニン異性体混合物を与えることができる。9超のより高いpH値または3未満のより低いpH値は、比較例1および比較例2により示されるように、より低い収率またはあまり好都合ではないDLLD/DDLL-DKPの最終比につながる。
【0011】
実施された調査において、例として、国際公開第2010043558号による工業的なMet-Met方法からの硫酸ナトリウムを含む実質的に排他的にDDLL-Met-Metを含む母液が170℃を上回る温度まで加熱され、好ましくはおよそ1時間保持された。pH5では、DKPが定量的に生成されただけでなく、驚くべきことに、およそ60/40の比を有するDLLD-DKP/DDLL-DKPの混合物を与える、予想されたDDLL-DKP(>95%)のエピマー化も同時に観察された(特に例10)。DKPの立体中心のこの驚くべきエピマー化は、固/液分離後、このようにして得られたDKPを、DKPをMet-Metに変換するための現存する方法に戻すことができるための基礎を形成する。並行して、これまでよりもTOC/COD(化学的酸素要求量に対する全有機炭素の比)の負荷が著しく低減した硫酸ナトリウム含有廃棄物流が結果として生成される。廃水流のTOC/COD負荷の低減は、Met-Metと比較して大幅に低いDKPの溶解度の結果として起こる。
【0012】
そのような方法は、好ましくは、反応の最後における反応混合物中のDL/LD-およびDD/LL-メチオニンジケトピペラジンの形態のDL/LD-およびDD/LL-メチオニルメチオニン均等物の全濃度が、0.1重量%~18重量%の範囲内、特に好ましくは1重量%~15重量%の範囲内であるように実施される。しかし、方法において成立する約3重量%の濃度で運転するのが最も単純かつ最も有利であり、その理由は、これが、濃縮のためにエネルギーを追加で消費することなく達成することができ、これにも関わらず十分な量のDKP(したがってTOC)を廃棄物流から単離することができるからである。
【0013】
反応は、好ましくは、175~210℃の温度で行われる。そして、これは、反応が工業的に合理的に達成可能な反応時間で行われる利点を有する。しかし、これを越える温度の更なる上昇は、並行して起こるメチルチオ基における分解により制限される。
【0014】
加えて、本発明による方法において、DL/LD-メチオニルメチオニンを、具体的にはDD/LL-およびDL/LD-メチオニルメチオニンのその総含有量に基づいて、およそ最大30mol%の割合のDL/LD-メチオニルメチオニンですでに含むDD/LL-メチオニルメチオニン含有水性溶液または懸濁液が使用されてよい。これは、方法条件に応じて、ある程度より高い割合のDL/LD-メチオニルメチオニンを含み、したがって、問題なく加工することができるバッチを得ることもできるため有利である。
【0015】
本発明による方法は、30~120分、好ましくは60~90分の滞留時間で運転することができる。このケースでは、例10および11に従って、96~98%のDKP収率を、同時に60/40または53/47 DLLD/DDLL-DKPの非常に好都合なDKP最終比と共に得ることさえ可能である。これは特に驚くべきことであり、その理由は、比較として使用される先行技術の方法(国際公開第2010/043558号、45a頁、比較例12、表1)は、6時間の著しくより長い反応時間を必要とし、かつDKP収率(51%)およびDKP最終比DLLD/DDLL-DKP(46/54)(以下参照)の両方の点でより乏しい結果につながるからである。
【0016】
本発明とは対照的に、国際公開第2010/043558号は、以下のステップ:
i)一般式II
【化3】
[式中、
尿素誘導体IIa、IIb、IIc、IId、IIe、IIfおよびIIg中の基R1およびR2は、以下のように定義される:
IIa:R=COOH、R=NHCONH
IIb:R=CONH、R=NHCONH
IIc:R=CONH、R=NH
IId:R-R=-CONHCONH-
IIe:R=CN、R=OH
IIf:R=CN、R=NH
IIg:R==O、R=H]
の尿素誘導体を変換して、式III
【化4】
のジケトピペラジンを与えるステップ、
ii)ジケトピペラジンをDL-メチオニル-DL-メチオニンに変換するステップ
を含む、ここに記載された発明による方法の代替の実施形態を開示している。この方法は、国際公開第2010043558号のスキーム3に示された方法A、B、CおよびDを含む。これらの方法において、ジケトピペラジン(III)は、中間体として生成される。
【0017】
ここで、ジケトピペラジンを与える尿素誘導体の変換が、50℃~200℃の、好ましくは100℃~180℃の、特に好ましくは140℃~170℃の温度で実施されることが好ましい。
【0018】
好ましい方法において、尿素誘導体は、加圧下で、好ましくは3~20barの圧力で、特に好ましくは6~15barの圧力でジケトピペラジンに変換される。尿素誘導体は、好ましくは、塩基の存在下でジケトピペラジンに変換される。このケースでは、塩基は、好ましくは、窒素含有塩基、NHHCO、(NHCO、KHCO、KCO、NHOH/CO混合物、カルバミン酸塩、アルカリ金属塩基およびアルカリ土類金属塩基の群から選択される。
【0019】
更なる好ましい方法において、尿素誘導体は、メチオニンとの反応によりジケトピペラジンに変換される。ここで、1:100~1:0.5の尿素誘導体対メチオニンの比が好ましい。
【0020】
更なる好ましい方法において、ジケトピペラジンは、酸加水分解によりDL-メチオニル-DL-メチオニンに変換される。
【0021】
国際公開第2010/043558号による上記の方法とは対照的に、本発明は、あまり望ましくないDD,LL-Met-Metジアステレオマーを所望のDL,LD-Met-Metジアステレオマーへと直接変換することを目指していないが、その代わり、DD,LL-Met-MetジアステレオマーからDLLD-DKP混合物に進行する同時の環化およびエピマー化の本発明による決定的なステップが、驚くべきことに、上述の反応条件の適用により達成される。次いで、DLLD-DKP混合物を、その後、対応するDLLD-Met-Met混合物に高収率で加水分解することができる。このケースの収率は、国際公開第2010/043558号による先に引用された方法よりも大幅に高く、副生成物としてのMetの生成が事実上ない。
【0022】
本発明の更なる主題は、ジアステレオ異性的に純粋なDL/LD-メチオニルメチオニンを得るための方法全体(図1参照)において、
a.メチオニンヒダントインがアルカリ金属塩基と一緒に変換されて、DL/LD-メチオニンジケトピペラジンおよびDD/LL-メチオニンジケトピペラジン(DLLD-DKPおよびDDLL-DKP)のジアステレオマー混合物を与え、
b.a.からの反応溶液を濃縮または冷却することにより、a.からのDLLD-DKPおよびDDLL-DKPが結晶化され、
c.晶出されたDLLD-DKPおよびDDLL-DKPが、DKP母液から分離され、
d.分離されたDLLD-DKPおよびDDLL-DKPが水に混合され、混合物が、適量のMOH(M=アルカリ金属)の添加により、20℃でpH電極を使用して測定される10~14、好ましくは13のpHにされ、かつ90~150℃の温度で30~180分の滞留時間で加水分解されて、DL/LD-メチオニルメチオニンアルカリ金属塩およびDD/LL-メチオニルメチオニンアルカリ金属塩のジアステレオマー混合物の対応する水性溶液または懸濁液を与え、
e.20℃で測定されるd.からの溶液または懸濁液のpHが、適量の酸の添加により7以下まで、好ましくは4~6まで、特に好ましくは4.7~6.0まで下げられ(酸性化)、
f.水の蒸発および/または冷却が使用されて、DL/LD-メチオニルメチオニンを主に含む固形分、およびDD/LL-メチオニルメチオニンを主に含む母液からなる懸濁液が生成され(沈殿)、
g.f.からの固形分が母液から分離され、
h.代替的にg.から分離された固形分が洗浄および/または乾燥され、ジアステレオ異性的に純粋なDL/LD-メチオニルメチオニンが得られ、
i.反応混合物中のDL/LD-およびDD/LL-メチオニルメチオニン均等物の総含有量に基づいて、最大60mol%の割合のDL/LD-メチオニンジケトピペラジンを有するDL/LD-メチオニンジケトピペラジンおよびDD/LL-メチオニンジケトピペラジンのジアステレオマー混合物を含む水性溶液または懸濁液が生成されるようにg.からの残留DD/LL-メチオニルメチオニン含有母液を上記の手順(請求項1も参照)に従って反応させ、
j.次いで、これがステップb.に再循環される
ことを特徴とする、方法全体(図1参照)である。
【0023】
ジアステレオマーのエナンチオマー対の分離は、50℃を上回る温度および15%を下回る、好ましくは10%を下回るMet-Met濃度での分別結晶により達成することができる。これらの条件下で、実質的に排他的にDLLD-Met-Metのエナンチオマー対を選択的に沈殿させることができる。DDLL-Met-Metは、95%を超える程度まで溶液中に残留する。そのような分離は、55/45のDLLD-DKP/DDLL-DKPの比を有する出発生成物、環状ジペプチドDKPでは可能ではない。
【0024】
ステップd.において反応混合物中のDL/LD-およびDD/LL-メチオニルメチオニン均等物の総含有量に基づいて、好ましくは0.9~1.5モル当量、特に好ましくは1.0~1.2モル当量の塩基が使用される。この手順は、ジペプチドへのDKP前駆体の実質的に定量的な加水分解をもたらす。
【0025】
ステップd.において使用される塩基として、アルカリ金属水酸化物、特に好ましくはNaOHまたはKOHが好ましく、その理由は、これらが十分に高いアルカリ度および溶解度を有し、比較的安価であり、同時に高品質で入手でき、追加的に、最終生成物中におそらく残留する何らかの痕跡に関して全く問題がない工業薬品であるからである。
【0026】
ステップe.において使用される酸として、例えばリン酸、塩酸または硫酸、特に硫酸などの強鉱酸が好ましい。NaOHまたはKOHで中和されるとき、硫酸は、対応する硫酸ナトリウムまたは硫酸カリウムを生成し、それは、生成物DL/LD-メチオニルメチオニンの分離において特に助けになることが判明し、その理由は、特によく濾過できる生成物結晶が、特にNaOHの先使用の場合に生成されるためである。
【0027】
ステップf.において冷却は、好ましくは、最低50℃超の温度で行われる。これは、依然として存在するせいぜい少量のDDLL-Met-Metも析出する効果を有し、これは、生成物中にわずか5%未満の割合の望ましくないジアステレオマーDDLL-Met-Metが依然として残留することを意味する。
【0028】
方法は、好ましくは、ステップf.において生成される懸濁液が、少なくとも1重量%、ただし15重量%を超えない総含有量のDD/LL-およびDL/LD-メチオニルメチオニンを含むように実施される。このようにして、DLLD-Met-Metから主になる比較的よく濾過できる結晶を生成できることが達成される。
【0029】
したがって、エナンチオマー対の分離は、50℃を上回る温度および10%を下回るMet-Met濃度での分別結晶により有利に達成することができる。これらの条件下で、実質的に排他的にDLLD-Met-Metのエナンチオマー対を選択的に沈殿させることができる。DDLL-Met-Metは、95%を超える程度まで溶液中に残留する。すでに記載されたように、そのような分離は、約55/45のDLLD-DKP/DDLL-DKPの比を有する出発生成物、環状ジペプチドDKPでは可能ではない。
【0030】
ステップg.において分離された固形分はさらに精製および/または乾燥され、結果として、水産養殖のための動物飼料添加物としての使用に直接適している粉末状の実質的にジアステレオ異性的に純粋なDL/LD-メチオニルメチオニンが得られる。
【0031】
したがって、本発明は、本発明の上記の方法のうちの1つにより得ることができる粉末状の実質的にジアステレオ異性的に純粋なDL/LD-メチオニルメチオニンをさらに提供し、それは、水産養殖のための動物飼料添加物としての使用に適している。
【0032】
そのような粉末状の実質的にジアステレオ異性的に純粋なDL/LD-メチオニルメチオニン含有生成物は、以下の特徴:
a.少なくとも97重量%の総含有量のDD/LL-およびDL/LD-メチオニルメチオニン、
b.それぞれのケースにおいてDD/LL-およびDL/LD-メチオニルメチオニンの総含有量に基づいて、少なくとも90mol%のDL/LD-メチオニルメチオニンおよび最大で10mol%のDD/LL-メチオニルメチオニン、好ましくは少なくとも95mol%のDL/LD-メチオニルメチオニンおよび最大で5mol%のDD/LL-メチオニルメチオニン、
c.最大で1.0重量%の残留水分、
d.最大で2.0重量%の硫酸塩(灰分)および
e.80~300μm、好ましくは150~250μmのメジアンD50を有する粒子サイズ分布
を有する。
【0033】
生成物は、水産養殖のための動物飼料添加物としての使用に特に適しており、その理由は、生成物が水に比較的あまり溶解しないため、それが予め取り込まれた飼料ペレットからの浸出の結果として失われることがほとんどないからである。
【0034】
したがって、本発明は、水産養殖のための動物飼料添加物としての、実質的にジアステレオ異性的に純粋なDL/LD-メチオニルメチオニンの対応する使用をさらに提供する。固/液分離および乾燥の後、高純度のAQUAVl(登録商標)Met-Metが95以上/5以下のDLLD/DDLL-Met-Metのジアステレオマー比で得られる。この新規な生成物は、わずか500kg/m未満の国際公開第2010043558号からの標準的な生成物である従来のDLLD/DDLL-Met-Met生成物混合物と比較して、600kg/mを大幅に上回る嵩密度を有する。新規な生成物は、5~6のフローグレードを一般に有する従来のDLLD/DDLL-Met-Met生成物混合物と比較して、標準的なオリフィスシリンダー(例の分析法参照)を用いて測定されるスケール1~6で一般にフローグレード3またはより良い(満足~良好)著しく改善された流動特性も示す。加えて、室温での本発明による生成物の最小着火エネルギーは、10mJを上回り、100℃でも依然として3mJを上回り、したがって、もはや着火に対して特に敏感と分類することはできない。これは、生成物の安全な取扱いおよびそのためにかかる費用にとって非常に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】DL/LD-メチオニルメチオニンの調製のためのスキームを示す図であり、スキームは、以下のステップ:a.DLLD/DDLL-Met-DKPを与えるアルカリ金属塩基とのメチオニンヒダントインの反応;b.DLLD/DDLL-Met-DKPの結晶化;c.DLLD/DDLL-Met-DKPの分離、c1.DKP母液の排出、c2.廃水処理;d.DLLD/DDLL-Met-MetへのDLLD/DDLL-Met-DKPのアルカリ加水分解;e.酸性化および;f.DLLD-Met-Metの沈殿;g.固体DLLD-Met-Metの分離;h.DLLD-Met-Metの洗浄および/または乾燥、h1.DLLD-Met-Metの袋詰め;i.DLLD/DDLL-Met-DKPを与えるDDLL-Met含有母液中のDDLL-Metの反応およびエピマー化;j.ステップcへのDLLD/DDLL-Met-DKPの再循環を含む。
図2】DL,LD-メチオニンジケトピペラジンの調製のためのDD,LL-メチオニルメチオニン含有溶液中で測定された温度の関数としてのpHを示す図であり、前記溶液は、3重量%の含有量のDD,LL-メチオニルメチオニンを有し、したがって、工業的例10において使用される。この溶液は、国際公開第2010043558号、第45a)頁に従って実施された比較例12とは対照的に、KHCOを全く含んでいなかった。更なる添加剤(KHCO)を省くことは、WO文書からの方法に対して追加的に大きな利点である。
【0036】
実施例
特に記載されない限り、一般的な方法説明および表1中のそれぞれ関連する情報に従って例を実施した。
【0037】
分析法
嵩密度の決定
1Lメスシリンダーを使用して、結果として直接嵩密度が得られるように1Lメスシリンダーを1000ml標線まで正確にバルク材料で満たし、内容物の重量を秤量することにより測定して、kg/L単位の嵩密度を決定した。
【0038】
流動特性の決定
標準的なガラスオリフィス容器を使用する流動性の従来の測定に基づいて1(非常に良好)~6(不満足)のフローグレードを割り当てることにより流動特性(流動性)を決定した。これらは、グレード1の狭い幅からグレード6の比較的広い幅までの範囲の異なる幅のオリフィスがその中心に位置する、円錐形の下端を有する円筒形を有していた(サイロに類似)。最も狭いオリフィス容器で測定を開始し、オリフィスをガラスプレートで閉じたままにし、オリフィス容器をバルク材料で満たし、ガラスプレートを取り除き、流出を評価した。バルク材料の実質的に抑制されない流出を観察することができたときのみ1のグレードを与えた。これが当てはまらなかった場合、次により広いオリフィス容器を使用し、完全な流出の場合に2のグレードを割り当て;再びこれが当てはまらなかった場合、次により広いオリフィス容器を使用し、以下、最も広いオリフィス容器(容器5)まで同様にした。このオリフィス容器からも抑制されずに流れることができなかった材料のみ6のグレードで評価した。標準的なオリフィス容器はすべて、70mmの円筒部分の高さおよび36mmの内側の幅を有していた。オリフィスは、容器1:2.5mm、容器2:5mm、容器3:8mm、容器4:12mm、容器5:18mmの幅を有していた。
【0039】
pHの決定
特に示されない限り、水性溶液中で20℃の温度でガラス電極を用いてpHを測定した。
【0040】
標準的なHPLC法を使用して外部標準に対してMet、Met-Met、メチオニル-DKPなどの濃度の定量的決定を行った。
【0041】
DKP合成の一般的な方法説明
硫酸または苛性ソーダのいずれかを使用してpHを4.5または5に調整した後、ジペプチドMet-Metの水性溶液を150~180℃まで30~120分の期間加熱した。70℃まで冷却した後、圧力を低下させることにより、水性懸濁液を得た。濾過ケークを濾別し、水で洗浄した後、固体を得、それは、出発材料Met-Metの立体化学的配置とは無関係に、最も好都合なケースでは50/50以上の比のDLLD-DKPおよびDDLL-DKPの混合物からなるDKPを主に含んでいた。
【0042】
例1(pHの変形形態-塩基性条件、比較例)
pHを9.3に調整し、その他の点では一般的な方法説明に従って進行することにより、主にメチオニンを140℃の温度ですでに生成した。出発材料中36/64 DLLD/DDLL-Met-Metのジアステレオマー比から出発して、34%の収率および57/43 DLLD/DDLL-DKPのジアステレオマー比でDKPを得ただけであった。
【0043】
例2(pHの変形形態-酸性条件、比較例)
pHを2.9に調整し、その他の点では一般的な方法説明に従って進行することにより、主にメチオニンを140℃の温度ですでに生成した。出発材料中36/64 DLLD/DDLL-Met-Metの同じジアステレオマー比から出発して、60%の収率および36/64 DLLD/DDLL-DKPのジアステレオマー比でDKPを得ただけであった。
【0044】
例3~例5(温度、反応時間およびpHの変形形態)
例3
混合物を150℃まで加熱し、この温度で120分間保持し、次いで、120℃およびpH9.0で60分間保持し、その他の点では一般的な方法説明に従って進行して、著しいエピマー化を伴って収率53%でDKPを得た。ジアステレオマーの比は、15/85 DLLD/DDLL-Met-Metから60/40 DLLD/DDLL-DKPにシフトした。
【0045】
例4
対照的に、混合物を150℃まで加熱し、この温度およびpH4.8で120分間保持し、その他の点では一般的な方法説明に従って進行して、著しくより少ないエピマー化を伴って収率80%でDKPを得た。ジアステレオマーの比は、15/85 DLLD/DDLL-Met-Metから25/75 DLLD/DDLL-DKPにシフトした。
【0046】
例5
対照的に、混合物を160℃まで加熱し、この温度で60分間保持し、その他の点では一般的な方法説明に従って進行して、著しいエピマー化を伴って収率72%でDKPを得た。ジアステレオマーの比は、15/85 DLLD/DDLL-Met-Metから39/61 DLLD-/DDLL-DKPにシフトした。
【0047】
例6
2.9% DDLL-Met-Met(151mmol)および0.9% DLLD-Met-Met(50mmol)の含有量を有する水性溶液1.47kgを10% NaOHの添加によりpH4.5に調整した。次いで、溶液を170℃の温度(7barg)までできるだけ急速に加熱し、この温度で90分間保持した。Met-Metを分析的にもはや検出できなくなったら、反応混合物を減圧により100℃まで冷却した。こうして得られた懸濁液を真空下でさらに70℃まで冷却した。生成された固体沈殿物を濾別し、濾過ケークを150gの水で洗浄して、98gの褐色がかった結晶を得た。両方のジアステレオマーから構成される43gのDKP混合物(161mmol、収率80%)を、乾燥後に48/52のDLLD-/DDLL-DKPの比で98%の化学的純度で単離した。
【0048】
例7および例8(反応時間の変形形態)
反応時間を60分に短縮し、その他の点では例6の方法説明に従って進行して、73%のより低い収率のDKPを52/48 DLLD/DDLL-DKPのジアステレオマー比で得、30分の反応時間で、71%の収率を48/52のジアステレオマー比で得た。
【0049】
例9(反応温度の上昇)
温度を175℃までさらに上昇させ、この温度およびpH4.5で30分間保持し、その他の点では例6の方法説明に従って進行して、例8と比較して77%のある程度より高い収率のDKPを38/62 DLLD-/DDLL-DKPのジアステレオマー比で再び得た。
【0050】
例10(pH6.0で反応温度175℃)
例6と同様に、2.7% Met-Metの含有量および12/88のMet-Met出発比DLLD/DDLLを有し、かつ6.0のpHを有する水性溶液(工業的生産プラントからのMet-Met母液)を175℃の温度までできるだけ急速に加熱し、この温度で90分間保持した。その他の点では、手順は、例6の方法説明に従った。96%のさらにより高い収率および同時に約60/40 DLLD-/DDLL-DKPの非常に好都合なジアステレオマー比のDKPを得た。
【0051】
例11(pH4.7で反応温度175℃)
例10と同様に、3.3% Met-Metの含有量および25/75のMet-Met出発比DLLD/DDLLを有し、かつ4.7のpHを有する水性溶液(工業的生産プラントからのMet-Met母液)を175℃の温度までできるだけ急速に加熱し、この温度で90分間保持した。その他の点では、手順は、例6の方法説明に従った。98%のさらにより高い収率および同時に約53/47 DLLD-/DDLL-DKPの非常に好都合なジアステレオマー比のDKPを得た。
【0052】
例12(pHの変形形態、国際公開第2010043558号、45a)頁による比較例)
-「DL/LD-メチオニルメチオニンのラセミ化」
12.6g(45.0mmol)のDD/LL-メチオニルメチオニン(0/100のMet-Met出発比DLLD/DDLL)を4.5g(45.0mmol)のKHCOと一緒に200ml Roth実験室反応器内で75mlの水に溶解し、撹拌しながら160℃まで加熱した。圧力が7barまで上昇し、この温度で6時間後、オートクレーブを氷浴中で20℃まで冷却し、ガラス電極を使用して、得られた懸濁液中でpHをpH=9.1と決定した。次いで、懸濁液を濾過し、濾別された固体を水で複数回洗浄し、乾燥キャビネット内で減圧下50℃にて乾燥した。単離された収量は、6.0g(22.9mmol)(51%)のビス[2-(メチルチオ)エチル]-2,5-ピペラジンジオン(III)、黄色がかった白色結晶、純度>98%(HPLC)、融点233~236℃;ジアステレオマー比:54:46(DD/LL-III:メソ-III)であった。洗浄水および母液を合わせ、ロータリーエバポレーターで40℃にて25mlの体積まで濃縮した。次いで、6.0のpHを得るまで適度なCO流を得られた溶液に導入し、白色固体が析出した。この固体を濾別し、少量の冷水で洗浄し、真空乾燥キャビネット内で50℃にて一晩乾燥した。単離された収量は、5.5g(19.6mmol)(44%)のDD/LL/DL/LD-メチオニルメチオニン(I)、白色固体、純度>98%(HPLC)であった。
【0053】
例13(DLLD/DDLL-Met-MetなどへのDLLD/DDLL-Met-DKPの加水分解)
例10および11に従って生成されたDLLD/DDLL-Met-DKPのジアステレオマーの混合物をステップe.~h.(上記および図1参照)に従ってDLLD/DDLL-Met-Metアルカリ金属塩の対応する混合物に加水分解することができた。例えば、硫酸でのpH4.5~5.6までの適切な酸性化の後、DLLD-Met-Metを固体として沈殿させ、濾別し、洗浄し、乾燥した。こうして得られたDLLD-Met-Metは一貫して、1~2のフローグレード、600kg/m超の嵩密度、および約10%の63μm未満の低いダスト含有量を示した。これらの生成物について見出された最小着火エネルギーは室温で10mJを上回り、100℃でも依然として3mJを上回った。
【0054】
次いで、DDLL-Met-Metが溶液中に残留する濾過からの母液を環化およびエピマー化のステップi.に供給することができた。
【0055】
【表1-1】
【0056】
【表1-2】
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-07-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DL/LD-メチオニンジケトピペラジン(I)
【化1】
の調製のための方法において、
20℃でpH電極を使用して測定される~7のpHを有するDD/LL-メチオニルメチオニン含有水性溶液または懸濁液を、反応混合物中のDL/LD-およびDD/LL-メチオニンジケトピペラジンの総含有量に基づいて、少なくとも30mol%、好ましくは50mol%、特に60mol%の割合のDL/LD-メチオニンジケトピペラジンを含む水性溶液または懸濁液が生成されるまで、150~220℃の温度で、好ましくは170~210℃で反応させることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記反応が、4~6のpHで行われることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記反応が、175~210℃の温度で実施されることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記反応の最後における前記反応混合物中のDL/LD-およびDD/LL-メチオニンジケトピペラジンの形態のDL/LD-およびDD/LL-メチオニルメチオニン均等物の全濃度が、0.1重量%~18重量%の範囲内、好ましくは1重量%~15重量%の範囲内であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
DL/LD-メチオニルメチオニンをすでに含むDD/LL-メチオニルメチオニン含有水性溶液または懸濁液が使用されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
使用される前記水性溶液または懸濁液が、DD/LL-およびDL/LD-メチオニルメチオニンのその総含有量に基づいて、最大30mol%の割合のDL/LD-メチオニルメチオニンをすでに含むことを特徴とする、請求項5記載の方法。
【請求項7】
ジアステレオ異性的に純粋なDL/LD-メチオニルメチオニンを得るための方法において、
a.メチオニンヒダントインがアルカリ金属塩基と一緒に変換されて、DL/LD-メチオニンジケトピペラジンおよびDD/LL-メチオニンジケトピペラジン(DLLD-DKPおよびDDLL-DKP)のジアステレオマー混合物を与え、
b.a.からの反応溶液を濃縮または冷却することにより、a.からの前記DLLD-DKPおよびDDLL-DKPが結晶化され、
c.晶出された前記DLLD-DKPおよびDDLL-DKPが、DKP母液から分離され、
d.分離された前記DLLD-DKPおよびDDLL-DKPが水に混合され、混合物が、適量のアルカリの添加により、20℃でpH電極を使用して測定される10~14、好ましくは13のpHにされ、かつ90~150℃の温度で30~180分の滞留時間で加水分解されて、DL/LD-メチオニルメチオニンアルカリ金属塩およびDD/LL-メチオニルメチオニンアルカリ金属塩のジアステレオマー混合物の対応する水性溶液または懸濁液を与え、
e.20℃で測定されるd.からの前記溶液または懸濁液のpHが、適量の酸の添加により7以下まで、好ましくは4~6まで、特に好ましくは4.7~6.0まで下げられ、
f.水の蒸発および/または冷却が使用されて、DL/LD-メチオニルメチオニンを主に含む固形分、およびDD/LL-メチオニルメチオニンを主に含む母液からなる懸濁液が生成され、
g.f.からの前記固形分が前記母液から分離され、
h.代替的に洗浄および/または乾燥され、ジアステレオ異性的に純粋なDL/LD-メチオニルメチオニンが得られ、
i.反応混合物中のDL/LD-およびDD/LL-メチオニルメチオニン均等物の総含有量に基づいて、最大60mol%の割合のDL/LD-メチオニンジケトピペラジンを有するDL/LD-メチオニンジケトピペラジンおよびDD/LL-メチオニンジケトピペラジンのジアステレオマー混合物を含む水性溶液または懸濁液が生成されるように、g.からの残留DD/LL-メチオニルメチオニン含有母液を請求項1に従って反応させ、
j.次いで、これがステップb.に再循環される
ことを特徴とする、方法。
【請求項8】
ステップd.において前記反応混合物中のDL/LD-およびDD/LL-メチオニルメチオニン均等物の前記総含有量に基づいて、0.9~1.5モル当量、好ましくは1.0~1.2モル当量の塩基が使用されることを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
ステップd.においてアルカリ金属水酸化物、好ましくはNaOHまたはKOHが塩基として使用されることを特徴とする、請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
ステップe.において強鉱酸、好ましくはリン酸、塩酸または硫酸、特に硫酸が使用されることを特徴とする、請求項7から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
ステップf.において冷却が最低50℃以上の温度で行われることを特徴とする、請求項7から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
ステップf.において生成される前記懸濁液が、少なくとも1重量%、ただし15重量%を超えない総含有量のDD/LL-およびDL/LD-メチオニルメチオニンを含むことを特徴とする、請求項7から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
水産養殖のための動物飼料添加物としての使用のための、以下の特徴:
a.少なくとも97重量%の総含有量のDD/LL-およびDL/LD-メチオニルメチオニン、
b.それぞれのケースにおいてDD/LL-およびDL/LD-メチオニルメチオニンの前記総含有量に基づいて、少なくとも90mol%のDL/LD-メチオニルメチオニンおよび最大で10mol%のDD/LL-メチオニルメチオニン、好ましくは少なくとも95mol%のDL/LD-メチオニルメチオニンおよび最大で5mol%のDD/LL-メチオニルメチオニン、
c.最大で1.0重量%の残留水分、
d.最大で2.0重量%の硫酸塩(灰分)および
e.80~300μm、好ましくは150~250μmのメジアンD50を有する粒子サイズ分布
を有する粉末状のジアステレオ異性的に純粋なDL/LD-メチオニルメチオニン含有生成物。
【請求項14】
水産養殖のための動物飼料添加物としての、請求項13記載のジアステレオ異性的に純粋なDL/LD-メチオニルメチオニンの使用。
【国際調査報告】