(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】変形性関節症、関節リウマチ、及び関節疾患及び腱疾患を治療するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240125BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20240125BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240125BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240125BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240125BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240125BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20240125BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240125BHJP
【FI】
A61K39/395 D ZNA
A61K39/395 N
A61K35/76
A61K45/00
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P21/00
C07K16/18
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542682
(86)(22)【出願日】2022-01-13
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 US2022012267
(87)【国際公開番号】W WO2022155299
(87)【国際公開日】2022-07-21
(32)【優先日】2021-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】518256430
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ ザ ユニヴァーシティ オブ テキサス システム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ジーン エックス
(72)【発明者】
【氏名】リケルメ マヌエル エイ
(72)【発明者】
【氏名】グー スミン
(72)【発明者】
【氏名】ホア ルイ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZA94
4C084ZA96
4C084ZB15
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB31
4C085BB41
4C085BB43
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4C085GG06
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087BC83
4C087CA12
4C087MA02
4C087MA65
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZA94
4C087ZA96
4C087ZB15
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本明細書に開示されているのはコネキシン43ヘミチャネルに結合してチャネルの開口を阻害するまたは遮断する抗体である。本明細書に開示されているのはまた、Cx43ヘミチャネルの開口を阻害するまたは遮断する抗体によって変形性関節症、関節リウマチ、及び腱疾患及び腱損傷を検出するまたは治療する方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象にて変形性関節症を治療するまたは予防する方法であって、前記方法が治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を前記対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む、前記方法。
【請求項2】
対象にて関節リウマチを治療するまたは予防する方法であって、前記方法が治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を前記対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む、前記方法。
【請求項3】
対象にて腱疾患または腱損傷を治療するまたは予防する方法であって、前記方法が治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を前記対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む、前記方法。
【請求項4】
対象にて変形性関節症を治療するまたは予防する方法であって、前記方法が治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を前記対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む、前記方法。
【請求項5】
対象にて関節リウマチを治療するまたは予防する方法であって、前記方法が治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を前記対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む、前記方法。
【請求項6】
対象にて腱疾患または腱損傷を治療するまたは予防する方法であって、前記方法が治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を前記対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む、前記方法。
【請求項7】
対象にて変形性関節症を治療するまたは予防する方法であって、前記方法が治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を前記対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む、前記方法。
【請求項8】
対象にて関節リウマチを治療するまたは予防する方法であって、前記方法が治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を前記対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む、前記方法。
【請求項9】
対象にて腱疾患または腱損傷を治療するまたは予防する方法であって、前記方法が治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を前記対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む、前記方法。
【請求項10】
MMP13またはコラーゲンXのレベル低下させる方法であって、前記方法が治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む、前記方法。
【請求項11】
対象にて軟骨分解を減らす方法であって、前記方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を前記対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む、前記方法。
【請求項12】
対象にて滑膜炎を軽減する方法であって、前記方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を前記対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む、前記方法。
【請求項13】
MMP13またはコラーゲンXのレベルを低下させる方法であって、前記方法が治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む、前記方法。
【請求項14】
対象にて軟骨分解を減らす方法であって、前記方法が治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を前記対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む、前記方法。
【請求項15】
対象にて滑膜炎を軽減する方法であって、前記方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を前記対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む、前記方法。
【請求項16】
MMP13またはコラーゲンXのレベルを低下させる方法であって、前記方法が治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む、前記方法。
【請求項17】
対象にて軟骨分解を減らす方法であって、前記方法が治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を前記対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む、前記方法。
【請求項18】
対象にて滑膜炎を軽減する方法であって、前記方法が治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を前記対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む、前記方法。
【請求項19】
対象にて軟骨下骨硬化症を治療するまたは予防する方法であって、前記方法が治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を前記対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む、前記方法。
【請求項20】
対象にて軟骨下骨硬化症を治療するまたは予防する方法であって、前記方法が治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を前記対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む、前記方法。
【請求項21】
対象にて軟骨下骨硬化症を治療するまたは予防する方法であって、前記方法が治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を前記対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む、前記方法。
【請求項22】
対象にて変形性関節症の1以上の症状を軽減するまたは改善する方法であって、前記方法が治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を前記対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む、前記方法。
【請求項23】
対象にて変形性関節症の1以上の症状を軽減するまたは改善する方法であって、前記方法が治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を前記対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む、前記方法。
【請求項24】
対象にて変形性関節症の1以上の症状を軽減するまたは改善する方法であって、前記方法が治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を前記対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む、前記方法。
【請求項25】
前記抗体またはその断片が、
a)配列番号19の配列またはその変異型を含む相補性決定領域1(CDR1)、
b)配列番号20の配列またはその変異型を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/または
c)配列番号21の配列またはその変異型を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含む、請求項1、2、3、7、8、9、10、11、12、16、17、18、19、21または22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記抗体またはその断片が、
a)配列番号31の配列またはその変異型を含む相補性決定領域1(CDR1)、
b)配列番号32の配列またはその変異型を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/または
c)配列番号33の配列またはその変異型を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含む、請求項4、5、6、7、8、9、13、14、15、16、17、18、20、21、または23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記重鎖免疫グロブリン可変領域のCDR1、CDR2またはCDR3または前記軽鎖免疫グロブリン可変領域のCDR1、CDR2、またはCDR3のいずれか1つが親CDRと比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つのアミノ酸置換がシステイン残基から別のアミノ酸への、またはグリシンから別のアミノ酸への置換である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記抗体またはその断片が、
(a)配列番号19に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、
(b)配列番号20に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/または
(c)配列番号21に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含む、請求項1、2、3、7、8、9、10、11、12、16、17、18、19、21、22、または24のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記抗体またはその断片が、
(a)配列番号31に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、
(b)配列番号32に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/または
(c)配列番号33に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含む、請求項4、5、6、7、8、9、13、14、15、16、17、18、20、21、23、または24のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記治療有効量の前記抗体またはその断片が、前記抗体またはその断片をコードする発現ベクターに存在する、請求項1~30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記抗体が、薬学的に許容される組成物で投与される、請求項1~30のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記抗体が全身性に投与される、請求項1~30または32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記抗体が、静脈内、皮内、腫瘍内、筋肉内、腹腔内、皮下、または局所に投与される、請求項1~30または32のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記抗体がヒト化抗体である、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
少なくとも第2の治療剤を前記対象に投与することをさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記第2の治療剤が、非ステロイド性抗炎症薬、グルコサミンサプリメント、コンドロイチンサプリメント、または関節置換手術である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記抗体またはその断片がCx43ヘミチャネルに結合する、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記抗体またはその断片がさらにタグ配列を含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記抗体またはその断片がCx43ヘミチャネルの開口を阻害するまたは遮断する、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
前記その断片がFab断片、Fab’断片またはF(ab’)2断片である、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記医薬組成物が凍結乾燥される、請求項32に記載の方法。
【請求項43】
前記抗体またはその断片が、
(a)i)配列番号19に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第1の相補性決定領域1と、
ii)配列番号20に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第2の相補性決定領域2、及び
iii)配列番号21に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第3の相補性決定領域3とを含む重鎖免疫グロブリン可変領域、及び
(b)i)配列番号31に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第1の相補性決定領域1と、
ii)配列番号32に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第2の相補性決定領域1、及び
iii)配列番号33に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第3の相補性決定領域1を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含む、請求項7、8、9、16、17、18、21、または24のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記抗体がヒト化抗体である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
変形性関節症の前記1以上の症状が疼痛である、請求項22~24のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
前記抗体またはその断片が、
(a)配列番号19に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、
(b)配列番号20に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)及び/または
(c)配列番号21に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含む、請求項1、2、3、7、8、9、10、11、12、16、17、18、19、21、22、または24のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
前記抗体またはその断片が、
(a)配列番号31に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、
(b)配列番号32に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/または
(c)配列番号33に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含む、請求項4、5、6、7、8、9、13、14、15、16、17、18、20、21、23、または24のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
前記抗体またはその断片が、
(a)i)配列番号19と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第1の相補性領域1と、
ii)配列番号20と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第2の相補性領域2、及び
iii)配列番号21と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第3の相補性領域3とを含む重鎖免疫グロブリン可変領域、及び
(b)i)配列番号31と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第1の相補性領域1と、
ii)配列番号32と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第2の相補性領域1及び、
iii)配列番号33と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第3の相補性領域1を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含む、請求項7、8、9、16、17、18、21、または24のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年1月13日に出願された米国仮出願番号63/136,753の出願日の利益を主張する。この先願出願の内容は参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表の参照
2022年1月12日に作成され、32,768バイトのサイズを有する「21105_0082P1_SL.txt」という名称のテキストファイルとして本明細書に提出された配列表は、米国特許法規則法典第37巻第1.52条(e)(5)に従い、参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
コネキシンヘミチャネルは、細胞及び組織の機能にて重要な役割を担っており、コネキシンヘミチャネルの異常な作用は本明細書に記載されているような種々の病的状態に関与してもよい。したがって、ヘミチャネル活性に関連する病的状態を治療するための追加の治療法、と同様にそのような治療法を特定するための方法に対するニーズが残っている。
【0004】
変形性関節症は関節炎の最も一般的な形態であり、世界中で何百万人もの人々が罹患している。変形性関節症はあらゆる関節に損傷を与えることができ、最も一般的には手、膝、腰、脊椎の関節に影響を与える。現在利用可能な治療法は疼痛管理に関連している。変形性関節症を治療するニーズも存在する。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に開示されているのは、対象にて変形性膝関節症を治療するまたは予防する方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む。
【0006】
本明細書に開示されているのは、対象にて関節リウマチを治療するまたは予防する方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む。
【0007】
本明細書に開示されているのは、対象にて腱疾患または腱損傷を治療するまたは予防する方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む。
【0008】
本明細書に開示されているのは、対象にて変形性関節症を治療するまたは予防する方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。
【0009】
本明細書に開示されているのは、対象にて関節リウマチを治療するまたは予防する方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。
【0010】
本明細書に開示されているのは、対象にて腱疾患または腱損傷を治療するまたは予防する方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。
【0011】
本明細書に開示されているのは、対象にて変形性関節症を治療するまたは予防する方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む。
【0012】
本明細書に開示されているのは、対象にて関節リウマチを治療するまたは予防する方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む。
【0013】
本明細書に開示されているのは、対象にて腱疾患または腱損傷を治療するまたは予防する方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む。
【0014】
本明細書に開示されているのは、MMP13またはコラーゲンXのレベルを低下させる方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む。
【0015】
本明細書に開示されているのは、対象にて軟骨分解を減らす方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む。
【0016】
本明細書に開示されているのは、対象にて滑膜炎を軽減する方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む。
【0017】
本明細書に開示されているのは、MMP13またはコラーゲンXのレベルを低下させる方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。
【0018】
本明細書に開示されているのは、対象にて軟骨分解を減らす方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。
【0019】
本明細書に開示されているのは、対象にて滑膜炎を軽減する方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。
【0020】
本明細書に開示されているのは、MMP13またはコラーゲンXのレベルを低下させる方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む。
【0021】
本明細書に開示されているのは、対象にて軟骨分解を減らす方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む。
【0022】
本明細書に開示されているのは、対象にて滑膜炎を軽減する方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む。
【0023】
本明細書に開示されているのは、対象にて軟骨下骨硬化症を治療するまたは予防する方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む。
【0024】
本明細書に開示されているのは、対象にて軟骨下骨硬化症を治療するまたは予防する方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む。
【0025】
本明細書に開示されているのは、対象にて軟骨下骨硬化症を治療するまたは予防する方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む。
【0026】
本明細書に開示されているのは、対象にて変形性関節症の1以上の症状を軽減するまたは改善する方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む。
【0027】
本明細書に開示されているのは、対象にて変形性関節症の1以上の症状を軽減するまたは改善する方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。
【0028】
本明細書に開示されているのは、対象にて変形性関節症の1以上の症状を軽減するまたは改善する方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む。
【0029】
本明細書に開示されているのは、組換えコネキシン43(Cx43)ヘミチャネル結合抗体またはその断片である。いくつかの態様では、抗体は、配列番号19またはその断片に対応する第1のVH CDRと、配列番号20またはその断片に対応する第2のVH CDRと、配列番号21またはその断片に対応する第3のVH CDRと、配列番号31またはその断片に対応する第1のVL CDRと、配列番号32またはその断片に対応する第2のVL CDRと、配列番号33またはその断片に対応する第3のVL CDRとを含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片はヒト化抗体であることができる。いくつかの態様では、抗体は、配列番号19に対応する第1のVH CDRと、配列番号20に対応する第2のVH CDRと、配列番号21に対応する第3のVH CDRと、配列番号31に対応する第1のVL CDRと、配列番号32に対応する第2のVL CDRと、配列番号33に対応する第3のVL CDRとを含むIgG、IgM、IgA、IgD、IgE、または遺伝子操作されたIgGクラスの抗体であることができる。いくつかの態様では、抗体はIgGクラスの抗体であることができ、IgGクラスの抗体はIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4のクラスの抗体であることができる。いくつかの態様では、抗体は配列番号58と少なくとも90%同一であるVHのアミノ酸配列またはその断片及び/または配列番号60と少なくとも90%同一であるVLのアミノ酸配列またはその断片を含む。いくつかの態様では、抗体は、配列番号58に係るVHアミノ酸配列またはその断片及び/または配列番号60に係るVLアミノ酸配列またはその断片を含んでもよい。
【0030】
本発明の他の態様は本出願の全体を通して論じられる。本発明の一態様に関して論じられた任意の態様は同様に本発明の他の態様にも適用され、逆もまた同様である。本明細書に記載されている各態様は、本発明の他の態様に適用可能である本発明の態様であると理解される。本明細書で論じられる任意の態様は、本発明の任意の方法または組成物に関して実施することができ、逆もまた同様であることが企図される。さらに、本発明の組成物及びキットを使用して本発明の方法を達成することができる。
【0031】
本発明の他の目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本発明の精神及び範囲の範囲内にある種々の変更や修正はこの詳細な説明から当業者に明らかになるので、この詳細な説明及び具体例は、本発明の具体的な実施形態を示している一方で、例示としてのみ与えられることを理解すべきである。
【0032】
以下の図面は本明細書の一部をなし、本発明のある特定の態様をさらに実証するために含まれる。本発明は、本明細書に提示されている明細書の実施形態の詳細な説明と併せてこれらの図面の1以上を参照することによってさらに良好に理解されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】M1抗体処理が軟骨の完全性を保存することを示す。(A)手術、注射及び評価手順の時系列の図である。(B)生理食塩水またはM1抗体で処理したマウスのサフラニンO/ファストグリーン組織染色の代表的な画像を示す。スケールバー: 200μm。(C)DMM手術の8週後における、内側大腿顆(MFC、上のパネル)及び内側脛骨プラトー(MTP、下のパネル)の国際変形性関節症学会(OARSI)平均スコアを示す。(D)関節の3段階切片を介したMTP及びMFCの合計OARSIスコアを示す。*P<0.05、**P<0.01、n=群あたり8~13匹のマウス。
【
図2】M1抗体処理が滑膜炎を減らしたことを示す。(A)滑膜炎スコア化のための生理食塩水またはCx43抗体で処理したマウスの代表的な画像を示す。M、半月板;L、滑膜内層細胞。(B)DMM手術の8週後における滑膜炎の程度を要約して示す。*P<0.05、n=群あたり8~13匹のマウス。
【
図3】M1抗体処理が関節軟骨にてコラーゲンX(ColX)レベルを低下させたことを示す。(A)生理食塩水またはCx43抗体で処理した外科的DMM手術を受けたマウスの関節軟骨基質における免疫組織化学的に染色したColXの代表的な画像を示す。スケールバー、50μm。(B)ColX陽性軟骨細胞の割合の定量を示す。*P<0.05、n=群あたり5匹のマウス。
【
図4】M1抗体処理により関節軟骨におけるマトリックスメタロプロテイナーゼ13(MMP13)レベルが低下したことを示す。(A)生理食塩水またはCx43抗体で処理した外科的DMM手術を受けたマウスの関節軟骨基質における免疫組織化学的に染色したMMP13の代表的な画像を示す。スケールバー、50μm。(B)MMP13陽性軟骨細胞の割合の定量を示す。*P<0.05、n=群あたり5匹のマウス。
【
図5】Cx43ヘミチャネルの阻害が軟骨下骨硬化症から保護することを示す。(A)脛骨プラトーの内側及び外側の軟骨下骨区画の代表的な二次元マイクロコンピューター断層撮影(μCT)画像を示す。軟骨下骨梁の骨体積分率(BV/TV)(B)、小柱厚さ(Tb.Th)(C)、小柱間隔(Tb.Sp)(D)、及び骨ミネラル密度(BMD)(E)の分析は、Cx43抗体処理後のDMMマウスにおける軟骨下骨硬化症の減少を示した。*P<0.05;**P<0.01;***P<0.001。n=群あたり6~8匹のマウス。
【
図6】M1抗体処理が変形性関節症関連疼痛症状を改善したことを示す(Von Frey Filament検査)。機械的感受性行動評価を手術の4週後(B)及び8週後(A及びC)に実施した。後足の引っ込め閾値は、Von Freyフィラメント検査によって測定した。*P<0.05、n=群あたり9~20匹のマウス。
【
図7】M1抗体処理が変形性関節症に関連する疼痛症状を改善したことを示す(オープンフィールド試験)。手術の4週後(B及びE)及び8週後(A、C、D及びF)にマウスに対してオープンフィールド行動評価を行った。(A~C)総移動距離を示し、(D~F)10分間の試験期間中の合計不動時間を分析したことを示す。*P<0.05、n=群あたり9~20匹のマウス。
【
図8】M1抗体が主に滑膜に結合することを示す。(A)生体内での抗体結合の評価手順の時系列の図を示す。(B)調製され、Alexa Fluor 594結合抗ヒトIgG二次抗体で免疫標識された凍結組織切片を示す。スケールバー、100μm。
【
図9】M1抗体が滑膜マクロファージと共局在したことを示す。(A)マクロファージマーカーCD68で免疫標識した切片を示し、Cx43抗体は滑膜領域にてCD68と共局在した。スケールバー、10μm。(B)Aの白いボックス(右パネル)の拡大図を示す。スケールバー、5μm。
【
図10】M1抗体が滑膜線維芽細胞と共局在したことを示す。(A)線維芽細胞マーカーであるペリオスチンで免疫標識した組織切片を示し、M1抗体は滑膜領域にてペリオスチンと共局在した。スケールバー、10μm。(B)Aの白いボックス(右パネル)の拡大図を示す。スケールバー、5μm。
【
図11】滑膜に送達されたM1抗体がDMM手術後のヘミチャネルの開口を阻害することを示す。(A)DMM手術の30分後に生理食塩水またはM1抗体でマウスを処理したことを示す。エバンスブルーの尾静脈注射は処理の2週間後に実施した。凍結切片を調製し、ヘミチャネル色素の取り込みを蛍光顕微鏡で評価した。(B)右膝(DMM手術あり)及び左膝(手術なし)の滑膜領域からのエバンスブルー強度の比をNIH ImageJソフトウェアによって定量したことを示す。スケールバー、50μm。**P<0.01、n=群あたり4匹のマウス。(C)生理食塩水で処理したマウスから調製した凍結切片をCx43抗体で免疫標識したことを示す。スケールバー、50μm。
【
図12】単回のM1抗体注射による軟骨の完全性の改善を示す。(A)手術、注射及び評価手順の時系列の図を示す。(B)生理食塩水またはM1抗体で処理したマウスのサフラニンO/ファストグリーン組織染色の代表的な画像を示す。スケールバー、200μm。(C)DMM手術の8週後における、内側大腿顆(MFC、上のパネル)及び内側脛骨プラトー(MTP、下のパネル)の国際変形性関節症学会(OARSI)平均スコアを示す。*P<0.05、**P<0.01、n=群当たり3~7匹のマウス。
【
図13】単回の抗体注射による関節軟骨におけるMMP13レベルの低下を示す。(A)生理食塩水またはM1抗体で処理した外科的DMM手術を受けたマウスの関節軟骨基質における免疫組織化学的に染色したMMP13の代表的な画像を示す。(B)軟骨細胞におけるMMP13の染色強度の定量を示す。*P<0.05、n=群あたり5~6匹のマウス。
【
図14】単回のM1抗体注射による疼痛関連行動の緩和を示す。(A)手術の8週後に後足における引っ込め閾値をVon Freyフィラメント検査によって測定したことを示す。(B)手術の8週後にオープンフィールド行動評価を実施したことを示す。10分間の試験期間中の総移動距離(左パネル)と総不動時間(右パネル)を分析した。*P<0.05、n=群あたり6~8匹のマウス。
【
図15】変形性関節症の提案されたモデルを示す。変形性関節症は、関節軟骨の進行性変性、軟骨下骨のリモデリング、骨棘形成、及び滑膜炎を含む、すべての関節組織に影響を及ぼす疾患である。炎症を起こした滑膜内の活性化された滑膜細胞は、軟骨の破壊の原因となるタンパク質分解酵素の過剰産生につながる異化メディエーター及び炎症誘発性メディエーターを産生する。膝関節の滑膜はCx43を発現するマクロファージ及び線維芽細胞を含む。M1抗体の投与は、ヘミチャネルの開口と炎症性サイトカインの放出を阻止するので、軟骨の破壊、軟骨下骨硬化症、及び疼痛症状を軽減する。
【
図16】遅延した抗Cx43ヘミチャネル抗体(M1抗体)処理が滑膜炎を減らすことを示す。(A)手術、注射及び評価手順の時系列を示す。(B)滑膜炎スコア化のための、生理食塩水または抗Cx43ヘミチャネル抗体(M1抗体)で処理したマウスの代表的な画像を示す。(C)DMM手術の8週後の滑膜炎の程度(滑膜炎スコア)を示す。*P<0.05、n=群あたり6匹のマウス。
【
図17】抗Cx43ヘミチャネル抗体(M1抗体)がRAW264.7細胞及びSW982細胞におけるCx43ヘミチャネルの開口を遮断したことを示す。(A)マウスのマクロファージRAW264.7細胞をLPS及びCx43E2抗体またはCBX(100μM)で処理したことを示す。EtBr色素取り込みのレベルは蛍光顕微鏡及びNIH Image Jソフトウェアによって測定し、定量した。(B)ヒト滑膜線維芽細胞SW982細胞をIL1β及びCx43E2抗体またはCBX(100μM)で処理した。EtBr色素取り込みのレベルは蛍光顕微鏡及びNIH Image Jソフトウェアによって測定し、定量した。示されたデータは平均値±SEMである。****、P<0.0001。
【
図18】抗Cx43ヘミチャネル抗体(M1抗体)がRAW264.7細胞におけるLPS誘導の炎症遺伝子の発現を阻害したことを示す。マウスマクロファージRAW264.7細胞を、Cx43E2抗体の有無のもとで30分間プレインキュベートし、続いて0.1μg/mlのLPSと共に4時間インキュベートした。RNA抽出物を調製し、COX2、Adamts4、MMP3/13、及びIL6のmRNA発現についてのqRT-PCR分析に供した。*P<0.05、**P<0.01。
【
図19】抗Cx43ヘミチャネル抗体(M1抗体)がSW982細胞におけるIL1β誘導の炎症遺伝子の発現を阻害したことを示す。ヒト滑膜線維芽細胞SW982細胞を、Cx43E2抗体の有無のもとで30分間プレインキュベートし、続いて1ng/mlのIL1βと共に14時間インキュベートした。RNA抽出物を調製し、COX2、Adamts4/5、MMP3/13、及びNOS2のmRNA発現についてのqRT-PCR分析に供した。*P<0.05、**P<0.01。
【発明を実施するための形態】
【0034】
開示された方法及び組成物は、特定の実施形態の以下の詳細な説明及びその中に含まれる実施例、ならびに図及びその前後の説明を参照することによって、さらに容易に理解されてもよい。
【0035】
開示された方法及び組成物は、特に指定がない限り、特定の合成法、特定の分析技術、または特定の試薬に限定されるものではなく、そのようなものとして、変化してもよいことを理解すべきである。また、本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を単に説明する目的のためのものであり、限定であることを意図されないことも理解すべきである。
【0036】
本明細書で言及されている刊行物はすべて、併せてそれらの刊行物が引用される方法及び/または材料を開示する及び記載するために、参照によって本明細書に組み込まれる。本明細書で考察される刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示に対してのみ提供される。本明細書のいずれも、本開示が先行開示によってそのような刊行物に先行する権利がないという承認として解釈されるべきではない。さらに、本明細書に提供する公開日は、実際の公開日と異なる場合があり、個別の確認が必要な場合がある。
【0037】
定義
開示されている方法及び組成物が記載されている特定の手順、プロトコール、及び試薬に限定されることはなく、したがって、変化してもよいことが理解される。本明細書で使用されている専門用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるであろう本発明の範囲を限定するものとしては意図されないことも理解すべきである。
【0038】
本明細書及び添付の特許請求の範囲にて使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上、明らかに別段に指示されない限り、複数の参照を含むことに留意する必要がある。
【0039】
特許請求の範囲及び/または明細書にて用語「comprising(含む)」と併せて使用される場合の単語「a」または「an」の使用は、「1つ」を意味してもよいが、「1以上」、「少なくとも1」、及び「1または1を超える」の意味とも矛盾しない。
【0040】
「任意の」または「任意で」は、その後に記載される事象、状況、または物質が発生してもしなくてもよく、または存在してもしなくてもよく、その記載が、事象、状況、または物質が発生するもしくは存在する場合と、それが発生しないもしくは存在しない場合を含むことを意味する。
【0041】
本明細書で使用されるとき「または」という単語は、特定のリストの任意の1つのメンバーを意味すると共に、そのリストのメンバーの任意の組み合わせも含む。特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、二者択一のみを指すよう明示的に示されない限り、また二者択一が相互排他的でない限り、「及び/または」を意味するように使用されるが、本開示は、二者択一及び「及び/または」のみを指す定義を支持する。
【0042】
本出願の全体を通して、「約」という用語は、値がその値を決定するために採用される装置または方法についての誤差の標準偏差を含むことを示すのに使用される。
【0043】
範囲は、「約」1つの特定の値から、及び/または「約」別の特定の値までのように本明細書において表現されてもよい。そのような範囲が表現される場合、具体的に企図され、開示されていると見なされるのはまた、文脈が具体的に指示しない限り、1つの特定の値から及び/または他の特定の値に及ぶ範囲である。同様に、先行する「約」の使用によって、値が近似値として表される場合、当然のことながら、文脈が具体的に別のことを示さない限り、特定の値が、開示されていると見なされるべき別の具体的に企図される実施形態を形成する。さらに、文脈が具体的に別のことを示さない限り、範囲の各端点は、他の端点と関連しても、他の端点と無関係でも双方で有効であることが理解されるであろう。最後に、明示的に開示された範囲内に含有される個々の値及び値の部分範囲のすべても具体的に企図されており、文脈が特に別段の指示をしない限り、開示されたものと見なされるべきであることを理解すべきである。上述のことは、特定の場合にこれらの実施形態の一部またはすべてが明示的に開示されているかどうかに関係なく適用される。
【0044】
本明細書の説明及び特許請求の範囲全体にわたって、「含む(comprise)」という単語ならびにその単語の変形、例えば「含む(comprising)」及び「含む(comprises)」は、「含むがそれらに限定されない」ことを意味しており、例えば、他の付加物、構成要素、整数またはステップを除外することを意図しない。特に、1以上のステップまたは操作を含むと記述された方法では、各ステップは列挙されるものを含むことが具体的(そのステップが「から成る」のような限定する用語を含まない限り)に企図され、各ステップが、例えば、そのステップに列挙されていない他の付加物、構成要素、整数またはステップを除外することを意図しないことを意味する。
【0045】
本明細書及び特許請求の範囲(複数可)で使用されるとき、「含むこと(comprising)」(及び例えば、「含む(comprise)」や「含む(comprises)」のような任意の形態)、「有すること(having)」(及び例えば、「有する(have)」や「有する(has)」のような任意の形態)、「含むこと(includeing)」(及び例えば、「含む(includes)」や「含む(include)」のような任意の形態)または「含有すること(containing)」(及び例えば、「含有する(contains)」や「含有する(contain)」のような任意の形態)という単語は、包括的または無制限であり、追加の、引用されていない要素または方法ステップを排除しない。
【0046】
「阻害する」、「阻害すること」、及び「阻害」は、活性、レベル、反応、状態、疾患、または他の生物学的パラメーターを弱めるまたは減少させることを意味する。これは、該活性、反応、状態、または疾患の完全な除去を含むことができるがこれに限定されない。これはまた、例えば、天然のレベルまたは対照のレベルと比べて、該活性、反応、状態、または疾患における10%の阻害または低下を含んでもよい。従って、いくつかの態様では、該阻害または低下は、天然のレベルまたは対照のレベルと比べて、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%、またはその間の任意の低下量であることができる。いくつかの態様では、該阻害または低下は、天然のレベルまたは対照のレベルと比べて、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、または90~100%である。いくつかの態様では、該阻害または低下は、天然のレベルまたは対照のレベルと比べて、0~25、25~50、50~75、または75~100%である。
【0047】
本明細書で使用されるとき、「調節する」、「調節すること」、及び「調節」は活性または機能または数の変化を意味する。該変化は、該活性、機能、または数の増加または減少、向上または阻害であり得る。
【0048】
「促進する」、「促進」、及び「促進すること」は、活性、反応、状態、疾患、または他の生物学的パラメーターにおける増加を指す。これは、該活性、反応、状態、または疾患の開始を含むことができるが、これに限定されない。これはまた、例えば、天然のレベルまたは対照のレベルと比べて、該活性、反応、状態、または疾患における10%の増加を含んでもよい。従って、いくつかの態様では、該増加または促進は、天然のレベルまたは対照のレベルと比べて、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%、またはそれ以上、またはその間の任意の促進量であることができる。いくつかの態様では、該増加または促進は、天然のレベルまたは対照のレベルと比べて、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、または90~100%である。いくつかの態様では、該増加または促進は、天然のレベルまたは対照のレベルと比べて、0~25、25~50、50~75、もしくは75~100%、またはそれ以上であり、例えば、200、300、500、または1000%多い。いくつかの態様では、該増加または促進は、天然のレベルまたは対照のレベルと比べて、100パーセントを超える場合があり、例えば、該天然のレベルまたは対照のレベルと比べて、100、150、200、250、300、350、400、450、500%、またはそれ以上であることができる。
【0049】
「治療」及び「治療すること」は、対象への治療剤(例えば、本明細書に記載されている抗Cx43抗体)の投与もしくは適用、または疾患もしくは健康に関連する状態の治療上の利益を得る目的のための対象への処置または治療形態の実行を指す。例えば、治療は、Cx43ヘミチャネルの開口を阻害するまたは遮断する薬学的に有効な量の抗体またはその断片の投与を含んでもよい。
【0050】
本明細書で使用されるとき、「治療すること」という用語は、特定の疾患、障害及び/または状態の1以上の症状または特徴を部分的にまたは完全に緩和する、改善する、軽減する、その発症を遅延させる、その進行を抑制するもしくは緩徐にする、その重症度を低減させる、及び/またはその発生率を低減させることを指す。疾患、障害及び/または状態と関連付けられる病態を発症するリスクを低下させる目的で、疾患、障害及び/または状態の徴候を示さない対象に対して、及び/または疾患、障害及び/または状態の初期の徴候のみを示す対象に対して、治療を施すことができる。例えば、疾患、障害、及び/または状態は、変形性関節症、関節リウマチ、腱及び関節の障害及び損傷であることができる。
【0051】
本明細書で使用されるとき、「対象」という用語は投与の標的、例えば、ヒトを指す。したがって、開示されている方法の対象は、脊椎動物、例えば、哺乳類、魚類、鳥類、爬虫類、または両生類であることができる。「対象」という用語は、家庭用動物(例えば、ネコ、イヌなど)、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギなど)、及び実験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット、ショウジョウバエなど)も含む。一態様では、対象は哺乳類である。別の態様では、対象はヒトである。この用語は特定の年齢または性別を意味しない。従って、雌雄にかかわらず、成年、幼年、青年、及び新生対象、ならびに胎児が包含されることが意図される。
【0052】
本明細書で使用されるとき、「患者」という用語は状態、疾患または障害に罹患している対象を指す。「患者」という用語は、ヒト及び獣医学的対象を含む。開示されている方法のいくつかの態様では、「患者」は、変形性関節症、関節リウマチ、腱及び関節の障害及び損傷であると診断されている。開示されている方法のいくつかの態様では、「患者」は、例えば、投与のステップに先立って治療(例えば、変形性関節症、関節リウマチ、腱及び関節の障害及び損傷の治療)が必要であると診断されている。
【0053】
本明細書で使用されるとき、「アミノ酸」及び「アミノ酸同一性」という用語は、開示されている抗体、変異型、または断片のいずれかに存在してもよい20の天然に存在するアミノ酸または任意の非天然の類似体の1つを指す。したがって、本明細書で使用されるとき「アミノ酸」は、天然に存在するアミノ酸及び合成アミノ酸の双方を意味する。例えば、ホモフェニルアラニン、シトルリン及びノルロイシンは本発明の目的のためのアミノ酸と見なされる。「アミノ酸」には、プロリン及びヒドロキシプロリンのようなアミノ酸残基も含まれる。側鎖は(R)配置または(S)配置のいずれかであってもよい。いくつかの態様では、アミノ酸は(S)配置またはL-配置にある。天然に存在しない側鎖が使用される場合、例えば、生体内分解を防止するまたは遅延させるために、非アミノ酸置換基が使用されてもよい。
【0054】
「断片」という用語は、参照のタンパク質または核酸と実質的に同一であり、参照の生物活性を保持するタンパク質または核酸分子の一部(例えば、少なくとも5、10、25、50、100、125、150、200、250、300、350、400または500のようなアミノ酸または核酸)を指すことができる。いくつかの態様では、断片または部分は、本明細書に記載されている参照のタンパク質または核酸の生物活性の少なくとも50%、75%、80%、85%、90%、95%または99%を保持する。さらに、参照ペプチドの断片は参照ポリペプチドの連続部分または隣接部分であることができる(例えば、10アミノ酸長であるペプチドの断片は、そのペプチド内の任意の2~9の隣接残基であることができる)。
【0055】
「変異型」は、N末端及び/またはC末端のアミノ酸残基(単数)または残基(複数)の単なる欠失以外の、参照配列との何らかの差異を意味することができる。変異型がアミノ酸残基の置換を含む場合、その置換は保存的または非保存的であると見なすことができる。保存的置換は、以下の群、Ser、Thr、及びCys;Leu、Ile、及びVal;Glu及びAsp;Lys及びArg;Phe、Tyr、及びTrp;及びGln、Asn、Glu、Asp、及びHisの範囲内における置換である。変異型は、少なくとも1つの置換及び/または少なくとも1つの付加を含むことができ、少なくとも1つの欠失が存在してもよい。変異型は1以上の天然に存在しない残基を含むこともできる。例えば、変異型はシステインの位置を含む任意の位置にセレノシステイン(例えば、セレノ-L-システイン)を含んでもよい。他の多数の「非天然」アミノ酸代替物が当該技術分野において知られており、商業的供給源から入手可能である。天然に存在しないアミノ酸の例には、D-アミノ酸、システインのイオウ原子に結合したアセチルアミノメチル基を有するアミノ酸残基、PEG化アミノ酸、ならびに式NH2(CH2)nCOOH(式中、nは2~6)のオメガアミノ酸、中性非極性アミノ酸、例えば、サルコシン、t-ブチルアラニン、t-ブチルグリシン、N-メチルイソロイシン及びノルロイシンが挙げられる。フェニルグリシンは、Trp、TyrまたはPheの代替となり得る。シトルリン及びメチオニンスルホキシドは中性非極性であり、システイン酸は酸性であり、オルニチンは塩基性である。プロリンはヒドロキシプロリンで置換されてもよく、プロリンの特性をもたらす立体構造を保持してもよい。
【0056】
置換型の変異型は通常、タンパク質内の1以上の部位における1つのアミノ酸の別のアミノ酸への交換を含有し、他の機能または特性の喪失の有無にかかわらず、ポリペプチドの1以上の特性を調節するよう設計されてもよい。置換は、保存的であってもよく、すなわち、1つのアミノ酸が同様な形状または電荷の1つで置き換えられる。保存的置換は、当該技術分野において周知であり、例えば、アラニンのセリンへの変更、アルギニンのリジンへの変更、アスパラギンのグルタミンまたはヒスチジンへの変更、アスパラギン酸のグルタミンへの変更、システインのセリンへの変更、グルタミンのアスパラギンへの変更、グルタミン酸のアスパラギン酸への変更、グリシンのプロリンへの変更、ヒスチジンのアスパラギンまたはグルタミンへの変更、イソロイシンのロイシンまたはバリンへの変更、ロイシンのバリンまたはイソロイシンへの変更、リジンのアルギニンへの変更、メチオニンのロイシンまたはイソロイシンへの変更、フェニルアラニンのチロシンへの変更、ロイシンのメチオニンへの変更、セリンのスレオニンへの変更、スレオニンのセリンへの変更、トリプトファンのチロシンへの変更、チロシンのトリプトファンまたはフェニルアラニンへの変更、及びバリンのイソロイシンまたはロイシンへの変更が含まれる。あるいは、置換はポリペプチドの機能または活性が影響を受けるように、非保存的であってもよい。非保存的変化は通常、残基を化学的に異なるもので置換すること、例えば、極性または荷電アミノ酸を非極性または非荷電アミノ酸で置換することを伴い、逆もまた同様である。
【0057】
「単鎖可変断片(scFv)」とは、抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域を含むタンパク質を意味する。scFvは、可変重鎖、リンカー、及び可変軽鎖を含む融合タンパク質であることができる。いくつかの態様では、リンカーは、長さが約8~20のアミノ酸であることができる、短く、柔軟な断片であることができる。例えば、(G4S)nを使用することができる(n=1、2、3または4)。
【0058】
「モノクローナル抗体」(モノクローナル抗体)という用語は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体または同様の抗体の集団を指し、特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されるべきではなく、Kohler及びMilstein(Nature,256:495-497,1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法、または組換えDNA法によって作製することができるモノクローナル抗体を含むが、これらに限定されない。
【0059】
「キメラ抗体」(または「キメラ免疫グロブリン」)という用語は、特定の種に由来する、または特定の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または相同であるが、鎖(複数可)の残りが、別の種に由来する、または別の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体、ならびにそれらが所望の生物活性を示す限り、そのような抗体の断片における対応する配列と同一または相同である重鎖及び/または軽鎖を含む分子を指す(Cabilly et al.(1984)、以下、Morrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.81:6851)。
【0060】
「ヒト化抗体」という用語は、非ヒト(例えば、マウス)抗体ならびにヒト抗体に由来する配列を含有する抗体の形態を指す。ヒト化抗体は、その結合及び/または生物活性を有意に変化させない、同じまたは異なる種からの保存的アミノ酸置換または非天然の残基を含むことができる。そのような抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有するキメラ抗体である。ヒト化抗体は、大部分がヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、レシピエントの相補性決定領域(CDR)の残基が、所望の特性を有するマウス、ラット、ラクダ、ヤギまたはウサギのような非ヒト種(ドナー抗体)のCDRの残基によって置き換えられている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、または移入されたCDR配列もしくはフレームワーク配列にも見いだされない残基を含むことができる。これらの修飾は抗体性能をさらに改良し、最大化するために行われる。したがって、一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、一態様では2つの可変ドメインの全て、または実質的に全てを含むことができ、超可変ループの全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、FR領域の全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のFRである。ヒト化抗体はまた任意で、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、またはヒト免疫グロブリンのそれを含むこともできる(例えば、Cabilly et al.,米国特許第4,816,567号、Cabilly et al.,欧州特許第0,125,023号B1、Boss et al.,米国特許第4,816,397号、Boss et al.,欧州特許第0,120,694号B1、Neuberger,M.S.et al.,WO86/01533、Neuberger,M.S.et al.,欧州特許第0,194,276号B1、Winter,米国特許第5,225,539号、Winter,欧州特許第0,239,400号B1、Padlan,E.A.et al.,欧州特許出願第0,519,596号A1、Queen et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol86:10029-10033を参照のこと)。
【0061】
本明細書で使用されるとき、「M1H」という用語は、ハイブリドーマクローンからクローニングされた抗体を指す。「M1」はハイブリドーマモノクローナル1を指し、「H」は可変重鎖を指す。
【0062】
本明細書で使用されるとき、「M1M7K」という用語はハイブリドーマクローンM1及びM7から特定された可変軽鎖を指す。
【0063】
本明細書で使用されるとき、「抗原」という用語は抗体またはT細胞受容体が結合することができる分子である。いくつかの態様では、抗体以外の結合部分を、抗原、例えば、アプタマー、アビマーなどに特異的に結合するように操作することができる。
【0064】
「抗体」または「免疫グロブリン」という用語は、無傷の抗体及びその結合断片/結合セグメントを含めるように使用される。本明細書で使用されるとき、「抗体」という用語は、IgG、IgM、IgA、IgD、IgE及び遺伝子操作したIgG、ならびに抗原結合活性を保持する抗体CDRドメインを含むポリペプチドのような任意の免疫学的結合剤を広く指すように意図される。抗体は、キメラ抗体、親和性成熟抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、または抗原結合抗体断片または天然のもしくは合成のリガンドから成る群から選択されてもよい。通常、断片は抗原への特異的結合について、それらが由来する無傷の抗体と競合する。断片には、別々になった重鎖、軽鎖、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fabc、及びFvが含まれる。断片/セグメントは組換えDNA技術によって、または無傷の免疫グロブリンの酵素的もしくは化学的な分離によって作り出される。「抗体」という用語はまた、他のタンパク質との融合タンパク質に化学的に結合している、またはそのように発現されている1以上の免疫グロブリン鎖も含む。「抗体」という用語には二重特異性抗体も含まれる。二重特異性または二機能性の抗体は、2つの異なる重鎖/軽鎖の対と2つの、異なる結合部位を有する人工的なハイブリッド抗体である。二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合またはFab’断片の連結を含む種々の方法で作り出すことができる。例えば、Songsivilai and Lachmann,Clin.Exp.Immunol.79:315-21,1990、Kostelny et al.,J.Immunol.148:1547-53,1992を参照のこと。
【0065】
「抗体」という用語は、5つの異なるクラスのヒト免疫グロブリン、すなわちIgG、IgA、IgM、IgD、及びIgEを含むことができる。いくつかの態様では、開示されている抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4の4つのサブクラスに分類することができるIgGクラスの抗体であることができる。いくつかの態様では、開示されている抗体は、IgA1及びIgA2の2つのサブクラスに分類することができるIgAクラスの抗体であることができる。免疫グロブリンの基本構造は、2つの相同L鎖(軽鎖)と2つの相同H鎖(重鎖)で構成される。免疫グロブリンのクラス及びサブクラスはH鎖によって決定される。いくつかの態様では、抗体(単数)または抗体(複数)またはその変異型または断片はIgG4であることができる。
【0066】
抗原結合特異性を維持しながら、IgG4の抗体安定性を向上させることができる。いくつかの態様では、抗体は、例えば、IgG4のアルギニン(R)をグルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、イソロイシン(I)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、バリン(V)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、リジン(K)、スレオニン(T)、メチオニン(M)、またはロイシン(L)で置換することによって改善することができる。
【0067】
「単離された」という用語は、起源の細胞物質、細菌物質、ウイルス物質、もしくは培養培地(組換えDNA技術によって産生される場合)、または化学前駆体もしくは他の化学物質(化学合成された場合)を実質的に含まない核酸またはポリペプチドを指すことができる。さらに、単離された化合物は、単離された化合物として対象に投与することができるものを指す。言い換えれば、化合物がカラムに付着したり、アガロースゲルに埋め込まれたりしたならば、その化合物が単純に「単離された」と見なされるというわけではない場合がある。さらに、「単離された核酸断片」または「単離されたペプチド」は、断片として天然に存在しない及び/または通常、機能状態にはない核酸またはタンパク質の断片である。
【0068】
抗体、抗体断片、ポリペプチド、ペプチド、抗原、または免疫原のような本発明の部分は、アジュバント、タンパク質、ペプチド、支持体、蛍光部分、または標識のような他の部分に共有結合もしくは非共有結合でコンジュゲートされてもよく、または共有結合もしくは非共有結合で連結されてもよい。「コンジュゲート」または「免疫コンジュゲート」という用語は、ある部分と別の薬剤との作用する会合を定義するために広く使用され、何らかの種類の作用する会合のみを指すことを意図せず、特に化学的に「コンジュゲートすること」に限定されない。
【0069】
「提供すること」という用語は、「使用するために供給するまたは与える」という通常の意味に従って使用される。いくつかの態様では、タンパク質はタンパク質を投与することによって直接提供される一方で、他の態様では、タンパク質はタンパク質をコードする核酸を投与することによって効果的に提供される。特定の態様では、本発明は核酸、抗原、ペプチド、及び/またはエピトープの種々の組み合わせを含む組成物を企図する。
【0070】
標的に「特異的に結合する」または「特異的に免疫反応性である」という表現は、他の生物製剤の不均質な集団の存在下での分子の存在を決定する結合反応を指す。したがって、指定された免疫測定条件下では、特定された分子は特定の標的に優先的に結合し、試料中に存在する他の生物製剤に有意な量で結合しない。そのような条件下での標的に対する抗体の特異的結合は、その抗体が、標的に対するその特異性について選択されることを必要とする。種々の免疫アッセイフォーマットを使用して、特定のタンパク質と特異的に免疫反応性の抗体を選択してもよい。例えば、固相ELISA免疫アッセイを日常的に使用して、タンパク質と特異的に免疫反応性のモノクローナル抗体を選択する。特異的な免疫反応性を判定するのに使用することができる免疫アッセイの形式及び条件の記載については、例えば、Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,1988を参照のこと。
【0071】
他に定義されない限り、本明細書中で使用するすべての技術用語及び科学用語は開示されている方法及び組成物が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと同様または等価のいずれの方法及び材料も本発明の方法及び組成物の実施または試験に使用することができるが、特に有用な方法、デバイス、及び材料は記載されるとおりである。本明細書にて引用されている刊行物及び引用されている資料は、参照によって具体的に本明細書に組み込まれる。本明細書のいかなる記述も、本発明が先行発明によってそのような開示に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。いかなる参考文献も先行技術であることを認めるものではない。参考文献の説明は、その著者が主張することを述べたものであり、出願者は引用文献の正確性と適切性に異議を唱える権利を留保する。本明細書にていくつかの刊行物が参照されているが、そのような参考文献は、これらのいかなる文書も当該技術分野における共通の一般知識の一部を形成していると認めるものではないことは明確に理解されるであろう。
【0072】
種々の細胞が、タンパク質コネキシンによって形成されたヘミチャネル及びギャップ結合を介して相互に、及び細胞外環境と情報交換することができる。コネキシンタンパク質は身体全体に遍在的に発現される。6つのコネキシンタンパク質が1つのヘミチャネルを構成し、2つのヘミチャネルが1つのギャップ結合チャネルを構成する。ギャップ結合は、隣接する細胞間の原形質膜に位置するチャネルのクラスターであり、細胞間情報伝達に介在する。ヘミチャネルはギャップ結合チャネルとは別の実体である。ヘミチャネルは細胞内区画と細胞外環境の間の分子の交換を可能にする。
【0073】
変形性関節症(OA)は、関節軟骨の進行性変性、軟骨下骨のリモデリング、及び滑膜炎を特徴とする関節疾患であり、疼痛や運動制限を引き起こす。コネキシン43(Cx43)は、筋骨格系の恒常性調節因子として作用し、その発現はOA患者の軟骨及び滑膜組織にて上昇する。Cx43は異化因子及び炎症因子の生成に寄与し、関節破壊を悪化させる可能性がある。Cx43は、ATPやプロスタグランジンE2(PGE2)のような小分子の細胞外環境への放出に介在するヘミチャネル(HC)を形成する。生理学的条件下では、HCの開口確率は低く、その活性化は炎症誘発性サイトカインを含む複数の因子によって調節されている。本明細書に記載されているのは、Cx43HCの活性を特異的に阻害する抗体(例えば、M1抗体)である。
【0074】
抗体
本明細書に開示されているのは、抗コネキシン43抗体(本明細書では「抗Cx43抗体」または「抗CX43抗体」とも呼ばれる)である。本明細書に開示されているのは、開口ヘミチャネル、特にCx43ヘミチャネルを阻害するまたは遮断することができる抗コネキシン43抗体である。本明細書に開示されているのは、開口ヘミチャネル、特にCx43ヘミチャネルを活性化するまたは刺激することができる抗コネキシン43抗体である。
【0075】
出願番号PCT/US2017/019605(WO2017-147561)は、開示された方法において使用することができる抗Cx43抗体、CDR配列、重鎖及び軽鎖の配列、前記抗体をコードする核酸配列、及び前記抗体が結合するエピトープ配列の例を提供し、これは、同じことを教示するために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0076】
抗Cx43抗体を生成し、Cx43結合抗体を産生するクローンを特定した。抗Cx43抗体を生成し、Cx43結合抗体を産生するクローンを特定した。本明細書に開示されているのは、特徴付けられた抗体のそれぞれについての対形成と共に、以下の表に示されるCDR配列を含む抗Cx43抗体である。抗Cx43抗体配列についてのDNA及びアミノ酸の双方の例を、特徴付けられた抗体のそれぞれについての正しい対形成と共に以下の表に示す。抗Cx43抗体の例には、M1抗体及びM2抗体が挙げられるが、これらに限定されない。M1抗体はCx43ヘミチャネルの開口を阻害する、または遮断する。M2抗体はCx43ヘミチャネルの開口を活性化し、刺激し及び/または増強する。
【0077】
本明細書で使用されるとき、「M1抗体」は配列番号58に示される配列を有する配列を含む可変重鎖と配列番号60に示される配列を含む可変軽鎖とを含む抗体を指す。
【0078】
本明細書で使用されるとき、「M2抗体」は配列番号58に示される配列を有する配列を含む可変重鎖と配列番号63に示される配列を含む可変軽鎖とを含む抗体を指す。
【0079】
開示されているのはまた、ヒト化抗Cx43抗体である。例えば、本明細書に開示されているのはヒト化M1抗体及びM2抗体である。
【表1】
【表2】
【0080】
クローニングされた可変ドメインを以下のチャートに示す。
【表3-1】
【表3-2】
【0081】
抗Cx43抗体の一部の追加のDNA配列は、PCT/US2017/019605(WO2017/147561)に開示されている、開示された抗Cx43抗体の一部のDNA配列の1以上であることができ、これは、抗Cx43抗体の一部のDNA配列のその教示のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【表4】
【0082】
抗Cx43抗体の一部の追加のアミノ酸配列は、PCT/US2017/019605(WO2017/147561)に開示されている抗Cx43抗体の一部のアミノ酸配列の1以上であることができ、これは、抗Cx43抗体の一部のアミノ酸配列のその教示のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0083】
本明細書で使用されるとき、「CDR」という用語は抗体(例えば、抗Cx43抗体の)の可変ドメインの相補性決定領域を指す。「CDR」は、「フレームワーク領域」(FR)と呼ばれるさらに保存されている領域内に分散した超可変性の領域である。
【0084】
CDRに含まれる残基の体系的な識別はKabat et al.によって開発されている(1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.,United States Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda)。いくつかの態様では、可変軽鎖(VL)CDRは本明細書では、配列番号60の27~32位(CDR1)、50~56位(CDR2)、及び91~97位(CDR3)の残基を含むように定義されている。いくつかの態様では、可変重鎖(VH)CDRは本明細書では、配列番号58の27~33位(CDR1)、52~56位(CDR2)、及び95~102位(CDR3)の残基を含むように定義されている。
【0085】
本明細書に開示されているCDRはまた変異型を含んでもよい。一般に、個々の変異型CDRの間におけるアミノ酸同一性は少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%である。したがって、「変異型CDR」は、本発明の親CDR(例えば、配列番号19、20、21、31、32または33)または参照CDRに対して特定の同一性を持つものであり、親CDR(例えば、配列番号19、20、21、31、32または33)の特異性及び/または活性の少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%を含むが、これらに限定されない生物学的機能を共有する。例えば、「変異型CDR」は、本発明の親CDRまたは参照CDRと比べて1、2、3または4のアミノ酸の変化を含有する配列であることができ、親CDRの生物学的機能、特異性及び/または活性を共有する、またはそれらを改善する。
【0086】
いくつかの態様では、本明細書に開示されているCDR配列のいずれも、親CDRまたは参照CDRと比べて単一のアミノ酸変化を含むことができる。いくつかの態様では、本明細書に開示されているCDR配列のいずれも、親CDRまたは参照CDRと比べて少なくとも2つのアミノ酸変化を含むことができる。いくつかの態様では、アミノ酸の変化はシステイン残基から別のアミノ酸への変化であることができる。いくつかの態様では、アミノ酸の変化はグリシン残基から別のアミノ酸への変化であることができる。個々の変異型CDRの間におけるアミノ酸同一性は、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%であることができる。したがって、「変異型CDR」は、本発明の親CDRと特定された同一性を持つものであることができ、親CDRの特異性及び/または活性の少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%を含むが、これらに限定されない生物学的機能を共有する。例えば、親CDR配列は配列番号19、20、21、31、32及び/または33の1以上であることができる。変異型CDR配列は配列番号19、20、21、31、32及び/または33のいずれか1つと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であることができる。変異型CDR配列は親CDRの特異性及び/または活性の少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を共有することもできる。
【0087】
本明細書で考察されているように、本明細書に開示されている抗体のいずれのアミノ酸配列における軽微な変化も、アミノ酸配列における変化が親配列との少なくとも75%、さらに好ましくは少なくとも80%、90%、95%、及び最も好ましくは99%の配列同一性を維持することを条件として、本開示によって包含されることが企図される。いくつかの態様では、保存的アミノ酸置換が企図される。保存的置換は、側鎖において関連するアミノ酸のファミリー内で起こる置換である。遺伝的にコードされているアミノ酸は一般に、以下のファミリー、すなわち(1)酸性=アスパラギン酸、グルタミン酸、(2)塩基性=リジン、アルギニン、ヒスチジン、(3)非極性=アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、及び(4)無電荷極性=グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシンに分けられる。さらに好ましいファミリーは以下の通りである。セリン及びスレオニンは脂肪族ヒドロキシファミリーであり、アスパラギン及びグルタミンはアミド含有ファミリーであり、アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシンは脂肪族ファミリーであり、ならびにフェニルアラニン、トリプトファン、及びチロシン芳香族ファミリーである。例えば、ロイシンのイソロイシンまたはバリンとの、アスパラギン酸のグルタミン酸との、スレオニンのセリンとの分離された置換、またはアミノ酸の構造的に関連したアミノ酸との類似した置換は、特に、置換がフレームワーク部位内のアミノ酸に関与しない場合、結果として得られる分子の結合または特性に対して主要な影響を有さないと予想することは妥当である。アミノ酸変化が機能性ペプチドをもたらすかどうかは、ポリペプチド誘導体の比活性をアッセイすることによって容易に決定することができる。アッセイは当業者に知られている。
【0088】
いくつかの態様では、アミノ酸置換は、(1)タンパク質分解に対する感受性を低減するもの、(2)酸化に対する感受性を低減するもの、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変更するもの、(4)結合親和性を変更するもの、及び(4)そのような類似体の他の物理化学的または機能的な特性を付与する、または修飾するものであることができる。いくつかの態様では、単一または複数のアミノ酸置換(好ましくは保存的アミノ酸置換)が、重鎖、軽鎖、またはその双方の非CDR配列にて行われてもよい。いくつかの態様では、1以上のアミノ酸置換は、重鎖、軽鎖、またはその双方のCDR配列の1以上にて行うことができる。
【0089】
抗体、及びFab断片及びF(ab’)2断片を含むそれらの一般的な断片の特性の化学的標識及び強化のために、多くの方法が開発されている。いくつかの抗体ジスルフィド結合のいくらか選択的な還元は以前に達成されており、定義された部位にて標識することができる抗体及び抗体断片を生成し、それらの有用性及び特性を強化している。穏やかな還元を使用したF(ab’)2断片に存在する2つのヒンジのジスルフィド結合の選択的な還元は有用となっている。いくつかの態様では、システイン及びメチオニンは、急速な酸化を受けやすい可能性があり、それは、合成及びその後のペプチド精製の間に保護基の切断に悪い影響を及ぼし得る。場合によっては、抗体産生に使用されるペプチドにおけるシステイン残基は抗体の結合力に影響を与え得る。これは、遊離のシステインが生体内では稀であるので、ネイティブペプチド構造によって認識されない場合があるためである。いくつかの態様では、開示される抗体及びその断片は、CDRの外側(例えば、重鎖、軽鎖、またはその双方の非CDR配列)に存在するシステイン残基が置換されている配列を含む。いくつかの態様では、システインはセリンで置き換え、メチオニンはノルロイシン(Nle)で置き換えることができる。ジチオスレイトール(DTT)のような還元剤を緩衝液に添加しない限り、またはシステイン残基をセリン残基で置き換えることができない限り、ペプチドまたは開示されている抗体もしくはその断片の1つにある複数のシステイン残基はジスルフィド結合を形成しやすくてもよい。
【0090】
アミノ酸配列の変異を導入するための部位または領域が予め決定されている一方で、変異自体は予め決定される必要はない。例えば、所与の部位での突然変異の性能を最適化するために、標的のコドンまたは領域にて無作為変異誘発を行い、発現された抗原結合タンパク質のCDR変異型を所望の活性の最適な組み合わせについてスクリーニングしてもよい。既知の配列を有するDNAの所定の部位にて置換変異を行う技法は周知であり、例えば、M13プライマー変異誘発及びPCR変異誘発が挙げられる。変異体のスクリーニングは、本明細書に記載されているような抗原結合タンパク質活性のアッセイを使用して行われる。
【0091】
アミノ酸置換は通常、単一残基である。挿入は通常、約1~約20のアミノ酸残基程度であろうが、かなり大きな挿入が許容され得る。欠失は約1から約20のアミノ酸残基の範囲であるが、場合によっては、欠失ははるかに大きくてもよい。
【0092】
置換、欠失、挿入、またはそれらの任意の組み合わせを使用して最終的な誘導体または変異型に到達してもよい。一般に、これらの変更は、分子の変化、特に抗原結合タンパク質の免疫原性及び特異性の変化を最小限に抑えるために、少数のアミノ酸に対して行われる。しかしながら、特定の状況では、さらに大きな変更が許容されてもよい。
【0093】
「断片抗原結合断片(Fab)」とは抗原に結合する抗体の領域である。本明細書で使用されるとき「Fab」または「Fab領域」とは、VH、CH1、VL、及びCLの免疫グロブリンドメインを含むポリペプチドを意味する。Fabは、この領域を単独で、または完全長抗体、抗体断片もしくはFab融合タンパク質、もしくは本明細書に概説されるような他の任意の抗体の実施形態との関連でこの領域を指してもよい。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域由来の1以上のシステイン残基を含め、ChiドメインのC末端に追加の残基を含む点でFab断片とは異なる。定常ドメインのシステイン残基は遊離チオール基を有する。F(ab’)2抗体断片は、ヒンジ領域のシステイン残基によって連結されたFab’断片の対である。抗体断片の他の化学カップリングも当該技術分野で既知である。
【0094】
本明細書で使用されるとき「Fv」または「Fv断片」または「Fv領域」とは、単一抗体のVLドメイン及びVHドメインを含むポリペプチドを意味する。Fv領域は1つの重鎖と1つの軽鎖の可変ドメインから成る完全な抗原認識及び結合部位を含有する最小断片である。各可変ドメインの3つのCDRがVH-VL二量体の表面上の抗原結合部位を規定するように相互作用する。まとめて、6つのCDRは抗体に抗原結合特異性を付与する。当該技術分野で知られているように、「単鎖」抗体または「scFv」断片は、抗体のVHドメイン及びVLドメインが抗原を認識して結合する単一のポリペプチド鎖に含まれるときに形成される単鎖Fv変異型である。通常、単鎖抗体は、scFvが抗原結合のため所望の3次元構造を形成できるようにする、VHドメインとVLドメインの間にポリペプチドリンカーを含む(例えば、Pluckthun,In The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,Rosenburg and Moore Eds.,Springer-Verlag,New York,113:269-315.1994を参照のこと)。
【0095】
本明細書で使用されるとき「フレームワーク」または「フレームワーク領域」とは、CDRとして定義されるそれらの領域を除く抗体可変ドメインの領域を意味する。各抗体可変ドメインのフレームワークはさらに、CDRによって分離される隣接領域(FR1、FR2、FR3、及びFR4)に細分化することができる。
【0096】
本明細書で使用されるとき、抗体の「抗原結合部分」(または単純に「抗体部分」)という用語は、抗原(例えば、Cx43ヘミチャネル)に特異的に結合する能力を保持する、抗体の1以上の断片を指す。抗体の抗原結合機能は完全長抗体の断片によって実行され得ることが示されている。抗体の「抗原結合部分」という用語の中に包含される結合断片の例には、(i)VL/VK、VH、CL、及びCH1のドメインから成る一価の断片であるFab断片、(ii)ヒンジ領域にてジスルフィド架橋によって連結される2つのFab断片を含む二価の断片であるF(ab’)2断片、(iii)ヒンジの一部を伴うFabであることができるFab’断片(Fundamental Immunology(Paul ed.,3rd ed.1993を参照のこと)、(iv)VHドメインとCH1ドメインとから成るFd断片、(v)抗体の単一アームのVLドメイン及びVHドメインから成るFv断片、(vi)VHドメインから成るdAb断片(Ward et al.,(1989),Nature,341:544-546)、(vii)単離された相補性決定領域(CDR)、ならびに(viii)単一の可変ドメインと2つの定常ドメインとを含有する重鎖可変領域であるナノボディが挙げられる。
【0097】
「特異的に結合する」または「免疫特異的に結合する」という用語は、抗体がその意図された標的に排他的に結合することを示すように意図するものではない。むしろ、抗体は、その意図された標的に対するその親和性が非標的分子に対するその親和性と比べて約5倍大きいならば、「特異的に結合する」。好適には、望ましくない物質との有意な交差反応または交差結合はない。抗体の親和性は、例えば、非標的分子に対する親和性よりも標的分子に対して少なくとも約5倍、例えば、10倍、例えば、25倍、特に50倍、及び特に100倍以上であろう。いくつかの実施形態では、抗体または他の結合剤と抗原との間の特異的結合は、少なくとも106M-1の結合親和性を意味する。抗体は、例えば、約108M-1~約109M-1の間、約109M-1~約1010M-1の間、または約1010M-1~約1011M-1の間のような少なくとも約107M-1の親和性で結合してもよい。抗体は、例えば、50nM以下、10nM以下、1nM以下、100pM以下、またはさらに好ましくは10pM以下のEC50で結合し得る。いくつかの態様では、抗体は、約60μg/ml、59μg/ml、58μg/ml、57μg/ml、56μg/ml、55μg/ml、54μg/ml、53μg/ml、52μg/ml、51μg/ml、50μg/ml、またはそれ以下のEC50で結合することができる。いくつかの態様では、抗体は約50μg/ml、49μg/ml、48μg/ml、47μg/ml、46μg/ml、45μg/ml、44μg/ml、43μg/ml、42μg/ml、41μg/ml、40μg/ml、またはそれ以下のEC50で結合することができる。いくつかの態様では、抗体は約40μg/ml、39μg/ml、38μg/ml、37μg/ml、36μg/ml、35μg/ml、34μg/ml、33μg/ml、32μg/ml、31μg/ml、30μg/ml、またはそれ以下のEC50で結合することができる。
【0098】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている抗体はそれらの意図された標的に特異的に結合することができる。いくつかの態様では、本明細書に記載されている抗体は部位から外れた結合を有さない。例えば、本明細書に記載されている抗体は特定の標的部位にてその意図された標的にのみ結合し、心臓、肝臓、または脊髄に結合しない、またはそれらに分布しない。
【0099】
本明細書に記載されている抗体は、断片(例えば、四量体抗体の例えば、Fab断片またはF(ab’)2断片)、scFvまたはダイアボディの断片、または1以上のアミノ酸残基の付加及び/または置換によって異なる四量体抗体、scFv、ダイアボディの変異型、またはそれらの断片を含むが、これらに限定されない変異型であることができる。抗体部分はさらに、例えば、ジダイアボディとして操作することができる。
【0100】
当該技術分野で周知のように、ある特定の型の抗体断片は「完全長」抗体の酵素的処理によって生成することができる。パパインによる消化は、それぞれが単一の抗原結合部位を持つ2つの同一のFab断片と、残りのFc断片とを生成する。Fab断片は軽鎖の定常ドメインと重鎖のChiドメイも含有する。対照的に、ペプシンによる消化は2つの抗原結合部位を有し、且つ依然として抗原に架橋することができるF(ab’)2断片が得られる。
【0101】
いくつかの態様では、抗体はダイアボディであることができる。ダイアボディは2つの抗原結合部位を有する小さな抗体断片である。各断片はVLドメインに連結されたVHドメインを含有する。しかしながら、ドメイン間でのリンカーが同じ鎖上にてそれらの間で対形成を可能にするには短すぎるので、連結されたVh-Vlドメインを別の鎖の相補性ドメインと強制的に対形成させ、2つの抗原結合部位を作り出す。ダイアボディは、例えば、EP404,097;WO93/11161、及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448,1993にさらに詳述されている。
【0102】
いくつかの態様では、Cx43タンパク質の少なくとも一部に結合し、Cx43ヘミチャネルの開口を阻害または遮断し、Mmp13及びコラーゲンXのレベルの低下、滑膜炎の程度の低下、または滑膜炎の軽減、及び軟骨の完全性の改善または軟骨分解の減少と関連する抗Cx43抗体またはその断片が企図される。いくつかの態様では、Cx43タンパク質の少なくとも一部に結合し、Cx43ヘミチャネルの開口を阻害または遮断し、Mmp13及びコラーゲンXのレベルを低下させ、滑膜炎の程度を低下させ、または滑膜炎を軽減し、且つ軟骨の完全性を改善し、または軟骨分解を減らす抗体またはその断片が企図される。いくつかの態様では、抗Cx43抗体はモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはヒト化抗体であることができる。したがって、既知の手段によって、及び本明細書に記載されているように、そのような抗原またはエピトープが天然源から単離されようとされまいと、または天然化合物の合成誘導体であろうと、変異体であろうと、Cx43タンパク質、そのそれぞれのエピトープの1以上、または前述のいずれかのコンジュゲートに特異的であるポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体、抗体断片、ならびに結合ドメイン及びCDR(前述のいずれかの操作された形態を含む)が作り出されてもよい。エピトープ配列の例は、出願番号PCT/US2017/019605(WO2017-147561)に記載されており、これは、本明細書に開示されている抗Cx43抗体及びその断片が結合できるエピトープ配列の教示のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0103】
好適な抗Cx43抗体断片の例には限定しないで、(i)VL、VH、CL、及びCH1のドメインから成るFab断片、(ii)VII及びCmのドメインから成る「Fd」断片、(iii)単一抗体のVL及びVHのドメインから成る「Fv」断片、(iv)VHドメインから成る「dAb」断片、(v)単離されたCDR領域、(vi)2つの結合したFab断片を含む二価の断片であるF(ab’)2断片、(vii)単鎖Fv分子(「scFv」)(ここでは、VIIドメイン及びVLドメインは、2つのドメインを結合させて結合ドメインを形成するペプチドリンカーによって連結される)、(viii)二重特異性単鎖Fv二量体(米国特許第5,091,513を参照のこと)、ならびに(ix)遺伝子融合によって構築される多価のまたは多重特異性の断片であるダイアボディ(米国特許出願公開20050214860)が挙げられる。Fv、scFv、またはダイアボディの分子は、VHドメインとVLドメインとを連結するジスルフィド架橋の組み込みによって安定化されてもよい。CH3ドメインに結合されるscFvを含むミニボディも生成されてもよい(Hu et al.,1996)。
【0104】
抗体様結合ペプチド模倣体もまた企図される。Liu et al.(2003)は、「抗体様結合ペプチド模倣体」(ABiP)を記載しており、これは、縮小された抗体として作用し、より長い血清半減期ならびに面倒な合成法が少ないという特定の利点を有するペプチドである。
【0105】
Cx43タンパク質に特異的な抗体を産生するために、動物にCx43細胞外ドメインタンパク質のような抗原を接種してもよい。頻繁に、免疫応答を増強するために、抗原は別の分子と結合されまたはコンジュゲートされる。本明細書で使用されるとき、コンジュゲートは、動物にて免疫応答を引き出すのに使用される、抗原に結合されたペプチド、ポリペプチド、タンパク質または非タンパク様物質である。抗原接種に応答して動物にて産生される抗体は、種々の個々の抗体産生Bリンパ球から生成された多様な非同一分子(ポリクローナル抗体)を含む。ポリクローナル抗体は、抗体種の混合集団であり、そのそれぞれが同一の抗原上の異なるエピトープを認識し得る。動物におけるポリクローナル抗体の生成のための適正な条件があれば、動物の血清中の大部分の抗体は、動物が免疫化された抗原化合物上の集団的エピトープを認識するであろう。この特異性はさらに、目的の抗原またはエピトープを認識するこれらの抗体だけを選択するための親和性精製によって増強される。
【0106】
本明細書で提供されているように、モノクローナル抗体は、抗体の単一種であり、抗体産生細胞が単一のBリンパ球細胞株に由来するので、全ての抗体分子が同一のエピトープを認識する。モノクローナル抗体(MAb)を生成するための方法は一般に、ポリクローナル抗体を調製するための方法と同様に開始する。いくつかの態様では、マウス及びラットのような齧歯類がモノクローナル抗体を生成するのに使用される。いくつかの態様では、ウサギ、ヒツジ、またはカエルの細胞がモノクローナル抗体を生成するのに使用される。ラットの使用が周知であり、特定の利点を提供してもよい。マウス(例えば、BALB/cマウス)は日常的に使用され、一般的に高いパーセンテージの安定した融合を提供する。
【0107】
ハイブリドーマ技術は、前もってCx43抗原で免疫したマウスからの単一のBリンパ球の不死化骨髄細胞(通常はマウス骨髄)との融合を含む。この技術は、単一抗体産生細胞を無限の世代数まで増殖させる方法を提供することで、同一の抗原またはエピトープへの特異性を有する構造的に同一の無制限の量の抗体(モノクローナル抗体)が産生され得る。
【0108】
形質B細胞は、免疫したウサギの新たに調製されたウサギ末梢血単核細胞から単離され、Cx43結合細胞についてさらに選択されてもよい。抗体産生B細胞を富化した後、全RNAを単離し、cDNAを合成してもよい。重鎖及び軽鎖の双方に由来する抗体可変領域のDNA配列を増幅し、ファージディスプレイFab発現ベクターに構築し、E.coliで形質転換してもよい。Cx43特異的結合Fabは、複数回の濃縮パンニングを介して選択され、配列決定されてもよい。選択されたCx43結合ヒットはヒト胎児腎臓(HEK293)細胞(Invitrogen)にて哺乳類発現ベクターシステムを使用してウサギ及びウサギ/ヒトのキメラ形態で完全長のIgGとして発現されてもよく、高速プロテイン液体クロマトグラフィー(FPLC)分離ユニットを備えたプロテインG樹脂を使用して精製されてもよい。
【0109】
いくつかの態様では、抗Cx43抗体はキメラ抗体、例えば、異種非ヒト、ヒト、またはヒト化の配列(例えば、フレームワーク配列及び/または定常ドメイン配列)に移植された非ヒトドナー由来の抗原結合配列を含む抗体であることができる。モノクローナル抗体の軽鎖及び重鎖定常ドメインをヒト起源の類似のドメインで置き換えて、外来抗体の可変ドメインを未変化で残存させるための方法が開発されている。あるいは、「完全なヒト型」モノクローナル抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子について遺伝子組み換えしたマウスにて産生させることができる。齧歯類、例えばマウス及びヒトのアミノ酸配列の双方を有する抗体可変ドメインを組換えにより構築することによってモノクローナル抗体の可変領域をさらにヒト型に変換するための方法も開発されている。「ヒト化」モノクローナル抗体では、超可変性CDRのみがマウスモノクローナル抗体に由来し、フレームワーク及び定常領域はヒトアミノ酸配列に由来する(米国特許第5,091,513号及び同第6,881,557号を参照のこと)。齧歯類に特徴的である抗体にてアミノ酸配列をヒト抗体の対応する位置で見いだされるアミノ酸配列で置き換えることは、治療上の使用の際に有害な免疫反応の可能性を減らすであろうと考えられている。ハイブリドーマまたは他の抗体産生細胞は遺伝子突然変異または他の変化に供してもよく、それは、ハイブリドーマによって産生された抗体の結合特異性を変更する場合も、変更しない場合もある。
【0110】
様々な動物種においてポリクローナル抗体を産生するための方法、ならびにヒト化抗体、キメラ抗体、及び完全ヒト抗体を含む種々のタイプのモノクローナル抗体を産生するための方法は当該技術分野において周知であり、容易に予想可能である。例えば、以下の米国特許及び特許出願はそのような方法の説明を可能にする:米国特許出願番号2004/0126828及び2002/0172677、ならびに第3,817,837号、同第3,850,752号、同第3,939,350号、同第3,996,345号、同第4,196,265号、同第4,275,149号、同第4,277,437号、同第4,366,241号、同第4,469,797号、同第4,472,509号、同第4,606,855号、同第4,703,003号、同第4,742,159号、同第4,767,720号、同第4,816,567号、同第4,867,973号、同第4,938,948号、同第4,946,778号、同第5,021,236号、同第5,164,296号、同第5,196,066号、同第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,420,253号、同第5,565,332号、同第5,571,698号、同第5,627,052号、同第5,656,434号、同第5,770,376号、同第5,789,208号、同第5,821,337号、同第5,844,091号、同第5,858,657号、同第5,861,155号、同第5,871,907号、同第5,969,108号、同第6,054,297号、同第6,165,464号、同第6,365,157号、同第6,406,867号、同第6,709,659号、同第6,709,873号、同第6,753,407号、同第6,814,965号、同第6,849,259号、同第6,861,572、同第6,875,434号、及び同第6,891,024号。本明細書で引用される特許、特許出願公開、及び他の刊行物、及びそれらで引用される特許、特許出願公開、及び他の刊行物はすべて、本出願において参照によって本明細書に組み込まれる。
【0111】
抗体は、鳥類及び哺乳類を含む任意の動物源から産生されてもよい。好ましくは、抗体は、ヒツジ、ネズミ(例えば、マウス及びラット)、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリの抗体である。加えて、新しい技術が、ヒトコンビナトリアル抗体ライブラリーからのヒト抗体についての開発及びスクリーニングを可能にする。例えば、バクテリオファージ抗体発現技術は、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,946,546号に記載されているように、動物の免疫付与なしで特異的抗体が産生されるのを可能にする。これらの手法は、Marks(1992);Stemmer(1994)、Gram et al.(1992);Barbas et al.(1994)、及びSchier et al.(1996)にてさらに説明されている。
【0112】
抗Cx43抗体が、動物種、モノクローナル細胞株、または抗体の他の供給源にかかわらず、Cx43の効果を中和する、またはそれに対抗する能力を有するであろうことは十分に期待される。特定の動物種は、抗体の「Fc」部分を介した補体系の活性に起因して、それらがアレルギー反応を引き起こす可能性が高くてもよいので、治療用抗体を生成するためにはあまり好ましくなくてもよい。しかしながら、全抗体が「Fc」(補体結合)断片に、そして結合ドメインまたはCDRを有する抗体断片に酵素により消化されてもよい。Fc部分の除去は抗原抗体断片が望ましくない免疫学的応答を誘発する可能性を減らすので、Fcを含まない抗体が予防上または治療上の処置のために優先されてもよい。本明細書に記載されているように、抗体はまた、他の種で産生された、または他の種に由来の配列を有する抗体を動物に投与することから生じる有害な免疫学的結果を減らすまたは排除するために、キメラまたは部分的にもしくは完全にヒト型であるように構築されてもよい。
【0113】
タンパク質は組換え体であってもよく、または試験管内で合成されてもよい。あるいは、非組換えまたは組換えタンパク質が細菌から単離されてもよい。こうした変異型を含有する細菌が組成物及び方法において適用されてもよいことも企図される。その結果、タンパク質は単離される必要がない。
【0114】
組成物中に、1ml当たり約0.001mg~約10mgの総ポリペプチド、ペプチド、及び/またはタンパク質が存在することが企図される。したがって、組成物中のタンパク質の濃度は、約、少なくとも約または最大で約0.001、0.010、0.050、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0mg/mlまたはそれ以上(またはこれらの中で導き出せる任意の範囲)であることができる。このうちの、約、少なくとも約、または最大で約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%がCx43を結合する抗体であってもよい。
【0115】
抗Cx43抗体または好ましくは抗Cx43抗体の免疫部分は、他のタンパク質と化学的にコンジュゲートされ得る、または他のタンパク質との融合タンパク質として発現され得る。本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的のために、全てのそのような融合タンパク質は、抗体または抗体の免疫部分の定義に含まれる。
【0116】
本明細書に記載されているのは、抗体コンジュゲートまたはペイロードを形成するために少なくとも1つの薬剤に連結される、Cx43、ポリペプチド、及びペプチドに対する抗Cx43抗体及び抗Cx43抗体様分子である。診断剤または治療剤としての抗体分子の有効性を高めるために、抗体を少なくとも1つの所望の分子または部分に連結する、共有結合する、またはそれと複合体形成することができる。そのような分子または部分は少なくとも1つのエフェクター分子またはレポーター分子であってもよいが、これらに限定されない。エフェクター分子は、所望の活性、例えば、細胞毒性活性を有する分子を含む。抗体に取り付けられたエフェクター分子の非限定的な例としては、毒素、治療的酵素、抗生物質、放射標識ヌクレオチド等が含まれる。対照的に、レポーター分子は、アッセイを使用して検出され得る任意の部分として定義される。抗体にコンジュゲートされているレポーター分子の非限定的な例には、酵素、放射性標識、ハプテン、蛍光標識、燐光分子、化学発光分子、発色団、発光分子、光親和性分子、着色粒子、またはビオチンのようなリガンドが挙げられる。
【0117】
抗体のそのコンジュゲート部分への取付けまたはコンジュゲートのためのいくつかの方法が当該技術分野において知られている。一部の取付け方法には、例えば、抗体に取り付けられる有機キレート剤、例えば、ジエチレントリアミンペンタ酢酸無水物(DTPA)、ジエチレントリアミンテトラ酢酸、N-クロロ-p-トルエンスルホンアミド、及び/またはテトラクロロ-3-6-ジフェニルグリコウリル-3を採用する金属キレート錯体の使用が伴う。モノクローナル抗体はまた、グルタルアルデヒドまたは過ヨウ素酸塩のようなカップリング剤の存在下で酵素と反応させてもよい。フルオレセインマーカーとのコンジュゲートは、これらのカップリング剤の存在下で、またはイソチオシアネートとの反応によって調製される。
【0118】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている抗Cx43抗体は、配列番号19の配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号20の配列を含むCDR2と、配列番号21の配列を含むCDR3とを含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。表2は抗Cx43抗体の重鎖のCDRの例を示す。重鎖の追加のCDR配列 は、出願番号PCT/US2017/019605(WO2017-147561)に開示されている重鎖CDR配列の1以上であることができ、それは、重鎖CDR配列の教示のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0119】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている抗Cx43抗体は、配列番号31の配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号32の配列を含むCDR2と、配列番号33の配列を含むCDR3とを含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。表2は抗Cx43抗体の軽鎖のCDRの例を示す。軽鎖の追加のCDR配列は、出願番号PCT/US2017/019605(WO2017-147561)に開示されている軽鎖CDR配列の1以上であることができ、それは、軽鎖CDR配列の教示のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0120】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている抗Cx43抗体は、配列番号19の配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号20の配列を含むCDR2と、配列番号21の配列を含むCDR3とを含む重鎖免疫グロブリン可変領域;及び配列番号31の配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号32の配列を含むCDR2と、配列番号33の配列を含むCDR3とを含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。
【0121】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている抗Cx43抗体は、配列番号19、20、または21に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含むことができる(表2を参照のこと)。いくつかの態様では、本明細書に記載されている抗Cx43抗体は配列番号19、20、または21に示される配列に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む。
【0122】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている抗Cx43抗体は、配列番号31、32、または33に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含むことができる(表2を参照のこと)。いくつかの態様では、本明細書に記載されている抗Cx43抗体は、配列番号31、32、または33に示される配列に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。
【0123】
本明細書に開示されているのは、配列番号52の配列を含むM1Hをコードする核酸配列である。本明細書に開示されているのは、配列番号54の配列を含むM1K1をコードする核酸配列である。
【0124】
本明細書に開示されているのは、配列番号52に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含むM1Hをコードする核酸配列である(表3を参照のこと)。いくつかの態様では、M1Hは配列番号52に示される配列に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む。
【0125】
本明細書に開示されているのは、配列番号54に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含むM1K1をコードする核酸配列である(表3を参照のこと)。いくつかの態様では、M1K1は配列番号54に示される配列に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。
【0126】
本明細書に開示されているのは、配列番号16の配列を含むCDR1と、配列番号17の配列を含むCDR2と、配列番号18の配列を含むCDR3とを含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含むM1H領域をコードする核酸配列である。
【0127】
本明細書に開示されているのは、配列番号28の配列を含むCDR1と、配列番号29の配列を含むCDR2と、配列番号30の配列を含むCDR3とを含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むM1K1領域をコードする核酸配列である。
【0128】
本明細書に開示されているのは、配列番号16の配列を含むCDR1と、配列番号17の配列を含むCDR2と、配列番号18の配列を含むCDR3とを含む重鎖免疫グロブリン可変領域、及び配列番号28の配列を含むCDR1と、配列番号29の配列を含むCDR2と、配列番号30の配列を含むCDR3とを含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含む抗Cx43抗体をコードする核酸配列である。
【0129】
本明細書に開示されているのは、ヒトCx43に結合する抗Cx43抗体またはその断片である。いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片は、表2または4に提供されている可変重鎖アミノ酸配列の1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む。いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む。いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片は配列番号58に示される配列を含む可変重鎖を含む。
【0130】
本明細書に開示されているのは、ヒトCx43に結合する抗Cx43抗体またはその断片である。いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片は、表2または4に提供されている可変軽鎖アミノ酸配列の1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片は、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片は配列番号60に示される配列を含む可変軽鎖を含む。
【0131】
本明細書に開示されているのは、ヒトCx43ヘミチャネルに結合する抗Cx43抗体またはその断片である。いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖、及び配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。いくつかの態様では、抗Cx43抗体は配列番号58に示される配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列を含む可変軽鎖とを含む。
【0132】
いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片はM1H領域を含む。いくつかの態様では、M1H領域は、配列番号19の配列を含むCDR1と、配列番号20の配列を含むCDR2と、配列番号21の配列を含むCDR3とを含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含む。
【0133】
いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片はM1K1領域を含む。いくつかの態様では、M1K1領域は、配列番号31の配列を含むCDR1と、配列番号32の配列を含むCDR2と、配列番号33の配列を含むCDR3とを含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含む。
【0134】
場合によっては、開示されている抗Cx43抗体またはその断片はさらに、タグ配列を含む。
【0135】
本明細書に開示されているのは、開示された抗Cx43抗体またはその断片をコードする核酸配列である。例えば、開示されているのは、配列番号52に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む核酸配列である。本明細書に開示されているのは、開示された抗Cx43抗体またはその断片をコードする核酸配列である。例えば、本明細書に開示されているのは、配列番号52に示される配列を含む可変重鎖を含む核酸配列である。本明細書に開示されているのはまた、配列番号54に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む核酸配列である。開示されているのはまた、配列番号54に示される配列を含む可変軽鎖を含む核酸配列である。
【0136】
本明細書に開示されているのは、配列番号52に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号54に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む核酸配列である。開示されているのは、配列番号52に示される配列を含む可変重鎖と配列番号54に示される配列を含む可変軽鎖とを含む核酸配列である。
【0137】
本明細書に開示されているのは、配列番号52に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む単鎖可変断片をコードすることができる核酸配列である。
【0138】
開示されているのは、配列番号54に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む単鎖可変断片をコードすることができる核酸配列である。
【0139】
開示されているのは、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む単鎖可変断片をコードすることができる核酸配列である。
【0140】
場合によっては、開示されている抗Cx43抗体またはその断片は二重特異性であることができる。例えば、抗体またはその断片は、配列番号58の重鎖及び軽鎖を含む第1のFab領域と、配列番号60の重鎖及び軽鎖を含む第2のFab領域とを含むことができ、その際、第1のFab領域及び第2のFab領域は異なることができる。
【0141】
場合によっては、二重特異性抗Cx43抗体は三機能性であることができる。
【0142】
場合によっては、開示されている抗Cx43抗体またはその断片は、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、またはそれらの組み合わせであることができる。
【0143】
場合によっては、開示されている抗Cx43抗体またはその断片はモノクローナルである。
【0144】
さらなる実施形態では、実施形態に従って使用するための抗Cx43抗体は、抗体を作製するまたは発現させるための抗体、ベクター、及び細胞のそれらの教示のために参照によって本明細書に組み込まれる国際(PCT)特許公開番号WO2015-027120またはWO2017-147561に記載されているもののいずれかであることができる。
【0145】
いくつかの態様では、第1の重鎖領域は、配列番号2の残基13~37のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含むことができ、第2の重鎖領域は配列番号2の残基46~66に対応するアミノ酸配列を有し、第3の重鎖領域は配列番号2の残基97~116のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含む。
【0146】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている抗体は、完全長抗Cx43抗体、抗体断片、単鎖抗体、二重特異性抗体、ミニボディ、ドメイン抗体、合成抗体及び抗体融合物、ならびにそれらの断片を含むことができる。
【0147】
方法
本明細書に開示されているのは、対象にて変形性関節症を治療するまたは予防する方法である。本明細書に開示されているのは、対象にて関節リウマチを治療するまたは予防する方法である。本明細書に開示されているのは、対象にて腱疾患または腱損傷を治療するまたは予防する方法である。本明細書に開示されているのは、対象にて軟骨下骨硬化症を治療するまたは予防する方法である。本明細書に開示されているのは、対象にて変形性関節症の1以上の症状を軽減するまたは改善する方法である。本明細書に開示されているのは、対象にて関節リウマチの1以上の症状を軽減するまたは改善する方法である。本明細書に開示されているのは、対象にて腱疾患または腱損傷の1以上の症状を軽減するまたは改善する方法である。本明細書に開示されているのは、対象にて軟骨下骨硬化症の1以上の症状を軽減するまたは改善する方法である。本明細書に開示されているのは、対象にてMMP13またはコラーゲンXのレベルを低下させる方法である。本明細書に開示されているのは、対象にて軟骨分解を減らす方法である。本明細書に開示されているのは、対象にて滑膜炎を軽減する方法である。
【0148】
本明細書に開示されているのは、対象にて変形性関節症を治療するまたは予防する方法である。いくつかの態様では、方法は、治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む。いくつかの態様では、方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。いくつかの態様では、方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19の配列またはその変異型を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20の配列またはその変異型を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21の配列またはその変異型を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31の配列またはその変異型を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32の配列またはその変異型を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号33の配列またはその変異型を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの態様では、重鎖免疫グロブリン可変領域のCDR1、CDR2またはCDR3または軽鎖免疫グロブリン可変領域のCDR1、CDR2、またはCDR3のいずれか1つが親CDRと比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換はシステイン残基から別のアミノ酸への、またはグリシンから別のアミノ酸への置換である。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/または配列番号33に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片はa)i)配列番号19に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第1の相補性決定領域1、ii)配列番号20に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第2の相補性決定領域2、及びiii)配列番号21に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第3の相補性決定領域3を含む重鎖免疫グロブリン可変領域、及び、b)i)配列番号31に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第1の相補性決定領域1、ii)配列番号32に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第2の相補性決定領域1、及びiii)配列番号33に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第3の相補性決定領域1を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域と、を含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号33に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)i)配列番号19と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第1の相補性領域1、ii)配列番号20と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第2の相補性領域2、及びiii)配列番号21と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第3の相補性領域3を含む重鎖免疫グロブリン可変領域、及び、b)i)配列番号31と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第1の相補性領域1、ii)配列番号32と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第2の相補性領域1、及びiii)配列番号33と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第3の相補性領域1を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域とを含むことができる。
【0149】
本明細書に開示されているのは、対象にて関節リウマチを治療するまたは予防する方法である。いくつかの態様では、方法は、治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含むことができ、その際、抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む。いくつかの態様では、方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含むことができ、その際、抗体またはその断片は配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。いくつかの態様では、方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含むことができ、その際、抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19の配列またはその変異型を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20の配列またはその変異型を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21の配列またはその変異型を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31の配列またはその変異型を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32の配列またはその変異型を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号33の配列またはその変異型を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの態様では、重鎖免疫グロブリン可変領域のCDR1、CDR2またはCDR3または軽鎖免疫グロブリン可変領域のCDR1、CDR2、またはCDR3のいずれか1つが親CDRと比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換がシステイン残基から別のアミノ酸への、またはグリシンから別のアミノ酸への置換である。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/または配列番号33に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)i)配列番号19に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第1の相補性決定領域1、ii)配列番号20に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第2の相補性決定領域2、及び iii)配列番号21に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第3の相補性決定領域3を含む重鎖免疫グロブリン可変領域、及びb)i)配列番号31に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第1の相補性決定領域1、ii)配列番号32に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第2の相補性決定領域1、及びiii)配列番号33に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第3の相補性決定領域1を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域とを含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号33に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)i)配列番号19と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第1の相補性領域1、ii)配列番号20と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第2の相補性領域2、及びiii)配列番号21と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第3の相補性領域3を含む重鎖免疫グロブリン可変領域、及びb)i)配列番号31と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第1の相補性領域1、ii)配列番号32と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第2の相補性領域1、及びiii)配列番号33と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第3の相補性領域1を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域とを含むことができる。
【0150】
本明細書に開示されているのは、対象にて腱疾患または腱損傷を治療するまたは予防する方法である。いくつかの態様では、方法は、治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含むことができ、その際、抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む。いくつかの態様では、方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含むことができ、その際、抗体またはその断片は配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。いくつかの態様では、方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含むことができ、その際、抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19の配列またはその変異型を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20の配列またはその変異型を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21の配列またはその変異型を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31の配列またはその変異型を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32の配列またはその変異型を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号33の配列またはその変異型を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの態様では、重鎖免疫グロブリン可変領域のCDR1、CDR2またはCDR3または軽鎖免疫グロブリン可変領域のCDR1、CDR2、またはCDR3のいずれか1つが親CDRと比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換がシステイン残基から別のアミノ酸への、またはグリシンから別のアミノ酸への置換である。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/または配列番号33に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)i)配列番号19に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第1の相補性決定領域1、ii)配列番号20に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第2の相補性決定領域2、及びiii)配列番号21に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第3の相補性決定領域3を含む重鎖免疫グロブリン可変領域、及びb)i)配列番号31に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第1の相補性決定領域1、ii)配列番号32に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第2の相補性決定領域1、及びiii)配列番号33に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第3の相補性決定領域1を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域とを含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号33に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)i)配列番号19と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第1の相補性領域1、ii)配列番号20と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第2の相補性領域2、及びiii)配列番号21と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第3の相補性領域3を含む重鎖免疫グロブリン可変領域、及びb)i)配列番号31と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第1の相補性領域1、ii)配列番号32と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第2の相補性領域1、及びiii)配列番号33と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第3の相補性領域1を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域とを含むことができる。
【0151】
本明細書に開示されているのは、MMP13またはコラーゲンXのレベルを低下させる方法である。いくつかの態様では、方法は、治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含むことができ、その際、抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む。いくつかの態様では、方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含むことができ、その際、抗体またはその断片は配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。いくつかの態様では、方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含むことができ、その際、抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19の配列またはその変異型を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20の配列またはその変異型を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21の配列またはその変異型を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31の配列またはその変異型を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32の配列またはその変異型を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号33の配列またはその変異型を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの態様では、重鎖免疫グロブリン可変領域のCDR1、CDR2またはCDR3または軽鎖免疫グロブリン可変領域のCDR1、CDR2、またはCDR3のいずれか1つが親CDRと比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換がシステイン残基から別のアミノ酸への、またはグリシンから別のアミノ酸への置換である。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/または配列番号33に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片はa)i)配列番号19に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第1の相補性決定領域1、ii)配列番号20に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第2の相補性決定領域2、及びiii)配列番号21に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第3の相補性決定領域3を含む重鎖免疫グロブリン可変領域、及びb)i)配列番号31に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第1の相補性決定領域1、ii)配列番号32に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第2の相補性決定領域1、及びiii)配列番号33に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第3の相補性決定領域1を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域とを含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号33に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)i)配列番号19と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第1の相補性領域1、ii)配列番号20と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第2の相補性領域2、及び iii)配列番号21と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第3の相補性領域3を含む重鎖免疫グロブリン可変領域及び、b)i)配列番号31と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第1の相補性領域1、ii)配列番号32と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第2の相補性領域1、及びiii)配列番号33と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第3の相補性領域1を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域とを含むことができる。
【0152】
本明細書に開示されているのは、対象にて軟骨分解を減らす方法である。いくつかの態様では、方法は、治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含むことができ、その際、抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む。いくつかの態様では、方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含むことができ、その際、抗体またはその断片は配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。いくつかの態様では、方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含むことができ、その際、抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19の配列またはその変異型を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20の配列またはその変異型を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21の配列またはその変異型を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31の配列またはその変異型を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32の配列またはその変異型を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号33の配列またはその変異型を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの態様では、重鎖免疫グロブリン可変領域のCDR1、CDR2またはCDR3または軽鎖免疫グロブリン可変領域のCDR1、CDR2、またはCDR3のいずれか1つが親CDRと比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換がシステイン残基から別のアミノ酸への、またはグリシンから別のアミノ酸への置換である。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/または配列番号33に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片はa)i)配列番号19に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第1の相補性決定領域1、ii)配列番号20に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第2の相補性決定領域2、及びiii)配列番号21に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第3の相補性決定領域3を含む重鎖免疫グロブリン可変領域、及びb)i)配列番号31に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第1の相補性決定領域1、ii)配列番号32に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第2の相補性決定領域1、及びiii)配列番号33に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第3の相補性決定領域1を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域とを含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号33に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)i)配列番号19と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第1の相補性領域1、ii)配列番号20と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第2の相補性領域2、及びiii)配列番号21と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第3の相補性領域3を含む重鎖免疫グロブリン可変領域、及びb)i)配列番号31と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第1の相補性領域1、ii)配列番号32と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第2の相補性領域1、及びiii)配列番号33と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第3の相補性領域1を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域とを含むことができる。
【0153】
本明細書に開示されているのは、対象にて滑膜炎を軽減する方法である。いくつかの態様では、方法は、治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含むことができ、その際、抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む。いくつかの態様では、方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含むことができ、その際、抗体またはその断片は配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。いくつかの態様では、方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含むことができ、その際、抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19の配列またはその変異型を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20の配列またはその変異型を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21の配列またはその変異型を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31の配列またはその変異型を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32の配列またはその変異型を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号33の配列またはその変異型を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの態様では、重鎖免疫グロブリン可変領域のCDR1、CDR2またはCDR3または軽鎖免疫グロブリン可変領域のCDR1、CDR2、またはCDR3のいずれか1つが親CDRと比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換がシステイン残基から別のアミノ酸への、またはグリシンから別のアミノ酸への置換である。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/または配列番号33に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)i)配列番号19に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第1の相補性決定領域1、ii)配列番号20に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第2の相補性決定領域2、及びiii)配列番号21に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第3の相補性決定領域3を含む重鎖免疫グロブリン可変領域、及びb)i)配列番号31に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第1の相補性決定領域1、ii)配列番号32に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第2の相補性決定領域1、及びiii)配列番号33に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第3の相補性決定領域1を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域とを含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号33に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)i)配列番号19と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第1の相補性領域1、ii)配列番号20と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第2の相補性領域2、及びiii)配列番号21と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第3の相補性領域3を含む重鎖免疫グロブリン可変領域、及びb)i)配列番号31と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第1の相補性領域1、ii)配列番号32と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第2の相補性領域1、及びiii)配列番号33と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第3の相補性領域1を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域とを含むことができる。
【0154】
本明細書に開示されているのは、対象にて軟骨下骨硬化症を治療するまたは予防する方法である。いくつかの態様では、方法は、治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含むことができ、その際、抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む。いくつかの態様では、方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含むことができ、その際、抗体またはその断片は配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。いくつかの態様では、方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含むことができ、その際、抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19の配列またはその変異型を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20の配列またはその変異型を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21の配列またはその変異型を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31の配列またはその変異型を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32の配列またはその変異型を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号33の配列またはその変異型を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの態様では、重鎖免疫グロブリン可変領域のCDR1、CDR2またはCDR3または軽鎖免疫グロブリン可変領域のCDR1、CDR2、またはCDR3のいずれか1つが親CDRと比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換がシステイン残基から別のアミノ酸への、またはグリシンから別のアミノ酸への置換である。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/または配列番号33に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)i)配列番号19に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第1の相補性決定領域1、ii)配列番号20に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第2の相補性決定領域2、及びiii)配列番号21に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第3の相補性決定領域3を含む重鎖免疫グロブリン可変領域、及びb)i)配列番号31に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第1の相補性決定領域1、ii)配列番号32に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第2の相補性決定領域1、及びiii)配列番号33に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第3の相補性決定領域1を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域とを含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号33に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)i)配列番号19と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第1の相補性領域1、ii)配列番号20と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第2の相補性領域2、及びiii)配列番号21と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第3の相補性領域3を含む重鎖免疫グロブリン可変領域、及びb)i)配列番号31と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第1の相補性領域1、ii)配列番号32と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第2の相補性領域1、及びiii)配列番号33と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第3の相補性領域1を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域とを含むことができる。
【0155】
本明細書に開示されているのは、対象にて変形性関節症の1以上の症状を軽減するまたは改善する方法である。いくつかの態様では、方法は、治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含むことができ、その際、抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む。いくつかの態様では、方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含むことができ、その際、抗体またはその断片は配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。いくつかの態様では、方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含むことができ、その際、抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19の配列またはその変異型を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20の配列またはその変異型を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21の配列またはその変異型を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31の配列またはその変異型を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32の配列またはその変異型を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号33の配列またはその変異型を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの態様では、重鎖免疫グロブリン可変領域のCDR1、CDR2またはCDR3または軽鎖免疫グロブリン可変領域のCDR1、CDR2、またはCDR3のいずれか1つが親CDRと比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換がシステイン残基から別のアミノ酸への、またはグリシンから別のアミノ酸への置換である。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/または配列番号33に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)i)配列番号19に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第1の相補性決定領域1、ii)配列番号20に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第2の相補性決定領域2、及びiii)配列番号21に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第3の相補性決定領域3を含む重鎖免疫グロブリン可変領域、及びb)i)配列番号31に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第1の相補性決定領域1、ii)配列番号32に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第2の相補性決定領域1、及びiii)配列番号33に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第3の相補性決定領域1を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域とを含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号33に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)i)配列番号19と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第1の相補性領域1、ii)配列番号20と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第2の相補性領域2、及びiii)配列番号21と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第3の相補性領域3を含む重鎖免疫グロブリン可変領域、及びb)i)配列番号31と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第1の相補性領域1、ii)配列番号32と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第2の相補性領域1、及びiii)配列番号33と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第3の相補性領域1を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域とを含むことができる。
【0156】
いくつかの態様では、方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体(すなわち、抗Cx43抗体)またはその断片を対象に投与することを含むことができる。いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含むことができる。いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片は配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含むことができる。いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含むことができる。
【0157】
いくつかの態様では、方法はMMP13のレベルまたはコラーゲンXのレベルを低下させることができる。いくつかの態様では、方法は軟骨分解を減らすことができる。いくつかの態様では、方法は、滑膜炎を軽減することができる。いくつかの態様では、方法は、変形性関節症、関節リウマチ、腱疾患または腱損傷、または軟骨下骨硬化症の1以上の症状を軽減するまたは改善することができる。
【0158】
いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片は、配列番号19に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第1の相補性決定領域1と、配列番号20に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第2の相補性決定領域2と、配列番号21に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第3の相補性決定領域3とを含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片は、配列番号31に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第1の相補性決定領域1と、配列番号32に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第2の相補性決定領域2と、配列番号33に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第3の相補性決定領域3とを含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。
【0159】
いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片は、配列番号19と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第1の相補性決定領域1と、配列番号20と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第2の相補性決定領域2と、配列番号21と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第3の相補性決定領域3とを含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片は、配列番号31と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第1の相補性決定領域1と、配列番号32と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第2の相補性決定領域2と、配列番号33と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第3の相補性決定領域3とを含む軽鎖免疫グロブリン可変決定領域を含むことができる。
【0160】
いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片は、a)配列番号19の配列またはその変異型を含む相補性決定領域1(CDR1);b)配列番号20の配列またはその変異型を含む相補性決定領域2(CDR2);及び/またはc)配列番号21の配列またはその変異型を含む相補性決定領域(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、重鎖のCDR1、CDR2またはCDR3のいずれか1つは親CDRと比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換はシステイン残基から別のアミノ酸であることができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換は、グリシン残基から別のアミノ酸であることができる。
【0161】
いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片は、a)配列番号31の配列またはその変異型を含む相補性決定領域1(CDR1);b)配列番号32の配列またはその変異型を含む相補性決定領域2(CDR2);及び/またはc)配列番号33の配列またはその変異型を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、軽鎖のCDR1、CDR2またはCDR3のいずれか1つは親CDRと比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換はシステイン残基から別のアミノ酸であることができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換は、グリシン残基から別のアミノ酸であることができる。
【0162】
いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片は、配列番号19に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1);配列番号20に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2);及び/または配列番号21に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、軽鎖のCDR1、CDR2またはCDR3のいずれか1つは親CDRと比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換はシステイン残基から別のアミノ酸であることができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換は、グリシン残基から別のアミノ酸であることができる。
【0163】
いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片は、配列番号31に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1);配列番号32に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2);及び/または配列番号33に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、軽鎖のCDR1、CDR2またはCDR3のいずれか1つは親CDRと比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換はシステイン残基から別のアミノ酸であることができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換は、グリシン残基から別のアミノ酸であることができる。
【0164】
いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片は、配列番号19に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1);配列番号20に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2);及び/または配列番号21に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、軽鎖のCDR1、CDR2またはCDR3のいずれか1つは親CDRと比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換はシステイン残基から別のアミノ酸であることができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換は、グリシン残基から別のアミノ酸であることができる。
【0165】
いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片は、配列番号31に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1);配列番号32に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2);及び/または配列番号33に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、軽鎖のCDR1、CDR2またはCDR3のいずれか1つは親CDRと比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換はシステイン残基から別のアミノ酸であることができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換は、グリシン残基から別のアミノ酸であることができる。
【0166】
本明細書に開示されているのは、炎症遺伝子の発現を低減するまたは減らす方法である。本明細書に開示されているのは、対象にて炎症遺伝子の発現を低減するまたは減らす方法である。いくつかの態様では、方法は、滑膜マクロファージにて炎症遺伝子の発現を低減するまたは減らすことを含むことができる。いくつかの態様では、方法は、線維芽細胞にて炎症遺伝子の発現を低減するまたは減らすことを含むことができる。いくつかの態様では、1以上の炎症遺伝子の発現を低減するまたは減らすことができる。いくつかの態様では、1以上の炎症遺伝子は、MMP3/13、シクロオキシゲナーゼ2(COX2)、トロンボスポンジン1型モチーフ4を持つADAMメタロペプチダーゼ(Adamts4)、またはIL6であることができる。
【0167】
いくつかの態様では、方法は、治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含むことができ、その際、抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む。いくつかの態様では、方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含むことができ、その際、抗体またはその断片は配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。いくつかの態様では、方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含むことができ、その際、抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号60に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19の配列またはその変異型を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20の配列またはその変異型を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21の配列またはその変異型を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31の配列またはその変異型を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32の配列またはその変異型を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号33の配列またはその変異型を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの態様では、重鎖免疫グロブリン可変領域のCDR1、CDR2またはCDR3または軽鎖免疫グロブリン可変領域のCDR1、CDR2、またはCDR3のいずれか1つが親CDRと比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換がシステイン残基から別のアミノ酸への、またはグリシンから別のアミノ酸への置換である。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/または配列番号33に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)i)配列番号19に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第1の相補性決定領域1、ii)配列番号20に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第2の相補性決定領域2、及びiii)配列番号21に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第3の相補性決定領域3を含む重鎖免疫グロブリン可変領域、及びb)i)配列番号31に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第1の相補性決定領域1、ii)配列番号32に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第2の相補性決定領域1、及びiii)配列番号33に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第3の相補性決定領域1を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域とを含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号20に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号21に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号31に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、b)配列番号32に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/またはc)配列番号33に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)i)配列番号19と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第1の相補性領域1、ii)配列番号20と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第2の相補性領域2、及びiii)配列番号21と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第3の相補性領域3を含む重鎖免疫グロブリン可変領域、及びb)i)配列番号31と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第1の相補性領域1、ii)配列番号32と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第2の相補性領域1、及びiii)配列番号33と比較して単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第3の相補性領域1を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域とを含むことができる。
【0168】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法のいずれも、抗Cx43抗体またはその断片をコードする有効量の発現ベクターを対象に投与することを含むことができる。いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片は薬学的に許容される組成物にて投与することができる。いくつかの態様では、医薬組成物は凍結乾燥することができる。いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片は全身性に投与することができる。いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片は、静脈内、皮内、腫瘍内、筋肉内、腹腔内、皮下、または局所に投与することができる。いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片はヒト化抗体またはそのヒト化断片であることができる。いくつかの態様では、抗Cx43抗体は、配列番号19に対応する第1のVH CDRと、配列番号20に対応する第2のVH CDRと、配列番号21に対応する第3のVH CDRと、配列番号31に対応する第1のVL CDRと、配列番号32に対応する第2のVL CDRと、配列番号33に対応する第3のVL CDRと、を含むIgG、IgM、IgA、IgD、IgE、または遺伝子操作されたIgGクラスの抗体であることができる。いくつかの態様では、抗体はIgGクラスの抗体であることができ、その際、IgGクラスの抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4のクラスの抗体である。
【0169】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法のいずれもさらに、少なくとも第2の治療剤または第2の治療法を対象に施すことを含むことができる。いくつかの態様では、第2の治療剤は非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、グルコサミン、コンドロイチンサプリメント、またはそれらの組み合わせであることができる。いくつかの態様では、第2の治療法は関節置換手術であることができる。いくつかの態様では、第2の治療剤及び第2の療法を対象に施行することができる。
【0170】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法のいずれにおいても、抗Cx43抗体またはその断片はCx43ヘミチャネルに結合することができる。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法のいずれにおいても、抗Cx43抗体またはその断片はCx43ヘミチャネルの開口を阻害するまたは遮断することができる。
【0171】
いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片はさらにタグ配列を含むことができる。
【0172】
いくつかの態様では、抗Cx43抗体またはその断片はFab断片、Fab’断片またはF(ab’)2断片であることができる。
【0173】
いくつかの態様では、変形性関節症の1以上の症状は疼痛であることができる。変形性関節症の症状の例には、関節の硬直、可動域(柔軟性)の減少、及び腫脹が挙げられるが、これらに限定されない。
【0174】
いくつかの態様では、関節リウマチの1以上の症状は疼痛であることができる。関節リウマチの症状の例には、関節の硬直、圧痛、体重減少、発熱、倦怠感または疲労、及び脱力感も挙げられるが、これらに限定されない。
【0175】
いくつかの態様では、腱または関節の疾患は、若年性関節炎、腱炎、腱症、傍腱炎、腱滑膜炎、痛風、または線維筋痛症であることができる。いくつかの態様では、腱疾患または腱損傷の1以上の症状は疼痛であることができる。腱疾患または腱損傷の症状の例には、腫脹、硬直、圧痛、発赤、及び関節運動の制限が挙げられるが、これらに限定されない。
【0176】
いくつかの態様では、軟骨下骨硬化症の1以上の症状は疼痛であることができる。軟骨下骨硬化症の症状の例には、硬直及び柔軟性の喪失、ざらつき感、硬いこぶまたは骨棘が挙げられるが、これらに限定されない。
【0177】
疾患の治療
本明細書に開示されているのは、対象における変形性関節症、関節リウマチ、腱疾患もしくは腱損傷、または軟骨下骨硬化症を治療するまたは予防するために使用することができる抗体及びその断片である。Cx43ヘミチャネルのシグナル伝達を阻害するまたは遮断することは、MMP13またはコラーゲンXのレベル、軟骨分解、及び/または滑膜炎を減らすための任意の好適な薬物または治療剤によって達成することができる。いくつかの態様では、薬物または治療剤は抗Cx43抗体であることができる。
【0178】
本明細書に記載されている組成物は、臨床疾患の発症を遅延させ、減らし、または好ましくは防止するのに十分な量で対象(例えば、ヒト患者)に投与することができる。したがって、いくつかの態様では、患者はヒト患者であることができる。治療用途では、変形性関節症、関節リウマチ、腱疾患または腱損傷、または軟骨下骨硬化症であるまたはそのように診断された、あるいは変形性関節症、関節リウマチ、腱疾患または腱損傷、または軟骨下骨硬化症の1以上の症状がすでにあるまたはあると診断された対象(例えば、ヒト患者)に、兆候もしくは症状を少なくとも部分的に改善する、またはその状態、その合併症及び成り行きの症状の進行を抑制する(及び好ましくは停止させる)のに十分な量で組成物を投与することができる。これを達成するための適切な量は「治療有効量」として定義されている。組成物(例えば、医薬組成物)の治療有効量は、治癒を達成する量であることができるが、その成果は達成され得るいくつかのうちの1つにすぎない。言及されているように、治療有効量には、疾患、障害、状態もしくは損傷の発症もしくは進行を遅らせる、妨害する、もしくは防止する、または、疾患、障害、状態もしくは損傷もしくは疾患、障害、状態もしくは損傷の症状が改善される、もしくはその頻度を減らすことができる治療を提供する量が含まれる。症状の1以上はそれほど重くなくてもよい。治療されている個体では回復を加速することができる。例えば、変形性関節症、関節リウマチ、腱疾患もしくは腱損傷、または軟骨下骨硬化症の治療には、例えば、MMP13レベルの低下、コラーゲンXレベルの低下、軟骨分解の減少、滑膜炎の軽減、または疼痛の軽減もしくは予防が含まれてもよい。
【0179】
いくつかの態様では、関節または腱の疾患は、若年性関節炎、腱炎、腱症、傍腱炎、腱滑膜炎、痛風、または線維筋痛症であることができる。
【0180】
変形性関節症は、骨の末端を保護している軟骨が時間の経過と共に摩耗すると発生する。いくつかの態様では、変形性関節症はあらゆる関節に損傷を与え、または影響を及ぼすことができる。いくつかの態様では、関節は手、膝、腰、脊椎、足、首、または肩にあることができる。
【0181】
関節リウマチは自己免疫疾患であることができる。いくつかの態様では、関節リウマチは、任意の組織及び/または任意の関節に損傷を与える、または影響を与えることができる。いくつかの態様では、組織は関節であることができる。いくつかの態様では、関節は手、足、膝、腰、肩、及び肘にあることができる。いくつかの態様では、関節リウマチはさまざまな身体システムに損傷を与えることができる。いくつかの態様では、関節リウマチは、皮膚、眼、肺、心臓、血管に損傷を与える、または影響を及ぼすことができる。
【0182】
軟骨下骨硬化症は、軟骨表面直下の骨の硬化であり、変形性関節症の後期に現れることが多い。いくつかの態様では、軟骨下骨硬化症は荷重がかかる関節で見られ得る。いくつかの態様では、軟骨下骨硬化症は、膝、腰、手、足、または脊椎に見られ得る。
【0183】
本明細書に開示されているのは、関節炎患者を治療する方法、または関節炎もしくは軟骨下骨硬化症に関連する軟骨の変性を防止する方法である。いくつかの態様では、関節炎は変形性関節症または関節リウマチであることができる。本明細書に開示されているのはまた、対象における腱疾患または腱損傷、または軟骨下骨硬化症を治療または予防する方法である。いくつかの態様では、対象は、投与ステップの前に、関節炎、変形性関節症、関節リウマチ、軟骨下骨硬化症、または腱疾患または腱損傷と診断されている。
【0184】
本明細書に記載されている組成物は、治療有効量の本明細書に開示されている抗体またはその断片を含むように製剤化することができる。いくつかの態様では、本明細書に開示されている抗体またはその断片が医薬製剤内に含有され得る。いくつかの態様では、医薬製剤は単位剤形製剤であることができる。
【0185】
哺乳類(例えば、ヒト)に適用される本明細書に開示されているような方法で使用される抗Cx43抗体またはその断片のいずれかの治療有効量または治療有効投与量は、年齢、体重、性別、対象の症状の重症度における個体差、及び選択される特定の組成物または投与経路、投与される他の薬物、及び主治医の判断を考慮して当業者が決定することができる。必要な投与量の変動が予想されてもよい。投与量レベルの変動は、最適化のための標準的な経験的経路を使用して調整することができる。患者に投与される医薬組成物の特定の投与量は、種々の考慮事項(例えば、がん症状の重症度)、対象の年齢及び身体的特徴、ならびに当業者に知られている他の考慮事項に左右されるであろう。投与量は、当業者に知られている臨床的アプローチを使用して確立することができる。抗ヘミチャネル抗体の治療有効投与量は、1以上の疾患症状の重症度の低下、疾患症状のない期間の頻度と持続期間の増加、または疾患の苦痛に起因する機能障害もしくは身体障害の防止を生じることができる。治療有効量の治療用化合物または抗体 は、対象にてMMP13レベルまたはコラーゲンXレベルを減少させ、軟骨分解を減らし、滑膜炎を減らし、またはそうでなければ症状を改善することができる。
【0186】
本明細書で提供されている任意の組成物による治療の継続期間は、最短1日から宿主の寿命という長さ(例えば、多くの年数)までの任意の長さの時間であることができる。例えば、組成物は、週に1回(例えば、4週間から数ヵ月または数年間)、月に1回(例えば、3~12ヵ月または数年間)、または年に1回を5年、10年、またはそれ以上の期間、投与することができる。治療の頻度は変動することができることにも留意する。例えば、本組成物は、毎日、毎週、毎月、または毎年1回(または2回、3回など)投与することができる。
【0187】
本明細書に開示されているような抗体または組成物の総有効量は、ボーラスとしてもしくは比較的短期間にわたる注入のいずれかによって対象に単回用量として投与することができ、または複数用量をより長期間にわたり投与する分割治療プロトコールを使用して投与することができる。あるいは、血液中の治療有効濃度を維持するのに十分な連続静脈内注入もまた本開示の範囲内である。
【0188】
本明細書に記載されている抗Cx43抗体、その断片または組成物は他の治療法と併せて治療を必要とする対象に投与することができる。本化合物は、他の薬剤または投薬計画による治療の前に、それと同時に、またはその後で投与することができる。例えば、本明細書に開示されている抗Cx43抗体は、単独で、または関節炎、変形性関節症、関節リウマチ、軟骨下骨硬化症もしくは腱疾患もしくは腱損傷を治療するために使用される標準療法と併用して投与することができる。いくつかの態様では、本明細書に記載されている抗Cx43抗体または組成物のいずれかは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、グルコサミン及びコンドロイチンのサプリメント、関節置換手術、またはそれらの組み合わせと共に投与するまたは使用することができる。
【0189】
医薬組成物
本明細書に開示されているのは、薬学的に許容される担体と共に製剤化されるモノクローナル抗体、またはその抗原結合部分(複数可)またはその断片の1つまたは組み合わせを含む組成物、例えば、医薬組成物である。そのような組成物は、本明細書に記載されている(例えば、2以上の異なる)抗体、抗体断片または免疫コンジュゲートの1つまたは組み合わせを含んでもよい。例えば、本明細書に記載されている医薬組成物は、標的抗原上の異なるエピトープに結合する、または相補性活性を有する抗体または抗体断片の組み合わせを含むことができる。
【0190】
本明細書に開示されているのは、薬学的に許容される担体と共に本明細書に記載されているような抗Cx43抗体またはその断片のいずれかを含む医薬組成物である。本明細書に開示されているのはまた、変形性関節症、関節リウマチ、腱疾患もしくは腱損傷、軟骨下骨硬化症を治療するもしくは予防するための、MMP13もしくはコラーゲンXのレベルを下げるための、軟骨分解を減らすまたは滑膜炎を軽減するための薬物として使用するための、または治療法で使用するための抗Cx43抗体または医薬組成物である。
【0191】
本発明の医薬組成物はまた、併用療法として、すなわち、他の薬剤と併用して投与することもできる。例えば、併用療法は、少なくとも1つの他の治療剤または治療法と併用した抗ヘミチャネル抗体を含むことができる。
【0192】
本明細書で使用されるとき、「薬剤的に許容される担体」という語句には、生理的に適合性である溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等が含まれる。好ましくは、担体は、(例えば、注射または吸入による)静脈内、筋肉内、皮下、または非経口の投与に好適であることができる。投与経路に応じて、活性化合物、すなわち、抗体または免疫コンジュゲートは、化合物を不活性化してもよい酸の作用及び他の天然の条件から化合物を保護するために物質にてコーティングされてもよい。
【0193】
本発明の医薬組成物にて採用されてもよい好適な水性及び非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、及びそれらの好適な混合物、オリーブ油のような植物油、ならびにオレイン酸エチルのような注射用有機エステルが挙げられる。適正な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティング材の使用によって、分散の場合には要求される粒度の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0194】
薬学的に許容される担体には、無菌水溶液または無菌分散液、及び注入可能な無菌溶液または無菌分散液を即時調製するための無菌粉末が含まれる。薬学的活性物質のためのそのような媒体及び薬剤の使用は当該技術分野で知られている。任意の従来の媒体または薬剤は、活性化合物と不適合性である限りを除いて、本発明の医薬組成物におけるその使用が企図される。補足的な活性化合物を組成物に組み込むこともできる。
【0195】
治療用組成物は通常、製造及び保管の条件下で無菌及び安定でなければならない。組成物は溶液、マイクロエマルション、リポソーム、または高い薬物濃度に好適な他の秩序構造として製剤化することができる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)、及びそれらの好適な混合物を含有する溶媒または分散媒であることができる。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散の場合には必要とされる粒度の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖類、例えば、マンニトール、ソルビトールのような多価アルコール、または塩化ナトリウムを組成物に含めることが好ましいであろう。注射用組成物の持続的吸収は、組成物中に吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸塩及びゼラチンを含めることによってもたらすことができる。
【0196】
無菌注射液は、必要な量の活性化合物を必要に応じて、本明細書に列挙された成分のうちの1つまたはその組み合わせを伴う適切な溶媒中に組み込み、続いて無菌化精密濾過することによって調製することができる。一般に、分散液は、基本的な分散媒及び本明細書で列挙されたものからの必要とされる他の成分を含有する無菌ビヒクルに活性化合物を組み込むことによって調製される。無菌注射溶液の調製のための無菌粉末の場合、好ましい調製方法は、有効成分に、事前に無菌濾過したその溶液からの任意の追加の所望の成分を加えた粉末が得られる、真空乾燥及びフリーズドライ(凍結乾燥)である。
【0197】
単一剤形を作り出すために担体材料と組み合わせることができる有効成分の量は、治療される対象及び投与の特定の様式に応じて変化するであろう。担体材料と組み合わせて単一剤形を作り出すことができる有効成分の量は一般に、治療効果を生じる組成物の量であろう。一般に、100パーセントのうち、この量は、薬学的に許容される担体と組み合わせて、約0.01パーセント~約99パーセントの有効成分、好適には約0.1パーセント~約70パーセント、または最も好適には約1パーセント~約30パーセントの有効成分の範囲であろう。
【0198】
投与計画は所望の応答(例えば、治療応答)を提供するために調整される。例えば、単回ボーラスが投与されてもよく、複数の分割用量が経時的に投与されてもよく、またはその用量は、治療状況の緊急の要件によって指示されるように比例して減らしてもよく、または増やしてもよい。投与の容易性及び投与量の均一性のために、非経口組成物を単位剤形で製剤化することがとりわけ有利である。本明細書で使用されるとき単位剤形は、治療される対象のための単位の投与量として適する物理的に別々の単位を指し、各単位は、必要とされる医薬担体と共に所望の治療効果を生じるように算出された既定量の活性化合物を含有する。本発明の単位剤形の仕様は、(a)活性化合物の固有の特徴及び達成されるべき特定の治療効果、ならびに(b)個体における感受性の治療のためにそのような活性化合物を調合する技術分野の本質的な限界によって決定付けられ、且つそれに直接依存する。
【0199】
抗体の投与のために、投与量は宿主の体重の1kgあたり約0.0001~100mg/kg、さらに通常は0.01~5mg/kg、5mg/kg~10mg/kg、10mg/kg~15mg/kg、15mg/kg~20mg/kgまたは20mg/kg~25mg/kgに及ぶ。いくつかの態様では、投与量は0.3mg/kg体重、1mg/kg体重、3mg/kg体重、5mg/kg体重または10mg/kg体重または1~10の範囲内mg/kgであることができる。いくつかの態様では、投与量は0.3mg/kg体重、1mg/kg体重、3mg/kg体重、5mg/kg体重、10mg/kg体重、15mg/kg体重、20mg/kg体重、25mg/kg体重または30mg/kg体重、または1~30mg/kgの範囲内であることができる。いくつかの態様では、投与量は、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25mg/kg体重であることができる。いくつかの態様では、投与量は5mg/kg体重であることができる。いくつかの態様では、投与量は15mg/kg体重であることができる。いくつかの態様では、投与量は20mg/kg体重であることができる。いくつかの態様では、投与量は25mg/kg体重であることができる。例となる治療計画は、週に1回、2週ごとに1回、3週ごとに1回、4週ごとに1回、1ヵ月に1回、3ヵ月ごとに1回、または3~6ヵ月ごとに1回の投与を伴う。本発明の抗ヘミチャネル抗体についての好ましい投与計画には、静脈内投与による1mg/kg体重または3mg/kg体重が含まれ、抗体は次の投薬スケジュールのうちの1つを使用して与えられる:(i)6回の投薬について4週ごと、次いで3ヵ月ごと、(ii)3週ごと、(iii)3mg/kg体重を1回、続いて3週ごとに1mg/kg体重。
【0200】
いくつかの方法では、異なる結合特異性を有する2以上のモノクローナルが同時に投与され、その場合、投与される各抗体の投与量は指示される範囲内に入る。抗体は通常、複数の機会に投与される。単回投薬の間の間隔は、例えば、毎週、毎月、3ヵ月ごと、または毎年であることができる。間隔はまた、患者にて標的抗原に対する抗体の血中レベルを測定することによって指定される場合、不定期でもあることもできる。いくつかの方法では、投与量を調整して、約1~1000μg/mLの血漿中抗体濃度を、及びいくつかの方法では、約25~300μg/mLの血漿中抗体濃度を達成する。
【0201】
本発明の医薬組成物における有効成分の実際の投与量レベルは、患者に対して毒性であることなく、特定の患者、組成物、及び投与様式に関して所望の治療反応を達成するのに有効である有効成分の量を得るように変化させてもよい。選択される投与量レベルは、採用される本明細書に開示されている特定の組成物の活性、採用される特定の化合物の投与経路、投与時間、排泄速度、治療の持続期間、採用される特定の組成物と併用される他の薬物、化合物、及び/または物質、治療されている患者の年齢、性別、体重、状態、全般的な健康状態及び既往症を含む種々の薬物動態因子、ならびに医療技術分野にて周知の同様の因子に左右されるであろう。
【0202】
本明細書に開示されている組成物のいずれも、当該技術分野で既知の種々の方法のうちの1以上を使用して1以上の投与経路を介して投与することができる。当業者によって十分に理解されるように、投与の経路及び/または様式は所望の結果に応じて変動するであろう。いくつかの態様では、本明細書に開示されている抗体のための投与経路には、例えば、注射もしくは注入による、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、皮下の投与、または投与の他の非経口経路が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用されるとき、「非経口投与」という語句は通常注射による経腸及び局所投与以外の投与様式を意味し、限定しないで、静脈内、筋肉内、動脈内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内の注射及び注入が挙げられる。
【0203】
併用治療。本明細書に記載されている組成物及び方法は、例えば、MMP13またはコラーゲンXのレベルを低下させる、軟骨の分解を保護し、軽減し、または防止する、滑膜炎を軽減する、変形性関節症、関節リウマチ、軟骨下骨硬化症または腱疾患または腱損傷の1以上の症状を軽減するまたは改善するようにCx43ヘミチャネルの開口を阻害するまたは遮断するためのCx43に対する抗体またはその抗体断片(例えば、抗Cx43抗体またはその断片)を、第2のまたは追加の治療剤または治療法と組み合わせて含むことができる。そのような治療法は、Cx43が介在する滑膜炎、軟骨分解、またはMMP13やコラーゲンXのレベルの上昇に関連する任意の疾患の治療に適用することができる。たとえば、疾患は変形性関節症、関節リウマチ、軟骨下骨硬化症、または腱疾患または腱損傷であってもよい。
【0204】
併用療法を含む方法及び組成物は、治療効果または保護効果を増強し、及び/または別の抗炎症剤、治療剤または治療法の治療効果を高める。治療法及び予防法及び組成物は、MMP13またはコラーゲンXのレベルの低下、軟骨分解の減少、滑膜炎の軽減、及び/または変形性関節症、関節リウマチ、軟骨下骨硬化症、または腱疾患または腱損傷の1以上の症状の軽減または改善のような所望の効果を達成するのに有効な組み合わせた量で提供することができる。このプロセスは、抗体または抗体断片及び第2の治療法の双方と細胞を接触させることを伴ってもよい。組織、腫瘍、または細胞は、薬剤(すなわち、抗体もしくは抗体断片または第2の治療剤)のうちの1以上を含む、1以上の組成物または薬理学的製剤(複数可)と接触させることができ、または組織、腫瘍、及び/または細胞を2以上の別個の組成物もしくは製剤と接触させることによって組織、腫瘍、及び/または細胞を接触させることができ、その際、一方の組成物は、1)抗体または抗体断片、2)第2の治療剤、または3)抗体または抗体断片と第2の治療剤の双方を提供する。また、そのような併用療法が手術療法、例えば、関節置換手術と併せて使用され得ることも企図される。
【0205】
「接触させる」及び「曝露させる」という用語は、細胞に適用されるとき、治療用構築物及び第2の治療剤が標的細胞に送達される、または標的細胞と直接並置して配置されるプロセスを説明するために本明細書で使用される。所望の結果を達成するために、例えば、双方の薬剤を、所望の結果に有効な組み合わせた量で細胞に送達することができる。
【0206】
抗Cx43抗体またはその断片は、第2の治療剤または治療法の前に、最中に、後で、またはそれに関して種々の組み合わせで投与することができる。投与は、同時に、から数分、数日、数週間に至る範囲の間隔で行われてもよい。抗体または抗体断片が第2の治療剤または治療法とは別に患者に提供される態様では、一般に、それぞれの送達時間の間に有効期限が切れてしまわない十分な時間を確保するので、2つの化合物は患者に対して有利に併用された効果を依然として発揮することができる。そのような例では、抗体療法と第2の治療剤または治療法を互いに対して約12~24時間または72時間以内に、さらに具体的には互いに対して約6~12時間以内に患者に提供してもよいことが企図される。いくつかの状況では、それぞれの投与の間に、数日間(2、3、4、5、6、または7日間)から数週間(1、2、3、4、5、6、7、または8週間)が経過する状態で、治療のための期間をかなり延長させることが望ましくてもよい。
【0207】
いくつかの態様では、治療の過程は、1~90日間またはそれ以上(このような範囲は介在する日を含む)続くことができる。1つの薬剤が1日目から90日目(このような範囲は介在する日を含む)のいかなる日にも、もしくはこれらの日の任意の組み合わせで投与されてもよく、または別の薬剤が1日目から90日目(このような範囲は介在する日を含む)のいかなる日にも、またはこれらの日の任意の組み合わせで投与されることが企図される。1日(24時間の期間)以内に、患者は薬剤(複数可)の1回投与または複数回投与を受けてもよい。さらに、治療の経過後に、第2の治療剤または治療法が施されない期間があり得ることが企図される。この期間は、例えば、患者の予後、耐久力、健康状態等のような患者の状態に応じて、1~7日間、及び/または1~5週間、及び/または1~12ヵ月間またはそれ以上(このような範囲は介在する日を含む)続いてもよい。治療周期は必要に応じて繰り返されることが予想される。
【0208】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている抗Cx43抗体またはその断片は、手術の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10日以上後に投与することができる。いくつかの態様では、手術は内側半月板の不安定化手術であることができる。いくつかの態様では、手術は変形性関節症の治療のための一種の手術であることができる。いくつかの態様では、手術は軟骨置換手術(例えば、人工体内プロテーゼ)または関節形成術であることができる。いくつかの態様では、手術は腱修復手術であることができる。いくつかの態様では、手術は関節リウマチの治療に関連することができる。いくつかの態様では、手術は関節置換術、関節固定術、または滑膜切除術であることができる。いくつかの態様では、本明細書に開示されている抗Cx43抗体またはその断片は1日以上の間隔を置いて1回以上投与され得る。いくつかの態様では、本明細書に開示されている抗Cx43抗体またはその断片の2回目、3回目、4回目、5回目のような投与は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、または7日空けることができる。いくつかの態様では、本明細書に開示されている抗Cx43抗体またはその断片は、1週間以上の間隔を置いて1回以上投与され得る。いくつかの態様では、本明細書に開示されている抗Cx43抗体またはその断片の2回目、3回目、4回目、5回目のような投与は、1週、2週、3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週または12週空けることができる。いくつかの態様では、本明細書に開示されている抗Cx43抗体またはその断片は1ヵ月以上の間隔を置いて1回以上投与され得る。いくつかの態様では、本明細書に開示されている抗Cx43抗体またはその断片の2回目、3回目、4回目、5回目のような投与は、1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月、4ヵ月、5ヵ月、6ヵ月、7ヵ月、8ヵ月、9ヵ月、10ヵ月、11ヵ月または12ヵ月空けることができる。いくつかの態様では、本明細書に開示されている抗Cx43抗体またはその断片は、種々の間隔、日、週、月、またはそれらの任意の組み合わせによって隔てられて1回以上投与され得る。
【0209】
種々の組み合わせが採用されてもよい。例えば、以下で、抗体療法は「A」であり、第2の治療剤または治療法は「B」である:
A/B/A B/A/B B/B/A A/A/B A/B/B B/A/A A/B/B/B B/A/B/B B/B/B/A B/B/A/B A/A/B/B A/B/A/B A/B/B/A B/B/A/A B/A/B/ A B/A/A/B A/A/A/B B/A/A/A A/B/A/A A/A/B/A。
【0210】
本明細書に開示されている任意の化合物または療法の患者への投与は、もしあるなら、薬剤の毒性を考慮して、そのような化合物の投与のための一般的プロトコールに従うであろう。したがって、いくつかの態様では、併用療法に起因し得る毒性をモニタリングするステップがあり得る。
【0211】
キット及び診断法
本明細書に開示されているのは、1以上の治療剤及び/または他の治療剤及び送達剤を含むキットである。いくつかの態様では、キットは本明細書に開示されている治療を準備する及び/または施行するのに使用することができる。キットは、本明細書に開示されている医薬組成物のいずれかを含有する1以上の密封されたバイアルを含んでもよい。キットは、例えば、少なくとも1つの抗Cx43抗体またはその断片、と同様に本明細書に開示されている組成物の1以上の成分を調製する、製剤化する及び/または投与するための、または本発明の方法の1以上のステップを実行するための試薬を含んでもよい。いくつかの態様では、キットはまた、エッペンドルフチューブ、アッセイプレート、注射器、ボトル、またはチューブのようなキットの構成要素と反応しない容器であることができる好適な容器も含んでもよい。容器は、プラスチックまたはガラスのような滅菌可能な材料で作られてもよい。
【0212】
キットはさらに、本明細書に記述されている方法の手順ステップの概要を説明し、本明細書に記載されているのと実質的に同じ手順に従うであろう、または当業者に知られている使用説明シートを含んでもよい。使用説明情報は、コンピューターを使用して実行されると、薬学的に有効な量の治療剤を送達する実際のまたは仮想の手順の表示をもたらす機械可読な使用説明を含有するコンピューター可読媒体にあってもよい。
【実施例】
【0213】
以下に続く実施例において開示されている技術は、本発明の実践において良好に機能するように本発明者によって見いだされた技術を表し、従って、従ってその実践に好ましい様式を構成すると見なすことができることが当業者に理解されるべきである。しかしながら、当業者は本開示に照らして、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、開示されている具体的な実施形態では多くの変更が行われ得るが、それでも同様のまたは類似する結果を得ることができることを理解すべきである。
【0214】
実施例1-コネキシン43ヘミチャネルを遮断することによる変形性関節症の進行の抑制
初代マウス軟骨細胞にて、臭化エチジウム色素取り込みアッセイは、M1抗体がIL-1β処理によって誘導されるHCの開口を遮断することを示した。OAの進行におけるCx43ヘミチャネルの機能を検討するために、オスC57BL/6マウスにて内側半月板の外科的な不安定化(DMM)によって外傷後OAモデルを誘導した。M1抗体または生理食塩水を、手術後の8週の間に2回、腹腔内注射により投与した。軟骨分解及び滑膜炎は組織学と免疫組織化学によって分析した。生理食塩水群と比較して、M1抗体処理は、MMP13及びコラーゲンXのレベルの低下と共にOARSIスコアリングシステムで定量されるように軟骨の完全性を有意に改善し、滑膜炎の程度を低下させた。軟骨下骨硬化症のマイクロコンピューター断層撮影法(μCT)は、Cx43ヘミチャネルの阻害後にBV/TV、Tb.Thの減少、及びTb.Spの増加を示した。さらに、Von Freyフィラメント試験及びオープンフィールド試験では、M1抗体処理後のDMMマウスにおけるOA関連の疼痛症状が改善された一方で、偽手術マウスでの生理食塩水処理と抗体処理の間には差異が観察さなかった。この結果は、M1抗体が主に滑膜領域に局在していたこと、及びM1抗体投与後2週間以上経過してもシグナルが検出されたことも示している。生体内での色素取り込み及び免疫蛍光アッセイによって、Cx43を発現する滑膜細胞におけるOAが誘導されるヘミチャネル開口の遮断におけるM1抗体の役割をさらに検証した。総合すると、これらの結果は、M1抗体がCx43ヘミチャネルを標的とすることがOA進行中の関節の異化環境及び炎症環境を軽減するために使用できる治療戦略であることを示唆している。同様の作用機序により、M1抗体療法は関節リウマチ(RA)及び他の腱疾患や腱損傷にも適用されてもよい。
【0215】
材料及び方法動物及び手術モデル。使用したマウスはC57BL/6バックグラウンドのものだった。マウスは、病原体が存在しない特定の条件下で12時間の明暗サイクルにて温度管理された部屋で飼育された。食物及び水は自由に摂取させた。
【0216】
内側半月板(DMM)の不安定化手術をマウスの右膝関節にて実施した(Glasson SS,et al.Osteoarthritis and cartilage.2007;15(9):1061-9)。手短に言えば、遠位膝蓋骨から近位脛骨プラトーまで3mmの縦方向の切開を行った。膝蓋腱のすぐ内側の関節包を#15の刃で切開し、マイクロ虹彩ハサミで関節包を開いた。次いで、顆間領域上の脂肪体の鈍的切開を実行して顆間領域を露出させ、内側半月板の半月脛骨靱帯を可視化した。鈍的切開時の脂肪体からの軽度の出血は、吸収槍からの圧力によって制御した。微細手術用ナイフで内側半月板靭帯を切断し、刃を近位側方に向けると、内側半月板が不安定化した(DMM)。偽手術は靭帯を可視化した状態で行われたが、靭帯を切断しなかった。
【0217】
組織診断。変形性関節症(OA)の誘導の8週後、DMMマウスと偽手術マウスから単離した大腿骨と脛骨を4%パラホルムアルデヒドで2日間固定し、その後10%EDTA(pH7.5)で3週間脱灰した。試料をパラフィンに包埋し、厚さ5μmの切片をスライドガラス上に載せた。切片をキシレン中で脱パラフィンし、続いて段階的に一連のアルコール洗浄を行った。軟骨分解の程度を判定するために、切片をサフラニンO/ファストグリーンで染色した。OARSIスコア化を行って、膝関節の関節軟骨破壊を評価した(Glasson SS,et al.Osteoarthritis and cartilage.2010;18,Suppl 3:S17-23)。具体的には、大腿骨内側顆と脛骨内側プラトーの双方を、関節の3段階切片を介して分析したが、OAの重症度は関節全体の平均スコアと合計スコアとして表現する。
【0218】
滑膜炎の程度は、滑膜肥厚と滑膜過形成を考慮して決定し、0~3のスケール(0、滑膜炎なし、1、軽度の滑膜炎、2、中等度の滑膜炎、及び3、重度の滑膜炎)でスコア化する(Krenn V,et al.Pathology,research and practice.2002;198(5):317-25;及びHuesa C,et al.Annals of the rheumatic diseases.2016;75(11):1989-97)。盲検組織形態計測評価を実施した。
【0219】
免疫組織化学。ABC(アビジン-ビオチン-ペルオキシダーゼ複合体)免疫染色アッセイキット(Vector Laboratories、PK-6101)を使用した。手短に言えば、MMP13染色にはクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)を65℃で2時間使用し、コラーゲンX染色にはトリプシン消化緩衝液(pH7.8)を37℃で30分間使用して、骨組織切片の抗原マスクを外した。次いで、骨組織切片をヤギ正常血清で室温にて20分間処理して、非特異的なバックグラウンド染色を阻止した。組織切片を抗MMP13ポリクローナル抗体(1:200希釈、Abcam、ab39012)で染色した、または抗コラーゲンXモノクローナル抗体(1:100希釈、Thermo Fisher、14-9771-82)で4℃にて一晩標識した。次に、切片をビオチン標識二次抗体及びVECTASTAIN ABC試薬と共に30分間インキュベートした。試料をPBS緩衝液で洗浄し、DAB(SK4100)色原体溶液(Vector Laboratories,Burlingame,CA,USA)で発色させた。次に、組織をVECTORヘマトキシリン(H-3401)によって室温にて5分間対比染色した。次いで、スライドを脱水し、透徹し、標本にした。切片はKeyence顕微鏡(BZ-X710,Keyence,Osaka,Japan)を使用して写真撮影した。MMP13またはCol Xの陽性軟骨細胞の割合はNIH Image Jソフトウェアを使用して定量した。
【0220】
免疫蛍光染色。摘出した大腿骨と脛骨を4%パラホルムアルデヒドで2日間固定した後、10%EDTA(pH7.5)で3週間脱灰し、その後30%スクロース/PBSで3日間脱水した。試料をTissue-Tek CRYO OCTコンパウンド(Thermo Fisher Scientific,Pittsburgh,PA,USA)に包埋し、厚さ12μmの切片をスライドガラス上に載せた。切片をPBS中の2%ヤギ血清、2%魚皮ゼラチン、0.025%Triton X-100及び1%ウシ血清アルブミンでブロックし、透過処理した。切片を、Cx43(CT)に対するアフィニティー精製抗体(1:100)(Cherian PP,et al.The Journal of biochemist.2003;278(44):43146-56)と共に4℃で一晩インキュベートし、適切な二次抗体と共に1時間インキュベートした。Vectashield封入剤(H-1000、Vector Lab)を使用してスライドを標本にした。共焦点蛍光画像処理は、共焦点レーザー走査顕微鏡(LSM770,Carl Zeiss,Oberkochen,Germany)を使用して実行した。
【0221】
動物行動試験。足引っ込め閾値は、von Freyフィラメント0.007~2を使用して測定した。マウスを、金網グリッドの上に吊り下げられたアクリルチャンバー(5.5×10cm)に入れ、実験前に30分間試験装置に順応させた。マウスが動いていないときに、von Freyフィラメントを足の足底面にフィラメントが座屈するまで押し当て、最大3秒間保持した。フィラメントを適用したときに足が敏速に引っ込められると、陽性反応が認められた。フィラメントを除去した直後のひるみも陽性反応と見なした(Chaplan SR,et al.Journal of Neuroscience Methods.1994;53(1):55-63;及びBonin RP,et al.Molecular pain.2014;10:26)。試験はフィラメント番号0.4から始まり、アップダウン法に従って進めた。
【0222】
自発運動活動はオープンフィールド試験を使用して分析した。マウスを25×25×25cmの容器の中心に置き、自由に探索できるようにした。実験は10分間行った。総移動距離と不動時間はコンピューター分析によって測定した。マウスの行動を記録し、ANY-迷路行動追跡ソフトウェア(Stoelting Co.,Wood Dale,IL,USA)を使用してビデオを分析した。
【0223】
マイクロコンピューター断層撮影。行動試験の後、マウスを屠殺し、後肢を直ちに取り出し、4%パラホルムアルデヒドで固定した。軟骨下骨の構造特性は、μCT画像処理システム(Bruker SkyScan 1173;Bruker microCT,Kontich,Belgium)の3D再構成を使用して評価した。試料は、次の設定:60kV、167mAビーム強度、0.5mmアルミニウムフィルター、0.7°回転ステップ、4フレーム平均、1090ms積分時間、1024×1024ピクセルマトリックス、及び10μm等方性ボクセル寸法にて生理食塩水中で走査した。走査後、サイズが4ピクセル未満の切断された物を除去することによって画像からノイズを除去した。形態計測分析は、脛骨顆が完全に融合した最初の切片から始めて、近位方向に延びる50の切片に対して実行した。輪郭ツールを使用して主要な切片上で軟骨下骨を皮質シェルから手動で分割し、すべての切片で海綿骨を分割するために輪郭を自動的に変形させた。形態計測を再構築し、分析した。8ビット切片のセットのグレースケール値95を閾値として設定し、両群のグレースケール画像と二値化画像を比較した後、標本に適用した。閾値処理後、BV/TV(%)、Tb.Th(mm)、Tb.Sp(mm)、及びTb.N(mm-1)を定量した。
【0224】
生体内色素取り込みアッセイ。エバンスブルー色素(Mw:900Da)(200mg/kg)及びFITC-デキストラン(Mw:10,000Da)(200mg/kg)を抗体処理の4日後に尾静脈から同時注射した。色素の投与から1時間後、マウスを麻酔し、冷PBSと4%パラホルムアルデヒドを使用して心臓灌流を実施した。双方の後肢を摘出し、凍結切片に備えた。切片をDAPIで染色し、Keyence顕微鏡(BZ-X710,Keyence,Osaka,Japan)を使用して写真撮影した。色素取り込みの強度はNIH Image Jソフトウェアによって定量した。
【0225】
統計解析。GraphPad Prism5統計ソフトウェア(GraphPad)を使用して統計解析を行った。データは平均値±SEMとして提示する。統計解析にはT検定及びTukeyの検定による二元配置分散分析を使用した。星印は、対照と比較した有意差の程度を示す(*P<0.05;**P<0.01;***P<0.001)。
【0226】
結果。Cx43ヘミチャネルの阻害はOAの組織病理学的変化を改善する。OA進行におけるCx43ヘミチャネルの機能を検討するために、オスC57BL/6マウスにて内側半月板の外科的な不安定化(DMM)によって外傷後OAモデルを誘導した。抗Cx43ヘミチャネル遮断抗体(M1抗体)または生理食塩水を2回、手術後30分及び4週の時点で、腹腔内注射により投与した(
図1A)。サフラニンO/ファストグリーンの組織染色を利用して、国際変形性関節症学会(OARSI)スコア化システム(Glasson SS,etal.Osteoarthritis and cartilage.2010;18Suppl3:S17~23)を使用して決定された関節軟骨損傷の重症度を2人の盲検観察者によって可視化した(
図1B~D)。OAのDMM誘導の8週後に、マウスは、プロテオグリカン喪失及び軟骨びらんを特徴とするOAの病理学的変化を示し(
図1B)、内側脛骨プラトー(MTP)及び内側大腿顆(MFC)における平均OARSIスコアはそれぞれ1.95±0.11及び1.72±0.18であった。生理食塩水処理群と比較して、M1抗体処理は、軟骨変性の重症度における顕著な保護、及び内側脛骨プラトー及び内側大腿顆の双方におけるOARSIスコアの有意な低下を示した(
図1C)。生理食塩水またはM1抗体処理のいずれかを受けた偽手術マウスは、関節軟骨に病理学的変化を示さなかった(
図1C)。MTPとMFCの関節の3段階切片を介したOARSIスコアの合計も定量し、さらに、M1抗体処理後に関節軟骨の構造的完全性が有意に改善することを検証した(
図1D)。さらに、滑膜過形成を滑膜炎スコアによって定量した(Krenn Vet al.Pathology,Research and Practice.2002;198(5):317-25;及びHuesa C,et al.Annals of the rheumatic places.2016;75(11):1989-97)。結果は、生理食塩水処理群と比較して、M1抗体処理群における滑膜炎の程度の顕著な低下を示した(
図2A及びB)。
【0227】
Cx43ヘミチャネルの阻害は、OAによって誘導されるマトリックスタンパク質とプロテアーゼのレベルを低下させる。コラーゲンX(ColX)は肥大軟骨細胞の最も重要なマーカーの1つであり、マトリックスメタロプロテイナーゼ13(MMP13)は関節軟骨の主要な形態であるII型コラーゲンの切断にて最も強力な酵素である。ColX及びMMP13の低下がM1抗体の軟骨保護効果の根底にあってもよいかどうかを調べた。免疫組織化学を使用して、DMMの8週後に、Col X陽性細胞の割合はビヒクル処理マウスの52%からM1抗体処理マウスの38%に減少した(
図3)。同様に、発現を解析するためにMMP13の免疫組織化学的染色を行った。結果は、生理食塩水で処理したDMMマウスにおけるMMP13陽性軟骨細胞が、大腿骨顆と脛骨顆の関節軟骨の3つのゾーンに分布していることを示した。対照的に、M1抗体処理マウスにおけるMMP13陽性軟骨細胞は主に中部ゾーン及び深部ゾーンに局在していた(
図4A)。DMMの8週間後、関節軟骨におけるMMP-13陽性細胞の割合は、生理食塩水処理マウスの36%からM1抗体処理マウスの27%に減少した(
図4B)。マウスまたはウサギのIgGをアイソタイプ対照として使用したが(
図3A及び
図4A、下のパネル)、反応性を示さなかった。
【0228】
Cx43ヘミチャネルの阻害はOAの軟骨下骨硬化症を軽減する。OAは異常な軟骨下骨リモデリングも特徴とするので、軟骨下骨の微細構造に対するCx43ヘミチャネル阻害の影響を研究するために、マイクロCT解析を実行した。手術の8週後のDMMマウスの3Dレンダリング及び再構成走査は、偽手術を受けたマウスと比較して、内側軟骨下板の厚さを含む膝関節の変化及び軟骨下骨の顕著な硬化を示した(
図5A)。一貫して、マイクロCT分析は、偽手術と(
図5B、C及びE)と比較してDMM後のマウスの脛骨軟骨下骨における相対骨体積分率(骨体積/総体積、BV/TV)、小柱厚(Tb.Th)、及び骨ミネラル密度(BMD)が増加していることを明らかにした。生理食塩水で処理したDMMマウスと比較して、抗Cx43抗体の投与は脛骨軟骨下骨における小柱分離(Tb.Sp)の上昇(
図5D)と共に、BV/TV、Tb.Th及びBMDの有意な減少を示し(
図5B、C及びE)、Cx43ヘミチャネルの遮断がOAの軟骨下骨硬化症を軽減することを示している。
【0229】
Cx43ヘミチャネルの阻害によってOA関連の疼痛症状が軽減される。OAの進行には二次的な臨床症状が伴い、最も顕著なのは疼痛である(Felson DT.Arthritis research & therapy.2009;11(1):203)。機械的異痛症は、偽手術またはDMM手術をした後足の足底表面に2つの時点で適用されるvon Freyフィラメントに対する引っ込み閾値によって測定した。DMMの4週後、生理食塩水で処理したマウスと比較して、Cx43ヘミチャネルの阻害は、機械的刺激に対する反応閾値がわずかに増加する傾向を示した(
図6B)。DMMの8週後、M1抗体処理を受けたマウスは、生理食塩水処理したDMMマウスで観察された値の121.4%の足引っ込め閾値を示したが(
図6C)、これはマウスが生理食塩水処理群よりもはるかに少ない疼痛を経験することを意味している。さらに、生理食塩水/M1抗体で処理した偽手術またはDMM手術後の動きを定量するためにマウスをオープンフィールド試験に供することによって自発運動をモニターした。DMMの4週後、生理食塩水群と比較して、Cx43抗体処理マウスでは移動距離が増加し、不動時間が減少する傾向があった(
図7B及びE)。DMMの8週後、生理食塩水処理DMMマウスは、偽手術マウスと比較して移動距離の減少及び不動時間の増加を示した一方で、M1抗体処理はこれらの疼痛反応を抑制した(
図7C及びF)。von freyフィラメント試験による足引っ込め閾値(
図6A)、オープンフィールド試験による移動距離及び不動時間(
図7A及びD)に関して、8週目の偽手術マウスの生理食塩水処理とM1抗体処理との間に差異は観察されなかった。
【0230】
M1抗体は滑膜に結合し、OAにおけるヘミチャネルの開口を阻害する。軟骨の隙間がない性質と抗体のサイズが大きいため、抗体は軟骨基質に浸透できないという認識が広く受け入れられている。膝関節領域における抗体結合パターンを決定するために、ヒトIgGエピトープを持つM1抗体(25mg/kg)または生理食塩水をDMM手術の30分後に腹腔内(ip)注射した。図(
図8A)に示すように、注射の1週後または2週後に後肢を摘出する前に、マウスを安楽死させ、灌流した。凍結組織切片を調製し、Alexa Fluor 594結合抗ヒトIgG二次抗体で免疫標識した。シグナルは、抗体投与の1週後及び2週後の双方で検出可能であり、抗体結合部位は主に滑膜領域に局在していた(
図8B)。関節の滑膜は、滑液の貪食を担うマクロファージ様のA型細胞と、下にある関節軟骨に栄養を与え、機械的に保護するためにヒアルロン酸とムチンを産生する線維芽細胞様のB細胞で構成されている(Donahue HJ,et al.Nature reviews Rheumatology.2017;14(1):42-51)。次いで、切片をマクロファージマーカーCD68で免疫標識し、M1抗体は滑膜領域にてCD68と共局在していた(
図9)。さらに、M1抗体と滑膜線維芽細胞マーカーであるペリオスチンの共局在も観察された(
図10)。
【0231】
生体内でのCx43ヘミチャネル活性を測定するために、エバンスブルー色素取り込みアッセイを実施した。DMM手術の30分後に生理食塩水またはCx43抗体(M1抗体)(25mg/kg)でマウスを処理した。エバンスブルー色素(200mg/kg)の尾静脈注射は、処理の2週後に実行し、滑膜領域でのエバンスブルー色素の取り込み強度を定量した。結果は、DMMがヘミチャネルの開口を2倍増加させ、それはM1抗体投与によって阻止できることを示した(
図11A及びB)。生理食塩水処理マウスから調製した凍結切片をM1抗体で免疫標識し、さらに、Cx43を発現する滑膜細胞における変形性関節症が誘導するヘミチャネル開口の遮断におけるM1抗体の役割を検証した(
図11C)。
【0232】
抗Cx43ヘミチャネル抗体(M1抗体)の単回投与はOAの重症度を改善する。M1抗体の1回投与がOAの進行を遅らせる効果を示すかどうかを検討した。抗Cx43ヘミチャネル抗体(M1抗体)または生理食塩水を、手術後30分に腹腔内注射により1回だけ投与し、行動試験を行い、その後、DMMの8週後に組織検査のためにマウスを屠殺した(
図12A)。サフラニンO/ファストグリーン染色の結果は、生理食塩水対照と比較して、M1抗体処理後のプロテオグリカン損失及び軟骨びらんが少ないことを示した(
図12B)。OARSIスコアによる軟骨変性の定量は、M1抗体処理を施したDMMマウスにおける内側脛骨プラトー及び内側大腿顆の双方にて有意な減少を示した(
図12C)。さらに、MMP13スコアは、積分光学密度(IOD)の関節軟骨面積に対する比として決定され、生理食塩水処理マウスの0.17±0.016からM1抗体処理マウスの0.10±0.009まで低下した(
図13)。DMMの8週後、生理食塩水で処理したマウスと比較して、Cx43ヘミチャネルの阻害は、機械的刺激に対する足引っ込め閾値がわずかに増加する傾向を示した(
図14A)。一貫して、生理食塩水対照と比較して、M1抗体処理を行ったDMMマウスでは、移動距離の有意な増加及び不動時間の減少があった(
図14B)。
【0233】
結論。結果は、抗Cx43ヘミチャネル抗体(M1抗体)の投与が、DMM誘発OAモデルにて関節軟骨変性、滑膜炎の程度、及びMMP13/ColXの発現を減少させることを示唆している。軟骨下骨硬化症のマイクロCT分析は、Cx43ヘミチャネルの阻害後にBV/TV、Tb.Thの減少、及びTb.Spの増加を示している。さらに、Von Freyフィラメント試験及びオープンフィールド試験は、抗体処理したDMMマウスにてOA関連の疼痛症状の改善と可動性の改善を示した。生体内での色素取り込み及び免疫蛍光アッセイによって、Cx43を発現する滑膜細胞におけるOAが誘導したHC開口の遮断における抗Cx43ヘミチャネル抗体の役割を検証した。総合すると、結果は、Cx43ヘミチャネルを標的とすることがOA進行中の関節の異化環境及び炎症環境を軽減するために使用することができる治療戦略であることを示唆している。
【0234】
実施例2-抗Cx43ヘミチャネル抗体(M1抗体)は変形性関節症滑膜炎を減らし、Cx43ヘミチャネルの開口と炎症遺伝子の発現を阻止する
色素取り込みアッセイ。細胞を0.1mM臭化エチジウム(EtBr、MW394Da)及び1mg/mlのFITC-デキストラン(MW10kDa)の混合物と共に5分間インキュベートした。EtBrはヘミチャネル活性を検出するためのトレーサーとして使用し、FITCデキストランは大きすぎてヘミチャネルを通過できないが、死にかけている細胞に取り込まれ、陰性対照として使用した。次いで細胞をPBSで5回洗浄し、続いて2%パラホルムアルデヒドで10分間固定した。20倍の蛍光顕微鏡(Keyence,BZ-X710,Osaka,Japan)のもとで蛍光視野の少なくとも6枚の顕微鏡写真を得た。各画像について、ImageJソフトウェア(NIH,Bethesda,USA)を使用して、少なくとも30の無作為な細胞からEtBr蛍光の平均強度を測定し、及び定量した。実験を3回繰り返し、回収したデータは任意の単位のピクセル平均値として示した。
【0235】
RNAの単離及びリアルタイムPCR。製造元の指示書に従ってTRI試薬(Molecular Research Center,Cincinnati,USA)を使用して、RAW264.7細胞及びSW982細胞から全RNAを単離した。Nanodrop2000によるRNAの定量後、大容量RNA-to-cDNAキット(Thermo Fisher Scientific,Waltham,USA)を使用して1μgの全RNAからcDNAを合成した。リアルタイムPCRは、ABI7900PCR装置(Thermo Fisher Scientific)及びSYBR Green(Biorad、Hercules、USA)を使用し、2段階プロトコール(94℃で15秒間及び60℃で60秒間)で実行した。ΔΔCT法をqPCRデータ解析に使用した。GAPDHをハウスキーピング遺伝子対照として使用した。実験は3つ組で実施した。
【0236】
結果。遅延した抗Cx43ヘミチャネル抗体(M1抗体)処理はOA滑膜炎を減らした。抗Cx43ヘミチャネル抗体(M1抗体)の遅延投与もOA進行の緩和に効果を示すかどうかを調べた。手術直後の抗体処理の代わりに、DMM手術の10日後から開始して抗Cx43ヘミチャネル抗体(M1抗体)または生理食塩水を腹腔内注射し、その後、手術のそれぞれ25日後及び40日後に2回目及び3回目を注射した。DMM手術の8週後に組織検査のためにマウスを屠殺した(
図16A)。滑膜過形成を滑膜炎スコアによって定量した。結果は、生理食塩水処理群と比較して、抗Cx43ヘミチャネル抗体(M1抗体)処理群にて滑膜炎の程度の有意な低下を示した(
図16B及びC)。
【0237】
抗Cx43ヘミチャネル抗体(M1抗体)は、RAW264.7細胞及びSW982細胞にてCx43ヘミチャネルの開口と炎症遺伝子の発現を阻止した。抗Cx43ヘミチャネル抗体(M1抗体)は主に生体内で滑膜マクロファージや線維芽細胞を含む滑膜領域に結合するので、マウスマクロファージRAW264.7細胞とヒト滑膜線維芽細胞SW982細胞を試験管内で培養し、炎症条件下でのCx43ヘミチャネルの役割を研究した。Cx43ヘミチャネルの活性はEtBr色素取り込みアッセイを使用して測定した。RAW264.7細胞またはSW982細胞は、それぞれリポ多糖(LPS)処理またはインターロイキン1β(IL1β)処理に供した。
図17に示すように、LPS及びIL1βは、Cx43ヘミチャネル開口の有意な増加を誘導したが、これは、Cx43E2遮断抗体(2μg/ml)またはカルベノキソロン(CBX)によって無効にすることができた。次に、MMP3/13、シクロオキシゲナーゼ2(COX2)、トロンボスポンジン1型モチーフ4を有するADAMメタロペプチダーゼ(Adamts4)、及びIL6の遺伝子発現を、RAW264.7細胞のLPS処理後にCx43E2抗体の存在下または非存在下で測定した(
図18)。これらの炎症遺伝子は、LPSによって誘導される有意な上方調節を示した一方で、これらの変化はCx43E2抗体で前処理した細胞では著しく低下した。さらに、MMP3/13、COX2、Adamts4/5、及び一酸化窒素合成酵素2(NOS2)の遺伝子発現をIL1β処理SW982細胞にて評価した(
図19)。Cx43E2遮断抗体は、IL1β処理後にこれらの炎症遺伝子の発現を大幅に低下させた。上記の結果は、Cx43ヘミチャネルがマクロファージ及び滑膜線維芽細胞にて炎症遺伝子の発現を調節するのに重要な役割を担っていることを示している。
【0238】
本明細書に開示され請求されている方法は全て本開示に照らして、過度の実験をすることなく作成し、実行することができる。本発明の組成物及び方法が好ましい実施形態に関して記載されたが、本発明の概念、精神、または範囲から逸脱することなく、本明細書に記載されている方法に及びステップにおいてまたは方法のステップの順序において変形が適用されてもよいことが当業者には明らかであろう。さらに具体的には、化学的及び生理学的の双方に関連するある特定の薬剤が本明細書に記載されている薬剤に置き換えられてもよく、それでも同一または類似の結果が達成されるであろうことが明らかであろう。当業者に明確なそのような類似の置換及び修正はすべて、添付の特許請求の範囲により定義されるような本発明の精神、範囲、及び概念の範囲内にあると見なされる。
【配列表】
【国際調査報告】