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特表2024-504669口腔内領域用のマルチセンサシステム
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  • 特表-口腔内領域用のマルチセンサシステム 図1
  • 特表-口腔内領域用のマルチセンサシステム 図2
  • 特表-口腔内領域用のマルチセンサシステム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】口腔内領域用のマルチセンサシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20240125BHJP
   A61B 5/01 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
A61B5/00 N
A61B5/01 250
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543078
(86)(22)【出願日】2022-01-13
(85)【翻訳文提出日】2023-07-14
(86)【国際出願番号】 EP2022050662
(87)【国際公開番号】W WO2022167190
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】21155033.0
(32)【優先日】2021-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596032878
【氏名又は名称】イボクラール ビバデント アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【弁理士】
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】クリブス,ローベルト ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】モースマン,フロリアン
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XB01
4C117XB03
4C117XB09
4C117XD08
4C117XE07
4C117XE23
4C117XE29
4C117XH12
4C117XJ34
(57)【要約】
この発明は、口腔内の測定データを検出するためのもので、測定データを送信するための送信装置(103)を有する少なくとも1個のスレーブ歯科用センサ(101-S)と;前記スレーブ歯科用センサ(101-S)からの測定データを受信するための受信装置(109-M)を有するマスター歯科用センサ(101-M)とを備えてなる、口腔内に配置するための複数の歯科用センサ(101-S;101-M)を含んだマルチセンサシステム(100)に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内の測定データを検出するためのもので、測定データを送信するための送信装置(103)を有する少なくとも1個のスレーブ歯科用センサ(101-S)と;
前記スレーブ歯科用センサ(101-S)からの測定データを受信するための受信装置(109-M)を有するマスター歯科用センサ(101-M)とを備えてなる、
口腔内に配置するための複数の歯科用センサ(101-S;101-M)を含んだマルチセンサシステム(100)。
【請求項2】
スレーブ歯科用センサ(101-S)がそのスレーブ歯科用センサ(101-S)を歯に固定するための固定装置(117)あるいは固定手段を含むか、および/またはマスター歯科用センサ(101-M)がそのマスター歯科用センサ(101-M)を歯に固定するための固定装置(117)あるいは固定手段を含んでなる請求項1に記載のマルチセンサシステム(100)。
【請求項3】
スレーブ歯科用センサ(101-S)の送信装置(103)が有線接続式および/または無線式のインタフェース(107)を備えてなる請求項1または2に記載のマルチセンサシステム(100)。
【請求項4】
スレーブ歯科用センサ(101-S)がマスター歯科用センサ(101-M)からデータを受信するための受信装置(109)を含んでなる請求項1ないし3のいずれかに記載のマルチセンサシステム(100)。
【請求項5】
スレーブ歯科用センサ(101-S)がマスター歯科用センサ(101-M)によって制御されるように構成される請求項1ないし4のいずれかに記載のマルチセンサシステム(100)。
【請求項6】
マスター歯科用センサ(101-M)が口腔外のノード(115)に測定データを送信するための送信装置(111)を含んでなる請求項1ないし5のいずれかに記載のマルチセンサシステム(100)。
【請求項7】
スレーブ歯科用センサ(101-S)および/またはマスター歯科用センサ(101-M)が自律的な動作のためのエネルギー蓄積装置を含んでなる請求項1ないし6のいずれかに記載のマルチセンサシステム(100)。
【請求項8】
マスター歯科用センサ(101-M)が測定データを処理するためのマイクロプロセッサ(115)を備えてなる請求項1ないし7のいずれかに記載のマルチセンサシステム(100)。
【請求項9】
測定データを圧縮および/または符号化するようにマスター歯科用センサ(101-M)が構成される請求項1ないし8のいずれかに記載のマルチセンサシステム(100)。
【請求項10】
スレーブ歯科用センサ(101-S)が測定プログラム(121)を記憶するためのデジタルメモリ(119)と測定プログラム(121)を実行するためのマイクロプロセッサ(115)を備えてなる請求項1ないし9のいずれかに記載のマルチセンサシステム(100)。
【請求項11】
外部アプリケーションに測定データを伝送するようにマルチセンサシステム(100)が構成される請求項1ないし10のいずれかに記載のマルチセンサシステム(100)。
【請求項12】
pH数値、エタノール濃度、乳酸濃度、コルチゾール濃度、グルコース濃度、および/またはイオン濃度を検出するか、または咬合時の音波および/または温度を検出するようにスレーブ歯科用センサ(101-S)が構成される請求項1ないし11のいずれかに記載のマルチセンサシステム(100)。
【請求項13】
口腔内の測定データを検出するための請求項1ないし12のいずれかに記載のマルチセンサシステム(100)の適用方法。
【請求項14】
スレーブ歯科用センサ(101-S)によって口腔内の測定データを検出するステップ(S101)と;
測定データをスレーブ歯科用センサ(101-S)からマスター歯科用センサ(101-M)に伝送するステップ(S102)を有してなる、
マルチセンサシステム(100)内で測定データを伝送する方法。
【請求項15】
マスター歯科用センサ(101-M)からスレーブ歯科用センサ(101-S)にデータが送信され、および/またはマスター歯科用センサ(101-M)から口腔外のノード(115)に測定データが送信される請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、口腔内に配置するための複数の歯科用センサを含んだマルチセンサシステムと、マルチセンサシステム内の測定データの伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の歯科用センサは、1本の共通の受信者への伝送チャネルのみが使用可能であるという問題を有している。複数の歯科用センサが同時に送信すると、たちまちデータの衝突が発生し得る。その場合、評価することができなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って本発明の目的は、測定データを効率的に伝送することができる、複数の歯科用センサを含んだマルチセンサシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記の課題は、独立請求項の対象によって解決される。技術的に好適な実施形態が、従属請求項、発明の詳細な説明、および添付図面の対象である。
【0005】
第1の態様によれば、口腔内の測定データを検出するためのもので、測定データを送信するための送信装置を有する少なくとも1個のスレーブ歯科用センサと;前記スレーブ歯科用センサからの測定データを受信するための受信装置を有するマスター歯科用センサとを備えてなる、口腔内に配置するための複数の歯科用センサを含んだマルチセンサシステムによって前記の技術的な課題が解決される。前記のマルチセンサシステムは、1個あるいは複数個のスレーブ歯科用センサを含むことができる。このマルチセンサシステムによって、複数のスレーブ歯科用センサからの効率的、高速、かつ無障害のデータ伝送を実現することができる。全てのスレーブ歯科用センサからの測定データがマスター歯科用センサによって受信され、そのマスター歯科用センサによってパッケージ化されて外部のノードに転送される。
【0006】
このマルチセンサシステムの技術的に好適な実施形態によれば、スレーブ歯科用センサがそのスレーブ歯科用センサを歯に固定するための固定装置あるいは固定手段を含むか、および/またはマスター歯科用センサがそのマスター歯科用センサを歯に固定するための固定装置あるいは固定手段を含む。それによって例えば、マルチセンサシステムを患者の口内に固定することができるという技術的な利点が達成される。
【0007】
このマルチセンサシステムの技術的に好適な別の実施形態によれば、スレーブ歯科用センサの送信装置が有線接続式および/または無線式のインタフェースを備える。それによって例えば、測定データを高速かつ簡便にマスター歯科用センサに伝送することができるという技術的な利点が達成される。
【0008】
このマルチセンサシステムの技術的に好適な別の実施形態によれば、スレーブ歯科用センサがマスター歯科用センサからデータを受信するための受信装置を含む。それによって例えば、追加的にマスター歯科用センサからスレーブ歯科用センサにデータを伝送することができるという技術的な利点が達成される。
【0009】
このマルチセンサシステムの技術的に好適な別の実施形態によれば、スレーブ歯科用センサがマスター歯科用センサによって制御されるように構成される。それによって例えば、マスター歯科用センサの要求に応答して測定を実行することができるという技術的な利点が達成される。
【0010】
このマルチセンサシステムの技術的に好適な別の実施形態によれば、マスター歯科用センサが口腔外のノードに測定データを送信するための送信装置を含む。それによって例えば、追加的な評価および処理のために測定データをデータチャネル上で共通して外部のノードに伝送することができるという技術的な利点が達成される。
【0011】
このマルチセンサシステムの技術的に好適な別の実施形態によれば、スレーブ歯科用センサおよび/またはマスター歯科用センサが自律的な動作のためのエネルギー蓄積装置を含む。それによって例えば、スレーブ歯科用センサまたはマスター歯科用センサが外部エネルギー供給装置が無くても動作可能にされるという技術的な利点が達成される。
【0012】
このマルチセンサシステムの技術的に好適な別の実施形態によれば、マスター歯科用センサが測定データを処理するためのマイクロプロセッサを備える。それによって例えば、中央集約的な測定データの処理を実行することができるという技術的な利点が達成される。
【0013】
このマルチセンサシステムの技術的に好適な別の実施形態によれば、測定データを圧縮および/または符号化するようにマスター歯科用センサが構成される。それによって例えば、データ量が削減されるかまたは安全な通信が実行されるという技術的な利点が達成される。
【0014】
このマルチセンサシステムの技術的に好適な別の実施形態によれば、スレーブ歯科用センサが測定プログラムを記憶するためのデジタルメモリと測定プログラムを実行するためのマイクロプロセッサを備える。それによって例えば、コンピュータプログラムによって柔軟にスレーブ歯科用センサを制御し得るという技術的な利点が達成される。
【0015】
このマルチセンサシステムの技術的に好適な別の実施形態によれば、スレーブ歯科用センサ上の測定プログラムを更新するようにマスター歯科用センサが構成される。それによって例えば、より良好で不具合が改善されたバージョンのコンピュータプログラムを事後的にスレーブ歯科用センサに伝送することができるという技術的な利点が達成される。
【0016】
このマルチセンサシステムの技術的に好適な別の実施形態によれば、外部アプリケーションに測定データを伝送するようにマルチセンサシステムが構成される。その外部アプリケーションは、例えばスマートフォンあるいはタブレットPC上のコンピュータプログラムである。その送信は、例えばWLAN、ブルートゥース(登録商標)、またはNFCインタフェースを介して実行される。それによって例えば、簡便な方式で測定データを携帯端末上で目視することができるという技術的な利点が達成される。
【0017】
このマルチセンサシステムの技術的に好適な別の実施形態によれば、pH数値、エタノール濃度、乳酸濃度、コルチゾール濃度、グルコース濃度、および/またはイオン濃度を検出するか、または咬合時の音波および/または温度を検出するようにスレーブ歯科用センサが構成される。それによって例えば、極めて好適な測定データをスレーブ歯科用センサによって口腔から検出することができるという技術的な利点が達成される。
【0018】
第2の態様によれば、第1の態様に係る口腔内の測定データを検出するためのマルチセンサシステムの適用方法によって前述した技術的な課題が解決される。この方法によって、前述した第1の態様に係るマルチセンサシステムと同様な技術的な利点が達成される。
【0019】
第3の態様によれば、スレーブ歯科用センサによって口腔内の測定データを検出するステップと;測定データをスレーブ歯科用センサからマスター歯科用センサに伝送するステップを有してなる、マルチセンサシステム内で測定データを伝送する方法によって前述した技術的な課題が解決される。この方法によれば、前述した第1の態様に係るマルチセンサシステムと同様な技術的な利点が達成される。
【0020】
この方法の技術的に好適な実施形態によれば、マスター歯科用センサからスレーブ歯科用センサにデータが送信される。それによって例えば、マスター歯科用センサからスレーブ歯科用センサに追加的なデータを伝送することができるという技術的な利点が達成される。
【0021】
この方法の技術的に好適な別の実施形態によれば、マスター歯科用センサから口腔外のノードに測定データが送信される。それによって例えば、追加的な評価および処理のために測定データをデータチャネル上で共通して外部のノードに伝送することができるという技術的な利点が達成される。
【0022】
次に、本発明の実施例につき、添付図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】複数の歯科用センサを有するマルチセンサシステムを示した概略構成図である。
図2】マルチセンサシステムを示した別の概略構成図である。
図3】マルチセンサシステム内で測定データを伝送する方法のブロック線図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1には、複数の歯科用センサ101-Sおよび101-Mを有するマルチセンサシステム100の概略構成が示されている。歯科用センサ101-Sがスレーブ歯科用センサで、歯科用センサ101-Mはマスター歯科用センサである。スレーブ歯科用センサ101-Sおよび/またはマスター歯科用センサ101-Mは、適宜な117固定装置あるいはそれと同等な固定手段、例えば接着剤あるいはセメント等を使用して歯113に固定することができ、多様な物理量あるいは測定値を検出することができる。
【0025】
スレーブ歯科用センサ101-Sは、例えばpH数値、エタノール濃度、乳酸濃度、コルチゾール濃度、グルコース濃度、および/またはイオン濃度をデジタル測定値として検出するか、または咬合時の音波および/または温度をデジタル測定値として検出するために適する。しかしながら、一般的にスレーブ歯科用センサ101-Sによってその他の数値を測定することもできる。そのため、スレーブ歯科用センサ101-Sのそれぞれが適宜な回路およびセンサ機能を備える。回路の電子機構が適宜な方式および手段で測定データを検出および処理する。
【0026】
スレーブ歯科用センサ101-Sは、検出した測定データをマスター歯科用センサ101-Mに伝送する。マスター歯科用センサ101-Mは、スレーブ歯科用センサ101-Sに論理的に割り当てられ、データ通信に際して階層的に上位配置される。マスター歯科用センサ101-Mが、アクセス関係を支配する。マスター歯科用センサ101-Mの周囲にマルチセンサシステム100が構築される。マスター歯科用センサ101-Mは、対応するスレーブ歯科用センサ101-Sから測定データを受信する。そのため、マスター歯科用センサ101-Mが、例えば共有の通信チャネルに任意にアクセスする権限を唯一の歯科用センサ101として保有する。その方式によって、マスター歯科用センサ101-Mが個別のスレーブ歯科用センサ101-Sに対して前後して測定データを要求することができる。その結果、複数のスレーブ歯科用センサ101-Sが同時に測定データを送信しようとした際に生じるデータ衝突を回避することができる。
【0027】
マスター歯科用センサ101-Mは外部ノード115とのデータ通信を有し、その外部ノードにスレーブ歯科用センサ101-Sから集積した測定データが転送される。そのノード115上で例えば処理と使用者への表示が実行される。そのノードは、例えばコンピュータによって形成される。
【0028】
図2には、マルチセンサシステム100の別の概略構成図が示されている。スレーブ歯科用センサ101-Sの送信装置103-Sが有線結合式および/または無線式のインタフェース107-Sを備え、それがマスター歯科用センサ101-Mの受信装置109-Mの対応するインタフェース107-Mと通信する。インタフェース107-Sと107-Mは、例えば電波、ブルートゥース(登録商標)、あるいはWLANプロトコルを介して無線式に、またはケーブルを介して、相互に双方向に通信する。その方式によって、1つの方向においてスレーブ歯科用センサ101-Sからマスター歯科用センサ101-Mに測定データを伝送することができる。別の方向においては、制御データあるいは測定プログラムをマスター歯科用センサ101-Mからスレーブ歯科用センサ101-Sに伝送することができる。インタフェース107-Sと107-Mは、データを双方向に伝達、すなわち送受信することができる。そのため、適宜な通信および制御プロトコルを使用することができる。
【0029】
そのため、スレーブ歯科用センサ101-Sが、マスター歯科用センサ101-Mの送信/受信装置103-Mからのデータを受信するための送信/受信装置109-Sを備える。受信装置109-Sを介して、スレーブ歯科用センサ101-Sが例えばマスター歯科用センサ101-Mからの制御データを受信することができる。制御データによって、例えばスレーブ歯科用センサ101-Sに所与の測定を実行させ、その際に検出された測定データをマスター歯科用センサ101-Mに返送させるように制御することができる。そのため、その測定を実行させるメッセージがマスター歯科用センサ101-Mからスレーブ歯科用センサ101-Sに送信される。
【0030】
マスター歯科用センサ101-Mは、口腔外の外部ノード115に測定データを送信しまたデータを受信するための別の送信/受信装置111を備える。ノード115は例えばPCによって形成され、送信された測定データを後処理して使用者に表示することができる。
【0031】
スレーブ歯科用センサ101-Sおよびマスター歯科用センサ101-Mの両方が、自律的な動作のために電気的なエネルギー蓄積装置を123を備える。エネルギー蓄積装置123は、スレーブ歯科用センサ101-Sあるいはマスター歯科用センサ101-Mの電気回路に電気エネルギーを供給する。エネルギー蓄積装置123は、例えばバッテリーあるいは充電池である。
【0032】
スレーブ歯科用センサ101-Sおよびマスター歯科用センサ101-Mのいずれもが、測定データを処理するため、または多様なコンピュータプログラムあるいはオペレーティングシステムを実行するためのマイクロプロセッサ115を含む。このマイクロプロセッサ115の支援によって、測定データを圧縮/解凍するか、および/または復号/符号化することができる。マイクロプロセッサ115に加えて、実行可能な測定プログラムあるいは測定データを継続的に記憶するためのデジタルメモリ119を備える。マスター歯科用センサ101-Mは、例えばマスター歯科用センサ101-Mからスレーブ歯科用センサ101-Sに更新プログラムを送信することによってスレーブ歯科用センサ101-S上の測定プログラム121を最新化することができる。
【0033】
他方、マスター歯科用センサ101-Mとして動作すべきセンサを、ノード115を使用して利用者が決定することができる。加えて、複数のマスター歯科用センサが設定され各マスター歯科用センサに対して1個あるいは複数個のスレーブ歯科用センサが割り当てられる、マルチマスターシステムを採用することも可能である。データ衝突を回避するために、複数のマスター歯科用センサの優先順位を使用者が設定することができる。
【0034】
データを符号化するために複数の通信プロトコルが適しており、例えばマンチェスター符号化である。個々のスレーブ歯科用センサ101-Sあるいはマスター歯科用センサ101-Mが符号化によって一義的にアドレッシングされ、従って各センサを一義的に識別することができる。どのデータをどれくらいの頻度でどのセンサから読み取るべきかを、ノード115を使用して利用者が自由に選択することができる。適宜なアプリケーション(アプリ)により、そのアプリが多様な測定を評価して警告を発信するかあるいは処置可能性を提案することが可能である。
【0035】
歯科医師あるいは歯科技工士等の特定のメンバーサークルのみがアクセス権を有するクラウドに、アプリがデータを送信することができる。前記のメンバーサークルは、データにアクセスするとともにクラウドにデータを記録し、特に処置提案を発信することもでき、それを利用者がアプリ内あるいはクラウド内で閲覧することができる。
【0036】
さらに、アプリが匿名の統計評価のためにデータを処理することができる。それによって使用者が歯を目視し、またアプリの他の使用者の歯と比較することができる。アプリが人工知能を利用して、多様な使用者のデータから自動的に処置提案を提示するか、または病気を診断することが可能である。
【0037】
アプリが特定のセンサの測定を指示することもでき、従って例えば、朝にまず奥歯の一側面の領域、昼に前歯の領域、夜には奥歯の別の側面の領域で測定を実行することができる。ある一日に継続的に同じ部位の測定を実行することも可能である。
【0038】
図3には、マルチセンサシステム100内で測定データを伝送する方法のブロック線図が示されている。ステップS101において、口腔内の測定データがスレーブ歯科用センサ101-Sによって検出される。続いてステップS102において、スレーブ歯科用センサ101-Sからマスター歯科用センサ101-Mに測定データが送信される。その方式によって、マスター歯科用センサ101-Mが全ての割り当てられたスレーブ歯科用センサ101-Sから測定データを収集することができる。そのため、マスター歯科用センサ101-Mがスレーブ歯科用センサ101-Sに対して、例えばアドレッシングされたメッセージを使用して、順番に照会を行う。マスター歯科用センサ101-Mは、通信技術によってスレーブ歯科用センサ101-Sを制御するように構成することができる。その後、マスター歯科用センサ101-Mが収集された測定データを外部ノード115に転送する。外部ノード115は、スマートフォンあるいはタブレットPC上のアプリによって構成することができる。
【0039】
本発明の個々の実施形態に関連して説明および図示した全ての特徴を、多様な組み合わせで本発明の対象とすることができ、それによって同時に有効な利点が達成される。
【0040】
全ての方法ステップは、各方法ステップを実行するために適した装置を使用して実行することができる。対象である特徴によって実行される全ての機能は、この方法における方法ステップとすることができる。
【0041】
本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲によって定義され、説明中に記述されたあるいは図示された特徴によって限定されるものではない。
【符号の説明】
【0042】
100 マルチセンサシステム
101-S スレーブ歯科用センサ
101-M マスター歯科用センサ
103-S 送信装置
103-M 送信装置
107-S インタフェース
107-M インタフェース
109-S 受信装置
109-M 受信装置
111 送信装置
113 歯
115 ノード
117 固定装置
119 デジタルメモリ
121 測定プログラム
123 エネルギー蓄積装置
図1
図2
図3
【国際調査報告】