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特表2024-504646高圧洗浄装置用の液体分注装置及び液体分注装置を用いて高圧洗浄装置を制御するための方法
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  • 特表-高圧洗浄装置用の液体分注装置及び液体分注装置を用いて高圧洗浄装置を制御するための方法 図1
  • 特表-高圧洗浄装置用の液体分注装置及び液体分注装置を用いて高圧洗浄装置を制御するための方法 図2
  • 特表-高圧洗浄装置用の液体分注装置及び液体分注装置を用いて高圧洗浄装置を制御するための方法 図3
  • 特表-高圧洗浄装置用の液体分注装置及び液体分注装置を用いて高圧洗浄装置を制御するための方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】高圧洗浄装置用の液体分注装置及び液体分注装置を用いて高圧洗浄装置を制御するための方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/02 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
B08B3/02 E
B08B3/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542935
(86)(22)【出願日】2022-01-11
(85)【翻訳文提出日】2023-08-23
(86)【国際出願番号】 EP2022050451
(87)【国際公開番号】W WO2022157040
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】102021101033.0
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505201098
【氏名又は名称】アルフレッド ケルヒャー エスエー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】弁理士法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン クッツ
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス ソボッタ
【テーマコード(参考)】
3B201
【Fターム(参考)】
3B201AA31
3B201AA46
3B201AB52
3B201BB22
3B201BB32
3B201BB92
3B201CC21
3B201CD42
3B201CD43
(57)【要約】
本発明は、加圧洗浄液のための圧力導管を介して高圧洗浄装置のポンプ出口に接続可能な液体入口(34)と、洗浄液を被洗浄物体の方向に分注するための液体出口(36)と、入力機器(52)と、表示機器(54)と、高圧洗浄装置を制御するための制御ユニット(50)と、を含み、制御ユニット(50)が、制御パラメータを記憶可能な記憶部材(62)を含み、制御ユニット(50)から高圧洗浄装置に少なくとも1つの制御パラメータを出力することができる、高圧洗浄装置用の液体分注装置(10)に関する。簡単なやり方で改善された洗浄結果を可能にするように液体分注装置(10)を更に発展させるために、液体分注装置(10)が、被洗浄物体を非接触式に検出するための物体検出ユニット(58)を含み、被洗浄物体に対応する物体情報が、物体検出ユニット(58)から制御ユニット(50)に送信可能であり、それによって、被洗浄物体に適合した少なくとも1つの制御パラメータを提供するために処理可能であることが提案される。本発明はまた、このような液体分注装置(10)を用いて高圧洗浄装置を制御するための方法に関する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧洗浄液のための圧力導管を介して高圧洗浄装置のポンプ出口に接続可能な液体入口(34)と、前記洗浄液を被洗浄物体の方向に分注するための液体出口(36)と、入力機器(52)と、表示機器(54)と、前記高圧洗浄装置を制御するための制御ユニット(50)とを含む、高圧洗浄装置用の液体分注装置であって、
前記制御ユニット(50)が、制御パラメータを記憶することができる記憶部材(62)を含み、
前記制御ユニット(50)から前記高圧洗浄装置に少なくとも1つの制御パラメータを出力することができる、
液体分注装置において、
前記液体分注装置(10)が、前記被洗浄物体を非接触式に検出するための物体検出ユニット(58)を含み、前記被洗浄物体に対応する物体情報が、前記物体検出ユニット(58)から前記制御ユニット(50)に送信可能であり、前記被洗浄物体に適合した少なくとも1つの制御パラメータを提供するために前記制御ユニット(50)により処理可能であること、を特徴とする液体分注装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体分注装置において、多数の物体の物体情報が、前記高圧洗浄装置を制御するための該物体情報に対応する制御パラメータと共に、前記制御ユニット(50)の前記記憶部材(62)に記憶可能であり、前記被洗浄物体を、前記制御ユニット(50)により、前記記憶部材(62)に記憶された物体と関連付けることができ、前記関連付けに応じて、前記制御ユニット(50)から前記高圧洗浄装置に少なくとも1つの制御パラメータを出力することができること、を特徴とする液体分注装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液体分注装置において、前記少なくとも1つの制御パラメータが、前記高圧洗浄装置の搬送パラメータ、特に、前記洗浄液の圧力、前記洗浄液の体積流量、及び/又は前記高圧洗浄装置により前記洗浄液と混合することができる洗浄薬品の投与量のための事前決定値又は事前決定値範囲を含むこと、を特徴とする液体分注装置。
【請求項4】
請求項1、2、又は3に記載の液体分注装置において、前記物体検出ユニットが、前記被洗浄物体の画像を取り込むためのカメラの形態で構成され、前記被洗浄物体に対応する画像情報が前記制御ユニット(50)に送信可能であること、を特徴とする液体分注装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液体分注装置において、前記被洗浄物体に対応する前記画像情報が、前記制御ユニット(50)により、画像認識アルゴリズムを用いて前記記憶部材(62)に記憶された物体と比較可能であること、を特徴とする液体分注装置。
【請求項6】
請求項2~5のいずれか1項に記載の液体分注装置において、前記制御ユニット(50)により前記被洗浄物体と関連付けられた前記物体が、特に、絵文字、画像、及び/又はラベルの形態で前記表示機器(54)上に表示可能であること、を特徴とする液体分注装置。
【請求項7】
請求項6に記載の液体分注装置において、前記被洗浄物体と前記表示機器上に表示された前記物体との、前記制御ユニット(50)により行われた前記関連付けが、ユーザにより前記入力機器(52)を用いて確認可能であり、前記表示された物体に対応する前記少なくとも1つの制御パラメータが、確認後に前記制御ユニット(50)から前記高圧洗浄装置に出力可能であること、を特徴とする液体分注装置。
【請求項8】
請求項7に記載の液体分注装置において、ユーザ確認が事前決定された表示時間内に行われない場合、前記表示された物体に対応する前記少なくとも1つの制御パラメータが、前記制御ユニット(50)から前記高圧洗浄装置に自動的に出力可能であること、を特徴とする液体分注装置。
【請求項9】
請求項6、7、又は8に記載の液体分注装置において、前記被洗浄物体と前記表示機器(54)上に表示された前記物体との、前記制御ユニット(50)により行われた前記関連付けが、ユーザにより前記入力機器(52)を用いて拒絶可能であり、前記表示された物体に対応する前記少なくとも1つの制御パラメータの前記高圧洗浄装置への出力が遮断可能であること、を特徴とする液体分注装置。
【請求項10】
請求項9に記載の液体分注装置において、前記被洗浄物体と前記表示機器(54)上に表示された前記物体との、前記制御ユニット(50)により行われた前記関連付けを拒絶した後、前記物体検出ユニット(58)による前記被洗浄物体の再検出が、前記制御ユニット(50)により自動的に、又はユーザにより前記入力機器(52)を用いてトリガ可能であること、を特徴とする液体分注装置。
【請求項11】
請求項9に記載の液体分注装置において、前記制御ユニット(50)により行われた前記関連付けを拒絶した後、ユーザが前記入力機器を用いて、前記被洗浄物体を前記記憶部材(62)に記憶された物体と関連付けることができること、及びユーザが前記被洗浄物体を関連付けた前記物体に対応する前記少なくとも1つの制御パラメータを、前記制御ユニット(50)から前記高圧洗浄装置に出力することができること、を特徴とする液体分注装置。
【請求項12】
請求項11に記載の液体分注装置において、前記被洗浄物体と前記記憶部材(62)に記憶された物体との、ユーザにより行われた前記関連付けが、前記記憶部材(62)に記憶可能であること、を特徴とする液体分注装置。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の液体分注装置において、前記被洗浄物体と前記表示機器(54)上に表示された前記物体との、前記制御ユニット(50)により行われた前記関連付けを拒絶した後、前記記憶部材(62)に記憶された物体の提案リストが前記表示機器(54)上に表示可能であり、前記被洗浄物体を、ユーザにより前記提案リストから選択された物体と関連付けることができること、を特徴とする液体分注装置。
【請求項14】
請求項9に記載の液体分注装置において、前記被洗浄物体と前記表示機器(54)上に表示された前記物体との、前記制御ユニット(50)により行われた前記関連付けを拒絶した後、前記記憶部材(62)に以前に記憶されていなかった新しい物体が、前記新しい物体に対応する1つ又は複数の制御パラメータと共に、ユーザにより指定可能であり、前記記憶部材(62)に記憶可能であり、前記被洗浄物体を前記新しい物体と関連付けることができ、前記新しい物体に対応する少なくとも1つの制御パラメータを、前記制御ユニット(50)から前記高圧洗浄装置に出力することができること、を特徴とする液体分注装置。
【請求項15】
請求項14に記載の液体分注装置において、前記被洗浄物体と前記新しい物体との前記関連付けが、前記記憶部材(62)に記憶可能であること、を特徴とする液体分注装置。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の液体分注装置において、前記制御ユニット(50)が、前記記憶部材(62)の記憶内容を更新するために及び/又はソフトウェアプログラムを更新するために、外部データ処理ユニット、特に、サーバ、コンピュータネットワーク、スマートフォン、又はタブレットコンピュータに接続可能であること、を特徴とする液体分注装置。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の液体分注装置において、前記液体分注装置(10)が噴霧ガン(12)として構成されていること、を特徴とする液体分注装置。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載の液体分注装置において、前記入力機器(52)が、前記表示機器(54)と組み合わさってタッチセンサ式スクリーン(56)を形成すること、を特徴とする液体分注装置。
【請求項19】
液体分注装置を用いて高圧洗浄装置を制御するための方法であって、
前記液体分注装置(10)が、加圧洗浄液のための圧力導管を介して前記高圧洗浄装置のポンプ出口に接続可能な液体入口(34)を含み、
前記液体分注装置が、前記洗浄液を被洗浄物体の方向に分注するための液体出口(36)を含み、
前記液体分注装置が、入力機器(52)と、表示機器(54)と、前記高圧洗浄装置を制御するための制御ユニット(50)とを含み、
前記制御ユニット(50)が、制御パラメータを記憶可能な記憶部材(62)を含み、
前記制御ユニット(50)から前記高圧洗浄装置に少なくとも1つの制御パラメータを出力することができ、
前記液体分注装置(10)が、前記被洗浄物体を非接触式に検出するための物体検出ユニット(58)を含み、
前記被洗浄物体に対応する物体情報が、前記物体検出ユニット(58)から前記制御ユニット(50)に送信され、前記制御ユニット(50)により、前記高圧洗浄装置に出力される、前記被洗浄物体に適合した少なくとも1つの制御パラメータを提供するために処理される、
方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、多数の物体の物体情報が、前記高圧洗浄装置を制御するための該物体情報に対応する制御パラメータと共に、前記制御ユニット(50)の前記記憶部材(62)に記憶され、前記被洗浄物体が、前記制御ユニット(50)により、前記記憶部材(62)に記憶された物体と関連付けられ、前記関連付けられた物体に対応する少なくとも1つの制御パラメータが、前記制御ユニット(50)から前記高圧洗浄装置に出力されること、を特徴とする方法。
【請求項21】
請求項19又は20に記載の方法において、前記物体検出ユニット(58)が、カメラ(60)の形態で構成され、前記被洗浄物体の画像を取り込み、前記被洗浄物体に対応する画像情報を前記制御ユニット(50)に送信すること、を特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法において、前記カメラ(60)により提供された前記画像情報が、前記制御ユニット(50)により、画像認識アルゴリズムを用いて前記記憶部材(62)に記憶された前記物体と比較されること、を特徴とする方法。
【請求項23】
請求項20に記載の方法において、前記制御ユニット(50)により前記被洗浄物体と関連付けられた前記物体が、特に、絵文字、ラベル、及び/又は画像の形態で前記表示機器(54)上に表示されること、を特徴とする方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法において、前記被洗浄物体と前記表示機器(54)上に表示された前記物体との、前記制御ユニット(50)により行われた前記関連付けが、ユーザにより確認又は拒絶され、確認の場合、前記表示された物体に対応する前記少なくとも1つの制御パラメータが、前記制御ユニット(50)から前記高圧洗浄装置に出力され、拒絶の場合、前記表示された物体に対応する前記少なくとも1つの制御パラメータの前記高圧洗浄装置への出力が遮断されること、を特徴とする方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法において、前記被洗浄物体と前記表示機器(54)上に表示された前記物体との、前記制御ユニット(50)により行われた前記関連付けを拒絶した後、前記物体検出ユニット(58)による前記被洗浄物体の再検出が、前記制御ユニット(50)により自動的に、又はユーザにより前記入力機器(52)を用いてトリガされ、再検出後、前記被洗浄物体と前記記憶部材(62)に記憶された物体との新たな関連付けが前記制御ユニット(50)により行われること、を特徴とする方法。
【請求項26】
請求項24に記載の方法において、
前記制御ユニット(50)により行われた前記関連付けを拒絶した後、前記被洗浄物体が、ユーザにより、前記記憶部材(62)に記憶された物体と関連付けられること、及び
ユーザが前記被洗浄物体を関連付けた前記物体に対応する少なくとも1つの制御パラメータが、前記制御ユニット(50)から前記高圧洗浄装置に出力されること、
を特徴とする方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法において、前記被洗浄物体と前記記憶部材(62)に記憶された物体との、ユーザにより行われた前記関連付けが、前記記憶部材(62)に記憶されること、を特徴とする方法。
【請求項28】
請求項24に記載の方法において、
前記制御ユニット(50)により行われた前記関連付けを拒絶した後、前記記憶部材(62)に記憶された物体の提案リストが前記表示機器(54)上でユーザに表示されること、及び
ユーザが前記提案リストから物体を選択し、次いで、前記被洗浄物体が前記選択された物体と関連付けられ、前記選択された物体に対応する制御パラメータが前記高圧洗浄装置に出力されること、
を特徴とする方法。
【請求項29】
請求項24に記載の方法において、ユーザが、前記制御ユニット(50)により行われた前記関連付けを拒絶した後、前記記憶部材(62)に以前に記憶されていなかった新しい物体を、前記新しい物体に対応する1つ又は複数の制御パラメータと共に前記記憶部材(62)に記憶し、次いで、前記被洗浄物体が、前記新しい物体と関連付けられ、前記新しい物体に対応する少なくとも1つの制御パラメータが、前記制御ユニット(50)から前記高圧洗浄装置に出力されること、を特徴とする方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、前記被洗浄物体と前記新しい物体との前記関連付けが、前記記憶部材(62)に記憶されること、を特徴とする方法。
【請求項31】
請求項19~30のいずれか1項に記載の方法において、前記制御ユニット(50)が、前記記憶部材(62)の記憶内容を更新するために及び/又はソフトウェアプログラムを更新するために、外部データ処理ユニットに接続されること、を特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧洗浄液のための圧力導管を介して高圧洗浄装置のポンプ出口に接続可能な液体入口と、前記洗浄液を被洗浄物体の方向に分注するための液体出口と、入力機器と、表示機器と、前記高圧洗浄装置を制御するための制御ユニットとを含む、高圧洗浄装置用の液体分注装置であって、前記制御ユニットが、制御パラメータを記憶可能な記憶部材を含み、前記制御ユニットから前記高圧洗浄装置に少なくとも1つの制御パラメータを出力することができる、液体分注装置に関する。
【0002】
本発明はまた、前述の種類の液体分注装置を用いて高圧洗浄装置を制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
高圧洗浄装置は、ポンプと、ポンプを駆動するモータとを含む。加圧されるべき洗浄液、例えば水は、ポンプ入口を介してポンプに供給することができる。洗浄液は、ポンプにより加圧し、ポンプ出口及びポンプ出口に接続された圧力導管、例えば圧力ホースを介して液体分注装置の液体入口に供給することができる。液体分注装置は、高圧洗浄装置の付属品を形成し、例えば噴霧ガンとして構成されてもよい。加圧洗浄液は、液体分注装置により、液体入口と流れ接続している液体出口を介して被洗浄物体の方向に分注することができる。被洗浄物体は、例えば、床面、建物の外壁、又は車両であってもよい。被洗浄物体は、敏感な表面を有する場合も、さほど敏感ではない表面を有する場合もある。
【0004】
WO 2016/066209 A1は、流体分注装置を開示しており、該流体分注装置は、液体入口及び液体入口と流れ接続している液体出口に加えて、入力機器と、表示機器と、高圧洗浄装置を制御するための制御ユニットとを含む。制御ユニットは、高圧洗浄装置を制御するために制御ユニットから高圧洗浄装置に出力することができる制御パラメータを記憶することができるメモリ部材を含む。制御パラメータにより、高圧洗浄装置を事前規定可能なやり方で作動させることが可能になる。例えば、制御パラメータを用いて、ポンプ出口で優勢な洗浄液の圧力、又は、例えば、高圧洗浄装置により搬送される洗浄液の体積流量を、可能な限り最良の洗浄結果を達成するために設定することができる。
【0005】
それぞれの最適な制御パラメータは、どの物体が洗浄されるべきかに依る。例えば、敏感な表面を有する物体に対しては、さほど敏感でない表面を有する物体に対してよりも低圧の洗浄液が設定されるべきである。経験の浅いユーザは、洗浄結果に対する制御パラメータの影響を十分に考慮しないことが多く、そのため、最適な洗浄結果が常に達成されるとは限らず、又は敏感な表面を損傷する可能性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO 2016/066209 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、冒頭で述べた種類の液体分注装置を、簡単なやり方で改善された洗浄結果を可能にするように更に発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、本発明によれば、一般的な種類の液体分注装置において、前記液体分注装置が、被洗浄物体を非接触式に検出するための物体検出ユニットを含み、前記被洗浄物体に対応する物体情報が、前記物体検出ユニットから前記制御ユニットに送信可能であり、前記被洗浄物体に適合した少なくとも1つの制御パラメータを提供するために前記制御ユニットにより処理可能である、という点で、達成される。
【0009】
本発明による前記液体分注装置は、前記被洗浄物体を非接触式に検出することができる物体検出ユニットを含む。例えば、前記物体検出ユニットにより、床面、建物の外壁、車両などを非接触式に検出することができる。前記被洗浄物体に対応する物体情報は、前記物体検出ユニットから前記制御ユニットに送信することができる。前記制御ユニットは、送信された前記物体情報を処理し、前記高圧洗浄装置に、前記被洗浄物体に適合した少なくとも1つの制御パラメータを、好ましくは無線で提供するように調整される。このようにして前記高圧洗浄装置に提供される前記少なくとも1つの制御パラメータに基づいて、前記高圧洗浄装置を、ユーザが深い知識を有する必要なしに改善された洗浄結果を達成することができるように作動させることができる。
【0010】
多数の物体の物体情報が、前記高圧洗浄装置を制御するための該物体に対応する制御パラメータと共に、前記制御ユニットの前記記憶部材に記憶可能であり、前記制御ユニットにより、前記物体検出ユニットにより送信された前記情報に基づいて、前記被洗浄物体を前記記憶部材に記憶された物体と関連付けることができ、前記関連付けに応じて、前記制御ユニットから前記高圧洗浄装置に少なくとも1つの制御パラメータを出力することができれば有利である。本発明による前記液体分注装置のこのような構成では、多数の物体の物体情報を、前記高圧洗浄装置を制御するための前記物体に対応する制御パラメータと共に、例えば前記液体分注装置の製造プラントで、前記記憶部材に記憶することができる。次いで、検出された前記物体を、前記制御ユニットにより、前記記憶部材に記憶された物体と関連付けることができる。この目的で、前記制御ユニットは、前記被洗浄物体と前記記憶部材に記憶された前記物体との対応度を確認し、検出された前記物体を、最大の対応度を有する前記記憶部材に記憶された前記物体と関連付け、前記関連付けられた物体に対応する前記制御パラメータを前記高圧洗浄装置に出力することができる。このようにして、前記被洗浄物体に適合した少なくとも1つの制御パラメータを前記高圧洗浄装置に提供することができる。
【0011】
本発明の有利な実施形態において、前記少なくとも1つの制御パラメータは、前記高圧洗浄装置の搬送パラメータ、特に、前記洗浄液の圧力、前記洗浄液の体積流量、及び/又は前記高圧洗浄装置により前記洗浄液と混合することができる洗浄薬品の投与量のための事前決定値又は事前決定値範囲を含む。どの物体が洗浄されるべきかに応じて、前記高圧洗浄装置が、前記被洗浄物体に最適に適合した圧力及び/若しくは前記被洗浄物体に最適に適合した体積流量を洗浄液に提供し、且つ/又は前記洗浄液に洗浄薬品を最適なやり方で混合するように、前記高圧洗浄装置を、搬送パラメータの形態の前記制御パラメータの提供に基づいて作動させることができる。
【0012】
本発明の好適な実施形態において、前記物体検出ユニットは、前記被洗浄物体の画像を取り込むためのカメラの形態で構成され、前記被洗浄物体に対応する画像情報が前記制御ユニットに送信可能である。
【0013】
前記被洗浄物体に対応する前記画像情報は、前記制御ユニットにより、画像認識アルゴリズムを用いて前記記憶部材に記憶された前記物体と比較可能であれば好ましい。例えば、前記比較にパターン認識法が使用されてもよい。前記制御ユニットは、前記記憶部材に記憶されたどの物体が前記被洗浄物体との最大の対応度を有するかを確認することができる。次いで、前記被洗浄物体を、前記制御ユニットにより、前記最大の対応度を有する前記記憶された物体と関連付けることができ、前記関連付けられた物体に対応する制御パラメータを、前記制御ユニットから前記高圧洗浄装置に出力することができる。
【0014】
本発明による前記液体分注装置の特に好ましい実施形態において、前記関連付けられた物体は、特に絵文字、画像、及び/又はラベルの形態で前記表示機器上に表示可能である。これにより、ユーザは、前記物体検出ユニットによって検出された前記被洗浄物体が、前記制御ユニットによりどの記憶された物体と関連付けられたかを、前記表示機器上で、容易に認識することができる。
【0015】
前記被洗浄物体と前記表示機器上に表示された前記物体との、前記制御ユニットにより行われた前記関連付けは、ユーザにより前記入力機器を用いて確認可能であり、前記表示された物体に対応する少なくとも前記制御パラメータを、確認後に前記制御ユニットから前記高圧洗浄装置に出力することができれば有利である。その種の実施形態において、ユーザは、ユーザが、前記被洗浄物体と前記表示機器上に表示された前記物体との、前記制御ユニットにより行われた前記関連付けに同意するかどうかを決定することができる。ユーザが同意する場合、ユーザは前記関連付けを確認することができる。次いで、前記確認により、前記制御ユニットは、前記表示された物体に対応する少なくとも1つの制御パラメータを前記高圧洗浄装置に出力する。これによって、誤った関連付けに起因して前記被洗浄物体に適合しない制御パラメータが出力されるリスクを特に低く抑えることができる。
【0016】
ユーザ確認が事前決定された表示時間内に行われない場合、前記表示された物体に対応する前記少なくとも1つの制御パラメータを、前記制御ユニットにより、前記高圧洗浄装置に自動的に出力することができるようにしてもよい。前記液体分注装置のこのような実施形態においては、ユーザが、前記被洗浄物体と前記表示機器上に表示された前記物体との、前記制御ユニットにより行われた前記関連付けを明示的に確認することは必須ではない。ユーザにより、事前決定された表示時間内に確認が与えられない場合には、前記制御ユニットは、前記表示された物体に対応する前記少なくとも1つの制御パラメータを自動的に出力する。これにより、前記液体分注装置の取り扱いが容易になる。
【0017】
前記被洗浄物体と前記表示機器上に表示された前記物体との、前記制御ユニットにより行われた前記関連付けが、ユーザにより前記入力機器を用いて拒絶可能であり、前記表示された物体に対応する前記少なくとも1つの制御パラメータの前記高圧洗浄装置への出力が遮断可能であれば有利である。ユーザが、前記物体検出ユニットにより検出された前記被洗浄物体と前記表示機器上に表示された前記物体との、前記制御ユニットにより行われた前記関連付けに同意しない場合、ユーザは、前記関連付けを拒絶し、これによって、前記表示された物体に対応する前記少なくとも1つの制御パラメータの出力を遮断することができる。
【0018】
前記被洗浄物体と前記表示機器上に表示された前記物体との、前記制御ユニットにより行われた前記関連付けを拒絶した後、前記物体検出ユニットによる前記被洗浄物体の再検出が、前記制御ユニットにより自動的に、又はユーザにより前記入力機器を用いてトリガ可能であれば特に好ましい。これにより、前記被洗浄物体を前記物体検出ユニットにより再検出することができ、対応する物体情報を前記制御ユニットに送信することができ、その結果、前記制御ユニットは、前記記憶部材に記憶された物体との新たな関連付けを行うことができる。例えば、前記物体検出ユニットがカメラとして構成されていれば、前記被洗浄物体の新しい画像を取り込むことができ、前記制御ユニットは、前記新しい画像に基づいて、どの記憶された物体が前記被洗浄物体と最大の対応度を有するかを確認することができる。次いで、ユーザが前記関連付けを再度確認するか又は拒絶することができるように、前記関連付けの結果を前記表示機器上でユーザに再度表示することができる。前記被洗浄物体の前記再検出は、前記制御ユニットにより自動的にトリガすることもできるし、又はユーザにより前記入力機器を用いてトリガすることもできる。
【0019】
本発明による前記流体分注装置の有利な実施形態においては、前記制御ユニットにより行われた前記関連付けを拒絶した後、前記被洗浄物体を、ユーザにより前記入力機器を用いて前記記憶部材に記憶された物体と関連付けることができ、ユーザが前記被洗浄物体を関連付けた前記物体に対応する前記少なくとも1つの制御パラメータを、前記制御ユニットから前記高圧洗浄装置に出力することができる。本発明による前記液体分注装置のこのような実施形態においては、第1のステップで、前記被洗浄物体を、前記制御ユニットにより、前記記憶部材に記憶された物体と関連付けることができ、次いで、前記物体を前記表示機器上に表示することができる。ユーザがこの関連付けに同意しない場合、ユーザは、前記制御ユニットにより行われた前記関連付けを拒絶することができ、第2のステップで、前記被洗浄物体を前記記憶部材に記憶された物体とユーザ自身で関連付けることができる。ユーザにより行われた前記関連付けに従い、次いで、前記制御ユニットから前記高圧洗浄装置に少なくとも1つの制御パラメータを出力することができる。
【0020】
前記被洗浄物体と前記記憶部材に記憶された物体との、ユーザにより行われた前記関連付けは、有利には、前記記憶部材に記憶可能である。これは、物体が再度検出されるときに、前記物体がユーザにより指定された前記物体と即時に関連付けられることによって、前記制御ユニットに教えることができることを意味する。
【0021】
前記制御ユニットにより行われた前記関連付けを拒絶した後、前記記憶部材に記憶された物体の提案リストが前記表示機器上に表示可能であり、前記被洗浄物体を、ユーザにより前記提案リストから選択された物体と関連付けることができれば好ましい。前記液体分注装置のこのような実施形態においては、ユーザは、前記被洗浄物体と前記記憶部材に記憶された物体との、前記制御ユニットにより行われた関連付けを拒絶した後、次いで、前記物体検出ユニットにより検出された前記被洗浄物体が、ユーザにより選択された前記物体と関連付けられるように、前記表示機器上に表示され得る提案リストから物体を選択することができる。次いで、ユーザにより前記提案リストから選択された前記物体に対応する前記制御パラメータを、前記制御ユニットから前記高圧洗浄装置に出力することができる。
【0022】
また、前記制御ユニットにより行われた前記関連付けを拒絶した後、前記記憶部材に以前に記憶されていなかった新しい物体を、前記新しい物体に対応する1つ又は複数の制御パラメータと共に、ユーザが指定することができ、前記記憶部材に記憶することができ、次いで、前記被洗浄物体が、前記新しい物体と関連付けられ、前記新しい物体に対応する少なくとも1つの制御パラメータが、前記制御ユニットから前記高圧洗浄装置に出力されるようにしてもよい。このような実施形態は、ユーザに、新しい物体を前記新しい物体に対応する制御パラメータと共に前記記憶部材に記憶することにより、前記記憶部材の記憶内容を拡張する可能性を与え、前記物体検出ユニットにより検出された前記被洗浄物体を前記新しい物体と関連付けることができる。
【0023】
ユーザによる前記被洗浄物体と前記記憶部材に記憶された前記新しい物体との前記関連付けを記憶可能であれば有利である。これにより、前記被洗浄物体が、新たな検出が行われるときに、ユーザにより前記記憶部材に記憶された前記物体と関連付けられることによって前記制御ユニットに教えることが可能になり、この物体に対応する前記制御パラメータが前記高圧洗浄装置に出力される。
【0024】
前記制御ユニットが、前記記憶部材の前記記憶内容を更新するために及び/又はソフトウェアプログラムを更新するために、外部データ処理ユニットに接続可能であれば特に有利である。例えば、外部データ処理ユニットとして、サーバ、コンピュータネットワーク(クラウド)、スマートフォン、タブレットコンピュータを使用することができる。前記制御ユニットによる物体情報の前記処理を容易にするため及び/又は拡張するために、前記外部データ処理ユニットにより前記液体分注装置の前記制御ユニットに情報及び好ましくはソフトウェアプログラムを提供することができる。特に、前記物体検出ユニットによる被洗浄物体の検出後に前記高圧洗浄ユニットに少なくとも1つの制御パラメータを出力するよう前記制御ユニットに教えることができ、その結果、前記高圧洗浄装置の作動を前記被洗浄物体に最適に適合させることができる。
【0025】
前記液体分注装置は、高圧洗浄装置用の付属品を形成する。例えば、前記液体分注装置は噴霧ガンとして構成されてもよい。この場合、前記液体分注装置の前記液体入口は、前記高圧洗浄装置により加圧された洗浄液を、圧力導管を介して前記噴霧ガンに供給することができるように、前記圧力導管、特に圧力ホースを接続することができるガン入口を形成する。このような実施形態においては、前記液体分注装置の前記液体出口は、ガン出口として構成され、該ガン出口はガン入口と流れ接続し、該ガン出口を介して前記加圧された液体を被洗浄物体に向けることができる。
【0026】
前記ガン出口は、吐出ユニットに好ましくは着脱可能に接続可能である。前記吐出ユニットは、例えば、噴霧ランス、噴霧ノズル、ウォッシングブラシ、又は表面洗浄装置の形態で構成されてもよい。
【0027】
本発明による前記液体分注装置の特に簡単な取り扱いは、好適な実施形態においては、タッチセンサ式スクリーン(タッチスクリーン)を形成する前記表示機器と組み合わせた前記入力機器により達成される。
【0028】
前記制御ユニットが前記高圧洗浄装置を始動するための制御信号を出力することができれば好ましい。これにより、ユーザが前記液体分注装置を使用して前記高圧洗浄装置のオンとオフを切り替えることが可能になる。よって、例えば、前記液体分注装置が、ユーザが作動させることができる作動要素を含むようにしてもよい。前記作動要素が作動されると、前記高圧洗浄装置を始動して洗浄液を加圧することができるようにするために、前記制御ユニットから前記高圧洗浄装置に始動信号を出力することができる。ユーザが前記作動要素を解放した場合、前記高圧洗浄装置がオフに切り替わるように、前記制御ユニットはもはや前記高圧洗浄装置に始動信号を提供しなくなる。
【0029】
前記作動要素は、有利には旋回レバーとして構成され、該旋回レバーは、旋回軸を中心に旋回可能であるように取り付けられ、ユーザが、ばね弾性復元力に抗して非作動位置から開始して作動位置に旋回させることができる。前記旋回レバーを前記作動位置に旋回させることにより、前記制御ユニットは、前記高圧洗浄装置を始動するための始動信号を出力するようにトリガされる。ユーザが前記旋回レバーを解放した場合、前記旋回レバーは前記復元力の影響下でその非作動位置に旋回し、これによって前記制御ユニットに前記始動信号の出力を終了させる。
【0030】
前記高圧洗浄装置がオフに切り替わったときに洗浄液が前記液体分注装置から吐出できないようにするために、前記液体分注装置が逆止弁を含んでいれば有利であり、該逆止弁は、前記液体出口を前記液体入口に接続する流路に配置される。前記高圧洗浄装置がオフに切り替わると、前記洗浄液の圧力が前記液体入口で低下し、次いで前記逆止弁が自動的に前記弁の閉位置をとるように、前記高圧洗浄装置はもはや前記液体分注装置に加圧洗浄液を提供しなくなる。前記高圧洗浄装置が再度オンに切り替わると、前記液体出口を介して前記加圧洗浄液を吐出することができるように、前記液体入口で優勢な前記洗浄液の圧力が上昇し、前記逆止弁が自動的に前記弁の開位置をとり、これによって、前記液体入口と前記液体出口との間の流路を遮断解除する。
【0031】
本発明はまた、流体分注装置を用いて高圧洗浄装置を制御するための方法であって、前記流体分注装置が、加圧洗浄液のための圧力導管を介して前記高圧洗浄装置のポンプ出口に接続可能な液体入口を含み、前記液体分注装置が、前記洗浄流体を被洗浄物体の方向に分注するために前記液体入口と流れ接続されている液体出口を含み、前記液体分注装置が、入力機器と、表示機器と、前記高圧洗浄装置を制御するための制御ユニットとを含み、前記制御ユニットが、制御パラメータを記憶可能な記憶部材を含み、前記制御ユニットから前記高圧洗浄装置に少なくとも1つの制御パラメータを出力することができ、前記液体分注装置が、前記被洗浄物体を非接触式に検出するための物体検出ユニットを含み、前記被洗浄物体に対応する物体情報が、前記物体検出ユニットから前記制御ユニットに送信可能であり、前記制御ユニットにより、前記高圧洗浄装置に出力される、前記被洗浄物体に適合した少なくとも1つの制御パラメータを提供するために処理される、方法に関する。
【0032】
本発明による前記液体分注装置の説明に関連して既に論じた利点は、本方法を使用して達成することもできる。繰り返しを回避するために、これに関しては先の記載を参照する。
【0033】
多数の物体の物体情報が、前記高圧洗浄装置を制御するための該物体に対応する制御パラメータと共に、前記制御ユニットの前記記憶部材に記憶され、前記被洗浄物体が、前記制御ユニットにより、前記記憶部材に記憶された物体と関連付けられれば好ましい。
【0034】
前記制御ユニットは、好ましくは、前記被洗浄物体と前記記憶部材に記憶された前記物体との対応度を確認し、前記被洗浄物体を、最大の対応度を有する前記記憶部材に記憶された前記物体と関連付け、前記関連付けられた物体に対応する前記制御パラメータは、前記制御ユニットから前記高圧洗浄装置に出力される。
【0035】
別法として、前記制御ユニットが、前記検出された物体をユーザにより指定された物体と関連付け、次いで、前記指定された物体に対応する前記制御パラメータを前記高圧洗浄装置に出力するようにしてもよい。
【0036】
本発明による方法の好適な実施形態において、前記物体検出ユニットは、カメラの形態で構成され、前記被洗浄物体の画像を取り込み、前記被洗浄物体に対応する画像情報を前記制御ユニットに送信する。
【0037】
前記制御ユニットは、好ましくは、前記カメラにより提供された前記被洗浄物体の前記画像情報を、画像認識アルゴリズムを用いて前記画像情報を前記記憶部材に記憶された前記物体と比較することによって処理する。
【0038】
好ましくは、パターン認識法の形態の画像認識アルゴリズムが使用される。
【0039】
前記制御ユニットにより前記被洗浄物体と関連付けられた前記物体は、好ましくは、特に、絵文字、画像及び/又はラベルの形態で前記表示機器上に表示される。前記被洗浄物体と前記記憶部材に記憶された物体との、前記制御ユニットにより行われた前記関連付けは、好ましくは、ユーザによって確認されるか、又は拒絶される。
【0040】
ユーザが、前記制御ユニットにより行われた前記関連付けを確認した場合、本発明による方法の有利な実施形態においては、前記表示された物体に対応する前記少なくとも1つの制御パラメータが、前記制御ユニットから前記高圧洗浄装置に出力される。前記制御ユニットにより行われた前記関連付けが拒絶された場合、表示された前記物体に対応する前記少なくとも1つの制御パラメータの出力は遮断される。
【0041】
本発明による方法の有利な実施形態においては、前記制御ユニットにより行われた前記関連付けを拒絶した後、前記物体検出ユニットによる前記被洗浄物体の再検出が、前記制御ユニットにより自動的に、又はユーザにより前記入力機器を用いてトリガされ、再検出後、前記被洗浄物体と前記記憶部材に記憶された物体との新たな関連付けが前記制御ユニットにより行われる。
【0042】
また、前記制御ユニットにより行われた前記関連付けを拒絶した後、前記被洗浄物体がユーザにより前記入力機器を用いて前記記憶部材に記憶された物体と関連付けられ、ユーザが前記被洗浄物体を関連付けた前記物体に対応する前記少なくとも1つの制御パラメータが、前記制御ユニットから前記高圧洗浄装置に出力されるようにしてもよい。
【0043】
例えば、前記制御ユニットにより行われた前記関連付けを拒絶した後、前記記憶部材に記憶された物体の提案リストが前記表示機器上でユーザに表示され、ユーザが前記提案リストから物体を選択し、次いで、前記被洗浄物体が前記選択された物体と関連付けられ、前記選択された物体に対応する制御パラメータが前記高圧洗浄装置に出力されるようにしてもよい。
【0044】
また、前記制御ユニットにより行われた前記関連付けを拒絶した後、ユーザが、前記記憶部材に以前に記憶されていなかった新しい物体を、前記新しい物体に対応する1つ又は複数の制御パラメータと共に前記記憶部材に記憶し、次いで、前記被洗浄物体が前記新しい物体と関連付けられ、前記新しい物体に対応する少なくとも1つの制御パラメータが、前記制御ユニットから前記高圧洗浄装置に出力されるようにしてもよい。
【0045】
前記制御ユニットが、前記記憶部材の記憶内容を更新するために及び/又はソフトウェアプログラムを更新するために、外部データ処理ユニット、例えば、サーバ、コンピュータネットワーク(クラウド)、スマートフォン、又はタブレットコンピュータに接続可能であれば特に有利である。
【0046】
本発明の好適な実施形態の以下の記載は、図面と併せて本発明の更なる説明に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】高圧洗浄装置用の液体分注装置の斜視図を示す。
図2図1の液体分注装置の第2の斜視図を示す。
図3図1の液体分注装置の長手方向断面図を示す。
図4図3の詳細Xの拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明による液体分注装置の有利な実施形態を図面に概略的に示し、該液体分注装置は全体として参照符号10で示されている。
【0049】
図示の実施形態において、液体分注装置10は、噴霧ガン12の形態で構成されており、前部ハウジング領域16及び後部ハウジング領域18を有するハウジング14を含む。ハンドル20が後部ハウジング領域18から突出しており、ハンドル20には保護ブラケット22が隣接している。保護ブラケット22は、ハンドル20及び後部ハウジング領域18と組み合わさって、ユーザがハンドル20を握るときにユーザの指と係合することができるハンドル開口部24を取り囲む。
【0050】
後部ハウジング領域18には、ばね荷重逆止弁26が配置されており、逆止弁26の弁ハウジング28内に入口導管30が開口し、出口導管32が接続する。入口導管30の自由端は液体入口34を形成し、出口導管32の自由端は液体出口36を形成する。弁ハウジング28では、閉鎖部材38が閉鎖ばね40によって閉位置に付勢され、この閉位置で、閉鎖部材は弁座42に密封的に当接し、これによって液体入口34と液体出口36との間の流れ接続を遮断する。閉鎖部材38は、閉鎖ばね40の閉じる力に逆らって開位置に移動させることができ、開位置で、閉鎖部材38は、弁座42から距離をとり、これによって、液体入口34と液体出口36との間の流れ接続を遮断解除する。
【0051】
加圧洗浄液のための圧力導管は、高圧洗浄装置により加圧された洗浄流体を噴霧ガン12に供給することができるように、通常のやり方で液体入口34に接続することができ、この接続を介して流体入口34を高圧洗浄装置のポンプ出口に接続することができ、このこと自体は公知であり、従って、より良好な概観を達成するために図示されていない。加圧洗浄液の作用下で、逆止弁26の閉鎖部材38は自動的にその開位置に移行し、その結果、洗浄液を、出口導管32及び液体出口36を介して被洗浄物体の方向に吐出することができる。また、吐出機器、例えば、噴霧ランス、噴霧ノズル、ウォッシングブラシ、又は表面洗浄装置を液体出口36に接続することができ、それによって被洗浄物体に加圧洗浄液を作用させることができるようにしてもよい。
【0052】
洗浄液を加圧することができる高圧洗浄装置は、当業者には公知である。高圧洗浄装置は、モータと、モータにより駆動されるポンプと、制御電子機器とを含む。
【0053】
噴霧ガン12は電気ユニット44を含み、電気ユニット44は後部ハウジング領域18により部分的に収容され、電気ユニット44の隆起部分46は、後部ハウジング領域18の上面48から突出している。
【0054】
電気ユニット44は、ハウジング14に挿入することができる予め取り付け可能なユニットの形態の防滴構成のものである。
【0055】
電気ユニット44は、高圧洗浄装置を制御するための制御ユニット50を含み、高圧洗浄装置のポンプ出口は、既に述べたように、圧力導管を介して液体入口34と流れ接続している。制御ユニット50は、高圧洗浄装置を制御するために、高圧洗浄装置の制御電子機器と無線で、特に電磁波によって通信するように調整される。
【0056】
更に、電気ユニット44は、入力機器52と表示機器54とを含む。入力機器52は、表示機器54と組み合わさってタッチセンサ式スクリーン(タッチスクリーン)56を形成する。
【0057】
電気ユニット44はまた物体検出ユニット58も含み、物体検出ユニット58は、図示の実施形態ではカメラ60として構成されている。カメラ60を用いて、噴霧ガン12の前に配置された被洗浄物体を検出することができる。これを達成するために、カメラ60は被洗浄物体の画像を取り込むことができる。
【0058】
カメラ60は、図示されていない、それ自体公知の接続線を介して制御ユニット50と電気的に接続されている。制御ユニット50は、記憶部材62を含む。
【0059】
電気ユニット44は、エネルギーを供給するためのバッテリー64を含む。更に、電気ユニット44は電子スイッチ66を含み、電子スイッチ66は制御ユニット50に電気的に接続されている。電子スイッチ66のスイッチプランジャ68は、ユーザにより、作動要素を用いて作動させることができ、作動要素は、図示の実施形態では、旋回レバー70として構成されている旋回レバー70は復元ばね72によって非作動位置に付勢され、非作動位置で、旋回レバー70はハンドル開口部24内に突出する。ユーザは、復元ばね72の力に抗して人差し指で旋回レバー70を作動位置に旋回させることができる。その結果、旋回レバー70は、スイッチプランジャ68を介して電子スイッチ66を作動させ、次いで、電子スイッチ66は制御ユニット50に切り替え信号を送信する。切り替え信号は制御ユニット50に、高圧洗浄装置が制御電子機器によりオンに切り替えられ、加圧洗浄液が噴霧ガン12に提供されるように、高圧洗浄装置の制御電子機器に始動信号を連続的に繰り返し送信させる。高圧洗浄装置は、復元ばね72の作用下でその非作動位置をとるように、ユーザがスイッチレバー70を解放するまでオンに切り替わったままである。旋回レバー70による非作動位置の選択は、電子スイッチ66により検出される。次いで、電子スイッチ66は、制御ユニット50への切り替え信号の送信を終了し、その後、制御ユニット50は、高圧洗浄装置が制御電子機器によりオフに切り替えられるように、高圧洗浄装置の制御電子機器に始動信号をもはや提供しなくなる。
【0060】
既に述べたように、カメラ60を用いて、噴霧ガンの前に位置決めされた被洗浄物体の画像を取り込むことができる。カメラ60は、対応する画像情報、即ち取り込み画像を制御ユニット50に送信する。制御ユニット50の記憶部材62には、多数の物体の画像の形態の物体情報が、高圧洗浄装置のそれぞれの物体に対応する少なくとも1つのそれぞれの制御パラメータと共に記憶されている。制御パラメータは、それぞれの物体を高圧洗浄装置により最適に洗浄することができるように選択される。制御ユニット50は、画像認識アルゴリズムを用いて、特に、パターン認識法を用いて、カメラ60により提供された被洗浄物体の画像を記憶部材62に記憶された物体と比較する。制御ユニット50は、これにより、記憶された物体のうちのどれが被洗浄物体との最大の対応度を有するかを確認する。次いで、被洗浄物体は、制御ユニット50により、最大の対応度を有する記憶部材に記憶された物体と関連付けられる。
【0061】
更なるステップで、被洗浄物体と関連付けられた記憶された物体は、次いで、絵文字、ラベル及び/又は画像の形態でタッチセンサ式スクリーン56上に表示される。これにより、ユーザは、タッチセンサ式スクリーン56上で、記憶されたどの物体を制御ユニット50が被洗浄物体と関連付けたかを認識することができる。
【0062】
次いで、ユーザは、タッチセンサ式スクリーン56の対応するスクリーンフィールドにタッチすることによって、制御ユニット50により行われた関連付けを確認又は拒絶することができる。
【0063】
ユーザが制御ユニットにより行われた関連付けを確認した場合、制御ユニット50は、スクリーン56上に表示された物体に対応する少なくとも1つの制御パラメータを高圧洗浄装置に出力する。少なくとも1つの制御パラメータは、高圧洗浄装置の制御電子機器に無線により送信される。この目的で、制御ユニット50並びに高圧洗浄装置の制御電子機器は、対応する無線部材を含む。少なくとも1つの制御パラメータを受信した後、制御電子機器は、少なくとも1つの制御信号に従って高圧洗浄装置の作動を制御又は調整する。
【0064】
少なくとも1つの制御パラメータは、例えば、高圧洗浄装置の搬送パラメータ、特に、洗浄液の圧力、洗浄液の体積流量、及び/又は高圧洗浄装置により洗浄液と混合することができる洗浄薬品の投与量のための事前決定値又は事前決定値範囲を含んでもよい。制御パラメータは、それぞれの物体の最適な洗浄を可能にするように選択される。よって、被洗浄物体が記憶部材62に記憶された物体と正しく関連付けられると、高圧洗浄装置は、最適な洗浄結果を達成することができるように作動する。
【0065】
ユーザが制御ユニット50によって行われた関連付けを拒絶した場合、表示された物体に対応する少なくとも1つの制御パラメータは、制御ユニット50により高圧洗浄装置の制御電子機器に出力されない。制御ユニット50は、むしろ、カメラ60が被洗浄物体の画像を再度取り込むことによる被洗浄物体の新たな検出を自動的にトリガする。別法として、ユーザが、制御ユニット50により行われた関連付けを拒絶した後、スクリーン56の対応するスクリーンフィールドにタッチすることによって被洗浄物体の再検出をトリガするようにしてもよい。次いで撮影された被洗浄物体の画像は、次いで、制御ユニット50により、記憶部材62に記憶された物体と再度関連付けられ、次いで、その物体がタッチセンサ式スクリーン56に再度表示される。
【0066】
ユーザはまた、スクリーン56の対応する画面フィールドにタッチすることによって、記憶部材52に記憶された物体の提案リストをスクリーン56上に表示するよう制御ユニット50に促す選択肢も有する。次いで、ユーザは、提案リストから記憶された物体を選択することができる。次いで、カメラ60により検出された被洗浄物体が選択された物体と関連付けられ、選択された物体に対応する少なくとも1つの制御パラメータが、制御ユニット50から高圧洗浄装置に出力される。
【0067】
更に、ユーザは、以前に記憶部材62に記憶されていなかった新しい物体を、新しい物体に対応する1つ又は複数の制御パラメータと共に記憶部材62に記憶する選択肢を有し、新しい物体に対応する制御パラメータは、次いで、制御ユニット50から高圧洗浄装置に出力される。
【0068】
カメラ60により検出された洗浄されるべき物体と新しい物体との、ユーザにより行われた関連付けは、被洗浄物体がカメラ60によって再検出されたときに、現在記憶されている関連付けを制御ユニット50により自動的に行うことができるように、記憶部材52に記憶される。
【0069】
記憶部材62の記憶内容、並びに制御ユニット50のソフトウェアプログラムは、更新及び補足することができる。この目的で、制御ユニット50を外部データ処理ユニットに、例えば、サーバ、コンピュータネットワーク(クラウド)、スマートフォン又はタブレットコンピュータに接続することができる。これにより、多数の物体の物体情報を、高圧洗浄装置を制御するための対応する制御パラメータと共に、噴霧ガン12の製造プラントで記憶部材62に記憶することが可能になるだけでなく、外部データ処理ユニットへの接続を確立することによって、更なる物体情報及び制御パラメータを後で記憶することもできる。更に、物体検出ユニット50により提供された物体情報を処理するために使用されるソフトウェアプログラム、特にパターン認識法を更新することができる。
【0070】
物体検出ユニット58用いた、特にカメラ60を用いた被洗浄物体の検出は、被洗浄物体の最良の可能な洗浄を、ユーザがこれを目的として深い知識を有する必要なく実行することができるという利点を有する。被洗浄物体は物体と関連付けられ、前記物体を最適に洗浄するための制御パラメータは、記憶部材62に記憶され、制御ユニット50から高圧洗浄装置に出力することができる。これにより、被洗浄物体の可能な限り最適な洗浄を行うことができるように、高圧洗浄装置の作動を容易に設定することが可能になる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】