(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】位置決めシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01Q 10/02 20100101AFI20240125BHJP
G01Q 60/24 20100101ALI20240125BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
G01Q10/02 111
G01Q60/24
H01L21/68 F
H01L21/68 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541549
(86)(22)【出願日】2022-01-24
(85)【翻訳文提出日】2023-09-04
(86)【国際出願番号】 NL2022050031
(87)【国際公開番号】W WO2022158980
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523185187
【氏名又は名称】ニアフィールド インストゥルメンツ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】サデギアン マルナニ,ハメド
(72)【発明者】
【氏名】トアセン,ヨアン-アンドレイ
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA39
5F131CA01
5F131DA33
5F131EA02
5F131EA22
5F131EA24
5F131FA17
5F131FA32
5F131FA33
5F131KA13
5F131KA47
5F131KA72
5F131KB07
5F131KB12
5F131KB32
5F131KB53
5F131KB55
(57)【要約】
要素の位置決めのためのグリッド板エンコーダに基づく位置決めシステム(1)が提供され、位置決めシステム(1)は、グリッド板表面(21)を有するグリッド板(2)、グリッド板表面(21)のグリッド板表面パターン(23)を検知するための1つ又は複数の光センサ(31)を有するエンコーダユニット(3)、要素の所望の位置を指定する座標(Xd、Yd)を受け取るための入力装置(7)、設定値座標によって指定される所望の位置(Xd、Yd)に要素が位置決めされるとき、エンコーダユニット(3)から予想される推定位置データに対応する補正座標データ(Xa、Ya)を計算するためのマッピングユニット(8)、エンコーダユニットから取得された推定位置データに基づくフィードバック制御を用いて、補正座標データ(Xa、Ya)を設定値(Xs、Ys)として位置決めユニット(12)に提供するフィードバック制御ユニット(9)を含む。さらに、グリッド板エンコーダに基づく位置決め方法及び補正データを計算する方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
要素の位置決めのためのグリッド板エンコーダに基づく位置決めシステム(1)であって、
グリッド板表面(21)を有するグリッド板(2)、
前記グリッド板表面(21)のグリッド板表面パターン(23)を検知するための1つ又は複数の光センサ(31)を有するエンコーダユニット(3)、
前記要素の所望の位置を指定する座標(Xd、Yd)を受け取るための入力装置(7)、
前記設定値座標によって指定される所望の位置(Xd、Yd)に前記要素が位置決めされるとき、前記エンコーダユニット(3)から予想される推定位置データに対応する補正座標データ(Xa、Ya)を計算するためのマッピングユニット(8)、
前記エンコーダユニットから取得された前記推定位置データに基づくフィードバック制御を用いて、前記補正座標データ(Xa、Ya)を設定値(Xs、Ys)として位置決めユニット(12)に提供するフィードバック制御ユニット(9)
を含む、グリッド板エンコーダに基づく位置決めシステム(1)。
【請求項2】
前記マッピングユニット(8)は、補正テーブル(6)を使用して前記補正座標データ(Xa、Ya)を計算する、請求項1に記載のグリッド板エンコーダに基づく位置決めシステム(1)。
【請求項3】
前記グリッド板表面(21)に面するウェーハ表面(42)において光学的に検出可能なマーク(41)を有するウェーハ(4、4r)を搬送するためのウェーハステージ(14)、
前記ウェーハステージ(14)と前記グリッド板(2)との間で移動可能な較正ヘッド(10)であって、前記グリッド板表面(21)の前記グリッド板表面パターン(23)を検知するための1つ又は複数の光センサ(31a)を有するエンコーダユニット(3a)と、前記ウェーハステージ(14)によって搬送される基準ウェーハ(4r)において光学的に検出可能なマーク(41)を検知するためのマークセンサ(5)とを含む較正ヘッド(10)、
前記較正ヘッド(10)を複数の互いに異なる横方向位置に位置決めするための較正ヘッド位置決めユニット(12a)並びに前記較正ヘッド位置決めユニット(12a)を制御し、及び前記複数の互いに異なる横方向位置において、前記さらなるエンコーダユニット(3a)及び前記マークセンサ(5)から取得される測定データ(Di、Bi)から、前記マッピングユニット(8)によって使用するための補正データを計算するための較正制御ユニット(11)
をさらに含む、請求項1に記載のグリッド板エンコーダに基づく位置決めシステム(1)。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のグリッド板エンコーダに基づく位置決めシステム(1)を含む原子間力顕微鏡(AFM)システム(100)であって、前記位置決めシステム(1)で位置決めされる先端(13b)を有するプローブ(13a)を有するAFMヘッド(13)をさらに含み、前記AFMヘッド(13)は、前記エンコーダユニット(3)を含む、原子間力顕微鏡(AFM)システム(100)。
【請求項5】
要素(13b)を位置決めする方法であって、
グリッド板表面(21)を有するグリッド板(2)を提供すること、
前記グリッド板表面(21)のグリッド板表面パターン(23)を検知するための1つ又は複数の光センサ(31)を有するエンコーダユニット(3)を提供すること、
前記要素の所望の位置を指定する座標(Xd、Yd)を受け取ること、
前記設定値座標によって指定される前記所望の位置(Xd、Yd)に前記要素が位置決めされるとき、前記エンコーダユニット(3)から予想される推定位置データ(Xe、Ye)に対応する補正座標データ(Xa、Ya)を計算すること、
フィードバック制御を使用して、前記エンコーダユニットの前記推定座標データ(Xe、Ye)が、前記計算された補正座標データ(Xa、Ya)に対応する位置に前記要素を位置決めすること
を含む方法。
【請求項6】
請求項1に記載のグリッド板エンコーダに基づく位置決めシステム(1)を用いて要素(13b)を位置決めする方法であって、
前記要素の所望の位置を示す設定値座標(X
d、Y
d)を提供すること、
前記要素が前記所望の位置に位置決めされるとき、前記エンコーダユニット(3)から予想される推定位置データを示す補正座標データ(Xa、Ya)を計算すること、
前記エンコーダユニットから取得された前記推定位置データに基づくフィードバック制御を用いて、前記補正座標データ(X
a、Y
a)を設定値として位置決めユニットに提供すること
を含む方法。
【請求項7】
グリッド板エンコーダに基づく位置決めシステム(1)においてそれぞれのグリッド板と共に使用するための補正パラメータを計算する方法であって、前記グリッド板(2)は、表面パターンを有するグリッド板表面(21)を有し、前記グリッド板エンコーダに基づく位置決めシステム(1)は、前記グリッド板表面(21)における前記表面パターンを光学的に検知するための1つ又は複数の光センサ(31)と、前記1つ又は複数の光センサ(31)から取得された検知信号から推定位置データを計算するための信号プロセッサ(32)とを有するエンコーダユニット(3)を含み、前記方法は、
前記グリッド板表面(21)に面するウェーハ表面(42)において光学的に検出可能なマーク(41)を有する基準ウェーハ(4)を提供することと、
前記グリッド板(2)と前記基準ウェーハ(4)との間に較正ヘッド(10)を提供することであって、前記較正ヘッド(10)は、前記ウェーハ表面に面するマークセンサ(5)を有し、及び前記グリッド板表面(21)に面するグリッドエンコーダの少なくとも前記1つ又は複数の光センサ(31)を有する、提供することと、
前記グリッド板(2)と前記基準ウェーハ(4)との間の複数の横方向に異なる位置(j=1、...、n)に前記較正ヘッド(10)を位置決めして、前記マークセンサ(5)から、前記光学的に検出可能なマーク(41)に対するその検知位置を示すそれぞれの位置表示(Bj)を取得し、及び前記エンコーダ(3)から、前記グリッド板表面(21)に対するその位置を示すそれぞれのエンコーダ位置表示(Dj)を取得することと、
前記取得された位置表示(Bj、Dj)に基づいて補正パラメータ(Nj)を計算することと
を含む、方法。
【請求項8】
請求項5~7の何れか一項に記載の方法の1つ又は複数のステップをプログラマブルプロセッサが行うことを可能にするための命令を有するコンピュータプログラムを含む記録担体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
本発明は、グリッド板エンコーダに基づく位置決めシステムに関する。
【0002】
本発明は、要素を位置決めする方法にさらに関する。
【0003】
本発明は、位置決めのための補正データを計算する方法にさらに関する。
【0004】
本発明は、方法の何れかの1つ又は複数のステップをプログラマブルプロセッサが行うことを可能にするための命令を有するコンピュータプログラムを含む記録担体になおもさらに関する。
【背景技術】
【0005】
様々な生産システム及び品質検査システムでは、生産システム要素又は検査システム要素を、処理される製品に対して高精度に位置決めする必要がある。その例として、ナノスケールで電子製品、光学製品又は光電気製品を製造するためのシステムがある。
【0006】
グリッド板とも呼ばれる平坦な2Dエンコーダスケールをエンコーダヘッドアセンブリと組み合わせて使用する位置決めシステムが知られている。エンコーダヘッドアセンブリは、複数のエンコーダ読み取りヘッド、例えば第1、第2及び第3の1Dエンコーダ読み取りヘッドを含み得る。3つの1Dエンコーダ読み取りヘッド(これらの少なくとも2つは、互いに異なるデコード方向を有する)の組み合わせは、3自由度(DOF)、すなわちX、Y、Rzにおけるエンコーダヘッドアセンブリの位置を決定するために使用され得る。グリッド板は、一般的に、例えば非反射性の背景上に反射するグリッド線を提供するか又はその逆に提供するなど、2次元の周期的なパターンを備える。例として、エンコーダヘッドアセンブリは、X方向に対して1つの1Dエンコーダ読み取りヘッドを備え、Y方向に対して2つの1Dエンコーダ読み取りヘッドを備え得る。市販のグリッドエンコーダの例としては、Heidenhain社から入手可能なKGM181、KGM182、KGM281、KGM282がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
パターニング方法に応じて、グリッド板パターンは、製造上の欠陥を有する。製造上の欠陥は、信号の欠陥につながり、エンコーダから取得される位置信号の精度を制限する。したがって、精度の向上を可能にする対策が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
概要
本発明の第1の態様によれば、要素の位置決めのための改良されたグリッド板エンコーダに基づく位置決めシステムが提供される。グリッド板エンコーダに基づく位置決めシステムは、
グリッド板表面を有するグリッド板、
グリッド板表面のグリッド板表面パターンを検知するための1つ又は複数の光センサを有するエンコーダユニット、
要素の所望の位置を指定する座標を受け取るための入力装置、
設定値座標によって指定される所望の位置に要素が位置決めされるとき、エンコーダユニットから予想される推定位置データに対応する補正座標データを計算するためのマッピングユニット、
エンコーダユニットから取得された推定位置データに基づくフィードバック制御を用いて、補正座標データを設定値として位置決めユニットに提供するフィードバック制御ユニット
を含む。
【0009】
エンコーダユニット及びグリッド板の組み合わせは、例えば、上記に明記したような市販の製品から選択され得る。グリッド板に製造上の欠陥がある場合でも、この改良された位置システムは、欠陥に起因する推定位置データの偏差をマッピングユニットが考慮することにより、要素の正確な位置決めをもたらす。
【0010】
補正テーブルは、設定値座標によって指定される所望の位置に要素が位置決めされるとき、エンコーダユニットから予想される推定位置データに対応する補正座標データを計算するために使用され得る。補正テーブルに格納されているもの以外の座標値を有する所望の位置に対して補間された補正座標データを計算するために、補間が適用され得る。代替実施形態では、多項式を使用して、所望の位置を指定するデータから補正座標データを計算する。
【0011】
ある実施形態では、グリッド板エンコーダに基づく位置決めシステムは、
グリッド板表面に面するウェーハ表面において光学的に検出可能なマークを有するウェーハを搬送するためのウェーハステージ、
ウェーハステージとグリッド板との間で移動可能な較正ヘッドであって、グリッド板表面のグリッド板表面パターンを検知するための1つ又は複数の光センサを有するエンコーダユニットと、ウェーハステージによって搬送される基準ウェーハにおいて光学的に検出可能なマークを検知するためのマークセンサとを含む較正ヘッド、
較正ヘッドを複数の互いに異なる横方向位置に位置決めするための較正ヘッド位置決めユニット並びに較正ヘッド位置決めユニットを制御し、及び複数の互いに異なる横方向位置において、さらなるエンコーダユニット及びマークセンサから取得される測定データから、マッピングユニットによって使用するための補正データを計算するための較正制御ユニット
をさらに含む。
【0012】
較正段階では、較正ヘッド位置決めユニットは、グリッド板に平行に画定され、及び基準ウェーハの表面のマークによって画定されるX、Y平面内に分布する複数の互いに異なる横方向位置に較正ヘッドを位置決めする。これらの各位置において、マークセンサ及びエンコーダユニットから検知データが取得される。マークセンサから取得される検知データは、較正ヘッドの真の位置を示すものと見なされる。したがって、マークセンサデータ及びエンコーダセンサデータの各ペアは、マークセンサによって示された位置において、場合により欠陥があるグリッド板を使用してエンコーダによって推定された位置の表示を提供する。このようにして取得されたデータは、互いに異なる横方向の各位置について、マークセンサによって示された位置でアドレス指定可能であり、及びエンコーダによって推定される、対応する(場合によって逸脱する)位置を指定するデータを含むテーブルエントリを有する補正テーブルを提供するために使用され得る。追加のさらなるテーブルエントリは、特別にマーク位置のために取得されたテーブルエントリの補間、例えば双一次補間によって提供され得る。追加的又は代替的に、較正段階に続いて補正テーブルデータに補間が適用され得る。他の実施形態では、較正段階で取得されたマークセンサデータ及びエンコーダセンサデータは、グリッドによって画定された空間範囲内の各実位置の推定位置として予想される位置間の関係を規定する多項式を計算するために使用される。
【0013】
マークセンサによる検知に使用される基準ウェーハは、この目的のために特別に設計されたものであり得る。しかしながら、代替的に、一般的なアライメントマーカなどの光学的に検出可能なマークを表面に有する場合、顧客ウェーハを基準ウェーハとして使用し得る。基準ウェーハは、基準位置を取得するためのフィデューシャルをさらに含み得る。代替的又は追加的に、ウェーハステージは、フィデューシャルを提供され得る。
【0014】
マークセンサは、対物レンズ、チューブレンズ、カメラ、ウェーハに焦点を合わせるための対物レンズ作動機構、ウェーハ照明などを含む、この目的のために入手可能な市販のカメラを含み得る。例として、Basler acA4024-29um USB 3.0カメラをこの目的に使用することができる。
【0015】
較正が完了すると、特に較正に関与した要素を取り外して他の目的のために再利用し得ることに留意されたい。それにより、較正ヘッド、較正ヘッド位置決めユニット及び較正制御ユニットは、較正された位置決めシステムにおいて必須の構成要素ではない。位置決めシステムがウェーハハンドリングシステムに含まれない限り、ウェーハステージがなくてもよい。
【0016】
例えば、一実施形態では、グリッド板エンコーダに基づく位置決めシステムは、ウェーハの検査のための原子間力顕微鏡(AFM)システムに含まれる。AFMは、位置決めシステムで位置決めされる先端を有するプローブを有するAFMヘッドをさらに含み、AFMヘッドは、エンコーダユニットを含む。動作時、位置決めユニットは、エンコーダユニットが、補正ユニットからの補正座標に対応する座標を示す位置にAFMヘッドを位置決めする。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、要素を位置決めする改良された方法であって、
グリッド板表面を有するグリッド板を提供すること、
グリッド板表面のグリッド板表面パターンを検知するための1つ又は複数の光センサを有するエンコーダユニットを提供すること、
要素の所望の位置を指定する座標を受け取ること、
設定値座標によって指定される所望の位置に要素が位置決めされるとき、エンコーダユニットから予想される推定位置データに対応する補正座標データを計算すること、
フィードバック制御を使用して、エンコーダユニットの推定座標データが、計算された補正座標データに対応する位置に要素を位置決めすること
を含む、改良された方法が提供される。
【0018】
第3の態様によれば、表面パターンを有するグリッド板表面を有するグリッド板を使用する、グリッド板エンコーダに基づく位置決めシステムにおいてそれぞれのグリッド板と共に使用するための補正パラメータを計算する方法が提供される。この方法は、
グリッド板表面に面するウェーハ表面において光学的に検出可能なマークを有する基準ウェーハを提供することと、
グリッド板と基準ウェーハとの間に較正ヘッドを提供することであって、較正ヘッドは、前記ウェーハ表面に面するマークセンサを有し、及びグリッド板表面に面するグリッドエンコーダの少なくとも1つ又は複数の光センサを有する、提供することと、
グリッド板と基準ウェーハとの間の較正ヘッドの複数の横方向に異なる位置に較正ヘッドを位置決めして、マークセンサから、光学的に検出可能なマークに対するその検知位置を示すそれぞれの位置表示を取得し、及びエンコーダから、グリッド板表面に対するその位置を示すそれぞれのエンコーダ位置表示を取得することと、
取得された位置表示に基づいて補正パラメータを計算することと
を含む。
図面の簡単な説明
これら及び他の態様を、図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】グリッド板エンコーダに基づく位置決めシステムを概略的に示す。
【
図2】
図1のグリッド板エンコーダに基づく位置決めシステムのさらなる詳細を示す。
【
図3】グリッド板エンコーダに基づく位置決めシステムにおいて使用するための補正テーブルを計算する方法の態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施形態の詳細な説明
図1は、要素の位置決めのためのグリッド板エンコーダに基づく位置決めシステム1を概略的に示す。図示した実施形態では、位置決めシステム1は、原子間力顕微鏡システムAFM100の一部である。ここで位置決めされる要素は、AFMヘッド13のプローブ13aの先端13bである。他の例では、位置決めされる要素は、生産システム要素である。位置決めシステム1は、グリッド板2、エンコーダユニット3、指定座標入力装置7、補正テーブル6、マッピングユニット8、フィードバック制御ユニット9及び位置決めユニット12を含む。
【0021】
入力装置7は、ウェーハステージ14によって搬送される顧客ウェーハ4の表面42に対する要素13bの所望の位置を指定する座標(Xd、Yd)を受け取るために提供される。エンコーダユニット3は、AFMヘッド13の一部であり、1つ又は複数の光センサ31と、エンコーダユニットがグリッドのグリッド板表面21に対するエンコーダユニット3の位置を推定し、及びその推定座標(Xe、Ye)を提供することを可能にする信号プロセッサ32とを含む。代替的に、エンコーダセンサ31からの信号の処理は、AFMヘッドから離れて行われ得る。グリッド板2は、太い破線で示されたグリッド板表面パターン23を有するグリッド板表面21を有する。グリッド板表面パターン23の欠陥により、推定座標は、エンコーダユニット3の真の座標から逸脱する場合がある。
【0022】
マッピングユニット8は、補正テーブル6を使用して、設定値座標によって指定される所望の位置(Xd、Yd)に要素が位置決めされるとき、エンコーダユニット3から予想される推定位置データに対応する補正座標データ(Xa、Ya)を計算する。AFMヘッド内のエンコーダユニット3が信号プロセッサ32を含まない場合、マッピングユニット8は、光センサ31の検知信号から推定座標を提供する信号処理モジュールを有し得る。
【0023】
フィードバック制御ユニット9は、補正座標データ(Xa、Ya)を設定値(Xs、Ys)として位置決めユニット12に提供し、補正座標データ(Xa、Ya)に対応する推定座標を有する、エンコーダユニット3によって示される位置を達成するようにフィードバック制御を使用する。これにより、グリッド板表面パターン23の欠陥にもかかわらず、実際のプローブ先端13bは、位置決めユニット12により、所望の位置(Xd、Yd)で示される位置に位置決めされる。
【0024】
図1に示すように、原子間力顕微鏡システムAFM100に組み込まれたグリッド板エンコーダに基づく位置決めシステムは、別のエンコーダユニット3a及びマークセンサ5を装備した較正ヘッド10をさらに含む。
【0025】
図2にさらに示すように、グリッド板エンコーダに基づく位置決めシステムは、較正ヘッド位置決めユニット12a及び較正制御ユニット11を含む。明瞭にするために、補正テーブル6を別として、AFMヘッド13の位置決めに関与する要素は、図示されていない。
【0026】
図2は、
図3と組み合わせて、グリッド板エンコーダに基づく位置決めシステム1においてグリッド板2と共に使用するための補正テーブル6を計算する方法も概略的に示す。この方法は、以下のステップを含む。
【0027】
グリッド板表面21に面する、光学的に検出可能なマーク4-1、4-2、...、4-nを有するウェーハ表面42を有する基準ウェーハ4rが提供される。
【0028】
較正ヘッド10は、グリッド板2と基準ウェーハ4rとの間に提供される。較正ヘッド10は、ウェーハ表面に面し、及びグリッド板表面21に面するグリッドエンコーダの少なくとも1つ又は複数の光センサ31を有するマークセンサ5を有する。
【0029】
図2により詳細に示すように、このようにして取得された構成において、較正ヘッド10は、その後、グリッド板2と基準ウェーハ4との間の複数の横方向に異なる位置(j=1、...、n)に位置決めされる。横方向に異なる位置のそれぞれにおいて、マークセンサ5のそれぞれのマークセンサ位置表示Bj及びエンコーダのそれぞれのエンコーダ位置表示Djが取得される。マークセンサ位置表示Bjは、ウェーハ表面42上の光学的に検出可能なマーク41に対するマークセンサの検知位置を示し、エンコーダ位置表示Djは、グリッド板表面21に対するエンコーダの検知位置を示す。補正テーブル6のそれぞれの較正パラメータNjは、マークセンサ位置表示Bj及びエンコーダ位置表示Djの各ペアについて計算される。
【0030】
図3は、最初の位置にある較正ヘッド10を10(1)として、及びn番目の位置にある較正ヘッド10を10(n)として概略的に示す。さらに、
図3は、最初のマーク4-1と最後のマーク4-nとの間の既知の距離Qを示す。値Cは、エンコーダに対するマークセンサの位置を表す。n個の測定値から決定されるグリッドマップ較正パラメータN1~Nmである。較正パラメータN1~Nmは、例えば、補正テーブルにおけるそれぞれのエントリであり、各テーブルエントリは、所望の位置としてアドレス指定可能であり、エンコーダによって推定される、対応する(場合により逸脱する)位置を指定するデータを含む。テーブルエントリN1~Nmは、n個の測定値から直接取得されるn個のエントリを含み得、すなわち、マークセンサによって示された位置のそれぞれは、テーブルエントリのアドレスとして使用され、エンコーダによって示された位置は、そのアドレスを有するエントリに格納される。さらに、テーブル内のm~n個の追加のエントリが補間によって計算され得る。所望の位置が指定される分解能がテーブル6の分解能を超える場合、テーブル内でエントリを有しない所望の位置のテーブルデータの補間によって補正座標データが計算され得る。ある代替実施形態では、グリッドマップ較正パラメータN1~Nmは、補正座標データを所望の座標データの関数として指定する多項式を指定するパラメータである。
【0031】
本方法は、コンピュータ実装ステップを含み得ることが理解されるであろう。上述した全てのステップは、例えば、専用信号プロセッサ、構成可能信号プロセッサ、汎用プロセッサ又はプロセッサの組み合わせによって実行されるコンピュータ実装ステップであり得る。様々な実施形態は、ハードウェア要素、ソフトウェア要素又は両方の組み合わせを使用して実装され得る。ハードウェア要素の例には、プロセッサ、マイクロプロセッサ、回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、論理ゲート、レジスタ、半導体デバイス、マイクロチップ、チップセットなどが含まれ得る。ソフトウェアの例には、ソフトウェアコンポーネント、プログラム、アプリケーション、コンピュータプログラム、アプリケーションプログラム、システムプログラム、マシンプログラム、オペレーティングシステムソフトウェア、モバイルアプリ、ミドルウェア、ファームウェア、ソフトウェアモジュール、ルーチン、サブルーチン、関数、コンピュータ実装方法、プロシージャ、ソフトウェアインタフェース、アプリケーションプログラムインタフェース(API)、方法、命令セット、コンピューティングコード、コンピュータコードなどが含まれ得る。
【0032】
本発明は、コンピュータプログラム、特に本発明を実施するように適応された、担体上又は担体内のコンピュータプログラムにも及ぶ。プログラムは、ソース若しくはオブジェクトコードの形態であり得るか、又は本発明によるプロセスの実装で使用するのに適した任意の他の形態であり得る。担体は、プログラムを搬送可能な任意のエンティティ又はデバイスであり得る。例えば、担体は、ROM、例えば半導体ROM又はハードディスクなどの記憶媒体を含み得る。さらに、担体は、電気若しくは光ケーブルを介して又は無線若しくは他の手段により、例えばインターネット若しくはクラウドを介して伝達され得る電気信号又は光信号などの伝送可能な担体であり得る。
【0033】
いくつかの実施形態は、例えば、機械によって実行された場合、実施形態に従った方法及び/又は動作を機械に実行させ得る命令又は命令セットを記憶し得る機械又は有形のコンピュータ可読媒体若しくは物品を用いて実装され得る。
【0034】
本明細書では、本発明の具体的な実施形態例を参照して本発明を説明している。しかしながら、本発明の本質から逸脱することなく、それに対する様々な修正形態、変形形態、代替形態及び変更形態がなされ得ることが明らかであろう。明確さ及び簡潔な説明のために、本明細書では特徴を同一又は別個の実施形態の一部として説明するが、これらの別個の実施形態に記載された特徴の全て又は一部の組み合わせを有する代替実施形態も想定され、特許請求の範囲によって概要が示される本発明の枠内に入ると理解される。したがって、本明細書、図及び実施例は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で考慮されるものとする。本発明は、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に入る全ての代替形態、修正形態及び変形形態を包含することを意図される。さらに、記載される要素の多くは、離散若しくは分散コンポーネントとして又は他のコンポーネントと併せて、任意の適切な組み合わせ及び場所で実装され得る機能エンティティである。
【0035】
特許請求の範囲において、括弧間に配置される参照符号は、請求項を限定すると解釈されるものではない。「含む」という語は、請求項に列挙されたもの以外の他の特徴又はステップの存在を排除しない。さらに、「1つの(a)」及び「1つの(an)」という語は、「1つのみ」に限定して解釈されるものではなく、代わりに「少なくとも1つ」を意味するために使用され、複数を排除しない。特定の手段が相互に異なる請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用できないことを示すものではない。
【国際調査報告】