(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】植物ベースのクラムの製造プロセス
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20240125BHJP
A23G 1/48 20060101ALI20240125BHJP
A23L 25/00 20160101ALI20240125BHJP
A23L 7/10 20160101ALI20240125BHJP
A23C 11/10 20210101ALI20240125BHJP
【FI】
A23L5/00 J
A23G1/48
A23L25/00
A23L7/10 Z
A23C11/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543319
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(85)【翻訳文提出日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2022052115
(87)【国際公開番号】W WO2022162184
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523272166
【氏名又は名称】タイガー アンド ビーン エス.エル.ユー.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ブラント,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ゴッドフリー,グラハム
【テーマコード(参考)】
4B001
4B014
4B023
4B035
4B036
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
本発明は、ミルクチョコレート及びホワイトチョコレートの乳製品を含まない代替品などの菓子の製造における使用のための、植物ベースのチョコレートクラム、好ましくは乳製品を含まないクラム又はビーガンクラム、より好ましくはアレルゲンを含まないビーガンクラムの調製のためのプロセス及び原料配合物に関する。本発明はまた、本明細書に記載の植物ベースのクラムの使用、例えば、植物ベース(すなわち、乳製品を含まない、又はビーガン)のチョコレート及びチョコレート製品の製造における使用、並びに本明細書に記載のプロセス及び原料を使用して製造された植物ベースのチョコレート及びチョコレート製品にも関する。本発明のプロセスは、液化及び/又は糖化ステップ;及び植物ベースのミルクを加熱し、乾燥させてクラムにする、クラム形成ステップを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物ベースのミルクに基づくクラムを製造するプロセスであって、前記植物ベースのミルクが、植物材料の水性懸濁液を含み、前記プロセスが、
前記植物材料中の多糖が1つ以上の酵素によって液化される、液化ステップ;
及び/又は
還元糖が1つ以上の酵素によって前記植物材料から遊離される、糖化ステップ;
及び、前記植物ベースのミルクを加熱し、乾燥させてクラムにする、クラム形成
を含み;
クラム形成が、
蒸発させて植物ベースの濃縮ミルクを形成すること;
任意選択により、カカオ固形分を前記植物ベースの濃縮ミルクに添加すること;
前記植物ベースの濃縮ミルクを加熱すること;
前記植物ベースの濃縮ミルクを、約5%未満の水分含有量まで、好ましくは約1~3%の水分含有量まで乾燥させること
を含む、プロセス。
【請求項2】
前記植物ベースのミルクが、少なくとも1つのナッツ、塊茎、豆類、又は米からの植物材料を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記クラムがアレルゲンを含まない、請求項1又は請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記植物ベースのミルクが、タイガーナッツ、サツマイモ、米、アマランス、テフ、ソルガム、キヌア、ソバ、又はそれらの組み合わせからの植物材料を含み、任意選択により、ヘーゼルナッツ、ピーナッツ、カシューナッツ、マカダミアナッツ、ココナッツ、アーモンド、ヒヨコマメ、エンドウ、大豆、麻の実、ヒマワリ種子、ゴマ種子、及びそれらの組み合わせから選択される補助植物材料をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記植物ベースのミルクが、タイガーナッツ、米、又はそれらの組み合わせからの植物材料を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記プロセスが、前記植物ベースのミルクへの甘味組成物の添加をさらに含み、前記甘味組成物が、最終クラムの総炭水化物含有量が前記クラムの総重量に基づいて約65~85%となるような量で添加される、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記甘味組成物がスクロースを含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記甘味組成物が、前記最終クラム中の炭水化物含有量の約40~95%が糖からなるような量で添加される、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記甘味組成物が、クラム形成前、好ましくは、前記液化及び/又は糖化ステップの後に、前記植物ベースのミルクに添加される、請求項6~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
蒸発が減圧下、少なくとも約60℃の温度で行われる、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記植物ベースの濃縮ミルクが、約80~95%の全固形分を有し、全固形分が、蒸発後に添加される任意のカカオ固形分を任意選択により含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記蒸発ステップの前に消泡剤の添加をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記植物ベースの濃縮ミルクを加熱することが、前記植物ベースの濃縮ミルクを約60~90℃の温度で、好ましくは、減圧で混練することを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記植物ベースの濃縮ミルクを乾燥することが、前記植物ベースの濃縮ミルクを約80~150℃の温度に、好ましくは、真空下で、加熱することによって実行される、請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記液化ステップが、1つ以上の酵素を含む水中に前記植物材料の粒子を懸濁すること;又は前記植物ベースのミルクを1つ以上の液化酵素で処理することを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記液化酵素が、アミラーゼ、グルカナーゼ、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記アミラーゼが、細菌由来のα-アミラーゼである、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
グルカナーゼが、真菌由来のβ-グルカナーゼである、請求項16又は請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記糖化ステップが、1つ以上の酵素を含む水中に前記植物材料の粒子を懸濁すること;又は前記植物ベースのミルクを1つ以上の酵素で処理することを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項20】
前記糖化酵素が、1つ以上の真菌由来のα-アミラーゼ酵素を含む、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
前記β-アミラーゼ酵素が、細菌由来のβ-アミラーゼ又は植物由来のβ-アミラーゼである、請求項19に記載のプロセス。
【請求項22】
液化及び/又は糖化の後、前記植物ベースのミルクが、乾燥重量で約1%~約50%の還元糖を含み、前記還元糖がマルトースを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項23】
液化及び/又は糖化の後、前記植物ベースのミルクが、乾燥重量ベースで約1:5~約1:25のグルコース/マルトース比を有する、請求項1~22のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項24】
植物ベースミルクに基づくクラムを製造するプロセスであって、前記植物ベースのミルクが、植物材料の水性懸濁液を含み、前記植物材料が、液化及び/又は糖化に供されており;
液化及び糖化が、請求項1、又は請求項1若しくは15~23のいずれか一項に定義される通りであり;
前記プロセスがクラム形成を含み;
クラム形成が、請求項1、又は請求項10~14のいずれか一項に定義される通りである、プロセス。
【請求項25】
少なくとも1つのタンパク質調整ステップをさらに含み、タンパク質調整が、
a.前記植物ベースのミルクがタンパク質分解酵素で処理される、タンパク質加水分解;又は
b.タンパク質加水分解物の添加
を含む、請求項1~24のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項26】
前記タンパク質分解酵素が、パパイン又はカルボキシペプチダーゼから選択される、請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
前記タンパク質加水分解物が、大豆、エンドウ又は麻のタンパク質加水分解物から選択される、請求項25に記載のプロセス。
【請求項28】
前記プロセスが、少なくとも1つの脱脂ステップをさらに含み、前記植物ベースのミルクの脂肪含有量が、乾燥重量ベースで30重量%以下に低減される、請求項1~27のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項29】
前記クラムが、前記クラムの総重量に基づいて約10~16%の脂肪含有量を有する、請求項1~28のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項30】
前記クラムが、前記クラムの総重量に基づいて約1~11%のタンパク質含有量を有する、請求項1~29のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項31】
前記クラムが、前記クラムの総重量に基づいて約67~80%の炭水化物含有量を有する、請求項1~30のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項32】
前記クラムが、前記クラムの総重量に基づいて約2.5~7%の繊維含有量を有する、請求項1~31のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項33】
前記クラムが、前記クラムの総重量に基づいて約45~64%の全糖含有量を有する、請求項1~32のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項34】
前記クラムを300ミクロン未満の粒径まで粉砕することをさらに含む、請求項1~33のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項35】
請求項1~34のいずれか一項に記載のプロセスによって得ることができる、植物ベースのクラム。
【請求項36】
植物ベースのチョコレート又はチョコレート製品の製造における、請求項35に記載の植物ベースのクラムの使用。
【請求項37】
植物ベースのチョコレートの製造プロセスであって、
a.請求項1~34のいずれか一項に記載のプロセスによって植物ベースのクラムを製造すること;及び
b.前記クラムを脂肪と混合すること
を含む、プロセス。
【請求項38】
前記脂肪がココアバター、ココアバター代用脂、ココアバター代替脂、ココアバター類似脂、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項37に記載のプロセス。
【請求項39】
前記プロセスが、前記チョコレートを精製、コンチング及びテンパリングするステップをさらに含む、請求項37又は請求項38に記載のプロセス。
【請求項40】
前記チョコレートが、前記チョコレートの総重量に基づいて約31~42%の総脂肪含有量を有する、請求項37~39のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項41】
前記チョコレートが、前記チョコレートの総重量に基づいて約1~8%のタンパク質含有量を有する、請求項37~40のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項42】
前記チョコレートが、前記チョコレートの総重量に基づいて約2~5%の繊維含有量を有する、請求項37~41のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項43】
前記チョコレートが、前記チョコレートの総重量に基づいて約55~60%の炭水化物含有量を有する、請求項37~42のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項44】
前記チョコレートが、前記チョコレートの総重量に基づいて約34~48%の全糖含有量を有する、請求項37~43のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項45】
請求項37~44のいずれか一項に記載のプロセスによって得ることができる、植物ベースのチョコレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ミルクチョコレート及びホワイトチョコレートの乳製品を含まない代替品などの菓子の製造における使用のための、植物ベースのクラム、好ましくは乳製品を含まないクラム又はビーガンクラムの調製のためのプロセス及び原料配合物に関する。本発明はまた、本明細書に記載の植物ベースのクラムの使用、例えば、植物ベース(すなわち、乳製品を含まない、又はビーガン)のチョコレート及びチョコレート製品の製造における使用、並びに本明細書に記載のプロセス及び原料を使用して製造された植物ベースのチョコレート及びチョコレート製品にも関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ミルクチョコレート及びホワイトチョコレートは世界中で人気がある。
【0003】
ホワイトチョコレートを製造するために広く使用されている方法は、ココアバターなどの植物性脂肪を、糖及び粉末(例えば噴霧乾燥によって、脱水した)乳製品などの乾燥原料と混合し、その後、必要に応じて精製、コンチング、テンパリングのプロセスを行うことである。ミルクチョコレートは通常、乾燥原料の混合物にカカオリカー、カカオニブ、又はカカオパウダーの形態で、カカオ固形分を含めることによって調製される。
【0004】
1870年代にDaniel Peterによって最初に開発された、ミルクチョコレート及びホワイトチョコレートを製造するための代替的且つ有利な方法は、「クラムプロセス」である。クラムプロセスでは、液体乳又は液体乳由来製品(生乳、無糖練乳、粉乳を戻した還元乳など)は、ホワイトクラムの製造のために糖と混合し、ミルクチョコレートクラムの製造のために糖及びカカオリカー、カカオニブ又はカカオパウダーと混合する。次いで、液体混合物を濃縮し(蒸発による水の除去により)、共乾燥して、総最終水分含有量が1~3%の、乾燥した保存安定性のある結晶化混合物を得る。これは、パン粉(ブレッドクラム)に似たその外観のため、当技術分野では「クラム」又は「チョコレートクラム」と呼ばれる。
【0005】
従来のミルクチョコレートクラム及びホワイトチョコレートクラムは、典型的には、それぞれ7~10%の乳脂肪、及び8~11%の乳脂肪を含む。クラム中の過剰な乳脂肪は、最終チョコレート製品を柔らかくする効果を有し得る。従来のミルクチョコレートクラム及びホワイトチョコレートクラムの全糖含有量は、典型的には67~74重量%であり、そのおよそ80%は典型的にはスクロースである。スクロースは非還元性二糖であり、一般的に最終菓子製品の結晶化及び安定性に必要である。
【0006】
その後、ホワイトチョコレート又はミルクチョコレートは、典型的には、ホワイトクラム又はミルクチョコレートクラムを、残りの原料、すなわちココアバターなどの植物性脂肪及び乳化剤と単に混合することによって得られる。次いで、混合物を精製して粒径を小さくし、コンチングして液体チョコレートを製造し、その後、必要に応じて、一般的には、最終製品を形成する前にテンパリングする。ミルクチョコレートクラム及びホワイトクラムは、典型的には、最終チョコレートの全原料の最大80%までの任意の量を含んでもよく、その後の加工が迅速且つ簡単になる。
【0007】
含水、液体(湿潤)状態の乳及び乳由来の原料を固形カカオ固形分及び/又は糖と共乾燥することを含むクラムプロセスを使用してチョコレートを製造する利点は、他のパラメーターの中でも、組成、温度、水分含有量、pH、及び乾燥時間を慎重に制御することによって、チョコレート製造業者がチョコレートの風味を調整できることである。複雑な範囲の風味揮発性物質及び優れた味を有するチョコレートは、還元乳糖(すなわち、ラクトース)と、例えば、乳に見られる遊離タンパク質(主にカゼインのリジン残基)及び(存在する場合)カカオ固形分中のペプチドとの縮合の結果として発生する、強化されたメイラード反応を最適化することによって得ることができる。従来法で脱水された、例えば噴霧乾燥乳を使用して、作製されたチョコレートは、クラムベースのチョコレートに典型的な、特徴的で複雑な褐変風味(browning flavour)を欠く。噴霧乾燥のプロセスは、設計上迅速である。液体を自由落下する小さな液滴へと霧化し、それを乾燥室内で高温の気体にさらすことで、液体は数秒で乾燥する。噴霧乾燥が迅速であることから、製品の風味のいかなる変化も意図的に最小限に抑えられる。特に、急速乾燥プロセスにより、褐変風味(メイラード反応)又は糖のカラメル化の発生が防止されるか、又は最小限に抑えられる。一方、クラムプロセスは、優れた味わいの複雑な風味の開発を強化する。
【0008】
クラムプロセスのその他の利点としては、クラムが乾燥時に安定であり、ミルクベースの成分に簡便な保存媒体が提供されることが挙げられる。例えば、ミルクチョコレートクラム及びホワイトクラムは、乳脂肪の酸敗又は劣化を生じることなく、典型的には、乾燥された粉乳よりも長期間保存できる。さらに、ミルクチョコレート及びホワイトチョコレートは、予め製造されたチョコレートクラムをチョコレートの主原料として使用することにより、簡易且つ迅速な加工方法で得ることができる。しかし、ミルクチョコレート及びホワイトチョコレート製品が多くの人にとって人気のある選択肢である一方、乳又はその派生物を含有する製品を摂取できないか、又は摂取しないことを選択する人もいる。これは、個人的な嗜好性、食事制限、アレルギー、又は不耐性によるものであり得る。
【0009】
以前は、そのような人は、プレーンチョコレート(ダークチョコレートとも呼ばれる)の摂取に限定されていたが、現在では、よりミルクチョコレート及びホワイトチョコレートに類似した、乳製品を含まない他の菓子製品が増えている。ミルクチョコレート及びホワイトチョコレートに代わるこれらの乳製品を含まない代替品は、一般的に、ミルクチョコレート及びホワイトチョコレートの製造について上で概説したプロセスと同様の乾式プロセスを使用して調製されるが、全乳製乳粉、脱脂粉乳、ラクトース粉末、及びその他の乳成分などの乳製品ベースの原料が、デンプン、穀粉、脱脂ナッツ粉、シロップ固形分、又はその他の加工された乾燥植物由来材料などの乾燥植物由来原料で置き換えられる点で異なる。
【0010】
例えば、ホワイトチョコレートの乳製品を含まない代替品は、従来、ココアバターなどの植物性脂肪を、糖、米シロップ固形分、米デンプン、米粉などの乾燥原料と一緒に混合することによって得られる。次いで、混合物を精製して粒径を小さくし、コンチングして液体チョコレートを製造し、その後、必要に応じて、一般的には、最終製品を形成する前にテンパリングする。ミルクチョコレートの乳製品を含まない代替品の製造は、典型的には、ホワイトチョコレートの乳製品を含まない代替品の製造と同じプロセスに従うが、混合物にカカオリカー、カカオニブ、又はカカオパウダーを加えることを含む。
【0011】
例えば、欧州特許第3685673号には、乾燥原料を混合する、そのような乳製品を含まないチョコレートの製造プロセスが開示される。欧州特許第3685673号では、乾燥加水分解オートミールを乾燥した糖及びココアバター/塊と混合して、従来の方法で植物ベースのチョコレートが形成される。
【0012】
このような方法の使用は、例えば、得られる乳製品を含まないチョコレート製品で達成できる稠度及び風味の点、さらには加工の容易さにおいて、様々な制限を有する。したがって、ミルク及びホワイトチョコレートの乳製品を含まない代替品を製造するための改良された方法が必要とされている。
【0013】
本発明は、上記の考察を考慮して考案されたものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の概要
驚くべきことに、本発明者らは、植物ベースのミルクに対して特定の処理ステップを実施することによって、そこから新規な乳製品を含まないチョコレートクラムを製造することが可能であり、これを、乳製品を含まないチョコレートの改良された製造方法において有利に利用することができることを見出した。
【0015】
上記のように、乳製品を含むチョコレート製品では、いわゆる「クラムプロセス」の使用が公知である。しかし、ミルクチョコレート又はホワイトチョコレートの乳製品を含まない代替品をクラムプロセスで製造するにはいくつかの障壁があり、すなわち、クラムプロセスを、単純に乳製品を含まない原料に適用することはできない。現在まで、市販されているミルクチョコレート及びホワイトチョコレートの植物ベースの代替品は、上記のように乾式プロセスを使用してのみ製造されている。
【0016】
米国特許第9655374号は、溶融/液体原料の混合及び加熱を含む、乳製品を含まない「チョコレート食品」の製造プロセスを開示しているが、クラム(すなわち、安定な、共乾燥された、ミルク、カカオ固形分、及び糖の混合物)を形成するステップは開示していない。
【0017】
液体乳及び乳由来の含水原料は、その生物学的、物理的、化学的及び生理学的特性に関する限り、いわゆる「植物性ミルク」(乳の植物ベースの代替品、すなわち、植物基質懸濁液)とは大きく異なる。そのため、大きく異なる取り扱い及び加工を要する。
【0018】
最終的に、乳の植物ベースの代替品は、溶解及び崩壊した植物物質の懸濁液であり、単に外観が乳に似ているものである。これらは、典型的には、例えば穀類、豆類、油糧種子、ナッツ、塊茎、又は擬穀類などの、水性抽出物を介して製造される。これらは一般的に、植物材料を粉砕し、その後、その可溶性の崩壊した固体を水中に抽出することによって調製できる。植物基質懸濁液の特性は、使用される原材料、並びに適用される配合及び加工に大きく依存し、乳の特性とは異なる。
【0019】
重要なことに、乳の植物ベースの代替品はラクトースを含まない。ラクトースは、クラムプロセスで製造されるチョコレートに上記の複雑な風味の揮発性物質を与えるメイラード反応において重要な役割を果たす。
【0020】
さらに、乳の植物ベースの代替品は、クラムプロセスの共乾燥ステップに適合しない。乳とは異なり、デンプン質材料(穀類、塊茎、擬穀類など)の抽出物をベースにした植物基質懸濁液は、水の存在下で加熱すると糊化し、望ましくない質感及び粘性が生じ、塊の乾燥及びスクロースの結晶化などの後続のプロセスが極めて困難になる。
【0021】
さらに、大豆などの高タンパク質材料から作製された、乳の植物ベースの代替品は、水の存在下で不飽和脂肪酸と接触すると不飽和脂肪酸の酸化を触媒するリポキシダーゼ(植物にのみ見られる)の作用により、望ましくない風味が生じ得る。ナッツ及び種子などの高脂肪材料から作製された、乳の植物ベースの代替品も、植物ベースのミルク及び/又は結果として得られるチョコレートの望ましくない相分離に悩まされる可能性があり、これは、製品安定性が低下した製品の製造につながる。
【0022】
本発明者らは、これらの困難を克服し、植物基質懸濁液(すなわち、植物ベースのミルク)からの「クラム」の製造を可能にするプロセスを開発した。このクラムは、現在入手可能な乳製品を含まないチョコレート製品と比較して、改良された特性(例えば、官能特性及び知覚特性の点で)を有する、ミルク及びホワイトチョコレートの植物ベースの(すなわち、乳製品を含まない)代替品の製造に適している。
【0023】
本出願の優先日後に公開された国際公開第2021/069804号は、穀物ベース(具体的には、オーツ麦又はライ麦ベース)のクラム、その調製方法、及び食品用途での穀物ベースのクラムの使用を開示していることが認められる。この文書には、穀物を使用せずに作製されたクラムについての開示はない。さらに、本発明のプロセス及びクラムは、本明細書に詳述されるように、多くの点で国際公開第2021/069804号のプロセス及びクラムと区別することができる。
【0024】
したがって、本発明のいくつかの態様では、植物ベースのクラム、すなわち、植物ベースのミルクに基づくクラムの作製プロセスが本明細書で提供され、ここで、前記植物ベースのミルクは、植物材料の水性懸濁液を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される植物ベースのミルクに基づくクラムを製造するプロセスは、
植物材料中の多糖が1つ以上の酵素によって液化される、液化ステップ;
及び/又は
還元糖が1つ以上の酵素によって植物材料から遊離される、糖化ステップ;
及び、植物ベースのミルクを加熱し、乾燥させてクラムにする、クラム形成
を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、液化ステップが実施される。
【0027】
いくつかの実施形態では、糖化ステップが実施される。
【0028】
好ましくは、糖化ステップ及び液化ステップの両方が実施される。
【0029】
好ましくは、クラムは、乳製品を含まないクラムである。より好ましくは、クラムは、乳製品を含まないチョコレートクラム又は乳製品を含まないホワイトクラムである。いくつかの好ましい実施形態では、クラムは、ビーガンクラムである。より好ましくは、クラムは、ビーガンミルクチョコレートクラム又はビーガンホワイトクラムである。
【0030】
有利なことに、本明細書に記載のプロセスを使用することにより、「クラム」の製造に適切な組成を有する植物ベースのミルクが製造され、したがって、優れた風味特性を有するチョコレートが製造される。例えば、本明細書に記載されるように調製された植物ベースのミルクは、メイラード反応を介してアミノ酸の求核性アミノ基と反応して新しいフレーバープロファイルを作り出すことができる、カルボニル基を有するマルトースなどの還元糖を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、糖化ステップは、1つ以上の酵素処理、例えば、1つ以上のアミラーゼ酵素による処理を含み、アミラーゼ酵素は、好ましくは、真菌由来のα-アミラーゼ、又はβ-アミラーゼである。
【0032】
いくつかの実施形態では、液化ステップは、1つ以上の酵素処理、例えば1つ以上のアミラーゼ酵素、好ましくは、α-アミラーゼ酵素による処理を含み、α-アミラーゼ酵素は、好ましくは、細菌由来のα-アミラーゼである。いくつかの実施形態では、液化ステップは、1つ以上のグルカナーゼ酵素、好ましくは、β-グルカナーゼ酵素による処理をさらに含み、β-グルカナーゼは、好ましくは、細菌由来のβ-グルカナーゼである。
【0033】
米国特許第4,894,242号(参照により本明細書に組み込まれる)には、改良された米ベースの飲料を製造するための方法が記載されており、前記方法は、α-アミラーゼ酵素を用いて液化するステップと、その後、糖化ステップにおいてグルコシダーゼ酵素及び/又はβ-アミラーゼ酵素を用いて米ベースの飲料を処理するステップとを含む。しかし、この文書には、得られた「米液」をチョコレート作製のためのクラムの製造に使用することへの示唆はない。同様に、米国特許出願公開第2007/014892号は、ライスミルク又はコーンミルクを液化及び糖化し、次いで噴霧乾燥した全粒非乳製品ミルク粉末を開示しており;中国特許第108835263号は、黒豆のスラリーの液化とそれに続く噴霧乾燥を含む、米タイプの黒豆ミルク粉末の形成を開示しており;米国特許出願公開第2002/081367号は、酵素加水分解によって調製された乳代替穀類分散体に関し;中国特許第108967547号は、酵素加水分解を含む、高グリコシドイソフラボン豆乳粉末の調製方法に関する。これらの文書は、いずれも植物ベースのクラムの製造を示唆していない。
【0034】
本発明者らは、驚くべきことに、液化及び/又は糖化ステップを経て、本明細書に記載されるような植物ベースのミルクへと配合された植物材料が、大幅に改良された植物ベースのチョコレート製品の製造に適したクラムに変換され得ることを発見した。
【0035】
いくつかの実施形態では、プロセスは、少なくとも1つのタンパク質調整ステップをさらに含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、プロセスは、好ましくはスクロースを含む、甘味組成物の添加をさらに含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、プロセスは、任意選択により、脱脂ステップをさらに含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、プロセスは、植物ベースの材料及び/又は植物ベースのミルクをブレンドするステップをさらに含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、クラム形成は、
蒸発させて植物ベースの濃縮ミルクを形成すること;
任意選択により、カカオ固形分を植物ベースの濃縮ミルクに添加すること;
植物ベースの濃縮ミルクを加熱すること;
植物ベースの濃縮ミルクを、好ましくは約5%未満の水分含有量まで、より好ましくは約1~3%の最終水分含有量まで乾燥させること
を含む。
【0040】
さらなる態様では、本発明は、植物ベースのクラム、すなわち、本明細書に記載の植物ベースのミルクから形成されたクラム(すなわち、本明細書に記載されるように調製され、及び/又は本明細書に記載されるような組成及び特性を有する)を提供する。いくつかの実施形態では、クラムは、本明細書に記載されるようなプロセスによって得られる。いくつかの実施形態では、クラムは、本明細書に記載されるようなプロセスによって得ることができる。
【0041】
好ましくは、クラムは、乳製品を含まないクラムである。より好ましくは、クラムは、乳製品を含まないチョコレートクラム又は乳製品を含まないホワイトクラムである。いくつかの好ましい実施形態では、ビーガンクラムが本明細書で提供される。より好ましくは、ビーガンチョコレートクラム又はビーガンホワイトクラムが本明細書で提供される。いくつかの好ましい実施形態では、アレルゲンを含まないビーガンクラムが本明細書で提供される。より好ましくは、アレルゲンを含まないビーガンチョコレートクラム又はアレルゲンを含まないビーガンホワイトクラムが本明細書で提供される。
【0042】
別の態様では、チョコレート(すなわち、植物ベースのチョコレート)の作製プロセスにおける、植物ベースのミルクに基づくクラム、例えば、本明細書に記載されるような植物ベースのクラムの使用が本明細書で提供される。また、植物ベースのミルクを使用してチョコレートを作製するプロセス(すなわち、植物ベースのチョコレートを作製するプロセス)も本明細書で提供される。
【0043】
いくつかの実施形態では、プロセスは、クラムを脂肪と混合することを含む。
【0044】
好ましくは、プロセスは、乳製品を含まないチョコレートを作製するためのものである。より好ましくは、乳製品を含まないチョコレートは、乳製品を含まないミルクチョコレート又は乳製品を含まないホワイトチョコレートである。いくつかの好ましい実施形態では、プロセスは、ビーガンチョコレートを作製するためのものである。より好ましくは、ビーガンチョコレートは、ビーガンミルクチョコレート又はビーガンホワイトチョコレートである。いくつかの好ましい実施形態では、プロセスは、アレルゲンを含まないビーガンチョコレートを作製するためのものである。最も好ましくは、チョコレートは、アレルゲンを含まないビーガンミルクチョコレート又はアレルゲンを含まないビーガンホワイトチョコレートである。
【0045】
いくつかの態様では、本発明は、植物ベースのチョコレート、すなわち、本明細書に記載されるような植物ベースのミルクを使用して作られたチョコレート(すなわち、本明細書に記載されるように調製され、及び/又は本明細書に記載されるような組成及び特性を有する)を提供する。いくつかの実施形態では、チョコレートは、本明細書に記載されるようなプロセスによって得られる。いくつかの実施形態では、チョコレートは、本明細書に記載されるようなプロセスによって得ることができる。
【0046】
好ましくは、チョコレートは、乳製品を含まないチョコレートである。より好ましくは、乳製品を含まないチョコレートは、乳製品を含まないミルクチョコレート又は乳製品を含まないホワイトチョコレートである。いくつかの好ましい実施形態では、チョコレートは、ビーガンチョコレートである。より好ましくは、ビーガンチョコレートは、ビーガンミルクチョコレート又はビーガンホワイトチョコレートである。いくつかの好ましい実施形態では、チョコレートは、アレルゲンを含まないビーガンチョコレートである。最も好ましくは、チョコレートは、アレルゲンを含まないビーガンミルクチョコレート又はアレルゲンを含まないビーガンホワイトチョコレートである。
【0047】
本発明は、そのような組み合わせが明らかに許容されない、又は明示的に回避される場合を除き、記載された態様及び好ましい特徴の組み合わせを含む。
【発明を実施するための形態】
【0048】
発明の詳細な説明
ここで、本発明の態様及び実施形態について詳細に説明する。さらなる態様及び実施形態は、当業者にとって明らかであろう。本文で言及されている全ての文書は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
食品表示の文脈において、「チョコレート」、「ミルクチョコレート」、「ホワイトチョコレート」及び「ミルク」などの特定の用語の使用が規制されていることが認識されている(例えば、EU指令2000/36/EC及びEU規則853/2004に従う)。したがって、市販の食品の原料リスト及びラベルでは、これらの用語の使用は、厳密な規制定義の範囲内にある特定の原料及び製品に限定される。
【0050】
しかし、本発明を説明する目的で、並びに明確性及び簡潔性のために、これらの限定的な分類に厳密には従っていない。したがって、本明細書において次の用語が定義される。
【0051】
「ココアバター」(「カカオ脂」とも呼ばれる)という用語は、カカオ(Theobroma Cacao)の木の種子に由来する脂肪を指す。
【0052】
本明細書で使用される「カカオ固形分」という用語は、「乾燥無脂肪」という語句が前に付いていない場合、カカオ豆、カカオニブ、カカオリカー(カカオマスとも呼ばれる)、ココアバター(カカオ脂とも呼ばれる)、カカオパウダー、カカオ繊維、他のカカオベースの又はカカオを含む原料、又はそれらの組み合わせを含む、様々な原料を製造するために適切に加工されたカカオ(Theobroma Cacao)の木の種子のいずれか又は全ての成分を指す。
【0053】
「乾燥無脂肪カカオ固形分」という用語は、「カカオ固形分」から実質的に全ての水分及び脂肪を除去した後に残るカカオ分を指す。
【0054】
本明細書で使用される「チョコレート」という用語は、ココアバター(又はココアバター代替品)、糖、及び任意選択によりカカオ固形分を含む、菓子を指す。例としては、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、クーベルチュールチョコレート、コンパウンドチョコレート、エンローバーチョコレート、又はチョコレート様製品が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
文脈上明らかに別段の指示がない限り、本明細書で使用する「ミルク(乳)」という用語は、「植物ベースの」、「乳製品を含まない」、又は「ビーガン」という言葉が前に付いていない場合、「乳製品のミルク(乳)」、すなわちメスの哺乳動物の乳腺から分泌される脂肪及びタンパク質を含有する液体を指す。この用語には、生乳、スキムミルク、バターミルク、発酵乳、無糖練乳、粉乳を戻した還元乳、並びに粉末(脱水)乳製品、例えば、全乳粉末、脱脂粉乳、乳タンパク質、乳糖、及びラクトース粉末などの、乳製品に由来する製品も含まれる。
【0056】
本明細書で使用される「植物ベースのミルク」、「植物ベースの乳代替品」、又は「乳の植物ベースの代替品」という用語は、外観が乳に似た植物材料(すなわち、食用植物抽出物)の水性懸濁液を指す。植物ベースのミルクに由来する製品を説明するために、対応する用語が使用される。
【0057】
本明細書で使用する「乳製品を含まない」という用語は、乳及び乳に由来する製品(スキムミルク、バターミルク、発酵乳、粉乳、乳タンパク質、乳糖(すなわち、ラクトース)などであるが、これらに限定されない)の不存在を指す。
【0058】
本明細書で使用される「ビーガン」という用語は、乳、その成分及びその誘導体、並びにその他の動物由来製品を含む、動物製品の不存在を指す。
【0059】
本明細書で使用される「乳製品を含まないチョコレート」という用語は、ココアバター(又はココアバター代替品)、糖(及び任意選択によりカカオ固形分)を含み、乳製品又はその成分を含まない、菓子を指す。
【0060】
本明細書で使用される「ビーガンチョコレート」という用語は、ココアバター(又はココアバター代替品)、糖(及び任意選択によりカカオ固形分)を含み、動物由来製品を含まない、菓子を指す。
【0061】
本明細書で使用される「ミルクチョコレート」という用語は、ココアバター(又はココアバター代替品)、カカオ固形分、糖、乳製品及び/又は植物ベースのミルク(文脈に応じて)を含む、菓子を指す。
【0062】
本明細書で使用される「ホワイトチョコレート」という用語は、ココアバター(又はココアバター代替品)、糖、乳製品及び/又は植物ベースのミルク(文脈に応じて)を含む、菓子を指す。
【0063】
「ココアバター代替品」という用語は、ココアバター代用脂(Cocoa Butter Substitute、CBS)、ココアバター代替脂(Cocoa Butter Replacer、CBR)、若しくはココアバター類似脂(Cocoa Butter Equivalent、CBE)、又は当技術分野で一般に知られている他のココアバター代替品を含み得る。
【0064】
本明細書で使用される「乳製品を含まないミルクチョコレート」という用語は、ココアバター(又はココアバター代替品)、カカオ固形分、糖、及び植物ベースのミルクを含み、乳製品を含まない、菓子を指す。
【0065】
本明細書で使用される「ビーガンミルクチョコレート」という用語は、ココアバター(又はココアバター代替品)、カカオ固形分、糖、及び植物ベースのミルクを含み、動物由来製品を含まない、菓子を指す。
【0066】
本明細書で使用される「乳製品を含まないホワイトチョコレート」という用語は、ココアバター(又はココアバター代替品)、糖、及び植物ベースのミルクを含み、乳製品を含まない、菓子を指す。
【0067】
本明細書で使用される「ビーガンホワイトチョコレート」という用語は、ココアバター(又はココアバター代替品)、糖、及び植物ベースのミルクを含み、動物由来製品を含まない、菓子を指す。
【0068】
本明細書で使用される「クラム」という用語は、糖、乳製品及び/又は植物ベースのミルク、及び任意選択によりカカオ固形分を含む、共乾燥混合物を指す。
【0069】
本明細書で使用される「チョコレートクラム」という用語は、糖、乳(及び/又は文脈に応じて植物ベースのミルク)、及びカカオ固形分を含み、ミルクチョコレートの作製における使用に適した、共乾燥混合物を指す。
【0070】
本明細書で使用される「植物ベースのクラム」又は「植物ベースのチョコレートクラム」という用語は、糖、植物ベースのミルク、及び任意選択によりカカオ固形分を含む、共乾燥混合物を指す。
【0071】
本明細書で使用される「乳製品を含まないクラム」又は「乳製品を含まないチョコレートクラム」という用語は、糖、植物ベースのミルク、及び任意選択によりカカオ固形分を含み、乳製品を含まない、共乾燥混合物を指す。
【0072】
本明細書で使用される「ビーガンクラム」又は「ビーガンチョコレートクラム」という用語は、糖、植物ベースのミルク、及び任意選択によりカカオ固形分を含み、動物由来製品を含まない、共乾燥混合物を指す。
【0073】
本明細書で使用される「ホワイトクラム」という用語は、糖及び乳(及び/又は文脈に応じて植物ベースのミルク)を含む、共乾燥混合物を指す。
【0074】
本明細書で使用される「乳製品を含まないホワイトクラム」という用語は、糖及び植物ベースのミルクを含む共乾燥混合物を指し、これは乳を含まない。
【0075】
本明細書で使用される「ビーガンホワイトクラム」という用語は、糖及び植物ベースのミルクを含む共乾燥混合物を指し、これは動物由来の製品を含まない。
【0076】
「穀類を含まない」、「穀物を含まない」、「穀類なしで作製された」又は「穀物なしで作製された」という用語は、小麦、大麦、ライ麦、米、及びオーツ麦などの草(イネ科(Poaceae))から栽培された穀物(種子)の不存在を指す。本明細書で使用される「グルテンフリー」という用語は、20ppm(百万分率)以下のグルテンを有する製品を指す。本明細書で使用される「低グルテン」という用語は、21~100ppmのグルテンを有する製品を指す。
【0077】
「アレルゲンを含まない」という用語は、EUで宣言されたアレルゲンの不存在を指す。
【0078】
本明細書においてパーセンテージで表される含有量は、特に明記しない限り、重量(%w/w)による。
【0079】
本明細書に記載のプロセス、クラム、及びチョコレートにおいて使用される、植物ベースのミルクは、任意の適切な植物材料、すなわち、植物由来の任意の食用材料を含み得る。
【0080】
植物ベースのミルクは公知であり、多くが市販されている。植物ベースのミルクは、例えば、以下に説明するプロセスを使用して製造してもよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、本発明における使用のための植物ベースのミルクは、少なくとも1つの植物材料に由来する水性懸濁液である。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、穀類、塊茎、擬穀類、豆類、油糧種子、ナッツ、又はそれらの組み合わせに由来する材料を含む。いくつかの実施形態では、植物材料は、穀類、塊茎、擬穀類、ナッツ又はそれらの組み合わせに由来する。
【0082】
いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、高デンプン植物材料を含む、例えば、高デンプンの穀類、塊茎、ナッツ、又は擬穀類に由来することが好ましい。
【0083】
いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、塊茎、ナッツ、豆類、又はそれらの組み合わせを含むことが好ましい。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、塊茎、例えば、タイガーナッツを含むことが好ましい。
【0084】
いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、グルテンフリーであることが好ましい。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、低グルテンであることが好ましい。これらの実施形態では、植物ベースのミルクは、グルテンフリー又は低グルテンの植物材料を含む。過剰なグルテンタンパク質の存在は、菓子の質感及び口当たりに影響を与え得るため、本明細書に記載の植物ベースのミルク、クラム、及びチョコレート中のグルテン濃度が低いことが有利となり得る。
【0085】
例えば、いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、米、ナッツ、豆類、塊茎、オーツ麦のグルテンフリー調製物、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、米、ナッツ、豆類、塊茎又はそれらの組み合わせを含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、米を含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、少なくとも1つのナッツを含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、少なくとも1つの豆類を含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、少なくとも1つの塊茎を含む。
【0090】
植物ベースのミルクがオーツ麦を含む場合、「グルテンフリー」のオーツ麦材料を使用することが好ましい。オーツ麦自体はグルテンを含有しないが、市販されている大半のオーツ麦調製物はグルテン含有穀物が混入しており、加工条件及び生育条件により、セリアック病又はグルテン不耐症を有する人にとって有害となり得ることが当該技術分野で一般に理解されている。EUの定義では、米を除いてオーツ麦を含む全ての穀類がアレルゲンとみなされる。
【0091】
いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、穀類を含まないことが好ましい。
【0092】
いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、穀物を含まないことが好ましい。
【0093】
いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、アレルゲンを含まないことが好ましい。
【0094】
例えば、いくつかの実施形態では、植物材料はタイガーナッツを含み、及び/又はアジュバント植物材料はヒマワリ種子を含む。有利なことに、タイガーナッツ及びヒマワリ種子は、EUにおいてアレルゲンとみなされていない。
【0095】
いくつかの実施形態では、植物材料は、タイガーナッツ、サツマイモ、米、オーツ麦、アマランス、テフ、ソルガム、キヌア、ソバ、又はそれらの組み合わせを含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、植物材料は、タイガーナッツ、サツマイモ、オーツ麦、米、ソルガム、又はそれらの組み合わせを含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、植物材料は、タイガーナッツ、サツマイモ、米、ソルガム、又はそれらの組み合わせを含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、植物材料は、タイガーナッツ、サツマイモ、米、又はそれらの組み合わせを含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、植物材料は、タイガーナッツ、サツマイモ、又はそれらの組み合わせを含む。
【0100】
いくつかの好ましい実施形態では、植物材料は、米、オーツ麦、ソルガム、又はそれらの組み合わせを含む。
【0101】
いくつかの好ましい実施形態では、植物材料は、米、オーツ麦、タイガーナッツ、又はそれらの組み合わせを含む。
【0102】
いくつかの好ましい実施形態では、植物材料は、米、オーツ麦、又はそれらの組み合わせを含む。
【0103】
いくつかの好ましい実施形態では、植物材料は、タイガーナッツ、オーツ麦、又はそれらの組み合わせを含む。
【0104】
いくつかの好ましい実施形態では、植物材料は、タイガーナッツ、米、又はそれらの組み合わせを含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、植物材料は、タイガーナッツを含む。タイガーナッツは、ショクヨウガヤツリ(Cyperus esculentus)草の根元で成長する小型の根粒(塊茎)である。有利なことに、タイガーナッツは独特の風味を有し、デンプン及びスクロースの両方を高レベルで有する。
【0106】
いくつかの実施形態では、植物材料は、サツマイモを含む。有利なことに、サツマイモは、高レベルの天然に存在するスクロースを有し、調理時のデンプンからマルトースへの高レベルの変換を有する。
【0107】
いくつかの実施形態では、植物材料は、米を含む。有利なことに、米は中立的な風味を有し、水性抽出において高い全固形分収率を有する。
【0108】
いくつかの実施形態では、植物材料は、オーツ麦を含む。有利なことに、オーツ麦は、望ましい風味、(米と比較して)高いタンパク質含有量、及び水性抽出における高い全固形分収率を有する。
【0109】
いくつかの実施形態では、植物材料は、ソルガムを含む。有利なことに、ソルガムはマイルドな風味を有し、水性抽出において高い全固形分収率を有する。
【0110】
いくつかの実施形態では、植物材料は、精白することができる(すなわち、米又はタイガーナッツなどの植物材料の表面から糠が除去されている)。他の実施形態では、植物材料は、未精白であってもよい。
【0111】
最終製品に要求される所望の風味、栄養組成、味プロファイル及び特徴に応じて、本明細書に記載の植物ベースのミルクにおいて植物材料の異なる組み合わせ及び割合を使用できることが想定される。風味、加工特性、又は現地での入手可能性の違いに応じて、異なる植物材料の組み合わせが使用され得る。本明細書に記載されるように、菓子製造業者は、これらの原材料を任意の割合で組み合わせて、所望の栄養組成及び味プロファイルを達成することができる。
【0112】
いくつかの実施形態では、2つ以上の植物材料の組み合わせを含む植物ベースのミルクは、植物ベースのミルクの製造前に前記植物材料を組み合わせることによって(すなわち、植物材料を水に懸濁させる前に組み合わせることによって)調製され得る。他の実施形態では、2つ以上の植物材料の組み合わせを含む植物ベースのミルクは、1つ以上の異なる植物ベースのミルクを別々に製造し(すなわち、それぞれが異なる植物材料を含有する2つ以上の水性懸濁液を調製し)、次いでこれらの植物ベースのミルクを組み合わせることによって、調製され得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、補助植物材料は、本明細書に記載のプロセス、植物ベースのミルク、クラム、及びチョコレートに使用され得る。いくつかの実施形態では、補助植物材料は、豆類、油糧種子、ナッツ又はそれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態では、補助植物材料は、ヘーゼルナッツ、ピーナッツ、カシューナッツ、マカダミアナッツ、ココナッツ、アーモンド、ヒヨコマメ、エンドウ、大豆、麻の実、ヒマワリ種子、ゴマ種子、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0114】
有利には、風味を改善するため、又はタンパク質含有量を高めるために、補助植物材料を本明細書に記載の植物ベースのミルク、クラム又はチョコレートに含めてもよい。補助植物材料もまた、さらなる機能的利点を提供し得る。いくつかの実施形態では、補助植物材料は、補助植物材料によって提供される風味の寄与をさらに改善するためにローストされてもよい。
【0115】
補助植物材料の総乾燥重量が最終チョコレートの重量の0%~20%を占めることが好ましい。補助植物材料の総乾燥重量が最終チョコレートの重量の1%~10%を占めることが好ましい。補助植物材料の総乾燥重量が最終チョコレートの重量の2%~8%を占めることが好ましい。補助植物材料の総乾燥重量がクラムの重量の0%~30%を占めることが好ましい。補助植物材料の総乾燥重量がクラムの重量の1%~20%を占めることが好ましい。補助植物材料の総乾燥重量がクラムの重量の5%~10%を占めることが好ましい。
【0116】
いくつかの好ましい実施形態では、補助植物材料は、ヘーゼルナッツを含む。いくつかの好ましい実施形態では、補助植物材料は、アーモンドを含む。いくつかの好ましい実施形態では、補助植物材料は、ヒマワリ種子を含む。いくつかの好ましい実施形態では、補助植物材料は、ヘーゼルナッツとヒマワリ種子の組み合わせを含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、植物材料はタイガーナッツ及び/又は米を含み、補助植物材料はヘーゼルナッツを含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、植物材料はタイガーナッツを含み、補助植物材料はヘーゼルナッツを含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、植物材料はタイガーナッツを含み、補助植物材料はヒマワリ種子を含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、植物材料はタイガーナッツを含み、補助植物材料はヘーゼルナッツ及びヒマワリ種子を含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、植物材料は、オーツ麦及び/又は米を含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、植物材料は、オーツ麦及び/又はタイガーナッツを含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、植物材料は米を含み、補助植物材料はアーモンドを含む。
【0124】
本明細書に記載されるような植物ベースのミルクの製造プロセスは、予備粉砕又は製粉ステップを含んでもよい。
【0125】
いくつかの実施形態では、植物材料は、約50ミクロン~約1000ミクロンの粒径まで予備粉砕される。いくつかの実施形態では、植物材料は、約50ミクロン~約200ミクロンの粒径まで予備粉砕される。いくつかの実施形態では、植物材料は、約50ミクロン~約800ミクロンの粒径まで予備粉砕される。いくつかの実施形態では、植物材料は、約100ミクロン~約800ミクロンの粒径まで予備粉砕される。いくつかの実施形態では、植物材料は、約200ミクロン~約800ミクロンの粒径まで予備粉砕される。いくつかの実施形態では、植物材料は、約50ミクロン~約500ミクロンの粒径まで予備粉砕される。いくつかの実施形態では、植物材料は、約100ミクロン~約500ミクロンの粒径まで予備粉砕される。いくつかの実施形態では、植物材料は、約200ミクロン~約500ミクロンの粒径まで予備粉砕される。
【0126】
いくつかの実施形態では、予備粉砕又は製粉ステップは、植物材料を粉砕するためにドライミルを使用して実施される。いくつかの代替的な実施形態では、予備粉砕された植物材料を市場から購入することができる。いくつかの実施形態では、部分脱脂が必要な場合があり、部分脱脂は、例えばスクリューオイルプレスを使用して、ドライミル又は乾式粉砕の前に実施することができる。いくつかの代替的な実施形態では、予備粉砕された部分脱脂植物材料を市場から購入することができる。
【0127】
いくつかの代替実施形態では、植物材料は、水に予備浸漬される。いくつかの実施形態では、植物材料は、約6時間~約24時間にわたって水に浸漬される。いくつかの実施形態では、植物材料は、約6時間~約12時間にわたって水に浸漬される。いくつかの実施形態では、植物材料は、約6時間~約10時間にわたって水に浸漬される。いくつかの実施形態では、植物材料は、約6時間~約8時間にわたって水に浸漬される。いくつかの実施形態では、水は、浸漬プロセスを強化又は制御するための薬剤、例えば、浸漬中又は浸漬後の植物材料の望ましくない反応又は発酵を防ぐ薬剤を含んでもよい。好ましくは、全粒の(すなわち、製粉又は粉砕されていない)植物材料が予備浸漬される。予備浸漬した後、植物材料は、好ましくは、過剰の水を排出される。
【0128】
植物ベースのミルクを製造するために、植物材料の粒子を水に懸濁させる。いくつかの実施形態では、植物材料の粒子が水中に懸濁される前に、液化及び/又は糖化ステップを実施するのに適した1つ以上の酵素が水に添加される。いくつかの実施形態では、植物材料の粒子が水中に懸濁された後に、液化及び/又は糖化ステップを実施するのに適した酵素が水に添加される。いくつかの実施形態では、(任意選択により、予備粉砕及び/又は予備浸漬した)植物材料を水に懸濁し、次いで製粉/ブレンドして、植物ベースのミルクを形成する。いくつかの実施形態では、液化及び/又は糖化ステップを実施するのに適した1つ以上の酵素が植物ベースのミルクに添加される。
【0129】
いくつかの実施形態では、植物材料は、約10℃~約50℃の温度で最初に水中に懸濁される。いくつかの実施形態では、植物材料は、約20℃~約50℃の温度で最初に水中に懸濁される。いくつかの実施形態では、植物材料は、約20℃~約47℃の温度で最初に水中に懸濁される。いくつかの実施形態では、植物材料は、約25℃~約40℃の温度で最初に水中に懸濁される。いくつかの実施形態では、植物材料は、約30℃~45℃の温度で最初に水中に懸濁される。いくつかの実施形態では、植物材料は、約35℃~45℃の温度で最初に水中に懸濁される。
【0130】
いくつかの代替的な実施形態では、植物材料は、約10℃~約150℃の温度で水中に懸濁される。いくつかの実施形態では、植物材料は、約10℃~約120℃の温度で水中に懸濁される。いくつかの実施形態では、植物材料は、約10℃~約100℃の温度で水中に懸濁される。いくつかの実施形態では、植物材料は、約10℃~約80℃の温度で水中に懸濁される。いくつかの実施形態では、植物材料は、約20℃~約150℃の温度で水中に懸濁される。いくつかの実施形態では、植物材料は、約20℃~約120℃の温度で水中に懸濁される。いくつかの実施形態では、植物材料は、約20℃~約100℃の温度で水中に懸濁される。いくつかの実施形態では、植物材料は、約20℃~約80℃の温度で水中に懸濁される。いくつかの実施形態では、植物材料は、約10℃~約55℃の温度で水中に懸濁される。いくつかの実施形態では、植物材料は、約20℃~約55℃の温度で水中に懸濁される。
【0131】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスによって得られる植物ベースのミルク、クラム、又はチョコレートの好ましい味又は質感を妨げ得る酵素を変性できる温度まで植物材料懸濁液を加熱することが好ましい場合がある。例えば、大豆を含む植物材料の水性懸濁液を加熱して、水の存在下で不飽和脂肪酸の酸化を触媒するリポキシダーゼ酵素を変性させ、苦味を生じさせることが好ましい場合がある。米国特許第4194018A号(Hodel et al. 1980;参照により本明細書に組み込まれる)には、粒子の分散、加熱及びフラッシングによって苦味が排除される水性大豆懸濁液の製造プロセスが記載されている。
【0132】
いくつかの実施形態では、懸濁された植物材料は、例えば高剪断粉砕機又はブレンダーを使用して、製粉、粉砕、又はブレンドされて、スラリーを形成する。いくつかの実施形態では、製粉、粉砕、又はブレンドするステップ中、その前又はその後に、超音波を使用してもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、超音波は、超音波キャビテーション効果によって植物細胞壁の透過性を高めることにより、植物ベースのミルクの分散及び乳化を高め得ると考えられる。
【0133】
いくつかの実施形態では、植物材料の乾燥重量とミルクを調製するために使用される水の重量との比は、約1:0.1~約1:6である。いくつかの実施形態では、植物材料の乾燥重量とミルクを調製するために使用される水の重量との比は、約1:0.3~約1:6である。いくつかの実施形態では、植物材料の乾燥重量とミルクを調製するために使用される水の重量との比は、約1:0.5~約1:6である。いくつかの実施形態では、植物材料の乾燥重量とミルクを調製するために使用される水の重量との比は、約1:0.7~約1:6である。いくつかの実施形態では、植物材料の乾燥重量とミルクを調製するために使用される水の重量との比は、約1:0.9~約1:6である。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクを製造するために水中に懸濁される植物材料の乾燥重量と水の重量との比は、約1:1~約1:6である。いくつかの実施形態では、植物材料と水の乾燥重量比は、約1:1~約1:4である。いくつかの実施形態では、植物材料と水の乾燥重量比は、約1:2~約1:4である。いくつかの実施形態では、植物材料と水の乾燥重量比は、約1:3である。いくつかの実施形態では、植物材料と水の乾燥重量比は、約1:2である。いくつかの実施形態では、植物材料と水の乾燥重量比は、約1:1である。いくつかの実施形態では、植物材料と水の乾燥重量比は、約1:0.9である。いくつかの実施形態では、植物材料と水の乾燥重量比は、約1:0.7である。いくつかの実施形態では、植物材料と水の乾燥重量比は、約1:0.5である。いくつかの実施形態では、植物材料と水の乾燥重量比は、約1:0.3である。いくつかの実施形態では、植物材料と水の乾燥重量比は、約1:0.1である。
【0134】
いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、過大な材料を除去又は分離するための分離ステップに供されてもよい。これは、1つ以上の濾過、デカント、遠心分離手順、又はそれらの組み合わせを含み得る。分離ステップを実施する利点は、植物ベースのミルクから粗粒子(例えば、残留植物セルロース)を除去できることである。いくつかの好ましい実施形態では、分離ステップは、例えば適切なメッシュを使用した、濾過を含む。いくつかの実施形態では、過大な粒子の除去の後、植物ベースのミルク中の所望の最大懸濁粒子サイズは、300ミクロン未満である。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルク中の所望の最大懸濁粒子サイズは、100ミクロン未満である。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルク中の所望の最大懸濁粒子は、50ミクロン未満である。
【0135】
理論に束縛されることを望むものではないが、本発明で使用される植物材料が高い繊維含有量を有する場合、分離ステップを実施することが特に有用であり得る。分離ステップで除去される過大な材料は、大量の不溶性繊維を含み得る。ミルクから不溶性繊維を分離することにより、ミルク中の炭水化物、糖、タンパク質、脂肪、及びその他の風味揮発性化合物の割合が増加し、ミルク全体の風味強度が濃縮され得る。高い繊維含有量を有する植物材料には、タイガーナッツが含まれるが、これに限定されない。
【0136】
他の実施形態では、例えば、植物材料が低い不溶性繊維含有量を有する場合、分離ステップは実施されない。このような実施形態では、植物材料からの不溶性繊維は、ミルク中に保持される。低い不溶性繊維含有量を有する植物材料には、米(特に白米)が含まれるが、これに限定されない。
【0137】
いくつかの実施形態では、分離ステップは、存在する場合、液化及び/又は糖化ステップの前に実施してもよい。いくつかの実施形態では、分離ステップは、存在する場合、液化及び/又は糖化ステップの後に実施してもよい。
【0138】
分離ステップを経ていない植物ベースのミルクは、分離ステップを経た植物ベースのミルクよりも高い全固形分含有量を有し得る。例えば、分離ステップを経ていない植物ベースのミルクは、最大約90%の全固形分含有量を有し得る。
【0139】
いくつかの実施形態では、他の原料を添加する前の植物ベースのミルクの全固形分含有量は、約10%~約90%である。いくつかの実施形態では、他の原料を添加する前の植物ベースのミルクの全固形分含有量は、約10%~約80%である。いくつかの実施形態では、他の原料を添加する前の植物ベースのミルクの全固形分含有量は、約10%~約70%である。いくつかの実施形態では、他の原料を添加する前の植物ベースのミルクの全固形分含有量は、約20%~約90%である。いくつかの実施形態では、他の原料を添加する前の植物ベースのミルクの全固形分含有量は、約20%~約80%である。いくつかの実施形態では、他の原料を添加する前の植物ベースのミルクの全固形分含有量は、約20%~約70%である。
【0140】
いくつかの実施形態では、分離ステップ後(すなわち、過大な粒子の除去後であるが、甘味料などの他の原料の添加前)、植物ベースのミルクは、好ましくは、約10重量%~約50重量%の全固形分含有量を有する。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、好ましくは、約15重量%~約35重量%、より好ましくは約20重量%~約30重量%の全固形分含有量を有する。
【0141】
いくつかの実施形態では、本発明のクラム形成プロセスにおける使用に適した植物ベースのミルクの繊維含有量は、約0%~約10%の乾燥重量である。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクの繊維含有量は、約3%~約8%の乾燥重量である。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクの繊維含有量は、約2%~約7%の乾燥重量である。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクの繊維含有量は、約0%~約8%の乾燥重量である。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクの繊維含有量は、約0%~約7%の乾燥重量である。いくつかの実施形態では、例えば、植物ベースのミルクが分離ステップを経ている場合、植物ベースのミルクの繊維含有量は、約1%未満であり得る。
【0142】
植物ベースのミルクの繊維含有量は、得られるクラム及びチョコレートの繊維含有量を決定する主な要因である(ただし、必要に応じて、原則として繊維をクラム又はチョコレートに添加してもよいことは理解されよう)。
【0143】
いくつかの実施形態では、本発明のクラムの総繊維含有量は、クラムの総重量に基づいて約0%~約10%である。いくつかの実施形態では、クラムの繊維含有量は、クラムの総重量に基づいて約0%~約8%である。いくつかの実施形態では、クラムの繊維含有量は、クラムの総重量に基づいて約0%~約7%である。いくつかの実施形態では、クラムの繊維含有量は、クラムの総重量に基づいて約1%~約8%である。いくつかの実施形態では、クラムの繊維含有量は、クラムの総重量に基づいて約1.5%~約7.5%である。いくつかの実施形態では、クラムの繊維含有量は、クラムの総重量に基づいて約2.5%~約7%である。いくつかの実施形態では、クラムの繊維含有量は、クラムの総重量に基づいて約2.5%~約6.7%である。
【0144】
いくつかの実施形態では、本発明のチョコレートの総繊維含有量は、チョコレートの総重量に基づいて約0%~約10%である。いくつかの実施形態では、チョコレートの繊維含有量は、チョコレートの総重量に基づいて約1%~約7%である。いくつかの実施形態では、チョコレートの繊維含有量は、チョコレートの総重量に基づいて約2%~約5%である。
【0145】
上述のプロセスを使用して製造された植物ベースのミルクは、以下にさらに説明するように、植物ベースのクラム及びチョコレートの製造における使用に特に適している。しかし、他の植物ベースのミルク、例えば、他の公知の方法を使用して製造された植物ベースのミルク、市販の植物ベースのミルク、市販の植物ベースの濃縮ミルク、及び/又は植物ベースのミルクと植物ベースの濃縮ミルクの混合物(本明細書に記載されるような他の植物ベースの(濃縮)ミルクと植物ベースの(濃縮)ミルクの混合物を含む)も、本発明のプロセスにおいて使用され得ることは理解されよう。
【0146】
また、市販の「加水分解された」粉(すなわち、液化及び/又は糖化ステップがすでに実施されている植物材料をベースにした粉)を原則として本発明のプロセスに使用してもよいことも理解されよう。例えば、市販の加水分解された粉(例えば、加水分解された米粉など)を水に懸濁し、次いで、必要に応じて、本明細書に記載されるようなプロセスのさらなるステップを、得られた懸濁液に適用して、本発明による植物ベースのミルク、植物ベースのクラム及び/又は植物ベースのチョコレートを形成してもよい。
【0147】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスによって得られるか、又は得ることができる、植物ベースのミルク、チョコレートクラム、及びチョコレート中の、短鎖タンパク質、オリゴペプチド、ペプチド及びアミノ酸の量を増加させるために、タンパク質調整ステップを含めることが有利であり得る。理論に束縛されることを望むものではないが、利用可能なアミノ基の数を増やすことによって、起こり得るメイラード反応の数が増加し、そこから得られるクラム及びチョコレートのフレーバープロファイルをさらに改善できると考えられる。
【0148】
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスは、1つ以上のタンパク質調整ステップを含み得る。いくつかの実施形態では、タンパク質調整ステップは、分離ステップの後に実施される。いくつかの実施形態では、タンパク質調整ステップは、分離ステップの前に実施される。いくつかの実施形態では、タンパク質調整ステップは、液化及び/又は糖化ステップの後に実施される。
【0149】
いくつかの実施形態では、タンパク質調整ステップは、タンパク質加水分解ステップを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質加水分解ステップは、1つ以上の酵素を使用して植物材料中のタンパク質を加水分解することを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質加水分解ステップは、植物ベースのミルク中の遊離アミノ酸の含有量を増加させるために、植物ベースのミルクを少なくとも1つの酵素で処理することを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質加水分解ステップは、植物材料から製造される植物ベースのミルク中の遊離アミノ酸の含有量を増加させるために、植物材料を少なくとも1つの酵素で処理することを含む。いくつかの実施形態では、酵素は、パパイン及びカルボキシペプチダーゼから選択される。いくつかの実施形態では、酵素は、パパインである。いくつかの実施形態では、酵素は、カルボキシペプチダーゼである。いくつかの実施形態では、酵素は、100U/gを超える活性を有する。
【0150】
いくつかの実施形態では、タンパク質加水分解ステップは、約3~約9のpHで行われる。いくつかの実施形態では、タンパク質加水分解ステップは、約4~約5のpHで行われる。
【0151】
いくつかの実施形態では、タンパク質加水分解ステップ中、植物ベースのミルクは約10℃~約100℃の間の温度に加熱される。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、約50℃の温度に加熱される。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、約2時間~約12時間にわたって加熱される。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、約4時間~約10時間にわたって加熱される。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、約6時間~約8時間にわたって加熱される。好ましい実施形態では、植物ベースのミルクは、約50℃の温度で約6時間~約8時間加熱される。
【0152】
いくつかの実施形態では、タンパク質調整ステップは、本明細書に記載されるように、タンパク質加水分解物及び/又はタンパク質単離物を、植物材料、植物ベースのミルク、又は植物ベースの濃縮ミルクに加えるステップを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質加水分解物及び/又はタンパク質単離物は、植物由来のタンパク質加水分解物及び/又は植物由来のタンパク質単離物である。いくつかの実施形態では、タンパク質加水分解物及び/又はタンパク質単離物は、大豆、エンドウ、米若しくは麻のタンパク質、又はそれらの組み合わせに由来する。
【0153】
タンパク質加水分解物及びタンパク質単離物は、エンドウ、玄米、麻、大豆などを含む、多くの供給源から市販されており、容易に入手できる。一般的に、これらは、酸と共に加熱するか又はタンパク質分解酵素を加え、その後精製ステップを行うことにより、精製されたタンパク質源から製造される。
【0154】
いくつかの実施形態では、タンパク質加水分解物及び/又はタンパク質単離物は、本明細書に記載されるように、粉末として植物材料、植物ベースのミルク、又は植物ベースの濃縮ミルクに添加される。
【0155】
いくつかの実施形態では、タンパク質調整ステップは、植物材料又は植物ベースのミルクのタンパク質レベルを約1~約20%(乾燥重量)に調整することを含む。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、約3~約20%の乾燥重量のタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、約1~約15%の乾燥重量のタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、約1~約12%の乾燥重量のタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、約1~約11%の乾燥重量のタンパク質を含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、タンパク質調整ステップは、得られるクラムが重量で約1~約20%のタンパク質を含むように、植物材料又は植物ベースのミルクのタンパク質レベルを調整することを含む。いくつかの実施形態では、クラムは、約3~約20重量%のタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、クラムは、約1~約15重量%のタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、クラムは、約1~約10重量%のタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、クラムは、約3~約10重量%のタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、クラムは、約7~8重量%のタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、クラムは、約1.0~約11.0%を含む。いくつかの実施形態では、クラムは、約1.3~約10.6重量%のタンパク質を含む。
【0157】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスによって得ることができるチョコレートは、約1~約20重量%のタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスによって得ることができるチョコレートは、約1重量%~約12重量%のタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスによって得ることができるチョコレートは、約1重量%~約10重量%のタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、チョコレートは、約1~8重量%のタンパク質を含む。
【0158】
タンパク質含有量は、規格UNE-EN ISO/IEC 17025:2017 ENAC 1094/LE2182に従って認定されたデュマ(TCD)検定によって測定できる。理論に束縛されることを望むものではないが、カカオ由来以外の遊離脂肪がクラム中に過剰に含まれると、混練中の脂肪相の分離につながり得ると考えられる。これは、クラムの乾燥に悪影響を及ぼす可能性があり、得られるチョコレートを柔らかくする効果も有し得る。
【0159】
クラムの脂肪含有量は、主に、その作製に使用される植物ベースのミルクの脂肪含有量によって決定される。
【0160】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、植物材料又は植物ベースのミルクの脂肪含有量を低減する、少なくとも1つの脱脂ステップを任意選択により含む。
【0161】
いくつかの実施形態では、脱脂ステップは、乾燥植物材料に対して、すなわち、上記の予備粉砕又は浸漬ステップの前、その間、又はその後に実施される。これらの実施形態では、脱脂ステップは、例えば、搾油プレス、例えば、スクリュー式搾油プレスを使用して実施してもよい。いくつかの代替的な実施形態では、部分的又は完全に脱脂された植物材料(食品グレード)を市場から購入することができる。
【0162】
いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクに脱脂ステップを実施してもよい。これらの実施形態では、脱脂ステップは、例えば分離器を使用して実施してもよい。
【0163】
いくつかの実施形態では、いくつかの植物材料をブレンドして、適切な脂肪含有量を有する植物ベースのミルクを形成することが有益であり得る。いくつかの実施形態では、植物材料は、植物材料を水に懸濁するステップの前又は後にブレンドしてもよい。
【0164】
例えば、特定の植物材料ベースのミルクの典型的な脂肪含有量は、以下の通りである。
ヘーゼルナッツミルク-乾燥重量ベースで約65%の脂肪
タイガーナッツミルク-乾燥重量ベースで約30%の脂肪
オーツミルク-乾燥重量ベースで約5%の脂肪
ライスミルク-乾燥重量ベースで約0%の脂肪
【0165】
当業者に理解されるように、所望の脂肪含有量を有するブレンドされた植物ベースのミルクは、上に列挙される植物ベースのミルク(任意選択により、完全に又は部分的に脱脂されていてもよい)を含むがこれに限定されない、適切な量の1つ以上の異なる植物ベースのミルクをブレンドすることによって製造され得る。
【0166】
好ましくは、本発明のプロセスにおける使用のための植物ベースのミルクは、乾燥重量ベースで約30重量%以下の脂肪を有する。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、乾燥重量ベースで約20~25重量%以下の脂肪を有する。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、乾燥重量ベースで約15重量%以下の脂肪を有する。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、乾燥重量ベースで約6~12重量%以下の脂肪を有する。
【0167】
植物ベースのミルクの総脂肪含有量は、規格UNE-EN ISO/IEC 17025:2017 ENAC 1094/LE2182に従って認定された重量試験によって測定される。得られたクラムの脂肪の組成は、規格UNE-EN ISO/IEC 17025:2017 ENAC 1094/LE2182に従う炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフィー(GC-FID)試験によって測定される。
【0168】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスにおいて使用される植物ベースのミルクの脂肪含有量は、得られるクラムがクラムの総重量に基づいて約25重量%以下の脂肪を有するように選択される。いくつかの実施形態では、クラムは、クラムの総重量に基づいて約22重量%以下の脂肪を有する。いくつかの実施形態では、クラムは、クラムの総重量に基づいて約20重量%以下の脂肪を有する。いくつかの実施形態では、クラムは、クラムの総重量に基づいて約5~25重量%の脂肪を有する。いくつかの実施形態では、クラムは、クラムの総重量に基づいて約5~20重量%の脂肪を有する。いくつかの実施形態では、クラムは、クラムの総重量に基づいて約5~16重量%の脂肪を有する。いくつかの実施形態では、クラムは、クラムの総重量に基づいて約10~20重量%の脂肪を有する。いくつかの実施形態では、クラムは、乾燥重量ベースで約10~16重量%の脂肪を有する。いくつかの実施形態では、クラムは、クラムの総重量に基づいて約15重量%の脂肪を有する。
【0169】
クラムの脂肪含有量を上記の範囲内に保つことにより、クラムを容易に製造及び加工することができ、優れた質感及び稠度を有するチョコレートが達成される。
【0170】
理論に束縛されることを望むものではないが、ミルク中の脂肪レベルが高すぎる場合(例えば、30%超)、乾燥プロセスに影響を与え得る。また、植物ベースのミルクの脂肪は主に不飽和であり、ミルク/クラム中の不飽和脂肪レベルが高すぎると、チョコレートが柔らかくなる可能性がある。
【0171】
植物ベースのクラムの脂肪含有量が上で開示した最適レベルよりも低い場合、以下に記載するように、チョコレート作製段階でより多量の脂肪(例えば、ココアバター)をクラムに添加する必要があり得る。或いは、又はさらに、ココアバターの形態の追加の脂肪を、以下に記載するように、クラム作製プロセス中に消泡剤として添加することもできる。
【0172】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスは、甘味料/甘味組成物の添加によって、本明細書に記載の植物ベースのミルク、クラム、又はチョコレートを甘味付けするステップを含む。
【0173】
典型的には、植物ベースのミルクに添加される甘味料(すなわち、甘味組成物)は、1つ以上の炭水化物であるか、又はそれを含む。好ましい実施形態では、甘味料は、炭水化物から本質的になる。したがって、特にこれらの実施形態に関して、「甘味料」及び「炭水化物」(同様に、「甘味料含有量」及び「炭水化物含有量」)という用語は、本明細書において互換的に使用され得る。
【0174】
全ての炭水化物が必ずしも甘味を付与するわけではないことは、当業者には理解されよう。これには、本発明で使用される甘味組成物に含まれ得るいくつかの炭水化物が含まれる。添加される「甘味料」の量、又は「甘味料含有量」又は「総甘味料含有量」への本明細書における言及は、甘味効果に関わらず、全ての炭水化物の合計を指す。
【0175】
いくつかの好ましい実施形態では、甘味料は、少なくとも1つの糖(ここで、糖は、スクロース、デキストロース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、キシロース、リボース、グリセルアルデヒド、ラクトース、セロビオース、マルトトリオース、マルトース、タガトース、トレハロース、デキストリン、マルトデキストリン、アラビノース、及びそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない)であるか、又はそれを含む。いくつかの好ましい実施形態では、甘味料は、スクロース、デキストロース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、キシロース、リボース、グリセルアルデヒド、セロビオース、マルトトリオース、マルトース、タガトース、トレハロース、デキストリン、マルトデキストリン、アラビノース、及びそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの糖を含む。いくつかの実施形態では、糖は、結晶糖である。
【0176】
いくつかの実施形態では、甘味料は、非還元糖を含む。いくつかの実施形態では、甘味料は、非還元性二糖を含む。
【0177】
いくつかの実施形態では、甘味料は、還元糖を含んでもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、植物ベースのミルクに添加される甘味料又は甘味料の組み合わせが還元糖を含むことは、クラム形成ステップ中のメイラード反応風味をさらに高めるために有益であり得る。いくつかの実施形態では、還元糖は、アラビノースを含んでもよい。
【0178】
理論に束縛されることを望むものではないが、適切な甘味組成物(すなわち、炭水化物又は炭水化物の組み合わせなどの、適切な甘味料又は甘味料の組み合わせ)を植物ベースのミルク又はクラムに加えると、クラムの乾燥中に結晶化を促進し、最終菓子製品(すなわち、チョコレート)の安定性を高めると考えられる。
【0179】
本発明の植物ベースのミルク/クラム中に生成される還元糖は、乳製品のミルクチョコレートクラム/チョコレート中に見られる還元糖とは異なる甘味レベルを有し得る。例えば、マルトースは、乳に見られるラクトースよりも甘い(したがって、標準的な乳製品のクラム及びチョコレート中に存在する)。したがって、いくつかの実施形態では、甘味組成物中の原料及びその割合は、得られるチョコレートの甘味のバランスをとりつつ、クラム中の適切な総炭水化物含有量を達成するように選択される。例えば、甘味組成物は、一般的に甘い味でないマルトデキストリンなどの炭水化物を含んでもよい。
【0180】
好ましい実施形態では、植物ベースのミルクに添加される甘味料は、スクロースであるか、又はスクロースを含む。
【0181】
いくつかの実施形態では、甘味料は、スクロースからなる。
【0182】
いくつかの実施形態では、甘味料は、乾燥粉末として添加される。いくつかの実施形態では、甘味料は、結晶性粉末として添加される。
【0183】
いくつかの実施形態では、甘味料又は甘味組成物は、液化ステップの前に植物ベースのミルクに添加される。
【0184】
いくつかの実施形態では、甘味料又は甘味組成物は、糖化ステップの前に植物ベースのミルクに添加される。
【0185】
いくつかの実施形態では、甘味料又は甘味組成物は、液化ステップの後に植物ベースのミルクに添加される。
【0186】
いくつかの実施形態では、甘味料又は甘味組成物は、糖化ステップの後に植物ベースのミルクに添加される。
【0187】
いくつかの実施形態では、甘味料又は甘味組成物は、クラム形成後に植物ベースのミルクに添加される。
【0188】
いくつかの実施形態では、甘味料又は甘味組成物は、クラム形成前に植物ベースのミルクに添加される。
【0189】
いくつかの実施形態では、甘味料又は甘味組成物は、液化及び/又は糖化ステップの後であるがクラム形成ステップの前に、植物ベースのミルクに添加される。
【0190】
より一般的には、本発明の植物ベースのミルク、クラム又はチョコレートへの添加のための甘味料は、上で定義した糖、又は本明細書に記載のプロセスによって得られるクラム又はチョコレートの甘味に影響を与える任意の他の化合物若しくは化合物の混合物であってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、甘味料は、糖(例えば、スクロース)、糖アルコール(例えば、エリスリトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、ラクチトール、イソマルト、又はそれらの任意の組み合わせ)、高甘味度甘味料(例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、シクラメート、サッカリン、スクラロース、ネオテーム、ネオヘスペリジン、ジヒドロケイロン、アリテーム、ステビア甘味料、レバウジオシド、グリチルリチン、又はそれらの任意の組み合わせ)、カカオ果肉の脱水抽出物などの乾燥果肉抽出物、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0191】
いくつかの実施形態では、甘味料に加えて、又は甘味料の代わりに、例えば、甘味組成物の一部として、イヌリン又は繊維、例えば、可溶性トウモロコシ繊維などの増量原料を、植物ベースのミルク、クラム、又はチョコレートに添加してもよい。
【0192】
いくつかの実施形態では、甘味組成物は、得られるクラムの総甘味料含有量が約30~85重量%となるような量で添加され、ここで、甘味料含有量には、植物ベースのミルクに由来する任意の甘味料(すなわち、糖、炭水化物)及び任意の添加された甘味料が含まれる。いくつかの実施形態では、クラムの総甘味料含有量は、約65~85重量%である。いくつかの実施形態では、クラムの総甘味料含有量は、約65~80重量%である。いくつかの実施形態では、クラムの総甘味料含有量は、約67~80重量%である。いくつかの実施形態では、クラムの総甘味料含有量は、約65~75重量%である。いくつかの実施形態では、クラムの総甘味料含有量(又は全糖含有量)は、約67~74重量%である。
【0193】
いくつかの実施形態では、甘味組成物は、得られるクラムの甘味料及び増量成分を合わせた総含有量が約30~85重量%となるような量で添加され、ここで、甘味料及び繊維含有量には、植物ベースのミルク由来の糖、並びに任意の添加された甘味料及び増量原料が含まれる。いくつかの実施形態では、クラムの甘味料と増量原料を合わせた含有量は、約65~85重量%である。いくつかの実施形態では、クラムの甘味料と増量原料を合わせた含有量は、約65~80重量%である。いくつかの実施形態では、クラムの甘味料と増量原料を合わせた含有量は、約65~75重量%である。いくつかの実施形態では、クラムの甘味料と増量原料を合わせた含有量は、約65~70重量%である。いくつかの実施形態では、クラムの甘味料と増量原料を合わせた含有量は、約67重量%である。
【0194】
いくつかの実施形態では、最終クラム中の甘味料含有量の約70~90%が糖(例えば、スクロース)からなる。いくつかの実施形態では、最終クラム中の甘味料含有量の約72~90%が糖(例えば、スクロース)からなる。いくつかの実施形態では、最終クラム中の甘味料含有量の約40~95%が糖(例えば、スクロース)からなる。いくつかの実施形態では、最終クラム中の甘味料含有量の約60~90%が糖(例えば、スクロース)からなる。いくつかの実施形態では、最終クラム中の甘味料含有量の約72~85%が糖(例えば、スクロース)からなる。いくつかの実施形態では、最終クラム中の甘味料含有量の約75~85%が糖(例えば、スクロース)からなる。いくつかの実施形態では、最終クラム中の甘味料含有量の約60~85%が糖(例えば、スクロース)からなる。いくつかの実施形態では、最終クラム中の甘味料含有量の約79~81%が糖(例えば、スクロース)からなる。いくつかの実施形態では、最終クラム中の甘味料含有量の約60~80%が糖(例えば、スクロース)からなる。いくつかの実施形態では、最終クラム中の甘味料含有量の約80%が糖(例えば、スクロース)からなる。いくつかの実施形態では、最終クラム中の甘味料含有量の約81%が糖(例えば、スクロース)からなる。いくつかの実施形態では、最終クラム中の甘味料含有量の約70~75%が糖(例えば、スクロース)からなる。いくつかの実施形態では、最終クラム中の甘味料含有量の約71%が糖(例えば、スクロース)からなる。いくつかの実施形態では、最終クラム中の甘味料含有量の約72%が糖(例えば、スクロース)からなる。いくつかの実施形態では、最終クラム中の甘味料含有量の約73%が糖(例えば、スクロース)からなる。
【0195】
いくつかの実施形態では、甘味組成物は、得られるクラムの総炭水化物含有量が約30~85重量%となるような量で添加され、ここで、炭水化物含有量には、植物ベースのミルク由来の炭水化物、及び任意の添加された甘味組成物からの炭水化物が含まれる。
【0196】
いくつかの実施形態では、クラムの総炭水化物含有量は、クラムの総重量に基づいて約65~85%である。
【0197】
いくつかの実施形態では、クラムの総炭水化物含有量は、約67~80重量%である。
【0198】
いくつかの実施形態では、クラムの総炭水化物含有量は、約67~78重量%である。
【0199】
いくつかの実施形態では、クラムの総炭水化物含有量は、約67~76重量%である。
【0200】
いくつかの実施形態では、クラムの総炭水化物含有量は、約69~80重量%である。
【0201】
いくつかの実施形態では、クラムの総炭水化物含有量は、約71~80重量%である。
【0202】
いくつかの実施形態では、クラムの総炭水化物含有量は、約73~80重量%である。
【0203】
いくつかの実施形態では、クラムの総炭水化物含有量は、約71~78重量%である。
【0204】
いくつかの実施形態では、クラムの総炭水化物含有量は、約73~78重量%である。
【0205】
いくつかの実施形態では、クラムの総炭水化物含有量は、約73~76重量%である。
【0206】
いくつかの実施形態では、最終クラム中の炭水化物含有量の約40~95%が糖(例えば、スクロース)からなる。いくつかの実施形態では、最終クラム中の炭水化物含有量の約60~90%が糖(例えば、スクロース)からなる。いくつかの実施形態では、最終クラム中の炭水化物含有量の約60~85%が糖(例えば、スクロース)からなる。いくつかの実施形態では、最終クラム中の炭水化物含有量の約60~80%が糖(例えば、スクロース)からなる。いくつかの実施形態では、最終クラム中の炭水化物含有量の約70~75%が糖(例えば、スクロース)からなる。いくつかの実施形態では、最終クラム中の炭水化物含有量の約71%が糖(例えば、スクロース)からなる。いくつかの実施形態では、最終クラム中の炭水化物含有量の約72%が糖(例えば、スクロース)からなる。
【0207】
いくつかの実施形態では、最終クラム中の炭水化物含有量の約73%が糖(例えば、スクロース)からなる。
【0208】
いくつかの実施形態では、クラム中の全糖の含有量は、クラムの総重量に基づいて約40~72%である。いくつかの実施形態では、クラム中の全糖の含有量は、クラムの総重量に基づいて約40~70%である。いくつかの実施形態では、クラム中の全糖の含有量は、クラムの総重量に基づいて約42~70%である。いくつかの実施形態では、クラム中の全糖の含有量は、クラムの総重量に基づいて約42~65%である。いくつかの実施形態では、クラム中の全糖の含有量は、クラムの総重量に基づいて約45~70%である。いくつかの実施形態では、クラム中の全糖の含有量は、クラムの総重量に基づいて約45~65%である。いくつかの実施形態では、クラム中の全糖の含有量は、クラムの総重量に基づいて約45~64%である。
【0209】
いくつかの実施形態では、クラムのスクロース含有量は、クラムの総重量に基づいて約40~70%である。いくつかの実施形態では、クラムのスクロース含有量は、クラムの総重量に基づいて約42~60%である。いくつかの実施形態では、クラムのスクロース含有量は、クラムの総重量に基づいて約45~55%である。いくつかの実施形態では、クラムのスクロース含有量は、クラムの総重量に基づいて約53~60%である。いくつかの実施形態では、クラムのスクロース含有量は、クラムの総重量に基づいて約54%である。いくつかの実施形態では、クラムのスクロース含有量は、クラムの総重量に基づいて約50%である。
【0210】
いくつかの実施形態では、甘味組成物は、得られるチョコレートの総甘味料含有量が約40~70重量%となるような量で添加され、ここで、甘味料含有量には、植物ベースのミルクに由来する甘味料(すなわち、糖、炭水化物)及び任意の添加された甘味料が含まれる。いくつかの実施形態では、チョコレートの総甘味料含有量は、約55~60重量%である。
【0211】
いくつかの実施形態では、チョコレートの総炭水化物含有量は、約50~70重量%である。
【0212】
いくつかの実施形態では、チョコレートの総炭水化物含有量は、約50~65重量%である。
【0213】
いくつかの実施形態では、チョコレートの総炭水化物含有量は、約50~60重量%である。
【0214】
いくつかの実施形態では、チョコレートの総炭水化物含有量は、約55~70重量%である。
【0215】
いくつかの実施形態では、チョコレートの総炭水化物含有量は、約55~65重量%である。
【0216】
いくつかの実施形態では、チョコレートの総炭水化物含有量は、約55~60重量%である。
【0217】
いくつかの実施形態では、チョコレート中の全糖の含有量は、チョコレートの総重量に基づいて約30~60%である。いくつかの実施形態では、チョコレート中の全糖の含有量は、約30~55重量%である。いくつかの実施形態では、チョコレート中の全糖の含有量は、約30~50重量%である。いくつかの実施形態では、チョコレート中の全糖の含有量は、約34~50重量%である。いくつかの実施形態では、チョコレート中の全糖の含有量は、約30~48重量%である。いくつかの実施形態では、チョコレート中の全糖の含有量は、約34~48重量%である。
【0218】
いくつかの実施形態では、甘味付けは、液化及び/又は糖化ステップの後に実施される。いくつかの実施形態では、甘味付けは、液化及び/又は糖化ステップと同時に実施される。いくつかの実施形態では、甘味付けは、糖化ステップと同時に実施される。
【0219】
理論に束縛されることを望むものではないが、植物ベースのミルク中のデンプンなどの多糖が高レベルであると、これらのミルクがデンプン成分の糊化温度を超えて加熱されたとき、粘稠な塊の形成を引き起こし得ると考えられる。これらの粘稠な塊は、得られるクラム及びチョコレートに望ましくない質感及び粘性を生じ得る。これは、甘味乳(デンプンを含有しない)を高温での蒸発によって単に濃縮するという、従来のクラムプロセスに直接類似したプロセスが、植物ベースのミルクには望ましくないことを意味する。
【0220】
したがって、本発明のプロセスは、好ましくは、少なくとも1つの液化ステップを含む。
【0221】
液化ステップでは、植物材料中の多糖が液化(すなわち、部分的に分解)される。いくつかの実施形態では、植物材料中の多糖は、1つ以上の酵素によって液化される。いくつかの実施形態では、液化には、植物材料中のデンプンの加水分解が含まれる。いくつかの実施形態では、液化には、植物材料中のデンプン及びβ-グルカンの加水分解が含まれる。いくつかの実施形態では、液化は、植物材料中の多糖の糖モノマー単位間のグリコシド結合(glyosidic bond)の加水分解を含む。いくつかの実施形態では、多糖は、デンプン、アミロペクチン、アミロース、グリコーゲン、セルロース、β-グルカン、又はそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、多糖は、デンプン、β-グルカン、セルロース又はそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、多糖は、デンプン、β-グルカン、又はそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、多糖は、デンプンである。いくつかの実施形態では、多糖は、β-グルカンである。多糖の加水分解は、酵素によって触媒されることが好ましい。
【0222】
いくつかの実施形態では、液化ステップは、1つ以上の酵素を含む水中に植物材料の粒子を懸濁することを含む。いくつかの実施形態では、液化ステップは、植物ベースのミルクを1つ以上の酵素で処理することを含む。
【0223】
いくつかの実施形態では、酵素は、グリコシダーゼである。いくつかの実施形態では、酵素は、グルコシダーゼである。いくつかの実施形態では、酵素は、アミラーゼである。いくつかの実施形態では、酵素は、α-アミラーゼである。いくつかの実施形態では、α-アミラーゼは、細菌源に由来する。いくつかの実施形態では、α-アミラーゼの細菌源は、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、及び枯草菌(Bacillus subtilis)を含むがこれらに限定されない、バチルス属の細菌である。いくつかの実施形態では、α-アミラーゼの活性は、50,000UB/g~200,000UB/gである。いくつかの実施形態では、α-アミラーゼの活性は、100,000UB/g~500,000UB/gである。いくつかの実施形態では、α-アミラーゼの活性は、100,000単位/g~500,000単位/gである。いくつかの実施形態では、α-アミラーゼの活性は、200,000単位/g~400,000単位/gである。いくつかの実施形態では、α-アミラーゼの細菌源は、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)である。いくつかの実施形態では、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)由来のα-アミラーゼは、120,000UB/gを超える活性を有する。いくつかの実施形態では、α-アミラーゼの細菌源は、枯草菌(Bacillus subtilis)である。いくつかの実施形態では、枯草菌(Bacillus subtilis)由来のα-アミラーゼは、(40℃で)300,000単位/gを超える活性を有する。枯草菌(Bacillus subtilis)由来のα-アミラーゼは、有利なことに、高い液化活性及び低い温度閾値を有する。これにより、植物材料に対して実施されるデンプン加水分解の程度を容易に制御できる。
【0224】
いくつかの実施形態では、酵素は、セルラーゼである。
【0225】
いくつかの実施形態では、酵素は、グルカナーゼである。いくつかの実施形態では、酵素は、β-グルカナーゼである。いくつかの実施形態では、β-グルカナーゼの真菌源は、アスペルギルス種(Aspergillus sp.)である。いくつかの実施形態では、β-グルカナーゼは、100nKat/g~2000nKat/gの活性を有する。いくつかの実施形態では、β-グルカナーゼは、500nKat/g~2000nKat/gの活性を有する。いくつかの実施形態では、β-グルカナーゼは、900nKat/gを超える活性を有する。
【0226】
いくつかの実施形態では、植物材料中の多糖は、2つ以上の酵素を使用して液化される。いくつかの実施形態では、植物材料は、α-アミラーゼ及びβ-グルカナーゼなどの酵素の組み合わせを使用して液化される。
【0227】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のクラム、すなわち、本明細書に記載のプロセスによって得られるか、又は得ることができるクラムは、約0~10%のデンプン含有量を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスによって得られるか、又は得ることができるクラムは、0~5%のデンプン含有量を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスによって得られるか、又は得ることができるクラムは、0.5~7%のデンプン含有量を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスによって得られるか、又は得ることができるクラムは、0.5~2.5%のデンプン含有量を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスによって得られるか、又は得ることができるクラムは、約1~5%のデンプン含有量を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスによって得られるか、又は得ることができるクラムは、約2~4%のデンプン含有量を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスによって得られるか、又は得ることができるクラムは、1~2%のデンプン含有量を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスによって得られるか、又は得ることができるクラムは、1.2~1.8%のデンプン含有量を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスによって得られるか、又は得ることができるクラムは、1.4~1.7%のデンプン含有量を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスによって得られるか、又は得ることができるクラムは、2~3%のデンプン含有量を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスによって得られるか、又は得ることができるクラムは、4~8%のデンプン含有量を有する。いくつかの実施形態では、液化ステップは、例えば酵素を加熱することによって、一定の程度のデンプン加水分解が達成されたときに1つ以上の酵素を失活させることを含む。いくつかの代替的な実施形態では、植物材料中の実質的に全てのデンプンが液化ステップ中に加水分解される。デンプン含有量及び組成は、ISO 15914(総デンプン)、AOAC 2002.02(難消化性デンプン)、及びAACC 76-31(損傷/糊化デンプン)に従って認定された滴定及び酵素試験によって決定される。
【0228】
デンプンの加水分解後の糖の組成は、規格ISO/CD 22184に準拠したHPAEC-PAD試験に加え、規格UNE-EN ISO/IEC 17025:2017 ENAC 1094/LE2182に従って認定されたIC-PAD試験によって決定される。総炭水化物含有量は、規格UNE-EN ISO/IEC 17025:2017 ENAC 1094/LE2182に従って認定された計算によって測定される。
【0229】
いくつかの実施形態では、液化ステップの後に、追加のデンプン、デキストリン、シロップ固形分又はマルトデキストリンを植物ベースのミルクに添加することができる。理論に束縛されることを望むものではないが、デンプン、デキストリン、シロップ固形分、又はマルトデキストリンを植物ベースのミルクに戻すと、チョコレート製品の色を明るくし、味、有意な粘性又は甘味に寄与することなくクラム及び/又はチョコレートに嵩を与えるのに役立ち得ると考えられる。好ましくは、デンプン、デキストリン、シロップ固形分又はマルトデキストリンが植物ベースの濃縮ミルクに添加され得る。
【0230】
いくつかの実施形態では、液化ステップは、pHを約3~約9に調整及び/又は制御することを含む。いくつかの実施形態では、pHは、約5~約8である。いくつかの実施形態では、pHは、約3~約7である。いくつかの実施形態では、pHは、約5~約9である。いくつかの好ましい実施形態では、pHは、約5~約7である。いくつかの実施形態では、pHは、約6である。いくつかの実施形態では、pHは、約5.5である。
【0231】
いくつかの実施形態では、液化ステップは、約50~約500ppmのカルシウムイオン含有量(すなわち、天然の又は添加されたカルシウムイオン)で実施される。いくつかの好ましい実施形態では、液化ステップは、約100~500ppmのカルシウムイオン含有量で実施される。いくつかの好ましい実施形態では、液化ステップは、約100~300ppmのカルシウムイオン含有量で実施される。いくつかの好ましい実施形態では、液化ステップは、約250ppmのカルシウムイオン含有量で実施される。いくつかの好ましい実施形態では、液化ステップは、約200ppmのカルシウムイオン含有量で実施される。いくつかの好ましい実施形態では、液化ステップは、約150ppmのカルシウムイオン含有量で実施される。カルシウムイオン含有量は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を用いた直接錯滴定により測定できる。
【0232】
いくつかの実施形態では、液化ステップは、約30℃~100℃の温度で加熱及び/又は維持することを含む。
【0233】
いくつかの実施形態では、温度は、約50~75℃である。
【0234】
いくつかの実施形態では、温度は、約85~90℃である。
【0235】
いくつかの実施形態では、温度は、約100℃である。
【0236】
いくつかの実施形態では、液化ステップは、約1分~約5時間にわたって加熱することを含む。いくつかの実施形態では、液化ステップは、最長約1時間にわたって加熱することを含む。いくつかの実施形態では、液化ステップは、約1分~約5時間にわたって加熱することを含む。
【0237】
いくつかの実施形態では、液化は、植物ベースのミルクの粘性が十分に低下するまで、本明細書に記載の酵素の存在下で水に懸濁した植物材料を加熱することを含む。
【0238】
特定の実施形態では、液化ステップは、約50~75℃で加熱し、約10~20分間保持し、次いで、約85~約90℃の温度まで約5分間~約25分間加熱し、その後、約100℃で約1分間~約15分間加熱することを含む。
【0239】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、少なくとも1つの糖化ステップを含む。
【0240】
糖化ステップでは、多糖の糖モノマー単位間のグリコシド結合(glyosidic bond)の加水分解によって、植物材料中の多糖から還元糖が遊離する。多糖の加水分解は、酵素によって触媒されることが好ましい。多糖は、デンプン、アミロペクチン、アミロース、グリコーゲン、セルロース、β-グルカン、又はそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、還元糖は、植物材料中のデンプンを含む多糖から遊離する。
【0241】
いくつかの実施形態では、遊離した還元糖(すなわち、糖化によって製造される還元糖)は、フルクトース、ガラクトース、キシロース、リボース、セロビオース、マルトトリオース、デキストリン、マルトデキストリン、イソマルトース、オリゴ糖、及びそれらの任意の組み合わせを含む他の遊離炭水化物に加えて、グルコース及びマルトースを含む。
【0242】
いくつかの実施形態では、還元糖は、還元性二糖を含む。いくつかの実施形態では、還元糖は、マルトース及び/又はグルコースを含む。好ましい実施形態では、還元糖は、マルトースを含む。
【0243】
本発明者らは、還元糖がメイラード反応において重要な役割を果たすため、植物ベースのミルク中でより多量の還元糖、好ましくは、マルトースなどの還元性二糖を遊離させるために、少なくとも1つの糖化ステップを実施することが有利であり得ることを見出した。クラム形成プロセス中に発生するメイラード反応は、本明細書に記載されるクラム及びチョコレートの風味の発現にとって重要である。
【0244】
有利なことに、糖化ステップで遊離した還元糖は、メイラード反応を介してアミノ酸の求核性アミノ基と反応して新しいフレーバープロファイルを作り出すことができる、反応性カルボニル基を有する。好ましくは、糖化ステップは、多糖から還元糖、例えば、マルトースなどの還元性二糖を遊離させる。ラクトースと同様に、マルトースもグルコースより低い甘味を有する。マルトースはまた、グルコースよりも、スクロースなどの糖の結晶化を阻害しない。以下にさらに説明するように、本明細書に記載のプロセスによって製造されたクラムは、高いマルトース対グルコース比を有することが好ましい。
【0245】
いくつかの場合において、高レベルの還元糖、例えば、グルコース及びマルトースは、本明細書に記載のクラム及びチョコレート中のスクロースなどの非還元糖の結晶化に遅延効果を生じさせる可能性があり、そのため、非晶質状態のクラム及びチョコレートをもたらし得る。したがって、いくつかの実施形態では、本発明のクラムが約25重量%以下の還元糖を含むことが好ましい。これらの実施形態では、植物ベースのミルク中の還元糖、例えば、マルトース及びグルコースのレベルは、その後の植物ベースのクラムが25%以下の還元糖を含有するように、植物ベースのミルクの総乾燥重量の60%以下となるべきである。
【0246】
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のクラム形成ステップにおける使用(すなわち、液化及び/又は糖化後)のための植物ベースのミルクは、植物ベースのミルクの乾燥重量に基づいて約60%以下の還元糖を含む。
【0247】
いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、植物ベースのミルクの乾燥重量に基づいて約55%以下の還元糖を含む。
【0248】
いくつかの実施形態では、クラム形成における使用(すなわち、液化及び/又は糖化後)のための植物ベースのミルクは、植物ベースのミルクの乾燥重量に基づいて約50%以下の還元糖を含む。
【0249】
いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、植物ベースのミルクの乾燥重量に基づいて約45%以下の還元糖を含む。
【0250】
いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、植物ベースのミルクの乾燥重量に基づいて約40%以下の還元糖を含む。
【0251】
いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、植物ベースのミルクの乾燥重量に基づいて約30%以下の還元糖を含む。
【0252】
いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、植物ベースのミルクの乾燥重量に基づいて約20%以下の還元糖を含む。
【0253】
いくつかの実施形態では、クラム形成における使用(すなわち、液化及び/又は糖化後)のための植物ベースのミルクは、植物ベースのミルクの乾燥重量に基づいて少なくとも1%の還元糖を含む。
【0254】
いくつかの実施形態では、クラム形成における使用(すなわち、液化及び/又は糖化後)のための植物ベースのミルクは、植物ベースのミルクの乾燥重量に基づいて少なくとも3%の還元糖を含む。
【0255】
いくつかの実施形態では、クラム形成における使用(すなわち、液化及び/又は糖化後)のための植物ベースのミルクは、植物ベースのミルクの乾燥重量に基づいて少なくとも5%の還元糖を含む。
【0256】
いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、植物ベースのミルクの乾燥重量に基づいて少なくとも10%の還元糖を含む。
【0257】
いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、植物ベースのミルクの乾燥重量に基づいて少なくとも15%の還元糖を含む。
【0258】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のクラム(例えば、本明細書に記載のプロセスによって得られるか、又は得ることができる)は、好ましくは、約25重量%以下の還元糖(例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、キシロース、リボース、グリセルアルデヒド、ラクトース、セロビオース、マルトース、マルトトリオース、デキストリン、アラビノース、又はそれらの組み合わせ)を含む。いくつかの実施形態では、クラムが約20重量%以下の還元糖を含むことが好ましい。
【0259】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のクラム(例えば、本明細書に記載のプロセスによって製造される)は、好ましくは、約18重量%以下の還元糖を含む。いくつかの実施形態では、クラムは、好ましくは、約15重量%以下の還元糖を含む。いくつかの実施形態では、クラムは、好ましくは、約10重量%以下の還元糖を含む。いくつかの実施形態では、クラムは、好ましくは、約8重量%以下の還元糖を含む。いくつかの実施形態では、クラムは、好ましくは、約7重量%以下の還元糖を含む。
【0260】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のクラム(例えば、本明細書に記載のプロセスによって製造される)は、好ましくは、クラムの総重量に基づいて約20%以下のマルトース及びグルコース(合計重量)を含む。いくつかの実施形態では、クラムは、好ましくは、約1%~約15%のマルトース及びグルコースを含む。いくつかの実施形態では、クラムは、好ましくは、約1%~約10%のマルトース及びグルコースを含む。いくつかの実施形態では、クラムは、好ましくは、約1%~約8%のマルトース及びグルコースを含む。いくつかの実施形態では、好ましくは、約1.5%~約7%のマルトース及びグルコースを含む。いくつかの実施形態では、クラムは、好ましくは、約1.7%~約6.8%のマルトース及びグルコースを含む。
【0261】
いくつかの実施形態では、クラムが約20重量%以下の還元性二糖(例えば、マルトース)を含むことが好ましい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のクラム(例えば、本明細書に記載のプロセスによって得られるか、又は得ることができる)は、最大約20重量%のマルトースを含むことが好ましい。いくつかの実施形態では、クラムは、約5重量%~約20重量%のマルトースを含む。いくつかの実施形態では、クラムは、約5重量%~約17重量%のマルトースを含む。いくつかの実施形態では、クラムは、約5重量%~約20重量%のマルトースを含む。いくつかの実施形態では、クラムは、約8重量%~約14重量%のマルトースを含む。いくつかの実施形態では、クラムは、約5重量%~約10重量%のマルトースを含む。いくつかの実施形態では、クラムは、約5重量%~約7重量%のマルトースを含む。
【0262】
マルトースは還元性二糖であるため、メイラード反応中にアミノ酸の求核性アミノ基と反応して新しいフレーバープロファイルを作り出すことができる、反応性カルボニル基を有する。本明細書に記載の植物ベースのクラムを使用して製造されたチョコレート、例えば、開示されたレベルで還元性二糖を含むものは、高い割合でメイラード反応が起こり得るため、クラム法を使用して形成された乳製品のミルクチョコレートに関連した美味しく複雑なフレーバープロファイルを有することになる。
【0263】
また、乳製品に見られるラクトースと同様に、マルトースは、グルコースよりも低い甘味を有する。マルトースはまた、グルコースよりも、糖(スクロースなど)の結晶化を阻害しない。
【0264】
したがって、いくつかの実施形態では、植物ベースのミルク(液化及び/又は糖化後)が比較的高いマルトース含有量を有することが好ましい。いくつかの実施形態では、液化及び/又は糖化後の植物ベースのミルクは、高いマルトース対グルコース比を有することが好ましい。
【0265】
いくつかの実施形態では、クラム中のグルコース対マルトースの比は、乾燥重量ベースで約1:0.1~1:50である。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルク中のグルコース対マルトースの比(液化及び/又は糖化後)は、乾燥重量ベースで約1:1~1:50である。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルク中のグルコース対マルトースの比(液化及び/又は糖化後)は、乾燥重量ベースで約1:5~1:25である。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルク中のグルコース対マルトースの比(液化及び/又は糖化後)は、乾燥重量ベースで約1:25である。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルク中のグルコース対マルトースの比(液化及び/又は糖化後)は、乾燥重量ベースで約1:20である。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルク中のグルコース対マルトースの比(液化及び/又は糖化後)は、乾燥重量ベースで約1:15である。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルク中のグルコース対マルトースの比(液化及び/又は糖化後)は、乾燥重量ベースで約1:10である。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクのグルコース対マルトースの比(液化及び/又は糖化後)は、乾燥重量ベースで約1:5である。
【0266】
いくつかの実施形態では、クラム中のグルコース対マルトースの比は、乾燥重量ベースで約1:0.1~1:50である。いくつかの実施形態では、クラム中のグルコース対マルトースの比は、乾燥重量ベースで約1:1~1:50である。いくつかの実施形態では、クラム中のグルコース対マルトースの比は、乾燥重量ベースで約1:5~1:25である。いくつかの実施形態では、クラム中のグルコース対マルトースの比は、乾燥重量ベースで約1:25である。いくつかの実施形態では、クラム中のグルコース対マルトースの比は、乾燥重量ベースで約1:20である。いくつかの実施形態では、クラム中のグルコース対マルトースの比は、乾燥重量ベースで約1:15である。いくつかの実施形態では、クラム中のグルコース対マルトースの比は、乾燥重量ベースで約1:10である。いくつかの実施形態では、クラム中のグルコース対マルトースの比は、乾燥重量ベースで約1:5である。
【0267】
糖の組成は、規格ISO/CD 22184に準拠したHPAEC-PAD試験に加え、規格UNE-EN ISO/IEC 17025:2017 ENAC 1094/LE2182に従って認定されたIC-PAD試験によって決定することができる。
【0268】
いくつかの実施形態では、糖化ステップにおいて、還元糖は、1つ以上の酵素によって植物材料から遊離される。
【0269】
いくつかの実施形態では、糖化ステップは、1つ以上の酵素を含む水中に植物材料の粒子を懸濁することを含む。
【0270】
いくつかの実施形態では、糖化ステップは、植物ベースのミルクを1つ以上の酵素で処理することを含む。
【0271】
いくつかの実施形態では、酵素は、グリコシダーゼ酵素である。いくつかの実施形態では、酵素は、グルコシダーゼである。いくつかの実施形態では、酵素は、1つ以上のアミラーゼ酵素を含む。いくつかの実施形態では、酵素は、α-アミラーゼである。いくつかの実施形態では、α-アミラーゼは、5,000SKB/g~50,000SKB/gの活性を有する。いくつかの実施形態では、α-アミラーゼは、10,000SKB/g~40,000SKB/gの活性を有する。いくつかの実施形態では、α-アミラーゼは、真菌源に由来し得る。いくつかの実施形態では、α-アミラーゼの真菌源は、コウジカビ(Aspergillus oryzae)又はクロコウジカビ(Aspergillus niger)の群から選択される。いくつかの好ましい実施形態では、α-アミラーゼの真菌源は、コウジカビ(Aspergillus oryzae)である。いくつかの実施形態では、コウジカビ(Aspergillus oryzae)由来のα-アミラーゼは、30,000SKB/gを超える活性を有する。
【0272】
いくつかの実施形態では、酵素は、β-アミラーゼである。いくつかの実施形態では、酵素は、セレウス菌(Bacillus cereus)、又はサツマイモ(Ipomoea batatas)、大麦(Hordeum vulgare)又はそれらの組み合わせなどの植物源に由来し得る。
【0273】
糖化ステップで真菌源由来のα-アミラーゼ、又はβ-アミラーゼ酵素を使用する利点は、これらの酵素により植物材料から高収率で還元糖(例えば、マルトース)を遊離できることである。いくつかの実施形態では、β-アミラーゼは、植物ベースのミルクに使用される植物材料に天然のものであり得る。例えば、サツマイモは、高レベルの天然β-アミラーゼを有し得る。いくつかの実施形態では、β-アミラーゼを植物ベースのミルクに添加してもよい。いくつかの実施形態では、いくつかのβ-アミラーゼは植物材料に天然のものであってもよく、一部のβ-アミラーゼは添加されてもよい。
【0274】
いくつかの実施形態では、β-アミラーゼは、約100000単位/ml~約1000000単位/mlの活性を有する。いくつかの実施形態では、β-アミラーゼは約700000単位/mlの活性を有する。
【0275】
いくつかの実施形態では、糖化ステップは、pHを約3~約9に調整及び/又は維持することを含む。いくつかの実施形態では、pHは、約4~約7である。いくつかの実施形態では、pHは、約3~約7である。いくつかの実施形態では、pHは、約4~約9である。いくつかの実施形態では、pHは、約3~約6である。いくつかの実施形態では、pHは、約4~約5である。いくつかの実施形態では、pHは、約4.8である。いくつかの好ましい実施形態では、pHは、約5~約6である。いくつかの実施形態では、pHは、約5.3~約5.8である。いくつかの実施形態では、pHは、約5.5である。
【0276】
いくつかの実施形態では、糖化は、約10℃~約100℃の温度に加熱すること、及び/又はその温度を維持することを含む。いくつかの実施形態では、温度は、約15℃~約30℃である。いくつかの実施形態では、温度は、約10℃~約30℃である。いくつかの実施形態では、温度は、約15℃~約100℃である。いくつかの実施形態では、温度は、約20℃である。いくつかの実施形態では、温度は、約45℃~約55℃である。いくつかの実施形態では、温度は、約55℃~約65℃である。
【0277】
いくつかの実施形態では、糖化ステップは、約15分間~約5時間の加熱を含む。いくつかの実施形態では、糖化ステップは、30分間~3時間の加熱を含む。
【0278】
特定の実施形態では、液化された植物ベースのミルクは、マルトースを遊離するように設計された、本明細書に記載されるような糖化ステップに供される。コウジカビ(Aspergillus oryzae)由来のα-アミラーゼを植物ベースのミルクに45~55℃の温度で加え、必要に応じてpHを4~7に調整する。次いで、懸濁液を、必要な糖化の程度に応じて、好ましくは30分間~3時間の範囲内の期間、45~65℃の温度でインキュベートする。
【0279】
別の実施形態では、液化された植物ベースのミルクは、マルトースを遊離するように設計された、本明細書に記載されるような糖化ステップに供される。液化ステップ後の植物ベースのミルクを、55~60℃の温度に冷却(又は必要に応じて加熱)し、pH5.3~5.8に調整されたβ-アミラーゼ(細菌又は植物由来)を添加し、植物ベースのミルク中のデンプン濃度及び酵素の活性に応じて、好ましくは約30分間~3時間の範囲内の期間にわたり、55~60℃の温度でインキュベートし、それにより、60℃、pH5.5で1.10%デンプン溶液を1時間ごとにマルトースに変換するには、700,000u/mlの活性を有するβ-アミラーゼ、およそ1つのβ-アミラーゼ単位が必要である。
【0280】
いくつかの実施形態では、糖化ステップが実施されるが、液化ステップは実施されない。
【0281】
いくつかの実施形態では、液化ステップが実施されるが、糖化ステップは実施されない。
【0282】
いくつかの実施形態では、液化ステップは、糖化ステップと同時に実施される。
【0283】
いくつかの実施形態では、液化ステップは、糖化ステップの前に実施される。
【0284】
いくつかの実施形態では、糖化ステップは、液化ステップの前に実施される。
【0285】
理論に束縛されることを望むものではないが、いくつかの実施形態では、糖化ステップ中に遊離する還元糖の量を制限することを助けるために、液化ステップの前に糖化ステップを実施し、それにより、例えば、クラムの全体的な甘味の低減を補助する中立的な風味のデキストリン又は可溶性繊維の形態の、部分加水分解デンプンの収量及び割合が増加することが有利である可能性があり、これは、本明細書に記載のプロセスによって製造することができる。
【0286】
いくつかの実施形態では、液化ステップのみを実施し、糖化ステップを実施しないことが可能であるか、又はそれが好ましい場合がある。例えば、植物材料がすでに十分なレベルの還元糖を含んでいる場合、又は液化ステップのみの後の植物ベースのミルク中に十分なレベルの還元糖が存在する場合である。
【0287】
いくつかの実施形態では、液化及び/又は糖化ステップが実施された植物材料は、市販されている可能性がある。還元糖のレベルが適切であれば、このように加工された植物材料を、任意選択により本明細書に記載されるような甘味料(すなわち、炭水化物)を添加し、水に懸濁して、本発明での使用に適した植物ベースのミルクを形成してもよく;次いで、本明細書に記載されているように、クラム形成ステップを実施してもよい。
【0288】
したがって、本発明のさらなる態様は、植物ベースのミルクに基づくクラムの製造プロセスであり、ここで、植物ベースのミルクは、植物材料の水性懸濁液を含み、前記植物材料は、液化、糖化、又は加水分解から選択される少なくとも1つの処理ステップに供されており;プロセスは、以下にさらに記載されるように、1つ以上のクラム形成ステップを含む。
【0289】
本明細書に記載されるように、液化及び/又は糖化ステップが植物材料に対して実施され、植物材料が植物ベースのミルクへと加工されている場合、植物ベースのミルクはチョコレートクラムの製造に適している。
【0290】
理論に束縛されることを望むものではないが、使用される酵素の種類及び起源、それらの生物学的活性、並びにアミロース及びアミロペクチンのバランスを含む植物ベースのミルクの全体的な組成に応じて、液化及び/又は糖化のステップにより、得られる植物ベースのミルクの炭水化物構造及び糖のバランスが変換され得る。本明細書に記載のプロセスでは、糖、例えば、マルトースなどの還元糖は、クラム形成ステップ中のメイラード反応への参加に利用することができる。メイラード反応は、本明細書に記載されるクラム及びチョコレートに、典型的には従来のクラムプロセスに関連する、複雑な風味を与える。本発明のクラムプロセスを使用して製造されるクラム/チョコレートの優れた複雑なフレーバープロファイルは、当技術分野で慣例であるように、乾燥原料を混合して植物ベースのチョコレートを製造することによっては製造できない。
【0291】
本発明のプロセスは、少なくとも1つのクラム形成ステップを含み、ここで、少なくとも1つの植物ベースのミルク(例えば、上記のように処理された植物ベースのミルク)を加熱し、乾燥させて、クラムを形成する。クラム形成ステップ中に、高い割合でメイラード反応が起こる可能性があり、これにより、複雑なフレーバープロファイルを有する美味しいチョコレートを製造するために使用できるクラムが製造される。
【0292】
好ましい実施形態では、クラム形成は、
蒸発させて植物ベースの濃縮ミルクを形成すること;
任意選択により、カカオ固形分を植物ベースの濃縮ミルクに添加すること;
植物ベースの濃縮ミルクを加熱すること;
植物ベースの濃縮ミルクを、好ましくは約5%未満の水分含有量まで、より好ましくは約1~3%の最終水分含有量まで乾燥させること
を含み得る。
【0293】
いくつかの実施形態では、上記のような液化、糖化、及び/又は任意選択によるさらなるステップに続いて、植物ベースのミルクは、例えば、好ましくは減圧(部分真空)下で、高粘度の懸濁液を加熱及び撹拌(例えば、スクレーパーの使用により)できる容器内で、水分を沸騰させて除去することによって濃縮される。
【0294】
いくつかの実施形態では、蒸発前に、加工助剤としての使用のために食品グレードの消泡剤が植物ベースのミルクに添加される。
【0295】
消泡剤(anti-foaming agent、anti-foam)は、当技術分野で公知であり、調理及び蒸発プロセス中の泡の形成を妨げる働きをし得る。消泡剤には、シリコーンベースの添加剤が含まれるが、これに限定されない。
【0296】
いくつかの実施形態では、ココアバターを消泡剤として使用することができる。添加されるココアバターの量は、例えば、本明細書に記載されるような得られるクラム又はチョコレートの適切な脂肪含有量を達成するために、決定及び/又は調整され得る。
【0297】
いくつかの実施形態では、クラム形成は、本明細書に記載されるような植物ベースのミルクを蒸発させて、植物ベースの濃縮ミルクを形成するステップを含む。
【0298】
いくつかの実施形態では、蒸発ステップは、植物ベースのミルクを蒸発させて、固形分含有量が約70重量%~約95重量%の植物ベースの濃縮ミルクを形成することを含む。いくつかの実施形態では、蒸発は、植物ベースのミルクを蒸発させて、固形分含有量が約80重量%~約90重量%の植物ベースの濃縮ミルクを形成することを含む。いくつかの実施形態では、特にチョコレートクラムの製造プロセスにおいて、蒸発は、植物ベースのミルクを蒸発させて、固形分含有量が約88重量%の植物ベースの濃縮ミルクを形成することを含む。代替的な実施形態では、特にホワイトクラムの製造プロセスにおいて、蒸発ステップは、植物ベースのミルクを蒸発させて、固形分含有量が約90重量%の植物ベースの濃縮ミルクを形成することを含む。
【0299】
全固形分含有量は、重量パーセントベースの水分含有量に基づいて計算によって決定され得る。クラムの水分含有量は、規格UNE-EN ISO/IEC 17025:2017 ENAC 1094/LE2182に従って認定された重量試験によって測定される。その後、クラムプロセスの分野の当業者は、圧力及びその後の植物ベースのミルクの沸騰温度をモニタリングすることによって、又は屈折計を使用してブリックス値(溶解糖)を測定し、その値を全固形分含有量に合わせて校正することによって、植物ベースの濃縮ミルクのおおよその固形分含有量を認識し始めることができる。
【0300】
いくつかの実施形態では、植物ベースの濃縮ミルク中のグルコース対マルトースの比は、乾燥重量ベースで約1:0.1~1:50である。いくつかの実施形態では、植物ベースの濃縮ミルク中のグルコース対マルトースの比は、乾燥重量ベースで約1:1~1:50である。いくつかの実施形態では、植物ベースの濃縮ミルク中のグルコース対マルトースの比は、乾燥重量ベースで約1:5~1:25である。いくつかの実施形態では、植物ベースの濃縮ミルク中のグルコース対マルトースの比は、乾燥重量ベースで約1:25である。いくつかの実施形態では、植物ベースの濃縮ミルク中のグルコース対マルトースの比は、乾燥重量ベースで約1:20である。いくつかの実施形態では、植物ベースの濃縮ミルク中のグルコース対マルトースの比は、乾燥重量ベースで約1:15である。いくつかの実施形態では、植物ベースの濃縮ミルク中のグルコース対マルトースの比は、乾燥重量ベースで約1:10である。いくつかの実施形態では、植物ベースの濃縮ミルクのグルコース対マルトースの比は、乾燥重量ベースで約1:5である。
【0301】
いくつかの実施形態では、カカオ固形分は、本明細書に記載の植物ベースの濃縮ミルクに添加される。いくつかの実施形態では、カカオ固形分は、植物ベースの濃縮ミルクが約80%~約95%の全固形分含有量を有するまで、植物ベースの濃縮ミルクに添加される。いくつかの実施形態では、カカオ固形分は、植物ベースの濃縮ミルクが約90%の全固形分含有量を有するまで、植物ベースの濃縮ミルクに添加される。
【0302】
いくつかの実施形態では、カカオ固形分は、カカオリカー、カカオニブ、カカオパウダー、カカオ繊維、又はそれらの組み合わせを含む。
【0303】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスによって製造される植物ベースのチョコレートクラムは、約1重量%~約20重量%の乾燥無脂肪カカオ固形分を含み得る。いくつかの実施形態では、チョコレートクラムは、約5重量%~約10重量%の乾燥無脂肪カカオ固形分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、チョコレートクラムは、約7重量%の乾燥無脂肪カカオ固形分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、チョコレートクラムは、約3重量%~約8重量%の乾燥無脂肪カカオ固形分を含む。いくつかの実施形態では、チョコレートクラムは、約6重量%の乾燥無脂肪カカオ固形分を含む。
【0304】
いくつかの実施形態では、カカオリカーを含めることが、植物ベースのチョコレートクラムの製造にとって好ましい選択であり得る。いくつかの実施形態では、カカオリカーは、クラムの総乾燥重量のおよそ10~15%となる。特定の実施形態では、カカオリカーは、好ましくはクラムの総乾燥重量の約12.25~13.25%となり、乾燥無脂肪カカオ固形分相当物は、好ましくは、最終クラム重量のおよそ6%となる。
【0305】
いくつかの実施形態では、大気圧で植物ベースのミルクから水を蒸発させる(例えば、大気圧で加熱することによって)。いくつかの実施形態では、減圧下で植物ベースのミルクから液体を蒸発させる。いくつかの実施形態では、減圧下で加熱することによって植物ベースのミルクから液体を蒸発させる。
【0306】
いくつかの実施形態では、蒸発は、減圧で実行される。いくつかの実施形態では、蒸発は、約10ミリバール~約1000ミリバールの減圧下で実行される。いくつかの実施形態では、蒸発は、約100ミリバール~約500ミリバールの減圧下で実行される。いくつかの実施形態では、蒸発は、約200ミリバール~約400ミリバールの減圧下で実行される。
【0307】
植物ベースの濃縮ミルクは、好ましくは、蒸発中及び/又は蒸発後に加熱される。
【0308】
いくつかの実施形態では、蒸発は、約30℃~約100℃の温度で実行される。いくつかの実施形態では、蒸発は、約50℃~約90℃の温度で実行される。いくつかの実施形態では、蒸発は、少なくとも約60℃の温度で実行される。いくつかの実施形態では、蒸発は、約60℃~約100℃の温度で実行される。いくつかの実施形態では、蒸発は、約60℃~約90℃の温度で実行される。
【0309】
いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、蒸発及び/又は加熱中に撹拌される。
【0310】
本発明のプロセスのいくつかの実施形態では、クラム形成は、加熱ステップを含む。いくつかの実施形態では、加熱ステップは、カカオ固形分の存在下又は不存在下で植物ベースの濃縮ミルクを加熱することを含む。
【0311】
いくつかの実施形態では、植物ベースの濃縮ミルクは、約50℃~約100℃で加熱される。いくつかの実施形態では、植物ベースの濃縮ミルクは、約80℃~約90℃で加熱される。いくつかの実施形態では、植物ベースの濃縮ミルクは、約90℃~約100℃で加熱される。いくつかの実施形態では、植物ベースのミルクは、トレイ内で加熱される。いくつかの実施形態では、加熱は、減圧下で実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、減圧下で実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約10ミリバール~約1000ミリバールの減圧下で実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約10ミリバール~約200ミリバールの減圧下で実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約50ミリバール~約1000ミリバールの減圧下で実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約50ミリバール~約100ミリバールの減圧下で実施される。いくつかの実施形態では、植物ベースの濃縮ミルクは、約100ミリバールの減圧下、約80℃~約90℃で約1時間加熱され、続いて約90℃~約100℃で約1時間以上加熱されて、クラムが製造される。いくつかの実施形態では、植物ベースの濃縮ミルクは、約10分~約24時間にわたって加熱される。いくつかの実施形態では、植物ベースの濃縮ミルクは、約30分~約5時間にわたって加熱される。いくつかの実施形態では、植物ベースの濃縮ミルクは、真空乾燥機、真空バンド乾燥機、真空ローラー乾燥機、真空掻き取り式熱交換器、又は特殊な真空乾燥混練反応器のいずれかで加熱される。
【0312】
いくつかの実施形態では、植物ベースの濃縮ミルクは、混練される。いくつかの実施形態では、混練は、約10℃~約100℃の温度で行われる。いくつかの実施形態では、混練は、約10℃~約80℃の温度で行われる。いくつかの実施形態では、混練は、約60℃~約100℃の温度で行われる。いくつかの実施形態では、混練は、約60℃~約80℃の温度で行われる。植物ベースの濃縮ミルクを混練することは、混練が植物ベースの濃縮ミルクのクラムへの結晶化及び硬化を促進し得ると考えられるため、有利である可能性がある。
【0313】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるような植物ベースの甘味ミルクは、減圧(部分真空)下で高粘度の懸濁液を(スクレーパーの使用により)加熱及び撹拌できる容器に入れ、調理及び蒸発プロセス中の泡の形成を妨げるために、最初に、消泡剤、好ましくは、シリコーンベースの添加剤で処理してもよい。その後、蒸発プロセス全体を通して容器の加熱された表面に生成物が蓄積するのを防ぐために撹拌しながら、圧力800~200ミリバールの減圧下でおよそ60℃の温度まで徐々に加熱してもよい。水蒸気の蒸発が続くと、容器内の気圧は、例えば100ミリバールまで、徐々にさらに低下させてもよく、製品温度は約69℃まで、又は得られる植物ベースの濃縮ミルクの全固形分含有量がおよそ88%になる温度まで上昇させてもよい。この時点で、容器の真空ポンプを停止してもよく、植物ベースの濃縮ミルクを、大気圧又は減圧下で濃厚ペーストをゆっくりと混練し、混合物を60~80℃の温度まで加熱することができる、強力な加熱ミキサー中に放出してもよい。
【0314】
この実施形態では、植物ベースのチョコレートクラムを製造するために、カカオリカー(発酵又は未発酵のカカオに由来し得る)、又は代替的にはカカオニブ、カカオパウダー又はカカオ繊維を植物ベースの濃縮ミルクに添加することができ、これにより、混合物の全固形分含有量が増加し、全固形分含有量がおよそ90%の濃厚ペーストになる。次に、この混合物をゆっくりと混練し、標準大気圧(1,013mbar)で60~80℃の温度に5~15分間加熱して、ペースト糖の結晶化及びペーストの硬化を促進する。
【0315】
或いは、この実施形態では、植物ベースのホワイトクラムの製造のために、カカオリカー、カカオニブ、カカオパウダー又はカカオ繊維の含有が省略され、混合物を50ミリバールの減圧下、60~90℃の温度で5~15分間、又は混合物の全固形分含有量がおよそ90%に等しくなるまで、加熱及び混練して蒸発を継続することにより、全固形分の割合が増加する。
【0316】
いくつかの実施形態では、クラム形成は、最終乾燥ステップを含む。いくつかの実施形態では、最終乾燥は、例えば、真空バンド乾燥機、真空ローラー乾燥機又は真空掻き取り式熱交換器、及び特殊な真空乾燥混練反応器を使用して、ヒアリング(hearing)及び/又は蒸発ステップに続いて継続的に実行することもできる。
【0317】
いくつかの実施形態では、乾燥ステップは、植物ベースの濃縮ミルクを乾燥してクラムを製造するステップを含む。
【0318】
植物ベースの濃縮ミルクは、好ましくは、乾燥ステップ中に加熱される。理論に束縛されることを望むものではないが、望ましいメイラード反応が起こり、したがって典型的には従来のクラムプロセスに関連する複雑なフレーバーが得られるためには、高温が必要である。
【0319】
乾燥は、好ましくは、植物ベースの濃縮ミルクを、好ましくは減圧で加熱することを含む。
【0320】
いくつかの実施形態では、乾燥は、少なくとも約80℃の温度で実行される。
【0321】
いくつかの実施形態では、乾燥は、少なくとも約85℃の温度で実行される。
【0322】
いくつかの実施形態では、乾燥は、少なくとも約90℃の温度で実行される。
【0323】
いくつかの実施形態では、乾燥は、少なくとも約100℃の温度で実行される。
【0324】
いくつかの実施形態では、乾燥は、約80~150℃の温度への加熱を含む。
【0325】
いくつかの実施形態では、乾燥は、約85℃~約150℃の温度への加熱を含む。
【0326】
いくつかの実施形態では、乾燥は、約90℃~約150℃の温度への加熱を含む。
【0327】
いくつかの実施形態では、乾燥は、約100~150℃の温度で実行される。
【0328】
いくつかの実施形態では、乾燥は、約80℃~約145℃の温度への加熱を含む。
【0329】
いくつかの実施形態では、乾燥は、約90℃~約145℃の温度への加熱を含む。
【0330】
いくつかの実施形態では、乾燥は、約100℃~約145℃の温度への加熱を含む。
【0331】
いくつかの実施形態では、乾燥は、約80℃~約90℃の温度で実行される。
【0332】
いくつかの実施形態では、乾燥は、減圧で実行される。
【0333】
いくつかの実施形態では、乾燥は、約50ミリバールの減圧で実行される。
【0334】
いくつかの実施形態では、乾燥は、約25ミリバールの減圧で実行される。
【0335】
いくつかの実施形態では、乾燥は、約50ミリバールの減圧で、少なくとも2時間にわたって実行される。いくつかの実施形態では、乾燥は、約50ミリバールの減圧下、80~150℃の温度で実行される。
【0336】
いくつかの実施形態では、乾燥は、少なくとも約30分間の加熱を含む。いくつかの実施形態では、乾燥は、少なくとも約1時間の加熱を含む。
【0337】
いくつかの実施形態では、乾燥は、1~8時間の加熱を含む。
【0338】
いくつかの実施形態では、乾燥ステップは、植物ベースのミルクを約5%未満の水分含有量まで乾燥させることを含む。いくつかの実施形態では、乾燥ステップは、植物ベースのミルクを約4%未満の水分含有量まで乾燥させることを含む。いくつかの実施形態では、乾燥ステップは、植物ベースのミルクを約3%未満の水分含有量まで乾燥させることを含む。いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、植物ベースのミルクを1%~3%の水分含有量まで乾燥させることを含む。いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、植物ベースのミルクを約2%の水分含有量まで乾燥させることを含む。
【0339】
クラムの水分含有量は、規格UNE-EN ISO/IEC 17025:2017 ENAC 1094/LE2182に従って認定された重量試験によって測定され得る。
【0340】
特定の実施形態では、上記の蒸発、加熱及び混練に続いて、およそ90%の全固形分含有量を有する、本明細書に記載されるような植物ベースの濃縮ミルク(カカオ固形分を有する又は有しない)を、深さ約2~5cmの厚さでトレイに充填し、加熱棚を備えた真空乾燥機にバッチで移し、そこで、棚はおよそ100ミリバールの減圧下でおよそ1時間、80~150℃に加熱される。その後、気圧をおよそ50ミリバールまで下げ、棚を90~150℃でさらにおよそ1時間、又はペーストの総水分含有量がクラムの総重量のおよそ1~3%に減少するまで加熱し、この時点で、製品はクラムと呼ばれる。クラムの水分含有量が1~3%に減少したら、製品を真空乾燥機から取り出し、ハンマー又は同様の塊を砕く装置で砕き、ミルクチョコレート及びホワイトチョコレートの乳製品を含まない代替品の製造に必要な時まで気密容器に保管する。
【0341】
また、本明細書では、植物ベースのチョコレートを製造するプロセスも提供される。いくつかの実施形態では、プロセスは、少なくとも1つの植物ベースのクラム(すなわち、植物ベースのミルクベースのクラム)を提供すること;及び前記クラムを脂肪と混合することを含む。
【0342】
いくつかの実施形態では、プロセスは、上記のプロセスによって少なくとも1つの植物ベースのクラムを製造すること;及び前記クラムを脂肪と混合することを含む。
【0343】
いくつかの実施形態では、得られた組み合わせた植物ベースのクラムを前記脂肪と混合する前に、1つ以上の異なる植物ベースのクラムを組み合わせてもよい。
【0344】
いくつかの実施形態では、プロセスは、クラムを500ミクロン未満の粒径まで粉砕することをさらに含む。いくつかの実施形態では、プロセスは、クラムを300ミクロン未満の粒径まで粉砕することをさらに含む。いくつかの実施形態では、プロセスは、クラムを200ミクロン未満の粒径まで粉砕することをさらに含む。
【0345】
いくつかの実施形態では、チョコレートは、乳製品を含まないチョコレートである。いくつかの実施形態では、チョコレートは、乳製品を含まないミルクチョコレート(すなわち、ミルクチョコレートの乳製品を含まない代替品)である。いくつかの実施形態では、チョコレートは乳製品を含まないホワイトチョコレート(すなわち、ホワイトチョコレートの乳製品を含まない代替品)である。いくつかの実施形態では、チョコレートは、ビーガンチョコレートである。いくつかの実施形態では、チョコレートは、ビーガンミルクチョコレート(すなわち、ミルクチョコレートのビーガン代替品)である。いくつかの実施形態では、チョコレートは、ビーガンホワイトチョコレート(すなわち、ホワイトチョコレートのビーガン代替品)である。
【0346】
いくつかの実施形態では、脂肪は、植物性脂肪である。いくつかの実施形態では、脂肪は、ココアバター及び/又はココアバター代替品、例えば、(ココアバター代用脂(CBS)、ココアバター代替脂(CBR)、ココアバター類似脂(cocoa butter extender、CBE)又は他のココアバター代替品)を含む。このような製品は菓子の分野では周知であり、例えば、植物性脂肪から作製された非ラウリン酸及びラウリン酸代用脂など、様々な供給元から市販されている。
【0347】
チョコレートクラムと混合される脂肪の量は、チョコレートに求められる特性に応じて変動する。いくつかの実施形態では、総脂肪は、本明細書に記載のプロセスによって得られるか、又は得ることができるチョコレートの、約20重量%~約60重量%を占める。いくつかの実施形態では、脂肪は、本明細書に記載のプロセスによって得られるか、又は得ることができるチョコレートの、約20重量%~約45重量%を占める。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスによって得られるか、又は得ることができるチョコレートの総脂肪含有量は、約31%~42%である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスによって得られるか、又は得ることができるチョコレートの総脂肪含有量は、少なくとも約25%である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスによって得られるか、又は得ることができるチョコレートの総脂肪含有量は、少なくとも約30%である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスによって得られるか、又は得ることができるチョコレートの総脂肪含有量は、少なくとも約31%である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスによって得られるか、又は得ることができるチョコレートの総脂肪含有量は、少なくとも約35%である。
【0348】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、チョコレートクラムを乳化剤と混合することをさらに含む。いくつかの実施形態では、乳化剤は、ヒマワリレシチン、大豆レシチン、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、乳化剤は、本明細書に記載のプロセスによって得られるか、又は得ることができるチョコレートの、約0重量%~約5重量%を占める。
【0349】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、例えばチョコレートの風味を改善又は改変するために、チョコレートクラムを添加剤と混合することをさらに含む。いくつかの実施形態では、添加剤は、乾燥バニラ粉末などのバニラ香料を含む。
【0350】
いくつかの実施形態では、チョコレートの作製プロセスは、例えば、チョコレートを25~15ミクロンの粒径に精製し、続いてコンチング及びテンパリングするステップをさらに含む。
【0351】
本明細書に記載のチョコレートの加工に利用できるステップは、従来の(すなわち、乳製品ベースの)チョコレートに利用できるステップと広く類似しており、それ自体は当業者に公知である。
【0352】
本発明の特定の実施形態は、以下の番号付きの記述によって特徴付けることができる。
【0353】
一.植物ベースのミルクに基づくクラムを製造するプロセスであって、前記植物ベースのミルクが、植物材料の水性懸濁液を含み、プロセスが、
a.植物材料中の多糖が1つ以上の酵素によって液化される、液化ステップ;
b.還元糖が1つ以上の酵素によって植物材料から遊離される、糖化ステップ;及び
c.植物ベースのミルクを加熱し、乾燥させてクラムにする、クラム形成ステップ
を含む、プロセス。
【0354】
二.糖化ステップが、1つ以上の酵素を含む水中に植物材料の粒子を懸濁すること;又は植物ベースのミルクを1つ以上の酵素で処理することを含み;及び/又は
液化ステップが、1つ以上の酵素を含む水中に植物材料の粒子を懸濁すること;又は植物ベースのミルクを1つ以上の酵素で処理することを含む、記述一に記載のプロセス。
【0355】
三.プロセスが、少なくとも1つのタンパク質調整ステップをさらに含み、タンパク質調整が、
a.植物ベースのミルクがタンパク質分解酵素で処理される、タンパク質加水分解;又は
b.タンパク質加水分解物の添加
を含み;好ましくは、タンパク質分解酵素が、パパイン又はカルボキシペプチダーゼから選択され、及び/又はタンパク質加水分解物が、大豆、エンドウ又は麻のタンパク質加水分解物から選択される、先行する記述のいずれか1つに記載のプロセス。
【0356】
四.プロセスが、スクロースなどの甘味料の添加をさらに含み;
好ましくは、スクロースが、クラムの総甘味料含有量が乾燥クラムの重量の約30~85%、より好ましくはクラムの総甘味料含有量が約65~75%となるような量で添加され;
好ましくは、スクロースなどの甘味料が、クラム形成ステップの前、及び任意選択により、液化及び/又は糖化ステップの後に、植物ベースのミルクに添加される、先行する記述のいずれか1つに記載のプロセス。
【0357】
五.プロセスが、少なくとも1つの脱脂ステップをさらに含み、植物ベースのミルクの脂肪含有量が、乾燥重量ベースで30重量%以下に低減される、先行する記述のいずれか1つに記載のプロセス。
【0358】
六.液化が1つ以上のアミラーゼ酵素及び/又はグルカナーゼ酵素によってもたらされ、
アミラーゼ酵素が好ましくは真菌性α-アミラーゼ又はβ-アミラーゼであり、
及び/又はグルカナーゼ酵素が好ましくは真菌性β-グルカナーゼであり;
及び/又は糖化が1つ以上のα-アミラーゼ酵素によってもたらされ、好ましくは、アミラーゼ酵素が細菌性α-アミラーゼであり;
及び/又は還元糖がマルトースなどの還元性二糖を含む、先行する記述のいずれか1つに記載のプロセス。
【0359】
七.クラム形成が、
a.蒸発させて植物ベースの濃縮ミルクを形成すること;
b.任意選択により、カカオ固形分を植物ベースの濃縮ミルクに添加すること;
c.植物ベースの濃縮ミルクを加熱すること;
d.植物ベースの濃縮ミルクを、好ましくは約5%未満の水分含有量まで、より好ましくは約1~3%の最終水分含有量まで乾燥させること
を含む、先行する記述のいずれか1つに記載のプロセス。
【0360】
八.蒸発ステップの前に消泡剤の添加をさらに含み;
及び/又は蒸発が減圧で実行され;
及び/又は蒸発が少なくとも約60℃の温度で実行され;
及び/又は植物ベースの濃縮ミルクが、蒸発後に添加される任意のカカオ固形分を任意選択により含む、約80~95%の全固形分を有し;
及び/又はカカオ固形分がカカオリカー、カカオニブ、カカオパウダー若しくはカカオ繊維から選択される、記述七に記載のプロセス。
【0361】
九.植物ベースの濃縮ミルクを加熱することが、植物ベースの濃縮ミルクを約60~80℃の温度で混練することを含み、好ましくは、植物ベースの濃縮ミルクを加熱することが、植物ベースの濃縮ミルクを約60~90℃の温度で、より好ましくは、減圧で混練することを含み;好ましくは、混練すること及び加熱することが、約5~15分間実行され;
好ましくは、乾燥ステップが、植物ベースの濃縮ミルクを約80~150℃の温度に、より好ましくは、真空下で、加熱することによって実行される、記述七又は八のいずれか1つに記載のプロセス。
【0362】
十.クラムが約1~3%の最終総水分含有量を有し;
及び/又はクラムが約67~74重量%の最終全糖含有量を有し;
及び/又はクラムが乾燥クラムの重量の約3~10%の総タンパク質含有量を有し;
及び/又はクラムが約15重量%の脂肪含有量を有する、先行する記述のいずれか1つに記載のプロセス。
【0363】
十一.植物ベースのミルクが、穀類、塊茎、擬穀類、豆類、油糧種子、ナッツ、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの植物材料に由来する水性懸濁液であり;
好ましくは、植物材料が、タイガーナッツ、サツマイモ、米、オーツ麦、アマランス、テフ、ソルガム、キヌア、ソバ、又はそれらの組み合わせに由来し;
より好ましくは、植物材料が、ヘーゼルナッツ、ピーナッツ、カシューナッツ、マカダミアナッツ、ココナッツ、アーモンド、ヒヨコマメ、エンドウ、大豆、麻の実、ヒマワリ種子、ゴマ種子、及びそれらの組み合わせから選択される補助植物材料をさらに含み;
及び/又は植物ベースのミルクが、植物材料の粒子を水中に懸濁させることによって形成される、先行する記述のいずれか1つに記載のプロセス。
【0364】
十二.記述一~十一のいずれかに記載のプロセスによって得られるか、又は得ることができる、植物ベースのクラム。
【0365】
十三.植物ベースのチョコレート又はチョコレート製品の製造のための、記述十二に記載の植物ベースのクラムの使用。
【0366】
十四.植物ベースのチョコレートの製造プロセスであって、
a.記述一~十一のいずれかに記載のプロセスによってクラムを製造すること;及び
b.クラムを脂肪と混合すること
を含み、好ましくは、脂肪が植物性脂肪であり、より好ましくは、脂肪がココアバター、ココアバター代用脂、ココアバター代替脂、ココアバター類似脂(cocoa butter extender)、及びそれらの組み合わせから選択され;
好ましくは、プロセスが、クラムを300ミクロン未満の粒径まで粉砕することをさらに含み;
好ましくは、プロセスが、チョコレートを精製、コンチング及び/又はテンパリングするステップをさらに含む、プロセス。
【0367】
十五.記述十四のプロセスによって得られるか、又は得ることができる、植物ベースのチョコレート。
【0368】
必要に応じて、その特定の形式で、又は開示された機能を実施するための手段、若しくは開示された結果を得る方法又はプロセスの観点から表現される、先の記載、以下の特許請求の範囲、又は添付の図面で開示される特徴は、本発明をその多様な形態で実現するために、個別に、又はそのような特徴の任意の組み合わせで、利用することができる。
【0369】
本発明を上記の例示的な実施形態に関連して説明してきたが、この開示が与えられれば、当業者には多くの同等の改変及び変形が明らかとなるであろう。したがって、上記の本発明の例示的な実施形態は、例示的なものであり、非限定的であるとみなされる。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、記載される実施形態に様々な変更がなされ得る。
【0370】
誤解を避けるため、本明細書で提供される理論的な説明はいずれも、読み手の理解を向上させる目的で提供される。発明者らは、これらの理論的説明のいずれにも拘束されることを望むものではない。
【0371】
本明細書で使用されるセクション見出しは、整理のみを目的としており、記載されている主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0372】
以下の特許請求の範囲を含む、本明細書全体を通して、文脈上別段の要求がない限り、「含む(comprise)」及び「含む(include)」という語、及び「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、及び「含む(including)」などの変形は、記載された整数又はステップ又は整数若しくはステップの群を含むが、他の整数又はステップ又は整数若しくはステップの群を排除するものではないことを含意すると理解されよう。
【0373】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、文脈上明らかに別段の指示がない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」には複数の指示対象が含まれることに留意されたい。本明細書において、範囲は、「約」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値まで、として表され得る。このような範囲が表される場合、別の実施形態には、1つの特定の値から及び/又は他の特定の値までが含まれる。同様に、先行詞「約」を使用して値が近似値として表現される場合、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されよう。数値に関する「約」という用語は任意選択によるものであり、例えば、+/-10%を意味する。
【実施例】
【0374】
実施例
実施例1
ミルクチョコレートの乳製品を含まない代替品の製造における使用のためのビーガンクラムを以下の方法で調製した。
【0375】
予熱したオイルスクリュープレスを使用して、必要に応じて、1300gのタイガーナッツを部分的に脱脂して、脂肪含有量を約12%にした。次に、タイガーナッツミールを、ドライミル(スパイスグラインダー)を使用して微粉末に粉砕した。216gの生ヘーゼルナッツをトレイに置き、140℃のオーブンで20分間ローストし、次いで冷却し、ドライミル(スパイスグラインダー)を使用して微粉末に粉砕した。484gの白米を、ドライミル(スパイスグラインダー)を使用して微粉末に粉砕した。
【0376】
0.9gの塩化カルシウムを6リットルの水に35℃で溶解した。次いで、CYGYC BIOCON, S.Lから供給され、「BIALFA」という商品名で市販されている、細菌(枯草菌(Bacillus Subtilis))由来の食品グレードのα-アミラーゼ酵素5gを水に加えた。その後、1300gのタイガーナッツ粉、216gのヘーゼルナッツ粉、及び484gの米粉を一緒に合わせ、水に加え、高剪断ミキサーで4分間ブレンドして、スラリーを形成した。pH測定値を記録した。混合物はpH6であった。
【0377】
次いで、混合物を連続的に撹拌でき、最適な酵素活性化温度まで加熱できるように、混合物を、撹拌機を備えた電気加熱調理器(savage bros製、モデル:Firemixer-14)に移した。混合物を、35℃の開始温度から50℃の温度まで毎分2℃ずつ上昇させた。次いで、混合物を50℃で7分間保持した。次いで、混合物の温度を毎分2℃ずつ75℃まで上昇させた。次いで、混合物を75℃で15分間保持した。次いで、混合物の温度を毎分1℃ずつ85℃の温度まで上昇させた。次いで、混合物を85℃で10分間保持した。次いで、混合物の温度を毎分2℃ずつ100℃まで上昇させ、次いで100℃で2分間保持して、熱感受性の液化酵素を変性させた。次いで、混合物を50℃に冷却し、続いて糖化ステップにおいて、CYGYC BIOCON, S.Lから供給され、「SUKZYME L」の商品名で市販されている、真菌(コウジカビ(Aspergillus oryzae))由来のα-アミラーゼ6gで処理した。次いで、混合物の温度を毎分2℃ずつ60℃まで上昇させた。次いで、混合物を60℃で30分間保持し、その後、混合物を冷ました。40℃未満に冷めた後、100ミクロンのスクリーンを使用してスラリーを濾して、過大な粒子を分離した。濾した後、1220gの糖(スクロース)を植物ベースのミルクに溶解し、その後、撹拌機及び真空ポンプ(Wolff製)を備えたスチームジャケット付きトフィーケトルに移した。植物ベースの甘味ミルクを、シリコンベースの消泡剤(Murphy & Sonから供給され、「ANTIFOAM FD20PK」の商品名で市販されているもの)で処理し、次いで、減圧下で加熱するプロセスによって濃縮した。容器ジャケットに供給される蒸気は、0.5ゲージ圧(BAR)に維持された。継続的に撹拌しながら、植物ベースのミルクを加熱し、600~400mbarの減圧下で沸騰させた。植物ベースの甘味濃縮ミルクの全固形分含有量がおよそ88%に達するまで、製品の加熱及び撹拌を続けながら、気圧を最終圧力100mbarまで徐々に下げることによって、低温沸騰を維持した。
【0378】
植物ベースの甘味濃縮ミルクを、Winkworth製の実験室スケールのZブレードミキサーに投入し、70℃に加熱し、341gのカカオリカーと5分間穏やかに混合して、濃厚ペーストを製造した。ペーストをおよそ2cmの厚さでトレイに充填し、真空ポンプ付きのMemmert GmbH + Co. KG製の加熱棚を備えた真空オーブンに移した。
【0379】
オーブン内の気圧を50mbarに下げ、オーブンの棚を80℃に1時間加熱し、その後、気圧を25mbarに下げ、さらに1時間、棚の温度を90℃に上昇させた。得られたクラムをオーブンから取り出したところ、総水分含有量はおよそ2%であった。
【0380】
総重量およそ2500gのクラムを冷まし、ハンマーで砕き、必要になるまで気密容器に保管した。必要になった時点で、これをミルに移し、粒子サイズが200ミクロン未満の粉末とする。
【0381】
その後、ビーガンクラム粉末を、633gのココアバター、16.6gのヒマワリレシチン、及び13gの香味料と混合し、従来のミルクチョコレート製造と同様に精製、コンチング、テンパリング、デポジット及び冷却のプロセスに供して、ミルクチョコレートの乳製品を含まない代替品およそ3150gを製造した。
【0382】
実施例2
ミルクチョコレートの乳製品を含まない代替品の製造における使用のためのビーガンクラムを以下の方法で調製した。
【0383】
予熱したオイルスクリュープレスを使用して、必要に応じて、洗浄し、精白したタイガーナッツ20kg(乾燥重量)を部分的に脱脂して、脂肪含有量を約12%にした。
【0384】
10kg(乾燥重量)の白米を、ドライミル(スパイスグラインダー)を使用して粗粒粉に粉砕した。
【0385】
5kg(乾燥重量)の生ヘーゼルナッツを142℃で50分間ローストし、次いで冷却し、ドライミルを使用して粗粒粉に粉砕した。
【0386】
3.9kgの(任意選択により、部分的に脱脂した)タイガーナッツ粉、1.571kgの米粉、及び0.648kgのローストヘーゼルナッツ粉を秤量し(乾燥重量)、3gの塩化カルシウムで処理した20.22リットルの温水(30℃)に加え、高剪断ミキサーで5分間ブレンドして、スラリーを形成した。次いで、100ミクロンのスクリーンを使用してスラリーを濾して、全固形分含有量がおよそ17.337%の植物ベースのミルクおよそ19.5kgを得た。
【0387】
植物ベースのミルクのpHを6のpHに調整し、例えば、一体型撹拌機及び真空ポンプを備えたOtto Hansel製(HWR調理器)などの、ジャケット付き調理器に移した。次いで、液化ステップにおいて、植物ベースのミルクを、「BIALFA」という商品名で販売されている、CYGYC BIOCON, S.Lから供給される細菌(枯草菌(Bacillus Subtilis))由来の食品グレードのα-アミラーゼ酵素で処理した。次いで、植物ベースのミルクを、元の粉末重量の0.25%のBIALFAと共に50℃で20分間撹拌及び加熱し、続いて85℃で25分間撹拌及び加熱した。
【0388】
植物ベースのミルクを60℃まで冷まし、続いて糖化ステップにおいて、CYGYC BIOCON, S.Lから供給され、「SUKZYME L」の商品名で市販されている、真菌(コウジカビ(Aspergillus oryzae))由来のα-アミラーゼで処理し、元の粉末重量の0.3%のSUKZYME L.と共に60℃で30分間撹拌及び加熱した。
【0389】
次いで、植物ベースのミルクを60℃に保持しながら3.64kgのスクロースで甘味付けし、全てのスクロースが溶解するまで撹拌した。得られた植物ベースの甘味ミルクを、シリコンベースの消泡剤(Murphy & Sonから供給され、「ANTIFOAM FD20PK」の商品名で市販されているもの)で処理し、400ミリバールの減圧下での蒸発プロセスによって濃縮し、継続的に撹拌しながら、植物ベースのミルクを加熱し、減圧下で沸騰させた。植物ベースの甘味濃縮ミルクの全固形分含有量がおよそ88%に達するまで、製品の加熱及び撹拌を続けながら、気圧を最終圧力100mbarまで徐々に下げることによって、低温沸騰を維持した。
【0390】
植物ベースの甘味濃縮ミルクを、Winkworth製のZブレードミキサーに投入し、70℃に加熱し、1.044kgのカカオリカーと5分間穏やかに混合して、濃厚ペーストを製造した。ペーストをおよそ2cmの厚さで4つのトレイに充填し、真空ポンプ付きのMemmert GmbH + Co. KG製の加熱棚を備えた真空オーブンに移した。
【0391】
オーブン内の気圧を50ミリバールに下げ、オーブンの棚を80℃に1時間加熱し、その後、気圧を25mbarに下げ、さらに1時間、棚の温度を90℃に上昇させた。得られたクラムをオーブンから取り出したところ、総水分含有量はおよそ2%であった。総重量およそ7.88kgのクラムを冷まし、ハンマーで砕き、必要になるまで気密容器に保管した。必要になった時点で、これをミルに移し、粒子サイズが200ミクロン未満の粉末とする。
【0392】
その後、ビーガンクラム粉末を、1.9kgのココアバター、0.05kgのヒマワリレシチン、及び0.04kgの香味料と混合し、従来のミルクチョコレート製造と同様に精製、コンチング、テンパリング、デポジット及び冷却のプロセスに供して、ミルクチョコレートの乳製品を含まない代替品およそ9.87kgを製造した。
【0393】
実施例3
ミルクチョコレートの乳製品を含まない代替品の製造における使用のためのビーガンクラムを以下の方法で調製した。
【0394】
10kg(乾燥重量)の白米を、ドライミル(スパイスグラインダー)を使用して粗粒粉に粉砕した。
【0395】
5kg(乾燥重量)の生ヘーゼルナッツを142℃で50分間ローストし、次いで冷却し、ドライミルを使用して粗粒粉に粉砕した。
【0396】
3.9kgの市販の(任意選択により、脂肪含有量約12%まで部分的に脱脂した)タイガーナッツ粉、1.571kgの米粉、及び0.648kgのローストヘーゼルナッツ粉を秤量し(乾燥重量)、3gの塩化カルシウムで処理した20.22リットルの温水(30℃)に加え、高剪断ミキサーで5分間ブレンドして、スラリーを形成した。次いで、100ミクロンのスクリーンを使用してスラリーを濾して、全固形分含有量がおよそ17.337%の植物ベースのミルクおよそ19.5kgを得た。
【0397】
植物ベースのミルクのpHを6のpHに調整し、例えば、一体型撹拌機及び真空ポンプを備えたOtto Hansel製(HWR調理器)などの、ジャケット付き調理器に移した。次いで、液化ステップにおいて、乳濁液を、「BIALFA」という商品名で販売されている、CYGYC BIOCON, S.Lから供給される細菌(枯草菌(Bacillus Subtilis))由来の食品グレードのα-アミラーゼ酵素で処理した。次いで、植物ベースのミルクを、元の粉末重量の0.25%のBIALFAと共に50℃で20分間撹拌及び加熱し、続いて85℃で25分間撹拌及び加熱した。
【0398】
植物ベースのミルクを60℃まで冷まし、続いて糖化ステップにおいて、CYGYC BIOCON, S.Lから供給され、「SUKZYME L」の商品名で市販されている、真菌(コウジカビ(Aspergillus oryzae))由来のα-アミラーゼで処理し、元の粉末重量の0.3%のSUKZYME Lと共に60℃で30分間撹拌及び加熱した。
【0399】
次いで、植物ベースのミルクを60℃に保持しながら3.64kgのスクロースで甘味付けし、全てのスクロースが溶解するまで撹拌した。得られた植物ベースの甘味ミルクを、シリコンベースの消泡剤(Murphy & Sonから供給され、「ANTIFOAM FD20PK」の商品名で市販されているもの)で処理し、400ミリバールの減圧下での蒸発プロセスによって濃縮し、継続的に撹拌しながら、植物ベースのミルクを加熱し、減圧下で沸騰させた。植物ベースの甘味濃縮ミルクの全固形分含有量がおよそ88%に達するまで、製品の加熱及び撹拌を続けながら、気圧を最終圧力100mbarまで徐々に下げることによって、低温沸騰を維持した。
【0400】
植物ベースの甘味濃縮ミルクを、Winkworth製のZブレードミキサーに投入し、70℃に加熱し、1.044kgのカカオリカーと5分間穏やかに混合して、濃厚ペーストを製造した。ペーストをおよそ2cmの厚さで4つのトレイに充填し、真空ポンプ付きのMemmert GmbH + Co. KG製の加熱棚を備えた真空オーブンに移した。
【0401】
オーブン内の気圧を50ミリバールに下げ、オーブンの棚を80℃に1時間加熱し、その後、気圧を25mbarに下げ、さらに1時間、棚の温度を90℃に上昇させた。得られたクラムをオーブンから取り出したところ、総水分含有量はおよそ2%であった。総重量およそ7.88kgのクラムを冷まし、ハンマーで砕き、必要になるまで気密容器に保管した。必要になった時点で、これをミルに移し、粒子サイズが200ミクロン未満の粉末とする。
【0402】
その後、ビーガンクラム粉末を、1.9kgのココアバター、0.05kgのヒマワリレシチン、及び0.04kgの香味料と混合し、従来のミルクチョコレート製造と同様に精製、コンチング、テンパリング、デポジット及び冷却のプロセスに供して、ミルクチョコレートの乳製品を含まない代替品およそ9.87kgを製造した。
【0403】
実施例4
以下の例では、ホワイトチョコレートの乳製品を含まない代替品の製造における使用のためのホワイトビーガンクラムの製造方法を概説する。
【0404】
1000gの白米を、ドライミル(スパイスグラインダー)を使用して微粉末に粉砕した。350gの生ヘーゼルナッツをトレイに置き、140℃のオーブンで20分間ローストし、次いで冷却し、ドライミル(スパイスグラインダー)を使用して微粉末に粉砕した。全粒タイガーナッツ650gを、ドライミル(スパイスグラインダー)を使用して微粉末に粉砕した。
【0405】
0.9gの塩化カルシウムを6リットルの水に35℃で溶解した。次いで、CYGYC BIOCON, S.Lから供給され、「BIALFA」という商品名で市販されている、細菌(枯草菌(Bacillus Subtilis))由来の食品グレードのα-アミラーゼ酵素5gを水に加えた。その後、1000gの米粉、350gのローストヘーゼルナッツ粉、及び650gのタイガーナッツ粉を一緒に合わせ、水に加え、高剪断ミキサーで4分間ブレンドして、スラリーを形成した。pH測定値を記録したところ、混合物はpH6.06であった。
【0406】
次いで、混合物を連続的に撹拌でき、最適な酵素活性化温度まで加熱できるように、混合物を、撹拌機を備えた電気加熱調理器(savage bros製、モデル:Firemixer-14)に移した。混合物を、35℃の開始温度から50℃の温度まで毎分2℃ずつ上昇させた。次いで、混合物を50℃で7分間保持した。次いで、混合物の温度を毎分2℃ずつ75℃まで上昇させた。次いで、混合物を75℃で15分間保持した。次いで、混合物の温度を毎分1℃ずつ85℃の温度まで上昇させた。次いで、混合物を85℃で10分間保持した。次いで、混合物の温度を毎分2℃ずつ100℃まで上昇させ、次いで100℃で2分間保持して、熱感受性の液化酵素を変性させた。次いで、混合物を50℃に冷却し、続いて糖化ステップにおいて、CYGYC BIOCON, S.Lから供給され、「SUKZYME L」の商品名で市販されている、真菌(コウジカビ(Aspergillus oryzae))由来のα-アミラーゼ6gで処理した。次いで、混合物の温度を毎分2℃ずつ60℃まで上昇させた。次いで、混合物を60℃で30分間保持し、その後、混合物を冷ました。40℃未満に冷めた後、100ミクロンのスクリーンを使用してスラリーを濾して、過大な粒子を分離した。濾した後、1000gの糖(スクロース)を植物ベースのミルクに溶解し、その後、撹拌機及び真空ポンプ(Wolff製)を備えたスチームジャケット付きトフィーケトルに移した。植物ベースの甘味ミルクを、シリコンベースの消泡剤(Murphy & Sonから供給され、「ANTIFOAM FD20PK」の商品名で市販されているもの)で処理し、次いで、減圧下で加熱するプロセスによって濃縮した。容器ジャケットに供給される蒸気は、0.5ゲージ圧(BAR)に維持された。継続的に撹拌しながら、植物ベースのミルクを加熱し、600~400mbarの減圧下で沸騰させた。植物ベースの甘味濃縮ミルクの全固形分含有量がおよそ90%に達するまで、製品の加熱及び撹拌を続けながら、気圧を最終圧力100mbarまで徐々に下げることによって、低温沸騰を維持した。
【0407】
植物ベースの甘味濃縮ミルクを、Winkworth製の実験室スケールのZブレードミキサーに投入し、70℃に加熱し、結晶化プロセスを改善するために、5分間穏やかに混合して濃厚ペーストとした。ペーストをおよそ2cmの厚さでトレイに充填し、真空ポンプ付きのMemmert GmbH + Co. KG製の加熱棚を備えた真空オーブンに移した。
【0408】
オーブン内の気圧を50mbarに下げ、オーブンの棚を80℃に1時間加熱し、その後、気圧を25mbarに下げ、さらに1時間、棚の温度を90℃に上昇させた。得られたクラムをオーブンから取り出したところ、総水分含有量は2%未満であった。総重量およそ2070gのクラムを冷まし、ハンマーで砕き、必要になるまで気密容器に保管した。必要になった時点で、これをミルに移し、粒子サイズが200ミクロン未満の粉末とする。
【0409】
その後、ビーガンクラム粉末を、1000gのココアバター、18.5gのヒマワリレシチン、及び18gの香味料と混合し、従来のミルクチョコレート製造と同様に精製、コンチング、テンパリング、デポジット及び冷却のプロセスに供して、ホワイトチョコレートの乳製品を含まない代替品およそ2810gを製造した。
【0410】
実施例5
以下の例では、ホワイトチョコレートの乳製品を含まない代替品の製造における使用のためのホワイトビーガンクラムの製造方法を概説する。
【0411】
ホワイトチョコレートの乳製品を含まない代替品の製造における使用のためのビーガンクラムを以下の方法で調製した。
【0412】
予熱したオイルスクリュープレスを使用して、必要に応じて、洗浄し、精白したタイガーナッツ20kg(乾燥重量)を部分的に脱脂して、脂肪含有量を約12%にした。
【0413】
10kg(乾燥重量)の白米を、ドライミル(スパイスグラインダー)を使用して粗粒粉に粉砕した。
【0414】
5kg(乾燥重量)の生ヘーゼルナッツを142℃で50分間ローストし、次いで冷却し、ドライミルを使用して粗粒粉に粉砕した。
【0415】
3.9kgの(任意選択により、部分的に脱脂した)タイガーナッツ粉、1.571kgの米粉、及び0.648kgのローストヘーゼルナッツ粉を秤量し(乾燥重量)、3gの塩化カルシウムで処理した20.22リットルの温水(30℃)に加え、高剪断ミキサーで5分間ブレンドして、スラリーを形成した。次いで、100ミクロンのスクリーンを使用してスラリーを濾して、全固形分含有量がおよそ17.337%の植物ベースのミルクおよそ19.5kgを得た。
【0416】
植物ベースのミルクのpHを6のpHに調整し、一体型撹拌機及び真空ポンプを備えたOtto Hansel製(HWR調理器)のジャケット付き調理器に移した。次いで、液化ステップにおいて、乳濁液を、「BIALFA」という商品名で販売されている、CYGYC BIOCON, S.Lから供給される細菌(枯草菌(Bacillus Subtilis))由来の食品グレードのα-アミラーゼ酵素で処理した。次いで、植物ベースのミルクを、元の粉末重量の0.25%のBIALFAと共に50℃で20分間撹拌及び加熱し、続いて85℃で25分間撹拌及び加熱した。
【0417】
植物ベースのミルクを60℃まで冷まし、続いて糖化ステップにおいて、CYGYC BIOCON, S.Lから供給され、「SUKZYME L」の商品名で市販されている、真菌(コウジカビ(Aspergillus oryzae))由来のα-アミラーゼで処理し、元の粉末重量の0.3%のSUKZYME Lと共に60℃で30分間撹拌及び加熱した。
【0418】
次いで、植物ベースのミルクを60℃に保持しながら3.64kgのスクロースで甘味付けし、全てのスクロースが溶解するまで撹拌した。得られた植物ベースの甘味ミルクを、シリコンベースの消泡剤(Murphy & Sonから供給され、「ANTIFOAM FD20PK」の商品名で市販されているもの)で処理し、400ミリバールの減圧下での蒸発プロセスによって濃縮し、継続的に撹拌しながら、植物ベースのミルクを加熱し、減圧下で沸騰させた。植物ベースの甘味濃縮ミルクの全固形分含有量がおよそ88%に達するまで、製品の加熱及び撹拌を続けながら、気圧を最終圧力100mbarまで徐々に下げることによって、低温沸騰を維持した。
【0419】
植物ベースの甘味濃縮ミルクを、Winkworth製のZブレードミキサーに投入し、混合プロセス中に50ミリバールの減圧下で70℃に加熱して、ペーストをさらに濃縮し、ペーストの結晶化及び濃厚化を促進した。
【0420】
ペーストが90%の全固形分含有量に達したら、ペーストをおよそ2cmの厚さで4つのトレイに充填し、真空ポンプ付きのMemmert GmbH + Co. KG製の加熱棚を備えた真空オーブンに移した。
【0421】
オーブン内の気圧を50ミリバールに下げ、オーブンの棚を80℃に1時間加熱し、その後、気圧を25mbarに下げ、さらに1時間、棚の温度を90℃に上昇させた。得られたビーガンクラムをオーブンから取り出したところ、総水分含有量はおよそ2%であった。総重量およそ6.82kgのビーガンクラムを冷まし、ハンマーで砕き、次いで、これをミルに移し、粒子サイズが200ミクロンの粉末とし、必要になるまで気密容器に保管した。
【0422】
その後、ビーガンクラム粉末を、3.4kgのココアバター、0.047kgのヒマワリレシチン、及び0.037kgの香味料と混合し、従来のホワイトチョコレート製造と同様に精製、コンチング、テンパリング、デポジット及び冷却のプロセスに供して、ホワイトチョコレートの乳製品を含まない代替品およそ9.3kgを製造した。
【0423】
実施例6
以下の例では、ホワイトチョコレートの乳製品を含まない代替品の製造における使用のためのホワイトビーガンクラムの製造方法を概説する。
【0424】
ホワイトチョコレートの乳製品を含まない代替品の製造における使用のためのビーガンクラムを以下の方法で調製した。
【0425】
10kg(乾燥重量)の白米を、ドライミル(スパイスグラインダー)を使用して粗粒粉に粉砕した。
【0426】
5kg(乾燥重量)の生ヘーゼルナッツを142℃で50分間ローストし、次いで冷却し、ドライミルを使用して粗粒粉に粉砕した。
【0427】
3.9kgの市販の(任意選択により、脂肪含有量約12%まで部分的に脱脂した)タイガーナッツ粉、1.571kgの米粉、及び0.648kgのローストヘーゼルナッツ粉を秤量し(乾燥重量)、3gの塩化カルシウムで処理した20.22リットルの温水(30℃)に加え、高剪断ミキサーで5分間ブレンドして、スラリーを形成した。次いで、100ミクロンのスクリーンを使用してスラリーを濾して、全固形分含有量がおよそ17.337%の植物ベースのミルクおよそ19.5kgを得た。
【0428】
植物ベースのミルクのpHを6のpHに調整し、一体型撹拌機及び真空ポンプを備えたOtto Hansel製(HWR調理器)のジャケット付き調理器に移した。次いで、液化ステップにおいて、乳濁液を、「BIALFA」という商品名で販売されている、CYGYC BIOCON, S.Lから供給される細菌(枯草菌(Bacillus Subtilis))由来の食品グレードのα-アミラーゼ酵素で処理した。次いで、植物ベースのミルクを、元の粉末重量の0.25%のBIALFAと共に50℃で20分間撹拌及び加熱し、続いて85℃で25分間撹拌及び加熱した。
【0429】
植物ベースのミルクを60℃まで冷まし、続いて糖化ステップにおいて、CYGYC BIOCON, S.Lから供給され、「SUKZYME L」の商品名で市販されている、真菌(コウジカビ(Aspergillus oryzae))由来のα-アミラーゼで処理し、元の粉末重量の0.3%のSUKZYME Lと共に60℃で30分間撹拌及び加熱した。
【0430】
次いで、植物ベースのミルクを60℃に保持しながら3.64kgのスクロースで甘味付けし、全てのスクロースが溶解するまで撹拌した。得られた植物ベースの甘味ミルクを、シリコンベースの消泡剤(Murphy & Sonから供給され、「ANTIFOAM FD20PK」の商品名で市販されているもの)で処理し、400ミリバールの減圧下での蒸発プロセスによって濃縮し、継続的に撹拌しながら、植物ベースのミルクを加熱し、減圧下で沸騰させた。植物ベースの甘味濃縮ミルクの全固形分含有量がおよそ88%に達するまで、製品の加熱及び撹拌を続けながら、気圧を最終圧力100mbarまで徐々に下げることによって、低温沸騰を維持した。
【0431】
植物ベースの甘味濃縮ミルクを、Winkworth製のZブレードミキサーに投入し、混合プロセス中に50ミリバールの減圧下で70℃に加熱して、ペーストをさらに濃縮し、ペーストの結晶化及び濃厚化を促進した。
【0432】
ペーストが90%の全固形分含有量に達したら、ペーストをおよそ2cmの厚さで4つのトレイに充填し、真空ポンプ付きのMemmert GmbH + Co. KG製の加熱棚を備えた真空オーブンに移した。
【0433】
オーブン内の気圧を50ミリバールに下げ、オーブンの棚を80℃に1時間加熱し、その後、気圧を25mbarに下げ、さらに1時間、棚の温度を90℃に上昇させた。得られたビーガンクラムをオーブンから取り出したところ、総水分含有量はおよそ2%であった。総重量およそ6.82kgのビーガンクラムを冷まし、ハンマーで砕き、次いで、これをミルに移し、粒子サイズが200ミクロンの粉末とし、必要になるまで気密容器に保管した。
【0434】
その後、ビーガンクラム粉末を、3.4kgのココアバター、0.047kgのヒマワリレシチン、及び0.037kgの香味料と混合し、従来のホワイトチョコレート製造と同様に精製、コンチング、テンパリング、デポジット及び冷却のプロセスに供して、ホワイトチョコレートの乳製品を含まない代替品およそ9.3kgを製造した。
【0435】
実施例7
以下の例では、ミルクチョコレートの乳製品を含まない代替品の製造における使用のためのビーガンクラムの製造方法を概説する。
【0436】
1000gの白米を、ドライミル(スパイスグラインダー)を使用して微粉末に粉砕した。1000gのロールドオーツを、ドライミル(スパイスグラインダー)を使用して微粉末に粉砕した。
【0437】
0.9gの塩化カルシウムを6リットルの水に45℃で溶解した。次いで、CYGYC BIOCON, S.Lから供給され、「BIALFA」という商品名で市販されている、細菌(枯草菌(Bacillus Subtilis))由来の食品グレードのα-アミラーゼ酵素5gを水に加えた。CYGYC BIOCON, S.LLから供給され、BIOBETA P 100という商品名で市販されている、アスペルギルス属(Aspergillus)の選択された株に由来する食品グレードのベータグルカナーゼ0.3gも水に加えた。その後、1000gの米粉と1000gのオーツ粉を一緒に合わせ、水に加え、高剪断ミキサーで4分間ブレンドして、スラリーを形成した。pH測定値を記録したところ、混合物はpH6.5であった。続いて、混合物のpHをpH5.5に調整した。
【0438】
次いで、混合物を連続的に撹拌でき、最適な酵素活性化温度まで加熱できるように、混合物を、撹拌機を備えた電気加熱調理器(savage bros製、モデル:Firemixer-14)に移した。混合物を、45℃の開始温度から50℃の温度まで毎分2℃ずつ上昇させた。次いで、混合物を50℃で5分間保持した。次いで、混合物の温度を毎分1℃ずつ55℃まで上昇させた。次いで、混合物を55℃でさらに5分間保持した。次いで、混合物を毎分2℃ずつ60℃の温度まで上昇させた。次いで、混合物を60℃で10分間保持した。次いで、混合物の温度を毎分1℃ずつ75℃まで上昇させ、次いで75℃で10分間保持した。次いで、混合物を毎分2℃ずつ85℃の温度まで上昇させ、次いで85℃で10分間保持した。次いで、混合物を毎分1℃ずつ100℃の温度まで加熱し、その温度で2分間加熱した。その後、混合物を50℃まで冷まし、続いて糖化ステップにおいて、CYGYC BIOCON, S.Lから供給され、「SUKZYME L」の商品名で市販されている、真菌(コウジカビ(Aspergillus oryzae))由来のα-アミラーゼ6gで処理した。次いで、混合物の温度を毎分2℃ずつ60℃まで上昇させた。次いで、混合物を60℃で30分間保持し、その後、混合物を冷ました。40℃未満に冷めた後、100ミクロンのスクリーンを使用してスラリーを濾して、過大な粒子を分離した。
【0439】
濾した後、1700gの糖(スクロース)を植物ベースのミルクに溶解し、その後、撹拌機及び真空ポンプ(Wolff製)を備えたスチームジャケット付きトフィーケトルに移した。植物ベースの甘味ミルクを、シリコンベースの消泡剤(Murphy & Sonから供給され、「ANTIFOAM FD20PK」の商品名で市販されているもの)で処理し、次いで、減圧下で加熱するプロセスによって濃縮した。容器ジャケットに供給される蒸気は、0.5ゲージ圧(BAR)に維持された。継続的に撹拌しながら、植物ベースのミルクを加熱し、600~400mbarの減圧下で沸騰させた。植物ベースの甘味濃縮ミルクの全固形分含有量がおよそ88%に達するまで、製品の加熱及び撹拌を続けながら、気圧を最終圧力100mbarまで徐々に下げることによって、低温沸騰を維持した。
【0440】
植物ベースの甘味濃縮ミルクを、Winkworth製の実験室規模のZブレードミキサーに投入し、70℃に加熱し、455gのカカオリカーと穏やかに混合し、5分間混練して、濃厚ペーストを作製した。ペーストをおよそ2cmの厚さでトレイに充填し、真空ポンプ付きのMemmert GmbH + Co. KG製の加熱棚を備えた真空オーブンに移した。
【0441】
オーブン内の気圧を50mbarに下げ、オーブンの棚を80℃に1時間加熱し、その後、気圧を25mbarに下げ、さらに1時間、棚の温度を90℃に上昇させた。得られたクラムをオーブンから取り出したところ、総水分含有量は2%未満であった。総重量およそ3560gのクラムを冷まし、ハンマーで砕き、必要になるまで気密容器に保管した。必要になった時点で、これをミルに移し、粒子サイズが200ミクロン未満の粉末とする。
【0442】
その後、ビーガンクラム粉末を、1300gのココアバター、25gのヒマワリレシチン、及び20gの香味料と混合し、従来のミルクチョコレート製造と同様に精製、コンチング、テンパリング、デポジット及び冷却のプロセスに供して、ミルクチョコレートの乳製品を含まない代替品およそ4870gを製造した。
【0443】
実施例8
ミルクチョコレートの乳製品を含まない代替品の製造における使用のためのビーガンクラムを以下の方法で調製した。
【0444】
1000gのロールドオーツを、1000gの市販の(任意選択により、脂肪含有量約12%まで部分的に脱脂した)タイガーナッツ粉と混合し、ドライミル(スパイスグラインダー)を使用して一緒に粉砕して、微粉末とした。
【0445】
0.9gの塩化カルシウムを6リットルの水に45℃で溶解した。次いで、CYGYC BIOCON, S.Lから供給され、「BIALFA」という商品名で市販されている、細菌(枯草菌(Bacillus Subtilis))由来の食品グレードのα-アミラーゼ酵素5gを水に加えた。CYGYC BIOCON, S.Lから供給され、BIOBETA P 100という商品名で市販されている、アスペルギルス属(Aspergillus)の選択された株に由来する食品グレードのベータグルカナーゼ(betaglucanse)0.3gも水に加えた。その後、1000gのロールドオーツ粉及び1000gのタイガーナッツ粉を水に加え、高剪断ミキサーで4分間ブレンドして、スラリーを形成した。pH測定値を記録したところ、混合物はpH6であった。続いて、混合物のpHをpH5.5に調整した。
【0446】
次いで、混合物を連続的に撹拌でき、最適な酵素活性化温度まで加熱できるように、混合物を、撹拌機を備えた電気加熱調理器(savage bros製、モデル:Firemixer-14)に移した。混合物を、45℃の開始温度から50℃の温度まで毎分2℃ずつ上昇させた。次いで、混合物を50℃で5分間保持した。次いで、混合物の温度を毎分1℃ずつ55℃まで上昇させた。次いで、混合物を55℃でさらに5分間保持した。次いで、混合物を毎分2℃ずつ60℃の温度まで上昇させた。次いで、混合物を60℃で10分間保持した。次いで、混合物の温度を毎分1℃ずつ75℃まで上昇させ、次いで75℃で10分間保持した。次いで、混合物を毎分2℃ずつ85℃の温度まで上昇させ、次いで85℃で10分間保持した。次いで、混合物を毎分1℃ずつ100℃の温度まで加熱し、その温度で2分間加熱した。その後、混合物を50℃まで冷まし、続いて糖化ステップにおいて、CYGYC BIOCON, S.Lから供給され、「SUKZYME L」の商品名で市販されている、真菌(コウジカビ(Aspergillus oryzae))由来のα-アミラーゼ6gで処理した。次いで、混合物の温度を毎分2℃ずつ60℃まで上昇させた。次いで、混合物を60℃で30分間保持し、その後、混合物を冷ました。40℃未満に冷めた後、100ミクロンのスクリーンを使用してスラリーを濾して、過大な粒子を分離した。
【0447】
濾した後、1600gの糖(スクロース)を植物ベースのミルクに溶解し、その後、撹拌機及び真空ポンプ(Wolff製)を備えたスチームジャケット付きトフィーケトルに移した。植物ベースの甘味ミルクを、シリコンベースの消泡剤(Murphy & Sonから供給され、「ANTIFOAM FD20PK」の商品名で市販されているもの)で処理し、次いで、減圧下で加熱するプロセスによって濃縮した。容器ジャケットに供給される蒸気は、0.5ゲージ圧(BAR)に維持された。継続的に撹拌しながら、植物ベースのミルクを加熱し、600~400mbarの減圧下で沸騰させた。植物ベースの甘味濃縮ミルクの全固形分含有量がおよそ88%に達するまで、製品の加熱及び撹拌を続けながら、気圧を最終圧力100mbarまで徐々に下げることによって、低温沸騰を維持した。
【0448】
植物ベースの甘味濃縮ミルクを、Winkworth製の実験室規模のZブレードミキサーに投入し、70℃に加熱し、400gのカカオリカーと穏やかに混合し、5分間混練して、濃厚ペーストを作製した。ペーストをおよそ2cmの厚さでトレイに充填し、真空ポンプ付きのMemmert GmbH + Co. KG製の加熱棚を備えた真空オーブンに移した。
【0449】
オーブン内の気圧を50mbarに下げ、オーブンの棚を80℃に1時間加熱し、その後、気圧を25mbarに下げ、さらに1時間、棚の温度を90℃に上昇させた。得られたクラムをオーブンから取り出したところ、総水分含有量は2%未満であった。総重量およそ3120gのクラムを冷まし、ハンマーで砕き、必要になるまで気密容器に保管した。必要になった時点で、これをミルに移し、粒子サイズが200ミクロン未満の粉末とする。
【0450】
その後、ビーガンクラム粉末を、1100gのココアバター、22gのヒマワリレシチン、及び20gの香味料と混合し、従来のミルクチョコレート製造と同様に精製、コンチング、テンパリング、デポジット及び冷却のプロセスに供して、ミルクチョコレートの乳製品を含まない代替品およそ4250gを製造した。
【0451】
実施例9
ミルクチョコレートの乳製品を含まない代替品の製造における使用のためのビーガンクラムを、以下の原料を使用して調製した。
【0452】
【0453】
クラムの調製プロセスは、以下の通りである。
【0454】
1000gの白米及び1100gの皮をむいた生アーモンド(マルコナ)を、ドライミル(スパイスグラインダー)を使用して微粉末に粉砕した。0.79gの塩化カルシウムを5.25リットルの水に35℃で溶解した。次いで、CYGYC BIOCON, S.Lから供給され、「BIALFA」という商品名で市販されている、細菌(枯草菌(Bacillus Subtilis))由来の食品グレードのα-アミラーゼ酵素5gを水に加えた。その後、全ての米粉及びアーモンド粉を一緒に合わせ、水に加え、高剪断ミキサーで4分間ブレンドして、スラリーを形成した。pH測定値を記録した。混合物はpH6.1であった。
【0455】
次いで、混合物を連続的に撹拌でき、最適な酵素活性化温度まで加熱できるように、混合物を、撹拌機を備えた電気加熱調理器(savage bros製、モデル:Firemixer-14)に移した。混合物を、35℃の開始温度から50℃の温度まで毎分2℃ずつ上昇させた。次いで、混合物を50℃で7分間保持した。次いで、混合物の温度を毎分2℃ずつ75℃まで上昇させた。次いで、混合物を75℃で15分間保持した。次いで、混合物の温度を毎分1℃ずつ85℃の温度まで上昇させた。次いで、混合物を85℃で10分間保持した。次いで、混合物の温度を毎分2℃ずつ100℃まで上昇させ、次いで100℃で2分間保持して、熱感受性の液化酵素を変性させた。糖化ステップは実施されなかった。分離ステップは実施されなかった。
【0456】
次いで、4000gの糖(スクロース)を植物ベースのミルクに溶解し、その後、撹拌機及び真空ポンプ(Wolff製)を備えたスチームジャケット付きトフィーケトルに移した。植物ベースの甘味ミルクを、シリコンベースの消泡剤(Murphy & Sonから供給され、「ANTIFOAM FD20PK」の商品名で市販されているもの)で処理し、次いで、減圧下で加熱するプロセスによって濃縮した。容器ジャケットに供給される蒸気は、0.5ゲージ圧(BAR)に維持された。継続的に撹拌しながら、植物ベースのミルクを加熱し、600~400mbarの減圧下で沸騰させた。植物ベースの甘味濃縮ミルクの全固形分含有量がおよそ88%に達するまで、製品の加熱及び撹拌を続けながら、気圧を最終圧力100mbarまで徐々に下げることによって、低温沸騰を維持した。
【0457】
植物ベースの甘味濃縮ミルクを、Winkworth製の実験室スケールのZブレードミキサーに投入し、70℃に加熱し、970gのカカオリカーと5分間穏やかに混合して、濃厚ペーストを製造した。ペーストをおよそ2cmの厚さでトレイに充填し、真空ポンプ付きのMemmert GmbH + Co. KG製の加熱棚を備えた真空オーブンに移した。
【0458】
オーブン内の気圧を50mbarに下げ、オーブンの棚を80℃に1時間加熱し、その後、気圧を25mbarに下げ、45分間、棚の温度を120℃に上昇させた。得られたクラムをオーブンから取り出したところ、総水分含有量はおよそ2%、総重量はおよそ7194gであった。クラムを冷まし、ハンマーで砕き、必要になるまで気密容器に保管した。
【0459】
その後、以下の原料を使用してビーガンミルクチョコレートを調製した。
【0460】
【0461】
6749.1gのクラムをミルに移し、粒子サイズが200ミクロン未満の粉末とする。次いで、粉末を、2160gの溶かしたココアバター及び36.9gの乾燥バニラさや粉末と共にストーンメランジャーに移し、そこで従来のミルクチョコレートの製造と同様におよそ10時間、45~55℃で精製及びコンチングした後、液体チョコレートに54gのヒマワリレシチンを混合し、次いで、保管し、冷ました。
【0462】
実施例10
ミルクチョコレートの乳製品を含まない代替品の製造における使用のための、穀物及びEU指定アレルゲンを含まないビーガンクラムを、以下の原料を使用して調製した。
【0463】
【0464】
クラムの調製プロセスは、以下の通りである。
【0465】
全粒タイガーナッツ2500gを水で洗い、冷水に浸漬した。12時間後にタイガーナッツを水から取り出し、水を廃棄した。
【0466】
1.13gの塩化カルシウムを7.5リットルの水に35℃で溶解した。次いで、CYGYC BIOCON, S.Lから供給され、「BIALFA」という商品名で市販されている、細菌(枯草菌(Bacillus Subtilis))由来の食品グレードのα-アミラーゼ酵素6.25gを水に加えた。次いで、タイガーナッツを水に加え、高剪断ミキサーで4分間ブレンドして、スラリーを形成した。pH測定値を記録した。混合物のpHは、6.06であった。
【0467】
次いで、混合物を連続的に撹拌でき、最適な酵素活性化温度まで加熱できるように、混合物を、撹拌機を備えた電気加熱調理器(savage bros製、モデル:Firemixer-14)に移した。次いで、混合物を、35℃の開始温度から50℃の温度まで毎分2℃ずつ上昇させた。次いで、混合物を50℃で7分間保持した。次いで、混合物の温度を毎分2℃ずつ75℃まで上昇させた。次いで、混合物を75℃で15分間保持した。次いで、混合物の温度を毎分1℃ずつ85℃の温度まで上昇させた。次いで、混合物を85℃で10分間保持した。次いで、混合物の温度を毎分2℃ずつ100℃まで上昇させ、次いで100℃で2分間保持して、熱感受性の液化酵素を変性させた。40℃未満に冷めた後、100ミクロンのスクリーンを使用してスラリーを濾して、過大な粒子を分離した。濾した後、20gの麻タンパク質分離物及び2000gの糖を植物ベースのミルクに溶解し、その後、撹拌機及び真空ポンプ(Wolff製)を備えたスチームジャケット付きトフィーケトルに移した。植物ベースの甘味ミルクを、シリコンベースの消泡剤(Murphy & Sonから供給され、「ANTIFOAM FD20PK」の商品名で市販されているもの)で処理し、次いで、減圧下で加熱するプロセスによって濃縮した。容器ジャケットに供給される蒸気は、0.5ゲージ圧(BAR)に維持された。継続的に撹拌しながら、植物ベースのミルクを加熱し、600~400mbarの減圧下で沸騰させた。植物ベースの甘味濃縮ミルクの全固形分含有量がおよそ88%に達するまで、製品の加熱及び撹拌を続けながら、気圧を最終圧力100mbarまで徐々に下げることによって、低温沸騰を維持した。
【0468】
植物ベースの甘味濃縮ミルクを、Winkworth製の実験室規模のZブレードミキサーに投入し、70℃に加熱し、477.5gのカカオリカーと5分間穏やかに混合して、濃厚ペーストを製造した。ペーストをおよそ2cmの厚さでトレイに充填し、真空ポンプ付きのMemmert GmbH + Co. KG製の加熱棚を備えた真空オーブンに移した。
【0469】
オーブン内の気圧を50mbarに下げ、オーブンの棚を80℃に1時間加熱し、その後、気圧を25mbarに下げ、45分間、棚の温度を120℃に上昇させた。得られたクラムをオーブンから取り出したところ、総水分含有量はおよそ2%、総重量はおよそ3520gであった。クラムを冷まし、ハンマーで砕き、必要になるまで気密容器に保管した。
【0470】
その後、以下の原料を使用してビーガンミルクチョコレートを調製した。
【0471】
【0472】
3374.55gのクラムをミルに移し、粒子サイズが200ミクロン未満の粉末とする。次いで、粉末を、10800gの溶かしたココアバター及び19.95gの乾燥バニラさや粉末と共にストーンメランジャーに移し、そこで従来のミルクチョコレートの製造と同様におよそ10時間、45~55℃で精製及びコンチングした後、液体チョコレートに27gのヒマワリレシチンを混合し、次いで、保管し、冷ました。
【0473】
実施例11
ミルクチョコレートの乳製品を含まない代替品の製造における使用のためのビーガンクラムを以下の原料を使用して調製した。
【0474】
【0475】
クラムの調製プロセスは、以下の通りである。
【0476】
デキストロース当量(DE)値が24の米シロップ固形分600gを、加水分解された米粉200g及び糖1700gと乾式混合する。粉末混合物を、混合物を、撹拌機を備えた電気加熱調理器(savage bros製、モデル:Firemixer-14)に移し、500gの冷水を加えた。混合物を穏やかに加熱し、継続的に撹拌し、液体の温度を100℃にした。次いで、植物ベースの甘味濃縮ミルクを、Winkworth製の実験室スケールのZブレードミキサーに投入し、70℃まで冷まし、次いで、440gのカカオリカー及び100gのココアバターと10分間穏やかに混合して、濃厚ペーストを製造した。
【0477】
ペーストをおよそ2cmの厚さでトレイに充填し、真空ポンプ付きのMemmert GmbH + Co. KG製の加熱棚を備えた真空オーブンに移した。
【0478】
オーブン内の気圧を50mbarに下げ、オーブンの棚を80℃に1時間加熱し、その後、気圧を25mbarに下げ、45分間、棚の温度を120℃に上昇させた。得られたクラムをオーブンから取り出したところ、総水分含有量はおよそ2%、総重量はおよそ3075gであった。クラムを冷まし、ハンマーで砕き、必要になるまで気密容器に保管した。
【0479】
その後、以下の原料を使用してビーガンミルクチョコレートを調製した。
【0480】
【0481】
2500gのクラムをミルに移し、粒子サイズが200ミクロン未満の粉末とする。次いで、粉末を、1000gの溶かしたココアバター及び14.55gの乾燥バニラさや粉末と共にストーンメランジャーに移し、そこで従来のミルクチョコレートの製造と同様におよそ10時間、45~55℃で精製及びコンチングした後、液体チョコレートに21.82gのヒマワリレシチンを混合し、次いで、保管し、冷ました。
【0482】
実施例12
ミルクチョコレートの乳製品を含まない代替品の製造における使用のためのビーガンクラムを以下の原料を使用して調製した。
【0483】
【0484】
クラムの調製プロセスは、以下の通りである。
【0485】
1000gの白米及び1100gの皮をむいた生アーモンド(マルコナ)を、ドライミル(スパイスグラインダー)を使用して微粉末に粉砕した。0.79gの塩化カルシウムを5.25リットルの水に35℃で溶解し、続いてCYGYC BIOCON, S.Lから供給され、「SUKZYME L」の商品名で市販されている、真菌(コウジカビ(Aspergillus oryzae))由来のα-アミラーゼ6gで処理した。その後、全ての米粉及びアーモンド粉を一緒に合わせ、水に加え、高剪断ミキサーで4分間ブレンドして、スラリーを形成した。pH測定値を記録した。混合物はpH6.1であった。
【0486】
次いで、混合物を連続的に撹拌でき、最適な酵素活性化温度まで加熱できるように、混合物を、撹拌機を備えた電気加熱調理器(savage bros製、モデル:Firemixer-14)に移した。混合物を50℃に加熱し、次いで、温度を毎分2℃ずつ60℃まで上昇させた。次いで、混合物を60℃で30分間保持し、その後、混合物を35℃まで冷まし、CYGYC BIOCON, S.Lから供給され、「BIALFA」という商品名で市販されている、細菌(枯草菌(Bacillus Subtilis))由来の食品グレードのα-アミラーゼ酵素5gで処理した。
【0487】
混合物を、35℃の開始温度から50℃の温度まで毎分2℃ずつ上昇させた。次いで、混合物を50℃で7分間保持した。次いで、混合物の温度を毎分2℃ずつ75℃まで上昇させた。次いで、混合物を75℃で15分間保持した。次いで、混合物の温度を毎分1℃ずつ85℃の温度まで上昇させた。次いで、混合物を85℃で10分間保持した。次いで、混合物の温度を毎分2℃ずつ100℃まで上昇させ、次いで100℃で2分間保持して、熱感受性の液化酵素を変性させた。分離ステップは実施されなかった。
【0488】
次いで、4000gの糖(スクロース)を植物ベースのミルクに溶解し、その後、撹拌機及び真空ポンプ(Wolff製)を備えたスチームジャケット付きトフィーケトルに移した。植物ベースの甘味ミルクを、シリコンベースの消泡剤(Murphy & Sonから供給され、「ANTIFOAM FD20PK」の商品名で市販されているもの)で処理し、次いで、減圧下で加熱するプロセスによって濃縮した。容器ジャケットに供給される蒸気は、0.5ゲージ圧(BAR)に維持された。継続的に撹拌しながら、植物ベースのミルクを加熱し、600~400mbarの減圧下で沸騰させた。植物ベースの甘味濃縮ミルクの全固形分含有量がおよそ88%に達するまで、製品の加熱及び撹拌を続けながら、気圧を最終圧力100mbarまで徐々に下げることによって、低温沸騰を維持した。
【0489】
植物ベースの甘味濃縮ミルクを、Winkworth製の実験室スケールのZブレードミキサーに投入し、70℃に加熱し、970gのカカオリカーと5分間穏やかに混合して、濃厚ペーストを製造した。ペーストをおよそ2cmの厚さでトレイに充填し、真空ポンプ付きのMemmert GmbH + Co. KG製の加熱棚を備えた真空オーブンに移した。
【0490】
オーブン内の気圧を50mbarに下げ、オーブンの棚を80℃に1時間加熱し、その後、気圧を25mbarに下げ、45分間、棚の温度を120℃に上昇させた。得られたクラムをオーブンから取り出したところ、総水分含有量はおよそ2%、総重量はおよそ7194gであった。クラムを冷まし、ハンマーで砕き、必要になるまで気密容器に保管した。
【0491】
その後、以下の原料を使用してビーガンミルクチョコレートを調製した。
【0492】
【0493】
6749.1gのクラムをミルに移し、粒子サイズが200ミクロン未満の粉末とする。次いで、粉末を、2160gの溶かしたココアバター及び36.9gの乾燥バニラさや粉末と共にストーンメランジャーに移し、そこで従来のミルクチョコレートの製造と同様におよそ10時間、45~55℃で精製及びコンチングした後、液体チョコレートに54gのヒマワリレシチンを混合し、次いで、保管し、冷ました。
【0494】
実施例13
ミルクチョコレートの乳製品を含まない代替品の製造における使用のための、穀物及びEU指定アレルゲンを含まないビーガンクラムを、以下の原料を使用して調製した。
【0495】
【0496】
クラムの調製プロセスは、以下の通りである。
【0497】
全粒タイガーナッツ2500gを水で洗い、冷水に浸漬した。12時間後にタイガーナッツを水から取り出し、水を廃棄した。
【0498】
1.13gの塩化カルシウムを7.5リットルの水に35℃で溶解し、続いてCYGYC BIOCON, S.Lから供給され、「SUKZYME L」の商品名で市販されている、真菌(コウジカビ(Aspergillus oryzae))由来のα-アミラーゼ7.5gで処理した。次いで、予備浸漬したタイガーナッツを水に加え、高剪断ミキサーで4分間ブレンドして、スラリーを形成した。pH測定値を記録した。混合物のpHは、6.03であった。
【0499】
次いで、混合物を連続的に撹拌でき、最適な酵素活性化温度まで加熱できるように、混合物を、撹拌機を備えた電気加熱調理器(savage bros製、モデル:Firemixer-14)に移した。混合物を50℃に加熱し、次いで、温度を毎分2℃ずつ60℃まで上昇させた。次いで、混合物を60℃で30分間保持し、その後、混合物を35℃まで冷まし、CYGYC BIOCON, S.Lから供給され、「BIALFA」という商品名で市販されている、細菌(枯草菌(Bacillus Subtilis))由来の食品グレードのα-アミラーゼ酵素6.25gで処理し、次いで、水に加えた。次いで、混合物を、35℃の開始温度から50℃の温度まで毎分2℃ずつ上昇させた。次いで、混合物を50℃で7分間保持した。次いで、混合物の温度を毎分2℃ずつ75℃まで上昇させた。次いで、混合物を75℃で15分間保持した。次いで、混合物の温度を毎分1℃ずつ85℃の温度まで上昇させた。次いで、混合物を85℃で10分間保持した。次いで、混合物の温度を毎分2℃ずつ100℃まで上昇させ、次いで100℃で2分間保持して、熱感受性の液化酵素を変性させた。40℃未満に冷めた後、100ミクロンのスクリーンを使用してスラリーを濾して、過大な粒子を分離した。濾した後、20gの麻タンパク質分離物及び2000gの糖を植物ベースのミルクに溶解し、その後、撹拌機及び真空ポンプ(Wolff製)を備えたスチームジャケット付きトフィーケトルに移した。植物ベースの甘味ミルクを、シリコンベースの消泡剤(Murphy & Sonから供給され、「ANTIFOAM FD20PK」の商品名で市販されているもの)で処理し、次いで、減圧下で加熱するプロセスによって濃縮した。容器ジャケットに供給される蒸気は、0.5ゲージ圧(BAR)に維持された。継続的に撹拌しながら、植物ベースのミルクを加熱し、600~400mbarの減圧下で沸騰させた。植物ベースの甘味濃縮ミルクの全固形分含有量がおよそ88%に達するまで、製品の加熱及び撹拌を続けながら、気圧を最終圧力100mbarまで徐々に下げることによって、低温沸騰を維持した。
【0500】
植物ベースの甘味濃縮ミルクを、Winkworth製の実験室規模のZブレードミキサーに投入し、70℃に加熱し、477.5gのカカオリカーと5分間穏やかに混合して、濃厚ペーストを製造した。ペーストをおよそ2cmの厚さでトレイに充填し、真空ポンプ付きのMemmert GmbH + Co. KG製の加熱棚を備えた真空オーブンに移した。
【0501】
オーブン内の気圧を50mbarに下げ、オーブンの棚を80℃に1時間加熱し、その後、気圧を25mbarに下げ、45分間、棚の温度を120℃に上昇させた。得られたクラムをオーブンから取り出したところ、総水分含有量はおよそ2%、総重量はおよそ3520gであった。クラムを冷まし、ハンマーで砕き、必要になるまで気密容器に保管した。
【0502】
その後、以下の原料を使用してビーガンミルクチョコレートを調製した。
【0503】
【0504】
3374.55gのクラムをミルに移し、粒子サイズが200ミクロン未満の粉末とする。次いで、粉末を、1080gの溶かしたココアバター及び19.95gの乾燥バニラさや粉末と共にストーンメランジャーに移し、そこで従来のミルクチョコレートの製造と同様におよそ10時間、45~55℃で精製及びコンチングした後、液体チョコレートに27gのヒマワリレシチンを混合し、次いで、保管し、冷ました。
【0505】
実施例14
ホワイトチョコレートの乳製品を含まない代替品の製造における使用のためのビーガンクラムを以下の原料を使用して調製した。
【0506】
【0507】
クラムの調製プロセスは、以下の通りである。
【0508】
1000gの白米及び1100gの皮をむいた生アーモンド(マルコナ)を、ドライミル(スパイスグラインダー)を使用して微粉末に粉砕した。0.79gの塩化カルシウムを5.25リットルの水に35℃で溶解した。次いで、CYGYC BIOCON, S.Lから供給され、「BIALFA」という商品名で市販されている、細菌(枯草菌(Bacillus Subtilis))由来の食品グレードのα-アミラーゼ酵素5gを水に加えた。その後、全ての米粉及びアーモンド粉を一緒に合わせ、水に加え、高剪断ミキサーで4分間ブレンドして、スラリーを形成した。pH測定値を記録した。混合物はpH6.1であった。
【0509】
次いで、混合物を連続的に撹拌でき、最適な酵素活性化温度まで加熱できるように、混合物を、撹拌機を備えた電気加熱調理器(savage bros製、モデル:Firemixer-14)に移した。混合物を、35℃の開始温度から50℃の温度まで毎分2℃ずつ上昇させた。次いで、混合物を50℃で7分間保持した。次いで、混合物の温度を毎分2℃ずつ75℃まで上昇させた。次いで、混合物を75℃で15分間保持した。次いで、混合物の温度を毎分1℃ずつ85℃の温度まで上昇させた。次いで、混合物を85℃で10分間保持した。次いで、混合物の温度を毎分2℃ずつ100℃まで上昇させ、次いで100℃で2分間保持して、熱感受性の液化酵素を変性させた。糖化ステップは実施されなかった。分離ステップは実施されなかった。
【0510】
次いで、4000gの糖(スクロース)を植物ベースのミルクに溶解し、その後、撹拌機及び真空ポンプ(Wolff製)を備えたスチームジャケット付きトフィーケトルに移した。植物ベースの甘味ミルクを、200gのココアバター及びシリコンベースの消泡剤(Murphy & Sonから供給され、「ANTIFOAM FD20PK」の商品名で市販されているもの)で処理し、次いで、減圧下で加熱するプロセスによって濃縮した。容器ジャケットに供給される蒸気は、0.5ゲージ圧(BAR)に維持された。継続的に撹拌しながら、植物ベースのミルクを加熱し、600~400mbarの減圧下で沸騰させた。植物ベースの甘味濃縮ミルクの全固形分含有量がおよそ90%に達するまで、製品の加熱及び撹拌を続けながら、気圧を最終圧力100mbarまで徐々に下げることによって、低温沸騰を維持した。
【0511】
植物ベースの甘味濃縮ミルクを、Winkworth製の実験室スケールのZブレードミキサーに投入し、70℃に加熱し、5分間穏やかに混合して、濃厚ペーストを製造した。ペーストをおよそ2cmの厚さでトレイに充填し、真空ポンプ付きのMemmert GmbH + Co. KG製の加熱棚を備えた真空オーブンに移した。
【0512】
オーブン内の気圧を50mbarに下げ、オーブンの棚を80℃に1時間加熱し、その後、気圧を25mbarに下げ、45分間、棚の温度を120℃に上昇させた。得られたクラムをオーブンから取り出したところ、総水分含有量はおよそ2%、総重量はおよそ6424gであった。クラムを冷まし、ハンマーで砕き、必要になるまで気密容器に保管した。
【0513】
その後、以下の原料を使用してビーガンホワイトチョコレートを調製した。
【0514】
【0515】
6299.1gのクラムをミルに移し、粒子サイズが200ミクロン未満の粉末とする。次いで、粉末を、2610gの溶かしたココアバター及び36.9gの乾燥バニラさや粉末と共にストーンメランジャーに移し、そこで従来のホワイトチョコレートの製造と同様におよそ10時間、45~55℃で精製及びコンチングした後、液体チョコレートに54gのヒマワリレシチンを混合し、次いで、保管し、冷ました。
【0516】
実施例15
【0517】
【0518】
実施例16
広範囲の植物ベースのクラム及び植物ベースのチョコレートは、例えば上に例示したように、本明細書に記載の方法を使用して調製することができる。非公式の官能試験に基づき、栄養プロファイルの以下の例示的な範囲を決定することができる。理論に束縛されることを望むものではないが、表2に示される最適化された範囲内に入る組成を有するクラム及びチョコレートは、味(甘味及び風味の複雑さ)、口当たり、製造/加工の容易さなどの点で特に良好なバランスを達成する。とはいえ、味は主観的な尺度であり、異なる組成物/レシピ/製品が異なる目的に適し得ることは理解されよう。
【0519】
【国際調査報告】