(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】担体材料とコンジュゲートさせるための抗原前駆体を含む反応性炭水化物の合成プロセス
(51)【国際特許分類】
C07H 15/10 20060101AFI20240125BHJP
C07H 15/04 20060101ALI20240125BHJP
C07K 14/765 20060101ALI20240125BHJP
C07K 14/11 20060101ALI20240125BHJP
C07K 14/33 20060101ALI20240125BHJP
C07K 14/165 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
C07H15/10 CSP
C07H15/04 C
C07H15/04 E
C07H15/04 B
C07K14/765 ZNA
C07K14/11
C07K14/33
C07K14/165
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543005
(86)(22)【出願日】2022-01-14
(85)【翻訳文提出日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 CA2022050054
(87)【国際公開番号】W WO2022150924
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】202121001963
(32)【優先日】2021-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520363915
【氏名又は名称】コラネックス・キャピタル
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】シャオ、ツェ チー
(72)【発明者】
【氏名】ミニャニ、セルジュ
(72)【発明者】
【氏名】モフェット、セルジュ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィシュワカルマ、ラム
【テーマコード(参考)】
4C057
4H045
【Fターム(参考)】
4C057AA18
4C057AA19
4C057CC03
4C057DD03
4C057JJ03
4C057JJ04
4C057JJ05
4C057JJ55
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA01
4H045CA40
4H045DA70
4H045DA86
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA10
(57)【要約】
式(A)の炭水化物
【化1】
(式中、R
1がHであり、nが1~5の整数である)は、化合物(A
0)
【化2】
を、HO-(CH
2)
n-CH=CH
2と、プロトンを遊離させることができる酸の存在下で加熱しながら反応させ、反応混合物を冷却して、化合物(A)を含む冷却された混合物を得ることにより合成される。
式(AA
PG)の炭水化物
【化3】
(式中、R
2が一価の保護基であり、PGが二価の保護基であり、nが1~5の整数である)は、金属含有ゼオライトの存在下で、式(A
PG)の化合物
【化4】
を、式(A
1)の化合物
【化5】
(式中、Xが、-I、-Br、-Cl、-CN、-OTf(トリフレート)、-OMs(メシレート)、-OTs(トシレート)、メチルスルフェート、又はトリクロロアセトイミデートである)と反応させることにより合成される。化合物(AA
PG)を脱保護することで、化合物(AA)
【化6】
が形成される。
炭水化物(A)及び(AA)をチオール化リンカーとカップリングさせて、複合糖質前駆体を形成させることができ、これは次に、タンパク質、ペプチド、又はポリペプチドなどの担体材料とコンジュゲート可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(A)の反応性炭水化物
【化1】
(式中、R
1がHであり、nが1~5の整数である)を合成するためのプロセスであって、
加熱下で、式(A
0)の化合物
【化2】
を、HO-(CH
2)
n-CH=CH
2と、プロトンを遊離させることができる酸の存在下で反応させて、式(A)の化合物を含む反応混合物を生じさせることと、
前記反応混合物を冷却して、前記式(A)の化合物を含む冷却された混合物を得ることと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記酸が、塩化アセチル、酢酸、酸性カチオン交換樹脂、カンファースルホン酸、p-トルエンスルホン酸一水和物、HCl、又はそれらの任意の混合物を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記酸が塩化アセチルを含む、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記式(A
0)の化合物を反応させることが、式(A
0)の化合物を、HO-(CH
2)
n-CH=CH
2及び塩化アセチルを含む溶液に、約0℃~約25℃の混合温度で加えて、式(A
0)の化合物、HO-(CH
2)
n-CH=CH
2、及びHClを含む低温の中間反応混合物を生じさせることを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記混合温度が、約0℃、又は約0℃~約10℃、又は約0℃~約20℃、又は約10℃~約20℃、約10℃~約25℃である、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
HO-(CH
2)
n-CH=CH
2及び塩化アセチルを含む前記溶液が、不活性雰囲気下、約0℃の温度で調製される、請求項4又は5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記式(A
0)の化合物を反応させることが、前記中間反応混合物を、熱源と、約40℃~約80℃の温度で接触させることを含む、請求項4~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記加熱が、約40℃~約80℃の反応温度で、約30分~5時間の反応時間にわたって行われる、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記反応温度が約60℃~約80℃である、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記反応温度が約70℃である、請求項8又は9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記反応時間が約30分~約1時間である、請求項8~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記反応時間が約30分~約45分である、請求項8~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記反応時間が約30分である、請求項8~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記酸が、酢酸、酸性カチオン交換樹脂、カンファースルホン酸、p-トルエンスルホン酸一水和物、HCl、又はそれらの任意の混合物を含む、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項15】
前記式(A
0)の化合物をHO-(CH
2)
n-CH=CH
2と反応させることが、前記式(A
0)の化合物、HO-(CH
2)
n-CH=CH
2、及び前記酸を含む溶液を加熱することを含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記溶液が、ジクロロメタン、クロロホルム、1,3-ジオキソラン、ジエトキシメタン、ジメトキシメタン、2,5,7,10-テトラオキサウンデカン、ジプロポキシメタン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される溶媒を更に含む、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記反応が、約30℃~約70℃の温度で行われる、請求項15又は16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記反応が、約0.5時間~約15時間、又は約0.5時間~約10時間、又は約0.5時間~約5時間、又は約0.5時間~約2時間の反応時間で行われる、請求項15~17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
前記冷却された混合物を中和することを更に含む、請求項1~18のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項20】
前記式(A)の化合物を単離することを更に含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項21】
式(AA
PG)の反応性炭水化物
【化3】
(式中、R
2が一価の保護基であり、PGが二価の保護基であり、nが1~5の整数である)を合成するためのプロセスであって、
金属含有ゼオライトの存在下で、式(A
PG)の化合物
【化4】
を、式(A
1)の化合物
【化5】
(式中、Xが、-I、-Br、-Cl、-CN、-OTf(トリフレート)、-OMs(メシレート)、-OTs(トシレート)、メチルスルフェート、又はトリクロロアセトイミデートである)と反応させることを含む、プロセス。
【請求項22】
前記金属含有ゼオライト中の金属が、Ag、Al、Cd、Co、Cu、Fe、Ga、In、Mo、Pd、Pt、Sn、Sb、V、Zr、又はそれらの任意の混合物を含む、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
前記金属含有ゼオライトが、Sn-ベータ、Zr-ベータ、Al-ベータ(OH)、Al-ベータ(F)、Pt@MCM-22、K-PtSn/MFI、0.3Pt/0.5Sn-Si-ベータ、Pt/Sn 2.0-ベータ、0.5CoSi-ベータ、V-ベータ、H-[Fe]ZSM-5、Fe-BEA、Ga-ベータ、Ga-ベータ-200、Mo/HZSM-5、又はそれらの任意の混合物からなる群から選択されるゼオライトを含む、請求項21に記載のプロセス。
【請求項24】
前記金属含有ゼオライトが銀含有ゼオライトを含む、請求項21に記載のプロセス。
【請求項25】
前記反応が、トルエン、ジクロロメタン-トルエン混合物、DMSO-トルエン混合物、及びN-メチルピロリドン-トルエン混合物からなる群から選択される有機溶媒中で行われる、請求項21~24のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項26】
前記反応が、トルエン中で行われる、請求項21~25のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項27】
前記反応が、モレキュラーシーブの存在下で行われる、請求項21~26のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項28】
前記反応が、タイプ3Å、タイプ4Å、タイプ5Å、タイプ13X、又はそれらの任意の混合のモレキュラーシーブの存在下で行われる、請求項21~27のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項29】
前記反応が、約20℃~約80℃の温度で行われる、請求項21~28のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項30】
前記反応が、約20℃~約50℃の温度で行われる、請求項21~29のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項31】
前記反応が、約20℃~約30℃の温度で行われる、請求項21~30のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項32】
前記反応が、約5時間~約50時間行われる、請求項21~31のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項33】
前記反応が、約5時間~約30時間行われる、請求項21~32のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項34】
前記反応が、約60~約80℃で約15時間~約20時間行われる、請求項21~31のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項35】
前記反応が、約20℃~約25℃で約20時間~約30時間行われる、請求項21~31のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項36】
R
2が、Ac、Bz、アリル、ベンゾエート、メトキシメチル(MOM)、テトラヒドロプロピラニル(THP)、t-ブチル、ピバレート、t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、及びt-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)からなる群から選択される、請求項21~35のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項37】
R
2が、Ac又はBzである、請求項21~36のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項38】
PGが、PhCH、Me
2C、O=C、Me
2Si、及び2,6-ビス(トリフルオロメチル)フェニル-Bからなる群から選択される、請求項21~37のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項39】
PGが、PhCHである、請求項21~38のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項40】
Xが、Brである、請求項21~39のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項41】
前記反応が、不活性雰囲気下で行われる、請求項21~40のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項42】
前記式(AA
PG)の化合物を単離することを更に含む、請求項21~41のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項43】
前記(A
PG)の化合物が、式(A)の化合物
【化6】
(式中、R
1が、Hであり、保護基PGを有する)を保護することにより形成される、請求項21~42のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項44】
前記式(A)の化合物を保護することが、PhCH(OMe)
2、トリホスゲン、Me
2SiCl
2、Me
2C(OMe)
2、2-メトキシプロペン、及び2,6-ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸エステルからなる群から選択される化合物との反応により行われる、請求項43に記載のプロセス。
【請求項45】
前記式(A)の化合物を保護することが、DMF、ジメチルアセトアミド(DMAC)、DMSO、THF、ジオキサン、1-3ジオキソラン、アセトニトリル、2,5-ジメチルテトラヒドロフラン(DMTHF)、ガンマ-バテロラクトン(GVL)、ジヒドロレボグルコセロン(Cyrene)、レブリン酸メチル(ML)、レブリン酸エチル(EL)、レブリン酸エチルプロピレングリコールケタール(ELPK)、グルタル酸ジメチル(DMG)、ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、グリコフロール(THFP)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート([emim][OAc])、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される有機溶媒中で行われる、請求項43又は44に記載のプロセス。
【請求項46】
前記式(A)の化合物が、請求項1~20のいずれか一項に記載のプロセスにより得られる、請求項43~45のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項47】
式(AA)の反応性炭水化物
【化7】
(式中、nが、1~5の整数である)を合成するためのプロセスであって、
請求項21~46のいずれか一項に記載のプロセスにより得られた前記式(AA
PG)の化合物を脱保護することを含む、プロセス。
【請求項48】
脱保護することが、前記式(AA
PG)の化合物を塩基性溶液と反応させて、中間生成物を形成させ、次いで前記中間生成物を酸性溶液で処理することを含む、請求項47に記載のプロセス。
【請求項49】
前記塩基性溶液が、メトキシド、エトキシド、及び2-メチルプロパン-2-オレートからなる群から選択される塩基を含み、好ましくは、前記塩基がナトリウムメトキシドである、請求項48に記載のプロセス。
【請求項50】
前記塩基性溶液が、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールからなる群から選択される溶媒を含み、好ましくは、前記溶媒がメタノールである、請求項48又は49に記載のプロセス。
【請求項51】
前記酸性溶液が、酢酸-水混合物又はエタノール酸-水混合物を含み、好ましくは前記酸性溶液が酢酸水溶液である、請求項48~50のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項52】
前記塩基性溶液と反応させることが、約0℃~約50℃の温度、好ましくは室温で行われる、請求項48~51のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項53】
前記塩基性溶液と反応させることが、約0.5時間~約5時間、好ましくは約1時間~約2時間の期間にわたって行われる、請求項48~52のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項54】
前記酸性溶液で処理することが、約50℃~約70℃、好ましくは約60℃の温度で行われる、請求項48~53のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項55】
前記酸性溶液による処理が、約1時間~約5時間、好ましくは約1時間~約2時間の期間にわたって行われる、請求項48~54のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項56】
前記式(AA
PG)の化合物と反応させた後に前記塩基性溶液を中和し、いずれの液体も蒸発させて、前記中間生成物を粗形態で得ることを更に含む、請求項48~55のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項57】
前記中間生成物が、前記酸性溶液で処理されるとき、粗である、請求項48~56のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項58】
式(AA)の反応性炭水化物
【化8】
を合成するためのプロセスであって、前記プロセスが、式(AA
PG)の化合物
【化9】
(式中、nが1~5の整数であり、R
2が一価の保護基であり、PGが二価の保護基である)の脱保護を含み、
前記脱保護が、前記式(AA
PG)の化合物を塩基性溶液と反応させて中間粗生成物を形成させ、次いで、前記中間粗生成物を酸性溶液で処理することを含む、プロセス。
【請求項59】
前記塩基性溶液が、メトキシド、エトキシド、及び2-メチルプロパン-2-オレートからなる群から選択される塩基を含み、好ましくは、前記塩基がナトリウムメトキシドである、請求項58に記載のプロセス。
【請求項60】
前記塩基性溶液が、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールからなる群から選択される溶媒を含み、好ましくは、前記溶媒がメタノールである、請求項58又は59に記載のプロセス。
【請求項61】
前記酸性溶液が、酢酸-水混合物又はエタノール酸-水混合物を含み、好ましくは前記酸性溶液が酢酸水溶液である、請求項58~60のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項62】
前記塩基性溶液と反応させることが、約0℃~約50℃の温度、好ましくは室温で行われる、請求項58~61のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項63】
前記塩基性溶液と反応させることが、約0.5時間~約5時間、好ましくは約1時間~約2時間の期間にわたって行われる、請求項58~62のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項64】
前記酸性溶液で処理することが、約50℃~約70℃、好ましくは約60℃の温度で行われる、請求項58~63のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項65】
前記酸性溶液による処理が、約1時間~約5時間、好ましくは約1時間~約2時間の期間にわたって行われる、請求項58~64のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項66】
前記式(AA
PG)の化合物と反応させた後に前記塩基性溶液を中和し、いずれの液体も蒸発させて、前記中間粗生成物を得ることを更に含む、請求項58~65のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項67】
R
2が、Ac又はBz、好ましくはBzである、請求項58~66のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項68】
PGが、PhCH、Me
2C、O=C、Me
2Si、及び2,6-ビス(トリフルオロメチル)フェニル-Bからなる群から選択される、請求項58~67のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項69】
PGがPhCHである、請求項58~68のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項70】
式(B)又は式(BB)の反応性炭水化物
【化10】
(式中、nが1~5の整数であり、mが1~5の整数であり、LGは、前記式(B)又は(BB)の化合物がアミノ基と反応するときにアミド結合形成を可能にする脱離基である)を合成するためのプロセスであって、
式(C)の化合物
【化11】
を、式(A)の化合物
【化12】
(式中、R
1がHである)と反応させて、前記式(B)の化合物を形成させるか、
又は
式(AA)の化合物
【化13】
と反応させて、前記式(BB)の化合物を形成させること、を含む、プロセス。
【請求項71】
前記式(C)の化合物を前記式(A)又は(AA)の化合物と反応させることが、光開始剤の存在下で行われる、請求項70に記載のプロセス。
【請求項72】
前記光開始剤が、フリーラジカル生成アゾ化合物、フェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィン酸リチウム(LAP)、金属又は金属イオン系光開始剤、過酸化物、過硫酸アンモニウム、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(DMPA)、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項71に記載のプロセス。
【請求項73】
前記フリーラジカル生成アゾ化合物が、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)(ACVA)、1,1’-アゾビス(シアノシクロヘキサン)(ACHN)、ジアゼンジカルボン酸ビス(N,N-ジメチルアミド)(TMAD)、アゾジカルボン酸ジピペリジド(ADD)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(AAPH)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、4,4’-(ジアゼン-1,2-ジイル)ビス(4-シアノペンタン酸)、2,2’-アゾジ(2-メチルブチロニトリル)、及びそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される、請求項72に記載のプロセス。
【請求項74】
前記過酸化物が、tert-ブチルペルオキシイソブチレート、tert-ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項72又は73に記載のプロセス。
【請求項75】
前記式(C)の化合物を前記式(A)又は(AA)の化合物と反応させることが、水又は有機溶媒中で行われる、請求項70~74のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項76】
前記式(C)の化合物を前記式(A)又は(AA)の化合物と反応させることが、水、ジオキサン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、ジイソプロピルエーテル、イソプロパノール、クロロベンゼン、メチル-tert-ブチルエーテル、メタノール、エタノール、tert-ブタノール、クロロホルム、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される溶媒中で行われる、請求項70~75のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項77】
前記式(C)の化合物を前記式(A)又は(AA)の化合物と反応させることが、約40℃~約110℃の範囲の温度で行われる、請求項70~76のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項78】
前記式(C)の化合物を前記式(A)又は(AA)の化合物と反応させることが、約1時間~約10時間の期間にわたって行われる、請求項70~77のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項79】
前記式(C)の化合物を前記式(A)又は(AA)の化合物と反応させることが、可視光吸収遷移金属光触媒の存在下、可視光下で行われる、請求項70に記載のプロセス。
【請求項80】
前記式(C)の化合物を前記式(A)又は(AA)の化合物と反応させることが、紫外線照射下で行われる、請求項70に記載のプロセス。
【請求項81】
前記式(C)の化合物を前記式(A)又は(AA)の化合物と反応させることが、光開始剤の存在下、紫外線照射下で行われる、請求項70に記載のプロセス。
【請求項82】
前記光開始剤が、2,2’-アジドビス[2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(DMPA)、及びそれらの組み合わせ、からなる群から選択される、請求項81に記載のプロセス。
【請求項83】
前記式(C)の化合物を前記式(A)又は(AA)の化合物と反応させることが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はそれらの任意の組み合わせなどのアルコール溶媒中で行われる、請求項80~82のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項84】
前記式(C)の化合物を前記式(A)又は(AA)の化合物と反応させることが、約20℃~約30℃の範囲の温度で行われる、請求項80~83のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項85】
前記式(C)の化合物を前記式(A)又は(AA)の化合物と反応させることが、約1時間~約24時間の期間にわたって行われる、請求項80~84のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項86】
前記紫外線照射が、短波長、中波長、又は長波長の紫外線照射である、請求項80~85のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項87】
mが1~3の整数である、請求項70~86のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項88】
mが2である、請求項70~87のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項89】
LGが、OPhF-
5若しくはOPhF
4(para SO
3Na)などのO-フルオロフェニル基、又はO-(N-スクシンイミジル)基である、請求項70~88のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項90】
LGがO-(N-スクシンイミジル)基である、請求項70~89のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項91】
前記式(A)の化合物が、請求項1~20のいずれか一項に記載のプロセスにより得られる、請求項70~90のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項92】
前記式(AA)の化合物が、請求項47~69のいずれか一項に記載のプロセスにより得られる、請求項70~90のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項93】
式(I)又は(II)の複合糖質
【化14】
(式中、nが1~5の整数であり、mが1~5の整数であり、pが1~50の整数であり、
【化15】
が、コンジュゲーションに利用可能な少なくとも1つのアミノ基を含む担体材料である)を調製するためのプロセスであって、
前記担体材料の少なくとも1つの遊離アミノ基を、式(B)の化合物とコンジュゲートさせて、前記式(I)の複合糖質を形成させるか、又は式(BB)の化合物とコンジュゲートさせて、前記式(I)の複合糖質を形成させることを含み、前記式(B)及び(BB)の化合物が、請求項70~92のいずれか一項に記載のプロセスにより得られる、プロセス。
【請求項94】
前記担体材料が、タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドを含む、請求項93に記載のプロセス。
【請求項95】
nが1~3の整数である、請求項1~94のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項96】
nが1又は2である、請求項1~95のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項97】
nが1である、請求項1~96のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項98】
式(AA
PG)の化合物
【化16】
であって、式中、nが1~5の整数であり、R
2がAcであり、PGが、PhCH、Me
2C、O=C、Me
2Si、及び2,6-ビス(トリフルオロメチル)フェニル-Bから選択される二価の保護基である、化合物。
【請求項99】
PGがPhCHである、請求項98に記載の化合物。
【請求項100】
nが1~3の整数である、請求項98又は99に記載の化合物。
【請求項101】
nが1又は2である、請求項98~100のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項102】
nが1である、請求項98~101のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項103】
式
【化17】
を有する、請求項98に記載の化合物。
【請求項104】
式
【化18】
の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、担体材料(例えば、タンパク質)とのコンジュゲーションに有用な抗原前駆体などの反応性炭水化物の合成プロセス、並びに免疫原として及び治療/診断ツールとして有用な複合糖質を反応性炭水化物から調製するためのプロセスに関する。
【0002】
本明細書は、複数の文書に言及しており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
免疫療法の最終的な目的は、免疫系の自然応答及び適応応答を調節して、細菌、ウイルス、及びがん細胞などの外来物質と戦うその能力を改善することによって、感染又はがんのような疾患を治療することである。先天性免疫は、病原体への曝露の初期段階で誘発される免疫防御の第一線と考えられている。役割を担う細胞には、ナチュラルキラー(natural killer、NK)細胞、樹状細胞(dendritic cell、DC)、マクロファージ、単球、γδT細胞、及びナチュラルキラーT(natural killer T、NKT)細胞が含まれる。自然免疫系とは異なり、適応免疫は、外来抗原への最初の曝露時に発達するのがより遅いが、高度に特異的な応答を発達させ、長期にわたる防御のための免疫記憶を作り出す。これには、T細胞及びB細胞並びにそれらの体液性仲介物質及び細胞性仲介物質、サイトカイン、並びに抗体のクローン増殖が関与する。自然免疫応答と適応免疫応答との間の主要な界面は、プロフェッショナル抗原提示細胞(professional antigen-presenting cell、pAPC);マクロファージ、B細胞、特に樹状細胞(DC)である。pAPCは、内性源及び外性源からの抗原をプロセシングし、T細胞に提示することができる。これらは、Toll様受容体(Toll-like receptor、TLR)などのパターン認識受容体(pattern recognition receptor、PRR)を介して微生物を認識する。微生物表面決定基又は異常及び非天然抗原の認識において、微生物又は腫瘍及びそれらの関連抗原マーカーは、エンドサイトーシス経路を介してpAPCによって飲み込まれ得、ここで、典型的にはペプチド断片に分解され、放出された抗原が細胞内MHCクラスI又はクラスII分子(pMHC)上に結合される。pAPCは成熟及び活性化を受け、細胞内区画から細胞表面へのpMHC複合体の再分布、サイトカイン及びケモカインの分泌をもたらす。pAPCに加えて、全ての有核細胞型は、細胞膜上に内因性ペプチドのみを提示する。pAPCとは対照的に、ウイルス及び細胞内病原体を含む、細胞自体の内部から生じるペプチドは、b2-ミクログロブリンにカップリングしたMHCクラスI分子によって提示される。APCは、典型的にはMHCクラスIIを発現しない。
【0004】
MHCクラスII分子上に提示されたペプチドは、典型的には、CD4+Tヘルパー細胞上のT細胞抗原受容体(T cell antigen receptor、TCR)によって認識され、これは次に、共刺激シグナルがpAPCから受け取られる際に、Th1又はTh2細胞などの異なるサブセットへの機能的成熟を受ける。Th1細胞は、主にIFN-γ及びTNF-αの分泌を伴う炎症促進性応答を引き起こす一方、Th2細胞は典型的なサイトカインを分泌する。Th1細胞は主に細胞媒介性応答と関連付けられるが、両方の型のTh細胞が、B細胞による抗体の産生を支持し、これが今度は、抗体アイソタイプ及び機能に影響を及ぼす。例えば、IL-12及びTNF-αは、Th1細胞の分化及び1型IgGサブクラスの産生と関連付けられる一方、IL-6及び他のTh2サイトカインは、2型IgGサブクラス(IgG1)産生に寄与する。
【0005】
MHCクラスI分子上にペプチドを提示するAPCは、CD8+細胞傷害性T細胞のTCRによって認識される。2つの細胞型によって発現される共刺激分子間のいくつかの更なる相互作用は、細胞傷害性T細胞のエフェクター細胞への活性化を誘発するが、樹状細胞が活性化されたTヘルパー細胞及びT細胞傷害性細胞の両方と相互作用する場合、強力で長持ちする記憶T細胞が生成される。一旦活性化されると、T細胞は、サイトカインの助けを借りてクローン選択及び増殖を受ける。これにより、機能不全標的抗原に特異的な細胞の数が増加し、次いで機能不全抗原陽性体細胞を求めて身体全体を移動することができる。標的細胞にドッキングすると、活性化された細胞傷害性T細胞は、パーフォリン及びガンザイム(ganzyme)などの細胞毒素のペイロードを放出する。パーフォリンの作用により、グランザイムが標的細胞に浸透し、そのプロテアーゼにより細胞死が引き起こされる。細胞傷害性T細胞はまた、FASシグナル伝達経路によって標的細胞死を誘発し得る。
【0006】
このため、目的の病原体又は腫瘍抗原に対処するために、ワクチン誘導性免疫を適切な応答に合わせることが可能であることが望ましい。
【0007】
炭水化物は、タンパク質及びペプチドとは対照的に、Th細胞の関与を誘発するように適当に装備されていないT細胞非依存性抗原であり、したがって、免疫細胞増殖、抗体クラススイッチング、及び親和性/特異性成熟を誘導することができない。炭水化物ベースのワクチンで最初に得られた主要な初期の進歩は、T細胞依存性エピトープとして働く担体タンパク質に適当にコンジュゲートされた場合、細菌莢膜多糖類が、オプソニン食作用抗体を産生するために必要な免疫化学的能力を獲得できるようになったという発見によって支持されている。
【0008】
伝統的に、炭水化物抗原を担体タンパク質にコンジュゲートさせるための戦略は、リシン残基のε-アミノ基上へのアルデヒド由来の糖の還元的アミノ化、又は単にアミドカップリング反応のいずれかに依存している。両方の場合において、部分的及びランダムな炭水化物抗原コンジュゲーションが概して生じる。更に、全てのアミドパートナー(リシン由来のアミン又はグルタミン酸/アスパラギン酸由来の酸)が炭水化物コンジュゲーションに使用される場合、担体タンパク質に結合する炭水化物抗原があまりにも多くなり過ぎることで、免疫原性の内在の減少/排除を伴う、必須である可能性のあるT細胞ペプチドエピトープの遮蔽が生じる。このため、複合糖質ワクチンを調製するための現在の戦略は、調製物がそれらの炭水化物分布及び再現性の観点から必要な均一性を欠く(すなわち、タンパク質への糖の結合点がランダムに分布し、バッチごとに様々な密度である)ことを理由に、不十分であり、重大な規制及び/又は商業的障害に直面している。このため、より高い炭水化物抗原均質性、より正確に特徴付け可能な構造、及びバッチ間の再現性を有する複合糖質ワクチンが非常に望ましい。
【0009】
加えて、タンパク質とのコンジュゲーションのための抗原前駆体として有用な反応性炭水化物の合成は、様々な課題を提示し得る。現在の合成経路は、立体選択性制御に関して困難であり得、分離することが困難であり得る中間体立体異性体の獲得及び/又は収率が低い所望の立体異性体をもたらす。
【0010】
2019年後半に始まったCOVID-19パンデミックの原因病原体であるSARS-CoV-2は、世界経済も損なった、世界的なヒト健康に対する進行中の脅威である。初期のワクチン開発努力は、宿主細胞へのSARS-CoV-2の細胞進入及び膜融合を媒介するスパイク(S)糖タンパク質上に存在するタンパク質抗原及びエピトープに主に焦点を当てていた。しかしながら、世界中の保健専門家は、科学者が、タンパク質エピトープに向けられた現在のワクチン戦略を回避し得るウイルスにおける新しい突然変異を含む、単一の戦略について生じ得る失敗又は合併症の可能性を軽減するために、SARS-CoV-2に対する治療的介入を開発するための異なる戦略を並行して探索することを強く推奨している。このため、SARS-CoV-2のSタンパク質上に存在するタンパク質抗原に焦点を当てたものと並行して、SARS-CoV-2に対するワクチン及び他の治療ツールを開発することが、依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
第1の態様では、式(A)の反応性炭水化物
【0012】
【化1】
(式中、R
1がHであり、nが1~5の整数である)を合成するためのプロセスであって、式(A
0)の化合物
【0013】
【化2】
を、HO-(CH
2)
n-CH=CH
2と、プロトンを遊離させることができる酸の存在下で加熱しながら反応させて、式(A)の化合物を含む反応混合物を生じさせ、反応混合物を冷却して、式(A)の化合物を含む冷却された混合物を得ることを含むプロセスが、本明細書に記載される。
【0014】
いくつかの実施形態では、式(A0)の化合物を反応させることは、式(A0)の化合物を、HO-(CH2)n-CH=CH2及び塩化アセチルを含む溶液に、約0℃~約25℃の混合温度で加えて、式(A0)の化合物、HO-(CH2)n-CH=CH2、及びHClを含む低温の中間反応混合物を生じさせることを含む。
【0015】
更なる態様では、式(AAPG)の反応性炭水化物
【0016】
【化3】
(式中、R
2が一価の保護基であり、PGが二価の保護基であり、nが1~5の整数である)を合成するためのプロセスであって、金属含有ゼオライトの存在下で、式(A
PG)の化合物
【0017】
【0018】
【化5】
(式中、Xが、-I、-Br、-Cl、-CN、-OTf(トリフレート)、-OMs(メシレート)、-OTs(トシレート)、メチルスルフェート、又はトリクロロアセトイミデートである)と反応させることを含むプロセスが本明細書に記載される。
【0019】
いくつかの実施形態では、式(APG)の化合物と式(A1)の化合物との間の反応は、モレキュラーシーブの存在下で行われる。
【0020】
いくつかの実施形態では、式(APG)の化合物は、式(A)の化合物
【0021】
【化6】
(式中、R
1がHであり、保護基PGを有する)を保護することによって形成される。
【0022】
いくつかの実施形態では、式(A)の化合物は、本明細書に定義されるプロセスによって得られる。
【0023】
更なる態様では、式(AA)の反応性炭水化物
【0024】
【化7】
(式中、nが1~5の整数である)を合成するためのプロセスであって、本明細書に定義されるプロセスによって得られる式(AA
PG)の化合物を脱保護することを含むプロセスが本明細書に記載される。
【0025】
いくつかの実施形態では、脱保護することは、式(AAPG)の化合物を塩基性溶液と反応させて、中間生成物を形成させ、次いで中間生成物を酸性溶液で処理することを含む。
【0026】
更なる態様では、式(AA)の反応性炭水化物
【0027】
【化8】
を合成するためのプロセスであって、式(AA
PG)
【0028】
【化9】
(式中、nが1~5の整数であり、R
2が一価の保護基であり、PGが二価の保護基である)の脱保護を含み、脱保護が、式(AA
PG)の化合物を塩基性溶液と反応させて中間粗生成物を形成させ、次いで中間粗生成物を酸性溶液で処理することを含むプロセスが本明細書に記載される。
【0029】
更なる態様では、式(B)又は式(BB)の反応性炭水化物
【0030】
【化10】
(式中、nが1~5の整数であり、mが1~5の整数であり、LGは、式(B)又は(BB)の化合物がアミノ基と反応するときにアミド結合形成を可能にする脱離基である)を合成するためのプロセスがであって、式(C)の化合物
【0031】
【0032】
【化12】
(式中、R
1がHである)と反応させて、式(B)の化合物を形成させるか、又は式(AA)の化合物
【0033】
【化13】
と反応させて、式(BB)の化合物を形成させることを含むプロセスが本明細書に記載される。
【0034】
いくつかの実施形態では、式(A)の化合物は、本明細書に定義されるプロセスによって得られる。
【0035】
いくつかの実施形態では、式(AA)の化合物は、本明細書に定義されるプロセスによって得られる。
【0036】
いくつかの実施形態では、式(C)の化合物を式(A)又は(AA)の化合物と反応させることは、光開始剤の存在下で行われる。
【0037】
いくつかの実施形態では、式(C)の化合物を式(A)又は(AA)の化合物と反応させることは、紫外線照射下で行われる。
【0038】
いくつかの実施形態では、式(C)の化合物を式(A)又は(AA)の化合物と反応させることは、光開始剤の存在下、紫外線照射下で行われる。
【0039】
いくつかの実施形態では、式(C)の化合物を式(A)又は(AA)の化合物と反応させることは、可視光吸収遷移金属光触媒の存在下、可視光下で行われる。
【0040】
いくつかの実施形態では、式(B)、(BB)、及び/又は(C)中のmは、1~3の整数である。いくつかの実施形態では、mは2である。
【0041】
更なる態様では、式(I)又は(II)の複合糖質
【0042】
【化14】
(式中、nが1~5の整数であり、mが1~5の整数であり、pが1~50の整数であり、
【0043】
【化15】
が、コンジュゲーションに利用可能な少なくとも1つのアミノ基を含む担体材料である)を調製するためのプロセスであって、担体材料の少なくとも1つの遊離アミノ基を式(B)の化合物とコンジュゲートさせて式(I)の複合糖質を形成すること、又は式(BB)の化合物とコンジュゲートさせて式(I)の複合糖質を形成させることを含み、式(B)及び(BB)の化合物が本明細書に定義されるプロセスによって得られる、プロセスが本明細書に記載される。
【0044】
いくつかの実施形態では、担体材料は、タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に定義されるプロセスにおいて、nは1~3の整数である。いくつかの実施形態では、nは1又は2である。いくつかの実施形態では、nは1である。
【0045】
更なる態様では、式(AAPG)の化合物
【0046】
【化16】
が本明細書に記載され、式中、nが1~5の整数であり、R
2がAcであり、PGが、PhCH、Me
2C、O=C、Me
2Si、及び2,6-ビス(トリフルオロメチル)フェニル-Bから選択される二価の保護基である。
【0047】
いくつかの実施形態では、化合物(AAPG)中のPGは、PhCHである。
【0048】
いくつかの実施形態では、化合物(AAPG)中のnは、1~3の整数である。いくつかの実施形態では、nは1又は2である。いくつかの実施形態では、nは1である。
【0049】
いくつかの実施形態では、化合物(AAPG)は、以下の式
【0050】
【0051】
更なる態様では、式
【0052】
【0053】
一般的定義
見出し及び他の識別子、例えば、(a)、(b)、(i)、(ii)などは、明細書及び特許請求の範囲を読みやすくするために提示されるにすぎない。明細書又は特許請求の範囲における見出し又は他の識別子の使用は、工程又は要素がアルファベット順若しくは数字順に、又はそれらが提示される順で実行されることを必ずしも必要とはしない。
【0054】
特許請求の範囲及び/又は明細書において用語「含む」と併せて使用される場合の単語「a」又は「an」の使用は、「1つ」を意味する場合もあるが、「1つ以上」、「少なくとも1つ」、及び「1つ又は2つ以上」の意味とも一致する。
【0055】
用語「約」は、値がその値を決定するために使用される装置又は方法の誤差の標準偏差を含むことを示すために使用される。概して、「約」という用語は、10%までの可能性のある変動を示すことを意味する。したがって、値の1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10%の変動は、「約」という用語に含まれる。別途指示がない限り、範囲の前の「約」という用語の使用は、範囲の両端に適用される。
【0056】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、用語「comprising(含む)」(並びに「comprise」及び「comprises」などの任意の形態の「comprising」)、「having(有する)」(並びに「have」及び「has」などの任意の形態の「having」)「including(含む)」(並びに「includes」及び「include」などの任意の形態の「including」)又は「containing(含有する)」(並びに「contains」及び「contain」などの任意の形態の「containing」)は、包括的又はオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素又は方法の工程を除外するものではない。
【0057】
表現「脱離基」又は「LG」は、本明細書で使用される場合、脱離基による置換前の対応する官能基と比較して、改善された反応効率及び/又は特異性(すなわち、ポリペプチド又はタンパク質の遊離アミン基への改善されたコンジュゲーション)を提供する脱離基を指す。いくつかの実施形態では、脱離基は、OPhF5若しくはOPhF4(para SO3Na)などのO-フルオロフェニル基であっても、O-(N-スクシンイミジル)基であってもよい。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「担体材料」は、炭水化物抗原(例えば、抗原性単糖、二糖、オリゴ糖、又は多糖、例えば、天然又は合成抗原)にコンジュゲートすることができる材料を指す。いくつかの態様では、担体材料は、担体材料上に存在する少なくとも1つのアミノと結合したアミドを形成することができる基で終結しているチオールリンカーを介して炭水化物抗原にコンジュゲート可能であり得る。いくつかの実施形態では、担体材料は担体タンパク質であり得る。他の実施形態では、担体材料は、数例を挙げると、アミノ基を担持する、センサチップ、マイクロアッセイ、又はビーズを含んでもよい。
【0059】
本明細書で使用される場合、用語「タンパク質」(例えば、「担体タンパク質」という表現において)は、修飾が本明細書に記載の複合糖質免疫原及び複合糖質ワクチンの免疫原性を破壊しない限り、任意の種類の修飾(例えば、アセチル化、リン酸化、グリコシル化、硫酸化、SUMO化、プレニル化、ユビキチン化などといった化学修飾又は翻訳後修飾)を含む場合も含まない場合もある、アミノ酸の任意のペプチド結合鎖を意味する。更に明確にするために、本明細書で使用される用語「タンパク質」及び「担体タンパク質」は、ペプチド及びポリペプチドの両方を包含するが、両方の実施形態が、「担体タンパク質又はペプチド」という表現などで一緒に列挙されてもよい。
【0060】
本明細書で使用される場合、用語「複合糖質」は、担体材料にカップリングされた炭水化物抗原(例えば、抗原性単糖、二糖、オリゴ糖、又は多糖、例えば、天然又は合成抗原)を指す。担体材料が担体タンパク質又はペプチドである場合、カップリングにより、目的の対象における炭水化物抗原の免疫原性が増強され得る。表現「炭水化物抗原」及び「糖抗原」は、本明細書で使用されるのと同じ意味を有する。用語「免疫原」は、免疫系の成分によって(例えば、抗体及び/又はリンパ球によって)特異的に結合され、目的の対象において体液性及び/又は細胞性免疫応答を生成することができる薬剤を指す。本明細書で使用される場合、「複合糖質免疫原」などの表現における用語「免疫原」は、複合糖質自体を特定の用途(例えば、対象において免疫応答を生成するための免疫原として)に限定することなく、複合糖質の能力(すなわち、物理的特徴又は特性)を指す。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される複合糖質免疫原は、生物学的試料(例えば、対象由来のもの)中の複合糖質免疫原に結合する抗体の存在又は非存在を検出するための診断アッセイ又は方法(例えば、インビトロ方法)に用いられてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される複合糖質免疫原は、複合糖質免疫原に特異的に結合する抗体(例えば、診断又は治療に適用可能なモノクローナル抗体)をスクリーニング、同定、又は評価するために使用されてもよい。
【0061】
本明細書で使用される場合、用語「合成」は、ヒトの介入によって産生される、天然の生成物ではない化合物を指す。
【0062】
本明細書で使用される場合、用語「コンジュゲート可能な」は、少なくとも2つの分子(例えば、炭水化物抗原とチオリンカー、又は炭水化物抗原とタンパク質若しくはペプチドなどの担体材料)が、分子が実際に互いに共有結合しているかどうかにかかわらず、化学反応を介して互いに共有結合する能力又は可能性を指す。対照的に、用語「コンジュゲートされた」は、互いに共有結合している少なくとも2つの分子(例えば、炭水化物抗原とチオリンカー、又は炭水化物抗原とタンパク質若しくはペプチドなどの担体材料)を指す。
【0063】
本明細書で使用される場合、用語「投与」は、投与経路が対象において免疫応答の生成を生じさせる限り、非経口(例えば、皮下、皮内、筋肉内、又は静脈内)、経口、経皮、鼻腔内などといった投与経路を含んでもよい。
【0064】
本明細書で使用される場合、用語「対象」は、概して、本明細書に記載される複合糖質に対して免疫応答を仕掛けることができ、好ましくは、複合糖質及び/又は複合糖質を提示する細胞に特異的に結合する抗体及び/又はリンパ球の産生をもたらす生物(例えば、動物又はヒト)を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される対象は、治療的に(例えば、本明細書に記載される複合糖質免疫原によるワクチン接種を介して)処置される患者であってもよく、研究、診断、及び/又は治療目的のツール(例えば、抗体)を生み出すための手段として用いられてもよい。
【0065】
本開示で使用される様々な略語の意味を以下の表1に提供する。
【0066】
【0067】
本説明の他の目的、利点、及び特徴は、添付の図面を参照して単なる例として示される、その特定の実施形態の以下の非限定的な説明を読むことによって、より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
添付の図は以下のとおりである。
【
図1】NHS-TF(化合物11b)対タンパク質のリシン総数の3つの異なる比(0.2、0.6、3)での、0.01μgのコンジュゲートしていないCRM197及びTFにコンジュゲートしたCRM197(CRM-TF:グリコンジュゲート(II))に対する、TF特異的レクチンピーナッツ凝集素(PNA)及び抗TFモノクローナル抗体JAA-F11の反応性を示すELISAの結果を示す。
【
図2】NHS-TF(化合物(11b))対タンパク質のリシン総数の3つの異なる比での、1μgのコンジュゲートしていないCRM197及びTFにコンジュゲートしたCRM197(CRM-TF:グリコンジュゲート(II))のクマシー染色SDS-PAGEゲルを示す。
【
図3】TF特異的レクチンピーナッツ凝集素(PNA)及び抗TFモノクローナル抗体JAA-F11を使用して検出された、NHS-TF(化合物(11b))対タンパク質のリシン総数の3つの異なる比での、1μgのコンジュゲートしていないCRM197及びTFにコンジュゲートしたCRM197(CRM-TF:グリコンジュゲート(II))のウエスタンブロットを示す。
【
図4】NHS-TF(化合物(11b))対タンパク質のリシン総数の3つの異なる比での、コンジュゲートしていないCRM197及びTFにコンジュゲートしたCRM197(CRM-TF:グリコンジュゲート(II))のMALDI-TOFスペクトルの重ね合わせを示す。
【0069】
配列表
本出願は、サイズ約15Kb、2022年1月11日作成のコンピュータ可読形式の配列表を含む。コンピュータ可読形式は参照により本明細書に組み込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0070】
本明細書は、抗原前駆体を含む反応性炭水化物、並びにワクチンにおいて、診断において、又は分析ツール若しくは治療ツールを生み出す(例えば、新規の抗複合糖質抗体を生み出す)ための免疫原などの使用に好適な複合糖質を合成するためのプロセスに関する。
【0071】
担体タンパク質のアミン基に末端酸官能基で終結する炭水化物抗原をコンジュゲートすることは、伝統的に、スクシンイミド又はカルボジイミド試薬を用いたランダム活性化を介して行われる。このような炭水化物抗原-担体タンパク質コンジュゲーション法の主な欠点の1つは、担体タンパク質自体の中で起こる制御されていない/望ましくない自己架橋であり、この自己架橋では、担体タンパク質のそれ自体のアスパラギン酸/グルタミン酸残基の側鎖が、担体タンパク質のそれ自体のリジン残基のε-アミン基にカップリングした状態になる。このアプローチは、担体タンパク質の天然構造の混乱又は破壊を招き、多くの場合、別様には高度に免疫原性である重要なペプチド配列の実質的な損失、並びに担体タンパク質の望ましくない架橋の可能性を生じる。加えて、当該分野で説明される炭水化物抗原-担体タンパク質コンジュゲーション法は、リンカー、例えばスクアリン酸などを用いる場合が多く、これは、リンカーがカップリングされる炭水化物抗原のみに対してではなく、リンカー自体に対する免疫応答を誘発し得る。更に、当該分野で説明される炭水化物抗原-担体タンパク質コンジュゲーション法は、担体タンパク質がグリコシル化される程度に対する適切な制御を可能にしないので、不均一な複合糖質種を生じる場合が多く、これは、ヒト治療のための産生に対する大きな障壁である。加えて、タンパク質とのコンジュゲーションのための抗原前駆体として有用な反応性炭水化物中間体の合成は、種々の課題を提示し得る。現在の合成経路は、立体選択性制御が課題であり得、このことにより、獲得した中間立体異性体が分離困難となり得る及び/又は所望の立体異性体の収率が低い結果となる。
【0072】
対照的に、本明細書は、現在知既知であるプロセスよりも少ない工程で、より良好な立体選択性制御を有する中間反応性炭水化物の合成を可能にし、担体タンパク質などの担体材料とのコンジュゲーションに好適な合成抗原をもたらすプロセスを提供する。本明細書はまた、単純かつ限定された合成工程を使用しながら、担体材料がグリコシル化される程度に対する適切な制御を依然として可能にする、複合糖質を合成するためのプロセスを提供する。
【0073】
第1の態様では、本明細書は、1つ以上の遊離アミン基を有する担体材料(例えば、担体タンパク質又はペプチド)とコンジュゲーションさせて、複合糖質を生じさせることができる反応性炭水化物を産生させるための改善されたプロセスに関する。この反応性炭水化物は、精製した後、1つ以上の遊離アミン基を有する担体材料とのカップリング反応において用いることができる。カップリング反応により、精製された反応性炭水化物のうちの1つ以上を、アミド結合を介して1つ以上の遊離アミン基で担体材料にコンジュゲートさせ、それにより複合糖質を産生させる。
【0074】
更なる態様では、本明細書に記載されるプロセスに従って調製された合成反応性炭水化物から複合糖質を産生させるためのプロセスが本明細書に記載される。
【0075】
別の態様では、コンジュゲーション可能な反応性炭水化物を得るために反応させことができる中間反応性炭水化物を産生させるためのプロセスが本明細書に記載される。
【0076】
以下のスキーム1は、これらの種々のプロセスに関与し得る合成工程を示す。
【0077】
【0078】
プロセス反応1
いくつかの実施形態では、式(A)の反応性炭水化物
【0079】
【化20】
の合成が最初に提供され、式中、R
1がHであり、nが1~5の整数、例えば1~3、好ましくは1又は2、最も好ましくは1である。本プロセスは、式(A
0)の化合物
【0080】
【化21】
と、式HO-(CH
2)
n-CH=CH
2のアルコールとの間の、酸の存在下での反応を含み得る。反応を加熱しながら行い、式(A)の化合物を含む反応混合物を得て、次いでこれを冷却し得る。このため、式(A)の化合物の合成には、アルコールHO-(CH
2)
n-CH=CH
2による酸性条件での炭水化物(A
0)のC
1炭素上でのエーテル化が伴う。式(A)の化合物の形成をもたらすことができる反応を触媒するために、いくつかの酸を反応の実施に使用することができるが、その酸が反応混合物中でプロトンH
+を遊離させることができることが条件となる。いくつかの実施形態では、酸は、強酸又はルイス酸であり得る。いくつかの実施形態では、ルイス酸は、BF
3.Et
2Oとは異なり得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、化合物(A0)及びアルコールHO-(CH2)n-CH=CH2から式(A)の化合物を形成させるための反応に使用される酸は、塩化アセチル、酢酸、酸性カチオン交換樹脂、カンファースルホン酸、p-トルエンスルホン酸一水和物、HCl、又はそれらの任意の混合物であり得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、式(A0)の化合物を、酸としての塩化アセチルの存在下でアルコールHO-(CH2)n-CH=CH2と反応させる。HO-(CH2)n-CH=CH2及び塩化アセチルを含む溶液は、最初に、約0℃~約25℃の温度などの低温で調製することができる。いくつかの実施態様では、HO-(CH2)n-CH=CH2及び塩化アセチルは、約0℃の温度で調製することができる。他の実施形態では、HO-(CH2)n-CH=CH2及び塩化アセチルの溶液を調製する温度は、約0℃~約10℃、又は約0℃~約20℃、又は約10℃~約20℃、又は約10℃~約25℃、又はこれらの範囲に含まれる任意の温度であり得る。HO-(CH2)n-CH=CH2及び塩化アセチルの溶液を調製する場合、過剰のアルコールを使用することができる。よって、アルコールは、反応物として使用することができ、同時に溶媒としても機能する。アルコールと塩化アセチルとを混合すると、いくらかのAcO-(CH2)n-CH=CH2と共にいくらかのHClが形成される。溶液は、アルコール中の溶液中にいくらかのHClを維持するために、低温で調製できることが好ましい。いくつかの実施形態では、HO-(CH2)n-CH=CH2及び塩化アセチルは、アルゴン又はN2などの不活性雰囲気下で調製することができる。HO-(CH2)n-CH=CH2及び塩化アセチルの溶液の調製が完了した後、式(A0)の化合物を、依然として低温、例えば、約0℃~約25℃であり得る溶液に加えて、少なくとも式(A0)の化合物、HO-(CH2)n-CH=CH2、HCl、及びいくらかのAcO-(CH2)n-CH=CH2を含む中間反応混合物を低温で形成させる。次に、この中間反応混合物を加熱して、式(A)の化合物の形成を促進する。加熱すると、式(A0)の化合物とHO-(CH2)n-CH=CH2との間の反応がプロトンH+の存在下で迅速に生じ、それにより、式(A)のエーテルが形成され得る。化合物(A0)のC1位の酸素原子を活性化することに加えて、プロトンは、糖の2位の炭素上のアセトアミド基も活性化することができ、アルファ立体配座に有利なアノマー効果を増加させる。このため、塩化アセチルなどの酸の存在下での反応により、同じ化合物を得るために保護-脱保護工程を必要とする今までの合成プロセスとは対照的に、単一の反応を使用して、アルファ立体配座を有する式(A)の化合物の形成が促進され得る。いくつかの実施形態では、中間体混合物の加熱は、約40℃~約80℃の温度で行うことができる。いくつかの実施形態では、反応温度は、約60℃~約80℃、例えば、約70℃であり得る。これらの温度範囲に含まれる任意の温度を加熱温度として使用することができる。反応時間は、約30分~5時間で構成され得る。いくつかの実施形態では、反応時間は、約30分~約1時間であり得る。酸として塩化アセチルを使用すると、約30分~約45分などの短い反応時間で足り得る。約30分でさえ十分であり得る。いくつかの実施形態では、反応の進行を監視し、その結果として反応時間を調整することができる。更なる実施形態では、少なくとも式(A0)の化合物、HO-(CH2)n-CH=CH2、及びHClを低温で含む中間体混合物を、混合物を急速かつ即座に加熱するのに十分高い温度の熱源と接触させる。言い換えれば、いくつかの実施形態では、低温から加熱温度への段階的な加熱とは対照的に、低温の中間体混合物をすぐに熱源と接触させ得る。実験室規模では、これは、丸底フラスコを低温の油浴に入れた後、温度を上昇させて所望の加熱温度に達するように油浴を加熱するのとは対照的に、低温の中間体混合物を含む丸底フラスコを既に加熱温度にある油浴に入れることによって行うことができる。工業規模では、中間体混合物を熱源と「接触させる」ことを可能にする任意の従来の加熱手段を使用することができる。例えば、これらには、熱交換器が含まれ得る。いくつかの実施形態では、熱源は、約40℃~約80℃の温度であり得る。
【0083】
更なる実施形態では、式(A)の化合物を得るための反応を触媒するためにプロトンを遊離させることができる酸源には、酢酸、酸性カチオン交換樹脂、カンファースルホン酸、p-トルエンスルホン酸一水和物、HCl、又はそれらの任意の混合物から選択される酸が含まれ得る。いくつかの実施形態では、これらの他の種類の酸との反応は、式(A0)の化合物、HO-(CH2)n-CH=CH2、及び酸を含む溶液を調製し、その後、溶液を加熱することにより行うことができる。溶液は有機溶媒も含み得る。いくつかの実施形態では、溶媒は、数例を挙げると、ジクロロメタン、クロロホルム、1,3-ジオキソラン、ジエトキシメタン、ジメトキシメタン、2,5,7,10-テトラオキサウンデカン、ジプロポキシメタン、及びそれらの任意の組み合わせから選択され得る。いくつかの実施形態では、式(A0)の化合物、HO-(CH2)n-CH=CH2、及び酸を含む反応混合物を、約30℃~約70℃の温度で加熱することができる。この範囲内の任意の温度を使用することができる。反応時間は変えることができ、反応の進行をモニタリングすることにより、反応時間を調節することができる。いくつかの実施形態では、反応は、約0.5時間~約15時間、又は約0.5時間~約10時間、又は約0.5時間~約5時間、又は約0.5時間~約2時間の反応時間で行うことができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、化合物(A0)から式(A)の化合物を調製するための反応温度及び反応時間は、式(A)の化合物の等価なベータ配座異性体の形成をモニタリングすることにより更に調整することができる。上述の反応条件(すなわち、酸の選択、温度、反応時間及び/又は中間混合物の調製)によりアルファ配座異性体化合物(A)の形成が促進されるはずではあるものの、いくらかのベータ配座異性体が反応中に形成され得る。加熱中に反応混合物を分析することにより、ベータ配座異性体の形成を評価し、なんらかのベータ配座異性体が観察された場合、直ちに加熱を停止し、混合物を冷却することができる。
【0085】
加熱工程が完了し、反応混合物が冷却されたら、冷却された混合物を、任意の従来の方法(例えば、塩基を加え、約7のpHに達するまでpHをチェックすること)により中和することができる。次に、式(A)の化合物を、任意の従来の方法により単離及び精製することができる。例えば、単離された粗生成物を、凍結乾燥させる、再沈殿させる、又はクロマトグラフィーにより精製することができる。いくつかの実施形態では、精製ステップにより、式(A)の化合物を、一部が反応中に形成された等価なベータ配座異性体から分離することが可能になり得る。
【0086】
プロセス反応2
いくつかの実施形態では、式(APG)の化合物
【0087】
【化22】
の合成も提供され、式中、PGが保護基であり、nが1~5の整数である。反応は、式(A)の化合物
【0088】
【化23】
を保護することを含み、式中、R
1がHであり、二価の保護基PGを有する。
【0089】
いくつかの実施形態では、nは、1~3の整数、好ましくは1又は2、最も好ましくは1である。
【0090】
いくつかの実施形態では、式(A)の化合物は、上記のプロセス反応1により調製することができる。更なる実施形態では、式(A)の化合物の保護は、PhCH(OMe)2、トリホスゲン、Me2SiCl2、Me2C(OMe)2、2-メトキシプロペン、及び2,6-ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸エステルからなる群から選択される化合物との反応により行われる。よって、いくつかの実施形態では、この反応により、保護された式(APG)の化合物(PGは、PhCH、Me2C、O=C、Me2Si、及び2,6-ビス(トリフルオロメチル)フェニル-Bからなる群から選択される)を調製することが可能になる。好ましい実施形態では、保護基はPhCHである。
【0091】
いくつかの実施形態では、保護反応は、DMF、ジメチルアセトアミド(dimethyl acetamide、DMAC)、DMSO、THF、ジオキサン、1-3ジオキソラン、アセトニトリル、2,5-ジメチルテトラヒドロフラン(dimethyl tetrahydrofuran、DMTHF)、ガンマ-バテロラクトン(gamma-vaterolactone、GVL)、ジヒドロレボグルコセロン(Cyrene)、レブリン酸メチル(methyl levulinate、ML)、レブリン酸エチル(ethyl levulinate、EL)、レブリン酸エチルプロピレングリコールケタール(ethyl levulinate propyleneglycol ketal、ELPK)、グルタル酸ジメチル(dimethyl glutarate、DMG)、ジメチルプロピレン尿素(dimethylpropylene urea、DMPU)、ポリ(プロピレングリコール)(poly(propyleneglycol)、PPG)、グリコフロール(THFP)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート([emim][OAc])、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される有機溶媒中で行われる。
【0092】
いくつかの実施形態では、式(APG)の化合物は、触媒量のp-トルエンスルホン酸一水和物の存在下、DMF中で式(A)の化合物をPhCH(OMe)2と反応させることにより調製することができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、反応は室温で行うことができ、式(APG)の化合物の形成を監視し、反応が実質的に完了したときに反応を停止することができる。いくつかの実施形態では、反応時間は、約5時間であり得る。次に、この化合物を従来の方法により単離することができる。
【0094】
プロセス反応3
いくつかの実施形態では、式(AAPG)の反応性炭水化物化合物
【0095】
【化24】
の合成も提供され、式中、R
2が一価の保護基であり、PGが二価の保護基であり、nが1~5の整数である。
【0096】
いくつかの実施形態では、合成には、金属含有ゼオライトの存在下で、式(APG)の化合物
【0097】
【0098】
【化26】
とをグリコシル化することが含まれ、式中、Xが、-I、-Br、-Cl、-CN、-OTf(トリフレート)、-OMs(メシレート)、-OTs(トシレート)、メチルスルフェート、又はトリクロロアセトイミデートである。
【0099】
いくつかの実施形態では、式(APG)の化合物は、上記のプロセス反応2により調製することができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、式(AAPG)の化合物を調製するための反応は、有機溶媒中で行うことができる。例えば、有機溶媒は、トルエン、ジクロロメタン(dichorometane)-トルエン混合物、DMSO-トルエン混合物、及びN-メチルピロリドン-トルエン混合物からなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、溶媒はトルエンであり得る。反応は、好ましくは不活性雰囲気下(例えば、アルゴン又はN2下)で行うことができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、一価の保護基R2は、Ac、Bz、アリル、ベンゾエート、メトキシメチル(methoxymethyl、MOM)、テトラヒドロプロピラニル(tetrahydropropyranyl、THP)、t-ブチル、ピバレート、t-ブチルジメチルシリル(t-butyldimethylsilyl、TBDMS)、及びt-ブチルジフェニルシリル(t-butyldiphenylsilyl、TBDPS)からなる群から選択され得る。任意の他の可能なヒドロキシル保護基も使用することができる。好ましい実施形態では、R2は、Ac又はBzであり得る。
【0102】
前述のように、いくつかの実施形態では、二価の保護基PGは、PhCH、Me2C、O=C、Me2Si、及び2,6-ビス(トリフルオロメチル)フェニル-Bから選択することができ、好ましくはPhCHである。式(A1)の化合物中の脱離基Xは、好ましくは、I、Br、又はClから選択されるハロゲン、最も好ましくはBrであり得る。
【0103】
いくつかの実施形態では、nは、1~3の整数、好ましくは1又は2、最も好ましくは1である。
【0104】
いくつかの実施形態では、金属含有ゼオライトは、ゼオライト骨格自体の一部である少なくとも1つの金属を有するか、又はゼオライト細孔内及び/若しくはゼオライト表面に存在する少なくとも1つの金属を有するゼオライトであり得る。このため、いくつかの実施形態では、ゼオライトは、金属含浸ゼオライトであり得る。更なる実施形態では、金属含有ゼオライト中の金属は、Ag、Al、Cd、Co、Cu、Fe、Ga、In、Mo、Pd、Pt、Sn、Sb、V、Zr、又はそれらの任意の混合物を含み得る。いくつかの実施形態では、金属含有ゼオライトは、数例を挙げると、Sn-ベータ、Zr-ベータ、Al-ベータ(OH)、Al-ベータ(F)、Pt@MCM-22、K-PtSn/MFI、0.3Pt/0.5Sn-Si-ベータ、Pt/Sn 2.0-ベータ、0.5CoSi-ベータ、V-ベータ、H-[Fe]ZSM-5、Fe-BEA、Ga-ベータ、Ga-ベータ-200、Mo/HZSM-5、又はそれらの任意の混合物からなる群から選択されるゼオライトであり得る。しかしながら、式(APG)の化合物と式(A1)の化合物との間のエーテル結合反応を触媒することができる任意の種類の金属含有ゼオライトを使用して、式(AAPG)の化合物を調製することができる。好ましい実施形態では、金属含有ゼオライトは、例えば銀交換ゼオライトなどの銀含有ゼオライトを含み得る。このようなゼオライトは、概して市販されている。
【0105】
いくつかの実施形態では、金属含有ゼオライトの存在下で行われるグリコシル化反応は、室温で又は加熱しながら行うことができる。いくつかの実施形態では、グリコシル化温度は、約20℃~約80℃であり得る。他の実施形態では、反応は、約20℃~約70℃、約20℃~約60℃、約20℃~約50℃、約20℃~約40℃、又は約20℃~約30℃の温度で行う。このため、グリコシル化反応は、これらの範囲内に含まれる任意の温度で行うことができる。更なる実施形態では、グリコシル化は、約5時間~約50時間の期間にわたって行うことができる。他の実施形態では、グリコシル化時間は、約5時間~約30時間、又は約5時間~約25時間、約5時間~約20時間、又は約10時間~約30時間、又は約10時間~約25時間、又は約10時間~約20時間、又は約15時間~約30時間、又は約15時間~約25時間、又は約15時間~約20時間、又は約20時間~約25時間、又は約20時間~約30時間持続し得る。いくつかの実施形態では、グリコシル化反応は、約60~約80℃で約15時間~約20時間行うことができる。他の実施形態では、グリコシル化は、約20℃~約25℃で約20時間~約30時間行うことができる。
【0106】
式(APG)及び(A1)の2つの炭水化物間の反応のための触媒として金属含有ゼオライトを使用することにより、驚くべきことに、2つの糖の間にベータ配座を有するグリコシル化生成物(AAPG)を本質的に得ることが可能になった。これは、アルファ配座異性体とベータ配座異性体との混合物を生成する従来のグリコシル化反応(例えば、トリクロロアセトイミデート及びBF3.Et2O又はTMSOTfを使用する)と比較して重要な利点である。本明細書に記載のプロセスにおいて、得られた生成物(AAPG)の精製は、反応の終わりに濾過を行ってゼオライトを除去することにより容易に行うことができる。更に、ゼオライトの存在下でのグリコシル化は、従来の反応よりも容易に制御することができる。例えば、トリクロロアセトイミデート及びBF3.Et2O又はTMSOTfの存在下でのグリコシル化は、反応温度を約-30℃など非常に低く維持することを必要とする場合があり、これにより今度は反応が減速し得る。更に、金属含有ゼオライトの使用は、同様にグリコシル化を触媒することが知られているが、毒性の重金属を含み、したがって有毒であるHg(CN)2などの他の触媒の使用よりも好ましい。全体として、金属含有ゼオライトの使用により、高い立体選択性制御で、グリコシル化をより円滑に行うことが可能になる。
【0107】
いくつかの実施形態では、式(AAPG)の化合物の調製、すなわち、式(APG)及び(A1)の化合物間のカップリングは、モレキュラーシーブの存在下で更に行うことができる。使用することができるモレキュラーシーブの例としては、タイプ3Å、タイプ4Å、タイプ5Å、タイプ13Xのモレキュラーシーブが挙げられる。これらの任意の混合を使用することもできる。モレキュラーシーブの存在下で反応を行うことで、水分/微量の水を捕捉することが可能になり、これにより今度は反応が促進され得る。
【0108】
上で説明したように、最終粗生成物(AAPG)は、反応混合物を濾過し、その後溶媒を除去することにより容易に単離することができる。いくつかの実施形態では、次に、任意の従来の方法により粗生成物を精製することができる。
【0109】
プロセス反応4
いくつかの実施形態では、式(AA)の反応性炭水化物化合物
【0110】
【化27】
の合成も提供され、式中、nが1~5の整数である。
【0111】
この反応は、本明細書に記載される式(AAPG)の化合物を脱保護することを含み得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、式(AAPG)の化合物は、本明細書に記載されるプロセスにより得ることができる。
【0113】
いくつかの実施形態では、nは、1~3の整数、好ましくは1又は2、最も好ましくは1である。
【0114】
いくつかの実施形態では、式(AAPG)の化合物の脱保護は、式(AAPG)の化合物を塩基性溶液と反応させて中間生成物(AAi)を形成させ、次に中間生成物(AAi)を酸性溶液で処理することを含み得る。
【0115】
いくつかの実施形態では、中間生成物(AAi)を得るために必要な塩基性溶液は、メトキシド、エトキシド、及び2-メチルプロパン-2-オレートからなる群から選択される塩基を含み得る。好ましい実施形態では、塩基はナトリウムメトキシドであり得る。いくつかの実施形態では、塩基性溶液は、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールからなる群から選択される溶媒を含み得る。いくつかの実施形態では、溶媒は、好ましくはメタノールであり得る。いくつかの実施形態では、中間生成物(AAi)を形成させるための(AAPG)と塩基性溶液との反応は、約0℃~約50℃の温度で、好ましくは室温で行うことができる。中間生成物(AAi)を形成させるための塩基性溶液との反応は、約0.5時間~約5時間、好ましくは約1時間~約2時間の期間にわたって行うことができる。
【0116】
いくつかの実施形態では、粗形態の中間生成物(AAi)は、いかなる精製工程も必要とせずに、酸性溶液で直接処理することができる。これは、保護プロセスの工程の数を減らすことができるので、有利である。このため、いくつかの実施形態では、塩基処理とその後の酸処理との両方を同じ反応容器で行うことができる。いくつかの実施形態では、塩基処理が完了したら、溶液を中和することができ、液体を蒸発させて、中間生成物((AAi)を粗形態で得ることができる。次に、粗形態の中間生成物(AAi)を、上述のように、いかなる精製工程も必要とせずに酸性溶液で直接処理することができる。
【0117】
いくつかの実施形態では、後続の酸処理は、中間生成物(AAi)を、酢酸-水混合物又はエタノール酸-水混合物を含む酸性溶液と反応させることにより行うことができる。好ましい実施形態では、酸性溶液は酢酸水溶液であり得る。更なる実施形態では、中間生成物(AAi)は、約50℃~約70℃、好ましくは約60℃の温度で、酸性溶液で処理することができる。酸性溶液での処理を、約1時間~約5時間、好ましくは約1時間~約2時間行って、式(AA)の化合物を含む溶液を得ることができる。
【0118】
いくつかの実施形態では、式(AA)の化合物は、次に、例えば、抽出、沈殿、結晶化、凍結乾燥、C-18上の順相若しくは逆相下のシリカゲルでのクロマトグラフィー、擬似移動床(simulated moving bed、SMB)クロマトグラフィー、及び/又は膜ナノ濾過などの膜技術による精製を含む従来の方法により単離することができる。
【0119】
プロセス反応5a及び5b
いくつかの実施形態では、式(B)又は式(BB)の反応性炭水化物を合成するためのプロセスも提供され、
【0120】
【化28】
式中、nが1~5の整数であり、mが1~5の整数であり、LGは、式(B)又は(BB)の化合物がアミノ基と反応するときにアミド結合形成を可能にする脱離基である。式(B)又は(BB)の化合物は、本明細書において炭水化物抗原前駆体とも称される。式(B)又は(BB)の化合物は、炭水化物抗原が連結されるチオール-リンカーを含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、式(B)の化合物を得るためのプロセスは、式(C)の化合物
【0122】
【化29】
(式中、m及びLGが上で定義したとおりである)を、
式(A)の化合物
【0123】
【化30】
(式中、R
1がHであり、nが上で定義したとおりである)と反応させることを含み得る。
【0124】
いくつかの実施形態では、式(A)の化合物は、本明細書の上で定義したプロセスにより得ることができる。
【0125】
いくつかの実施形態では、式(BB)の化合物を得るためのプロセスは、式(C)の化合物を、式(AA)の化合物
【0126】
【化31】
(式中、nが上で定義したとおりである)と反応させることを含み得る。
【0127】
いくつかの実施形態では、式(AA)の化合物は、本明細書の上で定義したプロセスにより得ることができる。
【0128】
いくつかの実施形態では、式(A)、(AA)、(B)、及び(BB)の化合物において、nは、1~3の整数、好ましくは1又は2、最も好ましくは1である。
【0129】
いくつかの実施形態では、式(C)の化合物において、mは1~3の整数である。好ましい実施形態では、mは2である。
【0130】
いくつかの実施形態では、式(C)の化合物において、LGは、OPhF5若しくはOPhF4(para SO3Na)などのO-フルオロフェニル基、又はO-(N-スクシンイミジル)基であり得る。好ましい実施形態では、式(C)の化合物中のLGは、O-(N-スクシンイミジル)基である。
【0131】
いくつかの実施形態では、式(C)の化合物を式(A)の化合物と反応させて式(B)の化合物を得ること、又は式(AA)の化合物と反応させて式(BB)の化合物を得ることは、光開始剤の存在下で行われる。いくつかの実施形態では、光開始剤は、フリーラジカル生成アゾ化合物、フェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィン酸リチウム(LAP)、金属又は金属イオン系光開始剤、過酸化物、過硫酸アンモニウム、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(DMPA)、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0132】
いくつかの実施形態では、光開始剤がフリーラジカル生成アゾ化合物であるとき、これは、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)(ACVA)、1,1’-アゾビス(シアノシクロヘキサン)(ACHN)、ジアゼンジカルボン酸ビス(N,N-ジメチルアミド)(TMAD)、アゾジカルボン酸ジピペリジド(ADD)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(AAPH)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、4,4’-(ジアゼン-1,2-ジイル)ビス(4-シアノペンタン酸)、2,2’-アゾジ(2-メチルブチロニトリル)、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0133】
いくつかの実施形態では、光開始剤が過酸化物であるとき、過酸化物は、tert-ブチルペルオキシイソブチレート、tert-ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、及びそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0134】
いくつかの実施形態では、式(C)の化合物を式(A)又は(AA)の化合物と反応させることは、水中又は有機溶媒中で行うことができる。いくつかの実施形態では、溶媒は、この溶媒への光開始剤の溶解度に応じて選択することができる。いくつかの実施形態では、光開始剤の溶解度を高めるために必要であれば、異なる溶媒の混合物を使用することができる。いくつかの実施形態では、式(C)の化合物と式(A)又は(AA)の化合物との反応を行うために使用される溶媒は、水、ジオキサン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、ジイソプロピルエーテル、イソプロパノール、クロロベンゼン、メチル-tert-ブチルエーテル、メタノール、エタノール、tert-ブタノール、クロロホルム、及びそれらの任意の組み合わせから選択することができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、式(C)の化合物を式(A)の化合物と反応させて式(B)の化合物を得ること、又は式(AA)の化合物と反応させて式(BB)の化合物を得ることは、約40℃~約110℃の範囲の温度で行うことができる。いくつかの実施形態では、式(C)の化合物を式(A)又は(AA)の化合物と反応させることは、約1時間~約10時間の期間にわたって行うことができる。
【0136】
いくつかの実施形態では、式(C)の化合物を式(A)の化合物と反応させて式(B)の化合物を得ること、又は式(AA)の化合物と反応させて式(BB)の化合物を得ることは、紫外線照射下で行うことができる。いくつかの実施形態では、紫外線照射は、短波長、中波長、又は長波長の紫外線照射であり得る。いくつかの実施形態では、反応は、更に、光開始剤の存在下、紫外線照射下で行うことができる。そのような実施形態では、光開始剤は、好ましくは、2,2’-アジドビス[2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(DMPA)、及びそれらの組み合わせから選択することができる。いくつかの実施形態では、式(B)又は(BB)の化合物を得るための反応を、任意選択で光開始剤の存在下、紫外線照射下で行う場合、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はそれらの任意の組み合わせなどのアルコール溶媒中で反応を行うことができる。いくつかの実施形態では、紫外線照射下での式(B)又は(BB)の化合物の合成は、約20℃~約30℃の範囲の温度で行うことができる。いくつかの実施形態では、照射は、約1時間~約24時間の期間にわたって行うことができる。
【0137】
いくつかの実施形態では、式(C)の化合物を式(A)の化合物と反応させて式(B)の化合物を得ること、又は式(AA)の化合物と反応させて式(BB)の化合物を得ることは、可視光吸収遷移金属光触媒の存在下、可視光下で行うことができる。いくつかの実施形態では、可視光吸収遷移金属光触媒は、Ru(bpz)3(PF6)2などのルテニウムポリピリジル複合体であることができ、光源は青色LED光を含み得る。いくつかの実施形態では、可視光吸収遷移金属光触媒の存在下で行われる反応は、アセトニトリルなどの溶媒中、約20℃~約30℃の範囲の温度で行うことができる。
【0138】
いくつかの実施形態では、式(B)又は(BB)の化合物は、従来の方法を使用して単離することができる。いくつかの実施形態では、式(B)又は(BB)の化合物を含む反応混合物を処理し、溶媒及びいずれの未反応の式(C)の化合物も除去して、式(B)又は(BB)の化合物を回収することができる。次に、式(B)又は(BB)の化合物を、以下に更に詳述するように、少なくとも1つのアミノ基を担持する担体材料とのコンジュゲーションのために、粗形態で、すなわち、更に精製することなく、直接使用することができる。
【0139】
プロセス反応6a及び6b
いくつかの実施形態では、式(I)又は(II)の複合糖質
【0140】
【0141】
を調製するためのプロセスも提供され、式中、nが1~5の整数であり、mが1~5の整数であり、pが1~50の整数(例えば、コンジュゲーションに利用可能な担体材料上の遊離アミノ基の総数を表す)であり、
【0142】
【化33】
が、少なくとも1つの遊離アミノ基を担持する担体材料である。本プロセスは、担体材料を、本明細書で定義するプロセスにより調製される式(B)の化合物とコンジュゲートさせて式(I)の複合糖質を形成させること、又は本明細書で定義するプロセスにより調製される式(BB)の化合物とコンジュゲートさせて式(I)の複合糖質を形成させることを含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、担体材料は、コンジュゲーションに利用可能な少なくとも1つのアミノ基、すなわち、
【0144】
【化34】
結合を式(I)又は(II)の複合糖質中に形成するために式(B)又は(BB)の化合物の活性化エステル基(CO)LGと反応することができる少なくとも1つのアミノ基を含む。いくつかの実施形態では、担体材料は、1~50個のアミノ基を含むことができ、1~50個の
【0145】
【化35】
結合を式(I)又は(II)の複合糖質中に形成することを可能にする。
【0146】
いくつかの実施形態では、式(I)及び(II)の化合物において、nは、1~3の整数、好ましくは1又は2、最も好ましくは1である。
【0147】
いくつかの実施形態では、式(I)及び(II)の化合物において、mは1~3の整数である。好ましい実施形態では、mは2である。
【0148】
いくつかの実施形態は、式(B)又は(BB)の化合物と担体材料との間のコンジュゲーションには、任意の従来のコンジュゲーション法が伴い得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、担体材料は、タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドを含み得る。他の実施形態では、担体材料は、数例を挙げると、式(B)又は(BB)の化合物とコンジュゲートすることができる遊離アミノ基を担持する、センサチップ、マイクロアッセイ、又はビーズを含んでもよい。
【0150】
いくつかの実施形態では、タンパク質、ペプチド、又はポリペプチドと、式(B)又は(BB)の化合物との間のコンジュゲーション反応により、アスパラギン酸/グルタミン酸残基の側鎖と担体タンパク質又はペプチド自体に存在するε-リジンアミンとの間の担体タンパク質又はペプチドの自己架橋が有利に最小化又は回避され得る。
【0151】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲーション反応により、担体タンパク質又はペプチドにコンジュゲートされる炭水化物抗原の数を、反応物の有効性及び/又は化学量論(例えば、担体タンパク質又はペプチドと式(B)又は(BB)の化合物とのモル比)により制御することができるようになる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲーション反応は、担体タンパク質又はペプチド当たり1~500、1~400、1~300、1~200、5~500、5~400、5~300、又は5~200モル当量の式(B)又は(BB)の化合物を反応させることを含んでもよい。
【0152】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の担体タンパク質又はペプチドは、1つ以上の遊離アミン基を含む。本明細書で使用する場合、「遊離アミン」又は「遊離アミン基」は、化学修飾及び/又はコンジュゲーション(例えば、担体タンパク質の周辺に曝露される傾向がある溶媒接触可能リジン残基などの本明細書中に記載されるような炭水化物抗原に対するもの)に利用可能な1つ以上のアミノ基を有する担体タンパク質又はペプチドを指す。いくつかの実施形態では、多すぎる数の複数の炭水化物抗原が担体タンパク質上の隣接する位置にコンジュゲートされることを回避することが有利であり得る。いくつかの実施形態では、担体タンパク質又はペプチドは、好ましくは、リシンリッチドメイン(例えば、少なくとも50%のリシン残基を含む少なくとも4、5、6、7、8、9、又は10個の連続したアミノ酸のセグメント)を欠き得る。
【0153】
いくつかの実施形態では、担体タンパク質は、少なくとも合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17 18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100個のリシン残基を含んでもよい。いくつかの実施形態では、担体タンパク質は、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30個の遊離アミノ酸残基を含んでもよい。
【0154】
いくつかの実施形態では、担体タンパク質又はペプチドは、1つ以上の遊離アミン基を有する1つ以上のリシン残基を含むか、又は任意選択で、例えば、担体タンパク質若しくはペプチドのアミノ末端、カルボキシ末端、又は溶媒接触可能位置に、1つ以上の更なるリシン残基を付加するように操作される。いくつかの実施形態では、担体タンパク質は、T細胞エピトープを含み、かつ/又は対象において細胞性免疫応答を誘導する。いくつかの実施形態は、担体タンパク質又はペプチドは、B細胞エピトープを含み、かつ/又は対象において体液性免疫応答を誘導する。いくつかの実施形態では、担体タンパク質は、B細胞エピトープ及びT細胞エピトープの両方を含み、かつ/又は対象において体液性免疫応答及び細胞性免疫応答の両方を誘導する。
【0155】
好ましくは、本明細書中に記載の担体タンパク質は、ヒト対象への投与について規制当局(例えば、FDA)の承認を既に受けている(例えば、承認されたワクチンにおける)タンパク質であってもよい。いくつかの実施形態では、担体タンパク質は、破傷風トキソイド(Tetanus Toxoid、TT)、ジフテリアトキソイド(Diphtheria Toxoid、DT)、交差反応性物質197(cross-reacting material 197、CRM197)、髄膜炎菌外膜タンパク質複合体(Meningococcal Outer Membrane Protein Complex、OMPC)、H.InfluenzaeプロテインD(H.Influenzae Protein D、HID)、ウイルス様粒子(virus-like particle、VLP)、サイトカイン、免疫原性ペプチド、例えば、破傷風毒素831-844(配列番号1又は2)、破傷風毒素830-843(配列番号5)、アルブミン(ウシ血清アルブミン又はヒト血清アルブミンなど)、キーホールリンペットヘモシアニン(keyhole limpet hemocyanin、KLH)、又はその免疫原性断片であるか、それに由来するか、又はそれを含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、担体タンパク質又はペプチドは、投与される対象にとって外在性であり、好ましくは対象において(近い)オルソログを有しない。ヒトワクチン製造の背景において、本明細書に記載の担体タンパク質は、「ヒト使用に好適な担体タンパク質」又は単に「好適な担体タンパク質」を指し、これは、担体タンパク質がヒトにおいて「自己抗原」とみなされないように、ヒトタンパク質と抗原的に異なる担体タンパク質を意味する。対応するヒトタンパク質に抗原的にあまりにも類似している担体タンパク質を使用すると、担体タンパク質が「自己抗原」とみなされる可能性があり、これはヒトワクチンにおいて理想的ではない場合がある。例えば、ウシ血清アルブミン(bovine serum albumin、BSA)のリシン残基のε-アミノ基にランダムにコンジュゲートされたTF抗原からなる複合糖質免疫原は、以前に説明され、特徴付けられている(例えば、Demian et al.,2014;Rittenhouse-Diakun et al.,1998;Heimburg et al.,2006;Tati et al.,2017)。しかしながら、BSAの59個のリシン残基上の炭水化物のレベルがランダムであり、非効率的であった(BSA分子当たり4~6個以下のTF抗原しかコンジュゲートされなかった)だけでなく、BSAは、ヒトアルブミンと抗原的にあまりにも類似しているため、ヒトワクチンにおける担体タンパク質として好適ではなかった。いくつかの実施形態では、担体タンパク質は、アルブミン(例えば、ウシ血清アルブミン)ではない。
【0157】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の式(I)又は(II)の複合糖質は、複合糖質免疫原であってもよく、ここで、担体タンパク質又はペプチドは、対象に投与されたときに免疫原性であり、炭水化物抗原がチオリンカーを介して担体タンパク質又はペプチドにコンジュゲートすることで、コンジュゲートされていない炭水化物抗原の対応する投与と比較して、対象への投与時に炭水化物抗原の免疫原性を増加させる。
【0158】
いくつかの実施形態では、炭水化物抗原又は炭水化物抗原は、担体タンパク質又はペプチドへのカップリング後に、対象の内因性酵素によって担体タンパク質又はペプチドから切断可能ではない。
【0159】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の担体タンパク質又はペプチドは、T細胞エピトープを含んでもよく、かつ/又は投与時に対象において細胞性免疫応答を誘導してもよい。
【0160】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の式(I)又は(II)の合成複合糖質は、対象への投与時に炭水化物抗原に対する細胞性免疫応答を誘導してもよい。
【0161】
更なる態様では、複合糖質ワクチン又は免疫応答誘発組成物を生成するための方法が本明細書に記載される。本方法は、本明細書に記載される方法により調製される式(I)又は(II)の複合糖質を、薬学的に許容される賦形剤及び/又はアジュバントと共に製剤化することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アジュバントは、無機化合物、鉱油、微生物誘導体、植物性誘導体、サイトカイン、スクアレン、ミョウバン、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、水酸化リン灰石、toll様受容体アゴニスト、免疫刺激ポリヌクレオチド(例えば、CPG)、免疫刺激脂質、フロイントアジュバント、RIBIアジュバント、QS-21、ムラミルジペプチド、TiterMax(登録商標)、Steviune(登録商標)、Stimune(登録商標)、又はそれらの任意の組み合わせであるか、又はそれらを含む。
【0162】
ワクチン組成物は、レシピエント動物の年齢、性別、体重、種、及び状態、並びに投与経路などの因子を考慮して、医学又は獣医学の分野の当業者に周知の用量及び技法で投与することができる。投与経路は、経皮的であっても、粘膜投与(例えば、経口、経鼻、眼内)を介しても、非経口経路(例えば、皮内、筋肉内、皮下)を介してもよい。ワクチン組成物は、単独で投与されても、他の処置若しくは治療と同時投与又は連続投与されてもよい。投与形態は、滅菌懸濁液又はエマルジョンなど、非経口、皮下、皮内、又は筋肉内投与(例えば、注射投与)のための懸濁液及び調製物を含んでもよい。ワクチンは、スプレーとして投与されても、食物及び/又は水に混合されても、滅菌水、生理食塩水、グルコースなどといった、好適な担体、希釈剤、又は賦形剤と混合して送達されてもよい。組成物は、投与経路及び所望の調製物に応じて、補助物質、例えば、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤、アジュバント、ゲル化剤又は粘度増強添加剤、保存剤、香味剤、着色剤などを含み得る。「Remington’s Pharmaceutical Sciences,」1990などの標準的な薬学の教書を参考にして、過度の実験を行うことなく好適な調製物を調製することができる。
【0163】
更なる態様では、本明細書に記載の方法により調製された式(I)又は(II)の複合糖質並びに本明細書に記載される薬学的に許容される賦形剤及び/又はアジュバントを含む、複合糖質ワクチン又は適応免疫応答誘発組成物が本明細書に記載される。実施形態では、複合糖質ワクチンは、予防ワクチンであっても治療ワクチンであってもよい。実施形態では、本明細書に記載のワクチン組成物は、1つ以上のTACAを含んでもよく、本ワクチン組成物は、TACAを発現するがんに対する抗がんワクチンであってもよい。実施形態では、がんは、B細胞リンパ腫、乳がん、結腸がん、非小細胞肺がん、黒色腫、神経芽細胞腫、卵巣、前立腺、肉腫、小細胞肺がん、又は胃がんであってもよい。
【0164】
いくつかの態様では、本明細書に記載される方法により産生される式(I)若しくは(II)の複合糖質、本明細書に記載される式(I)若しくは(II)の合成複合糖質、本明細書に記載される方法により産生される複合糖質ワクチン若しくは適応免疫応答誘発組成物、又は本明細書に記載される複合糖質ワクチンを対象に投与することを含む、対象に免疫化、ワクチン接種、又は処置を行う方法が本明細書に記載される。
【0165】
いくつかの実施形態では、疾患を有する対象に免疫化、ワクチン接種、若しくは処置を行うことに使用するための、又は式(I)若しくは(II)の複合糖質に特異的に結合する抗体の存在を検出するための、又は該免疫化、ワクチン接種、若しくは処置を(例えば、対象由来の生体試料中で)検出するための、本明細書に記載される方法により産生される式(I)若しくは(II)の複合糖質、本明細書に記載される式(I)若しくは(II)の合成複合糖質、本明細書に記載される方法により産生される複合糖質ワクチン若しくは適応免疫応答誘発組成物、又は本明細書に記載される複合糖質ワクチンが本明細書に記載される。
【0166】
いくつかの実施形態では、疾患を有する対象に免疫化若しくは処置を行うためのワクチンを製造するための、又は式(I)若しくは(II)の複合糖質に特異的に結合する抗体の存在を検出するための、又は該免疫化若しくは処置を(例えば、対象由来の生体試料中で)検出するための、本明細書に記載される方法により産生される式(I)若しくは(II)の複合糖質、本明細書に記載される合成複合糖質、又は本明細書に記載される方法により産生される適応免疫応答誘発組成物が本明細書に記載される。
【0167】
いくつかの実施形態では、該炭水化物抗原の発現の増加と関連付けられる疾患を有する対象の処置に使用するための、本明細書に記載される方法により産生される式(I)若しくは(II)の複合糖質、本明細書に記載される式(I)若しくは(II)の合成複合糖質、本明細書に記載される方法により産生される複合糖質ワクチン若しくは適応免疫応答誘発組成物、又は本明細書に記載される複合糖質ワクチンが本明細書に記載される。
【0168】
いくつかの実施形態では、炭水化物抗原若しくは炭水化物抗原を含む腫瘍循環細胞に特異的に結合する抗体の存在を検出若しくはスクリーニングするための、又は本炭水化物抗原による免疫化若しくはワクチン接種から生じる抗体の存在を検出するための、本明細書に記載される方法により産生される式(I)若しくは(II)の複合糖質、本明細書に記載される式(I)若しくは(II)の合成複合糖質、本明細書に記載される方法により産生される複合糖質ワクチン若しくは適応免疫応答誘発組成物、又は本明細書に記載される複合糖質ワクチンが本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、検出又はスクリーニングは、免疫吸着アッセイ、ELISA、マイクロアレイ、又は免疫ブロット分析などの任意の好適な検出方法を介して行われ得る。
【0169】
更なる態様では、対象を処置する方法であって、本明細書に記載される方法により産生された式(I)又は(II)の複合糖質を投与して、該対象において炭水化物抗原に対する免疫応答を生じさせることと、任意選択で、該対象からの生体試料を、本炭水化物抗原に特異的に結合する抗体の存在についてスクリーニングすることとを含む方法が、本明細書に記載される。
【0170】
更なる態様では、SARS-CoV-2に関連する治療及び/又は診断ツールとして使用するための式(I)又は(II)の複合糖質が本明細書に記載される。より詳細には、対象をSARS-CoV-2に対して免疫化することに使用するための、対象において抗SARS-CoV-2抗体の産生を誘発することに使用するための、対象においてSARS-CoV-2に対する細胞性免疫応答を誘導することに使用するための、又はそれらの任意の組み合わせのための、式(I)又は(II)の複合糖質が本明細書に記載される。SARS-CoV-2に関連する検出/診断ツールにおける使用のための式(I)又は(II)の複合糖質も本明細書に記載される。例えば、対象由来の試料中の抗SARS-CoV-2抗体の存在を検出することに使用するための式(I)又は(II)の複合糖質が本明細書に記載される。これに関して、SARS-CoV-2のSタンパク質上の炭水化物抗原(例えば、TF、Tn、及びそのシアル化バリアント)の存在、並びに抗炭水化物リガンドによる結合へのそれらの利用可能性を示す結果が、PCT/CA2020/051253に示されている。
【0171】
本明細書で使用する場合、「抗SARS-CoV-2抗体」という表現は、天然の組換えタンパク質上で発現される、及び/又はアセンブルされたビリオン粒子上に存在するような、それらの天然の立体配座の抗原(例えば、炭水化物抗原)に結合することができる抗体を指す。対照的に、変性抗原(例えば、SDS-PAGE後などの変性条件下)にのみ結合するが、それらの天然の立体配座の同じ抗原には結合しない抗体は、「抗SARS-CoV-2抗体」という表現から除外される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の複合糖質又はワクチンは、中和活性を有する抗体の産生を誘導し得る。本明細書で使用する場合、「中和活性」という表現は、SARS-CoV-2ビリオン粒子に結合し、感受性宿主細胞に感染するそれらの能力を阻害するリガンド(例えば、抗体)を指す。
【0172】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される式(I)又は(II)の複合糖質は、好適な担体材料(例えば、担体タンパク質若しくはペプチド、又は非タンパク質性ポリマー材料)にコンジュゲートした炭水化物抗原を含んでもよく、これらの炭水化物抗原は、TF抗原、Tn抗原、又はそれらの任意の組み合わせを含むか、又はそれらからなる。
【0173】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の炭水化物抗原は、例えば、体液性免疫応答の誘発が所望されるのか細胞性免疫応答の誘発が所望されるのかどうかに応じて、B細胞エピトープ又はT細胞エピトープを含む担体材料にコンジュゲートされてもよい。いくつかの態様では、炭水化物抗原は、配列番号3又は4のSARS-CoV-2 Sタンパク質断片に、例えば、配列番号3の4位及び/若しくは6位で、又は配列番号4の323位、325位、及び/若しくは678位で共有結合的にコンジュゲートされてもよい。特に、配列番号4の678位(R682におけるスパイクタンパク質のフューリン切断部位に近い)は、コア-1及びコア-2構造によりO-グリコシル化されることが報告されている。
【0174】
いくつかの態様では、担体タンパク質又はペプチドは、配列番号4のSARS-CoV-2 Sタンパク質配列の免疫原性断片を含んでもよく、これらの断片は、配列番号4の323位、325位、及び/又は678位にコンジュゲートした1つ以上の炭水化物抗原を含む。いくつかの態様では、炭水化物抗原は、配列番号3のSARS-CoV-2 Sタンパク質断片のバリアント、例えば、4位及び/又は6位の残基が、炭水化物抗原への化学的結合を容易にし得るリシン及び/又はシステイン残基で代置され得るバリアントに共有結合的にコンジュゲートされてもよい。いくつかの態様では、担体タンパク質又はペプチドは、323位、325位、及び/又は678位にリシン又はシステインを有する配列番号4のSARS-CoV-2 Sタンパク質配列のバリアントの免疫原性断片を含んでもよく、この断片は、配列番号4の323位、325位、及び/又は678位のリシン又はシステイン残基にコンジュゲートした1つ以上の炭水化物抗原を含む。リシン残基の場合、炭水化物抗原は、本明細書に記載のコンジュゲーション方法を介して担体タンパク質にコンジュゲートさせてもよい。システイン残基の場合、炭水化物抗原は、記載のコンジュゲーション方法を介して担体タンパク質にコンジュゲートさせてもよい。このため、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の担体材料は、配列番号3のペプチド、又は4位及び/若しくは6位にシステイン若しくはリシンを含む配列番号3のペプチドのバリアントを含むか、又はそれからなってもよい。いくつかの実施形態では、配列番号3のペプチド又はペプチドバリアントは、担体材料に含まれても(例えば、アミノ酸配列に組換え操作される)、担体材料に融合されてもよい(例えば、融合タンパク質として)。
【0175】
いくつかの実施形態では、担体材料は、破傷風トキソイド(Tetanus Toxoid、TT)、ジフテリアトキソイド(Diphtheria Toxoid、DT)、交差反応性物質197(cross-reacting material 197、CRM197)、髄膜炎菌外膜タンパク質複合体(Meningococcal Outer Membrane Protein Complex、OMPC)、H.InfluenzaeプロテインD(H.Influenzae Protein D、HID)、ウイルス様粒子(virus-like particle、VLP)、サイトカイン、免疫原性ペプチド、例えば、破傷風毒素831-844(配列番号1又は2)、破傷風毒素830-843(配列番号5)、アルブミン(ウシ血清アルブミン又はヒト血清アルブミンなど)、キーホールリンペットヘモシアニン(keyhole limpet hemocyanin、KLH)、又はその免疫原性断片であるか、それに由来するか、又はそれを含む。
【0176】
いくつかの態様では、本明細書で定義される式(I)又は(II)の1つ以上の複合糖質と、薬学的に許容される賦形剤及び/又はアジュバントとを含む、SARS-CoV-2若しくはCOVID-19ワクチン又は適応免疫応答誘導組成物が本明細書に記載される。本複合糖質は、概して、例えばSARS-CoV-2のS(又はS1)タンパク質上に発現される炭水化物抗原など、SARS-CoV-2ビリオン上に発現される1つ以上の炭水化物抗原を含む。本明細書に記載のSARS-CoV-2ワクチンに好適な炭水化物抗原は、ワクチンを投与される対象において自己免疫応答を誘発するリスクを低減するために、異常なグリコシル化パターンである炭水化物抗原、すなわち、対象の正常又は健康な細胞及び組織上では発現されない炭水化物抗原である。
【0177】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の複合糖質又は本明細書に記載のSARS-CoV-2ワクチンは、SARS-CoV-2ビリオン粒子に結合する抗体の産生を誘導し、好ましくは、中和活性を有する(例えば、SARS-CoV-2ビリオン粒子が感受性宿主細胞に感染する能力を阻害する)。
【0178】
別の態様では、本明細書はまた、式(AAPG)の化合物
【0179】
【化36】
(式中、nが1~5の整数であり、R
2がAcであり、PGが、PhCH、Me
2C、O=C、Me
2Si、及び2,6-ビス(トリフルオロメチル)フェニル-Bから選択される二価の保護基である)に関する。
【0180】
いくつかの実施形態では、二価のPG保護基は、PhCHである。
【0181】
いくつかの実施形態では、式(AAPG)において、nは1~3の整数である。好ましい実施形態では、nは1又は2である。別の実施形態では、nは1である。
【0182】
いくつかの実施形態では、式(AAPG)の化合物は、本明細書に記載の式(I)又は(II)の複合糖質の産生において中間体として使用することができる。いくつかの実施形態では、式(AAPG)の化合物は、それ自体を、本明細書に記載のプロセスにより調製することができる。
【0183】
いくつかの実施形態では、化合物(AAPG)は、以下の式
【0184】
【0185】
更なる態様では、本明細書はまた、式
【0186】
【0187】
項目
以下の項目のうちの1つ以上が本明細書に記載される。
【0188】
1.式(A)の反応性炭水化物
【0189】
【化39】
(式中、R
1がHであり、nが1~5の整数である)を合成するためのプロセスであって、
加熱下で、式(A
0)の化合物
【0190】
【化40】
を、HO-(CH
2)
n-CH=CH
2と、プロトンを遊離させることができる酸の存在下で反応させて、式(A)の化合物を含む反応混合物を生じさせることと、
反応混合物を冷却して、式(A)の化合物を含む冷却された混合物を得ることと、を含む、プロセス。
【0191】
2.酸が、塩化アセチル、酢酸、酸性カチオン交換樹脂、カンファースルホン酸、p-トルエンスルホン酸一水和物、HCl、又はそれらの任意の混合物を含む、条項1に記載のプロセス。
【0192】
3.酸が塩化アセチルを含む、条項1又は2に記載のプロセス。
【0193】
4.式(A0)の化合物を反応させることが、式(A0)の化合物を、HO-(CH2)n-CH=CH2及び塩化アセチルを含む溶液に、約0℃~約25℃の混合温度で加えて、式(A0)の化合物、HO-(CH2)n-CH=CH2、及びHClを含む低温の中間反応混合物を生じさせることを含む、条項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【0194】
5.混合温度が、約0℃、又は約0℃~約10℃、又は約0℃~約20℃、又は約10℃~約20℃、約10℃~約25℃である、条項4に記載のプロセス。
【0195】
6.HO-(CH2)n-CH=CH2及び塩化アセチルを含む溶液が、不活性雰囲気下、約0℃の温度で調製される、条項4又は5に記載のプロセス。
【0196】
7.式(A0)の化合物を反応させることが、中間反応混合物を、熱源と、約40℃~約80℃の温度で接触させることを含む、条項4~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【0197】
8.加熱が、約40℃~約80℃の反応温度で、約30分~5時間の反応時間にわたって行われる、条項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【0198】
9.反応温度が約60℃~約80℃である、条項8に記載のプロセス。
【0199】
10.反応温度が約70℃である、条項8又は9に記載のプロセス。
【0200】
11.反応時間が約30分~約1時間である、条項8~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【0201】
12.反応時間が約30分~約45分である、条項8~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【0202】
13.反応時間が約30分である、条項8~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【0203】
14.酸が、酢酸、酸性カチオン交換樹脂、カンファースルホン酸、p-トルエンスルホン酸一水和物、HCl、又はそれらの任意の混合物を含む、条項1又は2に記載のプロセス。
【0204】
15.式(A0)の化合物をHO-(CH2)n-CH=CH2と反応させることが、式(A0)の化合物、HO-(CH2)n-CH=CH2、及び酸を含む溶液を加熱することを含む、条項14に記載のプロセス。
【0205】
16.溶液が、ジクロロメタン、クロロホルム、1,3-ジオキソラン、ジエトキシメタン、ジメトキシメタン、2,5,7,10-テトラオキサウンデカン、ジプロポキシメタン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される溶媒を更に含む、条項15に記載のプロセス。
【0206】
17.反応が、約30℃~約70℃の温度で行われる、条項15又は16に記載のプロセス。
【0207】
18.反応が、約0.5時間~約15時間、又は約0.5時間~約10時間、又は約0.5時間~約5時間、又は約0.5時間~約2時間の反応時間で行われる、条項15~17のいずれか一項に記載のプロセス。
【0208】
19.冷却された混合物を中和することを更に含む、条項1~18のいずれか一項に記載のプロセス。
【0209】
20.式(A)の化合物を単離することを更に含む、条項1~19のいずれか一項に記載のプロセス。
【0210】
21.式(AAPG)の反応性炭水化物
【0211】
【化41】
(式中、R
2が一価の保護基であり、PGが二価の保護基であり、nが1~5の整数である)を合成するためのプロセスであって、
金属含有ゼオライトの存在下で、式(A
PG)の化合物
【0212】
【0213】
【化43】
(式中、Xが、-I、-Br、-Cl、-CN、-OTf(トリフレート)、-OMs(メシレート)、-OTs(トシレート)、メチルスルフェート、又はトリクロロアセトイミデートである)と反応させることを含む、プロセス。
【0214】
22.金属含有ゼオライト中の金属が、Ag、Al、Cd、Co、Cu、Fe、Ga、In、Mo、Pd、Pt、Sn、Sb、V、Zr、又はそれらの任意の混合物を含む、条項21に記載のプロセス。
【0215】
23.金属含有ゼオライトが、Sn-ベータ、Zr-ベータ、Al-ベータ(OH)、Al-ベータ(F)、Pt@MCM-22、K-PtSn/MFI、0.3Pt/0.5 Sn-Si-ベータ、Pt/Sn 2.0-ベータ、0.5 CoSi-ベータ、V-ベータ、H-[Fe]ZSM-5、Fe-BEA、Ga-ベータ、Ga-ベータ-200、Mo/HZSM-5、又はそれらの任意の混合物からなる群から選択されるゼオライトを含む、条項21に記載のプロセス。
【0216】
24.金属含有ゼオライトが銀含有ゼオライトを含む、条項21に記載のプロセス。
【0217】
25.反応が、トルエン、ジクロロメタン-トルエン混合物、DMSO-トルエン混合物、及びN-メチルピロリドン-トルエン混合物からなる群から選択される有機溶媒中で行われる、条項21~24のいずれか一項に記載のプロセス。
【0218】
26.反応が、トルエン中で行われる、条項21~25のいずれか一項に記載のプロセス。
【0219】
27.反応が、モレキュラーシーブの存在下で行われる、条項21~26のいずれか一項に記載のプロセス。
【0220】
28.反応が、タイプ3Å、タイプ4Å、タイプ5Å、タイプ13X、又はそれらの任意の混合のモレキュラーシーブの存在下で行われる、条項21~27のいずれか一項に記載のプロセス。
【0221】
29.反応が、約20℃~約80℃の温度で行われる、条項21~28のいずれか一項に記載のプロセス。
【0222】
30.反応が、約20℃~約50℃の温度で行われる、条項21~29のいずれか一項に記載のプロセス。
【0223】
31.反応が、約20℃~約30℃の温度で行われる、条項21~30のいずれか一項に記載のプロセス。
【0224】
32.反応が、約5時間~約50時間行われる、条項21~31のいずれか一項に記載のプロセス。
【0225】
33.反応が、約5時間~約30時間行われる、条項21~32のいずれか一項に記載のプロセス。
【0226】
34.反応が、約60~約80℃で約15時間~約20時間行われる、条項21~31のいずれか一項に記載のプロセス。
【0227】
35.反応が、約20℃~約25℃で約20時間~約30時間行われる、条項21~31のいずれか一項に記載のプロセス。
【0228】
36.R2が、Ac、Bz、アリル、ベンゾエート、メトキシメチル(MOM)、テトラヒドロプロピラニル(THP)、t-ブチル、ピバレート、t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、及びt-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)からなる群から選択される、条項21~35のいずれか一項に記載のプロセス。
【0229】
37.R2が、Ac又はBzである、条項21~36のいずれか一項に記載のプロセス。
【0230】
38.PGが、PhCH、Me2C、O=C、Me2Si、及び2,6-ビス(トリフルオロメチル)フェニル-Bからなる群から選択される、条項21~37のいずれか一項に記載のプロセス。
【0231】
39.PGが、PhCHである、条項21~38のいずれか一項に記載のプロセス。
【0232】
40.Xが、Brである、条項21~39のいずれか一項に記載のプロセス。
【0233】
41.反応が、不活性雰囲気下で行われる、条項21~40のいずれか一項に記載のプロセス。
【0234】
42.式(AAPG)の化合物を単離することを更に含む、条項21~41のいずれか一項に記載のプロセス。
【0235】
43.(APG)の化合物が、式(A)の化合物
【0236】
【化44】
(式中、R
1が、Hであり、保護基PGを有する)を保護することにより形成される、条項21~42のいずれか一項に記載のプロセス。
【0237】
44.式(A)の化合物を保護することが、PhCH(OMe)2、トリホスゲン、Me2SiCl2、Me2C(OMe)2、2-メトキシプロペン、及び2,6-ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸エステルからなる群から選択される化合物との反応により行われる、条項43に記載のプロセス。
【0238】
45.式(A)の化合物を保護することが、DMF、ジメチルアセトアミド(DMAC)、DMSO、THF、ジオキサン、1-3ジオキソラン、アセトニトリル、2,5-ジメチルテトラヒドロフラン(DMTHF)、ガンマ-バテロラクトン(GVL)、ジヒドロレボグルコセロン(Cyrene)、レブリン酸メチル(ML)、レブリン酸エチル(EL)、レブリン酸エチルプロピレングリコールケタール(ELPK)、グルタル酸ジメチル(DMG)、ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、グリコフロール(THFP)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート([emim][OAc])、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される有機溶媒中で行われる、条項43又は44に記載のプロセス。
【0239】
46.式(A)の化合物が、条項1~20のいずれか一項に記載のプロセスにより得られる、条項43~45のいずれか一項に記載のプロセス。
【0240】
47.式(AA)の反応性炭水化物
【0241】
【化45】
(式中、nが1~5の整数である)を合成するためのプロセスであって、
プロセスが、条項21~46のいずれか一項に記載のプロセスにより得られた式(AA
PG)の化合物を脱保護することを含む、プロセス。
【0242】
48.脱保護することが、式(AAPG)の化合物を塩基性溶液と反応させて、中間生成物を形成させ、次いで中間生成物を酸性溶液で処理することを含む、条項47に記載のプロセス。
【0243】
49.塩基性溶液が、メトキシド、エトキシド、及び2-メチルプロパン-2-オレートからなる群から選択される塩基を含み、好ましくは、塩基がナトリウムメトキシドである、条項48に記載のプロセス。
【0244】
50.塩基性溶液が、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールからなる群から選択される溶媒を含み、好ましくは、溶媒がメタノールである、条項48又は49に記載のプロセス。
【0245】
51.酸性溶液が、酢酸-水混合物又はエタノール酸-水混合物を含み、好ましくは酸性溶液が酢酸水溶液である、条項48~50のいずれか一項に記載のプロセス。
【0246】
52.塩基性溶液と反応させることが、約0℃~約50℃の温度、好ましくは室温で行われる、条項48~51のいずれか一項に記載のプロセス。
【0247】
53.塩基性溶液と反応させることが、約0.5時間~約5時間、好ましくは約1時間~約2時間の期間にわたって行われる、条項48~52のいずれか一項に記載のプロセス。
【0248】
54.酸性溶液で処理することが、約50℃~約70℃、好ましくは約60℃の温度で行われる、条項48~53のいずれか一項に記載のプロセス。
【0249】
55.酸性溶液による処理が、約1時間~約5時間、好ましくは約1時間~約2時間の期間にわたって行われる、条項48~54のいずれか一項に記載のプロセス。
【0250】
56.式(AAPG)の化合物と反応させた後に塩基性溶液を中和し、いずれの液体も蒸発させて、中間生成物を粗形態で得ることを更に含む、条項48~55のいずれか一項に記載のプロセス。
【0251】
57.中間生成物が、酸性溶液で処理されるとき、粗である、条項48~56のいずれか一項に記載のプロセス。
【0252】
58.式(AA)の反応性炭水化物を合成するためのプロセスであって、
【0253】
【0254】
【化47】
(式中、nが1~5の整数であり、R
2が一価の保護基であり、PGが二価の保護基である)の脱保護を含み、
脱保護が、式(AA
PG)の化合物を塩基性溶液と反応させて中間粗生成物を形成させ、次いで、中間粗生成物を酸性溶液で処理することを含む、プロセス。
【0255】
59.塩基性溶液が、メトキシド、エトキシド、及び2-メチルプロパン-2-オレートからなる群から選択される塩基を含み、好ましくは、塩基がナトリウムメトキシドである、条項58に記載のプロセス。
【0256】
60.塩基性溶液が、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールからなる群から選択される溶媒を含み、好ましくは、溶媒がメタノールである、条項58又は59に記載のプロセス。
【0257】
61.酸性溶液が、酢酸-水混合物又はエタノール酸-水混合物を含み、好ましくは酸性溶液が酢酸水溶液である、条項58~60のいずれか一項に記載のプロセス。
【0258】
62.塩基性溶液と反応させることが、約0℃~約50℃の温度、好ましくは室温で行われる、条項58~61のいずれか一項に記載のプロセス。
【0259】
63.塩基性溶液と反応させることが、約0.5時間~約5時間、好ましくは約1時間~約2時間の期間にわたって行われる、条項58~62のいずれか一項に記載のプロセス。
【0260】
64.酸性溶液で処理することが、約50℃~約70℃、好ましくは約60℃の温度で行われる、条項58~63のいずれか一項に記載のプロセス。
【0261】
65.酸性溶液による処理が、約1時間~約5時間、好ましくは約1時間~約2時間の期間にわたって行われる、条項58~64のいずれか一項に記載のプロセス。
【0262】
66.式(AAPG)の化合物と反応させた後に塩基性溶液を中和し、いずれの液体も蒸発させて、中間粗生成物を得ることを更に含む、条項58~65のいずれか一項に記載のプロセス。
【0263】
67.R2が、Ac又はBz、好ましくはBzである、条項58~66のいずれか一項に記載のプロセス。
【0264】
68.PGが、PhCH、Me2C、O=C、Me2Si、及び2,6-ビス(トリフルオロメチル)フェニル-Bからなる群から選択される、条項58~67のいずれか一項に記載のプロセス。
【0265】
69.PGが、PhCHである、条項58~68のいずれか一項に記載のプロセス。
【0266】
70.式(B)又は式(BB)の反応性炭水化物
【0267】
【化48】
(式中、nが1~5の整数であり、mが1~5の整数であり、LGは、式(B)又は(BB)の化合物がアミノ基と反応するときにアミド結合形成を可能にする脱離基である)を合成するためのプロセスであって、
式(C)の化合物
【0268】
【0269】
【化50】
(式中、R
1がHである)と反応させて、式(B)の化合物を形成するか、
又は
式(AA)の化合物
【0270】
【化51】
と反応させて、式(BB)の化合物を形成する、プロセス。
【0271】
71.式(C)の化合物を式(A)又は(AA)の化合物と反応させることが、光開始剤の存在下で行われる、条項70に記載のプロセス。
【0272】
72.光開始剤が、フリーラジカル生成アゾ化合物、フェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィン酸リチウム(LAP)、金属又は金属イオン系光開始剤、過酸化物、過硫酸アンモニウム、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(DMPA)、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項71に記載のプロセス。
【0273】
73.フリーラジカル生成アゾ化合物が、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)(ACVA)、1,1’-アゾビス(シアノシクロヘキサン)(ACHN)、ジアゼンジカルボン酸ビス(N,N-ジメチルアミド)(TMAD)、アゾジカルボン酸ジピペリジド(ADD)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(AAPH)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、4,4’-(ジアゼン-1,2-ジイル)ビス(4-シアノペンタン酸)、2,2’-アゾジ(2-メチルブチロニトリル)、及びそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される、条項72に記載のプロセス。
【0274】
74.過酸化物が、tert-ブチルペルオキシイソブチレート、tert-ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項72又は73に記載のプロセス。
【0275】
75.式(C)の化合物を式(A)又は(AA)の化合物と反応させることが、水又は有機溶媒中で行われる、条項70~74のいずれか一項に記載のプロセス。
【0276】
76.式(C)の化合物を式(A)又は(AA)の化合物と反応させることが、水、ジオキサン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、ジイソプロピルエーテル、イソプロパノール、クロロベンゼン、メチル-tert-ブチルエーテル、メタノール、エタノール、tert-ブタノール、クロロホルム、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される溶媒中で行われる、条項70~75のいずれか一項に記載のプロセス。
【0277】
77.式(C)の化合物を式(A)又は(AA)の化合物と反応させることが、約40℃~約110℃の範囲の温度で行われる、条項70~76のいずれか一項に記載のプロセス。
【0278】
78.式(C)の化合物を式(A)又は(AA)の化合物と反応させることが、約1時間~約10時間の期間にわたって行われる、条項70~77のいずれか一項に記載のプロセス。
【0279】
79.式(C)の化合物を式(A)又は(AA)の化合物と反応させることが、可視光吸収遷移金属光触媒の存在下、可視光下で行われる、条項70に記載のプロセス。
【0280】
80.式(C)の化合物を式(A)又は(AA)の化合物と反応させることが、紫外線照射下で行われる、条項70に記載のプロセス。
【0281】
81.式(C)の化合物を式(A)又は(AA)の化合物と反応させることが、光開始剤の存在下、紫外線照射下で行われる、条項70に記載のプロセス。
【0282】
82.光開始剤が、2,2’-アジドビス[2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(DMPA)、及びそれらの組み合わせ、からなる群から選択される、条項81に記載のプロセス。
【0283】
83.式(C)の化合物を式(A)又は(AA)の化合物と反応させることが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はそれらの任意の組み合わせなどのアルコール溶媒中で行われる、条項80~82のいずれか一項に記載のプロセス。
【0284】
84.式(C)の化合物を式(A)又は(AA)の化合物と反応させることが、約20℃~約30℃の範囲の温度で行われる、条項80~83のいずれか一項に記載のプロセス。
【0285】
85.式(C)の化合物を式(A)又は(AA)の化合物と反応させることが、約1時間~約24時間の期間にわたって行われる、条項80~84のいずれか一項に記載のプロセス。
【0286】
86.紫外線照射が、短波長、中波長、又は長波長の紫外線照射である、条項80~85のいずれか一項に記載のプロセス。
【0287】
87.mが1~3の整数である、条項70~86のいずれか一項に記載のプロセス。
【0288】
88.mが2である、条項70~87のいずれか一項に記載のプロセス。
【0289】
89.LGが、OPhF-5若しくはOPhF4(para SO3Na)などのO-フルオロフェニル基、又はO-(N-スクシンイミジル)基である、条項70~88のいずれか一項に記載のプロセス。
【0290】
90.LGがO-(N-スクシンイミジル)基である、条項70~89のいずれか一項に記載のプロセス。
【0291】
91.式(A)の化合物が、条項1~20のいずれか一項に記載のプロセスにより得られる、条項70~90のいずれか一項に記載のプロセス。
【0292】
92.式(A)の化合物が、条項47~69のいずれか一項に記載のプロセスにより得られる、条項70~90のいずれか一項に記載のプロセス。
【0293】
93.式(I)又は(II)の複合糖質
【0294】
【化52】
(式中、nが1~5の整数であり、mが1~5の整数であり、pが1~50の整数であり、
【0295】
【化53】
が、コンジュゲーションに利用可能な少なくとも1つのアミノ基を含む担体材料である)を調製するためのプロセスであって、
担体材料の少なくとも1つの遊離アミノ基を、式(B)の化合物とコンジュゲートさせて、式(I)の複合糖質を形成させるか、又は式(BB)の化合物とコンジュゲートさせて、式(I)の複合糖質を形成させることを含み、式(B)及び(BB)の化合物が、条項70~92のいずれか一項に記載のプロセスにより得られる、プロセス。
【0296】
94.担体材料が、タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドを含む、条項93に記載のプロセス。
【0297】
95.nが1~3の整数である、条項1~94のいずれか一項に記載のプロセス。
【0298】
96.nが1又は2である、条項1~95のいずれか一項に記載のプロセス。
【0299】
97.nが1である、条項1~96のいずれか一項に記載のプロセス。
【0300】
98.式(AAPG)の化合物であって、
【0301】
【化54】
式中、nが1~5の整数であり、R
2がAcであり、PGが、PhCH、Me
2C、O=C、Me
2Si、及び2,6-ビス(トリフルオロメチル)フェニル-Bから選択される二価の保護基である、化合物。
【0302】
99.PGがPhCHである、条項98に記載の化合物。
【0303】
100.nが1~3の整数である、条項98又は99に記載の化合物。
【0304】
101.nが1又は2である、条項98~100のいずれか一項に記載の化合物。
【0305】
102.nが1である、条項98~101のいずれか一項に記載の化合物。
【0306】
103.式
【0307】
【0308】
104.式
【0309】
【実施例】
【0310】
種々の反応性炭水化物を、反応スキーム2に従って、以下に更に詳述するように合成した。加えて、複合糖質(I)及び(II)を形成させるためにタンパク質コンジュゲーションを行い、コンジュゲーションを、ELISA、ウエスタンブロット、MALDI-TOF、及びBradfordアッセイにより評価した。
【0311】
【0312】
反応は、市販のHPLCグレードを使用してアルゴン雰囲気下で実行した。市販の試薬(Sigma Aldrich and Fisher Scientific,Canada)を更に精製することなく使用した。N-アセチル-D-ガラクトサミンは、Rose Scientific Ltd.、Alberta,Canadaから提供された。反応の進行は、シリカゲル60 F254被覆プレート(E.Merck)を使用した薄層クロマトグラフィーによりモニタリングした。フラッシュクロマトグラフィーは、Canadian Life Science製のZEOprep(商標)シリカゲル60(40~63μm)又はBuchi製のFlasuPure(商標)システムを使用して行った。検出は、UV光下で、又は20%エタノール硫酸若しくはモリブデン酸塩若しくはKMnO4溶液を噴霧した後、加熱することにより、実行したNMRスペクトルは、Bruker ULTRASHIELD(商標)300MHz並びにBruker Avance(商標)III HD 400及び600MHz分光計で記録した。プロトン及び炭素の化学シフト(δ)は、7.27ppm(1H)及び77.00ppm(13C)に設定した残留CHCl3の化学シフトに対してppmで報告する。カップリング定数(J)はヘルツ(Hz)で報告し、ピーク多重度については以下の略語を使用する:一重項(s)、二重項(d)、二重項の二重項(dd)、等しいカップリング定数を有する二重項の二重項(tap)、三重項(t)、多重項(m)。分析及び代入は、COSY(相関分光法)及びHSQC(異核種単一量子コヒーレンス法)実験を使用して行った。高分解能質量スペクトル(high-resolution mass spectra、HRMS)は、Thermo Scientific製のLC-MS-TOF(液体クロマトグラフィー質量分析飛行時間型)機器を正及び/又は負のエレクトロスプレーモードで用いて測定した。プロトン化イオン(M+H)+又はナトリウム付加物(M+Na)+のいずれかを実験式確認のために使用した。LC法:試料を、両方とも0.1%酢酸を含む水(A)及びアセトニトリル(B)を伴うDionex Ultimate(商標)3000システム(Thermo Scientific)を使用する5μm粒子を有するPrePure(商標)C18 150×4,6mmカラム上に、800μL/分の流量で、室温で注入した(2μL)。勾配は5%Bで開始し、0,5分間保持した。これを1分間で15%Bに、次いで14,5分間で27%Bに、次いで4分間で95%Bに増加させた。勾配を95%Bで2分間保持した後、これを1分間で5%Bに減少させた。最後に、勾配を5%Bで1分間保持した。合計時間は24分である。MS法:MSスペクトルは、4.5kVのソース電圧、320℃のソース温度に設定した陽イオンモードのHESIイオン源を装備したTSQ Quantum Access Max(商標)(Thermo Scientific)で収集した。MS取得は、SCANモードでm/z200~1000であった。データは、Thermo XCalibur Qual Browser(商標)を使用して分析した。
【0313】
実施例1:アリル2-アセトアミド-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシド(2)の合成
塩化アセチル(4.85mL、68.0mmol、3.4当量)を、N2下0℃でアリルアルコール(80mL)に加えた。溶液をこの温度で1時間撹拌した後、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc、(1)、4.42g、20.0mmol、1.0当量)を溶液に室温で加えた。混合物を70℃で1時間撹拌した。溶液を室温まで冷却した後、0℃に保った。溶液をMeOH(40mL)で希釈し、pH7.0に達するまで固体NaHCO3(8.0g)で中和した。混合物をセライト(商標)のパッド下で濾過し、MeOHで洗浄した。次に、溶媒を減圧除去した。乾燥粗生成物を、1)水(50mL)に溶解させ、DCM(4×200mL)、続いてEtOAc(200mL)で洗浄し、水層を分離させた後、-80℃に保ち、続いて凍結乾燥させるか、又は2)MeOH/ヘキサン若しくはEtOH/ジイソプロピルエーテル中で沈殿させるか、又は3)勾配(EtOAc 100%からEtOAc/MeOH 4:1)を使用するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物アリルGalNAc(2)を白色固体として得た(4.18mg、1.60mmol、80%)。Rf=0.30;ACN/H2O 95:5;1H NMR(CD3OD,600MHz):δ 5.99-5.88(m,1H,OCH2CH=CH2),5.31(dd,1H,Jtrans=17.3,Jgem=1.3Hz,OCH2CH=CH2),5.17(dd,1H,Jcis=10.5Hz,OCH2CH=CH2),4.86(d,1H,J1,2=3.8Hz,H-1),4.27(dd,1H,J2,3=11.0Hz,H-2),4.20(m,1H,OCH2),4.00(m,1H,OCH2),3.89(dd,J3,4=J4,5=2.6Hz,H-4),3.85-3.77(m,2H,H-3及びH-5),3.72(m,2H,H-6a及びH-6b)及び1.99ppm(s,3H,CH3);13C NMR(CD3OD,150MHz):δ 172.5(NHCO),134.2(OCH2CH=CH2),116.1(OCH2CH=CH2),96.6(C-1),71.2(C-3),69.0(C-4),68.3(C-5).67.8(OCH2),61.4(C-6),50.2(C-2)及び21.2ppm(CH3).ESI+-HRMS:C11H20O6Nについての[M+H]+計算値,262.1285;実測値,262.1294.LC-MS:rt=4.94分.
【0314】
実施例2:アリル2-アセトアミド-4,6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシド(3)の合成
乾燥DMF(20mL)中のアリルGalNAc(2)(2.35g、9.0mmol、1.0当量)及びベンズアルデヒドジメチルアセタール(6.75mL、45.0mmol、5.0当量)の溶液に、触媒量のp-トルエンスルホン酸一水和物を加えた。混合物を室温で撹拌した。5時間後、混合物をCHCl3で希釈し、飽和NaHCO3水溶液で洗浄した。有機層を分離させ、水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮して、白色固体を得た。ベンジリデンアセタール(化合物(3))を、EtOAc/ヘキサン中で沈殿させることにより白色固体として単離した(2.64g、7.56、84%)。Rf=0.21;DCM/MeOH 9.0:0.5;1H NMR(CDCl3,300MHz):δ 7.59-7.46(m,2H,H-ar),7.43-7.31(m,3H,H-ar),5.91(m,1H,OCH2CH=CH2),5.75(d,1H,JNH,H2=9.0Hz,NH),5.58(s,1H,PhCH),5.34-5.17(m,2H,OCH2CH=CH2),5.01(d,1H,J1,2=3.5Hz,H-1),4.56-4.42(ddd,1H,J2,3=10.9Hz,J2,OH=9.1Hz,H-2),4.34(dd,1H,J5,6a=1.5Hz,J6a,6b=12.5Hz,H-6a),4.19(m,2H,H-4及びOCH2),4.04(m,1H,dd,1H,J5,6b=1.6Hz,J6a,6b=12.5Hz,H-6b),4.01(m,OCH2),3.86(dd,1H,J3,4=10.9Hz,H-3),3.71(sb,1H,H-5),2.80(d,1H,J3,OH=10.7Hz,OH-3)及び2.05ppm(s,3H,CH3).ESI+-HRMS:C18H24O6Nについての[M+H]+計算値,350.1598;実測値,350.1608.LC-MS:rt=19.78分.
【0315】
実施例3:アリル(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-ガラクトピラノシル)-(1→3)-2-アセトアミド-4,6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシド(5a)の合成
化合物3(657mg、1.88mmol、1.0当量)及び2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-α-D-ガラクトピラノシルブロミド(化合物(4b)、3.48g、8.46mmol、4.5当量)を、4Åモレキュラーシーブ(800mg)を含む無水トルエン(60mL)中の銀交換ゼオライト(2.56g)と共に、アルゴン雰囲気下70℃で18時間撹拌した。次に、混合物をセライト(商標)のパッド下で濾別した。溶媒を減圧除去した。粗生成物を、100%ヘキサンからヘキサン/EtOAc 1:4の勾配を使用するシリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製して、所望の二糖化合物(5a)を白色固体として得た(817mg、1.20mmol、64%)。Rf=0.24;ヘキサン/EtOAc 1:4;1H NMR(CDCl3,400MHz):δ 7.57-7.50(m,2H,H-ar),7.42-7.30(m,3H,H-ar),5.97-5.80(m,1H,OCH2CH=CH2),5.63-5.545(m,3H),5.38(dd,1H,J3,4’=3.3Hz,J4,5’=1.0Hz,H-4II),5.33-5.14(m,4H),5.05(d,1H,J=3.5Hz,H-1),5.11-5.00(m,1H,H-2),4.76(d,1H,J=7.9Hz,H-1’),4.68(m,1H),4.30-3.80(m,7H),3.65(m,1H),2.15(s,3H),2.04(s,6H),1.99(s,3H)及び1.97ppm(s,3H).ESI+-HRMS:C32H42O15Nについての[M+H]+計算値,680.2549;実測値,680.2549(0.0ppm).LC-MS:rt=13.11分.
【0316】
実施例4:アリル(2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-β-D-ガラクトピラノシル)-(1→3)-2-アセトアミド-4,6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシド(5b)の合成
化合物3(101mg、0.29mmol、1.0当量)及び2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-α-D-ガラクトピラノシルブロミド(化合物(4b)、239mg、0.58mmol、2.0当量)を、4Åモレキュラーシーブを含む無水トルエン(10mL)中の銀交換ゼオライト(430mg)と共に、アルゴン雰囲気下70℃で18時間撹拌した。次に、混合物をセライト(商標)のパッド下で濾別した。溶媒を減圧除去した。粗生成物を、100%ヘキサンからヘキサン/EtOAc 1:2の勾配を使用するシリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製して、所望の二糖化合物(5b)を白色固体として得た(250mg、0.27mmol、94%)。mp:110~111℃;Rf=0.20;ヘキサン/EtOAc 1:2;1H NMR(CDCl3,600MHz):δ 8.06-7.19(m,25H,H-ar),5.98(dd,1H,J3,4’=3.3Hz,J4,5’=1.0Hz,H-4II),5.85-5.78(m,2H,OCH2CH=CH2 and H-2II),5.60(dd,1H,J2,3’=10.2Hz,J3,4’=3.4Hz,H-3II),5.48(sb,1H,NH),5.23(m,3H,OCH2CH=CH2 and H-1),4.68(dd,1H,J5’,6a’=6.9Hz,J6a’,6b’=11.4Hz,H-6aI),4.63-4.58(m,1H,H-2),4.46-4.36(m,3H,H-4.H-5 and H-6bII),4.14-4.07(m,3H,H-6a,OCH2 and H-3),3.96(m,1H,OCH2),3.75(m,1H,H-6b),3.51(m,1H,H-5)及び1.40ppm(s,3H,CH3);13C NMR(CDC13,150MHz):δ 170.0(NHCO),166.0,165.5,165.4,165.2(CO),137.6-126.2(多重,30 C-arom),133.2(OCH2CH=CH2),117.8(OCH2CH=CH2),102.0(C-1II),100.9(CPhCH),97,3(C-1I),76.1(C-3),75.4(C-4),71.7(C-3II及びC-5II),70.2(C-2II),69.1(C-6),68.6(OCH2),68.1(C-4II),62.9(C-5),62.6(C-6I),48.2(C-2)及び22.5ppm(CH3).ESI+-HRMS:C52H50O15Nについての[M+H]+計算値,928.3175;実測値,928.3133.
【0317】
実施例5:アリル(β-D-ガラクトピラノシル)-(1→3)-2-アセトアミド-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシド(6)の合成
メタノール中1Mナトリウムメトキシド(12mL、pH8~9)中の化合物(5b)(1.12g、1.20mmol、1.0当量)の溶液を、出発物質が消費されるまで室温で撹拌した。1.5時間後、溶液をイオン交換樹脂(Amberlite(商標)IR 120、H+)を加えることにより中和し、濾過し、MeOHで洗浄し、溶媒を減圧除去して、中間体を白色固体として得た。次に、白色固体中間体を10mLの60%酢酸水溶液に溶解させ、得られた溶液を60℃で1.5時間撹拌した。溶媒を減圧除去し、残留物を水に溶解させ、ジクロロメタンで数回、EtOAcで2回洗浄した。次に、水層を凍結乾燥させて、脱保護したアリル化合物(6)を白色固体として得た(400mg、0.94mmol、79%)。mp=230~232℃;Rf=0.53;CHCl3/MeOH/H2O 11:6:1;1H NMR(D2O,600MHz):δ 5.80(m,1H,OCH2CH=CH2),5.19(dd,1H,Jtrans=17.3Hz,OCH2CH=CH2),5.09(dd,1H,Jcis=10.4Hz,OCH2CH=CH2),4.77(d,1H,J1,2=3.7Hz,H-1),4.29(d,1H,J1,2=3.7Hz,H-1),4.29(d,1H,J1,2=7.8Hz,H-1II),4.16(dd,1H,J2,3=11.2Hz,J1,2=3.7Hz,H-2),4.08-4.01(m,2H,H-4 and OCH2),3.92-3.82(m,3H,H-3,H-5 and OCH2),3.73(dd,1H,H-4II),3.63-3.52(m,4H,H-6a,b及びH-6’a,b),3.47(m,2H,H-3II and H-5II),3.39(dd,1H,J2’,3’=10.0Hz,J1’,2’=7.7Hz,H-2II)及び1.85ppm(s,3H,CH3);13C NMR(D2O,150MHz):δ 174.6(NHCO),133.7(OCH2CH=CH2),117.9(OCH2CH=CH2),104.7(C-1II),96.4(C-1),77.2(C-3),75.0(C-5II),72.5(C-3II),70.7(C-5),70.6(C-2II),68.8(C-4),68.6(C-4II),68.4(OCH2),61.2(C-6II),61.0(C-6),48.6(C-2)及び22.0ppm(CH3).ESI+-HRMS:C17H29O11NNaについての[M+Na]+計算値,446.1633;実測値,446.1613.LC-MS:rt=4.77分.
【0318】
実施例6:N-スクシンイミジル-3-{[3-(β-D-ガラクトピラノシル)-(1→3)-2-アセトアミド-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシル)オキシプロピル]チオ}プロパノエート(11b)及びタンパク質CRM197とのコンジュゲーションによる複合糖質(II)の形成
化合物(6)(138mg、0.53mmol、1.0当量)、化合物(7)(538mg、2.65mmol、5当量-Sigma-Aldrichから市販)、及び4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)(ACVA、1.5mg、0.05mmol、0.1当量)を、脱気したアセトニトリル(5mL)中、還流(70℃)で2時間撹拌した。室温に戻した後、溶媒を減圧除去した。化合物(6)及び化合物(7)はまた、THF/水(1:1;v/v)中のDMPA(0.1当量)を用いて、UV照射(280~320nm)下25℃で20分間再活性化することができる。粗生成物を水に懸濁させ、ジクロロメタンで数回、EtOAcで2回洗浄することにより抽出して、スクシンイミド試薬を除去した。粗化合物(11b;NHS-TF)を含む最終水層を-80℃まで冷却して凍結乾燥させた。次に、粗化合物(11b)を、いかなる精製も更に行うことなく、タンパク質CRM197とのコンジュゲーション工程に直接使用して、複合糖質(II;CRM-TF)を得た。また、粗白色固体を同様にC-18上の逆分取HPLCにより精製して、白色固体11bを得た。純粋な化合物(11b)をタンパク質CRM197とのコンジュゲーション工程に使用して、複合糖質II;CRM-TF)を得た。1H NMR(D2O,400MHz):δ 4.83(d,1H,J=3.7Hz,H-1),4.40(d,1H,J=7.7Hz,H-1II),4.25(dd,1H,J=17.0,6.9Hz),4.18(d,1H,J=2.6Hz),4.02-3.90(m,2H),3.84(d,1H,J=3.1Hz),3.80-3.62(m,5H),3.62-3.40(m,4H),3.02(t,2H,J=6.7Hz),2.96-2.83(m,5H),2.79-2.55(m,3H),1.96(s,3H)及び1.87(dd,2H,J=12.9,6.4Hz);13C NMR(D2O,100MHz,):δ 176.6,174.6,173.3,169.2,104.8,97.2,77.3,75.0,72.6,70.6,68.8,68.6,66.4,66.3,61.2,61.0,48.7,34.3,31.4,28.4,28.2,26.3,25.7,25.6,25.2,及び22.0ppm(CH3).ESI+-HRMS:C24H38O15N2SNaについての[M+Na]+計算値,649.18851;実測値,649.18838,0.2ppm.HPLC:Tr=10.747.
【0319】
コンジュゲーション工程のために、担体タンパク質を、遠心濾過(Amicon(商標)MWCO;10又は30K)によりpH8のPBSに緩衝液交換し、その濃度を2mg/mlに調整した。標準としてBSAを用いるBradfordアッセイを使用して、タンパク質濃度を測定した。水中の化合物(11b)の新鮮な20mM溶液を、1mg/mlの最終タンパク質濃度に達するようにタンパク質に加えることにより、タンパク質へのコンジュゲーションを開始した。タンパク質に加える化合物(11b)の量は、タンパク質の表面接近可能リシンの数及び意図されるコンジュゲーションの最終比に応じて調整することができる。次に、溶液を90分間ボルテックスした後、pH7.4のPBSを使用する遠心濾過(Amicon(商標)MWCO;10又は30K)、又はゲル濾過により洗浄した。
【0320】
タンパク質の化合物(11b)へのコンジュゲーション、すなわち、複合糖質(II)の取得を、ELISA、ウエスタンブロット、MALDI-TOF、及びBradfordアッセイにより実証した。
【0321】
NHS-TF(化合物(11b))対タンパク質のリシン総数の3つの異なる比(0.2、0.6、3)での、0.01μgのコンジュゲートしていないCRM197及びTFにコンジュゲートしたCRM197(CRM-TF:複合糖質(II))に対する、TF特異的レクチンピーナッツ凝集素(PNA)及び抗TFモノクローナル抗体JAAF11の反応性を、ELISAにより決定した。
図1に示すように、ELISAは、コンジュゲーション条件と得られた複合糖質の反応性との間の相関を示す。
【0322】
図2は、NHS-TF(化合物(11b))対タンパク質のリシン総数の3つの異なる比での、1μgのコンジュゲートしていないCRM197及びTFにコンジュゲートしたCRM197(CRM-TF:グリコンジュゲート(II))のクマシー染色SDS-PAGEゲルを示す。コンジュゲートしていないCRMと比べて、コンジュゲーションの条件の関数としての複合糖質バンドの移動度の減少が観察され、これは、CRMがコンジュゲートされていることを示す。
【0323】
検出されたNHS-TF(化合物(11b))対タンパク質のリシン総数の3つの異なる比での、1μgのコンジュゲートしていないCRM197及びTFにコンジュゲートしたCRM197(CRM-TF:グリコンジュゲート(II))のウエスタンブロットを、TF特異的レクチンピーナッツ凝集素(PNA)及び抗TFモノクローナル抗体JAAF11を使用して記録した。
図3に示すように、ウエスタンブロットにより、コンジュゲーション条件に関連して増加する分子量のPNA及びJAAF11の両方に対する反応性バンドが明らかになり、これは、CRMがコンジュゲートしていること、及びコンジュゲートしていないCRMに対する反応性の非存在を示す。
【0324】
NHS-TF(化合物(11b))対タンパク質のリシン総数の3つの異なる比での、コンジュゲートしていないCRM197及びTFにコンジュゲートしたCRM197(CRM-TF:グリコンジュゲート(II))のMALDI-TOFスペクトルを記録した。
図4に示すように、スペクトルにより、コンジュゲーションの条件の関数として質量の増加が示される。挿入図中の表は、質量増加及びTFへのコンジュゲーションの平均モル比を示す。
【0325】
実施例7:N-スクシンイミジル-3-[3-(2-アセトアミド-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシルオキシプロピル)チオ]-プロパノエート(11a)及びタンパク質CRM197とのコンジュゲーションによる複合糖質(I)の形成
化合物(2)(200mg、0.765mmol、1.0当量)、化合物(7)(933mg、4.59mmol、6.0当量)、及び4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)(ACVA、2mg、0.08mmol、0.01当量)を、脱気したアセトニトリル及びイソプロピルアルコール(4.0mL、1:1)中、還流(70℃)で2時間撹拌した。室温に戻した後、溶媒を減圧除去した。粗生成物を水に懸濁させ、A)C18シリカゲル又はC18 HPLCでのクロマトグラフィー、又はB)ジクロロメタンで数回、EtOAcで2回洗浄することによる抽出により精製して、スクシンイミド試薬を除去した。粗化合物(11a;NHS-TN)を含む最終水層を-80℃まで冷却して凍結乾燥させた。次に、粗化合物(11a)を、いかなる精製も更に行うことなく、タンパク質CRM197とのコンジュゲーション工程に直接使用して、複合糖質(I;CRM-TN)を得た。
【0326】
コンジュゲーション工程のために、担体タンパク質を、遠心濾過(Amicon(商標)MWCO;10又は30K)によりpH8のPBSに緩衝液交換し、その濃度を2mg/mlに調整した。標準としてBSAを用いるBradfordアッセイを使用して、タンパク質濃度を測定した。水中の化合物(11a)の新鮮な20mM溶液を、1mg/mlの最終タンパク質濃度に達するようにタンパク質に加えることにより、タンパク質へのコンジュゲーションを開始した。タンパク質に加える化合物(11a)の量は、タンパク質の表面接近可能リシンの数及び意図されるコンジュゲーションの最終比に応じて調整することができる。次に、溶液を90分間ボルテックスした後、pH7.4のPBSを使用する遠心濾過(Amicon(商標)MWCO;10又は30K)、又はゲル濾過により洗浄した。
【配列表】
【国際調査報告】