(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】金属検出装置
(51)【国際特許分類】
G01V 3/10 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
G01V3/10 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542625
(86)(22)【出願日】2022-01-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-23
(86)【国際出願番号】 EP2022050881
(87)【国際公開番号】W WO2022157117
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511241516
【氏名又は名称】メトラー-トレド・セーフライン・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】リヨン,デイビッド
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB05
2G105DD02
2G105EE02
2G105HH05
(57)【要約】
金属検出装置は、第1のコイル端子(211)および第2のコイル端子(212)を使用してトランスミッタユニット(1)に接続されたトランスミッタコイル(21)と、レシーバユニット(3)の入力に接続された第1のレシーバコイルおよび第2のレシーバコイル(22A、22B)であって、レシーバユニット(3)の出力は信号処理ユニット(45)に接続される、第1のレシーバコイルおよび第2のレシーバコイル(22A、22B)とを有する平衡コイルシステム(2)を備え、トランスミッタユニット(1)は、選択可能動作周波数を有する入力信号を増幅器段(12)の入力に提供する制御可能周波数発生器(11)であって、増幅器段(12)の出力は適合ユニット(14)に接続される、制御可能周波数発生器(11)を備え、適合ユニット(14)は、少なくとも1つの一次コイル、ならびに変圧器コイル端子(143T)および複数の変圧器タッピング(143A、143B、143C)を有する少なくとも1つの二次コイルを有する結合変圧器(143)と、第1のコンデンサ端子および第2のコンデンサ端子を有する複数の同調コンデンサ(144A、144B、144C)と、スイッチングデバイス(141A、142A;141B、142B;141C、142C)であって、このスイッチングデバイスを使用して、結合変圧器(143)の二次コイルおよび同調コンデンサ(144A、144B、144C)のうちの少なくとも1つをトランスミッタコイル(21)に接続することができる、スイッチングデバイス(141A、142A;141B、142B;141C、142C)とを備える。本発明によれば複数の個別に選択可能な共振器チャネルが設けられ、個々の共振器チャネルは、選択されると、トランスミッタコイル(21)、結合変圧器(143)の二次コイルのタップ付き巻線、第1の半導体スイッチングデバイス(141A;141B;141C)によって、また、第2の半導体スイッチングデバイス(142A;142B;142C)によって互いに接続された同調コンデンサ(144A、144B、144C)のうちの1つを備え、これらは、複数の共振器チャネルのうちの1つが必ず選択可能であるよう、チャネルセレクター(140)による制御が可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属検出装置であって、
平衡コイルシステム(2)であって、
第1のコイル端子(211)および第2のコイル端子(212)を使用してトランスミッタユニット(1)に接続されたトランスミッタコイル(21)と、
レシーバユニット(3)の入力に接続された第1のレシーバコイルおよび第2のレシーバコイル(22A、22B)であって、前記レシーバユニット(3)の出力が信号処理ユニット(45)に接続される、第1のレシーバコイルおよび第2のレシーバコイル(22A、22B)と
を有する平衡コイルシステム(2)を備え、
前記トランスミッタユニット(1)が、
選択可能動作周波数を有する入力信号を増幅器段(12)の入力に提供する制御可能周波数発生器(11)であって、前記増幅器段(12)の出力が適合ユニット(14)に接続される、制御可能周波数発生器(11)を備え、
前記適合ユニット(14)が、
少なくとも1つの一次コイル、ならびに変圧器コイル端子(143T)および複数の変圧器タッピング(143A、143B、143C)を有する少なくとも1つの二次コイルを有する結合変圧器(143)と、
第1のコンデンサ端子および第2のコンデンサ端子を有する複数の同調コンデンサ(144A、144B、144C)と、スイッチングデバイス(141A、142A;141B、142B;141C、142C)であって、前記スイッチングデバイスを使用して、前記結合変圧器(143)の前記二次コイルおよび前記同調コンデンサ(144A、144B、144C)のうちの少なくとも1つを前記トランスミッタコイル(21)に接続することができる、スイッチングデバイス(141A、142A;141B、142B;141C、142C)とを備え、
前記金属検出装置には、複数の個別に選択可能な共振器チャネル(14A、14B、14C)が設けられ、個々の共振器チャネル(14A;14B;14C)が、選択されると、前記トランスミッタコイル(21)、前記結合変圧器(143)の前記二次コイルのタップ付き巻線、第1の半導体スイッチングデバイス(141A;141B;141C)によって、また、第2の半導体スイッチングデバイス(142A;142B;142C)によって互いに接続された前記同調コンデンサ(144A、144B、144C)のうちの1つを備え、これらは、前記複数の共振器チャネル(14A;14B;14C)のうちの1つが必ず選択可能であるよう、チャネルセレクター(140)による制御が可能であることを特徴とする金属検出装置。
【請求項2】
共振器チャネル(14A;14B;14C)毎に、選択されると、前記結合変圧器(143)の前記二次コイルの関連するタップ付き巻線が関連する第1の半導体スイッチングデバイス(141A;141B;141C)によって前記トランスミッタコイル(21)に直列または並列に接続されることを特徴とする請求項1に記載の金属検出装置。
【請求項3】
共振器チャネル(14A;14B;14C)毎に、選択されると、関連する同調コンデンサ(144A;144B;144C)が関連する第2の半導体スイッチングデバイス(142A;142B;142C)によって前記トランスミッタコイル(21)に直列または並列に接続されることを特徴とする請求項1または2に記載の金属検出装置。
【請求項4】
共振器チャネル(14A;14B;14C)毎に、選択されると、前記結合変圧器(143)の前記二次コイルの関連するタップ付き巻線が関連する第1の半導体スイッチングデバイス(141A;141B;141C)によって、また、関連する同調コンデンサ(144A;144B;144C)が関連する第2の半導体スイッチングデバイス(142A;142B;142C)によって、それぞれ前記トランスミッタコイル(21)に並列に接続されることを特徴とする請求項1に記載の金属検出装置。
【請求項5】
前記複数の個別に選択可能な共振器チャネル(14A;14B;14C)が並列に配置されることを特徴とする請求項1から4の一項に記載の金属検出装置。
【請求項6】
前記チャネルセレクター(140)が、前記第1の半導体スイッチングデバイス(141A;141B;141C)および前記第2の半導体スイッチングデバイス(142A;142B;142C)のうちの1つ毎に、光起電性ドライバなどの少なくとも1つの隔離されたドライバ(145A、146A)を備え、前記少なくとも1つの隔離されたドライバ(145A、146A)を使用して、制御線が前記第1の半導体スイッチングデバイス(141A;141B;141C)および前記第2の半導体スイッチングデバイス(142A;142B;142C)の制御入力からガルバニック分離されることを特徴とする請求項1から5の一項に記載の金属検出装置。
【請求項7】
前記第1の半導体スイッチングデバイス(141A;141B;141C)および前記第2の半導体スイッチングデバイス(142A;142B;142C)が双方向性MOS-FETユニットであることを特徴とする請求項1から6の一項に記載の金属検出装置。
【請求項8】
個々の双方向性MOS-FETユニットが、ソース端子(S)、ドレイン端子(D)およびゲート端子(G)を個々に有する第1のMOS-FET(T1)および第2のMOS-FET(T2)を備え、前記ソース端子(S)が、一方では互いに接続され、また、他方では2つのダイオード(D1、D2)の全く同じ第1の端子と接続され、前記2つのダイオードは、それぞれ、それらの第2の端子を使用して前記第1のMOS-FET(T1)の前記ドレイン端子(D)または前記第2のMOS-FET(T2)の前記ドレイン端子(D)にそれぞれ接続されることを特徴とする請求項7に記載の金属検出装置。
【請求項9】
それぞれ発光ダイオード(1453A、1463A)に接続されている関連する選択可能共振器チャネル(14A;14B;14C)の前記第1の半導体スイッチングデバイス(141A;141B;141C)および前記第2の半導体スイッチングデバイス(142A;142B;142C)にそれぞれ割り当てられた隔離されたドライバ(145A、146A)の入力線(1451A、1461A)が直列に接続されること、および隔離されたドライバ(145A、146A)の出力線(1452A、1462A)が、前記関連する選択可能共振器チャネル(14A;14B;14C)の前記第1の半導体スイッチングデバイス(141A;141B;141C)および前記第2の半導体スイッチングデバイス(142A;142B;142C)の入力端子(G、S)にそれぞれ接続されることを特徴とする請求項7または8に記載の金属検出装置。
【請求項10】
前記隔離されたドライバ(145A、146A)の前記発光ダイオード(1453A、1463A)が、制御抵抗(147A)と直列に接続され、したがって定電圧供給デバイス(149A)の出力に接続される制御ループ(148A)を形成することを特徴とする請求項9に記載の金属検出装置。
【請求項11】
前記定電圧供給デバイス(149A)が低ドロップアウト調整器であることを特徴とする請求項10に記載の金属検出装置。
【請求項12】
コンピュータシステム(4)の中で実現された制御プログラム(40)によって前記トランスミッタ(1)、詳細には前記周波数発生器(11)および前記チャネルセレクター(140)を制御することができ、前記制御プログラム(40)を使用して動作周波数および関連する共振器チャネル(14A、14B、14C)を選択することができることを特徴とする請求項1から11の一項に記載の金属検出装置。
【請求項13】
前記制御プログラム(40)が、運ばれた商品を測定するプロセス内で、前記動作周波数および前記関連する共振器チャネル(14A、14B、14C)が少なくとも2つの設定すなわち動作周波数の間で交互に変更される、すなわち調整されるように設計されることを特徴とする請求項12に記載の金属検出装置。
【請求項14】
前記適合ユニット(14)が少なくとも3つの選択可能共振器チャネル(14A、14B、14C)を備えることを特徴とする請求項1から13の一項に記載の金属検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、複数の動作周波数を使用する金属検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]例えばUS8587301B2に記載されている産業金属検出装置は、製品の金属汚染を検出するために使用されている。適切に設置され、かつ、操作されると、産業金属検出装置は、金属汚染の低減および食品安全の改善を促進することになる。ほとんどの近代の金属検出器は、「平衡コイルシステム」を備えた探索ヘッドを利用している。この設計の検出器は、新鮮な製品および冷凍製品などの極めて多様な製品の第1鉄、非第1鉄およびステンレス鋼を含むあらゆる金属汚染物質タイプを検出することができる。
【0003】
[0003]「平衡コイル」原理に従って動作する金属検出装置は、3つのコイル、すなわちトランスミッタコイル、および非金属フレームの上に巻かれている、典型的にはそれぞれ互いに平行である2つの全く同じレシーバコイルを備えている。これらのレシーバコイルは、典型的にはそれらの間の中央に位置しているトランスミッタコイルを取り囲んでいるが、全く同じであり、全く同じ電圧がそれらの各々に誘導される。システムが平衡状態にある場合はゼロである出力信号を受け取るために、第1のレシーバコイルは、逆巻き巻線を有する第2のレシーバコイルと直列に接続されている。したがってシステムが平衡状態にあり、観察されている製品に汚染物質が存在していない場合、レシーバコイルに誘導される、振幅が全く同じで、極性が逆である電圧が互いを相殺する。
【0004】
[0004]しかしながら金属の粒子がコイル構造を通過して磁界に露出されると、直ちに渦電流が金属粒子の中を流れるように強制される。渦電流は、最初に一方のレシーバコイルに近い一次電磁界を攪乱し、次にもう一方のレシーバコイルに近い一次電磁界を攪乱する二次磁界を生成する。金属の粒子がレシーバコイルを通って運ばれている間、個々のレシーバコイルに誘導される電圧が変化する(ナノ-ボルトだけ)。平衡のこの変化により、レシーバユニットに存在している検出コイルの出力部分の信号が処理され、増幅され、恐らくはフィルタリングされ、次にそれを使用して、コンベアシステム上の金属検出装置を横断している、観察されている製品の金属汚染物質の存在が検出され得ることになる。
【0005】
[0005]レシーバユニットでは、入力信号は、通常、同相成分および直交成分に分割される。これらの成分から構成されるベクトルは、コイルシステムを通って運ばれる製品および汚染物質に対して固有である一定の大きさおよび一定の位相角を有している。金属汚染物質を識別するためには、「製品効果」を取り除くか、または小さくしなければならない。製品の位相が分かれば、対応する信号ベクトルを小さくして、金属汚染物質から発信される信号を検出するための感度をより高くすることができる。
【0006】
[0006]望ましくない信号を信号スペクトルから除去するために適用されている方法は、金属汚染物質、製品および他の攪乱が磁界に対して異なる影響を有し、したがって検出される信号の位相が異なることを利用している。大きい導電率を有する材料は、より大きい負の無効信号成分およびより小さい抵抗性信号成分を有する信号をもたらす。大きい透磁率を有する材料は、より小さい抵抗性信号成分およびより大きい正の無効信号成分を有する信号をもたらす。フェライトによってもたらされる信号は主として無効性であり、一方、ステンレス鋼によってもたらされる信号は主として抵抗性である。導電性である製品は、典型的には、強い抵抗性成分を有する信号をもたらす。抵抗性信号成分と無効信号成分の間の信号ベクトルの位相角は、通常、製品または汚染物質が金属検出装置を通って運ばれる際に一定を維持する。
【0007】
[0007]異なる発信源の信号成分の位相同士の間を位相検出器によって区別することにより、製品および汚染物質に関する情報を得ることができる。位相検出器、例えば周波数混合器またはアナログ掛算器回路は、レシーバコイルの出力信号などの信号入力と、トランスミッタユニットによってレシーバユニットに提供される基準信号との間の位相差を表す電圧信号を生成する。したがって製品信号成分の位相と一致するように基準信号の位相を選択することにより、位相差および対応する製品信号が位相検出器の出力部分に得られ、それはゼロである。汚染物質から発信される信号の位相が製品信号の位相と異なっている場合、製品信号を抑制することができ、その一方で汚染物質の信号をさらに処理することができる。しかしながら汚染物質の信号の位相が製品信号の位相に近い場合、汚染物質の信号が製品信号と共に抑制されるため、汚染物質の検出は失敗する。製品信号の位相角を汚染物質の位相角から分離するために、適切な動作周波数が決定され、かつ、適用されている。
【0008】
[0008]US8841903B2は、信号プロセッサに接続されたレシーバユニットに接続されている第1のレシーバコイルおよび第2のレシーバコイルに誘導結合されているトランスミッタコイルにトランスミッタ信号を提供するトランスミッタユニットを備えた金属検出装置を開示している。トランスミッタユニットは、動作周波数を増幅器段の入力に提供する周波数発生器を備えており、増幅器段の出力は結合変圧器を介してトランスミッタコイルに接続されている。増幅器段の出力は第1のスイッチバンクを介して第1のタッピングに接続され、また、トランスミッタコイルは、第2のスイッチバンクを介して、変圧器の同じ変圧器巻線の第2のタッピングに接続されている。この構造によれば、トランスミッタユニットの他の部分に無関係に、トランスミッタコイルおよび選択可能コンデンサからなる共振回路を選択された動作周波数に同調され得る。増幅器段は、最小ひずみを有する信号を増幅するが、パワートランジスタは静止状態においても電流を絶えず消費するため、効率が低いA級回路を備えている。
【0009】
[0009]US10184908B2は、増幅器段の出力に接続されている第1の巻線および第2の巻線を有する一次コイル、ならびにトランスミッタコイルに接続されている二次コイルを備えた結合変圧器を有する金属検出装置を開示している。第1の巻線および第2の巻線は、第1の端部を使用して供給電圧に接続され、それぞれ、上記第1の端部から数えて同じ回数で少なくとも1つのタッピングを有している。増幅器段は、第1の巻線の少なくとも1つのタッピングに接続された少なくとも第1のパワートランジスタを有する第1の増幅ウイング、および第2の巻線の少なくとも1つのタッピングに接続された少なくとも第2のパワートランジスタを有する第2の増幅ウイングを備えている。第1の増幅ウイングは入力信号の最初の半分の波を増幅し、第2の増幅ウイングは入力信号の次の半分の波を増幅している。結合変圧器の二次コイルは複数のタッピングを備えている。トランスミッタコイルの第1の端部はこれらのタッピングのうちの1つに接続され、また、トランスミッタコイルの第2端部は、スイッチを介してこれらのタッピングのうちの別のタッピングに選択的に接続されている。この構造によれば、トランスミッタコイルは、より広い範囲で増幅器段に適合され得る。同調コンデンサと接続されたトランスミッタコイルは、同調され得る共振回路を形成している。トランスミッタコイルの第1の端部は、スイッチを介して、複数の同調コンデンサのうちの1つの一方の側に選択的に接続することができ、また、トランスミッタコイルの第2の端部は、二次巻線の複数の回を介して、同調コンデンサの他の側に直接接続されている。二次コイルのタッピングおよび同調コンデンサへのトランスミッタコイルの接続は、例えばPower Relays、Catalogue2020、Panasonic Industryから選択することができる適切な電力継電器によって確立されている。
【0010】
[0010]このような金属検出装置の問題は、システムを第1の同調状態から第2の同調状態に変化させるのにかなりの時間を要し、したがって運ばれた製品の汚染物質を検出している間、動作周波数を前後に変化させ、かつ、最適同調を維持することがほとんど不可能であることである。
【0011】
[0011]US20150234075A1は、コイルシステムにおける不平衡を補償し、また、振動および雑音の影響を抑制するための方法を開示している。金属検出装置は、フェライトによってもたらされる、雑音から発信される信号に似ている信号を抑制するように較正される。次に、フェライトから発信された信号を除去することにより、振動および雑音によってもたらされる信号が同じく自動的に抑制される。この方法によれば、コイルシステム内にフェライトが存在している状態で金属検出装置の出力信号が測定され、また、フェライトの抵抗性信号成分が除去されるよう、デジタル的に調整される。記載されている、不平衡を補償し、また、振動および雑音を抑制するための方法は大いに有効であるが、トランスミッタユニット自体によってもたらされる無作為攪乱は、依然として問題の原因になり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
[0012]したがって本発明は、複数の動作周波数に同調させることができる改良型金属検出装置を提供する目的に基づいている。
【0013】
[0013]金属検出装置は、異なる動作周波数に対して最短可能時間で同調させることができなければならない。
【0014】
[0014]さらに、金属検出装置は、トランスミッタユニットによってもたらされる、電子補償システムでは取り扱いが困難である無作為攪乱を低減するか、または回避することができる方法で再設計することができなければならない。さらに、不平衡の原因になり得る熱損失を低減することができなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
[0015]本発明の第1の広義の態様では金属検出装置が提供され、金属検出装置は、第1のコイル端子および第2のコイル端子を使用してトランスミッタユニットに接続されたトランスミッタコイルと、レシーバユニットの入力に接続された第1のレシーバコイルおよび第2のレシーバコイルであって、レシーバユニットの出力は信号処理ユニットに接続される、第1のレシーバコイルおよび第2のレシーバコイルとを有する平衡コイルシステムを備え、トランスミッタユニットは、選択可能動作周波数を有する入力信号を増幅器段の入力に提供する制御可能周波数発生器であって、増幅器段の出力は適合ユニットに接続される、制御可能周波数発生器を備え、適合ユニットは、少なくとも1つの一次コイル、ならびに変圧器コイル端子および複数の変圧器タッピングを有する少なくとも1つの二次コイルを有する結合変圧器と、第1のコンデンサ端子および第2のコンデンサ端子を有する複数の同調コンデンサと、スイッチングデバイスであって、このスイッチングデバイスを使用して、結合変圧器の二次コイルおよび複数の同調コンデンサのうちの少なくとも1つをトランスミッタコイルに接続することができる、スイッチングデバイスとを備える。
【0016】
[0016]本発明によれば、2つ、3つまたはそれ以上であることが好ましい複数の個別に選択可能な共振器チャネルが設けられ、個々の共振器チャネルは、選択されると、トランスミッタコイル、結合変圧器の二次コイルのタップ付き巻線、第1の半導体スイッチングデバイスによって、また、第2の半導体スイッチングデバイスによって互いに接続された複数の同調コンデンサのうちの1つを備え、これらは、複数の共振器チャネルのうちの1つが必ず選択可能であるよう、チャネルセレクターによる制御が可能である。
【0017】
[0017]個別に選択可能な共振器チャネルは、それらが互いに相互作用しないよう、並列に配置されている。したがって選択された共振器チャネルは、他の選択可能共振器チャネルの回路機構によって干渉されない。したがって選択された共振器チャネルの正確な同調が残りの回路機構によって損なわれることはない。
【0018】
[0018]好ましい実施形態では、共振器チャネル毎に、選択されると、結合変圧器の二次コイルの関連するタップ付き巻線が関連する第1の半導体スイッチングデバイスによってトランスミッタコイルに直列または並列に接続される。トランスミッタコイルは、その複数のコイル端子のうちの1つを使用して、切換え可能に、または堅固に変圧器コイル端子と接続される。一般に、変圧器コイル端子と選択された変圧器タッピングの間の変圧器巻線は、「タップ付き巻線」として定義されている。共振器チャネル毎に、選択されると、関連する同調コンデンサが関連する第2の半導体スイッチングデバイスによってトランスミッタコイルに直列または並列に接続されることが好ましい。タップ付き巻線および同調コンデンサを直列または並列に接続することにより、異なる特性を有する共振器チャネルが作り出され得る。
【0019】
[0019]共振器チャネル毎に、選択されると、結合変圧器の二次コイルの関連するタップ付き巻線および関連する同調コンデンサがそれぞれ関連する第1の半導体スイッチングデバイスおよび第2の半導体スイッチングデバイスによってトランスミッタコイルに並列に接続されることが最も好ましい。
【0020】
[0020]半導体スイッチングデバイスにより、数ナノ秒以内に切り換えることができ、したがって本発明による金属検出装置は動作周波数を切り換えることができるだけでなく、短い時間間隔で前後に切り換えられると、選択された動作周波数毎に最適同調を維持することができる。したがって本発明による金属検出装置は、事実上、測定プロセスが妨害されることなく、短い時間間隔内で切り換え、かつ、同調することができる操作プログラムを備えることができる。したがって操作プログラムは、汚染物質を検出するための対象の測定が進行している間に動作周波数の変更が実施されるように設計され得る。動作周波数を変更することにより、様々な種類の汚染物質および製品から信号を検出することができる。最適同調を維持することにより、最も高い信号対雑音比で信号を測定することができる。
【0021】
[0021]少なくとも1つのMOS-FETを備えていることが好ましい半導体スイッチングデバイスは、概ね20nsの間隔の間で切り換えることができ、また、典型的には0.010オーム未満の小さいチャネル抵抗を有している。したがって電力継電器に遭遇した際の回路機構に対する望ましくない衝撃によるコンタクトの温暖化および対応する損失が回避される。さらに、適切な半導体スイッチングデバイスは、最大150Vまでの電圧を阻止し、また、最大10Aまで、またはそれ以上の電流をサポートすることができる。
【0022】
[0022]しかしながら電力継電器は高電圧発振に対してより頑丈であると考えられ、したがってこのような電力継電器はトランスミッタ回路の中に統合される。したがって本発明によるトランスミッタは、それに応じて設計されている。好ましい実施形態では、チャネルセレクターは、第1の半導体スイッチングデバイスおよび第2の半導体スイッチングデバイスのうちの1つ毎に、光起電性ドライバなどの少なくとも1つの隔離されたドライバを備え、ドライバの入力線および出力線は互いにガルバニック分離される。したがって制御回路機構は電力段から隔離される。
【0023】
[0023]第1の半導体スイッチングデバイスおよび第2の半導体スイッチングデバイスは双方向性MOS-FETユニットであることが好ましい。個々の双方向性MOS-FETユニットは、ソース端子、ドレイン端子およびゲート端子を個々に有する第1のMOS-FETおよび第2のMOS-FETを備えることが好ましい。2つの整合したMOS-FETは、一方では互いに接続され、また、他方では2つのダイオードの全く同じ第1の端子と接続されたソース端子を備えていることが好ましく、2つのダイオードは、それぞれ、それらの第2の端子を使用して第1のMOS-FETのドレイン端子または第2のMOS-FETのドレイン端子にそれぞれ接続される。
【0024】
[0024]直列に接続され、また、互いに逆方向に向いている2つのMOS-FETは、オン-オン、オン-オフ、オフ-オンおよびオフ-オフの4つの可能状態を有する。共振器チャネルを起動するために、関連する第1の半導体スイッチングデバイスおよび第2の半導体スイッチングデバイスの2つのMOS-FETの両方がスイッチオンされ、また、共振器チャネルの起動を解除するために、関連する第1の半導体スイッチングデバイスおよび第2の半導体スイッチングデバイスの2つのMOS-FETの両方がスイッチオフされる。スイッチオンされると、電流は回路を通って両方の方向に流れることができる。一方の方向では、電流は第1のMOS-FETおよび関連する第1のダイオードを通って流れ、また、もう一方の方向では、第2のMOS-FETおよび関連する第2のダイオードを通って流れる。スイッチオフされると、両方のFETがオフであると、2つのダイオードがいずれの方向に対しても電流の流れを阻止するため、電流はいずれの方向にも流れることができない。
【0025】
[0025]それぞれ発光ダイオードに接続されている関連する選択可能共振器チャネルの第1の半導体スイッチングデバイスおよび第2の半導体スイッチングデバイスにそれぞれ割り当てられた隔離されたドライバの入力線は、直列に接続されることが好ましい。隔離されたドライバの出力線は、関連する選択可能共振器チャネルの第1の半導体スイッチングデバイスおよび第2の半導体スイッチングデバイスの入力端子にそれぞれ接続される。制御電圧は相互接続されたゲート端子および典型的にはMOS-FETのソース端子に印加される。したがって隔離されたドライバおよび接続された第1の半導体スイッチングデバイスおよび第2の半導体スイッチングデバイスは、集積MOS-FETと共に、遅延すなわち時間シフトすることなく、必ず同時に切り換えられる。
【0026】
[0026]とりわけ好ましい実施形態では、隔離されたドライバの発光ダイオードは、制御抵抗と個々に、またはまとめて直列に接続される。したがって制御抵抗と直列に接続された1つまたは複数の発光ダイオードは、定電圧供給デバイス、好ましくは低ドロップアウト調整器の出力に接続される制御ループを形成する。この回路機構はさらなる利点を有し、MOS-FETの温度を安定させることができる。隔離されたドライバの発光ダイオードおよび制御抵抗の両端間の電圧は固定される。温度が高くなると、それに比例して発光ダイオードの両端間の電圧が降下し、また、制御抵抗の両端間の電圧および制御抵抗を通る電流が増加する。発光ダイオードは、電流が大きくなるほど、隔離されたドライバに設けられている光感応ダイオードに向かってより多くの光を放出する。したがってMOS-FETに印加される制御電圧が高くなると、温度によって大きくなったMOS-FETのチャネル抵抗が再び小さくなる。したがって温度が変化している間、MOS-FETのチャネル抵抗が一定に維持される。
[0028]以下、図面を参照して本発明の詳細な態様および例が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】トランスミッタユニット1、コイルシステム2、レシーバユニット3、および操作プログラム40および信号処理ユニット45を有する制御ユニット4を備え、また、トランスミッタユニット1に設けられた、選択された動作周波数に同調される複数の選択可能共振器チャネル14A;14B;14Cを備えた適合モジュール14をさらに有する、本発明による金属検出装置の好ましい実施形態を示す図である。
【
図2】適合ユニット14の一部、および第1の半導体スイッチングデバイス141Aおよび第2の半導体スイッチングデバイス142Aを制御するための制御回路機構を備えたチャネルセレクター140であって、チャネルセレクター140を使用して第1の共振器チャネル14Aを選択することができる、チャネルセレクター140を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[0029]
図1は、本発明による金属検出装置の好ましい実施形態を示したものであり、金属検出装置は、トランスミッタユニット1と、トランスミッタコイル21および第1のレシーバコイルおよび第2のレシーバコイル22A、22Bを有する平衡コイルシステム2と、レシーバユニット3と、制御ユニット4であって、計算デバイスの中で実現された操作プログラム40、デジタル信号プロセッサおよび入力デバイスならびに出力デバイスなどの信号処理デバイス45を備えた制御ユニット4とを備え、制御ユニット4を使用して、金属検出装置および実現された測定および較正プロセスが、例えば制御信号411、414によって監視され、かつ、制御される。コンベア6は記号で示されており、このコンベア6上で製品を平衡コイルシステム2を通して移送することができる。
【0029】
[0030]トランスミッタユニット1は、選択可能動作周波数を有する入力信号r0°を増幅器段12の入力に提供する制御可能周波数発生器11を備えており、増幅器段12の出力は適合ユニット14に接続されている。適合ユニット14は、複数の同調コンデンサ144A、144B、144Cおよび結合変圧器143を備えており、結合変圧器143は、少なくとも1つの一次コイル、ならびに変圧器コイル端子143Tおよび複数の変圧器タッピング143A、143B、143Cを有する少なくとも1つの二次コイルを有している。増幅器段12の出力線は、結合変圧器143の一次コイルの適切なタッピングM1、M1’;M2、M2’;M3、M3’に対称的に接続されている。増幅器段12の構成は、A級モードまたはB級モードなどの任意の適切なモードで動作するように設計され得る。この構成では、増幅器はB級モードで動作し、半分の波をタッピングM1に印加し、残りの半分の波を対応するタッピングM1’に印加している。
【0030】
[0031]コイル端子143Tはトランスミッタコイル21の第1の端子211に接続され、また、トランスミッタコイル21の第2の端子212は、変圧器タッピング143A、143B、143Cのうちの1つに接続することができる。変圧器コイル端子143Tと隔離された変圧器タッピング143A、143B、143Cの間の結合変圧器143の二次コイルの巻線は「タップ付き巻線」として定義される。
【0031】
[0032]金属検出装置が動作している間、トランスミッタ信号は平衡コイルシステム2のトランスミッタコイル21に印加される。さらに、トランスミッタユニット1は、同相基準信号r0°および直交基準信号r90°をレシーバユニット3に提供する。トランスミッタ信号は、全く同じレシーバコイル22A、22Bに信号を誘導し、この信号は、システムが平衡している限り、すなわち製品、詳細には金属で汚染された製品がコイルシステム2を横切っていない限り、極性が逆で、かつ、同じ大きさの信号である。製品、詳細には導電性対象で汚染された製品がコイルシステム2を横切っている場合、全く同じレシーバコイル22A、22Bに誘導される信号の大きさが変化することになり、また、逆に分極した信号は、もはや互いに補償しないことになる。したがってレシーバコイル22A、22Bに誘導されたトランスミッタ信号は、振幅および周波数が導電性対象の特性、寸法および移動速度に依存するベースバンド信号で変調される。
【0032】
[0033]レシーバコイルの出力信号は、例えば、レシーバコイルの鏡映である中央タップ一次巻線、および互いに反対側のテールが増幅器32に接続されている、2つの全く同じ中央タップ二次巻線を有する平衡変圧器を備えた整合ユニット31に印加される。増幅器32の出力は復調ユニット33に接続されており、復調ユニット33は、その出力部分に復調レシーバ信号の同相成分および直交成分、すなわち運ばれた製品から発信されるベースバンド信号の同相成分および直交成分を提供している。復調ユニット33の出力部分に提供されるベースバンド信号の同相成分および直交成分は、アナログ-デジタル変換器34-Iおよび34-Qでアナログ形態からデジタル形態に変換される。アナログ-デジタル変換器34-Iおよび34-Qの出力信号は、制御ユニット4に提供されている、知られているデジタル信号プロセッサなどの信号処理ユニット45に転送される。信号処理ユニット45は、製品から発信される信号成分を抑制し、汚染物質から発信される信号成分を処理する。レシーバユニットは、フィルターユニットおよび利得調整ユニットをさらに備えることができる。
【0033】
[0034]測定プロセスは、制御ユニット4に提供されている操作プログラムによって制御される。制御信号411を使用して、計画された測定プロセスに従って動作周波数が選択される。制御信号414を使用して、選択された動作周波数に従って適合ユニットが構成される。
【0034】
[0035]適合ユニット14は、複数の共振器チャネル14A;14B;14Cのうちの1つを必ず選択することができるよう、チャネルセレクター140によって制御することができる第1の半導体スイッチングデバイス141A、141B、141Cおよび第2の半導体スイッチングデバイス142A、142B、142Cを備えている。制御ユニット4からコマンド414を受け取るチャネルセレクター140は、共振器チャネル14A;14B;14Cのうちの1つのみの第1の半導体スイッチングデバイス141A、141B、141Cおよび第2の半導体スイッチングデバイス142A、142B、142Cが起動されるように設計されている。例えば最も上の共振器チャネル14Aは、第1の半導体スイッチングデバイス141Aおよび第2の半導体スイッチングデバイス142Aを作動させることによって起動され、一方、残りの第1の半導体スイッチングデバイス141B、141Cおよび第2の半導体スイッチングデバイス142B、142Cはスイッチオフされる。第2の共振器チャネル14Bの第1の半導体スイッチングデバイス141Bおよび第2の半導体スイッチングデバイス142Bが起動されると、第1の半導体スイッチングデバイス141A、141Cおよび第2の半導体スイッチングデバイス142A、142Cはスイッチオフされる。第3の共振器チャネル14Cの第1の半導体スイッチングデバイス141Cおよび第2の半導体スイッチングデバイス142Cが起動されると、第1の半導体スイッチングデバイス141A、141Bおよび第2の半導体スイッチングデバイス142A、142Bがスイッチオフされる。したがって示されている実施形態における金属検出装置は3つの共振器チャネル14A;14B;14Cを備えており、これらの3つの共振器チャネルは、それぞれ一対の第1の半導体スイッチングデバイスおよび第2の半導体スイッチングデバイス141A、142A;141B、142B;141C、142Cを備えている。他の実施形態では、金属検出装置は、3つの共振器チャネル14A、14B、14Cの代わりに、2つ、4つまたはそれ以上の共振器チャネル14A、14B、14C、…を備えることができる。
【0035】
[0036]複数の共振器チャネル14A、14B、14Cの個々の共振器チャネルは、選択されると、トランスミッタコイル21、同調コンデンサ144A、144B、144Cのうちの1つ、および結合変圧器143の二次コイルのタップ付き巻線を備える。この実施形態では、関連する同調コンデンサ144A;144Bまたは144C、および結合変圧器143の二次コイルのタップ付き巻線は、関連する対の第1の半導体スイッチングデバイスおよび第2の半導体スイッチングデバイス141A、142A;141B、142B;141C、142Cが起動されると、トランスミッタコイル21に並列に接続される。
【0036】
[0037]トランスミッタコイル21の第1のコイル端子211は、結合変圧器143の二次巻線のコイル端子143Tおよび同調コンデンサ144A、144B、144Cの第1の端子に固定して接続されている。トランスミッタコイル21の第2のコイル端子212は、第1の半導体スイッチングデバイスおよび第2の半導体スイッチングデバイス141A、142A;141B、142B;141C、142Cの個々の対の共通の第1の端子に固定して接続されている。トランスミッタコイル21の第2の端子212は、第1の半導体スイッチングデバイス141A、141B、141Cによって変圧器タッピング143A、143B、143Cのうちの1つに接続することができる。したがって選択されたタッピング143A、143B、143Cとコイル端子143Tの間の結合変圧器143の二次コイルのタップ付き巻線は、トランスミッタコイル21に並列に接続することができる。トランスミッタコイル21の第2の端子212は、第2の半導体スイッチングデバイス142A、142B、142Cによって同調コンデンサ144A、144B、144Cの第2の端子に接続することができる。したがって同調コンデンサ144A、144B、144Cは、トランスミッタコイル21に並列に接続することができる。しかしながらチャネルセレクター140は、第1の半導体スイッチングデバイスおよび第2の半導体スイッチングデバイス141A、142A;141B、142B;141C、142Cのうちの一対のみが一度に起動されるように設計されていることが好ましい。平衡コイルシステム2を制御ユニット4によって選択された動作周波数に同調させるために、制御ユニット4からチャネルセレクター140に印加される制御信号414を使用して、共振器チャネル14A、14B、14Cのうちの1つを選択することができる。
【0037】
[0038]したがって制御信号411を使用して選択された動作周波数の個々の変化を使用して、関連する共振器チャネル14A、14Bまたは14Cが自動的に選択されることが同じく好ましい。したがって動作周波数の変化だけでなく、第1の半導体スイッチングデバイスおよび第2の半導体スイッチングデバイス141A、142A;141B、142B;141C、142Cの切換え速度に応じて、典型的にはマイクロ秒の数分の一以内である最短可能時間内で平衡コイルシステム2の同調が同じく実施され得る。したがって測定プロセスの間、平衡コイルシステムの動作周波数および同調を短い時間間隔で前後に変化させることが可能である。
【0038】
[0039]共振器チャネル14A、14B、14Cは個別に選択され、また、選択が解除され、したがって選択された共振器チャネル14A、14Bまたは14Cが選択解除された共振器チャネル14A、14Bまたは14Cの要素によって損なわれることはない。共振器チャネル14A、14B、14Cは、事実上、並列に配置され、また、トランスミッタコイル21および結合変圧器143のその二次コイルの一部のみを共通に有する。この設計によれば、起動が解除された共振器チャネル14A、14B;14A、14C;14B、14Cの要素による起動された共振器チャネル14Aまたは14Bあるいは14Cの干渉を高い信頼性で抑制することが可能である。
【0039】
[0040]第1の半導体スイッチングデバイスおよび第2の半導体スイッチングデバイス141A、142A;141B、142B;141C、142CはMOS-FET回路であることが好ましく、これらは、チャネルセレクター40と共に、以下で
図2を参照してさらに詳細に説明される。
【0040】
[0041]
図2は、適合モジュール14内に設けられたチャネルセレクター140の一部、ならびに第1の共振器チャネル14Aの第1の半導体スイッチングデバイスおよび第2の半導体スイッチングデバイスの対141A、142Aを示したものである。第1の半導体スイッチングデバイスおよび第2の半導体スイッチングデバイス141A、142Aは、双方向性MOS-FETユニットの実施形態に設けられることが好ましい。個々の双方向性MOS-FETユニット141A、142A;141B、142B;141C、142Cは、第1のMOS-FET T1および第2のMOS-FET T2を備えており、それぞれソース端子S、ドレイン端子Dおよびゲート端子Gを有している。MOS-FET T1およびT2のソース端子Sは、一方では互いに接続され、また、他方では2つのダイオードD1、D2の全く同じ第1の端子、すなわち陽極と接続されており、これらのダイオードは、それぞれそれらの第2の端子、すなわち陰極を使用して第1のMOS-FET T1または第2のMOS-FET T2のドレイン端子Dにそれぞれ接続されている。直列に接続され、また、互いに逆方向に向いている2つのMOS-FET T1およびT2は、オン-オン、オン-オフ、オフ-オンおよびオフ-オフの4つの可能状態を有しているが、必ず対でスイッチオンおよびスイッチオフされる。第1の共振器チャネル14Aを起動するために、関連する第1の半導体スイッチングデバイスおよび第2の半導体スイッチングデバイス141A、142A;141B、142B;141C、142CのMOS-FET T1およびT2の両方がスイッチオンされ、また、第1の共振器チャネル14Aの起動を解除するために、関連する第1の半導体スイッチングデバイスおよび第2の半導体スイッチングデバイス141A、142A;141B、142B;141C、142Cの関連する2つのMOS-FET T1およびT2の両方がスイッチオフされる。スイッチオンされると、電流はMOS-FET回路を通って両方の方向に流れることができる。一方の方向では、電流は、例えば第1のMOS-FET T1を通って、また、関連する第1のダイオードD1を通って流れ、もう一方の方向では、第2のMOS-FET T2および関連する第2のダイオードD2を通って流れる。スイッチオフされると、両方のMOS-FET T1およびT2がオフであると、陰極が互いに逆方向に向いている2つのダイオードD1およびD2がいずれの方向に対しても電流の流れを阻止するため、電流はいずれの方向にも流れることができない。2つのMOS-FET T1およびT2、ならびに2つのダイオードD1およびD2は、典型的には10Aの範囲、またはそれより大きい必要な電流が両方の方向に流れることができるよう、互いに整合される。
【0041】
[0042]チャネルセレクター140は、選択可能共振器チャネル14A、14B、14Cのうちの1つ毎に全く同じチャネルセレクターモジュールを備えている。示されているチャネルセレクターモジュール140Aは、第1の半導体スイッチングデバイスおよび第2の半導体スイッチングデバイス141A、142Aに対して、隔離されたドライバ145A、146Aを備えており、これらのドライバを使用して、チャネルセレクター140の制御線が半導体スイッチングデバイス141A、142Aの制御入力からガルバニック隔離される。隔離されたドライバ145A、146Aは、発光ダイオード1453A、1463Aおよび光感応ダイオード1454A、1464Aを備え、また、好ましくは、ターンオフ時間を短くすることによって総合切換え速度を速くするために使用される内部または外部ターンオフ回路1455A、1465Aを備えた光学隔離MOS-FETドライバであることが好ましい。その内部回路機構を駆動するために必要な電流は、隔離障壁の低電圧一次側、すなわち隔離されたドライバ145A、146Aの入力線1451A、1461AのLED電流から引き出されることが好ましい。隔離されたドライバ145A、146Aの隔離障壁の二次側に設けられている出力線1452A、1462Aは、関連する半導体スイッチングデバイス141A;142Aの入力端子G、Sに接続されている。
【0042】
[0043]第1の入力端子Gは、2つのMOS-FET T1およびT2のゲート端子に接続されている。第2の入力端子Sは、2つのMOS-FET T1およびT2のソース端子に接続されている。したがって個々の半導体スイッチングデバイス141A;142AのMOS-FET T1およびT2は、いずれも同時にスイッチオンおよびスイッチオフされる。
【0043】
[0044]第1の半導体スイッチングデバイス141Aおよび第2の半導体スイッチングデバイス142Aに割り当てられた、隔離されたドライバ145A、146Aの発光ダイオード1453A、1463Aは、それらが必ず同じ電流を運ぶよう、また、必ず同時にスイッチオンおよびスイッチオフされるよう、直列に接続されている。
【0044】
[0045]隔離されたドライバ145A、146Aの発光ダイオード1453A、1463Aは、制御抵抗147Aとさらに直列に接続されており、したがって定電圧供給デバイス149Aの出力に接続される制御ループ148Aを形成している。この回路機構によれば、半導体スイッチングデバイス141A;142AのMOS-FET T1およびT2の温度を安定させることができる。隔離されたドライバ145A、146Aの発光ダイオード1453A、1463Aおよび制御抵抗147Aの両端間の電圧は、定電圧供給デバイス149Aによって固定されている。温度が高くなると、それに応じて発光ダイオード1453A、1463Aの両端間の電圧が降下し、また、制御抵抗147Aの両端間の電圧および制御抵抗147Aを通る電流が増加する。発光ダイオード1453A、1463Aは、電流が大きくなるほど、隔離されたドライバ145A、146Aに設けられている光感応ダイオード1455A、1465Aに向かってより多くの光を放出する。したがって半導体スイッチングデバイス141A;142AのMOS-FET T1およびT2に印加される制御電圧がそれに応じて高くなると、温度によって大きくなったMOS-FET T1およびT2のチャネル抵抗が再び小さくなる。したがって温度が変化している間、MOS-FET T1およびT2のチャネル抵抗が一定に維持される。したがって温度が変化しても、流入する電流および起動されている共振器チャネル14A、14B、14Cは影響されない。スイッチオンされる際のMOS-FET T1およびT2のチャネル抵抗が極端に小さいため、金属検出装置のこの回路機構の温度損失および悪影響が小さく、したがって修正要求事項を低減する。
【0045】
[0046]定電圧供給デバイス149Aは、供給電圧VCCのための入力、および制御信号414が印加される制御入力ENを有しており、制御信号414は、例えば供給電圧VCCの電位と接地電位の間で変化する。接地電位が印加されると、電流は、制御ループ148Aを通って、制御入力ENに印加された接地または接地電位へ流れることができる。定電圧供給デバイス149Aによって制御ループ148に印加される電圧は一定に維持される。
【0046】
[0047]定電圧供給デバイス149Aは、供給電圧VCCが制御ループ148Aに供給される出力電圧に極めて近い場合であっても、この出力電圧を調整することができる低ドロップアウト調整器であることが好ましい。
図2では、小さい図は、時間t1で制御入力ENが接地電位に設定され、したがって電流が制御ループ148A、すなわち制御抵抗147Aおよび発光ダイオード1453A、1463Aを通って流れていることを示している。したがって両方の半導体スイッチングデバイス141A;142A、したがって第1の共振器チャネル14Aが正しく時間t1で起動されている。
【符号の説明】
【0047】
1 トランスミッタユニット
11 制御可能周波数発生器
12 増幅器段
14 適合ユニット
14A、14B、14C 選択可能共振器チャネル
140 チャネルセレクター
140A 共振器チャネル14Aのためのチャネルセレクターモジュール
141A、141B、141C 第1の半導体スイッチングデバイス
142A、142B、142C 第2の半導体スイッチングデバイス
143 結合変圧器
143A、143B、143C 二次コイルの変圧器タッピング
143T 二次コイルのコイル端子
144A、144B、144C 同調コンデンサ
145A、146 共振器チャネル14Aの隔離されたドライバ
1451A、1461A 隔離されたドライバ145A、146Aの入力線
1452A、1462A 隔離されたドライバ145A、146Aの入力線
1453A、1463A 隔離されたドライバ145A、146Aの発光ダイオード
1454A、1464A 隔離されたドライバ145A、146Aの光感応ダイオード
1455A、1465A 隔離されたドライバ145A、146Aのターン-オフ回路機構
147A 制御抵抗
148A 制御ループ
149A 電圧供給デバイス/低ドロップアウト調整器
2 コイルシステム
21 トランスミッタコイル
211、212 トランスミッタコイルの端子
22A、22B レシーバコイル
3 レシーバユニット
31 整合ユニット
32 増幅器
33 位相検出器
34I、34Q アナログ-デジタル変換器
4 制御ユニット
40 操作プログラム
411 周波数発生器に印加される制御信号
414 アダプターモジュールに印加される制御信号
45 信号処理ユニット/DSP
6 コンベア
T1、T2 半導体スイッチングデバイスのMOS-FET
D1、D2 半導体スイッチングデバイスのダイオード
【国際調査報告】