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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】車両の積荷エリア用カバー
(51)【国際特許分類】
   B60R 5/04 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
B60R5/04 T
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542955
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(85)【翻訳文提出日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 EP2021050846
(87)【国際公開番号】W WO2022152394
(87)【国際公開日】2022-07-21
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511312997
【氏名又は名称】トヨタ モーター ヨーロッパ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100180194
【弁理士】
【氏名又は名称】利根 勇基
(72)【発明者】
【氏名】イサ コラク
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022BA02
3D022BA11
3D022BB03
3D022BC10
(57)【要約】
車両(1)の積荷エリア(2)のためのカバー(10)が、車両の一部を隠すように構成されたコンシーラ(11)と、コンシーラを車両の積荷エリアの可動部材(4)に接続するための少なくとも1つの紐(12A、12B)と、コンシーラが展開状態と格納状態との間で変形するように、可動部材によって少なくとも1つの紐に加えられる張力をコンシーラに伝達するように構成された少なくとも1つのアンカー(13)とを具備する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)の積荷エリア(2)のためのカバー(10、20)であって、
前記車両の積荷エリアの一部を隠すように構成されたコンシーラ(11)と、
前記コンシーラを前記車両の可動部材(4)に接続するための少なくとも1つの紐(12A、12B)と、
前記コンシーラが展開状態と格納状態との間で変形するように、前記可動部材によって前記少なくとも1つの紐に加えられる張力を前記コンシーラに伝達するように構成された少なくとも1つのアンカー(13)と
を具備する、カバー(10、20)。
【請求項2】
前記コンシーラ(11)を前記展開状態に向かって付勢するように構成された伸展具(17)を具備し、
前記少なくとも1つの紐(12A、12B)は、前記可動部材(4)によって張力がかかったときに、前記伸展具に打ち勝って前記コンシーラを前記格納状態に向かって移動させるように構成される、請求項1に記載のカバー(10、20)。
【請求項3】
前記伸展具(17)は、前記コンシーラ(11)の第1の部分(14R)を前記積荷エリア(2)の表面に接続するための弾性又は部分弾性の引張要素(9)を具備し、前記引張要素は、前記コンシーラの前記第1の部分を前記コンシーラの第2の部分(14F)から離れるように引っ張って前記コンシーラを前記展開状態にするように構成される、請求項2に記載のカバー(10、20)。
【請求項4】
前記伸展具(17)は、前記コンシーラ(11)のフレーム(21)の弾性部分を具備し、前記フレームの部分は、前記コンシーラの第1の部分(14R)を前記コンシーラの第2の部分(14F)から離れるように押して前記コンシーラを前記展開状態にするように構成される、請求項2に記載のカバー(10、20)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの紐(12A、12B)の第1の部分(12C)が前記可動部材(4)に接続されるように構成され、
前記少なくとも1つの紐の第2の部分(12D)が前記コンシーラ(11)の第1の部分(14R)に接続され、前記コンシーラ(11)の第1の部分(14R)は、前記格納状態よりも前記展開状態において前記コンシーラの第2の部分(14F)からより離れており、
前記アンカー(13)は、前記少なくとも1つの紐が該アンカーに対して移動可能であるように、前記少なくとも1つの紐(12A、12B)の前記第1の部分(12C)と前記第2の部分(12D)との中間で少なくとも1つの紐に接続される、請求項1から4のいずれか1項に記載のカバー(10、20)。
【請求項6】
前記アンカー(13)は、前記コンシーラ(11)の前記第2の部分(14F)に固定される、請求項5に記載のカバー(10、20)。
【請求項7】
前記アンカー(13)は、前記コンシーラが前記展開状態にあるときに、前記コンシーラ(11)の前記第1の部分(14R)よりも前記コンシーラの前記第2の部分(14F)に近い位置において前記積荷エリア(2)に固定される、請求項6に記載のカバー(10、20)。
【請求項8】
前記コンシーラ(11)の前記第2の部分(14F)は前記積荷エリア(2)に対して固定される、請求項2から7のいずれか1項に記載のカバー(10、20)。
【請求項9】
請求項4から8のいずれか1項と組み合わされた請求項4に記載の前記カバー(10、20)と、
前記展開状態と前記格納状態との間で前記コンシーラ(11)を案内するように構成された案内装置(22、30、40、50)であって、前記積荷エリア(2)を画定する表面に接続されるように構成され且つ前記コンシーラの前記フレーム(21)を案内可能に支持するように構成された案内部品(23、31、41、42)を含む案内装置(22、30、40、50)と
を具備するカバーアセンブリ。
【請求項10】
前記案内装置(40、50)は、前記コンシーラ(11)に接続された案内部品(43、44)を含み、該案内部品(43、44)は、前記積荷エリア(2)を画定する前記表面に接続されるように構成された前記案内部品(41、42)によって案内可能に支持されるように構成される、請求項9に記載のカバーアセンブリ。
【請求項11】
請求項1から8のいずれか1項に記載の積荷エリア(2)及びカバー(10、20)、又は請求項9又は10に記載のカバーアセンブリを具備する車両構造体であって、
前記カバーは、前記展開状態において前記積荷エリアの開口部(8)を隠し、前記格納状態において前記開口部を露出させるように構成される、車両構造体。
【請求項12】
前記積荷エリア(2)を画定する前記表面に接続されるように構成された前記案内部品(23、31、41、42)は、前記積荷エリアの内装パネル(5)と一体に形成される、請求項11に記載の車両構造体。
【請求項13】
前記前記コンシーラ(11)は、前記開口部(8)に対する前記可動部材(4)の開動作(7)に応答して、前記格納状態となるように構成される、請求項11又は12に記載の車両構造体。
【請求項14】
前記コンシーラ(11)は、前記開口部(8)に対する前記可動部材(4)の閉動作(6)に応答して、前記展開状態になるように構成される、請求項11から13のいずれか1項に記載の車両構造体。
【請求項15】
請求項1から8のいずれか1項に記載のカバー(10、20)、請求項9又は10に記載のカバーアセンブリ、又は請求項11から14のいずれか1項に記載の車両構造体を具備する、車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の積荷エリア用のカバーの分野に関する。車両の積荷エリアとは、典型的には、車両の乗員座席エリアと車両の前端/後端との間に設けられるものである。車両の積荷エリアの例には、トランク(ブーツ(boot)、ディッキー(dickie/dickey/dicky)又はコンパートメント(compartment)、あるいは場合によっては「フランク(frunk)」とも呼ばれる)が含まれる。
【背景技術】
【0002】
典型的には、車体の開口部及び積荷エリアの残りの部分に対して開位置と閉位置との間で移動可能な少なくとも1つのドアによって、車両の積荷エリアの境界を定める。そのようなドアの非限定的な例には、蓋(トランクの蓋など)及びハッチが挙げられる。ドアとは、積荷エリアの可動部材の一例である。多くの場合、人は積荷エリアが隠されることを望んでいる。
【0003】
特許文献1(欧州特許第1818217号明細書)には、車両の積荷エリアを隠したり見せたりするために手動で操作しなければならないカバーが開示されている。特許文献2(米国特許第8844995号明細書)には、車両の積荷エリア全体にわたって操作することができる電動のトノー型カバーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1818217号明細書
【特許文献2】米国特許第8844995号明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明者らは、カバーは操作が簡単でありユーザにとって便利であるべきであることに気づいた。この目的のために、本開示に従ってカバーを設けることができる。カバーは、車両の積荷エリアの一部を隠すように構成されたコンシーラ(concealer)を含む。カバーは、コンシーラを車両の可動部材に接続するための少なくとも1つの紐を含む。カバーは少なくとも1つのアンカーを含む。アンカーは、コンシーラが展開状態と格納状態との間で変形するように、可動部材によって少なくとも1つの紐に加えられる張力をコンシーラに伝達するように構成される。
【0006】
斯かるカバーは、車両に取り付けられると、専用の電気システム及び/又は機械システムを使用せずに、可動部材の動きに応答して状態を切り替えることができる。展開状態では、コンシーラは、格納状態よりも大きな積荷エリアの区画を視界から隠す。
【0007】
コンシーラは、座屈によって展開状態と格納状態との間で変形してもよい。
【0008】
コンシーラは、可撓性を有する膜として提供されてもよい。
【0009】
カバーは、コンシーラを展開状態に向かって付勢するように構成された伸展具を含んでいてもよい。少なくとも1つの紐は、可動部材によって張力がかけられると、伸展具に打ち勝ってコンシーラを格納状態に向かって移動させるように構成されてもよい。
【0010】
伸展具は、コンシーラの第1の部分を積荷エリアの表面に接続するための弾性又は部分的に弾性の引張要素を含んでいてもよい。引張要素は、コンシーラの第1の部分を引いてコンシーラの第2の部分から離して、コンシーラを展開状態にするように構成されてもよい。
【0011】
伸展具は、コンシーラのフレームの弾性部分を含んでいてもよい。フレーム部分は、コンシーラの第1の部分をコンシーラの第2の部分から離れるように押して、コンシーラを展開状態にするように構成されてもよい。
【0012】
少なくとも1つの紐の第1の部分が、可動部材に接続されるように構成されてもよい。少なくとも1つの紐の第2の部分が、コンシーラの第1の部分に接続されてもよい。コンシーラの第1の部分は、格納状態よりも展開状態においてコンシーラの第2の部分からより離れていてもよい。アンカーは、少なくとも1つの紐がアンカーに対して移動可能であるように、少なくとも1つの紐の第1部分と第2部分との中間で少なくとも1つの紐に接続されてもよい。
【0013】
アンカーはコンシーラの第2の部分に固定されてもよい。
【0014】
アンカーは、コンシーラが展開状態にあるときに、コンシーラの第1の部分よりもコンシーラの第2の部分に近い位置で積荷エリアに固定されてもよい。
【0015】
コンシーラの第2の部分は、積荷エリアに対して固定されてもよい。
【0016】
加えて又は代替的に、カバーアセンブリが提供される。カバーアセンブリは、本明細書において前述したようなカバーと、コンシーラを展開状態と格納状態との間で案内するように構成された案内装置とを含む。案内装置は案内部品を含み、案内部品は、積荷エリアを画定する表面に接続されるように構成され、コンシーラのフレームを案内可能に支持するように構成される。
【0017】
案内装置は、コンシーラに接続された案内部品を含んでいてもよい。コンシーラに接続された案内部品は、積荷エリアを画定する表面に接続されるように構成された案内部品によって案内可能に支持されるように構成されてもよい。
【0018】
加えて又は代替的に、本開示に従って車両構造体が提供される。車両構造体は、積荷エリアと、本明細書において前述したようなカバー又はカバーアセンブリとを含む。カバーは、展開状態において積荷エリアの開口部を隠し且つ格納状態において開口部を露出するように構成される。
【0019】
積荷エリアを画定する表面に接続されるように構成された案内部品は、積荷エリアの内装パネルと一体的に形成されてもよい。
【0020】
コンシーラは、開口部に対する可動部材の開動作に応答して格納状態になるように構成されてもよい。
【0021】
コンシーラは、開口部に対する可動部材の閉動作に応答して展開状態になるように構成されてもよい。
【0022】
加えて又は代替的に、本開示に従って車両が提供される。車両は、本明細書において前述したような車両構造体、又は本明細書において前述したようなカバー又はカバーアセンブリを含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、第1の変形例による例示的な車両及びその積荷エリア並びに例示的なカバーの展開の部分切断図を示す。
図2図2は、図1に示すカバーの格納時の状態を示す。
図3図3は、例示的な車両及びその積荷エリア並びに展開状態のコンシーラを有する第2の変形例による例示的なカバーの部分切断図を示す。
図4図4は、図3に示すカバーの格納時の状態を示す。
図5図5は、第1の変形例による例示的な案内装置の詳細図を示す。
図6図6は、図3の案内装置の断面図を示す。
図7図7は、第2の変形例による例示的な案内装置の詳細図を示す。
図8図8は、図5の案内装置の断面図を示す。
図9図9は、第3の変形例による案内装置の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示は、添付の図面と併せて本開示の態様に関する以下の詳細な説明を考慮することにより、さらに完全に理解することができる。
【0025】
「例示的」という用語は、「理想的」ではなく「例」という意味で使用する。本開示の態様には、さまざまな修正及び代替形態を受け入れることができるが、その詳細を、例として図面に示しており、以下で詳細に説明する。しかし、本開示の態様を、説明した特定の実施形態に限定する意図ではないことを理解されたい。逆に、本開示の意図は、本開示の範囲内に含まれるあらゆる修正、等価物及び代替物を網羅することである。
【0026】
本開示及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」及び「the」には、内容によって明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象が含まれる。本開示及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、「又は」という用語は、内容によって明確に別段の指示をしない限り、その意味に「及び/又は」を概ね含む意味で採用される。
【0027】
以下の詳細な説明を、図面を参照しながら読まれたい。詳細な説明及び図面は、必ずしも一定の縮尺ではないが、例示的な態様を示しており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。図示の例示的な態様は、例示を意図するものにすぎない。
【0028】
図1は、例示的な車両1、この例では、ハッチバック車の部分切断図を示す。
【0029】
車両1は、積荷エリア2、この例ではそれが車両の後端近くに位置するため後部積荷エリアを含む。
【0030】
積荷エリア2は、少なくとも1人の車両乗員のための座席3の後方であって、ハッチバックのハッチ4の前方に配置される。
【0031】
従来の方法では、ハッチ4は、ハッチバックの後端に位置し、車両1の後端に対して、車両の外側にいる人の積荷エリア2へのアクセスをハッチが制限する閉位置と、車両の外側にいる人に積荷エリアへのアクセスをハッチが提供する開位置との間で移動可能である。
【0032】
座席3は、積荷エリア2の前端を画定することができる。車両1の横方向内面(この場合は内装パネル5)が、積荷エリア2の横方向端を画定する。積荷エリア2の下端は、例えば、車両1の荷台によって画定されうる。閉位置では、ハッチ4は積荷エリア2の後端を画定する。
【0033】
ハッチ4は、積荷エリア2の可動部材の一例である。図中の矢印6が示すように、ハッチ4は、開位置から閉位置に向かって移動するように示される。
【0034】
車両1は、第1の変形例による例示的なカバー10も含む。図中の矢印6Aが示すように、カバー10は、ハッチ4の閉動作に応答して積荷エリア2の開口部を横切って展開される状態で示される。積荷エリアの所与の可動部材の閉動作とは、部材の開位置から閉位置に向かう方向への部材の動きである。
【0035】
カバー10は、コンシーラ11と、少なくとも1つの紐12A/Bと、少なくとも1つのアンカー13とを含む。ハッチ4の開位置と閉位置との間の移動により、コンシーラ11が展開状態と格納状態との間で切り替わる。これにより、カバー10は、ハッチ4が閉じる(閉動作を実施する)か、開く(開動作を実施する)ことに応答して、積荷エリア2への開口部を遮断するか解放することができる。
【0036】
この例では、コンシーラ11は、可撓性を有する膜14、前方接続部15、2つの横方向接続部16及び伸展具17(この場合、横方向接続部16のそれぞれに対して1つの伸展具17)を含む。
【0037】
膜14は、前方接続部15と横方向接続部16との間に配置される。
【0038】
膜14は、ヒトの肉眼に対して実質的に不透明であってもよく、その結果、コンシーラ11が展開状態にあるとき、積荷エリアの開口部を通して積荷エリア2の内部が容易に見えないようにすることができる。これに加えて、あるいはこれとは別に、膜14は太陽光に対して実質的に不透明であってもよく、その結果、コンシーラ11は、展開状態にあるときに積荷エリア2の内部の物体を太陽光への暴露から保護することができる。膜14は、展開状態と格納状態との間でコンシーラ11が移動することができるように、任意の適切な材料、例えば、布地/織物、(PVCなどの)プラスチックなどから作成されうる。
【0039】
前方接続部15は、少なくとも1つ(この場合は2つ)の取付点18によって膜14を積荷エリア2の前方部分(この場合は座席3の近くの内装パネル5)に接続する。取付点18は、例えば、内装パネル5に設けられた対応する1つ又は複数の穴に挿入可能な1つ又は複数のフックとして設けられる。しかし、穴が座席3に設けられることも考えられる。
【0040】
横方向接続部16は、膜14を、積荷エリアの後端(ハッチ4が閉位置にあるときに位置する場所)近くの少なくとも1つの(この場合、2つの対向する)側面(この場合、横方向内装パネル5によって提供される)に接続する。横方向接続部16は、コンシーラ11が接続される各側面に対して少なくとも1つの取付点19を含む。取付点19は、例えば、内装パネル5に設けられた対応する1つ又は複数の穴に挿入可能な1つ又は複数のフックとして設けられる。
【0041】
伸展具17は、コンシーラ11を展開状態に向けて付勢するように構成されており、その結果、コンシーラは受動的に(人間の介入なしに)展開される。伸展具17は、コンシーラ11を展開状態に向けて付勢するために、少なくとも1つ(この場合は2つ)の引張要素9を含む。各引張要素9は、例えば、ショックコードとして提供される。各引張要素9は、耐久性を確保するために、圧着(clamping)、縫製などの手段によって膜14に接続されてもよい。
【0042】
前方接続部15の取付点18は、引張要素9及び膜14を介して横方向接続部16の取付点19に連結される。横方向接続部16は、引張要素9を介して膜14に連結される。前方接続部15は、膜14を介して引張要素9に連結される。
【0043】
膜14の前部14Fは前方接続部15に接続される。膜14の後部14Rは引張要素9に接続される。引張要素9の作用下で、膜14の後部14Rは膜の前部14Fから引き離され、膜は、例えば、車体に対して、積荷エリア2の開口部を横切って実質的に水平に延びる。
【0044】
この例では、カバー10は2本の紐12A/Bを含む。紐は、例えば、天然繊維又は合成繊維から作成される。しかし、「紐」という用語は、例えば、ケーブル、チェーン、ストラップなどの任意の細長い可撓性を有する張力伝達部材を指すものと理解さされうる。紐は、引張要素9が展開状態よりも格納状態においてより伸長されるのに対して、展開状態と格納状態との間の切り替え中に紐の長さが実質的に一定のままであるという点で上記の引張要素9と異なる。
【0045】
各紐12A/Bは、コンシーラ11をハッチ4に取り付ける。部分切断図のため、ハッチと、2つの紐のうちの第2の紐12Bとの間の取付点は見えず、第1の紐12Aだけがハッチ4に取り付けられているように見える。複数の紐12A/Bが存在する場合、この複数の紐は、互いに実質的に同じ方法でハッチ4に取り付けられうる。紐12A/Bと可動部材との間の取り付けを、例えば、可動部材に設けられた対応する穴又はクリップと協働する、紐に設けられたフック又はクリップによって実施してもよい。
【0046】
紐12A/Bは、ハッチ4の開位置と閉位置との間の移動によってさまざまな程度に引っ張られる。ハッチ4が開位置から閉位置に向かって移動すると、紐12A/Bの張力が減少する。
【0047】
紐12A/Bの張力が増大するにつれて、紐は伸展具17に打ち勝ってコンシーラ11を格納状態に向かって移動させる。
【0048】
少なくとも1つのアンカー13は、コンシーラが展開状態と格納状態との間で切り替わるように、ハッチ4によって紐12A/Bに加えられる張力をコンシーラ11に伝達するように構成される。
【0049】
各アンカー13は、カバーの紐12A/Bに、紐の第1の部分12Cと紐の第2の部分12Dとの中間の位置において取り付けられる。カバーの各紐12A/Bは、それ自体の対応するアンカー13に接続されるように示されているが、(複数の紐が存在する場合)所与のアンカーが複数の紐に接続されることも考えられる。
【0050】
各紐12A/Bの第1の部分12Cの端部はハッチに固定される。各紐12A/Bの第2の部分12Dは、膜14の後部14Rの近くに配置される。アンカー13は、紐12A/Bに、その第1の部分12Cと第2の部分12Dとの中間の位置において取り付けられる。ハッチ4が閉じるにつれて、各紐12A/Bの第2の部分12Dはアンカー13から引き離され、各紐の第1の部分12Cはアンカーに向かって引っ張られる。
【0051】
各アンカー13は、膜14の前部14Fから垂下するアイレットとして設けられる。しかし、アンカー13を、滑車として、あるいはコンシーラ11と積荷エリア2の可動部材との間に紐12A/Bを配置するための任意の他の適切な構成要素として、設けることも考えられる。さらに、膜14の前部14Fから直接垂下する代わりに、座席3(例えば、その背もたれ)から垂下する所与のアンカーを提供することが考えられる。
【0052】
可動部材の閉動作に応答してカバーが展開状態になることにより、使用者がカバー10を展開する(あるいは展開することを思い出す)特別な努力を必要とせずに、積荷エリア2の開口部が遮蔽されることが可能となる。
【0053】
図2は、(図中の矢印7で示す)ハッチ4の開動作に応答して、(図中の矢印7Aで示す)格納中の図1に見られるカバー10を示す。積荷エリアの所与の可動部材の開動作とは、部材の閉位置から部材の開位置に向かう方向への部材の動きである。ハッチ4が閉位置から開位置に向かって移動すると、紐12A/Bの張力が増大する。
【0054】
紐12A/Bの張力が伸展具17に打ち勝つと、紐の第1の部分12Cはアンカー13から引き離される。伸展具17の引張要素9は伸長し、紐12A/Bの第2の部分12Dはアンカー13に向かって引っ張られる。
【0055】
紐12A/Bの第2の部分12Dは、コンシーラ11の膜14の前部14Fに向かって、膜と実質的に平行な方向に移動する。紐12A/Bの第2の部分12Dは、膜14の後部14Rを連動して引っ張る。
【0056】
膜14の後部14Rが膜の前部14Fに向かって移動すると、膜は座屈する。積荷エリア2の開口部8が露出し、人は開口部を横切って積荷エリアの内部にアクセスすることができる。膜14の後部14Rの膜の前部14Fへの移動が、車体に対して実質的に水平であってもよい。
【0057】
可動部材の開動作に応答してカバーが展開状態から格納状態に切り替わることにより、人は積荷エリア2に置こうとしている物で両手がいっぱいでも積荷エリアの開口部8を解放することが可能となる。
【0058】
展開状態から格納状態への切り替え中に伸展具17に蓄えられた弾性エネルギーを使用して、その後の可動部材の閉動作に応答してコンシーラ11を展開する。
【0059】
図3は、例示的な車両1(図1及び図2に示すハッチバック)及びその積荷エリア2の部分切断図を示すが、今回は第2の変形例による例示的なカバー20を有する。カバー20は、ハッチ4の(図中の矢印6で示す)閉動作に応答して、(図中の矢印6Aで示すように)積荷エリア2の開口部を横切って展開している状態で示される。第2の変形例によるカバー20は、以下の点を除いて、図1図2に示す第1の変形例によるカバー10と同一である。
【0060】
コンシーラ11は、弾性又は部分的に弾性のフレーム21を含み、そのフレーム上に膜14が配置される。フレーム21は、カバー20の伸展具17として機能する。フレーム21は、膜14の後部14Rを膜の前部14Fから離すように押して、膜を積荷エリア2の開口部を横切って延ばす。膜14の後部14Rは、車体に対して膜の前部14Fから実質的に水平方向に離れるように押されてもよい。
【0061】
各紐12A/Bの第2の部分12Dはフレーム21に接続される。
【0062】
フレーム21は、バネ鋼、エラストマー、プラスチックなどを含む任意の適切な材料から作成されうる。
【0063】
図4は、ハッチ4の(図中の矢印7で示す)開動作に応答して、(図中の矢印7Aで示すように)格納中の図3に示すカバー20を示す。カバー20の紐12A/Bの張力がフレーム21の付勢に打ち勝つと、フレームが少なくとも部分的に潰れ、膜14の後部14Rが膜の前部14Fに向かって移動するように膜が座屈することが可能になる。膜14の後部14Rは、車体に対して実質的に水平な方向に、膜の前部14Fに向かって移動してもよい。
【0064】
カバー20のアンカー13は、積荷エリアの前端、例えば、座席3に設けられてもよい。アンカー13は、前方接続部15の取付点18と実質的に一致していてもよい。しかし、図4に示すように、カバー20のアンカー13がフレーム21から垂下することも考えられる。
【0065】
横方向接続部16は、案内装置22として設けられる。案内装置22は、コンシーラ11を展開状態と格納状態との間で案内するように構成される。案内装置22は案内部品23を含み、案内部品23は、積荷エリア2を画定する表面(この場合は積荷エリアの側面)に接続され、フレーム21を案内可能に支持するように構成される。例示的な案内装置については、図5図9を参照してさらに詳細に考察する。
【0066】
フレーム21は、前方接続部15の取付点18に取り付けられる。フレーム21は、前方接続部15にヒンジ式に取り付けられうる。フレーム21が、積荷エリアに接続された案内部品23から取り外された場合、ヒンジ接続により、例えば、コンシーラ11を上下に揺動させることができる。しかし、前方接続部15がカバー10の第1の変形例のものと同一であることも考えられる。
【0067】
図5は、第1の変形例による例示的な案内装置30の詳細図を示す。積荷エリアを画定する表面(この場合は積荷エリアの側面)に接続された案内部品31は、コンシーラ11のフレーム21を案内可能に支持するための棚32として設けられる。棚32は、積荷エリアの前端及び後端に向かって延びており、積荷エリアの側面29から横方向内側に突出している。
【0068】
部分的切断図であるため、積荷エリアに接続された案内部品31が1つだけ見える。しかし、案内装置30が、例えば、積荷エリアの反対側の側面に設けられ、積荷エリアに接続された第2の案内部品を含むことも考えられる。
【0069】
フレーム21は棚32上に載置され、コンシーラが格納状態と展開状態との間で移動する間、棚32に沿って摺動する。
【0070】
図6は、図5の案内装置30の断面図を示す。
【0071】
積荷エリアに接続された案内部品31は、積荷エリアの内面を形成する(側面29を形成する)内装パネル5と一体に形成される。しかし、積荷エリアに接続された案内部品31が、積荷エリアの内面(例えば、側面を形成する内装パネル)に組み付けられる別個の部品として提供されることも考えられる。
【0072】
フレーム21には、フレーム及び/又は膜14及び/又は棚32を過度の摩耗から保護するために、摩耗層33が設けられてもよい。
【0073】
図7は、第2の変形例による例示的な案内装置40の詳細図を示す。案内装置40の第2の変形例は、図5及び図6に示す案内装置30の第1の変形例とは以下のように異なる。
【0074】
積荷エリアに接続された案内部品41は、積荷エリアの前端及び後端に向かって延びる溝42として設けられる。
【0075】
積荷エリアに接続された案内部品41ごとに、案内装置40は、コンシーラ11に接続された案内部品43を含む。コンシーラに接続された案内部品43は、積荷エリアに接続された案内部品41によって案内可能に支持されるように構成される。
【0076】
図8は、図7の案内装置40の断面図を示す。溝42は、積荷エリアの側面29において横方向外側に凹んでいる。
【0077】
コンシーラに接続された案内部品43はスライダ44として設けられ、スライダ44は、積荷エリアに接続された案内部品の溝42内を貫通し、その中を積荷エリアの前端及び後端に向かって摺動するように構成される。この場合、スライダ44は、フレーム21から溝42内に横方向外側に突出するように配置される。
【0078】
スライダ44の外側横方向端45を、溝42内への貫通を容易にするために先細りにしてもよい。
【0079】
スライダ44は、溝42内に挿入されると、溝42内に鉛直に保持される。
【0080】
スライダ44は、フレーム21を取り囲むように構成された取付部46を含む。補強部品47が、スライダ44による磨耗から膜14を保護するために配置されてもよい。
【0081】
コンシーラのフレームは、スライダを案内装置の溝から取り外すことができるように、横方向に折り畳み可能であってもよい。
【0082】
図9は、第3の変形例による案内装置50の断面図を示す。案内装置50の第3の変形例は、図8に示す案内装置40の第2の変形例とは以下のように異なる。
【0083】
溝42は、案内装置の第2の変形例の溝と同じように、積荷エリアの側面29において横方向外側に凹んだ第1の部分51を含む。溝42は、第1の部分51の最外端に、第1の部分に対して斜めに又は垂直に凹んだ第2の部分52を含む。この例では、第2の部分52は実質的に鉛直上方を向いているのに対し、第1の部分51は実質的に水平である。
【0084】
スライダ44は、スライダの第1の部分53が溝の第1の部分51内に配置され、スライダの第1の部分53に対して斜め又は垂直であるスライダの第2の部分54が溝の第2の部分52内に配置されるように、溝42内を貫通するように構成される。スライダ44の第2の部分54が溝42の第2の部分52内に配置されるとき、スライダ44は溝42内で横方向に保持されうる。
【0085】
スライダ44の第1部分53が溝42の第1の部分51内に配置されるとき、スライダ44は溝42内で鉛直に保持される。
【0086】
スライダ44は、その第1の部分53と第2の部分54との間の接合部55において丸みを帯びていてもよい。スライダ44は、例えば、スライダの第2の部分54が溝の第1の部分51内に移動するように溝内でスライダを回転させ、次に、スライダを横方向内側に動かして、溝の第1の部分51からスライダの第2の部分54を取り外すことによって、溝42から取り外される。
【0087】
フレーム21は、スライダ44を溝42から取り外すことができるように、積荷エリアの底部に向かう方向及び/又は積荷エリアの底部から遠ざかる方向に曲がることによって折り畳み可能であってもよい。
【0088】
前述の例は、紐が可動要素及びコンシーラに固定されるものとして示しているが、所与の紐が、例えば、1つ又は複数の滑車によって可動要素及び/又はコンシーラに取り付けられ、可動要素の移動量とコンシーラの移動量を一致させることも考えられる。
【0089】
前述の例は、コンシーラの前方接続部が2つの取付点を含むものとして示しているが、前方接続部が3つ以上の取付点又はわずか1つの取付点を含むことも考えられる。
【0090】
前述の例は、ハッチを可動要素とする文脈で提示されているが、他の可動要素も考えられる。例えば、ハッチの動きを容易にするためのガススプリングが可動要素として機能してもよい。ガススプリングの伸張及び圧縮が、開閉動作に対応する。
【0091】
前述の例は、後部積荷エリアの前端の境界を定めるものとして座席を示しているが、他の構造が後部積荷エリアの前端の境界を定めることも考えられる。
【0092】
例えば、客室の後部パネルが、後部積荷エリアの前端の境界を定めてもよい。
【0093】
前述の例は、可動要素が車両の外にいる人に対する積荷エリアへのアクセスを提供し又は制限するという観点から可動であるという文脈で提示されているが、可動要素が車両内にいる人に対する積荷エリアへのアクセスを提供し又は制限するために可動であることも考えられる。
【0094】
例えば、座席が存在し、積荷エリアの境界を定めている場合、座席自体が可動要素であってもよい。例えば、可動座席が車両乗員が着座するように構成されている場合、可動座席を閉位置にあると考えてもよい。例えば、可動座席が折り畳まれたり、移動したり、収納されたりする場合、可動座席を開位置にあると考えてもよい。
【0095】
例えば、図1図4に示すカバーは、座席が車両の前端に向かって折り畳まれるのに応答して格納されてもよい。
【0096】
前述の例は、ハッチバック車に関連して提示されているが、他の車両アーキテクチャも考えられる。
【0097】
例えば、(例えば、バン、ステーションワゴン又はスポーツ用多目的車にみられるような)後部ドアが可動部材として機能してもよい。
【0098】
例えば、トランクを有する車両(セダン又はクーペなど)には、トランクの蓋の動きに応答してトランク全体にわたって展開/格納されるカバーが設けられてもよい。
【0099】
例えば、荷台を有する車両(ピックアップトラックなど)には、荷台のゲートの動きに応答して荷台全体にわたって展開/格納されるカバーが設けられてもよい。
【0100】
前述の例は、後部積荷エリアに関連して提示されるが、他の積荷エリアも考えられる。
【0101】
例えば、(「フランク」と呼ばれることもある)前部積荷エリアには、(「ボンネット」と呼ばれることもある)前部積荷エリアの蓋の動きに応答して伸縮するカバーが設けられてもよい。コンシーラの前部は実質的に可動であってもよく、コンシーラの後部は実質的に可動であってもよい。コンシーラの前部は、格納中に積荷エリアの後端に向かって移動し、伸長中に積荷エリアの前端に向かって移動してもよい。
【0102】
例えば、(例えば、車両の左又は右のドアを介してアクセス可能な)中央積荷エリアが、コンシーラが、ドアが開くにつれてドアから離れるように横方向に後退し、ドアが閉じるにつれてドアに向かって横方向に伸びるカバーを含む。
【0103】
記載の実施形態を、さまざまな例示的な実施形態として提供したが、このような実施形態は組み合わせ可能であるか、矛盾しない場合には、記載の実施形態に記載された特徴が交換可能であることが想定される。さらに、記載の実施形態で列挙する特徴は、2つの所与の特徴の間でそのような関連性が明確に示されない限り、互いに密接に関連しているわけではない。
【0104】
特許請求の範囲を含む記載全体を通じて、「具備する」という用語は、特に明記しない限り、「少なくとも1つを具備する」と同義であると理解されたい。さらに、特許請求の範囲を含む記載の範囲はいずれも、特に明記しない限り、その終了値を含むものとして理解されたい。記載の要素の特定の値が、当業者に知られ、認められた製造又は業界の許容範囲内にあることを理解されたい。「実質的に」及び/又は「約」及び/又は「概ね」という用語の使用はいずれも、認められた許容範囲内に収まることを意味すると理解されたい。
【0105】
本明細書での本開示を、特定の実施形態を参照して説明してきたが、このような実施形態は、本開示の原理及び応用を単に例示するものであることを理解されたい。
【0106】
明細書及び例は例示としてのみ考慮され、本開示の真の範囲は特許請求の範囲によって示すことを意図するものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】