(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】ゴム配合物中の添加剤
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20240125BHJP
C08K 5/20 20060101ALI20240125BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240125BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K5/20
C08K3/013
B60C1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541905
(86)(22)【出願日】2022-01-11
(85)【翻訳文提出日】2023-07-11
(86)【国際出願番号】 EP2022050398
(87)【国際公開番号】W WO2022152673
(87)【国際公開日】2022-07-21
(32)【優先日】2021-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】フェッセンベッカー,アヒム
(72)【発明者】
【氏名】ボーランダー,ラルフ
【テーマコード(参考)】
3D131
4J002
【Fターム(参考)】
3D131AA02
3D131BA01
3D131BA03
3D131BA04
3D131BA05
3D131BA08
3D131BA18
3D131BA20
3D131BC02
3D131BC07
3D131BC12
3D131BC15
3D131BC19
3D131BC51
4J002AA001
4J002AC011
4J002AC032
4J002DA038
4J002DA039
4J002DJ017
4J002EP016
4J002FD017
4J002FD018
4J002FD019
4J002FD206
4J002GN01
(57)【要約】
本発明は、車両ホイールのためのトレッドバンドを製造するためのエラストマー組成物中の添加剤としての、少なくとも1種のN,N-ジメチルアミドの使用であって、N,N-ジメチルアミドは、式:
【化1】
(式中、Rは、C
6~C
12アルキル基であり、及びR’及びR’’は、メチルである)
を有する、使用に関する。本発明のさらなる態様は、車両ホイールのためのトレッドバンドを製造するための加硫エラストマー材料であって、(a)少なくとも1種のエラストマーポリマー、(b)水酸化物、酸化物及び水和酸化物、金属の塩及び水和塩又はこれらの混合物の中から選択される少なくとも1種の補強充填剤、並びに(c)式(I)の少なくとも1種のN,N-ジメチルアミドを含むエラストマー組成物を加硫することによって得られる加硫エラストマー材料に関する。本発明の追加の態様は、車両ホイールのためのトレッドバンドであって、(a)少なくとも1種のエラストマーポリマー、(b)水酸化物、酸化物及び水和酸化物、金属の塩及び水和塩又はこれらの混合物の中から選択される少なくとも1種の補強充填剤、並びに(c)式(I)の少なくとも1種のN,N-ジメチルアミドを含むエラストマー組成物を加硫することによって得られる加硫エラストマー材料を含むトレッドバンドに関する。本発明の使用及び本発明の組成物は、特に車両タイヤのトレッドとして使用するのに好適である有効なエラストマー材料を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ホイールのためのトレッドバンドを製造するためのエラストマー組成物中の添加剤としての、少なくとも1種のN,N-ジメチルアミドの使用であって、前記N,N-ジメチルアミドは、式:
【化1】
(式中、
Rは、C
6~C
12アルキル基であり、及び
R’及びR’’は、メチルである)
を有する、使用。
【請求項2】
前記エラストマー組成物は、(a)少なくとも1種のエラストマーポリマー、(b)水酸化物、酸化物及び水和酸化物、金属の塩及び水和塩又はこれらの混合物から選択される少なくとも1種の補強充填剤、並びに(c)前記式(I)の少なくとも1種のN,N-ジメチルアミドを含む前記エラストマー組成物を加硫することにより、エラストマー材料を形成するために加硫される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記エラストマー組成物は、(d)少なくとも1種のポリアルキレングリコール、好ましくはポリエチレングリコール又はP-EO-PO、より好ましくはポリエチレングリコールをさらに含む、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記エラストマー組成物は、式(I)のN,N-ジメチルアミドを含み、Rは、C
7~C
11アルキル基である、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記エラストマー材料は、0.1phr~15phr、好ましくは0.1phr~10phrの量の式(I)のN,N-ジメチルアミドを含むエラストマー組成物を加硫することによって形成される、請求項2~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記エラストマー材料は、1phr~5phrの量の式(I)のN,N-ジメチルアミドを含むエラストマー組成物を加硫することによって形成される、請求項2~5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記エラストマー材料は、2phr~3phrの量の式(I)のN,N-ジメチルアミドを含むエラストマー組成物を加硫することによって形成される、請求項2~6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記ポリアルキレングリコール、好ましくはポリエチレングリコールは、中分子量のポリアルキレングリコール、好ましくはポリエチレングリコールである、請求項3~7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記ポリアルキレングリコール、好ましくはポリエチレングリコールは、1500~8000の重量平均分子量を有する、請求項2~8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記補強充填剤は、100phr以下の量で含まれる、請求項2~9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
前記補強充填剤は、10phr~100phrの量である、請求項2~10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記補強充填剤は、15phr~70phrの量である、請求項2~11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
前記補強充填剤(b)は、シリカである、請求項2~12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
前記エラストマー組成物は、(e)少なくとも1種のカーボンブラックの補強充填剤をさらに含む、請求項2~13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
前記エラストマー材料は、(f)少なくとも1種のシランカップリング剤をさらに含む、請求項2~14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
車両ホイールのためのトレッドバンドを製造するための加硫エラストマー材料であって、(a)少なくとも1種のエラストマーポリマー、(b)水酸化物、酸化物及び水和酸化物、金属の塩及び水和塩又はこれらの混合物の中から選択される少なくとも1種の補強充填剤、並びに(c)式:
【化2】
(式中、
Rは、C
6~C
12アルキル基であり、
R’及びR’’は、メチルである)
の少なくとも1種のN,N-ジメチルアミドを含むエラストマー組成物を加硫することによって得られる加硫エラストマー材料。
【請求項17】
請求項2~16のいずれか一項に記載の特徴のいずれかを含む、請求項16に記載の加硫エラストマー材料。
【請求項18】
車両ホイールのためのトレッドバンドであって、a)少なくとも1種のエラストマーポリマー、(b)水酸化物、酸化物及び水和酸化物、金属の塩及び水和塩又はこれらの混合物の中から選択される少なくとも1種の補強充填剤、並びに(c)式:
【化3】
(式中、
Rは、C
6~C
12アルキル基であり、
R’及びR’’は、メチルである)
の少なくとも1種のN,N-ジメチルアミドを含むエラストマー組成物を加硫することによって得られる加硫エラストマー材料を含むトレッドバンド。
【請求項19】
請求項2~16のいずれか一項に記載の特徴のいずれかを含む、請求項18に記載のトレッドバンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム配合物のための添加剤に関する。添加剤は、良好な性能特性を達成するゴム配合物を製造する際、加工助剤又は補助剤として作用し得る。このようなゴム配合物は、重荷重車両ホイールのためのタイヤなどの重荷重用途に好適であろう。
【背景技術】
【0002】
ゴム配合技術は、様々な用途のゴムを製造するために長年にわたって開発されてきた。重要なゴムの用途としては、車両ホイールのためのタイヤが挙げられる。そのような例の1つとしては、タイヤ産業で注目されているシリカ強化ゴムが挙げられる。多くのタイヤ用途では、例えば、カーボンブラックの少なくとも一部がシリカで置き換えられていることが望ましい。シリカ強化ゴムは、当技術分野、例えば米国特許第3867326号明細書、独国特許出願公開第10 2004 005132号明細書、国際公開第2005/056664号パンフレット及び国際公開第2018/001772号パンフレットにおいて公知である。
【0003】
文献欧州特許第0763558号明細書、米国特許出願公開第2004/0220324号明細書、米国特許出願公開第2007/0293622号明細書及び米国特許第6225397号明細書は、トレッドタイヤのためのエラストマー組成物に関する課題に対処するものであり、文献欧州特許第1988120号明細書、国際公開第2006/066602号パンフレット及び欧州特許出願公開第1557294号明細書は、重荷重車両ホイールのためのトレッドに関するものである。
【0004】
米国特許第2325947号明細書は、ブタジエン-1,3炭化水素と、少なくとも1種の他の不飽和化合物とを共重合することにより調製される合成ゴムと、柔軟剤としての、直鎖に10~20個の炭素原子を含有する脂肪族モノカルボン酸のN,N-ジアルキル置換アミドであって、各アルキル置換基が6個以下の炭素原子を含有するN,N-ジアルキル置換アミドとを開示している。この参考文献は、合成ゴムの100重量部中において、ロールミル上で混合されたN,Nジメチルステアルアミド及びN,N-ジメチルパルミトアミドを主に含有する、単一圧縮された脂肪酸の混合物の20重量部のN,N-ジメチルアミドを含有する柔軟剤の実施例を開示している。
【0005】
国際公開第01/88027号パンフレットは、車両タイヤのための組成物として使用することを目的とした加硫性エラストマー組成物を記載しており、以下の式を有するアミド化合物の1つ以上を明示している。
【化1】
Rの定義は、1~30個の炭素原子からなる第一級、第二級及び第三級アルキル基、5~30個の炭素原子からなるアルキルアリール基並びに5~30個の炭素原子からなる脂環式基を含む。R’及びR’’は、互いに同じであるか又は異なり得、水素、C
1~約C
30脂肪族基及び約C
5~約C
30脂環式基からなる群から選択される。例示的なアミド化合物としては、エルカミド、オクタデカンアミド、ε-カプロラクタム、N,N-ジエチルドデカンアミドが挙げられることが述べられている。
【0006】
国際公開第2010/122396号パンフレットは、ベルト構造とトレッドバンドとの間に挿入されたインサートを含む、重荷重車両のためのタイヤを記載している。インサートは、少なくともベルト構造の両端に配置されている。このインサートは、ジエン系ゴムと、少なくとも1種の補強充填剤を含むエラストマー組成物とを加硫することにより製造され、補強充填剤は、ほぼ例外なくシリカを含む。N-アルキルピロリドン誘導体を含む第1のエラストマー組成物から形成される加硫エラストマー材料を含有するタイヤも開示されている。
【0007】
国際公開第2012/052328号パンフレットは、カーカス構造と、このカーカス構造に対して半径方向外側の位置に配置されたトレッドバンドとを含む、車両ホイールのためのタイヤを記載している。トレッドバンドは、エラストマー組成物である(a)少なくとも1種のエラストマーポリマー、(b)水酸化物、酸化物及び水和酸化物、塩及び金属水和塩又は混合物から選択される少なくとも1種の補強充填剤、(c)そこで定義された少なくとも1種のN-置換ピロリドン誘導体を加硫することによって得られる加硫エラストマー材料を含むことが述べられている。
【0008】
N-オクチルピロリドンは、エラストマー材料の製造に使用される市販の添加剤である。しかしながら、N-オクチルピロリドンは、有害な材料である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
加硫前のエラストマー材料特性の加工性、例えば硬度、粘度、弾性、強度及び靭性の良好な組み合わせを達成する、ゴム配合物のための添加剤を提供することが望ましいであろう。既存の市販されている公知のゴム添加剤と少なくとも同等であるか又はそれよりも優れている、ゴム配合物のための添加剤を提供することが望ましいであろう。N-オクチルピロリドンなどの市販の標準品と同様の性能特性を提供する一方、より有害でない、ゴム配合物のための添加剤を提供することが特に望ましいであろう。依然として、容易に入手可能であり、且つ/又は入手が比較的容易である添加剤を提供することがより望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、車両ホイールのためのトレッドバンドを製造するためのエラストマー組成物中の添加剤としての、少なくとも1種のN,N-ジメチルアミドの使用であって、N,N-ジメチルアミドは、式:
【化2】
(式中、
Rは、C
6~C
12アルキル基であり、及び
R’及びR’’は、メチルである)
を有する、使用に関する。
【0011】
使用される1つの望ましい実施形態では、エラストマー組成物は、(a)少なくとも1種のエラストマーポリマー、(b)水酸化物、酸化物及び水和酸化物、金属の塩及び水和塩又はこれらの混合物から選択される少なくとも1種の補強充填剤、並びに(c)式(I)の少なくとも1種のN,N-ジメチルアミドを含むエラストマー組成物を加硫することにより、エラストマー材料を形成するために加硫される。
【0012】
本発明の第2の態様は、車両ホイールのためのトレッドバンドを製造するための加硫エラストマー材料であって、(a)少なくとも1種のエラストマーポリマー、(b)水酸化物、酸化物及び水和酸化物、金属の塩及び水和塩又はこれらの混合物の中から選択される少なくとも1種の補強充填剤、並びに(c)式(I)の少なくとも1種のN,N-ジメチルアミドを含むエラストマー組成物を加硫することによって得られる加硫エラストマー材料に関する。
【0013】
本発明のさらなる態様では、本発明者らは、車両ホイールのためのトレッドバンドであって、(a)少なくとも1種のエラストマーポリマー、(b)水酸化物、酸化物及び水和酸化物、金属の塩及び水和塩又はこれらの混合物の中から選択される少なくとも1種の補強充填剤、並びに(c)式(I)の少なくとも1種のN,N-ジメチルアミドを含むエラストマー組成物を加硫することによって得られる加硫エラストマー材料を含むトレッドバンドを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
エラストマー材料は、車両ホイールのためのトレッドバンドを製造するために使用され得る。特に、エラストマー材料の性能は、専らトレッドバンドに含まれているため、特に有効であることが分かっている。
【0015】
特に、その結果として生じるトレッド用エラストマー材料を製造するためのエラストマー組成物において、式(I)の少なくとも1種のN,N-ジメチルアミドを使用することにより、その使用目的に典型的なタイヤ特性に対して特に満足のいく結果をもたらすことができる。例えば、オールシーズン車両タイヤの低温時(例えば、0℃以下)及び高温時(例えば、70℃以上)の両方における転がり抵抗の低減を達成するために、重荷重車両ホイールのためのタイヤの必要とされる耐摩耗特性及び引裂抵抗特性、冬用タイヤの低温性能特性及びウェット性能特性を実現することが可能となる。本発明者らは、本発明の式(I)の少なくとも1種のN,N-ジアルキルアミドが、特に充填剤がシリカを含む場合にエラストマー材料内の充填剤の分散性を促進すると考えている。
【0016】
R基は、直鎖、分岐又は環状アルキル基であり得る。これらのアルキル基は、例えば、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基又はさらにヘテロ原子を含む基、例えばヒドロキシル基又はオキソ基でさらに置換され得る。それにも関わらず、分子の極性に好ましくない可能性があるため、R基は、ヘテロ原子を含有しないことが好ましい。R基は、置換されていないことが好ましい。より好ましくは、R基は、直鎖アルキル又は分岐アルキルであり、なおより好ましくは直鎖アルキルである。
【0017】
本発明の好ましい態様によれば、式(I)のN,N-ジメチルアミドのRは、C7~C11アルキル基である。
【0018】
本発明による式(I)のN,N-ジメチルアミドの具体例は、N,N-ジメチルアミド、特にN,N-ジメチルヘプタンアミド;N,N-ジメチルオクタンアミド;N,N-ジメチルノナンアミド;N,N-ジメチルデカンアミド;N,N-ジメチルウンデカンアミド;N,N-ジメチルドデカンアミド;N,N-ジメチルトリデカンアミド;N,N-ジメチルエチルヘキサンアミド、例えばN,N-ジメチル-2-エチルヘキサンアミド若しくはN,N-ジメチル-3エチルヘキサンアミド;N,N-ジメチルメチルヘキサンアミド、例えばN,N-ジメチル-2-メチルヘキサンアミド若しくはN,N-ジメチル-3-メチルヘキサンアミド;N,N-ジメチルメチルペントアミド、例えばN,N-ジメチル-2-メチルペントアミド若しくはN,N-ジメチル-3-メチルペントアミド;又はN,N-ジメチル-ジメチルノナンアミド、例えばN,N-ジメチル-4,8-ジメチルノナンアミドである。N,N-ジメチルオクタンアミド、N,N-ジメチルデカンアミド及びN,N-ジメチルドデカンアミドが特に好ましい。
【0019】
好適なN,N-ジメチルアミドの混合物の具体例としては、N,N-ジメチルオクタンアミド、N,N-ジメチルデカンアミドの混合物又はN,N-ジメチルオクタンアミド、N,N-ジメチルノナンアミド及びN,N-ジメチルデカンアミドの混合物が挙げられる。これらは、ジメチルアミンと共に、短鎖脂肪酸とみなされ得るC8~C10脂肪酸を出発材料として調製することができる。
【0020】
N,N-ジメチルオクタンアミド、N,N-ジメチルデカンアミド及びこれらの混合物が特に好ましい。
【0021】
オクタン酸、デカン酸及びウンデカン酸などの天然に存在する酸、すなわち飽和脂肪族基を含む酸又は不飽和脂肪族基の例としてオレイン酸を変換することによって調製されるジメチルアミドが好ましい。これらの化合物は、上述した対応する酸とジメチルアミンとを反応させることにより、対応するジメチルアミドに変換することができる。
【0022】
式(I)のジメチルアミドの量は、一般に、0.1phr~15phr、典型的には0.1phr~10phr、好適には1phr~5phr及び好ましくは2phr~3phrであり得る。
【0023】
望ましくは、エラストマー組成物は、(d)少なくとも1種のポリアルキレングリコールをさらに含む。ポリアルキレングリコールは、任意のポリアルキレングリコールであり得る。好適には、ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコール若しくはポリプロピレングリコール又はポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの混合物(PEO/PPOと称される)或いはエチレンオキシド繰り返し単位とプロピレンオキシド繰り返し単位との混合物を含有するポリアルキレングリコール(P-EO-POと称される)のいずれかであり得る。より望ましくは、ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコール又はP-EO-POである。好適には、P-EO-POは、>0:<100~<100:>0、例えば1:99~99:1の、エチレンオキシド単位とプロピレンオキシド単位との比率を有するであろう。ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールであることがより好ましい。
【0024】
好ましくは、ポリアルキレングリコール(d)、より好ましくはポリエチレングリコール(d)は、中分子量である。中分子量とは、ポリアルキレングリコール、好ましくはポリエチレングリコールが400~8000、好適には1500~8000、望ましくは1500~6000の重量平均分子量を有することを意味する。
【0025】
例えば、本発明によるトレッドバンドのためのエラストマー材料に対して、少なくとも1種のポリアルキレングリコール、好ましくはポリエチレングリコールと、式(I)の少なくとも1種のN,N-ジメチルアミドとを使用することにより、さらに改善された効果が生じる。実際に、エラストマー材料の加工性及び転がり抵抗の両方、より一般的にN,N-ジメチルアミドを使用することによって既に改善された特性は、式(I)のN,N-ジメチルアミドを単独で使用して得られる結果よりも優れている。(a)少なくとも1種のエラストマーポリマー、(b)水酸化物、酸化物及び水和酸化物、金属の塩及び水和塩又はこれらの混合物の中から選択される少なくとも1種の補強充填剤、並びに(c)本発明による式(I)の少なくとも1種のN,N-ジメチルアミドを含むエラストマー材料は、タイヤの復元、いわゆる更生タイヤに有用なトレッドバンドを作製するために有利に使用することもできる。
【0026】
一般に、本発明によるエラストマー材料に含有される、例えばタイヤに含まれる場合の補強充填剤の量は、決定的なパラメータを示すものではないが、エラストマー材料の加工性の改善の観点から、より明らかな結果が100phr以下、好ましくは10phr~100phr、より好ましくは15phr~70phrの補強充填剤の量で得られている。本発明で使用することのできる補強充填剤の具体例の中でも、シリカ、アルミナ、ケイ酸塩、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、カオリン、二酸化チタン及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0027】
シリカの具体例の中でも、特に焼成シリカ、非晶質沈殿シリカ、湿式シリカ(水和ケイ酸)、ヒュームドシリカ又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0028】
シリカが使用されることが好ましく、規格ISO 5794-1:2005に記載されているように、1m2/g~200m2/g、好ましくは10m2/g~150m2/g、より好ましくは20m2/g~110m2/gの表面積を有する非晶質沈殿シリカが使用されることがより好ましい。
【0029】
タイヤに含まれ得る本発明のエラストマー材料の量は、15phr~70phrのシリカ補強充填剤を含むことが好ましい。本発明に従って使用され得るシリカ補強充填剤の例は、PPG Industries社製Hi-Sil(登録商標)190、Hi-Sil(登録商標)210、Hi-Sil(登録商標)215、Hi-Sil(登録商標)233、Hi-Sil(登録商標)243;Degussa社製Ultrasil(登録商標)VN2、Ultrasil(登録商標)VN3、Ultrasil(登録商標)7000;Rhodia社製Zeosil(登録商標)1 165MPの商標名で市販されている製品である。
【0030】
ケイ酸塩の具体例は、例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、ノントロナイト、バイデライト、ボルコンスコイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、バーミキュライト、ハロイサイト、セリサイト又はこれらの混合物などのフィロシリケートである。モンモリロナイトが特に好ましい。これらの層状材料は、一般に、層間表面にナトリウム(Na+)、カルシウム(Ca2+)、カリウム(K+)、マグネシウム(Mg2+)、水酸化物(OH-)又は炭酸塩(CO3
2-)などの交換性イオンを含有する。
【0031】
本発明によるエラストマー材料のポリマー成分は、あらゆるエラストマーポリマー又はエラストマーポリマー混合物、望ましくはタイヤの製造、特にトレッドの製造に一般的に使用されるものから形成することができる。
【0032】
エラストマーポリマー(a)は、天然エラストマーポリマー若しくは合成エラストマーポリマー又はそれらの混合物であり得る。好適には、エラストマーポリマー(a)は、タイヤの製造に特に好適な硫黄架橋性エラストマー材料で一般に使用されるものから選択することができるジエンポリマーであり得る。このような硫黄架橋は、加硫と称され得る。
【0033】
エラストマーポリマーは、C-C二重結合であり得、このようなC-C二重結合は、ビニル基、-CH=CH2若しくは-C-(CH3)=CH2)基又は-CH=C(CH3)-基などの内部二重結合であり得る。ビニル基及びC-C二重結合は、エラストマー材料のポリマー鎖を例えば加硫することによって架橋され得る。
【0034】
エラストマーポリマー(a)の例としては、ポリブタジエン、ネオプレンとも呼ばれるポリクロロプレン、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)、天然ゴム、ポリ-2,3-ジメチルブタジエン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)、水素化カルボキシル化ニトリルゴム(HXNBR)及び上述の少なくとも2種の混合物が挙げられる。1つの好適なエラストマーポリマー(a)は、SBRである。好適な二元混合物は、SBRとネオプレン、SBR及び天然ゴム並びにSBR及びブチルゴムの共加硫物である。SBRは、溶液中で作製したもの(S-SBR)又はエマルジョン中で作製したもの(E-SBR)であり得る。
【0035】
望ましくは、エラストマーポリマーは、一般に、20℃未満、好ましくは0℃~-110℃の範囲のガラス転移温度(Tg)を有する不飽和鎖とのホモポリマー又はコポリマーであり得る。これらのホモポリマー又はコポリマーは、天然由来のものであり得るか、又は1種以上の共役オレフィンを溶液中で重合するか、エマルジョン中で重合するか若しくは気相重合することによって得ることができ、任意選択により60重量%以下の量のモノビニルアレーン及び/又は極性コモノマーから選択される少なくとも1種のコモノマーとブレンドされ得る。
【0036】
共役ジオレフィンは、一般に、4~12個、好ましくは4~8個の炭素原子を含み、例えば1,3-ブタジエン、イソプレン、2-3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン又はこれらの混合物から選択することができる。1,3-ブタジエン及びイソプレンがより好ましい。
【0037】
モノビニルアレーンは、任意選択によりコモノマーとして使用され得、一般に8~20個、好ましくは8~12個の炭素原子を含み、例えばスチレン;1-ビニルナフタレン;2-ビニルナフタレン;種々のアルキル、シクロアルキル、アリール、アルキルアリール若しくはスチレンのアリールアルキル誘導体、例えば、α-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-プロピルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-ドデシルスチレン、2-エチル-4ベンジルスチレン、4-p-トリルスチレン、4-(4-フェニルブチル)スチレン又はこれらの混合物から選択され得る。スチレンが特に好ましい。
【0038】
極性コモノマーは、任意選択により使用され得、例えばビニルピロリジン、ビニルキノリン、アクリル酸及びアルキルアクリル酸エステル並びにニトリル又はこれらの混合物、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリロニトリル又はこれらの混合物から選択され得る。
【0039】
好ましくは、エラストマーポリマー(a)は、ジエンポリマーである。本発明に好適なこのエラストマージエンポリマーは、例えば、シス-1,4-ポリ-イソプレン(天然又は合成、好ましくは天然ゴム)、3,4ポリイソプレン、ポリブタジエン(特に1,4-シス含量の高いポリブタジエン)、任意選択によりハロゲン化イソプレン/イソブチレンコポリマー、1,3-ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、スチレン/1,3-ブタジエンコポリマー、スチレン/イソプレン/1,3-ブタジエンコポリマー、スチレン/1,3-ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー又はこれらの混合物から選択することができる。
【0040】
1つの好ましい実施形態によれば、前記エラストマー材料は、前記少なくとも1種のエラストマージエンポリマー(a)の総重量に対して少なくとも10重量%の天然ゴム、好ましくは20重量%~100重量%の天然ゴムを含む。
【0041】
上述したエラストマー材料は、任意選択により、オレフィン系コモノマー又はその誘導体を含む、1つ以上のモノオレフィンの少なくとも1種のエラストマーポリマー(a’)を含み得る。モノオレフィンは、任意選択によりジエンを含むエチレン及びα-オレフィン;少量のジエンを含むイソブチレンホモポリマー又はこれらのコポリマーから選択することができ、任意選択により少なくとも部分的にハロゲン化されている。任意選択により存在するジエンは、一般に、4~20個の炭素原子を含み、好ましくは1,3-ブタジエン、イソプレン、1,4-ヘキサジエン、1,4-シクロヘキサジエン、5-エチルジエン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、ビニルノルボルネン又はこれらの混合物から選択される。これらの中でも、以下のものが特に好適である:エチレン/プロピレンコポリマー(EPR)又はエチレン/プロピレン/ジエンコポリマー(EPDM);ポリイソブチレン;ブチルゴム;ハロブチルゴム、特にクロロブチルゴム又はブロモブチルゴム又はこれらの混合物。
【0042】
任意選択により、好適な停止剤又はカップリング剤と反応させることによって官能化したエラストマージエンポリマー(a)又はエラストマーモノオレフィンポリマー(a’)を使用し得る。特に、有機金属開始剤(特に有機リチウム開始剤)の存在下でアニオン重合することで得られるエラストマージエンポリマーは、開始剤から誘導された残留有機金属基を例えばイミン、カルボジイミド、ハロゲン化アルキルスズ、置換ベンゾフェノン、アルコキシシラン又はアリールオキシシランなどの好適な停止剤又はカップリング剤と反応させることによって官能化することができる。任意選択により、前記エラストマー材料は、少なくとも1種のカーボンブラック補強充填剤(e)も含み得る。
【0043】
さらなる補強充填剤は、架橋産物に使用されるもの、特にカーボンブラック又は例えば米国特許第6057387号明細書に記載されているようなシリカ誘導体とのその凝集体の中から選択され得る。
【0044】
好ましい実施形態によれば、本発明で使用され得るカーボンブラック補強充填剤(e)は、20m2/g以上の表面積(ISO 18852:2005に準じたSTSA(統計的厚さ表面積)により測定される)を有するものの中から選択することができる。
【0045】
好ましい実施形態によれば、前記カーボンブラック補強充填剤(e)は、エラストマー材料中に0.1phr~120phr、好ましくは3phr~90phrの量で存在する。エラストマー材料は、少なくとも1種のシランカップリング剤(f)も含み得る。
【0046】
好ましい実施形態によれば、本発明で使用され得るシランカップリング剤(f)は、例えば、以下の一般式(II):
(R’)3Si-CnH2n-X (II)
(式中、基R’は、互いに同じであるか又は異なり、アルキル、アルコキシ若しくはアリールオキシ基又はハロゲン原子の中から選択されるが、但し、R’基の少なくとも1つは、アルコキシ又はアリールオキシ基であり;nは、極値を含む1~6の整数であり;Xは、ニトロソ、メルカプト、アミノ、エポキシド、ビニル、イミド、クロロ、-(S)mCnH2n-Si-(R’)3又は-S-COR’(式中、m及びnは、極値を含む1~6の整数であり、R’基は、上記で定義した通りである)の中から選択される基である)
によって同定可能され得る、少なくとも加水分解性シラン基を有するものの中から選択することができる。
【0047】
シランカップリング剤の中でも、特に好ましいものは、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド及びビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドである。前記カップリング剤は、それ自体で使用することができるか、又はエラストマー材料に混合することを容易にするために、不活性充填剤(例えば、カーボンブラック)を含む好適な混合物として使用することができる。
【0048】
好ましい実施形態によれば、前記シランカップリング剤(f)は、エラストマー材料中に0.01phr~10phr、好ましくは0.5phr~5phrの量で存在する。
【0049】
上述したエラストマー材料は、公知の技術に従い、特にエラストマージエンポリマーに一般的に使用される硫黄加硫系によって加硫することができる。この目的のために、熱機械処理の1つ以上の工程後、加硫促進剤と共に硫黄加硫剤を材料に混合する。最終処理工程では、あらゆる望ましくない予備架橋現象を避けるために、温度は、一般に、120℃未満、好ましくは100℃未満に保たれる。
【0050】
さらに有利に使用される加硫剤は、当業者に公知の促進剤及び活性化剤を含む、硫黄又は硫黄を含む分子(硫黄供与体)である。
【0051】
特に有効な活性化剤は、亜鉛化合物、特にZnO、ZnCO3、例えばステアリン酸亜鉛などの8~18個の炭素原子を含む飽和又は不飽和脂肪酸の亜鉛塩であり、これらは、ZnO及び脂肪酸並びにBiO、PbO、Pb3O4、PbO2又はこれらの混合物からエラストマー材料中でその場形成されることが好ましい。
【0052】
一般的に使用され得る促進剤は、ジチオカルバメート、グアニジン、チオ尿素、チアゾール、スルフェンアミド、チウラム、アミン、キサントゲン酸塩又はこれらの混合物の中から選択することができる。
【0053】
前記エラストマー材料は、材料が意図される特定の用途に基づいて選択される、他の一般的に使用される添加剤を含み得る。例えば、抗酸化剤、老化防止剤、可塑剤、接着剤、オゾン防止剤、改質樹脂、繊維(例えば、Kevlar(登録商標)パルプ)又はこれらの混合物を前記材料に添加することができる。
【0054】
特に、加工性をさらに改善する目的のため、例えば芳香族油、ナフテン油、フタル酸塩、大豆油又はこれらの混合物などの鉱油、植物油、合成油又はこれらの混合物の中から一般に選択される可塑剤を前記エラストマー材料に添加することができる。可塑剤の量は、一般に、0phr~70phr、好ましくは5phr~30phrである。
【0055】
上述したエラストマー材料は、当技術分野で公知の技術に従い、ポリマー成分を補強充填剤及び任意選択により存在する他の添加剤と共に混合することによって調製することができる。混合は、例えば、オープンミルタイプのオープンミキサー、又は接線ローター(Banbury)若しくは噛合ローター(Intermix)タイプの密閉式ミキサー、又はKo-Kneader(Buss)若しくは同時回転若しくは二重反転二軸スクリュータイプの連続式ミキサーを使用して実行することができる。
【0056】
本明細書で使用する場合、「phr」(ゴム100部当たりの部の頭字語)という用語は、エラストマーポリマーの100重量部当たりのエラストマー材料の所与の成分の重量部を意味する。
【0057】
本明細書で使用する場合、すべての範囲は、報告された最大点及び最小点の任意の組み合わせを含み、本明細書で具体的に列挙され得るか又は列挙され得ないこれらのあらゆる中間範囲を含む。
【0058】
本発明は、以下の実施形態によって定義することができる。
【0059】
実施形態1.車両ホイールのためのトレッドバンドを製造するためのエラストマー組成物中の添加剤としての、少なくとも1種のN,N-ジメチルアミドの使用であって、少なくとも1種のN,N-ジメチルアミドは、式:
【化3】
(式中、
Rは、C
6~C
12アルキル基であり、及び
R’及びR’’は、メチルである)
を有する、使用。
【0060】
実施形態2:エラストマー組成物は、(a)少なくとも1種のエラストマーポリマー、(b)水酸化物、酸化物及び水和酸化物、金属の塩及び水和塩又はこれらの混合物から選択される少なくとも1種の補強充填剤、並びに(c)少なくとも1種のN,N-ジメチルアミドを含むエラストマー組成物を加硫することにより、エラストマー材料を形成するために加硫される、実施形態に記載の使用。
【0061】
実施形態3:エラストマー組成物は、(d)少なくとも1種のポリアルキレングリコール、好ましくはポリエチレングリコール又はP-EO-PO、より好ましくはポリエチレングリコールをさらに含む、実施形態1又は実施形態2に記載の使用。
【0062】
実施形態4:エラストマー組成物は、式(I)のN,N-ジメチルアミドを含み、Rは、C7~C11アルキル基である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の使用。
【0063】
実施形態5:前記エラストマー材料は、0.1phr~15phr、好ましくは0.1phr~10phrの量の式(I)のN,N-ジメチルアミドを含むエラストマー組成物を加硫することによって形成される、実施形態2~4のいずれか1つに記載の使用。
【0064】
実施形態6:前記エラストマー材料は、1phr~5phrの量の式(I)のN,N-ジメチルアミドを含むエラストマー組成物を加硫することによって形成される、実施形態2~5のいずれか1つに記載の使用。
【0065】
実施形態7:前記エラストマー材料は、2phr~3phrの量の式(I)のN,N-ジメチルアミドを含むエラストマー組成物を加硫することによって形成される、実施形態2~6のいずれか1つに記載の使用。
【0066】
実施形態8:前記ポリアルキレングリコール、好ましくはポリエチレングリコールは、中分子量のポリアルキレングリコール、好ましくはポリエチレングリコールである、実施形態3~7のいずれか1つに記載の使用。
【0067】
実施形態9:前記ポリアルキレングリコール、好ましくはポリエチレングリコールは、1500~8000の重量平均分子量を有する、実施形態2~8のいずれか1つに記載の使用。
【0068】
実施形態10:前記補強充填剤は、100phr以下の量で含まれる、実施形態2~9のいずれか1つに記載の使用。
【0069】
実施形態11:前記補強充填剤は、10phr~100phrの量である、実施形態2~10のいずれか1つに記載の使用。
【0070】
実施形態12:前記補強充填剤は、15phr~70phrの量である、実施形態2~11のいずれか1つに記載の使用。
【0071】
実施形態13:前記補強充填剤(b)は、シリカである、実施形態2~12のいずれか1つに記載の使用。
【0072】
実施形態14:前記エラストマー組成物は、(e)少なくとも1種のカーボンブラックの補強充填剤をさらに含む、実施形態2~13のいずれか1つに記載の使用。
【0073】
実施形態15:前記エラストマー材料は、(f)少なくとも1種のシランカップリング剤をさらに含む、実施形態2~14のいずれか1つに記載の使用。
【0074】
実施形態16:車両ホイールのためのトレッドバンドを製造するための加硫エラストマー材料であって、(a)少なくとも1種のエラストマーポリマー、(b)水酸化物、酸化物及び水和酸化物、金属の塩及び水和塩又はこれらの混合物の中から選択される少なくとも1種の補強充填剤、並びに(c)式:
【化4】
(式中、
Rは、C
6~C
12アルキル基であり、
R’及びR’’は、メチルである)
の少なくとも1種のN,N-ジメチルアミドを含むエラストマー組成物を加硫することによって得られる加硫エラストマー材料。
【0075】
実施形態17:実施形態2~15のいずれかに定義された特徴のいずれかを含む、実施形態16の加硫エラストマー材料。
【0076】
実施形態18:車両ホイールのためのトレッドバンドであって、(a)少なくとも1種のエラストマーポリマー、(b)水酸化物、酸化物及び水和酸化物、金属の塩及び水和塩又はこれらの混合物の中から選択される少なくとも1種の補強充填剤、並びに(c)以下の式の少なくとも1種のN,N-ジメチルアミド:
【化5】
(式中、
Rは、C
6~C
12アルキル基であり、
R’及びR’’は、メチルである)
を含むエラストマー組成物を加硫することによって得られる加硫エラストマー材料を含むトレッドバンド。
【0077】
実施形態19:実施形態2~16のいずれかに定義された特徴のいずれかを含む、実施形態18のトレッドバンド。
【0078】
単に指示的な目的のために与えられ、本発明を決して限定しないいくつかの実施例により、本明細書をさらに説明する。
【0079】
加硫についての説明
エラストマー材料は、以下の方法で調製することができる(種々の構成成分の量をphrで示す)。
【0080】
硫黄及び促進剤以外のすべての構成成分を密閉式ミキサー(型式Pomini PL 1.6)内で約5分間混合した(第1段階)。温度が145℃±7℃に達した時点でエラストマー材料を取り出した。硫黄及び促進剤を添加し、オープンロールミキサーで混合を行った(第2段階)。
【実施例】
【0081】
以下の表1に示す試験配合を用いてゴム配合物を調製した。本プロセスは、不飽和有機エラストマー、補強充填剤としてのカーボンブラック及びシリカ、カップリング剤、分散剤、可塑剤、架橋剤(加硫剤)としての硫黄、亜鉛系触媒並びに促進剤の混合物を形成することを含むものであった。加硫は、100℃になる前に始まり、混合物を加熱して混練することによって達成される。加硫を151℃で30分間継続した。加硫が終了した時点で、混合物をローラープレスで最終的な所望の部品、例えばゴムシートに成形する。
【0082】
【0083】
100℃におけるムーニーME粘度(1+4)を規格DIN 53523に準じて測定した。
【0084】
完成した加硫試験シートであるゴムマット材料のそれぞれ3つの切片を0°及び90°の角度で切断することによって試験片を採取し、試験装置の読み取り中間値を以下に記録した。
【0085】
下記のパラメータを、規定された規格に従って測定した。
室温での密度 g/ccm DIN EN ISO 1183
ショアA硬度 DIN ISO 7619
室温での反発弾性率 DIN 53512
Vulcameter曲線 Texas Instruments
DMTA測定値 ISO 6721-7;1Hz;-100℃~+100℃ 貯蔵弾性率G’、損失弾性率G’’及び損失係数
【0086】
結果:
測定したパラメータの結果を以下の表2に示す。
【0087】
【0088】
FADMAを含む材料は、ムーニー粘度が大幅に減少したことを示しており、これは、材料がブランク材と比較して向上した加工性を示すことを意味する。
【0089】
加硫製品の弾性率及び硬さ/剛性(E’)並びに弾性は、ブランク値に近い状態を維持している。
【0090】
70℃における動的弾性率G’が極端に減少せずに、同じ温度で損失係数が減少することは、同じ剛性の材料においてより低い転がり抵抗を有する材料であることを示し得る。
【0091】
約0℃(~20℃~+25℃の範囲)でE’弾性率が減少することは、濡れた表面上でより優れた性能を有する組成物であることを意味する。
【0092】
REM SEM顕微鏡及びEDXにより、SiO2充填剤、硫黄架橋剤及びZnO触媒が示され、エラストマー材料がマトリックス全体にわたって均一に分布していることが示された。
【0093】
さらなる一連の試験で、カーボンブラックが豊富な配合物をベースにしたエラストマー材料を評価した。配合を表3に例示する。
【0094】
【0095】
エラストマー材料は、試験の第1系統に関する上記に示した手順と同様に調製し、第1系統に関して上記に規定した規格と同様にパラメータを試験した。
【0096】
結果:
結果を表4に示す。
【0097】
【0098】
本発明の独創的なジメチルアミド(特にRがC7~C11である)を使用して調製したエラストマー材料で測定された物理的特性は、市販の標準品のN-オクチルピロリドンの物理的特性とほぼ同じである。
【0099】
本発明の独創的なジメチルアミドを使用して調製したエラストマー材料の性能は、別の市販の標準品のVulcanol(登録商標)TOFよりも優れている。
【0100】
予備加硫された材料におけるムーニー粘度の低下は、一般に、より良好な取り扱い性並びにより容易な混合性及び加工性を示すものである。
【0101】
0℃での損失係数の増大は、より寒冷な条件下、すなわち0℃におけるエラストマー材料、例えばタイヤのウェットグリップ性が向上することを示している。
【0102】
60℃での損失係数の減少は、高温におけるエラストマー材料、すなわちタイヤの転がり抵抗が減少することを示している。これは、ロードタイヤが使用中に加熱するときに性能が向上し、且つ摩耗が低減することを示す重要な指標である。
【0103】
本発明の独創的なジメチルアミドとポリエチレンオキシド(PEO)を組み合わせると、相乗効果の指標である8つのわずかに優れた性能が示される。
【国際調査報告】