(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】アンテナ支援ReRAMの形成
(51)【国際特許分類】
H10B 63/00 20230101AFI20240125BHJP
H10N 70/20 20230101ALI20240125BHJP
【FI】
H10B63/00
H10N70/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542730
(86)(22)【出願日】2022-01-19
(85)【翻訳文提出日】2023-07-13
(86)【国際出願番号】 EP2022051150
(87)【国際公開番号】W WO2022161832
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】キム、ユンソク
(72)【発明者】
【氏名】セオ、スン-チェオン
(72)【発明者】
【氏名】オク、インジョ
(72)【発明者】
【氏名】レズニチェク、アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
5F083
【Fターム(参考)】
5F083FZ10
5F083GA27
5F083JA56
5F083JA58
5F083MA06
5F083MA15
5F083PR00
(57)【要約】
メモリ構造体は、基板に埋め込まれたReRAMモジュールを備える。絶縁層が基板上に形成される。第1の電極は、絶縁層上に配置される。第1の電極は、ReRAMモジュールの第1の端部に近接して接続され、第1の表面積を備える。第2の電極は、絶縁層上に配置される。第2の電極は、ReRAMモジュールの第2の端部に近接して接続される。第2の電極は、第2の表面積と、プラズマ相互作用構成要素と、抵抗性構成要素とを備える。抵抗性構成要素は、プラズマ相互作用構成要素とReRAMモジュールとの間に配置される。第1の表面積と第2の表面積との比は、第1の表面積および第2の表面積がプラズマの印加に曝されると、第1の電極と第2の電極との間に電圧を生成する。電圧は、ReRAMモジュール内に導電性フィラメントを形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ReRAMモジュール内に導電性フィラメントを形成する方法であって、
第1の電極および第2の電極をプラズマの印加に曝すことであり、前記第1の電極がReRAMモジュールの第1の端部に近接して接続され、前記第2の電極が前記ReRAMモジュールの第2の端部に近接して接続されている、前記曝すこと、
を含み、前記第2の電極が、
プラズマ相互作用構成要素と、
前記プラズマ相互作用構成要素と前記ReRAMモジュールとの間に配置された抵抗性構成要素と、を備え、
前記第1および第2の電極を前記プラズマの印加に曝すことにより、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧が生成され、前記電圧により前記ReRAMモジュール内に前記導電性フィラメントが生成される、
方法。
【請求項2】
前記プラズマの印加後に、前記第1および第2の電極をエッチング除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プラズマの印加後に、前記第1の電極をエッチング除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プラズマの印加後に、前記第2の電極をエッチング除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記抵抗性構成要素および前記プラズマ相互作用構成要素が同じ材料で構成され、前記抵抗性構成要素の抵抗が主に前記抵抗性構成要素の長さ、幅、および高さに起因して生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記抵抗性構成要素の前記抵抗が前記導電性フィラメントの目標抵抗値以下である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ReRAMモジュールの前記第1の端部および前記第2の端部のうちの少なくとも1つを、メモリ構造体内のメモリ・セル・トランジスタに接続することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ReRAMモジュールの前記抵抗が目標抵抗値に達したと判定することと、
前記判定することに応答して、前記プラズマの印加に前記曝すことを終了することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ReRAMモジュールを基板に統合することと、
前記ReRAMモジュールの前記第1の端部と第1のコンタクトとの間の電気的接続を形成することであって、前記第1のコンタクトが絶縁層内に埋め込まれている、前記形成することと、
前記ReRAMモジュールの前記第2の端部と第2のコンタクトとの間の電気的接続を形成することであって、前記第2のコンタクトが前記絶縁層内に埋め込まれている、前記形成することと、
前記絶縁層上に金属の層を堆積させることと、
前記金属の層にパターンをエッチングして、前記第1のコンタクトに取り付けられた前記第1の電極および前記第2のコンタクトに取り付けられた前記第2の電極を得ることと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
基板に埋め込まれたReRAMモジュールと、
前記基板の表面上の絶縁層と、
前記絶縁層の表面上の第1の電極であり、前記ReRAMモジュールの第1の端部に近接して接続され、第1の表面積を備える、前記第1の電極と、
前記絶縁層の前記表面上の第2の電極であり、前記ReRAMモジュールの第2の端部に近接して接続され、
第2の表面積と、
前記絶縁層の表面上のプラズマ相互作用構成要素と、
前記プラズマ相互作用構成要素と前記ReRAMモジュールとの間の前記絶縁層の前記表面上に配置された抵抗性構成要素と、
を備える、前記第2の電極と、
を備え、
前記第2の表面積に対する前記第1の表面積の比が、導電性フィラメントの形成中に前記第1の表面積および第2の表面積がプラズマの印加に曝されると、前記第1の電極と前記第2の電極との間に形成電圧を生成する、
メモリ構造体。
【請求項11】
前記第1の電極および第2の電極が、前記絶縁層から化学的にエッチング除去され得る材料で構成されている、請求項10に記載のメモリ構造体。
【請求項12】
前記第1の電極が、前記絶縁層から化学的にエッチング除去され得る材料で構成されている、請求項10に記載のメモリ構造体。
【請求項13】
前記第2の電極が、前記絶縁層から化学的にエッチング除去され得る材料で構成されている、請求項10に記載のメモリ構造体。
【請求項14】
前記導電性フィラメントが目標抵抗値を有する、請求項10に記載のメモリ構造体。
【請求項15】
前記抵抗性構成要素が前記第1の電極と前記第2の電極との間の第1の抵抗を提供し、前記第1の抵抗が前記目標抵抗値以下である、請求項14に記載のメモリ構造体。
【請求項16】
前記ReRAMモジュールの前記第1の端部および前記第2の端部のうちの少なくとも1つが前記メモリ構造体内のメモリ・セル・トランジスタに接続されている、請求項10に記載のメモリ構造体。
【請求項17】
第1の端部および第2の端部を備えるReRAMモジュールと、
基板と、
前記基板の表面上の絶縁層と、
前記絶縁層内の凹部であり、前記凹部が第1のアンテナ電極の形状の輪郭と、第2のアンテナ電極の形状の輪郭とを呈する、前記凹部と、
を備える、メモリ構造体。
【請求項18】
前記基板の前記表面上の第1のコンタクトおよび第2のコンタクトであって、前記第1のコンタクトが前記第2の端部に対して前記第1の端部に近接して接続され、前記第2のコンタクトが前記第1の端部に対して前記第2の端部に近接して接続されている、前記第1のコンタクトおよび前記第2のコンタクト、
をさらに備える、請求項17に記載のメモリ構造体。
【請求項19】
前記第2のアンテナ電極の前記形状の前記輪郭が抵抗性構成要素の形状の輪郭を含む、請求項17に記載のメモリ構造体。
【請求項20】
前記抵抗性構成要素の前記形状の前記輪郭が迂回線路の輪郭の形態をとる、請求項19に記載のメモリ構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、メモリ・モジュールに関し、より詳細には、ReRAMモジュールを形成することに関する。
【背景技術】
【0002】
ランダム・アクセス・メモリ(本明細書では「RAM」と呼ばれる)は、コンピュータ記憶システムで使用される記憶クラスである。RAMにはいくつかの形態があり、その多くはプロセッサ・キャッシュの内外の情報に高速にアクセスするのに有用である。したがって、RAMのタイプによっては、マザーボードなどのシステム・ボード上に設置されるものもある。これらのタイプのRAMは、RAMのフォーマットに応じて、異なるやり方で情報を記憶することができる。タイプによっては、例えば、RAMセル内のトランジスタ-キャパシタ対の状態を変化させることによって、1ビットの情報(例えば、「1」または「0」)を記憶するものもある。タイプによっては、RAMセル両端間の電気抵抗の状態を変化させることによって、1ビットの情報を記憶するものもある。
【発明の概要】
【0003】
本開示の一部の実施形態は、ReRAM導電性フィラメントを形成する方法として例示することができる。本方法は、第1の電極をプラズマの印加に曝すことを含む。第1の電極は、ReRAMモジュールの第1の端部に近接して接続される。本方法は、第2の電極をプラズマの印加に曝すことをさらに含む。第2の電極は、ReRAMモジュールの第2の端部に近接して接続される。第2の電極は、プラズマ相互作用構成要素(plasma-interacting component)と、プラズマ相互作用構成要素とReRAMモジュールとの間に配置された抵抗性構成要素(resistive component)とを備える。第1および第2の電極をプラズマの印加に曝すことにより、第1の電極と第2の電極との間に電圧が生成され、この電圧により、ReRAMモジュール内に導電性フィラメントが生成される。
【0004】
本開示の一部の実施形態は、メモリ構造体として例示することができる。メモリ構造体は、基板に埋め込まれたReRAMモジュールを備える。メモリ構造体は、基板の表面に絶縁層も備える。メモリ構造体は、絶縁層の表面に第1の電極も備える。第1の電極は、ReRAMモジュールの第1の端部に近接して接続され、第1の表面積を含む。メモリ構造体は、絶縁層の表面に第2の電極も備える。第2の電極は、ReRAMモジュールの第2の端部に近接して接続される。第2の電極は、第2の表面積と、プラズマ相互作用構成要素と、プラズマ相互作用構成要素とReRAMモジュールとの間に配置された抵抗性構成要素とを含む。第1の表面積と第2の表面積との比は、第1の表面積および第2の表面積がプラズマの印加に曝されると、第1の電極と第2の電極との間に電圧を生成する。電圧は、ReRAMモジュール内に導電性フィラメントを形成する。
【0005】
本開示の一部の実施形態は、第1および第2の端部を有するReRAMモジュールを備えるメモリ構造体として例示することもできる。メモリ構造体は、基板も含む。メモリ構造体は、絶縁層に凹部も含む。凹部は、第1のアンテナ電極の形状の輪郭と、第2のアンテナ電極の形状の輪郭とを呈する。
【0006】
上記の概要は、本開示の各例示された実施形態またはすべての実施態様を説明することは意図されていない。
【0007】
本出願に含まれる図面は、本明細書に組み込まれ、その一部を形成する。これらの図面は、本開示の実施形態を例示し、説明とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。図面は、特定の実施形態の例示に過ぎず、本開示を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】本開示の実施形態による、ReRAMモジュール内に導電性フィラメントを形成するために使用することができるアンテナ構造の第1の側面図である。
【
図1B】本開示の実施形態による、ReRAMモジュール内に導電性フィラメントを形成するために使用することができるアンテナ構造の上面図である。
【
図1C】本開示の実施形態による、ReRAMモジュール内に導電性フィラメントを形成中のアンテナ構造の第2の側面図である。
【
図1D】本開示の実施形態による、ReRAMモジュール内に導電性フィラメントを形成し、アンテナ電極を除去した後のアンテナ構造の第3の側面図である。
【
図1E】本開示の実施形態による、アンテナ電極を除去した後のメモリ構造体の上面図である。
【
図2】本開示の実施形態による、ReRAMモジュール内に導電性フィラメントを形成するためにアンテナ構造を使用する方法である。
【
図3】本開示の実施形態による、ReRAMモジュール内に導電性フィラメントを形成するために使用することができるアンテナ構造を形成する方法である。
【
図4A】本開示の実施形態による、ReRAMモジュール内に導電性フィラメントを形成するために使用することができるアンテナ構造を形成する第1段階の側面図である。
【
図4B】本開示の実施形態による、ReRAMモジュール内に導電性フィラメントを形成するために使用することができるアンテナ構造を形成する第2の段階の側面図である。
【
図4C】本開示の実施形態による、ReRAMモジュール内に導電性フィラメントを形成するために使用することができるアンテナ構造を形成する第3段階の側面図である。
【
図4D】本開示の実施形態による、ReRAMモジュール内に導電性フィラメントを形成するために使用することができるアンテナ構造を形成する第4段階の側面図である。
【
図4E】本開示の実施形態による、ReRAMモジュール内に導電性フィラメントを形成するために使用することができるアンテナ構造を形成する第5段階の側面図である。
【
図5】本開示の実施形態による、抵抗性構成要素のギザギザ形状(jagged shape)の輪郭を表示する凹部が上にある絶縁層の上面図である。
【
図6】本開示の実施形態による、抵抗性構成要素の螺旋形状の輪郭を表示する凹部が上にある絶縁層の上面図である。
【
図7】実施形態に従って使用することができるコンピュータ・システムの代表的な主要構成要素である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、様々な修正形態および代替形態を受け入れることができるが、その詳細は、図面において例として示され、詳細に説明される。しかしながら、本発明を記載された特定の実施形態に限定する意図はないことを理解されたい。それどころか、本発明の思想および範囲内に入るすべての修正形態、均等物、および代替形態を包含することを意図している。
【0010】
本開示の態様は、メモリ・モジュールに関し、より詳細には、ReRAMモジュールを形成することに関する。本開示は、必ずしもこのような用途に限定されないが、本開示の様々な態様は、本文脈を使用する様々な実施例の議論を通じて理解され得る。
【0011】
ランダム・アクセス・メモリ(本明細書では「RAM」と呼ばれる)は、プロセッサなどの別のコンピュータ構成要素による高速検索のために情報を記憶することができるコンピュータ記憶の一形態である。例えば、RAMは、多くのプロセッサのキャッシュ・メモリに見出され、多くのコンピュータ・システムでメイン・メモリとして使用される。RAMの構造およびRAMが情報を記憶するプロセスは、使用されるRAMの形態に基づいて異なる。例えば、プロセッサ・キャッシュに使用されるRAMは、6トランジスタ・メモリ・セルの形態をとることがあるが、システム・メモリに使用されるRAMは、トランジスタ-キャパシタ・セルの形態をとることがある。典型的なRAMフォーマットでは、セルは、1ビットの情報を記憶することができ、セルの状態(例えば、充電されている、または充電されていない)を使用して、ビットをオンまたはオフに設定することができる(ビットを「真」または「偽」、「1」または「0」などに設定するとも呼ばれる)。
【0012】
例えば、抵抗変化型RAM(本明細書では「ReRAM」と呼ばれる)では、メモリ・セルは、誘電体固体材料の形態をとり、「メムリスタ(memrister)」と呼ばれることもある。例えば、ReRAMモジュールは、メモリ・スタックの2つの電極間に配置された酸化物層の形態をとることがある。典型的には非導電性であるが、この酸化物層に酸化物欠陥を形成させることにより、材料の抵抗を変化させ、導電性にすることができる。これらの酸化物欠陥は、「酸素空孔(oxygen vacancy)」と呼ばれることがあり、酸素が除去された(典型的には酸化物層の他の部分に移動した)酸化物結合の位置を表す。これらの欠陥がメムリスタの2つの端部間に連続した経路(「フィラメント」と呼ばれることもある)で形成されると、これらの2つの端部間の電気抵抗が著しく低下する可能性がある。さらに、その後に、特定の電圧の電界がメムリスタに印加されると、以前に酸化物結合位置(すなわち、酸素空孔位置)から除去された酸素が酸化物結合位置に移動して戻ることができる。これが起こると、「フィラメント」が変形し、メムリスタの両端間の電気抵抗が再び著しく増加する。このプロセスは可逆的である。したがって、特定の電圧の電界をメムリスタに印加することによって、メムリスタを高抵抗の状態と低抵抗の状態との間で切り替えることができる。
【0013】
したがって、ReRAMでは、メモリ・モジュールに電荷を印加して、モジュールの電気抵抗を第1の抵抗値(「高抵抗」と呼ばれることもある)と第2の抵抗値(「低抵抗」と呼ばれることもある)との間で切り替えることができる。モジュールの状態を利用して、情報を記憶することができる。例えば、各状態を1または0のいずれかに設定する(例えば、高抵抗状態を「1」に設定し、低抵抗状態を「0」に設定する)ことによって、そのメムリスタの状態を使用して1ビットの情報を記憶することができる。
【0014】
一部の他のタイプのRAMとは異なり、ReRAMは、不揮発性であると考えられ、これは、電源が入っていなくてもその記憶された情報が失われないことを意味する。換言すれば、ReRAMの状態(高抵抗または低抵抗)は、コンピュータ・システムから電力が遮断されたときに安定している。このため、ReRAMは、ハード・ディスク・ドライブおよびソリッド・ステート・ドライブの代替(または補完)など、より長期記憶において潜在的な利点を有する。長期記憶にうまく適用されれば、ReRAMは、他の長期記憶ソリューションと比較して、ReRAMの読み取りレイテンシが低く、書き込み速度が高いため、コンピュータ・システムのストレージを大幅に向上させることができるであろう。
【0015】
しかしながら、ReRAMを形成する際の難しさにより、ストレージ・システムにおけるReRAMの利用が、完全に実現不可能ではないにしても、困難になる可能性がある。例えば、説明したように、ReRAMが形成されるためには、酸化物欠陥の連続した経路(すなわち、導電性フィラメント)を形成するのに十分な電圧がReRAMモジュール両端間に印加されなければならない。この「十分な電圧」は、形成電圧と呼ばれることもある。
【0016】
残念ながら、典型的なReRAMモジュールの形成電圧は、多くの場合、導電性フィラメントが形成された後にReRAMを抵抗状態間で切り替えるのに必要な電圧よりも著しく高い。例えば、典型的なReRAMモジュールは、他のメモリ・システムと同様の電圧(例えば、1.2ボルト)で動作するように設計されていることがある。しかしながら、このようなReRAMモジュールに導電性フィラメントを形成するには、4ボルトを超える電圧(すなわち、形成電圧)をReRAMモジュールに印加する必要がある場合がある。さらに、この形成電圧を印加するには、典型的には、システムで使用する際にReRAMが状態間で切り替えられる電圧と同じ経路を通して(例えば、ビット線およびワード線を通して)電圧を印加する必要がある。換言すると、形成電圧は、一部の用途では、ReRAMモジュールの最終回路設計およびシステムへの関連付けられた接続を通して印加されなければならない。
【0017】
残念ながら、メモリのスイッチング電圧(例えば、1.2V)を処理するためだけに設計された回路を通して形成電圧(例えば、4V)を印加すると、回路に損傷を引き起こす可能性がある。例えば、典型的な相補型金属酸化膜半導体(「CMOS」と呼ばれることもある)システムでは、回路が設計されている電圧よりも著しく高い電圧を印加すると、ゲートと導電チャネルとの間、またはソースとドレインとの間の導電チャネルにわたって短絡が形成される可能性がある。構成要素が非常に小さい最先端のシステムでは、高電圧によりコンタクトおよびワイヤが損傷する可能性もある。したがって、ReRAMモジュールをメモリ回路に組み込むには、これらの悪影響を軽減するための努力が必要となることが多い。
【0018】
例えば、高電圧によって引き起こされる潜在的な損傷を軽減する1つの方法としては、メモリ回路をよりロバストに設計することが挙げられる。これには、典型的には、例えば、より厚いワイヤ、より厚い絶縁層、およびより広いゲート・ピッチを含むことが含まれる。換言すれば、記憶回路の構成要素を大きくすることであってもよい。残念ながら、ほとんどの現代のシステムは、小型で狭ゲート回路がもたらす性能上の利点および構成要素密度の向上のために、小型で狭ゲート回路を利用しようと試みている。このため、高性能デバイスにおいてより大きな回路を使用することは、あまり望ましくないことが多く、ReRAMの形成電圧に耐えるのに十分大きく、ロバストな回路を設計することの弊害によって、ReRAMの利点が相殺される可能性がある。
【0019】
形成電圧による潜在的な損傷を軽減する別の方法としては、意図された導電性フィラメントの近くのReRAMモジュール内に「酸素空孔」リザーバを含めることが挙げられる。このようなリザーバは、強い拡散力を生成することができ、形成電圧が印加されると酸素空孔を導電性フィラメントの位置に迅速に流入させる。換言すれば、酸素空孔(すなわち、酸素が除去された酸化物結合の位置)のリザーバは、電圧が印加されると、導電性フィラメントの意図された位置の酸素をリザーバに迅速に拡散させることができる。残念ながら、本方法では、フィラメントの形成を制御することが難しく、いくつかの欠点が生じる可能性がある。
【0020】
まず、リザーバによってチャネルが急速に形成される可能性があるため、導電性フィラメントの抵抗が極端に低くなり、ReRAMを使用する際にフィラメントを「閉じる」のに必要な電圧が増加する可能性がある。換言すれば、導電性フィラメントは、通常動作においてReRAMの状態を切り替えるのに非常に高い電圧が必要とされ得るほどに十分に迅速かつ十分に広く形成される可能性がある。一部の例では、導電性フィラメントは、スイッチング電圧がシステムの他の構成要素を損傷するのに十分に高くなるほどに十分に広く形成される可能性がある。これは、ReRAMを通常のシステムで使用できなくするだけでなく、酸素空孔リザーバの目的を無効にする可能性がある。
【0021】
さらに、フィラメントが正しく形成されたとしても、酸素空孔リザーバは、典型的には、形成後に所定の位置に残る。したがって、導電性フィラメントを形成するのに必要な労力を減少させる拡散力が、ReRAMモジュールの通常動作中に依然として存在することが多い。その結果、ReRAMにスイッチング電圧を印加してメモリの状態を変化させると、導電性フィラメントが最初に形成されたときよりも多くの酸素が酸素空孔リザーバに拡散するため、導電性フィラメント内に新たな欠陥が形成される可能性がある。換言すれば、酸素空孔リザーバの存在により、メモリの動作中にReRAMの導電性フィラメントが広がる可能性がある。これは、ReRAMの通常動作によって引き起こされる可能性があるが、ReRAMのスイッチング電圧よりもわずかに大きい電圧が誤って印加された場合、著しく悪化する可能性がある。例えば、ReRAMのスイッチング電圧が1.2Vの場合、1.200Vの電圧を印加すると、導電性フィラメントがわずかに広がることがある。しかしながら、(例えば、電源変動に起因して)誤って1.21Vを印加すると、導電性フィラメントがより大きく広がることがある。したがって、酸素空孔の存在は、繰り返し使用した後にReRAMモジュールを故障させる原因となる可能性があるだけでなく、ReRAMモジュールを高電圧に対して影響を受けやすくもする。
【0022】
残念ながら、導電性フィラメントが広がるにつれて、フィラメントは、スイッチング電圧を運ぶ電流に対しても影響をより受けやすくなる。その結果、導電性フィラメントが広がるにつれて、フィラメントは、スイッチング電圧が再び印加されたときに再び広がる可能性が高くなる。その結果、ReRAMを使用するにつれてフィラメントがますます速い速度で広がり、最終的には、ReRAMを切り替えることが回路を損傷するのに十分高い電圧を必要とするほどに広がってしまうという、帰還ループをもたらす可能性がある。
【0023】
これらの理由から、回路の動作にとって必要以上にロバストな(すなわち、より大きな)回路構成要素に頼ることなく、かつスイッチング電圧を低下させるために酸素空孔リザーバに頼ることなく、ReRAMモジュールに形成電圧を印加することができるメカニズムが望まれている。
【0024】
上記の問題に対処するために、本開示の一部の実施形態は、アンテナ・システムを利用して、形成後ではなくRAMスタックの形成中にReRAMモジュール内に導電性フィラメントを形成する。一部の実施形態では、アンテナを通して印加される電圧は、回路の残りの部分が耐えられるように設計されている電圧よりも高くすることができ、回路の残りの部分に損傷を与えるリスクを冒すことなく、高い形成電圧をReRAMモジュールに印加することができる。一部の実施形態では、アンテナ・システムは、導電性フィラメントの形成後に除去され、アンテナの持続的な効果が通常動作中にReRAMモジュールに影響を及ぼすことを防止することができる。
【0025】
一部の実施形態では、例えば、2つの電極が、ReRAMモジュールが中に(または下に)埋め込まれた基板上の絶縁層上に形成される。各電極は、ReRAMモジュールの反対側の端部に電気的に接続されてもよい。2つの電極は、絶縁層の表面上でサイズが異なってもよく、構造体を上から見たときに露出する電極の表面積を不揃いにする。一部の実施形態では、これらの電極は、上方からのプラズマの印加に曝されてもよい。その結果、一方の電極が他方の電極よりも多くそのプラズマに曝されてもよく、2つの電極間に電圧が形成される。各電極は、ReRAMモジュールの反対側の端部に接続されているため、この電圧により、その電圧で2つの端部間でReRAMモジュールに電流を流すことができ、その結果、酸化物結合中の酸素をその電圧の経路から離れるように移動させることができる。換言すれば、ReRAMモジュール全体にわたって酸素空孔欠陥が形成され、導電性フィラメントが生じる可能性がある。
【0026】
残念ながら、プラズマの印加に起因して生成される電流は、制御するのが難しい場合がある。電子的に生成される電流とは異なり、プラズマが2つの電極に衝突することよって生成される電流は、当然ながら制限されない。プロセスの開始時は、ReRAMモジュールの抵抗が高いため、非常に小さな電流が電極間に流れる場合がある。しかしながら、欠陥がReRAMモジュール内に蓄積するにつれて、抵抗が減少し、その生成された電圧でより高い電流が流れるようになる。このより高い電流により、酸素空孔欠陥がより速く生成され、ReRAMモジュールの抵抗もより高速で増加する。したがって、プラズマの印加によって生成される制御されない電流は、正帰還ループをもたらす可能性があり、これにより、ReRAMモジュール内の電流が急速に高くなり、導電性フィラメントが望ましくないほど大きくなる可能性がある。
【0027】
このため、本開示の一部の実施形態は、プラズマ印加と相互作用する電極の設計に抵抗性構成要素を含む。例えば、本開示の一部の実施形態では、第1の電極は、第2の電極よりも大きい表面積で設計され、これにより、第1の電極から第2の電極に電流が流れるようにすることができる。一部の実施形態では、第2の電極は、プラズマ相互作用構成要素および抵抗性構成要素を含む。これらの実施形態では、抵抗性構成要素は、プラズマ相互作用構成要素へのプラズマの印加によって生成される電流が抵抗性構成要素を通過するように、ReRAMモジュールとプラズマ相互作用構成要素との間に配置されてもよい。さらに、第1の電極の表面積と第2の電極の表面積との比をプラズマ印加中に一定に保つことができるため、プラズマの印加強度が一定に保たれる場合は、印加中に生成される電圧を一定に保つことができる。こうして、電流の電圧および抵抗性構成要素の抵抗を一定に保つことができ、したがって、ReRAMモジュールに流れる電流を最大値に制限することができる。この最大値が十分に低い場合、導電性フィラメントの形成中の正帰還ループを防止することができる。
【0028】
一部の実施形態では、抵抗性構成要素は、電極の薄い巻線部分の形態をとってもよい。例えば、抵抗性構成要素は、電極のプラズマ相互作用構成要素と、電極を基板の内部に接続するコンタクトとの間の絶縁層の表面上の迂回経路を辿る金属ワイヤ(例えば、ストリップ・ライン・ワイヤ)に類似していてもよい。一部の実施形態では、このコンタクトは、基板の表面に形成されてもよく、電極の一部と見なされてもよく、他の実施形態では、コンタクトは、電極の前に形成されてもよい。例えば、コンタクトは、上に電極が形成された酸化物層に埋め込まれていてもよく、または電極を基板の内部に接続する導電性ビア・プラグの形態をとってもよい。
【0029】
一部の実施形態では、抵抗性構成要素の寸法は、所望の抵抗値が得られるように操作されてもよい。例えば、抵抗性構成要素の長さを増加させて、構成要素の抵抗を増加させることができる。換言すれば、電流が流れる必要がある抵抗性構成要素の量を増加させることによって、抵抗性構成要素の抵抗を増加させることができる。これは、ワイヤをより長くすることに例えることができる。同様に、抵抗性構成要素の平均(または最小)幅をその長さ全体にわたって減少させることによって、抵抗性構成要素の抵抗を増加させることもできる。これは、ワイヤをより細くすることに例えることができる。最後に、抵抗性構成要素の高さ(すなわち、絶縁層と抵抗性構成要素の頂部との間の距離)を減少させることによって、抵抗性構成要素の抵抗を増加させることもできる。これも、ワイヤをより細くすることに例えることができる。抵抗性構成要素の抵抗を調整するために、これらの3つの寸法を変更することができ、一方で、抵抗性構成要素に必要な絶縁層の表面積が、第1および第2の電極にとって利用可能な表面積をネガティブに制限することも防止しようとする。
【0030】
一部の実施形態では、説明したように抵抗性構成要素の寸法を操作することにより、プラズマ相互作用構成要素と、電極を基板の内部に接続するコンタクトとの間の迂回線路の形態をとる抵抗性構成要素を得ることができる。例えば、抵抗性構成要素は、基板の表面上を前後に進む蛇行形状、ガタガタした(jazzed)「ジグザグ」形状、螺旋形状、曲線などの形状をとることができる。ほとんどの実施形態では、抵抗性構成要素の寸法が所望の抵抗値をもたらす場合は、抵抗性構成要素の正確な形状は重要でなくてもよい。
【0031】
一部の実施形態では、導電性フィラメントが形成されると、アンテナの2つの電極は、絶縁層から除去されてもよい。例えば、化学エッチング・プロセスを使用して、絶縁層の表面を除去することなく、2つの電極の金属を除去することができる。これらの電極が除去されると、RAM構造の残りの部分を構築すること(例えば、基板層を追加することやReRAMモジュールとビット線およびワード線との間の電気的接続を追加することを含む)ができる。RAM構造を完成させる前にアンテナを除去することによって、アンテナ構造が、完成した構造に及ぼすことがあるいかなる悪影響(例えば、容量効果)を回避することができる。このため、本開示の実施形態は、アンテナ構造が、形成後のメモリ・モジュールに悪影響を及ぼす可能性があることを懸念することなく、導電性フィラメントを生成するのに必要なだけ大きく複雑なアンテナ構造を組み込むことを含むことができる。
【0032】
図1Aは、本開示の実施形態による、ReRAMモジュール内に導電性フィラメントを形成するために使用することができるアンテナ構造の第1の側面図を示す。
図1Aは、構造体を構築中のメモリ構造体100(例えば、RAMスタック)の図を示し、構造体のすべての層が追加される前であってもよい。
【0033】
メモリ構造体100は、2つの基板層、層102および104を含む。基板層102および104は、例えば、ガラス繊維-樹脂混合物などの絶縁材料で構成されてもよい。基板層102は、基板層104から絶縁層106で分離されており、この絶縁層に2つの層間の電気コンタクトが埋め込まれていてもよい。基板104は、基板104の上に形成された絶縁層108を含む。絶縁層106と同様に、絶縁層108は、その中に埋め込まれた電気コンタクトを含むことができる。絶縁層106および108は、例えば、二酸化シリコン層の形態をとることができる。
【0034】
メモリ構造体100は、ReRAMモジュール110も含む。ReRAMモジュール110は、例えば、基板104に埋め込まれた酸化物層などのメムリスタの形態をとることができる。したがって、ReRAMモジュール110に酸化物空孔欠陥が形成される前は、ReRAMモジュール110は、電流に対して高い抵抗性がある場合がある。
【0035】
メモリ構造体は、ReRAMモジュール110に電気的に接続された電極112および114も含む。電極112は、単一の構成要素を含む。一方、電極114は、図示されるように、3つの構成要素、すなわち、プラズマ相互作用構成要素116と、抵抗性構成要素118と、コンタクト構成要素120とを含む。一部の実施形態では、電極112および電極114のすべての構成要素は、同じ金属材料で構成されてもよく、その金属材料の単一シートからパターンをエッチング除去することによって形成されていてもよい。さらに、プラズマ相互作用構成要素116は、
図1Aでは2つの部分を含むものとして図示されているが、これらは実際には、
図1Aの断面の性質のために、
図1Aでは分離して見える同じ構成要素の2つの領域である。これは、
図1Bにより明確に提示されている。
【0036】
電極112は、図示されるように、ReRAMモジュール110の上端部に近接して接続されている。本明細書で使用されるように、「近接して接続された」という用語は、2つの構成要素間の接続を、それらの構成要素の一方の残りの部分との関係で説明する。例えば、電極112は、下端部よりもReRAMモジュール110の上端部により直接的に接続されているため、電極112は、ReRAMモジュール110の下端部と比較して、ReRAMモジュール110の上端部に近接して接続されていると説明することができる。したがって、(特に導電性フィラメントの形成後に)電極112がReRAMモジュール110の上端部および下端部の両方に電気的接続を有することがあるとしても、電極112は、下端部よりも直接的に上端部に電気的に接続されている。したがって、この理由により、電極114は、図示されるように、ReRAMモジュール110の下端部に近接して接続されている。
【0037】
電極112とReRAMモジュール110との間の接続は、コンタクト・パッド122および導電性プラグ124を介する。電極114とReRAMモジュール110との間の接続は、コンタクト構成要素120、コンタクト・パッド126、導電性プラグ128、コンタクト・パッド130、ワイヤ132、およびコンタクト・パッド134を介する。これらの接続の詳細は、限定するものとして解釈されることは意図されていないことに留意されたい。むしろ、様々な実施形態および様々な実施態様では、これらの接続経路は、実施状況に応じて、より少ない構成要素またはより多くの構成要素を含むことができる。例えば、コンタクト・パッド130がメモリ構造体100に図示されているが、一部の実施形態では、コンタクト・パッド130を省略することができ、導電性プラグ128が、コンタクト・パッド126とワイヤ132との間の距離全体に及ぶことができる。
【0038】
図1Bは、本開示の実施形態による、メモリ構造体100の上面図を示し、ReRAMモジュール内に導電性フィラメントを形成するために使用することができるアンテナ構造を示す。
図1Bに示されるように、電極112は、電極114が含む表面積よりも著しく小さい表面積を含む。さらに、電極112と電極114とは、絶縁層108上で接触していないため、電極112と114との間の電気的接続は、絶縁層108内およびその下に埋め込まれた接続構成要素(ReRAM110を含む)を介する。これらの理由から、電極112および電極114の両方が、「上方」からのプラズマの印加に曝されると、電流が、それらの接続構成要素を通って、電極114から電極112に流れることができる。この電流の電圧は、そのプラズマの印加に曝される電極112と114の表面積の比によって主に決定される場合がある。
【0039】
そのため、電極112および114は、異なる表面積を有するように設計される。具体的には、電極114は、電極112の表面積よりも著しく大きい表面積を含む。さらに、抵抗性構成要素118およびコンタクト構成要素120は、電極114の表面積に寄与するが、電極114が含む表面積の大部分は、プラズマ相互作用構成要素116に見出される。そのため、電極112の表面積と電極114の表面積の比は、電極112とプラズマ相互作用構成要素116の相対的なサイズによって大きく影響される。したがって、プラズマ相互作用構成要素116へのプラズマ印加の効果は、抵抗性構成要素118およびコンタクト構成要素120へのプラズマ印加の効果よりも、電極112と114との間の電圧の生成に著しく寄与する。このため、プラズマ相互作用構成要素116は、抵抗性構成要素118およびコンタクト構成要素120もプラズマの印加と相互作用するにもかかわらず、特に「プラズマ相互作用」と呼ばれる。
【0040】
前述したように、電極112と114との間を流れる電流は、電源から生じる電流とは異なり、制御することが困難である場合がある。このため、抵抗性構成要素118がプラズマ相互作用構成要素116とReRAMモジュール110との間に配置されている。抵抗性構成要素118は、プラズマ相互作用構成要素116とコンタクト構成要素120との間の(蛇行ワイヤに類似した)迂回線路の形態をとることができる。その結果、プラズマ相互作用構成要素116からReRAMモジュール110に流れる電流は、抵抗性構成要素118の抵抗によって制限されることになる。したがって、ReRAMモジュール110を通って流れる電流の大部分がプラズマ相互作用構成要素116に由来する実施形態(すなわち、プラズマ相互作用構成要素116が抵抗性構成要素118、コンタクト構成要素120、および電極112よりも著しく大きい実施形態)では、抵抗性構成要素118を使用して、ReRAMモジュール110に達する電流の最大値を設定することができる。このため、本開示の一部の実施形態は、プラズマ相互作用構成要素116と比較して、抵抗性構成要素118およびコンタクト構成要素120の表面積を最小限に抑えることを試みることができる。これにより、ReRAMモジュール110内の導電性フィラメントの形成中に正帰還ループが生じるのを防止することができる。
【0041】
図1Cは、本開示の実施形態による、ReRAMモジュール110に導電性フィラメントを形成中のメモリ構造体100の第2の側面図を示す。
図1Cにおいて、メモリ構造体100の頂面は、プラズマ136の印加に曝されている。プラズマ136は、電極112および114に衝突し、特定の電圧で2つの電極間に電流を流す。この電流は、プラズマ相互作用構成要素116から電極112に及ぶ流線138によって図示されている。この電流の電圧は、プラズマ136の強度と、プラズマに曝される電極114の表面積とプラズマに曝される電極112の表面積の比とによって決定されることがある。具体的には、プラズマの強度が増加するにつれて、電圧は増加する傾向がある。同様に、電極114の表面積と電極112の表面積の比が増加するにつれて、電圧は増加する。しかしながら、プラズマ136への曝露によって生成される電流は、抵抗性構成要素118によって制限され得る。具体的には、電流は、ほぼ、電流の電圧を抵抗性構成要素118の抵抗で割ったものであってもよい。
【0042】
一部の例では、導電性フィラメントが形成されたときのReRAMモジュール110の所望の抵抗値(すなわち、低抵抗状態)をフィラメント形成の前に知ることができる。例えば、実験的な試験によると、特定の抵抗のReRAMモジュールは、電界を印加することによって容易に切り替えることができるが、特定の抵抗よりも低い抵抗を有するReRAMモジュールは、切り替えることが困難または不可能である場合があることが示唆されることがある。これらの例では、この所望の抵抗値(「目標抵抗値」と呼ばれることがある)は、抵抗性構成要素118の抵抗を設定するための基準として使用されてもよい。換言すれば、抵抗性構成要素118は、少なくともその目標抵抗値の抵抗を含むように設計され得る。抵抗性構成要素118の抵抗値がその目標抵抗値を上回る場合、ReRAMモジュール110を通って流れる電流は、ReRAMモジュール110の抵抗が目標抵抗値以上となるほどに十分に小さいはずである。このため、一部の実施形態は、プラズマ136の印加によって生成される電圧において、抵抗性構成要素118が目標抵抗値と少なくとも同程度の大きさの抵抗を含むような寸法で抵抗性構成要素を設計することを含むことがある。
【0043】
図1Cは、酸素空孔欠陥140によりReRAMモジュール110に導電性フィラメントが部分的に形成されることも開示する。図示されるように、酸素空孔欠陥140は、まだReRAMモジュール110の上端部とReRAMモジュール110の下端部との間の距離全体に及んでいない。しかしながら、プラズマ136の印加が継続される場合は、酸素空孔欠陥140は、導電性フィラメントを通るReRAMモジュール110の抵抗が抵抗性構成要素118の抵抗とほぼ等しくなるまで、流線138の経路でReRAMモジュール110内に広がり続けるはずである。
【0044】
図1Dは、本開示の実施形態による、ReRAMモジュール110に導電性フィラメントを形成し、アンテナ電極112および114を除去した後のメモリ構造体100の第3の側面図を示す。図示されるように、酸素空孔欠陥140は、ここでは、ReRAMモジュール110の上端部と下端部との間の距離全体に及んでいる。さらに、酸素空孔欠陥140によって覆われた領域の幅およびその領域内の欠陥の濃度は、ReRAMモジュール110のその現在の状態における抵抗が目標抵抗値(すなわち、高抵抗状態と低抵抗状態との間でReRAMモジュール110を切り替えることが実現可能な値)に達しているほどに十分に高い。
【0045】
ReRAMモジュール110の抵抗がこの状態に達すると、ReRAMモジュール110の抵抗と抵抗性構成要素118の抵抗とがほぼ等しくなり、導電性フィラメントのさらなる成長が制限される(すなわち、新たな酸素空孔欠陥が制限される)。したがって、プラズマの印加は、その時点で終了していてもよい。
【0046】
図1Dでは、電極112および114は除去されているが、コンタクト・パッド122および126は、絶縁層108内に依然として埋め込まれているように図示されている。コンタクト・パッド122および126は、ReRAMモジュール110内の導電性フィラメントの形成後のメモリ構造体100の形成または動作には不要である場合がある。しかしながら、メモリ構造体100内にコンタクト・パッド122および126を保持することは、メモリ構造体100が完全に形成された後のメモリ構造体100の動作に著しい影響を及ぼす可能性が低いため、一部の実施形態では、コンタクト・パッド122および126は保持されることがある。さらに、コンタクト122が下端部に対してReRAMモジュール110の上端部に近接して接続されているため、コンタクト126が上端部に対してReRAMモジュール110の下端部に近接して接続されているため、およびコンタクト122およびコンタクト126の両方が同じ絶縁層108内に埋め込まれているため、コンタクト122と、導電性プラグ124と、ReRAMモジュール110と、コンタクト・パッド134と、ワイヤ132と、コンタクト・パッド130と、導電性プラグ128と、コンタクト126との間の独特の「U」字形設計も、メモリ構造体100の最終形成において保持されることがある。
【0047】
さらに、絶縁層108の一部の領域は、プラズマ136の印加および電極112および114のエッチングの間、電極112および114によって覆われていなかったため、絶縁層108のこれらの領域は、同様にプラズマ136およびエッチングに曝された。これらの曝露の一方または両方は、絶縁層108の損傷または腐食の原因となる可能性がある。その結果、絶縁層108は、これらの領域に凹部を含む。
図1Dでは、これは、凹部位置142によって図示されている。これらは、複数の凹部であるように見えるが、
図1Eに図示されるように、実際にはすべて同じ凹部上の位置である。この凹部は、電極112および電極114によって覆われていない絶縁層108の部分から生じるため、凹部142は、第1の電極の形状の輪郭および第2の電極の形状の輪郭を呈する。実際に、
図1Dと
図1Cを比較することによって、凹部142が、電極112と電極114との間のギャップ、および抵抗性構成要素118の位置に(図示されるように)生じていることが明確になる。
【0048】
図1Eは、アンテナ電極を除去した後のメモリ構造体100の上面図を示す。したがって、
図1Eは、
図1Cのプラズマ136の印加への曝露、および
図1Cと
図1Dとの間のエッチング・プロセスへの曝露のうちの1つまたは複数から生じ得る、絶縁層108の凹部142全体を図示する。
図1Eと
図1Bを比較することによって分かるように、電極112および電極114によって覆われていた絶縁層108の部分は、露出しておらず、凹んでいない。しかしながら、
図1A~
図1Cで見ることができた絶縁層108の露出した部分は、
図1Eでは凹部142として図示されている。そのため、凹部142は、電極112および電極114の形状の輪郭を呈する。注目すべきことに、電極114の形状の輪郭は、ここでは輪郭144として図示されている抵抗性構成要素118の形状の輪郭を含む。輪郭144は、エッチングされる前の抵抗性構成要素118の形状を示す。輪郭144は、絶縁層108の非凹部の大部分とコンタクト126との間の迂回線路の輪郭の形態をとる。図示されるように、この迂回線路は、凹部を横切って前後に移動するが、他のパターンの迂回線路が可能であり、本開示の実施形態と適合する。
【0049】
図1Eはまた、電極112および114によって覆われていた絶縁層108の部分内に埋め込まれたコンタクト122および126の上面図を示す。コンタクト122および126と同様に、凹部142は、完全に形成された後のメモリ構造体100の動作に大きく影響を及ぼす可能性が低いことに留意されたい。そのため、凹部142は、メモリ構造体100の最終形態において絶縁層108内に保持されることがある。
【0050】
ReRAMモジュールの抵抗が目標抵抗値に達すると、ReRAMモジュールは、機能するメモリ構造体に実装されてもよい。これは、例えば、ReRAMモジュールの第1の端部をメモリ・セル・トランジスタに接続することを含むことができる。
【0051】
図1Dに図示されるように、電極112および114は、酸化物層108からエッチング除去されている。これは、化学エッチング・プロセスによって行われてもよい。その結果、電極112および114がメモリ構造体100内で容量問題を引き起こす可能性を懸念することなく、メモリ構造体100をより大きなメモリ構造体に組み込むことができる。これは、電極の容量に起因する信号劣化およびオーバーシュートを回避するのに有益である場合がある。したがって、電極112および114を除去することは、時間および費用を必要とし、潜在的なエラーをもたらす可能性がある余分なプロセスである場合があるが、電極を除去することは、全体的に有益である場合がある。
【0052】
図2は、本開示の実施形態による、ReRAMモジュール内に導電性フィラメントを形成するためにアンテナ構造を使用する方法200を示す。方法200を理解することは、
図1A~
図1Dに関して開示された実施形態を理解する際に有用である場合がある。
【0053】
方法200は、電極アンテナが形成されるブロック202で始まる。一部の実施形態では、例えば、これは、金属箔を基板(もしくは基板のスタック)またはその上に配置された絶縁層の表面に貼り付けることと、保護層によって覆われていない金属をエッチング除去することとを含むことができる。エッチング後の残留する金属の層は、ReRAMモジュールの第1の端部に近接して接続する第1の電極を含むことができ、ReRAMモジュールの第2の端部に近接して接続する第2の電極を有していた。電極の一方は、電極の大部分とReRAMモジュールとの間で巻線金属ワイヤの形態をとることができる抵抗性構成要素を含むこともできる。この抵抗性構成要素は、エッチング・プロセス中に形成することもできる。
【0054】
ブロック204において、電極は、プラズマの印加に曝される。一部の実施形態では、プラズマの印加により、2つの電極間および内部ReRAMモジュールを通って流れる電流が生成され得る。電流の電圧は、プラズマ印加の強度と、2つの電極の相対的な表面積とに依存してもよい。電流自体は、導電性フィラメントが形成されている間、正帰還ループを防止する、一方の電極の抵抗性構成要素によって制限されることができる。
【0055】
ブロック206において、方法200を監視するシステムは、ReRAMモジュールに対する目標抵抗に達したかどうかを判定する。これは、いくつかのやり方で行うことができるが、ReRAMモジュールを通って流れる電流を試験することを含んでもよい。ReRAMモジュールの抵抗が低すぎるとシステムが判定した場合、システムは、ブロック204に戻ることができる。しかしながら、ReRAMモジュールが目標抵抗に達したとシステムが判定した場合、システムは、ブロック208においてプラズマ印加を停止することができる。この時点で、ReRAMモジュールの第1の端部と第2の端部との間に、ReRAMモジュールの状態を切り替える(すなわち、高抵抗から低抵抗に切り替える)導電性の抵抗で導電性フィラメントが形成されるはずである。
【0056】
ブロック208においてプラズマ印加が停止されると、ブロック210において電極アンテナが除去される。一部の例では、電極アンテナを除去することにより、メモリ構造体が完成した後のメモリ構造体における望ましくない容量効果が防止される。しかしながら、ブロック210は、すべての例において必要または有益であるとは限らない付加的なプロセスを表し、したがって、方法200の一部の実施態様では、ブロック210は省略されてもよい。
【0057】
この時点で、ReRAMモジュールは、低抵抗状態において、低抵抗と高抵抗との間を容易に切り替わるのに十分に高い抵抗を依然として呈する導電性フィラメントを備えることができる。したがって、ReRAMモジュールは、機能するメモリ構造体に組み込まれる準備ができていてもよい。これには、例えば、第1の電極に接触したReRAMモジュールの端部をメモリ構造体内のメモリ・セル・トランジスタに接続することが含まれてもよい。
【0058】
図3は、本開示の実施形態による、ReRAMモジュール内に導電性フィラメントを形成するために使用することができるアンテナ構造を形成する方法300を示す。方法300は、ReRAMモジュールがメモリ構造体に(例えば、メモリ構造体の基板に)統合されるブロック302で開始する。方法300は、ブロック304において、ReRAMモジュールと第1のコンタクトとの間の接続を形成することも含む。一部の実施形態では、この第1のコンタクトは、ReRAMモジュールが統合される基板の上に形成された絶縁層(例えば、酸化物層)内に埋め込まれていてもよい。一部の実施形態では、ビア・プラグが、第1のコンタクトとReRAMモジュールとの間の基板内の距離に及んでもよい。一部の実施形態では、第1のコンタクトは、ReRAMモジュールの第1の端部と近接して接続してもよい。
【0059】
方法300は、ブロック306において、ReRAMモジュールと第2のコンタクトとの間の電気的接続を形成することも含む。第1のコンタクトと同様に、第2のコンタクトは、基板の上に形成された絶縁層内に埋め込まれていてもよい。一部の実施形態では、ReRAMと第2のコンタクトとの間の電気的接続を形成するために、一組のコンタクト、ワイヤ、およびビア・プラグが使用されてもよい。一部の実施形態では、第2のコンタクトは、ReRAMモジュールの第2の端部と近接して接続してもよい。
【0060】
ReRAMモジュールと第1および第2のコンタクトとの間の接続が形成されると、ブロック308において、第1および第2のコンタクトが埋め込まれた絶縁層上に金属層を堆積させることができる。したがって、金属層は、第1および第2のコンタクトの両方と電気的に接続することができる。この時点で、ブロック310において金属層を選択的にエッチングして、
図1A~
図1Dに図示されるアンテナ構造などのアンテナ構造をもたらす電極パターンを形成することができる。換言すれば、金属層からパターンをエッチングして、第1のコンタクトと電気的に接続する第1の電極と、第2のコンタクトと電気的に接続する第2の電極とを得ることができる。一部の実施形態では、一方の電極は、他方の電極よりも著しく大きく、より大きな表面積を生成することができる。したがって、2つの電極がプラズマの印加に曝されると、特定の電圧の電流が生成され得る。
【0061】
一部の実施形態では、電極の一方は、抵抗性構成要素を含むこともできる。抵抗性構成要素は、電極の大部分をそれぞれのコンタクトに迂回して接続するワイヤに類似していることがある。これらの実施形態では、抵抗性構成要素の抵抗は、電極間を流れることができる電流を制限することができ、これにより、ReRAMモジュールの一方の端部から他方の端部に流れることができる電流を制限することもできる。一部の実施形態では、抵抗性構成要素の寸法は、抵抗性構成要素の抵抗がReRAMモジュールの目標抵抗以上となるように設計することができる。
【0062】
理解を助けるために、
図4A~
図4Eは、メモリ構造体400におけるアンテナ構造の形成を開示する。
図4Aは、例えば、本開示の実施形態による、ReRAMモジュール内に導電性フィラメントを形成するために使用することができるアンテナ構造を形成する第1段階の側面図を示す。この段階で、メモリ構造体100は、ワイヤ404が埋め込まれた第1の基板層402を備える。絶縁層406が基板層402の上に形成されており、コンタクト408がワイヤ404と電気的に接続するように、コンタクト408がその絶縁層内に埋め込まれている。
【0063】
図4Bは、本開示の実施形態による、ReRAMモジュール内に導電性フィラメントを形成するために使用することができるアンテナ構造を形成する第2の段階の側面図を示す。
図4Bでは、第2の基板層410が絶縁層406の上に形成されている。基板層410内には、メムリスタ412がコンタクト408との電気的接続を形成するように、メムリスタ412が埋め込まれている。メムリスタ412は、酸化物層などの通常は絶縁性の構成要素の形態をとることができる。
【0064】
図4Cは、本開示の実施形態による、ReRAMモジュール内に導電性フィラメントを形成するために使用することができるアンテナ構造を形成する第3段階の側面図を示す。
図4Cでは、2つのビアが基板層410に穿孔され、導電性プラグ414および416で充填されている。導電性プラグ414は、図示されるように、基板層410の頂部から、絶縁層406を貫いて、ワイヤ404まで延在する。そのため、導電性プラグ414は、ワイヤ404と電気的に接続する。一方、導電性プラグ416は、基板層410の頂部からメムリスタ412の上端部まで延在する。そのため、導電性プラグ416は、メムリスタ412と電気的に接続する。
【0065】
図4Cは、基板層410の上に形成された第2の絶縁層418も示す。絶縁層は、例えば、薄い酸化物層の形態をとることができる。コンタクト420および422は、絶縁層418内に埋め込まれている。コンタクト420は、例えば、導電性プラグ414との電気的接続を形成し、コンタクト422は、導電性プラグ416との電気的接続を形成する。
【0066】
図4Dは、本開示の実施形態による、ReRAMモジュール内に導電性フィラメントを形成するために使用することができるアンテナ構造を形成する第4段階の側面図を示す。
図4Dでは、金属層424を絶縁層418の上に堆積させている。例えば、金属層424は、樹脂の薄層で絶縁層418に接着された金属箔の形態をとることができる。金属層424はエッチングされていないため、コンタクト420およびコンタクト422の両方と電気的接続を形成する。
【0067】
図4Eは、本開示の実施形態による、ReRAMモジュール内に導電性フィラメントを形成するために使用することができるアンテナ構造を形成する第5段階の側面図を示す。
図4Eでは、金属層424が選択的にエッチングされて、一対の電極426および428が生成されている。電極426は、コンタクト422と電気的に接続する。一方、電極428は、プラズマ相互作用構成要素430と、抵抗性構成要素432と、コンタクト構成要素434とを含む。コンタクト構成要素434は、コンタクト420との接続を形成する。抵抗性構成要素432は、プラズマ相互作用構成要素430をコンタクト構成要素434に接続する。抵抗性構成要素432の寸法は、抵抗性構成要素がメムリスタ412の目標抵抗以上の抵抗を有するようにすることができる。
【0068】
図4Eに図示されるように、電極426および428をプラズマの印加に曝すことにより、電極426と428との間に電圧を生成することができる。電極426は、第1の表面積を備えるようにエッチングされ、電極428は、第2の表面積を備えるようにエッチングされる。電極426および428は、第1の表面積に対する第2の表面積の比により、特定の強度でプラズマに曝すことによって生成される電圧が、メムリスタ412内に酸素空孔欠陥をもたらすのに十分に高くなるように設計することができる。
【0069】
図1Dおよび
図1Eに関連して説明したように、絶縁層上のアンテナ電極の形状は、アンテナ電極の除去中に絶縁層の表面の一部をプラズマの印加またはエッチング・プロセスに曝すことができる。これにより、絶縁層は、電極の形状の輪郭を呈する凹部を有することができる。一部の実施形態では、アンテナ電極の一方の形状の輪郭は、アンテナ電極の抵抗性構成要素の形状の輪郭を含むことができる。この輪郭は、
図1Eに図示されるように、迂回線路の形態をとることができる。この迂回線路の正確な形態は、本開示の実施形態の効果に強い影響を及ぼさない場合があるが、この迂回線路をもたらす抵抗性構成要素の寸法は、目標抵抗値を生成するように操作されることがある。
【0070】
図5は、本開示の実施形態による、抵抗性構成要素のギザギザ形状の輪郭を表示する凹部502が上にある絶縁層500の上面図を示す。凹部502は、第1のアンテナ電極の形状504の輪郭と、第2のアンテナ電極の形状506の輪郭とを呈する。注目すべきことに、絶縁層500は、実際のアンテナ電極を含むものとして図示されていないが、エッチング・プロセスによるアンテナ電極を除去した後に残るアンテナ電極の非凹状形状を含むものとして図示されている。
【0071】
第2のアンテナ電極の形状506の輪郭は、第2のアンテナ電極の抵抗性構成要素の形状508の輪郭を含む。図示されるように、抵抗性構成要素の形状508の輪郭は、明確なパターンを持たないギザギザの迂回線路の形態をとる。しかしながら、曲線または
図1Eに図示される往復線路などの、他の形状の迂回線路が可能であってもよい。
【0072】
図6は、本開示の実施形態による、抵抗性構成要素の直線の螺旋形状の輪郭を表示する凹部602が上にある絶縁層600の上面図を示す。凹部602は、第1のアンテナ電極の輪郭形状604と、第2のアンテナ電極の輪郭形状606とを呈する。第2のアンテナ電極の形状606の輪郭は、第2のアンテナ電極の抵抗性構成要素の形状608の輪郭を含む。
図6には、コンタクト610および612も示されている。
【0073】
図示されるように、抵抗性構成要素の形状608の輪郭は、螺旋状の迂回線路の形態をとる。螺旋状の迂回線路は、コンタクト610および612の両方の周りを螺旋状に囲み、再びコンタクト612の周りを螺旋状に囲む。このため、凹部602の全表面積は、
図5の凹部502または
図1Eの凹部142と比較して著しく減少する。これは、導電性フィラメントの形成中のプラズマの印加による、またはアンテナ電極の除去中のエッチングによる、絶縁層600への過剰な損傷を有利に回避することができる。
【0074】
図7は、本開示の実施形態に従って使用することができる例示的なコンピュータ・システム701の代表的な主要構成要素を示す。図示された特定の構成要素は、例示のみを目的として提示されており、必ずしもそのような変形形態のみではない。コンピュータ・システム701は、プロセッサ710、メモリ720、入力/出力インターフェース(本明細書では、I/OまたはI/Oインターフェースとも呼ばれる)730、およびメイン・バス740を含むことができる。メイン・バス740は、コンピュータ・システム701の他の構成要素に通信経路を提供することができる。一部の実施形態では、メイン・バス740は、専用デジタル信号プロセッサ(図示せず)などの他の構成要素に接続することができる。
【0075】
コンピュータ・システム701のプロセッサ710は、1つまたは複数のCPU712を含むことができる。プロセッサ710は、CPU712のための命令およびデータの一時記憶を提供する、1つまたは複数のメモリ・バッファまたはキャッシュ(図示せず)をさらに含むことができる。CPU712は、キャッシュまたはメモリ720から提供される入力に対して命令を実行し、その結果をキャッシュまたはメモリ720に出力することができる。CPU712は、本開示の実施形態と適合する1つまたは複数の方法を実行するように構成された1つまたは複数の回路を含むことができる。一部の実施形態では、コンピュータ・システム701は、比較的大きなシステムに典型的な複数のプロセッサ710を含むことができる。しかしながら、他の実施形態では、コンピュータ・システム701は、単一のCPU712を有する単一のプロセッサであってもよい。
【0076】
コンピュータ・システム701のメモリ720は、メモリ・コントローラ722と、データを一時的または永続的に記憶するための1つまたは複数のメモリ・モジュール(図示せず)とを含むことができる。一部の実施形態では、メモリ720は、データおよびプログラムを記憶するためのランダム・アクセス半導体メモリ、記憶デバイス、または記憶媒体(揮発性または不揮発性のいずれか)を含むことができる。メモリ・コントローラ722は、プロセッサ710と通信して、メモリ・モジュールにおける情報の記憶および検索を容易にすることができる。メモリ・コントローラ722は、I/Oインターフェース730と通信することができ、メモリ・モジュールにおける入力または出力の記憶および検索を容易にする。一部の実施形態では、メモリ・モジュールは、デュアル・イン・ライン・メモリ・モジュールであってもよい。
【0077】
I/Oインターフェース730は、I/Oバス750、端末インターフェース752、ストレージ・インターフェース754、I/Oデバイス・インターフェース756、およびネットワーク・インターフェース758を含むことができる。I/Oインターフェース730は、メイン・バス740をI/Oバス750に接続することができる。I/Oインターフェース730は、プロセッサ710およびメモリ720からの命令およびデータを、I/Oバス750の様々なインターフェースに向けることができる。I/Oインターフェース730は、I/Oバス750の様々なインターフェースからの命令およびデータを、プロセッサ710およびメモリ720に向けることもできる。様々なインターフェースは、端末インターフェース752、ストレージ・インターフェース754、I/Oデバイス・インターフェース756、およびネットワーク・インターフェース758を含むことができる。一部の実施形態では、様々なインターフェースは、前述のインターフェースのサブセットを含んでもよい(例えば、産業用途の埋め込みコンピュータ・システムは、端末インターフェース752およびストレージ・インターフェース754を含まなくてもよい)。
【0078】
メモリ720、プロセッサ710、およびI/Oインターフェース730を含むがこれらに限定されない、コンピュータ・システム701全体にわたる論理モジュールは、1つまたは複数の構成要素に対する障害および変更をハイパーバイザまたはオペレーティング・システム(図示せず)に通信することができる。ハイパーバイザまたはオペレーティング・システムは、コンピュータ・システム701で利用可能な様々なリソースを割り当て、メモリ720内のデータの位置および様々なCPU712に割り当てられたプロセスの位置を追跡することができる。要素を組み合わせるかまたは再配置する実施形態では、論理モジュールの能力の態様を組み合わせるかまたは再配分することができる。これらの変形形態は、当業者には明らかであろう。
【0079】
本発明は、任意の可能な技術的な詳細レベルの統合において、システム、方法、またはコンピュータ・プログラム製品、あるいはその組合せであってもよい。コンピュータ・プログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。
【0080】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスが使用するための命令を保持および記憶することができる有形のデバイスとすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス、または前述の任意の適切な組合せであってもよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストには、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュ・メモリ)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ポータブル・コンパクト・ディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、メモリ・スティック、フロッピー・ディスク、パンチ・カードまたは命令が記録された溝内の隆起構造などの機械的に符号化されたデバイス、および前述の任意の適切な組合せが含まれる。コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書で使用されるように、電波もしくは他の自由に伝播する電磁波、導波路もしくは他の伝送媒体を通して伝播する電磁波(例えば、光ファイバ・ケーブルを通過する光パルス)、またはワイヤを通して伝送される電気信号などの、それ自体一過性の信号であると解釈されるべきではない。
【0081】
本明細書に記載されたコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスに、あるいはネットワーク、例えばインターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワークまたはワイヤレス・ネットワークあるいはその組合せを介して外部コンピュータもしくは外部記憶デバイスにダウンロードすることができる。ネットワークは、銅線伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータまたはエッジ・サーバあるいはその組合せを備えることができる。各コンピューティング/処理デバイスのネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、コンピュータ可読プログラム命令をそれぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体に記憶するために転送する。
【0082】
本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セット・アーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路の構成データ、あるいは、Smalltalk(R)、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語を含む、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組合せで記述されたソース・コードあるいはオブジェクト・コードのいずれかであってもよい。コンピュータ可読プログラム命令は、完全にユーザのコンピュータ上で、一部はユーザのコンピュータ上でスタンドアロン・ソフトウェア・パッケージとして、一部はユーザのコンピュータ上で、一部はリモート・コンピュータ上で、または完全にリモート・コンピュータまたはサーバ上で実行されてもよい。後者のシナリオでは、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)もしくはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されてもよく、または接続は、(例えば、インターネット・サービス・プロバイダを使用してインターネットを介して)外部コンピュータに対して行われてもよい。一部の実施形態では、例えば、プログラマブル・ロジック回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、またはプログラマブル・ロジック・アレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を実行するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路をパーソナライズすることによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0083】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラム製品の流れ図またはブロック図あるいはその両方を参照して本明細書に記載されている。流れ図またはブロック図あるいはその両方の各ブロック、ならびに流れ図またはブロック図あるいはその両方のブロックの組合せは、コンピュータ可読プログラム命令によって実施することができることを理解されよう。
【0084】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供されて、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、流れ図またはブロック図あるいはその両方のブロックで指定された機能/行為を実施するための手段を生成するように、機械を製造することができる。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、内部に命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体が流れ図またはブロック図あるいはその両方のブロックで指定された機能/行為の態様を実施する命令を含む製造物品を備えるように、コンピュータ、プログラム可能なデータ処理装置、または他のデバイスあるいはその組合せが特定のやり方で機能するように指図することができるコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。
【0085】
コンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、または他のデバイスにロードされ、コンピュータ、他のプログラム可能な装置、または他のデバイス上で実行される命令が、流れ図またはブロック図あるいはその両方のブロックで指定された機能/行為を実施するように、一連の動作ステップをコンピュータ、他のプログラム可能な装置、または他のデバイス上で実行させて、コンピュータ実施プロセスを生成することができる。
【0086】
図中の流れ図およびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実施態様のアーキテクチャ、機能、および動作を示す。これに関して、流れ図またはブロック図の各ブロックは、指定された論理機能を実施するための1つまたは複数の実行可能命令を備える、モジュール、セグメント、または命令の一部を表すことができる。一部の代替の実施態様では、ブロックに示されている機能は、図に示されている順序とは異なる順序で行われてもよい。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、1つのステップとして遂行されてもよく、同時に、実質的に同時に、部分的または全体的に時間的に重複したやり方で実行されてもよく、あるいはブロックは、含まれる機能に応じて逆の順序で実行されることがあってもよい。ブロック図または流れ図あるいはその両方の各ブロック、およびブロック図または流れ図あるいはその両方のブロックの組合せは、指定された機能もしくは行為を実行する、または専用のハードウェアおよびコンピュータ命令の組合せを実行する専用のハードウェア・ベースのシステムによって実施することができることにも留意されたい。
【0087】
本開示の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されたが、網羅的であること、または開示された実施形態に限定されることは意図されていない。記載された実施形態の範囲および思想から逸脱することなく、多くの修正形態および変形形態が当業者には明らかであろう。本明細書で使用される専門用語は、実施形態の原理、市場で見出される技術に対する実際の用途または技術的改善を説明するために、または当業者が本明細書に開示された実施形態を理解することができるようにするために選択された。
【国際調査報告】