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特表2024-504622脊髄性筋萎縮症のサイレントキャリアを検出するための方法、組成物、およびシステム
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  • 特表-脊髄性筋萎縮症のサイレントキャリアを検出するための方法、組成物、およびシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】脊髄性筋萎縮症のサイレントキャリアを検出するための方法、組成物、およびシステム
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6827 20180101AFI20240125BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20240125BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALI20240125BHJP
   C12Q 1/6876 20180101ALI20240125BHJP
【FI】
C12Q1/6827 Z ZNA
C12N15/11 Z
C12Q1/6851 Z
C12Q1/6876 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542695
(86)(22)【出願日】2022-01-14
(85)【翻訳文提出日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 US2022012470
(87)【国際公開番号】W WO2022155442
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】63/137,889
(32)【優先日】2021-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511172461
【氏名又は名称】ラボラトリー コーポレイション オブ アメリカ ホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】オカモト, パトリシア
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, ジェンシー
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA17
4B063QQ03
4B063QQ12
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QQ58
4B063QR08
4B063QR56
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
本開示は、脊髄性筋萎縮症(SMA)のサイレントキャリアを検出するための方法、組成物およびシステムに関する。方法は、T>G変異の存在を検出するためにSMN1遺伝子増幅産物におけるrs143838139を分析することによって、標的遺伝子増幅産物(例えば、SMN1(2+0)遺伝子型)の有無を検出するための核酸サンプルを分析する工程を含む。分析方法は、TaqMan PCRであり得る。本明細書に開示される方法の実施形態を実施するまたは組成物を使用するためのシステムおよびキットも開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象を脊髄性筋萎縮症(SMA)のサイレントキャリアとして同定するための方法であって、
(a)核酸サンプルを対象から得る工程;
(b)標的遺伝子増幅産物の有無を検出することを含む、該核酸サンプルを分析する工程;および
(c)該標的遺伝子増幅産物が存在する場合に該対象をSMAのサイレントキャリアとして特徴付ける工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記核酸サンプルを分析する工程がリアルタイムPCRアッセイを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記核酸サンプルを分析する工程が、SMN1のエクソン7またはその部分を分析することを含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
配列番号1を含むプライマーおよび配列番号2を含むプライマー、または配列番号1および配列番号2に対して少なくとも99%、もしくは98%、もしくは97%、もしくは96%、もしくは95%、もしくは90%、もしくは85%、もしくは80%同一である核酸配列を含むプライマーが、SMN1のエクソン7またはその部分を分析するために使用される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記核酸サンプルを分析する工程が、SMN1遺伝子増幅産物中のrs143838139を分析してT>G変異の存在を検出することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記核酸サンプルを分析する工程が、特異的Taqmanプローブを使用するSMN1遺伝子増幅産物中のrs143838139の標的化分析を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
野生型SMN1遺伝子増幅産物が、該野生型SMN1遺伝子増幅産物に特異的な標識された核酸プローブで検出される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記プローブが配列番号3を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
変異体SMN1遺伝子増幅産物が、該変異体SMN1遺伝子増幅産物に特異的な標識された核酸プローブで検出される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記プローブが配列番号4を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記2種のプローブが異なるフルオロフォアで標識されている、請求項6~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
データが収集された後に各蛍光色素チャネルについてCtが決定される、請求項2~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記曲線Ctが所定の閾値よりも低いか否かによってアレルの有無が決定される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記対象がヒトである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記サンプルが血液サンプルである、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の方法を使用して対象を脊髄性筋萎縮症(SMA)のサイレントキャリアとして同定するためのシステムであって、以下の工程:
(a)核酸サンプルを対象から得る工程;
(b)標的遺伝子増幅産物の有無を検出することを含む、該核酸サンプルを分析する工程;および
(c)該標的遺伝子増幅産物が存在する場合に該対象をSMAのサイレントキャリアとして特徴付ける工程
のうちの少なくとも1つを実施するための少なくとも1つのステーションまたはコンポーネントを含む、システム。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか一項に記載の方法を使用して対象を脊髄性筋萎縮症(SMA)のサイレントキャリアとして同定するためのキットであって、以下の工程:
(a)核酸サンプルを対象から得る工程;
(b)標的遺伝子増幅産物の有無を検出することを含む、該核酸サンプルを分析する工程;および
(c)該標的遺伝子増幅産物が存在する場合に該対象をSMAのサイレントキャリアとして特徴付ける工程
のうちの少なくとも1つを実施するための構成成分を含む、キット。
【請求項18】
SMN1遺伝子コピー中に存在するアレルを対象において同定することによって、該対象を脊髄性筋萎縮症(SMA)のサイレントキャリアとして同定するための組成物。
【請求項19】
SMN1遺伝子中のrs143838139を分析してT>G変異の存在を検出するための構成成分を含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
配列番号1の核酸配列を含むプライマーおよび/もしくは配列番号2の核酸配列を含むプライマー、または配列番号1の核酸配列および/もしくは配列番号2の核酸配列に対して少なくとも99%、もしくは98%、もしくは97%、もしくは96%、もしくは95%、もしくは90%、もしくは85%、もしくは80%同一である核酸配列を含むプライマーを含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
配列番号3の核酸配列を含むプローブおよび/もしくは配列番号4の核酸配列を含むプローブ、または配列番号3の核酸配列および/もしくは配列番号4の核酸配列に対して少なくとも99%、もしくは98%、もしくは97%、もしくは96%、もしくは95%、もしくは90%、もしくは85%、もしくは80%同一である核酸配列を含むプローブを含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項22】
前記プローブが、検出可能な部分で標識されている、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記検出可能な部分が、フルオロフォアであり、必要に応じて、6-カルボキシフルオレセインまたはVICのうちの少なくとも1つである、請求項22に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2021年1月15日に出願された米国仮特許出願第63/137,889号に対する優先権を主張する。米国仮特許出願第63/137,889号は、本明細書においてその全体が参照によって援用される。
【0002】
(発明の分野)
本出願は、脊髄性筋萎縮症(SMA)のサイレントキャリアを検出するための方法、組成物、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
脊髄性筋萎縮症(SMA)は、染色体5q13.2上の運動神経細胞生存(survival motor neuron)1(SMN1)遺伝子のホモ接合型欠失によって主に引き起こされる一般的な常染色体劣性疾患である。現在のSMAキャリアスクリーニング方法は、SMN1コピー数の減少を探す。しかし、場合によっては、特定の個体が一方の5番染色体上における2コピー(またはそれより多い)のSMN1遺伝子と、もう一方の5番染色体上における0個のSMN1コピーとを有し得る(2+0と示される)ような、SMN1遺伝子の重複が存在する。現在の方法は、個々の染色体上に存在するSMN1コピーの数を決定することができず、したがって、一方の染色体上における2個のSMN1コピーと、もう一方における0コピーとを有する個体(2+0、サイレントキャリア)を、両方の染色体上における1個のSMN1遺伝子を有する個体(1+1)と区別しない。したがって、サイレントキャリアは、伝統的なスクリーニング方法によってはキャリアとして同定されず、偽陰性の試験結果を受ける。これらのSMAサイレントキャリアを同定する能力を有する試験方法は、高価で、時間がかかり、正確度が疑わしい。したがって、SMAのサイレントキャリアを検出するための効率的で正確なアッセイについて、当該分野において必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(概要)
本開示は、脊髄性筋萎縮症(SMA)のサイレントキャリアを検出するための方法およびシステムに関する。
【0005】
一部の実施形態では、本発明は、対象をSMAのサイレントキャリアとして同定するための方法を含む。方法は、核酸サンプルを対象から得る工程を含み得る。方法は、標的遺伝子増幅産物の有無を検出することを含む、核酸サンプルを分析する工程をさらに含み得る。方法は、標的遺伝子増幅産物が存在する場合に対象をSMAのサイレントキャリアとして特徴付ける工程をさらに含み得る。一部の実施形態では、核酸サンプルを分析する方法は、リアルタイムPCRアッセイを含み得る。一部の実施形態では、核酸サンプルを分析する方法は、SMN1のエクソン7またはその部分を分析することを含み得る。一部の実施形態では、核酸サンプルを分析する方法は、SMN1遺伝子増幅産物中のrs143838139を分析してT>G変異の存在を検出することを含み得る。方法の一部の実施形態では、変異体SMN1遺伝子増幅産物は、変異体SMN1遺伝子増幅産物に特異的な標識された核酸プローブで検出される。方法の一部の実施形態では、プローブは、フルオロフォアで標識されている。方法の一部の実施形態では、データが収集された後に蛍光色素チャネルのCtが決定され、曲線Ctが所定の閾値よりも低いか否かによってアレルの有無が決定される。
【0006】
他の実施形態において、本発明は、対象をSMAのサイレントキャリアとして同定するためのシステムを含む。一部の実施形態において、そのシステムは、本明細書において開示される発明の方法を実施するためのコンポーネントを含む。
【0007】
なお他の実施形態において、本発明は、対象をSMAのサイレントキャリアとして同定するための組成物またはキットを含む。一部の実施形態において、そのキットは、本明細書において開示される発明の方法を実施するための組成物および/または他の構成成分を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、健常個体におけるSMNタンパク質発現の模式図およびSMN患者におけるSMNタンパク質発現の欠如の模式図を示す。
【0009】
図2図2は、各アレル上におけるSMN1のコピー数に関連する種々の疾患およびキャリアの状態の例を示す。
【0010】
図3図3は、本開示のある実施形態にしたがう、SMAサイレントキャリアを検出するための方法を示す。
【0011】
図4図4は、本開示のある実施形態にしたがう、SMAサイレントキャリアを検出するためのシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(詳細な説明)
以下の説明は、本発明の方法、組成物、ならびにシステムの種々の局面および実施形態を記載する。本発明のどの特定の実施形態も、それらの方法およびシステムの範囲を定義することは意図されない。むしろ、それらの実施形態は、本発明の範囲内に少なくとも含まれる、種々の方法およびシステムの非限定的例を提供するに過ぎない。この説明は、当業者の観点から読まれるべきである。したがって、当業者にとって周知である情報は、必ずしも含まれていない。
【0013】
(定義)
本発明はこれから、以下においてより完全に記載される。本発明は、多くの異なる形式で具体化され得、本発明は、本明細書において示される局面に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの局面は、適用される法的要件をこの開示が満たすように提供される。別途定義されない限りは、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において参照されるすべての特許、出願、公開された出願および他の公開物は、それらの全体が参照によって援用される。この節において示される定義が、参照によって本明細書において援用される特許、出願、公開された出願および他の公開物において示される定義に反するかまたは他の様式で一致しない場合は、この節において示される定義が、参照によって本明細書において援用される定義に勝る。
【0014】
本発明またはその実施形態の構成要件を紹介する場合、冠詞「ある(1つの)(a)」、「ある(1つの)(an)」、「前記(該)(その)(the)」および「前記(該)(その)(said)」は、それらの構成要件のうちの1つ以上が存在することを意味することが、意図される。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」および「有する(having)」は、包括的であること、および列挙された構成要件以外に追加の構成要件が存在し得ることを意味することが、意図される。本明細書において記載される発明の局面および実施形態は、局面ならびに実施形態「からなる(consisting)」および/または「から本質的になる(consisting essentially of)」ことを含むことが、理解される。
【0015】
用語「および/または」とは、2つ以上の項目の列挙において使用される場合には、その列挙された項目のうちのいずれか1つが、単独で、またはその列挙された項目のうちのいずれか1つもしくは複数と組み合わせて、使用され得ることを意味する。例えば、表現「Aおよび/またはB」は、AおよびBのうちのいずれかまたは両方、すなわち、A単独、B単独、またはAとBとの組合せを意味することが、意図される。表現「A、Bおよび/またはC」は、A単独、B単独、C単独、AとBとの組合せ、AとCとの組合せ、BとCとの組合、またはAとBとCとの組合せを意味することが、意図される。
【0016】
本開示の種々の局面は、範囲形式で提示される。範囲形式の記載は、単に簡便性および簡潔性のために過ぎず、本開示の範囲に対する一定不変の限定として解釈されるべきではないことが、理解されるべきである。したがって、ある範囲の記載は、その範囲内にある可能なすべての部分範囲および個々の数値を具体的に開示していると解釈されるべきである。例えば、1~6などの範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などのその範囲内にある部分範囲ならびに個々の数値(例えば、1、2、3、4、5、および6)を具体的に開示していると解釈されるべきである。このことは、その範囲の幅とは無関係に適用される。
【0017】
「サンプル」または「組織サンプル」または「患者サンプル」または「患者細胞サンプルもしくは患者組織サンプル」または「検体」とは、各々、対象または患者の組織から得られた類似の細胞の収集物を指す。組織サンプル源は、新鮮な組織、凍結および/もしくは保存された器官または組織または生検材料または吸引物に由来する、固形組織;血液またはなんらかの血液成分(例えば、血漿もしくは血清)、無細胞DNA、RNA、体液(例えば、脳脊髄液、羊水、腹水もしくは間質液)または対象の妊娠もしくは発生における任意の時点に由来する細胞であり得る。組織サンプルは、天然にあるその組織と天然では混合されない化合物(例えば、保存料、抗凝固薬、緩衝液、固定液、栄養分、抗菌薬など)を含み得る。細胞は、従来の様式で、例えば、FFPE様式で、固定され得る。また、サンプルは、後の移動および/または分析のために乾燥され得る(例えば、乾燥血液または乾燥血漿)。
【0018】
本明細書において使用される場合、用語「個体」、「対象」および「患者」は、交換可能に使用される。本明細書において使用される場合、用語「対象」および「対象(複数)」とは、動物、好ましくは非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ロバ、ヤギ、ラクダ、ネコ、イヌ、モルモット、ラット、マウスまたはヒツジ)ならびに霊長類(例えば、カニクイザル、ゴリラ、チンパンジーなどのサル、またはヒト)を含む哺乳動物を指す。
【0019】
本明細書において使用される場合、用語「検出可能な部分」または「検出可能な生体分子」または「レポーター」とは、定量アッセイにおいて測定され得る分子を指す。例えば、検出可能な部分は、測定され得る生成物(例えば、目に見える生成物)へと基質を変換するために使用され得る酵素を含み得る。または、検出可能な部分は、定量され得る放射性同位体であり得る。または、検出可能な部分は、フルオロフォアであり得る。または、検出可能な部分は、発光分子であり得る。または、他の検出可能な分子が、使用され得る。
【0020】
用語「標識された」および「検出可能な作用物質もしくは検出可能な部分で標識された」とは、例えば、別の実体(例えば、核酸、ポリペプチドなど)への結合後のその標識の検出(例えば、放射能の視覚化された検出など)によって測定され得る実体(例えば、核酸プローブ、抗体など)を特定するために本明細書において交換可能に使用される。検出可能な作用物質もしくは検出可能な部分は、測定され得、またその強度が、結合された実体の量に関連(例えば、比例)するシグナルをそれが生じるように、選択され得る。核酸を標識および/または検出するための広範な種類のシステムが、当該分野において公知である。標識された核酸は、分光学的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段、電気的手段、光学的手段、化学的手段もしくは他の手段によって検出可能である標識の組込みまたはその標識への結合体化によって、調製され得る。標識または標識部分は、直接的に検出可能であり得(すなわち、それは、検出可能であるためにいかなるさらなる反応も操作も必要とせず、例えば、フルオロフォアは直接的に検出可能である)、またはそれは間接的に検出可能であり得る(すなわち、それは、検出可能な別の実体との反応もしくは結合を通じて検出可能にされ、例えば、ハプテンは、レポーター(例えば、フルオロフォア)を含む適切な抗体との反応後の免疫染色によって検出可能である)。適切な検出可能な作用物質としては、放射性ヌクレオチド、フルオロフォア、化学発光剤、マイクロ粒子、酵素、比色標識、磁気標識、ハプテン、分子ビーコン、アプタマービーコンなどが挙げられるが、それらに限定はされない。
【0021】
(方法)
一部の実施形態において、本発明は、対象を脊髄性筋萎縮症(SMA)のサイレントキャリアとして同定するための方法を含む。その方法は、種々の様式で具体化され得る。
【0022】
SMAは、民族性に依存して約35人中1人~117人中1人の範囲にあるキャリア頻度である常染色体劣性疾患である。この疾患は、脊髄中の前角細胞の進行性変性および損失によって引き起こされる、両側の筋力低下、最終的には萎縮をもたらす。SMAの最も一般的な原因は、図1において示されるとおり、染色体5q13.2上の運動神経細胞生存1(SMN1)遺伝子のホモ接合型欠失であり、SMA患者のうちの98%までにおいて、SMN1の両方のコピーが、欠失されているかまたは非機能性にされているかのいずれかである。SMAを引き起こすほとんどの変異はSMN1コピー数の減少を含むので、キャリアスクリーニングは、一般的には、個体が有するSMN1コピーの数を決定することを含む。図2において示されるとおり、各染色体上に少なくとも1個のSMN1コピーを有する人々(1+1)は、SMAキャリアではない。現在のスクリーニング方法は、一方の染色体上における1個のSMN1コピーと、もう一方における0個のSMN1コピーとを有するSMAキャリア(1+0)を容易に同定し得る。しかし、現在のスクリーニング方法は、一方の染色体上における2(またはそれより多い)コピーのSMN1と、もう一方の染色体上における0コピーのSMN1とを有する個体(2+0)について、偽陰性の結果を提供する。本開示において、用語「サイレントキャリア」とは、一方の染色体上における2コピーまたはそれより多いコピーのSMN1と、もう一方の染色体上における0コピーのSMN1とを有する個体を指す。これらのサイレントキャリアは、そのヌルアレルを自身の子孫へと50%の確率で渡す。
【0023】
したがって、一部の実施形態において、本発明は、対象をSMAのサイレントキャリアとして同定するための方法を含む。本発明のある実施形態は、図3において示されるとおり、核酸サンプルを対象から得る工程;その核酸サンプルを分析する工程であって、その分析する工程は、標的遺伝子増幅産物の有無を検出することを含む、工程;およびその標的遺伝子増幅産物が存在する場合にその対象をSMAのサイレントキャリアとして特徴付ける工程を含む。
【0024】
一部の実施形態において、その方法は、核酸サンプルを対象から得る工程を含み得る。核酸は、特定の実施形態において、その核酸を含むサンプルの処理を伴わずに、本明細書において記載される方法を実施するために得られ得る。一部の実施形態において、核酸は、その核酸を含むサンプルの処理後に、本明細書において記載される方法を実施するために得られる。例えば、核酸は、そのサンプルから抽出、単離、精製、部分精製または増幅され得る。本明細書において使用される用語「単離された」とは、その元の環境(例えば、それが天然に存在する場合は天然環境、または外因的に発現される場合は宿主細胞)から取り出された核酸を指し、したがって、ヒトの介入によって(例えば、「人の手によって」)その元の環境から変更されている。本明細書において使用される用語「単離された核酸」とは、対象(例えば、ヒト対象)から取り出された核酸を指し得る。単離された核酸は、供給源サンプル中に存在する構成成分の量よりも少ない非核酸構成成分(例えば、タンパク質、脂質)しか伴わずに単離され得る。単離された核酸を含む組成物は、非核酸構成成分を約50%~99%を超えて含まない可能性がある。単離された核酸を含む組成物は、非核酸構成成分を約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または99%を超えて含まない可能性がある。本明細書において使用される用語「精製された」とは、精製手順に核酸を供する前に存在する非核酸構成成分の量よりも少ない非核酸構成成分(例えば、タンパク質、脂質、炭水化物)を含む核酸が提供されることを指し得る。精製された核酸を含む組成物は、他の非核酸構成成分を約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または99%を超えて含まない可能性がある。本明細書において使用される用語「精製された」とは、核酸が由来するサンプル供給源中にあるよりも少ない核酸種を含む核酸が得られることを指し得る。精製された核酸を含む組成物は、他の核酸種を約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または99%を超えて含まない可能性がある。
【0025】
その方法は、核酸サンプルを分析する工程をさらに含み得、その核酸サンプルを分析する工程は、標的遺伝子増幅産物の有無を検出することを含む。本明細書において使用される用語「増幅産物」とは、サンプル中の標的核酸を、その標的核酸またはそのセグメントと同じヌクレオチド配列または実質的に同じヌクレオチド配列を有するアンプリコン核酸を直線的または指数関数的に生じるプロセスに供することの産物を指す。本明細書において使用される用語「増幅産物」とは、標的核酸(例えば、他の核酸を含むサンプル中にある)を、その標的核酸またはそのセグメントと同じヌクレオチド配列または実質的に同じヌクレオチド配列を有するアンプリコン核酸を選択的かつ、直線的または指数関数的に生じるプロセスに供することの産物を指し得る。本明細書において使用される用語「増幅産物」とは、核酸集団を、増幅前にサンプル中に存在した核酸またはそのセグメントと同じヌクレオチド配列または実質的に同じヌクレオチド配列を有するアンプリコン核酸を非選択的かつ、直線的または指数関数的に生じるプロセスに供することの産物を指し得る。その方法は、その標的遺伝子増幅産物が存在する場合にその対象をSMAのサイレントキャリアとして特徴付ける工程をさらに含み得る。
【0026】
一部の実施形態において、用語「増幅産物」とは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む方法の産物を指す。一部の実施形態において、核酸サンプルを分析する方法は、リアルタイムPCRアッセイを含み得る。
【0027】
一部の実施形態において、核酸サンプルを分析する方法は、SMN1のエクソン7またはその部分を分析することを含み得る。一部の実施形態において、その核酸サンプルを分析する方法は、そのSMN1遺伝子増幅産物中のrs143838139を分析して、サイレントキャリア中に存在するT>G変異の存在を検出することを含み得る。一部の実施形態において、配列番号1を含むプライマーおよび配列番号2を含むプライマーが、SMN1のエクソン7またはその部分を分析するために使用される。
【表2】
【0028】
一部の実施形態において、その方法は、SMN1のエクソン8またはその部分を分析して、対象をSMAのサイレントキャリアとして同定することを含み得る。一部の実施形態において、核酸サンプルを分析する方法は、SMN1エクソン8に位置する挿入/欠失バリアントrs200800214(delAT MAF:gnomADにおいて8.6%、1000Gにおいて9.6%)を分析することを含み得る。
【0029】
その方法の一部の実施形態において、変異体SMN1遺伝子増幅産物が、その変異体SMN1遺伝子増幅産物に特異的な標識された核酸プローブで検出される。一部の実施形態において、その変異体SMN1遺伝子増幅産物に特異的な標識された核酸プローブは、配列番号3を含む。その方法の一部の実施形態において、野生型SMN1遺伝子増幅産物が、その野生型SMN1遺伝子増幅産物に特異的な標識された核酸プローブで検出される。一部の実施形態において、その野生型SMN1遺伝子増幅産物に特異的な標識された核酸プローブは、配列番号4を含む。
【表3】
【0030】
その方法の一部の実施形態において、そのプローブは、検出可能な部分で標識され得る。一部の実施形態において、その検出可能な部分はフルオロフォアである。一部の実施形態において、そのフルオロフォアは6-カルボキシフルオレセインであり得る。一部の実施形態において、そのフルオロフォアはVICであり得る。一部の実施形態において、各プローブは、異なるフルオロフォアで標識され得る。または、他の検出可能な部分(例えば、本明細書において開示される検出可能な部分)が、使用され得る。
【0031】
その方法の一部の実施形態において、多型の存在が、プローブの蛍光シグナルが最小閾値を横切るサイクル数(Ct)によって検出され得る。その方法の一部の実施形態において、Ctは、そのデータが収集された後にその蛍光色素チャネルにおいて決定され、その曲線Ctが所定の閾値よりも低いか否かによってアレルの有無が決定される。
【0032】
一部の実施形態において、その対象はヒトである。
【0033】
一部の実施形態において、そのサンプルは生体サンプルである。一部の実施形態において、そのサンプルは、血液サンプルまたは血液サンプルの部分(例えば、血清もしくは血漿)である。
【0034】
(組成物)
本開示の他の実施形態は、対象を脊髄性筋萎縮症(SMA)のサイレントキャリアとして同定するための組成物を含む。その組成物は、種々の様式で具体化され得る。
【0035】
特定の実施形態において、SMN1遺伝子コピー中に存在するアレルを対象において同定することによって、その対象を脊髄性筋萎縮症(SMA)のサイレントキャリアとして同定するための組成物が、開示される。ある実施形態において、その組成物は、そのSMN1遺伝子中のrs143838139を分析してT>G変異の存在を検出するための構成成分を含む。
【0036】
特定の実施形態において、その組成物は、配列番号1の核酸配列を含むプライマーおよび/もしくは配列番号2の核酸配列を含むプライマー、または配列番号1の核酸配列および/もしくは配列番号2の核酸配列に対して少なくとも99%、もしくは98%、もしくは97%、もしくは96%、もしくは95%、もしくは90%、もしくは85%、もしくは80%同一である核酸配列を含むプライマーを含む。さらに、および/または代替的に、その組成物は、配列番号3の核酸配列を含むプローブおよび/もしくは配列番号4の核酸配列を含むプローブ、または配列番号3の核酸配列および/もしくは配列番号4の核酸配列に対して少なくとも99%、もしくは98%、もしくは97%、もしくは96%、もしくは95%、もしくは90%、もしくは85%、もしくは80%同一である核酸配列を含むプローブを含む。特定の実施形態において、そのプライマーおよび/またはプローブは、検出可能な部分で標識され得る。一部の実施形態において、その検出可能な部分はフルオロフォアである。一部の実施形態において、そのフルオロフォアは6-カルボキシフルオレセインであり得る。一部の実施形態において、そのフルオロフォアはVICであり得る。一部の実施形態において、各プローブは、異なるフルオロフォアで標識され得る。または、他の検出可能な部分(例えば、本明細書において開示される検出可能な部分)が、使用され得る。
【0037】
広範な種類の検出可能な作用物質のいずれもが、本開示の実施において使用され得る。適切な検出可能な作用物質としては、種々のリガンド、放射性ヌクレオチド;蛍光色素;化学発光剤(例えば、アクリジニウム(acridinum)エステル、安定化されたジオキセタンなど);生物発光剤;具体的には、スペクトル的に分解可能な無機蛍光半導体ナノ結晶(すなわち、量子ドット);マイクロ粒子;金属ナノ粒子(例えば、金、銀、銅、白金など.);ナノクラスター;常磁性金属イオン;酵素;比色標識(例えば、色素、コロイド金など);ビオチン;ジゴキシゲニン(dioxigenin);ハプテン;ならびに抗血清またはモノクローナル抗体が入手可能なタンパク質が挙げられるが、それらに限定はされない。
【0038】
以下に、使用され得る一部の検出可能な部分の一部の非限定的例が記載される。
【0039】
(蛍光色素)
特定の実施形態において、検出可能な部分は蛍光色素である。広範な種類の化学構造および物理的特徴の多数の公知の蛍光色素が、本開示の実施における使用のために適切である。蛍光性の検出可能な部分は、検出器によって捕捉される放出光を有するレーザーによって刺激され得る。その検出器は、電荷結合素子(CCD)または共焦点顕微鏡であり得、それらはその強度を記録する。
【0040】
適切な蛍光色素としては、フルオレセインおよびフルオレセイン色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(isothiocyanine)またはFITC、ナフトフルオレセイン、4’,5’-ジクロロ-2’,7’-ジメトキシフルオレセイン、6-カルボキシフルオレセインまたはFAMなど)、ヘキサクロロ-フルオレセイン(HEX)、カルボシアニン、メロシアニン、スチリル色素、オキソノール色素、フィコエリトリン、エリスロシン、エオシン、ローダミン色素(例えば、カルボキシテトラメチルローダミンまたはTAMRA、カルボキシローダミン6G、カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、リサミンローダミンB、ローダミン6G、ローダミングリーン、ローダミンレッド、テトラメチルローダミン(TMR)など)、クマリンおよびクマリン色素(例えば、メトキシクマリン、ジアルキルアミノクマリン、ヒドロキシクマリン、アミノメチルクマリン(AMCA)など)、Q-DOTS、Oregon Green色素(例えば、Oregon Green 488、Oregon Green 500、Oregon Green 514など)、テキサスレッド、テキサスレッド-X、SPECTRUM RED、SPECTRUM GREEN、シアニン色素(例えば、CY-3、CY-5、CY-3.5、CY-5.5など)、ALEXA FLUOR色素(例えば、ALEXA FLUOR 350、ALEXA FLUOR 488、ALEXA FLUOR 532、ALEXA FLUOR 546、ALEXA FLUOR 568、ALEXA FLUOR 594、ALEXA FLUOR 633、ALEXA FLUOR 660、ALEXA FLUOR 680など)、BODIPY色素(例えば、BODIPY FL、BODIPY R6G、BODIPY TMR、BODIPY TR、BODIPY 530/550、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665など)、IRDye(例えば、IRD40、IRD 700、IRD 800など)などが挙げられるが、それらに限定はされない。蛍光色素を他の化学実体(例えば、タンパク質およびペプチド)に結合するために適切な蛍光色素および方法に関するより多くの例について、例えば、「The Handbook of Fluorescent Probes and Research Products」、9版、Molecular Probes,Inc.、Eugene、ORを参照のこと。蛍光標識剤の好ましい特性としては、高いモル吸収係数、高い蛍光量子収率、および光安定性が挙げられる。一部の実施形態において、標識フルオロフォアは、スペクトルの紫外線範囲(すなわち、400nmより低い)においてではなく可視光範囲(すなわち、400nmと750nmとの間)で吸収波長および放出波長を示す。
【0041】
検出可能な部分は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)など、1つよりも多い化学実体を含み得る。共鳴移動は、その放出強度の全体的増強をもたらす。例えば、Juら(1995)Proc.Nat’lAcad.Sci.(USA)92:4347(その内容全体が参照によって本明細書において援用される)を参照のこと。共鳴エネルギー移動を達成するために、第1の蛍光分子(「ドナー」蛍光(fluor))が光を吸収し、励起した電子の共鳴を通じてその光を第2の蛍光分子(「アクセプター」蛍光(fluor))へと移動させる。ある1つのアプローチにおいて、ドナー色素およびアクセプター色素の両方が、一緒に連結されてオリゴプライマーに結合され得る。ドナー色素およびアクセプター色素を核酸に連結するための方法は、例えば、Leeらに対する米国特許第5,945,526号(その内容全体が参照によって本明細書において援用される)において記載されている。使用され得る色素のドナー/アクセプター対としては、例えば、フルオレセイン/テトラメチルローダミン(tetramethylrohdamine)、IAEDANS/フルオレセイン、EDANS/DABCYL、フルオレセイン/フルオレセイン、BODIPY FL/BODIPY FL、およびフルオレセイン/QSY 7色素が挙げられる。例えば、Leeらに対する米国特許第5,945,526号を参照のこと。これらの色素の多くはまた、例えば、Molecular Probes Inc.(Eugene、Oreg.)から、市販されている。適切なドナーフルオロフォアとしては、6-カルボキシフルオレセイン(FAM)、テトラクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(TET)、2’-クロロ-7’-フェニル-1,4-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(VIC)などが挙げられる。
【0042】
(酵素)
特定の実施形態において、検出可能な部分は酵素である。適切な酵素の例としては、ELISAにおいて使用される酵素、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼなどが挙げられるが、それらに限定はされない。他の例としては、β-グルクロニダーゼ、β-D-グルコシダーゼ、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼなどが挙げられる。酵素は、リンカー基(例えば、カルボジイミド、ジイソシアネート、グルタルアルデヒドなど)を使用して分子に結合体化され得る。
【0043】
(放射性同位体)
特定の実施形態において、検出可能な部分は放射性同位体である。例えば、分子は、同位体で標識され得る(すなわち、天然で通常見出される原子質量もしくは質量数とは異なる原子質量もしくは質量数を有する原子によって置換された、1個もしくは複数の原子を含み得る)か、または同位体がその分子に結合され得る。分子に組み込まれ得る同位体の非限定的例としては、水素同位体、炭素同位体、フッ素同位体、リン同位体、銅同位体、ガリウム同位体、イットリウム同位体、テクネチウム同位体、インジウム同位体、ヨウ素同位体、レニウム同位体、タリウム同位体、ビスマス同位体、アスタチン同位体、サマリウム同位体、およびルテチウム同位体(すなわち、3H、13C、14C、18F、19F、32P、35S、64Cu、67Cu、67Ga、90Y、99mTc、111In、125I、123I、129I、131I、135I、186Re、187Re、201T1、212Bi、213Bi、21lAt、153Sm、177Lu)が挙げられる。
【0044】
(デンドリマー)
一部の実施形態において、シグナル増幅は、標識されたデンドリマーを検出可能な部分として使用して、達成される(例えば、Physiol Genomics、3:93~99、2000)(その内容全体がその全体として参照によって本明細書において援用される)を参照のこと)。蛍光標識されたデンドリマーは、Genisphere(Montvale、N.J.)から入手可能である。これらは、当該分野において公知である方法によって、オリゴヌクレオチドプライマーに化学的に結合体化され得る。
【0045】
(システムおよびキット)
本開示の他の実施形態は、対象を脊髄性筋萎縮症(SMA)のサイレントキャリアとして同定するためのシステムおよびキットを含む。そのシステムは、種々の様式で具体化され得る。
【0046】
ある特定の実施形態では、対象をSMAのサイレントキャリアとして同定するためのシステムは、(a)核酸サンプルを対象から得る工程;(b)標的遺伝子増幅産物の有無を検出することを含む、核酸サンプルを分析する工程;および(c)標的遺伝子増幅産物が存在する場合に対象をSMAのサイレントキャリアとして特徴付ける工程のうちの少なくとも1つを実施するための少なくとも1つのステーションまたはコンポーネント(例えば、組成物)を含む。
【0047】
ある特定の実施形態では、対象をSMAのサイレントキャリアとして同定するためのキットは、(a)核酸サンプルを対象から得る工程;(b)標的遺伝子増幅産物の有無を検出することを含む、核酸サンプルを分析する工程;および(c)標的遺伝子増幅産物が存在する場合に対象をSMAのサイレントキャリアとして特徴付ける工程のうちの少なくとも1つを実施するための少なくとも1つの構成成分(例えば、組成物)を含む。ある特定の実施形態では、キットにおいて使用される組成物は、配列番号1の核酸配列を含むプライマーおよび/もしくは配列番号2の核酸配列を含むプライマー、または配列番号1の核酸配列および/もしくは配列番号2の核酸配列に対して少なくとも99%、もしくは98%、もしくは97%、もしくは96%、もしくは95%、もしくは90%、もしくは85%、もしくは80%同一である核酸配列を含むプライマーを含み得る。追加で、および/もしくは代替的に、組成物は、配列番号3の核酸配列を含むプローブおよび/もしくは配列番号4の核酸配列を含むプローブ、または配列番号3の核酸配列および/もしくは配列番号4の核酸配列に対して少なくとも99%、もしくは98%、もしくは97%、もしくは96%、もしくは95%、もしくは90%、もしくは85%、もしくは80%同一である核酸配列を含むプローブを含む。特定の実施形態において、プライマーおよび/またはプローブは、検出可能な部分で標識され得る。一部の実施形態において、その検出可能な部分はフルオロフォアである。一部の実施形態において、そのフルオロフォアは6-カルボキシフルオレセインであり得る。一部の実施形態において、そのフルオロフォアはVICであり得る。一部の実施形態において、各プローブは、異なるフルオロフォアで標識され得る。または、他の検出可能な部分(例えば、本明細書において開示される検出可能な部分)が、使用され得る。特定の実施形態において、キットは、使用のための指示を含む。
【0048】
一部の実施形態において、本開示は、対象を脊髄性筋萎縮症(SMA)のサイレントキャリアとして同定するためのシステムを提供する。したがって、ある実施形態において、本発明は、本明細書において記載される方法のためのプログラミングコードがコードされている、コンピュータ可読媒体を含む。また、ある実施形態において、本発明は、コンピュータ可読媒体と通信するプロセッサを含むシステムを含み得、そのプロセッサは、本明細書において記載される方法を実施するように構成されている。本発明の種々の実施形態のために適切なプロセッサおよびコンピュータ可読媒体が、以下により詳細に記載され、図4において示されている。
【0049】
したがって、特定の実施形態において、本開示は、対象を脊髄性筋萎縮症(SMA)のサイレントキャリアとして同定するためのシステムを含み、そのシステムは、コンピュータ可読媒体、およびそのコンピュータ可読媒体と通信するプロセッサを含み、そのプロセッサは、対象を脊髄性筋萎縮症(SMA)のサイレントキャリアとして同定するように構成されている。
【0050】
他の実施形態において、本発明は、対象を脊髄性筋萎縮症(SMA)のサイレントキャリアとして予測するためのプログラムコードがコードされているコンピュータ可読媒体を含み、そのプログラムコードは、少なくとも1種の遺伝子における個々の変異の効果を推定するためのモデルを適用するためのコードを含む。
【0051】
本発明のシステムおよびコンピュータ可読媒体の一部の実施形態は、種々の遺伝子に適用され得る。特定の実施形態において、その少なくとも1種の遺伝子は、SMN1遺伝子を含む。
【0052】
本主題の局面にしたがう実施形態は、デジタル電子回路においてか、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアにおいてか、またはそれらの組合せにおいて、実装され得る。1つの実施形態において、コンピュータは、プロセッサまたはプロセッサ(複数)を含み得る。そのプロセッサは、コンピュータ可読媒体(例えば、そのプロセッサに連結されたランダムアクセスメモリ)を含み得るか、またはそのコンピュータ可読媒体へのアクセスを有し得る。そのプロセッサは、メモリに保存されたコンピュータ実行可能なプログラム命令を実行し得る(例えば、本明細書において詳細に記載される分析を生じるための出力を生成するための、サンプリングルーチンおよび適切なプログラミングを含む、1つ以上のコンピュータプログラムを実行する)。
【0053】
そのようなプロセッサは、マイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、およびステートマシーンを含み得る。そのようなプロセッサは、プログラマブル電子デバイス、例えば、PLC、プログラマブル割り込みコントローラ(PIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的にプログラム可能なリードオンリーメモリ(EPROMもしくはEEPROM)、または他の同様のデバイスをさらに含み得る。
【0054】
そのようなプロセッサは、そのプロッサによって実行された場合に、プロセッサによって実行されるかもしくは支援されると本明細書において記載される工程をそのプロセッサに実施させ得る命令を保存し得る媒体(例えば、有形のコンピュータ可読媒体)を含み得るか、またはその媒体と通信状態にあり得る。コンピュータ可読媒体の実施形態は、プロセッサ(例えば、ウェブサーバ中にあるプロセッサ)にコンピュータ可読命令を提供可能なすべての電子的記憶装置、光学的記憶装置、磁気的記憶装置、または他の記憶装置を含み得るが、それらに限定はされない。媒体の他の例は、フロッピー(登録商標)ディスク、CD-ROM、磁気ディスク、メモリチップ、ROM、RAM、ASIC、構成されたプロセッサ、すべての光学媒体、すべての磁気テープもしくは他の磁気媒体、またはコンピュータプロセッサが読み取り可能である他のあらゆる媒体を含むが、それらに限定はされない。また、種々の他のデバイスが、コンピュータ可読媒体、例えば、ルーター、私的ネットワークもしくは公的ネットワーク、または他の伝達装置を含み得る。そのプロセッサおよびその処理は、1つまたは複数の構造中にあり得、1つまたは複数の構造を通じて分散され得る。そのプロセッサは、本明細書において記載される方法(もしくは方法の部分)のうちの1つまたは複数を実行するためのコードを含み得る。
【0055】
そのシステムは、データ編集システム、ならびに分析が進行する際にユーザがそのシステムとインタラクトするための手段を含み得る。したがって、ある実施形態において、本発明は、複数のアッセイ測定値および/もしくは配列決定データからのデータを収集ならびに/または編集して、そのデータをコンピュータに伝達するためのシステム、ならびにその分析の結果をユーザに伝達するためのシステムを含み得る。そのシステムは、DNA配列決定データおよび/またはアミノ酸配列決定データの高スループット分析用に設計され得る。したがって、ある実施形態において、複数の測定されたシグナルは、少なくとも1種の細胞型から単離された複数の既知のDNA配列を含む。
【0056】
図4は、本発明のソフトウェアを含むシステムにおける情報フローの実施形態を示す。上記で議論されるとおり、コンピュータプロセッサまたはCPUは、例えば、入力を処理し、アルゴリズムを実行し、必要な場合には接触感知式入力装置から受け取った入力に反応して出力を生成することが可能である、デジタルロジックプロセッサを含み得る。本明細書において詳述されるとおり、そのようなプロセッサは、マイクロプロセッサ、例えば、ASIC、およびステートマシーン、ならびに/または他のコンポーネントを含み得る。そのようなプロセッサは、そのプロセッサによって実行された場合に、本明細書において記載される工程をそのプロセッサに実施させる命令を保存する媒体(例えば、コンピュータ可読媒体)を含むか、またはその媒体と通信状態にあり得る。
【0057】
したがって、ある実施形態において、その出発点はデータ(100)を含み得る。いったん、そのデータが収集される(110)と、適切な統計分析および/または標準的なスプレッドシートソフトウェア(例えば、Microsoft Excel、FoxPro、Lotusなど)を使用して、その分析の前にかまたはその分析の一部として、そのデータは編集(120)および/または(必要な場合には)変換され得る。ある実施形態において、そのデータは、各実験のためのシステムに入力される。あるいは、以前の実行に由来するデータは、コンピュータメモリ(150)に保存され、必要に応じて使用される。
【0058】
分析の各時点で、ユーザは、キーボード(180)、フロッピー(登録商標)ディスク、リモートアクセス(例えば、インターネットを介する)(190)、または他のアクセス手段を介して、命令を入力し得る。ユーザは、実行のためのオプション、レポートをどのように印刷すべきかなどを含む、命令を入力し得る。また、分析の各時点で、そのデータは、当該分野において一般的な記憶装置(例えば、ディスク、ドライブ、またはメモリ(150))を使用して、コンピュータに保存され得る。当該分野において理解されるとおり、プロセッサ(160)およびI/Oコントローラ(170)は、コンピュータ機能の複数の局面のために必要とされる。また、ある実施形態において、1つよりも多いプロセッサが存在し得る。
【0059】
そのデータはまた、ノイズを除去する(130)ために処理され得る。一部の場合では、ユーザは、キーボード(180)、フロッピー(登録商標)ディスク、またはリモートアクセス(190)を介して、その分析についての変数または制約、例えば、ノイズを決定するための閾値を入力することを望み得る。その後、その分析の結果は、編集され得、ユーザによるレビューのための形式で提供され得る(140)。
【実施例
【0060】
(実施例)
(実施例1-SMAサイレントキャリアを検出するための方法)
SMN1サイレントキャリアアッセイは、TaqManリアルタイムPCR技術を使用して、SMN1およびNM_000344:c.*3+80T>G SNPを特異的に標的とする。簡単に述べると、FAMフルオロフォアまたはVICフルオロフォアのいずれかで標識された2種のTaqManプローブを使用して、それぞれ多型性Gバリアントまたは野生型T塩基の存在を検出する。上流qPCRプライマーは、最も3’側にある塩基にてSMN1に対する特異性を提供し、これは、5番染色体:70247773(hg19)におけるSMN1特異的C塩基と相補的である。QuantStudio(商標)リアルタイムPCRソフトウェア(v1.2、ThermoScientific)をQS7サーマルサイクリング機器(ThermoScientific)と組み合わせて使用して、データの収集および分析を実施する。その多型の存在を、その蛍光シグナルが最小閾値を横切るサイクル数(Ct)によって検出する。その多型について何のシグナルも検出されない場合、WTプローブからの蛍光シグナルを、サンプル特異的アッセイ対照として使用する。
【0061】
このSMN1サイレントキャリアアッセイにおいて、SMN1標的配列について、5番染色体:70247773(GRCh37/hg19ビルド)にあるC塩基を標的とすることによって、SMN1遺伝子に特異的であるように上流PCRプライマーを設計し、これを使用して、SMN1をその偽遺伝子であるSMN2と区別する。そのリバースPCRプライマーもまた、SMN1遺伝子に特異的である。そのSMN1アンプリコンの大きさは、139bpである。プライマー配列およびプローブ配列が、表1に列挙されている。
【表1】
【0062】
いったん、そのTaqManデータを収集すると、両方の蛍光色素チャネルについてそのCを決定し、そのデータの質を評価する。その曲線Ctが所定の閾値よりも低いか否かによって、そのアレルの有無を決定し、指数関数的増幅期における線形曲線(linear curve)の勾配によって、その曲線の質を測定する。この勾配は、等式:
【数1】
によって決定され、この等式において、Ct+1は、C後の最初の完全サイクル数である。
【0063】
(実施例2-特定の実施形態の例)
本技術の特定の実施形態の非限定的な例が、本明細書の以下に列挙される。
【0064】
A1. 対象を脊髄性筋萎縮症(SMA)のサイレントキャリアとして同定するための方法であって、
(a)核酸サンプルを対象から得る工程;
(b)標的遺伝子増幅産物の有無を検出することを含む、該核酸サンプルを分析する工程;および
(c)該標的遺伝子増幅産物が存在する場合に該対象をSMAのサイレントキャリアとして特徴付ける工程
を含む、方法。
【0065】
A2. 前記核酸サンプルを分析する工程がリアルタイムPCRアッセイを含む、実施形態A1に記載の方法。
【0066】
A3. 前記核酸サンプルを分析する工程が、SMN1のエクソン7またはその部分を分析することを含む、実施形態A1~A2のいずれか一項に記載の方法。
【0067】
A4. 配列番号1を含むプライマーおよび配列番号2を含むプライマーが、SMN1のエクソン7またはその部分を分析するために使用される、実施形態A1~A3のいずれか一項に記載の方法。
【0068】
A5. 前記核酸サンプルを分析する工程が、SMN1遺伝子増幅産物中のrs143838139を分析してT>G変異の存在を検出することを含む、実施形態A1~A4のいずれか一項に記載の方法。
【0069】
A6. 前記核酸サンプルを分析する工程が、特異的Taqmanプローブを使用するSMN1遺伝子増幅産物中のrs143838139の標的化分析を含む、実施形態A1~A5のいずれか一項に記載の方法。
【0070】
A7. 野生型SMN1遺伝子増幅産物が、該野生型SMN1遺伝子増幅産物に特異的な標識された核酸プローブで検出される、実施形態A6に記載の方法。
【0071】
A8. 前記プローブが配列番号3を含む、実施形態A7に記載の方法。
【0072】
A9. 変異体SMN1遺伝子増幅産物が、該変異体SMN1遺伝子増幅産物に特異的な標識された核酸プローブで検出される、実施形態A6に記載の方法。
【0073】
A10. 前記プローブが配列番号4を含む、実施形態A9に記載の方法。
【0074】
A11. 前記2種のプローブが異なるフルオロフォアで標識されている、実施形態A6~A10のいずれか一項に記載の方法。
【0075】
A12. データが収集された後に各蛍光色素チャネルについてCtが決定される、実施形態A6~A11のいずれか一項に記載の方法。
【0076】
A13. 前記曲線Ctが所定の閾値よりも低いか否かによってアレルの有無が決定される、実施形態A12に記載の方法。
【0077】
A14. 前記対象がヒトである、実施形態A1~A13のいずれか一項に記載の方法。
【0078】
A15. 前記サンプルが血液サンプルである、実施形態A1~A14のいずれか一項に記載の方法。
【0079】
B1. 前述の実施形態のいずれか一項に記載の方法を使用して対象を脊髄性筋萎縮症(SMA)のサイレントキャリアとして同定するためのシステム。
【0080】
B2. 対象をSMAのサイレントキャリアとして同定するためのシステムであって、以下の工程:
(a)核酸サンプルを対象から得る工程;
(b)標的遺伝子増幅産物の有無を検出することを含む、該核酸サンプルを分析する工程;および
(c)該標的遺伝子増幅産物が存在する場合に該対象をSMAのサイレントキャリアとして特徴付ける工程
のうちの少なくとも1つを実施するための少なくとも1つのステーションまたはコンポーネントを含む、システム。
【0081】
C1. 前述の実施形態のいずれか一項に記載の方法を使用して対象を脊髄性筋萎縮症のサイレントキャリアとして同定するためのキット。
【0082】
C2. C1に記載のキットであって、以下の工程:
(a)核酸を対象から得る工程;
(b)標的遺伝子増幅産物の有無を検出することを含む、該核酸サンプルを分析する工程;および
(c)該標的遺伝子増幅産物が存在する場合に該対象をSMAのサイレントキャリアとして特徴付ける工程
のうちの少なくとも1つを実施するための構成成分を含む、キット。
【0083】
C3. 配列番号1の核酸配列を含むプライマー、または配列番号1の核酸配列に対して少なくとも99%、もしくは98%、もしくは97%、もしくは96%、もしくは95%、もしくは90%、もしくは85%、もしくは80%同一である核酸配列を含むプライマーをさらに含む、C1に記載のキット。
【0084】
C4. 配列番号2の核酸配列を含むプライマー、または配列番号2の核酸配列に対して少なくとも99%、もしくは98%、もしくは97%、もしくは96%、もしくは95%、もしくは90%、もしくは85%、もしくは80%同一である核酸配列を含むプライマーをさらに含む、C1に記載のキット。
【0085】
C5. 配列番号3の核酸配列を含むプローブ、または配列番号3の核酸配列に対して少なくとも99%、もしくは98%、もしくは97%、もしくは96%、もしくは95%、もしくは90%、もしくは85%、もしくは80%同一である核酸配列を含むプローブをさらに含む、C1に記載のキット。
【0086】
C6. 配列番号4の核酸配列を含むプローブ、または配列番号4の核酸配列に対して少なくとも99%、もしくは98%、もしくは97%、もしくは96%、もしくは95%、もしくは90%、もしくは85%、もしくは80%同一である核酸配列を含むプローブをさらに含む、C1に記載のキット。
【0087】
C7. 前記プライマーおよび/またはプローブが、検出可能な部分で標識されていてもよい、実施形態C2~C6のいずれか一項に記載のキット。
【0088】
C8. 前記検出可能な部分が、フルオロフォアであり、必要に応じて、6-カルボキシフルオレセインまたはVICのうちの少なくとも1つである、実施形態C7に記載のキット。
【0089】
D1. SMN1遺伝子コピー中に存在するアレルを対象において同定することによって、該対象を脊髄性筋萎縮症(SMA)のサイレントキャリアとして同定するための組成物。
【0090】
D2. SMN1遺伝子中のrs143838139を分析してT>G変異の存在を検出するための構成成分を含む、実施形態D1に記載の組成物。
【0091】
D3. 配列番号1の核酸配列を含むプライマーおよび/もしくは配列番号2の核酸配列を含むプライマー、または配列番号1の核酸配列および/もしくは配列番号2の核酸配列に対して少なくとも99%、もしくは98%、もしくは97%、もしくは96%、もしくは95%、もしくは90%、もしくは85%、もしくは80%同一である核酸配列を含むプライマーを含む、実施形態D1および/もしくはD2に記載の組成物。
【0092】
D4. 配列番号3の核酸配列を含むプローブおよび/もしくは配列番号4の核酸配列を含むプローブ、または配列番号3の核酸配列および/もしくは配列番号4の核酸配列に対して少なくとも99%、もしくは98%、もしくは97%、もしくは96%、もしくは95%、もしくは90%、もしくは85%、もしくは80%同一である核酸配列を含むプローブを含む、実施形態D1および/もしくはD2に記載の組成物。
【0093】
D5. 前記プライマーおよび/またはプローブの少なくとも1つが、検出可能な部分で標識されている、、実施形態D3および/もしくはD4に記載の組成物。
【0094】
D6. 前記検出可能な部分が、フルオロフォアであり、必要に応じて、6-カルボキシフルオレセインまたはVICのうちの少なくとも1つである、実施形態D5に記載の組成物。
図1
図2
図3
図4
【配列表】
2024504622000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-09-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象を脊髄性筋萎縮症(SMA)のサイレントキャリアとして同定するための指標として標的遺伝子増幅産物を得る方法であって、
標的遺伝子増幅産物の有無を検出することを含む、該対象から得られた核酸サンプルを分析する工程
を含み、該標的遺伝子増幅産物の存在は、該対象がSMAのサイレントキャリアであることを示す、方法。
【請求項2】
前記核酸サンプルを分析する工程がリアルタイムPCRアッセイを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記核酸サンプルを分析する工程が、SMN1のエクソン7またはその部分を分析することを含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
配列番号1を含むプライマーおよび配列番号2を含むプライマー、または配列番号1および配列番号2に対して少なくとも99%、もしくは98%、もしくは97%、もしくは96%、もしくは95%、もしくは90%、もしくは85%、もしくは80%同一である核酸配列を含むプライマーが、SMN1のエクソン7またはその部分を分析するために使用される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記核酸サンプルを分析する工程が、SMN1遺伝子増幅産物中のrs143838139を分析してT>G変異の存在を検出することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記核酸サンプルを分析する工程が、特異的Taqmanプローブを使用するSMN1遺伝子増幅産物中のrs143838139の標的化分析を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
野生型SMN1遺伝子増幅産物が、該野生型SMN1遺伝子増幅産物に特異的な標識された核酸プローブで検出される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記プローブが配列番号3を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
変異体SMN1遺伝子増幅産物が、該変異体SMN1遺伝子増幅産物に特異的な標識された核酸プローブで検出される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記プローブが配列番号4を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記2種のプローブが異なるフルオロフォアで標識されている、請求項6~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
データが収集された後に各蛍光色素チャネルについてCtが決定される、請求項2~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記曲線Ctが所定の閾値よりも低いか否かによってアレルの有無が決定される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記対象がヒトである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記サンプルが血液サンプルである、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の方法を使用して対象を脊髄性筋萎縮症(SMA)のサイレントキャリアとして同定するためのシステムであって、以下の工程:
(a)核酸サンプルを対象から得る工程;
(b)標的遺伝子増幅産物の有無を検出することを含む、該核酸サンプルを分析する工程;および
(c)該標的遺伝子増幅産物が存在する場合に該対象をSMAのサイレントキャリアとして特徴付ける工程
のうちの少なくとも1つを実施するための少なくとも1つのステーションまたはコンポーネントを含む、システム。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか一項に記載の方法を使用して対象を脊髄性筋萎縮症(SMA)のサイレントキャリアとして同定するためのキットであって、以下の工程:
(a)核酸サンプルを対象から得る工程;
(b)標的遺伝子増幅産物の有無を検出することを含む、該核酸サンプルを分析する工程;および
(c)該標的遺伝子増幅産物が存在する場合に該対象をSMAのサイレントキャリアとして特徴付ける工程
のうちの少なくとも1つを実施するための構成成分を含む、キット。
【請求項18】
SMN1遺伝子コピー中に存在するアレルを対象において同定することによって、該対象を脊髄性筋萎縮症(SMA)のサイレントキャリアとして同定するための組成物。
【請求項19】
SMN1遺伝子中のrs143838139を分析してT>G変異の存在を検出するための構成成分を含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
配列番号1の核酸配列を含むプライマーおよび/もしくは配列番号2の核酸配列を含むプライマー、または配列番号1の核酸配列および/もしくは配列番号2の核酸配列に対して少なくとも99%、もしくは98%、もしくは97%、もしくは96%、もしくは95%、もしくは90%、もしくは85%、もしくは80%同一である核酸配列を含むプライマーを含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
配列番号3の核酸配列を含むプローブおよび/もしくは配列番号4の核酸配列を含むプローブ、または配列番号3の核酸配列および/もしくは配列番号4の核酸配列に対して少なくとも99%、もしくは98%、もしくは97%、もしくは96%、もしくは95%、もしくは90%、もしくは85%、もしくは80%同一である核酸配列を含むプローブを含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項22】
前記プローブが、検出可能な部分で標識されている、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記検出可能な部分が、フルオロフォアであり、必要に応じて、6-カルボキシフルオレセインまたはVICのうちの少なくとも1つである、請求項22に記載の組成物。



【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
なお他の実施形態において、本発明は、対象をSMAのサイレントキャリアとして同定するための組成物またはキットを含む。一部の実施形態において、そのキットは、本明細書において開示される発明の方法を実施するための組成物および/または他の構成成分を含む。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
対象を脊髄性筋萎縮症(SMA)のサイレントキャリアとして同定するための方法であって、
(a)核酸サンプルを対象から得る工程;
(b)標的遺伝子増幅産物の有無を検出することを含む、該核酸サンプルを分析する工程;および
(c)該標的遺伝子増幅産物が存在する場合に該対象をSMAのサイレントキャリアとして特徴付ける工程
を含む、方法。
(項目2)
前記核酸サンプルを分析する工程がリアルタイムPCRアッセイを含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記核酸サンプルを分析する工程が、SMN1のエクソン7またはその部分を分析することを含む、項目1~2のいずれか一項に記載の方法。
(項目4)
配列番号1を含むプライマーおよび配列番号2を含むプライマー、または配列番号1および配列番号2に対して少なくとも99%、もしくは98%、もしくは97%、もしくは96%、もしくは95%、もしくは90%、もしくは85%、もしくは80%同一である核酸配列を含むプライマーが、SMN1のエクソン7またはその部分を分析するために使用される、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記核酸サンプルを分析する工程が、SMN1遺伝子増幅産物中のrs143838139を分析してT>G変異の存在を検出することを含む、項目1~4のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記核酸サンプルを分析する工程が、特異的Taqmanプローブを使用するSMN1遺伝子増幅産物中のrs143838139の標的化分析を含む、項目1~5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
野生型SMN1遺伝子増幅産物が、該野生型SMN1遺伝子増幅産物に特異的な標識された核酸プローブで検出される、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記プローブが配列番号3を含む、項目7に記載の方法。
(項目9)
変異体SMN1遺伝子増幅産物が、該変異体SMN1遺伝子増幅産物に特異的な標識された核酸プローブで検出される、項目6に記載の方法。
(項目10)
前記プローブが配列番号4を含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記2種のプローブが異なるフルオロフォアで標識されている、項目6~10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
データが収集された後に各蛍光色素チャネルについてCtが決定される、項目2~11のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記曲線Ctが所定の閾値よりも低いか否かによってアレルの有無が決定される、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記対象がヒトである、項目1~13のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
前記サンプルが血液サンプルである、項目1~14のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
項目1~15のいずれか一項に記載の方法を使用して対象を脊髄性筋萎縮症(SMA)のサイレントキャリアとして同定するためのシステムであって、以下の工程:
(a)核酸サンプルを対象から得る工程;
(b)標的遺伝子増幅産物の有無を検出することを含む、該核酸サンプルを分析する工程;および
(c)該標的遺伝子増幅産物が存在する場合に該対象をSMAのサイレントキャリアとして特徴付ける工程
のうちの少なくとも1つを実施するための少なくとも1つのステーションまたはコンポーネントを含む、システム。
(項目17)
項目1~15のいずれか一項に記載の方法を使用して対象を脊髄性筋萎縮症(SMA)のサイレントキャリアとして同定するためのキットであって、以下の工程:
(a)核酸サンプルを対象から得る工程;
(b)標的遺伝子増幅産物の有無を検出することを含む、該核酸サンプルを分析する工程;および
(c)該標的遺伝子増幅産物が存在する場合に該対象をSMAのサイレントキャリアとして特徴付ける工程
のうちの少なくとも1つを実施するための構成成分を含む、キット。
(項目18)
SMN1遺伝子コピー中に存在するアレルを対象において同定することによって、該対象を脊髄性筋萎縮症(SMA)のサイレントキャリアとして同定するための組成物。
(項目19)
SMN1遺伝子中のrs143838139を分析してT>G変異の存在を検出するための構成成分を含む、項目18に記載の組成物。
(項目20)
配列番号1の核酸配列を含むプライマーおよび/もしくは配列番号2の核酸配列を含むプライマー、または配列番号1の核酸配列および/もしくは配列番号2の核酸配列に対して少なくとも99%、もしくは98%、もしくは97%、もしくは96%、もしくは95%、もしくは90%、もしくは85%、もしくは80%同一である核酸配列を含むプライマーを含む、項目18に記載の組成物。
(項目21)
配列番号3の核酸配列を含むプローブおよび/もしくは配列番号4の核酸配列を含むプローブ、または配列番号3の核酸配列および/もしくは配列番号4の核酸配列に対して少なくとも99%、もしくは98%、もしくは97%、もしくは96%、もしくは95%、もしくは90%、もしくは85%、もしくは80%同一である核酸配列を含むプローブを含む、項目18に記載の組成物。
(項目22)
前記プローブが、検出可能な部分で標識されている、項目21に記載の組成物。
(項目23)
前記検出可能な部分が、フルオロフォアであり、必要に応じて、6-カルボキシフルオレセインまたはVICのうちの少なくとも1つである、項目22に記載の組成物。
【国際調査報告】