(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】歯科用センサを固定するための歯科用センサシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
A61B5/00 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543077
(86)(22)【出願日】2022-01-13
(85)【翻訳文提出日】2023-07-14
(86)【国際出願番号】 EP2022050643
(87)【国際公開番号】W WO2022167189
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596032878
【氏名又は名称】イボクラール ビバデント アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】クリブス,ローベルト ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】モースマン,フロリアン
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XB01
4C117XD08
4C117XE07
4C117XE23
4C117XE29
4C117XH12
(57)【要約】
この発明は、第1の歯(103-1)に固定するための第1の歯部固定装置(101-1)と;第2の歯(103-2)に固定するための第2の歯部固定装置(101-2)と;前記第1および第2の歯部固定装置(101-1;101-2)の間のセンサレール(105)と;前記センサレール(105)に沿って位置決め可能な歯科用センサ(107)を備えてなる、歯科用センサシステム(100)に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の歯(103-1)に固定するための第1の歯部固定装置(101-1)と;
第2の歯(103-2)に固定するための第2の歯部固定装置(101-2)と;
前記第1および第2の歯部固定装置(101-1;101-2)の間のセンサレール(105)と;
前記センサレール(105)に沿って位置決め可能な少なくとも1個の歯科用センサ(107)を備えてなる、
歯科用センサシステム(100)。
【請求項2】
第1および/または第2の歯部固定装置(101-1,101-2)が歯科アタッチメントによって形成される請求項1に記載の歯科用センサシステム(100)。
【請求項3】
少なくとも1個の歯科用センサ(107)がセンサレール(105)に沿って摺動可能である請求項1または2に記載の歯科用センサシステム(100)。
【請求項4】
センサレール(105)が第1および/または第2の歯部固定装置(101-1,101-2)に取り付け可能である請求項1ないし3のいずれかに記載の歯科用センサシステム(100)。
【請求項5】
第1および/または第2の歯部固定装置(101-1,101-2)がセンサレール(105)を取り付けるための球形ヘッド(123)を備えてなる請求項4に記載の歯科用センサシステム(100)。
【請求項6】
歯科用センサ(107)がセンサレール(105)上/内に装着可能あるいは嵌め付け可能である請求項1ないし5のいずれかに記載の歯科用センサシステム(100)。
【請求項7】
センサレール(105)が歯科用センサ(107)を誘導するための第1の溝部(117-1)および/または第2の溝部(117-2)を備えてなる請求項1ないし6のいずれかに記載の歯科用センサシステム(100)。
【請求項8】
歯科用センサ(107)が第1および/または第2の溝部(117-1,117-2)の間に挿入するための弾力性の帯体(121)を備えてなる請求項7に記載の歯科用センサシステム(100)。
【請求項9】
センサレール(105)が歯列に向かう貫通孔(119)、および/または歯科用センサ(107)を螺合させるための歯形(125)を備えてなる請求項1ないし8のいずれかに記載の歯科用センサシステム(100)。
【請求項10】
歯科用センサ(107)がセンサレール(105)に沿ってその歯科用センサ(107)を動作させるための駆動装置(113)を備えてなる請求項1ないし9のいずれかに記載の歯科用センサシステム(100)。
【請求項11】
歯科用センサ(107)のための電圧供給装置(111)および/またはデータ伝送装置(131)をセンサシステム(100)が備えてなる請求項1ないし10のいずれかに記載の歯科用センサシステム(100)。
【請求項12】
第1の歯(103-1)に固定するための第1の歯部固定装置(101-1)と;
第2の歯(103-2)に固定するための第2の歯部固定装置(101-2)と;
前記第1および第2の歯部固定装置(101-1;101-2)の間にあり歯科用センサ(107)を位置決めすることができるセンサレール(105)とを備えてなる、
歯科用センサ固定装置(109)。
【請求項13】
請求項12に係る歯科用センサ固定装置(109)のための歯科用センサ(107)。
【請求項14】
第1の歯部固定装置(101-1)によって第1の歯(103-1)に、第2の歯部固定装置(101-2)によって第2の歯(103-2)に、歯科用センサ固定装置(109)を固定するステップ(S101)と;
前記第1の歯部固定装置(101-1)と第2の歯部固定装置(101-2)の間のセンサレール(105)上で歯科用センサ(107)を位置決めするステップ(S102)を含んでなる、
歯科用センサ(107)を位置決めする方法。
【請求項15】
歯科用センサ(107)を位置決めするための第1の歯部固定装置(101-1)と第2の歯部固定装置(101-2)の間のセンサレール(105)の適用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、歯科用センサを固定するための歯科用センサシステムと、歯科用センサ固定装置と、歯科用センサと、歯科用センサを位置決めする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、口腔内における歯科用センサの多様な固定および取り付け可能性が知られている。例えば、pH値を測定するための測定装置を収容する臼歯バンドが存在する。臼歯バンドは、セメント固定によって臼歯上に固定される。さらに、内蔵された測定装置を備えるクラウンが知られている。しかしながら、その場合は、歯科用センサの交換のためにクラウンを歯から取り外す必要がある。加えて、インプラントによって担持された歯において測定装置がアバットメント内に取り付けられる手法が存在する。しかしながら、上記の装置において第1に歯科用センサを容易に交換することができない。他方で、一か所のみでしか測定を実行することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の目的は、口腔内における歯科用センサの柔軟な配置を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記の課題は、独立請求項の対象によって解決される。技術的に好適な実施形態が、従属請求項、発明の詳細な説明、および添付図面の対象である。
【0005】
第1の態様によれば、第1の歯に固定するための第1の歯部固定装置と;第2の歯に固定するための第2の歯部固定装置と;前記第1および第2の歯部固定装置の間のセンサレールと;前記センサレールに沿って位置決め可能な少なくとも1個の歯科用センサを備えてなる、歯科用センサシステムによって上記の技術的な課題が解決される。それによって、前記少なくとも1個の歯科用センサをセンサレールの任意の位置に配置することができるという技術的な利点が達成される。センサレールによって、前記少なくとも1個の歯科用センサの位置が自由に選択可能かつ必要に応じて調節可能になる。規則的な間隔かつ再現可能な測定が達成される。前記少なくとも1個の歯科用センサを、例えば手動あるいはトングを使用して移動させることができる。
【0006】
この歯科用センサシステムの技術的に好適な実施形態によれば、第1および/または第2の歯部固定装置が歯科アタッチメントによって形成される。それによって例えば、歯科用センサシステムが歯に差し付け可能になり、良好な固定を提供するという技術的な利点が達成される。
【0007】
この歯科用センサシステムの技術的に好適な別の実施形態によれば、少なくとも1個の歯科用センサがセンサレールに沿って摺動可能である。それによって例えば、歯科用センサをセンサレールから取り外すことなく、その歯科用センサを初期の位置決めの後からセンサレールに沿って多様な位置に移動させ得るという技術的な利点が達成される。
【0008】
この歯科用センサシステムの技術的に好適な別の実施形態によれば、センサレールが第1および/または第2の歯部固定装置に取り付け可能である。それによって例えば、センサレールを後付けによって歯部固定装置に装着し得るという技術的な利点が達成される。
【0009】
この歯科用センサシステムの技術的に好適な別の実施形態によれば、第1および/または第2の歯部固定装置がセンサレールを取り付けるための球形ヘッドを備える。それによって例えば、センサレールを追加的に回転させて空間方向設定することができるという技術的な利点が達成される。
【0010】
この歯科用センサシステムの技術的に好適な別の実施形態によれば、歯科用センサがセンサレール上/内に装着可能あるいは嵌め付け可能である。それによって例えば、歯科用センサの簡便かつ迅速な固定が可能になるという技術的な利点が達成される。
【0011】
この歯科用センサシステムの技術的に好適な別の実施形態によれば、センサレールが歯科用センサを誘導するための第1の溝部および/または第2の溝部を備える。それによって例えば、簡便な方式でセンサレールに沿って歯科用センサを誘導し得るという技術的な利点が達成される。
【0012】
この歯科用センサシステムの技術的に好適な別の実施形態によれば、歯科用センサが第1および/または第2の溝部の間に挿入するための弾力性の帯体を備える。それによって例えば、歯科用センサの位置を追加的に安定させ得るという技術的な利点が達成される。
【0013】
この歯科用センサシステムの技術的に好適な別の実施形態によれば、センサレールが歯列あるいは歯肉に向かう貫通孔を有する。それによって例えば、歯科用センサが直接的に歯列あるいは歯肉の領域内の測定を実行することができるという技術的な利点が達成される。
【0014】
この歯科用センサシステムの技術的に好適な別の実施形態によれば、センサレールが歯科用センサを螺合させるための歯形を備える。それによって例えば、歯科用センサの滑動あるいは不用意な動作を防止し得るという技術的な利点が達成される。
【0015】
この歯科用センサシステムの技術的に好適な別の実施形態によれば、歯科用センサがセンサレールに沿ってその歯科用センサを動作させるための駆動装置を備える。それによって例えば、センサレール上の任意の位置に歯科用センサが自律的に移動し得るという技術的な利点が達成される。
【0016】
この歯科用センサシステムの技術的に好適な別の実施形態によれば、歯科用センサのための電圧供給装置および/またはデータ伝送装置をセンサシステムが備える。データ伝送装置は、例えばブルートゥース(登録商標)またはNFC(近距離無線通信)インタフェースによって構成することができ、それによって歯科用センサから外部に測定されたデータを伝送して外部で評価することができる。それによって例えば、センサレール上で歯科用センサに電力供給し、データを外部で評価することができるという技術的な利点が達成される。
【0017】
第2の態様によれば、第1の歯に固定するための第1の歯部固定装置と;第2の歯に固定するための第2の歯部固定装置と;前記第1および第2の歯部固定装置の間にあり歯科用センサを位置決めすることができるセンサレールとを備えてなる、歯科用センサ固定装置によって技術的な課題が解決される。それによって、前述した第1の態様に係る歯科用センサシステムと同様な技術的な利点が達成される。
【0018】
第3の態様によれば、上述した第2の態様に係る歯科用センサシステム固定装置用の歯科用センサによって技術的な課題が解決される。それによって、前述した第1の態様に係る歯科用センサシステムと同様な技術的な利点が達成される。
【0019】
第4の態様によれば、第1の歯部固定装置によって第1の歯に、第2の歯部固定装置によって第2の歯に、歯科用センサ固定装置を固定するステップと;前記第1の歯部固定装置と第2の歯部固定装置の間のセンサレール上で歯科用センサを位置決めするステップを含んでなる、歯科用センサを位置決めする方法によって技術的な課題が解決される。それによって、前述した第1の態様に係る歯科用センサシステムと同様な技術的な利点が達成される。
【0020】
第5の態様によれば、歯科用センサを位置決めするための第1の歯部固定装置と第2の歯部固定装置の間のセンサレールの適用方法によって技術的な課題が解決される。それによって、前述した第1の態様に係る歯科用センサシステムと同様な技術的な利点が達成される。
【0021】
次に、本発明の実施例につき、添付図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】歯科用センサシステムを示した概略構成図である。
【
図2】歯科用センサシステムを示した別の概略構成図である。
【
図3】歯科用センサシステムを示した別の概略構成図である。
【
図4】センサレールの多様な実施形態を示した説明図である。
【
図5】歯科用センサを位置決めする方法のブロック線図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1には、歯科用センサシステム100が概略的に示されている。歯科用センサシステム100は、1本あるいは複数本の第1の歯103-1に固定するための第1の歯部固定装置101-1と、1本あるいは複数本の第2の歯103-2に固定するための第2の歯部固定装置101-2と、センサレール105と、1個あるいは複数個の歯科用センサ107を含む。
【0024】
歯部固定装置101-1および101-2は、例えば歯科アタッチメントとして適宜に成形された樹脂製キャップによって形成され、それらが対応する歯に装着可能である。樹脂製キャップは、例えば付加方式あるいはサブトラクティブ方式を使用して製造された、個別にプリントされた臼歯アタッチメントによって形成される。歯部固定装置101-1および101-2は、接着剤、アバットメント、インプラントアタッチメント、および/または引張レールに固定されるように形成することもできる。
【0025】
歯部固定装置101-1および101-2は、選択的にブラケット127を介して相互に結合することができる。
【0026】
歯部固定装置101-1と101-2の間にセンサレール105が配置され、そのセンサレール上で1個あるいは複数個の歯科用センサ107が位置決め可能でかつ交換可能に取り付けられる。センサレール105は、個々の歯列弓に対して作成される。歯部固定装置101-1と101-2、および/またはセンサレール105は、付加方式あるいはサブトラクティブ方式によって例えば樹脂等の適宜な材料から個別に製造することができる。センサレール105は弾力性の材料から製造することができ、従ってセンサレールが歯列弓に適合するとともに容易に動作し得るよう保持される。センサレール105内で1個あるいは複数個の歯科用センサ107を摺動可能に誘導することができる。しかしながら、歯科用センサ107をセンサレール105上に固定するための嵌め付け要素を備えた個別のスロットをセンサレール105内に設けることもできる。複数の歯科用センサ107を使用する場合、ロックあるいは区切りを備えた領域をセンサレール105上で各歯科用センサ107に対して設置することができる。センサレール105はそのセンサレール105に沿って延在する歯形125を備えることもできる。歯形125上に個々の歯科用センサ107を留め付けることができる。すなわち、歯科用センサ107を所定位置に固定するために歯形125を使用することができる。歯形125は、駆動装置の適宜なギアの螺合のために機能することもでき、それによって歯科用センサ107をセンサレール105に沿って移動させる。
【0027】
センサレール105は、歯列弓の全域にわたって、歯列弓の上側あるいは下側に延在することができ、従って歯の領域が自由に接近可能になる。加えて、センサレールが歯肉を包含するか、あるいは歯肉のみに接触することも可能である。センサレール105の配置は、個別にあるいは別のセンサレール105と組み合わせて口唇領域あるいは舌領域で行うことができる。
【0028】
歯部固定装置101-1および101-2とセンサレール105が、組み合わせで歯科用センサ固定装置109を構成する。電圧供給装置111、例えばバッテリーを、歯部固定装置101-1および101-2、またはブラケット127上に設けるかあるいは内蔵させることができる。電圧供給装置111から供給される電圧は、2本の導電体129を介して各歯科用センサ107に伝導することができる。導電体129はセンサレール105に沿って別々に延在する。それによって、歯科用センサ107にそれぞれの位置で電力を供給することができる。
【0029】
同様に、データ伝送装置131をブラケット127内あるいは歯部固定装置101-1および101-2内に設けることもできる。データ伝送装置131によって、歯科用センサ107によって測定されたデータを無線式で外部に送信することができる。加えて、各歯科用センサ107に対する制御データを受信することもできる。そのため、データ伝送装置131が適宜な電子回路を備える。
【0030】
歯科用センサ107は、センサレール105に沿って摺動可能である。歯科用センサ107は、例えばpH数値、エタノール濃度、乳酸濃度、コルチゾール濃度、グルコース濃度、イオン濃度を検出するセンサとするか、咬合時の音波を検出するセンサとするか、および/または温度を検出するセンサとすることができる。そのため、歯科用センサ107が、電圧源を有する柔軟な基板上に配置することができる、適宜な電子回路を備える。
【0031】
図2には、歯科用センサシステム100の別の概略構成図が示されている。センサレール105が内側に突出するシールリップ115を備えることができ、それが溝部内部に延在する導電体129への液体接触を防止するように機能する。シールリップ115もセンサレール105に沿って延在し、弾力性の材料から形成される。シールリップ115は、溝部の外側に配置され、両方の溝部の間隙内に対角線状に突出する。
【0032】
図3には、歯科用センサシステム100の別の概略構成図が示されている。センサレール105が、歯科用センサ107を誘導および固定するために、第1の溝部117-1と向かい側に位置する第2の溝部117-2を備える。歯科用センサ107は、両方の溝部117-1と117-2の間に保持されて、長手方向に誘導される。
【0033】
歯科用センサ107は、第1および/または第2の溝部117-1,117-2の間に保持される弾力性の帯体121上に固定することができる。歯科用センサ107の小型化によって装着感を向上させることができる。歯科用センサ107は、例えば薄型のパッチとして形成される。
【0034】
導電体129は、センサレール105内に統合して歯列弓全体にわたって延在させるか、弾力性の帯体121を使用して設置することができる。歯科用センサ107は、それぞれ導電体129に接触する2枚の接触面135を備える。それによって歯科用センサ107に測定を実行するための電力が供給される。電子回路137が測定データを検出するように機能する。電子回路137と導電体129は、いずれも付加方式の加工方法によって製造することができる。
【0035】
歯科用センサ107は、例えば電気マイクロモータ等の駆動装置113を備えることができ、それが歯科用センサ107をセンサレール105に沿って移動させる。そのため、歯科用センサ107の駆動装置113がセンサレール105に沿った歯形に螺合することができる。駆動装置113によって、歯科用センサ107が自律的にセンサレール105上の異なった位置に移動することができる。
【0036】
センサレール105は、第1および/または第2の歯部固定装置101-1および101-2に解除可能に取り付けることができる。その場合、歯部固定装置101-1および101-2を、センサレールを伴わずに口内に先に固定することができる。それらの歯部固定装置が所要の位置に配置されると、その後センサレール105が歯部固定装置に取り付けられる。
【0037】
そのため、歯部固定装置101-1および101-2が、差し込みあるいは嵌め付け機構を結合要素として備えることができる。その差し込みあるいは嵌め付け機構は、センサレール105上あるいは歯部固定装置101-1および101-2上に配置されたレール溝および/または伸張要素によって構成することができる。その要素が、センサレール105の押し込みを可能にして確実な固定を保証することができ、また対向側の器具内に挿入するか嵌め付けることを可能にする。
【0038】
図4には、センサレール105の異なった実施形態が示されている。センサレール105は袋状に上方に向かって開口することができ、従って歯科用センサ107を上から挿入することができる(上図)。しかしながら、センサレール105は、上側および下側の溝部117-1と117-2を備えることもでき、それらによって歯科用センサ107を固定することができる(中央図)。
【0039】
他方、センサレール105が歯列に向かって貫通孔119を備えることもでき、それによって歯科用センサ107による歯103および/または歯肉上の直接的な測定、特に唾液流の測定が可能になる。貫通孔119は、例えばセンサレール105の全長にわたって延在することができ、それによって歯科用センサ107がセンサレール105上の任意の位置で歯の測定を実行することができる。
【0040】
唾液流を促進するその他の構成、例えば歯肉側から咬合側へあるいは咬合側から歯肉側への唾液流路をセンサレール105内に設けることもできる。加えて、歯科用センサ107を螺合させるための歯形125をセンサレール105が備えることができる。それによって、歯科用センサ107をセンサレール105上で安定化させるとともに、歯科用センサの滑落あるいは意図しない動作を防止することができる。
【0041】
センサレール105は、導電体129とその導電体129を遮蔽するためのシールリップを含んだ溝を備えることができる。導電体129を含んだ溝は、電圧源の架橋線として、あるいはデータラインとして機能することができる。導電体129には、歯科用センサ107の電子回路のための電圧供給装置111によって給電される。
【0042】
歯科用センサ107は、その歯科用センサ107のセンサレール105に沿った自律的な動作のためのマイクロモータ等の駆動装置113を備えることができる。
【0043】
スペーサ要素133は、歯科用センサ107がセンサレール105に沿って歯103に対して定義された間隔を保持して配置されるように作用する(下図)。スペーサ要素133は、センサレール105を囲繞して延在し歯科用センサ107を支持する支持領域によって形成される。
【0044】
歯科用センサ107の正確な位置決めは、例えばGPSを使用して実行することができる。使用者に対してスマートフォンを介してセンサレール105の画像を表示し、その画像上で定義された位置に歯科用センサ107を設定し得ることも考えられる。
【0045】
第1および/または第2の歯部固定装置101-1および/または101-2は、センサレール105を取り付けるための球形ヘッド123を備えることもできる。その構成によってさらに、支点周りでの回転によるセンサレール105の後調整が可能になる。
【0046】
球形ヘッド123は、歯科用センサ107を位置決めした後にまず下側のセンサレール105を通しその後上側のセンサレールを通すことによって位置決め装置を結合した際に、センサ固定装置109の挟持を可能にする結合要素を形成する。
【0047】
センサレール105は、不可欠ではないが弾力性に形成される。それによって、歯科用センサ107をセンサレール105の間で所要の位置に移動させることができる。
【0048】
歯科用センサ107は、弾力性のスリーブを備え、それによってむしろ硬質であるセンサレール105内で位置決めすることができる。センサレール105は末端部を備えることができ、歯科用センサ107を側方からセンサレール内に挿入することができる。上側および下側のセンサレール105は、例えば両端あるいは一端で相互に結合される。レール材は一体的に製造することができ、1個あるいは2個の差し込み可能な末端部を介して結合することができる。末端部上に、結合要素、例えば球形ヘッドと結合可能である、雌型に塑形された幾何形状を設けることができる。しかしながら、その他の結合要素も考えられる。
【0049】
図5には、歯科用センサ107を位置決めする方法のブロック線図が示されている。この方法は、歯科用センサ固定装置109を第1の歯部固定装置101-1によって第1の歯103-1に固定し、かつ第2の歯部固定装置101-2によって第2の歯103-2に固定するステップS101を含む。第2のステップS102において、歯科用センサ107をセンサレール105上で第1の歯部固定装置101-1と第2の歯部固定装置101-2の間に固定し、歯科用センサ107による測定を実行する。
【0050】
この歯科用センサシステム100により、高い測定自由度が達成される。単一の歯科用センサによって異なった測定点で測定を実行することができるため、複数の測定点で測定を行う必要がある場合の歯科用センサの数を削減することができる。頬側あるいは舌側の測定可能性を実現する個別のセンサレール105を使用することができる。個別部品を容易に交換あるいは調節することができる、取り外し可能な測定装置を実現することができる。全体的に、歯科用センサシステム100が、容易に装着可能かつ飲み込みの危険性を防止する、歯科用センサ107の固定を構成する。
【0051】
当該歯科用センサ107を舌で押圧することによって、個々の歯科用センサ107を舌によって付勢および停止することができる。歯科用センサ107の付勢および停止は、スマートフォンを使用して実行することもできる。
【0052】
本発明の個々の実施形態に関連して説明および図示した全ての特徴を、多様な組み合わせで本発明の対象とすることができ、それによって同時に有効な利点が達成される。
【0053】
全ての方法ステップは、各方法ステップを実行するために適した装置を使用して実行することができる。対象である特徴によって実行される全ての機能は、この方法における方法ステップとすることができる。
【0054】
本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲によって定義され、説明中に記述されたあるいは図示された特徴によって限定されるものではない。
【符号の説明】
【0055】
100 歯科用センサシステム
101 歯部固定装置
103 歯
105 センサレール
107 歯科用センサ
109 センサ固定装置
111 電圧供給装置
113 駆動装置
115 シールリップ
117 溝部
119 貫通孔
121 弾力性の帯体
123 球形ヘッド
125 歯形
127 ブラケット
129 導電体
131 データ伝送装置
133 スペーサ要素
135 接触面
137 電子回路
【国際調査報告】